1: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/30(月) 23:25:02.16 ID:0Ho/jqYDO
――昼は砂漠の東京も、夜は煌めく海になる

――昔にそんな歌があった

――だが、今の莉嘉にはそんな夜ですら……孤独の海であった

莉嘉(みんな……私の誕生日なんてどうでもいいんだ)

(こんなんなら、パパとママにお祝いしてもらえばよかった……)

(キライ……大嫌い!)

(みんなも、P君も……)



(みんなに当たってばかりで、何もできずにいる私自信も……)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1532960701

引用元: 【モバマス】莉嘉「たまには魔法が解ける日も」 



3: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/30(月) 23:32:03.20 ID:0Ho/jqYDO
――城ヶ崎家

チュンチュン

莉嘉「ふあぁ……おはよう。パパもお姉ちゃんも行っちゃったの?」

母「もう、莉嘉ったら。もう10時よ。二人とも、まだいたら遅刻確定なんだから」

莉嘉「あふぅ……昨日は遅くまでレッスンがあったから」

母「嘘おっしゃい。夜遅くまでラインかメールをやってたんでしょ」

莉嘉「えへへ……バレちゃった」

母「で、本当にいいの?莉嘉の誕生会をやらなくて」

莉嘉「ん?うん、多分事務所のみんながお祝いしてくれるからね」

母「なら、準備していきなさいよ」

莉嘉「はーい」

4: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/30(月) 23:36:24.13 ID:0Ho/jqYDO
莉嘉(まぁ、実際は何も言われてないけどね)

(でもかな子ちゃんとか愛梨ちゃん辺りが、何かに理由つけてケーキをいつも作ってくれるもんね)

♪ボーカンヨサーラーバーゲキメツーノー

「ん?メール……クラスの友達からだ!」

「えへっ、莉嘉ちゃんは人気物ですなぁ」

(でも……)



(お姉ちゃんからも、Pくんや他のみんなからはまだ来ないんだ……)

5: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/30(月) 23:46:01.27 ID:0Ho/jqYDO
――事務所

莉嘉「おはようございまーす!」

モバP(以下P)「しーっ!」

莉嘉「えっ!ど、どうしたの?」

ちひろ「ごめんなさいね。みんなちょっと……」

P「おっ、いよいよだぞ」

奈緒「『たかお』来い……」

比奈「『まや』が来て欲しいっス」



『命名、護衛艦「まや」』

奈緒「あちゃー……」

比奈「よっしゃ!奈緒ちゃん、アイスゴチになるっス」

P「あーっ、くす玉が割れてない!」

菜々「えっ……大丈夫なんでしょうか」



莉嘉「むーっ」

6: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/30(月) 23:52:46.55 ID:0Ho/jqYDO
奈緒「はぁぁぁ……最近ついてないなぁ」

比奈「ドンマイっスよ。それより『まや』ってことは対空番長でカーニバルっスか?」

由里子「シンクロ率400パーセントだじぇ!」

P「あ、ゆりゆり、いたの?」

由里子「ひど!……こうなったら夏はPさん×武内Pモノで攻めていくじぇ!」

P「それはガチで止めろ!」

奈緒「しかし、進水式のシーンを見てると、アユマリンで撃沈された『むつ』を思い出すなぁ」

菜々「たしか真田さんの息子さんが乗っていた艦でしたね」

ワイワイ



莉嘉(……わからない話をしてる)

(ねぇ……莉嘉の……私の誕生日なんだよ)

8: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/30(月) 23:59:10.22 ID:0Ho/jqYDO
莉嘉(こうなったら、実力行使あるのみだよ!)

「Pくーん、今日は何の日か知ってるよね?」ダキッ

P「おう、莉嘉。いきなり抱き付くと、まゆに俺が刺されるから止めてくれ」

莉嘉「ふーんだ。答えるまで離さないもんだー!」

P「んー、明日はありすの誕生日だけど今日はこれといってあったか?」

奈緒「おぉ、そうか。今日は莉嘉の誕生日か」

比奈「13歳だったっスか?」チラリ

由里子「おめでとうだじぇ。ねぇ、菜々さん」チラリ

菜々「な、菜々は17歳ですから、比奈ちゃんや由里子ちゃんより年下ですよ!」

莉嘉「あはははー、奈緒ちゃんせいかーい!じゃあ、Pくん。プレゼントちょーだい」ヨコセヨコセ



P「あ、すまん。まだ買いに行ってない」

莉嘉「え……」

9: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:03:32.88 ID:WoOVXTQDO
奈緒「おいおい、Pさん。担当アイドルの誕生日プレゼントを忘れるなんて最低だぜ」

