前回 P「ゲームの世界に飛ばされた」 中編

652: ◆bjtPFp8neU 2014/08/17(日) 22:30:33.30 ID:n/rmkEN3O
長老の家 食堂

3人「」



長老「……どうした、食べないのか?」


春香「え、えっと……」

亜美「ねぇ、長老っち……」

真美「これって……」



長老「……カエル料理じゃ」


亜美「やっぱり…」

長老「誰かさんのおかげで、カエルには困らんのでな」チラ

亜美「うっ……!」


ヒョイッ

長老「むしゃむしゃ…ごっくん」

長老「意外といけるぞ?」



春香「……」

春香(出されたものに手を付けないのは……失礼だよね?)

春香「……よし!」

真美「はるるん、まさか…」


春香「……せっかくなので、いただきますっ!」

亜美「うえぇ…はるるん、マジ?」


春香「……ぱくっ」

春香「……!」

春香「もぐもぐ……ごっくん」


真美「は、はるるん、平気?」

春香「うん…意外といけるかも?」

春香(食感が……ちょっとアレだけどね)


真美「真美も、食べてみよっかな…?」

亜美「じゃ、じゃあ…亜美も…」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405694138

引用元: P「ゲームの世界に飛ばされた」 



ディシディア ファイナルファンタジー NT - PS4
スクウェア・エニックス (2018-01-11)
売り上げランキング: 380
653: ◆bjtPFp8neU 2014/08/17(日) 22:51:03.45 ID:n/rmkEN3O
真美「もぐもぐ…」

亜美「ごっくん…」


真美「うーん…まずくはないっぽいけど…」

亜美「食感が…キモいよぉ…」

長老「残さず食べるのじゃぞ?」


真美「うえぇっ!?」

亜美「そ、そんなの、無理っしょ~!」

春香(うーん、この量は…キツイかも…)

P(カエルの素揚げか…。さすがにこんなに食べたら飽きるよな…)


長老「魔法で遊んだバツじゃ」

長老「残したら、外出禁止じゃぞ?」


亜美「ええ~!そんなぁ~!」

真美「長老っちの鬼!悪魔!カエルっ!」


長老「よいか、魔法はオモチャではない…それをよく考えるのじゃ」

亜美「……」

真美「……」


長老「……では、わしは出かけてくるからな」


スタスタ…

ガチャ…バタン

654: ◆bjtPFp8neU 2014/08/17(日) 23:15:43.32 ID:n/rmkEN3O
亜美「いじめだよ~!」

真美「長老っち、昨日ははるるんについていってもいいって言ってたのに……!」



P「なあ……2人が何をしたか知らんが、長老は、別にいじめのつもりでやったんじゃないと思うぞ?」


亜美・真美「えっ?」


P「だって、長老がいないんだから、外出禁止も何もないじゃないか」

亜美「あ!確かに…」

P「食べたくなかったら、残して、さっさと出発すればいい…」

P「多分長老は、2人に考える余地を残したんじゃないかな?」

春香「魔法で遊ぶ事……について、ですか?」

真美「……」


P「うーん……さっきの会話から考えると、多分そうじゃないかな?」


亜美「長老っち……ごめん!」

真美「真美達、ちょっとふざけすぎたよ…」


春香「でも、これ…どうしますか?残して行くのも、気が引けますよね……」


P「ああ、俺が食べるよ」

真美「兄ちゃん…?」

P「こういうの、子供の頃によく食べたもんだ」スッ

P「ぱくぱくもぐもぐ……ごっくん」

P「…懐かしい味だな」

亜美「に、兄ちゃんすごい…!」


ムシャムシャ モグモグ…


P「ふぅ…ごちそうさま」


P「さて、行こうか!」ガタッ


3人(頼もしい……!)





660: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 20:45:13.52 ID:xy5ezXhFO
ミシディアの村 入口

黒魔道士「……ん?」チラ


黒魔道士「あ……お前は!」


春香「あ……どうも…」ペコリ


亜美「ん?はるるん、知り合い?」

春香「あはは……ちょっと、ね」


黒魔道士「……」

黒魔道士「……あんた、試練の山へ行くんだってな…」

春香「あ、はい」

黒魔道士「パラディンになるつもりか?」

春香「あ、えっと…」

春香(パラディンって…なんだろ…)

真美「そうだよ~!イマドキ暗黒騎士なんて、流行らないもんね~」

黒魔道士「そうか……」


黒魔道士「……長老はどう思ってるかしらんが、オレはあんたの事、認めたわけじゃない」

春香「……」

P(春香…苦労したよな、きっと)


黒魔道士「……」

黒魔道士「……だけど」

黒魔道士「もしあんたが、試練を乗り越えて、この村に戻ってくる事ができたら…」

黒魔道士「その時は、あんたを認めてやるよ…」


春香「……」

春香「……わかりました」

春香「私、必ず試練を乗り越えてみせます!」グッ


黒魔道士「そうか……」

黒魔道士「ま…せいぜい頑張るんだな…」クルッ


スタスタ…


ピタッ

黒魔道士「……そうだ」クルッ

黒魔道士「……持ってけ」ヒュッ


春香「え?…あっ…とっと…」アタフタ


黒魔道士「じゃあな」


スタスタ…

661: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 20:57:46.90 ID:xy5ezXhFO
春香「……」


P「春香、何をもらったんだ?」


春香「えっと…砂時計?ですかね…?」スッ


亜美「ん?茶色…って事は…」

真美「『銅の砂時計』っぽいね~」


P「銅の砂時計……どんなアイテムだっけなぁ…?」


亜美「えっとね、確か、時間を止める事ができるんだYo!」

真美「でも、止められる時間は短いんだよ~」

P「あー、ストップと同じって事か」

P(使いどころを見極めれば、充分戦力になりそうだな)



春香「……」

春香(ありがとうございます…!)ペコリ

662: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 21:15:29.82 ID:xy5ezXhFO
海上

ユラユラ…


真「もぐもぐ…」

真「はぁ……」

真「……」ボーッ





真(……やよいを助けられなかった…)

真(みんなを助けられなかった…)


真(…こんな板切れにしがみ付いて、自分だけ生き残って…)

真(一体…何のための力?)

真(何のための修行だったんだ…?)

真(ボクは…何のために今まで…)


真「……」

真(……お師匠様は、今のボクを見て、なんて言うかな?)

真(ははっ…今にも、『修行が足りんっ!!』って怒鳴り声が聞こえて来そう…)


真(……魚も、食べ飽きたなぁ…)チラ


真(あー……)






真(…………また、やよいのもやし炒めが、食べたいなぁ……)

664: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 21:24:08.62 ID:xy5ezXhFO

パンッ!


真「…………よし!反省終わりっ!」


真「んーーっ!」ノビッ

真「……」



真(お師匠様、ボクは、自分の信念を貫き通します)

真(みんなを信じる事をやめない、という信念を……!)





真「……ん?」チラ


真「……陸地が見える!」


真「うーん、丸一日くらい修行サボっちゃったから…」コキッ

真「まずは、肩慣らししなきゃね」


真「すぅーー…」


タンッ


ザパァン!



バシャバシャバシャ…

666: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 21:36:16.35 ID:xy5ezXhFO
バロンの町

真「ずぶ濡れになっちゃったな」ヒタヒタ

真「一応、服は絞ったけど、どこかで乾かさなきゃ…」


真「それにしても……」キョロキョロ


真「なんだか、辛気臭い町だなぁ…」

真「みんな暗い顔して歩いてる…」


真「あーもうっ!こっちまで暗くなっちゃうよ」

真「とりあえず、ここがどこだか確かめなきゃな」




真「あ、あの人に聞いてみよう!」


タタタタ…


真「あの!すみません!」

真「ここはなんて町でしょうか?」






「………はいさい…ここはバロンの町だぞ…」


真「!」

真「ありがとうございました!」ペコリ


「……なんくるないさー…」



真「……そうか、ここはハイサイバロンの町…」ブツブツ

真「……えっ?」

667: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 21:49:25.05 ID:xy5ezXhFO
真「ちょ、ちょっと待って!」

真「こんなとこで何してんのさ!」



真「響!」



響「………え?」クルッ


響「あ……!」

響「ま……!」ウルッ


響「真ぉーーーー!!」ガバッ


真「…とっと」ガシッ


響「?わあああぁぁぁーーーん!!あいだがっだぞー!」ポロポロ

真「響……」


真「よしよし…」ナデナデ





響「ひっく……グスッ…」

真「……少しは、落ち着いた?」

響「う、うん……」グスッ


響「真……いきなり泣いたりして、ごめんね…?」

真「ううん、いいよ」


響「響の泣き顔、可愛いかったし…クスッ」



響「う……///」

響「うがー!からかうのは無しだぞー!」ポカポカ


真「あはは、ごめんごめん!」

668: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 22:08:57.27 ID:xy5ezXhFO
ヒビキの家

響「でも、真に会えて、自分、元気出たぞー!」

響「ありがとな、真」


真「うーん…」

響「ど、どうしたんだー?」


真「お礼を言うのは、こっちの方かもなーって思ってね」

響「な、なんでさー?」


真「実は、さっきボクも、ちょっぴり心が折れそうだったんだ」

響「真……」

真「でも、響に会って、『ああ、ボクはお姉さんだからしっかりしなきゃな』って思えた」


響「そ、そうだったのかー…」

響(おにーさんの間違いじゃ…とか言ったら、真に殺されるな、うん)




真「それにしても、最初は響ってわからなかったよー」

真「あまりにも暗かったからさ」


響「……」

響「……ちょっと、いろいろあったんだ」


真「……何があったか、話してよ?ボクも話すからさ?」




真(……今は、誰かのために、戦いたい!)

669: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 22:42:16.56 ID:xy5ezXhFO
トロイアの城 救護室

ユイット「ねえ、あのおねーちゃん、起きないの…?」ギュッ

シス「大丈夫、お姉様達が、きっとなんとかしてくれるよ…?」ナデナデ



ドゥ「なんだい、この怪我は…!?いったい何をしたらこんな…」

サンク「……私達は、やれる事をやるしかないようです」

キャトル「じゃあ、さっそく始めましょ~」ポワ


パァーーー!


シャララーン!


キラキラキラ…


雪歩「……」




サンク「……これで、命の心配はないはずですが…」

ドゥ「あとは、この子の体力次第か…」




バタン!



セット「お姉達!大変だよ!」


ドゥ「どうしたんだい?そんなに慌てて…?」



セット「クリスタルが…!」



ドゥ「!!」



670: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 22:52:06.81 ID:xy5ezXhFO
キャトル「え?あのリツコさんという方、もういらっしゃるの…?」


セット「んーん、攻めて来たのは、人間じゃないみたいなの!」

ドゥ「アン姉とトロワが心配だ…!行くぞ!」

ドゥ「……シス、ここは任せたぞ?」


シス「は、はい、お姉様方!」


ドタドタ…





ユイット「……!」ブルブル

シス「ユイット、心配しなくても大丈夫よ…?」ダキッ


ユイット「シスおねーちゃん…!」ギュッ



雪歩「う……」



シス「!」

シス「意識が戻りかけてるのね…!」


シス「ユイット、お姉ちゃん、ちょっと離れるから、あの人の事…看ててね?」


ユイット「うん!ユイット、見てる!」



タタタタ…

671: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 23:02:35.83 ID:xy5ezXhFO
ユイット「じーっ…」


雪歩「……ん…」モゾモゾ


ユイット「じーっ…」


雪歩「…………はっ!」ガバッ


ユイット「あっ!」


雪歩「痛っ……!」ズキッ


ユイット「……おねーちゃん、だいじょーぶ?」


雪歩「え……?」チラ

雪歩「えっと……」


ユイット「おはよう!」


雪歩「あ……」


ユイット「じーっ…」


雪歩「お、おはよう…?」


ユイット「えへっ」ニコッ


ユイット「はじめまして!ユイットです!8番目のしんかんです!」ペコリ


雪歩「は…はじめまして…」ペコリ


雪歩(この子は、いったい…?)

雪歩(8番目の新刊って、なんだろ…?)



ガチャ…

673: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 23:13:51.95 ID:xy5ezXhFO
シス「あ……」

シス「目が覚めたんですね…?」


雪歩「は、はい…」

雪歩(ユイットちゃん?と、同じ服…)


ユイット「シスおねーちゃん!」ダキッ


シス「ちゃんと看ててくれたのね?ありがとう」ナデナデ

ユイット「うん!ちゃんと、見てたよ?」



シス「……お水です、どうぞ」スッ


雪歩「あ、ありがとうございますぅ…」

雪歩「ゴク…ゴク…」

雪歩「……ふぅ」


雪歩「……あ、あの、私…」


シス「……はじめまして、ダムシアン国第1王女、ユキホ様」

シス「トロイア国第6の神官、シスと申します」ペコリ


雪歩「あ…どうも」ペコリ


シス「この子は、第8の神官、ユイットです」


ユイット「さっき、じこしょーかいしたよ?」

シス「あ、そうなの、ごめんね?」




雪歩「あの…なんで、私の事を……?」

674: ◆bjtPFp8neU 2014/08/18(月) 23:28:26.27 ID:xy5ezXhFO
シス「ユキホ様…」

シス「あなたの国、ダムシアンが滅ぼされたとの噂は、この国にも聞こえています」


雪歩(……そうなんだね…)


シス「先日、この近くの海岸であなたを救助し、勝手ながら、手当てさせてもらいました」


雪歩「あ…すみません…助かりました…」ペコリ


シス「いいえ、どうやらご無事なようで、なによりです」


雪歩(あれ……トロイアって、どこかで聞いた気が…)


雪歩(あ……!)


『もはや、トロイアの土のクリスタルを残すのみとなった…』


雪歩(そ、そうだ!真ちゃんの国の王様が…言ってたよ…)

雪歩(全部…律子さんに奪われたら、ダメなんだよね、確か…)



雪歩「あ、あの…!」


シス「はい」



雪歩「く、クリスタルは、無事ですか?」

683: ◆bjtPFp8neU 2014/08/19(火) 21:30:18.71 ID:bLL9J+BYO
幻獣界

黒井「……帰ったぞ」


冬馬「おっさん!遅かったじゃ……」



やよい「うわぁ…!ふしぎなとこですねー…!」キョロキョロ


冬馬「!?」

北斗(765プロの……高槻やよい…?なんで社長と一緒に…?)



やよい「あっ……!」

やよい「えっと…」

やよい「じゅぴたぁの…」


冬馬「おい、おっさん!これはどういう事だ?」


黒井「知らん」

黒井「いつの間にか、くっついてた」


グルンッ


翔太「…まさか、黒ちゃんが捨てネコを拾って来るとはね~」


やよい「はわわっ」

やよい「あ、頭が…まわりました…」




北斗(この子がいるって事は、他にも…)

北斗(ひょっとして、俺達は巻き込まれたんじゃ…?)





684: ◆bjtPFp8neU 2014/08/19(火) 21:42:46.38 ID:bLL9J+BYO
やよい「みなさん、とーっても仲良しなんですねー!」



北斗(まあ、異常だよな…)

北斗(ひとつの身体に顔が3つもくっついてるんだから…)

北斗(しかしこの子は、物怖じしないんだなぁ)

冬馬「う、うるせー!誰が好きでこんな…」

翔太「まあ、冬馬がちょっと暑苦しいけどね~」




黒井「フン……考え様によっては、これほど完成されたアイドルユニットもいない、とも言える」

黒井(究極のアイドルとは、あるいはこういうものなのかもな……)



黒井「ともあれ…」

黒井「…大切な人質だ。丁寧に持てなせ……」


やよい「?」

冬馬「おっさん…またバカな事を…?」

翔太「こんな世界に来てまで黒いんだね~」

北斗(社長……)



黒井(今日は、うまい事逃げられた……)

黒井(フッフッフ…待っていろ、高木!)

685: ◆bjtPFp8neU 2014/08/19(火) 21:57:51.13 ID:bLL9J+BYO
幻獣王の館

やよい「うっうー!できましたよ~!」


ドサッ



北斗「もやし炒めか…」

翔太「あ~あ、僕、もっといいもの食べたかったなぁ~」

冬馬(お、女の子の…手料理!)

黒井「フン…庶民の料理か…」


やよい「まだ、塩こしょうをふっただけですっ」


やよい「これに…高槻家自慢のタレをかけま~す」


ジュー!


北斗「ん?不思議な香りが……」

翔太「お~?ちょっとおいしそうかも?」

冬馬(女の子の……手料理!!)

黒井「フン…庶民の浅知恵か…」




やよい「それじゃあ、いただきまーす!」


冬馬「ガツガツモグモグ……!」

北斗「冬馬…がっつき過ぎだ…」


黒井「もぐもぐ…」

黒井(フン、庶民にしては、上出来じゃないか…)


冬馬「ガツガツモグモグ…!」

翔太「冬馬~、そろそろ交代してよ~」

北斗(食事は3人で交代しなきゃならないのは、不便だな…)


やよい「まだまだたくさんありますから、おかわりしてくださいね~?」




黒井「騒がしいやつらだ…」


黒井(高槻やよい…)

黒井(……召使いとしてなら、雇ってやってもいいぞ…?)

686: ◆bjtPFp8neU 2014/08/19(火) 22:13:19.09 ID:bLL9J+BYO
翌日、幻獣王の館

やよい「うっうー!こんどは自信ありですっ!」


ドサッ


北斗「昨日と同じじゃないか…?」

翔太「確かにおいしかったけど…2日連続は、ちょっとな~」

冬馬(昨日は、醜態を晒してしまった……落ち着け、俺!)

黒井「……芸の無い事だ」

黒井(しかし…自信ありと言うからには、何か策があるのか…?)


やよい「かるーく塩こしょうをふったあと…」


パラッ…パラッ…


やよい「ユキコさんのタレのれしぴを参考にした…」

やよい「この、きゅーきょくのタレ『高槻改』をかけますっ!」


ジュー!


やよい「最後に、ギザ……ギザ……」


翔太「ギザギザ?」


やよい「ギザ…なんとかの、野菜を乗せますっ!」



北斗(これは…!)

北斗(臭い…?いや、その臭さが心地いい…)

北斗(もう、この香りの虜になってしまった…)

翔太「……ぱくっ」

翔太「………う」

翔太「うまいっ!何だコレ?何だコレ?」ガツガツモグモグ…


冬馬「お、おい…俺の分も残して…」

北斗「冬馬、次は俺の番だ」

北斗「お前は昨日、散々食べたろ?」

冬馬「くそ~!」



黒井(何だ…この香りは…)

黒井「……ぱくっ」

黒井「………!!」

687: ◆bjtPFp8neU 2014/08/19(火) 22:23:26.86 ID:bLL9J+BYO
黒井「フ、フン…!まあまあだな……」


やよい「ありがとーございますっ!」ペコリ


黒井「ぱくぱく…」

黒井(ば、バカな…!この私の箸が…止まらない…だと!?)

黒井(大抵のものは、食べ尽くした…)

黒井(しかしこれは、今まで食べたどんな高級料理も凌駕する……!)



黒井「モグモグ…」

黒井(くそっ!完敗だ…高槻やよい…)


黒井(……コックとして、雇ってやってもいいぞ…?)




冬馬「くそぉ、俺も食べたい…!」

翔太「冬馬は昨日、一人で食べたじゃんか~!」

北斗「今日は俺達の番だぞ?ぱくぱく…」

冬馬「うぅ……」



やよい「……」

688: ◆bjtPFp8neU 2014/08/19(火) 22:41:50.85 ID:bLL9J+BYO
やよい「あの…」

やよい「鬼ヶ島…さん?」


冬馬「天ヶ瀬だっ!」



やよい「はい、あーん…」スッ


冬馬「え?え?」オドオド


やよい「鬼ヶ島さんにも、食べてもらいたいかなーって!」ニコッ


冬馬(こ、これって…カップルがやるやつじゃないのか…?)

冬馬(い、いいのか、俺?)

冬馬(いいのか…高槻?)チラ


やよい「じーっ…」


冬馬(うっ!天使……)

冬馬(ここで引いたら…男じゃねぇっ!)

冬馬「し、仕方ねえな…た、食べてやるよ…」ドキドキ



やよい「ありがとーございますっ!」

やよい「はい、あーん…」スッ


冬馬「あ、あーん……ぱくっ」

冬馬「モグモグ…」


やよい「どーですかっ?」ズイッ


冬馬「う……」


やよい「う……?」


冬馬(うまい!こんなうまいもの、今まで食った事ないぞ…?)

冬馬(ていうか、高槻、顔近いっ!)ドキドキ


冬馬「う、うん…まあ、いけるんじゃねーか…?」

冬馬(女の子に、あーんしてもらった…こ、これって…こっ恋人になったって事か…?)


やよい「えへっ、よかったぁ!」ニコッ



翔太「なーんか、いつの間にか、ラブコメしてるし…」

北斗(冬馬…まんざらでもなさそうだな…)



黒井(……高槻やよい…どうやら、侮っていたようだ)

黒井(いい駒を手に入れたぞ…)

黒井「フッフッフ……!」

689: ◆bjtPFp8neU 2014/08/19(火) 22:59:13.11 ID:bLL9J+BYO
試練の山 入口

ボオオォーー!


春香「ぷ、プロデューサーさん、炎ですよ!炎!」

春香(なんか、前にもこんな事あったなぁ)


P「ああ。……亜美、頼んだぞ?」


亜美「おっけ~!」


亜美「……」パリパリッ


亜美「…ブリザドッ!」バッ


パリパリッ…シャキーン!


ジュゥゥ…


真美「お~!炎が消えた」

亜美「んっふっふ~、よゆーよゆー!」

春香(そうだ。あの時は、やよいの魔法だったね…)

春香(………やよい、元気かな)


真美「いいな~、黒魔道士は出番多くて~」


P「ちゃんと、真美にも出番はあるぞ?」

真美「えっ?」

P「忘れたのか?この山は…」

真美「……あ!」

真美「そっかぁ…確か、ゾンビがたくさん出てくるんだよね?」

P「そうだ。だから、心配するな」


真美「えへへ…兄ちゃん、ありがと」

P「ああ」

P(むしろ、出番が減るのは、春香じゃないかな…)チラ



春香「行きましょう、プロデューサーさん!」

690: ◆bjtPFp8neU 2014/08/19(火) 23:23:09.58 ID:bLL9J+BYO
スタスタ…


春香「それにしても…」

春香「すごい荷物ですねー」

亜美「兄ちゃん、そんなにたくさん、何買ったのさ?」



P「…いろいろ入ってるぞ?毒消し、目薬、金の針……」ゴソゴソ

P「十字架、やまびこ草、うちでの小槌……あと、エーテルをいくつか」

P(ホントは、万能薬があればいいんだが…あれは高いからな)


亜美「兄ちゃん…心配性だねぇ…」

真美「真美知ってるよ?『備えあれば売れイワシ』ってやつっしょ?」


P「憂い無し、な」

P「でも、一番の買い物は、この杖だ…!」スッ


春香「その杖は?」

亜美「ひょっとして、いやしの杖?」


P「うん。これで俺も、回復くらいはしてやれるからな」

春香「頼りにしてますよ!」

P「ああ!特に、春香は暗黒剣を使うからな…」


真美「兄ちゃん、真美とカブってるよ~」


P「回復役が2人いても、いいじゃないか」

P「まあ、真美の魔力が尽きた時の保険の意味が大きいかな」

真美「うーん、フォローになってない気がするよ~」


695: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 21:12:56.77 ID:a2pc4ZqIO
試練の山 3合目

スタスタ…


亜美「そろそろかな…」

真美「だね…」キョロキョロ


春香「ん?どうしたの?2人とも…」

亜美「うん、この辺りに…」

真美「あずさお姉ちゃんがいるはずなんだけど…」


P「あー…」

P「2人にはまだ、話してなかったか…」

亜美・真美「?」





亜美「ええ~っ!あずさお姉ちゃん、りっちゃん側に付いたの~?」

P「うん…どうやら、そうらしい…」

P「本来の話から、少しずつズレてきてるみたいだな」

真美「…じゃあじゃあ、この先、よそ~がいの事が起きるかも?…って事?」


P「……そう思っていた方が、いいだろうな」


春香(何が起きても…私のやる事は、変わらないですよ…)


696: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 21:29:31.07 ID:a2pc4ZqIO
グール「オォォ…!」

レブナント「アァァァァー!」

ソウル1「メラメラ…!」

ソウル2「メラメラ…!」


春香「わわっ…ま、魔物ですよ!」

P「おっと、お出ましか…!」


P「よし!亜美、真美でゾンビ達を!春香は、あの魂みたいなやつを攻撃だ!」


亜美「よしきた!」

亜美「……」ボッ

亜美「…ファイラッ!」バッ


ボオオォー!


