20: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)02:57:51 ID:OPI

ゆかり「あ、Pさん。襟がちょっと曲がっちゃってます。後ろの方、この辺りが……」

P(近い近い! 近ーい! 首に手を回すな。耳に息がかかる。かかってる。
ヤバいヤバい! Pちゃん色々ヤバい!)

ゆかり「はい。きれいに整いました♪」

P(なんか知らんうちに距離感っていうか、パーソナルスペースが狭まってない!?
もはや恋人のそれに近いんだけどっ!?
理性がいくらあっても保たないんですけどっ!?)

P「あ、あ、ありがとう。ご、ごはん。ごはん続き食べる。
食べよう。続き食おうぜ、な?」

ゆかり「はいっ♪」

P(嬉しそうなゆかりが少しスキップ気味に自分の席、俺の向かい側へと戻る)

P(それを見届けた俺は心に落ち着きを取り戻すために、深呼吸し、次は味噌汁へと手を伸ばす)

P(おっ……!)

P「これも美味いなっ!」

P(お味噌自体はウチにあったものなんだろうが、それにしても濃さや出汁の取り方が完璧だ。
あの短時間でネギや豆腐まで入れてあるのもポイントが高い)

ゆかり「本当ですか。ふふふ。凄く嬉しいです。
以前のウェディングドレスイベント、花嫁修業のお仕事以来、家事の研鑽は怠ってないんですよ。えへへ」

P「可愛い」

P(ふーん。流石だな)

ゆかり「!?」

引用元: 【デレマスSS】水本ゆかり「へいタクシー!」 



21: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)02:58:16 ID:OPI

P「ここまで上達すると、いつお嫁にいっても恥ずかしくないな。立派なもんだ」

ゆかり「ほ、本当ですか。私、お、お嫁さんになれますかっ? あと今可愛いって…」

P「まー、年齢や立場云々を差し引いても当分は遠慮しておいて欲しいところだけどなー。
担当のアイドルが結婚しちゃったら結構寂しくなって、精神的にこたえそうだ」

ゆかり「そ、そうですか? 大丈夫ですよ。私が結婚しちゃってもPさんは寂しくならないと思います!」

P「ふーん。そういうもんかね~」

ゆかり「はいっ」

P「…………」

P「…………ん?」

P(今のゆかりの言葉はどういう意味だろう……?)

ゆかり「…………あれ?」

ゆかり(今の私の言葉はどういう意味でしょう……?)

P「…………」

ゆかり「…………」

P・ゆかり(ま、いっか……)

22: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)02:58:58 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

P「あー。美味かった。ごちそうさまっ!」

ゆかり「ごちそうさまでした。そしてお粗末様でした♪」

P「んー。炊飯器にご飯、結構残っちゃってるな。おむすびにして空っぽにしちゃうからちょっと待っててくれ」

ゆかり「結構量ありましたからね。手伝いましょうか?」

P「たぶん二合くらいだったのかな? いや、いいよ。すぐ終わるから、出る準備だけ済ませちゃって」

ゆかり「はーい。今回は簡単なものしか作れませんでしたけど、次来る時は色々と材料用意して練習の成果見せちゃいますね」

P「おーう。……次?」

P(塩で味付けしたおむすびに、軽く2枚海苔を巻きつけながら疑問符を浮かべる)

P「…………」

P(が、当のゆかりは既に乾燥機の方へと走り去ってしまっていた)

P「何はともあれ、ゆかりが細かいことを気にしない性格で助かった……」

23: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)02:59:37 ID:OPI

とっとっとっ……。

ゆかり「Pさん。見て下さい。ちゃんと乾きましたよ」

P(素早く着替え終えたらしいゆかりが、俺のそばまで走ってきて、昨日まで着ていた洋服で、くるりと回ってみせる)

P「おー。良かったな。さっきまでのフェティッシュな格好もいいけど、やっぱそっちの方が似合ってる。可愛いよ」

ゆかり「ふぇ、ふぇち?」

P(俺の精神衛生上もこっちの方が助かるしな)

P「俺はこれから出社するけど、ゆかりはどうするんだけっけ?」

ゆかり「学校はお休みですしね。一緒に事務所に行ってみようかなと思ってます」

ゆかり「もしかしたら昨日の代返のお礼も言えるかもしれませんし。
確か今日は午前中からレッスンだって言ってたはずです」

P「代返?」

ゆかり「ああ、代返って言うのはちょっと違うんでしょうか?
昨日、寮に帰れなかった分のアリバイ工作的なことをお願いしてあったんですよ」

P「おおー。抜かりねぇな。立場的には色々複雑だが、今回は仕方ないか。
ちなみに誰に頼んだんだ?」

ゆかり「さくらちゃんとまゆさんで迷ったんですけどねー」

P「ちょ、ちょい待ったっ!」

ゆかり「?」

24: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:00:11 ID:OPI

P「それ以上は聞きたくない。聞いちゃいけない気がする。
けど聞かなかったら聞かなかったで、もっと怖い気もするし、何より、聞こうが聞くまいが変わらず血を見そうな気がする」

