1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 20:29:50.33 ID:h0o515WAO
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某日、万事屋

TV『みなさんのおかげで……ここまでやってこれて……』

銀時「…………」

新八「銀さん、何見てるんですか?」

銀時「何かアイドルの総選挙……アレだ、最近よく出てる無駄に人数の多い……」

新八「アイドルの選挙……あー、A○B48ですか?何かたまに人気投票みたいなことやってますよね」

銀時「これやり方が汚くね?何なの、CD一枚につき投票権一枚とか」

銀時「もう買い手から搾れるだけ搾り取ろうって魂胆が丸見えだよね」

新八「まあまあ……これも一つの売上を伸ばす作戦なんですよ」

引用元: 銀時「……ヒロインNo.1決定戦?」 



銀魂―ぎんたま― 73 (ジャンプコミックス)
空知 英秋
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 20:40:23.97 ID:h0o515WAO
新八「でも凄いですよね、一人で千枚以上のCDを買う人もいるらしいですよ?」

銀時「いや、カード付きスナック然りおまけで客を釣るってのは昔からあるやり方だけどよ……」

銀時「これはさすがに……あ、銀魂もそうすりゃいくね?DVDとBDに投票権みてーな」

新八「いや、もう人気投票とかジャンプでやってるじゃないですか」

銀時「あーそうだ忘れてたわ、ぱっつぁん三回連続ミラクル8位だったな、俺は1位だったけど」

新八「はっ倒しますよアンタ」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 20:50:28.67 ID:h0o515WAO
ジリリリリ ジリリリリ

新八「っと……はい、万事屋ですけど……姉上?どうしたんですか?」

新八「はっ……え?ちょ、なんで……」

ブツッ ツーツーツー

銀時「何だぱっつぁん、あのゴリラ女が何か言ってきたか?」

新八「いや……銀さんと一緒にすぐ来い、だそうです」

銀時「あぁ?なんで?」

新八「いや、分からないですけど……とにかくすぐ来るように、だそうです」

銀時「いいよめんどくせー、どうせロクなことじゃねーだろ」

新八「絶対に連れてきてって言われたんで……すいません銀さん、ちょっとだけお願いします」

銀時「…………」



第?訓『女って基本めんどくさい』

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 21:01:19.50 ID:h0o515WAO
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新八宅

妙「ヒロインNo.1決定戦をしましょう」

銀時「…………」

新八「…………」

銀時「…………は?」

妙「だから、ヒロインNo.1決定戦をしましょうってことです」

銀時「新八、お前の姉貴はまだ頭ん中がアナログだ、早く地デジにしてやれよ」

新八「いや……うちはちゃんと地デジですよ」

銀時「だっておかしいもの、地デジ化してたらこんなおかしな電波拾わないもの」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 21:11:39.77 ID:h0o515WAO
妙「本当はこんなことしなくてもいいんですけどね?ヒロインは私って決まってるし」

妙「でも……せっかくだったら投票みたいなちゃんとした方法で決めたいじゃないですか」

銀時「……投票?」

銀時『コイツ絶対さっきの総選挙見てたよ、めんどくせー感情がパイルダーオンしちゃってるよ』

新八『どうすんですか銀さん、姉上は一回言いだしたらなかなか止まりませんよ?』

銀時『落ち着け新八……まだ慌てるような時間じゃねェ、何とかなる』

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 21:22:26.02 ID:h0o515WAO
銀時「総選挙だか決定戦だか知らねーけどよ、そんなモンに参加する奴なんざいねーだろ」

銀時「誰も参加しないならその選挙自体が開催できねェじゃねーか」

妙「……そうかもしれないわね、ヒロインのポジションを私と争って勝てる人なんていないものね」

銀時(……思ったよか簡単に乗ってきたな)

銀時「はい、この話はここで終了っと……じゃあ俺ァもう帰らせて…」

ガラッ!!

あやめ「話は聞かせてもらったわ!そのNo.1ヒロイン決定戦に当然私も……」

銀時「ホワタアァァァァァァァ!!」

あやめ「へぶっ!?」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 21:32:12.86 ID:h0o515WAO
銀時『新八!めんどくせーことになる前に早く襖を閉めろ!』

新八『は、はいっ!』

ピシャッ!

妙「あら、今……誰か来なかったかしら?」

銀時「え、誰かいた?ぱっつぁん、誰もいなかったよな?」

新八「え、ええ姉上!誰も来てませんよ!」

妙「そう、ならいいんだけど……」

あやめ「よくないわよ」

妙「あら……いたのね」

銀時(しまったァァァ!襖を閉じたら天井から来やがったァァァ!!)

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 21:41:09.85 ID:h0o515WAO
あやめ「ちょっとお妙さん!あなた、この私を差し置いてヒロインを気取るなんておかしくない?」

妙「あら、あなたみたいな変態キャラでもヒロインにはなりたいのね」

妙「でもごめんなさい、先にも言ったけどあなたはヒロインって言うより変態の色物キャラなの」

あやめ「なっ……!」

妙「本人の希望だけじゃどうしようもないわよね、そういうキャラ設定なんだし」

あやめ「…………」イラッ

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 21:55:02.94 ID:h0o515WAO
あやめ「……言ってくれるわね、むしろ私はお妙さんにヒロインの資格があるのか疑問なんだけれど」

お妙「……?」

あやめ「あなた、ヒロインを気取るわりにはロクに銀さんにデレてないわよね?」

あやめ「そのくせやたら銀さんを見下したり殴りつけたり……何なの?それがヒロインのすること?」

あやめ「あなたみたいなキャラを世間では似非ヒロインと呼ぶのよ」

お妙「…………」イラッ

新八「銀さんヤバいです、何かいきなりドロドロした女の争いが始まってるんですけど」

銀時「少なくともヒロイン語る輩が踏み込んでいいレベルの争いじゃねーよコレは」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 22:08:18.84 ID:h0o515WAO
妙「じゃあいいわ、この際だし主役に決め手もらいましょう」

銀時「は?」

あやめ「そうね、それがいいわ」

銀時「いやよくないからね、一ミリもよくないからね」

妙「ねえ銀さん……当然、ヒロインにふさわしいのは私よね、こんな雌豚より」

銀時(半分脅しにかかってっけど!?何この見えないプレッシャー!)

あやめ「雌ゴリラなんてヒロインには相応しくないわ、銀さんは豚肉派よね?」

銀時(コイツに至っては何の話!?つーかもうどっちもヒロインの器じゃねーよ!)

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 22:18:15.52 ID:h0o515WAO
ガラッ!

神楽「ちょっと待ってヨ姉御!」

銀時「!?」

妙「あら神楽ちゃん、ダメよ、これは子供のあなたが入ってきていい領域じゃないわ」

神楽「ズルいネ!私だって銀魂のヒロインになりたいアル!」

銀時「なに言っちゃってんの神楽ちゃぁん!?これ以上場をひっかき回さないで!?」

妙「でもね……ヒロインにしては年齢が幼すぎるし……」

神楽「でも私、この中じゃ一番活躍してるし人気投票も一番上アル!」

妙「!」

あやめ「言われてみれば……」

銀時「オイ止めろっつってんだろ!これ以上人数増やしてごちゃごちゃした状況にすんな!」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 22:29:11.45 ID:h0o515WAO
妙「ごめんなさいね神楽ちゃん、あなたもヒロイン候補の一人だったのね……」

妙「分かったわ、神楽ちゃんも私たちと同じ位置に立ってると認めるわね」

神楽「さっすが姉御ネ!話が通じるアル!」

銀時「俺の話は全然通じてないんだけど!?」

あやめ「まあいいわ、銀さんが私を選ぶのは変わらないし」

妙「それで……銀さん、私たちの誰がヒロインなんですか?」

銀時「テメーらの茶番に付き合ってられるかァァァ!!」ダッ

新八「あっ!銀さん!?」

妙「逃がすかァァァ!」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 22:39:17.27 ID:h0o515WAO
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かぶき町

銀時「はあっ……はあっ……ま、撒いたか……」

銀時(くそ、ああいう女にゃ付き合ってられねェ……)

銀時「しばらくはどっかに隠れとかねーと……ってやべ、躓い……!」

ムニュ

銀時「…………」

銀時(……あれ、コケそうになって伸ばした手の先に伝わるこの感触は?)

月詠「…………っ!」

銀時「何……だと……!」

月詠「何さらしとんじゃあぁっ!!」ドゴガッ!!

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 22:58:27.90 ID:h0o515WAO
---

月詠「……そうか、それで逃げて回って疲れていたと…それはすまないことをしたな」

銀時「いや……いいけどね、お前はそういうキャラだって分かってるから」

月詠「しかし……ヒロインか、どうでもいいことで必死になるものじゃな」

銀時「意地張った男ってのはめんどくせー生き物だけどよ、女も大概だな……じゃ、俺ァ行くぜ」

月詠「待ちなんし、どこへ行く気じゃ?なんなら吉原で匿ってやるぞ?」

銀時「心遣いはありがてーが吉原はな……あそこじゃ誰に見られるか分からねェ」

月詠「そうか……なら、くれぐれも見つからぬよう気をつけるんじゃな」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 23:08:34.44 ID:h0o515WAO
---

神楽「銀ちゃんどこ行ったアルか?」

妙「まだこの辺にいるはずよ、手分けして探しましょう」

あやめ「……ちょ、二人とも!あれってツッキーじゃない?」

月詠「ぬしらか……」

妙「本当だわ、お久しぶりね……で…いきなりで悪いんだけど、あの天然パーマを見なかったかしら?」

月詠「ああ……あの焼け野原ならどこへと走っていったな、何でもぬしらから逃げ回っているとかで」

妙「それで……銀さんはどこへ?」

月詠「さあ……すまんが、そこまではわっちも知らんな」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 23:17:02.32 ID:h0o515WAO
神楽「でもツッキーが銀ちゃんと会ったってことはやっぱりこの辺にいるってことアル」

妙「そうね……見つけるのも時間の問題かしら」

月詠「ぬしらも必死じゃな……ま、わっちには関係ないが」

あやめ「…………あれ、ツッキーまたそういうポジション?」

月詠「?」

あやめ「なまじ人気があるくせにこのヒロイン決定戦には加わらないつもり?」

月詠「いや、わっちはそんなものに興味が……」

あやめ「そういうのってズルいわよね、それじゃ仮に誰が一位になったとしても」

『へー、アイツがヒロインになったんだ……まあ私が参戦してれば一位は確実だったけど』

あやめ「みたいな言い訳が通っちゃうじゃない!」

月詠「何の話をしとるんじゃさっきから!」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/28(日) 23:22:02.35 ID:h0o515WAO
妙「そうね……それも何だかズルいわね」

神楽「ツッキーも一緒にヒロイン目指すアル!誰が勝っても文句は無しネ」

月詠「いや……しかしわっちは……」

あやめ「年賀状回とバレンタイン回でそれっぽいことしときながら今更言い訳してんじゃないわよ!」

月詠「あっ……あれは……!」

妙「決まりね、さあ……一緒に行きましょうか」

月詠「…………」

月詠(何でこんなことに……)

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 21:34:04.14 ID:pibTWYfAO
---

銀時「ったく、なんでこんな苦労しなきゃならねーんだ……オヤジ、団子もう一本頼むわ」モグモグ

オヤジ「ヘヘッ、よく分からねーがダンナも色々と大変だね、とりあえずはウチでたらふく食ってってくんな」

銀時「どさくさに紛れて売り上げ伸ばそうとしてねーか?」

「すまない、こちらにも団子を一つ追加してもらえるか?」

オヤジ「ヘイ毎度!」

銀時「ん?」モグモグ

九兵衛「む?」モグモグ

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 21:44:16.05 ID:pibTWYfAO
銀時「……お前、なんでここにいんの?」モグモグ

九兵衛「団子屋にいる理由など団子を食べにきた以外にないだろう」モグモグ

銀時「いや……てっきり俺を捕まえにでも来たのかと思ってよ」

九兵衛「なんだ、また君は何かしでかしたのか」

銀時「俺ァなにもしてねーぞ、むしろ馬鹿な女の争いに巻き込まれた被害者だからね」

九兵衛「……どういうことだ?」

銀時「…………」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 21:55:12.45 ID:pibTWYfAO
---

九兵衛「ひ、ヒロイン決定戦……!」

銀時「そうそう、どこで決定戦やろうが知ったこっちゃねーが人を巻き込むなってんだ」

九兵衛「それには……お妙ちゃんも参加しているのか?」

銀時「むしろあの馬鹿が言い出したんだよ、テメーからも言ってやれよ、くだらねェことはやめろって」

九兵衛「そんな……もしお妙ちゃんがヒロインになれば……君と将来を共にするのか!」

銀時「…………」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 22:16:16.99 ID:pibTWYfAO
銀時「え……ちょ、え?なに言ってんの九兵衛くん?」

九兵衛「そんなことになれば……お妙ちゃんと僕が一緒にいられなくなる、それは絶対に……」

銀時「ねえ聞いてる?そんなことないって言ってるんだけど?」

九兵衛「ダメだ!お妙ちゃんがヒロインになるくらいなら僕がヒロインになる!」

銀時「なんでだァァァァァ!?」

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 22:31:28.46 ID:pibTWYfAO
銀時「オイィィィ!!馬鹿なの?馬鹿なのお前!?その結論はどう考えてもおかしいだろ!?」

九兵衛「ヒロインになって形の上だけでも君と一緒にいれば、お妙ちゃんと君はくっ付かないだろう」

銀時「テメーがヒロインになって主人公とくっ付いたら何にもならねーだろ!」

九兵衛「たとえ重婚という形になってもお妙ちゃんさえいれば僕は構わない!」

銀時「ちょっとなに言っちゃってんのこの子ォォォ!止めて!誰か止めたげて!?」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 22:39:39.05 ID:pibTWYfAO
東城「聞きましたぞ若ァァァァァァ!!」

九兵衛「東城!」

銀時「オイ!テメーはコイツの世話係だろ!ちゃんと面倒を……」

東城「よくぞ御決断してくれました!この東城歩、ヒロインは若しかあり得ないと常々思っていたところ!」

東城「ささ、早く主人公である銀時殿とドッキング接合を……」

銀時「ここには馬鹿しかいないのかコノヤロー!!」ダッ

九兵衛「ま、待て!」

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 22:49:56.11 ID:pibTWYfAO
銀時「はあっ……はあっ……も、もうさすがに逃げ切っ……」

「九ちゃんから逃げて来たんですか?お疲れ様でしたね、銀さん」

銀時「お疲れなんてモンじゃねーよ、こちとら今日は走りっぱなしで……」

妙「じゃあもう休んでいいですよ?」

銀時「…………」

あやめ「さっき銀さんが逃げたのは試練!愛の試練なのね!いいわ、どんな試練も乗り越えてあげるわよ!」

神楽「黙れ雌豚コルァ!ヒロインは私アル!ねっ、銀ちゃん!」

月詠「…………」

銀時「…………雌ゴリラと雌豚と神楽はアレとして、なんでテメーまでそこにいる?」

月詠「……面目ない」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 23:05:25.66 ID:pibTWYfAO
---
某所

妙「というわけで……さっそくヒロインNo.1決定戦を始めましょう」

ドンドンドン!パフパフパフー!

新八「……結局捕まったんですね、銀さん」

銀時「……仕方ねーだろ、あいつら百華とか動員して俺を探させてやがったんだぞ」

新八「すいません、姉上の思いつきで苦労かけて……僕も出来るだけフォローしますから」

銀時「フォローってかコイツらの茶番を大至急終わらせてくれよ」

新八「それは無理ですよ……ちょっとだけこれに付き合って、適当な所で終わらせる感じで行くしかないです」

銀時「俺ァ嫌な予感しかしねーんだけど」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 23:26:57.35 ID:pibTWYfAO
妙「あ、そうそう……出場者なんだけれど」

1番……志村妙
2番……猿飛あやめ
3番……神楽
4番……月詠
5番……柳生九兵衛
6番……キャサリン
7番……たま
8番……結野クリステル
9番……ゲスト枠
10番……ゲスト枠

銀時「オイ、予定より人数増えてんぞ」

妙「せっかくだから後腐れがないように出来るだけ大勢集めてみたの」

銀時「時間が掛かってしょうがねェだろこんなに人数が多けりゃ!」

銀時「しかも一人明らかにヒロイン枠じゃねーのが混じってっけど!」

キャサリン「ソレ、私ノコト言ッテルンジャネーダロウナ」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 23:39:23.28 ID:pibTWYfAO
銀時「つーか結野アナァァァ!なんであなたこんな所に来ちゃってるのォォォ!?」

結野「お久しぶりですね、分からないんですけど……とりあえず来ちゃいました!」

新八「……あの、無邪気に来てくれたのはホント有り難いんですけど、出来れば帰ったほうが…」

銀時「そう、僕はあなたに何かあったらと思うと……この胸が張り裂けそうになりますから」

新八「銀さんいきなりキャラ変えてアピールするの止めてください」

結野「大丈夫です、何かがあったときのためにちゃんと連れてきてます!」

銀時「は?連れてきてる?」

外道丸「あっしでござんすよ、銀時様」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/29(月) 23:51:12.60 ID:pibTWYfAO
外道丸「お久しぶりでござんす銀時様、相変わらず巻いてるようで何より……」

銀時「巻いてるようでって何?髪のこと言ってんの?つーか普通はお元気そうで、とかだよね?」

外道丸「クスクス……愉快なところも相変わらずでござんすね」

新八『でも良かったじゃないですか銀さん、外道丸がいてくれれば結野アナは無事で済みますよ!』

銀時『ばっかお前……あの面子だったら何をやらかしてもおかしくねーぞ』

銀時『ゴリラ、豚、クソ化け猫がいる時点でまともじゃないからね、人間以外の生物混ざってるからね』

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 00:07:02.29 ID:azMf7e8AO
銀時「あと……何このゲスト枠って?」

妙「ああ、それはまだ到着してないゲストキャラクターですね」

銀時「もういいよそういうの、今いる面子だけでもキャラ立ってんのばっかだし」

妙「まあいいじゃないですか、一応ですよ……あ、ヒロインを決める審判なんですけど……」

銀時「審判?この茶番に審判なんていんのか?」

妙「茶番だなんてヒドいわ銀さん、みんな快く協力してくれてるのに」

銀時「みんな……?」

審判
土方十四郎、沖田総悟、長谷川泰三、桂小太郎、+(志村新八、坂田銀時)

妙「ほら、こんなにたくさんの人が協力してくれたのよ?」

銀時「アイツら椅子に体が固定されてんだけど、あれは協力じゃなくて拘束と言うんじゃないんですか?」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 00:14:47.55 ID:azMf7e8AO
土方「万事屋ァァ!なんで俺がこんなことしなきゃならねェんだ!!」

銀時「知るか!俺ァなにも悪くねーぞ!」

沖田「旦那ァ、とりあえずこの拘束を何とかしてくれませんかね?」

沖田「拘束すんのは好きでもされるのは大嫌いなんでさァ、土方さんと違って」

土方「俺が拘束されるのが好きみてェな言い方はやめろ!!」

桂「フハハハハハ!公僕どもめ!貴様らに捕まり牢に監禁される志士の不自由さを味わうがいい!」

銀時「お前も拘束されてんぞ、不自由さをまさに味わってんぞ!」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 21:27:56.18 ID:azMf7e8AO
銀時「テメーら一旦落ち着け」

土方「落ち着けるか!こっちは拘束されてんだ!公務執行妨害でとっ捕まえるぞ!」

銀時「あ、じゃあお前はいいわ、耳貸せ沖田くん」

沖田「へい」

桂「何か考えがあるのか?ちょうどいい、俺も聞いておこう」

銀時「とりあえずここはだな……」

土方「…………」<
64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 21:40:51.52 ID:azMf7e8AO
土方「……オイ、なんで三人で作戦会議してんだ、俺にも聞かせろ」

銀時「え?いいよ、だってこっちの話に加わる気はねーんだろ」

銀時「俺たちがパーティ組んでる間にお前は一人でレッツパーリィしてればいいじゃん」

土方「何でパーリィしなきゃならねェんだ!馬鹿言ってねェでさっさと話を……」

沖田「何ですか土方さん、仲間に入りてーんですかィ?だったらはっきりそう言ってくださいよ」

銀時「ツンデレでごめんなさい、僕も話に入りたいですって言ってみろコノヤロー」

沖田「言ってみろ土方、お前なら言えるはずだ土方」

桂「副長ともあろうものがこの有り様とは……真選組の先は長くないな」

土方「テメーら後で絶対斬り殺す……!」<
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 21:55:42.06 ID:azMf7e8AO
銀時「いいか……こうなっちまったらもう逃げんのは無理だ、もうそっちの可能性は捨てよう」

銀時「だったら審査員の俺たちが結託してこの茶番を即行で終わらせるしかねェ」

沖田「そうですね、確かにそのほうが良さそうでさァ……俺は乗りますぜ」

土方「ちっ……早いとこカタつけて終わらせるぞ」

桂「真選組の貴様らと手を組むのは癪だが仕方あるまい……俺にも重大な仕事があるのでな」

土方「ほォ……帰って幕府を転覆させる算段でもつけるつもりか?」

桂「録画しておいたエヴァ破を見なければならない」

銀時「オイ、誰かこの馬鹿を翼を与えてこの大空に飛ばしてくれ、二度と戻って来なくていいから」<
66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 22:08:03.19 ID:azMf7e8AO
長谷川「……不可能だ」

桂「ま、まさかあれは……碇ゲンド……!!」

銀時「ヅラ、お前ちょっと黙ってろ」

新八「長谷川さん、不可能ってどういう……」

長谷川「奴らの様子を見てれば分かる……」

妙「さて……ところで、決定戦って何をやればいいのかしら?」

あやめ「……さあ?」

月詠「わ、わっちに聞かれても知らんぞ」

新八「…………」

新八(アイツら何にも考えてねーのかよォォォォ!!)

