1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:19:51.24 ID:RHDAloaAO
SSはほとんど初めてなので、おかしなところとかあったら、指摘おねがいします。
※唯梓 律澪があります。
設定的には唯が25歳くらいです
ではいきます。
※唯梓 律澪があります。
設定的には唯が25歳くらいです
ではいきます。
引用元: ・唯「今日という未来」
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:20:54.19 ID:RHDAloaAO
「お客さん今日は暑くなるみたいですよ」
タクシーの運転手がわたしに声を掛ける。
唯「うー最近の夏は暑くて困るよー」
運転手「そうですね。私がこどものころはもっと涼しかった気がします」
唯「いいなぁー!」
こどもという言葉を聞いて、わたしはふいにみんなのこと思い出す。
こどもっていうのは、いつまでのことをいうんだろ?少なくとも、今はこどもじゃないってことぐらい、わたしにもわかる。
タクシーの運転手がわたしに声を掛ける。
唯「うー最近の夏は暑くて困るよー」
運転手「そうですね。私がこどものころはもっと涼しかった気がします」
唯「いいなぁー!」
こどもという言葉を聞いて、わたしはふいにみんなのこと思い出す。
こどもっていうのは、いつまでのことをいうんだろ?少なくとも、今はこどもじゃないってことぐらい、わたしにもわかる。
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:23:19.02 ID:RHDAloaAO
運転手「今日は仕事ですか?」
唯「ううん、違うよー。親戚のあつまりがあるのです!」
運転手「でも、気分的には仕事ですか?」
唯「すごーい!なんでわかったの?」
運転手「お客さんの顔見れば誰でもわこらますよ」
そう言って、運転手はいたずらっぽく笑う。
唯「わたしそんな顔してたかなー?」
運転手「してました、してました」
唯「でも、ホントにつまんないんだよー!」
唯「憂も来られないって言ってたし」
もう、最悪だね。
わたしはそれから、親戚のあつまりのつまらなさ、例えばケータイばっかいじってる従姉妹だとか、セクハラまがいの質問を投げかけてくる叔父だとかについての愚痴を言う。
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:24:51.92 ID:RHDAloaAO
そのうちに愚痴をこぼすのにも疲れて、わたしは窓の外に目を向ける。そこで、あるものが見えたので、わたしは言う。
唯「運転手さん!ちょっと止まって!」
どうしたんですと運転手はブレーキを踏んで、タクシーが止まる。
唯「ちょっと降ります!!」
運転手「お客さん逃げないよね?」
唯「がんばるよ!」
そういう問題じゃないでしょと言いつつも運転手は降りることを許可してくれる。 わたしはタクシーを降り、さっき見たものがいるはずの場所にかけていく。
そこには、泣いているこどもがいる。
唯「運転手さん!ちょっと止まって!」
どうしたんですと運転手はブレーキを踏んで、タクシーが止まる。
唯「ちょっと降ります!!」
運転手「お客さん逃げないよね?」
唯「がんばるよ!」
そういう問題じゃないでしょと言いつつも運転手は降りることを許可してくれる。 わたしはタクシーを降り、さっき見たものがいるはずの場所にかけていく。
そこには、泣いているこどもがいる。
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:26:27.99 ID:RHDAloaAO
こども「うわぁぁあん」
唯「どうしたの?」
こども「えーんえーん」
唯「ほらっもう大丈夫だから、お姉さんに言ってみて?」ギュッ
こども「うっう…ママとはぐれちゃったの」
唯「どこでかな?」
こども「えーとね、おっきなおみせ」
おっきなおみせ?
この辺で大きい店といったらデパートのことだろうか。だとしたら、ずいぶん歩いてきたんだなと思う。
唯「ほらっママのところまで連れてってあげるよ」
こども「うん!」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:28:00.13 ID:RHDAloaAO
こどもを連れて、タクシーに再びもどる。
唯「あのー次はあそこのデパートまで、行ってくれるますか?この子のお母さんがそこにいるんだってー」
運転手「そういうことならメーターがたおせないじゃないですか」
運転手がアクセスを踏んで、タクシーが動き出す。
こどものお母さんはすぐに見つかった。デパート内にこどもがいると思い必死にさがしていた。
わたしは迷子センターにこどもを連れていき、お母さんに無事にこどもを届けた。 お礼をしたいというお母さんの申し出を辞退して、わたしはタクシーにもどる。
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:29:36.58 ID:RHDAloaAO
唯「待っててくれたんだー!」
運転手「そりゃあ待ってますよ。まだ料金もらってないんですから」
唯「すいません」
運転手「いや冗談ですよ。それにしてもすごいですね。普通なかなか行動にうつせるものじゃないですよ」
唯「困ってる人を助けるのは当然だよ!」
運転手「ははっ当然ですか。それにしてもこどもをすぐなだめられましたね」
唯「実はわたし、保育園の先生なのです!」
運転手「そうなんですか。それと時間は大丈夫ですかね?」
唯「あーっ!運転手さん超特急で!」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:34:25.32 ID:RHDAloaAO
「りっちゃんせんせー」
生徒がわたしの名前を呼ぶ。
わたしは今、高校教師をしている。桜ヶ丘高校に勤めるとまではいかなかったものの、2つの偶然には恵まれたと思う。
生徒1「せんせーここのドラムどう叩くのー?」
そう、1つは軽音部の顧問になったってことだ。
律「ここはなードンドンチャッチャッって感じに叩くんだ」
生徒1「ぜんぜんわかんないよー」
律「ほらっちょっと貸してみな」
ドンドンチャッチャッ
生徒1「ふうんなかなかじゃん」
ドラムは今でも練習している。だから、腕はなまっていない、はずだ。
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:37:40.35 ID:RHDAloaAO
生徒1「というかさー最初からそうやって教えてくれれば、良かったのに…」
律「まったく、それが教師に対する態度かよー」
生徒1「だって、りっちゃんせんせーぜんぜん教師っぽいとこないじゃん」
律「なにぃーわたしにだって教師っぽいとこあるぞー」
生徒1「ほんとぉ?ねぇねぇ生徒2いまからせんせーが教師っぽいとこ見せてくれるってさ」
生徒2「えー!りっちゃんにはむりだと思いまーす」
律「よしっ見てろよ?」
律「人っていう字はなあ…」
生徒2「りっちゃーん、それぱくりだよ?」
律「う、うるせーし」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:38:22.97 ID:RHDAloaAO
部長「そろそろ、練習終わりにしよーか」
生徒1「おっ終わりだ」
生徒2「まったく、りっちゃんより部長のほうがはしっかりしてるよ」
律「お前なぁー」
やれやれ、これでもわたし部長だったんだけどな。
部長「あっ先生一言お願いします」
わたしは部活の最後にある、先生の一言が苦手だ。
律「え、えーと暑いので熱中症に気をつけるよーに…以上!」
部長「はぁ先生…」
律「どうした?そんな目でみるなよ」
部長「でも先生3日連続これじゃないですか…」
律「あーもーはやく帰った帰った!!」
じゃあねーと手を振り、生徒たちが帰っていく。全員が出ていくのを見届けて、わたしも学校を後にする。
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 02:39:02.41 ID:RHDAloaAO
「あらっりっちゃん」
校門から少し出たところで、ふいに声を掛けられる。
2つ目の偶然、さわちゃんだ。
さわちゃんはわたしがこの学校に来る前の年にここに赴任してきたらしい。もしかすると、わたしが教師という仕事にすぐ慣れることができたのは、さわちゃんおかげかもしれない。
さわ子「りっちゃん部活帰り?よかったら乗ってく?」
律「もちろん、家に送ってはくれないんだよな?」
さわ子「幸いなことに明日は休みよ。朝まで飲み明かしましょ」
律「わたし、まだ給料少ないんだからな」
さわ子「おごらないわよ」
律「知ってるし」
そう言って、わたしは車に乗り込む。
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:12:50.90 ID:RHDAloaAO
「梓ー聞いてる?」
ケータイの向こうで純が声を出す。
梓「えっ?あっ聞いてる聞いてるー」
梓「駅前のカフェ集合でしょー」
純「はぁ違うって…憂の家集合に変更になったっていったじゃん」
梓「えっそうだっけ?」
ごめん純、聞いてなかった。
純「もうちゃんと聞いててよ」
梓「だ、だって電波が…」
純「まったく、梓は言い訳ばっか…素直になりなよー」
梓「じ、純に言われたくないしっ」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:13:45.87 ID:RHDAloaAO
純「…まあいいけど、憂の家覚えてるの?こっち久しぶりじゃん」
確かに久しぶりだなとは思う。 わたしは大学をでたあと、桜ヶ丘のある企業に勤めた。それから、少しして、転勤になったのだ。悪い意味ではなく、俗に言う本社転勤ってやつだ。
梓「大丈夫、覚えてるって。N女のわたしの記憶力なめてるの?」
純「でもそこ、唯先輩や律先輩も受かってるじゃん」
梓「…そっかぁじゃあダメだ」
純「ひどっ!」
梓「最初に言い出したの純だけどね」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:14:32.34 ID:RHDAloaAO
純「それに、わたしのいった大学より下じゃん」
梓「切るよ?」
純「電話?」
梓「純の首」
純「こわっ!」
梓「うそうそっ冗談じゃ切るよー」ブチっ
わたしは純との電話を切り、辺りを見渡す。
その風景を見ると、懐かしいさが胸にこみ上げてくる。と、同時にあの人のことを思い出して切なくなる。
…道わかるかな?
梓「切るよ?」
純「電話?」
梓「純の首」
純「こわっ!」
梓「うそうそっ冗談じゃ切るよー」ブチっ
わたしは純との電話を切り、辺りを見渡す。
その風景を見ると、懐かしいさが胸にこみ上げてくる。と、同時にあの人のことを思い出して切なくなる。
…道わかるかな?
