男「あー、イケメンになりてー」 高校生女「……」 前編
506: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:57:45.84 ID:UrCRv5Ee0
ロシア人A「……!」
ロシア人A「おい、あんた随分深刻そうな顔しているが大丈夫か?」
男「……」
ロシア人A「身内でも行方不明になっているのかい?」
男「……」
クルリッ、スタスタ
ロシア人A「おい……」
男「……」
引用元: ・男「あー、イケメンになりてー」 高校生女「……」
イケメン付箋 IKEMEN_01 教師 EFM-695-682 30枚入り ホールマーク
posted with amazlet at 18.06.20
Hallmark(ホールマーク)
売り上げランキング: 60,975
売り上げランキング: 60,975
507: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:58:27.05 ID:UrCRv5Ee0
敵のアジト、地下牢獄……
下の妹「謎のおねーちゃん、大丈夫?」
謎の女「ありがとう、大丈夫よ」
下の妹「謎のおねーちゃん、何でこんなひどい目に合わなければいけないの?」
下の妹「絶対におかしい」
謎の女「ふふっ、世の中にはね色々なことがあるの」
謎の女「時には自分の思い通りにいって、時にはすべてが裏切られる」
謎の女「でもね、それはすべて運命なの」
謎の女「そして、どんな時でも神様は自分のことを見てくれているって」
謎の女「そう考えるのよ」
女「……」
508: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:59:09.53 ID:UrCRv5Ee0
下の妹「……謎のおねーちゃん」
下の妹「悲しいことは言わないで」
下の妹「絶対わたし達のことを助けてくれる人がくるんだから」
下の妹「ね、おねーちゃん」
女「うん、そだよ」
下の妹「謎のおねーちゃん、私のおにいすごいんだから」
下の妹「スーパーマンみたいでね、絶対にあんなやつらボコボコにやっつけてくれる」
509: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 19:59:36.84 ID:UrCRv5Ee0
下の妹「それにおねーちゃんの彼氏さんも助けに来てくれる」
下の妹「顔はブサイクだけどいざという時に頼りになるんだよ」
下の妹「ねっ? おねーちゃん」
女「あはっ、そだねー」
謎の女「ふふっ、ありがとう、下の妹ちゃん」
謎の女「そうね、メシア(救世主)はどんな時でも必ず現れてくれる」
下の妹「そうだよ! 謎のおねーちゃんの救世主も今きっと一生懸命おねーちゃんのことを助けようとしてるんだから」
謎の女「わたしの……救世主……」
510: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:00:03.80 ID:UrCRv5Ee0
下の妹「……ん! 謎のおねーちゃん、今救世主の人の顔を思い浮かべたでしょう?」
下の妹「なに、その人謎のおねーちゃんの彼氏の人?」
謎の女「ふふっ」
謎の女「そうね、私にとってヒーローのような人……」
下の妹「そっかー、謎のおねーちゃん、大丈夫だよ。安心して」
下の妹「そのヒーローの人が絶対にあいつら全員倒して謎のねーちゃんのことを迎えにくるから」
謎の女「ふふっ、ありがとう、下の妹ちゃん」
511: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:00:37.10 ID:UrCRv5Ee0
ノヴゴロド、ヴォルコフ川畔、組織のアジト近辺……
カサカサ
男(……あれが組織のアジトか)
男(……周囲に他の建物もないし近づきづらいな)
男(……見張りは……)
ドン
…「おいっ!」
512: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:01:11.20 ID:UrCRv5Ee0
男(ビクッ、クルリッ)「……!」
男「てめー」
男「生きてやがったのか」
イケメン「何だ、男、その言い方は」
イケメン「俺に死んでいて欲しかったのか?」
男「生きてるんだったら連絡くらいよこせっつーの」
イケメン「ははっ、なかなかそうもいかなくってな」
イケメン「命からがらくぐり抜けた感じだったからな」
イケメン「男、お前の方も無事で良かった」
男「いやまあ、俺の方も大変だったけど」
513: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:01:46.00 ID:UrCRv5Ee0
男「……っていうかそれよりお前、何でここにいるんだよ?」
イケメン「決まってるじゃないか!」
イケメン「お前を助けに来たんだよ」
男「いや、そうじゃなくて」
男「何でお前がここの場所を知ってるんだっつーの」
イケメン「ははっ、まーそう深く考えるなって」
男「てめー……まさか最初から組織のアジトを知って……」
イケメン「ははっ、違う違う」
514: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:02:13.62 ID:UrCRv5Ee0
イケメン「男、実はな、俺はさっきまで敵の組織に潜り込んでたんだ」
イケメン「俺を襲撃しに来たやつに変装してな」
男「変装?」
イケメン「ああ」
イケメン「おかげで敵の様子が大分わかった」
イケメン「敵の人数はそう多くない」
イケメン「あの建物の中にいるのは20人くらいだな」
イケメン「そして、組織のボスは3階の一室にいるはずだ」
515: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:02:43.87 ID:UrCRv5Ee0
男「てめー、その勢いでそのまま組織を壊滅させてくればよかったものを……」
イケメン「おい、無理言うなって」
イケメン「流石に20人まとめて相手するのは無理だって」
男「いや、お前ならできたと思うぞ」
イケメン「ははっ」
イケメン「それより男、作戦を考えるぞ」
男「……仕方ねーな」
516: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:03:12.09 ID:UrCRv5Ee0
男「で、何か考えはあるのか?」
イケメン「正面から強行突破する」
男「……いや、作戦になってねーし」
男「お前は知らないかも知れないが向こうにはアンドロイドもいるんだぞ」
男「銃弾が効かない奴とどうやって戦うんだよ」
イケメン「安心しろ」
イケメン「アンドロイド型は1機しか組織にはいない」
イケメン「今までに多くの軍隊を壊滅させてきた組織の最終兵器だ」
イケメン「お前が倒してくれて助かったぜ」
男「……ははっ、そりゃ大戦果っすな」
517: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:03:40.28 ID:UrCRv5Ee0
アジトの建物の正面……
カチャ、カチャ
イケメン「よし、いくぞ、男」
イケメン「俺にしっかりついてこい」
男「……へいへい」
518: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:04:08.21 ID:UrCRv5Ee0
アジトの3階の一室……
ガチャッ
部下A「ボス……」
組織のボス「どうした? 随分騒がしいな」
部下A「敵が攻めてきました」
部下A「未確認情報ですが、敵は二人組で一人はイケメンかと」
組織のボス「そうか」
組織のボス「くくくくっ」
組織のボス「まあ、いいだろう」
組織のボス「組織にたてつく奴がどういう目に合うのかをたっぷりと教えてやろう」
519: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:04:41.76 ID:UrCRv5Ee0
アジトの中……
バキューン、バキューン
イケメン「男、上だ」
男「はいよ」
バキューン
組織の人間A「ぐわっ」
ヒュー、バタン
520: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:05:14.73 ID:UrCRv5Ee0
男「……これで1階は大体片付いたか?」
イケメン「そうだな」
イケメン「男、お前、なかなかの銃の腕前だな」
イケメン「どこで覚えたんだ?」
男「ははっ、何かな」
イケメン「……?」
イケメン「まあ、いい。さあ、上へいくぞ」
男「へい」
521: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:05:53.00 ID:UrCRv5Ee0
アジトの中、3階……
スッ、スッ
男「もうかなり敵を殺った気がするが……」
男「ほとんど残ってないんじゃね?」
イケメン「ああ、あとはボスと側近達くらいだろう」
イケメン「……!」
イケメン「ここだ」
男「ボスの部屋?」
イケメン「ああ、そうだ」
イケメン「いくぞ、準備はいいか、男?」
男「ああ」
イケメン「よし」
522: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:06:20.67 ID:UrCRv5Ee0
バタンッ
イケメン(クルリッ、クルリッ)「ん?」
イケメン「誰もいない……」
男「……!」
男「イケメン、後ろだ」
バキューン
イケメン「ぐっ」
男「くそっ」
バキューン
ボスの側近「ぐあっ」
バタン
523: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:06:58.54 ID:UrCRv5Ee0
男「イケメン、大丈夫か?」
イケメン「ああ、大丈夫だ」
イケメン「脚をやられただけだ」
イケメン「でもこれじゃあちょっと動けそうにない」
イケメン「男、あとは恐らくボスだけだ」
イケメン(ズルズル)「……」
グイッ
524: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:07:29.28 ID:UrCRv5Ee0
イケメン「おい、ボスはどこにいる?」
ボスの側近「……へへっ、この裏切り者が」
ボスの側近「いつかお前には神の裁きが……」
イケメン「質問に答えろ」
イケメン「ボスはどこにいる?」
ボスの側近「……地下の聖堂だ」
ボスの側近「お前たちの到着をお待ちになられてる」
ボスの側近「お前たちの……息の根を止めるためにな……」
ボスの側近(ガクッ)「……」
525: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:07:52.60 ID:UrCRv5Ee0
イケメン「……男」
男「ああ、わかったよ」
男「ボスを倒して女たちを助けてくるよ」
イケメン「すまないな」
イケメン「どんな罠が仕掛けられているか分からない」
イケメン「十分気を付けてくれ」
男「……はいよ」
526: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:08:23.45 ID:UrCRv5Ee0
アジトの地下……
スタスタ
男「……ここか」
スッ、ガチャ
男「……!」
組織のボス(ニヤリ)「……」
組織のボス「ようこそ、我が懺悔の聖堂へ」
組織のボス「銃を捨てたまえ」
組織のボス「この女を殺されたくなかったらな」
謎の女「うっ」
527: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:08:50.02 ID:UrCRv5Ee0
男「……」
組織のボス「はーはっはっ」
組織のボス「そうか、お前はこの女に面識がなかったか」
組織のボス「……」
ゴンッ
謎の女「きゃっ」
男「やめろ!」
男「分かった……銃を捨てる」
カチャ、カチャカチャン
528: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:09:19.37 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「ふん」
組織のボス「ところでイケメンはどうした?」
組織のボス「殺られたのか?」
男「上にいるさ。手負ったんでな」
組織のボス「……」
組織のボス「そうか」
組織のボス「まあいいだろう」
529: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:09:54.61 ID:UrCRv5Ee0
男「……」
組織のボス「どうした? 少し驚いているようだな」
組織のボス「どうだ? この聖堂は?」
組織のボス「地下にこんな荘厳な聖堂があるとは考えも及ばなかっただろう」
男「……」
組織のボス「ここは素晴らしい聖堂だ」
組織のボス「多くの仲間がここで大きな安らぎを得てきた」
組織のボス「我が民族にとってこの聖堂は心の拠り所だった」
組織のボス「そして、ここから旅立っていった仲間の多くが……」
組織のボス「血塗られた歴史の中にその姿を消していった」
男「……」
530: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:10:21.85 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「ははっ」
組織のボス「果たしてお前に分かるかな?」
組織のボス「迫害され続けてきた民族の苦しみと憎しみと悲しみが……」
組織のボス「そしてわたしが今どういう気持ちでここに立っているのかが……」
男「……」
531: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:10:48.85 ID:UrCRv5Ee0
カチャ
組織のボス「……」
組織のボス「イケメンに力を貸したこと……」
組織のボス「それがお前の運の尽きだったな」
組織のボス「イケメンも所詮は日本人だった」
組織のボス「我が同胞と同じ感情を分かち合うことはできなかった……」
男「……」
組織のボス「……さらばだ」
謎の女「やめて!」
バキューン
532: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:11:24.43 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「くあっ」
男「……!」
…「どうやら間に合ったようだなっていう」
男「……てめー」
ニート「よう、男っていう」
ニート「あれ程忠告したのにも関わらず結局お前は首を突っ込んだのかっていう」
男「てめーはいつも来るのがおせーんだよ」
ニート「大事な探し物をしていたんだっていう」
533: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:11:57.59 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「……きさま……スピルバーグか……」
謎の女「……?」
謎の女「ヨシュア?」
ニート「ミリアム……」
組織のボス「ヨシュア?」
組織のボス「……ははっ、それはお前の名前か? スピルバーグ」
ニート「彼女を解放しろっていう」
534: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:12:26.08 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「……スピルバーグ」
組織のボス「俺が誰だか分かって言っているのか?」
ニート「さっさと解放しろっていう」
組織のボス「ふん、聞く耳はもたないか」
組織のボス「分かった……」
組織のボス「ほらよ」
ドンッ、フラッ
謎の女「あっ」
535: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:12:57.55 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「おっと、これは俺からの餞別だ」
スッ、カチャ、バキューン
ニート「ミリアム!」
ダッ
謎の女「……うっ」
フラフラ、ダッ、ギュッ
謎の女「……ヨシュア」
組織のボス「ははっ、どうした? スピルバーグ」
組織のボス「随分深刻そうな顔をしているじゃないか」
組織のボス「その女がそんなに大事だったか?」
536: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:13:23.80 ID:UrCRv5Ee0
グイッ
謎の女「ヨシュア……」
謎の女「あの人は……」
謎の女「……悪くない」
謎の女「あの人は……」
謎の女「可哀そうな……」
ニート「知っているっていう」
537: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:13:58.44 ID:UrCRv5Ee0
スッ
ニート「……」
組織のボス「……」
組織のボス「……反抗的な瞳だな」
組織のボス「私はお前のことを評価していた」
組織のボス「お前の冷徹で感情に流されないところをな……」
組織のボス「いささか買いかぶり過ぎたか……」
ニート「……言いたいことはそれだけかっていう」
538: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:14:32.20 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「はっ、何を言い出すかと思ったら」
組織のボス「笑わせてくれるわ」
組織のボス「この裏切り者ぶぜいが……」
ニート「……」
組織のボス「スピルバーグよ」
組織のボス「私が知らないとでも思ったか?」
組織のボス(ニヤリ)「神の掟を……」
ニート「……」
539: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:15:00.89 ID:UrCRv5Ee0
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ
組織のボス「神というのは決して私情に流されてはいけない」
組織のボス「その掟を破ったやつは」
組織のボス「その女の様に惨めな最期を迎えることとなるとな」
ニート「……」
540: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:15:36.05 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「その女もバカだった」
組織のボス「私に協力さえしていれば」
組織のボス「すぐに楽になれたものを……」
組織のボス「私の崇高な理想を理解することができずに」
組織のボス「挙句の果てにこのザマだ……」
組織のボス(ニヤリ)
ガバッ、カチャ、バキューン
組織のボス「……ばかな」
541: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:16:01.35 ID:UrCRv5Ee0
ニート「お前、知らなかったのかっていう」
ニート「俺にそんなおもちゃは効かない……」
ビュン、グチュ
ニート「……」
組織のボス「……き、貴様」
組織のボス「やりやがったな……」
542: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:16:32.96 ID:UrCRv5Ee0
ニート「神の掟に背こうが……」
組織のボス「……くっ」
ニート「惨めな最期を迎えようが……」
ニート「今の俺にとってはどうでもいい話しだっていう」
組織のボス「うっ」
ニート「覚悟はできているなっていう」
ニート「ダズジチェシ、ザラニェ、ブアデュ(地獄で先に待ってな)」
543: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:17:07.85 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「うっ、くわっ」
グチュグチュ
組織のボス「うあーーーーーー」
グチャン、ブンッ、ドサッ
ニート「……」
組織のボス「はー……はー」
組織のボス「……」
組織のボス「……ふっ」
組織のボス「……ははっ」
544: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:17:32.02 ID:UrCRv5Ee0
組織のボス「ははっ、はーはっはっ、ははっ」
組織のボス「ははっ……」
組織のボス「……」
組織のボス「私は……一体何のためにここまで……」
組織のボス「……」
545: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:18:02.56 ID:UrCRv5Ee0
カチャ
組織のボス「……」
組織のボス「エレナ……」
組織のボス「……」
組織のボス「すまない……」
組織のボス「私は……お前の……」
組織のボス「こっ……」
カチャン
組織のボス(ガクッ)「……」
ニート「……」
……
546: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:18:29.29 ID:UrCRv5Ee0
スッ
謎の女「……ヨシュア」
ニート「もう何もしゃべるなっていう」
スッ、ゴソゴソ、スチャ
ニート「神の証、お前のものだっていう」
謎の女「……わたしに、このペンダントをつける資格はもう……」
ニート「資格はあるっていう」
547: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:19:04.33 ID:UrCRv5Ee0
ニート「お前は立派な神だったっていう」
ニート「後ろめたく感じることなんてなに一つないっていう」
ニート「もうすべてを忘れていいんだっていう」
ニート「何もかもを」
ニート「お前は神として立派に立ち振る舞ったっていう」
謎の女「……そう」
謎の女「ありがとう……」
548: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:19:32.88 ID:UrCRv5Ee0
クルリッ
謎の女「……あの人のこと助けてあげたかった」
謎の女「愛する人の命を奪われて」
謎の女「無力感と罪悪感に苛まれていたあの人を……」
ニート「……」
謎の女「生きることの喜びをもう一度思い出してもらいたかった……」
謎の女「でも、私にはそれができなかった……」
549: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:20:01.27 ID:UrCRv5Ee0
ニート「お前は十分よくやったっていう」
ニート「もういいんだっていう」
謎の女(ニコッ)「ヨシュア……」
謎の女「助けに来てくれてありがとう」
ニート「……」
謎の女「あなたが来てくれて」
謎の女「私は本当にうれしかった……」
550: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:20:32.46 ID:UrCRv5Ee0
謎の女「最後にあなたに会うことができて」
謎の女「本当に……」
謎の女「よ…か……った……」
ホワンホワンホワン、キュルキュルキュル、スワーーーーッ
ニート「……」
551: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:21:05.91 ID:UrCRv5Ee0
男「……」
男「……ニート」
男「今の光……彼女は……」
ニート「戻るべき所に戻って行ったんだっていう」
ニート「彼女の苦しみにも」
ニート「これで終止符が打たれたんだっていう」
552: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:21:40.07 ID:UrCRv5Ee0
イケメンのアパート……
ロシア人女「イケメン、無事で良かった」
ガバッ、ギュッ
イケメン「ああ、お前も無事で良かった」
下の妹「おー、美男美女が抱き合う姿は絵になるねー」
ロシア人女「下の妹ちゃんも、元気に戻ってこれてよかった」
下の妹「うん、まーね」
下の妹「おねーちゃんが作ってくれるピロシキをまた食べたかったしね」
ロシア人女「ふふっ」
553: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:22:10.37 ID:UrCRv5Ee0
ロシア人女「それと……」
ロシア人女「ニートさん、色々とありがとうございました」
イケメン「……!」
男「……!」
女「……!?」
ニート「礼を言われる程のことはしていないっていう」
ニート「お前が協力してくれて色々と助かったっていう」
554: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:22:39.26 ID:UrCRv5Ee0
男「……おい、ニートどういうことだよ?」
男「詳しく話せよ……」
ニート「お前に話すことなんて何もないっていう」
男「てめー」
ロシア人女「ふふっ」
ロシア人女「男さん、すみませんでした」
ロシア人女「男さんのことを騙すような形になってしまって」
男「いえ……別に」
555: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:23:07.33 ID:UrCRv5Ee0
ロシア人女「男さん、すべてお話しします」
ロシア人女「あれはイケメンが行方不明になってから数日経った日でした」
ロシア人女「ニートさんが突然私の前に現れて」
ロシア人女「イケメンがどこにいるのかを教えてくれたんです」
ロシア人女「そして、イケメンが危険な状況に置かれていることも……」
ロシア人女「ニートさんはイケメンを助けてくれると言ってくれました」
ロシア人女「それでわたしはニートさんに協力をしたのです」
556: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:23:48.80 ID:UrCRv5Ee0
男「……ははっ、そうでしたか」
男「っていうか、ニート」
男「俺にも教えてくれりゃすぐ協力したっつーのに」
男「また色々と回りくどいことをしやがって」
ニート「敵を欺くにはまず味方からっていうのは兵法の鉄則だっていう」
ニート「お前とイケメンを泳がせておいてその間に俺は自分の仕事を進めていたっていう」
ニート「それにお前は直情的な部分があるから」
ニート「下手に情報を与えると余計な手出しをする危険性が高かったっていう」
ニート「ゆえに俺はロシア人女にだけ真実を明かしたんだっていう」
男「てめー」
557: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:24:18.69 ID:UrCRv5Ee0
ロシア人女「男さん、本当にありがとうございました」
男「いえ……別に」
男「でも、ロシア人女さん、よくニートのことなんか信じる気になりましたね」
男「俺だったら絶対信じないなー」
ロシア人女「瞳を見たら……ですかね」
男「えっ?」
ロシア人女「ニートさんの瞳を見たら、この人の言っていることは信じれるなと、なんとなく」
