1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:08:12.824 ID:Et2D6p++0.net
男「いきなり道に飛び出てくるのが悪いんだ!」

女「はい!」

男「ひき殺すところだったぞ!」

女「はい!」

男「……はい?」

引用元: 男「バカ野郎、死にてえのか!」 女「はい!」 



死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)
エリザベス キューブラー・ロス
中央公論新社
売り上げランキング: 4,360
4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:08:37.751 ID:Et2D6p++0.net
男「死にてえのか?」

女「はい」

男「……まあ、乗れよ」

女「失礼します」ガチャッ

5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:09:06.645 ID:Et2D6p++0.net
男「止まってるのもなんだから、走らせるぞ」

女「あー」

男「なんだよ」

女「女子高生を誘拐してるみたいですね」

男「死のうとしてたくせに元気じゃないか」

6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:09:36.299 ID:Et2D6p++0.net
女「おじさんは誰ですか?」

男「死のうと思ってたってのに、俺が誰かなんかどうでもいいじゃねえか」

女「それもそうですけど」

7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:10:03.255 ID:Et2D6p++0.net
男「それにな」

女「?」

男「まだ20代だ。おじさんじゃない」

女「細かいですね」

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:10:24.460 ID:Et2D6p++0.net
男「それで、本当に死のうと思ってたのか?」

女「はい。飛び込み自殺です」

男「なんで死のうと」

女「あ、蝶々だ」

男「話を逸らすな」

9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:10:48.517 ID:Et2D6p++0.net
女「私がどうして死のうかなんて、それこそどうでもいいじゃないですか」

男「よくない。目の前で死なれたら困る」

女「じゃあ、あなたの目の届かないところで死にます」

男「そういうわけではない」

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:11:10.707 ID:Et2D6p++0.net
男「お前と同じくらいの歳の妹がいてな」

女「そうなんですか」

男「一昨年、自殺したんだよ」

女「……」

男「生きていたら、お前くらいだった」

12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:11:31.777 ID:Et2D6p++0.net
女「だから私が自殺するのを止めようと?」

男「ああ。ほっとけないだろ」

女「余計なお世話です」

男「好きなんだ。余計なお世話が」

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:11:57.844 ID:Et2D6p++0.net
女「いじめに耐えられなくなった。よくある話です」

男「俺の妹もそうだった」

女「奇遇ですね」

男「そうだな」

女「こんな風にいじめられて死のうとしてる人がどれくらいいるんでしょう」

男「よくわからないけど、たくさんいるらしい」

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:12:17.868 ID:Et2D6p++0.net
女「まったく、腐った国ですね」

男「まあな。人間というものは愚かなんだよ」

女「自殺者は増える、戦争はなくならない、環境は破壊する」

男「給料は安い、残業はさせる、上司が部下に責任をとらせる」

女「……」

16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:12:51.471 ID:Et2D6p++0.net
女「会社ってのはそんなに地獄みたいなところなんですか」

男「いや、そんなことはない」

女「大変なんですね」

男「地獄ってのは、もっとましなところだ」

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:13:19.556 ID:Et2D6p++0.net
女「サラリーマンは大変ですね」

男「だがもう悩む必要は無いんだ」

女「どういうことですか?」

男「会社はクビになったよ」

19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:13:47.602 ID:Et2D6p++0.net
女「リストラですか?」

男「さっき言った通り、上司に責任を押し付けられたのさ」

女「ほう」

男「大きな仕事のミスを一番下っ端の俺のせいにしてな」

女「そんなの言えばいいじゃないですか」

男「そうもいかない」

女「会社って酷いところなんですね」

男「酷いところだよ。とても」

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:14:09.731 ID:Et2D6p++0.net
男「その上司は元々俺が気にいらなかったみたいで、チャンスだと思ったんだろう」

女「仕事のミスを他人のせいにできて、嫌いな部下を会社から追い出せる」

男「そういうことだ」

女「あはは、なるほど、チャンスですね」

男「なんだお前、笑うなよ」

21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:14:34.560 ID:Et2D6p++0.net
男「不思議だな、境遇が別々の見ず知らずの俺たちがこうして一緒に車に乗って走ってる」

