事務所
リョウ「戻ったぞ……。じゃあユウキ、シャワーを浴びたら着替えて、今日のところは解散だ。合否は改めて連絡するk」

ロバート「いや!悠貴ちゃん!待たすまでもない、君は合格や!おめでとう!」
ズイ

悠貴「えっ!?社長さんっ!?ホントですかっ!?」

リョウ「ロバート?合否はごじ」

ロバート「ああ!合格や!実は今のランニング、これが最終試験やったんや!だから、リタイアしてしまった他の娘は残念やけど不合格や」

リョウ「そ、そうなのか?俺はなにm」

ロバート「けど、見事悠貴ちゃんはやりきった!お見事!君こそウチのプロダクションにふさわしい!というわけで、ウチの事務所に入ってくれるよな!?な!?」
ズズイ

引用元: 【モバマス×龍虎の拳】リョウ・サカザキ「俺がアイドルのプロデューサー?」 




THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 16 ∀NSWER
歌:早坂美玲、森久保乃々、星輝子
日本コロムビア (2018-04-18)
売り上げランキング: 97
518: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:40:00.37 ID:xYwaDdoS0
悠貴「(しゃ、社長さん、ちょっと怖いですっ)は、はいっ!ぜひともよろしくお願いしますっ!」

ロバート「よっしゃ、今日はもう疲れたやろ、シャワー浴びて、後日正式契約や」

悠貴「はいっ!ありがとうございましたっ!プロデューサーさんも、ごちそうさまでしたっ!」
ペコ

リョウ「あ、ああ」

519: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:45:29.61 ID:xYwaDdoS0
リョウ「おいロバート、さっきの話、俺は聞いてないぞ。どういう……ロバート?」

ロバート「聞いてへんはこっちのセリフやぁ……!お前、どういうつもりやねん!なんで勝手にランニングに!今日は帰せ言うたやろが!」


リョウ「ああ、それなんだがな。やはりさっきの面接だけでは彼女たちの人柄を知るのに不十分だと思ってな。かといって、組手をやるわけにもいかんから、とりあえず軽くランニングにしたんだ」

ロバート「や・か・ら!!軽ぅない!軽ぅないんやお前の軽くは!お前、たまたま今集まっとる女の子たちがみんな基礎体力があったからって、世の女の子みんなそうやと思うなや!あの悠貴ちゃん以外はみんな怒って帰ってもうたわ!こんな訳わからんシゴキやってられへんって!」

520: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:51:36.22 ID:xYwaDdoS0
リョウ「な、なんだって……?じゃあさっきのユウキ以外不合格ってのは……」

ロバート「あっちの方からお断りされたって話や!不合格はどっちかというとこっちの方じゃ!ドアホ!」

リョウ「そうか……残念だ……」

ロバート「残念どころの話やないで……今回の募集で2名獲得できればプロダクションとして本格的に始動できたのに……」

ロバート「せめて一人は絶対に逃がすまいと悠貴ちゃんには即合格を伝えたけど、もし彼女がダメやったらもう終わりやで……」

521: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:57:35.69 ID:xYwaDdoS0
リョウ「……今回の件に関しては俺の勇み足だった。それは謝る」

リョウ「だが、ユウキに関しては、間違いない人選だと断言できる。あいつは間違いなく伸びる」

ロバート「……ほう?まぁあの子に関しては面接でも光るものはワイも感じ取ったが、お前がそこまで言い切る根拠はなんや?まさかお前のランニングに付いて来れたから、なんて言うつもりやないやろなぁ?」

リョウ「まぁ体力もそうだが、性格の問題だ。さっき少し話しただけだが、彼女は本当に素直だぞ。それに向上心があるし、努力を厭わない。そういうやつは絶対に伸びる。それはもちろん導いていく俺たちが間違えなければ、だが」


522: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:06:26.98 ID:xYwaDdoS0
ロバート「……まぁお前がそこまで言うなら悠貴ちゃんの素質は確かなんやろ。やけど、5人目などうするんや。当然もう一回募集をかけて、なんてのは時間的にも資金的にも無理やぞ。……それに、よくないニュースもあるしな」

リョウ「よくないニュース?」

ロバート「以前話しとったアメリカ帰りのトレーナー。別のプロに横取りされた。トレーナー探しはまたイチからや」

リョウ「なんだって!?……じゃあ、まだレッスンは始められないのか……」

ロバート「ワイも急いで代わりを探しとるけど、ボイストレーナーかダンストレーナー、せめてどっちかは早急に決めたいところや……」

523: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:12:44.93 ID:xYwaDdoS0
ロバート「……まぁトレーナーの方はワイの方でなんとかする。リョウの方は最後の5人目、これはもうお前になんとかスカウトしてきてもらうしかない」

リョウ「……それについてだが、5人目にぜひ誘いたい娘がいる」

ロバート「なに……?お前にこっちでツテがあるんか?まさか藤堂の娘か……?」

リョウ「いや、違う。それに別にツテって程のものじゃない。前に街中で一回声掛けて断られたことがあるだけだ」

524: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:17:53.45 ID:xYwaDdoS0
ロバート「なんじゃそりゃ?ホンマに全然ツテやないやんけ、それに断られたって……こんな緊急の時に、そんなじっくり勧誘するヒマはないで。それとも、そんな食い下がりたいほどの逸材やったんか?」

リョウ「……どうだろうな。容姿は優れていたと思うが、それよりも彼女のあの眼……そればかりが思い浮かぶ。なんというか、あのまま放っておくことが、俺には出来ない。そんな眼をしていた」

ロバート「よくわからんけど……まぁスカウトに関してはもうお前に一任しとる。けど、あんまり入れ込みすぎたらアカンで?もし見込みがなさそうやったら次に切り替えていくんや」

リョウ「ああ、わかった」

525: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:22:07.36 ID:xYwaDdoS0
数日後
都内・バイキング

リョウ「さあ!着いたぞユウキ!ここは時間内ならどれだけ食ってもタダだ!沢山食べるんだ!」

悠貴「はいっ!たくさん食べられるように頑張りますっ!」

拓海「いや、ハズいテンションだな!……まぁ食い放題だからな、気持ちはわかる」

526: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:31:57.43 ID:xYwaDdoS0
美波「社長さん、今回の契約お祝いがバイキングなのは悠貴ちゃんの希望なんですか?」

ロバート「いや、なんかリョウが……とにかく腹一杯食える処が良いだろうって……まぁ確かに細いなぁとは思うけどな……」

有香「でも、悠貴ちゃんここに来る前のランニングでは一番坂崎プロデューサーについていけてました!その体力、私も負けていられません!」

リョウ「よし、ユウキ!とりあえず俺が食い物を皿に盛る!好きな物を言うんだユウキ!」

悠貴「あ、ありがとうございますっ!何があるか一緒に見に行きましょう!」

527: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:38:46.85 ID:xYwaDdoS0
拓海「……なぁ、なんかサカザキのヤツ、妙に悠貴には構うというか……世話を焼くというか……そんな感じしねぇ?」

美波「そ、そうかな?でも悠貴ちゃん、ちょっと話したけどすっごく素直で可愛くて、世話焼きたくなるのもわかるかな……」

悠貴「戻りましたっ!はい、みなさん、お飲み物ですっ!」

拓海「おっ!気が利くじゃねえか……ん?なんだこのジュース……」

有香「美味しいですが、飲んだことありませんね?」

528: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:47:39.87 ID:xYwaDdoS0
悠貴「ここのドリンクバー、色々種類があってっ!それでちょっと混ぜて作ってみましたっ!どうですかっ?」

美波「うん、美味しいよ、悠貴ちゃん!」

リョウ「待たせたな」
ドンッ

拓海「いや、盛りすぎだろ!それ全部悠貴に食わす気か!?」

リョウ「そ、そうか?育ち盛りだからこれくらいイケるかと思ったが……」

529: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:51:14.55 ID:xYwaDdoS0
悠貴「いえっ!プロデューサーさんにせっかくよそってもらいましたからっ!いただきますっ!」
パクパク

悠貴「うんっ!おいしいですっ!」
ニコッ

リョウ「……っ」

ロバート「……!」

美波「……っ」
キュン

530: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:55:50.96 ID:xYwaDdoS0
悠貴「あ、ちひろさん、拓海さん、飲み物無くなってますよっ!注いできますね!」

ちひろ「あっ、悠貴ちゃん!今日の主役は貴方なんだから、そんなの気にしなくていいのに」

悠貴「良いんですっ!何か飲み物リクエストありますかっ?」

拓海「いや、特にねーよ。また悠貴ミックスで頼むぜ」

悠貴「はいっ!任せてくださいっ!」
パタパタ

531: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 23:03:03.44 ID:xYwaDdoS0
拓海「なぁサカザキ……お前なんか悠貴に甘くねーか?いや、甘やかしたい気持ちはわかるけどよ。○○○○なのか?」

リョウ「……!?そ、そうか!?そんなこと……ないだろう……」

リョウ「……ただ……まぁ……確かにユウキと話してると、ユリの……一番素直な頃の妹と話してるみたいな気持ちになってくるような……いや、いかんいかん……まだ修業が足りねぇな俺も……」

美波「わかります……素直な年下の兄弟って、ほんとに可愛くて……」

ロバート(リョウはまぁシスコン気味やからわかるけど……このワイも不意に胸をときめかされるとは……悠貴ちゃん、恐ろしい娘……!)

532: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 23:11:11.09 ID:xYwaDdoS0
悠貴「それでは改めましてっ、乙倉悠貴ですっ!社長さんっ!ちひろさんっ!先輩のみなさんっ!そしてリョウさ……いえっプロデューサーさんっ!よろしくお願いしますねっ!」

有香「はい!よろしくお願いします!悠貴ちゃん!」

拓海「おう!よろしく!悠貴!」

美波「よろしくね、悠貴ちゃん」

ちひろ「悠貴ちゃん、よろしくお願いしますね」

533: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 23:19:15.01 ID:xYwaDdoS0
ロバート「おう!ほんで、恒例の二つ名は……6810プロの『恐るべき13歳』やな」

悠貴「お、恐るべきっ!?私って、こ、怖いですかっ!?」

リョウ「いや、気にしなくていい……よろしくな、ユウキ」


リョウ(これでアイドルが4人……アイツはまだ、街にいるだろうか?)

543: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:14:45.49 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場

リョウ「ここ数日は姿を確認できなかった。もうこの街を離れた、なんてことはないだろうが……」

数時間後

リョウ「……」

リョウ(いないな……)


???「……」
コソッ

544: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:21:30.13 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場

リョウ「……」

???(あの人……今日もいる……誰に声をかけるでもなく……誰かを探してる?……まさか……いや、そんなはずないよね……学校行かなきゃ……)

数時間後

リョウ「……」

???(うわ……まだいる……もう諦めればいいのに)
コソッ

???(早く諦めちゃえば、楽なのに)


545: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:24:57.03 ID:mhtdpTgV0
リョウ「……」

リョウ「……」
フゥ
スタスタ

???(あっ、帰った)

???(……)

546: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:28:14.74 ID:mhtdpTgV0
事務所
リョウ「……戻った」

ロバート「おう、お疲れ、リョウ。首尾は?」

リョウ「……ここ数日、姿さえ見えない。引っ越した、なんてことはないとは思うんだが……」

ロバート「……なぁリョウ。スカウトをお前に任せたのはワイやし、お前の意向は反映させてやりたい。やけど、姿も見えないし、挙句一回断られて、会えたとしてもスカウトできる保証もないんやろ?……だったら、その娘は一旦保留してくれ、とお前に言わざるを得んわ」

547: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:35:01.02 ID:mhtdpTgV0
リョウ「……」

ロバート「お前がスカウトに行ってる間も、今事務所にいる娘は自主的にお前と普段走ってるコースをランニングしてくれてる。けど、もうじきそれも終わりや」

リョウ「……なに?」

ロバート「実は、今日、以前交渉していた例のアメリカ帰りのトレーナー、彼女から連絡があってな。彼女の友人が、ダンスの専門家でこそないけど、ダンスレッスンを見てくれるらしい。ウチのアイドル達はみんなまだダンス経験ゼロやからな。お願いすることにした」

リョウ「!」

548: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:42:20.60 ID:mhtdpTgV0
ロバート「その友人はもうすぐこっちに来てくれるらしい。……来てくれたら、それはつまり活動の本格的なスタートを意味しとる」


リョウ「……つまり、5人目を決めるのに、いよいよ時間がないってわけか」

ロバート「そういうことや。やから、本当はこんな事言いたないけど、もうハードルは落としてもいい。とにかく1人確保してもらいたいんや」

リョウ「……ロバート、あと一日。一日だけ俺にくれ。もし明日ダメだったら、お前の言う通りにする」

ロバート「……わかった。お前がそんなに入れ込むんはどんな娘か、ワイも興味あるしな。けど、明日一日だけやで」

リョウ「ああ、ありがとうロバート」

549: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:44:51.07 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場

リョウ「……」
キョロキョロ

???(今日もいる……やっぱり誰か探してる……)

???(……学校いこ)


550: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:48:49.93 ID:mhtdpTgV0
数時間後


???(今日は遅くなっちゃった……あの人はもう流石に帰ったかな)


リョウ「……」

???(……まだいる!)

???(……もう!)

551: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:56:56.49 ID:mhtdpTgV0
リョウ(結局、いない、か)

???「ねぇ、アンタさぁ……毎日毎日誰を探してんの?」

リョウ「……いるんじゃねぇか」

???「……え?」

リョウ「君を探してた。もう一度話したくてな」

???(やっぱり……私を……)

552: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:00:10.42 ID:mhtdpTgV0
???「……話って?アイドルの件ならもう断ったけど?」

リョウ「その件だ。改めて、アイドルに興味はないか?」

???「……しつこいな。嫌って言ったら嫌なんだってば!アイドルなんて、なれるわけないでしょ!?アタシはそんな人間じゃないんだから……」

リョウ「どうしてなれるわけないんだ?現に今君はスカウトを受けているじゃないか」

553: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:03:17.73 ID:mhtdpTgV0
???「……アタシ、小さい頃から病弱でさ。長く入院してたし、学校も休んでばっかで、友達も少なかったし。何かにまじめに取り組んだこともなかった……」

???「アイドルになるなんて、テレビの中だけの夢物語。報われない努力なんて、するだけ無駄でしょ。それに、アタシはその価値も素質も、何もないから……」

リョウ「……本当に、そう思うのか?」

???「え……?」

554: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:08:35.43 ID:mhtdpTgV0
リョウ「少なくとも俺には、君は燻っているように見える。言葉では何もかも諦めているようなことを言っているが、君は自分を諦めきれていないはずだ」

???「アタシの事、何も知らないくせに、随分知ったようなこと言ってくれるんだね。『自分の価値を自分で勝手に決めつけるな』ってやつ?」

リョウ「ああ、俺は君の事を何も知らない。だからこその、客観的な視点ってやつだ。俺は全然化粧とかに詳しいわけじゃないが、君のその爪も、髪型も、自暴自棄になってるやつのものではないと思うんだがな?」

???「……っ、別に勝手でしょ、アタシがどんな格好したって……」

リョウ「そうだな、すまん。俺はよく女心がわからないと言われるからな、許してほしい」

555: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:13:53.68 ID:mhtdpTgV0
リョウ「だが、女心はわからずとも、それなりの数の人間と会ってきたんだ。その人間の心に火が点いてるのか、燻っているのか、それとも完全に消えているのか。それくらいはわかるつもりだ」


???「……」

???「……わかった、わかったよ。でもアタシさぁ、さっきも言った通り病弱だったから体力ないし、努力とか練習とか、気合と根性!とかそういうキャラじゃないんだよね。それでも良い?」

リョウ「こちらから誘っておいてなんだが、努力できない奴を置いておく余裕はウチのプロダクションには無いし、俺も一緒にやるつもりはない。それなら他を当たる」

???「ええっ!?」

556: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:21:12.75 ID:mhtdpTgV0
リョウ「だが、君は今まで入院ばかりだと言っていたな?だったら、それは努力できないんじゃない、努力の仕方を知らないだけだ。だったら大丈夫だ。俺は歩く気のない奴を待つほど気は長くないが、歩みの遅さが気になるほど短気じゃない」

リョウ「歩こうという意思がある限り、俺は君の背中を押し続けてやれる」

???「……厳しいんだか、優しいんだか……」

???「……でも、アンタ今までアタシの周りにはいなかったタイプの大人だね。わかった、良いよ。アンタに言いくるめられてあげる。えっと……」

557: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:24:20.19 ID:mhtdpTgV0
リョウ「改めて名刺を渡しておく。この前は返されたからな」
スッ

???「坂崎さん、ね」

加蓮「アタシは加蓮。北条加蓮。とりあえずよろしくって言っておくね、プロデューサーさん?」

リョウ「ああ、よろしく、北条さん」

567: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 23:58:33.05 ID:mhtdpTgV0
事務所
リョウ「ここがウチの事務所だ。で、そこに座っているのが事務員の千川ちひろさん」

ちひろ「どうも、よろしくお願いします。プロデューサーさん、その娘が?」

リョウ「ええ、話していた娘です。名前は」

加蓮「北条加蓮。……どうも」

568: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:07:07.98 ID:bLSphXJt0
ロバート「ほ~、その娘がお前がどうしてもって譲らんかった娘か。よろしくな加蓮ちゃん」

加蓮(譲らなかった……?)