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:17:04.59 ID:RHDAloaAO
「せんぱーい、また部長怒ってますよぉ」
後輩が私の肩をこづく。
私たちの会社は二人一組で仕事をこなす。私の相方がこの後輩ってわけだ。
澪「誰か何かやらかしたのか?」
後輩「さぁーでもあの人いっつも怒ってますよぉー」
澪「まあな、でもミスしなければおこられないだろ」
後輩「そーですねー。その点わたしは大丈夫ですね。澪せんぱいがついてますからぁー」
私はその言葉に対し、苦笑する。
確かに、私は仕事に関してミスはしないし、与えられた以上の結果を出すこともできると思う。
だけど、会社の人との付き合いは薄い。どうやら、周りからは仕事一筋の女と思われているようだ。
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:17:53.07 ID:RHDAloaAO
後輩「そういえば、知ってます?駅前に新しくできたカフェ」
澪「ああ、聞いたことはあるよ。行ったことはないけどな」
後輩「実はわたしもなんですよぉー。雑誌によるとそこのパフェちょーおいしいらしいんですよねぇー」
澪「じゃあ、行けばいいんじゃないか?」
後輩「それがちょー高いんですぉー。誰か連れてってくれないかなぁー」
澪「私は連れてかないぞっ」
後輩「あっわかってますよぉー。せんぱい、私の中であの部長の次に頭かたいですからぁー」
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:18:35.06 ID:RHDAloaAO
澪「はぁ、私はそんなふうに見えるのか?どうすればいいかな?」
後輩「そんなの知りませんよぉー」
後輩「あっ今日この後飲み会あるんできます?」
澪「いや、遠慮しとくよ」
後輩「あーさっきので、せんぱいが一番になりましたぁ」
澪「それは、喜んでいいのかな?」
後輩「はいっ!」
澪「今日は自分のノルマだけやって、帰るかなっ」
後輩「せんぱーい、それはひどいですよぉー」
後輩「そんなの知りませんよぉー」
後輩「あっ今日この後飲み会あるんできます?」
澪「いや、遠慮しとくよ」
後輩「あーさっきので、せんぱいが一番になりましたぁ」
澪「それは、喜んでいいのかな?」
後輩「はいっ!」
澪「今日は自分のノルマだけやって、帰るかなっ」
後輩「せんぱーい、それはひどいですよぉー」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:20:54.67 ID:RHDAloaAO
「琴吹さんこれでよろしいでしょうか?」
部下が私に確認を求めてくる。
紬「えーと…いいんじゃないかしら」
そう言って、私は承認の判子を書類に押す。
今の私の作業を見たら、みんなは退屈だって言うでしょうね。現に私だって、そう思ってるのだから。
部下「琴吹さんは休みをとられるのでしたね」
紬「そうね、少し羽をのばそうかと思って」
部下「どちらかへいらっしゃるのですか?」
紬「ええ、日本に」
部下「そうでしたか。それでは、こちらも忙しくになりますね」
私がいなくったって何も変わらないわ、と言うかわりに、大丈夫よ、頑張ってと笑ってみせる。
部下が私に確認を求めてくる。
紬「えーと…いいんじゃないかしら」
そう言って、私は承認の判子を書類に押す。
今の私の作業を見たら、みんなは退屈だって言うでしょうね。現に私だって、そう思ってるのだから。
部下「琴吹さんは休みをとられるのでしたね」
紬「そうね、少し羽をのばそうかと思って」
部下「どちらかへいらっしゃるのですか?」
紬「ええ、日本に」
部下「そうでしたか。それでは、こちらも忙しくになりますね」
私がいなくったって何も変わらないわ、と言うかわりに、大丈夫よ、頑張ってと笑ってみせる。
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:21:33.13 ID:RHDAloaAO
どうしてこうなったのかしら?私はポーチについた、ティーカップのストラップに触れる。
私は大学を出たあと、お父様の力に頼りたくなくて、自分で就職先を探し、その一つに入社する事ができた。
はじめは仕事はつらかったけど、慣れてくると楽しいものがあり、どんどん成果を出していった。
そのうち、私の仕事が認められ、海外への配属が決まった。みんなと離れるのは嫌だったけど、わがままも言ってられなくて海外へと渡った。
だけど、そこで偉くなっていって、いつの間にか判子を押していた。もちろん、判子を押すだけが仕事じゃない。つまり、それだけ私の仕事は内容がないのだ。
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/05(木) 22:22:38.76 ID:RHDAloaAO
紬「私に足りないものはどこへ行ったのかしら」
気づくと声に出ていた。そこで彼は、お前は金も地位も持っていて十分じゃないかと言ってもよかったのかもしれない。だけど、彼はこう言った。
部下「誰にでも、足りないもの1つや2つありますよ」
紬「そうね、ありがとう」
私はそう答える。
私は子供の頃から抱いていた夢、つまりこの退屈な日常から誰かが私をさらっていくことについて考える。
それは一度みんなが叶えてくれた。
…もう一度なんて、甘いかしら?
今度はストラップを強く握りしめる。
気づくと声に出ていた。そこで彼は、お前は金も地位も持っていて十分じゃないかと言ってもよかったのかもしれない。だけど、彼はこう言った。
部下「誰にでも、足りないもの1つや2つありますよ」
紬「そうね、ありがとう」
私はそう答える。
私は子供の頃から抱いていた夢、つまりこの退屈な日常から誰かが私をさらっていくことについて考える。
それは一度みんなが叶えてくれた。
…もう一度なんて、甘いかしら?
今度はストラップを強く握りしめる。
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:05:05.37 ID:SbT9Q5wAO
~三年前 春!~
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:05:47.56 ID:SbT9Q5wAO
唯「う~ん、おっいしぃぃー」もしゃもしゃ
梓「ハンバーガーをそんなにおいしそうに食べる人はじめてみましたよ」
律「唯は何でもうまそうにくうからなぁー。おっポテトもーらいっ」ヒョイッ
澪「勝手にとるなっ」ポカッ
律「いったぁー」
紬「私ももらーい」ヒョイッ
澪「あっムギまでー」
律「なんでムギは叩かないんだよー」
澪「なんか許せちゃうんだよなぁー」
紬(残念…叩いてもらいたかった)
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:06:22.38 ID:SbT9Q5wAO
澪「そーいえばさ、みんなは就職希望、決めたのか?」
唯「わたしは一日中ゴロゴロしてたいなぁー」
梓「それもう就職関係ないですよね?」
律「ニートだなぁー」
唯「違うよ!アイスも食べるよ!」
律「それがニートだろっ!」
唯「わたしはアイスの評論家になるのです」フンス
梓「ひどい夢ですね…」
唯「あずにゃんアイス評論家をバカにしちゃあダメだよ!」
梓「やれやれ」
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:07:01.55 ID:SbT9Q5wAO
澪「ムギはどうなんだ?」
紬「私は職業とは関係ないんだけど夢があるのー」
律「なんだー?」
紬「私、攫われるのが夢だったの~」
みんな「」
梓「えっ、えーと…」
律「そ、それはなぁ澪?」
澪「あ、ああいくら夢とはいえ…」
唯「ダメだよ!ムギちゃん!危ないよ!」
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:07:57.46 ID:SbT9Q5wAO
紬「ち、違うのみんな」
みんな「えっ?」
紬「攫われるっていうのは比喩的な意味で…」
紬「私、子供の頃から家の影響もあって、いろいろ自由になれない部分があって、それで誰かが私を攫ってくれないかなーって」
梓「そ、そういうことでしたか。びっくりしました」
澪「ムギに変な趣味があるのかと思ったよー」
紬「ごめんね?」
唯「ムギちゃん!じゃあ、わたしたちがムギちゃんを誘拐してあげるよ!」
梓「そしたら、確実に唯先輩のせいで失敗しますね」
唯「あずにゃんしどいっ」
紬「ふふっ…でも、もう叶っちゃったかしら」
律「うれしいこと言ってくれるぜー」コノコノー
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:09:52.74 ID:SbT9Q5wAO
律「澪はどーなんだよ?」
澪「実は私も決まってないんだ。だから、みんなに訊こうと思って」
澪「でも、まだみんな決まってないみたいだなー」
律「おいっまだ聞いてない人がいるんじゃないのかー?」
澪「どこにだ?」
律「ここだよっ!ここ!!」
澪「わかった、わかったで律は決まってるのか?」
律「決まってないよ☆」
澪「なんだよっ!」ポカッ
律「アイタッ」
紬「あらあら」
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:10:40.86 ID:SbT9Q5wAO
梓「でも、先輩たちはみんな決まってないんですね。それで大丈夫なんですか?」
澪「その大丈夫には私も入ってるのか?」
梓「はい!今回は澪先輩もムギ先輩も入ってます」
澪紬「ガーン」
唯「わぁ!あずにゃんが最近どんどん冷たくなってるよぉー!」
梓「先輩は冷たくないアイスを食べたいですか?」
律「くっ…うまいこと言ったつもりかぁー」ガシッ
梓「うわっ!ギブー」バタバタ
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:11:37.86 ID:SbT9Q5wAO
紬「梓ちゃんは将来何になってるのかしら」
澪「ミュージシャンとか似合いそうだな」
唯「あずにゃん!そしたらライブ毎日見に行くよー!」ダキッ
梓「ちょっ…唯先輩//」
律「ラブラブだなー」
澪「そうだな」
紬「りっちゃん、澪ちゃんもね」フフッ
律澪「なにがっ//」
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:22:32.93 ID:SbT9Q5wAO
すいません。最初にも書くべきでした。
~昨日!~
~昨日!~
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:27:37.94 ID:SbT9Q5wAO
憂「梓ちゃん久しぶりー」
梓「憂ー元気だったー?」
わたしは憂と久しぶりに会った感動を分かち合う。
憂に促されて、家の中に上がる。
ここも久しぶりだ。何回もお世話になった。唯先輩がいた時はもとより、憂と純と遊んだときはだいたいここだったなと思う。
純「あっやっと梓来たよー。よっ!久しぶり!」
梓「あの純もしばらく会わないと懐かしいもんだ」
純「嬉しいくせにっ」
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:28:10.43 ID:SbT9Q5wAO
テーブルの上に憂の作った料理がならべてあるのあるのを見て、腹の音が鳴ってしまう。
純「梓も食べたいと言ってることだし、さっそく食べますか」ニヤニヤ
梓「//」
残念だけど、反論ができない。
梓純「いただきまーす」
憂「どーぞ召し上がれー」
梓「おいしい!」
本当においしくて、意識するより、先に声がでてしまう。
憂「ふふっありがと」
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:29:53.88 ID:SbT9Q5wAO
純「梓、今日はどうしてこっちにきたの?」
梓「あーそれは出張だからね。で、仕事は月曜から」
純「さすがはエリート社員!」
梓「エリートなんかじゃないって。それより、憂はどうなの?」
純「憂はすごいんだよ。みんな憂に教えてもらいたがるんだって!神様扱いだよ!」
梓「なんで、あんたがいばってんのよ」
憂「そ、そんなにすごくないよ…ただ教えるのは楽しいよ~」
梓「確かに憂にピアノの先生は似合ってるよ」
梓「教えるの得意そうだし、唯先輩の宿題も教えてたしね」
憂「あははっ」
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:30:39.85 ID:SbT9Q5wAO
純「ねぇわたしは?」
梓「特にいいや」
憂「ふふっ、でも梓ちゃん電話で、ライブと日程が合うかすごい心配してたよ~」
純「ほんっとに素直じゃない!」
梓「わたしだって素直になったよ!」
憂「えー?じゃあ今でもお姉ちゃんのことは好きなの?」
梓「…!!す、好きかな…//」
純「なんと!素直になってる!?」
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:31:28.79 ID:SbT9Q5wAO
憂「それで、お姉ちゃんとは会ってるの?」
梓「えーと、最後に会ったのは半年前くらいかな…」
純「電話はー?」
梓「3ヶ月前かな…」
憂「梓ちゃんはそれでいいの?」
梓「よくはないけど…しかたないとは思ってる」
そう、しかたない、あの日わたしが自分でこうなることを選んだんだから。
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:32:12.89 ID:SbT9Q5wAO
憂「ねえ、梓ちゃんは逃げてるだけじゃないかな?自分に嘘ついて…もっとがんばってもいいんじゃない?」
梓「……」
憂「あっごめん」
梓「ううん、いいんだ。ホントのことだから」
憂には何でも見透かされてるなと思う。わたしは逃げてたんだ。あの日よりあとだってチャンスはあった。
