1: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:40:00.13 ID:xrg/o4edo

――西住家 広間――


みほ「……遅くない?」

まほ「じきに来る」

まほ「みほ、くれぐれもお母様に失礼の無いようにな」

みほ「うん……わかってるよ」


みほ「"絶対に失礼のないように"だね」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496590799

引用元: 【ガルパン】みほ「本当は?」しほ「みほを愛してる」 


2: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:41:03.63 ID:xrg/o4edo
※東京03のパクリやで



まほ「失礼の無いように。絶対だぞ」

みほ「大丈夫だよ。それにしても、この部屋何か臭わない?」

まほ「臭う?」

みほ「なんだろう……加齢臭?」

まほ「ぶふぅっ!!」

3: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:42:08.67 ID:xrg/o4edo

まほ「そ、そうやってすぐふざけるの、みほの小さい頃の悪い癖だ」フキフキ

みほ「なんだか懐かしくて」テヘ

まほ「お母様に失礼だぞ、みほ」

まほ「座布団や畳に染みついた頑固な加齢臭なんて無い」

みほ「でも、お姉ちゃんだってそう思ってるでしょ?」

まほ「思ってない」

みほ「本当は?」

まほ「 超 臭 い 」

4: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:42:51.31 ID:xrg/o4edo

みほ「ふふっ……」プルプル

まほ「くふふ……。べ、別に小綺麗な和室だろう?」プルプル

みほ「ノリノリで言ったよね、お姉ちゃん」プルプル

まほ「みほに言わされただけだっ」プルプル

みほ「あはは。……なんだか小さい頃を思い出すね、この感じ」

まほ「……そうだな」フッ

5: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:43:45.46 ID:xrg/o4edo

みほ「そういやお母さん、私に会ってくれるって話になったし、小さい頃みたいに優しくなってる?」

まほ「ああ。もうみほの戦車道を認めていることを周りに話すほどだ」

まほ「みほを戦車道から遠ざけたのも、あの時の事故のような悲劇からみほを守るため」

まほ「お母様は、元よりずっと優しい人だったんだよ」ニコ

みほ「本当は?」

まほ「 ク ソ ア マ 」

6: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:44:37.98 ID:xrg/o4edo

まほ「だからっ……! み、みほっ……!」プルプル

みほ「くふふっ……ふふ……」プルプル

まほ「だ、だから! やめなさい、みほ!」プルプル

みほ「クソアマと会いたくないよ……! やだやだ……!」プルプル

まほ「良い人だからっ! 優しいお母様だからっ!」クフフッ

みほ「でも、あれだね。"本当は"って聞かれると、逆のこと言いたくなっちゃうよね」フフッ

まほ「もうやめよう。そろそろお母様も来る」

みほ「はい、お姉ちゃん」

7: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:45:20.52 ID:xrg/o4edo

ガララッ ピシャ


しほ「少し連盟の会議が長引いてしまいました」

まほ「お疲れ様です。それで、お母様」チラッ

みほ「…………」

しほ「……みほ。良く来たわね」

みほ「う、うん……」

しほ「貴女には苦労をかけてしまって――――」

まほ「お母様。その辺のことはみほも納得済み」

まほ「今日は、これからのことについて話し合いましょう」

しほ「……そうね」

8: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:46:38.55 ID:xrg/o4edo

しほ「――――黒森峰と大洗女子の合同演習を行いたい、と?」

まほ「はい。後継の育成のためにも、また両校の友好を示すためにも重要かと」

しほ「なぜ私に相談を?」

まほ「その際、お母様にご指導を仰げればと思います」

しほ「…………」

しほ「わかりました、いいでしょう」

しほ「但し、母親としての私情は一切挟みません」

しほ「黒森峰OGとして、若手育成の責任者として、公明正大に望みます」

まほ「ありがとうございます」

みほ「あ、そっか。お母さん、黒森峰のOGだったんだよね」

しほ「良い機会かも知れません。私が貴女たちくらいだった頃の話でもしましょうか」

9: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:48:11.21 ID:xrg/o4edo

まほ「そう言えば、あまり詳しくはお話を聞いたことがありませんでした」

しほ「確かこの辺にアルバムが――」ガサゴソ

しほ「ありました。これが当時の私です」スッ

[写真]

