移動中

穂乃果「でもさ～よく考えたら3人で一緒に行く必要もなかったよね」

ことり「え？　なんで？」

穂乃果「だって１人だけ落ちたりしたら超気まずいよ！」

ことり「そ、それは……」

ｼｰﾝ

穂乃果「やっぱり私は一人でいくよ」

海未「まったく、ここまで来てそれはないでしょう」

穂乃果「誰だ～みんなで行くって言ったの」

海未「貴方です」

到着

海未「ここですね」

穂乃果「き、緊張するね……」

ことり「うん……」

海未「今さら緊張したってしょうがないでしょう。シャキっとしなさい」

穂乃果「いいよね～余裕のある海未ちゃんは」

穂乃果「私なんか一人だけ落ちちゃってたらどうしよう……」

ことり「大丈夫だよ穂乃果ちゃん。あれだけ勉強したんだもの」

ことり「それに私も失敗しちゃったし、もしかしたら落ちるの私一人かもしれないよ？」

穂乃果「ことりちゃん」

ことり「穂乃果ちゃん！」

海未「やれやれです」

掲示板前

（ワイワイガヤガヤ）

穂乃果「人多いね」

ことり「そうだね、すくまで待ってようか？」

穂乃果「そうしよう、それが――」

海未「先延ばしにしたっていいことありませんよ」

穂乃果「だって～」

海未「どうせもう結果はでてるんですから。わかったら行きますよ！」

穂乃果「待って！　まだ心の準備が――」

海未「行きます！」

穂乃果「……はい」

ことり「あ…」

穂乃果「どうしたの！？ことりちゃん」

ことり「あった」

穂乃果「え？」

ことり「あったよ穂乃果ちゃん！」

穂乃果「も、もう見つけたの？早いよ！というかあったの！？ちくしょー」

ことり(ちくしょう？)

