前回 巌窟王「旅行先間違えた」 アンジー「神様ですか?」

2: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/16(木) 21:07:34.56 ID:o9iNpo8B0
学級裁判 再開

ナーサリー『前回までのあらすじ! 巌窟王が本気になったのだわ!』

イシュタル『いやー。コイツ、どこかのジャージ着物女の言うことには実は人間大好きってことだし、別に珍しくはないけど』

イシュタル『それにしてもマスターですらない人間の肩を持つってのは中々面白い光景ではあるわね』

ナーサリー『うふふ! いつでも応援してるのだわ! 可愛い可愛い探偵さん!』

イシュタル『上から目線ね、応援が……』

ナーサリー『気に入らない? なら下から目線での応援を手本として見せてほしいの!』

イシュタル『え? え、ええと……』

イシュタル『ど、どうか……この無知蒙昧でドジな女神を助けると思って……頑張ってくだしゃい……』

ナーサリー『うわー。本当にやっちゃったのだわ。女神としてのプライドがないのかしら』

イシュタル『こ、このロリ……!』




夢野「……なんじゃろうなぁ。本来ならこのポジにモノクマーズがいる方が自然な気がするんじゃがなぁ」

赤松「多分それ深く考えない方がいいよ」

白銀「はいはい! やめやめ!」

引用元: 巌窟王「亜種並行世界!」 アンジー「虚構殺人遊戯:才囚学園ー!」 



3: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/16(木) 21:16:09.03 ID:o9iNpo8B0
真宮寺「……どうしても僕のことを犯人と主張する気なんだネ?」

最原「うん。ごめん。どうしてもそうだとしか思えなくって」

真宮寺「で。超高校級の探偵である最原くんはともかくとして、まさか巌窟王さんまでそう主張するとは思わなかったなァ」

巌窟王「……」

赤松「ねえ最原くん。一つ聞いていい?」

最原「なに?」

赤松「……なんか普段と様子が違う気がするんだけど、気のせいかな?」

赤松「ちょっと自信満々すぎる気がするんだけど」

最原(……勘が鋭すぎる! さっきは大ポカしてたくせに!)

4: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/16(木) 21:23:09.05 ID:o9iNpo8B0
真宮寺「これまでの犯人の足取りを考えると、犯人はほぼ誰にでも該当するんだけど……」

真宮寺「……ねえ。最原くん。キミはどうなのかなァ?」

最原「僕は……」

巌窟王「違うな。最原だけは絶対に違う」

赤松「うん。なんか怪しいとは思うけど、決定的に犯人ってわけじゃないと思う」

赤松「だって、巌窟王さんをアンジーさんのところに導いたのって、最原くんだよね?」

赤松「さっきのまとめを聞く限りでは、だけどさ」

巌窟王「何よりも、コイツにはあの時点で『俺の目からアンジーを完全に隠す方法』があった」

星「まあ、三つの空き部屋を探した後で巌窟王にこう報告すりゃあいいだけだからな」

星「あそこにアンジーはいなかった。他の場所を探してみよう……ってな」

夢野「悪態付きながらも生徒のことを信用していた巌窟王のこと、その一言で百パー丸め込めたじゃろうな?」

5: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/16(木) 21:32:11.84 ID:o9iNpo8B0
百田「もしも終一が犯人なら、馬鹿正直にアンジーのところへ巌窟王を誘導するわけがねー、か」

百田「……それ以前に終一だぞ? アンジーを殺すわけねーだろ!」

春川「百田。いい加減にしなよ。前々回の学級裁判では赤松が『偶然に』、前回の学級裁判では東条が『故意に』人を殺してた」

春川「なんでもありなんだよ。人を信じすぎてたら足をすくわれるよ?」

赤松「……」

東条「……それでも私は……最原くんを信じたいと思うの」

王馬「ま、巌窟王ちゃんに並ぶ恩人だもんねー。東条ちゃんならそう言うと思ってたよ」

王馬「……自分の不利益になると頭の中で思ってても、ね」

獄原「でも最原くんのことを信じるとしても、最原くんの主張の方は簡単に信じるわけにはいかないよね?」

獄原「だって真宮寺くんも仲間なんだからさ」

入間「今となっちゃ巌窟王の主張でもあるけどな」

入間「結託しやがって。穴兄弟ってヤツか、アアン?」

赤松「入間さん。黙って」

入間「ぴぐう!」

10: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/17(金) 19:10:59.05 ID:0AKaxBIy0
最原(……上手い具合に『犯人は火傷を負っているはず説』を煙に巻かれたな)

最原(でも別にいい。ひとまずはコレで)

最原「……巌窟王さん。何か超高校級の民俗学者の研究教室で見つけたんだね?」

巌窟王「大したものは見つけていない。だが、真宮寺の研究教室には無視できない一つのギミックが存在する」

巌窟王「そして俺の知っている限り、そのギミックを作動させられるのはキーボ、入間、アンジー、真宮寺、そして俺の五人のみ、というだけだ」

キーボ「それって、燻蒸消毒機能のことですか?」

入間「あ? ああ……あー……?」

入間「いや、アレは関係ねーだろ。だって……」

王馬「あっあー。勝手に話を進めないでくれるかな?」

王馬「なに? その燻蒸消毒機能って。よくわからないから一から説明してくれる?」

11: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/17(金) 19:20:00.16 ID:0AKaxBIy0
巌窟王「燻蒸消毒機能とは、平たく言えばあの教室をガス室に変えるギミックだな」

巌窟王「水洗いや熱を使った消毒のできない美術品などが多数置かれている博物館ではよく使われるらしい」

巌窟王「ただこれは『常識の範囲外の知識』だったが故に、俺もアンジーから教えられた以上のことは知らなかったのだがな」

天海「確かサーヴァントって一般的な知識を一通り召喚の際に得られるんすよね?」

巌窟王「その知識の配分にも限界があるということだ」

白銀「なんだ……常識の範囲内の知識だけか……」ハァ

春川「白銀? 何考えてるの?」

白銀「いや濃密なオタトークとか期待できないのかなって思っただけなんだけど……はあ……」

巌窟王「たまにそういうのに堪能なサーヴァントもいる。もしかしたら得られる知識にはサーヴァントごとに傾向があるのかもしれん」

白銀「え? 本当!?」キラキラキラ

巌窟王(ただアレらと一緒に趣味を楽しめるかと言ったら微妙だが……)




カルデアのどっか

刑部姫「へーちょ」

黒髭「オイラは兵長じゃねぇ!」ビィィィ

12: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/17(金) 19:28:01.22 ID:0AKaxBIy0
真宮寺「……でもその燻蒸消毒機能って一つ欠点があったよネ」

巌窟王「ああ。唯一にして最大の欠点。それは、あの研究教室に使われるガスの毒性が『冗談のように強すぎる』ことだ」

モノクマ「うん! 人間でも一呼吸すれば充分に死ぬよ!」

入間「ていうか、あの燻蒸消毒機能ってそれ以前に……」

入間「……」

キーボ「……まさか、入間さん……」

巌窟王「……クハハ。やはりか、入間」

最原「……ええと。ごめん。何を言いたいのか、まださっぱりなんだけど」

巌窟王「さて。それでは証言させるとしよう。あの燻蒸消毒機能をモロに食らった超高校級のロボットにな」

キーボ「わ、わかりました……では証言させてもらいます」

16: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 07:19:56.35 ID:ewbtz+fT0
キーボ「あの区画が解放されてからすぐのこと、ボクと入間さんと真宮寺クンはあの教室を調べていました」

キーボ「その折、ボクはあの部屋の燻蒸消毒機能に巻き込まれてしまったのです」

真宮寺「あの燻蒸消毒機能は赤外線で生物の有無を探知していて、中に人間がいる場合は安全装置がかかって作動しないんだけど」

真宮寺「ロボであるキーボくんは、赤外線センサーに引っかからない。だから彼だけが巻き込まれたんだヨ」

キーボ「虹色のなんか見てるだけで正気を失いそうなガスにニ十分くらい揉まれ、あとの十分でガスを徹底的に除去され」

キーボ「そして巻き込まれてから三十分後になんとか外に出ることができました」

キーボ「そのとき、たまたま通りすがったアンジーさんと巌窟王さんも扉の外にいました」

巌窟王「そして俺たちはそこで纏めて燻蒸消毒機能の説明をモノクマから受けていた」

巌窟王「まずは、この燻蒸消毒機能のことを知っていたのが五人だった、ということを覚えておけ」

巌窟王「キーボ。二回目の話だ」

キーボ「……おそらくこっちの方が重要ですからね」

17: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 07:26:11.03 ID:ewbtz+fT0
キーボ「事件の捜査中、獄原クンに呼ばれてボクは真宮寺クンの研究教室へと向かいました」

キーボ「そこでボクは巌窟王さんから信じられない提案をされたのです」

巌窟王「燻蒸消毒機能にもう一度巻き込まれてみろ。そして前のように、閉じ込められている間は大騒ぎしていろ」

巌窟王「およそ内容はこんなものだ」

最原「それでキーボくんがあの教室に閉じ込められてたのか……」

最原「……あれ? 待って。大騒ぎしていろって言ったの?」

キーボ「ええ。そこが重要なポイントその一です。あの燻蒸消毒機能は外からの音も、中からの音も完全シャットアウト」

キーボ「何も聞こえなくなるんですよ」

最原「……」

最原「キーボくん。その二回目の燻蒸消毒機能のとき、ガスって出た?」

キーボ「流石に勘がいいですね。おそらく最原クンの予測の通りだと思います」

キーボ「ガスは出ませんでした。一切、まったく」

百田「それってよ。その燻蒸消毒機能の設定が誰かに弄られてたって話じゃねーのか?」

真宮寺「確かに、消毒機能の操作は僕の研究教室の中にあるコンパネで可能だろうけど」

真宮寺「それって可能なの? モノクマ」

モノクマ「いいえ! 通常の操作だけでは、どうやったって燻蒸消毒機能の『毒ガスを発生させる機構』のみは抑えきれません!」

モノクマ「へえ……ガスが出なかったんだ。だとしたら……うーん」






モノクマ「誰かに改造でもされたんじゃない?」

18: 前スレの535を参照のこと ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 07:42:19.55 ID:ewbtz+fT0
最原(……自然と視線が一人の女生徒へ向く)

最原(裁判場にいる全員が彼女の姿を捉えた)

入間「……」

入間「えっ。な、なに? なんでこっち見てんの?」アタフタ

最原「……ああ。そうか。心当たりあるかも……この前の食堂で入間さん言ってたね」




入間『……くそ……見つからねぇ……ちくしょう……善行詰んだ俺様になんて仕打ちを……』




最原「あのときは『入間さんがいつ善行詰んだっけ』としか思わなかったけど……」

赤松「燻蒸消毒機能を改造して無毒化させてた……ってこと?」

王馬「それも秘密裏に? あの入間ちゃんが?」

王馬「いや。百歩譲って、入間ちゃんは『勝手に』そういうことをやる人間だとは理解するけどさ」

王馬「『黙って』やるタイプだとは思えないなぁ」

王馬「……ただの無毒化じゃないのなら話は別だけどさ」

巌窟王「……実際にただの無毒化ではないだろうな。おそらく無毒化した際に『何かに使えるかも』と惜しくなって、ガスはどこかに保存してあるはずだ」

巌窟王「魔が差したのだろう? だから詰んだ善行を誰かに話すわけにはいかなくなった」ニヤァ

入間「ばっ、そ、そんなわけ……!」

入間「……」

入間「ああそうだよ! かっぱらったよ! それの何が悪ィってんだよ○○○○ども!」ウガァ

白銀「わー。清々しいほど逆ギレしはじめた」

20: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 17:17:07.58 ID:ewbtz+fT0
巌窟王「クハハ。いや? 何も悪くはないぞ?」

キーボ「そうですね……何に使う気だったのかはわかりませんから責められませんし」

キーボ「危険な毒ガス機構を無毒化させたことは素直に褒めるべきです」

王馬「たった今入間ちゃんが認めた以上、その毒ガス絡みで何かあった日には犯人丸わかりだし」

茶柱「犯人……?」

入間「よ、余計なこと言ってんじゃねーよドチビ! 俺様がそんなこと考えるわけねーだろ!」

王馬「……へえ。どんなこと考えてたのかな……?」ニヤァ

入間「あっ」

星「もうやめておけ。これ以上責めても『やってないモン』は責められない。そうだろ?」

赤松「……?」

最原「……」




最原(入間さん、誰かを殺す気だったのかな)

最原(……まあ確かに、確証は何一つとしてないから、この話をこの方向で掘り下げるのは無意味だな)

21: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 17:33:09.23 ID:ewbtz+fT0
茶柱「……で。燻蒸消毒機能が無毒化されたってことはわかりましたが」

茶柱「それがどうしたんです? 今回の事件に毒ガスは関わってませんし……」

巌窟王「違うな。この燻蒸消毒機能で一番大事な部分は『密室を作り出せる』という部分だ」

巌窟王「それも音が外に漏れない完璧な……」

巌窟王「……ところで、犯人はアンジーを泥酔させるために酒を飲ませたんだったな?」

巌窟王「果たしてそれはどこで行われたのだ?」

茶柱「……」

茶柱「あの。空き部屋を捜査した人に問い合わせたいのですが」

茶柱「酒を飲ませた形跡とか……ありました?」

百田「……ん?」

春川「あれ? そういえば……酒の雫や水たまりとか、一切見てないね?」

キーボ「もしも掃除したんだとしたら血痕とか、アンジーさんが襲われた形跡すら掃除されているはずですし……」

キーボ「いや。そもそも掃除が困難です。床は吸湿性の高い木製で、床下は土でしたから。屋内なのに」

春川「犯人の計画では、そもそも死体発見現場が床下になる予定だったのかっていう疑問もあるし……」

春川「元から掃除をする気もなかったんじゃないかな」

巌窟王「そう。犯人はアンジーに酒を飲ませる際、どこかに場所を移したと考えるべきだ」

巌窟王「……ついでに、安心したいがために無毒化された燻蒸消毒機能をダメ押しに使いもしただろうな?」

最原「……キーボくん。入間さん。巌窟王さん」

最原「その燻蒸消毒機能のこと、誰かに話した?」

入間「……話してねぇ」

キーボ「ボクも同様です。話す必要がありませんでしたから」

巌窟王「アンジーと『アレは危ないな』と世間話した程度だ。私室やアンジーの研究教室の中のような、二人きりの場所で」

最原「じゃあ……!」

23: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 17:47:35.22 ID:ewbtz+fT0
真宮寺「……は? いやいやみんな。話を聞いてた?」

真宮寺「中に人がいるときに燻蒸消毒機能は使えないんだヨ?」

巌窟王「要は赤外線センサーに引っかかりさえしなければいい。それだけの話だ」

巌窟王「それともう一つ。あそこでアンジーが酒を飲まされたと考えられる根拠がある」

巌窟王「……事件以前より明らかに綺麗になっていた」

獄原「ああ。そういえば巌窟王さん、そんなこと言ってたね」

獄原「でもそれをどうやって証明しようかって話にもなったけど」

巌窟王「そこだな。俺には忘却補正があるから、あの研究教室が事件以前と比べると明らかに綺麗になっていることに気付けるが……」

巌窟王「せめてもう一人、俺と同じ意見のヤツがいれば裏付けとなるだろう」

茶柱「そんな巌窟王さんレベルの記憶力を持った人なんて……」

キーボ「……」

キーボ「あっ! いえ! ボクなら可能ですよ!」

入間「は?」

キーボ「だって、事件前と事件後で二回、燻蒸消毒機能に巻き込まれて真宮寺クンの研究教室に巻き込まれているんです!」

キーボ「巌窟王さんの言っていることが本当かどうか、ボクならわかります!」

キーボ「というより、証明できますよ! 入間さん、アレです!」

入間「……おい。おいおいおいおい! ざけんなッ! アレはそんなことのために付けた機能じゃ……!」

キーボ「なうろーでぃんぐ! なうろーでぃんぐ」ピーッガガガーッ

入間「チクショーーーーーーーッ!」ガビーンッ

百田「い、一体なにが……!?」



ニュッ



赤松「ひいっ! 口から写真が出た!」ガビーンッ

キーボ「これがボクの新機能、録画機能です!」テッテレー!

25: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 18:58:54.23 ID:ewbtz+fT0
キーボ「さあ! それではコレをデジタル変換して上部画面に大写しにしますよ!」

ナーサリー『了解! それじゃあ伯爵。それをデバイスで撮影して?』

巌窟王「……」スッ

最原(巌窟王さんは気持ちイヤそうな顔をしながら写真を手に取り、デバイスのカメラで撮影した)

最原(すぐに二つの写真が上部画面に映りこむ)

東条「……確かに。巌窟王さんの言う通りね。綺麗になってるわ、明らかに」

真宮寺「……」

巌窟王「どうした真宮寺? 顔色が悪いな?」ニヤァ

巌窟王「なんならここで言うがいい。『ああ、確かに掃除したよ。事件直前に』と言えば筋は通るだろう?」

真宮寺「……!」

最原(……失言を誘ってる。やり口が露骨すぎるけど)

26: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 19:07:53.05 ID:ewbtz+fT0
真宮寺「……具体的に、巌窟王さんが最後に僕の研究教室を見たのはいつのこと?」

巌窟王「お前が俺の質問に答えたら言ってやろう」

巌窟王「真宮寺。自分の研究教室を掃除したか?」

真宮寺「……」

最原(僕は真宮寺くんが犯人だと確信している。多分、巌窟王さんも)

最原(もしも。巌窟王さんがアンジーさんを探すときに、チラりとでも真宮寺くんの研究教室の中を見ていたとしたら)

最原(そして、そのときの研究教室が掃除されていなかったとしたら)

最原(……その可能性を真宮寺くんが考えていたとしたら、答えはたった一つしかない)

真宮寺「いや。してない……ネ」

巌窟王「ほう……」

巌窟王「さて。約束だ。俺が最後にいつ研究教室を見たか、だろう?」

巌窟王「……」

巌窟王「急激に言う気が失せたな?」

真宮寺「……ふざけないでヨ」ギリッ

巌窟王「クハハ。冗談だ。そうだな、事件前に燻蒸消毒機能から出て来たキーボが開けた扉から見たのが最後だ」

真宮寺「……ッ!」

最原(やり口が滅茶苦茶いやらしいな……)

27: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/18(土) 19:15:36.61 ID:ewbtz+fT0
真宮寺「……まァいいや。結局、僕の研究教室が使われた決定的な証拠なんてないんだしネ」

真宮寺「疑問点が二つあるんだから、少なくともそれが解決されない限りは仮説は論外の一言だヨ」

天海「二つの疑問点?」

真宮寺「まず一つ。あの研究教室は何回も言った通り、人間の発する赤外線を探知して作動するか否かを決めるんだ」

真宮寺「つまり中に人がいる限りは作動しない」

真宮寺「二つ目に、入間さんが無毒化のことを秘密にしてたよネ? 犯人がそれを知る機会があったのかな?」

赤松「……あれ。この論調、どこかで見たような」

赤松「……ああ、そうだ。私の学級裁判のときでも、こんなことがあったね」

真宮寺「!」

最原「地雷を踏んだね真宮寺くん。そうだ、赤松さんの事件のときと一緒だよ」

最原「わかりようがないことなら、事前に実験して知ったんだ!」

真宮寺「犯行は突発的なものだったって何回も議論されたよネ?」

最原「そこは撤回する気はないよ。でも……!」

最原「……そうか。そういうことか……?」

茶柱「最原さん?」

31: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/19(日) 11:40:58.06 ID:qOrqFToa0
最原(……狂気の有無、か)

最原「仮に。あくまでこれは仮の話でしかないけど」

真宮寺「……?」

最原「中に人がいるままに消毒機能を使える方法があったとして」

最原「その燻蒸消毒機能を使って人を殺そうと思ったらさ」

最原「毒ガスを使うのが一番手っ取り早いよね?」

百田「まあ、わざわざ単体では殺傷能力のない密室のギミックを使おうとか普通は考えねーよな」

最原「多分、犯人は真っ先に毒ガスでの殺人計画を考えたんだと思う」

最原「……でも毒ガスの機能についてはモノクマの説明以上の情報はなかったし、ぶっつけ本番で使おうなんて思えなかったんじゃないかな」

赤松「唯一キーボくんだけが実際に消毒機能に巻き込まれてたけど、結局それだと毒の威力はわからずじまいだったろうしね」

最原「だから犯人はあらかじめ、何かを使って毒の威力を測ろうとしたはずだ」

最原「生物はどこででも調達できたはずだよ。ゴン太くんの研究教室の虫たち、夢野さんの研究教室のピラニア……」

最原「……いや。少なくとも実際に使われた生物がいたはずだ」

32: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/19(日) 11:59:53.67 ID:qOrqFToa0
最原「……夢野さんのハトムギだよ。犯人は実験動物として彼を使ったんだ!」




夢野「お楽しみは! そこまでじゃ!」反論!




最原「えっ」

最原(あまりにも予想外の方向から反論がッ!?)ガビーンッ!

夢野「最原よ……お主は一つ重大な勘違いをしておるぞ……」

最原「重大な勘違い?」

夢野「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

夢野「ハトムギはメスじゃぞ」

最原「……」

最原(凄くどうでもいい反論だった……!)ガビーンッ!

33: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/19(日) 12:13:03.12 ID:qOrqFToa0
夢野「まあそれはともかくとして、記念に反論は続けさせてもらうぞ?」

最原「あ、ああ……うん。いいよ……」

夢野「じゃあ改めて」



反論ショーダウン 真打!

夢野「犯人は突発的に犯行を行ったという話ではなかったのか?」

夢野「一連の工作はすべて巻きで行われたはずという話もあったはずじゃな?」

夢野「アンジーをぶん殴った後で毒ガスを使おうと思ったのなら……」

夢野「少なくとも突発的な犯行だったという前提は撤回すべきではないかのう」


議論発展!


最原「いや。これまでの議論で培った仮説を撤回する気はないよ」

最原「犯人はハトムギを使って毒ガスの威力を測ったはずだ!」

夢野「わからんヤツじゃのう。それは話がおかしいんじゃ」

夢野「いかにウチらが火事で右往左往していたからと言って……」

夢野「アンジーを『ぶん殴った後で』実験したって言説は不自然すぎるじゃろ」

最原「その言葉! 斬ってみせる!」ズバァァァァッ!

