1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:29:04.53 ID:A91zyzKc0.net
サザエ「設定も終わったし、早速通販でもしてみようかしらね。」

マスオ「えぇー?!サザエ、そのPC、比較的新しいモデルじゃないのかい?」

サザエ「うふふ、実は買ったわけじゃなくて、懸賞で当たったの。」

引用元: サザエ「ついに家にもパソコンがきたわー」 


おたからサザエさん 1巻
長谷川町子
朝日新聞出版
売り上げランキング: 186
8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:31:54.15 ID:A91zyzKc0.net
サザエ「あら、通販って本当に便利ね。カタログいらずだわ!」

カツオ「ねぇさーん・・パソコンもいいけど、ちゃんと料理も作ってよね。」

サザエ「まっかせなさーい。これからはクックパッドもあるし、私の腕が更に振るえるわよー!」

フネ「おやおや・・まあサザエもご機嫌だし、いい事だったんじゃあないかねえ?」

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:34:16.85 ID:A91zyzKc0.net
──数日後、カツオ 帰宅

サザエ「・・・」カチカチカチ

カツオ「ただいまぁねーーーさーん!」

サザエ「・・・・・」カチカチ

カツオ「相変わらずパソコン漬けなの?ねえさんのハマりっぷりは凄いねぇ。」

サザエ「いいものみつけたの。」

カツオ「え?」

サザエ「ネットゲームよ。案外面白いわ、カツオも一緒にやりましょ。」

13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:37:05.22 ID:A91zyzKc0.net
カツオ(ねぇさんの暇つぶしが見つかったのはいいけど・・・)

サザエ「あら、ギルドボーナスって羨ましいわねえ。」

カツオ(前より喋り方とか・・なんていうか覇気みたいなものがなくなったような?)

ワカメ「ただいまー、ごめん。ちょっと寄り道して遅くなっちゃったわ。」

サザエ「あら、おかえり。ワカメ、あの件考えておいてくれた?」

カツオ(ちぇっ、ワカメだけには返事をかえすのかよ・・それにしても、あの件ってなんだろう?)

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:40:55.58 ID:A91zyzKc0.net
ワカメ「ええ、ただ、アタシその・・パソコンってよくわからないの。」

サザエ「簡単よ。ネットゲームは敵をクリックして倒すだけよー
    それに、アタシにもできたのよ、ワカメにもできるわよー!」

カツオ「ええ?!ワカメもネットゲームやるの?!」

サザエ「身内ギルドの方がいろいろ都合がいいわ!少し型落ちだけど
    ワカメにもいずれ必要になるだろうから、今のうちにパソコンを買ってあげるのも悪くないわよね。」

ワカメ「そ、そうね。」

カツオ『ワカメぇ・・本気なのかい?』ヒソヒソ

ワカメ『おねえちゃんがあまりにも頼んできて・・その・・可哀想だったから。』

サザエ「家族でギルドってのもいいわねぇ・・」

カツオ「!!」ゾワッ

16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:45:22.21 ID:A91zyzKc0.net
カツオ「ぼくもやらないといけないの?!」

サザエ「ちょうどパソコンの割引セールあったのよ。
    一昔前のだから在庫処分も含めて、これが買っておくチャンスよ!」

カツオ「ねぇさんがネットゲームに巻き込みたいだけなんじゃないの・・?」

サザエ「あらやだ!聞き分けの悪い子ね!これからはワカメの言う事だけ聞いてあげようかしらぁ?」

ワカメ「そ、そうよ。いつもお世話になっているおねえちゃんを助けるつもりで
    アタシにできることなら手伝いたいわ・・」

カツオ「! ワカメまで・・」

サザエ「じゃあ皆の分買っておくわねー!今時我が家にパソコンが無いなんて
    逆におかしかったのよー!」

カツオ(狂ってる・・・・)

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:48:53.15 ID:A91zyzKc0.net
カチカチカチカチカチカチ

マスオ「ただいまーー!」

波平「かえったぞー」

カチカチカチカチカチカチ

カツオ「あ、お帰りなさーい!」

波平「サザエ達はお風呂にでも行ってるのか?」

カツオ「・・・・」

マスオ「!!」

ワカメ「おねえちゃんって教え方上手だわー!」

サザエ「ワカメのキャラのスキルを使えば更に上のモンスターでも狩れそうねぇ」

19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:52:55.44 ID:A91zyzKc0.net
マスオ「えぇー?!サザエ、晩飯は・・・」

サザエ「・・・あら!そうだったわ!
    出前でも取ろうかしら・・・
    でも安売りといえどパソコンにお金かけちゃってそれはマズいわねぇ」

波平「ば・・・ば・・・ばばばばば!ばっかもーーーーーん!!
   なんだこのパソコンの数は!まさか全部買ったわけではなかろうな!」

サザエ「アタシは皆でネットゲームやろうと思ってたのよー
    自分なりの皆へのサービスよー!」

マスオ「まさかネットゲームだけの為じゃあないよなぁサザエ?
    なにか計画があってのことだよねぇ?」

フネ「・・・・・・」カチカチカチカチ

24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 19:59:22.26 ID:A91zyzKc0.net
サザエ「当たり前よ!主婦を甘く見てもらっては困るわ!
    元は取るつもりでいるわ、これを見なさい」

マスオ「えぇー・・上位プレイヤー・上位ギルドには
    賞金300万山分けだってぇ?!」

サザエ「そうなのよー!それで、プレイヤー部門とギルド部門は別だから
    あたし達が上位ランク総なめして、それであたし達のギルドも上にランクインできれば?」

カツオ(ほぼ賞金が全額転がり込んでくる・・ねぇさんにも一応考えはあったのか)