レブナント「ガアァァ…!」


ドサッ


ソウル1「メラメラ…!」スーッ


亜美「うわっ!魂が、こっち来た!」



春香「……えいっ!」チャキッ


ズババァーー!


ジュゥゥ…


亜美「はるるん、助かったよ!」



真美「…ケアルラッ!」バッ


シャララーン!キラキラ…


春香「え?それって、怪我を治す魔法じゃ…?」


グール「オォォォ…!」ボロボロ


ドサッ


真美「回復魔法が効くやつもいるんだよっ!」

春香「へぇ…そうなんだね」

『目覚めの時は、近い…』

春香「えっ…?」キョロキョロ


ソウル2「メラメラ…!」スーッ


真美「あ!はるるん、危ないっ!」バッ

697: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 21:42:37.96 ID:a2pc4ZqIO
ソウル2「メラメラ…!」


ボォッ!


真美「あっつ!」ヨロッ


亜美「真美!」タタタタ…


亜美「平気?」ガシッ


真美「う、うん…」


亜美「おのれ~!よくも真美をっ!」

亜美「……!」バッ


P「亜美、ダメだ!そいつには、魔法がきかない!………春香!」


春香「……は、はいっ!」チャキッ


春香「たぁーっ!」


ズババァー!


ジュゥゥ…



春香「真美…ごめんね?」

真美「ドンマイ、はるるん」


春香(また…聞こえた)

春香(……目覚めの、時?)




P「真美、今回復してやるからな?」

P「……」スッ


シャララーン!


真美「あ……」

真美「火傷が、治った…」

亜美「さっすがいやしの杖!」


P「あ…うん、杖のおかげだな…」

P(……うーん、何もできなかった頃よりは、マシだよな…?)




P「みんな、さっきの魂は、アンデッドじゃないからな。間違えるなよ?」

亜美・真美「は~い!」



春香「あのー、あんでっどって…何ですか?」

698: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 21:54:13.44 ID:a2pc4ZqIO
P「んーと…」

P「さっき、ゾンビが出てきたろ?」

春香「はい…」

P「ゾンビみたいに、一度死んでから蘇った魔物の事をまとめて、アンデッドって言うんだ」



春香「なるほど……で、そのアンデッド、には、回復魔法が通用するんですね?」

P「うん、その通りだ」


P「でも、さっき出てきた魂みたいなやつは、アンデッドじゃない…」


春香「じゃあ、さっきみたいに、ゾンビと魂が一緒に出てきた時は…」

春香「相手によって、攻撃を使い分けなければいけない…って事ですね?」


P「その通りだ!春香もだんだんわかってきたなぁ…」ナデナデ


春香「えへへ……///」

春香(プロデューサーさんに頭撫でてもらうの、すっごく久しぶりかも…)




亜美「お~い、2人とも~!」

真美「早く行こうよ~!」



P「おっと…じゃ、行こうか」

春香「はい!」



スタスタ…

699: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 22:12:24.76 ID:a2pc4ZqIO
試練の山 5合目

P「ハァ、ハァ……」ヨロッ


P「なあ……」

P「少し、休まないか…?」


亜美「え~!まだ全然進んでないよ~?」

真美「まったく、兄ちゃんはだらしないな~」

春香「まあまあ、プロデューサーさん、元の身体に戻ったばっかりだし…」


亜美「ん~、ちかたないね」

真美「はるるんに免じて、休憩にしますか」

P「ホッ……」




P「ゴクゴク…」

P「…ぷはぁ!……あー生きかえる…」

亜美「兄ちゃん、もう少し鍛えた方が、いいんでない?」

P「そんなヒマないよ。毎日、遅くまで仕事だしな」

真美「筋トレとかは~?」

P「うーん…やろうとは思ってるんだが…気づいたら寝てるんだよな」

春香(あ、なんとなくわかるかも…)


亜美「でもやっぱり、男の人はがっしりしてた方がいいよね~?」

真美「そ~そ~、せめて、腹筋が7個に割れてないとね~」

P(おいおい、7個目はどこに来るんだ…?)

亜美「いやいや、この際、13個くらいに割れてて欲しいね」

春香「えっ?」

真美「じゃあ、真美は37個っ」

亜美「61個っ!」

真美「なにおう!」

亜美「やるってのか!」


P(そんな細かい腹筋、気持ち悪いだろ…)

700: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 22:24:40.90 ID:a2pc4ZqIO
試練の山 8合目

P「亜美、右だ!」


亜美「りょ~かいっ!」

亜美「ファイラッ!」バッ


ボオォォー!


グール1「」



P「真美は、左のやつを!」


真美「がってん!」

真美「ケアルラッ!」バッ


シャララーン!


グール2「」



P「春香!」


春香「はいっ!」



P「……呼んだだけだ」


春香「」ズルッ


ドテッ


春香「痛たた……」

春香「プロデューサーさん、落ちに使わないでくださいよぅ…」


P「すまん、ノリで、つい…」

P(ちゃんとコケてくれるところが、さすがだ)





亜美「ねえねえ兄ちゃん、あと、どのくらいかなぁ?」

P「そうだなぁ…あと少しだとは思うんだが…」

P「そろそろ、アイテムを使っておくか」



P「亜美と真美には……」ゴソゴソ

P「ほいっ」スッ


真美「これって…?」

P「エーテルだ」

701: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 22:38:03.23 ID:a2pc4ZqIO
P「春香、回復するから、ちょっと来てくれ」


春香「はーい」タタタ


P「……」スッ


シャララーン!


春香「ふぅ……」




…ビュゥゥーーー!



P「ん?」

真美「なんか、空飛んでるよ?」

春香「あれは……!」

亜美「頂上に降りたっぽいね」


P「頂上に……?」

P(このタイミング……まさか…)


真美「スプリミリョーネ、かなぁ?」


P(スプリミリョーネ…最初の四天王か……)

P(ん?なんか、名前が違う気が…)



春香「プロデューサーさん…」

P「どうした?」

春香「私の見間違えかもしれないんですけど…」



春香「さっき、一緒にあずささんもいた気がするんです…」



P「ええっ!?」

亜美「なんでっ!?」

真美「いきなり、よそ~がいだよ~!」



P(テラがこの山に登る目的は…)

P(ひとつしかない!)

P(ダメだ、あずささん…!)



P「みんな、急ぐぞ!」

702: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 22:53:38.78 ID:a2pc4ZqIO
試練の山 頂上

あずさ「あら~みんな、元気だった~?」


春香「あずささん…」

亜美「あずさお姉ちゃん…」

真美「なんで……?」


P「あずささん…なぜ、律子の元へ…?」


あずさ「あら?プロデューサーさん、元の姿に戻ったんですね~?」

あずさ「やっぱり、プロデューサーさんはその姿の方が、ステキですよ?」


P「あずささん!話を…」


あずさ「……」

あずさ「律子さんには、律子さんの考えがあるんですよ?」

あずさ「私は、それに賛同しただけです」

あずさ「それに…律子さんに味方が少ないのは、不公平じゃありません?」



P(言ってる事はわかるが…これじゃ宣戦布告じゃないか…!)


春香「あずささんは、なぜここへ来たんですか…?」


あずさ「私は、ここに封印されている魔法を求めて、ここへ来たのよ~?」



亜美「兄ちゃん…!」

真美「まずいっしょ…!」

P「……」

P(メテオさえ覚えなきゃ、あずささんが死ぬ事はないと思っていたんだが…)

P(なんとしても、阻止しなきゃ…!)


P「あずささん、あの魔法は危険です!大人しく帰ってください!」


あずさ「……」

703: ◆bjtPFp8neU 2014/08/20(水) 23:04:19.60 ID:a2pc4ZqIO
あずさ「ごめんなさいね?プロデューサーさん。そういう訳には、いかないんです」


P「………」

亜美「に、兄ちゃん、どうするの…?」

P「なら……!」



春香「行かせませんっ!」バッ


あずさ「春香ちゃん…」


P「春香…」

春香「あずささんが危険な目に遭うのを、黙って見過ごす訳には、いかないんです!」

春香「だから……」




春香「力ずくでも、あなたを止めますっ!」チャキッ


真美「はるるん…!」

真美「そうだよっ!あずさお姉ちゃんが死んじゃったら、みんな悲しいよっ?」



あずさ「…………大丈夫、私は死なないわ?」ニコッ



あずさ「スーさん?」



スゥーーー…



スカルミリョーネ「……よ、呼んだ…か…?」

712: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 20:46:31.11 ID:S1g5PkhdO
あずさ「…ここを、お願いしますね?」


スカルミリョーネ「……わ、わかっ…た…」ズイッ


あずさ「……」クルッ


スタスタ…



春香「あずささんっ!」ガバッ

亜美「は、はるるん、落ち着いて!」ガシッ


P「そうだ、今はこいつをどうにかしないと…!」


スカルミリョーネ「……お、お前達、足止め、す…る…」バッ


P「みんな、気をつけろ!」


スカルミリョーネ「……!」ダッ


P「真美っ!」


真美「うわわっ!」ヒョイッ


ドゴォ!


真美「あっぶな~!」


亜美「…ファイラ!」バッ


ボオオォーー!


スカルミリョーネ「……お、遅…い…」ヒョイッ


亜美「よ、よけるなんて、ズルいっしょ~!」

714: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 21:05:29.53 ID:S1g5PkhdO
P「春香、あいつを引き付けてくれ!亜美と真美は、魔法で援護だ!」


春香「わかりました!」

亜美・真美「おっけ~!」


春香「……」チャキッ

春香(……お父さん、力を貸してください!)


タタタタ…


スカルミリョーネ「……!」


ガキィン!


春香「……っ!」ググッ


スカルミリョーネ「……と、遠さな…い…!」ブンッ


春香「!」


ゴロンッ


春香「あ、危なかったぁ…!」


スカルミリョーネ「……!」ブンッ


春香「ぐっ!」ガキィン!


春香「うぅ……っ!」

春香(す、すごい…力!)


スカルミリョーネ「……や、やる…な…!」ギリギリ



亜美「はるるんって、あんな風に戦えるんだね…!」

P「ああ…」

P(最初は、ゴブリン相手に手こずってたのにな…)


真美「真美達も、負けてらんないっしょ!」


真美「亜美、あっち!」ビシッ

亜美「わかったっ!」

P「気をつけるんだぞ!」


タタタタ…

715: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 21:22:01.14 ID:S1g5PkhdO
スカルミリョーネ「……!」グイッ


春香「あっ……!」ヨロッ


ドサッ


スカルミリョーネ「……し、死は、恐くな…い…」ブンッ


ザシュッ!


春香「うぐっ…!」

春香(……もう一撃、来るっ!)


スカルミリョーネ「……し、死とは、安ら…ぎ…!」ブンッ


春香(ダメ……!)




真美「……ケアルラ!」


シャララーン!


ジュゥゥ…


スカルミリョーネ「……うっ……!」ヨロッ

スカルミリョーネ「……こ、小癪…な…!」


亜美「ファイラッ!」


ボオオォー!


スカルミリョーネ「……がぁっ……!」

スカルミリョーネ「……ぎ、逆か…ら…?」


亜美「…へへっ、燃えたろ?」


真美「765プロ最強の双子を!」

亜美「忘れてもらっちゃあ、困るぜ!」


春香「亜美!真美!」



スカルミリョーネ「……こ、これでも、くら…え…!」ガバッ


ブワッ…


亜美「うっわ、何?……ケホッ」

真美「く、臭いよ~!……ゴホッ」


スカルミリョーネ「……と、とど…め…!」ブンッ

716: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 21:32:38.36 ID:S1g5PkhdO
春香「……させないっ!」ダッ


ガキィン!


スカルミリョーネ「……ま、まだ、うごけた…か…?」ググッ


春香「プロデューサーさんっ!2人をっ!」


P「わかったっ!」ダッ


タタタタ…


P「2人とも、大丈夫か?」ダキッ


亜美「…に、兄ちゃん…なんだか…」

真美「…か、身体が…重いよ…」


P「ちょっと待ってろ?今、助けてやるからな?」ゴソゴソ

P(2人の顔色が、悪い…)

P(マヒでも、盲目でもない。なら…)


P「さ、2人とも、飲むんだ…」ダキッ

真美「うっ…ゴクッ…ゴクッ…」

亜美「んくっ…ゴクッゴクッ…」


真美「ん……治った…?」

亜美「兄ちゃん、あんがと!」


P「よかった…」サッ

P「2人とも、俺は、春香の援護をして来る。……ここで少し、休むんだぞ」


タッタッタッタッ…

717: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 21:44:41.33 ID:S1g5PkhdO
真美「……中ボスって、結構強いんだね…」

亜美「うん……でも」

亜美「これで終わりじゃ、ないもんねっ!」

真美「もちろんっ!」



真美「真美達も、行かなきゃ…!」


亜美「…しばし待たれい!」

真美「ん…?」




亜美「真美、今日の朝ご飯、何食べた?」

真美「へ?」

真美「カエル…?」

真美「てか、亜美もおんなじの、食べたっしょ?」

亜美「うん、そだね」


亜美「じゃあ……」




亜美「…今日のパンツは、何色?」



真美「ぶっ!」

亜美「パンツの色。忘れてちゃったの?」

真美「わ、忘れて…ないけど…」

亜美「じゃあ、何色?」

真美「えっ…と」





真美「……………………ろ」ボソッ


亜美「ん~?聞こえないよ~?」

718: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 21:58:14.38 ID:S1g5PkhdO
真美「くーーろーーーー!!」


亜美「お~?ずいぶんせくち~なのを履いてるんだね~?」


真美「……///」ボッ

真美「い、いやいや!」

真美「『今日は何があってもいいように、勝負パンツ履いてこう』って言い出したの、亜美じゃんかー!!」

亜美「あり?そうだっけ?」



亜美「……っていうのはじょ~だんで」

亜美「亜美達は、今日もシンクロ率バツグンなのでありますっ!」

亜美「…まだ、気づかない?」

真美「シンクロ率……って…」

真美「そっかぁ、その手があったか!」パン

亜美「…や~っと気づいたか…」

亜美(まあ、シンクロしてない部分もあるけど…)

亜美(今は、そんな事言ってる場合じゃないもんね)



亜美「じゃ、行くよ、真美…!」ギュッ

真美「おっけ~、亜美…!」ギュッ




亜美・真美「はあぁぁぁ……!!」ゴゴゴゴ…

719: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 22:11:32.51 ID:S1g5PkhdO
山頂の祠

スタスタ…


あずさ(…よくわからないけど)

あずさ(誰か…いえ、何か、がいるわね~?)キョロキョロ



??「……?」

??「…あれっ?」


あずさ「えっ?」ビクッ

あずさ(姿は見えないけど…確かに、声がしたわ…!)


あずさ「だ、誰か…いるんですか~?」



??「あ…えっと」

??「…コホン」

??「…神聖なる祠に、何用だ?」


あずさ「あ……」

あずさ「あの~、あなたは、この祠の主様ですか~?」


??「……いかにも」


あずさ「私、『封印された魔法』を求めて来たのですが…」


??「ほう…?メテオを欲するか……」

??「……」

??「……ならば、お前がメテオにふさわしいかどうか、見極めてやろう」


あずさ「よろしくお願いしますね~?」

あずさ(…何を見極めるのかしらね~?)

720: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 22:23:13.28 ID:S1g5PkhdO
??「じーっ…」


??「……」

??「……」

??「……」

??「……」



??(うん。すごい『モノ』を持ってるなぁ……!)


??(ハルカのも、ちゃんと成長してくれてればいいんだが…)



あずさ「あの~、どうでしょうか…」


??「あ、ああ…」


??(うーん…どうしようか…)

??(いい人そうだよな…)

??(まあ…○○に悪い人はいないっていうし……)

??(……よし)



??「うむ、合格だ…!」

あずさ「えっ?じゃあ……」

??「封印されし魔法、メテオを授けよう!」

あずさ「ウフフ、ありがとうございます」ペコリ


??「……!」



パァーーーー!


あずさ(眩しい…!)

721: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 22:31:33.54 ID:S1g5PkhdO
春香「……っ!」ブンッ


ザシュッ!


スカルミリョーネ「……がぁ……!」ズサッ


春香「はあぁぁーー!」ダッ


スカルミリョーネ「……あ、甘…い…!」ヒョイッ


春香「あっ……!」


ドゴォ!


春香「あぅっ!」ヨロッ


ドサッ


春香「う……!」ガクッ

春香(こ、この人…強い!)


スカルミリョーネ「……お、終わり…だ…!」ブンッ




シャララーン!


キラキラキラ…


春香「あ……!」


P「春香、大丈夫か?」


春香「プロデューサーさんっ!」


スカルミリョーネ「……?」

722: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 22:39:57.68 ID:S1g5PkhdO
春香「元気100倍ですよっ!」ダッ


スカルミリョーネ「……は、速…い…!」


ザシュッ!


スカルミリョーネ「……ぐはぁ……!」ヨロッ


ドサッ


P「春香、ここは任せても平気か?」

春香「プロデューサーさんは、どうするんですか?」

P「…ちょっと、あずささんのところへ行ってくる」

春香「あ……わかりました!ここは任せてください!」ニコッ


P(春香…頼もしくなったな…)


P「頼んだぞっ!」クルッ


タッタッタッタッ…



723: ◆bjtPFp8neU 2014/08/21(木) 22:50:06.92 ID:S1g5PkhdO
春香「……」チラ


スカルミリョーネ「……ぐ……」ガクッ


春香「お願いします、そこをどいてください!」


スカルミリョーネ「……そ、それは、できな…い…!」フラフラ


春香「……」


スカルミリョーネ「……あ、アズサの、めいれ…い…」


春香「……!」

春香(この人、千早ちゃんと同じ…)

春香(命令に従ってるだけ…?)


スカルミリョーネ「……と、通さな…い…!」ガバッ


春香「……っ!」ガキィン!






亜美・真美「はるる~ん!!よけるんだ~!!」ポワ…


春香「え?」


キラキラキラ…


スカルミリョーネ「……あ、あの、光…は…」


亜美・真美「いっっけぇーーー!!」


春香「あっ!ちょ、ちょっとまっt」



亜美・真美「ホーリー!!」

736: ◆bjtPFp8neU 2014/08/22(金) 22:34:09.68 ID:3+6lz2jEO
山頂の祠付近

P「あずささんっ!」


あずさ「え?」クルッ


あずさ「プロデューサーさん?なぜ…」

P「早まらないでください!あの魔法は……!」


あずさ「……」

あずさ「もう、魔法は手に入れました」

P「な!」

P「そ、そんな…!」


あずさ「プロデューサーさん、心配してくれるのは嬉しいんですけど…」

あずさ「私、そんなに簡単に死んだりしませんよ?」

P「あずささん…」


あずさ「危険な魔法なんですよね?」

P「はい!だから、絶対に…!」




あずさ「……」

あずさ「私、プロデューサーさんに信用ないのね~」

あずさ「……ちょっと、悲しいです」

P「あ、いや…べ、別にそういう訳じゃ……」


あずさ「なら、信じてもらえませんか?私の事も…」



P「!!」

P(信じる……)

P(そうだ、俺は……)

P(真美に教わったばかりじゃないか……!)



あずさ「プロデューサーさん…」

あずさ「私や律子さん、千早ちゃんが……変わってしまったと思いますか…?」

737: ◆bjtPFp8neU 2014/08/22(金) 22:48:06.84 ID:3+6lz2jEO
P「え…?」


あずさ「私達は、何も変わってなんかいませんよ?」

あずさ「みんなで笑い合ってた…あの頃のまま…」

あずさ「……何も、変わってません」


あずさ「だから、私達の事も、信じてもらえませんか?」


P「あずささん…」




P「……すみません!」ペコリ


P「俺…ゲームの内容に、囚われ過ぎていたみたいです…」

P(これが……ゲーム脳ってやつなのかな?)



P「あずささん…俺達と一緒に…」

あずさ「どうせなら…」

あずさ「楽しくやりましょう?」


P「楽しく…」


あずさ「せっかく、不思議な体験してるんですから……ね?」


P「……そう、ですね…」

P(あずささん…芯の強いビックリだとは思っていたけど…)


P(みんなに…教わってばかりだな、俺)

P(俺も…もっと強い男にならないと……!)



……ズドドドドドドドドド……


グラグラ…

738: ◆bjtPFp8neU 2014/08/22(金) 22:52:58.56 ID:3+6lz2jEO
P「な、なんだ…?」キョロキョロ


あずさ「きゃ……!」ヨロッ


P「……おっと」ダキッ


あずさ「あ……!」ドキドキ

あずさ「す、すみません……///」


P「……向こうで、何かあったのかも……」


P「あずささん、行ってみましょう!」

あずさ「は~い」


スタスタ…

740: ◆bjtPFp8neU 2014/08/22(金) 23:18:09.80 ID:3+6lz2jEO
スカルミリョーネ「……か、身体…が…」


スカルミリョーネ「……く、くず…れ…!」


ボロボロ…


スゥゥゥー…



亜美「……やった?」

真美「倒したっぽいよ~!」



ガラガラ…ドサッ


春香「うっ……けほっけほっ…」ヨロッ

春香「はぁー…死ぬかと思ったぁ…」


亜美「あ~!はるるん、無事だったんだね?」


春香「ふたりとも……ひどいよ…」

真美「まあまあ、無事だったんだから、血管お~らいって事で…」



春香「あ、そうだ…」

春香「あの魔物は……?」キョロキョロ


亜美「亜美達の、大勝利だよん!」ブイッ

春香「そっかぁ…」


真美「ねぇねぇはるるん、兄ちゃんは?」


春香「プロデューサーさんなら、あずささんのところへ…」

春香「あ!」

741: ◆bjtPFp8neU 2014/08/22(金) 23:28:34.51 ID:3+6lz2jEO
春香「わ、忘れてたぁー!」

春香「は、早く追いかけないと…!」アセアセ


亜美(うん。やっぱ、戦ってるはるるんより、こっちの方がはるるんらしいよね!)


春香「2人とも、プロデューサーさんのところへ行こう?」


スタスタ…






「……フシュルルル…」


真美「ん?」

真美「亜美、なんか言った?」

亜美「ううん、なんも」

真美「?」



「…フシュルルル…」


真美「あ!ほら、また何か言ったっしょ~?」

亜美「言ってないってば~!」



「フシュルルル……」


春香「あ…確かに、何か聞こえるね…」

真美「でしょ~?まったく、亜美ってばイタズラっ子なんだから~」

亜美「だから違うって……!」




ズズズズ…


ズサァァッ!

742: ◆bjtPFp8neU 2014/08/22(金) 23:40:07.45 ID:3+6lz2jEO
スカルミリョーネ「フシュルルル…!」



真美「で、出たぁ~!」

亜美「ほらぁ!亜美じゃなかったじゃんか~!」

春香「亜美、そんな事言ってる場合じゃ…!」



スカルミリョーネ「……よくぞ私を殺してくれた…!」

スカルミリョーネ「……死してなお恐ろしい、土のスカルミリョーネの力…」

スカルミリョーネ「……ゆっくりと味わいながら死ねえ!」


亜美「す、スーさんが、まるで別人だよぉ…!」

真美「スーさん、見逃してちょ~!」

スカルミリョーネ「……それは、出来ない相談だ」



亜美「や、ヤバいよはるるん…!亜美達、もう魔力がスッカラカンなんだよ~!」

春香「わかった。ここは私が……!」チャキッ




あずさ「……スーさん?」


スカルミリョーネ「……アズサ?」クルッ


スカルミリョーネ「……目的のものは…」

743: ◆bjtPFp8neU 2014/08/22(金) 23:48:33.71 ID:3+6lz2jEO
あずさ「ええ…手に入れたわ?」


春香「あ、あずささん、ダメ…!」


P「……いいんだ、春香」


春香「プロデューサーさん?だって、あずささんが…!」

P「大丈夫だから…」



春香「プロデューサーさんが、そう言うなら…」

真美「うん、兄ちゃんを信じるよ!」


P「ありがとう」


P「……あずささん」クルッ


あずさ「……また、会いましょう」ニコッ


春香「……」

春香(……いつもの、あずささんの笑顔)

春香(うん……大丈夫!)


