1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:45:51.73 ID:RC6p1yPRo

カラン カラ~ン♪ カランカラ~ン♪  

「大当たり~!」 

梅雨が明け、夏の模様を映し始めた商店街 

その福引場で店員の声と鐘の音が鳴り響く 

「わぁ・・・」 

嬉しそうに少女が微笑む 

店員「おめでとうお嬢さん! 特賞の超特急ヴェガの乗車券だぁ~!」 

「超特急ヴェガ?」 

店員「そうです! 超豪華特急列車ヴェガです!」 

「・・・」 

店員「?」 

「私、三等が欲しいのですけれど、交換できませんか・・・?」 

店員「えぇっ!? 『人生踏んだり蹴ったりゲーム』の方がいいと言うんですかっ!?」 

「私、友達みんなとテレビゲームするのが夢なんです~」 

とニコニコ顔の少女。その天真爛漫な笑顔に店員も一瞬だけ和んでしまう


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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:48:20.30 ID:RC6p1yPRo

店員「いや、いやいやいや! いいですかお嬢さん? 今や話題沸騰中のこの乗車券。 
   稚内から鹿児島の最終駅まで日本を縦断する夢のような列車の乗車券なんですよ?!」 

「・・・」チラッ 

困り顔で三等を見つめる少女 

店員「・・・分かった!じゃあこうしよう。今の今まで一枚とも出なかったこの乗車券 
   五枚全部君に差し上げよう! これなら友達と行けるでしょ?」 

「まぁ、よろしいんですか?」 

少女に笑顔が戻る 

店員「でもこれ申し込み期限が明後日までだから注意してね」 

「はい!ありがとうございますっ!」ペコリ 

店員「いい旅を!」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:49:01.24 ID:RC6p1yPRo
「お~い!むぎ~!」 

紬「あっ、りっちゃん!」 

律「な~にしてたんだ? なんか嬉しそうだけど?」 

紬「みてみてこれ! 福引で当たっちゃった~♪」 

律「ん~? なになに・・・超特急ヴェガ!!? マジでっ!?」 

紬「うふふ」 

律「おぉ~ いいなぁ~」 

紬「それでね、五枚あるからみんなで行こうと思って!」 

律「・・・?」 

紬「放課後ティータイムのみんなでヴェガに乗ろう!」フンス! 

律「・・・ッ」ダキッ 

紬「り、りっちゃん!」 

律「むぎ・・・愛してる」 

「な、なにしてるんですか!?二人とも!?」 

「あ~私も私も~」ダキッ 

「ちょっ唯先輩まで! 注目集めてますから! ここ離れますよ!」グイグイ 

唯「お~」ジタバタ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:50:07.09 ID:RC6p1yPRo

律「いやぁ~わりぃわりぃ・・・つい、ね?」 

紬「うふふ」 

唯「もぉ~、あずにゃん!」プンス 

梓「なんでそこで怒るんですか、意味不明です。 それはそうとあそこで何を?」 

律「聞いて驚け~! むぎの強運により、私たち放課後ティータイムがヴェガに乗車する事になった!」 

唯「おぉ~!」 

梓「えぇ! あの商店街の福引ですか!? あ、でも一枚のハズじゃ・・・?」 

紬「あら、あずさちゃんよく知ってるのね」 

梓「うっ(10回引いたけど三等以外はティッシュだったのは黙っていよう・・・)」 

紬「店員さんがおまけしてくれたの~」ニコニコ 

律「それは強運とよんでいいのだろうか・・・」 

唯「澪ちゃんには教えてあげたの~?」 

紬「明日部室でみんなに教えてあげようと思っていたの。りっちゃん、澪ちゃんに伝えておいてくれる?」 

律「いやいや~、こういうのは本人から伝えるべきだと思うぜ?」 

唯「うんうん!」 

梓「そうですね」 

紬「そうね、分かったわ!」 

唯「今電話したらどうかな?」 

紬「かけてみる!」ピッピッピッポ
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:50:43.31 ID:RC6p1yPRo
trrrrrr 

『もしもし、むぎ?』 

紬「あ、澪ちゃん? あのね・・・」 

律「澪は帰って勉強するって言ってたからなぁ」 

唯「受験生だもんね!」 

梓「唯先輩もですよ・・・」 

紬「・・・と、言う訳なの~。一緒に乗ろう?」 

バタンバタンッ ツーツー 

紬「切れちゃった・・・」ションボリ 

律「ったく、な~にやってんだか」ピッピッピッポ 

trrrrrrrr 

澪『は、はい・・・』イテテ 

律「びっくりして椅子から転げ落ちただろ~」ニヤニヤ 

澪『お、落ちてない!』 

唯「お~ さすがりっちゃん!」 

梓「伊達に幼なじみしてませんね・・・。あ、律先輩、申し込み明後日までだと伝えてください」 

律「おっけ。 でさぁ~、申し込みが明後日までなんだよ~・・・。うん・・・。 
  そうだな。じゃあ明日みんなで話し合うか。うん・・・じゃあ明日な」プツッ 

唯「そうだね~それじゃあ、明日部室で確認しよう!」 

梓「はい、そうですね!」キラキラ 

紬「みんなと旅行できるなんて夢見たい」パアア 

律「よ~し、それじゃあ各自情報収集のち、スケジュール確認を怠らない事!」 

紬唯梓「「「 了解! 」」」ビシッ 

律「よし、解 散 ッ!」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:51:09.28 ID:RC6p1yPRo

―――琴吹低 

コンコン 

「お嬢様よろしいでしょうか」 

紬「どうぞ」 

ガチャ 

斉藤「お勉強の最中に失礼します」 

紬「ひと段落付いたところだから平気よ、何かしら?」 

斉藤「緊急の事ですのでよくお聞きください・・・。先ほど旦那様が・・・」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:51:51.05 ID:RC6p1yPRo

律「ぎっくりごしぃ!?」 

紬「・・・そうなの、だから今年のフィンランドは延期になってしまって・・・」ションボリ 

澪「ぎっくり腰はかなり辛いらしい・・・お大事にな」 

紬「うん。ありがとう・・・」ションボリ 

バンッ 

唯「さぁ、今日も一生懸命駄弁るぞー!」 

梓「もっとやる気を出してください!こんにちは、先輩方・・・どうしたんですか?」 

唯「おや、空気が重たいね」 

紬「ううん。なんでもないのよ」ニコ 

澪「まぁ、私らが心配してもどうしようもないからな」 

律「そだな。よーし、これより超豪華特別急行列車ヴェガ会議を始めるっ!」 

唯「まってました!」 

紬「おー!」 

梓「はい!」キラキラ 

澪「練習にもこれぐらいの気合を」 

律「それでは、まずヴェガについてだがー」 

梓「はい! それについては私から説明します」ズバッ 

唯「おー、いつになく熱心だねあずにゃん」 

律「おし、任せたぞ!」 

紬「がんばってー」 

梓「コホン。 8月1日から8月15日をかけて夢の超特急ヴェガは日本を縦断していきます。 
  稚内を出発後、順に札幌 青森 仙台 東京 松本 金沢 名古屋 京都 大阪 広島 博多 
  と各都市を24時間停車。最終日には鹿児島の駅に到着します」 

澪「ふむふむ」 

梓「ヴェガの概要ですが、動力車を先頭に寝台車・シャワー室のある売店車・客車1号車・2号車・3号車・4号車・食堂車・娯楽車・ 
  と続き、最後尾・展望車となります。」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:52:33.77 ID:RC6p1yPRo

律(すげぇ、カンペも使わずに) 

梓「観光地への足だけではなく旅の宿となる寝台車、いつでも使えるシャワー室があるのは有難いですね」 

唯「はい!質問です」 

梓「どうぞ」 

唯「おやつは幾らまで持っていけるのですかっ」 

梓「好きにしてください。あと、各都市の中間地点の駅にて30分の休憩停車駅があるそうです」 

唯「」グスン 

紬「紅茶をどうぞ」スッ 

唯「ありがとー♪」ズズーッ 

梓「以上です」 

澪「すごい、よくここまで調べたな」 

梓「せ、せっかくの乗車ですからね。調べすぎって事はないと思います」 

律「じゃあ話進めるぞー、みんな何日目から乗るのか発表してくれー」 

紬梓「「 えっ? 」」 

澪「ん?」 

律「いや、どの都市からヴェガに乗り込むのかをだな」 

紬「稚内からじゃないの?」アセアセ 

梓「はい、私もそう思ってました」 

唯「私は稚内からは乗れないよ~。だって親戚との行事があるもん」 

律「唯のように各自予定があるだろうから、途中から乗り込むものだと思ってたんだけど・・・」 

梓「はい、私は東京で一度降りて、京都からまた乗ろうかと・・・」 

紬「えっ! 降りちゃうの?」 

梓「は、はい・・・。一応予定が入ってまして・・・」スイマセン 

律「てか、一度降りてまた乗る事なんてできるのか?」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:53:26.77 ID:RC6p1yPRo

梓「はいっ、ちゃんと確認の問い合わせしました」キリ 

律「そ、そっか」 

唯「私は、青森から乗って大阪まで行きます!」フンス! 

紬「唯ちゃん大阪で降りちゃうの?」 

唯「うん~、憂と相談したらこの日に降りないとその次の日の予定に間に合わなくなるかもって・・・」テヘ 

律「あー、むぎには悪いんだが、私は仙台から広島までなんだ」 

紬「・・・」チラッ 

澪「ご、ごめん、私も仙台から大阪までで降りちゃうんだ・・・」 

紬「・・・」ションボリ 

律「つか、毎年予定ギッシリのむぎが珍し」フガッ 

澪「ば、ばかっ お父さんの事があるから追及はするなよっ」ヒソヒソ 

律「あ、あぁそうだった・・・ごめんごめん」ヒソヒソ 

唯「という事は、むぎちゃんは日本縦断達成できるんだね!」 

梓「羨ましいですっ」キラキラ 

紬「うん。私頑張ってみるっ」フンス! 

律「んー。まぁ、こんなもんかなぁ」 

澪「そうだな。まだあと一ヶ月くらいあるから、準備はまだ間に合う」 

唯「たっのしみ~♪ たっのしみ~♪」 

梓「はい!楽しみです!」ウキウキ 

律「なんか、梓が一番喜んでいるように見えるんだが・・・気のせいか?」 

澪「会議が終わったなら練しゅ」 

唯「ちょいとむぎちゃんや、紅茶のおかわりをいただけないかね」エヘン 

紬「は~い、みんなの分もいれるね~」シャランラ 

澪「・・・」 

梓「いつもの流れに戻っちゃいましたね」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:53:58.38 ID:RC6p1yPRo

――――・・・ 



               8月1日 


日本最北端の駅に一つの列車が佇む 

先頭車両を覆いつくす人々。関係者によるセレモニーが開催されていた 


「あずさちゃ~ん」 

梓「むぎ先輩!・・・よかった」ホッ 

紬「ごめんね~、ちょっと遅れちゃった」 

梓「いえ、まだ発車するには余裕ありますよ。大丈夫です」 

紬「それにしてもすごい人ねぇ」 

梓「はい。それだけ注目されていますからね」 

紬「あっ、そうだ。あずさちゃん」ガサゴソ 

梓「どうしたんですか?」 

紬「記念撮影をしましょう」 

梓「それ、澪先輩のカメラですよね」 

紬「澪ちゃんがね、『せっかく日本縦断するんなら、記録にでも撮ってみたらどうだ?』だって」 

梓「それはいいですね!さすが澪先輩」 

紬「それじゃあどうやって撮ろうかしら」 

梓「!」ピコン 

梓「むぎ先輩!こっちです」テッテッテ 

紬「最後尾ね、さすがに人居ないから丁度いいわね」テクテク 

梓「私撮りますよ」 

紬「一緒に写らないの?」 

梓「もう少しで発車ですし、なによりむぎ先輩の記録ですから」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:54:38.68 ID:RC6p1yPRo

紬「そう・・・? それじゃあお願いね」 

梓「はい。 それじゃあ、ヴェガの顔と一緒にして・・・」カシャ 

紬「ありがとう~、あずさちゃん」 

梓「いえいえ。それじゃあ乗車しましょうか」 

紬「えぇ・・・そうね」ゴクリ 

梓「・・・乗らないんですか?」 

紬「あずさちゃんからどうぞ」 

梓「いえいえ。先ずは先輩から」 

「すいません。ちょっと通ります」ヒョイ 

紬「あ、ごめんなさい」 

梓「邪魔になるだけですから、二人同時に乗りましょうか・・・」 

紬「・・・そうね」 

梓「せーっの」 

紬「よいしょ」 

梓「・・・」ジーン 

紬「・・・」 

梓「ついに、超特急ヴェガに乗り込みましたね」ウルウル 

紬「そうね~・・・」 

梓「私、乗車手続きしてきますけど、むぎ先輩はどうしますか?」 

紬「一度部屋へ行ってからにするわ」 

梓「分かりました。それでは後で」 

紬「うん」 

梓「・・・」テクテク 

紬(なんだろう・・・乗った瞬間に胸がトクンって) 

「お~い、お~い、ちょっと待ってー!」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:55:06.36 ID:RC6p1yPRo

紬「?」  

「お~い、そこの美少女~!」 

prrrrrrrrrr 

紬「あら?発車のベルだわ・・・あの人、もう間に合わないんじゃ」 

「手ぇ伸ばして~」タッタッタ 

紬「え? 私!? こ、こうっ!?」 

「掴んだら思いっきり引っ張って!」タッタッタ 

紬「う、うん分かった!」 

「よしっ」 

ガシッ 

紬「えいっ」 

「とりゃー!」 

ドサドサッ  

プシュー   

ガタン ゴトン ガタンゴトン 

紬「あいたた」 

「ふぅ、ふぅ、危ない危ないヤバかったー!」 

紬「あ、あの・・・」 

「いやぁ~もう駄目かと思ったけどおかげで助かった! 凄い引きだったよ」アハハ 

紬「その・・・どいてくれると助かるんですが」 

「ん? あぁごめんねぇ~ いつまでも押倒してて よいしょ」 

紬「いえ、大丈夫です」 

「そうだ、恩人さんの名前教えてよ! 私の名前は山口星奈、よろしく!」 

紬「そんな、恩人だなんて・・・ 私は琴吹紬といいます。 こちらこそよろしくお願いします、山口さん」 

星奈「ストップ!」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:55:33.04 ID:RC6p1yPRo

紬「!」ビクッ 

星奈「私を呼ぶときは名前で!ちゃんもさんもつけちゃダメ!」 

紬「はぁ・・・」 

星奈「言ってみて!」 

紬「せ、せいな・・・さん・・・」 

星奈「ん~、まぁいいか。それじゃあ私は部屋へ行くよ。助けてくれてありがとう。みかけたら声かけてね~」フリフリ 

紬「・・・」ポカーン 

紬(圧倒されてしまったわ。凄く元気な人・・・。りっちゃん三人分ね) 

紬「そうだわ、私も部屋に行かなきゃ」 


14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:55:59.19 ID:RC6p1yPRo

―――――・・・ 

紬「よしっと、これで大体片付いたわね」 

コンコン 

紬「はぁーい。あずさちゃんかしら」 

ガチャ 

「失礼します。乗車証の確認をさせて頂きます。」 

紬「は、はいどうぞ」 

「ありがとうございました。 
 私、当特急『ヴェガ』の車掌を務めさせていただきます。美弥 澪(れい)と申します 
 ご用の際は、気軽にお申し付け下さい。では、良い旅をお楽しみ下さい」 

紬「はい、ありがとうございます」 

バタン 

紬「あの人が車掌さんなのね・・・とっても綺麗な人」 

コンコン 

紬「あら?はぁーい」 

ガチャ 

梓「むぎ先輩、支度終わりましたか?」ヒョコ 

紬「あら、あずさちゃん」 

梓「終わったのなら早速列車を見て周りませんか!?」ウキウキ 

紬「今終わった所よ、それじゃあ行きましょうか」 

梓「はい!行くですっ」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:56:25.52 ID:RC6p1yPRo

紬「あずさちゃん、車掌さんに会った?」 

梓「はい。乗車証の確認してもらいました。とってもスタイル良くて綺麗な人ですよね」 

紬「えぇ。車掌が女性の方だとは思わなかったわ」 

梓「そうだ、むぎ先輩はこの乗車証のマークの由来知ってますか?」 

紬「知ってるわ。夏の大三角の一つ琴座からきてるのよね」 

梓「そうです、さすがむぎ先輩。α星のヴェガからこのデザインになったそうです」 

紬「素敵ね~。私、このバッチ気に入っちゃった♪」 

梓「それなら失くす事はなさそうですね。 これは乗車券の代わりのようなものですからね」 

紬「ふふ、そうね。大事にしないと」ニコニコ 

梓「では売店&シャワー室から行きましょう!」 

紬「えぇ」 
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:56:51.40 ID:RC6p1yPRo

「いらっしゃいませぇ~」 

梓「ちょっとお聞きしてよろしいでしょうか」 

「はい。よろしいですよ~」 

梓「・・・。シャワー室の利用方法を教えて下さい」 

「シャワー室ですね。こちらで利用券をお求め頂いてからのご使用となります 
 夜の12時以降は使用できなくなるので気をつけてくださいね~」 

梓「そうですか、ありがとうございました」ペコリ 

「いえいえ~、困ったことがありましたらいつでもお気軽に声をかけてくださいね~」 

梓「ということだそうです。むぎ先輩」 

「あ、そういえばお客さん?」 

梓「は、はい?」 

「いえ、なんでもないです~」 

梓「? なんだかぽわぽわした店員さんですね」 

紬「うふふ。そうね~」 

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:57:17.41 ID:RC6p1yPRo


梓「次は客車ですね」 

紬「わぁ~、座り心地よさそうな座席が並んでるのね~」 

梓「ここは一号車なので座席の色が青になってます。 
  車両毎に座席の色が違いますから自分が今どこにいるのか迷わないですね」 

紬「えぇ。通行は一つだけど、これならどこに自分がどこに居るのかすぐ分かるわね」 




梓「次は二号車」 

紬「ここの座席は緑色なのね」 

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:57:49.98 ID:RC6p1yPRo

紬「あ、星奈さん。今車内を探索しているんです」 

星奈「ふーん、私は展望車見てきたとこ、すっごかったよ!」 

梓「むぎ先輩・・・この人は・・・」クイクイ 

紬「あ、紹介するわね。こちら先ほど知り合った山口星奈さん」 

星奈「よろしくー」 

紬「私と同じ学校に通う後輩のあずさちゃんです」 

梓「ど、どうも、中野梓です・・・」ペコリ 

星奈「くぅ~ かわいいなぁ~」 

梓「!」ササッ 

星奈「ちょっと~ 紬ちゃんの後ろに隠れなくたっていいじゃない~」 

梓「す、すいません。なんとなく身の危険を・・・」 

星奈「あっはっは、それにしても後輩と旅をするなんて仲がいいんだね」 

紬「えぇ。あずさちゃんとは部活仲間なの」 

梓「は、はい。むぎ先輩と放課後に練習を・・・」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:58:18.96 ID:RC6p1yPRo

星奈「ん? むぎ・・・?」 

紬「私、みんなからむぎって呼ばれてます」ニコ 

星奈「そっか、じゃあ私もそう呼んでいいかな?」 

紬「えぇ、どうぞ」ニコニコ 

星奈「へへっ、サーンキュ♪ あ、私まだ車掌さんに乗車証みせてなかったや・・・」 

紬「あらあら」クスクス 

梓「・・・」 

星奈「それじゃあね、むぎちゃん、梓ちゃん」フリフリ 

紬「えぇ、それじゃ」フリフリ 

梓「は、はい失礼します」 

・・・ 

梓「な、なんか壮快な人ですね」 

紬「私も最初圧倒されちゃった~」 

梓「なんていうか、唯先輩と律先輩を足して律先輩の成分を濃くしたような」 

紬「まぁ、それは新しい表現ね」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:58:45.48 ID:RC6p1yPRo

梓「ここは三号車。座席は黄色になってますね」 

紬「そうね~」 

星奈「よっ!紬ちゃん、なにしてんのー?」 

梓「そして二階建ての四号車」 

紬「ここの座席は赤なのね」 

「あ、あのぉ」 

紬「はい、私になにか・・・?」 

「あの・・・車掌さんを・・・」 

紬「はい、何ですか?」 

「わ、私・・・桜井真美と申しますが」 

紬「私は、琴吹紬と申します」 

梓「中野梓です」 

真美「よ、よろしくお願いします」ペコリ 

紬「」ペコリ 

梓「」ペコリ 

真美「車掌さんをみかけませんでしたでしょうか」 

紬「個室を回って乗車証を確認していましたよ」 

真美「そうですか・・・ じゃあそっちを当たってみます。あ、ありがとうございました」ペコリ 

スタスタ 

梓「・・・。なんだかおとなしそうな人でしたね」 

紬「えぇ・・・。スケッチブックを持っていたけど、絵を描くのかしら?」 
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:59:13.81 ID:RC6p1yPRo

梓「客車を抜けると食堂車です」 

紬「結構広いのね。ビックリしちゃった」 

梓「本格的な厨房が備えられていて、一流のコックが調理しているそうです」 

紬「まぁ、お食事が楽しみね」 



梓「メダル用のゲームマシンやUFOキャッチャーが置いてある娯楽車です」 

紬「わぁ・・・。りっちゃんと一緒にやったUFOキャッチャーがあるのね~。もう一度取ってもらおうかしら」ルンルン 

梓「スロットにポーカー、ブラックジャックまでありますよ。 色々あるんですね」 




梓「最後尾の展望車です」 

紬「ここはもう一つの顔の部分に当たるのね」 

梓「そうです。先ほど撮影した部分になります」 

紬「星奈さんがすごいと言った理由が分かったわね~」 

梓「はい。サロンのような空間です。テレビやピアノまでありますよ」 

紬「天井と壁面がガラス張りで、のんびり景色を見て過ごすにはとてもいい所ね」 

梓「観葉植物も備えてありますから、憩いの場って感じです」 

紬「でも、夏の日差しがキツくないかしら?」 

梓「紫外線カットの窓ガラスですし、空調も調整されていますから、苦にはならないようですよ」 

紬「至れり尽くせりね」 
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 00:59:41.24 ID:RC6p1yPRo


「いらっしゃいませ、お食事ですか?」 

紬「はい」 

「それではこちらのお席へどうぞ」 

梓「私は喉が渇いているので、オレンジジュースだけでいいです」 

紬「あら、そうなの?私はカニ御膳を・・・」 

「かしこまりました。少々おまちくださいませ」 

梓「えっ? カニ御膳なんてメニューに・・・あった」 

紬「私お昼まだだったの。北海道といったらカニよね」 

梓「そ、そうですね・・・」 




紬「結構ボリュームあったわね~」 

梓「よくカニを丸々一杯食べきりましたね」 

紬「ふふ。きちんと頂かないとバチがあたるから。あずさちゃんもつまんでくれればよかったのに」 

梓「いえ、私は札幌でラーメンを食べるんです!」メラメラ 

紬「あらあら、とても楽しみにしてるのね」 

梓「はい!本場の味を楽しみたいと思います!」 

紬「うふふ、札幌に着くのが楽しみね~」 

梓「楽しみです! あ、むぎ先輩、外見て下さい」 

紬「あら、なにか見えるのかしら」 

梓「いえ、そうじゃないんですけど、建物が目立ってきましたから旭川駅に到着するのではないかと」 

紬「そういわれてみればそうね。今まで緑の強い車窓の景色だったものね」 

梓「30分の停車ですけど、降りてみましょうか?」 

紬「そうね」 
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:00:19.12 ID:RC6p1yPRo

紬「ん~・・・」ノビノビ 

梓「やはり駅内ですから特に変化はないですね」 

紬「そうね。 あら?あそこにいるのは・・・」 

梓「確か・・・、桜井真美さん・・・ですよね」 

紬「あそこから何か見えるのかしら」 

梓「描写できるような風景ではないと思いますが・・・ ちょっと気になりますね」 

紬「ちょっと声を掛けてみましょうか」 





紬「なにか見えるのですか?」 

真美「えっ、あっ、琴吹さん・・・」 

梓「モチーフを探しているんですか?」 

真美「そ、そういう訳ではないんです。ただ、遠く離れていくなぁ・・・と思いまして」 

梓「?」 

真美「な、なんでもないです。それでは失礼します」ソソクサ 

紬「あ・・・」 

梓「乗っちゃいましたね」 

紬「なんだか遠い目をしていたわね」 

梓「どうしたんでしょうか」 




prrrrrrrr 

梓「あっ、発車の時間ですよ、むぎ先輩」 

紬「えぇ、分かったわ」 
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:01:01.96 ID:RC6p1yPRo
梓「二号車気に入っちゃいました」ルンルン 

紬「ふふ。そうだ、あずさちゃん、私売店に行って来るけどなにか飲みたいものあるかしら」 

梓「あ、わたしが行きます!」ガタッ 

紬「いいのよ、あずさちゃんは座ってて。オレンジジュースでいい?」 

梓「はい、お願いします」 

紬「はいは~い」テクテク 

梓「はぁ、いつも気が利いてて優しいし、むぎ先輩には敵わないな・・・」 

星奈「おっ、梓ちゃん1人でなにしてんの?」ムシャムシャ 

梓「!」ビクッ 

星奈「取って喰うわけじゃないんだから、警戒しないでよ」 

梓「す、すいません。なぜか身構えてしまって」 

星奈「ふ~ん? 少しおしゃべりしようよ、ココ座っていい?」 

梓「むぎ先輩が席外していますから・・・」 

星奈「本当に仲がいいねぇ・・・ こうすればいいんだよ」エイッ 

クルッ 

梓「椅子回転できるんですね」 

星奈「そゆこと。どっこいしょっと。 食べる?」ムシャムシャ 

梓「いえ、いいです」 

星奈「売店で最後の一袋だったんだよ~札幌まで手に入らないポテチだよ~いいの~?」 

梓「そう言われると・・・」 

星奈「どうぞ」ムシャムシャ 

梓「いただきます」パリパリ 

星奈「むぎちゃんは?」 

梓「今、売店へ、ってなに味なんですかっこれ」 

星奈「北海道限定カニ味だけど」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:01:34.30 ID:RC6p1yPRo
梓「く、口に合わないです」 

星奈「そう? 意外と癖になる味だよ?」 

梓「うぅ~」 

星奈「あはは、ところで二人ともどこまで行くの?」 

梓「私は東京までで、むぎ先輩は終点まで行くそうです」 

星奈「へ~すごいね。私は松本までだから、倍以上かぁ」 

梓「星奈さんは松本へなにしにいかれるんですか?」 

星奈「ん? ん~ちょっと知り合いに、会いにね・・・」 

梓「? ・・・そうですか」 

星奈「私の自慢話を聞かせてあげよう」ニヤリ 

梓「どうしたんですか、いきなり」 

星奈「ふっふっふ。何を隠そう、このワタクシ商店街の福引でヴェガの乗車券を当てたんだよ~ん」ブィ 

梓「・・・へー、スゴイデスネ」 

星奈「あれ?驚かないの?」 

梓「いえ、凄いじゃないですか」ニヤニヤ 

星奈「こりゃ、なにかあるなら言いなさい」グリグリ 

梓「っ!やめてください、離してください!」 

星奈「いいや、話すまで離さないよ」グリグリ 

梓「話します、話しますから!」ジタバタ 

紬「あらあら、二人とももう仲良しさんなのね~」 

星奈「おっす、いやねちょっと教育を」 

梓(これだ。唯先輩の人懐っこさと律先輩の絡みを警戒してたんだ) 

紬「はいどうぞ、あずさちゃん」 

梓「あ、ありがとうございます」フゥ 

星奈「それで、驚かない理由とやらを説明してもらおうかな?」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:02:00.85 ID:RC6p1yPRo
紬「?」 

梓「えぇと、星奈さんがヴェガに乗れた理由がですね」ブフッ 

星奈「こりゃ!まだ教育が足りないようね~」ワキワキ 

梓「っ! 福引で乗車券を当てたからだそうです!」 

紬「あらあら」ウフフ 

星奈「?」 

紬「私も福引で当てたのよ~」 

星奈「あぁ~、なるほど梓ちゃんのリアクションの意味が分かったわ~。お互い強運の持ち主だね」 

梓「うっ」 

星奈「どうしたの梓ちゃん?」 

梓「な、なんでもないです」 

星奈「私の町がヴェガの始発駅だからさ、記念として一枚寄付されたんだ」 

紬「それを引き当てたのね、すごいわ~」 

梓「店員さんに五枚もおまけさせてくれるむぎ先輩の方がすごいと思います」 

星奈「なんと! う~む、それは強運とよんでいいのだろうか・・・」 

紬「」クスッ 

梓「」ブフッ 

星奈「どうしたの二人とも」 

紬「いえ、なんでもないわ」 

梓「なんでもないです」 

星奈「? まあいいけど、ポテチ食べてたら喉渇いちゃった。そいじゃまたね~」 

紬「ごきげんよう~」 

梓「はい、失礼します」 

紬「・・・今の話で気になる事が」 

梓「私もです」 

紬梓「「 どうして私たちの街に五枚も? 」」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:02:26.98 ID:RC6p1yPRo

梓「~♪」 

紬「あずさちゃん何読んでるの?」 

梓「札幌のガイドブックです。売店で購入できますよ」 

紬「観光名所を下調べしてるのね」 

梓「はい! 食べ物もいいですが、私時計台と羊が丘展望台が楽しみなんです!」 

紬「まぁ、いいわね~」 

梓「むぎ先輩、よかったら一緒に周りませんか?」 

紬「ごめんなさいね。そうしたい所だけど、小樽の方へ用事があって札幌ではあまり周れないみたいなの」 

梓「そうですか・・・。用事があるならしょうがない・・・ですよね・・・」ズドーン 

紬「でも、用事は明日だけで済ませられるから、到着したら一緒に周りましょうか」 

梓「本当ですか」パアア 

紬「夕方に到着だからあまり遠出はできないけどね」 

梓「それじゃあ、ラーメン横丁とTV塔はどうでしょう」ルンルン 

紬「あずさちゃんは本場の味を楽しみにしてたものね」 

梓「とっても楽しみです!」キラキラ 
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:02:59.43 ID:RC6p1yPRo

紬(あら、あれは・・・) 

梓「~♪」 

紬「あずさちゃん、ちょっと席外すわね」 

梓「は、はい」 

紬「・・・」テクテク 





ポンポロポロポロ♪ 

紬(あら、だれかピアノを弾いているのね) 

真美「・・・」ウットリ 

紬「いい曲ですね」 

真美「あ、琴吹さん・・・」 

紬「隣よろしいですか?」 

真美「は、はいどうぞ・・・」 

紬「ピアノを弾いている方はお知り合い?」 

真美「い、いいえ、違います。 けど、なんだか素敵な音を奏でるので、聞き入っていました」 

紬「えぇ、本当に素敵な空間を演出していますね」 

真美「私、クラシックが大好きなんです。自然の音と近いような気がして」 

紬「そうですね、私もそう思います」 

真美「ドビュッシーは私のお気に入りでもあるんです」 

紬「この曲は亜麻色の髪の乙女ですね・・・」 

真美「はい・・・」ウットリ 

紬「桜井さんもピアノをお弾きになるのですか?」 

真美「いえ、私は絵を描く事だけで精一杯ですので。琴吹さんはピアノなされるんですか?」 

紬「4歳の頃から弾いています。最初に習った曲がアラベスクで、私もドビュッシーは大好きです」ニコニコ 

真美「そうなんですか・・・。いつ聞いても素敵な旋律で、聞いていると時が経つのを忘れてしまいます」 

紬「弾き手としてはこれ以上無いほめ言葉ですね、今度私も弾かせてもらおうかしら」 

真美「そ、その時は私もご一緒させていただけますか?」 

紬「えぇ、もちろん」ニコニコ 

ガタンゴトン ガタン 

真美「あ、札幌に到着するみたいですね。わ、私降りる仕度がありますので」 

紬「それではまた」 

真美「し、失礼します」テクテク 
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:04:14.92 ID:RC6p1yPRo

梓「むぎ先輩! 札幌に到着しますよ!」 

紬「はいは~い」 

梓「すぐに降りられるんですか?」ウズウズ 

紬「一度部屋に寄ってもいいかしら」 

梓「は、はい。どうぞ」 

紬「うふふ。すぐ済むからちょっとだけ待っててね」 

梓「それじゃ、お先に駅のホームへ降りてますね」 

紬「は~い」テクテク 
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:04:57.18 ID:RC6p1yPRo

ガタンゴトン ガタンゴトン 

プシュー 

梓「よっ」ピョン 

スタッ 

梓「着いた、札幌!」 

車掌「行かれる場所はお決まりですか?」 

梓「あ、車掌さん。はい、今日はラーメン横丁と大通り公園にあるTV塔へ行ってきます」 

車掌「そうですか、それでは気をつけて行ってらっしゃいませ」ペコリ 

梓「は、はい。行ってきます」ペコリ 

スタスタ 

梓「乗客のお見送りまでしてくれるのかぁ」 

紬「あずさちゃん、お待たせ」 

梓「それじゃ、出発するです!」 
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:05:24.51 ID:RC6p1yPRo

