1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 22:55:29.14 ID:hKunYP+n0
梓「ひ、秘密ですけどね!///」

唯「そっかー」

引用元: 梓「唯先輩の夢を見たせいでよく眠れなかったんです」唯「またー?」 



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6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:02:54.72 ID:w2LJRKdh0
梓「でもおかしな夢だったんです」

唯「どういうことー?」

梓「唯先輩が……あっ、でも、やっぱり言うのやめときます」

唯「ええ、気になるじゃん。教えてよっ」

梓「いや、その……あんまり、人に言うべきじゃないと思って」

唯「だいじょうぶ、だいじょうぶ。まだ部室には私とあずにゃんだけだし」

梓「でも……」

唯「言ってよあずにゃーん」

梓「わ、分かりましたから、抱きつくのはやめてくださいっ」

唯「それでそれで?どんな夢だったの?」

梓「……唯先輩が、」

梓「トラックに轢かれる夢です」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:07:25.47 ID:w2LJRKdh0
唯「…………え?」

梓「だ、だからあんまり言うべき話じゃないなーって」

唯「やめてよあずにゃん。私ただでさえ、前あずにゃんが見た夢の被害者なんだから」

梓「言えと促したのは誰ですか。前っていうと……確か、犬に追いかけられる夢でしたよね」

唯「うんうん。それを聞いた放課後、しっぽを踏んじゃった犬に本当に追いかけられたんだからぁー」

梓「あ、謝ったほうがいいんでしょうか……」

唯「あはは。まあ偶然だろうけどっ」

梓「ですよねぇ。唯先輩がトラックに轢かれたら困ります」

唯「あっ、心配してくれてるの?ありがとあずにゃーん!」

梓「だ、だから抱きつかないでくださいっ!」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:12:19.58 ID:w2LJRKdh0
次の日

梓「あっ、澪先輩、おはようございます」

澪「…………」

梓「澪先輩?」

澪「……あ、梓か」

梓「どうしたんですか?随分顔色悪いですけど」

澪「聞いてないのか!?」

梓「わっ!なんですかいきなり大声だしてっ」

澪「唯が昨日、交通事故にあったんだよ!」

梓「え?」

澪「なんで唯のやつ、梓に連絡していないんだ!?私はてっきり」

梓「交通事故……?」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:14:50.10 ID:w2LJRKdh0
梓「それって一体、どういうことですか?」

澪「どうもこうも……」

律「澪!梓!」

梓「あ、律先輩……」

澪「律……目が腫れてるぞ」

律「仕方ないだろ?昨日唯の件で驚いたんだから……おかげで朝も寝坊だよ」

梓「あの!」

律「うん?」

梓「私、唯先輩に何があったか聞いてないんですけど!一体どういうことですか!?」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:18:45.90 ID:w2LJRKdh0
律「昨日、部活終わって放課後。帰り道に事故ったらしいんだよ、唯」

梓「事故って……」

律「ああでも安心しろ。私も最初心臓が止まるかと思ったけど、大した怪我じゃないんだってさ」

澪「それでも交通事故だぞ!あと一歩間違えてたら……」

律「唯のやつ、体だけは頑丈に出来ているよなあー。何せ、」

律「トラックに撥ねられて、軽症で済んだんだから」

梓「え……?」

澪「それにしても、何で唯は梓にだけ言わなかったんだろう」

律「そういや気が動転してたから深く考えなかったけど、病院にも梓来てなかったしな」

梓「…………」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:21:49.60 ID:w2LJRKdh0
梓「ゆ、唯先輩は、今どこに……?」

律「病院だよ。撥ねられたとき意識失ったらしくて、まあ2、3日は入院だそうだ」

梓「わ、わたし!」

澪「梓。気持ちは分かるが駄目だぞ。行くなら放課後、ムギも入れた4人で行こう」

梓「でも先輩は私のせいで!」

律「うん?梓、何かしたのか?」

梓「えっ……あ、いや、何もしてないですけど……」

澪「なら放課後にしよう。今行ったら唯にも迷惑がかかる」

梓「はい……」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:24:55.66 ID:w2LJRKdh0
放課後

