P「ゲームの世界に飛ばされた」2 その2

646: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 20:06:19.31 ID:+NYVYuO4O

美希「はいっ。ミキの分、あげる!」スッ

ルビカンテ「………」

ルビカンテ(……なぜこんなに余裕なんだ、こいつは?)

ルビカンテ(そんなに自分の力に自信があるのか……?)

ルビカンテ(………)グゥゥ

ルビカンテ(…………そういえば、今日はまだ何も食べてなかったな)

ルビカンテ(…………敵に施しを受けるのはシャクだが、握り飯に罪は無い、か)

ルビカンテ「………」

ルビカンテ「……仕方ない、食べてやろう」スッ

美希「あはっ☆やっぱりお腹が空いてたんだね?」

やよい「あ、お漬け物もあるんで、よかったらどうぞっ!」スッ

ルビカンテ「……もらおう」スッ

ルビカンテ「モグモグ……」

ルビカンテ「む、なかなかいけるな……」

やよい「えへ、よかったですー!」

美希「今、おにぎりは……種族の壁を越えたの!」



ルナザウルス(ちょっとちょっと〜!なんで和やかにランチしてるッスか〜!?)

ルナザウルス(待ってる身にもなって欲しいッス〜)



スタスタ…



律子「…………あら?」

貴音「あれは………」




引用元: P「ゲームの世界に飛ばされた」2 


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647: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 20:07:59.10 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B7F

春香「たぁーっ!」ザクッ


魔物1「」


千早「……くっ」ドスッ


魔物2「」



春香「ふぅ……」

春香「なんか、魔物が増えてきた気がするね……」

千早「春香、休んでいるヒマはないわよ!」


タタタタ…


春香「ま、待って、千早ちゃん!」


タタタタ…




看板『この階段を登るッス』



千早「………上ね!」


タタタタ…


春香「はぁ、はぁ……ち、千早ちゃん、待って……!」


タタタタ…




648: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 20:10:40.36 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B5F

看板『さらに階段を登るッス』



千早「どれだけ登ればいいのかしら……」

春香「はぁ、はぁ……ま、また階段……?」

千早「春香、大丈夫?」

春香「あ、う、うん。大丈夫だよ!」

春香(心配されたら、『しんどい』なんて言えないよ……)

春香(……頑張らないとね!)




魔物「ウガァ!」ブンッ


春香「……あっ、千早ちゃん、危ないっ!」ガバッ


ザシュッ!


春香「うぐっ……!」ヨロッ

千早「春香っ!」ガシッ

千早「……このっ!」ブンッ


ドスッ!


魔物「」



千早「春香、しっかりして!」

春香「だ、大丈夫、だよ……」

春香「えへへ……この世界に来てから、ケガするの、慣れちゃった」ニコッ

千早「春香……」ギュッ

春香「……ケアルラ!」


シャララーン!キラキラ…


春香「ふぅ……」

千早「春香……ごめんなさい」

春香「ううん、謝らないで?」



649: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 20:12:33.17 ID:+NYVYuO4O

春香「私ね?この世界に来てからさ……」

春香「私って個性が無いなぁ、とか、主人公なのに目立ってないよ〜、とか、いろいろ考えてたんだけどさ……」

春香「……お父さんにね、ハルカは『ぱらでぃん』だって言われたんだけど……」

春香「こうやってみんなを守るのが、私の役割なのかなって」

千早「春香……」

春香「えへへ……私にも仕事があって良かったよ」ニコッ

千早「そうね……」ギュッ

春香「わわっ、ち、千早ちゃんっ……」ドキドキ

千早「……あまり、無理はしないでね?」

春香「千早ちゃん……」

春香「うん、肝に命じておくよ」

千早「……それから」

千早「自分の事をさりげなく『主人公』と言ってしまうのが、春香の大胆なところね」

春香「あっ、えっと、そ、それはその……」アセアセ

千早「…………さ、行きましょう」


スタスタ…


春香「ち、千早ちゃん、待って〜!」


タタタタ…



650: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 20:14:10.47 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B4F

春香「………あっ!」

春香「千早ちゃん、また看板があるよ!」スッ

千早「今度は何が書いてあるのかしら?」



タタタタ…



春香「…………あれ?何も書いてない……?」

千早「これは……どういう事なの?」

春香「ここ、行き止まりみたいだし、美希もやよいもいないし……」キョロキョロ

千早(まさか……)

春香「………ん?」チラ

春香「看板の下の方に、小さく何か書いてあるみたいだよ?」

千早「なんて書いてあるの?」

春香「えっとね……」




春香「………『小さい頃親に、知らない人について行っちゃダメって教わらなかったッスか?残念でした』」



千早「……」

春香「も、もしかして、罠の方だった……?」カチッ

春香「……あれ?なんか踏んじゃった」


ガラッ…


春香「わっ……!」ヨロッ

千早「な、何……?床が……!」


ガラガラ…ボロッ…


春香「く、崩れるっ……!」


ガラガラガラ…


ヒュー…


春香「わーー!落ちるぅーー!」

千早「くっ……!」



…………



……




651: ◆bjtPFp8neU 2014/12/12(金) 20:16:25.65 ID:+NYVYuO4O
バブイルの塔 B5F

春香「痛たた……!」

千早「春香、大丈夫?」スッ

春香「あ、ありがと……」ギュッ

春香「千早ちゃんは……怪我はない?」

千早「ええ、なんとか」

春香「すごいな……あんなに高いところから落ちてきたのに、ちゃんと着地できるなんて」

千早「それは、普段のジャンプで慣れたからかもしれないわね」

春香「ああ、なるほどねー」

春香「それにしても……」キョロキョロ

春香「ここ、どこだろう?」

千早「あの看板は罠だった。そして、高槻さんと美希は見当たらない……」

春香「……って事は、2人は看板とは逆に行ったのかな?」

千早「そうとしか考えられないわね」

千早「一度、下に戻った方が……」



ニュルニュル…


タイダリアサン「………おや?」



春香「あっ!」

千早「昨日の……!」


タイダリアサン「ついてないなぁ……」

タイダリアサン「またあなた達ですかぁ……」


春香「昨日の様には、いきませんよっ!」チャキッ

千早「もう、遅れは取らない!」チャキッ


タイダリアサン「うわ……やる気満々だし……」



652: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:37:57.67 ID:hAZEWs/9O
バブイルの塔 B5F

タイダリアサン「……仕方ないなぁ」

タイダリアサン「また『タイダるウェーブ』の餌食にしてあげますよ……」


ザァァァァァ…


春香「ま、また……!」

春香「あれ、食らったらまずいよぉ……!」

千早「……春香、私に捕まって!」

春香「えっ……?」

春香「あっ、そっか!……わかった!」ギュッ



ザッパァァァァァァン!



千早「………くっ!」タンッ


フワッ…



タイダリアサン「なるほど、空中に逃げたんですね……?」チラ

タイダリアサン「でも……それは予想できてますけどねぇ……?」


千早「逃げた……?」

千早「……そんなつもりは、ないわ!」

千早「…………春香っ!」

春香「うんっ!」ダンッ


タイダリアサン「………え?」


春香「……鬼神の居りて乱るる心」チャキッ

春香「されば人………かくも小さき者なり!」



春香「乱命……割殺打っ!」ブンッ



シュンッ…ドゴォ!



タイダリアサン「うぐっ……!」


…スタッ


春香「………千早ちゃんっ!」クルッ



653: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:39:35.95 ID:hAZEWs/9O

千早「……はっ!」


ヒュンッ……ドスッ!


タイダリアサン「ごはっ……!」



春香「……千早ちゃん、平気?」

千早「大丈夫よ」



タイダリアサン「あー……痛いなもー……」



春香「あれ、あんまり効いてないのかな……?」


タイダリアサン「いいえ、かなーり効きましたよ、今のは……」


千早「……」

春香「あの、通してもらえませんか?……私達、仲間を探してるんです」


タイダリアサン「ええ、別にいいですよ?」

タイダリアサン「私も、仲間を探しているところでしたから……」


春香「えっ?そ、そうだったんですか?」


タイダリアサン「ええ……私は乗り気じゃなかったのに、やる気満々だったのは、あなた達の方でしょう?」


千早「確かに……」

春香「あ、あの……なんか、ごめんなさい……」ペコリ


タイダリアサン「いいえ、いいんですよ、わかってもらえれば……」

タイダリアサン「じゃ、私、もう行きますね〜?」



ニュルニュル…



春香「………」

春香「今のって、私達が悪かったのかなぁ?」

千早「どうかしらね……」



654: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:40:57.12 ID:hAZEWs/9O
バブイルの塔 B5F クリスタルルーム付近

律子「あんた達……!」

貴音「おや……」



やよい「あっ………!」

やよい「律子さん!貴音さん!」

美希「わぁ!2人とも、久しぶりなの〜!」

ルビカンテ「む………むぃふほむぁ………!」

ルビカンテ「………むぐっ!」

やよい「あわてちゃダメですよ?はい、お茶、どうぞー」スッ

ルビカンテ「ゴクゴク……」

ルビカンテ「………すまん」

ルビカンテ「リツコ様……見苦しいところを見せてしまいました」ペコリ

律子「ああ、気にしないで?うちの子達と仲良くやってくれるのは、私も嬉しいから」ニコッ

ルビカンテ「リツコ様……」

ルビカンテ(何かが吹っ切れた様な、そんな顔をしておられる……)

ルビカンテ(隣の女のおかげか……?)チラ

貴音「………」ペコリ

ルビカンテ(………こいつ、只者ではないな)

貴音(……なかなかの手練れですね)



律子「それにしても……2人だけ?他の子達は?」

やよい「ここに来るとちゅうではぐれちゃって……」

美希「みんな、バラバラになっちゃったの」

律子「そうだったの……」



律子「ルビカンテ、ちょっとお願いがあるんだけど……」

ルビカンテ「………はい」

律子「勝手な事言って申し訳ないんだけど……」

律子「私………降りる事にしたわ」

律子「あとは、あなたに任せる」


ルビカンテ「………」



655: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:45:40.71 ID:hAZEWs/9O

律子「なんとなくあなたなら、悪い様にはしないって気がするの」

律子「あとの事、よろしくお願いします」ペコリ

ルビカンテ「………」



ルビカンテ「………ならば」

ルビカンテ「オレの願いも聞き入れてもらいたい」

律子「……そうね。それが筋ってものよね」

律子「わかったわ」

律子「………で、あなたの願いって、なんなの?」

ルビカンテ「オレは………あなたと戦ってみたい」

律子「!」

貴音「………」

美希「へー、律子…さん、モテモテなの」

やよい「あの、ケンカはダメですよ……?」

律子「やよい、これはケンカじゃないわ」

やよい「えっ?で、でも……」

律子「そうねぇ……ちょっと例えが悪いかもしれないけど……落とし前、みたいなものかしら?」

やよい「おとこまえ、ですか……?」キョトン

美希「うーん……そこまでカッコいいとは思わないの」

律子「もうっ!男前じゃなくて落とし前っ!」

ルビカンテ「オレはそんなつもりはない」

ルビカンテ「ただ、純粋に……あなたの強さに惚れているだけだ」

美希「わぁ……!愛のコクハクなの!赤い人、結構大胆なんだね〜?」ワクワク

やよい「はわわっ……///」モジモジ

貴音「ふふ、愛されているのですね、律子嬢」

律子「あ、あのね……どうしてそう曲解するのよ、あんた達は……」

律子「いいわよ。やりましょう」

律子「……ただし、手加減はできないかもしれないわよ?」

ルビカンテ「もちろん、その方がオレにとっても好都合だ」

貴音(果たし合い、ですか……)

貴音(あの殿方と律子嬢では、おそらく律子嬢が格上……)

貴音(それを承知の上だとしたら…………なかなか厄介な相手となるでしょう)

貴音(………)

貴音(ふふ……各々の名誉を賭けた果たし合いに、この様な分析は無粋でしたね)




ルナザウルス(……なんか、妙な事になってきたッスね〜)

ルナザウルス(リツコさんが旧四天王さんを倒してくれれば、あとはなんとかなりそうッス)

ルナザウルス(2人が戦ってるスキに、クリスタルはいただくッス!)コソコソ



656: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:50:17.28 ID:hAZEWs/9O
貴音「……!」ピクッ

美希「……どうしたの?貴音」

貴音「……わたくし、少し用事を思い出しました」

貴音「……すぐに戻ります!」


タタタタ…


やよい「……行っちゃいましたねー」

美希「ん〜……なんだか貴音の様子がおかしかった気がするの……」

やよい「たしかに、ちょっとあせってた気もしますねー」

美希「これは、後を追うしかないの!」

やよい「でも、律子さんが……」チラ

律子「私の事なら、心配いらないわ!」

律子「貴音のおかげで、今なら全力を出せそうな気がする……」

律子「美希、やよい……貴音を追って!」

美希「わかったの!」

やよい「わかりましたっ!」


タタタタ…



律子「………さあ、これで気兼ねする事もないでしょ?」

律子「ルビカンテ、かかって来なさい!」

ルビカンテ「お気遣い、感謝します」

ルビカンテ「………ではっ!」ダンッ

ルビカンテ「はっ!」ブンッ


ガキィン!


律子「く……っ!」ギリッ

律子「やぁ!」グイッ


スタッ


ルビカンテ「………少し、鈍りましたか……?」

律子「ちょっといろいろあって、自分の身体なのにブランクがあるのよね」

律子「でも、そんな事は気にしないで、全力で来なさい!」

ルビカンテ「わかりました」

ルビカンテ「……ファイガ!」ボオッ


律子「……ファイガ!」ボオッ



ゴオオオオオオオオオ!!



ドゴォォォォォォォォォン!!


657: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:54:34.91 ID:hAZEWs/9O
バブイルの塔 B5F クリスタルルーム

ルナザウルス「ひい、ふう、みい……」

ルナザウルス「うん、間違いなく7つあるッス!」キラーン

小鳥(でかしたわ、ルナ君!これであとひとつ……)

ルナザウルス「最後のひとつは、どうするッスか?」

小鳥(もちろん、横取りよ?)

ルナザウルス「あ、やっぱり……」

小鳥(元より、最後のクリスタルの鍵は、律子さんが持ってるのよねー)

小鳥(だから、今の私達は最後のクリスタルに手が出せないのよ)

ルナザウルス「まあ、なんとかやってみるッスよ」

ルナザウルス「みんなも、そのうち到着すると思うし……」



…バタン!



貴音「ようやく見つけました……」

貴音「……さあ、年貢の収め時ですよ!」ビシッ

ルナザウルス「げげっ!?」

ルナザウルス「……勘がいいッスねぇ、も〜!」

ルナザウルス「執念深いというか、なんというか……」

ルナザウルス「仕方ないなー……」

ルナザウルス「コトリ様の四天王のひとり、『暴食』のルナザウルス、ちょっとだけ後悔させてあげるッス!」

貴音「待った!」

ルナザウルス「……なんスか?」

貴音「暴食、と仰いましたが……」

貴音「あなたのその骨だらけの身体のどこに、食べ物が入るというのです?」

貴音「明らかに無理があると思うのですが……」

ルナザウルス「それは………」

ルナザウルス「……………企業秘密ッス!」

貴音「……面妖な!」



658: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:55:50.89 ID:hAZEWs/9O

ルナザウルス「行くッスよ!」

ルナザウルス「バイオ!」バッ


ブニューーン!


貴音「ぶりざど!」


コォォォォォ…シャキーン!


ルナザウルス「下位魔法で相殺されちゃうッスか……」

ルナザウルス「さすがは『タカネ様』、魔力のケタが段違いッス!」

ルナザウルス「なら、これはどうッスか?」ブンッ


貴音「く……!」ヒョイッ


ルナザウルス「あー、やっぱり……」

ルナザウルス「あなたは、肉弾戦は得意じゃないみたいッスね?」

貴音(確かに……)

ルナザウルス「それじゃあ自分に勝てないッスよ?」

貴音「………」

貴音「やってみなければ、わかりません!」

貴音「はっ!」タンッ


貴音「ぶりざら!」バッ


コォォォォ…


ルナザウルス「リフレク!」


ブゥーーン!


貴音「!」

貴音「魔法が跳ね返って……!」


コォォォォォォ…パキーン!




659: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:58:27.85 ID:hAZEWs/9O

貴音「ぐっ……!」ヨロッ


ルナザウルス「……どうッスか?自分の魔力をモロに食らった気分は?」

ルナザウルス「あなたの魔力はチート過ぎるッスから、結構ダメージあったと思うッスけど」

ルナザウルス「魔法を使えないんじゃ、あなたに勝ち目はないッスね〜?」


貴音(魔法を跳ね返す魔法、ですか……)

貴音(確かに、わたくしの主力は魔法攻撃。この状況は分が悪いかもしれません)

貴音(ふむ………)

貴音(少々、危険ですが………あの物の怪は、やたらと隙が多い……)

貴音(ここは、行くべきでしょう)



貴音「ならば、その光の壁を消し去るのみ!」

貴音「でぃすぺる!」


ブゥゥン……パシュンッ


ルナザウルス「……まあ、それが妥当だと思うッスよ」


シュンッ…


ルナザウルス「でも、またリフレクを……モゴッ!?」

ルナザウルス「!?」

貴音「……口を塞げば、あなたも魔法は使えないでしょう?」ガシッ

貴音「そして、この至近距離で魔法を使ったら、果たしてどうなるでしょうか?」ニヤリ

ルナザウルス「モガー、モガーッ!」ジタバタ

貴音「……あなたの様な屍には、火葬がお似合いです!」

貴音「ふぁいが!」


ゴオオオオオオオオオ!!


ルナザウルス「うぎゃああああああっ!!」

貴音「く……!」

貴音(少々、無茶が過ぎましたか……!)ズサッ



660: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 14:59:47.58 ID:hAZEWs/9O

貴音「………」

ルナザウルス「はぁ、はぁ……!」

ルナザウルス「い、今のは……効いたッス……!」

貴音「さあ、観念して月へ還りなさい!」

貴音「ここは、あなたの居るべき場所ではないのです!」

ルナザウルス「ざ、残念ッスけど、それはできないッスね……!」



…バタン!



