1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 17:48:04.28 ID:92sQndLA0
のび太「本当なのかい?」

ドラえもん「ああ! トラックに轢かれて重体だ!」

のび太「どどどど、どうしよう!?」

ドラえもん「とりあえず、病院だ!」

のび太「よし、どこでもドアだ!」

引用元: のび太「スネ夫が交通事故!?」 



ドラえもん
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5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 17:49:56.26 ID:92sQndLA0
病院
ジャイアン「おい、のび太! 遅えぞ!」

しずか「のび太さん、こっちよ!」

のび太「ごめん!」

ドラえもん「すまない! 僕もさっき聞いてね!」

ジャイアン「まあ、いいが……」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 17:51:38.51 ID:92sQndLA0
ドラえもん「状態は?」

出木杉「かなり危険みたいだ。少なくとも、意識はない……」

のび太「そ、そんな! し、死んじゃったの?!?」

ジャイアン「のび太てめえ!」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 17:54:27.00 ID:92sQndLA0
出木杉「ご、剛田君! お、抑えて! ここは病院だ!」

しずか「そうよ! でも、のび太さんも、そういう発言は……」

のび太「でも、意識がないって……」

ドラえもん「意識がないということは死んだってことじゃないんだ。でも、相当危ないね……」

のび太「そ、そうなのか、みんな、ごめん」

ジャイアン「ったく……」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 17:56:18.70 ID:92sQndLA0
のび太「トラックに轢かれてって聞いたけど……?」

ジャイアン「ああ! し、しかもよ……」

のび太「し、しかも……?」

出木杉「剛田君。僕から言うよ」

ジャイアン「す、すまねえ……俺は、もう……」グスッ

出木杉「野比君。骨川君は、轢き逃げに遭った」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 17:59:06.63 ID:92sQndLA0
のび太「ひ、轢き逃げって……」

ドラえもん「スネ夫君を轢いた、犯人が逃げたんだ」

のび太「……いや、それはおかしくないか?」

ドラえもん「ん?」

のび太「いや、だって、ドラえもんが説明した通りのことがあったら、トラックだなんて分かるわけないだろ」

出木杉「目撃者がいたんだ」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:01:15.82 ID:92sQndLA0
のび太「目撃者……?」

ドラえもん「つまり、犯人を見た人がいるんだね?」

出木杉「ああ。正確には犯人ではなく、トラックだけどね」

ジャイアン「ち、ちきしょう! 俺達は、なんにも出来ねえのかよ!」

しずか「た、武さん……」

ドラえもん「……」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:04:20.39 ID:92sQndLA0
のび太「どうしたの? ドラえもん」

ドラえもん「いや、僕の道具でスネ夫を助けることが出来るか考えたけど、無理みたいだ」

ジャイアン「どうしてだよ!」

ドラえもん「わからない……。いや、言いたくない」

出木杉「ま、まさかドラえもん……それって」

ドラえもん「ああ……」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:06:12.20 ID:92sQndLA0
ジャイアン「どういうことだよ、出木杉!」

出木杉「剛田君、落ち着いて聞いてくれるかい? 骨川君は、もう助からない」

ジャイアン「──」ガン!

出木杉「うっ!」ドサッ

のび太「ジャイアン!」

ジャイアン「う、うるせえ! これが落ち着いてられっか!」

ドラえもん「ジャイアン……」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:08:50.40 ID:92sQndLA0
ジャイアン「し、親友なんだぞ!? それを、助からないって」

しずか「でも待って、まだ生きているんだから、助かるんじゃ」

ドラえもん「無理なんだ。今まで僕達が生きていたことのほうが奇跡だった」

ジャイアン「ど、どういうことだよ!」

ドラえもん「僕たちは今まで大量の歴史を変えてきた。改ざんしてきたとも言える」

しずか「ま、まさか」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:11:46.25 ID:92sQndLA0
ドラえもん「そう。今までは僕達を逮捕や殺してしまうと、僕が住んでいる未来そのものが改変されてしまうから、助かっていた」