長谷川「女ってのは基本的に自由気ままに生きてんだ……細かい予定なんざ立ててねェのさ」<
68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 22:24:12.95 ID:azMf7e8AO
新八「銀さんどうすんですか!?こっちが手際よく進めようとしても肝心のあっちがあれじゃ……」

銀時「これだ、これだから女ってのは嫌なんだよ」

沖田「もうこうなりゃ何をするかまで全部こっちがやっちまったほうが早そうですぜ」

桂「同感だな、あっ……来週のルパンの予約もしなければ」

銀時「…………」

沖田「……旦那、どうかしたんですか?」

銀時「……テメーら、あのゴリラはいねーのか?」

沖田「近藤さん?……さあ、見てねェですけど……どうかしたんですかィ?」<
69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 22:36:06.67 ID:azMf7e8AO
銀時「こんなイベント…あのゴリラなら真っ先に首突っ込んで来そうだろ、何かおかしかねーか?」

土方「……認めたくねェが同意だな」

銀時「何これ、もう嫌な予感しかしねーんだけど?」

新八「あっ、銀さん!遅れてたゲストが来たみたいですよ!」

銀時「はぁ?もうそんなにヒロインポジションになるキャラなんざいねーだろ!一体誰が……」

平子「兄貴ー!」

銀時「お前かよォォォォ!?」<
71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 22:52:26.63 ID:azMf7e8AO
銀時「ちょっと待てお前ェェェ!なんでいんの?なんで来ちゃってんの!?つーかお前ヒロインか!?」

平子「やだなぁ、アニキと私は杯を交わした仲じゃないですか~」

銀時「誰が未成年のガキに酒なんざ飲ますか!テメーはオロナミンCでも飲んでろ!」

新八「ていうかなんでホントに来ちゃってるの!?親子で旅をしてるはずじゃ……」

平子「それはあれですよ~……あの……てへっ」

ガシッ

銀時「テメーは何ちょっと可愛く言った感じで誤魔化そうとしてんだ、この触角引っこ抜くぞ」

平子「アニキ~、こういう細かいところには突っ込みを入れないのがお約束ですよ?」<
74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 23:12:21.25 ID:azMf7e8AO
沖田「何だ、このガキ旦那の知り合いですか?」

銀時「コイツは知り合いっつーかなんつーか……」

平子「とりあえずアニキ、なんかアイツ生意気そうなんで真っ赤なお花を咲かせちゃっていいですよね?」

新八「ピラ子ちゃん!?何とんでもないこと言っちゃってるのォォォォ!?」

沖田「面白いこと言うじゃねーか、だったらこっちはテメーのビラビラにスゲーもんブチ込んでやろーか」

新八「沖田さんも対抗しないでェェェ!?つーかそれやったらどうやっても映像化出来ませんよ!?」

土方「落ち着け総悟、こんなガキに構ってる時間は……」

平子「アニキ、前髪がAの逆さまになってるニコチン中毒の味覚馬鹿にガキって言われました~」

土方「あるよねー!ちょっと子供と大乱闘する時間くらいあるよねー!じゃあ僕は刀キャラ使おうかなー!」チャキッ

新八「アンタも落ち着けェェェェ!!」<
75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 23:25:03.21 ID:azMf7e8AO
月詠「なんじゃ、ぬしらはずいぶんと楽しそうにやっておるな」

銀時「これのどこが楽しそう!?半分修羅場になってっけど!?」

神楽「久しぶりアル!ビラビラビラビラ子ォォ!」

新八「だからどんだけビラビラ言ってんの!」

長谷川「あ、一流タレントになって大金持ちになるだ!」

桂「何!?くっ……順調なサクセスロードを歩んでいるな……」

銀時「何でテメーらは暇すぎるからって二人で人生ゲームやってんだァァァ!」

桂「おお銀時、お前も混ざるか?俺ももう少しで資産が爆発的に増えそうでな」

銀時「お前らは頭が爆発しろ!!話がまったく進まねーんだよ!!」<
76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 23:33:50.33 ID:azMf7e8AO
妙「あっ、最後のゲストが来たみたいですよ」

新八「こ、この状況でさらに人数が!?」

銀時「もうこれ以上誰か増えられたらこっちじゃ捌ききれ……」

お登勢「ちょっと何だいこの騒ぎは……あたしゃ何も聞いてないよ?」

銀時「…………」

新八「…………」<
77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 23:41:09.80 ID:azMf7e8AO
お登勢「……なんだいアンタたち、人が来るなりそんな顔するなんて失礼じゃないか」

銀時「……『く』るしい時だから、『そ』んな時だから、早く帰ってくれ『ばばあ』」

お登勢「あたしだって来たくて来たんじゃないんだ、文句は言わないどくれ」

新八「でも銀さん、何やかんやで争いが収まってますけど」

銀時「ババア登場のインパクトが強すぎたんだろ、センターフライをキャッチャーが捕ったくらいの衝撃だよ」

新八「すいません銀さん、例えがよく分からないです」<
79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/30(火) 23:54:23.10 ID:azMf7e8AO
妙「さて、これで全員揃いましたね」

九兵衛「やれやれ長かった、だがこれでようやく始められるな」

あやめ「ヒロインの座は私のものよ!そして銀さんと結ばれるのも……きゃーっ!!」

月詠「……まったく、ぬしはこれからも図太く生きていきそうじゃな」


銀時「よし、みんな準備は出来たか……なら行くぜ」

銀時「俺たちの戦いはこれからだ!!」

---完






妙「銀さん、なに勝手に終わらせてるんですか?」メキメキ

銀時「ですよねー!反省してるで一旦アイアンクローを止めてくださいお妙さん」

妙「じゃあ改めて……ヒロインNo.1決定戦を始めるわ!」<
89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 22:08:25.22 ID:xKpmDVYAO
銀時「で……結局なにをやるかは決まったのか?」

妙「思ったんです……ヒロインを決める方法を女の私たちが自分で決めちゃったら駄目じゃないですか」

銀時「……つまり、何が言いたいんですかキャバ嬢さん」

妙「そういうのは銀さん達が決めちゃって下さい、誰がヒロインかを決めるのはあなた達なんですから」

銀時「素直に丸投げしますって言えコノヤロー」

妙「こっちで決めるのは面倒なんで男どもに丸投げします」

銀時「ホントに言いやがったよコイツ、『男どもに丸投げ』とか言ってる時点で既にヒロイン失格だよね」<
90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 22:26:53.03 ID:xKpmDVYAO
桂「待て銀時……ここは俺と長谷川さんがまとめよう」

銀時「ヅラ……お前……!」

桂「ヅラじゃない桂だ、まあ俺に任せておけ」

沖田「いいんですか土方さん、桂のヤローに仕切らせて」

土方「あれでも荒くれ者の攘夷浪士をまとめてる輩だ、場を治める能力はあんだろ…とりあえずは様子見だ」<
91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 22:30:15.79 ID:xKpmDVYAO
長谷川「じゃあヅラっち、まずはヒロインのなんたるかを具体例を出して説明してくれ」

桂「よく聞け貴様ら、ここにたまたま俺が持っていたエヴァのブルーレイがある!」

新八「いや、なんでそんなモン持ち歩いてんですか!?」

桂「攘夷志士として当然の嗜みだ」

新八「国を憂うとか言ってる連中のくせにどんな嗜み持ってんだァァァ!」

沖田「土方さん、あの馬鹿に任せてホントにいいんですかィ?」

土方「…………」<
93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 22:46:02.60 ID:xKpmDVYAO
桂「知ってのようにこの作品には超有名なヒロインが複数いる、彼女たちを例に話をしよう」

銀時「なんでわざわざ?え、いらないよねその作業」

桂「えー……まずは彼女だ」

『ごめんなさい、こんな時…どんな顔をすればいいのか分からないの』

桂「綾波レイ、儚げでありつつ女性としての美しさを併せ持つ素晴らしいキャラクターだ」

桂「彼女のようなキャラクターはある意味では革新的であり新時代を切り開いたと言ってもいいだろう」

銀時「なんなのコイツ、なんで急にエヴァ語り出しちゃってるの?」<
94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 22:52:44.22 ID:xKpmDVYAO
桂「えー、次は……」

『あんた馬鹿ぁ?』

桂「まあアスカも説明不要だな、今で言うツンデレだがその完成度は非常に高い」

銀時「オイ、もういいっつってんだろ」

桂「そして最後にもう一人忘れてはならないのが……」

銀時(もう一人……新劇場のメガネか?それとも……)

桂「カヲルく……」

銀時「何でだァァァァ!」バキッ!!

桂「ぶべらっ!?」<
95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 22:59:38.02 ID:xKpmDVYAO
九兵衛「……すまない、結局なにが言いたいのか僕には分からないんだが」

長谷川「ま、まあ要するに……あの二人に共通するものは女キャラとしての魅力」

長谷川「顔、スタイル、性格……その他多くの要素が満たされてこそ真のヒロインってわけだ」

妙「なるほど……それは確かにそうですね」

長谷川「というわけで……ヒロイン候補には今からヒロインの役を演じてもらう」

月詠「ヒロインの役……?」<
96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 23:07:58.10 ID:xKpmDVYAO
妙「どういうことですか?」

桂「ヒロインは基本、主人公の側にいて支えてくのが仕事……」

桂「言うなればヒロイン力を試す、ということだ」

九兵衛「そのヒロイン力……というのはどうやって図る?」

桂「いいか、今から主人公が危機的状況に陥る」

銀時「え?」

桂「その主人公に対して取った行動を俺たちが採点して決める」

銀時「いや、なに言っちゃってんの?危機的状況ってなに?」

桂「そうだな……例えば主人公が瀕死の重傷を負ったというシチュエーションで……」

銀時「俺に半殺しになれって言ってんのか!?」<
97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 23:17:58.69 ID:xKpmDVYAO
『もし、主人公が死にかけた状態でヒロインの家にやって来たら?』

---志村妙の場合

ドンドンッ

妙「こんな夜遅くにどなたですか?」

銀時「はっ……はっ……!」

妙「ぎ、銀さん!一体どうしたんですか!?」

銀時「ワリーな……少しやらかしちまったらしい……」

妙「とりあえず止血を……!」


---
審査員席

土方「……まあ、普通にヒロインやってんじゃねーのか?」

沖田「けどあんまオリジナリティってモンを感じませんね、この程度のキャラなんざ腐るほどいますぜ」

桂「まあ、もうしばらく様子を見よう」<
98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 23:34:40.54 ID:xKpmDVYAO
銀時(あの馬鹿ども聞こえてんだよ!余計なこと言ってコイツが何かしたらどうすんだ!)

妙「ダメだわ、呼吸も弱くなって来てる……私がやるしかないわ!」

銀時「!?」

新八(姉上、まさか人工呼吸を!?)

妙「さあ銀さん、新鮮なポカリよ!」

銀時「むごががが!?」

新八「」

新八(ちょっと何やってんですか姉上ェェェ!?なんで死にかけの人間にポカリ飲ませてんのォォォォ!)<
100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/08/31(水) 23:48:44.35 ID:xKpmDVYAO
土方「……何やってんだあの女は」

沖田「俺に聞かねーでくだせェ、とりあえず旦那が演技でなくマジで死にそうですけど」

新八「…………」

新八(終わった……姉上、ヒロインはもう終わりましたよ)

---その時、桂に電流走る!

桂「いや待て……ポカリは知っての通り水分補給には最適だ……塩分濃度も計算されている」

新八「え?」

桂「さらにあれは輸血代わりに使用することも……完璧だ、この状況における最善手!」

桂「まさか……ここまで読み切ってポカリを選択したというのか!?」

長谷川「さすがお妙ちゃん……修羅場をくぐり抜けてるだけのことはあるな」

新八(いや、絶対桂さんの考えすぎだと思うんですけど)<
102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 00:11:15.12 ID:9+usMrHAO
---

妙「私だったらこんな感じかしら、主人公のために救命措置を取って……みたいな?」

銀時「…………」

新八「姉上、救命措置された主人公死にかけてるんですけど」

妙「嫌ね銀さん、いつまでも演技しなくていいんですよ?」

銀時「…………」

へんじがない ただのしかばねのようだ

妙「じゃあ採点、お願いしていいかしら?」

新八「今明らかに表示された言葉スルーしましたよね、しかばねにしたの姉上ですからね」<
103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 00:22:57.43 ID:9+usMrHAO
桂「採点は一人10点満点だ……俺としては今のお妙殿の対応は9点と言ったところだな」

妙「あら、一点の減点はどこなんですか?」

新八(いや、どこっていうかむしろ減点される部分しかありませんでしたよね)

桂「すまないが俺はアクエリ派でな」

新八「そこじゃないだろォォォォ!!」

長谷川「俺もお妙ちゃんは9点でいいかな、減点としては対応がちょっと完璧すぎたってとこで」

妙「ああ、主人公の怪我に完璧に対処するなんて確かにヒロインらしくはなかったかもしれませんね」

新八「…………」<
104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 00:44:37.38 ID:9+usMrHAO
その他の採点

沖田……5点、理由……なんか面白かったんで、まあこれぐらい点数やりゃいいでしょ

土方……6点、理由……天パーを地獄へ送ったことは評価する

新八……5点、理由……姉上補正です、あんまり点が低いとあとが怖いんで

銀時……へんじがない ただのしかばねのようだ(無回答)


桂「無回答の銀時は……まあ7点というでいいだろう」

沖田(旦那に意識がありゃ確実に0点……いや、マイナス出すかもしれねーな)

桂「というわけで……お妙殿のヒロイン力は41点だ!」

妙「41点……まあまあかしら」

新八「…………」


外道丸「大丈夫でござんすか銀時様?」ツンツン

銀時「…………」

新八(正直あっちのほうがまだヒロイン力高いと思うけど)<
105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 00:46:39.79 ID:9+usMrHAO
すいません、眠くて今がどんな展開になってるか分からなくなっちまいました
今日のとこは終わらせてください<
111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 22:43:47.01 ID:9+usMrHAO
あやめ「40点くらいで満足するなんて……これだから似非ヒロインはダメね」

あやめ「次は私の番よ……あなたと私の格の差を思い知らせてあげるわ!」

妙「あら、弱い犬はよく吠えるって言うけど豚も吠えるんですね」

あやめ「何とでも言ってるがいいわ、さあ銀さん!次は私たちの愛を確かめる番よ!」

銀時「もう……なんでもいいから早く終わらせて……」

新八「…………」

沖田「土方さん、旦那がマジで死にかけてますぜ」

土方「いい気味だ、俺たちは関係ねェ」<
112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 22:49:58.10 ID:9+usMrHAO
---猿飛あやめの場合

ドンドンッ

あやめ「この扉の叩く音は銀さんだわ!」

ガラッ

銀時「はぁ……はぁ……!」

あやめ「ど、どうしたの銀さん!?ひどい傷じゃない!」

銀時「でけー声出すな……うっぷ……ぽ、ポカリが……」

あやめ「大丈夫よ銀さん!けがの手当てだったら慣れてるから!」

---
審査員席

桂「ふむ、扉の音だけで主人公を判別するか……これはポイントが高いな」

長谷川「何か俺にはこのシーンが傷の手当てじゃなくて、飲みすぎた酔っ払いを介抱してるように見えるんだけど」

新八「間違ってないですよ長谷川さん、むしろそうとしか見えませんから」<
113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 22:59:24.62 ID:9+usMrHAO
あやめ「そうだわ!こういう時は人工呼吸よ!人工呼吸しかないわ!人工呼吸すべきよ!」

あやめ「そして唇が触れた瞬間に夜のバトルに……キャー!銀さんんん!」

あやめ「そういうわけで銀さん!今から私と……」

あやめ「…………あら、銀さんは?」

桂「む、銀時がいないだと……?」

新八「いや…………」

『おぼろろろろろろろろろろ……』

新八「さっちゃんさんがキャーキャー言ってる間にもうトイレでバトルしてますけど」<
114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 23:14:29.99 ID:9+usMrHAO
---

桂「というわけで、今から採点に入る」

土方「今ので何を採点しろってんだ」

長谷川「採点っつっても、さっちゃんが騒いで銀さんがトイレで吐いてただけだからなあ」

あやめ「ちょっと待ちなさい!あれは銀さんの体調がよくなかったからじゃない!もう一回やらせなさいよ!」

妙「あら、一人だけ二回やろうだなんて……ヒロイン候補のくせにズルいこと考えるんですね」

あやめ「なっ……何ですって……」<
115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 23:26:02.09 ID:9+usMrHAO
新八(でも……元々は姉上が銀さんにあんなにたくさん飲ませなければ…………)

新八(……あれ?飲ませなければ……?)

妙「でも仕方ないですよね、猿飛さんの時に銀さんが『偶然』体調を悪くなってたんですからね」

あやめ「!」

新八「…………」

新八(つ、潰しだァァァ!大量のポカリで銀さんの体調を悪くして後の候補者のアピールタイム潰す気だァァァ!)

新八(つーか姉上、ポカリで評価を獲得するだけじゃなくて妨害するところまで計画してたんですか!?)<
116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 23:42:17.67 ID:9+usMrHAO
桂……7点、理由……報われないヒロインというのも、まあアリではなかろうか

長谷川……6点、理由……顔とスタイルは素晴らしいと思う

新八……7点、理由……頑張ってるのは伝わりました、あと何かすいませんの気持ちも込めて

沖田……5点、理由……特にないんでパス

土方……5点、理由……上に同じ

銀時……5点、理由……吐いたら少しすっきりしたから

桂「合計は……35点だな」

妙「あらあら、40点届きませんでしたね」

あやめ「は、計ったわねお妙さん……!」

妙「言いがかりはやめてくださいね?」<
117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 23:49:42.65 ID:9+usMrHAO
九兵衛「さて……次は僕だな」

東城「若ァァァ!この私めに出来ることがあれば何なりとお申し付けをォォォ!」

九兵衛「今すぐ僕の視界から消えてくれ」

銀時「……オイ、まだやんのか?」

新八「……あと八人ですよ銀さん」

銀時「やってらんねーよいい加減、なにされるか分かったモンじゃねーし……ぱっつぁん変わってくれよ」

新八「いや……僕じゃ代役は無理ですよ」<
118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/01(木) 23:56:12.00 ID:9+usMrHAO
---柳生九兵衛の場合

ドンドンッ!