波平「それならば早く言わんかバカモンが・・・何かに挑戦してるのだったら
   ワシらは陰から応援しとるぞー!」

マスオ「サザエは家でも稼げる主婦だねぇ」

サザエ「いえ」

サザエ「このパソコンの数を見てその言葉かしら?マスオさん」

マスオ「ってことは・・・」

フネ「やっぱり身内じゃない輩はマナーが悪いですねぇ・・」カチカチカチカチカチ

30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:05:43.38 ID:A91zyzKc0.net
サザエ「今からでもアタシがバックアップすれば皆上位にいけるわ!」

ワカメ「あーーーん!おねえちゃん、プレイヤーキラーがいるわー!」

サザエ「放っておきなさい、どうせネットでしか威張れないクズよ」

フネ「質が悪いガキばっかだねぇ」

サザエ「というわけで、早速皆も賞金イベントの為に頑張って上位にいくわよー!」

カツオ「ぼ、ぼ、ぼくも?!」

サザエ「当然よ、この企画にはメリットしかないわ」

マスオ(まあ、サザエも前に比べて元気でてきたし・・これに遣り甲斐を感じているのなら
    ここは僕としても背中を押してあげるべきなのかなぁ)

波平(あのかあさんですら出来るのか・・それに賞金だと?
   これはある種のビジネスで、ワシらがついていけてんだけなのかもな)

サザエ「皆興味持ってきたわね、画面に釘付けだわよー
    まあそうね、このボス狩り終わったら
    上位プレイヤーのアタシが一人一人にやり方教えるわよ」

32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:11:01.42 ID:A91zyzKc0.net
──数日後の磯野家

カチカチカチカチカチカチカチカチ

サザエ「水」

カツオ「は、はい。」

サザエ「このレベル帯マゾすぎるわ」

カツオ「ねえさん、水だよ」

──磯野家は、全員がネットゲームにのめりこむという異常事態に陥っていた。
  ただ一人、カツオを除いては。

ワカメ「お兄ちゃん、最後まで折れないのね」

フネ「まぁいいんじゃないの・・こういう形であたし達の援護をしてくれてるんだからさ。」

サザエ「買い物、これ、メモ」カチカチカチカチ

カツオ(ずっとこの調子だ・・僕も手を出していれば、ねえさん達みたいになっていたのかなぁ?)

カツオ「こんなの・・・変だよ」ボソッ

フネ「ん?」キッ

カツオ「!!」ビクッ

サザエ「素直にいってらっしゃい、聞き分けの悪い厨房は嫌いよ」

41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:16:13.48 ID:A91zyzKc0.net
カツオ「と、ところでねえさん」

サザエ「なに?」

カツオ「このバーゲンのチラシでさ、お一人様2個限りのサービス品が・・」

サザエ「へえ」カチカチカチカチ

カツオ「僕とねえさんでいけば、4個も買えてお得じゃない?」

カツオ(思えば・・いつも先にこういった台詞を言うのは姉さんの方だったのに)

サザエ「めんどくさいわ」

フネ「まあいいじゃありませんか・・その予定より余ったお金でガチャ回せると考えれば」

ワカメ「あ!それ凄くいい考えだと思うわ!」

サザエ「よりによって一番レベル高いアタシが行くの?
    ・・・まあいいわ、母さん達はその狩場で居座って
    アタシが帰るまで守っててよねー」

カツオ(ねえさんを真人間に戻したい…!)

46: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:23:39.55 ID:A91zyzKc0.net
フネ「あら、同じ狩場に居続けたら文句が飛んできましたよ」

ワカメ「マナー悪いわね、雑魚どもは引っ込んでればいいのに」

フネ「『この厨房いい加減にしろ』って・・
    あらまあ、テンプレートしか送れない残念な頭みたいですねぇ。」

ワカメ「負け惜しみは放っておくべきよ」

カツオ「ねえさん、早くいかないと売り切れるよーー!」

サザエ「そう」

カツオ(じゃあ、タラちゃんいってくるから)チラッ

タラオ(カツオにいちゃん
    ぼくは、"じゃまもの"にならないように、かげながらにおうえんしてるですぅ)

サザエ「そういえば久しぶりにタラちゃんみたわね」

カツオ「そういえば家族団欒の食卓ってのも減ったからねぇ」

カツオ(ねぇさんが心を現実に戻してくれてる・・?!)

サザエ「ねえカツオ」

カツオ「なにー?」

サザエ「この子にもネットゲームさせることって出来ると思う?」

49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:28:55.64 ID:A91zyzKc0.net
カツオ「タラちゃん・・が?」

サザエ「そうよ」

カツオ(僕が思ってる以上に、ねえさんは浸食されてる・・)

カツオ「それはさすがに・・・」

フネ「アタシでも出来たんだから、この子はもっと上をいけると思いますけどねぇ)

カツオ「か、かあさん!!」

ワカメ「それには同意。キーボード打てなくても、クリゲはマウスだけでも最低限の戦力になるわ。
    戦士作って通常攻撃特化+盾してもらえば効率ダンチよ。」

サザエ「まあ、ワカメには効率厨の才能があったのねー!」

ワカメ「経験値増加ポーション切れるから
    行くなら早く買い物行った方が効率いいわよ。」

カツオ「じゃあおっさきーー!」

サザエ「・・・・」スタスタスタ

55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:37:34.57 ID:A91zyzKc0.net
──スーパーの売り場に到着

サザエ「買ったし、もういいわよね?早くガチャ回したいわよ」

カツオ(前までは年に似つかわしくなくアレコレ寄り道していた姉さんが・・)

サザエ「あらまあ!!」

カツオ「どうしたの?また高いものでも買おうとしてるんじゃないだろうねぇ?」

カツオ(あの時の姉さんが帰ってきた と思ったのも束の間)