梓「でも、終わったって気もする」
あの日、わたしは怖れた。女同士ってことを。しかも、もう時は過ぎてしまった。あのころのようには戻れない気もする。
純「でもさ、終わったんならまたはじめればいいじゃん!」
憂「なあんだ、簡単だよー!」
そんなふうに言われると本当に簡単に思えてしまえそうで、困る。
梓「……」
憂「あっごめん」
梓「ううん、いいんだ。ホントのことだから」
憂には何でも見透かされてるなと思う。わたしは逃げてたんだ。あの日よりあとだってチャンスはあった。
梓「でも、終わったって気もする」
あの日、わたしは怖れた。女同士ってことを。しかも、もう時は過ぎてしまった。あのころのようには戻れない気もする。
純「でもさ、終わったんならまたはじめればいいじゃん!」
憂「なあんだ、簡単だよー!」
そんなふうに言われると本当に簡単に思えてしまえそうで、困る。
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:32:53.53 ID:SbT9Q5wAO
梓「ちょ、ちょっと待ってよ!2人ともなんでそんなに積極的なの?」
純「えーだってー、梓の恋応援するのは面白いじゃん!」
梓「やれやれ」
憂「ふふっ梓ちゃん、ほんとはね純ちゃんも私も梓ちゃんの助けになれればいいなーって思ってるんだー。ほら、梓ちゃんあんまり人頼らないからさ」
純「ういーそれは言わない約束だったのにー」
憂「あっ!忘れてたっ!」
純「そーゆーとこ唯先輩に似てるよねー」
純「えーだってー、梓の恋応援するのは面白いじゃん!」
梓「やれやれ」
憂「ふふっ梓ちゃん、ほんとはね純ちゃんも私も梓ちゃんの助けになれればいいなーって思ってるんだー。ほら、梓ちゃんあんまり人頼らないからさ」
純「ういーそれは言わない約束だったのにー」
憂「あっ!忘れてたっ!」
純「そーゆーとこ唯先輩に似てるよねー」
39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:33:19.37 ID:SbT9Q5wAO
梓「ちょ、ちょっと待ってよ!2人ともなんでそんなに積極的なの?」
純「えーだってー、梓の恋応援するのは面白いじゃん!」
梓「やれやれ」
憂「ふふっ梓ちゃん、ほんとはね純ちゃんも私も梓ちゃんの助けになれればいいなーって思ってるんだー。ほら、梓ちゃんあんまり人頼らないからさ」
純「ういーそれは言わない約束だったのにー」
憂「あっ!忘れてたっ!」
純「そーゆーとこ唯先輩に似てるよねー」
40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/06(金) 20:34:44.11 ID:SbT9Q5wAO
憂「梓ちゃん、おせっかいだったかなー?」
梓「とんだ、おせっかいだよっ」グスン
純「やっぱり素直じゃないっ!」
梓「うるさいっ…ありがと…憂…純…」
純「…あ、梓の泣き虫!」
憂「純ちゃんも素直じゃないねー」
私たちって変わったけど、変わらないねーと憂が言う。それを聞いて、そうかもしれないなと思う。いろいろ変わっていくなかで、変わらないものがある。それがいい意味であったらいいなと思う。
わたしは、唯先輩に告白してもいいかなと思っている自分がいることに気づく。
43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/08(日) 00:04:21.35 ID:e9p4i0bAO
後輩「澪せんぱいこれなんですかぁ?」
後輩は一枚の紙をもっている。どうやら、私の渡した資料の中に入り込んでいたらしい。
後輩「えーと、なになに…」
後輩「『チョコレートはちょこっとだけよ。わたしの心はミキサー状』ってなんですかぁ!これっ!」
私は赤面する。
澪「読むなっ!そして、返せっ!」
私はそれを後輩の手から奪い取ろうとする。だが、後少しで紙に手が届きそうというところで、後輩は紙を引っ込める。
44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/08(日) 00:04:47.65 ID:e9p4i0bAO
後輩「これがなんだか教えてくれたらぁ、返しますよぉー」
澪「…か、歌詞だ//」
後輩「お菓子?たしかにお菓子の名前はいっぱい書いてありますけどぉ…」
澪「う、歌の歌詞だよっ!」
後輩「スイマセン、その発想はなかったです」
澪「う、うるさいっ!」
私は今度こそ後輩の手から、紙をひったくる。
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/08(日) 00:05:21.06 ID:e9p4i0bAO
後輩「でも、澪せんぱいって音楽やってるんですねぇー」
澪「ああ、まあな」
後輩「どんな楽器ですかぁ?」
澪「ベースだ」
後輩「ヴェース」
澪「ベースな」
後輩「へぇー正直驚きですよぉ!あの澪せんぱいがベース弾いてるなんてぇ!」
澪「あはは…」
後輩「不思議でしたからねぇー。澪せんぱい、仕事以外のときは何してるだろぉ?って」
澪「…私は何に見えてたんだ」
後輩「土地に例えるなら、砂漠ですよぉ!砂漠。こっちはやっとオアシスを見つけた気分です」
澪「まったく、私にだって趣味くらいはあるさ」
46: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:07:15.48 ID:e9p4i0bAO
後輩「てことは、バンド組んでるんですよねぇ?」
澪「ああ、今は休止中だけどな」
休止中でいいんだよな?みんな。
後輩「なんていう、バンドですかぁ?」
澪「放課後ティータイムっていうんだ」
後輩「これはまた、澪せんぱいの命名ですか?」
澪「残念だったな。これは私の高校の頃の先生がつけたんだよなー」
後輩「ああ!どおりで格好いいわけだぁ!」
澪「どういう意味だ、コラッ」
47: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:09:20.27 ID:e9p4i0bAO
後輩「あっじゃあ復活したら、ライブとかやるんですよねぇ?」
澪「ああ、もちろん!」
復活するよな?
後輩「そしたら、ライブでこれやってみてくださいよ!」
そう言って、後輩は右手の親指以外をたてる。
澪「なんだ?4か?」
後輩「違いますよぉ!ダブルピースです!」
澪「普通、ダブルピースっていうのはこういうのじゃないか?」
私は両手それぞれにピースをつくる。
後輩「知らないんですかぁー最近はこれが流行ってるんですよぉ」
澪「ほんとか?」
後輩「嘘です。私と私の友達の流行らせようとしてるんです」
澪「流行らないだろ?」
後輩「なんでわかったんですかぁー」
澪「ああ、もちろん!」
復活するよな?
後輩「そしたら、ライブでこれやってみてくださいよ!」
そう言って、後輩は右手の親指以外をたてる。
澪「なんだ?4か?」
後輩「違いますよぉ!ダブルピースです!」
澪「普通、ダブルピースっていうのはこういうのじゃないか?」
私は両手それぞれにピースをつくる。
後輩「知らないんですかぁー最近はこれが流行ってるんですよぉ」
澪「ほんとか?」
後輩「嘘です。私と私の友達の流行らせようとしてるんです」
澪「流行らないだろ?」
後輩「なんでわかったんですかぁー」
48: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:13:57.85 ID:e9p4i0bAO
「かんぱ~い」
グラスがぶつかる小気味よい音が響く。 わたしとさわちゃんは学校の近く、安さがうりの居酒屋にやってきていた。
さわ子「どう?もう仕事には慣れた?」
律「とうぜん!あっ授業は大変だけどね」
さわ子「はあ、あなたそこが教師の一番の仕事なのよ」
律「わかってるって、さわちゃんはいいよなー。音楽ってラクそー」
さわ子「そんなことないわよ。まずね…」
律「わかったわかった。さわちゃんは酒がまわると愚痴しかいわなくなるからな」
さわ子「りっちゃんはぜんぜん飲めないじゃない」
律「あーあーそっちの方が健康的だろ」
49: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:14:39.70 ID:e9p4i0bAO
さわ子「まあいいけど…軽音部のほうはどう?」
律「楽しいよ。まあわたしたちのときとは、ずいぶん違うけどな」
さわ子「そうね。というかあなたたちが異常だったんだけど…」
律「でも、さわちゃんだって楽しんでただろー」
さわ子「そんなことなかったわよーあなたたちを注意するのは大変だったんだから」
律「いいのかー?デスメタばらしちゃうぞー」
さわ子「ちょっやめなさいよ!わたし今度こそおしとやかキャラで通してるんだから」
律「いやムリがあるだろー歳的に」
さわ子「うっさいわねーりっちゃんだってすぐにババアになるわよ」
律「あっ、その台詞高校のときは笑えたのになぁー」
50: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:15:14.11 ID:e9p4i0bAO
律「そういえばさ、今でもティータイムとかって続いてるのか?伝統みたいな?」
さわ子「残念だけど、梓ちゃんの代で終わったわよ」
律「そっかあ…まっあれはムギがいたからなぁー」
そこでわたしのケータイが鳴る。ポケットから出すときについた2つのストラップが揺れる。
さわ子「あらっかわいいのつけてるじゃない。ウサギなんて」
律「う、うるせーし//」
わたしはそう言ってから、ケータイを開いて、発信者を確認する。なんの偶然か画面にはムギの名前が映し出されていた。
51: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:18:12.48 ID:e9p4i0bAO
紬『…もしもし、りっちゃん?』
律「よっムギ!久しぶりじゃん!どうしたー?」
紬『久しぶりっ。実はね今度日本に行けることになったの~』
律「ほ、ほんとかっ?」
紬『うんっ!まだ詳しい予定はわからないんだけど…明日の夜にはつけるかしら』
律「それって日本時間だよな?」
紬『ふふっそうよ』
律「いやームギが帰ってくるなんてなぁー。そうだ、今、さわちゃんといて、ちょうどティータイムの話になったんだぜ」
紬『ホント!?…もう少し話聞きたいんだけど、これからこっちをたつ前にしなきゃいけないことがあるから…』
律「あっそうなの?ムギも大変だなぁー」
律「よっムギ!久しぶりじゃん!どうしたー?」
紬『久しぶりっ。実はね今度日本に行けることになったの~』
律「ほ、ほんとかっ?」
紬『うんっ!まだ詳しい予定はわからないんだけど…明日の夜にはつけるかしら』
律「それって日本時間だよな?」
紬『ふふっそうよ』
律「いやームギが帰ってくるなんてなぁー。そうだ、今、さわちゃんといて、ちょうどティータイムの話になったんだぜ」
紬『ホント!?…もう少し話聞きたいんだけど、これからこっちをたつ前にしなきゃいけないことがあるから…』
律「あっそうなの?ムギも大変だなぁー」
52: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:21:16.43 ID:e9p4i0bAO
紬『そうだっ!澪ちゃんにはりっちゃんから言ってくれないかしら?』
何で?とは聞かなかった。あのことを知らないものは軽音部にはいない。それに一番それを残念がってたのもムギだった。
紬『やっぱ、難しいかしら?』
律「…いや、任せてくれよっ!」
紬『ありがと。じゃあ詳しい事が決まったら、また連絡するわね』
そう言ってムギは電話を切った。
それから、わたしはさわちゃんと二時間ばかり飲んで、家に帰った。すぐにシャワーをあび、パジャマを着て、ベットに横になる。
そろそろ約束を果たすときが来たのかもしれないな。わたしはゆっくりと目を閉じる。
53: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:22:21.26 ID:e9p4i0bAO
~三年前 夏!~
54: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:28:02.59 ID:e9p4i0bAO
ピーンポーン
唯「あずにゃんいるー?」
ガチャ
梓「はいはーい…ってなんだ先輩方でしたか」
律「なんだとはなんだっ」
唯「あずにゃん!お出掛けしよっ?」
梓「えーと今日はちょっと…」
澪「何かあるのか?」
梓「たいしたことじゃないんですけど…」
律「じゃあ、いいじゃん!ほらっいくぞっ!」グイグイ
55: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:28:54.49 ID:e9p4i0bAO
梓「ちょっ、ちょっと待ってくださいよー第一どこにいくんですか?」
紬「みんなで街を散策するの~」
梓「それってつまり、行くあてなしってことですよね」
唯「いいじゃーんあずにゃーん、堅いこと言わずにちょっとだけっ!ねっ?」
梓「まあ少しだけなら…」
律「じゃあ、しゅっぱーつ!」
梓「せ、せめて服くらい着替えさせてくださいよー」ズリズリ
56: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:30:01.33 ID:e9p4i0bAO
澪「でも、どこに行こうか?」
梓「そうですね。ただ街をブラブラするのもあれですし」
梓「あっ楽器屋がありますよ」
律「あーあるな」
唯「けど、それがどうかしたのー?」
梓「はあー、仮にも音楽やってるんですから、少しは興味もってくださいよっ!ねぇ澪先輩?」
澪「いや、あそこはレフティのあつかいが悪いからなっ!」
梓「はあー」
57: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:30:36.54 ID:e9p4i0bAO
唯「あーっ!」
