廃墟と化した鎮守府を見つけて 前編

483: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 21:58:19.82 ID://0qZx1F0
不知火「ここで探せるものはこれくらいのようですね」

時雨「探せる部屋も限られてきたけど、未だに鍵の手掛かりはなしか……」

不知火「次はどこに?」

時雨「うーん……」

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484: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 22:03:46.43 ID://0qZx1F0
不知火「……あの、少しよろしいでしょうか?」

時雨「なんだい?」

不知火「実は……少し調べてみたいところがあるんです」

時雨「どこ?」

不知火「トイレです」

不知火「今まで不知火たちは部屋を中心に調べ回ってきましたが、それでも鍵は見つけられませんでした」

不知火「鍵はこの庁舎内のどこかに保管されている。と思いこんでいましたが、もしかしたら、その前提自体が間違いだったのでは……と」

時雨「なるほど……盲点、か」

不知火「いかがでしょう?」

時雨「うん。僕も不知火の意見に賛成するよ。一度トイレを調べてみよう」


485: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 22:04:49.76 ID://0qZx1F0
-2F トイレ前-

時雨「エントランスの方や西館の廊下にアイツの気配はない……大丈夫そうだ」

不知火「見てください。ここのトイレは2つに分かれているようです」

時雨「提督がいるから男女別々に作られてるんだろうね」

不知火「どうします? 手分けして両方を探しますか?」

時雨「それも一手だけど、もしアイツが潜んでたりしたら危険だ。出来る限り2人で行動したほうがいい」

不知火「では1か所ずつ探していきましょう」

時雨「そうだね。まずは……男子トイレから探してみよう」


486: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 22:06:13.69 ID://0qZx1F0
-男子トイレ-

時雨「明かりのない荒れ果てたトイレというのは、さすがにちょっと不気味だね……」

不知火「……男性用のトイレに入るのは初めての経験です」

時雨「こんな機会でもなければ、一生縁はなかっただろうね……へぇ、男性用にはああいうのもあるんだ」

不知火「個室は4つありますね」

時雨「じゃあ僕は奥の2つを探すよ。不知火は手前の2つをお願い」

不知火「わかりました」


時雨「さて、まずは奥からいってみようか」ギイィ

時雨「だいぶ薄汚れてる……便器の横や下に何か無いかな……」

時雨「……何も無い。次だ」

時雨「3番目……」ギィィ

時雨「ここは……なんだか酷く汚れてるな。床や便器に染みが出来てる……?」

時雨「……あれ、奥の方に何か……?」

時雨「……これって」

時雨「不知火、ちょっときて」

不知火「何かありましたか?」

時雨「これ……」チャリ

不知火「これは、鍵……? 何の鍵かはわかりませんが……まさか」

時雨「確証はないけど、試してみる価値はあると思う」

時雨「残りの燃料も心配だ……。探索はこれくらいにして、もう1度東館の出入口に行って、見つけた鍵を試してみよう」


487: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 22:21:44.76 ID://0qZx1F0
-東館1F 東側出入り口-

時雨「……よし。アイツはいないみたいだ」

不知火「不知火たちが見つけた鍵は……『金色の鍵』と『トイレで見つけた鍵』の2つですね」

時雨「まずは……『トイレで見つけた鍵』を試してみよう」カチャッ

不知火「……」

時雨「……」グイッ


カチン!


時雨「!」

不知火「!」


ガチャン! ギィィ…


時雨「……やった、正解だよ!」

不知火「これでようやく燃料を探せます! 猶予はありません、急いで港湾の方を調べに行きましょう」

時雨「うん。そうしよ――」ガチャ


怪物「――――」ズチャ


時雨「なっ!?」

不知火「うわあああぁぁっ!!??」

488: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 22:27:07.66 ID://0qZx1F0

怪物「――――」ズリュッ


時雨「っ!」ギィッ


怪物「――――」ガシッ


時雨「っ! こいつ、ドアを掴んで……!」グググ

時雨「不知火っ! 手伝って! ドアを閉めるんだっ!」グググ

不知火「は、はいっ!」ググッ

時雨「くっ……ぐぐ……!」グググ

不知火「くぅっ……」グググ


怪物「――――」グイッ!


ガチャン!!


時雨「!? だ、駄目だ! 逃げよう!」

不知火「に、逃げるってどこに……!?」

時雨「庁舎の奥に! いいから走ってっ!」ダッ


怪物「――――」ズズッ...


489: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 22:32:37.36 ID://0qZx1F0
-???-

時雨「はぁっ……はぁ、はっ……不知火っ、こっちに!」

不知火「はっ……はぁっ……ふっ、ふぅぅ……こ、ここは……?」

時雨「わからない……必死に走ってるうちに、適当な部屋に逃げ込んだから……」ハァハァ

時雨「……ここは……『提督の私室』、みたいだ……」ハァハァ

不知火「っ! あいつは……あの化け物は……っ!?」

時雨「振り切れたけど、多分追ってくるだろうね……一応、鍵は閉めたけど」

不知火「ど、どうして……あの化け物が、外に……!?」

時雨「わからない……。僕たちがあそこを開けるまで、出入口は全部塞がっていたはずなのに」

不知火「こ、これからどうしましょう……」

時雨「とりあえずはここで一旦様子見しよう。上手くやり過ごして……隙を見て外に脱出するんだ」

不知火「そ……そうですね」


ズッ... ズズッ


時雨「!」

不知火「!!」


ズズッ ズズズッ...


時雨「きたか……静かに、気配を消して……」

不知火「……っ!」ブルブル


490: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 22:33:42.79 ID://0qZx1F0


ズッ... ズッ...


時雨「……」


ズズッ... ズッ...





ズッ... ズチュッ...


時雨(……はやく……向こうに行くんだ……)





ズズズッ... ズッ...


時雨(っ! なんで……どうして部屋の前でウロウロしてるんだ……!)

時雨(まさか……僕たちが近くにいるって、勘付いてる……!?)


491: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/04(日) 22:40:26.21 ID://0qZx1F0
不知火「……ッ……っ!」ブルブル

時雨「大丈夫だよ、不知火……ここに隠れてれば――」


バァン!!


時雨「!?」

不知火「ひっ!!」


バンッ! バァン!!


時雨「ドアを破ろうとしてるっ!」

不知火「そんな……どうすればっ!?」


バンッ! バァン!!


時雨「まずい……このままじゃ……」


バンッ! バキンッ!


不知火「あ、ぁ……だ、だめ……破られる……っ!」

時雨(どうする……どうすればいい……!?)



~~~~~~~~~~~~


【時雨と不知火が『本庁舎東側出入口の施錠を解除』しました】

【時雨ルート クリアです】

510: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/06(火) 23:46:54.01 ID:1rmZEeyg0
【初霜ルート】



初霜「…………うっ」

初霜「……ここは……? 真っ暗だけど……水の音が、聞こえる……?」

初霜「……あれ? 私……確か……」

初霜「……っ! そうだ……皆は!?」

初霜「何も見えない……何か灯りを……艤装の、ライトのスイッチは……あった」ピカッ

初霜「……」

初霜「なんなの、ここ……? 水が浸かってるけど、地面は……コンクリート?」

初霜「天井もあるわ……どこかの室内なのかしら?」キョロキョロ

513: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 00:06:17.33 ID:H2TZOFcj0
初霜「なにがどうなって…………あら?」


「……うっ、うぅ」


初霜「人の足……? っ! 夕立さん!?」

夕立「……う……んっ……」

初霜「……怪我はしてない。意識も……大丈夫そう」

初霜「夕立さん! しっかりして、夕立さん!」ユサユサ

夕立「……うーん、うるさいっぽいぃ……」

夕立「……」

夕立「あれ……?」

初霜「夕立さん!」

夕立「……初霜ちゃん?」

初霜「よかった……。気が付いたみたいね」

夕立「なんか辺りが暗いっぽい……。うわ、服もビショビショっぽいっ!?」

初霜「お、落ち着いて、夕立さん」

夕立「……初霜ちゃん、夕立たちどうしてこんなところにいるの? 時雨や吹雪ちゃんたちは?」

初霜「わかりません……。私も、たった今気が付いたところだから」

夕立「……とりあえず夕立もライト点けるっぽい」ピカッ

516: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 00:21:59.53 ID:H2TZOFcj0
初霜「ここは、どうやらどこかの室内みたいですね」

夕立「んー……。地面も天井もコンクリート? それにここの地面少し斜めになってるぽい?」

初霜「そう言われれば……確かにそうですね」

夕立「……この水、もしかして」ペロッ

初霜「ゆ、夕立さん!?」

夕立「やっぱり、これって海水っぽい」

初霜「え……海水?」

夕立「ぽい」

初霜「……本当だわ。海水が流れてるってことは、ここは海と繋がっている……?」

518: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 00:31:42.92 ID:H2TZOFcj0
初霜「もしかして……ここはどこかの出撃ドッグ?」

夕立「向こう側はライトで照らしても水面しか見えないっぽい」

初霜「すると、向こう側は海に繋がってるのかしら?」

夕立「なら、潜って外に出ればいいっぽい! よーし……」

初霜「だ、だめです夕立さん! 燃料をみてください!」

夕立「ぽい?」

夕立「……」

夕立「燃料が空っぽ寸前っぽいぃ!?」ガーン

初霜「どうやら私たちは、あの渦潮の影響で残っていた燃料の大半を失ってしまったみたいです」

初霜「こんな状態で海中を潜っていこうなんて無謀だわ。そんなことをしたら、今度こそ海の底に沈んでしまいます!」

夕立「ぽいぃ……」

521: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 00:46:30.71 ID:H2TZOFcj0
初霜「とりあえず、どこかに出入口がないか探しましょう」

夕立「ぽい」

初霜「……」キョロキョロ

夕立「うーん……意外と広い部屋っぽい?」

初霜「……あっ、あそこを見てください!」

夕立「あれって……出入口っぽい!」

初霜「あそこからこの施設の奥に進めるみたいです。いってみましょう」

夕立「ぽーい!」


523: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 00:51:54.49 ID:H2TZOFcj0
-謎の施設 通路-

初霜「随分古びた施設ですね……。天井には電灯もあるけど、壊れているのか点いてないわ」

夕立「奥の方を照らしても全然先が見えないっぽい」

初霜「本当ね。どこまで続いてるのかしら、この通路……?」

夕立「なんか空気がどんよりとしてて、気持ち悪いっぽーい……」

初霜「あら? 道が3つに分かれているわ」

夕立「ほんとだ。真っすぐ進む道と、右に行く道、それに左に行く道があるっぽい」

初霜「どうしようかしら……」



行動安価>>525

1 真っすぐ進む
2 右に行く
3 左に行く

525: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/07(水) 00:57:28.22 ID:/TddwTfA0

526: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 01:07:22.04 ID:H2TZOFcj0
初霜「とりあえず、真っすぐ進んでみましょう」

夕立「ぽい」



初霜「少し通路が広くなってきたみたい」

夕立「……」

初霜「どうしました、夕立さん?」

夕立「うーん……。なんか、この辺り……嫌な感じがするっぽい」

初霜「嫌な感じ?」

夕立「上手く言えないけど……身の毛が逆立つみたいっていうか」

初霜(……野生の勘、なのかしら?)

初霜「……あら? 右側に扉があるわ」

夕立「待って、少し先の左側にも扉が見えるっぽい」

初霜「……このまま進むべき? それとも調べてみようかしら」



行動安価>>528

1 先に進む
2 右側の扉を調べる
3 左側の扉を調べる

528: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/07(水) 01:10:46.14 ID:68m/F7Kw0
3

529: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 01:17:03.09 ID:H2TZOFcj0
初霜「ちょっと気になるわ……。夕立さん、そっちの左の扉のところにいってみましょう」

夕立「ぽい」

初霜「……扉にプレートがあるわ。『廃棄物処理室』……?」

夕立「ゴミ捨て場っぽい?」

初霜「……扉は開いているわ」ガチャ

夕立「入るっぽい?」

初霜「……そうね。入ってみましょう」


530: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 01:25:55.86 ID:H2TZOFcj0
-廃棄物処理室-

初霜「中は真っ暗ね……。ここにスイッチがあるけど、部屋の電気は点かないわ」パチパチ

夕立「……」

初霜「……夕立さん?」

夕立「……なんか、よくわからないけど……ここ、凄く嫌な感じがする」ブルル

初霜「もしかして、ここがさっき夕立さんが言ってた嫌な感じの元?」

夕立「わからない……。でも、なんだか凄く嫌なの……」

初霜「……! 何かしらこの機械? 凄く大きいけど……左側の壁と繋がってる……?」

夕立「……」

初霜「大丈夫? 夕立さん」

夕立「平気だけど……ごめん。夕立、もうここに居たくないっぽい」

初霜「わかったわ。すぐに出ましょう」

夕立「……」ブルル


531: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 01:32:17.74 ID:H2TZOFcj0
初霜「通路に戻ったけど……夕立さん、大丈夫?」

夕立「……うん。もう平気っぽい」

初霜「夕立さんがこんなに嫌がるなんて……この部屋にはいったい何が……?」

夕立「わからないけど……こんなに、心の底から寒気がするような感じは……夕立、初めてかもしれないっぽい」

初霜「……あと1つ部屋? は残ってるけど、どうしようかしら……」



行動安価>>533

1先に進む
2もう1つの部屋を調べる
3来た道を戻る

533: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/07(水) 01:34:09.47 ID:dprmW9ND0

534: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 01:41:29.50 ID:H2TZOFcj0
初霜「もう1つの部屋も調べてみましょう。夕立さん、いけますか?」

夕立「うん。大丈夫」

初霜「無理せず、気分が悪くなったらすぐに言ってくださいね」

夕立「ぽい」

初霜「さて、こっちの部屋は……『冷凍室』って書いてあるわ」

夕立「なんだか寒そうな所っぽい」

初霜「こっちも扉は開いているわ。入ってみましょう」


535: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 01:53:48.67 ID:H2TZOFcj0
-冷凍室-

初霜「ここの部屋は……少し明るいわ。薄く電灯が点いてるみたい」

夕立「でも、さっきの部屋や通路は電気が点いてないっぽい?」

初霜「……もしこの施設の大半の電気が止まっているのだとして、ここは非常電源か何かが作動しているのかしら?」

夕立「非常電源?」

初霜「冷凍室ってことは、なにか重要なものを保管する場所なのでしょうし、停電とかが起こった時に備えて予備の電源とかがあるのかも」

夕立「ふーん……」

初霜「部屋の奥にある扉の向こうが冷凍庫になってるみたい……。この部屋には、特に気になる物はないわね」

夕立「冷凍庫の中には何かあるかもしれないっぽい!」

初霜「えっ、でも……無暗に中に入ったりするのは……」

夕立「この扉も開けられるっぽい。入ってみよう、初霜ちゃん?」

初霜「…………」



行動安価>>537

1 入ってみる
2 やめておく

537: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/07(水) 01:57:51.39 ID:/TddwTfA0

538: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 02:03:46.19 ID:H2TZOFcj0
初霜「やめておきましょう。夕立さん」

夕立「えー、どうしてぇ?」ブー

初霜「中に何があるかわからないし、残りの燃料にも限りはあるんですから。下手な行動はやめておきましょう」

夕立「うーん……確かにその通りかもしれないけど……」

初霜「それに電源が生きてるとしたら、その中はとっても寒いと思いますよ」

夕立「やめておくっぽい」キッパリ

初霜「それじゃあ、もうここは出ましょう」



行動安価>>540

1 先に進む
2 来た道を戻る

540: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/07(水) 02:10:14.82 ID:gqlQglvyO
1

541: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 02:22:00.96 ID:H2TZOFcj0
初霜「見つけた部屋は2つとも調べたし、そろそろ先に進みましょうか」

夕立「ぽい」

初霜「冷凍室に廃棄物処理室……。ここは何かの研究施設かなにかなのかしら?」



夕立「あっ、なにか見えてきたっぽい」

初霜「扉ですね。頑丈そうな……鍵とか閉まってないかしら」

夕立「いってみるっぽい」タタタ

初霜「あっ、夕立さん! あまり走っては駄目です!」

夕立「ぽいぃ?」ピタッ

初霜「走ると燃料の消費がかさんでしまいます。出来るだけ激しい動きは抑えて、燃料を節約していきましょう」

夕立「ぽーい」スタスタ


544: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 02:33:24.90 ID:H2TZOFcj0
初霜「やっぱり、結構頑丈そうな扉ね。鍵は……よかった、閉まってないわ」

夕立「初霜ちゃん、これみて」

初霜「どうしました?」

夕立「これ、何か書いてあるっぽい」

初霜「これは……小さな黒板? チョークで何か書き込んでいたみたいだけど……」

夕立「殆ど消えちゃってて読めないっぽい」

初霜「……いえ、この書き込む部分以外は消えないように白い塗料で書かれてるから、辛うじて読めそうだわ……」

初霜「……え?」

夕立「……? なんて書いてあるっぽい?」

初霜「……独房って書いてあるわ」

551: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 23:30:44.53 ID:H2TZOFcj0
夕立「独房?」

初霜「ええ……。この頑丈そうな造りの扉といい、もしかしてこの先にあるのは……」

夕立「……いってみるっぽい?」

初霜「……」



行動安価>>553

1 進む
2 戻って別の道を探す

553: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/07(水) 23:35:19.68 ID:UHN+dFYE0

555: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/07(水) 23:42:40.65 ID:H2TZOFcj0
初霜「……いってみましょう」

夕立「じゃあ、この扉を開けてみるっぽい」ググッ


ガチャン!


夕立「……中はまだ通路が続いてるっぽい?」

初霜「本当ですね……とりあえず、慎重に進みましょう」

夕立「ぽいっ」

556: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 00:12:01.40 ID:PpB5I0UI0
-謎の施設 独房区画-

初霜「……少し広めの空間に出ましたね。右側は少し先は壁になってるけど、左側はまだ先がありそう」

夕立「ここって少し広めの通路になってるっぽい?」

初霜「そうみたいですね。左側に進んで行けるみたい」

夕立「んー……あっ、初霜ちゃん見て! 幾つか扉があるっぽい!」

初霜「通路の左右に扉がいくつも並んでる……もしかして、あれが独房になってるのかしら?」

夕立「右と左に3つずつ……全部で6つ扉が見えるっぽい」

初霜「まさか……誰かが入ってたりしないわよね?」

夕立「うーん……こんなに古くなってるところなら、もう誰もいないんじゃない?」

初霜「そうよね……そう思いたいけど」

557: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 00:18:54.64 ID:PpB5I0UI0
夕立「……あれ、その先にも別の扉があるっぽい?」

初霜「! さっき私たちが開けた扉と同じ造りにみえますね」

夕立「ってことは、あそこに行けばさらに先に進めるっぽい?」

初霜「……なるほど。ここは通路上に独房が集中してる一種の独房区画になっているのね」

初霜「区画の出入口にあんなに頑丈な扉を設けてるのは、囚人の脱走を防ぐ為……」

558: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 00:27:30.58 ID:PpB5I0UI0
夕立「……!」ピクッ

初霜「夕立さん、どうしたの?」

夕立「……」

夕立「なにかの、気配がするっぽい……」

初霜「えっ?」

夕立「……夕立と初霜ちゃん以外に……誰かいる」ウーッ

初霜「気配って……この通路のどこかに、誰か隠れているってこと?」

夕立「……ううん、それよりは少し遠いと思う」

初霜「まさか、この独房の中……?」

夕立「……たぶん、そうっぽい」

初霜「そんな……こんなところに人が居るなんてこと」

夕立「……」



行動安価>>560

1 先に進む
2 独房の中を調べてみる

560: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/08(木) 00:30:25.93 ID:7BhBcjLGo
2

561: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 00:44:44.53 ID:PpB5I0UI0
夕立「独房の中……調べてみるっぽい?」 

初霜「……そうね。今も誰かがいるとは思いたくないけど、一応確認しておきたいわ」 

夕立「じゃあ、調べてみるっぽい」 

初霜「慎重に調べましょう。夕立さんの感じた気配がもし本物で……私たちに敵意を持っているとしたら、危険です」 

夕立「部屋は6つあるけど、まずはどの独房から見てみる?」 



行動安価>>563

1『独房1』
2『独房2』
3『独房3』
4『独房4』
5『独房5』
6『独房6』

563: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/08(木) 00:55:09.25 ID:9ybUh53I0
1

566: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 01:22:32.25 ID:PpB5I0UI0
初霜「左側の一番近いところにある……ここにしましょう」

夕立「『独房1』って書いてあるっぽい」

夕立「鉄格子の付いた小窓があるけど……中は暗くて、よく見えないっぽい」ウーン

初霜「入れます?」

夕立「んー……鍵が掛かってるっぽい」ガチャガチャ

初霜「ということは、中に誰かが入れられていたのかしら……?」

夕立「んっ……んぎぎぎ……」グググ

初霜「ゆ、夕立さん、そんなに強引にしても……」

夕立「ぽーいっ!」バキン!

初霜「!?」

夕立「やっぱり。鍵の部分が古くなってたから、開けられたっぽい」

初霜「……」ボーゼン

夕立「んっ……中には誰もいないっぽい」

初霜「も……もう! 夕立さん!」

夕立「ぽいぃ!?」

初霜「無茶しては駄目です! もしこの部屋に夕立さんの言っていた気配の主が潜んでたりしたら、どうするんですか!」

夕立「ぽ、ぽい……」

初霜「次からは絶対にこんな真似はしないって約束してください!」

夕立「……ぽーい」シュン

567: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 01:39:19.27 ID:PpB5I0UI0
-独房1-

初霜「中は……かなり狭いわね」

夕立「2人で入るのがやっとっぽいー……」ギュウウ

初霜「中にあるのはボロ布みたいな毛布だけね……。こんな中に人を押し込めるなんて」

夕立「……! 初霜ちゃん、これみて」

初霜「どうしま……っ!?」

夕立「床や壁、それに天井にも……引っ掻き回った跡みたいのがたくさん残ってるっぽい」

初霜「なんなの、これは……」

夕立「この毛布もボロボロに引き裂かれてるし、色が変わってるところも……」

初霜「……なんです?」

夕立「これ……たぶん血の跡っぽい」

初霜「っ!」

568: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 01:45:51.04 ID:PpB5I0UI0
夕立「この中に入ってた人、すごく暴れてたみたい……」

初霜「信じ、られません……こんな……」

夕立「……あれ? 毛布の中から何か出てきた……?」ゴソゴソ

夕立「なにこれ? ボロボロの紙切れっぽいけど」

初霜「ちょっと見せてもらってもいいですか?」

夕立「ぽい」

初霜「……これ、ぐちゃぐちゃだけど文字だわ。何か書いてあるみたい」

夕立「読める?」

初霜「……」


『この××に×れ×こられ××日×ったのか』

『××も××られナい、×さ××××××が×××イたなんテ。』

『××しにあッタって噂×れ×いた×や×潮は、×××に××れたんだロう。』

『あの手×をサレたとコ×がどんドン×がっ××る。やっぱりあ×は××棲×の××ダったンだ』

『身×が××ルよウに×い 苦×イ 頭ノ×が暗い×情デ×め尽×サれ ×娘ジゃ××なッ×いクみ×いダ』

『もう××ダ ×スケテ』


578: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 19:54:06.82 ID:PpB5I0UI0
初霜「詳しい内容は読み取れないけど……。辛うじて読めそうな字も酷く歪んでて……とても、苦しそう」

夕立「これを書いた人はもうここにはいないっぽいけど、どうなったんだろう?」

初霜「……わかりません。無事に救われたと思いたいですが」

夕立「この紙の他には、特になにも無いっぽい」キョロキョロ

初霜「そうですね……そろそろ出ましょうか」


夕立「他にも独房はあるけど、どうする初霜ちゃん?」

初霜「他も調べてみるか、それとも先に進むか、ってことですね」

夕立「ぽい」

初霜「そうですね……」



行動安価>>580

1 先に進む
2 他の独房も調べる

580: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/08(木) 20:02:33.71 ID:sBtxmSH4o
1

581: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 20:33:16.01 ID:PpB5I0UI0
初霜「先に進みましょう。確かに他の独房も気になるけど、今は他の場所の探索を優先したほうがいいと思うわ」

夕立「なら、あっちの扉の方にいってみるっぽい」


初霜「よかった。こちらの扉も鍵などは掛かっていないみたいね」

夕立「じゃあ開けるね」グッ

初霜「あ、私も手伝います。せー……のっ!」ググッ


ガチャン


夕立「ふぅ……。あれ? こっちは細長い通路になってるっぽい」

初霜「扉などはない一本道みたいですね。とりあえず進んでみましょう」

夕立「ぽい」


582: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 20:59:48.47 ID:PpB5I0UI0
-謎の施設 通路-

夕立「うぅー……こっちはちょっと道が狭いから、気持ち窮屈っぽい~」

初霜「部屋も何も無く、暗い通路が続いているだけですから、少し不安になっちゃいますね……」

夕立「それにしても、ここって一体どこなんだろ?」

初霜「どこかの施設内だとは思いますけど……私たちが遭難した海域付近に、こんな施設があるとは……」

夕立「どっちにせよ、こんなところは早く出て外に行きたいっぽい!」

初霜「阿武隈さんや他の皆さんは無事でしょうか……」

夕立「それなら心配いらないっぽい。みんな強いからきっと大丈夫っぽい!」

初霜「……そうですね。みんな、これくらいの事でへこたれちゃうような人たちじゃ、ないですよね」

夕立「ぽいっ!」

585: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 21:06:37.10 ID:PpB5I0UI0
初霜「あっ……また分かれ道ですね」

夕立「真っすぐと右と左。さっきの分かれ道と同じっぽい」

初霜「どちらに行きましょうか……」



行動安価>>587

1 真っすぐ進む
2 右に行く
3 左に行く

587: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/08(木) 21:11:45.54 ID:/6OwBJfgo
1

588: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 21:29:43.13 ID:PpB5I0UI0
夕立「じゃあ、真っすぐ行ってみるっぽい」

初霜「そうですね。下手に曲がって動き回ると感覚を見失いかねないですし、真っすぐ行けるところまで行ってみましょうか」

夕立「ぽいっ」



初霜「……あら? 行き止まりみたいですね」

夕立「えー! せっかく進んできたのにぃ」ブー

初霜「……待ってください。これ、壁じゃなくて扉です」

夕立「ぽいぃ!?」

初霜「扉の横にあるこの四角い機械……。もしかしてこれ、電子ロック式の扉……?」

夕立「開けられそう?」

初霜「無理ですね……。おそらく、この扉を開けるには専用の鍵……カードキーか何かが必要だと思います」

夕立「それじゃあ結局だめっぽーい」ブー

初霜(どうしてこの扉だけ電子ロックが……なにか重要な物が保管されているのかしら……?)

夕立「初霜ちゃん、どうする?」

初霜「……」

夕立「初霜ちゃーん!」

初霜「ひゃっ! あっ、ごめんなさい。少し考え事をしてて……それで、なんですか?」

夕立「これからどうするか聞いたっぽい」

初霜「そうね……ここにいても仕方がないですし、いったん戻りましょう」

夕立「ぽーい」


589: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 21:32:36.85 ID:PpB5I0UI0
夕立「またさっきの分かれ道のところに戻ってきたけど、今度はどうする?」

初霜「真っすぐ行くとさっきの独房ですよね。ということは、右か左か……」



行動安価>>591

1 右に行く
2 左に行く

591: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/08(木) 21:33:28.59 ID:9ybUh53I0

592: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 21:45:42.19 ID:PpB5I0UI0
初霜「じゃあ、左に行ってみましょう」

夕立「ぽい」



夕立「あれ? 初霜ちゃん、あれって」

初霜「階段ですね。この通路は上に繋がっているのかしら……?」

夕立「じゃあ、ここを上がっていけば外に出られるっぽい?」

初霜「かもしれません。いってみましょう、夕立さん」

夕立「ぽーいっ!」


593: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 21:51:21.79 ID:PpB5I0UI0
夕立「結構長い階段っぽい~……」

初霜「! 何か見えてきました!」

夕立「ぽいっ!?」

初霜「あと少しです、頑張りましょう夕立さん!」

夕立「ぽーいっ!」



-階段の果て-

夕立「ふぅ、ふぅ……や、やっと着いたっぽい~」

初霜「……えっ?」

夕立「初霜ちゃん?」

初霜「……行き止まりです」

夕立「ぽいぃ!?」

594: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 22:02:35.09 ID:PpB5I0UI0
初霜「どうして……? 階段の先が行き止まりになってるなんて……」

夕立「ど、どこかに扉とか、秘密の抜け道とかないっぽいの!?」

初霜「……見たところ、そういうものは無さそうですね」

夕立「そ、そんなぁ……」ヘロヘロ

初霜「…………」

夕立「っ! なら、この壁をぶっ壊してやるっぽい!」

初霜「! ゆ、夕立さん!?」

夕立「ここまで来て行き止まりなんておかしいっぽい! 絶対どこかに、扉とかが隠されてるっぽい!」

初霜「落ち着いてください! 壁を壊すなんて……しかも燃料も少ない状態でそんな真似、無茶です!」

夕立「でもっ!」

初霜「自暴自棄になっちゃダメです! とにかく一旦落ち着いてください!」

夕立「……っ!」

初霜「……」

595: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 22:24:38.74 ID:PpB5I0UI0
夕立「……夕立たち、これからどうなっちゃうんだろう」

初霜「…………」

夕立「……時雨ぇ……吹雪ちゃん……」

初霜「…………」

初霜(確かにおかしいわ……階段があるのに、その先が行き止まりになってるなんて)

初霜(夕立さんの言う通り、絶対に何か仕掛けがあるはず……でも、見たところ周りにそれらしい物は見えないし……)

初霜(もう1度戻って別の方法を……いえ、確実性に欠けるし、なにより燃料が持たないわ)

初霜(どうすれば……)


ザ――ザザ


初霜「……えっ?」

《ザザッ―――ザッ――……し…………える……》

596: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/08(木) 22:27:13.62 ID:PpB5I0UI0
初霜「これって……まさか!」バッ

夕立「……ぽい?」

初霜「……間違いないわ、この通信機から聞こえる……もしもし、もしもし!」

《……ちゃん? きこ……る? 初霜…ゃん!》

初霜「この声……! 聞こえますか!?」

《! ……ちゃん!……しもし、初霜ちゃん! 聞こえる!?》

初霜「! はいっ! 聞こえます!!」

夕立「初霜ちゃん、それってもしかして」

初霜「ええ、艦隊間通信用の通信機です! もしもし聞こえますか? 阿武隈さん!」

《よかった! 無事だったんだね、初霜ちゃん!》

初霜「はいっ! 夕立さんも一緒にいます。そちらもご無事で……よかった」

《こっちも吹雪ちゃんと一緒だよ。初霜ちゃん、今どこにいるの?》

初霜「はい。それが――――」