34: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/19(日) 12:24:22.71 ID:qOrqFToa0
最原「そうだね。アンジーさんを気絶させた後で、ハトムギを使った実験をしていたのなら話がおかしい」

最原「だって毒ガスはモノクマの説明通りなら『即効性』なんだ」

百田「そんなものをわざわざ使うくらいなら、もっと他にいくらでも殺す方法はあったはずだもんな」

春川「絞殺。撲殺。刺殺。夜長は気絶してたんだから、本当にいくらでも、ね」

春川「殺人の委託によるアリバイ工作へ発想が向かわないような人間なら、逆に毒殺っていう発想に至らない」

最原「うん。そうなるね」

夢野「んあー……? 最原、お主一体何が言いたいんじゃ?」

夢野「ハトムギによる実験が行われたって言ったはずじゃろ」

赤松「今更問い合わせるのはなんとなく恥ずかしいんだけど、そのハトムギって……」

東条「夢野さんの研究教室で飼われている手品用の真っ白な鳩の名前よ」

最原「……あのさ。ハトムギによる実験が行われたのが、そもそもアンジーさんの事件以前なんだよ」

最原「その証拠もあったはずだ」

夢野「どこに?」

最原「……ハトムギが食べてたアレだよ」

夢野「……アルミホイルのことか?」

37: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/19(日) 19:56:02.15 ID:qOrqFToa0
夢野「……ん? 待て。最原。お主の言っていた『真っ先に考え付いた』って……」

最原「あ。ごめん。紛らわしかったかな」

最原「うん。そうだよ。犯人は『夢野さんのマジカルショーが終わった直後』くらいのタイミングで殺人計画を考えたんだと思う」

赤松「えっ!? ちょっと待ってよ! だってそのとき私たちは……!」

茶柱「そうですよね! モノクマからの動機の提示もありませんでしたし、平和そのものだったんですよ!?」

王馬「んー。その認識が甘かったんじゃないかな。だって、俺たちってこの才囚学園に閉じ込められてるんだよ?」

王馬「しかもコロシアイを強要されている状態で。この環境自体がモノクマの提示している最大の動機だよね」

王馬「わざわざモノクマがアクションを起こさなくっても、こういうことは普通に起こりえるはずだって」

赤松「そ、そんな……!」

最原「でも毒ガスを使った殺人計画は頓挫した。その前に入間さんが無毒化させていたから……」

最原「……あ。ちなみに、夢野さんのハトムギがなんでアルミホイルを食べてたかっていうと……」

最原「多分、ハトムギはアルミホイルで囲まれてたんじゃないかな」

天海「……」

天海「もしかして、最原くん。あの研究教室って!」

最原「うん。アルミホイルで赤外線をシャットアウトすれば、おそらく問題なく動作するんだと思う」

38: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/19(日) 20:11:28.74 ID:qOrqFToa0
最原「でも殺人計画が頓挫したとは言っても、犯人はその時点で燻蒸消毒機能の無毒化のことを知ることができた」

最原「ついでに、幸か不幸かハトムギを実験動物として選んだこともプラスに働いた」

最原「彼……じゃなくって、彼女ほど処分しやすい実験動物もいないよね?」

東条「全部終わった後で空に逃がせば、彼女が何を食べていようがもう関係ない……」

獄原「でも、ハトムギさんは戻ってきた。そして証拠を持ってきてくれたんだね」

獄原「……うう! 夢野さんとハトムギの友情……とっても……とっても美しいよ!」

夢野「いや別に友情とかないが……どっちかというと仕事仲間じゃし」

星「俺でもどうかと思うほどドライだな……」

巌窟王「ついでに言っておこう。俺が真宮寺の研究教室を、アンジー捜索の折りに見たときには」

イシュタル『……ああ! 確かにあったわね、アルミホイルの破片!』

ナーサリー『ええ! 今すぐ上部モニタに出すわ!』

最原「決まりじゃないかな? 掃除された研究教室。アルミホイルの破片。酒を飲ませた形跡のない空き部屋……」

最原「更に、空き部屋から真宮寺くんの研究教室との距離はかなり近い」

最原「……犯人の『絶対に、万が一にでも見つかりたくない』っていう念には念をの精神が裏目に出た結果だ」

真宮寺「……」

真宮寺「クク……ククククククク」

真宮寺「ほ、本気で言っているわけじゃないよネ?」

巌窟王「もう諦めろ真宮寺。お前は終わりだ」

真宮寺「……何が……終わりだって……!?」

真宮寺「な、ななっ……なにがっ……なななにっ……なななななななっ!」ガタガタ

39: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/19(日) 20:17:38.97 ID:qOrqFToa0
真宮寺?「落ち着くのです! 是清!」

最原「……」

最原「ん?」

赤松「あれっ?」

百田「お?」

巌窟王「!」

巌窟王「……真宮寺の魔力の流れが……変わった?」

真宮寺「ね、姉さん……!」

真宮寺?「ああ、是清。可哀想に。あの子たちは何もわかっていないのです」

真宮寺?「あなたの誠実さ。あなたの愛の深さ……今までずっと仲間としてやってきていたというのに」

最原「……」

最原(真宮寺くんがマスクを脱いだ?)

最原(……いや。様子がおかしいとか、口調が変わってるとか、それ以前に……)

百田「お、おい真宮寺。その頬の傷って……まさか火傷か?」

真宮寺?「……ふふ」

真宮寺?「ふふふふふふふふふ……!」

真宮寺?「それが?」

百田「それがって……!」

40: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/19(日) 20:22:09.69 ID:qOrqFToa0
真宮寺「そうだヨ。やっぱりおかしいヨ! だって犯人は全部終わった後で掃除をしたって言ったよネ!?」

真宮寺「だとしたらアルミホイルが残ってるのはどう考えたって変だヨ!」

真宮寺「いや。そもそもアルミホイルで人を二人分、つまりアンジーさんと犯人をセンサーから隠そうと思ったら……!」

最原「かなりの量のアルミホイルが必要になる、か……」

最原「……そんなわけないよ。使うアルミホイルの量はかなり少なく済んだはずだ」

最原「無毒化のことを知った犯人なら猶更ね!」

最原「そして、その方法こそが、掃除後の研究教室でアルミホイルが残った理由の説明になるはずだ!」

真宮寺「んなぁっ……!」

真宮寺「……クク、クククククク……」

真宮寺「い、言ってみなヨ……そんな方法、あるわけが……!」

最原(……よし。いいぞ。この調子だ。この調子で揺さぶっていけば……!)

47: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 16:25:41.13 ID:gcnkzKN60
最原「ねえ巌窟王さん。この分だ件のセンサーの写真も撮ってるよね?」

巌窟王「ああ。ナーサリー、アレを」

最原「待って。出す前に確認したいんだ。そのセンサーって、もしかして天井にあったりしなかった?」

巌窟王「……」

ナーサリー『大正解よ! 燻蒸消毒機能の動作を司る赤外線センサーは、天井の四隅に四つ設置されていたわ!』

イシュタル『あと床の四隅に一つずつ、でしょ?』

東条「つまり合計で八つということね」

ナーサリー『ちなみに、これがそうよ。大きさは大体人の拳くらいかしら』ピコンッ

夢野「……んあ! わかったぞ! 犯人はこの燻蒸消毒のセンサーを、作動させるときだけ逆方向に首を曲げさせたんじゃ!」

モノクマ「あ。無理無理。そんなことしたら壊れちゃうよ。関節作ってないから」

モノクマ「壊すことに関しても校則で制限したりはしてないけど……写真見る限り全部無事だね?」

真宮寺「ククク……ほらね。じゃあ消毒機能を使ったっていう最原くんの推理は……!」

最原「いや。間違ってないよ。夢野さんの推理は、実はいい線行ってたんだ」

最原「犯人はセンサーそのものを弄って赤外線をシャットアウトしたんだよ!」

最原「つまり、赤外線を発する人体の方ではなく、センサーそのものにアルミホイルを被せることでね!」

真宮寺「……がっ!?」ガビーンッ!

48: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 16:35:50.49 ID:gcnkzKN60
赤松「……あ、あれ? 待って。今までの推理を聞いててふと思ったんだけどさ」

赤松「人が吸ったら猛毒のガスを出す機構が、ちょっと細工するだけで充分に動作可能だったってことだよね?」

赤松「そ、それってかなり危険だったんじゃ……」

入間「だから俺様が無毒化させたんだよ。この程度の小細工、俺様ならすぐに考え付いたぜ」

入間「それで誰かに利用される前に出し抜いてやらァって思ってよ」

王馬「今回ばかりは入間ちゃんのアホみたいな負けん気に救われた形になるのかな! お手柄だよ!」

入間「あ、アホみたいな!?」ガビーンッ

星「……ただ、どこかに隠しておいてあるはずのガスについては後で処分させてもらおう」

入間「え、ええーっ……マジでー……?」

巌窟王「クハハ! 防毒の力がある俺と、そもそも毒が使えないキーボとで安全に処理してやろう」

キーボ「えっ。ボクも?」

巌窟王「拒否権はないッ!」ギンッ

キーボ「元から拒否する気はありませんでしたが、強要されてると思うと途端にやる気が失せてきます……」ズーン

49: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 16:56:01.93 ID:gcnkzKN60
最原「掃除した後の床にアルミホイルが落ちていた理由は多分、すべてのセンサーから慌ててアルミホイルを剥がしたからだろうね」

最原「特に、天井のセンサーは取り付けるのも、剥がすのも苦労したはずだ」

最原「犯人が急いでいたんだとしたら、破片程度はセンサーに引っかかって残るかもしれない」

巌窟王「そしてそれが、犯人がすべての工作を終えた後で床へと落ちた……」

巌窟王「ふむ……単純だが、ありえなくもないか」

茶柱「天井のセンサーにアルミホイルを付けるって……それ可能なんですか? あの研究教室って病的に天井も高かったですよね?」

巌窟王「その分、そこかしこに足場や階段があった。更に研究教室上部の方も資料やわけのわからない木製のオブジェのオンパレード」

巌窟王「不可能ではない、と答えるべきだろうな。ここは。踏み台になりそうなものも一つや二つではないのだから」

王馬「燻蒸消毒機能のことを知っていた人間は五人」

王馬「被害者のアンジーちゃん。サーヴァントの巌窟王ちゃん。消毒機能を無毒化させた入間ちゃん。あとキー坊と真宮寺ちゃん」

王馬「あれ? 参ったなぁ。まだ真宮寺ちゃん『だけが』可能ってわけにはいかないんじゃない?」

キーボ「え? ちょ、ちょっと……!」

最原「巌窟王さんの『掃除されていた』って証言を裏付けたり、他にも燻蒸消毒機能が無毒化されていたって正直に証言したりしてたし」

最原「犯人にしては協力的すぎるんじゃないかな」

入間「あと、キーボは俺様の研究教室を何回もノックしてたはずだろ?」

入間「火事が起こっている間限定だったけどよ」

巌窟王「……だとすると、やはりキーボは犯人ではないかもしれんな」

巌窟王「あの燻蒸消毒機能は、一度作動したら三十分は外には出れない」

巌窟王「東条が襲撃されたのが十一時ニ十分で、俺と茶柱が火事を発見したのが十一時四十分」

茶柱「転子が人を集めだしたのが十一時五十分だから……」

茶柱「片付けや準備の時間を加味するに、キーボさんが犯人って説はいくらなんでも無理がありますね」

最原「混乱が収まり始める時間にアンジーさんが死ぬように、ヒルの投入は多少は待っただろうから……」

最原「うん……入間さんの研究教室をノックし続けてたキーボくんが犯人の可能性は限りなく低いと思うよ」

50: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 17:18:44.65 ID:gcnkzKN60
王馬「……うーん。別にキー坊にも、って意味で言ったわけじゃないんだけどなぁ。キー坊は人徳がないんだね!」

王馬「あ。そういえば人じゃなかったね! ごめんね、無神経なこと言っちゃって! ロボに神経ないけど!」

キーボ「ロボット三原則をここまで破りたいと思ったのは産まれて初めてです」

王馬「……」

王馬「ねえテレクラちゃん! ちょっと見たい写真があるんだけどさ!」

ナーサリー『あら。お呼ばれみたいよ、イシュタル』

イシュタル『誰がテレクラちゃんよ!』ガビーンッ!

王馬「いやまあどっちでもいいんだけど。アンジーちゃんの写真とかある?」

ナーサリー『え? 今それが見たいの? 別にいいけど。ほら』ピロンッ

王馬「……違うな。このアングルじゃない。逆から撮った写真はない?」

ナーサリー『ええっと……あるわね。コレよ』ピロンッ

王馬「……」

王馬「うん! わかった! じゃあ俺も犯人は真宮寺ちゃんだって思うよ!」キラキラキラ!

百田「あ? なんでだよ。ていうか今のやり取りは一体なんだ?」

王馬「いいからいいから!」

54: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 20:05:01.86 ID:gcnkzKN60
最原「これで三人……過半数まであと六人か」

赤松「……」

赤松「最原くん。何か隠してることあるよね?」

最原「!」

赤松「だって、おかしいよ。話運びが何か変。いつもの最原くんじゃないみたい」

赤松「上手くは言えないんだけどさ……!」

王馬「あーっれれー? 誰にでも優しい赤松ちゃんがそんなこと言うなんて珍しいねー」

王馬「でもさあ、実際に最原ちゃんの言説は筋が通ってるように見えるけど」

赤松「……あの燻蒸消毒機能のことを知っていた人って、本当に五人だけだったの?」

モノクマ「うーん。少なくともボクが燻蒸消毒機能について喋ったのは、さっき挙げられた五人だけだね」

モノクマ「だからボクから情報が漏れたって可能性はほぼ除外していいと思うよ」

入間「ついでに、燻蒸消毒機能のコンパネはインターフェイスがクソだった」

入間「つまりアレを燻蒸消毒機能のコンパネだと認識するためには一度起動させる必要があるんだよ」

キーボ「だからボクが一度巻き込まれたわけですしね」

キーボ「入間さんがコンパネを弄ったのは興味本位からですし……あそこから偶然漏れる可能性もないと考えていいのでは」

巌窟王「アンジーから漏れた可能性も除外だ。俺が『みだりに話すべきではない』と言ったからな」

真宮寺「……」







真宮寺「ああ、そうだ。思い出したヨ……!」

最原「え?」

真宮寺「ちょっと前に、ある人に燻蒸消毒機能のことをポロリと漏らしちゃったんだヨ」

真宮寺「……東条さんにネ!」

東条「……」

東条「えっ?」

55: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 20:11:00.48 ID:gcnkzKN60
百田「おい。待てよ。そりゃおかしいぞ。入間ですら……そう」

百田「あの入間ですら! 危ないから他のヤツに喋るのはやめようって発言を控えたようなギミックだぞ!」

百田「よりにもよってテメェが燻蒸消毒機能について誰かに話すとは到底思えねぇな!」

入間「その言い草はあんまりじゃねぇか!? 慰謝料請求すっぞ!」

真宮寺「ククク。いや、ごめんネ。世間話のときについ、サ」

真宮寺「……だって東条さんだヨ? この前の学級裁判のときに、みんなで必死に助けた東条さんだヨ?」

真宮寺「信用しすぎて、油断しすぎて、慢心しすぎちゃって……」

真宮寺「……つい、ネ」

東条「待って……私はそんなことを言われた覚えはないわ」

真宮寺「いや……? 僕は間違いなく、キミに燻蒸消毒機能のことを教えたヨ」

真宮寺「まあ、録音機能を持ったキーボくんじゃあるまいし、証明はできないけどサ」

最原「……」

最原(かかった……!)

57: アンダードッグ効果? ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 20:21:24.10 ID:gcnkzKN60
最原「……それがキミの主張? 真宮寺くん」

真宮寺「ククク……僕が犯人だなんて、そんなわけないじゃないか」

真宮寺「だって僕はこれまで何も悪いことはしてないんだヨ……!」

真宮寺「みんなと一緒に今まで笑いあってきたんだヨ!」

真宮寺「希望を! 絶望を! この学園に来てからのすべてを、キミたち仲間と共有してきたんだヨ!」

真宮寺「だから……だからだからだからだからだから」

真宮寺「僕を疑わないでヨ! そんな目で見ないでヨ!」

真宮寺「僕はッ! 犯人なんかじゃないんだぁぁぁぁぁ!」

百田「真宮寺……!」

夢野「……確かにそうじゃ。巌窟王と会えたのも、広い目で見ればコイツ監修の魔法陣あってこそじゃしの」

夢野「ただ怪しいというだけで疑うのも論外ではあるんじゃ」

最原「……」

最原「誤魔化されない」

真宮寺「……はっ!?」

最原「……ごめん、真宮寺くん。キミのことはまったく恨んでない」

最原「でも真実から目を逸らす気にもなれないんだ」

真宮寺「……!」

最原「東条さんが怪しい。そうか。それがキミの主張か」

最原「わかったよ。じゃあ真っ先に否定しよう」

最原「……仲間として、この僕が!」ズバァァァァンッ!

59: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 20:32:12.15 ID:gcnkzKN60
真宮寺「証明できるわけがない……そんなことができるんなら、さっきの時点で……!」

最原「ああ、ごめん。僕も『たった今思い出した』んだよ」

最原「東条さんが自作自演で閉じ込められたわけじゃない。その最大の証拠をさ!」

真宮寺「……は?」

赤松「……思い出した? 最原くんが?」

最原「そもそも、犯人は東条さんをどうやってロッカーに閉じ込めたんだろうね?」

天海「……仮に。仮に東条さんの他に犯人がいるとしたら……東条さんをハンマーでぶん殴った後、血痕その他を軽く掃除して……」

天海「そのままロッカーに詰めて、接着剤を……」

天海「……」

天海「……?」

王馬「およ? どうした天海ちゃん。急に黙っちゃって」

最原「そうなんだ。接着剤をドアに付けなきゃ、東条さんが倒れて外に出てしまう」

最原「……じゃあ、入れるときは? 東条さんの体はどうなってたの?」

天海「そうっすよね……? 考えてみればおかしな話っす。だって気絶して脱力した東条さんを掃除用ロッカーに詰めようと思ったら……」

天海「あっ!」

最原「そうだよ。掃除用ロッカーは、東条さんを入れるときは『横たわった状態』だったはずなんだ!」

真宮寺「ッ!」

最原「じゃあ、東条さんを入れて、ロッカーを接着剤で固定した後、それを元に戻すときに何が起こるかな?」

茶柱「……あっ!」

60: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 20:42:53.46 ID:gcnkzKN60
巌窟王「……まさか。お前たち、今まで気付いていなかったのか?」

巌窟王「掃除用ロッカー周辺の床には引っかき傷があっただろう? 一度あそこを通りがかった俺ですら覚えているぞ」

百田「そ、そりゃテメェにスキルがあるからだろうが!」

百田「いや。おい。おいおいおい! 終一、なんで今まで忘れてやがったんだ!」

百田「他の連中も!」

白銀「え、いや……ええ?」

白銀「待ってよ。引っかき傷があったからどうだっていうの?」

天海「わからないんすか? ロッカーは横たわった状態から、起き上がったんす」

天海「ロッカーの中にいたはずの東条さんには絶対に不可能なんすよ! ロッカーを起こすなんて動きは!」

白銀「……あっ!」

茶柱「あのロッカーを見たとき、転子は『何かおかしいな』って思ってたんです。だから東条さんを見つけることができた」

茶柱「そうか……床の引っかき傷……! それが違和感の正体!」

真宮寺「そ、そんなの……偽造したものかもしれないじゃないか!」

最原「そんな証拠はないよ! どこにもね!」

最原「あのロッカー単体の重さだと、床に引っかき傷を作るには微妙に足りない」

最原「中に人の体重があって初めて、あの傷はできるんだよ!」

最原「加えて、東条さんは手に怪我をしている! 仮にロッカーに重しを入れて、引っかき傷を偽造しようと思ったら今ごろ――!」

天海「……出血しているはずっす、ね」

最原「断言するよ。そんな傷はなかった!」

真宮寺「――!」

最原「だからもう、犯人はキミしかありえないんだ!」

赤松「……ちょ、ちょっと。最原くん。いくらなんでもそれは……!」

最原「さあ! 真宮寺くん! もう逃げ場はどこにもないよ!」

赤松「最原く――」






真宮寺「出血ならしてたじゃないかァ!」

61: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/20(月) 20:52:48.84 ID:gcnkzKN60
赤松「……」

赤松「……?」

百田「……真宮寺……テメェ、今なんつった?」

真宮寺「はあ……はあ……はあ……?」

最原「……真宮寺くん。今、なんて言ったの?」

真宮寺「……」

最原「僕たちは、裁判中にそんな発言してなかったよ」

真宮寺「……」

真宮寺「クク……ククク……なんだそんなことか……」

真宮寺「ごめんネ! 実は僕は知ってたんだヨ。だって、茶柱さんが中庭に戻ってきたときにまくし立ててたからネ!」

真宮寺「東条さんがどんなに酷い怪我をしていたか……片っ端から、駄々流しだったんだヨ!」

茶柱「は?」

キーボ「……ええっと、ボクは入間さんの研究教室の前と、火事の研究教室を往復してましたから録音はできてなかったんですが」

キーボ「どうなんですか? 茶柱さん」

茶柱「……」

真宮寺「覚えてるはずがないヨ……あのとき本当に慌ててたからね」

真宮寺「ククク。大方、僕をハメるために東条さんと二人で口裏を合わせてたんだろうけど……」

真宮寺「徒労だったネ! 僕は犯人なんかじゃ――!」

茶柱「ああ。そうですか」

茶柱「……本当に最低ですね、最原さん」

最原「……ごめん。茶柱さん。もういいよ。本当のこと言っても」

茶柱「……」






茶柱「知りませんでした」

真宮寺「え?」

茶柱「……そんな傷あったことなんて、知りませんでした」

真宮寺「――」

茶柱「だって……転子は『最原さんに後を任せてすぐに研究教室を飛び出した』んです」

茶柱「……知るはずないじゃないですか。そんな傷があったなんて」

真宮寺「……」

真宮寺「は?」

76: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/21(火) 18:19:24.76 ID:UWiCkIut0
茶柱「……あとのことは最原さんに聞いてください。転子は……もうほとんどわかっちゃいましたけど」

最原「ごめん。真宮寺くん。こうでもしないと真相が暴けなかったんだ」

最原「だって、決定的な証拠を見つけることができなかったからさ……!」

真宮寺「……」

百田「どういうことだよ。だって、茶柱はさっき言ってたよな?」

百田「終一と二人で東条の怪我を治療してたってよ!」

茶柱「正確に言うと、最原さんが口裏を合わせていたのは東条さんと、転子だったんですよ」

茶柱「三人ぐるみで嘘吐いてたんです」

茶柱「真相はさっき言った通り。転子は東条さんの手の怪我についての詳細なんて全然知りませんでした」

東条「捜査が始まってからも私は手袋を脱いだりしていないわ。この手袋の下がどうなっているかを正確に知っているのは……」

最原「……僕と、犯人だけだよ」

77: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/21(火) 18:27:27.08 ID:UWiCkIut0
最原「……学級裁判が始まる前からだ。僕が工作を始めたのは」

最原「茶柱さんがすぐに研究教室を出て行って、あの部屋をザッと見まわしたときに思ったんだよ」

最原「『これとは別にもう一つ事件があればしっくり来るな』って」

最原「東条さんの手からは、確かに血が出ていた。床には引っかき傷。東条さんが閉じ込められていたのは掃除用ロッカー」

最原「中庭では燃えている茶柱さんの研究教室と、それの消火活動に参加している生徒たち」

夢野「確かに……議論をここまで進めたウチたちからすると、すべて仕組まれたとしか思えないようなシチュじゃな?」

春川「トリックなんてこんなもんだよね。バレてみれば『なんであのときわからなかったんだろう』って不思議に思うのがセオリーってヤツ?」

春川「……最原だけはそうじゃなかったんだね」

赤松「その時点で……真宮寺くんが犯人だって思ったの?」

最原「流石にそこまでは。ただ『これから学級裁判が起こったらどうしよう』って不安だったけど」

最原「だって、東条さんが怪しいって思われるような偽装工作のオンパレードだったからさ……!」

最原「……ただ幸運だったのは、それに気づいたのが僕だけだったってことだよ」

最原「偽装された証拠なら、隠滅しても問題ないよね?」

巌窟王「……なに?」ピクッ

78: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/21(火) 18:34:03.65 ID:UWiCkIut0
王馬「……最原ちゃん。何考えてるの?」

王馬「偽装工作のオンパレードだって思ったのは最原ちゃんの主観でしょ?」

王馬「もしも仮に、それら全部がストレートに東条ちゃんが犯人だということを示すような証拠だったとしたなら……」

王馬「キミは犯人の片棒を善意で担いだに過ぎないんだよ?」

天海「確かに。あまりにも危険すぎる賭けっすよね。東条さんのことを余程信じてなければ、それこそ怖くて何もできないっす」

王馬「信じたっていうかさー。この場合はただ単に『東条ちゃんが犯人だとは思いたくない』っていう現実逃避の一種だよね」

王馬「……心が弱いんだな、最原ちゃんは」

最原「……」

東条「最原くん……」

最原「結果的には良かったよ。だって、アンジーさんを発見して、疑似学級裁判が始まったときに」

真宮寺「僕が犯人だという確信を得た、でしョ?」

赤松「……!」

79: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/21(火) 18:43:12.38 ID:UWiCkIut0
真宮寺「……いつから怪しいって思ったの?」

最原「決定的だったのは、真宮寺くんが東条さんの研究教室で取っていた行動だよ」

最原「妙にゴミ箱に注意してたよね?」

真宮寺「ああ。アレ……ネ」

獄原「どういうこと? なんでゴミ箱に注意してたら犯人なの?」

最原「高確率でそこにできているはずの証拠がなかったから」

最原「東条さんはさ、手袋の下、包帯の上から刃物で手を傷つけられて出血してたんだ」

最原「当然そんなことをしたら包帯は台無しだし、捨てるしかない」

最原「……血が付いた状態の包帯だよ。床に傷ができるのは、掃除箱に詰める際に避けられないって論調だったけどさ」

最原「そのときに東条さんの包帯に血が滲んでいたら……」

天海「東条さんが床の傷の偽造を行ったかもしれない、って主張することができるってことっすね」

天海「でもそれはそれで逆に証拠として露骨すぎる気もするっすけど」

最原「東条さんには前科がある。多少の不自然さは押し通せると思ったんじゃないかな」

最原「それに血が付いた包帯単体では、ただのゴミだし。議論がここまで進まない限りは保険でしかないよ」

80: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/21(火) 19:06:23.30 ID:UWiCkIut0
最原「それで最後に、茶柱さんと一緒に最後の……ちょっとした嘘を仕込んだ」

茶柱「最原さんと一緒に東条さんを治療して、落ち着いたあたりで戻ってきたんです」

茶柱「……大体こんなものです。ただ転子は、この嘘が具体的にどういう意味を持つかまでは知らされてませんでした」

茶柱「強いて言うなら『三人くらい怪しい人がいる。その三人から犯人をあぶりだせるかもしれないから協力して』って言われたんです」

茶柱「今から考えると、とんだ方便でしたけどね。あなた真宮寺さん『だけを』狙い撃ちする気でしたね?」

最原「うん」

茶柱「……この世から消えてください」

最原「あの……本当ごめん。今から謝るから……ごめん……」ズーン

星「決定的な証拠はなかった、か。じゃあこれまでの議論も全部……」

最原「出来る限り『それっぽいこと』を話してただけで、実は確証は何も無かったね」

赤松「そんな……あっさりと……」

最原「うん。ごめん。凄く辛かったんだ。でもやっとスッキリしたよ」

最原「……色々失っちゃったけどね」

東条「……」

巌窟王「東条。言いたいことがあるのなら今、言うがいい」

東条「!」

巌窟王「……真宮寺は真実を言ったことによって自爆した。最原は嘘を吐いてまでお前を守った」

巌窟王「だが、お前の目には、それ以外の何かが見えているのだろう?」

巌窟王「俺には見当も付かないがな」フッ

東条「……」

95: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/22(水) 19:45:21.22 ID:/npR9oEE0
自分も爆死
何故か新アサさんが出てきたよ

98: じいじ! じいじ欲しい! ◆SxyAboWqdc 2017/11/22(水) 20:05:29.56 ID:lMhMHW410
東条「……最原くん。あなたは確かに弱いわね。王馬くんの言った通り」

最原「……」

東条「でも私は嬉しかったのよ。あなたが私を信じてくれて」

最原「えっ」

東条「形はどうあれ、ね。さっきの議論の中でも、私を信じたいと言ってくれた人がいた」

百田「ん」

赤松「……東条さん」

東条「私を疑っていた人も、私を疑うことを辛いと思っていた」

天海「……」

星「……ふん……」

東条「……あなたが暴いた真実って、きっと悲しいものばかりじゃないのよ」

東条「必死で。歯を食いしばって。今にも泣きそうで、身も心も折れそうでも、弱くても」

東条「前に進もうとするあなたは格好いいわ。前にも言ったはずよ、私は」

最原「……」

最原「え。あれ本気だったの?」キョトン

赤松「卑屈すぎないッ!?」ガビーンッ!

