1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 21:36:51.18 ID:mLKuy6JF0
玄「ひっ……!」

憧「ああ、そういえば今日はまだしてなかったねー」

穏乃「さあ玄さん、ちゃんと自殺できるように練習しよう!」

玄「い、イヤ……いやあ……」

憧「イヤじゃないの。玄は自殺しなきゃいけないんだから」

穏乃「そうそう、そのための自殺の練習だよ」

憧「さて、今日はどういう練習にしよっかなー」

引用元: 穏乃「玄さーん、今日も自殺の練習するよーwwww」 


 

 
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 21:41:31.28 ID:mLKuy6JF0
階段

憧「よし、今日はここで練習しよう」

穏乃「どういう練習なの?」

憧「飛び降り自殺の練習だよ。ほら玄、飛んで」

玄「ええっ、と、飛ぶって……何段目から……?」

憧「は? 一番上からに決まってんじゃん」

玄「そ、そんな……無理だよ……」

穏乃「もー、なにビビってんのさ玄さん。20段くらいしかないから余裕だって」

玄「いや、いやだよ……」

憧「はあ~、玄さぁ、こんな高さで怖がってたら飛び降り自殺なんてできないよ?」

穏乃「そーだよ、本番はもっと高いところから飛ばなきゃいけないんだし」

憧「ほら、勇気出して。私たちは玄がちゃんと自殺できるように応援してるから」

穏乃「みんなの気持ちに答えなきゃだめだよ玄さん」

玄「やだよお、自殺なんてしたくない……」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 21:45:13.22 ID:mLKuy6JF0
憧「ったく……今更嫌がっても仕方ないでしょ」

穏乃「そうだよ、玄さんは自殺しないと」

憧「だって玄があんなに失点したせいで負けちゃったんだからさ」

穏乃「その罪はちゃんと償わないといけないよね?」

憧「そうそう、死をもって責任を取らないと」

穏乃「私たちの夢を潰した罪が自殺するだけで許されるんだよ、安いもんだよ」

玄「う、うう……」

憧「ほら、分かったら早く飛んで」

玄「む、無理だよ……怖いよ……」

穏乃「頑張って、玄さん。これは本番じゃないし、練習だし」

憧「そうそう、もっと気楽に。リラックスして臨めばいいよ」

玄「でも……でもでも……」

憧「いいからとっとと飛べよ!」

玄「ひいっ!」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 21:49:44.12 ID:mLKuy6JF0
憧「早く飛ばないと、もっと高い階段から突き落とすよ?」

玄「い、いやあ……」

憧「それが嫌ならここから飛び降りたほうがいいよね」

穏乃「それくらいなら玄さんの頭でも理解できるでしょ」

玄「ううう……」

憧「ほら、カウントダウンいくよー」

穏乃「3……」

憧「2……」

穏乃「1……」

憧「はい、ジャーンプ!」

玄「うっ……うわああああああっ!!」ピョーン

穏乃「うおお、ほんとに飛んだwwwwwww」

憧「あはははは、あはははは!」

玄「いたい、痛いよお……」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 21:55:14.38 ID:mLKuy6JF0
憧「あはははは、あーははははは!」

穏乃「ちょっと着地失敗しちゃったね、玄さん」

玄「いたい、いたい……グスッ」

憧「あー、腕と脚を打ったんだ。でもそれじゃダメだよ」

穏乃「そうそう、地面に頭をぶつけないと死ねないからね!」

憧「ま、今日の練習は60点ってとこかな、あははは」

穏乃「昨日は40点だったからちょっとは進歩してるね」

玄「はあ、はあ……」

憧「はーあ、笑った笑った。この後どうする?」

穏乃「鷺森レーンいかない? 体動かしたいし」

憧「またあそこか。まー、そこ以外に遊ぶ場所もないか~」

穏乃「さあ玄さん、いつまでうずくまってんの。早く行くよ」

玄「でも、体中痛くって……」

憧「痛いのはアンタの自業自得でしょ、ほら早く立てよ」ゲシゲシ

玄「け、蹴らないで……」グスッ

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:00:20.43 ID:mLKuy6JF0
鷺森レーン

灼「いらっしゃいませ」

憧「おー、灼~。今日も来たよ~」

穏乃「最近部活来ないけど、どーしたんですか?」

灼「……店番しないといけないから」

憧「そんなのお婆ちゃんに任せとけばいいのに~」

穏乃「灼さん、いつものボウリングシューズ貸してくださーい」

憧「私も~」

灼「勝手に持ってっていいよ」

玄「…………」

灼「……」

玄「あ、あらたちゃ……」

灼「……」プイッ

玄「あ……」

憧「玄ー、何やってんの、早く来なよ! まったくのろいんだからー!」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:05:52.24 ID:mLKuy6JF0
玄「ごめん……遅くなって」

