1: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:24:43.16 ID:b6C5Mzuy0
芳乃「朋殿ー」

朋「どしたの、芳乃ちゃん?」

芳乃「本日のお仕事でこちらのおせんべいをいただいたのですがー」

芳乃「とても美味しかったのでー、おすそ分けをー」

朋「わっ、ありがとう!」

芳乃「ふふー」

芳乃「ではー、こちらをー」

芳乃「あーん」

朋「……へ?」

芳乃「……食べないのでしてー?」

朋「いや、もらうけど……そんな、あーんってしなくても」

芳乃「こうすれば人は喜ぶと聞いたのですがー……」

朋「いや、まあ確かに喜ぶ人は喜ぶだろうけど……」

芳乃「でしょー?」

芳乃「であればー、あーん」

朋「……これ一口で食べきれないと思うんだけど」

芳乃「かじればよいのではー?」

朋「まあ、そっか……」

芳乃「あーん」

朋「……あーん」

朋「……あ、美味しい」

芳乃「でしょー?」

芳乃「おかわりが欲しければいってくださいませー」

朋「じゃあ、ちょうだい!」

芳乃「ではー、あーん」

朋「あーん」

朋「ん~♪」

芳乃「ふふー、喜んでいただけてわたくしも幸せでしてー」

朋「……でも、わざわざあーんじゃなくて普通に渡してくれればいいのに?」

芳乃「こちらのほうが喜ぶのでしょー?」

朋「うーん……」

芳乃「おかわりはいかがー?」

朋「……ま、いっか。ちょうだい!」

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引用元: 芳乃「朋殿ー」朋「どしたの、芳乃ちゃん?」 



THE IDOLM@STER CINDERELLA MATER 恋が咲く季節
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2: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:26:06.85 ID:b6C5Mzuy0
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芳乃「朋殿ー」

朋「どしたの、芳乃ちゃん?」

芳乃「こちらをー?」

朋「……石?」

芳乃「うむー」

芳乃「先日、ここで、テレビを見てたでしょー?」

芳乃「パワースポットのー」

朋「あ、うん」

芳乃「あの時に、行きたいなーって言ってたでしょー?」

朋「そうね……すっごいパワーもらえそうだったし」

朋「……ただ、最近忙しくってね……あんまり時間がなくってまだ行けてないの」

朋「場所もちょっと遠いしねー」

芳乃「うむー……先日もそう行ってましたねー」

芳乃「ゆえに、わたくしが変わりにとー」

朋「……へ?」

芳乃「この石はー、あちらにありました石でありましてー」

芳乃「土地の力をたくさん吸っておりますのでー、ご利益もたっぷりとー……」

朋「えっ、え……芳乃ちゃんが取ってきてくれたの!?」

芳乃「うむー。そなたのためにー」

朋「わぁ……ありがとう!」ギュッ

芳乃「ひゃっ」

朋「本当に嬉しいわ、芳乃ちゃん!」ギューッ

朋「大切にするわね、ふふっ!」

芳乃「……喜んでいただけて何よりでしてー、えへー」

3: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:26:35.03 ID:b6C5Mzuy0
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芳乃「朋殿ー」

朋「どしたの、芳乃ちゃん?」

芳乃「手を握ってもー?」

朋「あ、うん。良いよ」

芳乃「ありがとうございますー」

芳乃「……そなたの手は暖かいですねー」

朋「そう?」

芳乃「はいー……冷気で冷えたこの手に温もりが満ちてきましてー」

朋「そっか……」

朋「……ね、芳乃ちゃん。ちょっとお参りしてみて?」

芳乃「お参り?」

芳乃「ここいらに神のおわす場所はー……」

朋「あ、ごめん。言い方が悪かったわね」

朋「一回手を合わせて欲しいのよ」

芳乃「手を……こうでしてー?」パン

朋「そうそう。ちょっと、そのままでいてね」

芳乃「ふむー……?」

朋「で、その小さな手をあたしの手で……ぎゅっ!」

芳乃「ひゃっ」

朋「ふふっ、すっかり包み込んじゃった!」

芳乃「おー……」

朋「どう? あったかい?」

芳乃「うむー……朋殿の温もりがー……はー……」

芳乃「暖かいのでしてー」

朋「よかった!」

朋「それっ、ぎゅーっ!」

芳乃「ほー……」

4: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:27:35.81 ID:b6C5Mzuy0
朋「……っと!」