巌窟王「さて。それで? 真宮寺、もう反論はないだろうな?」

真宮寺「ああ。うん。ないない。僕が犯人でいいヨ」

真宮寺「……すべての真相は投票の後で、ネ」

最原「……」





最原「ごめん。その前に一つ」

99: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/22(水) 20:08:35.70 ID:lMhMHW410
赤松「あ、あれ? もう真宮寺くんは犯行を認めたよね?」

春川「さっきの発言もあるし、もう決定でいいんじゃない?」

最原「うん。犯人は真宮寺くん。僕もそれでいいと思う」

最原「でもさ。犯人だと認めた今だからこそ聞きたいことがあるんだ」

最原「……こればかりは後回しにするわけにはいかないからね」

夢野「んあ? 他に何かあったかのう」

真宮寺「……」

最原「結局、なんでアンジーさんを殴ったの?」

最原「あの空き部屋で、一体何があったの?」

最原「こればかりは犯人である真宮寺くん自身に訊ねないとわからない」

最原「……あと、投票が終わった後で有耶無耶にされたらたまらない」

巌窟王「……答えてもらうぞ?」

100: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/22(水) 20:16:47.61 ID:lMhMHW410
真宮寺「クク……ククク」

赤松「……?」

真宮寺「やだヨ!」バァーンッ

白銀「……」

白銀「……は?」

真宮寺「だって、特に何もなかったからネ! ただなんとなく夜長さんを殴っただけだヨ!」

真宮寺「それが真相! それが真実!」

百田「……いやいやいや。いくらなんでもそりゃねーだろ」

星「もういい。どうせ後でアンジーに聞けばいい話だ」

星「モノクマは言ったな。リソースの無駄になることはしないと。だからそれですべてが終わりだぜ」

真宮寺「ククク……クククククク」

最原「……いや。ごめん。そういうわけにはいかないんだ」

星「なに?」

最原「ちょっとした個人的な事情でさ。今すぐ答えてもらわないと困るんだよ」

巌窟王「……」

101: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/22(水) 20:23:50.30 ID:lMhMHW410
真宮寺「もう何をどうしようと、僕はあの空き部屋で起こったことを応えないヨ」

真宮寺「仮に! 後で夜長さんにすべてを告白されたとしても! 絶対に!」

真宮寺「でもキミにそれを止める方法はないよネ? だって、僕の隠し事は全部白日の下に晒されちゃったんだからサ!」

最原「……」

最原「じゃあ、キミの最大の秘密を『この場で永遠に秘密にする』のと引き換えっていうのはどう?」

真宮寺「……」

真宮寺「え?」

最原「あのさ。キミがあえて言ってないことって、アンジーさんとの空き部屋のやり取りの他に、もう一つあるよね?」

最原「……それを今この場で喋られたら、凄く困るんじゃないかな?」

白銀「真宮寺くんの、もう一つの秘密……?」

真宮寺「……ないヨ。そんなもの……あるわけないじゃないか……!」チラッ

赤松(……ん? 今一瞬、巌窟王さんの方を見た?)

赤松(というかこの口調、取引というよりは最原くんの方に得だけがある脅迫っぽく見えるんだけど……)

最原「……認めてくれないんだね」

真宮寺「認めるも何も、ないんだヨ! そんなものは!」

真宮寺「仲間だったでしョ!? なんで僕のことは東条さんみたいに許してくれないんだよォ!」

最原「許したいに決まってるじゃないかッ!」

真宮寺「!」

最原「……だから答えてもらいたいんだよ……!」

102: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/22(水) 20:30:34.71 ID:lMhMHW410
真宮寺「……ないヨ」

真宮寺「ない、ないないないない。ないんだないんだってないんだヨ!」

真宮寺「どうしてどうしてどうしてどうしてどうして……!」

真宮寺?「どうしてなのどうしてなのどうしてなのどうしてなの……?」

百田「おい。どうしたんだ真宮寺! 何をそんなに怖がってんだ?」

最原「……わかった。じゃあ最後の議論と行こう」

最原「そして……キミがそのとき、まだ『喋りたくない』って言うのなら仕方ない」

最原「お願いだ真宮寺くん。僕の話を聞いてくれ」

最原「……お願いだからッ!」

109: ボックス一つ開けるごとに一レス更新する人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/23(木) 18:38:57.92 ID:iW0Kg5E00
巌窟王「……」

巌窟王「最原」

最原「ん? 何、巌窟王さん」

巌窟王「後でアンジーに……」

巌窟王「……いや。なんでもない。気にするな」

最原「……」

最原(やっぱり、この場で真宮寺くんに真実を語ってもらわないとな)

最原(じゃないと、この後に待ち受けているのは……)

真宮寺「言ってみなヨ。僕の秘密って一体、なに?」

最原「……」

最原「ナーサリーさん、だっけ」

ナーサリー『ん? 私かしら?』

最原「ちょっとお願いしたいことがあるんだ」

最原(あ。今更だけど、さっき王馬くんがやってたことの意味がわかったな……)

110: 九箱目に到着 ◆SxyAboWqdc 2017/11/23(木) 19:46:57.08 ID:iW0Kg5E00
最原「さっき王馬くんに見せた写真をもう一度見せてくれる?」

ナーサリー『あの事件発覚後のアンジーの写真? ええと……コレね』ピロンッ

最原「いや『正面から』の写真じゃなくって逆のアングル……つまり『後ろ側』の写真が見たいんだ」

ナーサリー『あら。ごめんなさい』ピロンッ

イシュタル『んんー? これに何が映ってるっていうのよ』

最原「後ろ手に縛られた手。正確に言うと令呪」

真宮寺「……」

真宮寺「……」ブワッ

王馬「あれ? どうしたの真宮寺ちゃん。汗びっしょりだよ?」

赤松「……」

赤松「……ん? 令呪……令呪……?」




赤松「あっ」

112: 十箱目に到着 ◆SxyAboWqdc 2017/11/23(木) 21:04:45.42 ID:iW0Kg5E00
天海「……ハッ! そういえば入間さんが何か様子がおかしくなった時期と大体同時になくなったものがあったっす!」

天海「まさかアンジーさんの令呪は……!」

アンジーの令呪の写真『』アルヨー!

天海「……バッチリ残ってるっすね。普通に」

最原「うん。残ってるよ。だから問題なんだけど」

天海「……?」

天海「……」

天海「……ああっ!」

真宮寺「!」ビクッ

百田「……なんだ? 何人か、何かに気付いてるヤツがいるみたいだけどよ」

最原「……真宮寺くん。まだ喋る気になれない?」

真宮寺「……」ガタガタ

最原「わかった。じゃあ続けよう」

126: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/24(金) 17:17:04.93 ID:c608UNzy0
最原「……どうして真宮寺くんは、あんな方法でアンジーさんを殺そうとしたんだろう」

百田「なんでって……これまでの議論で散々言ったじゃねーかよ。アリバイ工作のためって」

最原「うん。でもそれって、例えば空き部屋にやってきたのが僕とか茶柱さんとかならともかく……」

最原「アンジーさんに対してやるのは危険だったんじゃないかな。というか自殺行為に等しかったはずだよ」

赤松「あ、あの……最原くん。その辺で……」チラッ

天海「そうっすよ……もう投票でいいっすよね? ね? ね?」チラッ

夢野「……なんじゃ? 何故天海と赤松はそこまで動揺してるんじゃ?」

茶柱「というか、なんか……巌窟王さんの方をチラチラ見てますね?」

ナーサリー『……あっ』

イシュタル『あっ』

イシュタル『もしかして最原アンタそれ――!』

ナーサリー『ネタバレ防止! もう私たちの役割は終わったみたいなので通信切るら切るなのだわ!』アタフタ

イシュタル『ちょ、待――!』



ブツンッ

127: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/24(金) 17:30:52.42 ID:c608UNzy0
最原「……今までの議論で出てこなかったのが不思議なレベルで『当たり前』のこと……」

最原「いや。議論するまでもなかったから言う必要がなかっただけかな」

最原「気付く人なら簡単に気付くことだ」

王馬「……」

王馬「これ脅迫として成立してるのかなぁ。実は巌窟王ちゃんも既に気付いてたりしない?」

巌窟王「……いや? 俺には最原が何を言っているのかサッパリだな」ニヤァ

巌窟王「最原が秘密にするというのなら、俺には永遠にその謎はわからないだろうな」

王馬「……」

王馬「……にしし。巌窟王ちゃんも大概、大ウソつきだよね……」

夢野「んあー……さっぱりわけがわからんが、その『真宮寺の秘密』とやらが最低限実在しているということだけはわかるのう」

茶柱「キーワードは令呪と、真宮寺さんの一連の犯行……その流れにあるんですね?」

茶柱「もう何人か気付いてるみたいですけど……」

茶柱「……」

茶柱「……令呪?」

茶柱「ああっ!」ガビーンッ

128: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/24(金) 17:39:02.86 ID:c608UNzy0
春川「そうか……私もサーヴァントとマスターの絆について、全部を理解していたわけじゃないけど」

春川「でもあの書物に書かれていることが全部事実なら、夜長に令呪が残っているのはおかしいよ」

百田「あー……?」

春川「……最原。そのカード、本当に切れるの?」

春川「それを巌窟王の目の前で言ったら、真宮寺はもう正真正銘の破滅だよ?」

白銀「え……!? そんな危ない秘密なの!?」

真宮寺「……ひい……ひいいいいいい……!」ガタガタ

最原「真宮寺くん……!」

真宮寺「……そこまで……そこまでわかっているのなら、予測できそうなものだけどネ……!」

真宮寺「最原くん。僕が隠している秘密と、最原くんが握っている秘密……どちらも本質は同じものなんだヨ!」

真宮寺「言ったら僕はどっち道……!」

最原「……」

最原「終わらせないよ」

最原「キミは破滅しない。僕がそんなことさせない」

最原「……僕を信じてほしいんだ」

129: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/24(金) 18:28:11.54 ID:c608UNzy0
真宮寺「……」

真宮寺「人を殺す準備をしていたんだ……!」

最原「!」

真宮寺「あの空き部屋で……いや。空き部屋全部に細工して、他の誰かに罪を押し付けるギミックも多数用意して……」

真宮寺「その細工をしている最中に、夜長さんが空き部屋に入ってきたんだヨ……!」

夢野「誰を殺す気だったのか、とかどうやって、とかなんで? とかはこの際は放っておこう」

夢野「じゃあその時点でやめればよかったじゃろ! アンジーをぶん殴る必要はどこにも無かったはずじゃ!」

真宮寺「……その夜の工作がもしも全部上手く行ったら……そのトリックを使って更に誰かを殺す気だったから……」

赤松「えっ」

真宮寺「トリックのことを知った夜長さんを生かしておくわけには……!」

百田「な、なんだよそれ……まるで外に出ることより殺すことの方が大事みてーな……!」

最原「……実際そうだったんだろうね」

巌窟王「フン。まあこんなものだろう。推理の抜けは、ほとんど埋まったのではないか? 最原」

最原「……巌窟王さん」

巌窟王「さあ。纏めだ。その後のことは俺に任せておけ」

最原(そんなわけにはいかないよ)

最原(……とか、面と向かって言えないけどさ)

最原「……うん。わかった。ありがとう、正直に話してくれて」

最原「じゃあ最後に、この事件を最初から振り返って……すべてを明らかにして」

最原「……その後は、絶対に約束は守るよ」

真宮寺「……」

最原「じゃあ、行くよ! これが事件の真実だ!」

132: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 07:20:52.70 ID:0mluClDQ0
クライマックス推理

最原「それじゃあ、数々の幸運な偶然によって破綻した、この未遂事件を最初から振り返ってみよう」

最原「犯人は夜時間、空き部屋で『人を殺す準備』をしていた」

最原「入間さんは盗難にあって研究教室に引きこもり、アンジーさんは門限でいなくなっているはずの時間だったからだ」

最原「でも準備の途中、空き部屋であってはならないことが起こった」

最原「門限を延長していたアンジーさんが、空き部屋に蝋燭を戻しにきてしまったんだよ」

最原「動揺した犯人は床板でアンジーさんを殴り気絶させた」

最原「その際、床に転がった蝋燭が何かに引火。具体的になにかはわからないけど、犯人はそのせいで火傷を負ったはずだよ」

最原「そしてここから、犯人の狂気に満ちた犯行が開始されるんだ」

最原「巌窟王さんが超高校級の美術部の研究教室へと向かったことに気付いた犯人は、アンジーさんの持ち物を物色した」

最原「そのとき、犯人は入間さんに改造された赤外線センサーと、巌窟王さんと同じ色の炎を出して燃える燃焼促進剤を手に入れたんだ」

最原「アンジーさんを荒縄と猿ぐつわで拘束し、行動に制限を付けた状態で床下に隠した犯人は……」

最原「階段を降りる際に赤外線センサーを設置した」

最原「この赤外線センサーは改造されていたから、学園中どこにいても問題なく作動したはずだよ」

133: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 07:34:09.95 ID:0mluClDQ0
最原「まず犯人はセンサーの動作に注意しながら、中庭に向かったはずだ」

最原「そこにある建物を使って、派手に人を集めようと考えたんだよ」

最原「その建物っていうのは超高校級の合気道家の研究教室だ。しかも、ただ燃やすだけではなく犯人はアンジーさんから奪ったあるアイテムを使った」

最原「……つまり、黒い炎の燃焼促進剤だよ。犯人はアンジーさんがこれを入間さんから盗んだことを即興で推理した上で使ったんだ」

最原「……ついでに、巌窟王さんがそれを知っていることも」

最原「燃焼促進剤を使ったとは言っても、燃え広がるには時間がかかる。その前に、犯人はある場所へと向かった」

最原「超高校級のメイドの研究教室で、東条さんがゴン太くんのために料理をしていることを知っていた犯人は……」

最原「彼女を殴打し、気絶させた。ただし、彼女のことは殺す気はなかったはずだよ。少なくともすぐにはね」

最原「犯人は東条さんから隠し酒蔵の鍵を盗み出しワインを強奪」

最原「その後、研究教室を軽く掃除して、東条さんを掃除用ロッカーに入れた」

最原「ただし、彼女の手袋の下、包帯の上から刃物で傷を付けた上でね」

最原「そのときの痕跡は、ロッカー周囲の床に傷として残った」

最原「ロッカーが、東条さんを入れたときは横たわっていた状態で、それを起こすときに傷ができたんだよ」

最原「あの掃除用ロッカーは狭くて、直立姿勢でしか人は入れられないんだろうね」

最原「かと言って、気絶して脱力した状態の東条さんを直立状態でロッカーに入れられない」

最原「後で東条さんに濡れ衣を着せるためには、掃除用ロッカーだと都合がいいから別の場所には入れたくない」

最原「時間の無い犯人のそんな苦悩が、この痕跡を残したんだ」

134: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 07:42:55.11 ID:0mluClDQ0
最原「火事の臭いは強烈で、誰かが外に出てくれさえすれば、すぐに発覚したはずだ」

最原「でももし、誰も外に出ずに火事が発覚しなかったら、きっと犯人自身が火事を発見して人を集めたんだろうね」

最原「犯人にとって幸運なことに、その必要はなくなった。たまたま寄宿舎の外に出た茶柱さんが、火事に気付いたから」

最原「アンジーさんを探すために下に降りて来ていた巌窟王さんと合流し、茶柱さんと巌窟王さんは火事の現場に急行」

最原「……犯人の細工がここで活きた。茶柱さんの研究教室の中で、黒い炎が揺らめいていたんだ」

最原「それを見た巌窟王さんは、一も二もなく火事の中へと吶喊」

最原「慌てた茶柱さんは人を呼びに寄宿舎へと戻り、生徒全員に火事の情報が行き渡った」

最原「この時点で犯人がどこにいたのかは僕にはわからない」

最原「でも……どこにいてもよかったはずだよ。寄宿舎の中で呼び声がかかるのを待つもよし」

最原「何か騒がしいなと思って外に出たと言えば誰も疑わない」

最原「最悪、茶柱さんのように『なんとなく外に出た』でも通じるはずだ」

最原「消火活動に関して素人の僕たちは恐慌状態だったからね」

最原「……アンジーさんや東条さんが消火活動に参加していないことに関しても、そのせいで誰もが無頓着だった」

135: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 07:50:58.46 ID:0mluClDQ0
最原「僕たちが火事で右往左往している中、犯人は消火活動から離れてアンジーさんのいる空き部屋へと戻った」

最原「犯人の最後の工作が始まったんだ」

最原「アンジーさんを超高校級の民俗学者の研究教室へと運んだ犯人は、ある機能を使って部屋を密室にした」

最原「そう。燻蒸消毒機能だよ。部屋にある八つの赤外線センサーをアルミホイルで無効化すれば、中に人がいても問題なく使用できるんだ」

最原「もちろん、通常の燻蒸消毒機能に巻き込まれたら命はないけど、犯人はそうならないことを事前に知っていた」

最原「誰にも邪魔されない空間を作った犯人はアンジーさんに酒を飲ませ……泥酔させ……」

最原「その後、タイミングを見て彼女を空き部屋の床下へと戻した」

最原「……誰もが予想しない方法で彼女を殺すために」

最原「犯人が最後に調達してきた、ゴン太くんの研究教室に生息する医療用ヒル……それを使ってアンジーさんの殺害に関しては終了する」

最原「もちろん、ただのヒルだけなら人を殺すにはとても足りないけど」

最原「アンジーさんは酒で泥酔していて、ただでさえ体力が消耗していた」

最原「その上、血中アルコール濃度によってヒルは狂い、自らの許容限界を越えた量の血を吸い始めた」

最原「時間さえ経てば、これで間違いなくアンジーさんの命はなかったはずだよ」

136: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 07:57:36.60 ID:0mluClDQ0
最原「最後に犯人は超高校級の民俗学者の研究教室を徹底的に掃除。アルミホイルも急いで取り外した」

最原「そして、最後にアンジーさんのバッグを、彼女の研究教室に持ち込めればよかったんだけど……」

最原「巌窟王さんが外に出る際に、研究教室の鍵をロックしていたからできなかった」

最原「アンジーさんのバッグの中に酒瓶を入れ、スライド錠のドアの前に放置」

最原「何食わぬ顔で消火活動へと戻った」

最原「……ちなみに、この際に誰かに鉢合わせした場合の言い訳はこうだろうね」

最原「『東条さんを探していた』。または倉庫周辺で鉢合わせした場合は『倉庫に何か使えるものがないか探していた』だ」

最原「でも全員消火活動に必死になっていたから、その恐れも万が一でしかなかったはずだ」

最原「……でも、犯人にとっての万が一は、すべての工作を終えた後で訪れた」

最原「茶柱さんが想定をはるかに超えて粘り強く東条さんを探し、掃除用ロッカーから東条さんを見つけてしまったんだよ」

最原「そこからすべての計画が狂い始めたんだ」

最原「そして……やっとここまで辿り着けた」

最原「この『狂気』に満ちた犯行、その真相まで……!」

137: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 08:00:09.71 ID:0mluClDQ0
最原「"超高校級の民俗学者"、真宮寺是清くん」

最原「……キミの企みは半ばで終了だ!」


バキバキバキッ ガシャァァァァンッ!

COMPLETE!

140: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 15:20:01.44 ID:0mluClDQ0
天海「さあ! これで全部の真相はわかったっすよね! それじゃあみんなで投票行きましょう!」

赤松「そうしよう!」

茶柱「ええ! 早くしましょう!」チラッチラッ

百田「急かしすぎだ! 何だよ、なんでそんな慌てて……」

百田「ていうか茶柱はさっきからなんで巌窟王の方チラチラ見てんだよ!」

茶柱「いえ、その気付く前にさっさと終わらせないと……」

茶柱「……あっ! なんでもないです!」アタフタ

赤松(いや! 多分もう巌窟王さんは気付いてる! けど!)

天海(さっさと裁判終わらせて席から離れたいんすよ! 多分、誰かが真宮寺くんを守らないと……!)

茶柱(彼の末路はブスブスの炭化死体です!)

141: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 15:22:29.00 ID:0mluClDQ0
モノクマ「はいはい! それじゃあ、お手元のスイッチを押して投票してください!」

モノクマ「うーん、今回は疑似だけど、必ず誰かに投票してくださいね!」

モノクマ「流石に殺しはしないけど大分キッツイ罰は与えるから!」

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰か……」

モノクマ「その結果は、正解なのか不正解なのかーーーッ!」

モノクマ「さあ! どうなんだーーー!?」

巌窟王「……」

巌窟王(アンジー。俺は……)

142: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 15:30:18.74 ID:0mluClDQ0
真宮寺:十六票

結果は……大正解!


モノクマ「だーいせーいかーい! 今回の事件の未遂クロは……」

モノクマ「超高校級の民俗学者である、真宮寺是清くんなのでしたーーーッ!」


ダバダバダーッ


茶柱「さあ男死ィ! 今すぐ転子が上に連行してネオ合気道の技を片っ端からかけまくってあげますよーーー!」

天海「わあ大変だー。確かに真宮寺くんは許されないことをしたっすけど、そこまでやるのは可愛そうっすよー」ボウヨミー

赤松「痛そうだなー! とても! 茶柱さんの罰は痛いだろうなー! これもう、あれ、死んだ方がマシなくらいかなー!」チラッチラッ

春川「……」

巌窟王「……」

春川「ねえ。そいつ、そこまでして守る価値ある?」

茶柱「!」

春川「……だって、夜長が何もしなくっても、どっちみち誰かを殺す気だったんだよね?」

茶柱「そ、それは……!」

天海「仮にそうだったとしても……いや、俺だって真宮寺くんのことは許せないっすけど……!」

天海「これは真宮寺くんだけのためじゃなくって!」

赤松「……巌窟王さん……!」

巌窟王「……」

巌窟王「……フッ」ニヤァ

赤松(あ、やっぱりダメかもこれ。凄い悪寒がするもん)

赤松(巌窟王さん、真宮寺くんを殺す気だ……!)

