男「見てるよな」イケメン「もちろん」じぃー 前編

271: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:22:32 ID:UlWCL1Nk
女子の部屋

イケ友「なあなあ男ちゃん! トランプしようぜトランプ!」

男「良いよ。じゃあ俺が切ってから皆に配るから…」

ぐいっ

男「……」

同級生「……」グイグイ

男「あの、同級生くんっ?」

同級生「……なにさ……」ボソリ

男「手を離してもらわないとカードを切れないって言うか…」

同級生「……」ぎゅっ

男「あー…うん、えっとイケ友? ごめん、俺の代わりに切ってくれないかな…?」

イケ友「お、おう」

男「ありがと」

同級生「……」

男「あのさ、同級生くん…そろそろ落ち着いてきた…?」ボソリ

引用元: 男「見てるよな」イケメン「もちろん」じぃー 




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272: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:23:51 ID:UlWCL1Nk
同級生「……り…り…」

男「えっ? な、何?」

同級生「……無理無理無理だから、絶対に離せるワケないだろ、離したら話すぞ、滅茶苦茶暴言言っちゃうんだからな……っ」

男(顔が超必死…)

同級生「…っ…っ…」

男「その、俺としても無理をさせてまで居させるつもり無いからねっ?」

同級生「……」チラ

男「駄目そうなら駄目で良いんだってば…」

同級生「…君が、言ったんじゃあないか。来た方がいいと、居た方が良いと」

男「えっ?」

同級生「なら居なくちゃ駄目じゃないか、逃げちゃ、なにも……変われない、だろ」

男「同級生くん…」

同級生「信じ、たいと思ってる…君が僕に言ってくれたことを…こんな僕を真面目に理解して、言ってくれたことを…」ブルブル

同級生「───なら、最後まで頑張らせてくれ…っ」ギュッ

男「……」

273: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:24:51 ID:UlWCL1Nk
男「うん、わかった」ニコ

同級生「……あ、ありがとぅ…ござい、ます…」

男「取りあえず、敬語は取りあえずやめようよ…」

同級生「…はい…」ブルブル

男(駄目だ、俺の声が聞こえてない。必死に耐えてるんだ、この状況を…)


~~~


女「凄いわね…」ハァ

女(人の雰囲気ってああまで変わるモンなのね…びっくり…)


イケメン「」ずもももももももも


女「アンタもアンタで悪人顔過ぎるわよ、ちょっとは気をつかえっての」

イケメン「あ、おおっ、うっ、…少し呼吸が止まってた気がする…」

女「んで? この状況は至ってアンタの望んだとおりの結果になってるのかしら?」

イケメン「………」

274: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:26:49 ID:UlWCL1Nk
女「まぁ顔見てりゃ分かるケド、くっく、どーしたのかしら? もしかしてもしかして~? あたしの言った方の結果だったのかしらっ?」

イケメン「……正直に言う」

イケメン「予想以上だった。彼がここまで男君に……これっぽっちも思ってなかった、と言える」

女「あっそ。なら、どーするわけ?」

イケメン「……」

女「ま、別に悪いコトじゃないしね。否定はしたけど皆仲良くわいわいってのも、悪い話じゃないし」

女「あんたがどんな結果を望んでいたのかは知らないけど、とにかく、後であたしの班の連中も来るし…」

がし

女「? なによ、離しなさいってば」

イケメン「待ってくれ」

女「何を?」

イケメン「…やばいんだ」

女「…何が?」


ぶるぶるぶるぶる

275: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:28:02 ID:UlWCL1Nk
イケメン「───身体の、震えが、止まらない」

女「はっ?」

イケメン「どう、しよう。まずい、この感じはもの凄くまずい、アレだよ! 女!」

女「な、なによっ? なにがどうしたってっ?」

イケメン「昨日の不安が、ぶりかえしてきてる…! やばい、これは予感だが絶対に当たる予感だ…!」

イケメン「なにもかも───なにもかも、だ。やることなすこと全て空回りして、失敗する流れだ、わかるんだよ女、この雰囲気が…っ」ガクガク

女「一体何を言ってんのアンタ…? 大丈夫…?」

イケメン「あ…ああ、大丈夫だと思う、オレはちゃんと相談して、彼に納得してもらって、慰めてもらって、ディズニーランドでちゃんと…」

女「よ、よくわかんないけど、気になってるんだったら話しかけてきたら良いじゃない…」

イケメン「……」

女「この前の馬鹿みたいな相談事だったら、目つき悪男に言えばすむ話でしょ?」

イケメン「そう、思うけどな。だけど…いや…悩んでいたって仕方ない、よな」

イケメン「ちょっと彼と話してくる。ああ、これできっと平気なはずだ…」


ふらふら…

276: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:29:56 ID:UlWCL1Nk
女(急にどうしたっていうのよ、あいつ)

女(…修学旅行から変に、目つき悪男のこと気にし過ぎよね。以前まではわりかし自然体で居たと思ってたのに)

不良「どうした?」

女「はい? ああ、アンタか。別になんでもないわよ」フリフリ

不良「そうか。イケメンの奴がどうかしたのかと思ったが。俺の気にし過ぎか」

女「! …アンタもそう思う?」

不良「ん、まあな」

女(こんな知り合って間もない奴に言われるほどか…)

~~~

イケ友「ん~~~? んんっ! これっしょ!」ぱしっ

男「残念だったね、それババ」

イケ友「どぅあああああっ!!?? マジかよくっそぉおおお!!」ごろろー

男「あはは、じゃあ次は同級生君のを俺が───」

同級生「……」スッ

男「同級生くん!? 自分の手札を俺に見せちゃ駄目だよ!?」

277: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:32:46 ID:UlWCL1Nk
同級生「だ、だって見せなきゃ君が勝てないじゃないか…」

男「そんなに勝ちに拘ってないから! 駄目だってば…っ…ちゃんとババ抜きをしようよ…!」

同級生「ううっ…駄目な僕で申し訳ない…っ」うっうっ

男「どうして泣くのさ…泣かないで頑張ろうよ、さっきは順調にトランプ出来てたじゃん。急にどうしたっていうの…?」

同級生「…こういうのは、悪いんだな」

男「えっ?」

同級生「君が楽しそうに、コイツとババ抜きをしていたのを見てたら…」

同級生「…ぼ、僕もだな…楽しませて、あげたらなって、思ったんだよ…」

男「…あ…」

男(まさかアレは、手札を俺に見せたのは───)

男(同級生くんの、ギャグ、だったのか…? そんなの全然わからないよ! めっちゃ真顔だったのに!)

同級生「……」ズーン

男(落ち込んでる! すっごい落ち込んじゃってる! やばいやばい、ちゃんとフォローをしないと…っ)


イケメン「な、なあ男くーん…?」

278: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:37:04 ID:UlWCL1Nk
男「っ…ちょっとお前は黙ってて!」バッ

イケメン「え」

男「むむむ」

イケメン「いやっ! その、ねっ? ちょっと君と話しておきたいことがあるっていうか、」ソワソワ

男「…後にしろって」

イケメン「後じゃ駄目なんだ…! 今、今じゃないとオレは…!」

男「だぁーうるさい! 今は同級生くんのことを考えてんだよ! 黙ってろ!」カッ


イケメン「」

同級生「!」ぱぁぁぁあ


男「あ…ご、ごめん…急に大きな声を出して…びっくりしたよね…?」

同級生「いや、フフッ、良いんだよ、別に、フフフッ」

男(何故に嬉しそう?)

同級生「…そうか、コレが想われるって奴か…なるほどなるほど…」ほくほく

イケメン「」

279: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:47:16 ID:UlWCL1Nk
イケメン「っ!!」カッ

イケメン「──溺れるな…この感情は既にオレは克服している…ッ!」ぎゅっ


女(あ。持ち直した)ポリポリ

不良(持ち直したな)ぼりぼり


イケメン「男くん」きりっ

男「な、何だよさっきから。どうしたイケメン、もしかしてお前もトランプやりたいの…?」

イケメン「勿論やりたいよ。けどね、その前にちゃんと君に言っておかなくちゃいけないことがあるんだ」

男「言っておかなくちゃ、いけないこと? なんだそれ?」

イケメン「……」チラ

同級生「っ!」びくっ

イケメン「彼と仲直りできたんだね」

男「え、お、おう? まぁその通りだけど…」

イケメン「そっか。それは良かったよ、君が彼を心配していたことをオレは知っていたからね───」

イケメン「───君の望みが叶えられたようで、オレとしても凄く嬉しいよ。やっぱり君は凄いやつだ、友達でよかったよ」ニコ

280: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 21:52:27 ID:UlWCL1Nk
男「………」

イケメン「うんうん」ニコニコ


女(褒めて入り込もうとしてるわけか…)

不良(良い手だ、しかしどうなるか…)


男「いや、待って」

男「なんで俺が同級生くんと仲が悪くなってるって知ってんの?」

イケメン「え?」

男「俺は確かお前には、居なくなった同級生くんを探しに行くって言っただけだよな」

イケメン「あ…」

男「じゃあどうして『仲直りできた』と分かった風に言えたんだ────」ハッ

イケメン「……」だらだらだらだら

男「お前…」

イケメン「ち、違うんだ、その想像はそう! 君の勘違いなんだ…っ」

男「……………………」じぃー

281: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:01:28 ID:UlWCL1Nk
イケメン「う、うん…っ…決してオレが影で何かをしてたとか…そういうことはね、全くね…無いっていうか…」ソロー

男「イケ友」

イケ友「あいよー?」

男「イケ友なら、知ってて知らないふりをして、本当にダメだった時に言ってくれる奴だと俺は思ってる」

イケ友「ん」コク

男「そこで訊きたいんだ。これ、イケメンのやつ許していいか?」

イケ友「なははー! ちょい難しい質問よなぁ、おれっちメンドイの嫌いだし。正直喧嘩になるなら、放っておきたい感じっすな」

男「うん。それで?」

イケ友「男ちゃん」


イケ友「男ちゃんが許せねーって言うんだったら、おれっちも味方だ。ぶっちゃけやり過ぎだぜ、イケメン」


イケメン「……うっ…」

同級生「…っ…? な、なんで不穏な空気になってるんだ…?」わたわた

男「同級生くんは良いんだよ、気にしないで。全部悪いのはコイツだから、全くもってね」

イケメン「………」シュン

282: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:05:30 ID:UlWCL1Nk
イケメン「…男くん…っ」

男「…俺は本気で仲良くしようって思ってた」ボソリ

男「それが全部さ、お前が考えた通りのストーリーって奴なら嫌な気分になる」


男「怒るぞ、イケメン」


イケメン「────」


ゾクゾクゾクゾクッ


イケメン「───……ごめん、なさい」


~~~


女「はい、おかえり」

不良「おかえり」


イケメン「」チーン

283: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:12:00 ID:UlWCL1Nk
女「こっぴどく叱られたわねぇ、見てて悲惨だったわよ」

不良「だな」

イケメン「へへ…もうダメだぁ…オレは誰にも見てもらえねえやつだぁ…」

女「いい気味ね。少し調子に乗りすぎたって、謝れば許してもらえたかもしれないのに」

イケメン「……」

女「わざわざ争いごとになる切っ掛けを、アンタが作るから悪いんじゃない。同じ班に無理やりさせて、ばっかみたい」

イケメン「…それが、正しいと思えたからだ」

女「友達として? 違うわよ、そんなのまったく友達なんかじゃない」


女「同じ立場で考えて、同じ歩幅で、同じ道を一緒に歩いて行くのが友達ってヤツよ」


イケメン「……」

女「勝手に先に歩いてって、道を作ってあげちゃってる奴が友達? 寝言は寝て言いなさい、変態」

イケメン「…何が悪かったんだ、いつも通りやったつもりだった、彼の為を思ってやったんだ…」

イケメン「彼の望む青春のために、これまで幾つものことをやってのけた。確かにバレてしまっては怒られると思ってたが…」

イケメン「…どうしてだろう、どうしてオレはここまで…」

284: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:18:40 ID:UlWCL1Nk
不良「……」

不良「悪いと思うのは罪悪感があるからだろう」

イケメン「え?」

不良「俺を班に入れた切っ掛けもまた、男の為だったとお前は言ったな」

不良「悪いことじゃない。だから俺を誘ったのだろうし、その時もまた罪悪感がなかったに違いない」

不良「ここまでやり切れるお前のことだ。これまでも数多くの事をやってのけたのだと思う、だがなイケメン」

イケメン「…うん」

不良「今は辛いんだろう。だからボロが出た、お前の考えに罅が入った」

不良「怒られても良い。アイツのためだったからと、支えていた考えは今では通用しない。今のお前の中では、だ」

イケメン「…どうして?」


不良「言っただろ、女が。今のお前は、男と同じ立場で居たいと思ってるはずだ」


イケメン「…同じ立場…」

不良「相手の幸せばかり考えるな。自分の幸せも考えろ、じゃないと一方的な押し付けは…友達じゃない、嫌われる要因だ」

女(…滅茶苦茶語られてる…不良に諭さられてるわよコイツ…)

285: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:23:54 ID:UlWCL1Nk
イケメン「それは、違うよ不良くん。彼と一緒にいられるだけで、オレは幸せなんだよ…」ギュッ

イケメン「だったら! オレとしては頑張らくちゃいけないじゃないか…!」

不良「…それは、」


不良「友達か?」


イケメン「…ッ…」

不良「思い出があるなら、」

イケメン「…っ…?」

不良「お前が頑張るための思い出があるのなら、それを思い出せ」

イケメン「どういう…」

不良「少し、間違っただけだ。まだ間に合う、お前は【まだ】間に合うはずだ」

イケメン「…………」

不良「もう一度言う。思い出せ、お前はどうしてアイツと一緒にいたいと願ったんだ?」

イケメン「オレは…」

ぎゅっ

286: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:27:48 ID:UlWCL1Nk
イケメン「…何時かちゃんと珈琲を…一緒に笑いながら…飲みたいと…」

女「……」

イケメン「そんな、そんな友達となって、彼と同じ空間で…っ」

不良「……」



イケメン「───ただ、一緒に居たいだけなんだっ」



不良「ん」コク

女「ま、ちゃんと納得できたんなら謝んなさい。色々とごちゃごちゃするぐらいなら、正直にぶっちゃけたほうが楽よ変態」

イケメン「…ああ、そうだな」


ガチャ


女友「たっだいまー!」

金髪「あー疲れた…」

マネ「よっしゃあああああ! いっぱい靴がある! キテるだろー? きてるだろぉおおおお」

287: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:33:07 ID:UlWCL1Nk
女「やっと帰ってきたバカたち…一体何処まで買い物に行ってたのよ!」

女友「いやねー参っちゃうよ、ほんっと。迷子になるとはこれっぽっちも思ってなくてさぁ~」

金髪「マネが悪い」

マネ「えぇ~ウチですのぉ? 金髪ちゃんだって女友だって、ウチの言うこと信じたじゃない!」プンスカ


ガサリ


イケメン「…それは?」

女友「ああ、これ? 皆におみやげだよー、おわぁー!? イケメンくぅんがいるぅーーー!!」

金髪「今頃かよ…」

マネ「イケメン君何か欲しいのある? いっぱいあるよ。お菓子とかージュースとかーあとあとはぁ~」ゴソゴソ

イケメン「あ…」

イケメン「そ、それが欲しい!」

マネ「およ?」

イケメン「す、すまないが、それをもらってもいいかなっ?」

マネ「これっすか? これは確か珈琲…」

288: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:38:38 ID:UlWCL1Nk
イケメン「あ、ありがとう!」ぱしっ

マネ「あっ」

イケメン(後は彼に──)


イケメン「男くん!」


男「……」ツーン

イケメン「ご、ごめん本当に……君を利用したような風に思われても仕方ないと思う…でも、信じて欲しい、オレはちゃんと…っ」

イケメン「君と…友達で居たいんだ。その気持は嘘じゃない、本気でそう願ってるんだ…!」

男「……」

イケメン「オレはね、男くん」


イケメン「あの日飲めなかった珈琲を、君と一緒に飲みたいだけなんだっ!」


男「…珈琲?」

イケメン「い、今から全部語っても多分語りきれない…でもわかってほしい、たったそれだけの想いだけで…こんな無茶をしてしまった…」

男「……」

289: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:42:30 ID:UlWCL1Nk
イケメン「だから、ただ一つだけ言いたい」

イケメン「ごめん。仲直りしたい、許して……欲しい、この通りだ」


ぺこり


イケメン「…この珈琲を受け取ってくれ…」ギュッ







ぱし




男「……」

イケメン「おと、男くんっ!?」バッ

男「…飲めばちゃんと反省するんだろうな」

イケメン「す、するする! ちゃんとする!」

290: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:45:59 ID:UlWCL1Nk
男「反省だけじゃないぞ。同級生くんにも謝るんだ、あと周りを巻き込んだことを謝ること」

イケメン「やります! 絶対に謝ります!」


女友「どういう状況なの…?」

女「馬鹿やってんのよ、男ってそーいうもんでしょ」

金髪(女が言えるセリフじゃないよな…)

マネ「ん~~…良いのかなぁ…?」


男「そうか。じゃあ、…まぁ、許してやらんでもない、かな」カシュッ

イケメン「ありがとう…ありがとう…!」

男「最初からみんなで仲良くしたいから、手伝ってくれって言えば良かっただろ。ソレぐらいで済む話だったじゃんか」

ゴクゴクゴク

男「ぷはぁ、違うか?」

イケメン「その通りです!」

男「うん。だからさ、変に俺に対して隠し事するのはやめろ」ゴクゴク

ぷはぁ

291: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:50:07 ID:UlWCL1Nk
イケメン「すみませんでした…っ」

男「……」ゴクゴク

同級生「ん、これって、この銘柄どっかで…」

イケ友「あり? ちょい待ち男ちゃん、それ…」

男「ぷはぁーっ!」


男「ひっく」


男「…お前が秘密主義で、誰に対しても本音を言わないは知ってるよ」ボソリ

イケメン「…ごめんね」

男「でもさ、俺は違うって言ったじゃん。俺はちゃん見てやるって、言ってやるって、突っ込んでやるってさ!」

イケメン「……?」

男「俺は…俺は…悲しかったんだよ、悔しかったんだよ、俺はやってやるって言ってんのに…どぉしてお前が…っ」

男「ふぇぇ…」

イケメン「男くん…?」

男「俺ぇ…ちゃんとイケメンのこと見てたのにさぁ…なんでだよぉ…どうして信じてくれないの…?」ひっくひっく

292: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:55:27 ID:UlWCL1Nk
マネ「あちゃー、やっぱこうなるのか…」

女「え? なに? どうなってんのこれ?」

マネ「あれ、珈琲だけど一応アルコール入ってんだ。ちっとばかしだけど」テヘペロ

女「なにやってんのアンタ!?」

マネ「止めたよ~? でもイケメン君が持ってっちゃうからぁ…」

女「そもそも買ってくんな!!」


男「うっ…うっうっ…」ぽろぽろ

イケメン「男君、そんなことを思ってたなんて、本当にすまない。オレはちゃんとこれから…」

イケメン「ちゃんと! 君と一緒の歩幅で歩いて行くって決めた! もう同じアパートでも住もうか!」

男「───………」


男「ほんとっ?」でれぇ

イケメン「え、うん! あれ、突っ込みが来ると思ってた…」

男「じゃあじゃあ、俺がご飯作るから、お前がお風呂とか洗って、もちろんトイレもだぞっ?」ニコニコ

293: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/21(月) 22:57:56 ID:UlWCL1Nk
イケメン「…もしかして、酔ってる?」

男「んー? わかんにゃい!」


【デレデレタイム、続きます。】


第二十六話『お酒は二十歳を過ぎてからというツッコミは野暮』

295: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/30(水) 21:03:59 ID:ZjJo4zxg
イケメン「──……」

男「にへへ」

イケメン「お、男くん大丈夫なのかいっ?」

男「なんだよ、大丈夫に決まってるだろ? 馬鹿なこと言うなーイケメンはなー」ニッコニコ

イケメン(見たこともない満面な笑みで返された…)

イケメン「と、取り敢えずだ!」

イケメン「…取り敢えずどうしたらいい?」

女「あ、あたしに聞かないでよ!? 飲ませたアンタが悪いんじゃない!」

イケメン「そ、そう言ったってオレにだってどうしようも…!」


イケ友「まずは水っしょ」

不良「だな」


イケメン「へ?」

イケ友「水飲ませてアルコールを胃の中で薄めるのが一番じゃね?」

不良「同級生が買いだめしていたやつがあるだろ。ソレを持ってくる」

296: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/30(水) 21:05:26 ID:ZjJo4zxg
イケメン「…なんだか偉く慣れてるな、酔っぱらいの対処に」

イケ友「なはは。そりゃ飲んで──いや、なんでもない! とにかく普段おとなしい奴が酔っ払うととんでもねーことしっちゃうこともあるし」

297: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/30(水) 21:09:59 ID:ZjJo4zxg
イケメン「…なんだか偉く慣れてるな、酔っぱらいの対処に」

イケ友「なはは。そりゃ飲んで──いや、なんでもない!」

不良「……。とにかく持ってくるぞ」スタスタ

女(普段から飲んでるわねコイツ等)

イケ友「とにかく普段おとなしい奴が酔っ払うととんでもねーことしっちゃうこともあるし、まずは落ち着かせようぜ」

イケメン「わ、わかった。イケ友の言葉に従おう…」


男「ふぁ~…身体がふわふわする…」


イケメン(大丈夫だろうか…)

女「アンタたちも何か飲み物買って来なさい。取り敢えず身体に良さそうな奴!」

女友「うぇ~あちしのせいじゃないのにぃ~」

金髪「…お前の金で出せよ、マネ」

マネ「えー!? なんでだよぉーー!!!」

女「ごちゃごちゃ抜かすんじゃない! 早く行って来なさいあんぽんたん共!」

イケ友「イケメンイケメン、ちょい良いか?」

298: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/30(水) 21:16:05 ID:ZjJo4zxg
イケメン「ど、どうした? オレで何かすることがあったら何でもするが…っ?」

イケ友「うむ。じゃあ男ちゃんが暴れないよう、ちょっち話しかけてくれね?」

イケメン「暴れるのか!?」

イケ友「さっきも言ったけど、大人しい奴が酔っ払っちまうと派手に騒ぐことが多いんよ。教師に見つかったらヤバイっしょ?」

イケメン「話しかけるだけで、良いのか?」

イケ友「モチのロン。イケメンなら余裕っしょ、そーいうの」ニッ

イケメン「…わかった、頑張ってみる」


スタスタ


イケメン「男くん…」

男「ふぁい?」とろぉん

イケメン「その、なんていうかな、そうだ! 修学旅行は楽しめてるかいっ?」

男「……」ぽやぁー

イケメン「高校生で最初で最後の修学旅行だ。できれば君にとって最高の旅行で有って欲しいとオレは思って───」

ぎゅっ

299: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/30(水) 21:23:52 ID:ZjJo4zxg
イケメン「うっひゃいっ?!」

男「…もちろんだって、イケメン」ギュッ

イケメン「ど、どどどぉっ、どうして、腕を掴んで、んっ!?」

男「俺、凄い楽しんでるよ。こんなにも楽しいって思えるの、初めてだって言いたいぐらい…びっくりするほど楽しいんだ…」

イケメン「あ、えっ、あ、うんっ!」

男「それも全て、お前のお陰、なんだろうなって」かぁぁ

イケメン「───……」

男「ありがとぉー…そう何度だって言いたい、お前にありがとうって…言いたいんだ俺は…」じぃー

イケメン「………」

イケメン「……っ……」カァァァ

イケメン「そ、そうなんだ……それは本当に良かった、というか…その、うん…っ」

男「イケメン…」

イケメン「はい!」

男「イケメンはちゃんと、楽しんでる? 俺みたいに、一緒にたのしいって言える?」

イケメン「も、もちろんだとも! 当たり前さ! 思いっきし楽しんでるよ!?」

300: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/30(水) 21:28:08 ID:ZjJo4zxg
男「……」じぃー

イケメン「っ…っ……っ…」ドキドキドキ

男「そっか」にへぇ


男「えへへ、そっかそっか! んふふ、そっか!」にぱー


イケメン「………」

イケメン「フンッッッ!!」バッ

男「あっ!」

イケメン「急に腕を放してゴメンよ、少しばかり急用を思い出したんだ。悪気はない、許してくれ!」ダダッ

男「……?」


ダダダダッ


イケメン「……」スッ

女「な、なによ此方に戻ってきて…目つき悪男は落ち着いたわけ…?」

イケメン「一つ言おう、オレのほうがやばかった」ダクダクダク

302: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 18:24:44 ID:/yJCpU.c
女「あんた…本当にどうしようもないわね…」

イケメン「し、仕方ないだろ!? 彼処まで彼が素直にッ、なってしまえばオレがどんだけ嬉しいと思う!?」ダバー

女「知るか変態! だぁーもう良いわよ! アンタじゃ任せらんないわ、あたしが行ってくる!」バッ


