QB「――暁美ほむら」
ほむら「…」
QB「もし、もう一度君に祈ることが赦されたとしたら……君は何を願う?」
ほむら「……え?」
ほむら「…」
QB「もし、もう一度君に祈ることが赦されたとしたら……君は何を願う?」
ほむら「……え?」
引用元: ・まどか「あの子の名前を」
魔法少女まどか ☆ マギカ ソウルジェム 【ネックレス】と 指輪 5種類全セット
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5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:16:50.10 ID:8CtIWTLP0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――
――まどか。
ほむら「……ねぇ、まどか…」
――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――
――まどか。
ほむら「……ねぇ、まどか…」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:18:34.21 ID:8CtIWTLP0
まどか「…」
ほむら「…私、もう疲れちゃった…」
まどか「…」
まどかはただ私を見つめている。
ほむら「…私、もう疲れちゃった…」
まどか「…」
まどかはただ私を見つめている。
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:20:12.45 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…私、もう耐えられないの…」
まどか「…」
ほむら「…あなたを見てるとね、すごく痛むの。いたたまれないの」
まどか「…」
ほむら「………まどかぁ…」
ほむら「…最後に…これで最後だから…」
ほむら「…あなたに、泣きついてもいいかな……」
まどか「…」
ギュッ…
まどか「…」
ほむら「…あなたを見てるとね、すごく痛むの。いたたまれないの」
まどか「…」
ほむら「………まどかぁ…」
ほむら「…最後に…これで最後だから…」
ほむら「…あなたに、泣きついてもいいかな……」
まどか「…」
ギュッ…
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:21:45.83 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…」
まどか「…」
ほむら「…」
ほむら「…ねぇ、まどか…」
まどか「…」
ほむら「…」
ほむら「…ねぇ、まどか…」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:22:23.03 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…一緒に…死のう……?」
まどか「…」
――――
――――――――
――――――――――――――――――
まどか「…」
――――
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――――――――――――――――――
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:25:52.23 ID:8CtIWTLP0
ザシュ・・ザシュ・・・
ほむら「……」
まどか「…」
ガッ・・・ミチミチィ
ヌチャア・・・
グチャ・・・グチャ・・・
ほむら「……」
まどか「…」
ガッ・・・ミチミチィ
ヌチャア・・・
グチャ・・・グチャ・・・
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:29:16.15 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
まどか「…」
ほむら「……」
ほむら「……なんで死んでくれないの」
まどか「…」
ほむら「……なんで何も言ってくれないの…」
まどか「…」
ほむら「私はあなたにここまで尽くして…」
ほむら「私は全てあなたのために…!」
まどか「…」
ほむら「……」
ほむら「……なんで死んでくれないの」
まどか「…」
ほむら「……なんで何も言ってくれないの…」
まどか「…」
ほむら「私はあなたにここまで尽くして…」
ほむら「私は全てあなたのために…!」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:31:56.54 ID:8CtIWTLP0
ほむら「私は…」
ほむら「私は――」
ほむら「私は――」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:33:32.80 ID:8CtIWTLP0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~
ほむら「――ッ!!」パチッ
魔女『アギャ!?』
ほむら「……」
私は…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
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ほむら「――ッ!!」パチッ
魔女『アギャ!?』
ほむら「……」
私は…。
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:37:39.74 ID:8CtIWTLP0
ほむら(……確か、この医者気取りの魔女からスプレーのようなものを吹きつけられて…)
ほむら「……幻覚ってわけね…」
魔女『アギャギャ! アギャギャギャギャ!』
使い魔『・・・! ・・・!』ワシャワシャ
ほむら「……幻覚ってわけね…」
魔女『アギャギャ! アギャギャギャギャ!』
使い魔『・・・! ・・・!』ワシャワシャ
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:42:15.63 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……嫌なものを見せてくれたわね…ッ」ギリッ・・・
魔女『ギャッ!? ギャギャギャギャ!』
使い魔『・・・! ・・・!』ワシャワシャ
ほむら「……ッ」
凄んではみせたけど、今のこの絶望的な状況は変わらない。
魔女『ギャッ!? ギャギャギャギャ!』
使い魔『・・・! ・・・!』ワシャワシャ
ほむら「……ッ」
凄んではみせたけど、今のこの絶望的な状況は変わらない。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:43:36.93 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……ッ」
私は今、手術台と思しき古めかしい木質の台座に寝かせられている。
いや……磔にされてると形容した方がいいのだろうか。
首、手首、足首のそれぞれが台に内蔵された錠で固められ、大の字…いや、どちらかといえば十の字の形にとらわれている。
まさに手も足も出ない状況。
絶体絶命だった。
私は今、手術台と思しき古めかしい木質の台座に寝かせられている。
いや……磔にされてると形容した方がいいのだろうか。
首、手首、足首のそれぞれが台に内蔵された錠で固められ、大の字…いや、どちらかといえば十の字の形にとらわれている。
まさに手も足も出ない状況。
絶体絶命だった。
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:47:08.64 ID:8CtIWTLP0
魔女の風体から察するに。
当人にしてみれば、さしづめお医者さんごっこ……手術ごっこというつもりなのだろうけど。
私からしてみれば、狂った科学者のイカれた人体実験とか、拷問官による悪趣味な拷問としか思えない。
だとしたら私がいま寝かしつけられているこれは手術台なんかではなく、実験台とか拷問台ということになるのだろうけど。
……いずれにしてもぞっとしないことだ。
当人にしてみれば、さしづめお医者さんごっこ……手術ごっこというつもりなのだろうけど。
私からしてみれば、狂った科学者のイカれた人体実験とか、拷問官による悪趣味な拷問としか思えない。
だとしたら私がいま寝かしつけられているこれは手術台なんかではなく、実験台とか拷問台ということになるのだろうけど。
……いずれにしてもぞっとしないことだ。
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:48:57.07 ID:8CtIWTLP0
魔女『アギャ・・・』
ほむら「……」
魔女は私の様子を伺い何やら逡巡するような素振りを見せたが、ぶるりと大げさに身を震わせたあと、何か迷いを吹っ切ったような様子で、悠然とした足取りで近づいてくる。
ほむら「……」
魔女は私の様子を伺い何やら逡巡するような素振りを見せたが、ぶるりと大げさに身を震わせたあと、何か迷いを吹っ切ったような様子で、悠然とした足取りで近づいてくる。
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:52:35.42 ID:8CtIWTLP0
魔女『…』
ほむら「……ッ」
魔女がすぐそばで立ち止まり、視診する風に、私を俯瞰する。
図体が大きく、この世のどの生物とも異質なその見た目は、それだけで威圧感があり。
原始的な恐怖感を、この上なく掻き立てる。
ほむら「……ッ」
魔女がすぐそばで立ち止まり、視診する風に、私を俯瞰する。
図体が大きく、この世のどの生物とも異質なその見た目は、それだけで威圧感があり。
原始的な恐怖感を、この上なく掻き立てる。
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 18:56:30.56 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…っ…っ…っ…」
心臓が早鐘のように脈を打つ。
頭に圧迫感を感じ、視界が揺らめく。
呼吸が、震える。
心臓が早鐘のように脈を打つ。
頭に圧迫感を感じ、視界が揺らめく。
呼吸が、震える。
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:01:04.19 ID:8CtIWTLP0
魔女『…アギャ』スッ・・・
使い魔『・・・』ヒョイ
魔女のいびつで細長い腕。
その手に握られているものは……。
メスだった。
使い魔『・・・』ヒョイ
魔女のいびつで細長い腕。
その手に握られているものは……。
メスだった。
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:03:47.12 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…はっ…はっ…はっ…」
無意識のうちに呼吸は苦しいほどに荒くなり。
体が緊張し、全身が粟立つ。
嫌な汗が吹き出る。
無意識のうちに呼吸は苦しいほどに荒くなり。
体が緊張し、全身が粟立つ。
嫌な汗が吹き出る。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:05:13.94 ID:8CtIWTLP0
ほむら(早く……早く……何とかしないと……)
このまま――。
ほむら「はっ…はっ…はっ…」
思考が、まとまらない。
このまま――。
ほむら「はっ…はっ…はっ…」
思考が、まとまらない。
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:10:29.59 ID:8CtIWTLP0
魔女『…』
魔女が、私の腹部に手をあてる。
魔女の手は、冷えた金属のように冷たく、無機質で。
その感触に、ぞっとした。
そして服を胸元までずり上げ、素肌をさらさせた。
ほむら「……ッ…」
その決して能率的とはいえず、確かな素養があるとも思えないその子供じみた拙い所作が、一層恐怖感を煽る。
気が狂いそうだった。
魔女が、私の腹部に手をあてる。
魔女の手は、冷えた金属のように冷たく、無機質で。
その感触に、ぞっとした。
そして服を胸元までずり上げ、素肌をさらさせた。
ほむら「……ッ…」
その決して能率的とはいえず、確かな素養があるとも思えないその子供じみた拙い所作が、一層恐怖感を煽る。
気が狂いそうだった。
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:13:42.75 ID:8CtIWTLP0
ほむら(……とりあえず…気を落ち着けないと……)
……とは思いつつも、目は魔女の片手に握られた鈍く光るメスを追ってしまい……。
そのメスが、患部と見定めたであろう私の腹部へ迫り――。
魔女『…』
ほむら(……ッッ!)
ガゴンッ
……とは思いつつも、目は魔女の片手に握られた鈍く光るメスを追ってしまい……。
そのメスが、患部と見定めたであろう私の腹部へ迫り――。
魔女『…』
ほむら(……ッッ!)
ガゴンッ
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:16:00.35 ID:8CtIWTLP0
ほむら「――ッッ」
魔女『アギャッ!?』
私は僅かに動かせる首をできる限り持ち上げ、出せる限りの力で後頭部を台に打ち付けた。
頭を冷やし、思考を改めるために。
魔女『ア・・・アギャ?』
魔女は私の奇異な行動を不審に思い、手を止めているようだ。
魔女『アギャッ!?』
私は僅かに動かせる首をできる限り持ち上げ、出せる限りの力で後頭部を台に打ち付けた。
頭を冷やし、思考を改めるために。
魔女『ア・・・アギャ?』
魔女は私の奇異な行動を不審に思い、手を止めているようだ。
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:18:26.49 ID:8CtIWTLP0
ほむら(……)
私は、死ねない。
ほむら(まず冷静になって…この場を打開できるような策を…!)
私は、死ねない。
ほむら(まず冷静になって…この場を打開できるような策を…!)
