1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 07:35:05.88 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
男「そうしたら人生変わってたのになあ」
高校生女「……」
男「生まれ変わったら絶対イケメンになりてー」
高校生女「独りごと言ってんの?」
男「……」
男「そうしたら人生変わってたのになあ」
高校生女「……」
男「生まれ変わったら絶対イケメンになりてー」
高校生女「独りごと言ってんの?」
男「……」
引用元: ・男「あー、イケメンになりてー」 高校生女「……」
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 07:36:07.28 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
男「お前なあ、何で俺にまとわりついてくるわけ?」
高校生女「家が近いからね」
男「お前って昔っから俺に付きまとってるよね」
高校生女「家が近いからね」
男「お前ってひょっとして俺のこと……」
高校生女「うぬぼれんなよ。このキモ男」
男「キ、キモ男っていうな。このストーカー女」
高校生女「すみませんけど、あんたのストーカーしている程暇じゃないし」
男「彼氏もいねえし、どうせ暇なんだろ?」
高校生女「……彼氏いるし」
男「……えっ……? ……初耳なんですけど……」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 07:37:44.60 ID:BheviSX10
高校生女「なに? ショック受けた?」
男「だ、だれがショックを受けるかよ!」
高校生女「焦ってんじゃん」
男「……うっせーよ」
男「彼氏いるんなら、もう俺にまとわりつくなよ……」
高校生女「しょうがないじゃん。家近いし」
男「関係ねーだろ! 彼氏いるのに他の男に付きまとうなよ……」
高校生女「大丈夫。あんたのことは男としてみてないから」
男「お前なあ……、キツい女は嫌われるぞ」
高校生女「ご心配なく。彼氏とは至極順調なので」
男「……ああ、それはよござんしたね」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 07:38:25.82 ID:BheviSX10
ザワザワ、ザワザワ
友人男「おっはよ。男! そして高校生女!」
高校生女「おはよ。友人男君」
高校生女「じゃあね。男」
俺「……へい、じゃあね」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 07:39:41.71 ID:BheviSX10
ガラガラ、スタッ
友人男「お前ら相変わらず仲いいなあ」
男「誰と?」
友人男「高校生女とに決まってんだろ」
男「仲いいように見えるか?」
友人男「あったりめえだろ! お前らもう付き合ってるんだろ?」
男「はあ? 全然そんなんじゃねえし」
友人男「嘘つけよ。絶対高校生女はお前のこと好きだって」
男「……あいつ、彼氏いるし」
友人男「マジで! 性格キツいけど、やっぱいルックスがいいからなあ」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 07:41:04.31 ID:BheviSX10
友人男「で、お前はフられてしょんぼりしてるわけ?」
男「だ、誰がだよ。そもそも告ってもねえし……」
友人男「告ればいいじゃん」
男「……そもそも、あんな女嫌だし」
友人男「じゃあ、どんな女がいいんだよ?」
男「かわいくて、おしとやかで、何でも言うこと聞いてくれる子」
友人男「かー。お前、そりゃ一生彼女できないぞ」
男「……そんなことねえよ」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 07:42:34.42 ID:BheviSX10
友人男「お前なあ、世の女子がお前のことどう思っているのか知っているのか?」
男「……知らねえよ」
友人男「『怖くてしゃべりづらい、おまけにキモい』だぜ」
男「『キモい』って何だよ!」
友人男「だって、お前、公衆の目をはばからずにそんな雑誌を読んでるじゃないか」
男「雑誌ってこの『萌え萌えパラダイス』のことか?」
友人男「そうだよ。それだよ」
男「何でキモいんだよ……お前らだってジャンプとか読んでるじゃねえかよ」
友人男「おい、萌えパラとジャンプは本質的に違うんだぞ。そこを認識しろ」
男「同じ漫画なんだし、大して変わんねえじゃん」
友人男「お前、だから女子から敬遠されるんだよ」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 07:43:45.37 ID:BheviSX10
友人男「その点、高校生女はよくできた子だぜ。こんなお前を受け入れているんだからな」
男「……あいつは俺をおちょくって楽しんでるだけだって」
友人男「……お前、高校生女を大事にしろよ」
男「大事にするもなにもあいつは彼氏がいるって言っただろ」
友人男「見たのか?」
男「何を?」
友人男「彼氏をだよ」
男「見たことなんてねえよ」
友人男「そうか」
男「『そうか』って、何だよ」
友人男「ま、いずれにしても後悔だけはするなよ。人生1回きりだしな」
男「何だよ、そのアドバイスは?」
友人男「ははっ、気にするな」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 08:24:01.74 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
男「あー、リア充になりてえ」
高校生女「……」
男「リアルが充実してるってどんな感じなんだろうか?」
高校生女「さっきから独り言うるさいんですが」
男「おまっ……独り言言おうがなに言おうが俺の勝手だろ?」
男「それに、お前が勝手についてきているだけだし。嫌ならついて来るなよ」
高校生女「……そんなことだから、彼女ができないんだよ」
男「あーあー、お前はどうせ彼氏がいて現実を謳歌しているんだろ? うらやましいですよっ」
高校生女「……」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 08:25:04.40 ID:BheviSX10
男「……お前って、本当に彼氏いんのかよ?」
高校生女「いるよ」
男「お前みたいな女を好きになるなんて、そんな物好きな奴が……」
爽やか風の男「お、よう、高校生女!」
高校生女「オッス、爽やか風の男」
男「……」
爽やか風の男「ん? そちらさんは学校のお友達?」
高校生女「うん、そう。学校の友達」
男「……」
男「……じゃあ、俺はこれで……」
爽やか風の男「ん? 帰っちゃうの? いいのに、いいのに」
高校生女「いいんだよ。あいつは……」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 08:26:12.77 ID:BheviSX10
トボトボ、トボトボ
男(……)
男(……待ち合わせしていたみたいだな……)
男(……彼氏を俺に見せびらかそうって訳か?)
男(……あの性悪女が……)
男(……)
男「……くそっ」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 08:28:11.21 ID:BheviSX10
翌日……
ザワザワ、ザワザワ
友人男「おい、どうしたんだよ? 元気ないじゃん」
男「……別に」
友人男「お前、今日は珍しく高校生女と一緒じゃなかったし……さては喧嘩したか?」
男「そんなんじゃねえよ」
友人男「じゃあ、告って本当にフられたとか?」
男「ちげーよ」
友人男「じゃあ、高校生女の彼氏を目撃したとか?」
男「……」
友人男「……ビンゴすか? マジで? やっぱりいたんだあ」
男「……」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 08:29:46.28 ID:BheviSX10
友人男「で、お前は落ち込んでいる訳か……」
男「……」
友人男「やっぱりお前、高校生女のこと好きだったんじゃん」
男「全然そんなんじゃねえよ」
友人男「お前口ではそういうけどなあ、相当動揺しているのが見え見えだぜ」
男「そんなことねえよ」
友人男「……お前なあ、今読んでる今週号の萌えパラ、上下逆さまだぜ」
男「し、知っているよ。わざとだよ」
友人男「……だから言わんこっちゃない……」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 08:30:21.19 ID:BheviSX10
男「……」
友人男「……」
友人男「ところで傷心中のところ話変わるんだけどさ、お前聞いた?」
男「何を?」
友人男「今日、転校生が来るらしいぜ」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 08:31:24.07 ID:BheviSX10
ガラガラ
教師「おーし、席につけー」
ザワザワ、ザワザワ
教師「静かにしろー」
教師「知っている奴もいるかも知れないが、今日からこのクラスに転校してきたニート君だ」
スタスタ
ニート「俺、ニートっていう」
ニート「職業はニートではなくてスチューデントだから、そこんとこよろしくっていう」
教師「よーし、みんなよろしくな。それじゃあ、ニートはそこの席に座ってくれ」
ニート「承知したっていう」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:04:48.24 ID:BheviSX10
休み時間……
ザワザワ、ザワザワ
女生徒A「ニート君って変わった名前だよね」
ニート「そんなことないっていう。俺の国では普通の名前だっていう」
女生徒B「何それ?どこの国?」
ニート「お前たちの知らない遠い国だっていう」
女生徒C「あははは、ニート君っておもしろーい」
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:05:35.19 ID:BheviSX10
友人男「なんかあいつやけに溶け込むのが早いな」
男「しゃべりかたが面白いからなんじゃないの?」
友人男「しかも、なぜか女にもてる」
男「……」
友人男「今までの俺の中にはなかったもてパターンだ」
ニート(ジロッ)
友人男「やべっ、目があった」
男「別にヤバくないだろ」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:06:14.81 ID:BheviSX10
スタスタ
ニート「お前たちの名前を教えてくれっていう」
友人男「俺は友人男」
男「俺は男っていう」
友人男「おい、お前……真似すんなよ!」
ニート(ジッ)
ニート「男、お前、表情になんかかげりがあるなっていう」
ニート「つい最近女にフラれたんだろうっていう」
友人男「ビンゴ! お前、初対面なのによく分かるなあ」
男「放っといてくれよ」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:06:56.28 ID:BheviSX10
ニート(ジッ)
ニート「男、よく見るとお前、なかなか面白い人相をしているなっていう」
男「……な、なんだよ」
ニート「ふむふむ、なるほどなっていう」
男「何が『なるほど』なんだよ」
ニート「こっちの話しだっていう」
ニート「お前は何も気にするなっていう」
ニート「転校生に怪しさはつきものだっていう」
ニート「怪しい転校生が登場すると話が盛り上がるっていう」
ニート「それじゃあ、またなっていう」
スタスタ
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:07:41.56 ID:BheviSX10
男「……」
友人男「なんかあいつ怪しいな」
男「……確かに怪しいなっていう」
友人男「おまえ、それやめろ!」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:48:35.63 ID:BheviSX10
その日の夜……
スースー、スヤスヤ
男(……ん? これは夢の中?)
ニート「よう、男! っていう」
男「お前は……えーっと?」
ニート「もう俺の名前を忘れたのかっていう」
ニート「お前頭悪いなっていう」
ニート「とんだDQN脳だなっていう」
男「うっせーよ。このニート野郎が」
ニート「そう、俺の名前はニートだっていう」
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:49:53.82 ID:BheviSX10
男「……」
ダッ、ヒラリ
ニート「おっと、突然俺に襲いかかろうとするなっていう」
ニート「これだから、DQNは手が焼けるっていう」
男「おい、ニート、これは夢か?」
ニート「その通りだっていう」
ニート「これは夢で、お前の夢の中に俺が入り込んでいるっていう」
ニート「俺は神様だから何でもできるっていう」
ニート「ただし、神ニートではないからそこんとこよろしくっていう」
男「……」
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:50:56.55 ID:BheviSX10
ニート「お前、昼間は随分不幸そうな顔をしていたなっていう」
ニート「見るに見かねて俺がこうして来てやったっていう」
ニート「俺は神様だからお前の望みを1つだけ叶えてやるっていう」
男「イケメンになりたい」
ニート「即答だなっていう」
ニート「DQNの短絡ぶりをものの見事に体現しているなっていう」
ニート「もう少しよく考えたほうがいいぜっていう」
ニート「お前の想い人と縁を結んでやることもできるんだぞっていう」
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:52:08.23 ID:BheviSX10
男「早くイケメンにしろ」
ニート「まったく聞く耳を持たないなっていう」
ニート「夢だと思って甘く見ているなっていう」
ニート「でも、俺は人間ができているからちゃんと約束は守るっていう」
ニート「お前を、お前の学校にいるイケメンとして生まれ変わらせてやるっていう」
ポッ、ポッ、ポッ、ポッ、ポッ、シュー
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 09:52:48.36 ID:BheviSX10
チュン、チュン、チュン、チュン
……「……ん、んん、夢か……」
……「……あれ? ここはどこ?」
……(まさか……)
……「……」
イケメン「……やべえ、本当にイケメンになっている」
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 10:24:21.89 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
イケメン(……これは一体どういうことだ?)
イケメン(……あれは夢じゃなかったのか?)
イケメン(……夢じゃなかったとしたら、元の俺は一体どうなったんだ?)
女生徒「おはよう」
イケメン「……あ、ああ。おはよう」
女生徒(ニコッ、スタスタ)
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 10:25:44.78 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
イケメン(……さすがイケメン、朝から女の子に声を掛けられるとは……しかもあんなとびっきりの笑顔で……)
イケメン(……確か、イケメンはD組だったはず……ということは高校生女と同じクラスか!)
高校生女「おはよっ!」
イケメン(ビクッ)
イケメン「……あ、ああ。おはよう」
高校生女「ごめん、おどかしたかな?」
イケメン「……いや、そんなことないよ。ははっ」
高校生女「そっ」(ニコッ、スタスタ)
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 10:26:40.82 ID:BheviSX10
イケメン(……高校生女……一瞬ドキッとしちまった)
イケメン(……あいつのあんな顔、俺は今まで見たことなかったぞ)
イケメン(……)
イケメン(……俺はいなくても全然平気ってことか……)
イケメン(……)
イケメン(……まあ、とにかく、ニートをとっちめなければってとこだな)
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 10:27:30.66 ID:BheviSX10
ヒョイ
イケメン(キョロキョロ、キョロキョロ)
友人男「ん、お前はD組のイケメンじゃないか?」
イケメン「あ、ああ」
友人男「うちのクラスに何か用?」
イケメン「ニートってやついる?」
友人男「ああ、あいつ? まだ来てないみたいだよ」
イケメン「あ、そう」
友人男「ニート有名人だなあ。お前んとこのクラスでも話題になってるの?」
イケメン「あ、ああ。まあな」
友人男「へえー」
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 10:28:58.91 ID:BheviSX10
イケメン(キョロキョロ、キョロキョロ)
友人男「ん? まだだれか探してんの?」
イケメン「男は来てる?」
友人男「ん? 誰? 男って?」
イケメン「いや、男、男だよ。ほら、あそこの席の……」
友人男「……あそこ……は、女生徒Aの席だぜ」
イケメン「えっ……席替えしたのか?」
友人男「いや、最近は席替えなんてしてないなあ」
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 10:30:43.14 ID:BheviSX10
イケメン「おい、友人男! 本当に男ってやつを知らないのか?」
友人男「知らねえよ。そんなやつ。他のクラスのまちがいじゃねえ?」
イケメン「いや、男って、ほら、あの『萌え萌えパラダイス』っていう雑誌が好きだったやつだよ」
友人男「いや、俺には全然そんな知り合いはいないよ」
友人男「それより、お前はそっち系が結構好きなのか? 顔に似合わずだな」
イケメン「……あ、ああ。読んでみると結構面白いぞ!」
友人男「ははっ、そうか。萌えパラを読むイケメンか。何かかっけえな」
イケメン「……あ、ああ。ありがとう。また後でくるわ」
友人男「うん。分かった。じゃあな」
40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:03:59.88 ID:BheviSX10
ドヨン、ドヨン
イケメン(……一体どうなっているんだ?)
イケメン(……「俺」がいなくなった? 完全に存在を消去された?)
イケメン(……これも夢なのか? いや、夢でないというのは直感的に何となく分かる)
イケメン(……じゃあ、やっぱりあのニートが仕組んだことなのか……)
イケメン(……)
41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:04:54.05 ID:BheviSX10
女生徒「イケメン君、どこか具合悪いの?」
イケメン「……あ、いや、全然、そんなことないよ」
イケメン(……やべ、イケメンってどんなキャラだったかあんまり分かんねえ)
イケメン「それより、女生徒、その髪型かわいいね」
女生徒「うそ、本当? イケメン君にそういう風に言ってもらうとすごく嬉しい!」
女生徒「それに、イケメン君、よく私が髪型を変えたって分かったね」
イケメン「あ、ああ、なんかいつもと雰囲気が違うなって……ごめん、ちょっとトイレ」
ダッ
女生徒「あ、イケメン君!」
高校生女(チラッ)「……」
42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:05:36.43 ID:BheviSX10
バタンッ
イケメン(……マズイな……)
イケメン(……イケメンがどんなやつだったかほとんど分かんねえ……)
イケメン(……取りあえず今日はできるだけトイレで過ごそう……)
キーン、コーン、カーン、コーン
イケメン(……チャイムか……今日の授業は一体何だろう?)
43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:06:17.71 ID:BheviSX10
カリカリ、カリカリ
イケメン(……くそっ、よりによって1時間目は数学か!)
イケメン(……確かイケメンは校内トップの成績だったはず……)
イケメン(……頼むから当たらないでくれ……)
数学教師「はい、ではこの問題をイケメン君、前に出て解いてみて」
イケメン(……くそっ、いきなりかい!)
イケメン「……はい」
44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:07:58.33 ID:BheviSX10
テクテク
イケメン(……くそっ、何だかクラス中の女子の熱い視線を背中に感じる……)
イケメン(……落ち着け、落ち着けば奇跡は起きる)
数学教師「どう? さすがに大学入試レベルの応用問題だから難しいかしら」
イケメン「……そうっすね。難しいっすね」(……分かるわけないだろ!!)
数学教師「そう、じゃあ、仕方がな……」
イケメン(……うん? 何だ? 手が勝手に……)
スラスラ、スラスラ、スーラスラ、トンッ
イケメン(チラッ)
数学教師「すごい、正解だわ!」
女生徒達(ザワザワ)「きゃー。イケメン君かっこいい!」
男生徒達(ザワザワ)「やっぱすげえな、イケメンは」
イケメン「……ははっ、じゃあ、俺はこれで……」
……
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:46:01.78 ID:BheviSX10
キーン、コーン、カーン、コーン
イケメン(……よーし、数学終わった!)
イケメン(……トイレ行く前に取りあえずニートを)
男生徒A「おい、イケメン、さっきのすごかったな」
イケメン「……あ、ああ、たまたまだよ。何とかな」
男生徒A「……お前はいつも謙虚だよな」
イケメン「……ははっ、そんなことねえよ」
イケメン(……そうか……イケメンは謙虚なのか……)
イケメン(……しかも女子のみならず男子からも好かれているような気がする)
イケメン(……さすがイケメン……恐るべきリア充度……)
イケメン「……俺、ちょっと……」
男生徒B「おーい。次体育だから着替えに行こうぜ」
男生徒A「おう、いこうぜ」
イケメン(……体育か……たしかこのクラスは隣のC組と合同だったはず……)
男生徒A「おい、イケメン、早くしろよ!」
イケメン「……あ、ああ。今いく」
46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:47:07.34 ID:BheviSX10
ピーーーーーー
体育教師「よーし、集まったか。今日は体育測定の続きで100m走と走り幅跳びの測定を行う」
体育教師「まずは100m走だ」
体育教師「各クラス1名ずつの計2名ずつで計測を行う」
イケメン(チラッ)
イケメン(……ニートの野郎、いやがった)
イケメン(……しらっとした顔してやがる)
イケメン(……この授業が終わったら絶対にとっちめて事の真相を聞き出してやる……)
ピーーーーーー、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ
ピーーーーーー、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ
47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:48:08.83 ID:BheviSX10
体育教師「よーし、次」
体育教師「おお、次はイケメンか。好記録、期待してるぞ」
イケメン「……は、はい」
イケメン(……そうか、イケメンはスポーツも万能だったな……)
イケメン(……まあ、身体はイケメンのものだし、走るだけなら俺でも大丈夫だろう……)
体育教師「で、C組は……」
ニート「俺の出番だぜっていう」
イケメン(……お、お前……)
ニート(チラッ、ニヤリ)
イケメン(……こいつのこの顔……やっぱり俺のことを……)
48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:48:58.25 ID:BheviSX10
体育教師「おお、お前は転校生だな」
体育教師「相当自信がありそうだな」
男生徒達(ザワザワ)「おお、イケメン 対 謎の転校生だ」
男生徒達(ザワザワ)「イケメン、負けんなー。絶対勝て―」
ニート(ボソッ)「イケメンの心地はどうだ? っていう」
イケメン(……こいつ、やっぱり……)
49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:49:51.21 ID:BheviSX10
体育教師「オンユアマーク……ゲットゥセット……ゴオオオオオーーーー」
ビュンッ
体育教師「は、速い!」
男生徒達(ザワザワ)「すげー! はえー!」
ピッ、ピッ
計測係「イケメン……10秒5……」
男生徒達(ザワザワ)「おー!」
計測係「ニート……ごっ、5秒1」
男生徒達(ザワザワ)「きゃー! 人間じゃねえー」
50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 11:50:34.13 ID:BheviSX10
ニート「朝飯前だっていう」
ニート「息ひとつ乱れていないっていう」
ニート「楽勝だなっていう」
イケメン「……はあはあ、おい、ニート、話がある。今日の放課後に待ってろ」
ニート「俺は別にお前に話したいことはないぜっていう」
イケメン「……はあはあ、今日の放課後だ。これは絶対命令だ」
ニート「お前に命令される筋合いはないっていう」
ニート「でも仕方がないから付き合ってやるっていう」
52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 12:17:58.04 ID:BheviSX10
放課後……
ザワザワ、ザワザワ
イケメン「さあ、ニート、帰るぞ」
ニート「話したいことがあるならここで話せばいいっていう」
イケメン「とっとと来い」
ニート「やましい話をするわけでもないんだからここで話せばいいっていう」
イケメン(ゴゴゴゴゴゴゴゴッ)
ニート「……やれやれ、仕方ないなっていう」
53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 12:18:57.50 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
ニート「お前、顔はイケメンになったけど、心は全然イケメンじゃないっていう」
ニート「今のままだとそのうちボロが出るぜっていう」
イケメン「おい、ニート、一体俺には何が起こった?」
ニート「見ての通りだっていう」
ニート「お前はイケメンに生まれ変わったっていう」
ニート「好きなだけリア充生活を謳歌すればいいっていう」
イケメン「……百歩譲って、俺がイケメンに乗り移ったとしよう」
イケメン「で、以前の俺はどこにやった?」
ニート「男はもう不要になったから処分したっていう」
ニート「もはや物理的にこの世界には存在しないっていう」
ニート「あと、男に関係した人物のすべての記憶も消去しておいたっていう」
ニート「男はもう完全に存在しない人物となっているから安心すればいいっていう」
イケメン「……てめえ……殺す」
54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 12:19:37.46 ID:BheviSX10
ブンッ、ヒラリ
ニート「お前はDQNの体質が抜けていないなっていう」
ニート「暴力では解決できないことも世の中にはたくさんあるんだぜっていう」
ニート「俺みたいにスマートにならないとイケメン失格だぜっていう」
イケメン「……元に戻せ」
ニート「無理だっていう」
イケメン「……元に戻せ」
ニート「リピートするが無理だっていう」
ニート「……それよりもお前はこれからイケメンとしてやらなければならない大切なことがあるっていう」
ニート「おれについて来いっていう」
イケメン「……」
55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 12:56:25.03 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
ニート「着いたぜっていう」
イケメン「……ここは……イケメンの家じゃないか」
ニート「早く入れっていう」
イケメン「……た、ただいまー」
ドタドタ、ドタドタ
上の妹「おにいちゃん、お帰りなさい」
下の妹「おにい、お帰り」
56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 12:57:08.05 ID:BheviSX10
ニート(ヒソヒソ)「イケメンの家族だっていう」
ニート(ヒソヒソ)「イケメンの両親はすでに数年前に他界しているっていう」
ニート(ヒソヒソ)「イケメンはこの子達をずっと養ってきたっていう」
イケメン(ヒソヒソ)「……おいおい、俺にどうしろと……」
ニート(ヒソヒソ)「決まっている話だ。思う存分この子たちを養えっていう」
57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 12:57:53.75 ID:BheviSX10
上の妹「おにいちゃん、友達の人?」
イケメン「……あ、ああ、そうだよ」
上の妹「こんにちは、おにいちゃんのお友達さん」
下の妹「こんにちは、おにいの友達さん」
ニート「こんにちはっていう」
ニート「俺の名前はニートっていうからそこんとこよろしくっていう」
上の妹「ニートさん? 変わった名前ー」
ニート「大人の世界には色々な事情があるんだっていう」
ニート「お嬢ちゃんたちにはまだちょっと早かったなっていう」
ニート「そんなことよりイケメンのお兄ちゃんが今晩はご馳走を作ってくれるっていう」
下の妹「えっ? ホント? おにい?」
58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 12:58:58.91 ID:BheviSX10
イケメン「……」
ニート(ドンッ)
イケメン「……あ、ああ。そうだよ。ごちそうだ。期待していろよ!」
下の妹「わーい。やったー」
上の妹「……おにいちゃん、あんまり無理しなくていいよ。わたしはいつものおにいちゃんの料理がすごく好きだよ」
ニート(ヒソヒソ)「上の妹は家計が厳しいっていうことを知っているんだっていう」
イケメン「……はは、上の妹、お前は何にも気にしなくて大丈夫だぜ」
59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 12:59:45.60 ID:BheviSX10
ニート「その通りだっていう」
ニート「イケメンにはいつもお世話になっているから食材は全部俺が用意しているっていう」
ニート「お嬢ちゃんたちは今日はおいしい料理をおなか一杯食べるんだぜっていう」
下の妹「わーい。おにいの友達のニートさんありがと」
上の妹「ありがとうございます。ニートさん」
ニート「全然気にすることはないっていう」
ニート「では、俺はこれで失礼するっていう」
60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 13:00:48.67 ID:BheviSX10
イケメン(ドンッ)
イケメン(ヒソヒソ)「……おい、俺は料理なんてやったことないんだぜ」
ニート(ヒソヒソ)「安心しろっていう」
ニート(ヒソヒソ)「必ず道は開けるっていう」
ニート(ヒソヒソ)「信じる者は救われるっていう」
ニート「じゃあなっていう」
妹たち「さようなら、ニートさん」
イケメン「……」
イケメン「……よし、それじゃあ、今から兄ちゃんは晩御飯作るからな。いい子で待ってるんだぞ!」
上の妹「うん」
下の妹「わーい。ごちそうだ、ごちそうだあ」
61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 13:59:39.70 ID:BheviSX10