朋「このくらいでどう?」

芳乃「ほー……」

芳乃「とても暖かいのでしてー……」

朋「そっか」

芳乃「頬に当ててもー……ぽかぽかー……」

芳乃「はー……」

芳乃「……」

芳乃「……冷えてきまして」

朋「……あら」

芳乃「むー……冷たいところに触れすぎましてー」

朋「ふふっ。じゃあ芳乃ちゃん。もっかいお祈りしてみて?」

芳乃「うむー……」パン

朋「それ、ぎゅーっ!」

芳乃「はー……あったまるのでしてー」

朋「……最近ほんとに寒いからね」

朋「今度、手袋買ってあげるわ」

芳乃「ありがとうございましてー……はー」

朋「とりあえずそれまではあたしの手で我慢してね……ぎゅーっ!」


………………

…………

……


朋「……あたしの手も冷えちゃった」

芳乃「そなたの熱をもらいすぎましてー……」

朋「ふふ、はやく事務所に行こっか!」

芳乃「うむー」

5: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:28:08.50 ID:b6C5Mzuy0
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芳乃「朋殿ー」

朋「どしたの、芳乃ちゃん?」

芳乃「こちらへー」ポンポン

朋「……?」

芳乃「こちらへおいでませー」ポンポン

朋「えっと……」

芳乃「みなまで言わないとわからないのでしてー?」

朋「あはは……ごめん」

芳乃「むー……仕方のない人でしてー」

芳乃「膝枕をするのでー、こちらへどうぞー」

朋「膝枕……あたしを?」

芳乃「他に誰がー?」

朋「いや、でも……な、なんで急に?」

芳乃「やってみたかったからでしてー」

朋「わぁ、単純……」

芳乃「さぁ、こちらへー」

朋「……まあ、芳乃ちゃんのお願いなら……わかったわ」

芳乃「ふふー」

6: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:28:46.75 ID:b6C5Mzuy0
朋「じゃあ……えっと……お、お邪魔します?」

芳乃「お邪魔ではありませぬー」

朋「……」

芳乃「おー……朋殿を感じるのでしてー」

朋「へ、変なこと言うのやめてよ」

芳乃「ふふー……」

芳乃「……」ナデナデ

朋「きゃっ!」

朋「な、何……!?」

芳乃「少し撫でたくなりましたゆえー」

芳乃「嫌でしてー?」

朋「嫌……ってわけじゃないけれど」

芳乃「ふふ……ではー」ナデナデ

朋「もー……」

芳乃「……」ナデナデ

朋「……」

芳乃「ねぇ、朋殿ー」

朋「ん、何?」

芳乃「たまにはゆっくり休んでもいいのでしてー」

朋「……」

7: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:29:37.57 ID:b6C5Mzuy0
芳乃「最近の朋殿はー、少しがんばりすぎでしてー」

芳乃「たくさん練習し、力をつけることは良いことではありますがー」

芳乃「それで体を壊すのは本末転倒でしてー」

朋「……ん。そうよね……わかってるわ」

朋「でも、ね。もう失敗したくなくって」

朋「だから、たくさん練習しなきゃ……もう失敗しないようにしなくちゃ、って思っちゃうのよ」

芳乃「うむー。その気持ちはわかりますー」

芳乃「そして、そなたがそういう人であることも、わたくしは知っておりますー」

芳乃「で、あるからこそー。そなたが自身で止められないのならばー」

芳乃「わたくしが、そなたを止めて見せましょー」

芳乃「あのおまじないのように、ねー?」

朋「……実は、これってそのため?」

芳乃「うむー」

芳乃「そなたに、すべてを忘れ休んでいただきたくー」

朋「……そっか」

芳乃「今だけは、不安も、恐怖も、焦りも、全てを捨てて……わたくしに身を委ねてくださいませー」

朋「ん……」

芳乃「ふふー」

芳乃「……」ナデナデ

朋「……」

朋「……ありがとね」

芳乃「いえいえー」

芳乃「……」ナデナデ

朋「……」

芳乃「ねんねんー、ころりよー、おころりよー」ナデナデ

朋「……」

芳乃「そなたはー、よいこだー、ねんねしなー」ナデナデ

朋「……」

朋「……」

朋「……すー」


………………

…………

……

8: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:30:06.80 ID:b6C5Mzuy0
朋「……はっ!」

朋「えっと、あたし……あっ」

芳乃「くー……」

朋「……そっか。あのまま寝ちゃって……芳乃ちゃんも寝ちゃったのね」

朋「……よいしょっと」ムクッ

芳乃「ふふー……朋殿ー……」

朋「……ずっと膝枕してくれてたのね」

朋「ありがと、芳乃ちゃん」ナデナデ

芳乃「むにゃ……んー?」

朋「あ、起こしちゃった?」

芳乃「うむー……朋殿も起きたのですねー」

朋「うん。芳乃ちゃんのおかげでたっぷり休めたわ」

朋「もう元気も満タンよ!」

芳乃「それはなによりでしてー」

芳乃「よいしょ……ひゃっ」

朋「ん、どしたの?」

芳乃「足がー……びりびりとー」

朋「……あ、そっか。痺れちゃったのね」

芳乃「うむー……」

朋「じゃ、治るまでもう少しお話ししよっか」

朋「……それとも、芳乃ちゃんもあたしの膝枕で休む?」

芳乃「それでは、わたくしたちは永劫ここから動けなくなりましてー」

芳乃「ずっとどちらかの足が痺れてしまいー……ふふー」

朋「あははっ、確かに!」

9: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:31:04.27 ID:b6C5Mzuy0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


