2: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 01:51:57.16 ID:m2QOPNLz0
神社

P「美穂ー、こっちこっち!」

美穂「プロデューサー! あけましておめでとうございます」

P「あけましておめでとう。おや、その着物見覚えがあるぞ? まさか戦国姫?」

美穂「あっ、気がつきましたか? 正解ですっ! って言いたいんですけど、流石に撮影用の衣装を着ていくわけにも行きませんから……よく似た着物を借りてきちゃいました」

P「まぁあの衣装は美穂の物じゃないしな、もしかして気に入っていた?」

美穂「えっと……デビューしてすぐのお仕事だったこともあって、私のお気に入りなんです」

引用元: 美穂「小日向美穂、一月一日」 


3: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 01:53:19.35 ID:m2QOPNLz0
P「しかし美穂は色々してきたよなぁってしみじみと思うな。和風なお姫様にサンタにハロウィンの魔女っ子に。春秋冬と来たから、次は水着でも着てみる?」

美穂「み、水着は恥ずかしいです! わ、私の体を見ても嬉しくないと思いますし……」

P「そんなことないって。ファンのみんなも待ち望んでいるよ。俺も見てみたいし」

美穂「えっ!?」

P「あにゃ! い、今のはえーと言葉のあやというか……」

美穂「そ、そう言うなら……夏になった時に考えますね。でも、いきなりは恥ずかしいから……写真を撮る前にプロデューサーが見てくださいね」

P「あ、ああ。そうだね……」

美穂「うぅ……変なこと想像しないでください」

P「し、してないって!! ココにいても仕方ないな、人目もあるしそろそろ行こうか」

4: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 01:54:59.67 ID:m2QOPNLz0
美穂「そ、そうですね! お詣りしてきましょう」

P「だな。人が沢山いるし、俺から離れないようにね。これじゃあ中々探せないだろ……」

美穂「プロデューサー!! 助けてくださーい!」

P「って早速流されとる! 美穂ー!!」

美穂「あいたっ! 足踏まれました……」

P「大丈夫か? もみくちゃにされていたけど、変なことされなかった?」

美穂「それは大丈夫です。皆私のこと気にしていませんでしたし。メガネをかけるだけで気づかれないものなんですね」

P「流石に着物着て帽子をかぶるってわけにいかないしな。それにここで美穂ってバレたらちょっと厄介だし」

5: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 01:56:23.58 ID:m2QOPNLz0
美穂「賽銭箱にたどり着くのにも時間がかかりましたね」

P「まぁ一月一日だしなぁ。朝早くから来ている人もいるんじゃない?」

美穂「何をお願いしようなかな?」

P「そらっ!」

美穂「500円玉ですか?」

P「ん? ちょっと奮発してみた。ほら、美穂も入れないと」

美穂「それじゃあ……えいっ」

P「――」ガランガラン

美穂「――」ガランガラン

6: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 01:59:14.27 ID:m2QOPNLz0
美穂「プロデューサーは」

P「うん?」

美穂「何をお願いしたんですか?」

P「今年こそDeNAがAクラスに入りますようにってお願いしたよ」

美穂「や、野球ですか?」

P「他にもあるぞ? お金が貯まりますようにとか、美味しいものをたくさん食べれますようにとか、怪我なく一年過ごせますようにとか、にゃんこいの連載再開とか……」

美穂「ふふっ、欲張りさんですねっ」

P「500円払ったんだからそれぐらい叶えてもらわないとな」

7: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:01:15.22 ID:m2QOPNLz0
P「でも……一番叶って欲しい願いは、美穂をトップアイドルに導くこと、かな」

