1 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:18:11 ID:XaZRTt9w
男「幼、俺だよ、男だよ」
幼「…おとこくん?」
男「そうだよ、幼」
幼「おとこくんは、おにいちゃんみたいにおおきくないよー」
男「…幼」
幼「おにいちゃんは、おとこくんのおにいちゃん?」
幼「おとこくんはどこ?」
幼「きょうきてくれるって、ママがいってた!」
幼「どこにいるの?」
2 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:18:47 ID:XaZRTt9w
男「…ご、ごめんね、幼ちゃん。男は今日は来てないんだ…」
幼「えー。おとこくんにあいたいー!あいたい!あいたいー!」
男「…」
男「幼…お前は、そうじゃないだろう…?」
幼「えー?」
男「も、もっとさ、いつもみたいにさ」
男「意味の無い会話を、延々続けたりさ…」
男「理不尽で暴力的なツッコミ入れたりさ…」
男「俺の事、悪く言ってもいいからさ…」
男「お、俺の事…お、思い出してくれよ、幼…」
3 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:19:26 ID:XaZRTt9w
幼「おにいちゃん、ないてるのー?」
男「…う、ううん。違うよ!」
男「泣いてないよ、大丈夫だよ!」
幼「そっかー。ならいいやー」
幼「はぁあー。おとこくんにあいたいなー」
男「…ごめんな、幼」
4 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:20:02 ID:XaZRTt9w
・
・
・
男「おばさん…」
幼母「ごめんね、男ちゃん…辛い思いさせちゃって…」
幼母「でも、男ちゃんの顔を見れば、何か…」
幼母「何か、思い出すかと思って…本当にごめんね…」
5 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:20:42 ID:XaZRTt9w
男「あ、謝らないで、ください…」
男「幼がああなってしまった責任は俺にあるんだから…」
男「謝るのは、俺の方…だから…」
・
・
・
男「…どうしてこんな事に、なっちまうかなぁ」
男「幼…」
6 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:21:37 ID:XaZRTt9w
…3日前…
ガラッ
幼「男、覚悟出来てる?」
男「…んあ?なんだよ、幼…急に窓開けるなよ…」
幼「ちょっと。昼間っから寝てたの?」
男「昨日、遅くまで勉強してたんだよ…」
男「もうちょっと寝かせてくれよ…」
7 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:22:43 ID:XaZRTt9w
幼「もう!ちゃんと覚悟は出来てるんでしょうね?」
男「は?何だって?何が出来てるかって?」
幼「覚悟だよ、覚悟」
男「何の覚悟だよ」
幼「…じゃあ、寝ぼけている男に」
幼「特別に覚悟を決める時間をあげよう!」
男「ありがとうございます?」
幼「10分後に、また来るからね!」
8 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:23:16 ID:XaZRTt9w
幼「今日と言う日が、何の日なのかをちゃんと思い出して!」
幼「そして、覚悟を決めてね!」
幼「じゃ!」
ガラガラピシャッ
男「…今日?」
男「…」
男「あ!」
男「今日、幼の誕生日か!」
男「寝ぼけてたぜー」
男「まぁ、プレゼントは1ヶ月前に買ってあるしな」
男「大丈夫」
男「…別に覚悟が必要な事じゃあないけどな?」
9 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:24:02 ID:XaZRTt9w
ガラッ
幼「…覚悟、出来た?」
男「おう、出来てるぞ!」
幼「ほ、本当に?」
男「おう、取り敢えず、危ないから部屋に入れよ、幼」
幼「入る前にはっきり聞かせて!」
男「何を?」
幼「本当に、良いんだね?」
10 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:24:51 ID:XaZRTt9w
男(あれ?ひょっとして誕生日の事じゃない?)