女「確かに、変な感じですね」

男「どうして乗り込んだ」

女「乗れってあなたが言ったんでしょう」

男「それはそうだが」

女「まあ、ノリですね」

22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:15:00.476 ID:Et2D6p++0.net
女「この時間だから会社に向かってる人かと思ったんですが」

男「会社はクビなった」

女「はい。ならどこに向かってるんですか?」

男「俺に責任を押し付けてクビにした上司のところだ」

女「えっ」

男「殺しに行くんだよ」

26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:16:57.986 ID:Et2D6p++0.net
女「えっ、いやいや」

男「言っておくが、本気だぜ」

女「わああ、拳銃だ」

男「本物だからな」

女「ちょっと、こっち向けないでください! 危ないから!」

29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:18:53.576 ID:Et2D6p++0.net
女「そんな、クビになったからって殺さなくても」

男「これが原因で彼女と別れるわ、同級生からは見下されるわ、うんざりだ」

女「まだ若いんですから、いろいろこれからでしょう」

男「さっきおじさんって言ったくせに」

33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:20:15.935 ID:Et2D6p++0.net
女「とにかく、殺しは駄目です」

男「なんでだよ」

女「えっと、そんなことをしたら、地獄に堕ちますよ」

男「なんじゃそりゃ」

女「悪いことをると地獄にいくんです」

男「会社よりはマシだ」

35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:21:38.015 ID:Et2D6p++0.net
女「人の命は重いんですよ」

男「自殺少女に言われたくないな」

女「殺しに行くなんてやめてください」

男「絶対に殺す」

36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:23:00.122 ID:Et2D6p++0.net
男「上司は今日休暇で家にいる。この日のために調べたんだ」

女「計画的犯行……!」

男「あと15分もすれば着く」

女「なんとしても殺しに行くつもりですね」

37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:24:20.841 ID:Et2D6p++0.net
女「そうはさせません!」バッ

男「おいバカ、やめろ、離れろ」

女「離れません」

男「事故るだろーが! ほんとやめろ死ぬ!」

女「好都合です!」

39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:25:58.615 ID:Et2D6p++0.net
キキーッ

男「危ねえ危ねえ」

女「殺しに行くのなんかやめてください」

男「やめない、絶対に殺す。お前こそ自殺なんてやめろ」

女「いいえ、絶対に死にます」

男「聞き分けのないやつだな」

女「お互いに」

40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:28:21.343 ID:Et2D6p++0.net
女「あなたと別れたら、すぐにでも自殺するんですから」

男「そうはさせない。しばらくついてきてもらうぞ」

女「……いいでしょう。そのかわり私がいるうちは人殺しなんてさせませんよ」

男「ああ、めんどくせえことになったな」

44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:31:59.400 ID:Et2D6p++0.net
男「車はここに置いて行くことにしよう」

女「いいんですか?」

男「事故を起こされたらかなわん」

女「まさかまだ殺しに行くつもりなんですか!」

男「歩いてもいける距離だ」

47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:34:51.094 ID:Et2D6p++0.net
女「待ってください、待ってくださいってば」

男「待たない」

女「そうだ、手をつなぎましょう」

男「バカかお前は」

女「女子に合わせてくださいよ」

男「うるせえな」

48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:35:25.236 ID:Et2D6p++0.net
女「そんなんだから彼女ができないんですよ!」

男「彼女ならいたっつーの」

女「ああ、そうでしたね」

男「別れたんだわ!!!」

女「あああ……」

男「クソ上司め、絶対殺してやるからな」

49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:36:21.277 ID:Et2D6p++0.net
男「この橋を渡る」

女「見てくださいよこの川。人を殺そうなんて考えも流される気がしませんか?」

男「流されんな」

女「むー」

52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:38:34.030 ID:Et2D6p++0.net
男「逆に」

女「逆に?」

男「自然を見て自殺しようって気は消えないのか」

女「それこそ消えませんね。むしろ」

男「むしろ?」

女「ここから飛び降りようかと思いました」

男「……手でもつなぐか」

55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:44:52.513 ID:Et2D6p++0.net
女「拳銃なんかどこで手に入れたんですか」