ことり「大丈夫だよ穂乃果ちゃん、あれだけ頑張ったんだもの」

穂乃果「ことりちゃん……」

ことり「ところで穂乃果ちゃんは受験番号何番なの？」

穂乃果「ん？　14029だよ」

ことり「それならたぶんむこうの方だね」

穂乃果「このへんじゃないかな？　ほらここ14002だし」

ことり「そうだね」

穂乃果「え～と…02がここだから29は――」

穂乃果（いや、待て！　焦りは禁物、ここは02からゆっくり見ていこう）

穂乃果（02…05…08…18…っていきなり１０もとんでる）

穂乃果（20…21…22…24…ってここ４つも続いてるの！？）

穂乃果（ダメだよ…こんなとこで４つも続いてたらこの先はしばらくスカスカになってるはず……終わった……）

穂乃果（いや、まだだよ！　諦めたらダメ！　希望を持て！）

穂乃果（おそらく…勝負は次かその次の番号で決まる…まだだ…焦るな…ゆっくり、ゆっくりだよ）

穂乃果（ここが勝負どころ、精神を――）

ことり「あったよ穂乃果ちゃん！」

穂乃果（集中して―――え？）

ことり「おめでとう穂乃果ちゃん」

穂乃果「…………」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

ことり「穂乃果ちゃん？」

穂乃果「コラーーー！！」

ことり「うわー穂乃果ちゃんが怒った！？」

穂乃果「まぁこれであとは海未ちゃんだけだね」

ことり「そういえば海未ちゃんどこ行ったんだろ？」

ことり「はぐれちゃったね」

穂乃果「まぁ、海未ちゃんが落ちてるわけないよ」

ことり「そうだよ～海未ちゃんが落ちてたら私たち受かってないよぉ」

穂乃果「そうだよね～」

穂乃果「とにかくこれでミューズの今年のメンバーは無事全員合格だね！」

ことり「うん！」





ことり「あっ！　海未ちゃんだ」

穂乃果「ホントだ。お～い！　海未ちゃ～ん～！」

穂乃果「海未ちゃん～！　きいてよ奇跡がおこったんだよ」

海未「…………」

穂乃果「私たち二人みんな合格したんだよ！」

海未「…………」

穂乃果「いや～ことりちゃんは受かると思ってたけど穂乃果は危なかったなぁ～」

海未「…………」

ことり「でもこれで大学でも絵里ちゃん達と一緒にスクールアイドルできるね！」

海未「…………」

穂乃果「海未ちゃん？」


海未「…………ない」

穂乃果「え？」

海未「ないんです」


ことり「嘘……だよね……？」

穂乃果「う、海未ちゃん受験番号は？」

海未「05176」ﾎﾞｿｯ

穂乃果「176だね。えっと……」

穂乃果（174…175…177…178）



ことり「…………」

穂乃果「…………」

穂乃果（これは見事なサンドイッチだね）

海未「…………」

穂乃果（どう声をかければいいやら……）


海未（私…一人だけ落ちちゃったんですね……）


穂乃果「ことりちゃんなんか喋ってよ」ﾋｿﾋｿ

ことり「穂乃果ちゃんこそなんとかしてよ～この空気」ﾋｿﾋｿ

穂乃果「そんなこと言ったって無理だよ……」ﾋｿﾋｿ

ｼｰﾝ

海未（どうしよう、なにか言わなくては）

海未「穂乃果…ことり…なんていうか、すみません」

穂乃果「謝らなくていいよ…？」

ことり「そうだよ海未ちゃん謝ることなんてないよ」

海未「でも、3人で一緒にって約束したのに……」

ことり「それは……」

ことり「大学が離れたって私たちは友達だよ…！」

海未「ことり……」

ことり「第２志望だって近所なんだしミューズは続けられるよ」

穂乃果「そうだよ海未ちゃん」

海未（二人が気をつかってくれてます……）

海未「はい…そうですね」

海未（こんなことなら１人で来ればよかったかもしれません……）


ことり「……帰ろっか？」

穂乃果「……そうだね」

帰り道

穂乃果「いや～でも穂乃果は絶対落ちてると思ってたよ」

ことり「ん、そうだね……」

海未「…………」

穂乃果「もう１回受けても絶対受からない自信あるもんね。奇跡だよ奇跡」

ことり「そ、そうだね」

海未「…………」

穂乃果「でも絶対合格点ギリギリだったと思うな～試験は全然できなかったし」

海未「…………」


ことり（穂乃果ちゃん…よっぽど嬉しかったんだね…）

ことり（でも自重してよぉ…気持ちはわかるけど…）

「穂乃果、ことり、海未！」

穂乃果「あっ！その声は」

海未「…！」

絵里「お疲れ様、その顔を見ると受かったようね」

希「ウチの占いでは三人とも受かるってでとったんよ～」

にこ「まぁ当然よね、さぁこれからは大学のスクールアイドル目指してビシバシいくわよ！」

ことり(た、タイミングが悪すぎるよぉ……)

穂乃果「絵里ちゃーん！わーい！｣ﾀﾞｷｯ

絵里「あらあら、そんなに嬉しかったのね」

海未「…」

穂乃果「うん！これからも絵里ちゃんと会えるなんて穂乃果すっごく嬉しいよ～」

穂乃果「ことりちゃんも受かったんだよー！」

にこ「穂乃果が受かれば他の二人は余裕でしょ」

海未「…！」

絵里「まぁそうよね…ｸｽｸｽ」


穂乃果「もぉ…ひどいよぉ！穂乃果だって頑張ったのに！！」

海未「…」

希(あれ…この雰囲気…もしかして)

希「ことりちゃん…もしかして海未ちゃんって…｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ

ことり「希ちゃぁん……うん…そういうことなの…でも…｣ﾁﾗｯ

穂乃果「あー！やっぱ穂乃果は運がいいよねー！夢のキャンパスライフ！楽しみだなぁ！！｣ｷﾗｷﾗ

希(穂乃果ちゃんがめっちゃ嬉しんでるから水を指すわけにもいかず見守るしかないってわけか…)

穂乃果「あっ、そうだ！　凛ちゃんや花陽ちゃんや真姫ちゃんに電話で報告しなきゃ」

ことり（ちょっと…今そんなことやる必要ないよぉ！）

希「穂乃果ちゃん、それは帰ってからでも――」

穂乃果「ダメだよ、合格したらすぐに電話するって言ったもん」ﾋﾟｯﾋﾟｯ

穂乃果「あ、もしもし、花陽ちゃん～？」


花陽『もしもし、穂乃果ちゃん？』

穂乃果「うん、今合格発表見てきたんだ～」

花陽『受かったんですね！』

穂乃果「え？　なんでわかったの！？」

花陽『声でわかりました！。穂乃果ちゃんすごく嬉しそうだもん！凛ちゃん！真姫ちゃん！受かったって！』

凛『やったにゃー！！』

真姫『まったく…心配したんだからね』



うみ「…………」

ことり（気まずい）

希（気まずいなぁ）

穂乃果「でさ～穂乃果は絶対落ちてると思ってたんだけどね～」

花陽『私は穂乃果ちゃんなら絶対大丈夫だと思ってたよ。穂乃果ちゃんはやるときにはしっかりやるもん』

穂乃果「え～そうかな～。でも絶対ギリギリだったと思うなぁ」


ことり（それはさっきもきいたよ穂乃果ちゃん…）

希（なんだか長くなりそうやな）

海未「…………」

希（せめてむこうで電話しなぁって言えばよかったなぁ）

真姫『そういえば穂乃果、他の皆はどうだったのよ？ことりとかテスト失敗して落ち込んでたって聞いてたけど』

穂乃果「うん、ことりちゃんも合格したよ」

真姫『そう、よかったわ。（みんな）合格したのね』

真姫（まぁ穂乃果が合格なら海未やことりは聞くまでもなかったってわけね）


凛『それじゃ今から部室で合格祝いパーティやるにゃー！　』

穂乃果「え？　合格祝いパーティ？」


海未「」ﾋﾟｸｯ


ことり（今何かこの状況にふさわしくない単語がきこえたような……）

希（いや、いくら穂乃果ちゃんでもこの空気でパーティやるなんて言うわけないやろ…）

穂乃果「やるやる！　じゃ三人はお料理お願いね～」

花陽『うん、任せて！　いっぱいおにぎり作っておくね！』

穂乃果「はいは～い」ﾋﾟｯ

海未「…………」

ことり「…………」

希「…………」

穂乃果「花陽ちゃん達が合格祝いパーティやってくれるって～♪」

ことり（うわぁ…やっちゃったよ穂乃果ちゃん）

希（天然って恐ろしいわ）

海未「…………」

穂乃果「みんな来るよね？」

絵里「あら、それは私たちもいってもいいのかしら？」

にこ「ふふん…久しぶりにあいつらをしごいてやるにこ、そうと決まればいくわよ！」

ことり「そ、それは……ちょっと…」ﾁﾗｯ

希「ええと……ウチはこれから用事が…」ﾁﾗｯ



海未「」ﾊｯ

海未（そうですよね…私のせいで２人とも大っぴらに喜べないんですね……）

海未（これ以上みんなに気を遣わせるわけにはいかない）

海未「わ、私なら大丈夫です」

ことり（海未ちゃん……）

希（海未ちゃん、ファイトやで……）

穂乃果「そっか～ことりちゃんと希ちゃんは来れないのか。残念」

ことり（穂乃果ちゃんもさすがに諦めてくれたよね）

希（ふぅ）



穂乃果「仕方ないね。それじゃ海未ちゃん、２人でお祝いしよっか？　海未ちゃんは来れるんでしょ？」

ことり・希「！？」

海未「え……あ、はい」

ことり（ええええ！？　穂乃果ちゃん何言ってるの？　頭うっちゃったの？？）

ことり「や、やっぱり私も行こうかな」

希「ウチも！」

ことり（海未ちゃんが行くって言うなら私たちも行くしかないよね）

穂乃果「なんだ～２人とも来れるなら最初からそう言ってよ！」

穂乃果「これでみんなでパーティできるね♪」


希（どうしてこうなった）

学校 到着

ことり(結局ここまで来ちゃったよぉ)