梓「唯先輩!」

唯「あ、あずにゃんー。お見舞いに来てくれたのー?あれ、みんなは?」

梓「私だけ先に来ちゃいました!それよりどうして昨日教えてくれなかったんですか!」

唯「あはは、やっぱ伝わっちゃったかぁ」

梓「当たり前です!言ってくれたら私も行ったのに!」

唯「だってあずにゃん、変に意識しそうだったから」

梓「意識って…………夢、のことですよね」

唯「うん。偶然なんだから、深く捉えちゃだめだよ?」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:27:47.32 ID:w2LJRKdh0
律「おい、梓ぁ。一人だけ先に行くなんてずるいぞ」

澪「おかげで私たちまでレースをするはめに……」

紬「唯ちゃんが元気そうで安心したわあ」

唯「あっ、みんな!わざわざありがとう」

梓「…………」

唯「いい、あずにゃん。ほんと、ただの偶然なんだから。みんなにも言っちゃだめだよ?」

梓「偶然……」

梓「そ、そうですよね……私の夢にそんな力あるわけないですもんね……」

律「ん?何の話?」

唯「ううん、なんでもないっ!それより今日あったこと聞かせてよー!」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:31:13.72 ID:w2LJRKdh0


紬「どうしたの梓ちゃん?元気ないけど」

梓「あ、いえ……」

律「なんだよなんだよ。朝からおかしいやつだなぁ」

澪「唯のことが心配なんだろ。茶化すなよ」

梓「あ、あの、私」

律「なんだ?」

梓「もう一回唯先輩に会いに行こうかな……なんて」

澪「面会時間は過ぎているんだから、それは無理だと思うぞ?」

梓「あ、あはは。ですよね……」

梓(どうしよう……。昨日も私、夢見ちゃった……)

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:35:54.19 ID:w2LJRKdh0
梓「病院は、安全ですよね」

律「何言ってんだよ。そんなに唯が心配か?」

紬「大丈夫よ梓ちゃん。あそこには人がたくさんいるんだから」

澪「そうそう。少なくとも交通事故に遭う心配はないさ」

梓「ですよね。交通事故なんて……ありえないですよね」

律「変なやつー」

梓「ありえない、ありえない……」

梓(唯先輩が今日もトラックで轢かれちゃうなんてこと、ありえないんだ……)

澪「それじゃあこの辺で解散だな。みんな、また明日」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:38:41.51 ID:w2LJRKdh0
夜中

梓「……あはは。何だろ、怖くて寝れないや」

梓「唯先輩起きてるかな。メール、してみようかな」

梓「でも寝てたらまずいよね。それで起こしちゃったりしたら……」

梓「あれっ。電話だ。澪先輩?」

梓「こんな夜中に何の用だろう……まさかね」

梓「もしもし、中野ですけど」

澪『梓……落ち着いて聞いてくれ』

梓「え……?」

澪『唯がさっき、交通事故に遭って亡くなった』

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:41:36.46 ID:w2LJRKdh0
梓「は?」

澪『ごめん、私も詳しい話は聞いてなくて……う、憂ちゃんが』

梓「みお、せんぱい?」

澪『なっ、泣きながら連絡っ、してくれて。わ、わたぢ、』

梓「落ち着いてください。えっと、すみません。私も一応、憂に連絡取っていいですか?」

澪『ああ……でも、憂ちゃん。話せるような状態じゃ』

梓「失礼します」

梓「…………」

梓「嘘でしょ……?」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:46:16.08 ID:w2LJRKdh0
梓「あ、ありえないって。何かの冗談だ」

梓「きっとあれだよ。私の調子おかしかったから、みんなでドッキリを仕掛けているんだ」

梓「だってそんな、病院にいたんだよ?唯先輩」

梓「なんで交通事故なんか、遭うわけないじゃん!」

梓「とにかく、そうだ。憂に電話してみよう」

梓「……もしもし、憂?」

憂『…………』

梓「聞いてよ。澪先輩がさ、おかしな冗談で騙そうとしてるんだ」

梓「唯先輩がし、死んじゃったなんて、そんなのありえるわけないのに」

梓「そうでしょ?憂」

憂『……』

梓「憂!何か言ってよ!!」

憂『……ほんとうだよ、梓ちゃん』

憂『お姉ちゃんは、しんじゃったんだあ』

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:54:04.81 ID:w2LJRKdh0
梓「……うそ。うそうそうそ」

