1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:21:15.13 ID:bfQrURwt0

ヴァンガードSSですだよおお ^0^
アイチきゅんと櫂くん中心。

※イメージ補正推奨。<イメージしろ!

※現在アニメでチーム戦始まってますが、描写では個人戦となっています。

※とんでも設定や、描写の至らない点等有るかと思います。
 先に謝っておきます。ごめんなさい。
 最後らへん駆け足です。
 二次創作と割切って広い心で読んでいただければ幸いです。

引用元: QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」アイチ「え?」 



2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:22:34.39 ID:bfQrURwt0
QB「そうだよ、先導アイチ!僕と契約して魔法少女になってよ!^^」

アイチ「え…え~と…」
   (な、なんだろう?この動物?…ここ僕の部屋なのに、一体どこから…?)

アイチ「と、とりあえず、えっと、僕は男だから魔法"少女"っていうのはちょっと…」

QB「? そんなこと、契約してしまえば君が心配することはないさ!
  アイチには性別さえ凌駕してしまうすばらしい素質があるのだから」

アイチ「えと…えと…」アセアセ

QB「僕は君の願いをなんでも一つだけ叶えてあげられるよ!」

アイチ「ね…願いを…?」

QB「そうさ、願いはなんでもいいんだよ!
   その代わり、君は魔法少女になるんだ!
   君には今までの魔法少女とは違う特別な魔力を感じる…
   アイチならきっと、不可能を可能にすらしてしまう魔法少女になれるよ!」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:23:43.55 ID:bfQrURwt0
アイチ(…願い……魔法少女…)
   (…気弱で誰の役にも立てないような僕でも…魔法少女になれば…)

QB「さぁ、アイチ…君の願いを僕に聞かせてごらん?」

アイチ「…僕…は……」

「アイチィィーーーーー!!!」トビラバーーン!!!!!!!!!


アイチ「?! エミ?!」
(!! ま、まずい!変な動物を見られ…)

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:25:18.81 ID:bfQrURwt0
エミ「もぉ、アイチのお友達?が迎えに来てるわよ?
   どうせあのカードショップで、ヴァンガードファイトするんでしょ?」

アイチ(…あれ?エミには見えて…?)
   「!! あぁっ…!もうこんな時間…?!」

アイチ(放課後に森川くんたちとヴァンガードファイトの約束して…
    デッキを組み直してたらいきなりこの動物が現れて…!
    うわぁ!!カードばらばらだよぉっ…!)アセアセセ

ドバラバラ…

エミ「あーもー…見てらんない…ほら、これとこれと、
   ここにも落ちてる……はい!」テキパキテキ

アイチ「ありがとう!エミ…」

エミ「ほら、さっさと行きなさいよ」

アイチ「うん!」

QB『僕もついていっていいかな?』

アイチ「ひっ?!」

エミ「? どうしたの?アイチ」

アイチ「あ、いや…」

QB『驚かせてごめんね、普通の人には僕の姿は見えないんだ
   このテレパシーは僕の力だけど、アイチも同じように心の中で
   語りかけてくれれば僕に聞こえるよ』

アイチ『そ、そぉなんだ…び、吃驚した…エヘヘ』

QB『しばらく君と一緒に行動を共にさせてもらってもいいかな?』

アイチ『まぁ…構わないけど…』

エミ「?? アイチ?どうしたの?ぼーっとして…」

アイチ「ぅえぇ?!あ、だ、大丈夫大丈夫!!い、行ってくるね!!」スタタタ≡3

エミ「……変なアイチ…」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:26:17.82 ID:bfQrURwt0
――森川&井崎と合流


森川「アイチ!この俺がせっかくファイトしてやるってのに
   待たせるたぁどーいうことだぁ?
   …ま、最強の俺を前に恐れをなすのも当然だがな…」

井崎「ハハハ、アイチはデッキでも組み直してたんダロ?」

アイチ「ぅん…まぁ…」
   (か、肩の上にあの動物が乗ってるけど落ち着かないよぉ…
   これ本当に見えてないの…?)

QB『大丈夫だよ、アイチ。彼らに僕は見えていない…
   あ、あと僕の名前はキュウべぇ!よろしくね!^^』

アイチ『よ、よろしく…』

井崎「? …アイチィ?なんかお前視線がキョロキョロしてないか?」

アイチ「え?!そそそうかな…ちょっと緊張しちゃって…」

森川「まぁ無理もないわな…なんせ最強の俺様とry」
井崎「ハハハ」

アイチ(うぅ…ちゃんとファイトできるかなぁ…)

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:27:22.26 ID:bfQrURwt0
――カードショップ キャピタル

新田「おや、いらっしゃ~い」
ミサキ「……」チラ
店長代理「んにゃ~~」アクビ

森川「いよーっし!早速ファイトだ!」

井崎「元気イイナア゛ー」

QB『アイチ、これから何が始まるんだい?』

アイチ『ええと…ヴァンガードっていうカードゲームで
    学校の授業でも扱われるくらい流行ってるんだ』

QB『なるほどねぇ、アイチはそのヴァンガードが好きなんだね?』

アイチ『うん!遊び方を覚えたのは最近だし負けてばかりだけど…
    すごく楽しいよ!』

森川「席とったりー!おーい、アイチ!始めるぞ!」机バンバン

ミサキ「…るさい、静かにしな」

井崎「ハハァ…すみません…」

アイチ「あ、うん!」
(…やっぱり、新田店長やミサキさんにもキュウべぇは見えてないんだ…)


アイチ&森川「「スタンドアップ!ヴァンガード!!!」」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:28:55.14 ID:bfQrURwt0
――とある帰り道の高校生ふたり


三和「おーい!カイ!」

櫂「……」

三和「今日はキャピタル寄ってくのか?」

櫂「…俺は行かない」

三和「なーんだよ、ツレねーなぁ…
   例の中学生が、またお前とファイトしたがってたぞ?」

櫂「……ふん」スタスタ

三和「って本当に帰るのかよ…」

(…ま、いつものことだし…無理に引き止めることもないか…)


――再び カードショップ キャピタル


アイチ「…うぅ…」

森川「ま、トーゼンだな」

新田「おやおや…?」

井崎(アイチの奴、森川に負けるなんて…アチャー)

アイチ(だ、だめだ…全然イメージが足りなかったよ…)


QB『アイチ、負けちゃったんだね』

アイチ『!う、うん…』

QB『僕はこのカードファイトの詳しいシステムは分からないけれど
   アイチは頑張っていたと思うよ
   …きっと僕の存在が気になっていつも通り集中できなかったんだろう?』

アイチ『そ、そんなことないよ…!
    僕はまだ初心者だし、勝つほうが珍しいんだから…
    …それに、負けちゃったけどこのファイトも楽しかったよ』

QB『…アイチ…君はこのヴァンガードで最強になりたいのかい?』

アイチ『えっ…?!』

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:30:55.04 ID:bfQrURwt0

新田「アイチくんは…今日は調子が悪いのかな?」

井崎(俺も思ッタァ゛!)

森川「あん?」

アイチ「え?!そ、そそんなことないです!普通です!
    も、森川くん、ファイトしてくれてありがとう!
    えと、ぼ、僕ちょっと急用思い出して…
    今日はこのへんで……ご、ごめん!!!!!」アタフタ

森川「はぁ?ちょ、おいアイチ!」
井崎「アイチ?!」
新田「アイチくん?!」

三和「こんちはー…ってうわわ?!」ドンッ
アイチ「ご、ごめんなさい!それじゃ…!!」ドタバタバタコ!!