数時間後……
スヤスヤ、スヤスヤ
イケメン「……へっ、かわいい顔で眠ってるや」
イケメン「台所の片づけは終わったし、俺もそろそろ眠ろうかな」
コンコン、コンコン
イケメン「……ん? 玄関か……」
62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 14:01:16.89 ID:BheviSX10
ガチャッ
ニート「よう、イケメン。調子はどうだっていう」
イケメン「……何とかうまくいったよ。俺はもう今日はくたくただから寝るぜ」
ニート「そういうわけにはいかないっていう」
ニート「お前にはこれから重大な任務が待っているっていう」
ニート「リア充に休みはないんだぜっていう」
ニート「とりあえずこの携帯電話を持てっていう」
63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 14:02:02.06 ID:BheviSX10
スチャッ、ブルブルブル、ブルブルブル
イケメン「……おい、電話が来てるぞ」
ニート「とっとと電話に出ろっていう」
イケメン「なんで俺が……」
ニート「イケメンの宿命だっていう」
ニート「拒否することはできないぜっていう」
イケメン「やだよ。もう疲れてんだよ。今日はもう寝かせてくれよ」
ニート「相手はハーフの美人でかなりのやり手の才女だっていう」
64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 14:02:48.81 ID:BheviSX10
スッ、ピッ
イケメン「はい。もしもし」
謎の女「もしもし、イケメン?」
イケメン「はい。そうです」
謎の女「例の麻薬密売組織のアジトの場所が分かったわ」
謎の女「スピルバーグと一緒に今すぐ第7埠頭まで来て」
イケメン「密売組織? スピルバーグ?」
ニート「スピルバーグは俺のコードネームだっていう」
ニート「お前はこれから麻薬密売組織を壊滅させに行くんだっていう」
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 14:03:25.68 ID:BheviSX10
イケメン「……」
謎の女「じゃあ、30分後に埠頭で落ち合いましょう」
イケメン「……」
ニート(ドンッ)
ニート(ヒソヒソ)「とっとと返事をしろっていう」
ニート(ヒソヒソ)「ちなみに彼女のコードネームは『リサ』だっていう」
イケメン「……了解したよ。……リサ」
66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 14:22:41.84 ID:BheviSX10
プワーン、プワーン、テクテク、テクテク
イケメン「何で俺が麻薬の密売組織と対決しなきゃいけないんだよ」
イケメン「普通に警察に任せておけばいいだろ」
ニート「イケメンはその類まれな身体能力を買われて麻薬密売を取り締まる地下組織にヘッドハンティングされたんだぜっていう」
イケメン「何だよ、それ? 意味分かんねえ」
ニート「イケメンはリア充っていうことだっていう」
イケメン「いやいや、リアル充実しすぎだろ。こんなんじゃいくら命があっても足りないぜ」
67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 14:23:13.40 ID:BheviSX10
イケメン「……で、報酬はいくらなんだよ?」
ニート「金のことは気にしないのがイケメンだっていう」
イケメン「ふざけんな。今回のミッションで報酬もらったらもうこんなのはなしにして妹たちとしばらくゆっくり暮らすぞ」
ニート「残念ながらイケメンはボランティアでこの仕事を引き受けたっていう」
ニート「よって報酬はゼロだっていう」
イケメン「……ボランティア……だと?」
イケメン「高校生の課外活動じゃあるめーし、ボランティアで引き受けるなっつうの!!!」
ニート「今のは1人のりつっこみかっていう」
ニート「イケメン、調子が出てきてなかなかいい感じだぞっていう」
ニート「そうこうしているうちに着いたぞっていう」
68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 14:23:43.56 ID:BheviSX10
ササッ
リサ「久しぶりね。イケメン、それにスピルバーグ」
ニート「ああ、しばらくぶりだなっていう」
イケメン「……あ、ああ、久しぶりだな」
リサ「……ん? なんかちょっと雰囲気が変わったわね。イケメン」
イケメン「そうか? お前は相変わらず綺麗だな。リサ」
リサ「ふふっ。口の方は相変わらずね」
69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 14:24:11.85 ID:BheviSX10
ススッ、ピラッ
リサ「これが今回の敵のアジトの見取り図」
リサ「わたしとイケメンが裏口から突入するから、スピルバーグは援護をお願い」
ニート「了解したぜっていう」
イケメン「……りょーかい」
リサ「はい。これは銃と弾倉」
ニート「サンキューだぜっていう」
イケメン「……これ、本物かよ……」
リサ「当然でしょ」
ニート「心配するなっていう。お前の射撃の腕は天下一品だっていう」
リサ「そうね。わたしも射撃の腕には自信があるけどあなたには敵わない」
イケメン「……ははっ。自信でるっす……」
71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:04:37.78 ID:BheviSX10
スチャッ、スチャッ
リサ「準備はいい? いくわよ」
ドカンッ
密売人たち「ん? 何だ? 裏口の方か?」
ニート「援護射撃は俺に任せろっていう」
ニート「お前はどんどん突っ込んで行けっていう」
イケメン「へいへい。分かりやした」
密売人たち「侵入者がいたぞ。撃てー」
72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:05:21.73 ID:BheviSX10
バキューン、バキューン、ドドドドドドドッ、バキューン、バキューン
ニート「イケメン、とっとと突っ込めっていう」
イケメン「無理無理無理無理。普通に死にますから」
ニート「イケメンには弾丸は当たらないっていう」
ニート「お前は一応主人公なんだから、そこんとこは自信持って行けっていう」
ピューーー、ボカーン
リサ「今よ、イケメン。突っ込むわよ」
イケメン「……くそっ」
73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:06:28.56 ID:BheviSX10
ダッ
バキューン、バキューン
イケメン「そこだっ」
バキューン、バキューン、バタ、バタ
イケメン「ほれっ、これでも食らいな」
バキューン、バキューン、バタ、バタ
密売人「う、くっ、何だあいつは?」
密売人たち「あの男を狙えー。撃てー」
74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:08:14.10 ID:BheviSX10
バキューン、バキューン、ドドドドドドドッ、バキューン、バキューン
イケメン「へっ、あめーぜ」
バキューン、バキューン、バタ、バタ、バキューン、バキューン、バタ、バタ
密売人たち「くそっ」
リサ「……すごい。あれだけの人数を一人で……」
ニート「俺が手を出すまでもないなっていう」
ニート「段々イケメンが板についてきたなっていう」
75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:09:29.40 ID:BheviSX10
バキューン、バキューン、バタ、バタ、バキューン、バキューン、バタ、バタ
密売人「くそ、お前は一体? でも、俺たちの組織はとてつもなく巨大だぜ……」
密売人「俺たちに手を出したのが運の付き……いつか仲間が仇を……グフッ」
イケメン「終わったか……」
リサ「凄いわ。イケメン。ほとんど1人で壊滅させたわね。」
イケメン「怪我はなかったか? リサ」
リサ(ポッ)「え、ええ。大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
ニート「リサ、顔が赤いぞっていう」
リサ「そ、そんなことないわよ」
76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:10:33.53 ID:BheviSX10
ニート「今回はイケメンの活躍もあってこいつらを壊滅出来たっていう」
ニート「でも、今回の件で俺たちは逆に狙われる身になったっていう」
リサ「そうね。今後はこれまで以上に気を付けていかなければならないわね」
ニート「組織を壊滅させるまでにはさらに厳しい戦いが待っているぜっていう」
ニート「お前のボランティア活動はこれからも続くんだぜっていう」
イケメン(……ボランティア活動……ありえんぞ……)
リサ「イケメン、あなただけが頼りだわ。これからもよろしくね」
イケメン(……)
イケメン「……ははっ、任せとけって」
ニート「さすがイケメンだっていう」
ニート「これにて一件落着だなっていう」
77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:54:34.03 ID:BheviSX10
イケメンの家……
ガチャッ
イケメン「ひえー。やっと家に戻って来たー」
ニート「イケメン、お疲れだったなっていう」
イケメン「おいもう、午前2時だぜー。さすがに体力の限界だ」
ニート「イケメン、ゆっくり休めっていう」
ニート「俺は睡眠とらない派だから、お前にモーニングコールをしてやるっていう」
イケメン「……何かお前にはまだまだ聞かなきゃいけないことがいっぱいあるんだが……」
イケメン「……今日はクタクタだからまた明日にしてやるよ……」
ニート「俺はもうお前に何もかも話した気がするが、話しがあるっていうなら聞いてやらないでもないっていう」
ニート「それじゃあ、さらばだっていう」
ガチャッ
イケメン「軽くシャワーを浴びて寝るか……」
78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:55:11.84 ID:BheviSX10
30分後……
ピロピロピロピロー、ピロピロピロピロー、ピロピロピロピロー、ピロピロピロピロー
イケメン「……はい……?」
ニート「イケメン、朝になったぞっていう」
ニート「とっとと起きて身支度整えろっていう」
イケメン「……おい、今何時だと思ってんだ?」
ニート「午前2時半だっていう」
ニート「イケメンの起床時間だっていう」
79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:55:49.70 ID:BheviSX10
イケメン「おい、おかしいだろ! 俺はまだ眠りについたばっかりなんだぜ」
イケメン「どこに起床時間が午前2時半の高校生がいるんだよ」
ニート「お前は大事なことを忘れているっていう」
ニート「お前は一家の大黒柱だっていう」
ニート「お前はかわいい妹たちの食い扶持を稼がなければならないっていう」
イケメン「……まさか……」
ニート「ようやく察したかっていう」
ニート「イケメンは週7日で新聞配達のアルバイトをやっているっていう」
80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:56:33.01 ID:BheviSX10
30分後……
ギコギコ、ギコギコ、ストンッ
イケメン「もう、だめだよ」
イケメン「俺、1週間後には過労で死ぬよ。絶対」
ニート「弱音は吐くなっていう」
ニート「イケメンは絶対に弱音は吐かなかったっていう」
イケメン「……」
イケメン「……イケメン、偉大だな……」
イケメン「妹たちの面倒をみて、空いた時間で勉強もちゃんとやってたんだろうな……」
ニート「そうだぜっていう」
ニート「イケメンは、心も身体も完璧なイケメンだったぜっていう」
イケメン「……」
81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:57:09.95 ID:BheviSX10
イケメン「おい……イケメンはどうなっちまったんだよ?」
ニート「質問の意味がよく分からないなっていう」
イケメン「……」
イケメン「……俺がこうしてイケメンの身体に乗り移って、俺の元の身体は処分したって、お前言ってたよな?」
ニート「その通りだっていう」
イケメン「じゃあ、イケメンの人格はどこにいったんだよ?」
ニート「簡単な話しだっていう」
ニート「イケメンの人格は不要になったからお前の身体と一緒に処分しておいたっていう」
82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:57:40.25 ID:BheviSX10
ギッ、ガチャン
イケメン「……てめえ」
イケメン「誰の許可があってそんなことを……」
ニート「夢の中でお前が望んだことだっていう」
ニート「それがただ現実のものになっただけの話しだっていう」
83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 15:58:15.60 ID:BheviSX10
ヒュッ、ヒラリ
ニート「結局暴力に訴えるのかっていう」
ニート「お前はまだまだイケメンには程遠いなっていう」
イケメン「……元に戻す方法を教えろ」
ニート「既に何回も言っているが、元に戻す方法はないっていう」
イケメン「……俺はどうなってもいいから、イケメンを元に戻す方法を教えろ」
ニート「何度も言っているように無理だっていう」
ニート「物理的に存在しないものを元の状態に戻すことはできないっていう」
イケメン「……」
84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 16:00:31.65 ID:BheviSX10
ヒュッ、ヒラリ
ニート「まだ暴力に訴えるかっていう」
ニート「暴力を振るった所で何も変わらないっていう」
イケメン「お前を殺して、俺も死ぬ」
ニート「お前が死ぬのはお前の勝手だが、残される人間たちのことを考えろっていう」
ニート「お前が死ねばイケメンの妹たちは路頭に迷うことになるっていう」
ニート「今のお前の命は、もはやお前だけのものじゃないっていう」
イケメン「……くそっ」
ニート「事情が呑み込めたんなら、さっさと新聞配達の続きをするっていう」
ニート「すべてはかわいいお前の妹たちのためだっていう」
イケメン「……」
ガチャ、ギコギコ、ギコギコ、ストンッ
85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 16:35:18.57 ID:BheviSX10
翌朝……
チュンチュン、チュンチュン
上の妹「おはよう、おにいちゃん」
イケメン「おう、おはよう」
イケメン「今、朝ごはんの支度をしてるからな!」
イケメン「下の妹を起こしてきてくれるか?」
上の妹「うん、分かった」
86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 16:36:17.00 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
下の妹「おはよー、おにい」
イケメン「おう、起きたか? 学校に遅れるからさっさと顔洗って飯食えよ」
下の妹「うーん、わかったでござる」
イケメン「兄ちゃん、今日、部活の朝練があるからもう出ていくからなー」
イケメン「片づけは兄ちゃんが夕方帰ってきてからやるから、下の妹だけよろしくな、上の妹」
上の妹「うん。分かった。いってらっしゃい、おにいちゃん」
下の妹「いってらっしゃい。おにい」
87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 16:37:02.40 ID:BheviSX10
30分後……
テクテク、テクテク
イケメン「……着いた……」
イケメン(……昨日まで住んでいた家なのに、なんかやけに懐かしいな……)
ピンポーン
イケメン(ドキドキ、ドキドキ)
男の母親「……はい?」
イケメン「あ、あの、俺、DQN高校のイケメンと申します」
男の母親「……はあ……」
イケメン「あの、男君はいらっしゃいますでしょうか?」
男の母親「……うちに子供はいませんが……」
イケメン「……」
88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 16:37:28.77 ID:BheviSX10
イケメン「……あのう、階段を上がった突き当り右手の6畳一間の洋室に男君がいたはずなんです」
イケメン「変なお願いというのは重々承知ですが、調べてもらえませんか?」
男の母親「……お引き取りください……」
プツッ
イケメン「……」
イケメン「……クソッ」
イケメン(……忍び込んで調べてみるか……)
イケメン(……意味ないか……)
トボトボ、トボトボ
……(チラッ)「……」
89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 17:05:26.82 ID:BheviSX10
ザワザワ、ザワザワ
男生徒A「でも、昨日の100m走はマジびびったよな」
男生徒B「うん、確かにビビったっていう」
男生徒A「お前、それ好きだなあ」
男生徒B「今年のDQN高校流行語大賞間違いなしっていう」
男生徒A「ははっ、ウける」
男生徒A「なあ、イケメンもまさかあんな奴に負けるとは思わなかっただろ?」
イケメン「……あ、ああ」
男生徒A「うん、何か眠そうだなあ? 寝不足?」
イケメン「あ、うん。ちょっとね」
90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 17:06:12.90 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
男生徒C「おい、イケメン」
イケメン「うん? 何?」
男生徒C(ニヤリ)「あれ、あれ。お呼びだぜ!」
イケメン「うん?」
男生徒A「ははっ、告りだな。イケメン、行って来いよ」
男生徒B「あの子は、1年G組の子だなっていう。きゃわいいなっていう」
男生徒B「イケメンうらやましいぜっていう」
男生徒A「ははっ、お前知ってんのかよ?」
男生徒B「この学校のおなごは全員プロファイリング済みだっていう」
男生徒A「……お前、キメーよ」
男生徒C「ほら、イケメン、早く行ってやれよ。かわいそうだろ?」
イケメン「あ、ああ」
テクテク、テクテク
91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 17:06:44.36 ID:BheviSX10
誰もいない廊下……
後輩女生徒「……あのう、イケメン先輩、突然すみません」
イケメン「……いや、全然大丈夫だよ」
後輩女生徒「……わたし、ずっとイケメン先輩のことが好きだったんです」
後輩女生徒「……先輩、彼女はいなって友達から聞いて……それで……」
後輩女生徒「……」
後輩女生徒「先輩、お願いします。わたしと付き合ってもらえませんか?」
92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 17:07:18.27 ID:BheviSX10
イケメン(……イケメン、彼女いなかったんだ……)
イケメン(……誰か、心に決めた想い人がいたのかな?……)
イケメン(……俺って、この子に一体何て答えればいいんだろう?……)
イケメン(……)
イケメン「……ごめん、後輩女生徒ちゃん。おれ、他に好きな人がいるんだ……」
後輩女生徒「……そうですか……ですよねー……」
93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 17:08:07.70 ID:BheviSX10
後輩女生徒「……」
イケメン「……」
後輩女生徒「……先輩、先輩の好きな人ってどんな人なんですか?」
イケメン「えっ? どんな人?」
後輩女生徒「いや、変な質問してたらすみません。答えてくれなくても全然いいんです……」
イケメン(……イケメンが好きな人……? 分からん……)
イケメン(……俺が好きなのは……)
イケメン「その人は……ちょっと怖い人かな……」
後輩女生徒「えっ? 怖い? ははっ、イケメン先輩って面白いですね」
イケメン「……ははっ」
94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 17:08:35.34 ID:BheviSX10
後輩女生徒「……先輩、その……先輩はその人に告白はしたんですか?」
イケメン「……いや、……していないよ」
後輩女生徒「えー、何でですか?」
イケメン「ははっ……うーん。……何でだろう?」
後輩女生徒「先輩、わたし、その人がどんな人かは知らないですけど、先輩なら絶対大丈夫です」
後輩女生徒「だから、その人と絶対幸せになってください」
イケメン「……ははっ、ありがとう。後輩女生徒ちゃん」
95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 17:34:27.74 ID:BheviSX10
キーン、コーン、カーン、コーン
ザワザワ、ザワザワ
男生徒A「イケメン、さっきはどうなった?」
イケメン「あ、ああ、告白された」
男生徒A「断ったのか?」
イケメン「あ、うん。断ったよ」
男生徒A「やっぱりなー。でも相変わらずもったいねえなー」
男生徒B「イケメン、今度その彼女に俺を紹介してくれよー」
イケメン「はは、別に紹介してもいいけど、気に入られるかどうかは別問題だぜ」
男生徒A「イケメンの言う通りだぞ、男生徒B」
男生徒B「ノープロブレムだっていう」
96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 17:35:07.29 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
高校生女「……イケメン君」
イケメン(……ん! 高校生女!?)
イケメン「あ、ああ。高校生女……どうかした?」
高校生女「ちょっと相談したいことがあるんだけど……放課後時間ある?」
男生徒A「イケメン、今日は大忙しだな」
高校生女(ニコッ)「残念だけど、そういう話しじゃないから」
男生徒A「別にまだ何にも言ってないだろ? 高校生女ー」
高校生女「イケメン君?」
イケメン「あ、ああ、分かった。いいよ」
97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:27:05.17 ID:BheviSX10
放課後……
テクテク、テクテク
高校生女「……」
イケメン(……高校生女がイケメンに話って一体何だ?……)
イケメン(……さっきは否定していたけど、やっぱりイケメンのことが好きとか?)
イケメン(……)
98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:27:48.14 ID:BheviSX10
高校生女「今日は突然ごめんなさい」
イケメン「いや、気にしなくていいよ」
イケメン(……イケメンと高校生女の間には何かあったのか?)
イケメン(……わかんねえ……)
高校生女「話しなんだけど……」
高校生女「イケメン君、今朝、男苗字さんの家に行ったよね?」
イケメン「えっ? ああ、まあ確かに行ったよ」
99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:28:20.36 ID:BheviSX10
イケメン(……見られていたのか?)
イケメン(……男を探しに行ったからって答えていいのか?)
イケメン(……いや、でもこいつは近所だからたまたま俺のことを目撃しただけか……)
イケメン(……そもそも、高校生女は男の記憶は消されているはずだし……)
イケメン(……あれ? でも、駅は高校生女の家からだと俺の家とは逆方向だったはず……)
イケメン(……)
100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:28:49.42 ID:BheviSX10
高校生女「何で行ったの?」
高校生女「……もしかして、男君を探しに?」
イケメン(……こ、こいつ……)
イケメン「……高校生女……お前、男のことを覚えてるのか?」
高校生女「イケメン君、男のこと、覚えているんだね?」
高校生女「良かった……」(グスン)
イケメン(……高校生女……泣いているのか?)
101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:29:31.18 ID:BheviSX10
高校生女「……何が何だか分からないの……」
高校生女「……昨日の朝から突然男の姿が見えなくなって」
高校生女「学校の友達に聞いてもそんな人知らないって言われるし……」
高校生女「昨日の夕方、男の家に行ってみた……。でも、男のお母さんにも男のことなんて知らないって言われて……」
イケメン「……高校生女……」
高校生女「本当に……男のことを覚えてくれている人がいて良かった……」
102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:31:04.94 ID:BheviSX10
高校生女「……」
高校生女「……イケメン君、男は今どこにいるんだろう?」
イケメン(……もうこの世には存在しないとは……言えないな……)
イケメン「分からない。もしかしたら家出しているのかも……」
高校生女「……ううん、違う」
イケメン「えっ?」
イケメン(……なんだ、こいつ? やっぱり何か知っているのか……?)
103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:31:33.80 ID:BheviSX10
高校生女「何となく分かるんだ……」
イケメン「……何が?」
高校生女「もういなくなっちゃったのかも知れない……あいつは……」
イケメン(……なぜ分かる?)
高校生女「……イケメン君……イケメン君にだから言うけどね……」
高校生女「わたし、男のことが好きなんだ」
イケメン「えっ?」
イケメン(……マジでか?)
104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:32:04.84 ID:BheviSX10
高校生女(クスッ)「そうだよね。驚くよね」
高校生女「自分でもバカみたいって、時々思うんだけどさ……」
高校生女「あんな、キモくてムスッとしたブサイクな男が好きだなんてね」
イケメン(……高校生女が……俺のことを好き……?)
イケメン(……いや、キモいとかブサイクとかは酷すぎるが……)
106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:32:46.70 ID:BheviSX10
高校生女「あいつね、ああ見えて意外と優しいところがあるんだ……」
イケメン「優しいところ……?」
高校生女「うん……そう……」
高校生女「まだ小さいとき、野良犬に襲われそうになったところを守ってくれたり……」
イケメン「……へえ」
イケメン(……そんなこともあったような……)
イケメン(……確か犬に足を噛まれて病院へ直行したような記憶が……)
107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:33:22.45 ID:BheviSX10
高校生女「中学生の時、バイクが歩道に突っ込んで来た時に守ってくれたり……」
イケメン「……へえ」
イケメン(……ん……嫌な記憶が……)
イケメン(……確かその事故で右腕と右足を骨折して病院へ直行したんだったな……)
高校生女「それに、この前なんか、街で従兄と会った時に彼氏と勘違いしてすねて帰っちゃったりして……」
イケメン「……へえ……ははっ……そうなんだ……」
イケメン(……あの爽やか風の男は従兄だったのか……)
イケメン(……これはちょっとうれしい)
108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:34:11.04 ID:BheviSX10
高校生女「……」
高校生女「小っちゃい時からずっと一緒にいたから……」
高校生女「だから何となく分かるんだ……」
高校生女「……」
高校生女「男は、もういなくなっちゃったんだって……」
イケメン「……高校生女……」
イケメン(……俺はここにいるって……言いたい……)
109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 19:35:32.73 ID:BheviSX10
高校生女「ごめんね、なんか勝手にしゃべっちゃって」
イケメン「いや、気にしないで……」
イケメン「男のことで何か分かったらすぐ連絡するよ」
高校生女「うん、ありがとね」
ブルンッブルンッ、ブルンッブルンッ
イケメン(……ん? 何か怪しい車が……)
110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 20:15:55.17 ID:BheviSX10
ガチャ、スッ
黒スーツの男「……」(スチャ)
イケメン「えっ?」
サッ、バキューン
黒スーツの男「ちっ」(スチャ)
イケメン(こいつらは……昨日の密売組織の連中か……)
イケメン「高校生女、逃げろ!」
高校生女「えっ?」
イケメン「やつらの狙いは俺だ」
111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 20:17:11.79 ID:BheviSX10
サッ、バキューン
黒スーツの男「ちっ」(スチャ)
イケメン「くそっ」
イケメン(……とにかくこの場を離れなければ……)
サッ
イケメン「よっこらしょっと」
高校生女「イケメン君!」
イケメン「高校生女、しっかりつかまってろよ」
ダッ
黒スーツの男達「追えー。逃がすなー」
112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 20:17:45.55 ID:BheviSX10
タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ
イケメン(チラリ)
イケメン(……くそっ、どんどん追手が増えてきているな……)
高校生女「イケメン君、大丈夫?」
高校生女「わたしも自分で走って逃げるよ……」
イケメン「いや、大丈夫だよ、高校生女」
イケメン「こっちの方が速いし……それに……」
イケメン「……なんか嬉しいし……」
高校生女「……?」
113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 20:18:39.93 ID:BheviSX10
タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、バッ
イケメン(……しまった……)
イケメン「……挟み撃ちにされたか……」
スタッ
イケメン「高校生女、ごめん、少し下がってて」
高校生女「イケメン君……」
ボス風の男「殺れ……」
黒スーツの男達「……」(スチャ)
114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 20:19:24.97 ID:BheviSX10
バキューン、バキューン、バキューン、バキューン、バキューン、バキューン
スッ、スッ、スッ、スッ、スッ、スッ、スッ、スッ
イケメン「……」
サッ、ボゴッ、ゴフッ、ドサッ
黒スーツの男「……ぐふっ」
イケメン「借りるぜ」(スチャ)
ボス風の男「撃て……」
黒スーツの男達「……」(スチャ)
バキューン、バキューン、バキューン、バキューン、バキューン、バキューン
115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 20:19:58.03 ID:BheviSX10
イケメン「……そこだ」
バキューン、ドサッ、バキューン、ドサッ
イケメン「……ほらよ」
バキューン、ドサッ、バキューン、ドサッ
黒スーツの男「そこまでだ」
イケメン(クルリッ)
イケメン(……高校生女!!)
