1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 19:49:32.17 ID:C5X0LrDi0
P「仕事だからやってもらわないと」

美希「いくらお仕事だからって、>>5だけはあり得ないって思うな!」

P「でも今更断れないぞ? 美希が自分からどんな仕事でもやるって言ったんだし」

美希「それは……そう、だけど」

P「とにかく、>>5は絶対にやるんだ。いいな?」

美希「……はいなの」

引用元: 美希「み、ミキには>>5なんて出来ないの……」 



THE IDOLM@STER STELLA MASTER 00 ToP!!!!!!!!!!!!!
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5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 19:50:44.38 ID:pK9Ect+F0
蟲風呂

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 19:58:16.24 ID:C5X0LrDi0
美希「うわ……こんな所に入ったらミキ死んじゃうよ! プロデューサーは美希がどうなってもいいの!?」

P「大丈夫、どれも肉食じゃないし気性も穏やかだから噛まれたりしないよ」

美希「噛まれるとかそういう問題じゃないの!」

P「それにほら、風呂って言っても水着だし……」

美希「当たり前なの! アイドルが全裸ってあり得ないの!」

P「とにかくもう準備は整っちゃったんだ、もう撮影始めるぞ」

美希「無理、絶対無理だよ……! こんな仕事、笑顔で出来るわけ……」

P「美希!!」

美希「ひっ!?」

P「こんな仕事、なんて言うな。この撮影にどれだけの人が関わってると思う? どれだけの人の生活がかかってると思う?」

美希「でも……でも!」

P「どれだけのファンが、待ち望んでると思ってるんだ?」

美希「ぷろ、でゅーさー……」

P「美希、やれるな?」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 20:09:53.19 ID:C5X0LrDi0
美希「無理無理無理無理無理無理無理無理」

P(湯船の前で腰抜かして涙目の美希可愛いわー)

美希「あ、あぁ……」

P(こっち見ても助けは来ないぞー、頑張れ頑張れ)

美希「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……そそ、それじゃあ、早速、入りますなのー……」

P(入ろうとして入らないを1時間も続けておいて早速はないだろう)

美希「あ、うぁー、うぁーっ……ひぃ、あ、指! 指の間、潜り、こん、やなのー!」

P(現役中学生アイドルのガチ泣き蟲風呂……売れる!)

スタッフ「すいませーん、美希ちゃん失神しちゃいましたー」

P「あちゃー、ごめんなさい! ちょっと休憩挟ませてください! よく言って聞かせますんで!」

スタッフ「了解ですー、 一旦休憩ー!」

P「美希、おーい美希ー!」

美希「あ……あ、ひ……」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 20:20:48.44 ID:C5X0LrDi0
美希「う、あ……」

P「美希、美希ー。仕事中だぞー、起きろー」

美希「ひぃ……」

P「起きないな……そうだ、古来より仲を深めるには寝食を共にするのが一番と言うし」

美希「むひ、むひいやぁ……」

P「うん、起きてすぐ蟲が見えれば美希だって『寝てる所を襲わないなんて紳士な蟲さんなのー!』……完璧だ」

美希「うぅ……いや、蟲いやぁ……」

P「ということで蟲君は美希の鼻の上で待機だ、よろしく頼むぞ。監督ー、もうすぐ撮影再開出来そうです、ご迷惑おかけしましたー」

美希「うぅーん……あ、あれ? ここは一体、美希は何ぎゃいやーーーー!」

P「あ、美希! 起き……てないな、叫んだ口のままでまた失神してる」

美希「あがが……」

P「あ、口開けっぱなしだから蟲君が……」

監督「睡姦風味の食蟲か! 765さん大奮発だね!」

P「えーと……ええ、そうなんです。美希がどうしてもファンにサービスしたいって聞かなくて」

監督「よし、撮影再開だ! 予定は変わったけどこれは売れるぞー!」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 20:27:08.14 ID:C5X0LrDi0
P(案の定というか、失神した美希の口に蟲を捻じ込んでいくだけのDVDは大して販売部数も伸びなかった。それでも三桁は売れたのが恐ろしい)