紬「どうしたの唯ちゃん?」
唯「あの服かわいいー」
律「どれだ?」
唯「もうっりっちゃんにはあの服が発するオーラを感じないの?」
澪「あれか?」
律「…いやあれはないだろ」
梓「澪先輩の歌詞のセンスがこんなとこまで生かされてるとは…」
58: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:31:13.40 ID:e9p4i0bAO
唯「みんなっこれだよっ!これ!」
律「へえーいいじゃん」
梓(唯先輩に似合いそうだな~)
紬「もう唯ちゃんに着せてあげるなんて、はやいわねー梓ちゃん」
梓「なっ、なにがですかっ//」
律「一回試着してみたらどうだ?」
唯「うんっそうするよ!」
パタン
律「…のぞくなよ、梓」
梓「の、のぞきませんよっ//」
59: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:31:42.75 ID:e9p4i0bAO
唯「どうかなー」ジャン
律「おっ似合ってるぞー」
澪「いいんじゃないか」
紬「かわいいわっ!唯ちゃん」
梓「まあ、なかなかですよ」
唯「ホントっ?あっでもどれくらいするんだろ?」
梓「えーと、けっこうしますね」
唯「えへへー買っちゃおーかなー」
律「でも、唯最近服買ってなかったっけ」
唯「そーなんだよねーどーしよー」
60: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:33:30.91 ID:e9p4i0bAO
唯「あっ!いいこと考えたー」
澪「どうしたんだ?」
唯「えーとね、次このお店の前を通ったのが女の人だったら買うよっ!」
律「おっ面白そうだなー」
唯「うーん、やっぱ男の人にしようかなーでもなーそうだっ!」
唯「次このお店の前を女か男の人が通ったら買うことにしようっ!」
律「おいっ!!」
澪「もう買っちゃえばいいんじゃないか?」
唯「それじゃあダメなんだよっ!澪ちゃん!さあ、ばっちこいだよ!」
澪「どうしたんだ?」
唯「えーとね、次このお店の前を通ったのが女の人だったら買うよっ!」
律「おっ面白そうだなー」
唯「うーん、やっぱ男の人にしようかなーでもなーそうだっ!」
唯「次このお店の前を女か男の人が通ったら買うことにしようっ!」
律「おいっ!!」
澪「もう買っちゃえばいいんじゃないか?」
唯「それじゃあダメなんだよっ!澪ちゃん!さあ、ばっちこいだよ!」
61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/08(日) 00:35:45.59 ID:e9p4i0bAO
スタスタ にゃあ~
紬「あっ」
律「あっ!」
澪「あーあー」
唯「あーーっ!」
梓「あぁーーっ!」
62: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:36:21.84 ID:e9p4i0bAO
澪「というか、何で梓もそんなに驚いてるんだ?」
梓「あ、あずにゃん二号です…」
律「あずにゃん二号?」
梓「つ、つまり純から預かってる猫です」
紬「追いかけたほうがいいんじゃないかしら?」
梓「そ、そうでしたっ!」ダッ
唯「……服欲しかったなぁ」
63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/08(日) 00:37:53.81 ID:e9p4i0bAO
律「梓ー見つかったかぁー?」
梓「いいえ…」
唯「うーんとじゃああっちかこっちに行ったのかなぁ」
紬「手分けしたほうがよさそうね」
澪「そうだな。どうやってわける?」
律「グーパーでいいんじゃないか?」
64: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:39:31.19 ID:e9p4i0bAO
梓「ちょ、ちょっと待ってください」
律「どーした?なんかあるのか?」
梓「そうじゃなくて、先輩たち探すの手伝ってくれるんですか?」
唯「あったりまえだよ!困ってる人を助けるのは当然だよっ!」
澪「まあ、どうせ行くあてもなくて暇な身だしな」
律「というか、連れてきたわたしたちも悪いし」
紬「だから、梓ちゃんは気にしなくていいのよ?」
梓「先輩方…ありがとうございます!」
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/08(日) 00:40:28.39 ID:e9p4i0bAO
~ 昨日! ~
66: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:43:34.36 ID:e9p4i0bAO
唯「ありがとーお母さん、お父さん!」
わたしはそう言って車を降りる。
二人はこれから、ドライブデートにいくらしい。まったく相変わらずだ、と思う。 わたしもドライブデートにいけたらいいんだけどな。誰と?―あずにゃんと。
そんなことを考えながら、感傷に浸っていると、前方に懐かしい姿をみとめる。
67: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:44:02.00 ID:e9p4i0bAO
唯「和ちゃんっ!」
和「唯じゃない!ひさしぶりね」
唯「和ちゃん元気だったー?」
和「うん。唯は?」
唯「もちろんっ!今日はどうしてここに?…はっ!わたしに会いに来たんだねっ!」
和「違うわよ。小説のネタ探しに散歩」
唯「あっ和ちゃん、そこは嘘でも会いに来たっていうところだよっ」
それから、わたしたちは久しぶりに会った友達とのお決まりの会話、つまり近況報告と昔の思い出話に花を咲かす。
和「唯じゃない!ひさしぶりね」
唯「和ちゃん元気だったー?」
和「うん。唯は?」
唯「もちろんっ!今日はどうしてここに?…はっ!わたしに会いに来たんだねっ!」
和「違うわよ。小説のネタ探しに散歩」
唯「あっ和ちゃん、そこは嘘でも会いに来たっていうところだよっ」
それから、わたしたちは久しぶりに会った友達とのお決まりの会話、つまり近況報告と昔の思い出話に花を咲かす。
68: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:44:51.61 ID:e9p4i0bAO
和「そういえば、今度、あなたたち桜高軽音部をモデルに小説を書こうと思ってるんだけど、どうかしら?」
唯「ホントっ!いよいよわたしたちも小説デビューだねっ!」
和「まあ、まだわかんないんだけどね」
唯「和ちゃん自分ばっかり、活躍させないでよー?」
和「えっ?私?私は小説に出さないつもりなんだけど…」
唯「なんでさっ?」
69: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:45:22.86 ID:e9p4i0bAO
和「だって、軽音部がメインの話だし…」
唯「和ちゃんは軽音部にかかせない存在だったよ?軽音部のためにたくさん頑張ってくれたしっ!」
唯「それにわたしはどうなるのさっ!わたし和ちゃんがいなかったら、軽音部にも入ってなかったし、今頃ニートだよっ!」
和「…確かに大変だったわねー。律はいつもいつも部長会議にで忘れるし、あなたたちもティーセットなんて持ち込んで、ずっとお茶してるし…。」
唯「えへへ~面目ないです~」
和「まっ私もそれを楽しんでたから、よかったんだけどね」
唯「の、和ちゃーん」パァアア
唯「和ちゃんは軽音部にかかせない存在だったよ?軽音部のためにたくさん頑張ってくれたしっ!」
唯「それにわたしはどうなるのさっ!わたし和ちゃんがいなかったら、軽音部にも入ってなかったし、今頃ニートだよっ!」
和「…確かに大変だったわねー。律はいつもいつも部長会議にで忘れるし、あなたたちもティーセットなんて持ち込んで、ずっとお茶してるし…。」
唯「えへへ~面目ないです~」
和「まっ私もそれを楽しんでたから、よかったんだけどね」
唯「の、和ちゃーん」パァアア
70: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:46:16.45 ID:e9p4i0bAO
和「ふふっ、実はね私少し、小説の方で悩んでたの」
唯「悩むことないよー和ちゃんの本は素敵だよっ!」
和「…唯。あなた、私の本読んだことあるの?」
唯「ないですっ!」
和「ふう、だと思ったわ」
71: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:47:41.42 ID:e9p4i0bAO
和「まあでも、そんな悩み唯の笑顔みてたらどうでもよくなっちゃったわ」
唯「えっへん!笑顔はわたしの唯一のとりえだからねー」
和「あははっ、唯一って自分で言っちゃうのね」
じゃあ、私はここで、そう言って和ちゃんは道を曲がろうとする。わたしはその背中に声を掛ける。
72: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:48:40.73 ID:e9p4i0bAO
唯「あっ待って、言い忘れたことがあるんだー」
和「何かしら?」
和ちゃんが振り向く。
唯「幼なじみっていうのは、常緑樹に似てる。決して、きれいな紅葉はないけれど、その葉が落ちることもない」
和ちゃんは一瞬驚いて、すぐに笑う。
和「それ、どっかの小説のパクリじゃない」
73: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:49:53.78 ID:e9p4i0bAO
~ 三年前 夏! ~
74: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:53:05.51 ID:e9p4i0bAO
紬「どうやって探そうかしら?」
律「やっぱ一つ一つ見ていくしかないんじゃないか?猫がいそうな場所を」
唯「猫がいそうな場所ってどこかなあー」
律「さあーさっぱりだなー」
紬「大丈夫かしら」
律「大丈夫、大丈夫。当たってくだけろだっ!」
紬「ふふっ、くだけちゃダメじゃない」
唯「もう、りっちゃんはバカだねー」
律「唯、お前には言われたくないっ!」
律「やっぱ一つ一つ見ていくしかないんじゃないか?猫がいそうな場所を」
唯「猫がいそうな場所ってどこかなあー」
律「さあーさっぱりだなー」
紬「大丈夫かしら」
律「大丈夫、大丈夫。当たってくだけろだっ!」
紬「ふふっ、くだけちゃダメじゃない」
唯「もう、りっちゃんはバカだねー」
律「唯、お前には言われたくないっ!」
75: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:53:33.17 ID:e9p4i0bAO
紬「ふぅ、なかなか見つからないわね」
唯「あ、あづいー」
律「確かに今日がもっと涼しかったらなぁ」
唯「あ、アイス食べたい…」
律「ちょっと、休憩にするかー」
紬「そうね、すこしくらいなら」
76: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:54:10.81 ID:e9p4i0bAO
唯「やっぱ、暑い夏にはガリガリ君だよねー」
律「そうだなー生き返るぜー」
紬「ガリガリ君っていうのこれ?」
唯「そーだよ!このシャリシャリがおいしいんだよっ!」
紬「確かにおいしいわ」
77: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:54:52.27 ID:e9p4i0bAO
紬「確かにおいしいわ」
律「しかも、60円と財布にもやさしいからなっ」
紬「こ、これで60円なの?」
律「そうだよ」
紬「す、すごいっ!」
律(わたしとしては知らなかったムギのほうがすごいよ…)
78: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:55:26.68 ID:e9p4i0bAO
唯「あっ!」
律「どーした?」
唯「あ、アイスが当たった…」
律「なんだよっ!てっきり、猫を見つけたのかと思ったじゃねーか」
唯「ごめーんー。でも、これで猫ちゃんも見つかるよっ!」
紬「どうして?」
唯「ふふふ、アイスが当たった日はすべてがうまくいくのです」フンス
紬「そうなの!?ガリガリ君ってすごいのねー」
律「ムギ信じちゃダメだ」
律「どーした?」
唯「あ、アイスが当たった…」
律「なんだよっ!てっきり、猫を見つけたのかと思ったじゃねーか」
唯「ごめーんー。でも、これで猫ちゃんも見つかるよっ!」
紬「どうして?」
唯「ふふふ、アイスが当たった日はすべてがうまくいくのです」フンス
紬「そうなの!?ガリガリ君ってすごいのねー」
律「ムギ信じちゃダメだ」
79: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:56:01.67 ID:e9p4i0bAO
唯「りっちゃん信じてないねー?今すぐに猫ちゃんはわたしたちの目の前に現れるよっ!」
律「まったくそんなこと…」
にゃーあ
唯律「なんと…」
律「って、唯も信じてなかったのかよっ」
80: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:56:29.85 ID:e9p4i0bAO
ガシッ
紬「捕まえたわよ~」ミャアミャア
律「おっムギでかした!」
唯「じゃあ、さっそくあずにゃんに電話するよ~」ピッ
紬「きっと、梓ちゃん不安がってるからでしょうから、はやく安心させてあけまないとね」
唯「もしもしーあずにゃん?実はね…アイスが当たったんだよっ!」
律「おいっ!…そっちじゃないだろっ!」
81: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 00:57:15.63 ID:e9p4i0bAO
~ 昨日! ~
82: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:03:00.36 ID:e9p4i0bAO