穏乃「遅いですよー、玄さん……あれ? なんで靴借りてるんですか?」

玄「えっ?」

憧「はあーあ、もう……玄も一緒に投げていいなんて一言も言ってないよね?」

玄「あ、そ、そうなんだ……ごめんなさい」

憧「私とシズだけで投げるから、玄はそのへんで見てて」

玄「うん……」スッ

憧「あ、ちょっと! 誰が座ってもいいって言った?」

玄「えっ……」

穏乃「そうだよ、玄さんはずっと立ってなきゃ」

玄「で、でも……さっき飛び降りてから足と腰が痛くて」

憧「それがダメなんだよ、玄は。すぐ言い訳して、甘えようとして」

穏乃「そうそう、もっと鍛えなきゃ。だから先鋒戦であんな負け方するんだよ?」

玄「ご……ごめんなさい」

憧「ほら、分かったら立って」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:09:56.30 ID:mLKuy6JF0
穏乃「でも、ただ立たせてるだけってのも面白くないよね」

憧「だねー」

穏乃「そうだ、シェーのポーズで立っててよ」

玄「しぇ、シェー? こ、ここで……?」

憧「当たり前じゃん」

玄「は、恥ずかしいよ……」

穏乃「これは玄さんの精神を鍛えるために必要なんことなんだよ」

憧「そうそう、麻雀で大事なのは心をしっかり持つことだからね!」

穏乃「そこへくると玄さんは大事な先鋒戦で終始涙目で……」

憧「あれは酷かったよね~」

穏乃「だから玄さんはちゃんと心を鍛えなきゃダメなの。わかる?」

玄「うん……ごめんなさい……」

憧「ほら、シェーして」

玄「こ、こう……?」

憧「ぷっ」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:13:19.86 ID:mLKuy6JF0
憧「そうだ、普通の表情だとつまんないから、変顔もしてよ」

穏乃「それいいねー! 人から笑われることで心を強くしよう、玄さん!」

玄「へ、変顔って……」

憧「ほら、早くやれよ」

玄「は、はい……こう……?」グニュ

憧「あはははは、あはははは!」

穏乃「ブハハハははあ、玄さんすげえー!」

憧「あははは、私らがボウリング終わるまでずっとそのままね!」

穏乃「おもしれー、写メとっとこ!」カシャ

憧「ほら、先にシズが投げる番だよ」

穏乃「はいはーい」

「うわっ、なんだよあの子……」
「なんかの罰ゲームか?」
「バカみたいだな、かわいそう」

玄「う、ううう……」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:18:59.45 ID:mLKuy6JF0
玄(片足立ちじゃ足が痛い……)

玄(腰もさっきぶつけてすごく痛いよ……)

玄(いつまでもこんな体制で立ってられない……)

穏乃「やったー、2連続ストラーイク!」

憧「あんたすごいなー、私スペアも出ないよ~」

穏乃「コツがあるんだよコツが~」

憧「はーあ、運動じゃアンタに勝てないわー」

玄(さいわい二人ともボウリングに夢中だ)

玄(こっちのほうを見る気配もないし)

玄(ちょっとくらいならシェーを解いてもばれないよね……)

穏乃「よーし、3連続ストライクいっくぞー」

憧「3連続ストライクは、私たちの一大目標です!」

穏乃「あはは、似てねー」

玄(はあ……普通に立っててもつらいけど、さっきよりはマシだ)

玄(いつまでこんなこと続けなきゃいけないんだろう……)

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:23:23.78 ID:mLKuy6JF0
穏乃「はー、遊んだ遊んだー」

憧「結局シズのスコアに追いつけなかったよ~」

穏乃「あははは、まあそのかわり勉強のスコアじゃ憧に勝てないし~」

憧「偏差値70なめんなよー」

玄「…………」

灼「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしてます」

憧「あ、そうだ灼~」

灼「なに」

憧「玄がさあ、シェーのポーズしてたでしょ? それずっとやってた?」

玄「えっ……」

憧「ここからだと玄のこと見えてたよね? どうだった?」

灼「…………」

玄(やめて、灼ちゃん……どうかごまかして……)

灼「ときどき、普通に立ってた」

玄「!!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:30:09.40 ID:mLKuy6JF0
憧「ふーん、そっかそっかー」

穏乃「あーあ、ズルしてたんだねー」

憧「私たちの言うこと聞いてなかったんだ」

玄「あ……その……」

憧「これはちょっとお仕置きが必要かな」

穏乃「そうだよねえ、私たちの命令に背いたわけだし」

憧「はーあ、玄ってばどこまでポンコツなんだか……」

穏乃「困るよねえ、出来の悪い先輩を持つと」

玄「あ……ああ……」ガクガク

憧「じゃあ公園にでも行こっか」

穏乃「そうだね。この時間ならもう誰もいないだろうし」

憧「玄、たーっぷりお仕置きするから。楽しみだね~」

穏乃「私たちの愛だよ、愛」

玄「いや……いやあ……」ブルブル

憧「おらっ、来いよ!」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:37:51.90 ID:mLKuy6JF0
公園