加蓮「……誰?この人……」

リョウ「ああ、このロバートプロダクションの社長をやっている、ロバート・ガルシアだ」

加蓮「社長!?……正直、全然見えなかった。軽そうだし」

569: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:12:17.12 ID:bLSphXJt0
ロバート「……いきなりご挨拶やな」

加蓮「それで、契約書は?今日はもう疲れたし、用事終わらせてさっさと帰りたいんだけど」

ロバート「お、おう」



加蓮「……はい、これでいいんだね?じゃあもう帰るよ」

570: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:20:23.93 ID:bLSphXJt0
ロバート「あ、ちょい待ってや。ウチのプロでは伝統的に契約祝いとメンバーの親睦を深めるために歓迎会を開催するんや。で、新メンバーの希望で場所は決めるんやけど、どこがエエ?なんか食いたいモンがあるなら、それで……」

加蓮「別にいらない」

リョウ「……え?」

加蓮「アタシはそこのプロデューサーがアイドルにしてくれるって言うから来たの。別に他の人たちと馴れ合う気もないし、必要もない」

571: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:31:24.88 ID:bLSphXJt0
ロバート「……おいおい、随分突っ張るやんけ。他のメンバーに顔見せだけでもしとこうと思わんか?これから一緒にやっていく仲間やで」

加蓮「別に顔見せならこの事務所でやれば済む話でしょ?どうしても何か開きたいならアタシ抜きでやってよ。んで、そこでアタシの紹介しとけばいいでしょ」

リョウ「……」

加蓮「もういいでしょ?じゃあ帰るから」

ロバート「……今日はもう暗い。車で送っていかせるから、少し待ってや」

加蓮「へぇ?一応そういう気遣いもできる事務所なんだ、ここ。じゃあ、それにはお言葉に甘えようかな」

ロバート「……もしもし、カーマンか?送迎頼むわ」

574: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:37:44.33 ID:bLSphXJt0




ロバート「……リョウ、ホンマにあの娘がお前が入れ込んでた娘なんか?」

リョウ「なにか誤解を招きそうな言い方はやめろ……そうだ」

ロバート「なんや、今までの娘……特に直前が悠貴ちゃんだっただけに、とんでもなく毛色が違って感じるんやが……」


リョウ「俺も深く話したわけではないから確実なことは言えないが……情熱はあると思う」

ロバート「……まぁ今更言うてももう契約したし、時間もないし、あの娘はお前に任せる。くれぐれも、他の娘たちとトラブルにならんようにな……」

575: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:44:29.84 ID:bLSphXJt0
翌日
事務所

リョウ「……というわけで、新しく加入した北条加蓮だ」

加蓮「……どうも」

拓海「……不愛想だな。なんかこう、自己紹介のひとつもねえのかよ」

加蓮「……なに?悪いけど先輩風吹かせないでくれる?」

拓海「……ああ?」

576: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:51:58.85 ID:bLSphXJt0
リョウ「おい」

加蓮「だってそうでしょ。事務所に入ったのはほんの少しそっちが先かもしれないけど、聞けばデビューどころか、走ってばっかりでまともなレッスンも受けてないっていうじゃん」

美波「……」

加蓮「だったら、別にアタシと立場は変わんないんだし、先輩でもなんでもないし。あ、もしかして年上だからって威張るタイプ?怖いなー」

拓海「テメェ……!」

577: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/09(月) 00:58:02.24 ID:bLSphXJt0
リョウ「拓海、落ち着け。レッスンを受けさせられてない件に関しては俺とロバートの力不足だ。本当に申し訳ない」

ロバート「やけど、もうすぐダンスのトレーナーが来てくれる予定や。それまでは今まで通りランニングメインでこなしつつ、トレーナーが来たらそっちに移行していくことになる」

美波「えっ、トレーナーさんが?本当ですか!?」

ロバート「ああ、前交渉してた別のトレーナーのツテでな。ダンスの専門家じゃないしらしいけど、練習は見れるらしい」

578: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:04:10.01 ID:bLSphXJt0
ロバート「まぁちゃんとした専門のトレーナーじゃないのは申し訳ないけどな。専門のトレーナーもボイストレーナーもそのうちちゃんと引っ張ってくるから安心してや」

悠貴「そんなのっ、全然っ!」

有香「じゃあメンバーも揃って遂に本格始動というわけですね!押忍!」


加蓮「はぁ……ランニングにダンス……体力使うことばっかりだね。……まぁアタシは親にも無理するなって言われてるし、アタシのペースでやらせてもらうから」


拓海「……ちっ」

ロバート(案の定いきなり雰囲気最悪やんけ)

リョウ「……」

579: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:09:40.12 ID:bLSphXJt0
路上

拓海「……」
タッタッタ

美波「……」
タッタッタ

有香「……」
タッタッタ

悠貴「……」
タッタッタ

加蓮「はぁ、はぁ、もう、ダメ……」
ガク

リョウ「……美波、みんなと一緒にいつものコースを走って事務所に戻ってくれ。俺たちも後から行く」

580: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:14:12.32 ID:bLSphXJt0
美波「……加蓮ちゃん、大丈夫ですか?」


加蓮「見たらわかるでしょ、大丈夫じゃないよ……はぁ、はぁ」

悠貴「加蓮さんっ……あの、このドリンク、飲んでくださいっ」
スッ

加蓮「……ん、ありがと。けど、みんなしてあんまり見ないで。さっさと行って……」

581: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:17:03.60 ID:bLSphXJt0
拓海「……おい、美波。先行こうぜ」

美波「……」

リョウ「美波、良い。行ってくれ」

美波「……はい。坂崎さん、加蓮ちゃんのことよろしくお願いしますね」

582: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:22:27.02 ID:bLSphXJt0
拓海「……なぁ美波。アイツのこと、どう思うよ」


美波「加蓮ちゃんのこと?……さっき、坂崎さんから少し聞いてたんだけど、加蓮ちゃん、小さい頃病弱で、ずっと入院してたからあまり他人との付き合い方が得意じゃないかもって……」

拓海「……だから勘弁しろってか?ソレとコレとは話が別だぜ。体力がねぇのはこれから改善できたとしても、アイツがずっとあんな態度だったらアタシはぜってー仲良くできねーよ」

有香「でも、加蓮ちゃん、根っから悪い子のような気はしませんが……さっき悠貴ちゃんからドリンクもらった時もちゃんとお礼言ってましたし……」

拓海「お礼言えたら良いヤツってハードル低すぎだろ!障害物なし競争か!」

583: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:28:07.01 ID:bLSphXJt0
加蓮「はぁ……しんど……ねぇプロデューサー、今日はもう帰っていい?」

リョウ「ダメだ。歩いてでも良いからとりあえずコースを回って事務所に帰るぞ」

加蓮「ええ~……きっつ……アタシ体力ないって言ってんのに……」

リョウ「まぁ安心しろ。もしお前がぶっ倒れたら俺が担いで連れて帰るから」

加蓮「そんな恥ずかしいマネできるわけないでしょ……まったく……」

584: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:34:37.82 ID:bLSphXJt0
事務所
美波「ただいま戻りました……」

有香「あれ?お客さんでしょうか?」

美波(すごく綺麗な人に、可愛らしい女の子?)

ロバート「しかしまさかお前があのトレーナーの知り合いやったとはな」

女性「ああ、マナミはサウスタウンに仕事で来たときによくウチの店で飲んでくれたのさ。私と気も合ったしね」

586: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:39:31.48 ID:bLSphXJt0
女の子「へぇ~、でも綺麗な事務所だね。ロバートさん、けっこうお金かかってるんじゃないの?」

ロバート「そりゃあもう……もしこの事務所がピンチになったらユリちゃんにアイドルになって助けてもらおかな?ハッハッハ!」

女の子「もう、ロバートさんったら!」

女性「……ん?ロバート、あの娘たちがリョウのスカウトしてきたアイドル達かい?」


ロバート「ん?おお!みんな帰ってきとったか!……アレ?リョウと加蓮ちゃんは?」

587: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:44:00.76 ID:bLSphXJt0
美波「えっと、坂崎さんと加蓮ちゃんは後で遅れて帰ってきます」

女性「……ふ~ん」
ジロジロ

美波「え?あ、あの……」

女性「へぇ……あの朴念仁、こういう娘がタイプなのか……」
ジロジロ

美波「え?」

588: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:49:15.41 ID:bLSphXJt0
拓海「お、おい、アンタ」


女性「かと思いきや……こっちはまた全然タイプが違うね。気合が入ってる」

拓海「は、はぁ?」

女性「……と、こっちは……また別の方向で気合が入ってるね」

有香「!?……なんだかわかりませんが、光栄です!押忍!」

女性「……少しリョウに似てるね。で、アンタは……」

589: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:54:09.00 ID:bLSphXJt0
悠貴「あっ、あのっ!初めましてっ!乙倉悠貴って言いますっ!」

女性「アハハハ!これはまた素直そうで可愛い娘だ!ウチに持って帰りたいくらいさ」
ナデナデ

悠貴「っ……」
///

美波「あ、あの、貴女たちは?社長さんや坂崎さんのお知り合いなんですか?」

女性「ああ、そういえば自己紹介がまだだったね」

590: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 01:58:47.13 ID:bLSphXJt0
キング「私はキング。今度からあんた達のダンスをちょっとだけ見ることになった。で、こっちの娘が……」

ユリ「私はユリ。ユリ・サカザキ!あなたたちのプロデューサーのリョウお兄ちゃんの妹だよ」

美波「い……」

拓海「妹だとぉぉぉぉ!!」

600: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 00:35:55.93 ID:/478OZ7i0
ロバート「う~ん、拓海、エエリアクションや。なんかひな壇の仕事探して来ようかいな」

拓海「アンタは黙ってろ!……いや、しかし全然似てなくね……アタシはもっとこう厳つい感じかと……」

悠貴「?そうですかっ?私は似てると思いますっ」

ユリ「ちなみに今年でハタチでーす!よろしくね!」

有香「……と」

美波(年上……!?)

601: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 00:41:45.24 ID:/478OZ7i0
ガチャ
リョウ「戻ったぞ……ん?客か?」

加蓮「はぁ……はぁ……」

ユリ「あ!おかえり!そして久しぶり!お兄ちゃん!」

リョウ「……ユリ!?」

キング「フフ……やってるようだね、リョウ」

リョウ「キ、キング!どうしてお前たちが……?」


602: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 00:51:20.29 ID:/478OZ7i0
リョウ「……なるほどな。アメリカ帰りのトレーナーの知り合いがキング、お前だったとは……しかしダンスを踊れるとはな?知らなかったぜ」

キング「まぁ昔ちょっとだけね……本来人に教えられるような大したモンじゃないけど、マナミがどうしてもって頼んでくるからさ……それに」

キング「教えるプロダクションがあんた達のところって聞いたからさ……それなら別に良いかってね」

リョウ「いや、本当にすまないなキング……またお前に借りを作っちまった」

603: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:00:12.55 ID:/478OZ7i0
キング「ふん、まぁ今回貸しを作ったのはあんた達にじゃなくて、マナミの方にさ。なんでも最初はロバート、あんたと交渉してたのに別のところに持っていかれたんだって?」

ロバート「ああ、なんや金額じゃない理由で行くとかなんとか……お前さんはその辺なんか聞いてないか?」

キング「私も契約内容については何も……ただ、申し訳なさそうだったけどね。私の我が儘で本当に迷惑を掛けた、なんとか穴埋めがしたいって」

キング「私も本当は乗り気じゃなかったけど、マナミがあんまり必死に頼み込んでくるからさ。私の店にまた飲みに来るって約束で今回の話を引き受けたよ」

604: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:06:20.99 ID:/478OZ7i0
リョウ「……で、ユリ。お前は何しに日本へ?」

ユリ「もう!お兄ちゃん何その言い方!可愛い妹がはるばる会いに来たのに!」

キング「ああ、ユリはこの話をしたら『私もついてく!』って聞かなくてね。私は断ったんだが、しまいには泣かれたもんで、仕方なく連れてきたんだ」

リョウ「……重ね重ねすまないな、キング……しかしユリ。この話親父は知ってるのか?もし知らなかったら、今頃カンカンだぞ」


605: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:11:09.98 ID:/478OZ7i0
ユリ「まさか!知ってるわけないじゃない、知ってたら絶対反対されるもん!……けど、お兄ちゃん達が日本に行ってからお父さん物足りないのか知らないけど、シゴキがきつくなって……」

ロバート「ほんで逃げてきたんか……ごめんなユリちゃん」

ユリ「それに、東京も見て回ってみたかったし!まぁちょっとした旅行ってことで、お父さんも許してくれるよ!」

リョウ「俺は知らねえぞ……」

606: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:16:24.52 ID:/478OZ7i0
キング「それにしてもさっきアイドル達の顔をちょっと見せてもらったけど、みんないい顔してるね。アンタがスカウトしてきたって聞いてたからもっとゴリゴリの格闘家みたいなやつが揃ってると思ってた」

リョウ「どういう意味だそれは……」

キング「別に?アンタもこっちに来てちょっとはその辺の感性が研ぎ澄まされたんじゃないかって思ったのさ」

リョウ「……??」

キング「……ダメそうだねこれは」

ロバート「ダメみたいやな」

ユリ「ダメだね」

リョウ「な、なんだなんだお前ら!よくわからんが失礼だろうが!」

607: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:25:06.88 ID:/478OZ7i0
翌日
レッスンルーム


キング「さ、というわけで改めて、臨時ダンストレーナーのキングだ。あんた達のことは概ね聞いた。みんなほとんどダンス経験が無いんだってね」

美波「はい、基本的にランニングしかやってませんから技術的なところは全く……」

キング「よしよし、まぁ基礎体力があるなら上等さ。多少厳しくやっても耐えられるってことだからね」

拓海「マジかよ……サカザキの知り合いだろ……一体どんな地獄のシゴキが……」
ブルッ

キング「……苦労してるんだねあんた達も。まぁアイツよりは常識を弁えてるよ。安心しな」

609: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:32:44.35 ID:/478OZ7i0


キング「拓海!ステップ幅が大雑把すぎる!もうちょっと繊細さを意識しな!」

拓海「うげっ」

キング「有香!動きが硬い!というより武道みたいになってるよ!柔らかく!」

有香「お、押忍!」

キング「美波!あんたは形を気にしすぎだ、もうちょっと自由に踊ってみな」

美波「はい!」

610: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:38:37.40 ID:/478OZ7i0
キング「悠貴、なんだか縮こまってないかい?伸び伸びやりな、伸び伸びと」

悠貴「は、はいっ!」

キング「……加蓮、もう動けないのかい?」

加蓮「……だから……私は、はぁ、体力ないんだって……はぁ……」

キング「しょうがないね。隅っこの方で休んでな」

キング「ほかの子たちはあと3セット!それが終われば15分休憩!」



拓海(や、やっぱりとんでもなく厳しんじゃねえか!)

611: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:42:51.38 ID:/478OZ7i0
加蓮「……」

ユリ「やっ!おとなり、座ってもいいかな?」

加蓮「……勝手に座れば良いんじゃないの……」

ユリ「それじゃ、お邪魔しまーす」
ペタン

加蓮「……」

612: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:48:04.92 ID:/478OZ7i0
ユリ「いやあ、キングさん張り切ってるね~」

加蓮「……張り切られすぎてもこっちは迷惑なんだけど」

ユリ「ね、ところでさ、あなたはお兄ちゃんになんて声かけられてアイドルになったの?」

加蓮「……え?」

ユリ「ウチのお兄ちゃんってさ、本当に鈍感ていうか、口下手なんだ。そんなお兄ちゃんが、いったいどんな言葉で若い女の子たちをスカウトしたのかなって」

613: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 01:54:53.73 ID:/478OZ7i0
加蓮「……俺は女心はわからない……云々……」

ユリ「うわ~!自覚はあったんだ!ていうかもはやスカウトの言葉じゃないし!」

加蓮「……あと、歩こうという意思がある限り、俺は君の背中を押し続けてやれる……とか」

ユリ「うわ、くっさ~!……けどお兄ちゃんらしいな」

ユリ「お兄ちゃんってさ、本当昔から口下手で、不器用で、損な性格だったんだ。だから今回いきなりプロデューサーの仕事やるって聞いたとき、本当に心配だったんだ」

加蓮「……」

614: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/10(火) 02:02:01.00 ID:/478OZ7i0
ユリ「だけど、昨日久々に会ったときお兄ちゃん、楽しそうだった。スカウトとかなんだとか、たぶんお兄ちゃん苦手なんだろうけど、それでも精一杯やってるんだって。苦手なことほど努力して、それが上手くいったらそんなに嬉しいことはないよね」

加蓮「……!」

ユリ「加蓮ちゃん、だっけ?お兄ちゃんのスカウト受けてくれて本当にありがとう!お陰でお兄ちゃん、楽しそうだよ!……またお話し聞かせてね!」
タッ



加蓮「……ほかの娘たちも、プロデューサーも、眩しすぎるよ」

加蓮「……やっぱりアタシなんかじゃ場違いだったのかなぁ……」


621: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 00:32:51.97 ID:RHN0FrGS0


リョウ「お疲れ、キング。あいつらのダンスはどうだった?」

キング「ああ……みんな経験はないけど、体力はあるし、身体も良く動くね。悪くないよ」

リョウ「そりゃよかった」


キング「ただ、加蓮はまだ体力が追い付いてないね。少し時間がかかると思う」

リョウ「ああ、それはある程度織り込み済みだ。加蓮に関しては締めすぎず、緩めすぎず見てやってくれ」


622: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 00:38:58.47 ID:RHN0FrGS0
翌朝

リョウ(今日は天気がいいな。絶好の早朝ランニング日和だ)
タッタッタ

悠貴「あれっ?プロデューサーさん?おはようございますっ」
タッタッタ

リョウ「ん?おお、ユウキか。おはよう。ユウキも早朝ランニングか?」

悠貴「はいっ!私もたまにここのコース走るんですけど、会ったの初めてですねっ」

623: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 00:44:00.16 ID:RHN0FrGS0
リョウ「ああ、俺も毎朝同じところを走ってる訳じゃないからな」

悠貴「いつも朝のランニングはひとりでしたけど、一緒に走ってくれる人がいるともっと楽しいですよねっ!」

リョウ「ああ、そうだな。せっかくだし今日は一緒に走ろうか」

悠貴「はいっ!ありがとうございますっ!」

624: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 00:48:40.65 ID:RHN0FrGS0
リョウ「……初レッスンはどうだった、ユウキ」
タッタッタ

悠貴「はいっ、トレーナーさんにはもっと身体を大きく使うようにって言われましたっ!その方が映えるって!」
タッタッタ

リョウ「そうか。まぁ俺はそっちの方は全くアドバイス出来ないからな、キングのいうことをよく聞いて、鍛えていってくれ」

悠貴「はいっ……あれ?あの前で走ってる人って、加蓮さんじゃないですかっ?今日は髪下してますけど」

625: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 00:54:28.87 ID:RHN0FrGS0
リョウ「……どうやらそうみたいだな。おーい!加蓮!」

加蓮「……!!」
チラッ

加蓮「……」
ダッ

悠貴「あっ!加蓮さん!……加蓮さんでしたよねっ?」

リョウ「一瞬見えた顔は間違いなく加蓮だったはずだが……」


626: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:01:01.20 ID:RHN0FrGS0
夕方
事務所

リョウ「なぁ、加蓮。お前、今日朝ランニングしてなかったか?ホラ、あそこの公園前の所を……」

加蓮「……知らない。人違いでしょ。それに体力ないアタシが朝からランニングなんてそんなきついことするわけないでしょ」

リョウ「いや、だからこそだな……んん……?」

加蓮「……」


ロバート「……というわけで、メンバーも揃ったから、これからはレッスンとアイドルとしての仕事、両方をこなしてってもらうことになる」

627: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:06:30.31 ID:RHN0FrGS0
有香「アイドルとしてのお仕事……ですか」

ロバート「そうや。例えば握手会であったり、依頼があればグラビアの撮影であったり、時にはこっちからオーディションを受けに行くこともある」

悠貴「撮影ですかっ?それなら少しだけジュニアモデルの時に経験ありますっ!」

拓海「……モデル?お前、モデルだったのか!?」

628: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:11:31.68 ID:RHN0FrGS0
悠貴「ジュニアモデルを少しだけですけどっ」

有香「それなら撮影の時のコツとか心構えとか色々教えてください!」



ロバート「……ほんで、さっそくやけど今度美波ちゃんと拓海にグラビアの仕事が入っとる」

美波「ほ、本当ですか?アイドルとしての宣材写真撮影依頼のお仕事、頑張らないと!」

拓海「……おい、グラビア撮影ってどんな写真撮るんだ?」

ロバート「さぁな~?先方の希望次第やと思うわ~」

拓海(嫌な予感がするぜ……)

629: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:19:29.59 ID:RHN0FrGS0
撮影当日