美希「貴音っ!」

やよい「貴音さんっ!」


貴音「美希、やよい……!」


美希「助太刀するの!」

やよい「まものさん、わるいことしちゃ、めっ!です!」


貴音「ありがとうございます。しかし、この者は、わたくしが……」


ルナザウルス「あはは!カッコ付けるッスね〜!」

ルナザウルス「なら、こっちも仲間を呼ぶッス!」

ルナザウルス「プーちゃん!」



フワフワ〜…



661: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 15:04:02.00 ID:hAZEWs/9O

プレイグ「よかったぁ……ぼく、出番無いかと思っちゃった……」



貴音「これは……まこと、面妖な……!」

美希「目玉のお化け!」

やよい「はわわ、いろんなまものさんがいるんですねー……」



ルナザウルス「プーちゃん、早速で悪いッスけど……」

ルナザウルス「あの銀髪、殺しちゃってくださいッス!」スッ

ルナザウルス(タカネさんさえいなくなれば、あとは楽勝っぽいッスからね〜)

プレイグ「うん、わかったよ」



貴音「む……?」

やよい「こ、ころすなんて……そんな事、ダメですっ!」バッ

美希「んー……そんなにあっさり貴音がやられるとは思えないの」

貴音(わたくしを殺す……?一体どうやって……?)

貴音(一応、用心しておいた方が良いですね……)



プレイグ「あなたに恨みはないんですけど………ごめんなさい!」

プレイグ「死の宣告!」



ズゥゥゥゥゥン…



美希「……ん?何かしたの?」

やよい「よくわからないですねー」

やよい「…………あれ?」チラ

やよい「貴音さん……」




662: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 15:18:54.09 ID:hAZEWs/9O

やよい「貴音さんの頭の上に、10って、数字が……」



10貴音「はて?数字……ですか?」



美希「あ、ホントなの!」

9貴音「今のは一体、どの様な攻撃なのでしょうか……?」

やよい「あっ!数字が、へりました……」

9貴音「数字が、減った……?」



ルナザウルス「残念ですけど、あとちょっとでお別れッスね〜?」

ルナザウルス「……タカネ様?」



8貴音(数字……減る……お別れ……………)

8貴音(死の、宣告………)

7貴音(まさかっ………!)

7貴音(……こ、この様な身も蓋もない攻撃があるとは……っ!)ガクッ

やよい「た、貴音さんっ……!?」オロオロ

美希(なんなの……?なんだか、とっても胸騒ぎがするの……!)

6貴音(響…………申し訳ありませんっ……!)グッ

6貴音「これが、わたくしの命運だというならば……」

6貴音「……今わたくしにできる事をするのみです!」バッ


ルナザウルス「泣かせるッスね〜」

プレイグ「わわ、怒っちゃったかなぁ………」



5貴音「四条貴音、最大最後の魔法………とくと味わいなさいっ!」ゴゴゴゴ



5貴音「……めてお!」



ヒュー…ヒュー…ヒュー…

ヒュー……ヒュー……ヒュー…



ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!



ルナザウルス「うぎゃあーー!」

プレイグ「うわあぁぁぁ!」





663: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 15:23:07.42 ID:hAZEWs/9O

4貴音「はぁ、はぁ……!」



やよい「た、貴音さんっ!だ、だいじょーぶですかっ!?」ガシッ

美希「貴音っ!」ガシッ

3貴音「美希……やよい……わたくしは、どうやらここまでの様です……」

やよい「えっ?な、なんでそんな事言うんですかっ!?」

美希「貴音っ、弱気になっちゃダメなのっ!」ユサユサ

2貴音「いいえ、おそらくほんの数秒後に……決して逃れる事のできない運命が、わたくしを待っているでしょう……」

やよい「た、貴音さんっ!」ギュッ

美希「そんな……絶対そんな事ないって、思うな!」

1貴音「2人とも……後の事は、頼みましたよ……?」ニコッ




0貴音「………」ガクッ




美希「た……か、ね……?」

やよい「貴音さんっ!起きてくださいっ!」グスッ

やよい「こ、こんなの、いやですよぅ……!」ギュッ

やよい「うぅぅ……うわぁぁぁぁん!」ポロポロ

美希「嘘……!嘘なの……!こんなのって、ないの……っ!」ギュッ




664: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 15:26:13.60 ID:hAZEWs/9O

ルナザウルス「残念ッスけど、事実ッス!」

ルナザウルス「『タカネ様』は今、『死にました』!」

プレイグ「ごめんね……ぼくもこんな事したくなかったんだけど……」

ルナザウルス「さっきのメテオ、かな〜り効いたッスけど……」

ルナザウルス「あなた達2人は……あんまり強くなさそうッスね〜?」

ルナザウルス「ささっとやっつけちゃうッス!」



美希「………」ギュッ

やよい「うぅぅううっ!グスッ……ひぐっ!」ポロポロ


ルナザウルス「さ……あなた達も、タカネ様の後を追うッス!」






美希「……………………………ヤ、なの」ポワ…






ルナザウルス「………ん?」



美希「こんなの………絶対…………!」

美希「……やっ!なのっ!!」



パァァーー!



ルナザウルス「うわっ!まぶしっ!」

プレイグ「な、何……!?」


やよい「グスッ……み、美希さん……?」



665: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 15:30:05.76 ID:hAZEWs/9O









「生命を司る精霊よ………」



「失われゆく魂に……今一度、輝きを!」



「…………アレイズ!」ナノ



キラーン……パァァァ!



貴音「………」

貴音「………」ドクンッ

やよい「はわっ!た、貴音さんっ!」ギュッ



「やよい……貴音はもうへーきなの……」



やよい「へ?」

やよい「み、美希さん……なんですか……?」チラ



「うん。そうだよ……?」



やよい「なんで空をとんでるんですか……?」

やよい「それに、なんだか髪が……」








666: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 15:46:37.08 ID:hAZEWs/9O


覚醒美希「うん。ミキもよくわかんないけど…………髪の毛、短くなっちゃったの」フワフワ

覚醒美希「あーあ……ハニーが褒めてくれた髪だったのになぁ……」



ルナザウルス「……誰ッスかあんた?」

ルナザウルス「邪魔するなら、容赦しないッス!」

ルナザウルス「バイオ!」


ブニューーン!


覚醒美希「………」チラ

覚醒美希「……シェル」スッ


シュパッ…


ルナザウルス「え?か、かき消された……!?」


覚醒美希「やよい……貴音をよろしくなの」


やよい「は、はい!わかりましたっ!」ギュッ

貴音「………」

やよい「あ、あのっ!美希さん?は、どうするんですか?」

覚醒美希「心配しないでいーよ?」

覚醒美希「……全部、ミキに任せて欲しいの」ニコッ

やよい「美希さんっ……!」



覚醒美希「ミキ、ちょっと怒ったの……」チラ




667: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 15:51:39.39 ID:hAZEWs/9O

覚醒美希「ミキの大切な友達を傷つける人達なんて……!」

覚醒美希「……消えてなくなっちゃえばいいって、思うなっ!」ゴゴゴゴ…



プレイグ「わわっ!す、すごい魔力……!」

ルナザウルス「そ、そんな……ザコだと思ってたのに……!」






ーーー虚栄の闇を払い、真実なる姿、現せーーー




ーーー……………あるがままに!ーーー





ーーー………………アルテマッ!ーーー




ルナザウルス「ちょ、ま……!?」

プレイグ「ひえぇ……!」



スゥゥゥゥ…



ゴゴゴゴゴゴ…



ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



ドゴォォォォォォォォォン!!




668: ◆bjtPFp8neU 2014/12/13(土) 15:58:40.28 ID:hAZEWs/9O

ドサッ…



やよい「み、美希さんっ!」

やよい「だ、だいじょーぶですかっ!?」ギュッ

美希「……zzz」

やよい「あ、ねてるんですね……」


サラッ…


やよい「……あれ?美希さんの髪が……」

やよい「また長くなってます……」

やよい(……さっきのは、なんだったんでしょーか……?)

やよい(短くなっちゃったと思ったんですけど……)

やよい(見まちがい、かな……?)




貴音「………やよい……?」ムクッ


やよい「あっ、貴音さん!」

やよい「よ、よかったぁ……!」ウルッ

やよい「わ、わたしっ……た、貴音さんっ……グスッ……が……ひぐっ!」ポロポロ

貴音「心配かけてしまいましたね……」ナデナデ

やよい「うぅぅ……!」ギュッ

貴音(わたくしは、死んだはずでは……?)

貴音(なぜ生きているのでしょうか……?)

貴音(……一体、何が……?)



貴音「やよい、あの物の怪達は……?」

やよい「グスッ……あ、えっと!」ゴシゴシ

やよい「たぶん、美希さんがやっつけてくれましたよ?」

貴音「多分……?」

やよい「はい……たぶんあれは、美希さん……だったと思います」

貴音(……記憶が混乱している?)

貴音(一部始終を見ていたはずのやよいがこれでは、ますますわかりませんね……)

貴音(……ともあれ、物の怪達の気配は近くには無い様です)

貴音「やよい、律子嬢の元へ戻りましょう」

やよい「あ、はーい。わかりましたー!」

美希「……はにぃ……」ムニャ



670: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 20:45:45.32 ID:tENnA20pO
飛空艇 エンタープライズ

響「……………で、あんなとこに隠れてたのか」



店主「い、いや、隠れてたというか……」

店主「まさか、ヒビキの船だとは思わなくてだな……」

ものまね士「もうっ!店主さんのせいですよっ!?」

店主「うぐ……!」

店主「まあ、全面的にオレが悪いよな……すまん……」ペコリ

店主「……でも、ものまね士だってノリノリじゃなかったか?」

ものまね士「そ、それは……!」

ものまね士「……店主さんが喜んでたから、私も嬉しくなっちゃって、つい……」ボソボソ

店主「……え?なんだって?」

ものまね士「な、なんでもないですっ!」プイッ

店主「なんだよ、気になるだろ?」

ものまね士「なんでもないですってば!」



響「………」

響「はいはい、ケンカはそこまでだぞ!」

店主・ものまね士「はい、すみませんでした……」

響「2人がらぶらぶなのは、充分伝わったさー」

店主・ものまね士「そ、そんな事っ……!!」

響「息もピッタリなんだなー……」

響「あのね?自分は別に、怒りたいわけじゃないんだ」

響「もう引き返せないぞ?って言いたかっただけで……」

店主「引き返せないって……」

ものまね士「ち、ちなみに、今はどのあたりを飛んでるんですか?」

響「どこって……」チラ



響「………地底だけど?」



671: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 20:49:37.27 ID:tENnA20pO

店主・ものまね士「ち、地底ーー!?」



店主「………って、どこだ?」

ものまね士「店主さん、知らないで驚いたんですか……」

響「地底は地底だぞ。地面の下にある世界!」

店主「へぇ、地面の下にも世界があるのかぁ」

ものまね士「……それで、ヒビキさんはその地底に何しに来たんですか?」

響「うん。春香達を迎えに行くところなんだ!」

ものまね士「ハルカ様達も来ているんですね」

響「うん!だから、悪いけどもう戻れないからね?」

ものまね士「はい、わかりました……」

ものまね士「仕方ないですよね、店主さん……?」チラ

店主「はぁぁぁ……店、どうしよう……」ズーン

響「ひと段落したら送ってあげるから、そんなに落ち込まないでよ……」

店主「ああ、悪い……そうだよな」

店主「ま、飛空艇に乗る機会なんて一生に一度あるかないかだもんな!」

店主「楽しむとするか!」

響「……店主って、意外と切り替えが早いんだな」ヒソヒソ

ものまね士「……ですねぇ」ヒソヒソ



響「………ん?」チラ


響「おー!なんか城が見えてきたぞー!」

店主「ホントだ……」

ものまね士「……あれ?」

ものまね士「お城の近くに、飛空艇が停まってるみたいですね?」

響「そーみたいだなー」




672: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 20:51:52.90 ID:tENnA20pO

ものまね士「ところでヒビキさん、ハルカ様達はどこにいるんですか?」

響「さあなー」

ものまね士「さあなーって……それで大丈夫なんですか?」

響「なんくるないさー!自分、また春香達と合流するって、約束したからな!」

響「エン太郎がきっと導いてくれると思うんだ!」

ものまね士「えんたろう……?」

響「この子の名前なんだ!」ナデナデ

ものまね士「そ、そうなんですか……」

ものまね士「い、いい名前ですね……」

響「とりあえず、あのお城に降りてみよう!」

店主「よしきた!」

店主「野郎共ー!着陸の準備だー!」



シーーン…




響「いや……ここには自分達3人しかいないからね?」

店主「あ、そ、そうなのか……」カァァ

ものまね士「じゃあ、ヒビキさんひとりで全部やってるんですか?」

響「まあね!自分……」

響「………」

響「……なら、これくらい余裕だもんね!」

店主「あのさ……この船に乗ってる間は、オレも何か手伝わせてくれよ」

店主「ボーっとしてるのは、なんか性に合わなくてな……」

ものまね士「私も、ぜひお手伝いさせてください!」

響「えへへ……2人とも、ありがとなっ!」



響「よーし、着陸するぞー!」グイッ




673: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 20:53:18.77 ID:tENnA20pO
ドワーフ城

響「うーん、どうしようかな?」キョロキョロ

響「こういう時は、やっぱり王様に話した方がいいのかな?」

ものまね士「それがいいかもしれませんね」

ものまね士「それにしても、地底の人って、みんな肌が黒いんですねぇ……」

店主「そうだなぁ」

響「うん。なんだか他人の気がしないぞー」

響「あ、あの人に、王様の事を聞いてみよっと」


タタタタ…


響「はいさ〜い……じゃなかった」

響「らりほ〜!ちょっと聞きたい事があるんだけど、いいかな?」



「は〜い?私で良ければ……」



響「………って」



響「あ……あずささんっ!?」



あずさ「あら〜?響ちゃん、久しぶりね〜?」

あずさ「元気そうで良かったわ〜」

響「うぅ……!」ダキッ

あずさ「ひ、響ちゃん……?」

響「良かった……!」ギュッ

響「あずささんが生きてて、良かったよぉ〜!」グスッ

あずさ「………」ナデナデ

あずさ「ごめんなさいね、心配かけちゃったみたいで……」

響「グスッ……ひぐっ……!」ポロポロ



ものまね士「あの綺麗な女性って、確か……」

店主「ああ、ウチに来た事あったな……」

店主「あの時は寝たきりだったけど、どうやら良くなったみたいだなぁ」



674: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 20:55:37.46 ID:tENnA20pO

響「グスッ……」

響「ごめんね、あずささん……いきなり飛びついちゃったりして……」ゴシゴシ

あずさ「気にしないで?私も嬉しかったから」

響「えへへ……///」

あずさ「うふふ……」



あずさ「ところで響ちゃん、そちらの方達は……?」

響「あ……」

響「紹介するね!この人は、カイポの村の宿屋の、店主!」

店主「よろしくな!」

店主(間近で見ると、やっぱすごい美人だなぁ……)

響「……で、こっちが、バロンのものまね士!」

ものまね士「よろしくお願いしますね」ペコリ

ものまね士(……っていうか、みんなもう忘れてると思うけど……)

ものまね士(私、本当は白魔道士なんですけどね……)

ものまね士(まあ、今さらですけど)

あずさ「うふふ、三浦あずさと申します。響ちゃん共々、よろしくお願いします〜」ペコリ

ものまね士(このアズサって人……仕草がいちいち色っぽいんですけど……)

ものまね士(スタイルも顔も一流……)

ものまね士(うーん……私もあやかりたいなぁ……)



響「……で、あずささん」

響「こんなところで何してたの?」

響(だいたい予想はつくけどね……)

あずさ「ああ、それが……」

あずさ「ちょっと、みんなとはぐれちゃって……」モジモジ

響(……やっぱりか)

店主(うーむ……色っぽい……)




675: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 20:57:21.57 ID:tENnA20pO

響「じゃあ、まずはみんなを見つけないとね!」

あずさ「ごめんなさいね?迷惑かけてしまって……」

響「そんな事ないさー!」

響「……プロデューサーとかも、来てるんでしょ?」

あずさ「そうね〜。あと、亜美ちゃんとユキコちゃんと一緒に来たのだけど……」

響「へぇ、亜美とゆき……こ?」

響(聞き間違いかな?雪歩の事だよね、きっと)

響「よーし、じゃあ行こう!」

あずさ「そうね〜」


スタスタ…






ユキコ「あっ……」

ユキコ「あ、アズサさん……」

あずさ「あら、良かったわ〜」

あずさ「ユキコちゃんを見つけられて」

響「雪歩ー!久しぶりー!」

店主「ああ、ユキホかぁ。久しぶりだなぁ」

ものまね士「 ユキホ様、相変わらずみたいですねぇ」

ユキコ「え、えっと、そのぅ……」



ユキコ「ど、どちら様でしょうか……?」



響「えっ?」

響「ゆ、雪歩……?」

店主「ありゃ、忘れちゃったのか……」

ものまね士「で、でも……」

ものまね士「私達の事は仕方ないとしても、ヒビキさんの事まで忘れているなんて、ちょっとおかしくないですかねぇ?」



676: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 20:58:57.10 ID:tENnA20pO

あずさ「あ、響ちゃん、この子はね……」



亜美「あっれ〜?ひびきんじゃん!」

亜美「なんでこんなところにいるのさ?」

P「響か?どうしてここに?」



響「亜美!プロデューサー……は、べろちょろになっちゃったのか……」

響「聞いてよ!雪歩がひどいんだぞ!」

響「自分の事、知らないふりするんだ!」

響「いくらなんでも、ちょっとへこむぞ……」

あずさ「あ、あのね?だからこの子は……」

ユキコ「うぅ……す、すみません……」

店主「なんか、様子がおかしくなってきたな」

ものまね士「そうですね……」

亜美「あ〜……うん。これは……いろいろちかたないね〜」

P「ふむ……」

P「……よし、一旦飛空艇に戻ろうか」

P「ここじゃ、ちょっと説明しにくいからな」

響「ん……」

響「……なんだかよくわかんないけど、わかったぞー」



677: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 20:59:54.25 ID:tENnA20pO
飛空艇 フタミ号

