小鳥「プロデューサー、何かありました？ 難しい顔してますけど……」


Ｐ「えっ、……そんな顔してました？」


小鳥「そりゃあもう。ダメですよ、アイドルの子達にそんな顔見せちゃ」


Ｐ「あはは、そうですよね。すいません」


小鳥「それで？ 何があったんですか？ プロデューサーがそんな顔見せるなんて珍しい」


Ｐ「ひどいなぁ小鳥さん。いやぁ……大したことじゃないんですよ」





Ｐ　「今度、幼馴染が結婚するんです」

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エミリー「仕掛け人さま、ただいま戻りました」


Ｐ「おうエミリー。レッスンお疲れ様」


エミリー「…………」


Ｐ「……？　どうした？俺の顔になんかついてるか？」


エミリー「仕掛け人さま、もしかしてご気分が優れないのですか？」

Ｐ「えっ？　参ったなぁ……俺そんなに顔に出やすいかなぁ……」


エミリー「やはりお体の加減がよろしくないのですね！ 今すぐお医者様に……」


Ｐ「ああああ違う違う！ 別に調子が悪いわけじゃなんだ！ ただちょっと考え事があるだけだよ！」


エミリー「考えごと……ですか？」


Ｐ「そう！ 考え事！ だから大丈夫だよ、何でもないから。心配してくれてありがとな」


エミリー「……仕掛け人さま、よろしければそのお悩み、私に打ち明けてはくださいませんか？」

Ｐ「えっ……」


エミリー「私はまだ頼りないかもしれませんが、仕掛け人さまの悩みを共有することはできます。せめて、そのような形でも仕掛け人さまのお力になりたいのです」


Ｐ「エミリー……ありがとう。でも、本当に大したことじゃないんだ」


エミリー「本当ですか？」


Ｐ「あぁ……今度さ、俺の幼馴染が結婚するんだよ」


エミリー「まぁ！ それはおめでとうございます！ ……でも、なぜ難しいお顔をなされてたのですか？」


Ｐ「……その幼馴染ってさ、俺の初恋の相手なんだ」


エミリー「…………！」

Ｐ「いや、別に付き合ってたわけじゃないし、そもそも告白すらしてないから向こうは俺が好きだったこと知らないだろうけどさ」
　
　
Ｐ「　伝えようかやめようかって優柔不断になってる間に、幼馴染には彼氏ができてさ……そこで諦めちゃったんだよなぁ、想いを伝えるの」


エミリー「…………仕掛け人さまは、想いを伝えられなかったこと、後悔しているのですか？」


Ｐ「…………どうだろうな。小さい頃から一緒にいたから、親愛を恋心と勘違いしてたのかもしれないし、家族みたいな関係が壊れるのもいやだったからな。半々って感じかな」


エミリー「…………」


Ｐ「幼馴染は家族みたいなもんだったから、本当なら結婚を心から祝わないといけないんだけどさ、考えちゃうんだよ。もしあの時告白してたら、隣にいたのは俺かもしれないって」ｳﾙｯ


エミリー「…………」

Ｐ「……ごめんな、こんなみっともないとこ見せちゃって。情けないだろ？ 俺」ｸﾞｽｯ


エミリー「…………そんなことありません仕掛け人さま」ｷﾞｭｯ


Ｐ「エミリー…………？」


エミリー「仕掛け人さまは、真摯に幼馴染さまと己の恋心に向き合ってるではありませんか。長い時間、想いを伝えなかったことを後悔しながらも、幼馴染さまを祝福しようとしているではありませんか」


エミリー「そしてそのことで涙を流せる仕掛け人さまを、どうして情けないと思えるでしょうか」


Ｐ「…………っ」


エミリー「大丈夫ですよ仕掛け人さま」



エミリー「あなたは立派な日本男児です」

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律子「プロデューサー、何かありました？」





Ｐ「ん？ 何かって？」


律子「いや、心なしか嬉しそうな顔してたので」


Ｐ「あぁ、それは…………」


Ｐ「…………」


Ｐ「…………」ｸｽｯ


Ｐ「……今度、幼馴染が結婚するんだ」