芳乃「朋殿ー」

朋「どしたの、芳乃ちゃん?」

芳乃「窓からそなたがしゃがんでいたのが見えたのですがー」

芳乃「もしや、体調がよろしくないのでしてー?」

朋「あ、ううん。そういうわけじゃないの」

朋「えーっと……」

朋「んー……」

芳乃「……?」

芳乃「なにか、隠し事ー?」

朋「いや、えっと……」

芳乃「……」シュン

朋「あー……」

朋「うー……さ、探し物してたのよ」

芳乃「探し物ー?」

朋「そ……石を探してたの」

朋「ほら」

芳乃「……おやー、綺麗な石でしてー」

朋「うん、そういうのを探してたの」

朋「……芳乃ちゃんにプレゼントするためにね」

芳乃「わたくしにー……」

朋「うん……ほら、前にあたしにプレゼントしてくれたでしょ?」

朋「パワースポットの石……あれ、すっごく嬉しくって」

朋「だから、あたしもお返ししたいなって思って」

芳乃「ほー……」

朋「で、ちょっと探してたのよ」

芳乃「それがこちらなのですねー」

朋「そ」

10: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:31:30.05 ID:b6C5Mzuy0
朋「……でも、よく考えたら芳乃ちゃんがどんな石が好きなのかとかもしらなかったからさ」

朋「とりあえず部屋に戻って、後でそれとなく聞こうと思ってたのよ」

朋「今全部話しちゃったけどね」

芳乃「なるほどー……」

芳乃「ねーねー。少し見せてもらってもー?」

朋「あ、うん……どうぞ」

芳乃「ふむー、ふむふむー……」

芳乃「……では、こちらはありがたくいただきましょー」

朋「えっ!?」

芳乃「?」

芳乃「これはわたくしに贈るものなのではー?」

朋「いや、まあそうなんだけど……」

朋「その……芳乃ちゃんの好きな感じの石であってたの、それ?」

芳乃「ええ」

芳乃「そなたが想いをこめてわたくしに贈ろうとしたものであるゆえー」

芳乃「どのような姿かたちであっても、わたくしは大変嬉しいのですー」

芳乃「そなたからの贈り物というだけで、とてもー」

朋「そっか……」

芳乃「ふふ……生涯大切にしますねー」

芳乃「そなたに、最大級の感謝をー」

朋「……そこまで喜ばれると、ちょっと気恥ずかしいけど……」

朋「喜んでくれて嬉しいわ、えへへっ!」

11: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:32:17.11 ID:b6C5Mzuy0
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芳乃「朋殿ー」

朋「どしたの、芳乃ちゃん?」

芳乃「抱いてくださいませー?」

朋「うぇっ!?」

朋「ど、どうしたの急に!?」

芳乃「人の温もりが少々恋しくなりましてー」

芳乃「よければ、そなたの腕でわたくしを、ぎゅっと抱きしめてくださいませー」

朋「あっ、抱いて……って、ハグしてってことね」

芳乃「うむー」

芳乃「……他にどのような意味がー?」

朋「いや、え、えっと……」

朋「……ごめん」

芳乃「?」

朋「な、なんでもないわ!」

朋「それより……えっと、抱きしめて欲しいのよね?」

芳乃「うむー。ぎゅっとー」

朋「ん、わかった!」

朋「じゃ……えいっ!」ギュッ

芳乃「おー……」

朋「どう?」

芳乃「うむー……とても心地よくー……」

芳乃「ずっとこうしていたいくらいにはー……」

朋「……」

12: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:32:46.50 ID:b6C5Mzuy0
朋「……ね、何か嫌なことあった?」

芳乃「いえ、別にー」

朋「そっか……」

朋「……」ギューッ

芳乃「……急に力を強めて、いかがしましてー?」

朋「いえ、別にー」

芳乃「……それはわたくしの真似でしてー?」

朋「さあ?」

芳乃「……」

朋「……」

朋「……あたしは、芳乃ちゃんほど察しもよくないからさ、言ってくれないと何もわからないけど……」

朋「ただ……もっと力を強めたほうが嬉しいかなって、思ったの」

芳乃「……そうでしてー」

朋「うん」

芳乃「……」

朋「……」

芳乃「……そんな大したことではありませぬー」

朋「!」

芳乃「ただ、わたくしが失敗をして……様々な方に迷惑がかかって……」

芳乃「ほんの少し、責められただけでしてー」

朋「……そっか」

芳乃「……」

朋「……」ナデナデ

芳乃「……」

芳乃「……」ギュッ

朋「……」

芳乃「……」

13: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:33:38.07 ID:b6C5Mzuy0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