ミサキ(……あやしい…)
店長代理「zzz」



―― 近くの公園


アイチ(はぁ…ついつい飛び出してきちゃったよ…)

QB「アイチ、大丈夫かい?突然お店を飛び出すなんて…」

アイチ「う、うん…キュウべぇの言葉にちょっと驚いちゃって…
    それに君と、まだちゃんと話もしてないし…」

(……たぶん悪い動物ではないと思うんだけど…
よく見たらヴァンガードに出てきそうな姿をしているよなぁ…
もしかしたらカードから飛び出してきたモンスター?…なんて…)

QB「さっきの…“ヴァンガードで最強”ってことかい?」

アイチ「ぅん……確かにヴァンガードファイトは楽しいけど…
    そんなこと、考えたこともなくって」

QB「どうしてだい?」

アイチ「たぶん……今はただ、ファイトを楽しめればいいかなって
    いろんな人と出会って、いろんなファイトをして…
    それを通じて戦い方やカードを知っていくことが楽しくて
    …それは僕がまだ、初心者だから…なのかもしれないけど」

QB「アイチ、君はヴァンガードファイトを通じてどうしたいんだい?
   君がこれだけ楽しむのだから、何か目的があるはずだろう?」

アイチ「目的……」
   (目的……目標、そうだ…僕がヴァンガードを楽しめるきっかけになったのは…)

   「やっぱり…櫂くんとヴァンガードファイトをもう一度したいってことかな…」

QB「カイクン?」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:32:27.43 ID:bfQrURwt0
アイチ「うん…僕にヴァンガードファイトの基本を…イメージの仕方を
    教えてくれた人なんだ…もう一度ファイトをしたいけど
    たまにお店で会っても相手にしてもらえないし…
    第一、初心者の僕なんて櫂くんからしてみれば全然楽しくないだろうしね」ハハ

QB「それなら最強になってしまえばいいんだよ」

アイチ「…え?」

QB「出会った時も言ったけど、僕は君の願いをなんでもひとつ叶えてあげられる…
   その代わり、魔法少女になってもらうんだけど」

アイチ「…そ、その魔法少女っていうのはいったい…」

QB「この世界で言う“正義の味方”ってやつかなぁ…
   アイチ、ヴァンガードで最強になればきっとカイクンの
   方から君にファイトをお願いするんじゃないかな?
   カイクンだけじゃない。
   最強ともなれば、世界中の人が君のことを放っておかない
   今まで以上にたくさんの人と出会い、
   たくさんのファイトが出来るはずだよ」

アイチ「…櫂くんが…僕にファイトを……」

QB「そうさ、一度だけじゃない
   恐らく毎日だってカイクンは君に勝とうと
   ファイトをお願いするかもしれない…
   もちろん受け入れるかどうかは君の自由だし
   最強の君なら、相手の動きも手に取るように分かってしまうだろうね」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:33:20.53 ID:bfQrURwt0
アイチ(か、櫂くんと毎日ヴァンガードファイト…?!
    それに…櫂くんのことが手に取るように分かっちゃうの…?!)ドキドキ

QB「アイチ、僕と契約して魔法少女になる気はないかい?」

アイチ「え、えっと……」
   (どうしよう…すごく気になるけど…でも大事なことだし…
    ちゃんと聞いておかなきゃ…)

アイチ「そ、それって…“少女”っていうからには…
    やっぱり…あの……じょ、女装みたいになるの…かな…?!」

QB「もちろんさ!」

アイチ「」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:36:05.87 ID:bfQrURwt0
QB「…といっても、君は本来男性だから衣装チェンジくらい
   造作も無いことだと思うけどね
   魔法少女にとってのコスチュームは日常との差別化、
   気持ちの上での問題だから(適当)」

アイチ「そ、そうですか…あ、でも魔法少女って…」


 ゾゾゾゾゾゾゾゾゾ


アイチ(あれ…?なんだかいきなり暗くなったような…)
   「…って…え?!!!!」


WЁL☆。o.゚。(◆'ε`人)。゚.o。◇COМЁ!!
十'   十 ゚。。 l __★)b穴門∧!
人゚・*:.。ノ| レ    エ日 ○o。☆
┣¨キ(∮从¨*♪)★--。o○-。o○----★(*'`pq♪)┣¨キ


アイチ「な、なに…?!」

QB「大変なことになった…!アイチ、今すぐ僕と契約を!」

アイチ「えっ?!」

QB「ここは魔女の結界の中だ!」

アイチ「ま、魔女??」

QB「普通の人間が迷い込んだら先ず出ることはできない…
   魔女を倒すしかないんだよ…!」

(((((((┌(┐囮_Д_+o★)┐ヒャヒャヒャヒャヒャwwwww ←使い魔

アイチ「そんな…!」ゾッ

QB「さぁ、早く願いを!僕と契約して魔法少女になるんだ…!」

アイチ(契約して…願いを……魔法少女に…!)


「それには及ばん」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:37:18.37 ID:bfQrURwt0


アイチ&QB「?!」


?「ライド・ザ・ヴァンガード!!
  ボーッテクス・ドラゴン!!」

<(&¨з☆)ノ?!←魔女

?「バーニングヘル!!!!!」ゴオオオオ!!!!!


ンギャアアアアアアア*Pq)⌒◆◇。+ ←魔女とか使い魔


アイチ「魔女が燃えて…あ…あのドラゴンは…」
QB(空間が元の世界に戻っていく…まさか…)

アイチ「櫂くん?!」

櫂「……」

アイチ「い、今のって…櫂くんが魔女を倒してくれたの…?
    カードからドラゴンが飛び出したように見えたけど…
    一体…?」
QB(彼がカイクン…)

櫂「先導アイチ」

アイチ「?!」

櫂「その白い生物…キュウべぇに騙されるな」

アイチ「えっ?!」

QB「…驚いたな、カイクン。君には僕が見えるんだね」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 14:38:16.62 ID:bfQrURwt0
櫂「…先導アイチ、こいつと契約して魔法少女になるなんてことは考えるな。
  いくらヒロインに間違えられようが、お前は男で少年だ」

アイチ「えっ??!!」(いや確かに男だけど…!)

QB「カイクン、突然出てきて説明もなしに勝手すぎやしないかい?
   アイチにも選ぶ権利があるさ」

櫂「その通りだ、だからこそお前は魔法少女になる必要はない。
  そいつと契約するということは命を賭けてさっきの魔女と
  戦うということだぞ…――分かっているのか?」

アイチ「そ…それは…」(知らなかった……)

櫂「貴様もこれ以上こいつに契約を迫るなら……分かるな?
  俺としても手荒な真似はしたくないからな…
  …先導アイチ…」ギロッ

アイチ「?!」ビクッ

櫂「今の生活を壊したくなければ…少しは俺を楽しませられるよう
  ヴァンガードの腕でも磨くんだな」

アイチ「…う…うん……」

櫂「…忠告はしたぞ。」クルッ スタスタ

アイチ「…あ、カイくん…!」
    た、助けてくれて有難う…!」

櫂「……フン…」スタスタ


QB「……」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:18:15.42 ID:bfQrURwt0
―― アイチの部屋


アイチ(はぁ…カイくんにはああ言われたけど…)

QB「アイチ、彼の言うことは気にすること無いよ
   これからどうするかは君の意思で決めるべきだ」

アイチ(なんだかんだまだ一緒にいるんだよね…
    今日のあの結界…それに魔女…
    僕のイメージでも、あんなの考えられないよ…
    そういえば…)