~~~~~~~~~~~~


【初霜と夕立が『阿武隈との通信に成功』しました】

【初霜ルート クリアです】


619: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/10(土) 13:22:31.17 ID:g6qssu2X0
【最終ルート】



【吹雪side】


-第3倉庫前-

阿武隈「行き止まりの階段?」

《はい。おそらくここは地下施設だと思うのですが、そこから上に行く階段を上ったところで、行き止まりになってしまってて》

阿武隈「行き止まり……か」

吹雪「どういうことでしょう?」

阿武隈「何とも言えないけど、この通信が届いているって事はそんなに遠い場所じゃないはずだよ」

吹雪「じゃあ……まさかこの鎮守府の地下ってことですか?」

阿武隈「だと思う。問題はその出入口が何処にあるのかだけど……」

阿武隈「初霜ちゃん、何か手掛かりになりそうな事とかわからない?」

《申し訳ありません。こちらからはなにも……》

阿武隈「そっか。なら、自力で探し出すしかないわね」

吹雪「まだ私たちが調べていない場所を当たってみてはどうでしょう?」

阿武隈「そうだね。初霜ちゃん、すぐに探してそっちに行くから、2人はそのまま待っててくれる?」

《はい。わかりました》

620: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/10(土) 13:32:33.60 ID:g6qssu2X0
吹雪「あのっ、ちょっと夕立ちゃんと代わってもらってもいいですか?」

《はい吹雪さん。夕立さ―― ザザッ ……ぽい?》

吹雪「もしもし、夕立ちゃん?」

《吹雪ちゃん! 無事でよかったっぽい!》

吹雪「夕立ちゃんも無事でよかった。すぐそっちに行くから、待っててね」

《ぽいっ!》

吹雪「それと夕立ちゃん、時雨ちゃんたちのことなんだけど」

《ぽ――ザザザ―――ぃ? ブブッ ザザザザッ――》

吹雪「あれっ? もしもし、夕立ちゃん。聞こえる?」

《ザザッ――――ザッ ブー》

阿武隈「ちょっと代わって。もしもし、初霜ちゃん?」

《――――》

阿武隈「通信が切れてる……」

吹雪「そんな!?」

阿武隈「たぶん電波の状態が悪化しただけだと思うけど……2人が心配ね。出来るだけ早く合流しないと」

吹雪「でも地下施設……ですか。そんなものがこの下にあるなんて」

阿武隈「ますます謎が深まるわね……。なんなのかしら、この鎮守府は」

吹雪「地下施設に通じる出入口があるとしたら、まだ未探索の『鎮守府の本庁舎』、『演習場』、または『港湾施設』の一部とかですかね?」

阿武隈「そうだと思う。だけど初霜ちゃんの言うように出入口が塞がっているって事を考えると、何か仕掛けがあるのかも……」

阿武隈「とにかく、怪しそうな所を探してみましょう」

吹雪「はいっ!」

621: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/10(土) 13:55:05.09 ID:g6qssu2X0
阿武隈「っと、その前に時雨ちゃんとも通信が繋がらないか試してみよう」

吹雪「そうですね。もし時雨ちゃんと連絡が取れれば、あと安否がわからないのは不知火ちゃんだけになります」

阿武隈「あの2人も初霜ちゃんたちみたいに合流しててくれればいいんだけど……」ザザザ…

阿武隈「もしもし? 時雨ちゃん、聞こえる?」

《ザ――ザザ》

《――ザザッ―――ザッ――……っ!……》

阿武隈「! 時雨ちゃん!?」

《ザッ――ザ……隈…ん! 聞――る? 阿武…さんっ!》

阿武隈「やった! 繋がった!」

吹雪「!」

622: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/10(土) 14:05:22.86 ID:g6qssu2X0
阿武隈「時雨ちゃん、阿武隈です! 聞こえる!?」

《阿――さん! こちら時雨……――っ! 聞こえる? 阿武隈さんっ!》

阿武隈「時雨ちゃん! よかった、無事だったんだね!」

《うん、不知火も一緒にいる。少し無事とは言い難いけど、これで何とか希望が――!? それよ…阿武隈さん、今どこ…ガシャン!》

阿武隈「今は廃墟みたいな鎮守府跡の演習場近くの倉庫にいるよ。時雨ちゃん、そっちはどこにいるの? それにその音は……」

《阿武隈さん! 僕たちは今『鎮守府の本庁舎』の2階にある『提督の私室』に――ガガッ…よ!》

《気味の悪い化け物――――て、今にも…部屋……破られ――ザザザッ》

阿武隈「時雨ちゃん!?」

《時間がない……はや――うわっ! バキンッ! ブツン》

阿武隈「! もしもしっ! 時雨ちゃんどうしたの!? 時雨ちゃん!」

吹雪「阿武隈さん、時雨ちゃんたちに何か……?」

阿武隈「わからないけど、かなり危険な状態みたい」

吹雪「! なら、すぐに助けに行きましょう!」

阿武隈「ええ。本庁舎の2階にある提督の私室にいるって言ってたわ。急ごう、吹雪ちゃん!」

吹雪「はいっ!」

623: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/10(土) 23:24:03.74 ID:g6qssu2X0
-鎮守府本庁舎 正面-

吹雪「ここが鎮守府の本庁舎……私たちの鎮守府と似た造りなら、中の構造もだいたい見当が付きそうですね」

阿武隈「さっきの通信の様子だと、時雨ちゃんたちの状況はかなり切迫してるみたい。急がないと!」

吹雪「正面口からならすぐ2階に……って、あれ? 扉が開かない……!?」ガチャガチャ

阿武隈「! まさかここも施錠されてるの!?」

吹雪「いえ、扉は少しだけ開くんですけど、中で何かが引っかかってるみたいで……くっ、くぅぅ!」グググ

吹雪「ぷあっ! はぁ、はぁ……だ、だめです……開けられそうにありません」ハァハァ

阿武隈「っ! ここが駄目なら他の入り口を探しましょう!」

吹雪「えっと……他に入り口があるとすれば、建物の東西に通用口があるかもしれません」

吹雪「でも、そういう通用口は普段から施錠されてる可能性も……」

阿武隈(どっちも往復してたら間に合わない……西と東……どっちにいけば……?)



行動安価>>625

1 西側に行く
2 東側に行く

625: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/10(土) 23:27:38.75 ID:/WqTkRG0o
1

626: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/10(土) 23:58:56.54 ID:g6qssu2X0

阿武隈「……西側に回ってみよう」

吹雪「西側、ですか?」

阿武隈「うん。賭けに近い選択だから確証なんてないけど……あたしはそっちに賭けてみたい」

吹雪「わかりました。時間がありません、急いで西側に回りましょう!」

阿武隈「うん!」


627: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 00:03:03.39 ID:qnYtiC620
-本庁舎西側付近-

吹雪「っ!? そんな……」

阿武隈「嘘でしょ……コンテナが崩れて、西側への道が塞がってる……!?」

阿武隈(そんな……まさか、間違ってしまった……!?)

吹雪「阿武隈さん! 急いで東側に――」


             ガシャァンッ!   ...キャアアアァァァッ!!


吹雪「!?」ビクッ

阿武隈「!!」

吹雪「い、今っ! そこの2階の窓が割れて……それに今の声!」

阿武隈「っ! 急いで東側に! まだ間に合うわ!」ダッ

吹雪「は、はいっ!」ダッ

阿武隈(時雨ちゃん……不知火ちゃん……無事でいて!)


630: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 00:27:57.58 ID:qnYtiC620
-本庁舎東側-

阿武隈「あったわ! 東側の通用口!」

吹雪「……! こっちは開いてます――って、うわ!? なにこれ、ドアノブに変な液体が……!?」

阿武隈「そんなのいいから! 急いでっ!」ダッ

吹雪「あ、はいっ! すみません!」ダダッ


阿武隈「……! この階段から2階に上がれる……さっきの窓が割れたのは……西側の……っ!」タッタッタッ

吹雪「ま、待ってください阿武隈さん! 突出しては危険ですっ!」タッタッタ

阿武隈(お願い……間に合って……っ!)タッタッタッ


-本庁舎2F 執務室前の廊下-

阿武隈「ここの階段はたぶん1階に続く階段……見えたっ! あの角を曲がった部屋だわ!」ダッ

吹雪「阿武隈さんっ! 待ってください!」タッタッタッ

吹雪「阿武隈さ――」グイッ

吹雪「むぐっ!?」


631: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 00:55:44.75 ID:qnYtiC620
-西館2F 廊下-

阿武隈「はぁ……はぁっ、確か……この辺りのはず……」

阿武隈「! この扉、派手に壊されて……ここだわっ!」

阿武隈「時雨ちゃん! 不知火ちゃん!?」


           シーン...


阿武隈「……誰も、いない……? そんな……まさか」

阿武隈「部屋がひどく荒れてる……誰かが……争った形跡だわ……」

阿武隈「!」

阿武隈「あ……あぁ……そんな……嘘……っ」ワナワナ

阿武隈「これって……時雨ちゃんの髪飾り……」


           パキッ


632: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 01:04:19.03 ID:qnYtiC620
阿武隈「!!」バッ

吹雪「…………」

阿武隈「ふ、吹雪ちゃん……。これ、時雨ちゃんの……どうしよう、あたし……っ!」ブルブル

吹雪「……」

吹雪「……大丈夫ですよ。阿武隈さん」

阿武隈「えっ……?」

吹雪「……時雨さんとも、不知火ちゃんとも、僕とも……すぐにまた会えますから」

阿武隈「……吹雪、ちゃ――」グッ

阿武隈「ぐっ!?」グググ…

吹雪「……ふっふふふふ」

阿武隈「あな……吹雪ちゃ……じゃっ、あっ……」グググ

阿武隈(なんて力……! い、息が……できない)

吹雪「……今日は、運がいい」ズリュッ

阿武隈(!? 顔が、崩れて……! 何なの、こいつ……!?)

阿武隈「ぁ……ぅ……」グググ

吹雪「……さあ、阿武隈さんも僕たちと一緒に」



吹雪「ワタシと、いっしょに」









Bad End

633: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 01:11:54.09 ID:qnYtiC620
Bad Endになったので再スタートします


攻略に関するヒントはいりますか?
1 いる
2 いらない

>>635

635: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/11(日) 01:15:32.71 ID:kFM+59XW0
1

638: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 01:32:33.99 ID:qnYtiC620
ヒント:「最終ルートでは、行動安価で正しい選択をするだけではクリアすることができません」


最終ルートをクリアするためには、ある情報が必要不可欠になりますが、
その情報は行動安価で正しい選択をしていくだけでは得られないよう隠されています。
それを見つける為に最も重要となるのが「自由安価での行動」になります。

ちなみに隠し場所に関するヒントは既に作中で触れられています。


640: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 01:43:42.65 ID:qnYtiC620
>>623から再スタート


-鎮守府本庁舎 正面-

吹雪「ここが鎮守府の本庁舎……私たちの鎮守府と似た造りなら、中の構造もだいたい見当が付きそうですね」

阿武隈「さっきの通信の様子だと、時雨ちゃんたちの状況はかなり切迫してるみたい。急がないと!」

吹雪「正面口からならすぐ2階に……って、あれ? 扉が開かない……!?」ガチャガチャ

阿武隈「! まさかここも施錠されてるの!?」

吹雪「いえ、扉は少しだけ開くんですけど、中で何かが引っかかってるみたいで……くっ、くぅぅ!」グググ

吹雪「ぷあっ! はぁ、はぁ……だ、だめです……開けられそうにありません」ハァハァ

阿武隈「っ! ここが駄目なら他の入り口を探しましょう!」

吹雪「えっと……他に入り口があるとすれば、建物の東西に通用口があるかもしれません」

吹雪「でも、そういう通用口は普段から施錠されてる可能性も……」

阿武隈(どっちも往復してたら間に合わない……西と東……どっちにいけば……?)



行動安価>>642

1 西側に行く
2 東側に行く

642: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/11(日) 01:45:40.59 ID:I90sJdpA0
2

643: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 01:48:18.45 ID:qnYtiC620
阿武隈「……よし。東側に回ってみよう」

吹雪「東側、ですか?」

阿武隈「うん。賭けに近い選択だから確証なんてないけど……あたしはそっちに賭けてみたい」

吹雪「わかりました。時間がありません、急いで東側にいってみましょう!」

阿武隈「うん!」


644: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 02:12:12.99 ID:qnYtiC620
-本庁舎東側-

阿武隈「あった! 東側の通用口だわ!」

吹雪「……! こっちは開いてます――って、うわ!? なにこれ、ドアノブに変な液体が付いてる!?」

阿武隈「……どうやら当たったみたいね。吹雪ちゃん、急ごう!」ダッ

吹雪「は、はいっ!」ダダッ


阿武隈「……! この階段から2階に上がれるわ。提督の私室は……とりあえず、2階に上がりましょう!」タッタッタッ

吹雪「阿武隈さん! 1人でどんどん進み過ぎですっ! 迂闊に進んでは敵と鉢合わせになるかもしれません!」

阿武隈「っ!」

吹雪「2人が心配なのはわかります。だからこそ冷静に進みましょう」

阿武隈「……わかったわ。確かに迂闊だった」

吹雪「……東館の2階には何もいないようです。このまま西館の方へ――」


           ガチャンッ! バキバキッ  ...ウワァァァッ!


