P「ゲームの世界に飛ばされた」2 その1

350: ◆bjtPFp8neU 2014/10/29(水) 23:14:59.73 ID:ALL5YPKVO

P(くそ!どうする……?)

P(いくら現実世界に影響がないとはいえ、音無さんを殺すなんて……!)

P(殺す……だって?)

P(俺は……何を考えてるんだ……!)



美希「……ねえ、ハニー?小鳥は味方じゃないの?」

P「あ?ああ……なんて言うか、その……」

P(『敵だ』って言ったら、音無さんを『殺す』言うのと同じなのか……?)

P(ダメだ、頭が働かない……)

美希「ふーん、難しいんだね……」

美希(ハニーは真面目だから、難しく考え過ぎなの)

美希(もっと単純に考えればいいって思うな……)

美希(うーん、こういう時は……)チラ



春香(小鳥さんが……敵?)

春香(また……仲間と戦わなきゃいけないの?)

春香(あ、そっか)

春香(この状況って……)

春香「……ねえ、真、美希」

春香「今の状況ってさ、似てると思わない?」

真「え?何が……?」

美希「真クンのお城で、律子達と戦った時と……でしょ?」

春香「そう!」

真「ああ、なるほど!」

千早「……」

春香「あ……ごめんね。千早ちゃんは、あの時は敵だったね……」

千早「気にしないで、続けて?」

春香「うん……ありがと」



引用元: P「ゲームの世界に飛ばされた」2 



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351: ◆bjtPFp8neU 2014/10/29(水) 23:35:40.22 ID:ALL5YPKVO

春香「えっと……」

春香「私達は、真がいたお城で、律子さん、千早ちゃん、あずささんと戦った」

響「そうだったのか……」

春香「……あの時もさ、みんなでたくさん悩んだよね?」

真「……」

春香「どうして仲間のはずなのに、戦わなくちゃいけないの……って」

美希(……そういえば、あずさには負けっぱなしなの)

春香「私達はさ……仲間だよ。どんな状況になっても」

亜美・真美「……」

春香「『敵になったから、殺さなきゃいけない』とか、そんな事全然ないんだよ」

P「……!」

春香「私ね……?千早ちゃんと戦わなきゃいけないってなった時、すごく悲しかったんだ……。なんでこんな事になっちゃったんだろう?って」

千早「……」

春香「……でも、千早ちゃんと戦った事で、前より千早ちゃんの事がもっとわかった気がするよ」

千早「春香……」

春香「話し合いだけじゃ、解決しない事もあるかもしれない」

春香「戦わなきゃ、わからない事もあるかもしれない」

春香「だったら……」




春香「私は……戦うよ!」

春香「私の大切な人を……みんなを、小鳥さんを取り戻すために、私は小鳥さんと戦う!」





352: ◆bjtPFp8neU 2014/10/29(水) 23:48:26.26 ID:ALL5YPKVO

千早「春香……」

千早「私も戦うわ、春香と一緒に!」

春香「千早ちゃん……!」



真「春香!」

真「ボクだっているんだから、忘れないでよ?」

春香「真……!」



響「自分とエン太郎も、もちろん一緒に行くからな!」

春香「響ちゃん……!」



美希「……」

P「美希……?」



美希「ミキは……ハニーと一緒にいたいの」ギュッ

春香「美希……」

春香「そっか」

春香「うん、わかっ」

美希「……でも」

美希「このメンバーを、千早さんだけに任せるのは、忍びないの」

美希「だから、ミキも一緒に行ってあげてもいーよ?」

春香「美希!……ありがとう!」



真「……ボク達って、貶されたのかな?」ヒソヒソ

響「どっちかっていうと、ダシに使われたんだと思うぞ?」ヒソヒソ



355: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 20:33:35.75 ID:1fIaSrNUO
P「みんな……!」

高木「私達は、幸せ者だ」

高木「こんな素晴らしい子達が、我が事務所に所属しているんだから……」

高木「そうは思わないかね?君……」

P「……おっしゃる通りです!」



亜美「ま、こ〜ほ〜しえんは任せてよ!」

真美「真美達も、兄ちゃんと一緒に頑張るよ!」

春香「亜美、真美……!よろしくね!」




高木「……さて、私はそろそろ行くとするかな」スッ

P「……どこへ行かれるんです?」

高木「ちょっと、黒井の所へ」

P「く、黒井社長……!?この世界で会ったんですか?」

高木「ああ。なんだか変わった姿をしていたね。巨大な蛇のような……」

高木「ま、私も他人の事は言えないがね」

P「巨大な、蛇……?」

亜美「あっ、待って社長!ちょっと付き合ってもらいたい所があるんだよ〜!」ガタッ

真美「すぐ済むからさ〜」

高木「ふむ、いったいどこだね?」

真美「……兄ちゃん、真美達、ちょっとリベンジして来るね?」

P「ん?ああ、そうか。なら俺も……」

亜美「兄ちゃんは、もう少しみんなと一緒にいなよ!社長がついてるんだから、だいじょ〜ぶだって!」

高木「ちょっと、行ってくるよ」

P「はい、2人をお願いします」



356: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 20:42:20.94 ID:1fIaSrNUO
幻獣神の館

貴音「……」

貴音「申し訳ございません」

貴音「わたくしの、力不足で……」

女の子「……」

男の子「……」

貴音「なんとお詫びをしてよいか……」

女の子「タカネちゃん……」

女の子「バハムート様はね……近いうちに自分がいなくなる事、私達に教えてくれてたんだよ」

男の子「……」

貴音「!」

貴音「では、ご自分の死期を悟って……?」

女の子「……わからないけど」

男の子「……タカネ」スッ

貴音「……これは?」

男の子「バハムート様の手紙だ」

貴音「……読ませていただいても?」

男の子「いいよ」




『我がいなくなろうと、いずれ次世代の神が降臨するであろう。
案ずるな。
そしてもし、この月と、青き星に危機が訪れた時は、皆で力を合わせ立ち向かうのだ。
生きとし生けるものの祈りは、必ず悪しきを滅ぼすだろう』





357: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 20:55:51.07 ID:1fIaSrNUO

貴音「……」

男の子「悲しんでるヒマなんて、ないんだよ!今がその、危機ってやつなんだろ?」

女の子「タカネちゃん……!」

貴音「……そうですね」

貴音「あなた方の言う通りです。わたくしは、ばはむーと殿の言葉通りに……」

貴音「まどうせん、とやらを探さねば……!」

男の子「魔導船?」

貴音「ええ。それでちきゅ……青き星へ向かい助力を求めよ、と」

女の子「魔導船なら、ここにあるよ!」

貴音「まことですか?ならば話は早いですね。ではさっそく……」グゥゥ

男の子「……」

女の子「……」

貴音「……すみません」



月の民「……そんな事もあろうかと思って、お弁当を作って来たッスよ!」



男の子「だ、誰だお前っ!?」チャキッ

女の子「……!」スッ

貴音「おや?あなたは……」

月の民「驚かせてすみませんッス!自分、月の民ッス。タカネ様の部下ッスよ!」

女の子「……ホントに?」

月の民「やだなぁ、ホントッスよ!……タカネ様〜、誤解を解いてくださいよ〜」

貴音「お2人とも、この方はわたくしの知り合いです。安心してください」

男の子「そ、そうなのか……?」

女の子「タカネちゃんがそう言うなら……」

月の民「……さ、タカネ様。お弁当どうぞ」スッ

貴音「有難くいただきます」





358: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 21:05:07.82 ID:1fIaSrNUO

男の子「いいか、動力となるクリスタルに向かって『祈る』んだ」

女の子「祈りが届けば、きっと青き星まで連れてってくれるよ!」

貴音「わかりました。やってみます」

貴音「お2人には、お世話になりましたね」

貴音「何かお礼をせねばなりません」

男の子「……そういうのは、いいよ」

女の子「そうだよ!タカネちゃんが無事に戻って来てくれれば」

貴音「……わかりました。必ず、戻って参ります!」



月の民「タカネ様〜、行くッスよ〜!」



貴音「月の民の方が待っています」

貴音「それでは……またお会いしましょう」クルッ


スタスタ…



男の子「……」

女の子「……」

男の子「……なんか、さっきのやつ、嫌な感じだよな」

女の子「……うん」

男の子「タカネ、大丈夫かなぁ……?」



「……ごめんくださいッス〜!」

「うちのタカネ様、お邪魔してないッスか〜?」



男の子「ん?お客さんか?」

女の子「今日は多いねー」



359: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 21:39:36.24 ID:1fIaSrNUO
魔導船

キラーン!


貴音「これが、クリスタル……」

月の民「これに祈れば、魔導船が動くッスね!」

月の民「じゃあタカネ様、お願いするッス!」

貴音「2人で祈るのではないのですか?」

月の民「あー、自分はたぶんお力になれないッス」

月の民「人間の祈りじゃないと、届かないんスよ」

貴音「……はて?」

貴音「では、あなたは人間ではないのですか?」

月の民「あっ、いや……人間なんスけど、今日は調子悪いっていうか……」

貴音「……」

貴音「わかりました。わたくしひとりでやってみましょう」

月の民「ホッ……」

貴音(不審な言動……)

貴音(それに、いつの間にか何者かがこの船に忍び込んだようです……)

貴音(ひい、ふう……全部で3人……)

貴音(この方を合わせて4人……)

貴音(いったい何者なのか……)

貴音(この場で問いただす事もできますが、今は地球へ向かうのが先決)

貴音(……少し、泳がせるとしましょうか)

貴音(……さて)チラ



貴音(魔導船よ、わたくしを青き星へ連れて行ってくださいませ……)



360: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 21:42:52.79 ID:1fIaSrNUO

貴音「……」

貴音(……動きませんね)

貴音(祈りが弱いのでしょうか?)

月の民「……なかなか動かないッスね」

貴音(もっと、強く……)

貴音(魔導船よ、わたくしを青き星へ導いてくださいませ……)

貴音(そして、どうか皆に会わせてくださいませ……)


ズズズ…


月の民「あっ、ちょっと動いたッス!」

貴音「ですが、まだ足りないみたいですね」

貴音(もっと、もっと強く……!)

貴音(魔導船よ、わたくしを以下略……)

貴音(……)グゥゥ

貴音(それにしても、またお腹が空きました……)

貴音(らぁめんが食べたいです……)

貴音(……いえ、この際食べ物ならなんでもいい)

貴音(魔導船よ、わたくしをどうか食べ物のある所へ連れて行ってくださいませ……!)


ズズズ…


ブワッ…!


月の民「おおっ!?」

月の民「動いたッス!」

貴音「……どうやら、祈りが通じたようですね」ニコッ


ゴォーーーー!



361: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 23:38:25.30 ID:me1rWf06O
バロンの町 宿屋

春香「ヒマだなぁ……」

春香(私もみんなと出掛けたかったけど……)

春香(『春香は怪我がひどいから、お留守番』って言われちゃったし……)

春香(美希はとなりの部屋で寝ちゃってるし……)

春香「……」チラ

あずさ「……」

春香(あずささんが起きてくれれば、おしゃべりもできたんだけどなぁ……)


コンコンッ…


P「春香、入るぞ」


ガチャ…


春香「……プロデューサーさん?」

春香「みんなと出掛けたんじゃなかったんですか?」

P「ああ……春香の怪我が心配だからって言って、抜けて来た」

P(ホントは、みんなに『帰って春香の側にいてやれ』って言われたんだけどな)

P(怪我が心配なのは、ホントだぞ?)

春香「そうなんですか?」

春香「えへへ、嬉しいなぁ……///」

P「……あのさ」

春香「はい?」

P「さっきの春香の言葉、感動したよ。成長したんだなって、思った」

春香「そんな事、ないですよぉ」

春香「プロデューサーさん、お父さんの言葉、覚えてますか?」

P「お父さん……?ああ、クルーヤか。んーと、どんなだったっけか?」

春香「この世界には、正義よりも、正しい事よりも、大事な事がある」

P「ああ、そういえば、そんな感じだったな」

春香「私、その言葉の意味をずっと考えていたんです」

P「へぇ……で、答えは出たのか?」

P(俺も、ゲームやってた頃に考えた事あったけど、結局わからなかったんだよなぁ)

春香「はい、おかげさまで!」

P「聞かせてくれないか?」

春香「えっと……これは、私なりの解釈なんで、もしかしたら、全然違うかもですけど……」

春香「たぶん……『自分の信じた道を進め』って事なんじゃないかなって」

P「自分の信じた道を……」

春香「はい。その結果がたとえ、正義から外れていようと、正しい事じゃなかろうと……」

春香「自分を信じてさえいれば、道は開ける。そういう言葉なのかな?って思ったんです」

P「……なるほどな」



362: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 23:43:30.93 ID:me1rWf06O

春香「……だから、私」

春香「お父さんからもらった言葉通り、自分の信じた道を行く事にしたんです!」

P「……」

P「それで、さっきのあの演説か」

春香「え、演説とか、そんな大層なものじゃないですよぉ……」

P「いや、春香は案外、政治家や思想家とかが向いているかもな」

春香「……それって、アイドルは向いてないって、関節的に言ってるんですか?」

P「あ、いや……そういう意味じゃ……」

春香「……もう!」




春香「……そんな事より、プロデューサーさん」

春香「美希の側に、いてあげてください」

P「どうした、いきなり……?」

春香「美希……ずっとプロデューサーさんに会いたがってました」

春香「この世界へ来てから、我慢してたと思うんです」

P「……」

春香「美希は、プロデューサーさんと一緒にいる時間も、全然少なかったし……」

春香「それに……」

春香(美希には『あの時』の借りがあるし……)

P「……?」

春香「……とにかく、美希のところへ行ってあげてください」

春香「美希、となりの部屋で寝てると思いますから」

P「……」

P「わかった。春香の言う通りにするよ」

P「……じゃ、お大事にな」


スタスタ…


春香(美希……借りは、返したよ)



363: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 23:49:33.30 ID:me1rWf06O
バロンの町 宿屋 となりの部屋

美希「ハニー……」

美希(せっかく会えたのに、またすぐに離ればなれになっちゃうなんて……)

美希(悲しすぎるの……)

美希(あーあ、なんだか眠れないし、春香のとこにでも行こうかな……?)


コンコンッ


ガチャ…


P「美希、いるかー?」


美希「……ハニー!」

P「おっ、珍しく起きてるんだな?」

美希「どうしたの?ひょっとして、ミキに会いに来てくれたの?」

P「ああ、そうだよ」

美希「えっ……!」ドキン

美希(いつもは、何だかんだはぐらかすのに……)

美希(そんな風にストレートに言われちゃったら……ちょっとドキドキしちゃうの……!)

P「…………あれ?」

P「なんだ、大人しいんだな」

P(また抱きつかれると思ったが……)

美希「えへへ……」ドキドキ

P「機嫌がいいみたいだけど、何かあったのか?」

美希「それは……ヒミツなの!」ドキドキ

美希(あれ?いつもなら、正直な言葉が出てくるはずなのに……)

P「そうなのか」



364: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 23:55:43.85 ID:me1rWf06O

美希「ねえハニー、立ってないで座ったらいいと思うな」

美希(ミキの、となりに)

P「ん、そうだな」

P「……じゃあ、となり、いいか?」

美希「あ……う、うん……」ドキドキ

美希(ホントにとなりに来てくれた……!)

美希(なんだか今日はおかしいの……)

美希(いつもなら、ハニーにくっついてても、こんなに緊張しないのに……)

美希(ハニーと2人でお話するの、久しぶりだからかな?)



P「……なあ、美希」

美希「ん?なあに?」

P「すまないな、辛い思いをさせて」

美希「そんなの、へっちゃらなの!は……っ」

美希(ハニーの、ためなら……)

美希(な、なんで?なんで言えないの……?)

P「それに、寂しい思いをさせてしまったみたいだな……」ナデナデ

美希「あ……!」

美希(ダメ……ダメだよ、ハニー……!)

美希(今、撫でられたら……)




美希(抑えてた気持ちが…………全部、溢れちゃうの!)





365: ◆bjtPFp8neU 2014/10/30(木) 23:59:32.67 ID:me1rWf06O

美希「……ヒック……っ!」

P「……美希、どうした?」

美希「ヒック……ご、ごめ……な、なん……も……っ!」ポロポロ

P「な、泣いてるのか?どこか、痛いのか?」オロオロ

美希「ち……ちが……グスッ……のっ!」ポロポロ

美希「ね……ギュ……て、して?」グスッ

P「美希……?」

美希「お願いっ、ハニー……っ!」ポロポロ

P「わかったよ……」ダキッ

美希(あ……!)

P「ホントに、ごめんな……」ギュッ

美希(嬉しいのと……)

P「絶対、みんなで帰ろうな……」ナデナデ

美希(悲しいのが、混ざって……)

美希(何が何だか、わからなくなっちゃうの……!)



美希「うぅ……っ!」グスッ

美希「う……うぅ!」ポロポロ

美希「わあぁぁぁぁん!」ギュッ

P「…………美希」ナデナデ




美希(ハニー……ごめんね、弱い子で)

美希(ミキ……もっと強くなるから……)







366: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 00:04:48.26 ID:NusP9i4yO
バロンの町 入口

高木「……では、私は一足先に行くよ」

P「はい!また、お会いしましょう!それと、黒井社長にもよろしくお伝えください」

高木「……了解だ」

亜美・真美「社長〜!ありがとね〜!」

春香「お気を付けて!」

高木「うむ。……さて、行こうか、スレイプニル」

スレイプニル「ヒヒーン!」


パカラッパカラッ…


春香「あの白馬、社長のだったんだね」

真「うん……」

真(なーんだ、王子様は社長だったのかぁ……)



P「じゃあ、俺達も行くか」

真美「……そだね!」

亜美「ううっ……みんなの事、絶対忘れないからね?」

春香「あのね……今生の別れじゃないんだから……」

美希「……」

美希「……ハニー」

P「ん?」クルッ

美希「ちゅっ……」

P「……え?」


春香「あ……」

真「うわ……」

千早「み、美希……」

響「ほ、ほっぺにちゅー……///」

亜美「さ、さすがミキミキ……」

真美「むむむ……!」



368: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 06:25:46.40 ID:NusP9i4yO

春香(あ、でも……)

真(ボク達……)

真美(兄ちゃんと……)

亜美(マウス・トゥー・マウス、しちゃってるんだよね……)



美希「えへへ……これは、餞別なの」モジモジ

美希「次に会う時は……『本物』してあげるね?」

P「なっ……!」

P「そ、それはまずいだろ……!」

千早「み、美希!……それはちょっと、やりすぎじゃないかしら?」

響「そ、そうだぞ!じ、自分だって……じゃなくて、プロデューサーも困ってるぞー!」

美希「あはっ!聞こえないのー!」




春香「あずささんの事、よろしくお願いしますね?」

P「ああ、任せておけ!」

あずさ「……」

亜美「ねぇ、はるる〜ん。次の目的地の名前、ちゃんと覚えたよね?」

春香「あ、う、うん……///」

真美「ちゃ〜んと、みんなにも教えてあげるんだよ?」

春香「わ、わかってるよぉ……」




亜美・真美「じゃあみんな〜!またね〜!!」


スタスタ…



369: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 06:33:57.51 ID:NusP9i4yO
飛空艇

ババババババ…


響「春香ー、このまままっすぐでいいのかー?」

春香「うん。バロンから南へまっすぐって、プロデューサーさんが言ってたから」

響「わかったぞー!」

真「……でもさ、地底って、どうやって行くのかな?まさか、地面を掘るわけじゃないよね?」

春香「うーん、プロデューサーさんは行けばわかるって言ってたよ?」

千早「掘る、というよりは……始めから穴が空いてるんじゃないかしら?」

美希「うん、ミキもその方がしっくり来るって思うな」

春香「その穴ってさ、雪歩が掘った穴だったりしてね……?」

真「はは……そんなわけ……」

真「ないよね?」

響「じ、自分に言われても、わからないぞ!」

千早「ない……と言い切れないのが、弱いとこね」

美希「雪歩なら、充分あり得るの」

千早「ところで春香。次の目的地は、なんて言うところなの?」

春香「あ………んと」

真「春香、どうしたの?」

響「なんか変だぞ?」

春香「し、知りたい……?」

真「うん。っていうか、なんでそんなにもったいぶるのさ?」

春香「い、いや、もったいぶってるわけじゃないんだけど」

春香「わかった……じゃあ言うね?」

春香「次の目的地は……」



春香「あ、アダルトの村、っていうんだって……///」



4人「」



372: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 20:50:49.57 ID:NusP9i4yO
幻獣界

イフリート「ヤヨイーー!!今日は何して遊ぶんだぁ!?」

やよい「今日は……」

やよい「……」

シヴァ「ヤヨイさん……?」

ラムウ「……」



やよい「みなさん……」

やよい「実はわたし、仲間を探しに行かなきゃいけないんですっ!」

やよい「だから……」

やよい「みなさんとは、もう遊べなくなっちゃいました……」



シヴァ「……」

イフリート「ヤヨイ……」

ラムウ「……」



やよい「本当に、ごめんなさいっ!」ペコリ



イフリート「………すげぇぜっっ!!」

シヴァ「ええ、本当にラムウの言った通りになったわね……」

やよい「え……?」

ラムウ「ヤヨイさん……」

ラムウ「あんたがいずれこの町を出て行こうとしていたのは、気づいておったんじゃ」

やよい「そ、そーなんですか?」

イフリート「ラムウぅぅ!!お前は頭がいいなぁぁぁっ!!」

ラムウ「それに気づいてから、わしら3人は話し合った」

ラムウ「いや、話し合いなど、無意味だったのかもしれんな」

ラムウ「わしらは3人とも……ヤヨイさん、あんたの力になりたいと思っておるんじゃ」ニコッ

やよい「!」



373: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 20:56:08.38 ID:NusP9i4yO


やよい「みなさん……ありがとうございますっ……!」

やよい「でも……とーっても危険かもしれないんですっ!」

やよい「だから……」

ラムウ「だから、じゃ」

やよい「へ……?」

シヴァ「ヤヨイさん。私達は、あなたについて行こうというわけではないの」

ラムウ「あんたは召喚士。そして、わしらは幻獣……」

ラムウ「必要な時に、わしらを呼び出してくれればいいんじゃ」

やよい「そんな事が……わたしに、できるんですか?」

イフリート「ヤヨイぃぃ!!お前なら、できるんだぜぇぇ!!」

やよい「で、でも……どうやって……?」

ラムウ「……その、白い髪留め」

ラムウ「あんたによく似合っとるのう」

やよい「えへっ、そうですか?ありがとうございますっ!」

やよい「これは、お母さんが………」

やよい「……あ!」

ラムウ「気づいたかの」

やよい「じゃあ、みなさんはお母さんと『同じ』なんですか?」

シヴァ「そうね。あなたが『想う』事で、私達はいつでもあなたの元へ駆けつける事ができるわ」

やよい「はわー……なんだか、すごいですー」



374: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 21:00:36.88 ID:NusP9i4yO


ラムウ「ヤヨイさんに、受け取って欲しいものがあるんじゃ」

ラムウ「……イフリート」

イフリート「ヤヨイぃぃ!!受けとれぇぇ!!」スッ

やよい「これは……ブレスレット、ですか?」

やよい「真っ赤で、いふりとさんと同じ色ですねー!」

シヴァ「ヤヨイさん、私からはこれをあげるわ」スッ

やよい「……青いネックレスですかー」

やよい「これは千早さんに似合いそうです」

やよい(そういえば……しばさんって、千早さんによく似てますよねー)

ラムウ「わしからは、これじゃ」スッ

やよい「黄色いイヤリング……」

やよい「わたし、似合うかな……?」

ラムウ「これらのアクセサリーを身に付けていれば、ヤヨイさんはわしらを呼び出す事ができる」



ラムウ「そして、最後に聞いてくれ」

ラムウ「わしらは3人とも、全く違う力を持っておる」

ラムウ「わしは、雷の力」

シヴァ「私は……氷の力」

イフリート「オレはぁぁぁっっ!!」

やよい「うっうー!火、ですよね?」

イフリート「そ、そうだぁぁっっ!!」

ラムウ「状況によって、誰の力が必要かは変わってくるじゃろう」

ラムウ「『誰』を呼び出すのか。それを、よく考えて欲しい」

やよい「うー……」

やよい「が、がんばってみます!」

ラムウ「ヤヨイさんなら、きっとできると信じておるよ」ニコッ





375: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 21:40:44.91 ID:NusP9i4yO
幻獣王の館

黒井「……仲間を探しに行く、だと?」

やよい「はいっ!わたし、みなさんに会いたいんです!」

黒井「……」

冬馬「高槻……」

翔太「そっかぁ……寂しくなるね」

北斗「しかし、ひとりで大丈夫かい?」

やよい「大丈夫です!わたしには、お友達がついてますから!」

黒井「……」

黒井(行かせてやればいい)

黒井(何を迷っている?)

黒井(あるはずがない……王たるこの私が、ひとりの人間に執着するなど)

黒井(高槻やよい……)

黒井(やはり、765プロを選ぶか……)

黒井(ならば、お前は……)





黒井(…………私の、敵だ)






376: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 21:44:52.04 ID:NusP9i4yO

冬馬「……気をつけて行くんだぞ?」

やよい「はいっ!」

冬馬「知らないおじさんにはついて行くなよ?」

やよい「わかりました!」

冬馬「落ちてるものを食べたらだめだからな?」

やよい「は、はい……」

冬馬「ちゃんと寝る前は歯を磨くんだぞ?」

やよい「え、えっと……」

翔太「冬馬君……心配なのはわかるけどさ」

北斗「冬馬らしいな……」



黒井「高槻やよい……」

やよい「黒井社長!たくさんお世話になりましたっ!」ペコリ

黒井「……せめてもの慈悲だ」

黒井「外の世界まで送ってやろう」

やよい「ホントですか?ありがとうございますっ!」

黒井「だが、覚えておけ」

黒井「次に会った時は……私とお前は、敵同士だという事を」

やよい「え……?」

冬馬「おっさん!何言ってんだよ!?」

やよい「な、なんで」

黒井「……デジョン!」


パシュン…


冬馬「……は?」

翔太「き、消えた?」

北斗「おかしな世界なら、おかしな力もありえるというのか……」



黒井(これでいい……)

黒井(765の連中とは、やはり相入れない運命だった)

黒井(……)

黒井(これで、いい……)




377: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 21:51:48.29 ID:NusP9i4yO
地底世界 トメラの村

パッ…


やよい「……ですかーっ!?」

やよい「って…………あ、あれ?」キョトン

やよい「黒井社長や、ジュピターのみなさんがいないです……」

やよい「それに……」キョロキョロ

やよい「ここは、どこでしょーか?」

やよい「……うーん」

やよい「……とりあえず、みなさんを探しましょー!」



村人「おんや?……ハイホー!」

やよい「えっ?」クルッ

村人「え?じゃねえべさ。あんた、挨拶もできんのかえ?」

やよい「あっ、すみません!」

やよい「うっうー!こんにちはです!」

やよい(はわわ、まっくろな人です……)

やよい(外国の方でしょーか?)

村人「うっう?……変な挨拶だなや」

村人「あんた、よそから来た人だべ?この村じゃ、挨拶は『ハイホー』って決まっとるんよ」

やよい「はいほー……?」

村人「もっと元気よく!」

やよい「ハイホー!」

村人「うん。よくできたべ」

村人「しっかしあんた、どこか病気なんではないか?こんな白いドワーフ、見た事ねえ」

やよい「わたし、別に病気じゃないですよ?」

村人「ならいいんだが」

村人「……で、この村に何しに来ただ?ここは、なーんもねえ村だど?」

やよい「あっ……わたし、人を探してるんです!」

村人「人探し、ねぇ……」

村人「残念だけんど、こんな田舎村にゃよそもんは来ねえべさ」

やよい「そーですか……」

村人「そうさなぁ……人探しなら、ドワーフの城に行った方がええかもな」

村人「ドワーフの城は、あっちの方向にあるが……」スッ

やよい「わかりました!どうもありがとうございましたっ!」


タタタタ…


村人「『海』が邪魔で、幻獣様でもねえと、通れねえ……」

村人「……って、行っちまっただか」

村人「……ま、あのお嬢ちゃんも、諦めて戻って来るべ」



378: ◆bjtPFp8neU 2014/10/31(金) 22:01:17.04 ID:NusP9i4yO
トメラの村付近の海岸

ボコッ…グツグツ…


やよい「……」

やよい(この海、すっごく熱いです……!)

やよい(これじゃ、泳いで行けないですねー)

やよい(イカダでも作って……)

やよい(でも、しずんだら大変なことになりそうだし……)

やよい(こんな、お風呂みたいに熱い海に入ったら、ゆであがっちゃう)

やよい(どうしようかな……?)

やよい「えーっと、うーんと……」




やよい「…………あっ!」ティン!



やよい「これは……しばさんにお願いすればいい気がしますねー」

やよい「しばさん……お願いしますっ!」グッ


……ポゥ


コォォォ…


シヴァ「……ヤヨイさん、さっそく呼んでくれたのね?」

やよい「しばさん!」

やよい「あの、わたしあっちに行きたいんですけど……」スッ

やよい「この海、ちょっと渡れそうもないかなーって」

シヴァ「……この溶岩をどうにかすればいいのね?わかったわ」

やよい「お願いしますっ!」

シヴァ「……」コォォ


やよい「はわわっ!なんだか、急にさむくなりました……」


シヴァ「……絶対零度」バッ


コォォォォ……シャキーン!


やよい「!」

やよい「海に、氷の道が……!」

シヴァ「これくらい、お安い御用よ」

シヴァ「また、何かあったら呼んでちょうだい」


スゥゥ…


やよい「しばさん、どうもありがとうございましたっ!」ペコリ




381: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 12:24:09.54 ID:iISVhrzfO
アガルトの村

春香「こ、ここが……あ、アダルトの村……?」ドキドキ

真「見た感じは、普通ののどかな村っぽいけどね」

響「ど、どこらへんがアダルトなんだ……?」ドキドキ

千早「春香、この村は、徹底的に調べた方が良さそうよ」

春香「あ、あはは……千早ちゃん、やる気満々だね……」

美希「んー……」キョロキョロ

春香「……美希、どうしたの?」

美希「なんだかおかしいの」

真「何が?」

美希「だって、あだるとの村って割には、子供だっているよ?」

美希「ミキ、てっきり大人しかいない村だと思ってたの」

千早「……確かに」

千早「子供に見せるような行為じゃないわね」

春香「ち、千早ちゃん、発言がダイレクト過ぎるよ!」

千早「もしかしたら、夜になると行われているのかもしれないわ」

千早「これは、早急に……」



少年「……あれ?おねえちゃんたち、たびのひと?」

春香「あ、こんにちは!」ニコッ

春香「うん。私達、旅をしてるんだけど……」

少年「へー、そうなんだ!」

少年「じゃあ、あらためて……」

少年「どわーふのちをひくもののむら、アガルトへようこそ!」



5人「え?」



382: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 12:28:21.69 ID:iISVhrzfO

千早「ねえ、ぼく。ちょっと聞きたいんだけど……」

少年「なあに?」

千早「この村の名前は?」

少年「いまいったでしょ?アガルトだよ」

千早「アダルトじゃなくて?」

少年「うん!アダルトじゃなくて、アガルトだよ!」

真「ちょ、千早!子供に何言わせてんのさ!」

千早「ご、ごめんなさい。つい……」

真「春香、どういう事?」

春香「わ、私にもわからないよ。亜美と真美の話では、アダルトの村って……」

春香「……あ」

真「亜美と真美に……」

響「ハメられたんだな……」

千早「…………」ションボリ

美希「……千早さんは、ガッカリしすぎだって思うな」



響「それより、気になる単語が出てきたぞ?」

春香「気になる単語?」

響「なあ少年ー、この村の人達は、ドワーフの子孫なんだな?」

少年「うん、そーだよ!でも、どわーふってなんだろ?」

春香「うん、私も気になる。響ちゃん、ドワーフって何?」

響「ふふん!完璧な自分が、みんなに教えてあげるぞ!」




383: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 12:34:16.06 ID:iISVhrzfO

響「ドワーフっていうのは妖精の一種で、ファンタジーものの映画や小説とかに出てくる事が多いんだぞ!」

響「人間よりちょっと背が低いけど、がっしりしてて力持ちで、鍛治や工芸とか、金属の加工が得意なんだ!」

春香「へぇ……響ちゃん、詳しいんだねぇ……」

真「なんか、すごいね……」

千早「ええ。我那覇さん、生き生きしてるわ」

美希「……あふぅ」

響「大切なのはここからだぞ!」

響「作品によってドワーフの細かい設定はまちまちだけど……」

響「『ドワーフは地底もしくは地中に住んでいる』っていう設定が結構多いんだぞ!」

春香「え、じゃあ……!」

真「この世界でも、ドワーフが地底に住んでいる可能性が高いって事?」

千早「それなら、ドワーフの子孫だっていうこの村の誰かが、地底への行き方を知っているかもしれないわね」

響「その通りだぞ!」

春香「なるほど……」

美希「……」ウトウト



少年「……ねえ、おねえちゃんたちは、ちていにいきたいの?」

春香「うん、そうなんだ」

少年「だったら、うちのばっちゃがいきかたをしってるかもね」

少年「よかったら、うちにくる?」

春香「え?いいの?」

少年「うん!おねえちゃんたち、なんだかおもしろいし!」

春香「ありがとう!」



384: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 15:27:32.16 ID:iISVhrzfO
バブイルの塔 B4F

ドガッ!


伊織「きゃっ……!」


クルンッ……スタッ!


伊織「い、いったい何なのよ!」

伊織「なんで、あんた達がいるの!?」


エブラーナ王「ワガムスメムスメイオリイオリイオリ……」

エブラーナ王妃「ワタシノカワイイイイイイイイオリ……」


伊織「通じてないか……」

伊織(この2人は、死んだはず……)

伊織(まさか、生きて……って、そんなわけないわよね)

伊織(完璧にイッちゃってるわ。何をしたらあんな風になるっていうのよ!)

伊織(しかも……)


エブラーナ王「オオオオオオ!」ブンッ


伊織「ひっ……!」ヒョイッ

伊織「……私を襲って来るし!」



「ひょひょひょ……!」



伊織「だ、誰っ!?」

ルゲイエ「ようこそ、バブイルの塔へ」

ルゲイエ「敗戦国エブラーナの王女、イオリよ」

伊織「あんたは確か……」

伊織「バルナバを造った、センスの無いジジイ!」

ルゲイエ「むかーっ!だーれがセンスの無いジジイじゃっ!」

ルゲイエ「わしは、このバブイルの塔の最高責任者であり、天才科学者の……ルゲイエ様じゃ!」

伊織「最高責任者?あんたが?」

伊織(こんなジジイが、赤い悪魔より強いとは思えないけど……)

ルゲイエ「そうだと言うておろう!?理解力の無い小娘が!」

ルゲイエ「そりゃエブラーナも滅ぶってもんじゃ!こーんなじゃじゃ馬が王女なんじゃからな!」

伊織「ふん!口の減らないジジイね!ギャーギャーうるさいのよっ!」

伊織「弱い犬ほどよく吠えるって言うけど、あんたがまさにそれね!」

伊織「あ、それともあれかしら?年をとると幼児化するらしいけど」

伊織「早く帰って、ママのミルクをもらった方がいいんじゃないのっ!?」

ルゲイエ「むきー!なんと口の悪い小娘じゃ!親の顔が見てみたいわっ!」

ルゲイエ「……おや?」チラ



385: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 15:33:43.32 ID:iISVhrzfO

ルゲイエ「そういえば、そこの2人が、お前の親だったよなあ?」ニヤリ

エブラーナ王「……」

エブラーナ王妃「……」

伊織「く……!」

伊織(王と王妃が『こう』なったのは、あのジジイの仕業ってわけね……!)

ルゲイエ「……さあ、親子で殺し合うがいい!」

ルゲイエ「わしは、その様をここで見させてもらうとするかのう?」

ルゲイエ「ひょひょひょ……!」




伊織「……最っ低のジジイね!」

伊織(別に、実の親ってわけじゃないけど……)

伊織(とにかく今は、王と王妃をどうにかしなきゃ……!)


伊織「ちょっとあんた達!正気に戻りなさいよっ!」ビシッ

伊織「まさか、この伊織ちゃんを忘れたわけじゃないでしょうねっ!?」


エブラーナ王「……」

エブラーナ王妃「……」


エブラーナ王妃「アアアアアア!」ブンッ


ドガッ!


伊織「うっ!」ヨロッ


エブラーナ王「オオオオオ!」ブンッ


ドゴッ!


伊織「ぐ……ぁ……!」

伊織(ダメみたいね……)

伊織(こうなったら、力ずくで……!)



ルゲイエ「ひょひょひょ……!」



386: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 15:36:44.91 ID:iISVhrzfO

ルゲイエ「ホレ、反撃せんと死んでしまうぞ?王女」

ルゲイエ「自分の命が惜しかろう?ならば剣を取り、親に向けるんじゃ!」

ルゲイエ「ぐふふ……!」



伊織「……カッチーン!」

伊織「この、スーパー忍者アイドル伊織ちゃんをなめるんじゃないわよ……!」

伊織「意地でもあんたの言う通りになんかならないわ!」

伊織「絶対に攻撃しないんだからっ!」

ルゲイエ「ひょー!なんと美しい親子愛じゃ!」

ルゲイエ「いいぞぉ!肉片になってまでそれを貫き通せるなら、お前をわしの玩具にしてやるぞ……!」

伊織「ちっ!……見てなさいよ!」チラ


エブラーナ王「オオオオオ!」

エブラーナ王妃「アアアアア!」


伊織「こら!あんた達っ!」

伊織「さっさと正気に戻らないと……」



エブラーナ王(………イオリよ)



伊織「え……?」

伊織(な、何?今、頭の中に声が……)


エブラーナ王妃(私達の話を聞いてちょうだい……)


伊織「あ、あんた達……」


エブラーナ王(私達は、もうこの世にいていい存在ではないのだ……)

エブラーナ王妃(あなたには、何もしてあげられませんでした……)


伊織「……」



387: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 15:41:50.70 ID:iISVhrzfO

エブラーナ王(このままでは、私達はお前を手にかけてしまうだろう……)

エブラーナ王妃(そうなる前に、どうかあなたの手で私達を……!)

