1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:45:11.08 ID:15Xng7//0

引用元: 【バンドリ】氷川紗夜「相談に乗って欲しいのですが」今井リサ「うん?」 



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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:46:46.85 ID:15Xng7//0

――ファーストフード店――

今井リサ「相談?」

氷川紗夜「ええ。今井さんを見込んでの相談です」

リサ(またお菓子作りのことかな?)

紗夜「同性とキスするまでどういう流れにすればいいんですか?」

リサ「ぶっ――ごほっ、ごほっ!」

紗夜「……? 今井さん、どうかしましたか? 飲み物が変なところにでも入りましたか?」

リサ「い、いやちょっと……。その、紗夜、もう一回言ってほしいんだけど」

紗夜「はい? 何をですか?」

リサ「相談内容が、その……キ、キス? って聞こえたんだけど、聞き間違いだよね?」

紗夜「キスと言いましたが」

リサ「…………」

リサ(落ち着け、落ち着け今井リサ……。これはきっとアレだよね、魚のキスを釣りに行くとか料理するとかそういうアレだよね……)

紗夜「ちなみに魚を釣るとか料理するとかそういうことではありませんので。古い言葉で接吻と呼ばれるものです」

リサ(先回りされた……!)

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:47:46.32 ID:15Xng7//0

紗夜「それで、どうすればいいのでしょうか?」

リサ「え、えーっと、色々言いたいことはあるんだけどさ……」

紗夜「はい」

リサ「その、なんでアタシにそれを相談するの?」

紗夜「今井さんならそういう経験が豊富だろうと思いまして」

リサ「ちょっとそのイメージがもう解せないんだけど……」

紗夜「え?」

リサ「え?」

紗夜「…………」

リサ「…………」

紗夜「……冗談ですよね?」

リサ「待って、それアタシのセリフ」

リサ「なんでアタシにそんなイメージを持ってるの……?」

紗夜「今井さん、湊さんと挨拶代わりにキスをしてますよね?」

リサ「し、してないよ!?」

紗夜「え……?」

リサ「いやいや、なんでそんな不思議そうな顔してるの!? 幼馴染とする訳ないじゃん!」

紗夜「今井さんと湊さんは恋人同士だともっぱらの噂ですが……」

リサ「その噂の発信源どこ!?」

紗夜「日菜が言っていました。『リサちーと話すと友希那ちゃんのことばっか喋るし、絶対付き合ってるよねー! 2人っきりの時とかちゅーしてそうっ!』と」

紗夜「私の可愛い日菜がそう言うのであれば間違いないだろうと思っていたのですが」

リサ「ヒナ……なんてことを……!」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:48:53.74 ID:15Xng7//0

紗夜「それにライブ中もやたらとお二人の距離が近いですし、宇田川さんと白金さんもなんとなく察しています」

リサ「ロゼリアの中にそんな誤解が生まれてたの!?」

紗夜「ですからスタジオ練習の時も、湊さんと今井さんが2人っきりの時間を過ごせるようにと、しっかり空気を読んで3人でしばらく時間を潰していましたし」

リサ「最近やたらみんな遅いなって思ってたらそれが原因!?」

紗夜「はい。親友の恋路を邪魔するほど、私たちだって野暮じゃありませんから」

リサ「それ全部誤解だって! 親友って言ってくれるのは嬉しいけどその気遣いは嬉しくないよ!」

紗夜「……付き合ってなかったんですか?」

リサ「付き合ってないって! 友希那と恋人同士だなんて……そんな……」

リサ(毎日おはようとおやすみの電話して、電話してるのに窓からお互いの姿を見てて、なんで電話してるんだろっておかしくなって笑い合ったりして、休みの日は公園にでも行ってさ、猫を可愛がる友希那を眺めて、なんていうか幸せだなーなんて思うなんて……)