美希「プロデューサー、今日はどんな仕事やるの? ミキはどんな仕事でも、どんと、来、い……あれ? なんかやなこと思い出しそう?」

P(美希はショックが強すぎたのか一部の記憶が飛んでいるらしい……あんな怖い思いしたんだ、忘れていた方が幸せだよな、きっと)

美希「ねぇ、ミキ、前にも同じ台詞言ってた?」

P「いや? それより今日の仕事の話だっけ?」

美希「うーん……あれ? やっぱり前にも言った気がするの。ねぇプロデューサー、ミキはその時どんな仕事を」

P「今日の仕事は>>45だ、一緒に頑張ろうなー!」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 20:37:38.62 ID:C5X0LrDi0
美希「ミミ……何それ?」

P「んー、ちょっと変わった温泉リポートだよ。何も心配いらないぞ」

美希「そう、なの? あれ、でもなんかミキ、頭痛いかも……」

P「ははは、それじゃミミズ風呂じゃなくてミキ頭痛風呂だろー」

美希「え、何?」

P「……なんでもない」

美希「うう、頭痛いよ……」

P「そうか、じゃあパパッとお仕事終わらせて昼寝の時間にしような」

美希「ねえ、今日のお仕事キャンセルにしちゃダメ? こんな状態じゃお仕事出来ないよ……」

P「直前でキャンセルなんて出来ないよ。これもトップアイドルになる為だ、頑張ろう」

美希「……うん」

P(トップアイドル、突風アイドル……はっ、俺は一体何を)

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 20:46:25.37 ID:C5X0LrDi0
美希「やだやだやだやだいやむりむりむり!」

P(前回の反省を踏まえて美希は格好は水着姿に両手両足の拘束具。湯船の中で動けない美希の身体の上にミミズを落としていく)

美希「うあー! にゅるって、にゅるってして、ひぃ! 踏んづけたのぉ!」

P(初めはゆっくり一匹ずつ追加だからショックも小さい。失神もしない。反応も新鮮)

美希「あ、やだ! 髪、髪の中入っ、取ってぇ!」

P(前みたく甲虫じゃないから引っかき傷も出来ない。良かったな、美希)

美希「助けてえ! やだ、やだ気持ち悪い! いやあ!」

P(そろそろ湯船の底が埋まるぐらいかな。ここから落ちてくる量も増えるぞ、失神するなよ美希!)

美希「いやあ!! やだやだやだ! ミキもうやだ!! 助けて!」

P(鼻水美味しそう)

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 20:56:28.09 ID:C5X0LrDi0
P(すっかり肩までミミズに浸かった美希、ここまで3回しか気を失ってない。いいペースだ!)

美希「ごめんなさ、ごべんなざいぃ……! ごめ、ごべんだざい……!」

P(いつもはキレイカワイイあの子があんなぶちゃいくな顔になってるってだけで全国のファンは大喜びだよな、これは売れる!
)

美希「うう、うぇえ……! おぶ、げほ、げっへぇ!」

P(あ、吐いた)

美希「おえぇ……ごべんな、さ、うっ、うおえぇ!!」

P(謝りながら戻す美希……輝いてるぞ! 今のお前ならキワモノAV界のトップも夢じゃない!)

美希「あ、ぁ……」

監督「はいカットォ! いやー美希ちゃんお疲れ様、良い画が撮れたよお! ん? 美希ちゃん気絶する程楽しかったのかな?」

P「そうみたいですね、監督もお疲れ様でした。じゃ美希はここで撤収ってことで」

監督「はいお疲れ! 今後ともよろしくね!」

P「はい、よろしくお願いします! ……しょっと、美希は軽いなあ。はは、この小さな身体のどこからあんな悲鳴が出るんだか」

美希「う、うう……ごめ、なさ……」

P「お疲れ様、美希。見事なプロ根性だったよ、今日はもうゆっくり休むんだ……」

美希「ごめ……な、さぃ……」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 21:02:28.13 ID:C5X0LrDi0
P「あれ? 美希、髪切ったのか? それに色も」