出木杉「そして、もう僕達の役目は終わったんだ」

のび太「い、意味がわからないよ。それと、スネ夫が助けられないの、なんの関係が」

ドラえもん「もう僕達の役目が終わった以上、スネ夫が事故に遭っても、僕はそれを治すことが出来ない。法律の問題だ」

出木杉「ドラえもん達が住む世界が、骨川君を助けることで、改変されてしまう」

ドラえもん「そういうこと。怪我程度ならなんとかなるけど、死ぬ、という問題なら話は別だ」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:15:19.79 ID:92sQndLA0
のび太「まだ、わからないよ」

ドラえもん「いいかい? 僕の住んでいる未来は、スネ夫君が死ぬことで成り立っているといってもいいんだ」

のび太「ああ」

ドラえもん「それなのに、スネ夫君を今ここで助けると、その支える存在の一部がなくなってしまうだろう?」

のび太「ああ」

ドラえもん「だから助けられないんだ。法律で禁じられている」

ジャイアン「で、でもよ

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:19:01.37 ID:92sQndLA0
ジャイアン「スネ夫は親友なんだぞ! それなのにお前は!」

ドラえもん「僕だって出来ることなら助けたい! だけど、それが出来ないんだ!」

しずか「ドラちゃん……」

ジャイアン「くッ……」タタタタ

出木杉「ご、剛田君!」タタタタ

のび太「そ、そんな……じゃあ、もうスネ夫は……」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:22:10.84 ID:92sQndLA0
ドラえもん「……」

のび太「うわあああああああああああああああああああん」

しずか「の、のび太さん……」グスッ

手術室「ポーン」

ドラえもん「!」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:23:14.37 ID:92sQndLA0
スネママ「す、スネちゃまは!?」

手術医「……手は尽くしました……。遅すぎたんです……」

スネママ「じゃ、あ、あ、あああああああああああ」

手術医「申し訳ありませんでした」

スネママ「す、すねちゃまああああああああああああああああああああああああ。あだじfだしふぁs」ドサッ

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:26:53.73 ID:92sQndLA0
ドラえもん「お、お母さん!」

スネママ「」

手術医「いま、医者を呼びます……仕方ない。メンタルケアをしっかりしなきゃ……」

しずか「そ、そうだ……武さんと出木杉さんに伝えなきゃ……」

のび太「ぼ、僕も一緒にいようか?」

しずか「わたし一人で大丈夫よ」タッタッタッ

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:28:50.39 ID:92sQndLA0
病院前
ジャイアン「ハァ……ハァ……」

出木杉「ご、剛田君!」

ジャイアン「俺は、納得できねえ……なんで……なんでスネ夫が……」

出木杉「ぼくだって、同じだ。でも、今は……」

ジャイアン「ちきしょう……ちきしょう……」ボロボロ

しずか「ふ、二人ともー!」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:31:04.18 ID:92sQndLA0
出木杉「しずかさん!」

ジャイアン「ど、どうしたんだよ」

しずか「す、スネ夫さんが……スネ夫さんが……」

ジャイアン「助かったのか!?」

しずか「亡くなったわ……」

ジャイアン「」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:33:14.55 ID:92sQndLA0
ジャイアン「ゆるさねえ……俺は絶対に、犯人をゆるさねえ」

出木杉「許さないたって」

ジャイアン「この手で捕まえてやる……ギッタギタのメッタメタにしてやるからな……」

出木杉「あ、どこ行くんだよ! 待ち給えよー!」

しずか「放っておきましょう……仕方ないわ」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:35:34.08 ID:92sQndLA0
ドラえもん「帰ろう……」

のび太「え、でも」

ドラえもん「僕達にできることはない。直に先生が来る」

のび太「ああ……」

ドラえもん「しかし、一体ダレがこんなこと……」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:38:40.40 ID:92sQndLA0
翌日
のび太「おはよう」

ドラえもん「ああ、おはよう」

のび太「しかし、嫌な夢を見たな……」

ドラえもん「どんな夢だい?」

のび太「ああ、──」

ドラえもん「奇遇だな。僕も全く同じ夢を見たよ」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:41:39.65 ID:92sQndLA0
のび太「全く、朝から嫌な気分だ。んじゃ、学校行くね」

ドラえもん「ああ。じゃあね」

のび太「いってきまーす」

ガチャッ

ドラえもん「……」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:45:13.30 ID:92sQndLA0
出木杉「あ、野比君!」