男「今の時代、どうにでもなる」

女「ちょっと貸してみてくださいよ」

男「嫌だよ。川にでも捨てるつもりなんだろ」

女「そんなことしませんよ! 自分の頭に撃ちます」

男「油断も隙もねえな」

58: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:47:47.816 ID:Et2D6p++0.net
女「やっぱり殺しはよくないですよ」

男「まだ言うか」

女「若ければ人生何度でもやり直しがききます」

男「君の方が若い」

女「そうですけど」

男「さっきから自分にも当てはまると思わないのか」

59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:50:05.052 ID:Et2D6p++0.net
男「君の方こそ、いくらでもやり直しがきく」

女「気をぬくと説得される側にまわってしまいますね」

男「自殺なんてしなくても、方法はいくらでもあるんだ」

女「なんですか方法って」

男「思いきって引っ越すとかさ」

女「そんなの、負けたみたいじゃないですか」

61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:51:21.291 ID:Et2D6p++0.net
男「自殺こそ、負けたまま終わるようなもんだ」

女「自分が死んでたら勝ちも負けもないですよ。何も感じません」

男「そういう問題じゃなくてだな」

女「じゃあ、会社の上司を殺すのは勝ちなんですか?」

男「そうやって、すぐに話を切り替える」

62: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:52:23.898 ID:Et2D6p++0.net
男「俺の場合は既に勝負が終わってるんだ」

女「終わってる?」

男「クビにされた俺は負け。だから俺は勝者に復讐しに行くんだ」

女「なおさら駄目じゃないですか」

64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:53:35.477 ID:Et2D6p++0.net
男「逆に君も」

女「なんですか?」

男「自分が死ぬ前にいじめたやつらに復讐でもすればいいんじゃないか」

女「復讐ですか」

男「そう、拳銃で撃ち殺すとかさ」

女「極端すぎます」

65: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:55:40.192 ID:Et2D6p++0.net
男「なんなら俺が殺してやってもいいぜ」

女「あなたには関係ないじゃないですか」

男「殺すなら一人も二人も同じだ」

女「結構です」

69: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:57:26.430 ID:Et2D6p++0.net
女「私が自殺することに関してはほっといてください」

男「こっちもほっといてほしいんだけどな」

女「別にいいじゃないですか。自分で決めて死のうとするのは」

男「俺の中で妹が止めろって言うんだよ。自殺をするお前をさ」

女「殺しをする兄にはなにも言わないんですか」

71: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 00:59:40.841 ID:Et2D6p++0.net
女「復讐なんて発想がぶっ飛んでます」

男「自殺なんて発想の方が理解できない」

女「こっちのほうが自然です」

男「そうだろうか」

女「あなたはクビになって自殺しようとは思わなかったんですか?」

男「まったく思わなかったな」

女「一緒にどうですか?」

男「絶対に嫌だ」

72: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:01:34.918 ID:Et2D6p++0.net
男「よし、もうちょっとで着くぞ」

女「もしも、殺そうとしたら、私死にますからね」

男「殺さなくても死ぬんだろ?」

女「ええ、まあ」

男「ならこの言い争いは不毛だ」

女「そうですね」

男「お前が死んだら、俺の殺しを咎めるやつはいなくなるんだけどな」

74: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:03:36.302 ID:Et2D6p++0.net
男「俺が人殺しをしない限り、お前は自殺しない」

女「そして私が自殺をしない限り、あなたは人を殺さない」

男「お互いに邪魔な存在だな」

女「邪魔者は消しますか?」

男「それで殺したら、お前の思うツボだ」

76: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:05:23.894 ID:Et2D6p++0.net
男「わかった、こうしよう」

女「はい?」

男「これじゃ、らちがあかない」

女「そうですね」

男「どちらも目的を達成できないのはよろしくない」

女「まあ、そうでしょうか」

男「ジャンケンをしよう」

77: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:06:29.562 ID:Et2D6p++0.net
女「はい?」