アイチ「キュウべぇ、結界の魔女は魔法少女が倒すって話だったけど…
    櫂くんはやっぱり魔法使いなのかな?」

QB「それが…僕にも分からないんだ。
   魔法少女っていうのは僕と契約することで生まれるけど…
   彼のあの力は魔力とはまた別のものみたいだ」

アイチ「ふぅん…」(やっぱり櫂くんはすごいんだなぁ…)

QB「そんなにカイクンが気になるのかい?」

アイチ「えぇ?!う、うん…まぁ…そりゃ…憧れだし…」

QB「アイチが僕と契約して、魔法少女になってくれれば…
   今日みたいに魔女を倒すカイクンの力になれるだろうね」

アイチ「…!」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:19:23.91 ID:bfQrURwt0

QB「でもまぁ僕もいちいち強要することはできないし
   カイクンにも言われちゃったしね…
   どうやら彼は君の素質を見抜いた上で言っているようだし…」

アイチ「僕の、素質…」

QB「君は過去に無いすばらしい魔法少女になるだろう、ってことだよ!
   僕としては本当に惜しい才能ではあるけど…
   ひとまずはここでお別れとしよう
   君にくっついているとカイクンに怒られちゃいそうだしね」

アイチ「キュウべぇ…ごめん…僕なかなか決められなくて…」

QB「気にすることないさ!
   ――だけどもし、叶えたい願いが決まったらいつでも僕を呼んで!
   直ぐに駆けつけるから…それじゃあね!」タタタ

アイチ「キュウべぇ…行っちゃった…」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:19:59.77 ID:bfQrURwt0

―そいつと契約するということは命を賭けてさっきの
 魔女と戦うということだぞ

―今の生活を壊したくなければ…少しは俺を楽しませられるよう
 ヴァンガードの腕でも磨くんだな


櫂くんの言葉が、頭の中に、心の奥に響く。

――…櫂くんとヴァンガードファイトが出来れば……
ほんの一瞬でも、そんな浅はかな望みを考えてしまった自分が恥ずかしい。

奇跡の力で願いを叶えてもらって―
そんなことをしたら今までのヴァンガードファイトはなんだったのか。
負け続けてきたけど、その度に勝利へのヒントを得てきたじゃないか。
それに…何より楽しかったはずだ。

――僕は自力で、櫂くんに認めてもらいたかったはずなのに――。

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:23:57.07 ID:bfQrURwt0

アイチ(…でも、もしかしたら…もし契約すれば…
    櫂くんとヴァンガードファイトだけじゃなく…
    本当に“共闘”なんて出来たのかもしれない…)

   (……なんて考えちゃだめだよね…
    でも櫂くんはどうして…キュウべぇと契約したわけじゃないのに
    魔女と戦っているんだろう…?)

   (……zzz)

――――――――――
―――――――
―――

4年ぶりに再会した先導アイチは―
初めて出会い、そしてブラスターブレードを託した時と同じく
おどおどして自信の欠片も無いようだった。

そんな奴に、わざわざヴァンガードファイトを教えたのはなぜか―
場の空気というのもあっただろうが、
三和の言うとおり“らしくない”行動だったと今更ながら自嘲する。

子供心で年上風を吹かせて、ボロボロだった彼に与えたあのカードを…
再会したあの瞬間まで大切にしてくれていたからだろうか。


(……くだらない)


くだらない、そう思う。
もしかしたら―あの時、先導アイチに何か期待をしたのかもしれない。
彼がいずれ、自分を楽しませてくれるヴァンガードファイターに
なってくれるのではないかと……。

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:40:14.86 ID:bfQrURwt0

―― カードキャピタル

アイチ「! 櫂くん!」
森川「ふんっ!来やがったか…」

櫂「……」


三度目に会ったとき―彼の目の色が違った。

伏目がちだった瞳が真っ直ぐ前を見据え―
輝いていると同時に、違和感もあった。
だがその正体は直ぐに気付くことになる。


アイチ「櫂くん!僕ともう一度、ヴァンガードファイトを
    してほしいんだ!」

櫂「…何?」

アイチ「今度はこの前みたいに櫂くんが説明してくれる必要もないし…
    ハンデ無しで、全力で僕とファイトしてほしいんだ!」

 ―― “ 自 信 ” ?

目の前で瞳を惜しげもなくキラキラさせる少年は、
純粋にファイトを望みながら、どこか余裕さえ感じさせる。

…まるで別人だ。

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:41:13.81 ID:bfQrURwt0

新田「すごいもんですよ、若い子は覚え早いっていうけど…
   ほら、小学生で強い子いるでしょ?
   彼にも昨日初勝負であっさり勝っちゃったんだよ」

櫂「?!…まさか…」

ミサキ「…ほんとだよ…彼、今うちの店で連勝中…」

店長から、滅多に口を開かないバイトの娘まで
信じがたい言葉を吐く。

―…いや、もしかするとこいつら裏で口を合わせているのでは?
―…俺とファイトをしたいがために?

偏りのある考えではあるが、そうでも無ければ
とても鵜呑みに出来る話ではない。
こいつはまだ、ファイトを始めて数日の初心者のはずだ。

櫂「…いいだろう」

アイチ「!! ありがとう!櫂くん!」

森川「ふふん!覚悟を決めたようだなぁ?!」

三和(なんでこいつが得意げなんだ?)

井崎「はは…」(森川もアイチに負けっぱなしだからなぁ…)

アイチ「…それじゃあ櫂くん…行くよ!」

櫂「!……あぁ…」

アイチ「スタンドアップ!ヴァンガード!」
櫂「スタンドアップ!ザ・ヴァンガード!」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:43:44.20 ID:bfQrURwt0

――――――――――


ざわざわざわ


三和「……おいおい…まじか…?」

森川「お、俺には勝負はみぇ見えてたけどな!!」

井崎「素直に驚いたってイエヨオ゛…」

新田「ほぉ~…これはこれは…なかなかの名勝負でしたねぇ…」

カムイ「おにーさん!さすがっす!さすがエミさんのおにーさんっす!」


櫂(……まさか…いや、しかし…)

アイチ「あ、あはは…たまたまだよ…僕もギリギリ勝ったってとこだし…」

井崎「しかしアイチの成長っぷりには目をみはるよなぁ…」

アイチ「えへへ…」

櫂「…先導アイチ」

アイチ「!! な、なに?櫂くん…」ビクッ

櫂「……もう一度、俺とファイトしてくれないか?」

アイチ「……え?」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:48:44.17 ID:bfQrURwt0
三和「か、櫂?…正気か…?」

森川「おやおやwwww櫂トシキくんは
   そんなに自分の負けを認められないのかな?wwww」
カムイ「wwwwwまじだせえwwwww」
右&左「MDっすねwwwwww」

櫂「……」ギンログァッ!!!!!

森カ左右<ビクゥッ!!!!

アイチ「う、うん!!!
    櫂くんさえ良かったら何度ファイトしても構わないよ!!!!」

櫂「……」



――――――



その後、幾度と無く先導アイチと
ヴァンガードファイトを交えてきたが…
たった一度ですら勝てる日が来ることは無かった。

自分自身の強ささえ疑い、イメージトレーニングを
強化させデッキや展開パターンも研究を重ねた。
それでも勝てない。


先導アイチにだけ、勝てない。


それは他のヴァンガードファイターにも言えることだった。
いつしか彼は【最強】と称され、負け知らずの中学生として
世間にその名を広め始めていた。

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:50:48.08 ID:bfQrURwt0

周囲が彼の変化を素直に受け止める一方で、
俺はその強さに納得することができなかった。


先導アイチとのファイトは…イメージが壊される。


カードが入れ替わったのではないかと疑うくらい
運という運を、全て味方につけたのかのような…
気持ち悪いくらい彼に有利なと進むファイト。

少なくとも、これまでのファイトを通じて
得体の知れない“何か”を感じてはいる。

しかし、それが何なのかは分からない。



―― 近くの公園


櫂(考えても…仕方ない……のか?)