のび太「ああ、出木杉!おはよう!」

スネ夫「今日は早いんだな」

のび太「ああ。変な夢を見たからね」

しずか「へえ、どんな夢?」

のび太「うーん、言葉では説明し辛い夢かな」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:49:19.96 ID:92sQndLA0
スネ夫「のび太のくせにロマンチストじゃねえか」

出木杉「まあ、僕達が見た夢に比べれば、いい夢なんだろうね」

のび太「え? なんで?」

しずか「みんなで一緒の夢を見たの。しかも、すごく不気味な」

のび太「も、もしかして、それってスネ夫が事故に遭う夢じゃ……」

出木杉・スネ夫・しずか「「「!」」」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:52:37.82 ID:92sQndLA0
出木杉「やっぱり、君もも見たのか……」

スネ夫「ってことはドラえもんも……」

のび太「ああ。そうみたいだ」

スネ夫「ったく、気味が悪いな。よりによってなんで僕なんだよ」

のび太「……ところで、ジャイアンは?」

しずか「ジャイアン? 誰? それ」

のび太「えっ……」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 18:56:46.11 ID:92sQndLA0
のび太「ジャイアンって、ほ、ほらあのガキ大将の」

スネ夫「ガキ大将? お前、この町のガキ大将はお前じゃねえか!」

のび太「えっ……」

出木杉「不思議な夢を見たから、記憶が混濁しているんだよ」

のび太「き、君たち本当に知らないの!?」

しずか「あ、もうこんな時間よ! 早く行かなくちゃ!」

のび太「あ、ちょ、ちょっと!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:00:35.48 ID:92sQndLA0
先生「の、野比ー!」

のび太「……」

先生「おい野比! 返事をせんか! 毎日毎日遅刻しおって!」

クラス「ワハハハ」

のび太「す、すいません、体調が悪いので保健室に行きたいんですけど……」

先生「そうなのか? オッホン! なら仕方ない。行きなさい」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:05:19.30 ID:92sQndLA0
養護教諭「あら、珍しいじゃない。どうしたの?」

のび太「すこし、体調が悪いんです……」

養護教諭「そう。じゃあここに名前を書いて、熱を測りましょう」

のび太「はい」

ピッピピッ

養護教諭「熱はあんまりないわね……。じゃあベッドでしばらく寝ましょうか」

のび太「はい……」

養護教諭「じゃ、一時間経ったら起こしに行きますからね

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:08:12.58 ID:92sQndLA0
のび太「あ、あの、剛田武君って知ってますか? ここらへんのガキ大将なんですけど」

養護教諭「知らないわね……。確かこの小学校にはいないはずよ。それに、ここらへんのガキ大将はあなたじゃない」

のび太「そうですか……」

養護教諭「じゃ、おやすみなさい」

のび太「はい……」

ガラガラ

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:12:11.01 ID:92sQndLA0
のび太(おかしい! なんでジャイアンがいないんだ!?)

のび太(思いだせ!)

のび太(この前、しずかちゃんとスネ夫とジャイアンとで南の島までバカンスに行って)

のび太(その後、スネ夫が事故に遭って……)

のび太(あれ? ど、どういうことだ?)

のび太(わ、わからない……)

のび太(……)

スヤスヤ スヤスヤ

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:16:35.77 ID:92sQndLA0
ピヨピヨ
──! ──くん! ──のびたくん!

ドラえもん「のび太くん!」

のび太「ハッ」

ドラえもん「大丈夫かい? ずいぶんうなされていたようだけど」

のび太「こ、ここは学校じゃ」

ドラえもん「何を言っているんだ? まだ朝だよ。やっぱり、昨日のショックが大きいのか?」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:19:06.57 ID:92sQndLA0
のび太「だ、だって、ぼ、ぼくは学校のベッドで」

ドラえもん「やっぱり……。他のみんなもそうするだろうから、今日は休めよ」

のび太「──! ドラえもん! 昨日スネ夫は事故に遭わなかったか!?」

ドラえもん「あ、ああ。そうだよ。本当に大丈夫か?」

のび太「……ますます、わからない……」

ドラえもん「ちょっと熱があるな。まだ寝とけよ。ママには僕から説明しておくよ」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:22:25.42 ID:92sQndLA0
のび太(昨日スネ夫が事故に遭ったことが事実として存在する世界)

のび太(そして、ジャイアンが消えた世界)

のび太(どちらかが夢なのか?)