美穂「へっ? わ、私ですか?」

P「そりゃあ美穂のプロデューサーだしな。世界中に美穂の可愛さや魅力を伝えていくのが、俺の仕事であり言っちゃえば使命なんだから」

P「昨日も言ったけど、美穂は色んな可能性を持っているんだよ。言っちゃえば……可能性の獣だよ」

美穂「獣……クマさんですか? クマ耳を付ける?」

P「……そこは好きに解釈してくれたらいいかな? そもそもクマ耳って見栄えするのかな」

美穂「……、ちょっと変ですね」

P「だいぶ変じゃない? 俺的にはユニコーンを想像していたんだけど、まあいいや」

8: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:02:33.60 ID:m2QOPNLz0
P「美穂は他のアイドルのように飛び抜けて尖った個性はないかもしれないけど、それは逆に言えばどんな美穂にだってなれるってこと」

美穂「カメレオンみたいですね」

P「そうかな。色んなカラーがあって、その全部が小日向美穂で。今ある色だけじゃなくて、沢山の色でキャンバスを塗りつぶす」

P「その手伝いって言うか……二人三脚で走って行きたいなって」

美穂「二人三脚なら、紐をくくらないといけませんね」

P「だな。足並みを揃えないとズッコケてしまう。簡単な道のりじゃないのは重々分かっているけど。それでもゴールを美穂と一緒にみたいな」

美穂「不思議ですね。私も……同じことを考えていました」

P「同じこと?」

美穂「はい。プロデューサーとずっと一緒に、夢を叶えたいなって。神様にお祈りしましたから」

9: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:03:10.58 ID:m2QOPNLz0
P「ずっと……か」

美穂「はい。難しいのは分かっていますし、いつか別れが来ることぐらい覚悟しています。でも私は……あなたに導いて欲しいんです」

美穂「プロデューサーって、未来が見えているみたいに私のことを分かってくれて。時々お父さんやお母さんよりも見ているんじゃないかな? って思ったりもします」

P「それは……光栄だな。プロデューサーとして、ファンとしてすごく嬉しい言葉だよ」

美穂「そんなプロデューサーだから……」

P「美穂?」

美穂「えっ、あれっ? えっと……な、なんでもないでデシ!」

P(ダブル?)

10: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:05:28.53 ID:m2QOPNLz0
美穂「行っちゃった……大丈夫かな? プロデューサー、いつも働き詰めだったし疲れているのかな?」

美穂「さっきお賽銭した時にプロデューサーの健康も祈っておけばよかったな」

美穂「プロデューサーのコート、暖かいな……」

美穂(なんだろう、彼に包まれているみたいで……心地いいなぁ)

P「お待たせ! 甘酒って飲めたっけ?」

美穂「のへ!? お、お酒ですか!?」

P「そんなに驚くことないだろ。それと甘酒って実はアルコール入っていないんだ。どろりとしたソフトドリンクって所かな」

美穂「そうだったんですか……勘違いしていました」

P「ってことは飲んだことないみたいだな。体温まるぞ、ほら飲んでみ」

11: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:07:26.43 ID:m2QOPNLz0
美穂「ありがとうございます……。甘酒って言うだけあって甘いですね。思っていた以上です」

P「どれどれ? ホントだ。甘酒に詳しいってわけじゃないけど、知っている味より甘く感じるな」

美穂「でも体がポカポカしてきました。プロデューサーくんを抱いている時みたいだなぁ」

P「そ、そう? それはよかったよかった」

美穂「?」

P(プロデューサーくんはクマのぬいぐるみであって俺じゃないぞ! ……そんなにクマっぽいのか、俺って)

P「さてさて。初詣なんだしあれもしないとな」

美穂「あれ?」

P「勿論おみくじだよ。今年一年の運勢を占うとしようか」

12: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:08:54.14 ID:m2QOPNLz0
P「それじゃあせーのっ! で見せ合うか」

美穂「は、はい! 望むところです!」

P「なんの勝負? 行くぞ……せーのっ!」

美穂「せーのっ!」

P「ありゃま……吉か。喜んでいいのか悪いのか微妙だな。美穂はどうだった?」

美穂「や、やりましたよプロデューサー! 私、大吉です!」

P「おお! 良かったじゃないか!」

美穂「えへへっ、茄子さんから来たあけましておめでとうメールに返信したからかな?」

P「俺もしたんだけどなぁ。まぁ、俺の分のラッキーが美穂に移ったってことにしておこう」

13: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:10:16.45 ID:m2QOPNLz0
美穂「どんなことが書いていますか?」

