前回 ○白菊ほたるのコミュ2に日野茜が乱入してきた話

2: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:37:22.46 ID:02EPagEM0
茜「いやあめでたいです!ほたるちゃん初仕事!!」

菜々「ホントですねえ。待ち焦がれた、アイドルとしての第一歩ですよ」

茜「ほたるちゃんも、ほたるちゃんのプロデューサーさんも準備で大忙しです」

菜々「会場は○○デパートの屋上でしたっけ」

茜「346プロの新人は、何故か初舞台がデパートの屋上のことが多いのです!なぜだかは知りませんが!」

菜々「これはナナたちとしてもお祝いするしかありませんね」

茜「先日三人でお食事したりしましたが、それでは物足りません!」

菜々「こういう時はサプライズが欲しいですよねサプライズ」

茜「おお、いいですねサプライズ!プレゼント!!」

茜「初舞台直前に、炊きたての山盛りごはんを差し入れるのはどうでしょう!?」

菜々「流石にステージ直前はどうかな!?」

茜「では、我々二人でサイリウムをいっぱい振るというのは!!」

菜々「初舞台って昼間じゃなかったでしたっけ」

茜「失念していました!!」

引用元: 【モバマス】安部菜々「ほたるちゃんの」日野茜「初仕事です!!」 


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3: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:38:42.82 ID:02EPagEM0


菜々「定番はお花とかですけど、何か、思い出に残ることしてあげたいですねえ。苦労したんですから」

茜「ほんとですね…あれ?」

茜「うっかり相づちを打ってしまいましたが、ほたるちゃんてあんなに可愛くて熱心なのに、アイドルになるのにそんなに苦労したんですか」

菜々「…うーん、実は、かくかくのしかじかでして」

茜「なるほど!ほたるちゃんは昔から不幸にみまわれていて、それが原因で色々な人を不幸にしたり、事務所が倒産したと気に病んでいて、実際事務所の人に責められたり、恨まれたりした過去があると」

菜々「昔のことはあまりはっきり語りたがらないですからナナも詳しいわけでは無いですが、不幸を呼ぶ子だって噂、あちこちで聞きましたね」

茜「なんて辛い話でしょう!」

菜々「人を幸せにできるアイドルになりたいけど、色々な事務所で、色々あったみたいです。だからこそ、この事務所で今度こそ、って気持ちは強いみたいですね」

茜「―――でもでも、それって、キツくないですか」

菜々「そうですね。今はつきあいが無いとは言え、悪く言われたとか、恨まれたとか、誰かを不幸にしたかもしれないとか。そういう事実はなくならないですから。ほたるちゃん、結構キツいと思います」

茜「あ、それもあるのですが」

菜々「?」

4: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:39:44.66 ID:02EPagEM0

茜「ほたるちゃんてとっても良い子ですよね?」

菜々「良い子ですよー。優しいし、まじめだし」

茜「控えめだけど努力家で、凄く根性があります!」

菜々「うんうん」

茜「しかも色っぽくて背が高いです(←148cm)」

菜々「スラーっとして艶がありますよねえ(←146cm)」

茜「私は以前のほたるちゃんを知りませんが、あれですか。実は昔は悪い子だったりしたんでしょうか」

菜々「そんなことは無いと思いますよ。菜々と暮らしていた頃も、とてもいい子でした」

茜「これまでの事務所の人たちにも、それは解ったんじゃないでしょうか。不幸とかは置いといて、すごくいい子だと!」

菜々「それは…そうかもしれません」

茜「いい子だと解ってる子を責めたり、恨むのって、すごくキツくありませんか?」

菜々「……」

5: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:40:31.14 ID:02EPagEM0

茜「色々あったのでしょうが、良い子で、優しい子だって解ってて、おまえのせいだって言ったり、恨んだりして、その人たちはスッキリしたのでしょうか。なんだか考えるだけでもの凄くお腹が苦しそうな気がします!!」

茜「ほたるちゃんは人を不幸にしたって苦しんでる。いろいろ事情はあるでしょうが、ほたるちゃんを責めた人もきっと苦しい。みんな苦しいのって、よくないです」

菜々「……」

茜「あれ、でも実はそういう人たちは悪い人で、苦しくなかったりしたんでしょうか」

菜々「…『悪い人』って、ほんとはあんまり居ないんですよね」

茜「はあ」

6: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:40:57.56 ID:02EPagEM0

菜々「ふつーの人なんです、みんな。でも状況によって、悪くなったりしちゃう。良い人でも苦しい時は人を憎むし、乱暴になったりしちゃう。責任感がある人でも、本当に苦しいと逃げたりもしちゃう…後でそれを後悔しちゃったりして」