 (……いやこんなときはイメージだ)
 (イメージで心を落ち着かせ……)


ザワザワザワザワ

 (……?)


櫂「…?!……なんだ?これは…」


・`∀・)♪+゚.:。+イラッシャーイ+゚.:。+♪(・∀´・)v
十'   十 ゚。。 l __★)b穴門∧!
人゚・*:.。ノ| レ    エ日 ○o。☆
o(⌒∇)=━━゜o(○==(゜ο゜)━━━○★)゚O゚)/


櫂「…ふっ…なるほど…
  どうやら俺のイメージ力が試されているようだな…
  面白い…!」

 「ライド・ザ・ヴァンガード!!」カードシュピーン!!
  

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:52:37.40 ID:bfQrURwt0
櫂「ドラゴニック・オーバーロード!!」

【GRADE3】DO「グオオオオオオオオ!!」

魔女(c□c)「?!」


櫂(実体化…だと!…今の俺のイメージなら…できる!!)キリッ
 「イメージしろ…!全てのものを焼き尽くす!黙示録の炎!!
  ドラゴニック・オーバーロードの能力発動!
  エターナルフレーム!!!!」バッ

DO「グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」メラメラメラメラ

魔女 「」

櫂(…やったか…)フッ
 (しかし…今のは一体…惑星クレイとは違う世界のようだったが…)

「あれ?結界がとけていくよ…?!」

櫂「…ん?」

アイチ「?!!! ぅあ…か、櫂くん…?!」

櫂「…?!……先導アイチ…?!」

アイチ「あ…あ…あああの…あの、こ、ここここれは…!!/////」カアアアアア

櫂(こいつ…いきなりヴァンガードファイトで強くなったり
  妙に明るくなったと思ったら……女装…だと…?!)

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:53:52.38 ID:bfQrURwt0
アイチ「ち、ちが!違うんだよ!櫂くん!ご、誤解だよ!
    こ、この格好には深い意味が…あ、いや…意味っていうか…
    ああああの、その趣味とかではなくて!!!////」アセアセアセ

QB「アイチ!落ち着いて!
   結界も消えたし、変身は解いても平気だよ!」

アイチ「!!!!!そ、そうだねっ…!」シュルルル<

櫂「………」
アイチ「………」
QB「………」

アイチ「…あ、か、櫂くん…大丈夫?
    さっきまで変なのに襲われてたんじゃ…」

櫂「変なの……あの空間か、俺のイメージ力を持ってすれば
  なんてことはなかったが…」

アイチ「え?」

QB「アイチ、彼は何者だい?」

アイチ「あ、櫂くんは…前にも話したヴァンガードファイトを
    僕に教えてくれた人だよ」

QB「へぇ彼が…」ジロジロ

櫂「…なんだ?その白いのは…」

アイチ「え?!…か、櫂くんキュウべぇが見える…の?」

QB「驚いたな、普通の人に僕は見えないはずなんだけど…
   カイクン、君は一体…?
   さっきの魔女も君が倒してくれたんだろう?」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 15:55:36.97 ID:bfQrURwt0
櫂(……魔女?)
 「何を言っているのかよく分からないが…
  俺はただイメージしただけだ……ところで、先導アイチ」

アイチ「なに?櫂くん」
   (櫂くんの言っていることが僕にはよく分からないけど…)

櫂「さっきのコスプレはなんだ?」

アイチ「」

QB「カイクン、アイチは魔法少女で
   さっきみたいな魔女を狩る者なのさ!」

櫂「魔法……少女……?」

アイチ「」////

櫂「……お前………女だったのか…?」

アイチ「違うよ!!!!」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:00:25.88 ID:bfQrURwt0


櫂くんが魔女倒すとグリーフシード残らない。(※イメージ不足)
櫂くんの鍛え抜かれたヴァンガードイメージ脳が
この世に存在し得ないものまで認識しちゃうイメージ補正。


―― 先導宅


エミ「あー!アイチー!いくらヴァンガードで人気者だからって
   帰ってくるのおs…」

アイチ「ただいま、エミ。
    友達も一緒だから、あとで母さんに
    お茶かなんか運んできてもらっていい?」

エミ「あ、う、うん…」

櫂「…お邪魔します」ペコ

エミ「ど、どーぞ…」ペコ

スタスタスタ

エミ(あの人…カードショップでよくアイチといる…
   ………か、かれし…?////)


―― アイチ部屋

アイチ「せ、狭いけど適当に座って…」

櫂「……」スト

QB「さて、何から話そうか?」

櫂「全部だ。俺の納得のいく説明をしろ」

QB「…といわれても…」

アイチ(うぅ…キュウべぇが一緒で良かった…
    へ、部屋に櫂くんと二人きりだったら…
    緊張して何も話せないよ…)

櫂「…魔法少女とはなんだ?
  なぜこいつは男なのに魔法少女なんてやっている?」

アイチ(うぅっ)

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:01:24.35 ID:bfQrURwt0
QB「この世界にはね、“魔女”っていう諸悪の根源がいるんだ
   “魔女”は世界に災害をもたらす…
   分かりやすくいうと、人間の事故・自然災害、
   君たちが生きていく中で、なにげなく目にしている
   誰かの“不幸”は全て“魔女”のせいなんだ

   ―そして、その“魔女”を狩る者こそ“魔法少女”ってわけさ」

櫂(あの妙な空間にいたデカイ謎生物が魔女だった、というわけか)

QB「そして魔法少女はもちろん、その名の通り“少女”に
   適用される魔力のことだけど…アイチは僕としても例外でね。

   男の子で、これだけ女性的な魔力を持った子なんて初めてで…
   ――まぁそこは気にしないで!
   アイチは男の子だけど、僕にとっては魔法少女ってことだから!」

アイチ(なんか恥ずかしい…)

櫂「…で、どうして…いや、どうやって魔法少女になった?
  それはもしかすると…お前がヴァンガードで強くなったことと関係するのか?」

アイチ「! あ、そ、それは……」

QB「それは―」

アイチ「キュウべぇ!」

櫂Q「「?!」」

アイチ「あ、ごめん……僕から言わせて……」

QB「? そうかい?それじゃ僕は黙ってるよ」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:04:08.04 ID:bfQrURwt0
アイチ「…魔法少女は……キュウべぇと契約することでなれる…」

櫂「…契約して、魔法少女になって…
  それであの“魔女”とやらと戦うのだろう?
  少し話が突拍子すぎないか?」

アイチ「……ま、魔法少女は誰にでもなれるわけじゃなくて…」

櫂「…それで?」

アイチ「……」
QB「……」


<…………コンコン


エミ「しっつれーしまーす……―?!!」カチャ
  (な、なに?この重い空気……
   アイチ下向いちゃってるし、あの人すっごい見て…睨んでる?!)

  「アイチー、お茶とお菓子持ってきたから…お、置いとくねー^^;」

<カチャ…トトトパタン!!