高校生女「イケメン君!」
116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 20:59:14.04 ID:BheviSX10
黒スーツの男「銃を捨てろ」
イケメン(……)
黒スーツの男「さっさと捨てろ」
イケメン(スチャ、カシャン)
黒スーツの男達(スタスタ)「……」
ボゴッ、ゴフッ、ドサッ
イケメン「……ぐふっ」
高校生女「やめて!」
黒スーツの男「ふんっ」
黒スーツの男「……あばよ」(スチャ)
バキューン
117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 20:59:48.51 ID:BheviSX10
イケメン「……!」
高校生女「……!」
黒スーツの男「……ぐふっ」
ドサッ
テクテク、テクテク
ニート「よお、イケメン、随分ひどくやられているじゃないかっていう」
イケメン「……てめえ、来るのがおせーんだよ」
ニート「救世主は遅れてやってくるものだっていう」
ニート「イケメン、ほらよっていう」
118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:00:39.47 ID:BheviSX10
ポイッ、スチャ
イケメン「へ、高校生が街の中でマフィアと銃撃戦とはな……」
ニート「日本もついにここまで来てしまったかっていう」
イケメン「おいっ、お前が言うな! 半分以上はお前のせいだろうが」
ニート「……イケメン、しゃべっている暇はもうないぜっていう」
イケメン「ああ……いくぜ!」
ボス風の男「撃て! 全員殺せ!」
119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:01:06.76 ID:BheviSX10
バキューン、バキューン、バキューン、バキューン、バキューン、バキューン
イケメン「……遅えぜ」
バキューン、バキューン、ドサッ、バキューン、バキューン、ドサッ
ニート「イケメン、もう手慣れたもんだなっていう」
ボス風の男「くそっ、これでもくらえ!」
バキューーーーーーーーン
ボス風の男「ぐふっ」
ドサッ
120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:01:39.56 ID:BheviSX10
イケメン「終わりだな……」
高校生女「……イケメン君……」
スタスタ
高校生女「大丈夫? 無事で本当に良かった……」
ギュッ
イケメン「こ、高校生女……」
イケメン(……高校生女が自分から男に抱きつくなんて……)
イケメン(……イケメンはやっぱりすげーな……)
イケメン(……)
121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:02:09.84 ID:BheviSX10
高校生女「……」
高校生女「……守ってくれてありがとう……男」
イケメン「……いや、別に……えっ?」
ニート「……!」
高校生女「……」
イケメン「……おい、名前間違えてるぞ……俺は……」
高校生女「男でしょ?」
イケメン「……!」
ニート「……!」
123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:22:10.25 ID:BheviSX10
イケメン「いや、俺は……お前、なんで分かったの?」
高校生女「私のことを甘くみんなよ、男」
高校生女「あんたがイケメンになりすましているのはバレバレだったつーの」
イケメン「……いつから気づいてたんだよ……」
高校生女「昨日、朝、教室で……」
高校生女「あんた、女生徒に話しかけられて焦ってたでしょ?」
高校生女「その時のあんたの仕草……」
高校生女「左手人差し指で下あごを2回撫でて、その後に左手中指の関節で鼻先を3回こすって、最後に耳たぶを2回つまむ」
高校生女「男しかやらない仕草だからね……すぐ分かった」
124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:23:34.09 ID:BheviSX10
ニート「さすが、好きな男のことはよく観察しているなっていう」
イケメン「そう、それだ! お前さっき俺のことを好きだって……」
高校生女「うん、言った」
イケメン「……でも、お前、俺がイケメンじゃなくて俺だって分かってて……」
高校生女「うん、分かってて言った」
イケメン「……あれ、でもお前、『男がいなくなった』って涙を……」
高校生女「あれは演技」
イケメン「……じゃあ、本当に俺のことを……」
高校生女「うん、好きだよ。うれしいっ?」
イケメン「べ、別にうれしくなんかねーよ」
125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:24:19.47 ID:BheviSX10
ニート「男、お前は嘘をつくのが本当に下手だなっていう」
イケメン「……嘘じゃねーよ」
ニート「……男、お前の今の左手の動き、さっき高校生女が言った通りの動きだったっていう」
イケメン「えっ……」
高校生女「あはっ」
高校生女「あんたは昔から嘘をつけない奴だったからね」
高校生女「何でみんなあんたがイケメンじゃないって気づかなかったのか不思議なくらいだよ」
高校生女「……まあ、それはいいとして……」
高校生女「誰がどうやったのかは知らないけどそろそろ元に戻してもらわないとね……」
高校生女(チラッ)
127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:48:14.25 ID:BheviSX10
ニート「お前、俺が全部仕組んだって考えているのかっていう」
高校生女「まーねー」
ニート「……バレては仕方がないなっていう」
ニート「お前は男と違って頭の回転が速いなっていう」
ニート「この状況を素で受け止めている度量の大きさも大したものだっていう」
128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:48:55.98 ID:BheviSX10
イケメン「高校生女、そのことなんだけど……」
イケメン「俺が元に戻る方法は……」
ニート「あるっていう」
イケメン「なに! てめー、昨日と話しがちげーじゃねえか」
ニート「昨日の時点では確かに方法はなかったんだっていう」
ニート「でも、今は状況が大きく変わっているっていう」
ニート「高校生女の中にお前とイケメンに関する記憶が完全な形で残っているっていう」
ニート「この記憶の情報を元にしてすべてを元通りに復元することは可能だっていう」
129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 21:49:50.96 ID:BheviSX10
イケメン「……記憶なら、俺も持ってたじゃねーか!」
ニート「お前、空気読めっていう」
ニート「高校生女の記憶から復元するから感動が生まれるんだっていう」
ニート「お前の記憶から復元した所で何の感動も生まれなかったっていう」
イケメン「……いや、そういう問題じゃ……」
高校生女「男の記憶からだと元に戻せなかったんじゃないの?」
イケメン「……?」
ニート「……お前、何でそう考えたんだっていう」
高校生女「何となくねー」
130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:15:10.96 ID:BheviSX10
ニート「……お前の言う通りだっていう」
ニート「記憶から復元する場合は、当事者の記憶が混在していると不可能だっていう」
ニート「お前は相当頭がキレるなっていう」
ニート「男にお前はもったいなさ過ぎるぐらいだっていう」
ニート「お前、イケメンと交配したらきっと物凄い子供を産むぞっていう」
高校生女「うーん、確かに……」
イケメン「おいっ……」
131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:15:51.92 ID:BheviSX10
ニート「冗談だっていう」
ニート「男、安心しろっていう」
ニート「俺と高校生女はお前をからかっているだけだっていう」
高校生女「さあ、じゃあ元に戻してよ」
ニート「了解したっていう」
ニート「ただし、俺が今からやろうとしている復元方法は結構荒療治だから予め断っておくっていう」
ニート「ちなみに成功率は50%位で失敗したら高校生女は死ぬことになるからそこんとこよろしくっていう」
ニート(チラリ)
高校生女「……!?」
132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:16:38.31 ID:BheviSX10
イケメン「……50%って……低すぎだろっ」
高校生女「……わたしは別にいいよ」
イケメン「……おい、お前……死ぬかもしれないんだぞ」
高校生女「何? 心配してくれてんの?」
イケメン「いや、……別に……」
高校生女「だったらいいじゃん」
133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:17:50.80 ID:BheviSX10
イケメン「いや、だめだ。 お前が死ぬなんて俺は絶対に嫌だ」
高校生女「死ぬって決まったわけじゃないじゃん」
イケメン「……そりゃ決まったわけじゃないけど……」
イケメン「……お前、何でそこまでするの?」
高校生女「イケメン君に迷惑掛けたくないしね」
高校生女「このまま後ろめたい気持ちを持ったまま生きていくのはやでしょ?」
134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:18:26.19 ID:BheviSX10
イケメン「……」
イケメン「……イケメンか……」
イケメン「……確かにイケメンは元に戻してやりたいな……」
イケメン「……」
135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:35:36.18 ID:BheviSX10
イケメン「……ニート、お前は神様っていう位だから人間の命も簡単に操作できるんだろ?」
ニート「確かに簡単に操作できるっていう」
ニート「生きるも死ぬも俺のさじ加減でどうにでもなるっていう」
ニート「ただし、今回の復元作業の時に高校生女が死んだら生き返すことはできないっていう」
ニート「今回の作業はそれだけ特別なんだっていう」
イケメン「別に生き返してくれだなんて言ってない……」
ニート「……?」
136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:36:20.04 ID:BheviSX10
イケメン「もし、高校生女が死んだら……」
イケメン「……その時は……」
イケメン「俺も殺してくれ」
高校生女(チラッ)「……」
イケメン「俺を殺すぐらいだったら簡単にできるんだろう?」
ニート「お茶の子さいさいだっていう」
ニート「お前の願い聞き入れてやるっていう」
ニート「それじゃあ、2人共、心の準備が出来たら目を瞑れっていう」
高校生女「……」
イケメン「……」
ニート「準備はできたようだな……それじゃあ、いくぜっていう」
シュポッ、シュポッ、シュポッ、シュポッ、シュポッ、シュポッ、シュポポポーン
……
138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:55:23.87 ID:BheviSX10
ホワホワ、ホワホワ
男「……ん? ……ここはどこ?」
ニート「よう、男っていう」
男「んっ? お前は……誰だったっけ?」
ニート「俺の名前を忘れったて言うのかっていう」
ニート「お前のDQN脳は結局治らなかったなっていう」
男「うるせえ! このニート野郎」
ニート「そう、俺の名前はニートだっていう」
ニート「少しは記憶が蘇ってきたかっていう」
139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:55:55.83 ID:BheviSX10
男「……」
男「これは……夢か?」
ニート「その通りだっていう」
ニート「これは夢だっていう」
男「……?」
ニート「記憶が戻りそうでまだ戻らないようだなっていう」
ニート「まあ、いいてっいう」
140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:56:37.06 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
ニート「俺は、お前にお別れを言いに来たっていう」
ニート「俺の実家が今大変なことになっているから急いで戻らなければならなくなったっていう」
ニート「俺は本職の自宅警備員の仕事に戻るっていう」
男「……」
ダッ、ヒラリ
ニート「いきなり突っ込んでくるなっていう」
ニート「頭より体が先に動くなんてお前は本当にDQNだなっていう」
141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 22:57:13.28 ID:BheviSX10
男「……自宅警備員ってなんだ?」
ニート「とても高尚な職業だっていう」
ニート「お前も今のうちにしっかり勉強して将来は立派な自宅警備員を目指すといいっていう」
ニート「それでは、また逢う日までさらばだっていう」
男「……」
男「……!」
男「……おい、待て!」
ホワホワ、ホワホワ、ホワホワ、ホワホワ、ホワホワ ……
142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:11:18.83 ID:BheviSX10
チュンチュン、チュンチュン
男「……んっ……んんっ」
ガバッ
男「……ここは……俺の部屋」
ダ゙ッ
男「俺の顔……元に戻っている」
男の母「男、早く起きなさい! 学校に遅刻するわよ」
男「……かーちゃん……俺、元に戻ったんだ……」
男の母「はい? 何寝ぼけてんの? 早く着替えなさい」
男「……うん」
男(……元に戻った……)
男(……そうだ、高校生女は? 高校生女はどうなった?)
男(……)
143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:12:43.38 ID:BheviSX10
ダダダッ
男の母「ちょっと、もう着替えたの? 朝ごはんは?」
男「いらないよ、じゃあ、行ってきます」
ガチャッ
男「……!」
高校生女「オッス!」
高校生女「男、おそいぞ!」
高校生女「早くしないと学校に遅刻するぞ!」
男「……うっ」
男「……うっせーよ」
男「待ち伏せしてんなよ……」
高校生女「待ち伏せしてたんじゃない……待ってたんだよ」
男「えっ?」
高校生女「おかえり、男!」
145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:13:51.69 ID:BheviSX10
男「……」
高校生女「どうした? 感情が高ぶって声が出ないの?」
男「ち、ちげーよ」
男「……」
男「……高校生女」
男「……」
男「……無事で良かった」
高校生女「あはっ、うん、あんがと」
高校生女「……ほら、そしたら、とっとと行くよ」
男「お前ってやつはなあ……」
高校生女「うん? 何?」
男「いや、何でもねえよ」
~END~
149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:35:10.29 ID:BheviSX10
読んでくれてサンクス。
最後にエピローグ書きます。
150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:36:10.28 ID:BheviSX10
~エピローグ~
学校の帰り道……
テクテク、テクテク
男「えっ? どういうこと? それ……」
高校生女「だから、成功率50%っていうのは多分嘘だったってこと」
高校生女「あいつは単にあんたのことをからかうためにそう言ったんだよ。 多分ね」
151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:37:01.61 ID:BheviSX10
男「……からかってって……」
男「……お前、何で分かったんだよ」
高校生女「うーん」
高校生女「あいつが目で合図してきたからね」
男「……アイコンタクトって……じゃあ、俺は踊らされていただけってことか……」
高校生女「あはっ、でも、あんがとね」
高校生女「『俺も殺せ』って言ってくれた時は嬉しかったよ」
男「……ははっ、ホントに生きてて良かったっす」
152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:37:34.97 ID:BheviSX10
テクテク、テクテク
男「そう言えば、ニートが夢の中に出てきた」
男「あいつ、さよならって言ってた……」
高校生女「ふーん」
男「あいつ、もう二度と現れないのかな」
高校生女「会いたいの?」
男「……いや、会いたくなんかねーよ」
高校生女「……今、左手動かすの我慢したでしょ?」
男「が、我慢してねーよ」
高校生女「あはっ」
153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:38:38.98 ID:BheviSX10
高校生女「でも、ニートは、それなりに気を遣ってくれたんだよ」
男「……何が?」
高校生女「だって、あいつのこと覚えているのわたし達だけだったじゃん」
男「……うん、そうだったな、確かに」
高校生女「そういうこと」
男「うん? 意味がわからない」
154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:39:19.63 ID:BheviSX10
高校生女「もし、あんたがニートがいた間の記憶がなくなっていたらどうだったっていうこと」
男「……それは嫌だな」
男「……せっかく色々な苦労をしたし、イケメンの偉大さも分かったし……」
高校生女「他には?」
男「……!」
男「……お前が俺のことを……」
高校生女「うん」
男「……何言わせようとしてんだよ!」
高校生女「あはっ」
155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:40:39.54 ID:BheviSX10
男「そうだ、1つだけ聞きたいことがあったんだ」
高校生女「何?」
男「俺がイケメンになった時、ニートは俺にまつわるすべての記憶を消去したって言ってたんだ」
男「でも、お前は消去されなかったわけ?」
高校生女「いや、消去されそうになったよ」
男「……?」
高校生女「でも、絶対嫌だって念じた」
高校生女「そしたら、記憶が残ってた」
男「ははっ、さいですか……」
高校生女「多分、ニートが残してくれたんだよ」
男「……?」
156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2011/09/18(日) 23:41:31.00 ID:BheviSX10
高校生女「ニートはすべてを見通していたのかもね」
高校生女「今度会ったらニートに感謝しなきゃね」
男「ニートにはもう会えないんじゃない?」
高校生女「ううん、多分会える」
男「何で?」
高校生女「なんとなくねー」
~完~
171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:35:06.34 ID:VDFzB7kL0
1か月後、学校の帰り道……
テクテク、テクテク
男「……」
高校生女「あのさ」
男「うん、なに?」
高校生女「実はね」
高校生女「昨日、病院に行ってきたんだ」
男「えっ? なに、病気?」
高校生女「……うん」
高校生女「あと、半年の命って言われた……」
172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:35:56.61 ID:VDFzB7kL0
男「……えっ?」
男「ちょっ、お、お前っ……」
高校生女「私じゃないよ」
高校生女「私の姪っ子の幼女ちゃん」
男「姪っ子……って……確かお前のねーちゃんの……」
高校生女「そう、私のおねーちゃんの娘の子」
高校生女「まだ4歳の子」
173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:36:26.40 ID:VDFzB7kL0
男「……半年の命って……病気?」
高校生女「そう。原因不明で治療法もない病気」
男「……」
高校生女「……」
高校生女「今からお見舞いに行くんだけど……」
男「あ、ああ、俺も一緒に行くよ」
174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:37:03.01 ID:VDFzB7kL0
病院の中……
男「おい、ところで幼女ちゃんは知っているわけ?」
高校生女「何を?」
男「いや、だからさ……半年の命ってことを……」
高校生女「知るわけないっしょ」
男「……まあ、そうだよな……」
高校生女「……」
男「……」
175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:37:35.26 ID:VDFzB7kL0
高校生女「着いた」
高校生女「おねーちゃん、幼女ちゃん、来たよ~」
幼女「あ、高校生女ねーちゃん。こんにちは!」
高校生女の姉「来てくれたんだ。ありがとう」
高校生女の姉「ん? そちらの人は……確か」
幼女「あっ、お馬さんの人だ!」
男「えっ?」
176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:38:11.89 ID:VDFzB7kL0
高校生女「あんた、前に幼女ちゃんにお馬さんごっこして遊んであげたでしょ?」
男「あ、ああ、幼女ちゃん、元気にしてた?」
幼女「……ううん、あんまり元気じゃないんだ……」
高校生女(ボソッ)「バカッ」
高校生女「幼女ちゃん、ほら、約束してたぬいぐるみ持ってきたよ!」
幼女「あー! ブーンのぬいぐるみ!」
幼女「おねーちゃん、ありがとう」
177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:38:40.79 ID:VDFzB7kL0
高校生女「幼女ちゃん、ブーンが何か話したいことがあるって」
高校生女「『幼女ちゃん、幼女ちゃん、一緒にブーンしましょっ!』」
幼女「うん! ブーーーーン」
高校生女「『ブーーーーーン』」
高校生女「『幼女ちゃん、これから私とずっと一緒にいましょうね』」
幼女「うん、ブーン、ずっと一緒だよ」
178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:39:14.17 ID:VDFzB7kL0
幼女「そうだ、おにーちゃん!」
男「ん、何?」
幼女「私とブーンと一緒にお馬さんごっこして!」
高校生女の姉「幼女、だめ! ベットから起き上がっちゃ」
幼女「えー、やだー。お馬さんごっこしたーい」
179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:39:47.50 ID:VDFzB7kL0
高校生女「よし、じゃあ、幼女ちゃん、そうしたら、約束しよう」
幼女「なにを?」
高校生女「今度おうちに戻った時に、おにーちゃんが1日中お馬さんごっこしてくれるって」
幼女「ほんとう! おにーちゃん?」
高校生女(チラッ)
男「……あ、ああ。そうだよ。一日中お馬さんごっこだ!」
幼女「わーい。やったー。ブーンも一緒にだよ」
男「ああ、もちろん。ブーンも一緒だ!」
180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:40:16.20 ID:VDFzB7kL0
幼女「いつ? いつしてくれるの?」
男「今度おうちに帰った時だよ」
幼女「今度いつ帰れるの?」
男「……うーん」
高校生女「幼女ちゃんがいい子にしていて、お医者さんが帰ってもいいよって言ったら帰れるからね」
幼女「えーっ」
181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:41:27.75 ID:VDFzB7kL0
幼女「……おねーちゃん」
高校生女「うん? 何?」
幼女「わたしって死ぬの?」
高校生女「えっ!?」
男「……!」
高校生女の姉「……!」
高校生女の姉「なに言ってるの! 幼女。死ぬわけないでしょ!」
182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:42:08.44 ID:VDFzB7kL0
幼女「おかあさん」
幼女「わたしの隣のベッドに前は男の子がいたでしょ?」
幼女「その男の子、この前の夜、ものすごく苦しそうにしてて」
幼女「すごく怖くてわたしは泣いちゃって」
幼女「朝起きたら、男の子はいなくなってたの」
幼女「この部屋にいる人たちはみんな苦しくなって……」
幼女「それで最期はいなくなっちゃうんでしょ?」
183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:42:45.22 ID:VDFzB7kL0
高校生女の姉「幼女……違うの……」
高校生女「そう……違うんだよ、幼女ちゃん」
高校生女「男の子はきっと元気になって自分のおうちに戻っていったんだよ」
幼女「男の子、死んじゃったんだよ」
高校生女「そんなことないんだよ」
幼女「ううん、だってその男の子のお母さん、泣いてたんだもん」
幼女「男の子の荷物取りに来たとき、泣いてたんだよ」
高校生女「……幼女ちゃん」
男「……」
184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:43:25.84 ID:VDFzB7kL0
男「幼女ちゃん! ほら、そんなこと言っていると、ブーンが悲しんじゃうぞ!」
スタスタ
男「『幼女ちゃん、ずっと一緒にいようって約束したでしょ?』」
男「『お馬さんごっこを一緒にやりましょ』」
幼女「お馬さんごっこは今できないもーん」
男「『よーし、じゃあ、幼女ちゃん、何か他にしたいことはありますか?』」
幼女「お勉強がしたい」
男「『へー、幼女ちゃん、偉いね!』」
幼女「いっぱいお勉強して、いっぱい人の役に立つんだ!」
男「『幼女ちゃん、偉いなあ』」
185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:44:05.00 ID:VDFzB7kL0
男「『よし、じゃあブーンも一緒に勉強頑張っちゃおうかな』」
幼女「じゃあ、ブーン、私に勉強を教えて」
男「えっ?」
幼女「ブーンが私の先生になって!」
男「『……勉強は……ブーンはちょっと苦手なんだ……』」
幼女「それじゃあ、だめー」
幼女「ブーンが勉強教えてくれるなら私も頑張って元気になるー」
186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:44:33.26 ID:VDFzB7kL0
男「『うーん……よし、分かったよ、幼女ちゃん』」
男「『ブーンが幼女ちゃんの先生になる』」
男「『だから、幼女ちゃんはちゃんとお医者さんの言うことを聞いていい子にするんだよ』」
幼女「うん、分かったよ。やったー」
高校生女「あはっ、よかったねー、幼女ちゃん」
幼女「うん、ありがとう、おにーちゃん」
高校生女の姉「ごめんね。ありがとう」
男「……ははっ、全然なんてことないっす……」
187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:45:33.20 ID:VDFzB7kL0
帰り道……
男「幼女ちゃん、本当に死んじゃうのかな……」
高校生女「……」
男「治療法がないって……本当かよ」
高校生女「治療法はあるよ」
男「えっ、お前さっきないって言ってたじゃん。本当はあるの?」
高校生女「うん、ある」
男「じゃあ、治療受けさせてあげればいいじゃん」
高校生女「お金がかかるの」
男「いくら?」
高校生女「5000万円」
188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:46:12.02 ID:VDFzB7kL0
男「うっ」
高校生女「海外に行かなきゃ受けられない手術で……」
高校生女「1000万円は何とか工面できそうなんだけどね……」
高校生女「まだまだ全然足りないんだ」
男「……」
高校生女「……」
男「俺もお金出すよ」
高校生女「いくら?」
男「……貯金全部で……5万円くらい」
高校生女「あはっ、少なっ」
189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:46:44.29 ID:VDFzB7kL0
男「しょうがないだろ……」
高校生女「でも、あんがと!」
高校生女「私も自分の貯金30万円くらいあるから、合わせれば少しは足しになるかもね」
男「ああ、そうだな……えーっと」
男「お前が30万円出して、俺が5万円出して、治療費が5000万円で、1000万円は何とかなるから……」
高校生女「……」
男「……あと4075万円?」
高校生女「全然違う。あと、3965万円」
190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:47:21.76 ID:VDFzB7kL0
男「うっ……まーいずれにしてもまだ全然か……」
男「あと半年の命ってことは、時間もあんまりないわけだろ?」
高校生女「そうだね」
男「っていうことは、幼女ちゃんにはお金が集まるまでの間、何とか頑張ってもらわないとダメってことだな」
高校生女「……」
男「あー、こんなことならアルバイトでもやってお金稼いどくんだったなー」
男「確か、お前はバイトやってるんだったよな?」
高校生女「うん、やってるよ」
男「じゃあ、俺も何かやってみるかなー」
高校生女「あはっ」
高校生女「あんがとねー」
191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:48:01.66 ID:VDFzB7kL0
1か月後……
高校生女「やっほー。こんにちはー」
男「お、よう!」
幼女「おねーちゃん、こんにちは」
高校生女「お、やってるねー。相変わらず熱心だねー」
男「ははっ、まあな」
幼女「おにーちゃん、できたよ! 見て!」
男「うん、どれどれ……」
男「うん、全問正解だ! すごいよ幼女ちゃん!」
幼女「全然、簡単だよ。おにーちゃんもっと難しい問題出して」
高校生女「へー、幼女ちゃん、もう引き算までできるようになったんだー」
高校生女「すごーい」
幼女「へへっ」
192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:48:34.65 ID:VDFzB7kL0
男「うん、幼女ちゃん、本当にすげーよ!」
男「物覚えが速くて俺とは頭のデキがちげーわ」
幼女「おにーちゃん、もっと難しい問題!」
男「うーん、そうは言ってもなー、幼女ちゃん」
男「おにーちゃんはこの位が限界なんだよ」
幼女「えーっ」
高校生女「あはっ、ダメじゃん」
男「よし、じゃあ幼女ちゃん、国語の勉強しよっか」
幼女「国語ーっ、だっておにーちゃん昨日漢字間違えてたじゃんー」
男「ははっ……、そうだったっけ……」