のび太(いやでも、じゃあ、なんでぼくは夢かもしれない世界でこんなに考えることが出来る?)

のび太(どちらも世界として存在するのか?)

のび太(わけがわからん)

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:27:21.06 ID:92sQndLA0
スヤスヤ スヤスヤ

ドラえもん「のび太くん、ママも休んだ方がいいといっていたから、今日はやすみだぜ」

ドラえもん「それと、聞きたいことが」

ドラえもん「って寝たのか」

ドラえもん「……」

ドラえもん「のび太君、君はそこまで自分を苦しめたいのかい」

ドラえもん「どうして」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:51:40.30 ID:92sQndLA0
──君! ──野比君!

のび太「はッ」

養護教諭「もう一時間経ったわよ。ずいぶんと顔色悪いけど、早退する?」

のび太「……いえ、大丈夫です。このまま授業に出ます」

養護教諭「そう。あんまり無理しないでね」

のび太「ありがとうございました」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 19:58:12.03 ID:92sQndLA0
授業中
のび太(分かったことが、2つ)

のび太(まず、この世界はどちらも確かに存在していること)

のび太(証拠として、僕の感覚、思考、記憶は、世界が2つに分かれていても、どちらの世界でも受け継がれている)

のび太(もう一つ。僕が世界を行き来するに必要なのは睡眠だ)

のび太(ただ、わからないことはもっとある)

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:01:57.32 ID:92sQndLA0
のび太(まず、なぜいきなり世界が2つにわかれたのか)

のび太(次に、なぜジャイアンは消えたのか)

のび太(更に、なぜ睡眠がスイッチになっているのか)

のび太(なぜスネ夫が死んだという世界の出来事が、こちらの世界では夢として現れたのか)

のび太(この現象を引き起こしているものは何か)

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:07:41.71 ID:92sQndLA0
キーンコーンカーンコーン
のび太(ドラえもんが鍵になっている可能性がある)

のび太(そういえば、こちらの世界のドラえもんは、ジャイアンを知っているのだろうか)

のび太(確認する必要があるな)

先生「えーでは、気をつけて帰るように」

生徒A「気をつけー! 礼!」

生徒「さよーならー」

のび太(行かなくちゃ!)

先生「待ちなさい!」

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:12:34.66 ID:92sQndLA0
のび太「は、はい」

のび太(急いでいるのに!)

先生「野比! お前はまた遅刻に宿題忘れに……」

クドクドクドクドクドクドクド

のび太(話が長い!)

カーッカーッ

先生「ん? もうこんな時間か。今日のところはこれまで。このプリントをあした提出しなさい」

のび太「は、はい」

のび太(こんなことやっている場合じゃないのに! うっとおしい!)

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:18:33.10 ID:92sQndLA0
のび太「ただいま!」

ママ「のび太! また学校から電話がありましたよ」

のび太「説教なら後で聞くよ!」

ママ「の、のび太ー!」

ガララッ

ドラえもん「おかえり、のび太君」

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:26:53.61 ID:92sQndLA0
ドラえもん「のび太君!」

のび太「ドラえもん!」

ドラえもん「……どうやら、どっちにも、話があるようだ。先にどうぞ」

のび太「君は、ジャイアンを知っているか?」

ドラえもん「──!」

のび太「やはり、何か知っているな」

140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:31:40.23 ID:92sQndLA0
ドラえもん「ああ。知っているよ。名前だけね」

ドラえもん「この世界とは、また別の世界があることもね

のび太「じゃあ、これは君が仕組んだ──!」

ドラえもん「違う。僕にはこんな恐ろしいことは思いつかない」

のび太「ど、どういうことだ……」

ドラえもん「さあ、ね」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:35:32.15 ID:92sQndLA0
のび太「なんだって!」

ドラえもん「僕からの、話だ」

のび太「……話せよ」

ドラえもん「このメモを君に渡すよ」

のび太「……」

ドラえもん「僕からの話はこれで終わりだ」

のび太「こ、これは──

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:38:07.41 ID:92sQndLA0
 世界 分裂

 生きる価値 もしもボックス

 試験。僕の、試験。すべてを試験

 生きねばならない。死ぬために

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 20:42:00.90 ID:92sQndLA0
のび太「意味がわからない」