男「……ははっ、さいですか」
558: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:24:51.00 ID:UrCRv5Ee0
その日の夜……
ニート「じゃあな、男、女っていう」
女「うん、じゃーねー、ニート」
男「……おい、ニート」
男「お前はこれからどうするんだよ?」
ニート「別に俺がどうしようが俺の勝手だっていう」
男「お前、もう神じゃなくなったんだろう?」
ニート「それがどうかしたのかっていう」
ニート「神であろうがなかろうが」
ニート「俺は俺だっていう」
男「てめー」
559: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:25:25.87 ID:UrCRv5Ee0
男「人が折角心配してやってるっていうのに……」
男「……ん!?」
キラキラ、キラキラ、ピタ
ニート「……」
男「……ホタル?」
女「……」
男「なんか不思議な光りかたをするホタルだな」
ニート「……」
ニート「……お別れを言いに来たんだっていう」
男「お別れ?」
560: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:26:02.59 ID:UrCRv5Ee0
男「……おい、ニートそれって……」
男「あっ」
パタッ、キラキラ、キラキラ
ニート「……」
クルリッ
ニート「俺はもう行くっていう」
ニート「じゃあなっていう」
561: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:26:30.77 ID:UrCRv5Ee0
男「おい、ニート」
男「またそのうち顔を見せろよ」
ニート「……簡単には約束できないっていう」
ニート「未来がどうなるかなんていうのは」
ニート「神にしか分からないっていう」
テクテク、テクテク
562: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/29(木) 20:27:14.07 ID:UrCRv5Ee0
男「あの野郎、最後まで……」
女「あはっ」
男「……まあ、でも今回は大目に見てやるか」
女「……」
女「そだねー」
男「……さてと」
男「それじゃあ戻ってロシア人女さんとの関係をイケメンに問い詰めますか」
女「あはっ」
女「まー、程ほどにねー」
終わり
569: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:16:26.02 ID:HqoDMkgW0
秋、日本、某遊園地……
フラフラ、テクテク
男「くー、頭がいてー」
女「あはっ」
女「頭ぶつけたの?」
男「ああ、ぶつけた」
男「やっぱ乗り慣れてねーからかなー」
男「急カーブや回転する度に安全バーにガンガンぶつかった」
女「あはっ」
570: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:17:11.26 ID:HqoDMkgW0
女「座り方が悪かったんじゃん?」
男「ジェットコースターに座り方なんてあるのか?」
女「うーん、ないかな」
男「じゃあだめじゃねーか」
男「一体どうすればいいんだ……」
女「うーん、やっぱ慣れかな」
男「結局そーなるんかい」
571: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:17:47.81 ID:HqoDMkgW0
テクテク
男「で、次はどーする?」
男「何か乗りたいものとかあるの?」
女「うーん」
女「……!」
女「あそこ行ってみる?」
男「……『占いの館』?」
女「うん」
男「……まあ、別にいいよ」
572: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:18:15.64 ID:HqoDMkgW0
テクテク、バサッ
男「……何だか怪しい雰囲気の部屋だな」
女「……」
男「で、占い師は……」
…「深遠なる天の声に引き寄せられし者よ……」
…「こちらへどうぞっていう」
男「……!」
女「……!」
男「てめーは……」
573: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:18:45.10 ID:HqoDMkgW0
ニート「よう、これはこれは男と女じゃないかっていう」
ニート「こんな所で会うなんて奇遇だなっていう」
ニート「お前たち、デートでもしているのかっていう」
男「……ああ、まあな」
男「それよりお前……」
男「何だその恰好は?」
574: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:19:13.97 ID:HqoDMkgW0
ニート「見ての通りだっていう」
ニート「俺はこのアトラクションで占い師として働いているんだっていう」
ニート「俺の占いはよく当たることで有名だっていう」
ニート「そのお蔭で来月からは時給が50円上がる予定だからそこんとこよろしくっていう」
ニート「ところでお前たち、俺に占って欲しいのかっていう」
男「……いや、俺は別にいいよ」
男「女を占ってやってくれ」
ニート「女かっていう」
ニート「了解したっていう」
575: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:19:39.59 ID:HqoDMkgW0
サッ
女「ニート、よろしくね」
ニート「分かったっていう」
ニート「俺に任せろっていう」
ニート「で、何を占って欲しんだっていう」
女「うーん」
女「じゃあ、来年の運勢」
ニート「お前の来年の運勢かっていう」
ニート「お安い御用だっていう」
ニート(ササッ)「……」
男「……へー、いっちょまえに水晶を使うのか」
576: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:20:19.87 ID:HqoDMkgW0
女「……」
ニート「……!」
ニート「見えたっていう」
ニート「来年は女にとっていい1年になるっていう」
ニート「そして女には来年……」
ニート「重大な転機も訪れるっていう」
ニート「詳しいことは乞うご期待だっていう」
女「……ふーん」
577: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:20:54.64 ID:HqoDMkgW0
男「……何が起こるのかは教えてくれないわけ?」
ニート「当然だっていう」
ニート「お前、占いは初めてなのかっていう」
男「まあ初めてだけど」
女「男も占ってもらえば?」
男「え゛っ、俺はいいよ」
女「まーいいじゃん」
女「ニートに折角会ったわけだし」
ニート「男、お前のことも占ってやるっていう」
ニート「まあそこに座れっていう」
男「……へい」
578: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:21:28.06 ID:HqoDMkgW0
スッ
ニート「それじゃあ男、お前は何を占って欲しいのかっていう」
男「じゃあ、俺も来年の運勢で」
ニート「了解したっていう」
ニート(ササッ)「……」
男「……」
ニート「……!」
ニート「すごいものが見えて来たっていう」
男「えっ、何だよ」
579: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:21:54.01 ID:HqoDMkgW0
ニート「男、お前は来週とんでもないドタバタ劇に巻き込まれることになるっていう」
男「……ドタバタ劇ってなんだよ」
男「っていうかそもそも来年の運勢じゃねーし」
ニート「細かいことは気にするなっていう」
ニート「俺の占いは必ず当たるから覚悟しておいた方がいいっていう」
ニート「ちなみにドタバタ劇には女も巻き込まれることになるからそこんとこよろしくっていう」
ニート(ニヤリ)
女「……!」
580: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:22:24.22 ID:HqoDMkgW0
男「おい、ニート」
男「せめてもう少し具体的に教えろよ」
ニート「これ以上は教えられないっていう」
ニート「何が起きるのかを教えてしまっては」
ニート「占いにならないっていう」
男「てめー」
ニート「占いなんていうのは深く考えても仕方がないっていう」
ニート「どんなことが起こってどうなるのかなんていうのは」
ニート「人知の及ばない部分の話しだっていう」
581: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:23:02.76 ID:HqoDMkgW0
男「でもお前は分かってるんだろ」
ニート「当然だっていう」
ニート「占い師の特権だっていう」
ニート「これだから占い商売はやめられないっていう」
男「くそっ」
男「……まあ、仕方ねーのか」
582: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:23:31.62 ID:HqoDMkgW0
男「ニート、じゃあ最後に1つだけ教えてくれ」
男「そのドタバタ劇で不幸になる奴は出てこないだろうな?」
ニート「何でそんなことを聞くんだっていう」
男「別に深い意味はねーけどよ」
男「誰かおれの周りで不幸になる奴が出てくるのはもう嫌だしな」
ニート「……」
ニート「安心しろっていう」
ニート「お前の心のさじ加減ひとつで」
ニート「ドタバタ劇の結末はいくらでも変わりうるっていう」
男(ニヤリ)「また随分含みのある言い方だな……」
……
583: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:24:05.50 ID:HqoDMkgW0
テクテク、テクテク
男「あー、何か聞かなきゃよかったな」
女「……」
男「急に不安になってきたわ」
女「あはっ」
女「まー何とかなるっしょ」
男「そうだといいんだがな……」
男「ニートの話しだとお前も関係してくるんだぞ」
男「お前は平気なの?」
584: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:24:32.09 ID:HqoDMkgW0
女「うん、まーねー」
女「来年の運勢はいいって言われたしね」
男「でも来週はどうなるかわかんねーぞ」
女「あはっ」
女「まーそれはまたその時考えるよ」
男「……へー」
男「お前って意外に楽天的なんだな」
男「前からそんなんだったっけ?」
585: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:24:57.52 ID:HqoDMkgW0
女「うーん」
女「そうでもないんだけどねー」
女「今回はニートが予言したことだから」
女「まあ大丈夫かなって感じかな」
男「……ははっ、ニートが絡んでいるっていうのが俺に取っちゃ一番の不安要因なんだけどな……」
586: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:25:29.68 ID:HqoDMkgW0
……翌週月曜日、東応大学キャンパス内
カリカリ、カリカリ
教授「一般の有機化合物は鎖式炭化水素あるいは環式有機化合物を骨格として持っていて……」
男(……)
男(……うーん)
男(……教養課程の講義はやっぱり物足りねーなー)
男(……でもこの授業は出席取るっていうのが……)
男(……なんとかならねーだろうか?)
男(……)
医学部女(チラリ)「……」
587: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:25:58.76 ID:HqoDMkgW0
……講義終了後
ザワザワ、ザワザワ
医学部女「男くん」
男「ん? ああ、医学部女か」
男「何か用?」
医学部女「男くんっていつも講義中上の空だなーって思って」
男「なんだ、俺のこと観察してたのか?」
医学部女「いや、別に観察してたわけじゃないけど……」
588: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:26:30.06 ID:HqoDMkgW0
医学部女「男くんって上期の成績良かったんでしょ?」
男「……んー、まあそこそこ」
医学部女「ウソ」
医学部女「全単位『優』だったって聞いたよ」
男「えっ? 誰から?」
医学部女「……とある人からね」
男「とある人……」
医学部女「ねえ、男くんって」
医学部女「入試の時も満点だったんでしょ?」
男「……さあな」
589: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:26:57.87 ID:HqoDMkgW0
スタッ
男「俺、次の講義行くから……」
医学部女「ねえ、男くん」
医学部女「今度勉強教えてよ」
男「え゛っ、誰に?」
医学部女「私に」
男「なんでだよ」
男「お前十分頭いいだろ」
男「俺がお前に教えることなんてねーよ」
590: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:27:31.75 ID:HqoDMkgW0
サッ
医学部女「待って」
医学部女「男くんって、今付き合っている人いるの?」
男「え゛っ、何でそんなこと……」
医学部女「いるの? いないの?」
男「……」
医学部女「どっちなの? 答えて」
男「……いるよ」
男「じゃあな……」
591: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:27:59.75 ID:HqoDMkgW0
医学部女「ちょっと待って」
医学部女「その人は誰? うちの大学の人?」
男「……何でそんなに突っ込んでくんだよ?」
男「お前の知らないやつだよ」
男「じゃあな」
スタスタ
医学部女「……」
592: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:28:30.77 ID:HqoDMkgW0
その日の帰り道、某ターミナル駅……
スタスタ
女「ん」
男「よー」
男「待ったか?」
女「まー少し」
男「まー許せよ」
男「今日はわざわざお前の買い物に付き合うためにやってきたんだから」
女「あはっ」
女「まー今回は許してあげるよ」
男「……へい」
593: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:29:03.88 ID:HqoDMkgW0
男「で、どこに行くの?」
女「んーとね……」
…「ちょっとお待ちなさい」
男「……!」
男「てめーは……」
医学部女「こんにちは、男くん」
女「……」
594: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:29:44.79 ID:HqoDMkgW0
男「お前、まさか俺のあとをつけてきたのか?」
医学部女「……」
医学部女「まあ嘘を言ってもしょうがないわね……」
医学部女「そうよ」
医学部女「あなたのあとをつけてきたの」
男「お前……完全にストーカーじゃねーか」
医学部女「悪く言えば確かにストーカー……」
医学部女「でもよく言えば追っかけってところかしら」
男「……いや、どっちもどっちだと思うが……」
595: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:30:34.04 ID:HqoDMkgW0
医学部女(チラリ)
医学部女「そちらの方は彼女さん?」
女「……」
男「ああ、そうだよ」
医学部女「ふーん、可愛らしい方ね」
医学部女(ボソッ)「……うらやましい」
男「え゛っ」
男「お前……いま何つった?」
596: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:31:10.71 ID:HqoDMkgW0
医学部女「……」
医学部女「……きなの」
男「えっ?」
医学部女「男くんのことが私好きなの!」
女「……」
男「えっ……」
男「ちょっ……お前……」
男「なにいきなり言い出してんだよ」
男「正気か?」
597: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:31:45.19 ID:HqoDMkgW0
医学部女「正気よ」
男「……いや、そう開き直って言われても……」
男「だいたい俺じゃなくたっていいだろ」
男「お前のまわりをよく見ろよ」
男「俺より顔が良くて頭がよくて優しいやつがいるだろう」
医学部女「男は顔じゃないわ」
医学部女「才知と器量と愛嬌よ」
男「……愛嬌って、俺に愛嬌があるとでも?」
医学部女「ええ、とっても」
医学部女「とても愛おしくなるほどに……」
598: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:33:05.33 ID:HqoDMkgW0
男「……お前、頭おかしいだろ」
医学部女「そんなことないわ」
医学部女(チラリ)「……ええっと、あなたのお名前は?」
女「女です」
医学部女「男くん、女さんに聞いて御覧なさい」
医学部女「きっとわたしと同じ考えを持っていると思うから」
医学部女「ねっ?」
女「あはっ、まー」
599: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:33:33.65 ID:HqoDMkgW0
男「おい、女、こいつの質問に答える必要はないぞ」
医学部女「ひどい言い方ね……男くん……」
男「いや、別にそういう意味じゃ……」
医学部女「……クスッ」
医学部女「かわいい人っ」
男「えっ……」
600: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:34:02.70 ID:HqoDMkgW0
サッ
医学部女「ごめんなさいね、女さん」
医学部女「あなたにとっては唐突で迷惑な話しかも知れないけど」
医学部女「私は今、自分の気持ちを抑えることができないの」
医学部女「分かってくれるかしら?」
女「……」
医学部女「……返答に困るわよね」
医学部女「ごめんなさい」
女「いえ……」
601: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:35:54.49 ID:HqoDMkgW0
医学部女「……」
医学部女「1つだけ……」
医学部女「あなたにお願いがあるの」
女「……」
医学部女「私と勝負をして!」
男「……おい」
医学部女「男くんのことをかけて……」
医学部女「どちらがより男くんに相応しいか……」
医学部女「いえ、どちらがより男くんのことを愛しているのかを証明するために」
女「……」
602: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:36:16.01 ID:HqoDMkgW0
男「医学部女……」
男「お前、やっぱりおかしいぞ」
男「お前はもっとクールでお高くまとった奴だと思ってたのに」
医学部女「ふふっ、女っていうのはこういう一面があるものなのよ、男くん」
医学部女「時に抗しがたい情熱にその身を焦がされるの」
603: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:36:50.82 ID:HqoDMkgW0
クルリッ
医学部女「どうかしら? 女さん」
医学部女「わたしの挑戦、受けてくださる?」
女「……」
女「わかりました」
男「おい、女、それでいいのか?」
男「だいたいなにで勝負するんだよ」
医学部女「うーん」
医学部女「それは考えてなかったわ……」
医学部女「そうね……」
医学部女「……!」
604: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:37:29.44 ID:HqoDMkgW0
ビリッ
医学部女「これでどうかしら?」
男「……『テレビ東応全日本クイズ王選手権』?」
医学部女「そうよ」
医学部女「この選手権で優勝した方が勝者ということでどうかしら?」
女「……はい、いいですよ」
605: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:38:02.47 ID:HqoDMkgW0
男「……おい、お前ら本気か?」
男「だいたいどっちとも負けたらどうするんだ?」
医学部女「優勝するのはわたし達二人のどちらかよ」
男「……なんで?」
医学部女「それが愛の力」
男「……へい、そうっすか」
……
606: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:38:29.59 ID:HqoDMkgW0
男「お前、なんであんな勝負受けたんだよ」
男「あれは完全に医学部女の暴挙だぞ」
女「うーん、なんとなくねー」
女「医学部女さんの気持ちも分からないでもなかったし」
女「あの勝負を受けなかったら何か医学部女さんに申し訳ない感じがしたからかな」
男「いや、全然そんな気持ちを感じることはないと思うが……」
女「うーん……」
607: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:39:06.78 ID:HqoDMkgW0
女「……」
女「あのさ」
男「うん? なに?」
女「わたし、頑張った方がいいの?」
男「おい……」
男「なんでそんなこと聞くんだよ……」
女「どっちかなーってね……」
608: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:39:33.91 ID:HqoDMkgW0
男「頑張って欲しいに決まってるだろ」
男「お前に頑張ってもらわにゃ俺が困ることになる」
女「あはっ」
女「わかったよー」
女「じゃあ、がんばるねー」
男「ほんと頼みますわ……」
609: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:40:22.83 ID:HqoDMkgW0
クイズ大会当日……
ザワザワ、ザワザワ
男「ひえー、さすがにすげーなー」
男「ギャラリーも多いし……」
男「テレビで見る芸能人もいっぱいいるぞ」
男「お前、大丈夫か?」
女「あはっ」
女「大丈夫だよー」
……
610: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:40:54.78 ID:HqoDMkgW0
司会「さー今年もやってきました第32回目を迎えます伝統のテレビ東応全日本クイズ王選手権の決勝戦が間もなく開始されます」
司会「今年も素晴らしいゲストの方をお迎えしてお送りいたします」
司会「そして総合解説をお願いするのはこの大会で計31回の優勝を誇る……」
司会「ニートさんです!」
ギャラリー(パチパチ)
男(……おい)
男(……あの野郎、また変な所に顔を出しやがって)
611: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:41:32.09 ID:HqoDMkgW0
司会「ニートさん、よろしくお願いいたします」
ニート「よろしくっていう」
司会「先ずニートさんにお聞きしたいのですが」
司会「今回ニートさんは何と大会への出場を断念されました」
司会「その辺りの理由を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
ニート「本職が忙しくなってクイズどころじゃなくなったっていう」
ニート「それにそろそろ俺の地位を脅かすような奴も出てきて欲しいと思ったっていう」
司会「なるほど、後進に道を譲られるということですね」
612: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:42:04.12 ID:HqoDMkgW0
司会「さー、それでは今回のメンバーの中にニートさんを脅かしうる存在はいるのか」
司会「早速決勝戦に駒を進めてきた2名を紹介しましょう」
司会「まず一人目は……」
司会「東大医学部の秘密兵器、美貌と英知を兼ね備えた才色兼備のスーパーウーマン」
司会「医学部女です!」
ギャラリー「おー」(パチパチ)
613: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:42:39.81 ID:HqoDMkgW0
司会「ニートさん、この医学部女なんですが……」
司会「なんと予選会の問題は全問正解」
司会「そして本選に入ってからも全く他を寄せ付けないまさに圧倒的な力を見せてきましたねー」
ニート「そうだなっていう」
ニート「でもまだまだ俺の足元にも及ばないっていう」
司会「おーっと、出ましたニートさんのオレ様発言」
司会「そして、この発言を聞いた医学部女がニートさんを上から目線で見やる」
司会「この涼しげな視線が魔性の女の異名を取る医学部女の本性を表しているのか!」
614: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:43:26.29 ID:HqoDMkgW0
司会「ご覧ください」
司会「会場の男たちはもうすでに医学部女の虜となっています」
司会「えー、では続きまして決勝に駒を進めた2人目を紹介します」
司会「隠された実力は未知数、可憐な表情の下に確かな闘志を秘めている謎の美女」
司会「女です!」
司会「ニートさん、この女なんですが」
司会「医学部女とは正反対に予選会、本選と接戦をものにしてきましたねー」
615: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:43:59.89 ID:HqoDMkgW0
ニート「そうだなっていう」
ニート「でも運だけで優勝できるほどこの世界は甘くはないっていう」
ニート「俺のように完全無欠な男が勝者には相応しいっていう」
司会「おーっと、再び出ましたニートさんのオレ様発言」
司会「しかし、ニートさんを見つめる女の視線はなぜか暖かい」
司会「この穏やかな表情の下で勝負への闘志が静かに燃やされているのか!」
司会「以上、今年はこの2名によって決勝戦が戦われます」
616: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:44:32.16 ID:HqoDMkgW0
AD(ササッ)
司会「……ん?」
司会「おおっと」
司会「ここで、大変興味深い情報がこちらに入って参りました」
司会「今ご紹介しました医学部女と女は」
司会「クイズの世界だけでなく恋の世界でもライバル関係にあるとのことです」
司会「そしてなんとこの大会で優勝した方が……」
司会「男の愛を獲得することができるという約束が交わされていると」
617: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:45:02.92 ID:HqoDMkgW0
司会「そして渦中の男がこの会場に来ているとの情報も入っております」
司会「キャメラ、ズームアーップ!」
ギャラリー(シーン)
男(……俺の顔が)
男(……巨大モニターに映ってやがる)
司会「……なんということでしょう」
司会「才知ある2人の美女から求愛を受けているのがこんな男とは」