サザエ「このシリアルナンバーを入力すれば、ゲーム内で限定アイテムゲットできるのよ!」

カツオ「えっ、これただのお菓子じゃないの?」

サザエ「まさか家の近くにも売ってあったとは感涙だわー!!買い溜めしましょ!」

カツオ「こんなにお菓子あっても食べられないよぉ・・
    それに、安売りだから来たのに本末転倒じゃあ・・・」

サザエ「最悪の場合、シリアルだけ抜き取って処分すればいいのよー!」ガサゴソ

タイコ「あら!磯野さんじゃないの!」

カツオ(ここでタイコおばさん・・?!マズい、異変に気づかれないようにしないと)

カツオ「タイコおばさんこんにちはー!」

サザエ「・・・」

59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:44:33.54 ID:A91zyzKc0.net
タイコ「もしかして、磯野さんも安売りのチラシ見たのかしら?」

サザエ「卵2パックまで特別価格のやつかしら?
    正直、あまり魅力は感じなかったけど
    節約してガチャもできるから来ない理由がないわ。」

イクラ「・・・バブゥ」

カツオ(心なしかイクラちゃんが姉さんを怖がっているような・・
    そういえば姉さんの目つき)

タイコ「そ、そうだわね。とりあえずやっぱりチラシを見て来たってことかしら。」

サザエ「あーあ、この喋ってる間に経験値稼げればよかったのに」ボソッ

カツオ(鋭く・・というか、やけに悪くなったような)

タイコ「そ、それじゃあ失礼するわね。」

イクラ「・・・・・」

61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:47:55.98 ID:A91zyzKc0.net
サザエ「・・・あっ!そういえば!」

タイコ「?!」ビクッ

サザエ「この卵、雑魚モンスターのタマモーンに似てないかしら!?」

タイコ「そ、そ、そうね、ごめんなさい。また会いましょう」ガラガラガラ

カツオ(ダメだ、もう、末期なんだ・・)

カツオ(止められなかった僕にも責任はある)

カツオ(・・・家に帰ったら、本格的に作戦を練ろう)

63: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:52:26.52 ID:A91zyzKc0.net
──磯野家に帰宅

カツオ「ただいまー!」

サザエ「帰ったわよ」

カチカチカチカチカチ

ワカメ「おか。帰ってくるまでにギルドランク1つ上げといたわ。」

サザエ「ほんと?!やればできるじゃなーい!」

ワカメ「うい」

フネ「それはすごいわねぇ」

サザエ「父さんたちももうすぐ帰ってくるし、報告ね!」

カツオ「ねえさん、こんなに同じお菓子買っちゃったし
    その"ガチャ"ってやつ、また今度にしなよ・・」

サザエ「その手には乗らないわよー!もう3回はまわしちゃったわ!」
    
カツオ(ねえさんは・・
    ネットゲームに関わってる時だけ、いつも通り元気だ)

タラオ「・・・・・」

64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 20:55:26.11 ID:A91zyzKc0.net
フネ「さて、アタシも放置ツール解除して効率の良い狩りしますかねぇ」

ワカメ「そのツール時代遅れ感があるわ。アタシの最新版あげるわ。」

フネ「ワカメは本当に親思いねぇ・・」シミジミ

ガラガラガラ

波平「かえったぞー」

マスオ「ギルドの調子はどうだいー?」

66: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:02:35.22 ID:A91zyzKc0.net
サザエ「おかえりなさい。もうランク上位にいけるプランは完璧だわ。」

フネ「ワカメの手腕は凄いですねぇ」

ワカメ「タラちゃん、前より上手くはなったけど、そこでスキル使うと
    クールタイムが発生してボス前で挑む姿勢ではなくなるわ。
    他のギルド面子からも煽られて恥ずかしいから早く直した方がいいわね。」

タラオ「ご、ごめんですぅ・・」カチカチカチ

波平「たらちゃんまで参戦かー!」

マスオ「それより聞いてくださいよぉ!会社のPCでちょっとネトゲしてたら
    上の人が『次はないぞ!』なんて言うんですよぉ」

波平「マスオ君、それは本当か?!・・・とんでもないやつだな!」

マスオ「きっと嫉妬してるんでしょう。上位プレイヤーを見たら叩きたくなる心理だと思います。
    なので無視して隙を見つけたら狩場独占に勤しんでますよ。問題ないです。」

波平「ワシも心無い野次が飛んでくるから
   退職届を出して、これ一本でいくかと考えておったところだ」

マスオ「僕たちって気が合いますねぇ」

カツオ(もう限界だ・・・!明日、あの作戦に移るしかない・・・!!)

70: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:06:45.55 ID:A91zyzKc0.net
──翌日 カツオ、学校にて

カツオ「ちょっと、花沢さんにお願いが・・」

花沢「あら?磯野君から?!いいわよー!どーんと来なさい!」

中島「いそのー!野球しようぜーー!!」

カツオ「中島、悪い。それはまた今度でお願いするよ。

中島「えぇ?体調がすぐれないのかい?」

カツオ「まあ、そんなところさ・・。」

中島「ちぇー、わかったよ。また今度なー!」

カツオ「・・・っと花沢さん、ごめん。本題なんだけどさ。」

カツオ「花沢さん家って、お金持ちだよね?」

75: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:09:32.09 ID:A91zyzKc0.net
花沢「グフフ、何かと思えばロマンスとは程遠い言葉ね」

カツオ「・・・手伝ってほしいことがあるんだ」

花沢(やけに深刻な磯野君・・こういう磯野君も悪くないわ)

花沢「いいわよ!手伝えることなら言ってちょうだい!
   なんなら将来の嫁だと思ってくれて構わないわ!!」

カツオ「じゃあ、早速その内容を言うね・・・」

78: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:18:24.14 ID:A91zyzKc0.net
──カツオ 帰宅

