1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:12:10.37 ID:QZI3LDol0
引用元: ・マミ「もう何も怖く……」ほむら「勇気とは怖さを知ること!」
巴マミの平凡な日常 (5) (まんがタイムKR フォワードコミックス)
posted with amazlet at 18.06.14
原案:Magica Quartet 漫画:あらたまい
芳文社 (2018-05-11)
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:13:03.10 ID:QZI3LDol0
――だがそれはかつての話だ。
現代の物理学ではまったくなにもない「無」=「絶対真空」の中で、「素粒子」という超とてつもなく小さい粒子が突然発生する事が証明されている。
そしてその「素粒子」はエネルギーに変身、化ける事ができる。
エネルギーになって突然発生したり、突然消えたりするそうなのだ。
「引力」とか「重力」もこれらが原因らしい。
つまり「無」から「有」が生まれ、「無」は「可能性」の事だというのだ。
この「素粒子」は宇宙の彼方の理論や話ではなく、この地球上の日常でも満ちあふれるように行われている出来事だ。
以上の事を前置きとして
この奇妙な冒険は、一人の少女が本来出会う「可能性」が「無」である男と出会ってしまったことから始まる――。
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:13:49.18 ID:QZI3LDol0
――病院
「………………」
「今……何回目だっけ……」
「……また、だ……またダメだった……」
我々はこの少女を知っている! いや! この赤ぶち眼鏡と、この黒いおさげを知っている!
ほむら「まさか……あんな事になるなんて」
ほむら「魔女になった美樹さんに止めようとした鹿目さんが殺されて、佐倉さんが美樹さんと心中。巴さんは私も死んだと勘違いし孤独になったと絶望し自害した……」
ほむら「全員死んだ。……最悪だった」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:15:07.69 ID:QZI3LDol0
ほむら「……今回、どうすればいいかな……」
ほむら「もう誰にも頼らないだとか、いざというときは誰かを切り捨てるだとか……そういう覚悟というか残酷さというか、必要なのかな……」
ほむら「私は臆病だから……それができない。その差で食いつぶされたチャンスもある」
ほむら「…………」
ほむら「今回でもダメだったら、心のあり方だけででも、考え直そう。誰かを切り捨てられるような。甘さを捨てるような」
ほむら「もしそうなるなら……イメチェンから始めようかな」
ほむら「鏡を見る度に臆病な自分を思い出すから……眼鏡を取って、おさげも解いて……タイツ履いてみようかな。いつもニーソだし」
ほむら「何とか今回の時間軸中に覚悟を決めて、次に活か――」
ほむら「……ダメ。もしもでも先の時間軸のこと考えちゃ……」
ほむら「もう誰にも頼らないだとか、いざというときは誰かを切り捨てるだとか……そういう覚悟というか残酷さというか、必要なのかな……」
ほむら「私は臆病だから……それができない。その差で食いつぶされたチャンスもある」
ほむら「…………」
ほむら「今回でもダメだったら、心のあり方だけででも、考え直そう。誰かを切り捨てられるような。甘さを捨てるような」
ほむら「もしそうなるなら……イメチェンから始めようかな」
ほむら「鏡を見る度に臆病な自分を思い出すから……眼鏡を取って、おさげも解いて……タイツ履いてみようかな。いつもニーソだし」
ほむら「何とか今回の時間軸中に覚悟を決めて、次に活か――」
ほむら「……ダメ。もしもでも先の時間軸のこと考えちゃ……」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:15:50.66 ID:QZI3LDol0
ほむら「…………考えて。暁美ほむら」
ほむら「前回は魔女になった美樹さんによって、戦わなければならなくなったから鹿目さんが犠牲になった」
ほむら「だから鹿目さんと美樹さんを魔法少女にしないという方針で考えると……」
ほむら「鹿目さんは転校する前に予め何とかすれば、取りあえずは契約を先伸ばしにできる」
ほむら「美樹さんは……今のところ魔法少女のことを知ったら必ず契約する。そして……魔女に……」
ほむら「………………どうしよう」
ほむら「どうすればいいの……? 何もわかんないよ……」
ほむら「前回は魔女になった美樹さんによって、戦わなければならなくなったから鹿目さんが犠牲になった」
ほむら「だから鹿目さんと美樹さんを魔法少女にしないという方針で考えると……」
ほむら「鹿目さんは転校する前に予め何とかすれば、取りあえずは契約を先伸ばしにできる」
ほむら「美樹さんは……今のところ魔法少女のことを知ったら必ず契約する。そして……魔女に……」
ほむら「………………どうしよう」
ほむら「どうすればいいの……? 何もわかんないよ……」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:16:20.04 ID:QZI3LDol0
ほむら「本当に私なんかが鹿目さんを守れるのかな……グスッ」
ほむら「……全部、私のせい。私には課題がある」
ほむら「強くなりたい。あまりに弱すぎる」
ほむら「前の時間軸も、その前もそうだった。私は力不足。足手まとい。だから救えなかった」
ほむら「これまでの時間軸で魔法の使い方、戦い方はあらかた学習したつもりでいる」
ほむら「鈍器と爆弾と時を止める能力。これが今の私の戦力。これだけじゃ足りないんだ」
ほむら「何か新しい『武器』が欲しい。新しい『力』が欲しい」
ほむら「…………」
ほむら「新しい『力』か……」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:17:01.71 ID:QZI3LDol0
ほむら「やっぱり爆弾なんかじゃなく、魔法少女らしく魔法を使うべきなのかな……」
ほむら「魔法……今更だけど魔法って何だろう」
ほむら「名前にあやかって炎でも操る? 飛び回るビルを念力みたいな力で投げつける? ……そんなことしてもワルプルギスを倒せるとはとても思えない」
ほむら「ワルプルギスを地球の外に放りだして二度と戻れないように軌道に乗せて地球から追放してしまいたい」
ほむら「……私、何言ってるの? そんなわけのわからないことを……」
ほむら「アハハ……思わず自分で自分を笑っちゃう」
ほむら(新しい『力』かぁ……そううまくいかないな……)
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:17:46.99 ID:QZI3LDol0
ほむら「……そういえば警官の人の銃が盗まれたってニュースがあったっけ」
ほむら「銃、かぁ……。私の魔力は弱いから銃を作っても無駄としても……兵器を使うこと自体はいいかもしれない」
ほむら「でも銃火器までは自作はできない……どうせ魔法がだめなら……」
ほむら「…………盗む」
ほむら「…………」
ほむら「……そ、それはダメ! 盗むだなんて!」
ほむら「鹿目さんに、みんなに知られたらケーベツされちゃう……鹿目さんに嫌われたりなんかすれば……私が魔女になりかねない」
ほむら「でも、それくらいやってのけるくらいの覚悟を決めないと救えないのかな……?」
ほむら「うぅ……嫌われたくなんかない……どうすればいいかな。鹿目さん……クスン」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:18:40.11 ID:QZI3LDol0
――帰路
ほむら(私はこの時間軸で何をすればいいのだろう)
ほむら(どうせするなら、何か……前の時間軸でやらなかったことをやるべきだ。バタフライエフェクトみたいに、何がどう影響するかわからないから)
ほむら(転校前に誰かしらに会うというのはどうだろう。巴さんと接触してみるとか、むしろ鹿目さんに会ってみるとか……)
ほむら(美樹さんは……会っても何を話せばいいのかわからないし、佐倉さんはどこにいるかがわからないから会うに会えないけど……)
ほむら(そういうこと、試してみる価値はある)
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:19:06.51 ID:QZI3LDol0
ほむら(…………)
ほむら(とか何とかあれこれ考えていながら……結局タイミングを逃すんだよなぁ……私っていつもそう)
ほむら(爆弾の材料の補充でもうこんな時間……。もう夜分遅いから、誰かと接触というには迷惑がかかちゃう)
ほむら(新しい爆弾は明日の夜にでも作るとして……帰って学校に備えよ……)
ほむら「――ハッ!」ピキーン
ほむら「ま、魔女だ……! こんなところで……?!」
ほむら「と、とにかく行かなくちゃ……」タッ
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:20:31.15 ID:QZI3LDol0
――結界
ほむら「……初めてだ。こんな結界……どうしよう。不安だなぁ……」
ほむら「……ん、人の気配……? 既に誰かいる? もしかして巴さんとか……だとしたら嬉しいけど……」
使い魔「――」
ほむら「あ、使い魔だ……ん? あの人は……?」
「な、なんだこいつは……!」
ほむら「あの男の人……結界に巻き込まれたのかな……とにかく、助けなきゃ!」
ほむら「でも、爆弾はダメだ……この距離だと爆風に巻き込んでしまう」
ほむら(ならば鈍器しかないッ! 時間停止ッ!)
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:21:26.28 ID:QZI3LDol0
カチッ
ほむら「ええい!」タッ
ボコッ
ほむら「やあ! たあ!」
ボコスカ
ほむら「うにゃあ!」
ドコンッ
ほむら「おらーっ!」
メメタァ
ほむら(ふー……時は動き出す)
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:23:24.26 ID:QZI3LDol0
ドォ―z_ン
使い魔「――!」
ほむら「…………」
男「な!? なんだ君はッ!? いつの間にッ!」
ほむら(くっ……あんまり効いてない!)
使い魔「――!」グォッ
ほむら「あ! しまっ――」
バシィッ
男「!」
ほむら「あぐっ!」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:24:11.37 ID:QZI3LDol0
ドヒュ――ゥン ドサァッ
ほむら(つ、強い……! 結構飛ばされた……)フラッ
使い魔「……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ほむら(でも……これで標的が私に移った……!)
ほむら(ダメージは魔法で何とかするとして……まずはこの人を避難させないと……!)
男「大丈夫かッ!? 君ッ!」
ほむら「に、逃げてッ!」
男「な……!」
ほむら「私なら大丈夫ですから!」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:25:40.73 ID:QZI3LDol0
ほむら「100mくらい行けば……この結界はぬけられる!」
男「だ、だが君が……!」
ほむら「行ってくださいッ! 何て事ないですから……。ここは危険ッ!」
男「…………」
男「わかった……。確かに、ここは危険だ。行かせてもらおう」
ほむら「ええ、行って……」
使い魔「――」ジリジリ
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:26:52.46 ID:QZI3LDol0
ほむら(使い魔をもっともっと引きつけて……もう一度時を止め、爆弾で――)
ザッ ザッ
男「ただし方角はそやつの方だがな」
ほむら「えッ!?」
使い魔「――」
ザッ
男「……」
ほむら「そんな……あ……危ない……!」
ほむら(ど、どうして逃げないの!? それどころか、私と使い魔の間に入って……)
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:27:19.84 ID:QZI3LDol0
ほむら「あなたはこの結界を脱出するだけでいいのにッ!」
使い魔「――!」バァッ
ほむら(お、襲いかかる! ここは時を止めて避難を――)
「クゥォォオオオ……」
ほむら「……何の音?」
男「コォォォォォ……」
ほむら「し、深呼吸? この人の……?」
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:27:57.70 ID:QZI3LDol0
男「波紋疾走(オーバードライブ)ッ!」ズアァッ
バキィィッ
ほむら(つ、使い魔を殴った!? お、おーばー……何?!)
ボッコォ!
使い魔「TEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!」
ほむら「なっ!? 何ッ!? つ、使い魔が……!」
ボシュゥゥゥ
使い魔「」
ほむら「使い魔が……消え……いや、と、溶けた?」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:29:17.17 ID:QZI3LDol0
ほむら(それに……き、奇妙! 殴ったことも溶けたこともそうだけど……あの人の拳が光ったように見えたッ! あの輝きは魔法? ま、まるで太陽のような……!)
男「フゥ――。だがこの手応え。屍生人ではないようじゃの……」
ほむら「ぞ、ぞん……?」
ガォンッ
ほむら「――あっ!」
「――!」
ほむら「ま、魔女……!」
魔女「――――!」
ほむら(初めて見る……あの魔女は……逃げていったけど……)
男「またこいつか……っ! 今のはこいつの手下だったのか……?」
ほむら(『また』……? 既に出会っている?)
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:31:39.04 ID:QZI3LDol0
スッ
ほむら「あ、結界が……。……今は、頭を整理しないと」
ほむら(魔女はひとまずいいとして……あの人……使い魔を……不思議なパンチ一発で倒してしまった……ッ!)
ほむら(整理しよう……。私は結界にきた。結果にはすでに人がいた。その人が、使い魔を奇妙な力で倒した。その力は使い魔を溶解した……)
男「助けてくれてありがとう。お嬢ちゃん」
ほむら「……え? あ、い、いえ……私、何もしてませんので……」
男「いやいや、そんなことはない。君のおかげで助かったのだ」
ほむら「あの……今……何をしたんですか? あの太陽のような輝きは何なのですか? それに……あなたは……?」
男「ン――……質問は一つずつにしてくれないかね。まずは名乗らせていただこう」
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:32:41.31 ID:QZI3LDol0
男「わしはツェペリ男爵じゃ」
ほむら「ツェペリさん……?」
ツェペリ「うむ」
ほむら「……ま、魔法少女でもないのに使い魔を倒せるなんて……」
ツェペリ「ん? 魔法……何だって?」
ほむら(少なくともこの人は魔法少女ではない……となると、魔法少女とは別の……)
ほむら(……別の……何?)
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:33:31.54 ID:QZI3LDol0
ほむら「あ、あの、失礼ですが、あなたは呪い師とか超能力者とか魔法使いとか……そういうのの類、でしょうか……?」
ツェペリ「呪い師……うーむ。……まあ似たようなもんじゃろう。確かにその超能力とか魔法みたいなものでさっきの化け物を倒した」
ほむら(あの『力』……使う直前に深呼吸をしていた。呼吸が関与しているのかな……)
ツェペリ「それよりも大丈夫か? 使い魔? と言ったな。それに殴られたようじゃが……」
ほむら「あ、大丈夫です。ご心配なく」
ツェペリ「あのパワーで殴られて骨も折れていないようだ……さっき瞬間移動もある。……おまえさんこそ何者なんじゃ?」
ほむら「あっ、私は暁美ほむらと言います。……それで、あの……信じられないかもしれませんが……魔法少女です」
ほむら(目の前で魔法を使ってしまった。誤魔化すことはできない)
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:34:51.10 ID:QZI3LDol0
ツェペリ「魔法……少女? なるほど、魔法か」
ほむら「なるほどって……信じてくれるんですか?」
ツェペリ「ああ。目の前であんなことがあったんじゃ。疑う方がおかしいわい。怪奇(ウートン)には慣れとるからのォ」
ほむら(魔法少女のことはもはや隠しようがない……。そのまま何も言わずに時を止めて消えるのもカッコイイけど……)
ほむら(私は、この人に言いたいことがある……。だから、魔法少女という身分も明かした)
ほむら「あ、あの……」
ツェペリ「うん?」
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:36:29.70 ID:QZI3LDol0
ほむら(これは直感だけど……あの『力』ならワルプルギスに対向できるかもしれないと思ったッ!)
ほむら(新しい『力』……!)
ほむら「お、お願いします!」
ほむら「私に……私に今の力を、お、教えてくださいッ!」
ツェペリ「……何? この『波紋』の能力を身につけたいと? まだ幼いおまえさんが?」
ほむら「波紋……。はい! その波紋を……教えてくださいッ!」
ツェペリ「…………」
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:37:33.31 ID:QZI3LDol0
ツェペリ「ふむ……。君は、魔法少女だとか言ったな。君はわしを助けようとしてくれた。その恩義がある」
ほむら「じゃ、じゃあ……!」
ツェペリ「だからこそ忠告せねばならない。この波紋を学ぶとなると、おまえさんには幼すぎる。ハッキリ言って無理だ」
ほむら「命を賭してでも、救わなければならない人がいるんです! お願いします!」
ほむら(その能力は私にとって、希望ッ! 絶望に立ち向かうための光!)
ツェペリ(……この気迫。無理だとは言ったが、彼女には……その力に伴う十分な精神はないこともない。この必死な表情が何よりの証拠)
ツェペリ「訳を聞こう。本当はここはどこだとか、色々聞きたいところじゃが、まずは、それから」
ツェペリ(波紋の素質は見たところない。その状態から……ゼロから波紋の全てを学ぶには、辛すぎる!)
ほむら「じゃ、じゃあ……!」
ツェペリ「だからこそ忠告せねばならない。この波紋を学ぶとなると、おまえさんには幼すぎる。ハッキリ言って無理だ」
ほむら「命を賭してでも、救わなければならない人がいるんです! お願いします!」
ほむら(その能力は私にとって、希望ッ! 絶望に立ち向かうための光!)
