1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 02:38:20.06 ID:Wt11Y27+0
『黒森峰戦車道 全国大会十連覇逃す』

エリカ「まったく、だから言ったんです。1年には荷が重いと」バンッ

まほ「そうだな」

エリカ「学校新聞とはいえこんな記事を書かれたのでは、恥曝しもいいところです」

まほ「終わったことだ。今更どうにもできない」

エリカ「そんなことは分かってます!」

まほ「もういいだろう。みほには何らかの形で責任を取らせる」

エリカ「それが甘いって――」

まほ「副隊長を降ろす」

エリカ「っ……」

まほ「後任にはエリカが就いてくれ」

エリカ「ですが……」

引用元: まほ「みほ、残念だよ」みほ「ごめんなさい……」 



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 02:42:16.67 ID:Wt11Y27+0
まほ「みほのやり方は西住流ではない」

まほ「2つの戦術があっては隊が混乱する」

エリカ「……分かりました。お受け致します」

まほ「そういうことだ。いいな、みほ」

みほ「はい……」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 02:45:42.52 ID:Wt11Y27+0
まほ「この度の試合、申し訳ありませんでした」

まほ「すべて私の失態です。許されるとは思っていませんが、謝罪させてください」

3年「副隊長は? 直接的な敗因はあの子の暴走でしょ!」

まほ「副隊長を解任し、後任として逸見を指名しました」

みほ(お姉ちゃんの声?……こっちから)ソッ

3年「当たり前よ! いくら妹だからって甘すぎるんじゃない?」

3年「私達はあれが最後の試合だったの……」

3年「先輩から優勝旗を預かって、また勝つために高校生活のすべてを捧げたのよ!?」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 02:48:21.71 ID:Wt11Y27+0
3年「まほ、あなたが優秀なのは認めるわ。でもね、なんであんな子を出したのよ」

3年「まぁまぁ……」

3年「黙ってて! フラッグ車を放っていくなんて私達を馬鹿にしてるの?」

まほ「先ほど申し上げたとおり、私の責任です。申し訳ありません」

3年「こんな……こんな最後で引退するなんて先輩に顔向け出来ないわよ」

3年「後輩に、あなたにだって不名誉な結果を残して……こんなの先輩失格じゃない…うぅっ」

まほ「……」

みほ(私のせいで……お姉ちゃんが……)

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 02:52:47.43 ID:Wt11Y27+0
まほ「今日は搭乗している戦車の整備だ。では始めてくれ」

一同「はい!」

みほ「えぇと……」

2年「触らないで貰えますか?」

みほ「え……」ビク

2年「もう副隊長の車輌じゃないんで」

2年「あ、副隊長じゃなくなったんですよね。西住さん?」

みほ「あの……」

2年「邪魔だからどっか行って!」

みほ「はい……」トボトボ

2年「ちょっと、言いすぎじゃない?」

2年「だって、副隊長のせいで負けたんだよ?」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 02:55:34.58 ID:Wt11Y27+0
2年「だけどさ……」

2年「先輩、みんな泣いてた……私達は来年があるけど、先輩は」

2年「それだけじゃない、今まで勝ち続けてたOBの人達にも、取り返しのつかないことしちゃったんだよ?」

2年「それはそうだけど、あれは……」

2年「みんな本気で戦車道やってるの! 勝手な行動されちゃ困るのよ!」

2年「私に言われても……」

みほ「……」

2年「いっそ居なくなればいいのに」ボソ

みほ「っ!…………」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:00:29.09 ID:Wt11Y27+0
みほ「ね、ねぇ……」

1年「なに?」

みほ「手伝ってもいいかな?」

1年「間に合ってるから」

みほ「……そう」

1年「1本道の奇襲だし仕方ないって人もいるけどさ」

1年「あそこで車列止めずに走ってれば、勝ってたかもね」ボソ

みほ「うぅ……」グス

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:04:36.04 ID:Wt11Y27+0
1年「ちょっと、さすがに酷いよー」