ゆかり「よく分かりませんが、私がお願いした相手は……」

P「…………!!」

ゆかり「さくらちゃんですよ?」

P「…………」

ゆかり「…………」

P「……マジ?」

ゆかり「はい。まじです」

P「……っしゃあっ! セーフ!!」

ゆかり「!?」

P「あー、死ぬかと思った。火サスるかと思った。
セーフ! さくらも色々アレだが、まゆに比べたら、かなり大幅にセーフ!!」

ゆかり「そ、それは良かったです?」

P「おう! 良かった! 良くやった! ゆかりは良い子だなぁっ!」

なでなで。

ゆかり「!!」////

P「よしっ! ちょっと早いけど、そろそろ行くかっ!」

ゆかり「はいっ!」

P「今日も1日、頑張るぞーっ!」

ゆかり「おーっ!」

25: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:00:46 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

世には押しかけ女房、通い妻、といった概念があるようです。
ガードの固い彼を落とすには、まず既成事実を積み重ねるべし。
読み漁った本やブログ、あと母の教えから学んだ必勝法です。
立場上や年齢上の問題から、今すぐ結論を求めるのは難しいでしょう。
しかし、今からで出来ること行い、外堀を埋め、逃げ場がなくなるよう、さり気なく物事を運んでいく。
それが彼との幸福な未来へと繋がると私は信じています。

手始めに、プロジェクト通い妻。
私のアドバンテージを最大限に利用し、毎朝、自宅を訪問。
朝ごはんを作ってあげようと思います。
人心掌握、男心を掴むには、まず胃袋から!
Pさん宅のご近所のスーパーで食材を買い込み、いざ、いくさ場へ!
意気揚々と訪れたそのご自宅の前で、私は信じられないものを目にしました。

26: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:02:06 ID:OPI


※ ※ ※ ※ ※

P「よし。行ってきまーす!」

ゆかり「おじゃましまし……こほん。い、行ってきまーす!」

P「ははっ。なんだよ、それ」

ゆかり「ま、マネしちゃいました。えへへ」

どさっ!

P「?」

ゆかり「?」

橘ありす「…………」

P「へ? 」

ゆかり「……橘さん?」

ありす「…………」


27: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:02:39 ID:OPI

P「な、なんでここに? ていうか、硬直してる? 大丈夫か?
目に光がないんだけど……。あ、ありす?
た、橘さん……?」

ありす「ありすですっ!!」

P「うおっ!?」

ゆかり「きゃっ!?」

ありす「ありすですっ! タチバナさんじゃありません! ありすですっ!
なんでですかなんでですかなんでですか!
待てるって言ったじゃないですか!
なんでですかっ!」

P「お、落ち着けっ! いきなり過ぎて意味わからん。き、近所迷惑に、ちょっ、暴れるなっ!」

ありす「ふがふがふが! むぐぐふがっ!」

P「一旦中に戻ろう。ゆかり、俺はありすを黙らせるのに手が塞がってるから……鍵を開けてくれ。どこに入れてるかは」

ゆかり「大丈夫です。覚えてますから」

ありす「ふがーっ!!」

P「こ、こら。噛むな舐めるな暴れるな。ぎゃーっ!?」

29: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:05:13 ID:OPI


※ ※ ※ ※ ※

再びP宅にて

ありす「…………」

P「…………」

ありす「で……、すべては誤解だと?」

P「お、おう。……いえ、はい。その通りです」

ありす「アイドルを自宅に連れ込み、一夜を共にして、朝チュンして、同じシャンプーの匂いをさせて、何もなかった。潔白であると?」

P「はい。そのはずです。……いえ、間違いありません」

ありす「…………」

P「た、橘サン?」

ありす「ありすです! 苗字は遠からず貴方からいただく予定のありすです!」

P「重いよっ!?」

ありす「ふぅ……。Pさんが言いたいことは分かりました。
あとは向こうで待ってもらっているゆかりさんにもお話を聞いて、判断しましょう」

30: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:06:10 ID:OPI

P「ていうか、何でさっき俺の指に噛み付いた時、しゃぶり付いて離れなかったの?
なんかもう人差し指が、ふにゃっふにゃなんだけど」

ありす「ゆかりさん、お話を聞いても構いませんか?」

P「あ、無視するんだ。そこはスルーするところなんだ」

ありす「……ふぅ、仕方ないですね……。ごちそうさまでした」ぺこり

P「俺の求めてる反応とは違うなー」

ゆかり「Pさんとのお話は終わったんですか?」

ありす「ええ。概ね私の思っていた通りの回答でした。信じていましたから」

P「……もう何も言うまい。いやしかし、そもそもなんでありすは俺の家を知ってるんだ?」

ありす「文香さんに教えてもらいました」

P「文香にも教えてないんだけど」

ゆかり「私は智絵里さんにお聞きしました」

P「智絵里にも教えてないんだけど」

31: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:06:47 ID:OPI

32: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:07:27 ID:OPI

ありす「それはさておき、ゆかりさん、単刀直入に聞きます。Pさんとは一晩寝ただけの関係、ということで間違いありませんか?」

P「語弊があるんですけど!」

ゆかり「え、ええ。そ、そうですね。ね、寝ただけですよ?」

P「言い淀まないで!?」

ありす「……あやしい」

P「お、落ち着け」

ありす(ここは反応を見るため、揺さぶりをかけてみましょう……)

