1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:37:22.58 ID:is+i1Cb80
P(明後日はホワイトデーだな。アイドルたちには)

P(バレンタインのお返しとして。そして日頃の感謝の気持ちも込めて)

P(手作りのクッキーを贈ろうと思ってる)

P(その方が財布にも優しいし……)

P(だけど)

P(ちひろさんには何を贈ろう。手作りのクッキーじゃ、きっと)


ちひろ『ああん? 何ですかこの安っぽいお菓子は』

ちひろ『ホワイトデーのお返しは10倍返しって決まってるでしょうがぁ!!』

P『ひっ、ごめんなさい!』


P(こうなるよなぁ)

P(というか、バレンタインの日に)


ちひろ『プロデューサーさん、お返し期待してますね』ニコッ


P(って言ってたし。安い物は贈れない)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1521023842

引用元: 【モバマス】P「ちひろさんへのお返しか……」 



2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:38:21.96 ID:is+i1Cb80
P(10倍とはいかないけど、高価なお菓子を贈るしかないな)

P(となれば、早速今日買いにいくか)


ちひろ「……?」

ちひろ(プロデューサーさん、ボーッとして何を考えてるんでしょうか)


――ホワイトデー当日――


P「卯月、これホワイトデーのお菓子」スッ

卯月「わあ! ありがとうございます!」

P「感謝の気持ちも込めて手作りなんだよ」

P「安っぽくてごめんな」ハハ…

卯月「そんなことないですよっ! すごく嬉しいです!」

P「そしてこれが凛。これが未央の分」スッ

凛「ありがとう」

未央「手作りは女だけでなく、男がやってもグッとくるねぇー」

凛「食べていい?」

P「これからレッスンだろ。終わってからな」

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:39:57.49 ID:is+i1Cb80
未央「とか言って、目の前で食べられるのが恥ずかしいんでしょ」

P「ち、違うぞ」

卯月「赤くなりました!」

未央「かーわーいーいー」

P「茶化すな!」


美嘉「なになに? 賑やかじゃん!」

凛「プロデューサーがホワイトデーの手作りお菓子をくれたんだ」

まゆ「手作り……!? プロデューサーさん!」ササッ

P「ちゃんとみんなの分もあるよ。今から渡す」

かな子「お菓子だー!」

杏「食べられるのー?」クスクス

P「失礼な! 美味いかどうかは置いといてちゃんと食えるわ!」

加蓮「美味しいよ」モグモグ

奈緒「形は不格好だけどな」モグモグ

P「加蓮に奈緒……! いつの間に……!?」

ワイワイ ガヤガヤ

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:41:49.94 ID:is+i1Cb80
ちひろ(さて、お仕事お仕事……ん?)

ちひろ(何か騒がしい。アイドルたちの中心にいるのは……プロデューサーさん?)

ちひろ(あっ! そっか、今日はホワイトデーだっけ)

まゆ「うふ♡ 手作りクッキーだなんて幸せ♡」

ちひろ(手作り!? プロデューサーさんの!?)

ちひろ「……」ソワソワ


P「!!」

P(ちひろさん発見! 渡しにいかないと)

P「みんな、クッキーはこの袋の中に入ってるから、1人ずつ取っていってくれ」

「「「はーい!」」」

スタスタ

P「ちひろさん」

ちひろ「は、はい」

P「今日はホワイトデーですよね?」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:43:08.34 ID:is+i1Cb80
ちひろ「ですね。お返し、くれるんですか?」ニコニコ

P「はい……えっと」ガサゴソ

P「あった。これどうぞ!」スッ

ちひろ「?」

ちひろ(みんなとは違う袋……)

ちひろ「あの、これは?」

P「有名店のクッキーです。並んでもなかなか買えないほどの」

P「値の張るやつです」

ちひろ「そんなもの貰っていいんですか!?」

P「ちひろさんにはいつもお世話になってますから」ハハハ…

P「……どうでしょうか」

ちひろ「え?」

P「お気に召しましたか?」

ちひろ「もちろんですよ! こんな良いものいただいて」

ちひろ「ありがとうございます」ペコリ

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:44:41.20 ID:is+i1Cb80
P「いえいえいいんですよ! ほんの気持ちですから!」