1年「西住隊長の妹だからって、調子乗ってた罰だよ」

みほ「ち、調子になんか……」

1年「ほら、聞こえちゃってるから。あっち行こう」クスクス

1年「はいはい」

みほ「……」

1年「に、西住さん、転輪の交換手伝ってくれる?」

みほ「え……は、はい!」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:08:39.09 ID:Wt11Y27+0
1年「そっち側持ってて」

みほ「うん」

1年「ね、あの2人……」

1年「自分たちのせいで負けたのに、何とも思ってないのかしら」

1年「そもそも川に落ちるなんて……」

1年「……」

みほ「……ごめんなさい、私お手洗いに」ダッ

1年「あっ……」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:12:49.79 ID:Wt11Y27+0
みほ「うっ…おえぇ…」ビシャ

みほ「げほっ……けほ……」

みほ「はぁ……はぁ…」

みほ「うぅ……ぐすっ……」

生徒「ねぇ聞いた? 隣の組の子、負けたショックで体調崩してるんだって」

生徒「知ってる、戦車道のでしょ?」

みほ「っ!」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:16:38.73 ID:Wt11Y27+0
生徒「せっかく1年生で試合出られたのにあれじゃねぇ」

生徒「詳しくは知らないけど、負けたのって西住さんのせいらしいよ」

生徒「西住って隊長の?」

生徒「ううん、妹の方」

生徒「ああ、西住みほ」

生徒「なんでも、試合中にどっか行っちゃったんだって」

生徒「うわーそれは……」

みほ(あれは……)

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:20:19.12 ID:Wt11Y27+0
生徒「他の人も可哀想だよねー」

生徒「ほんとほんと」

生徒「でもさー」

生徒「ん?」

生徒「ここまで悪い噂立っちゃったら、私学校来る気なくなるわー」

生徒「そりゃ私もだよ」

生徒「その辺は尊敬するよねー」

生徒「ねー」

みほ「……う…うえぇ゛…おえぇ」ビシャ

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:24:38.27 ID:Wt11Y27+0
みほ「お、おはよう」

生徒「……」ヒソヒソ

生徒「……」クスクス

 『戦犯西住! 謝れ!』

みほ「ぁ……」

みほ「……」ゴシゴシ

生徒「おはよう、西住さん」

みほ「お、おはよう……」

生徒「どうしたの?」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:29:56.60 ID:Wt11Y27+0
みほ「う、ううん。何でもない」

生徒「そう……」

生徒「なにあいつ?」ヒソヒソ

生徒「落ち込んでる人を助ける私格好いい的な」ヒソヒソ

生徒「西住さんがどれだけ人を泣かせたか知らないのよ」ヒソヒソ

みほ「……ごめんなさい。もう、私に関わらない方がいいよ」

生徒「……ごめん」

みほ「…うぅ…っ……」グス

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:34:11.30 ID:Wt11Y27+0
生徒「何あれ? 泣いてる?」ヒソヒソ

生徒「はっずかしー」クスクス

みほ「ぐす……えぐっ……」ガラ…

生徒「あはは」

生徒「いい気味ね」

先生「ほら席に着けー……西住はどうした?」

生徒「見てませーん」

先生「そうか、休むって連絡はなかったがな…」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:39:33.86 ID:Wt11Y27+0
みほ「ただいま……」

菊代「……お嬢様、奥様がお呼びでございますよ」

みほ「う、うん。着替えたらすぐ行きます」

みほ「……」

みほ「お、お呼びですか」

しほ「座りなさい」

みほ「はい……」

しほ「理由は分かってるわね」

みほ「はい…」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:44:55.04 ID:Wt11Y27+0
しほ「恥を知りなさい」