アイチ「…あ……」

櫂(……まあ、予想はつくが……)
 「とりあえず大体の話は分かった……俺はもう帰る」

アイチ「え?!あ…お茶……」

櫂「…まさかあんなに弱かったお前が…
  世界のために戦ってるなんてな…」フッ

アイチ「櫂くん…」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:05:48.06 ID:bfQrURwt0

櫂「仕組みは分からないが、俺もあの空間で
  魔女を倒せるみたいだからな……
  あまり無茶はするなよ。…なにせお前は今、
  世界が注目するヴァンガードファイターなんだからな」

アイチ「う、ん……」

櫂「…それじゃあな」ガチャ

アイチ「あ、か、櫂くん…」

櫂「……」

アイチ「ま、また僕と…ヴァンガードファイト…してくれる…?!」

櫂「……あぁ」バタン

アイチ「……」

   「……―っ…」ポロ

   「………うっ―……くっ……」ポロポロ
   (僕は……僕は卑怯だ…!本当のこと…櫂くんに言えなかった…!!)

QB「……」


ソウルジェム(ジワワ…)


―― 先導宅・廊下


櫂「?!」ビクッ

エミ「あ!も、もうお帰りですか!!」

櫂「…あぁ…」
 (…俺としたことが…少し驚いてしまった…)ドキドキ
 
エミ「あ、あんなアニキですが宜しくお願いしますねっ!」ペコ

櫂「……」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:10:40.96 ID:bfQrURwt0

――――――――――
―――――――
―――

先導アイチの部屋を訪れてから数日後

彼はヴァンガードの全国大会に出場。

そのチートぶりを発揮して見事優勝を果たした。

当然、俺も出場をしたがやはり先導アイチに勝てるはずも無く
それでも上位入賞枠に残ることが出来た。


新田「いやあ~~お見事お見事!
   うちのお店の常連さんから、こんなに入賞者が出るなんてねー!」

ミサキ「調子に乗りすぎ」

新田「ミサキも惜しかったね!それでも全国出場は大したもんだよ!」

カムイ「なんでこの俺様が櫂トシキより下なんだあぁぁ~~!!!」

森川「くっ…俺も運さえよければ予選突破して
   アイチをぶちのめして優勝していたというのに…!!」

井崎(イヤー無理だと思うよ?)

/ ギャーギャワイワイギャーワイワイ \


―― 選手控え室


櫂「…まだここにいたのか」

アイチ「…櫂くん…」

櫂「あの店の奴らがパーティーやるって騒いでるぜ?」

アイチ「…パーティーか…いいね…」ハハ

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:11:51.80 ID:bfQrURwt0

櫂「!…ブラスターブレードか…
  そんなカード眺めて何を考えてたんだ?」

アイチ「…このカードを見ていると落ち着くんだ…
    櫂くんに出会ったときのことや、
    カードファイトを教えてもらったあの日のことを思い出して…」

櫂「…今のお前には、そんなカード必要ないんじゃないか?」

アイチ「! そんなことないよ!
    …確かに、ファイトで使う機会は少なくなったかもしれないけど…
    ………ねえ、櫂くん……ヴァンガードファイトしようよ」

櫂「……今からか?」

アイチ「…うん…」

櫂「……仕方ないな」ガタ

アイチ「…ありがとう」ガタ


櫂「スタンドアップ!ザ・ヴァンガード!」
アイチ「スタンドアップ!ヴァンガード!」


――――――――


先導アイチは、どこか疲れているようだった。
それは全国大会を終えた疲労とは違う類にみえた―


アイチ「エレインにフローガルの支援をつけてパワーを+5000します」シュッ

櫂「……」

アイチ「……櫂くん…」

櫂「?…なんだ」

アイチ「僕、今回の大会でいちばん楽しかったのは
    櫂くんとのファイトだよ」

櫂「……」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:18:51.09 ID:bfQrURwt0
アイチ「ううん、櫂くんのファイトしか楽しくなかった…
    ヴァンガードファイトを教えてもらったあの日から、
    僕はもうヴァンガードの世界に虜になって…
    
    もしかしたら、櫂くんにブラスターブレードのカードを
    もらったときからかもしれないけど…

    …櫂くん……僕、言ってないことがあるんだ…」

櫂「……」

アイチ「魔法少女の契約にはね…
    魔女と戦う使命を課せられる代わりに…
    …願いを……何でもひとつ、叶えて、もらえるんだ…」

櫂「……」

アイチ「僕は……櫂くんともう一度ヴァンガードファイトがしたくて…
    それはもちろん…いろんな人とファイトをすることで
    櫂くんに教えてもらったときのように…
    たくさん得るものもあったはずなのに…

    そうやって、櫂くんとファイトするに相応しいだけの
    ヴァンガードファイターになるはずだったのに…

    今じゃ勝手に手が動いて、気付けばファイトが終わってるんだ

    だけど…櫂くんは違う…
    今まで数え切れない人たちとファイトをしてきたけど
    櫂くんだけが僕に思い出させてくれるんだ…
    
    ヴァンガードファイトの、イメージすることの楽しさを――」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:20:31.24 ID:bfQrURwt0

櫂「…先導アイチ…やはり、お前は…」
    
アイチ「他人任せで得た強さなんて、本当の強さじゃない
    空しいだけなのに。今ごろ気付くなんて―」

ソウルジェム(ジワジワジワ…)

アイチ「僕ってほんと…馬鹿…―…」ポロッ

ソウルジェム(カッ!!)

櫂「?!先導アイチ」



― ゴオオオオオオオ!!!!!



アイチ「」ドサッ

QB「アイチ…!大変だ!!」

櫂(?!こいつ、今までどこに…?!)
 「おい、何がどうなってる?!説明しろ!!」

QB「アイチのソウルジェムは穢れを溜め込みすぎてしまった…!
   その結果、アイチ自身が魔女化してしまったんだ…!」

櫂「なっ…どうすれば止められる?!」

QB「こうなった以上、アイチを倒すしかないよ
   ―世界のためにもね」

櫂「…殺せというのか?!」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:21:17.77 ID:bfQrURwt0

QB「櫂トシキ。
   君は魔法は使えないけれど、結界で戦う力はある
   この状況を打開すr」

櫂「!!!ふざけるなっ!!」

QB「? どちらにせよ、普通の人間である君が
   この結界から抜け出すには主である魔女を倒すしかない…
   今までだって、そうだったろう?」

櫂「!!」ギリッ

QB「それとも…
   一か八か、僕と契約するかい?」

櫂「…なんだと?」

QB「アイチと同じように、君の願いを何でもひとつ叶える代わりに
   魔女と戦う魔法少女になるのさ!
   魔法さえ使えれば、この空間から一時退却するのも容易だろうさ」

櫂「…それをすれば先導アイチを救えるとでもいうのか?」

QB「それは君の願いによるんじゃないかなぁ」

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:26:26.63 ID:bfQrURwt0
※アイチ魔女はさやかイメージのブラスターブレード風


櫂(…先導アイチ……お前は純粋すぎた…
  そして俺に期待しすぎたのだ…
  …イメージ……か……)

櫂「……いいだろう…」フッ

QB「それじゃねがry」

櫂「お前の助けなどいらん」

QB「…一体どうするつもりだい?」

櫂「イメージだ」

QB「え?」

櫂「こんな結末、俺のイメージ力をもって無かったことにしてやる。
  だいたい先導アイチが俺よりヴァンガードが強いだと?
  フッ…笑わせる…挙げ句、女装の末に魔物化とは……」

QB「…櫂トシキ、現実を認めたくないのは分かるけどこれはじじ」

櫂「お前の勝手なイメージを押し付けるな!!!」

QB「?!」ビクッ

櫂「…そうだ、俺よりイメージレベルの低いあいつに
  お前が見えること自体おかしかったんだ…」

QB「いや…アイチは魔法少女の素質があったから僕が見えて」

櫂「全ては俺の悪いイメージだった…そういうことだな」

QB「…いやだから」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:29:48.06 ID:bfQrURwt0
櫂「スタンドアップ!ザ・ヴァンガード!!」

QB「」

櫂「ライド・ザ・ヴァンガード!!
  ボーテックス・ドラゴン!!
  間違ったイメージを全て焼き付くす!」

QB「え」

BD「ガアアアアアアア!!!」<ブオオオオオオ!!!!

