2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:32:27.11 ID:vq0rXtyDO
窓から零れる光の中、一人少女はベッドの上で微睡んでいた。家主が用意してくれた朝飯はもう済ませていて、つまり二度めの眠りを楽しんでいるわけだ。良いご身分である。
――カラン。
ベランダからだろうか? 顔にかかった銀髪を払うと、少女は眼を擦りながら立ち上がった。大きな欠伸を手で隠す。そのまま片手で窓を開けた。
――目の前に映ったのは、青い、丸い物体。
引用元: ・まん丸「学園都市?」
新約 とある魔術の禁書目録(20) (電撃文庫)
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鎌池 和馬
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3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:33:00.30 ID:vq0rXtyDO
デジャビュ。少女はまずその言葉が思い浮かんだ。
「なんなんだよ……」
ポツリ、と呟くと、その青い物体がもぞりと動いた気がした。そのことにハッとする。もしかして、生き物なのかもしれない。現実味がないせいか思い付かなかったが、生き物だとしたら早く救出するのがシスターの役目である。
少女は青い物体を引き上げようと力を込めて――、尻餅をついた。案外軽かったその物体と一緒に、ベランダに落ちる形となった。
痛みに耐えつつも、自分が引き上げた物体を覗きこむ。と同時にその物体が顔をあげるように動いた。
ゴツン!
額に火花が散ったような衝撃を受ける。涙目になっていると、
「だ、大丈夫……?」
小さな男の子のような声が聞こえた。思わずキョロキョロと辺り見回すが、誰もいない。それはそうだ、ここはベランダなのだから。ならばと視線を落とす。
青い物体と思っていたのは、やけに表情豊かなペンギンだった。
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:33:32.31 ID:vq0rXtyDO
「君はなんなのかな?」
喋るペンギンなど初めて見た。少女の中に眠る魔導書にも書かれていない。
「ぼくは、まん丸っていいます!」ビシッ
違う。名前を聞いたわけじゃない。少女の目の前に座るペンギン、まん丸はビシリと短い手を伸ばした。 その様子が可愛らしくて、まぁそんなことはどうでもいいかとも思えてくる。うん、シスターさんは広い心を持っているのだ。
「お姉さんの名前はなぁに?」
「わたしはインデックスだよ!」
にこりと微笑むと、まん丸も照れ臭そうににこりと笑った。
それにしても、
「どうしてベランダにかかってたのかな?」
「人をさがしてるの、……あれ?」
「??」
「ネンネンがいない……」
まん丸は元から青い顔を一層青くして、ぴぃ~っと鳴きながらぐるぐるとその場で回る。止めなくては、と思うと同時に自身の足に躓いたのか、バタンと倒れた。ペンギンは、走るのは下手らしい。
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:34:18.55 ID:vq0rXtyDO
「大丈夫? ネンネンっていうのは君の友達なのかな?」
「うん、そうだよ」
先ほどのような焦りはないものの、落ち着かないのか背負っているリュックサックの肩紐を交互に引っ張っている。きっと不安なのだろう。それを、彼女が見捨てられるはずがなかった。
「うーん、私も探してあげるんだよ!」
いい提案であると、満面の笑みを浮かべる。
まん丸はびっくりしたのか、目をぱちくりとさせた。
「インデックスさん、いいの?」
「もちろんなんだよ、シスターは迷える子羊の味方なんだよ!」
この場合はペンギンであるが。
「ありがとう!」
「ところでネンネンは、どんな子なのかな?」
「粘土だよ!」
これを聞いてインデックスが言葉を失うのは、学生寮を出てすぐのことである。
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:35:07.15 ID:vq0rXtyDO
そういえば昨日は雨が降っていた。空気中の埃が洗い流されたのか、清涼な空気が頬に触れる。インデックスはふにゃりと表情を緩めた。
「インデックスさん、どこに向かってるの?」
「んふふ、頼りになる人のとこなんだよっ」