ありす「もう一つお聞きします。Pさんの……Pさんのアレは……お、大きかったですか?」

P「ブラフのつもり? 何聞いてんのっ!?」

ゆかり「そうですね。Pさんの(私を抱きしめる腕や胸板)は思っていたよりもずっと大きかったですよ」

ありす「!?」

P「!?」

ゆかり「逞しくて熱くて、男の人らしくて素敵でした……。
けどその分、私にはちょっとキツくて苦しかったですけどね」

ありす「Pさんっ! どういうことですかっ!」

P「ちょ、ちょっと待って!?」

33: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:07:52 ID:OPI

ゆかり「あの後も、なかなか寝かせてくれなくて……実は少し寝不足気味なんです。
それに、無理のある体勢だったから身体中が痛くて……」

ありす「何もなかったって言ったじゃないですかっ! どんな体勢でしたんですかっ!」

P「誤解! たぶん誤解のはずだから! ていうか耳年増だな橘ァ!」

ありす「ありすです!」

ゆかり「あ。酔っ払って寝ぼけてたみたいですし、多分Pさんに記憶はないと思いますよ」

ありす「Pさんの嘘つき! 浮気者っ! 変態大人っ!」

P「えええっ!? ちょっと待って! マジでっ!? 俺、マジでやっちゃった!?
じ、辞表……辞表を書かなかきゃ……」

ゆかり「えっ!? だ、ダメですよPさん! ちゃんと最後まで責任をとって(私をトップアイドルにして)もらわないと!」

ありす「待てるって! あと四年待てるって言ったのにぃ!」

P「あああぁっ!? お、俺は、俺は何て事をぉぉ!」

ゆかり「…………」

ゆかり(……あれ? なにか誤解してる? ……なんで?)

34: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:08:28 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

1時間後
事務所入り口前にて

P「とうちゃーく。色々あったけど遅刻はせずに済んだな」

ゆかり「それにしても……先ほどは紛らわしいことを言ってしまい、本当に申し訳ございませんでした」

ありす「そのことはもういいですよ。私達の早とちりでもあったんですし。
わざとじゃなかったんでしょう?
……わざとじゃなかったんですよね?」

P「あー、朝から死ぬかと思った。胃に穴が空いて死ぬかと思った」

ガチャ

P・ありす・ゆかり「おはようございます」

どすっ!

佐久間まゆ「うふ♪」

P「……な、なんか出会い頭にまゆが銀色の鋭利なものを俺の腹に突き立ててきたんだけど」

ゆかり「…………えっ?」

ありす「Pさんっ!?」

まゆ「Pさんがいけないんですよぉ。まゆを……まゆを裏切るから……」

36: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:09:49 ID:OPI

P「ぐふっ!? あ……な、なんていうか、いつか……こんな日が来るような気はしてたけど……意外と……あまり……痛みは……感じないものなんだなぁ……」

ゆかり「う、嘘……。P……さん? い、いや……っ」

P「ゆかり……ありす……俺はこのまま、まゆを抱きとめておくから……お、奥の部屋から……ほ、他の大人に……助け……を……」

ありす「Pさん……Pさん! 死んじゃ嫌です! Pさんっ!」

カラン

まゆ「うふふ……」

P「お、俺が死んだ後は……PCの中にある犬猫画像フォルダを……中身を確認せずに消去……。
……って、あれ? ……マジで痛くない?」

ありす・ゆかり「へっ?」

まゆ「なんでまゆを裏切ったんですかぁ?」

P「ていうか、これスプーンだ。ナイフでも包丁でもない、スプーンだ」

ありす・ゆかり「なんでっ!?」

まゆ「……刃物なんか使ったらPさんが死んじゃうじゃないですかぁ」

P・ありす・ゆかり「やさしい!」

まゆ「ねぇ、Pさん。なんでまゆを裏切ったんですかぁ? ねぇ? ねぇ?」

37: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:10:48 ID:OPI

ありす「あ。朝ごはんになる予定だった食材、事務所の冷蔵庫に入れてきますね。
お昼ご飯でリベンジです!」フンス

P「一応、言っておくが、その袋に入ってるいちごのパックはデザートとして単品で出してくれよ」

ありす「それだとお味噌汁や肉じゃがが物足りなくなりません?」

P「絶対にやめてくれ!」

まゆ「……ふぇ。な、なんで無視するんですかぁ」

P「あー、泣くな泣くな。無視してない無視してない。昨日のことなら大丈夫。何もない。何もなかったから!」

ゆかり「…………」

P「ゆかりも無言でスプーンを見つめない。ちょっと怖いから」

ありす「……あのー、なんか向こうで裕子さんが、スプーンがなくなったって泣いてたんですけど」

P「これ、ゆっこのかよ! 面倒くせえっ!」

まゆ「まゆ、面倒くさい女の子ですかぁ?」

P「だぁ、もう! 泣くなって!」

ありす(ていうか、なんで昨晩のこと、まゆさんまで知ってるんでしょう……?)