P「………と、いうわけで」

ユキコ「うぅ……」

亜美「こちらは、ゆきぴょんの双子の妹の……」

響「えっ?双子!?」

真美「ややこしくすなっ!」スパーン

亜美「おお〜!我が姉ながら、ナイスツッコミ!」

真美「当たり前っしょ〜!」

雪歩「あ、あの、2人とも……」

雪歩「お話が先に進まないよぅ……」

亜美「うむ、すまぬ……」

真美「かたじけない……」

トロア「ふぅ……まったくもって、息の合った双子ですね……」

あずさ「うふふ、本当ですね〜」

店主「妙にテンション高い子供だなぁ」

ものまね士「元気ですねぇ」

亜美「……ちょっとおっちゃん!」

店主「お、おっちゃんって、オレの事か……?」

亜美「他に誰がいるってのさ!」

亜美「亜美、これでもオ・ト・ナのレディなんだからねっ!」

亜美「子供扱いしたら、怒るかんねっ!」プンスカ

店主「そ、それはすまなかったな……」

店主「……で、あんたはいくつなんだ?」

亜美「え、えっと〜……………25?」

真美「ムリあるやろ〜(棒)」スパーン


亜美・真美「ありがとうございました〜」ペコリ


雪歩「えっ?えっ?」

P「……こらこら、勝手にしめるな」

響「なんなんだこのノリは……」



678: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:06:47.09 ID:tENnA20pO

響「ええっ!?ま、ま、マコトの奥さんっ!?」

ユキコ「は、はい。なんか、すみません……」オドオド

響「真、ついに男になっちゃったのかなぁ……?」

P「おいおい、そんな事は………」

P「……ないよな?」チラ

亜美「ない………よな?」チラ

真美「ない………よな?」チラ

雪歩「えっ?そ、そのぅ……」

雪歩「ないと思いますけど……確かめてみないと、わからないですぅ………///」ドキドキ

あずさ「ゆ、雪歩ちゃん、確かめるだなんてそんな………///」

トロア(私は何も聞こえない……私は何も聞こえない……)

ユキコ「い、いくらユキホさんでも、それはダメですぅ!」

雪歩「ゆ、ユキコさん、(半分は)冗談だよぅ……!」

店主「………いや、マコトは普通に女だったぞ?」



全員「…………えっ?」クルッ



店主「あ、あれ?オレ、なんかまずい事言ったか……?」

雪歩「なんで……」ゴゴゴゴ…

ユキコ「あなたが……」ゴゴゴゴ…

ものまね士「知っているんですか……?」ゴゴゴゴ…

店主「あ、えーと……それは……だな……」

店主「……っていうかお前ら、目が恐いよ!」

3人「問答無用(ですぅ)っ」ダッ

店主「ちょ、まっ……暴力反対〜!」

亜美「お?修羅場か?いいぞ〜もっとやれ〜!」

あずさ「あらあら〜、なんだか楽しそうね〜?」

トロア(私は、とんでもない船に乗っているんじゃなかろうか……)

真美「……かくしてフタミ号は、今日も平和なのであった……ズズッ」

真美「お茶がうまいですなぁ……」ホッコリ

P(ああもう……めちゃくちゃだ……)

P(…………ま、たまにはいいか)




679: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:09:18.15 ID:tENnA20pO

P「………ま、そういうわけで」チラ

店主「じ、地獄を見た……」ボロッ

雪歩「自業自得ですぅ!」

ユキコ「ですぅ!」

ものまね士「ふん!見損ないましたっ!」

亜美「こんだけ女がいると……」

真美「男の人は、肩身が狭いよね〜」

P(…………御愁傷様)



響「え、えっと……」

響「その、『バブイルの塔』ってところに春香達がいるんだな?」

P「そうだな。ドワーフ城にいなかったから、もう向かったはずだ」

P「響、ひとりで大丈夫か?」

響「なんくるないさー!ここまでだって、ひとりでやってきたからなっ!」

P「………」

P「俺達は他にやる事があるから、一緒には行けないが……」

P「俺達一人ひとりの心は、いつだってみんなと共にある!」

響「ワン・フォー・オール……でしょ?」

P「ああ、そうだ!」

響「自分、頑張るぞ!」





響「じゃあね〜!みんな、またな〜!」

ものまね士「なんだか賑やかな人達でしたねぇ」

店主「う、うん……」

店主(女って………恐い)

響「……さ、自分達も出発しよう!」

ものまね士「はいっ!」

店主「よし、気持ちを切り替えるか!」



680: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:22:33.61 ID:tENnA20pO
バブイルの塔 B6F 巨大砲制御室

真「ふっ!はっ!とりゃ!」


ドゴッ!バキッ!ドガッ!


バルナバ「………」

バルナバ「フンガー!」ブンッ


真「ぐっ……!」ガシッ


クルン…スタッ


真「効いてないか……そりゃ、ロボットに痛覚なんてないよね……」

真(動きが遅いのが、救いかなぁ?)

真(攻撃までに、妙な隙もあるし……)

真「よし!」ググッ

真「飛燕、疾風脚!」


ヒュンッ…ドゴォ!


バルナバ「………」


真「ここだっ!」

真「幻影脚っ!」


ダダダダダダダダダ…


真「っせい!」ドゴォ!


スタッ


バルナバ「………」ギィ


真「ははっ、タフだなぁ……」

真(ロボットって、機械だよね……?)

真(って事は……)


バルナバ「フンガー!」ブンッ


真「はっ!」タンッ


真「雷煌拳!」


ズガガガガガガガッ!


バルナバ「………!」ビリビリ


真「おっ?効いた?」



681: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:24:17.78 ID:tENnA20pO

バルナバ「………」

バルナバ「フンガー!」ブンッ


ドゴォ!


真「がはっ……!」ヨロッ

真「か、雷も効かないのか……」


バルナバ「………」プスンッ

バルナバ「………」ギギッ

バルナバ「フンガー!」ブンッ


真「……おっと!」ダッ


スタッ


真「………」

真(今、ちょっと動きに違和感がなかった……?)

真(雷煌拳が効いたのかな……)

真(でも、あんまりやりすぎて壊しちゃったら、伊織が悲しむから……)

真(うまく、調節しないとね!)



バルナバ「………」


真「よしっ!」グッ

真「………かかって来いっ、ロボット!」スッ



バルナバ「フンガー!」



682: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:27:11.39 ID:tENnA20pO

ルゲイエ「ふひひ……!」

ルゲイエ「……パワーアップじゃっ!」スッ


プスッ…


ルゲイエ「おぅふ……!」ドクンッ

ルゲイエ「き、キたっ………!」ビクンビクン



伊織「気持ち悪っ!……何やってんのよ、あいつ……!」

伊織(注射器で何か注入したみたいね……)

伊織(……ドーピング?)

伊織(ううん、そんな生易しいものじゃない気がするわ……)

伊織(なんか、骨格まで変わっちゃってるもの……!)



「ふーー……」



ルゲイエボーグ「待たせたのう……!」

ルゲイエボーグ「自身すらも改造できる天才科学者、ルゲイエボーグ様が相手じゃ!」


伊織「ただ見た目がさらに気持ち悪くなっただけじゃない!」

伊織「手裏剣っ!」スッ


ヒュンッ…ザクッ!


ルゲイエボーグ「………何かしたか?」


伊織「ちっ……!」

伊織「ずいぶん硬くなったみたいね……」


ルゲイエボーグ「ひょひょひょ……!そんな攻撃、効かぬわ!」シャキィン!

ルゲイエボーグ「今度はこちらの番じゃっ!」ブンッ


伊織「つ、爪が、伸びた……!?」

伊織「……はっ!」クルンッ


スタッ




683: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:31:57.73 ID:tENnA20pO

伊織「身体は丈夫になったみたいだけど、動きは相変わらずノロマみたいね?」

伊織「……そんなんじゃ、スーパー忍者アイドル伊織ちゃんの動きは捉えられないわよっ!」


…ポタッ


ルゲイエボーグ「……おや?血が出てるぞ、小娘」

ルゲイエボーグ「ひょ!完全に避けきれなかった様じゃの……?」


伊織「ふ、ふん!こんなのかすり傷じゃない!」ペロッ

伊織「まさか、こんなので勝ったつもりじゃないでしょうね?」チャキッ


ルゲイエボーグ(……バカめ!そのかすり傷が致命的なんじゃよ!)


伊織「……やあっ!」ブンッ


ルゲイエボーグ「ちっ……!」ガキィン!


伊織「このっ……!」ギリッ

伊織(ジジイの割には、なかなかやるわね……!)

伊織(さっさとこいつを倒して、バルナバを元に戻さないと……!)


…ガクン


伊織「あっ……?」ヨロッ


ルゲイエボーグ「ひょっ!」ブンッ


ザシュッ!


伊織「うぐ……!」フラッ


ルゲイエボーグ「それっ!」


ドゴォ!…ドサッ


伊織「……っ……!」ガクガク

伊織(な、何……?急に、力が抜けて……)


ルゲイエボーグ「……力が入らなくなるのに気づいたか?」

ルゲイエボーグ「実は、ワシのこの爪には、強力な神経毒を塗ってあってのう……」シャキィン


伊織「し、神経……毒……?」


ルゲイエボーグ「さっきのかすり傷……そこから毒が身体中を回って、貴様の身体の自由を奪ったんじゃよ!」


伊織「く……!」

伊織(そういう、事か……!)

伊織(ゆ、油断……したわ……っ!)



684: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:34:44.91 ID:tENnA20pO

ルゲイエボーグ「………さて、お仕置きの時間じゃ!」スッ



伊織(か、身体が……動かないっ……!)

伊織(あ、あんなやつに……!)



ルゲイエボーグ「……それっ!」ドゴォ!


伊織「ぐっ……!」


ルゲイエボーグ「ほれっ!」


ドガッ!


伊織「か……はっ……!」


ルゲイエボーグ「さっきはさんざん悪口を言ってくれたなぁ?」

ルゲイエボーグ「さっきまでの威勢はどうした?」

ルゲイエボーグ「……じゃじゃ馬王女がっ!」


ドガッ!バキッ!ベキッ!グシャッ!



伊織「っ……ぅ……!」


ルゲイエボーグ「自分の身の程を、思い知ったかっ!」


ドゴォ!


伊織「………」


伊織「………」ピクッ


ルゲイエボーグ「……殺しはせんよ」

ルゲイエボーグ「貴様はワシの、大切な玩具じゃからのう!」

ルゲイエボーグ「ひょひょひょひょ……!」



685: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:38:21.28 ID:tENnA20pO

真「……ずぇぇいっ!」ブンッ


ドガァァッ!


バルナバ「………」プスッ

バルナバ「………」

バルナバ「………」プスン



真「………ふぅ。やーっと動きが止まったかなぁ?」

真「伊織は大丈夫かな……?」チラ



伊織「………」



真「!」

真「い、伊織っ!」ダッ


タタタタ…


真「伊織っ!しっかりしてっ!」ユサユサ

伊織「………ぁ」

真「い、伊織っ!」

真「くそ、こんなにボロボロに……!」ギュッ

真「……そうだ!ポーション!」ゴソゴソ

真「さ、飲んで……」スッ

伊織「……ぅ……コクッ…コクッ……」

真「………」



ルゲイエボーグ「……バカめ!隙だらけじゃっ!」ブンッ


真「………」ガシッ

真「ふんっ!」バキッ


ルゲイエボーグ「あ、あれ?ワシの腕が……!?」


真「よくもやってくれたな……」グシャッ


ルゲイエボーグ「ふ、ふん!貴様もワシの神経毒の餌食にしてくれるっ!」ブンッ


ザシュッ!




686: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:44:02.48 ID:tENnA20pO

真「………何か、したの?」


ルゲイエボーグ「そ、そのうち、毒が効いてくるはずじゃ!後悔しても遅いぞっ!」


真「あ、そう……」ブンッ


ドゴォォォォ!メキメキメキ…


ルゲイエボーグ「がっ……!」

ルゲイエボーグ「ちっ!力だけはあるようじゃな!」


真「あれ?あんた……痛覚がないんだね?」

真「だったら、多少無茶しても平気かな?」


ルゲイエボーグ「な、何……」


ドゴォォン!


ルゲイエボーグ「をっ!」


真「せいっ!」ブンッ


バキィィィッ!


ルゲイエボーグ「ば、バカな……神経毒がそろそろ効いてくるはずじゃ……」


真「そういうの、効かないよ」

真「ボクはもう、自分の弱点を克服したからね……」


ルゲイエボーグ「た、たかが人間ごときが、ワシの神経毒を克服できるはずが……!」


真「…………不公平だよね?」


ルゲイエボーグ「何……?」


真「伊織はあんなに痛い思いしたのに……」

真「……あんたは痛みを感じないなんてさ」ニコッ


ルゲイエボーグ「ひっ……!」ゾクッ

ルゲイエボーグ(な、なんじゃこの威圧感は……!?)


真「伊織の痛みの、何万分の一かぐらいは、味わわせてあげるよ……!」ゴゴゴゴ…



687: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:47:02.17 ID:tENnA20pO

真「………!」ユラユラ


ジリジリ…


ルゲイエボーグ「熱気……!?バカな!」

ルゲイエボーグ「か、陽炎が見える程の……じゃと!?」


真(まだ、ボクには早いのかもしれないけど……)

真(やってみたいんだ……!)グッ



真「……………いくよ?」ズサッ




真「…………………龍虎、乱舞!」ダッ




真「はあああああああっ!」ブンッ


ルゲイエボーグ「ひ、ひいっ!」


ドゴゴゴゴゴゴゴ…


ルゲイエボーグ「がっ!ぶっ!ごへっ!」


真「うおりゃあああああっ!」


バキィ!ドガァ!ゴギャッ!ベキッ!


ルゲイエボーグ「おぼっ!あがっ!がふっ!」


真「ふっ!」ドゴォ


クルンッ…スタッ


真「………………覇王、翔吼拳っ!」



ゴオオオオオオオオオ…



ルゲイエボーグ「あ………」



ドゴォォォォォォォォォン!!





ルゲイエボーグ「………」ピクピク



真「……………押忍っ!」



688: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:49:51.53 ID:tENnA20pO

伊織「ま……こ、と……?」



真「伊織っ!」

タタタタ…


真「……大丈夫?」ダキッ

伊織「ええ……身体はもう動くわ……」グッ

伊織「ポーションもいくらか飲んだし……」

真「そっか……良かった!」

伊織「そ、その……」

伊織「………あ、ありがと………」ボソッ

真「……へへ!まあ、ボクも伊織に助けてもらったし、おあいこだよ!」

伊織「………それもそうね」

伊織「……にひひっ!」

真「ははっ!」



伊織「それはそうと……」

伊織「あのジジイ、あれぐらいでくたばるとは思えないわよ?」

真「うん、そうだね」

真(ボクの龍虎乱舞は、まだまだ未完成だからなぁ……)

真(あいつ、また何かしてくるかもわからないよね……)チラ




ルゲイエボーグ「ひょひょひょ……!」

バルナバ「………」ギギッ


真「あっ!」

伊織「しぶといわね、まったく……」



ルゲイエボーグ「これぞ最終形態……」

ルゲイエボーグ「……合体メカじゃっ!」

バルナバ「………」



真「え、えーと……?」

伊織「はぁ……バカバカしい」

伊織「ただ単に、あのジジイがバルナバに乗っかっただけじゃない!」

真「ホントだよね……」



ルゲイエボーグ「ふ、ふん!余裕でいられるのも、今のうちじゃっ!」

ルゲイエボーグ「ゆけっ!バルナバよ!」




689: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:52:26.98 ID:tENnA20pO

バルナバ「フンガー!」


ガシャン!ガシャン!


真「うわぁ……またあのロボットの相手しなきゃならないのか……」

真(ちょっとしんどいな……龍虎乱舞で力を使い過ぎちゃったかな……)

伊織「………」

伊織「……真、ここは私に任せなさい!」スッ

真「えっ?」

真「で、でも伊織、さっきまでボロボロだったじゃないか!」

伊織「大丈夫よ。この伊織ちゃんは、転んだらただじゃ起きないわ!」

真「………」

真「じゃあ、2人で行こう!」

真「ボクだって、まだ暴れ足りないもんね!」

伊織「真……」

伊織「………足、引っ張るんじゃないわよっ?」ニコッ

真「………そっちこそ!」ニコッ



タタタタ…




ルゲイエボーグ「よかろう。2人まとめて、粉砕してくれるわっ!」ポチッ

バルナバ「フンガー!」ブンッ


真「ふっ!」ヒョイッ

伊織「はっ!」クルッ


伊織「くらいなさいっ……!」バリッ

真「はあああっ!」バリッ




伊織「………雷迅っ!」バッ

真「………雷煌拳っ!」バッ




ズガガガガガガガガガガガッ!!





690: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 21:57:27.90 ID:tENnA20pO

ルゲイエボーグ「あがっ……!」ピクピク

バルナバ「………」プスプス



真「…………へへ!」



真・伊織「……やーりぃ!!」ガシッ




ルゲイエボーグ「……ま、まだじゃっ……!」

ルゲイエボーグ「バルナバよっ……動けっ!」ポチッ

バルナバ「………」ギ

バルナバ「………」ギギィ

バルナバ「フンガー!」


真「……あれじゃあ、あのロボットが可哀想だよ……!」

真「まるで、奴隷じゃないか!」

伊織「バルナバ……」

伊織「……やめなさい!バルナバ!」

伊織「いえ……」



伊織「…………シャルル・バルナバ・19世!」ビシッ



バルナバ「………」ピクッ

ルゲイエボーグ「こ、こらバルナバ、行け!行くのじゃっ!」ポチポチ

バルナバ「………」ギギッ

バルナバ「フンガー!」

ガシャン!ガシャン!


伊織「あんたは、そんな子じゃないはずよ!」

伊織「こんなひどい事できる子じゃないっ!」


ルゲイエボーグ「ひょひょひょ!このまま潰してしまえっ!」

バルナバ「………」

ガシャン!ガシャン!