ツェペリ(……この気迫。無理だとは言ったが、彼女には……その力に伴う十分な精神はないこともない。この必死な表情が何よりの証拠)
ツェペリ「訳を聞こう。本当はここはどこだとか、色々聞きたいところじゃが、まずは、それから」
ツェペリ(波紋の素質は見たところない。その状態から……ゼロから波紋の全てを学ぶには、辛すぎる!)
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:38:38.58 ID:QZI3LDol0
ほむら(訳……どうする? 嘘をついても私なんかじゃあ必ずボロが出る……。真実をそのまま言うしかない。でも……)
ほむら「……嘘だと、思われます……」
ほむら(信じられるはずがない。未来から来ただなんて)
ツェペリ「何でも信じるよ」
ほむら「……で、でも」
ツェペリ「わしは怪奇(ウートン)には慣れておる」
ほむら「……うぅ」モジモジ
ツェペリ「……さっき現れた馬鹿でかい奴――あーっと?」
ほむら「さっきの……魔女のことですか?」
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:39:23.75 ID:QZI3LDol0
ツェペリ「そうか。魔女というのか。わしはな、気が付いた時にはその魔女がいたのだ。わしはあの魔女に連れてこられたらしい」
ほむら「連れてこられた?」
ツェペリ「そう。だからここは『異世界』とか何かだと思う」
ほむら「い、異世界……?」
ツェペリ「異世界と推測する根拠はあるぞ。何故なら、わしは既に死んでいるはずだからだ。かと言ってあの世でもないらしい」
ほむら「死ん……え?」
ツェペリ「わしは1888年、イギリスのウィンドナイツ・ロットという町で死んだ」
ほむら「せ、せんはっぴゃ……! 百年以上も前?! それに、し、死んだ?!」
ほむら(私と同じ……時間遡行者? いや、ツェペリさんは今、死んだと言った。死んだって……?)
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:40:37.93 ID:QZI3LDol0
ほむら「それにウィンドナイツ・ロットという名前なんか聞いたことがない……」
ツェペリ「わしは若い頃世界中を航海していたため、幸いにも日本語がわかる。だから色々な調べ物が比較的楽にできた」
ツェペリ「そこでわかったことは! この世界の過去は、わしの知っている歴史と違うということ!」
ほむら「ど、どういうことですか?」
ツェペリ「ジョースター邸の火災の記録はなかった! 黒騎士ブラフォードの伝説もなかった! サティポロジア・ビートルという虫も図鑑に載っていなかった!」
ほむら「どれも聞いたことがない……」
ツェペリ「そう! 存在しないからだ! あってもフィクション! だからここが『異世界か何か』という結論に至った! 使い魔だとか魔法だとか、そういうのの影響でこの世界に導かれたとこのツェペリ、推測する!」
ツェペリ(そう……魔法。魔法という不思議な力があれば、彼女に波紋の素質がないとて! 扱えるようになるかもしれない!)
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:41:12.82 ID:QZI3LDol0
ほむら「そ、そうだったんですか……」
ツェペリ「信じるのか? 異世界だなどと」
ほむら「実際に目の前で波紋という不思議な力を見せられまし、実際使い魔を退治しました。それに、魔女を理由に出されたら……信憑性がないとは言えません」
ツェペリ「ならばわしも同じ。どんな事情であれ、君の波紋を学ぶ理由がどんな突飛なことであっても信じられる」
ほむら「!」
ツェペリ(その波紋を習得するのなら、あのジョナサンの覚悟に相当するか、手が届く程のそれが必要。修行を受ける資格を得た)
ほむら「ありがとう……ありがとうございます……!」
ツェペリ「さあ話せ。ほむらよ。その命を賭してまで救いたい人と、その故を!」
ほむら「私は……未来から来ました。大切な友達……鹿目さんを救うために――」
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:42:49.92 ID:QZI3LDol0
――学校
先生「『黄金長方形』っ…てよォ~~~ 『長方形』ってのはわかる……スゲーよくわかる。見たまんまだからな……」
先生「だが『黄金』って部分はどういう事だあああ~~っ!? 図形が金色っつーのよーッ! ただの比率の話じゃねーか! ナメやがってこの言葉ァ超イラつくぜぇ~ッ!! 」
先生「はい中沢君」
中沢「どうでもいいんじゃでしょうか」
先生「ですよね。はい、転校生です。どうぞ」
さやか「理解不能! 理解不能! 理解不能!」
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:44:01.84 ID:QZI3LDol0
ガラッ
ほむら「……」ドキドキ
仁美「あら美人」
さやか「眼鏡っ娘ktkr」
ほむら「あ、暁美ほむらです。よろしくお願いしますっ」
ほむら(何回繰り返してもこの瞬間は緊張する……)
ほむら(鹿目さん……)ジー
まどか「…………?」
まどか(こっち見てる?)
39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:45:23.76 ID:QZI3LDol0
ヤンヤヤンヤ
ほむら(さて、今回は鹿目さんとどうファーストコンタクトをとるか……)
ほむら(できれば私の方から接触したい。保健室に連れてって、だとか、あなたとお話したい、だとか言って……)
ほむら(うーん……昨日は波紋がどうこうで色々ありすぎて、こういうとこ考えてなかったなぁ……)
ほむら「……」モジモジ
ほむら「……」ソワソワ
ほむら(ど、どうしよう……こういう時ってどうすればいいんだっけ? 友達の作り方ってどうやるんだっけ……)
「あのね、初対面っていうのはインパクトが大事なんだ。インパクト」
ほむら「へ?」
40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:46:26.03 ID:QZI3LDol0
まどか「インパクト……」
さやか「そう。インパクト」
ほむら(か、鹿目さんッ!?)
さやか「そうすれば相手は印象に残ってくれる。嫌でも残る」
まどか「そうなのかなぁ。普通でいいと思うんだけど」
仁美「……では、美樹さんの言うインパクトある挨拶とはいかがなものでしょう」
さやか「刮目せよッ!」
ほむら「…………」
さやか「……」クルッ
ほむら「!」
42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:47:04.28 ID:QZI3LDol0
さやか「……」ニコニコ
ほむら「……?」
さやか「ハッピーうれピーよろピくねーーー!」
ほむら「へ?」
さやか「転校生。さあご一緒に。さん、しー……ハッピーうれピーよろピくねーーー」
まどか「滑ってるよさやかちゃん!」
ほむら「……」
ほむら(何これ)
43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:48:07.52 ID:QZI3LDol0
さやか「ほらほらっ! 笑顔笑顔ォ」
キュッ
ほむら「ふぇっ!?」
さやか「はわぁー……ほっぺモチモチですやん……」クニクニ
ほむら「ひゃ、ひゃめてくらひゃいぃ……」
まどか「ちょ、ちょっとさやかちゃん……」
仁美「キマシ」
まどか(モチモチかぁ……いいなー。わたしもモチモチしたいなー)
仁美(キマシ)
まどか(こいつ直接脳内に……!)
44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:48:43.57 ID:QZI3LDol0
さやか「はい! ハッピーうれピーよろピくねーーー!」
ほむら「は、はっひぃ~」
まどか「む、無理してやることはないんだよ!」
仁美「暁美さんが大変なことになってますわ」
ほむら(な、なんかよくわかんないけど鹿目さん達との接触に成功……色々とアレだから二人きりになりたい)
ほむら「あ……あのっ、かりゃへひゃん」
さやか「……からあげ? からあげが欲しいのか? 3つか? ジューシーなの3つか? イヤしんぼめ!」
仁美「手を離してあげましょう」
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:49:17.42 ID:QZI3LDol0
ほむら「ほへーひふひひはひへふー」
まどか「え? 保健室に行きたいです?」
さやか「通じてるし」パッ
ほむら「は、はい……連れてって欲しいなって……」
まどか「わたし、保健委員って言ったっけ?」
ほむら「……せ、先生に聞いて」
まどか「ふーん? じゃあついてきてっ」スタスタ
ほむら「うん」テクテク
さやか「いってらー」
仁美「ですわー」
46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:49:49.70 ID:QZI3LDol0
――廊下
ほむら「……」トコトコ
ほむら(何話そうかな……)
まどか「……」ジー
ほむら(見てる……何かこっち見てる……)
ほむら「あ、あの……鹿目さん?」
まどか「うん?」
ほむら「私の顔に何か……?」
まどか「あ、ごめんね? 気にしないで」
ほむら「そ、そう……?」
まどか(ん~……夢の中で、会ったような……ないような……まあいっか)
47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:50:41.74 ID:QZI3LDol0
まどか「暁美さん。この学校、馴染めそう?」
ほむら「はい」
ほむら(……)
ほむら「……あの、呼び方は……名前がいいかな」
まどか「ティヒッ、うん。わかった。ほむらちゃんっ♪」
ほむら「うんっ」
まどか「ほむらって炎って意味? かっこいいね。この世の始まりは炎につつまれていたって言うし」
ほむら「そんな……名前負けしてます……」
ほむら(このやりとり……懐かしいなぁ)
まどか(内向的な子って思ったけど……案外人懐っこい感じなのかな?)
48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:51:19.09 ID:QZI3LDol0
まどか「ねぇ、お昼、一緒に食べない?」
ほむら「あ……誘ってくれて……嬉しいけど、ちょっと用があって……ごめんね? また、今度」
まどか「用? そっか……うん。じゃあまた今度一緒に食べようね」
ほむら「うん。また今度」
ほむら(よかった……また鹿目さんと友好的になれた)
ほむら(本当はお昼も一緒して、もっともっと鹿目さんとお喋りとかしたいとこだけど……やらなきゃいけないことがある……)
ほむら(だから、朝早くに仕込みを――)
49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:52:05.98 ID:QZI3LDol0
――今朝
さやか「今日さー。転校生が来るらしいぜェ――」
仁美「しかも私達のクラスという話ですわ」
まどか「そうなの? へーっ。どんな人だろ。わくわくするなぁ~」
さやか「まさかまどか、その転校生にアピールするために新しいリボンを……」
まどか「そ、そんなことないもん!」
さやか「どうかなぁ~? タイミングってもんがあるだろ?」ニヤニヤ
まどか「そ、そもそも転校生がくること自体初耳……!」
50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:52:31.89 ID:QZI3LDol0
仁美「そういえば転校生の方は女性らしいですわ」
まどか「ほ、ほらっ!」
さやか「えっ、まどかそっちの気が……」
まどか「その理屈はおかしくないかな?」
仁美「女性同士って、恋をするものですから」
まどか「何を言ってるのかわからないなー」
さやか「まどかはあたしの嫁になるのだーっ。ンッン~名言だなこれは」ガバッ
仁美「キマシ」
51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:54:03.46 ID:QZI3LDol0
まどか「回避!」サッ
さやか「オー! ノォー!」
仁美「チッ」
まどか「!?」
さやか「!?」
仁美「どうかなさいましたか?」
まどか「な……なんでもない……」
さやか「うん……多分、いや、絶対に空耳」
52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:54:49.79 ID:QZI3LDol0
< ヤンヤヤンヤ
「…………」
(……楽しそうだなぁ)
(私も普通の女の子だったら、今頃あの子達みたいに……)
同級生「巴さんオッスオッス」
マミ「え? あっ、おはよう」
同級生「付き合ってください」
マミ「ごめんなさい」
同級生「わぁん」
マミ(……今の同級生の学年顔立性格性別その全ては想像に任せるとして――今日も長い一日が始まるわ)
53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:55:41.35 ID:QZI3LDol0
マミ(私は魔法少女として日夜魔女と使い魔を倒す使命を背負っている。巻き込んでしまう。そんなことできないのよ……!)
マミ(オープン・ザ・下駄箱)ガチャ
マミ(あら……? これ……何かしら? 手紙?)
マミ(下駄箱の中に手紙と言えば……)
マミ(ま……まさか、ラブレターというやつ!?)
マミ(ど、どうしましょう……読んでみよう)ペラッ
55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:56:27.01 ID:QZI3LDol0
巴さんへ
今日のお昼、屋上に来てください。←1人でお願いします。←あ、なるべく早めにお願いします。
↑
用事があればすいませんが空けておいてください。←もしダメでしたら明日も待ってます。
↑
せっかくなのでお昼をご一緒しましょうなので、お弁当も持ってきといてください。←迷惑でしたらすみません…。
PS.場所が無理でしたらこの手紙にご希望の場所を書いて入れといてください。←巴さんの下駄箱にです←明日見ます←時間も
マミ「つ、追記が多い……」
56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:57:12.91 ID:QZI3LDol0
マミ「この字……女の子よね……」
マミ「どうしよう……同性なのに、こんな可愛らしい丁寧な字でラブレターを……胸キュン危機一髪ゥ~」
マミ「どうすればいいのかしら……私……」
マミ「お友達から……いえ、ダメよ。魔法少女は……普通の子と、必要以上に接してはいけない……」
マミ「その子を巻き込んでしまう……それだけはいけない」
マミ「これは仕方がないことなの……どうしよう。何とかお断りしなくてはならないわ……」
57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:57:43.78 ID:QZI3LDol0
――屋上
マミ(……で、結局お断りの言葉が思いつかなかった)
マミ(追記をしまくる程丁寧な良い子だと思うし、冷たくあしらうなんてできないし……)
マミ「ハァ……」
「ハァ~~~~」
マミ「あら?」
マミ「あ……あの子かしら。ラブレターの子は……」
マミ「下級生の子よね。何をしてるのかしら……深呼吸? ストップウォッチ片手に?」
マミ「しかし随分な吐息ね。……溜息だったら魔女でも真摯に相談に乗るレベルだわ」
58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:58:32.90 ID:QZI3LDol0
「~~~…………すひぃーっ!」
マミ「!?」
マミ(な、なに今の……)
ほむら「ハァーハァーハァー……し、死んじゃう……」
ほむら「え~っと、タイムは……『吸う』のラップタイムが30秒……『吐く』のラップタイムが31秒……」
ほむら「基礎のリズムは何となく覚えたとは言え……こんな苦しかったのにこの程度……?」
ほむら「フゥ~……。取りあえず目標はプラス10で40秒……」
ほむら「本当に極めれば10分間吸い続けて10分間吐き続けるなんてできるのかな……自信無くすなぁ」
ほむら「でもまだまだこれから……これからが大事」
59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 21:58:59.68 ID:QZI3LDol0
マミ(……何かブツブツ言ってるわね。ここからじゃ聞こえない……)
「ん?」クルッ
マミ(あ、見つかっちゃった)
ほむら「と、巴さん!?」
マミ「え!? あ、ええ……」
マミ(なんでそんな意外そうに……あなたが呼んだんじゃないの?)
マミ(さっきの深呼吸、きっとあれよね。やっぱり緊張を和らげるための深呼吸よね。何か酸欠っぽいけど)
60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 22:00:00.27 ID:QZI3LDol0
ほむら(ちょっとした待ち時間に「呼吸」の練習してたら……)
ほむら(み……見られた……。絶対今のすひぃー聞かれた……っ///)
ほむら「コ、コホン……あ、あ、あのですね……えぇっと……」
マミ「は、はい」
ほむら「わ、私は暁美ほむらと、いいます。二年生、です。今日、転校してきたばかりです。よろしくです」ペコリ
マミ「は……はあ……きょ、今日!? いや、あの……うん。よろしく……」
マミ(今日転校してきた子がラブレター? 転校する前から私を知ってたってこと……?)
マミ(まさか……! 一目惚れ!?)
61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 22:00:30.53 ID:QZI3LDol0
ほむら「じ、実は……その、巴さんにお話したいことがありまして……」
ほむら「えと……お越しいただきました次第です。はい」モジモジ
マミ「そ、そのことなんだけど……あのね?」
マミ「私達、まだ……知り合ってもいないじゃない? だから急にそんなこと言われても……困るの」
ほむら「……っ」
ほむら(う、……そうだった。私はかつて、美樹さんに裏切り者だとか疑われていたことがある……魔女退治は命がけ。急に言われたらそうなっちゃうかな……? いくらなんでも急ぎすぎた)
ほむら「い、いきなりで申し訳ありません……。どうしても気持ちが先走っちゃって……」モジモジ
ほむら「何を言ってるのかわからないと思いますが……私……ずっと巴さんに憧れているんです。尊敬しているんです。だから、あの……えっと」モジモジ
マミ(モジモジしてる……どうしよう。純粋だわ……一点の曇りのないピュアピュアオーラだわ……!)
62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 22:02:00.86 ID:QZI3LDol0
マミ(私に憧れてくれてるのは嬉しいけど……)
ほむら「そ、その……ですね……私……」
マミ「ごめんなさい!」
ほむら「?!」
マミ「あなたの気持ちには答えられない!」
ほむら「」ガーン
ほむら「…………クスン」
マミ(泣かせた!?)ガーン
マミ「な、泣かないで……その……本当に申し訳ないけど……」オロオロ
ほむら「グスッ、い、いいんです……急に言われても……そうなるのも仕方ないですよね……」ウルウル
ほむら「でも、言わせてください!」
マミ「!」
63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 22:02:32.02 ID:QZI3LDol0
マミ(ど、どうしましょう……これは「この気持ちは本気なんです」とか「いつか必ず振り向かせます」みたいなことを言うパターン!)
