1: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:07:29.38 ID:9E+RqcLDO

P「…」

P「珍しいな。事務所の外で会うなんて」

比奈「?」

比奈「あっプロデューサー。奇遇でスねー」

P「うん」

P「なにしてんだ?」

比奈「雪で寒くて動けないのでぼーっとしてました」エヘヘ

P「死ぬぞ」



・シリーズ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1392653249

引用元: 荒木比奈「フツウの雪の日」 


2: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:09:59.04 ID:lVq13k5Lo


ガサ


P「コーヒー飲め」パコ

比奈「どもっス。あったかいっス」こくこく

P「肉まん。食べられるなら食べろ。暖まるぞ」カサ

比奈「ほかほかっス。沁みるっス」ぱくぱく

P「マフラーしとけ。薄着すぎだ」

比奈「もふもふっス。えへへ」もふもふ

比奈「なんだかいたれりつくせりでス」ニヘラ

P(だってほっといたら死にそうなんだもの…)

比奈「…」エヘヘー

P(……、まあ、いいけど)

3: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:17:25.65 ID:9E+RqcLDO

P「いやよくねえよ」ハッ

比奈「??」モコモコ

比奈「あ、すいません。コーヒーごちそうさまでス。プロデューサーもどぞーっス」

P「おう。ありがとう」

比奈「いえいえーこちらこそっスよー」

比奈「…えへへ。でもなんだか、同じ缶コーヒーを一緒に飲むのって…こう、いいっスよね。青春って感じでス。えへ」ニヘラ

P「…」…ズズ

P「そうだな」

比奈「はい」ニコ

P「…おう」

比奈「はいー」ニヘニヘ

P「……」…ズズ…

P(しまった雰囲気に流されかけている)ハッ

比奈「??」

4: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:22:46.09 ID:lVq13k5Lo

P(ちゃんと気をつけろよって言わなければ)

比奈「…」ニヘ

比奈「…えへへ…やっぱり私、アイドルになってよかったなーって」

P「?」

比奈「思いまス。えへ。プロデューサーに会えて、前よりずーっと可愛くしてもらえたし、」

比奈「こんな風に青春だなーって感じもできて楽しいし」

P「…アイドルになる前は、青春って感じはなかったのか?」

比奈「はい。まあ趣味は精一杯楽しんでましたけど」

比奈「…その、フツウの青春とか、フツウに女の子らしいことって、…あんまし…私にとっては」

比奈「やっぱり手の届かない…遠いところから眺めるものって感じで」

P「…うん」

比奈「はい」

比奈「あ、というかむしろそれをアレコレして楽しむ側だったというかでスね!」

P「その言い方だと、きわめて悪趣味だな」

比奈「てへ」

5: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:24:53.34 ID:9E+RqcLDO

比奈「えと…だから」

比奈「ありがとうございまス。プロデューサー」

比奈「私いますっごく楽しくて、幸せでス」ニヘラ

P「…そっか」

比奈「そうでス!」フンス

P「そっか」クス

6: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:26:19.43 ID:lVq13k5Lo

P「…」

P「なんというか、照れるな」

比奈「…て、照れないで欲しいっス。プロデューサーが照れると、わ、私までなんだかはずかしいっスよ」

P「でも恥ずかしい台詞を言ったのは比奈の方だし」

比奈「恥ずかしい台詞!?それはひどくないっスか!」

P「いやでもわりとクサいというか」

比奈「わ、わー。わーわー」

P(可愛い)

7: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:30:17.87 ID:9E+RqcLDO

比奈「あうぁ…ぷしゅー…」プスン…

P(停止した)ケムリガ…

比奈「…あうー…うあー…」ポフポフ

比奈「どーせ……どーせ私は根っからオタクなので…よく分かんないんでスよ……その、気持ちの伝え方とか」

P「そうか?」

P「比奈はけっこう上手だと思うけど」

比奈「…そうでス?」

P「うん。いつもわりとはっきり言ってくれるから助かる」

比奈「……」

比奈「え、えへへ。それならいいんでスけど…」エヘー

P「うん」

比奈「は、はい」エヘヘ

比奈「…?も、もしかしてそれが台詞がなんだかはずかしくなる原因なんじゃ…」ハッ

P(気づいた)