芳乃「朋殿ー」

朋「どしたの、芳乃ちゃん?」

芳乃「いつものおまじない、しましょー?」

朋「ん、そうね」

芳乃「それでは、手を取り合ってー」ギュッ

朋「がんばろうね、芳乃ちゃん」ギュッ

朋「……ふふ、このおまじない初めてからもうどれくらいたったっけ」

芳乃「わたくしたちがユニットをお披露目して初めての日から……となればー」

朋「もう大分経ったのね」

芳乃「うむー」

芳乃「……あの時の事はわたくしの心に深く刻まれておりますー」

朋「うん、あたしの心にも……たぶんずっと消えないわ」

芳乃「あれがあったころこそー……今のわたくしがありー、わたくしたちがあるのでしてー」

朋「そうね……全部あの日から始まったんだと思うわ」

朋「あの日がなければ、こんなにも芳乃ちゃんを大好きになってなかったかもしれないし……」

芳乃「こんなにもそなたを愛しく思うこともなかったかもしれませぬー」

朋「……そう考えると、少し寂しいわね」

芳乃「うむー……」

芳乃「しかし、それは別の世界のわたくしたちでありー」

芳乃「今のわたくしたちはー……」

朋「……ふふ」

芳乃「ふふー」

朋「よしっ! 今日も最高の日にしようねっ!」

芳乃「うむー」

芳乃「忘れられぬ日を増やしましょー」

14: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:34:14.34 ID:b6C5Mzuy0
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芳乃「……」

芳乃(……人前に立つことは珍しいことではありませぬがー)

芳乃(今日はいっそう、気が震えますー)

芳乃(新しい一歩を踏み出すため……でしてー?)

芳乃(期待、不安……渦巻く感情が心を……体を震わせて――)

朋「芳乃ちゃん!」

芳乃「む……どうしましてー、朋殿ー?」

朋「ちょっと、手貸して!」

芳乃「手をー?」

芳乃「よくわかりませぬがー……どうぞー」

朋「ありがと!」

朋「それじゃ……えいっ!」ギュッ

芳乃「これはー……?」

朋「こうすれば、震えも止まるでしょ?」

芳乃「!」

朋「ふふっ。自分で震えが止まらないなら、誰かに止めてもらえばいいのよ!」

朋「あたしたちは一人じゃないんだから、ね?」

芳乃「……なるほどー」

芳乃「では、わたくしもー」ギュッ

朋「きゃっ!」

芳乃「こうすれば、そなたの震えも止まりましてー?」

朋「あはは……バレてたんだ」

15: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/12/03(日) 18:35:02.86 ID:b6C5Mzuy0
朋「そうね、あたしも緊張してたし……不安で震えちゃってたわ」

芳乃「……それでも、わたくしを励ましに来てくれたのですねー」

芳乃「そなたはとても優しい方でしてー」

朋「そんなことないわよ……あたしはきっと気を紛らわせたかっただけだから」

朋「……でも、結果的に成功だったみたい」

朋「芳乃ちゃんが優しく手を握ってくれたから……ね。ちょっと落ちつけたの」

芳乃「……」

朋「芳乃ちゃんは……どう? 震えは止まった?」

芳乃「そなたに握られてるから、わかりませぬー」

朋「あ、そうだったわね……あはは」

芳乃「しかし……心は穏やかさを取り戻しましてー」

芳乃「それもこれも、そなたのおかげでありー……最大限の感謝をー」

朋「や、止めてよ、そこまでいわれると照れるわ」

芳乃「おや、別に誇張しているわけではないのですがー……」

朋「それでもなの!」

芳乃「ふふー」

朋「もう……それじゃ、そろそろ離すわね」

芳乃「うむー」

朋「……うん、あたしの震えは止まったみたい」

朋「芳乃ちゃんはどう?」

芳乃「うむ、止まっておりますー」

芳乃「そなたが、わたくしたちは一人ではないと教えてくれたゆえー」

芳乃「今でも、この手にそなたがつながっているような気がしますー」

朋「そうね、あたしもそんな感じ……」

朋「……ううん、きっとつながってるのよね」

朋「だからきっと、震えも止まってるのよね……つながってなかったらまた震えちゃうかも」

芳乃「かもしれませぬー」

芳乃「なれば、その度に何度も繋ぎなおしましょー」

芳乃「わたくしたちは、二人なのですからー」

朋「……うん、そうね」

朋「よしっ! 本番がんばろうね、芳乃ちゃん!」

芳乃「うむー、わたくしたちの第一歩をー、きらびやかなものにしましょー」

朋「おー!」




おしまい