真「伊織っ!」

伊織「真、私を信じて!」

伊織(私も、バルナバを信じるから……)

真「伊織……」




伊織「…………忘れたの?」



691: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:01:03.02 ID:tENnA20pO

伊織「あんた………私の怪我、治してくれたじゃない!」



バルナバ「………」ピクッ

ルゲイエボーグ「バルナバっ!行けっ!」

バルナバ「………」ギ…



伊織「……この伊織ちゃんの怪我を、治してくれたじゃないっ!」



バルナバ「………」ギギ…

ルゲイエボーグ「ええい、黙れ小娘っ!」

ルゲイエボーグ「バルナバは、全てを破壊する、殺戮ロボ……」

真「黙るのはあんたの方だよ……」

真「……おじいさん?」スッ

ルゲイエボーグ「き、貴様、いつの間に……!?」



伊織「あんたは……」

伊織「シャルル・バルナバ・19世は……」

伊織「とっても心優しいやつだったはずよ!」



バルナバ「………」ギギ

バルナバ「………………」


ガガ…ピー…


バルナバ「……データ照会中……」ギギッ






692: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:04:39.38 ID:tENnA20pO




『バルナバ?……ダッサい名前ねー?』

『ばるなば、ダサイ?』

『ううん、あんたじゃなくて、あんたを造ったやつがダサいのよ!』

『ハカセ、ダサイ………いんぷっと、カンリョウ!』





『………、クルシイ、ナオス!』

『ばるなば、………、クルシイ、ナオス!』

『ま、他に道はなさそうね………つっ!』





『足の腫れも………なくなってる!?』

『………、イタイ、ナオッタ?』

『ええ……あんたのおかげね……』

『………あ、ありがと………』





『あんたに、名前をあげるわ!』

『あんたは今日から……』

『シャルル・バルナバ・19世よ!』

『しゃるる?』

『そうよっ!』

『……さあ、インプットしなさい?シャルル・バルナバ・19世?』





『………、サヨナラ』

『またね……「シャルル」!』

『何を言っておる?こやつは……』

『……しゃるる・ばるなば・19セイ!』

『………にひひっ!』





『イ……オ……リ?』

『そう。私の名前は「いおり」』

『ちゃんと覚えなさいよねっ!』





693: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:09:19.44 ID:tENnA20pO

バルナバ「……………イ」



バルナバ「イ……オ……リ……」



伊織「!」

伊織「シャルルっ!」


バルナバ「イオリ……ヒサシブリ」ギギッ


伊織「にひひっ!やっと戻ったわねっ!」


ルゲイエボーグ「ば、バカな!あんな昔のデータなど、とっくに埋れてるはず……!」

真「へぇ!ホントに伊織の友達だったんだなぁ!」



伊織「シャルル、もうこんなひどい事は、やめなさい!」


バルナバ「ヒドイ……?」


伊織「あんなセンス無い博士の言う事なんか、聞く必要ないわ!」


バルナバ「………」チラ

バルナバ「ソレハ、フカノウ……」

バルナバ「デモ、ばるなば、イオリ、タタカウ、クルシイ……」


伊織「シャルル……」


ルゲイエボーグ(ちっ……もうこいつは使い物にならんな……)

ルゲイエボーグ(かくなる上は……)


ポチッ…


バルナバ「………」

バルナバ「非常装置もーど、作動!」ギギィ


伊織「……シャルル?どうしたのよ?」

真「非常……装置?」



694: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:13:51.55 ID:tENnA20pO

…スタッ



ルゲイエボーグ「ふん、つまらん……!」


伊織「ちょっとジジイ!シャルルに何したのよ!?」


ルゲイエボーグ「バルナバは……」

ルゲイエボーグ「……………30秒後に、自爆する」ニヤリ



伊織「なっ……!」

真「そんな……!」


バルナバ「非常装置作動マデ、アト25秒!」


伊織「ちょっと、解除しなさいよっ!」ガシッ


ルゲイエボーグ「もう何をしても無駄じゃ!非常装置を解除する手段など無いわっ!」


真「くそ……!」


バルナバ「非常装置作動マデ、アト20秒!」


ルゲイエボーグ「まったく……飼い犬に手を噛まれるとは、この事じゃ!」

ルゲイエボーグ「あの役立たずめが……!」


ドゴォ!


ルゲイエボーグ「おぐ……!」


伊織「……もう一度言ってみなさい?あんたの身体、粉々にするわよ……!?」

伊織「あいつは……シャルルは……!」

伊織「役立たずなんかじゃ、ないんだからっ……!」ポロッ


ルゲイエボーグ「く……ひょひょひょ!せいぜい別れを惜しむんだな!」


バルナバ「非常装置作動マデ、アト15秒!」


真「なんとかできないのかっ!?」ガシッ

真「えーと、えーと……!」

真「だ、ダメだ……ロボットの事なんか、全然わかんないや……!」

伊織「シャルル!シャルル……っ!」ダキッ



695: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:17:37.00 ID:tENnA20pO

バルナバ「非常装置作動マデ、アト10秒!9……8……」


真「ま、まずい……!」

真「伊織!もう離れないと!」ガシッ

伊織「シャルル……っ……グスッ!」ギュッ

真「伊織!」


バルナバ「………6……5……」



真「伊織!ホントにヤバいってば!」グイッ

伊織「あっ……」


タタタタ…


バルナバ「……4……3……」



バルナバ「……2……1……」





『イオリ………サヨナラ……』




伊織「えっ……?」




ピーーーー!


ドゴォォォォォォォォォン!!




伊織「シャルルーーーーーーっ!!」




696: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:20:40.05 ID:tENnA20pO

ボロッ…


バルナバ「」


伊織「シャル……ル……」

真「く………!」

伊織「……ごめん…なさい……」

伊織「助けてあげられなくて………っ!」スッ


ボロッ…


伊織「うっ……!」ポロッ

真「伊織……」


真「はっ!そういえば、あのじいさんは?」キョロキョロ



ルゲイエボーグ「ソローリ……」


真「あっ!」


ルゲイエボーグ「ちっ!気づかれたか!」

ルゲイエボーグ「さらばじゃっ!」ササッ


真「逃がすかっ!」



バタン!


ルゲイエボーグ「へぶっ!」


ドサッ


春香「なんか、すごい音がしたけど……」

千早「………あら?あれは……」

春香「あっ……!」


真「春香、千早!?」


春香「真、伊織……!」

春香「よかったぁ!やっと見つけたよぉ……!」




697: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:23:47.42 ID:tENnA20pO

真「………で、このじいさんと戦ってたわけさ」チラ


ルゲイエボーグ「………」バタンキュー


千早「あれが、科学者……」

春香「なんかすごい姿だけど、この人も、やっぱり人間じゃないのかな?」


伊織「………自分で自分を改造した、らしいわよ?」


真「伊織………もう、平気なの?」

伊織「………」

伊織「……いつまでも悲しんでいられないわよ」

伊織(シャルルに、笑われちゃうものね……)

伊織(………)チラ


バルナバ「」


伊織(さよなら、シャルル………)



真「……で、やよいと美希は、まだ見つかってないの?」

春香「うん。なんだか迷路みたいで、迷っちゃって……」

真「そっか」

真「……でも、早めに動いた方が……」

千早「何をしているの!」

真「えっ?」



ルゲイエボーグ「気づかれたか……」

ルゲイエボーグ「……こうなったら、ドワーフも貴様らも、全員道連れじゃあ!」


ピッ…ピッ…ピー


真「な、何をしたんだ!?」


ルゲイエボーグ「巨大砲は、あと30秒で自爆する……!」ニヤリ


真(ちょっと……また自爆なの……?)

伊織(似たようなネタ、使い過ぎなんじゃないの……?)




698: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:28:33.77 ID:tENnA20pO

春香「じ、自爆……!?」

春香「ど、どうしよう!?」オロオロ

千早「とにかく、この場から離れないと……!」

伊織「さっさと行くわよ!」

真「………」



真「………みんな、先に行っててよ!」



春香「そ、そんな事できないよ……!」

千早「真……何をする気なの?」

真「このまま爆発をほっといたら、下にいるドワーフの人達が危ない」

伊織「それはそうだけど……」

伊織「あんたはどうするつもりよ?」

真「ボクが……巨大砲を、壊す!」

春香「でも……」

真「春香、これは多分、ボクにしかできない事なんだ」

真「ボクの技が、1番破壊に向いてると思うから」

春香「それなら、私だって……!」

真「いや、ダメだ。春香みたいなおっちょこちょいに任せられない」

春香「そ、そんな……!」

真「それに、春香はリーダーだ。この先もみんなを導いていかなきゃならない」

春香「でも……」

真「……ボクを信じてくれないかな?みんな」

真「ボクは、こんなところじゃやられない。ボクの強さは、みんなだってわかってるでしょ?」ニコッ

千早「真……」

伊織「あんた……」

春香「………」




699: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:35:34.76 ID:tENnA20pO
伊織「………春香、どうするのよ?もう時間もないわよ?」

春香「………」

春香「………わかった」

春香「待ってるからね、真!」

真「了解、リーダー!」

千早「無事で……!」

真「うん!」

伊織「あんまりやり過ぎるんじゃないわよっ!」

真「はは!……わかったよ!」



春香「みんな、行こう!」

千早「ええ」

伊織「コケるんじゃないわよ、春香?」

春香「わ、わかってるよぉ……!」


タタタタ…





700: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 22:38:47.08 ID:tENnA20pO

真「ふーー……」

真「………さてと」チラ

真(あと、10秒ちょっと……)

真(今までで試してない技は……もう、『あれ』しかない……)

真(お師匠様、力を貸してくださいっ!)



真「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」ゴゴゴゴ…

真(もっと……もっとだ……!)



真「うああああああああっ!!」ゴオオオ

真(あと、5秒……!)



真「極限流………最大奥義……!」ユラ…

真(4……)



真「覇王………!」グッ

真(3……)




真「………至高拳っ!!」バッ

真(2……!)



ゴオオオオオオオ…



真「いっけええええええっ!!」ググッ

真(1っ……!)



ドゴォォォォォォォォォン!!




701: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 23:52:13.75 ID:tENnA20pO

真「………」

真「………」

真「う……」ピクッ

真「巨大砲は……」チラ



真「へへ……やったか……」

真(なんとか、メンツは保ったけど……)

真(もう、指一本動かす力もないや……)

真(みんな、ごめん……)

真(ちょっとだけ、休ませて……?)

真(すぐ、追いつくから……さ……)



ゴゴゴゴ…


グラグラ…


ボロッ…ドサッ



真(あ……ここ、崩れるかも……)

真(ダメだ、眠気が………)

真「………」ガクッ



ズズズズ…


ガラガラ…


ドガァン!


ドゴォォォォォォォォン!



………………


………






702: ◆bjtPFp8neU 2014/12/14(日) 23:55:33.92 ID:tENnA20pO
地底世界 バブイルの塔 入口付近

シルフ「……ふんふふ〜ん♪」フワフワ

シルフ「やっと撃ち合いが終わりましたか〜」キョロキョロ

シルフ「まったく、ドワーフの方も粘りましたね〜」

シルフ「魔物なんかに勝てるわけないんですから、さっさと降参すればいいのに……」

シルフ「ま、私は自分の仕事をするだけですけどね〜」



シルフ「さ〜て、火事場泥棒、火事場泥棒……」キョロキョロ



シルフ「……ふむ、これはまだ使えますね〜」スッ

シルフ「あ、あっちにも……」

シルフ「ふふ〜、今日はなんだか大量ですね〜♪」



シルフ「………おや?」チラ

シルフ「あんなところに人が……」フワフワ

シルフ「ドワーフ……でもないみたいです……」


真「………」


シルフ「はうっ!」ズキュン

シルフ「か、カッコいい………///」

シルフ「な、なんでしょうか、この気持ち……」ドキドキ

シルフ「これが……恋?」

シルフ「………」

シルフ「………決めました!」

シルフ「この人、誘拐しましょう!」

シルフ「……よっと」グッ

シルフ「お、重い……!」フラフラ

シルフ「けれど、諦めませんよ!」

シルフ「この人は、私の旦那さんになるんですから!」



シルフ「……うんしょ、うんしょ」フラフラ

真「………」





706: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 00:51:24.29 ID:eq40zoznO
幻獣王の館

黒井「………」



高木「………」



翔太「2人とも、ボロボロだよ……!」

翔太「もう、止めた方が……」

冬馬「翔太、ダメだ……」

翔太「冬馬君……」

冬馬「男と男の決闘に水を差すなんて、ヘボのやる事だぜ……」

翔太「………」

北斗「………」

北斗(男の美学ってやつか……?)

北斗(ただ童心に還って、無邪気に遊んでいるだけの様に見えなくもないんだけどな……)





黒井「………次の一撃が、最後の一撃となるだろう」

黒井「高木……思い遺す事はないか……?」

黒井(高木よ………答えてくれ………)

黒井(最大の一撃で………!)



高木「………」

高木「ふふふ……敵である私を気遣うなんて、似合わない事をするねぇ……」

高木(まずいな……このままだと、黒井の思うツボ……)

高木(昂ぶる衝動に、身を任せてしまいそうだよ……!)



黒井「……笑っていられるのも、今のうちだ……!」




707: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 00:54:03.13 ID:eq40zoznO

黒井「ゆくぞ……!」ゴゴゴゴ


高木「ああ……!」ゴゴゴゴ





黒井「……ノワール・ウェーブ!」



ザァァァァァァ…



高木(黒い、津波………!?)

高木(黒井め、まだ奥の手を……!)

高木(…………ならばっ!)



高木「……タネも仕掛けも無い、私の剣で切り裂くっ!」スッ




高木「……真・斬鉄剣!」ダッ




冬馬「高木のおっさん、斬鉄剣とか言って、素手じゃねーか!?」

翔太「うわ〜!見てらんないよも〜!」

北斗「どうなるんだ……?」



ゴオオオオオオオオオ!!



黒井・高木「おおおおおおっ!!」




……シュパァァァン……





708: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 00:56:51.39 ID:eq40zoznO

冬馬「………っ!」



黒井「………」


高木「………」



翔太「………ど、どっちが勝ったの……?」



…ズバシュッ!


黒井「ぐ……ぅ……!」ヨロッ


ドサッ…



冬馬「……お、おっさんっ!」



高木「ふふふ………」



高木「さ、さすがだ………黒井っ………」ヨロッ


ドサッ…



北斗「あ、相打ち……?」



翔太「……ね、ねえ、冬馬君。もう、終わったよね?」

冬馬「………」


黒井「………」


高木「………」


翔太「……冬馬君てばっ!」

冬馬「……あ?あ、ああ……」

冬馬「わ、わりぃ、ちょっと放心してた……」

翔太「早く、2人を手当てしないと!」

北斗「そ、そうだ!……ええと、薬箱はどこだったかな……」キョロキョロ

冬馬「あ、ああ、薬箱なら、あっちの引き出しに……」

翔太「……いやいや!北斗君、回復魔法使えるじゃん!」

北斗「あ……!そ、そうだったな……すまん」

翔太「も〜!2人とも、しっかりしてよぉ〜」




709: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:00:28.45 ID:eq40zoznO




冬馬「…………で」

冬馬「なんでいつの間にか宴会が始まってるんだ?」



高木「はっはっは……鬼ヶ島君も鈍いねぇ!……お疲れ様会に決まっているじゃないか!」ゴクゴク

黒井「………ふん」グビグビ

冬馬「なんなんだよ、お疲れ様会って……」

冬馬「それと、鬼ヶ島じゃなくて天ヶ瀬だっ!」

高木「まあまあ、そうカリカリしないでくれたまえ」

高木「……ああ、君も飲みたいのか。言ってくれれば、ついであげたんだが……」

冬馬「あ、あのなぁ……!」

黒井「高木……未成年に酒を勧めるんじゃない」

高木「はっはっは……冗談だよ、冗談!」

翔太「社長さん、お酒が入ると楽しくなっちゃうタイプなのかな?」

冬馬「……ったく、いい迷惑だぜ……」

黒井「……………北斗」チラ

北斗「はい……?」


…ドンッ


北斗「え……?」

黒井「お前は確か、二十歳だったはずだ……」

北斗「そうですが……」

黒井「………飲め」

北斗「はは、すみません。気を使ってもらって……」

北斗「………いただきます」ペコリ

翔太「あ〜、いいな〜北斗君!僕も、ちょっとでいいから飲んでみたいなぁ」

北斗「おいおい……アイドルが飲酒で捕まるつもりか?」

北斗「これは、『大人の特権』ってやつさ」パチリ

翔太「……僕にウィンクなんかしないでよぉ。気色悪い……」

北斗「……グイッ!」

高木「おおー!」

黒井「………ほう」

北斗「ゴクッ…ゴクッ……」

北斗「……っぷはぁ!」

北斗「へぇ、なかなか美味しいお酒ですね」




710: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:09:26.96 ID:eq40zoznO

高木「そうだねぇ。ささ、もう一杯!」トクトク

北斗「はい。……いただきます」

冬馬「北斗……お前、意外と飲めるんだな」

北斗「……まあ、こういう付き合いも大切だからな」

翔太「ふぇ〜……北斗君、大人だぁ」

翔太「なんか、ジュース飲んでるのが悔しいよ……」

冬馬「ガキにゃジュースで充分だ」ゴクゴク

翔太「……そういう冬馬君だって、ジュースのクセにっ」ゴクゴク

冬馬「ぐ……!俺はジンジャーエールが好きなんだよっ!」

翔太「はいはい。わかったから、そんなにアツくならないでね〜」

冬馬「て、てめー!」

高木「ふふ、賑やかだねぇ」

北斗「まあ……いつもの事ですよ」

黒井「グビグビ……」

黒井(賑やか………)

黒井(………ふん。耳触りなだけだ)



翔太「……え〜!なんで?」

冬馬「お前は何にもわかってねえなぁ……」

冬馬「男のRPGはドラクエって、昔から決まってんだよ!」

翔太「え〜、FFもいいと思うけどなぁ?ストーリーとか、感動するし……」

冬馬「いいや、全てにおいて、ドラクエの方が上だ!」

冬馬「だいだい、カッコつけて横文字使ってるのが気に食わねえ」

冬馬「『ポーション』ってなんだよ?『やくそう』で充分伝わるだろうが!」

翔太「い、いや……僕に言われても……」

翔太「っていうか、ドラクエにも横文字たくさん出てくるじゃん」

冬馬「う、うるせーな!ドラクエに出てくる横文字は、なんとなく温かみがあるんだよ!」

冬馬「FFのは、ただ洒落た名前付けただけって感じがするんだ!」

翔太「何その暴論……」

翔太「開発者とかファンの人に謝りなよぉ」

冬馬「知るかっ!」

北斗(冬馬……残念だが、どうやらここは……)

北斗(お前の嫌いな『FFの世界』のようだぞ……?)