美希「う、うん。ちょっと……ね」

P「……なんか辛いことでもあったのか? あ、もしかしてこの間のミミ」

美希「今日の仕事」

P「え?」

美希「今日の仕事、何? ミキは今日、何すればいいの? 何をやらされちゃうの?」

P「あ、あれ? 美希、なんか怒ってる?」

美希「怒ってないよ。ミキ、すっごくレーセーなの。それで今日の仕事は?」

P「いやそれより聞いてくれよ! この前のミミズDVDが沢山売れて」

美希「黙れ、なの」

P「え」

美希「ん?」

P「いや、今」

美希「何? 今日の仕事の話?」

P「あ、ああ……今日は>>75が予定に入ってる」

89: バッドエンド 2013/03/07(木) 21:16:39.18 ID:C5X0LrDi0
美希「大食い……ふーん、これミキじゃなくて貴音の仕事でしょ?」

P「? いやいや、これは星井さんにお願いしますって向こうのスタッフから」

美希「うそつき」

P「え?」

美希「あ、分かったの。今度は丼一杯のゴキブリ食べるまで帰さないつもりだね、実にプロデューサーらしいの」

P「ゴキブリなんてそんな、普通にスイーツバイキングだよ。各店舗でどれだけ食べれば元が取れるかっていう企画で」

美希「もう騙されないの。そうやって持ち上げて、喜ぶミキを見て馬鹿にするつもりなんでしょ!?」

P「美希? どうしたんだ、今日はなんかおかしいぞ?」

美希「おかしいのはプロデューサー! ミキはおかしくないもん!ミキは、ミキは虐められるためにアイドルになったんじゃないよ!?」

P「蟲風呂の事で怒ってるのか? だからあれは何度も言った通り仕事で!」

美希「うるさい!!」

P「あぐ、ぁ……か、え? なん、血?」

美希「あは、は、ははは! へへ、へは、はははは! プロデューサーが悪いんだよ? ざまぁ見ろなの! あはは、あははははは!」

俺の腹部から包丁を引き抜き、壊れたように笑い続ける美希……いや、事実とっくに壊れていた。
身体に力が入らなくなっていく最中、美希は俺の目の前で、自らの首に刃を突き立てた。
床の上で、俺と美希の血が混じる。
赤い水面に映った美希は、泣いているように見えた。

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 21:19:14.31 ID:C5X0LrDi0
美希「み、ミキには>>100なんて出来ないの……」

P「仕事だからやってもらわないと」

美希「いくらお仕事だからって、>>100だけはあり得ないって思うな!」

P「でも今更断れないぞ? 美希が自分からどんな仕事でもやるって言ったんだし」

美希「それは……そう、だけど」

P「とにかく、>>100は絶対にやるんだ。いいな?」

美希「……はいなの」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 21:31:36.41 ID:C5X0LrDi0
P「ってことだ。カンタンな仕事だろ?」

美希「うん、パソコン使うだけみたいだし……でもこれ、何が楽しいの?」

P「楽しくなくてもやるの。TV見てるお客さんはそれで楽しんでくれるんだから」

美希「ふーん。よく分かんないけど、分かったの」

P「よし、じゃあ早速撮影に向かおうか。車の中でどんな嘘つくか考えておくんだぞ」

美希「はいなの!」

P「寝るなよ?」

美希「わ、分かってるのー」



美希「ということでー、今回ミキがつく嘘はこちら、じゃじゃん! 『765プロのプロデューサーだけど質問ありますか?』でーす!」

P(んん!? 確かに普段から近くで俺を見てるからバレにくそうな嘘だけど、スタッフさんこれは……あ、いいんだこれ)

美希「じゃあ早速、えーっと、スレ立て?
やっちゃうよ!」

P(卑猥な単語とか出たらカットだよなぁ、ちゃんと番組になるんだろうか)

美希「あ、早速2番の以下、名無しにかわりまして……長ーい! 2番さんが質問くれたの! えーっと、>>115だって!」

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 21:42:24.08 ID:C5X0LrDi0
美希「質問っていうかグチなの……え、これどうしよう? とにかく、答えないと駄目だよね! えっと、えーっと」