伊織「……」



ルゲイエ「……なんじゃ?なぜ動かん?」

ルゲイエ「おい、お前達、さっさと殺し合いを」

伊織「黙ってなさいよ!くそジジイっ!!」

ルゲイエ「ぐ……!」

ルゲイエ「こんの小娘が……!」


伊織「あのね……」

伊織「情けない事言ってんじゃないわよっ!」

伊織「あんた達、それでも一国の長なの?」

伊織「もし、あんた達が本当に王と王妃なら……」

伊織「私の……親だって言うなら……!」



伊織「自分の事ぐらい、自分でケジメつけなさいっ!」

伊織「そのくらいの根性、見せてみなさいよ!」


エブラーナ王「……」

エブラーナ王妃「……」

エブラーナ王「オオオオオオ!」ダッ

エブラーナ王妃「アアアアアア!」ダッ



伊織「む、無理だって言うの……!?」

伊織(私は、こんなところでやられるわけにはいかないのに……!)

伊織(こうなったら、攻撃を全て受けきってやるわ!)

伊織「か、かかって来なさい!」バッ


ズシャッ!



388: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 15:46:22.83 ID:iISVhrzfO

伊織「………え?」

ルゲイエ「な、なんじゃ!?」


ドサッ!


エブラーナ王「」

エブラーナ王妃「」



ルゲイエ「自滅しおっただと!?」

ルゲイエ「ちっ!つまらん……!」



伊織「……」

伊織「なによ……」

伊織「やれば、できるじゃない……」

伊織「……」グッ



ルゲイエ「あー興醒めじゃ!まったく!……この、失敗作めがっ!」ゲシッゲシッ


伊織「……!」

伊織「…………ちょっとあんた!」


ルゲイエ「……あん?もうお前には用はない!さっさと帰れ!」

ルゲイエ「わしゃ機嫌が悪いんじゃ!このっ、このっ……!」ゲシッゲシッ


伊織「あら、奇遇ね……」

伊織「私も今、すっごく機嫌が悪いのよ……!」ゴゴゴゴ…



伊織「今すぐ……その汚い足を退けなさい?」

伊織「そうしたら、半殺しで許してあげるわ」



389: ◆bjtPFp8neU 2014/11/02(日) 15:49:42.97 ID:iISVhrzfO

ルゲイエ「こんなガラクタになっても、やはり親が恋しいか?ひょひょひょ、泣かせるのう!」ゲシッゲシッ

伊織「もう一度だけ言うわ」

伊織「その、腐った足を今すぐ退けなさい」


ルゲイエ「ふん!お前ごときが強がっても、恐かないわい!」ゲシッゲシッ


伊織「……そう」

伊織「なら、仕方ないわね……」


スタスタ…


ルゲイエ「な、なんじゃ、やるのか?」

ルゲイエ「お前のような小娘に」


ヒュンッ…ドゴッ!


ルゲイエ「がはぁ……!」

ルゲイエ「な、何……!?」ヨロッ


伊織「……さあ、お仕置きよ!」


ドゴッ!ドガッ!バキッ!


ルゲイエ「ゴフ……!」

ルゲイエ「く、くそ……!」

ルゲイエ「ふ、ふふふ……!」

ルゲイエ「今日のところは見逃してやろう!」

ルゲイエ「……さらばじゃっ!」


タタタタ…


伊織「あっ……ちょっと待ちなさいよ!」



「………こんなところで、何をしている?ルゲイエ……」ガシッ

ルゲイエ「ひっ……!あ、あなたは……!?」



伊織「あ……!」



391: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 00:05:48.22 ID:Vy5Lru9jO
アガルトの村 老婆の家

少年「ばっちゃ!お客さんだよっ!」


5人「お邪魔しまーす!」


老婆「……」クルッ

老婆「お客さんとは珍しい……」

老婆「何もないところだが、ゆっくりしていきな」

少年「ばっちゃ、このおねーちゃんたち、ちていにいきたいんだって!」

老婆「何……?」

老婆「ふうむ……」ジロジロ

春香「あ、あの……」

千早「……何か知っている事があったら、教えていただけませんか?」

老婆「……」

真「お願いします!」

老婆「……そうだね」



老婆「だったら少し、力試しをさせてもらおうか」



春香「力試し……ですか?」

老婆「そうだ。あたしの眼鏡に適うようなら、地底への行き方をあんた達に教えてやるよ」

老婆「……ただし」

老婆「あんた達のうち、一人でも力が足りないとあたしが判断したら、何も教える事はないね」

春香「そ、そんな……」

千早「春香、私達も結構強くなったわ」

千早「この話、受けてもいいと思うけど」

春香「……わかった。千早ちゃんがそう言うなら……」

春香「おばあさん、よろしくおねがいします!」

老婆「……そうこなくちゃね」ニヤリ



老婆「じゃあまずは……」

老婆「あんた」スッ

響「自分か?」

老婆「あんた、この子と腕相撲をしてもらう」

少年「よろしくね!おねーちゃん!」

響「え?こんな子供と……?」



392: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 00:14:35.36 ID:Vy5Lru9jO

少年「おねえちゃん、ぜんりょくできてね!」ガシッ

響「いやー、さすがに子供相手じゃ本気なんか出せないぞ」グッ

響(……ん?この少年、結構握力あるみたいだな)



老婆「……準備はいいかい?」

少年「うん!」

響「いつでもいいぞ!」

春香「響ちゃん、手加減してあげなよ?」

真「…………いや」

真「あの子の言う通り、全力で行くべきだね」

千早「……あんな子供相手に?」

真「あの子はまだ子供だけど、多分相当強いと思う。ボクでもちょっと苦戦するかも……」

春香「ええっ?そんなに……?」

美希「……zzz」


老婆「それでは…………始め!」


響「ほっ!」グッ

響「ん、あれ……?」ググッ

響「ビクともしない……?」

少年「あははっ!じゃあ、ぼくもちからをいれるね?」グィン

響「わああっ!」グッ

響「な、なんだこの少年……!まるで真と腕相撲してるみたいだぞ!」

少年「このままだと、ぼくのかちだね!」グッ

響「く、くそー……!」グッ


春香「こ、このままじゃ、響ちゃんが負けちゃうよ……!」

千早「ちょっとズルいけど、美希の魔法でどうにかならないかしら?」

春香「美希なら、寝ちゃったみたい……」

真「……」

真「……ここは、師匠であるボクに任せてもらえるかな?」

春香「何をする気……?」



393: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 00:21:08.15 ID:Vy5Lru9jO

真「響!」

真「あの地獄の修行を思い出すんだ!」

真「あの修行を耐えた響なら、きっとその子に勝てる!」



響「真……!」

響(確かに、あの修行は……)

響(うう……思い出したら寒気がしてきたぞ)

響(あの地獄の修行に比べだら……)

響「こんなの……っ!」グッ

少年「わっ!」


響「なんくる……」

響「……ないさー!」グイッ


ドンッ!


少年「……」

少年「……あはは、まけちゃった」

少年「おねえちゃん、つよいんだね!」

響「いやー、お前も充分強いと思うぞ?」

春香「響ちゃん、やったね!」

千早「真、地獄の修行って?」

真「ああ、前に……響に、ボクの修行に付き合ってもらった事があってさ」

千早「……なるほど」

千早(それにしてもあのおばあさん、私達全員に腕相撲をさせるつもりかしら?)


老婆「ほう……やるじゃないか」

老婆(まさかドワーフの子孫であるあの子を打ち負かすとはね……)


老婆「じゃあ、次は……」

老婆「うん、あんたにしよう」

真「ボクですか?」

老婆「そうだ。あんたは……あたしが相手をしよう」

真「えっ、おばあさんが?」

春香「ひょっとして、おばあさんも腕相撲強いのかなぁ……?」

千早「もしそうだとしても、真が腕相撲で負けるとは思えないけど……」

美希「……zzz」



394: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 01:09:58.83 ID:Vy5Lru9jO

真「あのー、失礼ですけど、腕相撲ならボク、あなたに負ける気はしないですよ?」

老婆「うん。そうだろうねぇ」

老婆「あたしもさすがに、あんたにゃ勝てる気がしない」

老婆「だから、この村をどっちが早く一周できるか、にしようか」

真「駆けっこですか……。いいですよ、やりましょう!」

春香「真は足速いもんね。これはもらったも同然……」

千早「そうだといいけど……」

響「自分、駆けっこの方がよかったぞ!」

千早(確かに、我那覇さんは腕相撲より駆けっこの方が向いてるわね)

千早(何か、引っかかる……)

老婆「……ただし、ルールは『何でもアリ』だ」

真「何でも?」

老婆「ああ。『どんな手段を使っても構わない』」

老婆「なんなら、あたしを殺したっていい。そうすればあんたの勝利は確定だ」

真「い、いや、そんな事はしませんよ……」

真(ま、技を使うまでもないと思うけど)

真(このおばあさんが何をするか、気をつけなくちゃね)

少年「おねえちゃん。ばっちゃはつよいから、がんばってね!」

真「強い?速いじゃなくて?」

少年「うん、つよいんだよ!」



老婆「それじゃ、村の入口に移動しようか」



395: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 01:12:57.33 ID:Vy5Lru9jO
アガルトの村 入口

老婆「村の外周を回って、ここに速く着いた方が勝ちだ」

老婆「そして、さっきも言った通り、相手を邪魔しようが自分を強化しようが、何でもアリだ」

真「わかりました!」グッ


春香「真、がんばってね!」

響「いつもの力を出せば勝てるぞ!」

千早「……」

美希「……zzz」


老婆「じゃあ坊や、頼むよ」

少年「うん!」

少年「いちについて……」

少年「よーい……どんっ!」



老婆「……ストップ」バッ


ピキーン!


真「え?」ピタッ


春香「え?」

響「ま、真が……止まっちゃったぞ!」

千早「……なるほど」


真「く、くそ!身体が動かない……!」

老婆「あんた、確かに足は速そうだが……」

老婆「魔法には弱いみたいだねぇ」

老婆「残念だったね。あたしはゆっくりと行かせてもらうとするよ」


スタスタ…


春香「まさか、魔法を使って来るなんて……!」

響「あんなの卑怯だぞー!」

千早「いえ、何でもアリっていうルールだから、卑怯でもなんでもないと思うわ」

千早(それにしても……)

千早(我那覇さんの時といい、的確にこちらの弱いところを突いてきている気がするわ)

千早(これは、偶然……?)




396: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 01:17:52.34 ID:Vy5Lru9jO

真「ぐ……ぐぬぬ……!」グッ


春香「ど、どうしよう……!おばあさん、もうあんなところまで進んじゃってるよぉ……!」

響「み、美希〜!真を治してくれ〜!」ユサユサ

美希「……zzz」

千早「……」

千早(まずいわね……)

千早(どうにかして、魔法を解かなければ……)


真「くそぉ……!」ググッ


響「あああ……!真が、女の子がしちゃいけない表情になってるぞ……!」

千早(女の子……)

千早(魔法……)

千早(……)

千早(……何もしないよりはマシなはず)



千早「……真!」

真「?」

千早「あなたは……お姫様よ!」

春香「ち、千早ちゃん……?」

響「きゅ、急に何言い出すんだ千早ー?」


真「ボクが……お姫様……?」



397: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 01:21:37.55 ID:Vy5Lru9jO

千早「そう。あなたは、悪い魔女に魔法をかけられた、可哀想なお姫様……」


真「魔法をかけられた、お姫様……」


春香「うーん、言ってる事は合ってるような、合ってないような……」

響「あのばあちゃん、悪い魔女だったのか?」

春香「響ちゃん……例え話だと思うよ?」


千早「魔法を解いてくれる王子様は、ここにはいない」


真「……」


春香「あー、どっちかっていうと、真自身が王子様って感じだもんねぇ……」

千早「春香、ちょっと黙っててくれるかしら?」

春香「ご、ごめん」


千早「あなたは、自力で魔法を解くしかない」

千早「早く魔法を解いて、王子様の元へ向かわなければ……」


千早「舞踏会は、始まってしまうわ」


真「!」

真「そ、それは困るよ!」


響「真……もうその気になっちゃってるぞ」

春香「真も女の子だからねぇ……」


千早「だったら、魔法に打ち勝つのよ!大丈夫、真ならできるわ!」

千早(たぶん……)


真「魔法に、打ち勝つ……」



398: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 01:24:56.94 ID:Vy5Lru9jO

真「ボクは、お姫様……」

真「よぉぉしっ!」グッ



真「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」ゴゴゴゴ…

バリッ…


響「あんな風に雄叫び上げるお姫様なんて、絶対いないと思うぞ……」

春香「でも……なんか、いけそうかも……」


真「ボクは………お姫様だーーーっ!」

バリバリッ…



真「まっこまっこりーーーーーーーーーん!!」

バリバリッ…

バシュン!


真「……」グイッ

真「……よしっ!身体が動く!」

真「待っててね!王子様!」


ダダダダ…


千早「……どうにかなったみたいね」

少年「へー!ばっちゃのまほうをうちやぶるなんて、すごいや!」

響「あんな事言ってどうにかなるって思った千早もすごいけど……」

響「それでホントにどうにかしちゃう真もすごいな……」

春香「なんだか、真がいろんな意味で遠くへ行っちゃった気がするよ……」



399: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 01:28:56.12 ID:Vy5Lru9jO


ダダダダ…


真「ゴーーール!」


春香「真、やったぁ!」

響「さすが真だぞー!」

千早「……これで、あと3人」


スタスタ…


老婆「まさか、魔法をどうにかしちまうとはねぇ」


真「へへ、やーりぃ!」

老婆「こりゃ、あたしの目も曇ったかもね」

千早「え……?」

老婆「……さて、続けるよ」

老婆「次は……」

老婆「……そこの金髪の娘」スッ

美希「……zzz」

老婆「……」

春香「ちょっと美希、おばあさんが呼んでるよ!」ユサユサ

美希「……zzz」

真「無理だよ春香。自分で起きるのを待つしか……」

響「魔法で起こすにしても、『エスナ』を使えるのは美希だけだしなー」

老婆「……エスナ」


シャララーン!キラキラ…


美希「ん……?」ムクッ

美希「んー、この感覚、久しぶりなの」

美希「……あふぅ」

春香「おばあさん、エスナも使えるんですね」

老婆「ま、これでも昔は……」

老婆「……って、あたしの事はどうでもいい」

老婆「みんな、あたしに付いておいで」


スタスタ…



400: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 01:32:22.37 ID:Vy5Lru9jO
アガルトの村 老婆の家の庭

老婆「金髪の娘、あんたには……」

老婆「このリンゴを、弓で射抜いてもらおうか」スッ

美希「?」

美希「なんでミキがそんな事しなくちゃいけないの?」

春香「あのね美希、実は……」



美希「ふーん……」

美希「なんだかめんどくさい事になってるんだね」

老婆「ふ、正直な娘だね」

春香「あ、あの、すみません!」ペコリ

老婆「いいさ。あたしゃ、こういう自分の意見をはっきり言える子は好きだよ」

美希「ミキ、そういう趣味はないの」

春香「み、美希!」

老婆「はははっ!面白い娘だねぇ。ますます気にいったよ」

老婆「じゃあ、あんたの試験はちょっと難易度を上げようか」

老婆「あんた、ちょっとそこの木の下に立ってくれるかい?」

春香「私?……わかりました」


スタスタ…


老婆「この子の頭の上に、リンゴを乗っけて……」スッ

老婆「よし、準備は完了だよ」

老婆「さあ、その弓で、このリンゴを射抜くんだ」

春香「えっ?えっ?……ええっ!?」

真「は、春香の頭の上のリンゴを……?」

響「ね、ねえ千早、これって……」

千早「ええ、まるでウィリアム・テルね」

千早(これにも、きっと何か意味はあるはず……)




401: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 01:37:37.16 ID:Vy5Lru9jO

美希「……」

美希「……」スッ

真「美希、ちなみに、弓道の経験は?」

美希「まったくないの」

真「はは……だよね」

美希「……」グイッ

美希「ふーん……」

美希「ねえおばあちゃん、ちょっと練習してもいい?」

老婆「……構わないが、本番は1回きりだからね?」

美希「わかったの」



美希「……」ググッ


ヒュンッ…タンッ!


響「……真っ直ぐ飛んでるっぽいぞ。美希、いけるんじゃないか?」

美希「んーん、全然ダメなの。狙ったところに飛んでいかないの」

千早(弓道の事はよく知らないけれど、初心者が矢を飛ばせるだけでもすごい事なんじゃないかしら?)

千早(……でも、それだけじゃダメなのよね)チラ


春香「うぅ……」


千早(春香の頭の上にある、リンゴという小さな的に当てなければ……)

千早(相当な集中力が必要になるわね)

千早(ん?そうか……)

千早(普段の美希は、集中力のかけらもないほどダラけ……いえ、リラックスしている)

千早(確かに、美希の弱点と言えるかもしれない)

千早(でも……)




402: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:15:23.49 ID:Vy5Lru9jO


美希「……」グイッ


ヒュンッ…タンッ!


美希「んー……うまくいかないの」

響「そうなのか?ちゃんと飛んでるように見えるんだけどな?」

美希「飛ぶのは飛ぶけど……まだ精度が足りないって思うな」

美希「これじゃ、春香に当たっちゃうかも……」

春香「み、美希、信じてるからね……?」

老婆(そう。そこがポイントだ)

老婆(『仲間を怪我させてしまうかもしれない』というプレッシャーに、はたして耐えられるかねぇ……)



春香「……あっ!」ティン!

春香「そうだ……!」

春香(心情的には、かなり複雑なんだけど……)

春香(『こう』言えば、美希なら必ずやってくれるはず……)



春香「ねえ、美希!」

美希「ん?どうしたの、春香」

春香「あのね……」

春香「このリンゴを……」



春香「……プロデューサーさんのハートだと思って、やってみて?」



美希「!!」




403: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:30:47.44 ID:Vy5Lru9jO

美希「……」ゴゴゴゴ…



老婆「うん……?」

老婆「雰囲気が……」



真「春香……すごい事言い出すなぁ」

千早「でも、美希を焚きつける方法としては……最適だと思うわ」



美希「まさか、春香がそんな事言うとは思わなかったの……」

春香「うん。今は、言ってる場合じゃないかなって……」

美希「一応聞くけど、諦める気になったわけじゃ、ないんだよね?」

春香「あ……うん」

美希「……」

美希「いーよ、騙されてあげるの」

美希「……おばあちゃん?」

美希「ミキ、ちょっとだけ本気出すから、見ててね?」

老婆「ああ……」

老婆(あの娘……急に人が変わったような気がするねぇ)



美希「……」ギュッ…

美希「……」ギリッ




美希(ハニーのハートは……)

美希(ミキが絶対に……射止めるの!)


ヒュンッ…


タンッ!


老婆「……!」



404: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:34:22.83 ID:Vy5Lru9jO


春香「……」


美希「……」


春香「………はぁぁぁぁ」


…コトン


春香「美希……ありがと。助かったよ……」

美希「んー、お礼なら、ハニーに言うの」


スタスタ…


春香「そういうもんかな?」

美希「うん。そういうもんなの」シャリッ

美希「ん、おいし」



老婆「ふふふ……やるねぇ!」

老婆「あんた、本当に初心者かい?」

美希「うん、そうだよ?」

美希「でもこれ……なんだか気に入ったの!」グイッ

美希「これで、ハニーのハートを本当に射止めちゃおっかな?」

響「いや、それは……死んじゃうぞ?」

老婆「その弓矢が気に入ったなら、あんたにやるよ」

美希「ホント?ありがとうなの!」グイッ

真「そういえば、美希の攻撃手段って無かったよね」

千早「そうね」

千早「ま、武器を手にしたところで、美希が戦ってくれるかはまた別問題だと思うけれど」

真「まあね」


老婆(ふふ、何年振りだろうね?)

老婆(他人を見て、こんなに楽しい気持ちになるのは……)



405: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:38:03.83 ID:Vy5Lru9jO

老婆「さあ、次は青い髪のあんただ!」

千早「……」

春香「千早ちゃん、頑張って!」

響「千早ー、しっかりなー!」

真「千早なら、安心して見ていられるね!」

美希「千早さんのお題は、何なんだろうね?」

千早「……私は、何をすれば?」

老婆「そうだねぇ……」ジーッ

千早「……」



老婆「……あんたには、あたしを笑わせてもらおうかねぇ」



千早「……………は?」

春香「ち、千早ちゃん、頑張って……?」

響「なんだか、急に試験の雰囲気が変わったような気がするぞ……」

真「千早には……ちょっと厳しいかもね」

美希「くすぐっちゃえばいいって思うな!」

老婆「うん。何かを言って笑わせてもいいし、そこの金髪娘の言う通り、物理的に笑わせてもいい」

老婆「何をしたっていい。とにかくあたしを笑わせる事だ」

老婆「ただ、あたしゃくすぐりには強い。やるだけ無駄だとは思うが」

千早「……」

千早(そう来たか……)

千早(確かにこれは、私が苦手とする事でもあるわね)

千早(……なんて自己分析してる場合じゃないわ)

千早(とにかく、おばあさんを笑わせないと……!)

千早(…………よしっ)



406: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:40:43.46 ID:Vy5Lru9jO

千早「……」



千早「馬は……」



老婆「……」

春香「……」ゴクリ

真「……」

響「……」

美希「……」



千早「………………ウマい」



老婆「……」

老婆「……そうか」



千早「………プッ!」

千早「くくっ……!」プルプル

春香「ち、千早ちゃん、自分だけ笑っても意味ないよぉ……!」

真「千早なりに、頑張ったと思うよ……」

響「これじゃダジャレじゃなくて、ただの報告だぞ」

美希「……千早さん、馬刺しの事を言ってるのかな?」



老婆「……それで終わりかい?」

老婆「そんなんじゃ、あたしゃ笑わないよ?」

千早「……くっ」

老婆(この娘、頭はキレるようだけど……)

老婆(自分の事には、気づけてないみたいだねぇ)



407: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:44:39.92 ID:Vy5Lru9jO

千早(一生懸命考えたけど、ダメみたいね……)

千早(でも、まだまだ……!)



千早「箱を、運ぶ」


老婆「……うん」


千早「アルミ缶の上に、あるミカン!」


老婆「……で?」


千早「亜美を、編みました!」


老婆「?」

真「千早、それは身内ネタ!」


千早「世界を崩したいなら、泣いた雫を活かせっ!」


老婆「……ふむ」

春香「えっ?」

真「それはただの回文だよ……」

春香「せかいをくずしたいなら……あ、ホントだ!」


千早「はぁ、はぁ……!」ヨロッ

春香「千早ちゃん……!頑張って……!」

老婆「どうした、もう終わりかい?」

千早「ま、まだよ……!まだ……終わらないわ!」ズサッ


響「千早……」



408: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:49:00.87 ID:Vy5Lru9jO

響「……そんな顔で言っても、誰も笑ってくれないぞ?」

千早「えっ?」

響「千早、さっきからずっと仏頂面だもん」

響「人を笑わせるには、まずは自分が笑顔にならないとな!」ニコッ

千早「……」

春香「……うん、確かに響ちゃんの言う通りだね」

響「前にも言ったけど、千早にはさ、昔より笑顔が増えたと思うんだ」

響「可愛い笑顔なんだから、もっともっと笑わないとな!」

美希「響も、たまにはいい事言うの!」

響「み、美希ー!『たまに』は余計だぞー!」

千早「我那覇さん……」

老婆(ほう……よく仲間の事を見ているね)

老婆(まあ、それとあたしが笑うかどうかは、まったく別問題だが)



千早「……」

千早「そうね……」ニコッ

老婆「……」

老婆(ふうん、なかなかいい顔をするじゃないか)

千早「おばあさん、次で、最後です」

老婆「そうかい……」

千早「私の、全力を出します!」

老婆「受けて立とう」

春香「千早ちゃん……!」


千早「スゥー……」

千早「はぁー……」

千早「……よし!」



409: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:52:57.12 ID:Vy5Lru9jO

千早「行きます!」



千早「『鎖骨』と掛けまして……」


春香(ま、まさかの謎かけ……?)


千早「『ボーナス』と解きます」


老婆「ふむ………その心は?」




千早「…………どちらも、おれやすい」ニコッ



老婆「……!」


春香「プッ!くっくっ……!」

真「すごい……!これ、普通に面白いよ!」

響「千早、さすがだぞ!」

美希「んー、よくわからないの」



老婆「……」

老婆「………………ふ」

老婆「ふふふ……あっはっは!」


千早「!」

春香「千早ちゃんっ!」

老婆「いやぁ……やるねぇ。うん、こりゃあ愉快だ!」

千早「や、やったわ……!」

老婆「最初は、本当に笑わせる気があるのかと思ったが……頑張ったね」

老婆「人を笑わせるには、まず自分から、か」

老婆「そこのポニーテールの娘に感謝するんだね」

千早「我那覇さん、ありがとう!」

響「ふふん!自分、完璧だからなっ!」



410: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 16:57:25.96 ID:Vy5Lru9jO

老婆「さあ……最後はあんただ」

春香「はい……!」

千早「春香、頑張って!」

真「最後はどんな試験なんだろうね?」

老婆「……」

老婆「あんたは、どうやらリーダーみたいだねぇ」

老婆「ちょっと待っててくれるかい」クルッ


スタスタ…


春香「……」

千早(ここまでは、それぞれが苦手とする分野の試験だった)

千早(なら、春香の苦手な事が出てくる可能性が高いわ)

千早(春香の苦手な事……)

千早(……転んだらダメ、とか?)

千早(……まさかね)


スタスタ…


老婆「待たせたね」コトッ


春香「?」

春香「あの……その石は?」

老婆「これは、『マグマの石』と言ってな……」

老婆「地底世界へ行くために必要なものだよ」

春香「そうなんですか!」

響「おっ!やっと本題かー」

老婆「単純な話だよ」

老婆「簡単な『6拓問題』だ」

老婆「いや、考えようによっては、3拓か……?」

千早「……?」

春香「は、はい!頑張りますっ!」



411: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 20:18:35.41 ID:Vy5Lru9jO

老婆「あんたに、この石をやろう」

春香「え?いいんですか……?」

老婆「ただし……」



老婆「あたしを含めたこの6人の中の、『誰か1人の命』と引き換えにな」



春香「え……!?」

春香「ど、どういう……!?」

千早「……!」



老婆「……わかりにくかったかね」

老婆「じゃあ、こう言い換えようか」

老婆「あんたは、あたしを殺すか、仲間の誰かを殺すか、それとも、自ら命を絶つかすれば、この石が手に入る」

老婆「地底へ行く事ができるってわけだ」

老婆「簡単な事だろ?」

老婆「……まあ、あんたが自分の命を絶った場合は……あんたは地底へは行けないわけだが」

春香「そ、そんな……!」

老婆「さあ、あたしが納得する答えを出してくれ」

真「なんで、こんな……!」

響「こ、こんなの、ひどすぎるぞ!」

美希「……」

千早(リーダーとしての、判断力……)

千早(それを問おうというの……?)


老婆(……さて、どうするのかねぇ?)




412: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 20:20:38.73 ID:Vy5Lru9jO


春香「……」

春香(ど、どうしよう……)

春香(みんなを殺すなんて、できるわけないよ……!)

春香(おばあさんだって……)

春香(かと言って私だって、こんなところで自殺なんてしたくないし……)

春香(でも、それじゃあ地底へ行けない……)

春香(いったい、どうしたら……?)



老婆「何も悩む事ないと思うんだけどね」

老婆「あんた達には何の関係もないあたしを殺せば、それで終わりさね」

老婆「あたしがあんただったら、迷わずそうしてるけどねぇ?」

春香「そ、そんな事……!」

春香(できるわけ、ないよ……!)


春香(私、リーダーなのに……)

春香(私が決めなきゃ、いけないのに……)

春香(みんなに迷惑かけるわけには、いかないのに……)

春香(こんなところで止まってるわけには、いかないのに……!)

春香(答えが……出せないよ……)



美希「……」



413: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 20:22:48.04 ID:Vy5Lru9jO

美希「……春香」

美希「春香は、ミキ達のリーダーだよ?」

春香「美希……」

美希「リーダーの決定は、絶対なの!」

春香「で、でも……!」

美希「……みんな、認めてるんだよ?春香の事」

美希「春香はいつだって、みんなの事をちゃーんと考えてくれてるの」

美希「そんなリーダーが出した答えなら……」



美希「みんな、ちゃんと納得するって思うな!」



春香「美希……」

真「春香、信じてるよ!」

響「自分も、信じてるからな!」

千早「春香……あなたが答えを出すの」

千早「それが正しいかどうかなんて、大した事じゃないわ」

春香「みんな……!」

春香「……」



老婆(ふふ……やはり、この娘達を見ていると、思い出すねぇ)

老婆(仲間はいいもんだ、なんて考えてた、甘っちょろい自分を……)



414: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 20:25:29.51 ID:Vy5Lru9jO

春香「……おばあちゃん」

春香「私、決めました!」

老婆「……そうかい」

老婆「で、どうするんだい?」

春香「私は……」



春香「私には、誰も殺せません!」

春香「だから、私にはこの石を受け取る資格もありません!」



老婆「……なるほど」

春香「みんな……ごめんね」

真「なーに言ってるのさ!」

響「春香なら、絶対そう言うと思ったぞ!」

美希「でも、振り出しに戻っちゃったの」

千早「またみんなで、地底への行き方を探せばいいわ」

千早「さ、リーダー。次はどうする?」

春香「あ、えっと……」

春香「雪歩に、スコップでも借りて来ようか?なんて……」

真「いや、それは……どうかなぁ」

響「それじゃあ、地底へ行くのに何年かかるかわからないぞ!」

美希「……やっぱり、春香はリーダーとしてまだまだ未熟なの」

千早「どちらにしても、早めに行動を起こさないと……」

春香「うん、そうだね……」


老婆「……待ちな」



415: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 20:26:54.83 ID:Vy5Lru9jO


老婆「不合格、なんて、誰も言ってないよ?」

春香「え?でも……」

春香「私は、どの答えも選べませんでした」

春香「だから……」

老婆「それでいいんだよ」

老婆「『誰も殺さない』……それも立派な回答だ」

老婆「あたしは、『あたしが納得する答えを出せ』と言ったんだ」

春香「た、確かに、そうですけど……」

老婆「考えてもみなよ。もしあたしを殺してその石を手に入れても……」

老婆「あんた達、使い方わかるのかい?」

春香「それは……わからないですけど……」

千早「じゃあ……」

老婆「うん。あたしを殺しても目的が達成できないから、不合格って事だ」

響「そ、そんなひっかけ、絶対わからないぞ!」

真「でも、おばあさんが春香だったら、真っ先におばあさんを殺すって……」

老婆「ああ、だから……あたしじゃこの試験には合格できなかったって事になるね」

真「うわぁ、ひねくれてるなぁ」

老婆「それに、仲間を殺してまでこんな石コロを手に入れよう、ってやつは、あたしは好きになれないね」

春香「は、はぁ……」

老婆「何よりも1番嫌いなのは、自分を犠牲にして目的を達成しようっていうやつだね」

老婆「自分が死んじまったら何の意味もないのに、それを美学だなんだって適当な理由を付けて神格化するやつ」

千早「……もう、めちゃくちゃね」



417: ◆bjtPFp8neU 2014/11/03(月) 20:34:15.01 ID:Vy5Lru9jO


老婆「……ま、これで一応みんな合格したね」

老婆「ほら」スッ

春香「あ、はい……」スッ

老婆「その石を、この村の井戸に投げ入れてごらん?」

老婆「北の山に、地底への入口が現れるだろうからさ」

春香「ありがとうございますっ!」ペコリ


老婆「あ、あともう一つ」

老婆「そこの青い髪のあんたはわかってると思うけど……」

千早「……」

老婆「一応、あんた達の弱点を試させてもらったつもりだ」

真「あ、言われてみれば……」

老婆「まあ、毎回誰かが助言して、乗り越えたみたいだけど」

老婆「大切なのは、『それ』だよ」

千早「助け合い……ですか?」

老婆「ん……ガラにも無くしゃべり過ぎちまったね」

老婆「さ、もう用は済んだろ?あんた達はもう行きな!」

春香「あ、あれ?この流れだと、てっきり泊めてくれるものだと……」

老婆「甘えてんじゃないよ。うちはそんなに広くないんだ」

老婆「ほら、さっさと出て行きな!」シッシッ

少年「おねえちゃんたち、またきてねー!」



春香「あ、ありがとうございましたー……」




423: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:27:19.49 ID:KhDrzuCtO
飛空艇

ヒュー…


春香「うぅ……」

春香「……ちょっと、夜風が寒いね」

千早「そう?私はそうでもないけど」

響「みんなで固まってるし、毛布もあるからな」

真「美希なんか、もう寝てるし」

美希「……zzz」ギュッ

春香「ふふ……弓矢抱いて寝てる」

千早「よほど気に入ったのね」



真「地底って、どんなところかなぁ?」

春香「やっぱり……真っ暗なのかな?」

響「てぃーだの光も届かないだろうしなぁ……」

千早「我那覇さん、てぃーだ……って?」

響「ああ、太陽の事さー」

千早「そうなのね……」

真「じゃあ……寒いのかなぁ?」

響「うぅ……自分、寒いのは苦手だぞ……」

春香「千早ちゃんは、鎧があるからいいね」

千早「もう慣れたけど、結構動きにくいのよ、コレ」

春香「わかるよ。私も着てたもん」

真「そういえば春香、いつの間にかイメチェンしてたよね?」



424: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:30:33.65 ID:KhDrzuCtO


春香「うん。いろいろあってね」

響「あの真っ黒な鎧よりは、今のカッコの方が似合ってると思うぞ?」

春香「えへへ、ありがと」

千早「黒は……真のイメージカラーね」

真「ボクは、あんな動きにくい格好したくないけどね」

千早「でも、地底は寒いかもしれないわよ?」

真「多少は大丈夫だと思うよ。鍛えてるから」

真「みんなも鍛えればいいのに」

響「真のは……ちょっとやり過ぎだと思うぞ」

真「そうかなぁ?」

美希「……はにぃ……」ムニャ

春香「……」

春香「美希……どうして私達について来てくれたのかな?」

春香「てっきり、プロデューサーさんと一緒に行動すると思ってたんだけど……」

千早「ミキにはミキなりの想いがあるのよ、きっと」

春香「そっか……」

春香「うん、そうだね」



千早「……さ、明日は地底よ。もうそろそろ寝た方がいいわ」

真「そうだね」

響「ゆくいみそーれ」

真「ゆくいみ……?」

響「おやすみ、って事だぞ」

真「ああそっか……おやすみ」

千早「おやすみなさい」

春香「おやすみ……」


春香(みんながいれば、地底世界だって……)

春香(なんくるないさー……だよね?)




425: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:32:36.37 ID:KhDrzuCtO
バブイルの塔 B4F

伊織「やっと見つけたわ……赤い悪魔!」ビシッ


ルビカンテ「お前は……エブラーナの王女か」

ルビカンテ「仇討ちに来たか」


伊織「そんなんじゃないわよ!」

伊織「私になめた事してくれたお礼をしに来たのよ!」


ルビカンテ「そうか……」チラ


エブラーナ王「」

エブラーナ王妃「」


ルビカンテ「……なるほどな」

ルビカンテ「ルゲイエ。またつまらん事をしたみたいだな」

ルゲイエ「え、えっと……な、何の事やら?」

ルビカンテ「ふん」

ルビカンテ「とにかく、お前の持ち場はこのバブイルの塔の地底部分のはずだ」

ルビカンテ「さっさと戻れ」

ルゲイエ「は、はい!」


タタタタ…


ルビカンテ「……待たせたな、王女」クルッ

伊織「……」

伊織「ついに、この日が来たわ……!」

伊織「この、スーパー忍者アイドル伊織ちゃんが……」


伊織「あんたを、ケチョンケチョンにする日がね!」ビシッ




426: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:33:41.51 ID:KhDrzuCtO


ルビカンテ「ふ……威勢はいいようだが、それだけではオレには勝てんぞ?」

伊織「あんたこそ、私を『あの時』の私だと思ってたら、痛い目見るんだからっ!」

ルビカンテ「確かに、少しは成長したようだな」

ルビカンテ「……」

ルビカンテ「オレは全力のお前と戦いたい」

ルビカンテ「回復してやろう」バッ


シャララーン!キラキラ…


伊織「……!」

伊織「傷が、治って……!」

伊織「ちょっと、なんのつもりよ!」

ルビカンテ「言っただろう?全力のお前と戦いたいと」

伊織「ふ、ふん!調子に乗っていられるのも、今のうちよ!」


ルビカンテ「……改めて」

ルビカンテ「リツコ様の四天王が1人、火のルビカンテ……」

ルビカンテ「正々堂々、相手になろう!」

伊織「え?い、今、なんて……?」

ルビカンテ「だから、火のルビカンテ……」

伊織「その前よ、その前!」

ルビカンテ「リツコ様の四天王……?」

伊織「まさか、ここに律子がいるっていうの!?」

ルビカンテ「ああ、いるが……?」


伊織「やっと1人見つけたわっ!」

ルビカンテ「?」




427: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:34:35.28 ID:KhDrzuCtO


伊織「赤い悪魔!律子のところへ案内しなさい!」

ルビカンテ「……は?」

ルビカンテ「どういう事だ?お前は、リツコ様を知っているのか?」

伊織「知ってるも何も、律子は私達竜宮小町の大事なプロデューサーなんだから!」

ルビカンテ「りゅうぐう……?ぷろでゅーさー……?お前は、いったい何を言っている?」

ルビカンテ「そもそも、お前は私を倒しに来たのではないのか?」

伊織「事情が変わったの!もうあんたの事なんてどうでもいいわ!」

伊織「それよりも、今は律子よ!」

伊織「さあ、つべこべ言わず、この伊織ちゃんを律子のところへ連れて行きなさいっ!」ビシッ

ルビカンテ「……」

ルビカンテ(何だこの強引な娘は……)

ルビカンテ(しかしこの娘……リツコ様を『大事な』と言っていたな……)

ルビカンテ(……仕方ない)

ルビカンテ(後の事は、リツコ様に会わせてから考えるとするか……)


伊織「赤い悪魔ー!早くしないと置いて行くわよー!」


ルビカンテ「そっちじゃない。こっちだ」


スタスタ…


伊織「そ、それを早く言いなさいよねっ!」


タタタタ…




428: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:37:07.64 ID:KhDrzuCtO
バブイルの塔 B5F

律子「春香達も、地底へ来るのね……」

律子(戦いは、避けられないか)

律子(ああもう!ホントもどかしいわね)

律子(私、また小鳥さんに乗っ取られるのかしら……)


コンコンッ


律子「……ん?」

『……リツコ様、よろしいですか?リツコ様に会いたいとい』

『ちょっと律子!いるんでしょ!?開けなさい!』

『伊織ちゃんが来てあげたわよ!』

律子「えっ……!?」

律子(伊織……?)

『おい、イオリ。お前王女のクセに、礼儀を知らんのか?』

『うっさいわね!私と律子の仲なんだから、そんな事はいいのよ!』

『あと、何勝手に名前呼んでるのよ!バカッ!』

律子「クスッ……」

律子「相変わらずねえ……」

律子(伊織……!)