QB(まさかそんな…?!^^;)


\ カ ッ ! ! /




―― 謎白空間



櫂(……
  ……ここは?)


「全く…やってくれたね、櫂トシキ」

櫂「?!その声…キュウべぇか?」

「どうやら君のイメージ力は本物みたいだね…
 それも言霊のような…君の言葉には不思議な力がある
 あの結界内だからこそ、力を発揮できたのだろうけど…」

櫂「…」

「まぁ君がどんなに現実を覆そうとも先導アイチの運命は変わらないよ」

櫂「なんだと?…貴様、何を考えてる?」

「おっと時間切れみたいだ…それじゃあね櫂トシキ。
 また会うことがあったらよろしくね!」

櫂「待て……――?!」


―――パアアアッ


櫂「――っ?!」ハッ

 (……夢?いや……)

櫂「……!日付が…過去…?!
  時間が戻って……ということは……!」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:30:54.62 ID:bfQrURwt0
――――――――――
―――――――
―――


――時は戻り、アイチが始めて魔女と出くわす結界内へ―


QB「さぁ、早く願いを!僕と契約して魔法少女になるんだ…!」

アイチ(契約して…願いを……魔法少女に…!)


「それには及ばん」


アイチ&QB「?!」



半信半疑ではあったが、あの時と同じ空間、感覚、存在―
それらを前にしたとき不思議と臆することなく
カードをかざし、“魔女”を倒していた。

始終を見せ付けられていた先導アイチはぽかんと突っ立っている。
肩にはあのキュウべぇとかいう妙な生き物。
こちらをじっと見据える瞳は、相変わらず何を考えているのかつかめない。

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:32:27.19 ID:bfQrURwt0

櫂「今の生活を壊したくなければ…少しは俺を楽しませられるよう
  ヴァンガードの腕でも磨くんだな」

忠告をすれば、先導アイチはおっかなびっくりという様子で
こくこくとうなずく。
視界の隅で尻尾をふらふらさせる静物が若干うっとおしい。

背を向けると礼を言われた。

いつもの癖で、つい鼻を鳴らすだけになった。


――――――――


魔法少女になり、願いを叶える代償として
魔女と戦うことになる先導アイチは
やがて自分の愚かさに気付き魔女化してしまう……。

恐らく―負の感情が魔法少女を魔女化させる、ということだろう。

例えば違う願いなら、先導アイチは己を嘆くことなく
魔女化することもなかったのだろうか…?

―いや、何にせよ、あのキュウべぇとやらは信用ならない。

先導アイチの魔女化も知っていたような口ぶり(と登場)だったではないか―

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 16:34:15.71 ID:bfQrURwt0

櫂「……」


ふと、なぜここまで考えているのか疑問に思ってしまった。

先導アイチについて、だ。

…偶然とはいえ、彼の運命を知ってしまったせいだろう。
人の、それも知った顔の命が懸かっているのだ。
知らないふりをするほど、冷酷にもなりきれず
かといって救い出せる確証もない。

櫂「だが…俺は“やり直し”をしていることになる…」

ほんの数時間前には、ヴァンガードの全国大会を終え
控え室で先導アイチをファイトをしていたのだ。

夢、とはとても思えない。

脳が混乱しかけているような気もするが、あれは確かに
現実で起こったことだ。


―まぁ君がどんなに現実を覆そうとも先導アイチの運命は変わらないよ


キュウべぇの言葉が蘇る。
面白い。
だったらやってやろうじゃないか。


櫂「俺が運命とやらを…変えてやる…!」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:06:03.52 ID:bfQrURwt0

パターン①
【ひたすら魔女を率先して倒していく】


QB「大変だアイチ!僕と契約して魔法少女になってよ…!」
アイチ「え、ええと…」アセアセ


「それには及ばん」


アイチ&QB「?!」


―― また別の日


QB「このままじゃやられてしまう!僕と契約して魔法少女になるんだ…!」
アイチ「う、ううと…」アセアセ


「それには及ばん」


アイチ&QB「?!」


42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:07:06.95 ID:bfQrURwt0

―― またまた別の日


QB「アイチ!もう逃げられないよ!僕と契約して魔法少女になるんだ…!」
アイチ「こ、こうなったら…」アセアセ


「それには及ばん」


アイチ&QB「?!」



―― さらに別の日


櫂「……?」
 (この空間には先導アイチはいない…か、
  まあそれはそれで…)

アイチ「櫂くん!」バッ

櫂「?!…せ、先導アイチ…?!お前…その格好…」スカート…

アイチ「櫂くん…ごめん…
    いつもわけのわからない空間に僕はいて、
    それで毎回櫂くんに助けられて…
    でももう、これからは守られてばかりじゃない…
    櫂くんの力になりたいんだ!」キラキラ

QB「カイクン!君はひとりじゃないよ!
   これからはアイチも一緒に戦うんだ!」ヘケッ


櫂「」



《 お 前 の 勝 手 な イ メ ー ジ を お し つ け る な !》
(戻る↑)

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:08:31.27 ID:bfQrURwt0

パターン②
【ひたすら先導アイチを説得する】


櫂「先導アイチ」

アイチ「えっ?!なに?櫂くん…」
   (か、かいくんから話しかけられた…)ドキドキ

櫂「あの白い生き物とは絶対に契約するな」

アイチ「う、うん分かってるよ…」

櫂「…信じ難いだろうが、お前の命が懸かっているんだ」キリッ

アイチ「う、うん…分かったよ。絶対に契約はしない!」

櫂「…いい返事だ」



―― 後日


櫂「先導アイチ」

アイチ「な、なに?櫂くん」

櫂「契約していないだろうな?」

アイチ「し、してないよ!」

櫂「…そもそも、命を懸けてまで
  叶えたい願いとやらがお前にはあるのか?」

アイチ「う~ん…そう言われると~;」アハハ

櫂「お前は今のままでいい」

アイチ「えっ…う、うん…」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:09:39.68 ID:bfQrURwt0

―― さらに後日

櫂「先導アイチ」

アイチ「うん、なあに?」

櫂「キュウべぇとは会ってないだろうな」

アイチ「会うも何も…キュウべぇならどこかに行っちゃったよ」

櫂「それは良いことだ」
 (ふむ…諦めたか?)

アイチ「……」


―― さらにさらに後日

櫂「先導アイチ」

アイチ「契約ならしてないよ!」

櫂(早っ)「…ならいいんだ」

アイチ「あ、待って!」グイッ

櫂「な、なんだ?!」

アイチ「えと…あ、ぼ、僕とヴァンガードファイトしてください!」

櫂(…!そういえば、初めの先導アイチの願いはヴァンガードに関係していたな…)
  「ああ、いいだろう」

アイチ(え?!いいの…?!
    な、なんか櫂くん最近優しい…///)ドキドキ

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:12:13.71 ID:bfQrURwt0

―― それからさらに後日


顔を会わせる度に、先導アイチに自ら話し掛け
諭したことが功を成したのか―
先導アイチは、変わらずヴァンガードを楽しんでいるようだし
どことなく笑顔も増えたように見える。

稀にあの魔女のいる結界は出現するが
そこでも契約を迫るキュウべぇや魔法少女と化した先導アイチと
出くわすこともなかった。


櫂(なんだ…意外とこんなものでやり直しがきくものだな…)


