剣心「あいたたた・・・」

左之助「大丈夫かい剣心さんや」

剣心「いやあ腰に来ますわい・・・」

左之助「わしも最近腰に来ますわい」

剣心「お互い歳でござるなぁ・・・」

左之助「なるほどのぉ・・・」

薫「今日は京都に行くんじゃありませんでしたか」

剣心「そういえばそうでしたな」

左之助「そろそろボケてきましたかい」

剣心「そんなことないでござる、まだまだ若いモンには負けてられんでござるじゃ」

左之助「じゃあ行きましょうか」ﾖｲｼｮｯ

剣心「ふにぃ・・・ふにぃ・・・」

左之助「あいたたた・・・」

剣心「杖でござるか」

左之助「腰が痛くて痛くて・・・杖なしじゃ生活できませんわい・・・」

剣心「拙者も腰が曲がってきたでござるよ・・・」

左之助「そろそろ杖ですわな」

斎藤(86)「・・・・・」

剣心「あぁ斎藤さんや、またせましたでござるかな」

斎藤「あぁ？なんだってぇ」

剣心「またせましたでござるかな！！！！！！！！」

斎藤「待っとらんよ」

斎藤「いやあ歳くうと耳が遠なりましてな」

左之助「それはそれは」

斎藤「阿呆がですわい」

剣心「じゃあボチボチ行くでござるか」

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「じゃあボチボチ行くでござるか斎藤さんや！！！！！！！！」

斎藤「まだ食べとらんよ」

左之助「あいたたた腰が・・・」

斎藤「じゃあボチボチ行きますかな」

斎藤「馭者さんや、京都まで三人」

馭者「まいど」

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「あぁ・・・」

左之助「いやあ座ってるだけでも疲れますわいな」

剣心「全くでござるな・・・」

斎藤「・・・・」ｽﾔｽﾔ

左之助「あめちゃん舐めますかい？」

剣心「いやあどうもどうも」ｽｯ

剣心「そういえばこの前喉におもちをつまらせてしまったんでござるじゃ」

左之助「そりゃあ大変でしたな」

剣心「病院行きましたでござるわ」

左之助「そういえばわしも明日健康診断なんですわ」

剣心「そうでござるか」

左之助「この前は悪玉コレステロールっちゅうもんが溜まってるって言われましてな」

斎藤「・・・・・」ｽﾔｽﾔ

馭者「つきましたぜお客さん」

剣心「ふにふにぃっと・・・」

左之助「斎藤さんや、つきましたよ斎藤さんや」ﾕｯｻﾕｯｻ

斎藤「・・・・なんだってぇ？」

左之助「つきましたよ！！！！！！！！」

斎藤「阿呆がですわい」

剣心「あぁ腰に来たでござるな・・・」

左之助「今の馭者は若いのになかなかやりおる」

左之助「礼儀もいいし若者らしい若者でんな」

剣心「貴重な人材でござるな」

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「何も言ってないでござるよ斎藤さん」

斎藤「まずお昼にしますか」

剣心「歳とるとお腹もあまり空かなくなってくるでござるわい」

左之助「わし明日健康診断があってあんまり食べちゃいかんと言われてましてな」

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「お昼はおめちゃんでいいでござるな」

左之助「そうですな、あめちゃんでいいでっしゃろ」

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「ところで斎藤さんや、その志々雄っていう人はどこにいるんでござるか」