穂乃果「皆！！穂乃果含め三人！！無事帰還しました！！」

花陽「本当におめでとう！」

真姫「まぁよく頑張ったわよ」

凛「さっすがにゃー！！」

絵里「今日は私たちもいるのよ」

にこ「元気にしてたかしら？」

希「はは…ども」

花陽「わぁ！これでミューズ復活ですね」

花陽「みなさん合格おめでとうございます。どうぞ入っておにぎり食べましょう！！」

海未「」ﾋﾟｸｯ



ことり（やっぱり花陽ちゃん達は勘違いしてたんだ）

希（そうよな。花陽ちゃん達がこんな無神経なことするばずないもの）

穂乃果「うわ～凄いご馳走だ～！」

ことり「ホント……」

花陽「私と凛ちゃんと真姫ちゃんでつくったんだよ」

にこ「なかなかやるじゃない！　てかよく短時間でこんなに準備できたわね」

花陽「みなさんなら合格するって信じてましたから。材料は昨日のうちに買っておいたんだよ」

ことり「そ、そっか～…さすが花陽ちゃんだね」

花陽「えへへ」



海未「…………」

ことり（…ますます切りだしにくい空気になったわけだけど……）

希（どうしたものか……）

穂乃果「さぁ皆！早く乾杯しようよ～！」

凛「そうだにゃー！」

真姫「三人とももそんなところに立ってないで座りなさい、今日は主役なんだから」

ことり「あ、ありがと……」

穂乃果「わーい！今日は三人が主役！！なんだかミューズの活動の最初の頃を思い出すね！悲しみに閉ざされて～♪」

ことり(今まさに海未ちゃんは悲しみに閉ざされてるよ！！)

海未「…………」

希「なぁなぁことりちゃん、もういっそ開き直って今を楽しんだ方がいいと思わない？」ﾋｿﾋｿ

ことり「そうだよね…今花陽ちゃん達や絵里ちゃん達が真実を知ったら間違いなくこの場は凍りつくよぉ」ﾋｿﾋｿ

希「それだけは避けなあかん」ﾋｿﾋｿ

ことり「うん。これだけのご馳走を用意してくれた三人にも申し訳ないし…」ﾋｿﾋｿ


海未「…………」

花陽「ことりちゃんと希ちゃんもどうぞ。もちろんジュースだけど…」

希「…ありがとなぁ」

ことり「ありがとう花陽ちゃん」


真姫「海未も…はい」

海未「………ありがとうございます」

真姫（海未？）


希（何事もなく終わってくれたらいいんやけどなぁ）

ことり（海未ちゃんも黙ってるってことはやっぱり私たちも黙ってた方がいいんだよね）

絵里「穂乃果、今電話で亜里沙も来たいって言ってるんだけどいいかしら」

穂乃果「もちろん！亜里沙ちゃんも来たら海未ちゃんも喜ぶしね！」

海未「…」

絵里「それじゃ私は亜里沙を迎えにいってくるわね、先に乾杯しといてくれるかしら｣ｶﾞﾁｬ ﾊﾞﾀﾝ

ことり(亜里沙ちゃん…来るんだ…)