サザエ「それはホントなのワカメ?!」

ワカメ「ええ、アタシも最初はビックリしたけど本当のようだわ。
    重課金のプレイヤーばかりが集まって、ギルドランクもかなり高い
    レベルはアタシ達には及ばないけれど、合併してギルドレベル上げて
    上乗せギルドバフ貰って、ステータス上昇。更に狩効率が上がるとアタシは見てる。)

サザエ「願ってもないチャンスだわ!」

フネ「まさかこの歳になってお世話になるとは思わなかったけれど
   買い溜めしておいたカップラーメンてのは便利ですねぇ」ズズズズ

タラオ「スキルツリー迷うです・・・」

ワカメ「乗るしかないわ、ギルドでのランクインはあちらに譲って
    プレイヤーレベルでアタシ達が上位に躍り出る。
    そちらの方が貰える賞金も多いわ。」

サザエ「あたし、正直賞金なんかどうでもよくなってきちゃった。
    それより経験値がほしいわ。」

ワカメ「それはいいですね・・・
    是非うちの面子全員でギルドHANA'sに入れてもらいます・・・
    そちらのギルド倉庫の物も使っていいって本当ですか?!有り難い限りです!!・・・っと」カタカタカタカタカチカチカチ

ワカメ「見た目と課金額から信頼度は高いわ。でもとりあえず下に出て様子を見ましょう。」

サザエ「この件はまかせたわよー!慎重にね!」

81: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:25:57.73 ID:A91zyzKc0.net
カツオ(全て・・・動き始めたんだ)

ワカメ「とりあえず、ギルド合併記念に共狩りにでも行きませんか?」カタカタ

タラオ「ワカメねえちゃん、チャットしながら高速でスキル回してるですぅ」

サザエ「ねー、タラちゃん。育ちざかりの子のもの覚えは凄いわねー」

タラオ「ぼくも・・がんばるです」

ワカメ「作戦決定。
    一緒に共狩りして、それで相手の狩り効率レベルを見ましょう。」

フネ「あたしは倉庫に物を預けてから行かせてもらいますねぇ」

サザエ「シーフキャラのレアドロップしたらアタシに回しなさいよー!」

ワカメ「口だけの脳筋厨房プレイってことはないだろうけど
    実力が試される狩場で早速お手並み拝見かしら。」

サザエ「楽しくなってきたわ!!」

サザエ「あと、カツオ」

カツオ「はい」

サザエ「水」

カツオ「はい」

83: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:31:41.79 ID:A91zyzKc0.net
フネ「ようやく狩場につきましたよ・・
   あらまあ、レアドロップのログが凄く流れてますねぇ。」

ワカメ「なかなかあちらのギルドもやるみたいだわ。
    リスクとリターンの表裏一体な狩場でよく持ちこたえてるのは流石ね。」

サザエ「あの人達何回ガチャ回してるのよー?!アタシ達が小さく見えて哀れだわ・・」

波平「左様」

フネ「あら、帰ってたんですか?早いですね。」

波平「あんな会社辞めてきたった!
   高レベルプレイヤーの嫉妬勢しかいないというマスオ君の言葉は本当だったわい!」

ワカメ「父さんも狩場手伝って。今からポータル出すから。」

波平「ああわかった、マスオ君もウェブマネー買ってから戻ってくるわい」

タラオ「わーい!皆とずっと一緒ですぅ!!」カチカチカチ

カツオ(花沢さん・・上手くやってくれよ!)

85: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:36:11.75 ID:A91zyzKc0.net
ワカメ「狩り終了、お疲れ様・・レアドロップ凄い数ですね(笑)
    うちのギルド倉庫パンパンで・・あ、そちらの倉庫を使っても良いという話ですが
    ・・・・あー、ありがとうございます!そちらのギルドレベルだとやはり倉庫の質も違いますね(驚)」

サザエ「あら、ワカメ、まるで別人みたいじゃない。
    草生やさないの?」

ワカメ「この人達は出来る人種だわ。厨房と一緒の態度する必要ないわよ。」

波平「ワカメの言う事も一理ある。」

タラオ「差別じゃなくて区別ですぅー」

波平「わっはは!タラちゃんも賢くなったのぉ!」

ガラガラガラガラ

マスオ「ただいまー!最後の給料でウェブマネー買ってきましたよ!」

90: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:41:27.92 ID:A91zyzKc0.net
ワカメ「あら、丁度よかったわ。
    そのウェブマネー、ギルド倉庫拡張に使うんじゃなくて
    直接ガチャに回しましょ。
    今、大手ギルドからお誘いがあって、あっちの倉庫使えるみたいなのよ。」

サザエ「そういうことなのよー!」

波平「わしゃこのゲームに骨を埋めるつもりでおるぞ!」

フネ「あらあら、アナタったら・・あたしもお供させてもらいますよ」

波平「よくいった!ワシの目に狂いはなかったということだな、ははは」

タラオ「こっちの倉庫からあっちの倉庫に"れああいてむ"を移すですぅー!」

101: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:50:05.79 ID:A91zyzKc0.net
──数時間後

サザエ「凄いわ!全部移したのにまだ倉庫に何か入りそうよ!」

ワカメ「ギルドにまで重課金できるのって相当よ」

波平「ワシらもレベル帯でいうと、トッププレイヤー一直線だからな!」

波平「あ、それとマスオ君」

マスオ「あ、はい。なんでしょう?」カチカチ

波平「最後の給料といったが、それは違うぞ。
   ワシらの最後の給料は、このネットゲームの賞金を手に入れることにある!」

マスオ「あはは、上手い事いいますねぇ!意気込みを感じるというか・・」カチカチカチ

カツオ「もう夜も遅くなりそうだから、僕は先に寝るよぉ・・」

サザエ「またカップラーメン補充しとくわねー、それと、この前
    買い物・食器洗い・お風呂洗いのお駄賃だけど」

カツオ「あ!そういえばもらってなかったよ」

サザエ「ゲーム内で換算すると500Kぐらいかしら?
    早くカツオもキャラ作ってエンジョイしなさーい!」

102: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:51:58.46 ID:A91zyzKc0.net
カツオ「ひ、酷いや姉さん・・・」

サザエ「キャラ作ってなくて受け取れないカツオが悪いのよー!
    それに、現金のお小遣いあげるぐらいならガチャに回すのが普通の考えよ」

波平「左様」

カツオ(ま、いいや。明日になったら・・僕の仕掛けておいた爆弾が爆発するんだから
    悪く思わないでよ…姉さん達!)