ドラえもん「分からねば、それだけさ」

のび太「……」

ドラえもん「さあ、ご飯だよ」

のび太「待ってくれ、ドラえもん!」

ドラえもん「何だい?」

のび太「君は味方なのか?」

ドラえもん「さあ、ね」

173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 21:15:38.89 ID:92sQndLA0
ただいま戻りました
保守ありがとうございました

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 21:20:45.73 ID:92sQndLA0
翌日
のび太「ふぁ~あ」

ドラえもん「おはよう」

のび太「こっちは……、スネ夫が死んだ世界か」

ドラえもん「そうだよ」

のび太「……気が重いな。学校に行きたくないや」

ドラえもん「何を言っているんだ。今日は休みにすると言っただろ」

のび太「え? ああ、そうか」

ドラえもん「それに、先生も死んだしな」

178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 21:25:34.72 ID:92sQndLA0
のび太「な、何ィ!?」

ドラえもん「交通事故だ」

のび太「そんな、バカな……二日連続で……そんな」

ドラえもん「本当だ。残念ながらね」

のび太「ど、どういうことだ……」

181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 21:29:30.63 ID:92sQndLA0
のび太「もしかして……」

ドラえもん「のび太君。僕から最初で最後のヒントをあげるよ」

のび太「……」

ドラえもん「これはね、試験だ」

のび太「試験……?」

ドラえもん「これ以上は何も語れないよ」

のび太「……」

186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 21:35:36.31 ID:92sQndLA0
のび太「そういう、ことか……」

ドラえもん「驚いたな。もうわかったのかい?」

のび太「ドラえもん。これは最後の質問なんだけどね」

ドラえもん「何だい」

のび太「こっちのジャイアンはどうなってる?」

ドラえもん「素晴らしいな……」

191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 21:41:43.75 ID:92sQndLA0
ドラえもん「こっちのジャイアンはね。昨夜未明から行方不明だ」

のび太「……そうか……」

ドラえもん「もう、いいかな?」

のび太「いや。これで確認するべき事項か出来た」

ドラえもん「大サービスだ。答えてやるよ」

のび太「向こうの世界でのスネ夫は、死ぬのか?」

ドラえもん「ああ。毎晩自分が死ぬ夢を見て、ノイローゼを起こして死ぬ」

195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 21:48:34.64 ID:92sQndLA0
のび太「……そう……か……。もしもボックスを出してくれないか」

ドラえもん「ほれ」

ドスン

のび太「ありがとうドラえもん……。上手くやるよ」

ドラえもん「この道具にいう言葉もわかっているのかい」

のび太「ああ。当然だろ」

ドラえもん「やっぱり、君はさすがだな……」

のび太「もしも──もしも、世界が分裂が起こる前い言った僕の言葉が、すべて破棄されたなら──」

201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 21:54:11.24 ID:92sQndLA0
──







のび太「ここは、どこだ」

ドラえもん「ここはどこでもない。すべての世界が統合されたさ。スネ夫も死なず、ジャイアンも死なず、みんな不幸にならない世界だ」

のび太「そうか」

ドラえもん「また、君だけが不幸になる世界だ」

208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:03:18.43 ID:92sQndLA0
ドラえもん「これは試験だと言ったね」

のび太「ああ」

ドラえもん「答えを聞こうか」

のび太「どこから説明していいのやら……」

のび太「最大の謎は、なぜ世界が分裂していることか、だが、これは容易に想像がついた」

のび太「このもしもボックスさ」

212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:09:08.51 ID:92sQndLA0
のび太「だが、手段が分かっても動機が分からなかった。なぜ世界を分裂させたのか」

のび太「謎はまだある。なぜスネ夫が死んだのか。なぜジャイアンが消えたのか。なぜ先生が死んだのか」

のび太「なぜ、君が僕と同じように、記憶も、思考も2つの世界で共有しているのか」

のび太「なぜ、睡眠を、2つの世界を行き来出来るスイッチにしたのか」

のび太「なぜ、ジャイアンの影響がスネ夫が死んだ世界に、スネ夫の影響がジャイアンが消えた影響にあるのか」

のび太「このように謎をどんどん積み上げていくと、これは作為的なものだということに思いついた」

のび太「これは、システムによって動いている。誰かが構築した、システムだ」

ドラえもん「その、誰かとは」

のび太「──僕、だ」

217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:15:21.02 ID:92sQndLA0
ドラえもん「ほう、何故だ」