憧「もう5時も回ってるし誰もいないね」

穏乃「じゃあ心置きなく玄さんにお仕置きできるってわけだ」

玄「…………」ガクガク

憧「うーん、で、どうする?」

穏乃「ん~……ぶっちゃけネタ切れ気味だよねえ」

憧「大車輪ブランコは前にやったし、逆すべり台もやった」

穏乃「両手後ろ縛りジャングルジムもやった、シーソー顎叩きもやったよ」

憧「うーむ、まあ無理に凝ったことする必要もないか」

穏乃「そうだね、じゃあシンプルに」

憧「玄~、お仕置き決まったよ~」

玄「ひいぃ、嫌……大車輪ブランコはもう嫌……」

穏乃「前と同じことはしないって」

憧「今日はねえ、砂場の砂を食べるだけでいいよ」

穏乃「うん、そろそろお腹空いてるでしょ? 食べなよ」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:43:07.18 ID:mLKuy6JF0
玄「えっ、す、砂なんて……」

憧「なに、食べられないの?」

穏乃「ここの公園の砂は綺麗だから安心しなよ~」

憧「そうそう、このまえ野良ネコがウンコしてたくらい綺麗だから」

穏乃「ほらー、早く食べなってば」

玄「た、食べるって、どれくらい……」

穏乃「そうだなー、どれくらいにしようかな」

憧「あっ、あそこにバケツ落ちてるじゃん」

穏乃「どっかの子供が忘れてったのかな?」

憧「サイズもちょうどいいし、このバケツ一杯分の砂を食べるってのどう?」

穏乃「お、いいね~」

玄「む、無理だよ……そんなに食べられないよ……」

憧「なにそれ、量の問題なの? もっと少なかったら砂を食べられるってこと?」

穏乃「ぶははははは」

玄「そ、そういうことじゃ……」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:47:16.57 ID:mLKuy6JF0
憧「ちょっとまってて、バケツに砂入れるから」ザックザック

穏乃「食べやすいように柔らかい砂にしよう」ザックザック

玄「う、いやあ……」

憧「ようし、できた!」

穏乃「はい玄さん、これが今日の玄さんの晩御飯だよ!」ドサッ

玄「…………」

憧「ほら、食べなよ。お箸とかないから手づかみだけど」

玄「で、でも……」

憧「さっさと喰えっつってんだろがよ!」

玄「ひっ、ひいいっ!」

穏乃「おっ、砂に手を伸ばした」

玄「あ、あ、あぁぁぁ…………」プルプル

憧「そう、そのまま口に持っていけ!」

玄「うわあああああああっ!!」バクッ

穏乃「おおおお、マジで食べたwwwwwwww」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:52:14.43 ID:mLKuy6JF0
玄「うあああ、ううう……」ジャリジャリジャリ

憧「あーはははは、あはははははは!!」

穏乃「食べてるー、ほんとに砂食べてるー!」

憧「どうなの、美味しいの? 美味しいわけないかー、あはははは!」

玄「うえええ、ううう、うあう……」ジャリジャリジャリ

穏乃「一心不乱に食べてるよ」

憧「心頭滅却ってやつだなー。こういうことされると見ててつまんないんだけど」

玄「うっ……うえっ、うげえええええええっ」ゲロゲロゲロ

穏乃「うわっ、もどした!」

憧「きったないなあー、普通後輩の前でゲロ吐く? 最低の先輩だねえ」

玄「おえっ、おええええええええ」

憧「ちっ……汚いなあ、なんか興冷めしちゃった」

穏乃「私も~。もう帰ろっか~」

憧「そうだねえ、今日はこの辺にしとこっか」

玄「ううっ……うえええ……」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:55:30.00 ID:mLKuy6JF0
松実家

玄「ただいま……」

宥「……」

玄「あはは……砂食べさせられちゃった……」

宥「……」

玄「制服も……ゲロまみれだよ……」

宥「……」

玄「お風呂あいてるかな……」

宥「……」

玄「なんとか言ってよ……お姉ちゃん……」

宥「……玄ちゃんに優しくしたのがバレたら」

玄「……」

宥「私も……いじめられちゃうから……」

玄「……お姉ちゃん…………」

宥「…………」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:03:15.77 ID:mLKuy6JF0
翌日

憧「はーあ、暇だなあ~」

穏乃「部活にももう全然人来ないしなー」

憧「晴絵はとっととプロに行っちゃったし」

穏乃「私たちほんとにただの踏み台だったんだね……」

憧「灼は晴絵がいなくなったから来なくなったし」

穏乃「晴絵さん目当てで入部してたしねー」

憧「宥姉は受験のために引退」

穏乃「このままじゃ来年廃部だよなー」

憧「まあいいんじゃない、全国で和に会うっていう目標は叶ったし」

穏乃「会うっつったって……試合で和と当たったわけじゃないじゃん」

憧「あー、まあそれも全部玄のせいなんだけどね」

穏乃「そうだよ、玄さんがもっとしっかり打ってたら決勝まで……」

ガチャ
玄「……」

憧「お、噂をすれば」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:09:42.68 ID:mLKuy6JF0
穏乃「遅いよ玄さーん」