143: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 15:36:54.33 ID:0mluClDQ0
巌窟王「……いや? 情状酌量の余地くらいはあるかもしれん」

巌窟王「言ってみろ。命乞いくらいは聞いてやる」

茶柱(あなたの場合は本当に『聞くだけ』でしょうに!)

天海(情状酌量とか、人間性ゼロの復讐鬼がまあよく言うっすよね!)

真宮寺「……愛する人のため、だヨ」

天海「!」

赤松「!」

茶柱(あ! なんかいい感じの導入! これならギリギリ本当になんとかなるかも……!)

赤松「あ、愛する人って……その人のために外に出たかった、とか?」

真宮寺「いや、僕の愛する人は『この中に』いるから外に出る必要はまるでなかったんだけど」

茶柱「……」

茶柱「……は?」

144: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 15:48:15.59 ID:0mluClDQ0
かくかくしかじか晩鐘リンゴン

真宮寺「というわけで、彼女が僕の愛する人だヨ」

真宮寺姉「是清の姉です」

茶柱「……口紅をした真宮寺さんが一人でごっこ遊びしてるようにしか……見えないんですが……」

真宮寺「まあ交霊術だからネ」

真宮寺姉「ふふふ。仕方ないわ、是清。私たちのことを理解できる人なんて、一人もいないし必要ないわ」

茶柱「……あの……念のために聞いておきたいんですが、巌窟王さん。これ本物ですか?」

巌窟王「難しいところだな。俺の知り合いには『思い込みだけで』竜へと変貌する女もいる」

巌窟王「思い込みで狂っているのか、本物のせいで狂っているのかは一概に判別できんな」

巌窟王「どちらにせよ、真宮寺にとっては本物だろうが」

巌窟王「魔力の質が明らかに変わっている。ハッキリ言って、確かに封印指定ものの異常ではあるか」

赤松「……」

赤松「えーっと、それで……アンジーさんとか、他の誰かを殺そうとしたのって」

真宮寺「死んだ姉さんの友達になってほしくて……」

赤松(終わった)

145: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 16:03:26.22 ID:0mluClDQ0
百田「……」

春川「百田? どうしたの? 凄い顔色悪いけど」

百田「わ、悪ィ、ハルマキ……俺こういうの本当ダメなんだ。オカルトとかよ……」

春川「巌窟王の右隣りで何言ってんの……」

百田「汗が止まらなくってよ……く、くそ。手も震えてきやがった。手を繋いでくんねーか?」

春川「ちょ、ちょっと! やめてよ……!」

春川「……みんながいるでしょ」

白銀「あれ? 私たちがいなければよかったの?」

モノクマ「うぷぷ。今回はあくまで疑似だからおしおきはないけど……いい感じに動機の提示にはなったんじゃないかな」

入間「ち、ちくしょう! 俺様の傍にこんな異常者がいたってのかよ……!」

キーボ「……入間さん。言い過ぎ……ってほどでもないですが、でも!」

巌窟王「……」

巌窟王「……クハハ」ユラァッ

赤松「や、やめて巌窟王さん。こっちに来ないで……!」ガタガタ

天海「俺たちは『そういうの』を見ないために今まで頑張ってきたんす! これじゃあ……!」

146: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/25(土) 16:42:08.30 ID:0mluClDQ0
巌窟王「真宮寺。お前、あの研究教室で何をした?」

巌窟王「なぜアンジーの体には抵抗の痕がほとんど残らなかった?」

巌窟王「……いや。いい。秘密になったのだからな。俺がそれを知る由はない」

巌窟王「だが――!」

真宮寺(……これでいい。もう、いい。僕はやれるだけのことをやった)

真宮寺(姉さん。これで僕も一緒に……)


ダッ


巌窟王「む?」

巌窟王(今、俺の横を通り過ぎて行ったのは……?)



バキィッ


真宮寺「ぐあっ……!?」

赤松「え……」

天海「最原くん?」

最原「……はあ……はあ……!」

茶柱「……」

茶柱(最原さんが、真宮寺さんを殴った……!?)ガビーンッ!

158: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 12:09:18.75 ID:322HN4ZW0
赤松「え……最原くん!? え? 最原くんだよね?」

天海「陰キャ系ガリ勉文系属性の最原くんが人を殴った……?」

白銀「え? なんで無駄に言いすぎな評価になってるの?」

天海「蘭太郎お兄ちゃんは混乱している!」ババーンッ

夢野「見りゃわかるわい」

赤松(と、私たちが動揺している内に……)


バキッ バキッ バキッ


真宮寺「ぐえ……ぷげっ……!」

最原「……!」

赤松「ちょ、ちょっと! 最原くん!」

赤松(目を疑うほどに、最原くんが真宮寺くんを何回も殴り始めた)

赤松(何回も……何回も……!)

茶柱「ちょ、ちょちょちょ……! 最原さん!」ガシッ

最原「離してっ!」バッ


バキッ バキッ バキッ


真宮寺「ぐ……ひ、や、やめ……!」


バキッ

159: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 12:14:07.25 ID:322HN4ZW0
巌窟王「……フン。まあいいだろう。お前も相当腹に据えかねていたようだからな」

巌窟王(まあ、最原の分が終わったら俺の番だが)

赤松(って思ってるんだろうなぁ……!)

最原「はあ……はあ……!」

赤松(……あ。殴るのやめた……)

最原「ふざけないでよ……! この際、キミがここに来る前に何人殺してようが僕たちには関係ないけどさ!」

最原「仲間だと思ってたんなら、僕たちの方に殺意を向けないでよ!」

最原「外に出て友達になるって約束もしてたじゃないか!」

真宮寺「……」

巌窟王「……」ニヤニヤ

最原「……って思ってたけど」




最原「あー、スッキリした」

巌窟王「は?」

最原「……しこたま殴ったら、スッキリした」

赤松「……」

巌窟王「……は?」

百田「!」

百田「……」

百田「ああ、そうだな! 俺もスッキリしたぜ!」

巌窟王「……なに?」

160: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 12:24:42.58 ID:322HN4ZW0
巌窟王「……おい。なにを戯けたことを言っている。最原。そいつは――!」

最原「わかってる。けど……ああー……スッキリしたなぁ……!」ポロッ

赤松「!」

茶柱「……」

茶柱(……代償なしで人を許すのって、かなり難しいですね。たった今痛感してますよ)

茶柱(でも、これはこれで……代償が安すぎる……!)

巌窟王「……」

巌窟王「そこまで『赦し』が大事か?」

巌窟王「『約束』はそこまで尊いか?」

巌窟王「……わかっているだろう! 最原! そいつは研究教室で――!」

最原(……そうだ。彼は多分、研究教室で脅迫したはずだ)

最原(だって、そうでなければ令呪が使われてないなんてありえない)

最原(あれは『一画使えばサーヴァントを呼び寄せることもできる命令権』でもあるんだ)

最原(酒を飲ませて泥酔させる工程で、アンジーさんは酒で溺れさせないように意識があったはず)

最原(だからこそ、声が外に漏れないように密室にしたんだから)

最原(具体的にどう言ったかはわからない。でも巌窟王さんをダシにされたらアンジーさんなら抵抗できない)

最原(……巌窟王さんと離れるのを嫌がっていた彼女に対しては、一番最悪な脅し文句もある)

最原(抵抗できずに殺されにかかるのって、どれだけ怖かったんだろう……!)

最原(でもそれは――!)

最原「あれ。巌窟王さん。真宮寺くんが研究教室で何をしたかなんて知らないよね?」

巌窟王「……!」

最原「だって、取引で永遠に秘密になったし、巌窟王さんも言われないと見当も付かないとか言ってたしさ」

161: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 12:33:12.14 ID:322HN4ZW0
巌窟王「……」

巌窟王「モノクマ」

モノクマ「へいへい何でしょう旦那ァ!」

巌窟王「アンジーのところに案内しろ」

モノクマ「およよ? いいの? それで」

巌窟王「……」

巌窟王「二度言わせるな。焼くぞ」

モノクマ「……あーあー。つまんないの。じゃ、ボクの美声についてきてー」スタスタ

巌窟王「……」

巌窟王「確かに……俺には研究教室で何があったかなんて見当も付かないな」

巌窟王「だが覚えておけ。アンジーが望めば俺はそいつを惨たらしく殺すだろう」

最原「……」

巌窟王「お前がやったことなど、何の意味もない」

最原「……そうかも――」

百田「しれないわけねぇだろッ!」

最原「ん?」

百田「……勝手に俺たちの行動に値段付けてんじゃねぇ……!」

百田「上から目線でなんでもかんでも導こうとしてんじゃねーぞ!」

百田「終一はテメェに世話焼かれなきゃなんねーほど弱くはねぇんだよ!」

巌窟王「……ふん」

赤松(巌窟王さんは振り向かず、そのままモノクマについて行ってしまった)

162: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 12:42:21.22 ID:322HN4ZW0
真宮寺「……」

真宮寺「……く、ククク。これで僕を助けたつもり……?」

最原「……」

真宮寺「甘いヨ。あのまま巌窟王さんに任せておけば……全部丸く収まったはずなのに」

百田「真宮寺」

真宮寺「僕は自分が間違ったことをしたなんて思ってないんだヨ。だって愛は……」

百田「真宮寺」

真宮寺「……愛は永遠なんだ。キミたちには理解できないかもしれないけど、僕は――」

バッキィッ

真宮寺「がはぶっ」バタンッ

百田「ちょっとでいい。寝てろ」

百田「あと頭冷やせ」

キーボ「スッキリしたとか言ってたのに!」ガビーンッ

百田「いやなんかうるせぇしよ」

最原「……」

赤松「……最原くん。あの、手は大丈夫?」

最原「ええっと……思い切り殴ったせいかな……脱臼したかも」

茶柱「……天海さん。治療できます?」

天海「じゃあちょっとガコンッてしますよー!」

最原「え、あ? ええっ!?」


ガコンッ


最原「痛ぁーーーっ!?」

163: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 12:51:34.70 ID:322HN4ZW0
茶柱「で。えーと。どうしましょうか、真宮寺さん」

獄原「……わからないよ。ゴン太、バカだから」

王馬「ゴン太には元から期待してないから安心しなよ」

王馬「……と、ゴン太を無駄にいびったりする俺も、どうすればいいかなんてまるでわからないけどね」

入間「どうするもこうするも、監禁しかありえねーだろ。こんな危険人物!」

赤松「で、でも仲間なんだしさ! そんなの……」

春川「やめなよ。被害者の夜長が起きるまでは、そんな議論無意味だと思うけど?」

王馬「ん? いやいや春川ちゃん。議論を終えた俺たちには、もう一人の明確な被害者が見えているはずだけど?」

東条「……」

最原「東条さん……」

東条「……最原くんのやったことに泥を付けたくはないわね」

王馬「あれれ? 自分の感情は無視していいの?」

東条「いいえ。むしろ自分の感情に従った結果、最原くんの決定に従いたくなったのよ」

王馬「ふーん。まあ俺はそれでもいいけどさ。どうせ真宮寺ちゃんに狙われるのは女性陣だけだしね」

茶柱「さ、最低ですね! いや大分前からわかっていたことですが、特にあなたは最低ですね!」

164: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 13:02:17.33 ID:322HN4ZW0
東条「……それよりも、今は大事なことがあるわ」

白銀「これより大事なことって……今季のアニメ何見るかってことと、真宮寺くんのことより大事なこと?」

星「アンジーの見舞い、だろ」

白銀「あっ」

百田「おーっし! 真宮寺は俺が担いでってやる! その他のヤツらはアンジーのところに急いでやれ!」

春川「……え? 私も?」

百田「当然だ! というか俺の代理のつもりで行ってくれ!」

春川「……面倒臭いな」

夢野「じゃがウチらにとっては唯一の明るい話題じゃ」

夢野「なにせ今回は誰も死なんかったんじゃからの!」

最原「……」

最原(みんなが無理に明るさを取り繕う中で、僕は考えていた)

最原(巌窟王さんが言ったこと。アンジーさんが望めば、きっともう巌窟王さんを誰も止められない)

最原(百田くんはああ言ってくれてたけど、やっぱり僕のやったことは無意味な茶番だったのかも……)

茶柱「最原さん。その陰気な面をやめてくれませんか?」

最原「茶柱さん?」

茶柱「……」

茶柱「その……まあ不器用で、どうしようもなく必死すぎて、空笑いすら出てくるような有様でしたけど」

茶柱「……さっきの茶番、悪くなかったと思いますので」カァッ

最原「え、あ、あの……」

最原「……ありがとう……」カァッ

白銀「……」

白銀「あ、あれ? さっきの春川さんと百田くんのときも思ったけど、あちこちでフラグ立ってない?」アタフタ

星「まあこういうこともあるだろう」

白銀「リア充が憎い! リア充滅ぼそう!」キラキラキラ

165: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 13:17:41.39 ID:322HN4ZW0
最原「あ。でも見舞いに行くにしたって……どこに?」

入間「モノクマと巌窟王は先に行っちまったしな」

キーボ「まあ、上に行ってから考えればいいでしょう」

王馬「ロボットのくせにナビタイム搭載してないのかー。本当ガッカリロボだなー」

キーボ「普通のロボはナビタイムを搭載してません!」

入間「あ? てめーは普通のロボじゃなくって特別なロボだろ?」

キーボ「……」テレッ

赤松「ちょっと照れてる……」

天海「じゃあ、ひとまず上に行くっすよ!」



ゾロゾロゾロ



百田「……」

百田「ごほっ」

168: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 17:48:18.81 ID:322HN4ZW0
才囚学園 寄宿舎周辺

キーボ「で。ここまで戻ってきたのはいいんですが……」

病院「」デェェェェェンッ

最原「寄宿舎の隣に病院ができてるッ!」ガビーンッ

白銀「あ、ありのまま今起こったことを話すぜ! 『寄宿舎に帰ってきたと思ったら病院ができていた』!」

赤松「これもう決まりだよね? ここにいなければどこにいるんだって話だもんね?」

天海「よし! それじゃあさっさと中に入って面会っすよ! アンジーさーん!」ダッ



カルデア

ナーサリー「素晴らしかったのだわ」グスン

イシュタル「ええ。女神的には茶番もいいところだったけど、素晴らしかったわね」

ナーサリー「一時的でも、あの伯爵を退ける弁舌は称賛に値すると思うの!」

ケツァルコアトル「デース」

イシュタル「というわけで、カルデアの視聴勢からのプレゼントをドサドサ送るわよー」

ナーサリー「アンジーの見舞いもかねるのだわ! この転送装置で! どこに出るかわからないけど!」ポチッ



才囚学園

ヒューッ ドサドサドサッ


天海「ぎゃあああああああああ!」

最原「天海くんが空から降ってきた花とか果物とか本の群れに押しつぶされたーーーッ!」ガビーンッ

王馬「天海ちゃんが死んだ!」

白銀「この人でなし!」

172: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 18:05:08.34 ID:322HN4ZW0
天海「く……ふはははははは! この程度の重みで俺を倒せると思って――!」

ミニチュア太陽神殿「」デース!



グシャッ


赤松「ねえ今気のせいじゃなければ石造りの何かに思い切り潰されなかった!?」ガビーンッ

夢野「天海ーーーっ!」

王馬「うーん。大丈夫じゃない? 本とか果物とか花とかに上手い具合に守られてる……」

王馬「といいな」

茶柱「願望!?」ガビーンッ

獄原「ゴン太が今すぐどかすよ!」

茶柱「……あ。最原さん。先に行っててください。ここは転子たちがどうにかするので」

獄原「空から降ってきたってことは、多分巌窟王さんのホームからの見舞いだと思うし……」

獄原「天海くんを助けたらコレ持って病室に行くね」

最原「う、うん……」

最原(天海くん、大丈夫だよな……)

174: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 18:19:31.56 ID:322HN4ZW0
病室

ガララッ

最原「巌窟王さん、いる?」

東条「あら。最原くん」

最原「え? 東条さん?」

巌窟王「……」

最原(……と、巌窟王さんもいる。あと)

最原(……アンジーさんも。寝てるけど)

最原「というか東条さんがなんでここに」

東条「……星くんに教えてもらった縮地法で……」

最原「ああ。あのお見舞いラッシュを避けてきたんだ……」

巌窟王「……生徒たちには伝えておけ。まだしばらくアンジーは目覚めない」

巌窟王「あと、昨夜から寝ていないだろう。人の心配をしている場合か?」

最原「あ」

最原(そういえば……異常に眠いかも)

巌窟王「安心しろ。アンジーは無事だ。妙な細工の類もされていない。だな? 東条」

東条「ええ。そうね。安心していいと思うわ」

巌窟王「……ところで」

巌窟王「お見舞いラッシュとはなんだ? 謎だが心がざわついたぞ」

最原「……後で話すよ……」

175: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 18:23:36.20 ID:322HN4ZW0
カルデア

イシュタル「……」

イシュタル「今、ケツァルコアトルがいなかった?」

ナーサリー「気のせいじゃないかしら。気のせいだと思いたいから気のせいだわ」

イシュタル「そ、そうよね……」

ケツァルコアトル「そうデース。気のせいネー」

ケツァルコアトル「ところでそろそろBBが帰ってくる時間ネー!」

イシュタル「あ! そういえば!」

ナーサリー「今すぐ彼女を出迎えてこの感動を伝えるのだわ!」ダッ

ケツァルコアトル「……」

ケツァルコアトル「……」ニィィィッ

176: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/26(日) 18:38:50.31 ID:322HN4ZW0
お見舞い内訳

ナツメヤシをはじめとしたフルーツ各種十種類(落下などで破損したはずだが元通りになってる)
マーリンの周りにある謎の花(のレプリカ)
彼岸花
その他入院してる人にあげちゃいけない花だけの詰め合わせ
ナーサリーライム各種
ミニチュア太陽神殿(めっちゃ重い)
フィンのところから拉致った鮭

獄原「ねえこの鮭さんどうしたらいい!?」

鮭「」ビチビチッ

夢野「捌き方もわからんし、東条も怪我しておることじゃしのー。ウチの研究教室のピラニアと仲良くしてもらうか」

鮭「!?」ガビーンッ

白銀「なんだろうこれ……なんかお見舞いにしては微妙にズレてるような……」

天海「」チーン

王馬「天海ちゃーん。生きてるー? 生きて……」

王馬「し、死んでる……」

モノクマ「死体が発見され……」

赤松「!?」ビクッ

モノクマ「……ごめん冗談」

白銀「シャレにならないから帰って」

190: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/27(月) 19:36:13.13 ID:6JeEnH6S0
最原「……じゃあ巌窟王さん。ひとまずここは……任せてもいいっていうか」

最原「任せろって感じだよね……うん……」

巌窟王「多少は大人になったか。そうだ、言わずとも伝わることもあるぞ?」

東条「……それじゃあ、引き上げましょうか。お見舞い品は入口のあたりに纏めて置いておくって話が纏まったみたいだし」

最原「それじゃ、おやすみなさい……もう夜明け過ぎだけど」

巌窟王「……」

巌窟王「最原」

最原「ん?」


ポイッ


最原「……?」キャッチ!

最原(鍵?)

巌窟王「アンジーの研究教室の鍵だ」

最原「……!」

巌窟王「元は誰にも見せる気はなかったのだがな。王馬のピッキング技術のせいですべて台無しだ」

最原「あ、ああ……捜査のときに美術室に人が集まってたのは王馬くんのせいだったんだ……」

巌窟王「……後で返せ。必ずな」

最原「……」

最原(すぐに見ろ……って言ってるのかな)

巌窟王「ついでだ。密約の履行も行うといい」

最原「……気付いてたの?」

巌窟王「さて、な」

最原「……」

最原(天海くんを連れて行こう)

191: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/27(月) 19:41:12.54 ID:6JeEnH6S0
その後 超高校級の美術部の研究教室

天海「……ついに、っすね。俺の才能が……これでわかる!」

最原「モノクマのやることだし、もしかしたらコレでもわからないかもしれないよ?」

天海「だとしても、俺の忘れられた過去を取り戻すことはできるっす!」

天海「……もう、無力なのは御免なんすよ。なんでもいい。原動力でも才能でも、使えるものなら貰いたい!」

最原「そう。じゃあ、もう止めることはできない、かな……」

天海「……ありがとう、最原くん。それじゃあ起動するっすよ!」


ポチリッ


モノクマ『さぁて、大好評により復活した動機ビデオの時間です!』

モノクマ『"超高校級の生存者"である天海蘭太郎くんの大切な人とは誰なのか! はじまりはじまりー!』

最原「……」

最原(超高校級の……生存者?)

192: 人選に特に意味はない ◆SxyAboWqdc 2017/11/27(月) 19:53:35.83 ID:6JeEnH6S0
モノクマ『ネタバレ防止のため詳しいことは言えませんが、天海くんはその身を犠牲にして二人の高校生を助けたことがありました!』

モノクマ『その二人の生徒は、あなたのことをとても心配しておりましたよ!』

生徒F『私の美しさだけではキミを助けることができない。その事実がただただ口惜しい……!』

生徒C『天海! 負けんじゃねぇぞ! 最悪、柱に体をくくりつけてでも倒れなければ負けじゃねぇ!』

モノクマ『美しい友情……過去に彼らと天海くんの間には、血みどろの青春があったのですが、今ではこの通り無二の親友たちです』

モノクマ『さて、この無二の親友たちが、この後大変なことになってしまうのですが……』

モノクマ『何が起こったかは内緒だよ! 続きは卒業の後で!』


ブツンッ


天海「……」

最原「……天海くん? 超高校級の生存者って……」

天海「わからない。わからない、っすけど……」

天海「……震えが止まらないっす。俺は……彼らのことを知ってる……!」ガタガタ

最原「天海くん?」

天海「俺は……くそっ。俺は……! なんで何も思い出せないんすか!」

天海「なんでここまで役立たずなんすか!」

天海「くそぉっ!」

最原「……」

最原「僕は天海くんのことを役立たずなんて思わないよ」

天海「気休めを……」

最原「真宮寺くんを庇ってくれたじゃないか。赤松さんと一緒に」

天海「!」

最原「……実はさ。巌窟王さんを丸め込むために何を言うか、あの時点で何も思いついてなかったんだよね」

天海「……嘘っすよね」

最原「本当だよ。だから時間稼ぎしてくれて、本当助かったんだ」

天海「……」

天海「……最原くん。キミも王馬くんレベルの嘘吐きっすね。でも」

天海「ありがとう。ちょっと……頭冷やしてくるっす」


ガチャリンコ

193: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/27(月) 19:58:36.18 ID:6JeEnH6S0
最原「……さてと。それじゃあ、天海くんもいなくなったことだし、火を付けてみないと……」

ガチャリンコッ

天海「あ。そういえば最原くん」

最原「うひゃあ!?」ガビーンッ

天海「……英霊召喚に関する書物で、令呪の移譲について書かれたページがゴッソリ誰かに盗まれてたんすけど……」

天海「結局、そのページはどこに行ったんすかね?」

最原「……」

最原「見当も付かないな」

天海「……そうっすか。それじゃあ」


ガチャリンコ


最原「……」

最原「これは嘘。多分、そのページを持っているのは――」




入間の私室

入間「……」

入間「……ケケケ」

盗られたページ「」バサッ

入間「ガスでの毒殺は途中で頓挫しちまったが……まあいい。アンジーはまだ生きてる」

入間「さて。どうすっかなー。どうすればいいかなー」

入間「……巌窟王、欲しいなー。欲しいなー」

入間「……ケケケッ。ケケケケケケケ」

194: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/27(月) 20:01:30.42 ID:6JeEnH6S0
第三章

Unlimited 在校生 Works

END


残り人数

十六人+一騎


TO BE CONTINUED



ミニチュア太陽神殿を手に入れました!