38: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:11:18 ID:OPI
※ ※ ※ ※ ※

ありす「で、なぜPさんは出社して早々、ソファーで女の子をはべらしてくつろいでるんですか」

P「いや、だってまゆが放してくれなくて……」

まゆ「Pさんにまゆの匂いを上書きするんです。ゆかりさんの匂いを消さなくちゃ……」

P「いや、一応、朝イチでお風呂は入ってきたぞ」

ゆかり「私も入りました」

まゆ「いっしょにですかっ!?」

P「別々にっ!」

ありす「……ゆかりさんのそれは本当に天然なんでしょうか?」

まゆ「Pさん達二人の間に一夜の過ちがなかったことは分かりました。分かりましたが、まゆを不安にさせた罰です。
しばらくこのまま、抱きつかせておいて下さい」

P「あー、はいはい。ちひろさんが来るまでなー」

ゆかり「…………」

ありす「…………」

まゆ「うふ♪」

ガチャ

39: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:11:56 ID:OPI

椎名法子「おはようございまーす」

中野有香「押忍。おはようございます!」

P「おー。おはよう」

まゆ・ありす「おはようございます」

ゆかり「ふたり共、一緒だったんですね。おはようございます♪」

法子・有香「あっ……」

ゆかり「?」

法子「ゆ、ゆかりちゃん、えー、えーっと……」////

有香「お、押忍! えーっと……押忍! 押忍!」////

ゆかり「どうしたんですかお二人共? 何か様子がおかしいですよ?」

P「特に有香が酷い」

41: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:13:28 ID:OPI

法子「い、いえ、別に。ただ……。えーっと、その……ゆ、ゆかりちゃん?」

ゆかり「はい?」

法子「だ、大丈夫? む、無理してない?」

ゆかり「? 何がでしょうか……?」

有香「……む、無理はしてなさそうですね」こそっ。

法子「……少なくとも同意の上だったみたいだね」こそっ。

P「…………」

P「…………なぁ」

法子・有香「!!?」

P「…………」

P「……いや、なんでそんなに後ずさるん?」

法子「い、いえ。べ、べべべ別にっ!」

有香「な、なな、なんでもないですじょ?」

P「……法子のそんなに怯えたような顔、初めて見たんだけど……。有香に至っては臨戦態勢だし」

ありす「お二方の親愛度、300くらい一気に下がってません?」

ゆかり「ええ、本当にどうしたんですか? ふたりとも……」

42: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:14:09 ID:OPI

有香「う……こ、こほん。す、少し取り乱しました。
ただ先程、き、昨日の夜に関する噂を耳にしまして……」

ありす「噂?」

法子「うん。……Pさんがゆかりちゃんを自宅にお持ち帰りした上で、無垢で無知で素直なのにつけ込んで、◯◯◯◯◯◯の限りを尽くしたって……」

P「はぁっ!?」

ゆかり「◯◯◯?」

有香「ああ……!
せっかくのお祝いの席。私達も参加したかったのですが、Pさんと軽くお食事するだけだと聞いて、
『二人きりにしてあげよう』と法子ちゃんと示し合わせ、気を利かせた……その結果。
その結果がこんな事になってしまうなんて……!」

法子「Pさんがゆかりちゃんを選んだこと、ゆかりちゃんにPさんをとられちゃったこと……、
それ以上に、あたし的にはPさんとゆかりちゃんが◯◯◯から◯◯◯◯◯◯にフルスロットルなのがショックでショックで……」

ありす「 く、詳しく! 」

P「いや、ねーよ! してねーから!
ていうかお前は信じるなよ橘ァ!!」

ありす「あああ、ありすです!」

P「なんで微妙に興奮してんだ!」

43: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:14:52 ID:OPI

法子「ゆかりちゃん! Pさんとのことは、あたし的に色んな意味で残念だったけど……。
それでも私達、ずっとドナダチだからね!」

P「ドナダチて」

有香「押忍! 自分もずっと押忍ダチです!」

P「対抗するな!」

ありす「声に出して読んだら語感ヤバ気ですね」

P「ていうか、何度でも言うが、それ、ガセネタだからな! 俺はそんなことしてない! NOT鬼畜! 濡れ衣よくない!」

有香・法子「えっ!? ……ほ、本当に?」

P「……信用ねーなー、俺」

まゆ「まゆも同じ様な噂を耳にしましたが……やっぱりガセネタだったんですねぇ」

P「どんだけ拡がってんだその噂」

ゆかり「そもそもどこから……誰がそんな根も葉も無い噂を広めたのでしょう……」

P「…………」

バンッ!