紬「あずさちゃん、もしかすると行きたいお店を決めている?」 

梓「観光ガイドにも紹介されているお店が何件かありましたけど・・・決めてないです」 

紬「あら、そうなの?」 

梓「その場で惹かれたお店に入ってみようと」 

紬「通なのね」 

梓「むぎ先輩、そんな決め方でいいですか?」 

紬「いいわね、私そういうお店探し憧れてたの~」 

梓「むっ」ピキーン 

紬「あのお店ね?」 

梓「はい、おいしそうな雰囲気が漂っています」キリ 

紬「それじゃあ入りましょうか」 
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:05:51.52 ID:RC6p1yPRo

梓「むぎ先輩・・・、すいませんでした」 

紬「麺は伸びてて、スープは油でギトギトだったわね・・・」 

梓「うぅ・・・がっかりです・・・」ションボリ 

紬「・・・。あずさちゃん、散歩がてら違うお店探してみましょうか」 

梓「・・・いいんですか?」 

紬「えぇ、あずさちゃんこそ大丈夫?」 

梓「お昼は軽く食べただけなので、正直食べ足りないぐらいです」 

紬「それなら行きましょう」 

梓「はい!」 
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:06:28.52 ID:RC6p1yPRo

梓「今度はむぎ先輩が決めてくれますか?」 

紬「あら、いいの?」 

梓「もちろんです!」 

紬「それじゃ・・・。あら」 

真美「こ、こんばんは・・・」 

梓「こんばんは」 

紬「桜井さん、お1人ですか?」 

真美「い、いえ・・・それが・・・」 

星奈「わっ!」 

梓「にゃっ」ビクッ 

紬「きゃっ」 

星奈「へっへっへ~大成功~♪やったね真美ちゃん!」 

真美「せ、星奈さん・・・」 

梓「ひどいです!」 

紬「びっくりしたわ~」 

星奈「ちょうど二人が見えたからさ、驚かしてやろうとおもって」ニンマリ 

梓「もうっ!」プンスカ 

真美「星奈さん、用事があったんじゃないですか?」 

星奈「あ、そうそう。カメラのシャッターをお願いしようと思ってたんだ」ウッカリ 

紬「いいですよ」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) :2011/04/05(火) 01:07:04.07 ID:RC6p1yPRo

梓「むぎ先輩はお人よしすぎます」プンス 

星奈「梓ちゃんも、こっちへおいでよ~」 

梓「いいです」ムス 

真美「無理強いは・・・」 

星奈「ほいほ~い、それじゃむぎちゃんお願いね」 

紬「は~い、行きますよ~」 

真美「せ、星奈さん、くっつきすぎじゃないですか?」 

星奈「おなじ列車にのったよしみだからいいの~」 

紬「」パシャパシャパシャパシャ 

星奈「む、むぎちゃん・・・そんなに撮らなくてもいいよ・・・」 

真美「あ、ありがとうございました」 

梓「・・・」 

星奈「梓ちゃんも機嫌直してよ~」 

梓「知らないです」 

紬「そうだ。あずさちゃん、私たちのカメラでも一枚撮りましょう」 

真美「そ、それじゃ私がシャッター押しますね」 

梓「いえ、私が押します」 

星奈「おっ、ちょうどいい所に・・・まって、アイツに頼もう。お~い!」 

「・・・ん?なんだ、星奈か」 

星奈「カメラのシャッターを押してくれない?」 

「あぁ、いいよ」 

梓「むぎ先輩、この人は?」ヒソヒソ 

紬「私もしらないわ」ヒソヒソ 

星奈「くっくっく、修治ぃ~、アンタ二人に顔覚えてもらってないよ~」 

修治「べつにいいんだよ!はい、並んで並んで~」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:07:29.88 ID:RC6p1yPRo

真美「よろしくお願いします」 

紬「お願いしますね」 

梓「・・・」 

星奈「はい、ち~ず!」 

修治「お前が合図取るなよ、やりにくい!」 

星奈「それは失礼しました」 

梓「ブフッ」 

星奈「修治早く撮って!」 

修治「? ・・・はい、チーズ!」カシャ 

紬「ありがとうございました」 

修治「いえいえ、お安い御用ですよ。あ、俺の名前は鳥羽修治、よろしく」 

紬「琴吹紬と申します」 

梓「中野梓です」 

修治「はい、カメラ。それじゃあまた、列車で」 

真美「修治さん、ありがとうございました」 

星奈「ありがとね~。 それじゃあ私たちも行こっか? 真美ちゃん」 

真美「そうですね。そ、それではお二人とも・・・」 

紬「えぇ、また後で」 

梓「陽が落ちてきましたので、気をつけてくださいね」 

星奈「あいよ、まったね~」フリフリ 

紬「・・・あずさちゃん、リベンジと行きましょう!」 

梓「はい!」 
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:07:57.19 ID:RC6p1yPRo

「へい、らっしゃい。ご注文をどうぞ!」 

紬「みそラーメンを一つお願いします~」 

梓「あ、私もみそで。トッピングにコーンとバターを」 

「はいよっ」 

紬「あら、そんなこともできるの?」 

梓「はい、お品書きに表示されていますよ」 

紬「本当だわ~、こんなことも出来たのね」 

梓「むぎ先輩もトッピングしますか?今なら間に合いますよ」 

紬「そうね~、うん!してみたい!」キラキラ 

梓「それじゃ、店員さん呼びますね。 すいませーん!」 

店員「はいよっ」 

紬「単品みそのトッピングの追加お願いします」 

店員「はいよっ、なにを追加しましょうか」 

紬「メンマとホタテの貝柱を!」 

店員「はいよっ」 

梓「また渋いところを攻めてきましたね」 
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:08:24.90 ID:RC6p1yPRo

店員「はいよっ、お待ちっ!」ドン 

紬「それではいただきます」 

梓「いただきます」 

紬「・・・うーん、これは・・・」 

梓「腰のある麺、そしてコクがあるのに後味がすっきりとして少しもしつこくない・・・」 

紬「おいしい~!」 

梓「はい!こんなに美味しいラーメン生まれて初めてです!」 

紬「ホント、来てよかったわ~」 

梓「~♪」ズズズ 

紬「うふふ」 

梓「・・・?」 

紬「おいしそうに食べるなぁと思って」ニコニコ 

梓「あまりにおいしいので夢中になってしまいました」エヘヘ 

紬「よかったわ」 
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:08:51.20 ID:RC6p1yPRo

紬「ここが大通り公園なのね」 

梓「そうです。雑誌で見るよりずいぶん広く感じます」 

紬「冬はここで雪祭りが開催されるのよね」 

梓「そうです。TVでよく見かけますよね、寒そうだけどみんな楽しそうなのが印象的です」 

紬「次は雪祭りに合わせてきましょうか。あっ、あずさちゃん見て、焼きとうもろこしの屋台があるわ」 

梓「本当ですね。いい匂いがします」 

紬「あずさちゃん、TV塔の展望台に昇ってみない?」 

梓「私も昇ってみたいと思ってました!」 

紬「それじゃ行きましょ~!」 
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:09:18.01 ID:RC6p1yPRo
紬「いい眺めねぇ~」 

梓「はい、360度見渡せるなんて凄いです」 

紬「街の灯りがとってもキレイ・・・」ウットリ 

梓「これだけの灯りの下に人がいるんだと思うと、なんだか不思議な感じがしますね」 

「おっ、詩人だね~」 

梓「!」ビクッ 

真美「またお会いしましたね」 

紬「あら、桜井さんに星奈さん」 

星奈「梓ちゃんが男だったらむぎちゃんを落とせたかもねぇ~」ニヤニヤ 

梓「うぅ、雰囲気に流されてつい言葉に出ちゃいました・・・」 

紬「うふふ」 

真美「本当にキレイですね・・・」 

星奈「確かに、こりゃいい眺めだわ」 

・・・・・・ 

・・・ 

星奈「そんじゃ、列車に戻りますか」 

真美「そうですね、いい時間ですし」 

梓「はい。それでいいですよね、むぎ先輩」 

紬「・・・」 

梓「むぎ先輩?」 

紬「え?なぁに?」 

星奈「夜景に見惚れていたな~」 

真美「列車に戻りませんか?」 

紬「そうね、戻りましょうか」 

梓「あんまり遅くなるといけませんからね」 

星奈「変なヤツが近寄ってきたら、星奈ちゃんの鉄拳をお見舞いしてやるのだー!」 

真美「心強いです」 

梓「頼もしいですね」 

紬「うふふ」 
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:09:57.29 ID:RC6p1yPRo
  
梓「あっ、車掌さん」 

車掌「みなさんお戻りになられたんですね。札幌の観光はどうでしたか?」 

星奈「私と真美ちゃんは先ず、羊が丘展望台へ行ってきました~」 

真美「羊がたくさんいてとても可愛かったです。 
   景色がよかったので、明日もう一度行ってみたいと思います」 

車掌「ふふ、スケッチするにはいい場所ですよね。琴吹さんはどちらへ?」 

紬「あずさちゃんと一緒にラーメン横丁へ行ってきました」 

梓「とてもおいしかったです!」 

車掌「いいお店に巡り会えたようでなによりです」ニコニコ 

星奈「明日はゆっくり周ってみようかな~」 

梓「夕方から3ヶ所も移動したんですよね、すごいです」 

星奈「おだててもなにもでないよ~ん」 

梓「そんなんじゃありません!」 

車掌「みなさん、明日の札幌発車時刻は16:00となっておりますので、ご注意してくださいね」 

真美「は、はい、大丈夫です」 

梓「むぎ先輩、間に合いますよね?」 

紬「えぇ、3時には札幌に戻れると思うわ」 

星奈「おっ、遠出するの?」 

紬「えぇ、小樽へ行ってきます」 

真美「お忙しいんですね」 

星奈「梓ちゃん、1人で寂しいなら星奈さんと一緒に周るかい?」 

梓「1人で平気です!」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:10:23.22 ID:RC6p1yPRo

星奈「あらら、振られちゃったか。それじゃ、私は部屋へ戻ろうかな。またね~」 

真美「わ、私もこれで・・・」 

車掌「おやすみなさいませ」 

紬「おやすみ~」 

梓「おやすみなさいです」 

車掌「それでは、私も仕事に戻りますのでこれで失礼します」ペコリ 

紬「はい、お疲れさまです」ペコリ 

梓「それでは、また明日」ペコリ 

紬「あずさちゃん、今日はとっても楽しかったわ。ありがとうね」 

梓「私も楽しかったです!一日がすごく充実していました。むぎ先輩のおかげです」 

紬「そう言って貰えると嬉しいわ~」 

梓「まだまだ旅は始まったばかりです、がんばっていきましょうむぎ先輩!」 

紬「おーっ!」 



1日目終了-------- 
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:10:53.93 ID:RC6p1yPRo

               8月2日 


梓「行ってらっしゃいです」 

紬「行ってきま~す」フリフリ 



紬「え~と、小樽方面は・・・」 

ドンッ 

「きゃっ」 

紬「あらあら」 

「あいたたた・・・」 

紬「ごめんなさいね、大丈夫?」 

「だ、だいじょうぶです・・・。お、お姉さん、東京行きの列車はどれですかっ」オロオロ 

紬「私観光客だから、よく知らないの。ごめんなさい」 

「い、いえ・・・ど、どうしよう乗り遅れちゃう・・・」オロオロ 

紬「落ち着いて。駅員さんに聞きにいきましょう?」 

「は、はい・・・」 

紬「すいませ~ん」 

駅員「はい、なんでしょう」 

紬「東京行きの列車は何番ホームでしょうか」 

駅員「東京行きですね。6番ホームになります」 

紬「ありがとうございました」 

「ありがとうございます」 

紬「もう大丈夫?」 

「は、はい!お姉さんもありがとうございました!」 

紬「いえいえ。それより急いだほうがいいんじゃない?」 

「そ、そうですね!それではっ」タッタッタ 

紬「元気な子だったわね」 

紬「・・・」 

紬「すいませ~ん」 

駅員「はい、まだ何か?」 

紬「小樽行きは何番でしょうか?」ニコニコ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:11:23.52 ID:RC6p1yPRo
――――小樽 

紬(用事は一通り済んだわね。急いで札幌に戻りましょう) 


――――札幌 

紬「えぇと、ヴェガは・・・」 

「あれぇ! お姉さんだー!」 

紬「?」 

「お姉さーん!」タッタッタ 

紬「あれ?東京へ向かったはずじゃ・・・?」 

「えへへ、勘違いしてたみたいで私が乗る列車じゃなかったの」 

紬「あらあら、そうなの」 

「改めて御礼を言わせてくださいっ。助けてくれてありがとうございました!」ペコリ 

紬「いえいえ。私はなんにもしてないわ」 

「焦っていた私に優しくしてくれたのがとっても嬉しかったの!」 

紬「あれくらいお安い御用よ」ニコニコ 

「わぁ・・・優しいですね・・・。お兄ちゃんもこれくらい優しさがあればいいのになぁ」 

紬「お兄さんと一緒なの?」 

「うん!朝に久しぶりに再会して、おしゃべりしてたから遅れちゃったの!」 

紬「?」 

「あ、お兄ちゃんと言っても、幼なじみで本当のお兄ちゃんじゃないんだけどね!」 

紬「あぁ、そういうことね」 

「もっとレディに優しくするべきだと思うな~。昔はあんなに優しかったのに」プンスカ 

紬「あらあら」 

「あっ、いっけな~い!今度こそ発車しちゃう~!」 

紬「うふふ。急いだ方がいいみたいね」 

「はい!バイバーイお姉さーん」 

紬「ごきげんよう~」フリフリ 

タッタッタ 

紬「嵐が過ぎ去ったかのようね~。・・・私も急がなくちゃ」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:11:50.24 ID:RC6p1yPRo

「むぎせんぱ~い」 

紬「あら、あずさちゃん」 

梓「急いでくださ~い。もう間も無く出発ですよ~」 

紬「は~い」パタパタ 

梓「なかなか来ないから心配しました」 

紬「ふぅ・・・。ごめんなさいね、なんとか間に合ったわね」 

prrrrrrrrrrrrrr 

梓「・・・札幌とはこれでお別れですね」 

紬「そうね。観光は楽しかった?」 

梓「はい!後で話聞いてください!」 

紬「えぇ、もちろん」ニコニコ 

梓「それでは出発です!」 

プシュー  

ガタン ゴトンガタンゴトン
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:12:26.70 ID:RC6p1yPRo

「あれぇ?お姉さん!?」 

紬「あら・・・?」 

梓「?」 

「お姉さんもこの列車に乗ってたんだー!」ワーイ 

紬「あらあら、この列車だったのね」 

「うん、お姉さんに会わなかったら勢いであの列車に乗っちゃってたかもしれないよ!」 

紬「あわてんぼうさんなのね」 

「えへへっ、お兄ちゃんと同じ事言われちゃった」 

梓「むぎ先輩、この子は・・・」 

紬「えーと・・・」 

「あ、自己紹介まだだったね! 私の名前は七尾つばさっていいます。お姉さん、よろしく!」 

紬「つばさちゃんね。私の名前は琴吹紬っていいます」 

梓「中野梓です」 

つばさ「よろしく~。えへへー。お姉さんと一緒に旅ができるなんて嬉しーなー!」 

紬「うふふ、私もつばさちゃんと一緒に旅が出来るなんて嬉しいわ」 

つばさ「ホント!? わーい!お兄ちゃんと一緒でお姉さんとも一緒だなんて!」 

梓「・・・」 

紬「駅で話していたお兄さんもこの列車に乗ってるの?」 

つばさ「そうなの! 札幌で別れてしばらく会えないと思ってたのに、すぐ再会できるなんておもってなかったよ」 

紬「そうなの。よかったわね~」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:12:53.66 ID:RC6p1yPRo

つばさ「うん!」 

梓「・・・」 

修治「つばさ、あんまり騒ぐな」 

つばさ「あ、お兄ちゃん」 

紬「・・・?」 

梓「・・・?」 

修治「すいません、お騒がせしたみたいで・・・」 

つばさ「ふーんだ、子供扱いしないでよね」 

梓「鳥羽さんの妹さんですか?」 

修治「うーん、兄代わりというか、兄のようなもの?です」 

つばさ「本当のお兄ちゃんは東京にいるの!今度結婚するからお祝いしに行くんだ!」 

紬「まぁ、それはおめでたいわね~」 

つばさ「でもね。まだお兄ちゃんと同じ18だよ?18!まだ早すぎると思うんだけどねぇ・・・」 

梓「自分達が責任を持てるなら早すぎることはないと思います」 

つばさ「うーん、そうなのかなー」 

修治「中学生にはまだ難しいかもな」ニヤニヤ 

つばさ「なによっ!お兄ちゃんだってまだ彼女いないじゃない!」 

修治「」グサッ 

つばさ「ふーんだ」テクテク 

紬「あらあら」 

梓「隣の車両に行ってしまいましたね」 

修治「ハァ・・・小さい頃はもっと素直だったのにな・・・」 

紬「幼なじみだそうですね」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) :2011/04/05(火) 01:13:20.23 ID:RC6p1yPRo

修治「え、えぇ。つばさが引越して以来会ってなかったんですが、偶然札幌駅で再会したんです」 

梓「へぇ・・・」 

修治「8年ぶりに会って大人しくなってるかと思いきや、ますますおてんばになってしまって」 

紬「本当の兄妹みたいですよ」クスクス 

梓「大変ですね」 

修治「まぁ、幼なじみに会えたのは嬉しかったですから。面倒くらいみてやろうかと」 

「わぁーすっごく絵が上手なんですね!」 

修治「・・・。それでは、これで」 

スタスタ 

紬「えぇ、それでは」 

梓「兄妹かぁ・・・」 

紬「あずさちゃんもお兄さんが欲しかった?」 

梓「うーん、よく分からないです。自分に兄がいたら、なんてちょっと想像つかないです」 

紬「そうねぇ、私もお兄さんがいたら、なんて想像つかないわ」 

梓「兄がいれば楽しかったかもしれないと思うときもあります」 

紬「・・・」 

梓「でも私には4人姉のような存在がいますから」 

紬「まぁ」キラキラ 

梓「あ・・・」カァ 

紬「うふふ。ありがとうあずさちゃん」 

梓「い、いえ・・・。む、むぎ先輩、食堂車へ行きませんか?少し喉が渇いちゃいました」 

紬「そうね、そうしましょうか」ニコニコ 
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:13:51.00 ID:RC6p1yPRo

――――食堂車 

紬「はい、あずさちゃんにプレゼント。五つの中から一つ選んでね」 

梓「キレイなガラス細工ですね。にわとり、うま、いぬ、ねこ、ぶた・・・」 

紬「小樽で見つけたの。好きなものどうぞ~」ニコニコ 

梓「・・・これは心理テストかなにかですか?」 

紬「そ、そんなことないわよ?」 

梓(めずらしく目が泳いでるな・・・。これってきぐるみのヤツだよね・・・。) 

紬「さ、遠慮しないで~」ワクワク 

梓(う~ん、担当した動物を選べばいいのかな・・・それとも・・・) 

紬「・・・」ウキウキ 

梓「それじゃ、ねこを頂きます」 

紬「まぁ」ポッ 

梓「・・・えーと?」 

紬「あのね、購入したお店の情報なんだけど、特定の人を動物の種類に当てはめて、 
  用意したたくさんの動物の中から選んでもらうの」 

梓「するとどうなるのですか?」 

紬「その当てはめた動物が異性なら意中の人、同性なら敬愛する人になるらしいわ」 

梓「そうなんですか・・・促進販売でよくありそうな手ですね」 

紬「・・・しょぼん」 

梓「あ、あぁ、でもよく当たってますよ!私むぎ先輩尊敬していますから」 

紬「ありがとう~」 

梓「これって部員募集した時のきぐるみを当てはめたんですよね?自分のヤツを選んだらどうなるんですか?」 

紬「・・・盲点だったわ」 

梓(自分が一番!って事になるのかな・・・。よかった、ねこを選んで)
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:14:17.85 ID:RC6p1yPRo

紬「それで、札幌観光の話を聞かせてくれるかしら?」ニコニコ 

梓「はい。むぎ先輩と別れた後、羊が丘展望台へ行ってみたんです」 

紬「あら、そうなの」 

梓「桜井さんが居て、スケッチしていました」 

紬「昨日そう言ってたわね」 

梓「はい、知らない仲ではないので思い切って声を掛けてみたんですが・・・」 

・・・・・・ 

・・・ 

「こんにちは、桜井さん」 

真美「・・・」カリカリ 

「・・・桜井さん?」 

真美「・・・」シャッシャ 

「・・・」 

真美「・・・」カリカリ 

「わぁ~、羊が可愛いです」 

真美「・・・」シャッシャ 

「桜井さん、絵が上手なんですね」 

真美「・・・」シャッシャ 

「・・・」ションボリ 

真美「・・・ふぅ。あ、中野さん・・・。こ、こんにちは」ペコリ 

「・・・ひょっとして、私に気付いていませんでした?」 

真美「えっ、・・・いつからいらしていたんですか?」アセアセ 

・・・ 

・・・・・・
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:14:45.18 ID:RC6p1yPRo

紬「うふふ、絵の事になると周りが見えなくなるのね」 

梓「はい、そう言ってました。なんだか可愛い人だなと思いました」 

紬「それだけ熱心になれるものがあるっていいわね~」 

梓「私たちにもあるじゃないですか」キリ 

紬「そうね」ニコニコ 

梓「桜井さんと別れた後、時計台へ行きました」 

紬「あら、そういえば私時計台へ行ったことなかったわね」 

梓「そうなんですか、一緒に行けたらよかったです」 

紬「そうね~」ザンネン 

梓「むぎ先輩は時計台が日本三大がっかり名所の一つ、という事をご存知ですか?」 

紬「あら、知らなかったわ。あずさちゃんもがっかりしちゃったの?」 

梓「最初はそうだったのですが・・・」 

・・・・・・ 

・・・
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:15:14.07 ID:RC6p1yPRo

「・・・」ガッカリ 

星奈「お~お~、ガッカリした顔してますな~」 

「!」ビクッ 

星奈「あっはっは、最初はみんなそうなるよね~」 

「・・・中から出てきたって事は資料見学してたのですか?」 

星奈「そうだよ~ん」 

「そうですか・・・」 

星奈「・・・確かにこじんまりしてるけどさ、良く見てよ。時計を」 

「・・・?」ジー 

星奈「この建物が出来てから一度も変えてないんだってさ」 

「はい・・・」 

星奈「約130年間時を刻んでいるってこと」 

「・・・!」 

星奈「落ちた?」 

「? 何を言ってるんですか」 

星奈「梓ちゃんが私に心を奪われたかな、と」 

「もぅ、せっかく感動してたのに!」プクー 

星奈「あっはっは、ごめんごめん」 

「・・・でも、周りはどれだけ変わっても、ここだけは変わらない。それって凄い事ですね」 

星奈「そうだね・・・。これからも変わらないでいて欲しいな~。なんてね」 

・・・ 

・・・・・・
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:15:43.64 ID:RC6p1yPRo

紬「ロマンティックね~」 

梓「資料見学してもう一度時計台を見渡したら、違って見えました」 

紬「貴重な体験ね」 

梓「はい、とても楽しい観光地めぐりでした」キラキラ 

紬「よかったわね」ニコニコ 

梓「星奈さんの余計な一言が無ければ更に良かったんですけどね」フッ 

星奈「私がなんだって?」 

梓「!」ビクッ 

星奈「私の悪口が聞こえた気がするんだけど?」ピョンピョン 

梓「気のせいですっ、私の髪で遊ばないでください!」 

紬「あらあら」ウフフ 

つばさ「あーっ、お姉ちゃん!」 

紬「あら、つばさちゃんも一緒?」 

つばさ「うん、星奈さん達と食事をとりに。 お姉ちゃんの隣に座っていいかな!?」 

梓「お姉ちゃんって・・・」ムッ 

修治「こらこら、4人のテーブルに5人座れる訳ないだろ」 

つばさ「えー、だってー」 

修治「だってじゃない」 

星奈「そうだよ、つばさちゃん。スポンサーの機嫌を損ねたらいけないよ」 

修治「えっ!?」 

紬「あらあら、急に賑やかになったわね」ニコニコ 

梓「・・・」 

修治「ほら、別の席にいくぞ」 

つばさ「うー、じゃあねお姉ちゃん」 

紬「えぇ、また後でね」 

星奈「やっきにく~♪やっきにく~♪」 

修治「少しは遠慮してくれよ・・・」スタスタ 

梓「・・・ゴクゴク」プハ- 

紬「オレンジジュースのおかわりでいいかしら?」 

梓「い、いえ。それより展望車へ移動しませんか?」 

紬「そうね。すこし混んできたものね」 

梓「は、はい」 

紬「それではみなさんごゆっくり~」 

星奈「はいよ~」 

修治「じゃあね」 

つばさ「ばいば~い」 

梓「」ペコリ
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:16:10.79 ID:RC6p1yPRo

紬「この列車の食堂車はすごいわね」 

梓「私もびっくりしました」 

紬「テーブルに鉄板を備え付けられるなんてね」 

梓「豪華と云われるだけありますよね」 

紬「この展望車ものんびりできていいわね~」 

梓「はい、景色を眺めながらのんびりできるなんて贅沢ですよね」 

紬「あら・・・?」 

梓「? どうしたんですか、むぎ先輩」 

紬「デジャヴかしら・・・」 

梓「・・・たしか、一度も体験したことがないはずなのに、実際に体験したかのような感覚ですよね」 

紬「えぇ・・・」 

梓「それとも予知夢ですかね?」 

紬「そうなのかしら、なんだか懐かしい気分になったの」 

梓「夕日が差し込んでいますからね。オレンジの雰囲気がそうさせるのかもしれません」 

紬「うふふ、きっとそうね」 

梓「あっ、むぎ先輩!見て下さい羊蹄山ですよ!」 

紬「まぁ、素敵ね~」 

梓「なんだか幻想的です」 

紬「夕方の色合いがなんだか切ない気分になるね~」 

梓「いい時間帯に展望車に来れてよかったです」 

紬「そうね~」ニコニコ 

梓「・・・」ノンビリ 

紬「・・・」マッタリ 

梓「・・・ふぁ」 

紬「可愛い欠伸ね」 

梓「っ! 少しだけ気が緩んでしまいました」エヘヘ 

紬「疲れているのなら、仮眠をとったらどうかしら」 

梓「いえ、大丈夫です・・・」 

紬「そう?」 

梓「はい、まだまだ大丈夫・・・です・・・ふぁ・・・」 

紬「・・・」 

梓「」ウトウト 

紬「・・・」 

梓「」スヤスヤ 

紬「うふふ」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:16:37.99 ID:RC6p1yPRo

ガタン・・・ゴトン・・・ガタン 

プシュー 

梓「はっ!」 

紬「あら、おはよう。あずさちゃん」 

梓「あれっ、私寝ちゃってましたか!?」 

紬「えぇ」ニコニコ 

梓「うぅ・・・。あれ、この上着・・・むぎ先輩のじゃ」 

紬「冷房効いているから風邪を引くといけないと思って」 

梓「あ、ありがとうございます」 

紬「いえいえ~」 

梓「あれ、停車してる・・・」 

紬「函館駅に到着したわ。降りてみる?」 

梓「はいっ」 
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:17:19.61 ID:RC6p1yPRo

紬「ん~・・・」ノビノビ 

梓「もう北海道ともお別れですね」 

紬「そうね、青函トンネルを抜けると本州へ入るのよね」 

梓「なんかあっという間に北海道を駆け抜けたような気がします」シミジミ 

紬「あら、あずさちゃんもう感傷的になってるの?」 

梓「そ、そうなのでしょうか」 

紬「うふふ、まだまだ旅はこれからよ」 

梓「そうですね・・・、まだ助走程度ですよね!」 

紬「そうそう、どんどん突き進んでいきましょー」 

梓「おーっ!」 

真美「あのぉ・・・」 

紬「あら、桜井さん」 

梓「・・・」カァ 

紬「あずさちゃん顔赤くしてどうしたの?」 

梓「い、いえ、なんでもないです、夕陽のせいですっ」 

紬「そう・・・? なにかしら桜井さん」 

梓(腕を振り上げてたの見られたよね・・・。でも言ってみたい台詞をいえた・・・) 

真美「すいません、カメラのシャッターが押せないので見てもらえませんか?」 

紬「はい、いいですよ」 

梓「落としたりとかしました?」 

真美「家から今まで一度も取り出していないので、それは大丈夫かと」 

紬「うーん・・・」 

梓「あっ」 

真美「なにか分かりましたか?」 

梓「レンズのふたが着いたままですよ」 

紬「え・・・あらホント」 

真美「わ、私ったら・・・」アワワ 

梓「写真撮るのでしたら、私がシャッター押しましょうか?」 

真美「よ、よろしいんですか?」 

梓「えぇ、せっかくだからむぎ先輩も一緒に」 

紬「よろしいかしら?」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:19:26.95 ID:RC6p1yPRo

真美「えぇ、ぜひ」ニコニコ 

梓「それでは、函館の看板も一緒に・・・はい、チーズ」カシャ 

真美「ありがとうございます」 

梓「いえいえ。かなり年季の入ったカメラですね」 

真美「父のお下がりなので」 

紬「仲がよろしいのですね」 

真美「そ、そうでしょうか、普通だと思いますが・・・」 

梓「大事にされていた物みたいですから、いい贈り物だと思います」 

真美「そうですね。私も大事にしないと」 

紬「桜井さんはどちらまで行かれるんですか?」 

真美「私は東京へ、絵の勉強をしに・・・」 

梓「転校・・・ではないですよね?」 

真美「はい。私の絵を評価してくださった大学の先生からお誘いを受けまして・・・」 

紬「まぁ」 

真美「その先生、私の好きな画家でしたので思い切って行く事にしました」 

梓「という事は特待生ですか・・・すごいです」 

真美「い、いえ・・・そんな、私の絵なんてまだまだで・・・」 

紬「何度か拝見させてもらいましたけど、素敵な絵だと思いますよ」 

真美「そ、そんな・・・あ、ありがとうございます。それでは私はこれで・・・」 

梓「はい」 

紬「それでは」 

梓「・・・桜井さん、声を掛けてくれましたね」 

紬「あら、あずさちゃんも気付いた?」 

梓「はい、なかなか声を掛けてもらえなかったので、ちょっと気になってました」 

紬「うふふ、私も同じよ。なんだか嬉しいわ」 

梓「もっと桜井さんとお話したいです」 

紬「東京まで時間あるから、きっとたくさんおしゃべりできるわ」 

梓「そうですね!」 

prrrrrrrr 

紬「さ、行きましょ~!」 

梓「おーっ!」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:21:20.80 ID:RC6p1yPRo

「ヒマなの!退屈なの!ねぇねぇ、なんか持ってないー?」 

梓「む、むぎ先輩3号車へ行きませんか」 

紬「?」 

「あ、お姉ちゃん!」タッタッタ 

梓「・・・」 

紬「あら、つばさちゃん」 

つばさ「お姉ちゃんもヒマだったら一緒に遊ばない?」 

修治「こら、琴吹さん達の都合も考えろ」 

梓「・・・」 

つばさ「だって、外の景色は一面真っ暗なんだよ。することって限られるじゃない」 

紬「えぇ、いいわよ。なにしましょうか?」 

つばさ「わーい!それじゃ、娯楽車行こーよ! 中野さんも行きましょうよ!」 

梓「え、はい。行きます」 

修治「やれやれだ」 

紬「いつも元気いっぱいね~」ニコニコ 
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:22:21.30 ID:RC6p1yPRo

――――娯楽車 

「いらっしゃいませ。遊んでいかれますか?」 

つばさ「はい、店員さん、みんなで遊べるゲームありますか?」 

店員「はい、それならこちらのダービーゲームはどうでしょうか」 

梓「馬ですか」 

つばさ「これはどうかな、お兄ちゃん」 

修治「いいんじゃない?」 

紬「これはどういうゲームなのかしら」 

梓「競馬みたいなものだと思います。一位になれそうな馬にコインを掛けて 
  その馬が勝てば配当分を貰う・・・というルールみたいですよ」 

つばさ「じゃ、私はアイワールドギブユウエニシングにしよーと」 

修治「なんだその名前・・・俺はテガタクカチマスにする」 

紬「ふむふむ、それなら私はアンデスタックにするわ」 

梓「ワタシノミチヲユクで」 

つばさ「それでは、スタート!」パーン 

修治「・・・すいません。無理やり付き合わせてしまって」 

紬「いえ。つばさちゃんの言うとおり、トンネルの中で景色を楽しめませんもの。 
  あずさちゃんも楽しんでいるようですし」 

梓「こいっ、こいっ」 

修治「・・・これからもつばさと遊んでやってください。今寂しいんだと思いますから」 

紬「はい・・・ ?」 

つばさ「お兄ちゃん、お姉ちゃんなにしてんの!ゴールしちゃうよ!?」 

梓「むぎ先輩!ワタシノミチヲユクの騎手が落馬しました!これおかしいですよ!」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:23:26.24 ID:RC6p1yPRo