ほむら「私は……」
マミ「ダメよ……これ以上言ったら……あなたは引き返せなくなる!」
マミ(あなたは純粋無垢な女の子……同性、それも魔法少女の私を愛してはいけないの!)
ほむら「いいえ限界です! 言います!」
マミ「ダメよッ!」
ほむら「今はだめでも……私は……いつか絶対に……!」
マミ「ダメェ――!」
ほむら「巴さんの仲間にしてもらいますっ!」
マミ「えっ」
ほむら「えっ」
64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 22:03:58.59 ID:QZI3LDol0
――
――――
マミ「まさか暁美さんが魔法少女で、どこで知ったか同じ魔法少女である私と共闘関係を結びたくて呼び出してたなんて……」
マミ「確かに当然なシチュエーションよね。人気のないとこに呼び出して……。他の魔法少女だなんてかれこれ随分会ってないものだから、つい」
ほむら「巴さんにそんな勘違いさせてたなんて……。ただでさえ私口下手なのに……文章下手ですみません……」シュン
マミ「そ、そんな落ち込まないで! 私が勝手に暴走しちゃっただけだから……ほんと恥ずかしい……///」
マミ「でも……嬉しいわ。私も、仲間が欲しかったから……」
ほむら「じゃ、じゃあ……」パァッ
マミ「これからよろしくねっ」ニコッ
ほむら「はいっ!」
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 22:05:48.16 ID:QZI3LDol0
マミ「あなたのこと、色々知りたいわ。お昼でも食べながら、聞かせて?」
ほむら「はいっ」
マミ「あなたの力も見せてもらいたいし……ふふ、色々忙しくなるわね」
ほむら「そうですねっ。えへへ……」
マミ「ところで……さっきの深呼吸はなに?」
ほむら「え?」
マミ「すひぃーっ」
ほむら「だ、誰にも言わないでくださいね///」
マミ(かわいい)
66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/03(金) 22:07:26.07 ID:QZI3LDol0
ほむら(巴さんと接触成功……そして共闘を結んだ)
ほむら(よかった……。一時はどうなることかと)
ほむら(巴さんの優しさに甘えて受け入れられること前提に考えてたのは反省点だったかも)
ほむら(……過ぎたことはいいとして)
ほむら(これからは、波紋の特訓をしながら巴さんと魔法少女としてしばし共に活動しよう)
ほむら(そして問題は、キュゥべえだ)
ほむら(キュゥべえは鹿目さんと契約したがっている。だからどうせいつか鹿目さんに接触を図ってくる)
ほむら(ベストなのは出会わせないことだけど……何にしても、これからが大事!)
77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:24:55.96 ID:Lnck06T70
数日後
――CDショップ ズッタンズッズッタン!ズッタンズッズッタン!
さやか「ルイス・クラスナーも尊敬してるしザハール・ブロンも渋くていいなあ~」
まどか「さやかちゃんが難しいことを言ってる……!」
さやか「テキトーに目に入ったバイオリン奏者の名前をテキト~に言ってただけなんだけどね」
まどか「ああ、よかった……。さやかちゃんが賢くなったかと思った」
さやか「……ま、まあ、いいだろう」
78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:25:33.56 ID:Lnck06T70
まどか「そういえばほむらちゃんってどんな音楽聴くのかな?」
さやか「あたしは転校生の音楽の趣味も何も知らないなぁ」
まどか「少なくとも演歌は聴かないみたい」
さやか「……聞いちゃったんだ」
まどか「何となく好きだと思ったんだよね。何か共鳴というか似ているところある気がして」
さやか「女子中学生の同級生が演歌が好きなんて普通思わないでしょ……」
さやか「それはそうと転校生さ、また三年生の人と一緒にいるのを仁美が目撃したんだけど」
まどか「え? また?」
さやか「あれ? 知ってたの?」
まどか「いやね? 転校した日、一緒にお昼をって誘ったんだけど、用があるって断られちゃったって話したよね?」
さやか「うん」
79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:26:29.04 ID:Lnck06T70
まどか「で、あの後、ほむらちゃんと三年生の人が……えっと、モモエさんだがロメオさんだかって人と屋上でお昼を食べてたって話を聞いたの」
さやか「へー」
さやか「……言っちゃあ何だけど、あの子、何か変じゃない?」
まどか「え? 何で? 別に今日は一緒にお昼食べたよ?」
さやか「それはそれとして、転校して初日に同級生差し置いて上級生とお昼だよ? ぼっち飯ならまだしもさ」
まどか「そんな変なことかな? 言うほどじゃないと思うけど……。もしかしたら部活の先輩だとか、転校前からの知り合いだとか、あるんじゃない?」
さやか「う~ん。そっかなぁ」
まどか「そうだよ」
80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:27:47.78 ID:Lnck06T70
『タスケテ…』
まどか「……ん? 何か言った?」
さやか「え? 何?」
『タスケテマドカ……』
まどか(まただ……助けてって……)
まどか「?」
さやか「……っと。いつの間にか結構時間経ってたようだね。そろそろ帰ろっか」
まどか「あ、うん。そうだね」
さやか「まどか、先に帰ってていーよ。あたしこれ買ってるからさ」
まどか「うん。また明日ね」
『タスケテー』
まどか「何だろう……気になる……」
まどか「行ってみよう……声のするとこに……」
81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:28:34.18 ID:Lnck06T70
――廃墟
まどか「こんなとこに来ちゃった……」
QB「タスケテータスケテー」フラフラ
まどか「!?」
QB「」ポテッ
まどか「な……なに? この子……!? 何だかわからないけど、酷い怪我……」ヒョイ
(事前調査で「心優しい」タイプであることはわかっている)
(と、いうことで怪我をして助けを求めている体を装って接触……計画通り)
(……と、言ったとこかな)
(まさかこんなところで会えるなんて……)
82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:29:22.91 ID:Lnck06T70
ほむら「鹿目さんっ!」
まどか「えっ!?」クルッ
まどか「あ……」
ポトッ
ほむら「あ……」
QB「キュプッ!」ベチッ
まどか「落としちゃった……。え、えーっと……ほ、ほむらちゃん……?」
ほむら「どうも……」
まどか「どうしてここに……それにその格好……」
ほむら「……何て言ったらいいか……。と、とにかくここは危な――」
83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:30:17.59 ID:Lnck06T70
「はたからみたらあんたの方が危険っぽいよ!」
ほむら「こ、この声は……!」
まどか「さやかちゃん!?」
ほむら「美樹さん……」
さやか「まどかを追跡してきましたっ!」バーン
さやか「転校生……そのコスプレは何? そしてその手に持ってるゴルフクラブは何さ?」
ほむら「コ、コスプレって……」
84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:30:58.80 ID:Lnck06T70
ほむら「あー、えーっと、これはですね……」
さやか「七番アイアンと見た!」
ほむら「ドライバーなんですけど……」
さやか「すんません。テキトーなこと言いました」
まどか「……ま、まさかほむらちゃんがこの子を……?」
ほむら「ち、違っ……!」
まどか「あ! さやかちゃん! 尻尾踏んでる!」
QB「」
さやか「え? ……おっといけね。ってか何これ? ぬいぐるみ?」
85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:31:52.49 ID:Lnck06T70
グニャァ……
まどか「!?」
さやか「!?」
ほむら(しまった……結界……ッ!)
使い魔「シラナイハナガナンチャラ」
まどか「えっ!? な、なにこれ……!?」
さやか「うわーっ! 怖いーっ!」
ほむら「危ないっ!」
ザッ
まどか「ほ、ほむらちゃん!?」
86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:32:28.99 ID:Lnck06T70
さやか「お、落ち着け……素数を数えて落ち着くんだ……素数ってなんだっけ?」
ほむら「私の側から離れないでっ!」
まどか(な、何……? 何なの……?)
まどか(お、落ち着いて……冷静になって。この得体の知れない空間……得体の知れない生き物……)
まどか(わたしの辞書にパニックという言葉は……まああるんだけどね。足が震えるよぉ)ガタガタ
さやか「はぅはぅはぅ……」プルプル
ほむら「こぉぉ~~……」
87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:32:59.15 ID:Lnck06T70
さやか「な……なんだ? 何をやってるんだ? 深呼吸?」
ほむら「ドライバーに波紋の伝導率をあげる油を塗り、そこに波紋をこめて……」
使い魔「バラガホニャララ」バッ
まどか「く、来るっ!」
ほむら「コォォ……。名付けて、波紋ドライバー!」
ほむら「吹っ飛ばすほどのショット!」ブンッ
バキィッ
88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:33:36.19 ID:Lnck06T70
さやか「な、殴ったァァァァ! チョビヒゲの怪しい物体を殴ったァァァァ!」
ほむら「オーバードライブ。ドライバー……。ドライブとドライバーがかかってますね。だからどーだこーだ言うわけではないですけど」
使い魔「――」
ほむら「うぅっ、ダ、ダメだ……。効いていない!」
まどか(これは……夢? 夢なの?)
「まだまだ波紋の蓄積が甘いな」
まどか「え? 誰ッ!?」
89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:34:32.70 ID:Lnck06T70
さやか「今度はなんだ!? そこの得体の知れない物体に腰掛ける怪しいオジサンは!?」
ほむら「ツェペリさん!」
さやか「ちぇぺり……?」
まどか「ほむらちゃん、知ってる人……?」
ツェペリ「……」ダンッ
ブアァッ
さやか「な!? 座ったままの姿勢でジャンプした!?」
まどか「あの跳躍力! 何者!?」
ツェペリ「波紋疾走!」
バキィッ!
まどか「そしてあの変なのを殴った!?」
90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:35:20.12 ID:Lnck06T70
ボシュゥ――
さやか「と、溶けてる……?」
使い魔「Vooooooo!」ドーン
まどか「太陽のような光が……」
ほむら(相変わらず……すごい……。ツェペリさん……。また使い魔が一瞬で……)
ツェペリ「ふぅ――……大丈夫か? レディース」
ほむら「あっ、そうだ! 鹿目さん! 美樹さん! 怪我はない!?」
91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:35:51.39 ID:Lnck06T70
さやか「なんか混乱してきた……」
まどか「わたしも……でも怪我はないよ」
ほむら「よかった……」
ツェペリ「そういうほむらはどうなんだ?」
ほむら「大丈夫です。助けてくれてありがとうございます」
ツェペリ「やはり波紋だけで奴を倒すにはまだ早かったようじゃの」
ほむら「はい……努力します」
「大丈夫?! 暁美さんッ!」
まどか「こ、今度は誰……?」
92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:36:29.22 ID:Lnck06T70
ほむら「あ、巴さん!」
さやか「また転校生の知り合いかっ! 年齢的に例の三年生説浮上!」
マミ「まさかあなたがここにいるなんて……」
マミ「大丈夫? 怪我はない? どこかぶつけてない? 眼鏡のレンズ割れてない?」
マミ「まあ、ほこりが……払ってあげるね」ポンポン
ほむら「だ、大丈夫ですよぅ……」
まどか(何か過保護なお姉さんって感じ……)
マミ「……あら? あなた達は……?」
マミ「それにキュゥべえまで……まあ……怪我してる……」
まどか「きゅぅ……べー?」
QB「」
さやか(やべぇさっきどさくさに紛れてお腹も踏んじゃったかもしんない。あの人のペット? 怒られないかなぁ)
93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:37:30.77 ID:Lnck06T70
ほむら「私のクラスの鹿目さんと、美樹さんです」
マミ「鹿目さんと、美樹さん……。暁美さんから聞いてるわ。あなた達がキュゥべえを助けてくれたの? ありがとう」
マミ「私は巴マミ。三年生。あなた達の先輩にあたるわね。そして、この……、……ねえ、暁美さん。先輩と友達、どっちがいい?」
ほむら「と、友達でお願いします」
マミ「ふふ、そう。私は暁美さんの友達であり、そのキュゥべえの友達。よろしくね」ニコッ
まどか「ど、どうも……マミ……さん……?」
さやか「頭がこんがらがってしちゃった……」
マミ「無理もないわね」クスッ
マミ「…………」
94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:38:02.69 ID:Lnck06T70
マミ「…………」
マミ「そして……あなたは……?」
ツェペリ「どうも。わしはウィル・A・ツェペリ。君に会えて光栄じゃ」
さやか(ツェって言い辛くね?)ヒソヒソ
まどか(聞こえちゃうよ……)ヒソヒソ
マミ「光栄……? それはどうも。それで……ツェペリさん? あなた、何者……ですか?」
マミ(何者? 何故ここにいる? いつのまにここに? ずっと結界にいた? 何より……)
マミ(うさんくさい)
マミ(ジャケット、シルクハット、そしてちょびひげ……怪しすぎるわ。暁美さんをつけ狙うストーカーかもしれない……!)
95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:38:45.86 ID:Lnck06T70
ほむら「あの、巴さん」
マミ「なに?」
ほむら「こちらは、私の師匠です」
マミ「し、師匠……?」
まどか(何の師かな……さっき使い魔? ってのを殴ってたから、武道系の……)ヒソヒソ
さやか(えー……見るからに怪しいじゃん。気功とかそういう類だよ。内なるパワーとかそういうのだよ)ヒソヒソ
マミ「師匠ってどういうことかしら?」
ほむら「私に波紋という能力を教えてくださってます」
まどか「波紋?」
ツェペリ「…………」
96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:39:20.39 ID:Lnck06T70
――
――――
ほむら「――だから、私は鹿目さんを守ると誓ったんです。私は、鹿目さんを守りたい!」
ツェペリ「…………」
ツェペリ「おまえさんの過去……まどかという少女との出会いをやり直すだとか、魔女が使い魔を産み、魔法少女が魔女を生むだとか……、宣言通り全て信じよう!」
ツェペリ「その覚悟! 悲しい過去! 未来への責任!」
ツェペリ「わしは波紋を教わる資格を与える!」
ほむら「ありがとうございます!」
ツェペリ「しかし! 最後にもう一度だけ忠告する! 波紋と関わったらおまえさんの運命は大きく変わってしまうだろう、と!」
ほむら「私の運命は既に、鹿目さんと出会った時から変わっています。今更……躊躇しませんッ!」
ツェペリ「ほむらとわしは共通点がある。似た過去がある。挫折は許されない!」
97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:39:47.74 ID:Lnck06T70
ほむら「教えてください。波紋の使い方を! どんな苦しみにも耐えます。どんな試練も克服します!」
ツェペリ「よし、まどかとやら救うのに、全力でサポートしちゃるわい!」
ほむら「お願いします!」
ツェペリ「まずは波紋の何たるかを教えよう!」
ツェペリ「簡単に説明すれば呼吸には血液が関わっている! 血液は酸素を肺に運ぶ! そして血中酸素は体細胞に関わる! 体細胞=肉体ッ!」
ツェペリ「つまり! 水に波紋を起こす様に、特別な呼吸法によって肉体に波紋を起こしてエネルギーを作り出すッ!」
98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:41:32.24 ID:Lnck06T70
ツェペリ「使い魔とやらには完全ではないがその波紋が通じた! わしは推理した! なぜ波紋にと! そして君の過去や事情を聞いて理解した!」
ツェペリ「使い魔を産む魔女は魔法少女の心から生じる未知なるエネルギーと絶望、憎悪、邪悪な感情の具象!」
ツェペリ「わしの波紋エネルギーは、邪悪な力の具象であるとある怪奇(ウートン)と反対のエネルギー! つまり……」
ほむら「お、同じようなエネルギー……ということですか?」
ツェペリ「全く同じという訳ではないが、似ている事には違いない! 水面の波紋を消すにはもうひとつの波紋をぶつける。則ちうち消せる!」
ほむら「……なるほど」
99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:42:21.65 ID:Lnck06T70
ツェペリ「さて、波紋とは呼吸なわけだが、波紋を極めれば、呼吸を極めることになるな」
ほむら「はぁ」
ツェペリ「極めれば10分間息を吸い続け10分間息を吐き続けられるし、何里走っても息切れしなくなる!」
ほむら「!」
ツェペリ「それでは早速、波紋の呼吸を教えよう。それを覚えたら、学校でずっとやるんじゃよ」
ほむら「はい!」
ツェペリ「では、これより、修行を始めよう……!」
――――
――
100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:42:55.95 ID:Lnck06T70
マミ(波紋……暁美さんが学んでいるという、あの……何か酸欠になるうさんくさいやつ……)
ツェペリ「君のことはほむらから聞いておるよ」
マミ「……あら、そうですか」
ツェペリ「なんだか警戒させているようじゃの」
マミ「それは失礼。お気になさらずに」ジト…
ほむら(う……巴さんが露骨に敵意を向けてる……どうして?)
