2: @tea 2011/02/20(日) 09:34:07.94 ID:NlQ8UnoA0
「ローラ様、お荷物です」

デスクワークをしていた事務室のドアがノックされた。

「はいは~い、って、デカ!」

見れば、子供用の棺桶のようなもだった。

「何か魔術的な封がしてあるようです。…それも聖人級の…」

「とりあえず、廊下にもおけないから教主室に運んで頂戴」

「‥はい」

シスターを下がらせると、棺桶に向き合った。

簡単な術式だが、一定ランクの魔術師でないと解けないようになっていた。

「鍵をかけたならまた解くのも、道理なり」

「万物に解法が在るように、また、錠にも鍵は在る」

「解法《かぎ》がないなら、物としての非を認めるのと同義なり」

「世に在るならば、今ここに破錠せよ」

指のはらでひと撫ですると、魔術的な意味を持たせた錠前がはじけ飛ぶ。

一応、保護魔術を張り蓋を開けてみる。

……と、

引用元: とある少女の出生秘話 


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3: @tea 2011/02/20(日) 09:43:12.66 ID:NlQ8UnoA0
「……赤‥子?」

銀髪、碧眼の女の子がいた。

友人がフラッシュバックする。……聖人の。

手紙が添えてあった。

羽ペンで書いたのだろうか。

赤黒いインクを使い。

 我が友であり、私が知りうる中で、最も打算的な最大教主様へ。

 私は愚かだった。
 魔術とそうでない者は、交わるものではない。
 
 魔術だけなら、魔術のままだろう。

 だが、何かが加わればそれは天使にも、使い魔にもなるだろう。

 体の半分が比喩でなく飛んだ私に、残された時間は間もなく、伝えられるのはこんな浅はかなものだ。

 来世で逢えたらまた会おう。


 PS.長らく借りていた法の書も返す。

 例の二つの研究は、後ろに挟んでおいた。


    では、また会う刻まで。


読み終わった時、不意に赤子が泣き出した。

陣が展開される。

不安定ながらも、かなり精度の高さが伺える。

記憶に焼き付く驚異の陣型。

「竜王の殺息《ドラゴンブレス》!」

不安定だからこそ、保護霊装のない状況で戦いたくない。

「ふぇ~んふぇ~~~ん」
ゴバァ!っという炸裂音とともに、圧倒的な光《テレズマ》が迫りくる。
「(っく!)」

髪止めを解いて、その長い金髪で体を包む。

「(一応、歩く協会くらいの保護力があるのに……)」

ひかりは、端からローラの髪を焼いていく。

「(力押しされるとは…ネ…)」

不意に光が切れた。

精製した魔翌力が切れたようだ。

しかし部屋は半壊、ローラの髪も少しばかり焦げていた。

赤子は、スヤスヤ寝息をたてていた。

「ローラ様!先ほどから何かすごい音が……?」

「よいよい、それより神崎と、マグヌスのアホ二人を呼んでくれ。大アホがトンデモ天使を連れてきたとな」

「はい」

5: @tea 2011/02/20(日) 13:23:51.84 ID:NlQ8UnoA0
受話器をとるとダイアルを回して電話をかける。

「はいこちら騎士団da」

「引っ込め若造。先代は女王を連れて、すぐ必要悪の協会まで来るように伝えよ」

「おまえと大して歳ちがわna」

受話器を置くいて通話を切った。

ちょうどノックされる。

「はいれ」

「ひつれ~」

「お邪魔する」

茶髪でロン毛の神父と、黒髪の凛々しい日本系の神父があらわれた。

二人は部屋にはいると一瞬で表情を変えた。

次にローラの胸で眠る赤子に目をやる。

「あいつの…子‥か」

「今から、この子に自動書記《ヨハネノペン》と首輪をつける。手伝ってくれ」

無言でうなづく。

「マグ、人払いのルーンを。神裂、女王と先代のエスコートを」

二人は出ていき赤子と自分だけになる。

「ぬしのパパはすごいねぇ。この発想はなかったよ」

「いつまでも名がないと呼びにくいな…」

「そうだなあ、………      禁書目録《インデックス》            なんてどうだい?」 

終わり