穂乃果「よーし、それじゃ元部長のにこちゃん！乾杯の音頭お願い」

にこ「えぇ？にこぉ！？　わ、わかったわよ。え～と……それじゃあ」


にこ「三人の合格を祝って――」

穂乃果「え、ちょっとちょっと！　何言ってるの？」

にこ「え？」

ことり（ちょっと穂乃果ちゃん！！さっきはスルーしたのに今さら突っ込むの！！？？）

希（最悪のタイミングやね）


にこ「何よ穂乃果、にこ何か間違ってる？」

穂乃果「だからぁ、みなさんじゃなくて海未ちゃんは――」

海未「」ﾋﾟｸｯ

ことり「カ、カンパーイ！！！」

希「カンパーイ！」

ｼｰﾝ


穂乃果「もう、ことりちゃんったらあわてんぼうさんだね！」

ことり（穂乃果ちゃん……）


凛「ことりちゃんは慌てすぎにゃー」

穂乃果「まぁまぁことりちゃんもそれくらい嬉しい気持ちでいっぱいなんだよ！気を取り直してもう１回やろう」

ことり（嬉しい気持ちでいっぱいなのは穂乃果ちゃんの方でしょ…私は冷静だよぉ）

穂乃果「もうっ！　しょうがないから穂乃果がやるよ。え～と……」

ことり「ちょっと穂乃果ちゃーー」

穂乃果「穂乃果とことりちゃんの合格を祝って、カンパーイ！！」


ｼｰﾝ


ことり（終わった……）


穂乃果「あれ？　みんなどうしたの？」

真姫「ちょっと穂乃果、なんの冗談よ」

穂乃果「んー何が？」

真姫「何がって、海未を忘れてるじゃない」

海未「」ﾋﾟｸｯ

穂乃果「へ？　別に忘れてなんかないよ」

花陽「も～穂乃果ちゃん笑えないよ？」

穂乃果「いやいや、合格したのは穂乃果とことりちゃんで、海未ちゃんは不合格だったんだよ！」

ｼｰﾝ

花陽「え……？」


真姫「ちょ…ことり、冗談よね？」

ことり「あ…いやぁ……」

海未「……本当です」

真姫「え？」

海未「私…不合格だったんです」

ことり（海未ちゃん……）

希（……）

にこ「いや…でもそんなのおかしいじゃない！海未が不合格なのに穂乃果が合格なんて」

海未「それは……」

穂乃果「いや～それは穂乃果も絶対落ちてると思ってたんだけどね～♪」

海未「…………」

穂乃果「なんてゆ～か神が舞い降りたっていうかさ～♪」

ことり（穂乃果ちゃん…頼むから黙ってよぉ……）

希（…………）


穂乃果「でも穂乃果絶対ギリギリだった――」

花陽「穂乃果ちゃんちょっときて」ｶﾞｼｯ

穂乃果「え、ちょ――花陽ちゃん？　どこいくの？」

花陽「いいから！」

ｶﾞﾁｬ　ﾊﾞﾀﾝ


ことり「…………」

希「…………」

にこ「…………」

真姫「…………」

凛「…………」

海未「…………」

別室

花陽「ちょっと穂乃果ちゃん、海未ちゃんが落ちたってどういうこと？」

穂乃果「だからそういうことだけど」

花陽「じゃどうしてパーティしようなんて言ったのぉ…」

穂乃果「パーティしようって言ったのは花陽ちゃんだよ！」

花陽「うっ……でもどうしてそんな大事なこと言ってくれなかったの！」

穂乃果「言わなきゃまずかったぁ？」

花陽「当たり前だよぉ！！」

穂乃果「は、花陽ちゃん…なんか恐いよ……」


花陽（どうしよう……私とんでもないことしちゃった……）

一方 リビング

ことり「…………」

希「…………」

にこ「…………」

真姫「…………」

凛「…………」

海未「…………」

ことり(どうしてこうなったの…)

ｶﾞﾁｬ

花陽「…………」

穂乃果「おまたせ～」

ことり（帰ってきた……）

希（どうなるのやら……）

凛（早く食べたいにゃー……）


花陽「そ、その……本当にすいません！」

ことり「別に花陽ちゃんが謝ることじゃないと思うよ…」

希「そうやね、花陽ちゃんは何も悪くないわ」

花陽「私…知らなくて……それでこんなことしちゃって……なんて謝ったらいいか…」

真姫「花陽……」

海未「…………」

花陽「ごめんなさい、お料理すぐに片付けますから――」

ことり「せ、せっかく花陽ちゃん達が作ってくれたんだから！…ほらみんな食べよ？」

希「そうやね、いただこかぁ」

花陽（ことりちゃん……）


穂乃果「いただきまーす♪」

ことり「」ﾌﾟﾁﾝ


希「ことりちゃん、おさえておさえて」ﾋｿﾋｿ

ことり「でもぉ……」

ことり「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

希「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

真姫「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

花陽「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

にこ「…………｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ことり（気まずい……）

希（花陽ちゃんとにこっちまで静かになっちゃったわ……）

凛（とりあえず食べられるだけ食べとくにゃ）

海未「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


ｶﾞﾁｬ

亜里沙「穂乃果さん、ことりさん、そして海未さん！！合格おめでとうございます！」

絵里「こら亜里沙あわてない、三人とも、改めておめでとう！」

穂乃果「えへへ、ありがと～♪」


ことり（しまった……亜里沙ちゃんが来るのを忘れてたよぉ）

希（嫌な予感がするわ）

にこ（嫌な予感しかしないわよ）

凛「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

絵里「さて…それじゃ乾杯も済んでるみたいだし…ちょっといいかしら」

ことり(止めないとダメな予感がする…！)

希(ことりちゃん…もうええんや…)