マミ「……」
101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:43:36.80 ID:Lnck06T70
ほむら「あ、そうだ。巴さん。これには色々事情があって……」
マミ「言わなくていいわ」
ほむら「……」
マミ(テレパシー)『暁美さん……あなた騙されてわよ……この人もう見るからにうさんくさいもの』
ほむら(テレパシー)『……ほ、ほんとですよぅ』
マミ(テレパシー)『波紋だなんて、どうせ怪しいネックレスを買うことで宇宙のエネルギーがどうこうっていうようなやつじゃないの?』
ほむら(テレパシー)『私はまだ、見せられる程の波紋力がないので今までお見せできなかったのですが……』
QB「どうやら彼には僕が見えているようだね……」
さやか「うわあ……喋ったよこれ……」
まどか「この声……やっぱりわたしを呼んだのって……」
QB「そうだよ。まどか。来てくれてありがとう」
102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:44:16.71 ID:Lnck06T70
ツェペリ「ほむらから聞いておるよ。おまえさんがキュゥべえという奴か」
QB「そうだよ」
ほむら(ツェペリさん。話がややこしくなるので、キュゥべえのことは余り言及しないでください)ヒソヒソ
ツェペリ(あいわかった)
QB「何故僕が見えるのかという疑問は残るけど……その波紋という能力。興味があるなぁ」
マミ「キュゥべえ!?」
QB「気を失っていた(フリをしてたんだけどまどかに抱き抱えられてて目撃できてない)からね。是非見てみたいな」
ほむら(…………)
ほむら(キュゥべえ……ここに魔女、使い魔が現れることを知って鹿目さんを誘い込んだんじゃ……)
ほむら(危険な目に遭わせて、命に危機に瀕したところを契約させようとしたんじゃ……)
ほむら(…………)
カチッ
103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:46:34.92 ID:Lnck06T70
ほむら「ツェペリさん。実際に波紋を見せましょう」
さやか「あれ? 転校生、いつの間にそんな物……」
ほむら「盾の中に入れてたコンクリートブロックと、これで」
QB「……おや?」
まどか「あれ? キュゥべえが……消えた?」
まどか「と思ったらキュゥべえがコンクリートブロックの上に横たわっている!」
さやか「まるで何かの実験台にされるかのようだ!」
マミ「ちょ、ちょっと! キュゥべえに何するのよ! っていうかいつの間に!」
ほむら「まぁまぁまぁ落ち着いてください。ツェペリさん、どうぞっ」
さやか「助手かあんたは」
104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:47:21.10 ID:Lnck06T70
ツェペリ「よし、波紋を見せようぞ」
ツェペリ「コォォォ……」
まどか「ほむらちゃんがさっきしてたのと同じ呼吸……」
マミ「ちょっと! なにするのよ! ちょっと! ちょっとぉ!」ジタバタ
ほむら「落ち着いてくださいぃ~」ギュー
さやか「どさくさに紛れてあの人の巨大な獲物を鷲掴みたい」
まどか「何を言ってるのかなさやかちゃん」
QB「……こんな間近で見せてもらう必要はないよ?」
105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:48:16.39 ID:Lnck06T70
ツェペリ「るオオオオオオオオ」ドグォォォン
マミ「きゃあぁあぁッ!」
さやか「殴りかかったァッ!」
まどか「やめてェッ!」
QB「え、ちょっと待ってっ。まさか――」
QB「」メメタァ
ドグチアッ
マミ「キャアアアアア?!」
まどか「あっ!」
ビシァ
ツェペリ「はァーッ!」
ボゴォォンッ
マミ「……」ワナワナ
まどか「コンクリブロックが壊れた!」
さやか「でもキュゥべえはなんともないッ!」
106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:49:17.24 ID:Lnck06T70
ほむら「……」ニコニコ
ツェペリ「……」ニヤリ
QB「……あれ?」
さやか「コンクリートブロックを粉々にしたのもすさまじいけど……それにしても不思議なのはキュゥべえを殴ったというのにキュゥべえが無事なことッ!」
QB「い、一体僕に何があった起こったんだい?」
ツェペリ「これが仙道だ」
ほむら「ツェペリさんの波紋エネルギーはキュゥべえの肉体を波紋となって伝わりコンクリブロックを砕いたのです!」
まどか「ほぇー……よくわかんないや」ポカーン
ほむら「……」
107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:50:14.59 ID:Lnck06T70
マミ「……こ、これが暁美さんの言う波紋なの?」
ほむら「はいです! 私はまだ修行中故、弱いのですが……」
マミ(暁美さんから話を聞いていた。その時は……はっきり言ってアレな団体に騙されてるんじゃないかと思ってたけど……)
マミ(目の当たりにした以上波紋は実在するということはわかったわ。あれは魔法ではない。あの男……人間なの?)
マミ(何にして……キュゥべえを怖がらせたのは事実!)
マミ「暁美さんッ!」
ほむら「はいっ!」ビクッ
108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:50:48.60 ID:Lnck06T70
マミ「あなたともあろう子がキュゥべえにそんなことするなんて!」
ほむら「うぅ……で、でも……波紋……」
マミ「でもじゃありませんっ!」
ツェペリ「まあ落ち着きなさいお嬢ちゃん。ほむらだって悪気があったわけじゃあないんだ」
ほむら(すいません。悪気ありました)
さやか「修羅場ってるねー」
まどか「わたし達蚊帳の外だね」
ほむら「……ごめんなさい」シュン…
マミ「私の仲間として、キュゥべえが無事なことに免じて、暁美さんは許してあげるにしても……」
109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:51:35.51 ID:Lnck06T70
マミ「あなたは人として信用できないッ!」キッ
ツェペリ「おやおや、嫌われてしもうた」
ほむら「と、巴さ……」
マミ「めっ!」
ほむら「ひっ! すみません!」ビクッ
マミ「……ツェペリさん? これから女の子だけの大切なお話をするの……」
マミ「お引き取り願えるかしら?」
ほむら「そ、そんな巴さん……」
ツェペリ「いや、いいんじゃ。お嬢ちゃんの言う通り、レディー達の話に首を突っ込むのは野暮ってもんじゃ」
ツェペリ「それじゃ、わしはお暇するよ」スタスタ
マミ「……ふぅ」
ほむら「ツェペリさん……」
ほむら(そういえばツェペリさんって普段どこで寝泊まりしてるんだろう……)
110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:52:35.90 ID:Lnck06T70
ほむら「……」ショボン
まどか「ほむらちゃん。元気出して?」ナデナデ
ほむら「……うん」
マミ「……さて、と。ごめんなさいね、無駄な時間を」
さやか「えーっと……その……」
マミ「単刀直入に言うけど、私達は魔法少女なの」
さやか「魔法少女……?」
マミ「そしてあなた達が助けてくれたキュゥべえは、魔法少女の素質のある人にしか見えない……例外はあるけど。則ち、あなた達は魔法少女の素質がある」
まどか「……? ……?」
111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:53:44.71 ID:Lnck06T70
QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
さやか「うわっ、急に大きな声を」
QB「この台詞は大事だからね」
ほむら「……」
ほむら(結局、キュゥべえと鹿目さんとの接触は避けられなかった。何らかの方法はあったのかもしれないけど……)
まどか「えーっと……すみませんマミさん。混乱しちゃって……何がなんだか」
QB「さっきの使い魔や、マミが戦った魔女と戦う使命を負うけど、どんな願いでも叶えてあげられるんだ!」
さやか「どんな願いも……だと……」
まどか「それって……何だか夢みたい……」
ほむら「……できることなら、契約しないで欲しい」
まどか「え?」
さやか「転校生?」
マミ「……暁美さん?」
112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:54:40.37 ID:Lnck06T70
ほむら「鹿目さん……」
まどか「う、うん?」
ほむら「さっきの使い魔にしかり……戦うということは死ぬ危険があるということなの」
ほむら「魔法少女と関わったら……あなたの運命は大きく変わってしまう……。ほんとは、巻き込みたくなかった……」
QB「でも……素質がある以上、既に巻き込まれていると言えるんじゃないかな」
ほむら「……私は、あなたに危険な目に遭わせたくないの」
まどか「ほ、ほむらちゃん……」
113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:55:14.92 ID:Lnck06T70
さやか「あたしは?」
ほむら「も、勿論美樹さんも……」
さやか「よろしい」
マミ「……そうだったのね」
マミ「……暁美さん。あなたの気持ちはわかったわ。お友達を巻き込みたくないという気持ち。痛いほどよくわかる」
ほむら「…………」
マミ「でも、資格がある以上、彼女達には権利があってしまうの」
マミ「魔女という存在と戦う運命、それに引き替えに願いが叶う……。二人には契約をする権利がある。私達にはその権利を一方的に否定することはできない」
ほむら「うぅ……」
114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:55:56.03 ID:Lnck06T70
マミ「……そうだ。体験ツアーをやりましょう」
さやか「体験ツアー?」
マミ「魔女と戦うことがいかに危険かを教えるのも義務よ」
マミ「もしかしたら、危険性を目の当たりにして契約を思いとどまるかも」
ほむら「そ、そうですね……」
ほむら(それが妥当……か)
ほむら「……わざとケガして」ボソッ
マミ「めっ!」
ほむら「す、すみません」ビクッ
さやか(小動物だなぁ……)
マミ「それじゃあ明日、学校で会いましょ?」
さやか「は~い」
まどか「は~い」
115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:58:47.02 ID:Lnck06T70
ほむら(あの一件以来、ツェペリさんに不信感を抱いている巴さんに見つからないように、家庭の都合だとか言って波紋の修行をして……)
ほむら(魔法少女として巴さんと二人で活動して……生徒生活をする。それは、とても大変なこと)
ほむら(でも、鹿目さんと美樹さんは、今のところ契約させずにいる……私はまだまだ頑張れる!)
ほむら(波紋の修行もそうだけど、佐倉さんのことはまだほったらかしにしてるし、色々やることあるなぁ……)
――帰路
マミ「……ねぇ、暁美さん。昨日の戦いの事なんだけど」
ほむら「はい」
マミ「あなたが用があるっていうから昨日はできなかった。だから今、歩きながらで反省会をするわ」
ほむら「……」
116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:59:14.10 ID:Lnck06T70
マミ「あのね? あそこで爆弾を爆発させたら、煙で私が撃てなくなっちゃうの。標的が見えなくてその生死がわからない。煙に紛れて襲われるかもしれないし、私が下手に撃とうものならあなたに当たるかもしれない」
ほむら「……はい」
マミ「時を止める能力はとても素晴らしいと思うわ。でも、共闘してるのだから、その辺りはちゃんと考えてくれないと……」
ほむら「……すみません」
マミ「あ、別に怒ってるわけじゃないからそんな萎縮しないで……?」
マミ「あと……そうね、もう一つ。あなたは波紋を無理に使おうとして返り討ちにされる傾向がある」
ほむら「……」
117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 20:59:42.66 ID:Lnck06T70
マミ「とても言いづらいけど、暁美さんって結構鈍くさい方だから……素手で戦うのは無茶があるわ。波紋自体……なんて言うか、アレだし」
マミ「かと言ってあなたの武器はゴルフクラブと油と爆弾……。この組み合わせ、端から見たらわけがわからないんだけど……特に油って何?」
ほむら「油は波紋の伝導率を100%にしてくれるんです。要するに空気と爆弾。ガソリンと炎みたいな関係です」
マミ「そう……。何にしても武器としては誤用の方の意味で役不足だわ」
マミ「あ、そうだ。暁美さん。私のマスケット銃、使ってみる? 一発しか撃てないけど」
ほむら「…………」
マミ「……あ、あら? もしかして気に入らなかった?」
ほむら「いえ……ちょっと、懐かしい気持ちになっただけです……」
マミ「……?」
118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:00:47.85 ID:Lnck06T70
マミ「ねえ、暁美さん。二人はどう?」
ほむら「二人? 鹿目さんと美樹さんのことですか?」
マミ「ええ。魔法少女になることについて何か言ってた?」
ほむら「別に……普段通りです」
マミ「そう……」
マミ(鹿目さんはそーゆーのに憧れている所がある。美樹さんも願いが決まればって雰囲気だった)
マミ(二人とも、動機が何であれ街の平和のために戦いたいという正義の炎が宿っているわ。だが、まだ迷いがある)
マミ(……今度、体験ツアーする時に、私がもっと格好良く決めれば……決心が……)
ほむら「……巴さん?」
マミ「……あっ、ごめん、ボーっとしてたわ」
ほむら「そう……ですか?」
マミ(……暁美さんには悪いけど、仲間は多い方がいいものね。私の方から……促す)
まどか「あ! いたっ!」
119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:01:23.43 ID:Lnck06T70
マミ「へ?」
ほむら「あ、鹿目さん」
まどか「ハァ……ハァ……」
マミ「ど、どうしたの?」
まどか「じ、実は……ぐ、グリーフシードが……」
マミ「何ですって!?」
まどか「それで……さやかちゃんが今、見張ってるの!」
ほむら「鹿目さん、すぐ案内して!」
まどか「うん!」
マミ(……待って、これは……丁度良いタイミングってやつじゃないの?)