193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:49:31.05 ID:VDFzB7kL0
高校生女「幼女ちゃん、もう漢字も分かるんだ!」
幼女「うん、おにーちゃんの知らない漢字もいっぱい知ってるんだ!」
男「……ははっ、本当に幼女ちゃんは優秀ですわ……」
幼女「おにーちゃん、もっと頑張って勉強して!」
男「うーん、幼女ちゃん」
男「おにーちゃん、こんなんなんだけどさ」
男「一応おにーちゃんなりには頑張ってるんだぜ」
194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:50:17.84 ID:VDFzB7kL0
高校生女「そうだ、あんた、期末テストの成績はどうだったの?」
男「ん? うん、割と良かったよ」
幼女「えっ? 良かったの? おにーちゃん」
男「あ……ああ、いつもに比べればな」
幼女「いつもってどのぐらい?」
男「……大体学年の一番下くらい」
幼女「えーっ!」
高校生女「あはっ」
195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:50:50.29 ID:VDFzB7kL0
高校生女「もう幼女ちゃんの方がおにーちゃんより勉強できるかも知れないねー」
幼女「おにーちゃん、もっと頑張って!」
幼女「約束したじゃん」
幼女「おにーちゃんが頑張らないんだったら、わたしももう頑張らないー」
男「幼女ちゃん、そんなこと言ったらだめだよ」
幼女「じゃあ、もっと頑張って!」
男「うーん……」
男「分かったよ、幼女ちゃん!」
男「おにーちゃんも死ぬ気で頑張ってみるよ……」
196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:51:22.35 ID:VDFzB7kL0
帰り道……
テクテク、テクテク
高校生女「いつもあんがとね、男」
男「ん? 何が?」
高校生女「幼女ちゃんに勉強教えてくれて」
男「別にどうってことねーし。俺も楽しんでるしな」
高校生女「でも、このままだとそのうち立場が逆転して幼女ちゃんが先生になっちゃうかもね」
男「かなりマジでそれを危惧してます……」
高校生女「あはっ」
197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:51:50.68 ID:VDFzB7kL0
男「……」
高校生女「……」
高校生女「そう言えば、新聞配達のアルバイト始めたんでしょ?」
男「えっ? 誰から聞いた?」
高校生女「イケメン君から」
男「あいつ……人に言うなって言ったのに」
高校生女「あはっ、でもイケメン君も喜んでたよ」
男「何が?」
高校生女「仲間ができたって」
男「うーん」
男「まあ、あいつにはお世話になっているから何も言えんがな……」
198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:52:26.66 ID:VDFzB7kL0
高校生女「イケメン君に紹介してもらったんでしょ?」
男「うん、イケメンに紹介してもらった」
男「おかげで何も聞かれずに即採用してもらえたから本当助かったわ」
男「さすがにバイトの面接で5連敗ってことになると精神的にきついしな」
高校生女「そんなに面接に落ちたわけ?」
男「うん、落ちまくった」
高校生女「普通、面接なんてそんな落ちないもんだけどねー」
男「うーん、何か引き算ができないとか漢字が書けないとか言うと、あんまりいい顔されなかったな」
高校生女「あはっ、そりゃダメだわ!」
男「うーん、そんなもんか……」
199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:53:04.47 ID:VDFzB7kL0
男「……そういえば話変わるけど」
男「もうすぐ夏休みじゃん?」
男「お前、どっかいく予定とかあるの?」
高校生女「特にないよ。アルバイトと受験勉強を頑張るかな」
男「受験勉強かー」
男「俺って受験するのかな……」
高校生女「……さーねー」
男「いい大学行ければ家庭教師とかやってお金稼げるんだろうけどなー」
男「そうしたら幼女ちゃんを助けることができるのに……」
高校生女「……」
高校生女「……じゃあ、勉強頑張るしかないね」
男「……ははっ、おっしゃる通りっす……」
200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:53:41.58 ID:VDFzB7kL0
テクテク、テクテク
高校生女「じゃあ、また明日ね。男」
男「おう、じゃあな。おやすみ」
男「……」
男(……しかし、幼女ちゃんは本当に頭がいいよなあー)
男(……将来は人の役に立ちたいって言ってたし……)
男(……幼女ちゃんが死んじゃうかも知れないなんて)
男(……本当にもったいねー)
男(……)
男(……俺なんか何の役にもたたねーし)
男(……俺が代わりになってあげれれば……)
201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:54:11.34 ID:VDFzB7kL0
ドンッ
・・・「おい、お前どこを見て歩いているんだっていう」
男「あっ、すいません。ちょっと考え事を……」
男「……って、テメーは……」
ニート「よう、こんな所で会うなんて奇遇だなっていう」
ニート「しばらくぶりだが元気にしていたかっていう」
ニート「高校生女とはうまくいっているのかっていう」
男「……ああ、おかげさまでな」
ニート「そうか、それは良かったっていう」
ニート「それじゃあ、またなっていう」
ニート「達者でなっていう」
202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:54:51.11 ID:VDFzB7kL0
男「おい、ちょっと待て」
ニート「何だっていう」
ニート「俺に何か用かっていう」
男「それはこっちのセリフだ」
男「お前、何のためにまた俺の前に姿を現した?」
ニート「何のことを言っているか分からないっていう」
ニート(ニヤリ)「別に俺はたまたまお前に会っただけだっていう」
男(ニヤリ)「てめー……」
203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:55:37.30 ID:VDFzB7kL0
男「俺は今、『この』歩道の一番隅を歩いていたんだぜ」
ニート「それがどうかしたのかっていう」
男「この道は片側通行の道だぜ。それをお前は他の通行人もいるのに逆走してきた」
男「そしてお前は隅っこを歩いてる俺とぶち当たった」
男「とんだたまたまじゃねーか」
ニート「お前、見違える程に成長しているじゃないかっていう」
ニート「以前のお前にはなかった知的センスだっていう」
ニート「俺が鍛えてやったおかげだなっていう」
男「ああ、お前のおかげかも知れないな」
204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:56:13.91 ID:VDFzB7kL0
男「でも、成績がちっとも上がらねーんだから意味ねーよ」
ニート「それは違うなっていう」
ニート「お前はまだ自分の能力に気づいていないだけだっていう」
ニート「お前の中にある、まだ磨かれていない原石のままのダイヤが俺には見えるっていう」
男「……何を企んでやがる」
ニート「別に何も企んでなんかいないっていう」
ニート「あんまり穿った見方をしても真実は見えてこないっていう」
ニート「でも、個人的には穿った見方をするやつは好きだっていう」
205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:56:53.38 ID:VDFzB7kL0
男「ごちゃごちゃ訳の分からんことを……」
男「ま、丁度いいや」
男「丁度お前に頼みたいことがあったんだ」
ニート「先に断っておくが俺はアラジンのランプの魔人ではないからそこんとこよろしくっていう」
ニート「でも、内容によっては聞いてやらないでもないっていう」
男「お前に助けてもらいたい子がいるんだ」
ニート「……」
男「幼女ちゃんっていうんだけど、難病にかかっていて、もうあんまり長く生きられないんだ」
ニート「……」
男「助けてやってくれよ」
ニート「無理だっていう」
206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:57:24.41 ID:VDFzB7kL0
男「なんでだよ!」
ニート「お前はものごとを簡単に考えすぎだっていう」
ニート「そんな願いをポンポン叶えてくれる都合のいい神様はこの世にはいないっていう」
男「……」
男「じゃあ、話を変えよう」
男「……条件は何だ?」
ニート「『条件』って何の話しだっていう」
男「おい……」
男「俺にも我慢の限界ってもんがあるんだぜ……」
ニート「……まあそう気を悪くするなっていう」
ニート「俺も久しぶりにお前に会ったんだっていう」
ニート「自分が関わったことのある人間がどういう風に変化するのかを見たかったんだっていう」
男「……」
207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:58:12.06 ID:VDFzB7kL0
ニート「お前、随分変わったなっていう」
ニート「ちなみにいい意味で変わったから、そこんとこ喜べっていう」
ニート「お前は直情的な感情を抑えることができるようになってきているっていう」
ニート「行動の前に一考することができるようになっているっていう」
ニート「そして、俺の言葉の裏を読むことができるようになっているっていう」
ニート「ちなみにいくらお前が成長したといっても、お前はまだまだ俺の足元にも及ばないからそこんとこよろしくっていう」
男「話しを戻すぞ……条件を言え」
ニート「『条件』かっていう……」
ニート「おおよそお前はイケメンを復活させた時に俺が言った制約条件を思い出したんだろうっていう」
ニート「あながち間違っていないから、お前は自分の思考力に自信を持っていいっていう」
男「……」
208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:58:49.65 ID:VDFzB7kL0
ニート「条件は1つだけあるっていう」
男「何だ?」
ニート「幼女の命が助かる条件は……」
男「……」
ニート「お前が東応大学に合格することだっていう」
男「関係ねーじゃねーか!」
男「俺をからかうのもいい加減にしろよ……」
ニート「からかってなんかいないっていう」
ニート「俺は極めてシリアスな話をしているっていう」
ニート「自らの想いをかけている人間を助けるっていう願いを実現するには、極めてタイトなしがらみを通り抜けなければならないんだっていう」
男「……当事者が関与しているとっていうことか?」
ニート「その通りだっていう」
209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 21:59:42.79 ID:VDFzB7kL0
ニート「当事者が関与した願いというのは神の世界の掟で厳しい制約条件が付与されているんだっていう」
男「しかし、東応大学に合格するっていうのと幼女ちゃんの命を助けるっていうのがどう結びつくっていうんだ……」
ニート「あまり難しく考える必要はないっていう」
ニート「所詮、世の中のルールなんて言うものは庶民にはよく分からない論理で成り立っているものだっていう」
ニート「簡単に言えば、お前が努力して高いハードルを越えることができれば」
ニート「お前の願いが聞き入れられるっていうだけの話しだっていう」
男「……お前の言っていること……」
男「信じていいんだな?」
ニート「信じるも信じないもお前次第だっていう」
ニート「だが1つだけ言えることは……」
ニート「神は信じる者を好むっていうことだっていう」
男「……」
210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 22:00:23.81 ID:VDFzB7kL0
男「分かった。お前を信じるぜ」
男「だが、1つだけ問題がある」
ニート「お前、何だか俺みたいな話し方をするんだなっていう」
ニート「いいぜ、その問題言ってみろっていう」
男「お前、どうすれば俺が東応大学に合格すると思ってんだ!」
男「はっきりいうが、俺は底辺高校のそのまた底辺にいる人間だぞ」
男「しかも、幼女ちゃんの命はあとわずかしかもたないし」
男「もし仮に俺が東応大学に合格できたとしても」
男「それが10年後や20年後の話しじゃ意味なんだぜ」
211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 22:01:13.21 ID:VDFzB7kL0
ニート「心配無用だっていう」
ニート「お前は半年後には東応大学に合格するっていう」
男「どうやって?」
ニート「敏腕家庭教師に勉強を教わるんだっていう」
男「どこにそんな家庭教師がいるんだよ」
男「それに言っとくけど俺はあんまり金を持ってないぜ」
ニート「敏腕家庭教師ならお前の目の前にいるっていう」
男「えっ?」
男「……まさか」
ニート「俺がおまえの専属家庭教師になってやるっていう」
212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 22:01:44.22 ID:VDFzB7kL0
男「お前……勉強なんかできんのかよ」
ニート「当然だっていう」
ニート「俺は全知全能のニートだっていう」
ニート「お前に教えるレベルの勉強なんて朝飯前だっていう」
ニート「しかも無料でレッスンしてやるっていう」
ニート「あとから高額の授業料を請求するような詐欺まがいのこともしないから安心しろっていう」
男「……とは言ってもよー」
男「あと半年くらいしかない訳だぜ!」
男「ほんとに間に合うのかよ」
ニート「間に合うっていう」
213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 22:02:33.57 ID:VDFzB7kL0
ニート「でも、当然ながらお前にもそれなりの覚悟は必要だっていう」
ニート「不可能を可能にするには強靭な精神力と確固たる覚悟が不可欠だっていう」
男「覚悟って……どのくらいの覚悟?」
ニート「覚悟は覚悟だっていう」
ニート「でも仕方がないからお前が理解しやすく例えていうならば」
ニート「もう一生萌えパラを読まない位の覚悟が必要だっていう」
男「……」
男「……無理」
男「……と言いたいところだが」
男「そんなこと言っても始まらねー」
男「いいだろう。覚悟は決まってるぜ」
214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/22(火) 22:03:06.83 ID:VDFzB7kL0
ニート「さすが男だっていう」
ニート「俺が見込んだだけのことはあるっていう」
ニート「それじゃあ、早速明日から山籠もりを始めるっていう」
男「山?」
ニート「そうだっていう」
ニート「雑音のない清々しい空気の中で」
ニート「バラ色の勉強ライフが待っているっていう」
男「ははっ、ちょっと怖ーけどガンバるっす……」
216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:17:23.34 ID:pWj6qwr10
翌日……
テクテク、テクテク
高校生女「でも、あんたが人にものを教えるようになるとはねー」
男「……」
高校生女「今度は幼女ちゃんに掛け算とか教えるの?」
男「……あ、ああ。まあな」
高校生女「……?」
男「高校生女……」
高校生女「なに?」
男「実は昨日、ニートに会ったんだ」
高校生女「……へえー」
男「それで、あいつに幼女ちゃんを助けて欲しいって頼んだんだ」
高校生女「できないって言われたんでしょ」
男「……なんで分かんの?」
高校生女「あいつならそう言いそうだしねー」
217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:17:57.64 ID:pWj6qwr10
高校生女「それに、もし助けてくれるってあいつが言ったなら、今、あんたはそんな顔してないでしょ?」
男「……」
男「でも、条件をクリアすれば助けてくれるってあいつ言ったんだ」
高校生女「……ふーん、どんな条件?」
男「俺が東応大学に合格すること」
高校生女「あはっ」
男「な? ふざけてると思うだろ?」
高校生女「うーん」
男「あいつに聞いたらそれがあいつの世界のルールなんだってさ」
男「なんか本当に俺のことをからかっているとしか思えねえ」
218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:18:36.43 ID:pWj6qwr10
高校生女「で、どうするの?」
男「……一応、やってみるよ」
男「あいつが俺の家庭教師になってくれるっていうし」
高校生女「うん、いいんじゃん。がんばってみればー」
男「だから、今日からしばらく会えなくなるかも……」
高校生女「……?」
男「山に籠って勉強をするんだとさ」
高校生女「ふーん」
219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:19:04.24 ID:pWj6qwr10
男「でも、本当によー」
男「俺が東応大学に受かれるわけ?」
高校生女「……さー」
男「俺がもし落ちたら、幼女ちゃんは助からなくなるわけだろ?」
男「なんか理不尽な気が……」
高校生女「たぶん、大丈夫だよ」
男「なにが?」
高校生女「幼女ちゃんのことも、あんたのことも」
男「なんで?」
高校生女「なんとなくねー」
……
220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:19:32.95 ID:pWj6qwr10
テクテク、テクテク
高校生女「こんにちわー」
男「こんちわーっす」
高校生女の姉「ああ、こんにちわー」
高校生女「……!?」
高校生女「幼女ちゃん、今日は具合悪いんだ?」
高校生女の姉「うん、そうなの」
高校生女の姉「今朝から体調を崩しちゃって……」
221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:20:04.96 ID:pWj6qwr10
幼女「おねーちゃん……来たの?」
高校生女「うん、来たよ」
高校生女「幼女ちゃん、今日はゆっくり眠ってて」
幼女「おにーちゃんは?」
男「ああ、来てるぜ! 幼女ちゃん」
幼女「おにーちゃん、今日は勉強できない」
男「別にいいんだよ幼女ちゃん。幼女ちゃんが好きな時に好きなだけやればいいんだし……」
男「今日はゆっくり休みな」
幼女「うん」
222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:20:44.31 ID:pWj6qwr10
男「それと、幼女ちゃんに言っておかなければならないことがあるんだけど……」
幼女「なに?」
男「おれ、しばらくここに来れなくなるんだ」
幼女「えー!」
幼女「なんでー!」
男「いや、その……おにーちゃんは夏休みの間、勉強をしに行くんだ」
幼女「別にここで勉強すればいいじゃん」
男「いや、そういう訳にもいかなくて……」
男「山に籠らなくちゃいけないんだ」
223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:21:13.79 ID:pWj6qwr10
幼女「……修行しにいくの?」
男「うん、まあ、そんなところかな」
幼女「いいなー」
幼女「私も元気になったら修行したいなー」
男「ははっ、さすがの向上心っす。幼女ちゃん」
幼女「……」
幼女「おにーちゃん」
男「うん? 何?」
幼女「おにーちゃん、山に修行しに行っていいよ」
幼女「その代わり、帰って来たら私に私の知らないような難しいことをいっぱい教えてね」
幼女「わたしもおにーちゃんがいない間、おにーちゃんに負けないくらい勉強するから」
男「ははっ、何か負けそうで怖いっす……」
224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:21:55.08 ID:pWj6qwr10
その日の夜……
スタスタ、ザッ
ニート「……!」
ニート「よう、来たかっていう」
ニート「準備はできているかっていう」
男「ああ、できてるぜ」
ニート「よし、それじゃあ、早速行くぜっていう」
ニート「男、目を瞑れっていう」
男「また目を瞑るのか……」
男「……」
ホワホワホワン、ホワホワホワン
……
225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:22:22.72 ID:pWj6qwr10
男「……」
男「……ん、んん」
ニート「男、目を開けろっていう」
男「……ここは……」
ニート「ここがこれからお前が暮らすこととなる山小屋だっていう」
ニート「ここはとても由緒正しい山小屋だっていう」
ニート「歴代の名だたるスーパーニート達がここで養成されて巣立っていったっていう」
男「かー、本当に山の中って感じだなー」
ニート「その通りだっていう」
ニート「ここは人里からは隔離された場所にあるっていう」
ニート「一番近い町でもここから5光年は離れているっていう」
男「『5コウネン』って何?」
ニート「お前にはちょっと内容が高度すぎたかっていう」
ニート「まあ、いずれ俺のボケにもついてこれるようになるっていう」
226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:23:04.10 ID:pWj6qwr10
ニート「では早速中に入るっていう」
テクテク、テクテク、バタン
男「……お邪魔しまーっすっと」
ニート「ここには今はお前と俺の他には誰もいないっていう」
ニート「余計な気は使う必要はないっていう」
ニート「男、そこに座れっていう」
ニート「早速レッスンを開始するっていう」
男「おお、何か小さな教室みたいな所だな」
男「黒板もあるし……」
227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:23:38.10 ID:pWj6qwr10
ニート「男、ほらよっていう」
ポイッ
男「んんっと……なにこれ?」
ニート「見ての通り本だっていう」
男「いや、一応その位は分かります……」
ニート「じゃあ、早速その本を読めっていう」
男「うーん、まあ、読めっていうなら読みますが……」
ニート「制限時間は30分だっていう」
男「おい、おかしいだろう!」
男「ほら見ろよ、この本……100頁もあるんだぜ」
男「こんな本30分で読めるわけねーだろ!」
男「普通に読んだら3日はかかるぜ……」
228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:24:21.19 ID:pWj6qwr10
ニート「何甘ったれたこと言っているんだっていう」
ニート「お前は半年後には東応大学に合格しようとしているんだぜっていう」
ニート「お前のライバルたちはもうずっと先を走っているんだっていう」
ニート「追いかけるお前がそれよりも遅いスピードで走って追いつけるわけがないっていう」
ニート「お前がそいつらに勝つためには」
ニート「フルマラソンを短距離の世界王者並みのスピードで走り抜けるくらいのことをしなければならないんだっていう」
男「……とはいってもよー」
ニート「言っとくがこれはまだ序の口だっていう」
ニート「その本も内容はライトノベルだから軽く頭に入ってくるはずだっていう」
ニート「最終的には難解な哲学書を30分で500頁くらい読みこなせるまでに」
ニート「俺はお前のことを鍛え上げるつもりだっていう」
男「……ははっ、気の遠くなるような話だな……」
229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:24:52.06 ID:pWj6qwr10
ニート「分かったらさっさと読めっていう」
男「でも……漢字があんまり分かんねー」
ニート「細かいことは気にするなっていう」
ニート「文脈をとらえることが重要なんだっていう」
ニート「流れを読むことができれば、分からない文字が混ざってようが関係ないっていう」
ニート「しかも漢字は表意文字だっていう」
ニート「お前、仮にも日本人ならば文字を目で見てその意味を直感で感じ取れっていう」
男「うーん、ごちゃごちゃ言われてもよく分からんが」
男「とにかく読めばいいんだろう?」
ニート「その通りだっていう」
230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:25:31.58 ID:pWj6qwr10
30分後……
ニート「30分経ったぜっていう」
ニート「そこまでだっていう」
男「ぶはーーーーっ」
男「ぎり読み終わったぜーーーー」
男「俺、こんなに真剣に本を読んだの生まれて初めてかもしんねー」
男「すげー疲れたわー」
ニート「男、素晴らしい集中力だったっていう」
ニート「俺は傍目で見ているだけだったが」
ニート「お前の集中力が醸し出すピリピリ空気が肌にビンビン伝わってきて心地よかったっていう」
男「うーん、そんなんだったのかー?」
男「よくわかんねー」
231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:26:18.49 ID:pWj6qwr10
ニート「今日はもうここで終わりにするっていう」
ニート「ゆっくり休めっていう」
男「えっ? もう終わりなわけ?」
男「なんかもっと死ぬほど勉強やるのかと思ってた」
ニート「何事も中身の濃さが大切だっていう」
ニート「人間には集中力の限界があるから休息を取ることも必要なことだっていう」
ニート「ちなみに俺は休息取らない派だからそこんとこよろしくっていう」
232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:26:53.76 ID:pWj6qwr10
男「うーん、何かちょっと拍子抜けしたような……」
男「本当に俺はこんな感じで大丈夫なわけ?」
ニート「大丈夫だっていう」
ニート「お前はまだ気づいていないかも知れないが」
ニート「お前の中ではもう既に変化が起き始めているっていう」
男「……?」
ニート「休息を取ることもお前の使命だっていう」
ニート「明日の朝は俺が起こしてやるからゆっくり眠れっていう」
男「……眠りについてから30分後に起こしたりするなよ」
ニート「安心しろっていう」
ニート「それじゃあなっていう」
テクテク、テクテク、バタン
男「ふあー、何か眠くなってきたし、あいつの言う通り眠るか……」
男「これからしばらく早朝の新聞配達がなくなるのはうれしーな……」
233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:28:47.87 ID:pWj6qwr10
翌朝……
男「……おーっす」
ニート「よお、起きて来たかっっていう」
ニート「今、起こしに行こうとしたところだったっていう」
男「久しぶりによく眠れたわ」
男「すこぶる快調」
男「何か俺かなり健康になって現実世界に戻れるかも」
ニート「そうしたら、さっさと飯を食えっていう」
ニート「1分1秒も無駄にはできないっていう」
男「ゆっくりしろって言ったり早くしろっていったりよくわかんねー野郎だな」
234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:29:25.00 ID:pWj6qwr10
20分後……
ニート「それじゃあ、今日のレッスンを始めるっていう」
ニート「先ずは世界史から行くっていう」
男「うん? 何かいきなりマイナーな感じだな」
ニート「別にマイナーではないっていう」
ニート「世界史は重要な科目の1つだっていう」
男「うーん。でも歴史は苦手なんだよな」
男「記憶力悪いし」
ニート「記憶力は関係ないっていう」
ニート「世界史は左脳ではなく右脳で覚えるんだっていう」
男「何言っているのか分からんのだが……」
235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:29:58.08 ID:pWj6qwr10
ニート「お前、昨日の勉強を思い出せっていう」
ニート「細かい部分が分かっていなくても全体の文脈が分かることが先ず重要なんだっていう」
ニート「イメージで全体を捉えてみろっていう」
男「イメージ?」
ニート「そうだっていう」
ニート「歴史は1つの物語の流れだっていう」
ニート「1つ1つの事象には必ずその理があるっていう」
ニート「その1つ1つの点を頭の中で結んで行き、1本の線にするんだっていう」
男「うーん、お前の言っていることは難し過ぎてよく分からんぞ」
ニート「まあいいっていう」
ニート「とにかく講義を始めるっていう」
ニート「一字一句聞き逃さないようにしっかり頭を働かせて聞けっていう」
男「うーっす」
236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:30:27.77 ID:pWj6qwr10
12時間後……
ニート「……と、ここまでが人類の歴史の大まかな流れだっていう」
男「……」
男「……おい、ニート」
ニート「どうかしたかっていう」
男「お前……教えるのうまいな」
男「すげー歴史のことが分かった感じだ……」
男「俺、今朝までは過去に何が起きていたかなんてほとんど知らなかったのに」
男「今は全然違う」
男「過去の延長線上に今があるっていうのが」
男「今は頭の中に明確にイメージできるようになってる」
237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:30:55.94 ID:pWj6qwr10
男「……でもよー」
男「すげー疲れたぜー」
ニート「お前は俺が期待した通りの成果をあげれたようだなっていう」
ニート「集中力の持続力も素晴らしかったぞっていう」
ニート「今日のレッスンはここまでにするっていう」
ニート「ゆっくり休めっていう」
男「……」
238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:31:27.81 ID:pWj6qwr10
男「……おい、ニート」
男「お前、何でそんなに俺に優しくするんだ?」
ニート「言っている意味が分からないっていう」
男「いや、お前、以前よりも明らかに俺に対して優しいじゃねーか」
ニート「別にそんなことないっていう」
ニート「俺のお前に対する態度は以前とまったく変わっていないっていう」
ニート「もし俺が優しくなったと感じているとするならば」
ニート「それはお前の心境の変化がもたらしているものだっていう」
男「……」
239: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:31:53.28 ID:pWj6qwr10
男「まあ、別にいいけどよ……」
ニート「それじゃあ、ゆっくり休めっていう」
テクテク、バタン
男(……)
男(……何か違和感を感じるのだが)
男(……考えてもよく分かんねー)
男(……)
男(……そういえば幼女ちゃんは元気になったかな?)
男(……高校生女は……)
男(……今頃何してっかな?)