律子「……どうぞ!」


ガチャ…




429: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:38:55.14 ID:KhDrzuCtO

ルビカンテ「リツコ様、失礼しm」

伊織「どきなさい!」ドンッ

ルビカンテ「うぉっ!」ヨロッ


伊織「……律子!」ガバッ


律子「伊織……!」ダキッ


伊織「やっと……」

伊織「やっと……知ってるヤツに会えた……っ!」

律子「……」

律子(苦労したみたいね……)

伊織「……みし……ったんだからっ!」ギュッ

律子「ん?」

伊織「な、何でもないわよっ……」

律子「……会えてよかったわ、伊織」

伊織「ふ、ふん!まあ、この伊織ちゃんもあんたと……同じ、気持ち……とだけ言っておいてあげるわ!」

律子「ごめん、よく聞こえなかったわ。もう一回いい?」

伊織「き、聞こえてるくせに……!」



ルビカンテ(これは……)

ルビカンテ(どう解釈すればいいのだ?)

ルビカンテ(イオリは、リツコ様と懇意の仲、という事なのか……)

ルビカンテ(……よくわからなくなってきた)



430: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:40:26.12 ID:KhDrzuCtO

伊織「……ところで律子」

伊織「他の連中はどうしたの?」

律子「……」

伊織「……律子?」

律子「……伊織、よく聞いてね」

律子「私はこれから、ちょっと出かけなきゃならないの」

伊織「どこへ?じゃあ、私もついて……」

律子「ううん……あなたは、春香達を探しなさい」

伊織「春香達を……?なんであんたは別行動なのよ?」

律子「ええ、ちょっとね……」

伊織「……?」

伊織「……どうしたのよいったい?あんた、何か変よ?」

律子「大丈夫よ」

律子「……………………私は、まだ諦めたわけじゃないから」ボソボソ

伊織「え?何……?」

律子「……ルビカンテ。この塔を頼んだわよ?」

ルビカンテ「御意」



431: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 14:41:22.44 ID:KhDrzuCtO

律子「よく聞いて、伊織」

律子「春香達はそろそろ、地底世界へ来る頃だわ」

伊織「地底……?」

律子「ええ。この塔を1番下の階まで降りれば、その、地底世界に出られるわ」

律子「春香達を探して、合流してちょうだい」

伊織「……」

伊織「何だか知らないけど……」

伊織「あんたにはあんたの事情があるみたいね」

伊織「……わかったわ。律子の言う通りにしてあげる」

律子「ありがとう、伊織。ちゃんと説明できなくて、ごめんね?」

伊織「別にいいわよ」

伊織「……その代わりあんたも、その『用事』とやらが終わったら……」

伊織「必ず、無事に戻って来るのよ?」



律子「伊織……!」

律子「ええ、必ず!」



律子「じゃあ………行くわね」


スタスタ…


伊織「……」


ルビカンテ「……おい」

伊織「……何よ」

ルビカンテ「部下達には、連絡した。今回に限り、お前を襲う事はないだろう」

ルビカンテ「安心して行け」

伊織「……そ」

伊織「…………ありがと」

ルビカンテ(なんだ?さっきの威勢は、なくなったみたいだな……)

ルビカンテ(怒ったり、沈んだり……忙しいやつだ)




435: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 21:53:20.17 ID:LrG8FR1+O
バブイルの塔 B6F

スタスタ…


伊織(律子……様子がおかしかったわね)

伊織(無理にでも付いて行った方がよかったかしら?)

伊織(……でも)

伊織(考えてみたら、律子が赤い悪魔を従えてるという事は……)

伊織(……)

伊織(……化け物を従えるって)

伊織(いったいどんな事情があるっていうのよ……)


魔物「ガルル!」


伊織「うるさいわね!今考え事してるの!」

伊織「ちょっと静かにしてなさいよ!」


魔物「!」ビクッ

魔物「ガル……」

タタタタ…


伊織「まったく……」


伊織(あーあ……またひとりになっちゃったわ)

伊織(……)


伊織「べ、別に、さみしくなんかないんだからねっ!?」




436: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 21:56:04.22 ID:LrG8FR1+O
ミシディアの村付近

モクモク…


貴音「……ゴホッ、ゴホッ」

貴音「……ふぅ」

貴音「これは……」キョロキョロ

貴音「果て無き空……広大な海……そして、わずかながら人の営みを感じます」

貴音「どうやら無事、地球へ到着したようですね」

貴音「ですが、ここは一体どこでしょうか?」

貴音「まずは、情報を集めねば」

貴音「……皆も、この地球のどこかにいるでしょうか?」

貴音「無事だと良いのですが……」



「な、なんじゃこれは!」

「長老、無闇に近づくと危険かもしれませんよ!」



貴音「おや……?」




437: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 21:58:37.66 ID:LrG8FR1+O


長老「これは……船か?」


貴音「あの、ご老人」


長老「ん?」

長老「む!そなたは……!」

貴音「?」

貴音「わたくしをご存知で?」

長老「ああ!そなたは、月の民クルーヤの姉、タカネじゃろう?」

貴音「はい。その通りにございます、ご老人」

貴音(この世界のわたくしには、弟がいたのですか……)

長老「しかしそなた、月にいたはずでは?」

長老「いったいどうやってここへ?」

貴音「はい。魔導船で、月よりはるばる参りました」

長老「なんとっ!」

長老「では、この地面に刺さってる船が……?」

貴音「魔導船です」

長老「やっと復活したというのに……この様な無残な姿に……」


貴音「あの、あなたはなんとお呼びすれば?」


長老「わしは、このミシディアの長老じゃ」

長老「長老とでも呼べばよい」


貴音「了解いたしました、長老殿」


「タカネ様ーー!」



438: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:00:42.41 ID:LrG8FR1+O

月の民「送っていただいて、ありがとうございましたッス!」」

貴音「……」

貴音「あなたは、いったい地球で何をするつもりです?」

長老「なんじゃこいつは?」

月の民「それは……」

月の民「ふふふ、こういう事ッスよ!」


ボンッ!


ルナザウルス「この姿では、初めましてッスね!」

貴音「なんと、面妖な……!」

長老「ま、魔物!?」

長老「タカネ、こやつはいったい……?」

ルナザウルス「自分、ルナザウルスと申しますッス!」

貴音「……」

ルナザウルス「コトリ様の命令で、この青き星を……」

ルナザウルス「めちゃくちゃにしに来たッス!」

貴音「!」

貴音「そういう事でしたか……!」グッ

貴音「わたくしは、余計なものまで連れて来てしまったようです……!」

ルナザウルス「あ、ちなみに自分だけじゃないッスよー!」

ルナザウルス「タイちゃん、ハクさん、プーちゃん!」



439: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:01:54.82 ID:LrG8FR1+O


タイダリアサン「ふー、狭かった……」ニュルニュル

プレイグ「ここが、青き星……キレイだなぁ!」フワフワ

白龍「ルナ、私達は一足先に行っていますよ?」クネクネ



ルナザウルス「了解ッス!」



貴音「やはり、あの時に感じた3つの気配は……!」チラ

貴音「この星をめちゃくちゃになど……わたくしがさせません!」

ルナザウルス「でも、魔導船はもう、使いものにならないッスよね〜?」

ルナザウルス「どうやって自分達を止める気ッスか?」

ルナザウルス「まあ、そこで指咥えて見てるといいッス!」


フワッ…


ルナザウルス「じゃあ、お世話になりましたッス!」


バサッ…バサッ…


貴音「ぐっ……!」


貴音「……後悔している暇はありません」

貴音「わたくしも、後を追わねば!」


タタタタ…


長老「あ、おい、タカネ!」


タタタタ…




440: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:03:46.66 ID:LrG8FR1+O
魔導船

貴音(魔導船よ……どうか、どうか動いてください……!)



シーーン…



長老「……動かないみたいじゃな」

貴音「ええ……」

貴音「やはり、不時着時に何処か故障してしまったのでしょうか?」

貴音「でも、わたくしは船の事などわかりませんし……」

長老「タカネよ……」

長老「本当に、この船は祈りの力で動くのか?」

貴音「はい。こちらへ来る時も、わたくしの祈りの力で……」

貴音「………はっ!」

長老「ん?どうしたんじゃ?」

貴音「大事な事を忘れていました」



貴音「わたくしは、お腹が空いているのでした……」グゥゥ



長老「……」

長老「ならば、わしの家に来るか?」

長老「丁度、晩飯にするところだったんじゃ」

貴音「良いのですか?」

長老「まあ、たくさん作ったからな」

貴音「ありがとうございます!」



441: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:05:46.78 ID:LrG8FR1+O
ミシディアの村 長老の家

貴音「ムシャムシャ……」

貴音「モグモグ……」

貴音「ズズ……」

貴音「ゴクン……」


貴音「……ふぅ」

貴音「お代わりをお願いいたします」スッ

長老「い、いや……」

黒魔導士「申し訳ないんですが、それで終わりなんです」

貴音「なんと……!」

長老「それだけ食えば充分じゃろ……」

長老「3日は持つと思ったカエル鍋が、たった1食で……」

貴音「そうですか……」シュン



長老「それよりタカネ」

長老「どうかあの魔物共を止めてくれぬか?」

貴音「はい。元は、わたくしの責任ですから……」

長老「すまんの。わしらも、何か力になれれば良いのじゃが……」

貴音「……」

貴音「……それでは、少しばかり食糧を譲っていただけませんか?」

長老「食糧?そんな事で良いのなら……」

長老「……おい、頼むぞ」

黒魔導士「わかりました」


スタスタ…


貴音「ご馳走様でした」ペコリ

貴音「さて……わたくしは、あの物の怪共を追います」ガタッ

長老「しかし、さっき魔導船は動かなかったぞ?」

貴音「(腹が満たされた)今なら、行けそうな気がします」

黒魔導士「タカネ殿、どうぞお持ちください」ドサッ

貴音「ありがとうございます」スッ

貴音「長老殿、それでは……」

長老「うむ。頼んだぞ、タカネ!」



442: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:10:43.19 ID:LrG8FR1+O
魔導船

貴音(魔導船よ……)

貴音(わたくしは、行かねばなりません)

貴音(どうか今一度……大空へ!)



……


ズズ…


ズズズズ…


ガタンッ!


ドゴオォォォォォォォン!



貴音「おっと……!」ヨロッ

貴音「……今度は祈りが通じた様ですね」ニコッ

貴音(さて、さしあたっては……)

貴音(物の怪の気配が強まっている方角へ向かいましょうか)



貴音「さあ、参りましょう!魔導船よ!」スッ



ゴオォォォォォォォォ…




443: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:14:21.95 ID:LrG8FR1+O
地底への大穴

ババババババ…


響「うわぁ……大っきい穴だなぁ……」

春香「真っ暗で、何にも見えないね……」

響「とにかく、この穴を降りて行けば、地底に着くんだな……」

真「響、ゆっくりね」

響「うん。慎重に行くさー」



響「エン太郎ー、ゆっくり降下だぞー」グイッ



ババババ…



スー…



……




……




美希「もう、上下左右真っ暗で、まったく何にも見えないの」

真「それに、すごく静かだ。飛空艇の音とボク達の声しか聞こえない」



……




……




千早「私達、無事地上に戻って来れるかしら?」

春香「ち、千早ちゃん、不吉な事言わないでよぉ……」



……




……



ドンッ!




444: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:16:50.28 ID:LrG8FR1+O


響「え、エン太郎、大丈夫かっ!?」

春香「ひ、響ちゃん、どうしたの?」

響「船の腹を、壁にぶつけたみたいだぞ」

響「穴のど真ん中を降りて行ってるはずなんだけどなぁ」

真「まあ、この穴だって、まっすぐじゃないかもしれないし、少しぐらい仕方ないんじゃないかな」

千早「致命傷ではないんでしょう?」

響「うん。傷は浅いって、エン太郎が……」

美希「あっ……」

春香「どうしたの、美希」

美希「ぶつかる……」

春香「え……?」



ドガッ!



響「うわっ……!」ヨロッ



ガガガガ…!



真「こ、この音、ヤバくない!?」



バキバキッ!



響「え、エン太郎、大丈夫か!?」



ガタンッ!グラッ…



千早「…………あ」



ヒューーーー…



5人「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ……」




445: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:25:56.61 ID:LrG8FR1+O


春香「いやぁぁぁぁぁ!」

真「うわぁぁぁぁぁ!」

美希「きゃぁぁぁぁぁ!」

美希「どっ、ドキドキが止まらないの!フリーフォールみたい!」ワクワク

千早「が、我那覇さん、飛べないのっ!?」

響「さ、さっきからやってるぞっ!」グイッ



ブワッ…


ガクンッ!



春香「うわぁっ!」ヨロッ

ドテッ!

春香「……痛たた」

千早「春香、大丈夫?」

春香「う、うん」

真「ふぅ……今のはヤバかったね」

春香「こ、恐かったぁ……!」

千早「さすがにもうダメかと思ったわ……」

美希「でも、ミキ的には、ちょっぴり楽しかったの!」

響「エン太郎、大丈夫か?」

響「……」

春香「響ちゃん、大丈夫そう?」

響「たぶん……」

美希「ねえみんな、あっちに光が見えるの!」スッ

春香「あ、ホントだ。……出口かな?」



…ドカン!ドゴォン!



真「あれ?何の音?」



…ダダダダ!ズガァン!



千早「……地響き?いえ……」

千早「何かの爆発みたい……」




446: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:34:42.86 ID:LrG8FR1+O
地底世界入口

┣¨┣¨┣¨┣¨…ドカァン!

ヒュー…ドゴォン!

ダダダダ…



春香「な、何?何が起きてるの……?」

春香「飛空艇が、1、2……たくさん飛んでる!」

響「それに、戦車みたいなのがうじゃうじゃ……」

真「ねえ、これってさ……戦争じゃない?」

響「ま、まずいぞ!ただでさえ傷付いてるのに、砲撃なんか食らったら……」

千早「!」

千早「……あれは!」

美希「どうしたの、千早さん?」

千早「あの赤い飛空艇……」スッ

千早「多分、律子が乗ってるものと同じだと思うわ」

春香「千早ちゃん、ホントに?」

千早「私も何度か乗ったから、間違いないと思う」

真「……って事は、飛空艇は小鳥さんが指揮してるのか?」

春香「じゃあ、応戦してる戦車は……」

千早「わからないけれど、恐らく地底に住む人達じゃないかしら」

響「きっと、ドワーフの人達だぞ!」

真「ドワーフの戦車の方は、押されてるみたいだね……」

美希「ん〜……なんだかめんどくさい感じになってきたの……」

千早「春香、どうする?」

春香「……」

春香(ドワーフの人達を助けたいけど……)

春香(こっちも、エン太郎君が傷付いて万全な体制じゃない)

春香(申し訳ないけど、今は一旦安全なところへ向かわなきゃ)



447: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:48:43.47 ID:LrG8FR1+O

春香「……強行突破しよう!」

真「おおっ?いつになく攻撃的だね?」

千早「中途半端に戦争に参加するよりは、そっちの方がいいかもしれないわね」



春香「響ちゃん、まだ飛べる?」

響「あ、うん。普通に飛ぶくらいならなんとか……」

春香「なるべく全速力でお願い!」

響「……やってみるぞ!」

春香「千早ちゃんと真で、こっちに来る砲撃を何とかできるかな?」

真「任せてよ!」

千早「やれるだけやってみるわ」

春香「美希は、魔法でみんなをサポートしてくれる?」

美希「ぶー、せっかく弓矢をもらったのに……」

美希「ミキも暴れたいの!」

春香「お願い!美希の魔法が必要なんだよ」

美希「ちぇっ……わかったの」

春香「お願いね」



春香「千早ちゃんと真は、右側をお願い!」

春香「左側は、私がなんとかするから!」

真「春香、ひとりで平気なの?」

春香「たぶん、大丈夫だと思う」

春香「美希!砲撃がどこから来るかわからないから、指示をお願いね!」

美希「りょーかいなの!」

春香「じゃあ、響ちゃん!」

響「よーし、エン太郎!全速前進だぞ!」ガシッ



ゴオォォォォォォ…




448: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:52:36.45 ID:LrG8FR1+O


ドゴォン!ドカァン!


響「エン太郎、痛いか……?」

響「ちょっとだけ、我慢してくれよな……!」ナデナデ


美希「……プロテス!」ポゥ

パキーン!

美希「これで少しは………ん?」チラ


ヒューー…


美希「真クン、千早さん……さっそく来たの!」スッ

真「オッケー!」ポキポキッ

真「はぁぁぁ……!」

真「……虎煌拳!」


ゴオォォォ!ドゴォン!


真「……よしっ!」

美希「まだ来るよ!千早さんっ!」

千早「わかったわ」チャキッ


ヒューー…


千早「くっ……!」ブンッ


カキーン!…ドゴォン!


真「おお……!ホームラン!」


ヒュー…ヒューー…ヒュー…

ヒュー…ヒュー…


美希「春香!たっくさん来たの!」


春香「うん、わかった!」チャキッ

春香「……!」グッ

春香「死兆の星の、七つの影の……」

春香「……経絡を断つ!」


春香「北斗、骨砕打!」ブンッ


┣¨┣¨┣¨┣¨ドドドッ!

ドゴォン!…ドカァン!



449: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:56:07.30 ID:LrG8FR1+O

真「ふんぬっ!」ガシッ


真「そおりゃっ!」ブンッ


ヒュー…ドカァン!


千早「くっ!」ブンッ


カキーン!…ドゴォン!


春香「えいっ!」ブンッ

ズルッ

春香「わぁっ……とっとっ……!」ヨロッ


ヒュー…


美希「ストップ!」


ピタッ…


春香「痛たた……」

春香「美希、ありがと」

美希「まったく……こんな時にコケる事ないの」

春香「ご、ごめんね……」



響「みんなー!そろそろ抜けるぞー!」



ドォォン!…ドゴォン!


…ドカァン!


…………


……




450: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 22:59:00.20 ID:LrG8FR1+O
地底世界 山岳地帯

春香「ふぅ……」

春香「みんな、無事?」

真「大丈夫だよ!」

美希「疲れたのー」ダラダラ

千早「私達は大丈夫だけど……」



響「……」

響「やっぱり、ここを飛ぶのは無理みたいだぞ」

春香「エン太郎君、そんなにひどいの?」

響「それもあるけど……」チラ


ボコッ…グツグツ…


響「こんなに熱いところを飛んだら、きっと熱でやられちゃうと思うぞ……」

春香「そっか……」

真「確かに、暑いなぁ」

千早「さすが地底だけあって、溶岩が流れているのね」

春香「まずは、エン太郎君を修理しないとだね」

春香「どこかに、町とかないかなぁ?」キョロキョロ

美希「それなら、ミキに任せるの!」

美希「サイトロ!」ポゥ


ヒュンッ…


春香「わっ、美希が……千早ちゃんみたいに飛んだ?」



美希「んー……」キョロキョロ

美希「……あっ!」

美希「ねえみんな!あっちにお城があるみたいだよ!」スッ


春香「わかった!美希、ありがと!」

春香「じゃ、行こうか?」


響「あ、ちょっと待ってほしいぞ!」



451: ◆bjtPFp8neU 2014/11/08(土) 23:09:32.53 ID:LrG8FR1+O


響「あのさ……」

春香「響ちゃん、どうしたの?」

響「……」

響「自分、ちょっとだけ抜ける事にしたぞ」

真「ええっ!?なんでだよ?」

響「このままじゃ、地底を飛ぶのは無理だぞ。きっと、熱にやられちゃうから」

千早「……」

響「この前バロンに行った時にさ、弟子達に聞いたんだ。エン太郎を強化する方法をね」

響「だから自分、ひとっ走り行って来るぞ!」

美希「……確かに、それは響にしか出来ない事かも」

春香「でも、それならみんなで行けば……」

響「春香達は、先に進むんだぞ。クリスタルの事だって、あるんだからな!」

真「響……」

響「なんくるないさー!あとで必ず追いつくから!」

春香「……」

千早「春香、我那覇さんの気持ちも……」

春香「……うん、わかった」

春香「すごく心配だけど……エン太郎君は、響ちゃんに任せるよ」

響「……ありがとな!春香!」




千早「それじゃ我那覇さん、気をつけて」

響「うん!」

真「ひとりぼっちだからって、泣いちゃダメだよ?」

響「な、泣かないさー!」

美希「お土産よろしくなのー!」

響「み、美希……遊びに行くわけじゃないんだぞ?」

春香「響ちゃん……待ってるからね?」

響「うん!きっと戻って来るからな!」



響「みんなー!またやーたい!」




452: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 15:40:44.43 ID:Nzc07hE6O
飛空艇

ババババババ…


亜美「うわ〜!気分そ〜かいだよ〜!」

真美「亜美〜、そろそろ代わってよぉ!」

亜美「もうちっとだけ、いいでしょ?」

真美「う〜、真美も早く飛空艇を操縦したいよぉ」


P「2人とも、操縦には気をつけてくれよ?」

真美「あっ、兄ちゃん!」

真美「ねえねえ、タイタニックやろうよ!」

P「タイタニックって……ああ、あれか」

P「両手広げて……『私
飛んでるわ』ってやつか」

真美「そ〜そ〜、あれ一回やってみたかったんだよね!」

P「いいよ。じゃ、そこの柵に足かけて……」

亜美「あ〜!亜美もタイタニックする〜!」

真美「亜美は運転中っしょ?だから今はタイタニック……じゃなくて兄ちゃんは真美のだかんね!」

亜美「むむ〜、真美のケチんぼ!」

真美「最初に操縦代わってくれなかったのは亜美っしょ?」

P「こらこら、ケンカするなよ」

「そうよ〜、姉妹仲良くね?」

真美「……ふぇ〜い」

亜美「むぅ……兄ちゃんとあずさお姉ちゃんが言うなら……」



亜美・真美・P「……………ん?」



亜美・真美・P「……あずさ(お姉ちゃん)さんっ!?」


あずさ「あらあら、みんな元気ね〜?」




453: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 15:45:26.15 ID:Nzc07hE6O

P「い、いつ目覚めたんですか!?」ズイッ

真美「あずさお姉ちゃん、身体は平気なのっ!?」ズイッ

亜美「ってか、どうやって蘇ったのさ!?」ズイッ



あずさ「み、みんな……落ち着いて……ね?」



あずさ「私が目覚めたのは、ついさっきです」

あずさ「なんだか、とってもステキな夢を見ていたんですけど……」

あずさ「どんな夢だったかは……忘れちゃいました〜」

P「そうですか……」

あずさ「身体も、これといって問題は無いみたいですね〜」

あずさ(なんとなく違和感はあるんだけどね〜)

亜美「とにかく、あずさお姉ちゃんが黄泉返って良かったよ〜!」

P(おいおい、それじゃまるであずささんはゾンビじゃないか……)

真美「ホントだよ!ちょ〜心配したんだかんね!?」

あずさ「……ごめんなさい」

あずさ「でも、もう私は大丈夫よ」



P「あずささん」

P「……お帰りなさい!」ニコッ



あずさ「………はい!ただいま戻りました」ニコッ



亜美「むむ、何やらいいフインキですな〜」

真美「ちょっとだけシットしちゃいますな〜」




454: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 15:48:48.79 ID:Nzc07hE6O

あずさ「……雪歩ちゃんのところへ向かってるんですか?」

P「はい。雪歩は今、トロイアの城にひとりでいるはずですから」

あずさ「……そういえば春香ちゃんが、そう言っていましたね〜」

あずさ「ひとりぼっちなんて可哀想ですね。早く合流しないと」

P「はい!」

P「……亜美、もう少しスピード出せるか?」

亜美「りょ〜かいだよ、兄ちゃん!」

亜美「……と、言いたいとこだけどさ」

亜美「残念だけど、この船にはそんな機能はないみたい」

P「そ、そうか」

P「まあ、こんなスーファミのコントローラみたいなので動く飛空艇だもんな。仕方ないか……」

あずさ「でも、すごいわね〜」

あずさ「飛空艇を亜美ちゃんが操縦してるなんて」

亜美「んっふっふ〜!亜美にかかればこんなの、朝飯前の夜飯後だよ!」

あずさ「うふふ、ちょっと私も操縦してみたいわ〜」

亜美「い、いや、それは……ねえ」

P「あ、あずささん、ここは亜美に任せましょう!」

あずさ「あら〜、残念」



真美「……か、艦長!大変ですっ!」



P「どうした、真美?」

P「っていうか、艦長って誰の事だよ?」

真美「んも〜、ノリ悪いなぁ。兄ちゃんの事に決まってるじゃんかぁ」

P「そ、そうだったのか。すまん」

P「……で、何があったんだ?」



455: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 15:52:09.36 ID:Nzc07hE6O

真美「あ、なんかね、後方から丸い物体が追っかけて来てるみたいだよ?」

P「丸い物体……?」

真美「うん。すっごい速さで」

真美「このままだと、ぶつかっちゃうかも」

P「えっ?まずくないか、それ」

P「様子を見に行こう!」

P「亜美!操縦は任せたぞ!」

亜美「ぶ、ラジャ!」

P「真美、行こう!あずささんも一緒に来てもらっても、いいですか?」

真美「おっけ〜!」

あずさ「わかりました〜」


タタタタ…




456: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 15:55:19.04 ID:Nzc07hE6O

ギュイィィィィィィン…


P「……ホントだ!すごい速さで何か近づいて来るぞ!」

真美「でしょ?なんだろね、アレ」

あずさ「なんだか、翼みたいなものが生えてる様に見えますね〜」

P「まさか、魔物か?」



ギュイィィィィィィン…



真美「ん?なんか、どっかで見た事あるような……」

P「あ、あれは……!」

P「真美、あずささん、あれは魔物だ!戦闘準備を!」

P(あの目玉の魔物、アーリマン……だっけか?)

P(確か、厄介な攻撃をしてきたはずだ)

P(気をつけないと……)



プレイグ「あれ?なんだろ、この船?」



真美「魔物だぁ!」

あずさ「あら〜、魔物さんなのね〜」

P「2人とも、気をつけて!」



プレイグ「ひっ!」ビクッ

プレイグ「ま、まだ何もしてないよう!」



457: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 15:57:25.29 ID:Nzc07hE6O


真美「魔物め〜!」スッ


プレイグ「あ、あぅ……」フワフワ


あずさ「真美ちゃん、魔物さんが困ってるわ」

真美「でも、あずさお姉ちゃん。こいつ、明らかに怪しいっしょ?」

あずさ「まあまあ、ここは私に任せて?」

あずさ「あの〜、私、三浦あずさと申します」

あずさ「あなたはどなたでしょうか?」


プレイグ「あっ……」

プレイグ「ぼ、ぼく、プレイグっていいます」

プレイグ「月から来ました!」


あずさ「あらあら、ずいぶん遠いところから来たんですね〜?」

真美「えっ?月から……?」

P(アーリマンじゃないのか……)

P(ん?プレイグって、どこかで……)

真美「兄ちゃん、なんかおかしくない?」ヒソヒソ

P「ああ。なんだか嫌な予感がする」ヒソヒソ


あずさ「……それで、プレイグさんは何をしにここへ?」

プレイグ「あ、えっと……」



プレイグ「コトリ様の命令で、この星をめちゃくちゃにしに来たんです」



P・真美「!!」


あずさ「……まあ!」




458: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 16:00:38.31 ID:Nzc07hE6O

あずさ「ん〜、それは見過ごせないわね〜」

プレイグ「でも、命令なんです。ごめんなさい……」



真美「ピヨちゃん、さっそく攻めて来たみたいだね」ヒソヒソ

P「ああ。まさかこう来るとは思わなかったな」ヒソヒソ

真美「にしても、ヤバくない?月から来たって事は、結構強い魔物なんじゃ……?」ヒソヒソ

P「確かに。気をつけろよ、真美!」ヒソヒソ

真美「だ、大丈夫かな……」ヒソヒソ



あずさ「やめてくださいって言っても、ダメよねぇ?」

プレイグ「は、はい……」

あずさ「仕方ないわね〜」スッ

あずさ「真美ちゃん、サポートお願いね?」

真美「あ、うん!わかったよ!」スッ

プレイグ「えへへ、じゃあ、行きまーす!」


ビュンッ




460: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 16:05:03.29 ID:Nzc07hE6O


真美「は、速っ!」

真美「スロウ!」


カタカタ…シュルンッ!


プレイグ「あっ……」


あずさ「ごめんなさいね?」

あずさ「サンダガ!」バリッ


ズガガピシャァン!


プレイグ「痛たたっ……」フラフラ

プレイグ「痛いなぁ、もー……」

プレイグ「ぼく、こんなところで油売ってる場合じゃないんだ」

プレイグ「早く、人がたくさんいるところに行かなきゃ……」


プレイグ「……お姉さん、悪いけど死んでね?」


あずさ「え……?」


プレイグ「……死の宣告」スッ


ズゥゥゥゥゥン…


10あずさ「あら?私、何かされたのかしら……?」

真美「げげっ!あずさお姉ちゃんの頭の上に、カウントが!」

P「死の宣告か!まずい……!」

P「ど、どうにかしないと!」

9あずさ「プロデューサーさん、何かまずいんですか?」

P「そ、それは……」

真美「どどど、どうしよう、兄ちゃん!?」

P「何か、手はないのか……っ!」


プレイグ「お姉さんがいなくなれば、もう問題ないよね?」

プレイグ「ぼく、急いでるから……じゃあねー」


ビューーーン!




461: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 16:09:13.19 ID:Nzc07hE6O

7あずさ「あら、魔物さんは行ってしまいましたね〜」

P「真美、リレイズとか使えないのか?」

真美「使えないよ〜!」

6あずさ「2人とも、何をそんなに慌ててるんですか?」

P「あ、あの……あずささん」

P「その、言いにくいんですけど……」

P「あずささんの頭の上のカウントがゼロになると……」

4あずさ「ゼロになると?」

P「あずささん、死んでしまうんです……!」

3あずさ「まあ……」

真美「そんなのやだよぉ!せっかくまた会えたのに……!」グスッ

P「何も、できないのか……!」

2あずさ「2人とも、心配しないで?私は死んだりしませんよ?」

真美「あずさお姉ちゃん……」

1あずさ「大丈夫、私を信じて?」ニコッ

P「あ、あずささんっ!」



0あずさ「…………」






あずさ「…………ほら、生きてる」

真美「え?ウソ……!?」

P「な、なんでだ……?」

あずさ「なんだか、そんな気がしたんです」

あずさ「私は死なないって……」

あずさ(………スーさんのおかげかしら?)

真美「はぁ〜……」

真美「よかったぁ……」

P「とにかく、亜美のところへ戻ろう」



462: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 16:13:47.02 ID:Nzc07hE6O

亜美「……死の宣告がきかなかった?」

P「そうなんだ。まあ、よかったんだけどさ」

P「死の宣告って、逃れる事はできないんだと思ってたんだが……」

亜美「う〜む……こりゃあ、あずさお姉ちゃんがゾンビになっちゃった可能性も出てきましたなぁ」

P「ゾンビって……そんなバカな」

亜美「兄ちゃん、忘れたの?」

亜美「ゾンビには、即死魔法とかきかないんだよ?」

P「そういやそうだったなぁ」

P「でも、それだけじゃ……」

亜美「あずさお姉ちゃんに回復魔法は使わない方がいいかもね」

P「いや、まだあずささんがゾンビになったと決まったわけじゃ……」





真美「あ、あずさお姉ちゃん、ケガしてるじゃん!」

あずさ「あら、本当ね」

真美「真美が治してあげるよ」

真美「ケアル!」


シャララーン!キラキラ…


……ボロッ


真美「…………えっ!?」

あずさ「あらあら、腕が取れちゃったわ」

あずさ「……よいしょっと」ガシッ

あずさ「うふっ、くっついたわ」ニコッ


真美「」

亜美「」

P「」



P(…………まあ、死ぬよりマシ……なのか?)




465: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 21:17:22.97 ID:Nzc07hE6O
ドワーフ城 城門

春香「あのー……」

ドワーフ兵士1「ラリホー!」

春香「えっ?」

春香「ら、らり……?」

ドワーフ兵士2「ラリホー!」

春香「は、はぁ……」

真「英語かな……?それに、すごく日に焼けてる人達だね」

美希「きっと、外人さんなの」


ドワーフ兵士1「ラリホーーッ!」

春香「わっ!」

春香「ど、どうすればいいのかな……?」

千早「まさか、言葉が通じないとか?」

真「英語は難しいからなぁ……」

春香「こんな事なら、もっと勉強しておけば良かったよ……」

美希「……あふぅ」



ドワーフ兵士2「……あんたら、もしかして上の世界から来たのかー?」

春香「あ、そ、そうです!」

ドワーフ兵士2「そうかー!こりゃー珍しいー!」

ドワーフ兵士1「ここは、ジオット王が治めるドワーフの城ー!」

春香「あれ?普通にしゃべってる?」

真「外人さんじゃない?」

ドワーフ兵士2「『ラリホー』はドワーフの挨拶ー!覚えておくといいー!」

真「英語じゃなかったね」ヒソヒソ

春香「そうみたいだね」ヒソヒソ



466: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 21:21:17.46 ID:Nzc07hE6O

春香「どうしようか。とりあえず、王様に会ってみる?」

千早「そうね。地底のクリスタルの事を聞いてみないと」

ドワーフ兵士1「残念ー!ジオット王は、まだ帰って来てないー!」

春香「あ、そうなんですか」

ドワーフ兵士2「東の方に、怪しいやつらが現れたー!王様、戦車隊を引き連れて様子を見に行ったー!」

真「え?じゃあ、さっきの戦車って……」

春香「ドワーフの王様が乗ってたんだね」

千早「無事だといいけど……」

ドワーフ兵士2「心配ないー!ドワーフ戦車隊、強いー!」

ドワーフ兵士1「お前達、王様に用事かー?」

春香「あ、はい」

ドワーフ兵士1「だったら、城の待合室で待つー!王様が戻って来たらお前達呼びに行くー!」

春香「わかりました。ありがとうございます!」ペコリ

美希「あふぅ……やっと寝れるのー」


スタスタ…




ドワーフ兵士1「……あれ?今の人達の中に、王女がいなかったラリか?」

ドワーフ兵士2「王女はドワーフじゃないから、上の世界から来た人間に混じって目くらまししてるのかもしれないラリ」

ドワーフ兵士2「きっとまた、部屋を抜け出しただけラリ」

ドワーフ兵士2「さ、仕事仕事……」



467: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 21:29:44.61 ID:Nzc07hE6O
ドワーフ城 待合室

美希「わぁい!ベッドなのー!」バフッ

美希「フカフカなの〜」ゴロゴロ


春香「美希、あんまり時間ないよ?」

美希「わかってるの……あふぅ……」バタッ

美希「……zzz」



真「はー、疲れたね!」

千早「ええ。なんとか無事に地底へ着けたわね」

春香「響ちゃん、大丈夫かなぁ……」

千早「大丈夫よ、きっと……」

真「そうだよ!」

春香「うん……」

真「あ……」

真「……ボク、ちょっとお花摘んで来る」

スタスタ…

春香「行ってらっしゃーい」



千早「それにしても、黒人ばかりなのね」

春香「そうだね。太陽もないのに、不思議だねぇ……」

千早「我那覇さんがいたら、違和感なさそうね」

春香「ふふ、確かにそうかも」



「あーっ!こんなところにいたんですね!」




468: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 21:33:41.06 ID:Nzc07hE6O

春香「ん?」クルッ

ドワーフ女中1「まったく、困りますよ!」ガシッ

春香「え?ちょっ……」

ドワーフ女中2「さ、戻ってお勉強の続きです」ガシッ

春香「べ、勉強って……え?」ズルズル

千早「あ、あの!人違いじゃないですか?」

ドワーフ女中1「いいえ、わかってるんですよ。いつもの事ですから」

千早「いつもの事って……?」

ドワーフ女中2「ああ、あなた達にも迷惑かけてしまいましたね」

ドワーフ女中1「お友達と遊ぶのもいいですけど、お勉強が終わってからにしてくださいね?」

春香「えっ?えっ?何?なんで?」ズルズル

千早「あ、ちょっと……!」


スタスタ…


千早「……」

千早(なんだかよくわからないうちに、春香が連れて行かれてしまった)

千早(追いかけたいけど……)

千早(知らない土地で闇雲に動くのは、得策じゃないわね)

千早「……」チラ

美希「……zzz」

千早(美希は寝てしまっているし、下手にバラバラに行動するより、今は動かない方がいい)

千早(真が戻って来るのを待って、美希を起こして……)

千早(それから、春香を探しましょう)





469: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 21:42:01.68 ID:Nzc07hE6O
ドワーフの城 王女の部屋

ドワーフ女中2「さあ、お勉強の続きですよ、王女」

春香「お、王女?私が……?」

ドワーフ女中1「はいはい、今度は記憶喪失だとでも言うつもりですか?」

ドワーフ女中1「もうその手には乗りませんからね!」

春香「あ、いや、そういう事じゃなくて……」

ドワーフ女中2「王女も、そろそろ自覚を持ってください」

ドワーフ女中2「あなたは、いずれこの国を背負うお方なんですから」

春香「だ、だから、話を聞いて……」

ドワーフ女中1「いつまでもダダをこねてると、亡き母上に笑われてしまいますよ?」

春香「え……?亡き母上……?」

ドワーフ女中2「……それでは私達は、部屋の外にいますから、何かあったら言ってください」

ドワーフ女中1「もう逃げちゃダメですよ?」


スタスタ…



春香「……行っちゃった」

春香「……」

春香(王女様に間違われちゃったみたいだね、私)

春香(なんだか話を聞いてもらえないし……)

春香(どうしよう……みんな、心配してるかな……)

春香(無理矢理逃げるって手もあるけど……)

春香(そんな事したら、本物の王女様が大変だよね)

春香(とりあえず、勉強するフリでもしてよ)

春香(きっと、千早ちゃん達がなんとかしてくれるよね?)