120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:02:15.96 ID:Lnck06T70
――
ほむら「病院……」
まどか「うん……それで、グリーフシードは……」
マミ「既に結界が張られているわね。急ぎましょう」
まどか「さやかちゃん……大丈夫かな……」
ほむら「…………」
マミ「結界に入るわよ。暁美さん、鹿目さん」
まどか「はいっ」
ほむら「え、鹿目さんもですか?」
まどか「え?」
ほむら「え?」
マミ「え?」
121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:02:50.37 ID:Lnck06T70
マミ「何かいけなかった?」
ほむら「そんな……危ないです……」
まどか「ど、どうして? 今までもそうだったのに……」
ほむら「あ……そっか……」
ほむら(今まで出会った魔女や使い魔は例外はあるけどほぼ少なくとも二度目……余裕があった。でも……今回は……)
マミ「とにかく行くわよ」
ほむら「……はい」
122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:03:22.16 ID:Lnck06T70
――結界
まどか「お菓子がいっぱい……」
マミ「……差詰めお菓子の魔女ってとこね」
まどか「ここにいるだけで太っちゃうそう……」
マミ「折角のメルヘンな結界だけど……年頃の女の子からすれば長居したくない結界ね」
ほむら「…………」
マミ「……暁美さん?」
ほむら「…………」
123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:04:12.79 ID:Lnck06T70
マミ「暁美さん!」
ほむら「えっ? あっ、はいっ!」
マミ「大丈夫? 何というか……顔色が悪いけど……」
まどか「もしかしてほむらちゃん、具合が悪いとか……」
ほむら「ちっ、違っ……そ、その……美樹さんが心配なだけ……」
マミ「そうなの? 暁美さんってホント友達思いね。ふふ、妬いちゃうわ」
マミ「さて、と。それじゃ行きましょうか」
まどか「はいっ」
ほむら「……はい」
124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:04:44.21 ID:Lnck06T70
ほむら(ごめんなさい美樹さん……。美樹さんのことも心配ですが、今、嘘をつくための引き合いに使っちゃいました)
ほむら(複数の時間軸。……どれも必ず同じ展開ということはない)
ほむら(鹿目さんが演歌好きをカミングアウトしたり、巴さんを呼び出したり、美樹さんにほっぺ弄ばれたり、ツェペリさんと出会ったり……必ず、初見の展開がある)
ほむら(でも行き着くところは大体は同じ……というタイムリープだからこその安心感があった。でも、だからこそのイレギュラーに対する不安……)
ほむら(今が私が最も危惧している状況。今までの時間軸で『出会ったことのない魔女』に出くわすこと……)
ほむら(ツェペリさんと出会った結界で見たあの魔女とは戦えなかったけれど……)
ほむら(ついにきた。この時が……お菓子の魔女という初見魔女と戦う時が……。つまりそういうこと。とにかくそういうこと)
ほむら(……お菓子の魔女、か。全く想像がつかない。鹿目さんと美樹さん。二人を守りながら倒せる相手だといいんだけど……)
ほむら(こんな時……いてくれたらなぁ……)
マミ「……何でいるのよ」
ほむら「へ?」
125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:05:41.44 ID:Lnck06T70
ツェペリ「おお、来てくれたか。やはり本職がいてくれんとの~」
ほむら「ツェペリさんっ!」
まどか「ど、どうしてここに?」
ツェペリ「いやぁ、街中を散歩していたんだが……たまたまあの時と同じような……結界といったかな? それを見つけてな」
ほむら「よかった……いてくれて……」ホッ
マミ「…………」
ツェペリ「たまたま会った酒屋のネエちゃんと話が合って、ワインを一本貰ったんじゃ。廃棄予定だったヤツだけど」
ツェペリ「ところで誰か、コルク抜き持ってなあい?」
ほむら「あ~……コルク抜きは持ってないですね……」ゴソゴソ
126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:06:45.28 ID:Lnck06T70
ほむら「あっ、ワイングラスならありました。どうぞ」
ツェペリ「何故持っておるのかはさておき……グラッツェ」
まどか「ほむらちゃんの盾って……一体何が入ってるの?」
ほむら「色々あるよ? 持ち出し袋に裁縫セット、救急箱、トランシーバー、貯金箱、懐中電灯、ラジオ、双眼鏡、非常食、カラオケのマイク、ロックバンドG・E・Rのステッカー……」
まどか「も、もういいよ……ありがとう。色々入れてるんだね……。色々突っ込みたいとこだけど、盾に持ち出し袋入れてるの? 盾自体が持ち出し袋みたいなのに……」
ほむら「あ、そっか」
ツェペリ「えーっと、まあとにかく。今は魔女を倒すのが先決じゃな」
ほむら「ですね」
まどか「ツェペリさん。さやかちゃんに会いませんでした?」
ツェペリ「さやかがここにおるのか? 見なかったが……いるというなら急がねば――」
シュルッ
127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:07:15.26 ID:Lnck06T70
まどか「え?」
ツェペリ「ッ!」
ガシィッ
ツェペリ「何ッ!?」
ほむら「え!?」
ツェペリ「おぉっと!」ポトッ
ほむら「あっと……」パシパシッ
ツェペリ「フー、ナイスキャッチ。折角のワインとグラスが割れなくてすんだわい」
マミ「…………」
ド ド ド ド
128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:08:01.83 ID:Lnck06T70
まどか「え……マミさんの……リボン?」
ツェペリ「何の……真似じゃ?」
ほむら「……と、巴さん! ツェペリさんを離してください!」
マミ「暁美さん……あなた、騙されているのよ。この男に……」
まどか「え……?」
マミ「……怪しすぎるのよ。こんなところにいるなんて……普通ありえない」
マミ「ありえないが多すぎる……キュゥべえが見えることは元より、波紋、容姿、その全てが怪しい」
ツェペリ「そうは言ってもなあ……」
129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:08:35.81 ID:Lnck06T70
マミ「信用できないのよ! キュゥべえを殴るような人!」
ほむら「あ、あの時のことを……!」
まどか「でも……無傷だったじゃないですか……」
マミ「二人は黙ってて」
ほむら「あ……あの時は……。……ご、ごめんなさい!」
ほむら「あれは私が勝手にやったことなんです! ツェペリさんは悪くないです!」
マミ「謝らないで暁美さん……。あなたは悪くない……。そう。騙されてるだけ……。このうさんくさい男に……キュゥべえだってイレギュラーな存在と言っていた」
ほむら「そ、そんな……!」
130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:09:26.24 ID:Lnck06T70
マミ「暁美さんは、私とその人、どっちを信じるの? 心理テスト風に言えば『どちらか一人しか助けられない状況でどっちを助けますか?』ってヤツよ」
ほむら「うぅ~……時を止めて二人とも……」
マミ「そういうことを言ってるんじゃないのよ」
まどか(ど、どうしよう……)オロオロ
マミ「いい? チームにおいて最も大事なことは『信頼』なの。援護だとかフォローだとか、何ができるか、とかじゃあない……」
マミ「私は、この人を信頼できない! 戦いにおいて『不信』は少しでもあってはならないのよ! その差は命を食いつぶす!」
まどか(マ、マミさん……ちょっと怖い……)
マミ「私は、暁美さんも、鹿目さんも美樹さんも信頼している。だから命を賭けられる。でも……この人は違う」
ほむら「で、でもぉ……」
131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:10:46.53 ID:Lnck06T70
マミ「わかって……暁美さん。大丈夫。あのリボンには使い魔を寄せ付けない効果もある。だから危害はないと保証するわ」
ツェペリ「ふむ……仕方ない。そんじゃ、わしはここで待っていよう」
ほむら「ツェペリさん……」
マミ「……フン。それでいいのよ。魔女を倒すまでそのままにしてなさい」プイッ
マミ「行くわよ二人とも」
まどか「えーっと……」ソワソワ
ほむら「で、でも……」オロオロ
マミ「鹿目さん。早くしないと美樹さんが危ないわ」
まどか「う、うぅ……す、すみません。ツェペリさん……」トテテ
マミ「大丈夫よ。鹿目さん。あなたも美樹さんも、私が責任を持って守ってあげるわ」
132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:12:25.31 ID:Lnck06T70
ほむら「はぅ……」
マミ「……暁美さん!」
ほむら「ひっ!」ビクッ
ほむら「ど、どどど、どうしましょう……」
ツェペリ「やれやれ、こうにも嫌われてしもうたら仕方ない」
ツェペリ「ま、わしはおまえは勿論、そこのネエちゃんの力も信頼しておる。何とかなるじゃろ」
ほむら「で、でも……私、不安なんです……ツェペリさんがいないと……」
ツェペリ「これこれ、ほむらがそんなんでどうする。いいか、これは大事な物の考え方じゃぞ。戦いの思考その①……『もし自分が敵なら』と相手の立場に身をおく思考!」
ほむら「魔女の立場……」
ツェペリ「ほれ、行け。あのネエちゃんが怒るぞ」
ほむら「……わ、わかりました」
133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:14:05.86 ID:Lnck06T70
ほむら「行ってきます……」
ツェペリ「あっと、その前に!」
ほむら「はい?」
ツェペリ「水を一口くれ。ワインとグラスはそこに置いといてくれてかまわん」
ほむら「あ、はい……。盾に常備してる非常用の、ですが……」スッ
ツェペリ「なんじゃこの容器」
ほむら「ペットボトルですけど……1888年、でしたっけ。その時にはない物です」キュッ
ほむら「どうぞ、口に流しますね」トプトプ
マミ「……暁美さんッ! いい加減にしなさいッ!」
ほむら「はいぃっ!」ビクッ
ほむら「す、すいません。行ってきます!」ピュー
134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:14:31.68 ID:Lnck06T70
ツェペリ「……」
ツェペリ(……さて、行ったか。なら、もういいじゃろう)
スパッ スパッ
ツェペリ「……」スタッ
ツェペリ「フゥー……、リボンを切ってやったわい」
ツェペリ「さてさて……弟子とあのネエちゃんの戦いっぷり、見学させてもらおうかの」
ツェペリ「ああ、いかん。ボトルまで切れた……ま、いいか。どうせコルク抜き無かったし」
135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:15:21.09 ID:Lnck06T70
さやか「あっ! やっときた!」
マミ「お待たせ、美樹さん。ちょっと余計なやりとりが多すぎたわ」
さやか「見てください! あれが魔女っぽいです!」
ほむら(あれが……魔女……!)ゴクリ
まどか「……可愛いね?」
さやか「……可愛いでしょ」
マミ「暁美さん。二人の護衛をよろしく」
ほむら「え……?」
マミ「私が相手するわ」スッ
マミ(スタイリッシュにそしてダイナミックに決めさせてもらうわ)
さやか「マミさんがんばってー! きゃー!」
136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:16:59.48 ID:Lnck06T70
バスッ!
魔女「――」
マミ「大したことないわね」
ドギャンッ!
まどか「す、すごい……いつにもまして何かすごい!」
さやか「すっげやっべ! カッコイイ!」
ほむら「……確かに、すごい」
ほむら(けど……)
137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:18:04.35 ID:Lnck06T70
マミ(鹿目さん……美樹さん……そして普段共に戦っている暁美さん。三人が私の戦いを見てくれている……)
マミ「……」フワッ
マミ(華麗な身のこなし!)
マミ「ティロ・ボレーッ!」バッ
マミ(かっこいい技!)
マミ「ボラーレ・ヴィーア(飛んでっちゃいなさい)!」
マミ(かっこいい台詞!)
ズギャァ―z_ン!
138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:19:02.36 ID:Lnck06T70
さやか「完全にマミさんの世界だ……」
まどか「魔女を完全に征服している……!」
さやか「あたしもあんな風になれたらなぁ~……」
まどか「ちょっと怖いけどね……でもすごい」
ほむら(巴さん……何をそんなに張り切っているの……?)
ほむら(普段の冷静さからはかけ離れている……)
139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:19:52.83 ID:Lnck06T70
マミ「トドメッ!」
マミ「ティロ・フィナーレッ!」
マミ(そしてこのかっこいいフィニッシュ……!)
ドッギャァ――z__ンッ!
バスッ
魔女「」
マミ「フッ……」
マミ(ああ……感じる! 感じるわ! みんなの視線! 羨望の眼差し!)
マミ(体が軽い……! こんな気持ちで戦ったのは初めて……! もう、何も怖くない……!)
マミ(暁美さん……思えば私、いつも……あの時はあれこれこう。ここがよかった考え直したらどう……と、口ばかりだった……)
マミ(それは、あなたの戦闘スタイルが特殊だから、そういう口出ししかできなかったから)
マミ(私は今まで、あなたに戦闘面で先輩らしさを見せていなかった。……もっと刮目して! 私を! もっと見てッ! もっと!」
140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:20:38.82 ID:Lnck06T70
まどか「決まった……!」
さやか「いや~、転校生が出るまでもありませんでしたなぁ~。ドンマイ。そういう時もあるさ」
ほむら「そ、そう……ですね。あはは……」
さやか「マミさんもすごいけど、魔女が大したことないってとこもあるね。もう、見るからにアレだもん」
ほむら(戦いの思想その①……相手の立場で考えること……)
ほむら(……そう。美樹さんの言うとおりだ。あまりにあっけなさすぎる)
ほむら(だから何かが……何かがおかしい……この違和感は……)
ほむら(考えて。もし私が、巴さんを戦うとすればどうする? そんなこと考えたくはないけれど)
ほむら(私なら……)
ほむら(油断をさせる。巴さんは今、理由はわからないけど、完璧主義というか……スタイリッシュさにこだわっている)
ほむら(つまり油断している。そんな今の巴さんが相手なら、私なら死んだフリなりなんなりして、その隙をつく)
ほむら(……もし、魔女がその隙をつくことができたら……? またはあの弱さがわざとだとしたら……? あるいはあれが仮の姿だとすれば……?)
141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:21:42.37 ID:Lnck06T70
マミ「う~ん……快・感……」ウットリ
魔女「――」プクッ
ほむら(…………ッ!)
ほむら「巴さん!」ダッ
まどか「ほむらちゃん?!」
マミ(スガスガしい……とっても気持ちいい……!)
魔女「――」ヌルッ
マミ「ん?」
魔女「――」グィィィ
マミ「え」
さやか「あ――」
まどか「あ――」
ガブンッ
142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:23:15.07 ID:Lnck06T70
さやか「…………え?」
まどか「…………な、何?」
さやか「あ……! ああ……! うわあああ……ああああ……!?」
まどか「マ、マ、マ……マミ……さ……マミさん……が……!」
まどか「食べられ……た……?」
さやか「う……うそ……でしょ?」
ほむら「え……ええ……嘘ですね」
さやか「!?」
まどか「ほ、ほむらちゃん! それに、マミさん!」
ほむら「時を止めて巴さんを救出した」
143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:24:16.41 ID:Lnck06T70
マミ「…………」ガクガク
ほむら「ショックで言葉が出ないようだけど……これは一時的なもの」
ほむら「……これがお菓子の魔女の本当の姿……!」
まどか「本当の姿……? あの海苔巻きみたいなのが……!」
ほむら「巴さんをお願い……! ここは私がやる!」
マミ「……! ……!」パクパク
ほむら「大丈夫です! 巴さん!」
まどか「ほ、ほむらちゃん……」
ほむら(……危なかった。……あと少し時を止めるタイミングが遅かったら間に合わなかった)
ほむら(それくらい、早かった。油断していたとは言え、巴さんが一歩も動けないくらいに……)
ほむら(私一人で倒せるか……?)
144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:25:10.42 ID:Lnck06T70
「やれやれ、見てられんのう。油断しすぎだ」
マミ「……! ……!?」
ほむら「え!? ……あ! ツェペリさん!?」
さやか「オ、オジサン!? どうしてここに……!」
まどか「縛られてたはずじゃ……?」
ツェペリ「フーッ、三人ともさがってなさい。わしが闘う!」トプトプ
さやか「ワイン注いでる場合かァ――ッ!」
まどか(……? ワインのビンが割れて……いや、切れてる?)
145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:26:03.23 ID:Lnck06T70
ほむら「そんな無茶です! あの魔女は強い!」
ツェペリ「……ほむら! 戦いの思考その②じゃ!」
ツェペリ「ノミっているよなあ……ちっぽけな虫けらのノミじゃよ。あの虫は我々巨大で頭のいい人間にところかまわず攻撃を仕掛けて戦いを挑んでくるなあ!」
ツェペリ「巨大な敵に立ち向かうノミ……これは『勇気』と呼べるだろうかねェ」
さやか「知るかァ――ッ!」
ツェペリ「ノミどものは勇気とは呼べんなあ。……それではほむら! 『勇気』とは一体何か!?」
ほむら「勇気……」
146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:27:06.80 ID:Lnck06T70
ツェペリ「『勇気』とは『怖さ』を知ることッ! 『恐怖』を我が物とすることじゃあッ!」
ツェペリ「呼吸を乱すのは恐怖! だがその恐怖を支配した時! 呼吸は乱れない! 波紋法の呼吸は勇気の産物!」
ツェペリ「人間讃歌は勇気の讃歌ッ! 人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!」
マミ(勇気……今の私は、恐怖に支配されている……つまり、私は腑抜け……?)
ツェペリ「勇気だけでは魔女には勝てんのだ!」
ツェペリ「……」クイッ
さやか「飲んどる場合かァ――ッ!」
まどか「さやかちゃん。うるさい」
さやか「あ、ごめ」
147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:27:51.22 ID:Lnck06T70
魔女「――!」
グオォォ
まどか「く、来るッ!」
ほむら「ツェペリさん! 逃げてッ!」
ゴオォォォォォ
さやか「に、逃げるどころか、棒立ち!? あのままだと、今度こそ頭が!」
ほむら「ツェペリさんッ!」
ツェペリ「……」
ツェペリ「波紋カッター!」
パパウパウパウッ フヒィィ――ン
148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:28:58.53 ID:Lnck06T70
まどか「口から何か吐いた!?」
ほむら「あれは……今飲んだワイン!?」
スパァスパァ ボトッザクッ
さやか「魔女の歯が折れた!? ……いや、切れた!?」
魔女「!」
ツェペリ「魔女の牙よりも波紋カッターの切れ味の方が鋭いわい! 波紋呼吸法の利用によってワインにものすごい圧力をかけて歯の間から押し出しただけだがのォ~!」
ほむら「あれでリボンを切ったんだ!」
魔女「――!」ジタバタ
マミ「魔……苦し……る……!」
まどか「ま、マミさん!」
さやか「声ほとんど出てませんよ! 無理しないで!」
マミ「ゴメ……なさ……あけ……さ……」
ほむら「大丈夫。大丈夫ですよ。巴さん……。誰もあなたを攻めたりなんかしない……」
マミ(…………私、ほんとダメな先輩だわ)
149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:31:03.32 ID:Lnck06T70
ツェペリ「ほむら! あとは教えた通りおまえが仕上げしろ!」
ほむら「私が……」
ツェペリ「牙のないこやつを倒せんようではついていけんぞ!」
さやか「は! こ……このオジサン! 改めて見たらすげぇッ! 今のてんやわんやでワインをこぼしていない!」
まどか「あれ、でもさっきワイン吹き出したよね」
さやか「と、とにかくすげぇ!」
ほむら「……やってみます!」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「大丈夫。任せて!」
150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:32:24.81 ID:Lnck06T70
ツェペリ「ほむらよ。これを持て」スッ
ほむら「ワイングラス?」
ツェペリ「ほむら! そのワインをグラスから一滴もこぼさず奴を倒してこい!」
ほむら「!」
まどか「えぇっ!?」
ツェペリ「戦いの思考その③じゃ。北国ノルウェーにこんな諺がある……『北風が勇者バイキングをつくった』」
ツェペリ「そのワインをほんの一滴たりともこぼしてみろ! その時は例え奴を倒したとしてもわしはもうおまえを見捨てる!」
さやか「おい! オジサンよォ――ッ! あんた遊びにきたんじゃあねェ――んだぞ――ッ! 正気かーっ!?」
ツェペリ「あんたはー、だーっとれぃ!」
ほむら「待って! 美樹さん」
ほむら「わかりました。ツェペリさん。頑張ってみます」
マミ「気を……つけて……!」
ほむら「はい……!」
151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:33:16.99 ID:Lnck06T70
ゴゴ ゴゴ ゴ
ほむら「……」
魔女「――」
ほむら「……さて、戦いの思想その②……恐怖を支配すること……か」
ほむら「私の一番怖いことって何? 魔女? 痛み? イレギュラー?」
ほむら「……」チラッ
まどか「……」オドオド
さやか「……」ビクビク
マミ「……」ソワソワ
152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:33:59.67 ID:Lnck06T70
ほむら「違う……。大切な人を救えない方がもっと怖い!」
ほむら「ツェペリさんが助言をくれなかったら巴さんが死んでいた。もし死んでしまっていたら、私が二人を守らなければならなかった」
ほむら「私がやるんだ……! 私は強くならなければならない……!」
ほむら「成長しなければ……。こんな様では私は栄光も未来も掴めない」
魔女「――!」バッ
ほむら「来るっ!」バッ
ほむら(素早いけど……避けられない速さではない!)