~~~


女「ちょっと目つき悪男」

男「ぁ…ぇ…?」

女「ちょ、ちょっとあんた本気で大丈夫なワケっ? 目が虚ろじゃないの…! とにかく座りなさいよ!」

男「う、うん、何だか身体がふわふわして…地に足がついてないような気分…」ストン

女(完全に酔ってるわね。どーせなら一発、頬にぶちかまして正気に戻したほうが早いんじゃないかしら)ストン


スッ


男「う…ん…」コテン

女「ひゃぁああーーーーー!!!???」ビックゥウゥゥゥ

男「あ…ごめん…ちょっとふらふらして…まだ寄りかかってても良いかな…」ぽやぁ

303: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 18:34:19 ID:/yJCpU.c
女「あっ、えっあっ!? う、うん…っ! 別にっ、イイケドッ?」

男「…ありがと、優しいね女さん」クスクス

女(何笑ってんのよ! というか距離が近い! んぐゅゅゆゆゆ~…ッ)

男「あの、さ。女さん」

女「殴っちゃダメ殴っちゃダメ──え、な、何よ?」

男「一つだけ言ってもいいかな、ちょっとしたことなんだけどね」

女「え、あ、うんっ?」

男「……」ニコ

女「…?」

男「髪、綺麗だねやっぱり」

女「へっ?」

男「以前から思ってたんだー…凄くサラサラしてて、なんだろう、陽の光で光ってる時もあって…」

男「ずっと、ずっとずっと、前から──言えたら良いなって、思ってた」

女「あっ…うっ…なに、よっ…それっ…」パクパクパク

男「だから、綺麗だなぁって。触ってみても良い?」

304: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 18:40:40 ID:/yJCpU.c
女「ばっっっ!!? さわっ、触るぅー!? んなこと許すわけないでしょあんぽんたん!」

男「あ…」ビクッ

女「…あ…」

男「そっか、ごめん…俺って変な事言ってたよな…」

女「そ、そうよ! まったく変態みたいなこと言って、あたしを辱めたいだけじゃ───」チラ


イケメン「……」じぃー

イケ友「……」じぃー


女(なによその目はぁ! 酔っ払い相手に容赦無いな、みたいな感じ!)

女「ぐっ…」

男「……」ションボリ

女(で、でも、確かにコイツが素直に何かしたいって、初めて聞いた気がしないでもない、けどっ)ぎゅっ

女「……じゃ、じゃあ、あれよ…っ」ボソボソ

男「え?」

女「ちょ…ちょっとだけ、なら別に…構わないっていうか、あたしも許せるっていうか…」プイッ

305: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 18:50:44 ID:/yJCpU.c
男「良いの? 触って、も?」

女「良いって言ってるじゃない! け、けどっ……ちょっとだけ、よ?」

男「うん! ありがとう!」

女「ばっ!? か、感謝なんて要らないわよ別にっ! いや! 違くて、そうよ! ありがたく思いなさい! ええ存分に!」

イケメン(滅茶苦茶だな言い分、聞こえないふりしとくけど)

男「じゃあお言葉に甘えて…」

女「ぁ…うっ…!」


スッ


男「………」さわさわ

女「あっ」ぴくん

男「……」ナデナデ

女「ひっ、あっ、んっ! んん~~~っ!」ギュウウウウ

男「……」きゅっ

女「ひぁああああ!? っ…っ…っ…ど、どうよ…? な、なんか分かったことでもあったのかしら…ッ?」ブルブルブル

306: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 20:41:57 ID:/yJCpU.c
女(──あ、しまった、こういう時ってコイツ馬鹿正直に答えるんじゃなかったっけ──)ハッ

女(きっととんでもないことを抜かし始めるわッ! その前に止めッ)

男「なんていうか、その」

男「好きだな、この感触。って思った」ニコ

女「──……」ぼっ

女「あ、あれっ? あたし、ちょっと何だろえっ!? なんで顔が真っ赤になるわけ!? そんな感想で!?」カァァァ

男「好きだよー…」ニヘラ

女「ばっ!! うぅうぅ~っ…!! 端的に言うんじゃにゃいッ…! 髪が、好きって言いなさいよ…ッ!」

男「髪も好きだよ?」

女「…も?」

男「だって、そんな女さんが好きだから」

女「……」ぽかーん

男「えへへ」

ぎゅぐぐぐぐぐッ

女(は、はは、わかって、る、わかってるのよ、髪だって、勘違いだって、でもッ!)ばっ

307: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 20:46:47 ID:/yJCpU.c
イケメン「ん? ちょ、待て! 女! 殴るんじゃな───」

女「あんぽんたぁーん! もう止められるわけ無いじゃ───」シュバアアアア


ガララ


不良「ただいま。さっき廊下に、喘ぎ声が響き渡ってたぞ。誰だやってるやつは」

女「たぁああああああああいッッッ!!」ブォン!

不良「ふむぐぅっ」ドスン ゴトリ…

女「はぁ…はぁ…な、なんとか行き先を修正したわ…っ」

イケメン「不良君! ふりょうくぅうううんんんん!!」

不良「」チーン


~~~


女「やばいわね…理由が付けられないヤバさがあったわ、これ」

イケメン「だろう。やすやすと近づけば、ものの見事に刈り取られるぞ。精神を」

イケ友「ちょちょちょ、男ちゃんに水のませよーぜっ?」

308: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 20:52:35 ID:/yJCpU.c
女「……。じゃあアンタが行って来なさいよ、アンタならきっと平気よ」

イケメン「あ、確かにな。イケ友ならすんなり飲ませられるんじゃないか、オレ等は不良くんの様態を見てるから」

イケ友「あのよ、ただ単に水飲ませるだけだぜ? 何をそこまで怯えてんだ…?」

女「るさいわねッ! いっちょ前に常識気取ってるんじゃないわよアホ!」

イケ友「お~…わからんけども、んじゃおれっちが行けばいいわけな」


すたすた


イケ友「男ちゃん男ちゃん」ツンツン

男「んー?」グビグビ

イケ友「おっとと、そりゃもう飲んじゃいけないぜ。コッチ飲みな、こっちのやつ」スッ

男「…なんで?」

イケ友「今はいいかも知れんけどな、そのうち気持ち悪くなるんよ。だったら水を飲んでたほうがいいっしょ?」

男「…やだ」

イケ友「おれっちもやだ」

男「…イケ友はそうやってすぐ、自分の意見を押し通す」むっすり

309: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 21:04:19 ID:/yJCpU.c
イケ友「そりゃおれっちが正しいことを言ってるからだ」

男「じゃあ、何時もイケ友は正しいのか?」

イケ友「少なくとも今はそーじゃんか。男ちゃん、ほれ大人しく見ず飲んどけって」

男「………」

イケ友「ん」スッ

男「………」

イケ友「よし、わかった。じゃあ無理やり飲ます」パキュ

男「んっ! むぐぐ、んん~~~ッ!!」ジタバタ

イケ友「ほれほれ~この筋肉ちゃんに敵うかな男ちゃんわ~無理だろうなぁ~おれっち強いもんなぁ~」ぐりぐりぐり

男「むぃいいぃいいっ」

イケ友「おらーーーー!!!」ジャボジャボジャボ

男「や!」


カン! バッシャー!


イケ友「あ、酒が!? ちょ、くそー…かかっちまった…」ポタポタ

311: ていせい 2015/12/31(木) 21:11:52 ID:/yJCpU.c
イケ友「髪がびっしょりだぜ…あ、男ちゃん無事だったか?」ポタポタ

男「……」じぃー

イケ友「お。良かったな、ほとんどおれっちにかかってたみたいで。うしうし」ぽたり

男「んっ」ぺと

イケ友「おっと、ほっぺたに付いちまったか。すぐ拭いてやるから待っててちょ」ゴソゴソ

男「イケともぉー…」

イケ友「おう?」


ペロ


男「えへへ」ニマー

イケ友「ちょ、男ちゃんそれおれっちの髪から…!」

男「ううん、気にしない、それに汚くないよ。それとやっぱりこっちのが美味しいね」ニコニコ

男「──ね、まだ飲み足りないから、イケ友も飲もうよ……、ね?」

イケ友「………………」ポタポタ

イケ友「…飲んでも良いか、別に…」ボソリ

312: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/12/31(木) 21:16:22 ID:/yJCpU.c
男「本当にっ?」

イケ友「え? あ、いやっ! な、なはは! 冗談っつの! じょーだん! 馬鹿言うんじゃねーってば!」

男「…飲まないの?」

イケ友「へっ?」

男「…飲みたくない、の?」

イケ友「………」ドキ


男「俺は飲みたいよ。イケ友と一緒に、さ」


イケ友「───………」メキッ ぶしゅうううう


~~~


イケ友「…マケタ…」ズーン

女「何に負けたのよあんたは…」

イケ友「なんかすげー惹かれちまった、とんでもないぐらいに一緒に飲みたいって思っちまったぁ~…このおれっちが…いともたやすくぅ…」

イケメン「なんか口説かれてるみたいになってたな、イケ友」

314: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/23(土) 02:00:35 ID:M1N8VwnA
女「そ、それでどーすんのよこの状況…」

イケメン「どうするかと聞かれてもな…」

イケ友「しくしく」

イケメン(別に心配するほど騒ぐ様子もないから、放っておいてもいい感じではある、が)

イケメン「なあ、思うんだが。このまま遠くから彼を見守るって作戦もアリなんじゃないか───」チラ



男「……」じぃー

同級生「……」じぃー



イケメン「あの二人はマズくないかっ!?」

女「へっ? あっ! わ、忘れてた! ぜんぜん気配させないからどっか行ってたのかと…!」

イケメン「よくわからないが…っ…とにかく一番危険性が高い組わせに感じる…っ」

女「あんたが止めてきなさいよ変態! あ、あたしは嫌だからね近づくの!?」ぐいぐい

イケメン「ええっ!? お、オレが…!?」

女「友達なんでしょ並び立ちたいんでしょ!? だったら責任持って立ち向かいなさいよー!」

315: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/23(土) 02:06:26 ID:M1N8VwnA
イケメン「お前だって友達とか何とか行ってたじゃないか…!」ぐいぐい

女「あ、あんたちょっ、コラッ!? なに急に弱気になってるワケ!? 何時もみたいにアホ面引っさげて突っ込んできなさいってば!!」


男「同級生くん」ストン

同級生「…な、なにさ」


イケ友「は、話しかけちゃったぜ!? どーするんよ!? 止めるんか、止めるんならおれっち飛び出すぜ!?」

イケメン「ぐぉぉ…っ」


男「えへへ」にぱー

同級生「き、君さ、気づいてないかもだけど…酔っ払ってるよね?」

男「へ? むふふ、酔っ払ってる?」

同級生「そう。酔ってるんだよ、それは…」

同級生「そのお酒を飲んだせいで、君は普段より笑うようになってるんだ」

男「……?」ポケー

同級生「…ほら」スッ

316: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/23(土) 02:13:51 ID:M1N8VwnA
ぴと

男「うひゃっ」ビク

同級生「冷たいだろ、僕の手。君の顔が真っ赤だから、真っ赤になるぐらい熱いから、冷たく感じるんだ」

男「…つめたい…」

同級生「うん。そう、冷たい」コクコク

男「…うん、確かにつめたいね…」コテン

同級生「別に、今の君が悪いなんて言わないよ。そうやって楽しそうにしている君を見てると、…一度信じようと思ってしまったから」

同級生「見ててこっちも楽しい気分になる。悪い気はしないさ、けどね」


同級生「──それを端から見て、なにもしないで側にいることは、僕には出来ないね」


男「どういうこと…?」

同級生「ん。そら立って、酔っていても真っ直ぐ立つぐらいは出来るだろう」ぐいっ

男「う、うん」

同級生「一体、何処まで買いに出かけたか分からないけれど──一度、どっかの馬鹿に買い出しに行かされたから、」

同級生「自販機が何処にあるかぐらいは知ってるさ。一緒に、買いに行こうか」

317: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/23(土) 02:20:04 ID:M1N8VwnA
男「………」ぼぉー

同級生「外は寒いから、ほら上から羽織るもの探そう」


すたすた


イケメン「…ぁ、…ちょっと待ってくれ!」

同級生「何?」

イケメン「えと、その、今の状態の彼を外に連れだすのは…っ」

同級生「そうだろうな、でもそれが何?」

イケメン「いや、だから」


同級生「──飲ませたのは、お前だろ」


イケメン「…っ」

同級生「原因は全てお前の責任だけ、僕には全く関係ないじゃあないか。例え教師に見つかっても、お前を理由に切り抜けるよ」

イケメン「し、しかし、それだと女の班にも迷惑がかかるし、それに…」

同級生「……。くだらない言い訳を聞かせるために僕を止めたわけ? ハッキリ言わせてもらうけど、お前邪魔だよ」

318: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/23(土) 02:27:24 ID:M1N8VwnA
イケメン「…邪魔、…?」

同級生「そお、邪魔」スッ



同級生「───【冗談】も休み休み言え、ボケ野郎」ボソ


イケメン「……っ……!」

同級生「さ、行こうか。自分たちの部屋に行けばマフラーぐらい見つかるだろ」

男「………」

同級生「ん、どうした?」

男「………」じぃー

同級生「?」チラ


イケメン「…」ギュッ


同級生「気にしないで良いって。さっき言った通り、コイツが全部悪いんだからな」

同級生「勝手に無理やり飲ませて、酔わせて、なのに一度困ったら放っておく」

319: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/23(土) 02:43:24 ID:M1N8VwnA
同級生「どーにも癇に障る。コイツの語る全てに身勝手な感情がプンプンと臭う」

同級生「…一々、周りを巻き込まなきゃ物事を解決できないのかね」チッ

イケメン「…だったら、君がしていることはどうなんだ」

同級生「…何?」

イケメン「君が、今からやろうとしてることは周りに迷惑をかける行為だ。他人を巻き込んでいるだろう」

同級生「ハッ! 今度は責任転嫁かい? やめてくれよ、僕がしているのは人助けだ。馬鹿騒ぎじゃない」

イケメン「オレも押し付けるつもりはない。ただ、君がやらなくても他がやる。やらなくてもいい無駄な行為じゃないか」

同級生「おいおい正当化だけはご立派に申し立ててくるじゃあないか。一つ言わせてもらうが、君って何様なの? この班の王様なの?」

イケメン「状況をしる一人として、原因の発端として、一番良い落とし所に持って行きたいだけだ」

同級生「それが傲慢だって言ってんだよこっちはァ…! わからなのかな、あぁわからないから言えるんだろうね、そう平然とさ!」

イケメン「ああ、それが良い答えだと思ってるからね。君がここから男君を連れだすことは、なによりも駄目なことだと素直に思えてる」

同級生「何が? 一番彼のことを心配しているのなら、一番手っ取り早い方法で解決するほうが何よりも先決じゃないか?」

イケメン「そうだね。一番彼を心配しているのは、と、身勝手に物事を捉えてる人間よりは『周りを見ている』つもりだよ」

同級生「へぇ、そうなんだね。凄いね、尊敬しちゃうよ。──だから彼に嫌われて、怒られるんだろうよ、君という人間は」

イケメン「……何?」ぴく

322: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 15:53:49 ID:oZ2HdMYc
同級生「ははっ! なんだい、君みたいな人畜無害を装ってる人間でも───ちゃんと人前でキレそうになるんだねェ」

同級生「みっともない。少しは、自分を鑑みることも出来ないのかなぁ?」

イケメン「…………」


イケメン「───【とりあえず】【こっちを】【向いてよ同級生君】」


男「……」ピク

同級生「…なんだよ」チラ

イケメン「ありがとう。それじゃあ、【今から君は】【オレと一緒に】…」


男「……」じぃー


イケメン「【この部屋から居な】……な、なんだい男くん?」

男「なにが?」

イケメン「えっ、いやっ、…そのオレのことを見てるから…」

男「………」

324: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 21:19:52 ID:6IrR4B3o
男「なんで、そんなこと言うんだろうなって」

イケメン「へっ?」

男「──どうして、二人で何処か行こうなんて言ったんだろうなって」

イケメン「っ……!」

イケメン(うそ、だ、凄い、一瞬でバレた。また【体質】を使おうと思ってたことを…)

イケメン(すぐに突っ込んできた…ああ…本当にキミは…でも…それでも…)


イケメン(オレは君の安全を優先に考える! ここはどうやってでも部屋から出さないようにする!)バッ


イケメン「ごめんね。とにかく同級生くんと二人で会話したいと思ってるんだ、だから」

男「やだ」ひしっ

イケメン「とりあえず──うぇいっ!?」

男「なんで、また俺を置いてどっか行こうとするんだよ。違うだろ、そんなの修学旅行じゃないだろ」

男「楽しく過ごすんだ。そうじゃなきゃ嫌だ、嫌だから離さない」ぎゅうう

325: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 21:27:43 ID:6IrR4B3o
イケメン(すっごい見つめられちゃってれる! わぁーどうしよう!)

同級生「あのさ、男君さ。君は酔っ払ってるから…」

男「…それが?」

同級生「どっちにしろこのままじゃいけないだろうから、とにかく…」

男「同級生くんも俺をほうっておくんだ」

同級生「ち、違う! そうじゃなくって、」

男「───俺はみんなで、ここに居る」

同級生「う…」

男「二人だけでどっか行こうとするんじゃない。行くなら行くで、俺も連れいてけ!」

イケメン「う、うーん…?」

男「なんで悩むんだ!? うっ…や、やっぱり俺がいたら邪魔なのか…っ?」

イケメン「ち、違うよっ? そうじゃなくってだねっ?」

男「そっか、だったら連れてって?」にぱっ

イケメン「んーーーッ?」

326: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 21:33:16 ID:6IrR4B3o
イケメン「だ、だからねっ? 男君…!」

同級生「僕が言いたいのはそうじゃなく…!」

男「なんだよなんだよ二人して…っ」ぷくー


女「…はぁ、なんだか面倒くさくなっちゃった」

イケ友「……」

女「どーしてすぐに、コイツ等は面倒な展開にするのかしら…ん?」

イケ友「ぷはっ」

女「ちょっと、アホ、あんた何やってんの…?」

イケ友「おれっちは、負けないんだぜ」ボソリ

女「はっ?」

イケ友「親友のピンチには駆けつけるのが男ってもんよ! だがしかァーしッ!」

イケ友「俺っちは今のおとこちゃんが苦手であるッ! 正直めちゃくちゃ悔しい! だからッ!」スッ

イケ友「…お酒の力を借ります」コク

女「馬鹿なんじゃないの!?」

327: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 21:39:02 ID:6IrR4B3o
イケ友「くっくっくっ、女っち。そりゃおれっちにとって褒め言葉よ!」ビシッ

女「ちょ、なにっ、本当に飲んじゃったわけ…っ?」

イケ友「おーよ! 不良っちとな!」

不良「意外とイケるな…」ゴクゴク

女「ちょっとーーーー!!!」

イケ友「んだから、ちょっくら行ってくるぜ!」だだっ

女「ばっ!!!? あ、本当に何やって…!!」


イケ友「三人とも待ちやがれってんだい!!」

男「むっ? イケ友まで俺に何か言いに来たのか…!?」

イケ友「おーよ! あったりまえよ! 男ちゃん、おれっちは言いたいことがある!」ビッシイイイ

男「あーなんだよ! 言ってみな!」

イケ友「ひっく、あのなぁ! 男ちゃん!」


イケ友「男ちゃんはおれっちの親友だ! 誰にも渡さん、絶対にだ!」

328: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 21:44:42 ID:6IrR4B3o
女「ちょ、アホ、あんた何言って…」

イケ友「事実だ! 苦手なままであることは親友のおれっちには許せんのだからな!」

イケ友「おれっちはこく、こくこく」

男「克服だぁー!」

イケ友「そうそれ! 克服! するためにおとこちゃんと二人っきりになる! ならざるを得ないのだ!」ぐいっ

男「な、なんだとぉ~…?」

イケ友「素直についてきてもらうぜ、男ちゃん」ぐいっ

イケ友「…今ならもっと素直に語り合えるって、思えるんだよ。おれっち」ニヘヘ

男「イケ友…」

イケメン「ま、待ってくれ! そんな場合じゃ…」

イケ友「うるさい! イケメンは黙っちょれぇ~よぉ…おれっちは例えイケメン相手でも、譲れねぇんだ」

同級生「…君はバカなのか?」

イケ友「おーともおれっちはバカだ! だもんで、頑張んなきゃどーしようもねーの! うん!」

男「イケ友はバカじゃないよ! すっごくカッコいいよ!」

329: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 21:53:14 ID:6IrR4B3o
イケ友「お、男ちゃあん…ありがと…うへへ…」

男「にへへ」

同級生「あぁーちょっと待って、本当にバカが関わると面倒くさくなるな。今は男君のことを、」

イケメン「……」

同級生「…お前からもう少し言ってあげたらどうなんだ。このままじゃ、」

イケメン「そーいうことならまだオレを許してくれるのかって話を続けたいんだけど!?」

同級生「ちょっとキミィー!?」


がちゃっ


女友「あー疲れた、なんだか色々と別に買っちゃったけど良いよねー女ぁー?」

金髪「あれ、なんだか雰囲気おかくないか…?」

マネ「どーしたの? 女ちゃん?」

女「あ。アンタ達帰ってきたのね、…この面倒くさい時に」

マネ「? どったの?」

330: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 21:59:08 ID:6IrR4B3o
女「…どったのも何も、見た通りのことよ。いちいち説明するのも面倒臭い」

マネ「………」


イケ友「だぁーっから! 今は男ちゃんはオレのモンなのッ!! 離イケメーーーン!!」

同級生「どうしてそうなるんだぁッ!? そうじゃなくッ、今は僕と男君が一緒に部屋に戻ってだなァ…!?」

イケメン「うぇぇ…男くぅん…オレは本当にきみぃ…許してもらってるって思って良いのかなぁ…っ…?」


マネ「…………あ、」

女「あー滅茶苦茶ねコレ…」


がしっ


マネ「女ちゃん」キリ

女「な、なによ急に…?」

マネ「───駄目だよ! そーやってのんびりやってちゃ、出し抜かれちゃうよ!」

女「はっ?」

331: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 22:04:52 ID:6IrR4B3o
マネ「いくら性別が一緒だからって! そーやって余裕に構えてても、何も始まらないんだから!」

女「…何言ってるのアンタ?」

女友「ちょっとマネっち。あんたね、幾らなんでもそういう時じゃないって思うんだけど、私も」

金髪「そーだぞ」


男「うむ。皆が言いたいことはわかった、けど、ここは女さんの一言も欲しいと思う!」


女「んっ!?」

男「女さん。俺一人じゃ決めていい問題じゃない、だってこれは大切な(修学旅行)ことなんだ…」

女「ばっ、あたしを巻き込むんじゃないわよ…!? あ、あたしは何も関係ないじゃない…!?」

男「…それは違うよ」

男「女さんも俺にとって、大切な(友)人じゃないか!」

女「」

マネ「ほらぁーーー!!」

金髪「なん、だと…」

332: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 22:10:05 ID:6IrR4B3o
女友「そーいう展開だったの!? 修羅場ってたの!? 取り合いだった感じに発展しちゃったの!?」

金髪「これがお酒の力か…どうするんだ女?」

女「ばっかじゃないの!? そんなワケっ、ちょっとあんたら一旦正気に戻って説明しなさいよー!!