比奈「最低っスね」

由里子「最低だじぇ。なら、私から薄い本を……」

菜々「それはダメです!奈緒ちゃんや杏ちゃんにも見せて!いつも言ってるじゃないですか!」

P「すまんな。あとで食事でも行こうか」

莉嘉「ううん、いいよ。Pくんも忙しそうだし。それじゃあ、レッスンいってくるねー」タタタタ

ちひろ「いってらっしゃい」





莉嘉(……)

(馬鹿……)

(Pくんの……)

「馬鹿ーっ!」ナミダメ

10: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:09:37.14 ID:WoOVXTQDO
バタン

P「……」

「うぅ……」

菜々「だ、大丈夫ですか!?」

P「い……胃薬を……」キリキリ

ちひろ「スタドリなら胃痛胸やけ消化不良もあっという間に直りますよ」コト

奈緒「……気持ちはわかるぜ」

比奈「罪悪感でいっぱいっス」

菜々「でも美嘉ちゃんの帰ってくるまで、サプライズの準備を進めないといけませんし」

P「んー、美嘉のやつ、莉嘉のレッスン終了までに間に合うかなぁ」

奈緒「いざとなれば芳乃か智絵里に送ってもらえばいいんじゃないか?」



P「あ……」ワスレテタ

比奈「この計画、もしかしてあかんっスか?」

11: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:12:18.31 ID:WoOVXTQDO
…………
……

莉嘉(レッスンが終わったけど誰からも連絡がこない……)

(きらりちゃんもみりあちゃんも今日はいなかったし……)





(気がついたら私は夜の街を歩いていた)

12: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:16:40.67 ID:WoOVXTQDO
莉嘉(みんな、人の誕生日だからどうでもいいのかな)

(……でも私もあまり覚えてないし)

(お姉ちゃんのはスラスラ言えるけどね)





(でもやっぱり、みんなからお祝いして欲しかったな)

(シンデレラみたいに豪華じゃなくていいから)

(せめて不思議の国のアリスぐらい……)

(でも、今の私は……莉嘉は)

(マッチ売りの少女だよ……)

13: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:19:40.84 ID:WoOVXTQDO
莉嘉(お腹すいたな……)

(ウチに帰っても多分何もないだろうし)

(あ、ハンバーガー屋さんだ)

(でも、そういえば変装してないからマズイかな)

(こないだ、お姉ちゃんとPくんといたら、穂乃香ちゃんにバレちゃったから……)



(……やっぱり帰ろうっと)



「ほー」

「見つけましてー」

14: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:23:34.34 ID:WoOVXTQDO
莉嘉「えっ……」

「芳乃ちゃんに、智絵里ちゃん?」

智絵里「探したよ。さ、いこっか」

莉嘉「行くって……?」

芳乃「そなたがー、本日、唯一のシンデレラになれる場所でしてー」

莉嘉「シンデレラ……」

(その言葉の意味、すぐにはわからなかったけど)

「うんっ!」



「あーっ、莉嘉!探したからね!」

「み、美嘉さん。もう少し……」

「あ、ゴメンネ、千枝ちゃん」



莉嘉(えっ、この声は?)

15: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:27:39.25 ID:WoOVXTQDO
莉嘉「お姉ちゃん!?」

千枝「わわわっ、莉嘉ちゃんも目立っちゃいますよ」

莉嘉「ご、ごめん……でもなんでお姉ちゃんが?」

美嘉「まったく……今日はアンタの誕生日でしょうが。みんなもお祝いしたくてうずうずしてるから早く行くわよ」

莉嘉「えっ……みんなって……Pくんとかも?」

美嘉「当たり前よ。あのアイドルバカのプロデューサーだよ。忘れるわけがないじゃん★」

芳乃「でしてー」

智絵里「そだね」

千枝「はいっ!」



莉嘉「そっか……」グスッ

「そうなんだ」グスッ

「えへへ……」

16: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:29:38.22 ID:WoOVXTQDO
美嘉「じゃあ」スッ

莉嘉(お姉ちゃんが手を出す)

(私はその手をぐっと握って)

「うんっ!しゅっぱーつ!!」






(o・▽・o)&(●・▽・●)おたんじょうびおめでとー

17: ◆Vysj.4B9aySt 2018/07/31(火) 00:34:00.81 ID:WoOVXTQDO
おまけ

――7月31日0000

♪マレーヲマナミヘーハセークダール

ありす「……」

「ふふっ。日付が変わってわざわざメールを」

「プロデューサーさん。ありがとうございます」



(o・▽・o)&(●・▽・●)ありすちゃん、お誕生日おめでとー