240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:32:28.20 ID:pWj6qwr10
翌日……
ニート「それじゃあ、早速今日のレッスンを始めるっていう」
男「ちょっと待て」
男「外部と連絡を取りたいんだが」
男「ここはケータイの電波が入らねーのか?」
ニート「外部との連絡は取る必要性はないっていう」
ニート「お前はここにいる以上、外の世界と交信することは不可能だっていう」
男「……幼女ちゃんが元気になったのか知りたいんだ」
ニート「お前が今幼女ちゃんが元気になったかどうかを知る必要性はなっていう」
ニート「勉強のことだけに意識を集中させろっていう」
男「……てめー」
241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:33:03.60 ID:pWj6qwr10
男「そもそも俺は幼女ちゃんを助けるために勉強しているんだぜ」
男「幼女ちゃんの容態が気になるのは当然だろ」
ニート「無駄な心配はする必要性はないっていう」
ニート「俺が言うんだから大丈夫だっていう」
ニート「以前にも言ったが、神は信じる者を好むっていう」
ニート「お前は俺を信じていればいいんだっていう」
男「……」
男「へい、分かりやしたよ」
242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:33:33.67 ID:pWj6qwr10
ニート「それじゃあ、今日は英語のレッスンをするっていう」
男「英語かー」
男「文法が難しいんだよなー」
男「街で外国人に話しかけられた時にスラスラしゃべれるようになりてーなー」
ニート「余計な邪念は起こすなっていう」
ニート「英語も要は言語だっていう」
ニート「言語は習うより慣れろだっていう」
ニート「よって、英語のレッスンはすべて英語で行うっていう」
男「おい、ちょっと待て」
男「英語なんて俺はしゃべれねーぞ」
男「英語が分からないんじゃレッスンもくそもねーだろ」
243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:34:06.69 ID:pWj6qwr10
ニート「それはちょっと違うっていう」
ニート「しゃべれないからこそ」
ニート「しゃべれるようになるために英語でレッスンをするんだっていう」
男「いや、話が無茶苦茶なような……」
ニート「以前にも言ったが、お前のライバルたちはすでにはるか先を走っているんだっていう」
ニート「追いつくためには並大抵なことをやっていては無理だっていう」
ニート「相手の表情を見て何を言っているのかを読み取る位の気合が必要だっていう」
男「ライバルって言われてもピンとこねーが……」
男「まあ、仕方ねえ。やってやるよ」
ニート「『オーケー、スチューデント』」
ニート「『ナウ、レッツスタートレッスン』っていう」
男「……『っていう』だけは聞き取れたぜ」
244: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:34:53.41 ID:pWj6qwr10
現実世界……
ピロピロー、ピロピロー、ピッ
高校生女「はい、もしもし」
イケメン「あ、もしもし、高校生女?」
高校生女「うん。イケメン君?」
イケメン「うん、そう」
イケメン「急に電話してゴメンな」
高校生女「ううん、全然。気にしないで」
イケメン「ちょっとお願いしたいことがあるんだけど」
イケメン「いつでもいいからちょっと会えない?」
高校生女「……うん、いいよ。別に今からでも」
245: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:35:26.74 ID:pWj6qwr10
イケメン「ホント? 悪いな」
イケメン「じゃあ、今からそっちの方に行くよ」
イケメン「駅ってどこだったっけ?」
高校生女「私がイケメン君の家に行くよ」
イケメン「いや、それじゃ悪いだろ」
高校生女「気にしないでいいよ。久しぶりに妹さんたちにも会いたいし」
イケメン「……ああ、分かった。じゃあお言葉に甘えるわ」
246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:35:57.99 ID:pWj6qwr10
30分後……
ピンポーン、ガチャ
イケメン「おう、高校生女」
イケメン「わざわざわりーな」
高校生女「ううん、気にしないで」
イケメン「じゃあ、上がってくれよ」
高校生女「うん。おじゃましまーす」
……
247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:36:29.19 ID:pWj6qwr10
高校生女「こんにちはー」
上の妹「あ、おねーちゃん。お久しぶりです」
下の妹「あー、おにーの彼女さんだー」
イケメン「おい、前から違うって言ってるだろ? 下の妹」
イケメン「おねーちゃんに迷惑なんだからあんまりそういうこと言うな」
高校生女「こんにちは、下の妹ちゃん」
高校生女「私はイケメンおにーちゃんの彼女じゃないんだよ」
高校生女「おにーちゃんには私なんかよりもっと綺麗な彼女さんがいるんだからね」
下の妹「えー、本当?」
248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:36:56.45 ID:pWj6qwr10
イケメン「おい、高校生女、お前もあんまり適当なこと言うな」
イケメン「ほい、麦茶。よかったら飲んでくれ」
下の妹「おにー、私ものど乾いたー」
イケメン「お前は自分で冷蔵庫を開けて飲め」
高校生女「下の妹ちゃん、麦茶入れてあげようか?」
イケメン「高校生女、あんまり甘やかさないでくれ」
高校生女「まーたまにはいいんじゃん」
高校生女「ねー、下の妹ちゃん」
下の妹「うん、ありがとう。おねーちゃん」
……
249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:37:25.75 ID:pWj6qwr10
イケメン「で、話なんだけどさ」
高校生女「うん」
イケメン「男のことなんだ」
イケメン「あいつ、折角バイト先紹介してやったのに」
イケメン「この前、『長期休暇を下さい』って言ってそのままいなくなっちまった」
イケメン「ケータイで連絡しようとしてもつながらないし……」
高校生女「ごめんね。迷惑かけてる?」
イケメン「いや、全然そんなんじゃないよ」
イケメン「まー、あいつなりの事情もあるんだろうし……」
イケメン「それはそれで別にいいんだ……」
250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:37:57.45 ID:pWj6qwr10
イケメン「でも実は俺、男や高校生女にしばらく会えなくなるから」
イケメン「ちょっと最期に伝えておきたいことがあっただけの話しだ」
高校生女「……!」
イケメン「俺、もうすぐしたらロシアにいくんだ」
高校生女「……へえー」
下の妹「そう、ロシアに行くの!」
下の妹「わたし達も一緒にいくんだー」
高校生女「へえー、良かったねー。下の妹ちゃん」
下の妹「ロシアに行ったらね、かまくらをつくってその中で暮らすんだ」
高校生女「へえー。すごーい」
下の妹「あとねー、北極海のシロクマさんを見に行くの」
下の妹「ねー? おにい」
イケメン「あー、いい子にしてたら連れて行ってやるよ」
下の妹「やったー」
251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:38:45.03 ID:pWj6qwr10
イケメン「で、話しを戻すんだけど」
イケメン「男が戻ってきたらこれを渡して欲しいんだ」
高校生女「……うん、分かったよ」
下の妹「おにい、何それ? ラブレター?」
イケメン「んなわけねーだろ」
下の妹「えー、違うのー?」
下の妹「おにい、ロシアで婚活するんでしょ?」
イケメン「しねーよ」
イケメン「お前はそんな単語どこで覚えてくるんだ。まったく」
イケメン「それじゃあ、手間取りさせて悪いんだけど、それ、よろしく頼むわ」
高校生女「うん、男が戻ってきたら渡しておくねー」
……
252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:39:17.43 ID:pWj6qwr10
イケメン「今日はわざわざ来てもらって悪かったな」
イケメン「じゃあな、高校生女、元気でな」
上の妹「さようなら、おねーちゃん。お元気で」
下の妹「じゃあにー。おねーちゃん」
高校生女「うん、じゃあね。イケメン君、上の妹ちゃん、下の妹ちゃん」
高校生女「元気でねー」
高校生女「それと……」
イケメン「……?」
253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:39:50.65 ID:pWj6qwr10
高校生女(ヒソヒソ)「イケメン君」
高校生女(ヒソヒソ)「妹さんたちのためにも」
高校生女(ヒソヒソ)「あんまり無理しないでね」
下の妹「あー、ヒソヒソ話ー」
下の妹「あやしー」
イケメン「ああ、分かったよ。高校生女。色々とサンキューな」
高校生女「じゃあね」
イケメン「ああ、じゃあな」
254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:40:17.15 ID:pWj6qwr10
8月下旬……
カリカリ、カリカリ
ニート「時間だっていう」
ニート「そこまでだっていう」
男「よーし、できたあー」
ニート「それじゃあ、早速採点してやるっていう」
男「自分で言うのもなんだが」
男「結構手ごたえはあるぜー」
255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:40:47.39 ID:pWj6qwr10
ニート「うん、大体よくできているっていう」
ニート「これなら今の時点でも三流私立大学なら余裕で合格できるっていう」
男「うーん、喜んでいいのだろうか?」
ニート「お前は1ヶ月前までは小学生レベルの勉強しか分からない底辺DQNレベルだったっていう」
ニート「それがここまで来たのは大きな進歩だっていう」
男「まー確かに自分でも大分進歩した感じはするな」
男「国語・英語・世界史・日本史・地理・政治経済・倫理なんでも来いって感じだぜ」
256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:41:19.60 ID:pWj6qwr10
男「でもよー。実際のところ」
男「東応大学にはどれ位近づいているわけ?」
ニート「かなり近づいてきているっていう」
ニート「お前のライバルたちが今フルマラソンで30キロ地点を走っているとしたら」
ニート「お前は10キロ地点まで来ているっていう」
男「かー。まだ全然じゃねーか」
257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:41:55.10 ID:pWj6qwr10
男「でも、弱音は言ってられねー」
男「さあニート。次は国語か? 英語か?」
ニート「国語も英語もしばらくはやらないっていう」
男「じゃあ、世界史? それとも地理?」
ニート「世界史も地理ももうしばらくやらないっていう」
男「じゃあ、何やるの?」
ニート「これからは数学と物理・化学をみっちりやっていくっていう」
男「げっ、やっぱり東応大学となると数学もやらなきゃいけないのか」
男「ちなみにみっちりってどれくらいやるの?」
ニート「向こう2ヶ月間は数学と物理・化学オンリーだっていう」
258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:42:25.25 ID:pWj6qwr10
男「マジで?」
男「俺は文系なのにそんなに数学やらなきゃいけないわけ?」
ニート「男……」
ニート「お前は何か重大な勘違いをしているっていう」
ニート「お前が文系だって誰が決めたのかっていう」
男「えっ? だって流れ的にそうだろう?」
男「ここ1ヶ月もずっと文系の勉強してきたわけだし」
男「それに俺、理系の科目は本当に苦手だし……」
259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:42:56.56 ID:pWj6qwr10
ニート「ここ1ヶ月文系科目を勉強してきたのは受験科目にもなるからだっていう」
ニート「でもそれ以上に教養をつけるために文系科目をお前に教えて来たっていう」
ニート「お前が勉強してきた全部の科目が受験科目となるわけではないっていう」
男「えっ? マジで?」
男「じゃあ、俺は一体何のために頑張って勉強してきたんだ……」
ニート「教養をつけるためだっていう」
ニート「教養がないまま東応大学に入学したところで行き着く先は見えているっていう」
ニート「教養を十分に身につけてこそ、東応大学に入る意味があるっていう」
男「いや、そもそも入れるかどうかが問題なんですが……」
260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:43:31.20 ID:pWj6qwr10
ニート「とにかくお前は理系を受験するんだっていう」
ニート「受験する学部は東応大学理科Ⅲ類だっていう」
男「『理科Ⅲ類』って何?」
ニート「要は医学部だっていう」
男「医者かー」
男「で、理科Ⅲ類っていうのは東応大学の中では入るのは簡単な方なわけ?」
ニート「何寝ぼけたことを言っているんだっていう」
ニート「理科Ⅲ類は東応大学の中でも最難関だっていう」
男「はい?」
ニート「お前はその理科Ⅲ類に主席合格するんだっていう」
261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 09:44:06.93 ID:pWj6qwr10
男「おい、以前から何度も言っているが」
男「俺は底辺高校のそのまた底辺にいる人間だぞ」
男「そんな人間がピラミッドの頂点に立てるとでも?」
ニート「立てるか立てないかではないっていう」
ニート「お前は立つんだっていう」
ニート「ちなみに俺はそのピラミッドのはるか上空に浮かぶ雲のような存在だからそこんとこよろしくっていう」
男「また訳のわからんことを……」
男「でもどうせ俺が理科Ⅲ類を受けないって言ったら」
男「お前はどうせ幼女ちゃんが助からなくなるって言うんだろ?」
ニート「よく分かっているじゃないかっていう」
ニート「お前の推察通りだっていう」
ニート「選択の余地はないっていう」
男「くっ、まあやるっきゃねーってことか……」
262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:22:07.13 ID:pWj6qwr10
9月1日朝……
チュンチュン、チュンチュン
男「……」
男「ん、んん……」
男「……ここは」
男「俺んちか……」
バサッ、スタッ
男(……確か昨日も普通に小屋の中で寝たんだったよな……)
男(……9月1日だし、ニートの野郎が現実世界に戻してくれたってことか……)
……
263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:22:43.92 ID:pWj6qwr10
男「いってきまーす」
ガチャ、スタッ
高校生女「おっす、男」
高校生女「元気にしていたかい?」
男「……ああ、思ったより元気だったな」
……
264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:23:10.62 ID:pWj6qwr10
高校生女「へー。じゃあニートと2人っきりで夏休みの間勉強してたんだー」
男「うん、そう」
高校生女「勉強ははかどった?」
男「ああ、まあな」
男「あの野郎、あんな性格しているけど」
男「なんだかんだ言って教えるのはうまかったわ」
男「あんまりあいつのことは褒めたくないけど」
男「あいつのおかけでかなり進歩できた感じがする」
高校生女「ふーん」
265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:23:37.09 ID:pWj6qwr10
男「お前はどうだった? 夏休みは?」
高校生女「うーん。大体毎日アルバイトと勉強していたかな……」
高校生女「そうだ……」
高校生女「はい、これ」
男「なに? これ」
高校生女「ラブレター」
男「え゛っ?」
男「ちょ、ちょっと待てよ」
266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:24:09.20 ID:pWj6qwr10
高校生女「あはっ」
高校生女「ゴメン、ウソついた」
高校生女「イケメン君からの手紙だよ」
高校生女「男に渡して欲しいって預かったの」
高校生女「イケメン君、ロシアに行くんだって」
男「ロシア!?」
男「一体なにをしにロシアに?」
男「スパイでもやる気か!?」
高校生女「あはっ」
267: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:24:37.21 ID:pWj6qwr10
高校生女「イケメン君」
高校生女「男に会えなくて淋しそうだったよ」
男「へえー……あいつがねー……」
男「手紙をもらうなんて俺生まれて初めてだよ」
ビリビリ
高校生女「……」
手紙の内容
『おい、男、お前どこに行ってるんだ? 高校生女から聞いたかもしれないけど
俺、ロシアにいくからもうお前とはしばらく会えなくなるな。1つだけ伝えておくが
新聞配達のアルバイト先のおやっさんにはよろしく言っといたからいつでも復帰できる
と思うぜ。じゃあな。
P.S. 高校生女とはあまりケンカしないで仲良くやれよ。今度2人でロシアに遊びに来な。
イケメン ~ロシアより愛をこめて~』
268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:25:04.95 ID:pWj6qwr10
男「『ロシアより愛をこめて』だって」
男「きもちわりっ」
高校生女「あはっ」
高校生女「それ多分映画のタイトルだよ」
男「えっ? そうなの?」
男「何の映画?」
高校生女「007」
男「007って……あいつ、やっぱりそうなのかっ!」
高校生女「あはっ」
269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:25:43.77 ID:pWj6qwr10
高校生女「他にはなんか書いてあった?」
男「……」
男「今度ロシアに遊びに来ればだってさ……お前と2人で」
高校生女「……ふーん」
男「……ロシア……一緒に行くか?」
高校生女「……」
男「もし俺が東応大学に合格して幼女ちゃんの命が助かったらだけど」
高校生女「あはっ」
高校生女「うん、いいよ」
高校生女「あんがとねー」
270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:26:15.33 ID:pWj6qwr10
その日の夕方……
テクテク、テクテク
男「こんちわー」
高校生女「こんにちはー」
幼女「あっ、おにーちゃん」
幼女「すごい久しぶりー」
男「おう、久しぶりだな。幼女ちゃん」
男「元気そうで安心したよ」
男「おっ? 幼女ちゃん、何だか難しそうな本を読んでいるな……」
幼女「そんなに難しくないよ」
幼女「プラトンの『国家』……おにーちゃんも読んだことくらいあるでしょ?」
男「ははっ……おにーちゃんは国家のことはあまり考えない主義なんだ……」
271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:26:47.01 ID:pWj6qwr10
幼女「ところでおにーちゃん」
幼女「修行はどうだった?」
男「うん、厳しかったけど幼女ちゃんのことを思い出しながら頑張ったよ」
男「難しいこともいっぱい覚えたし」
男「幼女ちゃんにこれからいっぱい教えてあげるよ」
幼女「ほんとっ!」
幼女「じゃあ、数学のことも分かる?」
男「ああ。もちろん。何でも聞いてみなさい」
幼女「じゃあ、複素関数と特異点の関係について詳しく教えて!」
男「……ははっ、幼女ちゃん……」
男「おにーちゃんちょっと何かを勘違いしていたみたいだ……」
幼女「えーっ」
272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:27:19.51 ID:pWj6qwr10
幼女「おにーちゃん、一体何勉強してきたのー?」
男「いや、幼女ちゃん、君が凄すぎるんだよ……」
男「もうおにーちゃんはいらないね……」
幼女「だめー」
幼女「おにーちゃんがいないとやだー」
幼女「おにーちゃん、これからも会いに来てー」
幼女「今度私がおにーちゃんに勉強教えてあげるから」
男「うーん」
男「何だかちょっと複雑な気分だけど……」
男「そこまで言ってくれるならお言葉に甘えるっす……」
273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:27:54.05 ID:pWj6qwr10
帰り道……
テクテク、テクテク
男「そういえば幼女ちゃんは俺がいない間元気だったの?」
高校生女「うん、時々体調が悪くなることはあったけど」
高校生女「元気だったよ」
高校生女「担当医の人も病気の進行は思ったよりも遅いって言ってた」
男「そうかー」
男「でも遅いとは言え病気は進行しているのか……」
男「……」
男「何とか頑張って東応大学に合格しなければ……」
高校生女「……うん、そだねー」
274: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:28:21.38 ID:pWj6qwr10
その日の夜……
ガチャッ、テクテク
男「ただいまー」
…(ペチャクチャ、ペチャクチャ)
男「……?」
テクテク、ガラッ
男「ただいま……って……お前」
ニート「よう、男、ようやく帰って来たかっていう」
ニート「始業日初日からどこほっつき回っていたんだっていう」
男の母親「そうよ、あんた。こんな時間まで一体どこにいたのよ」
275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:28:52.43 ID:pWj6qwr10
男「……ってか、かーちゃん……」
男「こいつ……」
男の母親「ああ、ニートさんのこと?」
男の母親「あんた、何で母さんに隠していたのよ」
男の母親「こんな素晴らしい方に勉強を教えてもらっているなんて」
男「こんな素晴らしい方って……」
男「かーちゃん、こいつがどんなやつなのか知っているのかよ」
男の母親「ええ、当然でしょ!」
男の母親「今、テレビでも引っ張りだこの方じゃない」
男の母親「敏腕起業家にして大富豪」
男の母親「それなのに慈善活動にも多大な私財を投じていて」
男の母親「その一環として頭の悪い高校生に自ら勉強を教えられている方じゃない」
男「……え゛っ、なにそれ……」
276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:29:18.88 ID:pWj6qwr10
ニート「お母さん、自分の息子のことをバカ呼ばわりするものじゃないっていう」
男の母親「あら、つい……オホホホホ」
ニート「それに男はここ暫くずっと勉強に集中していたからテレビも見ていなかったっていう」
ニート「俺の凄さを知らなくても仕方がないっていう」
男の母親「あらー」
男の母親「お忙しいのに本当にすみません」
男の母親「うちの息子がバカ過ぎて迷惑をかけてなければいいのですが」
男「おい、かーちゃん……」
277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:29:47.64 ID:pWj6qwr10
ニート「お母さん、教える相手がバカであればあるほど俺も燃えるっていう」
ニート「そういう意味で男君と出会えたのは俺にとって1つの幸運だったっていう」
ニート「これほど教え甲斐のある高校生はそうはいないっていう」
男の母親「あら、本当に何て素晴らしい方なんでしょう!」
男の母親「男、ニートさんにしっかり感謝するのよ!」
男「……」
278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:30:19.67 ID:pWj6qwr10
男の部屋……
ニート「なるほど、ここがお前の部屋かっていう」
ニート「俺はこれからおまえの家でお世話になるからそこんとこよろしくっていう」
男「わりーけど、お前が寝るとこなんてないぜ」
男「見ての通り狭い部屋だし」
ニート「心配無用だっていう」
ニート「知っての通り俺は睡眠取らない派だから問題ないっていう」
ニート「それに基本押入れの中で暮らすからお前の邪魔にもならないっていう」
ニート「ちなみに俺はポケットの中から道具を出す趣味はないからそこんとこよろしくっていう」
279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:30:50.18 ID:pWj6qwr10
男「……お前」
男「……まあ、お前がいいんなら別にいいけどよ」
男「それと」
男「俺は基本的に毎日学校終わったら幼女ちゃんに会いに行くけど別にいいだろう?」
ニート「別に問題ないっていう」
ニート「幼女は天才児だから、存分に勉強を教わってくればいいっていう」
男「何でお前が知ってるんだよ」
ニート「俺はすべてお見通しだっていう」
ニート「幼女はもう既に東応大学を主席合格する位の学力は身につけているっていう」
男「……マジでか」
280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:31:25.24 ID:pWj6qwr10
男「じゃあ、幼女ちゃんが東応大学に合格したら幼女ちゃんの命が助かるっていう条件にしてくれよ」
ニート「既に答えは分かっていると思うが無理だっていう」
ニート「お前が合格しなければ幼女は助からないっていう」
男「……へいへい、分かりやした」
281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:31:58.98 ID:pWj6qwr10
男「ところで、お前は引き続き俺に勉強教えてくれるわけ?」
ニート「当然だっていう」
男「早朝でもいいか? 新聞配達はしばらくやらないことにしたし」
ニート「別にお前の好きにすればいいっていう」
ニート「早朝だろうと深夜だろうと問題ないっていう」
ニート「それじゃあ、俺はそろそろ押入れの中に入るからさらばだっていう」
ニート「また明日の朝会おうぜっていう」
男「……」
男「……ああ、じゃあな」
282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:32:22.92 ID:pWj6qwr10
1か月後……
ザワザワ、ザワザワ
男「おーっす」
友人男「おっ、来たぞ」
友人男B「よー、男」
男「……なんだよ、こっちのことジロジロ見て」
友人男「おい、お前廊下に貼ってあったやつ見なかったのか?」
男「なんのこと?」
友人男B「この前やった学力試験の結果だよ」
男「ああ、学力試験か……」
283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:32:50.02 ID:pWj6qwr10
男「あんまりみたことねーな」
男「どうせいつも定位置だったし」
友人男「……」
友人男B「……」
友人男「おい、男、その結果なんだがすごいことになってるんだぞ」
男「何? トップでも入れ替わったの?」
男「イケメンがいなくなったし」
友人男「ああ、お前の言う通りトップが入れ替わってるよ」
284: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:33:26.50 ID:pWj6qwr10
男「へー。あんまし興味ないけど、誰?」
友人男「……トップは全教科満点だ」
男「マジで! エグイなー」
男「で、誰?」
友人男「学年トップは……」
友人男「お前だよ、男」
男「……ウソだろ」
285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:33:54.03 ID:pWj6qwr10
友人男B「ああ、俺たちも最初はそう思ったよ」
友人男B「で、廊下を通りかかった担任にも確認したんだけどよ」
友人男B「間違いなくお前がトップだそうだ」
男「……ははっ、そうか」
友人男「おい、男、何が一体どうなってんだよ」
男「……さーなー」
男「まあ、問題はいつもよりも簡単に感じたけど」
男「なあ?」
286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:34:20.09 ID:pWj6qwr10
友人男B「……いや、今回の問題はかなり難しかったぞ」
友人男B「実際、平均点は30点も下がっている」
友人男「男、お前、一体何をしでかしたんだ」
男「何だよ、その犯罪者を見るような目は」
友人男「いま、巷ではお前の話題でもちっきりなんだ」
友人男B「……」
友人男「お前の変わり身を根拠づける論拠として今、3つの説が挙がっている」
男「……なんだよ……それ」
男「別に理由なんかねーし」
287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:34:53.54 ID:pWj6qwr10
友人男B「いいか、男、よく聞け」
友人男B「俺らだってお前が何か道を踏み外したことをしたとは思いたくない」
友人男B「だが、お前は周囲の人間がお前のことをどう考えているのかを正しく認識する必要がある」
友人男「友人男Bの言うとおりだ」
友人男「男、よく聞けよ。先ず1つめの説は『イケメン殺人説』だ」
男「……いきなりヘビーだな」
288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:35:24.45 ID:pWj6qwr10
友人男「お前がイケメンを殺した……理由はよく分からない」
友人男「恐らく男女関係のもつれか金銭関係の問題……」
男「おい、勉強は関係ねーじゃねーか」
友人男「とにかくお前はイケメンを殺した」
友人男「そしてお前の頭脳は飛躍的に向上した」
友人男「これが1つめの『イケメン殺人説』だ」
男「へいへい」
289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:35:51.45 ID:pWj6qwr10
友人男「そして、2つの説が『イケメン乗り替わり説』だ」
男「……」
友人男「お前の頭脳が飛躍的に向上した要因……」
友人男「それはお前がイケメンに乗り移った点にある」
男「……」
友人男「お前は先ずイケメンを殺し……」
友人男「そしてイケメンの身体を乗っ取った」
男「結局殺すんかい」
男「ってか、乗っ取るってなんだ」
男「俺はエイリアンか!」
290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:36:17.59 ID:pWj6qwr10
友人男「エイリアンなんて生易しいものではない」
友人男「お前は寄生虫……いや寄生獣か……」
友人男「そして、お前はイケメンの首から上をふっとばし」
友人男「イケメンの身体を乗っ取ったんだ」
男「おい、もしそれをやるんだったら脳みそごと乗っ取らなけりゃ意味ねーじゃねーか」
友人男「とにかくお前はイケメンの身体を乗っ取った」
友人男「そしてお前の頭脳は飛躍的に向上した」
友人男「これが2つめの『イケメン乗り替わり説』だ」
男「へいへい」
291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:36:47.17 ID:pWj6qwr10
友人男「そして、最後の3つの説が『萌えパラ購読中止説』だ」
男「……また随分と話があっちこっち」
友人男「お前、ここの所、あれ程好んでやまなかった『萌えパラ』をまったく読んでないじゃないか」
男「金がねーからな」
友人男「本当に理由はそれだけか?」
292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:37:14.10 ID:pWj6qwr10
友人男「実は『萌えパラ』には分かる人には分かる超勉強法が暗号化されて記述されていた」
友人男「そしてお前はもうその超勉強法を体得した」
友人男「だから『萌えパラ』はもう必要なくなった」
友人男「違うか?」
友人男「ついでに言っとくと『萌えパラ』の出版社にはある裏大手進学塾が出資しているっていうもっぱらの噂だ」
友人男「つまり、お前はあたかも萌えワールドに浸っているふりをしながら」
友人男「実はその裏でちゃっかりライバルに差をつけていたわけだ」
友人男「どうだ? 図星だろう?」
293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:37:40.33 ID:pWj6qwr10
男「へいへい」
男「お前らの想像力には敬服しますわ」
友人男B「おい、そろそろゲロっちまえよ」
男「何を?」
友人男B「今の3つの説のうち、どれが真実なのかを」
男「別にお前らの好きにしていいよ」
男「そもそも、こんな就職率95%の学校でトップ取ったって言ったってたかが知れてるし」
294: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:38:17.83 ID:pWj6qwr10
ガラガラ、スタスタ
教師「よーし、お前ら席につけー」
教師「ホームルームを始めるぞ」
教師「先ずはこの前の学力テストの答案を返す」
教師「出席番号順に前に出てこい」
295: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:38:46.18 ID:pWj6qwr10
スタスタ、スタスタ……
教師「よーし、次ー」
教師「ん? 男か」
ザワザワ、ザワザワ
教師「お前ら、静かにしろ」
教師「よし、男、学力テストの答案だ」
男「……」
教師「それから、男、昼休みにちょっと職員室に来い」
ザワザワ、ザワザワ
友人男「おい、男、お縄になりたくなければ何とかごまかせよ!」
教師「お前らー、静かにしろー」
教師「分かったな? 男」
男「……はい。分かりました」
296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:39:15.86 ID:pWj6qwr10
昼休み……
ガラガラ
男「失礼しやーっす」
教師たち(チラチラ)「……」
教師「おう、男、来たか」
教師「まあ、ここに座れ」
男「……はい」
教師「今回の学力テスト……すごい点数だったな」
男「……はい」
教師「何かあったのか?」
男「……いえ、別に何もないっす」
教師「そうか」
297: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:39:49.43 ID:pWj6qwr10
教師「実はな、他の先生たちは今回のお前の点数に関してかなり懐疑的だった」
教師「だが、俺は今回のお前の点数に関して驚かなかった」
教師「お前はイケメンと同等か、あるいはそれ以上の才能を持っていると感じていたからだ」
男「……」
教師「だが、そうした才能も、輝きを放つためにはきっかけが必要だ」
教師「きっとお前にも何かきっかけがあったんだろう」
男「……」
298: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:40:22.11 ID:pWj6qwr10
教師「大学は受けるつもりなのか?」
男「……はい」
教師「どこの大学だ?」
男「……東応大学です」
教師「東応大学か」
教師「正直、うちの高校から東応大学合格者が出たらマスコミネタになる位のことだ」
教師「でも、お前ならできるかも知れない」
教師「それに、何か目指したいものもあるんだろう」
教師「まあ、頑張れ」
男「……はい」
299: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:40:52.42 ID:pWj6qwr10
12月下旬……
カリカリ、カリカリ……
ニート「……」
男(カリカリ、カリカリ)「……」
ニート「……」
男「……おい、ニート」
男「見てるだけじゃなくて何かレクチャーしてくんねーのかよ」