同級生「…おい、今更他人のフリなんてするんじゃない」

女「へ…」

イケ友「そぉーだぜ! 女っちも一緒にこく、こくこく、告白しよぉーぜ!」

女「ばッか…っ」

イケメン「ひっぐ…ひっぐ…結局オレはまた仲間はずれかぁ…」

女「ちょ、なんで、待ちなさいってば! あたしそんなこと、思って…!」

男「女さん」スッ


男「───だって、好きだから、一緒に居たいって思うのは変じゃないよね?」ニコ


女「……………」

333: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/31(日) 22:12:55 ID:6IrR4B3o
マネ「わぁぁ…」かぁぁ

女友「こ、告白されッ、女ー! お前ぇー!」

金髪「本命は女なのか!? どーなるんだ!?」


女(早く家に帰りたい) 


【修学旅行最終局面、始まります】


第二十七話『もうツッコミなんて誰も居ない』

337: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 17:36:13 ID:/to.mFHY
同級生「だから」

同級生「僕が言いたいのは一刻も早く、彼の状態を戻すことであって───」


男「きゃっきゃっ」

イケ友「きゃっきゃっ」


同級生「聞けよッ! 僕の話をさぁーーー!!?」ダン!

男「うーーん、だって同級生君は同じ話ばっかでさぁ…」

イケ友「正直かったるいっすわ」

同級生「かったるいってなんだかったるいって!? 僕は真面目に状況を鑑みてるだけで…ッ!?」

イケメン「………」

同級生「オイ! お前だってそうだじゃあないのか!? ほら、こいつらに言ってやってくれ……」


イケメン「…イケ友はいいなぁ…オレもお酒を飲めば仲間入りできるのかなぁ…」ボソボソボソボソ


同級生「だぁーーー!! なんなんだよコイツラはぁーーー!!」ガシガシガシガシ

338: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 17:42:18 ID:/to.mFHY
女友「うぉぉ…各有名な方たちが私達の部屋で騒いでおられるぜぇ…」

金髪「う、うん。まさに圧巻だな…」

マネ「じゃ、女ちゃん。混ざりにいこっか?」にぱー

女「だ、だからねェ? あたしはまったくもって関係ないのよあんぽんたん!」

女友「はいはい。もーわかってるって、正直になりな。うんうん」

女「何よその反応!? まったくわかってないじゃない!!」

金髪「とにかく、どーするんだ。このままじゃどうにもならんだろ」

マネ「…女ちゃん」

女「うっ、何よっ? あたしは絶対になにもしないんだからね…ッ?」

マネ「そんな事言わないで! ぜったいぜったい、大丈夫だから! 女ちゃんはすっごく可愛いよ!」

女「いらないわよそんなフォロー!」

マネ「強情なんだから…そんなにウチ達が勘違いしてるって言いたいの!? じゃあ、聞いてちゃうんだから!」だだっ

女「ちょ…ちゃんと聞いてきなさいよ!? 絶対によ!?」


マネ「…ねえねえ、イケ友?」

339: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 17:47:16 ID:/to.mFHY
イケ友「およ? マネっちじゃんか、どったの?」

マネ「おーよ、オメーに訊きたいことがあるんだってばよ」

イケ友「なんだってばよ?」


マネ「──今って、皆で男君をめぐって取り合ってる最中なんだよね?」


イケ友「………」

イケ友「そうだぜっ!」ビッシイイイ


マネ「ほらやっぱりぃーーーー!」バッ

女「よく聞こえなかったけど質問相手間違ってることはわかったわよッ!!」

マネ「何ぃー? イケ友のやつがバカだって言いたいのかぁー?」

女「あーバカよバカの中のバカよねコイツは! お酒も飲んで格段に上がっちゃってるわよ、馬鹿さ下限が!」


わーわーきゃーきゃー


男「……ん?」スッ

340: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 17:52:43 ID:/to.mFHY
男(なんだ、頭が凄く痛い、けど。俺って今まで何をしてたんだっけ…)フルフル

男「記憶がなくなってる気が…」


同級生「一番最初に僕に訊くべきだろ!? 一番まともな状況だってわかるだろー!」

マネ「あ、いや…同級生くんは…ちょっと…」スス

イケ友「わかるわかる。同級生って、喋ってると全然こっちの目を見ないもんなぁー!」

同級生「ばっ…! み、見るわ! ちゃんと見るわ!」

イケメン「……………」ずもももももも

女「だーから何であたしのこと無視して話進めちゃうわけ!? つか、アンタもさっさと正気に戻りなさいよ!」げしっ

女友「おーやれやれー」

金髪「次はフックだー」


男(え、ナニコレ?)

男「い、いつの間にこんな混沌として…え、なんだこれ!?」

男(これお酒じゃん! お、俺ってば何でお酒の缶なんて握って…!)

341: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 18:02:31 ID:/to.mFHY
男「あ、あの…」スッ

同級生「だからッ! ───あっ…」ぴくっ

男(こ、この状況がどういうことなのかまずは訊きたい! 同級生君ならちゃんと答えてくれると…)

同級生「…やっぱり君は僕を選んでくれたんだね」

男「へぇっ?」

同級生「うん、わかってさ。君だってこんな馬鹿連中とつるむのは辛いって……僕は知ってたさ」キラキラキラ

男「え、なにっ、どういう、ことっ?」

同級生「さぁ、早く僕と一緒に部屋に行こうか!」バッ

男「んんーー!?」


イケ友「待ちやがれってんだ!」ババッ


男「あ、イケ友…!」

イケ友「…おれっちを差し置いて、勝手に男ちゃんを連れて行くんじゃねえ。おとこちゃんはおれっちのモンだぜ!?」

男「イケ友ぉッ!?」

342: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 18:11:24 ID:/to.mFHY
同級生「何を馬鹿なことを…」チッ

男「そ、そうだって…いきなり変なことを言い出すなって…」

同級生「君に、男くんを任せられるわけ無いだろ。自分のほうが相応しいってぐらい言ったらどうなんだ!?」

男「どういうこと!? それってどういうこと!?」

男(わけがわからない! どうして皆で俺をのことをっ…取り合って、というかっ…なんなんだコレ!?)キョロキョロ


イケメン「……」ドロロドロドロドロ


男(あ…一応、状況を知ってるだろうけど話しかけたら絶対に面倒臭い状態になる奴だ…あの表情…)

イケメン「…今、オレの顔をみて面倒臭いって思ったよね…」ボソ

男「わあああーーー!!? いつのまっ、急に後ろに立つんじゃないっ!」バッ

イケメン「ひっぐ、そうやっていっつもオレは一人ぼっちさ…ううっ…オレだって頑張ってるんだよぉ…」ぐしぐし

男「…よくわからんが、なんで泣いてんのお前…?」

イケメン「…男君が…」ボソリ


イケメン「男くんがオレを差し置いて、みんなばーーーか構うからだよぉ~…! おーいおいおい、ぐしっ」

343: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 18:15:30 ID:/to.mFHY
男「………」

イケメン「オレも男くんと何時も通りに仲良くしたいよぉ…ぐびぐび…ぷはぁ…」ヒック

男「お前…何飲んでる、の、それ…?」

イケメン「ぇ、おさけ?」

男「………………」


マネ「先を越されちゃってる!」

女「やだやだ行きたくないあの状況にあたしを巻き込まないで…!」ブンブンブンブン

女友「いーから行って来いって! もうよくわかんないけど絶対に行かないと後悔する感じっての!? あるじゃん!?」

金髪「行ってくるんだ! どうせ男は抱きつけば一発だって! ほら早く!」

女「やっ、ちょ、やだっ! やめ───」


ドン スタ、スタスタ…


男「あ…」

女「っ…! いや、何というか、そのっ」

344: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 18:35:22 ID:/to.mFHY
女友「お、おおっ…なんだ結構いい雰囲気かもしだすじゃんか…っ」ドキドキ

金髪「う、うむうむ。あの子なら不器用に暴言吐きながらも、言う時は言うやつだ…」

マネ「どーなるの!? どーなっちゃうの!!? 最後には『あたしを選びなさいよ!』ぐらいは言って…!」


男「おっ、えっと、女さん…?」

女「あ、うっ、いっ、だっ───死ねあんぽんたん!!」

男「!!?」


三人(これは酷い)

女「あっ!? ち、違っ、そうじゃなくって…!」アタフタ


マネ「で、でも出そうだよツンデレ部分が…!?」


女「あぁ、あああっ、なんって言うか! そのっ! 流石に死ねは酷いと、思うから…っ」チラ

男「う、うん、何かあったんだろうって思うんだけど…俺としても何が何だか…」

女「へっ? あ、あんたもしかして…正気に戻ったの…?」

345: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/01(月) 18:39:23 ID:/to.mFHY
男「…うん、実はその通りでございまして…」ポリポリ

女「…………」

女「なら話は早いじゃない! こっちに来なさいよ!」ぐいっ

男「えっ!?」

女「あんた達! これを見なさいよ! これで万事解決じゃない!」ババーン

男「えっ…あ、あのっ…ちょっと…っ」カァァァ


同級生「……何が解決なんだ?」

イケ友「あーーーっ!! おれっちよりも先に女っちがぁーーーー!!」

イケメン「いいなぁ…仲良く腕を組んで…オレもしたいなぁ…!」


女「へっ?」


マネ「きゃーーーー! 超大胆! もう私のモノだっつー表明っすねコレはぁッ!」

女友「女の初彼氏を祝して!」

金髪「かんぱーい!」カン

348: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/20(土) 19:36:01 ID:xK5UBcV6
女「ちょっと馬鹿! ちがっ、よく見なさいよこれぅおー!!」

同級生「チッ、君は性悪と思っていたがここまでか…」

イケ友「なんでなんで!? どーやったん女っちぃっ? おれっちにも教えてくれよぉ~~~」

女「うっさいバカども!」

男「……」

女「ほ、ほら! そうよそうじゃない! あんたがまともなことを言えばどーやったって収まるのよ! この状況が!」どんっ

男「うわったた!」

男「っ…………」びくっ

じぃー

男(すっごい周りから見られてる…! なんだ、どうしてこうなってるんだ、一体何を言わなくちゃダメなんだ……!?)

男「あ、あの………」

男「ん……?」チラ


不良「」ちーん


男「不良くん!? どうしちゃったのそれ!?」

349: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/20(土) 19:41:37 ID:xK5UBcV6
男「なんで白目向いて倒れてるんだ…っ?」

不良「ぐっ……な、なんだ急に腹部に衝撃を受けてから……」

男「殴られたの!? だ、誰に…?」


イケ友「……」すっ

イケメン「………」すっ

同級生「………」すっ


女「ここぞとかばかりにその協調性! アンタ達マジで殴り倒すわよ!!?」


金髪「や、やばい止めろー!」

女友「私達がいない間に実力行使とはやるじゃねーか女ぁー!」

マネ「一発で仕留めたの? 拳で男くん取り合ってたの!?」


男「ふ、不良くん…」

不良「ん、どうした。元に戻ったのか、良かったな」ぽんぽん

男「あ…え…もしかして、俺ってやっぱり酔っ払ってたんだ…?」

351: ていせい 2016/02/20(土) 19:47:16 ID:xK5UBcV6
不良「ああ、色々と大変だったぞ。ほら、買ってた水だ、飲め」

男「……不良くん……」

不良「それにちゃんと周りにも謝ったほうがいいぞ、早いほうがいい」

男「あ、うんっ! わかった、じゃあみんなにも───」


くるっ


女「いつまでウジウジウジウジしてんのよ変態ッッ!!」

イケ友「ばっ、ちが! こっちじゃないって女っちぃーーーーー!!」

同級生「わー! ばか、やめろぉおおおおお!!! 俺のスマフォがぁああああああ!!」

イケメン「…ぐすっ…」ぐったぁり


くるっ


男「───は、後でいいや。今は不良くんと一緒に居るね!」

不良「ん。お前がそういうのなら、別に良いが……なんだ、どうしてお前らオレを見る? どうした?」

353: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 17:21:11 ID:3Mfi/ftE
【とりあえず二人で部屋を出ました】


男「───つまりは俺が酔っ払って皆で、介抱してくれてたってコト?」

不良「多分な。何故か、途中で喘ぎ声が聞こえた気がするんだが……それは気のせいだろ」

男「まぁ、その、結局は俺がまた周りに迷惑をかけたってことになるのかな、これって」

不良「言い方が悪くなるが、その通りで間違いない」

男(あぁあぁっ! 嫌だ嫌だ…ッ! なんでこうも続けてやってしまうんだよ俺はぁ…ッ!)

不良「………」スッ


ぽんぽん


不良「別に気にすることはないと思うがな」

男「えっ?」

不良「なんやかんやあったが、最終的にはみんな楽しんでるように思えた」

不良「お前一人が抱え込む必要なんて無い。ちゃんと謝れば、それだけでいい」

男「……不良くん…」

354: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 17:26:55 ID:3Mfi/ftE
男「その、ありがとって、いうか……ごめん、色々と迷惑をかけて……」

不良「……」なでなで

男「思うに一番迷惑をかけてしまったってのは、不良くんじゃないかと俺は思うわけで…」

不良「……」なでなで

男「うん…」

不良「……」なでなで

男「ちょっと聞いてる俺の話!?」

不良「いや、撫でやすい位置に頭があるから…」

男「とりあえずやめて! しかも全然理由になってないし!」

不良「急に大きな声を出すと具合の悪さがぶり返すぞ」

男「そんなっ、こと……っ…うぁ……」ふらり

不良「ほらな」

ひょぉい

男「うぐぉぉっ?」

不良「軽いな。飯はちゃんと食べてるのか、お前」

355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 17:34:12 ID:3Mfi/ftE
男「なん、ちょっと!!? なんで抱え上げる必要あった!? 高い高い怖い!!」

不良「イケメンの奴もそうだったが、ここ最近の奴らは軽すぎる。飯を食べろ、飯を」

男「た、食べてるよ…!」

不良「嘘だな。どうせありあわせのものしか、食べてないんだろう」

男「い、良いんだよ別に。俺だって体重とか身長とか、気にしてなんかいないし…」

不良「それも嘘だ」

男「断言するんじゃない…っ」

不良「ん。そうか、なら謝る」ぺこり

男「ならいいけど…」

男(あれ? なんで不良くんに謝ってもらってんの俺?)

不良「丁度いい。このまま便所まで運ぶか、男、顔を洗うぞ」すたすたすた

男「へぇっ? あっ! このままっ? えぇー!?」

不良「問題ない。力には自信がある」

男「そういう問題じゃないよねぇ! マジで連れていかれっ、みんなに謝るって言ってた奴はー!?」

すたすたすたすた

356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 17:41:59 ID:3Mfi/ftE
がちゃ きぃ…


「…ど…」


マネ「ど、どどどどど、どうしよぉーーーーー!!!?」

マネ「つ、連れて行かれちゃった!? 抱えられて、連れて行かれてッ、お姫様抱っこでぇー!?」

金髪「ま、待て落ち着けマネ!」

女友「そうやで。ここまできて、そう勘違いもしてられんぞよ?」

マネ「だってだってぇ! アレは流石にやばすぎないかなぁ!?」ブンブンブンブン

金髪「ただ単に運んでるだけだろ? もういいって、部屋の中のみんなとも誤解は解けたし…」


女友「いや、待って…不良くんとは誤解とけて無くね…?」


マネ&金髪「!!!?」

女友「ひ、一人だけガチの人が居らっしゃったんじゃなかろーかと、思う今日このごろ……うそうそ! 無いってそんなコト!」

金髪「不良くんがマジで男くんのこと好きだってこと!? や、やめろおおお! ありえんことを言うなぁー!」

マネ「思いの外ショックそうな金髪ちゃん…可哀想に…」ほろり

357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 17:50:54 ID:3Mfi/ftE
金髪「だ、黙れあほたれ! 今はそんなこと言ってる場合か!?」

マネ「う、うん、思うに不良くんは『男くんがとられる状況が許せなかった』とみた」

女友「そ、それで二人きりになろうと連れて行ったってことになるのかね…?」

金髪「……それヤバくないか?」

マネ「でもまって! 流石に勘違いってこともある! まだあるよ! 絶対に勘違い的な奴!」

女友「ど、どうするよ? 部屋の皆にも言っておく?」

金髪「い、いや駄目だ、またとんでもない展開になる気がする……」


マネ「───うち達だけで行こう」


女友「ばっか! もしマジでうっふーんあっはーん、な展開だったらどーするのさぁ!?」

金髪「ううっ…いやだよぉ…」

マネ「大丈夫! 男くんだって男だよ!? 嫌だったり無理やりだったりしたら、ちゃんと断れるさ!」

女友「でも軽々抱えられて、連れて行かれたけど……?」

マネ「……………」

金髪「あー! もういいっ! 私が行きたくなってきた! ぜってぇーあり得ねえからね! 逢引とか! 確かめてやるもんねー!」だだだだっ

358: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 18:00:42 ID:3Mfi/ftE
女友「あぁっ! 馬鹿が飛び出していった…! 追いかけるぞマネ!」