村松さくら「おっはよーございまーすっ! みなさぁーん! 大変ですっ! Pさんとゆかりちゃんがっ!」

P「村松ァ! お前かぁっ!!」

さくら「ふぇっ!?」

ありす「『さくらぁ!』で良くないですか?」

P「まゆっ! 捕まえろっ!」

まゆ「はいっ!」

シュババ。

さくら「なんなんですかぁ!」

45: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:15:40 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

P「自分で指示しておいてなんだが、なんで一瞬でリボンぐるぐる巻きに緊縛できるんだ?」

まゆ「Pさん捕縛道の三十七『愛死』詠唱破棄バージョンですよぉ」

P「……そっか」

さくら「そっか、じゃないんですけどぉ! なんでわたしは、いきなり縛られてるんですかぁ!」

P「やかましい! 人の有る事無い事言いふらしやがって!
下手したらスキャンダルの上、事務所崩壊の危機だったぞ!」

ありす「半分『有る事』なのは、Pさんの自業自得ですけどね」

P「正論はやめて」

さくら「えーっ! そんなことしてませんよぉ!」

P「ああん?」

さくら「いくらわたしがお馬鹿でおっちょこちょいだからってぇ!
人の悪口や嘘を触れ回ったりしませぇん!」

P「む。……た、確かに……。さくらはそんな子じゃないよな……」

ゆかり「では一体誰が……」

さくら「わたしはPさんがゆかりちゃんにイヤラシイことをした件で、みんなに相談しただけでぇす!」

P「それじゃボケェェェェッ!!」

さくら「ええええっ!?」

ありす「まぁ、予想はしてましたが」

さくら「で、でもでもでもぉ!」

P「ああん?」

ありす「なんでさっきからチンピラ口調? もしくは時子さん」

さくら「あれは間違いなく鬼畜プロデューサーと、その毒牙にかかるお嬢様でしたよぉ!」

46: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:16:17 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

前日夜
P宅より、ゆかり嬢の電話

さくら「はぁい! もしもし? ゆかりちゃんですかぁ? こんな時間に珍しいですね!」

ゆかり「あ。良かった。繋がった……。夜分遅くに失礼します。ちょっと、さくらちゃんにお願い事がありまして……」

さくら「はぁい! わたしにできることなら、何でも言ってくださぁい!」

ゆかり「じ、実は……ん。今晩……寮に帰れなくなってしまいまして……。
悪い事ではあるとは思うのですが、さくらちゃんには代返を……寮の出入りの管理システムを誤魔化してもらいたいんです」

さくら「あー。わかりましたぁ! 泉ちゃんにお願いして、データをいじってもらえばいいんですねぇ!」

ゆかり「え、ええ……。そうです。お、お手数ですが……はぁはぁ……お、お願いできます……か?」

さくら「……?」

さくら「……ところでゆかりちゃんは今どこにいるんですかぁ?」

ゆかり「Pさんのお家ですよ」

さくら「へっ!?」

ゆかり「お酒のせいで(Pさんが)酩酊してしまい、色々あって今は私もPさんのお家にお邪魔しているんです」

さくら「お、お酒はまずいですよぉ!」

47: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:16:45 ID:OPI

ゆかり「もともと飲む予定はなかったのですが、無理矢理飲まされたと言いますか……」

さくら「ひ、ひえっ!?」

ゆかり「と、とにかく……、そのせいもあって、今日は、か、帰らせてもらえそうにないと言いますか……あ。
お、重っ。Pさん、体重……かけすぎですっ」

さくら「な、ななな、何してるんですかぁ!?」

ゆかり「……? な、何って……。
今は……少しお恥ずかしいのですが、Pさんと同じお布団で……」

さくら「お、おおおお、同じお布団っ!?」

ゆかり「つ、強く……抱かれている……とでも言うのでしょうか?」

さくら「だ、だだだただ、だかっ? だかれっ!?」

ゆかり「ふぅふぅ……。そういうわけなのでシステムの方……い、泉さんによろしくお願いします……ね?」

さくら「あわあわあわあわあわ……!」

ゆかり「?」

さくら「い、いっずみちゃ~~ん!! うえぇぇ~~~ん!!」

プツ。ツーツー。

48: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:17:22 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

