1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 04:05:48.30 ID:uuQsRIkQO
白糸台

照「……」カチャ

誠子「おいおいマジかよ?」

尭深「……」ピタッ

淡「えっ」

菫「おいっ、聞いているのか!?照!!」

照「……」

照「次は大星の親だ、早くしろ…」

菫「!?」

引用元: 菫「おい!!お前の妹が倒れたんだぞ!?」 



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3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 04:13:43.36 ID:uuQsRIkQO
ガシャン

菫「……」

淡「あわわわわ…」アタフタ

照「…どういうつもりだ?菫」

誠子(面倒なことになりそーだな、おい)ハァ

尭深「……」ヒロイヒロイ

菫「長野中央病院だ、早く行け…」

照「……」

菫「行けッ!」

照「……」



照「私に妹はいない…。続けるぞ…」

菫「……」ギリッ

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 04:21:49.07 ID:uuQsRIkQO
菫「…分かったよ」スタスタ

照「……」カチャ

淡「ちょ!?どっ、どこに行くんですか!?」

菫「決まってるだろ?そこの薄情者に代わって、見舞いに行くんだよ…」ガチャ

照「…部長ともあろう者が部活をサボるとは、白糸台も墜ちたな」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 04:27:35.39 ID:uuQsRIkQO
菫「……」

菫「だったら部長は…、いや白糸台麻雀部は辞めさせて貰う。これで……」




菫「墜ちなくて済むな?」バタン

誠子「お、おいっ!?」



照「……」カチャ

誠子「…って、いいのかよ!?このままじゃ、マジ弘世先輩やめちまうぜ!?」

淡「そうだよ!追いかけるか、妹さんのお見舞いに…」

尭深「……」ジッ

照「…さっさと席に着け」キッ

誠淡尭「……」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 04:36:10.30 ID:uuQsRIkQO
数日後

菫「あの、すみません…」

看護師「?」

菫「…宮永咲さんの病室は?」

看護師「ご家族の方ですか?」

菫「あ、いえ…。麻雀部で…」

看護師「…そう」

菫「?」

看護師「!」

看護師「ごめんなさい!宮永さんの病室だったわね…」チラッ チラッ

菫「……」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 04:43:34.29 ID:uuQsRIkQO
看護師「…遅くなって悪かったわね、383号室よ」

菫「いえ、ありがとうございました…。これ、良かったら皆さんで…」つ果物

看護師「…あら、こういうの本当はいけないのだけど」

菫「買いすぎてしまったので…」

看護師「…それじゃあ、有り難く頂戴します」ニコッ

菫「それでは…」スッ

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 04:46:41.92 ID:uuQsRIkQO
看護師「あっ、言い忘れたけれど!宮永さんは絶対安静だから、…余り長居は駄目よ?」

菫「えっ…。そ、そんなに悪いんですか…?」ピタッ

看護師「……」キョロ キョロ

看護師「…宮永さんって麻雀してるのよね?…ここだけの話、このままだと―――」



病室

菫「……」フゥ

トントン

「――はい…、どうぞ…?」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 04:59:32.32 ID:uuQsRIkQO
ガラガラ

菫「こんにちは…」

ガラガラ

咲「……」フキフキ

菫「えっ」

咲「……」←上半身半裸




咲「ッ、キャアアァーーーッ!!」

菫「!」

菫「すすす、すまないっ//」クルッ

15: >>12 昨日は仕事だったんだ、すまない 2012/10/15(月) 05:15:03.01 ID:uuQsRIkQO
菫(えっ?ほっ、細いな…)

咲「もう…、いいですよ?」

菫「…あ、あの――」クルッ

咲「え、えっと…、気にしないで下さい。って言うのも変ですね、私の体なんか見ても…」

菫「!」

菫「い、いや!その十分、綺麗で……」

咲「えっ」

菫「えっ!あっ、いや…、そういう意味じゃ…」

咲「ふふふ、ありがとうございます…//」ニコ

菫「~~っ///」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 05:20:37.90 ID:uuQsRIkQO
咲「……//」