幼「…男、約束は覚えてるよね?」
男「お、おう。覚えて…るぜ?」
幼「…」
男「と、取り敢えずさ、部屋に入れよ、幼」
男「そこ、危ないからさ」
幼「…覚えて、ないんだね?」
11 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:25:43 ID:XaZRTt9w
男「今日は幼の誕生日、だろ?」
幼「…」
男「ち、ちゃんとプレゼントも用意してあるんだぜ?」
男「ほら、先月、誕生石がはめられてる装飾品が欲しいって言ってただろ?」
男「凄く綺麗なネックレスだぜ?」
12 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:26:29 ID:XaZRTt9w
幼「…ぐすっ」
男「え?何で泣く?」
男「あ、う、嬉し泣き…じゃ…ないよ、ね?」
幼「男のバカッ!」
ズルッ
幼「あっ!」
ゴスッ
男「幼!幼っ!」
13 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:27:17 ID:XaZRTt9w
・
・
・
男「おばさんっ!」
幼母「あっ!男ちゃん…」
男「幼は大丈夫なんですか?」
幼母「頭を強く打って…」
幼母「まだ目を覚まさないの…」
14 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:28:19 ID:XaZRTt9w
男「あ、会えますか?」
幼母「面会謝絶なのよ…」
男「そ、そうですか…」
幼母「何度言っても、窓から入るのを止めなかった、あの子が悪いのよ…」
幼母「ごめんね、男ちゃん…」
男「いえ、俺の方こそ、すみませんでした…」
男「とりあえず、今日は帰ります…」
15 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:29:16 ID:XaZRTt9w
…1時間前…
男「ほ、本当ですか!」
幼母『今、目を覚ましたのよ…』
男「す、すぐ行きます!」
幼母『あ、男ちゃん、ちょっと待って!』
男「今、行きます!」
プツッ
16 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:30:11 ID:XaZRTt9w
…10分前…
男「…え?記憶喪失?」
幼母「…そうなの」
幼「でもね、何も覚えてない訳じゃないのよ」
男「?」
幼母「5、6歳くらいの子供みたいになっちゃってるのよ…」
男「え?」
17 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:30:53 ID:XaZRTt9w
幼母「それでも、あの子に会ってくれる?」
男「は、はい!もちろんです!」
男「幼!」
幼「…だれ?」
・
・
・
男「…あの時、幼は…何で…」
男「…約束…って、何だっけ…」
18 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:32:10 ID:XaZRTt9w
・
・
・
幼母「男ちゃん、今日も来てくれたのね」
男「…はい」
幼母「ありがとうね…」
幼母「一応脳波の検査とかは終わってね」
幼母「異常はなしって事になってるんだけど」
19 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:32:58 ID:XaZRTt9w
男「あの…幼の記憶は…戻るんですよね?」
幼母「それが…医者もわからないって…」
幼母「何かのきっかけで、急に思い出す事もあるらしいけど…」
男「幼の記憶が戻るまで、毎日来ます!」
・
・
男「こんにちは、幼」
幼「あ、きのうのおにいちゃんだー」
幼「きょうはおとこくん、きたー?」
20 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:33:40 ID:XaZRTt9w
男「ごめんね、男も今は病気なんだ」
男「かわりにお兄ちゃんが来たんだよ」
幼「おとこくん、だいじょうぶ?」
男「うん…大丈夫、大丈夫だからね」
幼「おにいちゃん、またないてるのー?」
男「泣いてないよ、幼ちゃん」
幼「そお?」
21 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:34:24 ID:XaZRTt9w
男「幼ちゃんは何をしていたの?」
幼「えへへー。えほんよんでたんだー」
男「それじゃ、お兄ちゃんに聞かせてくれる?」
幼「いいよー。おさな、よむのとっってもじょうずだよ!」
男「楽しみだなぁ」
幼「それじゃ、はじまりはじまりー」
男「…」
22 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:35:25 ID:XaZRTt9w
幼「はくしゅは?ちゃんとはくしゅないとおはなし、はじまらないよ?」
男「あ、ごめんごめん」
男「わー。幼ちゃんの絵本読むの、楽しみー」