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:22:24.61 ID:8CtIWTLP0
この魔女は銃撃があまり有効ではない。
この魔女には自己再生能力があるらしく、銃撃に対して痛がる素振りは見せても、傷は瞬く間にふさがっていった。
だから私は再生が追いつかないほどの手傷を与えようと、いつも通り爆弾を用いての決着を試みた。
だけどこの魔女は思いの外すばしっこく、トリッキーというかコミカルというか、そんな動きでなかなか思い通りに動いてこない。
だから手榴弾、TNT、C4といった手持ちの爆弾類を使いあぐねていた。
この魔女には自己再生能力があるらしく、銃撃に対して痛がる素振りは見せても、傷は瞬く間にふさがっていった。
だから私は再生が追いつかないほどの手傷を与えようと、いつも通り爆弾を用いての決着を試みた。
だけどこの魔女は思いの外すばしっこく、トリッキーというかコミカルというか、そんな動きでなかなか思い通りに動いてこない。
だから手榴弾、TNT、C4といった手持ちの爆弾類を使いあぐねていた。
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:24:18.08 ID:8CtIWTLP0
そこで私は仕掛けて置くおくことが無理ならと、今度は仕向けてみる事にした。
ただ単に逃げ回るように見せかけ、その最中にわらわらと動き回る使い魔の一匹に、爆弾を貼り付けた。
其処彼処を自由に動き回る使い魔と魔女が交差する瞬間――。
後は期を待つのみだった。
ただ単に逃げ回るように見せかけ、その最中にわらわらと動き回る使い魔の一匹に、爆弾を貼り付けた。
其処彼処を自由に動き回る使い魔と魔女が交差する瞬間――。
後は期を待つのみだった。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:26:01.61 ID:8CtIWTLP0
私は焦点をこの魔女に定めつつ、その使い魔の動きも同一視できるようにして期を窺った。
そして私は魔女に追い詰められたように見せかけ、ジリジリと迫り来る魔女と、それを案じるかのように主人のもとへ駆け寄ってくる使い魔の双方に神経を尖らせた。
――後は起爆させるだけ。
その次の瞬間。
魔女に意表を突かれ、思いもよらなかった攻撃を食らった。
魔女は後ろに手を回し、どこからか取り出したスプレー缶のようなものを手にとり。
それを私に吹き付けた。
――そこで私は気を失い、今に至り、事ここに至るというわけだ。
そして私は魔女に追い詰められたように見せかけ、ジリジリと迫り来る魔女と、それを案じるかのように主人のもとへ駆け寄ってくる使い魔の双方に神経を尖らせた。
――後は起爆させるだけ。
その次の瞬間。
魔女に意表を突かれ、思いもよらなかった攻撃を食らった。
魔女は後ろに手を回し、どこからか取り出したスプレー缶のようなものを手にとり。
それを私に吹き付けた。
――そこで私は気を失い、今に至り、事ここに至るというわけだ。
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:28:04.90 ID:8CtIWTLP0
ほむら(………もしかしたら……)
この魔女は、さっきメスを取り出すときに、何かから受け取るような素振りを見せた。
そして、台座が邪魔で見えないけど、何やら近くにわらわらと蠢くものの気配がする。
――あの時、爆弾を貼り付けた使い魔が近くにいるのかもしれない。
この魔女は、さっきメスを取り出すときに、何かから受け取るような素振りを見せた。
そして、台座が邪魔で見えないけど、何やら近くにわらわらと蠢くものの気配がする。
――あの時、爆弾を貼り付けた使い魔が近くにいるのかもしれない。
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:30:50.80 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……ッ」
――迷ってる暇はない。
躊躇ってる時間もない。
ほむら「……ッ!」
カチッ
――私は形骸化した盾と連動させた起爆装置を作動させた。
――迷ってる暇はない。
躊躇ってる時間もない。
ほむら「……ッ!」
カチッ
――私は形骸化した盾と連動させた起爆装置を作動させた。
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:33:03.87 ID:8CtIWTLP0
ドゴォ!!!
魔女『アギャアアア!!?』
使い魔『・・・!!?』
ほむら「……ぐッ…!」
魔女『アギャアアア!!?』
使い魔『・・・!!?』
ほむら「……ぐッ…!」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:36:14.35 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……ッッ」
――上手くいった。
…何とか絶体絶命の窮地を脱することができた。
ほむら「……」
台座が上手く爆発を緩和してくれたようで、私の損傷は爆砕した手術台の木端によるかすり傷と、片方の鼓膜を少々傷めたのみ。
想定よりも非常に軽微なものだった。
日頃の行いにも因果にも自信はないけれど、なんという僥倖だろう。
素早く体の具合を確かめてすぐさま立ち上がり、対敵である魔女を見据える。
――上手くいった。
…何とか絶体絶命の窮地を脱することができた。
ほむら「……」
台座が上手く爆発を緩和してくれたようで、私の損傷は爆砕した手術台の木端によるかすり傷と、片方の鼓膜を少々傷めたのみ。
想定よりも非常に軽微なものだった。
日頃の行いにも因果にも自信はないけれど、なんという僥倖だろう。
素早く体の具合を確かめてすぐさま立ち上がり、対敵である魔女を見据える。
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:38:17.75 ID:8CtIWTLP0
魔女『アギャー!! アギャー!!』
ほむら「……」
この魔女にとっての肉体であろう手術衣が大きく裂け、そこから結構な量の血のようなものが吹き出している。
魔女『アギャギャ! アギャ!』
使い魔『・・・! ・・・!』ワサワサ
魔女が何かしらの指示を出したからか、使い魔たちが手負いの魔女に群がる。
――どうやら大きな傷を負った際は使い魔に治療させるらしい。
ほむら「……」
この魔女にとっての肉体であろう手術衣が大きく裂け、そこから結構な量の血のようなものが吹き出している。
魔女『アギャギャ! アギャ!』
使い魔『・・・! ・・・!』ワサワサ
魔女が何かしらの指示を出したからか、使い魔たちが手負いの魔女に群がる。
――どうやら大きな傷を負った際は使い魔に治療させるらしい。
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:40:30.80 ID:8CtIWTLP0
ほむら(今なら…!)
盾から手榴弾を取り出してピンを抜き、すぐさま魔女に投げつける。
魔女『ギャ!?』
――二度目の爆音が響く。
盾から手榴弾を取り出してピンを抜き、すぐさま魔女に投げつける。
魔女『ギャ!?』
――二度目の爆音が響く。
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:46:01.46 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……ッ」
……仕留め損なったか。
魔女『アギャギャ! アギャギャ!』
手榴弾はピンを抜いて爆発するまでラグがある。
その隙に――その短時間に治療を終え、見事に爆発を回避したようだ。
……仕留め損なったか。
魔女『アギャギャ! アギャギャ!』
手榴弾はピンを抜いて爆発するまでラグがある。
その隙に――その短時間に治療を終え、見事に爆発を回避したようだ。
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:49:33.56 ID:8CtIWTLP0
魔女『アギャー! アギャー!』
魔女は酷くご立腹なようで、先ほどのメスと、どこからか取り出したハサミを手に早くも臨戦態勢に入っていた。
ほむら「……」
爆撃は有効、か。
銃撃はいまいち。
――なら斬撃ならどうか。
ほむら(…備えあれば患いなし、ってとこかしら…)
魔女は酷くご立腹なようで、先ほどのメスと、どこからか取り出したハサミを手に早くも臨戦態勢に入っていた。
ほむら「……」
爆撃は有効、か。
銃撃はいまいち。
――なら斬撃ならどうか。
ほむら(…備えあれば患いなし、ってとこかしら…)
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:53:05.93 ID:8CtIWTLP0
――時間操作能力を喪失する前。
暴力団関係と思しき事務所から、どうにもきな臭い物品を拝借していたとき。
その際に見つけた、日本刀。
どんくさい私のことだからと使えないと思ったけど、後で何かの役に立つかとも思い、ついでにと取っておいたものだった。
暴力団関係と思しき事務所から、どうにもきな臭い物品を拝借していたとき。
その際に見つけた、日本刀。
どんくさい私のことだからと使えないと思ったけど、後で何かの役に立つかとも思い、ついでにと取っておいたものだった。
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:55:40.12 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」スッ
盾から日本刀を取り出し、鞘を抜く。
刀身は怪しく艷やかで、抜き身になった刀は空恐ろしく思えたけど、今はそれも頼もしく感じる。
ほむら(剣術の素養なんて持ち合わせていないけど……)
ほむら「………」
片手に持った鞘をどうするか考えていたら、どうやら痺れを切らしたらしい魔女が怒り心頭といった様子で駆け出してきた。
盾から日本刀を取り出し、鞘を抜く。
刀身は怪しく艷やかで、抜き身になった刀は空恐ろしく思えたけど、今はそれも頼もしく感じる。
ほむら(剣術の素養なんて持ち合わせていないけど……)
ほむら「………」
片手に持った鞘をどうするか考えていたら、どうやら痺れを切らしたらしい魔女が怒り心頭といった様子で駆け出してきた。
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 19:59:49.74 ID:8CtIWTLP0
――来る。
魔女『アギャギャギャギャア!』
私は鞘を投げ捨て、柄を両手で持ち直し、縋るような気持ちで力を込めた。
ほむら「…ッッ!!」
―――――
―――――――――
―――――――――――――――
魔女『アギャギャギャギャア!』
私は鞘を投げ捨て、柄を両手で持ち直し、縋るような気持ちで力を込めた。
ほむら「…ッッ!!」
―――――
―――――――――
―――――――――――――――
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:03:06.04 ID:8CtIWTLP0
魔女『アギャアァ!』ブンブン
ほむら「……ッ…、………ッ!」カッ…キィン…
――攻撃が深く入らない。
さっきから斬り合っては離れ、斬り合っては離れといったことの繰り返し。
こっちの攻撃は魔女の手術衣を浅く裂くだけで、それも次の斬り合いでまみえる頃には跡形もなく再生してしまっている。
私は魔女の攻撃をかろうじて捌きつつも、並々ならぬ腕力に圧倒され、何度も突き飛ばされつつも何とか命からがら応戦しているといった感じだ。
ほむら「……ッ…、………ッ!」カッ…キィン…
――攻撃が深く入らない。
さっきから斬り合っては離れ、斬り合っては離れといったことの繰り返し。
こっちの攻撃は魔女の手術衣を浅く裂くだけで、それも次の斬り合いでまみえる頃には跡形もなく再生してしまっている。
私は魔女の攻撃をかろうじて捌きつつも、並々ならぬ腕力に圧倒され、何度も突き飛ばされつつも何とか命からがら応戦しているといった感じだ。
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:05:10.38 ID:8CtIWTLP0
もちろんこちらが無傷ということはない。
体には無数の細かな裂傷が刻まれている。
こちらが劣勢なのは一目瞭然だ。
ほむら「……ッッ」
……一撃だけでいい。
下準備はさっき終えた。
後は破れかぶれでも、こいつに一太刀浴びせることができたら。
先と同じように使い魔たちに治療させることができたら――。
体には無数の細かな裂傷が刻まれている。
こちらが劣勢なのは一目瞭然だ。
ほむら「……ッッ」
……一撃だけでいい。
下準備はさっき終えた。
後は破れかぶれでも、こいつに一太刀浴びせることができたら。
先と同じように使い魔たちに治療させることができたら――。
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:07:53.53 ID:8CtIWTLP0
刃を交える度に、冷や汗を伴った緊張が走る。
普段の、銃火器の使用を主として戦う時とはまた別種の命のやりとりに身が縮む。
さっきから細かな隙を見つけては目ざとく斬りかかっているが、どれも決定打には至らない。
ほむら(……隙を作る必要があるわね……)
普段の、銃火器の使用を主として戦う時とはまた別種の命のやりとりに身が縮む。
さっきから細かな隙を見つけては目ざとく斬りかかっているが、どれも決定打には至らない。
ほむら(……隙を作る必要があるわね……)
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:09:56.92 ID:8CtIWTLP0
ほむら(この魔女に銃撃はあまり効果がない。でも決して無効というわけでもない…)
ほむら(この魔女は自己修復能力があっても、痛みに対して鈍いということは無かった…)
ほむら(なら…!)スッ・・・
魔女『アギャアアアア!』ドタドタドタ
ほむら「…ッ!」チャキッ
パパンッ
ほむら(この魔女は自己修復能力があっても、痛みに対して鈍いということは無かった…)
ほむら(なら…!)スッ・・・
魔女『アギャアアアア!』ドタドタドタ
ほむら「…ッ!」チャキッ
パパンッ
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:12:46.12 ID:8CtIWTLP0
魔女『アギャアア!?』
ほむら(今だ…ッ!)