春香「さて、勉強勉強……」ペラッ

春香「……」

春香「……うん。全然わからないや」




470: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 21:48:54.04 ID:Nzc07hE6O
ドワーフの城 通路

??「……困ったなぁ」

??「どこに行っちゃったんだろう?」

??「人形が勝手に歩き出すわけないし……」



真「……あれ?」

真「春香じゃないか。こんなとこで何してるのさ?」



??「えっ?」クルッ

??「あ……」

??(か、カッコいい……///)

真「ほら、みんなのところに戻ろうよ」

??「は、はい……あなたについて行きます……」ボー

真「どうしたの?なんかいつもの春香らしくないよ?」

??「あ、私はハルカじゃなくて、ル……」

??「……」

??(ハルカさん……かぁ。私と名前が似てる)

??(ハルカさん、ごめんね?少しの間、名前を借ります)

??「あの……やっぱり、なんでもないです」

真「?」

真「変なの。さ、行くよ!」グイッ

??「あっ……///」






471: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 21:55:06.06 ID:Nzc07hE6O
ドワーフ城 待合室

ガチャ…


真「ただいまー!」

千早「お帰りなさい」

千早「あら……春香?」


??「ご、ごきげんよう……」ペコリ


千早「良かった……!」

千早「春香をあの人達から取り戻してくれたのね?」

真「取り戻すって?春香とは、今そこの廊下で会ったんだけど」

千早「え……?」

千早「でも、春香はさっき、女性2人組に連れて行かれたばかりなんだけど……」

??「!」

真「うん?そんな人達、いなかったよ?」

千早(おかしい……さっき起こったばかりの事なのに、会話がかみ合わない……)

千早(それに、春香の様子も変だし……)

千早(少し、様子を見ましょうか)

千早「春香も真も、座ったら?」

真「うん」スッ

??「失礼しまーす……」スッ

千早「……」


千早「……ところで春香」

??「……」

千早「……春香?」

??「あ、は、はい?」

??(……いけない。今は『ハルカ』さんなんだった)

千早「どうしたの?ぼーっとして」

??「あ、えっと……」

真「そうなんだよ。ボクが見つけた時から、様子がおかしいんだよね」

千早「疲れてしまったのかしらね?」

??「あ……そ、そうです!私、ちょっと疲れちゃって……」

??(とりあえず、話を合わせないと……)

千早「……そう。なら、話は後にした方がいいわね」

??「ホッ……」

千早「……」



美希「…………ハニー、そのおにぎりは呪われてるのっ!」ガバッ


??「ひっ!」ビクッ



472: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 22:01:47.29 ID:Nzc07hE6O

千早「美希、おはよう」

美希「……あふぅ」

美希「みんな、おはようなの」

真「呪われたおにぎりって、なんなのさ……」

千早「……すごく、気になるわ」

美希「んー…………忘れちゃったの」



??(このステキな方は、2人も奥さんがいるんだね……)

??(どっちかが正妻なのかな?)

??(ちょっといいなって思ったけど、側室はやだなぁ……)



美希「あれ?春香……」

??「あっ、は、はい?」

美希「……その首飾り、どうしたの?」

千早「そういえば……見た事ないわね」

真「春香、そんなの付けてたっけ?」

??「あ、これは……」

美希「ねえねえ、どこで買ったの?」

??「いや、買ったんじゃなくて……」

美希「なんだか大人っぽくていい感じなの!」

美希「ちょっとだけ、ミキにも付けさせて?」スッ


??「ダメッ!」ドンッ




473: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 22:06:15.79 ID:Nzc07hE6O

美希「そ、そんなに怒る事ないの……」

美希「春香、何か変だよ?」

真「ホントにどうしたの?」

??「あ……ご、ごめんなさい!」ペコリ

??「でも、これだけは……!」ギュッ

??「亡くなったお母様の、大切な形見なの!」

千早「!」

千早(亡くなった、家族の……?)

真「え?春香のお母さん、生きてるでしょ?」

美希「電話してるとこだって、何回も見た事あるよ?」

??「……」

??(もう、無理だね……)



??「……ごめんなさいっ!」ペコリ



真「こ、今度は何?」

??「……ホントの事を言うね?」

??「私の名前は『ルカ』」

ルカ「このドワーフの国の、王女なんだ」

千早「王女……?」

美希「……なんかおかしいと思ったの」

真「あれ?じゃあ、春香は……?」

千早「……もしかして、さっき来た女性は、あなたを連れて行くつもりだったのでは?」

ルカ「……うん。たぶん、そうだと思う」

真「だったら、早く連れ戻しに行かなきゃ!」

千早「待って、真」

千早「あの、ルカ……さん?さっきの女性達の会話の内容から察すると……」

千早「あなたは、あの女性達から逃げていたのね?」

ルカ「……」



474: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 22:08:44.72 ID:Nzc07hE6O

ルカ「…………あなたの言う通りだよ」

千早「あなたの代わりに、私達の仲間が連れて行かれてしまったわ」

ルカ「それは………ごめんなさい」

千早「すぐにでも、連れ戻したいのだけれど」

ルカ「……」

ルカ「すごく自分勝手だって、わかってるけど……」

ルカ「もう少しだけ、待ってもらえないかな?」

ルカ「私には、まだやる事が……」

千早「……」

千早「……どうする?」

真「リーダーは、今はいないしなぁ……」

美希「まったく、間の悪いリーダーなの」

千早「2人とも……私、この人をほっとけないわ」

千早(境遇が、似てるから)

美希「あはっ!千早さん、まるで春香みたいな事言うの」

真「まあ、いいんじゃないかな?」

真「春香だって、王女の代わりになってるなら、とりあえず危険はなさそうだし」

千早「2人とも、ありがとう」



千早「ルカさん」

千早「あなたの話を、聞かせてもらえないかしら?」

ルカ「えっ……?い、いいの……?」

千早「ええ。何か力になれればいいけど」

ルカ「ありがとう!」




475: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 22:11:14.61 ID:Nzc07hE6O
ドワーフ城 王女の部屋

春香「ふーむ……」キョロキョロ

春香「見れば見るほど、すごい部屋だなぁ……」

春香「ダンススタジオぐらい広いし……」

春香「ベッドも、10人ぐらい寝れそうだし……」

春香「家具とか置いてあるものは、よくわからないものもあるけど……」

春香「きっとどれも高級なんだろうなぁ」



春香「……ん?」チラ

春香「あの絵……」

春香「すごく優しそうな女の人……」

春香「あっ、もしかして、この人が王女様のお母さんかなぁ?」

春香(そういえば王女様、お母さんを亡くしちゃったんだっけ……)


コンコンッ


春香「あ、はーい!」


ガチャ…


ドワーフ女中2「王女、ジオット王がお戻りになられました」

春香「王様……」

春香(って事は、王女様のお父さんだよね)

ドワーフ女中2「王女にお会いになられるそうです。お呼びしますね?」

春香「は、はい!」ドキドキ

春香(どんな人かな……?)



ガチャ…


ジオット「ほう、珍しいな」

ジオット「お前が真面目に勉強しているとは……」




476: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 22:14:06.46 ID:Nzc07hE6O

春香「あ、あの!初めましてっ!」ペコリ

ジオット「……何を寝ぼけている?親の顔を忘れたというのか?」

春香「あっ……」

春香(そうだ、私は今王女様なんだった……)

ジオット「それとも、私への当て付けか?」

春香「そ、そんな事は……」

ジオット「……まあいい」

ジオット「勉強を投げ出して、あやつの墓参りなどをしている様だが……」

ジオット「何度も言っているが、王妃の事はもう忘れるのだ」

春香「え……?」

ジオット「お前は将来、この国を治める事になる」

ジオット「死んだ者にいつまでも囚われていては、前へ進めぬ」

ジオット「ルカよ。お前はこの国の未来だけを見ていればよい」

ジオット「その為に、たくさん勉強させているのだからな」

ジオット「あの人形は、お前が絶対に見つけられないところに隠した」

春香(人形……?)

ジオット「今後はもう、墓参りも禁止だ。よいな?」

春香「……」

春香(王女様、可哀想……)



ジオット「……そういえば、何やら私に会いたいという者達がおるそうだ」

春香(あ……忘れてたけど、そういえば、そういう予定だったね)

ジオット「お前も一緒に来い」

春香「は、はい!」

ジオット「心配するな。私の隣に座っているだけでよいのだから」

ジオット「用意が出来たら、謁見の間に来るのだぞ?」


スタスタ…

ガチャ…バタン



春香(厳しそうな人だなぁ……)

春香(王女様、お母さんの事が忘れられないんだね)

春香(……)



477: ◆bjtPFp8neU 2014/11/09(日) 22:15:46.43 ID:Nzc07hE6O
ドワーフ城 待合室

ルカ「私、お人形を探してるんだ。お母様の形見の、大切な……」

千早「……」

千早「それで、勉強を投げ出して部屋を出て来た……と」

ルカ「うん」

ルカ「あとね、お父様はダメだって怒るんだけど、お母様の墓参りもしたいんだ……」

真「そっか……でも墓参りって普通、家族みんなで行くよね?」

ルカ「お母様が亡くなられてから、お父様は変わっちゃった……」

ルカ「『死んだ者の事は忘れろ』だなんて、私に言うの……」

千早(死んだ者の事は、忘れろ……)

ルカ「私はそんなの、絶対に嫌だから……」

ルカ「こうやってちょくちょく抜け出して、お母様の墓参りに行ってるんだよ」

千早「……」

真「話はなんとなくわかったよ」

真「じゃあ、君の人形を一緒に探して……」

美希「待って、真クン」

美希「ミキ達、これから王様に会うんじゃなかったっけ?」

真「あ……そうだった」

ルカ「お父様に……?」

千早「ええ。私達にもいろいろあってね」



ガチャ…



ドワーフ兵士1「お前達ー!王様お戻りになられたー!今から謁見の間に行くといいー!」


千早「さすがに、王様を待たせるわけにはいかないわね……」

真「でも、ルカが……」

ルカ「…………」

ルカ「私も、一緒に行きます!」

ルカ「お父様と、ちゃんと話をしなきゃ……!」

千早「わかったわ。じゃあ、一緒に行きましょう」



479: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:16:49.35 ID:rOTNbUCvO
ドワーフ城 謁見の間

千早「春香……!」

真「こうして見ると、ホントそっくりだなぁ……!」

美希「雪歩と雪歩2号を思い出すの」

春香「……」

春香(私に、そっくりだ……)

ルカ「……」

ルカ(まさか、顔まで似てるなんて……)




ジオット「これは……!いったいどういう事だ!?」

ジオット「ルカが……2人?」



ルカ「……お父様」

ジオット「そ、そなたが本物か?」

ルカ「はい。あなたの娘、ルカにございます」

ジオット「ならば……」チラ

春香「あっ……嫌な予感……」

ジオット「お前は、何者だ!?」

ジオット「娘になりすまし、何を企む!?」チャキッ

春香「ちょ、ちょっと待って……!」

ルカ「おやめくださいお父様!その者は、私の友人です!」

春香「王女様……?」

ルカ「訳あって、私の代わりをしてもらっていました」

ジオット「何?……なぜ、そのような事を?」

ジオット「まさかお前、またあいつの墓に……?」

ルカ「いけませんか?」

ジオット「ならんと言っているだろう!」ダンッ



480: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:18:54.55 ID:rOTNbUCvO
ルカ「なぜですか!?この世でたったひとりの母の墓参りが、なぜいけないのですかっ!?」



千早「……」

真「なんでボク達、親子喧嘩に立ち会ってるのかなぁ……」

美希「まったく、いい迷惑なの」



ジオット「何度も言っているが、お前は将来、この国を背負わなければならん。たったひとりの人間の死に囚われていては、この国の大勢の民を守る事などできんっ!」

ルカ「ならば……!」

ルカ「ならば私は、王位などいりません!」

ルカ「家族の絆を捨ててまで……この国を背負う事などできません!」

千早(家族の、絆……)

ジオット「なんだとっ!」ダンッ



春香「ま、まあまあ……落ち着いてください」

ジオット「黙れっ、ニセモノがっ!」

春香「ひっ!」ビクッ

春香(ニセモノ………ちょっとショックだなぁ……)



千早「待ってください!」

ジオット「……何だ?そなたらには、関係ない事だ!」

真(じゃあ、なんでボク達の目の前でケンカするんだよ〜!)

美希(ミキ、この王様偉そうだから好きじゃないの)

千早「あの……ルカさんの気持ちも、わかってあげられませんか?」

ジオット「王妃は死んだ!それを忘れろと言っているだけだ!たったそれだけの事が、なぜできぬ!?」

ルカ「そ、そんな……!」


千早「それ、だけ……?」ゴゴゴゴ…



481: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:23:18.03 ID:rOTNbUCvO

千早「家族って……その程度のものなんですか?」ゴゴゴゴ…

千早「血のつながりって……そんなにも脆いものなんですか?」ゴゴゴゴ…

ルカ「チハヤさん……?」

ジオット「な、なんだお前?急に殺気が……」



春香「ち、千早ちゃん……」

真「……ヤバくない?」

美希「うん。千早さん……マジなの」



千早「子供にとって、母親がどれだけ大切か、わからないわけではないですよね?」ゴゴゴゴ…

ジオット「そ、そんな事はわかって……」

千早「わかっているなら、なぜお墓参りをやめさせるんですか?」ゴゴゴゴ…

春香「ち、千早ちゃん、落ち着いて!」

千早「ひとりの人間の死に囚われていては、大勢の民を守れない……?」ゴゴゴゴ…

千早「私に言わせれば、ひとりの人間の死も蔑ろにするような人間に、他の人間を守るなんてできないと思うんですが?」チャキッ

ジオット「や、やめろ!お前、わかっているのか?そんな事したら……!」

千早「家族を大切にできない人なんて……っ!」ジリッ



春香「……千早ちゃんっ、ダメッ!」ダキッ


千早「……はっ!」

千早「は、春香?わ、私……!」

春香「……千早ちゃん、急に王様に槍を向けるんだもん。ビックリしちゃったよ……!」

千早「ごめんなさい。ちょっと頭に血が上ってしまったみたい……」


真「……今の、危なかったね」

美希「ミキ達、お尋ね者になるとこだったの」



482: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:26:20.99 ID:rOTNbUCvO

ジオット「なんてやつだ、まったく……」

ジオット「ルカよ、お前の友人はこんな凶暴なやつばかりなのか?」

ルカ「お父様!この方は、私のためを思って……」

ジオット「……」

ジオット「……わかっておる!」

ルカ「え……?」

ジオット「わかっておるのだ、本当は……」

ジオット「ルカよ……お前はまだ16歳。まだまだ母親の温もりが必要よな?」

ルカ「そ、その様な事は……///」

ジオット「どう癒せばよいか、わからなかったのだ。母親を失ったお前の悲しみを……」

春香「王様……」

ジオット「だから、お前が悲しみを早く忘れるように、部屋で勉強漬けにした」

ジオット「母親の事を忘れれば、悲しみも忘れるだろうと思い、墓参りも禁止にした」

ジオット「しかし……どうやらそれは間違っていたみたいだな」

ジオット「もう少し、お前とちゃんと話をするべきだった……」

ルカ「お、お父…様……っ!」ウルッ

ジオット「そなたのおかげで気づく事ができた。礼を言う」ペコリ

千早「いえ……」

千早「こちらこそ、無礼な物言いをしてしまって、すみませんでした」ペコリ

千早(つい……熱くなってしまった)

千早(私にこんな事言う資格なんて、無いはずなのに……)




483: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:31:02.91 ID:rOTNbUCvO

ジオット「……見苦しいところを見せてしまったな」

ルカ「皆さんには、大変ご迷惑をおかけしてしまいました……」

ルカ「……深くお詫び致します」ペコリ

春香「そ、そんな、頭を上げてください」

真「なんかルカのキャラ、変わってない?」

千早「今のルカさんは王女だもの。砕けた話し方はできないわよ」

真「……なるほど」

美希「……あふぅ」



ジオット「……それで?そなたらはいったいどのような用でここに?」

ジオット「見たところドワーフではないな。上の世界から来たのか?」

春香「はい」

春香「あの、私達、クリスタルを探しているんですけど……」

ジオット「ほう、クリスタルか」

ジオット「もしやそなたら、東の大穴から来たのか?」

春香「はい、そうです」

ジオット「そういえば、1隻だけ戦闘意思のない船がいたが……それがそなた達だったのだな」

ジオット「危うく我々も撃ち落とすところだった」



484: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:33:33.24 ID:rOTNbUCvO


千早「あの、地底のクリスタルは無事なんですか?」

ジオット「残念ながら……4つの内2つは、あの者達の手に渡ってしまった」

真「さすが律子……じゃなくて小鳥さんか。手が早いなぁ」

ジオット「しかし、このドワーフ城のクリスタルは無事だ。我々戦車隊が追い返したからな」

春香「飛空艇と撃ち合っていた戦車ですか」

ジオット「ほう、あの空飛ぶ船は飛空艇と申すのか。上の世界には、あの様なものがあるとはな……」

ジオット「我が国自慢の戦車隊も、空から攻撃されては少々苦しい……」

ジオット「……そうだ。そなた達の飛空艇とやらで、援護してはくれぬか?」

ジオット「実は今、敵の本拠地であるバブイルの塔に攻撃を仕掛けているのだが、ちと劣勢でな」

春香「あ……それが……」

千早「私達の飛空艇では、地底世界を飛ぶ事ができないようなので……」

千早「仲間に、強化を頼みました」

千早「今は、ここにはありません」

ジオット「む、そうであったか」

春香「あの、王様……」

春香「このお城のクリスタルは、どこにあるんですか?」

ジオット「ふっふっふ……」

ジオット「何を隠そう、この玉座の裏の、隠し部屋にある!」

ジオット「ここならば、私の目の黒い内は安全というわけだ」

春香「なるほど……」


真「!」

真「……みんな、静かに!」

春香「どうしたの?真……」

真「誰かが、盗み聞きしてる……!」

ジオット「何……!?」

真「この先から、気配を感じる!」スッ

ジオット「わかった、今開ける!」カチッ


ズズズ…



485: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:36:41.62 ID:rOTNbUCvO
バブイルの塔 B13F

伊織「はぁ……」トボトボ

伊織(どんだけ階段降りたと思ってんのよ……)

伊織(いい加減、地底とやらに着いてもいい頃よね……)

伊織(……もう何時間、いえ、何日も歩きっぱなしで、いい加減疲れたわ……)

伊織(お腹空いた……)

伊織(ジイのバカ……食べ物を現地調達なんて、無理があるわよ……)

伊織(あー……なんかもう、怒る気力もなくなってきたわ……)



伊織「……ん?」チラ



伊織「扉……?」

伊織「……」

伊織「もし、これが出口じゃなかったら……」

伊織「……」

伊織「…………ううん」ブンブン

伊織「ダメよ、弱気になっちゃ」

伊織「今度こそ、出口のはずよ!」

伊織「………………よしっ!」グッ

伊織「……」スッ



ギィ……



……ドゴォン!…ドカァン!



伊織「えっ!?」

伊織「な、何!?」



486: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:39:27.14 ID:rOTNbUCvO
地底世界 バブイルの塔入口

ドドドド…

…ズガァン!…ドォォン!



伊織「な、なんなのよこれは!」

伊織「やっと外に出たと思ったら……」

伊織「なんでいきなり戦車やら大砲やらがドンドコやってるのよっ!」


ヒュー…


伊織「!」

伊織「きゃぁぁぁっ!」ダッ


…ドゴォン!


伊織「はぁ、はぁ……!」

伊織「……じょ、冗談じゃないわ!」

伊織「せっかく苦労してここまで来たのに、やられてたまるかっての!」


ドゴォン!ダダダダ…

ヒュー…ドカァン!



伊織「…………上等じゃない」

伊織「絶対、絶対、ぜーったいに生き抜いてやるんだからっ!」

伊織「スーパー忍者アイドル伊織ちゃんの底力、見せてやるわっ!」ビシッ


伊織「うあああああああっ!」ダッ


タタタタ…



ヒュー…ドカァン!

ドドドド…ドゴォン!



………



……




487: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:42:46.54 ID:rOTNbUCvO
地底世界 岩山

伊織「はぁ、はぁ……!」ヨロッ

伊織「な、なんとか……」

伊織「抜けた……」

ズルッ…

伊織「あっ……!」ヨロッ

ドテッ

伊織「ぐっ……!」

伊織(身体に……力が、入らない……)

伊織(こんな……ところ……で……)

伊織(ダメ……っ!)



伊織(あ……頭が、ボーっと……して……)

伊織(い……し…き……が……)

伊織(……こん…なの……いや……よ……)

伊織(…………や……よ……い……)



伊織「……」ガクッ




488: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:46:22.00 ID:rOTNbUCvO

…ポタッ



伊織(…………な…に……?)ピクッ



…ポタッ



伊織(……あ…め…………?)



「………………ちゃんっ!」



伊織(………だ…れ………?)



「……………りちゃんっ!」ギュッ



伊織(……あったかい………)



「……も……いじょ…ぶだよっ!」



伊織(あったかくて……眠くなっちゃうじゃない……)



伊織(…………)










やよい「伊織ちゃん…………」

やよい「わたしがぜったいに…………!」



489: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:49:36.80 ID:rOTNbUCvO
ドワーフ城 救護室

伊織「……………やよいっ!」ガバッ



伊織「…………あ…れ?」

伊織「私……?」



ドワーフ兵士「おおー!気がついたかー!」



伊織「ひっ!」ビクッ

伊織「な、なによあんた!」

伊織「あ……」ガクン

ドサッ


ドワーフ兵士「お前、ひどい怪我ー!まだ寝てなきゃダメー!」


伊織「……」

伊織(ここは、どこなの……?)

伊織(助かったの?私……?)

伊織(誰が、私を……?)

伊織(………)

伊織(………………やよい?)

伊織(そんなわけ……ないわよね……)

伊織(…………)

伊織(でも………)

伊織(やよいが助けてくれた夢を見た気がするわ……)







伊織(やよいに、会いたい……っ)ウルッ







490: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 20:55:23.10 ID:rOTNbUCvO
ドワーフ城 クリスタルルーム

春香「まさか、地下にクリスタルルームがあるなんてね……」

真「思い出すなぁ……」

真「ファブール城のクリスタルルームで、律子とタイマン張ったっけ……」


美希「ねえ、真クン。盗み聞きしてた人は、どこにいるの?」

真「えーと……」キョロキョロ

真「……あれ?おかしいなぁ……誰もいない」

真「気配は、するんだけどなぁ……」

千早「……ん?」チラ

千早「あんなところに人形が……」

真「……ホントだ。ルカが探してた人形って、これなんじゃないか?」


スタスタ…



カタ…



真「!」



カタカタ…

カタ……カタカタ…



春香「に、人形が……!」

千早「動いた……?」

美希「なんだかキモいの」

春香「真、気をつけて!」



「キャハハハッ!」




491: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 21:07:57.06 ID:rOTNbUCvO
真「敵かっ!?」サッ



カルコ1「僕らは陽気なカルコブリーナ!」カタカタ

カルコ2「恐くて可愛い人形さっ!」カタカタ

美希「決して可愛くなんかないって思うな」

カルコ3「……ちょっと君!まだセリフの途中なんだから、チャチャ入れないでもらえるかなっ!」カタカタ

美希「……怒られちゃったの」

真「セリフとか、別にどうでもいいよ……」

春香「まあまあ、登場シーンぐらい、ちゃんとやらせてあげようよ」

美希「ぶー」

カルコ3「……いいかな?」カタカタ

春香「あ、どうぞ」

カルコ3「じゃあ、改めて……」カタカタ



カルコ1「僕らは陽気なカルコブリーナ!」カタカタ

カルコ2「恐くて可愛い人形さっ!」カタカタ

春香「なんか、カタカタ音がするのが気になるねぇ……」ヒソヒソ

千早「人形だから、仕方ないと思うわ」ヒソヒソ

カルコ3「……君達!真面目に聞いているのかい!?」

春香「え、えっと……」

真「ボク達、真面目に聞く義理はないと思うんだけど……」

美希(キモい上に、面倒くさい敵なの……)

カルコ3「……君達のせいで、話が進まないじゃないか!」カタカタ

カルコ3「まだブリーナ達だってセリフを言ってないんだからねっ!?」カタカタ

春香「は、はぁ……すみません」




492: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 21:14:22.70 ID:rOTNbUCvO

千早「……」

千早「じゃあ、三番目の人からセリフを言ってはどうかしら?」

真「そうだね。一番と二番はもう聞き飽きたし」

カルコ3「わ、わかったよ……」カタカタ



カルコ3「ばーかめっ!」カタカタ



春香「……」

春香「……えっ?それだけ?」

カルコ3「そ、そうだよ!これがボクのセリフなのっ!」

真「なんだか拍子抜けだなぁ」

美希「……あふぅ」

カルコ3「う、うるさいっ!」カタカタ

ブリーナ1「なあ、もうセリフなんていいよ……」カタカタ

ブリーナ2「うん。なんかグダグダになっちゃったしなぁ」カタカタ

カルコ3「で、でも、せっかく練習したのに!」カタカタ

ブリーナ3「張り切ってたのは、お前だけだろ?」カタカタ

春香「今度はケンカ始めちゃったよ」

真「あんまり仲良くないみたいだね」

千早「……よくわからないけれど、私達にも非はあるんじゃないかしら」

春香「そうなのかなぁ?」




493: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 21:22:33.21 ID:rOTNbUCvO

千早「あの」

カルコ3「なんだよ!」カタカタ

千早「私達、もう口出ししないから……」

千早「もう一度やってもらえないかしら?」

真「えー、またやるの?」

千早「このままじゃ、先に進まないわ」

真「ん、まあね……」

カルコ3「絶対にしゃべっちゃダメだからね!」カタカタ

千早「わかったわ」

カルコ3「じゃあ……」チラ

カルコ1「あ、うん……」カタカタ



カルコ1「僕らは陽気なカルコブリーナ!」カタカタ

カルコ2「恐くて可愛い人形さっ!」カタカタ

カルコ3「ばーかめっ!」カタカタ

千早「……っ!」プルプル

ブリーナ1「のこのこやって来るからさっ!」カタカタ

春香(ち、千早ちゃん、笑い堪えてる……!)

春香(どうしよう、私までおかしくなってきちゃった……!)

ブリーナ2「君らを倒して、リツコ様の」カタカタ

真(やっぱり、律子の手下かぁ……)

ブリーナ3「手土産にさせてもらうよ!」カタカタ

美希(どーでも良過ぎて、セリフがまったく頭に入ってこないの)



千早「……プッ……くくくっ!」

春香「ち、千早ちゃん……わ、笑ったら、悪いよ……ぷっ!」

真「2人とも、そんなにおかしかった?」

美希「箸が転がってもおかしい年頃なの」



カルコ3「ば、馬鹿にしやがってー!」ダッ



494: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 21:26:27.82 ID:rOTNbUCvO

カルコ3「くらえー!」ブンッ



真「……せいっ!」ブンッ


ドゴォ!グシャ


カルコ3「」


カルコ1「つ、強い……!」カタカタ



千早「……くくっ!」プルプル

春香「ひー!……お、お腹痛い!」ジタバタ



真「……」

真「春香と千早は戦えなそうだね」

真「美希、2人で行くよ!」

美希「えー、ミキもー?」

美希「……真クンだけで充分だって思うな」



カルコ2「スキありー!」ダッ



美希「ミニマム!」


ボンッ


美希「えいっ!」グシャ


カルコ2「」


真「へへ、やるじゃないか!」

美希「だって、キモいんだもん」



カルコ1「こ、こいつら、強いぞ……!」カタカタ

ブリーナ1「こうなったら……!」カタカタ

ブリーナ2「合体するしか……!」カタカタ

ブリーナ3「いくぞっ!」カタカタ




495: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 21:31:11.09 ID:rOTNbUCvO

ガチャッ!ガチャッ!


真「……なんだ?」


ガチャッ!ガチャッ!


美希「……どんどんくっ付いて行くの!」




カルコブリーナ「さあ、これからが本番だからねっ!」



真「うわぁ……でっかくなったなぁ」

美希「大きければいいってものじゃないと思うな」



カルコブリーナ「それっ!」ブンッ


ドゴォォォン!



真「うわっ!」

美希「きゃーなの!」



カルコブリーナ「ふふふ、ぺちゃんこにしてあげるよっ!」



真「あれは、食らったらヤバそうだなぁ……」

真「でも、あんな間抜けなやつらには負けないぞっ!」ダッ



496: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 21:35:18.85 ID:rOTNbUCvO

真「飛燕疾風脚っ!」


ビュンッ…ドゴォ!


カルコブリーナ「ぐっ……!」ミシミシッ


カルコブリーナ「このぉ!」ブンッ


美希「……えいっ!」ヒュンッ


グサッ!


カルコブリーナ「うぎゃああ!目、目があっ!」ジタバタ


真「よし、もう一丁!」グッ


カルコブリーナ「このおっ!」ブンッ


美希「真クン!危ない!」

美希「……プロテス!」


パキーン!


ドガッ!


真「うわっ……!」ジリッ


カルコブリーナ「このまま潰してやるっ!」ググッ


真「…………へへっ!」

真「うおぉぉぉぉ!」グッ


カルコブリーナ「そ、そんな!押し返される……!」ググッ


真「おぉぉぉぉりゃあっ!」グイッ


カルコブリーナ「うわあっ!」ヨロッ




497: ◆bjtPFp8neU 2014/11/12(水) 21:50:29.50 ID:rOTNbUCvO

美希「くらえ、なのっ!」ヒュンッ


ザクッ!


カルコブリーナ「ぎゃああっ!」ヨロッ


美希「真クン、トドメ!」


真「おおおおおっ!」

真「残烈拳!」


ダダダダダダダダダダ…


真「せいっ!」ドゴォ!


カルコブリーナ「…………!」ピクピク


真「…………破っ!」バキッ!


ガラガラ…ドォォォン…


カルコブリーナ「」






真「…………ふぅ」

美希「はー、キモかったの……」



千早「………あら?」

春香「人形さん達は?」



真「2人とも、やっと落ち着いたのか……」

真「もうボク達が倒したよ」

千早「そう……ごめんなさい」

春香「あ、でも……これってルカさんの人形なんだよね……?」

真「仕方ないよ、襲って来たんだし……」

美希「フカコーリョクってやつなの」

春香(正直に話せばわかってもらえるかな……?)


春香「とりあえず、戻ろっか」

春香「クリスタルも無事みたいだし」チラ


キラーン!




498: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 08:38:03.18 ID:yR4DnXuEO

律子「……そういうわけにはいかないわよ?」



春香「……律子さん!」

春香「……じゃないや、小鳥さん、ですよね?」

律子「そっかぁ……もうみんなにバレているのね」

真「小鳥さん……なぜ、こんな事をするんですか?」

律子「それは……みんなのタメに決まっているでしょう?」

春香「みんなのタメ……?」

律子「みんなが楽しめるように、私が頑張っているのよ?」

千早「音無さん。せめて、律子を解放してあげてください」

千早「このままじゃ、律子は……」

真「そうですよ!律子が可哀想です!」

律子「ダメよ。だって、私だけ月でひとりぼっちなんて、さみしすぎるもの」

律子「律子さんには、まだまだ活躍して……」

真「……意外と卑怯者なんですね?小鳥さんって」

律子「えっ……?」

春香「ま、真……」

真「……だってそうでしょう?」

真「さみしいんだかなんだか知りませんけど、月から動けないからって律子を操って悪さして、自分は無傷なんて……」

真「みんな大変な思いしてるっていうのに……」



真「……本当の悪党になっちゃったんですか?小鳥さん」



律子「……」



499: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 08:40:59.24 ID:yR4DnXuEO


真「やるなら、正々堂々とやりましょうよ!」

律子「……」

律子「……わかったわ。真ちゃんの言う事も、一理あるものね」

律子「……正々堂々、戦いましょうか!」

真「じゃあ、まずは律子を解放してあげてください」

律子「そうね……」







律子「…………なんて言うと思った?」ニコッ



4人「!?」



律子「……蛇君、いらっしゃい?」


ニュルリ…


タイダリアサン「はーい……」ニュルニュル


春香「な、何あれ……?」

千早「蛇の魔物……かしら?」

律子「あ、紹介するわね。この子は私の四天王のひとり……」

律子「怠惰のタイダリアサンよ!」

真「……ダジャレ?」

美希「センスないの」

律子「ちょ、ちょっとみんな!一生懸命考えたのにひどくないかしら?」

春香「あ、でも、千早ちゃんにはウケてるみたいですよ?」チラ



千早「……プッ……くくっ!」プルプル



律子「……」



500: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 08:46:58.88 ID:yR4DnXuEO


律子「ま、いいか……」

律子「クリスタルは、もらって行くわね」キラーン!

律子「蛇君、後は任せたわよ?」

タイダリアサン「はいはい……わかりましたよ……」


律子「じゃあみんな、頑張ってねー!」

スタスタ…




春香「行っちゃった……」

真「小鳥さん……」

美希「……あふぅ」

千早「みんな、敵がいるのを忘れないで!」

春香「あ、そうだった!」


タイダリアサン「私も気が進まないんですがね……」

タイダリアサン「コトリ様の命令なんで……すいませんねぇ」

タイダリアサン「とりあえず、パパっと終わらせちゃいますね」


ザァァァァ…


春香「!」

春香「水が、集まってく……!」

春香「……真っ!」

真「うん……バロンで戦ったあの亀の魔物と同じだね……!」

千早「春香、どういう事?」

春香「津波がくるよ!」

千早「津波……?」


タイダリアサン「あ、知ってるんですか……」

タイダリアサン「まあ、そういう事です」


真「そうはさせないぞっ!」ダッ


タタタタ…


真「はぁぁぁぁぁ!」バリッ


タイダリアサン「ん……?」



501: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 08:49:30.91 ID:yR4DnXuEO

真「……雷煌拳!」


ズガガガガガガッ!


タイダリアサン「痛い痛い痛い!」


真「……あれ?」スタッ


タイダリアサン「痛いじゃないですかーもー!」


真「き、効かないのか……?」


タイダリアサン「あー……」

タイダリアサン「よく勘違いされますけど、私、雷が弱点ってわけじゃないんで……」

タイダリアサン(ま、今のは普通に痛かったんですけどね)

タイダリアサン「じゃ、今度はこっちの番ですね」


タイダリアサン「飲まれちゃってください!」

タイダリアサン「タイダるウェーブ!」


ザァァァァァァ…


真「まずい!」

千早「くっ……!」

春香「わわっ!」

美希「やーん!せっかく髪の毛セットしたのにー!」


ザッパァァァァァァァン!






真「ぐっ……!」ヨロッ

真「あ、あれ……?」ガクン

真「ち、力が入らない……?」



502: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 08:52:31.47 ID:yR4DnXuEO


タイダリアサン「そうでしょうねぇ」


真「ど、どういう事だっ!?」


タイダリアサン「タイダるウェーブをまともに受けると……」

タイダリアサン「『脱力』しちゃうんですよー」


真「な、なんだよそれっ!」


タイダリアサン「あなたはまだマシな方だと思いますよー?」

タイダリアサン「……ほら、仲間を見てごらんなさい」


真「……え?」クルッ



春香「はぁ……何もやる気が起きないよぉ……」ズーン

千早「……まあ、なんでもいいですけど」ボソッ

美希「あーん、びしょびしょなの……」


真「……」


タイダリアサン「どうです?恐ろしいでしょ?」


真「う、うん……確かに……」

真(美希はいつもと変わらない気もするけど……)


タイダリアサン「あなたもそのうち、仲間と同じように無気力になると思いますから、心配しないでください」


真「く……!」



美希「ねえ春香、ゴム持ってない?」

美希「髪の毛がうっとおしいから縛りたいの」

春香「はぁ……美希にゴムを渡す気力もないよ……」

美希「もー、なんでいじけてるの?」スッ

美希「借りるね!」

美希「よいしょっと……」ギュッ



503: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 08:55:58.42 ID:yR4DnXuEO

真「あ…れ……?な、なんだ……?」

真「なんか、何もかも面倒になってきた……」

真「どうせ、ボクなんか……」イジイジ



タイダリアサン「堕ちましたねー……」

タイダリアサン「さて、めんどくさいけど、トドメを刺しちゃいますか」


ヒュンッ…ザクッ!


タイダリアサン「痛っ!」

タイダリアサン「だ、誰ですか?」



美希「せっかくセットしたのにぃ……!」

美希「ミキ、怒ったの!」



タイダリアサン「あれ?タイダるウェーブが効いてない……?」

タイダリアサン「そ、そんな事、あるはず……」


美希「春香も千早さんも……真クンまで、そんなになっちゃうなんて……」

美希「みんな、もっとやる気を出して欲しいって思うな!」プンスカ

真「どうせ……ボクなんか……」イジイジ

春香「はぁ……言い返す気力もないよ……」ズーン

千早「……まあ、なんでもいいですけど」ボソッ



504: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 08:59:48.60 ID:yR4DnXuEO


タイダリアサン「面倒な事になっちゃったなぁ……」



美希「……魔物まで、やる気ないの」

美希「うーん、じゃあ……」

美希「このままどっか行ってくれれば、見逃してあげてもいーよ?」

タイダリアサン「まあ、そうしたいところなんですけど……」

タイダリアサン「一応命令なんで、もう少し時間稼ぎさせてもらいますね?」

タイダリアサン「それっ!」


ブォンッ!


美希「きゃっ!」ヒョイッ


美希「……このっ!」ギリッ


ヒュンッ…ザクッ!


タイダリアサン「痛いっ!」

タイダリアサン「……うっとおしいなぁもう」

タイダリアサン「ブレイズ!」


ゴオオォォォォォ!


美希「あちちっ!」ヨロッ

美希「ケアルラ!」


シャララーン!キラキラ…


タイダリアサン「うーん……埒が明かない……」

タイダリアサン「じゃあ、これならどうです?」


ビュンビュンビュン…

ドゴォ!バキッ!



美希「いやぁ!なんかクネクネ動いてるの!」

美希「あ、あんなの、避けられるわけないって思うな!」



ラムウ「……裁きの雷!」


バリバリッ…ズガガガガーーン!




505: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 09:14:55.53 ID:yR4DnXuEO


タイダリアサン「ぎゃあああ!」ビリビリ

タイダリアサン「な、なんですか?いったい誰が……?」





やよい「うっうーーー!」

やよい「みなさんは、わたしが守りましゅっ!」



千早「……まあ、どうでもい…………えっ?」キュンッ


やよい「あっ………///」


美希「やよい!?」

美希(今、やよい噛んだよね?)

やよい「美希さん!だいじょーぶですかっ?」

やよい(かんじゃった事、ばれてないといいかなーって)

美希「うん!助かったの!」


千早「た、高槻さんっ!」


やよい「千早さんっ!おひさしぶりですっ!」

美希「あれ?千早さんが元に戻ったの!」

千早「ええ……高槻さん(が噛んだ)おかげよ」ニコッ

やよい「えへへ、よかったですー!」



タイダリアサン「……」

タイダリアサン(あの召喚士、ちょっと厄介だなぁ……)








やよい「まものさんっ!」

やよい「こんな事しちゃ、めっ!ですよっ!」


タイダリアサン「……」




506: ◆bjtPFp8neU 2014/11/15(土) 09:19:11.38 ID:yR4DnXuEO

美希「3人でやっつけるの!」

やよい「はいっ!」

千早「もう、油断はしないわ」チャキッ




タイダリアサン「あのー……」

やよい「はい、なんですか?」

タイダリアサン「ちょっと3人を相手にするのはさすがに面倒なんで……」

タイダリアサン「私、これで失礼しますね?」

やよい「そうなんですかぁ……」

やよい「わかりましたー!」

美希「んー……まあ、いっか」

千早「えっ?」

千早「……まあ、2人がいいならいいけれど……」




やよい「じゃあ、さようならー!」

美希「小鳥によろしくなのー!」

千早(本当に行かせていいのかしら……?)