パチパチパチパチ
幼「はい!それじゃあ、はじめます!」
・
・
・
幼「こうして、おにがしまからもどったももたろうは」
幼「おじいさんとおばあさんと、いっしょに」
幼「いつまでもしあわせにくらしましたとさ。おしまい」
男「…」
23 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:37:04 ID:XaZRTt9w
幼「はくしゅは?おにいちゃん!」
男「わ、わーーー。幼ちゃん、読むの上手だねー!」
パチパチパチ
幼「えへへー。そうでしょ?」
幼「せんせいにも、おとこくんにもじょうずっていわれたんだよー」
男「…目を覚ましてくれよ、幼」
幼「えー?おさな、ちゃんとおきてるよー?」
男「そうだね、幼ちゃんは起きてるもんね」
24 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:37:50 ID:XaZRTt9w
幼「でもねー」
男「うん?」
幼「おひめさまの、めをさまさせるのは~」
幼「おうじさまのちゅーなんだよ!」
男「…幼」
幼「あはは。いまのはようちえんでよんだ」
幼「えほんのおはなしだからねー」
幼「でもー」
幼「おさながずーとねてたらー」
幼「おとこくんが、ちゅーしておこしてくれるかなー?」
25 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:38:33 ID:XaZRTt9w
幼「でもでもー」
幼「おさなはねー」
幼「おとこくんとけっこんするってやくそくしたからねー」
幼「けっこんするまではー」
幼「ちゅーできないんでしたー」
男「!」
男「や、約束…?」
26 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:39:18 ID:XaZRTt9w
幼「うん!ようちえんでねー」
幼「やくそくしたの!」
幼「ふたりともじゅうはちさいになったら」
幼「ちゅーして、けっこんするんだよ!」
男「…あぁ、そうだ…あの時…」
27 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:39:54 ID:XaZRTt9w
…13年前…
幼「こうして、めをさました、おひめさまは」
幼「すてきなおうじさまとけっこんして」
幼「ずっとしあわせにくらしました。おわり」
男「おさなちゃん読むのじょうずー」
パチパチ
幼「せんせー、けっこんってなぁに?」
先生「結婚っていうのはねー」
先生「好きな人と、チューして、ずーーっと一緒にいるっていう事だよー」
28 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:41:13 ID:XaZRTt9w
幼「じゃあ、おさな、おとこくんとけっこんするー」
男「え?」
幼「おさな、おとこくんのこと、だいすきだもん!」
幼「おとこくんはー?」
男「ぼくも、おさなちゃんのことだいすきだよ!」
幼「じゃあ、けっこんねー」
29 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:42:08 ID:XaZRTt9w
男「けっこんってどうやるの?」
幼「ちゅーして、ずーっといっしょにいればいいんだって!」
男「わかった!じゃあ、おさなちゃんとちゅーして、ずっといっしょにいる!」
先生「ちょ、ちょっと待ってー。幼ちゃーん、男くーん」
幼・男「はーい」
先生「結婚っていうのはねー、大きくならないと出来ないのよ?」
幼「おおきくってなにがー?」
先生「2人とも、お誕生日をあと10回以上やらないと」
先生「結婚は出来ないんだよー」
30 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:43:09 ID:XaZRTt9w
幼「えー!いまけっこんしたいー!」
男「ぼくもぼくもー!」
先生「じゃ、じゃあ、今は2人で約束だけしておけばいいんじゃない?」
幼「やくそく?」
先生「そう、お約束」
幼「どんな?」
先生「2人が18歳になったら、結婚する、とか?」
幼「じゅうはっさいってじゅうはち?」
先生「そう、2人とも、18歳になったら、結婚できるよ」
31 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:43:56 ID:XaZRTt9w
先生「チューするのは、結婚する時に、ね?」
幼「じゃあ、ほんとはいまがいいけど、じゅうはちさいになったら」
幼「おさなとけっこんね?おとこくん!」
男「わかった!けっこんね!」
幼「ぜったい、わすれちゃだめだからね!」
男「ぜったいわすれない!けっこん!」
先生(フフ。きっとすぐに忘れちゃうんだろうなぁ)
32 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:44:48 ID:XaZRTt9w
…8年前…
幼「あと8年だね、男くん!」