スカルミリョーネ「……あずさ、帰ろう…」

あずさ「ええ…そうね」

744: ◆bjtPFp8neU 2014/08/22(金) 23:57:29.55 ID:3+6lz2jEO
春香「必ず、また会いに行きます!」

亜美「りっちゃんと千早お姉ちゃんによろしくね~!」

真美「スーさん、あずさお姉ちゃんの事、頼んだよ?」


スカルミリョーネ「……言われなくとも、アズサは無事にリツコさまの元へ送り届ける…」

スカルミリョーネ「……お前達とは…いずれまた、決着を付けよう…」




あずさ「プロデューサーさん」

P「はい」

あずさ「ちゃんと、みんなを導いてあげてくださいね?」


P「もちろんです!」



ブワッ…




あずさ「またね~~!」




ビューーーン!


……

745: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 00:09:04.66 ID:4/z6eRibO
春香「……行っちゃいましたね」

P「また、会えるさ」

亜美「…でも、物語がズレてるんでしょ?」


P「大丈夫だ」

P「そんな物語、俺が捻じ曲げてやる」


真美「お~?いつになく強気だね~?」

P「今は…そんな気分だからな」



春香「さて……」

春香「村へ、帰りますか…」


P「何言ってるんだ」

亜美「そうだよ~」

真美「本日のメインイベントが、まだ残ってるんだよ~?」


春香「え……?」


P「春香、この山に来た目的は?」


春香「えっと、試練を乗り越えに…」

春香「あれ?さっきのは試練じゃなかったんですか?」

亜美「まったく関係ないYo!」


P「この先にある祠…おそらくそこで、試練が待っているだろうな」

春香「………ゴクッ」


P「春香、覚悟はいいか?」


春香「はい!」

春香「行きましょう!」

755: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 22:16:27.30 ID:4/z6eRibO
山頂の祠

??「……」

??「待っていたよ…」


春香「いやいや…」



春香「なんでここにいるんですか?プロデューサーさん」

春香「も~、ちゃんと入口で待っててくださいね?って、言ったじゃないですかぁ~!」



??「ふーん…」

??「それがハルカの……」


春香「え?何ですか?」


??「…なんでもないよ」


??「それより…」チラ

??「ちゃんと成長してるみたいで、嬉しいよ!」じーっ


春香「うん?」

春香(プロデューサーさんの視線が…私の胸に…?)


春香「…って、ちょ、ちょっと!どこ見てるんですかぁ~!」バチン!


??「痛てて……」



春香「あ……」

春香「ご、ごめんなさいっ!つ、つい…」ペコリ


??「……いや、いいんだ」

??「…今までハルカに辛い思いをさせてしまった、報いだから…」

春香「??……どういう…?」


??「……」ダキッ


春香「こっ……」

春香「……えっ?」

春香(ぷぷぷ、プロデューサーさん、いきなり何を……///)


756: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 22:27:45.12 ID:4/z6eRibO
??「もう、安心していいよ…」

??「これからは、ずっと一緒だ…」ナデナデ



春香「ぷ、プロデューサー…さん…」ドキドキ

春香(プロデューサーさん、どうしたんだろう…?)

春香(いきなり、こんな…だ、大胆な…)

春香(あ…!ひょっとして、やっと私の気持ちに気づいて…?)



春香(あったかい…)


春香(プロデューサーさんの…温もりが…匂いが…)



春香(愛おしい……)ギュッ



??「ねえ、ハルカ」

春香「はい…」ボーッ

??「…一緒に、暮らそうか」

春香「え……そ、それって…!?」

??「2人の家を建てて…ずーっと、一緒にいよう」

春香「……!」

春香「う…嬉しい…です!」グスッ


春香(ああ、これからは、ずっとプロデューサーさんと一緒…)ウットリ


春香(あ…でも、たまにはみんなに会いたいなぁ…)

757: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 22:37:03.23 ID:4/z6eRibO
春香「プロデューサーさん、たまにはみんなに会いに行きましょうね?」


??「…何を言ってるんだ?」

??「僕達2人以外は、何もいらない」

春香「え…?」

??「他の事は、忘れていいんだよ?」

??「ハルカが傷つくだけだから」


春香「な、何を言ってるんですか?」ガバッ

春香「そりゃあ、たまにはケンカもしますけど…」

春香「みんな、大切な仲間じゃないですか!」



??「じゃあ…」

??「みんなと、俺。どっちが大切なんだ?」


春香「ぷ、プロデューサー…さん…?」

春香(そんなの、答えられるワケ…)

??「まさか、ハルカを傷つけるあんなやつらの方が、僕より大切なのか…?」



春香「……!」



ドンッ!

758: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 22:49:37.11 ID:4/z6eRibO
春香「あなた、誰ですか?」


??「……」


春香「プロデューサーさんは、みんなの事を、『あんなやつら』なんて、絶対に言いません!」


春香「あなたは、プロデューサーさんじゃありませんよね…?」


??「うーん、さすがにバレたか…」


春香「あ……」


シュゥゥー…



??「はじめまして」

??「僕はクルーヤ」

クルーヤ「君の…父親だよ」


春香「お父…さん?」


春香「あなたが…!」

春香(この剣の…持ち主…)



春香「じゃあ、今のは……」


クルーヤ「あ、ごめんね?」

クルーヤ「こういうのって、試練ぽいかなーと思って、やってみたんだけど…」

クルーヤ「『お前の心を試したのだー!はっはっはー』なーんて…」


春香「は、はぁ…」

春香(想像してた感じと…だいぶ違うなぁ…)

春香(お父さん…こんなキャラだったんだ…)

759: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 23:09:25.83 ID:4/z6eRibO
山頂の祠 入口

真美「ねえ、兄ちゃん。はるるん、大丈夫かなぁ~?」

P「大丈夫だよ。春香を信じよう」

亜美「でもさぁ~、せっかくのイベントなのに…」

P「まあ、亜美の言いたい事もわかるが…」

P「春香がひとりで行くって、決めたんだ。尊重してやろう」

P(まあ、どちらにしろ、入口は開かないみたいだけどな)


亜美・真美「……」




亜美「そういえば…」

亜美「兄ちゃん、あずさお姉ちゃんと何があったのさ?」

真美「!」ドキッ

P「いや…普通に話をしただけだぞ?」

真美「ホッ…」


亜美「それにしちゃ~、あずさお姉ちゃんと会ってから、ずいぶん自信マンマンだよねぇ?」


亜美「ひょっとして、男女の一線を…」

真美「!!」



P「越えてない!越えてないからな?」

亜美「ホントかなぁ~?」

真美「……」ソワソワ

P「ほ、ホントだって!し、信じてくれないのか?」

亜美「なんだかんだ言っても、兄ちゃんも男だかんね~?」


P「か、考えてみろ?そんな事したら、俺はとっくにあずささんに殺されてるって!」

亜美「いや、むしろ逆だと思うけどね~」

亜美(って言っても、このニブチンは、気づかないんだろうけどねぇ…)


P「ば、バカ!俺があずささんを殺すワケないだろ!?」


亜美「兄ちゃん…そういう意味じゃないって…」

亜美(やっぱ、兄ちゃんはいじり甲斐がないとね~!)

亜美(自信マンマンな兄ちゃんなんて、兄ちゃんじゃないもんね!)ニヤリ


真美(亜美…わっるい顔してるなぁ…)

760: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 23:25:21.56 ID:4/z6eRibO
春香「えっと…私、試された…んですかね…?」


クルーヤ「うん。いきなりで、すまなかったねー」


クルーヤ「でも、弱い心では、この先の試練には、耐えられない…」

クルーヤ「これはホントだよ?」


春香「はぁ…」

春香(なんだ…そっか…)

春香(そうだよね…プロデューサーさんが、あんなに積極的なワケ、ないよねぇ…)



春香(……ちょっとだけ期待した自分が、恥ずかしい……///)



クルーヤ「この先の、本当の試練を受ける気は…あるかい?」


春香「……」

春香(…どんな試練かな?)

春香(できれば、簡単なのが…)

春香(…って、それじゃ、試練の意味がないか)

春香(もう、前に進むしかないよね…!)


春香「はいっ!」


クルーヤ「…うん、いい返事だ」ニコッ


クルーヤ「……」バッ


パアァァーーー!


スゥゥゥー…



闇春香「……」


春香「え……!?」

春香(私……!?)

春香(顔も、髪型も……)

春香(何もかも、同じ…)



クルーヤ「そう、この子は…ハルカ、君自身の、『闇』だ」


春香「私の……闇?」

762: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 23:42:02.02 ID:4/z6eRibO
クルーヤ「ハルカ…君はこれから、この…自分自身の闇に、打ち勝たなければならない」


闇春香「……」


春香「闇に……」

春香(私の闇…って事は、あの子も、私…なのかな?)



クルーヤ「ハルカ。見事、試練を乗り越える事を、祈ってるよ」



闇春香「……」チャキッ


ブンッ!


春香「わっ…と」ゴロン


春香「……」チャキッ


闇春香「……」ゴゴゴゴ…


春香「あ、あれは…!」


闇春香「……!」バッ


ズバババァー!


ドガッ!


春香「うぁっ…!」


ドサッ


春香「あ、あの技……」ヨロッ

春香「ホントに、私なんだね…」


春香(自分に…打ち勝つ!)

春香「……!」チャキッ


763: ◆bjtPFp8neU 2014/08/23(土) 23:59:37.38 ID:4/z6eRibO
春香「やーっ!」ブンッ


闇春香「……」ヒョイッ


春香「あっ……」ズサッ

春香「……なら!」チャキッ

春香「……!」バッ


ズババァー!


シュゥゥー…


闇春香「……」


春香「え……効いてない?」


クルーヤ「ハルカ、暗黒剣を使ってはいけない。闇に、暗黒剣は通用しないんだ」


春香(暗黒剣が、通用しない…?)


闇春香「……!」バッ


ズバババァー!


春香「ぐ……!」

春香(あの子の暗黒剣は、私に通用するのに…)

春香(どうやって戦えば…)



闇春香「……で……しが…」


春香「え…?」


闇春香「なんで私が、みんなを探さなきゃいけないの?」バッ


ズバババァー!


春香「うっ…!」ガクッ

春香「な、何言って……?」フラフラ


闇春香「……プロデューサーさんさえいてくれれば…」バッ


ズバババァー!


春香「あ……」ヨロッ


ドサッ


闇春香「……みんなの事なんて、ホントはどうでもいいんだ」ニコッ


春香(ち…がう…っ)

春香(わた…し、は…)

764: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 00:12:17.68 ID:uDFR+yxgO
クルーヤ(ハルカ…やはり、まだ早かったのかな…?)

クルーヤ(僕は、『干渉』できない)

クルーヤ(……自分を、信じるんだ!)



闇春香「……邪魔なんだよ、みんな…」


スタスタ…


闇春香「せっかくプロデューサーさんと2人きりだったのに…」


ドカッ!


春香「うぐ…!」

春香(……違…う!違う…のに…っ)

春香(か、から…だ……う…ごか…な…)


闇春香「美希も…やよいも…」

闇春香「千早ちゃんも……」

闇春香「みんな、いなくなっちゃえばいいんだ!」


春香「やめ……て…!」グッ


闇春香「……そうだ」ニヤッ


闇春香「今から、みんなを…」クルッ


スタスタ…


春香(…だ…め……ダメ…っ)ググッ



クルーヤ(……)

クルーヤ(限界……か)

765: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 00:21:59.00 ID:uDFR+yxgO
春香「ダメ……!」ポゥ


春香「ダメェーーーーー!!」


パァーー!


シャララーン!


キラキラキラ…


クルーヤ(治癒魔法の光!)

クルーヤ(ハルカ……目覚めたんだね?)


春香「みんなはっ…!」ググッ


春香「大切な……っ!」ヨロッ


春香「私の……大切な、仲間なんだ!」スタッ


春香「ハァ、ハァ…!」



闇春香「……」クルッ


闇春香「ううん…」


スタスタ…


闇春香「ちっとも、大切なんかじゃないよ?」チャキッ


闇春香「……うっとおしいだけ!」バッ


ズバババァー!


ドゴォ!


春香「あ…ぅ…!」ヨロッ


春香「……っ!」ズサッ


春香「確かに……」


春香「うっとおしい…って、思う事もあるかもしれないよ」

766: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 00:30:29.50 ID:uDFR+yxgO
春香「…ケンカだってするし…最初の頃なんて、全然まとまりがなかった…」


春香「でもね……?」


スタスタ…


闇春香「……!」ズサッ


春香「みんながそばにいて……」


スタスタ…


闇春香「こっ、来ないで!」チャキッ


春香「一緒に、笑い合える……」


スタスタ…


闇春香「うあああああ!」バッ


ズバババァー!


春香「……」ヒョイッ


闇春香「あ……!」スッ


カランカラン…





春香「…それが、私の1番の宝物なんだよ?」ニコッ


闇春香「あ…あ…!」ガクガク


春香「ゴメンね…?」ダキッ

767: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 00:41:27.32 ID:uDFR+yxgO
闇春香「え……?」


春香「私は、知ってる」


春香「あなたも、私だって事」


闇春香「……」


春香「暗い事、嫌な事を考える私も…私だから」ギュッ






春香「私は、あなたを捨てないよ?」




クルーヤ(自分の闇と決別するんじゃなくて…)

クルーヤ(闇と向き合って生きる道を選んだのか…)

クルーヤ(ハルカ…僕は、君の成長を、もう少しだけ見ていたかったなぁ…)




パァァーーーー!


闇春香「……ふふ」


闇春香「……ありがとう」ニコッ


春香「あ……」


闇春香「ありがとう、私」


闇春香「……」ギュッ


闇春香「……これからも、よろしくね?」


スゥゥー…


……

768: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 00:57:49.57 ID:uDFR+yxgO
春香「……」

春香(……こちらこそ、私)




クルーヤ「ハルカ、」

クルーヤ「よく…頑張ったね…」


春香「あ…お父さん」


クルーヤ「ハルカ…君は、無事に試練を乗り越えた」

春香「ほ、ホントですか?」

春香「よ、よかったぁ…」ヘナヘナ


クルーヤ「それにしても、自分の闇を切り捨てない、か…」

春香「…誰でも、嫌な部分ってあると思うんです」

春香「でも、悪いから捨てる…って、なんか、しっくりこなくて…」

クルーヤ「うん。偉かったよ…」ナデナデ

クルーヤ(善と悪が同居する、か…。こりゃ…前代未聞の聖騎士様だな…)

春香「えへへ……///」


クルーヤ「…そうだ。ハルカはもう、パラディンになったんだから、衣装も替えなきゃだね」

春香「ぱらでぃん…?」

クルーヤ「うん。暗黒騎士とは対極にある…聖騎士だよ」

春香「聖騎士…」

春香(うん。暗黒騎士より、全然響きがいいよね)

春香(でも……)

春香(ちょっとだけ、さみしいかな…)



春香(…ばいばい、暗黒騎士)

774: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 16:32:23.57 ID:uDFR+yxgO
春香「らいとぶりんがー?」


クルーヤ「うん」

クルーヤ「暗黒剣『デスブリンガー』は、その役目を終えた」

クルーヤ「ハルカがパラディンになった事で、伝説の剣『ライトブリンガー』に変化したんだよ」


春香「そうなんですか…」チラ


キラーン!


春香(まぶしい…ってほどじゃないけど…)

春香(…神秘的、というか…不思議な輝きだなぁ…)

春香(伝説の剣…か。私に、使いこなせるかな?)



クルーヤ「さっ、次は衣装だね!」

クルーヤ「とびっきり可愛い衣装にしてあげるからねー!」


春香「ホントですか?」

春香(よかった~…暗黒騎士の鎧って、真っ黒で、可愛さからほど遠かったからなぁ…)

春香(どんな衣装かなぁ?)ワクワク


クルーヤ「そうだ、衣装を着替えたら、君の仲間達にも、お披露目しなきゃね!」


春香「あ、そうですね!」

春香(みんな、待ちくたびれちゃってるよね…?)


春香「それじゃあ、着替えてきますね?」

775: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 16:46:58.80 ID:uDFR+yxgO



春香「……着替えました…けど…」

春香「…こ、これは……」ヒラヒラ

春香(ちょっと…恥ずかしいなぁ…)

春香(いろんなところが、風通しいいし…)



クルーヤ「可愛いよ~、ハルカ!」ダキッ

春香「あ、ちょ、ちょっと…」ジタバタ




スタスタ…


P「入口が開いたって事は…」

P「入って来いって事だよな…?」


亜美「あっ、兄ちゃん!はるるんが…」

真美「何者かに、襲われてるYo~!」

P「は、春香!?」ダッ


タタタタ…


P「おい、あんた!その娘を離すんだ!」グイッ

真美「!?」


クルーヤ「おっと…」

春香「…プロデューサーさん!」パァァ

クルーヤ(ん?この人が、ハルカの……?)

クルーヤ(でも、この人……?)


P「春香、平気か?」ダキッ

春香「あ……」

春香(本物の…温もりだぁ…)ギュッ


P「あんた、いったいどういうつもり…?」

真美「ね、ねぇ、兄ちゃん!それより……」




真美「その人には、さわれるんだね…?」

776: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 17:02:48.93 ID:uDFR+yxgO
P「あ…!」

P「そういえば、そうだ…!」チラ

P(俺は、ゲームのキャラには触れられないんじゃ……?)



クルーヤ「あなたが、ハルカの『大切な人』ですね?」ニコッ

P「え?」

真美「!」

亜美「お~?」

春香「あ、あああああのっ!た、大切な、仲間ですよ、仲間っ!」アセアセ

真美(な、何があったのさ~!)オロオロ

亜美「はるる~ん?あとで詳しく聞かせてもらうからね~?」



クルーヤ「…あなたは、不思議な人ですね…?」

P「あ、ああ、そうかもな…」

P(そりゃあ、本来いるはずのない人間だからなぁ)


P「それより、なぜあんたは…」

クルーヤ「ハルカの父、クルーヤです」ペコリ

P「あ……そうか」

P(そうだよ、セシルに試練を課すのは、父親だった…)


P「で、クルーヤ。説明してもらえないかな?」

クルーヤ「うーん、説明と言っても…僕も、よくわからないんですけどねー」

クルーヤ「一つ、言えるとしたら…」



クルーヤ「僕が、『月の民』だからではないでしょうか…?」

P「!」

春香「つきの、たみ…?」

777: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 17:31:57.20 ID:uDFR+yxgO
クルーヤ「あなたからは、不思議と、膨大な生命エネルギーを感じる…」

クルーヤ「この世界の存在とは、思えないほどの、ね」


クルーヤ「我々月の民は、青き星の民とは、違った進化の道を歩んできました」

クルーヤ「青き星の民が科学の力に長けているのに対して…」

クルーヤ「我々月の民は、生物の持つ生命エネルギーを、深く研究して来たのです」

クルーヤ「もし、青き星の民があなたを見ても、膨大な生命エネルギーに対して防衛本能が働き、結果、認識できない」

クルーヤ「おそらく、こういう事じゃないかと思う…」


P「は、はぁ…」

P(なんだか難しい話をしてるが…)

P(要は、青き星の民には気づかれないが、月の民には気づいてもらえる…って事か)

P(これは…収穫だな!)

P(あ……ひょっとして…)


P「なあ、クルーヤ。ミシディアの長老を知ってるか?」

クルーヤ「ええ。彼は、僕の…叔父ですよ」

P(やっぱり……!)


亜美「えっ?長老っちは、月の民なの?」

P「ああ、そうみたいだな」

P(あの時の反応…やっぱり、俺を認識していたんだ…!)


P「…そうか、ありがとう」ペコリ

クルーヤ「いやいや、ハルカの未来のおむk」

春香「わあああああああ!」ガシッ

P「?」



真美(ぬぅ…はるるんめ…一歩どころか、百歩くらいリードされちゃってるよ~!)

779: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 17:40:51.38 ID:uDFR+yxgO
P「それじゃあ、そろそろ…」

春香「あ…はい」


春香「お世話になりました」

春香「お父さん!」ペコリ



クルーヤ「ハルカ、気をつけて行くんだよ?」

春香「……」コクリ

クルーヤ「試練を乗り越えた君には、もうわかりきった事かもしれないけど…」



クルーヤ「この世界には、『正義よりも、正しい事よりも、大切な事』がある」


クルーヤ「それを、忘れないようにね?」


春香(正義よりも…正しい事よりも…)

春香(……)


春香「はいっ!」




クルーヤ「さよなら…ハルカ…」


スゥゥゥー…


……



春香「……」

春香「……」チャキッ


キラーン!


春香「お父さん…私、頑張りますっ!」

780: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 17:56:14.17 ID:uDFR+yxgO
エブラーナの洞窟

兵士達「えっほ、えっほ…!」


ザクザク…


伊織「みんな、じゃんじゃん掘りなさい!」


兵士達「おおーー!!」

兵士達「えっほ、えっほ…!」


ザクザク…


家老「お嬢…進行状況は、あまり良くないようですな…?」

伊織「そうね。兵士達を交代で休ませながら…となると、効率悪いわね…」

伊織(しかも得物は、ツルハシやらスコップやら…。まったく、原始的ったらないわよ!)


伊織「この調子じゃ、いつ…えっと…」

家老「…バブイルの塔、ですな?」

伊織「それよそれ。いつになったら、辿り着けるのかしらね…」



伊織「……はぁ」

伊織(こんな時、雪歩がいればね…)


伊織(…なんて、現実逃避してる場合じゃないわね)

伊織(何か、手はないかしら…?)

伊織(こう…一発で、どかーんって穴が空くような手は…)

伊織(……どっかーんって…)




伊織「…………あ!」

伊織「…にひひっ!」

781: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 18:04:34.55 ID:uDFR+yxgO
伊織「……ねえ、ジイ?」

家老「はい?」



伊織「火薬って……あるかしら?」








家老「…お嬢、本当にやるおつもりで?」

伊織「あったりまえじゃない!」

伊織「ツルハシやらスコップやらでチマチマやってても、埒が明かないわ!」

伊織「一気に行くわよ、一気に!」

伊織「早く、あの赤い悪魔に一泡吹かせたいのよ!私は!」


家老「しかし…いささか不安が…」


伊織「大丈夫よ!」

伊織「この、スーパー忍者アイドル水瀬伊織ちゃんに、まっかせなさい!」




782: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 18:15:02.73 ID:uDFR+yxgO
伊織「みんなー!危ないから下がってるのよー?」


兵士達「おおーー!!」



伊織「えっと…この導火線に火を…」

伊織「…火遁」ボソッ


ボッ…


ジジジジ…


伊織「…よし!」


タタタタ…


伊織「じーっ」


ジジジ…


伊織「そろそろね…」


ジジ…


伊織「……っ!」


メラメラ…


伊織「…………ん?」チラ

伊織「……何よ、ただ燃えてるだけじゃない!不良品じゃないの!?」プンスカ


スタスタ…


家老「お、お嬢!その爆薬は、時間差で雷管に…!」



伊織「……え?」クルッ






…ドッカァァーーン!

783: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 18:26:45.80 ID:uDFR+yxgO
伊織「……」

伊織「……」

伊織「……んっ」ピクッ


伊織「…あれ…?私……」ムクッ


伊織(そうだ…爆風に飛ばされて…)


伊織「……っ!」ズキッ

伊織(まずいわ…足が…)

伊織(…動けない、か)


伊織「……」キョロキョロ

伊織(落石で、完全に塞がれてるわね…)


伊織(ん……?)チラ

伊織(天井に、穴が…)

伊織(……まあ、この足じゃ、ムリか…)


伊織(みんながここまで掘るのを、待つしか…)




ヒューーー…


ズドーン!


伊織「きゃっ……!」ビクッ

伊織「な、何……?」


ギギ…


??「……マイゴ。ココ、ドコ?」ギギ

784: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 18:34:53.80 ID:uDFR+yxgO
伊織「……?」

伊織「ろ、ロボット…?」



??「ばるなば、マイゴ。ココ、ドコ?」キョロキョロ


伊織(何か、しゃべってる…)

伊織(言葉は、通じるのかしらね…?)