わたしは予約したビジネスホテルに向かう間、 ずっと憂と純に言われたことと唯先輩のことを考えていた。
そのせいで注意力が散漫になっていたのかもしれない。だから、自分の背後に男がいるのに気づかなかった。
男の存在に気づいたのは、お尻のあたりに触られてからだった。
痴漢だ。そう思って振り向くと、男は来た道に向かって走り出している。触られたあたりに手をふれてみて、男の目的にはじめて気づく。――財布を盗られた。
83: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:03:43.42 ID:e9p4i0bAO
わたしは男を追って駆け出していた。男は広い道にでると、路肩にとめてある白のセダンに乗りこむ。
わたしはせめてナンバーを覚えようと車の方に目をやるが、そこでタクシーが通ったので、タクシーをとめる。
梓「すいません。前の車を追ってください」
運転手「あの白の?」
梓「そうです。それですっ!」
わかりましたと言って、運転手はアクセルに足をかける。
84: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:04:13.62 ID:e9p4i0bAO
梓「すいません。変なことお願いしちゃって…」
運転手「いいんですよ。私、一度はこういうことしてみたかったんですよ」
梓「ああ、なんだかドラマみたいですよね」
運転手「そうですね。それで何で前の車を?」
梓「財布をすられたんですよ」
運転手「財布?そんな大金が?」
梓「いえ、お金はいいんですが、財布の方が問題なんです」
運転手「はあ、よくわかりませんが、大変ですね」
85: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:04:42.03 ID:e9p4i0bAO
正直いって、これからどうするのかまったく考えていなかった。ただ財布はなんとしてでも取り返さなければいけない。
わたしがあれこれ策を考えているうちに前の車がとまる。
と、そこであることにわたしは気づく。運転手も同じことに気づいたのか、苦笑いを向けてくる。
86: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:05:09.90 ID:e9p4i0bAO
運転手「代金払えませんよね?」
梓「そ、そうですよね。ここで待っててくれませんか?取り返したら…」
運転手「いいですよ」
梓「えっ?」
運転手「代金はいいです」
梓「で、でも…」
運転手「それより、はやく追ったほうがいいですよ。大切な財布なんでしょ?それに…困っている人を助けるのは当然ですから」
87: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:05:35.36 ID:e9p4i0bAO
わたしは運転手に礼を告げ、タクシーを降りる。
タクシーを降りるとき、受け売りなんですけどね、と運転手が言うのが聞こえた。
男は歩いていたので、そう遠くにはいっていなかった。
わたしは男との距離をつめる。そこで、男が振り向き私を見た。すぐに自分が盗んだ相手と気づいたのか、走って逃げ出す。 わたしも走って追いかける。しかし、さすがに距離は離れていく。
88: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:06:03.64 ID:e9p4i0bAO
すると、男が角を曲がろうとしたとき何かにぶつかるのが見えた。男と男とぶつかった相手はその場に倒れた。すぐに男は慌てて立ち上がり、その場を後にする。
今度はわたしは男を追わなかった。ぶつかった拍子に財布が落ちたのが見えたからだ。わたしが財布に近づき、拾おうとすると声を掛けられた。
89: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:06:36.99 ID:e9p4i0bAO
梓「和先輩?」
和「その財布は?」
和先輩はわたしが手に持った財布に指を向ける。わたしは誤解されないようにいままでのいきさつを話す。
和「そんなことが…それは大変だったわね」
梓「和先輩はどうしてここに?」
和「さっき唯にあってね。唯と話してたの」
梓「唯先輩ってこの辺に住んでるんですか?」
和「そうよ。知らなかったの?あのマンションの2○5室」
それを聞いて、わたしは唯先輩がどこへ移り住んだのかさえ知らなかったのだと思う。
和「その財布は?」
和先輩はわたしが手に持った財布に指を向ける。わたしは誤解されないようにいままでのいきさつを話す。
和「そんなことが…それは大変だったわね」
梓「和先輩はどうしてここに?」
和「さっき唯にあってね。唯と話してたの」
梓「唯先輩ってこの辺に住んでるんですか?」
和「そうよ。知らなかったの?あのマンションの2○5室」
それを聞いて、わたしは唯先輩がどこへ移り住んだのかさえ知らなかったのだと思う。
90: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:07:31.49 ID:e9p4i0bAO
和「よかったら送っていこうかしら?いろいろ不安だと思うし」
梓「お願いします」
わたしは和先輩の申し出を素直に受け、歩き出した。
取り返した財布についた犬のストラップを見て、心のなかで呟いてみる。
「あなたがここに連れてきてくれたの?」
もちろん、犬はワンともスンとも言わない。
91: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:08:15.80 ID:e9p4i0bAO
~ 三年前 夏!~
92: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:10:35.59 ID:e9p4i0bAO
梓「すいません。せっかくの休日をこんなことに使わせて…」
澪「気にしなくていいよ。さっきも言ったけど、私たちだって暇だったわけだし」
梓「…ありがとうございます」
澪「あの猫は鈴木さんから預かってるんだよな?」
梓「そうです。純もすごく大切にしてて…なのにわたし…」ウッ
澪「梓…」
梓「もし、見つからなかったら…」グスン
澪「な、泣くな梓。大丈夫だって、きっと見つかるよ。ほらっ猫ってさ自分の家に戻るっていうだろ。だから、今頃は鈴木さんの家に帰ってるんじゃないか?」
梓「…はい」
澪「気にしなくていいよ。さっきも言ったけど、私たちだって暇だったわけだし」
梓「…ありがとうございます」
澪「あの猫は鈴木さんから預かってるんだよな?」
梓「そうです。純もすごく大切にしてて…なのにわたし…」ウッ
澪「梓…」
梓「もし、見つからなかったら…」グスン
澪「な、泣くな梓。大丈夫だって、きっと見つかるよ。ほらっ猫ってさ自分の家に戻るっていうだろ。だから、今頃は鈴木さんの家に帰ってるんじゃないか?」
梓「…はい」
93: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:11:04.48 ID:e9p4i0bAO
澪「そうだっ!梓なら猫の行きたい場所がわかるんじゃないか?」
梓「何でですか?」
澪「え、えーと…あずにゃんだから?」
梓「…ふふっ、まさか澪先輩にあずにゃんと言われると思いませんでした。なんか新鮮ですね」
澪「よしっ、大丈夫見つかるさ、あず…にゃん//」
梓「もうっ!でも、不思議ですね。澪先輩が大丈夫って言うと、ホントに大丈夫に思えてきます」
澪「そうか…でも、あずにゃんって言うのけっこう恥ずかしいな。唯はよく言える」
梓「唯先輩ですから」
澪「だな」
94: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:11:33.05 ID:e9p4i0bAO
梓「なかなか見つからないですね」
澪「やっぱり、鈴木さんの家に帰ってるとか」
梓「…そうだといいんですが」
ピロロン♪ピロロン♪
梓「あっ電話です」
澪「誰からだ?」
梓「唯先輩みたいです」
澪「もしかしたら、見つかったんじゃないか?」
95: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:12:00.32 ID:e9p4i0bAO
唯『もしもしーあずにゃん?実はね…アイスが当たったんだよっ!』
梓「はぁ」
唯『あとねー猫ちゃん見つかったよ!』
梓「ほ、ホントですかっ?」
唯『うんっ!アイスの神様に感謝だよっ!』
梓「アイスの神様?」
唯『うんっ!じゃあ、最初の場所で待ってるよー。バイバーイ』
96: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 01:12:26.36 ID:e9p4i0bAO
梓「澪先輩見つかったみたいです!」
澪「そうか、それはよかったよ」
梓「ありがとうございますっ!」ペコリ
澪「礼なんていいよ。それよりさ聞きたいことがあるんだ…」
梓「何ですか?」
澪「あの服ってそんなセンスなかったかな?」
梓「まだ、気にしてたっ!!」
99: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:09:00.44 ID:e9p4i0bAO
~ 今日! ~
りりりりっ
隣で目覚まし時計がけたたましいうなり声を上げている。わたしは手を伸ばして、それをとめようとする。しかし、その手は届かずに虚空をさらった。
わたしは二度寝を防ぐために目覚まし時計を手が届かない位置に置いているのだ。 枕を投げて、時計をぶっ壊してやろうか、とも思うがあきらめて、起きる。
昨日飲みすぎたせいかまだ体がだるい。さいわいなことに、二日酔い、なんてことにはなっていなかった。―さわちゃんのやつわたしが下戸なの知ってて、あんなにのませてくるんだから。
りりりりっ
隣で目覚まし時計がけたたましいうなり声を上げている。わたしは手を伸ばして、それをとめようとする。しかし、その手は届かずに虚空をさらった。
わたしは二度寝を防ぐために目覚まし時計を手が届かない位置に置いているのだ。 枕を投げて、時計をぶっ壊してやろうか、とも思うがあきらめて、起きる。
昨日飲みすぎたせいかまだ体がだるい。さいわいなことに、二日酔い、なんてことにはなっていなかった。―さわちゃんのやつわたしが下戸なの知ってて、あんなにのませてくるんだから。
100: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:09:53.03 ID:e9p4i0bAO
わたしはクローゼットの前に立って、今日着ていく服を考える。どんな服を着ていこうか?そこでわたしは自分が澪と会うだけなのに、緊張しているということに気づく。
さんざん悩んだあげく、りっちゃんはオシャレを気にするキャラじゃないと、いつもの服を選んだ。
外に出ると、夏の熱気がまとわりついてきて、うっすらと汗がにじむ。
わたしは途中でコンビニによって、アイスを買う。買ったアイスをなめながら、わたさはタクシーを探す。アイスの冷たさは、すこしだけ体のだるさをやわらげてくれる。
101: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:10:30.42 ID:e9p4i0bAO
少しして、わたしの前をタクシーが通ったので、それをとめて言う。
律「桜ヶ丘までお願いします」
運転手「いやー偶然ですね。私、さっき桜ヶ丘からきたんですよ」
律「えっじゃあムリですか?」
運転手「いやいや、平気ですよ」
タクシーに乗りこむときにポケットに入っていた当たり棒が落ちたので拾う。
車が動き出すと突然わたしは不安につつまれた。澪と会うのがこんなに緊張するなんてな。不安を隠すように呟いてみるが効果はなかった。
ふと、手に持ったアイスの棒が目に入り思い出す。
―本当にうまくいくんだろうな?唯
律「桜ヶ丘までお願いします」
運転手「いやー偶然ですね。私、さっき桜ヶ丘からきたんですよ」
律「えっじゃあムリですか?」
運転手「いやいや、平気ですよ」
タクシーに乗りこむときにポケットに入っていた当たり棒が落ちたので拾う。
車が動き出すと突然わたしは不安につつまれた。澪と会うのがこんなに緊張するなんてな。不安を隠すように呟いてみるが効果はなかった。
ふと、手に持ったアイスの棒が目に入り思い出す。
―本当にうまくいくんだろうな?唯
103: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:13:13.87 ID:e9p4i0bAO
~ 三年前 冬! ~
104: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:17:11.11 ID:e9p4i0bAO
律「話ってなんだよ」
澪「実はさ私、ずっと考えてたんだ」
律「…」
澪「私たちって付き合ってから、二年たったけど、ときどき思うんだ。前のほうがよかったのかもって」
澪「ほら、私たち最近は人の目とか気にしてぎくしゃくしてるよな」
澪「…だから、なんとかなんないかなーって」
律「なんとかってなんだよ…」
105: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:17:37.93 ID:e9p4i0bAO
澪「正直律はどうなの?前のほうが楽しかった?」
律「今は周りに変な目で見られたりして、嫌な気分になるときもあるし、ぎくしゃくするときもあるよ」
律「でも、今だって楽しいことはあるだろ」
澪「…まあな。でも、こう思っちゃうときがある」
澪「私、律のことほんとに好きなのかなって」
律「…!」
106: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:18:14.72 ID:e9p4i0bAO
澪「違うんだ。多分律の思っている意味とは違う」
