1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 21:47:50.42 ID:e+U+OHeO0
楓さんで安価をもらって書きたいと思います
エッチなのとグロいのはちょっと書けません……
皆さんの思う楓さんを教えてくださいな

まずは、>>3の楓さんを

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1515156470

引用元: 【モバマス】楓さんで安価 


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 21:49:08.07 ID:HYP/gTktO
ライダー

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 22:06:06.34 ID:e+U+OHeO0
チャレンジ番組で取ることになったバイクの中型免許

長期間のロケの末、何とか撮ることができました

車はもちろん、免許証を持つということが初めてだったので

受け取る時はそれはもう嬉しかったです

私が免許証を受け取り、そのロケは終わったのですが

せっかく取った免許なので、バイクを購入してみようと思います

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 22:10:46.14 ID:e+U+OHeO0
と、意気込んでみたはいいものの……

私にはそういった知識もないですし、どうしようかと悩んでいた時です

お仕事が終わり、事務所に戻ると、何やらバイクの話題が飛び交っていました

「お疲れ様です。バイクのお話ですか?」

これは良いお話が聞けると思い、菜々さんと夏樹ちゃんに声を掛けます

「楓さんか、お疲れ様です」

「お疲れ様です、楓さん。夏樹ちゃんにバイクの雑誌を見せてもらってるんですよ」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 22:16:25.52 ID:e+U+OHeO0
「菜々がいけるクチでね、旧車の事を良く知ってるんです」

「ヨンFour、FX、それにニンジャ……渋いですよねぇ」

よんふぉあ、えふえっくす? 忍者さんってバイクがあるのかしら

「私も見せてもらってもいいですか?」

「いいですよ、ほら」

夏樹ちゃんから雑誌を受け取り、ぺらりとめくる

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 22:24:17.73 ID:e+U+OHeO0
バイクと一言にしても、色々なメーカーと形があるんですね

角ばっていたり、丸っこいデザインのものもある

それにとてもカラフルで、眼を楽しませてくれます

そして、何ページかめくった時、私はそのバイクに釘付けになりました

「あ……これは何て言うバイクですか?」

まぁるいライトに、ライムグリーンのカラーリング

教習所で乗ったバイクより、とても綺麗に思えました

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 22:32:34.48 ID:e+U+OHeO0
「これはKH250、通称『ケッチ』て言うんですよ」

夏樹ちゃんがそう教えてくれました

「これは最終型ですね、このカラーが目を引きますねぇ」

菜々さんが細かく、補足してくれます

「ケッチ……ですか」

ケッチ、ケッチ? 頭の中で反芻してみる

うん……何だか可愛らしく思えてきました

14: 緑って言ったら、ほら……ね? 2018/01/05(金) 22:37:38.52 ID:e+U+OHeO0
「ちなみに、これはどこで買えるんですか?」

「え、買っちゃうんですか?」

「ナナは止めませんけど……高いですよ?」

2人がびっくりしてますけど、これは正に運命の出会い

きっとこの機会を逃すと、もう出会えないような気がして……

「大丈夫です」

胸を張って、声高らかに宣言します

「ケッチなことは言えないです♪」


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 22:44:52.11 ID:e+U+OHeO0
その日は夏樹ちゃんに雑誌を貸してもらい

お部屋に戻った後も、お酒を飲みながらケッチの写真を眺めていました

ケッチ……ケッチ君? それともケッチちゃんかしら?

お酒のグラス越しに見るケッチの写真はきらきらと輝いて

思わず、頬が緩くなってしまいます

いけないいけない、まだ買ってもいないのににやけちゃって……

「ふふふ♪ 早くアナタに乗ってみたいですね」

私の独り言に、からりと氷が返事をしました

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 22:52:16.11 ID:e+U+OHeO0
それから数日後、夏樹ちゃんから連絡がありました

夏樹ちゃんと拓海ちゃんにお願いをして探してもらっていたのですが

こんなに早く見つかるとは思いもしませんでした

早速、夏樹ちゃんと一緒にお店へと向かう事になったのですが

心が浮つくのを止めることができなくて、夏樹ちゃんに迷惑をかけてしまいました……

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 22:57:34.78 ID:e+U+OHeO0
「楓さん……嬉しい気持ちはわかりますけど」

「はい……反省してます」

これじゃいけませんね、もっとちゃんとしないと

何と言っても、これからケッチちゃんとご対面なんですから!