男「ジャンケンだ」

女「一体なにを?」

男「知らないか? これがグー、これがパー、これがチョキ。そして」

女「ジャンケンがなんたるかは知ってますよ! バカにしないでください!」

78: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:08:24.497 ID:Et2D6p++0.net
女「この状況でなんでジャンケンなんかするんですか!」

男「俺が勝ったら、上司を殺す。お前が勝ったら、自殺をする」

女「それをジャンケンで決めようというんですか?」

男「そうだ。負けた方は相手の目的の邪魔をやめる」

女「なるほど、悪くないかもしれませんね」

男「よし、恨みっこなしだぞ」

79: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:10:12.525 ID:Et2D6p++0.net
女「最初は」

男「ジャーンケン」

女「グ」

男「イ!」

女「……」

男「タイミング合わせろよ」

女「いやいや、なに言ってるんですか。最初はグーでしょ。最初は」

82: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:13:17.123 ID:Et2D6p++0.net
男「最初はグー」

女「ジャンケン」

「「ポン」」

83: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:14:10.226 ID:Et2D6p++0.net
女「……」

男「…………くそ」

女「私の勝ちですね」

男「……仕方ないな」

86: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:16:07.601 ID:Et2D6p++0.net
女「さて、どうしますかね」

男「非常に残念だ」

女「もう一度飛びこみ自殺をするか、それとも飛び降りるか、首を吊るか」

男「……最後にもう一度だけ言うが、本当に自殺するのか?」

女「しますよ。くどいですね」

男「そうか。なら仕方がない。約束だ」

87: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:18:08.933 ID:Et2D6p++0.net
男「じゃあな、短い付き合いだったな」

女「って、どこに行く気ですか」

男「別にお前の死に際まで見届ける義務はないからな」

女「つれないですね、最期までいてくださいよ」

男「遠慮するよ。……元気でな」

女「自殺するんですよ」

88: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:20:50.912 ID:Et2D6p++0.net
男「なんだか不思議な関係だったな」

女「そうですね」

男「お前が俺の車に飛びこむからいけないんだ」

女「まさか人殺しをしようとしてる人だとは思いませんでした」

男「そうだろうな。……じゃあ、お別れだ」

女「待ってください」

男「なんだよ、別れにくくなるだろーが」

女「どこに行くんですか」

男「どこって上司の家だよ」

女「おい」

男「あ」

89: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:22:27.985 ID:Et2D6p++0.net
女「危うく自殺させられるところでした」

男「いやいや、自殺しようとしてたんだろーが」

女「ジャンケンに勝っても負けても、あなたは目的を遂げられるじゃないですか」

男「いやー……」

女「私が死んだら、あなたを止める人がいなくなりますものね」

男「……ばれたか」

女「ずるい。実にずるい」

90: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:23:52.412 ID:Et2D6p++0.net
男「……自殺しないの?」

女「はい。あなたに人殺しはさせません」

男「やれやれ」

女「こっちがやれやれです」

91: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:25:39.201 ID:Et2D6p++0.net
男「ジャンケンに俺が勝つのがベストだったんだがな」

女「そうでしょうね」

男「君に自殺してほしくないのは本当だからね」

女「自殺できなくなりました。どうしてくれるんですか」

男「でも、殺すよ。上司は必ず」

女「死んでも止めます」

92: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:26:50.527 ID:Et2D6p++0.net
女「待ってください」

男「待たないって言ってるだろ」

女「拳銃を捨ててください」

男「家までもう少しなんだ」

女「仕方ないですね……」

93: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:28:15.039 ID:Et2D6p++0.net
女「キャアアアアアアアアアアアア!」

男「!?」

女「この人○○です!!」

男「おいバカ、やめろ」

女「拳銃持ってます!!」

男「そんな○○いるかよ」

94: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:29:52.118 ID:Et2D6p++0.net
男「やばい、人がこっちを見てる」

女「どんな手を使っても止めます」

男「くそ!」ダッシュ

女「待てえ!」ダッシュ

男「○○犯を全力ダッシュで追いかける被害者がいるかよ」

98: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:33:53.120 ID:Et2D6p++0.net
女「はあ、はあ……」