美波「やっぱり宣材写真の撮影とは段違いの難しさですね……ですけどっみなみ、やりますっ!」

美波「————」
パシャ

美波「————」
パシャ

リョウ(……やはり最初に見た時に感じた、立ち振る舞いの美しさは間違いなかったな。なんというか、人に魅せるということを美波は本能的に知っているような気がする)

630: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:28:10.91 ID:RHN0FrGS0
リョウ「……」

美波「————」
パシャ

リョウ「……しかし器用だな。なんでもそつなくこなしてる……」

リョウ(昔の、道場でのロバートを思い出すな。あいつは覚えが良くてどんどん技を覚えていって……)

カメラマン「それじゃあ、最後のショット撮影行きますので着替えおねがいしまーす」

631: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:35:03.12 ID:RHN0FrGS0
美波「……ええ?け、けっこう露出が多い衣装ですね……」

リョウ「どうした?」

美波「あ、坂崎さん……い、いえ、なんでもありません。ちょっと着替えてきますね」


美波「……」
///

カメラマン「おおー!良いっすねー!」

リョウ「ほう……」


632: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:40:37.79 ID:RHN0FrGS0
カメラマン「それじゃあその衣装で町を歩いてくださーい」

美波「……」
スタスタ

カメラマン「はいOK!ありがとうございましたー!」

リョウ「お疲れ、美波……どうした?」

美波「……あの、坂崎さん。私のお仕事ってこれからもこういう露出の多い衣装を着ることが多くなるんでしょうか?」

633: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:44:49.26 ID:RHN0FrGS0
リョウ「どうだろうな。それを求める人が多くなればそういう事になるんだろうが……嫌か?」

美波「少し恥ずかしいのは、確かですけど……それ以上にこんな簡単な事で良いのかなって……」

リョウ「……そうだな。最初にスカウトした時も色々な事に挑戦したいって言ってたもんな」

美波「あっ、ごめんなさい……生意気言っちゃって……私なんてほんとに駆け出しなのに……」

634: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:49:33.89 ID:RHN0FrGS0
リョウ「君はなんでもそつなくこなせるみたいだからな。単純に物足りなさも感じるんだろう」

美波「……」

リョウ「ただ……美波がさっき言った通り、俺たちはまだまだ駆け出しだ。はじめの内は来た仕事を全力でこなして、周囲に実力を認めさせていくしかないだろうな」

リョウ「それに、もし今後もこういった仕事が沢山入ってきたとしたら、それは美波がそれだけ魅力的だったって事だしな。それだけ求められてるってことだよ」

美波「……!」

635: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 01:54:22.38 ID:RHN0FrGS0
リョウ「俺も実際良かったと思うぞ?さすが普段から鍛えてるだけあって、無駄のない良い身体だった。どこに見せたって恥ずかしくなんかないぞ」

美波「……もうっ、坂崎さん……!///……けど、なんだか、複雑です……」

リョウ「そ、そうか?俺は称賛してたつもりなんだが……」



美波(純粋に褒めてくれてるのはわかるんだけど、なんか坂崎さんの場合ニュアンスが……)

リョウ(女心ってのはやっぱり難しいな……)

636: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:00:25.80 ID:RHN0FrGS0
美波「……でも、確かに人に求められるっていうのはすごく嬉しいです。……だから、私……これからももっと頑張りますね!」

リョウ「おう!そうして周りに認められていけば、色んな仕事ができるようになるさ!」

美波「……ただ、あんまり露出が多すぎるお仕事は……パパが怒りますので……」

リョウ「……それは要相談だな」


637: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:06:26.27 ID:RHN0FrGS0
同じころ
別の場所

拓海「……なんでアタシの付き添いはアンタなんだよ」

ロバート「しゃーないやろ、美波ちゃんの方と時間被ったんやから……どっちかというとワイも美波ちゃんの方の撮影見たかったわ」

拓海「んだテメェコラァ!それが社長のいう事かコラァ!」

ロバート「そっちこそそれが社長に対して言う事かいなホンマ……」

ロバート(まぁそんなこと言いつつも実は今回の撮影楽しみや……良い物見れそうやし)
ウププ

拓海「なにニヤニヤしてんだ……ったく……気色わりーな……」

638: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:12:12.19 ID:RHN0FrGS0
カメラマン「君が拓海ちゃん?写真で見たより……こう……すごいね」
チラチラッ

拓海「……ああ?どこ見てんだてめ……」

ロバート「はい、そこまでや!拓海、早速やけどこれに着替えてくれや」
スッ

拓海「……なんだこの衣装はァ!む、む、胸が、で、で、出そうじゃねーかァ!」



639: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:17:33.76 ID:RHN0FrGS0
ロバート「うむ。お前のまず第一の武器はその胸や。これを生かさん手はないで」

拓海「ふ、ふざけんなコラァ!こ、こんな恥ずかしい衣装着れるかオラァ!」

ロバート「甘ったれるな!お前はまだまだこの業界ペーペーや!そんなお前がこれからのし上がっていくのに、最大の武器を使わんでどないするねん!!!」

拓海「う、うぐぅ……わ、わかったよ!着ればいいんだろ着ればァ!」

ロバート「よっしゃ!」
ガッツポ

641: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:24:50.72 ID:RHN0FrGS0
カメラマン「もっと表情柔らかくお願いしまーす」

拓海「や、やってんだろコラァ!」
ピクピク

カメラマン「もっと大胆なポーズお願いしまーす」

拓海「こ、これ以上のポーズが出来るかオラァ!」
プルプル


ロバート「……しかし不器用やなこの娘は……来る要求全部に文句つけて……」

ロバート(……なんか方向性は違えど、リョウ見てるみたいやわ。不器用ながらも、自分に出来る事を必死にやろうとして……)


カメラマン「はい、じゃあ次でラストでーす。最後これに着替えてくださーい」

642: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:31:12.38 ID:RHN0FrGS0

拓海「……ざっけんなコラァァァ!いくらなんでも、これは許容できねーぞ!!」

ロバート「なんやなんや、何を騒いどるんや」

拓海「オイ社長さんよ……このフリフリついた衣装もアンタの差し金かよ」

ロバート「おう!今や世間はギャップ萌え……それを求めとる。普段あのクールなあの人が実はこんなに情熱的だったのー!とか、普段あんなにツンツンしてたあの娘が、こんなに可愛いところもあったなんてー!みたいな」

643: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:37:35.19 ID:RHN0FrGS0
拓海「帰る。さっきのセクシ-衣装は10億歩譲って着てやったけど、こんなフリフリなの、アタシの矜持が許さねぇ。アンタの横暴にそこまで付き合ってやれるか」

ロバート「……どうしてもダメか?」

拓海「断る。んなモン着るくらいなら死んだ方がマシだ」

ロバート「……絶対絶対絶対に、ダメか?」

拓海「しつけーな!着ねぇモンはぜってーに着ねぇ!」

644: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:44:26.57 ID:RHN0FrGS0
ロバート「……ほうか。今回は嫌な衣装なのに無理やり着せて悪かったな……」

拓海「……おう。反省しろ反省」

拓海(なんだ?急にしおらしくなりやがって……)





カメラマン「……困りますよ、6810プロさん……こっちもこのために撮影場所抑えて、時間とってやってるんですから」

ロバート「すんまへん……えろうすんまへん……」
ペコペコ

拓海(……!!)

645: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:50:30.89 ID:RHN0FrGS0
カメラマン「いくら謝られたってね……それに、そちらの事務所、できたばっかりでしょ?それなのにこんないい加減な事されたら、もう今後そっちの事務所さんと仕事するところ無くなりますよ?」

ロバート「……!?そ、それはなんとか!今回の件はワイが拓海との事前の確認不足のせいやったんや!アイドルは何も悪ぅない、堪忍したってや……!後生やから……」
ペコペコ

拓海(……アタシが仕事を投げ出したせいで、社長の野郎にも、サカザキにも、そして事務所の他の奴らにも迷惑がかかる……)

拓海(だけど……あの衣装は……)

拓海(……だーっ!!クソっ!!)
ダッ

646: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 02:55:25.14 ID:RHN0FrGS0
ロバート「すんまへん……すんまへん……」
ペコペコ

拓海「……おい。待たせたな」

ロバート「……おおっ!」

カメラマン「……おおっ!」


拓海「ちょ、ちょっと着替えに手間取っちまったが、この通り着てやったぜ!あとはもう煮るなり焼くなり、好きにしやがれ!」

647: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 03:01:29.61 ID:RHN0FrGS0
カメラマン「なんですか、着替えてるんじゃないですかー!じゃあ撮りますよ、満面の笑みで!」

ロバート「ほら、拓海!たくみんスマーイルッってやってみ!たくみんスマーイルッて!」

拓海「た、たくみんスマーイルッ!」
パシャ

拓海「って、なにやらせんだオラァァァァ!!」

648: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 03:05:50.59 ID:RHN0FrGS0
カメラマン「はい、本日の撮影これで終了でーす!お疲れ様でしたー!」

拓海「うう……もう表歩けねぇ……」

ロバート「お疲れ!拓海!最高の1枚撮れてるで!」

拓海「嬉しくねぇよ!もう二度とこんな衣装着ねぇからな!絶対だからなァァァ!」

ロバート「あ、もしもし?カーマンか?ワイやけど、この後焼肉屋の席予約しとってや。ああ、2名分でエエわ」

拓海「肉で買収してもダメだァァ!肉は食うけど!!」

649: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 03:12:33.98 ID:RHN0FrGS0




カメラマン「……それにしても、6810プロさん。さっきの芝居、あんなに上手くいくなんて凄いですね」

ロバート「ああ、カメラマンさんも小芝居に付き合ってもらってスマンかったな」

カメラマン「いえいえ!最高の1枚を撮るためですから!それにしても本当によかったんですか?」

ロバート「ああ、拓海はアレで義理人情に篤いからな……そこを利用するのは心苦しかったけど、後で機嫌は取っておくわ」



ロバート(……まぁこういう腹芸はリョウには出来んからな……今日はワイが拓海について正解やったやろ)

ロバート(我ながらロクでもない手を使ってるのはわかってる。せやけど、ワイはお前らをビッグにするためには多少の手段は選ばんで。痛い目見るなら、後でワイがいくらでも見たるわ)

ロバート(せやから、堪忍な、拓海。堪忍な……)

655: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 23:51:38.43 ID:RHN0FrGS0
数日後

リョウ(さて、今日も早朝ランニングを……あれは?)

加蓮「……」
タッタッタ

リョウ(加蓮?……しかしこないだは違うとはっきり否定されたが……)

リョウ「おーい!加蓮!」
タッタッタ

加蓮「……!?」

656: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/11(水) 23:57:53.44 ID:RHN0FrGS0

加蓮「……!!」
ダッ

リョウ(やっぱりあれは加蓮だ!間違いない!)

リョウ「加蓮!」
ドンッ

加蓮「!?は、はや……」



加蓮「はぁはぁ、なんで……この前とは違う道走ってたのに……」
ゼェゼェ

リョウ「俺も毎朝違うコースを走ってるからな……それより加蓮、別に逃げるこたないだろ……最近は毎朝走ってるのか?」

657: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:08:58.93 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「……だって、悔しいじゃん。アタシだけ体力ないからって、ダンスレッスンも別メニューで……他の子はもう仕事もこなし始めてるのに……」

リョウ「……驚いたな。君がそんなに負けず嫌いだったとは……」

加蓮「……別に、もう始めちゃったんだから、中途半端になるのがダサいって思っただけ。どうせやるなら、精一杯あがいてやろうって」

リョウ「……ははは!」

加蓮「……なに。私がこんなこと言うのが、そんなにおかしい?どうせみっともないって自分でも思ってるよ」

658: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:14:33.51 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「いや。みっともなくなんかないさ。俺は今すごく嬉しいんだ。やっぱりお前は俺が見込んだ通り、いや、それ以上の熱い心を持ってるんだってな」

加蓮「……よくわかんないけど、他の子にはアタシが朝走ってるって言わないでよ。普段あんな感じなのに、実は隠れて必死に走ってます、とか、ダサすぎる……」

リョウ「全くダサくなんかないと思うんだがな……まぁお前がそう言うんなら黙っておこう。それより、明日からは俺が一緒に走ってやろうか?その方がお前も……」

加蓮「絶対イヤ。絶対だんだんあり得ない距離走らされるんだから」

リョウ「そ、そうか……残念だな……」

659: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:21:41.84 ID:yT0iRJ9/0
ロバート「……というわけで、ついに今日から専門のトレーナーさんの登場や!ものトレーナーさんには主にボイストレーニングと、演技や表情なんかのビジュアルレッスンを見てもらうで」

トレーナー「新しく着任しました!みんな、宜しくお願いしますね!」

一同「宜しくおねがいします!」

リョウ「ついに専門のトレーナーに来てもらえたか……だが、ダンスは?」

ロバート「ああ、ダンスは引き続きキングに見てもらう。最初はつなぎのつもりやったけど、予想以上に現場からの評判も良いしな」

660: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:33:06.96 ID:yT0iRJ9/0
キング「ふん……ご挨拶だけど、光栄だ。任された以上は私もしっかり面倒見させてもらう」

リョウ「ああ、頼むぜキング」


レッスンルーム

キング「1、2、3、4、そこでターン!」

加蓮「……はっ!」
バッ

キング「よし!良いじゃないか、加蓮!上達してるよ!」

661: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:34:32.14 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「ふふっ……よしっ」

キング「なんだか前より体力もついてきたんじゃないかい?」

加蓮「そうですかー?私にはわかりませんけどー♪」

拓海「……へぇ……」

662: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:39:54.36 ID:yT0iRJ9/0
トレーナー「……はい、じゃあ、悲しい!」

加蓮「……っ」
フッ

拓海「……!」
クワッ

トレーナー「じゃあ、楽しい!」

加蓮「……!」
フワッ

拓海「……っ!!」
クワワッ

663: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:46:09.58 ID:yT0iRJ9/0
トレーナー「最後、怒ったように!」

加蓮「……!」
キッ

拓海「……ああん!?」
ギロリ

トレーナー「それまで!……拓海ちゃん、全部の表情怒ってる風に見えましたよ……最後に至っては声出てましたし……」

拓海「あ、アレ?っかしいなぁ……」
ポリポリ

664: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:50:42.07 ID:yT0iRJ9/0
トレーナー「加蓮ちゃんの方は、すごく筋がいいですよ!まだちょっと表情が固いところもありますけど、これから続けていけばもっと伸びると思います!」

加蓮「……ふふっ」
フフン

拓海「ぐぬぬ……普段は不愛想のくせして……」
ギリギリ


美波「最近、加蓮ちゃんすごく生き生きしてるね!ビジュアルレッスンもトレーナーさんに褒められてたし!」

加蓮「別にー?一緒にやってた誰かさんがアレ過ぎて相対的に良く見えただけなんじゃないのー?」

拓海「ほ、ほっとけコラァ!」

665: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 00:57:29.76 ID:yT0iRJ9/0
有香「でも、加蓮ちゃんの表情、本当に良かったです!是非コツを教えてください!」

加蓮「ふふ……どうしよっかな~」


ロバート「……おいリョウ。なんや加蓮ちゃん、最近エラいやる気やんけ。なんかあったんか?」

リョウ「さあな。本人に何か思うところがあったんだろう。俺は知らないぞ」

ロバート「まぁやる気になってるなら良かったわ。……せや、それならこのオーディション、受けさせてみたらどうや?リョウ?」

リョウ「これは……」

666: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:01:39.07 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「ドラマの主演のオーディション?」

リョウ「ああ、来週末にあるんだが……」

ロバート「深夜枠のドラマとはいえ、連ドラの主演や。もしこの役勝ち取れたら、6810プロとしては最初の大きな仕事になる」

加蓮「……やる。絶対その役、アタシが勝ち取って見せる」

667: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:06:28.99 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「はぁっ……はっ」
バッ

キング「加蓮!少し動きが雑になってきてるよ!一旦落ち着きな!」

加蓮「……!」

トレーナー「……加蓮ちゃん、表情がまたちょっと表情が固くなってきてますよ」

加蓮「……」

668: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:10:54.77 ID:yT0iRJ9/0

北条家

加蓮(朝のランニングだけじゃ、足りない……アタシは他の娘より体力無いんだから、他の娘の2倍走らないと……)
キュッ

加連母「……加蓮、あなたこんな時間から走りに行くの?ただでさえ最近朝も走って、学校行って、夕方はレッスン受けて……そんなんじゃ身体が持たないわよ……」

加蓮「……今度、絶対に取りたい役のオーディションがあるの。役を取る為にはもっとレッスンしなきゃいけない。その為には体力が足りないの。だから、もっと鍛えなきゃ……」

669: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:14:56.97 ID:yT0iRJ9/0
加蓮母「……お母さんね、最近加蓮が一生懸命アイドル活動に取り組んでるの、すごく嬉しい。ちょっと前までは加蓮、何をしてても楽しくなさそうだったから」

加蓮「……」

加蓮母「だけどね、無理はしすぎて欲しくない。やっと最近、病気も治って健康になったのに、無理して倒れられでもしたら……お母さん……」

加蓮「うん……わかってる。自分の身体の事は自分が一番わかってるから、無理なんてしないよお母さん」

加蓮「だけど、今回のチャンスはアタシ逃したくない。こんな気持ちになったの初めてなんだ。だから、あと少しだけ見逃して、お母さん」

670: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:20:49.14 ID:yT0iRJ9/0
数日後
事務所

加蓮「……おつかれー」
フラフラ

リョウ「……おい、オーディションまでもう日にちもないし、気合が入ってるのもわかるが、無理だけはするなよ?加蓮」

加蓮「無理なんかしてないっての。アタシは元からそんなキャラじゃないし」

リョウ「……」

671: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:26:33.45 ID:yT0iRJ9/0


加蓮「はぁ……はぁ……」
タッタッタ

加蓮(オーディションまであと2日……時間がない……)

ゴロツキ「へいへいへい!そこのお嬢ちゃん!危機管理がなってないねー!」

ゴロツキ2「ほんとだぜ!お嬢ちゃんみたいな若い女の子がこんな夜に一人でランニングなんて……俺たちみたいのに襲ってくれって言ってるようなもんだぜ!」

加蓮「……!」

加連(うそ……!最悪……)

672: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:33:32.71 ID:yT0iRJ9/0
ゴロツキ「お?どうしたどうした?怖くて声も出ねぇか?けどもう遅い……」

カッカッカッカッカ

ゴロツキ2「ん?なんだこの音」

???「夜の闇に走るのは、何もランナーだけじゃない。街に巣食う悪・悪・悪……夜に紛れて闇に奔る……」

カッカッカ

673: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:39:11.32 ID:yT0iRJ9/0
ゴロツキ「な、なんか変な奴が走ってきた!」

ゴロツキ2「く、黒いランニングシャツに……鉄ゲタ?そ、それに、天狗の面!」


???「そんな悪から走者を守る、俺はランナーの守護者(ガーディアン)!」

Mr.RUNNING「俺の名はMr.RUNNING!ケガをしたくねぇなら、とっとと帰れ!小悪党ども!」

ゴロツキ「う、うわあああああ!へ、変態だああああ!!」

674: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:43:30.39 ID:yT0iRJ9/0
ゴロツキ2「お、おい!コイツ最近都市伝説になってる天狗マンじゃねえか!?なんでもデタラメ強えっていう……」