脳天を打ち抜かれて悶絶する魔女に対して一気に詰め寄り――。
その胴体を、大きく切り裂いた。
魔女『アギャアアアアアアアアア!!!!』
今までよりも一際大きい、絹を割くような悲鳴が響き渡る。
ほむら(今だ…ッ!)
脳天を打ち抜かれて悶絶する魔女に対して一気に詰め寄り――。
その胴体を、大きく切り裂いた。
魔女『アギャアアアアアアアアア!!!!』
今までよりも一際大きい、絹を割くような悲鳴が響き渡る。
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:15:47.36 ID:8CtIWTLP0
魔女『アギャァ!! アギャー!!』
――この使い魔たちは、魔女が大きな傷を負った時に魔女に群がり、その傷口を治療している。
使い魔『・・・! ・・・!』ワラワラ・・・
ほむら「……」
魔女との鍔迫り合いの中、私はわざとこの使い魔の群れに突き飛ばされるように流れを誘導していた。
使い魔『・・・! ・・・!』アセアセ
そしてその使い魔たちの中に突き飛ばされたとき、どさくさに紛れて先と同じように数体に爆弾を貼り付けた。
――この使い魔たちは、魔女が大きな傷を負った時に魔女に群がり、その傷口を治療している。
使い魔『・・・! ・・・!』ワラワラ・・・
ほむら「……」
魔女との鍔迫り合いの中、私はわざとこの使い魔の群れに突き飛ばされるように流れを誘導していた。
使い魔『・・・! ・・・!』アセアセ
そしてその使い魔たちの中に突き飛ばされたとき、どさくさに紛れて先と同じように数体に爆弾を貼り付けた。
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:17:53.19 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」スッ
後はその使い魔の習性を利用するだけ……!
魔女『アギャギャ! アギャ!』
使い魔『・・・! ・・・!』ワサワサ
後はその使い魔の習性を利用するだけ……!
魔女『アギャギャ! アギャ!』
使い魔『・・・! ・・・!』ワサワサ
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:22:03.89 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…これで…終わりよ……!」カチッ
ピピ・・・゚ピピピピピ・・・
魔女『ア――』
―――――
―――――――――――
――――――――――――――――――――
ピピ・・・゚ピピピピピ・・・
魔女『ア――』
―――――
―――――――――――
――――――――――――――――――――
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:23:31.35 ID:8CtIWTLP0
――シュウウゥゥ・・・
キィン・・・
コロロロロ・・・
・・・ポトリ
ほむら「………やった…」
今回も……生き延びることができた。
キィン・・・
コロロロロ・・・
・・・ポトリ
ほむら「………やった…」
今回も……生き延びることができた。
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:27:22.64 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
張り詰めていた緊張の糸が切れ、思わずその場にへたりこんでしまう。
GS『 』コロコロ・・・
ほむら「……」
私の善戦を労うかのように、都合よくこちらにグリーフシードが転がってくる。
張り詰めていた緊張の糸が切れ、思わずその場にへたりこんでしまう。
GS『 』コロコロ・・・
ほむら「……」
私の善戦を労うかのように、都合よくこちらにグリーフシードが転がってくる。
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:29:29.92 ID:8CtIWTLP0
シュウゥゥゥ・・・
ほむら「……ふぅ……」
ほむら「……」
今回は肉体的なダメージよりも、精神的なダメージの方が大きかった。
麻酔なしで、必要としない手術を施される恐怖感。
しかも、それはどうにも子供が見よう見まねでやってみようといった風で……。
そんな風に遊び半分で体をいじくり回されたらたまったもんじゃない。
ほむら「……ふぅ……」
ほむら「……」
今回は肉体的なダメージよりも、精神的なダメージの方が大きかった。
麻酔なしで、必要としない手術を施される恐怖感。
しかも、それはどうにも子供が見よう見まねでやってみようといった風で……。
そんな風に遊び半分で体をいじくり回されたらたまったもんじゃない。
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:31:49.34 ID:8CtIWTLP0
…思い出すだけで身が竦むようだ。
ほむら「……」
……それよりも――――。
ほむら「…っ」
いや、今しばらくはこの生き延びたという安堵感に浸っていよう。
ほむら「……」
……それよりも――――。
ほむら「…っ」
いや、今しばらくはこの生き延びたという安堵感に浸っていよう。
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:33:18.86 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
ほむら(そういえば、さっきグリーフシードと一緒に何か落ちてきたような…)
ほむら「……」
あたりを見渡すと、確かにそれとめぼしいものがあった。
ほむら(……くまのぬいぐるみ……)
ほむら(そういえば、さっきグリーフシードと一緒に何か落ちてきたような…)
ほむら「……」
あたりを見渡すと、確かにそれとめぼしいものがあった。
ほむら(……くまのぬいぐるみ……)
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:37:08.93 ID:8CtIWTLP0
ちょっと先の方に、くまのぬいぐるみが私に背中を向けて横たわっていた。
この猥雑な落書きだらけの高架下には不似合いなものだ。
ほむら「……」
なんとなく近づいて見てみると、それは意外と新しいもので。
そのくまは、後生大事そうに小さな封筒を抱えていた。
この猥雑な落書きだらけの高架下には不似合いなものだ。
ほむら「……」
なんとなく近づいて見てみると、それは意外と新しいもので。
そのくまは、後生大事そうに小さな封筒を抱えていた。
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:38:19.71 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
私はその封筒に手を伸ばし……。
ほむら(……)
――途中で手を引いた。
ほむら「……」
……関係のないことを、わざわざ知る必要もないだろう……。
私はその封筒に手を伸ばし……。
ほむら(……)
――途中で手を引いた。
ほむら「……」
……関係のないことを、わざわざ知る必要もないだろう……。
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:40:18.75 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……私には、関係ないわ…」
ほむら「…………関係ない……」
ほむら「……」
ほむら「…………関係ない……」
ほむら「……」
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:42:07.10 ID:8CtIWTLP0
どこからか、電車が過ぎる音が聞こえる。
町はすっかり夕日の朱に染まっていて、どこか疲れたような、何か物憂いような。そんな様相を呈していた。
そんな気知らずとばかりに、どこからか子供が楽しそうな声を上げて、何処かへと走り去っていく。
子供たちの声が遠のき、やがて聞こえなくなると、寂寥感が辺りをゆっくりと浸していった。
町はすっかり夕日の朱に染まっていて、どこか疲れたような、何か物憂いような。そんな様相を呈していた。
そんな気知らずとばかりに、どこからか子供が楽しそうな声を上げて、何処かへと走り去っていく。
子供たちの声が遠のき、やがて聞こえなくなると、寂寥感が辺りをゆっくりと浸していった。
120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:44:43.14 ID:8CtIWTLP0
――――――
――――――――――――
――――――――――――――――――――――
ほむら「……ただいま」
ほむら「……」
ほむら「……」
――――――――――――
――――――――――――――――――――――
ほむら「……ただいま」
ほむら「……」
ほむら「……」
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:46:29.63 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……まどか?」
階段先に向けて声を投げる。
返事がないのはいつものことだ。
ほむら「……」
……だけど、家の中はいつもよりもやけにひっそりとしているような気がして……。
階段先に向けて声を投げる。
返事がないのはいつものことだ。
ほむら「……」
……だけど、家の中はいつもよりもやけにひっそりとしているような気がして……。
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:48:06.11 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…っ」
私は階段を駆け上がった。
あまりに慌ててたものだからか、途中で段を踏み外してしまい、馬鹿みたいにつんのめってしまう。
ほむら「……ッ」
――まどか。
私は階段を駆け上がった。
あまりに慌ててたものだからか、途中で段を踏み外してしまい、馬鹿みたいにつんのめってしまう。
ほむら「……ッ」
――まどか。
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:51:25.77 ID:8CtIWTLP0
……なんでだろう。
無性にまどかに会いたい気持ちと、よくわからない不安が私の中を駆け巡る。
――階段を上がって、二つ目の部屋。
私が帰ってくると、まどかはいつだってそこにいて。
――今となってはそれが当たり前のはずなのに。
無性にまどかに会いたい気持ちと、よくわからない不安が私の中を駆け巡る。
――階段を上がって、二つ目の部屋。
私が帰ってくると、まどかはいつだってそこにいて。
――今となってはそれが当たり前のはずなのに。
130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:52:58.39 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……っ…、……」
ドアの前で立ち止まり、荒んだ呼吸を整える。
……嫌な感じが、消えてくれない。
震える手で、ドアノブに手をかける。
ドアの前で立ち止まり、荒んだ呼吸を整える。
……嫌な感じが、消えてくれない。
震える手で、ドアノブに手をかける。
134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:55:48.60 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……まどか?」
ほむら「…」
そこにまどかはいなかった。
ほむら「…」
そこにまどかはいなかった。
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:57:44.75 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
ほむら「……まどか…」
ほむら「……」
ほむら「……ッ」
―――
――――――
―――――――――
ほむら「……まどか…」
ほむら「……」
ほむら「……ッ」
―――
――――――
―――――――――
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 20:59:08.48 ID:8CtIWTLP0
家中探してみても、まどかは見つからなかった。
ほむら「…………」
――まどか。
ほむら「…………」
――まどか。
141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:00:06.96 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……っ」
まどか、どこへ行ったの?