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「志々雄はどこにいるんでござるか！！！！！！！！」

斎藤「今晩京の町を燃やす計画らしいですし、多分港でっしゃろ」

左之助「なるほどのぉ」

剣心「それは本当でござるか」

斎藤「本当ですよ」

剣心「真実でござるな？」

斎藤「ええ」

剣心「志々雄真実だけに真実ですと」

剣心「違うか！！！！！違うか！！！！！！！！」


左之助「あっはっはははははは！！！！！！！！」

左之助「こりゃ一本取られましたわ！！！！！！！！」

斎藤「阿呆でんなぁ」

剣心「じゃあボチボチ港へ行きますでござるか」

左之助「あぁ腰が・・・」

斎藤「・・・・」ｳﾄｳﾄ

剣心「ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ」

志々雄「・・・・・」

由美「志々雄さんや志々雄さんや」

志々雄「あけみか」

由美「由美ですよ由美」

志々雄「なんじゃあけみ」

由美「今日は京都を燃やすんじゃなかったんですか」

志々雄「そうじゃったかの」

方治「そうですよ志々雄さんや」

志々雄「あけみ、飯じゃ飯持ってこんかい」

由美「さっき食べたところですよ」

志々雄「そうじゃったかの」

由美「しっかりして下さいよほんとに」

志々雄「あけみはケチじゃのぉ・・・」

剣心「港につきましたでござるわい」

左之助「立ちくらみが・・・」ﾌﾗﾌﾗ

斎藤「あぁ・・・」

剣心「なんやら大きな船がとまってるでござるな」

左之助「高そうですな」

斎藤「なんだってぇ？」

志々雄「よしおか」

剣心「誰じゃろあの人は」

志々雄「なにしとるんじゃよしお！！！！！はよ上がってこんかい」

由美「あの人はよしおじゃありませんよ志々雄さんや」

志々雄「そうじゃったかのぉ」

斎藤「どうやらあれが志々雄みたいですな」

左之助「なるほどのぉ」

志々雄「あけみ、ご飯まだかい」

方治「あぁもう・・・わしが行きますわい・・・」ｽﾀｽﾀ

方治「えー抜刀斎さん達でしょうか」

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「そうでござるよ」

左之助「するってぇとあんたらが志々雄一派ですか」

方治「そうです、あのこれ名刺です」ｽｯ

剣心「あぁ丁寧にどうも・・・しかし拙者名刺を持ち合わせてなくて・・・」

方治「いえいえ構いません構いません」

方治「じゃあボチボチアームストロング砲を打ち込みますんで、そのつおつもりで」

剣心「アームストロング砲ですか」

方治「ええ」

志々雄「よしお！！！！！！！！」

方治「よいしょっと・・・」

由美「おとなしく見てるんですよ志々雄さんや」

志々雄「かずこは細かいのぉ」

剣心「じゃあ我々もボチボチ戦闘態勢になりますか」

左之助「そうですな」

斎藤「・・・・」ｳﾄｳﾄ

方治「アームストロング砲準備完了」ｶﾞﾗｶﾞﾗ

孫「ねぇねぇほうじいちゃん！！！！！！！！ほうじいちゃんってば！！！！！！！！」

方治「こらこら、おじいちゃん今忙しいからあっちで遊んでなさい」

孫「やだよやだよ！！！！！！！！遊んでよほうじいちゃん！！！！！！！！」

方治「困ったのぉ・・・」

方治「後でおじいちゃんがおもちゃ買ってやるから」

孫「今買ってよおおおお！！！！！！！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

方治「今はダメじゃよ・・・」

剣心「お孫さんでござるか」

方治「ええ、ほら挨拶しなさい」

孫「やだよやだよ！！！！！！！！遊んでよほうじいちゃん！！！！！！！！」

左之助「かわいいお孫さんですな」

方治「すいませんなぁ・・・」

剣心「いやいや孫は可愛いもんです」

左之助「よしサノじいちゃんがお駄賃あげよう」ｽｯ

孫「わーいわーい！！！！！！！！」

方治「こらダメじゃよ」

左之助「いいんじゃよいいんじゃよ、年寄りの楽しみに付き合ってくだされ」

方治「いやあすいませんなぁ・・・何から何まで・・・」

斎藤「・・・・」ｽﾔｽﾔ

剣心「せっかくお孫さんが帰ってきてるのにこんな・・・」

方治「いやいや、こちらのｽｹｼﾞｭｰﾙミスですよ」

左之助「今日はお開きでもいいんじゃなかろうか」

剣心「お孫さんとの時間を裂くような真似したくないでござるしな」

方治「・・・いいんでしょうか・・」

剣心「いんですよ、お孫さんと遊んであげてくださいな」

方治「どうします志々雄さんや・・・」

志々雄「お言葉に甘えさせてもらいんしゃい、わしらいつ死ぬかわからんですからな」

志々雄「孫との時間は大切でっしゃろ」

方治「じゃあお言葉に甘えさせてもらいますわ」

由美「これアジトの地図です」ｽｯ

剣心「どうも」ｽｯ

方治「じゃあ後日アジトで」

左之助「はいさようなら」

左之助「斎藤さんや斎藤さんや」ﾕｯｻﾕｯｻ

斎藤「・・・・・」ｽﾔｽﾔ

左之助「もうみんな帰りましたよ」ﾕｯｻﾕｯｻ

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「孫か・・・いいのぉ・・・」

左之助「甘やかしたくなりますわい」

斎藤「なんだってぇ？」

左之助「まあ今夜は飲みましょうや」

剣心「でもサノさんや、お主明日健康診断なんでござろう？」

左之助「多少のお酒くらい平気ですわ」

剣心「じゃあ飲みますか」

斎藤「お酒はいいのぉお酒は・・・」

剣心「若返った気分になれるでござるよな」

剣心「乾杯でござる乾杯！！！！！！！！！！！！！！！！」

左之助「イヤフゥ～！！！！！」

斎藤「なるほど」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

剣心「ほらサノもじゃんじゃん飲めでござるほら！！！！！」

左之助「悪ぃな剣心にばっかつがせてよぉ！！！！！！！！」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