男「はあ、お前……走るとはやいな……」

女「陸上部でしたからね」

男「なるほど、元帰宅部の無職が敵わないわけだ」

99: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:35:31.771 ID:Et2D6p++0.net
男「だが、なにはともあれ」

女「……もしかしてここが?」

男「着いた。上司の家だ」

100: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:37:08.540 ID:Et2D6p++0.net
女「待ってください、駄目です」

男「今更待てるか」

女「死んだら地獄に堕ちますよ!」

男「自殺した奴も地獄に堕ちるって聞いたことあるぞ」

女「えっ、そ、そうなんですか?」

男「いや知らねえけどよ。死神にでも訊いてみな」

101: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:40:02.650 ID:Et2D6p++0.net
男「いいか、邪魔するなよ」

女「邪魔しますよ」

ピンポーン

上司「はい」

ガチャッ

男「どうもお久しぶりです」

102: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:42:12.218 ID:Et2D6p++0.net
上司「男くんじゃないか……」

男「少しお話をしたいのですが」

上司「……中へ入ってくれ」

男「どうもお邪魔します」

女「お邪魔します」

男「おい、お前このやろ」ヒソヒソ

女「邪魔するって言ったじゃないですか」ヒソヒソ

103: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:43:39.168 ID:Et2D6p++0.net
上司「おや、そちらは……?」

女「えーっと」

男「あー、彼女です」

上司「な、なるほど」

女「何言ってるんですかあ!」ヒソヒソ

男「上手く説明できないだろ」ヒソヒソ

105: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:46:35.033 ID:Et2D6p++0.net
上司「それでなんの用かな?」

女「明らかに警戒してますね」ボソッ

男「そうですね、なんで僕に責任を押し付けたんですか?」

上司「……」

女「おお、ストレート」

106: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:50:07.656 ID:Et2D6p++0.net
上司「仕方が、なかったんだ」

男「仕方がないとは?」

上司「私が今、会社を離れるわけにはいかない」

男「だから僕が身代りになったと?」

上司「わかってくれ……君にはすまないと思っている」

男「……そういうの、いいですよ」

上司「……」

男「僕のこと、前から嫌っていましたよね。もしかしたら仕事のミスも僕に押し付けるためにわざと?」

上司「……言いがかりはやめてくれ」

男「チッ、なにが言いがかりだ」サッ

女「上司さん! この人拳銃持ってますよー!」

上司「!?」

男「死ね」

バキューン

108: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:52:40.676 ID:Et2D6p++0.net
上司「ひいっ」

女「おお、ギリギリ」

男「避けたか。余計なこと言いやがって」

上司「やめろ。殺す気か」

男「そうだよ」

女「危ない!」バッ

バキューン

111: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:55:31.374 ID:Et2D6p++0.net
上司「ひいい……」

女「間一髪!」

男「このバカ! お前にあたるところだっただろ!」

女「ふふふ、怖くないですよ。こっちは自殺志願者ですからね」

男「……厄介だな」

114: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:58:01.791 ID:Et2D6p++0.net
女「なんなら私を殺してもらってもいいんですよ」

男「うるせえ、お前は死ぬな」

女「たった今、人を殺そうとしているあなたが言っても説得力にかけますね」

男「もう邪魔をしないでくれ」

女「人殺しは絶対にしないでください」

男「余計なお世話だ」

女「好きなんですよ。余計なお世話が」

115: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 01:59:53.176 ID:Et2D6p++0.net
男「……って上司は!?」

女「逃げましたよ」

男「くそ、裏口とかあるのかよ!」

女「私の勝ちですね」

男「勝ちも負けもねえだろ、くそ」

118: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:02:08.810 ID:Et2D6p++0.net
女「とりあえずここから逃げましょう」

男「どこに行けばいいんだ……」

女「少し私に付き合ってください」

男「……」

119: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:04:04.538 ID:Et2D6p++0.net
男「どこに向かっているんだ」