ゴロツキ「い、色んな意味でやべええ!!逃げろおおお!!」
ダダダダ

Mr.RUNNING「……ふぅ。とりあえず天狗の面を常備しといて良かったぜ……」
カポ

675: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:48:51.55 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「大丈夫か、加蓮?」

加蓮「……」

加蓮「……こ……」

リョウ「こ?」

加蓮「腰が……抜けて……」
プルプル

676: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 01:54:08.43 ID:yT0iRJ9/0
公園

加蓮「……普段からあんな恰好して夜走ってんの?」

リョウ「ふ、普段は面は付けてないぞ!馬鹿にするな!」

加蓮(鉄ゲタはいつもなんだ……)

リョウ「……俺の事よりも加蓮、お前のことだ。ただでさえ女の子が夜一人でランニングなんて、危険極まりない。その上夕方にも言ったが、明らかにオーバーワークだ。キャラじゃないんじゃなかったのか?」

加蓮「……ねぇプロデューサーさん。真面目な話だからちゃんと聞いてほしい」

677: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:00:23.31 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「アタシは今まで、色んな事を諦めながら生きてきた。小さい頃から入院ばっかりで友達も作れなかったし、運動だって出来なかった」

加蓮「そんな中で唯一楽しみだったのが、テレビに出てたアイドルの活躍だった」

加蓮「憧れだった……歌って、踊って、お芝居して。キラキラに輝いてて、眩しかった」

加蓮「それに対してアタシの世界は狭い病室と、小さな窓からの外の風景だけ」

加蓮「それは病気が治ってからも変わらない。退院しても、結局アタシの心はあの狭い病室の中に閉じ込められてた」



加蓮「だけど……そんなアタシの病室に知らない面会者がやってきた」

678: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:06:05.67 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「その人は、一回断ったのに、しつこくアタシの病室にやってくる。そしてアタシに言うんだ、『その病室を出てアイドルになれ』って」

加蓮「そんなの無理だって、アタシにはそんな資格ないって言うんだけど……ホントは飛び上がりたいくらい嬉しかった」

加蓮「で、アイドルになってみたけどやっぱりそこは厳しい現実。アタシは体力不足で、他の娘たちからずっと遅れてた。まぁわかってたことだけどね」

加蓮「正直、もう辞めようかなとも思った。だけど……昔病室で見た憧れを思い出すと、どうしても諦めきれなかった。だから生まれて初めて慣れない努力もした」

加蓮「そんな中で、舞い込んできた今回のチャンス。アタシは……何が何でもモノにしたい。こんなに何かを達成したいって気持ち、多分生まれて初めてだから」

リョウ「……」

679: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:10:50.95 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「だから……オーディションまでの残り2日……何も言わずに見ててほしい。もしオーディションに受かれたら。きっとアタシ、変われると思うから」

リョウ「……ビジュアルレッスンだ」

加蓮「……え?」

リョウ「残りの時間は全部ビジュアルレッスンに当てるんだ。走り込みもダンスもオーディションまではやらなくていい。少しでも身体を休めて、ビジュアルレッスンに全力だ。その方が質も上がる。ロバートやキングたちには俺から言っておく」


加蓮「……うん、わかった」

680: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:16:04.43 ID:yT0iRJ9/0
オーディション当日


リョウ「今日は雨か……加蓮、準備はいいな?」

加蓮「……うん」

リョウ「……体調は大丈夫か?」

加蓮「大丈夫だってば、心配性だなぁ」

ロバート「いよいよやな……加蓮ちゃんの努力はここの事務所全員が知っとる。全力出し切ってきてや」

681: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:19:31.31 ID:yT0iRJ9/0
美波「加蓮ちゃん……がんばって!」

有香「ファイトです!気合です!押忍!」

悠貴「頑張ってくださいっ加蓮さん!」

拓海「……まぁせいぜい頑張れよ」

加蓮「ふふ……まぁ見ててよ。一番遅れてこの事務所に来たアタシが一番最初に大きな仕事取ってきて見せるから」

拓海「……ちっ」

682: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:23:48.54 ID:yT0iRJ9/0
会場

リョウ「ここの会議室、だな。……しかし建物に入った瞬間なんだか温度が極端に上がったような……?闘気!?」

???「全く思いもよらぬところで会うものだな、リョウ・サカザキ」

加蓮「……!?きゃああああ!!」

リョウ「……お前は!確か……不破!不破刃!」

不破「久しいな……2年前のグラスヒル・バレー以来か。……しかしそこな娘。拙を見ていきなり叫ぶとは、些か礼儀がなっておらぬのではないか」

683: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:29:49.94 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「だ、だって……半裸で……頭巾被ってて……マッチョで……」

不破「……失敬な。拙とて場は弁えている。ちゃんとネクタイを締めているだろう」

加蓮「完全に変態でしょ……」

リョウ「それより……お前はなぜこんなところに?」

不破「ふん、ここはオーディション会場だぞ?ならば、目的は貴様と同じよ」

加蓮「え、ええ!?オーディション受けるの!?女の子の役なのに!?」

684: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:35:42.67 ID:yT0iRJ9/0
不破「……拙がではない。来い!茜!」

茜「はい!!!呼びましたか不破プロデューサー!!」

リョウ「プ、プロデューサーだと……」

不破「そうだ。今の拙はどこに所属しているわけでもないが、この日野茜のプロデュースをしておる。この娘は素晴らしい、まさに不破流の全てを込めてプロデュース出来る逸材だ」

茜「え、ええっ!!!てっててて、照れますよ不破プロデューサー!!ボンバーーーーーーーーー!!!!」

不破「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

ビリビリビリ
グラグラグラ

ナ、ナンダナンダ、ジシンカ!?
ザワザワ

685: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 02:39:15.24 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「うるさい!」

リョウ「なんで二人して叫ぶんだ!」

不破「ふん……戦いの前の鬨の声のようなものよ……悪いがリョウ、そしてそこな娘……今回のオーディションは不破流とこの茜が頂く」

茜「よろしくお願いしますね!!!」

リョウ「……こいつはとんでもない強敵だぜ……」

加蓮「……」

704: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 19:57:32.83 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「……大丈夫か加蓮」

加蓮(……大丈夫、大丈夫……負けられない……)

リョウ「……加蓮……」





審査員「……はい、それではみなさん自己紹介の後、こちらから提示した演技をやってもらいます」

加蓮(……演技の実技……!受かって見せる……!)

705: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:03:26.42 ID:yT0iRJ9/0
審査員「……それでは次の人、どうぞ」

加蓮「はい、ロバートプロダクション所属、北条加蓮です。よろしくお願いします」

審査員「はい、では演技は……『数年ぶりに再開した友人に初恋の相手の死を告げられた』シーンでお願いします」


加蓮「はい!」



加蓮「うそ……!すっごい久しぶり!元気にしてた!?もう、全然連絡ないから心配してたんだよ!」

加蓮「……え?嘘……、だよね?だって、彼は今夢を叶えて……幸せだって……」

加蓮「嘘……お願いだから、嘘だって、言ってよぉ……」


706: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:12:11.49 ID:yT0iRJ9/0
審査員「ふむ……はい、北条さん、ありがとうございました」

加蓮「……はい!ありがとうございました……!」

加蓮(出し切った……!これなら……)

審査員「……はい、では最後の方、お願いします」

茜「はい!!!日野茜です!!!よろしくお願いします!!」

審査員「はい、では演技は……同じく、『数年ぶりに再開した友人に初恋の相手の死を告げられた』シーンでお願いします」

加蓮「……!」

707: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:17:59.81 ID:yT0iRJ9/0
茜「おお!!久しぶりですね!!会いたかったです!!」
グワ

茜「……え?あのひとが、亡くなった……?」

茜「嘘だ!!!そんな訳ない!!だって、だってあのひとは!!!」

茜「……う、あ、あああ……」

茜「うわあああああああああああああ!!!」

審査員「……はい、ありがとうございました。これで全員の審査が終わりましたので、ロビーでお待ちください。結果を発表します」

708: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:20:57.26 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「……お疲れ、加蓮」

加蓮「……出来は聞かないの?」

リョウ「実際に見てないからな。見られないものの出来を聞いてもしょうがないだろう。……待つだけだ」

加蓮「……うん」

709: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:25:17.26 ID:yT0iRJ9/0
審査員「それではみなさん、お待たせしました。審査結果を発表します」

加蓮「……!」

リョウ「……」

審査員「今回の合格者は……」



審査員「11番、日野茜さん。日野茜さんです」

加蓮「!!」

リョウ「……!」

710: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:33:29.52 ID:yT0iRJ9/0
茜「やったーーーー!!やりました!!不破プロデューサー!!!」

不破「うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」

審査員「(うるさっ)え~、結果に関してですが、今回の主役の役柄が、元気で活発な女の子というところで、日野さんはその声量や動きの活発さで役柄に非常にマッチする、と判断しました」

審査員「残念ながら今回は落選となってしまった方たちも素晴らしい素質をお持ちです。また是非当社のオーディションを受けに来てください。本日は本当にお疲れ様でした」


不破「ふふ……茜、よくぞやった。やはりお主は……すごい漢だ」

711: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:40:54.61 ID:yT0iRJ9/0
茜「はい!!!ありがとうございます不破プロデューサー!!!私は女ですが!!!」

不破「リョウ・サカザキ。今回は拙らの勝ちだ……貴様らもまた鍛え直してくるがいい……往くぞ!!茜!!!」
シュババ

茜「おお!!!プロデューサー、忍隠れですね!」

不破『うむ。先日は道を歩いていただけで逮捕されかけたからな。故に移動時はこのように姿を消さねばな』


茜「ですが、声のおかげで何処にいるかすぐにわかりますね!!!さすがは不破プロデューサーです!!!!!」

713: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:48:11.57 ID:yT0iRJ9/0


リョウ「加蓮……」

加蓮「……ははは。今回の役柄は元気で活発な女の子だから落選って……。なにそれ……じゃあこんな実技とかやらせないで、すぐにあの茜って娘に決めれば良かったじゃん」

リョウ「……今回は役柄に合わなかっただけだ。また次が……」

加蓮「次?次っていつ!?アタシは、アタシはこのオーディションに懸けてたのに!!どうせまた次も役柄に合わないとかで落とされるんでしょ!」

リョウ「……加蓮」

714: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 20:57:09.10 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「意味なかった……アタシの努力なんて、無駄だった!演技の練習も、走り込みも!ただ声が大きいだけの子に負けるようなくだらないものだった!!」

リョウ「……相手を悪く言うな。彼女は彼女で、不破と血の滲むような努力をしていたんだろう。今回は相手が一枚上手だった。それ以上もそれ以下もないだろうが」

加蓮「……何それ。あんた他所のアイドルの肩もつの。そりゃそうだよね。アタシみたいな捻くれたのより、さっきの茜って子や事務所の他の娘たちみたいな、素直な娘の方がかわいいもんね!」

リョウ「加蓮!」

加蓮「……短い間だったけど、お世話になりました。もう、事務所、来ないから」
ダッ

715: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:02:40.83 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「!?お、おい!」
プルルル

リョウ「ちっ……なんだ!」
ピッ

ロバート『なんや、大声出して……オーディションどやった?』

リョウ「またかけ直す!」
ピッ

リョウ「くそっ……外は雨だぞ!あいつ、傘も持たずに!!」

716: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:05:27.90 ID:yT0iRJ9/0
ザー
リョウ「雨ひどくなってんじゃねえか!!加蓮、どっちに行った!」
ダッ

リョウ「おい!今女の子を見なかったか!?傘は差してないはずだ!」

通行人「え?ああ、それなら……あっちの方に走っていったよ」

リョウ「そうか!すまない!」
ダッ


717: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:09:56.95 ID:yT0iRJ9/0
ザー
加蓮「……」
パチャ……パチャ


「おいおい……あの子傘も差さずにどうしたんだ……?」

「お前声かけてこいよ……」

「で、でもなんか……近寄りがたくね?」

加蓮(びしょ濡れだ……)

加蓮(……でも、どうでも良いや、もう……このまま歩いて帰ろう……)


718: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:15:26.46 ID:yT0iRJ9/0
ゴロツキ「おいおいおい、お嬢さん、そんなに濡れちゃ風邪ひくぜ?」

ゴロツキ2「そうだぜ、ちょうどそこにホテルあるからさぁ……ちょっと休んでいこうや?」

加蓮(……)

ゴロツキ「んん?おいおいシカトかよ嬢ちゃん……まっ、いいや」
ガシ

加蓮「……」

ゴロツキ2「お?抵抗しねえのか?それじゃあ合意の上ということで早速……」

719: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:19:15.08 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「どこだ……どこだ加蓮!!」
バシャ バシャッ


通行人「さっきの女の子、やばそうだったな……」

通行人2「ああ、雰囲気もやばそうだったけど、タチの悪そうな奴らに……ホテルとか言ってたな……警察に通報した方が良いんじゃね……?」

リョウ「……!?」


721: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:24:10.55 ID:yT0iRJ9/0
ゴロツキ「へへへ……ずいぶんおとなしいじゃねえかお嬢ちゃん……実はこういうの待ってたとかか?」

ゴロツキ2「だとしたら、見事チャンスをものにしたなお嬢ちゃん……しっかり可愛がってやるぜ」

加蓮「……チャンス?……チャンスを、アタシは逃がしたんだ……」

ゴロツキ「あ?」

加蓮「アイドルも辞めて……アタシには……もう、何もない……!」

723: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:30:11.91 ID:yT0iRJ9/0
ゴロツキ2「?まぁいいや、さっさとホテル入ろうぜ……ん?」
ガシ
ゴシャッ

リョウ「……」

ゴロツキ「んな!?な、なんだてめ」
ズバン

加蓮「……あ、プロ……いや、坂崎さん……え?」
ガシ

リョウ「……」
グイ

加蓮「いたっ……手、引っ張らないで……!」
バシッ

724: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:35:32.56 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「……さっさとどこか軒下に入るぞ……傘も持たず走り出しやがって」

加蓮「……もう、ほっといてよ……アタシはもうさっき事務所辞めるって言ったでしょ……」

リョウ「……加蓮、すまねえな。俺がもっとしっかりしてりゃ、ちゃんとしたプロデューサーだったら、もっとお前にアドバイスや良い言葉をかけてやれたかもしれないのに……」

加蓮「……坂崎さん……」

加蓮「あなたのせいなんかじゃ、ないよ……ないけど……」

加蓮「……ねえ、悔しいよ。あんなに練習したのに……いっぱい、走ったのに……!」

725: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:40:34.95 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「ううん、わかってる……!アタシなんて、頑張り始めたのは最近からで、あの茜って子も、他の子も、アタシよりずっと前からもっともっと努力してたのなんて、わかってる……!」

加蓮「……だけど……悔しいよ……!悲しいよ……!結局、アタシなんかが今更あがいたって、どんなに強く思ったって、他の子たちに敵わない……!どうにもならないのが……悔しいよ……!」
ポロポロ


リョウ「……!」

726: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:44:36.76 ID:yT0iRJ9/0
~~~~~~~~~~~~
十数年前

バシッ

リョウ(少年)「うわあ!」
ドタッ

タクマ「どうしたリョウ!立て!!」

リョウ「……もういやだ、こんな修行耐えられないよ……もう……他人を殴るのは嫌だよ、父さん……!」

タクマ「私の身体が動くうちに極限流の全てをお前に伝えねばならん」

タクマ「それに、この世の中、自分の力で成功を勝ち取らない限り、誰もお前を助けてはくれないんだぞ」

リョウ「……」

727: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:48:40.48 ID:yT0iRJ9/0
ユリ「お兄ちゃん、パパ、ママ、遅いね……せっかくのお兄ちゃんの誕生日なのに……」

リョウ「もしかしたら、俺のプレゼントを買いに遠くに行ってるのかも……ん、電話?」

リョウ「はい、もしもし、サカザキですが……え……?事故……!?」

ユリ「……!!?」




ユリ「パパ!ママ!あああああああん!」

医者「……お母さんは、即死、お父さんの方は強靭な肉体のお陰で一命は取り止めたが、重傷だ……」

728: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:53:27.16 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「……ユリ、もう泣くなよ……俺がついてるじゃないか」
ギュッ

ユリ「お兄ちゃん……」

警察「……それにしても、この事故は不審な点が多すぎるな……本当に事故かどうか怪しいもんだが……」

リョウ「……」





『リョウへ
ユリのことを頼む
  父』

リョウ「とうさん……!一体、何が……?」

729: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 21:58:10.17 ID:yT0iRJ9/0




ユリ「おかえり、お兄ちゃん……今日もお仕事お疲れさま」

リョウ「ただいま、ユリ……お腹空いてるだろ?ご飯にしよう」



リョウ「……ユリ、どうして俺にばかりご飯をつぐんだ?お前もお腹減ってるだろ?」

ユリ「ううん、お兄ちゃんは私のために1日中働いてくれてるんだから、絶対にお兄ちゃんの方がおなか減ってるもん。……それに私、今ダイエット中だし!……えへへ……」

リョウ「……」

730: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:02:24.27 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「どうすればいいんだ……1日中働いても、この稼ぎじゃあユリに満足に飯も食わせてやれない……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

タクマ『この世の中、自分の力で成功を勝ち取らない限り、誰もお前を助けてはくれないんだぞ』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

リョウ「……」

リョウ「自分の力で、勝ち取る……」 

731: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:08:43.30 ID:yT0iRJ9/0
荒くれ「さあさあ!ストリートファイトの始まりだあ!勝ち抜いた奴には賞金がでるぜえ!」

リョウ「……なぁ、このストリートファイト、俺も参加させてくれないか……」

荒くれ「ああ?テメエみたいなガキが?勝手にしろ、だが死んでも誰も知らねえぞ」






リョウ「……ただいま……ユリ……くっ」

ユリ「……!!どうしたのお兄ちゃん!ひどい……傷だらけだよ!」

リョウ「ちょっと派手に転んじゃってさ……大丈夫だから、ご飯食べよう……」

ユリ「お兄ちゃん……」

732: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:12:15.48 ID:yT0iRJ9/0
リョウ(くそっ……勝てない……!あんなに空手の鍛錬をしてきたのに、相手が大人だからって理由で、全然勝てない……!)

リョウ(だが、勝たなければユリは……!ユリはどうなる!?満足に飯も食えず、スクールにも行かせてやれない……!嫌だ……!勝ちたい……勝たなきゃ!)


荒くれ「ああん?ガキ、また来たのか。あんだけ殴られて、懲りねえ野郎だぜ」

リョウ「勝つ……勝つ!勝つんだ!うわあああああ!!」

733: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:16:14.46 ID:yT0iRJ9/0
ユリ(お兄ちゃん、転んだって言ってたけど、絶対何か隠してるよ。様子を見に……)

「おいおい、サンドバッグじゃねえか。あのガキ今度こそ死ぬんじゃねえか?」

「まっ、死んだところでこの肥溜めみてえな街じゃだれも気にしねえけどな」

ユリ「……!!!」


荒くれ「オラ!くたばれやガキィ!!」
ドゴッ

734: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:20:08.83 ID:yT0iRJ9/0
リョウ「ぐ、はぁ……!か、勝つんだ……!」

荒くれ「しぶてえな……ドオラァ!!」
ズガン

リョウ「……!」
カハッ

ユリ「お兄ちゃん!!お願い!やめてェ!!」
ダッ

荒くれ「お?なんだ、家族がいたのかよ……へっ、妹が止めてくれたお陰で命拾いしたな」

735: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:25:20.35 ID:yT0iRJ9/0
ユリ「うっ……うっ……」
ギュッ

リョウ「……泣か……ないでくれ、ユリ……お前に……泣かれたら……俺は……悲しい……」

ユリ「お願い……こんなこともうやめて!……私、贅沢なんてしなくていい……今のままで、お兄ちゃんさえいれば幸せだもん……だから……」
ポロポロ

リョウ「いいんだ、ユリ……」

リョウ(勝てない……どんなにユリの事を思っても……あんな修行の日々を送っても……悔しい……)

リョウ(悔しい……!)



