1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/01(金) 21:23:42.91 ID:alfvqIfC0
クリス「藪から棒に何言いだすんだ!」

未来「クリスには単刀直入に言うのが良いかなって」

クリス「順序吹き飛ばすのと、単刀直入なのは別モンだぞ。あとそこのバカと同じ扱いしてんじゃねえ!」

響「え~、酷いよクリスちゃん!」

クリス「だいたい甘えるのが下手って……下手かどうかなんて、甘えようとしたことねえからあたし自身でもわかんねえぞ」

未来「でもそのことで弦十郎さんが悩んでたよ」

クリス「なっ……!?」

響「え、師匠が悩んでたのって別の件でしょ。だって――」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1504268622

引用元: 【シンフォギアSS】未来「クリスって甘えるの下手だよね」クリス「なっ……」 


戦姫絶唱シンフォギアAXZ キャラクターソング6
月読 調(CV:南條愛乃)
キングレコード (2017-08-16)
売り上げランキング: 614
2: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:24:30.63 ID:alfvqIfC0
※ ※ ※



プシュー


マリア『すみません、遅れました』

弦十郎『いや、時間通りだ問題ない。早速だが全員そろったので話を始めようと思う』

翼『司令、まだ雪音が来ていませんが』

弦十郎『クリス君は今回呼んでいない。というのも、今回皆に集まってもらったのはクリス君について聞きたいことがあったからだ』

切歌『クリス先輩についてデスか?』

調『何かあったんですか?』

弦十郎『ああ。俺以外で最近クリス君の様子がおかしいと気づいた者はいないか?』

翼『雪音に異変……? くっ、先輩と風を吹かせておきながら気づけぬとは、不覚ッ!!』

マリア『いちいち大げさなのよ貴女』

響『んー、いつもと同じように私に怒って、でも照れた顔もカワイイいつものクリスちゃんだったような』

調『夏休み明けの実力テストの結果を見せたら、教えた甲斐があったって喜んでくれたし……』

切歌『悩みを抱えていたり、体調が悪いようには見えなかったデス』

エルフナイン『皆さんに定期的に受けてもらっているメディカルチェックにも問題は出ていません』

緒川(……司令だけが気づいているということは、まさか)

未来『……あの、弦十郎さん』

弦十郎『なんだね未来君』

未来『クリスの様子がおかしいって気づけた時って、もしかしなくてもクリスと二人っきりでしたか?』

弦十郎『ああ、そういえばどれも二人の時だったな』

未来『どれも?』

弦十郎『俺が一人で書類の決裁をしている時なんかにやってくるんだが、顔を真っ赤にしてらしくもない小声で何かを言おうとするんだ。風邪でも引いたのかと心配して熱を測ろうとすると、慌てて俺の手を払って部屋を出ていく。こんなことが何度もあってな』

マリア『あ―』

割とすごくカワイイ娘たち『あー』

エルフナイン『えっと……それってもしかして』

緒川『まあ、そういうことですね』

未来『やっぱり……』

司令・イケメン・防人『???』

3: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:25:00.45 ID:alfvqIfC0
切歌『クリス先輩……かわいそうデス』

調『そんなに頑張っているのに、気づいてもらえるどころか皆の前で言われてしまって……』

エルフナイン『わ、悪気はないですから!』

未来『だからこそタチが悪いんだよね』

翼『……立花。まるで話が見えてこないのだが』

響『私も言ってること全然わかりません!』

緒川『ええと、その。何といいますか』

弦十郎『わかるのか緒川!? 』

緒川『わかるんですけど、この場で口にするのは――』

マリア『男どもは口を挟むな!!』

弦十郎『なっ……!』

緒川『――というわけです』

マリア『この話、私たちで預からせてもらうわ。緒川さんは司令の察しの悪さをどうにかしておいて』

緒川『どうにかなるものじゃないと思うんですが、取りあえずアクション映画だけじゃなくて恋愛映画も観てもらいましょうか』

弦十郎『お、俺なのか。俺が……原因なのか?』

翼『いえ、そのようなはずは』

響『そうですよ。師匠は真っ先にクリスちゃんの様子がおかしいことに気づけるぐらい、普段から見守っていたんですから!』

マリア『……剣と槍の教育はまた後日として、誰がクリスと話すべきかしら』

切歌『翼さんと響さんがこんな状態デスから、アタシと調で――』

調『……でも、後輩の私たちに悩みを打ち明けてくれるとは思えない』

切歌『むむーデス』

未来『それじゃあ私が』

マリア『頼めるかしら?』

未来『はい。どうすればいいのか、だいたい見当がついていますから』

4: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:25:39.94 ID:alfvqIfC0
※ ※ ※