剣心「気にすんなでござる飲め飲め！！！！！！！！」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

斎藤「ほどほどにしておけよ」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

左之助「斎藤、おめぇも飲め飲め！！！！！！！！」

剣心「ふにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

斎藤「阿呆が」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

剣心「イッキイッキイッキ！！！！！！！！」

左之助「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

―翌朝―

剣心「あぁ・・・・」

左之助「腰が・・・」

斎藤「なんだってぇ？」

剣心「胃もたれしてるでござるわ・・・」

左之助「年寄りが若者ごっこしてはいかんの・・・」

斎藤「阿呆がでっしゃろ」

剣心「アジト行かないといかんでござるな・・・」

左之助「歳くうと目が悪ぅなりましてな、こんな小さい地図読めませんわ」

剣心「待ってくれでござる、老眼鏡があるでござるから」ｶﾞｻｺﾞｿ

斎藤「・・・・」ｳﾄｳﾄ

志々雄「しずえ！！！！！！！！」

由美「由美ですよ」

志々雄「ご飯はまだかの！！！！！！！！」

由美「今食べてる最中ですよ」

志々雄「そうじゃったかの」

方治「そろそろ抜刀斎さん方がこられますよ」

志々雄「ご飯がまだこんのじゃよ」

由美「今食べてる最中ですよ」

方治「はやく着替えてくださいな志々雄さんや」

志々雄「そうじゃの」ｶﾞｻｺﾞｿ

由美「それは私の服ですよ志々雄さんや」

志々雄「そうじゃったかの」

剣心「あいたたた・・・」

左之助「ここですな」

斎藤「そういえばこの前うちのかみさんがのぉ」

由美「おまたせしました」ﾖｲｼｮｯﾄ

剣心「これはこれは」

由美「案内役の駒形です、どうぞよろしく」

左之助「暑い中ご苦労様です」

由美「いえいえ」

斎藤「なんだってぇ？」

由美「では中へどうぞ」

剣心「お邪魔しますよ」ｽﾀｽﾀ

由美「そこ段差ありますんで気をつけてくださいな」

由美「まずはあんじいさんと戦ってもらいますよ」

安慈「どうぞよろしく」

剣心「これはどうも」

安慈「実は明日健康診断がありましてな、あまり過激な運動はひかえろと言われてまして」

左之助「奇遇ですな、わしも明日健康診断なんですわ」

安慈「なるほど」

左之助「これもなにかの縁ですわい、どうですわしと？」

安慈「いいですな」

左之助「じゃあわしがいくんで剣心さん達は休んでてくださいな」

剣心「頑張ってくださいでござる」ﾖｯｺｲｼｮ

斎藤「・・・・」ｽﾔｽﾔ

安慈「あいたたた・・・・」

左之助「あいたたた・・・」

剣心「・・・・・」ｳﾄｳﾄ

斎藤「・・・」ｽﾔｽﾔ

安慈「貴殿も腰が悪いみたいですな」

左之助「このとおり杖がないと何も出来ませんわ」

安慈「楽な体勢で戦いますか」

左之助「そうですな、あいたたた・・・」

安慈「まあお互い腰が痛いのもなにかの縁でしょう」

安慈「一つ私の昔話を聞いてくれんでしょうか」

左之助「昔話ですか」

―昔―

安慈「おはようみんな」

孤児Ａ「おはよう安慈和尚」

孤児Ｂ「おはよう和尚様」

孤児Ｃ「お腹減ったよお腹！！！！！！！！」

安慈「まてまてすぐ作ってやるから」

安慈「さて」

孤児Ａ「お、和尚まさかまた」

安慈「いいじゃないか、嫌いじゃないだろ？」ｷﾞｭｯ

孤児Ａ「だ、だめだよ安慈和尚・・・」

安慈「ここじゃみんな見てる、奥へ行こう」