P「それじゃあこれで」

スタスタ

ちひろ「……」

ちひろ(有名店のクッキーかぁ)

――お昼――

ちひろ(見る限り、アイドルの子には全員手作りのクッキーをあげてた)

ちひろ(なのに私には……)

ちひろ(……私も、手作りがよかったなぁ……)

ちひろ(ううん、こんなこと言っちゃダメ。欲張りよ)

ちひろ(せっかく買ってもらったんだから、喜ばなきゃ)ガサゴソ

パカッ

ちひろ(……)スッ パクッ

ちひろ(美味しい。すっごく)モグモグ

ちひろ(……バレンタインにあんなこと言っちゃったからかなぁ……)モグモグ

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:46:34.93 ID:is+i1Cb80
ちひろ(ん?)

ちひろ(ちょっと待って。みんなには同じ物をあげて)

ちひろ(私だけには特別なものをあげた。これって)

ちひろ(本命っ!?)

ちひろ(いや、でも手作りだしなぁ。どんな高価なものも手作りには……)

ちひろ(どっちなんだろう)

――――

P「……」カタカタ

ちひろ「……」ジー

P「……」チラッ

ちひろ「!」ビクッ

ちひろ「ふんふふふーん♪ ふーんふふふーん♪」

P「……」カタカタ

ちひろ「……」ジー

P「……」

P(どうしよう。めっちゃ睨まれてる)

P(あれじゃダメだったのか? でも評判だと)

P(あのクッキーを貰った女性は100%喜ぶと)

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:47:40.81 ID:is+i1Cb80
ちひろ「……」ジー

P(じゃあ何であんなに鋭い目で見てくるんだ!?)

ちひろ(今私のことチラッと見た。ということは好意あり?)

P(ダメだったのか……クッキーじゃ足りないってか……!)

P(マズいぞ、ここで機嫌を損ねると今後の財布事情に悪影響が)

P(どうすりゃいい。何か策を考えないと)

P(……よし!)スッ

スタスタ

P「ちひろさん」

ちひろ「は、はい!」

P「今日の夜空いてますか? 一緒に夕飯どうですか?」

ちひろ「え?」

ちひろ(ここ、これって……!)

ちひろ「いいですね。ひょっとして奢ってくれるんですか?」クスッ

P「ぜひ奢らせてください」ペコリ

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:48:40.41 ID:is+i1Cb80
P「時間は……――」

ちひろ(間違いない。私が誘うことあっても)

ちひろ(プロデューサーさんから誘ってくれたことないし)

ちひろ(さっきの高級クッキーといい……プロデューサーさんは)

ちひろ(私のことが大好き!)

P「聞いてますか?」

ちひろ「へ? ああ、はい! 分かりました!」

P「じゃあそれでお願いします」

スタスタ

ちひろ(ふふ……顔がにやけそう……)

――――

ウェイター「ご注文はお決まりでしょうか」

ちひろ「……」

P「どうしました? 頼んでください」

ちひろ「えっと……すみません」

ちひろ「入るお店を間違えてないですよね?」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:49:35.94 ID:is+i1Cb80
P「このお店ですよ」

ちひろ「だ……大丈夫なんですか?」ヒソヒソ

ちひろ「すごく高いですよ、何から何まで」ヒソヒソ

P「心配しないでください。こんなの(搾取される可能性を潰すためなら)安いもんです」

ちひろ「プロデューサーさん……」

ちひろ「(私のためなら)安いものだなんて、男前ですね」ポッ

P「?」

P(何で赤くなったんだ)

――――

ちひろ「美味しい……!」

P「絶品ですね。こんな美味しいもの食べたことないですよ」

ちひろ「過言じゃないですね、その言葉」

ちひろ「……あの、プロデューサーさん」

P「はい?」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:50:40.79 ID:is+i1Cb80
ちひろ「私、心の準備ができたので」