ほむら「……まどかぁ……」
涙が溢れて、景色が滲んだ。
まどか、どこへ行ったの?
ほむら「……まどかぁ……」
涙が溢れて、景色が滲んだ。
143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:02:53.15 ID:8CtIWTLP0
外は既に日が落ちている。
街頭もろくにないこの辺り。
道として整えられていない林の中にでも迷い込んでしまったとしたら、見つけ出すのは難しい。
ほむら「…………」
私は懐中電灯を手に、庭先の林に駆け込んだ。
街頭もろくにないこの辺り。
道として整えられていない林の中にでも迷い込んでしまったとしたら、見つけ出すのは難しい。
ほむら「…………」
私は懐中電灯を手に、庭先の林に駆け込んだ。
145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:04:19.58 ID:8CtIWTLP0
―――
――――――
――――――――――
ほむら「まどかぁーー!」
棘がついた雑草が足に絡まる。
不意に出てくる木の枝が、頬を掠める。
ほむら「……っ…、…まどかぁーー!」
――――――
――――――――――
ほむら「まどかぁーー!」
棘がついた雑草が足に絡まる。
不意に出てくる木の枝が、頬を掠める。
ほむら「……っ…、…まどかぁーー!」
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:07:45.35 ID:8CtIWTLP0
――まどか。
私の、まどか。
私には…あなたがいないとだめなのに。
私の、まどか。
私には…あなたがいないとだめなのに。
149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:09:21.81 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……まどかぁ……」
声はいつの間にか涙声に変わっていて。
縋るような声音で。
迷子になった子供のようだった。
声はいつの間にか涙声に変わっていて。
縋るような声音で。
迷子になった子供のようだった。
150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:12:14.83 ID:8CtIWTLP0
――――
―――――――
―――――――――――――
闇雲に、無我夢中に探し回り、泥やら雑草やらにまみれて林を遮二無二突き進んだ。
すると私はいつの間にか林を抜けて、あの時の砂浜に出ていた。
あの時、一度行ったきりの砂浜。
――そこに、まどかはいた。
―――――――
―――――――――――――
闇雲に、無我夢中に探し回り、泥やら雑草やらにまみれて林を遮二無二突き進んだ。
すると私はいつの間にか林を抜けて、あの時の砂浜に出ていた。
あの時、一度行ったきりの砂浜。
――そこに、まどかはいた。
152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:15:28.36 ID:8CtIWTLP0
まどか「…」
この寒空の下、まどかはいつもの寝巻き姿のままで。
前と同じように、波打ち際に立って。
澄み切った夜空を見上げていた。
この寒空の下、まどかはいつもの寝巻き姿のままで。
前と同じように、波打ち際に立って。
澄み切った夜空を見上げていた。
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:18:25.11 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
町中のように余計な光源もなく、遮るものもない、この砂浜から見上げる星空は。
ほむら「…」
まるで海のように深く、大きく。
そこに浮かぶ星たちは彩り豊かな宝石のようで。
――それは誰も手が届かない秘境のように、雄大で、幻想的で。
その美しさに魅入られて、今にも空に落ちていってしまいそうだった。
町中のように余計な光源もなく、遮るものもない、この砂浜から見上げる星空は。
ほむら「…」
まるで海のように深く、大きく。
そこに浮かぶ星たちは彩り豊かな宝石のようで。
――それは誰も手が届かない秘境のように、雄大で、幻想的で。
その美しさに魅入られて、今にも空に落ちていってしまいそうだった。
158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:20:15.63 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
まどか「…」
まどかはそんな空に手を伸ばし――。
ほむら「――っ」
まどか「……」
私はまどかに走り寄り、その体を抱き寄せた。
まどか「…」
まどかはそんな空に手を伸ばし――。
ほむら「――っ」
まどか「……」
私はまどかに走り寄り、その体を抱き寄せた。
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:21:04.92 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
まどか「……」
まどかが落ちてしまわないように。
――まどかがどこにも行ってしまわないように。
まどか「……」
まどかが落ちてしまわないように。
――まどかがどこにも行ってしまわないように。
162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:22:18.67 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
まどか「…」
まどか「…」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:23:52.65 ID:8CtIWTLP0
まどか「…」
ほむら「……」
まどか「…」
ほむら「……ねぇ…まどか……」
まどか「…」
ほむら「……」
まどか「…」
ほむら「……ねぇ…まどか……」
まどか「…」
166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:25:35.59 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…どうすれば…ずっと私といてくれる…?」
まどか「…」
ほむら「…どうすれば…あなたのそばにいられるの……?」
まどか「…」
まどか「…」
ほむら「…どうすれば…あなたのそばにいられるの……?」
まどか「…」
167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:27:13.19 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…ねぇ…まどかぁ…」
……私には、あなたが必要で…。
ほむら「…っ…、…………」
――だから。
わたしをひとりにしないで。
……私には、あなたが必要で…。
ほむら「…っ…、…………」
――だから。
わたしをひとりにしないで。
170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:29:20.20 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…………」
まどか「…」
ほむら「…っ………」
まどか「……」
まどか「…」
ほむら「…っ………」
まどか「……」
174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:30:29.46 ID:8CtIWTLP0
まどか「……ねぇ…」
ほむら「…………」
まどか「……みんなは…どこなの……?」
ほむら「――――」
まどか「……」
ほむら「…………」
まどか「……みんなは…どこなの……?」
ほむら「――――」
まどか「……」
176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:32:26.00 ID:8CtIWTLP0
……なんでだろう。
そう言うまどかの顔は、いつもと変わらず、感情に乏しいような顔なのに。
その瞳には、今にも零れそうなほど涙をたたえてて。
その顔は、私が見てきたどの表情よりも感情的で。
まどかの言葉は、失ったものを希い。
請い、願うようで。
――とても、哀しげだった。
そう言うまどかの顔は、いつもと変わらず、感情に乏しいような顔なのに。
その瞳には、今にも零れそうなほど涙をたたえてて。
その顔は、私が見てきたどの表情よりも感情的で。
まどかの言葉は、失ったものを希い。
請い、願うようで。
――とても、哀しげだった。
178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:34:21.42 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
まどか「……」
ほむら「…………」
ほむら「……………………」
まどか「……」
ほむら「…………」
ほむら「……………………」
181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:37:34.49 ID:8CtIWTLP0
そんなまどかを見ていると、どうしようもない痛みが私を苛み。
どうしようもないいたたまれなさに、身を焼かれる。
どうしようもないいたたまれなさに、身を焼かれる。
183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:39:47.45 ID:8CtIWTLP0
――それは私にとってこの上なく辛辣な問いで。
私は答えられない。
答えることが、できない。
だって。
ただでさえヒビだらけのこの世界が、それで決定的に壊れてしまいそうだから。
私は答えられない。
答えることが、できない。
だって。
ただでさえヒビだらけのこの世界が、それで決定的に壊れてしまいそうだから。
186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:41:52.24 ID:8CtIWTLP0
ほむら「………………」
まどか「…」
まどか「…」
188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:44:17.30 ID:8CtIWTLP0
どうしてこの世界はこんなに無情なのだろう。
どうして思い通りになってくれないんだろう。
……どうしてこの世界には救いがないんだろう。
私は。
この子が笑っていられるような、そんな幸せな世界を望んだはずなのに。
どうして思い通りになってくれないんだろう。
……どうしてこの世界には救いがないんだろう。
私は。
この子が笑っていられるような、そんな幸せな世界を望んだはずなのに。
190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:46:28.42 ID:8CtIWTLP0
――――
―――――――
――――――――――――
ほむら「…」
まどか「…」
どれくらいの時間が過ぎただろう。
気がつけば、二人ならんで空を見上げていた。
―――――――
――――――――――――
ほむら「…」
まどか「…」
どれくらいの時間が過ぎただろう。
気がつけば、二人ならんで空を見上げていた。
192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:47:58.71 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…」
まどか「…」
私たちは寄り添いながら。
温めあうように。
この世界に確かにある互いを確かめ合うように。
空を見ていた。
まどか「…」
私たちは寄り添いながら。
温めあうように。
この世界に確かにある互いを確かめ合うように。
空を見ていた。
194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:50:15.26 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…」
まどか「…」
いっそ、このまま世界が終わってもいいと。
そう思えた。
まどか「…」
いっそ、このまま世界が終わってもいいと。
そう思えた。
196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:51:29.70 ID:8CtIWTLP0
―――
――――――
―――――――――
「やあ」
ほむら「……」
ほむら「…キュウベぇ」
――――――
―――――――――
「やあ」
ほむら「……」
ほむら「…キュウベぇ」
198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:53:54.97 ID:8CtIWTLP0
QB「こんばんは、ほむら」
QB「ちょっといいかな」
ほむら「消えて」
QB「ちょっといいかな」
ほむら「消えて」
201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 21:56:33.49 ID:8CtIWTLP0
QB「…ずいぶんな言い草だね」
ほむら「今の私にはあなたを相手にできる余裕がないの」
QB「…」
ほむら「…今は…ふたりきりにさせてよ…」
QB「…」
ほむら「…」
ほむら「今の私にはあなたを相手にできる余裕がないの」
QB「…」
ほむら「…今は…ふたりきりにさせてよ…」
QB「…」
ほむら「…」
205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:00:38.99 ID:8CtIWTLP0
QB「…暁美ほむら」
ほむら「…」
QB「もし、もう一度君に祈ることが赦されたとしたら……君は何を願う?」
ほむら「……え?」
ほむら「…」
QB「もし、もう一度君に祈ることが赦されたとしたら……君は何を願う?」
ほむら「……え?」
207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:03:02.92 ID:8CtIWTLP0
QB「暁美ほむら。君ならまどかの因果の新しい器になって、その因果を一身に受け入れることができる」
ほむら「…………」
何を……言って……。
QB「なに、そう難しく考えなくてもいい」
QB「君が時間軸を移動することによってまどかに巻き付いた因果の糸を、君が巻き取る…いや、巻き戻すとでも考えてくれればいい」
ほむら「…………」
何を……言って……。
QB「なに、そう難しく考えなくてもいい」