のび太「まず、最初に違和感を覚えたのは、睡眠をスイッチにしたことだ」

ドラえもん「ふむ」

のび太「他にもやりかたはあったはずだろう。なぜ、睡眠というのをキーにしたのか」

ドラえもん「確かに、そのように考えると不自然だな」

のび太「しかし、こう考えれば、納得が行く」

のび太「僕をよく知っている人間がこのように設定した、と」

222: >>220 ないですよ 2014/02/24(月) 22:23:19.66 ID:92sQndLA0
ドラえもん「すこし飛躍してないか?」

のび太「そうだろうか? 僕はすぐに寝ることが出来る。そうしたら、別の世界で起きたことがすぐに確認できる」

ドラえもん「確かに。寝るのが君の趣味だからな」

のび太「そうだ。だからこそ、睡眠をスイッチにしたのは、こう考えると非常に合理的なんだよ」

ドラえもん「たしかにね」

のび太「そして、僕がすぐに眠れることを知っている人間は身近な人だけだ」

229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:32:04.61 ID:92sQndLA0
のび太「そして、そこまで簡単にスイッチングが出来るようにした意味を考える必要がある」

ドラえもん「なるほど」

のび太「なぜスイッチングを簡単にしたのか……」

のび太「そう、それは、そのシステムを考案した人物が、2つの世界の行き来が、今回の謎を解く重要な行動になるとしっていたからだ」

のび太「そうした場合、ここから考えてくることによって、2つの世界のつながりこそ、今回の謎を解く鍵でもあるわけだ」

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:39:26.62 ID:92sQndLA0
ドラえもん「続け給え」

のび太「2つの世界のつながりとは何だろうか」

のび太「ジャイアンが消えた世界をA。スネ夫が死んだ世界をBにする」

のび太「Aの世界では消えたことになっているジャイアンが、Bの世界でも消えている」

のび太「Bの世界で死んだスネ夫は、Aの世界でも死ぬ」

のび太「つまり、このAとBは表裏一体になっている」

240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:45:52.05 ID:92sQndLA0
ドラえもん「表裏一体?」

のび太「そう。表裏一体だ」

のび太「そうやって仮定すると、2つの謎──実質的にはひとつの謎だが──を解決することが出来る」

ドラえもん「その謎とはなんだい」

のび太「何故先生が死んだのか、なぜスネ夫は夢を見なければならなかったのか」

のび太「つまり、これは僕が鍵になっているんだ」

ドラえもん「ん?」

のび太「不自然そうな顔をしているね。これは、じつは考えればすぐに分かることだ」

248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:50:54.56 ID:92sQndLA0
のび太「全ては試験であって、解かれるために謎は存在するという前提をしっかりと頭に叩き込もう」

のび太「そうすると、世界のつながりがあるならば、それに気づく人間が必要だ」

のび太「気づく人間の条件とはなんだろう。それはつまり、AB2つの世界両方で、共通した感覚、思考、記憶を持つ、ということだ」

のび太「その条件に合致する人物は二人しかいない。君と、僕だ」

のび太「しかし、君は一切の手出しができなくなっている。とするならば、僕が鍵になっているという結論にたどり着く」

254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:55:00.70 ID:92sQndLA0
ドラえもん「なるほど。論理的に見えるね」

のび太「さて、この表裏一体の2つの世界において、現れる特徴はすべて僕に関係していることは明らかだ」

のび太「2つの世界に現れる特徴とは、つまり死だ。先生が死に、スネ夫が死に、ジャイアンが死んだ」

のび太「その死に関係している人物とは誰だろうか」

のび太「これは、僕だ」

260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 22:59:30.61 ID:92sQndLA0
ドラえもん「おかしくないかい?」

のび太「いや、おかしくない」

のび太「言っただろう。この世界の謎は解かれるために存在する」

のび太「2つの世界の謎を解けるのは僕しかいないんだ。だけど、なんで僕を選んだのか」

のび太「他の人間でもいいのに、僕を選んだ。それはなんでだ!」

のび太「僕が、このシステムを構築したからだ」

261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 23:00:48.65 ID:92sQndLA0
ドラえもん「話が堂々巡りしているね」