ちひろ「そろそろ聞かせてください」

P「え? な、何をですか?」

ちひろ「ホワイトデーの日に、こんなにしてくれるってことは……」

ちひろ「そういうこと(私のことが好きってこと)なんですよね?」

P「……はは」

P「なるほど、バレてたんですね……さすがちひろさん」

ちひろ「!」

P「そうです。俺はそのため(今後の出費を抑えるため)に」

P「こうしてちひろさんに尽くしたんです」

P「……怒ってますよね」

ちひろ「?」

P「(裏があっての行為だから)怒ってるに決まってる」

ちひろ「……」

ちひろ(怒ってる……今まで私のアピールをスルーしてきたから?)

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:51:28.48 ID:is+i1Cb80
ちひろ「いいえ。そんなことないですよ」

ちひろ「最終的に打ち明けてくれたんですから」ニコッ

P「!!」

P「ほ……本当ですか?」

ちひろ「ええ」

P「つ、つまり……約束してくれるんですよね?」

ちひろ「え」

P「あ、それはまだ早いですよね!」アタフタ

P(もう搾取しない約束を取りつけようなんて、気が早かった)

ちひろ(約束? 恋人になる約束? いや)

ちひろ(まだ早いってことは、結婚!?)

ちひろ「……まあ」

ちひろ「順を追って、ですね」コホン

P「!?」

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:52:17.09 ID:is+i1Cb80
P「順を……これから何をすればいいんですか?」

ちひろ「そりゃあ、色々あるでしょう。特に肝心なのはご両親への挨拶です」

P「両親への挨拶!? 何でそんなことを……」

ちひろ「しなきゃダメでしょう! まあそれは最後らへんですから」

ちひろ「今にでもしなきゃいけないのは……」

P「いけないのは?」

――――

P「……?」

ちひろ「さあ入りましょう」

P「え、いやいや。ここってホテルですよね」

ちひろ「はい」

P「ホテルで何を?」

ちひろ「……分かってるでしょう」カァァ

ちひろ(プロデューサーさんのこと、もっと知りたいし)

P(金が惜しいなら体でってことか!?)

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:53:14.40 ID:is+i1Cb80
ちひろ「早くしてください。ホテルの前で立ち止まってるの」

ちひろ「恥ずかしいじゃないですか……」モジモジ

P「いやいや、それはちょっと……ほら、仕事仲間ですし!」

ちひろ「今は他の関係でもあるじゃないですか」

P(他の関係? まさか、ご主人様と奴隷?)

P(金を使いたくないなら体で。つまり俺は奴隷になるということ)

P(いくら搾取が嫌とはいえ、承諾していいものなのだろうか)


ちひろ「……嫌なんですか……?」

P「!」

ちひろ「私とじゃ……できませんか……?」ウルウル

P「……」ドキドキ

P(ちひろさんって)

P(こんなに可愛かったっけ)

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:54:28.29 ID:is+i1Cb80
P「……分かりました」

P「それがちひろさんの望みなら」

ちひろ「プロデューサーさん……♡」

P(こうして俺は、食い違いに気づくことなく)

P(ちひろさんとそういう関係になったのだが)

――――

P「それがまさかこんなことになるとは」

5歳男の子「もっときかせてー!」

3歳女の子「てー!」

P「終わりだよ。これがママとの馴れ初め」


ちひろ「あなた、ご飯ができましたよ」

P「だとさ。この匂いはカレーだな」

男の子「かれー!」タタタッ

女の子「れー!」タタタッ

ちひろ「ふふ、元気ね」

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/14(水) 19:56:01.42 ID:is+i1Cb80
ちひろ「何を話してたんですか?」

P「ん? ちょっと昔のことを」

ちひろ「……何度も言いましたけど」

ちひろ「私があなたのお金を事あるごとに頂戴していたのは」

ちひろ「照れ隠しですから」

P「そのことじゃないです。っていうか、それ何度聞いても意味が分かりません」

ちひろ「まあ細かいことは気にせずに。家族の貯金になってるんですし」

P「はは……」

P(彼女のお金管理は、今もなお健在だ)


おわり