マネ「う、うん!」 


~~~


女友「はぁ…はぁ…あ、やっと見つけた…っ」

マネ「息切れし過ぎだよ女友ちゃん、運動部入ったら?」

女友「だまらっしゃい! つか、金髪ってば何固まってんの?」

金髪「…イレに入っていった…」

マネ「えっ?」


金髪「───男子トイレに二人して入っていったッ!」ギュッ


マネ「なっっ、何ぃーーーーー!!?」

金髪「うぁ…」ポロポロポロ

マネ「うん…うん…そっか、そうだったんだね…辛かったね…大丈夫だよ…」ナデナデ

女友「いや、普通だから。連れションとかよくやってるじゃん男子」

359: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 18:14:27 ID:3Mfi/ftE
金髪「ばかやろうッ! お姫様抱っこだぞッ!? そこで男子トイレだぞーッ!?」

女友「……この想像豊かなド変態を、マネ、抑えておいて」

マネ「らじゃー!」

女友(いちいち皆騒ぎ過ぎなんだよね。まったく、部屋での出来事も一発で誤解なんだってわかったしさ)

女友(そろそろ面倒くさくなってきたし、女の方にことが転がればって思って静観してたのがまずっちゃったよねコレは)

女友(今はとりあえず適当に聞き耳立てて、聞こえた会話を伝えればいっか。それで誤解は解けるっしょ)

そーっ

女友「どれどれ…」


『…不良君、終わった?』


女友(ほら、やっぱり普通の会話っぽいのを…)


『いや、もう少しで、……』

『駄目だ。○○そうにない……』


女友「ほぇっ?」

360: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 18:24:07 ID:3Mfi/ftE
『そ、そうはいっても…』

『ああ、もうちょっと力を込めてくれ…そうそう…』


女友「───……」スッ

マネ「金髪ちゃんってば大丈夫だってばー! あ、どうだった?」

女友「ヤバイ」

マネ「へっ?」

女友「…○○○ルかも…」ぼそり

マネ「……………え?」

女友「しれない、っていうか、真っ最中っていうか……その……」ぷいっ

マネ「お、女友ちゃん? さっきから何を言ってるのかよくわかんないよ~?」

女友「……じゃあ聴いてきなよ、マネも聞けばわかるよ……」ずーん

マネ「どーいうことだってば? なんなのさ、まったくぅ」スッ

361: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 18:32:06 ID:3Mfi/ftE
『あっ! どぉっ? 今の良い感じにっ……!?』

『うっ…ふぅ…』

『だ、大丈夫? い、痛くなかった……?』

『大丈夫だ。それよりも嫌じゃないのか、やってもらってる方としては気が引けるんだが…』

『ううん、むしろこっちが気が引けてるよ。ちゃんとやれてるのかって』

『うっ』

『ここ? ここが良い? んっ! んっ!』

『……ああ、…』


マネ「っ…っ…っ…」ぱくぱくぱくぱく

女友「そ、そうだろ? これって、どう聞いても…」

マネ「超○めてあげてる!!!」

女友「○○る!!? どーいうことぉー!? や、やったあとにっ……○○てあげ、てるの…? 良いのそれって衛生面的にッ!!?」

マネ「ぴゃああああああ!! どうしようどうしようどうしよう…!?」

女友「お、落ち着けマネ! もうここまで来たら、自分たちが関わっていい領域じゃない! 去ろう! もう去ろうよ!」

362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/22(月) 18:49:45 ID:3Mfi/ftE
金髪「…待て」ガシッ

女友「金髪!? あ、あんたいつの間に正気に…!?」

金髪「何時だって正気さ。私はまだ確かめてない、どうしていきなりここまで発展したんだ?」

マネ「あ…」

金髪「彼は、男君は、まだ不良くんと出会って間もないはずだろ。きっと勘違い、のはずなんだ」


ズリ ズリズリ…


金髪「───直接、見て、確かめてくる」


マネ「それは流石に危ないよ!!」

女友「そ、そうだぞ!? い、色々と危ないぞぉー…!?」

金髪「覚悟はとうに決まってるよ。ここまで来たんだ、だったら100%にしとくべきなのさァ…!」


金髪「この想いが終わっていいのかとね!!」だだっ


女友「ば、バカヤロぉーーーー!!!」

364: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/23(火) 19:40:20 ID:39ydMJ.g
金髪(終わっちゃなんかいないッ! だって未だに始まっても居ないから!)バッ


金髪「───どういうことか、確かめてもらうぞっ!!」



~数分前・男子トイレ~


不良「うぷっ」

不良「──────」キラキラキラキラキラ…


男「わあああっ!!? ちょ、いきなり吐い…ッ!?」

不良「ぎもぢわるぃ」

男「ど、どうしたの急に?!」

不良「……多分、お前を担いだ時に、酒が回ったんだと思う……」

男「の、飲んでたのかよ」

不良「うぶっ!」ササッ

男「ちょっと、本当に大丈夫なのか……っ?」サスサス

365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/23(火) 19:46:01 ID:39ydMJ.g
不良「…そのまま擦っててくれ」

男「う、うん」さすさす

不良「うっ───」


(何かが溢れ弾け飛ぶ音)


男「…沢山出たね…」

不良「すまん、今日は色々と食べ、過ぎた…女の奴からもらった菓子とか…他にも…」

男「あ、うん。ごめん、俺も変な感想言っちゃって…」さすさす

不良「…………」

男「あ。不良君、終わった?」

不良「いや、もう少しで、うっ……駄目だ。イケそうにない……」

男「そ、そうはいっても…」さすさす

不良「もうちょっと力を込めてくれ…そのほうが全部出やすい…そうそう、いい、、腰辺りを…」

男「はぁはぁ…こ、こお…んっ、んっ…」さっす! さす!

不良「はぁっ…うぐっ…そう、それでいい…っ」

366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/23(火) 19:55:27 ID:39ydMJ.g
キラキラキラキラキラ

男(あ。たくさん出た、ココらへんが丁度いい感じなのか)さすさす

不良「ぜーっ…ぜーっ…」

男「今の良い感じに───」

つるっ! どすっ!

男「あぁっ……!? だ、大丈夫? 痛くなかった……?」

不良「うっ…ふぅ…大丈夫だ。それよりも嫌じゃないのか、やってもらうって方としては気がひけるんだが…」

男「ううん、むしろこっちが気が引けてるよ。ちゃんとやれてるのかって、んっんっ」さすさす

男(───あれ? なんだろ、以前にこんなことがあったような気が…)


『…かっこいいな、君は』

『素直が一番だぜ』


男(大分昔に、それも小学生ぐらいの頃に、同じように誰かの背中を、)

男「……?」さすさす

不良「うっ」

367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/23(火) 20:01:20 ID:39ydMJ.g
男「あ、ここ? ココが良い?」

不良「……ああ、その裏側あたりを…肩のところの…うん…そこでお願いします…」

男「あ、あのさ。不良くん、ちょっと良いかな」

不良「ん…」

男「なんかさ、昔に俺ってこーいうこと経験したことあるんだよね…」

男「誰かの背中を撫でてる。そんな記憶がちょっとだけ思い出したんだ、…だからかな」

男「あんまり嫌じゃないんだ。不良くんをこうやって看病してる今って、そんなに苦痛に思ってない」

不良「………」

男「あ、いや、急に変なこと言ったよな。ごめん、ていうか、その」ポリポリ

男(しかもちょいちょい、素の話し方出てるしな。気づかれる前に直しておこう…)

不良「……男」

男「あ、うん? なに?」

不良「………」じっ

男「?」キョトン

不良「…オレは、」

369: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 01:44:48 ID:SmPKjP6M
男「あ…」ドキ

不良「……」じっ

男「な、何?」


不良「うっぷ」でろー


男「うわあああ!? ちょっと、体操服にかかってるかかってる!」

不良「一番の波が来た……」

男「じゃあ便器の方を向いて! 垂れ流しだから今っ!」ぐいぐいっ


金髪「とぅあー!!」ばっ


男「と、とりあえず体操服は脱いだほうがいいのかも…あ…っ」ぬぎっ

不良「下も脱ぐな…」ぬぎっ


金髪「」ピシィッ


男「えぇー!? なん、ちょっと、えっ!!?」

370: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 01:50:17 ID:SmPKjP6M
金髪(そっか。現実って、そうなっちゃうんだな───)フラリ ドッシャアアア…

男「倒れたーっ!?」

不良「ん。なんだ、どうした…?」

男「なんいうかっ! その、急に女子が入ってきて…ッ!?」


男子トイレ 外


マネ「倒れたような音が聞こえたよ!?」

女友「うぐぐ…どうしたものか…」

マネ「い、一応確認しに行ったほうがいいんじゃないかなぁ…!?」

女友「で、でも男子トイレだって! そんな安々とあの馬鹿みたいに入れるわけがないよ!」


女「アンタ達、男子トイレの前で何やってんの…?」


マネ&女友「だぁあああーーーーーッッ!!?」

女「変態ども…」スッ

マネ「ち、違うよ? そうじゃないんだよ…っ?」わたわた

371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 01:55:58 ID:SmPKjP6M
女友「どっどうして女がここに…!?」

女「アンタたちの帰りが遅いから探しに来たのよ。そしたら、なにやってるワケ……?」

マネ「そ、それは…っ」

女「はぁ、まぁ色々と理由があるのかも知れないわよ。けどね、誤解される場所で騒いでる方も悪いって分かりなさいよね」

マネ「お、女ぁ~…!」

女「ん。で、金髪はどこいったの?」

マネ「えっと…男子トイレの中…?」

女「実行済み!? ばっか、疑うも何も既にやっちゃってるじゃないのよっ!?」

女友「ち、違うんだ女! 金髪のやつがトチ狂って突っ込んじゃってさぁ…!」

女「何やってんの本当に…ッ」


『うわあああ!? 急に女子が入ってきて…ッ!?』


女「この声…目つき悪男?」

マネ「駄目だよ! 絶対に入っちゃ駄目!」

女「えっ? で、でも説明しに行かなくちゃ駄目じゃないの…!」

372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 02:10:08 ID:SmPKjP6M
女友「…駄目だッ! 特に女は絶対に入っちゃ駄目、絶対にだ!」ばっ

女「えっ? ど、どうしてよ?」

女友「どうしても! しかし、どーしても入りたいって言うんだったら───」

女友「金髪は見捨てる」コク

女「あんた本当に酷いやつね!」

マネ「わ、私も同意見ですっ」

女「ちょっと!? あんたたち本当に友達なわけ!? 良いっ?」

女「男子トイレ覗くために組んでるんだったらちゃんと責任とり合いなさいよっ!」


同級生「…何を言ってるんだ…?」


女「ぱぁああああーーーー!!?」ビックゥゥウウゥ

同級生「全然帰ってこないかと思えば…お前ら…」ススス

女「ばっっ!? ち、違う! 覗こうとしてたのはこいつらよ…っ!?」

女友「違うっていってんでしょーが!」

マネ「違う違う違うぅー!!」

373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 02:23:58 ID:SmPKjP6M
女「変な事をいいふらすんだったら、腹に一発入れるわよ黒髪ボンボン…!!」

同級生「…いや、どうでもいいけど。今は君らにかまってる暇無いんだよ」

女「えっ?」


イケメン「うっぷぅ」

イケ友「しっかりしろー」


同級生「急に具合が悪くなったから、男子トイレに来たんだ。良いからそこを退いてくれないかなぁ?」しっしっ

女「あ、そうなの…」

マネ「ま、待って…ッ」がしっ

女「な、なによ?」

女友「うん、普通に考えて今は駄目でしょ…」ダラダラダラ

女「あーっ!? そっか! 駄目よ他のトイレに行きなさいよ!」

同級生「はぁ?」

イケメン「あ…女…男くんは見つかったかい…?」ヘロヘロ

イケ友「ちゃっちゃと吐かせてスッキリさせたいんよ、ちょっち退いてくれんかね?」

375: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 16:38:44 ID:SmPKjP6M
女(やば、どうしよう、このままじゃ金髪の醜態が晒されちゃうことに…っ)

バッ!

女「もういいっ! あ、あたしが責任をもって見てくるわよーーーっ!!」ダダッ

同級生「え、お前っ!?」

女友「女ぁーーー!?」

女(何も見ないでッ、即座に金髪を個室に連れ込む! 説明は全部後に済ませる!)バッ

女「金髪ぅー!?  あんた一体なにしてんのよ────」


男「だ、大丈夫かな…?」(半裸)

金髪「」ゆさゆさ

不良「おい。起きろ、このまま寝るんじゃない」(パンツ一丁)


女「ぎゃああああああああーーーー!!!??」

男「うわぁあああああああーーーー!!??!!」


不良「ん?」

376: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 16:45:15 ID:SmPKjP6M
女「あ、あんたたた、アンタ達! 半裸で金髪っ囲って、鬼畜馬鹿あんぽんたん!!」

男「えっ!? どういうコト───違う!! それはまったくもって違う!!」

不良「女までどうしたっていうんだ…」スッ

女「ばーーーー!!! こっちくるんじゃにゃい!! いやぁーーー!!」ズササササ

男「不良くん!! 今は説明だよ説明!! 余計なことをしないで!」

不良「余計なことってなんだ?」

男「見たまんまのことだよ! とりあえずズボン! ズボンを履いて!」

不良「ん…そうか…でもいきなり男子トイレに入ってきたこいつらが悪いんじゃ…」

女「う、うるさいわね! こっちだって理由があって来たんであって、というかっ、どーいうことよ説明しなさい!」

男「せ、説明しろと言われても…! すごく何が何だかわからないから説明しにくいよね…!?」

不良「うっ…履きにくいな…おっと…?」コロン

男「ぇ」


ドサリ ばたん

不良「…あ、すまん…男…」

377: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 16:50:35 ID:SmPKjP6M
男「あ、うん…」

イケメン「ど、どういたって言うんだ!? 中から男君の声が…!?」バッ

イケ友「ちょ、イケメン! 急に走ったら余計具合が悪くなって…!」バッ


不良「ん?」

男「あ」


イケメン「…………裸で二人して、なにやってるの………?」


男「ぇ…ぁ…ち、違う…!」

イケメン「何が?」

男「普通に考えろ! なんかあったんだと! わかるだろお前ならさー!?」

イケメン「……、でも確かに、」

マネ「…あ、あー! や、やっぱり二人して抱き合ってる…!?」

女友「や、やっぱり○○○合ってたんだ…!? さっき聞こえた声はやっぱそうだったんだ…!?」

イケメン「……………………どういうこと男君?」

378: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 16:56:26 ID:SmPKjP6M
男「───もうわけがわかんないよ! 俺だって意味がわかんないのにどーやって説明しろって言うんだ!?」

イケメン「……」ぽろぽろ

男「泣くなよ!? 泣きたいのはこっちだってば!」ぽろぽろ

女「ばっ!? お、男二人で急に泣かないでよ…!?」


不良「だ、大丈夫か…?」なでなで

男「う、うん…」グスッ

イケメン「うぇぇ…男君が男君がぁ…オレ以外の人とぉ~…っ」ぐしぐし


女友「き、金髪…お前はよく頑張ったよ…」ヨシヨシ

マネ「あ、アタシたちはズッ友だからね…っ」

金髪「」


イケ友「……。なんかこのトイレめっちゃ臭、つか、…おれっちもちょっと具合が悪くなって来て……」うぷっ


キラキラキラキラキラ

379: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 17:01:06 ID:SmPKjP6M
女「きゃあーーー!? ちょっとアンタ大丈夫なの!?」

イケ友「ムリッス」キラキラキラキラキラ

不良「うっぷ!」

男「あ…」

不良「つられたかもしれ、ない、最後の奴が、うっ」キラキラキラキラキラ

男「ひっく、ちょっと、本当にだいじょ、うっぷ、ぇぁっ、そっか俺も具合が悪、」キラキラキラキラキラ

女「ちょっとー!?」

イケメン「キラキラキラキラキラ」

女「わーっ!?」


同級生「お、おい…さっきから皆で何を騒いでるんだ…?」そろーっ


女「あ…」

同級生「おい大丈夫か!? なんだこの状況っていうかっ、なんだこの臭い、おぇっ、うっ─────」キラキラキラキラキラ…

女「………………………」

380: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/02/26(金) 17:08:56 ID:SmPKjP6M
女「………ど、どうしよう…」


「こらぁー!? 近隣の部屋から苦情があったから来てみればお前らぁー!?」ズンズンズン

「腹部に暴力を振るうなどと、女子の怒鳴り声が聞こえたらしいぞ!? お前たち一体トイレで何をして────」



不良「もうでない…」グッタリ

男「ひっぐ…ぐす…」

イケメン「おろろろろろろ…」

イケ友「…」ズーン

同級生「……………」ぐてー



「───……全員な、殴ったの?」


女(もうホントに帰りたい)


第二十八話『やっぱりお酒は二十歳を過ぎてからが正しいツッコミ』

383: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 20:19:41 ID:Y6SAXPcM
次の日 朝

金髪「…すごい顔だな」

女「あぁ…? あ、うん、なんか今言った…? ちょっと頭がボーッとしてるから待ってて…んんッ!!」パァンパン

金髪「ま、まあ分から無くもないけど。昨日は散々だったし、…記憶がほぼ無いし」

女「ん、まーね。アンタが一番状況をかき乱してたって言っても過言じゃないわよ、アレは」

金髪「マジスンマセン」

女「反省しなさいよ。はぁ~あ、結局今日で修学旅行はお終いかぁー」

女(何とも騒がしい修学旅行だった。何かしら破茶目茶なことが起こるって思ってたけれど)

女(想像する以上にヒドいもんだったわね…うん…一生忘れなさそう…)ずーん

マネ「チィース! 朝から温泉入れるっちゃあ豪華なご身分ですなぁ!」ガララ

女友「シッ! 黙って隠れて入りに言ったんだから静かにしなさい馬鹿!」

女「お帰り」

マネ「んふっふー、たっだいまー! ひょいっ!」ぼふぅ

女「ちょっと…!」

マネ「おふぅとぉんきもちぃぃ~」モフ

384: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 20:25:37 ID:Y6SAXPcM
女「ったく、それで? 途中で見に行ったんでしょ男子部屋の方に」

女友「案外みんなピンピンしてた、やっぱ男子は強い」

女「ふーん。…目つき悪男も?」

マネ「やっぱ気になっちゃうー?」

女「そりゃ気になるでしょうが…一番酔っ払って乱れて、暴れた後の次の日なんだから…」

マネ「元気そうだったよん。むしろこっちのこと心配しててくれた感じだったかな、目が怖かったけど」

女友「目が怖ったな、うん」

女「イケメンの奴は?」

マネ「カッコ良かった」

女友「カッコ良かった」

女「よくもまぁ昨日の廃れっぷりを見ておいて変わらないわよねアンタ等は…」

マネ「幻滅したとか思ってるの? ナイナイ! むしろ意外な一面が見れて超うれぴーって感じ?」

女友「どっちしたって遠い存在には変わらんぜよ、なぁ? 金髪ぅー?」

金髪「…こっちに話題を振るな」

女友「んもぉーう! 気にしすぎ! 不良くんだって謝ってたよ? 倒れた時に支えられなくてごめん、ってさ」

385: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 20:31:08 ID:Y6SAXPcM
金髪「んにゃっ!? そ、そうなのかぁー…う、うむ…」

マネ「うひゅひゅ」

女友「ぐひゅひゅ」

金髪「そっ、そんな目で見るんじゃねェ!!」


女(…馬鹿みたいに騒いで、悲惨な状況になって、次の日もまた騒ぎ出す)

女(ほんっと元気よねコイツ等。それとも、私が変に冷めてるのかしら。…いやいや、そうじゃないはずよね)


マネ「どったの? 女ちゃん、急に思いつめた顔してー?」

女「え? いや、なんでもないけど。そんな顔してた?」

マネ「うん」

女友「…具合悪い?」

女「全然、悪くないけど…なんだろ、でも確かに…」

金髪「確かに? どうした?」

女「…………」


数時間後  旅館 おみやげ屋

386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 20:38:29 ID:Y6SAXPcM
女(お母さんには簪に、お父さんには湯のみでいっか。あとはお姉ちゃんには…)キョロキョロ


【全国擬人化作戦! 『東京都くん~ツーブロック黒縁眼鏡~』キーホルダー】


女(あ…確かこれ欲しいって言ってた気がする…)スッ

男「これかな…」スッ


ぴと


女「…」

男「え、」


女「だぁああああああああいっ!!?」ビックゥウウウウン ズササァーッッ!

男「わっ!?」

女「はぁはぁ…な、にっ、何なの急にアンタはァ!? びっくりさせるんじゃないわよ! はぁーッ、死ぬかと思った…」ドキドキ

男「お、驚き過ぎじゃないか幾らなんでも…こっちも危うく心臓が止まりかけた…」ドキドキ

女「なッ何でよ! なんで目つき悪男がここに居るわけ!?」

男「普通にお土産買いに来てるだけなんけど…?」

387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 20:43:33 ID:Y6SAXPcM
女「いっ、要らないでしょ別に! アンタには必要ないわよこんなお土産なんてッ!」

男「う、うん、待ってね、勢いで言ってるんだろうけど、それじゃあお店のひとに悪い印象与えるから…っ!」

女「ぐっ……、わかったわ、うん、ちょっと落ち着く…」

男「ん、ん」ポリポリ

女(何を急に現れて、しかもこのタイミングとか出来過ぎてるじゃない)チラリ

男「あの、さ」

女「な、なによ…」

男「ここで言うのも、あれかなぁって思うけども。まぁ会ってしまったから言ってしまうけれど…」

女「…ごちゃごちゃ言ってないでハッキリ言いなさいよ」

男「う、うす! 昨日のことッ! その~…また色々と迷惑かけたんだなって、絶対にそうだと思うから」

男「改めて謝っておきたい。本当に、ごめんなさい」ペコリ

女「……」

女「もう散々謝ったじゃない。あれもこれも、ぜーんぶ聴き飽きたわよ」プイ

男「そうだろうと思う。けどもう一度だけ謝らせてくれ、この通り」

女「……良いわよ、別に」

388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 20:49:55 ID:lMF9w6NQ
男「本当に?」

女「本当よ。何時も通りの展開だったじゃない、変態が色々企てて、アンタが巻き込まれてあたしも散々な目にあって」


それで、結局は終わってしまう。

あの変態が言っていた『青春』って形で収拾がつくのだ。


女(──何、変な感じ…今…)

男「そっか。そうだよな、いつも通りって奴か。うん」

女「…うん」

男「………。お土産選んでた感じ?」

女「えっ? まぁそんな感じだけど、というかさ」ジトー

男「?」

女「なんでアンタが『東京都くん』を買おうとしてたワケ? 何? やっぱ○○なの?」

男「なんでそうなるっ!? 違う違う! なにそれ…! コレを選んだけでそう勘ぐられるのは酷くないか…!?」

女「このキャラって今、お姉ちゃんたちみたいな人たちに結構人気なのよ。知らないの?」

男「ふ、普通に東京名物なんだろうなって…東京都限定ものを、親に買っていこうかと思ってただけなのに…!!」

389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 20:59:50 ID:lMF9w6NQ
女「親て…目つき悪男の親も、こんな若々しいキーホルダー貰っても絶対に喜ばないわよ…」

男「ぐっ…今度は普通に駄目だしもされてる…!」

女「ぷっ、あははっ」

男「え、な、なに? どうしたの急に?」

女「いやね、なんだろ。アンタって本当に不器用よね、昨日の件も含めてさ」ゴシゴシ

女「いーわ。ちょっと付き合ってあげる、お土産選びをね」

男「え、良いの?」

女「ドンと女さんに任せなさい! まああたしの主観がモロに入っちゃうけど、それでイイならね」

男「滅相もない! 物凄く助かる!」

女「そ。ならあっちなんてどーかしら? お土産と言ったら温泉まんじゅうもかかせないし、定番押さえて東京ばな奈は?」

男「な、なるほどぉ…」

~~~

女(今気づいたけど、コイツ)

男「…やっぱ女子の意見があったら全然違うなぁ」

女(親にお土産って言ってて、なんで一人用だけなんだろうって気になってたけど)

390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:05:24 ID:lMF9w6NQ
男「ん? どうかした女さん?」

女「えっ!? いや、なんでもないっていうか───その、アレかしらね! やっぱり!」

男「へ? 何が?」キョトン

女「…………………………」

男「お、女さん?」

女「……駄目だわ、やっぱあたしはとことん駄目な女だわ…」ずーん

男「何が!? 本当に急にどうしたっていうのさ!?」

女「…凄く、気になってるのよ…どうしても誤魔化して知らんぷりすればいいのに…」

女「なんでこーも感情的になって、表情に出ちゃうのかしら…ううっ…ごめん、目つき悪男…」

男「えーっと、その、何がなんだかわからない俺にとっては謝られてしまうと非常に困るわけで…」

女「……親」

男「うん?」

女「独り、なの? さっきからお土産が、一人用モノばっかりだったから、その」チラ

男「…えっと、」ポリポリ

男「まあね、うん。俺が小さい時に父親が事故で死んじゃってるんだ。だから一人用、女さんの言うとおり」

391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:12:25 ID:lMF9w6NQ
女「…そうなんだ、ごめん」

男「ちょっと謝らないで、女さん。別に気にしてないし、…まさかお土産からそう訊かれるとは思ってなかったけれど」

女「違う、謝らなきゃダメじゃない。こーいったことは言っちゃ駄目なのよ、言ったら……ダメじゃない」

男「……」

男「女さんってさ、前にイケメンの祖母さんのことを話してくれたじゃんか」

女「え、あ、うん…?」

男「あの時、俺に言ってくれた言葉おぼえてる?」

女「……」フルフル


『今のあたしだって自己嫌悪半端ないもの。変態が言うべきことじゃない、こういうことって』


女(言ってたっけ、確かに)

男「あの言葉、実は俺はすげーなってずっと思ってたんだ」

女「へっ!? な、なんでよ!? 普通のことじゃないのよアレは…!」

男「そう、普通のことだと思う。けれど『それを本気で言える人』はどれくらい居るんだろう」

男「勝手な解釈だけど、間違ってたら全然怒ってくれていいし、ただ俺が思ったことを言うとね…」

392: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:18:16 ID:lMF9w6NQ
男「かっこいい。凄く格好良かった、とにかく女さんって人は凄い人なんだなって…素直に感じた」

女「…ほ、褒め過ぎじゃないの…」

男「そう? あはは、まだ少し酔が冷めてないかもしれない。でも、今回のことでより一層そう思ったんだ」

男「──女さんは、ちゃんと本気で申し訳ないと思える人なんだって」


ざわついた。

心の奥を覗かれたのだと、ふと、全ての感情が冷めていく感覚。


女「…」


身勝手な解釈だと彼は言ってくれた。多分、ここで怒ったらちゃんと謝ってくれるんだろう。

そんな私を過大評価するなと。自分は感情を制御出来ない、ちっぽけな人間なのに。


──でも、ここで怒らないとしたら? 私は彼に『   』ともし言えたのなら?