711: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:11:53.81 ID:eq40zoznO

黒井「グビグビ……」

黒井(本当に騒がしやつらだ………)

黒井(こいつらがウチに所属していた頃を思い出すな………)

黒井(………)

黒井(……………さて)チラ



黒井「高木……」トクトク

高木「……どうかしたか?……おっと、すまん」スッ

黒井「…………話せ」

高木「うん?何をだね?」ゴクゴク

黒井「……とぼける気か?」

高木「はっはっは……すまんすまん」

高木「お前が素直になってくれたのが嬉しくて、つい、な」トクトク

黒井「ちっ……」グビッ




高木「オホン……」

高木「……我々は今、『ゲームの世界』とやらにいる様だ」

黒井「ゲームの世界……だと?」

冬馬「ど、ドラクエかっ?」

翔太「いや、絶対ドラクエじゃないと思うよ……」

翔太「だって……モゴッ!」

北斗「翔太、高木社長の話を聞こう」

高木「今までにこの世界で私が出会った人間は……」

高木「ウチのアイドル達、プロデューサー……」

高木「そして、君達4人だ」

高木「他にもいるのかもしれんが、私の勘だと、これで全てだと思う」

高木(音無君を除けば、だが……)

黒井「勘か……」

高木「ああ、勘だ」

黒井「お前の勘は、当たるからな……信用してやろう」

黒井「………で?」




712: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:14:28.75 ID:eq40zoznO

黒井「あるんだろう?元の世界に帰る方法が……」

高木「うむ……」

高木「………」

黒井「何を渋っている?話をしたいと言ってきたのは、お前の方だぞ?」

高木「ああ……そうだったな」

高木「………この世界から帰る方法」

高木「それは……このゲームをクリアする事が条件となるらしい」

黒井「ゲームをクリア……か」

黒井「ふん、まるでお伽話だな」

黒井「……それで、どうすればクリアとなるのだ?」

高木「………」

冬馬「……ラスボスを倒す、とかか?」

高木「ふむ……」

高木「やはりこういう事は、若い人の方が飲み込みが早いねえ」

高木「その通り。ある人物を倒せば、我々は晴れて元の世界へ帰る事ができるらしい」

黒井「ならば、こんなところで燻っている暇はない。さっさと行くぞ」

高木「待て、黒井……」

黒井「なんだ?まだ何かあるのか?」

黒井「……お前、まさか臆したわけではあるまいな?」

高木「………端的に言えば、その表現が近いのかもしれないな」

黒井「バカバカしい……!」

高木「それだけの強さを持ちながら、何を恐れると言うのだ?」

高木「………」

高木「我々が元の世界へ帰る為に倒さなければならない人物……」

高木「その者の名は……」




高木「『音無小鳥』というんだ……」




黒井「!!」




713: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:19:13.85 ID:eq40zoznO

黒井「バカな……!」

高木「………」

冬馬「大人しい小鳥って……なんだ、弱そうじゃねーか」

冬馬「おっさん、なんであんなに驚いてるんだ?」

翔太「さあ……?」

北斗「音無小鳥はな、765プロの事務員なんだ」ヒソヒソ

冬馬「そ、そうなのか?」ヒソヒソ

翔太「でも、なんで北斗君が知ってるの?」ヒソヒソ

北斗「ああ……ギリギリ守備範囲だったからな。一応チェックしていたんだ」ヒソヒソ

翔太「お盛んだねぇ……」ヒソヒソ

北斗(……高木社長や765プロのアイドル達にとっては、身内と戦う事になるのか)

北斗(あの驚き様からすると、黒井社長も知り合いっぽいな……)



黒井(……小鳥君が…………)

黒井(………)

高木「黒井……」

高木「改めて言う。お前の力を貸してくれないか?」

黒井「………」

高木「言っておくが、ウチのアイドル達はこの事実を知っているし、彼女達なりの覚悟も決めている様だ」

黒井「………」

北斗(そうなのか……)

冬馬「765プロ……」

高木「あとは、我々の覚悟だけなのだ」

黒井「………」

黒井(……………ふん)

黒井(これも、業、か………)



黒井「………いいだろう」

黒井「私直々に、お前のところの事務員に引導を渡してやろう……!」

冬馬「お、おっさん、本気で言ってるんじゃねえよな……?」

翔太「あ〜、黒いオーラが……」

北斗(社長………)

高木「ありがとう、黒井」

黒井「勘違いするな。これは私自身が手を下す事だ」

黒井「最初に言った通り、お前達765プロと馴れ合う気などないからな!」

高木「ふふ、了解したよ」

高木(ふぅ……なんとかここまで漕ぎ着けたか……)

高木(まったく……黒井の一貫した偽悪者ぶりには、辟易するよ)

高木(さて……どう転ぶのか……)



714: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:22:51.78 ID:eq40zoznO
幻獣の洞窟 B2F

トロア「………せいっ!」ブンッ


ズシャァッ!


魔物1「」


真美「ほう、ケッコウなお手前ですな〜!」

P(ホントだな……)

トロア「いえ……これくらい、大した事ありませんよ」チャキッ

真美「いやいや〜。このままだと真美達の出番、なくなっちゃうかもだよ〜」

トロア「そんな事は………む?」チラ

真美「あ……ゆきぴょん!」



雪歩「うぅ……」ジリッ


魔物2「グガア!」ガバッ


雪歩「ひぃぃっ!」ブンッ


バキッ!


魔物2「」



タタタタ…

トロア「ユキホ王女、ご無事ですか!」

雪歩「は、はい……なんとか……」ガクガク

真美「魔物を前にして逃げないとは、ゆきぴょんも成長したんだねぇ……」

雪歩「そ、そんな事ないよぉ……」

雪歩「すっごく恐かったんだよ……?」

真美「よしよし……真美が回復してあげよ〜」ナデナデ

真美「ケアルラ!」


シャララーン!キラキラ…


雪歩「真美ちゃん、ありがとう!」

真美「………」

真美「ねえ兄ちゃん」

P「どうした?」

真美「真美の役、すごく地味だよ……」

真美「なんかこう、インパクトにかけるってゆ〜か……存在感がうすいってゆ〜か……」




715: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:25:49.90 ID:eq40zoznO
P「ふむ……」

雪歩「そ、そんな事ないよ?真美ちゃんの魔法があるから、怪我もすぐ治って、私達、すごく助かっているんだよ?」

トロア「そうです。真美殿がいなければ、我々はここまで辿り着けなかったかもしれません」

P「2人の言うとおりだと思うぞ?」

真美「む〜……でも、回復ならあずさお姉ちゃんもできるよ?」

雪歩「うぅ……そ、そうだけど……」

P「……個性が欲しいって事か?」

真美「あ〜、なんとなく近いけど……」

真美「真美にしかできない必殺技みたいなのがあったらいいな〜……なんて」

P「亜美みたいに、魔法を同時に出す、とかはどうだ?」

真美「それじゃあ亜美とカブるじゃん」

P「……わかった。俺も、何かないか考えてみるよ」

真美「うん、お願いね?真美も、いろいろ研究してみるからさ!」

P「ああ」

P(うーん……何かあるかなぁ?)

P(あれ、そういえば……ポロムって、固有アビリティがあったよな?)

P(あれ、使えないかなぁ……)





ボコッ…

グツグツ…


トロア「こ、これは……」

雪歩「す、すごく熱いですぅ……」

P「溶岩か……」

トロア「これでは、先に進めない……」

雪歩「ど、どうすればいいんでしょうか……」

真美「……はいみんな集合〜」




716: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:30:07.23 ID:eq40zoznO

雪歩「どうしたの?真美ちゃん」

トロア「何か策でもあるのですか?」

真美「まあ、真美に任せてよ!」

真美「……レビテト!」


フワッ…


トロア「か、身体が……!」フワフワ

雪歩「う、浮いてますぅ……!」フワフワ

真美「これで溶岩も越えられるっしょ?」フワフワ

トロア「なるほど……」

トロア「ふふ……やはり、マミ殿の魔法は頼りになりますね」

雪歩「うん。すごいよ、真美ちゃん!」

真美「まあ、これくらいはよゆ〜だよ!」

P(当たり前だけど、俺は浮かないんだな)

P(溶岩、越えられるのかな………不安だ)





トロア「……不思議なものですね。空中を歩くというのは」

トロア「文字通り、地に足がつかない不安定さが……」

真美「そこは、慣れかなぁ?」

真美「慣れれば、ジャンプとかできるんだよ?」ピョン

トロア「あ、あの……あまり無茶をしない方がよろしいのでは?」

トロア「下は溶岩ですし……」

雪歩「ま、真美ちゃん、見てるこっちが恐いよぅ……!」ドキドキ

真美「へ〜きだって!すぐ魔法が切れちゃうわけじゃないんだしさ」

真美「いやあ、空中散歩は気持ちい〜ね〜」

雪歩「こ、恐い……」ビクビク

真美「………あれ?そういえば、兄ちゃんは?」キョロキョロ





717: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:33:39.04 ID:eq40zoznO

P「……ん?呼んだか?」ザブザブ



真美「に、兄ちゃんっ!?」

雪歩「ぷぷぷ、プロデューサー!」

P「驚かせちゃったか……」

P「俺には真美の魔法は効かなかったみたいだからな」

P「まあ、仕方ないだろ?」

真美「し、仕方ないって、溶岩に入って大丈夫なの!?」

雪歩「プロデューサー!死なないでくださいぃぃ!」

P「ははは、心配するな。腰ぐらいの深さだから、泳ぐ必要もないしな」ザブザブ

真美「あ、熱くないの?」

P「うん、何も感じないよ」

雪歩「プロデューサー……さすがですぅ!」

真美「さすがっていうか、もうそれ、人間じゃないよ……」

P「不本意だが、この世界での俺はそういう扱いだからなぁ」

トロア「お2人とも、どうかされたのですか?」

真美「あ、とろ姉ちゃん……兄ちゃんがね……?」



トロア「ほ、本当ですか!?」

雪歩「はい……今も、そこに浸かってますぅ」スッ

トロア「妖精殿は、溶岩もものともしないのですか……」

トロア「いやはや、お見それしました……!」



P「……さあ、先を急ぐぞ!」ザブザブ




718: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:35:37.58 ID:eq40zoznO
幻獣の洞窟 B3F

魔物「グギャァ!」


P「……出たな!」

P「真美……」ヒソヒソ

真美「えっ……?うん……い、いや……それはどうかなあ?」

P「とにかく、やるだけやってみてくれないか?」

真美「う、うん……わかったよ」



魔物「グギャァ!」ブンッ


トロア「マミ殿!危ないっ!」

雪歩「真美ちゃん!」



真美「う………」



真美「うわーーん!魔物がイジメるよ〜!」

真美「えーんえーん!こんな真美なんて、穴掘って埋まっちゃうかんねっ!」チラ



魔物「グ、グガ……?」オロオロ



P(おお……!魔物が困惑してるぞ!)

雪歩「ま、真美ちゃん……?」

トロア「マミ殿……?」

真美「ほ、ほら、2人とも、今のうちだYo!」カァァ

トロア「あ……!そういう事でしたか!」チャキッ

雪歩「え?ど、どういう事……?」


トロア「はっ!」ブンッ


ザシュッ!


魔物「」





トロア「嘘泣き……ですね?」

真美「う、うん………///」

真美(なんか、はずかしかったよ〜)

雪歩「嘘泣き……?」




719: ◆bjtPFp8neU 2014/12/20(土) 01:39:09.11 ID:eq40zoznO

P「どうだ、真美?これ、結構使えるんじゃないか?」

真美「む〜……でも、なんかカッコいくないよ〜」

P「まあ、カッコよくはないかもな」

雪歩「さりげなく、私のマネしてたよね……」

真美「あはは……ごめんね?ゆきぴょん」

雪歩「別にいいんだよ?」

雪歩「それに真美ちゃん、なかなか上手だったと思うよ?嘘泣き」

真美「う〜む、ほめられてもあんましうれしくない……」

P「ま、使いどころは無くはないと思うから、頭の片隅にでも入れておけばいいんじゃないか?」

真美「うん。わかったよ〜」





P「ん……?」チラ

P「どうやら、着いたみたいだな」

雪歩「プロデューサー、この魔法陣はなんですか?」

P「これは、ワープゾーンなんだ」

雪歩「ワープ……ちょっと、恐いですぅ」

真美「このワープゾーンの先に、幻獣の町があるんだよん」

トロア「幻獣の町、ですか……」

トロア「しかし、そんなところに何の用があるのですか?」

真美「それはね、あるアイテムを回収しに来たんだよ」

トロア「あるアイテム……?」

真美「まあ、後でわかるよ!」



P「よし、みんな行くぞ!」





722: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 14:50:50.75 ID:aBvEClGKO
バブイルの塔 B5F

スタスタ…


やよい「………」

貴音「………」

美希「……zzz」

やよい「……あのー、貴音さん」

貴音「はい?なんでしょう」

やよい「すみません、美希さんをおぶってもらっちゃって……」

貴音「気にする事はありませんよ?」

貴音「やよい、あなたの体格では、美希をおぶるのは辛いでしょう」

貴音「適材適所、ですよ」

やよい「てきざいてきちょ……?」

やよい「……よくわかりませんけど、なんだかむずかしい言葉ですねー」

貴音「ふふ……」ニコッ

貴音(やよいには、響とはまた少し違った明るさがありますね……)

貴音(例えるなら、響が夏の太陽で、やよいは春の太陽……と、いったところでしょうか)

貴音(やよいと話していると、心がぽかぽかしてきます……)

貴音(……そんなやよいには、少々聞きづらい事ではありますが……)

貴音(やはり、何があったのかは気になります)



やよい(……貴音さん、むずかしい言葉を知っているんだなぁ……)

やよい(今もきっと、むずかしい事をたーくさん考えてるんだろうなー……)

やよい(わたしも、もっともーっと勉強して、貴音さんとたくさんお話できるようになりたいかなーって)



貴音「……時に、やよい」

やよい「はい?」

貴音「先ほどの事なのですが……」

貴音「わたくしの記憶が確かなら、わたくしの命は……先の戦いで尽きたはず」

貴音「あなたが、わたくしを蘇らせてくれたのでしょうか?」

やよい「あ、ええと……」

やよい「それは、美希さんのおかげなんです!」

貴音「美希が……?」




723: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 14:56:09.42 ID:aBvEClGKO

やよい「はいっ!」

やよい「美希さん、すごかったんですよ?」

やよい「貴音さんを、ぱーっ!って生きかえらせちゃうし……」

やよい「まものさん達も、ばばーん!ってやっつけちゃうし……」

貴音「なるほど……」

貴音「全て、美希ひとりでやったのですか……」

やよい「はい」

やよい「ホントは、わたしも何かお手伝いしたかったんですけど……」

やよい「貴音さんが目をさまさなくなっちゃって……わたし、こわくて……」

やよい「すみません、貴音さん……」シュン

貴音「ふふ……」ナデナデ

貴音「あなたは本当に優しいのですね、やよい」

やよい「やさしい……?わたしが、ですか?」

貴音「はい」

貴音「765ぷろのあいどる達は皆、優しさを持っていますが……」

貴音「その中でも、あなたの優しさが一番暖かいと、わたくしは思います」

やよい「わたしが、あたたかい……」

やよい「えへっ、ちょっとてれちゃいますねー」

貴音「ふふ……」



やよい「あ、そーいえば……」

やよい「さっきの美希さんの話なんですけど……」

貴音「はい」

やよい「美希さん、まものさんをやっつけてる時、髪がみじかくなっちゃってたんですよねー」

貴音「髪が、短く?」

貴音「しかし、美希の髪は、いつもと変わらない様に見受けられますが……」

やよい「そうなんです。気づいたら元にもどってたんですよねー……」

やよい「もしかしたら、わたしの見まちがいかもしれないんですけど……」

貴音「ふむ……」



724: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 14:59:33.24 ID:aBvEClGKO

貴音(美希は、何らかの方法で髪を犠牲にして力を得た……)

貴音(いえ、それだと、全て終わった後に髪が元通りになった事に説明が付きません)

貴音(となると、何者かが美希に憑依したか……あるいは、美希の中の別人格が目覚めたとか……)

貴音(ここは、げぇむの世界。何が起きてもおかしくはありませんが……)

貴音(果たして、美希に何が起きているのか……)チラ

美希「……zzz」

貴音(………)

貴音(いえ……)

貴音(わたくしとした事が、失念していました)

貴音(この様な思考の堂々巡りの前に、やるべき事がありましたね)

貴音(起きたら、美希に伝えましょう)

貴音(ありがとう、と……)



やよい「………あ、貴音さん!」

やよい「律子さんがいました!」スッ

貴音「おや、その様ですね……」







725: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:05:07.81 ID:aBvEClGKO
月の地下中心核

小鳥「はぁ……」

小鳥「また、暇になっちゃったわ……」

小鳥(貴音ちゃんの登場で律子さんとのリンクは切れちゃったし……)

小鳥(みんながここに来るまで、もうそんなにかからないはずだけど……)

小鳥(その間ずっと一人で妄想してるのも、限界があるわよね)

小鳥「何か面白いものないかなぁ……」キョロキョロ



小鳥「……ん?」

小鳥「この本……」スッ

小鳥「何が書いてあるのかしら………」ペラッ

小鳥「なになに……?この……体……滅びても……魂は、不滅……?」

小鳥「これってひょっとして、ゼロムスのセリフ……?」

小鳥「って事はこの本、ラスボス用の台本かしら?」

小鳥「………」

小鳥「そうだ!」

小鳥「どうせ暇だし、このセリフを私なりにアレンジしてみようかな?」



小鳥「我は、暗黒物資……」

小鳥「ゼムスの憎しみが増大せしもの……か」

小鳥「うーん、言い方がカタいわね」

小鳥「そもそも、私って暗黒物資だったの?」

小鳥「コホン……」

小鳥「私は暗黒☆物質、音無小鳥!」

小鳥「月の地下で……お仕置きよっ!うふっ」



「………その様な言い回しでは、格好がつかぬのではないか?」



小鳥「えっ?」クルッ




726: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:08:12.49 ID:aBvEClGKO

ダークバハムート「そなたは我の主だ。相応の威厳を持ってもらわねば」



小鳥「ばっ、バハムートさんっ!?」

小鳥「あ、あの、ひょっとして私……見られてました?」

ダークバハムート「うむ。その本を見つけたところからな」

小鳥「う………///」

小鳥「こ、声をかけてくれてもいいじゃないですかぁ!」

小鳥(恥ずかし〜!)