玄「ごめんなさい……」

憧「今ちょうど玄の話してたんだよね。玄のせいで全国大会敗退したって」

穏乃「そうそう、そのせいで私たちが和と対局できなかったんだよ」

玄「でも……大会終わった後ホテルに呼んで打ってた……」

憧「バカだな、全国大会っていう大舞台で打つことに意味があんの!」

穏乃「ほんっとに何もわかってないなあ、玄さんは」

玄「ごめんなさい……」

憧「ったく……ちゃんと自殺して責任とってもらわないとね」

穏乃「全然反省が見えないもんねえ」

憧「よし、今日からはもっと本格的に自殺の練習しよっか!」

穏乃「うん、そのほうがいいよ! もっと実践的なことしなきゃ!」

玄「ひっ……!?」

憧「今日は何にしよっかな~……あっ、そうだ! アレがあった」ゴソゴソ

穏乃「アレってなんだよ?」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:18:28.25 ID:mLKuy6JF0
憧「じゃーん。バッファリンでーす」

穏乃「それをどうすんの?」

憧「うん、今日は服毒自殺の練習をしてもらおうかなって」

玄「ひっ…………」

憧「これは身体を良くする薬だけど、いっぱい飲んだら毒になるっしょ?」

穏乃「なるほどー、さすが憧! よく思いつくな~」

憧「はっはっはー、褒めるな褒めるなー」

玄「う、うう……」

憧「えーっと、中身は……10錠あるね。さあ玄、これ一気に飲んじゃって」

玄「いやっ、いやあ、無理だよお……そんなのほんとに死んじゃう……」

憧「大丈夫大丈夫、今ググったらバッファリンの致死量は20錠~200錠くらいだって」

穏乃「幅広過ぎだろ」

憧「だから10錠くらい飲んだって死にゃしないよ、ほらほら」

玄「や、やだよお……無理だよお、そんなの……」

憧「ほら、玄のための自殺の練習だよ? ちゃんとやらなきゃ練習にならないよ」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:26:04.30 ID:mLKuy6JF0
憧「しずー、飲み物持ってる?」

穏乃「お茶ならあるよ、はい玄さん」

憧「さあさあ、このお茶でぐいーっと流し込んじゃって」

玄「む、無理だよ……こんな……」

穏乃「んー、仕方ないなー……えいっ!」ガシッ

玄「いやっ、は、離して……」

穏乃「玄さんがいつまでも呑まないからこうするしかないんじゃん」

憧「グッジョブしず、そのまま押さえといてね!」

穏乃「おうよ!」

玄「い、いや……いやあああ!!」

ガチャ
宥「み、みんなー……久しぶり~……」

玄「お、おねえちゃ……」

憧「宥姉じゃん、どしたのー?」

宥「あ、その……みんなどうしてるかなーと思って」

憧「えー、みんないつもどおりだよー?」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:34:16.53 ID:mLKuy6JF0
穏乃「宥さん、今日はなんか用事ですか?」

宥「あ、ううん、塾がお休みだからちょっと息抜きに……」

憧「宥姉、受験勉強がんばってんですねー」

宥「ま、まあそれなりにね……それより麻雀打とう、久々に4人揃ったから」

憧「お、いいねえー」

穏乃「なんか麻雀うつの久々な気がする~」

宥「私も久々……腕がなまってなきゃいいけど」

穏乃「それはお互い様ですよ~」

玄(よ、よかった……宥姉が来たおかげでなんか有耶無耶な感じに……)

宥(ごめんね玄ちゃん……私に出来るのはこれくらい……)

憧「ほら、玄も早く座りなよ。もう始めちゃうよ」

玄「う、うん、ごめん……」

穏乃「よーし、勝つぞー」

宥「フフ、私だって負けないから」

玄(こうしてると……いつもどおりの麻雀部なのに……)

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:41:51.07 ID:mLKuy6JF0
帰り道

憧「いやー、久々に打った打った」

穏乃「やっぱ麻雀やってる時が一番楽しいなー、ねえ玄さん」

玄「うん、私も皆と打てて楽しかった」

憧「は? なに友達ヅラしてんの?」

穏乃「皆と打てて楽しかった、だってー。ぷぷっ」

玄「…………」

憧「あっ、そういえば今日の自殺の練習、結局やれなかったね」

穏乃「ああ~、宥さんが来たせいで流れちゃってたね」

憧「どうする? 今からもう1回やろっか」

穏乃「バッファリンあるの?」

憧「いつのまにか失くなってたけど……まあ服毒以外にも自殺はいっぱいあるし」

穏乃「じゃあ何にしよっか」

憧「うーん、そーだな……あ、そうだ!」

玄(痛いのじゃありませんように……)