女「…ぁ…」


ありえない、言えるわけがない。そんな自分を一瞬でも想像したことに嫌悪感が沸く。

393: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:24:21 ID:lMF9w6NQ
『  』を言えるぐらいなら、あたしはとっくに変われているはずだ。

こんな暴走女ではなくて、もっとお淑やかな女子として君臨しているはずだから。


女(こんな考えの時点で底が知れてるわよね)

男「…その、怒っていいから。変な事を言ったのは自覚してるし、つか、また正直にぶっちゃけたから怒られる覚悟なんだけど」

女「っ! そ、そうよこんの目つき悪男! あんぽんたん! まったく何度同じことを言わせれば気が済むわけ!」

女「そう思われることは悪い気はしない! けどね? こっちは謝りたくて謝ってるワケ! それを評価されても、馬鹿にされてるとしか思えないわよ!」

男「は、はいっ!」

女「だから────」



だから?



女「──……」

男「…、……? 女さん?」


だから、何? だから、だからだから、それが何だって?

394: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:30:14 ID:lMF9w6NQ
女「だ、だから…っ」


言葉が中々繋がらない。滞って大渋滞を起こして、きゅっと奥に固まったまま。


だから。


私は彼に何を言いたいのだろう? だから、の後に何を零したいのだろう?


女「ぁ…うっ…」

男「女さん?」


嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。こうまでして自分は自分を制御出来ないのか。

言いたいことを言って、暴れたい時に暴れて、…言って欲しくないであろう事まで我慢できずに。


終いには、言いたいこともちゃんと理解できずにガチガチに固まってしまうのだ。


女「……」


理性も品性もお淑やかさの欠片もない、あたし。ああ、本当にダメな自分は最後までみっともない。

395: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:35:55 ID:lMF9w6NQ
男「あのー…」

女「……ッッ」

唐突に逃げ出したくなった。もはやこれまで、訳もわからず暴れてしまっては男に迷惑しかかからない。


女「そ、その、あれだってば目つき悪男、本当にゴメン、つか怒る場面でもないし、謝ってたしあたし」


手に持ったままであったカゴを床に置く。もう全部起き去っていく、あとで店員に謝らなければ。

些か乱暴に床へと置かれたかごの中で、数々のお土産が衝撃に揺れ動く。


女「……っ…」


その中にはあたしの両親へのお土産と、お姉ちゃんのお土産があった。

たくさんあった。それはもう時間をかけて選んだのだから、たくさんの家族の為に選んだのだから。


女「ごめん、帰る」


息が止まりかけた。踵を返して、その場から去ろう。

ああ、もう本当に、あたしという人間はどうしようもなくって、みっともなくって、本当に───

396: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:40:35 ID:lMF9w6NQ
~~~

女友「…具合悪い?」

女「全然、悪くないけど…なんだろ、でも確かに…」

金髪「確かに? どうした?」

女「…………」



女「…なんだか満足できなかった、って思ってる。そりゃ満足できるほどに計画通りに進められたけど」

女友「ああ、あの呪いの呪文みたいに書かれた計画表ね。完璧だったわ、アレ」

マネ「印刷したら真っ黒だったもんね。字が潰れて」

女「うっさい。けどね、なんだろ、上手く言葉に出来ないのよ。本当にふわふわした感じで…」

金髪「……あのコトだろ」

女「え?」

金髪「男くんの噂だって。あれから色々と聞きまわってみたけど、最後まで主犯がわからなかった」

女「……」

女友「その話はもう忘れよ? なーんも楽しくないじゃん?」

397: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:44:41 ID:lMF9w6NQ
マネ「…気になったままなん?」

女「それは、まあ、そうなんだろうけど」

女友「んだよーまだ他に何かあるとでもいうのかー? やめろよー厄介事は一つじゃなくて、ゼロが一番だぞー」

女「……」

女(どんなに足掻いたって噂は噂。出処を探ろうにも途方にもない時間がかかる、そんな無駄なことしたって無意味だ)


でも、だから、


女「……」

金髪「女」

金髪「今日中に男君と話してみればいいよ。多分、納得できるから」

女「納得…? え、納得ってなによ…?」

金髪「わたしはそう思う。なんだろう、似てるんだよそれって。そう言われたら女は怒るだろうけど」

女「…? なにが?」

金髪「う、ぐっ、ま、まぁ正直に言うぞ…? けれどお前らはダメだ! 絶対に!」

マネ&女友「えーッ!?」

398: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:50:58 ID:lMF9w6NQ
女「………」

金髪「い、いいか? 絶対に怒るなよ、わたしだって恥ずかしい! けれど正直に言う、それが代償だと思ってくれ…っ」コソコソ

女「う、うん…」


コソリ


『──好きな人のためだったら、何処へだって、何だって一緒にしたい、だから男子トイレだって入れるもんだぞ』



女「………はぁッッッ!!?」

金髪「だぁー!? ほら怒るなって言っただろー!!」

女「だからってアンタちょっと…ッ! なにっ、待って、はぁあああ?! あたしがアイツの事を好──」

マネ「なになになになに!?」

女友「どゆことどゆことどゆこと!?」

女「ぐっ…!! 絶対にアンタ等には話さないわよあんぽんたん!!」

金髪「ほぉーらな! 怒った! でも絶対に秘密だからなぁー!」

マネ「な、なんなんだよぉまったくもぉ~…」

399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 21:58:18 ID:lMF9w6NQ
女「…ッ…ちょっとぉ!? さっきの発言はマジで犯罪ものだったけど、あ・え・て! スルーしとくわ!」

金髪「う、うんうんうん…」コクコクコク

女「……、本気でそう、思ってるワケ?」

金髪「わ、わたしにはそう見える! 女があそこまで暴れて、でも結局解決できなくて…っ」

金髪「今になっても諦められないのは……それでいても、同時に諦めたいって思ってるのは……」

女「…っ…」

金髪「──結局、それが想いだからだろ」


~~~


女(納得なんて出来やしない。結局最後まで自分のわがままだった、むしろそれが確実にわかっちゃったわよ!)

女(ああ、嫌だ、どうしてもっと効率よく生きられないのかしら。人の問題に怒って、見過ごせなくて、スルーできなくて、)


だから、だから、


女「…もう嫌」


駆け出した足を真っ直ぐに、全てを置き去りにして走る。全ての想いを投げ捨てて、えいやっと捨て切った。

400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 22:04:24 ID:lMF9w6NQ
女(あたしは、何時、こんなあたしから変われるのだろう)


だから、……だから、


女(このまま消えて失くなりたい──)


男「待って!」

女「──……!」


ぎゅっと、握られた手。予想以上に固くて、男っぽい手が掴んでいた。


男「……」

女「……」

男「あ! えっと、そのー…」

女「…なによ、離しなさいよ、痛いのよ」

男「えっ!? ごめ、うっ、い───嫌だ! この手はっ! 離さないっ!」

女「ふぇ?」

男「お、おおお、男として、駄目な気がする! から、うんっ、絶対に離しちゃいけない気が、するんだ…っ!」ぎゅっ

401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 22:10:33 ID:lMF9w6NQ
女「なっ、ななにを!? 言ってるのよアンタは…!?」カァァ

男「わからない! もうなんで掴んじゃったんだろうってテンパってる! でも、でもだ!」

男「どうしても、離しちゃ駄目なんだ! だって、お土産を……」

女「お土産…?」

男「お土産…お土産、そう、お土産! まだ最後のやつを選んでもらってないんだし!」

女「はあ…?」

男「まだあるんだって! 女さんが言ったじゃんか、自分に任せろって! だから最後までちゃんと手伝ってもらう!」

女「も、もう勝手に選んでなさいよっ! 良いから離しなさいってば! この…っ! 殴るわよ!?」

男「殴られても良い!」

女「あー本気なのね!? じゃあ殴ったるわよ一発で仕留めるっ!」ギュグググ

男「でもその前にこれをーーーッッ!!」


ババッ!


女「……ぇ」

男「こ、この髪留めを見て欲しい…! ど、どうかな…? これだけはちゃんと教えてほしいんだ、良いか、悪いかで良いから…」ち、ちらり

402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 22:15:04 ID:lMF9w6NQ
女「…かわいい」ぽそり

男「本当に!?」

女「えっ、あっ!? なによ急に!? こんなこと言ったって誤魔化されないわよ!?」

男「誤魔化すも何も、その感想を貰えれば満足だって。女さん、ほら…」


スッ


男「とっても、似合うから」

女「………」

男「あぁ良かった。これはちゃんと相手にそった買い物だったんだ、良かった~」ホッ

女「これを、あたしに?」

男「うん。後で買い物を手伝ってくれたお礼とか、今までの謝罪とか、…昔の謝罪とか謝罪とか」ズーン

男「それを込めてあげようと思ってたんだけど…途中で表情変わって、帰ろうとしたし…」

女「………」

男「何か俺したかもしれない! と滅茶苦茶怖くなってしまいましてね、ええ、すみません…強引だったと思います」ぱっ

男「…あれ?」ぐいぐい

403: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 22:20:39 ID:lMF9w6NQ
女「………」

男「お、女さん? 手がちょっと……離せないというか…?」ぐいぐい

女「でも、こんなかわいいの、あたし、似合わないってば…」

男「? え? すごく似合ってるよ? だから買おうと思ったんだし」

男「───今の女さんに凄く似合ってるから」

女「……」


溢れだす。これでもかと抑え切れないぐらい溢れだす想い、感情、果てのない高鳴り。


女「あ…っ…」かぁぁぁ


どうしよう、これって本気であれなのかしら。

今の今までの感情が子供の駄々みたいにしょうもなくみえるぐらいに、

今の感情の制御の仕方、わからない。


女「…あ、あり」


だから、だから、かろうじて誤魔化してみせるのだ。

404: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 22:25:24 ID:lMF9w6NQ
絶対に言いたくない言葉。【今】、という自分は本気で大っ嫌いだった。

誰かは格好いいと言ってくれた、誰かはセンスの持ち主だと言ってくれた。


でも、【今】のあたしは一度だって自分を認められなかった。

だから言ってくれた人たちに返す言葉も、どれもこれも、否定な単語ばかり。


変われない。どんなに望んだって【今】のあたしは絶対に認められない。



『今の女さんに凄く似合ってるから』



感情が反転する。全ては逆の方へと向かっていって、あたしの両手から離れていってしまった。


制御なんて、出来やしない。


だから、私は本当は言いたかったのだ。こんなあたしを認めてくれる、その人達に。

だから、この言葉を感謝の印として送りたかったのだ。


女「…ありがとう、おとこ」

405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 22:30:03 ID:lMF9w6NQ
信じちゃいけない言葉。口にしては駄目な言葉。


──でも、ここで怒らないとしたら? あたしは彼に『ありがとう』ともし言えたのなら?


ああ、そんなのは結局簡単なことだった。



男「うん!」



この笑顔を、あたしはもう一度見たいと思っていたのだから。


女「……」ぎゅっ

男「それじゃあ、その買ってくるけど。女さんも買い物済ませたの?」

女「ん。これから済ませる、一緒に行きましょおとこ」

男「え? あ、う、うん…わかった…?」

女「なによ?」

男「い、いや、なんだか雰囲気が…いや、なんでもないけど」

女「そ。ならイイケド」ぷいっ

406: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 22:35:49 ID:lMF9w6NQ
男「……?」

女(見られて、ないわよね? 今の顔、絶対に真っ赤だもん、見られたら死ねる、死ぬ覚悟決まる)スタスタスタ


どっかの変態が言っていた。

これからの物語は『青春』で始まって『青春』で終わるのだと。

だがしかし、あたしは少しだけ、その青春とは違う物語を想像できた。


女「……」ドキドキ


いまだ離せないでいる、それとなーく繋いだままの手と手。

気づくまで後数秒、恥ずかしがって振りほどくコイツ、さも今気づきましたと怒るあたし。

どっちだろう。でもどっちでもいい、そんな面倒臭いことをやってみたい。


この恥ずかしくて、熱くて、固くて、それでいて──甘い、感覚にあたしは見るのだ。



女「…青春、やったろーじゃないの」


何処へだって、あたしは一緒に行ってやる。

407: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/01(金) 22:37:14 ID:lMF9w6NQ
第二十九話『青春への新しい青春≪つっこみ≫』


次がラスト
今月中に現れます ノシ

409: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/11(月) 21:22:06 ID:apJvOwlE
イケメン「忘れ物はないか? イケ友、君が一番心配なのだけれど」

イケ友「まかせんしゃい! バッチシそろってキャリーに入れ込んだぜ!」

男「あれ? このパンツは誰のー?」ヒラヒラ

イケ友「きゃー! おれっちのだわ! 男ちゃんのえぅっちぃー!」

男「えっ!? い、良いから早くしまいなよ!」

イケメン「……」

男「おい。自分もここで忘れ物を装えば、ツッコミもらえるとか思ってないだろーな」

イケメン「へへっ」

男「笑うな!」


同級生「ふわぁ~、何? まだ君ら準備終わってないの?」ガチャ

イケ友「丁度終わったところよ。同級生も○○○おわった?」

同級生「き、君ねぇ~…よくもまぁ言ってくれるよ、違うから、小さいほうだから」

不良「そうか。じゃ、気兼ねなく出来るな」ガチャ

同級生「え」

男「そういや、イケメンはお土産買った?」

410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/11(月) 21:28:55 ID:apJvOwlE
イケメン「勿論さ。親と元部活動エンバーに色々とね」

男「ふーん…」

イケメン「君は? まぁ大きく膨らんだカバンを見れば、わかるけれど」

男「ん? ま、まあな…」テレ

イケメン「? どうして照れるんだそこで?」

男「んんっ!? な、なんでもないってのッ! うんッ!」ババッ

イケメン「……」じぃー

男「…なんでもないって…」プイッ

男(言えるわけがない。女さんと一緒に小一時間、ずっと変なテンションで盛り上がりながら選んだってこと)


女『これだけキチンと選べば、お母さんだって喜ぶんじゃない? えっへへー』


男(凄く気になる。なんだあの急激に距離が縮まった感じ…うぐぐぅ…誰かに相談したい、言いたいけれど、むぐぐ)ギュウウ

イケメン(なんだろう? 急にそっぽ向いて、お腹を押さえるなんて、あっ!)

イケメン「我慢してるのか?」

男「えっ!? な、なんのことだよ!?」

411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/04/11(月) 21:47:07 ID:apJvOwlE
イケメン「ははっ、誤魔化しても無駄だよ。オレにはきちーんと見破ってしまってるのさ」

男「なん…だと…」

イケメン「大丈夫。確かに言いずらいかもしれないが、みんな気にしたりしないよ」

男「ほ、本当に? 馬鹿にしたり…しない…よな?」

イケメン「もちろん」

男「じゃ、じゃあその…実は一時間前…」

イケメン「一時間も我慢してたの!? それはっ、なんだろう! 些か我慢強すぎるよ!」

男「うん? まぁ、色々と変に盛り上がってしまって…」

イケメン「そ、そりゃそれだけ我慢すれば…盛り上がるだろうね…」

イケメン(だからお腹を押さえてたのか…なるほど…)ゴクリ

イケメン「じゃ、じゃあ悠長に話してる暇なんてないだろうに! ほら、早く行ってきなよ!」

男「ふぇぇっ!? もう周りに言っちゃうの!? も、もう少し心の準備が必要で…っ」

同級生「どうしたんだ?」

イケ友「どったの急に騒ぎ始めて?」

イケメン「ふたりとも! 男君がいやに頑固者なんだ! 説得してくれ! きっとこのままじゃ…っ」

415: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/05/06(金) 20:20:52 ID:uYIsFACA
イケメン「人の目も気にせず…ッ…全てをぶちまけてしまうかもしれない…!!」

男「ぶち撒けねーよ! 何いってんのお前はぁ!?」

イケメン「一時間も我慢してたらあり得る話だろ…?」

男「が、我慢我慢って…さっきからちょっと聞き捨て為らないんだが、何なんだよそれ…!」

男「俺は別に、…良いんだよ…気のせいかもしれないし…単なる俺の勘違いかもだし…」

イケメン「勘違いってことは無いと思うけど…!」

男「もうなんだって良いんだよ! あーもう、お前に感づかれると本当に面倒なことになる…っ」

イケメン「うぐ…君は本当に…で、でも本当に本当に我慢の限界が来たらどうするのさ…?」

男「えっ? そ、それはっ、その~…」

男「…お、女さんに少し、聞いてみるかな?」ポリポリ

イケメン「アイツに主導権握られてるの!?」

イケメン(ここでまさかの女のやつが出てきた! 男くんのトイレ管理を…っ…アイツ何やってんの…!?)

男「ばっ! バカ言え! お、俺だってやるときゃやるんだ、だから、…ちゃんと言い切ってみせる、と思う」

416: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/05/06(金) 20:40:00 ID:uYIsFACA
男「うん、いけるな、多分だけど、言えるんだよ俺は…」テレテレ

イケメン(しかもちょっと照れてるし!! いつの間にだよ! いつからそんな関係なのさ!)

男「な、なんだよ? そんな目で見て…」

イケメン「だ、だってそう思うだろっ? そ、そんないかがわしいことになってるなんて…! しかもマニアック!」

男「マニアック? いや、待て、なんだそれ、俺は一緒にお土産を選んだだけであって…!」

イケメン「我慢を強要されつつ!? 公共の場所で…!?」

男「うぐっ、言い方が悪いだろ! お、俺が気まずそうにしてるのを女さんが楽しんでるみたいな言い方…!」

イケメン「そりゃそうだろう! それが狙いだもの!」

男(えっ? そうなの?)【女友達&彼女経験なし】

男(じゃ、じゃあ急に近づいてきたりしたのも、失言しても笑って済ませてくれたのも全部、狙ってやってたってこと?)