みほ「うぅ……」

しほ「無断欠席なんて、どれだけ西住の名を汚せば気が済むの?」

みほ「だ、だって……」

しほ「黙りなさい! あなたは、西住に生まれた者としての自覚が足りないわ」

みほ「私は……」

しほ「いい加減にしなさい!」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:50:15.84 ID:Wt11Y27+0
みほ「っ……」

しほ「反省すらしてないの? 呆れたわね」

みほ「ごめんなさい……」

しほ「とにかく、これ以上西住流に泥を塗るようなことしないで」

みほ「……分かりました」

しほ「……下がっていいわ」

みほ「はい……失礼します」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 03:55:32.41 ID:Wt11Y27+0
まほ「よし、全車前進用意! 前へ!」

2年「副隊長、なんでこの子が乗ってるんですか?」

エリカ「私もこのポジションには不慣れだから、いろいろ助かるのよ」

2年「5人乗りに6人だと狭いんですけど」

エリカ「乗れてるじゃない」

みほ(私がどのチームにも受け入れて貰えなかったから……)

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:00:19.82 ID:Wt11Y27+0
  1年「え? 西住さんが?」

  エリカ「ええ、あなた達は1人足りなかったのよね?」

  1年「4人で上手く回ってますから、今更増えても邪魔です」

  エリカ「そう……」

  2年「西住がうちの車長?」

  エリカ「あなた達にはよく分隊の指揮を任せてるし……」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:05:46.67 ID:Wt11Y27+0
  エリカ「車長さんは3年だったから、もう引退してるわよね?」

  2年「車長は私が先輩から任されてるんで」

  エリカ「あなた操縦手よね? なら代わりに……」

  2年「そうなったら、私達戦車道辞めますから」

  2年「またほっぽり出してどこか行かれたら、たまったもんじゃありませんし」

  エリカ「分かったわ……」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:10:18.29 ID:Wt11Y27+0
みほ(逸見先輩にまで迷惑掛けて……)

エリカ「ねぇ、他の隊への指示ってどうすれば効率的かしら」

みほ「そ、それは……」

まほ「エリカ、ちょっと来てくれ」

エリカ「分かりました、ちょっと待ってて」

みほ「はい……」

まほ「次の練習プランなんだが……」

2年「いいわよねぇ、隊長の妹ってだけで副隊長になれて」

2年「辞めさせられても逸見さんが助けてくれるんだから」

みほ「……」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:16:33.16 ID:Wt11Y27+0
2年「なんか言ったらどうなの?」

みほ「私は……」

2年「あんたのせいで私達まで文句言われてるの」

2年「ほんと、正直こうして一緒に居るのも嫌なんだよね」

2年「目障り」

みほ「ごめんなさい……」

2年「謝るくらいなら出てって欲しいんだけど」

みほ「……っ…」ガチャ

エリカ「お待たせ……西住さんは?」

2年「さあ、トイレじゃないんですか?」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:18:49.07 ID:Wt11Y27+0
>>56
まじかゴメンね
頭ん中で該当セリフなかったことにしてくれ

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:20:52.63 ID:Wt11Y27+0
みほ(私はただ……仲間を助けたかっただけなのに…)

みほ(みんな……なんで勝つことばっかり…)

みほ(私は……私は……)

みほ「うぅっ……うわぁああああん」

みほ「もうやだよぉ……ぐすっ……えぐ……」

みほ「戦車道なんて……もう嫌ぁ…」グス

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:25:18.35 ID:Wt11Y27+0
まほ「ただいま帰りました」ガラ

みほ「お、お姉ちゃん……お帰りなさい」

まほ「ただいま。どうしたのみほ?」

みほ「ごめんね……私のせいで」

まほ「そう思うなら次から……」

みほ「ごめん……もう、無理だよ」

まほ「みほ?」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:31:47.26 ID:Wt11Y27+0
みほ「私は…私は正しいと思ったことをしただけなのに」