P「…気のせいだ」

比奈「??あ、はい。で、でスよね。はい」コクコク

P(ごまかせた)ヨシ

8: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:32:15.51 ID:lVq13k5Lo

比奈「…はふ」

比奈「……でもやっぱ原因は私にあるんじゃなくて…それこそはっきりしてるような」

P「ん?」

比奈「…な、なんでもないっス!え、えい」ぽい

P「いて。つめた」

比奈「ふふ。せっかくあるので投げてみました。て、てれかくしに」

P「子どもか。というか照れ隠しって言っちゃうと意味がないんじゃ」

比奈「えいえい」

P「ちょ、やめ、つめた」

比奈「あははは」

9: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:34:19.71 ID:9E+RqcLDO

ぽすん

P「?」

比奈「…」

比奈「…雪のせいかもっスね。寒いし。…なんとなくいろいろ考えちゃうし、つい口にしちゃったり」

P「…そうかもな」

比奈「はい」

10: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:35:44.22 ID:lVq13k5Lo

比奈「あ、それにほら」

比奈「プロデューサーにここで会えたのも雪のせいでスもんね!」

P「その通りだが、ほめられたことではないからな」ペチ

比奈「あう」

P「今度外出するときはちゃんと暖かい格好するんだぞ」

比奈「了解でスー」ニヘー

P(いい返事だ…心配だ)

P(…あ、でも結局ちゃんと注意できた…から、まあいいか)

比奈「♪」エヘヘー

P(…うん。まあ、いいか)ナデナデ

11: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:37:03.96 ID:9E+RqcLDO







P「よく降るなー」

比奈「そうでスねー」

P「俺は事務所に戻るけど、比奈はどうする?」

比奈「あ、じゃあ私も…」

比奈「今日はもう暇でスし。みんなもいるなら、事務所でちょっとのんびりして行こうかな」

P「うん。じゃあ行くか」

比奈「はいっス」

12: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:38:04.85 ID:lVq13k5Lo


さくさく


比奈「ふふ…こんなふうに、雪の日に一緒に歩くのも、なんだかいいっスよね」

P「青春ぽいか」

比奈「青春ぽいス」コクコク

P「まあ比奈はジャージだけどな」

比奈「学校帰りというシチュはいかにもでスから」コクン

P「シチュとかいうな」

13: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:40:20.30 ID:9E+RqcLDO

P「それにまあ」

P「俺はスーツだけど」

比奈「…あっ」

P「違う。妙なシチュエーションを察するな」

比奈「い、いかにもでスよね!な、なにがどうとは言わないでスけど!」

P「お、おう」

14: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:41:55.45 ID:lVq13k5Lo

比奈「…」ポフポフ…

比奈「…」

比奈「あと、ほら」

P「?」

比奈「…」

比奈「手袋を忘れちゃったから手を繋ぐのもベタなシチュでスよね」

P「…」

P「そうだな」

比奈「ス」

15: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:44:13.71 ID:9E+RqcLDO







さくさく


仁奈「?」

仁奈「あっPに比奈おねーさんですよ!」

P「?お、仁奈か。よう」

仁奈「よーです」ニパー

比奈「ふふ。おはようございまス」

仁奈「おはよーです!」モフニパ

16: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:45:52.78 ID:lVq13k5Lo

仁奈「おや」

仁奈「お二人は手をつないでごぜーますね。仲良しです」

P「うん。比奈が手袋を忘れちゃってな」

比奈「う、うス。でス」コクコク

仁奈「なるほどです。てさきあしさきのひえは全身のひえにつながっちまいますからね。気をつけねーとです」モフモフ

P(説得力ある)