司会「会場全体に怨念と羨望が混じった異様な空気が漂い始めました」
男(……おいっ)
618: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:45:38.52 ID:HqoDMkgW0
司会「さあ、それでは気を取り直していきましょう」
司会「ニートさんにお伺いします」
司会「ズバリ、ニートさんはどちらが優勝すると思われますか?」
ニート「あまり興味ないっていう」
ニート「どっちが優勝しようが所詮おれの相手じゃないっていう」
司会「おーっと、ニートさんのオレ様っぷりここに本領を発揮」
司会「もはや番組の進行は私一人でしていくしかないのか」
619: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:46:06.42 ID:HqoDMkgW0
司会「ではここからはルールの説明に入りましょう」
司会「問題はすべて早押しとなります」
司会「1問正解する度に1点が加算されます」
司会「ただし、回答を間違えた場合は1点減点」
司会「そして、20点先取した方が栄えある優勝者となります」
司会「それでは始めましょう」
司会「レーッツ、クイズ東応!」
620: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:46:34.99 ID:HqoDMkgW0
出題者の声「問題……」
出題者の声「フランス語で……」
ピンポーン
司会「速い!」
司会「医学部女、答えは?」
医学部女「『アムール』」
司会「さあ、正解しているかどうか……」
621: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:47:07.82 ID:HqoDMkgW0
ピンポンピンポーン
司会「せいかーい」
司会「なぜ分かる! なぜ『フランス語で』だけで分かるんだ医学部女!」
医学部女「それがアムール(愛)の力」
司会「きたーーー」
司会「恋する乙女の決め台詞はとろける程にあまーい」
622: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:47:45.05 ID:HqoDMkgW0
医学部女「……」
女「……」
司会「では続けて参りましょう」
司会「レーッツ、クイズ東応!」
623: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:48:13.11 ID:HqoDMkgW0
19問経過後……
ザワザワ、ザワザワ
司会「なんとうことでしょう」
司会「一体誰がこのような展開を予想できたでしょうか?」
司会「会場全体が何やら異様な雰囲気に包まれています」
司会「な、なんと医学部女、19問連続正解!」
司会「早くも優勝に王手をかけることとなりました」
624: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:48:55.01 ID:HqoDMkgW0
司会「一方追い詰められたのは女」
司会「医学部女の猛烈な早押し攻撃の前になすすべがありません」
司会「果たしてこのまま終戦を迎えてしまうのか」
司会「それとも奇跡の大逆転劇が起こるのか」
男(……マズイぞ)
625: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:49:27.54 ID:HqoDMkgW0
司会「ニートさん、いよいよ最大の山場を迎えることとなりましたが……」
ニート(グーグー)
司会「おーっと、ニートさんもあまりの急展開に意識を喪失してしまっているー」
司会「それでは次の問題にいきましょう」
司会「果たしてどういう結末が準備してあるのか」
司会「レーッツ、クイズ東応!」
626: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:50:01.76 ID:HqoDMkgW0
出題者の声「古代イスラエルの神話で……」
ピンポーン
司会「速い!」
司会「そしてボタンを押したのは……」
司会「医学部女だー」
司会「さあ、では答えを伺いましょう」
司会「医学部女、答えは?」
医学部女「ソロモンの裁判」
627: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:50:28.40 ID:HqoDMkgW0
司会「さあ、判定は……」
ピンポンピンポーン
司会「せいかーい」
司会「なんという劇的な幕切れでしょうか」
司会「決勝戦はなんと20問連続正解で……」
司会「優勝したのは医学部女だー」
司会「おめでとう、医学部女」
628: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:51:06.19 ID:HqoDMkgW0
スタスタ
AD(ヒソヒソ)「男さん、前へ出てください……」
男「えっ……」
AD「早く行ってください」
男「……はい」
司会「さあ、そして医学部女の想い人が……」
司会「きたーーーーーー」
司会「改めて紹介しましょう」
司会「彼が渦中の人物、男です!」
629: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:51:34.27 ID:HqoDMkgW0
司会「えー、今手元に入ってきた情報によりますと……」
司会「なんと彼も東大医学部在籍……」
司会「そしてその成績は学内NO.1ということです」
司会「男と医学部女……天才同士の世紀の大型カップルの誕生だー」
630: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:52:08.70 ID:HqoDMkgW0
スタスタ
医学部女「……」
女「……」
医学部女「女さん、1つだけ聞いていいかしら」
医学部女「なぜ、わたしの挑戦を受けてくれたの?」
女「……」
医学部女「わたしの推測が正しければ……」
医学部女「恐らくあなたは」
医学部女「わたしに勝てないことを分かっていた」
医学部女(ニヤリ)「どう?」
631: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:52:45.21 ID:HqoDMkgW0
女「勝つか負けるかなんて分かりませんでした」
女「ただ単に医学部女さんの情熱に」
女「心を動かされただけです」
医学部女「……そう」
632: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:53:15.96 ID:HqoDMkgW0
スタスタ
医学部女「最後の問題の答え……ソロモンの裁判」
医学部女「どういう内容か女さんは知っている?」
女「……いえ」
医学部女「その昔、古代のイスラエルに2人の遊女がいた」
医学部女「そして1人の赤ちゃんを巡って2人の間で争いが起こったの」
医学部女「赤子の母親は自分だってお互いが言い合ってね」
女「……」
633: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:53:42.45 ID:HqoDMkgW0
医学部女「それで2人の女は国王のソロモンに判断を委ねた」
医学部女「そうしたらソロモンは赤子を剣で裂いて2人の女に与えればいいって言ったの」
医学部女「かまをかけてね」
医学部女「その結果一方の女は裂いてでもいいから赤子をくれと言い……」
医学部女「一方の女は裂かれる位なら赤子は自分のものでなくていいと言った……」
医学部女「そういうお話」
女「……」
634: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:54:32.72 ID:HqoDMkgW0
医学部女「愛する人が幸せになるならば自分の幸せは実現できなくてもいい」
医学部女「そんな考えをできる人が愛とはなにかを最も深く理解している人」
医学部女「そしてソロモンは、後者の女に赤子を返してあげた」
635: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:55:01.23 ID:HqoDMkgW0
スタスタ
女「……」
医学部女「女さん」
医学部女「クイズではあなたに勝てたけど」
医学部女「男くんへの愛の深さではあなたに完敗だわ」
医学部女「あなたの行動のすべての前提には男くんの幸せがある」
医学部女「あなたこそ男くんに相応しい女性だわ」
636: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:55:37.20 ID:HqoDMkgW0
スッ
医学部女「わたしのわがままに付き合ってくれてありがとう」
女「……いえ」
ギュッ
医学部女「男くんと幸せになってね」
女「……はい」
637: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:56:15.35 ID:HqoDMkgW0
司会「すばらしい!」
司会「最後の最後で素晴らしいドラマが待っていました」
司会「優勝したのは医学部女でしたが」
司会「なんと医学部女は男への愛を遂げることを諦めました」
司会「まさに筋書きのないドラマ!」
638: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:56:49.51 ID:HqoDMkgW0
テクテク
男「医学部女……」
医学部女「男くん」
医学部女「これからもよろしくね」
医学部女「学問のパートナーとして」
男「……ああ、お手柔らかにな」
639: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:57:19.43 ID:HqoDMkgW0
クルリッ
医学部女「クイズなんて初めてやってみたけど」
医学部女「なかなか楽しかったわ」
医学部女「最後にあんな問題を出すなんて」
医学部女「出題者もなかなか粋なものね」チラリ
ニート「……!」
640: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:57:56.43 ID:HqoDMkgW0
ニート「お前なんでこっちをみているんだっていう」
医学部女(ニヤリ)「別に。意味はないわ」
司会「おーっと、ここでニートさんがお目覚めになったー」
司会「ニートさん、最後に今大会の総括をお願いします」
ニート「終わりよければすべてよしだっていう」
司会「すべてを見透かしていたかのような大胆なまとめー」
司会「以上、第32回のテレビ東応全日本クイズ王選手権をお送りしました」
641: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:58:21.49 ID:HqoDMkgW0
数日後……
スタスタ
医学部女「男くん、こんにちは」
男「おう、医学部女」
男「相変わらず綺麗だな」
医学部女「男くん、無害な女にはそういう軽口いうんだ」
642: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:58:49.44 ID:HqoDMkgW0
医学部女「ねえ、男くん」
医学部女「今度の週末時間ある?」
男「うん? 何で?」
医学部女「デートしよっ」
男「え゛っ……お前……」
医学部女「クスッ」
医学部女「冗談よ」
男「……へい、そうっすか」
643: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 18:59:29.68 ID:HqoDMkgW0
医学部女「女さんとね」
医学部女「わたし仲良くなったからそれだけ伝えておこうと思ってね」
男「女とお前がか……」
医学部女「うん、そう」
医学部女「今後もし何か女さんとの間でトラブルがあったら」
医学部女「共通の友人として相談に乗ってあげるから何でも相談してね」
男「……へい」
644: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 19:00:08.56 ID:HqoDMkgW0
男「しかしお前って……」
男「サバサバしているというか」
男「意外と立ち直りが早いんだな」
医学部女「うーん、そうねー」
医学部女「女の子っていうのは意外にプラグマティックな一面があるのよ」
医学部女「一時の情熱にその身を突き動かされるから感情的な存在に見えるかも知れないけど」
医学部女「実はものすごく計算高いから」
男「へー……」
645: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/09(月) 19:15:26.01 ID:HqoDMkgW0
医学部女「でもそんな風でも感情が理性を飲み込む時があるの」
医学部女「それは愛につき動かされたとき」
医学部女「男くんはあまり実感していないのかも知れないけど」
医学部女「女さんは私なんかじゃおよびもつかない程男くんのことを愛しているからね」
医学部女「今度は男くんが女さんの愛に応えてあげて」
医学部女「きっと女さんはすごく喜ぶから」
男「ははっ……頑張るっす」
終わり
650: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:33:03.49 ID:3gKYZDE/0
その年、晩秋の日本……
ギコギコ、ガチャ、スタスタ、ガラガラ
男「おつかれさーんっす」
男「配達終わりました」
配達所の所長「おう、男、おつかれさん」
配達所の所長「だいぶ朝がつらい季節になってきたなー」
男「ははっ、そうっすね」
配達所の所長「まー、座れや」
男「はい、あざーっす」
651: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:33:54.73 ID:3gKYZDE/0
ガラガラ、スタッ
配達所の所長「ところでもうこのアルバイトを始めてから1年半くらいになるんだったか?」
男「そうっすね」
男「途中ブランクは少しありましたけど……」
配達所の所長「いやーしかし東大行ってんのにこんなところで働いていていいのかい?」
配達所の所長「聞く話によると」
配達所の所長「家庭教師とかやれば儲かるんだろ?」
男「ははっ、まー好きでやってるんで……」
652: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:34:43.07 ID:3gKYZDE/0
配達所の所長「そうかい」
配達所の所長「そりゃうれしーねー」
配達所の所長「将来男がノーベル賞なんかとった日にゃ俺は泣いちまうかもしれねーな」
男「ははっ、ノーベル賞っすか」
配達所の所長「そう、ノーベル賞だ」
配達所の所長「男、お前なら絶対取れる」
配達所の所長「なんせ今年の受賞者はまだ子供の日本人らしーからなあ」
653: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:35:17.66 ID:3gKYZDE/0
男「……子供の日本人……ですか?」
配達所の所長「ああ、そうだ」
配達所の所長「ほら、今ちょうどニュースでやってるぜ」
男(チラリ)
654: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:35:50.83 ID:3gKYZDE/0
キャスター「……こちらはカリフォルニアです」
キャスター「現地でも今回の受賞は大きな話題となり多くの反響を呼んでいます」
キャスター「大学内で学生にインタビューを行いましたのでご覧ください」
……
インタビュアー(……今回の受賞者の方は大学内ではどんな存在ですか?)
学生A「GOD(神だ)」
学生B「とっても可愛いの。大学のアイドルのような存在ね」
学生C「本当にスーパーな存在だね。時折見せるあどけなさがとてもキュートだよ」
……
655: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:36:33.91 ID:3gKYZDE/0
キャスター「大学学長も祝辞を送っております」
……
インタビュアー(……今回の受賞をどのように思われますか?)
学長「本当に喜ばしいことだと感じております」
学長「そして記録ずくめの今回の受賞は彼女の努力の賜物です」
学長「彼女の成果が正当な評価を受けたことに関して」
学長「まず彼女におめでとうと言ってあげたいです」
……
656: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:37:06.26 ID:3gKYZDE/0
キャスター「大学内は祝福ムード一色でした」
キャスター「そんな中、受賞者の独占インタビューに成功しましたのでご覧ください」
……
インタビュアー(……今回の受賞、大変おめでとうございます)
…「ありがとうございます」
……
男「ぶっ」
男(……あれは)
657: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:37:44.41 ID:3gKYZDE/0
配達所の所長「どうした男?」
配達所の所長「本当に子供が出て来たからびっくりしたのか?」
男「……ははっ、まあ」
男(……間違いない)
男(……あれは幼女ちゃん)
配達所の所長「しかし本当にこんな子がノーベル賞なんか取れるもんなのかね」
配達所の所長「俺の孫娘の方がまだ大きいぞ」
男「ははっ、見た目は子供、頭脳は大人ってことっすね……」
658: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:38:20.21 ID:3gKYZDE/0
その日の夜……
ピロピロピロー、ピロピロピロー、ピッ
男「……はい」
女「やっほー」
女「男、見た?」
男「……幼女ちゃんのニュースか?」
女「あはっ」
女「そう」
男「ああ、見たよ」
659: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:39:14.97 ID:3gKYZDE/0
男「流石は先生としかいいようがないな」
男「ものの半年でノーベル賞を受賞されるとはな」
女「あはっ」
女「それでね、授賞式があるでしょ?」
男「ああ、あるな」
女「それに行こうかなーって思って電話したの」
男「おいっ」
660: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:40:09.49 ID:3gKYZDE/0
男「行きたい気持ちは分からんでもないが」
男「まず行く金がない」
男「そして仮に行ったとしても」
男「一般人は中には入れないんだぞ」
女「あはっ、大丈夫だよー」
男「えっ……、なんで?」
女「幼女ちゃんがチケットと招待状を送ってきてくれたから」
661: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:40:53.14 ID:3gKYZDE/0
5日後、ストックホルム……
ザワザワ、ザワザワ
男「うーん……」
女「どうかした?」
男「タキシードなんて着たの生まれて初めてだから」
男「なんか緊張してきた」
女「あはっ」
662: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:41:30.31 ID:3gKYZDE/0
女「まーこんなことがない限り着る機会なんてないしねー」
男「お前もドレスを着てそんな恰好をすると」
男「かなり雰囲気が変わるな」
女「へー」
女「どう? 似合ってる」
男「ああ、俺よりは似合っていると思うぞ」
女「あはっ、あんがと」
663: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:42:17.02 ID:3gKYZDE/0
テクテク
幼女「あっ!」
幼女「おねーちゃーん」
ダッ、ギュッ
幼女「久しぶり、おねーちゃん」
女「幼女ちゃん、久しぶり」
女「元気だった?」
幼女「うん、元気だった」
男「幼女先生、久しぶり……」
幼女(クルリ)
664: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:43:03.00 ID:3gKYZDE/0
スタスタ
外国人男「幼女、そちらの方たちはどちら様だい?」
幼女「……こっちが私の母の妹で」
幼女「こっちが……わたしの先生です」
外国人男「……!」
男「えっ……」
外国人男「……君か? 君が幼女のティーチャーなのか?」
男「いや……」
665: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:43:32.88 ID:3gKYZDE/0
幼女「そう、この人が私の先生」
外国人男「そうか、君が噂に聞く……」
男「いや、何か違うような……」
外国人男「いや失礼」
外国人男「私は幼女の研究のパートナーで遺伝子工学を専門としている者なんだ」
男「……ということはノーベル賞の……」
666: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:44:04.24 ID:3gKYZDE/0
外国人男「そうだ、今回受賞することになる」
外国人男「しかしそんな話はいまはいい」
外国人男「幼女の才能は実に素晴らしい」
外国人男「そして幼女からいつも話を聞いていた」
外国人男「ジャパンに幼女のティーチャーがいると」
外国人男「そしてその人物が今わたしの目の前にいる」
外国人男「まるで夢の中にいるような気分だよ」
男「……はあ」
667: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:45:03.25 ID:3gKYZDE/0
外国人男「ときに君は今何をしているんだ?」
男「……一応、東京大学で医学部に在籍しています」
外国人男「UTか……」
外国人男「いや失礼、実は君の名前で論文を探してみたことがあるんだが」
外国人男「1つも見つけることができなかった」
外国人男「なぜだ? なぜ論文を発表しないんだ」
男「いや、なぜと言われましても……」
668: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:45:47.31 ID:3gKYZDE/0
外国人男「私は君が書いた論文を読みたい」
外国人男「いや、もとい、君に教授を仰ぎたいんだ」
男「教授!?」
スタスタ
研究者風の男「ん? 外国人男、そちらの方は?」
外国人男「おお、研究者風の男」
669: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:46:20.92 ID:3gKYZDE/0
外国人男「驚くなよ」
外国人男「こちらが幼女のティーチャーの男さんだ」
研究者風の男「……グ、グレート」
スタスタ
研究者風の男「ずっとお会いしたいと思っておりました」
男「えっ……」
670: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:46:54.34 ID:3gKYZDE/0
研究者風の男「いやまさかこんなところでお目に掛かれるなんて」
研究者風の男「突然の質問を許して欲しいのですが」
研究者風の男「今回の私たちの研究成果……」
研究者風の男「テロメアの構成因子の組み替えに関する研究をどう思われますか?」
男「いや、どう思うか聞かれましても……」
研究者風の男「率直に言って頂いて構わないのです」
671: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:47:32.20 ID:3gKYZDE/0
ザワザワ
科学者風の男「ん? そちらの方はもしや」
科学者風の男「ミスター男か!」
研究者達「なんだと、男だと!」
研究者達「男がこの会場に来ているのか?」
672: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:48:16.49 ID:3gKYZDE/0
ザワザワ
科学者風の男「ミスター男、統一場理論に関する君の見解を教えてくれないか?」
髭のある男「そんなことよりムッシュ、我が研究所に来ないか?」
髭のある男「ムッシュになら年俸1000万ユーロを出す」
眼鏡を掛けた男「いや、是非我が大学の特任教授として来てくれ」
眼鏡を掛けた男「我が大学なら2000万ドルをあなたに出せる」
科学者風の男「いや、ミスター男が来るならうちの研究室だ」
科学者風の男「何と言ってもうちの研究室にはミスター男の教え子の幼女がいる」
科学者風の男「研究環境もすべて世界最高レベルだ」
男「……」
673: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:48:54.24 ID:3gKYZDE/0
スタッ
男(ヒソヒソ)「幼女先生……」
男(ヒソヒソ)「一体どういうことっすか……」
幼女「ん? だっておにーちゃん、わたしの先生だったじゃん」
男「いやまあ確かに一時期はそうでしたが……」
男「さすがにノーベル賞受賞者の『先生』の肩書きは身に重いっす」
674: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:49:30.39 ID:3gKYZDE/0
幼女「……あのおっさんたちがしつこくてうるさいからね」
幼女「おにーちゃんを私の先生だってかねて吹き込んでおいたの」
幼女「だからおにーちゃん」
幼女「今日は私の先生としてあの人たちの相手をしてあげて」
男「いや、そうは言われましても……」
675: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:49:58.63 ID:3gKYZDE/0
髭のある男「ムッシュ、どうだ? 考えてくれないか?」
幼女「先生にはフィアンセがいるのっ」
幼女「だから日本からは離れられないのっ」
髭のある男「フィアンセ……そちらの美しい貴婦人の方のことか?」
眼鏡を掛けた男「ならばそちらのミスが望む通りの居住環境を準備しよう」
眼鏡を掛けた男「閑静な郊外、それとも交通の便のいい都会」
眼鏡を掛けた男「ミスはどちらがお好きで?」
676: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:50:24.75 ID:3gKYZDE/0
幼女「とにかく先生は日本から離れられないの」
科学者風の男「……そうなのか? ミスター男」
男「ははっ、まあ」
科学者風の男「なぜなんだ? 理由を教えてくれ!」
男「え゛っ……」
幼女「日本政府が許さないからっ」
研究者達「……!」
677: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:50:57.55 ID:3gKYZDE/0
科学者風の男「そうか……」
科学者風の男「類まれなる人材の流出を防ぐために政府が動いているということか」
科学者風の男「それならば仕方あるまい……」
男(……やれやれ)
科学者風の男「私の研究室の拠点は日本に移そう」
男「……え゛っ」
678: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:51:27.37 ID:3gKYZDE/0