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:50:45.97 ID:mLKuy6JF0
憧「ほら、ここって車いっぱい通るじゃん」

穏乃「大通りだしな」

憧「スピードも結構出てるし、飛び込んだら自殺できるよね」

玄「ひっ……!?」

穏乃「おおー、なるほど。でもそれって運転手に迷惑かからない?」

憧「まあ死んじゃえばそんなの関係ないでしょ。逆に慰謝料貰えるかも」

穏乃「慰謝料も死んだら関係ないじゃん」

憧「そっか、あははは」

穏乃「あはははは」

憧「とゆーわけで玄、走ってくる車に飛び込んでみよっか?」

玄「えっ、む、むりむりむり! そんなの絶対無理だよお!」

憧「無理とか言うからダメなんだって! ほら、練習だから」

穏乃「そうそう、玄さんのために色々考えてあげてるんだから」

憧「私たちの好意をムダにするわけ?」

玄「そ、それとこれとは……」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:56:50.97 ID:mLKuy6JF0
ブオオオーン  ブオオオオオオオ

憧「ほら、次こっちの車線に走ってきた車に飛び込んで!」

玄「む、無理だって! 絶対死んじゃうって!」

穏乃「死んだら今日が本番だったってことで」

玄「や、やだよおそんなの……!」

憧「あっ、車来たよ! ほら位置について!」

玄「やだ、やだ、やだやだ……」

憧「イヤイヤしてても意味無いでしょ! 勇気出して!」

穏乃「もう近づいてきた、今だよ玄さん!」

玄「い、いやあああ……」

憧「あーもう、じれったいなあ!」ドンッ

玄「ひ、ひやああああああああ!!」

キキーッ
運転手「てめえ、いきなり飛び出してくんな!」

玄「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ……」

憧「あちゃー、惜しいな」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 00:04:17.90 ID:nIC0u9Of0
憧「でも今のでコツは掴めたよね?」

穏乃「飛び出すタイミングとか、瞬発力とか」

憧「じゃあ今度は一人でやってみよっか」

玄「い、嫌……無理だよ……死ぬよ……」

憧「死ぬんだからいいんじゃん」

穏乃「そうだよ、どうせ玄さんは自殺して罪を償わなきゃいけないんだから」

憧「そうそう、今死ぬか、あとで死ぬか。その違いだよ」

玄「うう、う……」

玄(そうだ……二人の言うとおり……)

玄(いっそ死んでしまったほうが……楽になれるのかな……)

玄(お母さん……私、もうそっちに行ってもいいのかな……)

玄(もうこれ以上毎日の仕打ち耐えたって……しかたがないよ……)

玄(私は……私はもう……)

憧「おっ、またよさげな車が来たよ」

穏乃「いっけー、玄さ~ん!」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 00:14:21.70 ID:nIC0u9Of0
ブオオオオオオオ

玄「…………」フラリ

穏乃「おー、ついに一歩踏み出した!」

憧「ね、ねえシズ……なんか玄の様子が……」

穏乃「え、何が?」

玄「…………」フラフラ

キキイイイイイイイイイッ

ドオン

私の体は宙を舞った
しかし死ぬには至らず
運転手がブレーキをかけた上に当たりどころも良かったらしい
これなら階段から飛び降りた時のほうが痛かった……

穏乃ちゃんと憧ちゃんのパニクった顔……
あんなに青ざめるなんて、他人を自殺させようとしていたとは思えない
そうだ、あの2人だって所詮はただの高校生
いじめという遊びには興じても、一線を越えると立ち竦んでしまう
弱くて程度の低い人間なのだ

車から冷や汗だらけの運転手が降りてくる
私はそんな彼を横目に立ち上がり
そのまま家に帰った……

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 00:21:57.11 ID:nIC0u9Of0
あのあと警察が来て色々あったらしいがよくは知らない
病院にも行かされて大仰な装置で全身を精密検査されたものの
ただの軽い打撲と擦り傷しかなかったので
翌日もいつもと変わることなく普通に学校に登校した
そして放課後は部室へと向かう

玄(まだ誰も来てない)

玄(そうだ、久しぶりに掃除でもしよう)

玄(あの大会が終わってから、掃除なんてしてなかった)

玄「…………」


ガチャ
憧「ちょりーっす」

穏乃「あ、玄さんもう来てたんだ」

憧「掃除してんの? 玄はそういう汚れ役似合うね」

穏乃「玄さん自体汚れてっからね……」

憧「あー、なんか薄汚いよね~、くさいし……」

玄「あ、あはは……」

憧「そうだ、私たちで玄を掃除してあげようよ」

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 00:30:29.45 ID:nIC0u9Of0
穏乃「おおー、それは名案だねー」