響「――っていう話だったよね?」

クリス「なっ……なな、な」

響「ねえクリスちゃん。悩み事を抱えていて、それが師匠に相談しにくい内容なら私に相談イタタタタタタッ」

クリス「バカッ、バカッ! うるせえバカ!」グリグリグリ

響「ふぇ~ん、未来ー。クリスちゃんが素直になってくれないよぉ」

未来「よしよし」

クリス「おっさんがバカなせいでバレた――じゃなくてオマエ等が勘違いしてんのはわかったが、あさっての方に勘違いしたこのバカを連れてきたのはどういう了見だ?」

未来「うん、響にはクリスが上手に甘えられるようになればどうなるのかの、例を示してもらおうって思って」

クリス「はあ~? コイツがか?」

未来「ねえ響。普段弦十郎さんとどんなことしてる?」

クリス「」ピクッ

響「え? 修行をつけてもらったり、一緒に映画見たり」

クリス「ふ、ふーん。まあ、あたしだって一緒に仏壇買いに行ったからな」ゴニョゴニョ

未来「……すごく、仲良いよね」

響「えへへ~。だって師匠頼もしいし一緒にいて楽しいし」

未来「きっと弦十郎さんも、響が素直に頼ってくれてすごく嬉しいから響を可愛がって、それでますます響が弦十郎さんを頼るっていう流れができあがっているんだろうね」

クリス「な、なるほど」

未来「……まあ響は純粋に慕っているだけだし、弦十郎さんも弟子として可愛がっているだけだから別にいいけど」ボソッ

クリス「ヒイッ!」

響「あれ? クリスちゃんどうしたの?」

クリス「お、おまえ……浮気だけは死んでもするなよ」

響「へ?」

未来「で、今の話を聞いて、甘えるの上手になりたいって思わない?」

クリス「べ、別に? おっさんに我がまま言って、休日どこかに連れて行ってもらおうなんてちっとも思わねーな」

未来「そうなんだ」

クリス「……そうなんだよ」

未来「そっかー。切歌ちゃんと調ちゃんも残念だろうなあ」

クリス「ハア? なんであの二人が出てくんだよ」

未来「甘えるのが上手な人って、甘やかすのも上手だと私は思うんだ。響とかさ」

響「ふぇ?」

クリス「……なるほど。頼れる先輩としては、アイツ等のために一肌脱ぐ必要があるってか」

響「クリスちゃんクリスちゃん! 私も後輩だよ! 私を甘やかすのが上手になれば甘えるのも上手にイタタタタタタタッ」

クリス「後輩! 扱い! してほしいなら! もちっと殊勝な態度とりやがれってんだ!」グリグリグリグリ

響「ふぇ~ん、未来ー。クリスちゃんが甘やかしてくれないよぉ」

未来「よしよし。私に甘えてくれていいから」

クリス「そういうことは家でやれっ!」

5: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:26:19.83 ID:alfvqIfC0
クリス「……で、いったい何させようってんだ」

未来「うん。いきなり本命に甘えるのは難しいだろうから――」

クリス「ほ、本命っておま『話の腰を折らないの』……チッ」

未来「まずは甘えやすい相手に甘えて練習していこうと思うんだ」

クリス「あたしが甘えやすい相手ってことは……」

響「」ガタッ

クリス「座ってろ」

響「(´・ω・`)」

クリス「あー、やっぱ先輩になんのかな?」


カチャ、チャキン


未来「うん。私もそう思って……」


カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン――


未来「……」

クリス「おい急にどうしたんだよ。黙りこくって」

未来「そ、そのね。私もそう思って……前もって、隣の部屋に待っててもらったの」

未来「……事情を、詳しく説明しないで」


カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン――


クリス「おいぃ。さっきから聞こえるこの物騒な音はなんなんだ?」ヒソヒソ

未来「多分、なかなか素直になってくれない可愛い後輩が甘えてくれると知って、鞘走らずにはいられない音?」ヒソヒソ

クリス「どんな音だ!?」ヒソヒソ

響「見てきたよー。興奮して刀の鯉口を切っては、落ち着かなきゃって納刀を繰り返してたよ」ヒソヒソ

クリス「」


カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、チャッカマン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチ

ャキン、カチャチャキン、ガッチャマン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン、カチャチャキン――

6: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:27:23.99 ID:alfvqIfC0
未来「クリス……普段から甘えてあげてたら、こんなことには」ヒソヒソ

クリス「お、おまえが説明しないで連れてきたのは悪いんだろ!」ヒソヒソ

未来「翼さんに事の成り行きを説明をするのが難しそうだから、クリスとの会話を隣で聞いてもらおうって思って」ヒソヒソ

クリス「と、とにかく中止だ! あんなに荒ぶった先輩に甘えるだなんて、鉄火場のど真ん中より危険じゃねえか!」ヒソヒソ

響「えー、そんなぁ。あんなに喜んでる翼さんを放っておくの?」ヒソヒソ

クリス「くっ……」

未来「クリス……骨は拾ってあげるから」ヒソヒソ

クリス「だあーっ! もう、行ってくる!!」


ガチャ、ギギ、ギギギギギギィ――バタン

カツン、カツン――


クリス「せ、先輩……?」

翼「――雪音か。よく来たな」ギラリ

クリス「ヒッ……!」

クリス(地獄の底の……閻魔翌様!?)

翼「どうした雪音!?」

クリス「な、なんもありゃしねえよ」

翼「そ、それならいいのだが」

クリス(この剣圧……殺気や敵意こそないが、敵対してた時の比じゃねえぐらい高まってやがる)

翼「その、な。改まって言うのはなかなか照れくさいが、これもいい機会だ」

クリス(下手に動けば一刀両断ズンバラリン。いったいどうしろっつーんだ)

翼「私は雪音のことを、本当によく練磨していると思う。これは私たち全員に言えることだが、辛い過去があって心が折れても、そこから這い上がり弓を握ることは並大抵のことではない」

クリス(ああクソ。さっきから先輩が真剣な顔して何か話してるが、心臓の音がうるさくって全然耳に入りやしねえ)

翼「しかしそんな雪音でも、年頃の少女なことに変わりあるまい。誰かに甘えたい時があっても、何一つ恥じることは無い」

クリス(頭ん中もこんがらがって考えがまとまらな……待てよ。確かおっさんと観た映画で、いい言葉があったじゃねえか)





『考えるな、感じろ』




翼「さあ!」バッ

クリス「……ッ!!」ビクッ

翼「私の胸に飛び込んで……雪音?」

クリス(そっから先は、正直あんまり覚えていない。ただ急に立ち上がって両手を広げた先輩にビビッて、本能が命ずるままに走り出したんだ。うしろの方から先輩の寂しそうな声が聞こえたような気もして、もうちっと考えた方が良かったかなと考えたかもしんねえが、それ以上に引き返したら切り捨てられちまう気がして……あたしは結局、自己ベストを更新する速さで逃げ出したみてえだ――)

7: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:28:07.76 ID:alfvqIfC0
クリス「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」