のび太「そうだろうか? もうすべての話は終ったも同然だ。後は、些細な動機が残っているだけだ」

ドラえもん「?」

のび太「このシステムを構築したのは僕である、という事実に辿り着くまでの論理的な道筋は作った」

のび太「後は、僕がなんでこのシステムを構築したのかという動機と、表裏一体の世界の謎だけだ」

264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 23:06:31.37 ID:92sQndLA0
のび太「動機の話はすこし長くなるかもしれない。先にこの世界の謎を解こう。つまり、死だね」

のび太「さて、スネ夫にもジャイアンにも先生にもある特徴がある」

ドラえもん「それはなんだい?」

のび太「僕が嫌っていることさ」

ドラえもん「つまり君は、君自身がその三人を嫌っているから、ABどっちの世界でも死んだということかい」

のび太「そういうことだ」

ドラえもん「すこし、君を中心に考え過ぎじゃないか? その三人を嫌っている人間だったらそこら中にいるぞ」

のび太「言っただろう。この謎を解けるのは僕しかいないんだ。じゃあ、僕を中心に考えてもいいだろう。そうしないと、解けない謎なんだからな」

ドラえもん「……」

269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 23:10:41.51 ID:92sQndLA0
のび太「つまり、単純な話で、僕に嫌われていたから彼らは死んだんだ」

のび太「自分身勝手に聞こえるかい? でもこれがすべてだ。これが、僕が幸せになる世界だ」

のび太「ジャイアンも、スネ夫も、僕のいじめっこだった。彼らのせいで僕は不幸だ」

のび太「だから、僕は彼らさえいなくなれば不幸ではなくなる」

のび太「でも、もしかしたら僕の幸福を脅かす人間が出てくるかもしれない。だから、僕が少しでも不幸になるのであれば、その不幸の原因は取り除かなければならない」

のび太「だから先生は死んだ。僕はA世界で彼を嫌ったからね」

のび太「しかし、冷静に考えれば至極まっとうな疑問も浮かぶ」

ドラえもん「それは何だい?」

のび太「なぜ、このシステムの構築者はABと、世界を2つに分けたのか」

273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 23:19:04.71 ID:92sQndLA0
ドラえもん「君のいう、動機の謎かい?」

のび太「そうだ。これは非常に不思議だ。確かに、どちらの世界でも人間は死ぬのであれば、世界を2つに分ける理由なんかないんだ」

のび太「僕も最後までこれは不思議だった。あのメモを見るまでは、どうしても、な」

のび太「あのメモにこう書かれていた。『生きねばならない。死ぬために』」

のび太「これはもうもろに自殺の文章なんだ。この僕の状況を考えれば。ね」

のび太「睡眠でスイッチングされる世界、普通に考えればありえない。きっと、僕なら混乱してその内自殺でもするだろう」

のび太「幸福を享受しながら、僕は常に混濁した記憶とともに生きていかねばならない」

のび太「僕が幸福になる罰なんだよ。この世界は」

のび太「僕は本当に頭がいいね。僕が幸福になる度に誰かが不幸になっていく。本気を出せば頭がいい僕は、気づくことに期待したんだ。この哀しい事実に」

のび太「そして、僕に求めた。謎を解くか、自殺をするか」

のび太「つまり、元の世界で不幸なままか、幸福になるが、錯乱を起こすか」

のび太「この2つを選ばせるためだけに、今回の試験は仕組まれた」

のび太「そういうことだろう」

277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 23:23:17.72 ID:92sQndLA0
ドラえもん「素晴らしい。正解だ」

ドラえもん「正解だ。その上で君に問う」

ドラえもん「君は不幸になりたいのかい」

のび太「……そうだよ」

ドラえもん「よし。すべてを元に戻す」

ドラえもん「君の決断を僕は信じる」

282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/24(月) 23:27:08.44 ID:92sQndLA0
──








ジャイアン「おいのーびーたー、野球行こうぜー!」

スネ夫「返事がないな~」

ジャイアン「ママちゃんの○○○○離れろよ~」

スネ夫「ヒット打てなきゃ○○にもどれ!」










のび太「いやこれ元に戻さない方が良かったわ」  
                                                        完