1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:52:30.25 ID:arg4gHM30
恒一「はい、2万円……」

小椋「確かに受け取ったわ」

恒一「これで今月も……」

小椋「分かってる。でも皆の前では話しかけないで」

恒一「……うん」

引用元: 小椋「榊原くん、今月のお友達料払ってよ」 



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3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:54:21.34 ID:arg4gHM30
小椋「ところで次の日曜日、暇?」

恒一「え? 暇だけど……」

小椋「だよね。一緒に出かける友達もいなさそうだし」

恒一「酷い言われようだ……」

小椋「まあいっか。じゃあ日曜日、ちょっと付き合ってくれない?」

恒一「……買い物か何か?」

小椋「なんでもいいじゃない。勘繰るなら追加料金貰うから。断っても貰うけど」

恒一「えぇぇ……わ、分かったよ。行けばいいんだろ、行けばさ」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 23:56:33.46 ID:arg4gHM30
――――
――


恒一「……と、毎月お金を払ってこき使われるという、奴隷のような日々を送ってるんだけど……」

鳴「ひどい」

勅使河原「ああ、小椋のヤツ人間じゃねぇ! そんな女だとは思わなかったぜ……」

望月「月に2万も……お金はどうやって用意してるの?」

恒一「バイトでなんとかね。学校じゃ禁止されてるけどさ」

望月「ダメだよ、そんなの……そのバイト代もそんなに多くないんでしょ?」

恒一「まあ……4万くらいかな」

勅使河原「半分も持ってかれてるじゃねーか!」

恒一「あ、でも最初の月は『入会特典で無料』みたいな感じでタダにしてもらって……」

勅使河原「『もらって』じゃないだろ! なにしっかり飼い慣らされてんだよ!」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:00:26.06 ID:0rdUlvF/0
勅使河原「サカキ……友達料なんて無くても、今は俺達って友達がいるだろ? もう払うことないんだぜ」

鳴「そうね」

恒一「……でも、実はそう簡単な話じゃなくて」

勅使河原「あん?」

恒一「今日3人に相談に乗ってもらってるのはさ。実は、ここからが本題なんだけど」



恒一「僕が小椋さんを好きになってしまった場合は、どうすればいいんだろう」



勅使河原「えっ」

望月「えっ」

鳴「」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:03:41.04 ID:0rdUlvF/0
鳴「うそ……」

恒一「いや、本当なんだ」

勅使河原「……サカキ。お前、大量に金を貢がされた上に、好きになったって……」

望月「ドM?」

恒一「……そうかもしれない。好きな人との関係を壊したくなくて、やめたいなんて言えない……」

鳴「うそ、うそだ……」フラフラ

勅使河原「おい、見崎の精神状態がやべえ。屋上から飛び降りそうだぞ」

望月「そんなことより、どうして小椋さんを好きになったの?」

恒一「……どうしてだろう」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:06:23.02 ID:0rdUlvF/0
恒一「……結構最初から、かも」

望月「最初、っていうと」

恒一「転校してきたばかりの頃だよ。あの頃は、どうしても周りの空気に馴染めなくてさ」

勅使河原「まあ……そこは、俺達にも責任があるかもな……」

恒一「そこで小椋さんに『お友達料を払えば友達になってあげる』って言われて」

望月「なるほど。人の弱みにつけ込むのがうまいね、小椋さん」

鳴「その手があったか」

恒一「何度か話したり、一緒に出かけたりするうちに、気がついたら好きになってた」

望月「そっか……」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:09:32.46 ID:0rdUlvF/0
勅使河原「でもよ。それも小椋の策略じゃねぇか?」

恒一「え?」

勅使河原「きっとそうやって小椋から離れられなくして、これからも貢がせるつもりなんだよ!」

望月「……残念だけど、その可能性は否定できないね」

恒一「でも……」

望月「言いたいことは分かるよ。好きになった弱みもあるだろうし」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:12:02.15 ID:0rdUlvF/0
勅使河原「そうだ! サカキが小椋を嫌いになればいいんじゃねーか!?」