比奈(でスね)クス

17: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:47:19.22 ID:9E+RqcLDO


ぽん


仁奈「もぷ」

P「仁奈はえらいな。ちゃんとてぶくろもしてるし」なでなで

仁奈「えへへー。仁奈えらいですかー」ニヘー

P「うん」ナデナデ

比奈(仲良しでスね)フフ

18: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:49:24.57 ID:lVq13k5Lo

仁奈「そうだ」モフピーン

仁奈「比奈おねーさん。はいっ」ぱっ

比奈「?」

仁奈「Pとだと片手しかつなげねーですよね。もうかたほーは仁奈がつなぐです。仁奈の手はてぶくろもあるのでぬくもこですよ!」ニパ

比奈「…あ…」

比奈「ふふ。ありがとーっス、仁奈ちゃん」ナデモフ

仁奈「いえいえです!」モフニヘー

P(仲良しだな)ウン

19: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:49:59.57 ID:9E+RqcLDO


ギュ


仁奈「えへへー。みんなで手をつなぐんだー♪」

比奈「はーい」

P「はーい」

仁奈「はいっ」

仁奈「えへへっ仲良しです!」

比奈「でスねー」

P「うん」

仁奈「はい!」エヘヘー

20: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:53:25.58 ID:lVq13k5Lo


さくさく


P「仁奈はどうしたんだ?」

仁奈「レッスンまで時間がありやがりましたので、おかしを買いに行ってました」ガサ

P「なるほど」

仁奈「け、けしてゆきが積もってるのでお外に出たかったわけではねーですよっ」

P「落ち着け。なにも言ってない」

仁奈「はうあっ」

比奈(面白可愛いっスね)クスクス

21: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:54:02.56 ID:9E+RqcLDO

仁奈「とうっ」


ざく


仁奈「えへへ。仁奈はおうちの周りでは雪はあまり見たことがなかったのでー……正直楽しいです」

P「そっか」

仁奈「はい」

仁奈「仁奈はPと、はじめて雪のある冬をすごしたのでごぜーます」

P「……」

P「そっか」

仁奈「はいっ」ニパ

比奈(うっかりときめいた?)

P(うっかりときめいた)ウン

仁奈「??」

22: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:55:33.83 ID:lVq13k5Lo


なでもふ


P「以後気をつけます」

比奈「いえいえ」

仁奈「??なにかあったです?」ナデラレ

比奈「なにもないっスよー。でも仁奈ちゃんは気をつけるっスよー」ナデナデ

仁奈「??は、はい。分かりやがりました」コク

P「…はは」ハァ…

23: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:57:59.00 ID:9E+RqcLDO

仁奈「ふふ。でもたいてーのことは安心でごぜーます」

仁奈「仁奈にはPも比奈おねーさんもいますので!」モフンス

P「そっか」

仁奈「はい!」

比奈(なるほどそう来るっスか…)

比奈「…楓さんと柚はたよりにならないっスか?」

仁奈「ならねーです」コク

P「手厳しいな」

比奈「あははっ。あとで二人に言っちゃおうっと」

仁奈「!?そ、そんなせっしょうでごぜーます!い、いやあの、二人のことはにくからず思ってやがると言いますか……」モフワタ

P「憎からずって使い方がおかしくないか?」

仁奈「お、おかしくねーもん!」グワッ

P「お、おう」

比奈「あははは」

24: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 01:59:46.25 ID:lVq13k5Lo

比奈「よしよし。冗談っスよー」ナデナデ

比奈「…けどそれなら仁奈ちゃんは、プロデューサーのことはどう思ってまスか?」

P「?…」

仁奈「??どう…」・・ぐるぐる

仁奈「…え、えとえと…に、にくからずでごぜーます」

比奈「好きでスか?」

仁奈「もちろんです!きらいなはずがねーですよ!」ニパー

P(笑顔がまぶしい)

比奈(浄化されそうでスよね)

P(それはお前が汚れてるからだ)

比奈(ひどいっス。まあ自覚はありまスけど)

仁奈「??」にぱにぱ

25: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 02:01:03.34 ID:9E+RqcLDO