菜々「茜ちゃんの言う通りかもしれません。ほたるちゃんを責めた人の中には、今、それを後悔してる人もたくさん居て」

菜々「ほたるちゃんをテレビとかで見かけるようになったら、きっと、昔を何度も思い出して、苦しむのかもしれないですね」

茜「菜々さんの言葉には含蓄がありますね。学校の先生みたいです!!」

菜々「ノウッ!ナナはピチピチの17歳…というか、鋭いのは茜ちゃんですよ。ナナ、恥ずかしながらそういうこと、考えたこともありませんでした」

茜「えへへ、お恥ずかしい。でも、嫌じゃないですか。ほたるちゃんが有名になったら苦しむ人が増えるなんて!」

菜々「はい。ナナもそう思います」

茜「…あ、昔の事務所の人たちを、初舞台に呼んだらダメでしょうか!!」

菜々「えーっ!?」

7: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:41:31.11 ID:02EPagEM0

茜「遅くなるほど、ごめんって言いにくくなります。だから、来て、声援を送ってくださいとお願いするんです。それが『ごめん』のかわりになると思うんです」

菜々「な、成る程…」

茜「『ごめん』ができたらその人たちは楽に!それを見てほたるちゃんも楽に!なるのではと!」

菜々「……確かに、そうできれば、素敵です」

茜「ですよね。実現は、難しいでしょうか!?」

菜々「出来るか出来ないかなら、できると思います」

菜々「手紙とか出して招待するというのは、できるでしょう。連絡先だって、調べれば解る人も多いはずです。この業界、広いようで狭いところがありますから」

茜「なるほど、では早速!!」

菜々「でも、やっていいか悪いかで言うと、これはナナたちがやっちゃいけない事です」

茜「えっ」

茜「…」

茜「それは何故でしょう!!」

8: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:42:02.79 ID:02EPagEM0

菜々「これは、ほたるちゃんとその人たちの問題だからですよ」

菜々「ほたるちゃんとその人たちにはナナたちが知らない人間関係が、物語が、経緯があったはずです。実際、ほたるちゃんは過去のことで苦しんでいますが―――」

菜々「その時本当に何があったのかは、その当時を知っている人だけに解る、デリケートな話でしょう。その時のことを知りもしない私たちが、勝手に『こうにちがいない』と考えてしゃしゃり出るのは、許されないことなんですよ」

茜「……」

菜々「私たちが出来るのは、ほたるちゃんが苦しいときに支えてあげること、一緒に居ること。応援してあげることです」

菜々「茜ちゃんが言ったように出来て、それが上手くいけば、すごく素敵だと思います。だけど、それはナナたちが勝手にお膳立てしていいことじゃない」

菜々「それはきっと、ほたるちゃんや昔の関係者さんたちが、自分で悩んで、答えを出していかなくてはならない話だからです―――」


9: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:42:30.81 ID:02EPagEM0


茜「……なるほど」

菜々「というか、今は初舞台が成功するかどうかも解らなくてほたるちゃん不安なはずでしょうしね。心配事や考え事は、増やさないほうがいいんじゃないかなーって。あはは、説教くさくてごめんなさい」

茜「いえ!これは確かに私が浅はかでした!!指摘してくれて、ありがとうございます!」

菜々「そんなふかぶかと頭下げなくても!?」

茜「でもやっぱりちょっと悔しいです。何か、私たちでほたるちゃんたちの気持ちを軽くしてあげることは―――あ、こういうのはダメでしょうか!!」

菜々「ふむふむ?」

10: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:43:05.95 ID:02EPagEM0

ほたる「お手紙を…です、か?」

茜「はい!初仕事が終わった後、改めて、感謝を伝えたい方にお手紙を出してみてはいかがかと!!」

菜々「初仕事が成功すれば、新しい出発となるわけですし。1つの区切りとして、ご両親とか、お世話になった人とか。感謝とか、今までの気持ちを伝えるお手紙を出すのもいいんじゃないか、って」

ほたる「…お手紙を、出したい人…」

茜(ほたるちゃんが考え込んでしまいました!!)

菜々(ものすごく真剣に考えていますね!?)

ほたる「どうしても出したいのは、お父さん、お母さん。学校の先生―――」

ほたる「それと、初めての事務所の、人たち、プロデューサーさん、です」

菜々/茜「……」

ほたる「私を最初に、アイドルになれるって、見つけてくれたひと。そのときのスタッフのさんたち…私のせいで、事務所は潰れてしまって。期待にはこたえられなかったけど―――」

ほたる「私なんかに手紙を貰うのは、嫌かも知れないけど、それでも。迷惑をかけてごめんなさい。私に出来るって言ってくれて、ありがとう、って…」

茜「…すごくいいと思います!」

ほたる「えへへ…他にも、いっぱいいっぱい、居るんです。ありがとうと、ごめんなさいを言いたい人。勇気がなくて、すぐには言えないけど、まずは…あ、あの?二人とも、なんでそんなぽかーんって…」

菜々「いえいえ」

茜「ほたるちゃんは凄いな!と思っただけです!!」

ほたる「???」

11: ◆cgcCmk1QIM 2017/07/30(日) 11:43:35.81 ID:02EPagEM0

菜々「そしていろいろありましたが初舞台は大成功!」

菜々「ほたるちゃんは最初の事務所のプロデューサーさんたちに、長い長い手紙をしたためています」

菜々「その手紙がいい結果をもたらしてくれるのかは、菜々たちには解らないですが、ほたるちゃんの心を軽くすることになればいいな、と思います」

菜々「…ただ、ナナには今回の件で、ひとつだけどうしても心残りなことがあるのです」

茜「そ、それは一体!?」

菜々「サプライズプレゼントをしようって話、どうなっちゃったんでしょう…」

茜「…完全に忘れてましたー!!!」

(おしまい)