クリス「……生きてる?」

未来(元陸上部)「い、生きてるじゃ……ゲホ……ないでしょ」

クリス「う、うるせえな。あれ? バカはどうしたゲフッ」

未来「響なら……翼さんを一人にしておけないから……残ってもらったよ。フウ」

未来「まったく。よりによって逃げ出すだなんて」

クリス「し、仕方ねえだろ。ライオンが猫甘やかそうとして、猫がビビッて逃げちまって何が悪いんだよ」

未来「……まあ、うん。あんな尋常じゃない剣気を纏わせてた翼さんにも問題があるか」

クリス「まあそんなわけで、とりあえず今日の練習は中止だな」

未来「何言ってるの。ちょうど近くまで来たんだから、次のステップだよ」

クリス「はあ? ってここは、確かこの時間は……」

未来「うん。確かマリアさんがあっちの部屋にいるはずだよ」

クリス「いや、次のステップも何も。最初のステップを豪快に踏み外してんのに次に進むのかよ」

未来「でも今の翼さんよりも、マリアさんに甘える方がハードルは低いんじゃない?」

クリス「まあな。つうかおっさんに甘えるよりハードル高かったぞ」

未来「ふーん。やっぱり本命は弦十郎さんなんだ」ニコニコ

クリス「なっ……い、今のは言葉のあやだ! 勘違いすんじゃねえぞ!」

未来「はいはい。じゃあ次いこっか。マリアさんには事前に何も知らせてないけど、それでもいけるよね」

クリス「……まあ知らせていても先輩みたいに待ち構えやしないだろうけど、それでいいぜ」

クリス(マリアか。まあ先輩より年上だし、普段からあいつら二人の面倒も見てるから甘やかすのは慣れてんだろ。それになんというかその……オカンっぽい雰囲気もあるし、下手すりゃ通常時の先輩より甘えやすい相手かもな)

クリス「よし、今回こそは成功させ――」


ガチャ――


マリア「セレナアアアアアアアアァ! セレナアアアアアアアアァ!!」ゴロンゴロン

エルフナイン「マリアさん!? マリアさんしっかり!」

割とすごくカワイイ子たち「マリアアアアアアアアアアァッ!!」

クリス・未来「」


――バタン

8: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:28:53.30 ID:alfvqIfC0
クリス「……何だったんだ今のはオイ。夏の暑さが見せた白昼夢か?」

未来「幻覚じゃ……ないよね?」

翼「見てしまったか、二人とも」

クリス「ヒッ……」ビクッ

未来「翼さん、もう大丈夫なんですか」

翼「ああ、立花のおかげでな。ずいぶんと無様な姿を見せてしまったようだ。すまなかったな雪音」

クリス「あ、いや。あたしの方こそ……逃げちゃってごめん」

翼「いいんだ。立花から聞けば、私はその時ずいぶんな有様だったそうではないか」

翼「それよりも今はマリアのことだ」

響「翼さん、何か心当たりがあるんですか」

翼「……どうもマリアは、その日に食べた物でコンディションとやらが変わるらしくてな」

クリス「は?」

響「わかります! 私もフラワーのお好み焼き食べたり、未来のおにぎり食べるとすごく元気が出ますから」

翼「しかしマリアの場合それが激しいそうだ。粗末な物を食べた時に、嫌な事が重なってしまうと……」

未来「しまうと?」

翼「その……フィーネと騙っていたことを思い出し、恥ずかしさで悶えてしまうそうなんだ」

ひびみくクリス「」


>>4期の主人公してるマリアさんも大好きだけど、2期の頃の無理してメンタルボロボロのマリアさんも最高だと思います


マリア『ハァ……ハァ……そこに誰かいるの?』

ひびみくクリス「!!?」

翼「私だ。入るぞ」


ガチャ、バタン


マリア「貴女たち……? そう、翼を相手に練習して、今度は私といったところかしら?」シャキーン♪

響「えっと……うん、そんな感じです」

クリス「あ、いやっ。都合が悪いんなら今度でもいいからさ!」

マリア「何の問題も無いわ。始めましょう」

クリス(問題ありまくりじゃねえかあああああっ!! かろうじて目力だけはあるけど、顔真っ青で目の下にクマできてる相手にどうやって甘えろってんだよおおおおおっ!!)

9: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:29:46.53 ID:alfvqIfC0
切歌「うう。無理なのに責任感がありすぎて無茶しちゃうパターンデス」

調「エルフナイン……」

エルフナイン「……わかりました」スタッ

マリア除く装者たち(ドクターストップ!?)

マリア「エルフナイン」

エルフナイン「マリアさん……?」

マリア「そこで見ていてほしい。君と同じように、仲間のために立つ私の姿を!」

エルフナイン「……マリアさん」トゥンク

クリス(トゥンクじゃねえそこは止めろよ!)

マリア「さあクリス、恥ずかしがらなくていいのよ。貴女はまだ子どもなんだから」

クリス(恥ずかしがってんじゃなくて引いてんだよ!)