QB「君が時間軸を移動することによってまどかに巻き付いた因果の糸を、君が巻き取る…いや、巻き戻すとでも考えてくれればいい」
210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:05:09.68 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……そんなこと……ここにきてそんな都合のいいこと……できるわけないでしょ……」
QB「出来るんだよ」
ほむら「……」
QB「出来るんだよ」
ほむら「……」
213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:08:10.14 ID:8CtIWTLP0
QB「偏見でものを言うのは頂けないないな」
QB「どんな都合のいい事実も、理不尽な現実も。全てはそうあるべくして在るものなんだから」
QB「そうあるなら甘んじてそう受け入れるしかない。違うかい?」
ほむら「……」
QB「どんな都合のいい事実も、理不尽な現実も。全てはそうあるべくして在るものなんだから」
QB「そうあるなら甘んじてそう受け入れるしかない。違うかい?」
ほむら「……」
215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:11:35.84 ID:8CtIWTLP0
QB「とまあ最もらしいことは置いておいて。ちゃんと事を筋立て説明するとだね」
QB「この前は君に、ワルプルギスの夜との相似性から、ワルプルギスの夜は君が魔女になったものと提唱したね?」
ほむら「……えぇ……」
QB「何も話はあれで終わりというわけじゃないんだ」
QB「この前は君に、ワルプルギスの夜との相似性から、ワルプルギスの夜は君が魔女になったものと提唱したね?」
ほむら「……えぇ……」
QB「何も話はあれで終わりというわけじゃないんだ」
217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:13:53.15 ID:8CtIWTLP0
QB「暁美ほむらはワルプルギスの夜と裏付けがとれたところで、稀有な例として、新たな発見としてはまあそれなりに有益だったとは言えるけどね」
QB「だけどそれはあくまでそれまででしかなくて、だからといって実際問題、宇宙全体のエネルギーとしての観点から見れば何の利益もないだろう?」
QB「本質はその先にあったのさ。君の魔法少女としての本来の、出せ得る限りのポテンシャルを量ることにね」
ほむら「……」
QB「だけどそれはあくまでそれまででしかなくて、だからといって実際問題、宇宙全体のエネルギーとしての観点から見れば何の利益もないだろう?」
QB「本質はその先にあったのさ。君の魔法少女としての本来の、出せ得る限りのポテンシャルを量ることにね」
ほむら「……」
220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:17:17.36 ID:8CtIWTLP0
QB「ワルプルギスの夜は、様々な魔女の波動を集めてあそこまで強大な存在となった」
QB「その、他の力を取り込むことができる能力。そして底なしとさえ思える力の許容量」
QB「それが何より肝要で、魅力的で、この上なく理想的だったんだ」
QB「そして、極論のようだけど、それは当然君の中にも眠っているはずなんだ」
QB「できないとは言わせないよ。端的に言うなら、君は今までやらなかっただけ。そんな必要も機会もなかっただけなんだから」
QB「要は、君はその眠っている力を意識出来なかったわけで、その力が確かにあると裏が取れた今ならできるはずだ」
ほむら「…………」
QB「その、他の力を取り込むことができる能力。そして底なしとさえ思える力の許容量」
QB「それが何より肝要で、魅力的で、この上なく理想的だったんだ」
QB「そして、極論のようだけど、それは当然君の中にも眠っているはずなんだ」
QB「できないとは言わせないよ。端的に言うなら、君は今までやらなかっただけ。そんな必要も機会もなかっただけなんだから」
QB「要は、君はその眠っている力を意識出来なかったわけで、その力が確かにあると裏が取れた今ならできるはずだ」
ほむら「…………」
222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:19:20.85 ID:8CtIWTLP0
QB「ましてやその対象がまどかなら。…僕が言うのもなんだけど、造作もないことさ」
QB「元は君が時間遡行を重ねることで生じたものなんだからね」
QB「イメージでいうなら、さっき言ったように、今度は逆に巻き取る…巻き戻すとでも考えてみるといい」
ほむら「……簡単に言ってくれるわね……」
QB「当事者じゃないからね。客観的に、できそうなことを有り体に言ってるだけだから」
QB「元は君が時間遡行を重ねることで生じたものなんだからね」
QB「イメージでいうなら、さっき言ったように、今度は逆に巻き取る…巻き戻すとでも考えてみるといい」
ほむら「……簡単に言ってくれるわね……」
QB「当事者じゃないからね。客観的に、できそうなことを有り体に言ってるだけだから」
225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:21:08.69 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
QB「…」
QB「…」
228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:24:53.43 ID:8CtIWTLP0
QB「…僕たちは、まどかが魔法少女になれないと知ってから、今だ眠るその因果の力を引き出せないか研究してきたんだ」
ほむら「……」
QB「まどかは以前より確実に回復してきている」
QB「もしかしたら、また魔法少女に成りうる時が来るかもしれない――そう遠くない未来にでもね」
ほむら「…っ」
QB「でも、来ないかもしれない」
QB「実は因果なんて、その期を失えば、何事もなかったこのように消失してしまうほど儚いものなんだ」
QB「だから、元も子もなくなる前に、遅きに失する前に何とかしたいというのが本当のとこなんだ」
ほむら「……」
ほむら「……」
QB「まどかは以前より確実に回復してきている」
QB「もしかしたら、また魔法少女に成りうる時が来るかもしれない――そう遠くない未来にでもね」
ほむら「…っ」
QB「でも、来ないかもしれない」
QB「実は因果なんて、その期を失えば、何事もなかったこのように消失してしまうほど儚いものなんだ」
QB「だから、元も子もなくなる前に、遅きに失する前に何とかしたいというのが本当のとこなんだ」
ほむら「……」
231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:27:02.02 ID:8CtIWTLP0
QB「君だって現状に満足していないんだろう?」
ほむら「……」
QB「まどかの因果を手中に収めることができたなら、君の望みはなんだって叶う」
QB「再び過去をやり直すことも」
QB「そうでなくとも、いまのこのまどかの感情を都合よく戻すことだってできる」
ほむら「……」
QB「ここにきて利害が一致するわけだ。だから…」
QB「どうかお願いするよ、ほむら」
ほむら「……」
QB「まどかの因果を手中に収めることができたなら、君の望みはなんだって叶う」
QB「再び過去をやり直すことも」
QB「そうでなくとも、いまのこのまどかの感情を都合よく戻すことだってできる」
ほむら「……」
QB「ここにきて利害が一致するわけだ。だから…」
QB「どうかお願いするよ、ほむら」
234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:28:44.47 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…………」
QB「…」
QB「…」
236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:30:41.63 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……この前は散々生意気言っといて…利用できるとわかったら今度は頼み込んで…。都合がいいのよ…」
QB「僕としては事実をありのまま言ったまでで、そんなつもりはなかったんだけど。でもそれが君の癇に触ったというのなら謝らせてもらうよ」
ほむら「……まぁ…いいわ……」
――衣装を魔法少女のそれに切り替える。
QB「僕としては事実をありのまま言ったまでで、そんなつもりはなかったんだけど。でもそれが君の癇に触ったというのなら謝らせてもらうよ」
ほむら「……まぁ…いいわ……」
――衣装を魔法少女のそれに切り替える。
237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:33:04.02 ID:8CtIWTLP0
まどか「…」
ほむら「…まどか」
まどか「…」
ほむら「…まどか」
まどか「…」
240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:34:40.37 ID:8CtIWTLP0
まどかはただ私を見つめている。
でもあまり穏やかではない空気を察してか、その顔はどこか不安げにも見える。
ほむら「……心配しないで。すぐに済むから…」
まどか「…」
でもあまり穏やかではない空気を察してか、その顔はどこか不安げにも見える。
ほむら「……心配しないで。すぐに済むから…」
まどか「…」
244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:37:50.39 ID:8CtIWTLP0
QB「多分、別種の膨大な因果のエネルギーが君に流れ込む影響で、君は一度、本来の――といっても今はほぼ形骸化している、その魔法少女としての能力を喪失するだろう」
QB「要するに、君は人間に戻ってしまうわけだ」
QB「そして君はまどかの因果を受け継いだ少女として、新たに願うことを赦される」
QB「――さあ、ほむら。やってごらん」
ほむら「……言われなくても、やってやるわよ…」
QB「要するに、君は人間に戻ってしまうわけだ」
QB「そして君はまどかの因果を受け継いだ少女として、新たに願うことを赦される」
QB「――さあ、ほむら。やってごらん」
ほむら「……言われなくても、やってやるわよ…」
246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:40:30.48 ID:8CtIWTLP0
左手を、そっとまどかの胸にあてる。
まどか「…」
ほむら「……ちょっと我慢してね…」
そして。
壊れた砂時計を反転させた。
まどか「…」
ほむら「……ちょっと我慢してね…」
そして。
壊れた砂時計を反転させた。
248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:42:12.48 ID:8CtIWTLP0
>>240
修正
まどかはただ私を見つめている。
でもあまり穏やかではない空気を察してか、その顔はどこか不安げにも見える。
ほむら「……心配しないで。すぐに済むと思うから…」
まどか「…」
修正
まどかはただ私を見つめている。
でもあまり穏やかではない空気を察してか、その顔はどこか不安げにも見える。
ほむら「……心配しないで。すぐに済むと思うから…」
まどか「…」
250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:44:28.60 ID:8CtIWTLP0
ほむら「――ッッ!!」
時間操作能力の形骸。
今や飾りどころかがらくた同然の割れた砂時計。
その砂時計の割れた部分を通して何かが流れ込んでくる。
あまりにも膨大な、何か。
ほむら「……ッ…!」
時間操作能力の形骸。
今や飾りどころかがらくた同然の割れた砂時計。
その砂時計の割れた部分を通して何かが流れ込んでくる。
あまりにも膨大な、何か。
ほむら「……ッ…!」
253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:47:34.53 ID:8CtIWTLP0
砂時計が砂ではない何かで満たされていく。
それがいっぱいになると、今度はそこを通して体に何かが流れ込んできて――。
ほむら「ッ!! ……かっ…は……」
意識が激しく揺さぶられて、視界が明滅する。
内側から何かが溢れてきて、はち切れそうになる。
ほむら「…ぁ………っ…」
やがて世界が眩むほどの白一色に染まって――。
それがいっぱいになると、今度はそこを通して体に何かが流れ込んできて――。
ほむら「ッ!! ……かっ…は……」
意識が激しく揺さぶられて、視界が明滅する。
内側から何かが溢れてきて、はち切れそうになる。
ほむら「…ぁ………っ…」
やがて世界が眩むほどの白一色に染まって――。
255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:49:40.24 ID:8CtIWTLP0
ほむら「――…はっ……」
不意に、流れが弱まる。
ほむら「…………」
砂時計を見ると、割れた部分がみるみるうちに塞がっていく。
――そして、以前と同じような状態に戻ると、流れくる何かもそこで止んだ。
ほむら「…………」
そこから人心地つく前に、私の魔法少女の衣装があっけなく雲散霧消して、私は元の私服姿に戻った。
不意に、流れが弱まる。
ほむら「…………」
砂時計を見ると、割れた部分がみるみるうちに塞がっていく。
――そして、以前と同じような状態に戻ると、流れくる何かもそこで止んだ。
ほむら「…………」
そこから人心地つく前に、私の魔法少女の衣装があっけなく雲散霧消して、私は元の私服姿に戻った。
259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:54:10.15 ID:8CtIWTLP0
ほむら「……」
まどか「…」
ほむら「!」
まどかは気を失ったようで、その場にゆっくりと崩れ込んでいく。
私はそのまどかを支えて、その体を優しく横たえる。
まどか「…」
ほむら「!」
まどかは気を失ったようで、その場にゆっくりと崩れ込んでいく。
私はそのまどかを支えて、その体を優しく横たえる。
261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:55:45.33 ID:8CtIWTLP0
QB「…うまくいったようだね」
ほむら「……お陰様でね」
QB「それはよかった。ところで、どうだい? 久しぶりに人間に戻った感想は?」