絵里｢ｺﾎﾝ…まず穂乃果、そしてことり、最後に海未。合格おめでとう」

海未「…………」

にこ（見事な先制パンチね絵里…）

絵里「正直言って穂乃果のことはかなり心配してたのよ。この子のことだから１人だけ落ちたりしちゃうんじゃないかって」

穂乃果「絵里ちゃんそれはひどいよ！」

絵里「ホントのことよ。秋になっても全然やる気見せなかったって聞いたわよ」

穂乃果「えへへー」

絵里「でもそうならなくてよかったわね。もし１人だけ落ちたりしてたら悲惨で目も当てられないわ」

海未「…………」

希（エリチ…それは言ったらあかん）

絵里「第二志望の大学は偏差値的にちょっと考えられないわよね。そこに行った先輩知ってるけどあまりに周りがＤＱＮ過ぎて再受験したらしいし」

海未「…………」

希（うわぁ…）

絵里「まして女の子で浪人ってのもありえないしね。きいた話だけどやっぱり１つ年違うと壁を感じるらしいわ」

海未「…………」

希（ストップやエリチ…）

絵里「そもそも浪人生活っていうのが地獄みたいよ。その時期に自堕落になって廃人になる人も多いと聞くわ」

海未「…………」

希（こういう時に限ってよく喋りなさる…）

絵里「穂乃果がそんな悲惨なことにならなかったのも、海未がしっかり指導してくれたからよ」

海未「…………」

凛「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

絵里「穂乃果の先輩として私からもお礼を言うわ。穂乃果もちゃんと感謝しなさいよ」

穂乃果「あ、うん！　ありがとう海未ちゃん！　海未ちゃんのおかげで無事合格できたよ♪」

海未「…………」

希（もうウチは知らん…）

亜里沙「やっぱり私の尊敬する海未さんはすごいです！えへへ…また一つ好きになっちゃいました」

ことり「え、絵里ちゃん亜里沙ちゃん。あの…ちょっと言わなきゃいけないことが――」

海未「いいのですことり…自分で言いますから」

絵里「何？　どうかしたの海未？」

海未「私…落ちました」

絵里・亜里沙「え？」

海未「私１人だけ…落ちました」

絵里「え？」

亜里沙「う、嘘…です…ｸﾞｽﾝ…」

凛「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


絵里「え、どういうこと希！？さっきまでは――」

希「ごめん、ウチが気付いた時にはもう遅かったんや…」

絵里「…そもそもなんでパーティなんか……」

亜里沙「ひっぐ…えっぐ…私の…海未さんはそんな人じゃない…」

花陽「それもちょっと誤解があって……」

海未「…………」

凛「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


絵里「そう…そういうことだったの……」

絵里（どうしよう…私なんてことを……）

亜里沙「えっぐ…うわぁぁん…」

ｼｰﾝ


絵里（ていうかこの空気…耐えられないわ……）

絵里「それじゃ私はこの辺で……いくわよ亜里沙」

穂乃果「え？　絵里ちゃん帰っちゃうの？」

絵里「ちょっとロシアに帰国しに……」

穂乃果「え～なんで～？　一緒に食べようよ～」

絵里「でも……」

海未「食べていってください……」

絵里「い、いただこうかしら……」

穂乃果「絵里ちゃん、そんなとこに立ってないで早く座りなよ！」

絵里「そうね…えっと……亜里沙…座るわよ」

亜里沙「ぐすっ……うん」

穂乃果「ねぇなんでそっち行くの？　海未ちゃんのとなり空いてるよ？」

絵里「あ…あら、ホントね…見えなかったわ……私目が悪いから」


にこ（うわぁ…苦しい……）


絵里「えっと…海未、さっき言ったことだけど……」

海未「いいんです…全然気にしてませんから……」

絵里「そう……」


絵里（海未の顔…とても見る勇気はないわ……）

穂乃果「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ことり「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

海未「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

真姫「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

凛「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

花陽「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

希「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

絵里「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

にこ「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

亜里沙「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

絵里(これからが本当の地獄ね)