吹雪「今の音は!?」

阿武隈「西館の方からだわ! 急ぎましょう!」


645: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 02:25:08.13 ID:qnYtiC620
-本庁舎2F 執務室前の廊下-

阿武隈「音はあっちの角の方から聞こえる……!」タッタッタッ

吹雪「音に混じって聞こえてくる悲鳴は……不知火ちゃんたちです!」タッタッタッ

阿武隈「っ! 止まって!」グイッ

吹雪「!」

阿武隈「……いたわ、あそこよ」

吹雪「……!?」


怪物「――――」ブンッ


               バキッ ガシャンッ


吹雪「な、なんですか……あれ……頭の無い、緑色の不気味なのが……部屋の扉を叩き壊してる」ブルブル

阿武隈「……アイツ、あの時の奴だわ」

吹雪「! まさか、港湾で阿武隈さんを襲ったって奴ですか?」

阿武隈「あの時は影しか見えなかったけど……間違いないわ。あの不気味な水音……まさかあんな化け物だったなんて」


怪物「――――」ブンッ


                 バンッ!


阿武隈「……っ! アイツが襲ってるあの部屋に、時雨ちゃんたちがいるのね」

吹雪「このままだとまずいです……早く助けないとっ!」

阿武隈「…………」

646: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 04:09:18.33 ID:qnYtiC620
阿武隈「……吹雪ちゃん、今からあたしが言うことをよく聞いて」

吹雪「は、はい」

阿武隈「あたしがアイツの背後を抜けて、気を引きつつ西館1階の方に誘き寄せるわ」

吹雪「!」

阿武隈「アイツがあの部屋から遠ざかったら、吹雪ちゃんはすぐに時雨ちゃんたちを救出。そのまま今通ってきた道を戻って東側通用口から外に出るの」

吹雪「そ、そんな……阿武隈さんは!?」

阿武隈「あたしもアイツの気を引きながら、1階を抜けて東側通用口を目指すわ。出来るだけ時間を稼ぐけど……もし、あたしが戻らなかったら」

吹雪「駄目です! 危険すぎます!」

阿武隈「それしか方法はないわ。あたしなら大丈夫だから、吹雪ちゃんは……何としてでも時雨ちゃんたちを助けて」

吹雪「そんな……っ!」

阿武隈「じゃあ……いくわよ。3……2……」

吹雪「ま、待ってください……!」ゴソゴソ

阿武隈「……もう議論の余地は――えっ?」ギュッ

吹雪「これを、持っててください」

阿武隈「これ……御守り?」

吹雪「司令官から頂いた御守りです。私は今までこれに守られてきましたから……効果は絶大です」

阿武隈「吹雪ちゃん……」

吹雪「絶対に戻ってきてください。時雨ちゃんたちを助けても、阿武隈さんがいないなんて……嫌です」

阿武隈「……」

阿武隈「わかったわ。約束する、絶対に戻るから……だから、2人をお願いね」

吹雪「はいっ」

647: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 04:09:54.14 ID:qnYtiC620
阿武隈「じゃあ、いくわよ……3……2……」

吹雪「……」

阿武隈「……1……っ!」ダッ


怪物「――――」ブンッ


阿武隈「ガラ空きなんですけどぉっ!」スッ


怪物「――――!」ピタッ


阿武隈「敵に気付かれないのがあたしの十八番だけど、今回は……逆ね!」

阿武隈「ほ~ら、あたしについてこれるかしら?」チョイチョイ


怪物「――――」ズズッ...


阿武隈「! 来たわね……っ。ほらほら、こっちこっち~!」

阿武隈「……!」チラッ


吹雪「!」コクッ

吹雪(阿武隈さんが階段の方に……。あの化け物が階段に差し掛かったら……っ、今だ!)ダッ

吹雪「時雨ちゃん! 不知火ちゃんっ! 無事!?」ドンドン


「! その声……吹雪?」


吹雪「そうだよ、助けにきたの!」

吹雪「いま阿武隈さんが化け物を引き付けてるから! 今の内に、早く!」


           ガチャッ ギィィ


吹雪「!」

時雨「……君が天使に見えるよ、吹雪」

吹雪「時雨ちゃん!」

648: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 04:10:33.77 ID:qnYtiC620
時雨「さすがの僕も、もう駄目だと思ったけど……助けに来てくれてよかった」

吹雪「間に合ってよかった! 怪我はない!?」

時雨「うん、僕は平気。不知火も無事だけど……あっ、今は」

吹雪「! 不知火ちゃん!?」

不知火「うっ……ぐすっ……ひぅ」

吹雪「不知火ちゃん、どこか怪我でも!?」

時雨「いや……あの化け物に襲われる恐怖と、君が来てくれた安堵とかで、色んな糸が途切れちゃったみたい」

不知火「うぅっ……み……見ないで、くださ……」グスッ

649: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 04:11:05.23 ID:qnYtiC620
吹雪「っ! 2人が無事でよかったけど、今は急いでここを出ましょう!」

時雨「阿武隈さんがあいつを引き付けてるって言ってたね。不知火、行こう!」

不知火「は、はい……!」

吹雪「2人とも私に付いてきてください。このまま2階を通って東側の通用口から外へ!」ダッ

時雨「……なるほど。そこで阿武隈さんと落ち合うんだね」

吹雪「はい! 時間がありません、全力で走ってください!」


650: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 04:11:49.68 ID:qnYtiC620
-東館1F 廊下-

吹雪「……! 阿武隈さん!」

阿武隈「吹雪ちゃん! 時雨ちゃんたちも無事ね!」

時雨「阿武隈さん!」

阿武隈「早く出口に! アイツ、思ったよりも足が速――」


          ズズズッ... ズズッ


阿武隈「来たわ! みんな早く!」


651: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 04:12:53.07 ID:qnYtiC620
-東側出入口-

吹雪「や、やった……外に出た……!」ハァハァ

不知火「……っ、げほっ、げほ!」

時雨「阿武隈さんは!?」

吹雪「……! 阿武隈さんっ!」


阿武隈「吹雪ちゃん! 扉を閉める準備を!」タッタッタッ


時雨「! 阿武隈さんのすぐ後ろにあいつが迫ってきてる! 吹雪!」

吹雪「は、はいっ! 阿武隈さん急いでっ!」


阿武隈「――――っ!」ダッ


時雨「今だよ、吹雪っ!」

吹雪「っ!」グッ


             ガチャン!


吹雪「や、やった……!」


             バァンッ!


吹雪「!!」

時雨「吹雪、この鍵を! これでこの扉を施錠して!」

吹雪「はいっ!」カチャカチャ


カチャン!


吹雪「よし……っ! 鍵も、閉めました!」


652: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/11(日) 04:13:56.31 ID:qnYtiC620
           バンッ! バンバンバン!!


時雨「……まだ安心するのは早いよ。急いでここから離れよう」ハァハァ

不知火「……」ゼェゼェ

阿武隈「そうね……。2人共燃料切れ寸前だわ。1度倉庫に戻って補給しましょう」

時雨「……! 燃料を、見つけたの?」

吹雪「はい。この先の倉庫の中に、まだ使える燃料がたくさん……!」

時雨「……よかった。これでまだ希望を繋げそうだ」

阿武隈「吹雪ちゃん、時雨ちゃんに肩を貸してあげて。あたしは不知火ちゃんを連れていくから」

不知火「はぁ……はっ、すみません……」

吹雪「時雨ちゃん腕をこっちに」

時雨「ありがとう……。ごめんね、助けられてばかりで」

吹雪「気にしないで。さあ、行こう」




【吹雪・阿武隈と時雨・不知火が合流しました】
【両チームの情報が共有されました】

662: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/15(木) 01:49:27.66 ID:r8qP3W3f0
-第3倉庫-

阿武隈「2人とも落ち着いた?」

時雨「うん。無事に燃料も満タンに出来たし、これならいけそうだ」

不知火「……」

吹雪「不知火ちゃん、まだ辛い?」

不知火「あ、いえ、そういうことではなく……その……」

不知火「色々と御見苦しいところをお見せしてしまいました……」

吹雪「え、あー……」

阿武隈「?」

不知火「出来れば、忘れてください……」

時雨「気に病む必要はないよ不知火。あの状況じゃ誰だってああなるさ。僕だって、割とギリギリだったし……」

時雨「本当に、吹雪と阿武隈さんが助けに来てくれてよかった。改めてお礼を言うよ、ありがとう」ペコッ

不知火「不知火も感謝します。お2人が来てくれなければ、今頃は……」フカブカ

吹雪「あ、頭なんて下げないで! 2人が無事で本当によかったよ」

阿武隈「吹雪ちゃんの言う通りだよ。あとは初霜ちゃんと夕立ちゃんの居場所さえ分かれば……」

663: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/15(木) 01:52:20.86 ID:r8qP3W3f0
時雨「さっき補給しながら聞いた限りだと、初霜たちはどこかの地下に居るってことだよね?」

阿武隈「うん。通信機が繋がったわけだから、そう遠くじゃないと思うんだけど」

時雨「確かに僕や初霜が持ってる通信機の受信範囲から考えても、通信圏はこの鎮守府内がギリギリってところだね」

不知火「となると……この鎮守府の地下、でしょうか?」

吹雪「その可能性が高いと思います。それに初霜ちゃんの言葉通りなら、入り口は何らかの形で隠されているのかもしれません」

時雨「この広い鎮守府のどこかに隠された入り口か……厄介だね」

664: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/15(木) 01:55:14.84 ID:r8qP3W3f0
不知火「阿武隈さんたちは、既にこの鎮守府内を調べられたので?」

阿武隈「燃料を探すために色々と動き回ったけど……まだ未探索なところも結構あると思う」

吹雪「私たちが見てきた場所は『工廠』『艦娘の寮』ですね。港湾施設には『入渠ドッグ』もあったけど、鍵が掛かっていて入れませんでした」

阿武隈「そういえば、まだ『演習場』が未探索だったわね」

時雨「僕たちは『本庁舎』内を彷徨っていたから、他の場所に関しては全く把握出来てないけど、庁舎内はそこそこ探索出来てるよ」

不知火「しかし地下に繋がる出入口が隠されてそうな所は見られませんでしたね。まだ調べてない部屋もいくつかありますが」

時雨「僕としては、1度『執務室』を調べてみたいんだけど、鍵が必要なんだよね」

不知火「どちらにせよ、あの化け物を閉じ込めている庁舎内には入れないかと」

時雨「うん……それもそうだね。残念だけど諦めるしかないか」

吹雪「……あれ?」

不知火「どうかしましたか?」

吹雪「あ、いや、『執務室の鍵』ってどこかで聞いたような気がしたんだけど……気のせいかな?」

665: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/15(木) 02:01:16.84 ID:r8qP3W3f0
阿武隈「とにかく、まずは未探索の場所を中心に地下への入り口がないか調べてみましょう」

時雨「本庁舎は除くとして、候補は『演習場』と『艦娘の寮』辺りだね」

不知火「2手に分かれて探索しては如何でしょう?」

吹雪「え、でも……危険じゃありませんか?」

時雨「……あの化け物は本庁舎に釘付けされているから、そこまでリスクはないと思う」

阿武隈「そうね。4人で動いたほうが安心できるけど、その分動きと効率が悪くなっちゃうし……あまり時間をかけると初霜ちゃんたちが心配だわ」

不知火「決まりですね」

時雨「なら僕と不知火は『艦娘の寮』に行ってみるよ。阿武隈さんたちが1度調べた場所に繰り返し行っても発見は少ないだろうし」

阿武隈「じゃあ、これを持っていって。このマスターキーなら寮部屋も開けられるから」

時雨「了解。ありがたく使わせてもらうよ」

阿武隈「あたしと吹雪ちゃんは『演習場』に行ってみよう」

吹雪「了解です」

時雨「僕と阿武隈さんは通信ができるから、何かあったらすぐに連絡を取り合おう」

阿武隈「うん。一通り探索が終わったらもう1度この場所に集合しましょう。それと、みんな絶対に無茶はしないこと。いいわね?」

吹雪・時雨・不知火「はいっ!」


666: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/15(木) 02:02:30.80 ID:r8qP3W3f0
吹雪「じゃあ時雨ちゃん、不知火ちゃん。気をつけてね」

時雨「うん。吹雪と阿武隈さんも気をつけて」

不知火「お任せください。陽炎型の誇りにかけて、もう2度とあのような痴態は晒しません……」


阿武隈(あっ……そういえば)ゴソゴソ

阿武隈(吹雪ちゃんから渡されたお守り、まだ返してなかったわね)

阿武隈(どうしよう、今返しちゃおうか……)



行動安価>>668

1 お守りを吹雪に返す
2 後にする

668: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 02:17:57.04 ID:QuGpaN1d0
1

671: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/15(木) 19:20:42.31 ID:r8qP3W3f0
阿武隈「吹雪ちゃん、ちょっといい?」

吹雪「はい。なんですか?」

阿武隈「さっき吹雪ちゃんに貰ったこのお守り、吹雪ちゃんに返すね」

吹雪「あ、もしよければこのまま阿武隈さんが持ってても……」

阿武隈「ううん。これは吹雪ちゃんが提督から貰ったんでしょ? だったら吹雪ちゃんが持っていたほうがいいよ」

阿武隈「ありがとね。あの化け物から無事に逃げきれたのも、このお守りのおかげだよ」

吹雪「阿武隈さん……」

阿武隈「さぁて、早く演習場に行って地下への入り口がないか探しましょう。初霜ちゃんたちが待ってるわ」

吹雪「はいっ!」


672: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/15(木) 19:27:04.84 ID:r8qP3W3f0
【時雨side】