ほむら「…別に…大して変わらないわ…」
ただ、人間に戻っただけ。
そこに何の感慨もない。
ほむら「……お陰様でね」
QB「それはよかった。ところで、どうだい? 久しぶりに人間に戻った感想は?」
ほむら「…別に…大して変わらないわ…」
ただ、人間に戻っただけ。
そこに何の感慨もない。
263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 22:58:34.38 ID:8CtIWTLP0
QB「…」
ほむら「……」
キュウベぇは、何やら私を品評するかのように見ている。
言われるがままにやってやったというのに、何か不満でもあるのだろうか。
ほむら「……」
キュウベぇは、何やら私を品評するかのように見ている。
言われるがままにやってやったというのに、何か不満でもあるのだろうか。
265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:01:14.07 ID:8CtIWTLP0
QB「…まぁ、こんなものだろう」
ほむら「……」
QB「でも、十分すぎるくらいだ」
ほむら「……」
何やら引っかかるようなことを口にする。
……どうせまたろくでもないことだろう。
でもここはあえて言及しないでおく。
それはもう私には関係のないことだから。
――願い事は既に決めてある。
ほむら「……」
QB「でも、十分すぎるくらいだ」
ほむら「……」
何やら引っかかるようなことを口にする。
……どうせまたろくでもないことだろう。
でもここはあえて言及しないでおく。
それはもう私には関係のないことだから。
――願い事は既に決めてある。
267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:02:36.71 ID:8CtIWTLP0
QB「さて」
QB「じゃあ本題に移ろうか」
ほむら「……」
QB「じゃあ本題に移ろうか」
ほむら「……」
269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:04:41.66 ID:8CtIWTLP0
QB「暁美ほむら」
ほむら「……」
QB「数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな途方もない望みだろうと叶えられるだろう」
ほむら「…そう」
QB「さあ、暁美ほむら――その魂を代価にして、君は何を願う?」
ほむら「……」
ほむら「……私は……」
ほむら「……」
QB「数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな途方もない望みだろうと叶えられるだろう」
ほむら「…そう」
QB「さあ、暁美ほむら――その魂を代価にして、君は何を願う?」
ほむら「……」
ほむら「……私は……」
270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:07:03.28 ID:8CtIWTLP0
ほむら「――――――」
272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:09:09.57 ID:8CtIWTLP0
QB「――なっ…」
ほむら「…」
QB「その祈りは……そんな祈りが叶うとすれば、それは時間干渉なんてレベルじゃない!」
QB「因果律そのものに対する反逆だ!」
QB「――君は、神にでもなるつもりかい!?」
ほむら「……神様でも何でもいいわ。この際願いが叶うのならば、悪魔だっていい」
ほむら「…」
QB「その祈りは……そんな祈りが叶うとすれば、それは時間干渉なんてレベルじゃない!」
QB「因果律そのものに対する反逆だ!」
QB「――君は、神にでもなるつもりかい!?」
ほむら「……神様でも何でもいいわ。この際願いが叶うのならば、悪魔だっていい」
274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:13:25.91 ID:8CtIWTLP0
――魔法少女が絶望とともに魔女になり果てるというのなら。
私が魔女になり、私という存在がまどかを不幸にしてしまうのなら。
そんなものが生まれないような世界に書き換えてしまえばいい。
私が魔女になり、私という存在がまどかを不幸にしてしまうのなら。
そんなものが生まれないような世界に書き換えてしまえばいい。
276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:14:53.64 ID:8CtIWTLP0
――そして何より、魔法少女の最後を絶望なんかで終わらせたくない。
その身を捧げてまで願ったことを、祈ったことを、無駄になんてしたくない。
希望を持つのが間違いだなんて、そんなの私は認めない。
その身を捧げてまで願ったことを、祈ったことを、無駄になんてしたくない。
希望を持つのが間違いだなんて、そんなの私は認めない。
277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:17:12.87 ID:8CtIWTLP0
QB「……」
ほむら「……」
QB「君は…その願いがどんなものなのかわかっているのかい?」
ほむら「……どうかしらね…」
ほむら「……」
QB「君は…その願いがどんなものなのかわかっているのかい?」
ほむら「……どうかしらね…」
279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:19:02.23 ID:8CtIWTLP0
QB「君は、未来と過去と、全ての時間で永遠に魔女と戦い続けることになる」
QB「そうなれば、君は君というという個体を保てなくなる」
QB「未来永劫に終わりなく、魔女を滅ぼす概念として、この宇宙に固定されてしまうんだ」
QB「そうなれば、君がこの世界に生きた証も、その記憶も、もう何処にも残されない」
QB「もう誰も君を認識できないし、君もまた、誰にも干渉できない」
QB「――もうまどかに会えなくなってもいいのかい?」
ほむら「っ……」
QB「まどかに忘れられても、君はそれでいいのかい?」
QB「そうなれば、君は君というという個体を保てなくなる」
QB「未来永劫に終わりなく、魔女を滅ぼす概念として、この宇宙に固定されてしまうんだ」
QB「そうなれば、君がこの世界に生きた証も、その記憶も、もう何処にも残されない」
QB「もう誰も君を認識できないし、君もまた、誰にも干渉できない」
QB「――もうまどかに会えなくなってもいいのかい?」
ほむら「っ……」
QB「まどかに忘れられても、君はそれでいいのかい?」
281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/10(金) 23:22:01.22 ID:8CtIWTLP0
ほむら「…………」
……私がいなくたって、あの子は幸せだった。
――まどかを不幸にしたのは、他でもない私だったのだから。
……私がいなくたって、あの子は幸せだった。
――まどかを不幸にしたのは、他でもない私だったのだから。
296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:15:47.51 ID:TEAJsBWM0
ほむら「……それでも、構わない」
QB「……」
QB「……」
298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:20:37.98 ID:TEAJsBWM0
QB「……君はそれでいいんだね」
ほむら「…この期に及んで私を案じてくれるのかしら? しばらく見ないうちにずいぶん人がましくなったものね」
QB「…」
ほむら「…これでいいのよ。これがまどかをこんな目にあわせてしまった私の贖罪…」
ほむら「今度こそ、あの子の為にしてあげられる最後の祈り…」
ほむら「…この期に及んで私を案じてくれるのかしら? しばらく見ないうちにずいぶん人がましくなったものね」
QB「…」
ほむら「…これでいいのよ。これがまどかをこんな目にあわせてしまった私の贖罪…」
ほむら「今度こそ、あの子の為にしてあげられる最後の祈り…」
300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:23:50.54 ID:TEAJsBWM0
ほむら「…さぁ、叶えて頂戴…」
QB「……」
――――
――――――――
――――――――――――――
QB「……」
――――
――――――――
――――――――――――――
302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:28:31.93 ID:TEAJsBWM0
――まどか。
今度こそは、まどかのために。
私という存在は、まどかのために。
~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今度こそは、まどかのために。
私という存在は、まどかのために。
~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:29:54.87 ID:TEAJsBWM0
ほむら「…」
まどか「…」
まどか「…」
306: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:31:38.35 ID:TEAJsBWM0
この世界の最後の夜。
この世界には、いまや私たち二人しかいなかった。
ほむら「…」
まどか「…」
この世界には、いまや私たち二人しかいなかった。
ほむら「…」
まどか「…」
309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:36:28.75 ID:TEAJsBWM0
外はまたしても雪模様。
淡雪がひらひらと舞い降りては、積もることなく消えてゆく。
雲の切れ間からは大きな蒼い満月が顔を覗かせて、この世界の終わりを見届けているかのようだ。
最後の世界は、どこか現実味がなく、まるで夢のようで。
この上なく、綺麗だった。
淡雪がひらひらと舞い降りては、積もることなく消えてゆく。
雲の切れ間からは大きな蒼い満月が顔を覗かせて、この世界の終わりを見届けているかのようだ。
最後の世界は、どこか現実味がなく、まるで夢のようで。
この上なく、綺麗だった。
312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:38:02.95 ID:TEAJsBWM0
まどか「…」
ほむら「…」
まどかは相変わらず外を眺めていて。
私もそばで外を眺めている。
ほむら「…」
まどかは相変わらず外を眺めていて。
私もそばで外を眺めている。
314: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:40:53.70 ID:TEAJsBWM0
ほむら「……」
まどかが幸せになれる未来に、私はいれない。
ほむら「…」
それでもいい。
それでまどかが幸せになれるなら――。
まどかが幸せになれる未来に、私はいれない。
ほむら「…」
それでもいい。
それでまどかが幸せになれるなら――。
316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:42:44.66 ID:TEAJsBWM0
ほむら「……」
ただ、私のことを忘れられてしまうのは悲しい。
ほむら「……」
……そうだ。
ならせめて私からまどかに何かメッセージを残そう。
……確か机に、なんとなく買ってみたけど結局今まで何も書いてこなかったノートがあったはずだ。
ほむら「……あった…」
ただ、私のことを忘れられてしまうのは悲しい。
ほむら「……」
……そうだ。
ならせめて私からまどかに何かメッセージを残そう。
……確か机に、なんとなく買ってみたけど結局今まで何も書いてこなかったノートがあったはずだ。
ほむら「……あった…」
318: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:44:45.41 ID:TEAJsBWM0
ほむら(さて…何を書こうかしら…)
私とまどかの出逢い。
まどかが私の名前を褒めてくれたこと。
私の命を助けてくれたこと。
――私と、友達になってくれたこと。
ほむら「……」
伝えたいことは、たくさんある。
私とまどかの出逢い。
まどかが私の名前を褒めてくれたこと。
私の命を助けてくれたこと。
――私と、友達になってくれたこと。
ほむら「……」
伝えたいことは、たくさんある。
320: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:47:24.94 ID:TEAJsBWM0
ほむら「……」
伝えたいことはたくさんあって。
書き残したいことはたくさんあるのに。
私が存在したことを明示すると、お人好しなまどかなら何をしでかすかも分からない。
伝えたいことはたくさんあって。
書き残したいことはたくさんあるのに。
私が存在したことを明示すると、お人好しなまどかなら何をしでかすかも分からない。
322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:48:43.57 ID:TEAJsBWM0
ほむら「…………」
私に許されることは――。
ほむら「……これくらいならいいんじゃないかしら…」
……たった一文ぽっちだけど。
この無味乾燥な一文が、私が存在した何よりの証明だ。
ほむら「――よし…」
私に許されることは――。
ほむら「……これくらいならいいんじゃないかしら…」
……たった一文ぽっちだけど。
この無味乾燥な一文が、私が存在した何よりの証明だ。
ほむら「――よし…」
324: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:50:48.82 ID:TEAJsBWM0
まどか「…」
ほむら「…今まで私のふざけた一人芝居に付き合わせちゃってごめんね…」
ほむら「……まどか…」
まどか「……」
ほむら「…今まで私のふざけた一人芝居に付き合わせちゃってごめんね…」
ほむら「……まどか…」
まどか「……」
326: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:51:57.96 ID:TEAJsBWM0
ほむら「……」
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「……あなたも……いなくなっちゃうの…?」
ほむら「………………」
ほむら「……いいえ」
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「……あなたも……いなくなっちゃうの…?」