孤児Ａ「はうぅ・・・」

安慈「どこまで話しましたかな」

左之助「えっ」

安慈「いや、どこまで話しましたかな」

左之助「どこでしたかな・・・」

安慈「いやあすいませんな突然」

左之助「えーとたしか・・・」

左之助「奥に行ったところまでじゃなかったですかな」

安慈「そこでしたか」

左之助「そうでしたよ」

安慈「忝ない・・・歳ですな私も」

左之助「いやいや、ゆっくりどうぞ」

安慈「では」

―昔―

安慈「おはようみんな」

孤児Ａ「おはよう安慈和尚」

孤児Ｂ「おはよう和尚様」

孤児Ｃ「お腹減ったよお腹！！！！！！！！」

安慈「まてまてすぐ作ってやるから」

安慈「さて」

孤児Ａ「お、和尚まさかまた」

安慈「いいじゃないか、嫌いじゃないだろ？」ｷﾞｭｯ

孤児Ａ「だ、だめだよ安慈和尚・・・」

安慈「ここじゃみんな見てる、奥へ行こう」

孤児Ａ「はうぅ・・・」

左之助「ちょっと安慈さんや」

安慈「なんでしょう」

左之助「そこはさっき聞きましたよ」

安慈「そうでしたかな」

左之助「ええ、聞きました」

安慈「すいませんなぁ・・・歳なんもんで」

左之助「いやいやいいんですよ」

安慈「で、どこまで話しましたかな？」

左之助「奥に行ったところからですよ」

安慈「そうでしたな」

左之助「ええ」

安慈「では」

―昔―

安慈「おはようみんな」

孤児Ａ「おはよう安慈和尚」

孤児Ｂ「おはよう和尚様」

孤児Ｃ「お腹減ったよお腹！！！！！！！！」

安慈「まてまてすぐ作ってやるから」

安慈「さて」

孤児Ａ「お、和尚まさかまた」

安慈「いいじゃないか、嫌いじゃないだろ？」ｷﾞｭｯ

孤児Ａ「だ、だめだよ安慈和尚・・・」

安慈「ここじゃみんな見てる、奥へ行こう」

孤児Ａ「はうぅ・・・」

左之助「安慈さんや」

安慈「なんでしょう」

左之助「だからそこはさっき聞いたんですよ」

安慈「またですか・・・」

左之助「しっかりしてくださいよ・・・」

安慈「最近の若者みたいな言い方するんですね・・・」

安慈「それは聞いただの話が長いだの・・・」

左之助「いやそんな」

安慈「最近の若いのはほんとなってない」

安慈「老人の知恵を舐めとる」

左之助「怒らないでくださいよ安慈さんや」

安慈「・・・・・」

安慈「そうですな、続きを話しましょう」

左之助「おねがいします」

―昔―

安慈「ふぅ・・・・」

孤児Ａ「」

安慈「また頼むぞ」

孤児Ａ「」

安慈「どうした？」

孤児Ａ「」

安慈「お、おいしっかりするんだ！！！！！！！！」ﾕｯｻﾕｯｻ

孤児Ａ「」

安慈「うわあああああああああああああああああああああ」

安慈「私はなんてことを・・・・」

安慈「なんてことを・・・・・・」

左之助「安慈さんや」

安慈「なんでしょう」

左之助「大事なところが抜けましたよ」

安慈「そんなはずは」

左之助「一番聞きたかったところが抜けてるんですよ！！！！！！！！」

左之助「いい加減にしてくださいな！！！！！！！！」

安慈「また文句ですか！！！！！！！！！！！！！！！！」

安慈「若者みたいなことばかり言って！！！！！！！！」

左之助「でも大事なところが！！！！！！！！」

安慈「もうええわい！！！！！！！！わしは帰るぞ！！！！！！！！」

安慈「気分がわるい！！！！！！！！」ｶﾞﾗｶﾞﾗ

左之助「あ、安慈さん」

由美「あんじいちゃん途中退場でサノじいちゃんの勝ち」

左之助「終わりましたよ二人共」ﾕｯｻﾕｯｻ

剣心「あぁサノさんや・・・どうでござったか？」

左之助「わしの勝ちですじゃ」

剣心「ようやったのぉ・・・」

斎藤「なんだってぇ？」

由美「では次は宇水さんの部屋へ」

斎藤「じゃあここはわしが行こう」

剣心「大丈夫なんでござるか・・・？」