九兵衛「遅かったじゃないか、今日はカレーを作って……」

銀時「……はぁ」

九兵衛「ど、どうしたんだ!血が出ているじゃないか!」

---

沖田「旦那の息切れの演技、ありゃもう溜め息になってますぜ」

土方「……少しだけ野郎に同情したくなった」<
119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 00:03:25.80 ID:5u2irTDAO
九兵衛「ど、どうしたんだこの傷は……君ともあろう者が不覚を取ったのか!?」

銀時「あぁ……やらかしちまったらしい」

九兵衛「そんな……お妙ちゃんに怪我はないのか!?」

銀時「……ああ、アイツは大丈夫じゃねーか?」

九兵衛「お妙ちゃんは無事か……良かった……」

九兵衛「お妙ちゃんに何かあったら僕は……僕は……!」

銀時「俺の心配をしろォォォォ!!」<
120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 00:11:01.28 ID:5u2irTDAO
---

九兵衛「どうだろう、僕の愛情が少しでも伝わっただろうか?」

新八「とてつもなく歪んだ愛情はよく伝わりました」

銀時「主人公ほっぽってたからね、後半はブリーチのチャドレベルの空気にされてたからね」

長谷川「いや……でも、さっきのは『お妙ちゃん』の部分を主人公にしたらかなりいいんじゃないか?」

沖田「冒頭で一応傷の心配はしてましたしねィ」

土方「馬鹿げた行動が少なかっただけでもまだまともだな」

桂「…………」<
121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 00:25:01.10 ID:5u2irTDAO
長谷川……8点、理由……言葉を投げかける対象を間違えなければ満点だと思う

新八……8点、理由……今までの中では一番ヒロインっぽいセリフだったと思います

沖田……7点、理由……まあ何となくこの辺の点数出しゃ文句ねーでしょう

土方……7点、理由……アホな行動が少なかったから

銀時……7点、理由……めんどくせーことはなかった


新八「37点……姉上の41点を越えるには4点以上、桂さんが出せば」

桂……1点、理由……一人だけ堅物キャラですか、クソ真面目ですか、やっぱり九兵衛時がいれば俺はいりませんか
つーか九兵衛殿より俺のほうが早く出てた

新八「いや桂さん、いつまでライバル意識してんですか!?」<
129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 22:41:16.96 ID:5u2irTDAO
九兵衛「38点……僕ではやはりお妙ちゃんの魅力には及ばないか」

妙「そんなことないわよ九ちゃん、とってもヒロインらしかったわ」

銀時「主人公無視だったけどね、主人公に目もくれないヒロインって斬新すぎるジャンルだよね」

九兵衛「……どうやら君は勘違いしているようだが、僕は君が嫌いなわけじゃないんだ」

銀時「あん?」

九兵衛「お妙ちゃんが可愛すぎる、それが全ての原因なんだ」

銀時「その思考に走るお前の頭が全ての原因だろ」<
130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 22:58:14.72 ID:5u2irTDAO
東城「若!私は納得がいきませんぞ!点数が低すぎるでしょうこれは!!」

東城「若は可愛いしカレー作っちゃうし可愛いしエテ公にすら愛情を注ぐし可愛いし可愛いし可愛いんですよ!?」

新八「東城さん、後半は可愛いしか言ってませんけど」

九兵衛「止めろ東城、お妙ちゃんに負けるのならば納得がいく」

東城「しかし若……」

九兵衛「東城、僕はもういいと言っている」

東城「ではせめてこのゴスロリメイド服の着用を……」

九兵衛「しない、あと僕の半径10メートル以内に近づくな」

東城「お言葉ですが若、卍解した私の若への愛は13キロ先まで届きますぞ!」

新八「いや東城さん、さっきから言ってんですか」<
131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 23:10:16.57 ID:5u2irTDAO
神楽「フッフッフッ……とうとう私の時代が来たアル、真のヒロインの力見せてやるネ!」

沖田「お前みてーな野郎でもヒロインを語れるたァ世も末だぜ」

神楽「あんだコルァ!!お前、私のヒロイン力見くびるなよ!泣いて謝らせてやるネ!」

沖田「いいのかオイ、俺のさじ加減でお前なんざ簡単にヒロインの座から引きずりおろせるぜ?」

神楽「フン、それぐらいのハンデがあったほうが燃えるアル!ねっ、銀ちゃん!」

銀時「なんでお前とコンビ組んだみてーになってんの?」<
132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 23:18:43.20 ID:5u2irTDAO
---神楽の場合

ドンドンッ

神楽「どちら様アルかー?」

ガラッ

銀時「…………」

神楽「ぎ、銀ちゃん!血だらけになってどうしたアル!?」

銀時「……何か斬って斬られて血が出たみたいな」


新八「…………」

新八(あれもう完全に投げやりになってるよね、陸上で金メダル取れるよね)<
133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 23:28:24.99 ID:5u2irTDAO
神楽「銀ちゃんが死んじゃったら私……泣くアルよ?」

銀時「……いや、死なねーけど」

神楽「いっつも銀ちゃんは一人で無茶して怪我して……私がどれだけ心配してるかわかってないネ!」

銀時「…………」

新八(ま、まさかあの神楽ちゃんが正統派ヒロインを……!)

神楽「まあそれはシリアスパートの話で、今はギャグパートだから関係ないけどネ」

新八「その一言いらないだろォォォォ!?なんでいきなり身も蓋もないこと言ってんの!?」<
134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 23:39:45.46 ID:5u2irTDAO
---

神楽「完璧だったアル!」

桂「うむ……確かにあれは完璧だった、さすがはリーダーと言うべきか」

新八「最後の部分は触れないんですか、桂さん」

長谷川「いや、そこを差し引いてもかなり良かったんじゃないかと俺は思うね、あんなこと俺も言われてーよ」

銀時「アンタは奥さんに言ってもらえばいいだろ」

長谷川「銀さん、傷あと掘り返すの止めてくんない?」<
135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 23:48:07.23 ID:5u2irTDAO
桂……10点、理由……リーダーだから

長谷川……9点、理由……最後以外はかなりまともだった

新八……5点、理由……やっぱり最後のアレはマズいと思う

土方……6点、理由……オイ、いつまで続くんだこれ

銀時……6点、理由……俺に聞くんじゃねーよ、こっちも早く帰りてェんだ

新八「ここまでで36点……沖田さんが何点いれるか……つか最後の二人、理由の枠で何やってんですか」<
136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/02(金) 23:55:35.59 ID:5u2irTDAO
沖田……4点、理由……チャイナだから

新八「4点ってことは……一位の姉上にはギリギリ届かない!」

神楽「オイ、ドS馬鹿ァァァ!どういうつもりアルかァァァ!」

沖田「残念だったなーチャイナ、あと一点で一位になれたってのに」

新八(あの人絶対わざとだ、わざとギリギリで神楽ちゃんを負けさせたよ)

神楽「悔しくないモン!私を評価してくれてる人もいっぱいいるアル!」

沖田「じゃあそいつらと一緒に傷の舐めあいでもしてな、一点差で負けたヒロイン候補」

神楽「銀ちゃーん!ドS馬鹿が虐めるアルぅぅぅ!!」

銀時「泣くな、あとで酢昆布買ってやっから」<
137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/03(土) 00:10:00.89 ID:b8PFNaKAO
月詠「……次はわっちか」

銀時「もういいよ……テメーだってめんどくせーって思ってんだろ?」

月詠「否定はしないが……場の流れと言うやつじゃ、すぐに終わらせる」

月詠「それに……辞退したら辞退したで面倒なことになるのでな」

銀時「……?」<
138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/03(土) 00:23:38.34 ID:b8PFNaKAO
---月詠の場合

ドンドンッ

月詠「銀時か、待ちなんし……すぐに戸を開ける」

ガラッ

銀時「……よう」

月詠「な、何じゃこの傷は……ぬしともあろう者が誰かに斬られたか!?」

銀時「ああ……ちょっとやらかした」

月詠「体力も減っているようじゃな……!」

銀時(コイツ、面倒って言ったわりには真面目にやんのな)

月詠「銀時、横になれ!活力を取り戻させる!」

銀時「…………?」

月詠「とりあえずは……脱がせて尺をしてくわえれば良いんじゃな?」

銀時「俺に何を取り戻させる気だテメーはァァァァァ!!」<
139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/03(土) 00:34:39.88 ID:b8PFNaKAO
銀時「オイィィィィ!取り戻させるって何を!?取り戻すどころか大切な何かを失うわ!!」

月詠「じゃが男を元気にするにはこの方法が一番だと……」

銀時「確かに元気になるけどそれは違うだろォォォォ!男の意味が違ってるからね!?」

月詠「そうか…ぬしは挟んで擦るほうが好きなクチか、それとも最初から本腰を入れ……」

銀時「お前は何を言ってるんださっきからァァァ!そっちの知識は疎いんじゃねーのか!?」

月詠「いや……いざというときのために少しは知っておけと日輪に言われてな」

銀時「今はいざってときじゃねーよ!!」<
140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/03(土) 00:42:23.28 ID:b8PFNaKAO
---

月詠「……まあこんな感じじゃな」

長谷川「いい、本当にやれば最高だったけどあのやり取りだけども全然イケる」ダラダラ

新八「とりあえず鼻血は止めたほうがいいですよ」

桂「ああいう少し天然なヒロインというのも魅かれるものがあるな」

土方「安易な下ネタはどうなんだ?あんまりいいとは思えねェぞ」

沖田「土方さん、俺もアンタが副長だなんてあんまりいいとは思えねーよ」

土方「いい加減斬るぞお前」<
148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 20:02:18.29 ID:uE+IGH8AO
桂「では採点に移ろう……みな、点数を示してくれ」

長谷川「俺は10点、ロインに求められる隠し要素…○○○を完璧に表現していたからね」

新八「いや、何ですかその要素」

長谷川「ほとばしる熱いパトスで少年を神話にする、大人への一歩を踏み出させるきっかけ……それが○○○」

銀時「さっきの実際にやってたら大人への一歩どころじゃねーよ、屋上までノンストップのエレベーターだよ」

桂「俺は……9点としておこう」

長谷川「あれ、ヅラっちはああいうのはあんまり好きじゃねーの?」

桂「いや……月詠殿は堅物クソ真面目キャラという点で俺と被っているからな」

新八「被ってないです、一ミリも被ってないです」

149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 20:07:50.14 ID:uE+IGH8AO
その他の採点

新八……8点、理由……月詠さんらしいアプローチだとは思った

銀時……6点、理由……めんどくせーから基本6点でいくわ

沖田……6点、理由……細かいのをいちいち採点すんのはたりーから旦那と同じ感じで


新八「これで39点……土方さんが3点以上出せば姉上を超えますね」

妙「…………」

土方「じゃあ俺は7て……」

妙「あ、土方さん……ちょっとこの紙、見てくれませんか?」

土方「ん?紙……?」

『た す け……』

土方「…………」

土方(こ、この字はまさか……!)

妙「ああ、それ……家に不法侵入したゴリラが書いたものですから」

土方(近藤さんんんん!!)

152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 20:18:32.35 ID:uE+IGH8AO
土方(何やってんだあのゴリラ上司!なんだこの状況!?監禁されてんのか!?)

沖田「あれ土方さん、まだ点数は出さねーんですか?」

土方「あ、ああ……」

土方(オイィィィィ!!どんだけ分かりやすい脅しいれて来てんだあの女ァ!)

土方「俺は……あの、2点くらいで」

妙「土方さん」

土方「1点で」

153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 20:25:22.82 ID:uE+IGH8AO
長谷川「1点!?オイオイそりゃないぜ、さすがに低すぎだろう」

沖田「俺はまだ最初のポカリよか好感が持てましたぜ、さすが土方さん、ゲテモノ好きですね」

土方「黙れお前!今のタイミングでそんなこと言うんじゃねェェェェ!!」

沖田「で、その点数の理由はなんなんですかィ?」

土方「それは……あの、少年誌的に下ネタはマズいんじゃねーかっていうアレで……」

桂「表現規制に怖じ気づくか……アグネスと戦う度胸もないとはとんだ鬼の副長だな」

銀時「お前、みんなの大好きなTO LOVEるは週間連載の頃からそいつと戦い続けてたんだぞ」

土方「テメーらが何を言おうが俺はこれ以上点数は上げられねーんだよ!」

154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 20:31:52.16 ID:uE+IGH8AO
妙「残念でしたね月詠さん、一票差だったのに」

月詠「いや、別にわっちは気にして……」

妙「人気投票でも私が上に行っちゃったものね、私が10位で月詠さんは11位だったかしら」

妙「そっちの人気投票じゃ私が125票リードしてたわね……でも気にしないで、ツッキーも頑張ったわ」

月詠「なんでぬしはそこまで細かく覚えとるんじゃ……」

155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 20:42:04.42 ID:uE+IGH8AO
キャサリン「小娘ハ引ッ込ンデナ、ココカラハ大人ノ女ノ時間ガ始マルンダヨ!」

長谷川……0点、理由……論外

キャサリン「テメッ!マダ何モシテネーヨ!!」

その他審査員……0点、理由……同上

キャサリン「テメーラ絶対ブッ飛バス!!」

156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 20:46:38.39 ID:uE+IGH8AO
新八「まったく……もうグダグダですよ銀さん」

新八「……あれ、銀さん?」

土方「どこ行きやがったあの野郎」

沖田「旦那ならさっき便所に行くって言ってましたぜ」

長谷川「え?俺さっき行ったけど銀さんなんか見なかったけどな」

土方「……に、逃げやがったなあの野郎ォォォ!」

157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 20:56:39.27 ID:uE+IGH8AO
---
裏路地

銀時「やってられるかってんだ……ろくなヒロインがいやしねェ」

銀時「あ、結野アナまで回ってから逃げりゃ良かったか……?」

「いまさら悔やんでも仕方ねェだろう、それがお前さんの選択だったんだ」

銀時「!」

銀時は反射的に木刀へと手を伸ばす、そこには何の思考も挟まない、まさに反射だった。

「ほォ……この俺の殺気を感じるや即座に武器を手に取るか」

銀時「テメェ……!」

阿伏兎「久しぶりだな、お前さんと会うのは吉原で少しやり合ったとき以来か?」

158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 21:04:36.57 ID:uE+IGH8AO
銀時「テメェ……なんで地球に…かぶき町にいやがる……!」

阿伏兎「俺だって来たくて来たわけじゃねェ、文句はウチの上司に言ってくれ」

銀時「上司……?」

阿伏兎「さて、ここで一つ問題と行こう……黙って俺についてくるか、もしくは」

銀時「……もしくは?」

阿伏兎「無理やりにでも連行されるか……」

銀時「…………」

160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 21:12:33.62 ID:uE+IGH8AO
銀時「……どうもここにいんのはテメー一人じゃなさそうだな」

阿伏兎「ふむ……そいつは俺の出した問題とは違うが大正解だ」

阿伏兎「姿を見せちゃいねーが……二十を超える夜兎がここを囲んでるぜ」

銀時「はっ、場を固めといて選択肢なんざ出すんじゃねーよ」

阿伏兎「クク……この状況で怖じ気付かずに物を言えるのは褒めてやるぜ」

銀時「…………」

阿伏兎「俺としちゃここで殺り合ってもいいんだが……お前さんはいいのか?」

阿伏兎「狭い裏路地のここは滅多に人は来やしねェが…少し行けば往来する人間の多い表通りよ」

阿伏兎「そんな中で斬り合いしたらどうなるかね……」

銀時「…………」

阿伏兎「分かったらついて来な……」

161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 21:17:44.39 ID:uE+IGH8AO
---
某建物

銀時「ずいぶんとご立派な座敷部屋じゃねーか、今から宴会でもしようってか?」

阿伏兎「お前さんは一応客人だからな……ま、このぐらいの待遇はな」

銀時「……で、俺を呼んだテメーの上司ってのは?」

阿伏兎「ああ、そいつは……」

神威「俺のことだよ」

銀時「!」

162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 21:26:15.97 ID:uE+IGH8AO
銀時「テメーは……!」

神威「覚えててくれたんだ、こいつは嬉しいね……あの時の傷はもう治ったかい?」

銀時「余計なお世話だ……何しに来やかった」

神威「あらら、せっかちだね……まあいいや、細かいことを話すのは苦手だし」

神威「じゃあ結論から言うよ、このかぶき町が次の俺たちの標的になった」

銀時「なっ……!」

神威「お礼しに来たのさ、君たち侍に……元第四師団団地のこともあるしね」

銀時「第四師団……?」

神威「君たちが壊滅させたメガドライブのことさ」

銀時「いやメガドライブはもう既に壊滅してんだろ」

163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 21:32:43.97 ID:uE+IGH8AO
神威「あーあ、その言い方は阿伏兎が怒るね」

阿伏兎「俺は任天堂派って言ったろうがクソ提督」

銀時「提督……?」

神威「色々あって出世しちゃってね、今は俺が提督なんだ」

銀時「…………」

神威「まあそういうわけだから、君たちも準備しておいてね?」

銀時「なんで俺にわざわざテメーらが攻めてくることを教えた?」

神威「何の抵抗もされずに敵を倒してもつまらないだろう?」

神威「侍……俺達とは違う形の力を有する修羅……君たちとの戦いを俺の血は求めてる」

神威「戦場において全力の君たちと戦い…豪なる者の血で戦場が満ち溢れたとき」


---俺の魂は潤う

166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 21:45:52.24 ID:uE+IGH8AO
銀時「……何だオイ、ようはテメーら…喧嘩がしてェだけか」

神威「そうさ、喧嘩だよ……命を懸けたね」

銀時「付き合ってられねーな、喧嘩馬鹿に巻き込まれるこっちの身にもなれってんだ」

神威「君たちに選択権はないよ、間もなく君の町は戦場になる……これはもう決まってるんだ」

銀時「……一つ言っとくぜ」

神威「?」

銀時「テメーはさっきから楽しむだの潤うだの、ずいぶんと楽しそうに話してやがるが…」


銀時「かぶき町を敵に回してただですむと思うんじゃねーぞコノヤロー」

168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 21:55:50.24 ID:uE+IGH8AO
神威「フフ……やっぱり侍は面白いね、これは君を呼んで正解だった」

銀時「!」

殺気。

銀時はとっさに木刀へ手を伸ばす、その様子を見て神威はクスクスと笑っていた。

神威「お兄さん、少し俺の相手してよ……もちろん本気でね」

銀時「…………」

ここから逃げ出すのは簡単ではない、目の前の戦闘狂も逃げることを許すはずがない。

やるしかなかった。

神威「ああ、もしあまりにも不甲斐ないようだったらこの場で殺しちゃうからね」

銀時「テメーに消されるほど俺の魂の陽は安かねーよ……!」


それは……最強の夜兎と最強の白い夜叉の決闘の始まり

169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 22:08:59.44 ID:uE+IGH8AO
銀時「ウオオオオォォォ!!」

神威にしてみれば力試しの小競り合いのつもりなのだろう、だが銀時にとっては話が違う。

仮にここで敵の提督を仕留めることが出来ればかぶき町への侵攻も止まる可能性が高い。

手など抜くはずがなかった。全力で振るった一撃だった。

神威「……いいね、本気で俺を殺りにきてる」

その一撃も夜兎の持つ戦闘用の傘で防がれる、完全に見切られていた。

銀時「ちっ!」

連続して二撃、三撃と斬り結ぶ……が、打ち合う度に敵との力の差が露呈する。

銀時(コイツ……ガキのくせしてどんなクソ力してやがる……!!)