-艦娘の寮前-

時雨「ここが艦娘の寮だね」

不知火「かつては綺麗な建物だったようですが、今は見る影もありませんね」

時雨「雨がいつか止むように、物もいつかは朽ちていく……か」

不知火「不知火たちはこんな所で朽ちるわけにはいきません」

時雨「その通りだね。さて……まずは1階から調べてみよう」

不知火「地下への入り口を探すんですね?」

時雨「うん。隠されているなら何か仕掛けがあるかもしれない。細かいところまで見逃さないように気をつけて調べていこう」

不知火「了解しました」


673: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/15(木) 19:33:57.36 ID:r8qP3W3f0


~~~~~~~~~~~~


-艦娘の寮 エントランス-

不知火「これで1階の部屋は全て調べ終えましたが、特に不審な箇所はありませんでしたね」

時雨「そうだね……。どうやらここはハズレだったみたいだ」

不知火「思ったよりも早く探索が終わりましたね。阿武隈さんに連絡して、我々も演習場の探索に加わりますか?」

時雨「……いや、あっちの人手は十分だと思う。僕たちはもう少しここを調べてみよう」

時雨「阿武隈さんたちもここを完全には調べていないみたいだし、何か見つかるかもしれない」

不知火「地下への入り口は無くとも他の物が、という事ですか?」

時雨「うん。さっき『寮母の部屋』で見た日記に『執務室の鍵』に関する記述があったのも気になってね。今の内に調べておきたいんだ」

不知火「なるほど。わかりました」



行動安価>>675

寮のどこを探す?

675: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 19:59:22.86 ID:TLwDwxDs0
2階と3階

677: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 00:15:16.72 ID:YcHFtkI+0
時雨「阿武隈さんたちの話では寮の2階以降は殆ど手つかずの状態らしい。その辺りから調べよう」

不知火「見取り図によれば、寮の2階は駆逐艦と軽巡。3階は重巡、戦艦、空母に部屋が割り振られているようです」

不知火「ですがこれを全て調べていては、かなり時間がかかってしまうかと……」

時雨「当然そうだろうね。だから調べる場所にはおおよその目星をつけて絞り込もう」

不知火「その口振りですと、心当たりがおありで?」

時雨「うん。ちょっと気になる所が幾つかね……とりあえず、2階にいこう」


678: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 00:19:08.89 ID:YcHFtkI+0
-階段-

不知火「しかし、ここも本庁舎と同じで少し様子がおかしいですね」

時雨「不知火も気付いたかい?」

不知火「ええ。食堂や洗濯室、大浴場など、どの場所にも直前まで人が生活していたかのような形跡が見受けられます」

不知火「とても正規の手段で引き払われたようには見えませんね」

時雨「うん……。食器類が散乱する食堂に、洗濯物が多くの残されたままの洗濯室」

時雨「状況だけを見ると、まるで日常の最中に突然艦娘たちだけが消えてしまったみたいだ」

不知火「そんな馬鹿な……と言いたいですが、正直否定しきれませんね……」

時雨「それも含めて、この鎮守府にはおかしなところが多過ぎる」

時雨「鎮守府の異様な状態、海域図に載っていない謎、さらに地下施設まで存在する可能性もあるし……。おかしいと言えば、あの化け物の存在だって謎だよ」

不知火「ここでいったい何があったのでしょうか……?」

時雨「…………」


679: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 00:24:09.30 ID:YcHFtkI+0
-艦娘寮2F 廊下-

不知火「さて、2階に上がってきましたが……時雨さん」

時雨「なんだい不知火?」

不知火「先ほど言っていた時雨さんの気になる所とは、いったい何処なのですか?」

時雨「気になる所は幾つかあるけど。1つは、この鎮守府に所属していた艦娘で何人か調べておきたい人が居るんだ」

不知火「ここに所属していた艦娘、ですか?」

時雨「僕たちが本庁舎で見つけた情報の中で頻繁に名前が挙がってた人が居たよね。2人の提督の下で秘書艦を務め、最もこの鎮守府に精通してたであろう艦娘……」

不知火「! 電ですか」

時雨「正解。彼女の部屋になら、何らかの手掛かりが残ってるかもしれない」

時雨「そしてもう1人。この鎮守府の所々で見かける艦隊新聞の作者の部屋も調べておきたい」

不知火「青葉さんですね」

時雨「うん。青葉さんなら色々と情報を集めていただろうし、もしかしたら新聞のバックナンバーなんかもあるかもしれない」

不知火「確かに、あの人なら鎮守府中のあらゆる情報を集めてそうですね……」

681: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 00:37:03.26 ID:YcHFtkI+0
時雨「そしてもう1つ気になっているのが、『執務室の鍵』の行方についてさ」

不知火「執務室の鍵、ですか?」

時雨「うん。さっき見た寮母さんの日記の記述を見るに、もしかしたらこの寮のどこかにその鍵があるんじゃないか。って思うんだ」

不知火「そういえば、秘書艦が執務室の鍵を紛失した。とかいう記述がありましたね……いえ、ですが」

不知火「だからといって今もここに鍵がある確証はないのでは? 執務室の鍵という重要な物品です。既に探し出されている可能性も……」

時雨「いや、おそらくまだ鍵は見つかっていないと思う」

不知火「なぜです?」

時雨「あの記述が日記の最後の記述だったからだよ」

時雨「文の内容や日記という形態から考えて、日記の記述は毎日夜に行っていたんだと思う」

時雨「そう考えると、寮母さんは日記を書いた翌日に鍵を探す予定だったんだろう」

時雨「でも、日記への記述はその日を最後に途絶えている。おそらく……その日に何かがあったんだろうね」

時雨「ここにいた艦娘たちが一斉に消えてしまった、何かが」

不知火「ですが、ここの艦娘たちが消えてしまう前に鍵が見つかっていた可能性も」

時雨「その可能性も低いと思う。根拠は洗濯室の様子さ」

時雨「僕たちがさっき見てきた洗濯室には、籠に入ったままの洗濯物が大量に残されていたよね。あれはおそらく洗濯物の回収途中だったんだ」

時雨「洗濯物の回収と洗濯は寮母さんの仕事だけど、それはだいたい午前中には済ませてしまうはず」

時雨「それが途中で放置されていたという事は、ここの艦娘たちに何かが起こったのはその日の午前中頃って推測できる」

時雨「もちろんそれまでに寮母さんが鍵を発見していた可能性もあり得るけど、時間的な余裕の少なさを考えてもまだ見つけてない可能性の方が高いと思う」

不知火「……なるほど」

時雨「もっとも、この推測はあの日記の記述通りこの寮内で鍵を紛失したって事が大前提になるけどね」

682: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 00:43:03.78 ID:YcHFtkI+0
時雨「まあ、執務室の鍵については寮内を探索する中で探していくとして。まずは各部屋を巡ってみよう」

不知火「では『電の部屋』と『青葉さんの部屋』に行きますか?」

時雨「そうだね。部屋の番号は見取り図で見てきたからわかってる。電の部屋は074号室、青葉さんは054号室だ」

不知火「2人の部屋はそれぞれ2階と3階に分かれてますね。どうします?」



行動安価>>684

1『電の部屋』に行く
2『青葉の部屋』に行く

684: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 00:54:59.93 ID:E9vmBOc50
1

686: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 01:15:47.99 ID:YcHFtkI+0
時雨「このまま電の部屋にいってみよう」

不知火「わかりました。074号室は……向こうですね」スタスタ

時雨「こうして寮内を見まわしてみても、やっぱり至るところが劣化してきてるね」

不知火「そうですね。ところどころ壁に亀裂が走っている所もありますし……部屋の扉が歪んでたりしなければいいのですが」

時雨「鍵穴の状態も心配だ。阿武隈さんからマスターキーを預かってきたけど、鍵穴が錆び付いてたりしたら開けられないかもしれない」

時雨「あ、だからといって不知火。本庁舎のときみたいに……」

不知火「わかっています。燃料を補給してパワーが戻ったとはいえ、こんなに劣化した施設内で力技は危険でしょうから……自重します」

時雨「懸命な判断だよ」


687: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 01:21:09.88 ID:YcHFtkI+0
不知火「ありました、ここが074号室ですね」

時雨「見た感じ扉も周りもそこまで劣化はしてなさそうだけど……いけるかな?」カチャ…カチン!

時雨「よし、開いたよ」キィィ

不知火「中に入りましょう」

688: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 01:45:41.63 ID:YcHFtkI+0
-電の部屋-

不知火「部屋の中は比較的綺麗ですね。元からしっかり整理整頓されていたようですが」

時雨「あれ? ここは2人部屋みたいだね」

不知火「本当ですね。2段ベッドに机、家具なども2人分が揃っています」

時雨「……エントランスで見た見取り図には、電の名前しか書かれてなかったはずだけど」

不知火「とりあえず、室内を探してみましょう」

時雨「じゃあ僕はこちら側の机や家具を調べるよ。不知火はもう1つの方を」

不知火「わかりました」

689: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 02:05:43.41 ID:YcHFtkI+0
時雨「……机やクローゼットの中に気になる物はない」ゴソゴソ

時雨「でも、なんだろう。この机の中身もクローゼットの中も、何か違和感があるような……」

時雨「あれ、これって……」

時雨「そうか……。この机の持ち主は……」

不知火「時雨さん、ちょっといいですか?」

時雨「何か見つけた?」

不知火「はい。この日記帳なんですが」

時雨「名前は書かれてないけど……」ペラ

時雨「…………」

時雨「間違いない。これは電の日記だ」

不知火「! では、何か手掛かりが……!」

時雨「…………」パラパラパラ

時雨「……いや、特に手掛かりになりそうなことは書かれてないみたいだ」

不知火「そうですか……」シュン

691: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 02:16:10.56 ID:YcHFtkI+0
時雨「内容を見ても何の変哲もない普通の日記って感じだね」パラパラ

時雨「暁ちゃん、響ちゃん、雷ちゃん……なるほど、電と同室だったのは雷か」

時雨「毎日の出来事や姉妹の事とかが綴られてるけど……8月辺りからは内容の雰囲気が変わってる。姉妹の話とかが殆ど書かれなくなった」ペラ

不知火「8月……前任の司令官が失踪したという時期ですね」

時雨「その影響だろうね。でも提督の失踪に関わることは全然書かれてない……?」ペラ

時雨「9月からはまた雰囲気が一変してる……。書かれているのは執務の事ばかりで……日記って言うより日誌に近い内容になってる」

不知火「あの後任の司令官が着任したという頃ですね。電はそちらでも秘書艦を務めていたようですし、負担も大きかったのかもしれませんね」

時雨「…………」

時雨(……この日記、本当に電1人が書いていた物なのかな?)

時雨(書かれてる文字の癖は同じに見えるけど、ところどころ文体や記述の癖が違ってるような……)

693: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 02:53:16.19 ID:YcHFtkI+0
不知火「……時雨さん?」

時雨「あっ、ごめん。とにかくこの日記に僕たちが求めるような情報は無さそうだ」パタン

不知火「そうですか……。時雨さんの方はなにかありましたか?」

時雨「こっちも特に手掛かりになる物はなかったけど、1つだけわかったことがあるよ」

不知火「というと?」

時雨「そっちの机の上から2段目の引き出しを開けてみて」

不知火「……?」ガララ

不知火「おや、何かが布で包まれてますね……これは、Ⅲの形をしたバッジ? これって確か……」

時雨「暁たち4姉妹が身に着けてる特Ⅲ型のバッジだよ」

不知火「!」

時雨「前に聞いたことがあるけど、そのバッジは彼女たちにとって大切な物で、常に肌身離さず身に着けてるらしい」

不知火「それって……」

時雨「……この部屋の家具。一見2人分が揃ってて2人で生活してたように見えるけど、よく見ると違和感があるんだ」

時雨「どちらも綺麗に整理されてるけど、片方には僅かに生活感が見て取れる。だけどもう片方にはそれが無い」

時雨「そのバッジの持ち主で電と同室だった艦娘……日記の記述だと雷みたいだけど。おそらく彼女は……」

不知火「……」

時雨「……」

不知火「……このバッジは、このままにしておいたほうがいいですね」ガララ

694: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 02:58:48.32 ID:YcHFtkI+0
時雨「この部屋にはこれ以上何もなさそうだけど、どうする?」

不知火「そうですね。別の場所を探しましょう」

時雨「なら3階の青葉さんの部屋にいくか、それとも2階の他の場所を回ってみるか……」



行動安価>>696

1『青葉の部屋』にいく
2 まだ2階を探す(探す場所を指定)

696: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 03:08:02.14 ID:Le8hzAwUO
エレベーターホール
阿武隈・フブキルートで出てきた洗濯物を運ぶ小型の。

697: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 03:19:29.34 ID:YcHFtkI+0
不知火「やたらと階を移動するのは効率が悪いですし、どうせならもう少し2階を回ってみてはどうでしょう?」

時雨「それがいいね。とりあえず廊下に戻って2階を見て回ろう」


-艦娘寮2F 廊下-

不知火「駆逐艦の部屋が集中しているだけあって、部屋数も中々多いですね」

時雨「でも駆逐艦は姉妹艦ごとに2人部屋に割り振られてるみたいだ。それでも結構な数だけど」

時雨「あれ、ここは……」

不知火「洗面所ですね。洗面所は各階に設置されているようです」

時雨「……この位置……下の部屋は確か……」ブツブツ

不知火「時雨さん?」

時雨「不知火。ちょっとここを調べてみよう」

不知火「洗面所をですか?」

時雨「うん。僕の推測が正しければ、おそらくここに……」

698: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 03:38:53.21 ID:YcHFtkI+0
-2F 洗面所-

不知火「化粧台が多数。奥の方はトイレになっているようですね」

時雨「……! やっぱりあった!」

不知火「これは……? 壁に備え付けられてるようですが」

時雨「エレベーターだよ。衣類運搬用の」

不知火「そうか! ここの下は洗濯室ですね」

時雨「そう。洗濯物はこれを使って各階から洗濯室に集積してたんだ」

不知火「これですか。時雨さんが気になっていたものとは?」

時雨「うん。洗濯室でエレベーターを見たとき、エレベーターは別の階に上がったままになってたけど……」ガチャ

時雨「ビンゴだ。衣類を入れた籠が入ったままこの階で止まってる」

不知火「え……時雨さん、籠を取り出していったい何を……?」

時雨「不知火も手伝って。この洗濯物をよく調べてみて。特にポケットの中とかを重点的に!」ゴソゴソ

不知火「は、はい!」ゴソゴソ

時雨「あの日記の記述……寮母さんの読みが当たっていれば、この中に」…チャリッ

時雨「……!」

時雨「あった……見つけたよ不知火!」

不知火「それは……鍵、ですね」

時雨「この形状……本庁舎で見つけた徽章が入った鍵によく似た作り……間違いない」

時雨「おそらくこれが『執務室の鍵』だ!」

704: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 15:44:45.96 ID:YcHFtkI+0
不知火「どうしてこんなところに……?」

時雨「寮母さんは日記の中で、失くし物は洗濯物の中とかに紛れてる場合が多いって予想してたから、もしかしてとは思ってたんだ」

時雨「とにかくこれで本庁舎の『執務室』に入ることが出来そうだ」

不知火「しかし、今本庁舎にはあの化け物を閉じ込めているので探索は難しいかと」

時雨「問題はそれなんだよね……。なにか良い方法があればいいんだけど」

705: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 15:50:39.64 ID:YcHFtkI+0
時雨「さて、これで目的の1つは達成できた」

不知火「この場所はこれ以上調べる所は無さそうですね。次はどうします?」

時雨「そうだね……」



行動安価>>707

1『青葉の部屋』にいく
2 まだ2階を探す(探す場所を指定)

707: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 16:04:39.51 ID:nxYqMSQMo
1

708: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 16:12:21.36 ID:YcHFtkI+0
時雨「他に2階で気になる部屋は特にないし。そろそろ3階に上がってみよう」

不知火「となると、青葉さんの部屋に?」

時雨「うん。それ以外にも戦艦や空母たちの部屋もあるみたいだし」

不知火「わかりました。いきましょう」


709: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 16:34:05.43 ID:YcHFtkI+0
-艦娘寮3F 廊下-

時雨「054……あった、この部屋だ」

不知火「鍵を開けて中に入りましょう」

時雨「うん。マスターキーを使って……よし、開いた」カチャ…カチン!

時雨「って、あれ?」ガチャガチャ

不知火「どうしました?」

時雨「鍵は開いたはずなんだけど……扉が動かない」グググ

不知火「まさか扉が歪んで……」

時雨「いや、見たところそんなに劣化はしてないはずなんだけど……あれ?」

時雨「扉の下の方にもう1つ鍵穴がある……。そうか、鍵が二重になってるんだ!」

不知火「そちらの鍵はマスターキーでは開きませんか?」

時雨「……鍵穴が合わないね」

710: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 16:36:47.68 ID:YcHFtkI+0
不知火「他の部屋は1つだけなのに、なぜここだけ二重に?」

時雨「……青葉さんが個人的に増設したのかもしれない。新聞とか様々な情報を集めてた訳だし」

不知火「困りましたね。もう1つの鍵が無ければ、ここを調べることは出来なさそうです」

時雨「…………」



自由安価>>713


713: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 17:12:31.94 ID:RCrz1ksMo
金の鍵使えないかなあ

714: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 17:28:41.77 ID:YcHFtkI+0
時雨(そういえば、確か本庁舎で……)

時雨「不知火。本庁舎でみつけた『金色の鍵』持ってる?」

不知火「金色の……? ああ、あの鍵ならここに」ゴソゴソ

時雨「それを使ってみてくれる?」

不知火「わかりました」カチャ…


カチン


不知火「! 開きました!」

時雨「やっぱり。この鍵は青葉さんの持ち物だったんだ」

不知火「そうか、あのカメラのストラップは……」

時雨「あそこでこの鍵を見つけておいたのは幸運だったね。お手柄だよ、不知火」

716: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 17:50:57.88 ID:YcHFtkI+0
-青葉の部屋-

時雨「凄いね。部屋の中は本や資料とかでいっぱいだ」

不知火「あの隅にある黒幕は何でしょう?」

時雨「たぶん、写真を現像する為の暗室じゃないかな。部屋の一部を改造して現像室として使ってたんだ」

不知火「この机の上にあるのは……作りかけの新聞?」ガサッ

時雨「じゃあこれが作業机だったんだ。不知火、何か書いてあるかい?」

不知火「いえ。新聞のレイアウトが作られてるだけでまだ記事は書かれていないですね。タイトルだけは入ってますが……『青葉新聞2014年3月号』?」

時雨「……なるほど3月か」

不知火「机の上には他にも色々な資料などが置かれていますが……紙が傷んでたりしてて読み取れそうな物はあまりなさそうです」

時雨「この机を中心に室内を探してみよう。どこかに新聞のバックナンバーが保存されているかもしれない」

不知火「はい」

717: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 18:06:31.71 ID:YcHFtkI+0
時雨「バックナンバーがあるとしたら、出来るだけ劣化を防ぐ形で保管されているはず……」ゴソゴソ

不知火「暗室の中は……作りかけの写真などがありますが、劣化してて使えなさそうですね」

時雨「本当なら青葉さんのネタ帳とかもあればいいんだけど……。そういう物は常に持ち歩いてただろうしなぁ」

時雨「この引き出しは、金属製で気密性も良さそうだけど」ガララ

時雨「……これは!」

時雨「あったよ不知火。新聞のバックナンバーだ」

不知火「見つけましたか」

時雨「うん。思った通り過去の新聞が纏めて保管されてるし、保存状態も良い」パラパラ



行動安価>>719

新聞のバックナンバーを纏めて読む?

1読む
2後回しにする

718: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 18:11:36.38 ID:Le8hzAwUO
後で4人で確認する。
そして、他に何が有るが捜索。

720: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 19:02:50.39 ID:YcHFtkI+0
時雨「とりあえず古い順だと……2013年5月号か。これから読んでいこう」

不知火「時雨さん。それを読むのは一旦保留にして、他の場所の探索を優先しませんか?」

時雨「え……何故だい?」

不知火「こういう物なら阿武隈さんたちと合流して4人で見たほうが得られる情報も多いと思います。ですので一度皆と合流してからでも」

時雨「……」

時雨(確かに不知火の言うことにも一理あるけど……地下への入り口も探さないといけない)

時雨(時間的に余裕があるかな……)

時雨「……わかった。じゃあ、これは一旦後回しにしよう」ガララ

723: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 20:13:00.38 ID:YcHFtkI+0
時雨「さて、青葉さんの部屋の探索は一旦中断するとして。次はどこを探そう」

不知火「戦艦や空母の部屋を調べてみますか?」

時雨「確かに手掛かりがあるかもしれないけど、特に当てがないね……。全部見ていくのは時間的に厳しいし」

時雨(どうしようかな……)



行動安価>>725

1 他の場所を探す(探す場所を指定)
2 阿武隈と連絡を取る

725: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 20:22:15.02 ID:E9vmBOc50
2

726: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 20:31:20.85 ID:YcHFtkI+0
時雨「現状ではこれ以上探索しても得られる物は無さそうだ」

時雨「一度阿武隈さんたちと連絡を取ってみよう」

不知火「そうですね。あちらも何か見つけているかもしれません」

時雨「よし。通信機を繋いでみるよ……」


~~~~~~~~~~~~


727: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 20:52:43.00 ID:YcHFtkI+0
【吹雪side】


-演習場-

吹雪「ここが『演習場』ですね。演習といっても陸での訓練場って感じでしょうか」

阿武隈「左側にあるのが『グラウンド』と『訓練場』ね。右側の建物は『屋内の教練施設』かな」

吹雪「建物は幾つかあるみたいです。あの端の方にあるのは……『弓道場』? 近くに別の小さな建物も見えますね」

阿武隈「問題は地下への入り口が隠されてそうな場所だけど……」

吹雪「屋内施設の方が可能性はあるような気がしますね」

阿武隈「そうね。とりあえず建物の方を中心に調べていこうか」



行動安価>>729

どこを調べる?

728: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 20:53:53.59 ID:E9vmBOc50
屋内の教練施設

730: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 21:26:41.91 ID:YcHFtkI+0
阿武隈「じゃあ、まずはあの『屋内教練施設』に行ってみようか」

吹雪「一番大きめの建物ですし、可能性はありそうですね」

阿武隈「うん。また鍵とかが閉まってなければいいけど……」


-屋内教練施設前-

吹雪「えーと、入り口は……あっ、ここですね」

阿武隈「扉は閉まってるけど、鍵は……」ガチャガチャ

阿武隈「やっぱり閉まってるわ……」

吹雪「じゃあ、どこかで鍵を探して――」

阿武隈「ううん。たぶんそれも無理。鍵穴のところが錆び付いてて、鍵があったとしても使えないと思う」

吹雪「という事は、ここは諦めるしかない。ってことですか」

阿武隈「そうね。別のところに行きましょう」



行動安価>>731

どこを調べる?

731: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 21:28:49.12 ID:E9vmBOc50
弓道場

733: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 21:53:23.42 ID:YcHFtkI+0
-弓道場-

阿武隈「吹雪ちゃんの予想通り、ここは弓道場みたいね。鍵も開いててよかった」

吹雪「練習場以外には、備品を保管してる部屋があるくらいですね」

阿武隈「地下への入り口が隠されてるとしたら、その2つくらいか……。手分けして探しましょう」

吹雪「じゃあ、私は備品室の方を探してみます」

阿武隈「あたしは練習場を調べてみるよ。何か仕掛けがあるかもしれないから慎重にね」

吹雪「はい」

734: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 22:07:21.38 ID:YcHFtkI+0
-弓道場 備品室-

吹雪「うーん……予備の矢や弓の弦とか弓道で使う備品が置かれてるけど」

吹雪「特に仕掛けもないし……。地下への入り口なんかも隠されてはなさそう」

吹雪「……あれ? 部屋の隅に何か落ちてる」ゴソゴソ

吹雪「あっ、これ……あの艦隊新聞だ!」


『××新聞20××年5月号 特集!中×司×官の素顔に迫る!』

『今回は読者×皆様の××望に応え、当×××の司××中将氏に×する大××をお届け×る。』

『××××官はご存知の×り、開戦××り当×××率い×深海××と戦い、××営からも高く××されている人×だ。』

『艦隊××の手腕も×ること××ら、特に××ってい××が私たち××の運用手×である。』

『艦種ご×の×闘×性や×娘の損×/疲労に×る××への×響など、××に関する×××特×や性×を熟××、それに××いた効××な艦××用を行っ××る事こ×、』

『中×司××が名将××理×××り、多くの××たちから信×され慕わ×てい××因であろ×。』

『そ×な中将×××は温厚で優×い方であ×が、自身につ×て多くを××ない×柄であ××め、提督として着×さ×た××やそれ以前の××な××つ××は謎××××多い。』

『それ×に艦娘××の間で×××な予想が挙が××××、前職は××説、医×説、×学者説、中にはアイ×ルのプロ××ー×ーだった説など実に××であるが、××は未だ×××になって××い。』

『×××と最も××合いが長い艦×で×る××艦××さんすら詳し×は知ら××というミス×××スな中×××官の正体について、本誌ではこれからも徹×的な調査を継続していく!』


737: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 22:18:46.53 ID:YcHFtkI+0
吹雪「ボロボロになってて読み辛いけど、これって時雨ちゃんが言ってた前任の司令官って人について書かれてるのかな?」

吹雪「でも、これは別に地下へ手掛かりにはならないか……」

吹雪「他には特になにも無いし。阿武隈さんのところに戻ろう」

739: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 22:29:26.78 ID:YcHFtkI+0
-弓道場-

吹雪「阿武隈さん、何か見つかりましたか?」

阿武隈「うーん……。気になる物はなにも。吹雪ちゃんは?」

吹雪「こちらも特に何もありませんでした……」

阿武隈「そっか。じゃあ、また別のところを探そう」


740: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 22:30:22.67 ID:YcHFtkI+0
-弓道場前-

阿武隈「さぁて、次はどこを探そうかしら」

吹雪「阿武隈さん、あそこにある小さな建物は……?」

阿武隈「あれって……もしかして『更衣室』かしら?」

吹雪「更衣室?」

阿武隈「うん。今調べた弓道場に着替える場所がなかったから不思議に思ってたんだけど」

阿武隈「もしかしたら、この演習場の着替え場所は1か所に統一されてるのかも」

吹雪「なるほど」



行動安価>>742

どこを調べる?

742: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 22:32:36.44 ID:7+KIv7aA0
更衣室

743: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 22:39:06.47 ID:YcHFtkI+0
阿武隈「いってみる? あの更衣室」

吹雪「そうですね。他に残ってる屋内施設はあそこくらいですし」

阿武隈「よぉし、じゃあいってみようか」

吹雪「はい」

744: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 22:57:59.74 ID:YcHFtkI+0
-更衣室-

阿武隈「鍵は開いてる……」キィィ

吹雪「ロッカーがたくさん並んでますね。シャワーとかの設備はないみたい」

阿武隈「見て。ロッカーの中、まだ私物が残ったままになってる」

吹雪「本当ですね。訓練着やタオル……本や雑誌なんかもあります」ゴソゴソ

阿武隈「……」ガン

吹雪「!? 阿武隈さん、何を!?」

阿武隈「もしかしたらロッカーに何か仕掛けが……って思ってね」

吹雪「隠し扉とかがあると?」

阿武隈「あはは、さすがに推理小説とかの読み過ぎかな……。でも、一応全部調べていこう」ガン

吹雪「あ、はい。了解です」ガンッ

745: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 23:16:56.92 ID:YcHFtkI+0
吹雪「どのロッカーも特に変わったところはないかな……」ガン

吹雪「ここも何も無し、っと。次はこれ」キィィ

吹雪「……あっ、また新聞があった」ガサガサ


『青×新聞2014年1月号 怪異!深×の×××××に×む幽×の噂!』

『駆逐×た××間で××になって×る「入××××の幽霊」という×をご存じ×××か?』

『本誌では噂の××を見たと×う目撃×張×人に直××材を××。事の××に×××新た×××が×明した!』

『××は昨年の10×。夜にこっ×りと寮を抜け××て×××逐艦Uさん×、××××クに×っていく××を目×し××いう。』

『ご×知の×り、当×××では緊急××や特殊×務以××は原則××の作××動は×××××××、×××ッ×もフタマ×マルマ×時以×は××され人の×入りは禁×されて××。』

『Uさんが××を目撃し×××う時間帯は既に×××の施錠時×を過ぎて××、当然施錠××ていた×ずなので、Uさんはその××を×××思い×××××という。』

『入渠×ックは施錠時間を×××いるにも拘らず×が開×ており、Uさんは××まま××内を×し回った。』

『とこ×が、不×議なことに施設×どこにも×の姿も××も×××なか×たと×うのだ。』

『結局、××を×念したUさんは×××××を後に××が、この話は×日Uさんの姉妹た×の間で×題になり、い××かそ×が幽霊だ×た××う尾×れがつき駆逐×たちの間で××に広×ったとみ×××。』

『一方で××に関する一般×見には、Uさんの見×違いや狂×、寝ぼ××いただけ等という×が多×聞か×る。し×し、そん××に対×てUさんは語気を×めて否×し××る。』

『×れでも話×体の真偽を××声も多い××××、Uさんは×も真××明に熱×を燃××て×××うだ。』

『今回の取××対し××さんは、「実はとーっても重×な××を手に×××ぴょん! 近々×××××が嘘××じ××いっ×証×××る×ょん!」とドヤ×で××。』

『Uさんが×××××という××な××に×しては「×××れないぴょん。本当に×××から誰にも見つか××いよう秘密の××に隠してあるから××だぴょん!」と固く×を閉×××てしまい××は分か×××った。』

『果たして噂の××は明××とな×のか……? Uさんの続×が期待さ×る。』


748: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 23:30:09.02 ID:YcHFtkI+0
吹雪「これは……阿武隈さん、ちょっと来てください!」

阿武隈「何かあった? 吹雪ちゃん」

吹雪「これ、前に見たここの艦隊の新聞なんですけど」

阿武隈「……よく読み取れないけど……幽霊の噂?」

吹雪「よくあるオカルト系のゴシップ記事だと思うんですけど、気になりませんか?」

阿武隈「うーん……。確かに気にはなるけど。これだけじゃちょっと、わからないな」

吹雪「そうですか……」

阿武隈「時雨ちゃんなら、なにか閃くかもしれないけど……」

749: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 23:35:04.27 ID:YcHFtkI+0
阿武隈「このロッカーで最後ね。結局あの新聞以外には何も見つからなかったかぁ……」

吹雪「ここも違ったって事ですかね」

阿武隈「うーん……。他の場所に行ってみよう」



行動安価>>751

どこを調べる?