梓「ありえないって。唯先輩、病院にいたんだよ?」

憂『…………』

梓「ありえるわけないじゃん!なに?唯先輩は魔法でも使えたわけ!?」

梓「大体なんで病院の人は外出るの止めなかったの!?ふざけんな、みんなグルで」

憂『梓ちゃん』

梓「な、なに?あ、やっぱり嘘だった?なんだ、私まんまと騙されちゃッ」

憂『うるさいよ、梓ちゃん』

梓「え?」

憂『私、病院だから。病院では、うるさくしちゃいけないんだよ』

憂『一昨日お姉ちゃんをお見舞いしたときも、私それでお姉ちゃんに怒られ……おこ、』

憂『おこらっ……う、ううう。お姉ちゃん、おねえちゃん……なんで、なんでよぉ……』

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/10(金) 23:58:27.11 ID:w2LJRKdh0
憂『私がずっと、ずっとお姉ちゃんの傍にいれば、お姉ちゃんは!』

憂『なんで、なんで死んじゃったのお姉ちゃん!!う、あああ!』

梓「憂……あ、はは」

憂『なんで梓ちゃん笑ってるの?ねえどうして?梓ちゃんが犯人なの?』

憂『梓ちゃんがお姉ちゃんを!』

梓「違うよ、憂」

憂『……ごめん、そうだね。梓ちゃんがお姉ちゃんに何かするはずないよね……』

梓「違うけど……ごめんね、憂」

憂『え?』

梓「私が必ず、犯人を捕まえるから」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:02:29.70 ID:wg/W2lal0
次の日

梓「…………朝だ」

梓「みんな、病院に行ったのかな」

梓「あはは。メールも着信もいっぱいだ。律先輩なんか、すっごい怒ってる」

梓「そりゃそうだよね。普通向かうのに私は、のんびり部屋で寝てたんだもん」

梓「あーあ。昨日のは夢じゃなかったのか……いや、夢なら見たんだ」

梓「そのために、私は行かなかったんだよ」

梓「私の夢の、犯人を捕まえるんだ」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:05:57.18 ID:wg/W2lal0
放課後

梓「ムギ先輩。今日、ムギ先輩の家に泊まっていいですか?」

紬「え?」

律「梓!てめえ昨日も顔見せないで何言ってるんだよ!!」

梓「……」

澪「落ち着け、律。梓だって何か訳があるんだろ。そうだよな?」

梓「……ムギ先輩、駄目ですか?」

律「梓!澪を無視してんじゃねえよ!」

紬「りっちゃん、落ち着いて……。私は大丈夫よ、梓ちゃん。心細いのよね?」

梓「……はあ、そうですね」

澪「梓……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:08:33.74 ID:wg/W2lal0


紬「……それじゃあ、そろそろ寝ましょうか」

梓「私、ムギ先輩と同じ部屋で寝てもいいですか?」

紬「一応、梓ちゃん専用の部屋はあるけど……梓ちゃんがそうしたいなら、私は全然いいよ」

梓「ありがとうございます」

紬「それじゃあ、こっち」

梓「はい……」

梓(私が、絶対に見つけるんだ……)

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:13:32.60 ID:wg/W2lal0
紬「それじゃあ、電気消すわね」

梓「はい」

梓(……私の夢が、もしも本当に効果を持つのなら、)

梓(今日、ムギ先輩は自分で絞殺をして命を絶つ)

梓(その夢を昨日見たんだ……)

紬「梓ちゃん」

梓「え?はい」

紬「もっと寄ってもいい?私……心細くて」

紬「なんで唯ちゃん……死んじゃったのかしらね」

紬「あんなに良い娘だったのに……」

梓「ムギ先輩……」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:16:11.19 ID:wg/W2lal0
夜中

梓「…………」

梓(ムギ先輩は寝たみたい。当然だよね、一昨日と昨日でたくさんありすぎた)

梓(そりゃ疲れるって……)

梓「私も……」

梓(いや、私が何とかしなきゃいけないんだ。絶対に。唯先輩のためにも)

梓「でも……この状態でムギ先輩が何かするとは思えない」

梓「気を抜いちゃ……だめだ」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:17:42.91 ID:wg/W2lal0
梓「…………」