男「ん?」
幼「まさか、約束忘れてる?」
男「何の約束?」
幼「…今日でわたし、10歳だよ?」
男「知ってるよ。さっきまで、幼ちゃんの家で誕生会、やってたじゃん」
33 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:45:44 ID:XaZRTt9w
幼「結婚!」
男「あ!幼稚園の時の約束な?」
幼「絶対忘れないって言ったのに!」
幼「毎年、わたしの誕生日に言わないと、絶対忘れちゃうでしょ!」
男「わ、忘れてないよ!」
幼「本当に?」
男「ほんとほんとー」
34 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:46:33 ID:XaZRTt9w
幼「わたしと、結婚したくないの?」
幼「…わたしの事、嫌いなの?」
男「嫌いじゃないよ!幼ちゃんの事、好きだよ!」
幼「じゃあ、約束!」
男「大丈夫!絶対忘れないから!」
幼「じゃあねー」
幼「わたしの18歳の誕生日にねー」
幼「男くんの部屋に、行くから!」
35 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:47:32 ID:XaZRTt9w
男「毎日ゲームやりに来てるじゃん」
幼「そう言うんじゃなくて!」
幼「約束、ちゃんと覚えてたら、部屋に入れてね?」
男「また窓から入ってくるのかよー」
男「急に開けて入ってこられたら、びっくりするしさー」
男「それに、幼ちゃん、何回か滑って落ちそうになってるでしょー?」
男「危ないから、玄関から入ってきてよー」
幼「いいから!ちゃんと覚えててよね?」
幼「それまで、わたし何も言わないからね!」
男「わかったわかったー」
36 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:48:23 ID:XaZRTt9w
…1年前…
幼「はーい。私、今日で17歳になりましたー」
男「知ってるよ、俺もだし」
男「おめでとさん。プレゼント、このぬいぐるみで良いんだよな?」
幼「はーい、そうでーす。毎年ありがとねー」
男「幼は欲しい物言ってくれるから、選ぶの楽だよ」
37 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:49:16 ID:XaZRTt9w
男「ぶっちゃけ母ちゃんの方が面倒だよ」
幼「ふーん、おばさんってどんなの欲しがるの?」
男「まず最初に現金って言いやがるんだ」
幼「あはは、おばさんらしいじゃん」
男「で、金の次は?って聞いたら、自分で考えろって言うんだよ」
幼「ちなみに今年は何あげたの?」
男「帽子あげた」
幼「なんで帽子?」
38 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:50:26 ID:XaZRTt9w
男「庭で草木の手入れする時、だっさい麦わら帽かぶってたからさ」
男「ちょっとカッコ良いヤツ、あげた」
幼「へー。おばさん喜んでた?」
男「喜びすぎて、外行き用の帽子になった」
男「だから本来の目的は果せなかったって事になるな」
男「今も庭で作業する時は、だっさい麦わら帽かぶってるよ」
幼「あははー。そういう所もおばさんらしいじゃん?」
男「まぁなー」
39 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:51:20 ID:XaZRTt9w
幼「男、私が本当に欲しいもの、わかってる?」
男「は?」
男「そのクマじゃねーの?」
幼「…」
男「おいおい!幼が欲しいって言ったんじゃん」
幼「来年…」
男「ん?来年?」
幼「これ以上は何も言わないっ!」
男「…18歳」
幼「!」
40 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:52:45 ID:XaZRTt9w
男「18歳だよなぁ、来年」
幼「そ、そうだよ、18歳になるんだよ!」
男「運転免許取れるなー」
幼「…」
男「アダルトビデオを堂々と借りられるな!」
幼「ばかっ!それは高校卒業してからだよっ!」
男「じょ、冗談だよ、そんなに怒るなよ」
幼「…ばーか…」
41 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:53:31 ID:XaZRTt9w
・
・
・
男「…あぁ、そうか…幼…や、約束…」
幼「おにいちゃん、またないてるの?」
幼「だいじょうぶだからねー」
幼「おさながいいこいいこしてあげるねー」
ナデナデ
男「!」
幼「おにいちゃんが、なかないようにー」
ナデナデ
42 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:54:22 ID:XaZRTt9w
幼「げんきでたー?」
男「幼…」
男(…お姫様の眠りを覚まさせるのは、王子様のキス…)
男(…)
男「幼ちゃん」
幼「なあに?」