紬「あらあら、リアルを追求した結果なのね」 

梓「そんなリアル追求しないで欲しいですっ!とんだじゃじゃ馬です!」 

修治「あははは」 

つばさ「ゴール! 一位は・・・アンデスタック!!」 

修治「配当は・・・×255!?」 

梓「むぎ先輩・・・何枚掛けました?」 

紬「え~と20枚かしら」 

つばさ「えーと20×255だから・・・」ウーン 

修治「5100枚・・・」 

ジャラジャラジャラジャラ 

紬「あらあら・・・」 

つばさ「わーすごーい!」 

修治「おぉ・・・」 

梓「こんなに消化できるんでしょうか」 

紬「4人で分けても一人約1300枚ね」 

真美「・・・どうしたんですか、みなさん」 

つばさ「あ、桜井さん!今ねみんなでゲームしてた所なの!」 

梓「むぎ先輩、桜井さんにも」 

紬「そうね、もしよろしければご一緒しませんか?」 

真美「い、いえ・・・。私ゲームやったこと無くて・・・。すぐ負けてしまいそうです・・・」 

修治「だからこそだよ」 

真美「え?えっ?」オロオロ 

梓「どうぞ」ドサッ 

真美「こ、こんなに・・・?」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:24:27.59 ID:RC6p1yPRo

・・・・・・ 

・・・ 

修治「もうそろそろ無くなるな」 

梓「結構あっという間になくなるものですね」 

真美「・・・私、少し目が痛いです」 

つばさ「大丈夫?車掌さんから目薬借りてこようか?」 

真美「あ、それなら一緒に・・・」 

つばさ「うん! お兄ちゃん、私たち車掌室に行ってくるね」 

修治「おう」 

紬「つばさちゃん、優しいのね」 

修治「あいつ、根は優しいヤツなんですよ。普段騒がしいからよく勘違いされがちですが」 

梓「・・・」 

紬「そうなんですか?」 

修治「初対面の子には大概うっとおしがられてましたね。小さい頃の話ですけど」 

梓「・・・」 

紬「先ほどの、『寂しい』というのと繋がっているのですか?」 

修治「ん?あぁ、それとは少し違うと思います。アイツ友達は昔から多いですから。 
   えと、ん~、つばさの実の兄が結婚する事はご存知ですか?」 

紬「東京で挙式をするとか・・・」 

梓「」コクン

62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:25:10.22 ID:RC6p1yPRo

修治「えぇ、俺の推測なんですが、それに関しているのではないかと」 

紬「そういう事でしたか」 

梓「・・・」 

修治「あ、ごめんなさい。どうこうして欲しい訳ではなくて・・・」 

紬「えぇ、もうお友達ですもの、心配いりませんよ~」 

修治「そう言ってくれると」 

星奈「おや、みんなどうしたの」 

梓「星奈さん・・・」 

星奈「なるほど、負けが込んでるからそんな顔してるんだね。よーし、ギャンブルに強い星奈さんに任せなさい」 

ピッピッピ チャラララッチャラー 

ジャラジャラジャラ 

紬「あらあら」 

星奈「どうだい、7が揃うところなんて初めてみたでしょ~!」ブイ 

梓「ふぅ・・・」 

修治「星奈・・・おめぇってやつぁ・・・」 

星奈「あれ・・・?」 
63 :>>61 都市はそれだけです [sage]:2011/04/05(火) 01:26:42.82 ID:RC6p1yPRo

店員「いらっしゃいませぇ」 

紬「この青森観光ガイドをください」 

店員「はいどうぞ~」 

紬「これで青森の観光はバッチリね!」 

店員「あ、そういえばお客さん?」 

紬「はい・・・?」 

店員「真美さんとぉ・・・。仲良しですよねぇ」 

紬「はい~」ニコニコ 

店員「羨ましいです~」 

紬「うふふ」 

店員「また来て下さいね~」 

紬「はい、それでは~」 
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:27:14.43 ID:RC6p1yPRo

紬「あら、あずさちゃんも目が疲れたのかしら?」 

梓「は、はい・・・」グググ 

ピチョン 

梓「ッ~!」キタァァ 

紬「刺激の強い目薬のようね。はい、ティッシュ」 

梓「ありがとうございます・・・。七尾さんがこの目薬を貸してくれました」 

紬「そうなの。あらつばさちゃんは?」 

梓「星奈さん達と青森での観光を計画中です」 

紬「うふふ、それじゃあ私たちも計画を練りましょうか」 

梓「はい!むぎ先輩は青森での用事はありますか?」 

紬「いいえ、何も無いわよ。よかったら一緒に観光しましょう?」 

梓「はい、もちろんです!」キラキラ 

紬「よかったわ。あずさちゃんどこか行きたいところある?」 

梓「そうですね、津軽鉄道とたっぴさきへ行きたいです」 

紬「あら、この字たっぴさき(竜飛岬)と読むのね」 

梓「そのまま読んだだけですよ?」 

紬「私はたっぴみさきと読んでいたの」 

梓「そ、そうなんですか」 

紬「話が逸れたわね、それなら明日朝出発でどうかしら?」 

梓「そうですね、青森到着時刻は20:00ですので遠出は無理ですから」 

紬「そうね~。今日は新町通りへご飯食べにいきましょう」 

梓「はい!」 
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:27:57.97 ID:RC6p1yPRo

梓「もう青森駅に到着ですね」 

紬「今駅のホームに入ったわね~」 

梓「楽しみです」ウズウズ 

紬「うふふ」 

梓「あ、あれっ?」ゴシゴシ 

紬「どうしたのあずさちゃん? まだ目が疲れているのかしら?」 

梓「いま、ホームに・・・ギターを持った・・・。いえ、なんでもないです」 

紬「?」 

梓「見間違いだと思います・・・。それより出かける準備しましょう、むぎ先輩」 

紬「えぇ、そうね」ニコニコ 

梓「それでは、私先にホームへ降りてます」 

紬「分かったわ」 
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:31:24.15 ID:RC6p1yPRo

ガタンゴトン ガタン   

プシュー 


タッタッタ 

「えっさほいっさ」 

梓「よっ」ピョン 

シュタッ 

梓「青森に到ちゃ」 

「あっずにゃ~んっ!」ガバッ 

梓「うわっ!ゆ、唯先輩!?」 

唯「あ~ずにゃ~ん」スリスリ 

梓「明日乗車するはずじゃ・・・ってこんな所でひっつかないでください!」 

唯「我慢できなくて、一日早く来たんだよ~」スリスリ 

梓「もぅ、唯先輩ー!」グググ 

唯「あ、あずにゃん成分を・・・補給させて・・・」ムググ 

紬「あら、唯ちゃん?」 

唯「むぎちゃーん!」 

梓「やっと離してくれた・・・」フゥ 

紬「まぁ、早めに来れたのね~」 

唯「そうなんだ~、私も早くヴェガに乗りたかったんだよ~」 

梓「唯先輩・・・ギー太連れてきたんですね」 

唯「うん!今回は長い時間離れ離れになるからね!寂しくなりそうだから連れてきたんだよ!」 

紬「うふふ。そうだ唯ちゃん、私たちこれから新町通りへ行くの、一緒に行きましょ?」 

唯「もちろん行きます!」 

梓「荷物とギー太は置いていった方がいいですよ・・・」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:33:10.35 ID:RC6p1yPRo

唯「あ、そだね」ウッカリ 

紬「乗車手続きが先ね、車掌さんを探してきましょう」 

梓「それなら私が行きます」 

唯「頼んだよ!あずにゃん!」 

梓「唯先輩も来て下さい」 

唯「はいよー!」 

紬「荷物は私が見ているからね」 

唯「お願いね~」 

スタスタ 

紬「ギー太は置いていかないのね~」 

星奈「おいっす」 

つばさ「お姉ちゃんなにしてるの?」 

真美「どうも」 

紬「あら、みなさんお揃いで・・・どちらへ行かれるのかしら?」 

星奈「新町通りだよ~ん」 

つばさ「今ねぶた祭りやってるんだって!お姉ちゃんも行こうよ!」 

紬「そうなの~。でもごめんなさい、あずさちゃん達を待ってるので今動けないの」 

真美「そうですか・・・」 

つばさ「そっかー」ションボリ 

星奈「達・・・?」 

紬「後で紹介しますね」ニコニコ 

星奈「むぎちゃんの友達かな? 楽しみにしてるよ」 

真美「それでは」 

紬「行ってらっしゃい」フリフリ 

つばさ「行ってきまーす!」フリフリ 

紬「ねぶた祭り・・・。二人とも興味あるかしら」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:34:43.64 ID:RC6p1yPRo

唯「うぉお、まさにでっかいどー!」 

紬「ホントね~」 

梓「いや、違いますよ・・・」 

唯「直で見るとこんなに大きいんだね~、カッコイイよ~あずにゃん」 

梓「はい、何年も積み重なってこの形が出来上がったのでしょうね」 

紬「歴史を感じるわ~」 

唯「おぉー、次のヤツもすっごいよ!」 

紬「まぁ~、キレイね~」 

梓「よっ・・・はっ・・・」ピョンピョン 

唯「どうしたのあずにゃん?」 

梓「この人ごみだと、私の身長では見えづらいです・・・」ピョンピョン 

紬「それは大変」 

唯「そうだ、肩車してあげよう!」 

梓「えっ?」 

唯「私は毎日ギー太を背負っているんだから、あずにゃんの一人や二人どうってことないよ」 

梓「え゛っ」 

紬「あらあらまぁまぁ」 

唯「さ、カムオンだよ!あずにゃん!」ササッ 

梓「ゑ゛ッ」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:35:37.76 ID:RC6p1yPRo

紬「唯ちゃん男らしいわ~」 

梓「い、いいですよ!私もう高校二年生ですよ!? 恥ずかしいです!」 

唯「え~、そう?」ブー 

梓「ほ、ほら!もう山車も行っちゃいましたから!」 

紬「あっ、でも次の山車が来たわよ」 

唯「ささっ、私の肩に乗っかってごらんよ」サァサァ 

梓「うぅ~、むぎ先輩~」 

紬「唯ちゃん、少し離れてからなら見えるんじゃないかしら」 

唯「そうかな~?」 

梓「そうですよ!これだけ大きいのなら少し離れても迫力はありますよ!」 

唯「そだね~、それじゃ少し離れてみよ~か」 

梓「・・・ホッ」 

紬「ここはどうかしら?人も少ないし」 

唯「おぉ、絶景ポイントですなぁ」 

梓「はい、全体的に見えていい感じです」 

紬「よかったわね~」 

梓「ホントによかったです・・・」 

星奈「あっ、やっぱりむぎちゃんだ!」 

梓「!」 

紬「あら、星奈さん・・・一人なんですか?」 

星奈「それがねぇ、この人ごみでしょ?はぐれてしまって~」アハハ 

唯「おぉー、見てみてあずにゃん!あの山車可愛い~」 

梓「どこが可愛いんですか・・・」 

星奈「あず・・・にゃん・・・?」 

梓「!」シマッタ 

唯「ん?」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:36:38.62 ID:RC6p1yPRo

紬「あ、唯ちゃん、こちらは山口星奈さん。星奈さん、こちらは私達と同じ学校に通う」 

唯「平沢唯です!むぎちゃん達と一緒に部活動を勤しんでいます!」 

星奈「そうなんだ、楽しそうな部活だね~。ところでどうしてあずにゃんと呼ばれているの?」 

唯「ねこみたいで可愛いからだよ!」 

梓「そ、そんな断言しないでください・・・」 

星奈「確かにね。他人には懐かないけど、心許せる人の前で寝ちゃうような習性はまさにネコだよね~」 

梓「そんなことないと・・・見られてたんですか!?」 

紬「うふふ」 

星奈「可愛い寝顔だったにゃ~」 

梓「うぅ・・・」フカク 

唯「あずにゃんがお世話になってるそうで・・・これからもよろしくお願いします」ペコリ 

星奈「いえいえ、これからもお世話させてもらいます」ペコリ 

梓「二倍になった・・・」ウワァ 

つばさ「おーい、星奈さーん!」 

紬「あら」 

星奈「あっ、おーい!こっちこっち~」 

梓「みつかってよかったですね」 

真美「急に居なくなるからびっくりしました・・・」 

星奈「いや~、ごめんごめん」アハハ 

つばさ「やっぱりお姉ちゃん達も来てたんだ!お兄ちゃんもみつけたよ!」 

修治「どうも」 

紬「あらあら、みんな揃ったのね~」ニコニコ 

唯「あずにゃん、あずにゃん・・・」 

梓「はい・・・?」 

唯「この人達もヴェガの乗車さんなの?」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:38:39.50 ID:RC6p1yPRo

梓「はい、そうです。七尾さん、桜井さん、鳥羽さんです」 

つばさ「七尾つばさでーす!」 

真美「さ、桜井真美と申します」ペコリ 

修治「鳥羽修治といいます、よろしく」 

唯「平沢唯です。これからヴェガに乗車します、よろしくお願いします!」 

星奈「よーし、一通り紹介が済んだ所で記念撮影と行きましょ~!」 

つばさ「さんせーい!」 

紬「いいわね~」 

唯「おぉ、いいですな」 

梓「それじゃ、私がシャッターを」 

星奈「任せたよ修治!」 

紬「これでお願します」 

唯「あっ、それ澪ちゃんのだ」 

修治「はいよー」 

真美「お、お願します」 

梓「いや、でも・・・」 

つばさ「いいのいいの!中野さんも並ぼうよ!」 

星奈「つばさちゃん、このポーズでいこうよ」 

つばさ「わぁ!それすっごくいいよ星奈さん!」 

真美「私はこのへんで・・・」 

唯「イェイ」ダブルピース 

紬「いぇ~い」 

梓「・・・」ピース 

修治「・・・。山車をバックに・・・はい、チ-ズ!」カシャ 

星奈「サンキュ」 

紬「ありがとうございます」 

修治「いえいえ、はいカメラ」 

つばさ「お兄ちゃん、あそこでたこ焼き売ってるよ~」 

修治「お前焼きそば食べたばかりだろ」 

紬「どこですかっ」キラン 

修治「?」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:39:33.37 ID:RC6p1yPRo

紬「焼きそばはどこで売ってましたかっ?」キラキラ 

つばさ「えーとあっちだったかな?」 

真美「一緒に行きましょうか?」 

紬「お願します!」フンス! 

修治「気をつけてな、つばさ」 

つばさ「うん!」 

梓「わ、私も行きま」 

ドンッ 

「あら、ごめんなさ~い」 

梓「いえ・・・こちらこそ、すいませんでした」 

唯「もう姿がみえなくなっちゃった」 

星奈「またはぐれちゃったけど大丈夫かな」 

修治「桜井さんと琴吹さんがいるから大丈夫だろ。それじゃ、俺もこれで失礼します」 

星奈「うん。またね」 

梓「それでは」 

唯「またね~」 

星奈「・・・むぎちゃん、目の色が変わったけどどうしたの?」 

唯「夏フェスで食べるの楽しみにしていたんだけど、目前で売り切れちゃったんだ~」 

梓「楽しみにしていただけにかなりがっかりしてましたからね」 

星奈「ふふ、なんだか可愛い人だな~」ホノボノ 

唯「うん、むぎちゃんは可愛いよ~、気立てもいいし、淹れてくれるお茶はおいしいし」 

梓「唯先輩それだと、ただのメイドさん扱いですよ」 

唯「むぎちゃんのお茶はおいしいだけじゃないんだよ!私達を包むまったりタイムには必需品なのです!」 

星奈「それなら、販売機の紅茶でもいいんじゃないの?」 

唯「それがね~、むぎちゃんが居ないときに自販機の紅茶を飲んだんだけどちょっと違ったんだ~」 

梓「あ、それなんとなく分かります」 

星奈「ほぅ」 

唯「だからむぎちゃんのお茶がないと放課後ティータイムは成り立たないのです!」キリ 

梓「」ウンウン 

星奈「部活だよね・・・?」 

梓「も、もちろんそれは活動の一部ですよ、ちゃんとした活動もしてます!」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:40:26.71 ID:RC6p1yPRo

星奈「ふ~ん・・・おっと、人が増えて来たねぇ」 

唯「まだ祭りは始まったばかりだよ!」 

梓「これからどうしましょうか・・・」 

pipipipipi 

梓「あ、むぎ先輩からです・・・はい、もしもし」 

唯「おぉ~、あの顔かっこいい~」 

星奈「いやいや~、あっちの山車の方がかっこいいよ~」 

梓「そうですか、それは残念でしたね・・・。はい、・・・分かりました、では」プツッ 

唯「あー、あれも可愛い~」 

星奈「お~、ほんとうだ」 

梓「もう打ち解けてる・・・。あの、お二方よろしいですか・・・?」 

唯「ん?どうしたの」 

星奈「どしたのん?」 

梓「むぎ先輩が、『新町通りのお店は混んでいるから食堂車で食事しませんか?』との事です」 

唯「そだね。そうしようか」 

星奈「そんじゃ私もそうしようかな~」 

梓「七尾さんと桜井さんもそうするそうですよ」 

唯「・・・すこし名残惜しいなぁ」 

梓「存分に堪能したじゃないですか」 

唯「うん、楽しかった」 

星奈「それじゃ戻ろっか」 
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:41:03.45 ID:RC6p1yPRo

唯「はぁ~、美味しかった~」 

紬「えぇ、食堂車の味は逸品ね」 

梓「ふぅ・・・」 

唯「あずにゃんお疲れの様子ですな~」 

梓「唯先輩と星奈さんが騒がしくするからですよ」 

唯「え~」 

紬「うふふ、とても賑やかな食事だったわ~」 

梓「私もむぎ先輩の席が良かったです」 

唯「あずにゃんのいけずぅ~」ツンツン 

梓「なんですかそれは・・・」 

紬「ふぁ・・・。なんだか眠くなってきちゃった・・・」 

梓「朝から動きっぱなしでしたからね、早めに眠ってはどうですか?」 

紬「そうね~。今日は少しだけ勉強して眠ります~、おやすみ~」 

スタスタ 

梓「おやすみなさいです」 

唯「おやすみ~。私も明日に備えて練習を少しだけにしようかな~」 

梓「・・・唯先輩、勉強しないんですか?」 

唯「・・・ぴぃ~ぷぅ~♪」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 01:41:48.04 ID:RC6p1yPRo

梓「顔を逸らして口笛吹いても誤魔化せませんよ」 

唯「だってぇ、せっかくのヴェガだよ?ギー太と思い出を作りたいんだよ~」グスグス 

梓「その気持ちは分かりますけど」 

唯「大丈夫だよ!りっちゃんもやってないはずだもん」 

梓「それを大丈夫とはいいませんよ・・・」 

車掌「あら、お二人ともどうなされたんですか?」 

唯「車掌さん・・・、あずにゃんが、あずにゃんがとても厳しいのです」 

梓「後々困るのは唯先輩ですよ?」 

車掌「どうやら平沢さんの方に分が悪そうですね」 

唯「・・・分かりました。私も少しだけ勉強します」 

梓「ギー太を預かりましょうか?」 

唯「それだけはっ」 

梓「・・・冗談ですよ」 

車掌「クスクス」 

唯「車掌さんあずにゃん、おやすみ~」 

梓「おやすみなさいです」 

車掌「おやすみなさい」 


2日目終了-------- 

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 08:58:48.63 ID:RC6p1yPRo

             8月3日 


コンコン 

紬「・・・」 

コンコン 

紬「まだ寝ているのかしら・・・」 

コンコン 

梓「むぎ先輩おはようございます」 

紬「おはようあずさちゃん」 

梓「唯先輩まだ起きないのですか?」 

紬「そうなの」 

梓「まさか・・・」 

ガチャ 

唯「おはよう~・・・むぎちゃん」ボケー 

紬「おはよう唯ちゃん。もうそろそろ出かける時間なんだけど・・・」 

唯「えっ、もうそんな時間なのっ? ・・・えへへ、昨日勉強の合間に練習しちゃって」 

梓「・・・」 

紬「あらあら」 

唯「やりだしたら止まらなくて・・・、あずにゃんには内緒だよ?」シー 

梓「唯先輩・・・私はココですよ・・・」 

唯「あずにゃん! ・・・・・・てへっ☆」ウィンク 

梓「ゆ~い~せ~ん~ぱ~い~」ゴゴゴ 

唯「ごめんなさい! ちゃんと勉強もします! 今すぐ準備しますので5分だけ時間をください!」 

梓「もぅ・・・」 

紬「私たち先にホームへ降りてるわね」 

唯「了解です」ビシッ 
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 08:59:14.71 ID:RC6p1yPRo

紬「あずさちゃん面倒見いいのね~」 

梓「いいえ、そういう訳ではないです。憂に頼まれましたから」 

紬「そういう事だったの~」 

唯「お ま た せ !」 

紬「出発しましょうか」 

梓「はい!」 

唯「それでどこ行くの?」 

梓「昨日食堂車で話したじゃないですか」 

紬「先ずは竜飛岬からいきましょう」 

唯「その後に津軽鉄道だったね。しゅっぱ~つ!」 

紬「おー」 
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:00:04.46 ID:RC6p1yPRo
―――――竜飛崎 

紬「結構風が強いわね~」 

唯「あずにゃん、飛ばされないように気をつけてね」 

梓「それはないです・・・」 

紬「風車がきれいに並んでいるわ~」 

梓「私こんなにたくさんの風車を見たの初めてです」 

唯「わたしも~」 

紬「たくさんの風車の回すなんて、風の力って凄いわね~」 

唯「あずにゃん、飛ばされないように」 

梓「だからそれは」 

ビュウウウウウウウ 

梓「っとっと・・・」グラグラ 

紬「あずさちゃん」ガシッ 

唯「あずにゃん」ガシッ 

梓「・・・飛ばされないですから、両腕を離して下さいませんか?」 

唯「両腕に花だよ!」 

紬「ホントね~」ニコニコ 

梓「私も花に入ると思うんですが・・・」 

唯「それにしても地元の人達は大変だね、こんなに風が強くちゃ」 

紬「そうね~、でも逆転の発想で風を利用するなんてすごいわ」 

梓「逞しいですよね」 

唯「ここに立つとさ、とても遠いところへ来たような気がしない?」 

梓「この先が海だからでしょうか」 

紬「ちょっと寂しい感じもするわね」 

梓「今は昼だからいいですけど、夕方に来ると哀愁漂う気がします」 

唯「私達がいるよ!」ガシッ 

紬「そうよ!」ガシッ 

梓「いや、あの、歩きにくいので・・・」 

唯「よーし、次の観光地へ行くぞー」 

紬「おーっ」 

梓「あの・・・」 
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:01:09.81 ID:RC6p1yPRo

チリンチリン 

唯「涼しい~」 

紬「外は暑いけど電車の中はいい感じね~」 

梓「・・・」マッタリ 

唯「このまま電車に揺られてどこまでも行こうか~」ノンビリ 

紬「いいわね~」マッタリ 

梓「だ、だめですよ!」 

唯「冗談だよ~」 

梓「唯先輩が言うと冗談に聞こえません」 

唯「え~。でもこのまま風鈴電車に揺られるのっていいと思わない~?」 

紬「いいわね~」マッタリ 

梓「風情があっていいと思いますけど」 

唯「でもさ、秋になったらどうするのかな?秋に風鈴が鳴ってたら寒そうだよ」 

紬「9月からは鈴虫列車に変わるそうよ~。ガイドに書いてあったわ」 

唯「それじゃあ、梅雨にはカエル、春にはウグイスが乗ってるのかな?」 

梓「そんな訳ないじゃないですか」 

紬「賑やかになるわね~」 

唯「冬には何を乗せよう」 

紬「そうね~」 

梓「うさぎとか・・・?」 

唯「うさぎは鳴かないよ~、狼はどうかな?」 

紬「オォーン」 

梓「それを列車で聞いてどうするんですか」 

唯「それじゃ熊?」 

紬「グルルルル」 

梓「冬眠してますよ。なんで戦闘態勢時の声なんですか」 

クスクス アノコタチカワイー 

梓「せ、先輩方次で降りましょう・・・」 

紬「そ、そうね」 

唯「もうちょっとのんびりしようよ~」 

チリンチリン 
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:01:35.73 ID:RC6p1yPRo

紬「ちょっと照れちゃったわ」テレ 

梓「すこしはしゃいでしまいましたね」 

唯「もうすぐ夕方だけど、どうしよっか~」 

紬「私もう一度新町通りへ行ってみたいの」 

唯「あ、私も~」 

梓「私はベイブリッジへ行ってみます」 

唯「一緒に行かないの?」 

梓「日本としては有数の規模の橋だそうです。興味があるので」 

紬「別行動ね」 

唯「あずにゃん一人で大丈夫?」 

梓「大丈夫です!」キリ 
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:02:40.55 ID:RC6p1yPRo

唯「ねぶた祭り絶賛開催中!・・・だから人が多いね~」 

紬「そうね~、今夜も賑やかになるわね、きっと」 

唯「むぎちゃん、何か用事があるの?」 

紬「そうじゃないけど、私こんなに人が集まることあまり来ないから、もう一度味わいたかったの」 

唯「そっか~、それなら今度みんなで地元の祭りにでも行こうよ!きっと楽し~よ~」 

紬「まぁ、それは楽しみだわ~!」 

唯「へへ~、また楽しみが一つ増えちゃった~」ルンルン 

紬「ふふ、ありがとう」 

唯「いえいえ~、あっ・・・むぎちゃん、あれ真美ちゃんじゃない?」 

紬「あら本当だわ、困った顔してるけどどうしたのかしら」 

唯「お~い、真美ちゃ~ん!」 

真美「あっ」ホッ 

紬「道に迷いましたか?」 

真美「い、いえ、私人ごみが苦手なので・・・少し心細かったです」 

唯「それならどうして新町通りにきたの~?」 

真美「絵の具を切らしてしまったので、買出しに来たのですが、画材屋が見つからなくて・・・」 

紬「それなら一緒に探しましょう?」 

唯「そうだね、その方が早いよ」 

真美「いいんですか?」 

紬「もちろん!」 

唯「もちろんだよ!」 

真美「あ、ありがとうございます。もう諦めていた所なので助かります」 

唯「真美ちゃんはいつもスケッチブックを持ってるけど、どんな絵を描くの?」 

真美「なんでも描きますけど、人物画が多いですね」 

紬「展望車で何度か描いてますよね」 

真美「あ、勝手にモチーフにしちゃってすいませんでした。琴吹さん・・・」ペコリ 

紬「いえいえ、その後絵を見せてくれたので問題無いですよ」 

唯「えっ、むぎちゃんモデルになったの?」 

真美「私が勝手に・・・。その、琴吹さんと中野さんの間にある優しい雰囲気が描きたくなったので、つい」 

紬「気になさらないで~」 

真美「そう言ってくれると助かります。ちゃんと仕上げて差し上げますので・・・」 

唯「あずにゃんも?いいなぁ~」 

紬「あずさちゃん眠ってたから。唯ちゃん、びっくりさせたいからこの事内緒ね」 

唯「むぎちゃんも悪よのぅ」イッヒッヒ 

紬「うふふ」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:03:16.64 ID:RC6p1yPRo

真美「みなさん仲がよろしくて羨ましいです」クスクス 

唯「今度私もモデルにしてくれないかなっ?」 

真美「い、いいのですか?」 

唯「いやかな・・・?」 

真美「いえ、ぜ、是非!」 

唯「わーい!」 

紬「桜井さん、このお店はどうですか?」 

真美「は、はい」 

唯「入ってみよう!」 

真美「わぁ・・・こんなに画材があるなんて!」パァァ 

紬「よかったですね」 

真美「はい、少し見て回ります! わぁ~」キラキラ 

唯「嬉しそうだね」 

紬「あんなに生き生きした桜井さんみたの初めて」 
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:03:55.40 ID:RC6p1yPRo

星奈「おや、こんな所でなにしてんの?」 

唯「あ、星奈ちゃん!」 

紬「桜井さんを待ってるの~」 

星奈「そうなんだ。あ、あのさ唯ちゃん?ちゃん付けはやめてくれないかな~?」 

唯「じゃあ、星ちゃん!」 

星奈「別の呼び方を希望!」 

唯「スターちゃん」 

星奈「ノー!」 

唯「星奈っち」 

星奈「ダメ!」 

唯「すぇいぬぁ」 

星奈「じゃあそれで」 

唯「すぇいぬぁはぬぁにすぃてとぁの~」 

星奈「あっはっは! 私の負けだわ~」 

紬「うふふ」 

星奈「それで、唯は今なんて言ったの?」 

唯「星奈ちゃんはなにしてたの~」 

星奈「ちゃん付けは変えないのか・・・。ベイブリッジ見てきたとこだよ」 

紬「あずさちゃん居ませんでした?」 

星奈「梓ちゃん?見てないな~、行き違いになったかな?」 

紬「そうですか」 

唯「ベイブリッジはどうだった~?」 

星奈「カップルが多くて居心地悪かったかな~」 

紬「あずさちゃん一人で大丈夫かしら」 

星奈「つばさちゃんと修治もベイブリッジに行くと行っていたから会うかもね」 

唯「私も行けばよかったかな~」 

紬「もう時間ないわね・・・」 

星奈「そろそろ列車に向かった方がいいね。大丈夫だよあの子しっかりしてるし」 

唯「そうだね」 

真美「お、おまたせしました! あ、星奈さんもいらしてたんですね」 

星奈「おいっーす」 

紬「買い揃えることができてよかったですね」 

真美「はい、二人ともありがとうございました」ペコリ 

唯「いいよ~お礼なんて~」エヘヘ 

星奈「列車に戻ろっか」 

紬「えぇ」 
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:05:08.88 ID:RC6p1yPRo

唯「青森楽しかった~!」 

星奈「楽しかったー!」 

車掌「お帰りなさいませ。青森の観光は楽しめたようですね」ニコニコ 

紬「車掌さん、あずさちゃん戻ってますか?」 

車掌「中野さんですか?いえ、まだお戻りになっていませんが・・・」 

真美「そろそろ出発時刻ですけど・・・」 

唯「大丈夫だよ~むぎちゃん」 

紬「えぇ・・・」 

車掌「噂をすれば・・・ですね」 

星奈「やっぱり三人一緒だ」 

つばさ「やっほー!」 

唯「やっほー」 

梓「ただいまです、むぎ先輩」 

紬「えぇ、おかえりなさい」 

星奈「姉妹かっ!」 

真美「ふふふ、本当の姉妹みたいですね」 

梓「?」 

修治「どうしたの?」 

唯「むぎちゃんが心配してたんだよ~」 

梓「遅れてすいませんでした」 

紬「ううん、なんとなく気になっただけよ。気にしないで~」 

車掌「それではみなさん、もう間も無く発車致しますのでご乗車下さい」 

つばさ「はーい!」 

星奈「ささ、乗り込めー」 

真美「ふふ」 

唯「ヴェガが走るよあずにゃん!」ワクワク 

梓「いいから早く乗ってください」 

唯「ちぇー」 

紬「うふふ」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:05:44.38 ID:RC6p1yPRo

修治「俺で最後だな」ヨシ 

唯「あずにゃん!展望車行こうよ!」 

梓「真っ先にですか?もっとゆっくり行きませんか?」 

修治「展望車はずっとついてくるから大丈夫だよ」 

唯「そうだけど~」ウズウズ 

キャァ 

紬「?」 

修治「どうしたの琴吹さん?」 

紬「今声が・・・?」 

修治「ん?・・・あっ、危ない!」 

紬「え・・・あ!」 

「た、たすけて・・・」 

唯「生首っ!」 

梓「ドアに挟まっているんですよ!」 

修治「俺がドアをこじ開けるからみんなはこの子を引っ張って!」 

紬「はいっ」 

梓「はい!」 

修治「せーっの!」 

唯「よいしょっー!」 

ガラッ 

「きゃああああ」 

ドサドサドサッ 

プシュー   

ガタンゴトン ガタンゴトン 

修治「ふぅ~。なんとか走るまでに間に合ったな・・・」 

梓「び、びっくりしました」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:06:10.47 ID:RC6p1yPRo