タイダリアサン「はーい、さようならー」


ニュルニュル…






やよい「あの、美希さん。小鳥さんによろしくって……?」

美希「えっと……まあ、話せば長くなるの」

やよい「そうですかー」

やよい「とりあえず、春香さんと真さんをどうにかしないとですね!」

千早「そうね」

美希「……あふぅ」




508: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:03:11.55 ID:QwbzxRrkO


真「いやぁ、不覚だったよ……」

真「ごめん!」

やよい「そんな、あやまらないでくださいっ!」

美希「そうだよ真クン。まったく活躍しなかった人達もいるんだから……」チラ

春香「うぅ……」

千早「……ごめんなさい」

やよい「いえ……みなさんがぶじで、ほんとーに良かったですー!」

春香「やよい……!」

千早「高槻さん……!」



春香「でもやよい、よくここがわかったね?」

やよい「あ、それは……はいほーの人が教えてくれたんですよ!」

真「はいほーの人?」

春香「らりほーじゃなくて?」

やよい「はい!はいほーの人が、どわーふのお城に行けばみなさんに会えるって!」

美希「ひとりでこんなところまで来るなんて、やよいも成長したの」

やよい「あっ、わたし、ひとりじゃないですよ?」


やよい「伊織ちゃんも、いっしょです!」


春香「!」

真「えっ、伊織も……!?」

千早「水瀬さん……」

美希「デコちゃん、どこにいるの?」

やよい「それが……」

やよい「すっごいケガしてたんで、ちょっと休んでもらってます」

春香「そっか……」

春香(伊織……大丈夫かな……?)

春香(これで、あと会ってないのは貴音さんだけか……)

春香(どこにいるんだろう……?)




509: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:05:10.54 ID:QwbzxRrkO

美希「それにしても、びっくりしたの」

美希「ヤバいっ!……って思ったら、急に変なおじいちゃんが現れて、ドカーンって」

美希「あれ、やよいがやったんでしょ?」

やよい「はいっ!らむさんは、わたしのお友達なんですよー!」

千早「その方にも、後でお礼を言わないと」

春香「おじいちゃんがお友達なんて、やよいらしいねぇ」

真(ラムさん……)

真(だっちゃの人かな……?)



春香「そうだ、クリスタルが奪われちゃった事、王様に報告しなきゃ……」

真「……結局、ボク達何の役にも立たなかったね……」

千早「……」

美希「仕方ないの。小鳥が卑怯なんだもん」

やよい「?」



春香「……とにかく、王様のところに戻ろう」

千早「……そうね」

やよい「……じゃあわたしは、伊織ちゃんのところへ行ってますね?」

真「伊織は今どこにいるの?」

やよい「えーっとぉ………きゅーごしつってところにいます!」

春香「救護室か……わかった」

春香「じゃあ、あとで私達も行くから」

やよい「はい!待ってます!」




510: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:08:43.87 ID:QwbzxRrkO
ドワーフ城 救護室

伊織「モグモグ……」

ドワーフ兵士「どうだー!ドワーフの料理、うまいだろー?」

伊織「……ふん。まあまあね」

伊織「でも、この伊織ちゃんの舌を満足させたいなら、この100倍はおいしくないとね!」

ドワーフ兵士「人間、手厳しいー!」



ガチャ…



やよい「伊織ちゃん、ぐあいはどう?」



伊織「!」カランッ

伊織「や……やよい!?」

伊織「な、なんでここに……!?」

やよい「えへへ……このお城にくるとちゅうで、伊織ちゃんを見つけたから……」

やよい「伊織ちゃんに会えて、わたしうれしくなっちゃって……」

やよい「伊織ちゃんもつれてきちゃった!」

やよい「……かってに、ごめんね?」

伊織「な、何言ってるのよっ!」

伊織「私…だって……ヒック……!」



伊織「やよいに……会いたかった……!」ダキッ



やよい「伊織ちゃん……」ギュッ

伊織「やよいぃ……!」ポロポロ

やよい「会えて、よかった……」ナデナデ

伊織「うぅ……グスッ!」ポロポロ



伊織(やよい……助けてくれて、ありがと……)




511: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:17:37.73 ID:QwbzxRrkO

伊織「えっ……春香達も来てるの?」

やよい「うん!春香さんたち、まものさんとたたかってたみたいだよ?」

伊織「ふーん……春香達も、まあまあ頑張ってるみたいね」

伊織「ま、このスーパー忍者アイドル伊織ちゃんがいれば、百人力よね!」

やよい「にんじゃ……?」

伊織「そうよ。私は、この世界では忍者なのよ」

伊織「やよいだって、何かあるでしょ?」

伊織「なんていうか、こう……力?みたいなものが」

やよい「うー……」

やよい「あっ!だれかが、わたしのことを『しょーかんし』って言ってたかも!」

伊織「しょーかんし?聞いた事ないわねぇ……」

伊織「で、やよいはどんな事ができるの?」

やよい「えーっとね……お友達を、よびだせるよ!」

伊織「友達を、呼び出す……?」

伊織「よくわからないけど、助っ人みたいなものかしら?」

やよい「うーん、わたしもよくわからないけど、そうかも」

伊織「やよいの友達か…………ちょっと見てみたいわね」

やよい「みんな、とーってもいい人たちだよ?」ニコッ

伊織「あんたにとっては、大抵のやつがいい人じゃない……」

伊織「……春香達も、何か特別な力を持っているのよね?」

やよい「春香さんはねー、真っ黒だったよ」

伊織「真っ黒……?」

やよい「うん。黒いのが、ばばーん!って」

伊織「意味がわからないわね。で、他は?」

やよい「真さんは、とっても強かった」

伊織「それ、いつも通りじゃない?」

やよい「あ、そうかもー」

やよい「雪歩さんは、穴ほってたかなーって」

伊織「それも、いつもと何も変わらないわね」

やよい「美希さんは、まほうを使ってたよ!」

伊織「魔法……?へぇ、ちょっと見てみたいわね」

伊織(私の忍術みたいなものかしら?)

やよい「あっ、それでね!……プロデューサーは、べろちょろなんだよ!」

伊織「え?……べろちょろって、あの?」

やよい「うん。あのべろちょろだよ!」


伊織(あいつ……何やってんのよ……)



512: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:27:11.00 ID:QwbzxRrkO
ミスリルの村

響「なんだこの村……誰もいないのかー?」キョロキョロ

響「ミスリルがどこで採れるか、聞きたかったんだけどなぁ……」



「………おい!」



響「ん?誰かいるのか?」キョロキョロ

響「…………誰もいないぞ」

響「…………はっ!」

響「ひょ、ひょっとして……オバケ……!?」ブルブル



「こら!オバケ扱いするな!ちゃんと生きてるぞ!」



響「ま、また……!」

響「どこから声が……?」キョロキョロ



「下だよ下!足元を見てみなさい」



響「足元……?」チラ

響「……………あっ!」

小人「やあ、やっと気づいてくれたね」

響「お前……ちっちゃいなぁ!」

響「こんなにちっちゃい人間は、見たことないぞ」

小人「僕は小人さ。君たち人間が大き過ぎるんだよ」

小人「踏み潰さない様、気をつけてくれたまえ」

響「へー、小人かー……お前の他にも、この村には誰かいるのか?」

小人「ああ。カエル君とブタ君がいるよ」

響「普通の人間はいないのか……」

響「でも、カエルやブタにも会ってみたいぞー!」

小人「そうかい?だったら、僕達の家に招待しよう……」

小人「……と、言いたいところだが、おそらく君は、大き過ぎて僕達の家には入れないだろうね」

響「そっか……残念だぞ」

小人「だから、コンサートホールに案内しよう」

響「コンサートホール?」

小人「ああ。この村は、ダンスが盛んでね。コンサートホールはダンスを披露する場所なんだ」

小人「君は大きいけど……あそこならまあ、入れるだろう」

小人「じゃあ、ついて来なさい」

トテトテ…


響(自分が連れて行った方が早い気がするぞー)



513: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:29:02.27 ID:QwbzxRrkO
ミスリルの村 コンサートホール

響「ここがコンサートホールかー」キョロキョロ

響「自分達がいつもライブとかしてるステージの、ミニチュアみたいだなー!」

小人「君たちにとってはそうだろうね」

小人「だが僕達にとっては、5000人を収容できる大施設だ」



カエル「おや……?」

ブタ「あれ……?」

カエル「小人君、お客さんかい?」



小人「やあ、カエル君、ブタ君。こちらは人間の……」

小人「……そうだ、まだ君の名前を聞いてなかったね」

響「自分、我那覇響だぞ!響って呼んでくれよな!」

小人「ヒビキ君か……」

カエル「やあ、初めまして!僕は……」

響「ピョン太!」

カエル「えっ……?」

響「お前の名前は、ピョン太に決めたぞ!」

カエル「あ、いや僕は……」

響「小人のお前は、ミニ助にしよう!」

小人「……」

響「ブタは……ブタ男でどうだ?」

ブタ「あ、あの……」

小人「ヒビキ君、彼女は…………女性だ」

響「えっ?そ、そうだったのか……」

響「知らなかったとはいえ、ごめんなー」

ブタ「あ、いえ……」

響「じゃあ、ブタ美にしよう!」

ブタ「は、はぁ……」

ミニ助「……まあ、あだ名だと思えばいいか」

ピョン太「ネーミングセンスに問題がある気もするけどね……」

ミニ助「ところでヒビキ君。人間の君が、こんな村にいったい何の用で来たんだい?」

響「自分、ミスリルを採りにここに来たんだ!」

ピョン太「ミスリルか……」

ミニ助「ふむ。詳しい話を聞こうか」

響「実は……」



514: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:30:53.74 ID:QwbzxRrkO


ミニ助「なるほど……」

ミニ助「船を強化するためにねぇ……」

響「山に入るのには、許可とか必要なのか?」

ピョン太「いや、そういうのは一切必要ないんだけど……」

ブタ美「……や、山には……つい最近、魔物が現れたの……」

ミニ助「だから、我々も気軽にミスリルを採りに行く事はできなくなってしまってね」

響「ふーん、そうなのか……」

響「だったら、自分に任せろ!」

響「魔物、やっつけて来てやるぞ!」

ミニ助「しかし……君ひとりでは危険では……?」

響「なんくるないさー!これまでだって、魔物とたくさん戦ってきたからな!」

ピョン太「小人君、お願いしてみないかい?」

ミニ助「……わかったよ」

ミニ助「だが、心配だから僕達もついて行こう」

響「一緒に来てくれるのか?それは心強いぞー!」

ピョン太「まあ、よそ者だけに任せるのも、申し訳ないからね」

ブタ美「わ、私も、お手伝いします……」





響「ねえ、つるはしとかは持って行かなくていいの?」

小人「ああ。ミスリルの採掘は、ブタ君に任せればいいよ」

ブタ美「が、頑張ります」

響「そっか。よろしく頼むな!」

響「それじゃ、出発だ!」





515: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:33:51.59 ID:QwbzxRrkO
ミスリル鉱山

スタスタ…


響「こういうところって初めて来たけど……」

響「なんだか暗くてジメジメしてて、雰囲気悪いなー」

ミニ助「鉱山なんて、そういうもんだよ」

ミニ助「洞窟を掘って採掘するんだからね」

ブタ美「あ……そろそろ採掘場に着きます」




「ムシャムシャ……」

「バリッ、モグモグ……」



響「…………あ!何かいるぞ!」

響「亀……かな?何か食べてる」

ブタ美「ヒビキさん、あ、あれが魔物です!気をつけて!」



カイナッツォ「……ん?」

カイナッツォ「お、お前は……!」

響「あれ?自分の事知ってるのか?」

カイナッツォ「バロン城で受けた屈辱、忘れたとは言わせんぞ!」

響「バロン……?」

響「……ああ、思い出した!あの時の亀かー」

響「何か、ずいぶん小さくなっちゃったなぁ」

ミニ助「ヒビキ君、知り合いなのか?」

響「うん。前に自分達がやっつけた魔物なんだけど……」

響「こんなところに逃げてたんだな」

カイナッツォ「ククク……ここで会ったが百年目……!あの時の恨み、晴らしてくれる!」

ピョン太「ヒビキさん、来るよ!」

響「あ、うん……」


カイナッツォ「死ねぇ!」ダッ


ガシッ!


カイナッツォ「ぐっ!は、離せっ!」ジタバタ

響「……」




516: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:36:11.62 ID:QwbzxRrkO

響「あのさ、前よりだいぶ小さくなってるみたいだけど……そんなんで自分に勝てると思ってるの?」

カイナッツォ「う、うるさいっ!早く離せっ!」

響「……」パッ


ドサッ


カイナッツォ「ぐっ……」

響「……」

カイナッツォ「……」

響「……まだ、やる?」

カイナッツォ「……ふ」

カイナッツォ「ふふふ……今日のところは、痛み分けにしておいてやろう」

カイナッツォ「だが、次に会った時が、お前の命日だ!」

カイナッツォ「覚えておけっ!」


ガサガサ…



ミニ助「ヒビキ君、見直したよ!君は強いんだなぁ!」

ピョン太「うんうん、助かったよ!」

ブタ美「ありがとうございます!これで、採掘が続けられます!」

響「う、うん……」

響「自分、たいした事してないけどな」



響「……で、つるはしも無いのに、どうやって掘るの?」

ブタ美「私に、任せてください!」ダッ


┣¨┣¨┣¨┣¨……ドゴォン!


ボロボロッ…ドサッ


響「おおぉ!突進で壁を崩したのかー。すごいぞ!」

響(ブタって言うより、猪みたいだなー。似たようなものだけど)

ブタ美「私……これしか取り柄がないので……」

ミニ助「……さ、みんな。ミスリルを運んでしまおう!」

ピョン太「ヒビキさんは、船の修理に使うんだよね?少し多めに持って行った方がいいな」

響「うん、そうだな!」





517: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:38:38.37 ID:QwbzxRrkO
ミスリルの村 コンサートホール

響「え?ダンスを?」

ミニ助「ああ。魔物を追い払ってくれたお礼に、僕らのダンスを披露しよう」

響「ダンスかぁ。興味あるぞ!」

ピョン太「じゃあ、準備するから、ちょっと待っててくれるかい?」






ミニ助「いぇーい!」

響「い、いぇーい!」

ミニ助「れでぃーす、えーんじぇんとるめーん……」

ピョン太「うぃあー、ミスリルブラザーズ!」

ブタ美「うぃるしょーゆー、すぺしゃるだんす!」

ミニ助「みゅーじっく、かもん!」


響「……」カチッ

響(なんで自分が裏方もしなくちゃならないんだ……?)


テッテレテレテテ……♪


響(なんか、ゆったりした曲だなぁ)

響(これだと、激しい動きで魅せるダンスは難しい……ん?)


ミニ助「はっ!ほっ!」ダッ

ピョン太「よっ!」ピョン

ブタ美「えいっ!」クルンッ



響「わぁ……!曲はゆったりなのに、ずいぶん激しいダンスだなー」

響「……」ウズウズ

響「………やっぱり、自分も踊りたいぞ!」ダッ


テッテレテレテテ……♪


ミニ助「はっ!ほっ!」ダッ

ピョン太「よっ!」ピョン

ブタ美「えいっ!」クルンッ

響「へへっ!」キュッ


テッテレテッテッテー……♪



クルンッ……スタッ



4人「……せんきゅー!」



518: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:40:14.59 ID:QwbzxRrkO
トロイア城 庭園

雪歩「よいしょ、よいしょ……」


ザクッ…ザクッ…


雪歩「もっともっと深く……」


ザクッ…ザクッ…


雪歩「いい土になぁれ……」


ザクッ…ザクッ…



雪歩「……………ふぅ」

雪歩「ちょっと疲れちゃったかも……」

雪歩「休憩しようかな」スッ


コポコポ…


雪歩「ズズ……」

雪歩「はぁ………落ち着く……」




トロア「ユキホ王女ーー!」


タタタタ…


雪歩「あ、トロアさん」

トロア「はぁ、はぁ…………探しましたよ」

トロア「こんなところで何をなさっているのです?」

雪歩「……ちょっと、土を耕していたんですぅ」

トロア「土を……ですか?」

雪歩「はい。『畑を増やしたい』って、アンさんに言われて……」

トロア「姉上……まだ病み上がりだというのに、ユキホ王女にこの様な事をさせて……」

雪歩「あっ、き、気にしないでくださいっ」

雪歩「私は、ただでこの国に置いていただいてる身ですし……」

トロア「……」




519: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:43:29.85 ID:QwbzxRrkO

トロア「しかし、ユキホ王女……」

トロア「あなたは優しすぎます。嫌な事は嫌と、はっきり申した方が……」

雪歩「あ、いえ……私もいいリハビリになっているんで……」

雪歩「この国の役に立ちたい、とも思いましたし……」

雪歩「……何より、土をいじってる時間が、一番落ち着くんですぅ」ニコッ

トロア「………ふふ」

トロア「あなたは本当にお優しいお方だ……」ニコッ

雪歩「そ、そんな事……///」



雪歩「わ、私なんて……ひんそーで、ちんちくりんで……!」チャキッ


トロア「ゆ、ユキホ王女、ダメですってば!」


雪歩「あ、あ………!」



雪歩「穴掘って、埋まってますぅーー!」


ザクザクザクザクザクザク…



トロア「あーあ……」

トロア「これさえなければ、素晴らしい人なんだけどなぁ……」



スタスタ…


アン「あら……トロア?」


トロア「姉上……」

アン「ユキホさんを見かけなかったかしら?」

トロア「ああ……ユキホ王女なら……」クイッ

アン「クスクス……また、穴の中なのね?」

アン「本当に、面白い方ねぇ……」




520: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:46:21.41 ID:QwbzxRrkO

トロア「それより、姉上はなぜここへ?」

アン「お茶のお誘いに、ね?」

アン「せっかくユキホさんとお友達になったんですもの。もっとお話したいな、って思って」

アン「ユキホさんのお話って、とっても面白いのよね」

アン「特に、あいどる……というものの話とか……」

トロア「友達とは……姉上は言い方が少々ザックリしすぎでは?」

アン「いいじゃない。私とユキホさんがお友達になれば、トロイアとダムシアンは、事実上の友好国になるんだから」

トロア「……まさかそんな打算が混じっているとは……」

アン「あ、ユキホさんとお友達になりたいと思ったのは、別に打算があったからってわけじゃないのよ?」

トロア「はいはい………じゃあユキホ王女をお呼びしますね?」



トロア「おーーい!ユキホ王女ーー!」



雪歩「はぁい……」ガサゴソ



雪歩「す、すみませんっ!私、また……」

トロア「お気になさらず」

アン「ところでトロア。あなたはどうしてここにいるの?」

トロア「はっ……!忘れてました!」



トロア「ユキホ王女。あなたに、お客様です」



雪歩「わ、私に………ですか?」

アン「丁度いいわ。是非そのお客様も、お茶にお呼びしましょう!」

アン「トロア、そのお客様、ここへ連れて来てもらえるかしら?」

トロア「わかりました」




521: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:51:30.52 ID:QwbzxRrkO
トロイア城 客室

トロア「お待たせしました。ユキホ王女の元へお連れいたします」ペコリ



あずさ「よろしくお願いしますね〜」ペコリ

亜美「兄ちゃん、ゆきぴょんは元気にやってるかなぁ?」

P「雪歩の事だ。心配は……」

P「……」

P「そんなに、してないが……」

亜美「そこは自信持とうよ……」

亜美「ま〜でも、この国を見る限りは、相変わらずっぽいよね」

真美「うんうん。なんたってここは、森と湖と穴の国だからね〜」

亜美「いや〜、国の名物を増やすなんて、なかなかできる事じゃないよ〜」

真美「もはや、メイヨ国民レベルだね!」

P「確かになぁ……ゲームの世界とはいえ、俺もびっくりしたよ」



あずさ「うふふ、雪歩ちゃんに会うのが楽しみだわ〜」



P「あ、あずささん、どこ行くんですか!?」

P「そっちじゃなくてこっちですってば!」

あずさ「あ、あら、私ったら……///」



亜美「ここにも、相変わらずなお方がいましたな〜」

真美「ゾンビになっても方向音痴なあずさお姉ちゃん……さすがですな〜」



P「2人とも、行くぞー!」



亜美・真美「待ってよ兄ちゃ〜ん!」



トロア(この方達は3人のはずだが、まるで4人目がここにいる様な会話をされている気がする……)

トロア(……気のせいか?)




522: ◆bjtPFp8neU 2014/11/16(日) 20:54:49.90 ID:QwbzxRrkO
トロイア城 庭園

ダダダダ…

亜美・真美「ゆきぴょ〜ん!!」



雪歩「あっ…………!」

雪歩「…………亜美ちゃん!真美ちゃん!」

雪歩「ど、どうしてここに……?」



あずさ「……雪歩ちゃん、ひとりでさみしいだろうな〜って思ってね?」



雪歩「あ、あずささんっ……!」



P「雪歩、久しぶりだな!」



雪歩「プロデューサーさん……!」



雪歩「み、みんな……っ!」ウルッ

雪歩「うぅっ……グスッ……!」

雪歩「あ、会いたかったですぅ……!」ポロポロ

亜美「ああ〜、泣いちゃダメだよゆきぴょ〜ん!」

真美「ま、真美達まで……泣きたくなっちゃうじゃんかぁ……!」ポロ

雪歩「うぇっ……ヒック…ご、ごめんね……っ?」ポロポロ


あずさ「……うふふ、良かったですねぇ」

P「……はい。とりあえず無事みたいなので、安心しました」



アン「感動の再会ねぇ……」

トロア「はいっ………!」ウルッ

アン「……あら?トロア、あなた泣いてるの?」

トロア「け、決してその様な事はっ……!」ゴシゴシ

アン「うふふ……」



トロア(ユキホ王女……本当に、良かったですね……!)




530: ◆bjtPFp8neU 2014/11/18(火) 23:48:24.39 ID:/ro0SyuNO
ドワーフ城 謁見の間

ジオット「なんという事だ……!」

春香「あ、あの……すみませんでした!」

ジオット「いや、そなた達を責めている訳ではないのだ……」

ジオット「クリスタルの事は……相手が悪かった、という事だろう」

ジオット「しかし……」チラ



ルカ「うぅっ……グスッ……!」ポロポロ

春香「あの、ルカさん。どうしたんですか?」

ジオット「首飾りが、奪われてしまったのだ……あの『リツコ』という者に……」

千早「!」

千早(確かルカさん、母の形見だと言っていたわよね……)

真「ひどい!なんでそんな事っ!」

美希「……さすがにこれは、許せないって思うな!」

春香「小鳥さん、なんでこんな事を……?」



ジオット「……確かに、あの首飾りは王妃の形見、という事もあるが……」

春香「……他にも、何か意味があるんですか?」

ジオット「…………うむ」

ジオット「我が城のクリスタルが奪われて、やつの手中には、すでに7つのクリスタルが集まった事になる」

春香「……はい」

真「なんとしても、最後のクリスタルは死守しないと!」

ジオット「……その、最後のクリスタルなのだが……」

ジオット「この城から南西にある『封印の洞窟』の最深部にある」

春香「封印の洞窟……ですか」

真「よし!すぐに向かおう!」

ジオット「……いや」

ジオット「そうもいかないのだ」

春香「どういう事ですか?」

ジオット「封印の洞窟は、入口が封印されているのだ」

千早「だったら、律子もその洞窟に入れないのでは?」

ジオット「うむ……そのはずだったのだが……」



ジオット「ルカの首飾りが………その封印を解く、カギなのだ」



春香「えっ……じゃあ……!」




531: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 20:50:54.02 ID:RQ+xpo27O

ジオット「そう。やつは、最後のクリスタルに王手をかけている」



春香「……!」

春香「ま、まずい……よね?」

真「まずいんじゃないかな?」

千早「まずいと思うわ」

春香「どうしよう……」

美希「……難しく考える事ないの」

美希「春香の思うようにしたらいいって思うな」

春香「美希……」

千早「美希の言う通りね」

真「リーダー、どうする?」

春香「みんな……」

春香「……」

春香「わかった。じゃあ……」



春香「ルカさんの首飾りを、取り返しに行こう!」

ルカ「え……?」

春香「ルカさん、このままじゃ可哀想だもんね」

春香(ついでに、クリスタルも取り返せたらいいなー……なんて)

ルカ「ハルカさん……」

ジオット「……」



春香「みんな……それで、いいかな?」

真「確かに、ルカの首飾りは取り返してあげたいよね。ボクはそれでいいよ」

美希「ミキも、別にいいよー」

千早「私も、異論はないわ」

春香「ありがと、みんな」

春香「あとで、やよいと伊織にも確認しなきゃだね」

美希「……でも、どこに行けばいいの?」

春香「あ、そうだね。ゾットの塔はもう無いし……」

春香「律子さんのアジトって、他に知らない?千早ちゃん」

千早「ごめんなさい、わからないわ」

春香「そっか……」




532: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 20:53:56.48 ID:RQ+xpo27O


ジオット「……やつらのアジトは、バブイルの塔だ」



春香「バブイルの塔……ですか」

千早(律子がゾットの塔で言っていたアレね)

ジオット「敵はそこにいるだろう」

真「でも、もう最後のクリスタルを取りに行ってるかもしれませんよ?」

ジオット「おそらくまだ、その心配はない」

ジオット「最後のクリスタルがある封印の洞窟は、マグマの海に囲まれている」

ジオット「いくら空飛ぶ船とはいえ、そう簡単に灼熱の海には近づけまい」

ジオット「やつが封印の洞窟に行くまで、まだ時間はあるはずだ」

真「なるほど……」

ジオット「バブイルの塔には何門もの砲台が設置されていて、少しばかり厄介だが……」

ジオット「砲台は我が国の戦車隊が引きつける。そのスキに、バブイルの塔へ潜入してくれ」

春香「……わかりました!やってみます!」



ジオット「……出発は明日にして、今日はもう休むといい」

ジオット「部屋はこちらで用意しよう」

春香「ありがとうございます!」






ジオット(あの娘、ハルカといったか……)

ジオット(本当に、若き日の王妃にそっくりだ……)

ジオット(ルカも、ハルカの様に成長してくれれば良いのだが……)




533: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 20:57:18.17 ID:RQ+xpo27O
ドワーフ城 救護室

伊織「あら、あんた達……」

春香「伊織……!」

伊織「元気そうで何よりだわ」

伊織「これからこの伊織ちゃんも加わってあげるから、感謝しなさい……って」


春香「伊織ー!」ダッ

美希「デコちゃーんっ!」ダッ



伊織「むぎゅ!」



伊織「ちょ、ちょっと……!」ジタバタ

春香「よかったぁ!無事で、ホントによかったよぉ〜!」ギュッ

美希「デコちゃん、会いたかったのー!」ギュッ

伊織「わ、わかったから……苦しいってば……!」



真「ふふ、伊織、愛されてるなぁ」

千早「水瀬さんとこうして無事に合流できたのも、高槻さんのおかげね」

やよい「わたしが伊織ちゃんを助けることができたのは、たまたまですよ?」

真「……ボクは、なんとなく運命めいたものを感じるなぁ」

千早「私も……高槻さんが水瀬さんを助けたのは、必然だったと思うわ」

やよい「そうですかー……」

やよい「だったら……その運命に、かんしゃしなきゃですね!」



春香「伊織〜!」スリスリ

美希「……デコちゃん……」ムニャ

伊織「2人とも、私は怪我人なんだからねっ!」

伊織「っていうか美希、人の上で寝るなー!」



534: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 21:00:21.19 ID:RQ+xpo27O


伊織「ふーん……そういう事だったのね」

伊織「律子の様子がおかしかった理由が、やっとわかったわ」

春香「え?伊織、律子さんと会ったの?」

伊織「ええ。ちょっとだけど、話もしたわよ?」

伊織「あんた達を見つけろって言われたから、こうして来てあげたのよ」

真「っていうか、伊織はどこから来たのさ?」

伊織「ええと……バブ……なんとかの塔を降りて行ったら、いつの間にか地底に来てたのよ」

千早「なるほど……」

千早「バブイルの塔は、地上と地底を繋ぐ程の高さを持っているのね」

やよい「地上と地底をつなぐなんて、すごいですねー!」

伊織「……それにしても、またあの塔に戻らなきゃいけないのね」

春香「伊織、行けそう?」

伊織「ふん。私を誰だと思ってるのよ」

伊織「一晩あれば、こんな怪我ぐらい……」

美希「大丈夫だよ?デコちゃんは、ミキの魔法で治してあげるの!」

春香「うん。みんなでフォローするよ!」

伊織「………ま、気持ちは有難く受け取っておくわ」

伊織「ふわぁ……」

美希「あはっ!大っきなアクビ!」

真「伊織は、早めに休んだ方がいいかもね」

千早「そうね。長旅の疲れもあるだろうし」

伊織「ん……悪いけど……そうさせてもらうわ」

やよい「……じゃあ、わたしは伊織ちゃんといっしょにここでねますね?」

美希「ミキも、もう眠いからここで寝るのー……」

春香「じゃあやよい、伊織と美希をお願いね?」

やよい「はい!まかせてくださいっ!」

春香「私達は、王様が用意してくれた部屋に行こうか」

千早「そうね」




535: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 21:05:03.26 ID:RQ+xpo27O
ドワーフ城 客室

真「気がついたら、高校生チームと中学生チームに別れてたね」

春香「あ、そういえばそうだねぇ」

千早「……」

千早「あの3人、まだ中学生なのよね……」

千早「私達が、守ってあげないと」

真「……そうだね」

春香「……」

春香「……んー、そうかな?」

千早「えっ……?」

春香「あ、ごめんね?千早ちゃんの言った事を否定するわけじゃないんだけどさ」

春香「……私達は、みんなで助け合ってここまで来たよね?」

春香「美希にも、やよいにも……危ないところを助けてもらってる」

春香「私達はもう、それぞれが『ワン・フォー・オール』の精神を体現してるんじゃないかな?」

春香「……まあ、私達がしっかりしなきゃいけないっていうのは、あるのかもしれないけどね」

春香「でもね、半人前と思われる事を、あの子達は嫌がるんじゃないかなぁって……」

千早「……」

千早「ふふっ……」

真「あははっ!」

春香「ど、どうしたの、2人とも?」

春香「私、何か変な事言ったかなぁ?」

千早「ううん、そういうわけではないの」

真「ただ……ね?」チラ

千早「ええ」ニコッ

真「やっぱり、春香は春香だなぁって思ったんだ」

春香「えっ、どういう事?」

千早「そのままの意味よ」

千早「……リーダーは、あなたしかいないって事」

真「これからもよろしく頼むよ、リーダー?」

春香「うーん……なんだかよくわからないけど……」

春香「褒め言葉って思っておくね」

春香「……私、ちょっとトイレ行って来る」

スタスタ…



536: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 21:08:16.47 ID:RQ+xpo27O
ドワーフ城 救護室

伊織「……やよい、もう寝たら?」

やよい「……伊織ちゃんが寝たら、寝るよ」

伊織「……私に構う事ないのよ?」

伊織「美希なんて、さっさと寝ちゃってるし……」チラ

美希「……zzz」

やよい「……」

やよい「なんかね……」

やよい「わたしが先に寝たら……伊織ちゃんが、どこかに行っちゃう気がして……」

伊織「…………バカねぇ」

伊織「そんな事、あるはずないじゃない」

伊織「私はずっと、やよいから離れないわ」ギュッ

やよい「えへへ……うれしいなー」ギュッ

美希「……ミキもー……」ギュッ

伊織「えっ?」ビクッ

美希「……ムニャ……」

伊織「びっくりした……起きてるのかと思ったわよ、もう」

やよい「美希さんをなかまはずれにしちゃ、ダメだよね……?」

伊織「仲間外れって言っても、美希自身が一匹狼みたいなところがあるのよねぇ……」

やよい「そんなこと、ないと思うよ?」

やよい「美希さん、みなさんのこと、とってもしんらいしてると思うよ?」

伊織「…………まあ、それは否定しないけど」

やよい「みんな……ずっといっしょだよ」

伊織「そうね……」

やよい「……」

やよい「伊織ちゃんにくっついたら……なんだかねむくなってきたかもー……」ウトウト

伊織「もう、寝なさい」ナデナデ

やよい「うん……おやすみ、伊織ちゃん……」

伊織「おやすみ、やよい……」



伊織(…………私も、助けられてばかりじゃ、いられないわ……)




537: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 21:13:10.22 ID:RQ+xpo27O
ドワーフ城 通路

春香「ふぅ、すっきりした……」

春香「……」

春香「さすがにもう、お城の人も寝たのかな?とっても静か……」

春香「夜のお城って、ちょっと不気味だなぁ……」

春香(お化けとか……出ないよね?なんか、恐くなってきちゃった……)

春香(あーもう!私、何考えてるんだろう……?)

春香(余計な事考えなければ、恐い思いしないですんだのに……)

春香(どうか何も起きませんように……)




「…………………あの」



春香「うひゃああっ!」ビクッ


「ひゃあっ!」ビクッ


春香「だ、だ、誰……ですか……?」ドキドキ

「あ、あ、あの……わ、私です……ルカです」ドキドキ

春香「えっ?ルカさん……?」

ルカ「驚かせてしまって、ごめんね?」

春香「あ、いえ……私こそ、大きな声出しちゃったりして……」

春香「あの、どうかしたんですか?」

ルカ「……ハルカさんに、お礼が言いたくて」

春香「お礼?」

ルカ「さっき、言ってくれたでしょ?お父様に」

ルカ「私の首飾りを取り返したいって」

ルカ「……私、すごく嬉しかったんだぁ!」

春香「そんな、お礼を言われる程の事じゃないですよ……」

春香「……私が、そうしたいだけですから」

ルカ「……」

ルカ「……ねえ、ハルカさん。敬語はやめよう?」

春香「ルカさん……?」

ルカ「私達、双子みたいにそっくりじゃない?」

ルカ「双子の片割れに敬語を使われるのは……ちょっと、さみしいかなって」

春香「……」

春香「……そうですね」

春香「あ、じゃなかった……そうだね」

ルカ「ふふっ!」

春香「えへへ……」



538: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 21:16:23.49 ID:RQ+xpo27O
ルカ「私、ハルカさんと、ちょっとお話したかったんだ」

春香「私と……?」

ルカ「うん。同じ年代の女の子と話す機会なんて、あんまりないからね」

ルカ「私、友達なんかいなくて、ずっとひとりぼっちだった……」

ルカ「だから、あなた達が羨ましい……」

春香「ルカさん……」

春香(王女様って、女の子の憧れだと思ってたけど……)

春香(……将来、国のトップに立つ人だもんね)

春香(大変だよね……)

ルカ「ねえ、ハルカさんは……好きな人とか……いるの?」

春香「えっ!?な、何をいきなり……」

春香「うぅ………///」モジモジ

ルカ「あはは、わかりやすいね」

ルカ「……どんな人?」

春香「……」

春香「……えっとね」

春香「優しくって、頼りになるけど……ちょっぴりツメが甘くって……」

春香「……とっても、鈍感な人」

ルカ「……」

ルカ「……気づいてもらえてないの?」

春香「……」

春香「まぁ、競争率も高いし、今はそんな場合じゃないっていうのもあるけどね?」

春香「あはは……」

ルカ「そっか……」

ルカ「もしかして、ハルカさんの想い人って……」

ルカ「…………マコトさん?」

春香「……」

春香「あー……えーと……」



539: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 21:22:43.34 ID:RQ+xpo27O


春香「真はね、女の子なんだよ」

ルカ「…………ウソ!?」

春香「ホントだよ」

春香「あのねルカさん。真の前では言わないであげてね?」

春香「男の子と間違われるの、すごく気にするから」

ルカ「そう、なんだ………うん、わかったよ」

ルカ(何か…………色んな意味でショック)

ルカ(初めて、いいなって思った人なのに、同性だったなんて……)

ルカ「はぁーあ……」

春香「………ふふっ」

ルカ「どうしたの?急に笑ったりして……」

春香「ルカさんも、普通の女の子なんだなぁ……って思ってね」

ルカ「そう、かな……?」

春香「ルカさんはさっき、友達なんていないって言ってたけど………もう、そんな事ないよ?」

春香「……私やマコト、私達の仲間はみんな、ルカさんの友達だから」

ルカ「……!」

ルカ「ハルカさん……!」ウルッ

ルカ「…………嬉しい!」

春香「もう、ひとりぼっちなんて言っちゃダメだよ?」

ルカ「うんっ!……ありがとう、ハルカさん!」ニコッ



ルカ「ハルカさん達は、明日出発しちゃうんだよね?」

春香「うん……そうだね」

ルカ「じゃあ、私の大切な友達に、プレゼント!」スルッ

ルカ「………はい。私だと思って、大切にしてね?」スッ

春香「えっ?これ……」

春香「ふふ……ありがとう!」

春香「じゃあ、私からも……」スルッ

春香「……私の『分身』だよ」スッ

ルカ「うんっ……絶対、大切にする!」



ルカ「……春香さん。また、会いに来てくれる?」

春香「……」

春香「……うん」

春香「また、会えるよ……きっと」

ルカ「よかった!」


春香(………ごめんね、ルカさん)

春香(約束、守れるかどうかわからないよ……)



540: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:10:10.72 ID:RQ+xpo27O
トロイア城 庭園

亜美「モグモグ……」

亜美「ん〜!このお菓子、おいち〜ね!」

アン「うふふ、それは良かったわ」

真美「う〜ん、この紅茶も、不思議な味だよね?」

真美「なんとなく、のどにやさしい感じがするよ〜」

トロア「それはそうでしょう。茶葉はやまびこ草を使っておりますので……」

真美「やまびこ草……?あれって薬じゃなかったっけ?」

トロア「ある種の願掛けの様なものです」

アン「みなさんは、魔道士だとお聞きしましたので……」

P(『ちんもく』を治す、やまびこ草の茶葉で淹れた紅茶か……)

P(確かに、魔道士にとって『ちんもく』は致命傷だもんな……)

あずさ「うふふ、雪歩ちゃんが淹れてくれたお茶もおいしいわね〜」ズズッ

雪歩「えへへ……よかったですぅ」

P(……腹、減ったなぁ)

P(でも、俺が飲み食いしたら、不自然にお茶やら茶菓子やらがなくなる事になるからなぁ……)

P(……我慢するしかないか)

雪歩「……」

雪歩「あの……プロデューサー……」ヒソヒソ

P「雪歩……どうした?」

雪歩「これ、どうぞ」スッ

P「茶菓子か……」

P「ありがたいけど、ここで食べるわけには……」

雪歩「テーブルの下で食べれば、平気かもですよ?」ヒソヒソ

P「あっ、そうか……!」

P「雪歩、ありがとうな!」

雪歩「いえ……お役に立てて、良かったですぅ」ニコッ

トロア「……ユキホ王女?どうかしましたか?」

雪歩「な、なんでもないんですよ?」

アン「……」

アン(気のせい、かしら……?)