男「ちょっとだけ、目を瞑っていてくれる?」
幼「なんでー?」
43 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:55:28 ID:XaZRTt9w
男「ちょっとだけだから、ね?」
幼「いやっ!」
男「本当に、お願いだから!」
幼「おにいちゃん、こわい!」
幼「ママー!ママーー!こわいよー!」
幼「うぁーーーーーん!」
看護師「ちょ、ちょっと!何してるんですか!」
幼母「お、男ちゃん?」
44 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:56:08 ID:XaZRTt9w
看護師「見た目は18歳でも、中身は子供なんですよ?」
男「あ、あの、ちょっとだけ、あの…」
幼「うわぁーーーーーーーん!ママー!」
看護師「もう、今日は帰ってください!」
幼母「男ちゃん、今日は、ね?」
男「…は、はい」
45 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:56:49 ID:XaZRTt9w
・
・
・
男「…おばさん、昨日はすみません」
幼母「私は男ちゃんの事、信じてるわよ!」
男「幼は?」
幼母「今は寝てるけど…」
男「…その方が都合がいいです」
男「ちょっとだけ、会わせてください」
幼母「信じてるからね、男ちゃん!」
46 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:57:52 ID:XaZRTt9w
・
・
幼「すーすー」
男「…幼」
男「…お姫様の」
男「眠りを覚ますのは…」
男「王子様の、キス…」
男「…」
チュ
パチッ
幼「!」
47 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:58:42 ID:XaZRTt9w
男「あっ、幼ちゃん、起きちゃった?」
幼「…今、私にチューした?」
男「ご、ごめんね、幼ちゃん」
幼「なっ…なっ…」
幼「何を…何をしてくれてるのよっ!」
バキッ!
男「へぶっ」
バタッ
48 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 17:59:41 ID:XaZRTt9w
幼「お、男!…一体どう言うつもりっ?」
男「お、幼、俺の事がわかるのか?」
幼「わ、わかるもなにも…」
幼「…あれ?ここどこ?」
男「ここは病院で、お前は、2階から落ちて…」
幼「あっ!」
49 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:00:39 ID:XaZRTt9w
看護師「騒がしいと思ったら、また、あなた!」
男「あ、看護師さん、違うんです!」
医師「どうした、騒々しい!」
看護師「あ、先生!この子、昨日も無理やり…」
医師「なにっ?無理やりだと?」
医師「ん?顔に殴られたような痕があるな?」
医師「…なるほど、幼ちゃんに、無理やり変な事をしようとして…」
50 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:01:22 ID:XaZRTt9w
男「ち、違うんです、ちょっと落ち着いて!」
男「記憶!記憶が戻ったんです!」
幼母「えっ?」
看護師「えっ?」
医師「えっ?」
男「な?幼?俺の事、解るよな?」
51 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:02:07 ID:XaZRTt9w
幼「…だれ?」
男「…」
幼母「…」
看護師「…」
医師「…」
男「いやいやいや!さっき、いつもの調子で、俺の顔殴ったろ!」
男「名前も、ちゃんと!」
52 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:03:22 ID:XaZRTt9w
幼母「…幼?」
幼「…」
幼「…すみません、色々全部、思い出しました…」
幼母「…幼ちゃん、良かった」
看護師「本当に思い出したの?良かったー!」
医師「えっ?マジで?えっ?マジで?」
53 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:04:09 ID:XaZRTt9w
男「何で2回言ったんですか?」
男「…って、先生、よく見たら、何ですかその格好」
医師「えっ?あっ!」
看護師「ホントだ先生、何ですか、その格好?」
幼母「…白衣じゃなくて…スモック?」
男「…手作り?」
医師「あ、あの…」
54 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:05:12 ID:XaZRTt9w
幼「幼児の気持ちを知るには、まず見た目から…」
幼「って、言ってましたよね…」
幼「あ、赤ちゃん言葉で…」
一同「…」
看護師「…先生、ちょーっと外で話しましょうか?」
医師「ち、違う!そんなんじゃなくて!」