菫「……///」

咲「あ、あの…、確か…、お姉ちゃんと同じ学校の……」

菫「……」


照『私に妹はいない…。続けるぞ…』


菫「…菫」

咲「えっ」

菫「弘世菫だ…。今日はお見舞いに来たんだが、急で済まなかった」ペコッ

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 05:27:53.29 ID:uuQsRIkQO
咲「…い、いいえ!滅多に人が来なくて退屈だなぁ、って思っていたところなので!」

咲「むしろ嬉しかったです…」

菫「……」

菫(…どうして、…どうしてこんな子を――)

菫「果物を買って来たんだ、好きなモノがあると良いのだが…」つ

咲「…わぁ!私、リンゴが好きなんですよね」

菫「良かったら剥こうか?」

咲「!」

咲「はいっ」ニコニコ

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 05:34:55.21 ID:uuQsRIkQO
咲「…ありがとうございました、来てくださって」

菫「ふふっ…、こちらこそ有意義な時間を過ごさせて貰えて、感謝している…」ニコ

咲「…いいえ、…有意義なんてそんな」フルフル

菫「……」

菫「…また明日も、来させて貰っていい?」

咲「えっ」

咲「でも弘世さん、学校が…」

菫「……実は――――」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 05:40:41.70 ID:uuQsRIkQO
白糸台

キーン コーン カーン コーン

菫「……」スッ

ガラガラ

誠子「…弘世先輩はいるかい?」

淡「……」ソワソワ

菫「……」チラッ


部室

ガチャ

誠子「連れて来たぜ?」

照「……」

菫「……」スッ

尭深「……」ジーッ

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 05:50:28.97 ID:uuQsRIkQO
菫「…何か用か?私はm」

照「転校すると聞いた、監督に…」

菫「……」

淡「ほっ、本当なんですか!?」

菫「…あぁ、本当だ」

淡「!?」

誠子「な、なっ!?」

尭深「……どうして?」

菫「……」チラッ

照「……」

菫「お前が…」



菫「…信じられなくなったからだ。」

照「……」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 05:56:55.84 ID:uuQsRIkQO
菫「聞けば妹さん、いや宮永咲はもう…」





菫「麻雀は出来ないそうだな?」
淡「えっ」

誠子「…マジ?」

尭深「……」チラッ

照「……」

菫「顔色の一つも変えないんだな…?」

照「……」

菫「…お前のそういうところが、怖くなったんだよ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 06:03:11.02 ID:uuQsRIkQO
菫「もしも…、もしも私たちの誰かが麻雀をすることが出来なくなったら…」

照「……」

菫「お前はきっと、今と同じように―――」



菫「…いや、もしもの話をしても仕方がないな」クルッ

照「……」

淡誠尭「!」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 18:09:14.74 ID:uuQsRIkQO
菫「今まで世話になったな…。全国、頑張れよ?」

ガチャ

誠子「ひっ、弘世先輩!!」

バタン

淡「…っ、いいの!?もう会えないかも知れないんだよ!?テル!?」

尭深「追いかけるべき…」

照「……」


病院

菫「――と、いうことがあったんだ。だから…」

咲「…お姉ちゃ、宮永照さんは追って来たんですか?」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 18:16:23.85 ID:uuQsRIkQO
菫「いや…、それっきり顔は合わせていない…」

咲「……」

菫「私も見捨てられたのだろう。照は、…アイツは麻雀に対しては馬鹿がつく程の実直さだったからな」

咲「――い」

菫「?」

咲「ごめっ…、なさ…、いっ!」ポロ

菫「!?」

咲「いっ、…いつもっ、私はっ、…まっ、周りをっ!!」ポロポロ

菫「……」



菫「君の…、君のせいじゃない…っ!!」

咲「!」ビクッ

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 18:24:14.53 ID:uuQsRIkQO
咲「……っ!」フルフル