541: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:15:42.34 ID:RQ+xpo27O

P「モグモグ……」

P「……ん、うまいな、このクッキー」

P(……春香が作ってくれたクッキーを思い出すな)



アン「……ところで、みなさんはユキホさんとどの様な関係なんですか?」

亜美「ゆきぴょんはね〜、亜美達の大切な仲間なんだよ!」

アン「仲間……ですか」

真美「世界を救うタメに、真美達と一緒に戦う勇者なんだよ!」

アン「まあ!世界を……?」

アン「それはステキねぇ」ニコッ

雪歩「せ、世界を救うだなんて、そんな……」

亜美「ゆきぴょんの力無くして、世界は救えないのだ〜!」

真美「いよっ!救世主!」

雪歩「ふ、2人とも、やめてよぉ……///」

あずさ「あらあら、うふふ」

トロア「ふふふ、ユキホ王女の優しさなら、不可能ではないと思いますよ?」

雪歩「と、トロアさんまで……」

亜美「うんうん、とろ姉ちゃんはわかってるねぇ」

トロア「と、とろ姉ちゃん……?」

雪歩「うぅ……そ、そんな事……」

亜美「………お?」

雪歩「わ、私なんて……!」

真美「来るか……?」

雪歩「こんなダメダメで……」

あずさ「ゆ、雪歩ちゃん……?」

雪歩「あ、穴……」





雪歩「……………掘るのは、やめておきますぅ」



亜美・真美「ズコー!!」ズルッ

亜美「そ、そんな……!?」

真美「こらえた……だと!?」

雪歩「えへへ……私も、穴掘ってばかりじゃいられないかもって思って……」

あずさ「雪歩ちゃん……成長したわね〜」

アン「……」




542: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:26:28.07 ID:RQ+xpo27O

アン「じゃあみなさんは、ユキホさんを探しに、はるばる4人でいらっしゃったのね?」

亜美「うん、そ〜だよ!」

亜美「亜美と真美、あずさお姉ちゃん、兄ちゃんの4人で………って、あり?」

アン「……」

真美「あ、亜美……!」

雪歩(ま、まずいですぅ……)

あずさ「……」



P(亜美〜!余計な事は言ってくれるなよ〜!)



アン「……兄ちゃん、とは、どんな方なの?あなたのお兄さんかしら?」

亜美「え、え〜っと……」

アン「さっきから違和感を感じていたのだけれど……」

アン「やはり、ここには『もうひとり』いるのね?」

亜美「い、いや〜、そんな事は……」

あずさ「……」

あずさ「……あら〜、亜美ちゃんったら、故郷にいる『お兄ちゃん』が恋しくなっちゃったのね〜?」

亜美「え……?」

亜美「あ……!う、うん!」

亜美「えへっ!そういや兄ちゃんは、故郷にいるんだったっけ〜」テヘッ

真美(ナイス!あずさお姉ちゃん!)ウィンク

あずさ「うふふ」ウィンク

雪歩(ふぅ……危なかったぁ……)



P(ホッ………)



アン「……」

アン「……あなたの故郷とは、どこなの?」

亜美「えっ?」

トロア「あ、姉上?そこまで拘らなくても……」

真美(この姉ちゃん、食い下がるなぁ)

真美(……まさか、見えるのかなぁ?)

亜美「えっと……こ、故郷……?」



亜美「……………な、765プロ……かな?」



…ガンッ!





543: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:33:18.40 ID:RQ+xpo27O

トロア「な、なんだ、今の音は!?」スッ

真美(兄ちゃん、テーブルの下で暴れちゃダメだよ〜!)ガシッ



P(痛てて……思わずテーブルに頭をぶつけてしまった)

P(亜美……言うに事欠いて、765プロって……)

P「……っていうか真美、苦しいんだけど……」ヒソヒソ

真美「兄ちゃんが暴れるのが悪いんだよっ!」ヒソヒソ



アン「……今の音は、4人目さんの仕業かしらね?」

亜美「う……」

雪歩「あ、あの〜……」

雪歩「す、すみません。私、テーブル蹴っちゃいましたぁ」

アン「ユキホさん……」



P(雪歩……すまん)



アン「では、なむこぷろ、とはどこにあるのかしら?」

亜美「そ、それは……」

あずさ「……」

あずさ「もう、隠す必要もないんじゃないかしら?」

真美「あ、あずさお姉ちゃん?」

あずさ「どうせ、プロデューサーさんを見る事はできないんでしょ?」ヒソヒソ

真美「まあ、そうだけどさ……」ヒソヒソ

あずさ「あの、アンさん?」

アン「はい?」

あずさ「確かに、この場に4人目はいます」

あずさ「でも、その方は……」



あずさ「恥ずかしがり屋の妖精さんなので、滅多に人前には出て来ないんですよ?」ニコッ



亜美「は、恥ずかしがり屋の……!」

真美「妖精……!」

亜美「あはははは!ウケる〜!」

真美「に、兄ちゃんが……よ、妖精……!」クスクス

雪歩「2人とも、笑ったら悪いよぉ……」オロオロ

P(……亜美と真美が笑ってるのが腑に落ちないが、結構妥当な説明じゃないか?)

P(……さすがあずささんだ)




544: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:37:31.76 ID:RQ+xpo27O


アン「妖精……ですか」

アン「すみません。我が国はつい先日、悪い妖精にクリスタルを奪われたばかりなのです」

あずさ「まあ、そうでしたか」

真美(ん……?また、まずい感じ?)

アン「疑うわけではありませんが、その妖精さんは、どんな方のですか?」

あずさ「……心配いりませんよ?」

あずさ「その妖精さんは、とっても優しくて、とっても頼りになる方ですから」

雪歩「アンさん、あずささんの言う通りなんです」

アン「……ユキホさんがそう言うなら、信用しますわ」

アン「うふふ……」

あずさ「うふふ……」



亜美(なんか、この2人の空気……)

真美(うん、一触告白って感じだねぇ……)



アン「ごめんなさい、楽しい空気が台無しになってしまったわね」

アン「さあみなさん、お茶のお代わりはいかがですか?」

アン「どこにいるかわかりませんが、妖精さんも遠慮せずにどうぞ?」

亜美「……だってさ、兄ちゃん?」

P「あ、ああ……」スッ

P「会話も通じないのに、なんか変な感じだな……」

真美「兄ちゃん、はい、あ〜ん……」スッ

P「い、いや、それはさすがに……」

真美「へ〜きだよ。あん姉ちゃんやとろ姉ちゃんには見えないんだから」

P「わ、わかったよ…………パクッ」

アン「まあ……!クッキーがなくなったわ!」

トロア「夢でも見ているようです……!」

雪歩「プロデューサー、コソコソする必要がなくなって、よかったですね?」

P「うん、そうだな」



タタタタ…


セット「お姉達!大変っ!」


アン「どうしたの?そんなに慌てて……」

セット「魔物が……!」

アン「え……!?」




545: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:41:07.86 ID:RQ+xpo27O
幻獣王の館 幻獣王の部屋

黒井(私は、何をしたかったのだろうか……)

黒井(奴は……高槻やよいは……)



黒井「………」

黒井「ゴクッ…ゴクッ………」

タンッ



黒井(…………まずい酒だ)

黒井「………」フラッ

黒井(それに、酔いも早い……)

黒井「ゴクッゴクッ……」

黒井「………」

黒井(……だが、好都合だ)

黒井「………」キュポッ

黒井「ゴクッゴクッ……」

黒井(こんな脆弱な感情など……)

黒井「………」ガタッ

黒井「………」フラフラ


ガシャーン!

ドサッ


黒井(この世界は、何だ……)



黒井(私は……何者なんだ……)



ガチャ…



冬馬「……なんかすごい音がしたけど、大丈夫か?」

冬馬「………って!?」

冬馬「お、おい、おっさん!しっかりしろ!」ユサユサ

翔太「黒ちゃん!?」

翔太「……北斗君!」

北斗「任せろ!」

北斗「……ケアルダ!」


シャララーン!キラキラ…


黒井「………」ムクッ



546: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:49:04.94 ID:RQ+xpo27O


冬馬「大丈夫か!おっさん!」

黒井「………騒ぐな」

黒井「ただのかすり傷だ」

スタスタ…

黒井「グビグビ……」

翔太「黒ちゃん……ちょっと飲み過ぎじゃない?」

冬馬「そうだぞ!少しは身体を休めないと……」

北斗「……」

黒井「ふん……」

黒井「私に指図するのか?」





黒井「…………駒の分際で」





冬馬「!」

北斗「……」

冬馬「また………駒扱いかよっ……!」

黒井「駒は駒らしくしてればいい」

冬馬「ぐっ……!」

翔太「冬馬君、落ち着いて……!」

冬馬「……」

冬馬「……心配すんな、翔太」

冬馬「俺は………いや」

冬馬「俺達はもう、あの時とは違う!」

冬馬「もう、ケツの青いガキじゃねえぞ!」

北斗「冬馬……」

黒井「だったら何だと言うのだ?」

黒井「お前達は一度、私の元を離れた身」

黒井「今さらいなくなろうと……」



547: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:53:35.33 ID:RQ+xpo27O

冬馬「……出て行くわけねえだろ!?」

黒井「……?」

冬馬「俺達は、出直してみてわかったんだ」

冬馬「その………仲間……ってやつの、大切さをよ」

冬馬「……そりゃ、一度はあんたから離反した身だ。今さらどのツラ下げてって話だけどよ」

冬馬「……俺達は……おっさん、あんたの事が心配なんだよ!」

冬馬「だから……あんまり無茶、するなよな……?」

翔太「冬馬君……」

北斗「……」



黒井「………くだらん」

黒井「部屋から出て行け。私はひとりで飲みたいのだ」

冬馬「おっさん……」

北斗(冬馬はよくやったよ……)

北斗「社長」

北斗「……冬馬の気持ちも、いつかは、汲んであげてください」ペコリ

黒井「ゴクッゴクッ………」



黒井(いつか…………か)



黒井(………余計なお世話だ)




548: ◆bjtPFp8neU 2014/11/20(木) 23:58:12.61 ID:RQ+xpo27O
幻獣王の館 リビング

冬馬「……」

北斗「……冬馬、元気だせよ」

冬馬「……」

北斗「さっきのお前を、やよいちゃんに見せたかったな」

翔太「そうだよ〜!さっきの冬馬君なら、ひょっとしたらやよいちゃん、ホレちゃってたかもよ〜?」

冬馬「……」

翔太「……あ、あれ?反応なし?」

北斗(よほどショックだったのか?)



冬馬「……友情…を……いや、違う……」ボソボソ



北斗「……ん?」

翔太「冬馬君?……何をボソボソと……」

冬馬「父親のように慕って……いや、なんかしっくりこねー……」

北斗「冬馬……おい、冬馬!」

冬馬「…………あん?呼んだか?」

北斗「呼んだか?じゃないだろ。さっきから、何を言ってるんだ?」

翔太「落ち込んでたんじゃないの?」

冬馬「……」

冬馬「おっさんの性格は、嫌という程知りつくしてるんだ」

冬馬「あのくらいで凹んだりしねーよ」

冬馬「……どう言えばおっさんの心を動かせるかなーって考えてたんだ」

冬馬「やっぱ、ありきたりの言葉じゃダメなんだろうなー……」

北斗「冬馬……お前……」

冬馬「俺は、諦めないからな?」

冬馬「こんな変な世界から、絶対におっさんを連れて帰ってやるぜ!」

翔太「……冬馬君、ひとりで突っ走るのは悪いクセだよ?」

北斗「そうだぜ冬馬。俺達は、今や文字通り一心同体なんだから」



549: ◆bjtPFp8neU 2014/11/21(金) 00:03:47.82 ID:LV+GpEiDO

冬馬「わりー……そうだよな」

冬馬「俺達はいつだって、3人でやって来たんだもんな!」

冬馬「3人寄れば………」

冬馬「……」

冬馬「……すげーぞ、って事だ!」

北斗(知らないんだな)



北斗「冬馬……レディの前でもそういうセリフが言えれば、もっとモテるかもしれないぜ?」

冬馬「う、うるせー!今は高槻の事は関係ねーだろっ!」

北斗「……ん?レディにモテるかもって言っただけなんだが……」

北斗「どうしてやよいちゃんの事が出てくるんだ?」

冬馬「う……!」カァーッ

翔太「冬馬君の頭の中は、やよいちゃんでいっぱいなんだね〜?」

冬馬「ば、バカっ!余計な事言ってねーで、お前らも考えやがれー!」

翔太「あははは!」

北斗「ふふ……」



……ピンポーン



冬馬「……お?誰か来たのか?」

翔太「ひょっとして、やよいちゃんだったりしてね〜?」

冬馬「あのなぁ、あいつは仲間のとこに行ったんだ。戻って来るわけねえだろ?」

冬馬(……ま、戻って来たいっていうんなら、か、歓迎してやらん事もないけどな……?」

翔太「冬馬君冬馬君、心の声が漏れてるよ!」

冬馬「……はっ!」

北斗「冬馬は面白いなぁ」



ピンポーン


冬馬「はいはい、今出てやるよ……」


スタスタ…

…ガチャ



「……………やあ」



冬馬「あ、あんたは……!」




555: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 00:29:48.05 ID:v2njYsXfO


冬馬「あんたは確か、765プロの……」

翔太「……やよいちゃんじゃなかったみたいだね」

北斗「……」ペコリ




高木「ふむ……黒井もこっちへ来てるのだから、君たちがいてもおかしくないのか……」

高木「元気そうだねぇ。新しい事務所はどうだい?」

冬馬「ん、まあ……そこそこだな」

冬馬「今はまだ、足元を固めてる段階だけどよ」

冬馬「いずれ、765プロなんて追い抜いてやるぜ!」

冬馬「……覚悟しとけよな!」

高木「うむ!ウチのアイドル達の良きライバルとなってくれる事を、切に願うよ」

翔太「……そういえば、社長さんひとりなの?」

高木「ああ。彼女達は、別行動なんだよ」

北斗(別行動……)

北斗(自分のアイドル達を信頼しているのか……?)

北斗(ふ……黒井社長とはえらい違いだな)

北斗(……まあ、俺達はもう黒井社長とはなんの繋がりもないわけだが)




高木「ところで……」

北斗「……」

北斗「黒井社長……ですか?」

冬馬「……ああ、確かあんたらは、昔からの知り合いだったんだよな」

高木「話が早くて助かる」

北斗「何の用かはわかりませんが、今はやめておいた方がいいかと……」

翔太「そうだね。黒ちゃん、今はベロンベロンに酔っ払ってるから」

冬馬「話なんかできる状態じゃねーな」

高木「そうか……」




556: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 00:33:15.74 ID:v2njYsXfO


高木「……むしろ、好都合だ」

冬馬「え……?」

高木「情けない話だが……」

高木「……この歳になると、酒に頼らないと本音で話す事もできなくなってくるんだ」

高木「君たちも、大人になればわかるよ」

高木(……まあ、黒井の場合は酒が入ってもなかなか本音を見せてくれないんだがね)

冬馬「ふーん……大人って、めんどくせーんだな」

翔太「冬馬君は、今でも充分めんどくさいけどね……」ボソッ

冬馬「……あん?何か言ったか?」

翔太「ううん、こっちの話」

北斗「社長と何を話すつもりですか?」

高木「……」

北斗「この世界の事……ですか?」

高木「君たちにも、知る権利はある」

高木「聞きたいなら、同席してくれても構わないよ」

北斗「……どうする?冬馬」

冬馬「別にいいんじゃねえか?」




北斗「……じゃあ、案内します」

高木「ああ、頼むよ」

北斗「こっちです」

スタスタ…




557: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 00:37:30.87 ID:v2njYsXfO
幻獣王の部屋

黒井「…………お前が来るのはわかっていた」

高木「……そうか」

高木「不思議なのだが……私も、なぜだかここまで迷わず来れたよ」

黒井「ふん……まさか、お前の方からやって来るとはな」

黒井「どういう風の吹き回しだ?」

高木「状況が変わった、という事だ」

高木「黒井、私の話を聞いてもらえないか?」

黒井「……」

黒井「なぜ私が、お前の話を聞かねばならんのだ?」

高木「……素直に聞くつもりはない、か」



高木「元の世界へ帰る方法を、私が知っているとしてもか?」



黒井「……!」

冬馬「ほ、ホントかよ……!?」

翔太「じゃあ、これで帰れるんだね?」

北斗(いや……簡単に帰れるとは思えない)

北斗(何か、条件があるんじゃないのか?)



黒井「………断る」



高木「……」

冬馬「な、なんでだよおっさん!元の世界へ帰るチャンスだぞ!?」

黒井「………気に食わんのだ」

黒井「……私を見下す、お前のその態度がな!」

翔太「黒ちゃん……」

北斗(この人でも、無理なのか……?)

北斗(社長の氷のような心を溶かすのは……)

高木「……すまない。そういうつもりではないのだ」

黒井「……いい機会だ」

黒井「あの時の決着を付けようではないか!」ゴゴゴゴ…

高木「黒井……」




558: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 00:41:00.07 ID:v2njYsXfO

高木「私は、お前と争うつもりはないんだ」

黒井「あの時も言っただろう?」

黒井「私達は、戦う運命にあると」ニヤリ

冬馬「おっさん……本気かよ!?」

高木「………やれやれ」

高木「お前は頑固だからなぁ……」

翔太「そ、そんな悠長な事言ってる場合じゃないでしょ!」

高木「………」



高木「いいだろう……」

高木「……今度は、お前の気が済むまでやろうじゃないか!」ゴゴゴゴ…

黒井「ククク……!高木、容赦はせんぞ……!」バッ

黒井「はあぁぁぁぁぁ!」ゴォォ



高木「……君たちは、下がっているんだ」チャキッ

冬馬「で、でもよ……!」

翔太「そうだよ!こんなのおかしいって、絶対!」

北斗「冬馬、翔太……あの人の言う通りにした方が良さそうだ」

冬馬「………ちっ!」

翔太「わ、わかったよ……」





黒井「……高木、お前を倒すこの瞬間のタメに、私は生きているのだ!」

高木「黒井、お前にはそんなくだらない事ではなく、もっと光を見つめてもらいたいのだが……」

高木「……いや、これ以上は……拳で語るとするか!」

黒井「………行くぞ!」

高木「………ああ!」





黒井「……大海衝!」ザァァ…


高木「……斬鉄剣!」シャキーン



ゴォォォォォォォ…



ドゴォォォォォォォォン…







559: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 00:51:54.67 ID:v2njYsXfO
トロイア城 謁見の間

白龍「……なんと悲しき事でしょうか……」クネクネ



キャトル「うぅ……」

サンク「つ、強い……」

ドゥ「ぐ……!」

ユイット「お、お姉ちゃん……!」

シス「ユイット……あなただけは、絶対守るから……」ギュッ



白龍「いいえ。あなた方は、己の大切な者すら守れない……」

白龍「力無き事は、それだけで罪なのです」

白龍「……さあ、そろそろお別れです」

白龍「せめて、さみしくないように、まとめて葬って差し上げましょう!」




…バタンッ




亜美「ひと〜つ、人の世生き血をすすり……」スタスタ…

真美「ふた〜つ、ふしだらな悪行三昧!」スタスタ…

P(『ふしだらな』じゃなくて、『不埒な』だぞ……真美)



白龍「うん……?」チラ




雪歩「うぅ……」モジモジ

亜美「………ホラ、次ゆきぴょんの番だよ!」ヒソヒソ

雪歩「え、えっと……」

雪歩「み、みぃーっつ、醜い浮世の鬼を……」



あずさ「うふふ………退治てくれよう、765アイドル!」

あずさ「……」

あずさ「う〜ん……」

あずさ「『退治てくれよう』って、なんか変よねぇ?」

P「『退治してくれよう』だと、語呂が悪いからじゃないですかね?」

あずさ「なるほど、そういう事だったんですね〜」


亜美「……なんか、しまらないね」

真美「せっかく考えたのにね」

P(なんで桃太郎侍なのかは…………突っ込まないでおくか)


白龍「……」



560: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 00:54:52.53 ID:v2njYsXfO

白龍「あなた達は、いったい何者ですか?」


亜美「だから言ったじゃんか〜。765プロのアイドルだよっ!」


白龍「あいどる……?」

白龍「もしや、コトリ様が言っていた……?」


真美「ピヨちゃんの思い通りには、させないかんねっ!」


白龍「邪魔をするつもりですか……」


雪歩「アンさん、トロアさん!みなさんをお願いしますぅ!」

アン「ええ!」

トロア「わかりました!」

タタタタ…



白龍「愚かな……。神の使いである私に楯突くとは……」


あずさ「神の使い……ですか?」


白龍「コトリ様は、いずれ神になられるお方。コトリ様に仕える私は、神の使いというわけです」


あずさ「あ、あらあら、小鳥さんったら……」

亜美「ピヨちゃん……冗談キツいっしょ……」

P(音無さん、神になるつもりなのか……?)

P(……ジョークだと思いたいが)


白龍「まずはあなた達から、排除せねばならない様ですね……」

白龍「コトリ様の四天王のひとり……」

白龍「この、『傲慢』の白龍が、あなた達を葬って差し上げましょう!」


P(白龍って、確か……)

P(ラストダンジョンに出てくる敵じゃないか……?)

P(ちょっと厄介だぞ……)



561: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 01:00:32.14 ID:v2njYsXfO

白龍「まずは……」チラ

亜美「お……?」

白龍「あなたにしましょうか!」スーッ

亜美「くらえー!ファイラ!」ボオォ


シュウゥゥゥ……


亜美「あ、あり?効かない……?」


白龍「……覚悟!」ブンッ


真美「プロテス!」

パキーン!


ドゴォ!


亜美「うぁっ……!」

ドサッ


真美「あ、亜美っ!」タタタタ…

P(火属性を吸収するのか……?)


あずさ「……サンダガ!」

バリバリッ…ピシャァーン!


シュウゥゥゥ…


白龍「……何かしましたか?」


あずさ「あら……雷も効かないのね〜」

あずさ「困ったわ〜」

P(火も、雷も吸収された……。まさか……?)


白龍「さて、次は……」チラ

白龍「ん?3人しかいない……?」


ザバァッ!


雪歩「えいっ!」ブンッ


バキッ!


白龍「ぐ……!」ヨロッ

雪歩「……て、撤退ですぅ!」ササッ


真美「ゆきぴょん、ナイス!」


白龍(穴を掘って背後に回ったのですか。くだらない事を……)



562: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 08:15:47.16 ID:v2njYsXfO

P「……そうだ、思い出した!白龍……奴は、全属性を吸収するんだ!」

P「ダメージを与えるには、無属性魔法しかない!」

P「亜美、あずささん、攻撃魔法はバイオかフレア以外は使っちゃダメだ!」

亜美「……わ、わかったよ〜」

あずさ「……なんだか手強いみたいですね〜」


白龍「ならば、これはどうですか?」

白龍「……ミールストーム!」


ゴォォ…


ビューーー!


ドサドサッ


亜美「う……!」

真美「痛ったぁ……!」

シャララーン!キラキラ…

P「2人とも、平気か?」

亜美「あ、ありがと、兄ちゃん」

真美「あずさお姉ちゃんは、平気なの?」

あずさ「ええ……なぜか、痛みがないのよね〜」

亜美・真美・P(そっか、ゾンビなんだった……)


白龍(あの青い髪の女には、効いていないのでしょうか?)

白龍(それに、また吟遊詩人がいない……)

白龍「今のうちに、あの少女にトドメを……」


あずさ「……バイオ!」

ブニューン!

白龍「ちっ……無属性魔法を……!」

あずさ「プロデューサーさんの言った通りですね〜」

あずさ「ちょっとは効いたみたいです」

白龍「小賢しい!」ブンッ

あずさ「あらあら」ヒョイッ

あずさ「うふふ、同じ攻撃を二度もくらいませんよ〜」


亜美「あずさお姉ちゃん、さすがだね!」

真美「亜美、今のうちに……」スッ

亜美「うん、そうだね……」ギュッ

亜美・真美「……!」ゴゴゴゴ…



563: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 08:22:12.04 ID:v2njYsXfO

白龍「……そうは行きませんよ!」

白龍「大地よ……暴れなさい!」


ゴゴゴゴ…グラグラ…


亜美「うわわっ……!」ヨロッ

真美「じ、地震……!?」フラフラ

あずさ「こ、これは……立っていられないわね……!」ヨロッ

真美「こ、これじゃ、魔法に集中できないよ〜!」

真美「……っていうかゆきぴょん、地中にいるんだよね?ヤバくない?」



白龍「くらいなさい!」ブンッ


ドゴォ!バキッ!


ドサドサッ


亜美「うぁ……!」

真美「うぅ……!」

あずさ「ふ、2人とも、大丈夫?」

あずさ「今、回復魔法を……」


白龍「トドメですよ!」ブンッ


P「ま、まずい!」



ヒューーー…



雪歩「……脳天直撃アタックですぅ!」


ガコンッ!



564: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 08:31:17.40 ID:v2njYsXfO

白龍「ぐ……!」ヨロッ


雪歩「あ、す、すみません、モロに入っちゃいましたぁ……」オロオロ


P「雪歩……謝る事ないんだぞ!」

あずさ「雪歩ちゃん、なぜ天井から降って来たの?」

雪歩「えっと……地面から壁を伝って、天井まで掘っちゃいました……」

あずさ「まあ……!雪歩ちゃん、強くなったわね〜」

亜美「うんうん!物理的におかしいっしょ?ってのは置いといて……」

真美「ゆきぴょんのちょ〜じょ〜的な力のおかげで、助かったよ〜」

雪歩「は、はぅ……そんな事、ないですぅ……///」



白龍「……今のは、痛かったぞ……娘!」ブンッ


P「ゆ、雪歩!危ないっ!」


雪歩「あ……」




ガキィン!


雪歩「え……?」


トロア「……ユキホ王女には、手出しさせんっ!」

トロア「我が半身たる、この戦斧に誓って!」ググッ

雪歩「と、トロアさんっ!」


白龍「ちっ……!」




565: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 08:35:17.57 ID:v2njYsXfO

トロア「……せいっ!」ブンッ


ズシャァッ!


白龍「ぐ……!このっ!」ブンッ


トロア「遅いっ!」ガキン

トロア「……やあっ!」ブンッ


ザシュッ!


白龍「うぐ……!」ヨロッ



亜美「……とろ姉ちゃん、強くない?」

真美「ホントだね……」



あずさ「トロアさん、よけてくださいね?」

あずさ「……ええと、白龍さん?」

あずさ「ちょっと、お仕置きしちゃいますからね?」


あずさ「……フレア!」


ブゥゥゥゥゥン…


ババババババババッ!


白龍「……っく!」



白龍「……なるほど」

白龍「さすがはコトリ様が敵と認めた者達……雑魚、というわけではない様ですね」


亜美「うわぁ……あいつ、まだ余裕っぽいよ〜」

P「さすがに強いな……」




566: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 08:39:55.86 ID:v2njYsXfO

白龍「……この勝負は、ひとまず預けるとしましょうか」


トロア「逃がすかっ!」チャキッ

雪歩「と、トロアさん、待ってください!」ガシッ


白龍「……勘違いしないでください」

白龍「その気になれば、あなた達を葬る事など造作もない」

白龍「時間を差し上げる、と言っているのです」

白龍「……決着の時まで、せいぜい足掻くといいでしょう」

白龍「では、またお会いしましょう……」


スゥゥゥ…





真美「……」

真美「……兄ちゃん、行かせて良かったのかな?」

P「……奴の言う通りだと思う」

P「このままじゃ、小鳥さんどころか、四天王にさえ太刀打ちできない……」

真美「……そっか」

真美「もっと、強くならなきゃ……だね」

亜美「…………そうだね」

雪歩「……」

あずさ「……」




567: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 08:43:09.62 ID:v2njYsXfO
トロイア城 謁見の間

アン「……もう、行かれるのですね?」

あずさ「……はい。どうやら、のんびりしているわけにもいかない様ですので……」

アン「あなた方がいなかったら、この国は滅ぼされていたでしょう」

アン「本当に、ありがとうございました」ペコリ

亜美「いや〜、そんな事ないよ〜」

真美「亜美……今回真美達、全然活躍してないじゃん……」

亜美「ま、まあ、そうだけどさ……」



雪歩「あ、あのっ!」

雪歩「お、お世話になりましたっ!」ペコリ

雪歩「私……皆さんの事……絶対に……!」

トロア「ユキホ王女……!」ポロッ

亜美「とろ姉ちゃんって、けっこ〜泣き虫なんだねぇ」

P「情に脆いんだな、きっと」

アン「……」

トロア「ユキホ王女……私は、あなたに会えて、本当に良かった!」

トロア「優しさ、というものを、あなたから教わりました」

トロア「どうか、お元気で……!」ペコリ

雪歩「うぅ……トロアさんっ……!」ポロッ


アン「………ああ、言い忘れていたわ」




アン「トロア………あなた、この方達に、着いて行きなさい」



トロア「…………は?」


亜美・真美・雪歩・あずさ「えっ?」

P(なんだって?)


アン「いろいろ考えたのよ」

アン「……あなた、ユキホ王女と離れたくないんでしょう?」

トロア「あ、姉上、何を……!」



568: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 08:46:09.08 ID:v2njYsXfO

アン「あなた方も、トロアの実力はご覧になったでしょう?決して足手まといになる様な事は無いはずですわ!」

亜美「確かに、けっこ〜強かったよね……」

真美「そ〜だけど……」

アン「それに……」

アン「あなた方は、世界を救う旅をしているんでしょう?」

アン「この国から、世界を救う勇者が出たとなれば、私も鼻が高いですし……」

アン「このトロイアの国を、世界にアピールするチャンスにもなりますもの!」ニコッ

亜美「あ〜……そういうオモワクがあったんだね……」

あずさ「なんだか、妙な事になったわねぇ……」

真美「……兄ちゃん、ど〜する?」

P「うーん……」

P(正直、今のパーティは、雪歩以外はみんな魔道士だから、前衛が増えて困る事はない)

P(特に問題は無い気もするなぁ)

P(しかし、ゲームのキャラに頼ってもいいものか……)


トロア「……」じーっ

真美「……うわ、とろ姉ちゃん、めっちゃこっち見てるよぅ……」

P(……また四天王と戦う事になるはずだ)

P(戦力は、少しでも上げておきたいところだな……)



P「……よし、彼女も連れて行く事にしよう!」



真美「うん、わかった。兄ちゃんが決めた事なら、なんくるないよね?」

あずさ「うふふ、また賑やかになるわね〜」

亜美「とろ姉ちゃん、いじり甲斐がありそうだしね〜」

雪歩「トロアさん……良かったですぅ……!」


アン「……ええと、答えは出たのですか?」

亜美「うん!うちのボスのお墨付きが出たよ!」

トロア「!」




569: ◆bjtPFp8neU 2014/11/24(月) 08:48:31.01 ID:v2njYsXfO

アン「良かったわね、トロア」

トロア「は、はい……」

トロア「しかし、私がいなくなったら、この国は……」



ドゥ「ふふ……ちょっと腕が立つからって、自惚れ過ぎじゃないか?トロア」

キャトル「心配無用ですよ〜?」

サンク「……トロアお姉様がいない分、私達が頑張る……」

シス「トロアお姉様、どうか無事に帰って来てくださいね?」

セット「まあ、トロア姉なら余裕っしょ!?」

ユイット「トロアお姉ちゃん、がんばってね!」



アン「…………と、いう事よ」

トロア「みんな……!」

トロア「私は……っ!」ウルッ

アン「……また、元気な顔を見せてちょうだいね?」

トロア「………わかりました!必ず……!」ペコリ



アン「……そういうわけで、ウチの愚妹をよろしくお願いしますね?」

亜美「りょ〜かいだよん!」

真美「よろしくね、とろ姉ちゃん!」

あずさ「仲良くやっていきましょうね〜」

雪歩「トロアさん、また、よろしくお願いしますぅ」



トロア「はい!こちらこそ、よろしくお願いします!」ペコリ



P(見たところ、あのトロアって子はあずささんと同い年くらいかな?)

P(まあ、ウチのアイドル達なら、うまくやれるだろうな)

P(さて、次に向かうべきは……)




574: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:03:51.47 ID:sWADI0jtO
飛空艇

ババババババ…


真美「…………えっ?」

真美「今から行くの……?」

雪歩「私は、賛成ですぅ」

あずさ「……私は、本当はちょっと気まずいんですけど……」

あずさ「プロデューサーさんのお考えなら、従いますわ〜」

P「すみません、あずささん」

P「……俺もいろいろ考えたんだ。とにかく、言った通りに舵を頼むよ、真美」

亜美「……ひょっとして兄ちゃん、イベントショートカットしようとしてる?」

P「ショートカットってほどじゃないが……」

P「音無さんが何を考えてるかわからない今は、少しでも時間短縮して、行動のムダを省くべきじゃないかと思うんだ」

あずさ「うふふ、そこまで考えているなんて、さすがプロデューサーさんですね〜?」

P(とにかく今重要なのは、あのアイテムを手に入れる事だ)




亜美「ねえねえ兄ちゃ〜ん」

P「どうした?」

亜美「時間短縮って言ってたけど、全く寄り道しないわけじゃないよね?」

P「……と、言うと?」

真美「真美達、考えたんだよ」

亜美「RPGのダイゴミと言えば?」

P「醍醐味……?」

真美「も〜、兄ちゃんはニブいな〜!」

真美「レアアイテム集めに決まってるっしょ〜!」

P「なるほど……確かに強い武器防具とかは、あって困る事は無いな」

亜美「レアアイテムに関しては、亜美達に任せてよ!」

P「わかった。だけど、それに没頭するわけにはいかないからな?」

亜美「わかってるって〜」



575: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:06:25.65 ID:sWADI0jtO

トロア「ユキホ王女、妖精殿はなんと?」

雪歩「私も、話の内容はよくわからなかったんですけど……」

雪歩「とりあえず、次の目的地は決まったみたいですね」

トロア「そうですか……」

トロア「では、私は少し修行をして参ります」ペコリ

あずさ「うふふ。トロアさんは、真ちゃんと気が合いそうね〜」

トロア「アズサ殿、マコト……という人物は、皆さんのお仲間ですか?」

あずさ「ええ。真ちゃんも、毎日トレーニングを欠かさないって言っていたわ」

トロア「なるほど……」

トロア「いずれ、お手合わせ願いたいですね」

雪歩「……」



雪歩「あの、トロアさん?」

雪歩「わ、私も……修行、お付き合いしてもいいですか?」

トロア「ユキホ王女……」

トロア「あなたにとっては少々キツいかもしれませんが、それでも宜しいですか?」

雪歩「は、はいっ!頑張りますっ!」

トロア「わかりました」

トロア「アズサ殿は、どうされますか?」

あずさ「せっかくのお誘いですけど……」

あずさ「私は、魔道士だから……やるなら、亜美ちゃんや真美ちゃんと一緒にやった方がいいかと思うので……」

トロア「……それもそうですね」

トロア「ではユキホ王女、参りましょうか」

雪歩「は、はいっ!」

スタスタ…



あずさ「……さて、私も魔法のレッスンをしようかしら?」

あずさ(でも、魔法のレッスンなんて、どうやればいいのかしらね〜?)

あずさ(プロデューサーさんに聞けば、いいレッスン方法があるかもしれないわね)

スタスタ…




576: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:11:41.40 ID:sWADI0jtO
ドワーフ城 謁見の間

ジオット「……ハルカよ。いつの間にか仲間が増えた様だな?」

春香「はい。昨日、合流したんです」

やよい「うっうー!わたしは、765プロの………じゃなかった」

やよい「しょーかんしの、高槻やよいですっ!」

やよい「王様、よろしくお願いしまーすっ!」ガルーン

ジオット「ふふ、元気だな」

伊織「あんたがここのトップね?」

伊織「私は、スーパー忍者アイドルの伊織ちゃんよ」

伊織「この私も戦ってあげるんだから、感謝しなさいっ」

春香「ちょ、ちょっと伊織……王様なんだから、もっと礼儀をわきまえないと……」

伊織「何よ、私だって王女なのよ?」

ジオット「ふむ……勝気な娘だ」

真「プッ……忍者アイドルってなんだよ」

伊織「うるさいわね、真!忍者も知らないの?」

伊織「あんたこそ、何よその格好!季節感のない子供みたいじゃない!」

真「ぼ、ボクだって好きでこんな格好してるわけじゃないよ!」

真「モンク僧っていう、立派な拳闘士なんだからね!」

真「忍者とか、映画の見過ぎなんじゃないのかっ!?」

伊織「なんですって!?」

真「なんだよ!?」

春香「ふ、2人とも……!」

やよい「け、ケンカはダメですよぅ……」

千早(この2人のケンカも、久々に見たわね……)

美希「……あふぅ」

ジオット「……ま、まあまあ、ケンカはやめるのだ、2人とも」



伊織・真「……王様は黙っててっ!!」



ジオット「えっ……」

ジオット(なぜか反論できん……不思議だ……)

春香「ちょ、ちょっと2人とも!」

春香「ホントに、ホントーにすみませんっ!」ペコリ

ルカ「ふふ、賑やかで羨ましいなぁ」

春香「え、えへへ…………はぁ」



577: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:16:33.39 ID:sWADI0jtO

ジオット「えー、まあ、そういうわけで……」チラ



伊織「ふんっ!」プイッ

真「ふんっ!」プイッ

ジオット(やりにくい……)



ジオット「そ、そなたらを、我が国自慢の戦車でバブイルの塔へ送って行こうと思うが……どうだ?」

春香「本当ですか?よろしくお願いします!」

美希「じゃあじゃあ、戦車で寝ててもいいって事?」

ジオット「え?あ、ああ……寝れればな」

ジオット(この娘、戦車がどれほどの騒音を出して走るのか、知らんのか……?)