751: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/18(日) 23:39:00.59 ID:7+KIv7aA0
訓練場

752: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 23:46:29.99 ID:YcHFtkI+0
吹雪「残る場所は、訓練場かグラウンドくらいですね」

阿武隈「結局、屋内施設はすべてハズレだったわね。地下への入り口が隠されてるのは、ここじゃないのかな……」

吹雪「演習場を出て、時雨ちゃんたちと合流します?」

阿武隈「せっかくだし、ひと通り演習場内は探索しちゃおう。後々見逃してた事が…なんてこともあり得るし」

吹雪「そうですね。じゃあ次は訓練場にいってみましょう」


753: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/18(日) 23:58:27.97 ID:YcHFtkI+0
-訓練場-

阿武隈「ここは屋外の訓練場ね。丸太の壁に各種障害物……基礎訓練用の設備が揃ってる」

吹雪「私も新米の頃にこういう所で川内さんや神通さんたちに鍛えられたなぁ……。懐かしいです」シミジミ

阿武隈「感傷に浸るのは良いけど、本来の目的も忘れないでねー」

吹雪「す、すみません……」

阿武隈「……って言っても、ここは特に調べる所は無さそうね」

吹雪「移動しますか?」

阿武隈「そうだね。あと残ってるのはグラウンドね」

吹雪「すぐ隣ですね。このままいってみましょう」


754: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 00:10:23.24 ID:bqYUZPNw0
-グラウンド-

阿武隈「残るはこのグラウンドだけど……特に変わったところはないわね」

吹雪「昔は白線とかも引いてあったんでしょうけど、すっかり消えちゃってますね」

阿武隈「それにしても、こうしてみると結構小さめな演習場だよね。あたしたちの鎮守府の演習場の半分くらいの規模しかない」

吹雪「そう言われれば、確かに……そうですね」

吹雪「これじゃあ演習場っていうより、学校の設備並みって感じです」

阿武隈「まあ、陸での演習や訓練よりも海上での演習を重視してたのかもしれないけどね」


755: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 00:28:14.40 ID:bqYUZPNw0
阿武隈「さぁて、これで演習場内は全部調べ終わったけど。有力な手掛かりは無しかぁ……」

吹雪「時雨ちゃんたちに連絡を入れて、一度倉庫のところにまで戻りますか?」

阿武隈「そうね。そうし――」

《ザザッ―――阿武隈さん。聞こえる?》

阿武隈「! 噂をすれば、時雨ちゃんから通信が来たわ。もしもし、時雨ちゃん?」

《こちらはある程度寮内の探索を終えたけど、そちらはどう?》

阿武隈「こっちも今、演習場の探索を終えたとこ。残念ながら手掛かりになりそうな物はなにも無かったよ」

《そうか。実はちょっと気になる物を見つけたんだけど、2人は今からこちらに来れる?》

阿武隈「気になる物って、もしかして地下への入り口を見つけたの?」

《あ、いや。そうじゃないんだ。新聞のバックナンバー集なんだけど》

阿武隈「バックナンバー集……?」

《うん。この艦隊の機関紙なら何か情報が得られるかもしれないし、2人にも見てもらいたいんだ》

阿武隈「わかったわ。じゃあ今からそっちに向かうね」

《呼びつける形でごめんね。僕たちも寮の入り口で待ってるから》

阿武隈「了解。すぐに行くから待ってて」プツン

吹雪「時雨ちゃんたちのところに?」

阿武隈「うん。あの新聞のバックナンバーを見つけたんだって。あたしたちにも見てもらいたいから、って」

吹雪「ならさっき見つけた新聞について、時雨ちゃんの意見が聞けるかもしれませんね」

阿武隈「そうね。とにかく私たちも寮に行ってみよう」

吹雪「はいっ!」


756: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 00:39:44.58 ID:bqYUZPNw0
-艦娘の寮 エントランス-

阿武隈「お待たせ、時雨ちゃん」

時雨「阿武隈さん、吹雪。こちらから呼びつけてしまってごめんね」

吹雪「ううん。気にしないで」

阿武隈「それで時雨ちゃん。新聞のバックナンバーを見つけたって言ってたけど」

時雨「うん。この寮の青葉さんの部屋に保管してあったんだ。保存状態も良いし、色々と情報が得られそうだよ」

吹雪「青葉さん……確かに情報通といえば、青葉さんの右に出る人はいないですね」

阿武隈「この鎮守府の青葉ちゃんも取材で飛び回ってたんだろうね……」

不知火「青葉さんの部屋は3階です。その他にも未探索の部屋も多く残っているので、お2人にもご協力を」

吹雪「うん。一緒に探そう」

時雨「じゃあ、まずは青葉さんの部屋にいこう。ついてきて」


762: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:01:27.27 ID:bqYUZPNw0
-青葉の部屋-

阿武隈「うわぁ……凄い部屋だね」

吹雪「本や資料集でいっぱい……。あっ、暗室も作られてる」

時雨「2人ともこっちに。この引き出しに新聞のバックナンバーが保管されてる」ガララ

阿武隈「1枚1枚丁寧にクリアファイルに入れてあるわ。確かにこれなら保存状態は良さそうね」

時雨「僕たちも本庁舎内で何枚かこの新聞を見たけど、劣化してて読み取れない部分も多かったんだ」

不知火「しかし、この新聞ならほぼ完ぺきな状態で記事まで読めるでしょう」



行動安価>>764

新聞のバックナンバーを全て纏めて読みますか?

764: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/19(月) 01:05:19.67 ID:wtiIdO340
読む

765: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:10:59.07 ID:bqYUZPNw0
時雨「じゃあ、古い順に読んでいこう」


『青葉新聞2013年5月号 特集!中将司令官の素顔に迫る!』

『今回は読者の皆様のご要望に応え、当鎮守府の司令官中将氏に関する大特集をお届けする。』

『中将司令官はご存知の通り、開戦時より当艦隊を率いて深海棲艦と戦い、大本営からも高く評価されている人物だ。』

『艦隊指揮の手腕もさることながら、特に際立っているのが私たち艦娘の運用手腕である。』

『艦種ごとの戦闘特性や艦娘の損傷/疲労による戦闘への影響など、艦娘に関する様々な特性や性質を熟知し、それに基づいた効率的な艦隊運用を行っている事こそ、』

『中将司令官が名将たる理由であり、多くの艦娘たちから信頼され慕われている要因であろう。』

『そんな中将司令官は温厚で優しい方であるが、自身について多くを語らない人柄であるため、提督として着任された経緯やそれ以前の経歴などについては謎な部分が多い。』

『それ故に艦娘たちの間では様々な予想が挙がっており、前職は教師説、医者説、科学者説、中にはアイドルのプロデューサーだった説など実に様々であるが、正解は未だ明らかになっていない。』

『司令官と最も付き合いが長い艦娘である秘書艦の電さんすら詳しくは知らないというミステリアスな中将司令官の正体について、本誌ではこれからも徹底的な調査を継続していく!』


766: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/19(月) 01:12:22.35 ID:bqYUZPNw0
『青葉新聞2013年6月号 噂の都市伝説を大特集!』

『読者の皆様はここ最近、鎮守府内で囁かれるこんな話をご存知だろうか?』

『我々が深海棲艦との戦争を始めて3ヶ月。先に発令された人類側初となる敵泊地への奇襲反攻作戦では、我が鎮守府も参加し多大な戦果を挙げることには成功したものの、』

『同時に我々と敵深海棲艦側との圧倒的なまでの戦力差を思い知らされる結果となった。』

『制海権奪取の為、日々激戦を繰り広げているなかで、果たして戦況は好転しているのか? と疑問に思ったことはないだろうか?』

『倒しても倒しても無数に現れる深海棲艦。その正体と目的、本拠地などは今だ謎に包まれているが、実はその正体について、大本営は把握したうえでそれを隠蔽しているというのだ。』

『噂によると、深海棲艦の正体とは海に沈んだ船や人、様々な生物の無念や怨念が具現化したものであり、彼らはこの世に生きる者とは正反対の存在であるという。』

『さらに衝撃的なのは、深海棲艦はたとえ戦いで沈んでも、行き着く先は他ならぬ彼らの棲地。深海であり、彼らはいずれ復活して再び海上に現れるというのだ。』

『もし、この話が事実であるならば、我々が行っている戦いはまったく意味を――――』


767: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:13:10.05 ID:bqYUZPNw0
『青葉新聞2013年7月号 緊急号外!中将司令官に解任決議か!?』

『衝撃のニュースが飛び込んできた。なんと大本営の中で、当鎮守府の提督 中将司令官の解任を巡る決議が行われているというのだ!』

『決議の詳細や解任の理由などは未だ不明だが、噂では先の大規模作戦終了後から我が鎮守府の作戦行動に消極的な姿勢がみられるとの理由や、』

『大本営からの命令無視が原因であるとされるが、詳しいことはわかっていない。』

『しかし、この情報は大本営に近い軽巡O氏からも裏付けを取れた確かな内容であり、残念なことに信憑性は極めて高く――――』


768: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:14:39.07 ID:bqYUZPNw0
『青葉新聞2013年8月号 中将司令官失踪か!?』

『既に知らない人はいないであろうが、先日の8月7日未明。突如鎮守府内から中将司令官の姿が消えた。』

『司令官が最後に目撃されたのは、前日の夜21時40分頃とみられ、いつも通りその日の執務を終え、私室に戻る為に秘書艦の電さんと別れたのが最後の目撃証言とされる。』

『翌日、司令官の行方がわからないことが分かった後すぐに、ほぼすべての艦娘によって鎮守府内やその周辺、さらには近海まで徹底的な捜索が行われたが、』

『結果は司令官の行方はおろか、その痕跡すら見つけることは出来なかった。』

『中将司令官は先月より大本営にて行われている解任決議の渦中にあり、一部では、それが原因となって行方をくらませたのでは? との声も囁かれるが、』

『筆者を含め、多くの艦娘はその説を否定するだろう。』

『現在は秘書艦の電さんと、大淀さん、長門さんらを中心に司令官の代理として執務を行っているが、大本営はこの機に乗じて新たな司令官を――――』


769: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:15:08.97 ID:bqYUZPNw0
『青葉新聞2013年9月号 新司令官着任!その素顔に迫る』

『先月失踪した中将司令官に代わり、今月新たに大本営から少将司令官が着任した。』

『この少将司令官は、士官学校を主席で卒業した英才として知られ、大本営でも極めて信頼の厚い新進気鋭の司令官といわれる人物。』

『本誌では今回、その詳細と素顔について詳しく追った。』

『英才として知られ、大本営からの評価も高い少将司令官だが、その裏では冷酷非情ともいわれる苛烈な手腕が目立ち、当鎮守府に着任する以前は―――』


770: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:16:35.45 ID:bqYUZPNw0
『青葉新聞2013年10月号 緊急特集!鎮守府内で謎の神隠しか!?』

『ここ数日、鎮守府内で行方がわからなくなっている艦娘が多数いることをご存じだろうか?』

『事の始まりは先月21日。駆逐艦朝潮さんの姉妹艦満潮さんと霰さんが、突然姿を消した。』

『当初、朝潮さんは遠征などの任務に出たものと思い、司令官に対してこの2人の行方を尋ねたそうだが、司令官も2人にそのような命令を出したことはなく、一転して行方不明事件に発展した。』

『その日から数日にわたり失踪した2人の捜索が行われ、同時に失踪直前の目撃証言も集められたが、不思議なことに失踪当日と思われる××日とその日以降で、2人の姿を見たという人は1人もいなかったのだ。』

『結局、翌22日を以て捜索は打ち切られ、司令官の調査報告には「脱走もしくは単独での海域出撃によるロスト」と結論付けられ、同日中にMIA(戦時行方不明者)として大本営に報告された。』

『しかし、みての通りこの事件には非常に不可解な点が多く、また司令官の調査と最終結論にも疑問点が多く残る。』

『2人の姉妹を失った朝潮さんは、当然この司令官の判断に納得しておらず、事件の再調査を求める嘆願を起こしているが、司令官からは門前払いされているという。』

『また、一部ではこの艦娘の失踪を、2か月前に同じように失踪した中将司令官の事件と関連があると考える声も多く――――』


『お知らせ 来月号は筆者取材の為お休みします。』


771: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:17:39.05 ID:bqYUZPNw0
『青葉新聞2013年12月号 新たな深海棲艦!?謎のアンノウン特集!』

『先月中旬より鎮守府近海で目撃されている謎の「アンノウン」について皆さんはご存じだろうか?』

『最初の目撃例は先月6日深夜。敵輸送部隊への夜襲任務を終えた水雷戦隊が鎮守府へと帰投する途中、電探が所属不明の艦影を捕捉した。』

『当初は味方艦と思ったそうだが、無線連絡と発光信号にも応えないその艦影を不審に思った同水雷戦隊長Sさんは、主砲による威嚇射撃を行った。』

『すると次の瞬間、威嚇の為に放った弾丸が一瞬のうちに明後日の方向に弾かれ、さらに今まで全く動かなかった艦影が突如Sさんたちの元に迫ってきたという。』

『危険を感じたSさんら水雷戦隊はすぐに応戦体制を取り、照明弾数発を打ち上げたが、それが炸裂する直前に突如艦影は姿を消し、電探からも消失した。』

『これと似たような目撃例や一部交戦の報告が、先月中旬から現在までの間に14件も上がっており、新型の深海棲艦の可能性も高いとして、』

『調査の命令と、戦闘任務外で遭遇した場合の注意喚起が行われている。』

『この謎の存在はいつしか艦娘たちの間で「アンノウン」と呼ばれるようになり、現在主力艦隊を中心に調査が行われているそうだが、未だ詳細は明らかになっていない。』

『また、このアンノウンの特徴として、「目撃証言は決まって夜に集中しており、昼間の目撃はない」「こちらからの射撃等以外でアンノウン側から攻撃が行われた報告はない」』

『「電探に移る影や目視でのうっすらとした影は確認されているが、直接その姿を見た者はいない」というものがあり、本誌ではこのアンノウンについて、以下のような――――』


772: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:18:08.31 ID:bqYUZPNw0
『青葉新聞2014年1月号 怪異!深夜の入渠ドックに潜む幽霊の噂!』

『駆逐艦たちの間で話題になっている「入渠ドックの幽霊」という噂をご存じだろうか?』

『本誌では噂の幽霊を見たという目撃者張本人に直撃取材を敢行。事の詳細について新たに事実が判明した!』

『発端は昨年の10月。夜にこっそりと寮を抜け出していた駆逐艦Uさんが、入渠ドックに入っていく人影を目撃したという。』

『ご存知の通り、当鎮守府では緊急出撃や特殊任務以外では原則夜間の作戦行動は行われておらず、入渠ドックもフタマルマルマル時以降は施錠され人の出入りは禁止されている。』

『Uさんが人影を目撃したという時間帯は既にドックの施錠時間を過ぎており、当然施錠されていたはずなので、Uさんはその人影を不審に思い後をつけたという。』

『入渠ドックは施錠時間を過ぎているにも拘らず鍵が開いており、Uさんはそのまま施設内を探し回った。』

『ところが、不思議なことに施設のどこにも人の姿も気配も見られなかったというのだ。』

『結局、捜索を断念したUさんは入渠ドックを後にしたが、この話は後日Uさんの姉妹たちの間で話題になり、いつしかそれが幽霊だったという尾ひれがつき駆逐艦たちの間で急速に広まったとみられる。』

『一方で人影に関する一般意見には、Uさんの見間違いや狂言、寝ぼけていただけ等という説が多く聞かれる。しかし、そんな声に対してUさんは語気を強めて否定している。』

『それでも話自体の真偽を疑う声も多いことから、Uさんは今も真相究明に熱意を燃やしているようだ。』

『今回の取材に対してUさんは、「実はとーっても重要な情報を手に入れたぴょん! 近々うーちゃんが嘘つきじゃないって証明出来るぴょん!」とドヤ顔で話す。』

『Uさんが手に入れたという重要な情報に関しては「教えられないぴょん。本当に重要だから誰にも見つからないよう秘密の場所に隠してあるから無駄だぴょん!」と固く口を閉ざされてしまい詳細は分からなかった。』

『果たして噂の真相は明らかとなるのか……? Uさんの続報が期待される。』


773: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:19:03.29 ID:bqYUZPNw0
『青葉新聞2014年2月号 遂に判明!?鎮守府に流れる噂の真相に迫る!』

『昨年から本誌でお伝えしている当鎮守府内で囁かれる様々な噂や事件について、本誌記者は約半年に渡って取材活動に奔走してきた。』

『その中でも特に反響の大きい、鎮守府内で発生している艦娘の行方不明者続出事件に関して、関係者やその周辺を取材し証言を重ね合わせていくうちに、ある恐るべき事実に辿りついてしまった。』

『これまで様々なオカルトや都市伝説系のネタを中心に掲載してきた本誌であるが、今回の取材と調査で明らかになった事実は、誇張やゴシップなどではない正真正銘の事実であることを先に記しておきたい。』

『この事実が明らかになれば、この鎮守府。いや、ここ以外の全ての鎮守府と艦娘をも巻き込んだ一大事件となる程の重大事実であり、』

『それを公開するには、前以て様々な準備を重ねていく必要があるため、細心の注意を払って記事に起こし次号にて詳しく記したいと思う。』

『次回、衝撃の重大事実を発表! 乞うご期待!』

『筆者注 もし当局により発行と掲載が認められなかった場合、普段の掲載とは別の形で掲載を行います。』


774: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:45:44.78 ID:bqYUZPNw0
時雨「新聞はこれで全部だね。最後の2014年3月号は、この机の上で書きかけの状態で残ってるから」

不知火「……」

吹雪「前任の司令官の失踪に、艦娘の神隠し……」ゴクリ

阿武隈「普通なら単なるゴシップ記事って笑い飛ばしちゃうけど、今までの事を考えるとそうもいかないね……」

不知火「この新聞の時系列から考えて、すべてはこの前任の司令官の失踪という出来事から始まってるようです」

時雨「うん……。前任提督の失踪と後任の提督の着任。それから間もなくして、艦娘の行方不明事件や謎の存在の出没と、妙な出来事が立て続けに起こってる」

阿武隈「その前にも前任の提督の人事を巡って色々あったみたいだけど……」

775: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 01:54:52.53 ID:bqYUZPNw0
不知火「おかしな鎮守府だとは思っていましたが、まさかこんなことが起こっていたとは……」

阿武隈「アンノウンって呼ばれてる謎の存在に、入渠ドックの幽霊……これってもしかして、あたしたちを襲ってきたあの化け物と何か関係があるのかな?」

時雨「……何とも言えないけど。可能性は否定しきれないね」

不知火「もしかすると、それがこの鎮守府の状態や艦娘の失踪とも関係してるのかもしれません」

時雨「…………」

777: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 02:05:37.99 ID:bqYUZPNw0
吹雪「……この幽霊の噂って、『入渠ドック』で起こってたんだ」

時雨「何か気になるのかい?」

吹雪「あ、うん。さっき演習場の更衣室でこれと同じ新聞を見つけたんだけど、ちょっと気になってて」

時雨「……入渠ドックの幽霊、か」

吹雪「この鎮守府に来た時に入渠ドックにも行ってみたけど、鍵が掛かってて入れなかったから諦めたんだ」

時雨「そうか……。入渠ドックも一度調べたいけど、その為には『入渠ドックの鍵』を探す必要があるってことだね」

778: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 02:27:15.94 ID:bqYUZPNw0
阿武隈「時雨ちゃんは何か気が付いた事とかある?」

時雨「うーん……今まで得た情報が少しだけ纏まったけど。これだけじゃ、まだ何とも言えないかな」

阿武隈「そう……」

時雨「あ、でも。少し調べておきたい人の部屋が出来たかな」

吹雪「誰の部屋?」

時雨「1人は入渠ドックの幽霊を目撃したっていう駆逐艦。あと1人は、この鎮守府でも秘書艦たちと一緒に艦隊を纏めていた人だよ」

不知火「前者は新聞の記事からして卯月だとわかりましたが、後者は?」

阿武隈「むーっ。もったいぶらないで教えてよぉ」

時雨「長門さんだよ。提督が失踪したって記事で秘書艦や大淀さんと一緒に提督の代理を行ってたって書かれてたからね」

吹雪「なるほど。長門さんなら戦艦や空母の皆さんも纏めてただろうし、何か知っていたかもしれないね」

時雨「うん。とりあえず、この2人の部屋を一度調べておきたいんだけど……不知火」

不知火「はい。卯月の部屋は2階の165号室。長門さんは同じ3階の001号室ですね」

阿武隈「え……不知火ちゃん覚えてるの?」

不知火「ええ。ひと通りは」

吹雪「凄い記憶力……」

不知火「時雨さん、どうしますか?」

時雨「そうだね。ここの探索はこれくらいにして、次の場所に行こう」



行動安価>>780

1『卯月の部屋』にいく
2『長門の部屋』にいく

780: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/19(月) 02:30:49.70 ID:DZMmR9vuo
うーちゃん

787: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/19(月) 23:31:22.63 ID:bqYUZPNw0
-艦娘寮2F 卯月の部屋前-

吹雪「165号室は……。あった、ここだね」

阿武隈「ドア周りは大丈夫そう。時雨ちゃんお願い」

時雨「うん」カチャ…カチン!