「顔がにやけてますよっと……お、着いた着いた」

夏樹ちゃんが先行して、お店の方とお話をしています

その間に呼吸を整えようと、軽く深呼吸

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 23:02:48.45 ID:e+U+OHeO0
すぅはぁ……すぅはぁ

「楓さん、こっちみたいです」

「は、はいっ……」

深呼吸をしたけれど、まったく意味はなくて

私の胸の鼓動は早くなっていくばかり

でも、それは嫌なドキドキじゃなくて

恋にも似たような焦がれた気持ち

さぁ、楓。ケッチちゃんを迎えにいかなくちゃ

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 23:08:25.88 ID:e+U+OHeO0
夏樹ちゃんの声がするほうへと向かうと、そこにはたくさんのバイク

そして、ぴかぴかのケッチちゃんが佇んでいました

「わぁ……綺麗……」

まるで写真がそのまま飛び出てきたような錯覚

いえ、ライムグリーンのカラーリングは実物のほうが綺麗かも

「ほら、楓さん」

夏樹ちゃんの声で我に返って、ケッチちゃんにそっと触れてみます

……金属のパーツで出来ているのに、ちょっと暖かいような、そんな感じがしました

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 23:16:17.74 ID:e+U+OHeO0
「どうです? ケッチとのご対面は」

にやにやとした夏樹ちゃんが私の顔を覗き込んできます

「感動です……ありがとう、夏樹ちゃん」

夏樹ちゃんの手を両手で包み、きゅっと握りました

「あーっと……探してくれたのは店の人ですんで」

少し照れたような夏樹ちゃん

「ううん、夏樹ちゃんも頑張ってくれたから」

「……楓さんにそんなことを言われると照れちまうな」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 23:22:41.62 ID:e+U+OHeO0
「そうそう、エンジンもかけていいみたいですよ」

「エンジン……緊張しますね」

夏樹ちゃんから説明を受けて、エンジンをキックスタートさせてみます

スカートで来なくて正解でした

それはさておき

ケッチちゃんを起こしてあげましょうか

キックにそっと足を置いてから、ぐっと踏み込みこみました

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/05(金) 23:28:14.37 ID:e+U+OHeO0
ケッチちゃんのおはようの挨拶はとても凄くて

びりびりと体が痺れれるような、そんな挨拶

そして、ケッチちゃんの鼓動が私の胸の鼓動をかき消すように響く

「おはようございます、ケッチちゃん」

ケッチちゃんだけに聞こえるように、小さく挨拶を返して

私の新しいお友達は、機嫌が良さそうに声を上げるのでした




おしまい

33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 19:44:57.66 ID:abqsn9uKo
サバイバー

38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 20:01:59.84 ID:64podORF0
「紗南ちゃん、何をやっているの?」

テレビの前で体を揺らしながら、紗南ちゃんがゲームをやっています

「これはバイオハザード2だよ」

バイオハザード……確かゾンビとか怖い生き物が出てくるゲームだったはず

あれ? この白くて四角い人が主人公なのかしら?

「紗南ちゃん? この人、ちょっとお豆腐みたいな人なんだけど……」

恐る恐る質問を投げかける

「楓さん鋭い! これは豆腐サバイバーっていうモードなんだ」

豆腐サバイバー? お豆腐が生き残る……の?

39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 20:07:05.58 ID:64podORF0
紗南ちゃんの返事にしばらく唖然としてしまった

……落ち着きましょう、現状を整理してみると

バイオハザード2はお豆腐が怖い生き物と戦うゲーム? でいいのかしら

お豆腐は冷ややっこで食べるのが一番だと思ってましたけど、最近のお豆腐は凄いんですね

ちょっとした勿体なさと、尊敬を感じます

40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 20:13:42.26 ID:64podORF0
「楓さん、変なこと考えてない?」

「い、いいえ……そんなことないです、よ?」

紗南ちゃんの言う通り、変な事を考えてましたけど、お豆腐が戦うのもそもそも変な話では……

「まぁいいや、ちょっと進めてみるから」

ぺろりと舌を出した紗南ちゃんは真剣な顔になって

ぎらぎらとした闘志を瞳に宿し、ゲームを再開するのでした

41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 20:16:37.37 ID:64podORF0
ああっ! 白い体がピンク色になってまるでかまぼこみたいに……

あら? お豆腐みたいだけど、よくみるとちくわぶみたいな感じにも見えるような……

『なにすんねん』

えっ!? この方は関西の人なの? そもそも人じゃないですけど……

「楓さん、笑わせないで! 全部声に出てるから」

「はい……ごめんなさい」

怒られちゃいました

42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 20:21:07.60 ID:64podORF0
それにしても、見てるほうもはらはらするものですね

