1: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:00:12 ID:ViZ
飛鳥「いつ? いつだって? ……はっ。あはっ。あははははっ!」

飛鳥「何かおかしいことでも(裏声)」

引用元: 飛鳥「そうか、やっぱりキミか」 飛鳥「……いつ気がつきました?(裏声)」 



2: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:04:16 ID:ViZ
飛鳥「いや、なに。自分の馬鹿らしさに嫌気がさしただけさ。現実を突きつけられるまで、現実から目を背けていたのだから、ね」

飛鳥「少なくとも、私の目からはそうは見えませんでしたが(裏声)」

飛鳥「そうかい? まあ、キミがそう思うのならそうかもしれない」

飛鳥「…………(裏声)」

飛鳥「おっと、動かないでくれよ。生憎と、ボクの射撃の精度はそこまで良くないんだ」

3: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:06:44 ID:ViZ
飛鳥「……どうして今になって現れたんですか。気づかないままでいれば、幸せに終われたのに(裏声)」

飛鳥「幸せに終われた? ハッ、どの口で。ボク達から幸せを奪っていったキミが、よくもヌケヌケと」

飛鳥「けど、幸福でしたよね?(裏声)」

飛鳥「ああ、そうさ。確かに幸福だったさ、キミの言う通りね」

飛鳥「でしょう?(裏声)」

4: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:08:15 ID:ViZ
飛鳥「ああ、幸せだった。幸せすぎた。不自然なほどに」

飛鳥「…………(裏声)」

飛鳥「キミは、やりすぎたんだよ。物事には限度ってものがある」

飛鳥「限度ですか?(裏声)」

飛鳥「ああ、そうさ。夢は夢であるから美しいのさ。そして、現実は現実であるから美しいんだ」

飛鳥「言っている意味が、よくわかりません(裏声)」

5: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:10:41 ID:ViZ
飛鳥「要はリアリティの問題だよ。夢なら夢らしく、現実なら現実らしく創りあげないといけない。キミはそのさじ加減を間違えたのさ」

飛鳥「さじ加減、ですか(裏声)」

飛鳥「もっと早く気づくべきだった。杏が居なくなった時に。……いや、そうじゃないか」

飛鳥「そうじゃない?(裏声)」

6: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:12:20 ID:ViZ

飛鳥「思えば、最初から違和感はあったんだ」

飛鳥「………………(裏声)」

飛鳥「キミがあの日、あの時、声をかけてきた時から。そうだ、ヒントは幾らでもあったんだ」

飛鳥「ええ、そうです。……あなたが気付いていなかっただけで(裏声)」

飛鳥「ひとつだけ、訊きたいことがあるんだ」

7: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:13:30 ID:ViZ
飛鳥「……何ですか?(裏声)」

飛鳥「ボクらといる時のキミの笑顔は……ホンモノじゃなかったのか?」

飛鳥「……自分でも、今となってはよく分かりません(裏声)」

飛鳥「……そうか」

飛鳥「さあ、語るべきことは全て語りましたね(裏声)」

8: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:15:26 ID:ViZ
飛鳥「いや、まだボクは何もわかっちゃいない」

飛鳥「いいえ、全部語り終えました。だから、これでもういいんです(裏声)」

飛鳥「良いわけないだろう! こんなものが! ボクらの最後だっていうのか!」

飛鳥「ええ、終わらせましょう。この果てしない物語に終止符を。あなた自身の手で(裏声)」

飛鳥「嫌だ。ボクはそんなことをやりたくない」

飛鳥「いいえ、いいえ。あなたはやらないといけません。ほら、あなたは何のために人殺しの道具を持ってきたんですか?(裏声)」

飛鳥「ボクは……」

飛鳥「良いんです。私はもう、十分楽しみましたから(裏声)」

9: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:15:59 ID:ViZ
飛鳥「ボクはまだ、キミのことを何一つ理解っちゃいない!」

飛鳥「…………(裏声)」

飛鳥「初めて……初めてなんだ! 人のことを理解したいと思ったのは! これから始めようと思っていたんだ!」

飛鳥「わかります(裏声)」

飛鳥「理解るものか」

飛鳥「わかりますよ(裏声)」

飛鳥「理解るハズがない!」

飛鳥「わかりますよ。だって、私も”そう”なんですから(裏声)」

10: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:16:20 ID:ViZ
飛鳥「ッ! だったら、どうしーー」

ガチャッ!

ありす「飛鳥さーん。プロデューサーさんが……」

飛鳥「…………」

ありす「…………」

飛鳥「…………」

ありす「…………」

11: ◆MBta3/Lt2Q 2017/08/15(火)20:17:04 ID:ViZ
飛鳥「いつから聞いていた?」

ありす「…………」

飛鳥「…………」

ありす「『そうか、やっぱりキミが”そう”だったのか』というところから……」

飛鳥「…………」

ありす「ご、ごゆっくり」

飛鳥「待ってくれありす! 今回は違うんだ! そうじゃ無いんだ!」

ありす「二宮飛鳥はその白魚の様な指先をくいと曲げた。その瞬間、軽い音が室内に響き渡った。その音色はとても虚しいものだった(裏声)」

飛鳥「やめろ!」

おわり