ニート「時に口を出さず見守るのも俺の仕事だっていう」
ニート「ちなみにサボっている訳じゃないから、そこんとこよろしくっていう」
男「へいへい」
300: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:41:19.05 ID:pWj6qwr10
男(カリカリ、カリカリ)「……」
男「ところでよー、ニート」
ニート「なんだっていう」
男「最近聞いてなかったけど」
男「俺はライバルたちと比較して今どの辺まで来ているわけ?」
ニート「何の話しだっていう」
男「お前、前よく言ってたじゃねーかよ」
男「フルマラソンの例えで」
男「ライバルたちがうん十キロ地点を走っているとしたら俺はうん十キロ地点っていうやつ」
301: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:41:50.34 ID:pWj6qwr10
ニート「そんなことは自分で考えろっていう」
男「えっ? そんなこと言われたって見当もつかねーし」
男「模試だって受けたことねーんだから自分のポジションなんてわかんねーよ」
ニート「自分がどの位のポジションまで来ているのかっていうのは自分の感覚で測ればいいんだっていう」
ニート「お前はもうライバルがどうのこうのっていうレベルの男じゃないっていう」
ニート「自分の力量は自分で正確に測る」
ニート「それくらいのことが当たり前にできないといけないレベルまで来ているっていう」
ニート「ちなみにお前はまだまだ俺のライバルにはなりえないレベルだからそこんとこよろしくっていう」
男「あー、分かりましたよって」
302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:42:31.76 ID:pWj6qwr10
ニート「……」
男(カリカリ、カリカリ)「……」
ニート「ところでお前、今日は幼女の所へ行かないのかっていう」
男(カリカリ、カリカリ)「ああ、今日は休日だしな後で行くよ」
男(カリカリ、カリカリ)「昨日も幼女先生には物理をみっちり教えてもらったしなー」
男(カリカリ、カリカリ)「……」
303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:43:04.11 ID:pWj6qwr10
ニート「男、今日は何日か知っているかっていう」
男(カリカリ、カリカリ)「……んー? さーなー」
男(カリカリ、カリカリ)「最近は曜日や日にちの感覚があんまりねーんだよな」
男(カリカリ、カリカリ)「毎日、同じような生活をしているし……」
ニート「男、今日は12月24日だっていう」
ニート「日本人が大好きなお祭りの日だっていう」
ニート「ちなみに外は雪が降っているっていう」
男「マジで!」
304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:43:36.39 ID:pWj6qwr10
ガラッ
男「本当だ」
男「お前何でわかったんだよ」
ニート「俺はすべてを見通せるっていう」
ニート「外の様子を透視することくらい朝飯前だっていう」
男「……その能力……男としてうらやましいっす」
……
305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:44:16.21 ID:pWj6qwr10
ピロピロピロピロ、ピロピロピロピロ
ニート「男、ケータイが鳴っているっていう」
男「ああ……高校生女か」
ピッ
男「もしもし」
高校生女「もしもし、今、暇?」
男「暇なわけねーだろ」
高校生女「ちょっと買い物に行きたいんだけど時間ある?」
男「買い物?」
男「買い物なんて1人で行けばいいだろ」
高校生女「ちょっと付き合ってよ」
男「んー」
306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:44:46.68 ID:pWj6qwr10
ニート「男、行ってこいっていう」
ニート「高校生女はお前が勉強で忙しいのを承知の上で電話をかけてきているんだっていう」
ニート「誘ったのはそれなりの理由があってのことだっていう」
男「……」
男「……んー、分かったよ。行くよ」
高校生女「あんがと」
男「で、どうすればいい?」
高校生女「じゃあ、今からいくから待ってて」
男「へい」
ピッ
307: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:45:18.75 ID:pWj6qwr10
ニート「たまには息抜きをするのもいいっていう」
ニート「外の空気でも吸って来いっていう」
男「別に勉強無理してやっているわけでもねーが」
男「まあ、ちょっと行ってくるよ」
……
308: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:46:06.85 ID:pWj6qwr10
高校生女「やっほー」
男「おう、高校生女」
高校生女「じゃあ、行こうか」
男「へい」
テクテク、テクテク
男「で、何を買いに行くわけ?」
高校生女「クリスマスツリー」
男「おまえんちクリスマスツリーあったんじゃなかったっけ?」
高校生女「うん、あるよ」
男「ちなみにうちはいらねーからな」
高校生女「あはっ」
309: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:46:31.49 ID:pWj6qwr10
高校生女「幼女ちゃんのクリスマスツリー」
高校生女「病室に飾れるようなやつが欲しいんだ」
男「幼女ちゃんのか……」
男「いや、『幼女先生』のか……」
高校生女「あはっ」
310: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:47:00.42 ID:pWj6qwr10
3時間後……
テクテク、テクテク
高校生女「やっほー、幼女ちゃん」
幼女「あ、おねーちゃん」
幼女「こんにちは」
男「こんちは、幼女先生」
幼女「あー、おにーちゃん」
幼女「それなにー?」
男「ほら、じゃーん」
幼女「あっ、クリスマスツリーだ!」
幼女「ありがとー。おにーちゃん、おねーちゃん」
311: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:47:30.49 ID:pWj6qwr10
男「よし、幼女先生、この棚の上に飾っておきますからな」
高校生女「幼女ちゃん、下に付いているスイッチを押してごらん」
幼女「うん」
プチッ
幼女「あー、キラキラ光るー」
幼女「きれー」
幼女「ありがとー」
男「ははっ、喜んでもらえてよかったよ」
312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:48:00.04 ID:pWj6qwr10
高校生女「幼女ちゃん、おにーちゃんこのツリー選ぶのに何時間もかかちゃってたいへんだったんだよ」
幼女「えー、そうなのー」
幼女「おねーちゃんに迷惑かけじゃだめでしょー」
男「ははっ、すいません。先生」
幼女「じゃあ、おにーちゃん、早速勉強始める?」
男「はい、じゃあ、よろしくお願いしまっす」
男「宿題もやってきたっす」
幼女「うん、じゃあ先ず宿題のチェックから始めるね」
313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:48:41.42 ID:pWj6qwr10
帰り道……
男「幼女ちゃん、喜んでくれて良かったなー」
高校生女「うん、そだねー」
高校生女「今日は付き合ってくれてあんがとね」
男「別にいいよ」
男「気分転換にもなったし」
男「しかし、雪が本降りになってきた感じだなー」
男「明日はかなり積もってそう」
高校生女「……」
男「足元に気をつけろよ」
高校生女「うん、大丈夫だよー」
314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:49:16.34 ID:pWj6qwr10
高校生女「そうだ……」
ゴソゴソ
高校生女「はい、これ」
男「何、これ?」
高校生女「お守り。プレゼント」
男「お守り……『学業成就』か」
高校生女「うん……それと」
高校生女(チュッ)
男「お、お前……」
高校生女「あはっ、じゃあ勉強がんばってねー」
スタスタ
男「……」
男(……心臓がバクバクしちまってるじゃねーか)
315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:50:06.78 ID:pWj6qwr10
センター試験当日……
男「いよいよセンター試験か」
男「何か注意すべきこととかってあるわけ?」
ニート「特にないっていう」
男「……あっ、そう」
ニート「センター試験なんていうのは遊びみたいなもんだっていう」
ニート「適当に受けてくればいいっていう」
男「適当にって言っても、幼女ちゃんの命がかかっているわけだし」
男「まあ、一応頑張ってくるぜ」
男「じゃあ、行ってくるぜ、ニート」
ニート「ああ、グッドラックだっていう」
316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:50:34.98 ID:pWj6qwr10
試験中……
男(カリカリ、カリカリ)「……」
男(カリカリ、カリカリ)「……」
男(……よし、大体大丈夫そうだな)
317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:51:03.38 ID:pWj6qwr10
試験後……
テクテク、テクテク
男「おーっす」
幼女「あ、おにーちゃん」
高校生女「あはっ、来たんだ」
男「まあ、明日も試験だけどここに来るのはいつもの日課みたいなもんだしな」
幼女「おにーちゃん、試験はどうだったの?」
男「あ、ああ、まあ大体できたと思うよ」
318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:51:36.04 ID:pWj6qwr10
幼女「おにーちゃん、問題見せて」
男「ああ、いいよ。はい」
幼女「……」
幼女「……うん」
幼女「おにーちゃん、多分満点だと思うよ」
男「ほんと? そりゃ良かったわ」
幼女「……」
319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:52:04.23 ID:pWj6qwr10
幼女「ところでおにーちゃんは何で東応大学に行きたいの?」
男「えっ? 何で今更そんなことを」
幼女「なんとなく」
男「……なんていうか……その……」
高校生女「お医者さんになって幼女ちゃんを助けるためなんじゃないの?」
高校生女「ねっ?」
男「あ、ああ、そうだよ、幼女ちゃん」
男「こんな俺でも少しは役に立てるかなって思ってね」
幼女「……ふーん」
幼女「でも、おにーちゃん、今のままだとまだまだ私の病気を治すことはできないよ」
幼女「もっと勉強しないとねー」
男「ははっ、幼女先生、なかなか手厳しいっすな」
320: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:52:52.62 ID:pWj6qwr10
翌日の試験……
男(カリカリ、カリカリ)「……」
男(カリカリ、カリカリ)「……」
男(……よし、大丈夫だな)
321: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:53:21.46 ID:pWj6qwr10
その日の夕食……
男の母親「で、試験はどうだったの?」
男の母親「ちゃんとできたの?」
男「あー、まーね」
男の母親「……そう、なら良かった」
ニート「お母さん、心配は無用だっていう」
ニート「男の頭脳は既に並みのライバルをはるかに凌駕しているっていう」
ニート「月でも落っこちてこない限り何も問題は起きないっていう」
男の母親「オホホホホ、ニート先生がついていらっしゃいますものね」
男の母親「私としたことがつい」
322: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:53:49.71 ID:pWj6qwr10
男の母親「もう、このバカ息子は就職先があるかどうかを心配していたくらいですので」
男の母親「大学を受けてくれるだけでも本当に御の字なんです」
男「そうだぜー、かーちゃん」
男「俺が大学受けるだけも十分満足だろ」
男「だからあんまり点数とか気にすんなよ」
男の母親「でも、やっぱり気になるの」
男「暇だから気になるんだよ」
男「かーちゃん、パートとかしてみたら?」
323: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:54:18.45 ID:pWj6qwr10
ニート「男、親っていうものはそういうものだっていう」
ニート「子供のことはどんなに細かいことでも気になるものだっていう」
男の母親「そうですよねー、ニート先生」
男「てめーはまた余計なことを」
男の母親「こら、ニート先生に向かってなんですか、その口のきき方は」
男「……へい、すいやせんでした」
324: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:54:55.97 ID:pWj6qwr10
男の部屋……
男「はー、とりあえずセンター試験も終わったし一安心したわ」
ニート「男、本番の試験は1か月後だっていう」
ニート「安心している暇はないっていう」
男「はいよー。当然分かってますって」
男「でも、やることはかわんねーんだろ?」
ニート「その通りだっていう」
ニート「受験が近づいて来たからと言って何かを変える必要性はないっていう」
ニート「そもそも受験は通過点に過ぎないっていう」
ニート「受験の先にあるものにベクトルを合わせて、そこに向かっていくための勉強をするんだっていう」
男「お前の抽象的なものの言いようも今はだいぶイメージがつくようになってきたぜ」
男「まあ、ぼちぼちやっていきますか……」
325: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:55:28.34 ID:pWj6qwr10
1か月後……
ザワザワ、ザワザワ
友人男「男、入試いよいよ明日だったっけ?」
男「ああ、そうだよ」
友人男「どうなんだよ、手ごたえは?」
男「別に。よくわかんねーよ」
友人男「そうか……」
326: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:56:06.95 ID:pWj6qwr10
友人男「まあ、万が一合格した時はマスコミの手配は俺がすべてやってやるから安心しな」
男「マスコミの手配ってなんだよ」
友人男「記者会見開くに決まってるだろ」
友人男「俺も、友人代表としてインタビューを受けてやるからさ」
男「プロ野球の入団会見じゃあるめーし」
男「お前、自分がテレビに映りたいだけだろう」
友人男「ちっ、ばれたか」
男「さ、かえろーぜ」
友人男「おう」
327: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:56:39.11 ID:pWj6qwr10
テクテク、テクテク
友人男「……!」
友人男「よう、高校生女」
高校生女「こんにちは、友人男君」
友人男「……男、俺、急用を思い出したから悪いけど先に帰るぜ」
友人男「じゃあな! 入試頑張れよ」
友人男「テレビに出れるの楽しみにしてるぜ」
男「おいって」
男「……」
高校生女「かえろっ」
男「……へい」
……
328: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:57:08.64 ID:pWj6qwr10
テクテク、テクテク
高校生女「明日、入試だね」
男「そうだな」
男「他でもない幼女ちゃんのためだから精一杯頑張るよ」
高校生女「……それにしても男が東応大学を受けるとはね」
高校生女「全然想像もできなかったなー」
男「いや、実際の所おれが一番驚いているから」
高校生女「あはっ」
329: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:57:38.95 ID:pWj6qwr10
男「……」
高校生女「……」
男「……でもよ、もし俺が本当に東応大学に合格したらさ」
男「どうなの?」
高校生女「なにがー?」
男「いや、お前はどう感じるわけ?」
高校生女「べつにー。でも、まあうれしいよ」
男「うーん、まあそんなもんか」
330: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:58:23.93 ID:pWj6qwr10
高校生女「なに? もっと敬って欲しかったの?」
男「いや、別にいまのままでいいよ」
男「それにニートや幼女ちゃんみたいな奴らもいるわけだし」
男「俺ももっとがんばらなきゃってな」
高校生女「……」
男「……まあ、もし遠い先の未来、幼女ちゃんの病気を簡単に治す治療法を見つけることができたら」
男「その時はちょっと敬って欲しいかな」
高校生女「あはっ」
高校生女「うん、わかったよー」
331: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:58:49.25 ID:pWj6qwr10
入試当日……
テクテク、テクテク
男(……ここが東応大学かー)
男(……写真では見たことあるけど、やっぱり古いお屋敷みたいな感じだな)
男(……俺の周りにいる奴ら、みんな受験生かー)
332: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:59:15.15 ID:pWj6qwr10
試験開始10分前……
試験官A「ただいまより試験の注意事項をお伝えします……」
試験官B「……!」
試験官B「君、ちゃんと座りなさい」
ニート「別にいいじゃないかっていう」
ニート「座り方の指示なんてどこにも書いていなかったっていう」
ニート「俺は普通の座り方をしたら思考力が半減してしまうんだっていう」
男(……!)
男(……あれは……ニートの野郎じゃねーか)
333: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 10:59:42.32 ID:pWj6qwr10
試験官B「君、失格にしますよ」
ニート「ふー、仕方がないなっていう」
ニート「冗談の通じない奴だなっていう」
ニート「ちょっと漫画の真似をしてみただけだっていう」
ニート「しょうがないから普通の座り方をしてやるっていう」
受験生たち(イライラ)「……」
男(……ニートの野郎)
男(……あいつもまさか受験すんのか?)
334: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:00:09.85 ID:pWj6qwr10
試験開始5分後……
ニート「なんだ、東応大学入試っていうからにはちょっとは期待していたのに」
ニート「簡単すぎる問題ばかりじゃないかっていう」
試験官B「君、独り言はやめなさい」
試験官B「次やったら退席処分にしますよ」
ニート「もう問題はすべて解き終わったからこの部屋から出たいっていう」
試験官B「まだ途中退席はできません」
335: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:00:41.87 ID:pWj6qwr10
ニート「なんだ、こんな易しい問題を出しておきながらまだ途中退席をさせてくれないとは」
ニート「東応大学総長もデリカシーのない奴だなっていう」
試験官B「……」
受験生たち(イライラ、イライラ)「……」
男(……あの野郎)
男(……なんか空気がどんどん悪くなっていっているような気がする)
336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:01:21.90 ID:pWj6qwr10
試験開始30分後……
試験官A「試験開始30分が経ちました」
試験官A「只今より途中退席が可能となります」
試験官A「途中退席を希望される方は手を挙げて試験官の確認を受けてから退席してください」
ニート(サッ)
試験官B「……いいでしょう。どうぞ退席ください」
ニート「ふー、やれやれやっとこの部屋から出られるのかっていう」
ニート「こんな問題を解くのに30分以上も掛かるなんてとんだバカどもがこの会場には集まっているなっていう」
ニート「東応大学のレベルも所詮この程度かっていう」
受験生たち(イライラ、イライラ、イライラ)(……あの記念受験野郎が……)
男(カリカリ、カリカリ)「……」
337: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:01:49.65 ID:pWj6qwr10
試験昼休み……
男(……ふー)
男(……何だかんだ言って疲れたなー)
男(……でもまあ、手ごたえはあるし何とかなるかな)
スタスタ
ニート「よう、男っていう」
男「……てめー」
338: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:02:16.97 ID:pWj6qwr10
男「なんでてめーがここにいんだよ」
ニート「別におかしーことじゃないっていう」
ニート「俺にも東応大学を受験する権利はあるっていう」
ニート「ちなみに俺も志望は理科Ⅲ類だからそこんとこよろしくっていう」
男「てめーもおれのライバルってわけか……」
受験生たち(チラチラ、チラチラ)
男(……何だか殺気に満ちた視線がこちらに向けられているように感じるぞ……)
339: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:02:47.98 ID:pWj6qwr10
ニート「いっとくが、この会場におれのライバルと呼べる奴はいないっていう」
ニート「でも、残念なことに試験の問題をどれほどよく解いても満点以上の点数は取れないっていう」
ニート「ゆえに、ひょっとしたら俺と肩を並べるような奴が出てくるかもしれないっていう」
ニート「そんな奴がぜひ出てきて欲しいと俺は願っているっていう」
ニート(ニヤリ)
男(ニヤリ)「てめー……」
340: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:03:17.01 ID:pWj6qwr10
午後の試験……
カリカリ、カリカリ、グーグー
受験生たち(イライラ、イライラ)「……」
グーグー
試験官B「……」
試験官B「……君、眠るんなら外に出て眠りなさい」
ニート「……ん? ああ、問題が簡単すぎてつい眠くなってしまったっていう」
ニート「もう30分経ったのかっていう」
試験官B「……経ちました」
341: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:03:44.74 ID:pWj6qwr10
ニート「そうか、それじゃあ遠慮なく外で眠らせてもらうっていう」
ニート「あと、来年からは試験開始直後から途中退席できるようにしてくれと総長に伝えておいてくれっていう」
ニート「それじゃあ、また後でなっていう」
受験生たち(イライラ、イライラ、イライラ)(……あの途中退席野郎が……うぜー)
男(カリカリ、カリカリ)「……」
342: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:04:13.30 ID:pWj6qwr10
2日目最後の試験科目……
カリカリ、カリカリ、ギシギシ
試験官B「……きみ」
試験官B「歯ぎしりするのはやめなさい」
ニート「うん? 俺は今歯ぎしりをしていたのかっていう」
ニート「無意識のうちにしてしまっていたっていう」
ニート「遂に禁断症状が出てきてしまったかっていう」
ニート「ここにいるバカたちと同じ空気を吸い過ぎて精神が限界に達してしまったっていう」
343: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:04:46.39 ID:pWj6qwr10
試験官A「……試験開始後30分経ちました……」
試験官B「30分経過しました」
試験官B「どうぞ、ご退席ください」
ニート「ん? 俺はまだ手を挙げていないぞっていう」
ニート「お前は試験官の強権を発動して俺を強制退場させようとしているのかっていう」
試験官B(イライラ)「……失礼しました。いつも途中退席をされるので」
ニート「慣れからくる惰性というものは時に大きな災いをもたらすことがあるから気を付けた方がいいっていう」
ニート「でも、お前は俺に退席して欲しそうな顔をしているから退席してやるっていう」
ニート「お前、おれがちゃんと空気の読める奴で本当に良かったなっていう」
試験官B(イライラ)「……」
受験生たち(イライラ、イライラ、イライラ)(……うぜえええええええええ)
344: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:05:15.86 ID:pWj6qwr10
試験終了後……
ザワザワ、ザワザワ
男「よーし。終わった―」
男「……」
男「帰るかー」
……
345: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:05:41.95 ID:pWj6qwr10
テクテク、テクテク
ニート「よお、男っていう」
男「てめー、現れやがったな」
男「試験中は随分と派手に立ち回ってやがったな」
ニート「別に普通だっていう」
ニート「あの程度のことで集中力を乱すような奴は所詮張り子の虎に過ぎないっていう」
ニート「その点、お前はかなり集中できていたようだな」
男「ああ、おかげさまでな」
男「お前の傍若無人な態度にはだいぶ免疫ができてきたからな」
346: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:06:25.41 ID:pWj6qwr10
ニート「まー取りあえずこれで試験は終わったっていう」
ニート「俺の役目もここまでで終了だっていう」
ニート「じゃあ、男、さらばだっていう」
男「おい、待てよ」
男「まだ合格したわけじゃねーじゃねーか」
男「せめて合格発表の時まではいろよ」
男「お前も受験した訳だし」
347: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:06:51.85 ID:pWj6qwr10
ニート「安心しろっていう」
ニート「合格発表の時はまた姿を現すっていう」
男「まあ、別にいいけどよ」
ニート「男、じゃあなっていう」
スタスタ、スタスタ
男「……」
男「さてと、俺も帰るか」
348: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:07:31.71 ID:pWj6qwr10
東応大学入試課……
ザワザワ、ザワザワ
職員A「おー、すごいことになってるな」
職員B「本当ですね」
職員B「これは前代未聞ですよ」
職員B「まさか満点が出るとは……」
職員A「それも2人同時にか……」
職員B「男君とニート君か一体どんな子達なんだろうなー」
試験官B「ブッ」
職員B「あれ? 試験官Bさん、どうかしましたか?」
試験官B「……いえ、別に……何も」
349: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:08:06.79 ID:pWj6qwr10
合格発表の日……
ピロピロピロピロ、ピロピロピロピロ、ピッ
男「はい」
高校生女「もしもし、今日、合格発表の日だったよね」
男「うん、そだよ」
高校生女「見に行くの?」
男「うん、まー一応そのつもり」
高校生女「じゃあ、私も一緒に行くよ」
高校生女「何時ころに出るの?」
男「別にいいよ。付いて来なくたって」
高校生女「幼女ちゃんのこともあるしねー」
高校生女「一緒に行くよ」
男「へいへい、分かりやした」
350: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:08:40.43 ID:pWj6qwr10
合格発表会場……
高校生女「へー、東応大学の中、初めて入った」
高校生女「建物って結構古いんだね」
男「ああ、なんか時代に取り残されているって感じはするな」
ザワザワ、ザワザワ
男「人がいっぱいいるなー」
高校生女「そだねー」
351: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:09:18.12 ID:pWj6qwr10
スタスタ、スタスタ
ニート「よう、男っていう」
男「てめー、現れやがったな」
ニート「高校生女、久しぶりだなっていう」
高校生女「うん、久しぶり、ニート」
ニート「男、お前合格していたのかっていう」
男「まだ見てねーよ」
ニート「ちなみに俺は合格していたからそこんとこよろしくっていう」
男「マジでか!」
男「あんだけ好き勝手やっといて……」
352: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:09:51.12 ID:pWj6qwr10
ニート「男、とっとと自分の番号があるかどうか探せっていう」
男「ああ、探すよ」
男「……」
男「……ん」
男「あった」
男「よし、合格っと」
高校生女(チラッ)「……」
ニート「男、あんまり喜ばないんだなっていう」
男「ああ、何かな」
353: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:10:36.16 ID:pWj6qwr10
男「なんかこの半年の間、色んなことがあって」
男「自分のポジションくらいは分かるようになったしな」
男「それよりニート、約束は果たしたぜ」
男「これで幼女ちゃんの命は助けてくれるんだろ?」
ニート「ああ、約束は守るっていう」
ニート「でも、俺の力で病気を治すことはできないっていう」
男「おい」
354: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:11:04.85 ID:pWj6qwr10
ニート「心配するなっていう」
ニート「幼女の命は助かるっていう」
ニート「そのうち分かるっていう」
ニート「じゃあ、男、達者でなっていう」
男「おい、ニート」
男「お前も4月からは東応大学に来るんだろ?」
ニート「来ないっていう」
ニート「入試は遊びで受けただけだっていう」
ニート「東応大学みたいなレベルの低い所で遊んでいるほど俺は暇じゃないっていう」
ニート「俺にはまた次の仕事が待っているっていう」
355: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:11:40.03 ID:pWj6qwr10
男「てめー」
男「まあ、引き止めはしねーけどよ」
ニート「じゃあ、高校生女、男をよろしく頼むぜっていう」
ニート(チラッ)
高校生女「……!」
高校生女「うん、色々とあんがとねー、ニート」
ニート(ニヤリ)「どうってことないっていう」
ニート「では、また逢う日までさらばだっていう」
スタスタ、スタスタ
男「なんなんだ、あの最後の笑みは……」
男「きもちわりー」
高校生女「あはっ」
356: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:12:07.79 ID:pWj6qwr10
翌日……
ザワザワ、ザワザワ
男「おーっす」
友人男「おー、来たな、東大生」
男「お前……何で知ってんだよ」
友人男「『悪事千里を走る』っていうだろう」
友人男「もう学校中がお前の話しでもちきりだぜ」
男「いや、悪事じゃねーし」
357: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:12:37.72 ID:pWj6qwr10
女子生徒A「男君、話聞いたよすごいね」
女子生徒B「男君、握手してよ」
男「え゛、やだよ」
友人男「男ー、その位のサービスはしとけ」
友人男「お前は今、人生一番のモテ期に入ってるんだからよ」
358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:13:15.73 ID:pWj6qwr10
ガラッ、スタスタ、スタスタ
教師「よーし、みんな席につけー」
教師「もう既にみんな知っているようだが」
教師「男が見事、東応大学に合格にした」
男生徒達「おー、すげーぞ! 男ー」
女生徒達「ほんとすごーい」
男「……」
359: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:13:41.22 ID:pWj6qwr10
教師「男、よくがんばったな」
教師「知っての通り、我が校始まって以来の快挙だ」
男生徒達「DQN高校の希望の星だぜ、男」
女生徒達「うちのクラスから東大生なんて親や友達に自慢できる」
男「……」
教師「男、理事長がお前にちょっと話したいことがあるそうだ」
教師「私と一緒にちょっと来い」
男「……はい」
360: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:14:13.91 ID:pWj6qwr10
理事長室……
ガチャ、スタスタ
教師「失礼します」
教師「理事長、男を連れてきました」
理事長「ああ、ありがとう教師君」
理事長「君はもう下がってくれていいよ」
教師「はい」
スタスタ、ガチャ
361: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:14:42.79 ID:pWj6qwr10
理事長「やあ、男君、君と話すのは初めてだね」
男「……はい」
理事長「今回の東応大学合格の件、いや、実に素晴らしい」
理事長「我が校始まって以来の快挙だ」
理事長「素晴らしい人材だよ。君は」
男「……はい、ありがとうございます」
理事長「君の活躍を祝して理事長特別栄誉賞を進呈しようと思う」
理事長「我が校で最も重みがあって格調高い賞だ」
理事長「どうだ?」
362: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:15:10.81 ID:pWj6qwr10
男「……」
男「……自分はそんなたいしたことはしていないので」
男「すみませんが、辞退させて頂きます」
理事長「なんだ、つれない男だな、君は」
理事長「……」
理事長「どうだ? やっぱり『こっち』の方がいいか?」
男「……!」
理事長「ん? 目の色が変わったじゃないか!」
理事長「いくら欲しい? 君の希望金額を言ってみたまえ」
男「……」
363: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:15:41.03 ID:pWj6qwr10
理事長「どうした? 遠慮することはないんだぞ」
理事長「このことは誰にも言いはしない」
理事長「君と私だけの間の出来事だ」
男「……金は」
男「いらないです」
理事長「何だ、君は? 人が折角祝福してやっているっていうのに」
理事長「勉強はできるようだが、もう少し世間のことも勉強した方がいいな」
理事長「もういい、君は下がっていい」
男「……はい、失礼します」
スタスタ、ガチャ、バタン
364: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:16:08.62 ID:pWj6qwr10
男「……!」
教師「男、どうだった?」
教師「何か言われたか?」
男「……いえ、別に」
教師「……」
教師「あの理事長を好いている人間はこの高校にはいない」
教師「もし何か言われたとしても気にするな」
男「……はい」
365: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:16:40.17 ID:pWj6qwr10
帰り道……
テクテク、テクテク
高校生女「どうかしたー」
高校生女「暗い顔して」
男「別に……」
高校生女「……」
男「……」
366: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:17:11.50 ID:pWj6qwr10
男「今日、理事長に会ってさ」
男「東応大学の合格祝いで金をくれるって言われた」