伊織「……」

伊織「ロボットでも、何かの役に立つかもね…」



伊織「…ちょっと、あんた!」ビシッ


??「……?」ギギ

??「オマエ、ダレ?」ギギ


伊織「……聞いて驚きなさい!」



伊織「私は、スーパー忍者アイドル、水瀬伊織ちゃんよっ!」バーン



??「……?」


伊織「……」

伊織(ロボットに、リアクションを期待した私が、バカだったわ…)

785: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 18:44:55.33 ID:uDFR+yxgO
??「イ…オ…リ?」ギギ

伊織「そう。私の名前は『いおり』」

伊織「ちゃんと覚えなさいよねっ!」ビシッ


??「イオリ……いんぷっと、カンリョウ!」ギーガシャン



伊織「……それで?あんたの名前は?」

??「ばるなば、ナマエ、ばるなば」ギギ

伊織「ばるなば?……ダッサい名前ねー?」

バルナバ「ばるなば、ダサイ?」ギギ


伊織「ううん、あんたじゃなくって、あんたを造ったやつがダサいのよ!」

バルナバ「ハカセ、ダサイ…?」ギギ


バルナバ「ハカセ、ダサイ……いんぷっと、カンリョウ!」ギーガシャン




伊織「痛っ……!」ズキズキ

伊織(まずいわ…足が腫れてきてる…!)

伊織(えっと…こういう時って、冷やすのかしら…?)



バルナバ「イオリ、ドウシタ?」ギギ

786: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 18:50:02.00 ID:uDFR+yxgO
伊織「な、なんでもないわよっ!」

伊織「痛っ……!」ズキズキ



バルナバ「イオリ、イタイ?」ギギ

伊織「ふ、フンッ!このくら……いっ!」ズキズキ

伊織(あ…痛みが……!)


バルナバ「イオリ、クルシイ?」ギギ


伊織(や、ヤバい…かもね…)



バルナバ「イオリ、ナオス!」スッ


伊織「えっ…?」

787: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 18:57:56.04 ID:uDFR+yxgO
バルナバ「イオリ、クルシイ、ナオス!」ズイッ


伊織「な、何これ…?」スッ

伊織(薬…かしら?)


バルナバ「ハカセ、ばるなば、クルシイ、ナオシテクレタ」ギギ

バルナバ「ばるなば、イオリ、クルシイ、ナオス!」ギギ


伊織「ま…他に道は…なさそうね…つっ!」ズキズキ


伊織「スゥーーッ…」

伊織「…ゴクッ…ゴクッ…」


スゥゥ…


伊織「ふぅ…」

伊織「あ、あれ…?痛みが…」

伊織「足の腫れも……なくなってる!?」ガバッ


伊織「……すごいわ!」


バルナバ「イオリ、イタイ、ナオッタ?」ギギ


伊織「ええ…」

伊織「…あんたのおかげね…」


伊織「………あ、ありがと」ボソッ

788: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 19:07:20.96 ID:uDFR+yxgO
バルナバ「イオリ、ナオッタ。ばるなば、ウレシイ!」ギギギ

伊織「クスッ…変なロボットね…?」



伊織「……そうだ、あんたに、お礼しなきゃね?」

バルナバ「……?」

伊織「……あんたに、名前をあげるわ!」

バルナバ「ナマエ…?」ギギ


伊織「あんたは今日から…」






伊織「…シャルル・バルナバ・19世よ!」


バルナバ「しゃるる?」


伊織「そうよっ!」

伊織「さあ、インプットしなさい?シャルル・バルナバ・19世?」


バルナバ「しゃるる・ばるなば・19セイ……いんぷっと、カンリョウ!」ギーガシャン



??「……こんなところにおったか…」


スタッ


バルナバ「ハカセ!」ギギ

伊織「え?」チラ

789: ◆bjtPFp8neU 2014/08/24(日) 19:19:45.72 ID:uDFR+yxgO
伊織(ふーん…あいつが造ったのね…)


??「まったく、勝手にいなくなりおって…」

??「ん?」チラ

??(ほぉー…エブラーナの王女か…)

??(ルビカンテが逃がしたという…)

??(ここで始末しても良いが、『お楽しみ』が控えておるからの…)

??(今日のところは、見逃してやろう)

??「さっ、バルナバ、帰るぞ?」


バルナバ「……」

バルナバ「イオリ、サヨナラ」ギギ


ガシャン!シュボー…


伊織「……」

伊織「またね…『シャルル』?」


バルナバ「……!」ギギギ


??「何を言っておる?こやつは…」



バルナバ「しゃるる・ばるなば・19セイ!」


伊織「…にひひっ!」


??(小娘に、何か吹き込まれたか…?)

??(まあいい。あとでデータを書き換えるか…)


ゴオォォォーーー…




伊織「…………さて」

伊織「掘るか…」

792: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 19:34:17.22 ID:BOun6W/gO
トロイア城 謁見の間

アン「バロンから遥々、こんな田舎までようこそおいでくださいました」

律子(皮肉かしらね…)

アン「トロイア国、第1の神官、アンと申します。以後、お見知り置きを…」ペコリ


律子「ああ、そういうのはいいわ。あなた達には、特に興味ないから」

トロワ「貴様!姉上に向かって…!」チャキッ

千早「……」チャキッ


アン「トロワ、剣を収めなさい…」

トロワ「姉上…」


アン「……それで、どのようなご用件でしょう?」

律子「……わかってるんでしょ?」

アン「いいえ、存じ上げませんが…?」

律子(ふーん、国のトップだけあって、肝は座ってるみたいね…)

律子(なら……)


律子「あくまで、シラを切るのね…」

アン「……」



律子「……なら、この国はもう終わりね…?」ボッ


アン「……!」

793: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 19:46:20.44 ID:BOun6W/gO
千早「律子、そんな予定じゃ…」

律子「黙ってなさい!」

千早「……」

千早(プライド…?)

千早(あまり囚われていると、身動き取れなくなるわよ…?)


アン「……あなたがこの国を滅ぼしたら…土のクリスタルのありかは、永遠に闇の中…」

アン「…それでも、よろしいのですか?」


律子「…呆れたわね。国そのものを取り引き材料にするなんて」


アン「……」

アン「この国には、一切手を出さない」

アン「そう、約束していただけるのでしたら、土のクリスタルのありかをお教えしますわ?」ニコッ


律子「国のトップともあろう人間が、約束を反故にされる可能性を考えない訳じゃないわよね…?」

トロワ「……!」グッ

千早「……」


アン「……」

アン「……平行線、ですわね」

律子「そうみたいね」

794: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 20:01:03.30 ID:BOun6W/gO
アン「…ただ、これだけは言っておきましょう」

アン「あなたは、クリスタルについて、全てを知らない」

律子「え……?」

アン「こちらには、『土のクリスタルの情報』と、『それ以外の情報』があります」

律子「それ以外…?」

律子(どういう…こと?)


アン「どちらが優位かは、憂慮いただけると、幸いですわ」

トロワ(さすが姉上…!これでこちらが一手リード…)


千早「……」

千早(切り札があったのね…?ハッタリかもしれないけど)

千早(外交的には、向こうの勝ち。でも…)


律子「……」

アン「……」

律子「……」

アン「……」



律子「………わかったわ」

律子「土のクリスタルの情報だけでいいわ。この国の安全も保証しましょう」

律子「それに、『それ以外の情報』とやらもいらないわ」

アン「あら…ずいぶん譲歩していただけるんですね?」

795: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 20:08:30.89 ID:BOun6W/gO
律子「……そのかわり」ギロリ

アン「……」

律子「『それ以外の情報』をこちらが手にいれた時は…」


律子「この国が無事かどうかは…保証できないわね…」ニヤリ

千早(まあ、武力も立派な外交手段だけど…)

千早(子供の逆恨みにしか、見えないわ…)


トロワ「な、なんだと…!」

アン「わかりました。では、それで手を打ちましょう」

トロワ「姉上…!」

アン「大丈夫よ、トロワ」



律子「……それで、土のクリスタルはどこに?」




アン「このトロイアの北西にある、『磁力の洞窟』にあります」

796: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 20:23:30.08 ID:BOun6W/gO
トロワ「姉上…先ほどは、肝が冷えましたよ…」

アン「うふふ、ごめんなさいね?」

アン「でも、勝算がなかった訳じゃないのよ?」

トロワ「『地底』のクリスタルの事ですか…?」

アン「そう。たとえ土のクリスタルまでもがあの方の手に渡っても、それで全部じゃないもの」

アン「それともう一つ」


アン「いくら屈強な戦士といえど、磁力の洞窟を攻略できる人間は、まずいないわ!」バーン

トロワ(それって…我々も回収できないってことなんじゃ…)


アン「今となっては、この城からクリスタルを奪ったあの『ダークエルフ』という方に、感謝してるくらいよ」

トロワ「まあ、この城よりは、安全ですかね…」


アン(あと、ユキホ王女のお友達の事も、気になるし、ね)


アン「……さて、お茶にしましょうか」


トロワ(姉上…楽観が過ぎるのでは…)

トロワ(はぁ……)

797: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 20:37:24.98 ID:BOun6W/gO
バロン城 城門

兵士「…通行許可の無い者は、通すなとの命令だ…」


響「真ぉ~、何言っても入れてくれないぞ~、きっと」

響「自分も、何回も頼んだのに、全然聞いてくれないんだ~」


真「うーん…」

真「仕方ない」

真「こうなったら、実力行使で…!」グッ


兵士「……!」チャキッ


響「だ、ダメだぞー!きっとこの兵士も、操られてるだけなんだ…」

兵士「……」


真「ははっ、冗談だよ!ボクだって、騒ぎは起こしたくないからね」

響(いや、目が本気だったぞ…)


真「どうしようか…」

真「他に、城に入る手段はないかな…?」キョロキョロ

兵士「……」

兵士「これは、独り言だ…」

真・響「?」

兵士「昔、バロンの町と城をつなぐ、水路があったらしいが…」

兵士「…確か、水路の入口は、バロンの町にあったな…」

兵士「今も、つながってるのかな…」

真・響「!!」

響「ありがとう!これで城に入れるぞー!」

兵士「……」プイ

真「響、独り言だって…」


真(ありがと!兵士の人)

799: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 20:47:23.65 ID:BOun6W/gO
バロンの町 水路入口

真「ここかな…?」


響「うーん…っ!」ググッ

響「この扉、ビクともしないぞ…」


真「ボクに任せてよっ!」ポキポキッ


真「ふんっ……!」グググッ


真「おりゃー!」バコンッ


響「おー!扉が……」

響(もげたぞ……)

響(真…頼りになるなぁ~)



真「ふぅ……」

真「じゃ、行こうか!」

響「扉、このままでいいのかー?」


真「細かい事は、気にしない!」


真「さっ、行くよ、響!」

響「おー!」


スタスタ…


800: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 20:59:01.76 ID:BOun6W/gO
昔の水路 B1F

スタスタ…


真「響は、飛空艇がどこにあるか知ってるんだよね?」

響「うん!エン太郎の世話をしてるのは、自分だからな!」エッヘン

真「えんたろう…?」

真「それって、飛空艇の名前?」

響「そうだぞー!自分が付けてあげたんだぁ」

響「いい名前だろー?」

真「う、うん…そうだね」

真(名前はともかく、これで飛空艇は確保できた…)

真(あとは、響の娘さんを助けて…)

真(春香達が到着するのを待って…)




魔物1「ピキー!」

魔物2「キェー!」


響「うわぁ!」ズサッ

真「…出たな!」


真「響、ここはボクに任せてよ!」バッ

響「じ、自分だって戦えるぞー!」バッ


真「そっか!」ニコッ


真「じゃ、行くよ!」


タタタタ…

801: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 21:11:03.72 ID:BOun6W/gO
タンッ


真「どっ……」


真「せぇーーーいっ!!」


ドコォ!


ヒューー…


響「なっ……!」

響「ただの張り手が…とんでもない威力だぞ…!」

響「魔物が…飛んで行っちゃった…」


魔物2「キェー!」


真「響!」


響「…おっと!」ヒョイッ


響「…自分だって、負けないぞー!」


ヒュンッ


真「速いっ!」


響「…デチャギッ!」ブンッ


ドガッ!


魔物2「キェ…!」ヨロッ


響「ネリチャギッ!」ブンッ


バキッ!


ドサッ


魔物2「」


真「響、やるじゃないか!」

響「へへん!自分、完璧だからなー!」ドヤッ


真「今のって、もしかして…?」

響「うん!テコンドーだぞ!」

響「通信で習ってるんだー!」

真(後ろ蹴りから、踵落とし…)

真(通信で習ったとは思えないほど、綺麗な蹴りだった)

真(それに、威力はともかく、速さはボクより上みたい…)

真(ボクも、負けてられないな!)

802: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 21:23:18.85 ID:BOun6W/gO
昔の水路 B1F

真「虎煌拳!」


ゴオォー!


ドサドサッ


魔物1「」

魔物2「」

魔物3「」


響「アプチャギッ!」ベキッ


響「ドリャチャギッ!」ドガッ


ドサドサッ


魔物4「」

魔物5「」



響「ふー……」

真「よしっ!」

響「真はやっぱり強いなー!」

真「そんな事ないよ」

真「ボクは…まだまだ…」グッ

真(律子に、勝てなかった…)

真(ボクのせいで、あずささんと美希が…)

真(…だから、ボクはもっと……!)グッ


響(律子の事、聞いたけど…)

響(やっぱり、仲間同士で争うなんて、変だぞ!)

響(律子を叱ってやらなくちゃ…!)




803: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 21:39:02.93 ID:BOun6W/gO
バロン城 1F広間

真「お城に出たみたいだけど…どっちに行けばいいのかな…」キョロキョロ

響「えっと、確か、こっちに王様が…」


スタスタ…


真「あ、響待ってよ!」


スタスタ…


ベイガン「……おや?」チラ


響「あー!お前は!」

響「隊長!」

真「響、知り合い?」

響「あいつが、自分の娘を…!」

響「娘を返してよー!」

真(こいつ……?)


ベイガン「ヒビキ殿…」

ベイガン「新型飛空艇の開発状況は、どうなのです?」

ベイガン「新型飛空艇が完成すれば、あなたの娘は解放しますよ?」


響「ま、まだ開発の途中だぞー!」

響「娘はどこにいるんだ?無事なのかー?」

ベイガン「地下牢にいますよ。もちろん無事です」


真「……よし、必要な情報は揃った!」

響「えっ?」

真「響、こいつは…人間じゃない!」


ベイガン(ほう……?)


ベイガン「だったら、なんだと言うのです?」ニヤリ


真「……こういう事だよっ!」ダッ


タタタタ…


ドゴォ!

804: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 22:03:27.61 ID:BOun6W/gO
ミシディアの村

スタスタ…


亜美「控えい!控えおろ~!」

真美「パラディン様のお通りだ~!」

春香「ふ、2人とも…やめてよぉ…」モジモジ

P「いや、それだけの事を成し遂げたんだ。春香、胸を張っていいんだぞ?」

春香「で、でも…」




黒魔道士「……おい、あんた」

春香「あ、どうも…」ペコリ


黒魔道士「その姿……」

春香「あ、はい!どうにか、無事に…」




黒魔道士「…すまなかった!」ペコリ


春香「え?…え?」

春香「ちょ、ちょっと、頭を上げてください…!」オロオロ


黒魔道士「まさか、あんたが『光に選ばれし者』だとは、思わなかったんだ…」


春香「光に…?」

P(うん…?そんなの、あったっけか…?)

P(そういえば、竜の口よりなんちゃら…って伝承が、ミシディアに伝えられてるんだっけ…?)


黒魔道士「ミシディアの人間は、光に選ばれし者に従えと、昔から伝えられているんだ…」

805: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 22:13:56.14 ID:BOun6W/gO
黒魔道士「まあ、詳しい事は長老に聞くんだな」

黒魔道士「長老も、あんた達を待ってるはずだ」



春香「はい!」


黒魔道士「……」

黒魔道士「あんた…」



黒魔道士「……そのカッコの方が、似合ってるよ」

春香「え……」



黒魔道士「じゃ、じゃあなっ!」クルッ


タッタッタッタッ…


P「春香、人気者だなぁ…」

春香「そ、そんな事ないですよぅ!」バシン

P「痛って……!」ヨロッ


亜美「はるるん…ちょっとは加減してあげないと、兄ちゃん、死んじゃうよ…?」


真美(これが、しゅじんこ~ほせ~ってやつ?)

真美(はるるんが、どんどん強敵に…!)

真美(うあうあ~、真美も頑張らないと、まずいっしょ~!)


亜美「真美?」

真美「…ふぇっ?」

亜美「どったの?行くよ?」

真美「う、うん」


真美(あとちょっとしか…一緒にいられないのに…!)

806: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 22:23:52.00 ID:BOun6W/gO
ミシディアの村 長老の家

ガチャ…


長老「ん……?」チラ


春香「ただいま……戻りました!」


長老「……!」

長老「その姿は…!」


真美「んっふっふ~!試練たっせ~だよっ!」

亜美「亜美達だって、頑張ったんだかんね!」

長老「そうか……」


長老「アミ、マミ…そしてハルカよ…」

長老「……本当に、ご苦労じゃった…!」


長老「それに……」チラ


P「……!」


長老「ともかく、今日はゆっくり休むがよい…」

長老「じきに、晩飯もできるじゃろう」


亜美「ね、ねぇ…長老っち…?」

真美「晩飯って、もしかして…?」





長老「…………カエル料理じゃ」



3人「」


P(カエル料理、うまいと思うけどなぁ)

807: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 22:33:16.52 ID:BOun6W/gO
長老「心配するでない。今日のは、特別じゃ!」


亜美「特別…?」

真美「これは…」

春香「期待しても…いいのかな?」


長老「ふっふっふ…楽しみにしておれ」


長老「……さて」ガタッ

長老「お主らも、長旅で疲れたじゃろう?」

長老「晩飯まで、部屋でゆっくり休むがよい」


長老「…わしも、『自室で休む』とするか…」


スタスタ…

ガチャ…バタン


亜美「う~、疲れたぁ~!」ノビッ

亜美「亜美達も、部屋に行こっか」

真美「そだね」


スタスタ…


春香「……プロデューサーさん?」クルッ


P「…ん、ちょっとトイレに……」


春香「……部屋で、待ってますからね?」

P「ああ」


ガチャ…バタン

808: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 22:47:43.76 ID:BOun6W/gO
長老の家 客室

春香「zzz…」


亜美「はるるん、そっこ~寝ちゃったね…」

真美「うん…」

真美(…なんとか、真美もアピールしたいけど…)


亜美「あ~あ、試練の事とか、いろいろ聞こうと思ってたのになぁ~」

真美「うん…」

真美(う~、なんかモヤモヤしてきたよぉ~)


亜美「……」

亜美「そ~いえば、パパが言ってたけど…亜美達、ホントは三つ子なんだってさ~」チラ

真美「うん…」

真美(兄ちゃん、まだ帰って来ないな~…)




亜美「ちぇすとぉ!!」ビシッ


真美「痛っ……!」

真美「な、何すんのさ、いきなり…」


亜美「も~真美ったら、兄ちゃんの事ばっか!」

真美「ギク…!」

真美「そ、そんな事ないよぉ~」

亜美「だって、真美の顔に『兄ちゃんらぶ』って、1000個ぐらい書いてあるもんっ!」

真美「うえぇ?ほ、ホント?は、早く消さなきゃ…恥ずかし~!」ゴシゴシ


真美(あ、でも…1コぐらい残しといてもいいかな……///)

809: ◆bjtPFp8neU 2014/08/25(月) 23:00:01.30 ID:BOun6W/gO
亜美「どいつもこいつも、色気づきやがってよぉ~!」プクーッ

真美「あ、亜美ごめん~!」ガシッ


亜美「……」チラ

亜美「……あ~なんか、『ゴ』の付くプリンが食べたいなぁ~」チラ

真美「わ、わかったっ!あとで買ってあげるからさぁ~」ユサユサ

亜美「……ホント?」

真美「ホントにホント!ちょ~ホントッ!」


亜美「……んじゃあ、許したげよぉか…」ナデナデ

真美「はは~、ありがたきしあわせ~」





亜美「ねぇ、真美」

真美「ん?」

亜美「魔法で、絡め取っちゃえば?」

亜美「きせ~じじつを作っちゃえばいいんだよっ!」

真美「ん~…」

真美「それは…ひきょ~だよ」

亜美「ふ~ん…なんぎだねぇ…」


亜美(亜美も、そ~いう気持ちがわかる時が来るのかなぁ…?)

820: ◆bjtPFp8neU 2014/08/26(火) 23:47:05.53 ID:+nq57wkDO
長老の部屋


コンコンッ


長老「……」

長老「開いておるぞ」


ガチャ…


P「……」


長老「……」



長老「……………クルーヤに、会ったか」

P「……はい」

長老「……そうか」



長老「最初に言っておくが…」

長老「わしも、もうジジイじゃ」

P「……」


長老「そなたを『認識』するのも、一苦労じゃ…」

P「…そうなんですか?」

長老「うむ」

長老「そなたのように、生命エネルギーに満ち溢れた者を認識するには…」

長老「こちらも、かなりの生命エネルギーを必要とする」

P「……」

長老「平たく言えば、『目を凝らして見る』ようなものじゃ」

P「なるほど…」



長老「ふむ」

長老「…して、何用じゃったか?」

821: ◆bjtPFp8neU 2014/08/27(水) 00:10:27.06 ID:8uXnsbRVO
P「あ、えーと…」


P「じゃ…まずひとつ」

P「単刀直入に言います」







P「『魔導船』を、復活させてくれませんか?」



長老「!!」

長老「お主、なぜ魔導船の事を……?」


P「うーん…うまく言えませんが…」

P「俺は…少しですが、未来が見えるんです」

長老「未来が…?」

長老「お主は、占い師か何かか?」

P「いいえ」

P「ですが、占い師のそれよりは、具体性と確実性がある、と自負しています」


長老「……」

長老(『魔導船』の存在を知る者など、もはやいないはず…)

長老(こやつは、いったい…?)

長老(まさか、本当に単なる占い師、という訳ではあるまい…)


長老「質問させてくれ」

P「はい」



長老「……この世界は、この先どうなる?」


P「……」

826: ◆bjtPFp8neU 2014/08/27(水) 21:22:15.73 ID:8uXnsbRVO
P「……」

P「それは…」

P「俺が言うべき事ではない…と、考えてます」



長老「…その言い方は…」

長老「そなたには、未来が見えておる…と捉えていいのか?」



P「たとえそうだとしても…」

P「人が創り出す未来は、ひとつじゃない…」


長老「……」


P「可能性は、無限ではないでしょうか?」


長老「…すまん。そうじゃな…」


P「だから、俺が見たこの世界の未来について、明言はできませんし…」

P「俺を信じるかどうかは、あなた次第です」


長老「……」


P「…ただ、ひとつだけ言えるのは」

827: ◆bjtPFp8neU 2014/08/27(水) 21:35:36.80 ID:8uXnsbRVO
P「ハルカ達は、信じるに足る人間です」


長老「……」


P「……だから、あなたのお力を、お借りしたい」





長老「……不思議じゃな」

長老「そなたの言葉には…信憑性も、虚偽性も感じられん」


P「……」


長老「わしはこれでも、人を見る目には、自信があるつもりなんじゃが…」

長老「そなたは…プラスでもマイナスでもない」

長老「まるで、赤子を相手にしているような…」

長老「こんな事は…初めてじゃ」




長老「しかし、そなたはあの娘らと、強い絆で結ばれているようじゃな…」

長老「それだけは、唯一信用できる」




長老「……話を、聞こう」


P「ありがとうございます!」

828: ◆bjtPFp8neU 2014/08/27(水) 21:47:55.11 ID:8uXnsbRVO
長老の家 食堂

亜美「おお・?ちょーいい匂いっ!」

真美「朝とは、比べものになんないくらい、豪華じゃんか…!」

春香「ホントだねぇ…これ、全部カエル料理なんですか?」


長老「もちろんじゃ!」

長老「さ、遠慮するな」


P(カエルの唐揚げ、カエル焼き、カエルのスープに…)

P(カエルの……刺身!?)

P(これは…興味あるな!)