P(美希って案外キーボード打つの早いんだなぁ、やっぱり現代っ子は進んでるな)

美希「『それ、アイドルの仕事じゃありませんよ』……送信なの! あ、掲示板だから書き込みか」

P(そりゃそういう答えになるよなぁ、蟲風呂にアイドル入れるとか頭おかしい)

美希「……あ! もしかしてこれ、ミキが釣られてる!? アイドルがこんな仕事させられるわけないの! こんなの嘘に決まってるよ!」

P(あ、そういうこともあり得るのか。でも悔しがってる美希も可愛いなー)

美希「むー、こうなったら次の質問で挽回なの! え、ここ? ここ押したら更新なの? ……あ、4番さんが>>125って質問くれたよ!」

128: 人気投票準拠 2013/03/07(木) 21:56:38.40 ID:C5X0LrDi0
美希「『一番業績の低いアイドルって誰?』……嘘で答えなきゃいけないんだよね。えーと、だから絶対に律子、さんって書いちゃ駄目なんだよね」

P(律子は今プロデューサーだろ! スタッフ、カンペカンペ!)

美希「あ、そっか。じゃあ誰が一番低いのかな。千早さんは結構上だし……春香も真ん中より上だったよね?」

P(俺に確認取るなよ! 今喋ってるのも収録されちゃうんだよ!?)

美希「あ、なんかプロデューサーが怖い顔してるの。間違ってた? 春香が一番下?」

P(そこじゃねー!)

美希「分かったの、じゃあ春香が一番下だから……『双海亜美さんの業績が一番低いです』えい、送信なの!」

P(それホントのやつだしー! 嘘になってないしー!)

美希「わ、なんかすっごい怒ってる人がいっぱい……ファンの人かな? 亜美人気だもんねー」

P(うわあAA連投とか久々に見たわ、すごい荒れてる……そろそろ限界じゃね?)

美希「え? 次で最後? 分かりましたなのー、えーっと……じゃあ255番さんの>>130って質問に答えて終わりまーす」

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 22:08:24.05 ID:C5X0LrDi0
美希「『アイドル同士で仲悪い人っている?』……961プロのジュピターとはケンエンの仲なの!」

P(違うそうじゃない)

美希「あ、でも多分これ765プロ内でってことだよね。うーん、誰かなー?」

P(俺の見てる範囲だと仲悪そうな組み合わせっていないんだよなぁ、意外と裏ではあるのか?)

美希「みんな仲良しだから、その逆で『みんな毎日いがみ合ってます』……送信なの!」

P(良かった、仲の悪いアイドルなんていなかったんだね……)

美希「!? し、失敗なのー! 釣りだってバレちゃった!」

P(!?)

美希「カメラさん、ほらこれ! 『三木なんて名前のプロデューサーはいないだろ、釣り乙』って!」

P(……あ、名前欄に律儀にミキって書いてたのか。でもまぁオチとして結構いいよな、撮影は成功だ!)

美希「むー、悔しいのー! 次こそは完璧に釣りあげてお魚屋さんに売り飛ばしてやるのー!」

P(釣るってそっちじゃないんだけどなぁ)

グッドコミュニケーション!

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 22:14:02.68 ID:C5X0LrDi0
美希「おはようございますなのー!」

P「おはよう、美希。この間の番組、結構好評だったみたいだぞ」

美希「そうなの? ミキは最後まで何が面白いのか良く分からなかったの」

P「お客さんは面白いって言ってくれたんだし素直に喜んでおこう」

美希「うん、分かった。それでプロデューサー、今日はどんな仕事やるの? ミキ、どんな仕事でもどんと来いだよ?」

P「頼もしいなぁ。それじゃあ今日の仕事、>>140もはりきって行こうな」

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 22:19:42.44 ID:C5X0LrDi0
美希「ここどこなの」