なでなで・・

仁奈「?もぷ…」

比奈「…」ニコ

比奈「その気持ちは大切にするっス」

比奈「でも、どうしてそんな風に思うのかなって。もしかすると仁奈ちゃんが自分で思うのとは少し違うかもしれないっス」

比奈「だからきっと、いつか、それを大切にするだけじゃなくて、どうしてかなーって考えるっスよ」

P「…」

仁奈「……??む、むずかしくてよくわかんねーですが…わ、分かりやがりました」コクコク

P「分からないんじゃないかったのか?」

仁奈「わ、わかったですよ!もー。Pはもーですよ!もー」

P「仁奈はもう少し国語の勉強をした方がいいな」

比奈「いやむしろ十分でスよ。口調的に。それより芸術方面をでスね」

仁奈(仁奈が二人にそだてられよーとされてるです…)

26: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 02:02:33.62 ID:lVq13k5Lo

仁奈(…それは)

仁奈「たのしそーですね」ニヘラ

P「?」

仁奈「えへへっなんでもねーです!」くるんっ

仁奈「比奈おねーさん!分かりやがりました。仁奈ちゃんとおぼえとくですよ!」

比奈「はいっス」

仁奈「はいっ」



仁奈「もう事務所に着くですね。仁奈は先に行ってるですよー」モフモフ

P「雪に気をつけろよー」

仁奈「りょーかいですっ」モフシャキーン

たたた・・

比奈「…」

ギュ

P「?」

比奈「…」

比奈「ふふ。仁奈ちゃんいい子でスね」

P「そうだな」

比奈「はい」

27: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 02:04:13.79 ID:9E+RqcLDO

P「…」

P「まあ、それは比奈もな」

比奈「?」

P「さっきの話。まあ…ちゃんと伝わったかは、微妙だけど」

P「たぶんいつか仁奈も気づくと思うよ。だから、さっきの比奈はすごくいいお姉さんだった」

比奈「……」

比奈「え、えへへ。そんな風にほめられると照れまスけど…」

P「うん」

比奈「は、はい」

比奈「…あとプロデューサーにそう言われるのはちょっと釈然としないでス」

P「すいません仰る通りです」

比奈「ホントでスよ」クス

28: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 02:06:06.21 ID:lVq13k5Lo

比奈「…」

比奈「それに」

P「?」

比奈「結局ただの自己満足でスから」

比奈「仁奈ちゃんはまだ小さいからって、そんな理由で、ズルしたくないだけっス」

P「……そっか」

比奈「はい」

比奈「だからプロデューサーも。ズルい男は嫌われるっスよ?」ニッコリ

P「…気をつけます」

比奈「はい」ニコニコ

P(胃が痛い)

29: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 02:06:50.44 ID:9E+RqcLDO

P「…」ハハ…

P「…比奈は変わったよな」

比奈「え?」

P「…なんというか、自信なさそうにしてたころが、嘘みたいだ」

比奈「…そうっスかねー…」ペタペタ

比奈「…ふふ。まああれっスね」

P「?」

比奈「…」ニコ

30: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 02:08:14.86 ID:lVq13k5Lo

比奈「恋は人を強くするってやつでス。好きな人ができると女の子には魔法がかかるんでスよ。ふふ」

P「…そっか」

比奈「はい」…ニコ

P「…」

比奈「?どうしたっスか」

P「胃が痛い」

比奈「……かっこわる…」

P「すいません…」

比奈「ふふ。いえいえ」クスクス

31: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 02:09:06.85 ID:9E+RqcLDO

比奈「まあプロデューサーはそういう人でスし」フフ

P「…うん。すまん」

比奈「はい。いえいえ」

比奈「えへへ。まあとりあえず、これからもよろしくっスよ。ね?」ニヘラ

P「…おう」

比奈「はい」ニヘー

32: ◆qEJgO2U6bM 2014/02/18(火) 02:10:12.32 ID:lVq13k5Lo

P「…」

P「なんでこんな話になったんだっけ」

比奈「雪が降ってたからでスよ」

P「ああ。そっか」

比奈「はい。そうでス」



・・・・おしまい