170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 22:23:01.18 ID:uE+IGH8AO
神威「俺からも打たせてもらうよ」

銀時「!」

神威の一撃をとっさに木刀で受け止める、完璧に受けきったはずだった。

銀時「がっ……!」

銀時は己の立つ地に亀裂が走るほどの、とてつもない衝撃に襲われていた。

神威「へえ……この一撃を耐えるんだ、さすがは鳳仙を倒しただけのことはあるね」

銀時「なめんじゃねェクソガキ、まだ一太刀止めただけだろうが……!」

神威「そうだね、けど……俺の一撃に耐えられる奴もそうはいない、自信を持っていいよ」

銀時「余計なほめ言葉をありがとよ」

171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 22:36:32.15 ID:uE+IGH8AO
---
どれだけの時が流れたのだろう、それは正確には分からない。

ただ一つ明らかなのは

銀時「はぁ……はぁ……!」

致命傷こそないものの確実に銀時が追い込まれているということだった。

神威「うん、悪くないね……前よりも腕も上がっているみたいだし」

神威「真剣を使っていればもう少しマシになるだろうからね」

銀時「…………」

違う、真剣を使ってもコイツと真正面からぶつかっては勝ち目は薄い。

それはここまで何百合と打ち合ってきた銀時がもっともよくわかっていることだった。

172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/05(月) 22:51:16.02 ID:uE+IGH8AO
神威「じゃあお兄さん、今日はもう帰っていいよ」

銀時「っ!?」

一瞬の隙をつかれて懐に入られると同時、凄まじい蹴りが胴体に炸裂した。

銀時「ぐあっ!」

吹き飛ばされた銀時は建物の窓を突き破り外へと放り出された。


神威「フフ……坂田銀時、侍の中でも一際光を放つ屈強な修羅か……」

神威「予想以上に楽しかったな……高杉の言っていた通りだったね」

180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/06(火) 21:58:08.19 ID:CPLHRTiAO
---

銀時「はあっ……はあっ……」

銀時(ちっ……肋骨が何本かいっちまったか……!)

銀時は体を引きずるようにかぶき町へと向かっていた。

春雨の襲来という恐れていた事態が発生してしまった……この事実は何としても知らせなければならない。

銀時「…………!」

あと数歩でかぶき町に着く、そこまで来た所で銀時は自分の後をつける天人たちの存在に気づく。

考えるまでもなく春雨の一味だった。

181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/06(火) 22:19:52.83 ID:CPLHRTiAO
春雨A「傷だらけで辛そうだな、だったら俺たちがここで楽にしてやろうか」

銀時「……はっ、過分な心遣いにゃ感謝するがそいつァ御免だな」

春雨A「あいにく戦闘狂の提督と違って俺たちは現実主義でな、わざわざ敵を増やそうとなんざ思わねぇ」

春雨A「俺たちの情報を知るテメエを生かしておくわけにはいかねぇな」

銀時「…………」

夜兎らしき天人は見当たらない…だが己を囲むは宇宙に名を轟かせる最強の宇宙海賊の戦闘員。

夜兎と並ぶ戦争集団の辰羅族と思しき天人の姿も見える。

加えて神威との戦いで疲弊しきった身体……勝ちの目などあるはずがなかった。

182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/06(火) 22:31:40.06 ID:CPLHRTiAO
春雨A「お前を殺したら今度はかぶき町にいるお前のお仲間を血祭り……」

刹那…鈍い音が響き渡る、それは近くにいた春雨の戦闘員を銀時が殴り飛ばした音だった。

同時にその春雨が所持していた真剣を奪い取り、構えを取る。

春雨A「き、貴様……」

銀時「動くな」

春雨A「!」

銀時「それ以上……一歩たりともこの町へ近付くんじゃねェ……」

春雨A「…………!?」

数では圧倒的有利を誇る天人たち……その誰一人として足を踏み出すことが出来ない。

一歩でも足を踏み出した瞬間に斬られて倒れ伏す……そう感じたからだ。

183: 推奨BGM……曇天(DOES) 2011/09/06(火) 22:45:00.03 ID:CPLHRTiAO
銀時「春雨よ……テメーらが攻めようとしてるかぶき町は馬鹿の蔓延る治安の悪いとんでもねェ場所だ」

春雨A「…………?」

銀時「くだらねェ馬鹿やって酒飲んで本気で笑える奴らしかいねェ……ホントろくでもねー町でな」

銀時「その町を……俺の国を……テメーらみてーな腐った雨で濡らすわけにはいかねーんだよ」

侍は刀を握った、勝算など考えていない。

銀時「来るなら来やがれ……かぶき町へ通じるこの道は通行止めだ」

銀時「たった今からこの先は……地獄への一本道に変わったぜ」

春雨A「ぜ、全員で奴を攻め立てろ!死に損ないだ!!」

184: 推奨BGM……曇天(DOES) 2011/09/06(火) 23:01:51.74 ID:CPLHRTiAO
銀時「ウオアアアアァァァァァ!!」

春雨A「な、何だアイツは……!」

己の何十倍もの戦力を相手に銀時は大立ち回りを繰り広げていた。

片手に真剣、片手に木刀の二刀流……雲のように変化する型で敵を薙ぎ倒していく。

春雨A(なぜアイツは死なねぇ……なぜアイツはあれだけ動ける!?)

一人で数十の敵を圧倒してはいた、だがすべての攻撃を受けきれるわけではない。

足や腕、胴体に少しずつ傷を負っていき……銀時はすでに大量の血を流していた。

銀時「オオオオオオオォ!!」

それでも銀髪の侍は止まらなかった、いくら斬られようが僅かの怯みも見せることはない。

血の雨を身体に浴び、尚も敵を斬り伏せるその姿はまさしく---白夜叉

187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/07(水) 01:32:19.40 ID:icvSzo2AO
---

春雨A「…………」

銀時「あっ……がっ……はぁ……はぁ……!」

最後の敵を討ち取った今、戦場に立っているのは銀時ただ一人だった。

勝ち目のないはずの戦いですら彼は覆した、不屈の魂によって。

銀時「ちっ……もう、ろくに足が動かねェ……!」

その時、全員斬り伏せたはずの敵のうちの一人が動いたことに銀時は気付くことができなかった。

死んだふりをしていたその天人は隠し持った刀で銀時の死角から

春雨A「し、死に損ないが……さっさとくたばれェェェ!」

銀時「っ!」

深々と腹に刀を突き立てた。

188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/07(水) 01:33:21.27 ID:icvSzo2AO
ピリリリリッピリリリリッ

土方「電話……山崎?」ピッ

土方「何だ山崎、今こっちは面倒なことになって……」

山崎『緊急です!町外れで浪人と侍が斬り合いをしてるとの通報が!』

土方「何っ!?」

山崎『通報者曰わく、天人は数え切れないほどの数で……浪人は銀髪で木刀を持っていたと!』

土方「!」

山崎『副長!この浪人って……!』

土方「山崎、詳しい場所を報告しろ!」

山崎『は、はい!』

189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/07(水) 01:39:59.49 ID:icvSzo2AO
新八「土方さん、何か……」

土方「馬鹿が天人と斬り合いしてるらしい……」

新八「き、斬り合いって……!」

ドンッドンッ

新八「こ、こんな時に一体誰が……」

ガラッ

銀時「はっ……はっ……!」

妙「えっ……?」

沖田「だ、ダン……!」

新八「ぎ、銀さん!?」

190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/07(水) 01:49:39.27 ID:icvSzo2AO
神楽「ぎ、銀……ちゃん……?」

銀時「よう……テメーら、全員いるか……?」

新八「ど、どうしたんでしかこの傷!血だらけじゃないですか!!」

銀時「まずは……聞け、宙海賊の春雨が…もうすぐこの町に来る……」

月詠「は、春雨じゃと……!」

銀時「確かだ……まず間違いねェ、連中は必ず来る……」

土方「町外れで大量の天人と斬り合いしてた浪人ってのは……やっぱテメーか……!」

新八「その天人ってのは……春雨の一味ですね!」

九兵衛「まさか……君は敵を町へ入れないために一人で……!」

銀時「…………」

191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/07(水) 01:53:47.78 ID:icvSzo2AO
銀時「やっちまったな……もう少し俺もしぶといと思ったんだけどよ……」

大量の吐血---銀時は倒れ込みそうになる己の体を木刀を杖代わりに必死で支えていた。

その場の誰もが緊急事態であることを察する。

新八「ぎ、銀さんしっかりしてください!」

土方「総悟!車手配しろ!!大至急だ!!」

沖田「分かってまさァ!!」

妙「誰か止血出来るもの!何でもいいから早く持ってきて!!」

あやめ「すぐに持ってくるわ!」

結野「外道丸手伝って!私たちの術で少しでも治療を!」

外道丸了解でござんす!」

月詠「しっかりしろ銀時!気をしっかり持て!!」

神楽「銀ちゃん!」

銀時「…………」

192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/07(水) 01:56:04.43 ID:icvSzo2AO
銀時は目の前の光景を黙って見ていた、必死になって動いている仲間の姿を。

銀時「……ワリーな、テメーらにゃ…今まで世話かけちまった」

新八「な……なに言ってるんですか銀さん……」

銀時「…………」

侍は笑っていた。

全身から血を流し、傷だらけになりながらも、彼は確かに笑っていた。

銀時「ありがとよ……テメーらの面ァ見れて……俺……は……」

次の瞬間、侍は紐の切れた人形のようにその場へ倒れ込んだ。

193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/07(水) 02:05:26.22 ID:icvSzo2AO
新八「ぎ……銀さ……!」

妙「な、何やってるんですか銀さん……そういう大袈裟な演技はもういいって言いましたよね?」

妙「また馬鹿な冗談なんでしょう……ヒロイン決定戦のアレなんでしょう?ねえ、銀さん……」

銀時「…………」

妙「何とか言ってくださいよ銀さん!!下ネタでも何でもいい……だから!!」

桂「しっかりしろ銀時!俺だ、桂だ!まだ俺たちは日本の夜明けを見てないではないか!」

新八「ぎ…銀さん……銀さんんんんん!!」

204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/08(木) 21:35:20.08 ID:Sx8tDKAAO
---
病院

近藤「はあっ……はあっ!」

近藤は息を切らしながらも病室の中を全力で駆け抜けていた。

目当ての部屋に辿り着くと同時、勢いよくドアを開ける。

そこにあったのは

銀時「…………」

ベッドで横になり、人工呼吸器でかろうじて命を保っている銀時の姿だった。

205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/08(木) 21:43:23.22 ID:Sx8tDKAAO
近藤「よ、万事屋………!」

土方「……遅かったじゃねーか、近藤さんよ」

横たわる銀時の周りを見慣れた男たちが取り囲んでいる。

攘夷浪士である桂もいたが今はそれどころではない。

近藤「お妙さんたちは……」

沖田「女たちにゃここから出て行ってもらってまさァ、数が多くても仕方ねーんで」

206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/08(木) 21:43:59.31 ID:Sx8tDKAAO
新八「銀さんは……銀さんは大丈夫なんですよね!?助かるんですよね!?」
主治医「……大量の出血に内臓の損傷、身体自体に凄まじいダメージを負っている状態で…」

主治医「正直生きているのが不思議なほどの……」

沖田「そんなことはどうでもいいんでィ……旦那は助かるのかどうかって聞いてんだ」

主治医「……はっきり言って…相応の覚悟はしておくべきかと」

新八「!?」

207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/08(木) 21:51:22.77 ID:Sx8tDKAAO
ドアが勢いよく開かれると別室で待機していた女性陣がなだれ込むように入ってきた。

外で今の話を聞いていたらしい。

あやめ「ぎ、銀さんが助からないってどういうことよ!!」

平子「アニキが死ぬだなんて適当なこと言うヤブ医者は……」

月詠「止めろ!何をする気じゃ!」

お登勢「……本当なのかい、この馬鹿が峠をさまよってるってのは」

主治医「正直……もう奇跡を祈るしか」

お登勢「……そうかい」

208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/08(木) 23:10:41.10 ID:Sx8tDKAAO
それは医師による通告、助かる見込みが限りなく低いとはっきり告げられた。

流れる重い空気---それを打ち破ったのは

神楽「みんな騒ぎすぎネ、銀ちゃんならこのくらい大したことないアル」

神楽は笑いながら、いつもの調子でそういった。

妙「か、神楽……ちゃん?」

神楽「私は分かってるアル、すぐに銀ちゃんは目を覚ますって」

神楽「眠そうな顔であくびしながら……『あー、よく寝たわ』とか言って起きてくるに違いないネ」

神楽「だって、だって銀ちゃんだから……銀ちゃんは……!」

いつもの笑顔を崩さないよう努めるも所々に嗚咽が漏れる。

神楽は笑いながら頬を涙で濡らしていた。

209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/08(木) 23:34:07.06 ID:Sx8tDKAAO
九兵衛「そうだな…僕たちは彼を見くびっているのかもしれない」

あやめ「そうよ!銀さんがこのくらいでどうにかなるわけないじゃない!」

月詠「ああ、夜王の呪縛を解き放ち……暗闇しかなかった吉原に太陽を灯した男じゃ」

月詠「誰もが諦め、抗うことをしなかったわっちらを変えた…本当に『強い』男じゃ」

たま「銀時様は私に魂という概念を教え……私のために命を懸けて戦ってくれました」

たま「機械の私に命を賭けてくれた……本当に『勇気ある』方です」

平子「アニキは鎖に縛られたオヤジを解放して、私まで救ってくれた男です!」

平子「大切なものを全部壊そうとした私なんかも助ける……『優しい』男です!」

210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/09(金) 00:17:35.86 ID:DVp2pjbAO
結野「不思議なお侍さんですよね……他人同然だった私を助けようとしてくれて…」

結野「今まで解決出来なかった結野と尻野の関係まで取り持ってくれたんです」

妙「……本当に銀さんは『馬鹿』ですよね、得にもならないことに首を突っ込んで」

妙「それで自分がどんな痛い目にあっても諦めないでやり抜く……本当に『馬鹿』な人ですよ」

キャサリン「…………」

お登勢「……守ってやろうじゃないかい、今度は私らで」

お登勢「強く勇気ある、優しいあの馬鹿侍を……護るために戦い続けてたあの天然パーマを」

お登勢「アイツの愛したこのかぶき町を何が何でも守り抜く…そいつが今の私らに出来る全てさ」

212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/09(金) 00:30:44.19 ID:DVp2pjbAO
近藤「……春雨の連中が攻めてくるのはいつだ?」

土方「今から十日後……すでに提督は江戸に潜伏してるらしい」

近藤「十日……それは確かか?」

土方「野郎が敵の大将から聞いた情報だ、どこまで本当かはわからねェ…」

桂「いや……本気で奇襲を仕掛けるつもりならば銀時に接触を図る必要などない」

桂「俺たちを攪乱するために偽りの情報を流している可能性も低いだろう、そんな手の込んだ真似はするまい」

沖田「舐められてんですよ俺たちは……敵にわざわざ攻めてくる日を教えるなんざ正気じゃねェ」

土方「上等じゃねーか……だったらこっちは売られた喧嘩を買うだけだ」

213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/09(金) 00:46:40.74 ID:DVp2pjbAO
新八「僕たちなら大丈夫です…今の僕たちならどんな敵とだって戦えます!!」

神楽「春雨がどれだけ来ようと関係ないネ!全部ぶっ潰せばいいだけアル!」

新八「戦いが終わったら……目を覚ました銀さんに言ってやりましょうよ」

新八「『昼寝が長すぎるぞこの天パー!どんだけ寝てたんだ!』って」

妙「あはは、それ良いわね!そうしましょうか!」

九兵衛「ああ……そのために」

お登勢「この中の誰一人として……死ぬんじゃないよ」

214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/09(金) 00:58:46.76 ID:DVp2pjbAO
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某所

高杉「……馬鹿は戦線離脱か、クク…奴もずいぶんと鈍ったな」

神威「あの侍は俺が目を付けていたのに……ホント、嫌になるね」

神威「まったく…一部の馬鹿が余計なことをした……ま、仕掛けた奴らは全員返り討ちにあったみたいけどさ」

神威「奇襲しようなんて考える連中も何人か艦内に残ってたけど…俺が皆殺しにしておいた」

高杉「フン、同じ春雨のお仲間にずいぶんと手荒いことだな」

神威「俺の歩む修羅が戦いの道……それを邪魔するような連中は必要ない」

神威「君だってそれは同意なんじゃないのかな?」

高杉「フ……俺の前に決まった道なんざありはしねェ、あるのはただの暗闇よ」

223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/10(土) 23:48:08.26 ID:Nfo2pa5AO
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数日後、かぶき町……某所

住人A「聞いたか、お登勢さんのところで厄介になってる侍さんの話」

住人B「万事屋の旦那だろ、天人と斬り合いして重体だとか聞いたが……」

住人A「ああ、何でもかぶき町に攻め入ろうとした連中を一人で食い止めてたとか」

住人B「四天王の抗争があったと思いきや今度は天人かい……なんてこった」

住人A「今回ばっかりはかぶき町から逃げたほうが良いかもしれねェな」

住人B「ああ……荷物まとめといたほうが良さそうだ」

224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/10(土) 23:54:11.00 ID:Nfo2pa5AO
某所

住人C「万事屋の旦那の話聞いたか?重傷でもう助からねェらしい」

住人D「んな馬鹿な!あの人は馬鹿ばっかりやってたが腕っぷしはとんでもないぞ!?」

住人D「それにあの人はバイクで事故っても爆発しても金玉潰れても死なねェって話だ!」

住人C「それがあの宇宙海賊の春雨とやり合ったらしい…しかも相手は大人数ときた」

住人D「春雨って…あの悪名高い春雨かい!?何でまたそんな連中がかぶき町に……」

住人C「さあな…何にしても旦那にゃ何とか助かってほしいモンだが…」

住人D「ああ、まったく……」

住人Y「エフッエフッ……ずいぶんとオモシロイことが起こりそうだな」

住人C「……ところでアンタ、誰?」

225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/11(日) 00:06:00.02 ID:KrTyMejAO
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病院

銀時「…………」

鉄子「……町の噂なんて信じたくなかった」

西郷「私はこの眼で見ても信じられないくらいさ……まさかパー子がこんなことになってるなんてね」

辰巳「なあ……起きてくれよ銀さん、こんなところで寝てるなんてらしくねェよ……!」

新八「……大丈夫ですよ、銀さんならすぐに起きてきますから」

西郷「……で、アンタらは戦うつもりかい」

新八「……銀さんの守りたかったものを守るだけです」

西郷「敵は強大だよ、前の華陀なんて目じゃないくらいにね……それでも戦うのかい?」

新八「銀さんは家族で……僕は『侍』ですから」

西郷「…………」

226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/11(日) 00:13:45.67 ID:KrTyMejAO
西郷「…………」

西郷「……アンタ、パー子に似てきたね」

新八「それ、褒めてるんですか?」

西郷「さあね……とりあえずはっきりしてんのは、私にもやらなきゃいけないことが出来たってことさ」

新八「!」

西郷「ここで戦わないのはオカマに非ず……アンタらだけに戦わせやしないよ」

鉄子「……春雨が相手なら逃げるわけにはいかない、私にも出来ることはあるんだ」

辰巳「かぶき町の底力、奴らに見せてやろうぜ」

新八「…………!」

228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/11(日) 00:21:23.77 ID:KrTyMejAO
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真選組、集会所

近藤「……以上だ」

局長である近藤から伝えられた事実に隊士たちは驚きを隠せなかった。

宇宙に名を轟かせる春雨が江戸に潜伏、数日後には攻撃を仕掛けてくる……

信じられない……いや、信じたくはない話だった。

山崎「局長、俺たちは何を……」

近藤「……江戸を守るのが俺たちの役目だ、当然奴らを迎え撃つことになるだろう」

山崎「あの宇宙海賊春雨を、俺たちだけで……ですか?」

近藤「そうだ」

山崎「…………」

229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/11(日) 00:27:24.65 ID:KrTyMejAO
真選組は決して弱者の集まりではない、全員が鍛錬を積んだ侍である。

が…春雨とは組織としての規模が違いすぎる、兵力で言えば数倍以上の差があるだろう。

それを食い止めろということ……それはすなわち文字通り、命を賭けることと同義だった。

土方「命が惜しい奴は刀を置け、戦場じゃ邪魔になるだけだ」

「…………」

家族がいる者……恋人がいる者……自分の命が惜しい者……彼らの迷いがその場の空気を支配する。

誰か一人でも刀を置けばそれに追随する形で自分も刀を置こう、そんな考えを持つ隊士は少なくない。

戦うの意志のある者も含め、誰しもが春雨との戦いに怯えていた。

230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/11(日) 00:34:13.26 ID:KrTyMejAO
近藤「ハハハハハハ!」

局長の発した突然の笑い声、それ隊士たちの注目を一瞬で集めた。

近藤「何だお前たち!気を使って刀を置くことが出来んのか?」

近藤は理解していた、隊士たちの抱く恐怖、戦いたくはないという思いを。

近藤「恥じることはない、こんな戦いに恐れを抱かぬほうが人としてどうかしている!」

近藤「刀を置きたい者は堂々と置け、それを非難する者は俺が許さん!」

231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/11(日) 00:39:34.01 ID:KrTyMejAO
動揺する隊士たちに向かって近藤は続ける。

近藤「はっきり言おう、偉そうに話してはいるが俺もお前たちと同じ、何ひとつ変わらない」

近藤「春雨なんぞと戦うのは怖いし死ぬことも怖い……出来ることなら逃げだしたいとも思う」

近藤「だが俺が一番怖いのは…………」

近藤「てめーで守れるはずのものを守れねェことさ」

232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/11(日) 00:53:05.74 ID:KrTyMejAO
近藤「俺たちには刀(コイツ)しかねェのさ、刀で己の誇りを守り…この町の人々を護る」

近藤「刀を振ることでしかてめーを表現出来ねェ、信念を馬鹿の集まり…」

近藤「それが俺たち、真選組だ」

沖田「…………」

近藤「今まで共に戦ってきた俺は知っている、お前たちがどれだけ強い人間なのかを」

近藤「もう一度だけ言う、決して恥じることはない……刀を置きたい者は堂々と置け」

もはや誰一人として刀を置こうとする者はいない。

辺りに満ちていた恐怖などはとうに消えさっていた。

235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/11(日) 01:13:33.71 ID:KrTyMejAO
近藤「……刀を置く者はいないか」

沖田「近藤さんもタチがワリーや、あんな話されて刀置けるわけねーでしょう」

土方「……かなわねェな、近藤さんには」

山崎「でも……局長、俺たちの意志は決まってますよ」

沖田「俺たちゃ近藤さんの人柄に惚れて集まった芋侍だ、アンタが戦うなら俺たちも続きますぜ」

土方「テメーら、覚悟は出来てるな……?」

隊士「オオッ!」

近藤「……ありがとうよお前たち、俺は幸せモンだな」

土方「……近藤さ」

近藤「よし!地球侵略を狙う宇宙からの使徒を倒すため!エヴァンゴリオン初号機、発進…ふばあっ!?」

土方「何で最後が締まらねェんだこのゴリラ上司はァァァ!!」ゲシッゲシッ!!