澪「例えばさ、律と手つないで歩いてるとして、そこで誰かが私たちのことを変な目で見ると、私、手放したいと思っちゃうんだ」
澪「なんていうか、それって律と付き合う資格あるのかなって…」
律「…資格とか関係ねーよ」
澪「…でも」
107: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:19:22.98 ID:e9p4i0bAO
律「…なあじゃあ一回別れてみる?」
澪「そ、そういう意味で言ったんじゃないんだ!」
律「わかってるって、でもさこういうときはお互いに距離をとったほうがいいんじゃないかってさ」
律「それで澪の気持ちの整理がついたらまた、そのときにな」
澪「………わかった」
律「でも、こうやって会わなくなるパターンがほとんどだよなぁ」
澪「縁起でもないこと言うなっ!」ポカッ
律「痛っ!!」
108: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:20:28.88 ID:e9p4i0bAO
澪「私はどうすればよかったのかなぁ?」
律「それわたしに聞いちゃう?」
律「澪は真面目なんだよ…少し悪いことでもしてみれば?」
澪「例えば?」
律「えーと、そうだな遅刻?そして、なんで遅刻したんだって言われたら、『愛を探してました』って言うとか」
澪「くだないな。でも律だったら簡単にできそうだ」
律「できねーし。こんな、澪の歌詞みたいに恥ずかしい台詞」
澪「おいっ」
澪律「…」
109: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:22:50.56 ID:e9p4i0bAO
澪「そうだ1つわがままを聞いてくれないか?」
律「まったく澪はわがままだなあ」
澪「そんなこといったら、律のほうがわがままだろっ!」
澪「…いっつも宿題教えてだとか、遊びに行こうとか……それでそのたびにさぁ…」ポロポロ
律「……いや澪だろ?小学校のときはいっつも1人で帰るのが怖いって泣きついてきたり、中学のときには親が出掛けて1人は怖いから家に来てくれとか……高校もさぁ…」ポロポロ
澪「…泣くなよ」
律「…泣いてねーし」
律「まったく澪はわがままだなあ」
澪「そんなこといったら、律のほうがわがままだろっ!」
澪「…いっつも宿題教えてだとか、遊びに行こうとか……それでそのたびにさぁ…」ポロポロ
律「……いや澪だろ?小学校のときはいっつも1人で帰るのが怖いって泣きついてきたり、中学のときには親が出掛けて1人は怖いから家に来てくれとか……高校もさぁ…」ポロポロ
澪「…泣くなよ」
律「…泣いてねーし」
110: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/08(日) 21:26:28.19 ID:e9p4i0bAO
澪「…あのさーこれ、預かってて欲しいんだ」
律「でもこれ大事だろ?」
澪「だからだよ。それでまたいつか届けに来て欲しいんだ。私たちがまた会えるように」
澪「わがままだけど…」
律「わかったよ」
澪「…約束だからな」
律「…ああ、約束だ」
115: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:13:47.56 ID:uW4vYU9AO
~ 今日! ~
116: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:20:09.83 ID:uW4vYU9AO
待つという行為は簡単そうに見えて難しい。それが、来るあてのないものとなるとなおさらだ。
だけど、わたしはそこで来るあてのないそれを待っていた。
わたしは公園に行くために8時にホテルをでた。朝の公園には誰もいないと思っていたので、犬を散歩させている老夫婦やランニングをしている婦人などがいて、少し意外に思う。 適当な位置にあるベンチを見つけて、座る。
暇な時間を持ってきたプレイヤーを聞いて過ごした。お気に入りのアルバムが4巡したところで、昼食を買うためにコンビニ向かう。
だけど、わたしはそこで来るあてのないそれを待っていた。
わたしは公園に行くために8時にホテルをでた。朝の公園には誰もいないと思っていたので、犬を散歩させている老夫婦やランニングをしている婦人などがいて、少し意外に思う。 適当な位置にあるベンチを見つけて、座る。
暇な時間を持ってきたプレイヤーを聞いて過ごした。お気に入りのアルバムが4巡したところで、昼食を買うためにコンビニ向かう。
117: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:20:37.18 ID:uW4vYU9AO
コンビニから戻ってくると、さっきまでわたしがいたところに誰かが座っているのが見えた。それと同時にわたしは驚く。
梓「澪先輩っ!」
澪「あ、梓じゃないか!」
梓「久しぶりですねー。どうしてここに?」
澪「ああ、私さ、そこで働いてるんだ。今は昼休みだよ」
そう言って、澪先輩は近くのビルを指差す。
118: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:21:10.06 ID:uW4vYU9AO
澪「梓は?」
梓「あっわたしは出張でこっちに来てて」
澪「それじゃあ、今日はサボリ?」
梓「ち、ちがいますよっ!仕事は休み開けからです」
澪「そうなんだ。でも、なんでわざわざここに?」
梓「待ってるんですよ」
澪「待ってる?何を?」
わたしはそこで時間が気になったので、そのことについて、澪先輩に尋ねてみる。
梓「あのー時間は大丈夫ですか?」
澪先輩はちらっと公園の柱時計を見た後言う。
澪「ああ、平気だよ」
梓「あっわたしは出張でこっちに来てて」
澪「それじゃあ、今日はサボリ?」
梓「ち、ちがいますよっ!仕事は休み開けからです」
澪「そうなんだ。でも、なんでわざわざここに?」
梓「待ってるんですよ」
澪「待ってる?何を?」
わたしはそこで時間が気になったので、そのことについて、澪先輩に尋ねてみる。
梓「あのー時間は大丈夫ですか?」
澪先輩はちらっと公園の柱時計を見た後言う。
澪「ああ、平気だよ」
155: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/13(金) 22:57:29.53 ID:CJ3PSkkAO
梓「じゃあ、それでですね。待ってるんですよ」
澪「待ってる?」
梓「えーと、はい。実はわたし、あるものに借りをつくっちゃったんですよ。それで、大事なことをする前にはそういうの返しておきたいじゃないですか。で、それを返しに」
まあ縁起を担いでるんです、と言う。
澪「大事なことっていうのは?」
梓「告白しようと思うんです」
澪「唯か?」
119: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:21:44.96 ID:uW4vYU9AO
梓「まあ、そうです…ってなんでわかったんですかっ//」
澪「見てればすぐわかるって!みんな知ってたよ?」
梓「え、ええっ!…誰にもばれてないと思ってました」
澪「…それもわかってた」
梓「…恥ずかしいですね//」
澪「でも、告白するんだよな?」
梓「…はい。待ってるものが来たらですけど」
澪「がんばれっ」
澪先輩はそう言ってわたしの肩をたたいた。
澪「見てればすぐわかるって!みんな知ってたよ?」
梓「え、ええっ!…誰にもばれてないと思ってました」
澪「…それもわかってた」
梓「…恥ずかしいですね//」
澪「でも、告白するんだよな?」
梓「…はい。待ってるものが来たらですけど」
澪「がんばれっ」
澪先輩はそう言ってわたしの肩をたたいた。
120: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:22:10.96 ID:uW4vYU9AO
それから、わたしのたちの間に沈黙が続いた。沈黙の我慢できなったからというわけではないんだけど、わたしは澪先輩に尋ねている。
梓「律先輩とはどうなんですか?」
尋ねてから、少し後悔する。
だけど、予想に反して、澪先輩は悲しい顔ひとつせずに言う。
澪「音沙汰なし、だよ」
梓「それって…」
121: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:23:26.58 ID:uW4vYU9AO
澪「でも、律は約束を破ったりしないと思うんだ」
梓「約束の時間に遅れたりはしますけどね」
澪「ははっそうだな、遅刻はするけど、大切な約束を破ったりしない。そういうやつだろ田井中律は」
梓「そうですね。そうかもしれません」
ニコッ
わたしは澪先輩の誇らしげなその言葉を聞いて、微笑む。
122: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:23:52.54 ID:uW4vYU9AO
それから、わたしたちは今の仕事の話だとか、好きなロックバンドの話をした。
長い時間が過ぎて、ふと澪先輩が言う。
澪「もしかして、梓が待っているものは簡単には来ないんじゃないか?」
梓「そうですね。奇跡かもしれません」
でも、わたしはここで奇跡が起こんないなら、奇跡なんて必要ないじゃないか、とも思っていた。
123: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:24:37.80 ID:uW4vYU9AO
澪「奇跡かぁ…でも、大丈夫、きっと来るさ!」
そして、奇跡は起こる。
わたしは向こうの信号にタクシーがとまっているのを見つける。
澪「梓が待ってたのってタクシーなのか?」
梓「はい、あのタクシーです」
澪「そうかぁ」
梓「でも…澪先輩が大丈夫って言うと、ホントに大丈夫だから不思議です」
わたしは笑う。
124: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:25:25.00 ID:uW4vYU9AO
そして、タクシーに向かって歩き出そうとする。そこで、ふと思って聞いてみる。
梓「澪先輩遅刻ですよね」
澪「そうだな」
梓「言い訳とか考えてるんですか?」
澪「愛を探していました、だ」
梓「ふふっ、変です」
澪「だよなぁ」
澪先輩は嬉しそうに笑う。
125: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:25:50.15 ID:uW4vYU9AO
タクシーにたどり着くと、わたしは車に乗り込み、唯先輩のマンションの位置を伝えて、一万円札をだす。
梓「おつりはいりません」
運転手はわたしの顔を見て、驚く。
梓「わたし、一度この台詞言ってみたかったんですよ」
運転手は笑って、そして言う。
運転手「また、会いましたね」
126: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:28:06.43 ID:uW4vYU9AO
~ 三年前 冬! ~
127: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:37:14.04 ID:uW4vYU9AO
梓「唯先輩もうすぐ卒業ですね」
唯「そうだねー」
梓「唯先輩は保育園の先生として、働くんでしたよね」
唯「そうだよー」
梓「どっちが子供なのかわからなくなっちゃうんじゃないですか?」
唯「あっあずにゃんひどいっ!」
128: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:39:11.59 ID:uW4vYU9AO
唯「そんなあずにゃんにはおしおきだよっ!」コチョコチョー
梓「にゃっ!?ひゃっはははっ…や、やめてくださいよー」
唯「やめろと言われて、やめるバカがどこにいる~」
梓「バカなら目の前にいますけどね」
129: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:39:37.42 ID:uW4vYU9AO
唯「もう怒ったよー!」ホラホラッ
梓「わ、わっはっはっー」
梓「こうなったらお返しですっ!」ガバッ
唯「わっあずにゃん?…ひゃっはっはっはっー」
唯「あっああん//」
唯「あっ、あずにゃんそこはダメだよ//」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
130: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:40:03.89 ID:uW4vYU9AO
ハアハア
フウフウ
ゼイゼイ
梓「まさか、唯先輩があんなに首が弱いとは思いませんでした」
唯「昔からなんだぁー」
梓「というか弱いというより…」
唯「うっ…恥ずかしいよぉー//」
131: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:40:43.47 ID:uW4vYU9AO
梓「あ、あのっ!」
唯「どうしたのー?」
梓「す、す、す…」
唯「す?」
梓「スマイルですっ!」
唯「?」
132: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:41:17.38 ID:uW4vYU9AO
梓「え、えーと笑顔を忘れないでくださいってことですっ!それが唯先輩の唯一のとりえなんですから」
唯「ゆいいつ…しどいよぉあずにゃーん」
梓「でも、その笑顔になんど救われたか…」ボソッ
唯「あずにゃぁーん!」ダキッ
梓「もうっ//」
133: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:41:50.09 ID:uW4vYU9AO
ギュウウー
唯「あずにゃんあったかいよー」
梓「そうですか、それはよかったですね」
梓(よくないよっ!今日言うって決めたじゃん!)
唯(あずにゃんさっき…ここはわたしからっ!)