眼鏡を掛けた男「ならば我が大学も日本にキャンパスを作ろう」
髭のある男「私の研究所は既に日本に研究施設を持っている」
髭のある男「日本の文化を一番よく理解しているのは我が研究所だ」
男「いや、俺は取りあえず籍を移す積りはないので……すみません、ちょっとトイレ」
ダッ
研究者達「待ちたまえ!」
ダダダダダダッ
研究者達「いや、待ってくれ、男!」
ダダダダダダッ
679: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:52:03.71 ID:3gKYZDE/0
授賞式後……
ザワザワ、ザワザワ、コソコソ
男「いや、しかし生で見るとやっぱりすごかったな」
女「うん、そだねー」
男「なんか荘厳な感じでいるだけで疲れたわ」
女「あはっ」
680: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:52:45.44 ID:3gKYZDE/0
男「しかし、幼女先生……」
男「歴戦の古豪って感じのおっさん連中に混じって明らかに1人異質だったな」
女「……」
男「でも何か他の受賞者達を従えているようにも見えたんだがそれは俺の気のせいか?」
女「うーん……」
男(コソコソ)
女「あはっ」
女「なにコソコソしてんの?」
男「いやもう変な奴らに絡まれるのは御免だからな」
男「なるべく身を隠すようにしているんだ」
……
681: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:53:43.55 ID:3gKYZDE/0
男「ところでこの辺りで待っていれば良かったんだよな?」
女「うん、そだねー」
女「晩餐会ももう終わっているはずの時間だし」
女「もう少しで来るんじゃん?」
タッタッ
男「ん? 噂をすればだな」
682: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:54:14.07 ID:3gKYZDE/0
幼女「お待たせー」
幼女「はい、おにーちゃん」
チャリン
男「ん? 何これ」
幼女「車のキー」
幼女「そこに停めてある車」
幼女「おにーちゃん、運転して」
683: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:54:47.56 ID:3gKYZDE/0
男「いや、いきなり運転って言われても……」
男「左ハンドルの車なんて運転したことないし」
幼女「早くして! おにーちゃん」
男「早く?」
外国人の男達「いたぞ、あそこだ!」
幼女「もう来た」
幼女「とにかく車を出して」
男「……へい」
684: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:55:31.57 ID:3gKYZDE/0
ブルルルルッ、ブーン
外国人の男達「こらー、待てー」
男「……なんかあの人たち怒ってねーか?」
男「なんかさっき会場にいた人たちも混じっているように見えるし」
幼女「イーっだ」
幼女「ばいばーい」
ブオーーーン
外国人の男達「くそっ」
外国人の男達「逃げられたか……」
685: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:56:07.74 ID:3gKYZDE/0
……
男「で、幼女先生、どこへ向かえばいいんですか?」
幼女「マルメ空港」
男「かしこまりました、マルメ空港ですね……」
男「って、それはどこにあるのでしょう?」
男「女、カーナビで探せるか?」
女「うん、探してみるよー」
686: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:56:45.03 ID:3gKYZDE/0
ピーン、ピーン
男「しかし、何で追いかけられていたんですか? 幼女先生」
幼女「あのひと達がわたしのことを逃がしたくないから」
幼女「研究を続けていくためにね」
男「ってことはもう研究はしたくないってこと?」
幼女「……違うよ、おにーちゃん」
幼女「研究が好きとか嫌いとかっていう話しをしているんじゃない」
幼女「あの人たちと一緒にいるのがもううんざりだっただけ」
687: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:57:20.28 ID:3gKYZDE/0
男「ふーん」
男「何か嫌なことでもされたの?」
幼女「……」
幼女「レベルが合わないから」
幼女「あの人達とね」
男「それってつまり……」
男「ノーベル賞を受賞する様な学者達でも幼女ちゃんにとっては物足りないってことっすか?」
幼女「うん」
688: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:58:05.26 ID:3gKYZDE/0
幼女「全然ダメだね」
幼女「今回の研究のアイデアも理論も全部私が出したものだし」
幼女「そのくせメンツや名声を気にしてばっかりで」
幼女「私は共同研究者ってことになってるし」
男「ははっ、厳しいご指摘っすな、幼女先生」
男「で、それで空港に向かうってこと?」
男「一区切りついたし旅行に出かけたりお母さんに会いに行ったりって……」
689: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:58:38.99 ID:3gKYZDE/0
幼女「ううん、違うよ」
幼女「もうあの人達とは縁を切ることにしたの」
幼女「あの人たちといてもつまんないし」
男「ははっ、そうっすか」
男「だから追われていたんすね……」
幼女「……!」
幼女「おにーちゃん、車停めて!」
男「えっ」
690: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:59:14.26 ID:3gKYZDE/0
キュキュッ
男「どうしたの? 幼女ちゃん」
幼女「あのお店あるでしょ?」
幼女「有名な洋菓子屋さんなの」
幼女「プリン買ってきて」
男「プリンって……」
男「いま逃げてるんじゃ……」
幼女「大丈夫だから、はやく」
男「……へい」
……
691: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 18:59:59.40 ID:3gKYZDE/0
ガチャン
男「はい、幼女先生」
男「生クリームたっぷりのカスタードプリンを買ってきましたぞ」
幼女「あー、ありがとう、おにーちゃん」
男「ほら、女にも」
女「あはっ、あんがと」
男「ところで、カーナビセットできた?」
女「うん、できたよー」
692: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:00:30.44 ID:3gKYZDE/0
男「どの位かかりそう?」
女「うーん、4、5時間くらいかな?」
男「げっ、そんなに掛かるのか……」
男「幼女先生、空港への到着は深夜になりそうだけど」
パクパク
幼女「……うん、大丈夫」
693: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:01:10.45 ID:3gKYZDE/0
男「大丈夫って言われても……」
男「飛行機はもう飛んでないかも知れないんじゃ……」
幼女「大丈夫だよ、おにーちゃん」
幼女「チャーター便を用意してあるから」
男「ははっ、チャーター便っすか」
男「そりゃ豪勢っすな」
694: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:01:41.60 ID:3gKYZDE/0
男「それで行き先は?」
幼女「スイス」
男「スイス……ふーん」
男「研究者の知り合いの人でもいるの?」
幼女「ううん、わたしの病気を治してくれた先生がいるの」
男「へー、じゃあその人にノーベル賞受賞の報告に行くってわけか」
幼女「それもあるけどね」
695: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:02:14.18 ID:3gKYZDE/0
幼女「わたしね」
幼女「スイスに亡命するの」
男「……!」
女「……」
男「ははっ、亡命っすか……」
男「スイスに住むことにしたわけ?」
幼女「ううん」
696: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:02:55.58 ID:3gKYZDE/0
幼女「スイスに亡命するのはアメリカ政府と日本政府と取引をするため」
幼女「わたしの病気を治してくれた先生はスイス政府の人物とコネクションがあるから」
幼女「便宜を図ってもらうことにしたの」
男「……ははっ、話がでかいっすな」
幼女「ねー、おにーちゃんとおねーちゃんも一緒に来て!」
幼女「ねっ? いいでしょ?」
女「あはっ、分かったよー、幼女ちゃん」
男「……へい」
697: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:03:31.87 ID:3gKYZDE/0
5時間後、チャーター便の中……
スヤスヤ
男「ははっ、幼女ちゃん、かわいい顔して寝てるや」
女「うん」
男「こうして寝顔だけ見ていると本当にまだあどけない女の子にしか見えないんだけどな」
女「そだねー」
男「行先はスイスか……」
698: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:03:59.60 ID:3gKYZDE/0
男「幼女ちゃんの病気を治した先生ってどんな人なんだろ?」
男「お前って会ったことあったんだっけ?」
女「ううん、ないよー」
女「おねーちゃんから聞いた話だと」
女「普段はアメリカの大学病院に勤めている人で世界的にも有名な先生みたいだねー」
男「そうか」
699: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:04:37.83 ID:3gKYZDE/0
男「俺も一応医学部だし」
男「この機会に色々と教えてもらおうかなー」
女「あはっ」
男「でも今日はとにかく疲れたし」
男「飛行機の中であんまり落ち着かないけどもう寝るか……」
女「うん、そだね」
女「おやすみ、男」
男「ああ、おやすみ」
700: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:05:40.22 ID:3gKYZDE/0
翌日……
ブーン
男「いい景色だなー」
男「さすがスイス」
運転手「男さんはこちらにこられたのは初めてですか?」
男「はい、まー」
701: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:06:14.05 ID:3gKYZDE/0
運転手「日本では温泉がいっぱいあるかも知れませんが」
運転手「スイスにもいい温泉が意外とあるんです」
運転手「美容にいい温泉もあります」
女「えー、本当ですかー?」
女「行ってみたいなー」
702: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:06:52.82 ID:3gKYZDE/0
運転手「ははっ、時間があるようでしたら帰りに寄ってみられたらどうですか?」
運転手「バート・ラガッツの温泉が私のおすすめです」
女「へー、そうなんですか」
運転手「幼女さんも以前スイスに来られた時に行かれましたよね」
幼女「うん、行ったね」
幼女「おじ様に連れてってもらったんだ」
703: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:09:49.84 ID:3gKYZDE/0
男「幼女ちゃん、おじ様って誰?」
幼女「私の病気を治してくれた先生」
女「へー、先生と仲がいいんだ、幼女ちゃん」
幼女「うん」
幼女「先生はすごく優しい人なんだ」
幼女「あんまり表に出たがらない人だけど」
幼女「本当に頭のいい人だし」
704: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:10:25.54 ID:3gKYZDE/0
男「幼女ちゃんが頭がいいっていうなんて」
男「相当すごい人なんだな」
幼女「うん、すごいよ」
幼女「私がいままで会ってきた中で一番の人」
幼女「おにーちゃんも色々と教えてもらうといいよ」
男「ははっ、先生の迷惑にならないんなら是非ともお願いしたいですな」
705: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:10:59.89 ID:3gKYZDE/0
運転手「そうだ、旦那さんも大変喜ばれてましたよ、幼女さん」
運転手「今回のノーベル賞受賞は大変素晴らしいことだと」
幼女「えっ、本当?」
運転手「ええ、本当ですとも」
運転手「流石は幼女さんだと大変お褒めになられてました」
幼女「やったー、うれしーな」
女「幼女ちゃん、良かったねー」
幼女「うん」
706: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:15:55.82 ID:3gKYZDE/0
幼女「ところでおじ様は元気にしてる?」
運転手「ええ、とても元気です」
運転手「忙しくあちこち飛び回られてますが」
運転手「今回は幼女さんが来られるのを大変楽しみにされてましたよ」
幼女「へー、私も楽しみだなー」
幼女「おじ様に聞きたいこともいっぱいあるし」
幼女「おじ様にお願いしたいこともあるしね……」
運転手「……」
707: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:16:23.10 ID:3gKYZDE/0
運転手「きっと旦那様なら幼女さんの力になってくれます」
運転手「あれ程の大人物の方は中々いらっしゃいませんから」
幼女「うん、私もそう思うよ」
幼女「あとはおじ様の迷惑にならなければいいんだけど」
運転手「その心配はいらないと思いますよ」
運転手「旦那様は幼女さんのことを大変気に入られてますから」
幼女「そう、ありがとう、運転手」
708: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:16:54.27 ID:3gKYZDE/0
幼女の主治医の家……
テクテク、テクテク
幼女「あー、懐かしいなー」
運転手「幼女さん、さあ、どうぞ」
ガチャッ
幼女「お邪魔しまーす」
女「お邪魔しまーす」
男「……失礼しまーすっと」
709: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:17:36.93 ID:3gKYZDE/0
運転手「旦那様、戻りました」
…「そうか、ご苦労だったっていう」
男「……!」
幼女「あっ、おじ様!」
ダッ、ギュッ
幼女「おじ様、元気にしてた?」
ニート「ああ、とても元気だったっていう」
ニート「幼女も元気そうで安心したっていう」
710: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:18:06.19 ID:3gKYZDE/0
男「おい、てめー」
ニート「……うん?」
ニート「そちらさんはどちらさんだっていう」
男「日本から来た男と言います……って」
男「てめー、すっとぼけるのもいい加減にしろよ」
711: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:18:36.06 ID:3gKYZDE/0
ニート「ちょっとからかっただけだっていう」
ニート「よくここまで来たなっていう」
ニート「女もようこそっていう」
女「うん、久しぶり、ニート」
幼女「えー、おにーちゃんとおねーちゃん、おじ様と知り合いなの?」
ニート「俺が日本にいた時に色々とお世話になったっていう」
ニート「幼女が丁度入院していた時の話しだっていう」
712: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:19:02.71 ID:3gKYZDE/0
ニート(チラリ)
女「……!」
幼女「そうだったの? おねーちゃん」
女「うん、そうだよ」
女「幼女ちゃんの入院していた病院にニート先生が来た日があったんだ」
女「ニート先生が幼女ちゃんの主治医だったっていうのは知らなかったけどねー」
幼女「へー」
運転手「ささっ、こんな所で立ち話も何ですから奥の部屋に入りましょう」
運転手「暖かい飲み物もお持ちいたします」
幼女「うん、そうだね」
幼女「ありがとう、運転手」
713: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:19:31.76 ID:3gKYZDE/0
奥の部屋……
男「西洋の館って感じの部屋だなー」
女「そだねー」
女「すごくシックだし、暖炉がすごい」
男「そうだな」
男「サンタクロースが出てきそうな暖炉だな」
714: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:20:01.33 ID:3gKYZDE/0
ニート「まあ、座れっていう」
ニート「長旅で疲れているだろうっていう」
ニート「2・3日ここでゆっくりしていけばいいっていう」
男「へい、サンクス」
ニート「ところで幼女、ノーベル賞受賞おめでとうっていう」
ニート「テロメアと統一場理論についてのお前の研究……」
ニート「とても素晴らしい内容だったっていう」
幼女「ありがとう、おじ様」
715: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:20:31.90 ID:3gKYZDE/0
幼女「でもおじ様なら私よりももっとすごいことができるはず」
幼女「今回の研究でもおじ様に聞きたいことがたくさんあったし」
ニート「幼女にしかできないこともあるっていう」
ニート「お前の頭脳は本当に素晴らしいっていう」
ニート「俺ができないこともお前ならできるっていう」
幼女「おじ様、相変わらずね」
幼女「まあ、いいや」
716: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:21:00.82 ID:3gKYZDE/0
幼女「おじ様、実はおじ様にお願いしたいことがあってここまで来たの」
ニート「いいぞっていう」
ニート「なんでも言ってみろっていう」
ニート「ノーベル賞受賞のご褒美として」
ニート「なんでも願いを聞いてやるっていう」
幼女「ありがとう、おじ様」
717: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:21:37.04 ID:3gKYZDE/0
幼女「実はね、おじ様」
幼女「おじ様にスイス政府と交渉をしてもらいたいの」
幼女「アメリカ政府と日本政府を説得するために」
ニート「……」
幼女「アメリカには色々とお世話になったりもしたから」
幼女「今回の授賞式が終わるまでは我慢していたけれど」
幼女「もうアメリカには戻りたくないの」
718: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:22:12.59 ID:3gKYZDE/0
幼女「その代わりに日本に学術センターを開設したいんだ」
幼女「世界中の若くて才能のある人達を集めて」
幼女「文明をリードする研究をしていきたいの」
ニート「……」
幼女「でも、私が何か言ったところでアメリカ政府は私のことを解放してくれなさそうだから」
幼女「おじ様の力を借りて」
幼女「スイス政府に協力を申し出たいの」
ニート「了解したっていう」
ニート「幼女、お前の願い、聞き入れてやるっていう」
幼女「本当? ありがとう、おじ様」
719: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:22:54.60 ID:3gKYZDE/0
ガチャッ
運転手「紅茶をお持ちいたしました」
ニート「運転手、ちょうどいい所にきたっていう」
ニート「電話をつないで欲しいっていう」
運転手「はい、かしこまりました」
カチャカチャ
運転手「旦那様、どちらにお電話されますか?」
ニート「ノアにかけてくれっていう」
720: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:23:32.30 ID:3gKYZDE/0
その日の夜……
テクテク、テクテク
男「いやー、しかしスイスはいい所だな」
男「食べものはおいしいし、空気もおいしいし」
女「あはっ、そだねー」
女「明日、家政婦さんにスイス料理のレシピを教えてもらおうかなー」
男「え、ほんと?」
男「期待していいのか?」
女「あはっ、まーいいよー」
721: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:24:03.93 ID:3gKYZDE/0
男「ところで、幼女先生、目的地まであとどの位でしょうか?」
幼女「もう少しだよ」
幼女「もう疲れたの? おにーちゃん」
男「へい、すいやせん、もう歳なもんで」
女「あはっ」
幼女「ほらっ、着いた」
男「わっ」
女「すごーい」
722: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:24:47.90 ID:3gKYZDE/0
男「こんな開けた所があったのか……」
男「そして……」
幼女「プラネタリウムみたいでしょ?」
男「まさにその通りっすな」
女「綺麗ー」
女「幼女ちゃん、星座とか分かるの?」
幼女「うん、分かるよ」
幼女「あれがオリオン座で、あれがふたご座」
女「へー」
723: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:25:37.46 ID:3gKYZDE/0
女「綺麗だねー」
女「幼女ちゃん、この場所ニート先生に教えてもらったの?」
幼女「うん、そうだよ」
女「すごくいいところだね」
幼女「うん、そうでしょ!」
幼女「春ぐらいにくるとね、草むらに寝そべって星空を見るのがすごく気持ちいいんだよ」
女「へー」
724: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:26:03.80 ID:3gKYZDE/0
男「うーん」
女「あはっ」
女「どうかしたの? 男」
男「なんだか星空をずっと眺めていたら少し目が回ってきた」
女「あはっ」
女「まー確かにずっと見てたら吸い込まれていきそうな感じはするねー」
男「こんだけ星があるんだったら宇宙のどこかには知的生命体が存在するんだろうなー」
女「そうかもねー」
725: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:27:16.23 ID:3gKYZDE/0
男「幼女ちゃん、そう言えば統一場理論を確立したことで宇宙の秘密って解明されたの?」
幼女「宇宙の秘密?」
男「うん、そう」
男「宇宙の仕組みとか……」
幼女「宇宙の仕組みは完全には分からないよ」
幼女「実験で証明することが難しいから」
男「へい、そうっすか」
726: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:27:55.63 ID:3gKYZDE/0
幼女「でも、理論を考えていくことで1つだけ分かったことがあるよ」
男「へー、それは何?」
幼女「……宇宙の仕組みは結局は分からないということが分かったの」
男「そりゃまたなんとも……」
幼女「どのような仕組みでこの世界が成り立っているのかは誰にも分からない」
幼女「つまり、不可知なの」
幼女「もしかしたらわたし達が見ているこの世界はすべて幻なのかも知れないし」
幼女「神様がサイコロを振ってすべてを決めているのかも知れない」
幼女「わたし達がそれを知ることはできないことは分かった」
727: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:28:24.86 ID:3gKYZDE/0
男「ははっ、そうっすか」
男「ところで話は変わるんだけど」
男「寒くなってきたっす」
女「あはっ」
幼女「えー、おにーちゃん、寒がりなの?」
男「女は平気なの?」
女「うん、防寒着も来てるし、まー大丈夫だよ」
男「幼女先生、すいやせんが、次来るときはホッカイロ持参にします」
幼女「まー、しょうがないから戻るか」
728: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:28:51.85 ID:3gKYZDE/0
翌日……
カサカサ、カサカサ
幼女「……」
男「へー、これがアメリカ政府と日本政府からの回答か」
男「すげー早いな」
ニート「それだけ幼女が重要な存在ってことだっていう」
ニート「それに俺の方からもかなり圧力をかけておいたっていう」
ニート「政府関係者は顔色を変えながらこの回答を作成したはずだっていう」
男「へい、さいですか」
729: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:29:29.46 ID:3gKYZDE/0
男「で、どうなの? 幼女ちゃん」
男「望みは叶いそうなわけ?」
幼女「うん、アメリカ政府も拘束はしないって言ってる」
幼女「まあ、アメリカには今後も何度かいくことにはなりそうだけど」
幼女「これはしょうがないかな」
男「ふーん、で、日本政府の方は?」
730: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:30:10.17 ID:3gKYZDE/0
幼女「うん、こっちは全面的に要望を受け入れてくれてる」
幼女「学術センターの設立に全面協力してくれるって」
男「ほんと? そりゃ良かったなー」
幼女「おじ様、本当にありがとう」
幼女「おじ様のおかげですべてがうまくいきそう」
ニート「礼を言われるには及ばないっていう」
ニート「俺は大したことはしていないっていう」
ニート「俺の知人のノアが頑張ってくれたおかげだっていう」
731: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:30:37.95 ID:3gKYZDE/0
男「ノアって誰?」
ニート「俺の右腕の男だっていう」
ニート「今度機会があったらお前たちにも紹介してやるっていう」
男「へい、そうっすか」
男「いずれにしても幼女ちゃんはこれからまた忙しくなるんですな」
幼女「うん、おにーちゃんもね」
男「え゛っ、何で?」
732: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:31:15.90 ID:3gKYZDE/0
幼女「学術センターのセンター長はおにーちゃんにするから」
男「いや、何を言っているのかよく分からないんですが……」
幼女「世界中の学者が集まってくるからおにーちゃんにとってもいい勉強になるでしょ?」
男「いや、そんなこと言われましても……そもそも幼女ちゃんは……」
幼女「わたしは統括センター長になるから」
幼女「おにーちゃんは私の部下ね」
幼女「で、ニート先生が相談役だから」