近藤「ちょ、痛っ!痛いから!?春雨と戦う前に瀕死になっちまうぞ!?」

沖田「瀕死になれ土方ー、目の前が真っ暗になれ土方ー!」

土方「お前は何を言ってんださっきから!!」

256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/28(水) 22:34:54.45 ID:GbxfYR5AO
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松平「オメェ……今の話、冗談じゃねェんだな?」

近藤「春雨が地球に来てるのは事実だ、目撃者も大勢いる……とっつぁん、俺たちで迎え撃つしかねェ」

松平「……近藤、色眼鏡を掛けねぇで考えろ…真選組の戦力で奴らとドンパチ出来ると思うか?」

近藤「…………」

松平「嫁さんとの戦いなら男がしばき倒されて頭下げりゃケリが着く、だが命懸けた戦争となりゃ話は別だ」

松平「コイツは脅しでも何でもねェ……死ぬぞ、間違いなくな」

近藤「とっつぁん、俺たちは戦うしかねェ……どこへ逃げようと安全な場所なんざありはしねーよ」

松平「てめーの部下共々、わざわざ死にに行くってのか……」

近藤「俺たち真選組に死ぬつもりの奴なんて一人もいやしねェ……勝つつもりだ」

松平「…………」

258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/28(水) 22:53:29.91 ID:GbxfYR5AO
松平「……ダメだ、迎撃することは許さねえ」

近藤「とっつぁん!」

松平「迎撃なんてまどろっこしいするな……やるんならこっちから奇襲仕掛けろ」

近藤「!」

松平「いいか、一人たりとも死なせるんじゃねえぞ……町民も、隊士も…てめー自身もだ」

近藤「…………」

近藤「……真選組局長、近藤勲…その長官命令、必ずや…!」

259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/28(水) 23:01:01.97 ID:GbxfYR5AO
松平「ただし……兵力は真選組のみでいけ、外部勢力から兵を募るようなことはするな」

松平「大っぴらにそんなことをすりゃ町民にも余計な不安感を与えちまう」

近藤「……分かった、俺たちだけで何とか…」

松平「まあもっとも……『呼んでもいねェのに勝手に兵が集まってくる』なら話は別だがな」

近藤「と、とっつぁん…そりゃどういう意味……」

ふと、松平が視線を逸らした。

近藤もそれにつられて自分の上司の視線を追う。

その先には

桂(エヅラ子)「…………」

襖から覗き見をしている家政婦の姿があった。

260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/28(水) 23:12:22.84 ID:GbxfYR5AO
近藤「…………」

松平「オイそこの家政婦、なーに盗み聞きしてやがんだ」

桂(エヅラ子)「申し訳ございません、お掃除に入る機会を窺っておりまして……」

松平「家政婦はここにいちゃいけねェよ、さっさと帰んな」

近藤「いやとっつぁん!あれどう見ても桂だろ!?」

桂「桂じゃありません、エヅラ子です」

松平「そう、あれはただの家政婦だ……なあ、エヅラ子」

桂「エヅラ子じゃない、桂だ」

松平「…………」

桂「あ、間違ったエヅラ子です」

261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/28(水) 23:22:58.32 ID:GbxfYR5AO
松平「まあいい……『ただの家政婦一人』に話を聞かれたくらいなら問題ねェだろう」

松平「エヅラ子、間違ってオメェのお仲間に今の話を聞かせたりするんじゃねーぞ」

桂(エヅラ子)「かしこまりました、奇襲の話を仲間に知らせ、結集して真選組に助太刀したりは決して致しません」

近藤「…………!」

松平「分かってんならいい……早く行け」

262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/28(水) 23:32:50.20 ID:GbxfYR5AO
---

近藤「とっつぁん……」

松平「てめーは許せねェか、野郎と手ェ組むなんざ……」

近藤「……いや、今は江戸の危機だ…四の五の言ってる場合じゃねェ」

松平「そういうこった、それに……桂の野郎は攘夷浪士と言えど今は危険思想を持ってねェ」

松平「いや……アイツが危険じゃねぇってことはお前が一番分かってるか」

近藤「…………」

松平「何にしても決戦の時は近ェ……殺るか殺られるかの戦争だ」

松平「腹だけはきっちりくくっとけ……」

近藤「とっつぁん……アンタもな」

松平「ああ、俺は今からキャバ嬢たちに身辺整理の電話を……」

近藤「あれ?いいのこれ?殴っちゃっていいのこれ?」

263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/28(水) 23:38:31.59 ID:GbxfYR5AO
数日後、かぶき町では既に春雨襲来の噂がまことしやかに流れていた。

たかが噂と話を信じない者は今までと変わらずに生活を送り

春雨襲来を信じた者は命だけは助かろうとひたすらに逃げる準備を始め

逃げる場所などないと絶望した者はただ時が過ぎるのを待ち

そして---

新八「……必ず勝とう、神楽ちゃん」

神楽「当然ネ、万事屋のいるかぶき町に喧嘩売ったことを連中に後悔させてやるアル」

『護る』ために戦うと心に誓った者は己の魂という刃を堅く握りしめる。

264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/28(水) 23:51:42.20 ID:GbxfYR5AO
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病院

銀時「…………」

昏睡状態にある銀時は未だに眼を覚ましてはいなかった。

その銀時の周りを黒い制服の三人が囲み、言葉を紡いでいた。

近藤「伝説の攘夷志士……白夜叉か」

土方「桂の野郎や高杉とも繋がりがあったことからくせーとは思ってたがな……」

近藤「…………」

土方「……近藤さん?」

近藤「いや…攘夷志士として鬼神の如き活躍を見せた男が今は万事屋として生きている……」

近藤「あの攘夷戦争の後……万事屋は一体何を思っていたのか気になってな……」

土方「…………」

265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/29(木) 00:00:34.78 ID:xNPROS6AO
土方「攘夷志士だろうが万事屋だろうが……コイツは根っこの部分は何も変わっちゃいねーよ」

土方「コイツは……ただてめーの護りてェと思うモンのために刀を振るってた」

土方「攘夷ん時は国のために……今はこの町にある野郎にとっての大切なモンのためにな」

近藤「……その大切なモンに、『俺たち』も含まれてると思うか?」

土方「さあな……」

266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/09/29(木) 00:15:40.11 ID:xNPROS6AO
近藤「総悟、お前はどう思う?」

沖田「……近藤さん、俺ァ旦那が浪士だの白夜叉だのってのは興味がねーんですよ」

近藤「?」

沖田「俺にとっての旦那は一緒に馬鹿やって派手に騒いで気軽に貸し借り作れる……」

沖田「なげー人生でもそうそう出会えるモンじゃねェ……何にも代え難い悪友でさァ」

沖田「そんな旦那だから俺ァ今まで一緒に馬鹿やってこれたんですよ」

近藤「…………」

沖田「旦那の過去がどうだろうと知ったことじゃねェ……」

沖田「旦那は旦那のままでいいんでィ」

275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/07(金) 23:29:31.21 ID:tWcnQ3oAO
桂「病室に誰かがいると思えば……貴様たちか」

土方「お前……」

桂「よせ…俺は友の見舞いに来ただけだ、争う気はない……春雨と戦うまでに傷を負うわけにはいかんのでな」

近藤「……桂」

桂「何も言うな、俺たちは勝手に集まり勝手に春雨と戦う…ただそれだけのこと」

桂「それならば真選組と攘夷志士が結託したことにはならん…そのほうが貴様たちにも好都合だろう」

土方「…………」

276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/07(金) 23:45:08.14 ID:tWcnQ3oAO
近藤「……行くぞ、トシ、総悟」

土方「ああ……」

二人を引き連れ病室から去る直前、ふと近藤は立ち止まる。

そして桂に背を向けたまま

近藤「……ありがとうよ桂、死ぬんじゃねェぞ」

桂「!」

桂の位置から近藤がその時どんな顔をしているかを伺い知ることは出来ない。

だが彼には容易に想像が着いていた、口元で笑みを浮かべる近藤の表情が。

桂「……ああ、お互いにな」

そう言うと桂も同じく笑みを浮かべる。

その笑い方は、どことなく先の近藤の笑みと似ていた。

277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/07(金) 23:52:55.43 ID:tWcnQ3oAO
---

桂「…………」

真選組が去ったあと、桂は眠りから覚めない銀時に語りかけていた。

桂「……銀時、もうじき俺たちは春雨と真正面からぶつかり合う」

桂「聞くところによると…春雨は鬼兵隊と繋がりがあるらしい」

桂「おそらく……高杉とも戦うことになるだろう」

それは---同じ師を仰ぎ、同じ志を抱き、同じ戦場を駆け抜けたかつての仲間。

桂「……もう一度、奴と辰馬…そしてお前と共に同じ道を歩んでみたかったが…叶わぬ夢だったらしい」

278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/08(土) 00:01:42.02 ID:ye/DlSZAO
桂「高杉は道を外れすぎた……だが、俺にとっては無二の友であることに変わりはない」

桂「道を踏み外した奴を止めるのは友である俺の役目だ……銀時」

桂「春雨に……高杉に……お前の護りたかったこの国を壊させはしない」

桂「この桂小太郎の命に賭けて護り通す……必ずだ!」

それは親友に対する男の約束、戦場で命を預け合ったことのある仲間への誓い。

この瞬間、桂はその誓いを魂に刻み込んだ。

279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/08(土) 00:02:19.32 ID:ye/DlSZAO
そして---決戦の時が訪れる。

280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/08(土) 00:10:17.72 ID:ye/DlSZAO
その日、かぶき町に災害時における避難訓練という名目の緊急の避難命令が下される。

万が一、かぶき町への侵攻を許した際に備えてのことだった。

近藤「…………」

土方「近藤さん、隊士はアンタの声を待ってるぜ」

それは決戦直前、真選組全隊士が一堂に会する最後の機会だった。

この隊士からはたして何人生き残れるか……全滅も十分に考えられる。

その場はこの上ない緊迫感に溢れていた。

281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/08(土) 00:16:33.55 ID:ye/DlSZAO
近藤「お前たち……トイレは済ませたか?」

………………

山崎「……局長、今なんて言いました?」

近藤「トイレは済ませたか、と聞いた」

山崎「……いや、あの局長?俺たち、今かなり緊張した空気だったんですけど?」

近藤「馬鹿を言うな、トイレは超重要事項だろう、遠足のバスと違って戦場じゃ誰も待ってくれないからね」

『ヤバいヤバい…マジで腹痛い、次の駅で降り……あ?なんかちょっと治っ…あ、やっぱ痛い……』

近藤「みてーな状態で敵と戦えるはずがないだろう!」

山崎「いやそれ完全に局長の個人的な体験ですよね、電車で腹痛と決闘してただけですよね」

282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/08(土) 00:28:18.79 ID:ye/DlSZAO
近藤「まあ冗談はこのくらいにして……局長として、最後にお前たちに言っておきたいことがある」

局長に出来る最後の仕事、それは檄を飛ばし隊士たちの士気をわずかでも上昇させること。

近藤は隊士全員を見渡すと息を大きく吸い込み

近藤「戦場は敵で満ちている、戦力の差なんざ言うまでもねェだろう!」

近藤「だがここは俺たちの誇り高き国だ、何も恐れることはない!!」

近藤「死ぬ気で戦えなどと馬鹿なことは言わん、何が何でも死なぬ覚悟を持って戦え!!」

隊士「オオッ!!!」

近藤「行くぞ!!」

284: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/08(土) 01:02:53.51 ID:ye/DlSZAO
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同時刻、病院

銀時「…………」

新八「じゃあ銀さん、ちょっと行ってきますね」

神楽「すぐに帰ってくるアル!私たちがいないからって泣くなヨ!」

妙「……行きましょう、新ちゃん、神楽ちゃん…もうみんな準備は出来てるわ」

新八「…………分かりました」

神楽「どうしたネ新八、今更怖くなったアルか?」

新八「……考えてみれば、いつも銀さんがそばにいて僕を助けてくれてたから…」

新八「後ろ姿を見てた僕が今度は銀さんのために戦うと思うと…ちょっと色々とね……」

神楽「……何バカなこと言ってるアルかこのダメガネは」

新八「?」

神楽「銀ちゃんならいつでもいるアル、私たちとずっと一緒に!」

新八「……そうだね」


僕たちの『魂』は、いつだって銀さんと共にある!

285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/08(土) 01:05:53.60 ID:ye/DlSZAO
銀八「すんません、かなり短いですが今日はここまでで勘弁してください」

銀八「参ったなオイ、もう少しサクサク進められねーのかコノヤロー」

銀八「この連休で多分もうちっとは進むと思うんでよろしく頼みます、はい」

銀八「じゃあ涼しくなって来たから体調管理には気をつけるようにー」

290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/12(水) 23:19:32.31 ID:/7gH3KCAO
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ターミナル

高杉「…………」

真選組らが動き始めていた頃、高杉は江戸のターミナルの屋上に佇み煙を区揺らせていた。

そんな高杉の背後に近付く一つの影、それは

神威「後ろ、取られてるよ」

神威の傘が高杉の頭に触れる、この距離では攻撃を回避することも防ぐこともままならない。

気まぐれに神威が何か仕掛けられれば、高杉とてどうなるかは分からないだろう。

そんな状況にあるにも関わらず、高杉は余裕の姿勢を崩さずに口元で笑い

高杉「これはこれは提督殿……元気なようで何よりじゃねーか」

291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/12(水) 23:30:07.83 ID:/7gH3KCAO
神威「フフ、君のほうはずいぶんと元気がないようだけれど?」

高杉「…………」

神威「もしかして、今更になってこの国に未練が出たのかな?」

高杉「クク……今更ちゃぶ台をひっくり返すような真似はしねェよ」

神威「ま、君が感傷に浸ってようと俺には関係ないけどね……せいぜい死なないように頑張ってよ」

高杉「…………」

高杉「フン……あの人を奪った世界で生きるってことは俺にとっては死んでるのと変わらねーよ」

高杉「だから俺ァこの世界をぶっ壊す…あの人を奪った腐った世界を……」

神威「ふーん……やっぱり、侍の考えることは分からないね」

292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/12(水) 23:38:07.90 ID:/7gH3KCAO
次の瞬間、遠方で爆撃音が響き渡る。それはターミナル屋上からも確認出来るほどのものだった。

神威「何かあったみたいだね?」

高杉「奴さんが仕掛けてきたんだろうよ、ここ最近は妙な動きを見せてやがったからな」

高杉「俺たちを迎え撃つよりか奴らから奇襲を仕掛けたほうが勝算があると踏んだんだろうよ」

神威「だったら俺たちが潜伏していた場所は既に戦場になってるってわけだ……」

神威「フフ、宇宙海賊春雨に恐れず向かってくるなんてね」

高杉「だが……奴らの奇襲なんざ何の意味も持たねェよ」

293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/12(水) 23:46:39.33 ID:/7gH3KCAO
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某所

春雨兵A「で、伝令だ!地球人どもが攻めて来やがったぞ!」

春雨にとっては予期せぬ真選組の奇襲。敵は混乱に混乱を重ね、まるで統率が取れていなかった。

近藤「この機を逃すな!一気に叩き潰せ!!」

近藤「一番隊、二番隊は右から!三番隊、四番隊は左から行け!奴らを逃がすな!」

対する真選組は入念に練られた計画通りに流れるような攻撃を仕掛けている。

戦況は明らかに真選組に傾いていた。

294: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/12(水) 23:53:51.72 ID:/7gH3KCAO
土方「…………」

沖田「土方さん、コイツァ……」

土方「ああ、『上手く行き過ぎて』やがる」

奇襲による混乱を加味しても敵は宇宙にその名を轟かす最強の宇宙海賊、春雨。

当然、兵の規模で言えば真選組を遥かに圧倒する。

にもかかわらず---戦況は真選組が圧倒的有利に立っている。

その事実に二人はそこはかとない違和感を感じていた。

土方(話に聞く夜兎族はどこにいやがる……春雨と組んだ高杉率いる鬼兵隊も見かけねェ)

土方(まさか……いや、考えるな…今すべきことは)

土方「とにかく今はここを制圧するぞ、今更退くわけにもいかねェ!」

沖田「分かってまさァ!」

295: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/13(木) 00:00:32.77 ID:VbUZ/6oAO
山崎「局長!副長!緊急伝令です!」

近藤「緊急だと?」

山崎「江戸のターミナルに多数の武装した天人が現れ、ターミナルを制圧したとの情報が!」

近藤「何っ!?」

山崎「天人だけでなく攘夷浪士の姿も確認されてます、間違いなく春雨と高杉です!」

沖田「……やられやしたね、コイツは」

土方「野郎どもの主力はターミナルに行ってやがったとはな…ここには雑魚しかいねェってわけだ」

近藤「何てこった……これではここを制圧したところで何も……!」

296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/13(木) 00:15:19.44 ID:VbUZ/6oAO
山崎「局長!もう一つの情報が!」

近藤「もう一つ……?」

山崎「選挙されたターミナルに武器を持った多くの市民たちが向かっていると!」

近藤「!」

山崎「あの桂と思しき人物が指揮を取っています!おそらくは……」

土方「攘夷浪士……いや、それだけじゃねェだろうな」

沖田「眼鏡とチャイナ、柳生家……旦那と繋がりのあった連中も動いてますぜ、間違いなく」

近藤「桂……春雨の本丸と戦う気か」

297: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/13(木) 00:20:07.02 ID:VbUZ/6oAO
沖田「野郎においしいところを持ってかれるのも面白くねェ、俺たちもターミナルへ……」

土方「いや……そうもいかねェらしい」

沖田「?」

土方「見ろよ、新しい客だ」

佐々木「お久しぶりですね、バラガキさん」

信女「…………」

306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 00:26:34.54 ID:C6KXf7dAO
本編前の小ネタ?