──そして、カツオの全てを賭けた 次の日

108: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 21:59:54.91 ID:A91zyzKc0.net
サザエ「カツオ、やけに早起きね」

タラオ「ワカメねえちゃん、ペットボトルそろそろ限界ですぅ・・」

カツオ「もう・・やりすぎだよワカメェ!!」

ワカメ「・・・・・・・・
    まだ後一回分は入るわ。便所行く間に格下プレイヤーに狩場取られたら笑い者よ。」ジョボジョボジョボ...

カツオ(やはり訴えかけてみても無駄、か。
    ワカメは特にそうだ。もはや洗脳されてるな、これは・・)

110: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:02:02.17 ID:A91zyzKc0.net
カツオ「んーっと・・そういえばさあ
    ねえさんって、この時間帯からまたパソコンしてるの?」

サザエ「やーね、徹夜で狩りしてるのよ
    横のゴミ袋みたらカップラーメンたくさん捨ててあるでしょ?察しなさーい」

カツオ(ネトゲが全ての生命源だといわんばかりに、姉さんはげっそりしてる・・)

カツオ(ネトゲのお蔭で生気を出せているようなものだ。
    ・・・もし、これが無くなったら一気に疲労が訪れるんだろうか?)

カツオ(それとも・・・言葉にならない絶望の方が先なんだろうか。)

サザエ「そういえばカツオは今日学校休みよね?」

カツオ「・・・!ま、まあねぇ」ビクッ

サザエ「ってわけで水もってきて」

カツオ「はい」

121: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:08:04.48 ID:A91zyzKc0.net
ワカメ「お兄ちゃんはいいわね」ボソッ

カツオ「え?」

ワカメ「スキル回しとか、狩場効率とか頭使わないで
    ・・・それでいて家族にも貢献しないで
    まあ、アタシだって学校なんかよりこっちの方が楽しいけどね。」

マスオ「ははは、子供には好きなことをさせてあげるべきだねぇ」

フネ「そうだねぇ・・っと、アナタ起きて」

波平「んー・・・」スヤスヤ

フネ「ギルドの称号ランク落とすわよ」

波平「それはいかーーーん!!」バサッ

フネ「あたしだって眠たいんですよ?
   一緒に骨を埋めようって言ったのはどこの誰だったかしらねぇ?」

波平「も、申し訳ない」

カツオ(そろそろ花沢さんから電話が来る頃・・・)

128: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:15:03.69 ID:A91zyzKc0.net
ジリリリーン

サザエ「カツオ」

カチカチカチカチ

サザエ「電話」

カツオ「いわれなくてもわかってるよ!」

タラオ「突発ボスで皆集中してるですぅー」

──カツオ 電話へと向かう

花沢「いーーーそーーのーーくーーん!!」

カツオ「花沢さん!!」

カツオ(くぅー・・こんなに花沢さんと話すのが楽しく思えるなんて・・!)

カツオ「あの件、頼んだよ!」

花沢「まっかせなさーい!父ちゃんの顔が広いから、プレイヤー集めには手間取らなかったわ!」

カツオ「ほんと、感謝するよ」

花沢「っていうか、もう既に手は打ってあるのよ。チェックメイトだわ!」

カツオ「えっ?」

137: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:21:53.50 ID:A91zyzKc0.net
ワカメ「あのギルドの上流権限持ったプレイヤーがINしないわ・・
    これじゃあ倉庫からアイテム出せないじゃない!」イライライラ

フネ「まあ重課金に、こんなに大きいギルドですから
   待っていればそのうちINすると思うんだけどねえ」

ワカメ「アイテム持ち替えて効率スイッチング戦法ができないと
    効率ガタ落ちよ!!武器全部修理します~とか言っておきながら
    肝心の物は倉庫に眠りっぱなしとかどんなギャグよ!!」バンッバンッ

マスオ「ワ、ワカメちゃん落ち着いてぇ・・」

波平「左様。信じる者は救われるという。」

ワカメ「ちなみに父さんのメイン以外の強化武器もほとんどが倉庫よ」

波平「ば、ばっかもーーーーん!ワシの血と汗の結晶を返さんかー!!」

フネ「あらまあ、"身内がネトゲ如きで発狂してるんだが"っていうネタを
   twitterで流しておきましょうかね。」

マスオ「えぇー?!お母さんもネトゲを愛してるんじゃなかったんですかぁ?!」

フネ「もちろん愛してるわよ、ただ、こういった題名にする方がよく人が釣れるのよ。」

波平「目線のモザイクは濃く頼む」

141: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:29:14.17 ID:A91zyzKc0.net
サザエ「賞金イベント・・先陣切ってきたアタシ達が負けるの?」

ワカメ「それだけはないわ。」

ワカメ(あれだけの重課金をドブに捨てる・・・無いわ)

ワカメ(それにあちらもギルドランクトップ独走で賞金を狙ってるはず)

ワカメ(イベント最終日は近い・・・逆に今INしないでいつするの?という状態のはずよ)

サザエ「あっ!適正狩場なのにあっけなく死んだわ!!」

タラオ「使えない奴ですぅ・・」ボソッ

サザエ「なによ!タラちゃんだってスキル回し下手じゃない!
    父さんといい勝負してるってマスオさんも言ってたわ!!」

波平「マ、マスオくん、それは本当か?!」

マスオ「いえぇ・・僕はプレイヤーよりも倉庫が使えないから
    倉庫があれば一件落着だと思いますー・・」

波平「話題をそらされたような気がしなくもないが・・・まあ一理ある」

151: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:37:32.85 ID:A91zyzKc0.net
カツオ(ごめん・・今は痛々しい現状を見ることしかできないけど
    きっと、時間が経てばマシになるはず・・・!)

