～体育祭～
３年生
最終種目：クラス対抗選抜リレー


綾乃「みんなの足引っ張ってしまわないかしら…」ｿﾜｿﾜ

美香「大丈夫だよ、私達は出来るだけいい形で結衣ちゃんに繋げよう！」

京子「クラスの皆も応援してくれてることだし、優勝したいね！」

結衣「おう、でも私にばかりそんなに期待されても困るぞ？」

京子「よし、中学校生活最後の体育祭だ。みんな円陣組もうっ」

枝織「みんな～気合い入れていくよぉ～！」

美香・枝織・綾乃・京子・結衣「おう！」





「位置について…」

　┳ﾊﾟｧﾝ!

美香(先頭の私がなんとか流れを持ってこれば)ｴｲｻｴｲｻ


櫻子｢おぉさすが３年生はレベル高いね｣

あかり｢うんうん、京子ちゃんたち出るの楽しみだよぉ｣


美香「」ﾊｧﾊｧ

美香「任せたぁ…」


枝織「おつかれさんっ」ﾊﾟｼｯ

運営委員会「なななんと、現在唯一陸上部員のいない５組が首位をキープしています」

運営委員会「さあ只今順位は５組、３組、４組、６組、１組、２組…」


綾乃「（ど、どうしよう私で抜かされちゃったら…）」

綾乃「（首位なんて身が重すぎるわ…）」

綾乃「（でももうすぐバトンが来ちゃう…）」

綾乃「（けど…）」

綾乃「（歳納京子に情けないところは見せれないわ！）」



係員「３-５の第三走者の方、もうそろそろ準備してください」


綾乃「あっ、はい」

枝織「あ、綾乃ちゃん、頼んだよ！」

綾乃「任せて！心配はノンノンノートルダムよ！」





運営委員会「さあ只今の順位は５組、４組、１組、３組、６組、２組…」


運営委員会「おっと、ここで４組が追い上げを見せているぞー」


運営委員会「５組は持ちこたえれるか」





４組の陸上部「（素人に負けるものかっ）」


綾乃「（抜かされてたまるものですかっ）」ﾊｧﾊｧ

千歳「綾乃ちゃん頑張ってや！」


櫻子「杉浦先輩～～」


向日葵「頑張ってくださいですわ！」








綾乃「歳納京子―――」


京子「OK任せて」ﾊﾟｼｯ





運営委員会「５組はいまだ首位をキープのまま第４走者」

京子「（私がここを乗り切れば、後ろには結衣がいる…）」


京子「（なんとか持ちこたえないと、あ…）」





運営委員会「とうとう４組が５組を追い抜きました～！」








京子「（息が…思うように続かない…）」ﾊｧﾊｧ


京子「（クラスの皆に…迷惑掛けちゃう…）」ﾊｧ…ﾊｧ…

あかり「京子ちゃん頑張って！」

ちなつ「京子先輩ファイトですぅ！」





運営委員会「１位と２位との差が開いていくか…。おっとここで３位に付けていた１組も追い上げてきたぁ」









結衣「京子…」



結衣「（こうなることはわかってたんだ…）」



結衣「（自分の体が丈夫でないことくらい分かっていたくせに…）」



結衣「（テーク・オーバー・ゾーンぎりぎりまであいつを迎えに行ってやろう…）」

綾乃「歳納京子…あと少しの辛抱よ！頑張って！」

美香「京子ちゃんあと少しだよっ！」








京子「結衣ぃ…」ﾊｧ…ﾊｧ


結衣「京子！あとは私に任せろ！」ﾊﾟｼｯ
















…１か月前…


クラス委員長「最後に、クラス対抗リレーの出場者を５人選出したいのですが、立候補・推薦はありますか？」

ｻﾞﾜﾞｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ

「船見さんはまず決定だと思いまーす！」


クラス委員長「船見さん、どうかしら」

結衣「えっ、私が…」


「だって結衣ちゃん体育の時の測定でも断トツに速かったじゃん～」

「そんなに足速いんだから出てよぉ～」


結衣「まあ…いいけど」

クラス委員長「じゃあまず一人は決まりね」

京子「ちょっと待った！結衣が出るなら私も出ます！」ﾊﾞﾝ

クラス委員長「歳納さん？本当に大丈夫…？」


千歳「（綾乃ちゃん、これは歳納さんとの距離を縮めるチャンスやないか）」

綾乃「とととと、歳納京子が出るなら、わっ、私も出るわ！」ﾊﾞﾝ

綾乃「（言っちゃった…）」