~~~~~~~~~~~~

736: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:30:37.69 ID:yT0iRJ9/0


リョウ「加蓮……」

加蓮「うっ……うっ……」
グスグス

リョウ「……加蓮……!」
ギュッ

加蓮「……!?さ、坂崎さん……」
グス

リョウ「……悔しいよなぁ……悲しいよなぁ……つらいよなぁ……!」

リョウ「わかる。なんでこんなに頑張ってるのに、必死でやってるのに、上手くいかねえんだって」

737: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:36:06.61 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「さか……」


リョウ「だけどな、加蓮。だけど……お前の流した涙や汗、血……努力が、全部無駄だなんて、意味がないなんてことは絶対にない」

リョウ「例え今結果が出なくても、お前が一体どれだけ頑張ってるのかは俺が、ロバートが、事務所のみんなが……俺たちみんなが知ってる」

リョウ「もしその努力を無駄だなんて、無意味なんて言うヤツは俺が許さない。それが例え加蓮、お前自身であってもだ」

リョウ「だから、加蓮。お前は、お前自身を諦めないでくれ」

738: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:41:09.83 ID:yT0iRJ9/0
加蓮「……なにそれ……意味わかんないよ……」

リョウ「今はまだわからくても良い。だが……お前の努力が報われる時が絶対に来る。そういう奴を一人、俺は良く知ってる。だから嘘なんかじゃない、無駄なんかじゃないさ……」

加蓮「……坂崎さん……」

リョウ「……おい!?加蓮!?すごい熱だぞ!おい!加蓮!」

加蓮「……」
グッタリ

リョウ「……これだけ雨に打たれてりゃ当たり前か!くそ、待ってろ!近くに病院は……!」

739: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/12(木) 22:44:26.03 ID:yT0iRJ9/0
ブブーン
キキッ

ロバート「はよ乗れ!」

リョウ「ロバート!?どうして……!」

ロバート「電話であんな声聞かされたらそらなんかあったと思うわ!話は後や、はよ車に乗せえ!」

リョウ「すまない!ロバート!」

755: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/13(金) 23:58:02.54 ID:U83SRSCa0
数日後

住宅街
リョウ「住所は……ここか」

ピンポーン

加蓮母「……はい」

リョウ「……連絡していた坂崎というものです。娘さんの見舞いに来ました」

加蓮母「あなたが、プロデューサーさんですか。どうぞお上がりください」

756: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:03:29.72 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮母「……もうだいぶ熱も下がったみたいです。しばらく無理をしていたところに雨に濡れて風邪をひいたみたいで」

リョウ「この度は本当に申し訳ありませんでした。俺が傍についていながら、こんな事に……」

加蓮母「いえ、あの子が無理をしているのがわかっていて止められなかったのは私も同じですから……それに」

加蓮母「あの子、最近本当に充実してるみたいなんです。長い入院から退院しても、毎日無気力そうに過ごしてて……」

加蓮母「けれど、私たちは心を閉ざしていたあの子に強く言って何かをさせることなんて出来なかった……そっとしておくことが、あの子の心にとって一番の薬だと思っていたから……」

757: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:11:35.90 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮母「でも、あなたにスカウトされてからあの子は少しずつ変わっていって……そしてこの前のオーディション……結果は残念だったみたいだけど、あんなに何かに打ち込む加蓮、久しぶり……いえ、生まれて初めて見たかもしれません」

リョウ「……」

加蓮母「だから、あなたには感謝しているんです。あの子の心を解かしてくれて、本当にありがとうございます」

リョウ「……俺じゃあないですよ」

加蓮母「え?」

758: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:15:15.84 ID:Y4HmNQ+K0
リョウ「加蓮の心にはもともと火は灯っていた。それが長い入院生活で消えかけてしまっていたのかもしれませんが……燻ってました」

リョウ「そして、その心に再び火を点けたのは事務所の他のアイドル達……そして、何より彼女自身です。彼女たちくらいの歳の子たちはお互い競い合い、そして成長していく」

リョウ「俺はただのきっかけに過ぎません。だから……元気になったら、彼女を褒めてやってください。彼女はもっと成長できる」

加蓮母「……あの子が突然アイドルになるって言いだした時、不安でした。けど……良かった。あの子をあなたたちの事務所に預けて……」

759: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:20:44.84 ID:Y4HmNQ+K0
コンコン
加蓮母「加蓮?プロデューサーさんがお見舞いに来てくれたわ。開けるよ?」

加蓮『プロ……ええ!?ちょ、ちょっと待って!10分……い、いや5分!5分でいいから!』
バタバタ

加蓮母「そんなにお待たせ出来るわけないでしょ……3分で支度なさい」

加蓮『~~~~~~ッ!!!』
バタバタ

加蓮母「うふふ……少し待ってあげてくださいね?」

リョウ「なんだか良くわからんが元気そうで良かったですよ」

760: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:29:24.64 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮の部屋


リョウ「……よう。身体の方は大丈夫か?」

加蓮「……う、うん……」

リョウ「……まだ顔が赤いな。熱はだいぶ下がったって聞いてたが」

加蓮「それは……髪もぐしゃぐしゃだし、パジャマだし……こんなところ見られたら、恥ずかしいに決まってるでしょ……」

リョウ「ん?風邪ひいたらそりゃ普通はこんな格好だろ?」

加蓮「……もう……」

リョウ「……?」

761: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:36:46.13 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮「……そういえばさ、この前はそれどころじゃなかったから聞きそびれたけど……坂崎さんって、強いよね。何か格闘技とかやってるの?」

リョウ「ああ、そういえばお前には言ってなかったっけな……俺は元々アメリカのサウスタウンって所で、親父の作った極限流空手って道場の師範代をやってた。ロバートも同門だ。で……日本にはロバートの頼みでな、慣れないプロデューサーをやってる」

加蓮「……空手の先生やってたってこと?」

リョウ「まぁそういうことだな……」

762: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:42:31.42 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮「そっかぁ……だからあんなに強いんだ。そりゃあんな不良じゃ敵うわけないよね」

リョウ「……だが、俺は本来は空手は向いてなかったみたいでな……後から入門してきたロバートにもあっという間に抜かれた」

加蓮「え?」

リョウ「元々俺は荒事は好きじゃなかった。殴られるのも嫌だったが、それ以上に人を殴るのが嫌だった」

加蓮「……じゃあなんで続けたの?」

リョウ「親父が厳しかったのもあるな。極限流の創始者として、一人息子の俺になんとしても跡を継がせたかったんだろう」

リョウ「だが、それ以上に……この空手は俺と親父との、唯一の絆でもあった」

763: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:46:29.89 ID:Y4HmNQ+K0
リョウ「親父は元来頑固で無口な方だったが、この空手以外ワシがお前に与えられるものはない!なんて言うくらいだったからな……」

リョウ「それでも当時はつらかったぜ……辞められるもんならすぐにでも辞めたいと思ってた」

加蓮「……それでも続けたのは」

リョウ「ああ、ある時……まぁ詳しくは言わないが、続けざるを得ない状況になった。来る日も来る日も戦い続ける毎日……相手は……まぁ事情あって屈強なファイターばかり。殴られ、蹴られ、連戦連敗。本当に死にかけたこともあった」


764: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:51:05.21 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮「なんで逃げなかったの?」

リョウ「守らなきゃいけないものがあったからだ。俺が逃げりゃ、俺の手の中に残った唯一の大切なものまで失くすことになる。そう思うと、殴られる痛みも、他人を殴る辛さも、逃げる理由にはならなかった」

加蓮「……」

リョウ「まぁそんな生活を続けて……ぼちぼち勝てるようになったのが17,8歳頃くらいからかな。んで、そこからもう1,2年くらい経ったころには、俺はその辺りじゃ誰にも負けなくなってた。こう見えても『無敵の龍』なんて呼ばれてたんだぜ、俺は」

765: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 00:56:08.30 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮「……じゃあこの前話してた、努力が報われた人っていうのは、やっぱり……」

リョウ「ああ……まぁ、恥ずかしながら俺のことだ。実際の証人が目の前にいるんだから、加蓮も俺の話を信じられるだろ?」

リョウ「まぁ何が言いたいかって言うとだな……人間、遅すぎることはないってことだ。俺が勝てるようになってきたのが17,8歳。加蓮はまだ16歳だろ?全然、まだこれからだ!」

加蓮「坂崎さんは……後悔とか、お父さんに対しての恨み言とかは無いの?」

リョウ「ん?後悔か。それはどうだろうな。今は考え付かないが……まぁ死ぬ前にでも考えてみるさ」

766: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 01:03:01.44 ID:Y4HmNQ+K0
リョウ「あと、親父に対する恨み言……これは無い。断言できる。結局、俺はあの幼いころのシゴキがあったから……あの人が与えてくれた拳があったから、最後に残った大切なものを守ることが出来た」

リョウ「それで、大切なものを守るために時には力が必要だと知ることが出来た。今では、この極限流空手は俺のかけがえのない宝物のひとつだ」

加蓮「そう、なんだ」


リョウ「……いや、待てよ。そう言えばひとつだけあった」

加蓮「……なに?」




リョウ「親父の打つ蕎麦は不味い!」

768: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 01:08:02.74 ID:Y4HmNQ+K0
リョウ「……っと、もうこんな時間か。そろそろ俺は事務所に戻るぜ。加蓮、身体をしっかり治せよ。無理はするな」

加蓮「うん……けど、きっと明日は来て見せるよ。この数日休んだ遅れを取り戻したいしさ」

リョウ「ふっ……その意気だ」



加蓮「……ねぇ坂崎さん。帰る前に最後にひとつだけ良いかな?」

リョウ「ん?なんだ?」

769: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 01:11:55.96 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮「……坂崎さんは、アメリカからこっちに来てプロデューサーをやってるんだよね。ってことは、いつかアメリカの道場に帰っちゃうの?ずっとこっちで、私の……私たちのプロデューサーは続けられないの?」


リョウ「……っ!!……それは……」


加蓮「……なーんてね。ごめんね、いじわるな質問しちゃって」

770: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 01:16:36.59 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮「わかってるよ。さっき聞いたんだもん、坂崎さんにとって、空手がどんなに大切なものか……今の、この状態の方が特別なんだってこと。わかってて、聞いたんだ。ごめんね」

リョウ「……加蓮、すまない。だが、俺は中途半端な状態を放り出して帰るつもりはない。お前、美波、拓海、有香、悠貴……みんな一人前になるまでは、ちゃんとここで仕事をするつもりだ」

加蓮「うん、わかってるよ……ふわぁ、なんだか眠くなってきちゃった。ちょっと寝るから、また明日事務所で会おうね、プロデューサーさん」
パタン

リョウ「……ああ、お休み加蓮。また明日」
ガチャ パタン


771: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 01:20:37.46 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮「……」

加蓮「うっ……」
グスッ



リョウ「……」

リョウ(……俺は……)

リョウ(俺は一体、どうしたいんだ?)

780: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 23:51:10.71 ID:Y4HmNQ+K0
加蓮「……」

コンコン
加蓮母「加蓮、今度はお友達が来てくれたよ。開けるよ?」

加蓮(友達?……誰?)

ガチャ

美波「失礼しまーす……加蓮ちゃん、起きてる?」

加蓮「……!あ……」


781: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/14(土) 23:56:54.56 ID:Y4HmNQ+K0
有香「お見舞いに来ました!加蓮ちゃん!」

悠貴「大丈夫ですかっ!?加蓮さんっ!」

拓海「……んだよ、思ったより元気そうじゃねぇか」

加蓮「み、みんな……どうして……」

美波(ん?加蓮ちゃん……泣いてたのかな……?涙の跡が……)

782: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:03:06.38 ID:qfw+Csze0
拓海「どうしてって……そりゃお前……こいつらが見舞いに行こう行こうってうるせぇから……」

有香「……と言いつつも、一番お見舞いに行くときに気合を入れてたのは拓海ちゃんですよ!」

悠貴「毎日事務所に来るたびに加蓮さんの事気にしてましたっ!」


拓海「あっ!!おい、お前ら!黙ってろ!」

美波「これ、はい、お見舞いの品……かなりの部分拓海ちゃんのチョイスだけど」
ガサッ

拓海「……ああー、まぁな。最近お前が気合入ってたのはわかってたし……ムカつくけど、いねぇと張り合いないっつうか……」
ゴニョゴニョ

783: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:11:35.87 ID:qfw+Csze0
加蓮「……みんな、ありがとう……ありがとうっ……!」
ポロポロ

拓海「!?お、おい」

加蓮「私、もう独りじゃなかったんだ……!」
ポロポロ

有香「だ、だだだだ大丈夫ですか加蓮ちゃん!ど、どこか痛いんですか!?」

加蓮「あー、もうホント、かっこ悪いな……最近、泣いてばかりだ、私」
ポロポロ

悠貴「な、何か悲しいことがっ?」


加蓮「……いや、大丈夫、大丈夫だよ……でも、みんなにも話しといた方が良いかもしれない。さっき坂崎さんと話したこと」

美波「坂崎さんと話したこと……?」

784: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:17:09.07 ID:qfw+Csze0




拓海「……まぁサカザキが極限流って空手の師範やってたってのはアタシらも聞いてたけど……そういう重そうな過去があるってのは聞いてなかったな」

美波「他人を殴るのが嫌だった坂崎さんが毎日毎日戦い続けなければいけない程の事情って……一体どれほどの……」

有香「……となると、坂崎プロデューサーの空手は私のように道場だけでなく、実戦で鍛えられたものというわけですね」


悠貴「プロデューサーさん、空手の先生だったんですねっ!道理でお話しが胸に響くというかっ、説得力があるっていうかっ!」

785: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:24:37.39 ID:qfw+Csze0
拓海「だけどよ……サカザキも言ってた通り、もしアメリカに帰るとしてもよ、そんなすぐの話じゃねえんだろ?最近やっとアタシら仕事をこなし始めたばかりだし、それこそ一人前になるのなんざ、あとどんだけかかるかわかんねえくらいだぜ」

拓海「それによ、そんだけ長くこっちで過ごしてりゃサカザキの心境に変化があったり、状況が変わったりするかもしれねえ」

拓海「なんにせよ、今からアタシらが心配するような問題じゃねえだろ?」

加蓮「……そうだね。言われてみればそうなのかも。拓海は強いんだね」

拓海「!?お、おい、どうしたんだお前がアタシの事褒めるなんてよ……まだ熱があるんじゃねえか?」

加蓮「ふふ……大丈夫だよ、明日には復帰してみせるから」


786: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:30:14.24 ID:qfw+Csze0
美波「……じゃあ、私たちそろそろ失礼するね。加蓮ちゃん、無理はしないで、しっかり身体治してね」

加蓮「ふふ……もう、わかってるって……それさっき全く同じこと坂崎さんに言われたんだから」

美波「……なんだか恥ずかしい……」

拓海「それじゃな、加蓮」

ガチャ パタン


加蓮「……それは今私たちが心配することじゃない、か」

加蓮「そうだね。今はしっかり目の前の事、頑張らなきゃ」

787: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:37:06.59 ID:qfw+Csze0
翌日

加蓮「……おはようございます」

ちひろ「あっ!加蓮ちゃん!おはようございます!」

ちひろ「みなさん!加蓮ちゃんが来ましたよ!」

ドタドタ

ユリ「加蓮ちゃん!!もう風邪大丈夫なの!?も~心配したんだから!」
ギュ~

加蓮「ゆ、ユリさん!?」

788: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:43:18.18 ID:qfw+Csze0
キング「その感じだともう大丈夫そうだね……心なしか前より良い表情になってるんじゃないかい?」

トレーナー「そうですね……前見た時はオーディション前で張りつめてましたから」

加蓮「……みなさん、本当に心配かけました。もうこの通り、身体は大丈夫なんで」



ロバート「それは何よりや。全く、あんな雨に打たれりゃそら風邪ひくで。風邪ひかんのはどっかのアホくらいや」

リョウ「……俺の事か?」

789: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:50:42.85 ID:qfw+Csze0
加蓮「社長も……車で私を運んでくれたんですよね?ありがとうございました……ほとんど覚えてないけど……」

ロバート「ああ、ええねんええねん!それよりも、リョウがあのまま加蓮ちゃんを抱きかかえとる状態を放置しとった方が絶対にやばかったしな!完全に誘拐やでホンマ!」

加蓮「え、ええ!?だ、抱きかかえられてたの私!?」

キング「へえ……やるじゃないかリョウ」

ユリ「キングさんというものがありながら……」

リョウ「お、お前らが何を言ってるのかわからんが、しょうがないだろ。急に気を失ったんだからな」

790: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 00:57:25.14 ID:qfw+Csze0
ロバート「ところで、ワイからの提案なんやけど、加蓮ちゃんの快気祝いせえへん?結局契約祝いもやってなかったわけやし、まぁ本人が良ければ、やけど」

リョウ「……どうだ?加蓮」

加蓮「……それってさ、私が場所決めても良いんだよね?」

ロバート「お!乗り気やないか!どこでもエエでぇ、美波ちゃんと拓海のグラビアがかなり売れとるみたいでな、資金的にもちょっと余裕出てきたしな!」

加蓮「……それなら……」

791: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 01:03:48.89 ID:qfw+Csze0
ハンバーガーショップ

拓海「……その流れでなんでファストフード店なんだよ!」

加蓮「ふふっ、憧れだったんだぁ……学校帰りに友達とこういうお店に寄って帰る感じ」

リョウ「いいか?ユウキ、出来るだけサラダ付きの量が多い物を頼むんだぞ」

悠貴「は、はいっ!」

ロバート「そしてお前は飲食店に入った瞬間悠貴ちゃんの保護者モードかいな……」

792: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 01:12:05.41 ID:qfw+Csze0
美波「普段こういうお店あまり入ったことないから知らなかったけど、みんなでおしゃべりができて楽しいところだね」