──数日後

ワカメ「きゃああああああああああああああああ!!また同じ武器ドロップした!!
    下手な運の使い方したわ!!・・・クソ運営レア絞ってるんじゃないわよ!!」

サザエ「ワカメが一番頑張ってきたからねぇ、気持ちはわかるわー・・」

マスオ「はぁ・・ガチャの方も絞られてますよぉ・・
    ほんとあちらのギルドの人INしませんねえ」

波平「もうウェブマネーも空になったか」

タラオ「他のプレイヤーにレベルランキング負けそうですぅ」

マスオ「そういえば、この前に鳴っていた電話は誰が取ったんだい?
    ヘルパーのカツオ君はいなかったけれども」

サザエ「それはアタシよ・・・それよりも、電話なんてどうでもいいわよ
    マスオさん。あなた、もう少し現実を見た方がいいわ。」

波平「左様。もう追い抜かれそうな現実がそこまできとる!」

カツオ(僕がいない間に・・・もう一回電話が鳴った?!)

158: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:44:24.63 ID:A91zyzKc0.net
ワカメ「アタシの可愛がってた弟子がドロンしたわ・・。
    装備までくれてやったのに、このザマよ・・・・。
    まあいいわ、この現実を前もって知っておいたからこその
    身内固め作戦なんだもの。」


波平「ワカメが痛く苦しんでおる・・・」

タラオ「わかめねぇちゃんも他のプレイヤーを散々ダシにしてきたですぅ」

マスオ「タラちゃん、一家の大黒柱にそれはないよぉ」

サザエ「ほんと頼れるのはワカメだけね、文武両道の理想プレイヤーだって評判だもの」

カツオ「じゃあ僕は、また冷凍食品の買い出しにー・・」

サザエ「・・・その前に、話があるの」

カツオ(僕は耳を疑った。
    経験値優先の姉さんが、短い間でも現実の会話に時間を使うって?)

カツオ「え?ぼくに?」

サザエ「ほんとカツオの悪知恵は、磯野家の癌ね。」

167: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:50:27.62 ID:A91zyzKc0.net
カツオ「──────!?」

カツオ(洩れるはずがない!洩れるはずがない・・・!)

カツオ(姉さん達はネトゲに夢中だし、外の情報に触れる機会もないはず)

カツオ(仮にネットで情報を得ようとも、こんな身内の情報なんて洩れるはずがない!)

カツオ(一回、僕がいない間に電話が鳴った・・・?
    そして、その電話を姉さんが取った・・・?)

カツオ(だけど、花沢さんが出たとしても、僕の味方だ!姉さんに加勢するメリットがない!)

カツオ(そうだ!磯野家=ネットゲームに囚われすぎたんだ!
    きっと姉さんは別の事で怒ってるはずなんだ・・!)

サザエ「察しがついてる顔ね、わかってるのなら早速謝罪してきなさい。」

カツオ「あの時、ワカメが学校に行かなくなって茶化したことかぁ・・うん、わかったよ。」

サザエ「違うわ。」

サザエ「…花沢さんによ。」

179: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:55:41.25 ID:A91zyzKc0.net
カツオ「───!?」

サザエ「バカね。これが手遅れだったら
    カツオ、あんたこの家に居られなかったわよ。」

サザエ「家の人全員に知られたいかしら?
    答えがそうじゃなかったら、さっさと元に戻してもらいなさい。」

カツオ「は、はーーい!」

カツオ(咄嗟に返事したけど、言葉にならないぐらいゾワッとした
    なんで姉さんが知ってるんだ?花沢さんが姉さんに加担する事になんのメリットがある?
    僕の信頼できるのは花沢さんだけだったはずだ
    それが今、敵になったとしたら・・?)

カツオ(全てが不安なまま・・・僕は電話でただ花沢さんを公園に呼び出し
    事の成り行きを含め、現状がどうなっているのかを把握しておきたかった)

187: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 22:59:14.03 ID:A91zyzKc0.net
──公園にて

カツオ「はぁ・・花沢さんまだ来てないや。急ぎすぎたかなぁ?」

カツオ「でも、当然っちゃ当然か・・・こんな状況で、急ぐなって方が無理さ。」

子供「ママー!痛い!!やめてよーー!」

母親「まーた変なことして!悪い子にはお仕置きが必要よ!!」ギュウウウウ

子供「耳ひっぱらないでよー!ごめんなさーい!」

カツオ「・・・・・」

カツオ(はあ・・僕、どうなるんだろう)

花沢「いーーーそーーーのーーーくーーーーーん!!」

195: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:05:21.17 ID:A91zyzKc0.net
──ようやく、花沢さんが公園に到着する

花沢「ごめーん、待った?うふふぅ」

カツオ「いや、僕もさっき来たところさー」

花沢「そう?ならよかったわー!
   待たせる女にはなるなって父ちゃんにいわれてるのよー!」

カツオ「あはは・・花沢さんは十分いいお嫁さんになれると思うよ」

カツオ「・・・・ところで、さ」

花沢「なーーーに?・・・あ!ひょっとして
   人の少ない時間帯に呼び出しておいて・・・告白かしら?」

──僕は、いつになく真剣な面持ちで
今思っている全ての疑問の答えになるであろう言葉を
一番問い詰めたい、そして、今一番近くにいる
"味方であろう"と信じたい人物にぶつけた──