307: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 00:27:11.33 ID:C6KXf7dAO
---失われた絆

銀時「テメーら……何も覚えちゃいねーのか!?」

美琴「アンタみたいな天パーなんて知らないわよ、金時先生の真似でもしてるつもり?」

佐天「こ、この人……何だか怖い……!」

初春「金時先生と私たちの思い出を馬鹿にしないでください!」

金時「そういうことだ……おかしいのは全部、アンタ一人だってわけだ」

銀時「テメェ……!」

美琴「金時先生に手出しはさせない!」

銀時「っ!」

308: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 00:36:06.20 ID:C6KXf7dAO
---失われぬ銀色の絆

銀時「まさかお前……俺のことが……!」

一方通行「テメェみたいな馬鹿を忘れるわけがねェだろォが……銀時よ」

銀時「!」

一方通行「光はまだ消えちゃいねェンだ……やれンだろ、オマエなら」

一方通行「俺もアイツらも、手の届くすべてを掬い取りやがったオマエならなァ」

銀時「……ああ、アイツらの目ェ醒まさせるようなパーチーと行こうじゃねーか」

309: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 00:41:34.37 ID:C6KXf7dAO
---交錯する想い

黒子「やはり……あなたは……!」

銀時「久しぶりじゃねーか、黒子よ……」


---さらなる決戦

一方通行「はッ……やってくれンじゃねェか」

上条「いいぜ……もしもテメーが本当に先生の全てを超えてるとでも思ってるなら…」

銀時「金色で何もかも塗りつぶしちまうことが出来ると思ってんなら……」

銀時・上条・一方通行「まずはその幻想をぶち殺す!」

金時「…………!」

310: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 00:46:30.67 ID:C6KXf7dAO
…………

銀時「え、何これ?こんなのやんの?俺ァ何も聞いてねーぞ」

新八「いや、僕に聞かないでくださいよ」

沖田「こんなやりもしねェ嘘予告なんざ興味ありませんぜ、さっさと本編行きやしょうや」

神楽「10日も間空けるとかホント予想外過ぎたアルな」

銀時「はぁ……んじゃボチボチ本編を再開すっか」


遅れてすいません、再開します

311: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 01:08:54.78 ID:C6KXf7dAO
近藤「見廻り組……!」

佐々木「おや、覚えていましたか……影の薄い我々のことなどとうに忘れていると思ってましたよ」

土方「今はテメーらのことなんざどうでもいい、そこをどきやがれ」

佐々木「その命令には従いかねますね、真選組副長殿……」

土方「何……?」

佐々木「我々の仕事はあなた達を止めることです」

土方「…………」

佐々木「ここは地球に住む善良な天人たちが暮らす施設です、そこを強襲するなど許される行為ではありません」

312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 01:18:18.19 ID:C6KXf7dAO
近藤「ここは宇宙海賊春雨が潜伏していた場所だぞ!見廻り組にも報告が届いているはず……」

土方「人が良すぎるぜ近藤さんよ、上っ面は白いが内は腹黒いお坊ちゃんの話を信じるなんざ…」

話を一度区切り、土方はおもむろにタバコに火をつけた。

息を吸い、煙を吐く……それは目の前にいる敵を燻しているかのようだった。

土方「テメーら、高杉とはハナから連んでやがったんだろ?……なあ、見廻り組局長殿」

佐々木「…………」

313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 01:24:00.24 ID:C6KXf7dAO
佐々木「その言い方は少々語弊がありますね、彼らとは利害が一致してるので共に行動しているだけです」

近藤「何……?」

沖田「近藤さん、考えてる暇はなさそうですぜ……奴らも退く気はねーでしょう」

信女「…………」

沖田「よう…生きてやがったか、なまくら女……まさかまたテメーの面を拝むとは思わなかったぜ」

沖田「俺の作ってやった鞘はお気に召さなかったか?」

信女「私はあんな鞘に収まるような刀じゃない、それに……あなたは斬ると決めた私の標的」

信女「あなたが生きている限り私は必ず現れる、あなたを殺すために」

沖田「…………」

314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 01:32:34.56 ID:C6KXf7dAO
沖田「……やってられねーや、こんなめんどくせー女に付きまとわれちまうたァ…」

沖田「ストーカー女がどうとか言ってた旦那もこんな気持ちだったんですかねィ」 

近藤「全くだな、ストーカーなどこの世から絶滅させねばならん最低のクソ虫だ」

沖田「そのセリフ…丸ごと全部ブーメランになってますぜ、クソむ…近藤さん」

近藤「あれ総悟、お前クソ虫って言いかけた?ねえ、俺をクソ虫って言おうとしたよね?」

315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 01:40:36.66 ID:C6KXf7dAO
信女「最後の別れがすんだのなら……斬る」

沖田「!」

信女が動くと同時、沖田は即座に刀を構えて一太刀を受け止める。

既に戦闘は始まっていた。

沖田「この女は俺が引き受けまさァ!クソ虫はあのクソ眼鏡を!」

近藤「ほら!今クソ虫って言ったよね!絶対クソ虫って言ったよね!?」

土方「チッ……とっととターミナルに向かわなきゃならねーってのに!」

二人の援護に入るべく土方は刀を構えた。

佐々木が相当な手練れであることは土方が一番よく知っていたことであり…

沖田と交戦している信女という女剣士もやはり一筋縄では行かないだろう。

援護に入ろうとする土方の行動は当然のことだった。

316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2011/10/25(火) 01:50:56.55 ID:C6KXf7dAO
沖田「土方さん、アンタの仕事はここにはありませんぜ」

土方「……?」

援護に入ろうとした土方を引き止めたのは他ならない沖田自身だった。

沖田「とっととターミナルへ行っちまってください、俺たちもすぐ行きまさァ」

土方「お前……!」

沖田「桂の野郎においしい部分を全部持ってかれちまうのは気分がワリーんですよ……だから」

沖田「ここは俺たちに任せて……とっとと行きやがれい、土方ァァァァァァ!!」

土方「っ!」

327: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 02:20:29.34 ID:DIV74PkAO
---
ターミナル付近

桂「……ここが敵に気づかれぬ限界の位置か」

桂は春雨と戦うにあたって、味方の部隊をいくつかに分散していた。

新八、神楽を含む桂の部隊は敵の本丸を叩く重要な役目を担っている。

逆を言えば、それは常に死と隣り合わせにある部隊ということ……

桂「この場にいる全員に言っておくが……引き返すのならば今しかない」

新八「何言ってるんですか桂さん、今さら逃げるつもりなんて……」

桂「では新八くん……仮に君の姉上が戦場で斬られ倒れたとして、君は彼女を見捨てることが出来るか?」

新八「!」

328: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 02:21:20.08 ID:DIV74PkAO
---
ターミナル付近

桂「……ここが敵に気づかれぬ限界の位置か」

桂は春雨と戦うにあたって、味方の部隊をいくつかに分散していた。

新八、神楽を含む桂の部隊は敵の本丸を叩く重要な役目を担っている。

逆を言えば、それは常に死と隣り合わせにある部隊ということ……

桂「この場にいる全員に言っておくが……引き返すのならば今しかない」

新八「何言ってるんですか桂さん、今さら逃げるつもりなんて……」

桂「では新八くん……仮に君の姉上が戦場で斬られ倒れたとして、君は彼女を見捨てることが出来るか?」

新八「!」

329: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 02:21:53.10 ID:DIV74PkAO
---
ターミナル付近

桂「……ここが敵に気づかれぬ限界の位置か」

桂は春雨と戦うにあたって、味方の部隊をいくつかに分散していた。

新八、神楽を含む桂の部隊は敵の本丸を叩く重要な役目を担っている。

逆を言えば、それは常に死と隣り合わせにある部隊ということ……

桂「この場にいる全員に言っておくが……引き返すのならば今しかない」

新八「何言ってるんですか桂さん、今さら逃げるつもりなんて……」

桂「では新八くん……仮に君の姉上が戦場で斬られ倒れたとして、君は彼女を見捨てることが出来るか?」

新八「!」

330: なんで多重投稿してんの…もうやだこの携帯 2011/11/03(木) 02:24:24.64 ID:DIV74PkAO
新八「み、見捨てるって…そんな……!」

桂「戦場は常に命のやり取りが行われる極限状態だ……一瞬の隙は死へ繋がる」

桂「新八くんが姉上を助けようとするその行為で君自身が命を落とすことになりかねない」

桂「戦場では倒れた仲間は見捨てねばならない、たとえそれが身内であってもだ……」

桂「その覚悟がない者は今すぐこの場から去ったほうがいい」

新八「…………」

331: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 02:31:10.33 ID:DIV74PkAO
戦場で自らが体験した一部の真実の告白、それは桂なりに最後の選択肢を新八たちに与える目的があった。

新八、神楽は共にまだ大人ではない……戦いになれば先の長いその命をいつ散らせてもおかしくない。

願わくば新八の覚悟が揺らぎ、ここから先の血なまぐさい戦いに巻き込まれなければ…そう桂は考えた。

だが、新八の返答は

新八「馬鹿言ってんじゃねーよ、ヅラ……あんな奴らに散らせていい命なんざ一つ足りとてありゃしねェ」

新八「俺ァてめー自身が死ぬつもりも、仲間死なせるつもりもありはねーよ」

桂「!」

332: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 02:35:39.60 ID:DIV74PkAO
新八「……銀さんがここにいたなら、きっとこんなことを言ってふてぶてしく笑うんじゃないですか?」

桂「…………」

神楽「忘れたアルか、私たちは万事屋銀ちゃんの一員ネ!」

神楽「馬鹿でお節介で不器用で天パーな銀ちゃんの家族アル!」

桂「…………」

新八「僕たちは……今までずっと銀さんの後ろ姿を見ていたんです」

新八「そんな僕たちが……誰かを見捨てる覚悟なんて持ってるわけないじゃないですか」

桂「……そうだったな」

桂(そうだ……銀時、お前はいつも護るために戦い続けていた……)

桂(他人のために自分の身を斬らせつつも戦い抜いたその意志は…確かに伝わっていたぞ)

333: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 08:53:14.99 ID:DIV74PkAO
新八(ち、近付いてるのがバレましたよ桂さん!?)

桂(いや……まだ大丈夫だ、こちらの姿を確認したわけではない)

春雨兵「どうするか、様子でも見に行くか?」

桂「来るなよ、絶対こっち来るなよ、いいか絶対来るなよ」

春雨兵「まあ念のために……」スタスタ

桂「」

334: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 08:55:56.83 ID:DIV74PkAO
新八『ちょ、こっち来てますよ桂さん!こんな大人数じゃ隠れられませんし!』

桂派攘夷志士『桂さんご指示を、斬り込みますか?』

桂『落ち着け、武士たるもの…常に心を整えておく必要がある』

新八(桂さん……さすが歴戦の攘夷志士だ、僕も見習わないと)

桂『そのためにはまず、頭の中でフェルマーの最終定理を解いてだな……』

新八「落ち着けるかァァァァ!!」

335: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 08:57:07.58 ID:DIV74PkAO
春雨兵「だ、誰だ貴様ら!こんなところで何を!」

新八(し、しまった!ついいつものノリでツッコミを!)

桂(くっ、ここまで来て見つかったか!どうする、一度態勢を立て直しに……)

神楽「ホォチャアアァァァ!!」バキッ!

春雨兵「ぐうっ!?」

桂「!」

神楽「ヅラ、新八!ボーっとしてないで突っ込むアル!」

新八「神楽ちゃん!?」

336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/03(木) 08:58:20.46 ID:DIV74PkAO
桂「……確かに、こちらの隠密行動がバレてしまってはもう手遅れだな」

桂は抜刀すると同時、攻撃を仕掛けようとする春雨兵を逆に斬り伏せていた。

桂「俺たちの部隊はこのまま斬り込むぞ!前線の包囲網を抜け、真っ直ぐに本丸の首を狙いに行く!!」

桂「行くぞ!!」

一同「オオ!!」

今ここに、伝説の攘夷志士の一人である桂小太郎の戦いの幕が再び切って落とされる。

かつて共に戦った戦友を止めるため、そして深手を負い目を覚まさぬ親友のために

狂乱の貴公子は再び戦場を駆け抜ける。

343: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/13(日) 23:47:53.34 ID:Nv0ClQBAO
春雨兵「ぐあっ!」

一人、また一人と春雨兵を斬り倒す。それでも先へ進む道は開けなかった。

むしろ、時間が経つごとに敵の増援によってこちらが少しずつ追い込まれていく。

神楽「キリがないアル」

新八「桂さん!このままじゃ……」

桂「分かっている!だが……ここを押し通らねば俺たちに活路はない!」

一度乱戦が始まっている以上、もう既に退くことは出来ない。

桂は狂乱の貴公子の名に恥じない獅子奮迅の活躍を見せている。

新八、神楽、他の攘夷志士も桂に引かれるかのように戦場を戦い抜いていた。

だが、それも春雨兵の圧倒的兵力に押しつぶされる。

桂たちは敵の誇る数の有利を覆すことが出来ずにいた。

344: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/13(日) 23:58:04.77 ID:Nv0ClQBAO
「ぐあああっ!?」

桂「!?」

突如、目の前にいた春雨兵たちが大量に吹き飛ばされる。

無論、桂が何かをしたわけではない。あれだけの春雨兵を打ちのめせる武器があるわけでもなかった。

桂「これは……?」


源外「おー、急いで作った割にはなかなか悪くねェ威力じゃねーか」

新八「げ、源外さん!」

345: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/14(月) 00:00:56.89 ID:FcSc8B2AO
月詠「まったく……なにをやっとるんじゃ、ぬしらは」

新八「つ、月詠さん!」

月詠「ぬしらの部隊はわっちらが陽動で敵を引きつけている間に、陣の奥まで潜入する予定だったはず……」

九兵衛「にもかかわらず、何故僕たちが陽動を仕掛ける前にこんな戦闘をしているんだ?」

桂「いや、少々手違いが生じてな……」

妙「手違い?」

桂「ほら、その……何だ、AKBとアイドルマスターを間違えるみたいなアレだ」

妙「いや、だいぶ違うと思いますけど」

桂「どっちも歌って踊るだろう、やたらと多いし」

新八「色んな人を敵に回す発言ですよ、それ」

346: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/14(月) 00:15:18.65 ID:FcSc8B2AO
全蔵「ったく……なんだって俺ァこんな金にならねェことやってんだ?」

あやめ「戦わなきゃ死ぬわよ、ここまで来てるのにグダグダ言わないでくれるかしら」

全蔵「はぁ、正直やってられねーな……」

全蔵「つかお前、俺のボラギノール知らね?ドンキで買った座薬タイプのヤツ落としちまってさ」

あやめ「…………」イラッ

347: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/14(月) 00:24:00.00 ID:FcSc8B2AO
---

全蔵「…………」

あやめ「あなたたちは先に行きなさい……ここは私たちが食い止めるわ」

新八「尻にクナイが五本も刺さってる人がいるんですけど、あの人から流れる血は食い止めなくていいんですか」

あやめ「大丈夫よ、問題ないわ」

新八「問題しかないだろォォォ!!なんで敵と乱戦になる直前で戦力減らしてんですか!?」

あやめ「減らしてないわ、むしろ全蔵が突破口を開くきっかけよ」

新八「いや動けるわけないですよ!○○に刃物刺さってんですよ!?一番刺しちゃいけないものですよ!」

348: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/14(月) 00:31:47.79 ID:FcSc8B2AO
全蔵「そ、そいつの言うとおりだ……ケツに刃物刺さってる状態で動けるわけ……」ブシュ!!

新八「全蔵さん!?○○が完全にスプラッシュマウンテンになってますけど!」

あやめ「じゃ、あとは任せたわ」

神楽「おう、任せるネ」

全蔵「え、ちょ……なに?何で俺の足つかんでんの?」

全蔵の足を固く握りしめ、神楽は大きく深呼吸をする。

一瞬の静寂の後

神楽「ふんぬおらあああああぁぁぁぁ!!」ブンッ!!

全蔵「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!?」

『全力で』投げ飛ばされた全蔵は

春雨兵「なっ!?」

正面にいた多くの春雨兵たちを蹴散らした。

349: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/14(月) 00:43:33.50 ID:FcSc8B2AO
桂「よし!突破口は開けた!行くぞ!!」

新八「いやいいんですか!?本当にこんな方法で突破できちゃっていいんですか!?」

桂「状況が状況だ、手段を選んでいる場合ではないぞ」

新八「何か納得いかないんですけど」

神楽「ぼさっとしてないで走るアル!新八!」

新八「わ、分かった!」

妙「新ちゃん!」

新八「姉上……!」

妙「……気をつけて」

新八「…………はい!」

350: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/14(月) 00:53:16.36 ID:FcSc8B2AO
桂派攘夷志士「桂さんたちが奥へ行くまで何としても突破口を守り抜け!」

「「「オオッ!!」」」

桂「お前たち……すまぬっ!」

神楽「急ぐアル新八!」

新八「すぐに行くよ!」

妙「新ちゃん……」

新八「大丈夫ですよ姉上、僕は侍で…それに…姉上の弟なんですから!」

妙「!」

新八「……いってきます!」ダッ

356: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/21(月) 23:30:08.58 ID:D5Y6tOFAO
九兵衛「……さて、ここからが本当の戦いだな」

月詠「ここだけでなく、内部にもまだ敵は多くいる……あやつら三人だけでは突破するのは厳しいじゃろうな」

あやめ「私たちも追いかけるわよ、ここにいる連中を踏み越えてね」

春雨兵「馬鹿共が……地球人の女が俺たちを相手に勝てるとでも思ってるのか」

妙「あら……あなた達こそ何も分かってないんですね」

春雨兵「…………?」

妙「この街を、かぶき町を敵に回すことの意味を」

春雨兵「!」

妙の言葉が終わったと同時……両軍の戦いの火蓋が切って落とされる。

それはまごうことなき戦争、命を賭した戦いだった。

357: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/21(月) 23:35:32.23 ID:D5Y6tOFAO
---
ターミナル内

桂「よし、敵陣への侵入は成功した……このまま奥へ進み、敵大将の首を狙うぞ」

神楽「…………」

新八「神楽ちゃん、どうかした?」

神楽「……ここで別れるアル、ヅラと新八は先に行くネ」

新八「な、何言ってるの神楽ちゃん!ここでバラバラになるなんて危険過ぎるよ!」

神楽「来るアル……アイツが」

新八「アイツ……?」

「そうそう、一人になるなんて馬鹿な考えは止めるべきだね……でないと」

暗がりから聞こえてきた声、三人が出くわした最悪の待ち人。

神威「怖いお兄さんに連れて行かれちゃうかもしれないよ?」

358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/21(月) 23:45:23.27 ID:D5Y6tOFAO
桂「っ!」

神威「フフ、俺を確認するや即座に刀を手に取るとは……なかなかの判断だね」

新八「あ、アイツは!」

神威「君も吉原で見かけたね、どう?少しは成長したかい?」

桂「…………」

桂(ただの天人ではない……あの傘は……)

桂「貴様……夜兎族か」

神威「御名答、やっぱり地球にも俺たちの名は届いているらしいね」

359: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/21(月) 23:52:47.21 ID:D5Y6tOFAO
桂「…………」

歴戦の侍である桂は神威の実力を刀を交える前から見抜いていた。

強い---今までも多くの天人と戦った桂とて、これほどの相手と戦ったことはないだろう。

一瞬でも隙を見せれば即座に命を打ち砕かれる……それほどの相手だった。

神威「頑張ってよお侍さん、こんな俺でも春雨の提督をやってるんだ」

桂「!」

神威「つまりは俺が春雨軍の頭、俺を倒せれば君たちの勝ち……ってことになるのかな?」

新八「提督……か、桂さん!」

桂「落ち着くんだ、奴の言葉が真実である保証などどこにもない……だが」

桂「少なくとも、奴を倒さねば先へ進めないことは確かだ」

無意識に刀を握る手に力が込められる。桂は呼吸を整え、仕掛けるタイミングを図っていた。

360: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/21(月) 23:58:42.22 ID:D5Y6tOFAO
神楽「オイ、勝手に話進めてんじゃねーヨ」

新八「…………?」

神楽「さっきも言ったアル、私と別れてお前らは先へ進むアル」

それは、自らの身を挺してでも二人を先に進ませようという堅い覚悟。

桂「リーダー……まさか!」

神楽「コイツは……この馬鹿兄貴は私が相手するアル!」

361: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/22(火) 00:00:12.18 ID:mUfkVStAO
神威「こいつは驚いた、一人で俺を止めるつもりかい?」

神楽「調子に乗んなコルァ、お前のその腐った根性叩き直すくらい私一人で十分アル」

桂「危険だリーダー、やつの強さは……」

神楽「モタモタしてる暇があるならさっさと行くネ!!」

新八「…………」

新八「……行きますよ、桂さん!」

桂「!」

新八「神楽ちゃんなら大丈夫です、僕たちが信じなきゃ……ダメですよ」

桂「新八くん……」

新八「……先に行くね、神楽ちゃん」

神楽「おう、私もすぐ追い付くネ!」

362: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/22(火) 00:01:47.04 ID:mUfkVStAO
神威「そう簡単に行かないでよ、つれないな」

神威は走り抜けようとする二人に対し速攻の攻撃を仕掛ける。

しかし

神楽「お前の相手は私アル!!」

その一撃を神楽は己の傘で受け止めていた。

桂「……!」

新八と桂は止まることなく走りつづけ、そして最後まで振り向くことをしなかった。

後にまた神楽と合流することを信じて。

363: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/11/22(火) 00:13:41.45 ID:mUfkVStAO
そして---同時刻

---
病院

医師「まさか……これはどういう……」

間違いなくその患者は重態だった。数え切れないほどの大傷に大量の出血。

仮に意識が戻ろうとも動くことなど到底できるはずもない。

彼は病院のベッドの上にいなければならない、いなくなることなど有り得なかった。

医師「ならば……彼は一体どこへ行った!?」

病院のベッドの上、いるはずだった侍……坂田銀時の姿はなくなっていた。


---片割れに置かれてあった木刀と共に。

370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/02(金) 02:45:06.26 ID:D7H2e2LAO
---
ターミナル前

九兵衛「はっ!」

春雨兵「地球人の割には出来るな……だが」

九兵衛「!」

守りに徹していた春雨兵が一転して攻撃に転ずる、狂いなく急所を狙った一撃をかろうじて九兵衛は防いだ。

九兵衛「くっ………」

形勢は明らかだった、春雨軍がかぶき町勢を圧している。

数で負けているだけではなく、敵は最強の宇宙海賊春雨の精鋭であることも大きかった。

妙「強いわね……」

月詠「ああ、このままではわっちらが押しつぶされるぞ」

九兵衛「……使うしかないようだ」

372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/02(金) 02:46:49.17 ID:D7H2e2LAO
春雨兵「今更なにをしようがお前たちと俺たちじゃ戦力差が違う」

妙「……結野アナ、一発目はお願いしますね」

結野「分かりました」

春雨兵「…………?」

春雨兵(あの自信は何だ?一体何を……!)