有香「こ、この大きい、数段重ねのハンバーガーはどうやって食べるのですか……」

ちひろ「こう、そのままガブッ!とですよ、有香ちゃん!」

有香「き、気合ですね!押忍!」


加蓮「はぁ~、こういうジャンクな感じの食べ物、好きかも……ポテトとかほんとおいし」
パクパク

ロバート「……まぁ本人がええならそれでええわ」


793: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 01:18:12.68 ID:qfw+Csze0
加蓮「そういえば、せっかくこんな場を設けてもらったんだし、いまさらだけど、自己紹介というか、決意表明しとくよ」


加蓮「改めて……私は加蓮。まぁ方向性としては……女優路線かな?みんな、よろしくね♪」

ロバート「……リョウ」

リョウ「ああ……加蓮、実はひとつお前に伝えとくことがある」

加蓮「……お?なになに、サプライズかな?……あんまりサプライズなのは勘弁してほしいんだけど」

794: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 01:24:02.57 ID:qfw+Csze0
リョウ「実はな。お前が家で休んでる間に連絡があったんだが……」

加蓮「……なに?」

リョウ「こないだお前が受けたオーディションのドラマ。あれの出演オファーがあった。主人公の親友役でな」

加蓮「……え?……ほんと……?」


リョウ「ああ、なんでも親友役はドラマの前半と後半でガラリと役柄が変わる難しい役なんだそうだが……こないだのオーディションの実技で審査員がお前に目を付けたそうでな。是非やってみませんか、と」


795: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 01:31:32.10 ID:qfw+Csze0
加蓮「うそ……そんな、私、完全に落とされたと思って……」

ロバート「主役でこそないけど、押しも押されぬ重要な主要キャストや!深夜枠とはいえ、こらエエ仕事勝ち取ったで!」

拓海「ちっ、なんだよ。なんだか先越されちまったな」

美波「私たちも負けてられないね!」

有香「そうですね!押忍!」

悠貴「すごいですっ!加蓮さんっ!」

796: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 01:38:32.08 ID:qfw+Csze0
リョウ「……無駄なんかじゃなかったな、加蓮」

リョウ「お前が研ぎ澄ませた技は、確かに審査員の心に届いてたんだ」

加蓮「……うん……うん……!」
ポロポロ

拓海「まーた泣いた!純情娘かお前は!」

加蓮「ほんと、だね……つくづく私、最近泣いてばっかりだ……」
ポロポロ

ロバート「……二つ名は決まったな。6810プロの『純情かれん』や」

リョウ「……シャレか?それ……」

797: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 01:44:04.76 ID:qfw+Csze0
リョウ(……これで本当の意味で5人、揃った)

リョウ(ついにこの時が……グループ結成の時が、来た)



悠貴「……ちなみに加蓮さんの役ってどんな人なんですかっ?」

リョウ「え~と……主人公の親友で、病弱で気弱な女の子。作中中盤で命にかかわる大手術を受けるも、実はそれは改造人間の手術で、終盤性格が豹変して主人公の前に立ちはだかる……改造により手から光線を出す……」

ロバート「どんなキャラやねん……ていうかどんな脚本やねん……」

加蓮「あはは……やりがいがありそうだね」

798: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/15(日) 01:50:18.50 ID:qfw+Csze0
同じ頃
都内某所


???「フッ、ついに5人、揃ったな。完璧なメンバーだ」

真奈美「ああ、それにしても驚いたよ……まさか私をトレーナーとしてではなく、アイドルとしてスカウトしたいなんて言われた時は……人材不足なのかと思ったがね」

???「優れた能力を持つ者に相応しい役割を与える……何もおかしなことではない。お前は私の目に適った、それだけのことだ」

真奈美「ふっ、光栄だな……だが、これほどのメンバーの中でやれるんだ、全力でやらせてもらうさ」

女性「ふふ、謙虚ですね、真奈美さん」

女の子「ていうか、さっきから5人って言ってるけど、一人いなくね?どこいった?」

女性2「彼女のアレはいつものことよ。ほっときなさい」

???「ハハハ、これほどの素材たち、そして私自らのプロデュース……アイドル業界を飲み込むのは最早時間の問題……極限流、お前たちはどれほど抗って見せてくれるかな?ハハハハハハハハ!」


811: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/16(月) 23:48:24.31 ID:FQiLvQTN0
数日後


ロバート「え~、みんなおはようさん。さっそくやけど、今日はみんなに大事な発表がある」

美波「大事な発表……ですか?」

リョウ「ああ。これまでこの事務所のアイドルである5人には、それぞれ各人ごとに色々な仕事をこなしてもらっていた」

リョウ「それで、みんながアイドルの仕事にある程度慣れてきてもらった今、これからのタイミングで、以前から俺とロバートで練っていた計画を始動させたい」

812: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/16(月) 23:55:00.89 ID:FQiLvQTN0
拓海「なんだよ、計画って」


ロバート「グループ結成や」

悠貴「グループですかっ?」

リョウ「ああ、普段からダンスレッスンやボイスレッスンをしてもらっていたのもCDデビューしてもらうためだ」

ロバート「アイドルは歌って踊ってナンボやからな、みんなも実は疑問に思ってたんとちゃう?いつCDとか出せんのやろって」

美波「……!」

813: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:03:52.92 ID:Z0ZE5CTR0
ロバート「けど、そろそろ頃合いや。少なくともワイとリョウはそう判断した。当然通常の仕事はこなしつつ、グループとしてのレッスンの時間も取らなアカン。忙しさは今までの比やない。それでもみんなは、ついてきてくれるか?」

美波「……もちろんです!」

拓海「今更やっぱりちょっと……っていう奴はいねえよ。なぁ?」

悠貴「歌って踊って……ぜひやってみたいですっ!」

加蓮「いいじゃん。やっぱステージに上がってこそのアイドルだよね」

有香「はい!難しそうですけど、挑戦したいです!」

814: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:09:29.40 ID:Z0ZE5CTR0
リョウ「……よし、お前らならそう言ってくれると思ったぜ。それでだな。デビューに当たってグループ名が必要になる」

拓海「ぐ、グループ名!そりゃそうだ!もしかしてもう決まってんのか?」

ロバート「ああ……まぁ大人の事情とワイらが相談して、決めたんや。その名も……」


ロバート「『極限drea娘』や!」


有香「きょくげん……」

悠貴「どりーむす……」

815: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:17:29.32 ID:Z0ZE5CTR0
拓海「……なんか響きだけだと野球チームみてーだな」

ロバート「字面に工夫があるから!よう見てみ!」


ロバート「極限……これはまぁ限界を超えていく、という思いやな」

ロバート(本当はまぁクループ名に極限って入ってる方が衣装とかに違和感なく文字入れられるという大人の事情やけど)


ロバート「それに後ろのdrea娘……これは普通dreamsとなるはずが、msの所にあえて娘と書いて「むす」と読ませる……ここがハイセンスたる所以や」

ロバート「これにより、このグループが今後流行ったら、『極娘(きょくむす)マジでやばくない?』みたいな略語を使われ、親しまれていくという寸法や!どや!」

816: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:25:07.70 ID:Z0ZE5CTR0
拓海「……なんか若干センスが古くねぇ?」

加蓮「古い古い……あれなの?モー○ング娘。的な……略して○ー娘的な……」

ロバート「ふ、古い……!?」
ガガーン

リョウ「ふ、古い……」
ガガーン

美波「ま、まぁまぁみんな……社長さんも、坂崎さんも一生懸命考えてくれたみたいだから……ね?」

817: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:29:09.62 ID:Z0ZE5CTR0
有香「私はけっこう強そうでいい名前だと思います!」

悠貴「きょくむすって響きかわいいと思いますっ!」


リョウ「な、なんだか妥協された感はあるが、まぁいい……それで、デビュー曲となる曲も実はもう出来てる」

美波「ほ、本当ですか!?この計画って、実は結構以前から動いていたんですか?」

ロバート「ふふ、まぁそういうことやで……そしてこの曲名は!」

818: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:36:07.61 ID:Z0ZE5CTR0
ロバート「『hello!成層圏』や!」

加蓮「はろー……」

美波「せいそうけん……」

拓海「……どういう意味だ?」


ロバート「ええとやな……空の上の方にはいろいろ対流圏とか成層圏とか中間圏とかあってやな、成層圏はその中でも常に晴れとるところらしいんや」

ロバート「ほんで、分厚い雲を抜けたら晴れてる成層圏にこんにちわ……みたいなとにかく明るい歌や」

加蓮「へ~……」

819: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:41:28.40 ID:Z0ZE5CTR0
リョウ「それでだな、明るい歌であると同時に、ダンスもかなりの運動量になる。まぁそういう方向で振り付けはお願いしたんだが……その方がこの事務所の曲らしいと思ってな」

拓海「……まぁどっかの誰かのせいで体力ばっかりは鍛えられてるからな、アタシらは」

リョウ「そこで、この曲をグループで歌う際の最も重要な立ち位置……センターだが」

リョウ「俺はユウキに任せたいと思う」

悠貴「え、ええっ!?私ですかっ!?」

820: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:46:12.23 ID:Z0ZE5CTR0
リョウ「ああ、体力という点においてはユウキはこの中でも優れているし、激しいダンスもユウキが伸び伸びと踊ってくれればかなり映えると思う」

リョウ「……どうだ?ユウキ、やってみるか?」

悠貴「……は、はいっ!精一杯がんばりますっ!」

ロバート「おっと、もちろん他のみんなもやで?ステージの上に立つ以上、どこからも見られるのは当たり前やからな?」

拓海「わかってら!全力でやってやるぜ!」



リョウ「よし、というわけで、今日からはレッスンはこの曲の振り付け。及び歌唱の練習をしていくことになる。頑張ってくれ」

美波「私たちの初めての曲……がんばろう!みんな!」

821: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:51:11.85 ID:Z0ZE5CTR0
キング「ほらほら!拓海、運動量が多いからっていって、動きが雑になっていいって訳じゃないんだよ!有香もだ!」

拓海「ヒィ、ヒィ……きっつ……!だが、動ける……!」

悠貴「ここでっ!ターンッ!」

美波「……っ!」

有香「くっ……!ここは素早い足捌きが要求されますね……」

加蓮「はぁ……はぁ……」

822: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:54:41.55 ID:Z0ZE5CTR0
キング「加蓮、大丈夫かい?限界だったらちゃんと言うんだよ?」

加蓮「まだまだ……!」





キング「……これはまた随分とハードな曲だね……普通はこれ1曲踊ったらかなり疲れるだろうけど……それに加えて歌もだろ?大変だね、アイドルは……」

リョウ「そうだな……だが、俺たちは動いてこそ、だ。加蓮も他のメンバーに比べればまだまだ体力面に不安はあるが、今のあいつなら食らいついていってくれると信じてる」


-----------------------------

---------------------

--------------


823: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 00:58:28.74 ID:Z0ZE5CTR0
数週間後

リョウ「みんな、今日もお疲れさまだ。かなり曲の方もモノにしてくれてるようだな。キングとトレーナーさんが褒めてたぞ」


拓海「まぁ最初はかなり戸惑ったな……人前で歌うってのはなかなか度胸がいるぜ」

加蓮「まぁでも私たちはアイドルなんだから……そこは乗り越えないとね」

拓海「ほほー、流石もうドラマに出演してる女優は肝が据わってんな」

加蓮「ふふん?それほどでも……あるよ?」

拓海「あんのかよ!」

824: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 01:04:32.45 ID:Z0ZE5CTR0
リョウ「で、だな。今度、お前たちにとっての初のLIVEの仕事が入った。最近売り出し始めた色々なユニットが出演する『ニューフェイスフェスティバル』だ」

ロバート「原則デビュー1年以内の新しいグループが参加してくるらしい。で、これが参加してくるグループリストや」

悠貴「あっ、もう私たちの、極限drea娘の名前がありますねっ!」

美波「ふふっ……なんだか嬉しいね」

825: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 01:12:47.03 ID:Z0ZE5CTR0

加蓮「あっ、茜の名前がある……ってことはまたあのプロデューサーと会うのか……」

リョウ「……不破はドラマの撮影の時にも会うのか」

加蓮「茜と撮影が被るときは確実にね……あの人自体はすごい熱心なプロデューサーって言えると思うんだけど、時々2人して叫びだすことがあるんだよね……その音量といったらもう……」

拓海「前からそいつの話聞いてたけどよ、ここまで来ると逆に一回見てみたくなるな……」


826: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 01:14:54.81 ID:Z0ZE5CTR0
リョウ「……ん?」

ロバート「?どした?リョウ……なんか気になるグループでもおったか?」

リョウ「いや……この、Reppuってグループ……いや、まさかな……大丈夫だ、なんでもない」

ロバート「……?まぁとにかくこのフェスは2週間後の開催や。それまで各人、曲の完成度を上げていってくれ。頼んだで!」

美波「はい!」

836: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:08:08.84 ID:Z0ZE5CTR0
美波「……ふっ!……っ」
タン タタッ

拓海「オラッ……とりゃっ……」
バババ ズバッ

有香「覇っ!!せいっ!」
ダン シュバッ

加蓮「はぁっ……!」
タタッタ



悠貴「……」
ジーッ

837: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:11:09.34 ID:Z0ZE5CTR0
リョウ「……ん?ユウキ、どうした?みんなのダンスをじーっと見て」

悠貴「あっ、プロデューサーさんっ……いえ、みなさんのダンスを見てて思ったんですけどっ」

悠貴「ダンスって、髪が長い方が映えませんかっ?」

リョウ「なに?」

838: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:17:18.36 ID:Z0ZE5CTR0
悠貴「あのっ、今回の曲でプロデューサーさんにセンターを任せてもらえたので、美波さん達と比べて私のダンスってどうなのかなって思って見てたんですけどっ」

悠貴「美波さん、拓海さん、有香さん、加蓮さん……みんなダンスの時に長い髪がすっごく動いて、綺麗で……ターンの時なんて特にっ」

悠貴「私、ショートカットが好きなんですけど、他の人のを見たらロングもいいなって……」

リョウ「髪型か……まぁ確かにダンスの時は長い方が映えるってのはあるのかもな。長いとそれだけで動きが大きくなるからな」

悠貴「そうですよね……」


拓海「おう、お前ら、さっきからなんの話してんだよ」

839: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:23:42.93 ID:Z0ZE5CTR0
拓海「髪の長さか……逆にアタシなんかは長くて不便に思ったことが何度かあるぜ?喧嘩の時なんかは特に長いと相手に引っ掴まれたり、夏は暑かったり」

拓海「あと、手入れだな!シャンプーの減りは早いし時間はかかるし……あれ?ショートの方が良いんじゃね?」

美波「でも、ショートはショートでお手入れ大変だよね。維持するために美容院いく回数も多くなるし、髪が広がりやすくて直すのが大変だったり」

加蓮「あれ?美波もショートだった時期あるんだ?」


840: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:29:01.88 ID:Z0ZE5CTR0
美波「うん、子どもの頃はショートだったよ。中学くらいからは伸ばしてるんだけど……」

加蓮「へ~……私は今のこれくらいの長さがちょうど良いかな。色々とヘアアレンジ出来て、飽きにくいんだよね」

拓海「……そういや髪型と言えば、有香。お前のその二つ結び、解いてるとこ見たことねーな」

有香「!?」

悠貴「そういえばお団子にしてたり、ツインテールは見たことありますけどっ、下してるとこは見たことありませんっ!」

841: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:35:27.28 ID:Z0ZE5CTR0
加蓮「ねえねえ、有香、せっかくだから下してみてよ」

有香「む、無理無理無理無理無理むー!!!」
グワッ


美波「!?」
ビクッ

拓海「な、なんでそんな嫌がるんだよ!?」

有香「そ、そんなっ……人前で髪を下すなんて、恥ずかしいです!照れすぎて立っていられません!歌ったり踊ったりすることの100倍恥ずかしいです!」


842: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:42:29.55 ID:Z0ZE5CTR0
美波「そ、そうなの?綺麗な髪だし、恥ずかしいことなんてないと思うんだけど……」

有香「ほ、褒めて頂いても絶対に下しません!この中野有香、何があってもここは死守します!押忍!」
ザッ

加蓮「そ、そんなにいやならいいよ……な、なんかごめんね」




キング「髪型ねぇ……私は闘いの邪魔になるから伸ばすことはないかな」

ユリ「私は今は伸ばしてるけど、キングさん見てたらショートも良いかなって最近思ってきたよ」

ロバート「どんな髪型でもユリちゃんは天使やできっと……!」

843: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:47:06.70 ID:Z0ZE5CTR0
リョウ「……とまぁ色んな意見はあったが、ユウキは今の髪型似合ってて、可愛らしいと思うけどな。それに、髪が短いならその分、動きを大きくすればいい……ユウキにはそれが出来るとおもうしな」

悠貴「……ほんとですかっ!?え、えへへ……っ」

キング「まぁとにかくもう本番目前だ。今更そんな髪型なんて気にする隙なんて出ないほど完璧に私が仕上げてやるよ……覚悟しな」

悠貴「お、お手柔らかにお願いしますっ……!」


844: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/17(火) 23:55:05.57 ID:Z0ZE5CTR0
フェス当日
会場

有香「け、けっこう大きい会場ですね……!」

ロバート「そらそうやで。このフェスは毎年開催されとって、これをきっかけに一気にスターダムに乗ったグループも少なくない、新グループの登竜門みたいなもんや」

美波「そ、そうなんですね……ちょっと緊張してきたかも……」

ロバート「あ~、いや、別にプレッシャーかけるつもりはなかったんやけどな。つまりそれだけチャンスでもあるっちゅうこっちゃ」

リョウ「ああ、それに適度なプレッシャーを感じることは悪いことではないからな。ガチガチになるのは良くないが、プレッシャーを感じなさすぎるのも緩みや油断に繋がったりするからな」

845: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:02:27.43 ID:8F6xnM7g0
茜「あ!!!加蓮ちゃーーーーん!!おはようございまーーーーす!!!」
ドドドドド

拓海「声でかっ!」

加蓮「茜!……あれ?あの変態のプロデューサーさんは?」

茜「不破プロデューサーの事ですか?さっきまでお隣に(透明になって)いたんですけど、会場に誰かお知り合いを見かけたみたいで一心不乱にその人の方に飛び掛かっていってました!!」

拓海(な、なんだ……噂の変態はいねえのか……す、少し残念だぜ……)

846: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:10:19.26 ID:8F6xnM7g0
リョウ「……なに!?相手は誰だか知らないが、こんな人の多いところで闘うつもりか!?日野さん、不破はどっちに行った!?」

茜「はい!私が感じた不破プロデューサーの気配はあっちの方向へ飛び去って行きました!!」


ロバート(いや、何モンやこの娘……)

リョウ「そうか、わかった!ロバート、俺は不破を止めてくる!皆のことを頼む!」

ロバート「おう、任せとけ!けど、この後すぐLIVEやからな!無茶したらアカンで!」

847: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:17:09.49 ID:8F6xnM7g0



???「あやめよ……見事このフェスでその存在を示し、我らが最強を世に知らしめるのだ」

あやめ「はいっ!この浜口あやめ、見事彰二殿のご期待に応えて見せます!ニンッ」

彰二「ふん、当然だ……む!?曲者か!」
カッ

不破「まさかこのような所で相見えるとはな……如月彰二!」
ズン

あやめ「……!?ひゃ、ひゃああああ!!半裸で頭巾のマッチョな御仁が突然現れたーーーー!?」


849: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:24:08.49 ID:8F6xnM7g0
彰二「フン……一体何処の刺客かと思えば、如月流の恥さらしとはな……今更どの面を下げて拙者の前に現れた……恥を知れぃ!!」
クワッ

不破「ふっ……貴様こそいつまでその如月流などという草臥れた拳を奉じておる。今や最強はこの不破流……不破刃の手中にこそ在る」

彰二「……よかろう。貴様の存在はまさに如月流の汚点そのもの。如月流現当主の責任と技を持って、貴様を亡き者にしてくれる」
ザッ

不破「望むところよ……貴様らが後生大事に守り続けた奥義を更に完璧な物へと昇華させた我が不破流……その奥義を持って貴様ら如月流へのせめてもの手向けとしてやる!」
グワ

851: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:27:00.65 ID:8F6xnM7g0
くっそ恥ずかしい……
今までの彰二は全部影二に修正で……
くっそ恥ずかしい……
死にたい……

852: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:31:42.51 ID:8F6xnM7g0
リョウ「くそっ……不破め、いったいどこに……あそこか!……あれは影二か?それと、もうひとり……?」

不破「ぬっ……!」
グググ

影二「くっ……」
グググ

???「フッ、果し合い、お礼参り、返り討ち……実に結構なことだが、それは場所を変えてもらうか、このフェスが終わった後にしてもらおう。フェス開始前に会場で死人が出て開催中止にでもなろうものなら私の野望が水泡と帰すのでな……」
グググ

リョウ(影二と不破の二人の攻撃を平然と止め、なお余裕の表情を崩さぬこの男……見間違うはずもない……!)