咲「わ、私っ!頑張りますからっ、決勝に勝って…、お姉ちゃんに許して貰って…、弘世さんのことも…っ!」

ギュッ

咲「…えっ」

菫「駄目だ…」

咲「で、でもっ!」

菫「…駄目だ。…もう、君は麻雀をしたら駄目だ」

咲「……」

スッ

菫「済まない…、看護師に聞いたんだ。君は麻雀を出来る体じゃないって…」

咲「……」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 18:40:08.93 ID:uuQsRIkQO
菫「…今まで、無理をしていたんだろう?」

咲「……」

菫「思えば君の強さは鬼気迫るものがあった…、看護師は原因は分からないと言っていたが…」




菫「…命を削って、戦っていたんだろ?」

咲「!」ビクッ

菫「点数調整、支配、そして嶺上開花…。千里山の選手にもいたから分かる、君は間違いなく無理をしていたんだ…」

咲「……」



咲「…家族で麻雀をしていた時でした」

菫「……」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 19:09:49.75 ID:uuQsRIkQO
咲「物心ついた頃から私はお母さん、お父さん、お姉ちゃんと良く家族麻雀をしていたんです…」

菫「……」

咲「最初は見ること、聞くこと、全部が目新しくて…、輝いていて…、楽しくて……」

菫「……」

咲「…特にお母さんとお姉ちゃんは強くて、ルールとか役とかを覚えてからは負けたくなくて何度も勝負を挑みました」

菫「……」

咲「けれど…、戦っても戦っても勝てなくて……」

菫「……」

咲「…悔しくて、家出したことがあるんです」

菫「!」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 19:22:03.57 ID:uuQsRIkQO
菫「そ、それでっ!?」

咲「もちろん小さかった私に行く当てなんてありませんでした、行き当たりばったりで歩いて…、歩いて…、歩いて…」

菫「……」

咲「たどり着いたのはお姉ちゃんと良く来ていた、私に嶺上開花の意味を教えてくれた大切な――」

菫「……」

咲「…とにかく私はそこで途方に暮れました。せっかくお母さんが、お父さんが、…そしてお姉ちゃんが教えてくれたにいつまでも強くなれない、自分自身に嫌気がさしていたんです」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 19:31:43.69 ID:uuQsRIkQO
咲「それまでは色々と考えていたから、気づかなかったんですけど…」

菫「……」

咲「…辺りも暗くなってきて、…人気もなくて、急に怖くなって来た道を戻ろうとして、…振り返ったんです」

菫「……」

咲「そこには…、そこには凄く息を切らせて、私を睨みつけているお姉ちゃんが立っていました…」

菫「……」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 19:39:08.95 ID:uuQsRIkQO
咲「そんなお姉ちゃんの表情が怖くて、…私は逃げようとしました」

菫「……」

咲「けれどそれよりも早く、お姉ちゃんは私を……、抱きしめたんです」

菫「……」

咲「…驚きました。きっと怒られると思ったから、…麻雀の弱い私が余計な手間をかけさせて、って怒鳴られると思ったから」

菫「……」

咲「でも…、抱きしめてくれたんです!しかも泣きながら…、体が軋んで痛いくらい強く!」

菫「……」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 19:48:37.77 ID:uuQsRIkQO
咲「…だから私はもっと麻雀にのめり込みました、…それがあの時の恩返しだと思ったから」

菫「……」

咲「その甲斐もあって初めてトップであがれたんです…、お母さんもお父さんも…、お姉ちゃんも皆が褒めてくれて……」

菫「……」

咲「…凄く疲れたのに、それ以上に嬉しくて、…幸せで」

菫「……」



菫「疲れた?」

咲「……」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 19:56:41.43 ID:uuQsRIkQO
咲「はい…、思えばそれからかも知れませんね…」

