3: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/03(月) 00:03:48.84 ID:C7crBR9z0

乙倉悠貴の場合

悠貴「芳乃さんっ!誕生日おめでとうございます!」

芳乃「あー。悠貴さん。ありがとうございますー」

悠貴「私、プレゼント持ってきました!受け取ってもらえますか?」

芳乃「もちろん、いただきますー」

悠貴「じゃあこれをどうぞ。芳乃さんに似合うと思って、リボンを選んでみました!」

芳乃「ふむー。淡く、穏やかな色合いのリボンですねー」

悠貴「はいっ。芳乃さんって水辺にいると絵になるので!だから水色の物が似合うと思ったんです!」

芳乃「ふふっ、悠貴さん。あんまり褒めても、何も出ませんよー」

悠貴「いえいえいえ、そんな気持ちは微塵もないですよ!?思ったことを言っただけで」

芳乃「わかっていますー。このリボンから、悠貴さんの気持ちがとても、伝わってきますのでー」

悠貴「リボンから私の気持ち、ですか?」

芳乃「はいー。相手を想う気持ちは物に宿るのですー。ですから、このリボンにも悠貴さんの気持ちがたくさん、詰まっているのでしてー」

引用元: 依田芳乃『贈り物には、意志があるのですよー』 



4: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/03(月) 00:04:28.10 ID:C7crBR9z0

悠貴「……何だか、恥ずかしいですね」

芳乃「そんなことはないのですよー。私は、とても嬉しいですー」

悠貴「そう思ってもらえるなら、私も嬉しいです!」

芳乃「悠貴さんの気持ち、しかと受け取りましたー」

悠貴「はいっ。芳乃さんを想った私の気持ちが、しっかり届いて良かったです」

芳乃「……ほー」

悠貴「芳乃さん?」

芳乃「悠貴さんにー、告白されましたー」

悠貴「こ、告白!?ええっ!?」

芳乃「私を、想っているなどとー」

悠貴「えっ、あっ!そ、そういうことではなく!」

芳乃「ふふっ。冗談でしてー」

悠貴「もうっ、芳乃さん」

芳乃「すみませぬー。悠貴さんが可愛らしかったのでー」

5: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/03(月) 00:05:28.72 ID:C7crBR9z0

二宮飛鳥の場合

飛鳥「やあ、芳乃」

芳乃「おやー、飛鳥さんですかー。どうかしましたかー?」

飛鳥「何、今日はキミの誕生日だからね。ボクなりにそれを祝おうと思ったのさ」

芳乃「ふむー。ありがとうございますー」

飛鳥「礼には及ばないさ。それよりも受け取ってもらえるかい?」

芳乃「ぜひー。開けてみても、良いですかー?」

飛鳥「もちろん。キミの好みはわからなかったから、つまらないものかもしれないけどね」

芳乃「そんなことはないのですよー。大切なのは、物ではなく気持ちなのですからー」

飛鳥「気持ち、ね。キミには贈り物が何かは関係ないんだね」

芳乃「私だけではなくー、誰もがそうでしょー。飛鳥さんも、悠貴さんも。贈り物をいただいて、悪く思う人はいないのですー」

飛鳥「ふむ。確かにそうだね。いきなり貰うのは困るが、記念日に貰うのなら悪くない」

6: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/03(月) 00:06:07.81 ID:C7crBR9z0

芳乃「ですから、決してつまらないものではないのですよー」

飛鳥「そうだね。なら芳乃、改めて受け取ってもらえるかい?キミは石が好きなようだから、ストーンチョコを用意してみたんだ」

芳乃「ありがとうございますー。どれも綺麗で食べることがもったいないくらいでしてー」

飛鳥「そこは食べてくれると、贈る側としてはありがたいんだが……」

芳乃「もちろん、いただきますよー?」

飛鳥「ははっ。気に入ったようで良かったよ」

芳乃「はいー。飛鳥さんの気持ち、しかと受け取りましたー」

飛鳥「あぁ。誰かに、キミに物を贈るのは案外悪くない」

芳乃「ふふっ。飛鳥さんの誕生日には、ぜひ私からも贈り物をー」

飛鳥「あぁ、期待して待っているよ」

芳乃「これはー、ハードルが上がってしまったのでー?」

飛鳥「ふっ。大事なのは物じゃなく、気持ちだろう?」

芳乃「そうでしたー」

飛鳥「やっぱりキミは面白い人だね。芳乃、誕生日おめでとう」

7: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/03(月) 00:06:47.71 ID:C7crBR9z0