つばさ「梓さんどうかしたのー?」 

星奈「なにごとー?」 

「た、助けてくれてありがとうございました」 

唯「発車直前にこの子がドアに挟まっててさ、危なかったよ~」 

「め、めがねが・・・」 

紬「これですよね、はいどうぞ」 

「あ、ありがとうございます」 

唯「あー、荷物が散らばっちゃったね~」 

星奈「拾うの手伝うよ、あっ、修治は向こう行ってて!」 

修治「なんでだよ」 

つばさ「お兄ちゃん!」 

修治「へいへい」 

梓「つばさ、これもケースに入れて」 

つばさ「はーい」 

唯「おたま、お鍋に枕?」 

「みなさん、手伝ってくれてありがとうございます・・・」 

紬「これで全部ね・・・」 

星奈「修治にこの子の下着まで拾わせる訳にはいかないからね~」 

つばさ「お兄ちゃんはデリカシーに欠けるよ!」プンスカ 

「今日はラッキーだわ・・・」 

つばさ「え!?」 

星奈「えっ!?」 

梓「え・・・」 

紬「まぁ・・・」 

唯「え~、どうして?」 

「だって・・・列車に乗れたもの・・・」 

星奈「なんか凄い子が乗ってきたなぁ・・・」 

梓「そうですね・・・」 
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:06:54.49 ID:RC6p1yPRo

「松浦愛といいます。よろしくお願します」 

唯「よろしく~」 

愛「みなさん、先ほどは危ないところを助けていてありがとうございました」ペコリ 

紬「いえいえ」 

修治「どういたしまして」 

梓「どうしてラッキーなんですか?」 

愛「私、いつもなら乗り遅れてしまうんです。でも今日は乗ることができたので」 

星奈「ポジティブだね」 

梓「それはちょっと違うような気がしますけど」 

唯「いつも乗れないの?」 

愛「はい、私なにかと運が悪くて、財布はよく落とすし、買いたい物はいつも売り切れ 
  電話の三回に一回は無言電話なんです」 

紬「まぁ・・・」 

星奈「怪我とかなかった?」 

愛「はい、大丈夫です。あれくらいいつもの事ですから」ニコニコ 

修治「あれが日常茶飯事なのか・・・壮絶だな・・・」 

つばさ「お兄ちゃ~ん、車掌さん連れてきたよ~」 

車掌「松浦愛さんですね? 乗車証の確認をさせていただきます」 

愛「は、はい」 

紬「それじゃ、私達はお暇しましょうか」 

梓「そうですね」 

つばさ「お姉ちゃん達行っちゃうの?」 

唯「私もう少しここにいたいな~」 

梓「松浦さんの手続きの邪魔になるじゃないですか」 

つばさ「そっか」 

唯「そうだね」 

星奈「修治、愛ちゃんの案内ちゃんとするんだよ~!」 

修治「えっ?俺?」 

つばさ「お兄ちゃん後でね~」 

紬「それでは」 
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:07:22.75 ID:RC6p1yPRo

梓「それでは問題です」 

紬「じゃじゃん!」 

梓「先ほど、松浦愛さんと話をした客車は何号車でしょう」 

唯「う~ん、座席が黄色だったから・・・3号車!」 

梓「正解です」 

紬「」パチパチ 

唯「やった!」 

梓「では次です。ここの客車は何号車でしょう」 

唯「緑だから・・・、1号車!?」 

梓「不正解です。連続解答とはなりませんでした」 

紬「2号車よ、唯ちゃん」 

唯「あ~、そっちだったか~」アウチ 

梓「残念でした。ギー太は没収です」 

唯「そ、そんなぁ~」 

紬「ひょっとして、あずさちゃん、ギター弾きたいのかしら?」 

梓「うっ」ギク 

唯「なんだ~それならそうと言ってくれればいいのにぃ~」 

梓「そ、それはその・・・」モジモジ 

紬「うふふ、なんだか私も鍵盤に触りたくなってきたわ」 

梓「それなら展望車へ行きませんか?ピアノもありますし、そこでならギターの練習しても大丈夫かと」 

唯「いいですな~。それならギー太連れてくるよ!」ガタ 

梓「ヴェガで練習できるなんて・・・」ワクワク 

紬「車掌さんの許可がいるかしら?」 

梓「そうですね、あ」 

紬「どうしたの?」 

つばさ「お姉ちゃ~ん、梓さ~ん」 

梓「つばさその格好どうしたの」 

紬「あらあらまぁまぁ」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:08:08.64 ID:RC6p1yPRo

つばさ「えへへ、東京のお兄ちゃんの挙式で着るドレスなんだ~似合ってる?」 

梓「うん、似合ってるよ」 

紬「えぇ、とってもキレイよ」 

つばさ「えっへへ~、嬉しい~」テレ 

梓「でも、どうして今着てるの?」 

つばさ「これから食堂車でお兄ちゃんとデートなんだぁ」ルンルン 

紬「嬉しそうね~」ニコニコ 

梓「待たせるの悪いから早く行った方がいいよ?」 

つばさ「そうだね、行ってきま~す」タッタッタ 

紬「あら? そう言えば・・・」 

梓「どうしたんですか?」 

紬「つばさちゃんとあずさちゃんの雰囲気変わったなぁと思って」 

梓「あ、はい。ベイブリッジで名前で呼んでくれって頼まれまして」 

紬「なんだかいい友達が出来たみたいね」 

梓「そう、見えますか?」 

紬「えぇ」 

梓「わ、私車掌さんに展望車の使用許可取ってきますね!」ガタ 

紬「うふふ、お願いね~」 
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:08:41.83 ID:RC6p1yPRo

梓「えーと、動力車かな?」 

「にゃー!」 

ドテッ 

梓「?」 

「ふぇーん」 

梓(あ、売店の店員さんだ・・・派手に転んだな) 

「ぐすっ」 

梓「大丈夫ですか?」 

「えっ?」 

梓「立てますか?」 

「大丈夫です~。これから気をつけます~。それでは~」 

梓「なんだか子供みたいな人だな・・・」 

唯「あずにゃん、どうしたの~」 

梓「あ、唯先輩。車掌さんみませんでしたか?」 

唯「ううん。見てないよ~。それよりね今可愛い人とすれ違ったよ~」 

梓「その人売店の店員さんですよ」 

唯「そうなんだ~、なんか楽しいよねこの列車」 

梓「そうですね。唯先輩はむぎ先輩と先に展望車へ行っててください」 

唯「おっけ~」テクテク 

梓「楽しい・・・か、乗って間もないのに。すごいな唯先輩」 
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:09:26.86 ID:RC6p1yPRo

梓「むぎ先輩~許可下りましたよ~」 

紬「ありがとう、あずさちゃん」 

「ようっ、君があずさか!」 

梓「うわっ、びっくりしたぁ!」 

「ガッハッハ」 

唯「この人は食堂車の一流コックさんだよ~」 

紬「食堂車の味は逸品です~」 

コック「おぅ、嬉しい事を言ってくれるな。ガッハッハ」 

唯「ガッハッハ~」 

星奈「ガッハッハ」 

梓「でもどうしてコックさんがここに?」 

コック「わしぁこの列車の設備系統も管理していてな、ギターの音を拾う機械を弄ろうと来たわけだ」 

梓「アンプがあるんですか?」 

コック「いや、ちょっと違うんだが、まぁ見ててくれ」ゴソゴソ 

真美「すごいですよね、展望車の設備」 

梓「あ、桜井さん・・・すいません。コックさんの存在が強烈すぎて気付かなかったです」 

真美「ふふ、いいですよ。私は琴吹さんにご招待されたんです」 

紬「約束だったものね」 

星奈「梓ちゃん・・・私もいるんだけど・・・?」 

梓「気付いてましたよ」 

星奈「私の存在も強烈だというのか、このやろっ!」 

梓「もぅ星奈さん、離してください!」ジタバタ 

コック「よし、唯、鳴らしてみてくれ」 

唯「あいよ~」 

ギュィイィン 

唯梓星奈「「「 おぉー 」」」 

紬「ヴェガで演奏できるなんて素敵ね」 

真美「すごいですね」 

コック「他のお客さんに迷惑かけるといけないからな、2,3曲軽めの曲で我慢してくれ」 

紬「はい、ありがとうございます」 

唯「ありがとう~コックさん。また食べに行くね~」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:09:58.76 ID:RC6p1yPRo

コック「いつでも来なさい。終わったら車掌に連絡頼むぞー」 

スタスタ 

梓「車掌さんが手配してくれたんですね」 

紬「えぇ、そうみたいね」 

梓「唯先輩」 

唯「なにかな?」 

梓「いや、その、心苦しいですけど、ギー太を」 

唯「ついにこの時が来てしまったんだね・・・」 

梓「そんな大げさな」 

唯「私たち最後の曲です聴いて下さい・・・」 

チャララーララ チャラララララー 

星奈「おぉー!唯かっこいいぞー」パチパチ 

真美「」パチパチ 

唯「えっへっへ~。はい、あずにゃん・・・。ギー太を・・・ギー太をよろしく・・・!」 

梓「そんな顔されると弾きづらくなるじゃないですか」 

紬「あずさちゃん、なにを演奏しましょうか?」 

唯「夜に合わせてジャズはどうかな~。あずにゃんのジャズ聴いてみたいと思ってたんだ~」 

梓「ジャズとなると、澪先輩が居ないと・・・」 

紬「そうねぇ」 

星奈「・・・」シーン 

梓「それに私たちジャズなんてやったことないじゃないですか、唯先輩」 

唯「あ、そだね」 

真美「リクエストいいですか?」 

梓「はい」 

真美「ドビュッシーのアラベスクを・・・」 

紬「あずさちゃん、それでいいかしら?」 

梓「はい、練習用で何度か弾いてますから大丈夫です」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:10:57.14 ID:RC6p1yPRo

真美「あ、ありがとうございます」 

唯「えっ、ギターでクラシック!?」 

梓「はい。指を動かす練習に最適ですよ」 

唯「ふむふむ。今度教えてね、あずにゃん!」 

梓(唯先輩がやる気を・・・)ジーン 

紬「私がリードするわね」 

星奈(なんだか取り残されているような気分・・・)ションボリ 

梓「了解です、むぎ先輩。星奈さんもリクエストありますか?」 

星奈「えっ、えーと、キラキラ星・・・を・・・」 

唯「おぉ」キラキラ 

梓「はい、分かりました」 

唯「はい、はい!ロシア民謡の一週間をお願いします!」 

梓「それではいきます。むぎ先輩お願します」 

紬「」コクン 

唯「」ガーン 

星奈「元気だしなって」ヨシヨシ 

ポン ポロロ ポロ ポロ ポン ポロ ポロロン 

ジャン ジャラン 

星奈「おぉ・・・」 

真美「・・・」ウットリ 

梓(むぎ先輩のクラシック・・・) 

紬「・・・」 

―――♪
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:11:38.04 ID:RC6p1yPRo

唯「・・・」ウトウト 

ポン ポン ポン ポンポロロン 

ジャ ジャ ジャ 

真美「・・・」ウットリ 

唯「」スヤスヤ 

星奈「・・・」 

紬「」チラッ 

梓「」コクン 

ポロロロロン 

ジャララン 

星奈「・・・」 

真美「・・・」 

唯「」スヤスヤ 

パチパチパチパチ 

星奈「え・・・」 

真美「あら」 

唯「ぅん?」 

紬「まぁ」 

梓「ちょっと照れますね」 

「素敵な演奏でしたよー」パチパチ 

「ええモン聞かせてもろうた」パチパチ 

「よかったですねぇ、おじいさん」パチパチ 

星奈「いつの間にか観客が」 

真美「素敵でした」パチパチ 

唯「よかったよー」パチパチ 

梓「唯先輩寝てたじゃないですか!」 

紬「うふふ」 

唯「いやぁ、むぎちゃんの演奏聴いていたら急に眠気が」エヘヘ 

真美「自然の中にいるような気分でしたね」 

紬「まぁ、ありがとう~」ニコニコ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:12:27.18 ID:RC6p1yPRo

梓「むぎ先輩のクラシック初めて聴きました」 

紬「そうね~弾く機会がなかったものね」 

愛「みなさんが演奏していたんですね」 

星奈「お、愛ちゃんも一緒に聴こうよ」 

唯「おいでおいで~」 

愛「で、でも・・・」 

真美「ど、どうぞ」 

紬「よかったら聞いていってください」 

愛「そ、それじゃあ・・・」 

梓「次にいきましょう、むぎ先輩」 

紬「えぇ、分かったわ。今度はあずさちゃんのリードでいいかしら?」 

梓「了解です」 

星奈「リクエストした私が言うのもなんだけど、キラキラ星なんかでよかったのかなぁ・・・」 

唯「私も大好きだから大丈夫だよ~」 

梓「では・・・」 

デン 

ガタン 

梓「あれ・・・?」 

真美「停電・・・ですね」 

星奈「ありゃりゃ」 

紬「あらあら」 

唯「なんとっ」 

愛「・・・」 

梓「ヴェガの走行には問題なさそうですね」ホッ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:12:56.95 ID:RC6p1yPRo

唯「しばらく待ってたら戻るよ~」 

愛「やっぱり私のせいなんだと思います・・・」 

星奈「ん?」 

真美「え?」 

愛「私の運の悪さは筋金入りなんです・・・」ガタ 

唯「あ、電気点いていないんだから歩いたらあぶないよ~」 

愛「私が出て行けば電気も回復するはずですから」 

テッテッテ 

ドンッ 

愛「きゃっ」 

修治「おっと、・・・愛ちゃん?」 

つばさ「どうしたのお兄ちゃん?」 

紬「・・・」 

ポン ポン ポン ポン ポン ポン ポン 

梓(あ、ピアノソロ・・・。ギターは控えたほうがいいな・・・) 

星奈(いいテンポで聴きやすい) 

真美「・・・」ウットリ 

つばさ「暗くて見えない・・・誰が弾いているのかな」 

修治「しーっ」 

つばさ「ご、ごめんなさい・・・」 

愛「・・・」 

唯「おぉ~」 

星奈「どうしたの?」 

唯「星空がキレイだよ~」 

真美「ホントですね・・・」 

つばさ「あ、星奈さん達がいる」 

修治「愛ちゃん、俺らもみんなのところに行こうか」 

愛「はい・・・」 

ポン ポン ポンポンポロロポン 

梓(みんな空を見ているのに、むぎ先輩は演奏を・・・)
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:13:27.65 ID:RC6p1yPRo

唯「なんだか贅沢~」 

星奈「そうでんな~」 

真美「・・・」ウットリ 

ポロン ポロ ポロロン ポン  ポン・・・・・・ 

梓「・・・」パチパチ 

星奈「むぎちゃんすごーい!」パチパチ 

真美「素晴らしかったです」パチパチ 

紬「ありがとう~」ニコニコ 

つばさ「お姉ちゃんが弾いてたんだー!すごくよかったよー!」 

修治「・・・」パチパチパチ 

唯「私はとても感動しました!」パチパチ! 

愛「・・・素敵な演奏でした」パチパチ 

ガタン 

梓「あ、点いた」 

車掌「申し訳ありません、電気系統のトラブルで一時的に送電されない状態にありました 
   お怪我なさった方はいませんか?」 

唯「みんな平気だよ、車掌さん!」 

「また、機会があったら聴かせてくださいなお嬢さん」 

「いい演奏でしたよー」 

紬「は、はい・・・ありがとうございます~」テレ 
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:13:54.06 ID:RC6p1yPRo

店員「いらっしゃいませぇ」 

梓「この仙台観光ガイドをください」 

店員「はいどうぞ~」 

梓「これで青森の観光はバッチリです!」 

店員「あ、そういえばお客さん?」 

梓「はい・・・?」 

店員「星奈さんとぉ・・・。すっごく仲良しですよねぇ」 

梓「そう・・・見えますか?」 

店員「はい~」 

梓「そうですか、それではこれで・・・」 

店員「また来て下さいね~」 
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:14:37.83 ID:RC6p1yPRo

梓「盛岡駅に到着ですね」 

紬「ん~・・・」ノビノビ 

唯「私も真似しよ~、ん~・・・」ノビノビ 

梓「いつの間にか演奏会になってましたね」 

紬「うふふ、そうね~。でもあずさちゃんと演奏出来て楽しかったわ~」 

梓「はい、私もです!」 

唯「今度は私も参加します!」フンス! 

梓「ぜひ部室でもやりましょう!」 

紬「いいわね~」 

唯「それにしてもこの停車駅は人がいないんだね~」 

梓「降りているのは私たちぐらいですね」 

紬「もう夜も遅いから」 

唯「もう10時かぁ、こんな時間に家に居ないなんて変な感じだよ」 

梓「そういえばそうですね」 

紬「普段なら寝る準備をして、くつろいでいる時間ね~」 

唯「私はゴロゴロしながらテレビ見てるかな~」 

梓「ギターの練習してますね・・・」 

紬「そんなバラバラな時間を過ごしていた私たちが、今は一緒の時間の中に居るのね~」 

梓「・・・」 

唯「なんだか貴重な時間に思えてきた!なにかしようよ!」 

梓「なにをするんですか?」 

唯「そうだな~、うーん。・・・なにしようか?」 

紬「トランプはどうかしら~」 

唯「それだよ!」 

prrrrrrrrrrrrrr 

梓「あ、出発しますよ」 

紬「乗りましょ~」 

唯「アディオース、もりおか~」 

梓「人じゃないんですから・・・」 
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:15:26.58 ID:RC6p1yPRo

―――――展望車 

星奈「・・・」ボー 

梓「星奈さん・・・?」 

星奈「あぁ、梓ちゃんか・・・、テレビ一緒に見る?」 

梓「い、いえ。あの・・・先輩達とトランプするんですけど、星奈さんも一緒にどうですか?」 

星奈「・・・」ボー 

梓「・・・星奈さん?」 

星奈「あ、ごめん。なにかな~?」 

唯「あずにゃ~ん!トランプ無かったからUNO持って来たよ~」 

紬「厨房からティーポットとティーカップかりてきちゃった~」 

星奈「・・・なにが始まるのかな!? 私も混ぜてよー!」 

唯「あ、星奈ちゃんもUNOやろうよ~」 

紬「えぇ、人数が増えてもいいようにカップ五つ借りてきたわ~」 

梓「よく貸してくれましたね」 

紬「夜はお客さんが少ないから構わないそうよ」 

星奈「なるほど。・・・唯、私がカード配るよ!」 

唯「まかせた!」 

星奈「」シュッシュッシュ バラバラバラ 

唯「おぉ、プロのような手つきだ」 

紬「見事な手さばきね~」 

星奈「ふっふっふ、私の数少ない特技の一つだよ」エヘン 

梓「・・・」 

紬「はい、みんな紅茶をどうぞ~」 

唯「ありがとーむぎちゃん!」 

梓「ありがとうございます」 

星奈「こ、これが噂の・・・」 

紬「?」 

唯「そうだよ、私たちついに口にすることができるんだよ星奈ちゃん・・・!」 

星奈「・・・わ、私緊張してきた・・・!」 

梓「ふぅ・・・。やっぱりむぎ先輩の入れてくれる紅茶はおいしいです」 

紬「ありがとう~」 

星奈「あ、おいしい・・・」 

唯「~♪」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:15:59.55 ID:RC6p1yPRo

紬「ごめんなさいね、この時間帯だからお茶請けは無い方がいいと思って用意してないの~」 

梓「そうですね。こんな時間に食べちゃうと後々やっかいですよね」 

唯「私太らないから大丈夫だよ~」 

星奈「・・・」 

紬「・・・」 

梓「・・・」 

唯「ん?」 

星奈「さぁー、カード配り終わったよー。誰から引く~?」 

梓「それじゃ、私から時計回りでどうですか」 

紬「そうね~」 

唯「UNO大会スタート!」 

梓(今はいつもと変わらないよね・・・。さっきは眠たかっただけなのかな?) 
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:16:48.90 ID:RC6p1yPRo


唯「あずにゃん!ストップだよ!」ビシッ 

梓「唯先輩、よく見て下さい。私まだ二枚もってますよ」 

星奈「あっはっは、焦らない焦らない~」 

唯「だってぇ、私まだ12枚も持ってるんだよ~」アセアセ 

紬「私はこれで上がりね」バサッ 

唯「え~、むぎちゃんももう上がりなのー?」 

梓「残るは私と唯先輩ですね・・・」 

星奈「はい、ここで提案! 私唯と組んでいいかな?」 

紬「あずさちゃん、どう?」 

梓「望むところです!」 

唯「星奈ちゃん、どうしよ~」 

星奈「なるほどなるほど・・・」 

梓「・・・」 

星奈「これとこれ出して」 

唯「でも、後々使えると思うよ~」 

星奈「今使わないと負けるよ?」 

唯「分かった。二枚置きます」バサッ(10) 

梓「取ります・・・」ペラッ 

星奈「これとこれ」 

唯「うん」バサッ(8) 

梓「ウノ・・・」バサッ 

唯「!」 

紬「・・・」ハラハラ 

唯「スキップ!」(7) 

梓「・・・」 

星奈「これ」 

唯「あいよ」バサッ(6) 

紬「・・・」 

梓「・・・」ペラッ 

唯「ホッ」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:17:39.02 ID:RC6p1yPRo

星奈「これとこれ」 

唯「はいよっ」バサッ(4) 

梓「・・・」ペラッ 

唯「ほぉ・・・」ニマニマ 

紬「・・・」ワクワク 

唯「これとこれだね」バサッ 

星奈「あ、違」 

梓「・・・」ペラッ 

唯「よし、ウーッノ!wildで指定は赤!」バサッ 

星奈「・・・」 

梓「wild緑」バサッ 

唯「あ・・・」ペラッ 

梓「スキップ、スキップ、ウノ。これを出して上がりです・・・」フゥ 

星奈「あぁー」 

梓「危なかったです」 

唯「あ~ん、負けちゃった~」 

星奈「唯~、勝利を確信してニヤニヤしてたでしょー」 

唯「勝てると思ったら口が勝手に・・・」 

紬「唯ちゃん惜しかったわね~」 

唯「あと一歩だったんだよー」ガックリ 

梓「それでは、一位の星奈さん。罰ゲームの内容を発表して下さい」 

星奈「うっしっし。それじゃあね~」ルンルン 

唯「お手柔らかに頼んます!」 

真美「みなさんこちらにいらしたんですね」 

紬「あら、桜井さん。ご用があったのですか?」 

真美「いえ、そうじゃないんです。なんとなく話がしたいなぁ、と思いまして・・・」 

梓「それなら一緒にUNOしませんか?」 

星奈「次のゲームの前にやる事あるよ~」 

唯「逃げも隠れもいたしません!」 

修治「なにしてるの?」 

星奈「ッ!」 

梓「UNOです。鳥羽さんもどうですか?」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:18:05.42 ID:RC6p1yPRo

星奈「わ、私!用事を思い出しちゃった! ちょっと席外すね!」 

修治「せ、星奈・・・」 

紬「?」 

唯「罰ゲームは~?」 

星奈「あ~、デコピンで。真美ちゃん、私の変わりにやっといてね!」 

タッタッタ 

真美「えっ?えっ!?」 

紬「どうしたのかしら・・・」 

梓「行っちゃいましたね」 

修治「・・・」 

唯「さぁ、どうぞ!真美ちゃん!」 

真美「え、え~と。よ、よろしいんですか?」 

唯「罰ゲームだもん、構わないよ!」 

真美「そ、それでは恐縮ですが・・・」 

ペチ 

唯「・・・優しいね~、真美ちゃん~」 

梓「それでは」 

ビシッ 

唯「あうっ!」 

紬「ごめんね、唯ちゃん」 

ビシ 

唯「あたた・・・」 

修治「俺ちょっと」 

梓「すいません、私売店へ行ってきます」 

紬「オレンジジュースの方がよかった?」 

梓「いえ、果物でもあればみんなで摘もうかと」 

紬「菓子類よりいいかもしれないわね」 

梓「行ってきます」 

テッテッテ 

修治「・・・」 

唯「真美ちゃん、UNOのルールはね・・・」 

真美「はい」 

紬「紅茶冷めちゃってるわね・・・」 

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:18:53.57 ID:RC6p1yPRo

―――――1号車 

梓(・・・いた) 

星奈「・・・」 

梓(来たのはいいけど、どう話かけよう・・・) 

星奈「梓ちゃん・・・?」 

梓「!」 

星奈「どうしたの?」 

梓「あ、えーと。売店に用があって・・・」 

星奈「そう・・・。売店車は隣だよ」 

梓「は、はい・・・」 

星奈「・・・行かないの?」 

梓「行きますけど・・・、その、星奈さん、用事終わったんですか?」 

星奈「まぁね~」 

梓「だったらみんなの所へ・・・」 

星奈「一人にして欲しいと言っても連れて行くの?」 

梓「そ、それは・・・」 

星奈「くっくっく、アイツといい梓ちゃんといい。お節介が多いな~」 

梓「・・・」 

星奈「あ、悪い意味で言ったんじゃないからね?」 

梓「・・・」 

星奈「そうだな。それじゃ、アイツと同じ方法で諦めてもらうか」 

梓「?」 

星奈「私自身の問題で他人を巻き込みたくなくてさ。アイツが話せとしつこいから、この方法で諦めてもらったの」 

梓「方法?」 

星奈「うん、梓ちゃんそこ座って」 

梓「は、はい・・・」 

星奈「このコインの表がこっち。裏がこっちね」 

梓「娯楽車のコインとは違いますね。なにをするんですか?」 

星奈「コイントスだよ」 

梓「?」 

星奈「梓ちゃんが私の運に勝てたら素直に従うよ。でも・・・」 

梓「負け・・・たら・・・?」 

星奈「私の問題は放って置いて、これからも楽しく旅を続けよう。それだけ」 

梓「そんな大事なことゲームで決めるんですか!?」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:19:20.00 ID:RC6p1yPRo

星奈「そうだよ、私はいつもこの方法で人生の選択を決めてきたんだ。いくよ~」 

ピンッ 

シュルルルルルルル 

紬「表」パシッ 

梓「むぎ先輩・・・」 

紬「もっと楽しく旅をするためにも聴かせてくださいませんか?」 

星奈「・・・それはコインを見てからだよ」 

紬「どうかしら?」 

星奈「・・・」 

梓「・・・」 

星奈「・・・まいったな、私の強運より上に行くなんて・・・」 

紬「私の勝ちね?」 

梓「・・・」 

星奈「分かったよ、今はもう遅いから明日のお昼に仙台の定禅寺通りに来て」 

紬「えぇ、分かりました」 

梓「・・・」 

星奈「修治とは二人で話したいから、むぎちゃんと梓ちゃんの二人で来てね」 

梓「はい」 

星奈「それじゃ、明日ね・・・」 
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:19:53.07 ID:RC6p1yPRo



梓「むぎ先輩・・・どうしてここへ?」 

紬「紅茶の葉を買いに売店へ通りがかっただけなの」 

梓「そうなんですか。でも、よくコインの表を引き当てましたね。私自信なかったです」 

紬「あれが表で合ってたのね~」 

梓「もしかしてどっちが表か知らなかったんですか?」 

紬「えぇ。二人の話を途中からしか聞いてないの」 

梓「・・・」 

紬「星奈さんの事放っておけない、と思ったら無意識にコインを掴んでいたの」 

梓「敵わないなぁ・・・」ボソッ 

紬「急いで売店へ行かなきゃ」 

梓「唯先輩達が待ってますもんね」 



113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:20:33.37 ID:RC6p1yPRo

唯「真美ちゃん覚えるのはやーい!」 

真美「私カードゲームは好きなんです」 

修治「どうでした?」 

梓「私はなにもできませんでしたけど、むぎ先輩がいれば星奈さんと話できそうです」 

修治「果物があったかどうか聞いたんですけど・・・」 

梓「あ・・・」 

修治「・・・でも、ありがとうございます。俺一人じゃどうにもならなかったかも知れません」 

梓「でしゃばった形になってすいません・・・」 

修治「いえ、本当に助かります」 

唯「あずにゃんや、むぎちゃんはどうしたのかね」 

真美「クスクス」 

梓「厨房へ行って果物を切ってもらってます。紅茶の淹れ直しも」 

唯「果物なにがあったのー?」 

梓「ヒントは青森です」 

修治「りんご」 

唯「ごりら」 

真美「ら、らっぱ?」 

愛「・・・パイナップル」 

梓「なんでしりとりが始まってるんですか、って愛さん居たんですか!?」 

愛「はい・・・すいません・・・」 

梓「いや、その、ごめんなさい・・・」 

唯「あずにゃん元気だね~」 

修治「この中で一番若いからね」 

梓「みなさんより一つだけしか違わないじゃないですか。そういえばつばさは居ないんですね」 

修治「あー、あいつは・・・」 

つばさ「みなさんおまたせー!お姉ちゃんの特性紅茶だよ~」 

紬「あらあら、こぼさないように気をつけてね」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:21:31.65 ID:RC6p1yPRo

真美「噂をすれば・・・ですね」 

つばさ「あれぇ、星奈さん居ないのー?」 

愛「そういえば・・・」 

修治「疲れてるんじゃないかね」 

真美「こんなにはやく寝るなんて相当疲れてるんですね」 

唯「修治くん、ケンカでもしたんじゃないのー?」ニヤニヤ 

梓(変な所で鋭いなぁ) 

修治「まぁ、そんな所かな?」 

つばさ「早く仲直りしなよ~」 

紬「まぁまぁまぁまぁ、みなさん紅茶でもどうぞ~」 

愛「あ、ありがとうございます」 

紬「りんごもありますよ~」 

唯「りんご、りんご!あっぷる!あぷふぇる!」 

梓「おいしいです!」シャクシャク 

紬「旬には少し早かったけど」 

真美「この紅茶、りんごの香りがします」 

紬「ちょっとだけ入れてみました」ニコニコ 

唯「そうだ、いい事思いついちゃった~。あずにゃん耳をかして」 

梓「?」 

唯「こういうのはどうかな?」ヒソヒソ  

梓「それは面白いかもしれませんね。次は仙台ですし」 

唯「でしょ~」 

紬「あらあら、なぁに~」 

梓「あのですね」ヒソヒソ 

紬「おぉ~」 

つばさ「なになに?」 

紬「あのねぇ~」ヒソヒソ 

つばさ「ほぉ~」 

唯「なになに、教えて教えて~」 

つばさ「んっとね~」ヒソヒソ 

唯「そ、それは名案だよつばさちゃん!」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:22:13.39 ID:RC6p1yPRo

梓「コントですね。満足しましたか?」 

唯「うん!」 

愛「クスクス」 

真美「ふふ」 

車掌「楽しんでいるところ申し訳ありません」 

紬「あ、車掌さん」 

車掌「仙台への到着時刻は0時となっております。到着時以降も展望車を利用なされる場合 
   一度私へ連絡していただきますよう、お願いします」 

紬「はい、分かりました~」 

車掌「それではごゆっくり、おくつろぎくださいませ」 

修治「・・・」 

梓「今度は星奈さんも一緒に遊びましょう」 

修治「うん、ありがとう。俺はこれで失礼するよ」 

梓「そうですか、それではまた明日」 

修治「うん。紅茶ごちそうさま」 

紬「いえいえ~」 

真美「唯さん、UNOしませんか?」 

つばさ「わたしもやるー!」 

愛「わ、わたしも参加したいです」 

唯「よーし、第二回UNO大会始まり~!」 



3日目終了-------- 
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:23:17.33 ID:RC6p1yPRo

8月4日 



(うぅ~ん、やっぱり律と一緒に来ればよかったかも・・・) 

「お1人ですかァ?」 

澪「ヒッ」 

「そんな怖がンなくてもよくね?」ヘラヘラ 

澪「ナ、ナンデショウカ・・・」 

「なんかデッケェ荷物だけど、大変でしょ、お持ちしますよ?」ヘラヘラ 

澪「イ、イイデス・・・」ガクガク 

「オレ知ってンぜ、それギターっていうんっしょ?」ヘラヘラ 

澪「チ、チガイマス」ビクビク 

「そンなことより、今から遊びに行かね? 楽しい場所知ってんだよ」ヘラヘラ 

澪「イ、イイデス」ブルブル 

「え、オッケ? ノリいいね~ そんじゃ行こっか?」ヘラヘラ 

「あんたバカァ?」 

「あァ?」 

澪「ヒァッ」 

「あんたみたいなチャラい奴と、こんな可愛い子が釣りあうわけないじゃん」 

チャラ男「ンだとぉ?」 

「ソーですねぇ~、どう見ても嫌がっていましたヨ。押してダメなら引いてみよ。ですワ」 

「エレナ・・・それ違う・・・」 

チャラ男「なんだてめぇら、やんのかコラ」ビキビキ 

エレナ「オー、カヨワイ女性に暴力ですか、サムライ男児ともあろう方が、かっこ悪いネ」 

澪「アワワ」オロオロ 

チャラ男「サムライ魂見せてやろうか? あぁ!?」 

エレナ「ショウガナイですネー。小麦 アレを披露するネ!」 

小麦「オッケー」ガサゴソ 

チャラ男「厚い板切れなんぞ出しやがって、それで俺を殴るってか?」ニヤニヤ
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:24:55.24 ID:RC6p1yPRo

エレナ「いいですか、小麦? しっかり持つですヨ?」 

小麦「大丈夫だよ、さぁ来い!」 

チャラ男「板割かよ・・・女のお前が割れるわけ」 

エレナ「スゥー、・・・ハッ」セイッ 

小麦「ッ!」グッ 

バキッ 

「「 おぉ~ 」」 パチパチ 

澪「す、すごい・・・割れた」 

エレナ「小麦、ダイジョウブですカ?」 

小麦「うん、大丈夫。 手が痺れちゃったけどね」 

「金髪のネーちゃん、カッコよかったぞー!」ガヤガヤ 

「次はなにをしてくれるのー?」ガヤガヤ 

小麦「あらら、いつの間にかギャラリーが・・・そうだエレナ! ここで店を開こうよ!」 

エレナ「それはGood Idea! さっそく出店するヨ」 

澪「あ、あの・・・」 

小麦「ん・・・?」 

澪「た、助けてくれてありがとうございました」ペコリ 

エレナ「くるしゅーないネ!」 

小麦「あれ、あの男は・・・?」 

澪「走ってどこかへ・・・」 

小麦「ふ~ん、まぁあたしらもここで店を開けてラッキーだからお互い様だよ~!」 

エレナ「さ~、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! いいブツが手に入りましたヨー」 

客「それじゃあこれ下さい」クスクス 

エレナ「おー、サンキューです。 クククおぬしもワルよのぅ」 

客「いやいや悪くない悪くない」ワハハ 

澪「でも、どうして急に露店を?」 

小麦「エレナは今世界を旅している途中なんだ。それでお金に困ったらお店を開いて稼いでるの!」 

エレナ「そうデース。しっかり稼がなければ、その日の食事もままなりませんカラ」 

澪「す、すごいな・・・。それじゃあ、えーと」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:25:32.17 ID:RC6p1yPRo

小麦「あ、私の名前? 私は伊東小麦! それでこっちはエレナ・ユーリ・ノーディス」 

エレナ「よろしくですワ」 

澪「わ、私は秋山澪と言います。 それじゃあ伊東さんも世界旅行中なんですか?」 

小麦「そーなの! 出会ったのはこの街なんだけど、私もついていくのー」 

エレナ「ささっ、こちらの品をお納めくださいマセ」 

客「あはは」 

澪「大繁盛ですね」クスクス 

小麦「エレナの言葉遣いがウケてるんだよね。教えたの私だけどー」 

澪「それじゃあ私もお礼とは言えませんが一つください」 

エレナ「オー、ミオさん。有難うございますネ」 

小麦「んー、そうだなー。澪さんのイメージだとこの蒼のペンダントはどうかな?」 

澪「・・・・・・キレイ・・・」 

エレナ「それが気に入ったなら着けてみてはいかが?」 

スチャ 

澪「ど、どうですか・・・?」 

小麦「おぉー とっても似合ってるよ!」 

澪「あ、ありがとう・・・」カァ 

エレナ「えぇ、とっても映えますワ」 

澪「そ、それじゃあお金を」 

エレナ「友達特価にしますネ」 

澪「と、ともだち・・・ でも悪いですから」 

エレナ「ノンノン。とあるお国では、一度会えば皆兄弟という言葉がありますネ」 

小麦「そういうこと~。はい、お釣り」 

澪「はぁ・・・」 

エレナ「さぁ、小麦! しっかり稼ぐネ!」 

小麦「はいよぉ!」 

澪「それじゃ、私もう行きます。あ、あの、本当に助けていただいてありがとうございました!」ペコリ 

エレナ「see you~」 

小麦「バイバイ~ もう変な男にひっかかっちゃダメだよ~」フリフリ 

澪(ちょっと恥ずかしいからペンダントは服の内側に入れておこう。 
  よし、はやくみんなと合流しよう!) 