望月「それができないから榊原くんは困ってるんだよ……」

恒一「…………」

望月「……とりあえず、どの程度酷くこき使われてるのか知りたいよね」

鳴「うん」コクコク

恒一「どの程度、って」

望月「さっきの話の続きしてみてよ。日曜日に出かけた話」

恒一「ああ……あれの続きっていうと……」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:14:40.51 ID:0rdUlvF/0
――
――――


小椋「……遅い」

恒一「ごめん……」

小椋「日が照り付けるこの暑い中、30分も女を待たせるなんて最低だと思わないの?」

恒一「そ、そうなんだけど。待ち合わせの30分前に来たら、まさか倍も早く来てるとは……」

小椋「……ふぅん、言い訳するんだ」

恒一「お、遅れました! ごめんなさい!」

小椋「はぁ……」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:16:48.73 ID:0rdUlvF/0
小椋「次から気を付けてよね。はい」サッ

恒一「……え? な、なにこれ」

小椋「缶ジュース。東京は缶ジュースも売ってないド田舎なの?」

恒一「いや、そういうことじゃ……あ、ありがとう。汗だくだから助かるよ」

小椋「そう。飲むならさっさと飲んでね、時間もったいないから」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:20:20.28 ID:0rdUlvF/0
恒一「……どこに行くのかと思ったら、デパートか」

小椋「買いたい物があるの」

恒一「へぇ、なに買うの?」

小椋「言う必要ある?」

恒一「嫌なら言わなくていいよ」

小椋「…………下着」

恒一「えっ」

小椋「ランジェリーよ。ブラとパンツ」

恒一「……ご、ごめん」

小椋「榊原くんって、女に恥ずかしい言葉を言わせないと満足できない人?」

恒一「ごめんって……」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:23:21.28 ID:0rdUlvF/0
小椋「これどう?」

恒一「い、いいんじゃない?」フイッ

小椋「こっちは?」

恒一「似合ってると思うよ」フイッ

小椋「どこ見て言ってるの。ちゃんと見てよ」

恒一「無理、無理だって!」

小椋「これを着けてる私を想像して、どう思うかを言えばいいだけでしょ」

恒一「まず想像するのがハードル高いんだよ……」

小椋「ちょっと、それどういう意味? このブラは私の貧相な胸じゃみっともないってこと?」

恒一「そ、そんなこと思ってないって!」

小椋「……言っておくけど、これはさっきの罰。ちゃんと見て判断するまで許さない」

恒一「ええぇ……」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:29:46.62 ID:0rdUlvF/0
恒一「お、終わった……ついに災厄を乗り越えた……」

小椋「バカなこと言ってないで早く行くわよ」

恒一「…………」

小椋「もう午後だし、どこかでお昼にしたいわね」

恒一「そうだね。お腹も減ったし」

小椋「別に私は減ってないけど、一応お腹に何か入れて」

恒一「ファミレスでいい?」

小椋「……うん」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:33:26.92 ID:0rdUlvF/0
ファミレス――


小椋「榊原くん、奥に座って」

恒一「うん……うん?」

小椋「よっと」 ポフッ

恒一「小椋さん……ここ、テーブル席だよ」

小椋「見れば分かるけど」

恒一「……なんで横に座るの? 普通、対面じゃない?」

小椋「そう?」

恒一「しかも、腕が当たるくらいくっつく必要ある?」

小椋「でもこの方が一緒にメニュー選んだり、待ち時間に写メの見せ合いっことかできるじゃない」

恒一「ああ……そうか、それもそうだね」

小椋「でしょ。いいから早くメニュー取ってよ」

恒一「はいはい」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:37:01.14 ID:0rdUlvF/0
食事中。。