女「△△高校です」

男「……なんだと」

女「私が通っている高校です」

男「まさか」

女「はい、一昨年あなたの妹が通っていた高校です」

121: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:06:09.605 ID:Et2D6p++0.net
女「高校一年生の時、私はあなたの妹と同じクラスでした」

男「なにがなんだか……お前、妹を知ってたのか」

女「はい、唯一の友達でした」

男「そんな……」

女「私たちはいじめられていました」

124: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:09:31.132 ID:Et2D6p++0.net
女「最初は私がいじめられていたんです」

男「……」

女「しかし私をいじめていたグループのリーダー格が、いじめに耐えていた私を面白く思わず、次の手段に出たんです」

男「まさか」

女「私の友達、あなたの妹をいじめ始めました」

126: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:11:29.453 ID:Et2D6p++0.net
女「本人よりも身近な人を攻撃したほうがダメージを受けるとわかっていたんでしょうね」

男「結果として妹は自殺をしてしまったというわけか」

女「はい。巻き込んだ私の責任です」

男「そんな」

女「だからあなたに轢かれて死のうと思ったんです」

129: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:14:34.018 ID:Et2D6p++0.net
男「そんな、偶然じゃ……」

女「いじめていたやつらも、さすがに妹さんが死んでおとなしくなったのですが」

男「……」

女「二年も経つと死んだ妹さんのことなんか忘れて、またいじめが始まりました」

男「……」

女「私だけが生きていることが嫌になって、色々と限界がきた私は、自殺をしようと思いました」

131: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:17:26.844 ID:Et2D6p++0.net
女「妹さんのことを思いだして、家まで行くと、あなたがいました」

男「家も知っていたのか」

女「はい、覚えていないでしょうが、前にもあなたをちらっと見たことがあります」

男「そうだったか……」

女「車を発進させるところだったようなので、好都合だと思い、道の陰で待ってました」

男「そして、飛び出した」

132: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:22:49.377 ID:Et2D6p++0.net
男「どうして俺の車に轢かれようと思ったんだ?」

女「簡単に言うと、実はなかなか死ぬ勇気がなかったんです」

男「……じゃあ自殺なんてしなきゃいいのに」

女「でも、妹さんの兄のあなたの車になら、飛びこめる気がしたんです」

男「わけがわからないな」

女「ですよね。妹さんに、殺したお詫びに殺されたかったんだと思います」

133: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:24:39.168 ID:Et2D6p++0.net
男「だが俺は、抜群の反射速度でブレーキを踏み、自殺を回避させた」

女「はい。ですが、少しホッとしたんです」

男「なんで?」

女「自殺はしたいんですが、やっぱり死ぬのは怖いですから」

男「なんか、中途半端だな……」

女「そうなんですよ」

134: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:26:20.588 ID:Et2D6p++0.net
女「だけど、ただ一つの誤算が」

男「うん」

女「あなたが人を殺そうとしていたこと」

男「言わなきゃよかったな」

女「妹さんのお兄さんにそんなことはさせません」

136: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:28:51.128 ID:Et2D6p++0.net
女「つきました。ここです」

男「ここが、妹が通っていた高校」

女「そうです」

男「先生はいじめの対応はしなかったのか?」

女「そのいじめのリーダー格の父親が偉い人らしくて」

男「ああ、よくある話だな」

女「よくある話です」

男「俺が大嫌いなパターンだ」

137: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:30:23.511 ID:Et2D6p++0.net
男「それでいじめはもみ消されるわけか」

女「はい。そいつはいつもパパパパ言っています」

男「ふっ、ファザコンか」

女「そういうレベルですよ本当に。パパが大好きなんです」

138: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:31:56.784 ID:Et2D6p++0.net
男「それでここに来てどうするんだ?」

女「そのいじめのリーダー格に会おうと思います」

男「今日学校は休みじゃないのか?」

女「部活動があるはずです」

男「何部なんだ?」

女「サッカー部」

男「ああ、サッカー部は大体モテるから嫌いだったな」

139: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:33:34.832 ID:Et2D6p++0.net
男「それで会ってどうする」