まほ「…………」

みほ「…………」

しほ「なんだか娘たちに見せると、少し恥ずかしいですね」テレ

まほ「若さの中にも凛々しさと精悍さがあります。今と変わらずお美しい」

みほ「本当は?」

まほ「 憎 た ら し い 」

10: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:49:53.93 ID:xrg/o4edo

しほ「」


まほ「だからみほwww それはマズイだろwww」カタパン

みほ「いたっwww お姉ちゃん肩パンやめっwww」

まほ「今じゃない絶対にwww 失礼すぎwww」プルプル

みほ「wwwwww」プルプル


しほ「憎たらしい?」ピキ


まほ「い、いえ! 可愛いらしいです! とてもキュートでプリティーで――」

みほ「本当は?」

まほ「 ド ブ ス 」

11: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:50:45.02 ID:xrg/o4edo

まほ「みほっwww ホントにマズいってwww」プルプル

みほ「顔www お姉ちゃん顔www」プルプル

まほ「お母様にwww 絶対言っちゃいけない奴www」プルプル

みほ「知ってるwww」プルプル



しほ「う゛お゛お゛お゛お゛お゛い゛っ゛!゛!゛!゛」バンッ!



まほ「」

みほ「」

13: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:51:34.19 ID:xrg/o4edo

しほ「ドブス」

まほ「えっ、いやっ、ちがっ」

しほ「私の高校生時代、ドブス?」

まほ「いえっ! 確かに可愛らしさと言うよりはクールビューティーですが、ドブスではないです!」ビシッ

しほ「ならばなぜ言った」

まほ「みっ! みほがっ! みほが"本当は"と聞くものでっ!」

まほ「つい本当のことを言ってしまうんです!」

しほ「そう。本当のことを」

まほ「あっ」

14: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:56:15.40 ID:xrg/o4edo

しほ「久々に聞いたわドブス……ドカベン以来かしら」プルプル

まほ「違うんです! みほが面白さを求めてくるせいなんです!」

まほ「あの場合、ドブスって言った方が絶対に面白かったんです!」

しほ「ふざけているの」

まほ「あっ」

15: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:56:53.00 ID:xrg/o4edo

まほ「誤解です! 誤解なんです! お母様っ!」

しほ「何が誤解なの?」

みほ「お、お母さん落ち着いて! 確かに私もドブスは言い過ぎだと思うな」

まほ「ちょっ!? それは汚いぞみほォ!?」

みほ「んでも、お姉ちゃんが言ったんだからお姉ちゃんが悪いよね?」

まほ「い、いや、私だけの責任ではないだろう!」

みほ「本当は?」

まほ「 私 が 悪 い 」

16: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:57:44.64 ID:xrg/o4edo

しほ「やっぱりまほが悪いのね?」

まほ「ちがっ! あの、こういうシステムなんです!」アタフタ

しほ「システム……? まほがよく分からないことを言うなんて……」

しほ「もしかして、私がみほに辛く当たったから、まほが私を恨んで……」ウルッ

まほ「いやっ! あの、お母様! よく聞いてください!」

まほ「私はお母様のことを戦車乗りとしても、1人の女性としても尊敬しています!」

まほ「みほを勘当しようとしたことだって、今思えば愛情あってのこと!」

まほ「みほに辛く当たった過去も含めて、私は理解しているつもりです!」

みほ「本当は?」

まほ「 許 さ な い 」

17: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 00:58:20.53 ID:xrg/o4edo

しほ「こ゛め゛ん゛ね゛み゛ほ゛ぉ゛ま゛ほ゛ぉ゛!゛!゛!゛」ピィィ

まほ「ゆ、許してます! お母様のこと許してますから!」オロオロ

みほ「お姉ちゃん」

まほ「なんだみほ!? 元はと言えばみほが―――」


みほ「なんだか昔みたいだね」ニコ

18: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 01:00:20.74 ID:xrg/o4edo