梓「唯先輩っ!」
唯「あずにゃんっ!」
134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) 2011/05/10(火) 22:42:52.84 ID:uW4vYU9AO
梓「唯先輩何ですか?」
唯「それより、あずにゃん何か言おうとしてたよねー」
梓「唯先輩、先に言っていいですよ」
唯「わたしは優しい先輩だから、後輩に先に言わしてあげるよっ!」
梓「優しい先輩なら先に言ってくださいよ」
135: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:43:51.44 ID:uW4vYU9AO
唯「じ、じゃあじゃんけんで決めよう!」
梓「まあ、それならいいですけど…」
唯梓「最初はグ~ジャンケン…」
唯「…ポンッ!」パー
梓「…ポンッ!」グー
梓「…」
唯「わたしの勝ちだねっ!」
梓「しかたないです…言いますよ?」
136: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:44:23.24 ID:uW4vYU9AO
「あっ!」
女1「あれって、平沢さんと中野さんじゃない?」
女2「ああ、大学でライブやってた」
女1「あれかっこよかったよねー」
女2「他にもいくつかバンドあったけど、一番良かったなあ」
唯(嬉しいなぁ)
梓(でかい声でしゃべってるなぁ)
137: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:44:51.53 ID:uW4vYU9AO
女1「知ってるー?あの2人できてるって話」
女2「うわっマジぃーでも噂でしょー」
女1「まあね」
女2「じゃあ平沢さんたちに失礼でしょ」
女1「そうだよね、女同士とかありえないかー」
アハハハハハハッ
138: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:45:17.54 ID:uW4vYU9AO
唯梓「…」
唯「行ったね」
梓「行きましたね」
梓「それでさっき言おうとしてたことですけど」
唯「うん」
139: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:45:46.94 ID:uW4vYU9AO
梓「唯先輩、いつまでも変わらないでいてくださいよ。わたし、こうやって唯先輩とバカなことして笑いあうの好きなんですから」
唯「あずにゃん大丈夫だよっ!わたしが変われると思う?」
梓「ふふっ、たしかにそうですね」
梓「唯先輩は何て言おうとしたんですか?」
140: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:49:49.43 ID:uW4vYU9AO
唯「…わたしは、これからはあずにゃんともあんまり会えなくなっちゃうよね?」
梓「まあ、そうですよね」
唯「だから、その間もわたしがちゃんと活動できるようにたくさんあずにゃん分を補給したいのです!」
唯「いい?」
梓「別にいいですけど、抱きつくのってそんなにいいですか?」
唯「うん!だけど、あずにゃんはさらに特別なんだよっ!」ギュッ
梓「………ばかっ//」ボソッ
梓「まあ、そうですよね」
唯「だから、その間もわたしがちゃんと活動できるようにたくさんあずにゃん分を補給したいのです!」
唯「いい?」
梓「別にいいですけど、抱きつくのってそんなにいいですか?」
唯「うん!だけど、あずにゃんはさらに特別なんだよっ!」ギュッ
梓「………ばかっ//」ボソッ
141: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/10(火) 22:50:23.39 ID:uW4vYU9AO
唯「そのうちあずにゃんも抱きつくことの良さに気づいて、唯せんぱーいって抱きついてくるよっ!」
梓「そんなことないですっ!じゃあもしそうなったら、唯先輩の言うこと1つ聞きますよ」
唯「ふふふー楽しみにしてるよっ!」
143: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:15:04.26 ID:ay7E2sXAO
~ 今日! ~
144: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:18:51.28 ID:ay7E2sXAO
タクシーに揺られている途中、ケータイが鳴った。
わたしは発信者を確認して、電話にでる。
律「おっムギ!詳しいことは決まったのか?」
紬『ふふふ、りっちゃんわたし、今ね飛行機の中なの~』
律「えっ、もうでたのか?」
ムギはときどき、こういった突拍子のない行動をする。わたしはムギのそういうとこを気に入ってたりもするのだけど。
紬『そうなの!日本には7時くらいにはつくかしら』
145: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:20:15.23 ID:ay7E2sXAO
律「そっかーじゃあ、来たら日本流のもてなしをしてやるよっ。寿司とか……寿司とか」
紬『ふふっ、寿司しかないじゃない。それと知ってた?わたし日本人なの』
律「でも、懐かしいんじゃないか?」
紬『向こうにも日本食はあるのよ~、りっちゃん』
律「そうなのか?」
紬『でも、みんなと会うのは懐かしいわ~』
律「わたしも楽しみだぜっ」
146: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:21:12.49 ID:ay7E2sXAO
紬『あっそうだ澪ちゃんに伝えてくれたかしら?』
律「聞いて驚くなよーなんとっ今、澪のところに向かってるんだ!」
紬『ほんとっ?』
ムギはとても嬉しそうだ。
紬『よかったわ~』
147: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:22:29.81 ID:ay7E2sXAO
紬『…でも、澪ちゃん仕事じゃないかしら?』
律「何言ってるんだよ、今日は天下の土曜日だぜっ!……さあ、どうするかな?」
もうタクシーは桜ヶ丘についている。わたしは、少し考えて、澪の仕事場の近くに行くことにした。
148: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:23:08.44 ID:ay7E2sXAO
律「澪を待ち伏せするせするであります。ムギ軍曹!」
紬 「気をつけるのだぞ…りっちゃん//」
ムギはけっこうノリがいい。――なりきれてないぞぉ。そこもまたムギらしい。
紬「だ、だってりっちゃんが隊長じゃない?」
律「そうでしたっ!」
149: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:23:38.15 ID:ay7E2sXAO
そんなことをしてると、いつの間にかタクシーは澪の仕事場の近くにきていた。わたしはそこで降ろしてもらう。
作戦会議が必要だな。そうムギに言ったら、心の準備よね、と笑われた。
律「ふぅ、こっからどーするかな」
紬『どっかで時間を潰せば、いいんじゃないかしら?』
近くに時間を潰せる店がないか探して歩く。澪の仕事場であるビルが目に入った。
150: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:24:14.69 ID:ay7E2sXAO
そこで、わたしは澪を見つけた。ビルのすぐ近くの公園にいる。少し距離があったがわたしにはわかる。あれは澪だ。
律「ムギ軍曹、澪しゃんを発見しましたっ!」
ムギはホントと驚いたあと、言う。
紬『ミッションを遂行せよ。律二等兵』
今度はばっちりだ。わたし、二等兵だったけど。
151: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/11(水) 23:26:07.96 ID:ay7E2sXAO
わたしは澪の予想だにしない登場によって、どんなことを言おうとか、どんなノリでいこうとかけっこうしっかり考えてきたのにそれらが全部とんでしまう。
律「やばい、わたしすごい緊張してるみたいなんだ。ムギ、どうする?」
ムギは少し考えたあとでこう言った。
紬『りっちゃん!あたってくだけろ、よ!』
律「くだけちゃダメだろー!」
わたしはムギがくれた小さな勇気がどこかへいってしまわないように、そっとケータイをとじる。そして、公園に向かって歩き出す。
156: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:33:19.39 ID:t6tCynLAO
~ 今日! ~
157: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:38:59.58 ID:t6tCynLAO
梓も行ってしまい、私は特に公園に残る理由もなくなってしまったので、会社にもどることにした。
すると、向こうから歩いてくる人物が目に入った。それは絶対に忘れたことのない人物――律だった。
私は何か言おうとするが声が出ない。そのまま、私たちは長い間、見つめあっていた。
時間が過ぎて、先に口を開いたのは律の方だった。
158: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:39:26.72 ID:t6tCynLAO
律「よっ!澪ひさしぶりじゃぁん」
多分、律はわざと軽い感じを装おうとしたのだろう。だけど、それは失敗に終わっていた。
澪「ぷ…ぷぷ、声、裏返ってるぞー」
律「う、うるせーーし//」
澪「………やっとの再会がこれかー」
律「わ、わたしだってなあ、気のきいた言葉とか考えてきたんだよっ!でも、澪がこんなとこにいるからっ!」
159: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:40:27.35 ID:t6tCynLAO
そこで律はキョトンとした顔して、聞く。
律「なあ?仕事じゃないのか?」
澪「さあ、どうだろうな」
律「サボリはいけないだろっ!澪ー」
澪「お前には言われたくないっ」
律「いやいや、わたしは真面目だって」
澪「ふーん、そうかなー例えば…」
律「…澪っ!過去を掘り返すのはずるいぞっ!」
160: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:41:48.17 ID:t6tCynLAO
律「………なあ澪?」
律がいつになく真剣な顔して、私に尋ねた。
律「それで、どうだったんだ?…答えはでたのか?」
澪「実はよくわからないんだ」
私は正直に答える。
澪「でもさ……今、律に会えてすごくすごくすごーく嬉しいんだよ…それじゃ答えにならないかな?」
律「なあ、またわたしに聞くのかよー?」
律は今度は嬉しそうに言った。
律がいつになく真剣な顔して、私に尋ねた。
律「それで、どうだったんだ?…答えはでたのか?」
澪「実はよくわからないんだ」
私は正直に答える。
澪「でもさ……今、律に会えてすごくすごくすごーく嬉しいんだよ…それじゃ答えにならないかな?」
律「なあ、またわたしに聞くのかよー?」
律は今度は嬉しそうに言った。
161: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:42:19.16 ID:t6tCynLAO
律「あっそうだわたし思ったことがあったんだ」
澪「なんだ?」
律「澪さー手つないでるとき、手をはなしたいと思っちゃうって言ってたけど……手、はなしたことはなかったよな」
律「わたし、澪のそういうとこ好きだよ」
澪「…!!律」
162: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:43:32.89 ID:t6tCynLAO
律「それに、資格がなんとかとかも言ってたけどさ、それならわたしが資格なんて、つくってやるよっ!」
律「…『田井中律の恋人許可書』ってな!」
澪「偉そうだなっ!」
私はこぼれた涙を見られないように律を叩く。
久しぶりだなーこれっ、律がそう言ったので私たちは笑った。
163: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:44:02.22 ID:t6tCynLAO
律「あっそうだ!やっと、これが返せるな」
律はそう言って、ケータイについてる2つのストラップから、ウサギの方をとって私に渡す。
律「もう、わたしが持ってる必要もないだろ?わたしたちはこれがなくたって、会えなくなったりしない。そうだろ?」
そうだ。私たちは約束がなくたって、きっとこれからは二人で歩いていける。根拠はなかったけど、自信ならあった。
164: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:44:45.27 ID:t6tCynLAO
今、言わないと言う機会を失ってしまう、そう思って、私は勢いに任せて言った。
澪「律……キスしないか?」
律「えっ、キ、キスゥ?」
また、声が裏返ってる。
澪「いいよな?」
律「い、い、い、いいけどさぁ?周りに人もいるし///」
澪「照れてるのかあー?」
律「て、照れてねーし///
わかったよ、いつでもきてみろっ!」
澪「律……キスしないか?」
律「えっ、キ、キスゥ?」
また、声が裏返ってる。
澪「いいよな?」
律「い、い、い、いいけどさぁ?周りに人もいるし///」
澪「照れてるのかあー?」
律「て、照れてねーし///
わかったよ、いつでもきてみろっ!」
165: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:45:31.24 ID:t6tCynLAO
私たちはお互いに向かい合った。律の顔は真っ赤だ。多分、わたしの顔も同じように真っ赤だろう。
律が小さく、わたしと会わない間に澪に何があったんだよ、と呟くのが聞こえた。何かあったとしたら、確実に律のせいだなと思う。
それから、私たちはゆっくり顔近づけて、唇を交わす。
澪律「………//////」
律の唇は柔らくて、少し甘い。
166: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:46:00.42 ID:t6tCynLAO
どれくらい、そうしていただろう。それは一瞬にも永遠にも思えた。だけど、気がつくと、私たちはベンチに座っていた。初恋のカップルのように、微妙な距離感で座っている。
何人かがこっちをみていたが、人の目はそれほど気にならなかった。
少ししてから、律が口を開く。
167: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:46:27.68 ID:t6tCynLAO
律「そうだ、大ニュースがあるんだ」
今の私たちにとって大ニュースになりえるのは一つくらいしかないと私は思う。
澪「放課後ティータイムのこと?」
律「おっ!あったりぃ~。ムギが今日、日本に帰ってくるんだぜっ!」
澪「ほんとうかっ?」
私は驚きと喜びを隠しきれない。
168: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:46:53.86 ID:t6tCynLAO
律「ホントだぜっ!実を言うと今日もムギが応援してくれたんだ」