853: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:39:27.74 ID:8F6xnM7g0
影二「ぬっ……!貴様、極限流……リョウ・サカザキ!貴様までがこの場所に!?」

???「ふっ……久しぶりだな、リョウ・サカザキ……以前会ったのはキング・オブ・ザ・ファイターズの第1回目の時だったな……およそ2年ぶりくらいか?」

リョウ「……なぜお前がこんなところにいるんだ……」

リョウ「ギース……ギース・ハワード!」

ギース「フン……それはこちらのセリフでもあるのだがな……だが私はお前たちが少し前から日本に来ていたという情報はすでに掴んでいた……私は私の事情でお前たちよりも先に日本に来ていたからな……」

854: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:47:07.69 ID:8F6xnM7g0
リョウ「俺たちよりも先に日本に?……それは一体どういう……」

警備員「こらー!そこのお前たちか!会場内で暴れている変態とコスプレ野郎というのは!」

ギース「ふん、職務ご苦労な事だ。君、もうこの場は解決した。安心して君は君の持ち場へと戻りたまえ」

警備員「はぁ!?いや、どう見たってそこの忍者と変態は危険人物……」

ギース「……聞こえなかったか?私は、『この場はもう解決した』と言ったのだが?」
ギン

855: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:55:24.02 ID:8F6xnM7g0
リョウ「……!」

影二「……!」

不破「!!」

警備員「ひっ……し、失礼しましたあああああ!」
ダダダダダ

リョウ(なんて殺気だ……心臓に直接刃物を突き付けられたような……!)

ギース「さて……如月影二と……不破刃だったかな?貴様たちも元からこのフェスに殺し合いに来たわけではないだろう?本来の目的を忘れぬがいい……現に影二、貴様の後ろの少女はめっきり怯えてしまっているぞ?」

856: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 00:57:09.01 ID:8F6xnM7g0
あやめ「……っ……!」
フルフル

影二「むっ……あやめ……」

影二「ふん……致し方なし……だが不破……そして極限流!一体誰が最強かはこの後のLIVEで、そして我ら自身の闘いで教えてやる!首を洗って待っていることだ!……往くぞ、あやめ!」

あやめ「あ……は、はい。影二殿……」
トタタ


影二「……すまぬな。仇敵に逢ったせいで頭に血が上ってしまった。許せ」

あやめ「……い、いえ!この後のLIVEできっと如月流の最強を証明します!ニン!」

彰二「……ふっ、当然よ」

857: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 01:00:52.37 ID:8F6xnM7g0
>>856  彰二→影二



不破「ふん……とんだ邪魔が入ったものだ。ギース・ハワード、その名と顔、覚えたぞ。この後のLIVEで茜とともに不破流の力を見せつけてやる。極限流、お前たちにもだ。影二との決着はそのあと着けてくれる」

ギース「余計なお世話だが、姿を消さないならばせめて上着を羽織った方が良いだろう」

不破「ふん!本当に余計なお世話よ!さらば!」
シュビビン

ギース「……姿を消したか……だが闘気が抑え切れていない。あれでは実戦では役に立つまいな……だがリョウ、日本とは良い地だな。このような白昼において命のやり取りを望むような、飢狼の如き猛者達の魂を感じる」

858: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 01:04:50.38 ID:8F6xnM7g0
リョウ「ギース……どういうことだ?お前、俺たちよりも先に日本に来ていたと言うが、目的はなんだ?その目的がもし俺の家族に害を与えるようなものなら、俺は今この場で全力であんたを止める……!」

ギース「ずいぶんと嫌われたものだな……確かにタクマやユリ・サカザキの件は当時私が所属していた組織の……Mr.BIGの仕業だが、私は直接関与していない」

リョウ「仮にそうだとしても……俺はキング・オブ・ザ・ファイターズの時に龍虎乱舞を狙ったあんたと命のやりとり寸前の闘いをさせられたんだ……簡単に信用できるか」

ギース「フンッ……お前がどうしてもというのなら、私がこの日本で身に着けた無敵の技で貴様に前回の借りを返しても良いのだが……先ほども言った通り、今はその時ではない」

859: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 01:11:05.25 ID:8F6xnM7g0
ギース「私が今日ここに来たのはお前たちと同じ……このフェスへと参加するためだ」

リョウ「……なに?」

???「……あっ!ボス、あんな所にいた!お~い!何してんの?もうすぐ会場入りなんだけど?」

ギース「ふっ、ちょうど良い。貴様には紹介しておこう……私のプロデュースするアイドルユニット……Reppuだ」

真奈美「どうも、木場真奈美だ。君のことはキングからよく聞いてるよ。極限流の無敵の龍くん」

860: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 01:16:07.48 ID:8F6xnM7g0
リョウ「なに?……じゃああんたは前ロバートが交渉していたっていうボイストレーナーの……?」

真奈美「ああ、その節は本当にすまない……私も本当は君たちの所でトレーナーとして世話になろうと思っていたのだが、ここのボス……ハワード氏にアイドルとして誘われてね……なにせ考えもしなかった現場への誘いで、年甲斐もなく熱くなってしまってね」

レナ「年甲斐もなくって……じゃあ貴女より年上でまんまとこの人の口車に乗せられた私はなんだって話じゃない……あっ、私はレナ。兵藤レナよ。よろしくね、極限流さん」

???「あれ?レナさんもこの人のこと知ってるのかにゃ~?」

861: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 01:20:47.36 ID:8F6xnM7g0
レナ「アメリカの……特に裏社会では有名よ。極限流空手の『無敵の龍』リョウ・サカザキ……『最強の虎』ロバート・ガルシア……極限流の2枚看板。龍虎……志希、アナタもアメリカにいたなら名前くらい聞いたことがあるんじゃないの?」

志希「う~ん、どうだったかな~?まぁとりあえず……失礼しま~す」
ハスハス

リョウ「……うお!?急に俺の匂いを嗅ぎ始めて……なんだきみは!?」

志希「う~ん、女の子の匂いがいっぱいする……お兄さん、もしかして意外とスミに置けないタイプ?あっ、私は一ノ瀬志希!よろしく~!にゃーっはっは!」

862: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 01:27:15.04 ID:8F6xnM7g0
つかさ「アイドルのプロデューサーやってる時点でそりゃ女には囲まれてんだろーがっての。……あーアタシは桐生つかさ」

つかさ「本当はヨソの事務所のプロデューサーなんかに挨拶する義理はないんだけど、アンタ一応有名人らしいからな?まぁそこはアンタに礼儀として、な」

???「……でも、あなたからは強さと、それに負けないくらい大きな優しさを感じます。プロデュースされてる娘たちはきっとものすごく幸せだと思います~♪」

ギース「フンッ、それでは私にプロデュースされているお前たちがまるで不幸なようではないか?ナスよ」

茄子「……もう~、ハワードさん、私はナスじゃなくってカコ、鷹富士茄子ですよ~……リョウさん、といいましたか?よろしくお願いしますね~♪」

863: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/18(水) 01:32:45.85 ID:8F6xnM7g0
ギース「……以上の五名、Reppuを私はプロデュースしている……近い将来、このReppuがその名の通りアイドル界を……いや、芸能界を切り裂き、飲み込んでゆく……それが私の目下の野望だ」

リョウ「Reppu……いや、烈風。やはりお前だったのか……」

ギース「元々はお前たちがプロダクションを開いたと聞いて当てつけで始めた余興だったのだが……いや、なかなかどうしてアイドルは奥が深い。私もめっきりのめりこんでしまった」

リョウ「……」

ギース「だが、始めたからには一番にならねば気が済まぬのが私の性分でね。今日はその手始めだ。お前たちは目撃する……頂点を取るアイドル達の衝撃のデビューをな。光栄に思うことだ。ハッハッハッハッ……!」
ザッザッザッザ

リョウ「……ギース……!」

883: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 00:08:25.19 ID:s9bAabIy0
リョウ「……」
スタスタ

ロバート「おっ、戻ってきた。どこいっとったんや?不破の奴は先に戻ってきてもう茜ちゃんと一緒に会場入りしていったで?……しかし初めて不破見たけど、聞きしに勝るへんた……漢っぷりやな」

リョウ「ああ……そうだな……」

ロバート「……?」


884: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 00:17:29.33 ID:s9bAabIy0
控室

リョウ(どうする……ギースの事を話すべきか?奴がこのフェスに乗じて何かを企んでる可能性もあるが……)

拓海「うう、不破のおっさんは面白かったけど緊張が完全に無くなるまではいかなかったぜ……」

加蓮「た、拓海、なに?緊張してんの……?わ、私は全然大丈夫だよ……」

有香「うう……こんなにたくさんの人の前で……歌って、踊って……」

悠貴「センター……うう~……っ」

美波「……あっ、悠貴ちゃん、髪の毛ここちょっと跳ねてるよ……あっ加蓮ちゃん、ちょっとお化粧落ちてる……あっ、私も……」
ソワソワ


885: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 00:29:32.21 ID:s9bAabIy0
リョウ(……いや、これ以上彼女たちに動揺を与えるような真似は止めた方がいいな……それより緊張を解さなければ)

リョウ「……みんな、固くなってるな。ステージ用の衣装はどうだ?先日見た時はみんな喜んでたじゃないか」

悠貴「は、はいっ……!衣装はとっても可愛くて嬉しいんですけど……っ」

有香「やはり……直前は緊張するというかですね……」

加蓮「だ、大丈夫……大丈夫……」
ブツブツ

886: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 00:35:24.48 ID:s9bAabIy0
リョウ「……みんな、一回立ち上がって、姿勢を正してくれ」

拓海「あん?……こうか」
スッ

美波「……」
スッ

リョウ「そのまま、自然に息を吸って、吐くんだ。ゆっくりでいい。そしてそのまま、腹の中の空気を全部吐き切る感じで、出し切るんだ」

有香(これは……息吹……)
ハァァァァ

悠貴「……」
ハァァァァ

887: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 00:41:59.71 ID:s9bAabIy0
リョウ「そして、ここからがちょっと難しいかもしれないが、腹に力を入れ、最後の空気をすべて出し切る」

リョウ「ここで顎を引いて、最後の力で息を吐き切る……」


加蓮「……」
コォォォォォ

リョウ「……どうだ?少しは落ち着いたか?」

美波「さ、最後ちょっと音が出て恥ずかしかったですけど……なんだか、不思議と……」

拓海「ああ……わかんねえけど、落ち着いた気がする」

888: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 00:46:44.89 ID:s9bAabIy0
リョウ「さっきも言った通り、適度なプレッシャーは悪くない。だが、ガチガチになるのは最悪だ。実力の半分も出せなくなる」

有香「……」


リョウ「いいか、これは力試しみたいなもんだ。今までお前たちが練習してきたものを、努力の成果を披露する発表会だ」

悠貴「……」

リョウ「楽しめ。なに、失敗したところで命を取られるわけでもなし、逆に失敗したところは次回以降の課題に出来る。今の自分の実力がどんなモンなのかを知ることこそが一番重要だ」

加蓮「……」


リョウ「行ってこい。お前たちの……『極限drea娘』の力を見せてやれ!」

889: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 00:54:33.95 ID:s9bAabIy0
拓海「……ぷっ」

リョウ「ん?」

拓海「あはははははは!真面目な顔して、きょ、極限drea娘って!ははは、ダメだ!字面を想像したら笑っちまう!あははははは!!」

加蓮「っふ、ふふ、ちょ、ちょっと拓海、笑いすぎ、うぷっ、ふふふふふ」

美波「……っふふ、うふふ……」
クスクス

有香「くふっ……う、うう……ふふふ」

悠貴「……えへっ、あはははっ」

890: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:02:09.41 ID:s9bAabIy0
リョウ「……なんだなんだお前ら!人がせっかく緊張解してやろうと思って一生懸命に!」

拓海「緊張は、十分ほぐれたよ!やっぱある意味良いグループ名だわ、極娘!あはははははは!」


拓海「……あぁ、笑った笑った。サンキューサカザキ、緊張消えたわ」

リョウ「……もう俺は知らんぞ。時間だからとっとと行け」
ツーン

加蓮「もう~、坂崎さん、ごめんってば~!機嫌直してよっ!」

891: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:09:26.42 ID:s9bAabIy0
美波「ふふ、本当にごめんなさい、坂崎さん。それじゃあ極限drea娘、行ってきますね」

有香「では円陣組みましょう!グループらしく!」

拓海「おっ、良いな……よし悠貴!センターらしく掛け声頼むぜ!」


悠貴「ええっ、わ、私ですかっ!?わ、わかりました、じゃあ掛け声は……で行きましょうっ!」

加蓮「おっ、私たちらしいね~。じゃあ、悠貴」

892: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:14:19.69 ID:s9bAabIy0
悠貴「はいっ……せーのっ」

悠貴「きょくげん~~!!」

極限drea娘「FIGHT!!!」
ダッ


リョウ「……!あいつら……」




MC「さぁ、次のグループは新興プロダクションの6810プロより、女の子5人組のユニット、極限drea娘の登場だ!曲は、『hello!成層圏』!」
ワアアアアアアア

893: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:19:24.72 ID:s9bAabIy0
美波(……!すごい、人の数!)

拓海(これが、ステージの上……!)

有香(やっぱり、緊張はします……だけど!)

加蓮(怖がることは、ない!)

悠貴(のびのび大きく、楽しんで!)

894: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:25:58.59 ID:s9bAabIy0
地上の道を全力疾走

大きく大きく助走を付けて

飛び出す先はあの空の上


キング「……!いいよ、みんな萎縮せず、いい意味で自由に踊れてる……!」

ロバート「エエで……エエで!」

895: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:31:09.25 ID:s9bAabIy0
対流圏抜けて
分厚い雲を突き抜けて
目の前に広がるのは晴れてるセカイ

客席
子分A・B・C「うおおおおおおおお!姉御ぉぉぉぉぉ!!!」

師匠「有香ああああ!L・O・V・E!ラブ!リー!有香あああ!!」




hello!成層圏
hello!新世界

だけど宇宙まで行くならロケットを使わざるを得ない



リョウ(……よくぞ、ここまで……!)


897: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:35:18.76 ID:s9bAabIy0
ワアアアアアアア

ステージ裏

美波「はぁ、はぁ」

拓海「や、やりきったな……」

悠貴「……最高に、気持ちよかったですっ!」

有香「お客さんたち、あんなに喜んでくれて……」

加蓮「私、良かった……本当に……アイドル続けてて……」

リョウ「……」
ズンズン

898: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:39:42.65 ID:s9bAabIy0
拓海「お、プロデューサーサマのお出ましだ。よう!どうだったサカザキ……おい、サカザ……!?」

リョウ「拓海!よくやった!!」
ガバッ

拓海「!!!??」

美波「!!?」

有香「!?」

悠貴「!!」

加蓮「!!!?!」

899: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:43:45.09 ID:s9bAabIy0
拓海「ちょっ、さかざき、おまっ」///

リョウ「美波!よくやってくれた!」
ギュッ ワシャワシャ

美波「!?ひゃ、ひゃああ!?」////

リョウ「有香!ナイスファイト!」
ギュ~

有香「ちょっ、坂崎プロ……あわわわ」////

リョウ「加蓮!よくがんばった!」
ガシッ
加蓮「あっ……」////


リョウ「ユウキ!ありがとうな!」
ギュ~ ワシャワシャワシャワシャ

悠貴「あっ……、えへへへへっ」////

900: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:47:11.23 ID:s9bAabIy0
拓海「て、テメェ!サカザキ!いきなりなにしやがんだ、こ、この、へ、変態ヤロー!!」///

リョウ「まぁ落ち着け。LIVE、今の自分たちの全力を出し切れたんじゃないか!?」

美波「……はい、本当に自由に、楽しんでやれたと思います!」

悠貴「とっても楽しかったですっ!」

加蓮「ほんと……気持ちよかった」

有香「初めて空手の試合に勝てた時と同じか、それ以上に嬉しいです!」

901: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:51:58.08 ID:s9bAabIy0
パチパチパチ

ロバート「みんな!ホンマよくやったで!」

キング「ああ……細かいところを指摘し始めればキリはないけど……本当に良かったよ」

ユリ「みんなかっこよかったし、可愛かったよ!お客さんも大喜びだったしね!」

加蓮「みんな……!」

902: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:55:44.25 ID:s9bAabIy0



ギース「……なるほどな。実に素直なパフォーマンスをする。粗さも目立つが、これはこれで一つの在り方なのだろうな。だが……」

ギース「Reppuよ。全てを、切り裂いて来い」

真奈美「……」

レナ「……」

志希「~♪」

つかさ「……」

茄子「~♪」


903: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 01:59:57.30 ID:s9bAabIy0
ロバート「お、次で最後みたいやな。Reppuてグループか」

キング「……ん?ステージの上にいるのは……あれは真奈美じゃないかい?」

ロバート「な、なんやてぇ!?」

リョウ「……」

MC「さぁ本日の大トリを務めますのは、これまた新興プロの覇我亜怒プロから5人組女性グループ、Reppuで、曲は、『Yellow belly』!」

ロバート「……Yellow belly(臆病者)ってか。随分挑発的な曲名やな……」

904: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 02:05:00.27 ID:s9bAabIy0
Come on! Come on! Come on! Come on! Yellow belly!

Come on! Come on! Come on! Come on! Yellow belly!

何故立ち上がらないの?何故向かってこないの?

悔しくないの?情けなくないの?