女「復讐、しようと思います」

男「ほう、その気になったか」

女「はい。勝ちにいこうと思います」

140: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:35:28.035 ID:Et2D6p++0.net
男「グラウンドのこの感じ、懐かしいな」

女「あ、ちょうど部活が終わったみたいです」

男「ほんとだ」

女「ちょっと呼んできます」

141: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:39:00.374 ID:Et2D6p++0.net
いじめっ子「ああ、なんのようだ、てめえ」

女「まあ、そう怒らないでください」

男「拳銃で俺が撃ってやろうか」

女「いえ、大丈夫です」

いじめっ子「おいこら、なにをする気だ」

女「復讐です」

いじめっ子「復讐だと? それにこの男は誰だ。拳銃がどうとか言っていたな」

男「ああ、拳銃はこれだ」

いじめっ子「!? そんなもん向けたらパパが黙ってないぞ」

男「構わない。これは人を黙らせるものだ」

142: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:40:28.000 ID:Et2D6p++0.net
いじめっ子「部活が終わったからもうすぐパパがくる。そしたらお前らなんか」

男「パパパパうるせえな。パパパパ星人かよ」

女「なんですかそれ」

いじめっ子「あ、パパだ。はやいな」

143: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:43:33.344 ID:Et2D6p++0.net
男「パパの登場か」

いじめっ子「パパ! 聞いてよ、こいつらが」

上司「それどころじゃない。家には帰れなくなった。いいから早くっ……う!?」

女「!? こいつのパパって……」

上司「お、お前たちは……」

いじめっ子「……?」

男「さっきぶりですね、パパ」

145: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:45:25.862 ID:Et2D6p++0.net
いじめっ子「え? え!?」

上司「おい、逃げるぞ」

男「今度こそ逃がすか」

女「ちょっと拳銃貸してください」

男「おい、なんだやめろ」

女「えいっ!」

バキューン

146: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:47:39.592 ID:Et2D6p++0.net
上司「がはっ、ぐ……」バタッ

いじめっ子「パパーーーー!」

男「お前……」

女「えへへ、復讐横取りしちゃいました」

男「なんで撃った」

女「復讐です。いじめっ子への。本人よりも身近な人間を攻撃したほうが効果ありますからね」

148: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:49:50.040 ID:Et2D6p++0.net
女「ふー、いいもんですね復讐も」

男「…………だろ? 自殺の何倍もいい」

女「だけどこれで地獄行きかな」

男「一人では行かせないさ」バッ

女「えっ、ちょっと」

男「拳銃返してもらうぞ」

いじめっ子「!? や、やめろ」

バキューン

149: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:51:41.878 ID:Et2D6p++0.net
いじめっ子「……ぐふ」バタッ

男「俺も復讐したかったからな」

女「結局いじめっ子も死にましたか……」

男「一応、こいつは妹の仇でもあるからな」

150: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:52:51.049 ID:Et2D6p++0.net
女「結局、あなたの考え通りになりましたね」

男「ん?」

女「あなたは人を殺して、私は自殺をしない」

男「ああ、お前も人殺しになったけどな」

女「二人で仲良く地獄に堕ちましょう」

152: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 02:55:41.618 ID:Et2D6p++0.net
男「さてと、逃げるか」

女「警察もくるでしょうしね」

男「逃亡だ」

女「捕まりませんかね」

男「大丈夫だ、逃亡犯なんかたくさんいるからな」

女「この年齢の男女二人ってのは珍しいんじゃないですか?」

男「どうかな、案外いるかもよ」

154: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/05/09(土) 03:01:16.835 ID:Et2D6p++0.net
女「そういえば、いじめっ子のパパは偉い人だって言ってましたけど、上司さんだったんですね」

男「ああ。まあ一応、そこそこでかい会社だからな」

女「そうだったんですか」

男「歩こう。ここからなら車を置いた場所に近い」

女「これから轢いてもらっても構いませんよ」

男「バカ野郎、死にてえのか」

女「いいえ、生きます」

男「それがいい」

女「生きてたら、どうにでもなりますから」

おわり