1: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:12:54 ID:UEF
・このドキュメンタリーが短くなったり、プロダクションについて都合の悪い情報がなくなっていくことに現実の企業・団体は一切関係ありません。

引用元: 『中野有香~全身凶器~』 


2: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:13:26 ID:UEF
 カラテは、琉球王国で生まれた打撃中心の格闘技です。
 技の習得の容易さ、金銭的なコストの低さ、実用性の高さから、現在では世界中に広まっています。

 今回は、そのカラテを手にアイドル界へ殴り込んだ人物が主人公です。

3: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:14:54 ID:UEF
 1993年。東京のとある家にひとりの女の子が誕生しました。 
 出生直後の体重は5200gと、今からは想像できませんが、かなり大きな赤ちゃんだったようです。

 彼女は「中野有香」と名付けられ、たっぷりの愛情を注がれて成長していきました。

 中野有香には、生まれた直後から特別な力がありました。比喩的な表現ではなく、まさに力です。力こそパワーです。

 赤ん坊の頃には、どこからか侵入してきたガラガラヘビやヤドクガエルを絞め殺し、ダーツを投げれば的を破壊した、という微笑ましいエピソードが残されています。。

『ほう運動エネルギー弾ですか…たいしたものですね』

『運動エネルギー弾は1,500m/s前後という極めて速い飛翔速度を持つらしく、戦車や装甲車の破壊のために愛用するソルジャーもいるくらいです』

4: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:15:43 ID:UEF
 小学校の頃、中野有香は人生を変える出会いをします。
 そう……カラテとの出会いです。

 彼女は人並み外れた力を持ちながら、それを生かす場所に恵まれていませんでした。

 他の子と同じ遊びをしても相手に怪我をさせてしまう、道具を壊してしまうなど、周囲からも孤立していました。

 カラテの道場では、誰もが中野有香にあたたかく接してくれました。
 武道というと荒々しい印象を抱きがちですが、本来は肉体面よりも精神面での成長をうながすためのものです。


 中野有香は、少なくとも道場の中ではひとりではありませんでした

5: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:16:49 ID:UEF
 しかし競技になると話が変わりました。
 彼女が入門した神誠道場は、フルコンタクト系のカラテを教えています。
 つまり直接攻撃を当てることができ、そのスタイルが中野有香の障壁となりました。

『あの子を大会に出せば、必ず相手に大怪我をさせてしまう。
 かわいそうな話ですが……カラテは殺し合いの技術ではないのです』

 人並み外れたパワーと、武道家として優れたメンタリティを持ちながらも、彼女は再び、自分の力を発揮する場所を見失いました。

6: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:17:27 ID:UEF
 高校3年生になった頃、彼女に2度目の転機が訪れました。

 346プロダクションからのスカウトです。

『一目見た時、“こいつはかなりやるな”と思ったよ。空手をやってたのは後から聞かされたが……。 

 俺は中野有香となら、アイドル界最強の座が取れると確信した』

『なにがシンデレラガールだ。中野有香が本気で殴れば死ぬ』

7: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:18:28 ID:UEF
 とはいえ、デビュー当時の彼女はカラテはあくまで特技として、普通のアイドルでした。
 当たり前のポップソングでCDデビューをし、プロダクションの仲間と和気藹々、たのしいアイドル生活を満喫していました。

『たしかにはじめのころは、カラテはただの特技として、主にルックスとかダンスで売り出しましたけれども。

 今思えば、カラテで培ったメンタルは活動に結構活かされたんじゃないでしょうか?
 フルコンタクトってバチボコに殴り合うじゃないですか。

 たとえ傷つく可能性があったとしても、前に出て立ち向かうってことでしょ』

 プロダクションの後輩と、「“姿を見せな……殺気が漏れているぞ”ごっこ」をしている途中にストーカーと遭遇したり。

 担当プロデューサーをうっかり半身不随にしてしまったり。

 酔っ払った他のアイドルと死闘を演じたり。

 いくつかの些細なトラブルはありましたが、中野有香は順調にアイドルとしてのキャリアを積んでいきました。

8: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:19:25 ID:UEF
 そんな彼女に真の意味で変革が訪れたのは、アイドルになって3年の頃でした。

 あの菊地真と、エキシビジョンで戦うことになったのです。

 中野有香にとっていままでの勝負は、いかに手加減をして、相手に怪我をさせないようにするか、その一点に尽きました。
 なぜなら、相手はいつも圧倒的な弱者ばかりだったからです。

 ですが菊地真は違いました。

 菊地真は、中野有香と同じように、格闘家として他と一線を画す才能を持っていました。

『真の強さねえ……単に格闘技をいっぱい覚えてるってこともそうだけど、肝心なのは、それらをシームレスにつないで戦うところかしら』

『ハイキックのときに見えるスパッツが最高なんだ!

9: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:21:31 ID:UEF
 安全のためにプロテクターと、厚いグローブを着用しての勝負となりましたが、対戦は大いに盛り上がりました。

『アイドル同士のガチンコ勝負って言われたら。
 まこまことゆかたんがふたなりせっくるをするもんだと普通は思うだろ?
 
 違うんだ。彼女たちは本当に戦ってた』

『プロテクター着用で顔がよく見えないからさ、はじめは偽物かと思ってたよ。
 でも2Rで菊地さんのヘッドガードが破壊されて、顔がよく見えてたのしかった』

 3Rまで、中野有香は圧倒的なパワーと打撃技で菊地真を追い詰めました。

 ですが4R目。
 ペース配分の未熟さが祟ってスタミナの消耗がはじまり、ラウンド終了間際にグラウンドに持ち込まれ、惜しくも敗北しました。

『鉤突きからの連打のとき一瞬意識がなくなりましたけど、プロデューサーからの声援で息を吹き返しました!』

10: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:22:16 ID:UEF
 勝負には負けましたが。
 ですがこの後、アイドルの格闘技界への進出が加速し、346プロダクションはキックボクシング、シラットの世界でも名が知られるようになりました。
 
 そして今年の元旦。
 中野有香と菊地真、2度目の対戦が特番で放送されます。

 今度はプロテクターなしの、本気の殺し合いをあなたの元へお届けいたします。

11: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/02(月)12:22:37 ID:UEF



『押忍っ!
 今度は絶対に勝ちますから、応援よろしくお願いします!!』


取材・編集・制作 346プロダクション