30分後

ことり「……ごちそうさま」

希「ごちそうさま…3人ともおいしかったわ」

花陽「はい…ありがとうございます」

海未「…………」

ことり「それじゃ…そろそろ帰ろっか…」

希「そうやね」

にこ「疲れたわ…」

絵里「ええ…」

凛「美味しかったにゃー」

真姫「凛みたいな神経…大切なのかもね…」

穂乃果「えーもう帰るの！？穂乃果皆と一緒にゲームしたい！」

ことり「いいから！！」

帰り道

海未「……ことり」

ことり「？　どうしたの海未ちゃん…」

海未「私……どうすれば…」

ことり「え？」

海未「私１人…落ちてしまって……」

ことり「海未ちゃん……」

海未「第二志望のとこは…恐い人ばっかりで……」

ことり「えっと…」

海未「浪人は地獄だって…」

ことり「絵里ちゃんの言ったこと真に受けたらダメだよ？　きっとデタラメの噂だよ！」

海未「でもぉ……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ことり「海未ちゃんっ！」ｶﾞｼｯ

海未「っ――！」


ことり「海未ちゃん！　何があっても私は海未ちゃんの味方だから！」

海未「こ、ことりぃ……」

ことり「だから…１人で悩まないで」

ことり「一緒の大学に行けなくったって、私たち友達だよね？」

ことり「スクールアイドルだって今まで通り活動するからね！　大学終わったら毎日集合だよ！」

海未「ことりぃぃ～～～！」ｶﾞｼｯ

ことり（海未ちゃん……）


ことり「もう大丈夫？」

海未「はい…」

ことり「よかった」


海未「ことり…」

ことり「ん？」


海未「ありがとうございます…」

ことり「…海未ちゃんのためだもん」


Fin ～

ｶﾞﾁｬ


海未「ただいま帰りました」

海未母「海未お帰りなさい！　もうっ、遅かったから心配しましたよ」

海未「あ…ごめんなさい……」

海未母「どうせお友達と合格祝いでもしてたんでしょ～？　嬉しいのはわかるけどちゃんと連絡くらいしなきゃダメですよ」

海未「…………」

海未母「さぁ、早く上がりなさい。今日はお父さんも帰ってきてますよ」

海未「…………」

海未父「海未、遅かったじゃないか。どうせ友達と合格祝いでもしてたんだろうが、お父さんもお母さんも心配したんだぞ」

海未母「ちょっとあなた！　それはもう私が言いました。それに今日はおめでたい日なんですよ」

海未父「そうか、そうだったな！　なにせ娘が無事大学に合格したんだからな。あっはっは！」

海未母「もうお父さんったら調子いいんですから」

海未父「あっはっはっは！」


海未「…………」

海未父「そうだ忘れるところだった。これはお父さんとお母さんからの合格祝いだ！」

海未「あの…お父様……わた――」

海未父「あけてみなさい」

海未「でも…」

海未父「いいから」

海未「はい……」ｸｼｬｸｼｬ

海未「あ……」

海未父「どうだ？　お父さんは女の子の腕時計なんてわからないから、選んだのはお母さんなんだが」

海未母「素敵でしょう？　高かったんですよ」

海未「…………」

海未父「ど、どうした海未？　もしかして気に入らなかったか？」ｵﾛｵﾛ

海未母「そ、そんな…今若い子に人気のブランドですよ」ｵﾛｵﾛ

海未「」ﾊｯ

海未「ち、違うんです！　ちょっと見とれてて…　すごく嬉しいです！　大事にしますね」

海未父「そりゃよかった！」

海未母「私が選んだんだから当然ですよ」

海未父「あっはっはっは！」

海未「…………」

海未「あの…お父様、お母様…」

海未父「ん？　どうした？」

海未「きいてほしいことがあるんです……」

海未父「なんだ？　こんなめでたい日に遠慮なんかするな。なんでも言ってみなさい！」



海未「私…落ちてしまいました……」

海未父「は……？」


海未母「ちょっと海未？　今何て言ったのですか？　お母さんよくきこえませんでした……？」

海未「だから…落ちたんです……」

海未父「そんな……」

海未「ごめん…なさい……」




海未父「そんなバカな！」ｶﾞﾝｯ

海未「」ﾋﾞｸｯ

海未母「ちょっとお父さん落ち着いてください！」

海未父「あぁ…スマン」

海未「…………」

海未母「海未、じゃあ穂乃果ちゃんたちは？　他のスクールアイドルのお友達は？　みんなで一緒に受験したんでしょう？」

海未「落ちたのは…私だけなんです……」

海未母「そんな……あなた小学校からずっと穂乃果ちゃんより成績はよかったじゃないですか」

海未「それは……」

海未母「みんなに勉強教えてあげてるんじゃなかったのですか……？」

海未「ごめん…な……さい」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

海未父「海未…わかったから……今日はもう寝なさい」

海未「……はい」


ｶﾞﾁｬ　ﾊﾞﾀﾝ


海未父「…………」

海未母「…………」




海未「寝ましょう……」

海未（ことりぃ……やっぱり私…ダメかもしれません……）ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

海未「あった……」

海未「あった！　ありました！！」


ことり「おめでとう海未ちゃん！」

穂乃果「海未ちゃんおめでと～～♪」

絵里・にこ・希「おめでとう海未」

花陽・真姫・凛「海未ちゃんおめでとう」

亜里沙「さすがは海未さんです！」

海未母「おめでとう海未！　さすがうちの娘ですね」

海未父「あっはっはっはっは！」


海未「みんな……ありがとうございます！！！！」


真 End

海未「」ﾊｯ




海未「夢…ですか……」


海未「確か…私落ちちゃったんですね……」

海未「１人だけ……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ



海未「学校…行かなきゃ……」

海未「あ…お母様……おはようございます」

海未母「おはようございます…朝ごはんできていますよ」

海未「はい…いただきます」

海未「…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

海未「ごちそうさま……」



海未「いってきます……」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ　ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ


海未「…………」ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ



海未「あ――！」

ことり「えへへ、海未ちゃんおはよ！」

ことり「なに驚いてるの～」

海未「だって…」

ことり「友達なんだから一緒に学校行くくらい当たり前でしょ？」


海未「…………」

ことり「ほらっ、早く行くよ？海未ちゃん」


海未「…………」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ことり「え！？　ど、どうしたの海未ちゃん」

海未「ことりぃぃぃ！！」ｶﾞｼｯ

ことり「ちょ――海未ちゃん！　こんなところで…」

海未「うぅ～～～～～」

ことり「まぁ…しょうがないよね」

ことり「なるほどね～そんなことがあったんだ…」

海未「はい……」

ことり「なんというか……タイミングがわるかったね……」


ことり「でも、おばさんたちも悪気があったわけじゃないと思うから…」

海未「うん…それはわかってます」

ことり「きっと、今頃海未ちゃんに悪かったって思ってるよ？」

海未「はい…」

海未「なんだか…ちょっとラクになったかもしれません」

ことり「ほんと？　よかったぁ！」

海未「ことり…きいてくれてありがとうございます」

ことり「いいって！　私でよければいくらでも聞くよ！」








穂乃果「あ！　ことりちゃんに海未ちゃん！　おっはよ～！」

ことり「穂乃果ちゃん、おはよう」

海未「おはようございます……」

穂乃果「あれ？　海未ちゃんなんか目赤くない？」

海未「あっ…いや、これは……ちょっと寝不足で」

穂乃果「え～なんで～？」

海未「ちょっと…考え事」

穂乃果「ふ～ん……あっ！　もしかして何か悩み事？」

海未「いや…そういうわけじゃないですけど」

穂乃果「え～水臭いよ。話してくれればいいのに！穂乃果たち友達でしょ」

海未「はい…ありがとうございます。でも、大丈夫ですから……」

穂乃果「え～～」ﾌﾞｰﾌﾞｰ

ことり「穂乃果ちゃん、そっとしとくのも友達だよ？」

穂乃果「う～……わかったよ」

ことり（よかった）ﾎｯ



穂乃果「でも寝不足っていえばさ～海未ちゃんって去年の秋ぐらいから勉強で寝不足なこと多かったよね」

海未「は、はい……」

穂乃果「海未ちゃんは人一倍頑張ってたもんね～」

海未「……はい」

穂乃果「それに比べて穂乃果はその時期になってもごろごろしてばっかりでさ～」

海未「…………」

穂乃果「海未ちゃんってほんとに頑張りやさんだよね。なんだか自分が恥ずかしくなっちゃうよ」

海未「…………」

穂乃果「海未ちゃん？」

海未「……え？」

穂乃果「どうしたの？　なんか元気ないよ？」

海未「あぁ…すみません。ちょっと寝不足で頭ぼーっとしてて」

穂乃果「ふ～ん」

ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃんは今日体調悪いんだからそっとしてやらないとダメだよ？」

穂乃果「そっか～ごめんごめん」

穂乃果「あっ！　そうだ忘れてた！」

ことり「どうしたの？」

穂乃果「見て見て！　ほら、これ！」

ことり「わぁ　なんか高そうな時計だねっ！」

穂乃果「えへへ～、お父さんに合格祝いにもらったんだ！」

ことり「へ～いいな～」

海未「…………」


穂乃果「ことりちゃんはまだ合格祝いもらってないの？」

ことり「私はまだかな」

穂乃果「あ～、もしかしたら入学式に渡す派なのかな？」

ことり「どうだろう、楽しみにしておくね」

ことり（というか、この会話の流れはやばいよね……）




穂乃果「ところで、海未ちゃんは合格祝い――」

海未「」ﾋﾟｸｯ


穂乃果「あっ！、いやなんでもないや～。ごめんごめん」


海未「…………」

ことり（穂乃果ちゃん………）




学校

ことり「自由登校だから来てない人もいてるね」

穂乃果「うん！皆も合格したのかな～」

海未「…」

ｶﾞﾗｯ

穂乃果「あれ…理事長」

ことり「…お母さん」

理事長「皆、着席してくれるかしら」

ｻﾞﾜｻﾞﾜ

理事長「皆さん、受験お疲れ様でした、結果はどうであれ全力を出し切ったことは将来絶対に無駄にはなりません」

海未「…」

ことり(お母さん…)