憧「玄、モップ貸してー」

玄「や、やめてよお……汚いよお……」

痛みを伴わないイジメならば苦痛はない
心を殺してしまえば何も感じなくて済むから
でも無感情になりきってしまうと2人は喜ばない
形だけでも嫌がり、抵抗を見せて2人を満足させてあげなければならない

憧「大丈夫、玄よりモップのほうが綺麗だし!」

穏乃「はーい、玄さんきれいきれいしようねー」

憧「シズ、玄のことちゃんと抑えておいてね!」

穏乃「ほいきた!」ガッシ

憧「よーし、いくよー……そりゃっ!」ベチャッ

玄「ふぐ、ふむー! ふぐぐぅ……」

憧「おりゃ、おりゃおりゃ!」グイグイグイ

玄「んっふ、ふむぅ、ううむう……」

憧「あはははは、あはははは!」

穏乃「そうですかー玄さん、お掃除されてますけど!」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 00:38:52.62 ID:nIC0u9Of0
憧「まあこんなもんかな~」

玄「はあ、はあ、はあ……」

穏乃「どう、綺麗になった?」

憧「うーん……なってないねえ……汚れがこびりついてるしね」

穏乃「ああ、確かに……これは落ちないタイプの汚れだね……」

憧「こんな汚い顔のままで一生生きてくなんて可哀想過ぎる……」

穏乃「ほんとにね……しかもちょっとくさいし……」

玄「…………」

憧「もういっそ自殺したほうが楽になるよね」

穏乃「そうだね、そのためにも今日も自殺の練習しよっかー」

昨日のことはまったく懲りていないらしかった
本当にサル並の知能……そして男のことしか頭にないビッチ脳
寝て起きれば何があったかすっかり忘れてしまうらしい

憧「今日はこれでーっす。じゃじゃーん」

穏乃「おお、デカイカッターナイフ」

玄(刃物か……ちょっとやばいなあ……)

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 00:48:14.03 ID:nIC0u9Of0
憧「これで腕を切ってさ、水につけるとどんどん血が流出していくんだよね」

穏乃「ああ知ってる、名探偵コナンで見た」

憧「ちょっと腕切るだけで、あとはほっとけば死ねるんだよ? 楽じゃない?」

穏乃「おおー、ヘタレの玄さんにはぴったりだねえ」

憧「はい、玄! 腕出して~」

玄「えっ、いや無理無理……そんなの……」

憧「いいから早く出しなって」

玄「い、いやだよ……人に切られるなんて」

憧「あー、じゃあ自分で切る? そのほうがいいっしょ」

穏乃「そーだね、そのほうが本番にも役立つしね」

憧「そうそう、本番は自分で切らなきゃいけないし。はい、カッター」

玄「うん……わかった……」

憧「お、すんなり切っちゃう?」

玄「切らないよ……刺すんだよ」

ザシュッ

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 00:54:26.07 ID:nIC0u9Of0
憧「あ…………え…………?」

穏乃「あ、あこっ!!」

憧「い、痛い……痛い……いいい……っ」

玄「はあ、はあ、はあ、はあ……」

刺した
この手で人を刺した
自分でも驚くほどあっさりと……
他人を傷つけてしまった

いや、違う……
傷つけたわけではない
今まで自分が受けた痛みを
ちょっと返してあげただけなんだ
痛みを、罪を、分かち合っただけなんだ

穏乃「玄さん! いったい何を考えて……!」

玄「うるさいいっ!!」

穏乃「ひっ……!」

玄「私に口答えしないで……また憧ちゃんを刺すよ……」

穏乃「わかった、わかったから……カッター向けないで……」

憧「いたい、痛いよおー……しずぅ~……」

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 01:03:26.12 ID:nIC0u9Of0
玄「灼ちゃん……」

穏乃「えっ」

玄「灼ちゃんをここに呼んできて……今すぐに」

穏乃「な、なんで」

玄「許せない……私がいじめられてるの……見て見ぬふりして……」

穏乃「灼さんのことも、さ、刺すの?」

玄「刺してやる、みんな刺してやる……穏乃ちゃんも、灼ちゃんも……
  もう憧ちゃんを刺しちゃったから、何人刺しても一緒だよ……」

穏乃「おかしいよ、ちょっと落ち着いてよ、玄さん……何をそんなに怒ってるのさ」

玄「何に怒ってるって……穏乃ちゃんたちが私にやったこと忘れたの……?」

穏乃「忘れてはないけどさ、何でそんなに怒るのかな……ただの遊びだよあんなの……」

玄「えっ……!?」

穏乃「だからさ、そういうキャラじゃん、玄さんは……
   全国大会での敗因になって、そういう……戦犯キャラっつーの?」

玄「…………」

穏乃「そのキャラいじりをしてただけじゃん……そんなマジにならないでよ……」

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 01:11:07.15 ID:nIC0u9Of0
玄「殺してやる……」