斎藤「わしはもう歩き疲れましてな」

斎藤「休憩がてらボチボチ行きますわ」

左之助「そうですか」

由美「宇水さんの部屋はあそこです」

由美「じゃあ我々はそうじいさんのところに」

剣心「ふにふにぃっと・・・」

左之助「あいたたた・・・」

斎藤「お邪魔しますよ」ｶﾞﾗｶﾞﾗ

宇水「なんだってぇ？」

斎藤「お邪魔しますよ」

宇水「いらっしゃい」

斎藤「なんだってぇ？」

宇水「いらっしゃい」

斎藤「お手柔らかにお願いしますよ」

宇水「なんだってぇ？」

斎藤「いやお手柔らかに」

宇水「すいませんなぁ・・・歳くうと目だけじゃなく耳もやられてきましてな」

斎藤「なんだってぇ？」

宇水「いや目だけじゃなく耳もやられてきたんですわ」

斎藤「ははは・・・そうですか」

宇水「そうなんです・・・ははは」

斎藤「はははは・・・・」

宇水「はははは・・・・」

斎藤「はははは・・・・」

宇水「はははは・・・・」

斎藤「はははは・・・・」

宇水「なんだってぇ！！！！！！！！」

斎藤「なんだってぇ？」

宇水「え？なんだってぇ？」

斎藤「・・・・・・なんだってぇ？」

剣心「あいたたた・・・」

左之助「あいたたた・・・」

由美「この先ですよこの先」

剣心「あぁ限界でござる・・・」

左之助「腰が・・・」

由美「大丈夫ですか」

剣心「少し休ませてもらいたいんでござるが・・・」

左之助「お願いしますじゃ・・・・」

由美「しかたにですね・・・」

剣心「すまんですなぁ・・・・」

由美「そこのほうじいちゃんの部屋で少し休みましょう」

剣心「ではお言葉に甘えて」ｶﾞﾗｶﾞﾗ

蒼紫「あいたたた・・・」

剣心「おや蒼紫さん」

蒼紫「おやおや」

左之助「久しいですなぁ・・・」

蒼紫「そうですな」

剣心「蒼紫さんも腰が」

蒼紫「お恥ずかしいながらですじゃ・・・」

左之助「歳には勝てませんからなぁ・・・」

蒼紫「最強の称号の話なんですがね」

蒼紫「もう諦めようかと思っとるんですわ」

剣心「はうあ」

左之助「なんでまた」

蒼紫「実は蒼紫様今度施設に入れられることになったんです」

剣心「施設に・・・」

蒼紫「ええ」

左之助「それはそれは・・・」

蒼紫「そりゃこんな老いぼれ誰も面倒見たくないでしょう」

蒼紫「わしは１人寂しく介護施設で暮らすほうがいいんですよ」

剣心「そうでござるか」

蒼紫「最愛の人もうこの世にはおらんですからな」

蒼紫「はやく逝っちまいたいもんです」

左之助「なるほどのぉ」

蒼紫「今日はそれをつためにここに来たんです」

剣心「それはそれは」

蒼紫「施設の迎えがきますんでわしはこれで」ｽﾀｽﾀ

剣心「お元気で」

由美「かなしい現実ですね」

剣心「施設には入りたくないでござるなぁ・・・」

左之助「そうですなぁ」

由美「ここがそうじいちゃんの部屋です」

剣心「ご苦労様です」ｶﾞﾗｶﾞﾗ

宗次郎「どうも緋村さんや」

剣心「いやこちらこそ」

宗次郎「もごもごもごもご・・・」

剣心「おろ？」

宗次郎「すいませんな・・・入れ歯の調子が悪くて・・・」

宗次郎「もごもごもご・・・」

左之助「入れ歯ですか」

志々雄「よしお、今の状況は？」

方治「方治です」

方治「安慈は帰っちゃいました」

方治「宇水は斎藤とまだ戦っています」

志々雄「つまり抜刀斎さん達は宗次郎さんと」

方治「はい」

志々雄「なるほど」

方治「どうしましたか」

志々雄「あいつは歯が全て欠落してるからのぉ・・・」

志々雄「差し歯や入れ歯がおかしくならないか心配じゃの」

方治「そうですなぁ・・・」

志々雄「ご飯まだかの」

方治「さっき食べたばかりですよ」

志々雄「そうじゃったかの」

宗次郎「もごもご・・・」

剣心「大変ですな入れ歯は」