時雨「よし、開いたみたいだ」キィィ

不知火「では室内を調べてみましょう」

788: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 00:03:48.32 ID:TVl6M3Hx0
-卯月の部屋-

吹雪「あれ? ベッドや机が2つあるね」

阿武隈「2人部屋だったのかな? ベッドや机の上の様子はかなり対照的だけど」

吹雪「片方は綺麗に整理整頓されてて布団も綺麗に畳まれてるけど、もう片方は少しだらしない感じ……かな」

不知火「たしか見取り図には卯月の他に弥生の名前もありましたね」

時雨「結構物が多いけど、4人居れば隅々まで探せそうだね。手分けして室内を探してみよう」

阿武隈「じゃあ、あたしと吹雪ちゃんはベッドや箪笥の方を見てみるよ」

時雨「僕と不知火は机周りを。特に卯月の私物を重点的にお願い」

不知火「わかりました」

789: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 00:21:58.24 ID:TVl6M3Hx0
時雨「この綺麗に整えられてる机は、弥生のかな?」ゴソゴソ

不知火「こちらの机は卯月のでしょうね。よくわからないガラクタや本が散乱してて探し辛い……」ゴソゴソ

不知火「おや? この引き出しに何か引っかかって――」バチーン!

不知火「~~~~~~~~っ!!??」

吹雪「し、不知火ちゃん!?」

阿武隈「凄い音がしたけど、どうしたの!?」

時雨「引き出しに鼠獲りみたいな仕掛けが……卯月が作った罠だね」

不知火「っ……卯月……無事に帰ったら覚えてなさい……」ジンジン

吹雪「私たちの鎮守府の卯月ちゃんとは別の卯月ちゃんだけどね……」

時雨「彼女も似たような事やってるから、何とも言えないけどね」

793: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 00:38:46.38 ID:TVl6M3Hx0
時雨「他にも仕掛けがあるかもしれないし、卯月の机は僕が見るよ。不知火は弥生の机を」

不知火「す、すみません……」

時雨「さて……他の引き出しは」ガララ

引き出しの中の紙【 ハズレだぴょん! 】

時雨「……次は」ガララ

兎の人形【 残念! 】

時雨「……次」ガララ

時雨「あっ、ここは普通の引き出しだ。小物類が入ってるけど……」ゴソゴソ

時雨「……気になる物は入ってないか」ガララ

時雨「ん……? この引き出し、中と外で……まさか、二重底?」ゴソゴソ

時雨「! やっぱりそうだ。引き出しの底に何か入ってる……『ひみつにっき』?」ペラ

『うっそぴょーん!(笑)』

時雨「……」イラッ

795: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 00:57:15.65 ID:TVl6M3Hx0
時雨「……一応全部調べたけど、この机には何も無いみたいだ」

阿武隈「こっちもベッド周りには何も無かったわ」

吹雪「箪笥の中も布団以外は何も入ってなかったよ」

時雨「そうか……」

時雨「……やっぱり手掛かりは別の場所に隠したのかな」ブツブツ

吹雪「不知火ちゃんの方は何かあった?」

不知火「ちょっと待ってください。この引き出しが最後なので」ガララ

不知火「……ん?」

吹雪「どうかした?」

不知火「これ……『弥生の日記』のようですが」

時雨「ちょっと見せてくれる?」

不知火「はい、どうぞ」

時雨「……」ペラ


『最近、×逐艦のみんなの間で「入渠ド×クの幽霊」の噂が話題になっている。』

『事の発端は、10月にうーちゃんが夜に×っそり寮を抜×出したときに深夜の入渠ドックに入る人影を見た。という×が始まり。』

『深夜で×も閉められて××はずの入渠ドックに入っていく人×を追ったけ×ど、不思議なことにドッグのどこにも人の姿はなかったとか。』

『結局、人影の正×は分からず××いで終わったそ×だけど、後日こ××を聞いた文×や皐月が幽×の仕業だと×××ことで、この噂が一気に広まったらし×。』

『菊月や望×は、幽霊なんて××えないって一蹴してるみ×いだけど、』

『一方で××した張本人のうーちゃんは絶対に見間違×ではないと×い張り、今も正体を×むのに躍起になってるみたい。』

『正直なと×ろ幽霊も人影も信じられ××話だけど、こう×う噂話で盛り上がって×××の雰×気が少しでも良くなってく××のなら、××に感謝したいくらいかも』


797: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 01:18:46.90 ID:TVl6M3Hx0
時雨「入渠ドックの幽霊に関することが書いてあるね」

阿武隈「さっきの新聞で読んだやつね」

時雨「うん。でもそれほど有力な情報は書かれてないみたいだ」

吹雪「日記の他には?」

不知火「これ以外は特に気になる物はなにも……」

吹雪「うーん……。これでこの部屋の探せそうな所は全て見たし。また別の場所を探すしかないか」

阿武隈「収穫があまりなかったのは残念だけど、仕方ないね」

不知火「しかし、これで幽霊話の目撃者が卯月という事は確定しましたね」

時雨「割とバレバレだったけどね。あの新聞の記事でも」

798: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 01:30:13.45 ID:TVl6M3Hx0
-艦娘寮3F 長門の部屋前-

時雨「さて、残るはこの長門さんの部屋だね」

不知火「長門さんの部屋に長門さん以外の名は無かったので、ここは個室のようですね」

阿武隈「時雨ちゃん的には、ここも気になるんだよね?」

時雨「長門さんなら艦隊を広く見てるだろうし、何かしらの情報を持ってる可能性はあると思うんだ」

吹雪「じゃあ時雨ちゃん、鍵をお願い」

時雨「うん」カチャ…カチン!

阿武隈「無事に開いたわね。中に入ってみよう」

799: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 01:43:35.12 ID:TVl6M3Hx0
-長門の部屋-

吹雪「埃は出てるけど整理されてて綺麗な部屋ですね」

不知火「ええ。さすがは長門さんです」

時雨「本棚にもたくさん本があるね……。兵法書や戦術指南、歴史書や色々な教科書とかが並んでる」

阿武隈「勤勉な長門さんらしいっていうか……あたしにはちょっと真似できないかなぁ」

時雨「とりあえず、ここも手分けして調べてみよう」

阿武隈「わかったわ」

吹雪「うん!」

不知火「了解です」

800: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 01:50:26.65 ID:TVl6M3Hx0
阿武隈「じゃ、あたしはこの本棚を見てみようかな……」

阿武隈「んー……本当に難しそうな本ばかりね。雑誌や漫画の気配すらない」

阿武隈「……あれ? この端っこの方にある小説って……これ、恋愛小説だわ」

阿武隈「やっぱり長門さんもこういう小説とか読んだりするんだ……ふふっ、ちょっと親近感が湧いたかも」


吹雪「ベッドは……何も無いか。布団も綺麗に畳まれてる」

吹雪「その下の収納棚の中は……」ガララ

【ぬいぐるみの山】

吹雪「……意外と長門さんって可愛い物好きなのかな?」

吹雪「見なかった事にしとこう」ガララ


801: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 01:59:35.14 ID:TVl6M3Hx0
不知火「クローゼットの中は予備の制服や礼装などがあるだけですね」

不知火「時雨さんの方はどうですか?」

時雨「作戦書類の写しとか報告書とかはたくさんあるけど……肝心の長門さんの私物がまだ見つかってないね」ゴソゴソ

時雨「……あれ、この引き出しは鍵が掛かってる」グググ

不知火「鍵ですか?」

時雨「うん。でもだいぶ古くなってるから鍵があっても開けられるかは微妙そうだ……」

時雨「どうしようかな……」



自由安価>>803


804: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 02:17:24.72 ID:TVl6M3Hx0
時雨「ちょっと手荒にいってみるか……不知火、手伝ってくれる?」

不知火「はっ」

時雨「この引き出し、だいぶ劣化してるから力技で強引に開けられるかもしれない。出来るかい?」

不知火「やれるとは思いますが、よろしいので?」

時雨「うん。力いっぱいやっちゃってよ」

不知火「了解。期待に応えて見せます」

不知火「んっ……ぐぬぬ」グググ

不知火「ぬぅぅ……!」ガチャガチャ

時雨「不知火、無理はしないでね」

不知火「大丈夫です……このくらい……!」グググ

不知火「っ……不知火を怒らせたわね……壊れかけの分際で!」ググググ

不知火「開け……開けっ!」バキィ!

時雨「やった! ありがとう不知火!」

不知火「はぁ、はぁっ……これくらい、お手の物です」ハァハァ

805: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 02:25:21.01 ID:TVl6M3Hx0
時雨「引き出しの中には……何か入ってる」ゴソゴソ

時雨「本……? わざわざ鍵の掛かった引き出しに入れてるって事は」ペラ

時雨「……やっぱり、『長門さんの手記』だ」ペラッ


『「鎮守府内における行動可能時間の制限」などと言う馬鹿げた規定のせいで、艦隊の風紀は良くなるどころか最悪なものなってきている。』

『金×型の一部や空×たちの言動も日に日に冗談では済まないレベルになりつつある。大×模な×乱という事態すら起こりかねない状況だ。』

『私も個人的な気持ちとしては彼女たちに賛同したいくらいだが、現実はそうもいかない。最悪の事態だけは何としてでも防がなければ……』

『中将がいてくれたなら、こんなことにはならなかっただろうに。奴はいったい、どこに消えてしまったのか』

『一部では、中将はあいつに殺××たなどと言う×も流れているようだが…… そんな噂も今の艦隊の空気を悪くする一端だろう。』

『気になる×は最近の電の様子だ。最もあの男の考えに×を反するはずの彼女が、最近では黙々とあの男の指示に従っている。いったい何を考えてい×のだろうか……?』


『こんな鎮守府の日常の中でも、駆××たちは明るく健気に振る舞っている。』

『これほどまでに自由を縛られて当然×満もあるであろうに、彼女たちはそれを表に出さず、我々を励ますかのように毎日明るく過ごしてくれている。』

『本当にあの子たちはすごい。私を含め、多くの艦娘が今の現状を耐えて××れるのは、あの子たちのおかげと言えるかもしれない……』


『そういえば×淀から、近頃本庁舎の物置を一部の××艦たちが秘かに遊び場にしているとの××を受けた。おそらく卯月や皐×たちだろう。』

『あそこは物が多く滅多に人の出入りもないうえ、×が壊れていて自由に×××という状態だったはず。あの子たちにとっては絶好の遊び場。秘密×地というやつだろう。』

『本来ならあまり見過ごせる話ではないが、こんな状況下では彼女たちの娯楽を少しでも奪うような真似はしたくない。』

『あの×に知れたら厄介ではあるが、そこは我々で上手くフォローすればいい。もし知られた時は責任は私が取れば済む話だ。』


810: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/20(火) 23:33:51.31 ID:TVl6M3Hx0
時雨「……」

不知火「どうです? 何か手掛かりになりそうなことは……?」

時雨「うん。不知火も読んでみて」

不知火「では失礼して……」パラパラ

時雨(やっぱり……あの新聞や手記の記述の通り、この鎮守府の異変は2人の提督の交代劇から始まっている)

時雨(その後の事が、仮に僕の考え通りだとすると……。でも、それだと辻褄が合わない)

時雨(それにこの手記の最後の記述も気になる……。くっ、情報が錯綜してしまって上手く思考が働かないな)

時雨(少し情報を整理して考えを纏めてみるか……)



行動安価>>812

1 この鎮守府について考える
2 地下への入り口について考える
3 他に気になることについて考える(内容を指定)

812: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/20(火) 23:39:00.67 ID:tGFZnayr0
2

815: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/21(水) 00:09:16.48 ID:/HiVCu+b0
時雨(僕たちが今最も優先すべきことは、初霜たちがいるという地下への入り口を探すこと)

時雨(阿武隈さんの通信が届く範囲内にいるとすれば……この鎮守府の下と考えてほぼ間違いはないはずだ)

時雨(でも新聞やここにいた艦娘たちの情報を見ても、地下に関しては一切触れられていなかった)

時雨(つまり、ここの人は地下の存在を知らなかった可能性が高い)

時雨(鎮守府の人も知らない施設が秘密裏に存在しているのだとしたら……当然出入口は何らかの形で隠蔽されてるのが常だよね)

時雨(……そもそも隠すような存在って何なんだろう?)

時雨(何のための地下なのか、そこに何があるのか……これは今の僕たちにはわからないな)



行動安価>>

1 この鎮守府について考える
2 他に気になることについて考える(内容を指定)
3 地下への入り口について、さらに考えを進める

818: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/21(水) 00:13:20.97 ID:BhR1O8ud0
1

821: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/21(水) 00:34:01.31 ID:/HiVCu+b0
時雨(わからないといえば、未だにこの鎮守府についてもわからないことだらけだ)

時雨(この島が海域図に乗っていない謎……日常の中で突然艦娘だけが消えてそのまま荒廃していったような状態)

時雨(地下施設の存在も謎に拍車をかけてくれる……)

時雨(それに阿武隈さんも言っていたように、この施設の異常な風化具合もおかしい)

時雨(この鎮守府で発見した資料によれば、ここから人の姿が消えたXデーは……おそらく2014年3月)

時雨(たった2年前……? 2年でこれほど風化が進むなんて明らかに異常だ)

時雨(これらがもし、あの新聞に書かれていた数々の異変と関係があるとしたら……)

時雨(……だめだ。この先を考えるにはまだまだ情報が足りない)



行動安価>>823

1 地下への入り口について、さらに考えを進める
2 この鎮守府で起こった異変について考える
3 他に気になることについて考える(内容を指定)

823: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/21(水) 00:37:30.30 ID:x0bFS+Yro
1

825: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/21(水) 00:53:38.73 ID:/HiVCu+b0
時雨(……考えを元に戻そう。地下への入り口についてだ)

時雨(地下への入り口がこの鎮守府のどこかに隠されているとしたら、それはどこ……?)

時雨(既に調べ終えたこの寮と演習場を除くと……残るのは『本庁舎』と『港湾施設方面』)

時雨(本庁舎に関しては、まだ未調査の部屋が幾つかあるけど……。もし地下への入り口が隠されているとしたら1階か?)

時雨(港湾施設は、まだ僕たちは見たことがないから想像がし難いけど……)

時雨(……あれ、ちょっと待って)

時雨(港湾施設で一瞬何か引っかかったような……)

時雨(何……何が引っかかったんだ……?)



自由安価>>828

時雨が引っかかったのは?

828: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/21(水) 01:00:26.11 ID:hCo5j2eiO
踏み台代わりに

湾港て事はぽい達の居た出撃ドックとか?

830: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/21(水) 01:33:22.02 ID:/HiVCu+b0
時雨(そうだ、さっきみた入渠ドックの幽霊って噂……)

時雨(卯月が深夜に入渠ドックに出入りする人影を見たけど、中には誰もいなかったって話だった)

時雨(待って……。もしこの証言が全てその通りだったとしたら?)

時雨(もし卯月が見たって言う人影が、人目を避けて出入りする人の姿だったとしたら……)

時雨(……入渠ドックには、何かがある?)

時雨(でも入渠ドックには鍵が掛かってるって吹雪が言ってたっけ)

時雨(だとすると、まずは『入渠ドックの鍵』を探す必要があるか……)

831: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/21(水) 01:43:06.20 ID:/HiVCu+b0
時雨(この話に関して卯月は、何か重要な情報を手に入れたって言ってたんだよね)

時雨(卯月の部屋にならもしかしたら……って思ったけど。そんなに単純じゃなかった)

時雨(そういえば、卯月はあの新聞で「情報は秘密の場所に隠してある」とも言ってた)

時雨(秘密……あれ、さっきの長門さんの手記にも確か……)

時雨(……!)

時雨(あの給湯室で見たメモ……それに長門さんの手記にもあった、あの場所)

時雨(一度探してみる価値はありそうだけど)

時雨(その為には本庁舎に閉じ込めている化け物が障害か……)



行動安価>>833

1 この鎮守府で起こった異変について考える
2 他に気になることについて考える(内容を指定)

833: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/21(水) 01:50:41.15 ID:1bfNYMEA0
鍵の壊れた物置

834: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/21(水) 02:00:56.90 ID:/HiVCu+b0
時雨(情報通りなら、あの場所は鍵が壊れてて自由に出入りできるはず)

時雨(といっても、どういう状態なのか実際に見てみないとわからないけど)

時雨(もし入ることが出来れば、おそらくそこに……)



行動安価>>836

1 この鎮守府で起こった異変について考える
2 他に気になることについて考える(内容を指定)

836: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/21(水) 02:05:25.07 ID:3NpiVhIKo
1

840: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/21(水) 02:31:45.81 ID:/HiVCu+b0
時雨(もう1つ気になるのは、この鎮守府で起こったっていう数々の異変)

時雨(前任の提督の失踪から始まり……艦娘の行方不明事件、アンノウンと呼ばれる未確認体の出没)

時雨(そういえば、新聞の中で著者――青葉さんが気になる文を書いてたっけ……)

時雨(『鎮守府内で発生している艦娘の行方不明者続出事件に関して、関係者やその周辺を取材し証言を重ね合わせていくうちに、ある恐るべき事実に辿りついてしまった』)

時雨(『明らかになれば、この鎮守府。いや、ここ以外の全ての鎮守府と艦娘をも巻き込んだ一大事件となる程の重大事実』)

時雨(普段の青葉さんの話なら冗談半分で流しちゃうけど。あの記事からは何か……切迫したものを感じた)

時雨(もしそれが本当なら……青葉さんは何に辿りついたんだ?)

時雨(それに異変の多くが後任の提督が来てから起こり始めてるのも気になる……異変には、彼が関係している?)

時雨(だとすると……前任の提督の失踪にも後任の提督が関係していると疑うのが自然だ)

時雨(けど、そうなると……あの一文は辻褄が合わない)

時雨(……2人の提督について、もう少し情報を集める必要があるな)

841: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/21(水) 02:49:12.16 ID:/HiVCu+b0
時雨(さて……こんなところかな)

不知火「時雨さん?」

時雨「ああ、ごめん。少し考え事をしてた」

不知火「そうでしたか。一応、この手記は不知火を含め3人とも読み終わりました」

阿武隈「寮母さんの日記にもあったけど、本当にこの鎮守府の環境は酷かったみたいね……」

時雨「うん……。あ、阿武隈さんたちは何か見つけた?」

阿武隈「ううん。特に気になる物はなかったかな」

吹雪「私も……すみません」

時雨「気にしないで。ここまで集めた情報のおかげで、少しずつだけど先が見えてきたよ」

不知火「なにかわかったのですか?」

時雨「わかったというか……うーん、そうだね。気になる場所が出来たかな」

吹雪「気になる場所?」

時雨「うん。そこを調べれば、もしかしたら地下への入り口にも辿り着けるかもしれない」

阿武隈「本当に!?」

時雨「もしかしたら、だけどね。それを確かめる為にも今すぐそこを調べに行きたいんだ」

不知火「どこです?」

時雨「『鎮守府の本庁舎』さ」

849: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 02:43:32.96 ID:gMIr/bkk0
吹雪「えっ!?」

不知火「お忘れですか? あそこには今、あの化け物を閉じ込めているんですよ」

時雨「もちろん忘れてなんていないさ」

時雨「でも現状を打開するには、もう一度あそこを調べる必要があるんだ」

不知火「し、しかし……」

阿武隈「どういうことなの? 時雨ちゃん」

時雨「新聞に書かれていた『入渠ドックの幽霊』って話。僕はこれがずっと気になってたんだよ」

吹雪「あの噂話が?」

850: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 02:51:26.84 ID:gMIr/bkk0
不知火「お言葉ですが、あれは流布される中で尾ひれがついた典型的な都市伝説の類だと思います」

不知火「それに卯月の話自体も信憑性が疑われます。あの新聞でも指摘されていた通り、卯月の見間違えや狂言である可能性も捨てきれません」

時雨「確かに幽霊って話は噂の中で付いた尾ひれ――脚色だろうけど、元の話が単なる卯月のでっち上げって事はないと思う」

阿武隈「どうして?」

時雨「弥生の日記の記述や新聞で本人が語ってたように、卯月自身も自分が見た人影の正体を掴むのに躍起になっていたみたいだ」

時雨「話が全て卯月の狂言なら本人がそこまで必死になるかな? 自分の嘘で皆が騒いでる様子を見て大笑いするのが普通じゃない?」

吹雪「たしかに……卯月ちゃんならそういう反応かも」

時雨「そうなると見間違えって可能性が有力になるけど、新聞で卯月は『何か重要な情報を掴んだ』って言っていた」

時雨「卯月の性格からしてそういう事で虚勢を張るとは思えない。おそらく本当に何か情報を掴んで確証を得ていたんだろう」

851: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 02:58:40.75 ID:gMIr/bkk0
阿武隈「でも、それが本庁舎を探す事とどう関係があるの?」

時雨「卯月が得たっていう情報。これに関して卯月は『どこかに隠してある』って話してたよね」

時雨「僕は最初、それが卯月の部屋のどこかにあるって踏んでたんだけど……そう単純じゃなかった」

時雨「おそらく別のどこかに隠したんだろう」

不知火「まさか……その隠し場所というのが本庁舎だと?」

時雨「僕はそうじゃないかと考えてる。根拠は長門さんの手記にあった記述さ」

吹雪「この手記の……?」

時雨「それに書いてあったよね。『近頃本庁舎の物置を一部の艦たちが秘かに遊び場にしている』って」

阿武隈「たしかに……書いてあるね」ペラッ

時雨「さらに長門さんはそのあと『おそらく卯月たちだろう』って推測もしていた」

時雨「このことから考えて、本庁舎の『物置』には卯月の残した情報がある可能性が高いと思うんだ」

852: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 02:59:36.79 ID:gMIr/bkk0
不知火「しかし……その情報というのは、それほどまでに重要な物なのですか?」

時雨「それは実際に見つけてみないとわからないよ」

阿武隈「えぇっ!?」

時雨「でも、探しておいて損はないはずさ」

時雨「僕の推測通りなら、これらは初霜たちの居場所を探す鍵になるかもしれないんだ」

阿武隈「初霜ちゃんたちの?」

吹雪「それってつまり……地下への入り口がわかるってこと?」

時雨「まあ、あくまで僕の推測だけどね」

853: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 03:02:29.88 ID:gMIr/bkk0
時雨「ああ、それと……僕が本庁舎を調べたいのは、物置の件だけじゃないんだ」

吹雪「他にも何か心当たりがあるの?」

時雨「うん。さっきここで入手したこの『執務室の鍵』。これを使って『執務室』も一度調べておきたい」

不知火「やはり執務室が気になるのですね」

時雨「鎮守府の中枢ともいうべき場所だからね。何かしらの手掛かりがある可能性はある」

時雨「それに、ここにいた提督に関してもう少し情報を集めておきたいからね」

854: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 03:07:32.93 ID:gMIr/bkk0
阿武隈「そうなると問題はあそこにいる化け物をどうするか、ね」

吹雪「そうですね。迂闊に本庁舎の中に入ってまた襲われたりしたら……」

時雨「何とかしてあいつを外に誘き出せればいいんだけど……」

不知火「しかし、そうすると再びあの化け物を外に解き放つことになってしまいます」

時雨「……」

吹雪「……」

阿武隈「でも……今の状況のままじゃ、いつまで経っても初霜ちゃんたちを探すことは出来ないわ」

阿武隈「危ない橋ではあるけど……渡ってみようよ」

吹雪「……そうですね。こうしてる間にも初霜ちゃんたちは、私たちが来るのを待っているんですから」

阿武隈「不知火ちゃんもそれでいい?」

不知火「……わかりました。不知火も同意します」

阿武隈「決まりね」

時雨「それじゃあ、一度本庁舎の近くに行って様子を見てみよう」


856: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 22:55:17.70 ID:gMIr/bkk0
-本庁舎への道-

吹雪「……夕立ちゃんたち大丈夫かな」

不知火「2人も我々のように燃料を失っているのだとしたら、一刻も早く合流する必要がありますね」

吹雪「夕立ちゃん、思うままに突っ走っちゃうところがあるからなぁ……」

時雨「たしかに……。でも、初霜も一緒に居るなら大丈夫だと思う」

不知火「初霜さんなら、燃料が少ないと分かれば消費を抑える行動を心掛けているでしょうし。夕立を諫めながら上手くやっておられるでしょう」

阿武隈「しっかり者だし。なにより仲間想いだからね、初霜ちゃんは」

阿武隈「だけど、仲間を守りたいあまりに自分を犠牲にしたり、無茶しちゃうところもある娘だから……その意味では心配ね」

時雨「……2人を探す為にも、今は施設の探索に集中しよう」


857: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 23:06:08.37 ID:gMIr/bkk0
-本庁舎東側付近-

吹雪「本庁舎が見えてきましたね」

阿武隈「さっきよりはっきり見えるわね。ちょうど雲がかかってないから月明りで周りもよく―――っ!」

阿武隈「みんな、そこの茂みに入って! 早く!」

吹雪「えっ……えっ?」アタフタ

時雨「吹雪、早くこっちに……」ガサガサ

不知火「阿武隈さん、いったいなにが……?」ガサガサ

阿武隈「しっ! 静かに……あれを見て」



怪物「――――」ズズッ ズチャッ...