男「やっぱ5000万くらいもらっておけばよかったかなー」
男「幼女ちゃんの治療費のために」
高校生女「いらないって言ったんだ?」
男「うん、そう」
高校生女「後悔してるの?」
男「うーん、よくわかんねー」
367: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:17:39.49 ID:pWj6qwr10
高校生女「……」
高校生女「……実はね」
高校生女「さっきおねーちゃんからメールがあって……」
男「……?」
高校生女「宝くじが当たったんだって」
男「マジで!? いくら?」
高校生女「3965万円」
男「って、なんて中途半端な!」
男「でも、ぴったりだな」
高校生女「うん、そだねー」
男「……ニートの仕業ってことか」
高校生女「……たぶんねー」
368: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:18:07.91 ID:pWj6qwr10
男「じゃあ、これで幼女ちゃんは治療を受けられるんだな!」
高校生女「うん、もう出国の手続きも済んでいて」
高校生女「もうすぐしたらアメリカに飛び立つんだって」
男「はやっ」
男「でも、善は急げってことだな」
男「手術、成功してくれるといいな」
高校生女「うん、そだねー」
369: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:18:38.26 ID:pWj6qwr10
3週間後……
男「こんちわーっす」
高校生女「こんにちわー」
幼女「あ、おにーちゃん、おねーちゃん」
高校生女の姉「こんにちわ」
男「あ、どうもこんちわーっす」
高校生女の姉「男君、東応大学受かったんだってね」
高校生女の姉「妹から聞いたよ」
高校生女の姉「すごいねー」
男「いや、全部幼女先生のおかげっす」
370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:19:09.33 ID:pWj6qwr10
幼女「おにーちゃん、よかったね、合格して」
幼女「でも、まだまだ先の道のりは長いよ」
男「ははっ、先生、覚悟してるっす……」
男「それよりも幼女ちゃん、手術成功おめでとう」
幼女「うん、ありがとう」
幼女「あと1ヶ月くらいしたら退院できるんだって」
男「へー、良かったね」
371: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:19:47.03 ID:pWj6qwr10
幼女「おにーちゃん、約束覚えてる?」
男「えっ? 何かしてたっけ?」
幼女「えー、忘れたのー?」
幼女「もし私が元気になって退院できたら」
幼女「1日中お馬さんごっこしてくれるって約束したでしょ?」
幼女「楽しみにしているからね」
男「ははっ、そう言えばそうだったっけ?」
男「身体鍛えて待ってます……」
372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:20:16.45 ID:pWj6qwr10
帰り道……
テクテク、テクテク
男「幼女ちゃん、元気そうでよかったな」
男「手術が成功してほんと、一安心したわ」
高校生女「そだねー」
高校生女「色々あんがとねー」
男「ははっ」
373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:20:45.06 ID:pWj6qwr10
男「それにしてもニートの野郎、助けるならもっと簡単に助けてくれりゃよかったのに」
男「わざわざ宝くじを当てて手術を受けさせるような回りくどいことをしなくてよ」
高校生女「……」
男「おかげで余計な気苦労しちゃったし」
高校生女「たぶん、ニート、本当は幼女ちゃんのことを直ぐに助けることができたのかも」
男「うん? お前もやっぱりそう思うだろ?」
男「変な制約条件やらなんやらを持ち出して」
男「結局、あいつが楽しんでいただけじゃねーかって」
374: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:22:13.61 ID:pWj6qwr10
高校生女「うーん」
高校生女「東応大学合格はあいつの遊びだとは思うけど」
高校生女「たぶんね、制約条件はあったんだと思うよ」
男「ん? どういうこと?」
高校生女「もし、あんたが自分の命と引き換えに幼女ちゃんの命を助けることができるってニートに言われていたらどうしてた?」
男「俺の命と引き換えに?」
男「わかんねーけど、多分、幼女ちゃんを助けるかな」
375: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:23:26.14 ID:pWj6qwr10
高校生女「うん、そだねー、たぶんあんただったらそうする……」
高校生女「そして、ニートもそのことを分かっていたんだと思うよ」
男「おい、ちょっと待てよ」
男「じゃあ、俺の命と引き換えに幼女ちゃんの命を助けることができるっていうのが本当の制約条件だったわけ?」
高校生女「うーん、ニートに確認してみないとわかんないけど」
高校生女「なんとなくそんな気がするんだー」
男「なんで?」
高校生女「あいつの去り際の目かな」
高校生女「あいつの目を見ていたらそんな感じがした」
376: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/23(水) 11:24:04.75 ID:pWj6qwr10
男「またアイコンタクトってやつか」
男「俺にはよくわかんねーな」
男「まあ、今度あいつに会った時に聞いてみるか」
高校生女「あはっ、まああいつは教えてくれないだろうけどね」
男「んー、まあそうかもな」
男「そもそもまたあいつに会えるかどうかが問題だからな」
高校生女「たぶんまた会えるよ」
男「それってまた理由のない予感?」
高校生女「うん、まーねー」
終わり
388: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:38:23.97 ID:ZPn6IC1Y0
3か月後、夏……
男「おれ、飛行機初めて乗るわ」
男「お前は乗ったことあったっけ?」
女「うん、あるよ」
女「おねーちゃんの結婚式で海外にも行ったことあるしね」
男「うーん、ちょっとドキドキしてきたな」
女「あはっ」
女「まあ、離陸の時に少し揺れるくらいであとは大丈夫だと思うよ」
男「そうか……」
389: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:39:24.08 ID:ZPn6IC1Y0
離陸後……
男「お、雲の下に陸が見える」
男「あれは、ロシア?」
女「うん、多分ねー」
男「いま、どの辺りに来たの?」
女「まだ全然だよ」
女「モスクワまであと8時間くらいかなー」
男「えっ、そんなに?」
男「ロシア、どんだけ広いんだ!」
女「あはっ」
390: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:40:04.85 ID:ZPn6IC1Y0
男「……」
女「……」
男「ところでイケメンの奴、元気にしてるかな」
女「電話で話したんでしょ?」
男「うん? まあ、話したけど」
男「国際電話、料金が高いから直ぐ切っちゃったよ」
男「でも、あいつ一応現地の大学に通っているって言ってたな」
女「へー、そうなんだ」
男「モスクワ国立大学の法学部だって」
男「まあどんな所かは聞いてないからよく知らないけど」
女「ふーん」
391: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:40:49.41 ID:ZPn6IC1Y0
女「イケメン君、流石にすごいね」
男「ああ、まあ確かにロシア人と普通に会話している所を想像するとすごいと感じるわ」
女「あはっ」
男「あとはあいつが本当に普通の大学生をやっているんだったらいいんだけどな」
女「……」
男「俺はロシアに行ってまで銃撃戦をやるのはごめんだからな……」
女「あはっ」
女「そうだねー」
392: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:41:21.07 ID:ZPn6IC1Y0
モスクワ……
ピンポーン、ガチャ
女「こんにわー」
下の妹「あ、おねーちゃん、来たー」
上の妹「おねーちゃん、お久しぶりです」
下の妹「おねーちゃん、ドーブルイディエン」
女「ドーブルイ……ディエン?」
下の妹「ロシア語で『こんにちは』って意味なんだよ」
女「へー、そうなんだー」
393: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:42:11.70 ID:ZPn6IC1Y0
下の妹「ん? おねーちゃん、この人だれ?」
男「ははっ、ドーブルイディエン、下の妹ちゃん。男って言います」
下の妹「えー、私、もっとかっこいい人が良かったー」
男「いや、そう言われても……」
下の妹「おねーちゃん、この人彼氏なの?」
女「うん、そうだよ。下の妹ちゃん」
下の妹「ふーん」
下の妹「まあ、いいや」
下の妹「さー、上がって、上がって」
女「うん、ありがとう」
女「おじゃましまーす」
394: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:42:46.48 ID:ZPn6IC1Y0
上の妹(ジッ)「……」
男「うん? どうかした? 上の妹ちゃん」
上の妹「おにーちゃん……どこか懐かしいような……」
上の妹「以前にどこかでお会いしましたっけ?」
男「えっ……」
女「……!」
男「ははっ、気のせいだと思うよ」
男「久しぶりに日本の人に会ったからじゃないかな? 上の妹ちゃん」
上の妹「……はい」
395: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:43:26.64 ID:ZPn6IC1Y0
イケメンのアパートの中……
男「なんだ、じゃあイケメンはいないんだ、下の妹ちゃん」
下の妹「うん、そうだよ」
下の妹「ここ1週間くらい家をずっと留守にしてる」
下の妹「まー、おにいは多忙な人だからねー」
女「はい、下の妹ちゃん、上の妹ちゃん、麦茶どうぞ」
下の妹「ありがとー、おねーちゃん」
上の妹「ありがとうございます」
下の妹(ゴクゴク)
下の妹「ぷはー、やっぱりおねーちゃんにいれてもらう麦茶が一番おいしいや」
女「あはっ」
396: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:50:36.12 ID:ZPn6IC1Y0
女「ところでイケメン君がいなくて食事とか大丈夫?」
上の妹「はい……」
下の妹「ロシア人のおねーちゃんがねー、時々来て食事を作ってくれるんだ」
女「ロシア人のおねーちゃん?」
下の妹「うん、そう」
下の妹「おにーちゃんの大学の友達なんだって」
下の妹「でも多分おにいの彼女だな!」
下の妹「お人形さんみたいに綺麗で優しい人だよ」
女「へー、そうなんだー」
女「よかったねー、下の妹ちゃん」
下の妹「うん、この前はね、ピロシキの作り方を教えてもらったんだ」
女「へー、いいなあー」
397: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:51:15.95 ID:ZPn6IC1Y0
男「ところでさー下の妹ちゃん」
下の妹「なにー?」
男「イケメンはどこに行ったか聞いてない?」
下の妹「全然知らないよー」
下の妹「おにいはいつも『心配するな』としか言わないんだ」
男「そうかー」
男「イケメンの野郎、どこにいるんだろうなー」
男「せっかく人がロシアまで来たっていうのに」
上の妹「……!」
398: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:51:53.93 ID:ZPn6IC1Y0
スタスタ
上の妹「……あのう、これおにーちゃんから預かった手紙です」
男「ん、手紙?」
上の妹「……はい」
上の妹「おにーちゃんが男さんに渡してくれと言ってました」
女「……」
男「そうなんだ」
男「ありがとう、上の妹ちゃん」
399: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:52:54.33 ID:ZPn6IC1Y0
ビリビリ、ピラッ
手紙の内容
『おっす、男。ロシアまで来てくれてサンキューな。
実はいきなりあれなんだけど今ちょっとトラブッてて大変なんだ。
で、お前にちょっとお願いしたいことがあるからスタンコリト駅ってとこまで夜に来てくれないか?
1人で来てくれ。悪いな。じゃあ、よろしく。
イケメン ~黄金の銃を持つ男~ より』
400: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:53:50.46 ID:ZPn6IC1Y0
男「……」
男「あいつは……まったく」
男「いまどき置手紙なんてはやんねーぞ」
女「なんて書いてあった?」
男「ん? ああ、ちょっとな」
男「なんでもプレゼントがあるからおれ夜1人で取りに来て欲しいって」
女「……ふーん」
男「なんせあいつは多忙なやつだからな」
男「なあ、下の妹ちゃん」
下の妹「うん、そだよ。おにいは鉄人だからね」
男「ははっ、それは否定しないっす……」
女「……」
401: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:54:55.90 ID:ZPn6IC1Y0
その日の夜……
男「じゃあ、ちょっくら行ってくるわ」
下の妹「わたし、プレゼント、シロクマさんのおっきいぬいぐるみでよろしくね」
男「ははっ……、サンタさんじゃないんだから……」
上の妹「気をつけて行ってきてください」
男「うん、大丈夫だよ、上の妹ちゃん」
女「男、なんかあったら電話ちょうだいねー」
男「ああ、分かったよ、女」
男「じゃっ」
下の妹「いってらっしゃーい」
402: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:56:22.13 ID:ZPn6IC1Y0
スタンコリト駅……
男「……」
男(……こねーな、あいつ)
男(……『夜』って時間も曖昧過ぎるし)
男(……そもそも駅しか書いてなかったしな)
男(……どこの出口かくらい書いておけっつーの)
男(……)
男(……しかしほんとこねーなー)
男(……いつまでまってりゃいいんだよ……)
男(……)
403: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:57:03.49 ID:ZPn6IC1Y0
その頃……イケメンのアパート……
ガチャ、スタスタ
下の妹「うん? おにーちゃんもう帰ってきたのー?」
黒スーツのロシア人男「……」
女「……!」
下の妹「あんた、誰? このハゲ」
下の妹「勝手に人の家に入んないでよ」
404: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:57:57.01 ID:ZPn6IC1Y0
スチャ
黒サングラスのロシア人女「死にたくなかったら静かにしなさい」
黒サングラスのロシア人女「そして大人しく私たちの言うことを聞くこと」
黒サングラスのロシア人女「分かったかい? お嬢ちゃんたち」
女「……」
下の妹「わかるか、ボケ」
黒サングラスのロシア人女「おー元気のいい娘だねー」
黒スーツのロシア人男(グイッ)「……」
下の妹「このハゲ、放せ」
女「下の妹ちゃん!」
405: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:58:54.09 ID:ZPn6IC1Y0
下の妹「おねーちゃーん」
女「放して」
黒スーツのロシア人男(スッ)「……」
女「下の妹ちゃん……上の妹ちゃん……」
女「大丈夫だからね」
女「今はこの人たちの言うことをきこう」
上の妹「……はい」
下の妹「えー」
黒サングラスのロシア人女「観念したかい?」
黒サングラスのロシア人女「そうしたら大人しくついて来るんだね」
女「……」
406: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 18:59:36.67 ID:ZPn6IC1Y0
スタンコリト駅……
男(……全然こねーじゃねーか……あいつ)
男(……人のことからかってるのか)
男(……)
男(……もう帰ろ)
スタスタ
407: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 19:00:20.51 ID:ZPn6IC1Y0
……「おい、ちょっと待てっていう」
男「……まさか、その声は……」
ニート「よう、男。久しぶりだなっていう」
ニート「お前とはいつも変なところで再会するなっていう」
男「てめー」
男「今度は一体何をしに来た?」
ニート「人聞きの悪い言い方をするなっていう」
ニート「お前、俺の恩を忘れたのかっていう」
男「お前が何を企んでいるのかはしらねーが」
男「俺はもう今日は帰るぜ」
男「じゃあな」
408: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 19:01:32.62 ID:ZPn6IC1Y0
スタスタ
ニート「お前、イケメンを待っていたんじゃないのかっていう」
パタッ
男「……!」
男「てめー……」
男「何でお前がそのことを」
ニート「当然知っているっていう」
ニート「言うも及ばず俺は全知全能だっていう」
ニート「俺が知らないことなんてないっていう」
ニート「その上、お前が読んだあの手紙は俺が書いたっていう」
男「なに!?」
409: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 19:04:08.66 ID:ZPn6IC1Y0
男「……何か嫌な予感がしてきたぜ」
ニート「どんな予感がするんだっていう」
ニート「言ってみろっていう」
男「お前が俺を呼び出した……そして俺は待ちぼうけした……」
男「お前、女たちに何かを……」
ニート「素晴らしいっていう」
ニート「ハラショーだっていう」
ニート「お前、だてに俺が育てただけの奴ではあるっていう」
男「……」
410: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 19:05:14.45 ID:ZPn6IC1Y0
ダッ
ニート「もう遅いっていう」
ニート「今戻っても女たちはもういないっていう」
ニート「女たちは俺の仲間たちが連れ去っているっていう」
男「てめー……」
男「一体なんのために……」
ニート「人質にするためだっていう」
ニート「お前、変な手出しをしたら女とイケメンの妹たちの命はないからそこんとこよろしくっていう」
男「話しが見えないが……」
411: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 19:07:30.44 ID:ZPn6IC1Y0
ニート「俺は今、ある秘密組織の一員になっているんだっていう」
ニート「イケメンは俺の組織を壊滅させるために工作をしかけてきたから今組織の総力を挙げてイケメン抹殺計画が進行しているっていう」
ニート「ゆえにイケメンに協力する奴はすべて敵と認識するっていう」
ニート「お前もイケメンに協力した瞬間、抹殺されることになるから気を付けるんだなっていう」
ニート「ちなみに、俺の組織の目的は人類を破滅させることだからそこんとこよろしくっていう」
男「人類を破滅させるって」
男「なんだよそれ……」
ニート「状況が呑み込めたようだったらとっとと日本に帰るんだなっていう」
ニート「じゃあな、あばよっていう」
サッ、ダッ
412: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/11/27(日) 19:08:11.92 ID:ZPn6IC1Y0
男「おい、てめー、ちょっと待ちやがれ」
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ
……
男「……ハアー、ハアー」
男「くそ、あの野郎……」
男「一体なにがどうなってるんだ……」
416: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:49:51.41 ID:R2zn0gj90
その日の深夜、イケメンのアパート……
ガチャ、バタン
男(……)
スタスタ、パチッ
男「……やっぱり誰もいねーか」
ドサッ
男「くっそ、一体何だっていうんだ……」
男「結局ニートの野郎の手掛かりは何も掴めなかったし」
男「イケメンの野郎のケータイにも電話はつながらねーし……」
男「……」
男「女……一体いまどこに……」
417: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:50:29.01 ID:R2zn0gj90
翌日の朝……
ガチャガチャ、ガチャガチャ
男「……ん、んん」
ガチャガチャ、ガチャガチャ
男「……朝か」
男(……入口の方か……誰だ? 女? イケメン? いや……)
バサッ、サッ
男(……)
418: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:51:19.76 ID:R2zn0gj90
ガチャガチャ、バタン、スタッ、スタッ、スタッ
男(……来たな)
男「フリーズ(動くな)」
ロシア人女(ビクッ)「きゃっ」
男「ハンズアップ(手を上にあげろ)」
ロシア人女「……あなたは誰? 日本人?」
男(……この女、日本語を……)
419: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:51:59.16 ID:R2zn0gj90
男「ここに来た理由は?」
ロシア人女「……イケメンに会いに……」
ロシア人女「あなたは一体……」
男「……」
男「イケメンの同居人の名前は?」
ロシア人女「えっ?」
男「言うんだ」
ロシア人女「……上の妹ちゃんと下の妹ちゃん」
男(スッ)「……」
ロシア人女「……」
男「すみませんでした、突然……」
420: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:52:28.88 ID:R2zn0gj90
男「あなたはイケメンの同級生の方ですよね?」
ロシア人女「……はい、そうです」
ロシア人女「……あなたは一体……」
男「すみません、俺は日本の高校の時のイケメンの同級生の男って言います」
ロシア人女「ああ、男さん!」
ロシア人女「イケメンからよく話を聞いています」
ロシア人女「なんでも、日本一の頭が悪かったのに半年で日本一の頭脳の持ち主になった人だって」
男「ははっ、あながち間違ってないっす……」
……
421: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:53:06.67 ID:R2zn0gj90
ロシア人女「……それじゃあ、イケメンは今行方不明になっているってことなんですね……」
男「はい……」
男「恐らくトラブルに巻き込まれて……」
ロシア人女「……」
男「あっ、でもトラブルって言っても変なトラブルじゃないんで」
男「あいつはせか……人を助けようとしてそれで敵に追われて」
男「多分今は身を隠しているんだと思います」
ロシア人女「分かりました。ありがとう、男さん」
男「いえ……」
422: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:53:53.01 ID:R2zn0gj90
ロシア人女「……」
ロシア人女「男さん、ところで妹ちゃんたちは?」
男「……敵にさらわれました」
ロシア人女「……敵?」
男「はい。人質にされたみたいで」
ロシア人女「大変……」
男「……」
ロシア人女「……」
423: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:54:25.11 ID:R2zn0gj90
男「イケメンを探して……なんとかあいつを助けたいんですが」
男「どうにも手掛かりがなくって」
ロシア人女「パソコン……」
男「えっ?」
ロシア人女「イケメンはいつも重要な秘密はパソコンにインプットしていました」
ロシア人女「イケメンのパソコンを見れば何か手がかりが掴めるかも……」
男「分かりました、見てみましょう」
……
424: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:54:54.77 ID:R2zn0gj90
ピーーーーーーーー
男「くそ、またダメか」
男「イケメンの野郎、ご親切にハードディスクパスワードなんか掛けやがって……」
ロシア人女「……」
男「イケメンの誕生日、ロシア人女さんの誕生日、イケメン・妹ちゃんたち・ロシア人女さんの名前……」
男「どれもこれもどんな組み合わせでもだめかー」
ロシア人女「……」
男「あと考えられるのは……」
ロシア人女「1024」
男「1024……?」
ロシア人女「入れてみてください」
男「……はい」
425: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:55:25.71 ID:R2zn0gj90
カチャカチャ、スッ
男「あ、入れた」
ロシア人女「ふー、よかったです」
男「1024……意外とシンプルな文字列だったな」
男「何か意味のある数字なんですか?」
ロシア人女「ふふっ、秘密です」
男「ははっ、そうっすか……」
……
426: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:55:59.74 ID:R2zn0gj90
男「さてと、ログインまではできたものの」
男「ここから一体どうすればいいでしょうかねっと」
ロシア人女「男さん、これ」
男「ん、このファイル……」
男「『男へ』か」
男「まんまじゃねーか、もうちょっと工夫しろっつーの」
ロシア人女「ふふっ」
男「よっと」
427: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:56:31.58 ID:R2zn0gj90
カチャカチャ、スッ
男「……!」
ロシア人女「……」
男「なんでしょうかねー、一体これは」
ロシア人女「56、12、5……78、3、11」
男「うーん」
男「なんかの暗号ですかねー」
ロシア人女「……」
428: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:57:15.51 ID:R2zn0gj90
男「33、1、4……」
男「ん? 一番最後の行にロシア語が……」
ロシア人女「『守護聖人と聖母の元で』って書いてあります」
男「『守護聖人と聖母の元で』……か」
ロシア人女「……!」
スタスタ、コトン、ペラペラ
ロシア人女「……」
男「ロシア人女さん、それは……」
ロシア人女「聖書です」
ロシア人女「男さん、パソコンの番号を順番に読み上げてみてください」
男「え、あっ、はい」
429: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:57:48.18 ID:R2zn0gj90
男「えーっと、上から行きます」
男「56、12、5」
ロシア人女(パラパラ、ススッ)
男「ロシア人女さん、それは」
ロシア人女「聖書の56頁の12行目の5文字目です」
ロシア人女「もしかしたら意味があるのかも知れないと思いまして」
男「……分かりました、やってみましょう」
……
430: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:58:24.89 ID:R2zn0gj90
男「10、7、10」
男「これで全部です」
男「どんな感じですか?」
ロシア人女「一応、言葉になりました」
男「すみません、なんて意味ですか?」
ロシア人女「『サンクトペテルブルク』と読みます」
男「サンクトペテルブルクか……」
男「でもこれだけじゃいまいち……」
ロシア人女「アレクサンドル・ネフスキー大修道院」
男「……それは?」
ロシア人女「サンクトペテルブルクにある守護聖人と聖母が眠っている教会です」
431: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:58:58.31 ID:R2zn0gj90
30分後……
男「じゃあ、行ってきます。ロシア人女さん」
ロシア人女「男さん……本当に1人でいいんですか?」
ロシア人女「私も道案内くらいはできますし……」
男「いえ、お気持ちだけで十分です」
男「それに何かあるといけませんし」
ロシア人女「……」
男「大丈夫です。イケメンと妹ちゃんたちは必ず助けて見せます」
ロシア人女「男さん……」
432: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 18:59:28.09 ID:R2zn0gj90
男「それと、イケメンのアパートにはしばらく出入りしないでください」
男「敵はここの場所も知っているので」
ロシア人女「……はい、分かりました」
ロシア人女「男さん、本当にお気をつけて」
男「はい、大丈夫です」
男「イケメンが見つかったらすぐに連絡します」
男「それじゃあ」
バタン、……
433: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) 2011/12/04(日) 19:00:30.80 ID:R2zn0gj90
ロシア人女「……」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、トゥルルルルー、トゥルルルルー、カチャ
ロシア人女「いま、男がここを出ました」
…「了解したっていう」
…「スパシーバっていう」
…「もうお前はあとは何も心配しなくていいっていう」
ロシア人女「……パニラー(分かりました)」
438: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:08:56.03 ID:Df21Amv/0
薄暗い地下牢獄……
バチャン、ガチャガチャ、カチャン
黒スーツのロシア人男「暫くここで大人しくしていろ」
下の妹「なにー、ここ」
下の妹「やだー、出してー」
黒スーツのロシア人男(ジロリ)
女「下の妹ちゃん」
下の妹「……このおっさん怖いー」
黒スーツのロシア人男(……)
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ
439: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:09:37.13 ID:Df21Amv/0
下の妹「もう戻ってくんなっつーの」
上の妹「……おねーちゃん」
女「……!」
上の妹「あの人……」
スタスタ
440: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:10:09.09 ID:Df21Amv/0
女「あの……大丈夫ですか?」
謎の女「……ん、」
謎の女「……誰か来たの?」
女「あ、はい」
謎の女「そう……」
謎の女「ひどい仕打ちを受けていない?」
女「……はい、大丈夫です」
謎の女「そう、よかった……」
441: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:10:51.50 ID:Df21Amv/0
下の妹「謎のおねーちゃん、身体中すごいひどい傷……」
謎の女「そう?」
謎の女「私、眼が見えないから」
謎の女「自分の身体がどうなっているかもよく分からないの」
下の妹「ひどい……すごく痛そう」
下の妹「全部あいつらにやられたの?」
謎の女「……そうね」
下の妹「信じられない……わたし絶対許せない」
謎の女「ふふっ、ありがとう」
442: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:11:36.19 ID:Df21Amv/0
謎の女「でも、あの人たちに逆らっちゃダメよ」
謎の女「あなたたちまで傷つくことになってしまう」
下の妹「やだ。次に来たら絶対殴ってやる」
謎の女「……」
謎の女「ありがとう」
謎の女「でも、わたしのことは心配しないで」
謎の女「わたしは大丈夫だから」
下の妹「大丈夫じゃないよ」
下の妹「わたし達と一緒に何とかしてここから逃げようよ」
443: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:12:16.14 ID:Df21Amv/0
謎の女「ダメなの」
謎の女「わたしは逃げられないの」
女「……」
下の妹「なんで?」
謎の女「罪を犯したから……」
謎の女「私は償わなければならないの」
下の妹「罪って何?」
下の妹「謎のおねーちゃんは絶対悪い人じゃないよ」
下の妹「悪いのはあいつらだよ」
444: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:12:57.11 ID:Df21Amv/0
下の妹「ねー、おねーちゃんもそう思うでしょ?」
女「うん」
女「何か事情はあるのかも知れませんが」
女「あなたがここで苦しみ続けることはないと思います」
女「何とかしてここから脱出する方法を一緒に考えましょう」
謎の女「ふふっ、ありがとう……」
謎の女「でももう……」
445: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:13:25.72 ID:Df21Amv/0
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ
下の妹「ん、来たー」
カチャン、ガチャガチャ、バチャン
黒スーツのロシア人男「出ろ」
下の妹「このやろー」
ダッ、サッ、ドスン
下の妹「いったーい」
黒スーツのロシア人男「お前じゃない」
謎の女「その子たちには手を出さないで」
謎の女「今行くわ」
446: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:14:11.87 ID:Df21Amv/0
フラフラ、フラフラ
黒スーツのロシア人男(……)
バチャン、ガチャガチャ、カチャン
黒スーツのロシア人男「行くぞ」
謎の女「待って」
謎の女「この子たちをここから出してあげて」
黒スーツのロシア人男「……さっさと来い」
謎の女「この子たちは何もしていないはず」
謎の女「なぜこんなところに連れてきたの?」
黒スーツのロシア人男「お前には関係のない話だ」
447: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:14:43.39 ID:Df21Amv/0
ブンッ、ドスッ
謎の女「うっ、ぐっ……」
下の妹「あっ、謎のおねーちゃん」
下の妹「なんてことすんだよ、このハゲ」
下の妹「このくそハゲ、死ねー」
黒スーツのロシア人男「命令に従わないからだ」
黒スーツのロシア人男「お前たちも次に逆らった時はこうなる」
黒スーツのロシア人男「よく覚えておくんだな」
448: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:15:10.23 ID:Df21Amv/0
ドサッ、グイッ、カツッ、カツッ、カツッ、カツッ
下の妹「謎のおねーちゃん」
謎の女「……うっ」
下の妹「謎のおねーちゃーん!」
……
バタンッ
449: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:15:44.69 ID:Df21Amv/0
サンクトペテルブルク、アレクサンドル・ネフスキー大修道院……
テクテク、テクテク
男「ここがアレクサンドル・ネフスキー大修道院か」
男「意外と人通りがすくねーな……」
男「さて……」
大聖堂内部……
男(……観光客の振りして入って来たけど)
男(……ロシア人ばっかりじゃねーか)
男(……アジア人の姿すら見えねえ……)
450: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:16:19.75 ID:Df21Amv/0
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ、ドンッ
男(……!)