理事長「さて、ここに私が来たのはある三人にお礼を言いにきたからです」

理事長「その三人のおかげで私たちの高校は廃校することなく学校として存続していくことができます」

ことり(あれ…なんだか嫌な予感が…そういえば昨日穂乃果ちゃんが受かったことは言ったけど…海未ちゃんのことは言えなかったんだよね…)

理事長「高坂さん、園田さん、そしてことり…本当にありがとう」

理事長「そして…合格おめでとう」

クラスメイトＡ「おめでとう！」

クラスメイトＢ「よかったね！」

その他クラスメイト達「おめでとー！」


ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

ことり（あれ？　いつの間にか勝手に話が進んでるよ……）

海未「…………」


ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

ヒ・フ・ミ「三人のために私たちお祝いケーキを持ってきたんだよー」

穂乃果「あれ～～？」

クラスメイトＡ「どうかしたの穂乃果ちゃん

穂乃果「みんな～違うよ！　」

クラスメイトＢ「え？」

穂乃果「海未ちゃんは落ちたんだよ！合格したのは穂乃果とことりちゃん！」

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟ…………


クラスメイト達（え………？）



海未「…………」


理事長「え…？高坂さん今なんて？」

穂乃果「だから！　海未ちゃんは落ちたんだよ、１人だけ！」

理事長「…………」


ｼｰﾝ

理事長「園田さん…本当なの……？」

園田「……はい」



ことり（どうして…)

ｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ

クラスメイトＡ「うそっ、園田さん１人だけ落ちたんだ」ﾋｿﾋｿ

クラスメイトＢ「うわ～かわいそ～」ﾋｿﾋｿ

クラスメイトＣ「え～頭よかったんじゃないの～」ﾋｿﾋｿ

クラスメイトＤ「穂乃果ちゃんでも受かったのにね～」ﾋｿﾋｿ

クラスメイトＥ「ひさ～ん」ﾋｿﾋｿ

海未「…………」


理事長「ちょっと、みんな静かにしなさい！」


ｼｰﾝ


理事長（あれ？　これってもしかして私のせい…？　私やっちゃった？）


理事長「ええと……私の話はこれで終わりです。それじゃみんな今日も頑張ってください！」

ｶﾞﾗｶﾞﾗﾋﾟｼｬｯ

ことり(お母さん…逃げたよぉ)


ｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ


海未「…………」


ｻﾞﾜｻﾞﾜﾋｿﾋｿ


海未「…………」

海未「…………」ｶﾞﾀｯ

ことり「海未ちゃん…どこいくの？」



海未「……保健室」

ことり「そ、そうなんだ。先生には私が言っとくね」

海未「ありがとうございます……」

ｶﾞﾗｶﾞﾗ　ﾋﾟｼｬ

ｼｰﾝ


クラスメイトＡ（いたたまれなくなったんだわ……）

クラスメイトＢ（かわいそ～）

昼休み

穂乃果「海未ちゃん早退しちゃったんだって？」

ことり「みたい……」

穂乃果「なんでだろ？　風邪でもひいちゃったのかな？　そういえば元気なかったよね」

ことり(穂乃果ちゃん…やっぱり自覚がないんだね…)

穂乃果「そうだ！　今日海未ちゃんの家寄っていこうよ」

ことり「え？　なんで？」

穂乃果「なんでって、ことりちゃんは海未ちゃんのこと心配じゃないの？」

ことり「そりゃ心配だけど…今はそっとしてあげた方がいいんじゃないかな」

穂乃果「え～、ことりちゃんちょっと冷たいよ」

ことり(原因は穂乃果ちゃんにあるんだけどね)

穂乃果「じゃあいいよ、穂乃果一人で行くから、穂乃果いく、いくったらいく！」

ことり(穂乃果ちゃんと海未ちゃんを二人にするわけには…)

ことり「やっぱり私もいくよ」

穂乃果「え？」

ことり「私も海未ちゃんのこと心配だし」

穂乃果「そうだよね！その方が海未ちゃんも喜ぶよね！」

放課後　海未の家の前

にこ「…でなんでにこを呼んだのよ」

ことり「ごめんね、忙しくない人を呼んだらにこちゃんと花陽ちゃんだけだったから…」

花陽「わ、私は…私でよければことりちゃんの手助けしたいかな…｣ﾁﾗｯ

穂乃果「よーし！それじゃ海未ちゃんの家の中に侵入だよ！！」

にこ(あいつら…逃げたわね)