Pの場合

芳乃「そなたー、これは何でしてー?」

P「何ってそりゃあ誕生日プレゼントだよ」

芳乃「ふむー……」

P「誕生日おめでとう、芳乃」

芳乃「ありがとうございますー。ですがそなたー?」

P「どうした?」

芳乃「女性への贈り物に、石はないのでしてー」

P「……えっ!?だって芳乃、石好きだろう!?」

芳乃「たしかにー。私の趣味は石ころ集めですがー」

P「だったら何が不満なんだ!?やっぱり法螺貝のほうが……?」

芳乃「いえー、法螺貝は法螺貝でいただきましても困りますー」

P「法螺貝って見た目のわりに意外と高かったんだよ。……ごめんな?」

芳乃「そういうことではなくー」

P「じゃあ、何だ?」

8: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/03(月) 00:07:31.44 ID:C7crBR9z0

芳乃「普通女性への贈り物は、もっと華やかな物ではないでしょうかー」

P「……やっぱ石だともらっても嬉しくないか?」

芳乃「いえー。私は嬉しいですよー?」

P「んー?じゃあ何が不満なんだ?」

芳乃「不満などではなく、そなたのことが心配なのですー」

P「俺が?」

芳乃「はいー。例えばそなたに恋人がいるとしてー……」

P「恋人がいるとして?」

芳乃「……例えを変えますー。好きな方がいるとしてー」

P「たいして変わってなくないか?」

芳乃「そこは大事なことでしてー」

P「……そうか」

芳乃「好きな方の誕生日に石を贈るとどう思われるでしょー?」

P「俺の好きな人かー。……すごく喜んでくれると思ったんだけどなー」

芳乃「私は石をいただいても嬉しいですが、他の方はそうではないですよー?」

P「うん?なら問題ないんじゃ」

芳乃「一般の女性は石をもらっても嬉しくないと思いますがー」

9: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/03(月) 00:08:20.37 ID:C7crBR9z0

P「あぁ、そういうこと。そりゃ他の人には石なんて贈らないよ」

芳乃「ほー」

P「芳乃の誕生日だから、芳乃が好きな石を選んだの」

芳乃「つまりー、そなたは誰彼構わず石を贈るような人ではないとー?」

P「当たり前じゃん。そんなことしたら普通嫌がらせになるだけだよ」

芳乃「…………………」

P「芳乃?……おーい、よしのーん?」

芳乃「恥ずかしい勘違いを、していましてー///」

P「まあまあ。誰にだって勘違いはあるし、俺を心配してくれたんだろ?」

芳乃「そうですがー。恥ずかしいものは恥ずかしいのですー」

P「芳乃可愛い」

芳乃「……そなたー」

P「はいはい何でしょう」

芳乃「……ありがとうございますー」

P「どういたしまして」

10: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/03(月) 00:08:56.35 ID:C7crBR9z0

芳乃「この贈り物は、大切にいたしますー」

P「うっかり捨てんなよ?」

芳乃「そんなことはしないのですよー」

P「そうか、それは良かった。」

芳乃「そなたが真剣に選んでくれた、大切で、大事な、石なのですー」

P「おう。……じゃあご飯でも食べに行こうか」

芳乃「そんなにしていただいても、良いのでしてー?」

P「いいよ。だって、石だけのプレゼントはあんまり良くないらしいからな」

芳乃「むー。……そなたはいじわるでして」

P「ははっ。好きなもの頼んでいいから、機嫌治してくれ」

芳乃「……それでは、おせんべいをー」

P「せめて、ご飯になるものにしてくれ」





終わりでしてー