4人「いただきまーす!」


亜美「モグモグ…」

亜美「ん・!んまいっ!」

亜美「これ、ふつ・の唐揚げと、変わらないよ?」

真美「この、カエル焼きも、お魚みたいでおいし・!」


春香「モグモグ…」

P「春香、どうだ?」

春香「……うん、おいしいです!」

春香「なんか、食感が鶏のささみに似てますねー」



長老「……そなたも、どうだ?」


P「はい、いただきます!」


3人「えっ?」

830: ◆bjtPFp8neU 2014/08/27(水) 22:06:11.14 ID:8uXnsbRVO
亜美「長老っちが、兄ちゃんとふつ・に話してる…?」

真美「なんで?」

P「おいおい、忘れたのか?」

P「試練の山でクルーヤが言ってたろ?」

P「月の民には、見えてるんだよ、俺が」ニコニコ


長老「月の民全て…という訳ではないと思うがな」


P「あ…そうですか…」

春香「でも、これでやっと、仲間外れじゃなくなりましたねぇ」モグモグ


P「ああ…」

P(ま、このゲームに出てくる月の民なんて数えるほどなんだけどな…)



P「パクッ…」

P「モグモグ…」

P「うん、カエルの刺身、うまいな!」

P(ちょっと、飲みたくなってきたな…)




亜美「これ、いただきっ!」パクッ

真美「あー!真美が食べようと思ってたのにぃ!」

亜美「ふははは!力こそが正義なのだ!」モグモグ

真美「むぅ……」

真美「あっ……!」

真美「あっちでいおりんが、裸でコサックダンスしてるっ!」ビシッ


亜美「えっ?」

亜美「どこどこ?」キョロキョロ


真美「今だっ!」

パクパク ムシャムシャ…

834: ◆bjtPFp8neU 2014/08/27(水) 22:21:00.50 ID:8uXnsbRVO
亜美「いおりんなんていないじゃ…」クルッ

亜美「…あああっ!」


スッカラカン!


真美「おいひい!」

亜美「ひきょーだぞー!」

真美「ひかあこふぉ、ふぇいうぃ!」モグモグ


長老「…まったく、落ち着いて食えんのか…」ゴクゴク


春香「賑やかですね、プロデューサーさん?」

P「そうだな」

P「春香も、もっと食べた方がいいんじゃないか?あの2人、ほっとくと全部食っちまうぞ?」

春香「ふふっ!そうですねぇ」

春香「でも、私は、こうしてみんなといられるだけで…お腹いっぱいですよ?」

P「遠慮する事ないのに…」




トンッ


長老「……どうじゃ、そなたも一杯やらんか?」

P「…いいんですか?」

長老「今日は、特別じゃ!」

P「じゃあ、お言葉に甘えて…」

春香「プロデューサーさん、飲み過ぎないでくださいよー?」

P「わかってるよ」



846: ◆bjtPFp8neU 2014/08/27(水) 23:20:58.81 ID:8uXnsbRVO
P「ゴク…ゴク…」

P「っぷはぁ~……」

P「……うまい!」

長老「当たり前じゃ。わしの秘蔵じゃからの?」


P(ゲームの世界にも、うまい酒があるもんだなぁ~)





亜美「あ~!あっちでいおりんが裸でブレイクダンスしてる~!」

真美「いやいや、いおりんなら、あっちでヒゲダンスしてるもんね!」



P(…まだやってたのか…)

P(あんまり伊織で遊ぶなよ…?)


P(でも…)


P(やる事はたくさんあるけど…今日くらいは、ハメを外してもいいよな…)


P(……律子がいたら、『うるさ~い!』なんて怒られそうだな…)




P(律子……また、俺達を、怒ってくれよな…?)ゴクゴク…

847: ◆bjtPFp8neU 2014/08/27(水) 23:40:49.46 ID:8uXnsbRVO
長老「zzz…」

P「ヒック…」ヨロッ

P「あっれぇ~?ちょ~ろ~、ねちゃったんすかぁ~?」フラフラ


春香「ぷ、プロデューサーさん、ちょっと、しっかりしてくださいよぉ…」ガシッ

真美「も~、フラフラじゃんか~」ガシッ

真美(真美だって、負けないもんねっ!)チラ

春香(真美……!)


亜美「ねぇ兄ちゃん…そんなに飲んで平気なの?」

P「らぁいじょ~ぶらって…」ガタッ

真美「に、兄ちゃん、急に立ったら危ないよ~!」ガシッ

春香「も~…ベロベロじゃないですか~」ガシッ


亜美「…でもそれって……」


亜美「バッカスの酒…でしょ?」


P「ばっかしゅ~?」ヨロッ

真美「あ…!」

春香「?」



……ドクンッ……



P「ぁ……!」ガクッ


春香「ぷ、プロデューサーさん!?」ガシッ

真美「に、兄ちゃ…」


P「うがぁーー!」

849: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 00:00:59.32 ID:gcQMjcq+O
P「うがぁーー!」ガバッ


春香「きゃっ…!」ドサッ

真美「うぇっ…!」ドサッ


亜美「ちょ、に、兄ちゃん…?」


P「うがぁーー!」ガバッ


亜美「ぎゃー!な、何すんのさっ!」ジタバタ


P「うがぁーー!」ガバッ


春香「ぷ、プロデュ…さ……あっ…///」ビクン

真美「に、兄ちゃん…や、やさしく…ひゃあ……///」ビクン

亜美「兄ちゃ…ひ、ひどい…んっ……///」



春香(こ、これって…まさか…)ドキドキ

亜美(こ、越えちゃいけない一線を…)ドキドキ

真美(こ、越えちゃう…のかな…///)ドキドキ


P「うがぁーー!」ガシッ





長老「……うるさくて眠れん…」ガバッ


長老「…スリプル」


ボワン!


バタッ


P「zzz…」


長老「…よっこらせ」ゴロン

長老「zzz…」



春香「寝よっか…」

真美「うん…」

亜美「そだね…」


3人「プロデューサーさん(兄ちゃん)のバカッ!!!」


850: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 00:12:32.37 ID:gcQMjcq+O
翌日、長老の家

P「用意、できたか?」


春香「は、はい…」

春香(プロデューサーさんの顔、まともに見れないよぉ…)ドキドキ

亜美「は、早く行こっ?」

亜美(……まさか、これが『恋』……?)

真美「……」

真美(あと、ちょっとだったのになぁ…)ドキドキ



P「……?」

P(みんなの様子が、おかしい…?)


P「みんな、大丈夫か?どこか、具合が悪いのか?」




3人(お前のせいだー!!)ジロッ



P(うっ……殺気が…)



長老(……罪な男じゃの)



長老「気をつけて行くのじゃぞ?」

長老「わしも、この地からそなた達の無事を祈っておる」

852: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 07:58:10.08 ID:gcQMjcq+O
亜美「長老っち…」

真美「真美達、長老っちの事…」



長老「アミ、マミ…」

長老「……」





長老「お主らは、わしの誇りじゃ!」



亜美・真美「……!」




長老「何があっても、へこたれるんじゃないぞ…?」

長老「弱音を吐いたら、わしの拳骨が飛ぶと思え」ニヤリ



亜美・真美「……」



亜美「んっふっふ~!そしたら、またイタズラしてやるかんね?」

真美「多い手は子に従え、ってやつだよっ!」



長老「ふふ…」

長老「……行ってこい!」ニコッ



亜美・真美「…うんっ!!」

春香「…お元気で!」ペコリ

P「……」ペコリ



P(あなたが頼りだ……)

P(長老……!)

854: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 21:03:24.04 ID:gcQMjcq+O
投下します

855: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 21:15:48.12 ID:gcQMjcq+O
月の地下渓谷 B2F

ズシャアッ!


ドサッ


魔物「」


バハムート「ふむ……」

バハムート「少しは、退屈しのぎになるかと思うたが…」

バハムート「この程度か…」

バハムート「これでは、準備運動にもならぬ…」


貴音(ふむ…あの本にあった、面妖な術を使うわけではないのですね…)

貴音(…見てみたかったのですが…)


貴音「ふふ…どうやら、ばはむーと殿の敵は…」

貴音「魔物ではなく、『退屈』のようですね…?」ニコッ


バハムート「……まったくだ」ククッ



バハムート「…我は、もう飽きたぞ」

バハムート「タカネ、あとはそなたに任せる」

貴音「わたくしに…?」

貴音(うまく…できるでしょうか?)


バハムート「うむ。我も、久々にそなたの戦いが見たいぞ」

貴音「…わかりました。やってみましょう」



魔物「……!」ヌゥッ

856: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 21:30:34.50 ID:gcQMjcq+O
貴音「おや…」チラ

貴音「早速、いらっしゃったようですね…」


魔物「……!」ダッ


貴音「…ええと、確か…」


貴音「…ぶりざど?」


コオォォォ…


シャキーン!


魔物「」



バハムート「……ふ」

バハムート「さすがだな…」

バハムート「下級魔法が、まるで上級魔法の威力…」


バハムート「ククク…!やはり、そなたは人間にしておくには惜しい…!」


貴音「あの…」

貴音「わたくしは、人間のままでいたいのですが…」

バハムート「……冗談だ」ニヤリ

バハムート(半分は……な)


貴音(しかし…)

貴音(まこと、美しいところですね…)キョロキョロ

貴音(月の地下に、こんな神秘的な場所があるとは…)

貴音(……心が、洗われるようです)ウットリ



バハムート「……時に、タカネよ」

貴音「はい…」

バハムート「そなた、どのような夢を見ていたのだ?」

貴音「?」

バハムート「永き…眠りについていたのであろう?」

貴音「あ……」

貴音(そういえば、そういう設定でしたね…)

バハムート「そなたの見る夢…興味があるぞ…?」



貴音「ええと…」

貴音「そうですね……」

857: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 21:43:23.48 ID:gcQMjcq+O
バハムート「……あいどる?」

貴音「はい。ばはむーと殿は、ご存知ですか?」

バハムート「いや…知らぬな」

バハムート(…我にも、まだ知らぬ事があったか…)

バハムート「あいどる…とは、どのようなものだ…?」

貴音「はい…」



貴音「あいどるとは…」

貴音「らいぶで歌を歌ったり、だんすを踊ったりして…」

貴音「ふぁんの方々を、楽しませたり…」

貴音「らぁめんを食べたり…」

貴音「ぐらびあ撮影をしたり…」

貴音「…らぁめんをたり…」


貴音「…まこと、良いものです」ニコッ

貴音(……らぁめんが、食べたくなってきました…)


バハムート「ふむ……」

バハムート(タカネの言っている事は、何ひとつわからぬが…)

バハムート(夢とは、得てしてそういうものであろう)

バハムート(しかし…)チラ

バハムート(タカネよ…良い顔で語るのだな…)


バハムート(あいどる…とやらは、そなたにとって、余程大切なものと見える…)




バハムート「タカネよ、もっと聞かせよ…」


貴音「ふふ…喜んで」

858: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 21:57:10.95 ID:gcQMjcq+O
月の地下渓谷 B5F

貴音「…さんだら」スッ


ズガガドゴーン!


ドサッ


魔物「」



貴音「…あいどるのわたくしには、苦楽を共にした仲間がいます」


貴音「支え合い、助け合い……時に、仲違いもしますが…」

貴音「皆、強い絆で結ばれた、わたくしの大切な仲間達です…」


バハムート(仲間……)

バハムート「…神である我には、わからぬ感覚だな…」



貴音「そう、ですか…」



バハムート(いや……)

バハムート(本当は、わかりかけている……)




バハムート(タカネ…そなたが、我に……)




貴音「しかし、ばはむーと殿には…あの子達がいるのでは……?」


バハムート「まさかそなた…あやつらを、我の子と思うたか…?」

貴音「…違うのですか?」キョトン


バハムート「あれらは、我の眷属…」


貴音「けんぞく…?」

バハムート「うむ」

バハムート「我に仕え、我に奉仕する為に生まれた存在だ」

バハムート「人間の世界で言うところの…『召使い』…だったか…」

859: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 22:13:05.56 ID:gcQMjcq+O
バハムート「強い繋がりがある訳でもない。ただの、主従関係だ」

バハムート「そなたの言う『絆』とは、ほど遠い存在であろうな」


貴音(なんだか、じいやを思い出しますね…)フフ


貴音(しかし……神とは、なんと孤独で悲しい存在なのでしょうか?)

貴音(……)



貴音「ばはむーと殿」

バハムート「うん…?」



貴音「絆は、あります」


バハムート「タカネ…?」


貴音「どういった関係であれ、今まで苦楽を共にしてきた…」

貴音「その、かけがえのない時間こそが…」


貴音「絆、ですよ」


バハムート「……」


貴音「はっ……!」

貴音「すみません…偉そうに語ってしまって…」

バハムート「いや、よいのだ…」

バハムート(絆……)

バハムート(かけがえのない時間、か…)


バハムート(フッ…よもや、神である我に、時の流れを説くとはな…)

バハムート(おもしろき女よ…)ククク



スタスタ…


貴音「ん……?」チラ

貴音「どうやら、ここからは、少し雰囲気が違うようですね…?」

バハムート「ふむ…そのようだな」



バハムート「ククク…面白い…!楽しませてもらうぞ…?」ニヤリ

860: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 22:41:25.64 ID:gcQMjcq+O
幻獣界 幻獣王の館

冬馬「お、おい!

やよい「う?」

冬馬「き、気をつけて行くんだぞっ!」

冬馬「なんか、変なやつらばっかりなんだからなっ!」


やよい「だいじょーぶですよっ?」

やよい「みなさん、とーってもよくしてくれますからっ!」ニコッ



翔太「まー、この子なら、心配いらないんじゃない?」

北斗「そうだな。…それに、友達と遊ぶだけだろ?」

やよい「うっうー!そーです!お友達に会いに行くんですよっ!」


冬馬(な、なら…俺達と…)

冬馬(…って、何考えてるんだ、俺は!)

冬馬(こいつは、俺達のライバルだぞ?)


黒井「フン…未来の為の…」

黒井「先行投資、といったところか…?」

翔太「黒ちゃん…絶対そんな事考えてないと思うよー?」



やよい「それじゃ、行ってきまーすっ!」


タタタタ…

861: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 23:05:49.94 ID:gcQMjcq+O
やよい「みなさんっ!」


やよい「おはよーございますっ!」ペコリ



イフリート「やあああぁよいいいぃぃぃ!!」ボオォ

イフリート「まっっっってたぜっっ!!」

やよい「いふりとさんっ!」



シヴァ「……ヤヨイさん、ご機嫌よう」キラキラ

やよい「しばさんっ!」



ラムウ「ヤヨイさん…メシはまだかのぅ…?」

やよい「らむさんっ!」



イフリート「今日ぉぉぉはっっっ!!何して遊ぶんだあああああ!!?」

シヴァ「…イフリート、暑苦しいわ…」

イフリート「相っっ変わらず!!冷てえええええ女だぜっっっ!!」

やよい「2人とも、ケンカは、めっ!ですよ?」

ラムウ「…争いは、何も産まんのじゃ…」

イフリート「おおおお!!すまねえええええっっ!!」

シヴァ「…ごめんなさい」


シヴァ「ヤヨイさん、今日は何を…?」



やよい「……オセロですっ!」

イフリート「おおおぉせろおおおぉぅ!!?」

シヴァ「…知らないわ」

ラムウ「はて…?何か言ったかのう…?わしゃ、耳が遠くて…」


やよい「わたし、家で作ってきちゃいましたぁー!」バーン

やよい「2人で遊ぶゲームなんですけど…」

やよい「ルールはかんたんなので、みなさんなら、すぐに覚えられると思いますよ?」

ラムウ「そんな事より、腰を揉んでくれんか?腰痛がひどくてのぅ…」

862: ◆bjtPFp8neU 2014/08/28(木) 23:26:55.83 ID:gcQMjcq+O
やよい「……ルールは、だいたいこんな感じですけど、わかりましたかー?」モミモミ

ラムウ「はぁ~、極楽極楽…」



シヴァ「…だいたいわかったわ」

イフリート「わっっかんねええええええ!!」

イフリート「けどっっ!!燃えてきたぜええええええええぁ!!」ボオッ

ラムウ「ヤヨイさん、すまんが、肩も揉んでくれんかの…?」


やよい「じゃあ、さっそくやってみましょー!」モミモミ


やよい「まずは、しばさんといふりとさんで、やってみてくださいっ」トントン



イフリート「うおおおお!!?どうすりゃいいんだあああああ!!?」

やよい「いふりとさん、最初は石を置けるところが決まってますから…」

やよい「その中から選んで置いてくださいね?」モミモミ

ラムウ「あ~そこそこ」


イフリート「わかっっったぜえええぁ!!」

イフリート「どおおおおおりゃっっ!!」ズガン

シヴァ「……」パチ

イフリート「だりゃあああああ!!」ドゴン

シヴァ「……」パチ

イフリート「ずええええええいっっ!!」バゴン

シヴァ「……」パチ

シヴァ(…楽勝ね)



………



シヴァ「…わたしの、勝ちね」

イフリート「負ぁけたぜええええええっっ!!」

やよい「はわっ!しばさん、すごいです!」

シヴァ「そ、そんな事……///」

やよい「いふりとさん、次は頑張ってくださいね?」

イフリート「いよっしゃああああああ!!」

864: ◆bjtPFp8neU 2014/08/29(金) 06:22:49.19 ID:ekr8Y/t7O
やよい「じゃあ、次は、らむさんとしばさんで…」


ラムウ「ヤヨイさん、わしゃ漬物が食べたいのぅ…」


やよい「はい、どうぞっ」スッ


ラムウ「…やっぱり、まんじゅうはうまいのぅ…」モグモグ


やよい「じゃあ、らむさんはわたしとチームを組みましょう」

やよい「…しばさん、行きますよっ?」

シヴァ「…ええ、相手になるわ」



………



シヴァ「……」パチ

やよい「はわわっ…」

やよい「うーん、うーん…」

ラムウ「モグモグ…」じーっ

やよい「えっと…はいっ」パチ

シヴァ「……」パチ

シヴァ(……このまま行けば、おそらくわたしの勝利…)

シヴァ(でも…)チラ

やよい「えっと…あれがこーなって……ごにょごにょ」

やよい「はわっ…ダメです…」

シヴァ(……)

シヴァ(……やはり、ここはヤヨイさんに花を持たせて…)


ラムウ「モグモグ…」じーっ

865: ◆bjtPFp8neU 2014/08/29(金) 08:00:14.94 ID:ekr8Y/t7O
ラムウ「……」スッ


ラムウ「……………」パチリ



シヴァ「え……?」

シヴァ(そこに置かれたら…)

やよい「…らむさんっ?」


シヴァ(これは…まずいわ)

シヴァ(でも…)チラ


やよい「わあぁ!らむさん、すごいですっ!これで有利になりましたぁー!」

イフリート「うおおおお!!なんかわかんねえええええがっっ!!ラムウううっっ!!やぁるじゃねえええかああああっっ!!」

ラムウ「……ヤヨイさんは、ばあさんの若い頃にそっくりじゃ…」ニコッ


シヴァ(これで…よかったのね)



………




イフリート「今日ぉぉはっっ!!たぁのしかっっったぜええええええ!!」

シヴァ「…また、遊びましょう」

ラムウ「…ヤヨイさん、メシはまだかのぅ…」


やよい「みなさん、また遊びましょー!」



やよい「さよーならぁー!」




幻獣王の館

やよい「ただいまーっ!」


冬馬「お、おう!遅かったじゃねーか…」

翔太「待ってたよー!僕、もうお腹ペコペコだよー!」

北斗「俺達にできる事があったら、手伝うよ」

黒井「フン…庶民の料理で我慢してやるから…早くしろ」


やよい「うっうー!わかりましたー!すぐ用意しますねっ?」



やよい(明日は、何して遊ぼうかなー?)

867: ◆bjtPFp8neU 2014/08/30(土) 06:23:24.46 ID:gbInZjCHO
バロンの町

亜美「うえ……」ヨロッ

真美「ぎぼぢわるい…」フラフラ


P「……おっと」ガシッ

P「2人とも…平気か?」


亜美「に、兄ちゃんは…なんで平気なの…?」

真美「ああ…もうダメだ~」ギュッ

P「長老の話だと…」

P「バロンとミシディアをつなぐ『デビルロード』は…」

P「通るのに、生命力を消費するらしいからな」

P「魔道士の2人には…ちょっときつかったかな」


亜美「う~…兄ちゃんもはるるんも…ズルいっしょ…」

P(……俺の生命力は、こんなところで尽きたら、困るんだよ)




春香「みんな~!」


タッタッタッタッ…


P「春香!」

春香「2人とも…大丈夫?」

亜美・真美「…だいじょばないよぉ~」


P「……」スッ


シャララーン!


亜美「おお…ありがたや…」

真美「は~ええわぁ~」


P「……で、どうだった?」

春香「あ、それが…」

868: ◆bjtPFp8neU 2014/08/30(土) 06:40:06.93 ID:gbInZjCHO
P「え?いなかった?」


春香「はい…」


春香「酒場以外のお店も覗いてみたんですけど…」

春香「真らしき人は、どこにもいませんでした」


P「そうか…ありがとな」


P(真…どこに行ったんだ?)

P(まだ、バロンに着いてないのか…?)

P(ゲーム通りなら…真は操られてるはずだから…)

P(ひょっとして、城の中にいるのかな…?)


春香「…あ、そう言えば…」

P「ん?なんだ?」

春香「『開かずの扉』がどうのって話を、酒場の人に聞きましたけど…」

春香「何か、関係ありますかね?」


P「開かずの扉?」

P(そんなの、あったっけか?)

P「うーん…まずは、真を見つけないと…」



亜美「兄ちゃん、それってさぁ…」

真美「お城に通じてる、あの通路の扉のことじゃないかなぁ?」



P「あー…そうかもな」


P「地下の…水路、だっけな」

P「でも、確か鍵がかかってるんだよ」

P(あ、だから『開かずの扉』か…)

P「それに、その扉の鍵は、真が持ってるはずだから…」

P「どちらにしろ、真を探さないとな」

869: ◆bjtPFp8neU 2014/08/30(土) 06:47:51.71 ID:gbInZjCHO
亜美「でもさ、まこちん、見つからなかったんでしょ?」

春香「うん…」

真美「じゃあ、先に開かずの扉に行ってみよ~よ!」


P「うーん…」

P(もう、ゲーム通りには進まない気がしてきたな…)

P(俺には、何がなんだか…)



P「……そうだな。そこへ行ってから、考えようか」


亜美「まこちん、頑丈だからきっとだいじょ~ぶだよ!」

真美「死んだって死なないタイプだもんね~?」


P(いや、死んだら…死ぬだろ)


春香「…じゃあ、行きましょう!」

870: ◆bjtPFp8neU 2014/08/30(土) 07:00:14.07 ID:gbInZjCHO
バロンの町 昔の水路入口

P「何だ…こりゃ?」


P(扉が…壊されてる)

P(いったい、誰がこんな事…)


P(…って、ひとりしかいないか)

P(真なら、やりそうだもんなぁ…)


春香「プロデューサーさん、どうしますか?」

P「……これは、前に進んだ方が良さそうだな」





亜美「……」ブルブル

真美「亜美…」ギュッ


春香「…どうしたの?2人とも…」


亜美「あ……」

亜美「な、なんでもないよっ?」

亜美「ちょっと、ムシャムシャ震いが…」

真美「は、早く…行こっ?」

春香「……?」



P(……)

P(そうだよ…)

P(……恐くないはずが、ないんだよな…)




P「……」ダキッ

真美「あっ……」

亜美「に、兄ちゃん…?」

P「……大丈夫」

P「俺が…ついてるから」


亜美「……うん」ギュッ

真美「…兄ちゃん、ありがと」ギュッ


春香「あっ…2人とも、ずるい~」

春香「プロデューサーさん、私も…」

871: ◆bjtPFp8neU 2014/08/30(土) 07:11:17.62 ID:gbInZjCHO
P「……おいで」ダキッ

春香「はい…」




P「…いいか?何があっても、みんなで帰るぞ!」

P「お互いを信じれば、必ず道は開ける!」


亜美「うん……!」

真美「そうだね……!」

春香「あっ……そうだ」

P「春香…どうした?」


春香「えーと…」キョロキョロ


春香「とりあえず、建物の中に入りましょう」

3人「?」





春香「亜美、真美…プロデューサーさん」


春香「…気合い、入れますよ!」


亜美「あ…なるほど~!」

真美「確かに…人がいるところじゃ、恥ずかし~もんね~!」

P「そういう事か…さすが春香!伊達にリーダーやってないな?」ナデナデ

春香「えへへ…」



春香「じゃあ、いくよ…?」




春香「765プロー…」




春香「……ファイトッ!!」




4人「おおーーー!!!」

872: ◆bjtPFp8neU 2014/08/30(土) 07:28:54.97 ID:gbInZjCHO
バロン城 1F広間

ベイガン「いきなり暴力を振るうとは…野蛮な方ですね…?」


真(…そこらの雑魚とは…違うみたいだ)


真「響……」

響「な、なんだ?」ドキドキ

真「ボクがあいつを引きつけるから、そのスキに…」

響「で、でも……」


ブンッ!