ダークバハムート「熱心に読んでいた様なのでな。声をかけずらかったのだ」

小鳥「………まあ、それはそれとして」

小鳥「ようやくお目覚めですね?」

小鳥「気分はどうですか?」

ダークバハムート「……悪くないな」グッ

ダークバハムート「悪の力とは、なかなかに興味深い」

ダークバハムート「神である頃の我では、手にする事のできなかった力だ」

小鳥「うふふ、結構ノリノリなんですね?」

ダークバハムート「うむ。我にとっては、未知の領域だからな」

ダークバハムート「悪に落ちた我は、さしずめ邪神、といったところか……」

ダークバハムート「ククク……この力、早く試してみたいものだ」

小鳥「そ、そうですか……」

小鳥(なんだか、私より全然悪役っぽいんだけど……)

小鳥(それに、さすが神の貫禄って感じ……)

小鳥(裏切ったり、しないわよね……?)



ダークバハムート「……余計な心配はせずとも良い」

小鳥「え?」

ダークバハムート「我が主を裏切ったりはせぬよ」




727: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:11:02.86 ID:aBvEClGKO

小鳥「あ、あの……」

ダークバハムート「すまぬ。つい、心を読んでしまった」

小鳥「そんな事もできるんですか……」

小鳥「なんだか、私よりもダークバハムートさんがラスボスやった方がいい気が……」

ダークバハムート「それは、ならん」

ダークバハムート「そなたには、我を悪に落とした責任を取ってもらわねば」

ダークバハムート「……いや、我だけではない」

ダークバハムート「この月と、青き星の全てを狂わせた」

ダークバハムート「だから、そなたは……『悪の根源』として光の戦士達と戦う義務があるのだ」

小鳥「………」

小鳥「そうですね」

小鳥「ケジメは、しっかり付けるつもりです」

ダークバハムート「……そうか」

小鳥「……だから、裏切ったりしないでくださいね?」

ダークバハムート「ふ……神は嘘などつかぬよ」

小鳥「……わかりました」

ダークバハムート「……それよりも」

ダークバハムート「ひとつ、賭けをせぬか?」

小鳥「賭け……ですか?」

ダークバハムート「うむ」

ダークバハムート「そのうちここへやって来るであろう、タカネを含めた光の戦士達と、我ら闇の軍勢……」

ダークバハムート「……果たして、勝つのはどちらか?」

小鳥「………」

小鳥「…………どうでしょうか」

小鳥「私には、わかりません」

ダークバハムート「………」




728: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:13:41.05 ID:aBvEClGKO

小鳥「みんなが負けるところは、想像できないんです」

小鳥「でも、私自らが『負ける』って宣言するのは、バハムートさんや蛇君達に悪いし……」

ダークバハムート「まあ、そうだな」

ダークバハムート「どちらとも言えぬ……そういう事か?」

小鳥「………」

小鳥「あ、でも………」

小鳥「私の知ってる言葉に、こういうのがあります」




小鳥「『悪の栄えたためしなし』……って」




ダークバハムート「………」

ダークバハムート「………すまんな。賭けは無かった事にするぞ」クルッ

小鳥「バハムートさん……」

ダークバハムート「我は、タカネ達に持てる力全てで応えるだけだ」


スタスタ…




小鳥「………」

小鳥「………」

小鳥「………」キュン

小鳥「バハムートさん、かっこいい……!」

小鳥「私も、あんな風にクールに決めたいなぁ」

小鳥「よーし!セリフ、もっといいのを考えなくちゃ!」




729: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:17:07.02 ID:aBvEClGKO
バブイルの塔 B5F

律子「………」


ルビカンテ「はぁ、はぁ……!」


律子「……まだ、やる?」


ルビカンテ「………」

ルビカンテ「………いえ」

ルビカンテ「今のオレでは、何回やってもあなたには勝てないでしょう」

ルビカンテ「……出直すとします」


律子「……そう?」

律子「ふふふ、精進なさい」

律子「あなたなら、いつでも歓迎するわ!」


ルビカンテ「………」

ルビカンテ(本当は、こんなに清々しい人なのか……)




やよい「……律子さーん!」

貴音「……律子嬢、こちらは終わりましたか?」

美希「……ムニャ……」


律子「戻ったわね」

律子「ええ、今、終わったところよ」

貴音「その様子だと……」

律子「……まあ、私は負けられないからね」

貴音「……安心しました」

やよい「律子さん、強いんですねー!」

律子「ふふ、当たり前でしょ?」

律子(あなた達がいてくれるからよ……)

律子(あなた達が側にいてくれるから、私はもう、負けない。負けられない)

律子(………私は、プロデューサーだから)




730: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:23:48.34 ID:aBvEClGKO

ルビカンテ「……行かれるのですね」

律子「ええ。仲間を探さなくちゃいけないからね」

ルビカンテ「仲間……」

律子「あなたにも、いるでしょ?仲間」

律子「他の四天王とか」

ルビカンテ「オレは、オレにしか興味がないので」

律子「そう……」

ルビカンテ「これから、どうされるのですか?」

律子「月へ行くつもりよ」

ルビカンテ「月……ですか」

律子「ええ」

律子「………どうしても、会わなきゃいけない人がいるから」

やよい「……きっと、小鳥さんの事ですよね?」ヒソヒソ

貴音「恐らくそうでしょうね……」ヒソヒソ

ルビカンテ「では、クリスタルは、どうされますか?」

貴音「月にもクリスタルはありましたが、地球にも存在するのですね」

美希「……はにぃ……」ムニャ

律子「悪いけど、クリスタルは持って行くわ」

律子「どうしても必要だから」

ルビカンテ「わかりました」

ルビカンテ「それでは、お気をつけて……」

律子「あ、ちょっと待って!」

ルビカンテ「………?」

律子「……最後にひとつだけ、私からアドバイス」

律子「あなたの強さ、なかなかいい線いっていると思うけど……」

律子「今のままじゃ、私に勝てないでしょうね」

ルビカンテ「………」

律子「でも……」

律子「……もしあなたに、共に戦う仲間がいたら……次に戦う時は、どうなるかわからないわね」

ルビカンテ(共に戦う、仲間……)



律子「……それじゃあ、いろいろありがとう!」

律子「……元気でね!」

やよい「さよーならー!」

貴音「………」ペコリ

美希「……zzz」

ルビカンテ「………」ペコリ


スタスタ…



731: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:26:05.59 ID:aBvEClGKO

ルビカンテ「………」

ルビカンテ(リツコ様……)

ルビカンテ(次に会う時は………オレが、勝つ!)



……ビュオオ!



ルビカンテ「………風か」

ルビカンテ「………」

ルビカンテ「……何か用か?」



「……あら、久しぶりだっていうのに、つれないわね……」



ルビカンテ「オレはお前に用などないんだが……」


ヒュルルッ……


スタッ


バルバリシア「……自分以外は興味無しか……変わらないわね、あなた」

ルビカンテ「お前は……少し、老けたか?」

バルバリシア「ムカッ!」

バルバリシア「人が気にしてる事、ズバッと言うんじゃないわよ!」


……ボコボコッ


ズサァッ!


スカルミリョーネ「……で、デリカシーが足りな…い……」


ルビカンテ「スカルミリョーネ……」

ルビカンテ(お前もオレと変わらんと思うが……)


ルビカンテ「お前達がいるという事は……」

バルバリシア「ええ。あいつもいるわよ」



ズバシャーッ!




732: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:28:30.08 ID:aBvEClGKO

カイナッツォ「くくく……!」

カイナッツォ「ようやく体が元に戻ったぞ……!」

ルビカンテ「お前もいたのか、水の……」

カイナッツォ「ふん!悪かったなっ!」



ルビカンテ「……で、お前らは何しに来た?」

バルバリシア「リツコ様、行ってしまわれたんでしょ?」

バルバリシア「リツコ様がいないんじゃ、四天王の意味も、もう無いんじゃないかしら?」

ルビカンテ「なるほど……」

ルビカンテ「四天王は解散する、そう言いたいのか?」

バルバリシア「……あら?解散の号令をかけるのは、四天王のリーダーであるあなたの仕事じゃなくて?」

ルビカンテ「………そうだったな」

スカルミリョーネ「……お、お前達、いい仲間だっ…た……」

スカルミリョーネ「……お、オレ、お前達の事、忘れな…い……」

カイナッツォ「なぁにが仲間だ!気色悪い!」

カイナッツォ「私は、貴様らを利用していただけだからなっ!」

ルビカンテ(仲間………か)

ルビカンテ(己の強さにのみ目を向けてきたオレだが……)

ルビカンテ(仲間、とやらがいれば、オレもリツコ様の様に強くなれるのだろうか……?)

ルビカンテ(……魔物であるオレが、こんな感情をいだくとはな……)

ルビカンテ(………)



ルビカンテ「四天王は………」







733: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:32:13.64 ID:aBvEClGKO

ルビカンテ「……解散しない」



スカルミリョーネ「!」

カイナッツォ「何……!」

バルバリシア「あら……」



ルビカンテ「オレは、リツコ様に『仲間』と共にに戦う事の強さを教わった」

ルビカンテ「オレは……リツコ様に……いや、人間に勝ちたい」

ルビカンテ「それには、お前らの力が必要だ」

カイナッツォ「何を勝手な事を!」

スカルミリョーネ「……お、オレは、賛成…だ……」

カイナッツォ「なんだと!?」

カイナッツォ「まったく、ゾンビの考える事はわからん……!」

バルバリシア「私も、別にいいわよ?」

カイナッツォ「バルバリシア、お前まで!?」

ルビカンテ「2人とも、恩に着る」

バルバリシア「さ、あなたはどうするの?カイナッツォ」

カイナッツォ「ちっ……!」

カイナッツォ「どうするも何も……私の意見を挟む余地はないんだろう?」

スカルミリョーネ「……た、多数決だから…な……」

カイナッツォ「ふん!こうなったら、貴様らを利用し尽くしてやるわっ!」

ルビカンテ「望むところだ。水の」

カイナッツォ「名前を呼べ!なんで私だけ略称なのだっ!」

ルビカンテ「お前の名前、言いづらくてな」

カイナッツォ「ちっ……!腹立たしいやつだ、まったく……!」

バルバリシア「ルビカンテ……変わってないと思ったけど……やっぱり変わったわね、あなた」

ルビカンテ「……どうかな」

スカルミリョーネ「……ゆ、友情に目覚め…た……」

カイナッツォ「どうせ、私達を体良く利用するつもりだろう?」

ルビカンテ「……そうかもな」

バルバリシア「ふふふ……」




734: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:35:24.53 ID:aBvEClGKO
バブイルの塔 B5F クリスタルルーム

律子「な、なんで……?」

律子「クリスタルが……無くなった……?」

貴音「律子嬢、先ほどわたくし達が来た時も、この部屋にくりすたるは見当たらなかったと記憶しておりますが……」

やよい「えっと、えっと……」

やよい「わたしも、あの光る石は見てないかなーって」

美希「……ムニャ……」

律子「………」

律子「そういえばあなた達……」

律子「さっきここで、魔物と戦ったって言ってたわよね?」

貴音「はい。以前からわたくしが追っていた魔物です」

律子「で、その魔物は、小鳥さんの息がかかっている、と」

貴音「そうです。小鳥嬢直々の命により動いている様子でした」

律子「………」

律子「……どうやら、その魔物にやられたみたいね」

貴音「くりすたる、とは、そこまで重要なものなのですか?」

律子「そうね……」

律子「少なくとも、私や小鳥さんにとっては……」



…ドゴォォォォォ…ン



やよい「はわわっ……!」ビクッ

律子「な、何……?」キョロキョロ

貴音「下の階から聞こえました」

貴音「何かあったのでしょう」

やよい「もしかしたら、春香さん達かもしれません!」

律子「ええ……行きましょう!」


タタタタ…



735: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:40:07.30 ID:aBvEClGKO
バブイルの塔 B6F 巨大砲制御室跡

春香「すごい音がしたから、戻って来たら……」

春香「あの部屋、丸ごと無くなっちゃってるよ……!」

伊織「まったく……やりすぎないのよ、って言ったのに……」

千早「真……」



春香「真ーーーーーっ!」

伊織「出てきなさーーいっ!」

千早「真ーーーーーっ!」



シーーーン…



伊織「……返事、ないわね……」

春香「………」

千早「もしかしたら、外へ放り出されてしまったのかも……」

伊織「そ、そうよ!これだけ呼んでも出て来ないんだもの、それしか考えられないわ!」

伊織「真ったら、心配かけるんだから……!」

春香「……行こう!2人とも!」

伊織「もちろん!」

千早「わかったわ!」



「…………春香?」



春香「えっ……?」クルッ



春香「り、律子さん!?」

律子「良かった!」

律子「千早、伊織……あなた達も、無事みたいね」

伊織「当たり前でしょ?」

千早「律子……」

千早(律子の雰囲気が……今までと違う……?)

春香「あ、あの……律子さん……?」

律子「ん?」

律子「ああ……そうよね」

律子「今までの事を考えれば……仕方ないわよね」

春香「え、ええと……」




736: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:43:02.31 ID:aBvEClGKO
貴音「春香、千早、伊織……」

貴音「……心配無用ですよ?」

やよい「そうですよー!律子さんは、律子さんですから!」

美希「……zzz」

伊織「やよいっ!」

春香「た、貴音さん……!?」

千早「美希も、無事みたい」

千早「これで、全員見つけたわね」

律子「あのね、みんな……」



…………


……




律子「………というわけなの」

律子「今まで、ごめんなさい!」ペコリ

春香「そんな!頭を上げてください、律子さん!」

千早「律子は何も悪くないわ」

伊織「そうよ。小鳥を叱ってやればいいのよ!」

やよい「みんななかよく、です!」

美希「……ムニャ……」

律子「みんな……」

貴音「律子嬢、振り返るのは後にしましょう」

貴音「春香達は、ここで何を?」

春香「あ、ええと……」

千早「実は、真が……」




737: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:46:54.12 ID:aBvEClGKO
…………


……




律子「そうだったの……」

律子「………」

春香「今から、外を探しに行くんです!」

律子「わかった。行きましょう!」








738: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 15:52:20.09 ID:aBvEClGKO
地底世界 バブイルの塔 入口付近

春香「真ーーーーっ!」

やよい「まことさーーーん!」

伊織「返事しなさーーい!」

千早「真ーーーーー!」

律子「どこなのーーー!」

美希「……zzz」



貴音「……見つかりませんね」

律子「これだけ探してるのに、見つからないなんて………」

千早「………」

やよい「………」

伊織「………」

春香「………大丈夫!」

春香「真、あんなに強いんだもん……もしかしたら、魔物を追いかけて行っちゃったのかも」

伊織「春香……」

伊織「そうね。あいつに、万が一なんてあり得ないわ」

律子「そう、よね……?」

律子「ごめんなさい。こういう時は、私がみんなを励まさなきゃいけないのに……」

律子「春香、リーダーらしくなってきたわね……」

春香「そ、そうですかね……えへへ」ポリポリ

貴音「律子嬢の言う通りです。春香……成長しましたね」

春香「た、貴音さんまで、そんな………」ズルッ

春香「あっ……!」ヨロッ


ドテッ


春香「痛たた……」

伊織「はぁ………お約束ねぇ」

千早「言葉もないわ」

やよい「は、春香さん、だいじょーぶですか?」

貴音「前言撤回、春香はまだまだ修行が足りないようです」

美希「……zzz」

律子「ふふ、こんな世界へ来ても、春香は変わらないのねぇ」

春香「うぅ……面目ない……」




「おーーーーーい!!みんなーーー!!」




春香「え?」クルッ




739: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 22:51:42.96 ID:aBvEClGKO
飛空艇 エンタープライズ

響「約束通り、迎えに来たぞー!」

春香「響ちゃん!」

千早「我那覇さん……」

やよい「響さーーん!」

伊織「相変わらず元気そうね」

美希「……zzz」

律子「それにしても……よくここがわかったわね?」

響「うん!自分、たくさん頑張ったんだ!」

響「早く、みんなと会いたかったから………」

響「…………って」



貴音「響…………お久しぶりですね」ニコッ



響「た………た………っ!」ウルッ

響「貴音っ………!」ダッ



貴音「ふふふ……」ダキッ

響「だがねぇぇぇっ!」ギュッ

響「ずっど……会いだがっだんだぞ〜!」ポロポロ

貴音「ええ、わたくしもです……!」ホロリ

響「うわあぁぁぁぁぁん!」ポロポロ



千早「感動の再会ね」

春香「ふふふ、そうだねぇ……」

伊織「あーあー、あんなに泣いちゃって………あれじゃ、子供じゃない」

伊織「よっぽど貴音に会いたかったのね」

やよい「でも……」

やよい「伊織ちゃんも、このまえ泣いてたよね?」

春香「えっ?」

千早「水瀬さんが?」

伊織「ちょ……!」

伊織「よ、余計な事は言わないの!やよい!」

やよい「うぅ……ごめんね、伊織ちゃん」

やよい「でも、わたしに会いたいって、伊織ちゃんが思ってくれたんだなーって……」

やよい「わたし、うれしかったんだよ?」

伊織「ま、まあ…………そう言われて悪い気はしないけど……」

春香「ふふっ、伊織、可愛いなぁ」ナデナデ

伊織「う、うるさいわねっ!」カァァ




740: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 22:55:11.69 ID:aBvEClGKO