宗次郎「えぇ・・・」

左之助「腰が痛いのと同じくらい辛そうですな」

宗次郎「腰はピンピンしとるんですがね・・・」

剣心「ほううらやましい」

宗次郎「もごもご・・・」

剣心「どうぞどうぞ、ゆっくり直してください」

宗次郎「すいませんなぁ・・・」

左之助「よっこいしょ・・・」

剣心「いい天気ですな」

宗次郎「もごもご・・・」

剣心「どうです最近」

宗次郎「もごもご・・・」

剣心「こっちは忙しくて」

宗次郎「・・・・」ｶﾞｻｺﾞｿ

剣心「聞いてるでござるか？」

宗次郎「もごもご・・・」

剣心「朝ゴムんを食べる暇もないくらいで」

宗次郎「・・・・」ｶﾞｻｺﾞｿ

剣心「聞いてるでござるか？」

宗次郎「・・・・」ｶﾞｿｺﾞｿ

剣心「聞いてるでござるか？」

宗次郎「うわあああああああああああああああああああああ！！！！！！！！」

剣心「はうあ」

宗次郎「緋村さん・・・あなたといるとわしの歯はおかしくなってしまいそうじゃ！！！！！！！！」

剣心「す、すいませんな・・・」

宗次郎「はううううううう！！！！！！！！」ｶﾞｻｺﾞｿ

宗次郎「あぁっぁぁぁあぁ・・・・・」ｶﾞｻｺﾞｿ

剣心「落ち着いてくだされ・・・」

宗次郎「あぁ・・・・・」ﾎﾞﾛｯ

宗次郎「はうあ！？」

由美「差し歯が・・・壊れた・・・」

左之助「は、はやく病院に」

宗次郎「また外れちまったわい・・・・」

剣心「すいませんなぁ・・・・」

由美「さあはやく病院へ」

宗次郎「うぅ・・・」ｽﾀｽﾀ

由美「じゃあそろそろ行きましょう」

剣心「はい」

左之助「これで最後か・・・腰にひびくのぉ・・・」

剣心「お邪魔しますよ」ｶﾞﾗｶﾞﾗ

志々雄「かずこか」

剣心「いえ」

由美「違いますよ志々雄さんや」

志々雄「そうじゃったかの」

左之助「あいたたた・・・」

剣心「しかももうこんな時間でござるか」

斎藤「・・・」ｽﾔｽﾔ

宇水「・・・」ｽﾔｽﾔ

剣心「どうです志々雄さんや」

志々雄「なんですかな」

剣心「今日はもう遅いですし一旦お開きにしませんか」

志々雄「そうですな」

剣心「実はいいものを持ってきてましてな」ｽﾄｯ

志々雄「ほう、焼酎ですか」

剣心「今夜は敵味方関係なしということで飲みませんか」

志々雄「いいですなぁ」

左之助「なるほどのぉ」

由美「なるほど」

志々雄「つまみになりそうなもの持ってきますわ」ｽﾀｽﾀ

剣心「おら飲め飲めでござるほら！！！！！！！！！！！！！！！！」

志々雄「すまねぇな！！！！！！！！」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

左之助「おい剣心俺にもついでくれよ！！！！！！！！」

志々雄「ダメだな、さあもういっぱいくれ」

左之助「んだよ！！！！！！！！独り占めかよ！！！！！！！！」

志々雄「所詮この世は弱肉強食」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

左之助「くそ！！！！！！！！！！！！！！！！」

由美「うんめぇ」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

方治「次は私がおつぎします志々雄様！！！！！！！！」

剣心「ふにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい！！！！！！！！」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

志々雄「シャアアアアアアアアアアアアアアアアア！！！！！！！！」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