男「戸惑う俺を高みの見物で楽しんでた………?」

イケメン「お願いだよ男くぅーん! 目を覚ましておくれ! 何の弱みを握られたのかわからないが、出来ることがあったらオレがなんとかするから!」

男「………。そう、だよな、お前は幼馴染だし、俺だって……本当のことを知りたいし…」

417: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/05/06(金) 20:44:54 ID:uYIsFACA
男「電話、そうだ電話をしよう。今から女さんの携帯にかけて聞いてみたい」

イケメン「男君…!」


イケ友「んー、よく分からんけども。とにかく女っちに電話したいんなら、ほれ」ヒョイ

男「え、準備してくれてたの?」

イケ友「話の流れ的にな! ワンプッシュで繋がるぜ、男ちゃん」

男「う、うん」ゴクリ

ぴっ! prrrrrrrrr

『はい? もしもしアホ? 何を急に?』

男「あの…もしもし…」

『……、なんで目つき悪男が出てるわけ?』

男「その、実はイケ友から携帯を借りてて…今になって思えば女さんの番号知らないなって…」

『あれ? そうだったっけ? そっか、なら今度教えるわ』

男「お、おぉう…」

418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/05/06(金) 20:50:08 ID:uYIsFACA
イケ友「今更だけどイケメン、これ何で電話したん?」

イケメン「雌雄を決する時なのさ、そうそれは下克上と呼ぶんだ」

イケ友「なぬ!? よくわからんがとにかく男ちゃん頑張れって感じだよな!?」

イケメン「その通り!」


『…なんかそっち騒がしいわね。また馬鹿やってるんじゃないでしょーね』

男「あ、あのさ女さん!」

『な、なによっ?』

男「実は女さんに聞きたいことがあるんだ、だから、素直に本当のことを言って欲しいなって、思う」

『急になによ…?』

男「…さっきのお土産屋でのことなんだけど」

『……!!』


~~~

419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/05/06(金) 20:57:10 ID:uYIsFACA
『さっきのお土産屋でのことなんだけど』

女(……!! 嘘、なにちょっとやめ、嘘っ!?)カアアア

女(もおこんなすぐさま訊かれちゃう!? た、確かに色々とやり過ぎたなって今では、悶々としてたけど…!!)


マネ「?」ヒョコ


女「っ」

女(お、落ち着きなさい、あたし。ここで慌てればコッチのバカどもに勘付かれちゃうわ)

女(冷静に冷静に…あたしは至って普通でクールに聞き遂げるのよ、どんなことを言われても)フゥー

女「そっ、それが何よっ? なにか問題でもあったワケっ?」ヒクヒクヒク

『問題、というか。俺が思ったことだから変に捉え過ぎてるなんて言っちゃえばお終いなんだろうケドも…』

女「っ…っ…っ…」ドッドッドドッドッ

『女さん』

女「…う、うん…!」ゴクリ

421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/05/12(木) 18:52:53 ID:SFfSqDFM
『なんか…さっきまでの女さんって、その色々と変だったなと、思うわけで…』

女「変!? 変ってなによ、ちょっとどういうコトよ!?」


女友「んん?」


女「うぐっ、うじうじ言ってないでハッキリ言いなさいハッキリと…!」

『だ、だからさ! 距離が近くても怒らないって言うか、気にしないで話し続けてくれるっていうか…っ』

女「うっ」かぁぁぁ

『でも、それって、…つまり女さん的に言わせれば…』

女(い、言わせればぁ!?)

『──俺をからかってる、のかなあって…』

女「………」

女(からかってる? へ? なにそれ、どういう…)

女(ハァッッ!? あ、あたしが余裕綽々でアンタを相手取って高慢ちきな駆け引き気取ってるって言いたい訳!?)

女「んなっ、ワケ…ッ…待ちなさい、こういった話はアンタ一人じゃたどり着けるわけがないわ…!」

『うぐっ!』

422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/05/12(木) 19:02:41 ID:SFfSqDFM
女「その反応…やっぱり変態が要らない入れ知恵した訳ね!? ちょっと変わりなさいそいつと!」

女(妙に察しが良い展開だと思えばやっぱりこれだわ! 文句行ってやる!)

『…オレだが』

女「ちょっと変態!? あ、あんたねぇ…!? 目つき悪男にヘンなこと言わないでくれる……!?」

『何を言う。そっちが変なことを正そうとしているだけだ、状況をおかしくしたのはお前のほうだろう!』

女「はぁ? 何を言って…」


マネ「ねえさっきから誰と電話してんのー?」

女友「その感じ。イケメン君っしょ? えっへへー、アンタの態度はわかりやすいんだよねー! かわってちょ!」ブンドリ


女「あっ! ちょっとやめなさいよ!」

女友「あ! イケメンくん? 昨日は本当に───」

『お前には心底失望した! 男くんのべ……べ、便意を管理するのが、趣味になったとは謂いも知らなかったぞ!?』

女友「──………」

『今更誤魔化してもオレは騙せ無いからな! 男君から聞いたぞ、お土産屋でか、彼が便意に困ってる姿を悦として眺めていたとな…!』

女友「」ガクガクガクガク

423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/05/12(木) 19:23:07 ID:SFfSqDFM
女「ちょ、何よその反応…?」

女友「…ひ、人の愛情表現は人それぞれだと思うわけですから私的にも特に言うことなんて無きしにもあらずというか…っ」ポロポロ

女「なに泣いてるのアンタ!?」

女友「うわーん! 知らないうちに女が金髪みたいにド変態になってたよー!」がばぁ だきぃ!

マネ「えっ?」

女「はぁッッ!? 本気で何言ってるワケ!?」

金髪「…本当に何を言ってるんだお前は…」

マネ「女友っちがここまで取り乱すなんて…女ちゃん!? 一体どうしたっていうんだい!?」

女「あたしが知りたいわよそんなモン! 電話返しなさいよまったく!」バッ

女「ちょっと変態? さっきのもう一度言ってくれない?」

『何!? 羞恥心を堪えて言ったというのに、お前はもう一度オレに言わせようってのか!?』

女「アンタまじで何言ったの!?」

『くそっ…幼馴染のオレでさえ快楽の対象として見てるのか…!』

女(全然先が見えない会話なんだけど…)

『ならもう良い! そっちがその気ならオレにだって考えがある! 良いか、心して聞け…!』

428: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/25(日) 04:21:02 ID:RvuZW4eI
『そう出るなら断固拒否、今後はオレが男君の管理をする! へへ、どうだまいったか女…!』

女「は? 一体急になにを…」

『男子トイレまで最終的に見張れるのはオレだけだ、ハァーハハッ! ざまみ──ごはぁ!?』バタリ

女「……。ご苦労、修学旅行前の約束守れたようね」

『お騒がせした…そっちの誤解解消は出来れば女さんに頼む…』

女「あんたも大変ね。いや、こっちも大変だけど」

『まぁうん、取り敢えずごめん。じゃあこれで』ピッ

女「はぁ~、アンタもぴーぴー泣いてないで立ち上がんなさいよ! まったく!」

女(──にしても心配なってきた、最終日に問題ごと起こさないでよアイツ等ってば)


~~~

同級生「今にして思えば、この修学旅行はコイツのポンコツ具合を知れるいい機会だった」

イケメン「ポンコツ…」

男「いや間違ってないから」

イケ友「最終日だからってひねり出し過ぎだぜ、まだやりきれなかった感じ?」

男「なわけない、絶対に。一番楽しんでたのコイツじゃん…」

429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/25(日) 04:29:13 ID:RvuZW4eI
イケメン「オレ個人としてはお酒のせいで記憶が殆どないワケで…」

同級生「なおさらたちが悪いなポンコツ」

同級生「はぁー、もういいや。最終日まで付き合ってたらこっちまでアホになりそうだ」ガチャ

男「あ。…どこいくの?」

同級生「販売機、コーヒー飲んでくる」

男「そっか…」

同級生「……。何してるんだよ、君も来るんだよ」ジィー

男「え? お、俺も?」

同級生「当たり前だろ、先に行ってるからな」スタスタ

男「えぇちょっと!? 勝手に言って勝手に行くなよ…!」


自動販売機前


同級生「微糖と」ピッ ガタコローン

男「はぁ…はぁ…同級生君、足、早いね…」

同級生「まあね。足長いし、君チッコイし」カシュッ

430: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/25(日) 04:40:44 ID:RvuZW4eI
男「ちっこい言うな。はぁー走り疲れた、俺も何か飲もう。ん? コレ、お釣り入ったままだけど…」

同級生「そのまま買えば?」

男「……。いいよ別に、俺は俺の金で買う」ピッ チャリーン

同級生「ハッ! ありありと目に見えた偽善どーもアリガトー」

男「な、なんとでも言ってくれ。自然に装うとか無理だし、でもやりたくなかったし」ピッ


ゴローン


男「というか、そうやって試すのやめてくれない? 遠慮しても無遠慮でも、良い印象ないじゃん」

同級生「…何いってんの、そんな僕であったからこそ、君が青春に誘ったんだろ」

同級生「意地の悪ぅーくて金持ちで鼻につく、何やらせても目についてウザったい」ハッ

同級生「──なのに今更否定? ほらもう未知の青春とやらの底が見えた、君がいう楽しい時間ってのは何時始まるのかなぁ?」クク

男「……」カシュッ


男「うん。だから否定する、君のこと」


同級生「………何?」

431: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/25(日) 04:53:12 ID:RvuZW4eI
男「俺が気に食わないなら言うよ。だってそれが俺の【役割】みたいなモンだし」

男「…今はそれしか知らないけど、俺だってまだ、皆で楽しい時間は慣れてない。やれることを、やるだけなんだ」

同級生「ふん。君の主張は何時だって正しいの? 他人にとって認められるものだと?」

同級生「それは独りよがりで独善的だね。子供の言い訳のほうがまだ社会的だ」スッ

男「あのさ、同級生君って調子に乗ると硬い口調になるよね」

同級生「ッ、くっ…何を急に…っ?」チャポッ

男「いやぁ、見てると懐かしなぁって。一年前の俺見てるようで…」

同級生「そ、そんな憐れんだ目で僕を見るな! 失礼だぞッ! 失敬な! 君と僕は違う! 全然!」

男「またその話ぶり返す?」

同級生「むぐ…っ」

男「あのね、別に俺の言葉なんて信じなくていいよ。言いたいことを言う、それだけなんだし」

男「それを否定するのも同級生君、きみの勝手で良いんじゃないの?」

同級生「…否定…」

男「仲良しこよしなんて望んじゃいないよ。嫌なら嫌でいい、…無理して付き合うほうが、よっぽどだ」

男「──楽しいことをしている時の否定しあいは、結構、幸せだと思うよ」ニッ

432: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/25(日) 05:02:48 ID:RvuZW4eI
同級生「…君は笑うんだな、本当に」フィ

男「え?」

同級生「知らない顔だ。…知らなくて当然か、一年前とは違うんだもんな」ボソリ

同級生(──凄いな、あの時の保健室で見た彼が【こんな風】にまで変わってしまうんだから)

~~


同級生『センセー、授業ダルいんで眠りにきましたー』ガラリ

『……』

同級生『あれ、先生居ないのか? ねぇそこの君、何か聞いていない?』

『……』スッ

同級生(──キモ、目暗っ、……【本当に生きてるのかコイツ?】)ゾク


~~

男「同級生君?」

同級生「…勝手に同情して、勝手に重ねてたのは僕の方だ」

同級生「ハハッ! 青春ねェー本当に充実できる楽しい日々が過ごせるのなら、まるで魔法の言葉のようだ」

433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/25(日) 05:13:41 ID:RvuZW4eI
男「俺も最初はそう思ってた。でもね、これが案外信じてもいいかなって思えるんだ」

同級「ほお? その根拠は?」

男「うん。それはね──はい、これ交換しよう同級生君」スッ

同級生「は? なぜ君が買ったモノと僕のを?」

男「それ微糖だよね? ろくに確認せず買ったと予想するけど、俺のはココアだ」

同級生「……本当だ」チャポッ

男「だから交換。俺は微糖でも行けるし、同級生君は甘いほうが好きと見た」


男「──そして、こんなコト言えるようになるのはきっと、青春だからだよ。たぶんね」


同級生「…………、」ギュッ

同級生「はは、くせーセリフだ…」スッ

男「…知ってる、超恥ずかしい…」カァァ

同級生「でも、言いたくなる否定ってか。そりゃ魔法だって思っちまうなぁ、うん…」

スッ

同級生「なら取引だ。僕なりに青春にならって動いてみよう、それが僕に出来る最大限の譲歩だと思え」

434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/25(日) 05:22:28 ID:RvuZW4eI
男「……俺の回りは取引だらけだな」

同級生「なにか不満でも?」

男「滅相もない。同級生くんが俺と友だちになってくれるって言うのなら、大賛成だ」スッ

同級生「僕と友達なんてさぁ、ポンコツもそうだが、君も相当なアホだな。類は友を呼ぶとは本当だったか、でも」スッ


カツン


同級生「せいぜい利用してやるよ、青春の糧とやらにね」ニッ

男「…此方こそ、頑張って否定し『尽くして』みせるよ」ニッ


~~~


同級生「このまま僕は辺りを見回ってくるよ。君は部屋で帰宅準備をしたらいい」

男「え、俺もついて行くけど…」

同級生「いいよ邪魔くさい。そこまで許したつもりはない、僕のプライベートあっての関係性だ」キッパリ

男(つっけんどんだけど、凄く共感できる…ここはイケメンとか他の連中とはない親近感…)

同級生「君も楽しいからってベッタリくっつきあうの程々に。…昔の君のほうが幾分知的な雰囲気だったぞ」

435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/25(日) 05:32:29 ID:RvuZW4eI
男「それ、遠回しに自分を褒めてる感じ?」

同級生「馬鹿な! 当時の君と僕を一緒にするんじゃあないッ! マジで…! …本当にだぞっ?」

男「段々と傷ついてきてるんですが…」しょんぼり

同級生「わ、悪く行ったつもりは無いんだけどね…!? ……いや、悪いか。と、とにかくだ!」

同級生「僕は一人で行動したいんだ。後は勝手に一人で青春探しでもしてくればいい、それだけだっ!」バッ

男「あ…」

男(行ってしまった。というか青春探しって…別にそんな目標掲げてるわけじゃないんだけど…)ポリポリ


廊下


男「ん?」

イケ友「おっ? 男ちゃーん、どったのこんな場所で」

男「そっちこそ廊下で何してんの? またお土産でも?」

イケ友「うんにゃお土産は無し。兄妹全員分買うお金ないどころか持ち運べる自信がない」ブンブン

男「想像以上に大変なことになってる! む、無理してでも買っていったほうがいいんじゃ…」

イケ友「んー、持ち運びはやれなくもない。バスの隣席が辛いだけだ、けど金の問題がなぁー」

437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/26(月) 05:06:40 ID:IfToGmt6
男「お金ぐらいなら俺が貸すけど…」

イケ友「ちょいちょーい、既に電車賃借りっぱなしじゃんか。ばっか良いんだっての~」ヘラヘラ

イケ友「兄妹も別に無理して買ってくんなと言ってたし、それで良いんよ。それで」

男(本当に良いのかそれで…最初で最後の修学旅行…思い出とか、色々とあるはずなのに…)

イケ友「………」ジッ

男「ん? 何、こっち見つめて…?」

イケ友「またおれっちのことで悩んでくれてんの?」ニッ

男「へいっ!? いやっ、そのっ別に悩むとかそこまでのことは…っ」

イケ友「またまた。男ちゃんはすーぐ人のことで悩んじまうなぁ、良いやつだ良い奴、うりうり~」グリグリ

男「うぉぉ…」ぐわんぐわん

イケ友「お土産に金使えねーのは楽しめた証拠だ。つまり、修学旅行で楽しめたって意味にもなるってのよ」

イケ友「つーワケで、お土産はねえけどお土産話はたっくさんあるってコト! 十分、それで十分」

男「あ、ああそういう考えも出来るのか」

男「……。ならもうちょっと思い出づくりする? お土産話、増やしたりしよっか?」

イケ友「おっ? 何それ楽しそう! ここで、今のタイミングで!? 何作るんよ男ちゃん!?」

438: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/26(月) 05:18:51 ID:IfToGmt6
男「そうまで期待されても…」タジ

イケ友「カァー! 男ちゃんならきっと三日間以上の思い出今から作り出せそうだわ~!」

男「いやに期待しすぎ! どっから湧いてくるんだその信頼度…!」

イケ友「だってよぉ、──ま、今は良いや。んで? どうするよ? なにしちゃうよこっから?」ワクワク

男(変に期待されまくってる、何かいい案は。イケ友が喜びそうなコト…思い出にガッツリ残りそうな、)

男「あ。そういや」

イケ友「うん?」ニコニコ


レストラン


男「やっぱりあった。ここも旅館内に施設があって、雑誌にも乗るぐらい有名らしいんだ」

イケ友「おぉ…」キラキラ

男「って、先日一緒にな、ナンパしたお姉さんが言ってた…」

イケ友「雑誌編集者の人だろ? ダッハー、男ちゃんってば即時結婚だわー!」

男「即時即決」

イケ友「そうともいうー! じゃあじゃあ、早速入ろうぜ? 勿論、教師にバレないようにな!」だだっ

439: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/26(月) 05:32:17 ID:IfToGmt6
イケ友「って待て、おれっち金ねーですよ?」ピタリ

男「そこでお姉さんの話が意味出て来る。…ほれ、これを見よ」ゴソリ

イケ友「な、なんだと…そりゃどこをどうみたってお食事券…!?」

男「断ったんだけど貰ってしまった。お話きかせてくれたお礼にだって、それにここビュッフェスタイルらしい」

イケ友「ビュ…?」

男「食べ放題ってこと。これなら存分に楽しめるよ、きっとね」


~~~

イケ友「んまァ~~~~いいいっ!! な、ななななんだコレェ!? 肉汁のシャワーが口で弾けるぜ!?」

男「美味ェ…人生損してた、こんな旨いサラダなんてあるのかよ…」

イケ友「うさぎさんかチミはっ! 肉を食べなさい肉を!」モシャモシャ

男「食べてるよ食べてる。でも昨日の夜と朝に出された定食より味に違いがあるのは何故だ…」

イケ友「もごもご。提供する区間がちげーんだろな、一般客は旅館でここはオリジナル」つんつん

イケ友「扱ってる食材違けりゃ職人すらちげーだろうよ。ナハハ、裏で喧嘩とか起こってそう」

男「ふーん。随分詳しいね、イケ友」

イケ友「よくぞ聞いてくれた。このイケ友、食に関しちゃ何時もより数百倍のやる気が出ちまうのさ!」

441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/26(月) 22:38:46 ID:9OU8Mfmk
男「ふーん…」モグモグ

イケ友「ありィ? そこまで驚かれなかった感じ…? 結構頭良さ気なこと言ったつもりだけど」

男「え? あ、うん、まあね。文化祭の時のイケ友、だって凄かったじゃん
  食品管理に保存方法、あと残量計算とかポンポンやってたし。あーこういう仕事向いてるんだなぁ、と」

イケ友「おうっ?」

男「それに勿論、クレープにたこ焼きも完璧だった。つまり、イケ友のかっこよさは既に知ってましたと」

イケ友「………」ぽけー

イケ友「んん~~、まいったなこりゃ」ポリ

男「どしたの?」

イケ友「おれっち褒められるの超好きだけど、思わぬ方向からぶっちゃけられるとテレるわ」ブニー

男「ぶふっ!? ちょ、照れ隠しなのか知らんが変顔で誤魔化すなよ…!」フキフキ

イケ友「お、おお、でも本当になぁーなんだろうなぁー」フキフキ

男「何が…? まだあるわけ?」

イケ友「なんで男ちゃん、男なの?」

男「…………」

男「は?」

442: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/26(月) 22:59:32 ID:9OU8Mfmk
イケ友「なんつーかね、ふと兄妹のこと思い出しながら飯食ってたらお袋が頭浮かんじまってよ」

イケ友「よく言うんだよおれっちに。──オンナ作るんならまず『褒め上手』を捕まえろ」

イケ友「次に『舌の価値が一緒のやつ』で、もうひとつが『自分の意見を言える根性』みたいな?」

男「う、うん…」

イケ友「んで最後が『私に似たオンナ捕まえるな』だ。どうだ、ヤバくねおれっちのお袋?」ニシシ

男「ひ、人んちの家庭事情に感想言うのはアレだけど…相変わらず凄いね、お母さん」

イケ友「そりゃ数十回再婚するぐらいだしな。考えてるコト含め言うこともヤバイだろうよ、んでもってさっきの事な」

イケ友「色々と考えてみた結果、男ちゃんがベストマッチしててマジビビってる」もぐもぐ

男「平然と語ってるけど、お、俺どーみたって男だしわかってる?」

イケ友「もちのロン。でもあれなんだよなぁ、修学旅行中に彼女と別れたって言ったじゃんおれっち」

男(そういやそんなこと言ってたな…)

イケ友「あれ、お袋にこっぴどく叱られたせいなんよ。頭からばっさり、彼女泣いて帰っちゃったし」ぴこぴこ

男「そりゃひでぇ! そこまで介入してくんのお母さん!?」

イケ友「してくんの。だからおれっちも意地になって、お袋に認められるカノジョ見つけようとしててー」

イケ友「今のところ惨敗。超腹が立つし、見る目無ぇとふざけたこと言われる始末だし。くぁー思い出しただけで腹立つしィ!」

443: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/26(月) 23:14:05 ID:9OU8Mfmk
イケ友「──そういやおとこちゃん、まだメイド服持ってる?」キョトン

男「もっと必死に頑張れ馬鹿ッ!!」

イケ友「わー理解がはやいなーおとこちゃんは~~」ウフフ

男「嫌な予感したらこれだよ…ッ! まったく、イケ友はお母さんに認められなきゃカノジョ一人も作れないのかっ?」

イケ友「わ! カッコ良いこと言ってくれちゃってまあ、…まあたしかにな。おれっちらしくもねェ」

男(そんな関係性持ったことがない俺がいうセリフじゃないけどね…)ドンヨリ

イケ友「でもよ、彼女作りなんて結局最初からお袋ギャフンと言わせる為の手段つーか? 最善策てーか?」

男「動機が感情移入しにくいなほんっとに…だからちゃんとしたいい子が、見つからないんじゃないの?」

イケ友「…え?」

男「だから、目的がいい子と付き合うじゃないから見破られてるんじゃないのかって話で──」

イケ友「──その通りかも知れん、思えば背負投された時も言われてたわ…」

男「本当に凄いなお母さん…」


『テメーそりゃ前に別れたバカの再婚相手の娘じゃねーか、塩もってこーーい!!!』


男「本当に凄いなお母さん…!!」

444: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/26(月) 23:49:31 ID:9OU8Mfmk
イケ友「別れた夫の再婚相手の娘までフツー把握してるかよカッケーなオイ! とかしか思ってなかったけど…」

イケ友「思えばそれは、おれっちが見境ないせいで起こったことなのかも知れん…」わなわな

男「ごめん、全然わからない普通じゃなさ過ぎて」ブンブン

イケ友「ん。だったらやっぱおとこちゃんだな、決まり」

男「もっと分からない展開になってきてない!? はぁっ!? 何が決まったの今!?」

イケ友「いや一種の賭けよ。ぶっちゃけぶん殴られる覚悟でおとこちゃん紹介してみたい」ジッ

男「ま、待てバカ! おいおバカ! もうバカバカ言ってやるよバカバカ!」

イケ友「大丈夫大丈夫! もしあっち手え出してきた本気で対抗して投げっぱなしジャーマンすっから!」

男「何が大丈夫だ馬鹿野郎! ものっそ家族喧嘩なってるじゃんそれ!」

イケ友「日常茶飯事だっつのよい。ね、ね? お願いおとこちゃん、本当にお願い、一生のお願いだから…ね?」

男「っ~~~…な、なんだよそれ…一生のお願いとかここで使うんじゃないよ…っ」

イケ友「ちゃんとイケメンに内緒にしとくから!」パンッ

男「いらんわそんな秘密! …いやっ、でも面倒になりそうなんでこの会話自体秘密にしておいて…」

イケ友「では了承と受け取っても?」

男「なわけあるかーっ!」ガァー

445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/26(月) 23:54:19 ID:9OU8Mfmk
イケ友「やっぱダメかー! てへ! でもよ、ちょっとワンチャン狙っても良い?」ゴソゴソ

男「ワンチャンってなんだ…」

446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/27(火) 00:03:48 ID:MmOiTMvI
イケ友「やっぱダメかー! てへ! でもよ、ちょっとワンチャン狙っても良い?」ゴソゴソ

男「ワンチャンってなんだ…」

イケ友「今かお袋に写メ送るから、大丈夫、手元らへんだけ。それでどう感想来るかみてみたい」ワクワク

男「うっ…微妙にやってみたい感が湧いてしまった…」

イケ友「いざとなったら冗談でしたーって、お袋に言うし。そんときゃ鼓膜潰されるぐらいで済むっしょ」ニッ

男「ごめんやっぱ止めたい…! 凄く止めたいけどなんだその笑顔…!」

イケ友「へーきへーき、そこまでおれっちヤワじゃない。丁度おとこちゃんジャージだし、一応は誤魔化せられるな」

男「…うぐ…っ」ピロローン

イケ友「えーと、文面は『この子どうよ?』っと」ぽちっ

男「本当に大丈夫なのか…? 人によっちゃ指の形ですぐに分かるって話だけど…」

ポヒュッ!