修道服姿の少女と、ペンギンが歩いている姿は目立つ。平日の午前中で、ほとんど道行く人がいなくて幸いした。
「最初は子萌のところに行こうと思ったんだけど、今は学校だからねー」
「学校?」
「うん学校なんだよー」
緩慢な空気が二人の間に流れる。自分よりも年下と強く意識させられる存在に出会うのは、インデックスにとっては珍しいことだ。少し浮かれていることを自覚しつつも、まん丸を見て頬が緩むのが抑えられない。
ぴたりと足が止まる。まん丸は前につんのめりそうになるが、危ういところでバランスを保つ。それにふぅ、と安堵の息を吐いた。
「よし、ここなんだよ!」
「ここって……お店?」
「コンビニっていうんだけどね、とうまとここに行くとよくその人に会うんだよ!」
薄い胸を張る。しかしまん丸は困ったように目尻を下げた。
「それって……会えなかったらどうするの?」
インデックスが固まる。嫌な予感がした。
「考えて、なかったんだよ……」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:35:41.05 ID:vq0rXtyDO
―――――――
――
―――――
―
珍しく早くに目が覚めた。時計を見ると針は9時過ぎを指している。今日は急に連絡でも入らない限りは何も予定が入っていない。二度寝をしてもいいのだが、珍しくそんな気分にもならない。とりあえずコーヒーでも飲もうと、リビングの扉を開けた。
「あなた今日は早起きさんなのねってミサカはミサカはあなたと時計を見比べながらびっくりしてみる!」
「あァ……他の奴は?」
「黄泉川は学校だし、残り二人はまだ寝てるよ! ってミサカはミサカは暗に一人で寂しかったことを主張してみたり」
ふぅん、と欠伸を噛みしめながら適当に返事をする。キッチンに行き、冷蔵庫から買い置きのコーヒーを取り出す。見るとあと残り一本しかなかった。あとで買いに行かなくてはと思いながら、グビリ、と杯をあおった。
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:37:07.17 ID:vq0rXtyDO
「お出かけするならミサカもつれてって! ってミサカはミサカはあなたの腕にぎゅっと抱きついてみるっ」
駄々をこねられ、仕方なく打ち止めも連れていくことになった。結局打ち止めに対して甘いのだと自分を叱咤する。
「なンも買わねェぞ」
「あなたとお出かけすることが楽しいのってミサカはミサカは頬を膨らませてみたりっ」
――この野暮天め。見当違いのことをいう少年に、打ち止めは心の中で密かに悪態を吐いた。
花があしらわれた華奢な作りのサンダルを履くと、打ち止めは一方通行よりも先に玄関から外に飛び出す。
「あれ?」
「どうした?」
「これなんだろう、ってミサカはミサカは玄関先に落ちていたものを摘まんでみたり」
また厄介事が降りかかってきたのだろうか。打ち止めの摘まんだ灰色の物体に目線をやりながら、一方通行ははぁと大きな溜息を吐いた。
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:37:38.53 ID:vq0rXtyDO
灰色の物体は粘土のように見えたが、いかんせん蠢いている。一方通行としてはアメーバのようであまり可愛らしいものには見えないのだが、打ち止めはこの蠢く粘土をえらく気に入ったようだった。
「おい、それも連れていくのかァ?」
「うん! 可愛いんだもんってミサカはミサカは緩む頬を抑えきれない!」
「オリジナルといい、オマエといい、わかんねェ趣味してンなァ……」
これが何かの能力だったら? その可能性は否定しきれない。打ち止めの掌に乗せられたそれを見て、眉を潜めた。
(注意しとく必要があンなァ……)
それが、笑ったように蠢いた。
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/03(火) 21:42:57.07 ID:vq0rXtyDO
とりあえず、投下終了。
「忍ペンまん丸とかwwwwww」
ってジャンルな気もするが、CCさくらと同じNHKアニメだということを頑として主張したい
文章力は書いていく内に上がるものだと信じてる
「忍ペンまん丸とかwwwwww」
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文章力は書いていく内に上がるものだと信じてる
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