――そして迎えたヴァンガード全国大会前日――


アイチ「櫂くん!今日は遅くまで付き合ってくれて有難う!」ニコニコ

森川「しっかし櫂のやつ、アイチに対してやわらかくなったというか
   なんというか…」
三和「やっぱり弟みたいでかわいいんじゃねーの?」ヒソヒソ
井崎「ウホォー」

櫂「いや…気にするな」

アイチ「あ、櫂くん…」グイッ

櫂「?」

アイチ「あ、あとでちょっとお話が…」コソコソ

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:13:53.46 ID:bfQrURwt0

―― 夜の公園のベンチ


櫂「…で、なんだ?話っていうのは…」

アイチ「……」モジモジ

櫂「…まさか…キュウべぇがまた現れたのか?!」

アイチ「きゅぅ…?…あ、え、いや!ち、違うんだっ…
    えっと…あの…その……」ゴニョゴニョ

櫂「…?だったらなんだ、はっきり言え」

アイチ「あ…あ、あの…あのね、櫂くん…」チラッチラッ

櫂「……そんなに言いづらいことなら、まず自分を落ち着かせろ
  頭の中で整理してから言え」

アイチ「そ、そうだね!ありがと…」


~10分後~


アイチ「か、櫂くん!」ガタッ

櫂「?!」(いきなり立つな!)ビクッ

アイチ「あ、あの…明日の全国大会で…全国大会で…////」

櫂「?」

アイチ「全国大会で僕が優勝したら、お付き合いを前提に
    デートしてくだしゃい!!!!///////」カアアアア

櫂「」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:15:38.12 ID:bfQrURwt0

なん……だと……?

今…こいつなんといった…?

お付き合い……デ、デート……?

しかも…噛みやがった……!!!


櫂「…先導アイチ…」

アイチ「」ガチガチ

櫂「とりあえず座れ」

アイチ「」ガチガチストン

櫂「……」

アイチ「」ガチガチ

櫂「…俺もお前も男だ」

アイチ「わ、わかってましゅ!」ガチガチ

櫂「……」

……
……なんだ?

……なにがいけなかったんだ?
…こんなイメージは予想していなかったぞ…!!

…いや待て。焦るな。

先導アイチは『優勝したら』と言ったではないか。

大丈夫。まだいける。落ち着け、落ち着くのだ櫂トシキ。

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:17:29.46 ID:bfQrURwt0

――そして大会当日


アナウンス【優勝は…先導アイチくーーーーーーーーーん!!!!!!!!】

  \ ワアアアアアアアアアアアアア!!!!! /

アイチ「////」テレテレ

櫂「」




《 お 前 の 勝 手 な イ メ ー ジ を お し つ け る な !》
(戻る↑)


――――――――――
―――――――
―――


その後も…

必要以上に先導アイチと交流しないよう、
しかし契約は絶対するなと言い続ければ
なぜか俺自身が事故に遭い、両腕が使えなくなり
先導アイチが腕の回復を願い契約をする。

(このパターンは3回ほど繰り返した
 事故の内容は違えど、必ず俺は両腕を失くし
 先導アイチは聞く耳持たずで契約してしまう)


キュウべぇを潰し続けていると
先導アイチの元にキュウべぇはその姿を晒し、
助けを懇願し、なんと俺と和解するという実にくだらない内容で契約。


先導アイチが俺に恋心を抱いてしまう展開も、
結果を見てみれば、キュウべぇに『女の子になる』という
願いを契約してまで、その想いを貫き通すほどだった。


49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:18:38.59 ID:bfQrURwt0

―― とある高校の教室


櫂「……」ハァ

三和「なーんかお前、最近疲れてね?
   ちゃーんと寝てるのかぁ?」

櫂「…あぁ」

三和「ははーん…お悩み事ですな?」

櫂「……」ムスッ

三和「先導アイチのこととか…」

櫂「…!」

三和「いやぁ、だってお前キャピタルでいーっつも
   ガン見してるっつーか睨んでるじゃん?」

櫂「……」

三和「まあ何か考え込んでいるようなら俺にも少しは
   相談しろよな!ダチなんだからよー」

櫂「…あぁ…悪いな…」

三和(か…櫂が素直…^^;)


…今の会話も、何度目だろうか。

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:20:31.53 ID:bfQrURwt0

ここ数日から数ヶ月の間を何度も繰り返し
先導アイチを魔法少女にさせまいと動いてきた。
その行動以外は全てが同じことの繰り返しだ。


日付や曜日、時間の感覚が狂う。


たまに激しいデジャヴに吐き気さえしてくる。


ただ、時間を繰り返すことで分かったこともいくつかある。

魔法少女と魔女の仕組み。
グリーフシードの存在。

そしてキュウべぇ…いやインキュベーター…

櫂「……」


どうすればいい…?
本当にキュウべぇの言うとおり、
先導アイチの運命は変えられないのだろうか…?
彼は絶望のまま、終わりを迎えるしかないのか…?

櫂(いや…俺ならば…)

恐らく、キュウべぇにとってもイレギュラーな力を持つ俺ならば、
運命とやらを捻じ曲げられるはずだ…!