さくら「こんな感じでしたぁ!」

P「俺ひどいなっ!!」

有香・法子「うわぁ……」

まゆ「電話させながらとか、鬼畜ですねぇ」

ありす「…………」ごくり。

ゆかり「あー……」

さくら「ですよねぇ! ひどいですよねぇ!」

P「いや、それは勘違いしてもしかたないけどさぁ! 誤解だから!
俺、そんなことしてねーからっ!」

さくら「……えーっ?」

P「くっそ、本当に信用ねーな」

さくら「ちなみに話を聞いた泉ちゃんはぁ、
『データの改竄ね。言われたことは、きちんとこなす……けど……明日は一人にして欲しい……ぐすっ。なんで私……こんなに落ち込んでるんだろう……』
って、ちょっと凹んでましたぁ!」

ありす「ちょっと……でしょうか?」

49: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:17:56 ID:OPI

さくら「隣で一緒に話を聞いてた亜子ちゃんはぁ、号泣しながらヤケクソ気味に、
『これが最後のひと稼ぎやっ!転んでもタダでは起きへんでぇ!』
って言って、わたしの証言に推測を交えた『ここだけの話新聞』を大量に刷りあげてましたぁ!」

ありす「清々しいまでに拡散する気満々なタイトル!」

P「おい誰か止めろっ!」

まゆ「まゆはそれでこの件を知りましたぁ」

有香・法子「同じく」

P「手遅れだったか……!」

さくら「ちなみに比奈先生の描き下ろし、マンガ版は鋭意執筆中、今秋中に発売予定でぇす!」

P「差し止めろっ!」

ゆかり「それ、予約ってできますか?」

P「ゆかりさんっ!?」

さくら「さらに付け加えるならぁ、泉ちゃんは今日、レッスンを休んでマキノさんと一緒に意味もなくペンタゴンにハッキングを仕掛けるって言ってましたぁ!」

ありす「憂さ晴らしの八つ当たりでしょうか」

P「国際問題になるわっ!」

さくら「米国防総省全モニターで『メルヘンデビュー!』と『あんずのうた』のPVをエンドレスで流し続けるって言ってましたぁ!」

ありす「関係ない菜々さんと杏さんを巻き込んでいくスタイル」

P「杏はともかくウサミンはやめたげて!」

さくら「そんなわけでぇ、Pさんの件がガセネタだったとしてもぉ、うちに所属してるみんなはもう大体知っちゃってると思いまぁす!」

P「まぁす!じゃねーよ!」

ありす「なら、この後の展開も自明ですね」

P「…………」

50: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:18:31 ID:OPI

ガチャ

早苗「P君、いるっ!?」

和久井留美「話は聞いたわ!」

美優「なんで私は半裸でピニャさんと寝てたんですかっ!?」

楓「おはようございますPさん、いい朝ですね。絶好の絶交日和です。ふふっ」(目が笑ってない)

P「……わーお」

ありす「まぁ、お約束みたいなもんです」

早苗「ついにやっちゃったみたいね。
……署までご同行願いましょうか。覚悟はできてるんでしょうねぇ」

留美「応接室の使用許可をとったわ。すぐに尋問に入りましょう」

美優「う、嘘ですよね……Pさんはそういう人じゃないですよね?」

楓「嬌声との共生は……強制的に矯正……ふふっ」(真顔)

P「ぐっ、お、落ち着いて下さい皆さん!
昨日の事を思い出して下さいっ!
お、俺に、噂になってるようなことをする余裕があったと思いますかっ!?」

51: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:19:04 ID:OPI

早苗「……うっ」

留美「そう言われてみれば……」

P「あの噂は不幸な誤解が重なったデタラメです。落ち着いて、俺の話を聞いて下さい。
俺を! 皆さんのプロデューサーを信じて下さい!」

楓「!!」

美優「そ、そう……ですよね。Pさんに限ってそんなこと……ありえませんよね」

留美「た、確かに……噂に流されて、冷静さを欠いていたわ。ごめんなさい」

P「い、いえ。分かっていただけたらいいんです」

早苗「そうよね。P君が15歳の女の子に……子どもになんか、手を出すはずがないもんね。
あたしも……どうかしてたわ」

ゆかり「…………」

P「よ、よし。これで最悪の事態は免れたな……」

ありす「意外に凌ぎ切りましたね」

まゆ「ひと安心ですねぇ」

ゆかり「…………」

有香・法子「?」

52: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:19:45 ID:OPI

53: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:20:32 ID:OPI

ゆかり「あ、そういえば、ふと思い出したんですけど……Pさん?」

P「ん? どうした?」

ゆかり「昨晩と今朝だけでは使い切れなかった、この大量のティッシュ……どうしましょう」

P「!?」

美優「……ティッシュ?」

留美「昨晩と今朝……」

まゆ「使い切れなかった……」

ゆかり「今朝の服にかかったアレもシミにならなくて良かったですね」

P「言い方っ!」

ゆかり「あと、ずっと気になってたんですが……昨日の夜、私が脱がしたPさんの服とズボン、シワになったりしてませんでした?
私がああいうの慣れてなくて……」

P「ふぁっ!?」

早苗「ふーん……」

留美「脱がさせたんだ……」

五十嵐響子「Pさんの、ズ、スボンだったら私も脱がせましたしっ!」

P「公式ネタっ!? ていうか、いつの間にいたんだ響子っ!?」

55: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:22:14 ID:OPI

響子「ありすちゃんの
『なぜPさんは出社して早々、ソファーで女の子をはべらしてくつろいでるんですか?』
ってセリフの辺りから、ずっとソファーの後ろに立っていましたよ?」