小椋「榊原くんのハンバーグ、おいしそうね」モグモグ

恒一「うん、おいしい」モグモグ

小椋「私のキャベツと交換しない?」

恒一「ハンバーグ定食のハンバーグと、エビフライ定食のキャベツを交換……厳しいなぁ」

小椋「全部欲しいなんて言ってないじゃない。一口だけでいいから」

恒一「ああ、そういうこと……はい、あーん」サッ

小椋「あーん」パクッ

恒一「どう?」

小椋「おいしい」モグモグ

恒一「良かった。もう一口いる?」サッ

小椋「あーん」パクッ

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:41:51.58 ID:0rdUlvF/0
小椋「はい、エビフライ」サッ

恒一「……いいの?」

小椋「さすがにキャベツと交換させるほど鬼じゃないし。はい、あーん」

恒一「あーん……」

パクッ

恒一「!? 熱っっつぅぅぅぅぅ!?」

小椋「あははっ、ばーか」

恒一「み、水水水!!」ゴクゴク...

小椋「口を付けたらやたら熱かったから、ちょっと冷ましてから食べようと思って」

恒一「はぁ、はぁ……」

小椋「あははっ! おいしかった?」

恒一「味なんか分からなかったよ……」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:45:14.05 ID:0rdUlvF/0
30分後――


恒一「なんだかんだでお腹は膨れたね。でも、小椋さんにお金払ってもらっちゃって……」

小椋「いいの。夕食代も私が出すから」

恒一「いや、それは悪いって!」

小椋「どうせ、私のお金じゃないし」

恒一「え?」

小椋「……なんでもない。午後は映画に行こう」

恒一「映画って……この間も行かなかった?」

小椋「あれはアクション物だったけど、今日は恋愛物なの」

恒一「恋愛物かぁ。あまり観たことないかも」

小椋「途中で寝たら殴るからね」

恒一「寝ないって……」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:48:49.15 ID:0rdUlvF/0
上映後――


小椋「ヒック、グスッ……」

恒一「だ、大丈夫? はい、ハンカチ」

小椋「グズ……」ゴシゴシ

恒一「……でも、確かにいい映画だったよ。僕もウルッと来ちゃった」

小椋「でしょう……グス」

恒一「意外と涙もろいんだね」

小椋「おっ、大きなお世話よ……」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:51:55.78 ID:0rdUlvF/0
小椋「それより、ハンカチ……」

恒一「ああ、グシャグシャになっちゃったね。洗えばいいから気にしないで」

小椋「…………イヤ」

恒一「え?」

小椋「榊原くんに借りを作ったままっていうのがイヤ」

恒一「ええ!?」

小椋「……あ、そうだ。そのハンカチもダッサいし、私が新しいハンカチ買ってあげるわ」

恒一「い、いいよ! そんなの悪いって!」

小椋「あっそう。友達やめてもいいんだけど?」

恒一「そ……それは卑怯だろ……」

小椋「うーるーさーい。ほら、行くわよっ」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 00:57:18.38 ID:0rdUlvF/0
――――
――


恒一「って感じかな。あとは公園で散歩とかして、レストランで夕食食べて帰ってきたよ」

勅使河原「………………」

望月「………………」

鳴「死にたい」

恒一「え?」

勅使河原「……それって、あれだろ。デートだろ」

恒一「そんなわけないだろ。小椋さんは多分、僕のことを金ヅルくらいにしか……」

望月「いや……僕も勅使河原に同意するよ」

恒一「えぇ!?」

望月「どう考えても小椋さんは……というか、何で榊原くんがそれに気付かないのか不思議だよ」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:02:37.86 ID:0rdUlvF/0
望月「昼食代、夕食代、映画の料金、買い物代。あとはジュース代に、交通費も入るかな」

勅使河原「……いきなり何の話だ?」

望月「なんかさ。小椋さんが払ったお金って、合計したら2万円くらいになりそうじゃない?」

恒一「……どういうこと?」

望月「ああもう。だからね……小椋さんは君から貰った2万円を、そのまま君とのデート代に使ってるんだよ」

恒一「えっ……」

鳴「どうしてこんなことに……」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:08:41.01 ID:0rdUlvF/0
望月「榊原くん。バイトの給料額、小椋さんに言ったことある?」