733: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:31:47.44 ID:3gKYZDE/0
ニート「センター長、よろしくっていう」
ニート「悩み事があったら何でも相談に乗ってやるっていう」
男「おいっ……っていうか」
男「とても務まる気がしないんですが……」
幼女「務まるか務まらないかじゃない」
幼女「務めるの!」
男「ははっ、なんかどこかで同じセリフを言われたことがあるような」
男「へい、分かりやした、がんばりやっす……」
734: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:32:15.20 ID:3gKYZDE/0
2週間後、日本、クリスマス……
男「じゃあ、幼女ちゃんのノーベル賞受賞と学術センターの開設をお祝いして乾杯と行きますか」
男「かんぱーい」
女「かんぱーい」
幼女「かんぱーい!」
幼女「料理おいしそー」
幼女「おねーちゃん、ありがとう」
女「幼女ちゃん、いっぱい食べてねー」
735: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:32:45.66 ID:3gKYZDE/0
男(パクパク)
男「ん、なかなかいけるぞ」
男「この前スイスで食べた時と同じ味だ」
女「うん、ちゃんとレシピ通りに作ったからねー」
幼女(パクパク)
幼女「おいしー」
女「あはっ、喜んでもらえて良かった」
女の姉「うん、本当においしい」
女の姉「私も今度作り方を教えてもらおうっかな」
女「うん、いいよ、おねーちゃん」
736: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:33:12.89 ID:3gKYZDE/0
女の姉「でも本当に色々とありがとうね、男くん」
女の姉「幼女がこうして日本に戻ってきてとても安心したわ」
男「ははっ、自分は全然なにもしてないっす」
幼女「別にわたしはへーきだったよ、お母さん」
幼女「1人でアメリカで暮らしていても全然不自由しなかったし」
女の姉「そうは言っても本当に心配だったのよ、幼女」
女の姉「わたしも一緒にアメリカに付いていきたかったんだからね」
女の姉「あなたが断りさえしなければ」
737: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:33:51.55 ID:3gKYZDE/0
幼女「一人暮らしがしてみたかったの」
幼女「ごめんなさい、お母さん」
女の姉「幼女、普通はあなた位の歳だとお母さんべったりの子が多いんだけどね」
女の姉「きっと成長のスピードが他の子とは違うのね」
幼女「うん、そうかもね」
738: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:34:22.48 ID:3gKYZDE/0
女の姉「ところで男くん、スイスはどうだった?」
男「えっ、スイスですか?」
女の姉「うん」
男「とてもいい所でしたよ」
男「自然がいっぱいあって」
男「とても落ち着いた雰囲気の街でしたし」
女の姉「ふーん」
739: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:34:50.43 ID:3gKYZDE/0
女の姉「実は私もスイスに行ったことがあるんだ、男くん」
男「えっ、そうだったんですか?」
女の姉「うん、新婚旅行でね」
男「へー、新婚旅行っすか」
女の姉「うん、わたしも冬に行ったんだけどね」
女の姉「その時はスノーハイキングしたりして楽しかったなー」
男「へー、雪山のハイキングっすか……」
740: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/01/22(日) 19:35:51.89 ID:3gKYZDE/0
女の姉「うん、そうだよ」
女の姉「男くんもまた行ってみるといいよ」
女の姉「新婚旅行とかで」
男「え゛っ」
女の姉「ねっ、女」
女「あはっ、それはまたそうなった時考えるよ」
男「ははっ、そうですな」
終わり
746: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:28:14.67 ID:++muyE600
ピカピカ、キランキラン
…「……ほー」
男「……んっ」
…「やっほー」
男「んんっ……」
男「んー……ん? 女か……」
女「あはっ、やっと起きた?」
男「ああ……」
747: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:29:14.03 ID:++muyE600
女「男、私もう行かなきゃならないから」
男「……ん? 何の話?」
女「今まで色々とあんがとね、楽しかったよ」
男「ん? 何言ってんの?」
女「じゃねー、男、元気でね」
スタスタ
748: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:29:43.53 ID:++muyE600
男「おい、ちょっと待てよ、女」
男「どこへ行くんだよ」
女(スタスタ)
男「おい、女!」
男「女……」
ピカピカ、キランキラン
……
749: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:30:16.18 ID:++muyE600
チュンチュン、チュンチュン、バサッ
男「……」
男「……夢か」
ゴソゴソ
男「新年早々変な夢見たな……」
男「……」
男「昨日、年明け前に餅食ったせいかな……」
750: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:30:46.78 ID:++muyE600
2時間後……
バタン
女「おっす」
女「あけおめ、男」
男「ああ、おめでとさん、女」
男の母「あらっ、あけましておめでとう、女ちゃん」
女「おめでとうございます、おばちゃん」
男の母「あらー、女ちゃん、見る度に綺麗になっていくわねー」
男の母「うらやましいわー」
女「あはっ、そんなことないですよ」
男「じゃあ、かーちゃん、出かけてくるから」
男の母「はーい、いってらっしゃい」
…
751: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:31:20.78 ID:++muyE600
テクテク、テクテク
男「うーん、眠い……」
女「何? 寝不足?」
男「うん、昨日遅くまで論文を書いてたからな」
女「へー、偉いじゃん」
男「なんせ幼女先生の指令だからな」
男「4月のセンター開設までに3本の論文を書けとのことですわ」
男「もし書けなかったらセンター長のポストの件は白紙に戻すって」
女「ふーん」
752: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:31:54.54 ID:++muyE600
男「俺はむしろセンター長のポストから更迭して欲しい位なんだけどな」
女「あはっ」
女「まー折角だし頑張れば」
男「ああ……まあ、それなりに頑張るよ」
男「っと、それとお前にはまだ言ってなかったかも知れないけど」
男「医学部女もセンターのメンバーの一員になることになったから」
女「うん、知ってたよ」
男「……なんだ、知ってたのか」
女「うん、医学部女さんからメールがあったからね」
男「ふーん、お前ら仲いいな」
女「うん、まーねー」
753: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:32:27.15 ID:++muyE600
初詣先の神社……
ガラガラ、ガラガラ、パチパチ
男「……」
女「……」
男「よし、行くか」
女「うん」
754: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:33:01.44 ID:++muyE600
テクテク、テクテク
女「男、何かお願いしたの?」
男「うーん、まあ去年は色々あっててんやわんやしてたイメージがあるから」
男「今年はゆっくりできますようにってお願いしといた」
女「あはっ」
女「でもこのままいくとまた忙しい1年になりそうじゃん?」
男「そうだな……」
男「今年は幼女先生に振り回される1年になりそうな予感が……」
755: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:33:42.45 ID:++muyE600
ザワザワ、ザワザワ
男「ん、おみくじか」
女「おみくじ、やってく?」
男「んっ、まあいいけど」
テクテク、テクテク
男「すいやせん、おみくじ、2人分」
巫女「はい、ではこちらの筒を振ってください」
男「へい」
756: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:34:15.17 ID:++muyE600
ガチャガチャ、カチャ
男「はい、女も」
女「あんがと」
ガチャガチャ、カチャ
巫女「はい、ではこちらの番号になります」
男「ありがとうございやす」
女「ありがとうございまーす」
757: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:34:46.51 ID:++muyE600
カサカサ
男「……!」
男「おい、女、どうだった?」
女「大吉だった」
女「男は?」
男「……大凶」
女「あはっ」
女「見せてよ」
男「へい、どうぞ」
758: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:35:32.61 ID:++muyE600
女「……どんなことが起ころうとも耐え忍ぶことで光明が見えてくる、だって」
男「うーん、今年も我慢の1年になるのか」
男「先が思いやられるな……」
女「うーん、まー何とかなるっしょ」
男「……ああ、そうだな」
男「とりあえずそう考えることにしよう」
759: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:36:02.27 ID:++muyE600
その日の夜……
ホワン、ホワン
男「……ん、ここは」
男「夢の中……か」
男「この感覚……」
男「夢の中であることがはっきりと分かるってことは……」
ニート「よう、男っていう」
男「てめー、現れやがったな」
760: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:36:43.18 ID:++muyE600
男「今度は一体何の用だ?」
ニート「久しぶりに会いたくなったから来ただけだっていう」
ニート「俺は今、新しい仕事に取り掛かっているからとても忙しいんだっていう」
ニート「陶芸に目覚めたから今修行をしている所だっていう」
ニート「ゆえに、しばらくお前の前に姿を現すことはないっていう」
男「へい、さいですか」
761: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:37:24.70 ID:++muyE600
ニート「でも安心しろっていう」
ニート「4月になったら学術センターの相談役として」
ニート「お前の悩みを親身になって聞いてやるっていう」
男「てめー……」
ニート「時に男、今日俺がお前に会いに来たのは」
ニート「お前の今年の運勢を占ってやるためだっていう」
ニート「去年、お前のリクエストに応えることができなかったから」
ニート「気にかかっていたっていう」
762: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:37:56.98 ID:++muyE600
男「別に占って欲しくなんかねーし」
ニート「では早速占ってやるっていう」
男「おい、てめー、人の話し聞いてんのか!」
ニート「……!」
ニート「早速見えたっていう」
ニート「お前の今年の運勢はずばり大凶だっていう」
男「……知ってました」
763: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:38:26.62 ID:++muyE600
男「言いたいことはそれだけか?」
男「俺はもういくぞ」
ニート「男、お前は相変わらずせっかちだなっていう」
ニート「男、一つだけアドバイスしておくっていう」
ニート「終わりよければすべてよしだっていう」
男「……?」
男「意味わかんねーし……」
764: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:38:59.12 ID:++muyE600
ニート「とても深い言葉だっていう」
ニート「ちなみにこのフレーズで今年の流行語大賞を狙っているからそこんとこよろしくっていう」
男「おい」
ニート「じゃあな、男っていう」
ニート「また逢う日までさらばだっていう」
ホワン、ホワン、ホワン、ホワン
765: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:39:30.08 ID:++muyE600
バサッ
男「……」
男「……うーん」
男「何か最近変な夢ばっか見るな……」
766: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:40:32.67 ID:++muyE600
翌週、女の通う大学……
ザワザワ、ザワザワ
女「……」
茶髪の男「よっ、女、おつかれさん」
女「先輩……おつかれさまです」
茶髪の男「悪いんだけどさ、お願いがあるんだ」
女「……はい、何ですか?」
767: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:41:07.90 ID:++muyE600
茶髪の男「前回のこのゼミのノート取ってたら写させてもらいたいんだけど」
女「ノートですか? いいですよー」
ササッ
茶髪の男「サンキュ、女」
茶髪の男「お前しか頼れる奴がいないんだよ」
茶髪の男「見ての通り、あいつらはもう就職が決まって単位も揃ってて遊ぶことしか考えてねーからな」
女「あはっ、そーですか?」
768: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:41:45.35 ID:++muyE600
茶髪の男の友人達「おい、茶髪の男、今なんか言ったか?」
茶髪の男「ははっ、何も言ってねーよ」
茶髪の男「……っと、それとさ、女」
茶髪の男「実は別件でお前に話したいことがあるんだ」
茶髪の男「もし時間があったら、この後少し付き合ってくれないか?」
女「……」
769: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:42:21.55 ID:++muyE600
スタスタ
茶髪の男の友人A「おい、茶髪の男、女を口説こうとしてるのか?」
茶髪の男の友人A「残念ながら女には彼氏がいるんだぜ」
茶髪の男の友人A「しかも、東大医学部だ」
茶髪の男の友人A「お前に勝ち目はねーって」
茶髪の男「知ってるっつーの」
茶髪の男「うるせーよ、お前ら」
770: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:42:58.65 ID:++muyE600
茶髪の男の友人B「女、気を付けた方がいいぜ」
茶髪の男の友人B「嫌なら断ってもいいんだからな」
茶髪の男「お前らはあっちいってろっつーの」
茶髪の男の友人B「はいよー」
スタスタ
女「……」
茶髪の男「女、別に無理にとは言わない」
茶髪の男「あいつらが言ってたように嫌なら断ってくれてもいいんだ」
女「……分かりました、いいですよ、先輩」
771: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:43:35.34 ID:++muyE600
人気のない大学の構内……
テクテク、テクテク
茶髪の男「しかし、お前は偉いな、いつもちゃんと講義を受けてて」
茶髪の男「成績もかなりいいんだろ?」
女「全然、そんなことないです」
茶髪の男「高校の時から勉強は好きだったの?」
女「まー、それなりに」
茶髪の男「ふーん」
772: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:44:03.87 ID:++muyE600
茶髪の男「確か、女の彼氏も同じ高校だったんだよな」
女「はい、そうです」
茶髪の男「彼氏さんはずっと校内1位だったの?」
女「いや、そうでもないですよー」
茶髪の男「ふーん、じゃあ、彼氏は結構努力派のくちなんだ?」
女「あはっ、まあそうですねー」
茶髪の男「……」
女「……」
773: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:44:48.04 ID:++muyE600
茶髪の男「ところで先週の話しなんだけどさ……」
女「はい」
茶髪の男「俺、就職先の内定式があったんだ」
女「へー、どんな感じでしたか?」
茶髪の男「結構変わった奴が多かったな」
茶髪の男「まあ、俺も変わってるのかもしんないけど」
茶髪の男「ああいう業界だからかな」
774: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:45:15.14 ID:++muyE600
女「そうなんですかー」
女「すみません、先輩ってどこに就職するんでしたっけ?」
茶髪の男「ん……」
茶髪の男「まー、アパレル業界みたいなところかな」
茶髪の男「企業というより業界に就職するみたいな感じで」
女「へー、そうなんですか」
775: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:45:59.57 ID:++muyE600
茶髪の男「でさっ、内定式の時、いきなり海外行けって言われたんだ」
女「海外ですか?」
茶髪の男「そう、来年の4月からニューヨークに行けって」
女「へー、すごいですね、先輩」
茶髪の男「ああ」
茶髪の男「最初言われた時はすげー驚いたんだけど」
茶髪の男「今はすげー楽しみになってる」
776: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:46:30.40 ID:++muyE600
茶髪の男「俺、海外にも行ったことがないからさ」
茶髪の男「不安でもあるんだけどな」
茶髪の男「女は海外とか行ったことあんの?」
女「はい、まー」
茶髪の男「へー、どこ行った?」
女「スウェーデンとかスイスとかです」
777: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:47:02.97 ID:++muyE600
茶髪の男「ふーん、渋いところ行ってんなー」
茶髪の男「彼氏さんと一緒に行ったの?」
女「はい、そうです」
茶髪の男「そうか……」
女「……」
778: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:48:15.19 ID:++muyE600
茶髪の男「女……」
茶髪の男「1つだけお前にお願いがあるんだ」
茶髪の男「俺の話、聞いてくれるか?」
女「……はい」
茶髪の男「そうか、ありがとう、女」
茶髪の男「実はな……」
779: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:48:48.18 ID:++muyE600
一方、その頃男は……
プシュッ、ゴクゴク
男「……!」
男「ブッ」
男(ん゛……このジュース……賞味期限が切れてやがる……)
780: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:49:33.77 ID:++muyE600
茶髪の男と女……
茶髪の男「……ということなんだ」
茶髪の男「突然の話しで驚いたか?」
女「……いえ」
茶髪の男「そうか、流石は女だな」
781: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:50:46.40 ID:++muyE600
茶髪の男「じゃあ、女、お前に聞く」
茶髪の男「今言った俺の願い……聞き入れてくれるか?」
女「……はい、分かりました」
茶髪の男「そうか、ありがとう」
女「でも、1つだけ条件があります」
茶髪の男「条件?」
女「はい……」
782: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:51:21.22 ID:++muyE600
一方、その頃男は……
カチャカチャ、カチャカチャ、プツン
男「ん?」
男「なんじゃこりゃ」
男「パソコン画面が……ブルースクリーンに……」
783: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:51:48.41 ID:++muyE600
男「まさか……」
男「ハードディスク壊れた!?」
プチッ
男(パソコン……起動しねー……)
男(うーん……)
男(俺の論文が……)
784: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:52:17.91 ID:++muyE600
茶髪の男と女……
茶髪の男「……分かった」
茶髪の男「お前の条件、飲もう」
茶髪の男「だが、何でそんな条件を?」
茶髪の男「俺の提案の方がいいように思えるけどな」
女「寂しいからです」
女「例え一時のことだとしても……」
茶髪の男「そうか……お前の言うことも分かる気がする」
茶髪の男「分かった、女、お前の望む通りにしよう」
785: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:53:27.78 ID:++muyE600
翌日、東応大学構内……
スタスタ
男「……んっ?」
男「おっす、医学部女」
医学部女「ん、男くんか」
男「隣座ってもいいか?」
医学部女「あら、わざわざ断りを入れるなんてっ」
医学部女「あなたと私の仲じゃない?」
男「医学部女、そういう言い方はやめろ」
786: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:54:05.02 ID:++muyE600
パタッ
医学部女「ん? どうしたの?」
医学部女「なんだか浮かない顔をしているじゃない」
男「うーん……」
男「実は昨日パソコンが壊れてさ」
男「論文のデータがすべて消えちゃったかもしんねー」
787: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:54:44.60 ID:++muyE600
医学部女「バックアップのデータは取っていなかったの?」
男「そんな面倒くさいことはしねー」
医学部女「ばかねえ」
医学部女「書き直す方がよっぽど面倒くさいじゃない」
男「うーん」
男「まー今後は気を付けますわ」
788: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:55:18.62 ID:++muyE600
男「うーん、しかし」
男「今度幼女先生に会った時に論文の進捗状況を報告したら」
男「きっと怒られんだろうなー」
医学部女「ふふっ、そんなことを気にしているわけ?」
男「お前はまだ知らないかも知れないけどな」
男「幼女ちゃんはとっても怖いんだぞ」
医学部女「ふーん、そうなんだ」
789: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:55:55.51 ID:++muyE600
医学部女「男くんが幼女ちゃんの前でたじたじになっている所……」
医学部女「すごく見たくなってきたなー」
男「お前はまたそういうことを言い出す……」
医学部女「ふふっ、ところで、その幼女ちゃんなんだけどね」
医学部女「この前会った時に動物園に行ってみたいって言ってたの」
男「動物園?」
医学部女「うん、そうよ」
790: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:56:35.51 ID:++muyE600
医学部女「まだ物心ついてから行ったことがないんだって」
男「へー……っていうか」
男「そもそも幼女先生はまだ物心ついてから何年も経っていないがな……」
医学部女「ふふっ、そうね」
医学部女「それで今週末に幼女ちゃんと一緒に東応動物園に行くことにしたんだけど」
医学部女「当然男くんも来るわよね?」
791: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:57:17.13 ID:++muyE600
男「へい……その誘いは断れませんな……色々な意味で」
医学部女「それ、どういう意味ー?」
男「別に深い意味はない」
医学部女「まあ、いいわ」
医学部女「あとは……女さんも誘っておいてね」
男「何だよ、お前仲いいんだからお前が誘えばいいじゃん」
医学部女「何言ってんのよ」
医学部女「あなたが誘えば女さんは喜ぶんだから」
医学部女「そういう所、疎くなっちゃダメよ」
男「……へい、分かりやした」
792: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:58:06.70 ID:++muyE600
その日の夜……
プルルルルルッ、プルルルルルッ、プルッ
女「はい」
男「ん、女か」
女「うん」
男「お前、今週末、暇か?」
女「今週末……ゴメン、ちょっと予定が入ってるんだ」
男「ふーん、そうか……」
793: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:58:46.63 ID:++muyE600
女「何かあるの?」
男「いや、幼女ちゃんが動物園に行きたいって言ってるみたいで」
男「医学部女も一緒に来るって言ってるからお前もどうかなって声かけただけ」
女「ふーん、そうなんだー」
女「私も一緒に行きたいけど、今回はちょっと無理そう」
男「へい、分かりやしたよ」
794: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:59:14.36 ID:++muyE600
男「医学部女が結構気にかけてたから、医学部女にはよろしく伝えておきますわ」
女「うん、あんがと、男」
男「ああ、じゃあな、女」
女「うん、おやすみー」
プツッ、ツー、ツー
……
795: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 18:59:42.01 ID:++muyE600
週末……
ザワザワ、ザワザワ
男(……うーん、動物園に行くなんて10年ぶりくらいかな……)
男(……さすがに親子連れが多いな)
男(……しかし幼女先生に会うのは少し気が重いな)
男(……論文さえなければもう少し心晴れやかな休日になったかも知れないが……)
796: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:00:08.94 ID:++muyE600
テクテク
幼女「おにーちゃーん、お待たせ」
男「ん、おいでなさいましたな、幼女先生」
医学部女「おはよう、男くん」