まほ「なら、次でそれを証明すればいい」

みほ「出来ないよ……みんな私なんて居なくなればいいって思ってる」

みほ「教室でも冷たい目で見られて……1人ぼっちで」

みほ「戦車道にだって居場所なんてもうないよ……」

みほ「私ね……転校することにしたの」

まほ「え……」

みほ「お母さんにはもう言ってある」

みほ「呆れられちゃった……もう勝手にしなさいって」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:35:13.42 ID:Wt11Y27+0
みほ「お願いだから西住流の恥をさらさないでって……あはは」ポロポロ

みほ「ごめんね…っ……お姉ちゃん頑張ってるのに、私、足引っ張ってばっかりで…」グス

みほ「ごめんなさい……ごめんなさい…」フルフル

まほ「……いつ転校するの?」

みほ「4月……大丈夫、その学校戦車道ないから…もう、西住流に迷惑掛けない」

まほ「……」

まほ「そう、分かった……みほ、残念だよ」

みほ「ごめんなさい……」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:40:50.93 ID:Wt11Y27+0
エリカ「隊長、どういうことですか?」

まほ「何回も言ってるだろう、みほは転校するそうだ」

エリカ「それは……隊長がなにもしないから……」

まほ「今の状況で私が出たら、みほは余計に辛い目に遭う」

まほ「それに、私が口を出しても止められるのは戦車道でのことだけだ」

まほ「教室や他のところでは何も変わらない…もっと酷くなるかも知れない」

エリカ「それなら私が……」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:45:33.10 ID:Wt11Y27+0
まほ「転校話の後は、お母様ですらみほに冷たい態度を取っている」

まほ「私が守ってやれなかったばっかりに……」

まほ「みほが安心できる場所はもうないんだよ、ここには」

まほ「このままじゃみほは、いつか……」

まほ「ここを離れた方がきっと幸せになれる。西住なんて名前に縛られず、自由になれる」

エリカ「ですが、隊長はどうなるんですか!?」

エリカ「西住流の重荷を1人で背負うんですか?」

まほ「そんなのには、もう慣れたよ」

エリカ「でも、今までずっと『みほが一緒だからやってこられた』って言ってたじゃないですか!」

まほ「もう決まったことだ……」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:51:18.60 ID:Wt11Y27+0
エリカ「聞いたわ。転校するんですってね」

みほ「そ、それは……」

エリカ「隊長に全部背負わせて、1人だけ逃げるなんて」

みほ「……」

みほ「……お姉ちゃんには逸見さんがいるから、大丈夫だよ」

エリカ「私じゃ…私じゃダメなのよ!」

エリカ「だから……」

みほ「逃げてることなんて分かってるよ……」

みほ「嫌なことから目を逸らして、お姉ちゃんに全部押しつけて……」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 04:56:10.46 ID:Wt11Y27+0
エリカ「それなら……」

みほ「……私だって……もう限界なの」

エリカ「……」

みほ「逸見さん……?」

エリカ「許さないから」

みほ「え……」

エリカ「逃げたいならどこにでも行けばいいわ!」

エリカ「その代わり、私はあなたを軽蔑する。絶対に許さない」

みほ「うん……それでいいよ」

エリカ「っ!……」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:04:51.39 ID:Wt11Y27+0
みほ「それじゃ……荷造り残ってるから」

エリカ「……」

みほ「ごめんなさい…」

エリカ「……」

エリカ「くそっ! くそぉお!!」ガンッ

エリカ「あなたが居なくなったら、隊長は1人で重圧を耐えなきゃいけないのよ」

エリカ「私は……外から声を掛けることしか……」

エリカ「あはは…私だって自分勝手よね。隊長のために西住さんを……」

エリカ「そう…………私が、私が隊長を支えてみせる……例えあなたの代わりだって」

エリカ「私は逃げないわよ! 地面を這いつくばったって隊長を…っ…」グス

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:10:24.52 ID:Wt11Y27+0
優花里「西住殿……西住殿!」