P「……どっか」

美希「この人たち誰なの」

P「……どっかの原住民」

美希「なんなのなの」

P「……一ヶ月くらい一緒に生活するロケ」

美希「……」

P「……」

美希「……」

P「……」

美希「なんなのなの」

P「……」

美希「……なんなのなの」

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 22:30:17.73 ID:C5X0LrDi0
美希「ミキでーす、初日は歓迎パーティー? してくれるみたいで、ご飯が並んでまーす……通訳さん、この白いのは」

通訳「幼虫。栄養、トテモアル、彼ラノゴチソウ」

美希「な、なるほどー。貴重な食べ物みたいですなのー……食べ、食べるの!?」

通訳「ゴチソウ残ス、ハ、部族ノ禁忌。カツテノ飢エタ歴史カラ、食ベル時、食ベル。教訓デゴザル」

美希「え、ちょ、まだこれ動い、うもむー!」

通訳「客人ハ、スワッテル、ダケデイイ。オ世話ハ族長タチノオ仕事。親切デスネ」

美希「うぅ、ぷちゅって潰れてどろっとして……」

通訳「コボス、ダメ。禁忌。破ルト死ス」

美希「死、死んじゃうの!?」

P「ちゃんと食べろよー」

美希「通訳さん! あの人幼虫食べてないの! キンキ、キンキ!」

通訳「幼虫、キチョウデスユエ。女人優先ザマス」

美希「……」

P「あ、この肉美味い! 何の肉ですか? え? 知らない方が良い?」

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 22:38:44.92 ID:C5X0LrDi0
美希「ミキでーす……虫の飛ぶ音がうるさくて全然眠れなかったの……あふぅ」

P「おはよう美希、そっちも眠れなかったのか?」

美希「プロデューサーも眠れなかったの? その割には何だかツヤツヤして元気そうだけど」

P「眠れなかったというか寝かせてもらえなかったというか、はっはっは」

美希「このロケを一番楽しんでるのは絶対プロデューサーなの……あふぅ」

通訳「今日ハ狩リ、一族総出デ襲ウ」

美希「あ、それ見てみたいの!」

通訳「デハコチラヘ、少シ遠クマデ歩ク」

美希「はいなのー!」

P「お土産よろしくー」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 22:49:43.76 ID:C5X0LrDi0
P「お帰り美希ー、どうだった? ……美希、美希?」

美希「こっち来て」

P「え?」

美希「いいからっ」

通訳「ゴ飯マデニハ帰ッテクルンヤデー」



美希「やばいの、ここにいたら殺されちゃうの。早く逃げよう!」

P「何言ってるんだよ、こんなに親切にしてくれてるのに殺されるわけなんて」

美希「あるの! よく聞いて、プロデューサー。今日、ミキたちがどこ行ってたと思う?」

P「え? 狩りだろー、草原か森の奥なんじゃないの?」

美希「全然違うの! 空港! 長野県の松本空港! ここは日本の、群馬だったの!!」

P「な、何を馬鹿なこと……肌の色も言葉も全然違うし、ここが日本なわけ」

美希「とにかく逃げなきゃ殺されちゃうの! 殺されて食べられちゃうよ!」

P「さっきから殺される殺されるって……ここが日本ならそんなのあるわけ」

美希「ミキ……見たの!」

162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 22:56:04.28 ID:C5X0LrDi0
P「な、なにを……?」

美希「あの人たちが空港の人を襲ってる所! 男の人は首を切られて、バラバラにした後袋に詰められて、女の人は、女の人は、う、うう……!」

P「……それ、本当なのか?」

美希「早く逃げようよ! このままじゃ絶対殺されちゃうの!」

P「分かった、今すぐ一緒に逃げよう。とは言え、スタッフも置いていけない。すぐ戻る、ここで待っててくれ」

美希「うん……絶対、絶対すぐ戻って来てね、プロデューサー!」

P「ああ。一緒に生きて帰って、美希がキラキラするまで見守らないといけないからな!」

165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 23:05:43.10 ID:C5X0LrDi0
美希「プロデューサー、早く来て、早く来てよ……」