男「おっす、医学部女」
男「それじゃあ、早速行きますか」
幼女「おにーちゃん、動物園には行かないよ」
男「え゛っ、何で?」
幼女「水族館に行くから」
幼女「わたし、動物よりも魚類の方が好きなの」
男「へい……さいでしたか」
797: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:00:40.92 ID:++muyE600
水族館……
幼女「わー、見て見てー、あの魚すごーい」
幼女「あんなに口が大きく開くなんてすごーい」
医学部女「ふふっ、本当ね」
医学部女「でも、あの魚、実は肉食じゃないのよ」
幼女「えー、そうなのー」
医学部女「そうなのよ、幼女ちゃん」
798: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:01:11.04 ID:++muyE600
医学部女「ああやって大きく口を開けることで海中のプランクトンを口の中に頬張っているのよ」
幼女「ふーん、なるほどねー」
幼女「かわいいね」
医学部女「そうね、とてもキュートね」
男「……そうか? どの辺が?」
医学部女「あらっ、男くんにはあの魚の可愛らしさが分からない?」
男「まったく分からん」
799: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:02:11.47 ID:++muyE600
医学部女「そう、どうやらおにーちゃんには理解できないみたいよ、幼女ちゃん」
幼女「おにーちゃん、まだまだだね」
幼女「女心のなんたるかをおにーちゃんはまだ何も分かっていない」
男「いや、女心と言われましても……」
幼女「ところで論文の進み具合はどう? おにーちゃん」
男「うっ、突然来るんすね、先生」
800: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:02:38.65 ID:++muyE600
男「鋭意、執筆中です」
幼女「そういう官僚的な言い方はいらないの」
幼女「どこまで進んだのかを答えなさい」
男「うっ……」
男「……一応、1本目の論文の半分くらいまで進みやした」
幼女「えー、まだ1本目を書いてるの?」
幼女「書くの遅すぎるよ、おにーちゃん」
801: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:03:52.66 ID:++muyE600
男「いや、一応寝る間も惜しんで頑張っているんですが……」
幼女「そもそも1本目の論文のネタは私があげたものじゃん」
男「いや、でも最先端の理論物理学は流石に守備範囲じゃないんで……」
幼女「そんなのは関係ない」
男「いや、そうは言われましても……」
男「できればもう少しソフトなネタが欲しいのですが……」
802: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:04:20.91 ID:++muyE600
幼女「そんなないものねだりしてもダメー」
幼女「そもそも今回は時間がないから」
幼女「実験結果に基づく論文は書けないの」
幼女「だから必然的に理論で書くしかなくなる」
幼女「その位、おにーちゃんなら分かるでしょ?」
男「いや、でも理論にもピンからキリまであるわけで……」
803: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:04:48.47 ID:++muyE600
幼女「おにーちゃん、はっきり言うけど」
幼女「あの位の理論なら手玉にとって扱う位じゃないとこの先やっていけないよ」
幼女「学術センターには世界中からその道のスペシャリストが集まってくるんだからね」
男「うっ……」
男「相変わらず先生は手厳しいっすな……って」
男「何笑ってんだ、医学部女」
804: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:05:17.48 ID:++muyE600
医学部女「ふふっ、ふふふ……ごめんなさい」
医学部女「二人のやりとりが面白くって」
医学部女「……男くん」
男「へい、なんでしょうか?」
医学部女「萌えたわ」
男「何に?」
医学部女「あなたに決まってるでしょ!」
805: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:05:55.17 ID:++muyE600
医学部女「さすが私が見込んだ男の人」
医学部女「わたしの中の母性本能が……」
医学部女「激しく掻き立てられる……」
男「お前はまた……」
幼女「おにーちゃん、ちょっとトイレ行ってくる」
男「あ、ああ、分かったよ、幼女ちゃん」
806: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:06:33.93 ID:++muyE600
テクテク
医学部女「……」
医学部女「そう言えば女さんは来れなかったんだ」
男「ああ、そうだよ」
医学部女「理由は聞いた?」
男「いや、聞いてないけど」
医学部女「聞かなかったの?」
男「ん? ああ、そうだな」
807: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:07:00.82 ID:++muyE600
男「別に聞くような感じでもなかったし」
医学部女「ふーん、淡白ねー」
男「……何が?」
医学部女「もうちょっと男女の駆け引きを楽しみなさい、男くん!」
医学部女「もっと女さんのことを問い詰めるのよ」
医学部女「もちろん、直接的にではなくそれとなくね」
男「……何で?」
808: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:07:35.55 ID:++muyE600
医学部女「嬉しいからよ」
医学部女「断った時に相手にあっさり退かれたらまるで自分がどうでもいいみたいに感じちゃうでしょ?」
医学部女「表面上は退けているようでも実は心の中では求めているときもあるのよ」
男「ふーん、よう分からんな……」
男「俺が面倒くさがり屋のせいか?」
医学部女「ふふっ、さー、それはどうでしょう?」
809: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:08:09.19 ID:++muyE600
医学部女「……!」
医学部女(ヒソヒソ)「男くん!」
男「うん? 何だよ、医学部女」
医学部女(ヒソヒソ)「たいへん!」
男「何が?」
医学部女「ほら、あれ」
医学部女「女さん発見!」
男「……」
810: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:08:39.26 ID:++muyE600
医学部女「一緒にいる茶髪のチャラ男は誰?」
医学部女「男くん、知っている人?」
男「さー、知らんな」
医学部女「……行っちゃうよ、男くん」
医学部女「追いかけないの?」
男「何で?」
811: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:09:07.87 ID:++muyE600
医学部女「あなたねー」
医学部女「嫉妬するとかそういう感情は生まれてこないわけ?」
男「別に嫉妬する必要もないだろ?」
男「あの男だって女の大学の友達かも知れないし」
医学部女「それは女さんが自分の彼女だってことからくる余裕?」
男「余裕とかそういうのでもないが……」
医学部女「ふーん……」
812: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:09:40.67 ID:++muyE600
医学部女「ねー、男くんはさ」
医学部女「女さんとちゃんと○○○○してるの?」
男「え゛、おまっ、何を突然……」
男「なんでそんなことお前に……」
医学部女「ふふっ、ちょっと聞いてみただけよ」
医学部女「心がつながっているつもりでも、身体で確かめてみないと分からない時もあるから」
医学部女「まあ、女さんと男くんの場合は大丈夫なのかなーっ」
医学部女「一応、ご忠告までに」
男「……へい、忠告サンクス」
813: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:14:35.54 ID:++muyE600
その日の夜……
カチャカチャ、カチャカチャ
男(……ふー、だいぶ仕上がってきた)
男(チラリ)「……」
男(11時か……)
男(ちょっと女にメールでも送ってみるか……)
814: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:15:14.35 ID:++muyE600
カチャカチャ、カチャカチャ、ピッ
男(よし、そしたらもうひと頑張り……)
ブルブルブル、ブルブルブル
男(はやっ!)
男(女からの返信かな……)
カチャ、ピッ
男「なんじゃこりゃ……」
815: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:15:46.56 ID:++muyE600
男(送信エラーのメール……)
男(送信先は確かに女のアドレスだったはず……)
男(……もう一度送ってみるか?)
カチャカチャ、カチャカチャ、ピッ
男(……)
816: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:16:20.74 ID:++muyE600
ブルブルブル、ブルブルブル
男(……!)
カチャ、ピッ
男(またエラーメール……)
男「あいつ、アドレス変えたのか……?」
男(電話……してみっか……)
817: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:16:56.48 ID:++muyE600
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、トゥルルルルー、トゥルルルルー、カチャ
男「ん、女……」
電話の声「お客様のおかけになった電話番号は現在使われておりません……」
男(……)
スッ、ピッ
男(……)
男(……なぜ?)
818: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:17:21.79 ID:++muyE600
男(……女の電話が壊れた?)
男(……いや、違う)
男(メールアドレスと電話番号が変わっているというのは……)
男(……)
男(……なぜ俺に教えてくれない?)
男(……俺は遠ざけられているのか?)
男(いや、何か事情があるはず……)
男(……昼の男が絡んでいるのか……?)
男(……うーん)
男(……一体どうすりゃいいんだ……)
819: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:17:51.44 ID:++muyE600
翌日の朝……
チュンチュン、チュンチュン
男「朝か……」
男「ほとんど眠れんかった……」
男「……」
……
820: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:18:18.52 ID:++muyE600
タッ、タッ、タッ、タッ
男「かーちゃん、ちょっと出かけてくるから」
男の母「いってらっしゃーい、どこへ?」
男「女のところ」
男の母「うん? 女?」
バタン
821: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:18:54.34 ID:++muyE600
女の家の前……
男(やべえ、何か心臓がドキドキしてきた……)
男(何かちょっと怖えー……)
男(あいつ、いるのかな……)
男(……大丈夫)
男(きっと何事もないはずだ……)
822: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:19:27.53 ID:++muyE600
ピンポーン
インターホンの声「はい」
男「あの、女いますか?」
インターホンの声「女? うちにはそんな子はいませんが」
男「えっ?」
インターホンの声「失礼ですが、どちら様?」
男「男です」
インターホンの声「ああ、男くんか」
823: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:20:05.44 ID:++muyE600
インターホンの声「一体どうしたの? 家を間違えているんじゃない?」
男「いえ、そんなはずは……」
インターホンの声「……どうしたの?」
男「……いえ、何でもありません」
男「間違えたみたいなんで……すみません、失礼します」
インターホンの声「ちょっと、男くん?」
……
824: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:20:36.66 ID:++muyE600
テクテク
男(……女の存在が消えている?)
男(前の俺と同じようなことが……?)
男(だとしたら……)
男(ニートの野郎がまた何かしやがったのか……?)
男(こうなったらニートを探すしかないか……)
男(でも手がかりが……)
男(……)
……
825: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:21:17.26 ID:++muyE600
バタン
男「……ただいまー」
男の母「おかえりなさーい」
男の母「ちょっと、あんたどこ行ってたのよ?」
男の母「女って誰?」
男の母「母さん初耳なんだけど」
男「コンビニに行ってただけだよ」
男「聞き間違いだろ、かーちゃん」
男の母「ちょっと、男」
826: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:21:52.38 ID:++muyE600
男の部屋……
男「……」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、トゥルルルルー、トゥルルルルー、カチャ
医学部女「はい、もしもし」
男「……医学部女か?」
医学部女「そうだけど……どうかしたの?」
医学部女「随分深刻そうな感じだけど」
男「お前に聞きたいことがある」
医学部女「うん? 何かしら?」
827: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:22:32.85 ID:++muyE600
男「お前、女を知っているか?」
医学部女「男くん、何? その質問は?」
医学部女「わたしに何かかまをかけようとでもしているわけ?」
男「変な質問をされていると思うかも知れないが」
男「そのまま答えてくれないか?」
医学部女「女って……女さんのことでしょ?」
男「お前、覚えているんだな? 女のことを……」
828: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:23:06.69 ID:++muyE600
医学部女「覚えているって……」
医学部女「女さんとの間で何かあったの?」
医学部女「まさか、昨日のこととかで?」
男「医学部女……話せば長くなるんだが……」
医学部女「ちょっと待って、男くん」
医学部女「今からそっち行くから」
男「え゛っ」
829: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:23:35.34 ID:++muyE600
医学部女「前に約束したでしょ?」
医学部女「トラブルが起きた時は共通の友人として相談にのってあげるって」
医学部女「それに電話で話すような話でもなさそうだしね」
男「へい」
830: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:24:08.82 ID:++muyE600
1時間後……
バタン
医学部女「失礼しまーす」
男「おう、医学部女」
男「汚い家だけど上がってくれ」
男の母「……こんにちは」
医学部女「こんにちは」
831: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:24:40.81 ID:++muyE600
男の母(ヒソヒソ)「ちょっと、男、突然何よ!」
男の母(ヒソヒソ)「あんたが女の人を家に連れてくるなんて」
男の母(ヒソヒソ)「こちらの綺麗なお嬢さんは一体誰なの?」
男の母(ヒソヒソ)「まさかあなたの……」
医学部女「ふふっ、突然お邪魔してすみません、おばさま」
医学部女「男くんの大学の同期の医学部女と申します」
医学部女「今日は男くんに勉強を教えてもらいに来ました」
832: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:25:15.61 ID:++muyE600
男の母「あら、おほほほほほ、男の母と申します」
男の母「すごく綺麗なお嬢さんがお見えになったものだから驚いちゃって」
男の母「本当に汚い家ですみませんね」
男の母「男、ちゃんと部屋は片づけたの?」
男「別にへーきだよ、かーちゃん」
男の母「平気なわけないでしょ! もー本当にみっともないんだから」
833: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:25:48.70 ID:++muyE600
医学部女「おばさま、お気になさらずに」
医学部女「私は全然気にしないんで」
男の母「まー、そうですの? おほほほほほほ、本当によくできたお嬢さんで」
男「へい、じゃあ、医学部女、こっち」
医学部女「うん」
男の母「今、お茶入れて持っていきますね」
男「かーちゃん、面倒くさいからほっといてくれ」
医学部女「あばさま、ありがとうございます」
医学部女「お気持ちだけ頂戴しておきます」
男の母「あら……そう?」
……
834: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:26:28.65 ID:++muyE600
パタッ
医学部女「ふーん、意外と綺麗に片付いているじゃない」
医学部女「ここに座ってもいい?」
男「へい、ご自由に」
医学部女「よいしょっと」
男「おい、医学部女……」
男「先ずお前に初めに聞きたいことがある……」
医学部女「……?」
835: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:26:56.96 ID:++muyE600
男「お前は……女か?」
医学部女「……!」
医学部女「……あはっ、そだよ、男」
男「お、おまえっ……」
医学部女「って、嘘よ」
医学部女「どうしたの? 男くん」
医学部女「一体女さんはどうしたっていうの?」
836: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:27:26.35 ID:++muyE600
男「……てめー、変な演技しやがって」
医学部女「怒らないでよ、男くん」
医学部女「わたしもまだ状況がよく呑み込めてないんだから」
男「……」
837: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/11(土) 19:28:24.01 ID:++muyE600
スッ
男「今から俺が話すことはすべて真実だ」
男「脚色は一切ない」
男「そういう前提で聞いてくれ」
医学部女「……うん、わかったわ」
男「医学部女……」
男「結論から端的に言うと……」
男「女はこの世からその存在が消えた」
医学部女「……ふーん」
医学部女「興味深い話が聞けそうね」
男「……ああ、そうだな」
(つづく)
841: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:32:13.30 ID:/4+9AQq00
1時間後……
チクタク、チクタク
男「……ということだ」
医学部女「ふーん……」
医学部女「ということはそのニートっていう人が神様であって」
医学部女「今回の件に絡んでいるって踏んでいるわけね?」
男「ああ、そうなる」
842: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:32:49.48 ID:/4+9AQq00
男「だが、奴は神出鬼没でどこにいるかが分からない」
男「探し出そうにも手がかりがないのが現状だな……」
医学部女「ちなみにさ、男くん」
医学部女「さっき話してくれたロシアでの出来事でニートは神ではなくなったんでしょ?」
医学部女「その状態でも以前と同じ様な力が残っているということ?」
男「さー、それは分からんが」
男「この前もあいつが操っている夢を見させられたし」
男「神としての特殊な力を依然として持っているのは間違いないと思う」
医学部女「ふーん、夢ねえ……」
843: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:33:17.35 ID:/4+9AQq00
医学部女「どんな夢だったの?」
男「何か色々と暗示するようなことを言っていたんだが……」
男「……そういえばあいつ、陶芸家を目指すって言ってたな」
医学部女「陶芸家?」
男「ああ、あいつは何考えているかわかんねー奴だが」
男「ウソはつかねー奴だから本当に陶芸家やってるかもしんねー」
医学部女「ふーん……」
844: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:34:25.36 ID:/4+9AQq00
男「医学部女、陶芸が有名な所ってどこだ?」
男「伊万里とか備前とか?」
医学部女「男くん、手がかりを探すんなら順番が違うよ」
男「ん……どういうこと?」
医学部女「もっと真実に近い人物が他にいるってこと」
男「それは……誰?」
845: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:34:57.72 ID:/4+9AQq00
医学部女「茶髪の男……ほら、女さんと一緒にいた」
男「ああ、あの男か……」
男「ただの友達だったんじゃねーか」
男「今回の件は人間の力でどうこうできることじゃねーし」
医学部女「それはどうかしら」
846: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:35:24.51 ID:/4+9AQq00
男「お前、やけに自信ありげだな」
男「なんでそう思うわけ?」
医学部女「ふふっ、女の勘よ」
男「へい、さいですか」
男「でも、どうやって奴の居場所を突き止めるんだ?」
医学部女「そうねえ、とりあえず明日女さんが通っていた大学に行ってみましょうか」
医学部女「女さんの学部の人に聞けば何か情報は得られるでしょっ」
男「へい……」
847: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:36:10.82 ID:/4+9AQq00
翌日、女の通っていた大学……
テクテク、テクテク
男「おい、何かさっきからチラチラと視線がこっちに向けられている気がするんだが……」
医学部女「きっと私のことを見ているんでしょ」
医学部女「テレビのクイズ番組で優勝して一躍有名人になっちゃったからね」
男「うーん、まあ確かにそう言われればそうかもな」
848: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:36:38.96 ID:/4+9AQq00
男「有名人になると大変だな」
男「周囲の注目を集めることになって気が休まる時がなくなるんじゃないか?」
医学部女「そうねえ」
医学部女「人によるかも知れないけど、わたしの場合は違うわ」
医学部女「男性諸君の視線を集めることに悦びを感じるからね」
男「へい、そうっすか」
男「お前のその性格は芸能人向きなのかも知れないな」
医学部女「ふふっ、そうね」
……
849: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:37:06.51 ID:/4+9AQq00
男「ん、ここかな……女の学部は」
男「どうする? 医学部女」
医学部女「うーん……ちょっとあそこの男子グループに聞いて来るわ」
医学部女「ちょっと待ってて」
男「へい」
850: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:38:06.86 ID:/4+9AQq00
15分後……
スタスタ
医学部女「お待たせ、男くん」
男「ああ……」
男「また随分と長話しをしていたな」
医学部女「ふふっ、質問攻めにあっちゃってね」
851: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:38:43.31 ID:/4+9AQq00
医学部女「でも、茶髪の男の居場所が分かったわ」
医学部女「この住所のアパートの2階に住んでいるんだって」
医学部女「聞いた話ではいつも月曜日は大学に来ているらしいけど」
医学部女「今日は珍しく来ていないとのこと」
男「そうか……」
852: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:39:21.00 ID:/4+9AQq00
茶髪の男の家近辺……
テクテク
男「……このアパートか?」
医学部女「そうね、郵便受けに茶髪の男の名前がある」
男「2階か……」
853: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:39:51.66 ID:/4+9AQq00
カツカツ、カツカツ
男「……茶髪の男」
男「ここだな」
男「インターホン押すぞ、医学部女」
医学部女「うん」
ピンポーン
男「……」
医学部女「……」
男「留守か?」
854: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:40:21.77 ID:/4+9AQq00
ピンポーン、ガチャ
茶髪の男「……はい」
男「……!」
医学部女「……」
男「……茶髪の男さんですね」
茶髪の男「はい、そうですけど、どちらさん?」
男「女の知り合いです」
バタン
855: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:41:42.77 ID:/4+9AQq00
男「くそっ、野郎ー」
ガチャガチャ、バタン、ダダダダッ
男「てめー、待て!」
茶髪の男「……」ダッ、ビュン
男(ダダッ)「……窓かっ」ビュン
856: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:42:16.30 ID:/4+9AQq00
ダダダダダダダッ
茶髪の男「……」
男「……」
茶髪の男「……」
タッタッタッタッタッタッタッ
茶髪の男(クルリッ)「……」
茶髪の男(ニヤリ)「……」
ダッ、ビュン
男「待て!」
ダッ
857: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:42:56.83 ID:/4+9AQq00
男「……!」
男「……ここは」
男(高台の頂上……)
男(……奴はここから飛び降りたっていうのか?)