紬「…………」

梓「…………ムギ先輩?」

紬「っ……」

梓「トイレですか?」

紬「……」

梓「ムギ先輩、あの、」

紬「……っ」

梓「ムギ先輩!!」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:20:55.15 ID:wg/W2lal0
梓「ムギ先輩!アンプのコード持ってどうする気ですか!!」

紬「……」

梓「聞いてますか!?あの!」

紬「……」

梓「首に巻いて……っ!?ムギ先輩!!」

紬「っ」

梓「やめて……やめてくださいっ」

梓「誰か!だれかぁー!!ムギ先輩がおかしいです!!」

紬「……」

梓「自分の首を絞めないでッ!!ムギ先輩!!」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:23:52.04 ID:wg/W2lal0


梓「はあ……はあ……」

紬「あれ?梓ちゃん、おはよう……どうしたの。家の者、みんな集まって……」

紬「何かあったの?」

梓(そうだ……なんで気づかなかったんだろう)

梓(私が見た夢は、ムギ先輩が自ら命を絶つ夢)

梓(自殺に……犯人なんているわけない……っ)

梓「まさか唯先輩も自発的に……?」

紬「梓ちゃん?」

梓「そんなの……とめられるわけない!!」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:27:58.07 ID:wg/W2lal0


梓「ああ……くそっ、くそっ」

純「大丈夫?梓」

梓「どうしたら……!」

梓(でも待って、そうだよ。今日のムギ先輩は止められた)

梓(助けることが出来たんだ。あのままだったら夢通りになっていたんだから)

梓「私が……全部止めれば、誰も死なない……」

純「梓……?」

梓「私がみんなを助けるんだ……!はは、そうすれば」

生徒「おい!大変だ!三年生の女子トイレで自殺があったらしいぞ!!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:37:42.89 ID:wg/W2lal0
梓「あ、あああ……?」

純「自殺って、一体誰が!?」

生徒「琴引だか、琴吹だか……そんな感じの生徒……」

純「梓、それってまさか……」

梓「うそだ、うそだうそだうそだ……」

純「紬先輩なんじゃ……」

梓「聞きたくない聞きたくない聞きたくない!」

純「梓!」

梓「聞いたって、どうしようもないでしょ……!!」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:40:46.39 ID:wg/W2lal0
放課後

梓「もういやだ、もういやだ……」

律「…………」

澪「……なんで、ムギまで」

梓「う、ああああ……」

澪「ムギ、唯のことを気に病んで……?」

梓「違う!!」

澪「えっ?」

梓「あ、や……違うと思います……」

律「梓。お前、何か知っているのか?」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:44:56.47 ID:wg/W2lal0
梓「な、なに言っているんですか。私は何も知りませんよ……」

澪「ならどうして、ムギがそうじゃないって分かるんだ?」

梓「それは、き、昨日の夜、ムギ先輩が悲しんでたから……」

律「答えになってねーよ。だったら尚更澪の言う方が合っているだろ」

律「唯の怪我の頃から、梓、様子おかしかったよな」

梓「……」

律「何を隠しているんだ?言ってくれ」

梓「私は……」

澪「……」

梓「何も、隠してません……」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:50:36.46 ID:wg/W2lal0
澪「梓!」

梓「ひっ……」

律「澪やめろ。ならこうしよう、梓」

梓「……」

律「お前の抱えている問題を、私たちにも分けてくれ」

梓「……」

律「お前が一人で重いものを抱えているのは知っている。一人だけ何かから怯えているのも」

律「私は、私たちは、お前の力になりたいんだ。ひとりじゃない、私たちにもその重みを一緒に背負わせてほしい」

律「それが唯や、ムギのためにもなると思う。だから……頼む」

梓「……」

澪「梓、私からもお願いだ」

梓「………・・・」

梓「わかりました。話します……」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:54:37.70 ID:wg/W2lal0
梓「でも、私にもよく分かっていません。これを先輩達に話していいのかも分かりません」

律「それでも構わない。教えて欲しい」

梓「……夢を、見るんです」

澪「夢?」

梓「唯先輩がトラックに轢かれた夢。ムギ先輩が、絞殺した夢」

律「まさか、その夢が現実になったっていうのか?」

梓「……」

澪「信じられない……」

梓「私は、昨日ムギ先輩の家に泊まって、防ごうとしました。それは成功したんですけど……」

律「……結果的に、ムギは死んでしまった」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 00:57:49.75 ID:wg/W2lal0
澪「そんな馬鹿な話があるか……!」