イケ友「お。もう返事来た、めずらしー。どれどれ…」


『それカルディーのフォロミールドレッシングか? 女子力たけーなオイ』


イケ友「…、ですってよ?」

447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/27(火) 00:12:51 ID:MmOiTMvI
男「サラダに食いついてるじゃん…それに微妙に俺が男だってバレてる感ないコレ…?」

イケ友「そお? おれっちには分からんが、一応は褒めてると思う返事だと…」

ボヒュッ

男「また返事だ。どれどれ──」


『気に入った。今度作れてこいアホ息子』


男「──ん……?」

イケ友「ほぉー! すっげすっげ! 嘘だろ!? お袋から誘ってきやがったぜ!?」

男「…え、待って、なに、決まったの? もう今いくこと決まったの…!?」

イケ友「全然バレてないって男ちゃん! こりゃ顔合わせたとき、ククク…いい顔がみれそォーだぜェ…!」

男「待てって! こっちの都合ってのも考えて…!」

『よし。仕事に都合つけて無理やり休み作った、
修学旅行終わって二週間後、必ず連れて行こい』

男「超逃げられなくなった! 本当に行動力アリすぎだよお母さん!!」

イケ友「もち来てくれるよなおとこちゃん? くふふ、いやー良い親友もったもんだぜおれっちぃ~」

男「…親友…」

449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/28(水) 23:41:14 ID:vOlLx4d2
イケ友「そーそー、男ちゃんならきっとどーにかしてくれるって思ってるし」

男「…だから、どっか湧いてくるその厚い信頼度は」

イケ友「そりゃもちろん」

イケ友「──おれっちがイチバンって思ったやつに、期待しないわけがねーっしょ?」ニッ

男(ハッ!? 騙されるな乗せられるな俺! 調子良い事言われて納得しかけるんじゃないっ)ブンブン

男(…でも)チラ

イケ友「うっし。アッチが乗り気ならおれっちもやる気出さねえとな! どうっすかなー?」

男(まあ、イケ友のためと思えばそうでもないかな)ニコ

イケ友「こうなったら女っち巻き込んで完全女装で立ち向かうってのもアリ?」

男「……やっぱりやめたくなってきた……」


~~~


イケ友「ケップ。あーくったくった、もうなにも入らん」

男「よく食うな本当に…」

イケ友「高校生が飯食わなくてどうするよ? ナハハ、男ちゃんもたーくさんたべて大きくなれよー?」

450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/28(水) 23:51:32 ID:vOlLx4d2
男「言われなくても大きくなる。これでも今年だけで三センチぐらいは、」


不良「ん? ここに居たのかお前ら」のそり


男「ヒッ!? ──あ、不良君か」

不良「ヒッてお前…」

イケ友「不良ちんどったのここで? なんか用事ったの?」

不良「いや、ココらへんでいい匂いしてたから彷徨いてた。特に要はない」

男(野良犬みたい…)

不良「お前らは? なんだか良い匂いさせてるな、羨ましい」クンクン

男「ちょっ、か、嗅がないで…! なんかこわい! 圧迫感すさまじい!」

イケ友「男ちゃんと秘密のお食事よい! ナハハ! 羨ましいっしょ!」

不良「食事か。──もう具合は良くなったんだな、たくさん食べれたか?」スッ

男「えっ? あ、うん、そりゃ一晩経ったし平気だけど」

不良「ん」なでなで

男「うぉおおぉおおぉおっ!?」ぐにょんぐにょん

451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/29(木) 00:04:42 ID:zZt3iEE.
男「ち、縮む縮んじゃうから! やめて本当にやめろッ!」ばしっ

不良「元気だな。いいスナップだ」

男「このタイミングで褒めるのおかしくない!? ったく、そういや不良君はお土産買った?」

不良「弟と妹に買った」ウン

男「あ、兄妹居るんだ。へー…って、イケ友のやつは?」

不良「そっち向かって走っていったな。ポケモンが居たとかなんとか」

男「本当に自由だなイケ友は…迷子になったりしないのかな…」

不良「大丈夫だろ。お前みたいに突然失踪することはない」

男「…ヘイ…」ションボヨリ

不良「……! い、いやっ、別に悪く言った、つもりはなくてだなっ、うん」

男「いや本当のことだしな…正直に行ってくれたほうがまだ気が楽になる…」

不良「そうか…」

男「……。なんというか、本当に不良君には色々と迷惑かけた修学旅行だった気がする、かな」

不良「ん? そうか? 俺的には十分楽しかった、特に不満もないし。ああでも…」

不良「あと一つすませておきたかったことはある。単なるやり残しだけどな」

452: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/09/29(木) 00:11:52 ID:zZt3iEE.
男「やり残し? 修学旅行中に済ませておきたかってこと?」

不良「ああ。そもそもそれが修学旅行に行く理由だった」

男「すげー大事じゃないかそれ!? ど、どうにかなる手立てはつきそう…?」

不良「さあな。なればいいが、俺だけの都合で済ませて良いものか悩んでもいる」

不良「…なあ男。お前は今が楽しいか?」

男「唐突で漠然とした質問だねそれ…た、楽しいけどそれが?」

不良「満足してるか?」

男「満足…なにをして満足は人によるだろうけど、まあ俺的には十分満足してると思う」

男「仲のいいメンバーで、楽しい時間を過ごして、わーわー盛り上がって…」

男「色々問題もあったけど、最後はちゃんと思い出として語れる。…それは俺の満足だって言えるかも」

不良「………」

不良「そうか。なら俺も満足だ、これ心置きなく修学旅行を楽しめた」スタスタ

男「……。ちょ、ちょっと!? なにが今のなにが満足できましたか!?」

不良「? 俺はお前が満足してれば満足なんだが?」

男「なんだが? じゃないけど! 俺の満足度がどう不良くんに関わってくるわけ…!?」

455: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/10(土) 23:08:06 ID:QH05jLK.
不良「今年で小学生になる弟がいる。コイツがまた口が悪いときた」

不良「弟いわく、俺は人の気持を察するのが苦手な唐変木らしい」

男「すっごいバッサリ行くねおとうとくん…」

不良「たまに泣かされることもあるな」

男「殺傷能力ありすぎる…」

不良「でも俺もそうおもう。だから今回の修学旅行は気をつけてた、三日間も他人と過ごすんだ」

不良「なにヘマしたっておかしくない。常に気を張って、考えてから行動することを心掛けてた」

男「…それで?」

不良「初めに誰を思えばいいのか考えた。そしたらお前を見てすぐにピンときた」

不良「あ、コイツすぐに泣くなって。守らないと餓死するって」

男「断言する。いやしたい、餓死はないから!」

不良「チッコイくせにちょろちょろ動き回ってる印象だったから…」オロオロ

男「餌ぐらい自分で取れるから! …そういう話でもないし! 次いって次!」

不良「お、おお、つまり、なんだ。まあお前の行動をよく見て、考えて、フォローしたいなって考えてたわけだ」

457: ていせい 2016/12/10(土) 23:16:24 ID:QH05jLK.
男「そうすれば満足行く修学旅行が過ごせるからって…?」

不良「そうなる。俺はとにかく普通に過ごしたかった、班のメンバーに迷惑をかけたくなかったんだ」

男「不良くん…」

不良「まあこの見た目だからな。勘違いされても仕方ない、でも一々説明しても面倒だろ? だからフォローに回ったわけだ」

不良「──それで、最終日にお前が満足したって言葉を聞けたら……俺には十分過ぎる報酬だ」

男「……。でも、どうして俺だったんだ。餓死云々は置いといても理由は他にあるんじゃ…?」

不良「そりゃある」

男「それは?」

不良「ああ、お前が好きだから」

男「ぶぅううっ!?」ブフゥーッッ

不良「詳しく言うなら、男とイケメンの会話が好きだ」

男「それもよくわかんないね!?」

不良「そうか? そう思ってる連中も俺以外にも居ると思うが…」

男「な、なにが好きだっていうのさ…っ? あんな奴と俺の会話がって…!?」

458: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/10(土) 23:23:07 ID:QH05jLK.
不良「単純に楽しいだろ」

男「え?」

不良「お前らの会話は「今を楽しんでる」って感じがひしひし伝わってきて、側にいるだけで楽しいんだ」

不良「だから俺はそれを守りたいと思った。不仲になりそうなら仲裁に入ることも厭わんぞ」

男「…………」

不良「どうした?」

男「…はっきりいっていい?」

不良「どうぞ」スッ

男「変な人…」

不良「ふむ。弟以外に面と向かって言われるのは初めてだな」

男「耐久力が段違い過ぎる…」

不良「それに自覚ありだ。俺も変だとは思ってる、けどそう思ってお前を護ろうと思った。結果、満足の言葉を聞けて俺も満足してる」

不良「ああ、聞いてみたかったんだが、たまに見せるコントみたいな掛け合いは台本があるのか?」

男「あるわけないでしょ…」

不良「そうか。なおさら気に入った」

459: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/10(土) 23:31:47 ID:QH05jLK.
スッ

不良「言いたいことは十分言えた。残り少ない貴重な時間を使わせてすまなかったな、男」

男「えっ、いや、別にそこまでのことは…」

不良「今後はいくら酒に飲まれても喧嘩はするな。まあ喧嘩しても俺が仲裁に入るから問題はないが…」

不良「……。いかんな、また変なことをいいそうだ」クル

男「あ、不良くんっ」

不良「楽しかったよ、この三日間。全てお前とイケメン、他の班のメンバーのお陰だと思ってる」フリ

男「……」

不良「じゃあな」

男「──俺も、楽しかったから!」

不良「……」ピク

男「みんなと修学旅行を過ごせて、楽しくワイワイ盛り上がって、…そりゃ騒動もあって大変だったけど…」

男「…それでも…」

男「俺は! 不良くんがいたから、今回の修学旅行は楽しかったって…心からそう思ってる…!」

460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/10(土) 23:36:31 ID:QH05jLK.
不良「……」チラ

男「…本当だよ?」

不良「くっく、そうか」

男「う、うん」コクコクコク

不良「気に入ってもらえて何よりだ。頑張ったかいがあったもんだな、俺も」


スタスタ


不良「【またな】、男」フリフリ

男「っ……うん!」ブンブン


~~~


男「なにやってんのお前?」

イケメン「ふふふ。実は君が帰ってくるのを待ってたんだ」

男「…」キョロ

男「正直に言えよ。オートロックで締め出されたんだろ」

461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/10(土) 23:42:44 ID:QH05jLK.
イケメン「あはは。そんな察しのいい男くんはちょっとキライだなあ」ニコヤカ

男「そんな正直に話さない意地っ張りなお前もキライだよ…」

イケメン「鍵は?」

男「イケ友が持ってる。多分、あと数十分帰ってこない」

イケメン「そっか。うーん、なら二人で何処か暇を潰そうか? 食事なんてどう? 広場に美味しそうなレストランがあってさ」

男「さっきイケ友と行ってきた」

イケメン「えぇっ!? 誘ってくれてもいいだろうに……じゃあジュースで買いにいく?」

男「それも同級生くんとやった」

イケメン「なぜ誘わないの!?」

男「誘ってどーするよ、また喧嘩でも始めるか?」

イケメン「ぐぬぬ。じゃあ今回の修学旅行の思い出を語り合ってみるとかは…?」チラ

男「………」

イケメン「ゴ、ゴクリ」

男「さっき不良くんとやった」

イケメン「隙がまったくないなあ!!」

462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/10(土) 23:47:32 ID:QH05jLK.
イケメン「とほほ…見事に流れから置いて行かれてるオレ…酔っ払ってからてんでいいことなしだよ…」ヨヨヨ

男「……」ストン

イケメン「うん? どうしたんだい、急に座り込んで?」

男「…別に」フィ

イケメン「?」

男「……」

イケメン「………」ススス ストン

男「…っ…」

イケメン「何を考えてるのかな?」じぃー

男「だ、だから別に! ……別にいらないだろ、お前には」

イケメン「なにを?」キョトン

男「そういった話題とか、食事とか、ジュースとか……必要ないじゃん、そういうの」

男「無くても話せるじゃん、俺とお前は」

イケメン「……」

イケメン「うん。そうだね」

463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/10(土) 23:54:27 ID:QH05jLK.
男「っっ……っ…あぁーッ! もうッ! 変な空気だなオイ!?」

イケメン「急にキレられても」のほほん

男「のほほんとすなっ! あのな、いいかっ? 今回ばっかりはほんとぉおおおに大変だったよッ!」

イケメン「そうそう。そうだね、いつもどーりの青春だったねえー」

男「まった青春青春って…!」

イケメン「──楽しかっただろ?」

男「うッ」ビクッ

イケメン「オレは楽しかった。だから君も楽しかったはずだ、間違いない。これに至っては自信がある」

男「な、なんなんだよその自身は…」

イケメン「ん? そりゃあもちろん…」

イケメン「…君の虜だから、君のことを分からないでどうするんだ。親友失格だよ、それじゃあね」

男「虜って単語必要でした今の!?」

イケメン「親友って言葉は必要でいいの?」

男「ばっっ! …ひつようだろ、それは…」モゴモゴ

464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/10(土) 23:58:45 ID:QH05jLK.
イケメン「ふふふ。それは嬉しい限り、あの醜態を見られてなお親友ポジに居られるとは」

男「…本当に反省してんのかテメーは」

イケメン「日々、反省の限りだよ。未だ君のツッコミを上手く引き出せない身としてはね」

男「まったく反省してないな!」

イケメン「ねえ男君。ひとつ、いいかい」

男「なんだよ…っ?」

イケメン「オレはこの修学旅行は結構、賭けだったんだ。なにせ不安要素が二人も居た」

男「二人? …同級生くんと不良くん?」

イケメン「ああ。出来る限り考えて考えて、不都合なき修学旅行を過ごせるよう気を配ったつもりだ」

男「………」

イケメン「それで聞きたいことはね、」


グイッ


男「──ちょっと口閉じろ、イケメン」

イケメン「むぐ」

465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/11(日) 00:02:59 ID:5BBSx0IY
男「……」

イケメン「………、んー」グググ

男「なんでそうなるッ!」パァアンッ!

イケメン「ふえっへへ、なあに?」ニマニマ

男「変態め…叩かれるのが目的だったか…! そうじゃなくッ、いいんだっての言わなくても!」ブゥンッ

イケメン「どういうこと?」

男「一々言わなくても良いって、なんかむしろ、そういうこと…あまりお前の口から聞きたくないって思う」

イケメン「…どうして?」

男「素直じゃない」

イケメン「オレは素直だよ。少なくとも君の前では」

男「いーや、素直じゃない。お前は意地っ張りで傲慢で、変態の変態で、変態だから」

イケメン「わー変態要素だらけー」

男「事実を語ったまで」

男「…聞きたくないって思うのは、お前がなんか「言い訳」してるように聞こえて、嫌だ」

466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/11(日) 00:07:54 ID:5BBSx0IY
イケメン「言い訳…? 一体なんの言い訳を? まったくそんなつもりなんて…」

男「──お前、本当に楽しかったのか?」

イケメン「勿論だよ」

男「嘘だな」

イケメン「アハハ。何を変なことを、アレだけ騒いで好き勝手やったのに楽しくないわけがない」

男「それも、嘘だ」

イケメン「えらく断言するじゃないか」

男「するとも。お前だから俺は断言する、他の連中には言えないぐらいはっきり行ってやる」

イケメン「なにを?」

男「…やり残したこと、あるだろ」

イケメン「…………」

男「なんかそんな、気がする。個人的にやりたいことやれてない、そんな雰囲気してるもん」

イケメン「はっ」

イケメン「…こりゃすごい」

男「な、なんだよ? また認めないつもりかっ?」

467: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/12/11(日) 00:17:48 ID:5BBSx0IY
イケメン「んーん、そんなつもりは最初からないよ。オレは君にウソはつかない、決してね」

イケメン「だから君が言うやり残しはオレ自身、考えたこともないし思ってもなかった」

イケメン「実に充実した修学旅行だったと公言できるほどに、だ」

男「認めてねえじゃねえか…」

イケメン「そう、認められない。オレは君という他人の言葉を認められる根拠がない」

イケメン「…でも、そうだね、どういったらいいんだろうね…」

男「?」

イケメン「…君がやり残したことがある、と言われた瞬間に…そういわれた瞬間にだ…」

イケメン「オレの中でやり残したことがあるって、認めてしまった。生まれてしまった、が…正しいかもしれない…」

男「はあ? そんな面倒くさいこと一々考えてるのお前…?」

イケメン「オレも戸惑ってるよ。でも、くっく、そうだね。君らしいといえば君らしい」クスクス

男「俺らしいって何…?」

イケメン「君が掛け替えのない人ってことかな?」

男「一歩も理解が進まない解説どうもありがとう」

469: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/27(木) 23:59:34 ID:7TqCj/dw
イケメン「そう思う?」

男「掛け値なしにそう思う」

イケメン「……」

男「…なんだよ」

イケメン「いや、なに、ただ改めて思っただけさ。……本当に君と親友になれて良かった」

男「変なヤツ」

イケメン「ああ、そうだね。オレは変なやつなんだ、何時までたっても」

男「……、なあ」

イケメン「うん? なに?」ニッ

男「………」

男「寒いから、もっと近寄ってくれよ」

イケメン「………、はい?」

男「ここ、廊下」

イケメン「知ってるけど……?」

男「風通り良すぎて肌寒いから、もっとこっちよってくれ」

470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:03:22 ID:VhoKScww
イケメン「……」きょとん

男「なんだよ」

イケメン「寄っていい? 近づいていい? …オレの方から君の方へ?」

男「い、いちいち確認取るんじゃねーよ」


そそそそ ぴと


イケメン「…温かいです」

男「…うん」

イケメン「…」

男「…」

イケメン「…どゆこと?」

男「こっ!」ケホッ

イケメン「ん?」

男「こっ、こーいうのが好きなのかと思って…お前が…求めてるものってのがこーいうのかなって…」ゲホゴホッ

イケメン「…………………」

471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:08:04 ID:VhoKScww
イケメン「はっきりいう。君は少し、女や女姉さんの影響を受け過ぎてると思う」

男「ばっっ!!? ち、違うしィーー!? なにっ、なにっ言っちゃってくれてんのお前!?」

イケメン「セイセイ」

男「じゃ、じゃー離れるし!? 俺だって野郎同士くっつきあってんの醜い思ってるしー!」ババッ


グイッ


男「な、なんだよっ?」

イケメン「ごめん。嘘ついた、オレはイヤじゃないよ」

男「……な、んだよ」ストン

イケメン「うれしいってこと」

男「…っ…っ」モゴモゴ

イケメン「君がオレに気を使ってくれたことがね、そこんところがとても嬉しいってワケですよ、男さんや」

男「べ、別に思ってねーし…」

イケメン(口にしてたけどね)クス

イケメン「……、こーいうの求めてたのかな、オレ」

472: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:15:19 ID:VhoKScww
男「なにが…?」

イケメン「君と一緒にくっつき合ってるコトとか。この修学旅行での心残りとか」

男「ふ、ふん、だったら変態だなお前は」

イケメン「ああ、オレは変わらず変態だよ。馬鹿で変態で、けれど……なんか違うんだ、こーいうのはさ」

男「ちがう?」

イケメン「君とオレが肩を並べて、ましてや肩をくっつきあって、暖を取ってる姿なんて想像になんかなかった。予定、なんてなかった」

イケメン「……オレはもっと、君に尽くして尽くして、真っ白になるまで燃え尽きるつもりだったんだ」

男「怖……」

イケメン「くく、だろうね。でも本気だったんだよ、オレは本気でそう思ってた」

男「…なんか違うのか?」

イケメン「違うね」

イケメン「だって、違うじゃないか。こんなこと、オレが望んでたことと全く違ってる」

イケメン「君が……君だけが楽しい思いをしてくれれば、それだけで良いのにさ、まさかそんな……」

イケメン「………、オレまで楽しくなってしまうつもりなんて、なかったのに」

男「……なにそれ?」

473: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:21:42 ID:VhoKScww
イケメン(あ、怒りそう)ギュッ

男「お前、なにそれ、一番今回でお前の発言で腹が立つんだけど」

イケメン「…ごめん」

男「謝るとか! …謝るとか、なんだよ、お前」

イケメン「いやぁ~その、だってさ? 改めて思うと君に迷惑かけっぱなしだったし!」

イケメン「お酒とか色々と! もうもう数え切れないぐらい───どうしようもない、オレだったから」

男「良いって言ってるじゃん、俺が」

イケメン「だって!!」

イケメン「……今回の修学旅行、それが狙いだったけれど、もう、オレなんて必要ないかも、とか───」


バチン!


イケメン「──うぴょいっ!?」ブニッ

男「………」ギュウウ

イケメン「おひょほふん…?」

男「ふざけんな、マジふざけんなよ、そんなワケねーだろ」

474: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:27:53 ID:VhoKScww
イケメン「………」

男「そんなこと、言うなよ。必要ないとか、常日頃から青春青春って! 馬鹿みたいに言ってるヤツが!」

男「……一番言っちゃいけないこと、なんで、…しかも、俺に言うんだよ…!」

イケメン「……ひょめん……」

男「謝んなばか!」ギュッ

イケメン「うぼぶっ」

男「それこそ良いわけだろ! 上手く行かなかった、だからそんなコトいって誤魔化してる!」

男「──お前は、お前じゃん。俺の、友達で親友じゃん、イケメンは!」

イケメン「………」

男「暗いヤツ! 俺以上にみみっちいやつ! ばかみたい、しょーもない野郎だまったく!」ブゥンッ!