左之助「イヤフゥ～！！！！！！！！」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

―翌朝―

剣心「さて、ボチボチはじめますかな」

志々雄「そうですな」

左之助「あいたたた・・・・」

剣心「久々に抜刀術を披露するわけでござるか」

剣心「まだまだ若いもんには負けられませんわい」ｷﾘｯ

左之助「あれはまさしく若者の目・・・！！」

志々雄「そうですか」

志々雄「わしも久々に国取りをする気になりましてな」ｷﾘｯ

方治「あれはまさしく若者の目・・・・！！」

剣心「では」

志々雄「ええ」

剣心「いざ」

志々雄「勝負」

剣心「背中曲がるぎ流！！！！！！！！」ｽﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ

志々雄「遅いですな」ｽﾞｻﾞｯ

剣心「はうあ」

志々雄「しゃあ」ｻﾞｸｯ

剣心「うぅ・・・・」ﾌﾗﾌﾗ

方治「おお！！！！あれは！！！！！！！！」

方治「介護者をイライラさせる基本的な痴呆術」

方治「壱の痴呆、ごはんまだ！！！！！！！！」

志々雄「どうですか、わしの痴呆術は」

剣心「うぐぅ・・・・」

左之助「剣心さん！！！！！！！！」

剣心「はやい・・・」

志々雄「あんたは華々しく散ったほうがいいと思うんじゃがの」

剣心「嫌でござる・・・」

剣心「拙者百歳まで生きたいんでござる！！！！！！！！」

志々雄「あんたもわからねぇ男ですな」

志々雄「そんなに長生きしても身内に邪魔者扱いされるのが落ちじゃよ」

志々雄「この辺で死んでおくのが正解じゃて」

剣心「い、嫌でござる・・・！！！」

志々雄「せっかくの忠告も聞く耳持たずかい」

志々雄「じゃあ仕方ないのぉ・・・わしが手を貸してやろうかの」ｶﾞｼｯ

剣心「うぅ・・・・」

志々雄「じゃあの」ﾄﾞｶｰﾝｯ

方治「おおあれは！！！！！！！！」

方治「これまた介護者をいらだたせる基本的な痴呆術」

方治「弍の痴呆、誰でしたかいな！！！！！！！！」

剣心「」ﾄﾞｻｯ

志々雄「ふぅ・・・」

左之助「剣心さんや・・・・」

左之助「う、うそじゃろ・・・・」

志々雄「ご飯まだかの」

由美「さっき食べたでしょ」

志々雄「そうじゃったかの」

斎藤「すまんのぉ・・・寝過ごしてしまったわい」ｶﾞﾗｶﾞﾗ

左之助「大変じゃ斎藤さんや！！！！！剣心さんが！！！！！！！！」

斎藤「なんだってぇ？」

斎藤「あれま」

剣心「」

志々雄「腰が・・・」

蒼紫「誰かおらんかの・・・」ｶﾞﾗｶﾞﾗ

左之助「おや蒼紫さんどうして」

蒼紫「実は問題患者すぎるということで施設から追い出されたんじゃ・・・」

蒼紫「一人じゃさみしいから戻ってきちゃった」

左之助「そうでしたか・・・」

蒼紫「おや抜刀斎さんや、どうされたんじゃ」

剣心「」

左之助「逝っちまいました・・・」

蒼紫「羨ましいのぉ・・・」

斎藤「せめてもの供養じゃ」ｶﾞｻｺﾞｿ

左之助「斎藤さん一体何を」

斎藤「帰ったらみんなで飲もうと思っとった酒じゃ」

斎藤「抜刀斎さんにくれてやろう」

左之助「なるほどのぉ」

蒼紫「なるほどのぉ」

斎藤「ほれ高い酒じゃよ」ﾄﾞﾎﾞﾄﾞﾎﾞ

剣心「」

斎藤「うまいか」ﾄﾞﾎﾞﾄﾞﾎﾞ

剣心「」

斎藤「いい顔で死んどるわい」ﾄﾞﾎﾞﾄﾞﾎﾞ

剣心「おいしい・・・」

斎藤「なんだってぇ？」

左之助「剣心さん！？」

剣心「・・・・・」ﾑｸｯ

方治「立ち上がっただと・・・・！？」

志々雄「はうあ」

剣心「・・・・・・」

方治「ダメじゃ志々雄さんや！！！！！！！！」

方治「今のうちに止めを刺さないと！！！！！！！！」

剣心「」ｷﾘｯ

志々雄「なるほどのぉ」

剣心「ふにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい！！！！！！！！」

左之助「これは一体・・・」

斎藤「抜刀斎が寿命の限界を超えたか」

蒼紫「・・・？」

剣心「ふにいいいいいいいいいいいいいいい！！！！！！！！」

志々雄「第二局開始かの」

剣心「背中曲がるぎ流！！！！！！！！！！！！！！！！」ｽﾞｻﾞｯ

剣心「老衰！！！！！！！！」ｶﾞﾂﾝｯ

剣心「長寿！！！！！！！！」ｶﾞﾂﾝｯ

志々雄「うはっ！？」ﾌﾗﾌﾗ

左之助「二連擊！？」

斎藤「なんだってぇ？」

蒼紫「まだ生きるぞ」

剣心「ふにいいいいいいいいいいいいい！！！！！！！！」

剣心「よう聞こえん、困るし！！！！！！！！」ｶﾞﾂﾝｯ

剣心「老人！！！！！！！！」ｶﾞﾂﾝｯ

剣心「荒施設！！！！！！！！」ｶﾞﾂﾝｯ

志々雄「うぅ・・・・・」

由美「志々雄さんや！？」

志々雄「はうぅ・・・・」