ほむら「………………」
ほむら「……いいえ」
328: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:53:30.78 ID:TEAJsBWM0
ほむら「そもそも私なんていなかったのよ」
まどか「……」
ほむら「…いい? まどか」
ほむら「これは夢」
ほむら「悪い夢だったのよ」
ほむら「…あなたは私という悪魔が魅せた悪夢にうなされているの」
まどか「……」
ほむら「…いい? まどか」
ほむら「これは夢」
ほむら「悪い夢だったのよ」
ほむら「…あなたは私という悪魔が魅せた悪夢にうなされているの」
330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 00:55:36.09 ID:TEAJsBWM0
まどか「……」
ほむら「――でも大丈夫。あなたはもうすぐ目が覚めるわ」
まどか「……」
ほむら「……目が覚めたら、いつもどおりの日常が待っている」
ほむら「学校があって家があって…。家族がいて……友達もいる…」
まどか「……」
ほむら「だから、何も心配することはないのよ…」
ほむら「――でも大丈夫。あなたはもうすぐ目が覚めるわ」
まどか「……」
ほむら「……目が覚めたら、いつもどおりの日常が待っている」
ほむら「学校があって家があって…。家族がいて……友達もいる…」
まどか「……」
ほむら「だから、何も心配することはないのよ…」
333: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:00:59.85 ID:TEAJsBWM0
まどか「……」
ほむら「…だからね……」
ほむら「……もう……安心しておやすみ……」
ほむら「…だからね……」
ほむら「……もう……安心しておやすみ……」
335: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:05:14.20 ID:TEAJsBWM0
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「……ぎゅってして…」
ほむら「…………」
ほむら「……」
まどか「……ぎゅってして…」
ほむら「…………」
338: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:09:50.80 ID:TEAJsBWM0
まどか「…ねむるまで…あたまをなでて……」
ほむら「……」
ほむら「……うん……」
ほむら「……」
ほむら「……うん……」
341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:15:10.56 ID:TEAJsBWM0
――――
――――――――
―――――――――――――――――
ほむら「……」
まどか「……」
――――――――
―――――――――――――――――
ほむら「……」
まどか「……」
344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:19:19.87 ID:TEAJsBWM0
ほむら「……」
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「……」
まどか「……ほむら…ちゃん……」
ほむら「………………」
ほむら「……なぁに? まどか…」
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「……」
まどか「……ほむら…ちゃん……」
ほむら「………………」
ほむら「……なぁに? まどか…」
348: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:24:11.80 ID:TEAJsBWM0
まどか「……ほむらちゃんは……泣き虫だね…」
ほむら「……そうなの。私も一人の女の子だから……」
ほむら「…嬉しいことは嬉しいし…楽しいことは楽しいし……悲しいことはかなしくて…………」
ほむら「……それほどに…、あなたが大好きだから……」
ほむら「……そうなの。私も一人の女の子だから……」
ほむら「…嬉しいことは嬉しいし…楽しいことは楽しいし……悲しいことはかなしくて…………」
ほむら「……それほどに…、あなたが大好きだから……」
351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:29:13.18 ID:TEAJsBWM0
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「……」
ほむら「……」
ほむら「……」
まどか「……」
ほむら「……」
353: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:33:46.64 ID:TEAJsBWM0
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「…」
ほむら「……」
まどか「…」
ほむら「……おやすみ…まどか」
ほむら「……」
まどか「…」
ほむら「……」
まどか「…」
ほむら「……おやすみ…まどか」
355: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:37:01.74 ID:TEAJsBWM0
――元気でね。
まどか。
どうか、幸せで。
まどか。
どうか、幸せで。
357: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:41:32.51 ID:TEAJsBWM0
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~~~~~~~~~~~
ジリリリリリィ・・・ン
ジリリリリリィ・・・ン
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~~~~~~~~~~~
ジリリリリリィ・・・ン
ジリリリリリィ・・・ン
360: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:45:31.39 ID:TEAJsBWM0
ジリリリリリィ・・・ン
まどか「……」
ジリリリリ・・・カチッ
まどか「……」
まどか「……」
ジリリリリ・・・カチッ
まどか「……」
364: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:49:00.23 ID:TEAJsBWM0
まどか「……朝ぁ……?」
まどか「……」
「まどかぁー!」
まどか「……」
まどか「……」
「まどかぁー!」
まどか「……」
366: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:52:14.54 ID:TEAJsBWM0
まどか「……おはよう、タツヤ」
タツヤ「まどかぁ、おこしにきた!」
まどか「…そっか。ありがとね」
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―――――――――――――――
タツヤ「まどかぁ、おこしにきた!」
まどか「…そっか。ありがとね」
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369: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:56:14.16 ID:TEAJsBWM0
まどか「…おはよう、パパ…」
知久「うん、おはよう」
知久「…まどか、すごい寝癖だぞ」
まどか「えっ…そう?」
知久「ああ。悪い夢でも見てうなされたのかい?」
まどか「…えーっと…」
知久「うん、おはよう」
知久「…まどか、すごい寝癖だぞ」
まどか「えっ…そう?」
知久「ああ。悪い夢でも見てうなされたのかい?」
まどか「…えーっと…」
373: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 01:59:01.08 ID:TEAJsBWM0
まどか「…覚えてないや…」
知久「そうか」
知久「…とにかく、その『芸術は、爆発だ』とでも言わんばかりのアーティスティックな髪型をなんとかしたほうがいい」
まどか「そんなに!? あわわ…直さなきゃ…」
知久「あ、その前にママを起こしてくれないか」
まどか「さっきタツヤが向かったけど…」
知久「タツヤ一人じゃ苦戦するだろうからねぇ…」
まどか「…それもそうだね」
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知久「そうか」
知久「…とにかく、その『芸術は、爆発だ』とでも言わんばかりのアーティスティックな髪型をなんとかしたほうがいい」
まどか「そんなに!? あわわ…直さなきゃ…」
知久「あ、その前にママを起こしてくれないか」
まどか「さっきタツヤが向かったけど…」
知久「タツヤ一人じゃ苦戦するだろうからねぇ…」
まどか「…それもそうだね」
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375: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:03:19.13 ID:TEAJsBWM0
詢子「……最近、どんなよ?」
まどか「…仁美ちゃんにまたラブレターが届いたよ。今月になってもう二通目」
詢子「ふん。直にコクるだけの根性もねぇ男はダメだ」
まどか「そうなの?」
詢子「そうさ。で、和子はどう?」
まどか「先生はまだ続いてるみたい。ホームルームでのろけまくりだよ。今週で三ヶ月目だから記録更新だよね」
詢子「さあ、どうだか。今が危なっかしい頃合だよ」
まどか「そうなの?」
詢子「あぁ。本物じゃなかったら大体このへんでボロが出るもんさ」
詢子「まあ乗り切ったら1年はもつだろうけど」
まどか「ふぅん」
まどか「…仁美ちゃんにまたラブレターが届いたよ。今月になってもう二通目」
詢子「ふん。直にコクるだけの根性もねぇ男はダメだ」
まどか「そうなの?」
詢子「そうさ。で、和子はどう?」
まどか「先生はまだ続いてるみたい。ホームルームでのろけまくりだよ。今週で三ヶ月目だから記録更新だよね」
詢子「さあ、どうだか。今が危なっかしい頃合だよ」
まどか「そうなの?」
詢子「あぁ。本物じゃなかったら大体このへんでボロが出るもんさ」
詢子「まあ乗り切ったら1年はもつだろうけど」
まどか「ふぅん」
382: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:10:00.81 ID:TEAJsBWM0
詢子「――っし。完成~」
まどか「ん~…」
まどか「リボン、どっちかな?」
詢子「んっ」
まどか「え~…。派手過ぎない?」
詢子「それぐらいでいいのさ。女は外見でナメられたら終わりだよ」
詢子「~♪」
まどか「~~っ」
詢子「ん、いいじゃん」
まどか「そ、そうかな…」
詢子「ひひひ。これならまどかの隠れファンもメロメロだ」
まどか「い、いないよ! そんなの…」
詢子「いると思っておくんだよ~。それが、美人のヒ・ケ・ツ」
まどか「ん~…」
まどか「リボン、どっちかな?」
詢子「んっ」
まどか「え~…。派手過ぎない?」
詢子「それぐらいでいいのさ。女は外見でナメられたら終わりだよ」
詢子「~♪」
まどか「~~っ」
詢子「ん、いいじゃん」
まどか「そ、そうかな…」
詢子「ひひひ。これならまどかの隠れファンもメロメロだ」
まどか「い、いないよ! そんなの…」
詢子「いると思っておくんだよ~。それが、美人のヒ・ケ・ツ」
385: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:13:53.63 ID:TEAJsBWM0
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―――――――――
―――――――――――――――――
まどか「――いってきまーす!」
知久「いってらっしゃい」
タツヤ「いってらっしゃい~」
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まどか「――いってきまーす!」
知久「いってらっしゃい」
タツヤ「いってらっしゃい~」
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388: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:17:14.47 ID:TEAJsBWM0
まどか「…」モグモグ
まどか「…」
まどか「…ふふ」
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―――――――――――――――――
まどか「…」
まどか「…ふふ」
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391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:20:46.26 ID:TEAJsBWM0
まどか「おっはよー」
仁美「――おはようございます」
さやか「まどか、おっそーい」
さやか「お? 可愛いリボン」
まどか「そ…そうかな? …派手過ぎない?」
仁美「とても素敵ですわ」
――――
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仁美「――おはようございます」
さやか「まどか、おっそーい」
さやか「お? 可愛いリボン」
まどか「そ…そうかな? …派手過ぎない?」
仁美「とても素敵ですわ」
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393: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:23:36.63 ID:TEAJsBWM0
和子「――今日はみなさんに大事なお話があります。心して聞くように」
一同「……」
和子「……目玉焼きとは、固焼きですか? それとも半熟ですか?」
和子「はい、中沢君!」
中沢「えっ!? ええっと…。どっ、どっちでもいいんじゃないかと…」
和子「その通り! どっちでもよろしいッ!」
和子「たかが卵の焼き加減なんかで、女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」
和子「女子のみなさんは、くれぐれも半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!」
さやか「ダメだったか…」