菫「……」




咲「命を削る麻雀を始めたのは」

菫「…やっぱり自覚はあったのか?」

咲「……」コクリ

咲「最初はお姉ちゃんやお母さんを、良く観察するように努めました…」

咲「…すると段々と牌には流れあることが、分かったんです」

菫「……」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 20:12:17.61 ID:uuQsRIkQO
咲「そして流れを意識して打ち始めてからは、逆らわずに打てば雀力の差で勝負が決まることが分かって…」

菫「……」

咲「流れに逆らうと異常に消耗するけど、決まった勝ち負けを覆せたり、…上手く説明は出来ないんですけれど、そういうのを感じるようになったんです」

菫(やはり…、本来あのような打ち方は、相当な実力差がないと出来ない筈…、それを強引に引き出していたのか…はっ!?)

咲「弘世さん…?」

菫「そっ、それを照は知っていたのか!?」

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 20:20:33.96 ID:uuQsRIkQO
咲「!」ビクッ

菫「あっ、すまない…、大きな声を出してしまって…」

咲「…い、いえ。えっと、お姉ちゃんは多分、…知っているんじゃないかと思います」

菫「!」

咲「一度だけ集中しすぎて倒れたことがあって…」

菫(…そうか。…この子の力と、その危険性を知っていたなら照は―――)

菫「あ…、ちょっとお手洗いに行ってきても、構わないかな…?」スッ

咲「…は、はい。…引き止めちゃってごめんなさい」

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 20:25:22.06 ID:uuQsRIkQO
病院玄関前

菫「……」

TEL「」プルルルル

TEL「」プルルルル

TEL「」プル



照『……』

菫「…照か?」

照『……』

菫「~っ、照だと思って勝手に話すからな!?」

照『……』

菫「お前…、妹さんのこと知ってたろ…?」

照『!』ガタッ

菫「…図星か」

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 20:35:44.56 ID:uuQsRIkQO
菫「妹さんは自らの命、いや体力とでも言うべきか?この場合…」

照『……』

菫「それを犠牲にして打っていたんだろう?」

照『……』




照『…本人に聞いたのか?』

菫「大まかにはな…、そしてここからは私の勘だが……」

照『……』

菫「その事実をいち早く知ったお前は、…妹さんを突き放し離れることを決めた」

照『……』

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:02:25.25 ID:uuQsRIkQO
菫「側にいれば必ず、妹さんはお前に追いつこうと無茶な麻雀を打つ…」

照『……』

菫「…沈黙は肯定と捉えるぞ?」

照『……』

ガシャン

菫「!」

菫「」バッ

点滴「」ポタ ポタ



咲「……今の話――」

咲「本当、ですか…?」

菫「…さ、咲ちゃん」

照『!』

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:08:30.07 ID:uuQsRIkQO
菫「咲ちゃん…、こっ、これは…」

咲「……」

照『おいっ、菫!そこに咲がいるのか!?おいっ、答えろ!!』

菫「…落ち着いて、…落ち着いて」

咲「私は…っ!」クルッ

ダッ

菫「咲ちゃんっ!?」

照『おいっ!菫!?』

菫「…くそっ!」

ダッ

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:22:19.42 ID:uuQsRIkQO
咲(…いつもだ、…いつも他人に迷惑をかけてばかり)

咲(苦労をかけて…、不安にさせて…、心配をかけて…、不快にさせて…)ジワッ

咲(…家族をバラバラにしたのは私なのに、…また皆で暮らしたいなりたいなんて夢見るから)

咲(やることなすこと…、色んな人に…)ポロ ポロ

咲(…こうしている間にも、…お姉ちゃんや弘世さんにだって)

咲(だったら…、だったら…)


ガチャ


咲「…いっそのこと―――」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:41:54.36 ID:uuQsRIkQO
菫「……」

菫「……」ジワッ

菫「……」壁ダァン

ガチャ

照「はぁ…、はぁ…」

菫「……」

照「…咲は?」

菫「……」

グイッ

菫「くっ…」ドンッ

照「咲はッ!?」ギリギリ

菫「…さっ、…咲ちゃんは」



カン