真「……」ヒョイッ

響「うわっと!」ヒョイッ


ベイガン「あなた方の首を、カイナッツォ様に差し出しましょうか…」チャキッ


真「響、考えてるヒマはないっ!」ダッ


響(ま、真ぉ…)


真「やあー!」ブンッ


ベイガン「…鋭い蹴りだ」ヒョイッ

ベイガン「ふんっ!」


ブンッ!


真「…おっと!」ヒョイッ


真「セイッ!」


ドゴォ!


ベイガン「ぬ……!」


真「響、早く!」


響「わ、わかったぞー!」

響「真ー!あとで絶対、助けに来るからなぁー!」クルッ



タタタタ…

873: ◆bjtPFp8neU 2014/08/30(土) 07:40:45.17 ID:gbInZjCHO
ベイガン「……」チラ


ベイガン「あなたひとりで、私が倒せるとでも?」


真「わからない」

真「…けど、ボクはもう絶対に負けないって、決めたんだ!」


ベイガン「自信たっぷりですね?」

ベイガン「…いいでしょう」チャキッ


ベイガン「…その自信、へし折ってあげますよ!」ダッ


ヒュン…ババババッ!


真「うわっ!」ヒョイッ


真「…なんて速い突きだ…」タンッ


スタッ


ベイガン「逃げてばかりでは、勝ちはありませんよ?」ダッ


ヒュン…ババババッ!


真「くそっ…!」ズサッ


ベイガン「…もらったっ!」ヒュン



真「…なーんてねっ」ダンッ


ベイガン「!?」

ベイガン「ど、どこだ?」キョロキョロ


真「…上だよっ」

真「…飛燕」


真「…龍神脚!」ヒュン


ドゴォ!


ベイガン「がはっ…!」ヨロッ


真「暫烈拳!」


ドゴゴゴゴゴゴゴゴ…


真「だあっ!」ドゴォ


ドサッ


ベイガン「が……っ!」ピクピク

874: ◆bjtPFp8neU 2014/08/30(土) 07:47:00.21 ID:gbInZjCHO
バロン城 B2F地下牢

スタスタ…


響「いない…いない…」キョロキョロ


響「ここも違う…」キョロキョロ



響「ど、どこにもいないぞー?」オロオロ


響「うがー!あいつ、嘘ついたのかー!?」



響(だ、だまされたぞー!)

響(早く戻らないと、真が心配だぞ…)


響(はっ!まさか、真もあいつにだまされてるんじゃ…!)



響「真ぉーー!!」


タタタタ…

879: ◆bjtPFp8neU 2014/08/31(日) 19:08:11.57 ID:/5NgrMZmO
バロン城 1F広間


ベイガン「ぐ……!」ヨロッ

ベイガン(つ、強い……)


真「君…本気出してる?」

真「ボク、勝っちゃうよ?」スタッ


ベイガン(なんだこの強さ…めちゃくちゃだ…!)


ベイガン(……かくなる上は…)



ベイガン「じ、実は…私は、命令されてるだけなんです…!」

真「え……?」

ベイガン「私も……部下を人質に取られて…」チラ

真「じーっ…」

ベイガン「う……!」ドキドキ

真「……」



真「……そっか!」

ベイガン「は、はい……!」

ベイガン(ふ…ちょろいな)


真「じゃあ、見逃してあげるよ!」

真「さーて…響を追いかけないとな…」キョロキョロ


ベイガン「ち、地下牢へ行くなら、鍵をお持ち下さい!」スッ

真「えっ?いいの?」


スタスタ…


ベイガン「……」ニヤリ

真「ありが…」

ベイガン「ミニマムッ!」


真「え?」


ボンッ!

880: ◆bjtPFp8neU 2014/08/31(日) 19:26:23.09 ID:/5NgrMZmO

チョコンッ


真「な、何だ?あいつ、急に大きくなって…?」


ブォン!


真「わーっ!」タンッ


ゴロン


真「危なかったぁ…」

真「なんなんだいったい…あいつ、まるで巨人じゃないか…」チラ


真「…あれ?」キョロキョロ

真「扉も、柱も、大きくなって…?」

真「…そうか!ボクがちっちゃくなったのか!」


ベイガン「ふふふ…立場が逆転しましたね…?」ニヤリ

ベイガン「ふんっ!」


ドゴッ!


真「…よっと!」スタッ

真「あんな攻撃なら、当たる気はしないけど…」

真「これじゃあ、あいつを倒せないなぁ…」


ブォン!


真「くそっ!」ダッ


真「うーん…」

真「どうするかな…?」キョロキョロ


真「あ…あそこの壁、スキマが…」

真「しょうがない、一旦退却だ」


タタタタ…



ベイガン「ち…壁のスキマに…」

ベイガン「まあいい。やつはもう戦えまい」

ベイガン「これで、あとひとり…」



「魔物、全然いませんねー」

「まこちんが全部倒しちゃったんじゃね?」

「真美達の分も、残しといてくれればいいのに~」



ベイガン「ん?誰だ……?」クルッ

881: ◆bjtPFp8neU 2014/08/31(日) 19:40:50.95 ID:/5NgrMZmO
春香「あれ…?」


ベイガン「あ……」


春香「えっと……」

春香(あの人の名前、なんだっけ…?)


ベイガン「ハルカ殿!ご無事でしたか!」

ベイガン(くそっ…またゾロゾロと…)

ベイガン(…だが、やつは…利用しやすそうだな…)


真(え?春香?)チラ



ベイガン「ハルカ殿、どうやらこの城は魔物の手に…」


真(春香ー!)ピョンピョン




真美「ねぇねぇおっちゃん…」


ベイガン「ん……?」

ベイガン「…こちらは、ハルカ殿のお仲間で…?」

春香「はい、そうですよ!」


真美「魔物の手に落ちたお城で…」

真美「なんでおっちゃんは無事なの?」


ベイガン「それは……私にも、部下がいましたが、生き残ったのは私だけで…」


真(誰かー!ボクに気づいてー!)ピョンピョン


亜美「じゃあ、おっちゃん…」

亜美「ここで、ひとりで何してたの?」


ベイガン「な、何って…無事な仲間がいないか、探索していたのですよ?」

ベイガン(こいつら…まさか…)


亜美・真美「じゃあさ~」




亜美・真美「…おっちゃんは、なんでそんなに魔物臭いの~?」ニヤリ

882: ◆bjtPFp8neU 2014/08/31(日) 19:54:04.26 ID:/5NgrMZmO
ベイガン「な、何をバカな事を…!」


真(みんなー!ボクもいるよー!)ピョンピョン


ベイガン「わ、私は人間です…!」


亜美「んっふっふ~」

亜美「あんた……」


亜美「……背中が、透けてるぜ…」



P(……透けてどーする)





ダダダダ…


響「うそつきーー!!」ダッ


ドゴォ!


ベイガン「へぶっ!」ヨロッ


響「地下牢にいなかったぞー!」

響「どこに隠したんだー!」プンスカ


真(あ…響!)



春香「響ちゃん?」

亜美・真美「ひびきん!」

P「響……?」

P(なんか、怒ってるみたいだけど…)

P(とりあえず、合流できて良かった…)




響「あー!みんなー!」

響「どーしてここにいるんだー?」


春香「えーとね…私達、飛空艇が必要なんだ」

春香「だから、探しに来たんだけど…」

響「飛空艇…?エン太郎の事かー?」

春香「えんたろう…さん?」

春香(誰だろう…?)


亜美「ひびきん、ひょっとしてそれ…」

真美「飛空艇の名前?」

響「そうだぞー!エン太郎は、自分の家族なんだぁ!」エへへ

883: ◆bjtPFp8neU 2014/08/31(日) 20:07:16.57 ID:/5NgrMZmO
ベイガン(…なんだか知らんが、私から注意が逸れたみたいだな…)チラ

ベイガン(これでは、多勢に無勢…)

ベイガン(このスキに…)コソコソ


P「……」チラ



P「…なあ、みんな」

P「ベイガンが、逃げようとしてるみたいだぞ?」


春香「え?」

響「あーー!」

亜美・真美「逃がさん!」


真(誰も…気づいてくれない…)


ベイガン「あ……」


響「待てーー!」ダダダダ…


ベイガン「は、速……」


バキッ!


ベイガン「あだっ!」


真美「ホールド!」バッ


シュルルルッ ガキン!


ベイガン「うぐ…動けない……っ!」ジタバタ


P「響、真美、ナイスだぞ!」



響「あ、そういえば…」

響「真はどーしたんだ?」


真(だから、ここだってばー!)ピョンピョン


ベイガン「ぐ……あのモンク僧なら、魔法で小人にしてやったぞ…?」

ベイガン「どこへ行ったかまでは、知らん…」


春香「小人…?」

亜美「ありゃりゃ…まこちんにも、弱点があったか…」

P「まずいな…早く見つけないと…」

884: ◆bjtPFp8neU 2014/08/31(日) 20:26:50.45 ID:/5NgrMZmO
真(そうだよ!ここにいるんだよー!)ピョンピョン


真(もー…こうなったら…)



真(ガブッ!)



響「痛っ…?」


春香「響ちゃん、どうしたの?」

響「なんか、足がチクッって…」チラ


響「んん?」じーっ

真(響ー!ボクだよー!)


響「なんだコレ…?」ヒョイ

響「この生き物…」

響「なんだか、真に似てる気がするぞー…」

P「あ……」

春香「本当…ちっちゃくなった真って感じだねぇ…」

P「……さっきあいつが言ってたろ?」

P「魔法で小人にされた真だと思うぞ?」


春香・響「あ、なるほど…」



真(やっと…やっとみんな気づいてくれたよー…)

885: ◆bjtPFp8neU 2014/08/31(日) 20:45:22.66 ID:/5NgrMZmO
真「はぁ~…」

真「ひどい目にあった…」


真美「真美の魔法のおかげだかんね~?」

真「うん、助かったよ!ありがと、真美!」



亜美「でもさ~、ちっちゃいまこちん…結構可愛かったよ?」

真「えっ…?」

春香「そうだねぇ。か弱い真って…なんか新鮮だったかも?」

響「確かになー!」

真「そ、そうかな…?へへ…」


真「プロデューサー…」

真「これからはボクを、こういう路線でプロデュースして下さい!」

P「無茶言うなよ…現実でちっちゃくなる訳ないだろ?」

真「はは…ですよね…」



P「それより、こいつ…どうする?」


ベイガン「ぐ……」


真美「魔法の効果も、そのうち消えちゃうんだよね~」


真「ああ、それなら…」

真「ボクに任せてよ!」


真「いろいろお世話になったからね~?」ポキポキッ



亜美「おっちゃん…」

真美「ご愁傷さま…」



響「真ぉ、自分も手伝うぞー!」


ベイガン「な、何をする気だ…?」

ベイガン「や、やめろ!ち、近寄るな…」




真「お礼はさせてもらうよ?」ニコッ

響「だぞー!」ニコッ




ドカバキボコグシャッ!

886: ◆bjtPFp8neU 2014/08/31(日) 21:05:06.87 ID:/5NgrMZmO

ベイガン「」


真「あースッキリしたぁ!」

響「真…ちょっとやりすぎたんじゃ…」チラ



亜美・真美・春香(真(まこちん)恐い……)



P「…さて、残るは王のみだが…」

真美「ナツオさんか~」


響「そーいえば…プロデューサー、いつの間に人間になったんだー?」

真「あっ、言われてみれば…」

P「あのな…たまたまべろちょろだっただけで…」

P「言うまでもなく、こっちが本当の姿だからな?」

亜美「んっふっふ~!大魔道士亜美様のおかげなのだ~」

響「そーなのかー」

春香「私は…みんなより、べろちょろの姿のプロデューサーさんと一緒だった時間が長いから…」

春香「人間に戻った時は、ちょっと戸惑ったなぁ~」

真美「まあ、べろちょろよりは戦力になるよね」

真「プロデューサー、戦闘ならボクに任せてくださいよ!」

P「あ、ああ……」

P(さすがに、これだけ揃うと賑やかだなぁ)




P「…みんな、準備はいいか?」


5人「は~い!!」


P「…よし、行くか!」





890: ◆bjtPFp8neU 2014/09/01(月) 21:25:11.17 ID:U00TA8rZO
バロン城 王の間

カイナッツォ「ふふふ……愛いやつめ…」

カイナッツォ「よいではないか…!」ガバッ


娘「いやっ!やめてくださいっ!」ジタバタ

娘「お母さん…助けて…!」ウルッ


カイナッツォ「いくら叫んでも無駄だぞ?この城には、もはや人間などいない…」

カイナッツォ「諦めて、私のものになるのだ!」ガシッ

娘「や、やだっ…離してっ…!」ジタバタ


カイナッツォ(まあ、もし侵入者がいたとしても…)

カイナッツォ(…ベイガンがなんとかするだろう)ニヤリ



カイナッツォ「ぐへへ……さあ、お楽しみだ…!」



バタン!



響「あーーーー!!」

真「あいつが……ボス?」

春香「な、なんか…見ちゃいけない場面のような気が…」

亜美「これはこれは…」

真美「お楽しみだったみたいですな~?」

P(2人目の四天王、水のカイナッツォ…)


P(……ロリコンだったのか…)



カイナッツォ「な、なんだ貴様ら!?」

娘「お母さんっ!」

891: ◆bjtPFp8neU 2014/09/01(月) 21:45:09.74 ID:U00TA8rZO
響「娘を離せー!!」ビシィ



カイナッツォ「む……!」

カイナッツォ(ベイガンの役立たずめが……!)


カイナッツォ「娘の命が惜しければ、それ以上近づくな!」スッ

娘「お母さん…!」




響「くそぉーー!」

春香「な、なんとかしないと…!」

真「…さっきのやつといい…卑怯なやつばっかりだな…!」グッ


P「…まさか、響の娘が人質に…」

P「どうする…?」



カイナッツォ「貴様らは、津波の藻屑としてやるか…!」




真美「あ……!」

真美「兄ちゃん、こんな時こそ、アレを使うんだよっ!」

P「アレ……?」

亜美「ほらぁ、ミシディアの人にもらったじゃんか!」


P「あ……」

P「…そうか、砂時計!」


P「確か……」ゴソゴソ


P「あ、あったぞ!」スッ


P「…これでも、食らえ!」

892: ◆bjtPFp8neU 2014/09/01(月) 22:03:30.63 ID:U00TA8rZO
カイナッツォ「…私に楯突いた事を、後悔させてやろう…!」ゴゴゴゴ…



P「……あ、あれ?効果がないぞ?」

亜美「兄ちゃん…それ、砂時計だよね?」

亜美「逆さまにしないと、意味ないんじゃね?」


P「あ……///」

P「…こほん」


P「…これでも、食らえっ!」クルッ



ーーーピタッ…ーーー



カイナッツォ「」


真「あれ…?」

春香「…動かなくなっちゃった…?」

P「…響、今のうちに助けるんだ!」


響「え?あ……」

響「わ、わかったぞー!」タタタタ…



響「…もう、大丈夫だからなっ!」ダキッ

娘「お母さんっ…!」ギュッ


響「恐かっただろ…変な事、されなかったか?」

娘「変な事って…?」キョトン

響「え、えっと…か、身体を触られたり…とか……ごにょごにょ」

娘「?」


響「と、とりあえず…危ないから、お前は隠れてるんだぞ?」



真美「…ひびきんの子育ては、前途多難なんだねぇ~…」しみじみ


P(未経験の女性が母親って…情操教育的に、どうなんだ?)

893: ◆bjtPFp8neU 2014/09/01(月) 22:19:49.98 ID:U00TA8rZO
カイナッツォ「はっ……!」キョロキョロ


響「娘は、返してもらったぞー!」


カイナッツォ「い、いつの間に……!?」

カイナッツォ「ぐぬぬ…!貴様ら、私を怒らせたな…!」ゴゴゴゴ…



春香「水が…集まってく…?」


P「……津波が来るぞっ!」

P「……亜美!」


亜美「おっけ~!」バリッ


亜美「…サンダラッ!」バッ


ゴロピシャァーン!


シュパッ…


カイナッツォ「あががが…!」ビリビリ


真「水が…消えた!」

P「ああ。やつは、雷に弱いからな」

真(雷……)


カイナッツォ(あの魔道士……厄介だな…)



P「よしっ!春香、真、響…今だっ!」


3人「やああぁぁーー!」タタタタ…


カイナッツォ「ちっ…!」


シュルンッ!


真「……!手足を引っ込めた…!」


カイナッツォ「ふははは!これぞ鉄壁の守りだ!」



響「カメーー!!」ダッ


ドゴォ!


響「痛てて……ビクともしないぞ…!」


カイナッツォ「ふっ、そんな攻撃は通用しないぞ?」

894: ◆bjtPFp8neU 2014/09/01(月) 22:32:00.45 ID:U00TA8rZO
春香「えいっ!」ブンッ


ガキィン!


春香「うぅ…手が痺れるぅ…!」ジーン


カイナッツォ「無駄無駄ぁ!」



真「……」

真「よしっ!ボクに任せてよ!」タタタタ…


真「へへっ、とっておきだよっ!」バリバリッ


P「え?真の手に、雷が…?」


タンッ


真「……雷煌拳っ!」


ズガガガガッ!


カイナッツォ「うあああああっ!」


響「おおー!効いたみたいだぞー!」



P(真……なんでもアリなのか…)




カイナッツォ「お、おのれ…!」シュルンッ

カイナッツォ(あのモンク僧も…動きを封じねば…)


カイナッツォ「……!」ゴゴゴゴ…


P「…また水を集めだした!」

P「亜美、頼む!」


亜美「よし来たっ!」バリッ

895: ◆bjtPFp8neU 2014/09/01(月) 22:43:53.01 ID:U00TA8rZO
カイナッツォ「…サイレス!」


ボワーン…


亜美「あぅ……!」


P「亜美…!」

P(しまった…サイレスを使うのか…)

P(…こいつの攻撃は、津波くらいしか印象に残らないからなぁ…)



真「…なら、ボクがっ!」ダッ


カイナッツォ「ホールド!」バッ


シュルルル…ガキン!


真「ぐ……!」ピタ


P「ま、まずい…!」

P(やつの水を消せる2人が…!)

P「真美!亜美と真を頼む」

真美「う、うんっ」タタタタ…


P「春香と響は、やつを牽制してくれ」


春香「わかりました!」タタタタ…

響「わかったぞー!」タタタタ…



春香「えいっ!」ブンッ


ザシュッ!


カイナッツォ「ぐっ……!」


響「たーっ!」タンッ


バキッ!


カイナッツォ「がっ……!」ヨロッ

896: ◆bjtPFp8neU 2014/09/01(月) 23:00:58.87 ID:U00TA8rZO
真美「エスナッ!」


シャララーン!


亜美「ふぅ……さんきゅ、真美」

真美「あとは、まこちんを…」チラ




カイナッツォ「くくく……!」ゴゴゴゴ…


ザァァァァ…



P「み、みんな、津波が来るぞ!」


真美「げっ…もう…?」

亜美「まずいっしょ~!」

真「くそっ…!」ジタバタ

春香「ま、真がっ…!」

響「真は、自分に任せろー!」ガシッ




カイナッツォ「……飲み込まれろ!」





…ザッパァァァーーーン!




5人「うわぁぁぁぁーーー!」




………

903: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 21:29:36.89 ID:UB1gHpIvO
響「っ…はぁ、はぁ…!」ヨロッ

響「ま、真……」

真「」グッタリ



P「響!」


タッタッタッタッ…


P「大丈夫か?」ガシッ

響「プロデューサーこそっ…だ、大丈夫なのか…?」

P「俺には…通用しないんだよ…」

響「そ、そうなのかー…?な、なんか、ずるいぞー!」

響(…でも、なんでそんな悲しい顔するんだ…?)

P「……」スッ


シャララーン!


響「な、何…?」キョロキョロ

P「…少しは、体力が戻っただろ?」

響「た、確かに…」グッ

響「…これも、魔法、なのかー?」

P「まあ、同じようなもんだ」



響「…それより、みんなは?」

P「3人とも、意識を失ってる…」

響「な、なんとかならないのか?」

P(いくら回復しても、気絶してるからな…)

響「そ、そうだ、人工呼吸を……!」

P「じ、人工呼吸!?」



カイナッツォ「…ほぅ、一匹生き残ったか…」


響「あいつは、自分がなんとかするから…」

響「プロデューサーは、みんなを!」ダッ

P「あ、おい、響!」


響「このやろーー!」タタタタ


ドゴォ!


カイナッツォ「ぐっ……」

カイナッツォ「ふふ、お前の攻撃は…軽い!」ブンッ


響「ふん、遅いぞ!」ヒュン


カイナッツォ「ち……ちょこまかと…!」

904: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 21:53:22.60 ID:UB1gHpIvO
P(じ、人工呼吸……)ドキドキ

P(し、仕方ないんだ……別に、やましい気持ちがある訳じゃないぞ?)

P(…って、俺は、誰に言い訳してるんだ)

P(まずは……真美から起こした方がいいだろうな…)チラ



真美「」グッタリ


P(真美……すまん!)スッ


P(………あ……唇、柔らかい…)ドキドキ

P(…じゃなくて!ちゃんとやらなきゃ!)


P「フーー…」

真美「……」ピクッ

P(ん……?動いた…?)

P(…もう少し、かな…?)

P「フーー…」

真美「…っ…ぷあっ……けほっ」

P「……!」

P「真美…真美!」ペチペチ

真美「ごほっ…ぅ……あ…れ…?」チラ

真美「兄ちゃ……?」

真美(兄ちゃん、顔近い…!)ドキドキ

真美(あれ?真美…どうしたんだっけ…?)

真美(津波に飲まれて…気を失って……)



真美(……この状況、ま、まさか…!)ドキドキ


P「良かった!気がついたか…!」


シャララーン!


真美「あ……」

P「真美、具合はどうだ?」

真美「え?あ…う、うん…へ、平気っぽいよ…」ドキドキ

真美「に、兄ちゃん…もしかして…」

P「あ、ああ…………すまん」

真美「あ、あやまる事じゃ…ないじゃんか……///」

真美(うっわ~!兄ちゃんと…ちゅ、ちゅ~しちゃったよぉ……!)ドキドキ


P「真美、響が戦ってる。サポートしてくれるか?」

真美「あ…う、うん…わかったよっ!」タタタタ


真美(あ~あ…全然覚えてないや…)

真美(…ど、どんな感じだったのかなぁ……///)

905: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 22:08:56.69 ID:UB1gHpIvO
響「とりゃっ!」ヒュン ドゴッ!


カイナッツォ「ぐ……このっ!」

カイナッツォ「…スロウ!」


カタカタ…シュン…


響「あ、あれぇ~…なんか、急に遅く…」ノロノロ


カイナッツォ「…くたばれっ!」ドゴッ!


響「ぐあぁ~…」ヨロッ



真美「ひびきんっ!」

真美「…ヘイスト!」バッ


カタカタ…シャキーン!


響「おっ?元に戻ったぞー!」ヒュン


バキッ!


カイナッツォ「がっ……くそっ!」

カイナッツォ「スロウ!」


響「ま、また遅くなったぞ~…」ノロノロ


真美「ヘイスト!」


響「おっ!戻った!」ヒュン


カイナッツォ「こ、この……スロウ!」

真美「なにおー!ヘイスト!」

カイナッツォ「スロウ!」

真美「ヘイスト!」

カイナッツォ「しつこいぞ!スロウ!」

真美「そっちこそっ!ヘイスト!」


………



響「うがー!遅くなったり速くなったり、いそがしいぞー!」プンスカ




P(……なんなんだ、この戦いは…)

P(…っと、呑気に観戦してる場合じゃなかった)

P(他のみんなも起こさないと…)

906: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 22:22:47.60 ID:UB1gHpIvO

………



亜美「あ、亜美の……初キッスがあああぁ~!」

亜美(……な~んつって。まあ、兄ちゃんなら…悪くないかな)

春香「………///」

春香(こ、今度は…意識がある時に……なーんて…)ドキドキ

真「プロデューサー!責任、取ってもらいますからねっ!」キリッ

真(……まだ、ちょっとドキドキしてる…)ドキドキ



P「みんな、すまん!」ペコリ


P「あとでなんでもするから、とりあえず今は、目の前の敵に集中してくれ!」



亜美(あとで……かぁ)

亜美(…まあ、今さら何言ったって、兄ちゃんを困らせるだけだもんね…)



亜美(…最後に、どでかい花火を上げますかね!)