210: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/28(火) 21:37:44.59 ID:6ggIZhts0
今まで入手したクリア特典

巌窟王のクラッカー
赤松楓の生還を祝うクラッカー。出所は不明。
地獄のような閉鎖空間、響く快音が導くのは希望か絶望か。


巌窟王のマント
東条斬美に貸し出されたマント。ちなみに予備なので一張羅というわけではない。
微妙にタバコ臭いが、包まれてると妙に安心する。


ミニチュア太陽神殿
真宮寺の事件を乗り越えた生徒たちへのプレゼント。微量の魔力を帯びた謎のオブジェ。
全長は星の身長と同じくらい。巌窟王に詳細を訊ねると、不機嫌になった上に黙る。

212: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/28(火) 22:12:51.68 ID:6ggIZhts0
サポートサーヴァント

月:BB
巌窟王にとってはすべての元凶。だがこれはこれで楽しいので恨んではいない。
というか恨んだところで注射で反撃されるだけだということを知っている。
才囚学園に関しては全体的なアナライズ担当。実は学園の真相まであと一歩のところまで迫っている。

騎:イシュタル
カンフー系女神。金星の女神。水着の女神。とにかく女神。
もがく生徒たちを興味深く見ているファン一号。
機械はそこまで強くないが、依代の方が強く出ているわけではないので『教えればなんとかなるレベル』ではある。

術:ナーサリーライム
なんかもう色々ギリギリな発言を繰り返す本。第三再臨状態だけど。
才囚学園での冒険をカルデアの女神連中に布教した。
機械には強いのでサポートはそれなりに。

騎:ケツァルコアトル
なにかロクでもないことを企んでいる。

220: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/11/29(水) 19:09:53.57 ID:yMn+Ra070
最原(……虚構と現実)

最原(日常と非日常)

最原(僕たちには縁遠い存在だったはずの魔術の結晶)

最原(……巌窟王さんは無敵だと僕たちは疑っていなかった)

最原(だけど、僕たちが目を逸らしていただけで、非日常はすぐ傍まで迫っていて……)

最原(……現実だと思っていたものが虚構だったと気付くのすら遅れたんだ)


学園某所


モノクマ「……は? 動く? もう? キミが?」

??「……」

モノクマ「早くない? まだ事件三つしか起こってないよ?」

??「……!」

モノクマ「いい機会……ああ、確かにね……うーん、どうしようか」

モノクマ「でもボクもそこまで本格的に手は貸せないよ。校則があるんだから」

??「……」ニヤッ

モノクマ「……じゃ。ひとまず巌窟王さんの処理の方はお願いね。その他は全部やれるから」

モノクマ「もろもろよろしく」

モノクマ「……コロシアイの首謀者さん」ニヤァ



第四章
虚構殺人遊戯:才囚学園、改め、架●●理●園ダンガンロンパ

(非)日常編

230: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/01(金) 18:09:46.95 ID:f+xpSk3+0
最原の私室

最原「……朝だ」

最原(ほぼ丸一日寝てたことになるのかな……途中何度か目が覚めたけど、ダルくって起きる気になれなかったからな)

最原「……アンジーさんの見舞いに行こう」




病室

巌窟王「……BBはどうした?」

イシュタル『不貞寝してるわ』

ナーサリー『ええ。不貞寝してるわね。しばらくはやってこないわ』

巌窟王「そうか。まあいい。誰に伝えようと変わらない」

巌窟王「アンジーが目を覚まさない。どうなっている?」

イシュタル『んん? んー……あー……ナーサリー?』

ナーサリー『軽く医学的な探知をかけてみたけど、特に問題はないわ』

ナーサリー『体の中に爆弾とかも埋め込まれていないし、分泌も正常そのもの』

ナーサリー『もちろん、これはBBお手製のメディカルチェッカーの機能に瑕疵がなければの話だけど』

巌窟王「ないと見て良いだろう。アイツもこんなところでミスはしない」

ナーサリー『なら話は簡単よ。起きたくないから起きてないか、さもなくば……』

ナーサリー『起きるのに足りないものがあるのね。王子様のキスとか?』

巌窟王「王子様……」


ガララッ


最原「巌窟王さん、いる?」

巌窟王「いない。帰れ」

最原「ええっ!?」ガビーンッ!

ナーサリー『意地悪しないの!』

231: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/01(金) 18:35:49.76 ID:f+xpSk3+0
食堂の外にあるテラス席

百田「あー……暇になっちまったなー」

春川「百田? こんなところで何してるの?」

百田「ん。ハルマキ。いや、さっきアンジーの見舞いにでも行こうかと思ったんだけどよ」

百田「先に終一が行くのが見えたから後にしようって思ってよ」

春川「アンタそんな気遣いできたんだ。意外」

百田「お前たまに信じられないくらい失礼だよな……」

春川「……」アセッ

春川「気遣いできない無神経クソ野郎とまでは言ってないでしょ。ただやり口が大味すぎて面喰うだけ」

春川「正確に言うなら『アンタそんな細かい気遣いできたんだ』ってところかな」

百田「なんでちょっと強引に補足してくんだよ。別に怒っちゃいねーって」

春川「……そっか。最原は夜長の見舞いか。後でちょっと相談したいことがあったんだけど」

百田「俺が聞くぜ?」

春川「悪いんだけど、百田に今話したところで、後で最原に話すことは変わらないんだよね」

春川「アイツの研究教室についての話だからさ」

百田「ああ、あー……毒物が大量にあったんだったか?」

春川「最悪、巌窟王にガブ飲みさせれば処理はできるんだけど……仮にも最原の研究教室のものだから本人の許可なしではできないでしょ?」

百田「巌窟王が可哀想だろ、流石に!」ガビーンッ!

233: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/01(金) 18:57:52.90 ID:f+xpSk3+0
百田「でも仮に終一が『毒薬を捨てたくない』とか言ってもハルマキは捨てる気満々だろ?」

春川「まあね……っていうか多分、棚から出すだけで危ないヤツとかあるから触りたくないってのも本当なんだけど」

春川「ソマンとか」ボソッ

百田「絶対に触んな! 下手すりゃ全滅だぞ!」ガビーンッ

百田「いいよもう、放置で! どうせ触ったところでモノクマが補充するだけなんだしよ!」

春川「……放置と言えば、全然話は変わっちゃうんだけどさ」

春川「真宮寺、結局どうするの?」

百田「……それなんだが、俺に考えがあんだよ」

ゴトリッ

百田「コレだ」

春川「巌窟王の持ってるデバイス?」

百田「の二号機だ」

春川「は?」

百田「校舎の中をうろついてたら見つけてよ」

百田「鳴ってるから拾って起動させてみたら……」


~回想~


ナーサリー『あ! いい感じに生徒が拾ってくれたのだわ!』

イシュタル『どれどれ。誰が引っかかったのかしら……ああ、百田ね。才能はなんだったかしら……』

イシュタル『超高校級のロン毛とかだったような気が……』

百田「ロン毛じゃねーし! どんな適当な覚え方してんだテメー!」

百田「……で。これ巌窟王のデバイスだよな。アイツに届けりゃいいのか?」

イシュタル『届けなくていいわ。それとは別だから』

ナーサリー『あまり褒められた行為ではないのだけど、もう私たちとも知らない仲ではなくなっちゃったし』

ナーサリー『このデバイスは生徒と私たち専用のものよ。あの伯爵には内緒にしてね!』


~回想終了~


百田「って感じで手に入れた」

春川「なんかそこはかとなく胡乱なんだけど……」

234: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/01(金) 19:09:42.40 ID:f+xpSk3+0
百田「で。色々と話込んでいる内に……っていうか何故か終一のことを重点的にあれこれ訊かれた末に……」

百田「なんとなく真宮寺の話題に移っていってよ」

春川(女子特有の長電話……)

百田「で……まあなんだ。真宮寺はしばらく保護監察すればいいって話になったんだよ」

春川「え?」

百田「いくらアイツでも進んで死にたいとは思わねーだろうし、俺の見える範囲で殺人をやろうとか思わないはずだ」

百田「傍に誰かいりゃあ問題ねーよ。何もな」

春川「……」

春川「それ、いつまで続ける気?」

百田「ひとまず気付いたときにはやって、それ以外は自由でいいだろ」

春川「適当すぎる……」

春川「……でも名目はいいかもね」

百田「仮にアイツがこの学園にいる間に、また誰かを殺そうとしたら……」

百田「ま、監察官として一緒に罪を背負ってやらァ」

春川「バカだね。そこまでする義理ある?」

百田「お前がバカだろ。あるに決まってんじゃねーか」

春川「……」

春川「ふふっ……バカにバカ呼ばわりされた……」

春川「……ぶっ……ぷぷっ……」

春川「あ、ごめん。マジでツボに入っ……!」プルプル

百田「どこまでツボに入ってんだテメェ! かつてないほど笑いやがって!」ガビーンッ!

235: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/01(金) 19:23:13.83 ID:f+xpSk3+0
春川「……でもまあ、いいか。いいよ、それで。私はそれで納得してあげる」

春川「ついでに、茶柱じゃないけどさ。誰かに狙われないように、夜長とか東条とか……できる限り守っておくよ」

百田「!」

春川「……アンタみたいに気付いたとき限定だけどね」

百田「ハルマキ。お前……」

春川「なに?」

百田「すげぇいいヤツだったんだな!」

春川「……今までどんなヤツだと思ってたの?」

百田「いいヤツ」

春川「……」

春川「……」テレッ

百田「お! 今照れたな! 照れただろ! てーれーたー!」

春川「殺されたいの?」ギンッ

百田「ゴメンナサイ」

春川(……羨ましいバカさ加減だ)

春川(本当に、コイツは、どこまでも……)

春川(……ん? 草場の陰に誰か……あ、いや。王馬がいる?)

王馬「……」ゴソゴソ

王馬「……」サッ

王馬のカンペ『そこで告って!』

春川「……」ヌギヌギ

百田「ん? どうしたハルマキ。いきなり靴脱いで……」

春川「死ねッ!」ブンッ

百田「投げたッ!?」ガビーンッ

王馬「それ逃げろー!」ダッ

249: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/03(日) 15:24:23.85 ID:Cw8D+Wqn0
病室

巌窟王「……」

最原「……アンジーさん。まだ眠ってるね。いつ起きるのかな」

巌窟王「そうそう遠くはあるまい。モノクマの処置は、悔しいが適確だったからな」

巌窟王「無駄にサイボーグ化などはされていないことは東条も確認している」

最原「それがこの学園ではありえそうだから怖いんだよね……」

巌窟王「……」

巌窟王「最原。一つ聞かせろ」

最原「なに?」

巌窟王「どの時点で気付いた? 今回の犯人を俺が殺す気だと」

最原「……」

250: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/03(日) 15:25:50.96 ID:Cw8D+Wqn0
最原「疑似学級裁判の序盤」

巌窟王「そんなに最初か」

最原「一番最初に『あれっ』て思ったのは、普段はそんなことは滅多にしない巌窟王さんがヒントを与えるようなことを言ったとき」

最原「前回、前々回の学級裁判だと『自分自身でも本当にわからないこと』を純粋な興味で暴いた結果、議論が発展した、みたいなパターンだったから」

巌窟王「それだけか?」

最原「まだあるよ。これが一番の理由かな」

最原「犯人がアンジーさんの口の中に酒瓶を突っ込み、ヒルの許容限界を超えた血液を吸い出させた……」

最原「このトリック、よくよく考えると被害者がアンジーさんってところに致命的な穴がある」

最原「サーヴァントの巌窟王さんならまず最初に気付いたはずだ」

巌窟王「……」

最原「……令呪で呼べたはずなんだよ。だって、酒で溺死させないために、アンジーさんの意識はハッキリしてたはずなんだから」

最原「荒縄で雁字搦めにされていようと関係ないんだ」

251: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/03(日) 15:27:47.02 ID:Cw8D+Wqn0
巌窟王「……見事、と言ったところか。あのシャーロック・ホームズがお前のことを知ったら頭を撫でたがるだろうな」

最原(たまに巌窟王さんって変な冗談言うな……)

巌窟王「俺が気付いていたはず、というところまで推理の中に入っていたな」

最原「じゃないと犯人を殺そうと思うくらい怒らないと思って」

巌窟王「……アイツは我がマスターの理念を踏みにじった」

巌窟王「やり方こそは歪んでいたかもしれないが、意志自体は間違っていない。それにも関わらずな」

巌窟王「しかも『アンジーは巌窟王を呼ばない』という点を考慮に入れて凶行に及んだのだ」

巌窟王「これで犯人に怒らなければ、何が復讐者か」

最原「最後の令呪。これを失ったら今度こそ巌窟王さんは生き返れない。だから……」

巌窟王「……犯人も、アンジーも大馬鹿者だ」

252: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/03(日) 15:28:42.15 ID:Cw8D+Wqn0
巌窟王「アンジーが死ねば、どうせこの空間での現界の維持はできなくなる。どっちにしても消えるというのに」

最原「消える前に他のマスターと契約すれば消えない、みたいなこと言ってたけど」

巌窟王「……」

最原「……まあ僕たちにはいらない知識、だよね」

アンジー「ん……!」

巌窟王「む」

最原「アンジーさんっ!」

アンジー「う、う、うう……!」ガタガタ

巌窟王「……もう容態は安定したはずだが」

最原「違う。これは体じゃなくって心の方の問題だ……!」

最原「凄くうなされてる!」

アンジー「か、神様……!」ガタガタ

巌窟王「アンジー! 俺はここにいるぞ!」

アンジー「……ルチャの……女神様……」

巌窟王「……」




巌窟王「は?」

アンジー「ルチャの神様が愉快な腰つきで無理やり迫ってくるよおおおお……!」エグエグ

巌窟王「」

最原「ど、どんな夢かはまったくわからないけど、ありえないほどうなされてる!」ガビーンッ!

253: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/03(日) 15:29:42.87 ID:Cw8D+Wqn0
ケツァルコアトル『オーレッ! あなたもマスターたるもの、強くなくっちゃいけませーん!』

ケツァルコアトル『その心意気、覚悟。資格は充分です! 我が加護を受けて超高校級のルチャドーラとして覚醒するのデース!』

アンジー「いやだああああ……いやだよおおおお……! 他の神様信仰したくないよおおお……!」ガタガタ

アンジー「もう高さ足りてるよおおおお……!」エグエグ

巌窟王「」

最原「アンジーさん! しっかりして! アンジーさーーーん!」

巌窟王「……」ズーン

最原「巌窟王さん! 頭抱えてないで誰か呼んできて……巌窟王さん! 巌窟王さーーーんっ!」

258: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/04(月) 19:05:32.70 ID:m8ZKClow0
ガシャァァンッ!

夢野「おらぁ! 東条先生の総回診の時間じゃあ!」

東条「呼ばれた気がしたわ」

最原「怖いくらいナイスタイミングだな!」

巌窟王「……東条はともかくとして夢野はいるだけで不安になってくるな……」

夢野「言ってはならん本音をずけずけ言うのう、こういうときだけ!」

東条「……」

東条「ごめんなさい。来たのはいいけど鎮静剤の類はこの病院にはないの」

最原「外見こんな立派なのに!?」

夢野「あのタイムスリップ医療漫画で有名なインスリンは大量にあったんじゃがなぁ」

最原「品揃えが極端すぎる!」ガビーンッ

アンジー「し、神殿……神殿が……神殿が危ない……!」ガタガタ

最原「神殿……」

最原「あの。巌窟王さん、もしかして」

巌窟王「間違いなくあのミニチュア神殿のせいだが、壊せん」

最原「巌窟王さんでも破壊不可能だなんて……」

巌窟王「いや、破壊可能ではあるが破壊したが最後、帰還した後で全力コブラツイストの地獄を見る羽目になるからな」

最原「壊して! 今すぐ!」

巌窟王「断る!」ギンッ

259: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/04(月) 19:16:38.48 ID:m8ZKClow0
巌窟王「それよりは夢は所詮夢でしかない。アンジーを起こした方が速かろう易かろうさ」

最原「あ、う、うん! アンジーさん、起きて! 起きて!」

アンジー「チューしてくれれば起きるかも」

夢野「もう起きておるじゃろコイツ」

東条「……いいえ。私自身信じられないけど、今のは寝言よ」

巌窟王「クハハ! こんな寝言があってたまるか!」

最原「……」チラッ

巌窟王「……何故こちらを見ている?」

最原「あの……」

巌窟王「何を考えている……?」ゴゴゴゴゴゴゴ

最原「……アンジーさんにキスできれば……早いかなーって……」ガタガタ

巌窟王「俺が許可を出すと思うか……?」ゴゴゴゴゴゴゴ

最原(ですよねー)

東条「でも現実問題、このままにしておくのも可哀想よ。巌窟王さん」

巌窟王「……」

東条「巌窟王さん?」

巌窟王「夢野はどこに行った?」

東条「あら?」






夢野「ぶちゅー」

アンジー「ギエピー!」ガビーンッ

巌窟王「」

東条「」

最原(意外な人が行ったーーーッ!)ガビーンッ



アンジーは目が覚めた

260: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/04(月) 19:31:02.58 ID:m8ZKClow0
アンジー「……お……おっはー……」ゲッソリ

最原「悪夢のせいで凄いげっそりしてる」

東条「いえ。無抵抗で唇を奪った夢野さんのせいでもあるのだけど」

夢野「緊急事態じゃった。仕方あるまい。そこな巌窟王が大人気ない駄々をこねていたのも悪い」

巌窟王「……クハハ……ハハハ」シュン

最原(凄いしゅんとしてる……)

アンジー「え、ええっと……神様も」

巌窟王「……」

アンジー「……」

最原「……」

巌窟王&アンジー「……」アセッ

最原「……僕たちは外に出てるよ」

巌窟王&アンジー「!」

夢野「そうじゃの。色々言いたいこととか、謝りたいこととかお互いにあるじゃろう」

東条「……時間が必要よ。あなたたちには」

巌窟王「……ふん。余計な気遣い……」

巌窟王「と、言える強がりができる余裕もないか」

巌窟王「……感謝を」

最原「いいよ。この程度じゃ、何も返せないくらい巌窟王さんには借りっぱなしだ」

最原「……また来るね」

269: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/05(火) 20:12:19.17 ID:d5krnD450
巌窟王「……」

巌窟王「アンジー。お前の中の俺は、こういうとき謝る男か?」

アンジー「ううん。謝らないと思う。重大な過失をしたとして、それをどれだけ重く受け止めていたとしても」

アンジー「後で行動で示すだけで、口では謝らない人だと思う。重大であればあるほど」

巌窟王「……そうか。ならば現実の俺も謝らない。そして行動で示すとしよう」

巌窟王「だが――」

アンジー「わかってる。ごめんなさい。これまでのアンジーはちょっと無茶しすぎてたよ」

アンジー「……どこまでバレちゃった? アンジーの悪事」

巌窟王「すべてだな」

アンジー「……美兎をあしらうの凄い面倒だろうなー」

巌窟王「……非常に興味深いのだが、誰に対しても分け隔てなく接していたお前が、なぜ入間にだけ警戒心を丸出しにしている?」

アンジー「……そう見えてた?」

巌窟王「隠す気があったことに驚きだな」

アンジー「……」

アンジー「ごめん。言いたくない」

アンジー(もしかしたら終一ならわかってるかも、って言ったら不機嫌になっちゃうんだろうなー)

巌窟王「……」

アンジー(既に不機嫌になってた)

270: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/05(火) 20:21:11.93 ID:d5krnD450
巌窟王「まあいい。アンジー。それでこれからどうする?」

アンジー「……え? なんのこと?」

巌窟王「……クハハ。すまない、気が逸っていたようだ」

巌窟王「決まっているだろう? 真宮寺のことだ」

アンジー「……」

巌窟王「我がマスター、夜長アンジーよ。お前が望むのなら」

アンジー「神様。そういうのいいよ」

巌窟王「……」

アンジー「……まだ生きてるんでしょ? ならそれが答えだよ」

アンジー「終一あたりが是清を庇ったのかな?」

巌窟王「……ふん。どいつもこいつも……つまらないな」

アンジー「……これまで一緒に暮らしててわかった。神様がアンジーに何を願っているか」

アンジー「要はさ。願われたいんだよね。子供がサンタさんにプレゼントを願うみたいにさ」

アンジー「孫が優しいおばあちゃんに甘えるみたいに」

巌窟王「……」

アンジー「……それ、アンジーの信仰と違う。アンジーの理屈に合わないんだ。ごめんね」

巌窟王「クハハハハハハハハ!」

アンジー「……何がおかしいの?」

巌窟王「ああ、女! 女! お前は何も気づいていない!」

巌窟王「それに気付いた時点で、俺の目的は達成間近だ! そもそもそれが抵抗の『意志』なのだからな!」

アンジー「!」

271: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/05(火) 20:33:04.45 ID:d5krnD450
巌窟王「……だが足りない。間近では遅すぎるのだ。そのことを今回の件で痛感したぞ」

巌窟王「アンジー。俺のことを庇ったな?」

巌窟王「一丁前に、自分自身を犠牲にして!」

アンジー「……当然だよー。だってアンジーは……神様の不利益になることしないからさー」

巌窟王「不快だ。そんな献身はクソ食らえだ。誰が頼んだ?」

アンジー「……!」

巌窟王「……次は必ず俺を呼べ」

巌窟王「必ずだ」

アンジー「……」

アンジー「やだ」

巌窟王「……」

アンジー「だって……これは神様の生命線で……」

アンジー「それ以上に、アンジーと神様の絆だもん」

巌窟王「知ったことか」

アンジー「……」

アンジー「……う……!」

巌窟王「俺はカルデアに帰る。そして契約は必ず果たす。つまるところお前を必ず脱出させる」

巌窟王「生きて外に出ろアンジー。どれだけ温かかろうが、俺とお前の絆は運命的な一度きりだけだ」

巌窟王「……使いつぶすことを恐れるな。どうせ長くはもたない絆なのだからな」

272: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/05(火) 20:44:12.68 ID:d5krnD450
アンジー「……それならアンジーは一生ここから出られなくていい、って言ったら?」

巌窟王「仮に俺の霊基がここで完全消滅することになったとしても、お前をこの場で焼き殺す」

巌窟王「……契約を途中で放棄するのだ。その程度の覚悟はしておけ」

アンジー「それも……やだなぁ……! とっても、とってもいやだなぁ……!」

巌窟王「……つまるところ、俺はお前に使われるサーヴァント」

巌窟王「どう扱おうが勝手だ。だが無様は晒すな」

アンジー「……あのさ……後で水、貰ってきてくれる……?」

アンジー「その……凄く長い間出るかもしれないから」

巌窟王「……枕に顔を押し付けておけ。笑顔でないお前など見るに堪えん」

アンジー「……えうっ……ひっく……!」

巌窟王(……これだけ強く言っても、コイツは俺を信じることをやめないだろうな)

巌窟王(いつかどこかで俺に強く『失望』するような機会が訪れない限り)

巌窟王(……自分で作れるようなシチュエーションではない。祈るしかないか?)

巌窟王(……フン。焼きが回ったな。アンジーと一緒にいた弊害か。俺が『祈る』などと)

巌窟王(本当に、ここに長くい過ぎた)

275: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/06(水) 20:22:39.09 ID:eXITeYgF0
病院のロビー

入間「……さて」ゴソゴソ

入間(毒ガス殺人は真宮寺の裁判のせいで頓挫。となると他の方法でアンジーをぶち殺すしかなくなったが)

入間(どうすっかなー。心当たりなんて他にねーし)

入間(……いや。仮に心当たりがあったとして、最原がいる限りは絶対に上手くいくわけがねー)

入間(ヤローさえいなきゃ他は全員俺様の足元にも及ばねぇカスの集まり)

入間(でも、かと言ってアンジーのついでに最原を殺すのは危険すぎるよな。これじゃ『動機』の点で俺様に疑惑がかかる可能性がある)

入間(ただ外に出たいんなら最原のみを狙い撃ちにすればいい話で、アンジーを狙う必要はないんだからな)

入間(クソッ……最原。ヤローさえ……ヤローさえいなければ……!)

入間「最原ァ……!」ギリィッ

最原「呼んだ?」

入間「ぴぎゃあ!」ガビーンッ!

最原「入間さん。それアンジーさんの見舞い品だから物色しちゃダメだよ」

夢野「ダメじゃぞ」

東条「ダメよ」

東条「……」

東条「ダメよ」

入間「一回でわかるわ! 二回言うな腹立つ!」

276: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/06(水) 20:31:09.56 ID:eXITeYgF0
入間「……三人でアンジーんところ行ったのか? 揃いも揃って暇なヤツらだぜ」

最原「よりにもよって怪我人の見舞い品をかっぱらおうとする入間さんよりは千倍マシだと思うけど」

入間「あのな。別世界の物品だぞ。研究したくなって当たり前だろうが」

東条「……気持ちはわからないでもないけど自重して」

夢野「わからないでもないのか?」

入間「……あー。へいへい。後であのズタボロ雑巾ブスに許可取るっつーの。それならいいだろ?」

夢野「お主本当にその減らず口は治らんのう」

東条「もう放っておきましょう。不治の病よ」

入間「……おい。露骨に引いてんじゃねーよブスどものクセに。寂しくて涙が出てきちまったじゃねーか」

最原「強気なのか弱気なのか、ここまで来てもサッパリだなぁ入間さん」

277: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/06(水) 20:37:47.02 ID:eXITeYgF0
入間「……」

入間「おいダサイ原」

最原「なに?」

入間「お前、絶対に解けない謎ってこの世に存在すると思うか?」

最原「……」

最原(やっぱり露骨にアンジーさんを殺したがってるよなぁ、入間さん。どうしよう)

最原(気付いてる人は多分、まだそう多くないから今のうちに改心してほしいんだけどな)

最原「……うん。あると思う……けど」

入間「そうか。そうだよな……うん……」

最原(ちょっと揺さぶってみよう)

最原「なんで毒ガスを持っていったの?」

入間「……へっ?」

最原「……なんで?」

入間「……り、理由なんて……あると思ってんのか?」

最原「うん」

入間「ええっと……」

入間「……」

入間「バルサンの代用……?」

最原(無理がある)

入間(って顔してるなコイツ! ちくしょう!)