P「怖いわっ!!」

ちひろ「響子ちゃんがPさんのズボンを力尽くで脱がせにかかるミニドラマは
『THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 045五十嵐響子』で聴けますよ!
可愛らしい歌も入って、お値段、720円と大変お買い得!
なお、ゲーム用のシリアルコードは期限切れで使えません。ご了承ください♪」

P「宣伝はいいが、俺にカメラ向けるの止めろや千川ァ!」

留美「ふぅ……。響子ちゃんの件も含めて……」

早苗「やっぱり署までご同行願わないといけないみたいね」

美優「若い子が……いいんですか……?」

P「くっ、やはり逃れられない……!
が、しかし!」

ずさっ!

56: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:23:00 ID:OPI

ありす「ど、土下座っ!?」

早苗・留美・楓・美優「!!?」

P「す、すみません! せめて少し、ほんの少しでいいんです!
時間を……猶予をもらえないでしょうかっ?」

早苗「な、何? 崖とか屋上にいく猶予は与えられないわよ」

P「追い詰められて自◯とかしませんよ!
ただ、ちょっと今日中に必ずやっておきたいことがあっただけです!」

ありす「もう終日拘束されるのは覚悟してるんですね」

留美「そ、それくらいなら……いいわよね?」

早苗「そりゃあ、まぁ……」

P「ありがとうございます。刑事さん……」

ありす「なんでノリノリなんですか」

P「ゆかり、ちょっといいか?」

ゆかり「は、はい。どうかしましたか?」

P「本当はもっとちゃんとした所で渡したかったんだが……これを受け取って貰いたい」

57: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:23:33 ID:OPI

ゆかり「これは……リボンの付いた……小箱?」

一同「…………」

ゆかり「う~ん。……婚約指輪ですか?」

一同「!?」

P「違うっ! どうしてそうなるっ!?
こほん。……10月18日、ゆかりへの誕生日プレゼントだ」

ゆかり「!!」

P「ハッピーバースデー。俺からの気持ちだ。受け取ってくれ」

ゆかり「…………!」

ゆかり「あ、ありがとう……ございます」

P「本当は昨日のパーティで1日早めに渡そうと思ってたんだけどな。
結果として丁度当日に渡すことができたな」

ゆかり「開けてみても……?」

P「ああ」

ゆかり「…………」

ゆかり「これは……ネックレス……ですか?」

P「ああ、派手過ぎない程度の色合いで……薄い金色のネックレスだ。飾りには花細工がついてる」

ゆかり「百合の……花」

58: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:24:12 ID:OPI

P「ゆかりの所属してるユニット、イエローリリィから連想した。
ちょっと安直かな、とは思ったけどさ」

ゆかり「いえ……とても素敵です。とても……嬉しいです」

一同「…………」

P「そんなわけで……俺のやり残した事は以上です。刑事さん」

早苗「むぅ……」

ゆかり「Pさん……本当に……本当にありがとうございます。
私……いつも貰ってばかりで……本当に……なんて言ったら良いのか……」

P「いいって、いいって。そこまで大したもんじゃないからさ」

ゆかり「Pさんにはいつも大切なものを……素敵なものを貰ってばかりです。
アイドルとしての自分、思い出、仲間、友達……どれも、私だけでは……Pさんに出会わなければ手に入る事はなかった……掛け替えのないものです……」

P「ゆかり……」

ゆかり(そして、胸の中、いえ、もっと奥深く……胸なんかよりもずっとずっと深くに……沈むように眠る……まだよく分からない……この感情……)

一同「…………」

ゆかり「Pさんには本当に大切な……素敵なものをいただいたんです……」

P「そ、そう言ってくれるのは嬉しいんだが、そういう事を言いながら自分の下腹部に手を当てるのはやめような。
またいらん誤解を」

59: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:24:44 ID:OPI

早苗「P君?」ガシッ

P「あ、あれ? 早苗さん? 急に俺の腕掴んで、ど、どうしたんスか?」

留美「話もひと段落ついたみたいだし、行きましょうか?」ガシッ

P「え? 留美さん? 掴んでる腕が、ちょっと痛いなー、なんて」

美優「…………」

楓「カツ丼の出前は、おいどんに、どーんとお任せ下さい。ふふっ♪」

ありす(あれ? 楓さん、もう疑ってないのに、悪ノリしてません?)