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:21:55.97 ID:bfQrURwt0


――――――――――
―――――――
―――



櫂「……はっ?!」

アイチ「か、櫂くん…!大丈夫…?」
QB「いやあ、一時はどうなることかと思ったよ」

櫂「…ここは…俺は一体…」

アイチ「えと…櫂くんはちょっと悪い夢を見ていただけ…
    っていうのかな…」
QB「だけどもう大丈夫さ!」

櫂「……」


目の前に先導アイチとキュウべぇ。
見慣れた公園。
恐らく、これはあの結界が消えた後…

俺は何をしようとした…?
確か…イメージを間違えた結果、また時間を繰り返すはずだった。

なのに、なぜか違う。
なにかがおかしい。

櫂「…ヴァンガードの全国大会は…」

アイチ「?え、あ、うん!大会までまだあるけど…頑張ろうね!」

櫂「……」

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:23:23.86 ID:bfQrURwt0

戻っている。
全国大会は行われていない。


櫂「…先導アイチ…」

アイチ「?」

櫂「…なにを契約した?」

アイチ「え……」

ギクリ、と顔が強張る。

櫂「…お前は、魔法少女になったんだな…?」

アイチ「び、びっくりだな~…なんで櫂くんがそれを…?
    も、もしかしてさっきの見てた…?」

櫂「……」


疑問は確信に変わる。

先導アイチは、俺の時間―イメージ―が巻き戻されるよりも前に
キュウべぇと契約してしまった。

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:25:09.06 ID:bfQrURwt0

それは今までにないこと。
そして俺は、これより前の出来事を、
イメージをやり直せるのかも分からない。

―― 頭の中が限界だった。

繰り返すことの苛立ちと、先の見えない不安がごちゃ混ぜになり…
一体どうして?
なんのために?
先導アイチごときになぜこんなに苦労しているのか―



アイチ「…僕は櫂くんを…助けたかったから…」


櫂「…なに…?」


アイチ「僕は櫂くんを救いたかった、…それだけだよ」



そういって笑う先導アイチを見て―
同時に契約内容も、そういうことかと知ってしまう。

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:26:17.13 ID:bfQrURwt0


考えてみれば、


魔女化してしまった初めの先導アイチはまさに
自分のための契約だったが…それ以降はどうだろうか―

力になりたいと言ったり、
事故で失った両腕を復活させたり、
キュウべぇと和解させたり、
ついには恋をしたり……

そして今は、「救いたい」と言った。


櫂「……」フッ

アイチ「か、櫂くん?なに笑ってるの…?」


その願いは全て、俺に向けられていた。

契約をさせまいと、魔女化で終わらせたくないと
先導アイチの運命を変えるつもりでいたのに。

どういうわけか、起因は俺の存在そのものではないか。
…存在……か。……それならば…――

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:28:43.29 ID:bfQrURwt0

櫂「…おい、インキュベーター」

アイチ「えっ?」

QB「あれ?よく知ってるね、カイクン」

櫂「俺には特殊な力がある」

アイチ「えっ?!」

QB「うん、やっぱりそうなんだ…
   気付いてはいたけど本人も自覚してるとは驚きだ」

櫂「…そして俺はお前と契約する資格もある」

QB「……うん、性別の例外はアイチ以外あんまり認めたくないけど…
   その点は間違いないよ」

櫂「…俺と契約しろ」

アイチ「?!か、櫂くん…?!」

QB「……特殊な力を持つ君にも、叶えたい願いがあるのかい?」

櫂「ああ……俺は間違ったイメージが嫌いでな」


56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:30:35.07 ID:bfQrURwt0

――――――――――
―――――――
―――


――カードショップ キャピタル


新田「おや、いらっしゃ~い」
ミサキ「……」チラ
店長代理「んにゃ~~」アクビ

森川「いよーっし!早速ファイトだ!」

井崎「元気イイナア゛ー」

アイチ「! あ…」

三和「いよーぅ!」
櫂「……」ツン!

アイチ(櫂くん…!)「こ、こんにちは!」


森川「席とったりー!おーい、アイチ!始めるぞ!」机バンバン

ミサキ「…るさい、静かにしな」

井崎「ハハァ…すみません…」

アイチ「あ、うん!」チラッ

櫂「…」ジッ

アイチ「!」(う、うわあ目が合ったっ!)アタフタ


\ ドターーーーン☆ /

アイチ「あ、あたた…」

新田「だ、大丈夫ですか?アイチくん…」
森川「何も無いところで転ぶなんて…」

三和「先導アイチ…やるねぇ~♪(б・∀・)б」
櫂「……」ハァ

アイチ(ううう…は、はずかしい…////)

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:34:09.59 ID:bfQrURwt0
――――――――――
―――――――
―――



「あーあ。まさかこんな無茶な願いを叶えるとはね」


「でもまぁ、
 彼のイメージ力をもって成し遂げられたんだろうね」

「魔女や魔法少女のイメージの原因はインキュベーター…
 つまり、僕が邪魔だった、てわけだね
 こればかりは、一度イメージして脳にインプットした以上
 魔法の力でも借りて取り除かなければいけなかったんだろうね」


「僕たちインキュベーターが誰にも認識されない世界…」


「彼にとってそれは、魔女も魔法少女も必要のない世界…」


「ま、いいんじゃない?」


「ひとまず彼らはこの時代を“ヴァンガード”なんていう
 もので築き上げているようだし
 僕らの出る幕じゃないってことかな?」

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:35:11.35 ID:bfQrURwt0

「その結果、これまでの記憶も消えてしまったし…
 櫂トシキの不思議な力…
 イメージ力とやらも、今後ヴァンガードファイトでしか
 生かすことはできないだろうけど…」


「…ま、僕としても有り難い話ではあるかな。
 イメージだけで世界を再構成してしまうなんて…
 それじゃあ神のようなものだし
 やたらに多様されても困っちゃうんだよね」



「さて、と…


 もうここに用は無いし、そろそろ行こうかな…


 …もしまた会うことがあったら…


 …もうないよね


 じゃ、ばいばい!櫂トシキ、先導アイチ――」



――――――――――
―――――――
―――


59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:35:59.06 ID:bfQrURwt0

アイチ「…あれ?」

森川「ん?どしたぁ?アイチ」

アイチ「…今なんか言った…?」

森川「はぁ?」
井崎「イッデナイゾー!」

三和「おぉ?!まじ?先導アイチ!
   今まさに同じタイミングで櫂が同じことを―」

櫂「―!」プイ

新田「あっはっは…妙なところで通じあうものですねぇ」

アイチ「あ、あはは…」

櫂「……」ツーン


アイチ(それにしても…櫂くん…
    今日はファイトしないのかな?
    三和くんが相手している様子もないし…)

森川「アイチー!余所見するな!」

アイチ「あ、ごごごめん!」

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:38:32.79 ID:bfQrURwt0

  ~ファイト終了後~


森川「くっそー!なんでグレード3があるのに…」
井崎「イヤダカラー」
新田「アイチくんもさすがにファイト慣れしてきたみたいですねぇ」
アイチ「えへへ…」

櫂「…先導アイチ」

アイチ「?!」ビクッ

櫂「俺とファイトしろ」

アイチ「……え?」

櫂「…二度言わせるな。俺とファイトしろ」

アイチ「…?!えっ…え、…う、うん!!」

「スタンドアップ!ザ・ヴァンガード!!!」
「スタンドアップ!ヴァンガード!!!」


――――――


櫂くんとのファイトはやっぱり負けてしまった。
僕なんか、まだまだ初心者なんだと思い知らされる。

負けるのは悔しい。
だけど、ファイトするのは楽しい。
イメージの中で、僕の戦士たちは決して相手に背を見せないんだ。

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:39:57.77 ID:bfQrURwt0

新田「いやいや、なかなかいい勝負だったじゃないですか」パチパチ
森川「チッ…櫂の野郎かっこつけやがって…」ボソッ
井崎「ヤッパマケタカー」

アイチ「そ…そうですかね…?」
   (ボロボロだったような気が…)

新田「アイチくんは最後まで諦めないでしょう?
   だから彼も、真っ直ぐなファイトで向かってくれる
   アイチくんとのファイトは楽しかったと思いますよ」ヒソヒソ

アイチ「…!」(本当にそうなら…嬉しいけど…)

櫂「…帰る」ガタ
三和「お、もーいいのか?」
櫂「ああ…」スタスタ

三和「…先導アイチ」クルッ ニヤッ

アイチ「あ、はい…」

三和「櫂のやつ、今日お前とファイトするためだけに
   ここに来たんだぜ?」コソッ

アイチ「え……ええ?!!」

三和「あ、これ言っちゃいけねーんだったwww
   じゃな」スタタ


アイチ「…!」ダッ

森川「あ、アイチ?!」
井崎「アイチィ?!」

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:40:52.76 ID:bfQrURwt0

―― 外・夕暮れ


アイチ「か、櫂くん!」

三和「おっ、櫂~先導アイチが呼んでるよ~ん」

櫂「…お前…何か言ったか?」

三和「いや別に?wじゃあまあ俺は先に帰ってるわ」スタタタ

櫂「……。…なんだ?」ジロッ

アイチ「あ、…ありがとう!今日は…
    僕なんかとファイトしてくれて…!」

櫂「……」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2011/05/03(火) 18:43:17.20 ID:bfQrURwt0

アイチ「僕…今はこんなに弱いけど…
    だけど…いつかきっと強くなって…
    そうしたら、またファイトしてください!
    櫂くんと張り合えるくらい…
    ううん、勝てるくらいにヴァンガード強くなるからっ…!」

   (………?!!!
    あれ?!櫂くんに勝てるくらいとか…
    図々しいにもほどがあるよ!!)アワワ

櫂「……」

アイチ(櫂くん黙っちゃってるよ…!)アワワワ

櫂「…勇気の剣…か…」フッ

アイチ「…え?」

櫂「強くなったお前とのファイト――…楽しみにしてる」プイ スタスタ

アイチ「!! う、うん――!!!」


 ♪
 いつも信じているよ
 諦めない力が
 可能性を動かすの
 輝いてわたしのダイヤモンド~
 (ED)



――おしまい――