美希「わぁい!王様、ちょっとだけ見直したの!」

ジオット「う、うむ……」

春香「みんな、自由過ぎるよぉ……」

千早「仕方ないわ、春香」

やよい「春香さん、がんばってください!」

ジオット「……昨日も言ったが、バブイルの塔には砲台が何門も待ち構えている」

ジオット「我が戦車隊が砲台を引きつけているうちに、なんとか潜入してくれ」

春香「頑張りますっ!」

やよい「せんにゅうって、なんかスパイみたいでカッコいいかもー!」

千早「ええ、本当ね」ニコッ



ルカ「みなさんのご無事をお祈りしています」

ルカ「どうかお気をつけて……」



春香(行ってきます、ルカさん!)




578: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:20:21.13 ID:sWADI0jtO
魔導船

ゴォォーー…


貴音「物の怪の気配が、次第に強くなってきています……」

貴音「悪の巣は、近いのでしょうか……?」



貴音「……ん?」

貴音「何やら前方に、巨大なびるが……」

貴音「……」

貴音「……なるほど」

貴音「あのびるから、とても邪悪なえねるぎぃが発せられている様ですね……」

貴音「……わたくしの目の黒い内は、悪さなど許しません!」



貴音「いざ行かん!悪の巣へ!」ビシッ



貴音「……」

貴音(…………ところで、この船はどうやって止まるのでしょうか?)

貴音(着陸の仕方は、教わっていませんでしたね……)

貴音(地球に着いた時も、不時着でしたし……)

貴音(…………)












貴音(念仏でも唱えた方が、良いのかもしれませんね……)




579: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:23:16.46 ID:sWADI0jtO
バブイルの塔 1F

貴音「……」

貴音「……」

貴音「…………んっ」ムクッ

貴音「……」キョロキョロ

貴音「ふむ……」ペタペタ




貴音(……死後の世界……という訳ではなさそうですね)

貴音(どうやらわたくしは、悪運が強いようです)

貴音(船は……)チラ

貴音(……辛うじて原形を留めています)

貴音(今回もまた、不時着となってしまいましたか……)




貴音「……」ピクッ

貴音(空気が、澱んでいる……)

貴音(早々に、化け物を見つけねば……)


スタスタ…




580: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:26:06.35 ID:sWADI0jtO
バブイルの塔 B3F

スタスタ…


貴音(この建物……)

貴音(外から見た限りでは……)

貴音(果てが見えない程の高さだったはずなのですが……)

貴音(何故か地下へ降りる階段しかない様です)

貴音(……これはどういう事でしょうか?)

貴音(地上部分には、一体なんの意味が……?)

貴音(それに……)

貴音(この建物からは、化け物の気配とは別に強烈な悪意を感じます)

貴音(………)

貴音(今のわたくしでは、考えても答えを得る事はできませんね……)

貴音(何か、情報が欲しいところです……)



魔物「ギャアー!」


貴音「!」

貴音「……ぶりざら」バッ


コォォォ…シャキーン!


魔物「」


貴音「……」

貴音(この者達も、思えば、哀れなものです……)

貴音(この様な化け物に生まれたばかりに、人から忌み嫌われ、それ故に人を憎む……)

貴音(なんと悲しき負の感情の連鎖でしょうか……)

貴音(………)

貴音(ふふ……)

貴音(げぇむの世界のきゃらに同情しても、詮無き事でしたね……)

貴音(わたくしは、わたくしとわたくしの仲間の邪魔をする者には、遠慮は致しません)





貴音(…………たとえ相手が……小鳥嬢であろうと)




581: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:29:06.20 ID:sWADI0jtO
バブイルの塔 B5F リツコの部屋

律子「小鳥さん!いい加減、私を使って悪さをするのはやめてください!」

小鳥(もう少し我慢してくださいよぉ)

小鳥(クリスタルを全て集めたら、解放しますから)

律子「全てって……もう8つの内7つもここにあるんですよ?」

律子「もういいじゃないですか……」

小鳥(ダメですよ?最後のクリスタルが、一番厄介なんですから)

小鳥(私は月から離れられないので、律子さんだけが頼りなんです!)

律子「……」

律子「この首飾り……」ジャラッ

律子「最後のクリスタルを手に入れるのに必要だって言ってましたけど……」

小鳥(そうです!それが無いと、クリスタルのある洞窟に入れないんですよ)

律子「ホント、こういう事『だけ』は周到なんですね?」

小鳥(そ、そんな事ないですからっ!仕事だって、ちゃんとやってますから!)

律子「……ま、いいですけど」

律子「ところで小鳥さん、クリスタルを集めて、何をするつもりなんですか?」

小鳥(うふふ……楽しい事、とだけ言っておきますね?)

律子「楽しい事……」

律子「今の小鳥さんの口からそんな事言われても、悪い予感しかしないんですけど……」

小鳥(律子さんは勘がいいですねー)

律子「…………はぁ」

律子「あまり春香達に無茶な事はしないでくださいよ?………って、言うだけ無駄ですよね?」

小鳥(はい!)

律子「……」

律子「解放されたら、覚えておいてくださいね……」ボソッ

小鳥(えっ?……何か、言いました?)

律子「なんでもないです!」

小鳥(………あ、そうそう)

律子「何か?」

小鳥(みんなに会う事があったら、伝えて欲しい事があるんです)

律子「何を伝えればいいんですか?」




小鳥(『本気で来ないと、死にますよ?』って)



律子「……!」




582: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 21:32:01.53 ID:sWADI0jtO
バブイルの塔 B5F

スタスタ…


貴音「……ん?」ピタ

貴音「この扉の奥から、人の気配が……」

貴音「この様な化け物の巣窟に、何故、人が……?」

貴音「……」

貴音(もし、この奥にいる人物が話が通じる相手なら、協力を得られれば……)

貴音(そうでない場合は……)

貴音(………)



貴音(考えても、仕方がありません)

貴音(今は、少しでも情報が欲しいところです)

貴音(虎穴に入らずんば……とも言いますし)

貴音(……行きましょう)


ガチャ…



貴音「……たのもう!」




583: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 23:39:12.29 ID:sWADI0jtO
バブイルの塔 B5F リツコの部屋

律子「え……?」


貴音「おや……?」

貴音「……律子嬢ではないですか!」


律子「た、貴音……!?」

律子「な、なんでこんなところにいるの……?」

貴音「それは、わたくしも問いたい質問ですが……」

貴音「まずはわたくしから答えましょう」

貴音「わたくしは……月より参りました」

貴音「邪悪な物の怪の気配を追っていたら、この巨大な建造物に辿り着きました」

律子「!」

律子「つ、月って、あの月……!?」

貴音「ええ。空に浮かぶ、あの月ですよ?」

律子「そう……」

律子「……」

貴音(少し、様子がおかしい……)

貴音(微弱ですが、律子嬢から発せられている邪悪なえねるぎぃも、気になりますね)

貴音(まさか…………)

貴音(…………)

貴音(………最悪の事態も考慮せねばならないのかもしれません)



貴音「それでは、今度はわたくしの問いに答えてください」

貴音「あなたは、ここで何をしているのですか?」

律子「……っ!」

律子「そ、それは……」

小鳥(…………うふふ)

小鳥(予定外のお客さんですけど、もてなしてあげましょう?律子さん!)

律子「や、やめてください!」

貴音「……?」




584: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 23:45:52.49 ID:sWADI0jtO

律子「こんな事は、やめてください!小鳥さん!」



貴音「……!」


律子「貴音は、予定外なんでしょ!?だったら……!」

小鳥(うふふ……ダメですよ?この間は、貴音ちゃんと戦えなかったんですもの……!)



律子「あぅ……!」ビクンッ



貴音「律子嬢!」



律子「……貴音ちゃん、久しぶり!」


貴音「……」

貴音「……なるほど、そういう事でしたか」

貴音「……安心しました」

律子「ん?どういう事?」

貴音「律子嬢自身は悪に染まった訳ではない、という事がわかったからですよ?」

律子「……」

貴音「律子嬢の様子がおかしかったのは、あなたの仕業だったのですね、小鳥……」

律子「……」

律子「…………やっぱり、操るなら貴音ちゃんにしておけばよかったかなぁ……?」

貴音「そんな事はありませんよ?」



貴音「わたくしは絶対に、悪になど染まりませんから」ニコッ



律子「……ふふふ」

律子「言うわね……」ニコッ

律子「これを受けても、余裕でいられるかしら?」チャキッ

律子「……!」ゴゴゴゴ…



貴音「む……!」



585: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 23:49:38.70 ID:sWADI0jtO

律子「宇宙に散らばる暗黒物質よ……」チャキッ

律子「……我が手に集え!」バッ

律子「……暗黒剣!」ブンッ


ズバババァーーン!


貴音「……ぷろてす!」バッ

パキーン!


ズ┣¨┣¨┣¨┣¨ド!


貴音「うっ……!」ヨロッ

貴音「凄まじい技……!」

貴音(ですが……)

貴音(小鳥の拘り……でしょうか?)

貴音(技を使用する時、必要以上に大げさな動きをしている気が……)




律子「反撃しないの?」

貴音「……」

律子「つまんないなぁ……」

貴音「小鳥。貴女は今、月にいるはず……」

貴音「一体どうやって、律子嬢を?」

律子「……話をして、時間を稼ぐつもりかしら?貴音ちゃんにしては、古典的な策ねぇ」

律子「時間が経ったって、何も変わらないと思うわよ?」

貴音「……」

律子「……ま、いいわ。教えてあげる」

律子「精神波を飛ばして、対象に憑依してるのよ」

貴音「精神波……?」

律子「ええ。この世界での私の特権ってところね」

貴音(理屈は良くわかりませんが……)

貴音(小鳥の精神波、とやらを妨害する事ができれば……)

貴音(律子嬢は小鳥の支配を逃れる事ができる……?)

貴音(小鳥と同じ『月の民』であるわたくしにも、精神波なるものが使えるのでは……?)

貴音(やってみる価値はあるはずです)




586: ◆bjtPFp8neU 2014/11/26(水) 23:57:34.29 ID:sWADI0jtO

貴音「……」スッ

律子「……ん?」

律子「へぇ、ようやくやる気になってくれたのね?」

律子「いいわ、かかってきなさいっ!」チャキッ



貴音「……」



律子「……」

律子「あれ?かかって来ないの?」

貴音「そちらから、どうぞ」

律子「……何を考えているかわからないけど、律子さんって、結構強いわよ?」

律子「……光の裏の、闇に住む者よ」スッ

律子「その雄叫びを……」バッ


貴音「……さんだぁ」バッ


ピリッ…パキーン!


律子「つっ……!」

律子「そんな弱い魔法、蚊ほども……」

律子「……」ガクンッ

律子「あ、あれ……?」

律子「か、身体が、動かな……!」フラッ



貴音「……」

貴音「よもや、成功するとは思いませんでした」

律子「な、何をしたの……?」



貴音「先ほどのわたくしの攻撃は、実は魔法ではないのです」



律子「!」

貴音「精神波……と、申しましたか……」

律子「そ、そん……!」

小鳥(あ……!ま、まずいわ……リンクが切れ……!)


…ドサッ


律子「……」




587: ◆bjtPFp8neU 2014/11/27(木) 06:51:46.36 ID:/Y1jX6hyO

律子「……」



貴音「……」



貴音「律子嬢……」ダキッ


スタスタ…


ドサッ…


貴音(べっどがあって助かりました)

貴音(このまま律子嬢を置いて行く訳にも参りませんね)

貴音(魔法で起こしましょうか……?)チラ


律子「……」スヤスヤ


貴音(………………いえ)

貴音(少し、休ませて差しあげた方が良いのかもしれません)

貴音(他人に身体を乗っ取られるとは、さぞ辛かった事でしょう)


律子「……ん」モゾッ


貴音(ふふふ……)

貴音(普段は凛々しい律子嬢も、寝顔は可愛いものですね……)ニコッ




貴音(……もう、貴方は自由ですよ)








591: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 00:45:12.20 ID:Y1v6RjHMO
バブイルの塔 B5F クリスタルルーム

魔物「ルビカンテ様ー!」

魔物「クリスタルルームの守護ぐらい自分がやるッス!どうか休んでくださいッス!」

ルビカンテ「……くだらん気を使うな。お前はさっさと自分の持ち場に戻るんだ」

魔物「で、でも、こういう雑用って普通、自分達みたいな下っ端がやる事じゃないッスか?」

ルビカンテ「ふん……お前ら雑兵に守りを任せて、万が一クリスタルを取られたとあっては、リツコ様に言い訳ができん」

ルビカンテ「オレは、自分自身しか信じないのだ」

魔物「そ、そうッスか……」

魔物「ずいぶんと唯我独尊なんスね……」

ルビカンテ「……」

ルビカンテ「……ところでお前、見慣れない魔物だな」

ルビカンテ「おい、名前と自分の持ち場を言ってみろ」

魔物「え、えっと……」

魔物「さ、さよならー!」

タタタタ…





魔物「ふぅ……」


…ボンッ


ルナザウルス「いやー、かなり頭の硬い人ッスねー」

ルナザウルス「これじゃクリスタルを横取りできないッス……」

小鳥(……ちょっとー、それじゃ困るのよー)

小鳥(律子さんとリンクが切れちゃった今、あなた達が頼りなんだからね?)

ルナザウルス「でもコトリ様……」

ルナザウルス「あの人、なかなか強そうだったッスよ?」

小鳥(何言ってるのよ!あなたの方が強いわ、絶対)




592: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 00:47:05.32 ID:Y1v6RjHMO

ルナザウルス「でも自分、火属性は苦手なんスよねー」

ルナザウルス「あの人と戦わずして、クリスタルを奪う方法はないッスかね?」

小鳥(うーん……戦わないで、かぁ……)

小鳥(……あ、だったら)

小鳥(そのうちここに、春香ちゃん達が来るわ)

ルナザウルス「ハルカ……って確か、コトリ様がいつも言ってる人ッスか?」

小鳥(そうそう!)

小鳥(春香ちゃん達にルビカンテを倒してもらいましょ)

ルナザウルス「……で、後で横取りするッスか……なるほど、さすがコトリ様、悪知恵が働くッスねー」

小鳥(……まあ今は悪役だし、一応褒め言葉と思っておくわ)

ルナザウルス「んーと、じゃあ……」

ルナザウルス「その『ハルカ』って人達を、クリスタルルームに誘導しなきゃッスね!」

小鳥(どうするの?)

ルナザウルス「自分に任せてくださいッス!」

ルナザウルス「ごく自然な方法で、クリスタルルームにおびき寄せてみせるッス!」

小鳥(よろしくお願いね?)








593: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 00:49:16.98 ID:Y1v6RjHMO
ドワーフ戦車 1号車

キュルキュルキュル…


伊織「……」

真「……」

千早「……」



伊織「……ちょっと真、もう少しそっち行ってくれない?狭いんだけど」

真「こっちだってギリギリなんだ。少しは我慢してよ」

千早(戦車って、ずいぶん不快な音がするのね……)

伊織「……」

伊織「……まったく、なんで真と一緒なのよ」ボソッ

真「……聞こえてるよ」

伊織「あら、ごめんなさい?つい本音が出ちゃったわ」

千早「……」

真「……あのさ、さっきの事なら、謝るよ」

真「最初に悪口言ったのは、ボクだからね」

伊織「……ふん、わかったのならまあ…………許してあげなくもないけど……」ボソボソ

真「え?何?」

伊織「なんでもないわよバカっ!」

真「ば、バカってなんだよ!謝ってるのにさ!」



千早「クスッ………仲がいいわね、2人とも」

伊織・真「……どこが!!」

伊織・真「あっ……」

千早「息もピッタリね」

伊織「……」

真「……」

真「……あのさ、伊織」

伊織「……何よ」

真「律子の様子、どうだった?」

伊織「どうって………そうね、何かを隠してるみたいな……」

伊織「……ううん、何かに怯えてるみたいだったわね」

真「……昨日話したけどさ、小鳥さんに怯えているんだと思うんだよね、きっと」

伊織「……ねえ、本当に小鳥は敵なの?」

千早「ええ。私達、宣戦布告もされたわ」

伊織「ふーん……」

伊織(ま、どうせ小鳥の事だから、今の状況を楽しんでいるんでしょうね)

伊織(小鳥になんか、絶対負けないわよっ!)



594: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 00:50:42.13 ID:Y1v6RjHMO
ドワーフ戦車 2号車

キュルキュルキュル…


春香「すっごいうるさいね……」

やよい「はい。すっごいうるさいですね……」

美希「……zzz」

やよい「……美希さん、こんなにうるさいのに、よく寝れますよねー」

春香「まあ、美希だからねぇ……」



春香「……ところでさ」

春香「あの時船が沈んでから今まで、やよいはどうしてたの?」

やよい「えーっとぉ……」

やよい「黒井社長とじゅぴたーのみなさんといっしょにくらしてましたー!」

春香「ええっ!?く、黒井社長って、961プロの!?」

やよい「はいっ!」

春香「だ、大丈夫?何か変な事されなかった?」

やよい「だいじょーぶです!みなさん、やさしくしてくれましたから!」

やよい「わたしも、とってもたのしかったです!」

春香「そ、そっか。ならいいんだけど……」

春香(黒井社長も、さすがにやよいには毒気を抜かれたのかなぁ……?)

春香(社長、黒井社長に会いに行くって言ってたよね……)

春香(961プロの事は、社長に任せよう)

やよい「そういえば……じゅぴたーのみなさんは、なんか変でしたねー」

春香「変って……?」

やよい「うーんと、うまく言えないんですけど……」

やよい「3人なのに、ひとりでした」

春香「ん?どういう事?」

やよい「なんていうか……合体?してるみたいでしたよ?」

春香「合体……?」

春香(無尽合体キサラギを思い浮かべたけど、あれはロボットのお話だし……)

春香(合体って……ま、まさか………///)

やよい「あのー、どうかしたんですか?春香さん」

春香「…………はっ!」

春香「う、ううん、何でもないよ?」

春香(私ったら、小鳥さんみたいな事想像しちゃったよ……)

春香(ダメダメ、私、そんな子じゃないんだから……!)




595: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 07:52:46.26 ID:Y1v6RjHMO
ドワーフ戦車 1号車

…ドゴォン…


真「……ん?何の音かな?」

ドワーフ兵士「バブイルの塔、近いー!お前達、準備するー!」

伊織「はぁ……また、あの弾幕をかいくぐる事になるのね……」

千早「そういえば水瀬さんは、バブイルの塔から来たって言っていたわね?」

伊織「ええそうよ。あの激しい砲撃の中をね……」

真「ああ、王様が言ってたっけ。そんなに激しいの?」

伊織「まあ、見ればわかるわ」

伊織「ホント、死ぬ思いだったわよ……」

真「ふーん……」

真「だったらさ、砲台を少しでも減らせばいいんじゃないか?」

伊織「減らすって……破壊するって事?」

真「そういう事!」

伊織「でも、どうやって破壊するのよ?」

千早「……何か、考えがあるのね?」

真「へへっ、まあねー」

真「ところで伊織、水の魔法を使えるって言ってたよね?」

伊織「魔法じゃなくて忍術ね」

真「おっけー!ならきっといけるな」

伊織「何よ真、もったいぶってないで、さっさと話しなさいよ」

真「じゃあ2人とも、ちょっと耳貸して……」



真「あのね……」

真「ごにょごにょ……」



伊織「はー…………まったく、あんたも無茶な事考えるわねぇ」

千早「私はまだいいけれど、2人が危険過ぎないかしら……?」

真「ああ、ボクの事なら心配しないでよ。多少の事は耐えられるから、多分平気だよ」

真「伊織はどう?やれそう?」

伊織「ふんっ!この伊織ちゃんをナメるんじゃないわよ!」

伊織「あんた達に、スーパー忍者アイドルの身のこなしを、見せてあげるわ!」

真「それは楽しみだ!……千早はどう?」

千早「私も……多分問題ないと思うわ」

真「よしっ!じゃあ、外に出て準備しよう!」

伊織「にひひっ!あの砲台に仕返しできると思うと、腕が鳴るわね!」

千早「水瀬さん、油断は禁物よ?」

伊織「わかってるわよっ!」

真「春香達には、一足先に行っててもらおうか」



596: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 07:58:18.88 ID:Y1v6RjHMO
ドワーフ戦車 2号車

美希「ん……」ムクッ

美希「………あふぅ」

春香「あ、美希……おはよ」

やよい「美希さん、おはよーございますっ!」

美希「おはよーなのぉ……」アフゥ

春香「よく起きたね?今日はまだ少ししか寝てないでしょ?」

美希「……なんだか、いやーな感じの気配がしたの」

美希「だから、目が覚めちゃった」

やよい「いやな気配、ですか?」

美希「うん……」

春香「美希、わかるの?」

美希「なんとなく、だけどね」

春香「そっか……」

春香「じゃあ、気を引き締めて行かなきゃだね!」

やよい「そーですね!」

美希「………ところで春香、リボン替えた?」

やよい「あ、そーいえば……」

春香「えへへ……気づいた?」

春香「昨日、ルカさんと交換したんだぁ」

美希「……どーりで、春香にしては趣味のいいリボンだと思ったの」

春香「そ、それは、普段の私のセンスが悪いって事かな……?」

美希「ミキと春香じゃ、趣味が違うからねー?」

やよい「とっても似合ってますよ?春香さん!」

春香「やよい……ありがと」



真「………おーーーーーい」



春香「ん?真の声……?」

春香「……なんだろ?」


ガタン…



春香「真ーー!どうしたのーー!?」



真「ボク達、砲台を破壊してから行くからさーー!!」

真「春香達は先に行っててよーー!!」

真「あとから追いつくからさーー!!」



春香「わかったよーー!」



597: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:00:09.46 ID:Y1v6RjHMO

美希「春香、真クン、なんだって?」

春香「先に行ってて、だってさ」

やよい「え?じゃあ真さん達は、どうするんでしょう?」

春香「砲台を破壊してから追いつくって言ってたよ」

美希「ふーん……真クン、きっと暴れたいんだね」

春香「うーん、そうかもね」

やよい「だいじょーぶですかねー?」

春香「あの3人なら、問題ないんじゃないかな?」



ジオット「お前達、準備は良いか?」

春香「はい、大丈夫です」

美希「ん〜〜……!」ノビッ

美希「ふぅ……」

美希「ミキもいいよ?」

やよい「わたしも、だいじょーぶです!」

ジオット「……うむ」

ジオット「これから、別働隊が塔に攻撃を仕掛ける」

ジオット「砲台が別働隊に向いている隙に、塔へ走るのだ」

ジオット「……頼んだぞ!」

春香「わかりました!」





ドゴォン…


ジオット「……よし、攻撃が始まった!」

ジオット「さあ、行くのだ!」



春香「はい、行ってきます!」


ガタン…




598: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:01:51.28 ID:Y1v6RjHMO
バブイルの塔付近

ドゴォン…ドカァン!


春香「2人とも、行くよっ!」

やよい「はいっ!」

美希「春香は転ばないように気をつけるの」



タタタタ…



春香(そういえば響ちゃん、この場所わかるかなぁ……?)

春香(……考えても仕方ないか)

春香(今はとりあえず、ルカさんの首飾りを……)



ズルッ…



春香「あっ……」ヨロッ

春香「わっ!……ととっ……!」


ドテッ


春香「……痛たた……擦りむいちゃった」

春香「はぁ……美希に言われたばっかりなのに、また転んじゃったよ……」

春香「……って、あ、あれ?」キョロキョロ



春香「美希とやよいがいない……?」

春香「置いてかれちゃった……」

春香「私も、早く行かなきゃ!」



魔物「ギャーー!」



春香「わわっ!ま、魔物!?」

春香「もー、こんな時に限って……!」チャキッ




599: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:04:46.13 ID:Y1v6RjHMO
ドワーフ戦車 1号車

真「うわっ、なんだあれは……?」

千早「とても……大きい砲台ね」

伊織「な、何よあれ?私が通った時はあんなの無かったわよ?」



『ひょひょひょ……!』

『…………ようこそ、ドワーフ諸君。わざわざやられに来るとは、ご苦労な事じゃ』



伊織「!」

伊織「この気持ち悪い笑い方は……!」

真「伊織、知り合い?」

伊織「そんなんじゃないわ」

伊織「ちょっと因縁があるだけ……」グッ

伊織「今の声の主は、頭のおかしい科学者のじじいよ。確か、律子の部下の部下だったはず」

千早「科学者……」

千早「なら、あの砲台を造ったのは……」

伊織「おそらく、あいつでしょうね」



『……せっかく来てもらったんじゃ。ワシの可愛い巨大砲をプレゼントしよう!』



ギュイィィィィン…ガシャン!



真「や、ヤバいよ、あれは!」

真「ドワーフの人達!逃げてっ!」



ブゥゥゥゥゥン…



ドゴォォォォォォォン!





600: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:06:54.15 ID:Y1v6RjHMO

伊織「……!」

伊織「戦車隊が……!」

真「一気に半分近くやられた……!」

千早「……」

真「あの大きいやつ、なんとかしないとな……」



真「……2人とも、段取りはわかったよね?」

千早「ええ。私が2人を抱えて飛んで……」

伊織「この伊織ちゃんの水遁の術で、砲台を水浸しにして……」

真「ボクの雷煌拳で、砲台をショートさせる!」

千早「……でも真、あなたのその技は、掌の雷を叩きつけるのでしょう?あなたまで感電してしまうわ」

真「大丈夫!耐えてみせる!」

真「それより千早、あの大きい砲台まで飛べる?」

千早「……」チラ

千早「……ごめんなさい、あの高さは、さすがに無理かもしれないわ」

真「……そっか、わかった」

伊織「まあ、あとの事は私と真でなんとかするから、千早はジャンプに専念しなさい?」

千早「ええ」



千早「…………それじゃ、行くわ」

真「……」コクン

伊織「……」コクン



千早「……くっ!」ダンッ


フワッ…



601: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:09:05.12 ID:Y1v6RjHMO

スゥゥ…


真「……すごい!こんなに高く……」

伊織「千早にはこんな力があるのね……」



『………………ん?あいつは……!?』



千早「……2人とも、そろそろ限界みたい!」

真「わかった!……伊織!」

伊織「任せなさいっ!」ダンッ



伊織「…………壊れちゃいなさい!」バッ

伊織「……水遁っ!」


ズバシャァァーー!



『あーーーっ!!わ、ワシの子供達に、なんて事してくれるんじゃーー!!』



伊織「………よっと!」ガシッ

伊織「真!あんたの番よっ!」



真「……行くぞっ!」ダンッ



真「くらえーーっ!」バッ

真「……雷煌拳っ!」



ズガガガガガガッ!



『ああーー!!』



バチッ…ビリビリッ…



ヒューー…


真「あああああああっ!」ビリビリッ

真(やば……調子に乗って威力上げ過ぎたかも……)

真(か、身体がうまく動かせない……!)

真(こ、このままじゃ、地面に叩きつけられるっ……!)



…ガシッ!



602: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:10:36.63 ID:Y1v6RjHMO
バブイルの塔 外壁

真「あ……れ……?」チラ


伊織「っ……ぐうっ……!」ビリビリ

真「い、伊織っ……!」

真「だ、ダメだ!今ボクに触ったら、伊織まで……!」

伊織「ば、バカ言ってんじゃ……ない……わよっ!」ググッ

伊織「こ、これぐらいっ……!」



伊織「………ぅおりゃあああっ!!」グイッ


ドサッ



真「かはっ……!」

真「う……い、伊織……」

真「ありがと……助かったよ……」

伊織「ゴクゴク……」

伊織「…………ふぅ」

伊織「まったく………自分の技で死にそうになってどうするのよ!?」

伊織「少しは後の事ぐらい考えなさいよねっ!」ビシッ

真「はは……反論できないや……」


伊織「……………ほらっ!」スッ


真「あ……これは……ポーション?」

伊織「あげるわ……」

真「……ありがと、伊織!」ニコッ

伊織「べ、別に、あんたのタメじゃないんだからねっ!?」

伊織「ただ、この薬はたくさん持ってるから、早く減らしたかっただけなんだからっ……!」

真「あはは!わかったわかった、そういう事にしておくよ!」ゴクゴク



真「それより……」チラ

伊織「ええ……どうやら、砲台の動きは止まったみたいね」

真「でも、完全に破壊できたってわけじゃないみたいだ……」

伊織「……まあ、一時しのぎにはなるかもね」

伊織「……で、どうするの?」



603: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:13:35.11 ID:Y1v6RjHMO

真「どうするって?」

伊織「あんたね……私達が今どこにいるか、わかってるわけ?」

真「あ……そうだ、忘れてた」

真「うーん……どうしよっか?」

真「さすがにこの高さから飛び降りたら、無事じゃ済まないな……」チラ

真「かと言って、外壁に窓らしきものは見当たらないし……」キョロキョロ



伊織「…………仕方ないわね」

伊織「この、スーパー忍者アイドル伊織ちゃんに、任せなさいっ!」

真「おっ!忍術でなんとかしてくれるの?」

真「あっ、ひょっとして、ムササビの術で空を飛ぶとか?」

伊織「そんな忍術知らないわよ……」

伊織「大体、そんなのできたら最初からやってるわよ」

真「……じゃあ、どうするのさ?」

伊織「……にひひっ!」




伊織「……壁抜けの術よ!」



604: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:15:03.62 ID:Y1v6RjHMO
バブイルの塔入口

春香「……えいっ!」ブンッ


ザシュッ!


魔物「」


春香「………ふぅ」

春香「思ったより時間掛かっちゃったなぁ」

春香「早く、2人の後を追いかけないと……」



千早「…………春香?」



春香「あれ?千早ちゃん?」

春香「もう、終わったんだね?」

千早「ええ」

春香「真と伊織は?」キョロキョロ

千早「それが……いくら待っても、降りて来る気配がないのよ」

千早「ひょっとしたら、塔の外壁から侵入したのかも」

春香「そうなんだ……」

千早「で、美希と高槻さんは?」

春香「え、えっと……」




千早「まったく……2人に置いてかれるなんて、春香らしいわね」

春香「あはは……面目ない……」

千早(……あら?でも、私も置いて行かれた事になるのかしら?)

千早(これじゃ、春香の事言えないわ)



千早「春香、高槻さん達が気になるわ。早く行きましょう」

春香「うん、そうだね」

春香「ここで待ってても仕方ないよね」


スタスタ…



605: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:17:56.34 ID:Y1v6RjHMO
バブイルの塔 B13F

スタスタ…


やよい「美希さーん、春香さんひとりでだいじょーぶですかねー?」

美希「心配いらないの」

美希「『主人公は死なない』っていう、鉄の掟があるから!」

やよい「へー、そうなんですかぁ……」

やよい「春香さん、すごいですねー!」

美希「あっ……」ピタ

やよい「どーしたんですか?美希さん」

美希「……なんだか、怪しい看板があるの」スッ



『クリスタルルーム、ここを右折ッス』



やよい「あっ、ホントですねー」

やよい「……あれ?クリスタルってたしか、大切なものなんですよね?」

美希「うん。ミキもあんまり話を聞いてなかったからよくわからないけど……」

美希「春香達がそんな事を言ってた気がするの」

やよい「じゃあ、このカンバンの通りに進めばいいんじゃないでしょーか?」

やよい「えへへ、敵さんにもやさしい人がいるんですねっ!」ニコッ

美希「ううん、やよい……これはきっと、罠なの」

やよい「わ、わな……?」

美希「こうやって嘘の案内をする事で、ミキ達を罠にはめるつもりなんだよ」

美希「だから、きっとこの看板と逆に行けばいいって思うな!」

やよい「わぁ!美希さん、さすがですっ!」

美希「えっへん!もっと褒めてもいいよ?」ドヤッ



魔物「ガアア!」



やよい「はわわっ!」

美希「あはっ!ミキの矢の餌食になっちゃえ!」ギリッ


ヒュンッ…ドスッ!


魔物「」



美希「ふぅ……」

美希「ねえ、やよい?」

美希「やよいの力を見せて欲しいの」

やよい「はい!わたしも、がんばりますっ!」



606: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:21:15.88 ID:Y1v6RjHMO
バブイルの塔 B11F

魔物「ギャーギャー!」


やよい「ま、まものさん……!」

美希「やよい、出番だよ!」

やよい「わ、わかりましたっ」

やよい「……ブリザラ!」


コォォ…シャキーン!


魔物「」



美希「あはっ!やよいもちゃんと強くなってるみたいだね?」

やよい「そんなことないですよ?まだまだみなさんにはかないません!」

美希「やよいは謙遜しすぎなの」

美希(ミキ的には、やよいの力が一番計り知れないって思うな)

美希(あの雷おじいちゃん、すっごく強かったもん)



やよい「………あっ、美希さん!」

美希「どうしたの、やよい?」

やよい「また、カンバンが……」スッ



『クリスタルルームはこっちじゃないよ。戻ってくださいッス』



美希「……」

やよい「……道、まちがっちゃいましたかねー?」

やよい「さっきのカンバンからは、一本道だった気がするんですけどねー」

美希「……ううん、これもきっと罠なの」

やよい「はわわっ……!」

やよい「ま、また、だまされるところでした……」

美希「やよいは、もっと疑うって事を知った方がいいって思うな……」

美希「んーと……この看板が罠だからー、このまま進めばいいって事だよね、きっと!」

やよい「わなにひっかからなくて、よかったぁ……」ホッ



美希「行こっ!やよい」ギュッ

やよい「はいっ!」


スタスタ…



607: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:23:15.06 ID:Y1v6RjHMO
バブイルの塔 B6F

真「……すごいや!ホントに壁をすり抜けちゃったよ」

伊織「にひひっ!この伊織ちゃんにかかればあんなの造作もないわ!」

伊織(…………ホントは、壁抜けの術なんてとっさに思いついただけなんだけど)

伊織(まあ、うまく行ったから結果オーライね)



伊織「結構上の階に来ちゃったわね……」

伊織「どうする?ここで春香達を待ってましょうか?」

真「うーん、そうだなぁ……」

真「それもいいけど……」キョロキョロ

真「さっきのおっきい砲台、この近くにあるはずだよね?」

伊織「えっ?まさかあんた……」

真「うん!そのまさか」ニコッ

伊織「あまり動かない方がいい気もするけど……」

伊織「……ま、春香達を待つ間のいいヒマつぶしになるかもね」

伊織「……いいわ、付き合ってあげる」

真「さっすが伊織!」

伊織「さ、そうと決まったら、探すわよ!」

真「おーー!」


スタスタ…



608: ◆bjtPFp8neU 2014/11/30(日) 08:25:51.32 ID:Y1v6RjHMO
バブイルの塔 B13F

『クリスタルルーム、ここを右折ッス』



春香「……」

春香「………この看板、どう思う?千早ちゃん」

千早「……」

千早「普通に考えれば、敵がわざわざ私達を案内するはずないわね」

春香「そうだよねぇ。じゃあやっぱり、罠……かなぁ?」

千早「でも、その裏をかいて……という事も、充分考えられるわ」

春香「あ、そっか……」

春香「考え出したら、キリがないね……」

千早「春香。そういう時は、判断基準が何かを考えればいいと思うわ」

春香「判断基準……?」

千早「ええ」

千早「私達は、ルカさんの首飾りを取り返しに来た訳だけど……」

千早「クリスタルだって、取り返さなければならない」

春香「うん、そうだね」

千早「でも、今私達はバラバラになってしまった」

千早「まずは、みんなで合流する事が先決じゃないかしら?」

春香「あ……」

春香「判断基準って、そういう事だったんだね」

春香「美希とやよいが、どっちに行ったかを基準に考えるって事?」

千早「その通りよ」

春香「うーん……どっちかなぁ?」

千早「私には、あの純真無垢な高槻さんが、こういう案内を無視するとは思えないの」

春香「……あー確かに、やよいなら疑う事なく看板に従いそうだよね」

春香「じゃあ……」

千早「ええ。とりあえず、看板の通りに進んでみましょう」

春香「うん、わかった!」


スタスタ…



611: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 12:37:21.09 ID:hBwOe8d/O
幻獣界 幻獣王の館

高木「はぁ、はぁ……!」


黒井「はぁ、はぁっ……!」


黒井「ふんっ!」ブンッ


ガキィン!


高木「く……!」ギリッ

高木「……まったく、年は取りたくないものだな……」


黒井「……過去の栄光にすがるのか?」

黒井「ふん!実にお前らしい……」


高木「そういうわけではないのだが……」

高木「私は、今を、そして未来を見据えているつもりだ」

高木「黒井………我々が未来を勝ち取る為には……」

高木「……みんなの力が……お前の力が、必要なのだよ!」タンッ

高木「……はっ!」ブンッ


黒井「……白々しいっ!」ガキィン

黒井「私は1人でも道を切り拓く!」ググッ

黒井「今までずっと、そうやってきたのだからなっ!」ブンッ


ドゴォ!


高木「ぐは……!」


黒井「お前達とは、馴れ合う気など無いっ!」

黒井「人は……支配するか、されるかの、2通りしかない」

黒井「お前が後生大事にしている『絆』とやらなど、支配される側のか弱き人間達が、みじめに傷を舐め合っているだけなのだっ!」


高木「………いいじゃないか」ヨロッ

高木「弱いからこそ、力を合わせる。私はみじめなどとは思わないがね……」

高木「そして黒井……お前だって本当は……」


黒井「黙れっ!」ブンッ


ドゴォ!



612: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 12:39:43.54 ID:hBwOe8d/O

高木「ぐ……!」ヨロッ

高木「く、ふふ……」

高木「やはり、認めたくはないか……?」


黒井「黙れと言っている!」ブンッ


高木「はっ!」クルンッ


スタッ


黒井「な!後ろに……!」


高木「……私は、意地でもお前を連れて行くつもりだっ」ブンッ


ドゴォ!


黒井「がっ……!」ヨロッ

黒井「く……やるな……!」

黒井「そうでなくてはな……」

黒井「ふははは!さあ高木、私をもっと楽しませてくれ!」

黒井「やはり、私を満たせるのは…………お前しかいない!」スッ


高木「ふむ……それは光栄だねぇ」スッ





翔太「すごい……!2人とも、超強くない?」

北斗「それだけじゃないぜ、翔太」

北斗「ほぼ互角の戦い……まさに、実力伯仲ってやつだ」

翔太「うん、確かに……」

翔太「それに黒ちゃん、あんなに楽しそうな顔もするんだねぇ……」

冬馬「………」

冬馬(おっさん、単なる殴り合いは楽しいかよ……?)

冬馬(…………)

冬馬(ちくしょうっ……なんだよこの気持ち……)

冬馬(正直………………眩しいぜ、2人とも!)