クルリッ、クルリッ
男(でも奴の姿はどこにもない……)
男(一体どういうことだ……)
男(奴は一体どこへ……)
858: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:43:37.54 ID:/4+9AQq00
5分後……
バタンッ
医学部女「……!」
男「……」
医学部女「……逃げられたみたいね」
男「ああ……」
859: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:44:08.72 ID:/4+9AQq00
医学部女「男くん、これ」
男「ん、それはひょっとして……」
医学部女「そう、女さんの携帯」
男「っていうことはやっぱりあの男が何かを……」
医学部女「そうねえ……」
医学部女「とりあえず分かったのは」
医学部女「あの男も女さんのことを覚えているっていうことね」
男「……そうなるな」
860: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:44:49.48 ID:/4+9AQq00
クルリッ
医学部女「ねえ、男くん」
男「うん? 何?」
医学部女「何であの男は逃げたのかしら」
男「えっ……そりゃ女について俺たちが問い詰めようとしたからだろ?」
医学部女「そうね……」
861: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:45:16.21 ID:/4+9AQq00
医学部女「でも腑に落ちない点もある」
男「何が?」
医学部女「不思議なのはあまりにもあの男の行動が行き当たりばったりな所」
医学部女「この部屋を見る限り何かに備えて逃げる準備などはしていなかったように思えるわ」
医学部女「こんな大事なものもほっぽり出してあった訳だしね」
男「女の携帯か?」
医学部女「そう」
医学部女「それと……これを見て」
862: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:45:53.17 ID:/4+9AQq00
ガチャ
男「……冷蔵庫?」
男「空っぽじゃねーか」
医学部女「そう、空っぽの冷蔵庫」
医学部女「干しかけの洗濯物、読みかけの雑誌、袋に溜まっているゴミ……」
医学部女「これだけ生活感のある部屋の中で明らかに不自然だと思わない?」
男「ああ、そうだな」
医学部女「男くんはどう思う?」ニヤリ
男「……お前はもう結論は出ているみたいだな」
医学部女「ええ、そうね」
男「……」
863: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:46:48.19 ID:/4+9AQq00
ガサガサ
男「冷蔵庫だけではまだ確実なことは言えなかったかも知れないが」
男「ゴミの中身を見れば一目瞭然だな」
医学部女「……」
男「この部屋の中には食に関する痕跡が一切ない」
男「つまり奴は……」
男「飲み食いをしなくても生きていられる奴ってことだ」
医学部女「ふふっ、ちなみに男くん」
医学部女「ニートはどうだったの?」
男「えっ? ニートか?」
864: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:47:14.66 ID:/4+9AQq00
男「そう言えばあんまり気にしたことなかったな」
男「時々一緒に飯を食うことはあったけど」
男「自分から食事をとろうとしているところは見たことがないかもな」
医学部女「そう……」
男「……」
男「しかしこれでまた手がかりがなくなっちまったな」
医学部女「……」
男「茶髪の男はもうこの部屋には戻ってこないだろうしな」
医学部女「そうね……」
865: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:47:49.34 ID:/4+9AQq00
その日の夕方……
バタン、スタスタ
男「ただいま」
男の母「あ、男、おかえり」
男の母「ちょっと、ちょっと、こっち」
男の母「ちょうどいまいい所よ」
男「何が?」
866: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:48:19.56 ID:/4+9AQq00
男の母「ほら早くこっちに来なさい!」
男「何?」
男の母「ほら、見て、これ」
男「……!」
……
867: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:48:57.48 ID:/4+9AQq00
レポーター「しかし、この不思議な色合いと艶……」
レポーター「見れば見る程に深みが出てくる感じがします」
レポーター「飾られている艶やかな花よりもこの花瓶の方に思わず目が行ってしまいます」
レポーター「流石は人間国宝が丹精込めて作り上げた一品」
レポーター「素晴らしいの一言に尽きます」
ニート「サンクスベリーマッチっていう」
ニート「お前、中々見る目があるなっていう」
ニート「お前になら特別に俺の作品を半額で売ってやってもいいっていう」
868: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:49:27.68 ID:/4+9AQq00
レポーター「えええっ、それは本当ですか?」
レポーター「でも半額といってもニート先生の作品ですし結構なお値段がするのでは?」
ニート「そんなことないっていう」
ニート「この幸せを呼び寄せる花瓶、今なら特別価格で1000万円で譲ってやってもいいっていう」
ニート「しかも今買うともれなく同じものがもうひとつ付いて来るっていう」
レポーター「そ、それは……」
レポーター「って、お前は悪徳通販の詐欺師か!」
……
869: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:50:31.15 ID:/4+9AQq00
男(……なんだ、この茶番劇は)
男の母「私も欲しいわあー」
男「……おい、かーちゃん」
男の母「ニート先生、実は人間国宝の陶芸家だったのねー」
男の母「こんな先生に教えてもらってたなんて本当にあんたは幸せ者ねー」
男「かーちゃん、これ、どこの映像?」
男の母「うーんと、確か北海道の稚内だったかしら?」
男の母「北の大地が生んだ孤高の天才陶芸家ニートってふれ込みだしね」
男「……」
870: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:50:59.22 ID:/4+9AQq00
男「かーちゃん、俺、稚内行ってくるから」
男の母「何よ、急に!」
男の母「ニート先生に会いに行くの?」
男の母「だったらかーさんも一緒に行きたいわあ―」
男「かーちゃん、遊びに行くわけじゃねーから」
男「じゃあな」
男の母「ちょっと、男!」
……
871: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/02/26(日) 17:51:51.02 ID:/4+9AQq00
ピッ、ピッ、ピッ、トゥルルルル、トゥルルルルル、カチャ
医学部女「はい」
男「医学部女、ニートの居場所が分かった」
医学部女「本当! どこなの?」
男「稚内だ」
医学部女「稚内? また随分すごい所にいるのね」
男「ああ、で今から俺は稚内に向かう」
医学部女「了解。わたしも一緒に行くわ」
男「ああ……分かった」
(つづく)
878: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:29:23.17 ID:cRVrn5pf0
翌日、稚内……
ビュー、ビュー
男「……さぶっ」
医学部女「よもやの悪天候ね」
医学部女「わたしたちの先行きを暗示しているのかしら」
男「と、とにかく、く、ニートのの野郎を探さないと、な」
医学部女「声が震えてるわよ、男くん」
医学部女「随分寒そうね」
男「寒いの、苦手なん……だ」
医学部女「仕方ないわね」
医学部女「取りあえず駅舎の中で情報収集をしましょうか」
879: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:30:00.70 ID:cRVrn5pf0
駅舎の中……
男「……なんだ、これは」
男「『ようこそ、陶芸家ニートのふるさとへ』……だと?」
男「あの野郎、いつの間に稚内の住民になりやがったんだ」
医学部女「ふふっ、中々面白いことになっているわね」
医学部女「でもこの分なら、情報収集はすぐできそうね」
880: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:30:55.85 ID:cRVrn5pf0
スタスタ、スタスタ
男「ん、あの怪しい骨董品屋は……」
医学部女「どうやらニートの陶芸品の即売所みたいね」
医学部女「ちょっと話だけでも聞いていきましょうか」
スタスタ
医学部女「ちょっとおにーさん、よろしいかしら?」
店の男「……!」
店の男「よっ、これはべっぴんさん、稚内へ旅行ですかい?」
医学部女「ええ、まあそんなところかしら」
881: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:31:41.18 ID:cRVrn5pf0
店の男「でしたら旅の土産に人間国宝ニートの陶芸品はいかがですか?」
店の男「姉さんでしたら特別サービスで勉強させて頂きますぜ」
男「……っていうかどれも500万円以上するじゃねーか」
男「駅舎の中でなんて商売してやがるんだ……」
医学部女「おにーさん、手持ちがないから買い物はできないけど教えて欲しいことがあるの」
店の男「はい、何でしょう?」
882: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:32:18.11 ID:cRVrn5pf0
医学部女「陶芸家ニートに会いたいんだけれどどうすればいいかしら?」
店の男「それでしたら送迎バスが走っておりますのでそちらをご利用すれば簡単な話です」
店の男「この時間帯でしたらまだ空いていると思いますよ」
医学部女「分かったわ。ありがとう、おにーさん」
店の男「へい。またのお越しをー」
883: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:32:59.26 ID:cRVrn5pf0
スタスタ、スタスタ
店の男(チラリ)「……」
店の男(ボソッ)「……一体どういうことだ?」
884: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:33:55.68 ID:cRVrn5pf0
30分後……
ブルルルルルッ
男「やっと着いたか……」
男「しかし寒い……」
男「あと5分ここにいたら俺は凍死する」
医学部女「ふふっ」
医学部女「ミュージアムに陶芸場に展示場……」
医学部女「一通りのものは揃っている観光スポットの様な感じね」
医学部女「とりあえず建物の中に入ってみましょうか」
男「へい」
885: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:34:30.71 ID:cRVrn5pf0
ミュージアムの中……
男「……何だかなー」
男「『巨匠ニートの生い立ち』って……」
男「『生まれながらにして史上最高の匠となることを運命づけられた男』……」
男「『恵まれた環境を自ら離れ、孤高の生活の中でその技に極限まで磨きをかけた』……」
男「『そして今、その完成された技と共にこの最北の地稚内に再びその姿を現した』……か」
886: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:35:00.39 ID:cRVrn5pf0
医学部女「ふーん……」
医学部女「ニートって一体どんな人なのかしら?」
医学部女「興味が湧くわ」
男「どうしようもないひねくれ者さ」
医学部女「ふーん……そう」
887: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:35:33.53 ID:cRVrn5pf0
男「しかし、こんな茶碗が3000万円とは……」
男「俺でも作れそうじゃないか……」
ニート「お前じゃ無理だっていう」
医学部女「……!」
男「……てめー、現れやがったな」
888: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:36:10.26 ID:cRVrn5pf0
ニート「母なる北の大地へようこそっていう」
ニート「ゆっくり観光をしていけばいいっていう」
ニート「ちなみに流氷クルーズが俺のお勧めだっていう」
男「てめー」
889: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:36:52.31 ID:cRVrn5pf0
ニート「時にそちらの女は初めて会うなっていう」
医学部女「わたしは医学部女」
医学部女「男くんの大学の同期よ」
医学部女「よろしく、ニート」
ニート「ああ、こちらこそよろしくっていう」
890: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:37:23.68 ID:cRVrn5pf0
ニート「ところでお前たちは何をしにここまできたんだっていう」
ニート「学術センター開設前の忙しい時期にのんびり二人旅でもしているのかっていう」
医学部女「ニート、もう分かっているかも知れないけど」
医学部女「実はあなたに聞きたいことがあって私たちはここまで来たのよ」
ニート「……」
891: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:38:05.76 ID:cRVrn5pf0
医学部女「単刀直入に聞くわ」
医学部女「女さんの存在が消えたの……この世界から」
医学部女「ニート、あなたは今回の件に関わっている?」
ニート「……」
男「関わっているに決まってるだろ」
892: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:38:58.28 ID:cRVrn5pf0
男「おいニート、女をどこへやったんだ!」
ニート「俺は何も知らないっていう」
男「てめー……」
男「女の存在が消えている……以前の俺のように」
男「そしてほんの一部の人間にだけ女の記憶は残っている」
男「人間ではどうこうできることじゃない」
男「お前、一体何をした!」
ニート「お前は何かを勘違いしているっていう」
ニート「俺は何もしていないっていう」
男「てめー……」
893: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:39:30.46 ID:cRVrn5pf0
医学部女「……」
医学部女「じゃあ質問を変えるわ、ニート」
医学部女「最近女さんにまとわりついていた男がいるの」
医学部女「女さんの学部の先輩で金髪の男」
医学部女「その男のことはあなたはご存知?」
ニート「……」
ニート「……さあなっていう」
男「……」
894: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:40:14.70 ID:cRVrn5pf0
クルリッ
ニート「俺はとても忙しいっていう」
ニート「これ以上無意味なやりとりを続けるのは御免だっていう」
ニート「何か聞きたいことがあったらあとはこのミュージアムの係員にでも聞いてくれっていう」
ニート「じゃあなっていう」
男「おい、ちょっと待ちやがれ!」
医学部女「……」
895: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:41:16.77 ID:cRVrn5pf0
医学部女「待って」
医学部女「ニート、最後にひとつだけ教えて」
ニート「……」
医学部女「女さんは『無事』なのかしら?」
ニート「……」
896: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:41:44.73 ID:cRVrn5pf0
ニート「……さあなっていう」
ニート「俺は何も知らないっていう」
ニート「じゃあなっていう」
スタスタ
男「おい、ニート!」
医学部女「……」
……
897: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:42:18.86 ID:cRVrn5pf0
男「結局手掛かりはなしって訳か……」
男「一体どうすりゃいいんだ……」
医学部女「……ニートは何かを知っているわね」
男「……女のことについてか?」
医学部女「ええ、そう」
医学部女「まあ尤も彼は決して口を割らないでしょうけどね」
男「あいつは偏屈な奴だからな」
898: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:42:49.86 ID:cRVrn5pf0
男「何とか口を割らす方法を考えるか?」
医学部女「いいえ、それは無駄ね」
男「何で?」
医学部女「強い意志を感じたわ……彼の瞳に」
男「何もしゃべらないっていう?」
医学部女「そう」
899: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:43:34.48 ID:cRVrn5pf0
医学部女「何も話しはしない……」
医学部女「もしくは話すことのできない何らかの理由があるってところかしら……」
男「……理由?」
男「……どんな?」
医学部女「うーん、それは分からないけどね」
900: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:44:24.57 ID:cRVrn5pf0
ミュージアムの一室……
係員A「……ヨシュア様」
ニート「……何だっていう」
係員A「なぜあの二人がここに……」
ニート「さあなっていう」
901: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/17(土) 13:46:59.45 ID:cRVrn5pf0
係員A「……ヨシュア様」
係員A「恐らくは『奴』が今回の件に関係しているものと……」
係員A「『奴』を止めますか?」
ニート(スタッ)「……放っておけばいいっていう」
係員A「し、しかし……」
ニート「すべての責任は俺が取るっていう」
ニート「お前は何も心配する必要はないっていう」
係員A「ヨシュア様……」
係員A「……承知いたしました」
(つづく)
906: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 16:56:29.40 ID:+AVin39D0
1週間後、東京……
フラフラ、フラフラ
男「……」
医学部女「……」
医学部女「……ちょっと、男くん、大丈夫?」
男「うん? ああ……大丈夫だ」
医学部女「かなり疲れた顔しているけど……ちゃんと眠れてる?」
男「……いや、あんま眠れてねーな」
907: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 16:56:58.86 ID:+AVin39D0
男「例の茶髪の男の手がかりを探そうともしているが」
男「一向に情報が掴めねー」
医学部女「ねえ、男くん」
医学部女「気持ちは分かるけどね」
医学部女「ちゃんと眠らなきゃダメよ」
医学部女「そんなんじゃ身体がもたなくなるから」
男「……へい」
908: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 16:57:52.28 ID:+AVin39D0
建設中の学術センター……
スタスタ
医学部女「こんにちは、幼女ちゃん」
幼女「こんにちは、おねーちゃん」
医学部女「本館の方はもう殆ど完成したみたいね」
幼女「うん、そうだね」
男「……」
幼女「……」
幼女「おにーちゃん」
男「……へい、何でしょう、幼女先生」
909: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 16:58:22.92 ID:+AVin39D0
幼女「随分ぼんやりした顔しているみたいだけど」
男「まあ、色々ありまして」
医学部女「幼女ちゃん、この前話した女さんって人の件で男くんは手一杯なの」
幼女「ふーん」
幼女「でもおにーちゃん、やることはちゃんとやらなきゃダメだよ」
幼女「どんなことが起きようとも論文はきっちり3本、期日までに書きあげてね」
男「……幼女先生」
910: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 16:59:02.27 ID:+AVin39D0
男「俺はもう無理っす……」
男「センター長の人材は他に探してください」
幼女「……」
医学部女「男くん……」
幼女「……」
スタスタ
幼女「おにーちゃん」
幼女「それはダメだよ」
幼女「センター長のポストを辞退するなんて」
幼女「そんな勝手な真似は絶対に許さないから」
911: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 16:59:46.33 ID:+AVin39D0
男「……」
幼女「……」
スタスタ
幼女「おにーちゃん」
幼女「大丈夫だよ」
幼女「女っていう人は必ず戻ってくる」
男「……幼女先生」
912: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 17:55:44.94 ID:+AVin39D0
幼女「わたしのお母さんの妹だった人なんでしょ?」
幼女「だったら絶対に馬鹿なことはしない」
幼女「だからおにーちゃんは女っていう人が戻ってくるのを信じて待っていればいいの」
幼女「分かった?」
男「……」
幼女「分かったの? 分かんないの? どっちなの!」
男「へい……分かりやした」
913: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 17:56:39.30 ID:+AVin39D0
医学部女「ふふっ、そうね、女さんに限ってはこのまま消えてしまうなんてことはあり得ないわ」
医学部女「信じて待っていればそのうちひょっこり戻ってくるわよ」
男「……へい」
男「でも幼女先生」
男「会ったこともない女の存在を信じてくれてるとは」
幼女「別に信じているとかそういう訳じゃないよ」
男「うん……どゆこと?」
914: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 17:57:13.48 ID:+AVin39D0
幼女「女っていう人は本当に存在している一方で実は存在していない人でもあるっていうこと」
男「……うーん」
幼女「つまり、おにーちゃんと医学部女のおねーちゃんの中では女っていう人は存在しているけど」
幼女「私の中では女っていう人は存在していない」
幼女「でもどちらか一方が間違っているという訳ではなくて」
幼女「そのどちらもが真実であるっていうこと」
医学部女「ふーん、面白い考え方ね」
幼女「うん」
915: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 17:57:44.37 ID:+AVin39D0
幼女「人間の認識なんていうのは所詮相対的な判断に基づくものに過ぎないから」
幼女「何か絶対的に正しい真実なんていうのもまた存在しない」
幼女「でもね、おにーちゃん」
幼女「おにーちゃんの中では確かに女っていう人が存在しているんだから」
幼女「おにーちゃんがその人が戻ってくるのを信じてあげなきゃ可哀そうだよ」
幼女「もしかしたらその女っていう人が」
幼女「おにーちゃんと医学部女のおねーちゃんの中にだけ記憶を残したのかも知れないしね」
916: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 17:58:18.99 ID:+AVin39D0
医学部女「確かにそういう考え方もすることができるわね」
医学部女「男くん、少しは元気が出たんじゃない?」
男「ああ……励ましサンクス」
幼女「じゃあおにーちゃん論文頑張ってね」
幼女「締切は待ってくれないから」
男「うっ……また急に身体の具合が……」
幼女「仮病はダメだから」
男「へい……分かりやした」
917: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 17:58:50.49 ID:+AVin39D0
その日の帰り道……
プシュー、ガチャン
男「じゃあな、医学部女」
医学部女「うん、じゃあね、男くん」
医学部女「今日は取りあえずゆっくり眠るのよ」
男「へい、分かりやした」
プシュー、ガチャン
……
918: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 17:59:28.74 ID:+AVin39D0
スタスタ、ポツポツ
男「……ん、雨が降って来たか?」
男(……傘持ってねーし)
男(……ついてねーな)
男(……走って帰るか)
919: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 17:59:59.65 ID:+AVin39D0
チラリッ
男「……!」
男(……あいつは……茶髪の男)
茶髪の男(ニヤリ)
ダッ
男「てめっ、待ちやがれ」ダッ
ダダダダッ
茶髪の男「……」
男(……くそっ)
男(……相変わらず逃げ足の速い……)
920: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:00:30.16 ID:+AVin39D0
ダダダダッ
茶髪の男(クルリ)「……」
茶髪の男(スッ)
男「くっ……」
ダダッ、スッ
男「はーっ、はーっ、はーっ」
男(……奴の姿が消えた)
男(……また逃げられたか)
921: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:00:56.89 ID:+AVin39D0
ザーザー
男(……ちくしょう)
男(……雨も本降りになってきやがった)
ドスンッ
男(……)
男(……なんか疲れたな)
男(……女)
男(……)
男(……消えるなら消えるで一言言ってくれればいいのによ……)
男(……何で突然いなくなっちまうんだよ)
922: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:01:27.36 ID:+AVin39D0
ザーザー
男(……)
男(……あいつは俺がいなくなった時)
男(……俺がイケメンに扮しているってすぐ分かったんだったよな)
男(……)
男(……ひょっとして)
男(……女が消えてしまったっていうのは錯覚に過ぎなくて)
男(……俺が単に気付けていないだけなのか?)