結野「血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ、蒼火の壁に双蓮を刻む、大火の淵を遠天にて待つ」

春雨兵「は?」

結野「破道の七十三、『双連蒼火墜』!」

春雨兵「何でだァァァァァ!?」

373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/02(金) 02:48:04.33 ID:D7H2e2LAO
晴明「オイ撮影班!今のクリステルの鬼道、ちゃんと録画したか!」

「はい!498万画素、光学15倍ズーム、光学式手ブレ補正を備えたカメラでしっかりと!」

晴明「うむ、さすがはキャノン製……よし、一挙手一投足を録画だ!もちろん最高画質でな!」

道満「フン、愚かだな晴明よ…画質がよくとも長時間録れぬようでは何の意味もない!」

道満「我らが使用するソニーの力を思い知るがいい!」

晴明「キャノンの力を見くびるな道満!画質では我らが遥かに上じゃ!」

道満「ソニーとて高画質、それでいて連続録画時間においてはキャノンの上よ!」

374: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/02(金) 02:49:47.02 ID:D7H2e2LAO
外道丸「二人とも何やってるでござんすか」

晴明「外道丸!道満にキャノンの素晴らしさを示してやれ!」

道満「外道丸よ!仕える主が誤った道を行く時に諫めるもまたお前の役目だ!」

道満「晴明にソニーがいかに優れているかを語ってやるがいい!」

外道丸「お二人は等しく馬鹿でござんす」

375: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/02(金) 02:57:06.19 ID:D7H2e2LAO
春雨兵A「な、なんだ……なぜ地球人があんな技を使える!」

九兵衛「本気を出すと言っただろう……『舞え、袖白雪』」

春雨兵A「こ、凍ったァァァ!?」

妙「フフ、みんな乗ってきたわね……」

春雨兵B「き、貴様はあんなおかしな技は使えまい!」

妙「あなたがそう思うんならそうなんでしょうね、試してみたらどうですか?」

春雨兵B「舐めやがって……!」

怒り狂った春雨兵が妙に掴みかかろうとする、体格差で考えれば妙に勝ち目はない。

だが

妙「はっ!」

春雨兵B「ぐあっ!?」

そこあったのは地に伏す春雨兵の姿……彼女の使った技は

春雨兵A「い、今のは……空気投げ!?」

376: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/02(金) 03:18:53.64 ID:D7H2e2LAO
春雨兵「油断したな!」

妙「!」

春雨兵「後ろを取った!もはや逃れられ…………!」バタッ

妙「なっ……いきなり倒れ……?」

土方「……女相手に得物使って後ろから不意打ち仕掛けるなんざ男のやり口じゃねェよ」

妙「土方さん!」

土方「俺は一人でここへは今来たばかりだ、状況を説明しろ!」

妙「えーとですね、今の九ちゃんがブリーチのルキ……」

土方「誰がそんなモンを説明しろっつったァァァ!?こっちは状況を教えろって言ってんだよ!」

妙「冗談ですよ」

土方「斬り合いの最中で冗談言えるテメーもどうかしてやがるな」

妙「嫌ですねパーリ……土方さん、そんな言い方ないじゃないですか」

土方「オイ、今お前パーリィさんって言おうとしたろ」

377: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/02(金) 03:33:48.13 ID:D7H2e2LAO
土方「……なるほど、この包囲網を抜けられたのは桂とガキ二人だけってことか」

妙「私たちも加勢にいきたいんですけど……」

土方「こんだけ混戦してたら先へ進むのも一苦労だな……チッ」

妙「どうするんですか?」

土方「どうもこうもねェ、俺はここで真正面から突っ切る」

妙「ひ、一人でですか!?」

土方「ああ……とりあえずは誰かが斬りこまなきゃならねーんだ」

土方「裏からの不意打ちも何もねェ……俺は真っ直ぐに斬り込むぜ」

妙「……さすがですね、ゾロ」

土方「誰がゾロだ!もうこれ以上世界観をブッ壊すような発言は控えろ!!」

384: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 00:23:48.97 ID:e+JImusAO
妙「でもさすがにコレを正面から進むのは無理じゃないですか?」

土方「話聞いてなかったのか、無理でも行くしかねーんだよ」

妙「……なら、ここはフォーメーションBで行きましょう」ガシッ

土方「何でお前俺の服を掴ん……」

妙「猿飛さん」

あやめ「いつでもいいわよ」

土方「…………?」

妙「真っ直ぐ行って突破できないなら……『翔』べばいいんです」

土方「…………」

385: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 00:28:43.70 ID:e+JImusAO
土方「ちょっと待てオイ……まさかテメーら……」

あやめ「とりあえず、全蔵よりは気を使って投げてあげるから」

土方「何が気を使うだ!そもそも『投げる』って行為自体が既におかしいだろ!!」

妙「だから多分大丈夫です、土方さんならやれますよ、もしかしたら」

土方「オイィィィィィ!!『多分』と『もしかして』が重なるってもう失敗するみたいなモンだろうが!」

あやめ「……めんどくさいわね、もう投げちゃっていいんじゃない?」

妙「そうね、じゃあ土方さん……新ちゃんたちのこと、よろしくお願いしますね」

386: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 00:37:33.54 ID:e+JImusAO
土方「ちょ……待っ……」
あやめ「さあ、行くわよ!!」

土方がさらに言葉を挟もうとするも二人は既に動いていた。

数分の狂いもないタイミング、力加減、意志の疎通により放たれた……その技は

妙「デビルレーザーバレット!!」

妙・あやめ「「YAーーーHAーーー!!」」ブンッ!!

土方「うおおおおぉぉぉっ!?」

二人の乙女に全力で投げられた土方は一直線に、混沌とする戦場を軽々と『翔』び越えた。

それはこの上なく美しい、まさに飛翔だった。

387: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 00:43:26.74 ID:e+JImusAO
土方「く、くそ……あのゴリラ女ども、とんでもねーことしてくれやがって……!」

春雨兵「ひ、一人戦場を抜け……いや、飛び越えたぞ!」

長谷川「おっと待ちな、テメーの相手はアイツらだ!」

月詠「威勢良く敵を呼び止めておきながら何故わっちらに丸投げする!?ぬしも戦わんか!」

長谷川「い、いやぁ……俺はこういう時は基本時間稼ぎだし……」

388: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 00:52:34.69 ID:e+JImusAO
春雨兵「どけ貴様!」

長谷川「ふおあああっ!?」

マダオは不意に放たれた春雨兵の攻撃を間一髪で回避する。

無職ながらも常にしぶとく生き残ってきた彼の危機回避能力は評価すべきものがある。

だが

長谷川「あー!グラサンが外れ……」

慌てて身をかわした際、彼の象徴……いや、むしろ彼自身と言っても過言ではないサングラスを落としてしまう。

そしてそのサングラスは

春雨兵「そんなにこの汚いサングラスが大切か、フン」パキッ

躊躇なく敵に踏み砕かれた。

長谷川「お、俺のグラサンがァァァァァ!?」

389: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 00:57:03.67 ID:e+JImusAO
妙「そ、そんな……長谷川さんが死ん……!?」

長谷川「え?」

あやめ「なんてこと……遂に仲間から犠牲者が出るなんて……!」

月詠「あ奴の犠牲を無駄には出来ぬ……わっちらは戦うのみじゃ!」

妙「長谷川さん……ちゃんと破片の一つも残さず集めてお墓を作りますからね……」

長谷川「いや長谷川さんこっちィィィィィ!!俺っていう存在をちゃんと認識してくれない!?」

390: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 01:03:40.82 ID:e+JImusAO
九兵衛「しかし……サングラスがない君に一体何が残るというのだろうか」

九兵衛「さながら、福神漬けのないカレーと同じようなものだろう?」

長谷川「さらっと何とんでもねーこと言ってんの!?それに福神漬けがなかったらラッキョウがあんだろう!」

九兵衛「ラッキョウ?君はラッキョウに値する何かを持っているのか?福神漬けのグラサンに代わる何かを」

長谷川「そりゃ…まあねーけど……」

九兵衛「……仕方ない、僕が予備で持っているコレを貸そう、少しは足しになるかもしれない」

長谷川「こいつは……」

391: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 01:07:34.37 ID:e+JImusAO
春雨兵「何をごちゃごちゃとやってやがる、このヘタレ男が!」

長谷川「あぁ?」

春雨兵「……え?」

長谷川「何だテメェ、俺と殺り合うってのか……いいぜ、面白え!!」

春雨兵「…………え?」

長谷川「少しは愉しませてくれよ、頼むぜ宇宙海賊」

春雨兵「あれェェェ!?違うよね!これ絶対さっきの奴と違うよね!?」

九兵衛「すまない、眼帯を着けさせてみたら何故かこんな性格になってしまってな」

392: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) 2011/12/07(水) 01:14:34.91 ID:e+JImusAO
長谷川「いくぜオラァ!!」

春雨兵「ぐおわっ!!」

長谷川「…………」

長谷川「チッ……一撃で終まいか、つまんねェ……もっと強い奴はいねぇのか!」

月詠「こっちの混戦地帯には手強い春雨兵が大勢いる!手を貸せ!」

長谷川「はっはぁ!いいぜ、最高だ!愉しい祭りになってきやがったぜ!!なぁ!!」

九兵衛(もしや…僕はとんでもないことをしてしまったのでは……)


土方「…………」

土方「……よく分からねーが、アイツらが場を持たせてる間に俺はとっとと先へ行かねーとな」

404: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/16(金) 03:17:43.42 ID:NpcZ62MAO
---
ターミナル内


新八「…………」

桂「リーダーのことが心配か?」

新八「……神楽ちゃんだけじゃないです、姉上やさっちゃんさん、九兵衛さんに月詠さんも…」

新八「かぶき町の仲間が……今まさに傷ついているかもしれないと思うと……」

桂「俺と新八くんに出来ることは一つ……敵を統率する大将を討つことだ」

新八「…………」

新八(そうだ……僕たちがやるしかないんだ)

桂「最も……そう簡単に奥へ進めはしないようだがな」

新八「!」

それはターミナル内の開けた所、二人を待ち受けていたのは大量の春雨兵だった。

405: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/16(金) 03:31:10.99 ID:NpcZ62MAO
春雨兵「あわよくば俺たちの頭を倒そうと潜入してきたところを悪いが……お前たちはここでゲームオーバーだ」

桂「…………」

新八「ま、待ち伏せ……それもこれだけ数が……」

桂「数だけでなく……実力的に考えても奴らは春雨の精鋭部隊だろう」

新八「精鋭って……マズいですよ桂さん、僕たち二人だけじゃ!」

桂「…………」

桂(新八くんだけを先に行かせるか……だが俺一人で突破口を開けるか……)

桂「……どちらにしろ、戦うしかなさそうだな」

新八「桂さん……」

406: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/16(金) 03:40:16.38 ID:NpcZ62MAO
桂「すまないな新八くん……これだけの数が相手では君を守りきることは出来ないかもしれん」

新八「…………」

新八「……守られるだけじゃないです」

桂「…………?」

新八「一人の侍として……僕も桂さんを守ります!」

桂「!」

桂(……俺としたことが、彼を子供と思い軽んじていたらしい)

桂(新八くんはもう守られる側の人間じゃない……守るために戦える侍だ)

桂「……背中は任せたぞ」

新八「はい!」

『攘夷志士』桂小太郎、『侍』志村新八は刀を鞘から抜き放ち……

圧倒的数の春雨兵へ斬り込んでいった。

407: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/16(金) 03:49:29.65 ID:NpcZ62MAO
桂「うおおおおおっ!!」

新八「らあああああっ!!」

春雨兵「な、何だ……正気か!?」

春雨兵にすれば信じられない二人の行為、この戦力差を見て勝てないと分かっているはずだ。

仮に自らが逆の立場ならここは迷わず降伏するだろう、そして目の前の二人もそうすると思っていた。

だが、二人は戦うことを選択した。降伏して武士の誇りを捨てるより戦うことを選んだ。

そして……この二人はこの軍勢を相手に本気で勝つつもりなのだ。

春雨兵A「二人だろうと構うな!殺せ!」

408: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/16(金) 03:56:34.60 ID:NpcZ62MAO
桂「くっ……」

序盤は敵が混乱していたおかげで立ち回ることが出来た、だが……

今は既に敵は戦闘態勢に入っている、当然……容易に戦うことなど出来はしない。

新八「ぐっ……つああっ!」

新八は押されつつも必死で戦いを続ける、ここで弱気になっては負けると直感で感じ取ったからだった。

だが、その攻めの姿勢が一瞬の隙を生み出す。

桂「後ろだ新八くん!」

新八「!」

完全に背後を取られていた、気がついた時点では遅過ぎる。

この春雨兵の攻撃を避けることなど不可能だった。

409: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/16(金) 04:05:48.50 ID:NpcZ62MAO
その時、不思議なことが起こった。

春雨兵A「ぐああああっ!?」

新八「…………え?」

突如、新八に攻撃を仕掛けようとした春雨兵が吹き飛ばされる。

桂が何かしたわけではない、ましてや新八に何か出来たはずもない。

誰かが助けてくれたのだ。

新八「ま、まさか……」

今の春雨兵は吹き飛ばされた……殴り飛ばされたのだ。

新八は屈強な春雨兵を殴り飛ばせるような人間はそう知らない。

だが彼の近くには一人いた……木刀を持つその侍が敵を殴り飛ばす場面を新八は何度も見ていた。

間違いない---新八は確信した。そしてその名前を口にする。

新八「ぎ、銀さ……」



屁怒絽「皆さん、お怪我は?」

新八「ってアンタかァァァァァ!!」

418: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/25(日) 03:39:20.79 ID:B4Hax4YAO
とある一コマ


銀時「ったくよー、クリスマスだとかなんだとかごちゃごちゃ言ってて鬱陶しいったらありゃしねーな」

銀時「いやいいよ?男と女がいちゃついてようが腰振ってようが銀さん気にしないからね」

新八「……銀さん、諦めましょうって…強がっても虚しくなるだけですよ」

銀時「いーや全然、強がってないよ?だって俺んとこにはサンタ来るし」

新八「来ねーよォォォォ!むしろアンタはサンタになって子供を喜ばせてやる側でしょうが!」

銀時「いやだって俺ァちゃんと少年ジャンプ買ってるし?ちゃんと少年の魂は大切に持ってるし?」

銀時「ならもうサンタが来てくれたっていいだろ、少年に夢を与えるのがアイツの仕事だろうよ」

新八「……ちなみに銀さんの欲しいものって何ですか?」

銀時「アレだよ、金とか金とか……金とかよ」

新八「それのどこに少年魂があるんだァァァァ!」

421: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 21:11:30.96 ID:FUiF/JDAO
新八「ちょっと待ってェェェ!流れ的にここは銀さんが来る場面なんじゃないんですか!?」

新八「いや、確かに屁怒絽さんお隣だけども!僕らの近くにいたけども!」

屁怒絽「ははは、お互い裸で過ごした仲じゃないですか」

新八「ちょっとォォォォ!誤解を招くような言い方しないでくださいよ!」

新八「ていうか屁怒絽さん、ターミナルは敵で囲まれてたのにどうやってここまで来たんですか!?」

屁怒絽「え?あの人たちは敵だったんですか?僕がターミナル内の道順を尋ねたら丁寧に教えてくれたんですが」

新八(それって……敵が屁怒絽さんを味方と間違えただけじゃね?)

新八(つーか屁怒絽さん、周りで斬り合いやってるのになんで呑気に道順とか聞いてんですか)

422: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 21:20:52.98 ID:FUiF/JDAO
桂「こ、こやつはまさか……!」

新八「!!」

新八(か、桂さんは屁怒絽のことを知らないんだった!まさか敵と勘違いしたり……)

桂「やはり……間違いない!」ダッ

新八「ち、違いますよ桂さん!その人は敵じゃなくて……」


桂「あの、アクション仮面の方……ですよね?」

屁怒絽「え?」

新八「…………」

423: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 21:29:08.88 ID:FUiF/JDAO
桂「あの、サインとか貰っていいですか?『桂くんへ』とか書いてくれたら凄く嬉しいんですけど……」

屁怒絽「は、はぁ……別に構いませんが」

桂「本当にいいんですか!ありがとうございます!僕、ずっとファンだったんです!」

桂「やった!俺はやったぞ新八く……ふぼあっ!」

新八「やったって何だァァァァ!」ゲシッゲシッ!!

桂「ちょ、痛っ!痛いからホントに!落ち着こう新八くん、ほら!周りは敵で囲まれているぞ?」

新八「敵に囲まれている状況でサイン貰ってるアンタに言われたくねーんだよ!」

424: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 21:46:57.47 ID:FUiF/JDAO
屁怒絽「あの……僕、何か悪いことを?」

新八「してません!屁怒絽さんは何も悪くありませんから!」

春雨兵B「何を訳の分からない茶番をしてる!死にさらせェェェ!」

桂・新八「!」

春雨兵の一人が刀を抜いて斬りかかってきたその時、屁怒絽伯爵の目がキラリと光った。

春雨兵B「ぐあああああっ!?」

と同時、その春雨兵は遥か後方へと吹き飛ばされていた。

屁怒絽「ダメじゃないですか、刃物を人に向けるなんて……殺生はいけない」

新八「…………」

425: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 21:55:16.32 ID:FUiF/JDAO
春雨兵C「や、やりやがったぞアイツ!」

春雨兵D「オイ待て!あの角と風貌……夜兎と並ぶ傭兵三大部族の一つ、茶吉尼だぞ!?」

春雨兵C「わかってる!だが俺たちは宇宙海賊春雨の精鋭だ!茶吉尼と言えど一人程度なら……」

新八「へ、屁怒絽さん……」

屁怒絽「どうしたんです?僕のことは気にせず先へ進んでください」

新八「いや、でも一人であの人数を相手にするのは……」

屁怒絽「心配してくれるんですか?ありがとうこざいます、でも大丈夫ですよ」

屁怒絽「一人じゃありませんから」

新八「え?」

426: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 22:16:34.62 ID:FUiF/JDAO
「あ、いたいた!兄さん!」

新八「……兄さん?」

一つの声が辺りに響き渡る、その声に新八は聞き覚えがあった。

屁怒絽二郎「いやーごめんよ兄さん、ターミナルの中で迷っちゃったよ」

三郎「まったく、地球の建物はなかなか分かりにくい構造をしてるからなぁ」

四郎「温泉に難しい風習があったように、地球の人たちは作る建物も自然と複雑にしたがるんだろうね」

五郎「でも、なんとか兄さんと合流出来て良かったよ」

チビ「僕もいるよー!」

父「で?急に呼び出してなんじゃ、何か用でもあったのか?」

新八「…………」

新八(へ、屁怒絽一家が集合したァァァァ!?)

