1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:14:00 ID:aOXa9axY
男「……」

少女「お母さぁん……ひっく……」

男「あれ絶対迷子だよなぁ……」

少女「うっ……うっ……」

男「声かけてあげるべきかな……?」

男「でも最近、迷子の子を助けても誘拐で訴えられたりするって言うし……」

少女「うえええん……お母さぁん……」

男「ええい、儘よ!」 



2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:21:00 ID:aOXa9axY
少女「ぐすっ……うっ……?」

男「あ、あの、大丈夫? 迷子みたいだけど……?」

少女「うっ……」

男「と、取り敢えず泣き止んで……ほら、飴……」

少女「お母さんが……ぐすっ……」

少女「知らない人に物を……ぐすっ……うえええん……お母さあああん……」

男「あわわわ……!」

男「どうしようどうしよう、凄い泣いてるよ……! 周囲の視線が痛いよ……!」 

3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:25:38 ID:aOXa9axY
男「と、取り敢えず迷子センターに連れて行くべきかな……」

少女「うえええん……ぐすっ……ひっく……」

男「お、お母さんの所に案内してくれる人がいるから、つ、着いてきてくれる?」

少女「知らない……ぐすっ……人に……着いて行っちゃ駄目って……」

男「でも……」

少女「うえええん……お母さぁん……」

男「参ったな……」

男「どうしようかな……」 

4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:29:04 ID:aOXa9axY
従業員「あの、ちょっと宜しいですか……?」

男「え、あ、はい?」

従業員「そのお子様とどういった関係で……?」

男「え? あ、あの、兄妹です……」

少女「うえええん……私お兄ちゃんいないよぉ……ぐすっ……」

男「……」

従業員「……」

従業員「そのお手数ですが、従業員室まで……」 

5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:33:12 ID:aOXa9axY
従業員室――

男「だから……僕は迷子だったからお母さんを探してあげようと……」

警察「ふむ。でも、ここの従業員の人に『兄妹』だって嘘を吐いたんでしょう。」

男「それは……」

警察「そりゃあ、警察も嘘を吐かれたら何かあるんじゃないかって調べるからねぇ。」

男「……」

警察「今、あの子のお母さんに、娘さんの話を聞いて貰ってるからもうちょっと待ってねぇ。」

男「……はい。」 

6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:37:04 ID:aOXa9axY
従業員室――

男「……」

警察「……」

男「……」

警察「……」

男「……」

警察「……」

男「……あの。」 

8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:44:06 ID:aOXa9axY
警察「ん?」

男「……もし、もしですよ? 万が一にでも、誘拐の罪になったら、僕はどうなるんですか?」

警察「どんな理由で誘拐したかにもよるねぇ。」

男「例えば……?」

警察「取り敢えずあの子は未成年だから、未成年者略取および誘拐罪かな?」

男「……」

警察「猥褻な行為を働こうとしたなら営利目的等略取および誘拐罪かな?」

男「……」 

9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:49:28 ID:aOXa9axY
警察「身代金が目当てなら身代金目的略取等の罪かな?」

男「……」

警察「まぁ、未遂だからないとは思うけど最高、無期かなぁ……」

男「そ、そんな。」

男「……僕は誘拐なんてしてません!」

警察「うん、分かってるから。大人しくしてて。暴れたりすると公務執行妨害とか付いちゃうからね。」

男「くっ……」

男「……」 

10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 19:59:20 ID:aOXa9axY
取調室――

警察「――と言う事で、被害者である少女さんの話では。」

警察「「加害者であるあなたが、被害者である少女さんを飴で誘惑し、誘拐しようとした。」」

警察「そう述べていますね。」

男「ちょっ、ちょっと待ってください! 俺はそんな事!」

警察「……しかしねぇ。親さんがそう言ってることにはなんとも。」

男「そ、その被害者の少女の話を聞いてください! 誤解だってわかりますから!」

警察「それはできないねぇ。親さんは少女が心に深い傷を負って今は誰とも話せない、と。」 

11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:03:38 ID:aOXa9axY
男「そんな……嘘だ……」

警察「嘘かどうかを決めるのは君じゃないからねぇ……」

男「そんな……」

警察「それと「いやらしい目付きで、体を舐め回すように見られた。」とも……」

男「……そんなことしてません!」

警察「……」

警察「今、一応現場に居た人の話を聞いてもらってるんだけどねぇ。何も進展はないし、このままだと……」

男「……」 

12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:07:45 ID:aOXa9axY
少女自宅――

少女母「もう、もう迷子になっちゃ駄目よ?」

少女「はーい!」

少女母「ふふっ、今日はお寿司にしましょう。」

少女「お寿司!? やったぁ! でも、お金、大丈夫なの?」

少女母「大丈夫よ……」

少女母「慰謝料があるんですもの……」

少女「いしゃりょー?」 

13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:10:21 ID:aOXa9axY
少女母「ふふっ、少女は気にしなくても良いの。」

少女「はーい。」

少女母「さて、頼んでくるわね。お利口にしてて。」

少女「うん!」

少女「……えへへ、お寿司♪」

少女「そう言えばあのお兄さん、どこ行っちゃったんだろう?」

少女「悪い人だったのかな?」

少女「……飴ちゃん食べたかったな。」 

14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:17:41 ID:aOXa9axY
刑務所――

男「……」

男「……」

男(罪状は未成年略取未遂、営利目的等略取未遂……懲役3年……)

男(長いし、無実の罪だし……)

男(それに人生の立て直しは難しい……)

男(証言してくれる人、もしくは弁護士の人の調査で減刑……)

男(それも厳しいらしい……) 

15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:21:43 ID:aOXa9axY
男(母ちゃんと父ちゃんは泣いてたし……)

男(妹は汚いものを見るかのような目で……)

男(大学は退学……)

男(……)

男(僕の人生は一体何なんだ……)

男(……)

男(それに母ちゃんと父ちゃんは慰謝料の請求までされて……)

男(死のうか……) 

17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:24:50 ID:aOXa9axY
第1審判決

未成年略取未遂、営利目的等略取未遂……懲役3年…… 

18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:25:30 ID:aOXa9axY
第2審判決

変更なし 

20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:26:12 ID:aOXa9axY
第3審判決

変更なし 

25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:34:05 ID:aOXa9axY
判決

○月×日

加害者である男(18)は被害者である少女(8)に略取を働こうとしたものである。
また、加害者は被害者に◯◯な感情を持ち、略取しようとしたものであり、

営利目的等略取未遂、およびに未成年者略取未遂で、
実刑判決を懲役3年と処する。 

27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:37:34 ID:aOXa9axY
面会室――

男「……」

母「……男。」

男「……」

母「……」

男「……ごめんな、母さん! ……ごめんな!」

母「……男。」

男「ごめんな……! ごめん……! 迷惑ばっかりかけて……!」 

28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:39:29 ID:aOXa9axY
母「……」

男「ここを出たら慰謝料のお金は必ず返すから……!」

母「……」

男「ごめん……!」

母「……男。」

男「でも、僕は本当に……」

警察「面会終了だ。戻るぞ。」

男「母さん……僕はやってないんだ……」 

31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:43:01 ID:aOXa9axY
刑務所――

男「……」

男「……ごめんな、母さん。」

男「……」

男「……出来の悪い息子でさ。」

男「……」

男「……正しくないって分かってるけど、もう無理なんだ。」

男「……」

男「……さよなら。」 

33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/03/17(土) 20:46:33 ID:aOXa9axY

男(19)自殺

頸部圧迫による呼吸、脳血流の阻害による脳死。


Bad End