不知火「! あの化け物……!」

時雨「あいつ、どうやって外に……? 扉を破ったのか?」

858: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 23:20:13.43 ID:gMIr/bkk0


怪物「――――」ズッ ズズッ...



阿武隈「月明りで姿がよく見えるけど……改めて見ても不気味だわ」

吹雪「ふらふらした足取りで……まるで死体が歩いてるみたい」ブルブル



怪物「――――」ズッ ズッ...



時雨「港湾の方に行くみたいだね……」

阿武隈「あいつ、あたしを襲ったときも港湾にいたし……この鎮守府中を徘徊してるのかしら?」

吹雪「ど、どうします……?」

時雨「ともあれ、あいつが本庁舎から居なくなってくれたのは好都合だよ。このまま本庁舎に行こう」


859: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 23:25:58.94 ID:gMIr/bkk0
-本庁舎東側-

阿武隈「あれ……? 東側の扉は閉まったままだわ」

時雨「……鍵も閉まったままだ」ガチャガチャ

吹雪「じゃあ、あの怪物はどうやって外に……」

不知火「どこか他に出入口があるのでしょうか?」

時雨「ないとは言いきれないけど……いや、構造的に他に出入口があるとは思えないし」

吹雪「……どうしましょう、中に入りますか?」

阿武隈「そうね……。あいつが居なくなった今がチャンスだろうし……時雨ちゃん鍵をお願い」

時雨「了解」ガチャッ…カチン

時雨「開いたよ。とにかく一旦中に入ろう」



行動安価>>861

どこを調べる?

861: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/23(金) 23:32:13.90 ID:ZKfMRd0D0
本庁舎の物置のカギが壊れてるって情報が共有されてる前提で物置、情報の共有がされてないなら直下の場所で

863: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/23(金) 23:53:20.76 ID:gMIr/bkk0
-本庁舎 東側出入口-

阿武隈「扉の内側に変な液体がたくさん付いてる……あの化け物のね」

不知火「おそらく扉を壊そうと暴れ回った跡でしょう」

時雨「壊せなかったから諦めて他の場所に行ったのかな? だとすると、どこかに別の出入口が……?」

吹雪「とりあえず、ひとまずは安心ですね」

阿武隈「念のため扉は閉めて鍵もかけておこう」

時雨「そうだね。またあいつが戻ってくるかもしれないし」カチャン

不知火「それで……まずはどこにいきますか?」

時雨「すぐそこにある物置にいこう。情報通りなら鍵がなくても開けられるはずだ」


865: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 00:13:38.69 ID:FDJOFu4Q0
-東館1F 物置前-

不知火「ここが物置ですね」

阿武隈「扉に南京錠が掛かってるけど……本当に鍵無しで開けられるの?」

時雨「給湯室のメモや長門さんの手記によると、鍵が壊れてるらしいけど……」ガチャガチャ

時雨「……!」ガチャン!

吹雪「えっ、錠が外れた!?」

時雨「……なるほどね。この錠、閉まってるように見えるけど中がしっかり噛んでないんだ」

時雨「だから少し引っ張っただけで錠が外れたんだよ」

不知火「仮にも軍の施設がこんな杜撰な管理で良いのでしょうか……」

時雨「特に重要な物が無いからそのままにしてたらしいけど、あまり良いことではないね」

吹雪「でも……そのおかげでこうして私たちが中に入れるんだけどね」

阿武隈「だね。ここは素直に感謝しとこうよ」

866: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 00:34:36.05 ID:FDJOFu4Q0
-物置-

阿武隈「部屋中所狭しと物が置かれてる……。足元に気をつけて」

吹雪「棚が幾つか置かれてますけど……意外と部屋の奥行きはありそうですね」

吹雪「コピー用紙の束に予備のファイル、伝票……事務用品や様々な備品が保管されてるみたい」

不知火「しかし、物が多くて探し物をするには少々厄介ですね」

時雨「でも、ここのどこかに卯月が残した情報が隠されてるはず」

阿武隈「皆で部屋の中を探してみよう」


867: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 00:52:56.06 ID:FDJOFu4Q0
阿武隈「棚の上までぎっしり物が置かれてる……何があるんだろ?」ゴソゴソ

阿武隈「って、わぁっ!」ドサドサッ

阿武隈「うっ……けほっ、けほ……すごい埃……もーっ! 嫌になっちゃう」

吹雪「ここの棚が部屋の最奥部かな。どの棚も備品ばかりで、特に気になる物はなさそうだけど……」

不知火「こっちの段ボールの中は……艦娘の制服の予備?」ゴソゴソ

時雨「……この棚も違う」

時雨「みんな、何か見つかった?」

阿武隈「ううん。特になにも無いみたい」

吹雪「こっちも気になる物はないね……」

不知火「不知火も同じです」

時雨(おかしい……どこを調べても普通の備品しか見つからない)

時雨(あのメモや手記によれば、ここを駆逐艦たちが遊び場にしてたらしいけど……そんな痕跡も見当たらない)

時雨(いったい、どういうことなんだろう……)



自由安価>>870


870: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 01:00:14.69 ID:6hN1l6GTO
部屋の何処かに隠し通路乃至隠し部屋がある。

871: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 01:00:58.53 ID:RhLyHsKmO
予備の制服の中

872: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 01:17:11.24 ID:FDJOFu4Q0
時雨(どこかに隠し部屋か何かが存在するとか……?)

時雨(けど、見たところ仕掛けらしき物も見当たらないし……いや、物が多すぎて探せてないというべきか)

時雨(……落ち着け。一回状況をよく見直して考えてみよう)



行動安価>>874

1 室内を見まわしてみる
2 考えをまとめる
3 気になる箇所を探す(場所を指定)
4 他の場所に行く

874: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 01:19:56.58 ID:vWMT+EDxo
3で>>871

876: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 01:30:29.96 ID:FDJOFu4Q0
時雨(そういえば不知火が予備の制服があったって言ってたっけ……)

時雨「不知火、その制服の中は調べた?」

不知火「これですか? いえ、段ボールを開けただけで中身までは」

時雨「ちょっと調べてみよう。不知火も手伝って」ゴソゴソ

不知火「了解しました」

時雨「この制服は……駆逐艦の物だね。吹雪型に陽炎型……僕たち白露型のもある」ゴソゴソ

不知火「こっちの段ボールは軽巡の制服ですね。この棚の箱は全艦種の制服が入っているようです」ゴソゴソ

時雨「……どれも新品の制服で、開封された様子はない」ゴソゴソ

時雨「……駄目だ。何も無いな」



行動安価>>878

1 室内を見まわしてみる
2 考えをまとめる
3 気になる箇所を探す(場所を指定)
4 他の場所に行く

878: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 01:32:25.50 ID:28ZLWH/jO
わからんので2

879: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 01:45:18.85 ID:FDJOFu4Q0
時雨(おそらく、ここに卯月たちが出入りしてて何かしらの情報を隠したのは間違いないと思う)

時雨(たしか手記の中で長門さんは『秘密基地』じゃないか、って予想してた)

時雨(つまり卯月たちは、この物置の中に秘密基地を作ってたはずなんだ)

時雨(問題はどこを調べても、卯月たちが出入りしていた痕跡すら見当たらないってこと)

時雨(鍵が壊れている物置ってことから考えて、ここ以外の場所だった。って事はありえないし……)

時雨(まだ何か見落としている所があるか、もしくは既に片付けられてしまった……?)

時雨(室内は物が多くて薄暗い……まだ見落としてる所がある可能性は十分あるけど)



行動安価>>881

1 室内を見まわしてみる
2 気になる箇所を探す(場所を指定)
3 他の場所に行く

881: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 01:48:49.13 ID:28ZLWH/jO
地道に1、ただ棚の上は相当気になる。

886: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 02:26:07.27 ID:FDJOFu4Q0
時雨(でも本当に物が多いな……床にまで置ききれない段ボールが並んでるし……いくら物置といっても物が溢れすぎだよ)

時雨(……あれ? この棚。主に事務用品が置かれてる棚なのに、一部は全く別の備品が置かれてる)

時雨(この備品は……部屋の奥側の棚に並んでるはずの物。どうしてこんなところに?)

時雨(よく見ると棚ごとに備品の並べ方はある程度整ってるのに、ところどころが滅茶苦茶になってるのか……?)

時雨(なんか気になるな……。奥の方を見てみよう)

時雨(……)

時雨(やっぱりそうだ……。奥の棚は並びが滅茶苦茶になってる。まるで乱雑に詰め込んだみたいだ)

時雨(棚の向こうに壁が見えるけど……物が溢れてて手が届かない。それにこの棚だけ妙に物が多いような……?)

時雨(そう考えると、部屋中の床にまで段ボールが置かれてるのも不自然だ。この部屋自体、物置としては結構広めの空間があるはずなのに……)

時雨(やっぱりこの部屋何かおかしい……でも、どうすれば……?)



自由安価>>888


887: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 02:45:50.26 ID:M5/uzlaro
多少時間がかかっても妙に物が多い棚のダンボールをどける

891: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 03:14:01.05 ID:FDJOFu4Q0
時雨「……よし、少し手間になるけどやってみるか」

時雨「不知火、吹雪、阿武隈さんも手伝って。この棚の物をどかしてみよう」

吹雪「えっ、この棚の物を全部?」

時雨「うん。とにかく棚の奥の壁が見えるようになるまで物をどかすんだ。不知火は棚の下をお願い」

不知火「わかりました」ガサガサ

阿武隈「どかすっていっても、置き場所が……」

時雨「とりあえず床に置けるだけ置いて。それでも溢れるようなら物の上に積み重ねていこう」

不知火「どうせもう使わない物ですし、多少乱暴に扱っても誰も文句は言わないでしょう」ガシャン

吹雪「たしかにそうだけど……」ドサッ

阿武隈「げほっ、げほげほ……埃が……うえぇ」ドサッ

892: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 03:40:29.39 ID:FDJOFu4Q0
時雨「……もう少しで壁に手が届く。不知火、そこの箱をどけてくれる?」

不知火「これですね」ドサッ

時雨「よし……。これで壁までいけそうだ……」ドンドン

時雨「……! この壁……それにこの音……まさか」ドンドンドン

阿武隈「時雨ちゃん、なにかわかったの?」

時雨「……やっぱりそうだ。ってことはどこかに」キョロキョロ

時雨「みんな、棚の下の方にある箱を全部どかして」ガサガサ

吹雪「下の方は段ボールだらけだ……。阿武隈さん、この箱をそっちにお願いします」

阿武隈「だんだん置ききれなくなってきた……」ドサッ

不知火「この箱をどかせば……」ドサッ

不知火「……! 時雨さん!」

時雨「……やっぱり。そういう事だったのか」

吹雪「これって……壁に穴が開いてる」

時雨「おそらくここが『秘密基地』の入り口だよ」

893: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 03:56:41.14 ID:FDJOFu4Q0
阿武隈「部屋の壁にこんな穴が開いてるなんて……いったいどうやって」

時雨「いや、この穴は部屋の壁に開けられた物じゃない。というか、ここの壁自体が本物の壁じゃないんだよ」

吹雪「どういうこと?」

時雨「試しにこの壁を叩いてみてよ」

吹雪「……?」ドンドン

吹雪「あれ、この壁……何か音が変……?」ドンドン

時雨「ベニヤ板か何かで出来た偽物の壁だよ。表面も壁紙じゃなくて本物の壁と似た色合いの布が掛けられてるだけだ」

吹雪「あっ! 本当だ!」

時雨「それに叩いた時の音からして、壁の向こうに空間が存在してる」

時雨「この偽物の壁で、本物の壁との間に作った僅かなスペースをカモフラージュしてるんだよ」

894: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 04:05:28.03 ID:FDJOFu4Q0
不知火「こんな手の込んだ仕掛け……よくわかりましたね」

時雨「この物置内の惨状だよ。物置とはいえ、床にまで段ボールが置かれるような状態は不自然だと思わない?」

時雨「他の棚もよく見ると、綺麗に整理されてる部分と乱雑な部分が入り乱れてるでしょ?」

吹雪「そ、そう言われれば……たしかに」

時雨「これはおそらく、本来の物置の奥側にあった物を強引に手前に詰めて、空間を確保したんだ」

時雨「だから物が押し出される形になって並びが乱れ、溢れた分が床に置かれる惨状になったんだよ」

阿武隈「やけに物が多かったのは、そういう事だったのね」

895: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 04:15:30.95 ID:FDJOFu4Q0
時雨「さて、この穴の向こうにいってみようか」

不知火「とはいえこの穴……かなり小さいですね。駆逐艦の背丈でギリギリくらいでしょうか」

時雨「中の空間もそれほど広いとは思えないね……。たぶん2~3人が入れるかどうか、って感じかな」

吹雪「ということは……」チラッ

不知火「……」

時雨「……」

阿武隈「……わかったわ。あたしはここで待ってるよ」シュン

896: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 04:41:35.57 ID:FDJOFu4Q0
時雨「じゃあ僕が先頭で入ってみるよ」

吹雪「時雨ちゃん、気をつけてね」

時雨「うん。四つん這いになって……穴を潜る形になれば……」モゾモゾ

不知火「どうですか、時雨さん?」


時雨「大丈夫。ちょっと窮屈だけど……あと2人くらいは中に入れそうだ」


不知火「次は吹雪さんがどうぞ。不知火は最後に」

吹雪「うん……。うわっ、結構狭いなぁ……」モゾモゾ

不知火「……吹雪さんも入ったようですね。では阿武隈さん、申し訳ありませんが暫しお待ちください」

阿武隈「うん。気をつけてね」

897: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 04:47:40.35 ID:FDJOFu4Q0
-物置内 秘密基地-

不知火「あら……結構物がありますね」

吹雪「小さな机やクッション、毛布まで……この箱は何だろう?」ゴソゴソ

時雨「ここに掛かってるプレートに名前が書いてある……。【卯月】【皐×】【文×】【長月】。これがメンバーって事かな」

不知火「これは……? 雑誌に漫画本……使い古されたボードゲームまで……至れり尽くせりね」

吹雪「あっ、これって……!」

時雨「何かみつけた?」

吹雪「あ、いえ……この箱の中身」

時雨「これ……缶詰だね」

不知火「桃に蜜柑にパイナップル。魚の缶詰に牛缶、ご飯缶に乾パンまで……全部海軍の印が入ってますね。おそらく、艦隊に支給された戦闘糧食かと」

時雨「……銀蠅した品か」

吹雪「こっちに幾つか空の缶詰もある……。銀蠅したのをここでこっそり食べてたみたい」

不知火「我々の艦隊なら神通教艦の特別訓練1週間コースものですね」

時雨「ここに出入りしてた面々はみんな反抗心が強い子ばかりだからね……提督への不満や鬱憤がそうさせてたのかも」

898: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 04:54:37.52 ID:FDJOFu4Q0
不知火「しかし、意外と本格的で驚きました。まさに隠れ家……秘密の場所ですね」

時雨「あんな擬装まで施して……大したものだよ。まあ、悪戯好きの卯月の本領発揮って感じかな」

吹雪「……こういうの、実はちょっと憧れてたんだよね」

時雨「僕も……こういうのは嫌いじゃないかな」

不知火「不知火もです……」

時雨「……っと、しみじみしてる場合じゃないね。ここのどこかに卯月が残した情報があるはずだ」

吹雪「机や箱の中とかが怪しいかな……」

不知火「卯月のことです。意表をついた隠し方をしてても不思議ではないですね」ゴソゴソ

時雨「とにかく、片っ端から調べていこう」

899: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 04:57:06.39 ID:FDJOFu4Q0
吹雪「……うん? なんだろうこれ」ガサッ

不知火「何かありました?」

吹雪「なんか、紙の切れ端みたいなものが……何か書いてあるみたい」

時雨「紙の切れ端……?」

吹雪「うん。これなんだけど」


『いちばんおく みぎに3かい ひだりに5かい みぎにぜんかいまでまわして いちどおす こわれているから××は   』


不知火「なんでしょう……意味はよくわかりませんね」

吹雪「最後のほうは文字が掠れてるし、紙が破れちゃっててわからなくなってるね」

不知火「単なるいたずら書きでしょうか?」

時雨「……」

905: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 15:14:38.38 ID:FDJOFu4Q0
不知火「結局、その紙切れ以外に気になる物はありませんでしたね」

吹雪「ってことは、これが卯月ちゃんが残したっていう情報なのかな?」

時雨「これ……もしかして。だとしたらあの場所……でも、どういう意味なんだろう?」ブツブツ

吹雪「時雨ちゃん?」

時雨「あ、いや……。うん。吹雪の言う通り、おそらくこれが卯月が手に入れたって言う重要な情報なんだと思う」

不知火「これが? しかし内容の意味は全くわかりませんね」

吹雪「うーん……何かのメモみたいだけど。肝心の何かがわからないか」

不知火「回すとか押すとか、それに回数のようなものも書かれていますが……」

時雨「『こわれているから××は』……壊れている、か」

不知火「何かわかりそうですか?」

時雨「いや、今のところはまだなんとも……。一応このメモは回収しておこう」

906: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 15:35:44.31 ID:FDJOFu4Q0


阿武隈「おーい、みんな大丈夫?」


吹雪「あっ、阿武隈さんの声。そろそろ戻りませんか?」

時雨「そうだね。これ以上調べる所は無さそうだし」

不知火「では今度は不知火から先に……」モゾモゾ

吹雪「それにしても、この場所だけ鎮守府の中では全然雰囲気が違うね。なんだか明るくて……とても楽しそうな」

時雨「閉鎖的な環境の中で、ここだけが彼女たちの安らぎの場だったんだろうね」

時雨「さ、次は吹雪の番だ」

吹雪「あ、はい」モゾモゾ

907: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 15:45:41.85 ID:FDJOFu4Q0
時雨「ふぅ……これで全員出られたね」

阿武隈「みんなお疲れ様。何か見つかった?」

吹雪「はい。たぶん卯月ちゃんが残した物だと思うんですけど、これが」

阿武隈「メモ……? 内容もよくわかんないけど……これが手掛かりなの?」

時雨「おそらくね。今のところすぐに役立つって訳じゃなさそうだけど」

不知火「阿武隈さんは待っている間に何か変わったことなどは?」

阿武隈「ううん、特になにも。それで……この後はどうする?」

時雨「そうだね。この庁舎内でまだ調べてないところを見ていくのはどうかな」

不知火「執務室にも今なら入れそうですね」



行動安価>>909


909: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 15:51:41.94 ID:nMuXsHaxo
執務室を調べる

910: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 16:14:39.57 ID:FDJOFu4Q0
時雨「じゃあ、執務室にいってみよう」

阿武隈「時雨ちゃんが気になるって場所ね」

時雨「うん。未探索の場所は幾つかあるけど、特に気になる所から優先的に探していきたいね」

吹雪「執務室ってどこにあるのかわかる?」

不知火「執務室は2階です。ここからだとすぐそこの東側階段を上るか、エントランスまでいきそこから中央階段を上るか2通りありますが?」

時雨「そうだね……ここは」



行動安価>>912

1 東側階段からいく
2 中央階段からいく

912: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 16:17:48.53 ID:eQmZIeckO
2

914: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 16:53:19.65 ID:FDJOFu4Q0
時雨「ここは、中央階段のほうからいってみよう。何かあった時に広いところの方が対処しやすい」

不知火「それって……あの化け物のことですか?」

時雨「うん。今あいつは外に出てるけど、どうやってここから出たのか……どうにも不可解なんだ」

吹雪「たしか正面の入り口は、鍵は開いてるのに扉が開かなかったよね?」

時雨「あそこは扉の内側に針金が巻かれてて、強引に固定されてるんだ」

阿武隈「そうだったんだ……。東側はあたしたちが施錠して破られてなかったし、西側は正面へ回る道が塞がってたわね」

時雨「この庁舎の出入口3つ全てが封鎖されてるはずなんだけどね……」

915: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 16:54:41.25 ID:FDJOFu4Q0
不知火「あの、1つ提案があるのですが」

阿武隈「なに? 不知火ちゃん」

不知火「化け物がいつまたここに戻ってくるかわかりません」

不知火「ここは2手に別れ、一方は探索。もう一方は外で周辺を警戒するというのはどうでしょうか?」

阿武隈「なるほどね。あたしと時雨ちゃんは通信機で連絡を取り合えるから、もし化け物が戻って来たらすぐに知らせることが出来るわ」

時雨「いい案かもしれない……。だとすると、僕と阿武隈さんは別チームに別れる形になるね」

阿武隈「ならあたしが外の見張りに就くよ。探索なら時雨ちゃんの方が適役だし」

時雨「わかった。あとは吹雪と不知火だけど……」



行動安価>>917

時雨と共に行動するのは?