リサ「…………」

紗夜「…………」

リサ「……えへへ」

紗夜「やっぱり付き合っているのではないですか?」

リサ「はっ!?」

紗夜「大丈夫ですよ、今井さん」

紗夜「隠したい気持ちは分からないでもありませんが、私たちだって冷やかして囃し立てるほど子供じゃありませんから」

リサ「待って待って! 今のなし! そういう気遣いはいらないから!」

紗夜「ですが今、とても幸せそうな顔で何かを考えていましたし……」

リサ「い、いやね? そりゃあね? 友希那と、こう、ね? もっと仲良くなれたら嬉しいなって思いはあるよ?」

リサ「でもさ、それと付き合うとかどうとか、キ、キスがどうとかって話はちょっと……違うじゃん……?」

リサ(うぅ……友希那とそういうことするって考えるだけで顔が熱くなる……)

紗夜「今井さんは意外と初心なんですね」

リサ「い、いや、誰だってこうなると思うけど……」

紗夜「てっきり幼いころから何も知らない無垢な湊さんを誑かしているのかと思っていました」

リサ「えっ!?」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:49:30.48 ID:15Xng7//0

紗夜「……幼いころ、自身の中に生まれた恋心というものを早々と自覚した今井さんは、その相手である湊さんの傍にずっと寄り添っていました」

紗夜「そして時間が経つにつれて、自身の恋心と、そういったことへの知識や興味がどんどん大きくなっていきます」

紗夜「当の湊さんは幼いころから歌に一生懸命で、そういったことには人一倍疎く、無垢なままで育っていきました」

紗夜「そんなある日、今井さんの中に、ある邪な気持ちが芽生えます」

紗夜「“何も知らない友希那に何かしてみたい”」

紗夜「幼いなりの正義感や自制心がそんな後ろ暗い情動を押さえてくれていましたが、悶々と持て余し続けたそれは湊さんのふとした発言でブレーキが利かなくなってしまいます」

紗夜「“ねぇリサ。なんだか最近、クラスの○○君の事を考えると、胸がキュッとするんだけど”」

紗夜「それを聞いて今井さんは思いました」

紗夜「“いけない、このままじゃ友希那が悪い道に行っちゃう。正しい道にアタシが誘導してあげなきゃ”」

紗夜「それは自身の内に抱え続けた黒い情動からの考えでした。ですが、まだ幼い今井さんはこれを正義感だと捉え、“これからすることは友希那のためだから”という免罪符を心の中に作り出します」

紗夜「そして自分の部屋に湊さんを連れ込んだ今井さんは、最愛の幼馴染をベッドに押し倒しました」

紗夜「“これは友希那のためだから”」

紗夜「自分の猛る青い劣情をその免罪符で隠した今井さんは、少しの恐怖に顔を歪めた湊さんを見て、とうとうその理性の鎖を断ち切り――」

リサ「ちょ、ちょっと待って!!」

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:50:31.21 ID:15Xng7//0

紗夜「どうかしましたか、今井さん」

リサ「それはアタシのセリフだよ!? 何考えてんの!?」

紗夜「これはこの前つぐみさんが話してくれたある幼馴染たちのお話です」

紗夜「あ、大丈夫ですよ。実話にフィクションを付け足した作り話と言ってましたから」

リサ「それつぐみが原案なの!?」

紗夜「はい。この前嬉しそうに私に話してくれました」

リサ「う、嬉しそうにって……」

紗夜「つぐみさんが嬉しそうで私も嬉しかったです」

リサ「えぇ……」

リサ(なんかつぐみに対する見方が変わりそう……)

リサ(ていうか幼馴染って……まさかモカが蘭に……いや、考えるのは止めとこ……)

紗夜「では、今井さんは湊さんとは一切そういう関係ではないんですね?」

リサ「そ、そうだよ。友希那とそんな爛れた関係なんて持ってないよ」

リサ(手を繋いで一緒に帰るとかお弁当作ってあげるくらいの普通の関係だよ……)

紗夜「そうでしたか。憶測でモノを言ってしまってすみません」

リサ「あ、意外とあっさり引いてくれるんだね……」

紗夜「張本人の今井さんがそう言うのであれば信じざるを得ませんからね」

紗夜「私は親友の言うことを疑うほど狭量な人間ではありませんよ」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:51:41.46 ID:15Xng7//0

