P「ん？二人とも何話してるんだ？」

奏「あら、良いタイミングで新郎さんの登場ね。噂をすればなんとやら、と言ったところかしら」

P「心労……？」

伊吹「プロデューサー疲れてる？少し休んだら？」

奏「話を逸らさないでくれるかしら」

P「いやそれ以前に何の話をしてたのか分からないんだが」

P「なるほどなぁ、そんな噂が」

伊吹「でも、そんな良い雰囲気っぽい事してたっけ？」

奏「非のないところに噂は立たないわよ」

P「悪い事した覚えもないんだけどなぁ……」

伊吹「ほんとほんと、こないだ二人で映画観に行ったくらいだよね」

奏「早速出てきてるじゃない」

伊吹「でもあの時チケット取れなくて見れなかったんだよね。誰かさんのうっかりのせいで」

P「いやほんとごめんて、上映時間別の映画と間違えててさ……」

奏「結局、見れなかったのね」

伊吹「うん、仕方ないからそのままショッピングに付き合って貰ってた」

P「荷物持ち大変だったぞ。靴３足も買わされ……プレゼントさせて貰ったし」

伊吹「デートなのにきちんとエスコート出来なかった人の方が悪いし」

奏「デート」

P「あ、そう言えば今履いてる靴って」

伊吹「お、正解！似合ってるぞ、なんて言葉を添えるとポイント高いよ」

P「やっぱりめっちゃ似合ってる。プレゼントして良かったよ」

伊吹「あー……うん」

奏「ごほん……この場に私がいる事を忘れないで貰えるかしら」

P「ごめんごめん、それで何の話だっけ？」

伊吹「アタシとプロデューサーが付き合ってるって噂の話じゃなかった？」

奏「大丈夫よ、もう確信に変わったわ」

P「んでもってそのあと食事して別れたけど……普通じゃないか？」

伊吹「ね、割とありふれた休日の過ごし方だと思う」

奏「割とありふれたカップルの休日の過ごし方ね」

P「まぁ仲は悪くないと思ってるけどな、伊吹とは」

伊吹「ア、アタシはまぁ……うん」

奏「あら、妬けちゃうわ……私にもキスしてくれていいんじゃない？」

P「伊吹にもまだしてないぞ」

奏「まだ？」

P「マーダーはしたくないな」

奏「上手くないし躱せてないわよ」

伊吹「なんだよレクターか！！」

奏「私を猟奇殺人犯にしないでちょうだい」

P「とは言え噂なんて、流行ってはすぐ消えてくだろ」

伊吹「人の噂も75日、だっけ？」

P「確か一年の1/4で、季節が変われば噂なんて忘れられてくみたいな意味だったよな」

奏「あなた達が春でい続ける限り忘れて貰えないんじゃないかしら」

伊吹「奏どうしたの？今は梅雨だけど」

P「だとしたらもうすぐ梅雨も明けるし、直ぐにでも流れてくんじゃないか？梅雨だけに水に流す、って」

伊吹「……」

奏「うっわつまらない、親父かよプロデューサー……って顔してるわよ」

伊吹「なんだよエスパーか！」

P「エスパー使えない一般人の俺でも見てれば分かったし否定してくれよ少し凹むぞ」

伊吹「それに、そういう噂なら……えっと、別に直ぐ忘れて貰わなくても……」

P「まぁ別に、特に困る事があるわけでもないしな」

伊吹「気付けよ」

P「気付いてるけど恥ずかしいから誤魔化してるんだろ」

伊吹「……えへへ」

奏「何か苦いものが飲みたい気分だわ」

P「冷蔵庫にこないだ話題になってたオレンジジュースが入ってるぞ」

奏「苦いものって言ってるじゃない……あら、ほんとだ。良く買えたわね」

伊吹「農園の恵だっけ？」

奏「青島の方ね」

伊吹「なんだよネクターか！」

P「お前それ言いたかっただけだろ」

P「ほら最近二人とも頑張ってるからさ、何か差し入れしようかなって」

奏「優しい気遣いありがとう。でも今私が欲しいのは漆黒のブラックコーヒーよ」

伊吹「あったよ、コーヒー豆が！」

P「でかした！食べていいぞ」

奏「張り倒すわよ」

伊吹「でも、どこの誰がそんな噂流したんだろ？」

奏「あなた達を見た人全員じゃない？」

P「ま、火の無いところにとも言うし、ならアツアツのカップルっぽく振舞ってやるか」

伊吹「……噂、ずっと流し続けよう、って提案って事でいいの？」

P「一緒に人の噂の最長記録を更新してやろう」

伊吹「プロデューサーがそう言うなら……仕方ないから、アタシが付き合ってあげる」

奏「末長く炎上するといいわね」