クリス「……ハッ!?」

未来「クリス……?」

クリス「それじゃあお言葉に甘えてやらせてもらうぜ」

マリア「ええ、遠慮せず――え?」


ナデナデ


マリア「……クリス、これは?」

クリス「あ、甘やかすのが上手になれば、甘えるのも上手になるんじゃないかってそこのバカが言ったんだよ」

マリア「そういうもの……なの?」

クリス「さあーってな。オマエは甘やかすのは上手だけど、甘えんの下手そうだから関係ねーかもな」

マリア「フフッ、そうね。私より歳下で背が低い、とっても可愛らしくて優しい子に頭をなでられたら硬直する程度には、甘えるのが下手なようね」

クリス「うっせ。一言どころじゃねえぐらい多いぞ」

マリア「……クリス」

クリス「あんだよ」

マリア「ありがとね」

クリス「ハ―――ァ!? なな、なんでオマエが礼を言うんだよ!! 言うのは練習に付き合ってもらったあたしの方だろ!!」

マリア「あら、わかっているくせに」

クリス「~~~~~ッッッ」





調「どうなることかと思ったけど……」

切歌「クリス先輩が機転を利かせてくれて助かったデス」

翼「マリアが落ち着いたのは僥倖だが……結局、雪音は練習できずじまいか」

未来「あ、それならもう大丈夫ですよ」

翼「何?」

響「大丈夫ってどういうこと?」

未来「だって――」





エルフナイン「……」

エルフナイン「これが……寝取られ?」トゥンク

10: ◆SbXzuGhlwpak 2017/09/01(金) 21:30:40.55 ID:alfvqIfC0
※ ※ ※



クリス「疲れた……マジでしんどい」

クリス「こんだけ疲れたってんのにちっとも練習できてねえって、骨折り損のくたびれもうけじゃ……あ」

弦十郎「やあクリス君! 元気がないようだが大丈夫かね?」

クリス「……おおよ。おっさんの顔見てあたしの元気はとどめを刺されちまったみてえだ」

弦十郎「そいつは大変だ!! ああ、うん。俺は口を出すなと言われたんだが……」

クリス「……なんだよ」

弦十郎「悩みがあるのなら、いつだって何だっていい。俺に言ってみてくれないか。必ず助けになると約束する」

クリス「……」

弦十郎「クリス君?」

クリス(なんか今のおっさん無防備っつうか、甘え放題……え、なんであたしこんな風に思えてんだ? 練習なんかちっとも――あ、そういうことか)

クリス「あの二人と比べたら、ずいぶんと楽勝じゃねえか」

弦十郎「何のこと――」

クリス「だが問題だらけだぞおっさん!!」

弦十郎「ぬっ!?」

クリス「年頃の乙女に悩みがあるなら言えって、それですんなり言える悩みだったら問題になんねーんだよ! 悩みを聞きたいんだったら、悩みを打ち明かしやすい状況をつくんねえと」

クリス(あの二人なんてもう酷かったしな! 甘えられる状況からかけ離れていやがった!!)

弦十郎「ぐ、具体的には?」

クリス「そーだな。おっさん、今度の土曜買い物に付き合ってくれよ」

弦十郎「オススメの映画ならチョイスしてやるぞ」

クリス「却下だ。おっさんには強制的にあたしと恋愛映画を観てもらう」

弦十郎「恋愛映画だとぉ!?」

クリス「ちょうど気になるのがあったし、おっさんには良い薬だ。もちろん映画だけ観て終わりなんかじゃ味気ねえから、美味いもん食ってそっからブラブラすんぞ」

弦十郎「な、なるほど。翼の悩みを聞く前に、一通り訓練に付き合って心がほぐれた頃を見計らうのと同じなのか」

クリス「一緒にすんな……ん、一緒なのか? まあいいや。じゃあ気合い入れて準備しとけよ!」

弦十郎「むむぅ。うまくやらないと悩みを聞けないとあっては、俺も全力で挑むしかないな」

クリス「へへ、うまくやってくれよ」





クリス「そしたら悩みなんか吹っ飛ぶかもしんねーしな?」







~おしまい~