お豆腐が戦うなんて凄くシュールだと思うんですが

私は紗南ちゃんのゲームプレイに釘付けになっています

……いいえ、もしかしたらお豆腐のようなちくわぶのようなういろうのような方にかも……

「よーし、もう少しでクリアっと」

なにやらコートを着た、頭が涼しそうな大きな人から逃げられればいいみたいです

頑張ってください! こぼれちゃったお豆腐は私が食べますから

43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 20:23:31.01 ID:64podORF0
大丈夫かしら……食べられちゃわないのかしら

さっき、攻撃されたときに赤いものがでてたけれど

血液は紅葉おろしか何かなのかしら……

それなら温やっこか湯豆腐もいいわね

今日の肴に思いを馳せていると、いつの間にか紗南ちゃんがゲームをクリアしていました

44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 20:26:19.86 ID:64podORF0
「ふぅ……昔のゲームはやりがいがあるねー」

楽しそうに、そしてやりきった顔の紗南ちゃん

「お疲れ様でした。そうそう、紗南ちゃん」

「どうしたの?」

きょとんとした顔の紗南ちゃんに私はこう言うのです

「寒いから湯豆腐でも食べていかない? 今度は敵側でどうかしら」





おしまい

53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 21:39:24.68 ID:64podORF0
話は数か月前

寒さが少しきつくなった時期の事です

「あ、楓さん。お疲れ様れす」

「七海ちゃん、お疲れ様です」

いつものように事務所へ顔をだすと七海ちゃんが何やら雑誌を読んでいました

「何を読んでいるの?」

「釣りの雑誌れすよ」

そんなの愚問れす! と言わんばかりに七海ちゃんが答えました

54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 21:43:40.08 ID:64podORF0
「へぇ……今の時期はどんな魚が釣れるのかしら」

んーと唇に手をやってしばらく考える七海ちゃん

「やっぱり今の時期は鯵れすね」

……鯵、味がいいからその名前がついたというお魚

お刺身でも、焼いても、揚げても、どのような調理でも美味しく頂けるお魚

もちろん、酒の肴としても一級品です

「まぁ♪ 鯵ならお酒の肴でもいいお味、ですね」

「もちろんれすよ♪」

そのときの、七海ちゃんのにやりとした笑みの意味を数日後に知ることになりました

55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 21:47:21.69 ID:64podORF0
ただいまの時刻、午前六時

準備などを考えて、その一時間以上前には起きています

「ふわぁ……」

自然と出てくるあくびを我慢……できませんでした

うう……私なんでこんな早起きしているのかしら……

いくら美味しい酒の肴が釣れるからって、ほいほい着いてきてしまったのが運の尽き

「うーん、良いお天気れすね♪」

そう言う七海ちゃんはご機嫌の様です

56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 21:50:24.80 ID:64podORF0
「七海ちゃん、ご機嫌ね」

「もちろんれすよ、楓さんの海デビューが良いお天気れすので」

それに、と七海ちゃんが続けます

「今日は潮も良いし、群れが入っていれば入れ食いれす」

「入れ食い……?」

私の質問に、可愛らしい胸を張って七海ちゃんが答えます

「おつまみがいっぱいってことれす♪」

57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 21:57:45.08 ID:64podORF0
七海ちゃんと雑談をしていると

エンジン音とともに、ボートがこちらへと向かってきました

「さて、船長も来たので準備しますか」

にやりと笑う七海ちゃんは、アイドルというより海の女という感じがしました

「私に何かできることがあれば言ってね」

「わかったのれす。では、ポイントに着くまで我慢れすかね」

船長さんと楽しそうに話す七海ちゃんがそう返しました

……我慢? 何を我慢するのかしら

そんな気楽な考えをしていた私ですが、身をもって知る事となりました


58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 22:00:49.22 ID:64podORF0
「この堤防を抜けたら波が高くなるのれす、しっかりと掴まって下さいね」

「は、はい」

きりりと引き締まった七海ちゃんに、短く返事を返します

そして、堤防を抜けたと思った瞬間……揺れが強く、いいえ、、とてもとても強いものへと変化しました

それはもう絶叫アトラクションにも負けず劣らずといったもので

波を受けるボートがぐわんぐわんと揺れるのでした

59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 22:05:36.19 ID:64podORF0
「きゃあっ……」

思わず悲鳴が漏れてしまいますが、波は待ってくれませんし、ボートは進むのみです

ざばんと波を受けるボートがぐわりと揺れる。その繰り返しを何度か受け、ようやくポイントへと到着しました

「今日は簡単にサビキとコマセを使って釣りをするれす」

七海ちゃんが説明をしてくれますが、初心者の私にはちんぷんかんぷんです

「ええと……いっぱい針がついた仕掛けに餌をつけて、たーくさん鯵を釣るのれす」

わかりやすい説明ありがとう、それなら私でも理解できます

60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 22:10:30.12 ID:64podORF0
「船長が今調べてるのれす、ちょっとお待ちを」