穏乃「えっ」

玄「な、なにがキャラいじりなの……なにが戦犯キャラなの……
  そんなくだらないことで私はあんな、あんな目に……」

穏乃「だからさ、そんな怒らないでって……
   玄さん的にも美味しいポジションだったっしょ?」

玄「うるっさあああい!」ザシュッ

憧「ひぎゃああああ!」

穏乃「あ、憧!」

憧「し、しずぅ……これ以上玄を刺激、しないで……い、痛い……」

穏乃「わ、分かった……」

玄「はあ、はあ、はあ、はあ……」

穏乃「く、玄さん、とにかく落ち着いて……玄さんの気に触ることしてたなら謝るよ、ごめん」

玄「今更ゴメンで済むと思ってるのっ!」ザシュッ

憧「ぎゃああああ!!」

穏乃「そ、そんな……どうすりゃいいんだよ」

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 01:19:03.46 ID:nIC0u9Of0
玄「いいから穏乃ちゃんは早く灼ちゃんを連れてきて!!
  このまま私の眼の前にいたら、今度は穏乃ちゃんを刺すから!!」

穏乃「わ、わかったよ……灼さん連れてくればいいんだね」

玄「そうだよ……早く行って!」

穏乃「す、すぐ行くよ、カッター向けないでよ……」タタタッ

玄「はあ、はあ……やっと行った……」

憧「痛い、痛い、痛いよぉ……痛いよお……」

玄「…………」

憧「も、もう刺さな、いで……本当に、痛いの……痛い……」

玄「痛いのなんて分かってるよ……同じようなことずっとされてきたんだから」

憧「ごめんなさい……ごめん、なさい……ごめん……」

玄「憧ちゃんも穏乃ちゃんと同じこと考えてたの?」

憧「ちょ、ちょっとやりすぎてるかな、って、思った、ことも、あったけど……
  シズと二人で、やってると、気が大きくなるっていうか、罪悪感、忘れるっていうか……」

玄「そう」

憧「もうやらないよ、ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 01:27:58.08 ID:nIC0u9Of0
玄「謝っても許さないよ……
  全国大会で負けた時、私何度も謝った……でも許してくれなかった」

憧「はあ、はあ、はあ……」

玄「でもみんなが私を本気で怒ってるなら、憎んでるなら、
  それは全部私のせいだから……甘んじて受け入れるつもりだったよ」

憧「はあ、はあ、はあ……」

玄「でもそれが……戦犯キャラとして、いじるためだったなんて……
  あなたたちのお遊びのために、怒られて憎まれて許されなかったなんて……!」

憧「ごめん、ごめん……ごめん……」

玄「灼ちゃんが来たら、まず灼ちゃんを真っ先に殺す……
  次に憧ちゃんを……穏乃ちゃんも……じっくり傷めつけて殺してやる……」

憧「やめで……殺さないで……お願い……お願いだから……なんでもするから……」

玄「宥姉だけは見逃すけど、他の部員はみんな殺してやる……
  赤土さんも見つけだして殺してやるから……」

憧「……やめて……そんなの……玄らしく、ないよ……」

玄「麻雀部なんて、なくなってしまえばいいんだ……!」

ガチャ
穏乃「た、ただいま!」

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 01:34:33.15 ID:nIC0u9Of0
玄「やっと帰ってきた……遅かったね」

穏乃「灼さんも、つれてきたよ」

灼「玄……ごめんなさい、今まで」

玄「謝ったって許さない……なんで今まで助けてくれなかったの……
  穏乃ちゃんや憧ちゃんと一緒に私のキャラいじりを楽しんでたの……?」

灼「……いや、キャラいじりというよりイジメだっていうのは分かってた……でも……」

玄「でも……何?」

灼「そういうことに関わるの……怖かったから……」

玄「自分が怖かったら、私がどうなってもいいの……?」

灼「それは……違うけど……」

玄「じゃあどうしてずっと見て見ぬふりをしてたの!?」

灼「ごめん……!」

玄「謝ったって許さないって言ってるじゃない……!」

灼「ひいいっ!」

ザシュッ

玄「…………」

200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 01:41:54.95 ID:nIC0u9Of0
玄(あ……あれ……?)

玄(どうして体から力が抜けていくんだろう……)

玄(私いま、灼ちゃんを刺したのに……灼ちゃんは無傷……?)

玄(なんで……なんで、私のお腹……こんなに熱いの……?)