―――――――――――――――――――――――――――――

結衣「（京子のためにも、私が抜かさなきゃ）」


結衣「（ここで負けてしまったら、あいつが一番辛い思いをしてしまう）」






運営委員会「特別ルールで最終ランナーは２００ｍ走ることになってます！最後まで目が離せません！」









「ね、ねぇ、あの子めっちゃ足速くない？」

「えっ、陸上部の子かな？」

「たしか５組の船見さんだったと思うけど」

あかり「す、すごい！やっぱり結衣ちゃんは足速いね」

ちなつ「結衣先輩ぃぃ～～～頑張ってくださぁい～～～」






運営委員会「さあ５組が凄まじい速さで追い上げています。しかし２００ｍという距離、果たして体力が続くか…」











結衣「（京子のためにも…絶対１位をとるんだ…）」

向日葵「船見先輩凄いですわ。表情にも苦しさが見られませんわ」

櫻子「いつもクールな船見先輩が、あんなに凄い人だったとは…」

高岡ひろ「（みんな文化系の部活の人っていう話だけど、５組のリレーの人たち一体何者？）」







運営委員会「さあ５組が追い抜くか、４組が逃げ切るか」










４組アンカー「（こいつの体力はどうなってんだよ…）」



結衣「（ゴールまであと少しだ…）」


京子「（結衣、もしかして私のために…）」

ﾊﾟｧﾝ




運営委員会「優勝は３-５です！」









綾乃「やっ…やったわ！船見さん」

結衣「あ…どうも」ﾊｧﾊｧ

京子「ゆい～」ﾑｷﾞｭ

結衣「お、おい、急に抱きつくなって」ﾊｧﾊｧ

京子「ありがと…」

結衣「えっ///」

５組一同「結衣ちゃ～ん」

美香「クラスの皆も来てくれたよ～」

枝織「私達が優勝だなんて夢みたいだね…結衣ちゃんのおかげだよ！」

京子「みっ、皆さんすいません！」

枝織「としのんも頑張ったよー」ﾎﾗ ﾖｰｼﾖｰｼ

京子「みんなの優しさが辛い…」

クラス委員長「歳納さんは本当によくやったと思うわ」

京子「もぉ委員長まで」

クラス委員長「船見さんの見せ場を作った意味でもね」

ｱﾊﾊﾊﾊﾊ

京子「もう、京子ちゃんだってそれなりに頑張ったんだからねー」ﾌﾟｲ

京子「（えへへ…）」



枝織「あやのんも頑張ったと思うよ！かっこよかった」

綾乃「そ、そうかしら？」

結衣「綾乃も一番くらいに頑張ってたと思うよ」

綾乃「そ、そう？」

京子「綾乃ぉ～～～綾乃もありがとぉ！」ｷﾞｭｯ

綾乃「ととと歳納京子、突然抱きつくなんて///」ｶｧ

水飲み場


結衣「（正直限界はとっくに来てたんだけど）」ﾊｧﾊｧ

結衣「（中学に入ってからあんなに本気で走ったのは初めてかもな…）」

結衣「……」



結衣「って、さっきから後ろに居るのは京子だろ？」

京子「結衣」ﾑｷﾞｭ

結衣「」ｺﾞｸｺﾞｸ

京子「」ｽﾘｽﾘ

京子「結衣の汗なんだかいいにおい」

結衣「お、おい何やってんだ！///」ｺﾎｯ ｺﾎｯ


京子「私すっごく嬉しかった…」

結衣「そんなお礼されるようなことじゃないだろ」

京子「あとね…走ってるときの結衣すっごくかっこよかった」ｶｧ

結衣「…///」

結衣「あ、ありがと…///」

京子「…///」

結衣「…///」

枝織「あっ、こんなところでゆりゆりしてるぅ～」

結衣「なっ、こ、これは違うぞ」

京子「え～、結衣～さっきみたいに「京子愛してる」って言ってよ～」

結衣「おいこら、またお前は誤解を招くような事を」

枝織「お熱いカップルさんですね～」ｸｽｯ

結衣「だからちがっ」

沙織「早く早く、みんな待ってるよ～」

担任「じゃあ集合写真撮ろっか」


美香「なんといったって主役はこの二人よねっ」

千歳「ほら歳納さん、船見さん、前のほう行きぃ」



京子「だってさ、結衣いこうよっ」ｷﾞｭｯ

結衣「な…なんだか恥ずかしいな///」


千歳「綾乃ちゃんも歳納さんの隣行きぃ」ﾎﾟﾝｯ

綾乃「あわわ、もう千歳ったら急に押さないでよ」

綾乃「（とっ、歳納京子の隣…///）」ｶｧ


「せーのっ」



「３-５最高！」


ｶｼｬ




そんな思い出の１枚







おしまい