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:26:52.40 ID:RC6p1yPRo

車掌「ご乗車ありがとうございます。私、当特急ヴェガの車掌を務めさせていただきます美弥澪(れい)と申します」 

澪「わ、私は秋山澪(みお)と申します。よ、よろしくお願します」 

車掌「こちらが乗車証となります。駅員が確認できるよう、目立つ場所にお付けください」 

澪「はい」 

車掌「・・・。平沢唯さんのお知り合いの方ですか?」 

澪「は、はい。そうです」 

車掌「やっぱり」ウフフ 

澪「どうして分かったのですか?」 

車掌「平沢さんも楽器をお持ちで乗車なさいましたから」 

澪「唯も持ってきたのか・・・」 

車掌「それでは、ヴェガでの旅をお楽しみください」ペコリ 

澪「あ、すいません。お聞きしたいことが・・・」 

車掌「なんでしょう?」 

澪「唯達がどこへ行ったかご存知ですか?」 

車掌「達というのは、琴吹さんと中野さんも含まれますか?」 

澪「は、はい」 

車掌「平沢さんは塩釜魚市場へ行って、松島へ行くと仰ってました。今の時間ですと 
   松島にいると思われます。琴吹さんと中野さんの行き先は存知かねます。申し訳ありません」 

澪「そうですか、助かりました。ありがとうございます」ペコリ 

車掌「いえ。それでは失礼致します」 

澪「綺麗な人だなぁ・・・。とりあえず松島に行ってみるか」 
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:27:47.65 ID:RC6p1yPRo

―――――松島 


唯「うぅ・・・気持ち悪い・・・」 

真美「大丈夫ですか?はい、お水です」 

唯「あ、ありがとう・・・真美ちゃん・・・」ゴクゴク 

つばさ「もー、試食コーナーの刺身たくさん食べるからだよー」 

唯「だってぇ、おいしかったんだもん」 

真美「昨日の夜は1時まで遊んでいましたから、寝不足もあると思いますよ」 

つばさ「私も少し寝不足かもー」 

唯「・・・うぅ~ん」 

真美「このままでは乗船出来ないですね」 

つばさ「キレイな景色が広がってるねー! 早く船にのりたいな~」ウズウズ 

唯「先に乗ってきてもいいんだよ~」 

つばさ「ううん。唯さんと乗るよ!だから今はゆっくり休んで!」 

真美「そうですね。ちょうどお昼で日差しも厳しいですから、少しこの木陰で休んでいきましょう」 

唯「ありがと~」 

つばさ「夏の日差しが厳しいけど、ここは風があって涼しいね~」 

真美「はい、そうですね・・・」 

唯「愛ちゃんも一緒に来ればよかったのにね~」 

つばさ「お兄ちゃんも一人でどっか行っちゃうし!」 

真美「・・・。一人で観光したい時もありますよ」 

唯「私はみんなと一緒の方が楽しいけどな~」 

つばさ「わたしもー!」 

真美「そうですね」ウフフ 

唯「おかげで大分回復してきたよ!よーし松島旋廻するぞー!」 

つばさ「するぞーっ!」 
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:29:26.59 ID:RC6p1yPRo

―――――定禅寺通り 

星奈「おまたせ~」 

紬「私たちも今来たところですよ」 

梓「はい」 

星奈「そっか、ならよかった。喫茶店にでも入ろうよ」 

紬「えぇ」 

梓「・・・」 

カランカラン 

「いらっしゃいませ。三名様ですね。こちらのお席へどうぞ」 

星奈「人が多いね~」 

梓「七夕祭りが行われていますから、その影響だと思います」 

紬「あら、そうなの~」 

星奈「そっか」 

「ご注文は何になさいますか?」 

星奈「私はアイスティー。二人は?」 

紬「私もアイスティーで」 

梓「私はオレンジで」 

「かしこまりました少々おまちください」 

紬「・・・」 

梓「・・・」 

星奈「・・・改めて言うけどさ、私の問題なんて忘れて旅を楽しもうよ。その方が楽だよ?」 

紬「私も改めて申し上げます。もっと旅を楽しむ為にも話を聞かせてくださいませんか?」 

梓「・・・」 

星奈「むぎちゃんは意外と頑固だね~」 

梓「そうですね・・・」 

紬「そうかしら?」 

星奈「他人の揉め事に首を突っ込んで、その話を聞かせろなんて中々できないよ。あ、嫌味じゃないからね?」 

梓「はい」 

紬「えぇ、分かってます」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:30:17.66 ID:RC6p1yPRo

「おまたせしました、オレンジジュースにアイスティーになります。ごゆっくりどうぞ」 

星奈「ふぅ・・・。私んちさ母子家庭なんだ。母、私、弟、妹で暮らしてんの」 

梓「・・・」 

星奈「父さんは6年前、私たちを捨てて家を出て行った・・・」 

紬「・・・」 

星奈「酷いよね~、妹も弟もまだ小さかったのに 
   母さん一人で私達を育ててくれて、妹弟もいい子でそれなりに楽しく暮らしていたんだよ」 

紬「・・・」 

星奈「それなのに最近母さん宛に一通の手紙が来たんだ。『私たちに会いたい』って」 

梓「!」 

星奈「名前を見たら案の定父さんだった・・・。好き勝手に生きてたくせに急に父親顔で『会いたい』だもん。 
   母さんの苦労を知らずによくそんな事が言えるなと腹が立ったよ」 

紬「・・・」 

星奈「もう何がなんだか分からなくてさ、父さんに文句の一つや二つ言わないと気がすまなくなって、 
   私達を捨てた理由を知りたくて、手紙の住所を頼りにヴェガに乗りこんだって訳」 

梓「・・・」 

星奈「それで、盛岡駅に到着した時に母さんから電話が掛かってきてさ『親の問題だから子供は気にしなくていい。帰って来い』って、 
   母さんと口論してるところをアイツ、修治に聞かれてさ、電話切った後に修治が『なにかあった?』って聞いてきて、 
   この話、人に話したことないから私も混乱しちゃってさ、放っておいてと突き放しちゃったの」 

紬「そんな事が・・・」 

星奈「うん・・・」 

梓「・・・今の口調だと、鳥羽さんを突き放したことに後悔とか」 

星奈「してます・・・」コポコポ 

紬「・・・」 

星奈「修治には謝りたいんだけど、中々素直になれなくてね・・・」 

紬「私たちに話してくれたように鳥羽さんにも話してみては・・・?」 

星奈「うーん・・・、一度タイミングを外しちゃって、それ以来気まずくてさ・・・」 

梓「・・・」 

星奈「聞いてくれてありがとう。家庭の話を友達にも話した事ないからさ~おかげでスッキリしたし、気持ちの整理もできたよ」 

梓「星奈さんのお友達も話してくれるの待ってると思いますよ」 

星奈「梓ちゃんなまいき~」ニヤニヤ 

梓「す、すいません・・・」 

星奈「ううん。私梓ちゃんのそういう所好きだよ~」 

梓「うぅ」モジモジ 

紬「あらあら」ウフフ
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:31:56.24 ID:RC6p1yPRo

星奈「・・・そうだね~、色々と心配かけさせてるかも・・・」 

梓「松本で降りるってそういう事だったんですね」 

星奈「そう、父さん松本にいるらしい。飛行機じゃなくて列車を選んだあたり私らしいかな」 

紬「そんなことないです。気持ちの整理は必要だと思いますよ」 

星奈「ん。さんきゅっ。それじゃ、私はこれで。よかったら七夕祭り一緒に行こうよ」 

梓「はい!」 

紬「そうですね」 

星奈「ここは私が払っていくね。話聞いてくれてありがとう。それじゃ夜に定禅寺通りね」 

梓「はい、ごちそうさまでした」 

紬「えぇ、分かりました」 

星奈「じゃあね~」 

スタスタ 

梓「いつもの星奈さんに戻りましたね」 

紬「ずっとつっかえていたみたいね~」 

梓「星奈さんは星奈さんですよね」 

紬「星奈さんと鳥羽さんの件どうにかできないかしら?」 

梓「唯先輩の提案が功を奏しそうですね」 

紬「そうね、さすが唯ちゃんね~」 

梓「ただ自分が弾きたいだけかもしれませんけど」ボソッ 

紬「あずさちゃん、私って頑固かしら?」 

梓「気にしていたんですね。去年の学園祭の時、律先輩の代わりは居ないって譲らなかったじゃないですか」 

紬「そ、そんな事もあったわね~」 

梓「私これからも一生忘れないと思いますよ。あの学園祭の事」キリ 

紬「もぅ~恥ずかしいわ~」テレッ 
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:33:41.67 ID:RC6p1yPRo

「松島湾には大小260の島々が点在しその美しい景観は松尾芭蕉をはじめとする多くの文人に称賛されてきました」 

唯「あー!あの岩の形DEATH DEVILのさわちゃんみたい~」 

真美「?」 

つばさ「あー!あそこは担任の怒った顔にそっくりー!」 

唯「色んな形があっておもしろーい!景色もいいし!!」 

真美「松島や あぁ松島や 松島やで有名になるだけありますよね」 

つばさ「あれ?でもその俳句は芭蕉さんじゃないよねー?」 

真美「えぇ、違うそうですね。松尾芭蕉は一句もできなかったと記されています」 

唯「こんなにキレイな景色なのに、芭蕉さんは勉強不足ですなぁ」イッヒッヒ 

つばさ「ほんとですなぁ」イッヒッヒ 

真美「まぁ」クスクス 

唯「あー、ウミネコ可愛い~」 

つばさ「にゃーにゃー猫みたい」 

真美「人懐っこいですね」 

唯「SEAあずにゃんだね!」 

つばさ「?」 

真美「?」 

唯「SEAあずにゃーん、たい焼きあるよ~」ホレホレ 

つばさ「梓さんにお土産だったんじゃ・・・?」 

真美「いいのですか?」 

唯「また買えばいいよ~」 

つばさ「それじゃ私も。たい焼きだよ~ウミネコちゃーん、キャーかわいいー」 

真美「そろそろ港に着きますね」 
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:35:07.41 ID:RC6p1yPRo

梓「ちっぽけな私です。寺は高いです」 

紬「あら、どうしたの?」 

梓「いえ、階段があまりにも多くて・・・」 

紬「そうね~約1000段あるそうよ~」 

梓「努力と根性が信条!やってやるです!行きましょうむぎ先輩!」フンシュ! 

紬「えぇ、今日は暑いから水分補給忘れずにね」 


―――――山寺 


梓「ふぅ・・・ふぅ・・・」 

紬「お疲れ様~お水どうぞ」 

梓「あ、ありがとうございます。息も切らさずに昇りきるなんてすごいです」フゥ 

紬「頑張った甲斐があったわ、はら見て~景色がきれい」 

梓「わぁ・・・ほんとだきれい・・・」 

紬「名前の通りね山寺なんて」 

梓「そうですね、昔の人はよくこんな高いところに建てたものです。凄いです」 

紬「せっかくだからお参りしていきましょうか」 

梓「そうですね。それじゃお賽銭を・・・」 

チャリンチャリーン 

カランカラン 

パンパンッ 

紬「・・・」 

梓「・・・」 

紬「・・・」チラッ 

梓「・・・」 

紬「・・・」 

梓「よし」 

紬「・・・行きましょうか」 

梓「はい」 

紬「あずさちゃん真剣だったけど、なにをお願いしたのかしら」 

梓「む、むぎ先輩の旅の無事を・・・」 

紬「まぁ、ありがとう~」 

梓「い、いえ。むぎ先輩は?」 

紬「みんなで楽しく旅ができますように」 

梓「むぎ先輩らしいです」 

紬「そうかしら?」 

梓「はい!」 

紬「陽も傾いてきたわね、そろそろ定禅寺通りへ行きましょうか」 

梓「そうですね。それなら唯先輩にも連絡してみます」 
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:36:02.89 ID:RC6p1yPRo

―――――青葉城址 


唯「青葉城はどこですかっ!」キョロキョロ 

つばさ「唯さん、それだよ!」 

唯「・・・」 

真美「石垣が残ってるだけですね」 

唯「見えます・・・。私には見えます・・・立派な青葉城が・・・」 

つばさ「唯さんスゴーイ!」 

真美「想像力が豊かなんですね」クスクス 

唯「つばさちゃんが今立っている所に伊達政宗がいます」 

つばさ「ヒヤッ」 

真美「まぁ、本当ですか?」 

唯「いたような気がします」 

つばさ「もぅー、唯さーん」プー 

唯「えへへ、ごめんごめん~」エヘヘ 

真美「立派なお城を見るのもいいですけど、こうやって想像して楽しむのもいいですね」 

つばさ「うん、そうだね!」 

唯「真美ちゃん、つばさちゃん!仙台が一望できるよ!」 

つばさ「うっわー!いい眺め~」 

真美「緑に囲まれていい所ですね」 

唯「セミの声も『夏!』って感じでいいね~」 

つばさ「わー、唯さんって詩人みたい~」 

唯「一句できました。正宗や ああ正宗や 正宗や」エヘン 

つばさ「アハハ!それパクリだよ唯さん~!」 

真美「クスクス」 

唯「えへへ~」 

pipipipipi 

唯「あ、あずにゃんからだ・・・」 
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:37:31.89 ID:RC6p1yPRo
  

澪「二年の時のクラス替えを思い出すな・・・。寂しい・・・」テクテク 

「きゃっ」 

スッテーン 

澪(大丈夫かなあの子、派手に転んだけど・・・) 

「あいたたた」 

澪「だ、大丈夫ですか?怪我はありませんか?」 

「は、はい。大丈夫です」 

澪(どうしてこんな所にバナナの皮が・・・) 

「ありがとうございます・・・あ」 

澪「?」 

「ヴェガに乗ってらっしゃるんですか?」 

澪「そうですけど・・・?」 

「ヴェガの乗車証が見えたので」 

澪「あ、なるほど。あなたも着けてますね」 

「は、はい。私、松浦愛と申します」 

澪「わ、私の名前は」 

「澪ちゃーん!」タッタッタ 

澪「え?あ、唯・・・」ホッ 

唯「わー、澪ちゃんも来たんだぁー!」ワーイ 

愛「唯さん・・・」 

唯「愛ちゃんここに居たんだね!」 

愛「はい・・・」 

つばさ「唯さーん!」 

真美「急に走り出すからびっくりしました」フゥ 

唯「えっへへー、ごめ~ん。みんな紹介するね、私たちと同じ学校に通う秋山澪ちゃんです!」 

澪「よ、よろしく・・・」 

つばさ「七尾つばさでーす!わぁーキレイな人!」 

澪「・・・」カァ 

真美「桜井真美と言います。こちらこそよろしくお願します」ペコリ 

澪「・・・」ペコリ
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:38:57.45 ID:RC6p1yPRo

唯「澪ちゃんも一緒に観光したかったなぁ~」 

澪「一度松島へ行ったんだけど見当たらなかったんだぞ」 

つばさ「その後私たち青葉城址に行ったからすれ違ったのかも」 

澪「な、なるほど・・・」 

「みおせんぱーい」タッタッタ 

澪「あ、梓・・・」 

梓「仙台に到着してたんですね!」 

澪「あぁ、昼前にな」 

唯「あっずにゃ~ん」ダキッ 

梓「ちょっ、唯先輩!人が多いんですから控えてください!」 

唯「今日のあずにゃん成分を補給させて~」スリスリ 

澪「ふふっ、相変わらずだな」 

愛「あ、星奈さん・・・」 

星奈「よっ、愛ちゃん。みんな揃ってるね~。あ、新メンバー?」 

澪「あ、秋山澪です・・・」 

星奈「山口星奈だよ~ん、よっろしく~」 

紬「澪ちゃんも定禅寺通りに来てたのね」 

澪「むぎ・・・。みんなを探して観光名所歩いていたんだけど、諦めてヴェガに戻ったら 
  車掌さんがここへ行ってはどうかって言われてさ」 

つばさ「さすが車掌さん~憧れる~!」 

梓「将来は車掌さんになるのもいいかもね、つばさ」 

つばさ「もぅ~梓さん、照れるじゃないですか~」テヘヘ 

星奈「今の褒め言葉なの?」 

紬「車掌さん綺麗な方ですから」 

真美「なるほど」 

唯「連絡してくれればいいのに~」 

澪「みんなを・・・驚かせようと思って・・・」 

星奈「・・・ほぅ」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:40:16.39 ID:RC6p1yPRo

唯「みんなで観て回ろ~」 

つばさ「はーい!お姉ちゃん一緒に行こうよ!」ギュッ 

紬「いいわよ~」 

梓「つばさ、右腕にしがみ付いてたらむぎ先輩が歩きにくいよ」 

つばさ「えー、そうなのお姉ちゃん?」 

紬「大丈夫よ~」ニコニコ 

つばさ「わーい!それならこのままでいいよねー!」 

梓「む・・・。それなら・・・」ギュッ 

紬「あら、あずさちゃん・・・?」 

梓「むぎ先輩、わたしも・・・いいですか・・・?」 

唯「きゅるるるりん!」 

星奈「ほうほう」キラリン 

澪「みんなテンション高いなぁ・・・」 

真美「そうですね」クスクス 

愛「楽しそうです」 

澪(伊東さん達も来てるかな・・・)キョロキョロ 

星奈「どうしたの澪ちゃん、七夕の飾りは上だよ?」 

澪「あ、いえ、友達がいるかな・・・と」 

唯「りっちゃんも来てるの!?」 

澪「違うよ、律は明日の朝乗るって言ってたから」 

星奈「りっちゃんてのは学校の知り合い?」 

澪「はい、そうです」 

星奈「あー、福引の五枚だからあと一人いるのかぁ」 

澪「むぎのおかげです」 

真美「福引・・・?」 

愛「?」 

星奈「むぎちゃんがね、商店街の福引で大当たりしてヴェガの乗車券をゲットしたんだって」 

真美「まぁ・・・」 

愛「羨ましいです・・・」 

星奈「負けるのも当然か」アハハ 

澪「?」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:41:25.91 ID:RC6p1yPRo

つばさ「あー、あの飾りキレイだよお姉ちゃん!」 

紬「くらげみたいで可愛いわね~」 

梓「むぎ先輩!あの飾りもかっこいいですよ!」 

紬「火消しの纏みたいでカッコイイわ~」 

星奈「むぎちゃんモテモテだな~」 

澪「ちょっとリアクションを間違えてますけど」 

愛「火消しの纏ってなんですか?」 

真美「江戸時代の消防組織の看板みたいなものですよ。纏を掲げて現場へ駆けつけるんです」 

星奈「真美ちゃんて物知りだね~」 

真美「いえ、そんなこと・・・。ちなみに昔の消防は水が使えない場所では建物を破壊して」ウンチク 

愛「なるほど・・・」 

星奈「うーん、真美ちゃんまでテンション高いのかぁ」 

澪「そうなんですか?」 

星奈「饒舌になっているからね。って、同い年なんだし敬語使わなくていいよ~」 

澪「が、頑張ってみます」 

唯「」ポツーン 

星奈「あっはっは、頑張るもんでもないっしょー」 

澪「私、人見知りしてしまうので・・・」モジモジ 

星奈「くぅ、可愛いのぅ」 

澪「そ、そんな・・・」 

星奈「そうだ。聞きたいんだけどさ、むぎちゃんって妹か弟いるの?」 

澪「・・・いえ、一人っ子だよな、唯?」 

唯「あ・・・ありがとう、澪ちゃん・・・」シクシク 

澪「ど、どうしたんだ一体」 

唯「真っ暗な世界の中で温かい手を差し伸べてくれた。それは澪ちゃんアナタでした!」 

澪「?」 

星奈「?」 

唯「こんなに人が居るのに孤独を感じたのは初めてだよ~」ウェーン 

澪「・・・いつ会話に入ってくるのか待ってたんだけどな」 

星奈「ごめんね、唯」 

唯「ありがとうございます!ありがとうございます!」 

澪「そんな大げさな・・・」 

星奈「くっくっく」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:42:09.11 ID:RC6p1yPRo

つばさ「おーい、星奈さーん!唯さーん!澪さーん!」 

澪「?」 

つばさ「ここで写真取りましょうよ~!」 

唯「おっけ~!」 

星奈「お、元気になった」 

つばさ「はい、お兄ちゃんよろしく~」 

修治「はいはい・・・みんな並んで~」 

星奈「・・・」 

修治「なにやってるんだよ、星奈も早く並んで」 

星奈「う、うん・・・」モジモジ 

梓「・・・」 

澪「梓・・・、むぎにしがみ付いたままでいいのか・・・?」 

梓「はい」 

澪「ホントに?」 

梓「yes」 

澪「時間は戻らないんだよ?」 

梓「どんと来いです」 

澪「うん、分かった。もう止め無い」 

紬「あらあら」ウフフ 

澪(後で絶対後悔するな・・・) 

修治「じゃいくよ~」 

真美「はい」 

愛「お願します」 

つばさ「いぇ~い」ブイ 

唯「フンス!」ダブルピース 

星奈「・・・」ブイ 

澪「・・・」 

修治「はい、チーズ!」カシャ 
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:43:21.38 ID:RC6p1yPRo


車掌「みなさん、おかえりなさいませ」 

つばさ「たっだいま~」 

真美「只今戻りました」 

愛「た、ただいま」 

修治「・・・」 

星奈「・・・」モジモジ 

紬「ただいま~」 

唯「今帰ったぞ~」 

梓「・・・」ズドーン 

澪「た、ただいまです・・・」 

唯「あ、あずにゃん、ツッコミを・・・。一家の大黒柱かっ!って言ってほしいよ」オロオロ 

真美「それでは私はこれで・・・」 

愛「私も失礼します。おやすみなさい・・・」 

修治「みんな、明日ね」 

紬「おやすみ~」 

星奈「ふぅ・・・」 

つばさ「どうしたの星奈さん?」 

星奈「ううん!な、なんでもないよ!」 

紬「あまりお話できませんでしたね」 

星奈「あー、うん・・・」 

澪「?」 

車掌「中野さんもお疲れのようですし、早めにお休みになったほうが良いのではないですか?」 

梓「・・・」ズドーン 

唯「あっずにゃん!」ダキッ 

梓「・・・」ズドーン 

唯「反応がないねぇ」スリスリ
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:44:32.45 ID:RC6p1yPRo

星奈「こりゃ、煽らない」 

車掌「どうなさいましたか?」 

澪「過去の自分を戒めたいみたいです」 

梓「澪先輩!カメラ貸してください!加工してお返しします!」 

唯「おぉ、復活した」 

澪「私のカメラはフィルム式だからそれは出来ないよ」 

紬「甘えてくるあずさちゃんも可愛かったわ~」ポッ 

梓「はぅ」ボンッ 

唯「おぉ、澪ちゃんのように頭から蒸気が!」 

車掌「なるほど」クスクス 

星奈「あ、そうだ。さっきの質問の続きだけどさ、むぎちゃんに妹か弟はいるの?」 

紬「いえ、私は一人っ子よ?」 

つばさ「でもお姉ちゃんのような雰囲気持ってるよ~」 

澪「そうなんですか?」 

星奈「うん・・・なんとなくそう感じただけだから、気にしないで」 

紬「?」 

唯「あ、そだ。車掌さん朝にお願いした件なんですけど・・・」ゴクリ 

車掌「えぇ。明日の朝には乗せることができるみたいです」ニコニコ 

星奈「?」 

唯「わーい!」ヒャッホウ 

つばさ「あぁ、あれだね!」 

梓「あれですね」 

紬「あれね!」 

澪「?」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:45:15.58 ID:RC6p1yPRo

澪「ここに来るまでに熱も冷めてしまったんだろう」 

星奈「あー、確かにらしくなかったからねぇ」 

梓「・・・」ブツブツ 

唯「え?タイムマシン?」 

澪「無いぞ」 

紬「時間旅行もいいわね~」 

梓「・・・」ブツブツ 

唯「無いなら作る?」 

つばさ「期待していいのかな!?」 

星奈「なになに?」 

つばさ「へへへ、内緒だよ~ん」 

星奈「えー、教えてよ~ん」 

紬「うふふ」 

つばさ「あ、そうだ。みなさんにご挨拶を」 

梓「?」 

つばさ「明日はおじさんの所に泊まるから、水戸で降りまーす!」 

唯「えー」 

紬「そうだったわね・・・」 

梓「水戸で降りちゃうの・・・?」 

つばさ「うん!あ、でも見送りはいけるからお別れは東京だよ」 

梓「・・・」 

星奈「そっか・・・」 

つばさ「お兄ちゃんも挙式に参加するから水戸で一時降りるよ、星奈さん注意してね!」 

紬「あら、そうなの?」 

つばさ「うん、幼なじみだからね~、お兄ちゃんも出席してくれたら勝お兄ちゃんも喜んでくれると思うんだ~」 

唯「自分の兄が結婚するなんて想像できないな~」 

澪「そりゃ、居ないからな」 

つばさ「勝お兄ちゃんまだ18だよ?18!やっぱり早すぎるよ~」 

梓「そう、かもね・・・」 

紬(あら?)
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 09:46:13.66 ID:RC6p1yPRo
つばさ「そういう訳だから、私の旅も水戸でお終い!みなさん、仲良くしてくれてありがとうございました」ペコリ 

星奈「こっちこそありがとうだよ」 

唯「私も楽しかったよ!」 

紬「いえいえ」 

澪「今日会ったばかりだけど、楽しかったよ七夕祭り」 

つばさ「えへへ、私も楽しかったです。それじゃ、また明日!お休みなさ~い」 

紬「えぇ、また明日~」 

梓「おやすみ・・・」 

車掌「それでは私も仕事がありますのでこれで」 

唯「車掌さんよろしくお願します!」 

車掌「えぇ、期待していいと思いますよ」 

紬「まぁ」キラキラ 

梓「お疲れ様でした・・・」 

星奈「お疲れ様でーす。私も部屋に戻るわ、じゃ~ね~」 

唯「おやすみ~」 

澪「お、おやすみなさい」 

梓「むぎ先輩、私分かりました。つばさが寂しそうにしてる理由」 

唯「?」 

澪「つばさちゃんが?」 

紬「聞いていいかしら?」 

梓「はい。兄を取られた気がしているんだと思います」 

紬「・・・」 

梓「私や星奈さん唯先輩と接するときの態度と、鳥羽さんとむぎ先輩に接する態度が 
  全然違いますよね。むぎ先輩にそうするように実の兄にもそのように甘えていたんだと思います」 

澪「ふむ・・・。態度が違うのは私も感じたな」 

唯「?」 

梓「自分の兄が遠くへ行ってしまったように感じているんだと思います」 

紬「それで寂しそうにしている時があったのね」 

梓「むぎ先輩も知っていたんですか?」 

紬「えぇ、4人でゲームをしたときから注意してみていたわ」 

梓「鳥羽さんも言っていましたね」 

唯「よし、それじゃあ明日つばさちゃんと星奈ちゃんを励す事ができればいいんだね!」フンス! 

澪「励ますって何をするんだ?」 

唯「ライブだよ!」 


4日目終了-------- 

139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:08:10.56 ID:RC6p1yPRo

8月5日 

紬「・・・」 

梓「・・・」 

唯「・・・」 

澪「・・・」 

星奈「ん?どうしたのさ、そろいも揃って。もう出発するよ、乗らないの?」 

紬「そ、そんな・・・」 

梓「残念ですけど・・・」 

唯「こんな事になるなんて・・・」 

澪「バカ律!なにしてるんだッ!」ドン 

星奈「んー? 状況が掴めないんだけど」 
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:09:42.21 ID:RC6p1yPRo

「やっべぇ!!」 

ダダダダダッ 

prrrrrrrrrrrrr 

紬「もう時間よ!」オロオロ 

「その列車待ったぁぁあああ」 

ズサーッ 

唯「コーナーから姿を現したのは!りっちゃん、りっちゃんです!!」 

澪「急げー!!」 

律「うぉぉおおおおおお」ダダダダダダダ 

星奈「あー、彼女が最後の一枚の子かぁ・・・。みんな先に乗ってて」 

梓「はい」 

紬「でも、りっちゃんが」アセアセ 

唯「星奈ちゃん、策があるんだね?」 

澪「みんな、乗るぞ!」 

紬「お、おぉー!」 

唯「って、星奈ちゃんも乗ってるじゃん」 

星奈「私も乗り遅れるでしょー。こうするの」 

紬「あの時と一緒ね!?」 

梓「?」 

星奈「そういう事。おーい!この手に掴まれー!」 

律「うぉぉおおおおおお」ダダダダダッ 

澪「あともうちょっと!」 

ガシッ 

星奈「! よいしょーッ!」ブオン! 