923: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:01:57.71 ID:+AVin39D0
男(……)
男(……)
男「……くそっ」
男「女~っ」
男「どこにいんだー!」
スッ
男「……!」
924: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:02:31.98 ID:+AVin39D0
…「あはっ、何叫んでんの?」
男(クルリッ)「お、女……」
女「びしょびしょじゃん、風邪ひくよ」
男「……」
スタッ
男「お前……女?」
女「あはっ、他に誰かに見えるの?」
男「……」
925: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:02:59.99 ID:+AVin39D0
女「眼、真っ赤じゃん」
女「泣いてたの?」
男「な、泣いてなんかいねーよ」
男「寝不足なだけだし」
女「……そう」
926: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:03:42.63 ID:+AVin39D0
ポツッ、ポツッ
女(ジッ)「……」
男(ジッ)「……」
女「……ありがとう、男」
男「えっ?」
女「わたしのことをずっと探してくれていたんだよね」
女「それと……」
927: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:04:17.84 ID:+AVin39D0
女「ごめんね、男」
女「突然いなくなっちゃって」
女「でもね……」
女「私がいない間、私のことを想ってくれている男の気持ち」
女「ずっと感じていたから……」
女「すごく嬉しかった」
男「ははっ、さいですか……」
928: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:04:44.07 ID:+AVin39D0
女「もう黙って消えたりしないから」
男「ああ……」
女「順番が逆になっちゃったけど……」
男「……!」
女「ただいま、男」スッ
男「……ああ、おかえり、女」
ギュッ
929: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:05:15.80 ID:+AVin39D0
翌日、学術センターの中……
テクテク、テクテク
女「へー、すごいねー」
女「なんか近未来の建築物って感じだねー」
男「ああ、そうだな」
男「ん、ここかな?」
930: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:05:47.54 ID:+AVin39D0
ガチャ
男「こんちわーっす」
医学部女「ん、来たわね」
幼女「あ、おねーちゃん、久しぶり」
女「幼女ちゃん、久しぶり」
女「元気にしてた?」
幼女「うん、元気だった」
931: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:06:28.44 ID:+AVin39D0
男「幼女ちゃん、女の記憶がすっかり戻ったんだね」
幼女「うん、戻ったよ」
幼女「丁度昨日の夕方くらいかな」
男「ということは女が俺の前に姿を現した時くらいか……」
932: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:06:58.20 ID:+AVin39D0
幼女「おねーちゃん、色々と大変だったみたいだね」
幼女「へーきだった?」
女「うん、大丈夫だったよ」
男「女、これで一応メンバーも集まった訳だし……」
男「そろそろ説明してくれるか?」
女「うん、分かった」
933: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:07:29.78 ID:+AVin39D0
ガチャ、バタン
…「説明は私がいたしましょう」
男「……!」
医学部女「……!」
幼女「……」
女「……」
男「て、てめーは……」
茶髪の男「お久しぶりです、皆さま」
茶髪の男「って、男さんとは昨日お会いしましたっけ?」
934: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:08:10.77 ID:+AVin39D0
女「……」
男「てめーは一体何者だ?」
茶髪の男「ははっ、申し遅れまして失礼いたしました」
茶髪の男「わたしは女と同じ大学に通う茶髪の男と申します」
茶髪の男「しかし、それはあくまでも表の顔……」
男「表の顔?」
935: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:08:39.41 ID:+AVin39D0
茶髪の男「はい、そうです」
茶髪の男「わたしのこの姿も所詮はかりそめのもの」
茶髪の男「わたしの本名はノアと申します」
男「ノア……? どっかで耳にしたことがあるような……」
茶髪の男「ほう、もう既にヨシュア様より紹介に与っておりましたか」
男「ヨシュア……まさかニートの関係者か?」
茶髪の男「ご名答でございます」
936: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:09:10.38 ID:+AVin39D0
茶髪の男「ヨシュア様はわたしにとって主君とも呼ぶべきお方……」
茶髪の男「わたしはその忠実なしもべなのです」
男「ってことはやっぱりニートの野郎が裏で糸を引いていたってことか……」
茶髪の男「いえ、それは違います」
茶髪の男「今回の件はあくまでも私が単独で引き起こしたこと」
茶髪の男「ヨシュア様はまったく関係してございません」
937: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:09:43.65 ID:+AVin39D0
医学部女「ふーん」
医学部女「あなたの話しだとニートは主君であってあなたはそのしもべ」
医学部女「そんなあなたがなぜ勝手な行動をとったのかしら?」
茶髪の男「当然の疑問ですね」
茶髪の男「わかりました」
茶髪の男「順を追ってご説明いたしましょう」
938: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:10:16.40 ID:+AVin39D0
茶髪の男「事の発端は昨年の夏に遡ります」
茶髪の男「ロシアでの出来事と申せばお分かりになるでしょうか?」
男「ロシアでの出来事? ニート……それと……」
女「ミリアムさん」
茶髪の男「その通りでございます」
939: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:11:00.18 ID:+AVin39D0
茶髪の男「今思い出しても痛ましい出来事」
茶髪の男「まさかあのような事態になってしまうとは予想だにしておりませんでした」
男「ミリアムさんが亡くなったことか?」
茶髪の男「そうです、しかし一点違います」
茶髪の男「ミリアム様はお亡くなりになられたのではない」
茶髪の男「神々の世界に存在する牢獄に永久幽閉されたのです」
940: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:11:36.35 ID:+AVin39D0
男「永久幽閉?」
茶髪の男「はい」
茶髪の男「ご存知かもしれませんが神の世界にも掟というものがありまして」
茶髪の男「その掟に背いたものはその罪を償うためにその牢獄に永久に閉じ込められるのです」
茶髪の男「そして、今回女に協力を願ったのもこの件が関係しています」
男「どういうことだ?」
茶髪の男「端的に申し上げますとミリアム様を助けるために女に協力をしてもらったのです」
941: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:12:10.07 ID:+AVin39D0
スタスタ
茶髪の男「神の世界の牢獄は人間世界のそれとは違って」
茶髪の男「物理的に形をなして存在するものではありません」
茶髪の男「それは一種の精神世界に構築された檻……」
茶髪の男「そしてその精神世界を司っているのが大神王と呼ばれるお方なのです」
942: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:12:43.45 ID:+AVin39D0
医学部女「ふーん、で、それと女さんがどう関係してくるのかしら?」
茶髪の男「はい」
茶髪の男「この牢獄は罪を犯した者が閉じ込められるものですから」
茶髪の男「当然、その前に裁判のようなものも行われます」
茶髪の男「女さんにはその場に証人として出席して頂いたのです」
943: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:13:26.30 ID:+AVin39D0
医学部女「なぜ、女さんだったの?」
茶髪の男「それは女さんが神の世界の住人ではなくて人間だったからです」
茶髪の男「神の世界の裁判においても裁判官が最も重視するのは第三者の証言です」
茶髪の男「そして第三者として最も適格なのが人間なのです」
944: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:13:59.62 ID:+AVin39D0
男「なんかおかしいような……」
男「人間よりも神の方が証言にも信憑性があるんじゃないのか?」
茶髪の男「はい、普通の状態ならばそうでしょう」
茶髪の男「しかし、人間が神の世界に出向いてきているというのが大きなポイントなのです」
茶髪の男「人間が神の世界に入るためにはジャッジメントゲートと呼ばれる入口を通過しなければなりません」
茶髪の男「この入口において通過を許された者だけが神の世界に入ることができるのです」
945: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:14:27.91 ID:+AVin39D0
男「へー、じゃあよっぽど厳格な審査をやっているんだな」
茶髪の男「はい」
茶髪の男「審査はとても厳しいものです」
茶髪の男「そしてこの審査に合格しなかった人間は……」
茶髪の男「処刑されます」
男「え゛っ……」
946: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:15:06.23 ID:+AVin39D0
茶髪の男「なにしろ神の世界に関する情報は重要機密事項ですからね」
茶髪の男「その一部でも知ってしまった人間は生きて返すことはできないのです」
男「ははっ、さいですか……」
男「でも、女が今ここにいるってことは」
男「女はなんとかその審査とやらに合格できたってことだな?」
女「あはっ、そだねー」
947: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:15:36.42 ID:+AVin39D0
茶髪の男「女には感謝しなければなりません」
茶髪の男「わたしの勝手な願いを聞き入れてくれ」
茶髪の男「わたしの計画に協力してくれたのですから」
女「勝手な計画ではないですよ」
女「わたしもミリアムさんのことは気になっていたし」
女「ミリアムさんには幸せになって欲しかったからですから」
男「ん、ということはミリアムさんは……」
茶髪の男「はい、ミリアム様は……」
948: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:16:07.67 ID:+AVin39D0
ガチャ、バタン、スタスタ
男「……!」
女「……!」
茶髪の男「……ヨ、ヨシュア様、ミリアム様」
949: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:16:46.44 ID:+AVin39D0
スタスタ、ピタッ
ニート「……ノア」
茶髪の男「ヨシュア様、大変申し訳ございませんでした」
茶髪の男「ヨシュア様の指令に背くということは犯してはならない最大の罪」
茶髪の男「今回の件に関しましてわたしはいかなる厳罰を受けることも覚悟しております」
ニート「ノア、顔を上げろっていう」
950: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:17:19.87 ID:+AVin39D0
ニート「ノア、俺はお前に何て命令したっていう」
茶髪の男「……『何もするな』……と」
ニート「その通りだっていう」
ニート「命令を分かっていながらなんで今回の行動を起こしたんだっていう」
茶髪の男「ヨシュア様はゆくゆくは神の世界の頂点に立たれるべきお方……」
茶髪の男「そして、ミリアム様こそヨシュア様のパートナーとして相応しい……」
ミリアム「ノア……」
951: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:17:54.39 ID:+AVin39D0
茶髪の男「ヨシュア様が動けない状況であるからこそ」
茶髪の男「わたしが動かなければならないと判断し今回の行動にいたりました」
ニート「……」
ニート「お前は多くの人間の命を危険にさらしたんだっていう」
ニート「下手したら関係者全員の存在が消し去られていたかもしれなかったっていう」
男「ん、なんで?」
952: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:18:38.66 ID:+AVin39D0
ニート「大神王のじじいは頑固で人の話を聞かないところがあるっていう」
ニート「下手にじじいの機嫌に触れるようなことをすると」
ニート「関係者全員消し去られるっていうのは稀にあることだっていう」
ニート「ゆえに、ノア、お前の今回の軽率な行動は決して許されることではないっていう」
茶髪の男「承知しております」
953: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:19:12.34 ID:+AVin39D0
男「軽率な行動って……お前の行動なんていつも軽率じゃねーか」
ニート「俺はすべてを計算して行動しているっていう」
ニート「すべてを計算しておきながらそう見せない所が俺の凄い所だっていう」
男「へい、さいでしたか」
クルリ
ニート「ノア、お前の処分は追って決定するっていう」
ニート「分かったなっていう」
ノア「はい、いかなる宣告であろうと謹んで拝承いたします」
954: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:20:05.09 ID:+AVin39D0
その日、帰り道……
テクテク、テクテク
男「あの、茶髪の男、結局は神の世界の人間だったんだな」
男「お前はずっと前から知っていたわけ?」
女「ううん、知らなかったよ」
女「今回の件を頼まれたときに初めて教えてもらった」
955: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:20:33.30 ID:+AVin39D0
男「でもニートの野郎、茶髪の男を一体どうするんだろうな?」
男「結果的にミリアムさんが助かったんだから大目に見てやればいいものを……」
女「まあ、そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよ」
男「そうですかい……」
956: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:21:18.69 ID:+AVin39D0
男「ところで神の世界はどうだった?」
女「うん、まー面白かったよ」
男「ふーん」
男「神の世界にも普通に建物とか街とかあるわけ?」
女「うーん、まあちょっと違うけど、大体人間世界と変わらないかな」
男「ニートが言ってた大神王にも会ったの?」
女「うん、会った」
957: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:21:46.71 ID:+AVin39D0
男「どうだった? 怖かった?」
女「神の世界の住人にならないかって言われた」
男「え゛っ、なにそれ?」
女「『人間世界には戻らないでこのまま神の世界に止まって神官として働かないか』って」
男「なんじゃそりゃ?」
男「人間も神になれるわけ?」
女「みたいだね」
男「ふーん」
958: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:22:22.79 ID:+AVin39D0
男「じゃあ、お前随分大神王って人に好かれたんだな」
女「あはっ、まーそだね」
男「……」
男「……で、何て答えたの?」
女「ん? もちろん断ったよ」
男「へい、さいですか」
959: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:23:07.29 ID:+AVin39D0
女「なに? 受けといた方が良かった?」
男「いや、それは勘弁」
女「あはっ」
女「ところでさ、男」
男「うん、何?」
960: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:23:45.22 ID:+AVin39D0
女「わたしがいない間、論文の方はちゃんと進んだ?」
男「う、嫌なことを思い出した」
男「まあこれから頑張って追い込みかけますわ」
女「あはっ」
女「まあわたしもなにかできることがあったらできる範囲で手伝うよ」
男「へい、応援サンクス」
(終わり)
961: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:38:51.51 ID:+AVin39D0
【エピローグ】
2か月後、学術センター内の一室……
男「いよいよ今日という日がやってきましたな、幼女……えーっと……統括」
幼女「うん、そうだね」
幼女「別に呼び方は今まで通りでもいいよ、おにーちゃん」
男「へい」
962: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:39:25.26 ID:+AVin39D0
男「ところで午後のオープニングセレモニーなんだけど……」
男「総理大臣も来るんだっけ?」
幼女「そうだね」
幼女「このセンターの出資者は日本政府だしね」
幼女「おにーちゃんも、午後はセンター長として挨拶してもらうんだから頑張ってね」
男「へい、非常に気が重いがなんとかこなしやす」
963: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:40:01.14 ID:+AVin39D0
コンコン、ガチャ
男「……!」
幼女「……」
研究者風の男「失礼」
研究者風の男「いやー、これはこれは」
研究者風の男「ご無沙汰しておりました、ミス幼女、そしてミスター男」
研究者風の男「ちょっとご挨拶に伺いました」
964: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:40:33.37 ID:+AVin39D0
男「ん、あんたは確か……」
幼女「久しぶり、研究者風の男」
幼女「カリフォルニアのみんなは元気にしている?」
研究者風の男「ええ、皆いたって元気です」
研究者風の男「ただ、あなたがいなくなられてからやはりどことなく活気がなくなってしまいまして」
研究者風の男「できれば今でも戻ってきて欲しいと皆言っているのです」
965: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:41:07.05 ID:+AVin39D0
幼女「戻る気はないから」
研究者風の男「はい、そうですね、分かっております」
研究者風の男「いずれにせよ、この度はこの学術センターのメンバーの一員に加えて頂きましてありがとうございます」
研究者風の男「ミスター男、先日発表されたあなたの論文、大変素晴らしいものでしたぞ」
研究者風の男「今後は是非このわたくしめにもご指導ご鞭撻の程を……」
男「ははっ、こちらこそ、どうぞよろしく……」
研究者風の男「では、わたくしはこれで」
966: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:41:46.69 ID:+AVin39D0
ガチャ、パタン
男「あの人って幼女先生と同じ研究チームの人だったよね?」
男「学術センターのメンバーに入っているわけ?」
幼女「うん、入れろ入れろってしつこくてね」
幼女「給料なしで半年間は仮メンバーっていう条件でメンバーに入れてあげたの」
男「ははっ、さいでしたか」
967: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:42:16.97 ID:+AVin39D0
男「ノーベル賞受賞者にも関わらずそんな条件を飲んでまで参加するとは」
男「あの人もなんだかんだいって研究に対する情熱のある人なのかな?」
幼女「それは違うよ、おにーちゃん」
男「ん、何が?」
幼女「この研究所にはそれだけのステータスがあるってこと」
男「ステータス?」
968: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:42:48.01 ID:+AVin39D0
幼女「うん、そう」
幼女「つまり、メンバーの中にはここで何かをするんではなくて」
幼女「ここにいることが目的の人もいるってこと」
幼女「まあ、いずれにしてもそんな人はクビにするけどね」
男「ははっ、わたくしめもクビにされないように頑張りやす……」
969: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:43:29.46 ID:+AVin39D0
コンコン、ガチャ
女「やっほー」
幼女「あ、おねーちゃん、来てくれたんだー」
女「うん、外、人がいっぱいですごいねー」
女「はい、幼女ちゃん、お祝いのお花を買ってきたから」
幼女「あー、ありがとう」
970: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:43:58.07 ID:+AVin39D0
女「それと、男にはこれ」
男「ん、なにこれ? 手紙?」
女「うん、そう」
男「誰から?」
女「まあ、読んでみて」
男「へい」ペラッ
971: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:44:41.95 ID:+AVin39D0
手紙の内容……
『よう、男と女、元気にしているか?
唐突であれなんだが、俺、ロシア人女と結婚することになった。
式は4月8日にサンクトペテルブルクで挙げる予定だから是非来てくれ。
ロシア人女もお前たちに会いたがっているしな。
じゃ、そういうことで。
P.S. 式の当日には特別ゲストも来る予定 』
…
972: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:45:19.79 ID:+AVin39D0
男「イケメンの野郎……結婚……だと?」
女「あはっ、でも良かったんじゃん」
女「妹ちゃん達もロシア人女さんのことを母親の様に慕っているみたいだし」
男「へい、そうですな……」
973: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:46:07.34 ID:+AVin39D0
男「しかし、そうならそうともうちょっと時間的余裕を持って連絡をよこせっつーの」
男「4月8日って、もう来週の話しじゃねーか」
幼女「別に、ロシアに行ってきてもいいよ、おにーちゃん」
男「えっ、いいんすか?」
幼女「うん、センター開設したからって何か拘束するわけではないし」
幼女「結果だけ出してくれれば何も文句は言わないから」
男「ははっ、ちょっと怖いですがそう言ってくれるならお言葉に甘えようかな……」
974: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:46:42.55 ID:+AVin39D0
ピラッ
男「しかし気になるのはこの最後の一文……」
男「『特別ゲスト』って一体誰だ?」
女「……」
男「女、お前分かる?」
女「多分、ニートとミリアムさんじゃないかな」
男「え゛っ、ニートか……」
975: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:47:24.56 ID:+AVin39D0
男「ミリアムさんには会いたいがニートにはあまり会いたくねーな」
女「あはっ、まあ本当にその二人かどうかは分からないけどね」
男「うーん、何か俺もニートとミリアムさんの様な気がしてきた……」
男「ところで、幼女ちゃん、今日はニートは来ないの?」
幼女「うん、来ないよ」
976: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:47:56.50 ID:+AVin39D0
幼女「ニート先生は忙しいからね」
幼女「今日はアラブの商人と大事な商談があるって言ってた」
男「アラブの商人?」
男「あの野郎、怪しい壺でも売りつけるつもりか?」
女「あはっ」
977: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:48:31.18 ID:+AVin39D0
ガチャ、バタン
事務員「失礼いたします」
事務員「統括センター長、センター長、準備がございますので別室までお願いいたします」
幼女「うん、分かった」スタッ
幼女「行くよ、おにーちゃん」
男「へい」
978: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:49:08.11 ID:+AVin39D0
スタスタ、ピタ
男「女……」
女「うん? どうかした?」
男「いや、別に……今までありがとな」
女「あはっ、なに改まってるの?」
男「うーん、何となくな」
979: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/03/24(土) 18:49:52.09 ID:+AVin39D0
女「ほら、早くいきなよ」
女「幼女ちゃんに怒られるよ」
男「あ、ああ」
男「じゃあ、行ってくる」
女「うん、いってらっしゃい」
(終わり)


コメントする
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。