278: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/06(水) 20:44:40.57 ID:eXITeYgF0
東条「最原くん。もういいでしょう。殺すとか殺されるとか、そういうのはもうたくさんよ」

最原「ん……んん……」

夢野「んあ?」

入間「……ちっ! ド低能どもが……」

最原「……」

最原「入間さん。悩みがあるなら聞くからさ。早まったマネだけはしないでね?」

入間「……」

入間「うっせーうっせー! くたばれカース!」ダッ

夢野「あ。逃げおった」

最原「……参ったなぁ……」

東条「隙だらけね彼女。計画を実行に移したとしたら、予想外の方向に大惨事を引き起こすわよ」

最原「うん。わかってる。わかってるんだけど、止めるには決め手がなくって……」

最原「……ひとまず巌窟王さんはアンジーさんに付きっ切りだし、僕もなんとか頑張ってみるけど」

夢野「なんじゃ? アイツが妙な言動を晒すのは別に珍しくもなんともないじゃろ?」

最原「……」

最原(もうコロシアイなんて起こってほしくない。なんとかしないと)

279: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/06(水) 20:51:01.74 ID:eXITeYgF0
校舎内

入間「あー! くそ! 無駄に寿命縮んだぜ! ダサイ原のくせしやがって……!」

入間「……早まったマネだぁ? 訳知り顔でほざきやがる」

入間「俺様は……俺様はただ、巌窟王を解析すれば世界を良くできるってわかってるから……」

入間「……ケッ。天才の悩みが凡才どもにわかるはずもねーか」

入間「あーあ。時間無駄にした。適当にゴン太をからかって遊ぶかー。えーとアイツは研究教室かなー」



ドガラガシャガシャッ



入間「ん? なんだこの音。階段の上の方から?」

赤松「きゃー! グランドピアノが階段を転がっていくー!」ガビーンッ

入間「ええーーーッ!? グランドピアノが俺様に向かって――」



グシャッ

285: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/07(木) 20:10:12.04 ID:0iFadSJ/0
数分後 病院

夢野「おらぁ! 東条先生の診察の時間じゃあ!」

東条「全治一か月の骨折ね。折れたのが右の尺骨だけでよかったじゃない」

入間「いいわけあるかァ!」

赤松「あ、あの……入間さんごめん! 本当にごめんね!」

入間「ば、バカ松。お前、一応聞いておいてやる。なんでグランドピアノが階段を転げ落ちてたんだ?」

赤松「ええっと……病院に運ぼうと思ったら失敗しちゃって」テヘヘ

入間「なんで!?」ガビーンッ!

赤松「アンジーさんを喜ばそうと思ってさ」

入間「それで道中でグランドピアノが階段を転げ落ちてたのか!? お前なに!? 善意で人を殺すのが趣味なの!?」

夢野「それ以前にどうやってグランドピアノを調達したんじゃ……」

赤松「私の研究教室にあったものを……壁を壊して押して運んでたんだけど」

赤松「階段のことを失念してたなぁ。失敗しちゃった」

入間「テメェ本当にピアノに関わるとサイコな発言しかしねぇな!」

夢野「普段は誰よりも常識人なクセにのう」

286: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/07(木) 20:56:02.79 ID:0iFadSJ/0
入間「あーあー……まあいいや。どうせ詰まってた発明品もくっだらねーのばっかだったしよ」

赤松「どんな発明してたの? どうせロクなものじゃないだろうけど」

入間「そこまでにしておけよ加害者」

入間「まあ確かにくだらねーものだけどよ。電子機器を無効化できるハンマーとか爆弾とかそういうのだし」

東条「……え?」

入間「理屈上はエグイサルに叩きつければ一定時間停止させることも可能っちゃ可能だろうけど、現実問題誰がそんな危ない橋渡るんだって話だしな」

夢野「……んあ?」

赤松「……入間さん。それってもしかして、仮に電子的なロックがされた扉に叩きつけたりしたら」

入間「まあ開くな。何の抵抗もなくあっさり開くな。扉っていうのは基本的に『開いた状態』が基本じゃねーと、万が一があったら閉じ込められる」

入間「だから『無効化』したら当然、どんな扉だってくぱぁと開くに決まって――」

赤松「誰か数分前の私の首を吊ってーーーッ!」ウワァァァァ!

入間「ええっ!?」ガビーンッ!

夢野「落ち着けぇ! 落ち着くんじゃ赤松! お主のせいでは……と言うにはあまりにもアレじゃが落ち着くんじゃあ!」

東条「……盲点だったわ。脱出手段がまさかこんな近くにあったなんて……!」

入間「んっ?」

287: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/07(木) 21:25:11.67 ID:0iFadSJ/0
入間「……あ。そういえばデスロードの先の、巌窟王が突破できなかった扉って……」

赤松「そう! 電子的ロックの扉! もの凄くゴツいって話の!」

赤松「でも凄いよ入間さん! その発明品が完成したら外に出られるよ!」

入間「あー……?」

夢野「ん? なんじゃ? 嬉しくなさそうじゃの?」

東条「そうと決まれば話は早いわ。私の手がどうなろうと、治療を早送りで実行」

東条「全治一か月と言ったけど五日に縮めさせてもらうわよ」

入間「んなぁ!?」

入間(冗談じゃねぇ! 手ぶらでこの学園を去るわけには……!)


ガララッ


獄原「入間さん! 入院したって聞いてお見舞いしにきたんだけど、何かゴン太にできることは!?」

入間「俺様を今すぐ半殺しにしろ!」

赤松「なんで!?」ガビーンッ

入間「ま、まだだ! まだ俺様は外に出るわけには……!」

獄原「うんわかった! 頑張って半分にするよ!」ガシッ

東条「えっ」

夢野「えっ」

赤松「えっ」

入間「えっ?」



ブチブチブチッ


ギャアアアアアアアア!

296: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/08(金) 21:10:31.92 ID:XwHjoF600
十分後 別の病室

巌窟王「なに? 脱出の目途が立った?」

赤松「と思ったらまた頓挫したんだけどね」

夢野「かくかくしかじか~」

巌窟王「なるほど。入間の発明品で外に出ることが可能……」

巌窟王「だったのが、入間のわけのわからない要求のせいで延期か」

赤松「半殺しにされちゃって……二重の意味で」

夢野「人間ってああいうふうに動けないんじゃがのう。関節」

赤松「でも多分、大丈夫。死んではいないし後遺症も残らないらしいから」

巌窟王「入間……入間か。まったくノーマークだったな。まさかヤツに助けられる日が来るとは」

アンジー「……」

アンジー「大人しく脱出させてくれるかな?」

巌窟王「む?」

アンジー「ううん、なんでもなーい」ニコニコ

297: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/08(金) 21:24:11.99 ID:XwHjoF600
巌窟王「クハハ! 心配するな! またぞろモノクマがなんらかの妨害を仕掛けて来たとしても俺なら対応可能だ」

赤松「うん! そのときになったらお願いね、巌窟王さん!」

夢野「絶対に全員で外に出るんじゃからの!」

アンジー(アンジーが心配してるのはモノクマじゃなくってむしろ……)

アンジー(言っても仕方ないか。美兎はちょっと予測できない)

アンジー(神様に相談しても、こういうのは多分苦手すぎて絶対に対処できない。したとしても意味がない結果になる)

アンジー「……」

アンジー「終一に会いたいなー。何してるんだろ」

夢野「最原なら入間の治療に付き添っておるぞ?」

アンジー「えっ」


ガララッ


獄原「はあ、はあ……東条さん! 治療道具を倉庫から持ってきたよ、ってアレ。アンジーさん?」

獄原「急ぎ過ぎて病室間違えたッ!」ガビーンッ

赤松「あはは、落ち着いてよゴン太くん。そんなに慌てることないから」

獄原「え? そ、そう? ええと、じゃあアンジーさん。これ東条さんに渡したらちょっと落ち着くから、何かゴン太にしてほしいことある?」

アンジー「今すぐアンジーを半殺しにして」

赤松「なんでっ!?」ガビーンッ

夢野「デジャヴュ!?」

巌窟王「!?!?」

獄原「うん、わかった! 頑張るよ!」


ドシュウウウウ!


超獄原ゴン太「そこを……どいてくれ巌窟王さん……こうなったゴン太は手加減ができない……」ゴゴゴゴゴゴゴ

巌窟王「やってみろ」ビキッ



ゴッ!



赤松と夢野の二人は巌窟王と超ゴン太の衝突による衝撃波で吹き飛び、軽傷を負った。
後にこの惨状を見た天海は『どうして現場で血が流れるんすか』と叫んだとされる。

298: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/08(金) 21:30:57.02 ID:XwHjoF600
その日の夜 病院

モノクマ「……ふー……」

病院の廊下「」ゴッチャァァァ

病院の窓「」バッキバキー

病院の天井「」チカチカッバチバチッ

モノクマ「……すごいなー……建てて数日でこんなになっちゃうんだ病院って……」

白銀「バイオハザードっぽいよね。ゾンビのメイクしたら映えそう」

モノクマ「あー。片付けるの本当に面倒臭い……息子たちに押し付けよ。駄賃はイワシ一匹で」

白銀「鮭とかじゃないんだ……」

305: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/09(土) 21:34:38.73 ID:rWvXSQW+0
翌日

入間「……体中が痛ェ」

東条「でも決定的にダメージが残っているわけじゃないから、歩いたり走ったりは問題ないわよ」

東条「といっても、右腕の骨折はまだ治ってないから走るのはやめてほしいのだけど。転んだりしたら取り返しつかないから」

最原「やっぱり一秒でも目を離すべきじゃなかったな」

入間「口説いてんのか?」

最原「あはははははははは! 面白い冗談だね! あははははは!」

東条(目が笑ってないわね。余程ストレスため込んでるのかしら)

入間「わ、悪かったよぉ。だからそんなSAN値ゼロの瞳で笑うなよぉ。怖ぇよお」

最原「……はあ。いや、もう、本当に……東条さん。入間さんのことはしばらく僕が世話するよ」

最原「だから東条さんはアンジーさんのところに……」

東条「いえ。彼女ならもう退院したわよ」

最原「えっ」

東条「今ごろ百田くん主催で『お帰りパーティ』をやっているころかしら」

最原(誘われてない……!)ガビーンッ

306: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/09(土) 21:43:50.62 ID:rWvXSQW+0
食堂

百田「えー。本日はお日柄もよくー」

百田「面倒くせぇ! とにかくカンパーイ! 飲めや食えや大騒ぎしろーーー!」

一同「かんぱーい!」ガチャーンッ

王馬「……」ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク

星「一心不乱にプァンタを飲んでやがる……」

アンジー「にゃははー! 半ばわかってたことだったけど、アンジー祝われてないねーコレ」

春川「うん。ただ夜長の退院にかこつけて騒ぎたいだけだよ」

赤松「モノクマから電子ピアノ貰ったんだ! これでBGMは任せてよ!」グッ

春川「って言っているピアノバカは見ての通りピアノを弾きたいだけだしね」

春川「まったく。みんなはしゃぎすぎだよ。高校生なんだからもうちょっと慎み深くさ……」

アンジー「……魔姫」

春川「なに?」

アンジー「なんでナース服着てるのー?」

春川「……パーティだから」ホクホク

巌窟王「気のせいか? 俺にはお前が一番はしゃいでるように見えるぞ」

アンジー「解斗の傍に長くいすぎたんじゃないかなー」

307: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/09(土) 21:52:47.83 ID:rWvXSQW+0
春川「まあ、脱出の目途が立ったっていうのも一番大きいかな」

春川「……今までお疲れ様、巌窟王。好きな料理をよそってあげようか?」スッ

巌窟王「……」ビクッ

春川「……ん? なに? 今ちょっとビクついた?」

巌窟王「いや……」

アンジー「看護師さんが苦手なのー?」

天海「年配の人が医者が嫌いなのと同じノリっすかね?」

春川「……」スッ

巌窟王「……」サッ

春川「……」

春川(面白……!)プルプル

巌窟王「言いたいことがあるならハッキリ言ったほうがいいぞ春川。存分に焼いてやる」ビキビキ

アンジー「魔姫も随分と表情豊かになったよねー」

天海「恋っすよ恋」

百田「……」ゴクゴクゴクゴクゴク

王馬「……」ゴクゴクゴクゴクゴク

白銀「さー! 白熱して参りましたプァンタ早飲み勝負! 果たして勝利するのはどちらかーーーッ!」

白銀「ちなみに東条さんがこの場にいたら余裕でストップかかるくらい医学的に危険だからマネしないでね!」

308: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/09(土) 21:58:37.41 ID:rWvXSQW+0
キーボ「ぼえー」キィィィィンッ

茶柱「ぎゃあああああああ! 誰ですかキーボさんにマイク持たせたのーーー!」ジタバタ

夢野「耳がーーー! 耳が腐り落ちて死ぬーーーッ!」ジタバタ

赤松「あ。うなじのあたりに緊急停止ボタンがあるらしいよ」

キーボ「ぼえっ!?」ガビーンッ

星「よし押した」ポチリッ

キーボ「ぐー」スヤァ

茶柱「はあ……はあ……綺麗な川の向こうでお父さんが手を振ってるのが見えました。お父さん生きてるのに」

真宮寺「大丈夫? なにか飲み物持ってくるヨ?」

茶柱「ああ、お気遣いなく……」

茶柱「……」

茶柱「……?」

茶柱「……!?!?」ガビーンッ

309: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/09(土) 22:06:13.50 ID:rWvXSQW+0
茶柱「ひいいっぎゃあああああああああ!?」

百田「ごぼぅ!? な、なんだ!? どうした茶柱!」

王馬「はいこれで俺の勝ち」ゲフゥッ

百田「あ、ちくしょう! 負けたーーーッ!」

春川「……ひとまず口の周り拭きなよ百田。ほら」フキフキ

百田「よ、よせよ。自分でできるっつの」

春川「……あ、や、やだ……ごめん。孤児院と同じノリでやっちゃった……ごめん」カァァッ

真宮寺「青春だネ」

茶柱「そうですね」

茶柱「……じゃない。そうじゃない! 自然に無かったことにしないで……!」

茶柱「みなさん! ここに真宮寺……真宮寺さんが!」

百田「おう真宮寺。前は思いっきり殴って悪かったな」

真宮寺「まだ顎のあたりがガタガタだヨ。半分以上最原くんのせいでもあるけどネ」

赤松「本当にボコボコにタコられてたもんね」

茶柱「喧嘩慣れしてない最原さんでも、あれだけの回数殴ればそりゃあ……」

茶柱「何度言えばいいんですか転子はッ! 真宮寺さんが! ここに! いるんですって!」バンバンッ

310: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/09(土) 22:15:22.45 ID:rWvXSQW+0
百田「ああ。コイツな……うん。ひとまず俺が保護監察するってことで話が纏まったから大丈夫だ」ピースピース

真宮寺「大丈夫だヨ」ピースピース

茶柱「いやいやいやいやいやいやいやいや!」ブンブンッ

巌窟王「……」

茶柱「……ハッ!」

巌窟王「理由はどうあれ、よくも俺の前に……」

巌窟王「違う。この際俺のことはどうでもいい」

巌窟王「……アンジーの前に姿を現せたものだなぁ? 真宮寺」ボォッ

真宮寺「……」

百田「よせよ巌窟王。そんなことしたらパーティがどっちらけだぜ」

巌窟王「む……」

アンジー「神様。もういいよ。昨日もそう言ったでしょ?」

巌窟王「……」

巌窟王「真宮寺。二度はないということを心しておけよ」

真宮寺「少なくとも、もう才囚学園の誰にも手を出す気はないヨ」

真宮寺「……色々な人に助けられて今がある。そのことを忘れたくはないからネ」

巌窟王「……フン」

311: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/09(土) 22:25:22.30 ID:rWvXSQW+0
春川「……あのさ。ふと気になったんだけどさ」

春川「少なくとも、もうこの中に秘密を持った人とかいないよね?」

春川「実は暗殺者でしたーとか、殺人鬼でしたー、みたいな……そういうのもうたくさんだよ?」

王馬「ごめん。実は俺、核爆弾で一国をまるごと滅ぼしたことがあるんだ……」

獄原「ええっ!? そ、そんな過去が!」

白銀「ないない。王馬くんのいつものウソだよ」

王馬「なーんだすぐバレちゃった」

春川「……そっか。それなら残るは……入間だけか」

春川「……いっそのこと私が……」

巌窟王「……む? 何か言ったか、春川」

春川「ううん、なんでもないよ」

百田「……おい」

百田「終一はどうした?」

一同「……」






一同「えっ?」

白銀「恐ろしい集団心理である……」

白銀「そう! 誰も! 最原くんを呼んでいなかったのである!」バァーンッ

赤松「も、百田くんあたりがてっきり声かけてるものかと……!」ガタガタ

百田「すぐ呼びに行ってくるぜ!」ダッ

319: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/10(日) 21:16:41.63 ID:muMAMc+A0
五分後

百田「ただいまー」

春川「……最原は?」

百田「『入間さんの世話があるから僕はいいよ。楽しんできて』って言ってた。死んだ目で」

赤松「拗ねちゃってるよ!」ガビーンッ

アンジー「……」

巌窟王「……来て欲しいのなら素直にそう言ってもいいのだぞ?」

アンジー「……終一が来たくないって言ってるのならいいよー」

百田「代わりと言っちゃなんだが東条を連れて来たぞ」

東条「最原くんの手伝いのせいで手が開いてしまったの」

白銀「いいんじゃない? 東条さんも休みが必要だし」

東条「ヤスミ……? 聞いたことのない言葉ね。忌々しい響きだわ」

百田「お前一歩間違えたら思考回路超ブラックだよな。元から」

320: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/10(日) 21:25:00.75 ID:muMAMc+A0
謎の超巨大スパコンのある部屋

入間「……」カタカタカタ

最原(凄い集中力だな。この部屋に入ってからずっとコンソールいじってるけど。片手で)

最原「結局、この機械ってなんなんだろ」

入間「超次世代型VRシミュレーションのハード」

最原「え」

入間「ソフトは新世界プログラムって言うらしい」

入間「コロシアイが長く続いたら『殺人の概念がない世界』を投影して中に逃避するのもアリだったかもしんねーな」

最原「いやそれもどうなんだろう」

入間「……テメェはよ。巌窟王のお気に入りだからいいよな。いつの間にか強くなりやがって。ムカつく」

最原「はい?」

入間「気付いてねーか? アンジーの次にヤツと関わって影響受けてる生徒は、天海と同着二位でテメーなんだぜ?」

入間「このコロシアイに立ち向かうってスタンスもアイツ譲りだろうな。○○○○が一丁前にマネしやがって」

入間「○○だけ見て○○○○をわかった気になる男子より厄介だぜ」

最原「……」

最原(そうかもしれない)

321: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/10(日) 21:32:44.91 ID:muMAMc+A0
入間「ま。テメーとは違って天海の方はパッとしねーけどな。影響だけはバリッバリ受けてるだけに無様だぜ。ケケ」

最原「……やめてよ。天海くんをそんなふうに言うの」

最原「気持ちは本物だ」

入間「誰一人としてまだ死んでないから忘れちまったか? コロシアイしてるんだぞ?」

入間「才能の思い出せねーザコなんざ、味方なら足手纏い、敵なら一瞬で死ぬカスだろ。なんでまだ生きてるのかも疑問だぜ」

最原「……」イラッ

入間「……な、なんだよお。急に黙りやがって」

最原(本当にこの人は困った人だな……話せば話すだけ好感度がドンドン下がってく)

最原(でも放っておくわけにはいかないしなぁ……)

入間「……ちっ。時間がかかりそうだな。今日のところは無理そうか」

最原「さっきから何してるの?」

入間「中身を改造してる。まあ巷ではマンネリしかけてるジャンルのくだらねーゲームさ」

入間「……できたら真っ先に遊ばせてやるよ」

最原「……?」

入間(というより、遊んでもらわねーと困るんだけどなァ……)ケケケ

329: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/11(月) 18:56:46.25 ID:0rlQra+00
その日の夜 アンジーの私室

巌窟王「……????」カタ……ポチ……

アンジー「何やってるのー、神様」

巌窟王「卒業アルバムの制作のために編集ソフトをいじっているのだが……」

巌窟王「いまいち捗らなくてな。ふむ。どうしたものか……」

巌窟王(だからBBに頼りたかったのだが)

アンジー「じゃあ写真術の本だけじゃなくって、ソフトをいじるとき用の指南書も頼めばよかったのにー」

巌窟王「なんだと? アンジー、もう一回言ってみろ」ゴゴゴゴゴゴゴ

アンジー「指南書も頼めばよかったでしょー」

巌窟王「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

巌窟王「その発想は無かったな! クハハ! でかしたぞアンジー!」ナデナデナデ

アンジー「えへへー」

巌窟王「さっそく手配するか」ポチポチ

330: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/11(月) 19:05:09.73 ID:0rlQra+00
イシュタル『ええ。指南書ォ? うーん……どう? ナーサリー』

ナーサリー『物理書籍は送れないわ。残念だけど実物のないアーカイブとしての指南書しか』

巌窟王「何?」

イシュタル『いや、その……カルデアの職員がそろそろ怪しんできてて……』

ナーサリー『原因不明なままに物資が次々に消えていくんですもの。仕方ないわ』

巌窟王「……流石に限界が近づいてきたか」

ナーサリー『……あ。でもBBの手作りのアレならアシがつかないんじゃないかしら』

イシュタル『アレ?』

ナーサリー『ほら。最近BBがマシュに送ったビックリプレゼントボックスよ!』

イシュタル『ああ。あの情報を無理やり脳天にぶち込むショッキングな……』

イシュタル『……まあ巌窟王なら大丈夫かしら』

巌窟王(何を話しているのか心当たりはまったくないが、イヤな予感だけが漂うな)

331: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/11(月) 19:12:24.76 ID:0rlQra+00
巌窟王「……卒業アルバムの完成は近い……」

アンジー「最後までがんばろー!」

アンジー「……」

アンジー「……あっ」

巌窟王「どうした? アンジー」

アンジー「……ううん。な、なんでもない」

巌窟王「そうか」

アンジー(……カメラマンが神様ってことは、そのカメラには神様自身が映ってないんだよね)

アンジー(それはちょっと……イヤ、だけど……)

アンジー「……」

アンジー(言わないと気づかないかな。いや、気付いてるけどわざと言ってないのかも)

アンジー(……どうしよう)

332: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/11(月) 19:19:49.51 ID:0rlQra+00
翌日 朝 新世界プログラムのある部屋

入間「……あと少し。あと少しだ……!」ゼェハァ

最原「だ、大丈夫? 目が充血しきってるけど」

最原(昨日は深夜までコンソールにかじりついて、今日は朝からコレだもんなー)

入間「け、ケケケ……! お前の目ん玉、驚きで爆発させてやるよ……楽しみに待ってな!」

最原(期待できない)

入間「……あ。そうだ。昼飯食い終わったら二、三人くらい暇なヤツを連れて来い。そいつらもテスターにすっからよ」

最原「なんの?」

入間「決まってんだろ。俺様が手ずから作った新作ゲームのお披露目会だ!」

最原「……」

最原(何を企んでるんだろう)

336: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 19:36:57.74 ID:/En/ko/B0
その後 校舎 某所

春川「……」プンスカプンスカ

最原「あれ。春川さん? どうしたの、凄く機嫌悪そうだけど」

春川「コレ」

最原「……巌窟王さんのデバイス?」

春川「違う。同じものだけど、コレは百田のなんだよ。巌窟王のホームと繋がってる」

最原「え?」

春川「色々あって手に入れてさ。巌窟王には内緒だよ?」

最原「……う、うん。わかった。それはわかったけど、どうして怒ってるの?」

春川「……百田が長電話してて、こっちが用事あるって言っても『後でな』ってあしらわれて」

春川「イラッと来たからスッてきちゃった」

最原「そ、それまさか通話中にってことはないよね?」

春川「大丈夫だよ。百田は『急にデバイスが消えた』としか認識してないから」

春川「……バレなきゃ犯罪じゃないんだよ」ギンッ

最原(怖ぁー……!)