リサ「……色々言いたいことはあるけど、紗夜ってなんていうか、最近すごく丸くなったよね」

紗夜「そうでしょうか?」

リサ「うん。まっすぐ自分の気持ちを口にするようになったと思うよ」

紗夜「まぁ……そうですね。人間、素直が一番だと思うようになりました」

紗夜「幼い強がりなんてかなぐり捨てて、素直になる」

紗夜「この前のいざこざもありますし、そうしないと大切なものを失ってしまうような気がしたんですよ」

紗夜「たらればの話ですが、強がって意地を張ってばかりいては、きっと今も日菜とすれ違ったままだったと思います」

紗夜「……私はもう知りました。相手を認め、自分を認めること。それだけで、世界はずっと素晴らしいものになるんだと」

紗夜「だから、今では大切な居場所になっているロゼリアにも、こんな私を認めてくれた人たちにも、素直な気持ちでいるのが一番大事なんだ、と。そう思うようになったんです」

紗夜「でないと、全部を失くしてから『あの時ああしていたら、こうしていれば』と、後悔ばかりを重ねそうですからね」

紗夜「それに……私の大切な人たちが、数十年後に最期を迎えた時。そのエンドロールには『友人』や『親友』、あるいは『かえがえのない人』という肩書で“氷川紗夜”という名前があってほしい」

紗夜「その人たちにとって、私という存在が良い意味で消えずに残っていたら、この上なく幸せなことだ……と」

紗夜「そう強く思いますから」

リサ「紗夜……」

紗夜「という訳で、つぐみさんとキスがしたいのですがどうすればいいと思いますか?」

リサ「ここでその話に戻るの!?」

リサ(薄々分かってたけど相手の名前出しちゃってるし!)

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:52:22.09 ID:15Xng7//0

紗夜「……? 最初からこの話だったと思いますけど」

リサ「あー、あー……そうだったね、相談があるって話だったね……」

紗夜「はい。それで経験豊富な今井さんにアドバイスを頂ければ、と思っていましたが私の早とちりでした。誤解をしていてすみませんでした」

リサ「う、ううん。誤解が解けたならいい……のかなぁ……?」

リサ「ていうか、それならアタシが相談相手じゃなくてもよくない?」

紗夜「いえ、経験がないというのは少し思い違いでしたが、それでも今井さんが頼りになるというのに間違いはありません」

紗夜「きっと今井さんであれば素晴らしいアイデアを出してくれると信じています」

リサ「いや……その期待には応えられないと思うなー……」

紗夜「大丈夫です。私はあなたを信頼していますから」

リサ「その無垢な信頼がプレッシャーだって……」

リサ(そこまで頼りにしてくれるなら報いたい……けど、内容が『つぐみとキスがしたい』じゃね……)

リサ「えーっとさ、紗夜は何か考えがあるの? その、つぐみと……キ、キスする考えが」

紗夜「あるにはありますけど……」

リサ「じゃあそれ、まずは聞かせてよ」

紗夜「分かりました」

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:53:40.42 ID:15Xng7//0

紗夜「まず、火曜日に閉店間際の羽沢珈琲店へ向かいます」

リサ「うん」

紗夜「毎週火曜日はつぐみさんが閉店までいる日で、その時間帯は他の従業員もいません」

紗夜「ただ、第二、第四火曜日は大学生のアルバイトの方、もしくはお義母さまがいらっしゃるのでこの日は避けます」

リサ「うん……?」

紗夜「夜の帳が降りる商店街。お客さんのいない喫茶店につぐみさんが1人」

紗夜「普段とは違うシンとした空気に『ちょっと寂しいなぁ』と思うつぐみさん」

紗夜「そこへ私が入店します」

紗夜「きっとつぐみさんはパッと輝いた笑顔で出迎えてくれるでしょう」

紗夜「少し他愛のない話をしてから、さりげなく『今日は1人なんですか?』と尋ねます」

紗夜「まぁ1人だと事前調査のおかげで知っているんですけどね」

紗夜「ともあれ、つぐみさんは少し照れたように笑いながら、『はい。だからちょっと寂しくて……』と言うでしょう」

紗夜「もう辛抱が出来ないのでその場でキスします」

リサ「…………」

紗夜「…………」

リサ「……え、終わり?」

紗夜「これ以上なにか言うことがありますか?」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:55:19.11 ID:15Xng7//0