みほ「んん……ぅ…」

沙織「起きた……?」

みほ「……みんな?」

華「随分うなされてましたよ?」

麻子「大丈夫か?」

みほ「私……寝てたの?」

沙織「練習で疲れたんじゃない?」

華「ぐっすりでしたね」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:16:56.35 ID:Wt11Y27+0
優花里「せっかく優勝したんですから、もっとのんびりしましょうよ」

優花里「もちろん、真面目な西住殿も尊敬しますけど」

みほ「そんな……私は尊敬されるような人じゃないよ……」

優花里「謙遜しないでくださいっ」

麻子「全国で優勝したんだ。もっと胸張ってもいい」

みほ「うん。そうだね」

みほ(……逸見さん、許してくれるかな)

みほ「……無理、かな」

沙織「え? なにが無理なの?」

みほ「ううん、なんでもない」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:21:07.03 ID:Wt11Y27+0
みほ「ごめんね。頼りない隊長で」

麻子「いきなりどうした?」

華「頼りないなんてことないですよ」

沙織「そうそう!」

優花里「ほんとどうしちゃったんですか?」

みほ「ちょっと、昔のこと思い出しちゃって」

沙織「黒森峰に居た頃の?」

みほ「うん……」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:26:49.73 ID:Wt11Y27+0
みほ「戦車道が嫌で、私が大洗に来たのは知ってるよね?」

華「ええ」

みほ「去年の全国大会で負けた後、私いじめられてたんだ」

優花里「で、でもあれはお仲間を助けようとして……」

沙織「そうだよ! みぽりん悪くないじゃん!」

みほ「戦車道のみんなは勝つために頑張ってきたし」

みほ「他の生徒は、そもそもなんで負けたか知らないと思う」

みほ「ただ、私のせいで負けたって噂が流れて……それで…」グス

沙織「みほ……」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:36:55.60 ID:Wt11Y27+0
みほ「友だちもみんないなくなって」

みほ「私、耐えられなくなって、お姉ちゃんに全部押しつけて来ちゃった」

華「みほさん…」

みほ「私ね、すごく弱い人間なの……」

みほ「辛いことから逃げて、唯一優しくしてくれた人にも酷いこと言って」

みほ「だから、また何かあったら、私また逃げて――」

沙織「大丈夫だよ」

麻子「ああ」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:41:37.45 ID:Wt11Y27+0
優花里「私達は何があっても西住殿の友だちです」

みほ「友だち……」

華「そうですわ。誰もみほさんを1人になんてしません」

みほ「みんな……」

沙織「そうそう! 心配する必要なんてないって!」 

優花里「私達は、いつでも西住殿の味方ですよ!」

華「辛いときには遠慮なく言ってください」

麻子「力になろう」

みほ「……ありがとう」グス

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:46:56.73 ID:Wt11Y27+0
優花里「あ、ありがとうなんてそんな///」

みほ「みんな大好き!!」ギュウ

沙織「ちょ、ちょっとみぽりん?」

華「私も大好きですわ」

麻子「華、それは誤解を生む」

優花里「西住殿に…大好きって…」ワナワナ

麻子「優花里は誤解している」

みほ「えへへー//」

みほ(ごめんねお姉ちゃん。でも、私今すっごく幸せなんだ)

みほ(逃げるために大洗に来たけど、後悔はしてない)

みほ(戦車道の、本当の楽しさを見つけたから。私の戦車道を見つけたから)

みほ(お姉ちゃんなら分かってくれるよね?)

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/01(月) 05:52:02.02 ID:Wt11Y27+0
みほ(……あの時、転校を止めなかったのは、私のためなんでしょ?)

みほ(ありがとう。わがままな妹でごめんなさい。大好きだよ、お姉ちゃん!)

まほ(妹のわがままに付き合うのは姉の役目だからな。私はみほが幸せならそれでいい)

まほ(私も大好きだよ、みほ)

エリカ「隊長、さっきから何をぼーっとしてるんですか?」

 おわり