最原「……」

最原「春川さん。昼ごろは暇?」

春川「……暇だけど」

最原(一人目確保)

337: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 19:43:52.13 ID:/En/ko/B0
昼ごろ 寄宿舎

王馬「巌窟王ちゃーん。あーそぼー」ピンポンピンポーン

王馬「あれー。おかしいなー。なんで応答ないんだろう」

王馬「あ。そうだ。こんなときこそ俺の才能の出番だよね! ピッキングツールー!」


ガチャガチャガチャリンコ


王馬「やっほー! 遊びに来たよ巌窟王ちゃーん!」

巌窟王「」チーン

アンジー「うううう……! や、やめてぇぇぇ……お願いだからこっち来ないでぇぇぇ……」エグエグ

アンジー「クマのぬいぐるみを投げたり、片手で弓とか撃てたりとかしないからぁぁぁ……!」ガタガタ

王馬「……!?」


バタリンコッ


王馬「見なかったことにしよう。巌窟王ちゃんが床に倒れてて、アンジーちゃんが悪夢にうなされてた気がするけど」

王馬「まあ死んでなければ安いよね!」

最原「……あ。王馬くん」

王馬「あ! パーティにハブられてた最原ちゃん! やっほー!」

最原「……」ズーン

最原「……落ち込んでる場合じゃなかった。ねえ王馬くん。暇?」

王馬「暇すぎて自爆テロしそうだよー!」

最原(二人目確保)

338: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 19:50:53.18 ID:/En/ko/B0
新世界プログラムの部屋に戻る道中

最原「……ということで、不安だから二人に来てもらったんだけど……」

春川「よりによって王馬を誘う? どんな神経してんの?」

王馬「やっだなー! 人殺しに言われたくないってー!」ケラケラ

春川「……」

最原(恐ろしいくらい不機嫌になった。確かに人の組み合わせくらいは考えるべきだったかな……)

白銀「あれ? 珍しい組み合わせ。どこに行くの?」

最原「あ。白銀さん」

王馬「これから入間ちゃんのところに突っ込んでゲームしに行くんだよ。白銀ちゃんも一緒に――」

白銀「行くぅーーーッ!」ドギャァァァンッ

春川「最後まで言ってないのに凄い食いつきよう」

白銀「行くよーーー! どんなクソゲーであってもゲームならかじりつかざるを得ないよー!」ハァハァ

最原(閉鎖空間のせいで飢えてる……)

最原(三人目確保。これだけいれば充分かな)

339: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 20:02:59.82 ID:/En/ko/B0
スパコン室

最原「ということで連れて来たけど」

春川「つまらなかったら死ぬよ。アンタがね」

王馬「一切期待してないけど入間ちゃんをいびるためだけに来たよ!」キラキラ

白銀「ゲームを持った入間さんが相手なら『覇王翔吼拳』を使わざるを得ない!」

入間「どういう人選してんだテメェ!」ガビーンッ

最原「見つかった暇そうな人がこの人たちくらいしかいなくって……」

王馬「なんかアンジーちゃんと巌窟王ちゃんは部屋に引きこもったっきり出てこないんだよね。なんでだろう」

入間「……」

入間「……今回はアンジーはいない方が好都合、だろうな」

春川「なんか言った?」

入間「ひい! な、なんでもねーよ!」

白銀「ジャンルは何? ギャルゲ? 乙女ゲ? ノベルゲ?」ハァハァ

入間「近い近い近い! 鼻息こっちに吹きかけんなドブスッ!」

最原「……ちょっと可哀想になってきた。大丈夫? 入間さん」

入間「テメェのせいだけどなッ!」

345: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 21:59:41.77 ID:/En/ko/B0
prrr!

最原「……春川さん。デバイスが鳴ってるけど」

春川「ムカついたのは百田に対してだけだし、ひとまず出てから謝罪くらいはするべきかな」

最原「ところで、百田くんと何を話してたの? その人たち」

春川「なんか最原のことを根掘り葉掘り聞いてた。百田と話すときは大体その話題らしいね」

最原「え? 僕?」

春川「たまにアンジーの話題に入ることもあるらしいけど、そっちは訊かなくっても巌窟王が色々情報駄々流しにしてるから食傷気味みたい」

最原(だからってなんで僕?)

ピッ

春川「はい、こちら春川」

イシュタル『まったく。ビックリしたわよ、いきなりデバイスをひったくるなんて』

ナーサリー『で。デバイスに内蔵されたカメラとマイクから状況は筒抜けなのだけど……』

ナーサリー『VR……つまり電子虚構空間にへのダイブ、ね。ちょっと懐かしいのだわ』

春川「……話の途中で邪魔してごめんなさい」

春川「それはそれとして、無駄話をするためにかけてきたの?」

イシュタル『いいえ。どうせなら私たちも混ぜてほしいと思って』

入間「は?」

白銀「……!」ピクッ

最原(ん? 白銀さんが……ちょっと眉を顰めた。気のせいかな?)

346: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 22:05:47.11 ID:/En/ko/B0
イシュタル『ねー。別に構わないでしょー。ちょっと一緒に遊ぶだけじゃなーい』

ナーサリー『こういう機械に関しては、こちらも一家言あるわ。安心して!』

最原「……僕には特に、反対する材料がないんだけど。どう? 入間さん」

入間「……まあ、いんじゃね? ただ俺様の魔改造を勝手にいじくるのは許さねーぞ」

イシュタル『元から私はそんなことできないし』

ナーサリー『元から私はそんなことする気ないわ』

白銀「……」

白銀「……あれっ? あそこに今、モノクマがいたような」

最原「え?」

春川「本当? 見間違いじゃない?」

王馬「俺にはなんも見えなかったけど?」

白銀「……」


ボヨヨーンッ


モノクマ「はいはーい! ボクの名前を呼んだー?」

王馬「あーあ。白銀ちゃんのせいで来ちゃった!」

白銀「ご、ごめん……」

347: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 22:12:15.76 ID:/En/ko/B0
モノクマ「うーん……生徒がいじくる分には、新世界プログラムで遊ぶのはまったく問題なかったんだけど」

モノクマ「部外者にいじくられるのはちょっと困るんだよなー」

ナーサリー『遊ぶだけよ。いじくるつもりはないわ』

イシュタル『ただ、わざわざあなたが出張ってきた時点で、ちょっと興味の種類が変わっちゃったのだけど』

イシュタル『迂闊に出てき過ぎよ』

モノクマ「うぷぷ」


ピロンッ


最原「ん。今の電子音って……」

王馬「モノパッドかな?」

春川「……あんたたち、モノパッドをいつも持ち歩いてるの?」

白銀「え? 春川さんは持ち歩いてないの?」

春川「面倒だから部屋で充電器に刺しっぱなしだよ」

最原「……ええと、校則に追加項目があるね。内容は――」



『新世界プログラムを故意に破壊した場合、その手段によらず生徒全員の連帯責任となり、校則違反の処理が全員に適用されます』


最原「え」

春川「なにこれ……今までで一番、校則の縛りが強くない?」

最原(勝手に春川さんが僕のモノパッドを覗き込んでる……)

最原(でも確かに、校則の質が今までと違うな。異様だ)

348: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 22:18:38.38 ID:/En/ko/B0
モノクマ「壊さなきゃいいだけだよ。改造、チューンナップは自由」

モノクマ「あ。そうそう……分解も度が過ぎたら『破壊行為』と見なすからそのつもりで」

入間「あー?」

最原「入間さん。こんな校則が追加されることについて心当たりは?」

入間「ねーよ。そこまで重要そうな内容物は特にねーはずだ。中身も改造前から単なるゲームだったしな」

入間「こんな無茶苦茶な縛りを設けてまで守ろうとする意図もまったく読めねぇ」

入間「フェラの必要性以上にまったくもって度し難いな」

白銀「詳しくは……突っ込まないでおくよ……ていうか突っ込めないし」

イシュタル『ナーサリー。中に入れたら調べられる?』

ナーサリー『可能よ。可能だけど……』

モノクマ「今は大したものはないよ。断言する。今はね。だからいくら調べても無駄だね」

最原(……後から何か追加されるってことか?)

349: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/12(火) 22:29:44.12 ID:/En/ko/B0
入間「ま、どうでもいいだろ。ひとまず中に入ってみな!」

入間「中々出来が良く作れたからな。脳汁ドバドバ出しながらイッちまうこと間違いなしだぜ!」

春川「……」

春川「最原。コイツにちょっとでも期待できると思ってる?」

最原(まさか)

最原(……と言いたいけど、今まで何度か助けられたことも確かだし)

最原(口が物凄く悪いけど、紛れもなく仲間だからなぁ)

最原「……ひとまず信じてみたいな」

王馬「答えになってないね」

白銀「これ被ればいいの?」

入間「端子を間違った場所に刺すなよー」

春川「ええっと……デバイスのコネクタは……コレか」カチッ

ナーサリー『お先に行ってるわ!』

イシュタル『うふふ! 楽しみね!』

最原「……よし。行こう」ポチッ

355: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/13(水) 21:29:25.28 ID:QT80LB590
新世界プログラムの中

最原「……ちびキャラ化してる!」ガビーンッ

白銀「おー! 凄い! 動きが微妙にラグい! カクカク! あはは!」

春川「けなしてるのに物凄くテンション高いね……」

王馬「へー。これがVR空間内での俺たちのアバターか」

春川「イシュタルとナーサリーは? 先に来てたはずだけど」

最原(名前覚えてる!)

最原「……っと。入間さんは……」

最原(しまった。先に来たのは失敗だったかもしれない。入間さんが最後か……)

最原(現実空間内で変なことしてないといいけど)

ブオンッ

入間「おー! よしよし、問題なく全員揃ってるな!」

王馬「あ。来た」


ゲシィッ


入間「がっふあ!?」

王馬「……ふーん。蹴った感覚がちゃんとある。凄いリアリティだねー! 入間ちゃん!」

入間「げ……げ……!」ガタガタ

春川「……王馬。相手が入間だからってやりすぎ」

王馬「いやホストのくせして最後にやってきたのに凄くムカついて……つい」

356: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/13(水) 21:36:39.15 ID:QT80LB590
入間「じゃ。さっそく始めっか! 俺様プロデュース! 『推理トライアル』の始まりだぜ!」

最原「推理?」

春川「……ということは、このゲームのジャンルって」

入間「ああ。本格推理アドベンチャーだぜ?」

最原(……なるほどね)

王馬「へえ」

白銀「むっほほーい! テンションバリバリマックスになってきたよー!」フンスフンス

春川「……?」

春川「待って。イシュタルとナーサリーの姿が見えないんだけど」

入間「あ? 入室ログをきちんと確認したが、不明なプログラムが二体こっちに間違いなくやってきてるはずだぜ?」

春川「でも見当たらないよ」

?????「あっあー! こっちこっち! 視線下に落として!」

?????「ルックミー! ルックミー!」

最原「……足元から声がしたね?」

春川「ん?」

イシュタルちゃん人形「ふう! やっと気付いてくれたわね!」

ナーサリー第一再臨状態「こんにちはー!」

最原「……謎のオブジェクトが喋ってる!」ガビーンッ!

357: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/13(水) 21:44:44.26 ID:QT80LB590
イシュタル「改めて自己紹介! 巌窟王のホーム、カルデアからこんにちは! 金星の女神のイシュタルよ!」

ナーサリー「御覧の通り紛れもなく本! 歴とした本! 素敵な本! ナーサリーライムよ!」

入間「え、ええーっ……なんじゃこりゃ。こんなオブジェクト設定した覚えは……」

ナーサリー「ないでしょうね! 勝手に作って意識を滑り込ませたわ!」

イシュタル「BBのようなアホみたいなハッキング技術はないけど、コイツもそれなりにハッキング齧ってるのよ!」

ナーサリー「むかし取った杵柄ってヤツなのだわ」

最原「てっきり僕たちみたいに人型のアバター持ってくるものだと……」

ナーサリー「即席で用意できるものがこれしかなくって……」

春川「まあ、いいや。これで正真正銘、全員揃ったでしょ」

白銀「はやく始めようよ! すぐに始めようよ!」ハァハァ

王馬「入間ちゃーん。巻きでお願い。白銀ちゃんの鼻息が後頭部に当たってて凄くうざい」

入間「お、おう。まあとりあえず……ヤるか!」

358: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/13(水) 21:55:53.89 ID:QT80LB590
入間「スタート地点は御覧の通り、この洋館風の建物だ」

入間「で。外に出ると廊下がズラーッと長く続いてる」

入間「ここは西の果て。廊下はずっと東に向かって続いてて、その途中にいくつもの部屋が待ち構えている」

入間「……で。ここからがミソだな。その部屋の一つ一つには殺人事件が待ち構えている」

入間「すべての部屋に用意してある殺人事件の真相をすべて指摘できれば全クリだ」

王馬「で。その部屋……もとい用意されてる事件っていくつあるの?」

入間「百個」

最原「百個!?」ガビーンッ

春川「よく用意できたね?」

入間「いくつかは推理小説のパクリまたはアレンジだけどな。俺様の黄金の脳細胞にかかりゃ余裕だぜ」フンス

入間「これだけありゃサンプリングには充分だろ」

春川「さんぷ……?」

入間「……あ! ああ、な、なんでもねえ!」アタフタ

最原「……」

359: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/13(水) 22:03:56.52 ID:QT80LB590
イシュタル「……なんとも回りくどいマネをするわねー」コショコショ

最原「うん。どう考えてもコレって……」

最原「……」

最原(いつの間にか僕の頭に乗っかってる! 人形が!)

イシュタル「流石に気づいてるでしょ? コレってどう見てもあなたを警戒した末にできたゲームよ」

最原「うん。多分、これで僕の苦手分野を知って、後でそれを利用したトリックで誰かを殺す気なんだと思う」

最原(気付いてるかもしれないけど一応、誰なのかはボカしておこう)

ナーサリー「人を呼んだのは目的のカモフラージュのためかしら」

最原「それと、出来る限り学級裁判時の状況を再現したいのかも……」

最原「本が宙に浮かんでる!」ガビーンッ

王馬「すげー! マジもんのポルターガイスト初めて見たー!」キラキラキラ

春川「ゲームの世界だよ。一応」

最原(……僕への傾向対策のためか)

最原(なら全部、絶対に解いてやる。フィクションの事件なら怖くもなんともない!)

361: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/14(木) 19:14:43.50 ID:okd+02cK0
アンジーの私室

巌窟王「……ハッ! 今、何時だ!?」ガバァッ

時計「」14ジデース

巌窟王「くっ……まさかあんな方法で情報処理能力をぶち込まれるとは思わなかった。BBめ、何を考えている」

巌窟王「だが情報は……問題なく頭に入っているな。結果よければすべてよし、か?」

アンジー「……」スヤァ

巌窟王「む……? アンジー、もう昼だぞ。いつまで寝ている?」

アンジー「うえええええ……もう弓撃ちたくないよー……あとそのバイオレンスな夫婦漫才とか本当やめてよおおおお……!」ガタガタ

巌窟王「!?」ガビーンッ






アルテミス『もー。そんなこと言わないのー。夢から覚めるころには第二のアタランテよー?』

オリオン『ひぎいい! お願い! お願いだから首を絞めるか指導を続行するかのどっちかにしてー!』

アンジー「えええええん……もうやだよおおおおお……」エグエグ

巌窟王「アンジー! 起きろアンジー! 我が声の元へと戻るのだ!」ガクガクユサユサ!



なんとか起こしたころにはアンジーはアルテミスの加護を手に入れていた。
だがアンジー自身が拒否したので即座に巌窟王が燃やした。

362: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/14(木) 19:32:15.68 ID:okd+02cK0
数十分後

巌窟王「……通信をかけているというのに誰も出ないな」イライラ

アンジー「も、もういいよ神様ー。アンジーもすっかり元気だからさー」ゲッソリ

巌窟王「見え透いた嘘は顔面に血色を戻してからにしろ」

東条「ごめんなさい。睡眠導入剤もごく弱いものしかないの。悪夢への対処はかなり貧弱なものに限定されるわ」

巌窟王「そうか。ならば仕方ないだろうな。趣味が悪いからアレだけは使用したくなかったのだが」

東条「?」




更に十分後 カジノ

巌窟王「気分転換だ! 存分に遊ぶぞアンジー!」

アンジー「じゃんじゃんばりばりー!」

東条「……なるほど。確かに悪くない対処法ね」

巌窟王「む……先客がいるな」

百田「ち、ちくしょう……! 全部……全部スッちまった……!」ガタガタ

百田「コイン。どこかにコイン落ちてねーか。コイーン!」キョロキョロ

巌窟王「……」

巌窟王「やはり帰るべきか……?」

363: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/14(木) 19:36:48.14 ID:okd+02cK0
同時刻 新世界プログラム

入間「……」

入間(バカな……!?)

最原「謎解き終了。これで五十件目。やっと半分終わったね」

イシュタル「……」

ナーサリー「……」

春川「……」

白銀「……」

王馬「……」

王馬「推理のときだけ饒舌になるの気持ち悪いよね」

白銀「やめなよ」

入間(お、俺様の無敵トリックが今のところ瞬殺ーーーッ!?)ガビーンッ!

369: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/15(金) 17:04:42.87 ID:lq5RAuTd0
入間(バカな! プライドを捨てて『俺様の思考回路』を排し『凡人のカスどもの思考回路』を完全再現したトリック群だぞ!)

入間(それでもダメなのか!? 超高校級の探偵って、そこまで問答無用なのかよ!)

イシュタル「……ねえ春川? 気のせいかもしれないのだけど」

ナーサリー「最原、ちょっとノリノリになってきてないかしら?」

春川「なってるね」

入間「え?」

王馬「最近ストレス溜まりまくってただろうからねー。それに、人が不幸にならないような事件ならいくらでもやりたいくらいだろうし」

白銀「……そういえば最原くんの好きなものって小説だったような気が……」

入間「え? ノリノリ? あの常時困った犬みたいな顔をしてオドオドしてたクソ○○が?」

入間「いやいやそんなこと……」チラッ

最原「次行こう」ウズウズ

入間「そんなことあったーーー!?」ガビーンッ

370: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/15(金) 17:10:58.54 ID:lq5RAuTd0
入間(そうか。計算違いがあったとしたらコイツのモチベの上昇か!)

入間(いつもは必死で命懸けだったから全力だったが、今はモチベーションの向上で能力値が上乗せされてるってわけかよ!)

入間(ざ、ざけんな……俺様は……俺様はなにもテメェを喜ばせるために、コレを作ったわけじゃ……!)

最原「……」キラキラ

入間「……」

入間「なんかかっけーな」

王馬「え? 入間ちゃん、なんて?」

入間「え? あ……俺様、今、何て言ったんだ?」

最原「イシュタルさん。この事件のトリックは多分、真上から現場を見渡せば解けると思うんだ。だから」ガシッ

イシュタル「え?」

最原「たかいたかーい!」ブンッ

イシュタル「うわっはーーー!?」ヒューッ

春川「もうあからさまにはしゃいでるよ」

ナーサリー「頑張ってイシュタルー!」

371: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/15(金) 17:18:27.05 ID:lq5RAuTd0
イシュタル「ばっ……ば、ばばば、バッカじゃないのー!? 私、女神なのだけどー!?」プンスカ

王馬「どう見ても人形だけど」

イシュタル「このゲームの中ではね! あのね! あなたたちも無学じゃないんだからイシュタルの名前くらい知ってるでしょ!?」

春川「メソポタミアの美と豊穣の女神でしょ?」

イシュタル「ほら知ってたじゃない!」

白銀「いや。流石にコードネームか何かで、本物の女神ってことはないでしょ?」

イシュタル「は?」

白銀「英霊召喚の書にも『神霊の類は原則召喚不可』って書いてあったし」

王馬「まあどう考えても本物ってことはないよね。常識的にさ」

イシュタル「……あ、あー……なるほど。なんかあなたたちの意識が低い理由がわかったわ……本物だと思われてなかったのね……」

ナーサリー「実際に英霊召喚で神を召喚することだけは絶対に不可なのだから仕方ないと思うの」

イシュタル「ハハ……虚しい……!」

最原「イシュタルさん。なにか気付いたことは?」

イシュタル「え。ビックリしちゃっててうっかり記憶し忘れちゃった」

最原「たかいたかーい!」ビュンッ

イシュタル「きゃー!」ガビーンッ

春川(……神霊の類は召喚不可能、ね……じゃあアンジーは何をもってして巌窟王を神って判断したんだろう)

372: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/15(金) 17:32:20.03 ID:lq5RAuTd0
三十分後

最原「……よし。解けた! これが事件の真実だ!」

王馬「おおー! 八十件突破!」

入間(バカな……バカなぁぁぁぁぁぁぁ! 俺様のトリック群が……!)

入間(い、いや。残りのニ十件は趣向を変えてある! これならダサイ原も確実に躓くはずだ!)

入間(事前に巌窟王から魔術の知識を聞いておいて助かった……!)

春川「じゃあ、次に行こうか。ガチャリンコ」

イシュタル「どれどれ。今回の被害者はどんな死に方を……」

イシュタル「……自殺じゃない? コレ」

入間「いや。違うな。自殺じゃねー。あとのニ十件の事件の中に自殺なんてつまんねー結末の事件は一つたりともない」

入間「全部! 他殺だ!」

ナーサリー「……でもコレ……」

王馬「ええっとー。モノクマファイル……の代用のイルマファイルによると……」

王馬「改めて思うけど口にする度に吐き気を催す名前のファイルだね」

入間「どういう意味だよお!」

王馬「現場は完璧に密室で、被害者が自分の手でナイフを胸に突き刺したってことは間違いない」

王馬「……で。部屋自体には特に仕掛けはなく。被害者の体からは毒物の類は検出されなかった……」

春川「完全に不可能犯罪じゃない?」

白銀「うーん……でも今までの事件の傾向から考えるに、入間さんのゲームは『解ける』って点においてだけは良識的だったから」

白銀「多分、調査すれば何かは出てくると思うんだけど……」

入間「……」ニヤニヤ

最原「……」

最原「ああ、そうか。もしかしたら今までとは趣向が違うのかも」

入間「はひっ?」

373: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/15(金) 17:40:34.93 ID:lq5RAuTd0
イシュタル「趣向……?」

最原「今までの事件は『現実でも実行可能』ってところがテーマだった気がするんだ」

最原「でもこれはゲームならではの殺人……つまり、ファンタジーかSFの要素が絡んできてるんじゃないかな?」

春川「……それってミステリとしてフェアなの? ゲームとしてアンフェアじゃない?」

白銀「いや。そうでもないよ? むしろゲームだからこそ推理にファンタジーが絡むってことは往々にしてあるよ」

白銀「ミステリに一切のファンタジーが絡まない作品で、人気の作品って結構限定されるし」

王馬「あの有名な見た目は子供、頭脳は大人な探偵は『主人公の設定』が完全にファンタジーだしね」

春川「ああ……そう考えると、確かに不自然でもないかな?」

最原「白銀さんの言う通り、このゲームは『解ける』っていう点においてはフェアだから……」

最原「多分、僕たちの前提に深くかかわっているもので、しかも『現実的ではないもの』が深く関わっているはずだ」

入間「……」ダラダラダラ

イシュタル「魔術のアーカイブなら持って来れるわよー」

ナーサリー「ええ! 上級魔術から初級魔術まで!」

最原「初級のものにだけ限定してていいよ。素人でも訓練すれば一年で使えるようなヤツ」

最原「この学園の中だと手に入れられる知識に限界があるだろうし」

春川「……事前に巌窟王から取材してたの? 意外にマメだね」

入間(うがああああああああああああ!)