玄(穏乃、ちゃん……? その手に、持ってるのは……)


穏乃「は、あははは……無防備なままで戻ってくるわけないだろっ」

灼「間一髪……」

憧「し、しず……よくやった……!」


玄(そうか……私、頭に血が上ってて、そんな簡単なこと思いつきもしなかった……)

玄(こんな肝心なところで抜けてるから……いじめられちゃうのかなあ……)

玄(私ってホント……ダメだなあ……)


穏乃「こ、この殺人狂、人非人! 憧を刺したりしてっ!」

玄「みんな……も……私を……刺したよ……」

灼「この場合は、正当防衛」

206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 01:51:07.24 ID:nIC0u9Of0
憧「はあ、はあ、はあ……よくも、やってくれたわねっ……」ゲシッ

穏乃「私たちに逆らったらどうなるか、分かってたでしょっ」

灼「玄は切れたら危ないタイプだと思ってた」

玄「はあ、はあ、はあ…………」

穏乃「おとなしく私らにいじられてれば良かったのに!
   毎日の暇つぶしの道具になってれば良かったのに!」ゲシゲシ

憧「玄のくせに、玄のくせに、玄のくせに、玄のくせに……!!」

灼「惨めだな。大会終わった時点で、部活やめてればよかったのにさ」

玄「……わた、しは……みんなと、一緒に……いたく……て……」

憧「そういうの、マジで、ウザいんだよっ……!」

灼「いまどきそういうの流行らないよ、玄」

穏乃「ああ、もういいや。もう一発刺して、黙らせちゃお」

憧「私に、やらせてよ、しず……」

穏乃「その体でちゃんと刺せるの?」

憧「大丈夫、だよ、こんな奴、一人殺すくらい……!」

ザシュッ

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 01:59:37.40 ID:nIC0u9Of0

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玄「あれっ? ここは……」

玄「麻雀卓……全国大会の対局室……?」

玄「どうしてこんなところに……」


怜「あんたもここに来たんか」

玄「お、園城寺さん!? ここは何なんですか……?」

怜「簡単に言えば、死後の世界かな。ちょっと違うかもしれんけど……
  まあ、私らが既に死んだっていうんは、間違いないことや」

玄「死んだ…………そうか、あの時、憧ちゃんに刺されて……」

怜「なんかえらい壮絶な死に方したみたいやな」

玄「色々ありまして……で、ここは一体……」

怜「私もよう分かってへんのやけど……
  あんたが来たことでひとつの仮説に確信が持てたわ」

227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 02:10:15.21 ID:nIC0u9Of0
玄「仮説? なんですか?」

怜「私らはここから人生をやり直せるっちゅうことや」

玄「どういう……ことですか?」

怜「私は、全国大会のあと、回復することなく死んでしもうた……
  あの先鋒戦で先の手を読む力を使いすぎてしもたのが原因や」

玄「は、はあ……そうだったんですか……」

怜「そしてあんたも、この先鋒戦で点を取られすぎたせいで、
  阿知賀を敗北に導いてしまった」

玄「はい、そのせいで、私は皆からいじめを受けて……死にました」

怜「やっぱりそういうことか」

玄「そういうことって、なんですか?
  人生をやり直せるっていうのはいったい……」

怜「ここが死後の世界なら、いずれは宮永照や花田煌もやってくる。
  そうしたら、あの忌まわしい先鋒戦の再現が出来上がりや」

玄「……もう一度、あの4人で打つ……?」

怜「そう、あの時とは違う結果を、違う未来を狙って打つんや。そうしたら……」

玄「そこから新しい人生をやり直すことが出来るってことですか」

232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 02:18:29.15 ID:nIC0u9Of0
怜「まあ、あくまで仮説やけどな。
  でもこんなお膳立てがされてたら、それ以外に考えられへんやろ」

玄「ですね……」

怜「私はなるべく力を使わんように打つ。
  あんたも頑張って失点せんように打ったら、結果は変わってくるわ」

玄「私が戦犯キャラになっていじめられることもなくなりますね……」

怜「そうや。変えるんや、未来を……いや、過去って言うたほうがええかな?」

照「どちらでも構わない」

玄「宮永さん!」

怜「あんたも死んだんか」

照「ああ……あの先鋒戦でコークスクリューを使いすぎたせいで、
  右腕が動かなくなり……麻雀が打てなくなった。そして……」

怜「自殺か?」

照「…………」

怜「まあ、なんでもええわ」

玄「宮永さんもこの先鋒戦がきっかけで人生が……」

怜「呪われた運命の集約点がここっていうわけやな。因果なもんやで」

239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/06(金) 02:28:54.09 ID:nIC0u9Of0
煌「みなさんお揃いで。すばらです」

玄「花田さん……」

煌「いやはや、私もあの先鋒戦のあと色々ありましてね。
  あれからずっと捨て駒を任されるもんですから、流石に嫌になって。
  学校から飛び出して道路に出たところをボカーンですよ」

怜「それはそれは」

照「そんな身の上話はどうでもいい。始めよう」

煌「ええ、我々の人生を取り戻すために」

怜「未来を変えるために戦う……そう、私らは言うなればFuturistic Player」

煌「なんかカッコいいですね。すばらです」

玄「今度は、負けません」

照「コークスクリューがなくても勝ってみせる」

怜「2巡先を読む程度にとどめておくわ」

玄(これは私のためだけじゃない、みんなのためのチャンスでもある……絶対負けられない!)


    『さあ、準決勝、先鋒戦……スタートです!』 

        裂 -Saki- 阿知賀編   完