427: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 22:29:01.04 ID:FUiF/JDAO
父「おお屁怒絽!そこにいる彼は地球で出来た友達じゃないか!」

新八「ど、どうも……」

桂「何……友達だと?新八くん、一体いつからアクション仮面と……」

新八「マジで桂さんは黙っててください」

屁怒絽「いや、そこにいる彼らが僕の友達を困らせているんですよ」

春雨兵C「え?」

二郎「ええっ!他人をわざわざ困らせるだなんて随分と酷い人たちですね!」

三郎「しかも武器まで持って……怪我したら大変じゃないですか!」

四朗「まったくだ!こんな心優しい人を傷つけようとするなんて!」

五郎「兄さんのお友達を助けるよ!」

新八(エエェェェェェ!?ちょ、待っ……エエェェェェェ!?)

429: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 22:38:28.97 ID:FUiF/JDAO
父「コラコラ待たんかバカ息子たち、ワシにいい考えがある」

桂「『私にいい考えがある』……まさかあれはコンボイの……!」

新八「桂さん黙ってください」

父「悲しいが、彼らはいたずらに他者を傷つけてはならないことを知らんようじゃ」

父「ならば、ここはワシらが一つ……それをきちんと教えてやらねばいかん!」

春雨兵C「へ?」

屁怒絽「と言うわけです、皆さんはどうか先へ行ってください」

新八「は、はい!ほら、行きますよ桂さん!」ダッ

桂「待ってくれ!コンボイとせめて握手だけでも……」

新八「何言ってんですかアンタはァァァァ!いい加減にしないとはっ倒しますよ!」

桂「こ、コンボイ殿ォォォォォ!」

---

屁怒絽「さて、彼らが先に行ったところで……ではみなさん……ご一緒に」

『殺生はいけない』

430: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 22:47:39.40 ID:FUiF/JDAO
屁怒絽「あ、一つだけ……みなさんに言い忘れていたことがありました」

屁怒絽「メリークリスマス、みなさん」

二郎「メリークリスマス?兄さん、それは一体」

屁怒絽「地球では年の終わり頃にはこういって挨拶をするのが礼儀らしいんだ」

三郎「へぇ、地球はやっぱり面白いなぁ」

春雨兵「…………」

春雨兵C(め、めりー苦しみます)

春雨兵D(戦場のメリークリスマス)

431: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 22:52:46.00 ID:FUiF/JDAO
---

新八「もうかなり奥まで来ましたよ桂さん!」

桂「うむ、ここまでくればもうターミナルの屋上へと向かうのみ……だが」

武市「残念ですが…そうは問屋が下ろしませんよ」

また子「桂ァ!ここから先へは行かせないっス!」

桂「……やはり、な」

新八「…………」

新八「行ってください、桂さん」

桂「新八くん……?」

新八「この二人は……僕が止めます!」

432: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 23:00:01.04 ID:FUiF/JDAO
桂「無謀だ、一人で二人を止めるなど……」

新八「止めます、何としても……こうしてる間にもかぶき町のみんなが戦ってるんですから」

桂「!」

新八「この二人が出て来たってことは敵の大将はすぐそこです、桂さん!早く行ってください!」

桂「…………そうか」

桂「屋上で待っているぞ、新八くん」ダッ

新八「分かってます、必ず追いつきますから……」

433: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 23:13:00.77 ID:FUiF/JDAO
また子「行かせないっスよ!」

走り出した桂に向けて放たれた一発の銃弾、それを

新八「ああああっ!」

新八は刀で弾き飛ばした。

また子「なっ……!」

あり得ない、高速で移動する銃弾に刀を触れさせるなど以前の新八には出来るはずがなかった。

それは毎日に刀を振り続け、万事屋の仲間として数々の実戦を経験した新八の

紛れもない『成長』だった。


新八「天堂無心流恒道館道場が当主……そして万事屋一家、志村新八---参る!!」

子供ではない、『侍』としての決闘が幕を開ける。

434: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/27(火) 23:17:39.34 ID:FUiF/JDAO
そして---ターミナル屋上


桂「…………!」

高杉「……よォ、久方振りじゃねーか…ヅラ」

桂「高杉……!」

443: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 23:01:54.74 ID:/+308KvAO
高杉「クク……どうしたよ、随分と息が上がってるじゃねーか」

桂「ああ……貴様の部下たちに手厚く歓迎されていたのでな」

高杉「フン……」

桂「……高杉、いつまでこんなことを続けるつもりだ」

高杉「…………」

桂「貴様の進む先に未来などない、この世界を壊して何になる……!」

高杉「……なら、俺からテメーに聞いてやらァ」

桂「…………?」

高杉「ヅラ……テメーはなぜこの世界を護ろうとする、なぜ俺の道を阻もうとする?」

444: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 23:13:27.13 ID:/+308KvAO
桂「俺は信じているからだ……この世界が護るに値するものであると」

高杉「国のために戦った侍を浪士として晒し上げ、俺たちの先生すら奪ったこの世界がか?」

桂「……確かに、この国には目を背けたくなるような汚い部分も少なくはない」

桂「だが、国に悪い部分があれば変えればいい……必要なのは破壊ではなかろう」

高杉「同じことよ、デカい改革には大なり小なりの犠牲は付き物だ」

桂「犠牲……か……」

高杉「テメーも以前は過激派として動いていたじゃねーか、なあ?ヅラよ」

高杉「俺ァあの時のテメーのが幾分かマシに見えてたぜ」

桂「…………」

445: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 23:21:31.75 ID:/+308KvAO
桂「確かに……以前は俺も国を建て直すには多少の犠牲を伴う革命もやむなしと思っていた、だが……」

『私の旦那、攘夷志士に殺されたの』

桂「…………」

『関係ない人を傷つけて国を救うもクソもないでしょうよ…綺麗な言葉だけ並べて、好き勝手暴れて……』

『奴らの中に本当に国を憂いている連中が何人いるっていうの?目の前の人も救えないのに…』

桂「目の前の人間も救えず国など救えるはずがない……そう気づかされた」

高杉「…………」

446: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 23:32:30.11 ID:/+308KvAO
桂「この国は貴様が思うほど腐ってはいない……力に訴えなくとも、まだいくらでも変えられる」

桂「ならば……」

高杉「もういい」

桂「…………」

高杉「……どうやら腐ったのは国だけじゃなくテメーもだったらしいな」

桂「なに………?」

高杉「ヅラ……テメーには俺を止めることなんざ出来やしねェ」

高杉「ぬるま湯に浸かったテメーに…師の仇を討とうとすらしねェ腑抜けたテメーにはな」

桂「高杉……!」

高杉「問答は終いとしようじゃねーか……あとは刀で語りな」

447: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 23:53:56.91 ID:/+308KvAO
桂「…………」

分かっていた、この男が言葉で止まるはずなどないことなど。

だが期待していた、まだ互いに並び、歩む道があるのではないかと。

信じていた、共に戦場を駆け抜けた友と分かり合える日が来ることを。

桂「……それも、すべて俺の幻想に過ぎぬというのか」

桂は刀を抜いた、もはや戦うしかない。

高杉「おっと……その前にヅラ、テメーに顔を合わせたい野郎がいるとよ」

桂「…………?」

俺に会いたいだと……?この状況で……?

数々の疑問が浮かぶ、まるで心当たりがない。

それだけに桂はふらりと現れた『奴』を見て驚愕した。

桂「き、貴様……!」

似蔵「いつ以来だろうね、アンタの匂いを嗅ぐのは」

448: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/30(金) 00:06:19.49 ID:RajCdPGAO
桂「人斬り似蔵……なぜ貴様が……!」

似蔵「単なる巡り合わせさ……俺はアンタとはずいぶんと縁があるらしいねェ」

違う、似蔵はあの時死んだはずだ。銀時に敗れ、紅桜を破壊され……

高杉「あの馬鹿の爪が甘かったのが幸いしてな……確かに銀時は紅桜を破壊した」

高杉「だが……本体の似蔵が生きていることには気付かなかったんだとよ」

桂「だが……あれだけ体に負担を掛けて戦った人間が助かるはずも……!」

高杉「クク……確かに地球の医療だけじゃ助からなかったろうよ」

桂「…………!」

高杉「春雨の技術力も馬鹿に出来ねェな、ヅラよ」

449: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/30(金) 00:22:45.81 ID:RajCdPGAO
高杉「似蔵の体に残された紅桜の情報から紅桜そのものを復元しちまうとはよ」

似蔵「それも……より本格的な戦闘用としてね」

似蔵の右腕、そこに人間の手はない。あるのは刀、刀が直接体から生えている。

手がないとは語弊があった、むしろ似蔵にとっては刀が己の手も同然なのだから。

似蔵「じゃあ、始めようかい?楽しい斬り合いを」

桂「!」

一瞬の思考……

数での不利がある以上、受け身になっては間違いなく押し切られる。

この状況で勝ちを見いだすには休まずに攻め続けるしかない。

桂「ウオオオオォォォォ!!」

桂は猛然と二人へ斬り掛かった。

450: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/30(金) 00:35:59.68 ID:RajCdPGAO
??「おまん、一人で二人に突っ込むたァ頭おかしゅうなったか?」

桂「!」

その声は桂の側からでも高杉の側からでもない、上から聞こえてくる声だった。

見上げれば上空に大型の船が浮いている。

見たところ戦艦ではない、むしろ『商い』の船に近いだろう。

その船から一人の男が飛び出し、桂たちが対峙する屋上へ降り立った。

桂は半ば呆れた顔をして

桂「……ターミナルの屋上へ空からやってくるお前には言われたくない」

坂本「あはははは、まったくじゃ」

銀時、高杉と並ぶもう一人の戦友を迎え入れた。

451: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/30(金) 00:47:54.31 ID:RajCdPGAO
高杉「オイオイ……コイツァまた随分と懐かしい顔じゃねーか」

坂本「まっこと久しぶりじゃのう……高杉」

高杉「クク……宇宙で商いをやってたテメーが地に降りて来るとはな、どういう風の吹き回しだ?」

坂本「ちいとばかり地球で糸垂らして釣りをしちょった仲間に会いたくなってのう」

坂本「で、来てみれば……何じゃおまんら、ワシを抜きにしてパーティーしよって」

桂「期待させて悪いが、あいにく今はあまり穏やかではないな……」

高杉「そして……銀時の馬鹿は死んだぜ」

坂本「はははは、おまんは相変わらず冗談を言うのがへったくそじゃのォ」

この場の空気に似合わぬ豪快な笑いを披露し、一呼吸置く。

そして

坂本「銀時は生きとるぜよ」

452: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/30(金) 01:11:27.31 ID:RajCdPGAO
桂「辰馬、まさかお前……銀時と会ったのか?」

坂本「いや、前の蓮蓬軍とのいざこざ以来会っちょらん」

桂「……では、銀時が数日前に深手を負って今も意識が戻らぬことは…」

坂本「ヅラ、商いを舐めたらいかんぜよ…商いっちゅうんは情報が命じゃ」

桂「し、知っていたのか……!」

高杉「クク……銀時が死に体になり、春雨が地球に攻め入ると知り戻ってきたってのか…ご苦労なこった」

桂「…………」

坂本「もう一度言うがの高杉……銀時は生きとる」

別段、辰馬は銀時が生きているとの『確証』を持っているわけではなかった。

銀時の生存をただ単純に『確信』しているのみ…そこには何の根拠もない。

それでも辰馬は笑った、その表情には一辺の畏れも浮かべず……

坂本「あの馬鹿はそれくらいで堕ちる魂じゃないぜよ」

彼は友を信じていた。

453: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/30(金) 01:28:00.37 ID:RajCdPGAO
---
同時刻、某所

「はぁっ……はぁっ……!」

避難命令によって無人となったかぶき町。

そこをただひたすらに走りつづける一人の男の姿があった。

「…………!」

ふと男は立ち止まる、己の進む道の先にとある影が見えたからだった。

「よう……お出迎えってか?」

定春「ワン!」

ワンじゃねーよ、こちとら怪我してんだよ、元気にお返事されっと悲しくなんだろ……

男は笑いながらそんな愚痴を言って定春に乗った。


銀時「待たせちまったな定春よ……久々に大暴れと行こうじゃねーか」

定春「ワン!」

一人の侍を背に乗せ、一匹の獣は戦場へ向かって走り出した。

460: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/30(金) 23:44:48.79 ID:RajCdPGAO
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桂、辰馬、高杉、銀時らかつての攘夷志士たちが動きを見せる一方、真選組も絶えずに戦い続けていた。

沖田「ようなまくら刀、もう少し加減して戦わねーか」

信女「私はただ標的を殺すだけ、力の加減など存在しない」

沖田「テメーは建物も地面も構わず斬り回るからやりにくくて仕方ねェんだよ」

沖田の言葉通り、信女の斬撃はもはや特定の対象を狙っているとは思えないものだった。

近くに誰がいようと、仮にそれが信女の味方であっても彼女は構わずに斬り伏せているだろう。

沖田はこの戦いに真選組の仲間が巻き込まれぬよう、自然と隊から距離を取り戦っていた。

461: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/30(金) 23:59:50.12 ID:RajCdPGAO
沖田「テメーみたいななまくら刀に討たせてやるほど俺の首は安かねーんだよ」

回避に徹していた沖田が一転して攻撃に移る。

一つひとつが正確かつ素早い斬撃だった……が

信女「まだまだ」

沖田「!」

二本の刀を使う信女は手数に物を言わせ、沖田の攻撃を強引に突破してくる。

沖田が今までに刀を交えた敵の中でも一、二を争うほど厄介な相手だった。

沖田「手数じゃ二本相手にゃさすがに適わねェ……なら」

一瞬の隙を付いた、一撃で仕留めるしか方法はない。

462: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 00:10:03.36 ID:WP56KNBAO
信女「隙を伺っても無駄、私はあなたを仕留めるまでは決して攻撃の手を緩めない、隙も見せない」

沖田「…………」

信女「なにも不思議じゃない、あなたは私と似ている……だから思考も読みやすい、ただそれだけのこと」

沖田「ストーカーのお前と一緒にされちゃたまったモンじゃねーや」

信女「ストーカーじゃない、常日頃から付け入る隙を狙っているだけ」

沖田「それを世間一般ではストーカーって言うんだよ、のび太くん」

信女「……あなたは私と同じ、人殺しの目をしてる」

463: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 00:20:51.70 ID:WP56KNBAO
沖田「…………」

信女「他人を斬ることを躊躇しない、命令ならば誰であろうと斬り伏せることが出来る……」

信女「刀で『斬る』ことにしか存在価値を見いだせない……人殺しの目」

沖田「…………」

終始、沖田は信女の話を黙って聞いていた。何を思うか、表情からは何も伺い知ることが出来ない。

その彼の口から発せられたのは

沖田「一つ聞くぜ、テメーは何を思って俺と斬り合いをしてやがる?」

信女「思考なんてない、私はただ標的を抹殺するだけ」

464: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 00:34:27.11 ID:WP56KNBAO
再び信女の連撃が繰り出される。速く、鋭く、そして正確な斬撃を沖田はひたすらに捌き続けるしかない。

これだけ多くの手数を出しているにも関わらず……全ての攻撃は急所を狙っていた。

沖田「っ」

信女の攻撃を受けきった直後、沖田の体勢が崩れ隙が出来る。

信女(殺った……)

当然……即座に攻撃を仕掛ける、もはや信女の勝ちは動かない。

信女「!」


---はずだった。

465: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 00:49:01.43 ID:WP56KNBAO
沖田「『殺った……』とでも思いやがったかコノヤロー」

罠……信女が気付くと同時、即座に体勢を立て直した沖田の刀が振るわれる。

それは信女の顔をかすめ傷を付けるも致命傷には到らなかった。

信女「…………!」

連続で反撃を食らわぬよう一旦は距離を取る、沖田も無理に追撃をかけることはしなかった。

信女「……次はない」

沖田「…………」

沖田「なまくら刀よ、やっぱり俺とテメーは似ても似つかねーな」

信女「?」

沖田「俺とテメーじゃ戦いの信念も目的も何もかもが違うんでィ」

466: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 00:58:15.62 ID:WP56KNBAO
信女「口では違うと言ってもあなたは分かってるはず、あなたは私と同じ人斬りの……」

沖田「俺が人斬りってのは間違っちゃいねーよ」

信女「…………?」

沖田「俺の目はもう汚れちまってる、剣を握り続けたこの両手も血で染まってらァ……ただな」

沖田「汚れちまってる目だからこそ、汚しちゃならねーモンが見える」

沖田「血塗れのこの手だからこそ、血で濡らしちゃならねーモンも守れるんでィ」

信女「守る……?」

沖田「理解出来ねーか、俺の言葉の意味が……なら教えてやらァ」

沖田「なまくら刀を叩き直してな」

467: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 01:15:10.90 ID:WP56KNBAO
沖田「…………」

信女「…………」

一瞬の静寂の後---二人は同時に間合いを詰めた。

沖田「うらあァァ!」

すれ違いざま、沖田が右手で放ったのは斜めに入る斬撃……

信女はそれを両手の刀で受け流して勢いを殺し、そのまま沖田を斬りつける。

防げるはずはない、攻撃に使った刀を引き戻すより先にこちらの攻撃は届くはずだ。

が……沖田はその一撃を防いでみせた。

信女(な、何故……!?)

答えは攻撃を防いだ沖田の左手を見れば明確だった。

『鞘』---!

信女(しまっ……)

思考が終わる前に両腕へ凄まじい衝撃が伝わってきた。

一瞬金属が割れる音が響く……手元に目を移すと己が持っていた両刀は真っ二つに折られていた。


沖田「刀身のねェその刀を抱いて墓場へ行きやがれィ、なまくら女」

468: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 01:26:43.38 ID:WP56KNBAO
信女「…………」

信女(私が……負けた……?)

壊すために刀を振り続けた私が……負けた?守るために振られる刀に?

信女「…………」

認めたくない、だが認めざるをえない……折られた刀が自らの敗北を物語っている。

沖田『鞘ん中で眠りやがれィ、なまくら』

一度目の敗北ではビルを鞘に見立てて墓標とされたが……まさか二度目は本物の鞘が敗因となるとは……

だが……

信女「これも一つの宿命……」

確かに自分は負けた、が…気のせいかいい知れない心地よさも感じる。

自分を破ったのが己と似ているようで真逆の者だったからか……それは分からない。

だが、信女の顔には確かに『微笑』が浮かべられていた。

469: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 01:38:35.40 ID:WP56KNBAO
そんな信女の肩を掴む者が一人。

沖田「よう、なんで勝手に綺麗に終わりましたみてーなオチ着けようとしてるんでィ」

信女「え?」

沖田「俺の勝負はこっからだ、終わらせようったってそうは行かねェ」

信女「え?え?」

沖田「安心しな、テメーは鎖つけて街中散歩させるレベルじゃ済まさねーよ」

信女「え?え?え?」

沖田「テメーが落ちる墓場の名前は……『ソーゴ・ドS・オキタⅢ世』」

沖田「さーて……楽しいパーティーの始まりだなァ」


沖田総悟、またの名をソーゴ・ドS・オキタⅢ世……この男

---まさに外道


次回 銀時「……ヒロインNo.1決定戦?」 後編