リサ「あー、いや……うーんと……」

紗夜「ああ、その後のことですか? そればっかりはつぐみさん次第としか言いようがないので……まぁお泊りくらいまで持っていければと」

リサ「そーいうことじゃないんだけどなぁ……」

紗夜「あっ、なるほど」

リサ「ん? 分かってくれた?」

紗夜「すみません、今井さん。流石につぐみさんのそういうシーンは私だけのものなので……キスの時のつぐみさんの息遣いやそのあとの詳細は話せません」

リサ「……うん、それは紗夜の胸の中にずっと隠し持っておいて欲しいかな」

リサ(友達からそんな詳細聞かされたら夜眠れなくなるってば)

紗夜「今井さんの目から見て、何かこの作戦に不備がありますか?」

リサ「紗夜の頭かなぁ」

リサ(――って言いたいけど我慢しなきゃ)

リサ「え、えーっと、いい……と思うよ?」

紗夜「本当ですか?」

リサ「う、うん……大丈夫、きっとイケルイケル……」

紗夜「今井さんが太鼓判を押してくれるなら心強いですね」

リサ「あーでもさ、ほら、流石にお店でそういうことをするのは迷惑になるんじゃないかな?」

リサ「いくら閉店間際って言ってもさ、お客さんが来る可能性がない訳じゃないじゃん? 例えばそこにアフターグロウの子とか、ヒナが来たら……」

紗夜「なるほど……」

リサ「ね? やっぱり気まず――」

紗夜「つぐみさんと私の仲の良さを見せつけられますね」

リサ「……紗夜、大丈夫? 熱中症になってたりしない? 頭ヘーキ?」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:56:50.80 ID:15Xng7//0

紗夜「至っていつも通りですが」

リサ「それが本当に紗夜のいつも通りならアタシはロゼリアでの身の振り方考えなきゃいけないかもだけど……」

紗夜「大丈夫です。今井さんは今井さんです。技術は足りなくても、あなたはロゼリアにとって大切な、かけがえのないベーシストです」

リサ「うん、それはこの前聞いたね? 紗夜はどうしたのかな? 頭のネジ、どこかに落としてきちゃった?」

紗夜「あなたはいつも周りのことを心配してくれますね。そんなあなただからこそ、私は……」

リサ「待って、タイムタイム。ごめん、なんかホントごめん。アタシが悪かったからさ、その、なんか、異様な熱が込められた目はやめよ?」

リサ「まっすぐ見つめてくれるのは嬉しいけどさ、色々と身の危険感じるからさ」

リサ「その目で迫ってくるのはホントやめて欲しいかな、アタシは」

紗夜「あ、すみません……。少し気持ちが昂りました」

紗夜「素直になろうと決心してからというもの、尊敬や敬愛、感謝の気持ちをつい行動に移したくなってしまうんですよ」

リサ「それは危ないから治した方がいいと思うなー……」

紗夜「今井さんもこういうことは湊さん以外にされたくありませんよね」

リサ「そうだね、友希那なら嬉し――いやいやいや!」

紗夜「……やはり湊さんと今井さんは付き合っているのでは」

リサ「だから違うってば! そ、それよりほら、今は紗夜の相談でしょ!?」

紗夜「そうでしたね。ですが、もう今井さんから太鼓判を押していただきましたから、先ほどの作戦を早速今夜決行しようと思います」

リサ「ちょ、ちょっと待って、今日は日曜日だよ!? 火曜じゃないとつぐみは1人じゃないんじゃないっけ!?」

紗夜「今井さんから頂いた天啓がありますから。むしろ見せつける勢いでやってきます」

リサ「だ、ダメだよそれは!!」

紗夜「何故ですか?」

リサ「そ、それはほら、やっぱり……その、ファ、ファーストキス、だよね?」

紗夜「つぐみさんは分かりませんけど、私はそうですね」

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:57:47.31 ID:15Xng7//0

リサ「そ、それなら、こう、ね? 雰囲気とかさ、やっぱ大事にしたい……じゃん?」

リサ(友達相手に何言ってんだろアタシ……すごく恥ずかしい……)