383: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/16(土) 23:23:42.31 ID:t+0lq7280
CM

クレオパトラ「熱が……凄い熱……いやエジプトもかなり熱いけども、この熱さは質が違います!」

白銀「クリスマスなのに! もうすぐクリスマスなのに!?」

クレオパトラ「あの小さいサンタが用意したボックスガチャ用のプレゼントも無駄になりそうですね!」

白銀「それはちょっとシャレにならないよ。本当に」ギリィッ

クレオパトラ(渋ドロップに叩きのめされた顔です……本当に辛い思いをしてきたのですね)

白銀「最悪召喚の方で爆死してもいいからドロップの方は切実に改善してほしいとすら思ってるから……!」

白銀「ああ! 誰か! 誰か助けて! お願い! 私たちにクリスマスをーーーッ!」

????「その願い、聞き届けたり!」

白銀「誰!?」

クレオパトラ「美女!? ローマ!? もちろん――」

アルテラサンタ「私だ」バァーンッ

白パトラ「……」

白パトラ(……いや間近で見てもなんだかわかんないコレ……なに?)

アルテラサンタ「ところで……私は神性持ちだぞ」

白銀「ん? うん。確かに。ステータス見る限りではそうだね?」

アルテラサンタ「神性持ちのサーヴァント、だぞ?」ニコニコ

クレオパトラ「……」

アルテラサンタ「……カメオ出演したいと言ったら、どうする? 泣いて喜ぶか?」ワクワク

白銀「え……いや普通にイヤだけ」

アルテラサンタ「ケインを頭頂部にえいっ」コツンッ

白銀「どぼぅあああああああ!」ダバーッ

クレオパトラ「いやあああああああ! 口からキャンディーが滝のようにーーーッ!」ガビーンッ

白銀「ぼどぼどぼどぼどぼど」ダバーッ

アルテラサンタ「カメオ出演、だぞっ」キラキラ



FGOクリスマスイベント『冥界のメリークリスマス』開催中!

387: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/17(日) 19:16:48.09 ID:EVTy5E8r0
最原「……よし。とっかかりがあれば大丈夫。ありがとうナーサリーさん」

ナーサリー「ううん、いいの! いつも楽しませてもらってるから!」

最原「え?」

ナーサリー「おっと。口が滑ったのだわ……なんでもないの」

春川「……」

春川「結果的には良かったかな。入間が何を考えていたのか、私には微妙にわからないけど」

春川「最原、凄く活き活きしてる」

王馬「もうすっかり生気取り戻した感じだよねー」

白銀「事件ではずっと頼りっきりだったもん。こんなときくらい楽しんでくれてよかったよね」

入間「……そんなことのために作ったわけじゃ……」

入間(……でもなんか、悪い気はしねぇな……クソっ)

最原「あ。真相わかったかも」

入間「だから早ぇーーーよッ!」

388: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/17(日) 19:33:08.61 ID:EVTy5E8r0
イシュタル「……バカね。あの子。入間にサンプリングされたくないのなら、全部の事件に圧勝する以外にも方法があったのに」

ナーサリー「全部の事件にわざと惨敗すればいい、でしょ? それはちょっとつまらなさすぎるのだわ」

イシュタル「確かに私も、勝負そのものを投げ出す人間なんて退屈すぎて射殺したくなるほど嫌いだけど……」

イシュタル(なーんか、危ういのよね。なんでもかんでも巌窟王から吸収しすぎっていうか……)

イシュタル(困難の喉笛を噛み千切るだけが、生き残る手段ってわけでもあるまいに)

最原「……ゲームを続けよう。次の事件だ」ニィッ

王馬「おー!」

イシュタル(すべての出会いが祝福に満ちているわけじゃない、か。考えてみれば当たり前なのにね)

イシュタル(巌窟王。あなた、少しここに長く居過ぎたわ)




一方そのころ カジノ

巌窟王「ジャックポット。ふん、機械相手に運など必要ない。あるのは必然だけだ」

マシン「」メダルジャラジャラーッ

百田「格好つけてる場合じゃねー! テメェもメダルをケースに入れるの手伝えッ!」

アンジー「にゃははー! ハレルヤーッ!」

東条「エンジョイし過ぎね」

391: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/18(月) 18:14:44.62 ID:frxZSdH40
数十分後 新世界プログラム内

最原「……全クリだね」

王馬「最原ちゃんおめでとー! 入間ちゃんが賞品として○○くれるって!」

入間「ひぎゃあ! 勝手に俺様の○○を景品にすんな!」

春川「……え? アンタ○○なの?」

入間「は? え、い、いいいいやそんなわけ……ないのか?」チラッ

白銀「いやこっちに訊かれても!」

入間「……」

入間「ヤッて確かめてみるか?」ズイッ

最原「普通にイヤだよ!」

入間「ぐあはふ!?」ガビーンッ

イシュタル「迫り方も酷いなら振られ方も酷いもんね」

392: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/18(月) 18:23:55.71 ID:frxZSdH40
入間「……うぐうおおおおおううう……!」ガタガタ

王馬「あらら。最原ちゃんが酷い振り方するから入間ちゃんが想像以上のダメージ受けてるよ」

最原「いや……入間さんなら男なんてとっかえひっかえだろうし、僕一人に振られたところで大丈夫でしょ」

春川「容姿だけは確かにいいからね。容姿だけは」

入間「アホかテメェ! 男をとっかえひっかえとか! そんなことしてたら、いいお嫁さんになれねーだろうが!」

春川「急に幼稚園児みたいなこと言い始めたよ」

白銀「自分の身をひとまず振り返ってほしいよね。一週間分だけでいいから」

ナーサリー「ねえ? スタッフロールがないのなら、そろそろ外に出たいのだわ」

入間「……そこに受話器があんだろ? 受話器を取って自分の名前を呟けば出れる。不明なプログラムの方は知るか」

イシュタル「でしょうね。まあ大丈夫よ、自力で出れるから」

ナーサリー「楽しかったのだわ!」

最原「……うん。僕もだよ」

白銀「謎はほとんど最原くんが解いちゃったようなものだけどね」

春川「手伝いしかできなかったな」

王馬「出しゃばりすぎなんだよッ! 謝れよ! 俺たちに! 主に俺に!」プンスカ

最原「ご、ごめん……」

春川「じゃあ外に出ようか」

393: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/18(月) 18:45:50.56 ID:frxZSdH40
スパコン室

茶柱「……ふーん……へー……なるほど。ヘッドギアをプレイ中に外すと大惨事が起きるから絶対にやめろと……」

赤松「そう書いてあるね。今は寝ているようにしか見えないけど、意識は全部あの機械の中に飛んでいるから……」パラパラ

赤松「ひとまず自然に出てくるのを待つしかないかな」

茶柱「赤松さんを連れてきて正解でした。転子一人ではどうにもできなかったので……」

茶柱「なるほど。この珍奇な機械でそんなことを」

茶柱「……」

茶柱「最原さんの顔にペンで猫髭書いてみましょうか」

赤松「やめてあげようよ……と言いたいところだけど水性ペンなら冗談で済むかな」

茶柱「流石赤松さん話がわかってます! じゃあ早速」

ピロンッ

赤松「ん……?」

茶柱「ふふふ……じゃあペンを構えて、手先が狂わないようにほっぺに手を添えてしっかりと……」

最原「ん?」

ガサリッ

茶柱「え?」

赤松(あ。最原くんがヘッドギアを外した)

最原「……茶柱さん? 何してるの?」

茶柱「……」

最原「あの……ちょっと距離が近くて落ち着かないんだけど……」

茶柱「!?!?」ガビーンッ

394: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/18(月) 18:50:46.91 ID:frxZSdH40
おゆはん作ってきます!

395: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/18(月) 20:16:24.83 ID:frxZSdH40
茶柱「気の迷い……気の迷いです……何故転子は男死に自分から触ったり……?」ガタガタ

王馬「……女の子をとっかえひっかえは最原ちゃんの方じゃない?」

赤松「モテモテだねー。ふふふ」ニヤニヤ

最原(赤松さん段々この空間に毒されてきてるなー……)

春川(善性そのままに才囚学園全生徒の持つ『ウザみ』を獲得してきてる……可哀想に。もう戻れない)ホロリ

赤松「あれ? 春川さん、なんで泣いてるの?」

春川「触らないで。ウザみが移る」グスン

赤松「ウザみ!?」ガビーンッ

最原「ところで二人はこんなところで何を……?」

赤松「意識がない状態で椅子に座ってたみんなのことを心配して、茶柱さんがたまたま近くにいた私を連れて来たんだよ」

赤松「で。さっきまで新世界プログラムの取り扱い説明書を一緒に読んでたの」

赤松「……中ってどんな感じだったの?」

最原「それは僕にはなんとも説明しがたいんだけど……入間さん」

最原「あれ? 入間さんはどこ?」

白銀「さっき、ガックリ肩を落としてどこかに行っちゃった」

最原「……」

最原(諦めてくれるかな? これで)

396: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/18(月) 20:23:38.80 ID:frxZSdH40
入間「クソっ! クソっ! クソクソクソ! なんでだ! なんで躓かない!」ズンズンッ

入間「百件だぞ! これだけ作ってすべてにおいて惨敗ってどういうことだよ!」

入間「後半からは魔術の絡んだ事件も混じってたんだぞ! アレで解けるなんておかしいだろ!」

入間「何か……何かないか! 俺様は諦めたりしねぇ! そんなことするくらいなら超高校級なんて呼ばれてねぇ!」

入間「勝ちたい! 俺様は勝って、巌窟王を手に入れたい! 世界をもっと良くしたい!」

入間「そのためならどんな犠牲だって……!」

入間「……」

入間「……あ。犠牲にできるもの、あるじゃねーか」

入間「最原を出し抜けるとしたら、もうこの方法しかねぇ……ブッチ切ってやる!」

397: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/18(月) 20:34:07.25 ID:frxZSdH40
カジノ

天海「押せっ……押せっ……!」

天海「むおおおおおおおおおおおおおおお!」フジワラー

アンジー「おおー! 蘭太郎凄いねー! 本日二回目のジャックポットだよー!」

天海「ついさっきジャックポットがあったばかりだからため込んであるコインはたかが知れてるんすけどー!」

巌窟王「……で。百田の方は」

百田「……」ぐにゃあ~

巌窟王「お前もうギャンブルをやめろ」

百田「嘘だ……夢に決まってる……」

東条「夢じゃないわよ」

405: 財布ステラァァァァァ! ◆SxyAboWqdc 2017/12/19(火) 19:37:10.79 ID:j8vYgR700
最原(その後、入間さんを探してみたけど、見つけることはできなかった)

最原(……あれだけ徹底的に叩きのめしたので、もう絶対に殺人計画は無理だと気づいてくれたはずだけど)

最原(イヤな予感が頭にこびり付いて離れないのは何故だろう)

最原「……入間さん。寄宿舎にもいないのかな。腕が折れてるのに一体どこに……?」

ガシャコンガシャコン

最原「ん? なにこの音……」

巌窟王「クハハハハハハ! 三代目はモンテ・クリスト伯爵ちゃん!」ガシャコンガシャコン

最原(なんか大きな袋を持った巌窟王さんが変な音を響かせながらやってきてるーーーッ!)ガビーンッ

アンジー「あ。終一ー! 賞品が多すぎて運ぶの大変なんだー! 手伝ってー!」ガシャガシャ

最原「え。賞品……ってまさかコレ」

天海「カジノで大勝ちしてきたっす」

東条「本当に気持ちのいい勝ちっぷりだったわ」

最原「うわ。全員なにかしら持ってるね。本当にみんな大勝してきたんだ」

パンツ一丁の百田「そうでもねーぜ」ズーン

最原「スカンピンになってる!?」ガビーンッ!

406: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/19(火) 19:54:04.60 ID:j8vYgR700
巌窟王「どうやら超高校級の宇宙飛行士にギャンブラーとしての才はないらしいな。欠片も」

百田「ちくしょう……ちくしょう……」エグエグ

巌窟王「さて。最原。お前にはコレをやろう」スッ

最原「え? お裾分け? 別に気を使わなくってもいいのに……」

最原「ん? 手紙?」

果たし状「」ドーン

巌窟王「しまった。間違えた」ブンドリッ

最原「ねえそれ誰に向けたもの!? まさか僕じゃないよね!?」

巌窟王「何のことだ? アンジー」

アンジー「さっぱり心当たりが無いよー!」

巌窟王「お前にはコレだ。手を出せ」

剣山「」ギャランッ

最原「明らかに針の方を手のひらに向けて渡す気だよね!?」ガビーンッ

407: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/19(火) 20:01:32.73 ID:j8vYgR700
天海「アンジーさんの件に関しては驚くほどに大人気ないっすよね……」

巌窟王「む……」

東条「今指摘されて気付いたって顔ね」

巌窟王「……」

ゴソゴソ ポイッ

巌窟王「カフスだ。受け取れ」

最原「え? あ、わっ」キャッチ!

最原「……」

巌窟王「いらないのなら捨てろ」

最原「う、ううん。いるよ。とっても嬉しい」

巌窟王「……フン……アンジー。俺は他の生徒にも賞品を配ってくる。かさばって仕方がないからな」スタスタ

アンジー「早めに帰ってきてねー!」

最原「……ふふっ」

天海「あれだけ邪険にされてても憧れてるんすねー」

東条「まあ……仕方ないわ。彼の言葉は、この空間ではあまりにも刺激的すぎるもの」

東条(でも赤松さんがいつか言った通り……彼のやり方は最原くんにはあまりにも似合ってないのよね)

東条(ちょっとだけ心配よ)

408: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/19(火) 20:15:11.57 ID:j8vYgR700
モノクマ「……アップデートの準備はできてるよ」

モノクマ「あとは生徒全員を……そして巌窟王さんをここに連れて来るだけ」

モノクマ「おびき寄せるだけのネタはどうしようか」

モノクマ「……入間さんを利用する? へえ……いいんじゃない?」

モノクマ「で……キミは全部終わった後どうするの?」

モノクマ「……ふんふん。なるほどなるほど」

モノクマ「マジで?」

411: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/20(水) 19:55:15.74 ID:q4bbjtUp0
翌日

東条「……え? 今、なんて?」

入間「真面目に治療受けてやるっつってんだよ」

東条「上から目線なのが気になるけど……あなたにしては随分と殊勝ね」

入間「……ダサイ原に蹂躙されて心が折れて……もうお嫁に行けない」エグエグ

東条「!?!?」ガビーンッ

入間「うう……!」シクシク

東条「……」アタフタ

東条「そ、その……元気を出して。治療に全力を尽くすから……」ナデナデ

入間(ちょれぇ)ニヤァ

入間(ああ。やってやるよ。万が一、俺様が敗れたときのために、あのハンマーは完成させといてやる)

入間(……最後の勝負だ。俺様が勝つ)

412: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/20(水) 20:17:17.70 ID:q4bbjtUp0
朝 アンジーの私室

巌窟王「……ふむ。生徒全員に配ってもまだ余ったな……残りは消耗品だからまだマシか」

巌窟王「さて。後はどうするか……アンジーを起こしてから考えるか」

巌窟王「アンジー。朝だぞ。起きるがいい」

アンジー「うーん……あと……あと……」

巌窟王「クハハ。あと五分とでも言うつもりか? 待たんぞ」

アンジー「あと五日早い……!」

巌窟王「は?」

アンジー「というか、お前誰ぇぇぇぇぇ……? 近くで見ても全っっっ然わからないよぉぉぉぉ」ガタガタ

アンジー「うええええええん……今度はどこの神様ああああああ……?」シクシク

巌窟王「」




アルテラサンタ『虹をまき散らし、抗議しにきたぞ。三代目はモンテ・クリスト伯爵ちゃんではなくアルテラだ』フンス

ドゥムジ『どこの、と言われたらまあ色々と答えに窮します。私と彼女は出身地と成り立ちが違うので』メェー

ドゥムジ『まあこの際それはどうでもいいでしょう。道端にこびりついている麦わらのようなもの。目に留まってもスルー確定です』

アルテラサンタ『……お前はカルデアに召喚されていなかったから、ここにいるのはひたすらおかしいのだが。まあいい』

アルテラサンタ『巌窟王がカジノで当てたプレゼントの約五倍の満足度に至るまでプレゼント攻撃をやめない!』

羊『めー』

羊『めー』

羊『めー』




アンジー「暑苦しいよぉぉぉぉ……! 羊臭いよおおおおお……!」エグエグ

巌窟王「……」ブチッ

413: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/20(水) 20:22:35.03 ID:q4bbjtUp0
カルデア

イシュタル「さーてと。今日も今日とて才囚学園のみんなの観察ねー」

ナーサリー「楽しいわ! 楽しいわ!」クルクル


prrrrr!


イシュタル「あら。誰かしら……って、巌窟王の方か。そういえば昨日は何回も着信履歴があったわね」

イシュタル「なにか緊急の用なのかも」ポチッ

イシュタル「はいはいこちらイシュタルー! 何か用?」

巌窟王『死ね』




ドカァァァァァァンッ!



イシュタル「ぎゃあああああああああああ!」

ナーサリー「ええーーーッ!? デバイスが黒い炎を吐いたのだわーーーッ!?」ガビーンッ!



巌窟王は『どうやったのかは企業秘密』と答えたので、原理は判明しなかった

414: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/20(水) 20:24:59.89 ID:q4bbjtUp0
アンジー「はあ……はあ……あー、苦しかったー。窒息寸前だったよ。ありがとう神様」ゲッソリ

巌窟王「またやつれたな」

アンジー「だ、大丈夫……全然大丈夫だから……」ニコ……ニコ……

巌窟王(なんて張りのない笑顔だ)

巌窟王(ふむ……何か手を考える必要があるか?)

巌窟王(こういうときに頼りになるのは……アイツだな)




病院

入間「へくちっ」

423: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/21(木) 21:15:20.81 ID:wcBVxcra0
中庭

巌窟王「……」キョロキョロ

夢野「んあ? 巌窟王? 何しとるんじゃ、こんなところで」

巌窟王「夢野か。大した用ではないのだが、入間を探している」

夢野「ヤツなら今ごろ病院ではないかのう。色々心境の変化があって、やっとこさ治療を行う気になったらしいぞ?」

巌窟王「……こんなときに限ってまともなことをしてくれる。下らない用事であったなら即座に中断させて攫ったものを」

夢野「なんて?」

巌窟王「クハハ。気のせいだ」

夢野「……のう巌窟王。もうすぐこの学園生活はきっと終わる」

夢野「ウチらはきっとお主のことを忘れん。だからお主も……」

巌窟王「バカめ。俺を誰だと思っている。復讐者たるこの身に、忘却などという救いはない」

巌窟王「……忘れられないさ。何一つとしてな」

夢野「そうか」

夢野「……そうか」ニコリ

426: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/21(木) 21:35:23.93 ID:wcBVxcra0
病院

アンジー「……」ウロウロ

東条「あら。夜長さん、どうしたの?」

アンジー「あ。斬美ー! やっはー!」

アンジー「……どうしたのってほど、大した用じゃないんだけど……美兎はどこ?」

入間「俺様がどうかしたか?」

アンジー「あ。後ろにいたんだ」

アンジー「……あのね。美兎。その……ずっと言えなかったことがあるんだけどさー……」

入間「んだァ? カルトブスのくせして、妙に歯切れが悪ィな?」

アンジー「……ごめんなさい。勝手に発明品盗んで」

入間「!」

アンジー「……それだけ。別に許さなくってもいいから、これだけ伝えておきたかったんだー」

アンジー「もうすぐ美兎の発明品で終わっちゃうから」

入間「……」

入間「消えろ。今すぐ。俺様の視界に二度と入るんじゃねえ」

アンジー「……うん。ごめんね」


スタスタスタ


東条「……言い過ぎよ。いくらなんでも」

入間「るっせぇな! わかってんだよクソッ! ていうか発明品を盗まれたこと自体、ついさっきまで忘れてたわッ!」

東条「……え。じゃあなんであんな……」

入間「……言うつもりはねぇ……!」

入間(どっちにしろ決定したことに変更はない。俺様はアンジーから巌窟王を殺して奪うんだ……!)

入間(俺様は……俺様は……!)

427: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/21(木) 22:02:25.20 ID:wcBVxcra0
昼 食堂

春川「百田。コレ。拾ったから返すね」ポイッ

百田「うおーッ! デバイス! なくしたと思ったデバイスじゃねーか!」キャッチ

百田「ああ、ちくしょう! コレがなくなりさえしなけりゃストレス解消のためにカジノでスカンピンになったりしなかったものをよー!」

春川「ん? なんて?」

百田「なんでもねぇ! ありがとうなハルマキ!」ニカッ

春川「……」ジーン

春川「アンタの感謝なんて一銭の価値もないけど」フッ

王馬「俺も大概だけど春川ちゃんもある意味で『口先だけ』だよね」

春川「殺されたいの?」ギンッ

最原「お、落ち着こうよ……王馬くんに関しては本当の意味で口先だけだからさ」

百田「……お。終一。お前それ、巌窟王がよこしたカフス……」

最原「う」ギクッ

百田「早速付けてんのかよ、滅茶苦茶気に入ったんだな」

最原「あ、あはは……いい趣味してるから、ね……」

春川「地味だけど」

最原(がはあ!)

最原「……みんなは何貰ったの?」

百田「星図」

王馬「お菓子各種」

春川「マンウィ●のCD各種」

最原「凄い! 一貫性が見事にない!」

428: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/21(木) 22:08:04.81 ID:wcBVxcra0
春川「……聴く?」

百田「聴く」

王馬「ポータブルCDプレイヤーも配布済み……巌窟王ちゃんもやるなー」

最原「プレゼントの質と量も生徒によってマチマチか……」

百田「……」シャカシャカシャカ

春川「夢野のプレゼントが一番意味不明かつショボかったかな。私の知る限りだけど」

最原「何を貰ってたの?」

春川「聴診器。壁に当てたりして、それなりに楽しんでたよ」




女子トイレ

夢野「……?」

夢野「なんじゃ? この先に空間があるような……」

夢野「……あ。開いた」ガコッ

442: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/23(土) 05:19:02.09 ID:XCAkBsSo0
夢野「……隠し扉? こんなところに?」

夢野「どこに繋がっておるんじゃろうな、コレ」

夢野「……」

夢野「学校の探索に制限はかけないって校則がわざわざあるくらいじゃ。ちょっと中を覗くくらいなら問題なかろう」

夢野「まさか女子トイレに巌窟王とか最原とか呼べんし」スタスタ




モノクマ「……」

モノクマ「あーあ。入っちゃった」

443: あ……あ……まったく意味不明に刑部姫(二人目)がすり抜け…… ◆SxyAboWqdc 2017/12/23(土) 05:31:13.45 ID:XCAkBsSo0
夢野「……なんじゃあ!? ここは!? な、なんか……なんか怪しすぎるぞ! 滅茶苦茶!」

夢野「具体的に『どこが』とか言われたらツッコミどころの多さに眩暈がしそうじゃ!」

夢野「よくもまあこんなに怪しい部屋を作れたモンじゃな!?」キョロキョロ

カタンッ

夢野「ッ!?」ビクゥッ

白銀「あ。夢野さん……? な、何してるの、こんなところで……?」

夢野「し、白銀か……なんじゃ、おどかすな」フイー

白銀「女子トイレに来たら、何か隠し扉的なものが開いてたから来たんだけど……」

夢野「おお! そうじゃ! 巌窟王から貰った聴診器を使っておったらこんな場所に!」

夢野「凄いぞ白銀! 怪しさ満点じゃ! どう見てもコレは!」

白銀「うん。首謀者の部屋……だよね」

白銀「……一旦上に出ない?」

夢野「そうじゃな。流石にもう女子トイレだからとかどうだとか言ってる場合じゃないぞ!」

夢野「すぐに最原と巌窟王を呼んでこなくては!」ダッ

白銀「……あ! 夢野さん! 待って! これを見て!」

夢野「んあ? いや、これを見てとか言われても、ここ微妙に薄暗いからわからんぞ」

白銀「あ、ごめん」

444: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/12/23(土) 05:36:00.82 ID:XCAkBsSo0
バァンッ

白銀「はい。明るくしたよ」

夢野「……び、ビックリしたぞ。なんじゃ今の音。しかも明るくなったって一瞬だけじゃったし」

ポタッ

夢野「……」

夢野「んあ? なんじゃ? 何かウチの制服が濡れて……」ポタポタッ

夢野「……い……た……い……」


バタリッ


白銀「……やっぱ拳銃にライトとしての機能を期待しても無駄かぁ」

白銀「流石にここを見られたら帰せないんだよね」

白銀「……おやすみ夢野さん」

夢野「最、原……巌窟王……首謀者の部屋が……見つかって……」

白銀「……」

白銀「不愉快な寝言だなぁ」


次回 巌窟王「亜種並行世界!」 アンジー「虚構殺人遊戯:才囚学園ー!」 後編