恒一「あ、ある。というか、4万って言ったら『じゃあ半分の2万ね』って言われたんだ」

勅使河原「……あ、そういうことかよ」

望月「うん」

恒一「??」

望月「夫婦に例えると、旦那の稼ぎの半分は嫁の分で、そのお金を好きなことに使ってるだけだね……」

勅使河原「だよな。嫁にとって好きなことってのは、旦那とのデート……あれ、なんかすげーいい女に思えてきた」

望月「方法に問題があるから凄く良いってわけでもないけどね……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:12:33.21 ID:0rdUlvF/0
恒一「小椋さんはいい女に決まってるだろ!」バンッ

勅使河原「わ、わかったわかった!」

鳴「そうだ。榊原くんを殺して私も死のう」

勅使河原「うわぁぁぁ、早まるな見崎!」

望月「これでデートが月1回で、毎回同じような流れだったら確定だよ。彼女も楽しんでるんだ」

恒一「デートかは分からないけど、一緒に出かけるのは月1回で、だいたい毎回映画や買い物かな」

望月「あ、そう……もう付き合えばいいのに……」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:16:39.71 ID:0rdUlvF/0
恒一「……でも、だからって小椋さんが僕のことを好きなんて……」

望月「じゃあ、確かめてみる?」

恒一「えっ……」

勅使河原「確かめるって……そんな方法あんのかよ?」

望月「うん。恒一くんが『ある言葉』を小椋さんに言って、彼女が必死になったら確実だよ」

恒一「ある言葉って?」

鳴「『お前を殺す』」

勅使河原「荒んでるな、見崎……」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:19:57.91 ID:0rdUlvF/0
放課後――


恒一「小椋さん」

小椋「……なに? 用事なら手短にお願い。話してるとこ、人に見られたくないし」



恒一「『もう、やめにしよう』」



小椋「…………え?」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:24:01.92 ID:0rdUlvF/0
恒一「それじゃ。数ヶ月だったけど、小椋さんが友達になってくれて――」

小椋「……ちょ、ちょちょっと待って! 待ってよ!」

恒一「?」

小椋「ええぇ、えっえっ? なに、やっ、やめにするって何!? もしかしてお友達料のこと!? ねぇ、ねぇ!?」

恒一「う、うん。やっぱりこういうのはよくないから」

小椋「だ……ダメ! そんなの絶対ダメ!!」

恒一「…………」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:30:39.28 ID:0rdUlvF/0
小椋「榊原くんはお友達料払わないとダメなの! ずっとあたしのお友達でいないとダメ!!
   なんで!? 何か足りないところあった!? お友達料高かった!? デートが平凡だった!?
   じゃあお金なんていらないし! デートも工夫するから! 可愛くなかったらもっと綺麗になる!
   榊原くんが望むならクラスの男とも話さない! お弁当も作るし掃除もするよ!?
   だから行かないで! あたしと一緒にいて! 榊原くんと一緒にいたいの!! 離れたくないの!!」


恒一(……え。なにこれ……)

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:37:10.81 ID:0rdUlvF/0
恒一「う、うそだよ」

小椋「え…………」

恒一「ちょっとした冗談。ずっと友達でいてくれた小椋さんと離れるなんて言わないよ」

小椋「……そ、そう……悪い夢かと思った……」ホッ

恒一「あぁ、でもお友達料はそろそろ勘弁して欲しいんだ」

小椋「も、もうそんなのいらない! あたしは……」



恒一「こっ……恋人料なら喜んで払わせてもらうけど……」

小椋「……えっ……」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 01:42:13.33 ID:0rdUlvF/0
恒一「……あ、だめだこれ恥ずかしい……///」

小椋「さ……榊原くん。それって」

恒一「う、受け入れてくれるなら、恒一って呼んで欲しいんだけど……」

小椋「…………こっ、こういち、くん///」

恒一「うわ……なんか、むずがゆい///」

小椋「じ、自分で言わせて何言ってるのよぉ……///」

キャッキャ ウフフ...


勅使河原「おめでとう、サカキ」

望月「おめでとう、小椋さん」

鳴「……世界が滅びればいいのに」


終わり。