613: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 12:47:22.68 ID:hBwOe8d/O
バロン城 白魔法研究室

ものまね士「……ええと」キョロキョロ

ものまね士「これは必要かな……」スッ

ものまね士「はい、店主さん。持ってください」ズイッ

店主「あいよ」スッ

ものまね士「あとは……」

ものまね士「これとこれ……」スッ

ものまね士「あ、あれも必要なものなのよね」



ものまね士「……はい」ドッサリ

店主「そ、そんなに持って帰るのか……?」

ものまね士「仕方ないじゃないですか」

ものまね士「白魔法の研究って、とにかく魔法書が必要なんです」

ものまね士「これでも必要最低限なんですよ?」

店主「そうなのか……よいしょっと」ゴソッ

店主(これだけ本がかさばると、結構重いな……)




店主「………さて、あんたの用事はこれで終わったか?」

ものまね士「そうですね。あんまり欲張っても、持って帰れませんからね」

店主「……まあ、この荷物を持って砂漠越えするのも、かなりキツいもんがあるけどな」

店主「よし!じゃあ、約束通り……」

ものまね士「わかってますよ。見たいんでしょ?飛空艇」

店主「うん。さっそく行こう!」

店主「……ほら、置いてくぞ?」

スタスタ…


ものまね士「ちょ、ちょっと待ってくださいよ〜!」

タタタタ…



614: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 12:51:11.53 ID:hBwOe8d/O
バロン城 造船所

カンカンカン…


技師1「おーい!こっちにもミスリルくれー!」

技師2「わかった、ちょっと待ってろ」



響「……」ソワソワ

響「……ねえ、自分も何か手伝う事はない?」

響「見てるだけじゃ、ヒマだぞー」

技師1「あ、じゃあ……」

技師1「こっちを少し手伝ってもらえますか?」

響「よーしっ!任せろ!」

タタタタ…



カンカンカン…


響「……こんな感じでいいの?」

技師1「そうそう、さすが親方、飲み込みが早いですねー!」

響「へへっ、なんたって自分、完璧……」

響「……」

技師1「?」

響「……自分は、完璧を目指してるからな!」

響「このくらい、なんくるないさー!」ニコッ

技師1「頼りにしてますよ、親方!」

響「うんっ!」



響(自分は、まだまだ完璧なんかじゃない……)

響(みんながいないと、ひとりじゃ何もできない……)

響(みんなと冒険してみて、それがわかったんだ)

響(だから、自分は……)

響(…………みんなと一緒に、完璧を目指すんだ!)



響(…………待っててね、みんな!)




615: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 12:59:12.99 ID:hBwOe8d/O
バロン城 造船所 飛空艇内部

店主「おお〜!これが、夢にまで見た飛空艇……!」キョロキョロ

ものまね士「……って言っても、なんだかよくわからない機械があるだけで、私にはさっぱり良さがわからないんですが……」

店主「まあ、ここはエンジンルームだからなぁ」

店主「素人が見ても、良さは伝わらないかぁ……」

店主「うーん、残念だなぁ」

ものまね士「あ、でも……私は楽しいですよ?」

ものまね士(店主さんの楽しそうな顔を見られるだけで…………)

ものまね士(なーんて……わ、私ったら………///)

店主「おっ、そうか?よーし、特別にお前にも飛空艇の良さを教えてやるよ!」

店主「まず、このエネルギー変換装置なんだが、これは今から約200年前にだな……」

ものまね士「ふんふん……」

ものまね士(ふふふ……店主さん、本当に楽しそう……)

ものまね士(……来て良かったなぁ、バロン)

ものまね士(なんだか、デートみたいだし……)

ものまね士(……はっ!こ、これって、初デートじゃないっ!)

ものまね士(はぁ〜あ……もっと雰囲気あるところに行きたかったなぁ……)チラ

店主「……で、大魔導師ウネが『ゼウスの怒り』を改造して造った発電機が、今の時代の飛空艇のエンジンに使われてるってわけだよ!」

店主「……って、聞いてるのか?」

ものまね士「うふふ、聞いてますよ?」

店主「そうか!じゃあ、もっと話を……」



…ガタンッ!



店主「おっと……!」ヨロッ

ものまね士「あっ、店主さんっ!」ガシッ

店主「わ、悪い……」



616: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:02:04.16 ID:hBwOe8d/O

ものまね士「……今、揺れましたよね?」

店主「ああ……」



ガクンッ…


…ゴォォォォォォ



ものまね士「あ、あの、店主さん、これって……」

店主「うん。エンジンが動き始めたな」

店主「どうやらこの飛空艇、飛ぶみたいだなぁ」

ものまね士「みたいだなぁ……じゃ、ないですよっ!」

ものまね士「早くここから出ないと!」

店主「いや、そりゃ無理だ。もう結構な高さまで飛んでるんじゃないかな?」

店主「いやぁ、まさかエンジンが動くところを見れるなんて、ラッキーだなぁ!」

ものまね士「ちょ、ちょっと〜!それじゃ、私達はどうなるんですか〜!?」

店主「心配するなよ。どうせテスト飛行とかだろ?」

ものまね士「そ、そうですかね……?」

店主「大丈夫だよ。そんな事よりさ、つかの間の空の旅を楽しもうぜ?」

ものまね士「は、はぁ……」

ものまね士「だ、大丈夫かしら……?」




617: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:04:12.25 ID:hBwOe8d/O
飛空艇エンタープライズ

ババババババババ…



響「弟子達ー、ありがとなー!!」

響「また会おうなー!!」




響「よし、これでエン太郎はパワーアップしたぞっ!」

響「もう、地底の溶岩なんかに負けないんだからな!」




「………ぁぁぁぁ……!」



響「……ん?今、なんか聞こえた気が……?」

響「気のせいかなぁ?」

響「ま、いいか」

響「さ、エン太郎、地底に急ぐぞっ!」グイッ



ブオォォォォォォ…




618: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:07:14.37 ID:hBwOe8d/O
ファブール城 マコトの家

亜美「え、えっと……?」

真美「ど、ど〜ゆ〜事……?」

あずさ「あらまあ………こんな事もあるのね〜」

トロア「ゆ、ユキホ王女に、そっくりだ……」



雪歩「えへへ、久しぶり、ユキコさん」ギュッ

ユキコ「ユキホさん……元気そうだねっ」ギュッ



P(まるでドッペルゲンガーだなぁ……)

P(……真の奥さんが雪歩にそっくりとは……いろいろまずいような気がするぞ)

P(ともあれ……)

P「…………真美」チョンチョン

真美「……えっ?あ……うん、そうだったね」

真美「……ねえねえ、ゆきぴょんツー?」

ユキコ「ツーって……わ、私の事……かな?」

真美「そうそう。あのさ、真美達、ちょっとお願いがあるんだけどさ……」

ユキコ「な、何かなぁ……?」

真美「………フライパン、貸してくれたりしないかな〜?なんて……」

ユキコ「ふ、フライパンを……ですか?」

あずさ「なぜ、フライパンなのかしらね〜?」

雪歩「よく、わからないですぅ」

トロア「フライパンが必要でしたら、言っていただければ我が城からお持ちしましたのに……」

亜美「とろ姉ちゃん、ただのフライパンじゃ意味ないんだよん」

亜美「ゆきぴょんセカンドが毎日マコちんのタメにじっくりネットリ愛情をこめて料理を作ってるフライパンじゃないとね!」

トロア「愛情を込めて……?」

あずさ「いったい何に使うの?」

亜美「んっふっふ〜!そのうちわかるよ!」



ユキコ「あ、あのう……」



619: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:09:30.60 ID:hBwOe8d/O

ユキコ「その子の言う通り、このフライパンは、マコトさんに料理を振る舞うのに必要なんですぅ」

ユキコ「だから、本当に申し訳ないんですけど……」

ユキコ「お貸しする事はできません……」

真美「え〜、ダメなの〜?」

ユキコ「他のものなら構わないんですけど、これだけは……」

真美「マジかぁ……」

亜美「……兄ちゃん、これはゆゆしき事態ですぞ!」

P「うーん、そうだな……」

P(ゲームだと、あっさり貸してくれるんだけどなぁ)

P(無理矢理奪うのも、ちょっとかわいそうだし……)

P(でも、このフライパンが無いと、真が……)



雪歩「あの、プロデューサー……?」

雪歩「ユキコさんのフライパンって、そんなに重要なものなんですか?」

P「ああ。このフライパンはな、この先、真を救うのに必要になってくるはずなんだ」

雪歩「真ちゃんを救うのに……?」

雪歩「………」




雪歩「じゃあ……」

雪歩「ユキコさんも一緒に連れて行く、っていうのはどうですか?」

ユキコ「え……?」

P「ゆ、雪歩……」

亜美「おお〜?ゆきぴょんにしては、ずいぶんダイタンな提案ですな〜」

真美「まあ、マコちん絡みですからな〜。ゆきぴょんがダイタンになるのも、無理はあるまいて……」

P「確かに、この子を連れて行けば、この子はフライパンを手放さずに済むし、俺達も『あいのフライパン』が手に入ったも同然なんだけど……」

あずさ「私は、賛成ですよ〜?」

あずさ「旅は道連れ、とも言いますし〜」

トロア「私は……妖精殿の決定に従います」



620: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:10:41.59 ID:hBwOe8d/O
P「………」

P「……わかった。雪歩、付いて来てくれるか、頼んでみてくれないか?」

P「その子さえ良ければ……だけどな?」

雪歩「は〜い、わかりましたぁ」



雪歩「ユキコさん……」チラ

ユキコ「は、はい……」

雪歩「あのね?ユキコさんのフライパンって、真ちゃんを助けるのに必要みたいなんだ……」

ユキコ「そ、そうなの……?」

雪歩「ユキコさん、私達と一緒に来てくれないかな……?」

雪歩「真ちゃんを助ける為に、あなたの力が必要なの……!」

ユキコ「………」



ユキコ「わ、私じゃ、皆さんの力になれるかどうかわからないですけど……」

ユキコ「そ、その……私のフライパンで、マコトさんを救う事ができるなら……」

ユキコ「私も、お供させてくださいっ!」



雪歩「ユキコさん………ありがとう!」

あずさ「うふふ、よろしくお願いしますね〜?」

トロア「トロイアの神官、トロアと申します。以後、お見知り置きを」ペコリ

亜美「ゆきぴょんと区別するのが大変そうだね?」

真美「スコップかフライパンかで区別するしかないっぽいね〜」



P(当初の予定と少し違うが、これで『あいのフライパン』は確保できた)

P(次は、いよいよ地底だな……)




621: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:14:29.02 ID:hBwOe8d/O
飛空艇

ババババババババ…


トロア「さすがに空の上となると、風が強いですね」

雪歩「はい。でも、おかげで洗濯物の乾きが早くて助かりますぅ」

雪歩「飛ばされないように気をつけなきゃですけど……」

ユキコ「ほ、本当に、空を飛んでいるんですね……」ガクガク

雪歩「ユキコさん、大丈夫だよ?」

雪歩「私も、最初は恐くて動けなかったけど……もう、だいぶ慣れてきたんだよ?」

ユキコ「そ、そうなんだ……」

トロア「ユキコ殿。高いと思うから恐いのです。高いと思わなければ、恐さも忘れましょう」

ユキコ「高いと思わない……」

ユキコ「………」

ユキコ「だ、ダメですぅ!どうしても気になっちゃいますぅ……」

雪歩「うーん……」

雪歩「こういう時って、何か他の事に集中できれば、高さも忘れるんじゃないでしょうか?」

トロア「なるほど、それはいい考えですね」

ユキコ「……じゃ、じゃあ私、お料理作って来ますぅ」

雪歩「あ、私も手伝うよ。一緒に行こう?」ギュッ

ユキコ「うん、ありがとう!」ギュッ

スタスタ…



トロア「ユキホ王女と手をつなげるなんて、羨ま……」

トロア「じゃなくて、仲がいいのだな……」

トロア「まるで、本当の双子の様だ」

トロア「……そういえば、『本当の双子』はどうしているのだろうか?」



亜美「ファイア!」ボゥ


トロア「むっ!」ヒョイッ



622: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:17:36.11 ID:hBwOe8d/O

亜美「ふむ……亜美の不意打ちをよけるとは……お主、なかなかやるではないか」

トロア「……アミ殿」

トロア「私は不意打ちなんてくらいませ……」ツルッ


ドテッ


トロア「な、何……!?」

亜美「やた〜!大成功!」

トロア「あ、アミ殿、いったい何をしたのです?」

トロア「急に足元が滑って……」

亜美「そりゃそ〜だろね〜?」

亜美「とろ姉ちゃんの足元に、ブリザドかけたからね」

トロア「し、しかし、先ほどアミ殿が使われたのは、ファイアでは?」

亜美「亜美、『ファイア』って言っただけだよ?」

トロア「でも、確かに炎が……」

亜美「『ファイアとブリザドを、同時に使った』からね〜」

亜美「ブリザドの方は、詠唱すっ飛ばして放ったのさ〜」

トロア「同時に二つの魔法を使うなんて、そんな事ができるのですか?」

亜美「まあ、まだ弱い魔法でしかできないけどね」

亜美「もっと練習して、一度に10個くらい魔法出せるようにするからねっ!」

トロア(いや、同時に二つでも、充分奇襲になるだろう……)

トロア(同時に複数の魔法を使う魔道士なんて、今までいただろうか……?)

トロア(この若さで………)

トロア(まったく、末恐ろしい方だ……)




623: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:21:32.03 ID:hBwOe8d/O
飛空艇 船室

P「………なあ、真美」

真美「ん〜?」

P「なんで俺は……」

真美「……」

真美「……べろちょろになっちゃったのかって?」

P「うん……」

真美「仕方ないっしょ〜。今、兄ちゃんの服は洗濯してるんだからさ」

真美「さすがに、裸で歩き回られるのは、キョーイクジョーよくないっていうか……」

真美(……ま、兄ちゃんの裸は、前に見ちゃったんだけどね)

真美(あっ……ちょ、ちょっと思い出しちゃった……///)



P「なんか、この姿も久しぶりだなぁ」

真美「うん、そ〜だよね」

真美「ここんとこずっと、人間に化けてたもんね?」

P「あのな……べろちょろが真の姿、みたいな言い方するなよ……」

真美「どっちでもい〜じゃん」

P「よ、良くないだろ?」

真美「ううん、いいんだよ」

P「え……?」

真美「真美達にとっては、べろちょろだろうと、人間の姿だろうと……」

真美「真美達の兄ちゃんには、変わりないもんね!」

真美(……っていうか、べろちょろなら、真美が兄ちゃんを独り占めできるしっ)

P「ん……まあ、いいけどさ……」

P「でも、その……真美は、いやじゃないか?」

真美「何で〜?」

P「い、いや、その……」

P(……まさか、真美の胸に抱かれる日が来るとはな……)

P「……」フニュ

P(……あれ?真美、もしかして少し成長したか……?)



624: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:24:55.34 ID:hBwOe8d/O

真美「あ……ひょっとして兄ちゃんは、真美に密着してる事を気にしてるのかな〜?」

P「ま、まあ、そうなんだが……」

真美「えへへっ……」ギュッ

P「ムグッ!」

P「ど、どうしたんだ、急に?」

真美「兄ちゃんも、一応真美の事、意識してくれてるんだな〜って思ってさっ」

P「そ、そりゃあ、真美だってアイドルだしなぁ……」

真美「むむむっ!」

真美「も〜!アイドルとか、今はカンケ〜ないっしょ〜!」ギュッ

P「わ、わかった、わかったから………く、苦し……」

真美(む〜……兄ちゃんめ〜)

真美(絶対いつかは、真美の事を『アイドル』じゃなくて『女の子』として意識させてやるかんねっ!)



P「………ところで真美、今は誰が操縦してるんだ?」

真美「え?亜美じゃないの?」

亜美「……呼んだかい?」ヌッ

真美「わっ亜美!」

真美「あれ?飛空艇を操縦してるんじゃ……」

亜美「え?亜美はてっきり真美が操縦してると……」

P「…………なんだか、非常にいやな予感がするんだが……」

真美「ま、真美も……」

亜美「ま、まさか、あのお方が操縦してるなんて事、ないよね……?」

P「お、おい、2人とも。操縦席へ行ってみよう!」

亜美・真美「あ、アイアイサー!!」

タタタタ…




625: ◆bjtPFp8neU 2014/12/10(水) 13:28:17.47 ID:hBwOe8d/O
飛空艇 操縦席

あずさ「うふふ〜」グイッ

あずさ「飛空艇の操縦って、意外と簡単なのね〜?」

あずさ「空のお散歩がこんなにお手軽にできるなんて、とってもステキね〜」

あずさ「………それにしても」

あずさ「今は、どの辺りを飛んでいるのかしら……?」

あずさ「そういえば私、次の目的地を知らないわ」

あずさ「あとでプロデューサーさんに聞かないとね」



タタタタ…



亜美「ああ……やっぱり……」

真美「あずさお姉ちゃん……」

あずさ「あら?亜美ちゃんに真美ちゃん。それに、プロデューサーさん」

あずさ「揃ってどうしたんですか〜?」

P「あ、ええと……あずささんが心配で……」

あずさ「うふふ、大丈夫ですよ?飛空艇の操縦って、意外と簡単なんですね〜?」

P「そ、そうですか。それは良かったです」

P(そっちじゃなくて、『今』、『どこ』にいるのかの方が心配なんだが……)

亜美「……あっ!兄ちゃん、あれ見て!」スッ

P「ん?……あれは、火山か?」

真美「ねえねえ、でっかい穴が空いてるよ!これってひょっとして……」

P「ああ。恐らく、アガルトの火山だ!あそこから地底へ行けるはずだ!」

亜美「あり?ってことは……」



亜美・真美・P(ちゃんと目的地へ向かってた……!)



亜美・真美・P「あずさ(お姉ちゃん)さん、見くびってごめんなさい」ペコリ


あずさ「えっ?ど、どうしたのみんな、急に……?」



629: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:19:14.88 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B11F

魔物「グルル……!」


春香「ま、魔物だよ、千早ちゃん!」

千早「……私に任せて!」

千早「……!」ジリッ

春香「……」じーっ

千早「……水平ジャンプ!」ダンッ


ヒュンッ……ドスッ!


魔物「」


千早「………ふぅ」

千早「春香、終わったわよ?」クルッ

春香「……ふーむ」

千早「………どうかしたの?」

春香「うん……千早ちゃんのジャンプって、不思議だなぁって思ってさ」

春香「千早ちゃんの足、すごく筋肉質ってわけでもないのに、なんであんな風にジャンプできるのかな?って」

千早「それは……口ではうまく説明できないわ」

千早「春香だってそうでしょう?」

春香「えっ?」

千早「あなたの技よ。どうしてあんな人間離れしたスピードで剣を振り回せるの?」

春香「あ……言われてみれば、そうだね」

春香「『なんかやれそうかも?』っていう気がしてくるんだよねぇ」

千早「そう。私も同じよ」

千早「この不思議な力にも、だいぶ慣れて来たわね」

春香「えへへ、そうだね!」



630: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:23:01.15 ID:+NYVYuO4O

魔物「グェー!」ヌッ


春香「わっ!」

千早「……!」チャキッ

春香「……千早ちゃん、今度は私が!」スッ

千早「わかったわ。気をつけて」

春香「……」チャキッ

春香「無双……」

春香「稲妻づ……」ズルッ

春香「っとと………あっ!」ドテッ

ザクッ!


魔物「」


千早「……」

春香「あ、あはは……ま、まぁ、結果オーライって事で……」

千早「無双稲妻ズッコケ……新しい技ができたわね」ニコッ

春香「わ、ワザとじゃないんだってば!」

千早「ふふふ……」



春香「ん……?」

千早「……」

千早「また、看板ね」



看板『クリスタルルーム、ここを左折ッス』



春香「……今回も、看板の通りに進めばいいんだよね?」

千早「ええ。そうしないと、最初の看板の指示に従った意味がないわ」

春香「わかった。じゃ、行こうか?」

千早「ええ……」


スタスタ…



千早「……それにしても、なかなか2人に追いつけないわね」

春香「やよいと美希は、結構体力あるからねぇ」

千早「春香、もう少し急ぎましょう」

春香「うん、わかった!」


タタタタ…



631: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:26:26.27 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B5F リツコの部屋

律子「………んっ」モゾ

律子「……………はっ!」ガバッ

律子「……」

律子「また私、小鳥さんに……」

律子「そ、そうだわ!貴音は……?」キョロキョロ



貴音「………おや、起きましたか」

律子「貴音!……あなた、大丈夫なの?」

律子「私、小鳥さんに操られて、貴音に何かしなかった?」

貴音「…………ふふ」

貴音「今まで、良く耐えましたね?」

律子「え……?」

貴音「……律子嬢、あなたの小鳥による呪縛はわたくしが解きました」

貴音「もう、小鳥の影に怯える事はないのですよ?」ニコッ

律子「……ほ、本当に?」

貴音「また小鳥が何かしてくる事があっても、わたくしが側にいます。安心してください」

律子「た、貴音……私……っ」

貴音「礼には及びません。わたくしは、わたくしの思う事をしたまでですから」

律子「………いいえ、それでも言わせて」

律子「貴音………ありがとう」

貴音「………」

貴音(わたくしは……)

貴音(友人を………ばはむーと殿を救えなかった……)

貴音(だから、誰かの役に立ちたいと思いました)

貴音(これは、わたくしの独りよがりです)

貴音(わたくしに、律子嬢の言葉を受け取る資格など、本当は無いのです)




632: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:27:37.36 ID:+NYVYuO4O

貴音「ところで……」

貴音「律子嬢は骸骨の化け物を知りませんか?」

律子「ガイコツの……?」

律子「知らないわね……」

律子「あなた、月から来たって言ってたけど……」

律子「ひょっとして、その魔物を追ってここへ来たってわけ?」

貴音「………」

貴音「ここへ来るまでの経緯を、お話し致します」

貴音「ですから律子嬢。あなたのこれまでも、話していただけますか?」

律子「そうね、わかったわ。情報は、共有したいところだものね」



…………

……




律子「………」

貴音「………」

律子「………なんていうか、あなたも苦労したのねぇ……」

貴音「………いえ、律子嬢程ではありませんよ」

律子「そう、かしらね……」

律子「でも、あなたのおかげで私もやっと自由に動く事ができる」

貴音「……これから、どうするつもりですか?」

律子「それは聞かなくてもわかってるでしょ?」

貴音「………」

貴音「他の皆の事は……?」

律子「私……小鳥さんに操られていたとはいえ、春香達にたくさん酷い事をしてしまったわ」

律子「……ううん、春香達だけじゃない。この世界の人達にも……」

律子「今さら……」

貴音「………」



633: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:29:45.41 ID:+NYVYuO4O

貴音「律子嬢。あなたは……なんですか?」

律子「なんですかって……な、何?急に……」

貴音「……あなたは、ぷろでゅうさぁでしょう?」

律子「貴音……?」

貴音「わたくしは、直接律子嬢にぷろでゅうすして頂いているわけではありませんが……」

貴音「『ぷろでゅうさぁ』とは、『あいどる』を『ぷろでゅうす』するもの……」

律子「……!」

貴音「これまで何があったとしても、貴女が765ぷろのぷろでゅうさぁである事実に相違はありません」

貴音「そして、わたくし達あいどるの信条は……」



貴音「『ぷろでゅうさぁ』を信じる事、だと思っております」



律子「貴音……」

貴音「……皆が、待っていますよ?」

律子「みんな……」



律子「……………ふふ、貴音には敵わないわ……」

律子「あなたの言う通りね」

律子「私はプロデューサーですもの。ちゃんとアイドル達を管理しなきゃね!」ニコッ

貴音「ふふ……やっと笑顔を見せてくれましたね?」

律子「か、からかわないのっ!」

律子「……これから、ビシバシいきますからね!覚悟しておくのよ!」

貴音「……心得ました」ニコッ




634: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:31:26.31 ID:+NYVYuO4O

律子「あっ……そうだわ」

貴音「どうしたのですか?」

律子「私ももう自由なんだし、魔物の親玉なんてやってられないわよね」

貴音「なるほど、確かにそうですね。……どうするのですか?」

律子「ちょっと、無責任かもしれないけど……」

律子「私が1番信頼を置いている部下がいるわ。その魔物に、あとの事は任せる事にしましょう」

貴音「ふむ……引継ぎ、ですか」

貴音「ふふ、こんな世界へ来てまで律義なのですね、律子嬢は」

貴音「それで、その魔物はどこに?」

律子「確か、クリスタルルームの守護に就いているはず………行きましょう、貴音」

貴音「わかりました」


スタスタ…

ガチャ…バタン






635: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:33:40.20 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B9F

魔物「……」ヌッ


やよい「はわっ!」ビクッ

美希「また出たの!」

美希「やよい!」

やよい「は、はい!」

やよい「ぶ、ぶりじゃらっ!」バッ



………シーン



魔物「?」

やよい「あっ………」

美希「やよい……」

やよい「か、噛んじゃいましたぁ……///」


魔物「……!」キュン


魔物「……」スタスタ

魔物「ヒソヒソ……」

やよい「えっ?………はい………はい」

やよい「そ、そうですか……すみません……」ペコリ


魔物「……」スタスタ



美希「………魔物、行っちゃったの」

美希「ねえやよい、あの魔物になんて言われたの?」

やよい「え、えっと……」

やよい「『なんかヤる気なくなったから、帰るわ』って……」

美希「ふーん……」

やよい「まものさんに、もうしわけないことしちゃいました……」シュン



636: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:35:10.07 ID:+NYVYuO4O

美希「気にする事ないって思うな」

美希「だってさ、これっていわゆる『平和的解決』ってやつじゃないかな?」

やよい「へいわてき……」

やよい「えへへ……たしかにそうかもですね!」

やよい「まものさんとたたかわないですむなら、それが一番いいですし!」

美希「うん!ミキもその方が楽チンだし!」





看板『本当に、このまま進むつもりッスか?引き返すなら、今の内ッスよ?』



やよい「み、美希さん、またカンバンが……」グイッ

美希「し、心配する事ないの……きっとこっちで合ってるの」

やよい「で、でも……なんだかこわいです……」

美希「大丈夫。やよいはミキが守るの!」

やよい「み、美希さん……!」

やよい「わ、わかりました!わたしも、足手まといにならないように、がんばります!」




637: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:37:11.23 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B6F

スタスタ…


真「うぅ……なんか、身体がまだビリビリしてる感じがするよ」

伊織「確かにね……」


伊織「!」ビクンッ


伊織「あ……!」

真「……伊織?どうしたの?」

伊織「………にひひっ!」

伊織「これを見なさいっ!」バリッ

真「おー!雷じゃないか!」

真「伊織、雷の忍術も使えたの?」

伊織「ううん……今、閃いたのよ」

伊織「真、あんたの雷の技を受けたおかげかもね?」

真「へへっ!お役に立てて良かったよ!」

真「……あ、だったらさ」

真「もっといろんな技を食らわせてあげようか?」

伊織「い、いらないわよ!なんで私があんたの技を受けなきゃならないのよっ!」

真「だって、技を受けて閃いたって……」

真「ボク、てっきり伊織はマゾなのかと……」

伊織「ばっ……!」

伊織「バカも休み休み言いなさいよ!なんでこの伊織ちゃんが……ま……ま……」

真「……マゾヒスト?」

伊織「そ、そう!それなのよ!?」

伊織「わ、私が……ま、マゾ……なわけ、ないじゃないっ!」カァーッ

伊織「あんたってホントデリカシーがないわねっ!」

真「わ、わかったわかった、悪かったよ」

真「うん。ボクも、伊織はどっちかっていうと……」

真「……いや間違いなく、生粋のサドだとは思うよ?」

伊織「それはそれでなんか嫌!」バシッ

真「痛った……!」

真「叩く事ないじゃないか!」

伊織「ふ、ふん!真が悪いのよ!」

真「な、なんでさ……」

伊織(あるわけないじゃない!私がマゾだなんて……)

伊織(………)

伊織(……そういえば、水遁の術を覚えた時も、今と似たような状況だった気が……)

伊織(ま、まさかね……)



638: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:42:01.32 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B6F 砲台制御室

カチカチ…

ピッピッ…ピーー!


ルゲイエ「……ふぅ」

ルゲイエ「あとは、巨大砲を再起動準備モードにセットして……」ピッ

ルゲイエ「……エブラーナの王女め、ワシの子供達になめた真似してくれおって!」

ルゲイエ「じゃが、再び巨大砲が動き出すのも時間の問題じゃ」

ルゲイエ「ドワーフ諸共、木っ端微塵にしてくれるわっ!」



ガチャガチャ…



ルゲイエ「ん?」チラ



「…………あれ?鍵が掛かってるみたいだ」

「という事は、ますますこの扉が怪しいわね」



ルゲイエ「この声、まさか……」



「よし、開けよう!」

「開けようってあんた……鍵が掛かってるのに、どうするつもり?」

「ボクに任せてよ!」



ルゲイエ「扉を開けようとしてるのか……」

ルゲイエ「ふん!無駄じゃ!この扉は、このルゲイエ様特製の超高性能防犯扉じゃからな!」



「伊織、ちょっと下がってて」

「はああああああ!」

「覇王……翔吼拳!」


ドガァァァァァァァン!



ルゲイエ「!!」




639: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:43:55.06 ID:+NYVYuO4O

真「よしっ!開いたよ!」

伊織「開いたよってあんた……壊したんじゃない……」

伊織「ま、いいけど」


スタスタ…




伊織「……あっ!」

ルゲイエ「貴様ら……!」

真「伊織、この人がさっき言ってた?」

伊織「ええ、変態科学者よ!」

ルゲイエ「だ、誰が変態科学者じゃっ!」プンスカ

伊織「あら?違ったかしら?」

伊織「なら、狂人科学者ね!」

ルゲイエ「だまれ!じゃじゃ馬王女めっ!」

ルゲイエ「今日という今日は、貴様をぐっちゃぐっちゃにしてくれるわっ!」

伊織「ふん!その言葉、そっくり返すわ!」ビシッ

伊織「この、スーパー忍者アイドル伊織ちゃんが、あんたに引導を渡してあげるから、覚悟しなさい!」

真(科学者なんて、みんな狂人みたいなものだと思うけどなぁ)

真(……っていうかこれじゃ、単なる伊織のケンカ友達じゃないか?)

真(なんか、緊張感無いなぁ……)

真(ま、一応用心しておかないとね……)



ルゲイエ「ワシの可愛い子供達に、上等キメてくれおって……!」

ルゲイエ「さらに扉まで破壊するとは……」

真「あはは、ごめんね?」

伊織「真、謝る必要なんてないわよ!」

真「あ、そっか」



ルゲイエ「ひょひょひょ………貴様らに、ワシの最高傑作を見せてやろう」




640: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:47:17.33 ID:+NYVYuO4O

ルゲイエ「スーパーアルティメットファンタスティックバイオレンスロボ、バルナバ!起動じゃ!」ポチッ


ウィーン……ガシャン!



バルナバ「………すりーぷもーど、解除」ピコン


伊織「ば、バルナバ……?」

真「伊織、このロボット知ってるの?」

伊織「え、ええ……」

伊織(でも……私の知ってるバルナバと、どこか雰囲気が違うわ……)


ガシャン…ガシャン!


バルナバ「………」

バルナバ「……………オ」


真「お……?」


バルナバ「オハヨウゴザイマス!」ギギッ


真「お、おはようございます……」ペコリ

伊織「バルナバ!私よ!伊織よ!」


バルナバ「………」ギギッ


ルゲイエ「バカめ!無駄じゃ!」

ルゲイエ「膨大な量のデータを書き込んである。あの時のデータなど、奥底に埋れておるわ!」

ルゲイエ「さあ、スーパーテリブルエキサイティングワンダーロボ、バルナバよ!あの2人をギッタンギッタンにしてしまえっ!」ポチッ

バルナバ「……戦闘もーど移行!」ピコン

バルナバ「フンガー!」ギギッ


真(さっきと名前が違うじゃないか……)

伊織「……」

真「伊織、なんだかよくわからないけど、やるしかないみたいだ……!」スッ

伊織「ダメよ真!あの子は……」

伊織「……あの子には、罪は無いもの!」

真「でも……!」


バルナバ「フンガー!」ブンッ



641: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:49:59.26 ID:+NYVYuO4O

真「伊織っ!」グイッ

伊織「あ……」ヨロッ


ドゴォン!


真「危なかったぁ……!」

真「あれは一撃でも食らったらヤバそうだな……」

伊織「バルナバっ!やめなさいっ!」

真「ちょっと伊織っ……!」グイッ


バルナバ「………」ギギッ

ルゲイエ「ひょひょひょ……!」

ルゲイエ「うまく避けた様じゃが……果たしていつまで逃げられるかのう?」ニヤリ

バルナバ「フンガー!」ギィ



真「伊織、あのロボットはボクがやるから、伊織はおじいちゃんをお願い!」

伊織「真……」

真「わかってるよ。あのロボットには罪は無いんでしょ?」

真「なんとか壊さないように動きを止めてみせるよ!」

真(……まあ、そう簡単に壊れそうもないように見えるけど)



真「さあ、来い!ロボット!」スッ


バルナバ「フンガー!」ブンッ


真「……っせい!」ブンッ


ドゴォォォォン!


ルゲイエ「な、何!?人間ごときが、バルナバのパワーと互角に渡り合うだとっ!?」

ルゲイエ「ば、バカな、そんな事が……!」


伊織「こら!変態っ!」ビシッ


ルゲイエ「むきー!科学者を付けんかっ!じゃじゃ馬王女!」


伊織「あら?じゃあ、変態って事は認めるのね?」



642: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:52:31.39 ID:+NYVYuO4O

ルゲイエ「ぐ……!」

伊織「あんたの相手は、この伊織ちゃんよ!」

ルゲイエ「ふん!貴様なんかにこのワシが倒せると思っておるのか!?」

ルゲイエ「これでもくらえっ!」ブンッ


ボフッ…モクモク…


ルゲイエ「ひょひょひょ!毒ガスを吸って、生ける屍となるがいい!」


伊織「…………はぁ」スッ

ルゲイエ「なっ!い、いつの間に後ろに!?」

伊織「遅すぎて、アクビがでるわよ!」ブンッ


ザシュッ!


ルゲイエ「ぎゃっ!」ヨロッ

ルゲイエ「き、貴様……!」

ルゲイエ「これならどうだっ!」ガシャン

ルゲイエ「特性火炎放射機っ!」


ボオオオオオ!


伊織「炎ってのはね……」

伊織「こう使うのよっ!」バッ

伊織「火遁っ!」


ゴオオオオオオオ!


ルゲイエ「うぎゃあああっ!」

ルゲイエ「な、なんじゃあの火力は……!まるでルビカンテの炎の様じゃ……!」


伊織「ちょっとあんた、やる気あるの?本気でかかって来なさいよ!」


ルゲイエ「こ、小娘が調子に乗りおって……!」

ルゲイエ「ちぃ!『あれ』を使うしかないか……」

伊織「なによ、奥の手があるんじゃない。待っててあげるから、さっさと使っちゃいなさいっ!」

ルゲイエ「ふん!後悔しても知らんぞっ!?」



643: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:54:40.69 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B7F

看板『この先には罠が仕掛けてあるッス。どうなっても知らないッスよ?』



美希「……」

やよい「……」

美希「……」

やよい「……」

美希「……」

やよい「…………ここまで来たんです」

やよい「わたしは……美希さんを信じます!」

美希「やよい……ありがとうなの!」

美希「大丈夫、ミキの勘は、結構当たるんだよ?」

やよい「はいっ!」


スタスタ…




やよい「……………あれ?」

美希「どうしたの?やよい」

やよい「あのー、そういえばわたし達って、なんのためにここにいるんでしたっけ?」

美希「…………あれ?なんのタメだったっけ?」

美希「忘れちゃったの」

美希「でも、とりあえず先に進めばわかるって思うな!」

やよい「んー……それもそうですねー」

やよい「じゃあ、はりきって行きましょーっ!」

美希「おーー!なの!」



644: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 19:58:59.05 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B5F クリスタルルーム付近

美希「……」グゥゥ

やよい「美希さん、おなかすいたんですか?」

美希「うん……おにぎりを補給しなきゃ、これ以上進めないのー……」ダラダラ

やよい「じゃあ、少し早いですけど、お昼ごはんにしましょーか?」

美希「ホントっ!?」パァァ

美希「さっすがやよい、話がわかるの!」




美希「モグモグ……」

美希「んー、力がみなぎるの!」

やよい「えへへ、おいしーですね!」

やよい「でも、ちゃんとみなさんの分ものこしておかないとダメですからね?」

美希「むぅ……やよいはきびしいの」



「…………お前達」



美希「ん……?」チラ

やよい「だれですか?」



ルビカンテ「敵地に乗り込んで来て、『誰ですか?』もないものだと思うが……」

ルビカンテ「人間がこんな所で何をしている?」

ルビカンテ(この娘達……只者ではないな……)

やよい「はわわっ……なんだか真っ赤な人です……」

美希「何って……ご飯食べてるんだよ?」

ルビカンテ「あ、いや……それはわかっているのだが……」

ルビカンテ「オレの質問が悪かったか……」

ルビカンテ「なぜ、人間がこんな所にいるのだ?」

ルビカンテ「まさか、お前達……?」



ルナザウルス(……ようやく来たッスか……)

ルナザウルス(せっかく案内したのに、迷っちゃったのかとヒヤヒヤしたッス)




645: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 20:03:33.53 ID:+NYVYuO4O

美希「うーん……それは、ミキの方が聞きたいの」

ルビカンテ「…………は?」

美希「……ねえ、赤い人。ミキ達、なんでここにいるんだっけ?」

ルビカンテ「………」

ルビカンテ(何を言っているんだ、こいつは?)

ルビカンテ(……作戦なのか?記憶喪失なのか?)

ルビカンテ(……それとも、ただのバカなのか?)

美希「ミキね、春香達の話は退屈だからあんまり聞いてなかったの」

美希「だから、何すればいいのかわかんなくなっちゃった……」

美希「あはっ☆」

ルビカンテ(……ただのバカか)

ルビカンテ(さっきは只者ではない気配がしたのだが、気のせいか……?)



ルナザウルス(あれぇ……なんかやる気ない感じッスね〜)

ルナザウルス(これじゃ、作戦がうまくいかないッス……)



やよい「あのー……」

やよい「わたし達、みなさんとはぐれちゃったみたいで……」

ルビカンテ(そんな事はオレの知った事じゃないんだが……)

やよい「春香さん達がどこにいるか、知りませんか?」

ルビカンテ「知らん……」

ルビカンテ「というか、お前達は侵入者だ」

ルビカンテ「悪いが、排除させてもらうぞ……!」ボオッ

やよい「はわっ!もえてますっ……!」

やよい「なんだかいふりとさんみたいかなーって」

美希「まあまあ、そんなに熱くならないで、おにぎりでも食べて落ち着くの」


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