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

にこ「…………」

ことり「…………」

穂乃果「…………」

花陽「…………」

穂乃果「あれ～？　いないのかな～？」


ことり（まぁ…当然だよね）

花陽（でもホントにいなかったら…それはそれでちょっと心配だよぉ……）

にこ（よし！　帰りましょ！）


ことり「しょうがないね、帰ろ？」

穂乃果「む～～～」

ことり「穂乃果ちゃん？」


ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝ

にこ「おい、バカ！　やめなさい！」

穂乃果「だって～」




一方　海未の部屋


海未「…………」


ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ


海未「…………」


ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝ

海未「…………」ｽﾀｽﾀ

海未「…………」ﾁﾗｯ

海未（みんな……）

海未「あっ――！」

海未（しまった――！）


穂乃果「あっ！」

にこ「どうしたのよ？」

穂乃果「今海未ちゃんいたよ！　二階の窓のとこ！」

ことり「見間違いじゃないかな…」

花陽「う、うん…私も見えなかった……」

にこ「そうね、いるはずないわ。にこもたまたまずっと二階の窓見てたけど何も――」

穂乃果「絶対いたって！　目が合ったもん！」

ことり（まずいよ……）

花陽（まずいです……）

にこ（帰りたい…）



穂乃果「おーーーい！！！　うーみーちゃーん！」

にこ「バカ！　やめなさい！」

ことり「穂乃果ちゃん、近所迷惑だよぉ」

穂乃果「だって～絶対いたもん！可能性感じたんだもん！！」

花陽「穂乃果ちゃん、海未ちゃんにももしかしたら出て来たくない事情が――」

穂乃果「うーみーちゃーーーん！！！」

ことり（本当に勘弁してよぉ）

花陽（どうしたら……）

にこ（ダメね…こうなったらもう誰にも止められないわ）



一方　海未の部屋

おーーーい！！！　うーみーちゃーん！


海未「…………」


うーみーちゃーーーん！！！


海未「…………」


もー！　いるのはわかってるんだからー！

海未「……ううぅ…」


うーみーちゃーーーん！！！


海未「……ｸﾞｽｯ」ｽﾀｽﾀ

海未「…………」ｶﾞﾁｬ


穂乃果「あーー！　海未ちゃーん！」

海未「…………」

穂乃果「ほらね～にこちゃん、穂乃果の言ったとおりでしょ！」

にこ「あ、あぁ……そうね」

穂乃果「えっへん！」

にこ(うわぁ…)

穂乃果「もー！　なんですぐ出てくれなかったの～？」

海未「……すみません」

ことり「海未ちゃん…その……ほら、みんな海未ちゃんのこと心配になって」

花陽「そうなの、でも迷惑だったらすぐにでも帰るね？」

にこ「そうよ、すぐにでも帰るわよ」


にこ（てゆうか帰りたい）


海未「……みんな…ありがとうございます、あがってください…」

ことり「い、いいの…迷惑じゃない？」

海未「そんなことありません……」

ことり「そっか……」

ことり（むしろ帰りたかったんだけどな…）

花陽（言い方が悪かったかな…）

にこ（はぁ～……）


にこ「穂乃果、言いだしっぺがそんなところで何してるのよ」

穂乃果「あっ、今行くよ～」


穂乃果（あれ？　この郵便受けに入ってるのって……）

穂乃果「…………」ｶﾞｻｺﾞｿ

穂乃果（あっ！　やっぱりこの封筒は第二志望の結果だ！）

穂乃果（そっか～あそこは郵送だったっけ）

穂乃果（え～と…結果はどうだったのかなぁ）ﾋﾞﾘﾋﾞﾘﾋﾞﾘ

穂乃果「！？」

一方　海未の部屋

ことり「あれ？　穂乃果ちゃん遅いね」

にこ「そうね…なにしてるのかしら…」


ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

穂乃果「おまたせー！」

ことり「何してたの？」

穂乃果「ごめんごめん、それより大変だよ！」

にこ「なにがよ？」

穂乃果「ほら、これ！」ﾋﾞｼｯ

海未「！？」

にこ「ちょ、あんた――それって第二志望の」

花陽「そういえばあそこは郵送なんだってけ」

にこ「てゆうかあんた…開けたの？　それ？」

穂乃果「うん、だってポストにあったから」


ことり（人の家の……だよ…）

花陽（あれ？…ちょっと待って……穂乃果ちゃん今）

にこ（大変…って言ったわね）


海未「穂乃果…返してください……」

穂乃果「え？」

海未「返して！！」

穂乃果「か、返すよ。返すからそんなに怒鳴らないでよ。不合格だったけど」ｻｯ

海未「え…………」ﾎﾟﾛｯ

ｼｰﾝ

穂乃果「も～海未ちゃんってばちゃんと受け取ってよ、はいっ！　これ不合格通知！」ﾋﾞｼｯ

にこ「そ、そんなバカな！　ちょっと見せてみなさい！」ｶﾞｯ

ことり「私も！」

ことり（そんな………）

花陽（うそ……）

にこ（これは……）

海未「そんな…ことり…うそですよね……」

ことり「…………」

花陽「…………」

にこ「…………」

穂乃果「も～うそじゃないよ！　ちゃんと、ふ・ご・う・か・く！　って書いてあったもん」

ことり「穂乃果ちゃん、ちょっと黙って！」

穂乃果「ほえ？」


海未「こ、ことり…なんとか言ってください……」

ことり「じ…自分で確かめて……」ｻｯ

海未「…………」ｽｯ


――残念ながら、不合格――


海未「…………」ﾎﾟﾛｯ



海未「……う…そです……」

海未「うそです……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ことり「…………」

花陽「…………」

にこ「…………」


ことり（……どうしたらいいの……）

花陽（わかりません……）

にこ（こんなことって……あんまりだわ……）



穂乃果「そういえばさぁ～海未ちゃんって滑り止めここしか受けてなかったよね？」

海未「…………」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

穂乃果「穂乃果はよく知らないんだけど、こんな風に大学全部滑っちゃったらどうなるのぉ？」

海未「…………」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

穂乃果「ねぇねぇにこちゃ～ん、どうなるのぉ？」

にこ「そ、それは……」

海未「…………」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ


ことり（もうだれか連れて帰って…穂乃果ちゃんを…）

花陽（穂乃果ちゃん…お願いだから今は…）

にこ（穂乃果…いい加減に……）


穂乃果「あっ！　もしかしてニートってやつ？　最近はやりの」

にこ「それは違――」

穂乃果「うわ～海未ちゃんニートかぁ～」

海未「…………」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ことり「穂乃果ちゃん！　私たちはもう帰ろ！」

穂乃果「え？　まだ海未ちゃんのお見舞いが終わってないよぅ。　海未ちゃん気分悪くない？　ねぇ今どんな気もち？ファイトだよ！」

穂乃果「……っていう夢を見たんだけどさぁ…」

海未「貴方は最低です、あと長すぎです」

ことり「それじゃそろそろ見よっか…えっと…あ、私はあったよ～」

海未「私もありました。夢みたいにはなりませんでしたね穂乃果」

穂乃果「…」

海未「…？穂乃果？」

ことり「穂乃果ちゃん？」

穂乃果「……私の番号が……ない」




おしまい。


ちなみに穂乃果ちゃんは補欠合格で受かりましたとさ。