まどか「ダメだったんだね」
和子「そして、男子のみなさんは、絶対に卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと! 以上!」
一同「……」
和子「……目玉焼きとは、固焼きですか? それとも半熟ですか?」
和子「はい、中沢君!」
中沢「えっ!? ええっと…。どっ、どっちでもいいんじゃないかと…」
和子「その通り! どっちでもよろしいッ!」
和子「たかが卵の焼き加減なんかで、女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」
和子「女子のみなさんは、くれぐれも半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!」
さやか「ダメだったか…」
まどか「ダメだったんだね」
和子「そして、男子のみなさんは、絶対に卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと! 以上!」
397: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:28:59.39 ID:TEAJsBWM0
和子「――はい、じゃあ今日の時間割ですが、特にこれといった連絡事項もありません」
和子「いつも通りに、移動教室の際は時間に遅れることのないよう余裕をもって行動するように。以上です」
さやか「お、今回は珍しく長引かないね」
まどか「……」
さやか「ん? どうかした? まどか?」
まどか「いや…別に…」
和子「いつも通りに、移動教室の際は時間に遅れることのないよう余裕をもって行動するように。以上です」
さやか「お、今回は珍しく長引かないね」
まどか「……」
さやか「ん? どうかした? まどか?」
まどか「いや…別に…」
400: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:32:19.31 ID:TEAJsBWM0
――――
―――――――――
―――――――――――――――――
まどか「ん? …なんだろ、これ…」
さやか「な、まさかラブ――」
仁美「ノートですか?」
まどか「うん。…これ、私のじゃない…」
さやか「んー。じゃあ誰かのが紛れ込んだのかね?」
仁美「名前を見れば分かるのでは?」
まどか「そうだね。えっと……」
―――――――――
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まどか「ん? …なんだろ、これ…」
さやか「な、まさかラブ――」
仁美「ノートですか?」
まどか「うん。…これ、私のじゃない…」
さやか「んー。じゃあ誰かのが紛れ込んだのかね?」
仁美「名前を見れば分かるのでは?」
まどか「そうだね。えっと……」
402: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:36:40.21 ID:TEAJsBWM0
まどか「…んー…。どこにも書いてない…」
さやか「うーん…。じゃあ直接中を覗いちゃれ! 何か分かるかもしれないし」
仁美「そうですわね」
まどか「えっ……でも何か悪いような気も……」
さやか「しょうがないしょうがない。そうでもしなきゃ分からないし」
さやか「…まぁ、好きな人の名前や恥ずかし~ポエムが綴られていた、って場合は素直に謝んなきゃだけど…」
仁美「もしかしたら殺したい人の名前がつらつらと…」
さやか「…物騒なこというね…」
まどか「何だか中を見るのが怖くなっちゃったよ…」
仁美「うふふ。あくまで冗談ですわ。とにかく中を見てみましょう」
さやか「…なんかワクワクしてない?」
仁美「とんでもないですわ」
さやか「うーん…。じゃあ直接中を覗いちゃれ! 何か分かるかもしれないし」
仁美「そうですわね」
まどか「えっ……でも何か悪いような気も……」
さやか「しょうがないしょうがない。そうでもしなきゃ分からないし」
さやか「…まぁ、好きな人の名前や恥ずかし~ポエムが綴られていた、って場合は素直に謝んなきゃだけど…」
仁美「もしかしたら殺したい人の名前がつらつらと…」
さやか「…物騒なこというね…」
まどか「何だか中を見るのが怖くなっちゃったよ…」
仁美「うふふ。あくまで冗談ですわ。とにかく中を見てみましょう」
さやか「…なんかワクワクしてない?」
仁美「とんでもないですわ」
403: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:42:22.47 ID:TEAJsBWM0
まどか「…私は普通に勉強用のノートだと思うけど…」
まどか「……じゃあ、開けるね…」
さやか「おう…」
仁美「どきどき」
まどか「…」
まどか「……じゃあ、開けるね…」
さやか「おう…」
仁美「どきどき」
まどか「…」
406: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:47:03.37 ID:TEAJsBWM0
まどか「……何も書いてないや」
さやか「ずこーっ。まさかあんた…このノートやけに新しめだし、新調した自分のノートのこと忘れてただけじゃ…」
仁美「…なきにしもあらず、ですわ…」
まどか「ひどいよ! さすがの私でもそこまで抜けてないよ!」
さやか「あははー。そっかー」
さやか「ずこーっ。まさかあんた…このノートやけに新しめだし、新調した自分のノートのこと忘れてただけじゃ…」
仁美「…なきにしもあらず、ですわ…」
まどか「ひどいよ! さすがの私でもそこまで抜けてないよ!」
さやか「あははー。そっかー」
408: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:52:55.84 ID:TEAJsBWM0
仁美「でも本当に何も書いてないのかしら。…ちょっと失礼」ヒョイ
まどか「あ…」
仁美「…」ペラペラ・・・
さやか「む…ほうほう…。うひょー!」
まどか「えっ…何か書いてあったの!?」
さやか「いや、何も」
まどか「もー!」
仁美「……」ペラペラ・・・
まどか「あ…」
仁美「…」ペラペラ・・・
さやか「む…ほうほう…。うひょー!」
まどか「えっ…何か書いてあったの!?」
さやか「いや、何も」
まどか「もー!」
仁美「……」ペラペラ・・・
410: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:56:32.54 ID:TEAJsBWM0
仁美「……一応、念のため最後まで見ましたが…特になにもないようですわね」パタン
まどか「…そう…? どうしよう…このノート…」
さやか「…ちょい待って。今のノートの最後のページのほう…」ヒョイ
まどか「?」
まどか「…そう…? どうしよう…このノート…」
さやか「…ちょい待って。今のノートの最後のページのほう…」ヒョイ
まどか「?」
412: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 02:59:47.65 ID:TEAJsBWM0
仁美「……あ、何か書いてますわね。えっと…」
さやか「……うわ」
仁美「…なんでしょう、これは…」
まどか「えっ…なになに、見せて…」
まどか「……」
まどか「……」
さやか「……うわ」
仁美「…なんでしょう、これは…」
まどか「えっ…なになに、見せて…」
まどか「……」
まどか「……」
414: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:03:46.58 ID:TEAJsBWM0
『私のことを、忘れないで。』
416: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:07:06.53 ID:TEAJsBWM0
まどか「……」
さやか「…なんか気味悪いね」
仁美「忘れないで、というわりには自身の名前も残してないですわね」
仁美「まぁこれがまどかさん宛てたものとも限らないのでしょうけど…」
さやか「…なにか意味があるのかね」
さやか「……どうした、まどか?」
さやか「…なんか気味悪いね」
仁美「忘れないで、というわりには自身の名前も残してないですわね」
仁美「まぁこれがまどかさん宛てたものとも限らないのでしょうけど…」
さやか「…なにか意味があるのかね」
さやか「……どうした、まどか?」
418: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:12:07.86 ID:TEAJsBWM0
まどか「……」
まどか「……わからない……」
まどか「…………わからない……けど…………」
まどか「……わからない……」
まどか「…………わからない……けど…………」
423: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:17:50.94 ID:TEAJsBWM0
……涙が。
まどか「………、………」
涙が、止まらないの。
まどか「――――」
まどか「………、………」
涙が、止まらないの。
まどか「――――」
427: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:20:49.45 ID:TEAJsBWM0
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
ほむら「…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
ほむら「…」
431: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:26:18.29 ID:TEAJsBWM0
――私のことなんて覚えてくれなくていい。
でも、私がいたことだけは。
私という誰かがいたということだけは、心の片隅にでもいいから、残しておいてほしい。
でも、私がいたことだけは。
私という誰かがいたということだけは、心の片隅にでもいいから、残しておいてほしい。
434: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:30:01.23 ID:TEAJsBWM0
あなたにとって迷惑な話かもしれないけど。
――私にとって、あなたは最高の友達だから。
…これが私の、本当に最後のお願い。
――私にとって、あなたは最高の友達だから。
…これが私の、本当に最後のお願い。
437: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:33:08.81 ID:TEAJsBWM0
ほむら「…」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
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441: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:37:47.47 ID:TEAJsBWM0
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マミ「……いいの? 鹿目さん…」
まどか「…」
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マミ「……いいの? 鹿目さん…」
まどか「…」
446: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:42:10.01 ID:TEAJsBWM0
マミ「魔法少女は決して生易しいものじゃないのよ」
マミ「――魔獣との戦いは常に死と隣り合わせ。ただひとつの願いがために、あなたはそんな世界に身を投じることになるのよ」
まどか「……はい。わかってます」
まどか「でも……それでもいいんです。魔法少女になれば、いつか……」
マミ「――魔獣との戦いは常に死と隣り合わせ。ただひとつの願いがために、あなたはそんな世界に身を投じることになるのよ」
まどか「……はい。わかってます」
まどか「でも……それでもいいんです。魔法少女になれば、いつか……」
450: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:46:38.66 ID:TEAJsBWM0
まどか「いつの日か、大事な人に会えるような。そんな気がするんです」
マミ「……そう」
マミ「じゃあ私もこれ以上口を出すべきではないわね…」
まどか「……」
マミ「……そう」
マミ「じゃあ私もこれ以上口を出すべきではないわね…」
まどか「……」
455: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:50:17.34 ID:TEAJsBWM0
まどか「…キュウベぇ」
QB「…」
まどか「…お願い」
QB「…」
まどか「…お願い」
458: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:52:45.01 ID:TEAJsBWM0
QB「――鹿目まどか」
QB「君の願いは、君の平穏な日常を代償にしてまで叶えるに値するものかい?」
まどか「…」
まどか「…うん」
QB「…分かった」
QB「じゃあ、言ってごらん。君のその願いを―ー」
QB「君の願いは、君の平穏な日常を代償にしてまで叶えるに値するものかい?」
まどか「…」
まどか「…うん」
QB「…分かった」
QB「じゃあ、言ってごらん。君のその願いを―ー」
463: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:57:01.40 ID:TEAJsBWM0
まどか「…」
まどか「私の…」
まどか「私の願いは――――」
まどか「私の…」
まどか「私の願いは――――」
465: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 03:59:23.79 ID:TEAJsBWM0
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…」
「…」
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…」
「…」
466: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/01/11(土) 04:00:25.63 ID:TEAJsBWM0
私は戦い続ける。
いつか再び、あの子に会えることを信じて。
Fin
いつか再び、あの子に会えることを信じて。
Fin
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