剣心「これでおしまいでござる！！！！！！！！」ｽﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ

剣心「背中曲がるぎ流！！！！！！！！」

剣心「歩事出無(あるけやせん)！！！！！！！！」ｽﾞﾄﾞｰﾝｯ

志々雄「まだだ！！！！！！！！」ｶﾞｼｯ

剣心「はうあ！？」

志々雄「所詮この程度かの！！！！！！！！」

方治「志々雄さんや！！！！！！！！」

志々雄「所詮この世は若者が作り上げるもの」

志々雄「若ければ生き、歳取れば死ぬ！！！！！！！！」

剣心「そんなの間違ってるでござる！！！！！！！！」

剣心「この世の中をあんな若いのにまかせてはおけんでござる！！！！！！！！」

志々雄「シャアアアアアアア！！！！！！！！」

剣心「ふにいいいいいいいいいいいいいいいいいい！！！！！！！！」

志々雄「行くぞ！！！！！！！！」ｽﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ

剣心「はやい・・・！！！！！！！！」

志々雄「終の痴呆、髪抜き！！！！！！！！」ﾌﾞﾁﾌﾞﾁ

方治「おおおお！！！！！！！！あれは！！！！！！！！」

方治「相手の髪の毛をむしりとり年寄りであることを実感させる技！！！！！！！！」

剣心「ふにいいいいいいいいい！！！！！！！！」ｽﾞｻﾞｯ

左之助「あの構えは！！！！！！！！」

剣心「背中曲がるぎ流奥義！！！！！！！！」ｽﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ

剣心「甘愛外孫(あまやかすｷｭｰﾄそとまご)！！！！！！！！」ｽﾞｷｭｳｳｳｳｳﾝ

志々雄「うわあああああああああああああ！！！！！！！！」ﾄﾞｻｯ

方治「志々雄さんや！？」

志々雄「なかなかやるのお・・・・」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

剣心「お主ものぉ・・・」ﾊｧﾊｧ

志々雄「まだまだじゃ・・・・！！！！！！！！」

方治「流石は志々雄さんじゃ！！！！！！！！」

剣心「負けないでござる・・・！！！！！！！！」

左之助「剣心さんも負けとらんわい！！！！！！！！」

由美「はうあ！？」

方治「どうしたんですか由美さんや」

由美「もう十五分たってますよ！！！！！！！！」

方治「それが一体」

由美「忘れたの！？志々雄さんは明日健康診断なのよ！！！！！！！！」

由美「これ以上過激な運動をするのは危険なのよ！！！！！！！！」

方治「そんな・・・」

志々雄「シャアアアアアアアアアアアアア！！！！！！！！」

由美「志々雄さんや！！！！！！！！」

方治「健康診断がどうした！！！！！！！！」

方治「抜刀斎さんは寿命の限界を超えたのだぞ！！！！！！！！」

方治「あの人にできたことが志々雄さんにできないはずがない！！！！！！！！」

由美「でも検査に支障が！！！！！！！！」

方治「信じるんじゃ由美さんや・・・」

方治「志々雄さんなら勝てる・・・」

志々雄「その程度かばっｔ」

志々雄「うっ・・・・！？」

志々雄「」ﾄﾞｻｯ

方治「はうあ！？」

志々雄「」

方治「志々雄さんやああああああああ！！！！！！！！」

由美「だから言ったんですよ！！！！！！！！」

剣心「志々雄さん・・・」

左之助「剣心さんが・・・・剣心さんがかったんじゃ！！！！！！！！」

志々雄「」

斎藤「なんだってぇ？」

蒼紫「なるほど」ｶﾞｻｺﾞｿ

蒼紫「心配するな、老衰だ」

蒼紫「苦しんで死んではいないさ」

方治「志々雄さんや・・・・」

―数日後―

安慈「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」ﾎﾟｸﾎﾟｸ

方治「・・・・・」ｼｸｼｸ

由美「・・・・・」ｼｸｼｸ

安慈「老衰ということで、きっと見仏のご加護があったのでしょう」

安慈「これより火葬を執り行いますので」

方治「はい・・・」

剣心「勇ましい最後でござった・・・・」

左之助「そうじゃの・・・」

斎藤「なんだってぇ？」ｼｸｼｸ

蒼紫「・・・・」ｼｸｼｸ

志々雄「」ﾒﾗﾒﾗ

左之助「わしらが死んでもこうなるのかの・・・」

斎藤「だろうな」

蒼紫「なんだか怖いのぉ」

剣心「まだまだでござるよ」

左之助「剣心さん」

剣心「この国を今の若いのにまかせてはおけんでござるからの」

剣心「拙者らがしっかりせんとでござるよ」

左之助「そうじゃな、そうじゃよな！！！！！！！！」

剣心「さて爺の底力を今の若いもんに見せつけてやるでござるよ！！！！！！！！」

一同「うええええええええええい！！！！！！！！」

こうして老人の老人による老人のための戦いが静かに幕を下ろした

めでたしめでたし