ほむら(あまり賢くなくて、小回りが苦手なタイプと見た。なら、地形を活かして飛び回って翻弄する!)
153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:35:01.97 ID:Lnck06T70
―――
まどか「うぅ……ほむらちゃん大丈夫かなぁ……」
マミ「暁美さんなら……大丈夫よ……」
マミ(腰を抜かしてやっと声が出るようになった腑抜けな私なんかよりも、ずっと……!)
さやか「転校生……不器用そうに見えてものすごい器用だ! あんなに動いてワインをこぼしてない!」
ツェペリ「器用? 器用さとは違うなぁ……。地面の上ならまだしも、あんだけ飛び回ってこぼさないなんてありえんわい」
まどか「え?」
ツェペリ「ほむらは既に北風の意味を理解しておる」
ツェペリ「北風とは、ワインのことじゃ――」
154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:36:02.29 ID:Lnck06T70
ほむら「――ワインはバイキングを作った厳しい北風……」
ほむら「これは! ツェペリさんの課した試練! 『理解』した!」
魔女「――!」
サッ
ほむら「『くっつく波紋』と『はじく波紋』!」
ほむら「『ワイン』を持った左手に『くっつく波紋』を!」
ほむら「逆に魔女を攻撃するための右手に『はじく波紋』を!」
ほむら「この正反対のふたつの波紋を! 同時に体内でコントロールする事を今『覚えた』ッ!」
魔女「――ッ!」グワッ
ほむら「早速この新技術で決める! 時よ止まれッ!」
カチッ
155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:36:37.51 ID:Lnck06T70
ほむら「私だけの時間だよ」
パシィッ
ほむら「……足に『くっつく波紋』を流す。魔女に張り付いた」
ピッタァァ
ほむら「時が動きはじめるまでに『はじける波紋』を同時に練って、ぶつける!」
ほむら「呼吸に関わる筋肉を強化ッ! 呼吸の強化、イコール波紋のパワーアップッ!」
ほむら「コォォォ――……」
ほむら「左手と足に流すくっつく波紋! 右手に流すはじく波紋!」
ほむら「震えますハート! 燃え尽きちゃうほどのヒート! 刻みますは……血液ビート!」
ほむら「時は動き出す! 喰らえッ! 魔法強化波紋疾走(マジカル☆オーバードライブ)ッ!」
156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:37:36.87 ID:Lnck06T70
マミ「――ハッ!」
魔女「――ッ!?」
ボシュ――ッ
まどか「この光……! ああ、魔女が溶けていく……!?」
さやか「波紋が通ったんだ……何が起こったのかよくわからないけど……」
マミ「時を止めて……魔女に攻撃した……何故か魔女の体に、天井に張り付く蜘蛛やトカゲみたいに張り付いているけど……それも、波紋……!」
ツェペリ「ベネ(良し)。ワインが北風を作ったぞ」
157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:38:17.90 ID:Lnck06T70
――
――――
ほむら「……終わりました」スタッ
まどか「ほむらちゃん!」タッ
ギュッ
ほむら「か、鹿目さんっ!?」
まどか「よかった……無事でよかったぁ……」ギュー
ほむら「あ、あの……その……は、離して……///」
まどか「あっ、ご、ごめん……つい」
さやか「ごちそうさまだよちくしょう」
――――
ほむら「……終わりました」スタッ
まどか「ほむらちゃん!」タッ
ギュッ
ほむら「か、鹿目さんっ!?」
まどか「よかった……無事でよかったぁ……」ギュー
ほむら「あ、あの……その……は、離して……///」
まどか「あっ、ご、ごめん……つい」
さやか「ごちそうさまだよちくしょう」
158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:38:58.81 ID:Lnck06T70
マミ「暁美さん……ほんとうにごめんなさい。私が不甲斐ないばっかりに……」
ほむら「いいんですよ。巴さんは少し張り切りすぎただけですよ」
マミ「……ダメな先輩でごめんなさい」
ほむら「巴さん……」
ツェペリ「ワインはこぼしていないな。合格だ。よく気付いたな」
ほむら「ツェペリさん」
ツェペリ「さて、ほむらよ。水の入ったぺっとぼとるとやらを寄越すのじゃ」
ほむら「あ、はい。お水まだ残ってますよ」スッ
ツェペリ「うむ」
キュッ
159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:39:53.94 ID:Lnck06T70
ツェペリ「……ほむら。おまえには少なくとも、これからわしがやることができるようにならなくてはならん」
ほむら「へ?」
ツェペリ「コォォォォ…」
グルルルン
さやか「!?」
まどか「蓋を開けたペットボトルを逆さまにしたのに……」
マミ「中の水が流れ落ちない!」
ほむら「くっつく波紋ですね。それなら私にも……」
ツェペリ「ほむら、ホレ! そのまま水を維持してみよ」ヒョイッ
ほむら「は、はいっ」ブブブ
160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:40:22.47 ID:Lnck06T70
バシァ
ほむら「あ……」ビチョビチョ
さやか「あーあ……」
ツェペリ「そうなると思って染みになるワインでなく水を使用した」
さやか「わぁ紳士」
ほむら「ま、待ってください! 私、ワインで同じようなことできましたよね!?」
ツェペリ「違いを言ってやろう! おまえとわしは実際の波紋の強さそのものに大きな差はない! しかし、おまえはいつも手の平や拳から波紋を一気に放出しておる」
ツェペリ「手足等の末端から波紋が出ると教えたが――わしは今、この指の先……一点からだけ波紋を放出した。一点集中!」
ツェペリ「一点集中で水面に波紋の振動膜ができ、水は強力に固定されて落ちない! 手の平や拳だと波紋が分散する」
161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:41:32.50 ID:Lnck06T70
まどか「拳からの波紋が弱いなら……今のパンチで倒せたのは?」
ツェペリ「波紋カッターでつけた波紋傷が悪化したということもあるが、魔法か何かで無理矢理強化したんじゃろう。いい応用だと思う」
ほむら(お見通しだ……)
ツェペリ「おまえはワイングラスのボウル部分でなく、脚(ステム)の部分をつまんでいた。則ちグラスに触れていたのは指先! だから自然と指先からの一点集中の波紋によりワインの固定ができたのだ!」
ほむら「指先の方が強い……ホースの口は小さい方が勢いよく遠くまで飛ぶ原理ですねッ!」
ツェペリ「その通り! 一点集中ゆえに指先! 波紋は指先だけの方が強い!」
マミ「なら最初からそれを教えていればよかったものを……」
ツェペリ「わしが最初からそれを教えなかったのは、波紋は拡散してしまうものの拳や手の平はビギナー向けではあるから」
ツェペリ「そして慣れない内に無理に指だけを使わせると突き指、骨折の危険性があるからだ」
さやか「なるほど……ちゃんと気を使っているんだ……」
ツェペリ「ほむらよ。指先からの波紋を習得すれば、理屈の上では指の細い女子供の方が波紋を強力に扱える!」
ツェペリ「これからは指先からの一点集中を心がけよ!」
ほむら「……はい!」
162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:42:33.01 ID:Lnck06T70
ツェペリ「……さて、一件落着、と。ほむらも新しい波紋のステップに立てたことだし」
ほむら「…………」
マミ「……どうしたの? 暁美さん」
ほむら「……着替えたいです」ビチョビチョ
まどか「お菓子な結界にいたからクリームとかついちゃってるね……」
さやか「魔女の涎もついてるね……加えてオジサンによる水の追い打ち」
マミ「私の家に寄りましょう……シャワーを貸してあげるから」
ほむら「す、すみません……」
ツェペリ「悪いことしたのぉ……」
さやか「魔法少女って……時として汚い仕事なんだね」
マミ「…………なりたい?」
まどか「……うーん」
さやか「……どうしよう」
ほむら「…………」
163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:43:23.77 ID:Lnck06T70
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さやか「ノックしてもしもぉ~し」
さやか「可愛い女の子と思った? 残念! さやかちゃんでした!」
上条「……さやか」
さやか「元気? 調子はどう?」
上条「さやかは僕を苛めて楽しいのかい……」
さやか「え……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:44:14.52 ID:Lnck06T70
さやか「……………………」
さやか(――と、まぁ色々あってね……)
さやか「…………どうしても叶えたい願いがあったから……。契約、しちゃった」
まどか「…………」
ほむら「そんな……どうして……」
まどか「ほむらちゃん。あの……さやかちゃんは……わたしを魔女から助けてくれたの。だから……だから攻めないであげて……」
さやか「パソコンみたいな……むしろパソコンそのものだったよ」
ほむら「…………」
ほむら「美樹さん…………」
さやか「……わかってるよ転校生。みなまで言わないで」
165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:46:25.72 ID:Lnck06T70
さやか「あたしは修行の類を一切積んでいないのに魔女をたった一人で倒せたからって、あたしはあんたより強いだなんて思ってないよ!」ドヤァ…
ほむら「……別にそういうこと言ってるんじゃないんですけど」
まどか「さやかちゃん……その言い方はちょっとウザいよ」
さやか「えー」
ほむら「まあ……なってしまったものは仕方ないです。ただ、せめて一人で魔女を相手するとか、無茶はしないで……」
さやか「無茶も何も、余裕しゃくしゃくでさっきの魔女フルボッコだったよ。一人で相手したのは不可抗力なとこもあったし」
さやか「しっかしなんだね。こりゃもう転校生超えかな? あたしってばホント天才。才能あるぅ~」
ほむら「……」ムッ
166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:48:27.09 ID:Lnck06T70
ほむら「……い、今のはカチンときました。私が本気出せば美樹さんに負けませんもん」
さやか「んー、どうかなぁ?」ニヤニヤ
ほむら「波紋は普通の人がもろにくらえば電気のような衝撃が走って昏睡状態にさせられるんです」
さやか「そ、それは……波紋のアレじゃん?」
ほむら「波紋がなくても時を止めて爆弾を間近で起爆させます」
さやか「こ、怖えぇよ……」
まどか「あ、あはは……」
さやか「…………ねぇ、転校生」
ほむら「……?」
167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:48:57.23 ID:Lnck06T70
さやか「あのさ……。……その、ごめん」
ほむら「えっ」
さやか「転校生はさ……危険だからとか言って、心配してくれてたのに……相談もなしに契約しちゃって。どうしても、叶えたい願いがあったんだ」
ほむら「上条くん……ですね」
さやか「えっ……す、すごいな。転校生……お見通しじゃん……」
まどか「あれ? ほむらちゃん上条くんのこと知ってたっけ?」
ほむら「あ」
さやか「転校生……あたし、また恭介のバイオリンが聴きたいんだよ……わかってくれる?」
まどか「さやかちゃん……」
168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:49:43.59 ID:Lnck06T70
ほむら「いえ……美樹さんの気持ち、わからないでもないですから……それに、鹿目さんを助けてくれましたもの」
さやか「……ありがと。あたし、頑張るからね!」
ほむら「……はいっ」
まどか「ティヒヒ、それじゃほむらちゃんはさやかちゃんの先輩だねっ」
さやか「そうなるね……うーん。そうか、そうなるか……。ツェペリのオジサン的存在になるのかな……?」
ほむら「先輩……」
さやか「うん! よし、転校生改めほむら先輩! マミさんと二人がかりであたしに戦い方を御教授お願いするよ!」
ほむら「ええっ!?」
169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:51:04.79 ID:Lnck06T70
さやか「だからペコペコしてないでドンと構えていいんだよ?」
ほむら「ド、ドンっと言われても……」
ほむら(まさか美樹さんに教える立場になるなんて……どうしよう)
まどか「先輩風を吹かせるんだよ! ほむらちゃん!」
ほむら「え、えーっと……え、えっへんです!」
さやか「…………」
まどか「…………」
ほむら「……今のは無しで///」
まどか(かわいい)
さやか(あざとい)
170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:51:53.50 ID:Lnck06T70
マミ「……あれ? もしかしてもう終わっちゃった?」
まどか「あ、マミさん」
マミ「み、美樹さん……! この格好は……!」
さやか「え、えへへ……なっちゃいました」
マミ「そう……」
マミ「…………覚悟はできているのよね?」
さやか「はい。だから、あたしに戦い方を教えてください! マミ先輩。ほむら先輩」
マミ「せ、先輩……何か、余所余所しくなったわね」
ほむら「……普通に呼んでください」
さやか「はぁい。マミさん。ほむら」
まどか「ティヒヒッ」
171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:52:36.30 ID:Lnck06T70
マミ「そうね……美樹さんの魔法少女就任祝いにお茶会でもやりましょうか!」
さやか「ぅわーいっ」
ほむら「…………」
ほむら(美樹さんの魔法少女化はやはり避けられなかった。予測はできていたし、止めることもできたはずだ)
ほむら(とは言え、美樹さんの上条くんへの思い……わからないでもない。修行で忙しいとか、色々言い訳あれど、結局は私自身の甘さがそれをさせてしまったんだ)
ほむら(私は何て弱いんだろう。いっつもそう。先生にプリントか何かを提出するだけなのに職員室に入れなくて10分くらいうろうろするような……そんな弱さ)
ほむら(魔法少女にさせてしまった以上……恋を成就させるとまではいかないにしても、絶望させないまで!)
ほむら(でも……どうすればいいのかな? 恋愛なんてよくわかんないし……難しいよ……)
ほむら(今度ツェペリさんに相談してみよう。大人の意見を聞いてみよっと)
172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:53:52.45 ID:Lnck06T70
マミ「さー、明日からビシバシ特訓するわよ!」
さやか「はい!」
マミ(私はお菓子の魔女で情けないところを見せた……。もう、あんなへまはしない!)
さやか「……ところで、もしかしておもいっきしハードなやつですか?」
マミ「いつ魔女が現れるかわからないもの」
さやか「オー! ノーッ! あたしの嫌いな言葉は一番が『努力』で二番目が『ガンバル』なのにーッ!」
マミ「嘘よね?」
さやか「まあそうですけど。でも甘口でお願いします」
マミ「ダメよ」
さやか「しょぼーん」
マミ(暁美さんは戦い方が特殊で元々それなりに強かったから指導内容に戸惑ったけど……美樹さんの武器は剣。近距離型の子の指導は『既にしたこと』がある。経験があるわ!)
173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/04(土) 21:55:22.19 ID:Lnck06T70
マミ「さあ! 来たるべく強い魔女に立ち向かうため! ビシバシいくわよ!」
さやか「ふえぇぇ!」
まどか「さやかちゃん頑張って~」
ほむら(来たるべく魔女……か。色々あってワルプルギスのことを言うタイミングも逃してたなぁ……いつ言おう)
ほむら(美樹さんが魔法少女になって間もないのにワルプルギスの話を聞いたら落ち込ませるかも……日を置こう)
「ふぅーん……あれがキュゥべえの言ってたイレギュラーって奴か……でもどっちがだ?」
「青か? 紫か? 紫の方はもう見るからに弱そうだから……青い方かな」
「ん、あいつは……。やっぱまだ生きてたか。……フリッツうめぇ」
185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:21:26.82 ID:si+CMYFf0
数日後
――魔女の結界
ほむら(関節を外して、腕の長さを伸ばす! その激痛は波紋で和らげる!)ゴキャッ
ほむら「ズームパンチ!」バキィッ
魔女「――ッ!」
ドギャァーン
ほむら(よし! ここで爆弾でトドメッ!)