みほ「こうやって私がふざけて、お姉ちゃんを困らせて、お母さんを泣かせて」

みほ「それでも二人は笑顔で私を迎えてくれて」

みほ「いつからだったかな。私が引っ込み思案になっちゃったのは」

みほ「でも、またこうして、小さい頃の私たちになれた」

みほ「すごく、うれしいな」ニコ

まほ「みほ……」

しほ「……なるほど。そういうことでしたか」ハァ

みほ「えへへ」

19: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 01:00:59.69 ID:xrg/o4edo

しほ「アルバムに、こんな写真も入っていましたよ」スッ

[写真]

まほ「これは、みほが5歳の時の誕生日パーティーの」

みほ「お姉ちゃんもお母さんも私も、こんなに笑顔」

しほ「本当ね……」

まほ「本当だ……」

20: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 01:02:29.59 ID:xrg/o4edo

まほ「この日、家の中でみほと隠れんぼをしていて、夜まで見つけられずに困った」

みほ「そうだったね」

しほ「みほが誘拐されたと思って私は泣きましたね」

まほ「そんなわけないと私は言ったのに、お母様は」

みほ「それで、お姉ちゃんがⅡ号戦車の中に居る私を見つけたんだよね」

まほ「家の中限定というルールだったはずだ」

みほ「あの時の私にとっては、戦車も家だったんだもん」

まほ「屁理屈だ」

みほ「えーっ」

しほ「うふふ……」

21: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 01:09:44.29 ID:xrg/o4edo

しほ「でも、あんまりやんちゃをしてはいけませんよ。みほ」プンプン

しほ「貴女も西住の人間なら、世間に恥じない行動をとるべきです」

みほ「わかってるよ。家族以外には、こんなことしないよ」

まほ(お母様、結構傷ついたんだな……)

みほ「お母さんは、私のこと、嫌い?」

しほ「ええ。もちろんですとも」フンッ

みほ「本当は?」

しほ「……ハァ」

22: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 01:10:32.32 ID:xrg/o4edo

貴女のいたずらっぽい笑顔には、いつも私が負けていたわね

だからこそ私は貴女の母親をやめて、西住の師範となったの

貴女は私の娘ではなく、西住の人間にならなくてはいけない

この家から笑顔がなくなったのはその時から

それはそうよね、この家から"母親"が居なくなったんですもの

23: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 01:11:30.41 ID:xrg/o4edo

しほ(―――みほ。貴女はまた、私を"母親"にさせてくれるの?)

みほ「ねえ、お母さん。本当は?」

しほ「…………」ハァ



しほ「みほを愛してる。私の可愛い娘ですもの」ニコ



みほ「……えへへ」

24: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 01:12:37.82 ID:xrg/o4edo

まほ「お母様……」

しほ「まほ。今日くらいは昔みたいに、お母さんって呼んではくれないかしら?」

まほ「……うん、お母さん」

しほ「それじゃ、お父さん呼んで、みほのお帰りなさいパーティーでもやりましょうか」ニコ

まほ「えっ? お母さんが料理作るの?」

しほ「私特製ハンバーグでいいわよね? そう言えば、もう何年も作ってなかったわね……」

みほ「大丈夫だよお母さん。昔もそんなに美味しくはなかったから」

しほ「…………」ウルウル

まほ「こ、こら! みほ! お母さんが泣いちゃうだろ!」

25: ◆EFQF/mxR0k 2017/06/05(月) 01:14:17.33 ID:xrg/o4edo

しほ(ふふっ。違うのよ、まほ。なんだか懐かしくて、嬉しくてね……)グスッ

まほ「私はお母さんのハンバーグ、大好きだよ!」アセッ

まほ「少し固めだけど、独特な風味と肉汁のハーモニーが個性的な味を―――」

みほ「本当は?」

まほ「 美 味 し く な い 」


しほ「」







おわり