律「梓、それは本当なんだよな?」

梓「冗談でもこんなこと言いません!!」

澪「だが……そんなの、現実的に考えてありえないだろう!」

律「でも、実際に起きているんだから信じるしかない」

澪「律!」

律「考えてみろよ。ムギの様子だって変だった。いきなり喋らなくなって、トイレに向かったかと思いきやアレだ」

澪「なら……今日梓が夢を見れば、また誰かが命を落とすのか?」

梓「……その心配はありません」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:01:48.82 ID:wg/W2lal0
梓「私、もう寝ませんから」

律「なに?」

梓「寝なければ、夢を見ることもない。そうですよね、澪先輩」

澪「そ、それはそうだけど……寝ないなんて、続いても1週間だぞ?」

律「私は3日寝なかったら頭がおかしくなりそうだった」

梓「それでも……寝ませんよ。寝るわけにはいきません」

律「梓……」

梓「一度防いだくらいじゃどうにもならない。なら、この方法しかありません」

澪「そんなの、無茶だ……。梓、ここは大人の人に相談して」

梓「時間はないんです!悠長に構えてなんかいられない!私が寝ない以外の選択肢はない!!」

律「……」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:04:32.35 ID:wg/W2lal0


梓「私は、寝ない」

梓「大丈夫だよ。人間、水さえあれば生きていけるんだ」

梓「もう誰も死なせるもんか」

梓「ギネスの最長記録って何日だったっけ?」

梓「少なくとも、その日までは起きていられる……」

梓「ち、違う!ずっと、ずっと起きているんだ」

梓「これが正しいんですよね。唯先輩……」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:09:14.88 ID:wg/W2lal0
夜 2日目

梓「……」

梓「もし私が寝たら、きっと次の日には誰かが死ぬんだと思う……」

梓「寝ても、夢を見なければ……」

梓「ううん、もし見てしまったら終わりだ……」

梓「って何考えてるんだ、私。寝るなんて選択肢、元からないんだから」

梓「…………」

梓「唯先輩に、会いたいなあ」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:13:42.08 ID:wg/W2lal0
放課後

梓「…………」

澪「梓、大丈夫か?」

梓「…………」

律「これで5日目だったよな……放課後部活、と言っても何もしていないけど、ここで体力使っちゃまずいんじゃないか?」

梓「……いえ……早く帰ったら、寝ちゃいそうで……」

澪「……」

梓「澪先輩……何か、暇を潰せるものありませんか……?寝ずに済むような……」

澪「ゲームとかか?本は……眠くなるから駄目だよな」

律「くそっ、私も何か出来ないのかな……」

梓「大丈夫です、律先輩……私が頑張れば、何も起きないんです」

梓「現に、人だって死んでいないんだから……」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:17:00.62 ID:wg/W2lal0
夜 13日目

梓「だ……め……だ」

梓(頭が……働かない……)

梓「明日は学校……欠席しなきゃな……」

梓「借りたゲーム……全部おわっちゃったし……」

梓「どうしよ……」

梓「そういえば、ねっとげーむしている人って、あんま寝てないらしいよね……」

梓「ああやば……体が動かない……」

梓「……ゆいせんぱい……」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:20:21.24 ID:wg/W2lal0
放課後

律「梓が学校来なくなって、もう1週間か」

澪「まだ寝ていないのかな……」

律「澪も、目にくまが出来ているぞ」

澪「ああ、梓が心配でさ……」

律「……」

澪「うそ。本当は、寝ているうちに自分が死ぬんじゃないかって、怖いんだ」

律「私も同じような感じだよ。梓は……どんな気持ちなんだろう」

澪「寝たら誰かが死ぬかもしれない……私には、想像がつかないな」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:21:36.46 ID:wg/W2lal0
夜 20日目

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………あっ」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:23:53.22 ID:wg/W2lal0
梓「…………わたし、まだねてないよね……」