紗夜「……言われてみれば」

リサ「ね? だからほら、やっぱり2人っきりの時がいいと思うな、アタシは」

紗夜「確かにその通りでした。やはり今井さんは頼りになりますね。いつも私に大切なことを気付かせてくれます」

リサ「あ、アハハ……紗夜の役に立てたなら何より……だよ。……はぁ」

リサ(どうにか思いとどまってくれた……でもこれ、絶対時間の問題だよね……)

紗夜「つきましては、今井さん」

リサ「……うん?」

紗夜「今井さんが望むファーストキスのシチュエーションを教えてください。参考にしたいので」

リサ「え!? い、いや、ちょっとそれは……」

紗夜「大丈夫です。相手が湊さんだということは分かってますから」

リサ「いやいやいやっ、それ本当に誤解だからね!?」

紗夜「そうなんですか? では私と実際にキスしてみますか?」

リサ「なんでそうなるの!?」

紗夜「今井さんとなら私は嫌ではありませんし……練習、と言うと少し嫌なものに聞こえるかもしれませんが、何事も経験だと思いますので」

リサ「いやその考えはおかしい! ちょっと、本当に今日の紗夜は変だってば!」

紗夜「私はいつもと変わりありませんよ?」

リサ「なら尚のことヤバいって! ちょ、なんで無言で近づいてくるの!? ちょ、ちょっと、待っ――……」


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 09:59:00.32 ID:15Xng7//0

―― レジカウンター ――

上原ひまり「…………」

宇田川巴「…………」

ひまり「……ロゼリアって、なんていうか……アレだね」

巴「だな……あこが悪い影響受けてないか心配だよ、アタシ……」

ひまり「あこちゃんはヘーキだよ、多分……真面目な燐子さんがいるし……」

巴「だといいけどなぁ……」

ひまり「でも……ウチもアレだよね……」

巴「まぁ、な……蘭とモカが……アレだな……」

ひまり「…………」

巴「…………」

ひまり「あれかな……つぐに紗夜さんのこと、伝えた方がいいかな……?」

巴「……伝えなくていいだろ。つぐ、絶対あれ、紗夜さんのこと待ち構えてるし……」

ひまり「やっぱそうだよね……いっつも何か期待する目で紗夜さんのこと見てるよね……」

巴「ああ……つぐも結構、アレだしな……」

ひまり「どうしてこう……私たちの周りってアレな人ばっかりなんだろーね……」

巴「アタシが知りたいよ……ホント……」

ひまり「彩さんと花音さんも大概アレだし……」

巴「……この前、お客さんから見えないレジカウンターの死角で手ぇ繋いでたな……」

ひまり「繋いでたね……」

巴「仲……良いんだな……」

ひまり「……ね。今日は2人で水族館だっけ……」

巴「ああ……2人とも楽しそうに話してたな……」

ひまり「…………」

巴「…………」

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 10:00:02.10 ID:15Xng7//0

ひまり「はぁ~……私もどこかにいい人いないかなぁ……」

巴「この場でそれ言うのはやめとけって……半分アタシに言ってるようなもんだぞ……」

ひまり「だよねぇ……」

巴「まぁ……あれだ、帰り、ラーメンでも食って帰るか……」

ひまり「そうだね……こうなったらやけ食いだよ……」

巴「…………」

ひまり「今、『太るぞひまり』って思ったでしょ?」

巴「聞くなって、言わぬが華だぞ……」

ひまり「ふーんだ、いいもーん……私は太ったって見せる相手もいないしー……」

ひまり「どーせ今年もみーんな一緒に海行ってくれないもーん……」

巴「んな悲しいこと言うなよ……そしたらアタシが一緒に行ってやるから……」

ひまり「…………」

巴「…………」

ひまり「あーあ……ホント巴が男の子だったらなぁ……」

巴「だからそういうことこの場で言うなって……」


おわり