響「そっか、真が……」

響「………」

響「あ、でも、きっと大丈夫さー!」

響「プロデューサーが、なんとかしてくれると思うぞ!」

律子「プロデューサーが?」

春香「そういえば……」

春香「亜美と真美は、プロデューサーさんのおかげで助かったんだよね」

響「うん!だから、真の事だってきっとなんとかしてくれるぞ!」

千早「そうか……あの人には、このゲームの知識があるものね」

伊織「へぇ……あいつも、たまには役に立つのねぇ」

やよい「伊織ちゃん、そんな言い方、プロデューサーがかわいそうだよー」

貴音「ならば、ぷろでゅうさぁ殿に任せるのがよろしいでしょう」

律子「そうね。その方が良さそう」




美希「………で、これからどうするの?春香」

春香「うーん、どうしようか……」

伊織「そうねえ……もう、結構いい時間よね……」

伊織「…………って」



全員「……美希(さん)!!?」



美希「あはっ☆みんなー、おはよーなのー」

やよい「美希さん、おはよーございまーす!」

律子「時間的にはとっくに夜だけどね」

春香「びっくりしたぁ……」

響「ホントだぞー……」

伊織「あんた、いつの間に起きたのよ?」

貴音「ふふ、ようやく眠り姫のお目覚めですか」

千早「美希、今日はいつもより長く寝ていたわね?」

美希「うん。ミキもよくわかんないんだけど……」

美希「なんだか、思ったより疲れが溜まってたみたいなの」

美希「いつもは、こんな事ないんだけどねー」

千早「そうなのね」

やよい「………」

貴音「………」



741: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 22:57:08.43 ID:aBvEClGKO

春香「あ、そうだ!」

春香「律子さん、ちょっとお願いがあるんですけど……」

律子「何かしら?」

春香「その首飾り……持ち主に返してもらえませんか?」

律子「ああ、これ……」ジャラッ

律子「……そうね。無理矢理奪っちゃったものね」

律子「……はい」スッ

春香「ありがとうございます」ジャラッ

美希「……そういえば、それが目的だったっけ」

美希「今、思い出したの」

伊織「あんた……あの塔に何しに行ったのよ……」

千早「……でも、いいの?」

千早「その首飾りって、確か……」

春香「うん、わかってる」

春香「最後のクリスタルの、鍵なんだよね?」

響「へー……ただの首飾りに見えるけどなー」

春香「だから、返した後に改めて頼んでみるよ」

春香「貸してくださいって」

千早「なんだか回りくどい気もするけど……」

千早「ルカさんと約束したんだものね」

春香「うん」

春香「……と、いう事で」

春香「一旦、ドワーフ城に行きませんか?」

律子「私にいちいち断らないで、あなたが決めていいのよ?」

律子「春香。あなたは、リーダーなんだから」

春香「……はい、わかりました!」

春香「……じゃあ、響ちゃん?」クルッ

響「了解だぞー!」





744: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 23:07:31.54 ID:aBvEClGKO
響「………っと、その前に」

響「みんな、お腹空いてない?」

春香「あ、そういえば……」

千早「私達、今日は何も食べていないわね」

美希「ペコペコなのー!」

やよい「ですー!」

貴音「……今にも、餓死してしまいそうです」

律子「貴音の場合は、本当にあり得そうで恐いわ……」

伊織「まさか、私達に振舞ってくれるの?」

響「ふふん!特別ゲストがいるんだぞっ!」



店主「……料理はできてるぞ!」

店主「さあ、じゃんじゃん食べてくれ!」

ものまね士「たくさんありますからねー!」


ドッサリ!


春香「ものまね士さんに、店主さん?」

春香「なんでここに……?」

店主「ま、まあ……いろいろあってな」

やよい「わあ、お久しぶりですねーっ!」

ものまね士「天使ちゃん……!」キュン

美希「影武者さん、久しぶりなの」

ものまね士「ミキさん、元気そうね」

美希「ねえねえ、この料理って、……」

ものまね士「ええ。店主さんと2人で作ったんです」

美希「へ〜……これは、期待できそうなの!」

伊織「誰よ、あの2人は?」

律子「良くわからないけど、どうやらご飯作って待っててくれたみたいね」

貴音「なんとも良い匂いが……!」ジュルリ



745: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 23:10:27.30 ID:aBvEClGKO
…………

……


貴音「モグモグ……」

貴音「これは……!」

貴音「まこと、美味でございます!」

貴音「箸が、止まりません……!」モグモグ

伊織「あんた、何食べてもそうじゃないの……」

響「わわ、早く食べないと、貴音に全部食べられちゃうぞ〜!」

やよい「とーってもおいしいですー!」モグモグ

美希「ん〜!幸せなの〜!」モグモグ

春香「おいしいね、千早ちゃん」モグモグ

千早「ええ、そうね」

店主「はは、そう言ってもらえると、作った甲斐もあるってもんだ」

ものまね士「うふふ……」

ものまね士「…………あら?」チラ

ものまね士「あのー……」

ものまね士「あなたは食べないんですか?」

律子「……え?ああ……」

律子「そうね。せっかくだから、いただきますね」

律子(……こうして、この子達の楽しそうな顔を見られるだけで、お腹いっぱいなんだけどね……)

律子(本当、賑やかね……)




746: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 23:13:28.86 ID:aBvEClGKO

美希「………それ、いただきなのっ!」ヒョイ

美希「パクッ!」

春香「あ、ちょっと美希!私のおかず、取らないでよぉ〜!」

美希「食卓は、戦場なんだよ?気を抜いたら、死、あるのみ!なの!あはっ☆」

春香「うぅ〜、最後の楽しみに取っておいたのにぃ〜」

千早「春香。私ので良かったら、食べる?」

春香「え?でも、千早ちゃん、あんまり食べてないんじゃ……」

千早「いいえ。これでも、いつもよりは食べているわ」

千早「だから、遠慮しないで?」

春香「じゃあ……もらうね?」

春香「千早ちゃん、ありがとう!」



律子「………」




747: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 23:17:30.71 ID:aBvEClGKO

伊織「はぁ……美希も春香も、食事くらい、もっと優雅にできないのかしら?まったく……」モグモグ

やよい「……伊織ちゃん!はい、あーん」スッ

千早「!」

伊織「……ぶっ!」

伊織「や、やよい……!」

やよい「あーん……」

伊織「う………」

伊織「わ、わかったわよ…………あ、あーん……」

伊織「モグモグ……」

やよい「えへへ、おいしい?」

伊織「ま、まあね………///」

千早「……高槻さんっ!」ズイッ

やよい「はわわっ!」

千早「そ、その………私も、お願いしても、いいかしら……?」モジモジ

やよい「えへっ!千早さんは、甘えんぼうさんなんですねー!」

伊織「ダメよ、千早!」

千早「なぜかしら?」

伊織「やよいの『あーん』は、私だけのものなんだから!」

千早「そんなはずないわ。高槻さんは、いつだってみんなに平等ですもの」

伊織「……ふーん、やる気なのね?」

千早「……そうね。いい機会だから、どっちが高槻さんに相応しいか、決着を付けましょう!」ゴゴゴゴ

伊織「後悔させてあげるわ、千早!」ゴゴゴゴ

春香「ちょ、ちょっと2人とも……!」オロオロ

やよい「け、ケンカはダメですよぉ……!」オロオロ



律子「………」ピクッ




748: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 23:33:56.54 ID:aBvEClGKO

響「モグモグ……」

響「うん、おいしい!」

響「店主は、絶対いい旦那さんになると思うぞ!」

ものまね士「だ、旦那さんなんて、そ、そんな………///」モジモジ

店主「………いや、なんであんたが照れるんだ?」

貴音「………」じーっ

響「………」モグモグ

貴音「………」じーっ

響「………」モグモグ

貴音「………」じーっ

響「………あーもう!欲しいなら、言ってくれればあげるぞ!」スッ

貴音「おお、響……!やはりあなたは、わたくしの心の友です!」ガシッ

響「貴音………相変わらず食いしん坊なんだなぁ」

貴音「モグモグ……」チラ

美希「あはっ☆大漁大漁、なの!」ゴソッ

貴音(美希のところに、ぱわぁ(おかず)が集中している……)

貴音(このままでは、生態系が崩れてしまう……)

貴音(………食物連鎖の頂天に立つのは、このわたくしです!)スッ

スカッ

貴音「む……?」

美希「貴音が泥棒猫なの!」ヒョイ

美希「これはミキのだから、誰にもあげないの!」ガバッ

貴音「美希……先ほど、自分で申しましたね?」

貴音「『食卓は、戦場』である、と……」ニヤリ

美希「………へぇ」

美希「ミキに勝てると思ってるんだね?」

貴音「いざ……!」ゴゴゴゴ

美希「……相手にとって不足なし、なの!」ゴゴゴゴ

響「ちょっと2人とも!『ゴゴゴゴ』じゃないぞー!」

響「自分の近くで争わないでよー!」



律子「………」ピクピクッ




749: ◆bjtPFp8neU 2014/12/21(日) 23:43:48.59 ID:aBvEClGKO

律子「………」ピクッ



…ブチッ



律子「スゥーーー………」






律子「あんた達ーーー!!いい加減にしなさーーーーーいっ!!」






アイドル達「……………っ!!」


ものまね士(ひえぇ………!)

店主(恐っ………!)



春香「………」

春香「………律子さんっ!」ニコッ

律子「な、何よ……?」

律子「怒られたっていうのに、なに笑ってるのよ、春香……」

春香「だって……」

春香「………ねっ?」チラ

千早「ええ」

千早「律子のその怒鳴り声、久しぶりに聞いたわ」ニコッ

律子「!」

伊織「最初に会った時とは、えらい違いね?」

美希「鬼軍曹の再来なの!」

やよい「うっうー!おにぐんそーですっ!」

響「自分、とばっちりで怒られたのに、なんだか嬉しいぞー!」

貴音「………もう、普段の調子を取り戻しましたね?」

律子「みんな……」

律子「………」

律子「ほ、ほら……さっさと食べちゃいなさい!残したら、もったいないでしょう?」


アイドル達「はーーーいっ!!」


律子「………」

律子(この際、鬼軍曹でもなんでもいいわ)

律子(あの子達は………私が守らなきゃ!)





751: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:14:41.23 ID:nCICvjk2O
幻獣の町

スタスタ…


冬馬「………」キョロキョロ

冬馬「どいつもこいつも、化け物みてーな奴らばっかりじゃねーか」

冬馬「これが、ゲームの世界ってやつなんだな……」

翔太「うん。でもなんか、どっかで見た事あるのばっかり」

北斗(『ケアルダ』なんて、4にしか出てこないから、まさかと思ったけど)

北斗(人間のいない町……)

北斗(……黒井社長は津波を呼ぶ。俺達ジュピターは、ひとつの身体に頭が3つ……)

北斗(高木社長に至っては、『斬鉄剣』まで使っている)

北斗(……そういう事か)

北斗(でも、そうなると問題が……)

高木「ふふ、見た目は変わっているが、きっとみんな気のいい人ばかりだよ」

黒井「………ふん」




北斗「………あの、社長」

黒井「……なんだ」

北斗「ちょっと、気づいた事があります」

黒井「………」

黒井「……言ってみろ」

北斗「俺達は……高木社長も含めて、ですが……」

北斗「どうやら、このゲームの世界の中でも、さらに特殊な存在の様です」

高木「特殊な存在……?」

冬馬「どういう事だよ、北斗」

北斗「俺達は、どうやら……『幻獣』らしい」

黒井「げんじゅう……?」

黒井「なんだ、それは?」

北斗「召喚獣って言えば、翔太にはわかってもらえるかな?」

翔太「!」

翔太「知ってる!あの、バハムートとかナイツ・オブ・ラウンドとかのあれでしょ?」

北斗「その通りだ。だけど、ナイツ・オブ・ラウンドはこの世界には出てこないだろうな」

北斗「ここはどうやら、FF4の世界らしいから」

冬馬「ちっ、FFかよ……!」

翔太「そっかぁ……。ボク、FFは7以降しか知らないらなぁ〜」




752: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:21:34.24 ID:nCICvjk2O

黒井「おい北斗。私にもわかるように話せ」

高木「……まだまだ若いつもりだったが、私も今の会話には付いて行けなかったよ」

北斗「……はい」

北斗「さっき、俺達は幻獣だって言いましたけど、『幻獣』っていうのは、基本的に、『召喚士』と呼ばれる人間に『呼び出される』事で初めて、戦う事ができるんです」

黒井「なんだと……?」

高木「それじゃあ、私達だけでは自発的に戦う事はできないと?」

北斗「その辺りの細かいルールはわからないんですが……」

北斗「とにかく、まずは召喚士を見つけるのが、最優先事項かと思われます」

北斗「そして、おそらくその召喚士は……」




「…………ヤヨイさんじゃよ」




冬馬「だ、誰だあんたは?」

ラムウ「どうか、召喚士であるヤヨイさんの力になってあげて欲しいんじゃ」

ラムウ「………我らの、王よ」

冬馬(あ、無視しやがった)

黒井「………」

高木「高槻君の力に……?」

翔太「あーっ!」

翔太「あなた、ラムウさんでしょ?うわぁ、FFの名物召喚獣をまさか生で見れるなんてね〜!」

ラムウ「………」

翔太「あの、サインくだ………モゴッ!」

北斗「翔太、話が進まないから少し黙っててくれないか」

ラムウ「…………話してもよいかのぅ」

北斗「あ、すみません。どうぞ」

ラムウ「そこのジュピター殿がさっき言った通り、わしら召喚獣は召喚士の力になって初めて、その真価を発揮できるんじゃ……」






753: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:25:39.49 ID:nCICvjk2O

黒井「………」

高木「ふむ、伊集院君の言った通りだね……」

高木「しかし、高槻君に力を貸す事になるなら本望だ」

高木「これは、早々に高槻君を……」

黒井「……ふん、知った事か」

黒井「私は、私のやりたいようにやる。それだけだ」

高木「黒井……」

ラムウ「王よ。迷っておられるのじゃな……?」

ラムウ「わしにはわかる。王よ、あなたは本当はヤヨイさんに力を貸したいと思っておる」

ラムウ「しかし、プライドが邪魔をして言い出せないんじゃな?」

黒井「デタラメを言うなっ!」

黒井(この老人……私の心を覗いたというのか……?)

黒井「お前に、私の何がわかるというのだ!」

ラムウ「………もしもその気になったなら、あなたの身に付けているものを、ヤヨイさんに渡して欲しいんじゃ」

ラムウ「それが、わしら幻獣と召喚士を結ぶ、絆となるのじゃから……」クルッ


スタスタ…





高木「不思議なご老人だったねぇ……」

北斗「ええ。それに、気になる事も言ってました」

高木「ああ。身に付けているものを渡す……か」

黒井「………」






754: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:29:15.06 ID:nCICvjk2O
幻獣の町

真美「おお〜!あったあった〜!」


スタスタ…


雪歩「真美ちゃん、この宝箱の中に……?」

真美「うん、真美達が求めていたものが、入っているハズだよ!」

トロア「いったい、何が……」ゴクリ

P(……みんな、ガッカリしないといいけどな)



P「それじゃ、真美……」

真美「了解〜!」スッ

真美「……じゃあみんな、心の準備はいい?」チラ

トロア「わかりました」

雪歩「うぅ……なんだかドキドキしますぅ〜……」ドキドキ




真美「3………」




真美「2………」

トロア「………」ドキドキ

雪歩「ぅ………」ドキドキ




真美「1……」

トロア「っ………」ドキドキ

雪歩「〜〜〜!」ドキドキ




真美「0っ………!」

トロア「!」

雪歩「はぅっ!」



755: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:31:34.29 ID:nCICvjk2O
真美「……………って言ったら、開けるかんね?」




トロア「………ま、マミ殿………」ドキドキ

雪歩「ひぅぅ……」ヘナヘナ

P「ゆ、雪歩、大丈夫か?」ダキッ

雪歩「………はっ!」

雪歩「すすす、すみません、プロデューサー……///」ドキドキ

P「真美、お約束はいいから、早く開けてくれよ……」

真美「あはは、ごめんごめん」

真美「じゃ〜、ちゃっちゃと開けますか」


ガチャ…


真美「……お、はっけ〜ん!」スッ

トロア「マミ殿、それは……?」

トロア「何か、ヒモのように見えますが……」

真美「これは、『ネズミのしっぽ』だよ」

雪歩「ね、ねずみ……?」

トロア「え、ええと……」

トロア「そのようなものを求めて、我々はここまで来たのですか?」

真美「そだよ!」

真美「まあ、このままじゃ使えないけど、あとでブツブツコウカンで必要になってくるんだよね〜」

トロア「はあ、物々交換ですか……」

雪歩「うぅ……ちょっと、気味が悪いかも……」

P「よし、とりあえずここでの目的は達成したな」

P「さて、帰るか……」



P「……ん?」チラ

P「あ、あれは……」




756: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:36:01.49 ID:nCICvjk2O

P「……社長!」



高木「おや……?」

高木「………やあ、君達じゃないか!」

黒井「あれは、765の連中か……」

冬馬「萩原と、うわぁ……」

冬馬「よりによって、双海かよ……」

翔太「やあ、こんにちは」

北斗「チャオ☆エンジェルちゃん達!」

雪歩「ひいぃ……!」

雪歩「か、顔が……!」

真美「ブーーッ!」

真美「ちょ、ちょっとジュピターさん」

真美「なんなのそれ!?あまとう達、なんで合体しちゃってんのさ〜?」

冬馬「う、うるせぇ!好きでこんなカッコしてるんじゃねえんだよっ!」

冬馬「あと、あまとうって呼ぶな!」

P(顔が3つ……?)