イケメン「ウッ」コキッ

男「…そーいうの、本当にやめたほうがいいよ、お前」

イケメン「あはは。大丈夫、こーいうの出せるの君だけだから」

男「甘えんな」

イケメン「…甘えたいんだけどな、オレは」

475: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:36:13 ID:VhoKScww
男「なにそれ? 俺は嫌だね、勝手にやってろ。そして勝手に自滅してろバカチンめが」

男「グチが言いたいなら俺以外にやってくれ。…あぁ重たいな! 何がとは言わないが、空気がさ!」

イケメン「…うん」

男「ほんとーに、お前のこと今回でよーく知れたよ。俺以上にポンコツだわ、俺、今回の修学旅行超頑張ったわ」

男「いやね? 色々と誰かさんのお膳立てがあったとしてもだ」

男「………」じぃー

イケメン「……?」チラ

男「言ってやるよ、バカ」


男「全部全部、お前の為だよ。俺が頑張ったのは」


イケメン「え?」

男「俺はお前の為に頑張った。皆で仲良く、誰でも仲良く、クセーことも言ったし柄にもないことくっちゃべったよ」

男「今思い出してもさぶいぼ出るぐらい。それもこれも、イケメン。お前のためだったよ!」

男「どーせお前がよからぬこと考えて、企てて、画策して、それを一心に身に受けましたとも!」

男「でも結局! 俺はどーーーーせ楽しかったさ! お前の思い通り、存分に修学旅行を楽しんださ!」

476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:43:48 ID:VhoKScww
男「それが! お前が用意してくれた青春だって思ってたから! 頑張ったんだよ!」

イケメン「……………」

男「それが、お前が、俺を、おっ、思ってやってくれたこと、だって思った、から…」

イケメン「ぇ、あ、でも、オレの予想以上の事態になったどころか迷惑をかけた記憶しかないんだけど…」

男「ばっ、なにっ、お前ぇっ!」ガシッ

イケメン「うぶぃっ!?」

男「──そ、それが青春ってもんじゃろがい!」

イケメン「へ、へいっ!?」

男「いつだって予想通り突き進むとかありえんだろ!? なにっ、お前っ、ほんとぉおおにばかだなあ!?」

男「なんで俺に対していつも弱気なワケ!? あり得ん、信じられない、……このやろー!!」グニグニグニ

イケメン「うぉおぉおぉおぉおっ!?」ぐにぃんぐにぃん

男「予定通り進まなくて良いだろべつに! お前は天才ですか!? カミサマですか!? 違いますよね!?」

イケメン「ひっ…ひひゃいまふ!」

男「だろうがよ! ───ですので、この話はオシマイ! お前は俺以上のバカでアホだったという結論で終わる!」ブゥウウンッ

477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:49:56 ID:VhoKScww
イケメン「も、ものすごく…なんというかゴリ押し感を受けたような気が…」

男「まだ納得いかねーのかよ」

イケメン「…甘えていいのなら」

男「………」ジッ

イケメン「う、うん……」


ぐいっ


イケメン「うわっ!」

男「来い」グイグイ

イケメン「え、あっ、えっ? ど、何処行くつもり!?」

男「やり残したことあるんだろ。だったらやりにいく、全部だ」グイグイ

イケメン「全部って……」スタ、スタスタ

男「お前が納得するまで、俺は諦めない」

イケメン「男くん…」

男「……なんだよ、一人で意固地になりやがって」

478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:54:00 ID:VhoKScww
イケメン「………」スタスタ

男「お前が言ったんだろ。周りは関係ないって」

イケメン「……!」ピク


男「──俺のことだけで悩めよ、バカ」ボソリ


イケメン「………っ……」ブルル

イケメン「…ぁ……」

イケメン「……………………」


イケメン「───ああ、そうだね」

男「…おう」

~~~

イケ友「うわっ! なにそれ? 新婚初夜?」

男「……第一印象、それ?」

イケメン「…………」モジモジ

479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 00:59:17 ID:VhoKScww
イケ友「一通りポケモン捕まえて、いざ部屋に戻ってみれば二人並んで手を繋いでよ……」

男「俺は、悪くない」

イケ友「む。男ちゃん、ちょっと怒り気味?」

イケメン「い、いや、違うんだイケ友。コレも全てオレが…」

イケ友「んお?」

男「シャーーーー!!!」

イケメン「ひっ」

男「……。何も聞くな、とにかく俺がやりたくてやってる、それだけだ」

イケ友「おうよ。何が何だか全くわからんが、男ちゃん。とくとアンタの覚悟をおれっち、見届けたぜ」キラリン

男「流石だよ、流石イケ友だ」

イケ友「おうともさ! ……でも女っちとか、他の連中が来たときははずそう? な? よからなぬ展開見えてるし」

男「ダメだ」

イケメン「!?」

イケ友「ダメときたもんだ!」カァー

男「コイツが納得するまで、修学旅行が楽しいと思えるまで離さない。イケ友、これは意地だよ。もう理屈や理由なんて無い」

482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 22:09:47 ID:mxgdDpn2
イケメン「だ、だからオレはもう散々言っただろう!? 君とホテル内どころか外まで出回って満足したと!」

男「で?」

イケ友「ひぇー……なに怒らせたんイケメン? ここまで鉄壁男ちゃん初めて見るわ~……」ひゃー

同級生「ただいまー」

イケ友「お! 同級生、ちょいちょい。こっちきてみ、面白いこと起こってるから」クイクイ

同級生「あん? なにまた面倒事起こしてるワケ? まったく、君らって恐れ知らずっていうか馬鹿っていうか、」

同級生「……なにやってんの?」

男「手を繋いでる」

同級生「ど、どうして?」

イケ友「なんか互いに納得するまで離さねーんだって!」

同級生「………」じぃー

男「…」ムス

イケメン「…」ポリポリ…

同級生「好きにさせとけば? 僕、全然関係ないし」

イケメン「ちょ、ちょっと待って! どうか頼もうす! お、お助けを!」

483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 22:15:01 ID:mxgdDpn2
同級生「嫌だね。もう君らの好き勝手に巻き込まれるの懲り懲りなの、金輪際御免被りたいの」

イケメン「ううっ…」

同級生「ハン! いい気味だネ、実に清々しい気分だ! 君の情けないポンコツ顔見るたびに気が晴れていくってね!」


男「……青春……」ボソリ


同級生「ッ!!?」ビクッ

男「……へぇ、もう、しないんだ……」ボソボソ

イケメン「え…? なに? 今なんて言ったんだ…?」

同級生「…………」ダラダラダラ

イケ友「同級生?」

同級生「お、恐れ入ったなぁ…まさか…脅してるってこと、ないよね? 今の…?」

男「……」ツーン

同級生(脅されてる! 確実に脅されてる!)

~~~

不良「ただいま。……、どういう状況なんだこれ?」

484: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 22:22:10 ID:mxgdDpn2
イケメン「……」

男「……」

同級生「……」


不良「みんなして手を繋いで…」

イケ友「それが、おれっちもわからんのよ……」

不良「これ、オレたちも混ざるべきなのか?」

イケ友「おれっち等は良いってさ。なんか楽しんでるから別に構わんと」

不良「ふーん……」

不良「……会話はしないのか?」

イケメン「えっ?」

不良「どうせなら会話してくれるともっと楽しいんだが」

同級生(この光景を目にして楽しもうとしてんの…?)

イケメン「か、会話と言っても…彼のほうが何も喋ってくれないからね…」チラ

不良「どうして?」チラ

不良「お前が一番楽しいのは、イケメンと喋ってるときだと思ってたが」

485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 22:29:53 ID:mxgdDpn2
男「………っ…」プイッ カァァァ

イケメン「ぉぉぉ」キラキラキラ

不良「素直になれ」

男「──ち、ちがう! 今は俺のこと考えてる場合ちがう!」バッ

不良「ん?」

男「コイツだってば! コイツが最終日に、こんな終わりかけの時に、楽しくなかったかもとか言い出したから…!」

不良「へぇ」

イケ友「そうなん? イケメンが?」

同級生「はっ! そりゃそーだろうよ、さんざんかき回したコイツが楽しんでどう、んぎゃっ!? 痛い痛い痛い!?」ギュムゥウウウウ

男「少し黙ってて」

同級生「ハイ…」

イケ友「ひよわー同級生くん超ひよわー」プークスクス

同級生「うっさい筋肉ダルマ!!」

不良「やり直したことでも?」

イケメン「うっ…それがオレ自身、検討もつかないんだ…その事自体も気に食わないみたいで…」ションボリ

486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 22:55:33 ID:mxgdDpn2
不良「フム」

イケメン「思うに一致団結とか、みんなでワイワイとか、色々とやりきったつもりだったんだけどね…」

不良「俺もそう思うが…」

男「……」

不良「男が納得行ってないなら、違うんだろ」

同級生「そ、それで? 僕らは一体なにをすればクリアになるんだよ…」

同級生「さっさとやりかけの帰宅準備を済ませたいんだけど……」

イケ友「そうよな。だって帰るまでが修学旅行だっつーもんな!」

不良「……それだ」

イケメン「え?」

不良「つまり、まだ帰ってもないのに満足してるイケメンに対して、男は納得してないんだ!!」

同級生「ハァ~? そんなトンチみたいな解決方法がまかり通るわけ、」チラ


男「……ぁ……」キラキラキラ


イケ友「正解っぽいっすな、うん」

487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 23:02:24 ID:mxgdDpn2
同級生「君さァ!? ほんっっっっっと当時に比べてアホになったよねェ!? 返して! あの時の怯え返してくれよ!」

男「なっ、何に対して怒ってんの同級生君!?」

イケメン「り、理由はわかった。けれどオレは何をするべきなんだろう…?」

不良「? なぜ俺に訊く? 答えは隣りにいるだろ」


イケメン「……!」バッ

男「……っ……」ビクッ


イケメン「そう、だったね。そうだとも、オレはまだ満足しちゃダメだった、と思う」

男「い、いやっ……俺だってイマイチどうして怒ってるか分かってなかったし……」

イケメン「良い、良いんだ。だからオレは、なにをするべきだと思う? 君と、皆と、この修学旅行が終わるまでに」

男「…お前が考えるべきことだろ」

イケメン「オレが…」

男「あ、ああ、だって俺から聞かれて思ったんだろ。まだあるって、やりたいことがあるって」

男「ならお前が提案しなきゃ、みんなにさ」

イケメン「……」

488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 23:24:02 ID:mxgdDpn2
男「大丈夫。駄目だったら俺がちゃんと『突っ込む』から」ニッ

イケメン「ぁ…」

男「きちんとやりたいこと言ってみろって」

イケメン「…ありがとう」


イケメン「──では、今一番やりたいことを思い浮かべました!!」バッ


不良「おぉー」パチパチ

イケ友「おぉー」パチパチ

同級生「面倒なことはやめてくれよ…僕らもう帰るんだから…」ズーン

イケメン「ふふん、大丈夫。パッとやってサッと終わる、簡単なゲームだから」

男「ゲーム…?」

不良「用意するものは?」

イケメン「特になし! というか最初から用意してたんだけどね───」ササッ

バッ!!

同級生「……は?」

489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 23:28:08 ID:mxgdDpn2
男「なんで、割り箸?」

イケ友「なんか食うの?」

イケメン「ふふっふー、違うんだなコレが。男同士でやっても楽しくないかとお蔵入りしたネタなんだが」スッ

同級生「待て、待てよオイ! どう考えたって今やることじゃないだろ、それは!?」

不良「?」

イケメン「では、みんな。一斉にこれを引いてくれ」

イケ友「ほい」ヒュッ

不良「おう」スッ

男「う、うん」グッ

同級生「待て待て待て待て! や、やめろ!」

イケメン「じゃあ同級生君は残った一本だね」ギュッ

同級生「オイーーー!!?」

イケメン「じゃあ行くよ? いっせーのーせ、で引くんだ。せーの、」


「王様だーれだ!」

490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 23:39:09 ID:mxgdDpn2
数十分後 高速バス停


女「……」カタカタカタ

女友「やかましい! えぇい! なにをそんなにせわしなく!」

女「妙に気になるのよ…性懲りもなく最後の最後まで面倒事起こしてそうで…」タンタンタン

金髪「もう散々暴れただろ…」

マネ「ねー」キャッキャッ

女「えーそうよ、まったくもってその通り」

女「でも、あたしは信用出来ないわ。なにが起ころうとも、なんとしてでも止めるの、絶対に」

金髪「それで何時でも飛び出せるようカタカタやってんのか…」

マネ「凄いね…女ちゃん…」

女友「もう可哀想な域に入っちゃってんな…」

女「なんとでも言えばいい! もう周囲からトンデモ一味の仲間入りだって思われてるの知ってるんだから!」ガーッ

女友「そーもいかんじゃろい。こっちだって班全員揃わんと教師にドヤされるわ」

女「ぐ…だ、だったらもういい! 引っ張り出してくる!」ダダッ

マネ「ええっ!? あと五分で出発しちゃうよ!?」

491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 23:50:04 ID:mxgdDpn2
ダダダダ


女「他の連中はとっくに揃ってるのに、バカな男どもは、どーして時間通り動かないのかしら!?」キキュッ

女「──ちょっとアンタ達!? いつまでぐーたらしてるつもりよっ!!?」

バァーーン


同級生「ひぃいーんっ」

女「うわっ!? …な、なにアンタ泣いてんのよ…!?」

同級生「おわっ!? バッ、……ノックぐらいしろバカ!」カァァア

女「は、はあ? 一体なにをして、その格好なに……? ツインテール……?」

同級生「やらされたんだよ! こっちも好きでやってるわけじゃない!」

女「ど、どういうことよ……」チ、チラリ


不良「どうだ?」グィン(上半身裸でマッスルポーズ)

男「き、きれてるぞー…」

イケ友「いやいや此方も…」ゴゥィン(上記通り)

男「す、すごーい…」

492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/28(金) 23:56:52 ID:mxgdDpn2
女「なに、やってんのよアンタたちは……」ドンビキ

男「あ、女さん…いや、もろもろ事情があって…」

女「いや、聞きたくない。絶対に聞きたくない、それよりも! もうバスの時間迫ってるんだけど!? 変態はどこ!?」キョロキョロ


「ここさ」ガチャッ


女「! ちょっと変態! 呑気にトイレ入ってるヒマない────」バッ


イケメン「すまないね。こればっかりは王様の命令だから、さ」(裸)

女「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!?」


イケ友「おわっ!? ちょ、それは思い切り良すぎないイケメン!? じょ、女子を目の前にしてなんたる堂々っぷり……」ゴクリ

不良「卑怯だぞー」

女「なんっ、なななっ、ばっっっ! なにしてんのよそれーーーーーーーーーー!!!??」ガタタタッ

イケメン「なにを恥ずかしがる。幼少期、同じ一つの浴槽に入った仲だろうに」フッ

女「何時の話よバカタレーー!!!」

男「お前……本当に、どうなんだそれ……」ドンビキ

493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 00:07:20 ID:6GHFEVwk
イケメン「君の命令だろう? それを準じたまでだ、オレはね」スッ

男「あ、うん、王様ゲームを把握してなかった俺が変な命令したのが悪かったけど……」

同級生「フツーは何番と何番、ポッキーゲームしろとかだろうに! ってかおまっ、なんで裸……!?」

イケメン「ふふっ」クイッ スッ シュパァアアア

同級生「変態だ…! 一糸まとわぬ変態だ…!」

不良「しかし、身体を使って笑わせろ。って命令も案外難しい」

イケ友「今のトコロ滑ってんの同級生ぐらい?」

同級生「それはそれで納得行かない!」

イケ友「んだってぇ~ツインテしただけとか、超ダサいっていうか~おれっちなんてメイド服切るのに~」クイッ

不良「こういうのは成り切らないと一番滑るぞ」ムゥキン

同級生「う、うっさいわ! 筋肉トーテムポール共!!」


女「いやいやいやぁーーーー!!」ギュウウウウ

男「うわっ!? ちょ、ちょっとイケメン!やりすぎだって、女さんが困ってるから!」

イケメン「命令は命令だ。止めさせたければ、もう一度王となってオレを止め給え」

男「お前ほんっとすっごいな! 幼馴染でも女子相手に容赦なさ過ぎる!」

494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 00:16:08 ID:6GHFEVwk
女「なによぉコレぇ~…どうにかしなさいよおとこぉ~…っ」グスッ

男「泣いちゃったんだけど……!」

イケメン「はあ、まったく。こっちも本気でやってるんだ、不躾に乗り込んできた女が悪いだろうに」フゥ

女「──ハァッッ!? あたしが悪いっていうの!? ふっっざけんな変態がっっ!!?」ガバァッ

男「そこ復活しちゃうんだ!?」

女「こちとら誰かさんのため思って乗り込んできてあ・げ・た・の・よ!!」

イケメン「はて? その誰かさんとやらはお前に頼んでいたんだのだろうか?」

女「いい度胸ね、ぶっ潰すわ。そのぶら下がってるヤツ不必要でしょ、○○には要らないものね!!!」グワァッ

男「待って!! 復活は嬉しいけど思い切りが良すぎて、絵面的にヤバイ!!」ガシッ

不良「待て。なんだ、もう優勝者は決まったのか? 納得がいかないぞ、こっちは」ずいっ

イケ友「誰が結局笑わせたん?」ずいっ

同級生「ってバスの時間ヤバイじゃあないか!? オイ!! なんでさっさと言わないんだ!?」ずいっ

女「やかましい女装筋肉馬鹿丸出し変態集団共!!!」

男「究極にまとめられたツッコミありがとう…!!」


~~~

495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 00:37:34 ID:6GHFEVwk
女「さっさと着替える! アンタとアンタは服着る! ──アンタはまず服を着ろ!!」


ドッタンバッタン

女「はぁ~…最後の最後で、どうして王様ゲーム初めちゃうのよ……」

男「ど、どうにもイケメンがやり残したことらしくて……」

女「男同士で? 王様ゲーム? はっ、頭トチ狂ってるんじゃないのアンタ等」

男「面目ない…」

女「…どーせこうなると思ってたわよ」

男「…うん、まあね」

女「んで。満足できそうなの、今回の青春とやらは」

男「え? あ、うん、俺は超満足してる。けれどイケメンのやつが意固地でさ…」

女「………」

男「女さん?」

女「馬鹿ね。アイツはもうとっくに誰よりも素直よ。特にアンタの前じゃ」

男「……え?」

女「満足してるなら、それで満足してたはず。アイツはそれ以上、望まない変態だもの」

496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 00:44:00 ID:6GHFEVwk
男「…えっと」

女「そうじゃないなら、そうじゃないって今更いい出したなら、…余計なことを変態に誰かが言ったワケ」

男「それは、だって、アイツが自分は要らないかもとか言い出したから…」

女「甘えてんのよ」

男「…甘えてる?」

女「……あーッ! 腹立つ、なによそれ、他人の恋路聞かされてるみたいで超耳がキモチワルイ!」

女「まったく、やだ~まだ満足したくなぁ~い。だってだってぇ、最後の最後まで一緒に二人で~…とか!」

女「そりゃノロケかッ!!」

男「ノロケ……」

女「はい、この面白くないからオシマイ! ──そこのアンタ! お菓子食うの今やること!?」ビシイイイ

男(じゃあ、なんだ、アイツは別に本気で悩んでた訳じゃない?)

女「……」じぃー

男「うっ」

女「覚悟しなさいよ。きっと、今のままの関係が続くわけなんてありえないんだから」

男「…そう、かな」

497: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 00:50:42 ID:6GHFEVwk
女「そうなの。皆これ以上を望むから、……きっと楽しいのよ」プイッ


同級生「オイ!? 君はなぜ僕の土産食べてるんだ!?」

不良「待て。誤解だ、オレじゃない」モグモグ

同級生「うそへたくそかっ!」バシィンッ!

イケメン「───今のいいスナップ音は誰だい!? 男君!?」バッ

イケ友「おれっちだ!!」ビッシィイイイイ

イケメン「見るからに嘘だな! よし、不良君。どちらが叩かれていい音を鳴らせるか勝負だ」

不良「勝負なら仕方ないな」

同級生「乗るなーァ!!」


男「…………」

女「…寂しくなった?」

男「えっ!? な、なんでっ?」

女「だって、そんな顔してたから」

男「し、してないしてない! どうして俺が寂しくなるんだよ…!」

498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 00:55:54 ID:6GHFEVwk
女「そう、ならいいわ。くすくす、少しでも感じることがあったら相談しなさい」

男「相談? お、女さんに?」

女「そーよ。アンタは一応、友達なんだから。悩みぐらい聞いてあげるわよ、あたしみたいな奴でいいならね」クル

スタスタ

女「……じゃ、またね。おとこ」フリフリ

パタン

女「…………」ボッ

女(もう、二度とあんなしたり顔で意味深なセリフを吐いたりしない…! はっずかしいわねもうもうもーうっ!)ダダッ


男「………」

男「…やっぱり格好いいな、うん」

イケメン「呼んだ?」

男「呼んでない。少なくとも今回で、お前は一番格を落としたよ。カッコよさで言えば」

同級生「ポンコツが調子に乗らないでくれる?」スタスタ

イケ友「うーん、ちょっとばし、おれっちも……なんていうか、女子に裸ってのは引いたっていうか……」スタスタ

不良「あぁ…またお前らの漫才を聴き逃した…もっかい話してくれ…」

499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 01:02:34 ID:6GHFEVwk
イケメン「ふっ、色々と言われ放題だが……どうだろう? なにか弁解でも言ったほうがいいかな?」

男「ごめん。俺は最初出会ったときから気持ち悪いの知ってるし、弁解もクソもないと思う」

イケメン「ごもっともだ!」

男「調子づくタイミングおかしいよな?」

不良「………」フンスフンスゥ

男「な、なんで楽しそう?」

不良「やっとしっかり聞けたから」テカテカ

同級生「ほら、バス乗り遅れるよ。君はちっこいんだから、歩幅僕らの三分の一なんだから」

男「それは馬鹿にしすぎ!!」

イケ友「おっとこちゃんはもっと飯くわねーとなぁ!」ぐぃんっ

男「おわぁっ!?」ヒョイ

イケ友「不良っち荷物持ってー同級生は迷子にならんよう先導してー」

不良「合点承知」

同級生「えぇ…こんな奇行団の先行を務めるのかよ…」

イケメン「──さて、王子様。それでは向かいましょうか」スッ

500: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 01:10:07 ID:6GHFEVwk
男「た、高い…ちょっと王子様ってなんだっ?」

イケ友「おれっち馬!?」

不良「じゃあオレは従者か」

同級生「ちょっと待て! この、僕を、差し置いて!? 君が王子様!? 納得がいかないぞ!?」

イケメン「だって王様ゲーム終わってないだろう?」

同級生「…っ…じゃ、じゃあバスの中でまたゲームし直すぞ! そして王の座に返り咲く!!」

男「え、いやっ、さっきのゲームなんて有耶無耶になったんじゃ……」

イケメン「なにを言ってるんだ? 今、この時を持って、我々は王の要求を差し出したというのに」

男「……え?」

イケ友「ははっ、とっくにもう終わってんじゃんなー? おとこちゃん!」ニッ

男「ど、どういう…」

不良「自分の顔触ってみろ」

同級生「……フン」クス

サワ

男(……あ、もしかして俺、ずっと笑ってた……?)

501: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 01:13:41 ID:6GHFEVwk
イケメン「はてさて」

男「……な、なんだよ」カァァ

イケメン「オレは満足だ。君は?」

男「……何度も言わせるなよ、とっくに満足だ…!」

イケメン「そっか」


イケメン「……そっか、良かった」グッ



イケ友「じゃいくぜぇえええええ!! GO!GO!GO!」ギュィーン

男「うわぁっ!?」

同級生「ばっ!? そっちじゃないコッチだ!」

不良「いい匂いがする……」フラフラ

同級生「バカタレぇー!!! フラフラとあるき回るんじゃない!」グィイイイ


イケメン「ははっ」

男「……くくっ」

502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/04/29(土) 01:15:11 ID:6GHFEVwk
第三十話『突っ込みは、キミとオレとお前と俺で』