さやか「うおおおおおおお!」
ほむら「!?」
186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:22:13.01 ID:si+CMYFf0
さやか「マミさん直伝! ス……スワク……すく? ス何とかーレェッ!!」バッ
ほむら「あっ!」
ボガァーン
ほむら「あぁ~……」
さやか「ギニャァ――ッ!」
マミ「うーん、倒せなかったようね……魔女が逃げちゃった」
187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:23:14.09 ID:si+CMYFf0
ほむら「あの……大丈夫ですか?」
さやか「ほ、ほむらァーッ! 爆弾使うときは合図の一つや二つしてよ!」
ほむら「ご、ごめんなさい……まさか突っ込んでくるとは思わなくて……」
マミ「暁美さん。爆発は近距離型の美樹さんを巻き込む事があるわ。気をつけてね」
マミ「美樹さんも美樹さんで、無鉄砲に突っ込み過ぎ。だから巻き込まれたのよ?」
ほむら「すみません……」シュン
さやか「ごめんなさい……」シュン
まどか「まぁまぁまぁ……」
188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:25:11.14 ID:si+CMYFf0
ツェペリ「だがまぁ、波紋の扱いも大分上達してきたもんだ」
ほむら「ありがとうございます。……あの、ツェペリさん。一つ質問が」
ツェペリ「何かね」
ほむら「外した関節ってどうやって戻せばよいのでしょうか」ダラーン
ツェペリ「…………」
まどか「」
マミ「」
さやか「治してあげるから二度とその技を使うなよほむら。いいか。絶対に使っちゃだめだからね」
ほむら「はい……」プラプラ
189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:26:01.78 ID:si+CMYFf0
さやか「ザ・キュア~」パァ…
まどか「cure――回復、治癒……合ってる。ど、どうしようさやかちゃんが英語を使ってる……」
さやか「あんたの中のあたしってどんだけなんだよ」
マミ「さ、さて……と。ツェペリさん。体験ツアー参加者な鹿目さんの護衛、ありがとう」
まどか「お師匠さんとしてほむらちゃんを見てなきゃいけないのにごめんなさい……」
ツェペリ「いやいや、気にすることはない」
マミ「あ、のんきに話してる場合じゃなかったわ。魔女を追わなくちゃ! ツェペリさん。引き続き護衛お願い!」タッ
ほむら「追いましょう!」タッ
ツェペリ「よし、行こう。足下に気をつけるのだよ」
まどか「はいっ」
190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:26:49.82 ID:si+CMYFf0
さやか「あ、待って……」
使い魔「――!」
さやか「ハッ!」
さやか「ぉおっと!」ガシッ
さやか「使い魔め! このこの! みんなー! 使い魔が出たぞォ――ッ!」バシバシ
使い魔「――」フラフラ
さやか「……ありゃ?」
さやか「しまった。みんなとはぐれた」
さやか「も~……みんなせっかちなんだからなぁ~……しかたない。ここはあたしが」
使い魔「――」
さやか「逃がさないぞコラァー!」
191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:28:35.22 ID:si+CMYFf0
「ほっといていいだろ」
さやか「!?」
使い魔「――」フラフラ
ザッ…
さやか「だ……誰だあんたは……!」
「あたしの名は佐倉杏子」
杏子「ただのしがない魔法少女さ」
さやか「なんだ……! あんたは……! 魔法少女だな!」
杏子「今言っただろ」
192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:31:56.58 ID:si+CMYFf0
さやか「…………」ジッ
杏子「何じろじろ見てんだよ」
さやか「なんてことをしてくれたんだ!」
杏子「うん?」
さやか「あんたが邪魔するから逃がしちまったッ!」
杏子「あぁ、使い魔ね。使い魔なんてほっときゃいいだろ」
さやか「よくない! 使い魔は一般人を襲って魔女になる!」
杏子「あー、もう……わかったよ。暑苦しい奴だ。悪かったよ。これでいいよな? で、そんなことよりも、あたしはあんたに用があるんだ」
さやか「……杏子っつったか。あたしは美樹さやか。用があるなら早くしてよ」
杏子「あんたが噂のイレギュラーか?」
193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:32:41.68 ID:si+CMYFf0
さやか「イレギュラーってどういう意味?」
杏子「……普通じゃないってことだ」
さやか(普通じゃない? 確かにあたしは初心者でありながら魔女を単独で倒せた……なるほど)
さやか「えへへ、見る目あるじゃぁ~~ん」
杏子(うぜぇ……)
杏子「それで、あんたは……普通の魔法少女にはない特別な能力を持っているそうだな?」
杏子「ひとつ……それをあたしに見せてくれるとうれしいのだが……」
さやか(うん……? 治癒魔法のこと? そんなに珍しいのかな)
さやか「まあ、いいけど……」
杏子「よし、それじゃあ……手合わせ願おうか」
さやか「へ? なんで?」
194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:34:26.30 ID:si+CMYFf0
杏子「互いの力を見るには、決闘が一番シンプルでいい」
さやか「いいだろう! この妖刀が早えーとこ三百四十人の血をすすりてえって、慟哭しているぜ!」クイクイ
杏子「プッ」
さやか「なっ! 何がおかしい! このドサンピン!」
杏子「ハッタリはよせってこった」ケラケラ
さやか「にゃにお~~んっ!?」
杏子「そーゆーのは経験で分かる」
さやか「無駄に恥かいた! ええい! かかってこい!」
さやか(怪我させたら治してやるからいいとして……魔法少女同士で戦うなんて初めてだな……)チャキ
杏子「ところでドサンピンってどういう意味だ?」
さやか「……わかんない」
195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:36:18.60 ID:si+CMYFf0
魔女「――」
マミ「ようやく追いついた……!」
ほむら「頑張って倒しましょう!」
マミ「えぇ、準備はいい!? 二人とも!」
ほむら「はい!」
マミ「……あれ?」
マミ「美樹さんは……?」
ほむら「あれ? そういえば……」
まどか「マミさん! ほむらちゃん! 大変!」
マミ「!?」
196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:38:02.40 ID:si+CMYFf0
ほむら「ど、どうしたの?!」
ツェペリ「さやかがはぐれた」
マミ「何……ですって……?」
まどか「追ってる途中で気付いた! どうしよう!」
ツェペリ「さやかは魔法少女としてまだ日が浅い! 魔女を単独で倒せたとは言え一人になったところを使い魔に囲まれたりしたら……」
マミ「……暁美さん!」
ほむら「はい!」
197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:38:52.02 ID:si+CMYFf0
まどか「ど、どうするの?」
ほむら「ツェペリさん! 魔女をお願いします!」タッ
ツェペリ「わかった!」
マミ「鹿目さんは暁美さんについてって!」
まどか「は、はいっ!」
ほむら「鹿目さん、どの辺りではぐれたって気付いた?」
まどか「え、えっとね――」
タッタッタ…
198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:45:06.25 ID:si+CMYFf0
マミ「……使い魔程度なら、暁美さんと鹿目さんが美樹さんと合流すれば……どちらか一人で十分。鹿目さんの護衛する余裕はある。最悪暁美さんの時を止める能力が何とかしてくれる……」
マミ「でも、魔女を相手するとなると……鹿目さんの護衛をする余裕はない。だから、二人……」
ツェペリ「共闘するほど、わしを信用できるか?」
マミ「こればっかりは仕方ないもの」
ツェペリ「足手まといにならないよう注意させてもらうよ」
マミ「……そうね。そうしてくれると助かるわ」
199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:46:04.12 ID:si+CMYFf0
さやか「うりゃ!」
杏子「踏み込みが甘い!」サッ
さやか「ぐぬぬ……」
杏子(なにか変だぞ……こいつ……剣のにぎり方やかまえの姿勢はド素人だ。だが……)
杏子「オラァッ!」ブンッ
さやか「何のッ!」サッ
杏子(この身のこなし……)
さやか「ふふふ……やるじゃないか」
杏子「…………あたしも、あんたをすこし見くびっていたよ」
杏子「なあ、さやかといったか……さやかは誰か師事しているな?」
杏子(あたしと同じタイプだ。戦い方が似ている)
200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:47:56.51 ID:si+CMYFf0
さやか「え? 支持? ここで政治の話? あたし選挙権ないよ」
杏子「……誰かを師匠としているはずだ」
さやか「あ、あ~、まあ、そうだけど……何で?」
杏子「誰だッ! その師はッ!」
さやか「お、おいおい……どうしたのさ」
杏子「何であたしとやり方が似ているんだッ!」
さやか「え? 似てた? 剣と槍だよ? 似るわけないじゃん」
さやか「あ、槍とやり方で、かけてた? うーん。60点」
杏子「うぜぇ……」
さやか「冗談はさておき……仮に似てるなら……あたしら、気が合うかも!」
杏子「ほざけ」
201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:48:41.88 ID:si+CMYFf0
さやか「ねぇ、あたしの仲間が今魔女と戦ってると思うんだけどさ、それ終わったら一緒に何か食べに行こうよ」
杏子「必要以上に馴れ合うつもりはないね」
杏子(見滝原で師と言ったら……どうせあいつがいる)
さやか「つれないねぇ……」
杏子「……で、あんたの師は結局誰だなんだ。大体想像はつくが、答えろよ」
「その必要はないです」
杏子「!」
さやか「!」
202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:49:59.13 ID:si+CMYFf0
さやか「ほむら! それにまどか!」
ほむら「こんなところで……」
まどか「ハァ……ハァ……さ、最初から……はぐれてたんだね……さやかちゃん……この子は……?」
杏子「…………」
ほむら「……佐倉さん」
まどか「ハァ……ハァ……え? ……ハァ、知って、……るの? ハフゥ……疲れた」
杏子「……何であたしの名を知ってるんだ? 一応は初対面だろ。……まあ、どうでもいいな」
杏子「そこのちっこいのも魔法少女か?」
まどか「わ、わたしは……」
203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:51:18.03 ID:si+CMYFf0
さやか「魔法少女ではないけど、ムードメーカーみたいなもんだと思ってよ。まどかって言うんだよ。可愛いでしょ」
杏子「いや知らんけど」
さやか「あたしの嫁です」
杏子「いや知らんけど」
ほむら(何故美樹さんと争っているってのはさておき……ここで佐倉さんと遭遇か。ちょっと、タイミングが悪い……『前』より早い)
ほむら(ところで、佐倉さんは今、美樹さんと戦い方が似ていると言った……聞き間違いではない)
ほむら(それは私が、美樹さんに戦い方を教えるのが初めてで戸惑ったから、どの時間軸でも美樹さんとなんだかんだで仲良くなる佐倉さんの戦い方を基準に、美樹さんにそれを教えたからだ)
ほむら(それに加えて、佐倉さんの師である巴さんの指導……佐倉さんと酷似もするだろう。そして、結果的に美樹さんは佐倉さんに共鳴を感じたっぽい。……今回も、まぁ、二人は仲良くなりそう)
杏子「それはそうと、あんた。まどか、あるいはほむら。どっちの方だ」
ほむら「私は、暁美ほむらといいます」
204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:53:38.08 ID:si+CMYFf0
杏子「そうかい。……そんで、さやかのお仲間、と」
さやか「今言ったじゃん……こっちがまどかだって」
杏子「興味をなくしたあんたの言葉は耳から耳へ抜けるのさ」
さやか「ひどい」
ほむら「……私は冷静な人の味方で無駄な争いをするお馬鹿さんの敵です」
ほむら「あなたはどっちですか? 美樹さん」チラッ
さやか「いやいやいやいやいや! 向こうが喧嘩売ってきたんだよ!」
まどか「え……? 何で……?」
さやか「あたしィィ? そんなの知らないよ」
杏子「喧嘩っていうか決闘だ」
ほむら「……決闘、ですか?」
205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:55:33.92 ID:si+CMYFf0
杏子「ああ、キュゥべえからイレギュラーな奴って聞いて、興味が沸いてね。戦った感想としては、それはもうド素人だった」
さやか「おぉい!」
杏子「なぁ、ほむらと言ったな。一つ聞いていいかい?」
ほむら「……?」
杏子「そこのちっこいのはゼーゼー息切れしている。つまり、走ってここに来たという解釈でいいよなぁ……それもかなり急いで、だ」
まどか(ふぅ……喉乾いちゃった)
ほむら「……それがなにか」
206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 20:59:20.47 ID:si+CMYFf0
杏子「何であんたは息切れをしていないんだ?」
ほむら「……」
杏子「あんたが噂のイレギュラーだったんだな。相手しろよ。さやかの先輩さんよぉ」
さやか「……あたし、勘違いで喧嘩売られてたの?」
まどか「どんまいさやかちゃん」
ほむら「……わかりました。お相手しましょう」
まどか「へ?」
ほむら「グリーフシードを賭けます」
杏子「あん?」
ほむら「あなたが勝ったら、グリーフシード3つ……差し上げましょう。ということです」
杏子「……へー、見かけによらず威勢のいいことを言ってくれるな。いいだろう。3つだな。その賭け乗っ……」
ほむら「いえ、私が負けてもグリーフシードは不要です。その代わり、あなたに協力を要請する」
杏子「協力……?」
207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:01:52.19 ID:si+CMYFf0
ほむら「この街にワルプルギスの夜が現れる。私はそいつを倒したい。だから協力してもらいたいんです」
杏子「……何故現れるとわかる」
ほむら「私に勝ってそれを望むなら……あるいは私に負けて共闘するというなら教えましょう」
さやか「わるぷ……?」
まどか「……魔女? 魔女の名前かな?」
杏子「波紋という力があれば、ワルプルギスを倒せると言うのか? あのワルプルギスを?」
ほむら「……わからない」
杏子「まあいいだろう。負けたら共闘してやる。言い出されたからには後には退けない。乗らないなんて言ったらあたしがワルプルギスから逃げてるみたいになるからな」
ほむら(グッド……乗ってきた。争うのは嫌だけど……佐倉さんの手は既に知っている。今の私なら、彼女に勝てる)
208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:03:50.38 ID:si+CMYFf0
ド ドド ド ド
ほむら「……」
杏子(……この構え……素手で戦うのか? いや、何か秘密があるはずだ。見当はつかないがあたしには経験がある)
ほむら「コォォォ……」
杏子「おい、緊張してんのか? 深呼吸なんかしちゃってよォ~……」
ほむら「これが……波紋という能力です。魔法ではありません……人間には未知の部分がある」
ほむら「波紋とは! 呼吸から生じる生命のエネルギー!」
杏子「ほう……。それが波紋……。それにしても魔法じゃないだと? 確かにそりゃイレギュラーだ。ますます興味が沸いた。お手並み拝見だ」
杏子「オラァッ!」
ドッヒャァッ
ほむら「……ッ!」
209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:07:04.24 ID:si+CMYFf0
ガッシィィィ
杏子「ムッ!」
さやか「柄を掴んだ!」
まどか「すごい反射神経……! ……時を止めたのかな?」
杏子「へぇ……あたしの攻撃を見切るとは、なかなかやるじゃん。さやかとは大違い。見た目によらないな」ググッ
ほむら「……オリーブオイルは好きですか?」
杏子「あ?」
ほむら「オリーブオイルは好きか、と聞いているのです」
杏子「何言ってんだよ」
ほむら「今から『これ』をぶっかけます」
210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:08:16.70 ID:si+CMYFf0
杏子「お、おいバカ! やめろ! そんなもんかけようとすんな!」
ほむら「残念。既に……かかってますよ。あなたの槍に……」
杏子「はっ!」
ヌルリ
さやか「うわぁ……杏子のヤリ、スゴイヌルヌルしてる……」
杏子「何だよその地味な嫌がらせは! っていうかいつの間に……」ベチョォ
杏子(あの盾に一瞬触れたよな……やはりあの盾に秘密があるのか……?)
211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:10:32.56 ID:si+CMYFf0
杏子「つーか食い物を粗末にするな!」
杏子「……オリーブオイルって食い物か? 食い物……だよな? うん。ってことでふざけんな!」
まどか「オリーブからとれるし、食べ物だよね」
さやか「調味料も食べ物と言えるのかな?」
ほむら(時を止めて矛先を見極め、オイルを塗りたくった)
ほむら(物体に油を塗れば……その物体は波紋を100%通す!)