見てみると船長さんがすでに竿を投げていました

何事にも慣れている人の動作はとても綺麗で、流れるような動作です

「さて、掛かるならそろそろです」

七海ちゃんがそう言った瞬間です

船長さんが、ぐうっと竿を上に上げ、リールを巻きます

「おう七海ちゃん、今ならコマセはいらないみたいだ」

その言葉を聞いて、七海ちゃんが動き出します

61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 22:14:33.46 ID:64podORF0
「楓さん、近くで良いので、仕掛けを落として下さい」

「え? まだ餌をつけてないけど……」

あたふたとする私を見て、七海ちゃんが力強く返事をします

「今日は活性が高いみたいれす。仕掛けだけで釣れますよ♪」

こちらに話しかけながら、七海ちゃんが流れるような動作で仕掛けを海に落とします

「まずは仕掛けを底まで落とします。糸が出なくなったなと思ったら底に着いたってことれす」

62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 22:22:33.03 ID:64podORF0
「そして軽くとんとんって竿を動かして、当たりがないなら少しリールを巻いて……」

くいくいっと竿を動かしてリールを巻く七海ちゃん

そして……

「食ったれすよー!」

ぐいっと力強く竿を上げてリールを巻き始めました

それをはらはらしながら見守る私。七海ちゃんのほうが慣れているのに、変な感じです

そして数秒後、魚のシルエットが何匹も見えて……

「うん! 良い型の鰺れすね」

七海ちゃんの仕掛けには三匹も鯵が付いていたのです

63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 22:42:06.85 ID:64podORF0
「わぁ……凄い」

七海ちゃんが釣った味はとても大きくて、綺麗で、感嘆の声が漏れますが

「ほらほら、楓さんも早くするのれす」

いつもとは違う目つきの七海ちゃんの気迫に押され、たどたどしい手つきで仕掛けを海へと落とします

まずはベールを返して、糸をそのまま垂らす……

「あの……七海ちゃん、底に着いた感覚がわからないんだけど……」

糸が止まっているような感覚はあるのですが、いかんせん正解かわかりません

「んー……じゃあ糸を垂らしてゆっくり七秒カウントして見てください」

64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 22:48:30.80 ID:64podORF0
いーち、にーい、さーん……頭の中でカウントしてから七秒

「七秒経ちました……あれ? ぐいぐい引っ張られてるみたいな……」

手元に伝わる生き物が動いているような感覚

「それはきっと鯵が針を食ったのれすよー!」

さぁ、竿を上げてリールを巻くのれす! と七海ちゃんの言葉に竿をぐいっと上げてみると

先ほどより強い、生き物の力強い感覚

そこから無我夢中でリールを巻いてみると……

「おー! 良い型の鰺れすよ。それに、カサゴも付いてるのれす」

七海ちゃんの嬉しそうな声に、その生き物を釣るという感覚が両の手に重さとなって感じました

65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 22:57:48.50 ID:64podORF0
何と言葉にして良いのでしょうか

手に残るお魚の重み、そして余韻

「……これが釣りの醍醐味、ですか」

知らずに漏れた言葉に、七海ちゃんが反応します

「そうれすよー、楓さんの手に残る重みが命の重みなのれすから」

そう……なんですね。では……私はこれを受け止めなければいけません

「さぁ、まだ群れはいるので根こそぎ釣っちゃうのれす!」

「はいっ!」

七海ちゃんの言葉に力強く返事をして、また糸を垂らすのでした

66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 23:11:13.80 ID:64podORF0
「ふぅ……今日は大漁れした」

二つのクーラーボックスにぎゅうぎゅうに詰められたお魚たち

メインは鯵で、カサゴとサバがほんの少し

「七海が活〆したので、あとはお刺身でもなめろうでもアジフライでも何れもいけますよ」

あー、お刺身なら一日か二日熟成したほうがいいかもれす、と七海ちゃんが補足しました

「わかりました」

これだけいっぱい釣れたなら、皆さんにおすそ分けという事で……

いつものメンバーにラインを送ることにします

67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/06(土) 23:17:12.00 ID:64podORF0
『酒の肴のお魚がたくさん釣れました。今日は鯵パーティーしませんか?』

自分で釣ってそのお魚を食べる……釣ったからにはその命を粗末にはしないのは良いことだと思います

食べられてしまうお魚には少し可哀想かとは思いますけれど……

せめてみんなで美味しく頂きますのでご勘弁を

「さぁ、帰るとするのれす」

七海ちゃんの声を合図にして、私たちは帰ることになったのですが

この手に残る感触と、このお魚たちを肴にして飲むことを想像すると

生唾がとまらないのでした……



おしまい