修道士風の男「シトージラーイェッチェ!」
男「えっ?」
男(……何を言ってんのかわかんねー)
男(……なんかすげー剣幕だが……)
修道士風の男「イジシューダ!」
グイッ、スタッ、スタッ
男「えっ、ちょっ、待って」
男「何だよおい」
男「どこに連れて行く気だ」
……
451: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:16:49.14 ID:Df21Amv/0
誰もいない密室……
修道士風の男「……」
男「……」
男(……俺なんかまずいことしたのか)
男(……一応外人観光客に紛れていた積りだったんだけどな……)
男(……しかしこのロシア人)
男(……さっきから何もしゃべらねー)
男(……おっかねーな)
452: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:17:22.60 ID:Df21Amv/0
修道士風の男「……ハハッ」
男「……?」
修道士風の男「ハーハッハッハッハッ」
男(……なんだこいつ)
男(……今度は突然笑い出したぞ……)
修道士風の男「おい、男」
男「……!」
男(……まさか)
453: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:17:54.43 ID:Df21Amv/0
ビリ、ビリビリ、ビリビリビリビリ、ストンッ
男「……お前」
イケメン「よう、久しぶりだな、男」
男「てめー……」
男「何が久しぶりだ」
男「すっとぼけやがって」
イケメン「ははっ、まあそう怒るなって」
男「てめーがいない間大変だったんだぞ」
イケメン「……ああ、大体状況はわかっている」
男「……」
454: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:18:35.82 ID:Df21Amv/0
男「女と、妹ちゃん達が敵にさらわれた」
イケメン「……!」
イケメン「……そうか」
男「おい、そんだけかよ」
イケメン「……まだ殺されたわけじゃない」
イケメン「やつらも無闇に殺したりはしないだろう」
イケメン「少なくとも俺たちが生きている間はな……」
男「お前、意外とドライなんだな」
イケメン「……ダメなのか?」
455: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:19:08.42 ID:Df21Amv/0
男「いや、その位じゃないとダメだな」
男「なんせ敵は……」
イケメン「敵は……?」
イケメン「なんだ、男、お前何か知っているのか?」
男「……ああ」
男「少しな……」
男「少なくとも」
男「普通にやりあったんじゃ勝てない」
イケメン「そうか」
456: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:19:42.59 ID:Df21Amv/0
男「……」
男「イケメン、お前も恐らくそいつに面識あるぞ」
イケメン「マジでか! どいつだよ」
男「『っていう』が口癖のやつ」
イケメン「……スピルバーグか」
男「……!」
男「知ってたのか?」
イケメン「……ああ」
イケメン「やつが俺たちの敵に回っているのは知っていた」
男「……どういうことだよ」
457: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:20:16.92 ID:Df21Amv/0
イケメン「おい、男」
イケメン「実は俺は今1人で敵の組織と戦っているんだ」
イケメン「なぜだと思う?」
男「なぞかけかよ!」
男「お前には仲間がいたはずだ……」
男「スピルバーグ以外にも……例えばリサ」
イケメン「……」
男「しかしお前は1人で戦っている」
男「なぜか……」
458: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:21:04.20 ID:Df21Amv/0
男「仲間を戦いに巻き込みたくはないから……っていうのは違うんだろう?」
イケメン(ニヤリ)「……ああ」
男「お前が1人で戦っている理由……それは1人で戦わざるを得ない状況にお前が置かれているからだ」
男「恐らくお前の仲間が全員殺されたか、もしくはお前の組織自体が敵に回ったか……」
イケメン「さすがだな、男」
イケメン(ニヤリ)「……後者が正解だ」
イケメン「スピルバーグがべた褒めするだけのことはあるな」
459: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:21:30.47 ID:Df21Amv/0
男「ニートの野郎か……」
男「一体やつは何を考えているんだか……」
男「人類を破滅させるっていってたぜ、あの野郎」
イケメン「……」
男「お前の組織って一体何なんだよ」
男「麻薬組織を取り締まってるかと思ったら今度は人類の取り締まりでもするっていうのかい?」
イケメン「色々と事情があるんだ」
イケメン「でも今はすべてを話している時間はない」
イケメン「1つだけ言えることは……」
イケメン「組織は今俺たちの敵っていうことだ」
460: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:21:57.27 ID:Df21Amv/0
男「『俺たちの』……か」
イケメン「悪いな、巻き込んじまって……」
男「……まあ、今更もう何を言ってもしょうがねえ」
男「関わっちまった以上、何とかするしかないな」
男「で、これからどうすんだよ」
イケメン「まず敵のアジトを突き止める」
男「かー、そこからか!」
男「で、どうやって?」
男「手掛かりはあんのかよ」
イケメン「ああ」
461: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:22:27.37 ID:Df21Amv/0
パラパラ
イケメン「手掛かりはここにある」
男「ん? どっかの建物の見取り図か?」
イケメン「ああ、ロシア連邦保安庁だ」
イケメン「諜報活動によって収集された情報がここのコンピュータ内のデータベースに集積されている」
イケメン「その情報を得るために連邦保安庁に侵入する」
男「おい、ちょっと待てよ」
イケメン「何だ? 男」
462: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:22:56.36 ID:Df21Amv/0
男「色々あるけどよ」
男「まず組織に関する情報がそのデータベースに本当にあるのかよ」
イケメン「ある」
男「根拠は?」
イケメン「俺の組織のボスはロシア政府によってマークされているからだ」
男「……ああ、そうかい……」
男「だったら先ず俺じゃなくてロシア政府に助けを求めたらどうだ?」
イケメン「名もない日本人がロシア大統領に直訴して願いが聞き入れられたらいいんだけどな」
イケメン「今はそんな空想の話しをしている暇はない」
男「……へいへい」
463: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:23:32.23 ID:Df21Amv/0
男「じゃあ、早速侵入方法の話しでもしましょうかね」
男「まず、お前お得意の変装でロシア連邦保安庁内に入り込んで……」
イケメン「侵入するのはお前だ、男」
男「……おい」
男「冗談ぬかすんじゃねーよ、イケメン」
男「変装ができてロシア語もできる」
男「適任者はお前以外にいねーだろ」
イケメン「俺は『こいつ』でお前をサポートする」
男「……パソコン?」
イケメン「ああ」
464: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:24:02.29 ID:Df21Amv/0
イケメン「さすがにロシア連邦保安庁ともなるとセキュリティが厳重だからな」
イケメン「おれが保安庁のメインシステムに侵入して必要な処置をとる」
イケメン「お前はおれのガイドに従って動いてくれればいい」
男「おい、そんな高度なテクニック持ってんだったら組織の情報も盗み取ってくれよ」
イケメン「それはできない」
イケメン「目的のコンピュータはスタンドアロンだからな」
イケメン「ネットワーク経由で侵入することはできない」
イケメン「あくまでも現地に赴く必要がある」
男「……へい、さいですか」
465: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:24:42.53 ID:Df21Amv/0
男「で、いつ決行するんだ」
イケメン「今夜だ」
男「……今夜か」
男「まあ、やるっきゃねーな」
イケメン「よし、じゃあ早速細かい説明するぞ」
男「……ん! ちょっと待ってくれよイケメン」
男「1件だけ電話するわ」
466: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:25:13.35 ID:Df21Amv/0
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、
イケメン「おい、男、誰に電話かけるんだ?」
男「お前のことを死ぬほど心配している人だよ」
トゥルルルルー、トゥルルルルー、トゥルルルルー、トゥルルルルー
男「あれ、でねーな」
イケメン「……」
イケメン「おい、男」
イケメン「今お前が電話を掛けようとしている相手……ロシア人女か?」
男「ん? ああ、そうだよ」
男「てめー、電話ぐらいかけてやれよ」
男「かわいそうだろ?」
467: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:25:49.74 ID:Df21Amv/0
トゥルルルルー、トゥルルルルー、トゥルルルルー、トゥルルルルー
男「んー、やっぱでねーな」
イケメン「……」
男「まさか、組織の奴らに……」
イケメン「男、余計な心配はしなくていい」
男「てめー、ロシア人女さんが危険な目にあっているかも知れないっていうのに」
イケメン「大丈夫だ」
468: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 15:26:31.82 ID:Df21Amv/0
イケメン「彼女は頭の回転が速い」
イケメン「それにお前が考えている以上に度胸もある」
イケメン「彼女は自分の身は自分で守ることができる」
男「てめー、本当にドライだな」
イケメン「男、おれは信頼しているんだ」
イケメン「彼女のことを」
イケメン(ニヤリ)「お前が女のことを信頼しているのと同じくらいにな」
男「……へいへい、そうっすか」
イケメン「よし、じゃあ先ず侵入口から説明するぞ」
イケメン「お前なら大丈夫だと思うけど1回しか説明しないからしっかり頭に入れてくれ」
男「はいよ」
473: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:39:52.82 ID:UrCRv5Ee0
組織の一室……
バスン、バスン、ドサッ
謎の女「うっ……」
黒スーツのロシア人男「……立て」
グイッ
黒スーツのロシア人男「座れ」
謎の女「……うっ」
474: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:40:26.63 ID:UrCRv5Ee0
黒スーツのロシア人男「うん? どうした?」
黒スーツのロシア人男「苦しいのか?」
謎の女(ブルブル)「……」
黒スーツのロシア人男「楽になれるんだぞ、すべてを教えてくれればな」
謎の女(ブルブル)「……」
黒スーツのロシア人男「……」
ブンッ、バコッ、ドサッ
謎の女「ぐっ」
475: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:41:05.19 ID:UrCRv5Ee0
謎の女(ブルブル)「……」
黒スーツのロシア人男「……」
黒スーツのロシア人男「おい」
黒スーツのロシア人男「……よく聞け」
黒スーツのロシア人男「俺もこんな真似はもうしたくない」
黒スーツのロシア人男「すべてしゃべったらお前も楽になれる」
黒スーツのロシア人男「よく考えてみろ」
黒スーツのロシア人男「お前が口を開きさえすればすべてがうまくいくんだ……」
謎の女(ブルブル)「……」
476: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:41:31.84 ID:UrCRv5Ee0
ガチャン、バタン
黒スーツのロシア人男「……!」
スタスタ
黒スーツのロシア人男「……」
組織のボス「どうだ、なにかしゃべったか?」
黒スーツのロシア人男「いえ、何も」
477: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:42:04.03 ID:UrCRv5Ee0
グイッ
組織のボス「ご機嫌いかがですか?」
謎の女(ジロリ)「……」
組織のボス「おー、怖い顔だ」
組織のボス「でも、そんな顔をしたって何も生み出されない……」
謎の女「……」
組織のボス「……なぜ話さない?」
478: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:42:34.57 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「私はこの世界を変えなければならない」
組織のボス「そしてそのためには」
組織のボス「あんたの協力が必要なんだ」
組織のボス「分かるだろう?」
謎の女「……あなたに話すことなんてない」
組織のボス「……」
479: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:43:18.24 ID:UrCRv5Ee0
スッ、カツッ、カツッ
組織のボス「……」
組織のボス「こうやって無意味な時間を過ごしていくのか?」
組織のボス「誰に知られることもなくここで朽ちていくのか?」
組織のボス「……」
謎の女「……」
組織のボス「この現実を変えてみたいと思わないのか?」
組織のボス「栄えある未来を見たいとは思わないのか?」
組織のボス「私ならそれを実現できる」
組織のボス「憎しみも争いもない世界を……」
謎の女「あなたが何をしようとも」
謎の女「そこからは悲しみしか生まれない」
480: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:44:12.28 ID:UrCRv5Ee0
グッ
組織のボス「……」
組織のボス「あんたが以前に言ったこと……」
組織のボス「世界のすべてを自分の思うままにできる力を人間も手にすることができる……」
組織のボス「わたしは決して忘れていない」
謎の女「……」
組織のボス「さあ、教えてくれよ」
組織のボス「あのペンダントに秘密があるんだろう?」
謎の女「……」
481: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:44:39.62 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「……なんとか言え!」
ボゴッ、ドサッ
謎の女「くっ、ぐっ……」
謎の女「あの時のあなたはあんなに真っ直ぐで」
謎の女「心の優しい人だったのに」
謎の女「どうしてこんな……」
482: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:45:13.79 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「はーはっはっはっはっ」
組織のボス「何を言い出すかと思ったら」
組織のボス「私の本質はこうなんだ」
組織のボス「あんたが騙されただけだ」
組織のボス「残念だったな」
謎の女「……違う、あの時のあなたは本当に……」
謎の女「あの出来事があなたのことを……」
483: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:45:44.37 ID:UrCRv5Ee0
ボゴッ
謎の女「ぐふっ」
組織のボス「はっ、過去のことなどもうどうでもいい」
組織のボス「来たるべき未来こそが今の私にとっては大切なんだ」
組織のボス「私はこの世界の支配者とならなければならない……」
組織のボス「……」
組織のボス「おい」
黒スーツのロシア人男「はい」
組織のボス「あとはいつも通りやっておけ」
黒スーツのロシア人男「分かりました。ボス」
484: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:46:17.52 ID:UrCRv5Ee0
カツッ、カツッ
組織のボス「それでは」
組織のボス「あんたが早く目を覚ましてくれることを願っているよ」
謎の女「……」
カツッ、カツッ、ガチャン、バタン
485: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:46:52.26 ID:UrCRv5Ee0
深夜、ロシア連邦保安庁……
テクテク、テクテク
男「よーし、着いたぜ」
イヤホン(イケメン)「分かった。そのまま打ち合わせ通り裏口から入ってくれ」
男「……ん、警備員が立ってるぞ」
イヤホン(イケメン)「大丈夫だ。気にすることはない」
イヤホン(イケメン)「お前の顔はどっから見てもロシア人だし」
イヤホン(イケメン)「そのまま自信を持って素通りすればいい」
男「……へいへい」
486: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:47:27.66 ID:UrCRv5Ee0
テクテク、テクテク
男「裏口だ」
イヤホン(イケメン)「よし、先ずIDカードをセンサーにかざせ」
男(スッ)「……」
ピー
男「よし、かざした」
イヤホン(イケメン)「そうしたら、壁面についているテンキーに暗証番号を入力しろ」
イヤホン(イケメン)「暗証番号は覚えているか?」
男「ああ、覚えてる」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピー
男「ロックを解除できた」
イヤホン(イケメン)「よし、そうしたら入れ」
487: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:47:59.71 ID:UrCRv5Ee0
……
テクテク、テクテク
男「おい、イケメン、誰も来てねーだろうな」
イヤホン(イケメン)「ああ、安心しろ」
イヤホン(イケメン)「監視カメラの映像にはお前以外映っていない」
男「そうかい、そりゃ良かったぜっと」
イヤホン(イケメン)「よし、突き当りを右に曲がれ」
男「……へい」
488: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:48:34.71 ID:UrCRv5Ee0
テクテク、テクテク
イヤホン(イケメン)「よし、男、そこだ」
男「……ここか」
イヤホン(イケメン)「まず指紋認証だ」
イヤホン(イケメン)「俺が渡したフィルムを指に付けろ」
ピタ
男「つけたぜ」
イヤホン(イケメン)「よし、そうしたらセンサーにかざせ」
ピー
男「ほい、扉が開きましたっと」
489: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:49:01.36 ID:UrCRv5Ee0
イヤホン(イケメン)「よし、そうしたら次は虹彩認証だ」
イヤホン(イケメン)「例の『瞳』をセンサーにかざせ」
男「……あの気持ち悪いやつの出番ってわけか」
ガサゴソ、スッ、ピー
男「おー、気持ちわりー」
男「質感がグニャグニャしているのがまた何とも」
イヤホン(イケメン)「よし、順調だな」
イヤホン(イケメン)「そうしたら中に入れ」
男「へい」
490: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:49:29.56 ID:UrCRv5Ee0
テクテク、テクテク
イヤホン(イケメン)「目的のコンピュータがどれかは分かるな?」
男「ああ、大丈夫だ」
テクテク、テクテク
男「……」
男「よし、見つかったぜ」
カチャ、ブーン
男「起動中だ」
イヤホン(イケメン)「ああ、分かった」
491: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:50:00.23 ID:UrCRv5Ee0
男「……」
イヤホン(イケメン)「……」
男「よし、ログイン画面まできたぜ」
イヤホン(イケメン)「分かった。IDとパスワードを入れてくれ」
男「はいよ」
カチャカチャ、カチャカチャ
男「よーし、入った」
男「そうしたら、データベースを覗きに行ってと……」
492: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:50:33.96 ID:UrCRv5Ee0
イヤホン(イケメン)「……!」
イヤホン(イケメン)「急げ、男」
男「ん? 急に何だよ?」
男「教えられた通りにちゃんとやってるぜ」
イヤホン(イケメン)「男、アジトの場所は分かったか?」
男「まだだよ」
男「お前も分かってんだろ、手順が複雑だからあと最低でも5分は掛かるぜ」
イヤホン(イケメン)「……」
493: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:51:05.82 ID:UrCRv5Ee0
カチャカチャ、カチャカチャ
男「……何か問題が起きたのか」
イヤホン(イケメン)「ああ……」
イヤホン(イケメン)「今から状況を説明する」
イヤホン(イケメン)「手を動かしながら聞いてくれ」
男「……」
イヤホン(イケメン)「侵入者が現れた」
カチャカチャ、カチャカチャ
男「いや、それは俺だし」
494: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:51:34.76 ID:UrCRv5Ee0
イヤホン(イケメン)「いや、お前の他にもだ……」
イヤホン(イケメン)「裏口の警備員がそいつに殺されて」
イヤホン(イケメン)「そいつは……」
ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ
男「うん? 何か警報音が鳴りだしたぞ」
イヤホン(イケメン)「侵入者が裏口の扉を爆破して入ってきた」
イヤホン(イケメン)「急げ、男」
男「爆破? 待ってくれ、もうちょっとだ」
495: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:52:11.79 ID:UrCRv5Ee0
男「……イケメン、侵入者は誰だ?」
イヤホン(イケメン)「男……かなり体格のいい男だ」
イヤホン(イケメン)「恐らく組織の人間」
イヤホン(イケメン)「俺たちの行動が嗅ぎ付けられたのかも知れない」
イヤホン(イケメン)「(ガチャン)……!」
イヤホン(…)ザーーーーーー
男「ん? おい、どうしたんだイケメン」
男「おい、イケメン」
イヤホン(…)ザーーーーーー
男「聞こえねーのか? 応答しろイケメン」
イヤホン(…)ザーーーーーー
496: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:52:44.03 ID:UrCRv5Ee0
カチャカチャ
男「くそっ」
男「……」
男「まさかあいつの所にも追手が……」
男「やっかいなことになってきたな……」
ガチャン、ガチャン
男「……来たか」
カチャカチャ、ピー、ピー、ピー
男「よし、見つかった」
497: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:53:19.16 ID:UrCRv5Ee0
ドゴーン、ガチャン、カチャン、モクモク、スタスタ、スタスタ
敵ロシア人「……」
敵ロシア人「どこにいる? 出てこい」
男(……まー随分と派手にやりやがるな……)
男 スチャ(……)
スッ、クルリ、バキューン
男「……!」
敵ロシア人「……そこにいたか」
スタスタ、スタスタ
498: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:53:51.02 ID:UrCRv5Ee0
男(……俺の銃弾は確かに命中したはず)
男(……)
男(……この男……まさか……)
バキューン、バキューン
敵ロシア人「無駄だ……」
男「……」
ダッ、ダッ、グイッ
男「くっ」
敵ロシア人「ふんっ」
グバッ、ガシャン、カランカラン
男「ぐふっ」
499: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:54:19.67 ID:UrCRv5Ee0
スタスタ
男「……!」
ダッ
敵ロシア人「……」
敵ロシア人「逃げても無駄だ」
敵ロシア人「逃げ道はない」
敵ロシア人「あがいても余計な苦しみが増えるだけだ」
敵ロシア人「大人しくあきらめるんだな」
500: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:54:53.50 ID:UrCRv5Ee0
ピタッ
男「……」
敵ロシア人「観念したか」
敵ロシア人「いい心掛けだ」
敵ロシア人「今楽にしてやる」
ブンッ
男(ヒラリ、サッ)
敵ロシア人「んっ?」
501: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:55:26.61 ID:UrCRv5Ee0
バッ、グイッ、ビビビビビビビッ
敵ロシア人「ぐあーーーーー」
男「……」
敵ロシア人「き、きさま、それは……」
男「……」
ビビビビビビビッ
敵ロシア人「な、な、じ、じ……」
敵ロシア人「ピロキュラジビュ…hPt@#……」
ヒュイーーーン、バタン
502: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:55:55.53 ID:UrCRv5Ee0
男「……」
スッ、コンコン
男「ひえー」
男「……初めて見たぜ」
男「人工知能を搭載したアンドロイドか……」
男「……」
503: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:56:21.53 ID:UrCRv5Ee0
翌早朝、サンクトペテルブルク、アレクサンドル・ネフスキー大修道院近辺……
ブロロロッ、スーー
男「……」
男(……イケメンと通信が切れた理由)
男(……それは奴が組織の連中に襲われたからだろう)
男(……機器が破壊されているだけならいいが)
男(……最悪の場合……)
504: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:56:49.37 ID:UrCRv5Ee0
ブロロロッ、スーー
男「……!」
男(……随分人だかりが)
男「……!」
男(……あれは)
男「……」
ブルン、ガチャッ、スタッ、スタスタ
男「……」
505: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:57:17.85 ID:UrCRv5Ee0
ザワザワ、ザワザワ
ロシア人A「すげーな」
ロシア人A「爆発でかなり吹っ飛んでる」
ロシア人B「死人は何人くらい出たんだよ?」
ロシア人A「さー」
ロシア人A「俺が来たときはもう警察が現場をさらった後だったからなー」
ロシア人B「しかし犯人は一体誰だ?」
ロシア人A「チェルヌイ(チェチェン人)じゃねーか」
ロシア人B「大修道院を爆破するなんて、絶対に許せねーな」
次回 男「あー、イケメンになりてー」 高校生女「……」 後編
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