亜美「……ねえ」


亜美「まこちんとはるるんに、お願いがあるんだけどさぁ~?」


春香・真「ん?」

908: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 22:37:36.33 ID:UB1gHpIvO
カイナッツォ「くっ…!埒があかん!」

カイナッツォ「…こうなったら…!」ゴゴゴゴ…



真美「…やばい、津波が来るよ、ひびきん!」

響「え!?」


響「このー!」ドカッ!


響「やめるさー!」バキッ!


カイナッツォ「ぐぬっ……!」ゴゴゴゴ…


響「あああ!どんどん水が集まって…!」




真「…雷煌拳っ!」ズガガガガガッ!


カイナッツォ「うがががががっ!」


シュパッ…


カイナッツォ「な、なんだと…!?」

カイナッツォ(あいつは、戦闘不能だったはず…!)


真「…春香っ!」


タタタタ…


春香「やあぁぁーーっ!」ブンッ


ザシュッ!


カイナッツォ「ぐあっ……!」


ドサッ


響「真っ!春香っ!」

響「起きたんだなー!」

春香「あ…う、うん……ぷ、プロデューサーさんの…」

響「人工呼吸だろー?」

春香「あぅ……///」


真「2人とも、まだ終わってないよ!」



カイナッツォ「くそぉ…!」ヨロッ

カイナッツォ「私は……!」


カイナッツォ「……この国の、王だぁーっ!!」


910: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 22:49:36.21 ID:UB1gHpIvO
カイナッツォ「ふんっ!」シュルンッ!


響「?」

響「また…手足を引っ込めたぞ…?」


ゴロゴロ…


春香「ええっ?こ、転がって来るっ!?」


ゴロゴロゴロ…


真「…ダメだ!亜美と真美を…守らなきゃ!」


真「……よし、来いっ!」バッ



カイナッツォ「轢き殺してくれるっ!」


ゴロゴロゴロ…!


真「……ふんぬっ!」ガシッ


真「ぐぐぐっ…!」ズサッ


真「ぐっ……!」ヨロッ

真(だ、ダメだ…!)


カイナッツォ「終わりだぁー!」



春香「真っ!」ガシッ

響「自分も、手伝うぞ!」ガシッ


真「2人ともっ!」

真「よーしっ!」ググッ


カイナッツォ「このっ……!」

カイナッツォ「人間ごときがあっ!」


ゴロゴロゴロゴロ…!


P(みんな、なんとか…耐えてくれっ!)



亜美・真美「………!」ゴゴゴゴ…

912: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 23:04:39.47 ID:UB1gHpIvO
亜美(ねえねえ真美~)


亜美(今日の朝、何食べたの~?)


真美(またそれ~?)


真美(…昨日の残りの…カエル料理だよっ)


亜美(じゃあじゃあ~…パンt)


真美(み・ず・い・ろっ!)


真美(も~、心配しなくても大丈夫だってば~!)


真美(真美達のシンクロ率は、バッチリだって)


亜美(……)


亜美(………じゃあさ…)




亜美(真美の…好きな人は、誰?)


真美(なっ……!)


亜美(んっふっふ~!)


亜美(…こないだは、そこだけがネックだったんだけどさ…)




亜美(……今回は、完璧っぽいよ~!)


真美(え?…ええ?そ、それって、どういう…?)


亜美(……さぁてね~?)


真美(亜美……)


真美(…負けないかんねっ?)


亜美(おうよっ!4つに畳んでやるぜっ!)




真美(…そろそろ、行こっか)


亜美(…そだね。みんな、待ってる)




亜美・真美(亜美(真美)達の本気、見せてやるっ!!)

913: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 23:17:35.16 ID:UB1gHpIvO
真「くそぉー!押されてる…!」ググッ

春香「ダメ!諦めちゃ…!」ググッ

響「で、でも、このままじゃ…!」ググッ



カイナッツォ「ふははは!このまま押し潰してくれるっ!」


シャララーン!


P「3人とも、耐えてくれっ!」



真「プロデューサー…!」

春香「プロデューサーさんっ!」

響「よーしっ!元気出たっ!」


カイナッツォ「何?回復した…だと?」



響「みんなー、行くぞー!」




3人「なんくる…ないさぁーっ!!」ガシッ


ヒューー…ドゴォ!



カイナッツォ「ごはっ……!」

カイナッツォ「……バカなっ!人間ごときに、こんな力が…!」


カイナッツォ「…認めん…認めんぞぉーー!!」ガバッ



真「し、しぶといなぁ…」

春香「でも、私達だって…」

響「…まだ、やれるさー!」



亜美・真美「みんなー!!お待たーー!!」


914: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 23:33:54.48 ID:UB1gHpIvO
3人「亜美!真美!」


亜美・真美「そんじゃ~、双海姉妹のラストライブ…行ってみよ~!!」


P(何言ってるんだ…!)

P(ラストライブなんかに、させるものか…!)グッ


カイナッツォ「人間ども……跡形もなく消し去ってくれるっ!」ゴゴゴゴ…



亜美・真美「………時は、来た」スッ




亜美・真美「………許されざる者の頭上に…」ゴゴゴゴ…




亜美・真美「星砕け、降り注げっ!!」バッ



カイナッツォ「な……なんだ…あの魔力は…!」





亜美・真美「…………メテオッ!!」




……ヒューー……ドゴォォーン!



カイナッツォ「ぐはぁっ……!」ヨロッ


カイナッツォ「ぐ……!」

カイナッツォ「くくく……」

カイナッツォ「どうした、それで終わりか?人間ども…」


カイナッツォ「…ならば、今度はこちらの番だっ!」

915: ◆bjtPFp8neU 2014/09/02(火) 23:43:14.76 ID:UB1gHpIvO
カイナッツォ「これで終わりだ…!私のすべ…」



ヒューー…ドゴォォン!!



カイナッツォ「てっ…!?」ヨロッ



……ヒュー………ヒュー……



ヒューー……ヒューヒュー…



ヒュー…ヒュー…ヒュー…ヒュー…ヒュー…



ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!



カイナッツォ「あがががががががっ!」フラフラ



亜美・真美「…最後の曲だよっ!!」スッ



ゴゴゴゴ…



カイナッツォ「……ぁ……でか…!」



ゴゴゴゴゴゴ…




亜美・真美「いっっっけぇーーーー!!」





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…





ーードゴオォォォォォォォ…ンーー

917: ◆bjtPFp8neU 2014/09/03(水) 22:39:28.72 ID:I5yePvlpO
カイナッツォ「に…く…い………」


カイナッツォ「に、く、い、ぞ……!」



カイナッツォ「…………ごはっ!」



ズズズズ…


グシャッ…





真「…よーっし!」グッ

響「やったぞー!」

春香「…2人とも、すごいっ!」


亜美「いやいや…みんなのしょ~りってやつだよっ!」

真美「そ~そ~、誰かが欠けてたら、勝てなかったよ?きっと」


P「みんな!」

P「よく…頑張ったな!」


亜美・真美「兄ちゃ~ん!」ダキッ


真「プロデューサー!」

春香「プロデューサーさん!」

春香「…帰りましょうか」

P「あ、ああ……」



響「おーい、もう大丈夫だぞー?」


娘「……」キョロキョロ

娘「…お母さんっ!」タタタタ…


娘「あっ……」ヨロッ


ドテッ


響「だ、大丈夫かー?」タタタタ…



娘「…えへっ、転んじゃいましたぁ」


春香「あ……」

真「あれ…なんか、デジャヴ…?」

P(ああ、そういえばこの子は…)

P(これが持ちネタだったっけな……)

918: ◆bjtPFp8neU 2014/09/03(水) 22:51:30.59 ID:I5yePvlpO
バロン城 1F通路


スタスタ…


亜美・真美「……」ギュッ



真「はは……2人とも、プロデューサーにベッタリだね…」


春香「そうだねー…」

春香(2人とも…頑張ったもんね…)



P「…そうだ、春香」

春香「はい?」

P「これを…持っていてくれ」スッ


春香「ん……?」ピラ

春香「これ、なんですか?」


P「ちょっとした、手紙だ」

春香「手紙…ですか」

P「あとで、読んでくれ」

春香「はあ……」

春香(何かあるなら、直接言ってくれればいいのに…)

春香(…はっ!まさか……ラブレター?)


春香(……な訳、ないよねー)







……………ガチャン!




亜美・真美「」ビクッ

響「な、なんだ…?」キョロキョロ


919: ◆bjtPFp8neU 2014/09/03(水) 23:04:31.84 ID:I5yePvlpO
「くくく……」



真「だ、誰だっ!」キョロキョロ

P「……」グッ



「まさか……この私を倒すとはな…」



春香「この声……!」

響「…さっきの化け物かっ?」

娘「……!」ギュッ



「……だが、私は寂しがり屋でなぁ…」



亜美・真美「……!」ギュッ

P(亜美……真美……)ガシッ


真「…どこだっ!」キョロキョロ



「安心しろ。みんなまとめて、地獄に引きずり降ろしてやる……!」

「……死してなおすさまじい、この水のカイナッツォの恐ろしさ…」

「とくと味わいながら、死ねぇ!」




ズズ…



真「か、壁が……!」



ズズズズ…



響「迫ってくるぞー!」

920: ◆bjtPFp8neU 2014/09/03(水) 23:18:33.89 ID:I5yePvlpO
春香「え?え?」キョロキョロ


真「響っ!そっちの入口!」ダッ


タタタタ…


響「わ、わかったぞー!」


タタタタ…


春香「ぷ、プロデューサーさん!壁が…!」

P「ああ……」

春香「ど、どうしたんですか…?」


ポタ…ポタ…


春香「……!」

春香「プロデューサーさん……血が出て…!」


P「ああ……」


P(……何も、出来ないのか…?)ポタポタ


ズズズズ…


真「くそっ!こっちは開かない!」ガチャガチャ


響「こ、こっちもだぞー!」ガチャガチャ



春香「うそ……!」


P(みんな………ごめん)ポタポタ


春香「こ、こうなったら…壁を壊して…!」チャキッ


タタタタ…


ガキィン!


春香「うぅ……」

春香「び、ビクともしない…!」


P(何も出来なくて………ごめん)ポタポタ


ズズズズ…



亜美「……」チラ

真美「……」コクン

922: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 06:32:18.27 ID:Z5MjUolrO
真美「…さて、最後に一仕事…」


スタスタ…


亜美「…やっつけるとしますかね…」


スタスタ…


P「」ビクッ


春香「2人とも、どうしたの…?」


P(あ…み……ま…み……!)


P「……………だ」


P「ダメだ、2人とも!」

P「やめるんだ!」


真「プロデューサー?ど、どうしたんですか?」

響「な、何がなんだか、わからないぞー!」


P(……やめろ、だって?)

P(……何言ってるんだ?)

P(2人に委ねる事しか出来ないくせに…?)

P(………)



亜美「ダメだよ、兄ちゃん?」

真美「真美達の、濡れ場…なんだから、ね?」



ズズズズ…



亜美「兄ちゃん、はるるん、まこちん、ひびきん…」

真美「あとは……任せたよ?」


真「な、何するつもり…?」

響「亜美、真美……どうしたんだ…?」

春香「な、何かするなら…私も…」

928: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 18:24:25.82 ID:Z5MjUolrO
亜美・真美「じゃ、みんな……」




亜美・真美「……し~ゆ~、れいた~」シュタッ




P「亜美っ!!…真美っ!!」







亜美・真美「……ブレイクッ!!」




バババババッ…



……ガキィン!!





ズズズズ…




ズズ…





ピタ…

929: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 18:32:35.75 ID:Z5MjUolrO
春香「え………!?」

真「亜美…真美…?」

響「い、石になっちゃった……?」




響「あ、あー!わ、わかったぞー!」

響「い、いつもみたいな、イタズラなんだろー?」



亜美・真美「………」



真「亜美、真美……!」

真「…い、イタズラだったら、怒るからね…?」



亜美・真美「………」



春香「ふ、2人とも…返事してよ…!」



亜美・真美「………」




P「………っ!!」グッ



P(………ダメだっ…!冷静になれ……!)

P(たとえ、どんな状況でも……)


P(……みんなを…導いてやらないと……!)

930: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 18:46:07.66 ID:Z5MjUolrO
春香「そ、そうだプロデューサーさん!」

春香「ふ、2人を治す、便利な道具…あるんですよね……?」



P「……………すまない」

P「ないんだ……」


響「そ、そんな…っ!」

真「…じゃあ、2人とも、ずっとこのままなんですかっ!?」



P「………」



春香「ぷ、プロデューサー…さん……」



響「なんとか、ならないの?」

響「こ、こんなの……ひどっ…すぎる…っ…グスッ…」ウルッ



P「………!」グッ


P「……みんな…聞いてくれ」

P「ここからは、3人で進んで欲しい」



響「え……?」

真「ボク達、だけで…?」

春香「プロデューサーさんは、どうするんですか……?」



P「俺は……」


P「ミシディアへ行く」


春香(ミシディア…って、昨日までいたところ…?)




P「おそらく……」

P「亜美と真美を、元に戻す手段が…ミシディアにあるんだ」


P「2人は、俺が必ずなんとかするから……」

P「お前達は、他のみんなを探してくれ」

931: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 18:59:08.55 ID:Z5MjUolrO
響「………」

真「………」

春香「………」




真「……ボクは…」

真「プロデューサーを、信じます!」


真「…必ず、みんなで帰るんですよね?」



P「真……」

P「…ああ、もちろんだ」



真「……リーダー?」チラ



春香「は、はいっ…!」

春香(プロデューサーさんがいないのは、心細いけど……)

春香(……亜美と真美の事で、私達にできる事は、なさそうだよね……)

春香(やよいや雪歩……他のみんなも心配だし…)



春香「わかりました!」

春香「きっと、みんなを探し出しますっ!」


P「春香……頼む」


響「は…春香……」


春香「響ちゃん……大丈夫だよ!ここまで来れたんだから」

春香「それに、他のみんなも……貴音さんも、きっと待ってるよ?」


響「貴音……」

響「……」

響「うん…わかった」

響「自分も……頑張るっ!」



P(頼んだぞ、みんな)

P(俺は、俺にできる事を……)

936: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 21:14:27.07 ID:Z5MjUolrO
トロイア城 謁見の間

アン「……本当に、行かれるのですか?」


雪歩「は、はい…!」


ドゥ「あんた…まだ完全に治ってないんだよ?」


雪歩「承知の上ですっ…!」


トロワ「ユキホ王女……失礼ですが…」

トロワ「己の力量を弁えぬ蛮勇は、勇気とはいいません」

トロワ「それは…わかってらっしゃるので?」



雪歩「うぅ……」

雪歩(蛮勇……)

雪歩(……やっぱり、そう思われちゃうのかな…?)


雪歩(………でも!)



雪歩「た、確かに…無謀って、思われるかもですが……」

雪歩「…仲間のために、『今』、『自分にしかできない事』をするのは……」



雪歩「…ま、間違っているとは、思いませんっ!」


トロワ「しかし…!」

ドゥ「……」



アン「………わかりました」

トロワ「姉上っ?」

ドゥ「トロワ、この国のトップの言葉だぞ…?」

トロワ「……!」


アン「……とはいえ、やはり怪我人をひとりで行かせられません」

アン「磁力の洞窟の入口まで……ですが、道案内を付けましょう」


雪歩「あ…ありがとうございますっ!」ペコリ


アン「トロワ、ユキホ王女を…頼みましたよ…?」ニコッ


トロワ「へ…?わ、私が…ですか?」

937: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 21:32:53.26 ID:Z5MjUolrO
アン「ええ。この国で一番腕が立つのは、あなたですものね…?」

トロワ「し、しかし…!」


ドゥ「トロワ…この国の…トップの言葉、だぞ?」ニヤリ



トロワ「はぁ…わかりましたよ…」


雪歩「あ、あの……」

雪歩「よ、よろしくお願いしますっ!」ペコリ


トロワ「はい。まあ、道案内くらいなら…」



トロワ「…それでは、私は『黒チョコボ』を捕まえて来ますので…」

トロワ「…出発は、明日にしましょう」


スタスタ…


雪歩(…ちょこぼ、って…どこかで…)

雪歩(…あ、ユキコさんの料理に、確か……)

雪歩(この世界の動物?なのかな…?)

雪歩(……捕まえて、どうするの…?)



アン「……ところで、ユキホ王女」

アン「あなたは、あのリツコという方に、ずいぶん執着しているようですが…」

アン「…何か、因縁でもお有りなのですか?」


雪歩「因縁……なんて、ありません」



雪歩「あの人は、仲間ですから!」ニコッ


アン「まあ…そうでしたの…!」

ドゥ(…どういう事だ……?)


雪歩(正直、クリスタルの事はどうしていいかわからないけど…)

雪歩(…律子さんには、今、会わなきゃいけない気がする……)

雪歩(みんな………私、やれるだけやってみるよ…!)

938: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 21:45:10.81 ID:Z5MjUolrO
トロイアの町 パブ『王様』

マスター「おお~似合ってるよ、ユキホちゃ~ん」



雪歩「うぇぇーん、恥ずかしいですぅ!」モジモジ

雪歩(ふ、普通のお店だと思ったのに…)

雪歩(こ、こんなはしたない格好させられるなんて~…///)



マスター「お金が必要だって言ったのは、ユキホちゃんの方じゃないか~」

マスター「一晩だけだけど、しっかり働いてもらうよっ?」サワッ


雪歩「……っ!」ゾクゾクッ


雪歩「ひぃぃーん!埋まってますぅ!」チャキッ


ザクザクザクザクザクザク…


雪歩(うぇぇーん!お、おしり、さわられたよぉ~!)


ザクザクザクザクザクザク…



マスター「ゆ、ユキホちゃん、穴掘っちゃダメだよ~!」アタフタ



雪歩(…でも、お金が無いと…)


ザクザクザクザクザクザク…


雪歩(あの、不思議な薬が買えないから…)


ザクザクザクザクザクザク…


雪歩(が、頑張るしか…ないよね……?)

939: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 21:55:23.78 ID:Z5MjUolrO
マスター「ユキホちゃん、コレ、3番テーブルにお願い!」スッ


雪歩「は、はいぃ…!」オドオド


テクテク…


「…おっ?君、かわいいね、新人さん?」


雪歩「ひぃぃ…!」ビクッ


「ねーちゃん、オレと飲もうぜ?」

「うまい酒、ご馳走してあげるよ!」

「わしの武勇伝を聞きたいかっ?」

「君、一晩、いくら?」


雪歩「ひぃぃーん!埋まってますぅ!」ガシャァン!


ザクザクザクザクザクザク…



マスター「ゆ、ユキホちゃ~ん、穴はやめてよ、穴は~!」

940: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 22:05:26.95 ID:Z5MjUolrO
雪歩「ど…どうぞぉ…」トクトク…


客1「おっ、ありがと!」

客1「ゴクッ…ゴクッ…」

客1「ん……?」

客1「コレ、お茶じゃないか!」


雪歩「ひぃぃ…ご、ごめんなさいぃ…!」ビクビク


客1「…しかし、うまいお茶だなぁ…」

客1「ホントは、酒を飲みに来たんだけど…」

客1「このお茶なら、何杯でも飲めるよ!」ゴクゴク


雪歩「あ、ありがとうございますぅ!」



客2「おい、そろそろ時間だぞ?こっちのテーブルに来てくれよっ!」グイッ


雪歩「あっ……」ビクッ


雪歩「ひぃぃーん!埋まってますぅ!」チャキッ


ザクザクザクザクザクザク…


客1「ゆ、ユキホちゃん…?」

客2「あ、穴掘っちゃったよ…」



マスター「すいません!すいません!」ペコペコ


マスター「ゆ、ユキホちゃ~ん?店が、穴だらけになっちゃうよ~!」

941: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 22:17:09.31 ID:Z5MjUolrO
ガチャ…


マスター「あ、いらっしゃいませ~」


客3「マスター、新しい子雇ったんだって?」

客4「…あれ?穴だらけだけど、改装するの?」


マスター「あはは……ま、まあ、やんごとなき理由がありまして……」チラ



雪歩「ひぃぃーん!」


ザクザクザクザクザクザク…


客5「ユキホちゃん、頑張れー!」

客6「ユキホちゃん、次は、こっちに来て掘ってよ!」


雪歩「あ、はーい!」


ザクザクザクザクザクザク…


客7「おもしろい子だなぁ!」

客8「しかも、かわいいしな!」


雪歩「そ、そんな事…ないですぅ…!」


ザクザクザクザクザクザク…




マスター(わ、私の店が……!)


客4「適当に座らせてもらうよ!」


マスター「あ、は~い!あとで、伺いますね~」



ガチャ…


マスター「あ、いらっしゃいませ~」


マスター(しかし、今日はお客さんが多いなぁ…)




雪歩「しょ、少々お待ちくださいませっ!」


ザクザクザクザクザクザク…

942: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 22:29:47.29 ID:Z5MjUolrO
磁力の洞窟 入口付近

メラメラ…


律子「……」

千早「ふぅ……まさか、中へ入れないとはね…」

律子「……」

千早「……どうするの、律子?」

律子「……」

千早「…律子?」

律子「……」


千早「……律子!」


律子「はっ……!」


パチパチッ…


律子「ど、どうかしたの…?」


千早「…それは、こっちのセリフよ」

千早「珍しいわね。律子がぼーっとしてるなんて」

律子「え、ええ、ちょっと、考え事をね……」


律子(……なんだろう。最近、意識が飛ぶ事が増えたような…)

律子(…………疲れてるのかな)


メラメラ…


千早「…これから、どうするの?」

律子「そうね…」

律子「やっぱり、鎧を脱いで行くしか、ないわね」

千早「それは、そうだろうけど…」

千早「武器も、置いていかないといけないんでしょう?」

律子「まあ……そうなるわね」

千早「武器が無ければ、私はただの足手まといよ…?」


944: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 22:44:28.50 ID:Z5MjUolrO
律子「確かに……魔法も、使えないものね…」



律子「でも、千早……ジャンプ力は、すごいと思うわよ?」


千早「……ジャンプ力『は』?」


律子「あ……」


千早「……律子が、強すぎるのよ」プイ


律子「…あら、拗ねたの?」

千早「す、拗ねてなんか……!」



律子「…プッ……クスクス…!」


千早「り、律子!今は…そんな場合じゃ……!」

律子「あははっ…!」


律子「……ごめん、そうよね」

律子「でも……」



律子「…千早の拗ねた顔なんて、久しぶりに見た気がするわ…」ニコッ


千早「……」

千早(確かに……)

千早「でも、律子の笑顔も……久しぶりじゃないかしら?」


律子「……」

律子「……ホントね」

律子(この世界に来る前は、普通に笑ってたんだけどね……)

律子(…最初は、悪役って面白そう…なんて、軽い気持ちだったけど……)

律子(少しずつ、見えない闇に蝕まれていくような……)

律子(嫌な感覚を、感じる……)



律子(私が、闇に染まる前に……)

946: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 22:56:10.05 ID:Z5MjUolrO
千早「……律子?」


律子「あ…ごめん」


千早「また……考え事?」



律子「千早……」

千早「……何?」



律子「ここのクリスタルを手に入れたら…」





律子「私の『目的』を、あなたに教えてあげるわ」



千早「律子……」


千早「それは…私を信用してくれた、と考えていいのかしら?」


律子「ええ、そうよ」


律子「頼りにしてるわ、千早」


千早「ふふ……それは、光栄ね」


千早(……これで、本当にやるべき事が、わかるかもね…)


千早(春香……)



947: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 23:16:15.32 ID:Z5MjUolrO
ミシディアの村 祈りの塔

長老「じーっ…」


長老「むぅ……」


長老「……確かに、赤いのぅ…」


長老(赤い月……か)


長老(異変は、この星ではなく…)


長老(月で起こっておるのか……?)