律「おぉおぉおぉぉ」 

プシュー  

ガンッ 

律「あいたぁっ」 
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:10:10.96 ID:RC6p1yPRo

ガタンゴトン ガタンゴトン 

澪「はぁ・・・」 

紬「よかったぁ・・・」 

唯「もぅ、りっちゃんー」 

律「えっへへ、ごめんごめん」イタタタ 

紬「りっちゃん、おでこぶつけたけど大丈夫?」 

律「大丈夫だよむぎ、ありがと」 

梓「心配かけさせないで下さいよ~」 

律「中野、お前一番最初に乗り込んでたよな・・・」 

梓「ナンノコトデスカ?」 

律「みんな焦ってたけど、お前だけしれーっと乗車し た よ な 」 

梓「目の錯覚です」キッパリ 

律「こんのォ!」ギシギシ 

梓「いたたったた、ギブ!ギブです!律先輩!」 

星奈「まぁまぁ」 

律「助けてくれたこの人に免じて許してやろう!」 

梓「もぅ」イタタ 

澪「律!お前が乗り遅れるから悪いんだぞ!」 

律「ふーんだ」ツーン 

紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁ」 

唯「7回!更新!」 
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:10:37.61 ID:RC6p1yPRo

律「すっげぇ!」 

澪「私も最初見たとき驚いたよ」 

唯「すごいよね~この展望車~」 

律「あ、あれ・・・?」ゴシゴシ 

澪「見間違いじゃないぞ・・・私も驚いた」 

唯「ふっふ~ん♪」 

律「いや、ピアノはまだ分かるんだが・・・」 

143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:12:21.65 ID:RC6p1yPRo

つばさ「・・・」 

梓「つばさ、隣いい?」 

つばさ「あ、梓さん。どうぞ~」 

梓「今日のお昼には東京に着くから、あと1時間半で水戸だね・・・」 

つばさ「うん・・・。札幌からあっという間だったよ~」 

梓「つばさ、今の気持ちのまま結婚式に参加して勝さんを祝福できる?」 

つばさ「ど、どうしたの急に? もちろんだよ!私のお兄ちゃんだもん!」 

梓「じゃあ、どうしてそんな顔してるの?」 

つばさ「そ、それは・・・」 

梓「・・・寂しいんじゃないの?」 

つばさ「な、なによっ!知った風な口聞かないでよ!」 

梓「ごめん。でもね、鳥羽さんやむぎ先輩を兄代わりにしているつばさは二人に対して失礼だと思うよ?」 

つばさ「っ!」 

梓「昨日、私もむぎ先輩に甘えてみてなんとなく分かっちゃった。私に姉がいたらこんな感じなのかなぁって」 

つばさ「・・・」 

梓「甘えられる人が居るって幸せなことなんだなぁって」 

つばさ「だ・・・だって、・・・だって、勝お兄ちゃんが・・・」 

梓「うん・・・」 

つばさ「いつも・・・私を見ていてくれた勝お兄ちゃんが・・・居なくなっちゃうと思ったら、悲しくなってきて」 

梓「うん」 

つばさ「嫌なんだもん・・・いなくなっちゃうの嫌なんだもん」グスッ 
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:13:15.72 ID:RC6p1yPRo

梓「いなくならないよ。いつまでも勝さんはつばさのお兄ちゃんだよ」ナデナデ 

つばさ「・・・ほんと?」グスッ 

梓「うん。保証するよ。こんな可愛い妹をほったらかしにして、自分だけ幸せになろうなんて人はいないよ」 

つばさ「・・・」グスッ 

梓「だから、つばさも大好きなお兄ちゃんを祝福してあげようね」ナデナデ 

つばさ「・・・うん」 

梓「それじゃあ、30分後に展望車に来て」 

つばさ「唯さんが言っていたライブ・・・?」 

梓「うん、つばさにも聞いてほしいからさ」 

つばさ「うん」 

梓「色々キツイ言い方してごめんね」 

つばさ「ううん。私の気持ちを掬い上げてくれたんだよね」 

梓「そう言ってくれると私も嬉しいかな」 

つばさ「今は気持ちの整理をしなくちゃね・・・」 

梓「あ、顔洗って来なよ?涙で可愛い顔が台無しだよ」 

つばさ「梓さん、そんな事いう人でした?」 

梓「つばさの前だけだよ、それじゃ後でね」 

つばさ「うん!」 

・・・ 

つばさ「勝お兄ちゃんのためにも・・・」 
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:14:11.38 ID:RC6p1yPRo

ダン ダンッ スタダンダダンッ 

澪「おい、律!」 

律「いやぁ~悪い悪い、つい叩いてしまった」 

コック「まだ時間じゃねぇから抑えておけデコちゃん」 

律「へい! ってデコちゃんて・・・」 

澪「ス、スイマセン!」ガクガク 

唯「澪ちゃん、コックさんは悪い人じゃないから大丈夫だよ~」 

コック「ガッハッハ」 

唯「ガッハッハ~」 

律「唯は誰にでも馴染むの早いよな~」 

コック「嬢ちゃん達良い楽器使ってるじゃないか」 

澪「ア、アリガトウゴザイマス」 

唯「ギー太はみんなで買ったようなもんだからね~、私の大切な人なんだ~」ムフフ 

律「人じゃないけどな」 

唯「でも澪ちゃんがエリザベスを連れてきたのは驚いた~」ビックリ 

律「ギー太連れてきたお前がいうな」 

澪「だって、律が持っていくのかって聞くから・・・」 

律「聞いただけだも~ん」 

澪「なっ!?」 

唯「まぁまぁ」 

コック「よし、ロングの君、ちょっと鳴らしてくれ」 

澪「ろ、ロング・・・は、はい」 

デーン 

律澪「「 おぉー 」」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:15:02.92 ID:RC6p1yPRo

車掌「準備のほうはできましたか?」 

澪「あ、車掌さん」 

唯「車掌さん!ありがとうございます!」オジギッ 

律「ドラムまで用意してくれて、ありがとうございます!」 

車掌「いえいえ。しかし、ギターの方がアコースティックギターになってしまいました。申し訳ありません」 

唯「いえいえいえいえ、ここまでしてくれたのに悪いことなんて一つもありません!」 

澪「そうです。ありがとうございます」 

車掌「みなさんにいい旅を提供するのが私どもの務めですので」 

律「おぉ」 

コック「そういうこった。唯、鳴らしてみてくれ」 

唯「あいよ~」 

ギュィイィン 

コック「次はマイクだ」 

唯『コホン。マイクテス、マイクテス。え~本日は晴天ですか?』 

律「見りゃ分かるだろ?」 

唯『晴天でした~』エヘヘ 

コック「こんなもんだな」 

唯「音は抑えてあるんだね~」 

澪「場所せまいし、防音設備がないからな」 

車掌「えぇ、早朝ですので今回は控えめに調整させてもらいます。それと要望なんですが」 

律「なんでしょう?」 

車掌「前回好評でしたのでクラシックの演奏を必須で一曲お願します」 

澪「前回?」 

唯「おっけ~、むぎちゃんのオンステージだね」 

車掌「展望車の貸切状態となりますので使用時間は15分程度となります」 

律「はーい!」 

車掌「提案なのですが、クラシックの演奏だけでも車内放送で流してもよろしいでしょうか?」 

律「ほぉ」 

澪「それならむぎに確認とらないとな」 

車掌「かしこまりました。後ほど琴吹さんご本人に確認させていただきます。それでは開始時間は9時でよろしいですか?」 

律「オッケーだぜっ!」
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:15:29.99 ID:RC6p1yPRo

車掌「それでは私はこれで失礼します。みなさん頑張ってくださいね」グッ 

唯「はい!」グッ 

梓「はい!」グッ 

律「最後のグッってやつ可愛かったな」 

澪「あぁ・・・。って梓いつの間に!?」 

律「コックさん、一つ聞きたいんだけどさぁ」 

コック「あぁ、なんだ?」 

律「このドラムも含めてなんだけど、車掌さんが上司・・・でいいのかな?その人に承諾を取って準備してくれたって事だよね?」 

コック「あぁ、さすがにこのイベントを車掌の独断だけでは実行できないからな。上に許可をとったんだ」 

澪「よ、よく許可が下りましたね」ビクビク 

コック「そうだな、だが列車を日本縦断させようって連中なんだ。試しの企画でもやってみる価値はあると判断したんだろうよ」 

梓「そうだったのですか」 

コック「もちろん他の客のリアクションが不評ならこれで終わりだがな」 

澪「うぅ・・・」ガチガチ 

唯「澪ちゃん、大丈夫だよ~むぎちゃんの演奏すごかったんだから!」 

梓「車掌さんとコックさんに感謝しないといけませんね」 

コック「感謝なんぞいらん。乗客が旅を楽しんでくれればそれでいい」 

唯「おぉ」ビリビリ 

律「しびれるぜ」ビリビリ 

コック「梓、最後にアコギの調整だ」 

梓「はい!」 

律「てか、今までどこへ行ってたんだよ~」 

梓「野暮用ですよ」 

律「ふ~ん」 

澪「むぎは・・・?」 

唯「ん~? むぎちゃんならみんなを呼びに行ってるんじゃないかな~」 

コック「鳴らしてくれ」 

梓「はい」 

デン デ デン 

コック「どうだ?」 

梓「いい感じです」 

律「みんな?」 

唯「友達みんなだよ~」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:16:20.99 ID:RC6p1yPRo

澪「あぁ、あのメンバーか」 

律「前回の演奏会ってなんだ?」 

梓「私とむぎ先輩でドビュッシーのアラベスクを演奏したんです。その後にむぎ先輩のソロでキラキラ星を」 

コック「わしも聴きたかったぞ」 

唯「うむ。素晴らしかったぞ」 

澪「真似するなっ」ビクビク 

律「へぇ~、色々なことしてたんだな~」 

梓「・・・そう、ですね」 

澪「私もむぎのアラベスク聴きたかったなぁ・・・」 

律「アスパラ・・・?」 

澪「どんな聴覚してんだよ」 

梓「・・・」 

唯「・・・あずにゃん?」 

梓「えっ・・・なんですか?」 

澪「急に静かになったから・・・どうした?」 

律「怖気付いたかぁ」 

梓「そんなんじゃないですよ!ただ・・・、始発から今までたくさんの事があったんだなぁって思って」 

コック「・・・」 

唯「あずにゃんはずっとむぎちゃんと一緒だったもんね~」 

梓「えへへ、私も東京で降りるから少し感傷的になったみたいです」 

コック「旅は人生の縮図って言ってな。目的地に着いたらそこが人生の終着地点みたいなもんになったりするんだ。 
    旅の途中で出会った景色、人達をみんな大切に胸にしまってけ」 

梓「はい!」 

唯「うん!」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:16:51.57 ID:RC6p1yPRo

澪「・・・」 

律「・・・」 

コック「ガッハッハ、説教染みていかんな。演奏聴けないのは残念だが、頑張ってくれよ」 

唯「任せて!」フンス! 

梓「張り切って行きます!」 

律「んー・・・前半がイマイチ理解できなかったんだが・・・。唯と梓は分かってるみたいなんだよなぁ」 

澪「私達はこれから分かるんじゃないか?」 

律「そうなんかねぇ。あの二人、特に梓を見てると自信ないなぁ」 

澪「あぁ、確かに。一回り大きくなったような気がする・・・」 

梓「どうしたんですか?」 

律「べーつに」 

澪「なんでもないよ」 

唯「あずにゃんは可愛いなってさ」 

律「言ってねえよ!」 
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:18:00.46 ID:RC6p1yPRo

唯「ふぃ~、やはりむぎちゃんのお茶はおちつくのぅ~」ノンビリ 

律「あぁ、まったくだ~」マッタリ 

紬「5人でお茶なんて久しぶりね~」 

澪「そうだな~・・・って!」 

梓「あと五分で開始時間ですよ!」 

澪「曲目決めてないんだぞっ!?」 

梓「みなさん!打ち合わせしましょう!」 

紬「澪ちゃん一曲目私だから大丈夫よ~」 

唯「むぎちゃんのピアノソロの後はどうしようか~」ノンビリ 

律「そうだな~、わたしの恋はホッチキスはどうだ~?」マッタリ 

紬「いいわね~」 

澪「す、すこしは慌てろよ!」アワワ 

梓「はい!二曲目は翼をくださいでどうでしょう!?」 

唯「そだね~」 

律「よーし、曲順を確認するぞ!一曲目むぎのピアノソロ。二曲目は翼をください。三曲目はわたしの恋はホッチキスでいいな!」 

澪「お、おう」 

唯「おっけ~」 

梓「はい!」 

紬「よぉ~し!」フンス! 

唯「むぎちゃん曲名は?」 

紬「車掌さんのリクエストでピアノソナタ第15番k.545よ」 

唯「おぉ~」キラキラ 

梓「車掌さんらしいリクエストですね」 

澪「朝に相応しいかもな」 

律「あー、あの曲な!」 

澪「ヴォルフガングを知ってるのか?意外だなぁ」ニヤニヤ 

律「も、もちろん。ヴォルブガンクだろ?ちょいマイナーだけどな~」 

唯「ヴォルフガングだよりっちゃん。それにモーツァルトはメジャー級のメジャーだよ~」 

律「え・・・」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:18:36.39 ID:RC6p1yPRo

澪「えっ?」 

唯「私モーツァルト大好きだよ!」フンス! 

梓「意外です・・・」 

律「あ、いつの間にかむぎスタンバってる」 

テッテッテ 

つばさ「やっほー、みなさーん!」 

真美「お、おはようございます」 

愛「わ、わたしもよろしいんでしょうか・・・」 

星奈「まだ始まってないよね!?」 

修治「間に合ったみたいだな」 

星奈「修治が差し入れにあれこれ迷うからだよ」 

修治「人のせいにするのかよ?」 

梓(なんとかうまくいったみたい・・・) 

つばさ「えへへ」 

梓(・・・良かった) 
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:19:21.95 ID:RC6p1yPRo

ポン  ポン ポン ポン ポロロポロン 

――♪ 

ジャン ジャッ ジャン――・・・ 

紬「・・・」フゥ 

つばさ「素敵ー!」パチパチパチ 

星奈「・・・」パチパチパチ 

愛「すごいです・・・」パチパチパチ 

澪「これがむぎのクラシック・・・」パチパチパチ 

修治「・・・」パチパチパチ 

紬「うふふ、みんなありがとう~」 

律「おーし、それじゃ放課後ティータイム、スタンバーイ!」 

唯「よぉーし」 

澪「うん」 

梓「はい!」 

律「唯、サクッと行こうぜ!」 

唯「うん、分かった」 

澪「・・・よし」 

梓「okです」 

紬「おっけ~」 

唯『それでは二曲目です。翼をください!』 

律「ワンツースリーフォー!」 
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:19:50.33 ID:RC6p1yPRo

紬『いま私の願いごとが 
   かなうならば翼がほしい』 

唯『この背中に鳥のように 
   白い翼つけてください』 

紬唯『この大空に翼をひろげ 
    飛んで行きたいよ 

   悲しみのない自由な空へ 
    翼はためかせ 行きたい』 

律『いま富とか名誉ならば 
   いらないけど翼がほしい』 
  
澪『子どものとき夢みたこと 
   今も同じ夢に見ている』 
   
律澪『この大空に翼をひろげ 
    飛んで行きたいよ 

   悲しみのない自由な空へ 
    翼はためかせ 行きたい』 

梓『この大空に翼をひろげ 
   飛んで行きたいよ 
  悲しみのない自由な空へ 
   翼はためかせ』   

唯梓『この大空に翼をひろげ 
    飛んで行きたいよ』 

   悲しみのない自由な空へ 
    翼はためかせ 行きたい』 
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:20:44.73 ID:RC6p1yPRo

ギュィィイィン・・・ 

律「うっしゃー!」 

星奈「」ポカーン 

つばさ「すごいすごーい!」 

修治「すげぇ・・・」 

澪「・・・なかなかだ」 

愛「・・・」パチパチパチ 

律「唯、時間あるからメンバー紹介しとこうぜ!」 

唯『みなさんこんにちは!私たち桜が丘高校けいおん部です!』 

星奈「えっ、バンド部じゃなかったの!?」 

唯『軽い音楽と書いてけいおんだよ~。私ギターとボーカルの平沢唯です!よろしく!』 

真美「素敵な声でしたよ」 

星奈「ゆいー!」 

唯『でっへっへ。次は部長の、りっちゃん!』 

律『どうも!ドラムの田井中律です。辞書の最初の頁の言葉が大好き!』 

唯「その心は!」 

律『あこがれています!ズバリ愛!!』ビシッ 

唯「うぉー、りっちゃん!」 

つばさ「おぉ~」 

修治「これは・・・」 

愛「まぁ・・・」 

澪「おい・・・」 

律「次は澪だぞ。むぎの演奏で車内放送終わってるんだから大丈夫だって。それに旅の恥は掻き捨てってな」ウシシ 
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:21:13.08 ID:RC6p1yPRo

―――――厨房 

『ズバリ愛!!』 

コック「若ぇなぁ・・・。しかしいい演奏するじゃないか」 


―――――1号車 

『ズバリ愛!!』 

車掌「まぁ・・・」クスクス 

「車掌さん!この演奏どこでやってるの!?」 

「これは是非生で聴きたいですワ」 

車掌「展望車ですよ」ニコニコ 
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:24:13.93 ID:RC6p1yPRo

梓「なんとなく嫌な予感が・・・」 

紬「うふふ、りっちゃんたら」 

澪『演奏を聴いてくれてあ、ありがとぅ・・・』 

唯「澪ちゃん、名前!」 

澪『べ、ベースの秋山みぉです・・・』 

星奈「か、かわいい・・・」 

愛「可愛らしい方ですね」 

梓『ギターの中野梓です』 

つばさ「あずささーん!」 

星奈「あずさー!」 

唯「おぉ、黄色い声援が! 最後はむぎちゃん」 

紬『琴吹紬です。キーボード担当です』 

星奈「むぎちゃーん!」 

真美「琴吹さーん!」 

唯「おぉ、真美ちゃんまで・・・むぎちゃーん!」ヒャッホー 

つばさ「つむぎさーん!」 

律「唯、次行こうぜ」ダンダン 

唯『次は私たちのオリジナル曲です。わたしの恋はホッチキス!』 
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:25:22.78 ID:RC6p1yPRo

唯『なんでなんだろ気になる夜 キミへの 

  この思い 便せんにね書いてみるよ』 

―♪ 


澪『どうしようかな読み返すの はずかしい 

  あれこれと 便せんにね書いたくせに』 


「オーgirls bandデスネー!」 

「エレナ・・・自己紹介の時に気付こうよ・・・」 


澪「!」 

律「澪!」 

唯『 気持ちごとゴミ箱行きじゃなんだか 

   この胸がせつないから持ってようかな 』 

澪『 今の気持ちをあらわす辞書にもない言葉さがすよ 』 

澪唯『 ワクワクしちゃう 計画とかグダグダすぎる 
    展開とかぜんぶホッチキスで とじちゃおー 』 


エレナ「もしかして、あそこにおわすのはミオさんじゃないですカ?」 

小麦「ホントだ! ちゃんと撮ってる?エレナ!?」 

エレナ「バッチリですワ」 


澪『 もう針がないから買わなくちゃ ララ☆また明日 』 


梓(澪先輩がポカするなんて・・・どうしたんだろ) 

澪(唯に助けられたな・・・。それにしてもエレナさん達もヴェガに乗車してるなんて) 


唯『 キラキラひかる願い事もグチャグチャへたる 悩み事もそーだホッチキスで とじちゃおー 』 

唯澪『 はじまりだけは 軽いノリで しらないうちに あつくなって 』 

唯『 もう針がなんだか通らない ララ☆また明日 』 
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:27:44.00 ID:RC6p1yPRo

紬「ふぅ・・・」 

律「あずさー、アコギでも全然いけるな!」 

梓「いっぱいいっぱいですよ・・・」 

星奈「カッコよかったぞー!」 

真美「素敵でした~」 

愛「よかったです」 

修治「すごくよかった」 

エレナ「ブラボォー」 

小麦「かっこよかったよ~澪ちゃん!」 

澪「あ、ありがとう!」 

律「誰?」 

澪「仙台でちょっとな」 

唯「が、外国人さんだ・・・シランプリー」 

梓「優しいですね」 

星奈「アンコール!」 

つばさ「アンコール!」 

真美「ア、アンコール」 

唯「おぉ・・・」 

澪「ありがたいけど」 

紬「もう15分経ったものね」 

エレナ「アンコール!」 

小麦「アンコール!」 

車掌「あらあら・・・」 

唯(・・・アンコールに答えてもいいかな?) 

車掌「・・・」コクリ 

唯『! アンコールに答えて次の曲!カレーのちライス!』 

紬「!」 

梓「えぇっ!?」 

澪「お、おい・・・」 

律「ワン、ツー、ワンツースリーフォー!」 
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:31:04.58 ID:RC6p1yPRo

紬「みんなごめんねぇ」ションボリ 

梓「いえ、むぎ先輩が悪い訳じゃないですよ」 

律「ったくー、なんの為にふわふわ時間を外したと思ってるんだよー」 

唯「ご、ごめんなさい・・・」 

澪「アンコールがグダグダになってしまったな・・・」 

律「まったくぅ」 

澪「お前も走ってただろ!」 

律「・・・そうかしら?」ウフ 

澪「ごまかすなっ」 

車掌「皆様お疲れさまです」 

唯「車掌さん、アンコールオッケーしてくれてありがとう~」 

車掌「いえいえ、すごくいい雰囲気でしたのでそれを終わらせるのはもったいないと思いましたから」ウフフ 

コック「ガッハッハ、いい演奏だったじゃないか!」 

澪「!」ビクッ 

唯「あ、コックさん」 

律「まぁ、翼とホッチキスは上出来だったんじゃないか~」 

梓「ピアノのアレンジが凄くよかったですよ!むぎ先輩!」 

紬「ありがとう~」 

コック「あずさもアレンジだったんじゃないのか?」 

梓「は、はい。そうです」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:31:30.36 ID:RC6p1yPRo

コック「中々よかったぞ」 

梓「あ、ありがとうございます!」 

律「ん・・・? コックさんがなんで演奏を知ってんだ?」 

車掌「あ、ごめんなさい。二曲目が翼をくださいでしたのでそのまま放送させていただきました」 

梓「誰でも知っている曲ですからね」 

コック「そういう事だ」 

律「ふ~ん。っていつまで固まってるんだ澪」 

澪「」 

コック「ドラム解体するぞ」 

律「降ろしちゃうのか?」 

コック「あぁ、場所取ってるからな。次の水戸で降ろすんだ」 

梓「もうそろそろ到着ですね。私見送りに行くので失礼しますっ」 

紬「あずさちゃん、私も行くわ」 

唯「私も~」 

律「おぅ。・・・おーい、みお~帰ってこ~い」 

澪「あ、あぁ。なんだ律?」 

コック「おい、デコちゃん。ホッチキスなんたらの時の出だし、少し弱かったんじゃないのか」 

律「わたしの恋はホッチキスだよ。しょうがないだろ~朝だし、準備も・・・って、え?」 

コック「どうした?」 

律「も、もしかして・・・ホッチキスも・・・」ガクガク 

澪「掻き捨てじゃないのか?」 

律「」 

車掌「料理長・・・」ハァ 

コック「なんだぁ?」 
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:32:06.25 ID:RC6p1yPRo

梓「忘れ物ない?」 

つばさ「うん!荷物はお兄ちゃんが持ってくれてるし、大丈夫」 

梓「みんなにちゃんと挨拶した?」 

つばさ「うん!ライブが終わった後にお別れの挨拶済ましたよ!」 

梓「知らない人について行かないようにね?」 

つばさ「お兄ちゃんがいるから大丈夫!」 

梓「それから・・・」 

唯「あずにゃん、お姉さんというよりお母さんですなぁ」 

梓「あぅ」 

星奈「あっはっは」 

紬「うふふ」 

修治「あはは」 

つばさ「えへへ」 

梓「・・・」 

つばさ「東京でお見送りするからまだお別れじゃないよ」 

梓「そうだね」 

修治「行くか」 

つばさ「うん! 行ってきま~す!」 

紬「行ってらっしゃ~い」 

星奈「気をつけるんだよ~」 

唯「お兄さんによろしく~」 

梓「・・・」 

紬「行っちゃったわね・・・」 

星奈「うん」 

唯「これからつばさちゃんはヴェガに居ないんだね、寂しいな~」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:32:36.45 ID:RC6p1yPRo

梓「そうですね・・・」 

星奈「元気そうな乗客二人が増えたじゃん」 

紬「エレナさんと小麦さんね」 

唯「むぎむぎコンビだね」 

星奈「あっはっは、なんだそれ」 

梓「・・・」 

紬「あずさちゃん・・・」 

星奈「あ、そうだ!お礼を兼ねて放課後ティータイムにごちそうするよ!」 

梓「?」 

星奈「私を元気付けるために企画してくれたんでしょ?とっても嬉しいからさ、そのお礼」 

唯「おぉ、太っ腹ですな」 

星奈「太っ腹はやめて・・・」 

梓「ブフッ」 

紬「うふふ」 

星奈「私先に行ってるからさ、出発したら澪ちゃんと律を連れて食堂車に来てね~」 

梓「はい」 

唯「あいよー」 

紬「は~い」 

梓「ん~・・・」ノビノビ 

唯「あ、むぎちゃんのマネだ」 

紬「私も、ん~・・・」ノビノビ 

梓「体を伸ばすの気持ち良いですね」 

唯「そうだね~、ん~・・・っと」 

紬「そうね~」 

prrrrrrrrrrr 

唯「さぁ、東京へいざ行かん!」ビシッ 
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:33:18.38 ID:RC6p1yPRo

律「私もご馳走になっていいのか?」 

星奈「うん、唯がライブを発案してくれたらしいじゃん」 

唯「えっへっへ~」 

澪「私たち演奏しかしてないですよ?」 

星奈「いいのいいの~。なんでも好きなの頼んでよ」 

唯「おぉ~りっちゃんこれ見てよ!ジャンボパフェっていうのがあるよ!」 

律「おぉすげぇ!さすが超豪華特急列車ヴェガ!」 

澪「お、おい・・・」 

星奈「いいっていいって、澪ちゃんも好きなの頼んで~」 

唯「ジャンボパフェ一つお願します!」 

律「私もー!」 

星奈「チャレンジャーだね~。50cmあるけど大丈夫~?」 

澪「ご、50・・・」 

唯「おいどん、これぐらいけますたい」 

律「パフェは飲み物ですたい」 

星奈「くっくっく、澪ちゃんもジャンボにする?」 

澪「わ、私はレモンティーで」 

星奈「おっけ~、店員さんに注文してくるね~」 

唯律「「 ごっつぁんです! 」」 

律「稽古は本場所の如く」 

唯「本場所は稽古の如くッス」 

澪「ププッ」 

律唯「「 どすこぉーい、どすこぉーい 」」 
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:34:04.98 ID:RC6p1yPRo

梓「なにしてるんですかね、あの二人・・・」 

紬「どすこぉい、どすこぉい」 

梓「むぎ先輩まで・・・」 

星奈「おまたせ、あっちの席は注文したけど、こっちは話が終わってからね」 

梓「話・・・ですか?」 

星奈「うん。二人にはちゃんと話しておかなきゃね」 

紬「いい報告が聞けそうね~」ニコニコ 

星奈「あ、うん。朝ヴェガが発車してみんなと別れた後に母さんに電話したんだ」 

梓「・・・」 

星奈「ちゃんと自分の気持ちをね、言ってみた。父さんに会ってどうしたいのか」 

紬「・・・」 

星奈「そしたら母さん『自分の気が済む様にしてみなさい。どんな結果になってもあなたは私の子供だから』 
   って言ってくれた。母さん勘違いしてたみたいでさ、私が父さんと一緒に暮らすと思ってたみたい」 

梓「・・・」 

星奈「『私が母さんを裏切るわけ無いでしょ』って言ったら『ありがとう』だって」 

紬「・・・」 

星奈「父さんがいなくて寂しかったんじゃないかずっと不安だったんだって。そしたらちょっと泣けてきてさ」グスッ 

梓「星奈さん・・・」 

星奈「電話切った後ちょっと泣いちゃって、それを通りかかった修治に見られちゃった」 

紬「まぁ・・・」 

星奈「そしたらさ、アイツ何も見てませんって顔で通り過ぎようとしたんだよ」 

梓「・・・」 

星奈「なんか可笑しくて笑ったら、気まずかった気分が吹き飛んでさ、ちゃんと修治とも話できて以前のような関係に戻れたよ」 

紬「そうだったんですか」ホッ 

星奈「うん、おかげでライブもみんなで楽しめた。むぎちゃん達にはとても感謝してる。ありがとう」 

梓「よかったです」 

紬「えぇ、本当に・・・」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:36:21.39 ID:RC6p1yPRo

星奈「という事で報告終わり! ささ、二人ともなに注文する?」 

梓「あの・・・一つ質問が・・・」 

星奈「なに?」 

梓「あの、その、せ、星奈さんは鳥羽さんの事・・・」モジモジ 

星奈「?」 

梓「えぇと、その・・・」モジモジ 

星奈「? なぁに?私が修治をなんだって?」 

梓「す、好きなのではないれしょうか?」カァ 

紬(噛んだわ~) 

星奈「ブフッ・・・」 

梓「・・・?」 

星奈「私が修治を!? アッハッハ!それ面白いよ梓ちゃん!」 

梓「あれ・・・?」 

紬「あらあら」 

星奈「ヒッヒッヒ、お腹が痛い・・・アッハッハ!」ゲラゲラ 

梓「む・・・」プクー 

星奈「ご、ごめんごめん。でも、あり得ないよそんなの~。 
・・・まぁ、タイミングが違えばそうなってたかも知れないけどね」 

紬「まぁ、そうなの?」 

星奈「うん・・・。あの時、UNOの後に追っかけてきたのが梓ちゃんじゃなくて修治だったらそんな関係になってた・・・ブフッ」 

梓「もぅ」 

星奈「ごめんごめん。機嫌直してよ~梓ちゃん」 

梓「知りません」ムス 

星奈「なんでも頼んでいいからさ」 

梓「・・・」ムスー 

紬「うふふ、なんだか懐かしいわ~」 

星奈「?」 

梓「?」 

紬「ほら、ラーメン横丁でも似たようなやりとりしたじゃない?」 

星奈「そういわれてみれば・・・」 

梓「ふふ、そうですね」 

紬「なんだか遠い昔のような気分ね~」 

星奈「そうだね、4日前の話なのにね」 

紬「それ以上一緒にいる感覚がするわ~」 

梓「・・・」ペラッ 

星奈「私達が思い出に耽っているのに、キミはなにをしてるのかにゃ?」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:37:20.47 ID:RC6p1yPRo

梓「一番高いやつを・・・。あ、もうカニ御膳終了してますね」 

紬「でも新しく牛タンがあるわ」 

梓「いいですね。私牛タンにします」 

星奈「値段で決めないでよね。まだお昼まで1時間以上あるよ?」 

梓「朝食はパン一枚でしたから、食べられると思います」ブイ 

星奈「いや、ブイってされてもね。別にいいんだけど。むぎちゃんは?」 

紬「アイスティーを」 

星奈「食べないの?」 

紬「お昼は浅草で取ろうと思ってて。私浅草のもんじゃ焼きを食べるのが夢だったの~」 

星奈「なるほど。それじゃ、私も浅草で一緒に食べようかな?」 

紬「えぇ、ぜひ」 

梓「そ、それなら私も」 

星奈「牛タン食べた後に食べられるかなぁ?」 

梓「じゃ、じゃあキャンセル」 

星奈「この機会を逃すと食べられないかもよ~」 

梓「うぅ・・・」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:37:55.13 ID:RC6p1yPRo

星奈「アハハ、むぎちゃん、浅草へは夕方でいいかな?」 

紬「えぇ、そうしましょう」ニコニコ 

梓「ホッ・・・」 

星奈「ふふ」 

梓「?」 

星奈「なんでもない。むぎちゃんアイスティーでいいの?」 

紬「えぇ、今はお腹すいてないの」 

星奈「おっけ、注文してくるよ。そうだ」ガタ 

紬「どうしたんですか?」 

星奈「梓ちゃんさ、どうして私が修治に矢印が向いてるなんて思ったの?」 

梓「なんていうか・・・その、星奈さんが少女のような態度だったので」 

星奈「あ、あぁ。いやぁ、修治と気まずくてさ、どう接したらいいか分かんなくて、 
   こういう気まずい思いしたこと初めてだったから、恥ずかしいっていう部分もあったんだよね」アハハ 

紬「あらあら」 

梓「星奈さんって意外とウヴですよね」ボソッ 

星奈「・・・」スタスタ 

梓「?」 

星奈「梓ちゃんやっぱりなまいき~」ワシャワシャ 

梓「! やめてください星奈さんっ!髪が乱れますっ!」 

星奈「教育がまだまだ必要なようじゃのぅ~」ワシャワシャ 

梓「もうっ、やめてくださいー!」 

紬「あらあら」ウフフ 
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:39:02.41 ID:RC6p1yPRo

唯「まだかな~、まだかな~♪」ワクワク 

律「あっちの席盛り上がってんなぁ」 

澪「梓が、唯や律とじゃれあってる時と同じ表情してるなんて」 

律「そうなのか?」 

澪「あぁ、なんか意外だ・・・」 

唯「星奈ちゃんいい人だよ~?」 

律「いや、それはなんとなく分かるけどさ」 

澪「レアなんじゃないかと思って」 

唯「ん~?」 

「おまたせしました。ジャンボパフェ二つにレモンティーでございま~す」 

律「キタキタ!ってデカッ!!」 

唯「デカッ!」 

澪「ちゃんと食べろよな」 

律「くぅ~生きててよかった~」キラキラ 

唯「おぉ~、苺にメロン、さくらんぼ~、キウィ、グレープフルーツ、りんごうさぎ!」キラキラ 

澪「幸せそうだな唯は」 

律唯「「 いっただっきま~す 」」 

パクッ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:39:34.92 ID:RC6p1yPRo

唯律「「 これすっごくおいし~ 」」 

澪「よかったな」 

唯「はぁ~、ジャンボパフェがとまらないよ!」パクパク 

澪「・・・」 

律「うんめぇ!」 

唯「ライブを頑張った私たちにご褒美だよね、りっちゃん!」 

律「うんうん、やってよかったなぁ唯!」 

澪「・・・」 

唯「しあわせ~」モグモグ 

律「このこめかみを刺激する冷たさがたまんねぇ~!」 

澪「いちごパフェが止まらないの歌詞をなぞっただけじゃないか・・・」 

唯「あぁ!どうしようりっちゃん。ほっぺたが落ちちゃった~」 

律「しょうがねぇな~拾ってやるよ~」ムニムニ 

唯「ありがと~」 

澪「おかしなテンションになってきたな」 

唯「おいしぃ~」モグモグ 

律「ふぅ~。おいどんちょっと食べきる自信が無くなってきたですたい、澪どんも少し食べてはどうですたい」 

澪「言葉がおかしいぞ。じゃあちょっとだけ」ペロリ 

律「どうだ?」 

澪「おいしい・・・」 

律「どんどん食べていいぞ~」 
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:40:21.33 ID:RC6p1yPRo

紬「ごちそうさま~」 

梓「ごちそうさまです」 

澪「ご、ごちそうさま」 

星奈「あいよ~。よく一人で食べきれたね~」 

澪「律の分は私と半分半分でしたけど」 

唯「へへへ、とてもおいしかったよ~。ごちそうさま」ゲフ 

律「ごちそうさまー!」 

星奈「いえいえ~、それじゃまったね~」フリフリ 

澪「・・・しかし驚いたな。列車で鉄板焼きをするなんて」 

律「あぁ、目を疑ったぜ」 

梓「私達も最初見たとき驚きましたよね」 

紬「えぇそうね~。星奈さんが利用してたわね」 

唯「なんでもござれな食堂車だね」 

紬「みんなで客車へ行きましょうか?」 

澪「そうだな」 

唯「そだね~、のんびりしよ~」 

律「おー」 

梓「あ、私売店車へ行って東京の観光ガイド買ってきます」テッテッテ 

紬「行ってらっしゃ~い」 

律「東京かぁ・・・なんかあっという間だな」 

澪「うん」 
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:41:03.85 ID:RC6p1yPRo


律「おぉ、2号車の座席は緑か!」 

澪「4号車は赤、3号車は黄色だったな」 

真美「あの琴吹さん・・・ちょっといいですか?相談したいことがあるんですけど・・・」 

紬「あら、桜井さん。はい、なにかしら」 

律「おっ、真美ちゃんどうしたー?」 

真美「学校へ入学するまでに人物画を描くという課題がでているんです」 

紬「人物画っていうと・・・『隣の友達の顔を描いてみよう』みたいなアレかしら?」 

唯「小学校の頃よくやったよね~」 

真美「えぇ、それです・・・それで、誰を描こうかと思って」 

紬「それなら、見栄えする人はどうかしら。桜井さんは、今までどういう人を描いたの?」 

真美「お父さんと、お母さんとおばあちゃん・・・家族しか描いたことないんです」 

澪「ふむふむ」 

紬「なるほど・・・、家族の顔なら見慣れていますよね。やっぱり、絵に描くのはそういう方がいいのね?」 

真美「というより、私は人見知りするから気心の知れた人の方が。そ、それでお願いがあるんですけど・・・」 

紬「はい」 

真美「モ、モデルになってくれませんか?」 

唯「おぉ~むぎちゃんがモデルか~」 

律「いいんじゃないか?むぎなら見栄えするからな」 

真美「いえ、あの・・・みなさんを描きたいのですが・・・」 

紬「なるほど~」 

澪「・・・」ボンッ 

律「おぉ、澪が恥ずかしさのあまり頭から蒸気が・・・」 

真美「その、演奏してる時の楽しそうな雰囲気がいいなと思いまして」 

紬「まぁ~」 

唯「よぉ~し、ギー太取ってくる!」フンス! 