カツオ「なんで、裏切ったの?」

花沢「───!!」

203: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:12:44.50 ID:A91zyzKc0.net
花沢さんはその一言を聞くと、ゆっくりと地面を見つめた。
あの元気だけが取り柄と言わんばかりの花沢さんが、だ。
思い返してみると、僕自身が放った言葉は、傍から見れば凄く嫌悪に溢れたものだ。
僕は、たまらず反省をした。信じてくれる人を裏切るような言葉を
こんなにもストレートに吐いてしまったのだから──。

カツオ「・・・ごめん。言葉を変えるよ。花沢さんは味方・・・だもんね?」

花沢「いいわよ、言い方が変わっても、言いたい事自体は変わってないから。」

やけに覚悟を決めたというか、割り切っているような態度の花沢さんに
申し訳ないが、僕は少し戦慄を覚えてしまった。

カツオ「信じてる・・から
    なんなら、逆に今度は僕が花沢さんを何か手伝うよ!」

花沢「…ごめんなさい。磯野君。」

カツオ「え?」

花沢「あれからそちらの家に2本目電話をいれたの、私よ・・・。」

224: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:19:32.10 ID:A91zyzKc0.net
────僕は頭の中が真っ白になった。
磯野家がネットゲームに洗脳されてしまった。
これもショックだ。
だが、間違いなく今の気持ちは、これ以上にショックなんだ・・。
最初から希望がないより、希望と縋り付いていたものが途絶える
一番の絶望ってこういうことだったんだ────

カツオ「わかったよ・・。
    今の花沢さんを見て、そしてその言葉ってことは、僕の思ってる通りなんだね。」

花沢「ごめんなさい。ごめんなさい。私って罪な女よ・・・。」

カツオ「いや、いいんだ。そんなことよりさ、前向きに考えて
    姉さん達の装備を返してやってくれないかな?
    今までにない規模の悪知恵だったとは思うけど・・
    これで家を追放されるって本当に冗談じゃなくなっちゃうよ。」

泣きたいような冗談で済ましたいような、なんとも言えない顔の僕に向かって
花沢さんは言葉を続けた。

花沢「もちろんよ、それは保証するわ・・・だから」

カツオ「・・・うん、だから?」

花沢「交渉が正しければ
   電話で聞いた通り、結婚前提のお付き合いしてもいいのよね?」

カツオ「!!」

249: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:27:33.13 ID:A91zyzKc0.net
──サザエと花沢との電話
花沢「・・・あ!いそのくーーーーーん!そっちの様子は大丈夫?
   これで磯野家ネットゲームの悪は絶ったわ!」

サザエ「・・・・・」

花沢「どうしたの?つれないわねぇ・・あたし結構頑張ったのよ!
   磯野君に惚れ直してもらうた・め・に!」

サザエ「重課金・・・カツオの異変・・・不動産屋・・・」ボソボソ

花沢「え?いそのくん?」

サザエ(大凡頭では描けたわ。
    いつも誰かさんの悪知恵を落としてきたのは私よ。
    ──そして、アンタより一手先をいくのもね。」

サザエ「・・・花沢さんよね?取引しない?」

花沢「!!!」

花沢「これはこれは・・・すみません、アタシてーーーーっきり磯野君かと・・・」

サザエ「きらないで!」

花沢「あ・・う・・・!」ビクッ

サザエ「…ところで花沢さん・・昔から随分うちのカツオに好意があるみたいね?」

255: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:31:10.16 ID:A91zyzKc0.net
花沢「・・・わかったわ。
   それで正しければ、幹部の称号持ってるギルドプレイヤーに頼んで
   INしてもらってから倉庫からレアアイテムを引き渡すわ。」

花沢「いえ、それどころか」

花沢「──ギルドマスターの座も譲るわ。」

サザエ「物わかりいいのね、じゃあ問題なく契約が成立したら
    カツオをアナタの所にあげるわ。」

サザエ「障害になるもの。それはタマで実感したわ。
    わざわざ買い取ってくれる所を見つけるよりも
    捨てるだけでも餌代浮いてガチャに回せるって。」

花沢「はい、はい、わかりました・・。はい・・・。」

花沢(ごめんなさい・・・磯野君!)

272: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:36:55.19 ID:A91zyzKc0.net
──回想終わり 再び公園

カツオ「僕も・・・ネットゲームしようかな」ボソッ

花沢「・・・え?」

カツオ「いつの日か忘れたけど、ワカメが言ってたんだ。
    他人なんてアテにならないから、身内で固めなければ意味がないって。」

カツオ「そうだよね、僕が姉さん達と素直にネットゲームの世界に入っておくべきだった。」

カツオ「あの・・いや、今の状況でも
    異端者でいえば間違いなく僕の方だ・・・!」

花沢「ごめんなさい・・・・でも、それだけは止めてよ磯野君・・・!」

カツオ「うるさい!信じた僕がバカだった!人間なんて欲!欲!欲!!
    ネットゲームでも現実でもそうだったんじゃないか!!
    ・・・明日から中島との関係も切ろう。
    いつ裏切られるかわからないしな。」

花沢「ちがう・・磯野君!ちが・・・!!」

カツオ「今回みたいにね!」

花沢「!!」ビクッ

285: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:44:39.31 ID:A91zyzKc0.net
花沢「こんな状況で信じてくれ・・とは言わないけど」

花沢「磯野君が欲しかったのは本当・・・これは確かに欲よ。
   間違いなくあたしの欲。
   でも、磯野君にあの家庭にいるのが見ていられなくて
   せめても、愛している人だけでも助けられるんだったら助けたいって思い・・
   ・・・これも、欲かしら?」

カツオ「・・・!!」

カツオ(家に戻っても、また下らない空想世界で争っている
    家族に見せかけた心無い人形がいるだけ
    別に、例えが悪いとは思わない。だって
    ──だって、戻った所で
    今では"家族だから"とすら思いたくない連中が
    跋扈してるだけの空間だもの。)

カツオ(それなら、断ち切られた希望の綱が、まだ続いていると思う方がいい・・!)