看護師「せ・ん・せ・い?」
医師「…ハイ」
55 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:05:56 ID:XaZRTt9w
看護師「後でまた来ますから」
看護師「記憶戻って良かったわね、幼さん」
幼「あ、ありがとうございます」
幼母「本当に…良かった…」
幼母「あっ!お母さん、ちょっと売店で飲み物買ってくるわね」
幼母「男ちゃん、幼の事、よろしくね?」
男「は、はい」
56 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:07:08 ID:XaZRTt9w
幼「…」
男「…」
幼「あの、さ」
男「何?」
幼「さっきは殴ってごめん…」
男「い、いや、いいよそれは」
男「む、無理やり…キスした俺が、悪いし」
幼「…」
57 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:07:46 ID:XaZRTt9w
男「あの…ちょっと聞きたい事、あるんだけど」
幼「何?」
男「ぶっちゃけ、この1週間の記憶ってあるの?」
幼「…ある」
男「そ、そうか…」
幼「…何よ?」
58 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:14:43 ID:XaZRTt9w
男「ごめん!」
幼「え?」
男「あれだけ言われてたのに、約束忘れてごめん!」
幼「…」
男「昨日、幼が言ってくれて、全部思い出した」
幼「…」
男「…それでさ、幼」
幼「…」
59 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:15:45 ID:XaZRTt9w
男「さっきはバタバタして、ちゃんと言ってないから」
男「改めて、言うけどさ」
幼「…」
男「幼さん、俺と結婚してください」
男「まぁ、大学に合格して、卒業して、就職出来た後…だけど」
幼「…いいの?約束忘れてたのに」
男「俺さ、幼稚園の頃の約束は忘れてたけどさ」
60 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:16:43 ID:XaZRTt9w
男「幼の事、好きなんだ」
男「長年の付き合いでさ」
男「いつも一緒に居てさ」
男「普通に、一人の女の子として、好きなんだ」
男「だから、俺と結婚してください」
幼「…嬉しいよ、男」
幼「私、すごく不安だったんだー」
61 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:17:24 ID:XaZRTt9w
幼「幼稚園の頃の約束でさー」
幼「男の人生を縛るのはどうかな?って思ったり」
幼「でも、私は幼稚園の頃からずーっと男の事が好きだし」
男「…」
幼「そんな事色々考えて、ぐちゃぐちゃになっちゃって」
幼「わかんなくなっちゃってたんだよねー」
幼「約束も大事だけど、やっぱりちゃんと気持ち確かめるべきだったね」
62 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:18:00 ID:XaZRTt9w
幼「私も、男の事が大好きです」
幼「私を、男のお嫁さんにして下さいっ」
男「…幼」
幼「ね、もう一度、ちゃんとキスして?」
男「…うん」
幼「…」
チュ
ガラッ
幼母「お茶で良かったわ…よ…ね?」
63 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:19:02 ID:XaZRTt9w
幼「!」
男「!」
幼母「あ、あはは。ちょーっと、お母さん空気読めて無かったわね?」
幼「ち、ちがっ!お、おかあさんっ!」
ガタッ
男「幼、危ない!」
ガシッ
ゴスッ
バタッ
64 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:19:33 ID:XaZRTt9w
幼「ちょ、ちょっと男!大丈夫?ねえ!」
男「」
幼「男っ!男!」
・
・
・
幼「…何でこんな事に…」
幼「倒れる私を庇って自分がこんな事になるなんて」
幼「男、あんたバカよ。大バカよ…」
幼「…ねぇ、男」
65 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:21:55 ID:XaZRTt9w
男「…だれ?」
幼「…」
幼「だーーーーーーーーーー!」
幼「何で!今度は!アンタが記憶喪失なのよ!」
男「おねえちゃん、こわいー」
幼「昭和か!」
幼「何で机の角に頭ぶつけたくらいで記憶喪失か!」
66 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:23:50 ID:XaZRTt9w
男「おさなちゃんにあいたいよー」
幼「あんたの目の前にいるでしょ!」
男「うわーーーん」
幼「キスか!私の時と同じで、キスすれば目を覚ますのか?」
ガシッ!