P「美希ー!」

美希「プロデューサー!」

P「スタッフは駄目だ! 薬で眠らされてるのか、それとも……とにかく動かなかった! 連れて帰るのは無理だ!」

美希「そんな……!」

P「それに俺たちのことも狙ってる雰囲気だった。美希、俺たちだけでも逃げて帰る、その後で助けを呼ぶ。いいな!?」

美希「う、うん……分かったの!」

P「よし、じゃあすぐに逃げるぞ! 狩りへ出た時の道は覚えてるか?」

美希「覚えてるけど、駄目なの! 何キロか毎に一人見張りが立ってて……」

P「一人くらいなら蒔いたりやり過ごせばいい。それに一瞬見られたくらいじゃ」

美希「一瞬でも気付かれちゃ駄目なの!あいつらはスマホ使いこなしてるからすぐに囲まれちゃう!」

P「くそっ……仕方ない、なら反対の栃木へ走ろう。とにかく走って距離を離す。いいな?」

美希「でもあいつら、すごく足速いし、
全然息切れなくて……」

P「地獄の特訓を思い出せ。美希だって負けてないさ……行くぞ」

美希「っ……はいなのー!」

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 23:10:32.02 ID:C5X0LrDi0
P「ストップ! ……鳴子だ、気をつけろ」

美希「はいなの……」



美希「プロデューサー! そこ落とし穴だよ、そこだけ葉っぱがいっぱい落ちてて変なの」

P「うわ、危ない所だった。サンキュー」



P「頻繁に連絡を取り合ってるな……迂回するぞ」

美希「うん」



P「はぁ、はぁ、美希、無事か……?」

美希「うん、大丈……プロデューサー!? その血……!」

P「掠り傷だ……はぁ、はぁ、また見つかる前に急ぐぞ」

美希「う、うん……」

170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 23:19:29.62 ID:C5X0LrDi0
美希「道路……道路だよプロデューサー! 森を抜けたの! 後は車捕まえれば」

P「はぁ……はぁ……」

美希「プロデュー、サー?」

P「美希……? そこに、いるのか……? はは、俺はもう一歩も歩けないや。早く、ごほっ! はぁ、はぁ……早く逃げろ」

美希「嘘……やだよ、プロデューサー、プロデューサー!」

P「手、握ってくれてる、のか、はは。優しいな、美希は……はぁ……はぁ……」

美希「早く立って! 目、閉じちゃヤ! 逃げようよ! ミキのこと、ずっと見守ってくれるんでしょ!?」

P「はぁ、はぁ、はは……ごめん。約束、守れ……ない……」

美希「ぐす、やだ、やだよハニー……う、うう……」

P「ぁ……くる、ま、音……みき、助け、もら……」

美希「ハニー!? ハニー、ハニー!!」

???「見ツケタ」

美希「ハニ、ぁ……」

通訳「見ツケタ、ダイジ、ナ、客人」

173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/07(木) 23:34:47.54 ID:C5X0LrDi0
目の前に白い天井があった。
見渡せば、窓と扉と花瓶と子猫。
金色の毛の、昼寝中の子猫。
あんまりに苦しそうな寝顔だったから撫でてやった。

「んん……はに、ぃ」

笑っている。幸せな夢でも見ているのだろうか。
見つめていると、自然と笑みがこぼれた。

「いてっ……あ、包帯。そうか、助かった、のか」

通りがかった看護婦に話を聞いて、ようやく状況が飲み込めた。
群馬――その看護婦曰く、グンマー――では部族間の激しい争いが絶えないこと。
近代化に伴い争いに銃器が用いられるようになったこと。
日本政府は事態を重く見て通訳という立場で密偵を送り込んでいること。
あの通訳の男はその密偵であり、俺たちをここまで運んで来てくれたこと。
そして彼が名前も告げずに去って行ったこと。

「ああ、でも一つだけ伝えてくれって言ってました」
「?」
「美希ちゃんのファンです、たまに見る姿が生き甲斐で、辛い仕事にも絶えられています……って」

美希が起きたら伝えてやらなくちゃな。
命懸けで俺たちを助けてくれた男の話。
命を懸けていられる、その理由を。
……彼が、幼虫の白い液を口からこぼす美希の姿に興奮してたっていうのは、黙っておいてやるか。

おわり