カツオ(逆転の発想だ。もう絶望は味わった。だからいっそのこと──)

カツオ「…呑まれてしまうのも悪くはない」

292: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:48:34.32 ID:A91zyzKc0.net
花沢「え?いその・・くん・・・?」

カツオ「その取引、僕も乗ったよ。
    僕が家にいないと調子が悪い時以外、そちらの家でお邪魔になる。
    学校もそちらから通わせてもらう・・・でいいのかな?」

花沢「う・・・うん!言い出したのあたしだし、父ちゃんにも
   許してもらえるように土下座でもなんでもするわ!」

カツオ「複雑になるだろうね、けど、今の家の状況に比べればマシだと思うよ。」

花沢「まさか磯野君とこんなお付き合いできるなんて・・・おかあさまありがとーーー!
   ・・・・じゃなくて、磯野君と突き合わせてくれた磯野君ありがとーーーー!!って感じよ!
   ──あれ?付き合う相手にありがとうって言葉、なんか変だわね。」

カツオ「ふふっ、いつもの花沢さんらしいや」

──それから
  僕、カツオは実質花沢さんの家に引き取られることになった

300: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:52:57.47 ID:A91zyzKc0.net
────数年後、僕と花沢さんは仲睦まじく暮らしている。
  確かにいろいろと面倒な点はあったが
  花沢さんのお父さんも思ったより快く引き受けてくれた。
  きっと気づいていたのだろう、とうの昔から
  我が娘が恋心を抱いていたということを
  
  『遅かれ早かれ、付き合うならその決まった人とするべきだ
   運命を逃しては運そのものも逃す』

  不動産で手腕を発揮してのし上がってきた花沢さんのお父さんらしい考えだな
  とは思った。
  そして、それは僕にとっては地獄から抜け出せるようで、とても有り難かった。────

309: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/01(火) 23:58:10.68 ID:A91zyzKc0.net
──とある場所

カツオ「あの・・すみません。ここに住んでいる磯野さんって方・・」

女性「ええ?・・・ああー、そこはもうとっくの昔に別の人が住むようになってますよー」

カツオ「!!」

女性「それと・・その・・・"磯野家"って単語、やめた方がいいわよ。
   変な霊にでも憑りつかれたくなければね」

僕の生活は何一つ不満無く、まさに地獄から天国に上ったような快感だった。
正直、今でも信じられないぐらいだ。
ただ、そんな僕でも一つ気になる点があった。

──姉さん達がしていたネットゲームの、サービス中止。
  そして上位プレイヤーの名前が、見たことの無いプレイヤーで埋め尽くされていたということ。──

326: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/02(水) 00:03:16.34 ID:x8TiKtCI0.net
──姉さん達の行方はわからない
知りたいのと、知りたくない
正直半分ずつぐらいだ。
ただ、ここに住んでいた人達は居なくなっていて
それを話題に出す事は都合の良いことではない…というのが暗黙のルール
そこだけで、大凡察しはついていたけど──


花沢「あなたー!忘れ物よー!!」

カツオ「ああ、ごめん。うっかりしてたよ。」

花沢「もう・・結婚こそしてないものの、私たちは誰が見ても立派な夫婦なんですものね!」

カツオ「夫がこれじゃあなあ・・はは」

花沢「夫がこれだから、妻がこんなに出来る人なんじゃないのーおほほほ!」

カツオ「それよりさ、公園でネコ拾ったんだけど、捨て猫。」

花沢「まあ!そういえば磯野君は昔からネコ可愛がってたもんねぇー・・」

カツオ「昔だからといって、呼び方まで変えるなよ、こら」

花沢「あ、おほほ!懐かしい空気にのまれちゃったわ!ごめんなさいアナタ、そしてダーリン!!」

341: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/02(水) 00:10:21.79 ID:x8TiKtCI0.net
カツオ「名前はそうだな・・・タマ、でどう?」

花沢「いいわねー!父ちゃんもああ見えて寂しがり屋で
   契約商売の人付き合いに疲れて
   丁度ペットとのんびりしたい歳だ~なんて言ってたのよ!」

カツオ「でも、野良猫だよ?本当にいいの?」

花沢「ダーリンがいいなら、アタシはそれでいいわ」

カツオ「ありがとう。なんか、さ。
    似てるんだよね、あの時居なくなったネコにさ。」

花沢「その猫なら・・・きっと居るわよ。」

カツオ「ん?」

花沢「貴方の手の中に」

346: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/07/02(水) 00:15:39.07 ID:x8TiKtCI0.net
花沢「あ・・・あははは!我ながら臭い台詞ね!
   でも、通勤途中に猫と戯れるのは褒められないわよ!」

カツオ「ほんと、ロマンスが似合わないなぁ」

花沢「う・・・うううう」

カツオ「でも、僕、ネットゲームに走らずに、現実でバカみても
    突っ走っていってよかったと思うよ。」

────そう、裏切られたと思っても、それが裏にある別の真実だって気づけた事と
    ネットに呑まれ、上辺だけで判断するようになっては二度と手に入らないで
    あろう、最愛の妻を見つけたのだから・・・────

カツオ「ネット社会で便利だけど
    現実って、こんなにいいものだったんだなぁ」

それからというもの、僕達は暇が出来れば旅行等に行って楽しんだ
中島からも誘いがきたし、ネットゲームは手軽にできるけど・・・する道理はない。
忘れたいような、反面教師にしておきたいような
全てを狂わせる存在。それを、僕は憎くもあり、腸が煮えくり返りそうなほど恨んだりもしたが
今はただ、それがそんなにも人の存在、人格を壊すものであろうと、思い出すのは恐怖だけでだった。

─完─