梓「うん、だいじょうぶだ……まだ……」

梓「まだ……」

梓「わたしは…………」

梓「……ねな…………」

梓「…………い…………」

梓「………………………」

梓「……」

梓「……」

梓「…」

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:26:19.83 ID:wg/W2lal0


梓「…………あれ」

梓「朝だ……太陽、眩しいな」

梓「いててて、体中痛いや」

梓「というか、体が上手く動かせない。なんでだろ」

梓「病気で寝込んだときとか、よくこうな――」

梓「え?」

梓「……うそ」

梓「私、寝ちゃったの?」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:31:02.61 ID:wg/W2lal0
梓「今いつ!?次の日?それならまだ!」

梓「……5日、経ってる」

梓「いや、でも私、疲れすぎてて夢とか……」

梓「みた」

梓「見たよ、たくさん見た。飽きるくらい……律先輩と、澪先輩の、夢も」

梓「電話だ、電話しよう」

梓「わっ、なんだこれ。着信がたくさん着てる」

梓「えっと律先輩は……つながらない。澪先輩……も、つながらない」

梓「純に、かけてみようか」

梓「もしもし、純?」

純『……梓、あんた何やってんの?律先輩も、澪先輩も……二人とも、死んじゃったよ』

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:33:50.65 ID:wg/W2lal0
梓「…………」

純『梓?聞こえてる?あんた何日も連絡寄越さないで何やッ』

梓「切断」

梓「…………」

梓「あはは、あははは、ははっ!」

梓「はははははははははははは!!」

梓「みんな死んじゃった!先輩たち、みんな死んじゃった!」

梓「私だけ残った!いえい!私が生き残りだ!あっははは!!」

梓「あっはは!はは!は」

梓「…………」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:37:02.71 ID:wg/W2lal0
梓「夢……見たなあ。律先輩と、澪先輩……他に、もう一人」

梓「誰だったんだろ……思い出せない……」

梓「まあ、もういいか」

梓「あの二人には話せなかったけど、私もう一つだけ方法思いついたんだよね」

梓「この最悪なシナリオを終わらせる方法!」

梓「さあ、何故こんなことが起こっているのか!原因は?夢!」

梓「そしてその夢を見ているのは?私!」

梓「なら――私が死ねば、解決するね」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:42:52.29 ID:wg/W2lal0
梓「あーあ、こんなはずじゃなかったのになあ」

梓「高校3年間を楽しく過ごして、唯先輩たちと同じ大学行って、バンドやって」

梓「社会に出たら、それぞれの道を行くけれど、バンドだけは続けるんだ」

梓「唯先輩なんか喜ぶだろうな。またみんなと会えるねって」

梓「澪先輩は泣いてそう。律先輩は無理なスケジュールとか立てちゃって、ムギ先輩はそれを本気で実行しようとか考えちゃう」

梓「それで、お婆ちゃんになっても、コンサートをやるの。学校にだって出張しちゃうんだ」

梓「それで――幸せなまま、一生を終える」

梓「……なのにこれ。何で私ロープを首に巻きつけているわけ?」

梓「こんなはずじゃなかったのになあ」

梓「こんなはずじゃ、なかったのになあ……」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:46:53.37 ID:wg/W2lal0
梓「唯先輩……もう一度、会いたいな」

梓「みんなとも、会えるかな」

梓「あっ……くぐっ」

梓(そうだ。思い出した)

梓「ぐるじ……いッ」

梓(夢に出てきたの。律先輩と、澪先輩の他に……首吊りをしてた人)

梓「あァ……ハハッ」

梓(それって、私じゃん)

梓(最後の最後まで、こんな結末……)

梓「やダッ、じにたく……なッ」

梓「ッ…………」

梓「……」

梓(さよなら、私)

梓「……」

梓「…」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/11(土) 01:51:55.48 ID:wg/W2lal0
放課後

梓「……?」

唯「あっ、あずにゃんやっと起きたぁー!」

梓「唯、先輩?ここ、どこですか?」

唯「何言ってるのあずにゃん。ここは軽音部の部室でしょ」

梓「はあ……あれ?」

唯「それにしても一体いつから寝てたの?私が来るころにはぐっすりだったよ」

梓「あ……あはは。そっか、夢。夢だったんですね」

唯「うん?」

梓「あっ、ははっ!やった、夢だ!夢だったんだ!また先輩たちと一緒にいられるんだっ!」

唯「もー、どうしたの?変なあずにゃん」

唯「あ、夢といえばね。昨日、」

唯「あずにゃんの夢を見たせいでよく眠れなかったよ」

梓「…………また?」

To Be Continued