律「まぁ、待て」 

真美「みなさんが団欒しているところを描きたいのですが・・・」 

唯「らんらん? スキップしている所を描くの?」 

紬「だんらんよ、唯ちゃん」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:42:20.05 ID:RC6p1yPRo

澪「親しい人同士で集まって楽しい時間を過ごす事・・・だ」 

律「ほぅ」 

真美「いかがでしょうか・・・」 

唯「おっけー!」 

澪「あっさりと!」 

真美「ダメ・・・でしょうか」 

澪「も、もちろんいいですよ!よ、よろしくお願します!」 

律「テンパってるけど、大丈夫か・・・」 

紬「それならどこで描きましょう・・・?」 

真美「そうですね、5人が座れる場所は・・・」 

律「展望車が空いてるか見てくるよ」 

唯「それなら私はここで待ってるよ!」 

律「おまえも来いっ」グイッ 

唯「あ~れ~」ズルズル 

真美「みなさんありがとうございます」 

紬「いえいえ~」 

澪「・・・」 

真美「前に描かせてもらった時の絵を仕上げている時とてもやりがいがあって、 
   雰囲気をどう表現するのかが楽しくて・・・もう一度描きたいと思っていたんです」 

澪「前?」
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:42:45.84 ID:RC6p1yPRo

紬「札幌から函館の間を走っているときに私たち二人を桜井さんに描いてもらったの」 

澪「へぇ・・・」 

真美「東京に着いた時にでもお渡しますね」ニコニコ 

紬「桜井さんは東京まででしたね・・・」 

真美「えぇ・・・私、琴吹さんと中野さんにはとても感謝してます」 

澪「?」 

梓「おまたせしました」 

紬「あずさちゃん、なにかあったの?」 

梓「店員さんとお喋りしてました。店員さんの名前根岸ちひろさんって言います」 

澪「そ、そうなのか」 

梓「根岸さんよく観察してますよ。誰と誰が仲がいいのか把握してました」 

真美「そうみたいですね」 

紬「面白い情報ね~」 

梓「何に活かされるのか分からないですけど」 

澪「色々とアドバイスできるから貴重な存在かもな」 

紬「そうね~、あ、りっちゃんどうだった?」 

律「いや~、空いてなかったよ」 

唯「うん、ここでいいんじゃないかな」 

梓「?」 

紬「そうね、どうかしら、桜井さん?」 

真美「私はどこでも」 
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:43:23.60 ID:RC6p1yPRo

澪「き、緊張するな・・・」 

紬「絵のモデルになるなんてそうそうないものね~」 

澪「そうだな、むぎはあるのか?」 

紬「うん、何度か」 

澪「そういや、最初の合宿の別荘にむぎの肖像画があったな」 

紬「覚えててくれたのね」 

澪「あぁ、両親も一緒に描かれていた絵もあったな・・・。っておまえたちなにしてるんだ?」 

唯「りっちゃん、もっとつめてぇ」ギュウギュウ 

梓「ゆ、唯先輩押さないでください」ギュウギュウ 

律「これ以上は無理っ」ギュウギュウ 

澪「まぁ、二人用の椅子に三人座ろうとしてるからな」 

紬「展望車は空いていなかったから、しょうがないわよね」 

唯「あずにゃん、ちょっと立ってて」 

梓「は、はい・・・」ガタ 

律「・・・?」 

唯「さぁ、どうぞ」ポンポン 

梓「えっ、膝の上に座れって事ですかっ?」 

律「それは名案だ」 

紬「あらあらまぁまぁ」 

澪「おいおい・・・」 

唯「おいでっ、あずにゃん!」ポンポン! 

梓「・・・むぎ先輩、澪先輩、間失礼します」ストッ 

唯「えぇ~・・・」ガーン 

律「なんで普通に座れているんだよっ」 

梓「どうしてでしょうね」ニヤニヤ 

律「このやろっ」ムニ 

梓「ふにゅっ」 

律「私と唯がふくよかだと言いたいのか!」ムニー 

梓「ふぁうぇへふふぁふぁい!」 

唯「ダメだよりっちゃん、あずにゃんをそんな風に扱っちゃ!」 

梓「うぅ~」 

律「なんだよ~、唯は悔しくないのかよっ」 

唯「あずにゃんはきっと私たちの所へ戻ってくるよ、信じて待とうよ・・・」ウルウル
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:44:15.79 ID:RC6p1yPRo

律「・・・そうだな、アイツはきっと私たちの所へ帰ってくるよな」シミジミ 

澪「また三文芝居が始まった・・・」 

紬「うふふ」 

梓「・・・」ガタ 

唯「さぁ、おいで! あずにゃん!」ポンポン 

梓「・・・」 

紬「おいで、あずさちゃん!」ポンポン 

澪律「「 むぎまでっ!? 」」 

梓「!」グラッ 

澪「おぉ、むぎの方へ少し傾いた」 

唯「えぇ~・・・」ガーン 

律「梓を取り巻く愛憎劇に今終止符がっ!」 

澪「へんなナレーション入れるなっ」バシッ 

律「あいたぁっ」 

真美「クスクス」 

澪「あっ」 

唯「忘れてた~」 

律「ごめんごめん、真美ちゃん」 

真美「いえいえ、そのままの空気を描きたいと思っていましたから」クスクス 

梓「でも、課題なのに・・・」 

真美「いえいえ! 私が描きたいのは人の顔ではなく、その人の持つ雰囲気といいましょうか 
   みなさんの持つ穏やかな時間を描きたいので、謝らないでください」アセアセ 

唯「・・・そのままおしゃべりしててもいいの?」 

真美「えぇ。その方が私も助かります」 

律「そういってくれるんなら・・・」 

澪「そうだな、安心したよ」
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:45:12.94 ID:RC6p1yPRo

紬「それじゃ、お茶にしましょうか~」 

梓「むぎ先輩!いつの間に用意したんですか!?」 
   
紬「うふふ。先ほど厨房でお湯を頂いたの~」 

律「あぁ、魔法瓶に淹れてあったのか」 

唯「ティータイム!ティータイム!」 

澪「のんびりするには丁度いいな」 

紬「はいどうぞ、桜井さん」 

真美「わ、私の分まで用意していただいて・・・ありがとうございます」ペコリ 

梓「札幌の白い恋人、仙台の萩の月をお茶請けにどうぞ」 

唯「おぉ! 名前は知ってたけど食べたこと無いお菓子ばっかりだよ!」 

律「うめぇ!」モグモグ 

澪「他の乗客にも迷惑かかるからしずかにな」 

梓「さっきジャンボパフェ食べたばかりなのに、よく食べられますね・・・」 

唯「甘いものは別腹だよ、あずにゃん!」 

梓「パフェも甘いもののはずですよ・・・」 

真美「・・・おいしい」 

唯「むぎちゃんの淹れた紅茶は絶品なのです」 

律「ふっふ~ん」 

澪「なんでおまえが威張ってるんだよ」 

紬「うふふ、ありがとう」 

唯律「「 ほ~げ~ 」」 

梓「練習が無いから思う存分のんびりしてますね」 

澪「あっても存分にのんびりしてるけどな」 

梓「それもそうですね」 

紬「ほ~げ~」 

真美「・・・」カリカリ
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:45:59.86 ID:RC6p1yPRo

梓「あ、むぎ先輩、あのガラス細工渡してはどうですか」 

紬「そうね」ガサゴソ 

律「お、なんだなんだ」 

澪「ガラス細工?」 

唯「プレゼントくれるの?」ルンルン 

紬「さ、みんな好きなの取って~♪」 

澪「おぉ、キレイだな」 

律「あ、このラインナップはきぐるみのヤツじゃん」 

唯「にわとりいただき~」サッ 

澪「それなら私はうまかな」 

律「そのまんまじゃつまんねーから、みお~いぬと交換しようぜ~」 

澪「うん」 

唯「私はこれが気に入りました!」 

梓「ぶたが残りましたね・・・」ションボリ 

紬「残り物には福があるというから、私はぶたでよかったわ」ニコニコ 

梓「むぎ先輩・・・」 

澪「はい、律」 

律「お、うまかっこいいじゃん」 

澪「いぬの方がかわいいぞ」 

唯「あずにゃんはねこ持ってるの?」 

梓「はい、真っ先に選びました」キリ 

澪「? そうか。むぎありがとうな」 

律「さーんきゅ」 

唯「ありがとうっ」 

紬「いえいえ~」 

梓「唯先輩・・・」ボソッ 

真美「あのぉ~・・・」 

律「ん?どうしたの?」 

真美「一応、下書きは終えたのでお礼をと思いまして」 

紬「まぁ!」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:46:34.47 ID:RC6p1yPRo

唯「出来たのっ?見せて見せて!」 

澪「おい、唯・・・」 

律「本当は自分も見たいくせに~」 

澪「そうだけど・・・」 

真美「これから仕上げてくるので少し待っててもらえますか?」 

梓「はい!」 

紬「えぇ」 

真美「みなさん、協力してくれてありがとうございました」ペコリ 

律「いえいえ~」 

唯「なんのこれしき~」 

澪「なにもしてませんけど」 

真美「それでは・・・」 

スタスタ 

梓「・・・」 

紬「・・・」 

梓「もうそろそろ東京ですね・・・」 

紬「・・・そうね」 

唯「あっずにゃん!」ダキッ 

梓「な、なんですかっ」 

唯「東京でどこ観光するか決めた~?」 

梓「ま、まだですが・・・」 

唯「それなら決めようよ~」 

梓「ふふ、そうですね・・・」 

紬「私も混ぜて~」 

律「おぉ、梓いいモン持ってるじゃん!」 

梓「観光ガイドです。売店で購入できますよ。観光地へのアクセス方法もあって便利です」 

澪「へぇ~」 

律「いいのがあるぜ!その名も後楽園遊園地!」 

唯「みんなで行こうよ!」 

紬「いいわね~」 

澪「やれやれ・・・」 
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:47:19.18 ID:RC6p1yPRo

エレナ「ハァ~イ、みなさん。ごきげん麗シュウ~」 

唯「ハロー」キリ 

律「おいーっす」 

澪「あ、エレナさん。伊東さんは一緒じゃないんですか?」 

エレナ「小麦は今部屋にこもって新聞を制作していますネ」 

紬「新聞ですか?」 

エレナ「エェ、そうですワ。先ほどの演奏を記事にすると張り切っていましたカラ」 

梓「わ、私たちの演奏を記事にするんですか?」 

エレナ「ハイ、小麦は学校で新聞部に所属していますカラ心配ないですヨ~」 

律「いやいや、そうじゃなくてだな。私たちの事を勝手に記事にされると困るんだけど」 

澪「・・・」 

エレナ「オー!ごめんなさいネ。ショウニンを取るのが遅れてしまいました」 

唯「いえいえ、お気になさらず」キリ 

澪「しゃ、写真とか載せますか?」 

エレナ「今回は私のビデオカメラから抽出できませんから、載せることは出来ないですネ」 

澪「そうですか、それなら問題ないと思います」 

律「澪!?」 

澪「車内放送で流れたんだから、今更記事にした所で気にする事ないだろ?」 

唯「そうですね、澪さん」キリ 

律「そ、そりゃそうだけど」 

エレナ「よろしいのですカ?」 

梓「私も問題ありません」 

紬「そうね~」 

律「・・・」 

澪「律・・・?」 

律「あー、もう分かったよ!煮るなり焼くなり好きにしろぃ!」 

澪「部長の許可が下りたので大丈夫です」 

エレナ「本当に申し訳ないネ」 

澪「気にしないでください」
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:47:49.87 ID:RC6p1yPRo

紬「どんな記事になるのか楽しみね~」 

唯「ふっふっふ。ついに私達が新聞の一面に躍り出る日が来たんだよ、みんな!」 

エレナ「発行部数一部ですけどネ」 

唯「えぇー」ガーン 

律「わ、私の心配を返せー!」 

梓「そうじゃないかと思ってました」 

澪「エ、エレナさん、さっきから気になってたんですけど。そのカメラ録画してないですよね」 

エレナ「ハイ、構えているだけで回してないネ」 

唯「な~んだ、私意識してたのにぃ~」ガッカリ 

律「変な口調とやたらすました顔をしてたのはそういう理由か」 

唯「みんな録画されてない事に気付いてたの!?」 

梓「カメラの赤いランプ点いてないですから、気付いてました」 

澪「あぁ、不安はあったけど」 

紬「えぇ」 

律「うん」 

唯「私そんな事知らなかったよ・・・」 

澪「いつも持ってるんですか?」 

エレナ「エェ、このカメラで世界中を撮る事が私の夢ネ!」 

律「おぉ」 

梓「すごいです・・・」 

エレナ「ユイさん、撮りましょうカ~?」 

唯「・・・ちょ、ちょっと待ってて。あずにゃん私の髪型おかしくない?」 

梓「はい、鏡をどうぞ」 

唯「よしよし。お、オッケーだよ」キリ 

紬「うふふ」 

エレナ「カメラまわしますヨ~。3,2,1,スタート!」 

唯「・・・ほ、ほったいもいじるなー?」キリ 

梓「カメラに時間聞いてどうするんですか!」 

律「グフッ」 

澪「ププッ」 

エレナ「只今の時刻は11時55分ですヨ」 

梓「答えるんですかっ!?」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:48:44.18 ID:RC6p1yPRo

紬「あらあら」 

エレナ「オー!間も無く東京ですネ。ワタクシ小麦の所へ行きますワ。・・・それと部長サン」 

律「なに?」 

エレナ「許可してくれてアリガトネ。それではグッバーイ!」 

唯「グッバーイ!」 

梓「感化されないでください」 

律「・・・」 

紬「私達も降りる仕度しましょうか」 

唯「イエース」 

梓「そうですね」 

唯「アズニャン、ヒアウィーゴー」 

律「みお~」 

澪「なんだ?」 

律「新聞の件だけどさ。写真使ってたとしても記事にする事賛成にまわってたんじゃないのか?」 

澪「そ、それは・・・。た、多分」 

律「ふ~ん」 

澪「なに?」 

律「いや・・・べつに~」 

澪「先に行くぞ?」 

律「人見知りのおまえが珍しいなと思ってさ」ボソッ 

紬「うふふ」 

律「あ、聞こえた?」 

紬「えぇ。私も澪ちゃんが記事をすんなり受け入れたからびっくりしてたの」 

律「出会ったばかりで気を許せるなんて、仙台でなにがあったんだ~?」 

紬「気になる?」 

律「へへ、ちょっとだけな。私らも観光の準備しとこうぜ」 

紬「そうね~」 
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:49:37.08 ID:RC6p1yPRo

ガタンゴトン ガタン ゴトン   

プシュー 

「よっ」ピョン 

シュタッ 

「ビバ!東京!!」 

梓「それはイタリア語です。それにちょっと意味が分かりませんよ唯先輩」 

唯「え~、そんな気分なんだよ!」 

律「辿り着いて『万歳!東京!!』って、いつから憧れていたんだよ。ほら、唯がどいてくれないと私達が降りられないだろ?」 

唯「すいやせんね~、えへへ」 

澪「凍狂・・・」ビクビク 

紬「大丈夫よ澪ちゃん」 

澪「そ、そうだよな・・・」ビクビク 

律「しゃーない。私たちから離れるなよ澪?」 

澪「う、うん」 

梓「あ・・・」 

紬「・・・」 

唯「どうしたの、あずにゃん?」 

律「・・・あそこにいるのは車掌さんと・・・真美ちゃんだな」 

梓「・・・」タッタッタ 

紬「まって、あずさちゃん」タッタッタ 

唯「あ、そっか。まって~」 

律「どうしたんだ?」 

澪「桜井さんヴェガを降りるんだよ」 

律「だから荷物も持ってるのか」 

澪「私達も行くぞ」 

律「おぅ!」 
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:52:08.13 ID:RC6p1yPRo

車掌「忘れ物はございませんか?」 

真美「は、はい。・・・これ、乗車証です」 

車掌「はい。確かに」 

紬「桜井さーん」 

梓「桜井さん!」 

唯「真美ちゃーん!」 

真美「あ、みなさん・・・まだ観光に出ていなくて良かったです」 

紬「まだ、挨拶していませんもの」 

梓「そうです」 

唯「お別れの挨拶してないよ~」 

真美「そうでしたね。私も渡さなきゃいけないものがありました」 

車掌「・・・」 

澪「・・・」 

律「・・・ふぅ」 

唯「りっちゃん運動不足ですなぁ」 

律「息切れしたんじゃないぞ。一息だ一息入れただけだ」 

真美「こ、これが課題に協力してくれた絵です」 

紬「まぁ~」 

律「どれどれ~、おぉ!」 

澪「こんな風なのか私たち・・・」 

梓「わぁ・・・」キラキラ 

唯「私、絵の事なんて全然分からないけど、凄く好きだよこの絵!」 

紬「私も・・・」 

車掌「みなさんの雰囲気がよく描かれていると思います」 

真美「あ、ありがとうございます。これで自信をもって学校へ通えると思います」 

紬「力になれたようでよかったです」 

律「この絵いいなぁ、部室に飾りたい・・・」 

澪「提出するものだぞ」 

真美「す、すいません・・・」 

唯「真美ちゃん・・・例のブツを・・・」イッヒッヒ 

梓「?」
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:52:50.39 ID:RC6p1yPRo

真美「は、はい。琴吹さん、どうぞ」 

紬「まぁ」パァァ 

梓「あ、あれ・・・、これって」アワワ 

唯「おぉ~」 

車掌「妹のうたた寝を見守る姉、その二人を優しく包むオレンジの光・・・。文字通り絵になりますね」 

真美「・・・」テレテレ 

律「これは・・・展望車・・・だよな」 

澪「これが札幌と函館の間に描いた絵なんだな」 

紬「そうなの。あずさちゃんごめんね。黙ってて」 

梓「む、むぎ先輩・・・」 

律「へぇ~」 

唯「あずにゃんの寝顔可愛い~」 

梓「寝ていた所を写真で撮られるよりはいいですけど、ちょっと恥ずかしいですね」テレッ 

真美「す、すいません」 

梓「い、いえ。この絵好き・・・です」 

律「いいなこの絵も。なんか暖かい感じだ」 

澪「写真より伝わってくるものがあるな」 

真美「そう言ってくださると嬉しいです」 

唯「額縁に入れて部室に飾って置くよ~」 

梓「だ、ダメですよ!」アセアセ 

紬「ありがとう、桜井さん。いい旅の思い出が出来ました」 

真美「い、いえ。お礼を言うのはこっちです。・・・わ、私。東京へ引越しが決まってから不安でいっぱいでした」 

車掌「・・・」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:53:18.19 ID:RC6p1yPRo

真美「稚内からヴェガに乗車して、どんどん地元から離れる度に不安で押しつぶされそうだったんです」 

梓「・・・」 

真美「羊が丘展望台でスケッチしても思うように描けなくて、東京へ行く意味を失いかけていたんです」 

唯「真美ちゃん・・・」 

真美「展望車で二人を見かけた時、この瞬間を絵にしたいって思えたんです」 

澪「・・・」 

真美「もっと巧く表現したい、もっともっと絵の事を知りたいって・・・思えたんです・・・」 

律「・・・」 

真美「この絵に出会えなかったら今の私はいません。だからお礼を言うのは私なんです」 

紬「・・・」 

真美「琴吹さんに出会えてよかったです。ありがとうございました」 

紬「・・・はい」 

唯「うぅ・・・」ボロボロ 

梓「なんで唯先輩が泣いてるんですか。ハンカチ使って下さい・・・」 

唯「ありがと、あずにゃん・・・」ビィィイイ 

梓「鼻かんだ・・・、お約束ですよね」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 21:54:04.71 ID:RC6p1yPRo

律「なにやってんだよ、いい話なのに・・・」 

澪「ふふっ・・・」グスッ 

真美「クスクス」 

車掌「・・・」 

梓「桜井さんとたくさん話が出来てよかったです」 

真美「わ、私もです。ありがとう中野さん」 

唯「真美ちゃんと・・・観光回れて・・・楽しかったよ」グスッ 

真美「唯さんとの観光巡りはとても楽しかったです。ありがとうございました」 

紬「桜井さん」 

真美「はい」 

紬「私、忘れません。桜井さんと出会えたこの旅を」 

真美「はい!」 

車掌「・・・」 

真美「お世話になりました」 

車掌「当特急ヴェガへのご乗車誠にありがとうございました」 

真美「それでは、私はこれで・・・。みなさんこれから先も気をつけてくださいね」 

紬「えぇ・・・」 

梓「桜井さんお元気で」 

澪「元気でね」 

律「頑張ってな!」 

唯「真美ちゃん元気でね」 

真美「はい、みなさんもお元気で。・・・さようなら」 

紬「さようなら・・・」 

188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 22:55:21.43 ID:RC6p1yPRo

律「むぎと真美ちゃんが笑顔で別れたんだからさ、唯も笑顔出そうぜ」 

唯「ぅっ・・・うぅ・・・」ボロボロ 

紬「唯ちゃん、元気だして」 

唯「だって・・・『さようなら』って言葉が・・・こんな・・・に重いなん・・・って思わなかったん・・・だもん」グスッ 

梓「唯先輩・・・」 

澪「うっ・・・」グスッ 

律「澪まで~、真美ちゃんの門出でもあったんだぜ?悲しんでいたらダメだっ!遊園地行ってパァーッと遊ぶぞー」 

紬「そうね、りっちゃん!」 

梓「そうですね」 

律「ほら~、あと二人の声が聞こえないぞ~」 

澪「うん、もう大丈夫」 

唯「うん・・・」 

律「あー、唯はこのままでは外あるけないな。梓、悪いけど唯と一緒に洗面所行って来てくれないか?」 

梓「はい、唯先輩行きましょう」 

唯「うん」 

トボトボ 

律「・・・ふぅ」 

澪「なんだ、律もか」 

律「へへっ、唯の言葉でちょっと危なかった」 

紬「りっちゃん・・・」 

澪「はい、ハンカチ。二人が戻ってくる前に拭いとけ」 

律「イラねーやい!」 

紬「ふふ」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 22:57:13.78 ID:RC6p1yPRo

澪「・・・むぎは強いな。桜井さんとは一番仲がよかったのに・・・」 

紬「みんなが居てくれるからよ・・・。支えてもらってるもの」 

律「へへっ、よーし!一番最初はジェットコースターだな!」 

澪「嫌だっ!」 

律「ちっ、勢いでオー!と言わせることができると思ったのに」 

紬「それならスカイフラワーはどうかしら」 

澪「安心できる名前だな。怖くない?」 

紬「えぇ、高さ60mくらい上がるけど大丈夫よね?」 

澪「だ、大丈夫」グッ 

律「じゃあさ、ヴィーナスラグーンはどうだ?」 

澪「うん、それも平気そうだ」 

紬「いいの?メリーゴーランドよ?」 

澪「律っ!」 

律「じゃ何がいいんだよ~」 

澪「か、観覧車とか」 

律「へぃへぃ」 

澪「聞いといてその反応はないだろっ」 

紬「まぁまぁまぁ」 

梓「おまたせしました」 

律「おぅ、唯は・・・」 

唯「おまたせ!」 

律「うん、大分スッキリしたみたいだな」 

梓「顔を洗ったら気持ちを切り替えられたみたいです」 

紬「よかったわ」 

澪「うん・・・」 
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 22:58:20.84 ID:RC6p1yPRo

律「けっこう混んでるなぁ」 

梓「夏休みですからね」 

唯「人が多いね~」 

「きゃあ!」 

スッテーン 

澪「あ・・・」 

「いたたたた」 

紬「まぁまぁ、大丈夫ですか?」 

唯「愛ちゃんではないか」 

愛「あ、みなさん・・・見られてしまいましたね」ハズカシイ 

律「だいじょぶか?」 

愛「へ、平気です」 

澪「もしよかったらさ、愛さんも一緒に遊園地行かない?」 

紬「どうですか?」 

唯「行こうよ~」 

愛「い、いえ。たまたま通りがかっただけですので、遠慮します・・・」 

梓「そうですか、残念です」 

愛「そ、それでは・・・」ペコリ 

スタスタ 

紬「・・・」 

唯「青森から一緒だけどあまりお喋りできないね~」 

律「そうなのか?」 

梓「そうですね。どことなく距離を置かれているような気がします」 

律「ふ~ん・・・」 

澪「あ・・・」 

律「今度は何を見つけたんだ澪」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 22:59:12.92 ID:RC6p1yPRo

唯「おぉ~、エレナちゃんと小麦ちゃんが露店を開いてる!」 

紬「あらあら面白そう~」 

澪「ちょっと見てくるか」 

律「そうだな」 

唯「お~い、エレナちゃーん」 

エレナ「アラ、みなさん!遊園地に来ていたのですカ?」 

律「そうだけど・・・いいのか?エレナ達、こんな所に露店を開いても」 

小麦「だって、あたし達ここでお金稼がないと乗り物にのるお金が無いんだもん」 

梓「そうなんですか・・・」 

唯「!」ピコン 

エレナ「ここは人通りが多いですからすぐにお金が溜まるネ」 

小麦「そういう事~」ルンルン 

唯「りっちゃん、私あれやりたい!」 

律「あれってなんだよ」 

澪「嫌な予感が・・・」 

唯「サクラだよ!」 

律「それいいな、いっちょやるか!」 

唯「うん!」 

小麦「なになにー?」 

唯「コホン。あーりっちゃんみてみてーこれかわいいー」 

律「あー、ほんとうだー。ゆいにぴったりだー」 

澪「私たちは離れていようか・・・」 

梓「そうですね・・・」 

紬「・・・」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:00:04.08 ID:RC6p1yPRo

エレナ「オー!可愛いお二人にはこれがお似合いですワ」 

唯「おー、これはすてきだ」 

律「でもこんなにいいしょうひんだからきっとたかいんだろうなー」 

小麦「ところがなんと~、このお値段です!」 

唯「わー、りっちゃん。このねだんならかったほうがいいよねー」ワァ 

律「そうだなー、いまかわないとそんだなー」ウンウン 

クスクス  ナンダナンダ 

紬「人が集まってきたわ・・・」 

梓「唯先輩達って凄い集客力があるんじゃないですかね」 

澪「あんな棒読みでもいいのか・・・」 

「これくださいー」ガヤガヤ 

エレナ「毎度どうもネー」 

「わぁ、キレイー」ガヤガヤ 

小麦「お釣りでーす!」 

唯「りっちゃん、これもいいよー」 

律「いろいろあるんだなー。いいみせだー」 

梓「まだやってますよ」 

澪「あぁ・・・、あれ?」 

紬「ゆいちゃーん、これなんてどうかしらー」 

唯「むぎちゃん、それすてきだよー」 

律「あぁ、むぎがみにつけたら、くじゃくからほうおうにれべるあっぷだーなー」 

紬「うれしーわー、ありがとー」 

梓「えぇ!?」 

澪「やりたかったのかむぎ・・・」 
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:01:11.97 ID:RC6p1yPRo

小麦「はいどうぞ!」 

澪「あ、ありがとう・・・でも・・・」 

梓「私たちなにもしてませんよ?」 

エレナ「気にする事ないネ!」 

小麦「ハンバーガーだけどね!」 

律「面白かったな唯!」ムグムグ 

唯「うん、一度やってみたかったんだよ」モグモグ 

紬「うんうん」ムグムグ 

澪「食べながら話すな」 

梓「唯先輩、私のサラダも食べて下さい」 

唯「ンー?」モグモグ 

梓「朝から食生活が偏ってますよ」 

唯「ウン」モグモグ 

小麦「梓ちゃんすごーい!意思が通じているんだね!」 

エレナ「いい師弟愛ですワー」 

律「フンフンフン」ムグムグ 

澪「この二人が師匠と弟子だとよく分かったな? でいいのか」 

律「ウンウン」ムグムグ
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:01:40.33 ID:RC6p1yPRo

小麦「エレナは日本語間違えただけだよ」 

エレナ「ですが、なんとなくそう感じましたヨ~」 

紬「フン~」モグモグ 

梓「すごいわ~。ですかね」 

紬「ウムウム」ムグムグ 

澪「私たちが食べられないな」 

梓「ふふ、そうですね」 

律「・・・ゴクリ。私たち食べ終えたぞ」 

唯「うん・・・ごちそうさま~」 

小麦「いえいえ~。手伝ってくれたお礼だよ~」 

エレナ「エェ、当分お店開かなくても大丈夫ネ」 

澪「フンフン」ムグムグ 

梓「ウンウン」モグモグ 

律「梓、可愛いよ」 

唯「澪先輩も美しいですよ」 

澪梓「「 ・・・ゴクリ 」」 

澪梓「「 そんな事言ってないだろ(ません)!! 」」 

小麦「あはははっ」 

エレナ「今のバッチリビデオに収めましたヨ~」 

紬「モグモグ」モグモグ 
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:02:21.41 ID:RC6p1yPRo