まゆ「応接室の準備ができましたよぉ。うふふ♪」

響子「私、お茶淹れてきますね」

P「ああっ! まゆ達までそっち側にっ!?」

ゆかり「あっ! Pさん!」

P「ゆ、ゆかり、頼むたすけ…」

60: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:25:25 ID:OPI

ゆかり「私、今日で16歳ですね!」

P「お、おう?」

ゆかり「アイドルが楽しいから、まだ結婚はできませんけど、今度またお料理を作りに行くって話、ちゃんと覚えておいて下さいね」

P「お、oh……」

ゆかり「良いお嫁さんなるって言ってくれたのが嬉しかったから……私、もっともっと色々と頑張りますね♪」

P「…………」

早苗「はーい。ではちょっと処までご同行願いましょうか?」

P「なんかニュアンス…っていうか、漢字変わってません!?」

早苗「だいじょーぶ。話を聞くだけ、聞くだけだから……身体に」

P「今、ぽそっと聞き捨てならないこと言ったーっ!?
可視化をー! 取り調べの透明化をー!」

ズルズルズル……バタン

ゆかり「Pさん……今日も一緒に帰られるでしょうか?」

ありす「難しいんじゃないですかね……。
ていうか、ゆかりさんはちゃんと自分の寮に帰ってくださいね」

ゆかり「ふふっ」

ありす「いや、ふふっじゃなくて」

ゆかり「そういえばなぜ、今朝ありすちゃんはPさんのご自宅に?」

ありす「……も、黙秘します」

ゆかり「…………」

ありす「…………」

61: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:26:03 ID:OPI

さくら「よぉし! じゃあ、わたしは泉ちゃんと亜子ちゃんにPさんの事は誤解だったって伝えてきますねぇ!」

ありす「わっ。いたんですね。静かだったので、すっかり忘れてました」

さくら「空気を読んでみましたぁ!」

ありす「そ、そうですか……。
ていうか、Pさんの件が誤解だって納得されたんですね……」

さくら「よくよく考えたらPさんがそんな酷いことするわけないなぁって!」

ありす「……そういうことは本人がいる時に言ってあげて下さい」

さくら「はぁい! では、泉ちゃん達の所に行ってきまぁす!」

バタン

ありす「はぁ……」

有香「ではあたし達は他の方々の所に誤解を解きに行きましょうか」

法子「そうだねっ」

ありす「有香さん達もしばらくだんまりでしたね」

有香・法子「大人組がなんか怖かったので」

ありす「……ですよねー」

有香・法子「それでは行ってきまーす」

ありす「よろしくお願いします」

バタン

62: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:26:39 ID:OPI

ありす「みんな出て行っちゃいましたね……。 ゆかりさん?」

ゆかり「あ、はい。そうですね」

ありす「ああ、さっきPさんに貰ったプレゼントを見てたんですか。
いいですね。とても綺麗です。正直、ちょっと羨ましい……」

ゆかり「ええ……それに……」

ありす「?」

ゆかり「ありすちゃん、百合の花言葉って知っていますか?」

ありす「いえ……。あ、今更ですが、できればPさん以外には橘と呼んでもらいたいのですが……」

ゆかり「百合の花言葉……それは一般的に『純潔』とか『無垢』などと言われてます……」

ありす「……へぇ。なんて言ったらいいのか……。よく似合っていると思いますよ?」

ゆかり「けど、黄色の百合にはまた別の花言葉もあるんです」

ありす「えっ?」

ゆかり「『偽り』……それが黄色い百合に込められたもう一つの意味、花言葉です」

ありす「……!? そ、それは……!」

63: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:27:18 ID:OPI

ゆかり「つまりPさんは、口では、大したものではない、ユニット名にちなんだ安直なプレゼントだと言っていましたが、それはきっと『偽り』なのだと思うんです……」

ありす「ん? ……んん?」

ゆかり「Pさんが本心を『偽って』まで贈って下さったこのプレゼント。
では、その真意は一体どこにあるのでしょうか?」

ありす「え、えーっと……?」

ゆかり「ありすちゃん」

ありす「は、はい」

ゆかり「男性が女性にネックレスを贈る時、込められるメッセージというものをご存知ですか?」

ありす「う、う~ん。聞いたことあるような、ないような?」

ゆかり「『あなたを独占したい』『束縛したい』『永遠に繋がっていたい』……そういった意味合いがあるそうです。
要するに首輪のようなものですね」

64: 名無しさん@おーぷん 2016/10/18(火)03:27:54 ID:OPI

ありす「ちょ、ちょっと待って下さい。話が飛躍し過ぎ、極論過ぎます。
それに多分、あの人、Pさんはそこまで考えてないと思うんですけど……!」

ゆかり「…………」

ありす「…………」

ゆかり「…………」

ありす「…………」

ゆかり「とりあえず凛さんに自慢してきますね」

ありす「あなた絶対、天然じゃないでしょう!!」


水本ゆかりさんは裏表のない素敵な人ですエンド




なお、窮地のPさんは、なぜか全てを把握していた文香と智絵里の証言によって、無事釈放されたとのこと。

Pさんは二人に、たいへん感謝したそうです。

めでたしめでたし。