P(そうか!ジュピターはアスラなんだ……)

P(だったら、黒井社長は……リヴァイアサンか?)

黒井「ちっ、騒がしい……」



P「社長、お疲れ様です」ペコリ

高木「うむ」

高木「君達は、なぜここに?」

P「はい。ちょっと必要なアイテムを取りに来たところでして……」

高木「そうか」

高木「ところで君は、高槻君が今どこにいるかわかるかね?」

P「やよい……ですか?」




757: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:39:55.16 ID:nCICvjk2O
…………

……


高木「………という事なんだよ」

P「そうですか……やよいの力に……」

P(俺は、早い段階でやよいが召喚士だってわかっていた)

P(高木社長がバロン王……つまり、後のオーディンだって事も)

P(その時に気づくべきだったかな……)

P(……いや、今更そんな事を言っても仕方ない。今は、召喚獣の方々に協力を仰ごう)



高木「今話した通り、どうやら、我々が高槻君の力になる為には、我々の身に付けているものを高槻君が持っている事が条件となるらしいんだ」

高木「これを、君に託そう」スッ

P「……はい」スッ

P「これは……腕輪?」

P「……にしては、ちょっと大きい気もするな」

真美「……兄ちゃん兄ちゃん、それって、アンクレットじゃない?」

P「あんくれっと……って、なんだ?」

雪歩「あの、足にするアクセサリーだと思いますよ?」

真美「さすがゆきぴょん!」

P「へぇ、足輪の事をアンクレットっていうのか……」

真美「足輪ってなんかダサいからやめようよ、兄ちゃん……」

高木「それを、君の手から高槻君に渡してくれたまえ」

P「はい、わかりました。やよいも喜ぶと思います!」

真美「やよいっち、これでオーディン、もとい社長ゲットだね!」

雪歩「ま、真美ちゃん、社長はポケモンじゃないよぉ……」

高木「さて……」クルッ

高木「君達は、どうする?」




758: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:43:23.20 ID:nCICvjk2O

黒井「………」

冬馬「………」

冬馬「……………ちっ」



冬馬「おい、765のプロデューサー」

冬馬「……ほらよっ!」ヒュン



P「………おっと!」パシッ

冬馬「……勘違いするなよ?別に765プロと仲良くやろうってわけじゃねえ」

冬馬「これは………その、あれだ」

冬馬「高槻にメシ作ってもらった礼だ!」

冬馬「……大切にしろよな!」

P「羅刹、お前……」

冬馬「だから羅刹じゃねえっつってんだろ!」

北斗「相変わらず素直じゃないなぁ、冬馬は」

翔太「素直に『やよいちゃんが心配だから』って言えばいいのにね〜」

真美「ほほぅ……あまとうは、やよいっちにラヴなわけですな〜?」ニヤリ

冬馬「だーっ!違う!んなわけねーだろっ!」

雪歩「お、鬼ヶ島さんって、顔の割りに意外と優しいんですね……?」

冬馬「ぐっ……萩原、お前まで……」



P「……羅刹!」

冬馬「な、なんだよ?」

P「ありがとな!」ニコッ

冬馬「べ、別に礼を言われる事じゃ……」

P「だが……」



P「………やよいはやらんぞ?」



冬馬「………っ!」

冬馬「い、いるかっ!!このアホプロデューサーがっ!」カァァ




759: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:47:38.68 ID:nCICvjk2O

高木「黒井、お前はどうする?」

黒井「………」

黒井「言ったはずだ。私は、私のやりたいようにやると」

高木「…………」

P(幻獣王の力、是非拝借したかったんだけど……黒井社長は、やっぱり一筋縄ではいかないか……)

P(………)

高木「もう、我々だけの問題ではないんだ」

高木「いい加減、少しは大人に……」



P「……黒井社長っ!」



黒井「………」

P「黒井社長………あなたの『王』たる力が、どうしても必要なんです!」

黒井「………」ピクッ

P「どうか、私達に……」

P「……いえ、やよいに、力をお貸しくださいっ!」ペコリ



黒井「………」



P「………っ!」ググッ



黒井「…………王者とは、常に孤独……そうあるべきだ」

黒井「…………しかし」

P「………?」



黒井「…………庶民どもを支配、管理するのもまた、王者の務め」




760: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:51:38.90 ID:nCICvjk2O

P「………じゃ、じゃあ!」

黒井「貴様は、私を王と認めたのだな?」

P「そ、それはもちろん!あなた以上に王に相応しい人はいませんよ!」

真美(兄ちゃん………ごますり作戦?)



黒井「ククク……!」

黒井「ならば、条件がある」

P「条件……?」



…………

……




高木「………それでは、私は黒井達と共に行く事にするよ」

高木「くれぐれも、気をつけてくれたまえ!」

P「はい!社長も、どうかご無事で!」

真美「こんなゴーセーなメンツが揃ってるんだから、心配ないっしょ!」

雪歩「わ、私も、足手まといにならないように頑張りますぅ!」



真美「じゃあね、黒ぴょん!」

黒井「ふん……」

真美「あまとうにほくほくにトイレも、またね〜!」

雪歩「さ、さようならぁ!」



北斗「チャオ☆エンジェルちゃん達!」

冬馬・翔太「あまとう(トイレ)って呼ぶな〜!!」




761: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:54:26.91 ID:nCICvjk2O
飛空艇 フタミ号

P「………というわけで」

P「これから、一旦春香達に合流しようと思う」

P「当初の予定と少し違うが、社長達の力を、早くやよいに届けてあげたいんだ」

亜美「オーディン、アスラ、リヴァイアサン……」

亜美「……これもう、やよいっち最強じゃね?」

真美「だよね〜。やよいっちひとりでピヨちゃんに勝てそう」

あずさ「うふふ……なんだかステキな事になったみたいですね〜」

雪歩「やよいちゃんが黒井社長を呼び出す姿って、結構シュールかも……」




亜美「ふ〜ん……」

亜美「召喚獣を呼び出すには、アクセサリーが必要なんだね〜」スッ

亜美「ソウ・チャク!」バサッ

亜美「ふははは〜!私がウワサの黒井だ〜!」

亜美「王者とは、ツネにコドクなのだ〜!」ビシッ

真美「きゃ〜!黒井様〜、ステキ〜!」

P「こらこら、黒井社長のマントで遊ぶな」

亜美「亜美だって王者の気分を味わいたいんだもん!」

あずさ「黒いマントに、紫のアンクレット、緑の指輪……」

あずさ「やよいちゃん、どこかの貴族みたいになっちゃうわね〜」

雪歩「ところでプロデューサー」

雪歩「春香ちゃん達とは、どうやって合流するんですか?」

P「ああ、特にアテがあるってわけではないんだが……」

P「とりあえず、地上に戻ってみよう」

P(こないだ響に会った時には、バブイルの塔にいたはずだよな)

P(って事は、次はエブラーナのはず……)

P(ま、ゲームの通りに進んでいればの話だが……)




762: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:56:27.99 ID:nCICvjk2O
ドワーフ城 王女の部屋

ルカ「これは、お母様の首飾り……!」ジャラッ

ルカ「良かった、戻ってきて……!」ギュッ

ルカ「ありがとう!皆さん!」ペコリ

春香「ううん、ルカさんが喜んでくれて良かったよ!」

千早「母の形見ですものね……」

美希「一件落着、なの!」

やよい「王女さま、とーってもうれしそうです!」

伊織「………」

伊織「………春香?」

春香「……うん、わかってるよ」



春香「あの、ルカさん?」

ルカ「どうしたの?ハルカさん」

春香「えっと、こんなタイミングで言うのもアレなんだけどさ……」

春香「その……首飾りを……」

ルカ「………」

ルカ「………うん、いいよ」

ルカ「最後のクリスタルを手に入れるのに、この首飾りが必要なんだよね?」

春香「ルカさん………」

ルカ「でも、ひとつだけ、条件があるの」

春香「条件……?」

ルカ「絶対、無事に帰って来て!」

ルカ「もう、大切な人を失うのは嫌なんだ」

ルカ「だから、絶対……!」

春香「……ルカさん」ギュッ

春香「大丈夫、私達は絶対に無事に帰って来る」

春香「約束するよ!」

ルカ「ハルカさん……!」ギュッ





763: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:57:49.20 ID:nCICvjk2O
飛空艇 エンタープライズ

律子「……で、またちゃんと借りてこれたのね?」

春香「はい!」ジャラッ

律子「そう、よかった」

律子「とにかく、最後のクリスタルは確保しておかないとね」

千早「それにしても、小鳥さんの部下が月からやって来るなんてね……」

貴音「……申し訳ありません」

貴音「それについては、全てわたくしの責任です」

千早「あ……いえ、四条さんを責めているわけではないんです」

千早「……ごめんなさい」

貴音「千早、謝る事はないのです。わたくしがもっとしっかりしていれば……」

伊織「……ちょっと2人とも」

伊織「終わった事をいつまでも言っていたって仕方ないじゃないの」

伊織「大事なのは、これから何をするか……でしょ?」

貴音「……そうでしたね」

律子「伊織の言う通りだわ」

律子「それに、貴音のおかげで、私は自分を取り戻せたわけだし」

伊織「さ、春香。あんたが号令かけなさい」

春香「………」コクッ



春香「みんな………行こう!最後のクリスタルのところに!」



律子「……決まりね」

律子「明日に備えて今日はもう寝ましょう」

律子「響。この飛空艇は、何部屋ぐらいあるのかしら?」

響「ええと……4部屋あるぞ」

律子「4部屋か……」

律子「今ここに、10人いるから……」

律子「2、2、3、3で別れればいいわね」

律子「それじゃ、部屋別けを……」



764: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 06:59:15.28 ID:nCICvjk2O
店主「リツコ様。ちょっと待ってくれないか?」

律子「ん?あ……」

春香「そっか。店主さんひとりだけ、男の人なんだね」

伊織「面倒ねぇ。あいつは甲板で寝かせときましょ」

店主「えっ……」

春香「ちょっと伊織、それはひどいよ」

伊織「……冗談に決まってるでしょ」

伊織「あいつには、夕食の恩があるし……。まあ、ひとり部屋でいいんじゃないかしら?」

律子「そうね。それじゃ、3、3、3、1で別れましょうか」

美希「あふぅ……やっと寝れるのー」

やよい「美希さん、あんなにねてたのに、まだねれるんですか?」

美希「お昼寝と夜寝は、別腹なの」

響「美希の胃袋ならぬ寝袋は、常人には理解できないんだぞ」

千早「で、どうやって分けるの?」

律子「ここは、公平にアミダにしましょうか」

貴音「……それでは、阿弥陀はわたくしが作りましょう」

律子「え?貴音が?」

律子「まあ、いいけど……」

春香「珍しいね。貴音さんがこういう事を積極的にやろうとするなんて」

千早「確かにそうね」

やよい(貴音さん、美希さんと同じへやになろうとしてるのかな……?)チラ

貴音「………」

貴音「響。紙とぺんをもらえますか?」

響「ちょっと待ってて。今持って来るぞ」


タタタタ…



765: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:02:45.68 ID:nCICvjk2O
…………

……


律子「律子「………よし。じゃあ、アミダの結果を発表するわよー」

律子「まず、1号室」

律子「……響、やよい、千早」

響「なんだ、貴音と一緒じゃないのかー」

響「ちょっと残念だぞ」

千早「よろしくね、2人とも」

やよい「よろしくおねがいしまーす!」

律子「で、2号室が、美希、貴音、ものまね士さん」

美希「んん〜……なんでもいいから、早くベッドに行きたいの〜……」ムニャ

ものまね士「ちょっとミキさん、しっかり立って!」ガシッ

貴音「………」

律子「3号室は、伊織、春香、私ね」

春香「はーい」

伊織「やよいと離れちゃったわね……」

律子「店主さんはひとりで4号室を使ってくださいね?」

店主「了解、リツコ様」



律子「それじゃあ就寝にするけど……」

律子「みんな、あんまり遅くまで起きてないで、早く寝るのよ?」

律子「夜更かしは美容の天敵なんですからね?」

伊織「わかってるわよ、もう」

春香「あはは……もうすっかり、いつもの律子さんだね」

千早「律子、そろそろ……」

律子「あ、そうね」

律子「それじゃ……」



全員「おやすみなさーーい!!」




766: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:04:24.01 ID:nCICvjk2O
1号室

千早「……それにしても我那覇さん、よく無事にここまで来れたわね?」

響「うん。まあいろいろあったんだけどね」

響「あ、そういえば自分、地底でプロデューサー達に会ったんだ」

千早「プロデューサーに?」

響「うん!それでね?プロデューサーと一緒に、雪歩がいたんだ!」

千早「萩原さん……」

やよい「雪歩さん、プロデューサーといっしょなら、安心ですねー」

千早「ええ、そうね」

響「しかも、あずささんが目を覚ましてたんだぞ!」

千早「あずささんが……!」

千早「良かった……」

やよい「あのー、あずささんが目をさましたって、どーいうことですか?」

響「あ、やよいは知らないんだったっけ」

響「あずささんは、乗っ取られた律子との戦いで……」



やよい「………」

やよい「そんなことがあったんですか……」

響「ピヨ子、ホントにどうしちゃったんだろうなー」

千早「会って話をしてみないと、何とも言えないわね」

やよい「………」

やよい「小鳥さん、きっと、ひとりでさみしがってると思います」

やよい「早く、小鳥さんをむかえに行ってあげないとですっ!」

響「やよい……」

千早「高槻さんの言う通りね」



千早「じゃあ、そろそろ寝ましょうか?」

響「そうだな。ん〜、3人だとちょっと狭いかな……」モゾモゾ

千早「高槻さん……。も、もう少しこっちへ来てもいいのよ?」モゾモゾ

やよい「うっうー!お泊まり会みたいで、たのしいですー!」モゾモゾ




767: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:09:36.16 ID:nCICvjk2O
2号室

美希「それじゃ、おやすみなの〜」ドサッ

ものまね士「ミキさん、せめて着替えないと……」

貴音「美希、待ってください」ガシッ

美希「ん〜……なんなの〜?」

貴音「わたくしは、まだあなたにお礼を言っていません」

美希「お礼?なんで?ミキ、何かしたっけ?」

貴音「……覚えていないのですか?」

貴音「やよいの話だと、あの魔物との戦闘時、わたくしが蘇ったのは美希のおかげだと……」

美希「あー……」

美希「………」

美希「ミキね……?」

美希「貴音が死んじゃって、すっごく悲しい気持ちになったのは覚えてるの」

美希「でも、その後の記憶がないんだよね……」

美希「起きたら、貴音は普通に生きてるし……ミキも、わけがわからないの」

貴音「なんと、そうでしたか……」

貴音「ともあれ、ありがとうございました」ペコリ

貴音「あなたのおかげで、わたくしはこうしてまた皆と共に旅を続ける事ができます」

美希「ん〜、覚えていないのにお礼言われても……って感じだけど。一応、受け取っておくね?」

貴音「それにしても、あの『死の宣告』という攻撃……厄介ですね」

ものまね士「死の宣告ですか……あれは、避けようがないですからねぇ」

貴音「……やはり、回避する手段は無いのですか?」

ものまね士「はい。今のところは、まだ無いですね」

ものまね士「言葉を聞いたが最後、待っているのは、文字通り『死』です」

貴音「言霊、というものがあるのは知っていますが……」

貴音「よもや、たった一言で相手を死にいたらしめようとは……」

貴音「まこと、恐ろしきものです」

美希「……じゃあ、聞かなければいいって思うな」

ものまね士「え……?」

美希「その言葉を聞いたら死んじゃうんでしょ?」

美希「だったら、耳を塞いじゃえばいいの」

貴音「なるほど……美希の言う事にも一理ありますね」

ものまね士「で、でも、そんな事で防げるんでしょうかねぇ?」

貴音「わかりませんが、何もしないよりはましでしょう」

美希「解決したみたいだね?」

美希「……じゃあ、今度こそおやすみなの〜」

美希「……zzz」

ものまね士「ミキさん、相変わらず寝るのが早いわね……」

貴音(美希……あなたは、まこと不思議な人です……)



768: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:10:47.84 ID:nCICvjk2O
3号室

春香「はぁ〜、疲れたぁ……」ボフッ

伊織「ベッドがあるのはありがたい事だけど、シャワールームでもあれば尚よかったんだけどね」

春香「そうだね〜。シャワー、浴びたいなぁ」

律子「………」じーっ

春香「………?」

春香「律子さん?どうかしたんですか?」

律子「春香……あなた、雰囲気変わったわねぇ」

律子「なんていうか、聖人のようなオーラが滲み出てるというか……」

春香「えへへ……そうですか?」ニコニコ

伊織「私には、いつもと変わらないドジな春香に見えるけどね」

春香「う……否定できない……」

律子「春香。その剣は……」

春香「ああ、これですか?」スッ


…キラーン!


春香「私、試練の山で暗黒騎士からパラディンになったんですよ!」

律子「パラディン……?」

春香「聖騎士って言った方がわかりやすいですかね」

春香「聖騎士は、暗黒騎士とは真逆の騎士みたいです」

律子「聖騎士、ねえ……」

律子(まさに、正義の味方って感じね)

律子(やっぱり、私の暗黒剣よりも春香の聖騎士としての力が、この先必要になってくるのかもね)



律子「さ、そろそろ寝ましょう」

律子「電気消すわよ?」

伊織「ちょっと春香、もう少しそっち寄れないの?」モゾモゾ

春香「ええ?こっちもギリギリだよ」モゾモゾ

律子「まあ、ベッドがひとつしかないからしょうがないわよ」モゾモゾ

春香「……でも、みんなでくっついて寝ると、あったかいねぇ」

伊織「まあね……ってこら、どこ触ってんのよっ!」

春香「ご、ごめん。伊織って、抱き枕に丁度いいサイズだから、つい……」

律子「ほーら、もう寝なさい」

律子「それに伊織。狭いんだから、少しは我慢しなさい」

伊織「仕方ないわね……」

伊織「……きょ、今日だけだからねっ……」

春香「えへへ、ありがと」ギュッ


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