小麦「さぁー!どれから乗ろうか!?」 

唯「私あれ!あれ乗りたい!!」 

律「いいな!」 

澪「・・・」 

エレナ「みなさん、フリーパス買わなかったのですカ?」 

梓「はい、長居できませんから」 

紬「3つか4つ乗れたらいいわね~」 

小麦「エレナー!あれに乗ろうよ~」 

エレナ「いいですネー!さっそく並ぶネ!」 

澪「ジェ、ジェットコースター・・・」 

律「私と唯は行くけどどうする~?」 

梓「私はパスです」 

紬「わたしも~」 

澪「・・・」 

律「そうか、それじゃ後でなー!澪、むぎから離れるなよ~」 

澪「う、うん」 

唯「行ってきまーす!」 

紬「行ってらっしゃ~い」 

梓「元気ですよねあの方達。私たちはあれに乗りませんか?」 

紬「ビッグ・オーね」 

澪「・・・」 

梓「電話で予約しておきましたから早めに乗れるはずです」キリ 
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:03:09.63 ID:RC6p1yPRo

唯「サイッコーだねりっちゃん!」 

律「あぁ、もういっぺん乗りたいぜ」 

エレナ「それなら次はアレなんてどうですカー?」 

小麦「いいねー!」 

澪(・・・楽しそう・・・・・・) 

唯「あれ~、澪ちゃん達ずっとそこに居たの~?」 

梓「いえ、観覧車に乗ってきましたよ」 

小麦「早かったんだね~」 

紬「あずさちゃんのおかげね」 

梓「えへへ」 

エレナ「部長サン!アレに乗りますカ?」 

小麦「乗ろうよ~」 

律「ん~でも、澪がなぁ」 

澪「わ、私も乗る!」 

紬「まぁ・・・」 

唯「大丈夫~?結構迫力あると思うよ~?」 

澪「だ、大丈夫!」 

律「あれはフリーフォールと言ってだな、ゆっくり上昇して頂上に着いたら自由落下する乗り物なんだぞ」 

小麦「ここのアトラクションの中では一番の迫力だと思うよ」 

澪「うぅ・・・」 

律「やめとけって」 

澪「うぅん・・・、乗りたい」 

梓「澪先輩・・・?」 

律「泣いても知らねーぞ」 

澪「うん」 

紬「澪ちゃん・・・」 

エレナ「それでは行きまショー!」 

小麦「ゴー!」 

唯「あずにゃん・・・澪ちゃんどうしたの?」 

梓「観覧車でなにか考えていたみたいですけど・・・よく分かりません」 

唯「そうなんだ、大丈夫かな~」 
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:06:45.39 ID:RC6p1yPRo

律「引き返すなら今だぞ」 

澪「ううん、乗る」 

律「どうしたんだ急に、 なんでいきなりコレに乗るんだよ。徐々にレベルを上げていけばいいだろ?」 

澪「・・・演奏する前にコックさんが言った事覚えてる?私たちが理解できなかった言葉」 

律「あ、あぁ。確か『旅は人生の縮図』とかなんとか」 

澪「『目的地が人生の終着地点になったりする』」 

律「・・・」 

澪「桜井さんと別れた後の唯を見て思った。 
  律と別れる事になったら私はその悲しみは乗り越えられないって」 

律「でも真美ちゃんと唯が過ごした時間と、私たちが過ごした時間は同じじゃないだろ?」 

澪「あの時の唯を見ても?」 

律「そ、それは・・・」 

唯「どうしたの~?」 

澪「なんでもないよ」 

律「あとどれくらいで乗れそう?」 

唯「あともうちょっとだよ~」 

エレナ「オー!ユイさんあれ見て下さーい!」 

小麦「すっごーい!」 

唯「おぉ~」 

澪「・・・唯はもう乗り越えてるんだ」 

律「・・・」 

澪「コックさんの言葉の意味を理解できれば・・・桜井さんや唯たちみたいに強くなれると思う」 

律「それが今、遊園地のアトラクションに乗る事と関係があるのかよ?」 

澪「ないかもしれない」 

律「・・・」 

澪「けど、今日をきっかけにしたいんだ」 

律「・・・そうか」 

澪「うん」 

律「・・・」 

「次の列の方どうぞ~」 

唯「私たちの番だよ!」 

律「おぅ!」 

エレナ「サァー落ちるヨー!」 

小麦「あたしの心臓がバクバクしてるよー!」バクバク 

唯「私もー!」バクバク
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:07:23.84 ID:RC6p1yPRo

澪「・・・」ガチガチ 

ギュ 

律「ほら、手握っててやるから」 

澪「律・・・」 

唯「澪ちゃん!」ギュ 

澪「唯・・・」 

律「おし、行くぜぃ!」 

唯「おー!」 

澪「うん・・・!」 

「失礼します」 

唯「はいよ」 

ガチャ 

澪「・・・」 

律「・・・」 

スゥーーーーー 

小麦「おー!どんどん上がって行くよー」 

澪「・・・」ガチガチ 

律「私と唯が隣にいるだろ?」 

唯「そうだよ澪ちゃん、下にもむぎちゃんとあずにゃんがいるよ!」 

律「ゆ、唯!」 

澪「ヒァッ」 

律「やっべ、下見て固まってしまった」 

澪「」 

エレナ「ミオさんン、前を見てみるネー」 

小麦「絶景だよー、澪ちゃん!」 

唯「おぉ~」 

律「・・・」 

澪「え・・・あ・・・」 

律「いい景色だ」 

澪「・・・うん」 

エレナ「イッキマスヨー!!」 

ガタン 

唯「おっ」 

澪「ひっ」 

フワッ 

澪「きゃぁぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:08:31.67 ID:RC6p1yPRo

フワッ 

シュー 

「だ、大丈夫ですか!?」 

律「大丈夫か澪?」 

澪「フフ・・・フフフ」 

唯「澪ちゃん・・・?」 

澪「フフフフフ」 

小麦「どうしたの~?」 

エレナ「ミオさん・・・?」
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:08:59.37 ID:RC6p1yPRo

澪「スーーッゴク楽しかったぁ!!」キラキラ 

律「あー」 

唯「よかったね澪ちゃん!」 

エレナ「さ、ツムギさん達の所へ行きましょー」 

澪「フワッってなったらスーッってなったよ!」キラキラ 

律「はいはい、よかったねー」 

小麦「気持ちよかったね~」 

澪「うん!うん!楽しいっ!!」キラキラ 

唯「すごいテンションだね~」 

律「なんか余計なものを乗り越えちゃったな」 

ガシッ 

澪「律っ!」キラキラ 

律「いや、待て。まずはむぎと合流してからだ」 

澪「そうか、そうだな!」キラキラ 

紬「あら?」 

梓「ハイな澪先輩が・・・」 

澪「梓も乗ろう!」キラキラ 

梓「えっ?」 

澪「みんなでもう一回乗ろう!」キラキラ 

律「・・・テンション下げておくか」 

唯「どうするの?」 

律「澪~、あそこにお化け屋敷あるぜ~入らないか~」ウシシ 

澪「ううん、行かない!」キラキラ 

律「笑顔で断られたぁ!」 

紬「そんなに楽しいのかしら?」ウズウズ 

梓「むぎ先輩乗るんですか!?」 

エレナ「みんなで乗るのも悪くないですネー」 

小麦「いいねぇ~」 

澪「じゃ、行こうかっ!」キラキラ 

紬「よ、よぉーし!」
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:10:28.11 ID:RC6p1yPRo

澪「じゃあ・・・」 

エレナ「グッナーイ!」 

小麦「まったね~」 

唯「グンナーイ!」 

紬「ごきげんよう~」 

律「またな~」 

梓「・・・」 

澪「・・・」 

唯「浅草寺に星奈ちゃんがいるんだよね?」 

紬「えぇ、そうよ~」 

梓「むぎ先輩、アトラクションに強いですね・・・」 

紬「そうかしら?」 

梓「私ちょっとやられました・・・」 

紬「あらあら、大丈夫?」 

梓「はい・・・」フゥ 

紬「星奈さんと合流したらお店に入れるから頑張って!」ファイト! 

梓「はい!」 

澪「・・・」 

律「さっきまでのテンションはどうしたんだよ~」 

澪「あぁ、うん・・・」 

唯「疲れちゃった?」 

澪「うん・・・疲れた。テンション高めってしんどいな・・・律と唯はすごいよ」 

律「そうだろそうだろ~」 

唯「えぇー、私は別に高めではないんだけどなぁ~」 

梓「星奈さん居ませんね・・・」キョロキョロ 

紬「本当ね、遅れるのかしら」 

「おーい!」 

唯「あ、いた~」 

星奈「ごめんごめん。電車が混んでてさ~」 

梓「電車は混んでても時間通りに到着するじゃないですか!」 

星奈「あっはっは、ナイスツッコミ~」イェイ 

紬「私たちも今来たところよ」 

律「お腹空いたから早く入ろうぜ~」 

星奈「小麦に教えてもらった店が近くにあるからさ、そこ入ろうよ」
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:11:45.50 ID:RC6p1yPRo

澪「伊東さんがですか?」 

星奈「情報集めるの得意みたいだよ」 

唯「新聞部だってエレナさんが言ってたね」 

梓「へぇ~。意外ですね」 

律「確かに」 

澪「でも、あの二人はいいコンビだよな」 

紬「二人とも元気だったわね~」 

星奈「エレナと小麦も一緒だったの?」 

澪「はい、後楽園遊園地行って来ました」 

星奈「詳しい話は後にして、まだ敬語なんだね~」 

澪「あ、ご、ごめんなさ・・・ごめん!」 

律「どんな謝り方だよ」 

星奈「あはは、あ、ここだよ~ん」 

唯「おぉ、ここですか。どれどれ・・・」 

コンコン 

梓「ノックはいいですから、早く開けてください唯先輩」 

ガラガラッ 

律「たのもぉー!!」 

梓「道場破りじゃないんですから普通に入りましょうよ」 

星奈「店長さーん、とりあえずグラタン6つ!」 

梓「もんじゃ焼き食べましょうよ!とりあえずって何ですかっ!」 

店長「元気な子達が来たわねぇ・・・さ、ここへどうぞ~」 

紬「あずさちゃん元気になったね」 

梓「3倍以上な気がする・・・」ウワァァ 

澪「梓も大変だな」 

梓「澪先輩、後はよろしくお願します」 

澪「?」 

律「明日ヴェガを降りるんだっけ?」 

梓「はい」 

澪「そういう事か・・・」 

星奈「そっか・・・」 

店長「さぁ、なににする?」 

律「お勧めは何ですか?」 

店長「ミックスだよ!」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:12:58.92 ID:RC6p1yPRo

唯「じゃあカレーで!」 

梓「・・・話の流れを考えてください」 

律「私はミックス、みんなは?」 

澪「私もミックスで」 

紬「私も~」 

梓「私もそれで」 

星奈「私もカレーで」 

店長「面白いねアンタたち、ドリンクサービスしとくよ!」 

唯律星奈「「「 ごっつぁんです!! 」」」 

紬「ご、ごっつぁん」 

店長「あいよ~!」 

紬「・・・」ションボリ 

星奈「む、むぎちゃん・・・」キュルリン 

梓「おぉ・・・」 

律「むぎはもうちょっと練習が必要だな~」 

唯「そうだね~」 

紬「わ、私頑張る!」フンス! 

澪「唯と律は演奏の練習もしような」 

律「星奈は到着してからどこ行ってたんだよ~」 

唯「そうだよ~どこ行ってたんだい?」 

梓「話の切り替えはやいな~」 

星奈「私は中華街へ行ってきたよ~ん」 

律「何食べた!?」 

星奈「いやぁ、結構値段が張っていたからさぁ、肉まんだけ食べてきた。けど、すっごくおいしかった」 

グゥ~ 

唯「あ・・・お腹が鳴っちゃった」 

澪「もう少しだから」 

星奈「都庁へ行って~、臨海副都心へ行ってきた!」 

紬「たくさん移動したのね~」 

星奈「だからお腹がペコペコ」アハハ 

梓「どうでした?」 

星奈「建物が大きかったよ!その代わり空は低いけどね」 

梓「東京の建物は何かと大きいですよね。そういえば北海道の空は高かったです」 

紬「そうね~広くて高かったわ」 

梓「・・・」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:14:16.41 ID:RC6p1yPRo

店長「はいよー、ミックスもんじゃ4つにカレーもんじゃ2つ!」 

律「キタキタ~」 

唯「おぉ~、コーンスープかと思った」 

律「夏にコーンスープ出す店って・・・」 

澪「容器がそんな風に見えるからな」 

星奈「焼くぞ~」 

紬「おぉ~」 

ジュ- 

唯「鉄板一つだからみんなの合わせて大きいもんじゃにしようよ!」 

律「カレー同士二人でやってろ」 

星奈「よしやるか!」 

店長「やめとくれ。ひっくり返すの大変なんだよ?はいソフトドリンク」 

澪「あ、ありがとうございます」 

店長「いいえ~、ごゆっくり~」 

星奈「じゃ、やめておこうか」 

唯「そうだね」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:14:52.95 ID:RC6p1yPRo
ジュージュー 

律「いい匂いだ~」 

澪「あぁ」 

紬「・・・」ワクワク 

梓「・・・」 

唯「あずにゃん・・・」 

梓「なんですか?」 

唯「猫はネギ食べたらいけないんだよ?」 

梓「知ってますよ?」 

唯「・・・」 

梓「?」 

星奈「このもんじゃにはネギが入ってるから、梓ちゃんは食べられないねって事」 

梓「にゃっ!?」 

唯「分かってくれたんだね、星奈ちゃん!」 

星奈「ちょっと苦しかったけどね~」 

律「すげぇ苦しかったぞ今の・・・」 

ジュージュー 

澪「そろそろいいんじゃないか?」 

紬「わぁ~」パァァ 

星奈「いただきます!」 

紬「いただきま~す!」 
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:15:40.52 ID:RC6p1yPRo

―――――ヴェガ 

星奈「あっはっは!フリーフォール二回乗った後にメリーゴーランド!」 

澪「・・・」 

梓「・・・」 

星奈「最ッ高ーだよそれ!アッハッハ!」 

律「だよな~」ウシシ 

紬「5人とも楽しそうにメリーゴーランドに乗っていたわ~」 

梓「楽しんでたのはエレナさんと小麦さんと唯先輩だけです・・・。澪先輩は途中で素に戻ってましたから」 

澪「勢いって怖いな・・・」 

律「事態を招いたのは澪のテンションのせいだぞ」 

澪「うん・・・」 

星奈「梓ちゃんはなんで乗ったのさ」 

梓「むぎ先輩も乗ると思ってたんです」 

星奈「くっくっく」 

梓「澪先輩に引っ張られて、後ろ見たらむぎ先輩が乗って無いんですよ。びっくりしました」 

律「振り向いたときの梓の表情すごかったな」 

紬「定員ちょうどで私は乗れなかったの・・・。ごめんね」 

梓「い、いえ・・・」 

星奈「あっはっは!ダメだ笑いが止まらない!」 

梓「むー・・・」プクー 

澪「疲れたけど・・・楽しかった」 

律「確かにいい経験になったな」 

タッタッタッタ 

唯「車掌さんが12時までならおっけーだって~」 

律「おぅ、お疲れ。唯」 

紬「おつかれさま~」 

唯「大丈夫!食後の軽い運動にちょうどいいよ!」ブイ 

澪「今8時だから3時間ぐらいだな。展望車に移動するか」 

紬「そうね~、私厨房へお湯いただいてから行くから先行ってて」 

唯「おっけ~」 

律「梓と星奈~、私たち先に行ってるぞ~」 

スタスタ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:17:07.91 ID:RC6p1yPRo
星奈「ごめんって!」 

梓「知りません・・・って、誰も居ないですね・・・」 

星奈「あれ?ホントだ・・・先に展望車に行ったのかな」 

梓「そのようですね。私たちも行きましょう」 

星奈「そうだね~。・・・あのさ、一つ聞きたいんだけど」 

梓「なんですか?」 

星奈「いつもあんな調子なの?」 

梓「なにがですか?」 

星奈「5人揃うといつもあんな調子なのかなぁって」 

梓「いつもはもう少し落ち着いているんですけどね。旅の途中だから気分が高まっているのかもしれません」 

星奈「そうか~。なんか楽しそうな部活じゃない」 

梓「はい。けいおん部に入って良かったです」ウンウン 

星奈「そうかそうか~。いい先輩たちに囲まれて幸せだにゃ~」 

梓「そうかもしれませんね」 

星奈「そこは『私幸せです』って言った方が素直で可愛いの!」ワシャワシャ 

梓「もぅ、止めてください!」 

紬「あら?二人ともなにしてるの?」 

星奈「ちょっと教育をね」 

梓「髪の毛が乱れたじゃないですか・・・」 

星奈「・・・浅草に行く前にさ、父さんに電話したよ」 

梓「!」 

紬「・・・」 

星奈「最初はお互い黙ってたけど、明日会いに行くって伝えたら『分かった』だって」 

梓「・・・」 

紬「そうですか」 

星奈「だからもぅ今から心臓ドキドキしてんの」アハハ 

梓「いきなりどうしたんですか」 

星奈「明日でお別れなんでしょ?」 

梓「!」 

星奈「二人には迷惑・・・じゃなかった。お世話になったから、そのお礼をね」 

紬「いえいえ」 

星奈「二人のおかげで素直になれたよ。ありがとう」 

梓「・・・」 

星奈「ほ、ほら、早く展望車で遊ぼうよ!先に行ってるよ~ん」 

タッタッタ
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:18:27.53 ID:RC6p1yPRo

紬「はいは~い」 

梓「むぎ先輩・・・」 

紬「なぁに?」 

梓「私・・・」 

紬「・・・」 

梓「私・・・唯先輩のように強くなれるでしょうか・・・」 

紬「・・・」 

梓「自信・・・ないです・・・」 

紬「・・・つばさちゃんとも別れるものね」 

梓「・・・」 

紬「私たちはずっとあずさちゃんと一緒よ」 

ギュ 

梓「・・・はい」 

唯「お~い、むぎにゃ~ん」 

律「なんだよそれ」 

唯「むぎちゃんとあずにゃんを足して割った言葉だよ!」 

星奈「くっくっく、なんだそりゃ」 

澪「なにしてるんだ~、はやくこーい」 

紬「さぁあずさちゃん、行きましょう」 

梓「は、はい!」 

律「むぎと梓はなんで手を繋いでるんだ?」 

唯「私も~」 

ギュ 

星奈「いや、え・・・?」 

澪「脈絡の無いことするなっ」 

梓「むぎ先輩、ピアノリクエストしていいですか・・・?」 

紬「えぇ、アラベスクでいいかしら?」ニコニコ 

梓「はい!」 


5日目終了-------- 
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:25:56.44 ID:RC6p1yPRo

8月6日 



律「なんでまた浅草に来てるんだよ私たちは!」 

澪「昨日唯が言ってただろ」 

唯「参拝しなきゃバチが当たるよ!」 

紬「そうね!」フンス! 

梓「私とむぎ先輩は山寺でも参拝したんですけどね・・・」 

紬「あずさちゃん。日本にはたくさんの神様がいらっしゃるから、大丈夫よ」ニコニコ 

梓「そ、そうですね」 

律「どういう理屈だそれ」 

唯「ほらほら、りっちゃんも賽銭準備する!」 

律「へいへい。・・・って小銭がねぇ!」シマッタ 

澪「札か・・・景気がいいな」 

律「ちょっと両替してくる」 

梓「並びなおしたら乗り遅れますよ?」 

律「く・・・!」 

唯「神様もきっと喜んでくれるよ」 

律「神様はお金の額で歓天喜地しねぇよ」 

唯「かんてん・・・おいしい・・・?」 

澪「おい受験生・・・」 

紬「かんてんきち。天を仰いで喜んだり地にうつむいて喜ぶ事よ」 

唯「神様が天を見てたらなんか変だよ~」 

梓「そうですね。天は異次元を指してますから、天に居る神様が更に異次元を仰ぐのは変ですよね」 

律「いや、神前で変だとか言ってんなよ・・・」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:28:28.13 ID:RC6p1yPRo

澪「ほら、私たちの番だぞ」 

チャリーンチャリーン 

律「くぅ・・・」 

ヒラヒラ 

ジャラジャラ 

パンパン 

律(ヴェガの乗客みんなの旅が無事に終えますようにっ!) 

澪(みんなの旅が安全に終えますように・・・) 

紬(みんなが無事に旅を終えますように) 

唯(みんなと楽しく旅が出来ますように!) 

梓(先輩方の旅の安全と・・・) 

澪「よし、行こうか」 

律「・・・よし!」 

紬「えぇ」 

唯「あいよ!」 

梓「はい」 

澪「みんなは・・・って聞かなくても分かるような気がする」 

律「受験に失敗しませんようにだろ?」 

澪「違うだろ」 

唯「しまった!」 

梓「乗り遅れますよ?」 

紬「これから頑張りましょ唯ちゃん」 

唯「イエッサ!」ビシッ
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:29:47.40 ID:RC6p1yPRo

梓「あ・・・」 

愛「みなさん・・・」 

律「おー、愛ちゃんも参拝しにきたのー?」 

愛「い、いえ・・・私は人ごみに流されてしまって」 

澪「そうですか、それなら一緒にヴェガに戻りましょう」 

唯「戻ろう~」 

愛「は、はい」 

「おっとっと!」 

ドンッ 

律「・・・痛っ!」 

愛「・・・!」 

澪「り、律!」 

唯「りっちゃん!」 

「あ、ごめんなさい!大丈夫ですか・・・って律?」 

梓「せ、星奈さん?」 

澪「ほら、律つかまれ」 

ギュ 

律「おぅ、サンキュー」 

星奈「ごめん律・・・。大丈夫?」 

紬「りっちゃん大丈夫?」 

律「あー、星奈か~だいじょうぶ。ちょっと転んだだけだからさ」 

愛「・・・」ホッ 

星奈「昨日唯が参拝しようって言ってたでしょ?私もお願い事があったからさ」 

梓「昨日言ってた事ですか?」 

星奈「そういう事」 

唯「それなら一緒に行けばよかったのに~」 

梓「そうです!」 

星奈「ちょっと個人的な願い事なんでね・・・。律、本当にごめんね」 

律「いいって、気にするなよ」 

愛「・・・」 
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:31:49.86 ID:RC6p1yPRo

澪「雷門の所にいるのって・・・」 

律「金髪とメガネのコンビと言ったら・・・」 

エレナ「オー、みなさんお久しゅうでござるヨ!」 

小麦「やっほー!」 

律「って、なんで露店開いてんだよ?」 

唯「しばらく開かなくていいんじゃないの?」 

エレナ「今は時間を潰しているだけネ」 

澪「そっか、今戻っても中途半端に時間残るな」 

紬「そうね~」 

小麦「そういう事~」 

愛「あ・・・」 

修治「お、・・・みんな揃ってなにしてんの?」 

エレナ「オーお代官様ネ!」 

小麦「みんな~、修治君がお代払ってくれるって~」 

星奈「なににしよっかな~ルンルン」 

唯「わー!これかっわいい~」 

律「唯はこれがいいんじゃないか?」 

澪「お、おい・・・」 

紬「うふふ」 

修治「そ、そうだ!せっかくだから、みんなで記念撮影撮らないか?」 

梓「・・・」 

小麦「あ、いいじゃない賛成賛成!」 

星奈「修治もいいところに気がつくじゃん!」 

唯「撮ろう撮ろう~」 

修治「・・・よし」 

梓「・・・やりますね」 

修治「な、なんの事かな?」 

梓「どうしたんですか、そのバンソーコ」 

修治「さっき転んじゃってね・・・。さ、中野さんも並んで並んで」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:32:22.60 ID:RC6p1yPRo

愛「あの、私もよろしいですか・・・?」 

修治「もちろんだよ」 

紬「このカメラでお願します」ニコニコ 

修治「おっけー」 

律「あ、私もカメラ持ってこればよかった」 

澪「持ってきてたのか?」 

律「あぁ、ヴェガに忘れた」 

エレナ「修治サーン。よろしくお願しますネー」 

梓「・・・」ブイ 

紬「・・・」イエイ 

唯「いえーい」ダブルピース 

星奈「可愛くとってよー」 

修治「はいよ。・・・はい、チーズ!」カシャ 

小麦「あー!!」 

澪「どうしたの伊東さん?」 

星奈「分かった。目をつむっちゃったんでしょ~あれってマヌケだよね~」 

唯「あるよね~」 

小麦「ちっがーう!ハトがアクセ咥えて飛んでいったのー!」 

愛「私のせいなんじゃ・・・」 

エレナ「それは一大事件ですワ。追うネ!」タッタッタ 

星奈「なに?おっもしろそ~!私も~」タッタッタ 

律「よっしゃ!」タッタッタ 

澪「発車時間に間に合わせろよー!」 

律「あいよー!」 

梓「大丈夫ですかね」 

澪「エレナさんと伊東さんがいるから大丈夫だろ」
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:33:13.54 ID:RC6p1yPRo

梓「あれ?」 

唯「ん?」 

梓「唯先輩も追いかけると思ってました・・・」 

唯「やだな~、私そんなに子供じゃないよ~」モォー 

修治「遊びで追いかけて行った3人は子供なんだな・・・」 

澪「・・・むぎっ!?」 

紬「はい?」 

澪「い、いや。なんでもない・・・」 

紬「?」 

唯「愛ちゃんも追いかけていったのかぁ」 

修治「・・・」 

梓「先にヴェガに戻りましょうか・・・いい時間です」 

澪「まだ充分に余裕あるぞ?」 

修治「そういえば、みんなを見送るってつばさが張り切っていたな・・・」 

紬「急いでいきましょう」 

梓「そうですね!」 

唯「よぉーし!」 

澪「エンジンがかかったみたいな反応だな」 
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:34:37.52 ID:RC6p1yPRo

ガヤガヤ 

唯「なにかのイベントをやってるみたいだね~」 

梓「結構な人だかりですね」 

紬「なにかしら?」 

「みんな~っ!きてくれてありがとね!」 

唯「あ!」キラキラ 

「私、飯山みらいは今日からヴェガの一日車掌になっちゃうんだ!」 

澪「あー、あのアイドルの・・・」 

修治「テレビでよく見かけるよね」 

みらい「みらいは、車掌さんのお仕事ってあんまり、よくわからないけど、でもでも、やるからにはガンバッちゃうよ!」 

梓「よくわからないのに車掌するなんて、車掌さんに失礼なんじゃないですかねっ!」プンスカ 

澪「まぁまぁ」 

唯「みらいちゃんだ~」キラキラ 

みらい「だからみらいのこと応援してね~~~!」 

俺ら「「「  みらいちゃーん!!! 」」」 

みらい「みんなありがと~!」 

澪「警察署長なら聞いたことあるけど、車掌になるのは珍しいな」 

修治「一日ですむのかな・・・」 

みらい「あのねっ!みらいが車掌になる感想なんか聞いてみようとおもうんだけど・・・そうだなぁ」 

唯「みっらいちゃーん!」 

みらい「あっ、それじゃ、そこの元気なお姉さん!!」 

唯「?」 

紬「?」 

みらい「キミ~、どこをみているの!みらいはキミを指しているのだっ」 

唯「わ、わたし!?」 

梓「タイミング的に狙ってたような気がしないでもないですね」 

みらい「あはははは!やっぱり驚いてる!みらいが指名したんだから喜んでくれてもいいんじゃない?」 

修治「・・・」
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:37:13.20 ID:RC6p1yPRo

唯「光栄だよ~!」 

みらい「アイドルに指名されるなんて滅多にないことだもんね~」キャハ 

唯「その通りだね~」エヘヘ 

俺「」ギロッ 

澪「ヒアッ」 

紬「澪ちゃん私たちは先に行ってましょうか」 

澪「う、うん・・・」ビクビク 

梓「私も降りる準備がありますので、鳥羽さん唯先輩の事お願いします」 

修治「う、うん・・・」 

みらい「それじゃ、お姉さんのお名前から教えてくれる?」 

唯「唯だよ~」 

みらい「それじゃ唯くんはみらいが車掌さんになったらどんな事を期待する?」 

唯「みんなが楽しくなれるようにしてほしいな!」 

みらい「・・・」 

修治「・・・?」 

みらい「あははは、当然の事を言ってくれるね!」 

唯「えへへ~」 

修治「いや、褒めてはいない・・・」 

みらい「もしかして唯くんはヴェガに乗ってるの?」 

唯「そうだよ~、青森から乗車してます!」フンス! 

みらい「そうか、それじゃよろしく頼むぞ旅の仲間よ!なんてね」キャハハ 

唯「よろしく~!」 

みらい「それじゃ他の人にも聞いてみようかな、ありがとね~」 

唯「あいよ~」 

修治「周りの目がキツかった・・・行こうか平沢さん・・・」 

唯「あれ?みんなは・・・?」 

修治「先に行ったよ」 

唯「そっか~」 

修治「飯山みらいのファンなの?」 

唯「そうだよ!前にTVに出てた時ファンになったんだ~」 

修治「へぇ~」 

唯「あ、そだ・・・つばさちゃんは?」 

修治「つばさならヴェガにいると思うけど・・・」
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:44:15.07 ID:RC6p1yPRo


梓「それではよろしくお願します」 

車掌「かしこまりました」 

「我がままを聞いてくれて、ありがとうございます」 

車掌「いえいえ。ですが、この事は内密にお願します」 

梓「はい、分かりました」 

「分かりました」 

車掌「私とみなさんだけの秘密ですよ」ウィンク 

梓「は、はい!ありがとうございます!」 
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:45:02.30 ID:RC6p1yPRo

つばさ「あー!おそーい!」 

梓「ごめんね、つばさ」 

律「どこ行ってたんだよ梓~」 

梓「車掌さんに挨拶してきました」 

澪「そうか・・・」 

紬「唯ちゃんはどこかしら?」 

つばさ「唯さん来ないの・・・?」 

梓「すぐ来るよ」 

星奈「最後の挨拶をすっぽかす訳ないよ」 

つばさ「そうだよね」エヘヘ 

唯「おまたせしました~」 

澪「あれ、駅の売店に行くって言ってなかった?」 

唯「は、はい、行ってきました!」 

澪「やけに早いな・・・」 

梓「・・・」 

紬「・・・?」 

つばさ「それではみなさん、お兄ちゃんをよろしくお願します」ペコリ 

修治「なんで俺がお前によろしくされないといけないんだよ」 

つばさ「お兄ちゃん!どこ行ってたの!」 

修治「平沢さんにアドバイスを・・・って早いな、もうここにいるんだ?」 

唯「は、はい」 

つばさ「ん~?」ジロジロ 

唯「?」 

梓「ど、どうしたのつばさ?」 

澪「なんか変だな・・・」 

律「いつも変だろ唯は」 

唯「そんな事ないですよ。意外としっかりしてます」 

紬「・・・そういう事ね」クスクス 

つばさ「本当に唯さん?」ジロジロ 

唯「そ、そうだよ、つばささん」 

律「この感じどこかで・・・」 

星奈「デジャヴ?」 

澪「いや、デジャヴではなく・・・」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/04/05(火) 23:46:24.28 ID:RC6p1yPRo

「おぉーい、つばさちゃーん」 

つばさ「あ、唯さーん!」 

唯「・・・あれ!?私がいる!?」 

「お姉ちゃん・・・久しぶりだね」 

澪「お姉ちゃん!?」 

律「も、もしかして憂ちゃん!?」 

紬「うふふ」 

星奈「ドッペル?」 

修治「そんな現象なのか?」 

唯「ういー!!」ダキッ 

憂「お、お姉ちゃん・・・苦しい」 

梓「プクク」 

律「そこで肩を震わせている君。ちょいと聞きたい事があるんだがいいかね?」 

梓「な、なんでしょうか?」 

律「これは君が仕組んだ事なのかね?」 

梓「そ、そうです・・・」 

律「・・・グッジョブだ!」グー! 

澪「梓一人で計画してたのか?」 

梓「私たちがヴェガに乗る事を憂に話したら、とても羨ましがってたので・・・」 

憂「はい!梓ちゃんが東京で降りるから代わりに乗ってはどうかと誘われました」 

唯「あずにゃん偉い!」 

つばさ「梓さんすごーい!」 

梓「その褒め方は・・・」 

澪「でもよく許可できたな」 

梓「稚内で車掌さんに申請して、青森で許可が下りました」 

修治「なるほど、青森までに中野さんを見極めたって事か」 

星奈「いい子だと判断したわけね」 

梓「な、なんですかそれは」

次回 紬「超特急ヴェガ?」 その2