ロバート「……な……」

キング「なんて完成度のダンス……!あれほど激しい動きなのに、一糸乱れない全員の動き……」


905: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 02:10:10.53 ID:s9bAabIy0
それはあなたが臆病者だから

臆病者の弱虫だから


リョウ「これは……新人とか、中堅とか、ベテランとか、そういう次元の動きじゃない……」


牙のない人に

興味はないの

good-bye boy 悪夢にまで怯えるといいわ


美波・拓海・有香・悠貴・加蓮「……!」


ワアアアアアアアアアアアアアアアアア

906: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 02:15:25.43 ID:s9bAabIy0
LIVE後
車内

ロバート「……そうか。あのグループ、ギース・ハワードがプロデュースしとったのか……しかし、ワイがトレーナーとして交渉しとった木場はんをまさかアイドルとして雇うとは……」

キング「……それよりもあのダンスさ……あの完成度、おそらくアイドルグループであれだけ踊れるところなんてないんじゃないかい?」

リョウ「ああ……せっかくあいつらは出来うる限りの最高のLIVEをやったのに、最後はすっかり落ち込んじまった……あいつらと比べても仕方ない、とは言ったんだが……まぁ無理だよな」

ロバート「LIVE後のネットの書き込みもほとんどReppu一色や。気の早いやつはもう天下取ったも同然!みたいに書きこんどる」

907: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/19(木) 02:19:42.51 ID:s9bAabIy0
ロバート「まぁでもあの娘らはあの娘らで良いパフォーマンズをしたのは事実なんや。極娘が一番良かった!って書き込みもちゃんとある。それでなんとか自信をつけて……やってってもらうしかないな」

リョウ「ああ……」

リョウ(情けねぇなぁ、俺は。あいつらはあんなに頑張ってるのに、かけるべき言葉がなかなか見つからん)



リョウ(……ここからが、正念場か)


915: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 00:22:30.84 ID:HvVF53jZ0

都内 BAR

真奈美「それじゃあ……乾杯」

キング「乾杯」

レナ「乾杯♪」

キング「……それにしても驚いたよ……まさかアンタがアイドルになってるなんてね、真奈美」

916: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 00:28:56.20 ID:HvVF53jZ0
真奈美「ああ、今回の件は君にも迷惑をかけたな。極限drea娘のパフォーマンス、見せてもらった。どの娘も有望そうじゃないか。将来が楽しみだよ」

キング「そうだね。鍛えがいのある良い娘たちさ……なぁ、真奈美、それにレナといったかい?あんた達はギース・ハワードに直接スカウトされたのかい?」

真奈美「ああ、彼は元々日本にいたらしくてな。ある日突然私の前に現れてね。アイドルになれ、とな。いきなり命令口調で驚いたよ」

レナ「へぇ~……私の方は……前の仕事、客船のカジノコーナーでディーラーしてたのよ。そしたらあの男がやってきてね……私にブラックジャックを挑んできたのよ」

917: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 00:36:51.91 ID:HvVF53jZ0
キング「それで?」

レナ「自惚れてたわけじゃないけど、私も運や勝負勘には自信があった。本場で磨かれたという自負もあった。けどね……1回も勝てないのよ。冗談みたいに。最後にはディーラーの私の方がムキになっちゃってね」

レナ「そうしたら、あの男、なんて言ったと思う?『どうしてもと言うのなら君の人生を賭けてもらおう。私に負け続けて、もう他に賭ける物もないだろう?』ってね」

真奈美「……言いそうだな」

918: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 00:44:55.69 ID:HvVF53jZ0
レナ「私ももう後に引けなくなってたからね……確かにあの男に負け続けたせいで、ディーラーとしての評判も、私のプライドもボロボロだったから」

レナ「だからここで最後の勝負に勝って、名誉挽回しないとって。そしてあの男が最後に持ち出してきた勝負が、コイントスだった」

レナ「正直、まともな勝負じゃ勝てる気がしなかったけど、コイントスなら実力関係なしに2分の1だしね。私はその勝負に乗った。……で、結果は御覧の通りよ」


レナ「アイドルなんてなんの冗談かと思ったけど、それ以上に名刺をもらった時にもっと驚いた。私も元々アメリカの……裏社会に近いところに身を置いてたからね。ギース・ハワードの名は当然知っていた」

919: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 00:51:48.45 ID:HvVF53jZ0
キング「そうかい……じゃあ、あんた達はギースの裏の顔も?」

レナ「全部……とはいかないけどね。危険極まりない男ではあるけど、それ以上に、悔しいけどあの男には何か人を惹きつけるカリスマみたいなものがある」

真奈美「能力の高さは最早私には底が知れない。事実、彼は一人で私たちのスカウト、プロデュース、会社の運営、それにダンス指導までやってる」

キング「……なんだって!?あのダンス、あれはギースの指導だってのかい!?」

真奈美「ああ。私も驚いてね、一度聞いたんだ。それほどのダンス、どこで身に着けたのかってね」

920: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 00:57:01.33 ID:HvVF53jZ0
真奈美「すると彼は、私たちをスカウトする前に著名なダンサーに自ら弟子入りしたんだそうだ。……で、僅か1か月程度でそのダンサーの技術を吸収して、追い越したんだと」

レナ「悲惨なのはそのダンサーよね。その人、本当に名が知れた人だったんだけど、この前ダンスを廃業したって雑誌に出ていた。たった1か月で自分の人生を捧げたダンスで追い抜かれて……心が折れたんでしょうね」

真奈美「歌の方に関しては私が指導したが、ダンスの方は完全に彼の仕込みだ。彼は間違いなく天才だ……怖くなるほどにね」

キング「……」

キング(リョウ……私たちはどうやらとんでもない怪物を相手にしてるみたいだよ)


キング(それにあの娘たちも……心が折れてなきゃいいが)

927: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 19:59:51.88 ID:HvVF53jZ0
2日後
事務所
リョウ(昨日はLIVE後ということで休暇……今日はLIVE後初の顔合わせだ)

リョウ(どうする?なんて声かければいい?……こないだの事は気にせず俺たちは俺たちで構わず進んでいこう!)

リョウ(いや、そういうわけにはいかんだろう、あれだけの実力を見せつけられて、そもそもLIVE前に自分たちの実力を知るのが重要って言ったのは俺だしな)

リョウ(彼我の実力差はわかった、ここから追い上げていこう!)

リョウ(これか。あいつらが心を完全に折ってないのが前提ではあるが……それほどに衝撃だった)

928: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:05:05.42 ID:HvVF53jZ0
リョウ(正直、あいつらが挫けてしまっていても、それを責めることは俺には……)


ガチャ
美波「あっ、坂崎さん。おはようございます」

リョウ「!?……あ、美波。お、おはよう」

有香「ど、どうしたんですか?そんなに動揺されて」

加蓮「ふふっ、何か考え事してたんじゃない?それとも、イケナイこと考えてたとか」

929: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:11:00.16 ID:HvVF53jZ0
悠貴「い、イケナイことですかっ!?」

拓海「おう、違えねえ。こいつはいきなり有無を言わさず抱き着いて頭撫でまわしてくる変態ヤローだからな」

リョウ「お、お前ら……その恰好、走ってきたのか?」

美波「はい。あのLIVEの後、みんなで話し合ったんです。昨日はお休み頂きましたし。それで……今の自分たちに出来る事を精一杯やっていこうって、出来る事を増やしていこうって」

930: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:16:52.07 ID:HvVF53jZ0
有香「というわけでまずは基礎から!みんなで朝はランニング出勤です!」

拓海「やられっぱなしは性に合わねえからな。こないだのLIVEはアタシらの完敗だが……今に追い越してやるよ」
パンッ

リョウ「お、お前ら……」

悠貴「ど、どうしたんですかっ?プロデューサーさん、具合が悪いんですかっ?」

拓海「へっ……大方こないだのLIVEでアタシらがReppuにビビっちまったと思ってたんだろ。舐められたもんだぜ」


931: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:22:14.10 ID:HvVF53jZ0
美波「ま、まぁ驚いたし、ショックだったのは確かですけど……挫けたりなんてしません。あの時のLIVEはあれが私たちの最高だったけど、まだまだ私たちは成長していけるっていう手応えもありましたから」

加蓮「どんなに高い壁見せられたからって、それで挫ける子なんて私たちの中にはいないよ。……大丈夫、貴方が育ててるアイドル達だよ」

リョウ(……どうやら、俺の取り越し苦労だったみたいだな。いや、心が挫けかけたのは、俺の方だったのかもしれない)

リョウ(この娘たちは本当に強くなった)

932: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:29:08.27 ID:HvVF53jZ0
ガチャ
キング「……ふん、良い覚悟だね、あんた達。だったら、今日からのレッスンはさらにギアを上げていく。泣き言なんか聞きゃしないよ」

拓海「ゲッ!!キング……さん、げ、限度ってもんを考えてくれよ!?」


リョウ「ああ、キング、ビシバシ行ってくれ。なに、限界を超えてこその極限流、そして極限drea娘だ。なぁに、こいつらなら耐えられる。俺が保証する」

加蓮「ほ、ほんとに常人が耐えられる範疇にしてよね?」

933: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:35:36.21 ID:HvVF53jZ0
ガチャ
ロバート「よっしゃ!そんならおあつらえ向きのイベントが2週間後にある!ミニLIVEの仕事や!」

有香「本当ですか!社長さん!」

ロバート「ああ、ちょっと都心からは離れた小さい会場やけど、先日のLIVE見た関係者から是非出てくれ、と依頼があった!どや?みんな?」

美波「会場の大きさなんて関係ありません!是非出させてください!」

リョウ「……よし、目先のわかりやすい目標もできたことだし、特訓だ!」

934: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:40:13.52 ID:HvVF53jZ0
数日後
都内某所

ギース「……諸君、まずはCDシングル、『Yellow belly』のウィークリーチャート初登場1位獲得、おめでとう」

つかさ「こないだのLIVEで相当バズってたしな。当然っちゃ当然じゃね?」

レナ「まぁ素直に喜んでいいと思うけどね」

ギース「先日のLIVEでReppuの名はまさに烈風のごとく業界を駆け抜けた。それが表れた結果と言えるだろう。数多くの歌番組やLIVEの出演依頼が来ている」

935: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:46:57.97 ID:HvVF53jZ0
志希「ん?ってことは忙しくなるのかにゃ?」

ギース「いや、あのLIVEですでに相応のインパクトは残した。これからはある程度以上大きな仕事のみを選んでいく」

つかさ「いわゆる高級路線ってヤツ?安売りはしない、みたいな」

ギース「そうだ。お前たちは実力で存在を示したのだ。実力の伴わぬ一過性のプッシュなどではない。ならば、鼻息を荒くして露出に焦ることはない」

936: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:52:46.24 ID:HvVF53jZ0
レナ「……いろいろ考えてるのね」

茄子「私はもっと色んなお仕事やってみたいですけどね~」

ギース「フンッ……だが次の、決定打となる一手はもう動きつつある。お前たちがこのアイドル界の頂点に立ったならば、あとはもう好きな仕事をするがいい」



ギース「アイドル界の制圧ももはやすぐそこだ……ハッハッハッハッ!」

937: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 20:59:26.64 ID:HvVF53jZ0
レッスンルーム

キング「はいはい!勢いも大事だが、細かいところにも意識を置き始めな!あんた達はもうそういう段階に入ったんだよ!」

拓海「……っ」

拓海(マジできちいいいい……!)

有香(でも、勢いだけじゃない、正確さも身に着けないと……)

美波(あの人たちに……Reppuには対抗できない……!)

938: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 21:10:10.49 ID:HvVF53jZ0


リョウ「お疲れ、キング。みんなはどんな調子だ?」

キング「ああ、みんなこないだのLIVEでReppuっていうまぁ目標みたいなものを得たからね。課題を持って取り組んでる」

キング「最近はダンスの動きの正確さにも意識をさせてる。ただ……」

リョウ「……ただ?」

キング「もしReppuと張り合うつもりなら……同じ土俵で勝負するのは分が良くないね。何かあの娘たち独自の武器がないと……ダンスの完成度で言えばあっちは既に業界最高峰だ」

939: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 21:16:06.96 ID:HvVF53jZ0
キング「もちろんReppuと張り合わないなら、今の推移は悪くない。時間を掛ければあの娘たちのダンスも完成していくさ。それだけの素質がある娘たちだからね」

リョウ「……そうか」

キング「まぁ、今後の方針はアンタとロバート、そしてあの娘たち自身と相談して決めな」

リョウ「ああ……」

リョウ(あいつら独自の武器……か)

940: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 21:24:48.81 ID:HvVF53jZ0
ミニLIVE当日

ロバート「今日は本番やな……会場が都心の外れで、ワイが今日別件の交渉で多分本番に間に合わへんやろうから、リョウ、引率頼むで」

リョウ「ああ、任せとけ」


会場

拓海「今回も曲は、『hello!成層圏』だな」

美波「そうだね。前回よりも成長したって実感できるように、頑張ろう!」

941: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 21:32:20.16 ID:HvVF53jZ0
リョウ「あ~、今回も、楽しむ心を忘れずにな」

有香「はい!それじゃあ……今回も掛け声を」

加蓮「悠貴、お願いね♪」

悠貴「は、はいっ!」

悠貴「きょくげん~~!!」

極限drea娘「FIGHT!!!」
ダッ

942: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 21:40:37.92 ID:HvVF53jZ0
ワアアアアア

美波(ここのターンを……一瞬早く!)

悠貴(指先までしっかり伸ばして……大きく、大きく!)

有香(しっかり腰を入れて……)

拓海(丁寧に……丁寧に……)

加蓮(疲れてきた時こそ……丁寧に……!)

943: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 21:50:16.07 ID:HvVF53jZ0
リョウ「……」

リョウ(前回のLIVEで得た自信もあるだろう、勢いの中にも細かいところでの完成度が上がってる……ように思う)

リョウ(だが、素人目で見ても、やはりReppuと比べると、凄みというか……なんだかそういうもので劣っている気がする……ハッ)

リョウ(馬鹿か俺は!?誰よりもあいつらと向き合って、あいつら自身を見なければならない俺が他所のグループと比較して評価するとは……)

リョウ(くそっ!俺はプロデューサー失格だ……!)
パンッ

リョウ(あいつらは力の差を見せられてそれを克服するために努力してるってのに……俺はこのザマか……)
ジンジン

944: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 21:56:26.16 ID:HvVF53jZ0



ワアアアアアアア

拓海「はぁ、はぁっ……おう!サカザキ!どうだったよ今回のアタシらの出来は!」

リョウ「あ、ああ。前回よりも格段に成長していたと思うぞ」

美波「……あ、あの、坂崎さん?なんだか右の頬が腫れてませんか……?」

リョウ「いや、気にするな……ちょっと虫が止まっただけだ……」

945: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:03:08.04 ID:HvVF53jZ0
悠貴「……あの、プロデューサーさんっ、もしかして今のLIVE、あんまり良くなかったですか……っ?」

リョウ「!?い、いや、そんなことは断じてないぞ!?自信を持っていいんだ!」

有香「……そう、ですか」

加蓮「……正直ちょっと不安になっちゃった。坂崎さん、前みたいに喜んでなかったし」

リョウ「……す、すまない……だが確実に前回よりも完成度は上がってるぞ、胸を張ってくれ」

リョウ(くそ、誰のせいで不安になってると思ってんだ……お前(俺)のせいじゃねえか……!まだまだ精神の修行が足りてない!)

946: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:10:28.14 ID:HvVF53jZ0
LIVE後

会場外

リョウ「よし、これで今日のLIVEは終了だ、みんなお疲れさま」

拓海「……おう」

悠貴「……っ」

有香「……はい」

加蓮「……うん」

美波「……はい、お疲れ様でした」

947: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:17:37.62 ID:HvVF53jZ0
リョウ(……LIVEは成功したのに俺のせいでまるで失敗したみたいな雰囲気だな……なんとかフォローしないと……)

ゴオオオオオォ

リョウ「……ああ、車を取ってくる。みんな悪いが少し待ってくれ」

美波「あ、はい。ありがとうございます、坂崎さん」

ゴオオオオオォ

948: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:20:44.84 ID:HvVF53jZ0
リョウ(……なんて言ってフォローする?考え事してた、とか……いや、フォローにならねぇなそれは)
スタスタ

拓海「……なぁ、有香?あのこっちに向かってきてるトラック、えらくスピード出してねえか」

ゴオオオオオオオオオ

有香「……確かに、そうですね。もう時間も遅いのにあんなスピード……」

949: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:24:02.45 ID:HvVF53jZ0
リョウ(いっその事、白状して謝っちまうか。お前らをReppuと比較して評価してしまった、すまない、と)

リョウ(……軽蔑、されるだろうな。だが仕方ない、事実だ。こういうときは正直に謝るしかない)

ゴオオオオオオオオオ


加蓮「……ねえ、気のせい?あのトラック、こっちに突っ込んできてない?」

美波「ま、まさかそんな……」

ゴオオオオオ

バッ
ゴロゴロゴロゴロ

悠貴「!!運転手の人が!飛び降りましたっ!!」

950: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:30:10.59 ID:HvVF53jZ0
リョウ(よし、すぐに謝ろう……)
クル

リョウ「おい、みんな、聞いて……!?」

ゴオオオオオオオオオ

美波「—————坂崎さん!!」

リョウ「—————全員、伏せろォォォォォォ!!!」


リョウ「—————覇王、翔吼拳——————!!」


ズドオオオオオオオオオオオン

951: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:37:23.91 ID:HvVF53jZ0
有香「—————!!?」

拓海「お、大型トラックを、ぶっ飛ばした……!!?」

加蓮「うそ……夢、だよね……?」

悠貴「あっ……ああっ……」

美波「た、大砲……?」

リョウ「—————!!」

???「相変わらず大した威力だ……まさか猛スピードで突っ込んでくる大型トラックを進行方向と真逆に吹き飛ばすとはな……あれを人間が食らえばひとたまりもあるまい」

952: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:42:28.67 ID:HvVF53jZ0
???「やはり極限流は、俺が組織で復活するための手駒として必要なピースだ」

ザザザザザ

拓海「……な、なんだこいつら!?」

有香「こ、この人たち……明らかに素人じゃありません……!」

???「だが、極限流は気を撃ち出した直後にこそ隙がある……研究通りだ。大型トラック一台丸ごと使った陽動、だが貴様、今回は妙に反応が鈍かったな?考え事でもしていたか?」

953: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:47:27.01 ID:HvVF53jZ0
リョウ「なぜ、お前がこんなところにいるんだ……」

???「あれだけ隙があれば、俺と俺の可愛い子飼いの兵たちならば貴様らを全員包囲するのは容易い……なぜ?それは貴様の返答次第で目的が変わるな」

リョウ「BIG……Mr.……BIG!!」


兵「……」
ザザザザ
チャキ

美波「!……銃……!?」

954: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/20(金) 22:50:24.13 ID:HvVF53jZ0
加蓮「う、うそでしょ……」

悠貴「……っ」
ガタガタ

リョウ「BIG、貴様……!」

Mr.BIG「フフ、リョウ・サカザキ。お前の可愛いアイドル達にケガをさせたくなければ、アイドル共々、俺とともに来てもらおう……!」