男「うわーーーーーーーん」
幼「泣いてないで、観念しなさい!男!」
67 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:24:52 ID:XaZRTt9w
ガラッ
女医「ちょっと!何をしてるんですか?」
幼「あ、ちょっと…ショック療法を…」
男「うわーーん!せんせーちゃんー」
男「このおねえちゃんが、こわいよー」
女医「あらあら、男ちゃん。大丈夫ですからねー?」
男「うぅ…せんせーちゃんー」
女医「ほら、先生ちゃんが傍に居ますからねー?」
幼「…」
68 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:25:39 ID:XaZRTt9w
女医「アナタ、無理やり何かしようとしたのね?」
女医「駄目よ、そんな事しちゃ!」
幼「それについては、ごめんなさい」
幼「…ところで先生、その格好は何ですか?」
女医「え?あっ!こ、これは…その」
幼「…手作りのスモック?」
看護師「あっ!先生!こんな所に居た!」
女医「あっ!看護師君」
69 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:26:36 ID:XaZRTt9w
看護師「って、何してるんですか?」
看護師「男君は先生の担当じゃないでしょ!」
女医「…だって、見た目は高校生、中身は子供」
女医「このギャップ、YESじゃない?」
看護師「YESじゃないですよ!まったく!」
看護師「て言うか、その格好は何ですか?」
70 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:27:22 ID:XaZRTt9w
看護師「年、考えて下さいよ!」
女医「と、年の事は言うなー!」
男「せんせーちゃんをいじめるなー!」
幼「…何、このカオスな状況」
看護師「とにかく!行きますよ、先生!」
女医「…はい、男ちゃん、またねー」
男「せんせーちゃん、またきてねー!」
71 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:28:19 ID:XaZRTt9w
幼「…」
男「おねえちゃんはかえらないの?」
男「ぼく、おさなちゃんにあいたいなー」
幼「…今すぐ会わせてあげるわよ!」
男「ほんとー?わーーい!」
幼「目、覚ましなさいよ、男!」
幼「…ん」
チュッ
72 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:29:35 ID:XaZRTt9w
・
・
・
男「いやあ、一時はどうなる事かと思ったよな」
幼「思ったわね、本当に」
男「入院して遅れた分、受験勉強頑張らねーとな」
幼「私達、結構ギリギリだもんね」
男「…頑張ろうな、この先も、一緒にさ」
幼「…うん、一緒に、ね」
73 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:30:25 ID:XaZRTt9w
男「二十歳になったらさ」
幼「うん?」
男「幼の誕生石が入った指輪をさ」
男「婚約指輪として、ちゃんと渡すからさ」
幼「…うん」
男「取り敢えず、今はそのネックレスで我慢しててくれよな」
74 : ◆L0dG93FE2w:2012/07/08(日) 18:31:15 ID:XaZRTt9w
幼「これ、ずっと着けてるからね?」
幼「今度こそ、約束、忘れないでよねっ?」
男「おう!絶対忘れない!」
男「…記憶喪失にでもならない限り」
幼「ちょっと!それはフリじゃないわよね?」
男「そこは信じてくれよ!」
おわり
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