ほむら「武器に伝わる波紋疾走!」チョイ
212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:11:45.50 ID:si+CMYFf0
バチィッ
杏子「ビリっときたあああああああ!」
カシャンッ
杏子「ハッ! 思わず手を離しちまった……。何があったんだ……? 電気が走ったかのような……」
ほむら「武器を離しましたね……。あの、私の勝ちでいいですか?」
杏子「ぐ、ぐぬぬ……ちょいと油断しちまったぜ。これが波紋……」
まどか「ほむらちゃんすごい!」
さやか「やったー! かっこいー!」
213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:14:23.80 ID:si+CMYFf0
グニャァ……
杏子「むっ」
まどか「あ、結界が……」
さやか「と、いうことは……魔女を倒したんだ!」
杏子「チッ、何か茶々入れられた気分だが……まあいい。続けっぞ」
杏子「言っておくが、あたしは負けを認めたわけじゃない! 覚えたぞ! 波紋ってのは全身スタンガンみたいなもんだ。水は電気通すって言うし。油は知らんけど!」
ほむら「……」
杏子「ちょいと本気出させてもらう!」
まどか「本気……?」
214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:16:58.25 ID:si+CMYFf0
杏子「あたしの能力を説明せずにこれからあんたを攻撃するのは騎士道に恥じる闇討ちにも等しい行為……」
杏子「ゆえに秘密を明かしてから次の攻撃に移ろう」
ほむら「……畏れいります」
杏子「実はあたしは幻影・幻覚の固有魔法を持っている。それを利用してあたし自身が複数になることが可能!」
ズゥラララァ
さやか「な!? なんだ……!? やつの姿が6…いや…7人にもふえたぞッーっ!」
まどか「ぶ、分身の術! いくらほむらちゃんでも複数は……!」
杏子s「「「ロッソ・ファンタズマかわせるかッー!!」」」
ほむら「……時を止め――」
215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:17:46.03 ID:si+CMYFf0
「待ちなさいッ!」
ほむら「!?」
杏子「?!」
さやか「?!」
まどか「!?」
216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:18:14.79 ID:si+CMYFf0
ザッ
マミ「何をしているの? 佐倉さん……」
杏子「マミ……それとなんだこのオッサン」
ツェペリ「…………」
ほむら「ツェペリさん……」
杏子「知り合いか」
さやか「え……? マミさん。杏子と知り合いなんですか?」
杏子「マミは……あたしの元師匠だ」
さやか「え!?」
杏子「あたしはマミから戦い方を学んだ。だが、方向性の違いから仲違いして、あたしは独立した」
まどか「そ、そうだったんだ……」
217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:19:02.40 ID:si+CMYFf0
マミ「佐倉さん! 何をしているのかと聞いているのよッ!」
まどか「ま、マミさん!?」ビクッ
杏子「チッ、うるせぇな……決闘だよ」
マミ「決闘……? 何でよ」
杏子「あたしはいずれこの見滝原を乗っ取るつもりでいる。そのためにはここに住む魔法少女以上の力が必要だ」
杏子「キュゥべえからそこの眼鏡っ子のことを聞いて、ハモだかカモだかの能力と手合わせしたんだ。ちょいと勘違いはしたが」
218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:19:52.83 ID:si+CMYFf0
杏子「おい、オッサン。あんたが波紋の師か何かか?」
ツェペリ「……いかにも。わしが波紋を教えたのだ」
杏子「なぜこんなオッサンが魔法紛いの能力があるのかとか疑問は残るが……なかなか興味深い能力だった」
杏子「だが、こんな力で、あのワルプルギスに対抗できるのか? 師のあんたの意見はどうなんだよ」
マミ(ワルプルギス……!?)
ツェペリ「わしはそのワルプルギスを実際に見ていないからわからん。だが、希望だと、ほむらは言った。今度こそ……と」
まどか(今度……? その……多分ものスゴク強いんであろう魔女に、ほむらちゃんは何度か戦っていた……?)
219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:21:16.60 ID:si+CMYFf0
さやか(ギスギスしてるなぁ……折角魔女倒したのに……お腹空いた)
マミ(何故ワルプルギスが話題に上がるの……? まさか、近い将来、現れると言うの? 暁美さん……不思議な子だとは思っていたけど……いったい、過去に何があったの?)
マミ(でも、今は……目の前の問題を片付けないと……)
マミ「私は何故決闘していたのかと聞いているッ!」
杏子「話の腰を折りやがって……。あのな、あたしはただ手合わせしたかっただけだ。何故もへったくれもねぇ」
マミ「本当にそれだけ? 今の結界で使い魔退治の邪魔をしたとか、どうせしたんじゃなくって?」
さやか「あ……」
杏子「あぁ。したなぁ……」
ツェペリ「……」
220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:25:26.26 ID:si+CMYFf0
マミ「あなた……! 人のテリトリーで……ッ!」
マミ「使い魔は、一般人を襲い、魔女へと成長する! あなたの行為は、灰色熊の入った檻の鍵を故意にあけたような行為!」
マミ「あなたは人の命を餌に魔女を育てている!」
まどか「えぇっ! そ、そんな……!」
杏子「食物連鎖ってあるだろ? ちっさい昆虫をカエルが食って、カエルをヘビが食って、ヘビを鳥が食べる」
杏子「使い魔を一般人が食って、使い魔は魔女になって、魔法少女がそれを食う。これは自然の形に則った、自然に敬意を表した形だぜ」
杏子「魔法少女同士は自然界で言うとこの競争の関係だ。学校で習うもんだろ? これがあたしのやり方さ」
さやか「こ、こいつ……!」
ツェペリ「何が食物連鎖か。くだらん」
杏子「オッサンは黙ってろよ」
221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:29:27.90 ID:si+CMYFf0
マミ「私は、そんなことのためにロッソ・ファンタズマという名を与えたんじゃない!」
杏子「へっ、あたしの能力なんだからどう呼ぼう関係ないね。便宜上その名を使ってるに過ぎんがな」
マミ「そんなことしてると知ったらあなたの家族が悲しむわ!」
杏子「ッ!」
杏子「おい、テメーッ! 家族は関係ないだろ! マミと言えど聞き捨てならんッ! あたしの家族と食い物と決闘への侮辱は許さんッ!」
マミ「あなたの家族は侮辱はしていない! けど……あなたは命を侮辱した! 私の心も裏切った!」
マミ「とにもかくにも! 今後私達の後輩に手を出したら、例えあなたでも容赦しないわよ……!」チャキッ
まどか「あわわわ……」
マミ「私とて、あなたと違って人に攻撃はしたくない。撃たれたくないなら……」
杏子「……フン! 勝手にしやがれッ!」プイッ
222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:30:07.37 ID:si+CMYFf0
杏子「いいかほむら! あたしは負けてないからな! ワルプルギスに関しては、勝ち負け関係なく共闘は考えてやるッ!」ザッ
ほむら「……」
ツェペリ「威勢がいいやつだ……」
まどか「……行っちゃった」
さやか「……ま、待ってよ杏子!」タッ
マミ「美樹さん!」
さやか「すいませんマミさん! でもほっとけないんで! それじゃあまたよろしくおねがいしますっ!」ノシ
マミ「……もうっ!」
223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:31:02.53 ID:si+CMYFf0
まどか「マミさん……その……杏子ちゃんと何かあったんですか……?」
マミ「…………」
マミ「……佐倉さんは、美樹さんの姉弟子にあたる子よ。彼女とは、色々あってね……ほんと、色々とね……」
まどか「色々……」
マミ「それよりも、暁美さん。ワルプルギスに関して……ってどういうこと? ツェペリさんも存在は知ってた風よね」
ほむら「……はい」
ツェペリ「そいつが現れるのだ。……近い内に、な」
マミ「……詳しく聞かせて」
まどか「ど、どうして黙っていたの?」
ほむら「隠してたつもりは……」
224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:32:15.29 ID:si+CMYFf0
さやか「杏子ってばさぁ!」トコトコ
杏子「……うるせぇ。馴れ合うつもりはない」
さやか「まぁまぁ……。……ねぇ、マミさんと何があったの?」
杏子「…………」
さやか「ノックしてもしもォ~し。ねーねー、何があったのよぉ~」
杏子「……あんたには関係ない」
さやか「またまた~。マミさんに久しぶりに会えたってのに怒られて傷心してるって感じなんでしょ?」
杏子「違っ……!」
さやか「あたしはあんたと一戦交えたからわかる。あんたは多分いいヤツだ」
杏子「知った風なことを抜かすなよ。あたしはマミの言うとおり、グリーフシードのために使い魔を見逃しにして一般人を襲わせてるわけだ。いいヤツなんかじゃない」
さやか「うーん……そりゃアレだけどさ……」
杏子「わかったらさっさと帰りな。正義の味方さん」
225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:34:56.78 ID:si+CMYFf0
さやか「そうはいかないよ。杏子はあたし基準では確かに悪者になるけど『ほっとけねー』タイプって感じなんだよね」
さやか「これから暇? 何か食べよーよ。おごってあげる」
杏子「ほっといてくれよ」
さやか「そこのカフェーの『山形県天童市の菅原さんが愛情たっぷりの放し飼いニワトリのフンを使った有機栽培で育てた完熟さくらんぼをふんだんに使った星空の下での初キスの味チェリーパイ580円そして幸せが訪れる』を食べようよ」
杏子「…………」
さやか「ねーねー、いいでしょー? CD買ってお金があんまないのにおごってやるって言ってんだよ? それってすごいことだよ?」
杏子「わかったよ……付き合えばいいんだろ」
さやか「よっし! じゃあ行こう!」
226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:35:37.56 ID:si+CMYFf0
――数日後
さやか(……マミさんから)
さやか(ワルプルギスのことを聞いて、ちょっとだけ魔法少女になったことを後悔した)
さやか(あたしは魔法少女になって日が浅いのに、伝説級の魔女が現れるなんて……)
さやか(……なァーんてね! むしろ闘志がわき上がる! あたし達の街はあたし達が守るんだ!)
さやか「――と、いうことで結界に来ています。一人です」
227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:36:44.11 ID:si+CMYFf0
使い魔「ワタシの名はペイジ」
使い魔「ジョーンズ」ビン
使い魔「プラント」ビン
使い魔「ボーンナム」ビビン
使い魔「「「「血管針攻撃!」」」」パバァ――ッ
さやか「うおぉぉぉッ! まずい! 囲まれ――」
228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:37:33.58 ID:si+CMYFf0
ザクッ、グサァッ
さやか「グハッ……!」
使い魔「ヤッタッ! 勝ッタッ! 仕留メタッ!」
使い魔「勝ッタ! 『マミ「もう何も怖く……」ほむら「勇気とは怖さを知ること!」』完!」
さやか「……その気になれば本当に痛みって消せちゃうんだァ」
使い魔「!」
さやか「ダンス・マカブル!」
ズビズバァッ
使い魔「オゴーッ」ボシュン
さやか「はっはっは! マカブルの意味は知らないけどどうだこのダンスっぽい剣捌き! 思い知ったか!」
229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:39:05.31 ID:si+CMYFf0
さやか「さぁーて、治癒治癒」パァ…
「無茶すんなあんた」
さやか「新手の敵か! ……って何だ。杏子か」
杏子「何だってなんだよ」
杏子「あんたのやり方は見てらんねーわ。ここの魔女はあたしに任せろよ」
さやか「助けはいらないよ。あたし一人でやれるんだから」キリッ
杏子「違うんだよ。この前、あたしがあんたの邪魔して逃げた使い魔が成長した奴なんだよ。ここの魔女は」
さやか「え? そうなの? 何でわかるの?」
杏子「どうでもいいだろ。とにかくそうなんだ。経験でわかるってことにしろ。とにかくあたしに任せろ」
さやか「邪魔しないで……一人でやれる……」
230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:40:26.14 ID:si+CMYFf0
杏子「元々はあたしの獲物だ。あたしだけが処理する権利がある。この前さやかにおごってもらった借りってことでグリーフシードちょっと使っていーよ」
さやか「やだー! 邪魔しちゃやだー! あたしがやるんだい!」
杏子「…………ああもう……わかったよ。ただ、さっさと片付けてくれ。あたしはあんたを見守ってやっから」
さやか「ほほう……あたしの戦いっぷりをとくと見たいんだね! 素直じゃないな~」
杏子「馬鹿いってねーぜさっさとやれ」
さやか「……ちぇー、つまんない。ちょっとはノッてくれてもいいじゃん」
杏子「早くしないとマミが来やがるぜ」
さやか「…………」
さやか「ねぇ。マミさんに言われたこと気にしてる?」
杏子「バッカ、ちげーよ」
さやか「……仲直りしようよ。ね?」
さやか「その……使い魔を逃がしてどうこうってのは、許せないことだよ。でも、真剣に謝ればマミさんなら許してくれるって……」
杏子「ふーんだ。あんな奴知らねー。ほら、このあたしに踊って見せろよ。スロー・ダンサー・さやか」
さやか「やれやれだわ。……おい、今、遠回しにノロマって言わなかったか?」
杏子「べっつにー」
231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:42:24.80 ID:si+CMYFf0
――
――――
さやか「と、いうことで魔女を倒しました」
杏子「あ、終わった? おつかれさん」
さやか「クラゲの傘の部分が脳になったかのようなグロテスクな魔女だった……。強敵だったよ」
さやか(当然あたし程じゃないがねという確固たる自信の気持ちはあるがね)
杏子「どう見ても苦戦する相手じゃないぜ。……全く、こういうチョロい奴ばっかりだから使い魔の放牧はやめられねー」
さやか「おいこら」
杏子「冗談だよ。たまーに苦戦する」
さやか「そういうことじゃあないんだよ」
杏子「……で、グリーフシードは?」
さやか「あれ? そういや無いなぁ……。ねえ、あたし、確かにぶった切ったよねぇ?」
杏子「そうだな。死に様は見てないがな。グリーフシードがないってことは、逃がしたのかも」
さやか「えー……がっかり」
232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:43:17.19 ID:si+CMYFf0
杏子「ガムかむかい?」
さやか「お、くれるの? 何のガム? 何味?」
杏子「サ・キッスミント。ジューシーグレープ味」
さやか「ぐらっちぇぐらっちぇ」モグモグ
杏子「何語だよ。まあいいや」
さやか「……杏子ってやっぱ、いい子だよね」
杏子「あ?」
さやか「うん。いい子だよ。とにかくいい子」
杏子「うざったいな」
さやか「頭なでなでしたい」
杏子「くたばれ」
233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:44:11.22 ID:si+CMYFf0
さやか「杏子ってさ、マミさんの弟子だったわけだよね」
杏子「過去のことだ」
さやか「やっぱり……妹弟子のことが気になるの?」チラッ
杏子「……アホ抜かせ」プイ
さやか「またまた~そう言いながらあたしを気遣ってくれるじゃない」
杏子「そんなんじゃねぇよ」
さやか「あははっ。あたし、あんたみたいなの嫌いじゃあないよ」
杏子「嫌いだったらこうして馴れ馴れしくしてないわな」
234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:45:15.13 ID:si+CMYFf0
さやか「根は優しいんだもんね。ツンデレってやつだね」
杏子「何だそれ」
さやか「なんだろね? ははは」
杏子(…………あたしがいい子、ねぇ)
杏子「おい、さやか」
さやか「ん? 何?」
杏子「こないだの能書きがやたらに長いメニューのサ店で話したよな……。あんたの願いのこと」
杏子「確か……幼なじみの動かなくなった腕を治す、だったか」
さやか「うん。……やっぱ脚も一緒に治すべきだったなぁ……」
杏子「そんときあたしは他人のために願いを使うのは馬鹿だと言ったよな」
さやか「そうだね。カチンときたね」
杏子「今思えば、実にあんたらしい願いだ。その幼なじみの坊ちゃんのことは知らないけどさ」
さやか「そ、そうかな? あたしらしい?」
235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:47:02.10 ID:si+CMYFf0
杏子「馬鹿そのもの」
さやか「何だとコラァ!」
杏子「へへ、そう騒ぐと尚更馬鹿っぽいぞ」
さやか「もう! ……でも、まあいっか。ねぇ、これから暇?」
杏子「なんでよ」
さやか「また何か食べてこうよ。おごったげるから」
杏子「ほんっと馴れ馴れしいよなさやかは」
さやか「そういいながら誘ったら必ず付き合ってくれる杏子ちゃんまじプリティ」
杏子「殴られたいか?」
杏子「まあいい。で……腕治した奴との仲はどうなんだ?」
さやか「え? いや、別に……」
236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:48:35.61 ID:si+CMYFf0
杏子「別にって何だよ。願いを使ったからには、好きなんだろ?」
さやか「やっ! そ、そーゆーわけじゃないよ! あ、あ、あたしはただ……」
杏子「好きなんだろ? 付き合ってくれって言えばいいじゃん」
さやか「……あのねぇ」
杏子「いいじゃん」
さやか「…………」
さやか「あたしの願いは……恭介の腕を治すこと……」
さやか「もし、もしだよ。仮に、あたしが恭介と付き合うとすれば……」
さやか「あたし、何か卑怯っぽいんだよね。治してやったから、みたいで。あたしの心が許せないっつーか」
237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/05(日) 21:50:01.75 ID:si+CMYFf0
さやか「とにかく、恭介がまたバイオリンを弾けることが、あたしの幸せで本心なんだよ」
杏子「……何だそれ」
杏子「そんな中途半端に自己解決して、ただの自己満足じゃん」
さやか「そ、それに、魔法少女とだなんて……いつ死ぬかわからない危険な仕事をしてるようなもんじゃん。中学生なのに」
さやか「いつ死ぬかわからない人と付き合ってもさ、もし死んじゃったら無駄に悲しませるだけじゃん」
さやか「ほむらが危険だからやめてって言ってくれたのにそれを無視してさ……あたし」
杏子「ほむらがねぇ……甘いやつだな」
さやか「……」
杏子「ま、あんたがそれで納得するならいいけどさ。あたしには関係ない」
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