1 吹雪
2 不知火

917: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 16:57:59.14 ID:uxOK8MSN0

918: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 17:14:36.90 ID:FDJOFu4Q0
時雨「不知火、僕と一緒に庁舎内の探索に付き合ってくれるかい?」

不知火「はい。お任せください」

吹雪「じゃあ私は阿武隈さんと一緒に」

阿武隈「うん。よろしくね……って、結局元のメンバー同士じゃない」

吹雪「あ、本当ですね」

時雨「あはは。そういう宿縁なのかもしれないね」

919: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 17:23:06.58 ID:FDJOFu4Q0
阿武隈「じゃあ、あたしたちはここから外に出て、建物の東側付近を見張るね」

時雨「僕たちはこのまま執務室に。何かあったら通信で連絡を」

阿武隈「わかったわ。2人とも気をつけてね」

時雨「阿武隈さんと吹雪も。探索が終わったら連絡を入れるよ」

阿武隈「うん。じゃあ吹雪ちゃん、行こう」

吹雪「はいっ!」

時雨「僕たちも2階に行こう、不知火」

不知火「はっ」


920: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 17:43:28.81 ID:FDJOFu4Q0
-1F エントランス-

不知火「この辺りも、前に来たときと特に変わったところはありませんね」

時雨「そうだね……正面の扉も閉まったまま――」

時雨「……あれ?」

不知火「どうかしましたか?」

時雨「扉が少しだけ開いてる……?」

不知火「そういえば、固定されてますが開けたときに僅かな隙間くらいは出来たはずですけど……」

時雨「……!」

時雨「不知火、ライトでこの扉の隙間のところを照らしてくれる?」

不知火「隙間を? わかりました」ピカッ

時雨「隙間のところが濡れてる……この液体って、東側の扉に付いてたのと同じだ……」

不知火「ということは……まさかあの化け物の?」

時雨(どうしてこんなところに……こんな隙間じゃ、とても出入り出来るとは思えないけど……)

921: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 17:44:43.59 ID:FDJOFu4Q0
不知火「あの化け物はここから外に出たのでしょうか?」

時雨「わからないけど……その可能性も否定できないね」

不知火「まさか……こんな隙間からなんて」

時雨「あんな異形の怪物なんだ。もしかしたら、僕たちの想像なんて全く通用しない相手なのかもしれない……」

不知火「……」ゾクッ

時雨「……念のため扉をしっかり閉め直しておこう」ガチャッ

不知火「……どうしますか?」

時雨「そうだね……執務室に急ごう。うかうかはしてられないみたいだ」


922: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 18:41:33.79 ID:FDJOFu4Q0
-2F 執務室前-

時雨「執務室についたね。さて、さっそく寮で見つけたこの鍵で……」カチャ


カチン!


時雨「よし、開いた!」ギィィ

不知火「早速、中を調べてみましょう」

923: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 18:42:30.52 ID:FDJOFu4Q0
-執務室-

不知火「多少埃っぽいですが……ここは比較的綺麗なままですね」

時雨「閉ざされてた訳だし、元々綺麗に掃除されてたんだろうね。正面にある豪華な机が提督の机かな」

不知火「では部屋の右側にある机は、秘書艦の机ですね」

時雨「他には本棚とゴミ箱、枯れてしまった観葉植物があるくらいか。案外殺風景な部屋だね」

不知火「物が少なければ、それだけ探し易くもあります」

時雨「まあ、そうだね。とりあえず気になる所を探してみよう」



行動安価>>925

925: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 18:58:06.40 ID:Cx8FpcDko
提督の机の引き出し

926: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 19:18:45.97 ID:FDJOFu4Q0
時雨「まずは提督の机から調べてみようか」

不知火「そうですね。何かあるとすればここが一番怪しいかと」

時雨「机の上には書類や本が置かれたままになってるね。結構散らかってる……」

不知火「決裁済みの書類と未決の書類などがごちゃ混ぜになってますね。整理整頓も出来ないとは……愚かな司令だったようで」ブツブツ

時雨「……え?」

不知火「時雨さん? 机の上に何かありましたか?」

時雨「あ、いや……そうじゃないんだけど……」

時雨(なんだろう……一瞬何か違和感があったような……?)

928: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 19:34:01.41 ID:FDJOFu4Q0
時雨「……まあいいや。とりあえず今はこの机を調べるのに集中しよう」

時雨「ん? 書類の中に何か埋もれてる……『極秘命令書』?」パラッ


『特×隊 ×× 第××特××務命令』

『深×××の研××査の×、海域で主力×隊が×戦した×、下記の××棲××鹵×も×××撃×し××骸を可能な×り×収す××う命××』

『×母ヲ×(e×××e、fla××hip個×)、戦×ル×(eli××、××××sh×p××)、駆逐後×型(f××gsh×××体)』

『×獲し××体は、フタ×ンマ××ル時までに地×出撃×××より搬×。残×は××室に、生存××いる××は独×に×入す×こと。』

『10×24日 ××艦隊司令××××××』


時雨「……これは」

930: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 19:46:01.70 ID:FDJOFu4Q0
時雨(この命令書……文字の多くが消えてて読みづらいけど。この内容って……)

時雨(まさか……この鎮守府は……)ゾクッ

不知火「時雨さん?」

時雨「っ! あ、ああ……ごめん。何でもないよ」

不知火「そうですか……?」

時雨(まだ確証は持てない……。だけどもし……もしも、この書類に書かれている文が僕の推測の通りなら……)

時雨(一刻も早く、初霜たちを探さないと……)

933: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 19:58:12.99 ID:FDJOFu4Q0
不知火「引き出しの中に何かないですかね……」ガララ

不知火「万年筆にインク……羊皮紙。ん、この箱は……?」ゴソゴソ

不知火「中身は……鍵?」パカッ

時雨「不知火?」

不知火「時雨さん、これを」

時雨「鍵? なんだろう……『変わった形状の鍵』だね」

不知火「何の鍵かわかりますか?」

時雨「長さや形からしてどこかの部屋の鍵だとは思うけど……」ウーン

不知火「一応この鍵は不知火が持っておきますね」

934: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 20:00:45.42 ID:FDJOFu4Q0
不知火「さて、他の引き出しには……特に気になる物は無さそうですね」ガララ

時雨「机の上もこれといった物はないかな」

不知火「では、別のところを探しますか?」

時雨「そうだね」



行動安価>>936

936: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 20:08:33.80 ID:uxOK8MSN0
秘書艦の机

940: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 21:30:32.19 ID:FDJOFu4Q0
不知火「こっちの机は整理されてますね。いや、物が少ないというべきか」

時雨「秘書艦――電が使っていた机か」

不知火「机の上には特に何も無いですね」

時雨「僕は引き出しを見てみるか……」ゴソゴソ

時雨「……あっ、また鍵を見つけたよ」

不知火「これは普通の鍵ですね。おや、何かプレートが付いてます」

時雨「本当だ」チャリ

時雨「! これ『入渠ドックの鍵』だ。プレートに入渠ドックって書かれてる」

不知火「ドックですか……。たしかそこも調べたいとおっしゃられてましたね」

時雨「うん。もしかしたら、ここに鍵があるんじゃないか。って思ってたんだけど……ビンゴだったね」

943: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 21:41:21.21 ID:FDJOFu4Q0
不知火「ドックの鍵以外には何も残されてませんね」

時雨「そうだね。筆記用具類はあるけど、私物類は一切ないか……」

不知火「これで机は全て調べましたが、他に何か気になる所はありますか?」

時雨「……」



行動安価>>945

945: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 21:48:25.46 ID:uxOK8MSN0
本棚

946: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 22:03:22.04 ID:FDJOFu4Q0
時雨「あの本棚も見てみよう」

不知火「そうですね。といっても、あまり興味深い本などは無さそうですが」

時雨「辞書、用兵学の本、日本海軍の歴史書に世界の艦艇図鑑……真面目な本ばかりだね」

不知火「何かありそうですかね?」

時雨「どうだろう……。一応本棚の奥や本の間も確認しておこう」


不知火「この列の棚は全て見終わりました。そちらの方は?」

時雨「こっちも終わったけど、なにも無かったね」



行動安価>>947


947: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 22:05:24.57 ID:uxOK8MSN0
ゴミ箱

950: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 22:17:02.65 ID:FDJOFu4Q0
時雨「あとは……提督の机の横にあるゴミ箱くらいか」

不知火「ゴミ漁りですか……あまり気は進みませんね」

時雨「たしかにね。でも案外こういうところには……」ゴソゴソ

時雨「おっと、やっぱり。何か入ってるよ」ガサッ

不知火「破られた新聞ですね。『青葉新聞2014年2月号』……寮で見た物です」

時雨「まだ何か入ってる……こっちのは、くしゃくしゃになってるけど命令書みたいだ」ペラッ


『以下に××て至急報××よ』

『1.××の死××裏×××確た×証××提出』

『2.×将が行っ×××と思×××研×の×××果の続報』

『3.×記2に×する××××及び情×の抹×は××か?』

『4.前回の報×で未だ××見とされ×いた××××施設×発×××たか?』

『以上4点に×いて、×××××を回答期×と×至急×告せよ』

『20×4年1月××日 大×× ××××り』


951: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 22:25:42.66 ID:FDJOFu4Q0
時雨「見たところ何かの催促のようだけど……これは」

不知火「こんな書類がなぜゴミ箱に? 通常なら軍機密書類として規定の処分方法で破棄されるはずですが」

時雨「たしかにその通りだね。それにこんな書類を捨てているのも妙だ……」

不知火「しかし、これは初霜さんたちを探す手掛かりにはならなさそうですね」

時雨「……うん」

952: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 22:30:01.37 ID:FDJOFu4Q0
不知火「これで執務室はだいたい調べ終わりましたかね」

時雨「そうだね。入渠ドックの鍵も手に入れたし、目的は果たせたかな」

不知火「では、阿武隈さんたちに連絡を入れて合流しますか?」

時雨「……」



行動安価>>954

1 阿武隈たちと合流する
2 まだ執務室を探す(場所を指定)
3 本庁舎の他の場所を探す(場所を指定)

954: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 22:32:47.63 ID:uxOK8MSN0
2 観葉植物

956: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 22:48:15.18 ID:FDJOFu4Q0
時雨「そういえば、あの観葉植物は調べてなかったね」

不知火「あの枯れたやつですか?」

時雨「うん……。完全に枯れちゃってるけど、これはシュガーバインかな?」

不知火「蔓性の観葉植物ですね。ここが廃墟になって誰も水をあげる人が居なくなったから枯れたのでしょう」

時雨「……それにしては枯れ方が少しおかしいような?」

不知火「おかしいとは?」

時雨「いや……水が与えられなくなって枯れたのなら、徐々に枯れていくはずなんだ」

時雨「でもこれは比較的葉や蔓が残ったまま枯れてる……それがちょっと気になったんだ」

不知火「うーん……不知火にはちょっと解りかねますね……」

時雨「あはは、ごめん。まあ……僕の考えすぎかもしれないから気にしないで」



行動安価>>958

1 阿武隈たちと合流する
2 まだ執務室を探す(場所を指定)
3 本庁舎の他の場所を探す(場所を指定)

958: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 22:52:12.56 ID:uxOK8MSN0
現在の所持アイテム教えてください

960: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 23:00:12.58 ID:FDJOFu4Q0
所持アイテム
・変わった形状の鍵
・入渠ドックの鍵
・暗号メモ(卯月のメモ)

・寮部屋のマスターキー
・本庁舎東側出入口の鍵

その他使用済みの鍵などは除きます

再安価>>961

961: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 23:02:28.50 ID:uxOK8MSN0
提督の私室

963: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 23:09:25.69 ID:FDJOFu4Q0
時雨「さて、そろそろここの探索は切り上げようか」

不知火「では阿武隈さんたちに連絡を――」

時雨「あ、その前に1か所寄っておきたいところがあるんだけど」

不知火「寄り道ですか?」

時雨「うん。ちょうど2階にいるし、ちょっと提督の私室に行ってみたいんだ」

不知火「あの部屋は既に調べ終えたはずでは?」

時雨「うん。だけどもう一度調べておきたくてね。阿武隈さんたちにはそこを見た後に連絡しよう」


964: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 23:14:24.29 ID:FDJOFu4Q0
-提督の私室-

時雨「さっきまであの化け物に襲われてた所だから、少し緊張するね……」

不知火「こうして見ると扉は壊される寸前ですね。吹雪さんたちが間に合ってくれてよかった……」

時雨「そうだね。2人には本当に命を救われたよ」

不知火「それで、再びここにきて調べたい事とは?」

時雨「えっとね……」



自由安価>>966


965: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 23:16:53.96 ID:uxOK8MSN0
変わった形状の鍵で金庫を開けてみる

968: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 23:26:01.20 ID:FDJOFu4Q0
時雨「執務室でみつけた『変わった形状の鍵』持ってるよね?」

不知火「はい。これが何か?」

時雨「ここで不知火が見つけた鍵の掛かった金庫。それをその鍵で開けられないかと思ってね」

不知火「なるほど。たしかにこの鍵なら……」

時雨「さっそく試してみてよ」

不知火「わかりました」

不知火「金庫は……これですね」カチャカチャ

不知火「……駄目です。鍵穴が合いませんね」

時雨「金庫の鍵じゃなかったか……」ウムム

不知火「やはりこの鍵は、どこかの部屋の鍵なんですかね?」



行動安価>>970


970: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 23:27:50.69 ID:iY7vaqEA0
合流

972: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 23:40:12.81 ID:FDJOFu4Q0
時雨「ごめん。当てが外れちゃったみたいだ……」

不知火「そんなこともありますよ。お気になさらず」

時雨「ありがとう。じゃあ、そろそろ阿武隈さんたちと連絡を取って合流しよう」

不知火「そうですね」

時雨「もしもし、阿武隈さん。聞こえる?」

《ザザッ――時雨ちゃん。探索が終わったの?》

時雨「うん。無事に探してた物は見つかったよ」

《よかった。こっちは特に異常ないよ。あの怪物も近くには寄ってきてないみたい》

時雨「わかった。じゃあ一度合流しよう。東側出入口のところで落ち合うって事でどうかな?」

《いいと思う。あたしたちはそこのすぐ近くにいるから、時雨ちゃんたちが出てくるまで引き続き見張ってるよ》

時雨「了解。すぐそっちに向かうよ」ザザッ

時雨「よし、じゃあいこうか不知火」

不知火「はい」


973: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/24(土) 23:48:26.20 ID:FDJOFu4Q0
-本庁舎 東側出入口-

時雨「さて……阿武隈さんは」キョロキョロ


阿武隈「時雨ちゃん、こっちよ」


不知火「あそこです」

時雨「茂みのところか。僕たちもあそこに行こう」タッタッ

阿武隈「時雨ちゃん、不知火ちゃんもお疲れ様」

時雨「阿武隈さんたちこそ。何事もなくてよかった」

吹雪「一応化け物が来た時に備えて身構えてたんだけど……杞憂に終わってよかったよ」

阿武隈「それで、見つかった物って?」

時雨「これだよ、入渠ドックの鍵」

吹雪「やっぱり本庁舎の中にあったんだね」

時雨「うん。これで次は『入渠ドック』も探索することが出来そうだ」

974: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/25(日) 00:07:42.60 ID:W/XNXAhY0
阿武隈「それで、肝心の地下への入り口のことだけど……何かわかった?」

時雨「うん……。大きな手掛かりと言える物はなかったけど」

吹雪「けど?」

時雨「僕の推測が正しければ……おそらく地下への入り口は『入渠ドック』のどこかにあるはずだ」

吹雪「入渠ドックに?」

不知火「どういうことです?」

時雨「入渠ドックの幽霊だよ」

975: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/25(日) 00:20:57.22 ID:W/XNXAhY0
阿武隈「えっ……」

吹雪「幽霊って、あの噂話がどう関係してるの?」

時雨「さっき寮で話したよね? 噂話の基になった卯月の目撃証言。僕はこれが地下への入り口に繋がってるんじゃないかって疑ってるんだ」

不知火「あの証言が……?」

時雨「うん。もう一度卯月の証言を思い出してみて。卯月は夜、施錠されているはずの入渠ドックに入っていく人影を目撃した」

吹雪「たしかそれで――気になった卯月ちゃんも後を追ってドックに入ったけど、人影はどこにもなく。忽然と消えてしまった――って話だよね?」

時雨「そう。もしこの証言が全て正しくて、言葉通りの事が起こっていたとしたら……?」

吹雪「えっ? 言葉通りの事って……」

阿武隈「……! 時雨ちゃん、まさか」

不知火「……?」

時雨「その答えをはっきりさせる為にも、一度『入渠ドック』を調べてみよう」

976: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/25(日) 00:22:08.68 ID:W/XNXAhY0
阿武隈「じゃあ、すぐに入渠ドックに行ってみようよ!」

吹雪「あ……でも、今港湾の方にはあの怪物が居るんじゃ」

不知火「っ! 間が悪いですね……」

時雨「リスクはあるけど、だからといって恐れてるばかりじゃ何も始まらない」

時雨「それにいざ鉢合わせしたとしても、アイツはそこまで動きが俊敏じゃない。不意を突かれたりしなければ十分に逃げることも出来るよ」

阿武隈「時雨ちゃんの言う通りね。4人で周囲を警戒しつつ慎重に進んで行けば、きっと大丈夫だよ」

吹雪「そうですね……うん、わかりました。いきましょう!」

時雨「じゃあ、入渠ドックにいくかい?」

不知火「その前に皆さん。この辺りで他に行っておきたい場所などはありますか? あれば今の内に見ておいたほうがよろしいかと」

阿武隈「うーん……補給はバッチリだし、あたし的には特にないかな」

吹雪「私も……ありませんね」

不知火「時雨さんは?」

時雨「そうだね……」



行動安価>>978

1 入渠ドックにいく
2 他に気になる場所にいく(場所を指定)

※この選択肢は1回のみです。2が選ばれて進行に影響がなかった場合は自動的に入渠ドックに向かいます。

971: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/24(土) 23:28:33.22 ID:uxOK8MSN0
2階にある施錠されてた謎の部屋(3つあったっけ?)
に変わった形状の鍵を試してみる

979: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/25(日) 00:37:12.90 ID:W/XNXAhY0
時雨「そういえば不知火。本庁舎の所々に名称の無い部屋があったよね?」

不知火「名称の無い……? ああ、確かにありましたね」

時雨「その部屋にこの変わった形状の鍵を使えないか、試してみようと思ってたのを忘れてたんだ」

阿武隈「えっ、また本庁舎内に戻るの?」

吹雪「でも、もしかしたらそこに何か重要な物があるかも……」

不知火「どうせですし、いってみましょう」

時雨「うん」


980: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/25(日) 00:45:34.70 ID:W/XNXAhY0
-本庁舎東館2F 名称の無い部屋前-

時雨「ここだ……名前の無い部屋は」

吹雪「隣は会議室みたいだね。ここも何かそういう部屋なのかな?」

時雨「不知火、あの鍵を使ってみて」

不知火「わかりました」カチャカチャ

不知火「……合いませんね」

阿武隈「えぇっ……」

吹雪「そんなぁ」

時雨「……」

不知火「鍵穴と鍵の形からして、この鍵は庁舎の部屋の鍵とは考えにくいですね……おそらく別の施設の部屋の鍵かと」

阿武隈「無駄足だったかぁ」

時雨「……ごめん」

981: ◆Paxl0Q5Mlk 2016/12/25(日) 00:57:19.45 ID:W/XNXAhY0
阿武隈「それじゃあ、入渠ドックにいってみましょう」

吹雪「そうですね。初霜ちゃんたちの状況も心配です」

阿武隈「ここからだと……東側から出て、そのまま港湾の方に行けば入渠ドックに行けるわ」

不知火「不知火と時雨さんは港湾方面は知りませんので、お2人に案内をお願いしても?」

阿武隈「うん、わかった。出来るだけあの化け物に出くわさない道を選んでみるよ」

時雨「じゃあいってみよう、入渠ドックへ」





廃墟と化した鎮守府の秘密】に続く