長老(やはり……あの青年の言う通り、魔導船を……)



黒魔道士「長老、その、奇妙な物体は……?」


長老「ああ……」


長老「『望遠鏡』といってな…遥か遠くのものも見る事ができる…優れものじゃ」


黒魔道士「そんなもの、いったい、どこから……?」


長老「うむ……ちと、アガルトの知人から借りたのじゃ」


黒魔道士「アガルト…そんな僻地から……」




ガチャ…



長老「……」

黒魔道士「……?」


黒魔道士「扉が、勝手に開いた……?」




長老「お主は、もうさがってよい…」


黒魔道士「長老……?」


長老「あとは、わしひとりで充分じゃ」


黒魔道士「はあ、わかりました…」


スタスタ…

948: ◆bjtPFp8neU 2014/09/04(木) 23:26:20.42 ID:Z5MjUolrO

長老「……」


長老「そなただけ、か?」



P「はい……」



長老「……」

長老「と、いう事は…」

長老「そなたの予言通り、2人は……」

長老(あんな、幼子が……)


P「………」



P「長老、どうか、あなたの力をお貸しください」ペコリ



長老「わしも、年じゃ……」

長老「そなたの思うような結果には、ならんかもしれんが…」

長老「それでも、良いか……?」


P「はい!俺も、できる事はします」



長老「……わかった」


長老「支度をして来る。少し、待っておれ」


スタスタ…



P(……亜美、真美…待ってろよ…!)


952: ◆bjtPFp8neU 2014/09/05(金) 22:56:11.94 ID:6UxJYZjEO
ヒビキの家

春香「……え?響ちゃん、操縦できないの…?」

響「う、うん……修理なら、教わったんだけどな…」



春香(うーん、困った……)



真「…じゃあさ」


真「その、修理を教わった人に、頼めないかな?」

響「えっ?」

真「飛空艇の、操縦をさ」


春香「あー、そっか…」

春香「いい案かもね」


響「んーでも…みんな、無事かどうかわからないぞー?」



ガチャ…



娘「ご飯できましたよ~」


響「おおー!お腹すいたぞー!」

真(……もやし炒めかなぁ?)


娘「今、持って来ますね?」



春香「あ、私も手伝いますよ!」ガタッ


娘「え?いいんですか?」


春香「うん!ご飯、作ってもらっちゃってるし…」


娘「それじゃ、お願いしますね~」



スタスタ…

953: ◆bjtPFp8neU 2014/09/05(金) 23:05:26.85 ID:6UxJYZjEO
春香「お待たせ~」

娘「しましたぁ~」



スタスタ…



響「いい匂いだぞー!」

真(……もやし炒めじゃ、ないみたい)シュン



ズルッ…



春香「あっ……」ヨロッ

娘「えっ……」ヨロッ



真「あっ……」

響「あっ……」



春香「わっ…と、とっ…!」

娘「きゃ……っ!」



タタタタ…


ガシッ



真「あ、危なかったぁ……!」

響「間一髪だぞ……!」



春香「ご、ごめんね……」

娘「ご、ごめんなさい……」




真(ドジっ子を…助けて食べる晩ご飯…)

響(字余り、だぞー……)

954: ◆bjtPFp8neU 2014/09/05(金) 23:12:36.29 ID:6UxJYZjEO
真「ふおひぅはぁほ、ふぇあい……?」モグモグ



春香「うん…」

春香「真……とりあえず、飲み込んでから話そっか…」



響「手紙…かぁ……」

響「次はどこに行く、とか、書いてあるのかな…?」


春香「うん、多分、そうじゃないかなぁ」



真「……ゴックン」

真「ふぅ……」


真「春香、読んでよ」


春香「わかった」

春香「えっと……」ゴソゴソ


春香「……じゃ、読むよ…?」ピラッ



955: ◆bjtPFp8neU 2014/09/05(金) 23:22:53.25 ID:6UxJYZjEO
みんなへ


この手紙をみんなが読む頃には、俺は

別行動してるだろうな。

俺が思った事、お前達に必要な情報を

書いていくからな。




俺は……このゲームの知識があるし、

この先どうなるかも、だいたいわかって

いる。

はずだったんだが。

物語は、本来の道筋からズレて

きている。

俺の知識はもう、役に立たないかも

しれない。

だから、ここから先はお前達に託そう

と思うんだ。

あ、もちろん俺も、できる限りの

サポートはするつもりだからな?



956: ◆bjtPFp8neU 2014/09/05(金) 23:30:39.54 ID:6UxJYZjEO

それと…

みんなわかっていると思うが、

敵は、律子じゃない。

本当の敵は……月にいる。

みんなで力を合わせて、本当の敵を

打ち破ってくれ。



もし、何か困った事があったら…

ミシディアの長老を訪ねるといい。

俺も、おそらくはそこにいるから。



次の目的地は、トロイア。

バロンの北西にある国だ。

森に囲まれているから、それを目印に

するといい。

4つ目のクリスタルと……雪歩が、

待ってるはずだ。


957: ◆bjtPFp8neU 2014/09/05(金) 23:42:51.59 ID:6UxJYZjEO

本当なら、俺が覚えてる限りの道筋を

全て書き記した方がいいんだろうが…。

あえて、書かないことにする。



試練の山で、あずささんが言ってた。

『どうせなら、楽しみましょう』って。

そんな事言ってる場合じゃない、なんて

思うかもしれないが……。

ここ最近は忙しくて、みんなで

集まったり、何かしたりなんて暇、

なかったろ?

あずささんの言葉に、ちょっと

感心したよ。

もちろん、亜美と真美にも、また

活躍してもらうつもりだ。



……だから、ここからは。



お前達アイドルが、物語を紡ぐんだ。



958: ◆bjtPFp8neU 2014/09/05(金) 23:59:32.02 ID:6UxJYZjEO

春香「……健闘を祈る」


春香「…プロデューサーより」





響「……」

真「……」モグモグ



春香(プロデューサーさん…!)



響「……よし!」

響「…頑張るぞー!」

響「早く、雪歩を迎えに行かなきゃ!」


響「きっと、ひとりでさみしいはずだぞー!」


春香「…うんっ!」






真「ほうふぁへっ……!」モグモグ

真「うぃふひぁうむぉ……っごほっごほっ!」



春香「ああーもー、食べながらしゃべるから…」サスサス

春香(せっかくの、いい雰囲気が……)


真「うっぷ……ご、ごめ…」


真「……ふぅ。春香、ありがと」


真「クリスタルの事も、気になるし…」

真「明日にでも、出発しようか」


春香「そうだね。響ちゃん飛空艇の場所、わかるんでしょ?」


響「うん、まかせるさー!」



娘「…お母さん」

959: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 00:19:29.64 ID:+BbkoUZmO
響「あ……」

響「娘……」



娘「はい、これ」スッ


響「ん?これは、なんだ?」


娘「お母さん……旅に出るんでしょ?」

娘「『せんべつ』だよっ」


響「娘……」

響「……ありがとな!」



春香(……ポーションかな)

春香(そういえば…)

春香(私と千早ちゃんが旅立つ時も、あの子にポーションをもらったよね……)



響「……」

響「自分っ……何も…お、お母さんらしい…事…っ…グスッ…!」



娘「…お母さん」ナデナデ


娘「お母さんは……なかまを信じてるんでしょ…?」


響「うぇ……?」グスッ


娘「お母さんは、私の『なかま』でもあるから……」



娘「……私、お母さんの事、信じてるんだっ!」ニコッ


960: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 00:27:27.49 ID:+BbkoUZmO
響「うっ…うぅ…っ!」ポロポロ



響「…うわあぁぁーーん!」ポロポロ


娘「えへへ……」ギュッ



娘「……負けないでね?お母さん……」ナデナデ




真「……」

真(…ユキコ、元気かなぁ……)


春香「…ホント、いい娘さんだねぇ……」ニコニコ


真「そうだね……」

真「…でも、普通、逆じゃない?」


春香「あはは、まあね……」

春香「でも、響ちゃんらしいんじゃないかな……」





春香(……私達が、紡ぐ……かぁ)


春香(……頑張らないとね)

961: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 00:37:17.23 ID:+BbkoUZmO
夜中、バロンの町


トボトボ…


春香(うーん……)


春香(私……あんまり役に立ってない気がするなぁ……)


春香(……スーさんの時も、カイ…なんとかの時も…)


春香(私、影薄くなかった……?)



春香(魔法じゃ、亜美、真美には敵わないし…真みたいな必殺技もないし……)


春香(まずい……また『個性がない』って言われちゃうよぉ……)


春香(これなら、暗黒騎士のままの方が良かったんじゃ……?)




春香「あ~あ…かっこいい決め技が欲しいなぁ……」


春香「……」チャキッ


春香「……甘味の精霊よ、力を与え給え…!」ゴゴゴゴ…



春香「…必殺、ケーキブレードッ!」ブンッ


春香「なーんて……」




……ドゴォォン!



春香「……えっ!?」クルッ


962: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 00:48:09.82 ID:+BbkoUZmO

春香「あ……壁が、壊れてる……」チラ


春香(まさか、ケーキブレードのせいで……?)




「なんだ?すごい音が……」

「ひょっとして、魔物が……?」

「くそっ!こんな夜中に……」



春香「わわっ……人が……!」



タタタタ…


町人「お嬢さん、こんな夜中にひとり歩きは危険だよ?」


春香「は、はい…」


町人「それに、どうやら魔物が攻めて来たみたいなんだよ」

町人「ほら、あの家の壁、壊されてるだろ?」スッ


春香「あ、あの…すみません…」ペコリ


町人「ん?どうして君が謝るの?」

町人「あれは、魔物仕業だよ」


春香「え、えっと……」


町人「とにかく、もう家に帰りなさい。いいね?」


スタスタ…



春香「あ……」

春香「行っちゃった……」




春香(……本当に、すみませんでした!)ペコリ


964: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 12:38:46.19 ID:+BbkoUZmO
トボトボ…


春香「はぁ……」

春香「壁、壊しちゃった……」


春香「……でも」チラ


春香「技、使えた…よね?」


キラーン!




「……ハルカ」


春香「え?」キョロキョロ


「君が望むなら…きっと、力は引き出せる」


春香「こ、この声…」


春香「お、お父さん…?」


「うん。僕は、いつでもハルカを見守ってるよ…?」


「…ただ、ハルカの力は…人を傷つける為にあるものじゃない……」


「…それだけは、覚えておいて」


春香「……はいっ!」


「僕の技を……君に……」


スゥゥーー…


パァァーー!


春香「あ……!」


春香(お父さんの意識が…伝わってくる……)


春香(お父さん…ありがとうございます!)





965: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 12:52:00.45 ID:+BbkoUZmO
ゾットの塔付近の上空


ヒューー…ゴォォーー


あずさ「スーさん、あとどのくらいかしら~?」


スカルミリョーネ「……も、もうすぐ…だ…」


あずさ「うふふ、安全運転でお願いね~?」


スカルミリョーネ「……し、心配する…な…」


スカルミリョーネ「……」


あずさ(…また、物静かなスーさんに戻っちゃったわね……)


あずさ(さっきまでは、いろいろおしゃべりしてくれたのに……)


あずさ(…スーさん、もう少し明るければ、ちょっとステキなのにね~)


あずさ(………あら、私ったら…///)




あずさ(律子さん達は、うまくやってるかしら~?)


あずさ(……)




あずさ(…封印された、魔法……か)


あずさ(使う時は、来るのかしらね……)



ヒューー…ゴォォーー




966: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 13:05:37.67 ID:+BbkoUZmO
ゾットの塔

美希「…ふんふーん」カキカキ



美希「……はい!終わりっと」



マグ「おお…!私の爪が……!」ピカー


マグ「ま、まばゆい……!」

マグ「これが、ネイルアートというものか……!」

マグ「ふふふ、心なしか、力が湧いてくるようだ……!」



ラグ「み、ミキ殿!次は是非、この私めに!」


ドグ「ラグっ!姉であるこの私が先だぞっ!」



美希「もー、2人ともあとでちゃんとやってあげるから…」

美希「…ケンカしちゃ、ダメなの」



ドグ・ラグ「本当ですかっ!?」


美希「うん、でも……」


美希「…ちょっと、お腹が空いたの……」グゥ…




ドグ「ミキ殿が……」

マグ「空腹でいらっしゃる!」

ラグ「これは、一大事だ!」



メーガス3姉妹「者共ー!であえー!!」


メーガス3姉妹「握り飯だー!握り飯を持てー!!」


ドドドド…




美希「……行っちゃった」


美希「…あふぅ」


美希「ご飯が出来るまで、お昼寝しよっかな…」


ガチャ…


バルバリシア「…ミキー?」

967: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 13:22:13.73 ID:+BbkoUZmO
美希「んん~?シアちゃん…?」ムニャ


バルバリシア「あら?メーガス3姉妹がいない…」

バルバリシア「……って、あなた、また寝るの?」

バルバリシア「ホント、よく寝るわね……」


美希「むにゃ…寝る子は育つって…」

美希「N太先輩が言ってたの……」ゴロン



バルバリシア「……もう」

バルバリシア「そんなところで寝たら、頭痛くなっちゃうでしょ?」


バルバリシア「……仕方ないから、膝枕してあげるわ」

バルバリシア「…ほら、来なさいよ」



美希「んふ~…ありがとなの~」ノソノソ


美希「…柔らかくて…気持ちい~の…」ムニャ


美希(…シアちゃん、なんだかお姉ちゃんみたいなの…)



バルバリシア「……ミキ、あなた、少しは髪のお手入れしないと…」

バルバリシア「…痛んでるわよ?」


美希「zzz…」


バルバリシア「ん……寝ちゃったのね…」


バルバリシア「まったく……」ゴソゴソ


バルバリシア「……髪は、女の命なのに…」スッ


スルッ…スルッ…


バルバリシア(……ちょっと、パサパサになっちゃってるわ…)


スルッ…スルッ…


バルバリシア(ミキの髪は…水分が足りないわね……)


スルッ…スルッ…


バルバリシア(…とりあえず、これくらいでいいかな…)


美希「……むにゃ…」



968: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 13:36:39.87 ID:+BbkoUZmO

ガチャ…


スカルミリョーネ「……も、戻った…ぞ…」


バルバリシア「……あら、スカル…」

バルバリシア「ずいぶん遅かったわね……?」


スカルミリョーネ「……す、少し、迷っ…た…」


スカルミリョーネ「……な、なかなか手強かった…ぞ…?」


バルバリシア「…ああ、例の、ハルカとかいう……」


バルバリシア(確か、ミキの仲間…なのよね……?)


バルバリシア「……ところで」


バルバリシア「どうやら、カイナッツォがやられたみたいね」


スカルミリョーネ「……そ、そのようだ…な…」


バルバリシア「まあ、あいつはしぶといから…」

バルバリシア「今頃、そこら辺の魚にでも寄生してるんでしょうけどね…」


スカルミリョーネ「……あ、あいつら、侮れな…い…」



バルバリシア「……そういえば、アズサは?」

バルバリシア「一緒に帰って来たんじゃないの?」



スカルミリョーネ「あ……」


スカルミリョーネ「……あ、アズサ…ど、どこ…だ…?」


スタスタ…



バルバリシア(……ホント、マイペースなやつ……)



バルバリシア(……どうやら、ミキの仲間と戦う事になるのも….)

バルバリシア(そう遠くはなさそうね……)



バルバリシア(ミキ……)ナデナデ



969: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 16:01:22.14 ID:+BbkoUZmO
バロン城 造船所

技師1「親方ー!」

技師2「無事だったんですね!良かった…」


響「うん!お前達も、無事で何よりさー!」



響「ところで……エン太郎を使いたいんだけど、いいかー?」


技師1「もちろんです!」

技師2「エンタープラ……エン太郎は、ちゃんと整備してあります。いつでも使えますよ!」



真「これは…ありがたいね!」


春香「あの、ところで…」


春香「飛空艇を操縦してもらいたいんですけど……お願いできますか?」



技師1「あ……」

技師2「……すみません、それは、できないんです」


響「だ、ダメなのかー…?」


技師1「親方のお役に立ちたいのはやまやまなんですが……」

技師2「我々は、新型の飛空艇を作らないと…」


響「なんで?ニセ王は倒したぞー?」


技師2「はい、それは聞いています」

技師1「…これは、親方の為でもあるんです!」

技師1「エン太郎が使えなくなった時の事も考えて……」



響「そ、そんな…!エン太郎がダメになるなんて……考えたくないぞ……」



970: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 16:18:01.01 ID:+BbkoUZmO
真「うーん……」

真「響……気持ちはわかるけど、備えは必要だと思うよ…?」


春香「うん……みんなを探すために、必要なものだし…ね?」



響「ん……」

響「わかったぞ…」



技師2「…その代わり、親方には、これをプレゼントします」スッ


ドサッ


響「これは…?」

響(辞書?みたいに、分厚い本だなぁ……)

春香(これって……)

真(まさか……)



技師1「エン太郎の、取り扱い説明書ですよ!」


真(うわぁ…ボク、絶対ムリだ……あんなの、読めないよ……)

春香(全部読むのに、丸一日くらい、かかるんじゃ……)


響「よーし!自分、頑張って覚えるぞー!」


技師2「全部覚える必要はないですよ。必要な箇所に、付箋を付けてありますから」


響「そっか、ありがとなー!」



響「……ところで、新型飛空艇の名前は、もう決めたの?」


技師1「はい。『ファルコン号』っていう名前です!かっこいいでしょ?」


響「うーん……」





響「…よし、その子の名前は…ファル子にしよう!」



技師1・2「」



響「ファル子に会える日が、待ち遠しいぞー!」


971: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 16:31:00.15 ID:+BbkoUZmO
飛空艇

ババババババ…


真「うわぁ…すごいなぁ!」キョロキョロ

真「こんなに大きい船が、空を飛ぶなんて…!」

真「なんか…感動…!」ジーン



春香(…そういえば)

春香(私、この世界に来たばかりの時も、飛空艇にいたよね……)

春香(あの時は、大きな舞台と勘違いしたっけなぁ……)



真「……ところで、進行方向はあってるのかな?」

春香「あ、どうだろうね?響ちゃんに、聞いてみようか」チラ



響「…へぇー、そうなのかー!」

響「意外だなぁ…」



真「…あれ?響、誰かと話してる……?」

春香「で、でも…ここには、私達3人しか……」



真「響!」


972: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 16:42:52.87 ID:+BbkoUZmO
響「真?…どうしたんだー?」



真「それはこっちのセリフだよ…」

真「何をブツブツ独り言を言ってるのさ……?」



響「…ああ」

響「自分、エン太郎とお話してたんだぞー!」



春香・真「ええっ!?」



響「……ふむふむ」

響「2人とも、エン太郎が『これからよろしく』だってさ!」


春香「は、はぁ……」

真「よ、よろしく……」



真「……あ、そうだ」

真「方向は、こっちであってるの?」



響「…うんうん」

響「そうかー」


響「心配しなくても、ちゃんとあってるから大丈夫、だってさ!」


春香「な、なんか、頼もしい?ね……」

真「う、うん、そうだね……」




春香(響ちゃんのお株を、やよいが持っていったと思ってたけど……)


春香(さらに一歩先に行くなんて……)


春香(さすが、響ちゃんだね……)



976: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 20:56:10.05 ID:+BbkoUZmO
トロイアの町

スタスタ…


春香「ここが、トロイアの国かぁ……」キョロキョロ

真「雪歩、どこにいるのかな?」キョロキョロ

響「きっと、ひとりで寂しがってるはずだぞー!」



春香「それにしても……」

春香「こーんな森の中に、お城があるなんてねぇ……」

真「なんだか、ジョギングでもしたい気分だなぁ!」

響「確かに、身体を動かしたくなってくるぞー!」



スーー…ハーー…



春香「うーん…空気がおいしい!」



女性「あら……?」

女性「旅の方ですか?」


春香「あ、はい。こんにちは!」ペコリ



女性「うふふ、森と湖と穴の国、トロイアへようこそ!」



3人「……ん?」


春香(聞き間違い……かなぁ…?)

真(森と湖と……なんだって?)

響(3つ目のやつ、明らかにおかしいでしょ!)


春香「あ、あの…穴って……?」


女性「ああ、穴について知りたいのなら…」

女性「…あのお店に行くといいわよ?」スッ


春香「あ、ありがとうございます…」



春香「………どう思う?」クルッ

真「もともと、穴が有名だったって可能性もあるけど…」

響「雪歩が掘ったって考えた方が、しっくりくるぞー!」


春香「…だよね」

春香「じゃ……あのお店に、行ってみよう!」



978: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 21:17:38.23 ID:+BbkoUZmO
トロイアの町 パブ『迷宮』

ガチャ…


春香「………うわぁ」

真「穴だらけだ…」

響「まるで、迷路だぞー…」



マスター「ん……?」

マスター「…ごめんなさい、店は夜からなんですよ~」


春香「あ……すみません、ちょっとお尋ねしたい事が…」


マスター「?」



春香「この穴って……あなたが掘ったんですか?」


マスター「ああ、この穴はね…」

マスター「ここで働いていた女の子に、掘ってもらったんですよ~」


春香(雪歩…だよね?)

真(雪歩だ…)

響(雪歩以外、あり得ないぞー)



マスター「いやぁ~、私も最初は『ああ、店がめちゃくちゃになる~!』なんて思ってたんですがね?」


マスター「お客さんからは、なぜか大好評でして…」

マスター「『隠れ家っぽい』とか、『土の香りを楽しみながら飲む酒も、乙なものだ』とか、『お茶がうまい』とか…」


マスター「おかげで、前よりお客さんが増えちゃいましてね~」

マスター「ついでだから、店の名前も変えちゃったんですよ~」


春香「そんな事が……」

春香(よくしゃべる人だなー)


真「それで、その女の子は、今どこに?」


マスター「その子なら、お城の神官様に連れて行かれましたよ?」

マスター「…あれ?よく見ると…君達、3人ともかわいいね~?どう?ウチで働いてみない?」

マスター「今なら、時給割り増しでまかないもタダにしてあげるよ?それにしても、君達、あの子の知り合い?またウチに…」


春香「あ、ありがとうございましたー!」


タタタタ…



春香(…雪歩、なんであんな店で……?)


979: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 21:38:23.40 ID:+BbkoUZmO
トロイア城 謁見の間

春香「……もういないんですか?」



アン「はい。つい先ほど、磁力の洞窟に向かわれたところですわ」


春香「そうですか…」

春香(もう少し早く来てれば……)



真「…それで、クリスタルはその洞窟にあるんですね?」


アン「はい。『ダークエルフ』という者が持っているはずです」


響「なんか、あからさまに悪そうな名前だぞー」


春香「もし、クリスタルを手に入れる事ができたら、一度、ここに持って来ますね?」



アン「……いえ。その必要はありません」

ドゥ(姉上……この者達に、委ねる事にしたのか…)


春香「え……?」


アン「クリスタルは、その力を発揮する時が来たのでしょう…」

アン「あなた方に託す事にします」


春香「え、でも……」


アン「……ハルカさん」

アン「あなた方に、話しておきたい事が……」


春香「?」



980: ◆bjtPFp8neU 2014/09/07(日) 21:55:12.80 ID:+BbkoUZmO
アン「あなた方は…クリスタルを集めているのですね?」


春香「集めている…というか…」

春香(むしろ、集めているのは仲間なんだけどね…)


春香「律子さんに、すべて奪われないために……」

春香「……まあ、もう残りひとつになっちゃいましたけど…」



アン「……いいえ。リツコさんは、まだ半分も集めていませんよ?」


春香「え?でも、律子さんはすでに3つ……」




アン「クリスタルは……全部で8つあります」


3人「ええ!?」


春香(いきなり、倍に増えたよ…)

春香(あ、でも……少し余裕があるって事か……)



アン「…光と影、昼と夜……全ての事には、表と裏があります」

アン「……それは、『この世界』も例外ではありません」


春香「ええと…つまり…?」


真「この世界にも、表と裏がある、って事…?」


アン「…その通りです」

アン「今、私達がいるのは『表の世界』」

アン「『裏の世界』は……」



アン「地底にある、と云われています」



響「地下にも、世界があるのかぁ……」

響(…そうゆうの、読んだ事あったな……)


アン「はい」

アン「そして、残り4つのクリスタルは、地底にあります」



春香「地底……」


春香(うーん……)


春香(なんだか、どんどん大げさになっていくなぁ……)


次回 P「ゲームの世界に飛ばされた」2 その1