P「えーと、どれどれ……良く分からないけど健康には注意しろって言いたいのは分かった。古文をしっかりやっていたら読めるんだろうけど、俺からすればこぶんなnんて外国語の一種だからな。気になる恋愛は……さっぱり分からない」

美穂「私は……結構良いこと書いていますねっ。健康も金運も良さそうです」

P「ホント? まあ大吉っていうぐらいだし、悪いことは書いていないだろうけど」

美穂「恋愛は……えっ?」

P「おっ、気になるな。見せて見せて」

美穂「だ、ダメです! こ、これは秘密にしています! お墓まで持っていきます!!」

P「そこまで!?」

14: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:13:12.89 ID:m2QOPNLz0
P「うむむ、確かに無粋なことを聞こうとしていたのは悪かったが、そこまで言われるとは」

美穂「そ、その! プロデューサーが悪いんじゃないんです! これは……見たら呪われちゃいますから! 馬になっちゃいますよ!」

P「馬になる呪いって聞き覚えがあるような無いような……」

美穂「だからこれは見せられないですっ! えっと! あそこに飾りましょう!」

P「そうだな。占いなんて当たるも外れるも八卦なんだし、気楽に考えておくか」

美穂(見せられるわけないよ……。運命の相手がすぐそばにいます、なんて……)

P「美穂ー? あらら、トリップしているや」

15: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:14:06.12 ID:m2QOPNLz0
美穂「あっ、見てくださいプロデューサー! 羽子板が売っています」

P「破魔矢も有るな。事務所にお土産で買っておくか。そうだ、後で羽根つきやらないか?」

美穂「羽根つきですか?」

P「新年なんだしね。カルタとかすごろくとか色々有るけど、ちょうど良い所に売っているし事務所の近くの公園でやろうぜ」

美穂「えーと……羽根つきって負けたら顔に落書きされるんですよね?」

P「落書き……ってほどでもないと思うけど墨を塗る風習はあるな」

16: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:15:56.75 ID:m2QOPNLz0
美穂「変なこと書いたりしませんよね?」

P「何を想像しているかわからないけど、書くとしてもペケとか丸とかの程度じゃない? メイク落としも持ってくるし、そこまで気にすることでもないよ」

美穂「そうですか。だったら後で事務所のみんなでしましょうよ。もしかしたら顔を見せている子もいるかも知れませんし」

P「ははっ、それもいいな。うちの事務所居心地が良いし、誰かしら遊びに来ているんじゃない? ちひろさんもいるみたいだし」

美穂「卯月ちゃんもNGの3人とプロデューサーさんとで初詣に行ってから事務所に顔を見せるって言っていたから、最低6人はいますね」

P「まああの子達もノってくれるかな。うっし、久々に体動かすから入念に柔軟しておかないと……」

美穂「やる気ですね」

P「やるからには勝ちたいじゃんか。目指せ羽子板マスター! ってとこだよ。みんなの顔を真っ黒にしてやるからな、覚悟しておけよ? 去年は色々やられたからな、その分返してやるっ」

美穂「ふふっ、楽しみです」

17: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:19:00.40 ID:m2QOPNLz0
P「さてと。そうと決まれば事務所に戻るかな」

美穂「あっ、プロデューサー! 言い忘れていました!」

P「?」

美穂「えっと……今年もよろしくお願いしますね!」

P「ああ、こちらこそ。最高の一年にしような!」

美穂「はいっ!」

美穂(今年の1月1日はプロデューサーと一緒に過ごせた。きっとこれからも、思い出を一緒に作っていく。特別なことじゃない、ただそれだけで……)

美穂「今年は素敵な年になりそうですっ!」

美穂(そう思えちゃうから)

18: ◆CiplHxdHi6 2014/01/01(水) 02:21:44.12 ID:icBIzOJ20
おしまいです