澪「そうか、ムギが……」
私たちがこうしてまた一緒になれたのもムギのおかげかもしれないなと、私は思う。
律「そろそろ、仕事に行ったほうがいいんじゃないか?」
澪「ああ、そうだな」
169: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:47:39.28 ID:t6tCynLAO
律「じゃあ、またなー」
律はムギを迎えるための集合時間を告げて、言った。
律「遅刻すんなよー?」
澪「遅刻するのは、お前か唯だろっ!」
律「今の澪しゃんが言っても説得力がないぞー」
澪「う、うるさいっ//」ポカッ
わたしは会社に向かって歩き出す。
170: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:52:52.89 ID:t6tCynLAO
わたしは買い物から帰り、玄関にあがる。家のことを自分でするようになってから、憂の大変さを知った。今度会ったら、ありがとうを言わないとね。
買ってきた食材を冷蔵庫に詰め込み、一通り片付けてしまうと、わたしは床にゴロンと転がった。昔からこのフローリングのヒンヤリとした感じが好きだった。
どこかで振動音がするので、あたりを見回すと、ケータイが震えている。着信、ムギちゃんからだ。
171: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:53:20.04 ID:t6tCynLAO
紬「あっ唯ちゃん?」」
唯「やっほーこちら唯でーす」
紬「あのね、昨日話した日本に行く話なんだけど」
唯「あー!予定が決まったんだね?」
紬「そうよ、もうすぐ飛行機に乗ることになったの~」
唯「もうすぐなんだあ?はやいね~」
紬「みんなにはやく会いたかったから」
172: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:54:15.12 ID:t6tCynLAO
唯「わたしも嬉しいよっ!!でも、きをつけてー」
紬「何かあったの?」
唯「日本には怪物が来てるんだよっ!」
紬「か、怪物?」
唯「うんっ!猛暑って言うんだけど…」
紬「ああ!そういうことね」
紬「でも、日本にはガリガリ君があるじゃないっ!」
唯「えっ!ムギちゃんのとこにはアイスがないのっ?」
173: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:54:57.02 ID:t6tCynLAO
紬「ううん、アイス自体はあるんだけど、みんなと食べたようアイスはないの」
唯「もうっ!ムギちゃんのせいでアイスが食べたくなっちゃったよぉ!」
わたしがそう言うと、ムギちゃんは笑った。わたしはのそのそと立ち上がり、冷蔵庫にアイスを取りに行く。
174: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:55:24.43 ID:t6tCynLAO
唯「そういえば、ムギちゃんはちゃんとキーボードやってる?」
紬「ちゃんと、やってるわ。むしろ、毎日の楽しみなの」
毎日ってことは部活の頃より多いわ~、とムギちゃんがおどけてみせるので、わたしは笑った。
紬「唯ちゃんはギターの練習はしっかりしてる?」
175: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:56:27.44 ID:t6tCynLAO
唯「うんっ!ちゃんとやんないとあずにゃんにおこられちゃうからねっ!」
紬「ふふっ、やっぱり梓ちゃんなのね~」
ムギちゃんはとっても嬉しそうに言う。
唯「あっ、えっ、そういう意味じゃなくて、わたしだって…」アセアセ
紬「照れなくてもいいのよ、唯ちゃん、今だって全然遅くないわよっ!」
唯「そっ、そーかなあ」
ムギちゃんにはどうやらわたしの考えなんてお見通しらしい。
紬「ふふっ、やっぱり梓ちゃんなのね~」
ムギちゃんはとっても嬉しそうに言う。
唯「あっ、えっ、そういう意味じゃなくて、わたしだって…」アセアセ
紬「照れなくてもいいのよ、唯ちゃん、今だって全然遅くないわよっ!」
唯「そっ、そーかなあ」
ムギちゃんにはどうやらわたしの考えなんてお見通しらしい。
176: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:56:55.79 ID:t6tCynLAO
紬「唯ちゃんがんばってね!」
唯「は、はいっ!」
紬「そうだ、梓ちゃんにわたしが日本に行くことを伝えてくれないかしら?」
わたしはムギちゃんの考えを理解した。ムギちゃんはわたしにあずにゃんと関わるチャンスをつくってくれたんだ。
唯「わかった。まかせてよっ!!」フンス
177: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:57:25.05 ID:t6tCynLAO
わたしはムギちゃんとの電話を切ると、床に寝転んで考える。長い間そうしていた。そして思う、今でも、わたしはあずにゃんのことが好きだ。
多分、あのときこうしてればなんて意味がない。ムギちゃんの言う通りだ。今だって、十分遅くない。わたしは自分の中の不安によって、この決意が揺らがないようにと、勢いよく立ち上がる。
178: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/14(土) 01:58:49.05 ID:t6tCynLAO
そうだ、今日、次あった人が女の人だったら、あずにゃんに告白しよう。と、思ったところでちょうどよくチャイムがなる。
わたしはゆっくり玄関に近づいていく。やっぱり、女の人と男の人両方にしよう。玄関を開ける直前で決めなおす。
わたしはゆっくりと玄関のドアを開けた。そして、賭けは、はずれる。
唯「また猫だよーーっ」
わたしは叫んでいた。だって、そこにいたのはあずにゃんだったから。
182: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:32:33.75 ID:EG0ne51AO
わたしは唯先輩が住んでいるはずの部屋の前に立っていた。長い時間が過ぎたあと、意を決してチャイムを鳴らす。
ピンポーンとチャイムはわたしの緊張を嘲笑うかのように、間抜けな音をだした。
少しした後、鍵の外れる音がして、玄関がゆっくりと開く。そのときのわたしの緊張は9回裏0-2二死満塁で打席に立つバッターの何倍もあったはずだ。
唯「また猫だよーーっ」
183: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:33:16.34 ID:EG0ne51AO
唯先輩が顔を出すなり、変なことを言うのでわたしは拍子抜けしてしまった。だから、普段のわたしならそんなこと絶対しないのだけど、唯先輩に抱きついていた。
梓「唯先輩、会いたかったです」ギュッ
唯「あわわーー、あ、あずにゃんってば//」
あれっ唯先輩照れてる?そこでわたしは自分のしたことのおかしさにやっと気づく。
184: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:33:58.10 ID:EG0ne51AO
梓「あっ、す、す、すいませんっ//」バッ
唯「もっと抱きついていいんだよ?さっきはちょっと驚いちゃったけどね」
梓「あ、あれはなんというか…//」
唯「ま、あがってあがってー小さい部屋で恐縮ですが」
梓「ぷっ、唯先輩がそんなこと言うなんて変ですよ」
唯「あずにゃんはそうやってわたしをバカにする!わたしだってもう大人だよっ!」
梓「そうですよね」
唯「もっと抱きついていいんだよ?さっきはちょっと驚いちゃったけどね」
梓「あ、あれはなんというか…//」
唯「ま、あがってあがってー小さい部屋で恐縮ですが」
梓「ぷっ、唯先輩がそんなこと言うなんて変ですよ」
唯「あずにゃんはそうやってわたしをバカにする!わたしだってもう大人だよっ!」
梓「そうですよね」
185: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:34:32.98 ID:EG0ne51AO
唯先輩の部屋は意外にもきれいにしてあって、これじゃわたしの部屋の方が汚いかもと思ったけど、口にはださない。
唯「テキトーなとこに座っちゃってー」
と、唯先輩が言ったのでわたしは近くのソファーに腰を下ろす。隣には猫のクッションがある。
部屋を見渡すと、心なしか猫をモチーフにしたものが多いのに気づいた。――唯先輩猫好きだっけ?
あーずにゃん、と唯先輩がわたしの横に飛び込んできた。
186: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:35:00.92 ID:EG0ne51AO
唯「あずにゃんは相変わらずで安心したよっ!」
梓「そうですか。唯先輩は少し大人っぽくなりました?」
唯「大人の色気ってやつかなー?」
梓「いえ、そうじゃないです」
唯「むーあずにゃんのいじわるー。って、あずにゃんどこ見てるのかなあー?」
悔しいけど、唯先輩の胸は高校のときに唯律梓のトリオ組んでたころよりは大きくなっている。当然かもしれないけど。
187: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:35:44.88 ID:EG0ne51AO
唯「あずにゃんはあれだね……うん、わたしはあずにゃんの好きだよ?」
梓「う、うるさいですっ!」
唯「ほれほれ~」
梓「にゃっ!!どこ触ってるんですかっ///」
唯「ほっぺた触っただけなのにぃー。というか、あずにゃん……」
わたしは顔が赤くなる。確かにこの歳のにゃっはない。……反射的に言っちゃただけだけどね。
梓「う、うるさいですっ!」
唯「ほれほれ~」
梓「にゃっ!!どこ触ってるんですかっ///」
唯「ほっぺた触っただけなのにぃー。というか、あずにゃん……」
わたしは顔が赤くなる。確かにこの歳のにゃっはない。……反射的に言っちゃただけだけどね。
188: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:36:10.48 ID:EG0ne51AO
唯「ほんとに猫だったの?」
梓「えっ?そんなわけないじゃないですか」
唯「良かったあー」
唯先輩は嬉しそうな顔をする。わたしは話の方向を見失ってしまい、このままでは当初の目的さえ見失ってしまいそうだったので言った。
189: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:40:21.95 ID:EG0ne51AO
梓「唯先輩今日はわたし、言いたいことがあってきたんですよ」
唯「ほんとっ?偶然だねあずにゃん!わたしも伝えたいことがあったんだ!」
唯「ここは先輩としてわたしから言わしてもらうよっ!」
唯先輩はなんだかそわそわしている。
190: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:41:17.65 ID:EG0ne51AO
梓「優しい先輩は後輩に先に言わせてくれるんじゃないですか?」
わたしは少し時間ができたことをありがたく思いつつも、唯先輩を茶化してみた。 わたしはこの期に及んでまだためらっていたのだ。
唯「わたしは優しいの先輩なのかなあ?」
梓「…優しいですよ」
191: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:41:48.54 ID:EG0ne51AO
唯「いや~照れますなぁーでも、あずにゃん前に言ったこと覚えてる?」
梓「前に言ったこと?」
唯「そう!あずにゃんから抱きついてきたら、わたしの言うこと聞いてくれるんだよね?」
梓「あー確かにそんなこと言いましたねー」
唯「じゃあ、わたしに先に言わせて?」
梓「いいですよ、約束ですし」
梓「前に言ったこと?」
唯「そう!あずにゃんから抱きついてきたら、わたしの言うこと聞いてくれるんだよね?」
梓「あー確かにそんなこと言いましたねー」
唯「じゃあ、わたしに先に言わせて?」
梓「いいですよ、約束ですし」
192: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:42:21.61 ID:EG0ne51AO
だけど、唯先輩は何かを言い出すわけでもなく、わたしたちの間に沈黙が流れる。それは、心地よい沈黙だった。永遠にというわけじゃないけど、3時間も余裕に過ごせるだろうなと思った。そして、唯先輩は言った。
唯「………あずにゃん大好きだよ」
梓「そ、それって?」
193: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:42:48.38 ID:EG0ne51AO
唯「あずにゃんと恋人になりたいなあって////初めて見たときから、かわいいなって思ってて。それでいつもあずにゃんのことばっか考えてたんだよっ。別にわたし女の子を好きになったこととかなかったのに。え、えーとそれで………」
唯先輩は恥ずかしいのを隠すためなのかずっと喋り続けている。わたしから、告白していたらわたしもこうなっていたなと思って、そこで気づいた。唯先輩はわたしの不安を知っていて、自分から先に言いたいと言ったんじゃないだろうか。
やっぱり、優しい先輩だ。だから、わたしは落ち着いて言うことができた。
唯先輩は恥ずかしいのを隠すためなのかずっと喋り続けている。わたしから、告白していたらわたしもこうなっていたなと思って、そこで気づいた。唯先輩はわたしの不安を知っていて、自分から先に言いたいと言ったんじゃないだろうか。
やっぱり、優しい先輩だ。だから、わたしは落ち着いて言うことができた。
194: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:43:23.76 ID:EG0ne51AO
梓「わたしも唯先輩のこと大好きですよ」
唯「あ、あずにゃーーんっ!!!!」ダキッ
唯先輩はわたしに抱きついてきた。
梓「はわわっ、いきなり抱きつかないでくださいよー////」
唯「いいじゃーん、わたしたち恋人同士だよー」ギュゥゥー
195: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:43:51.94 ID:EG0ne51AO
唯先輩はさっきより、もっと強くわたしを抱きしめる。唯先輩は温かくて、柔らかくて、そして懐かしい。
わたしは気づくと泣いていた。
唯「あずにゃん?」
梓「う、嬉しくて……唯先輩、これからはずっと一緒に…」
唯「違うよーあずにゃん!!今までだってずっと一緒だったじゃん!」
唯先輩はそう言って、わたしの脇に手を入れてくすぐる。
196: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:44:24.12 ID:EG0ne51AO
梓「ははっ、唯せんぱいっ、ひゃ、ひゃにするんですかぁーひゃはっはっ」
唯「泣いてるあずにゃんもかわいいけど、笑ってるのが一番だよっ!」
梓「もうっ///」
唯「あっそうだ記念にさ……」
梓「何ですか?」
197: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:45:11.88 ID:EG0ne51AO
唯「アイス食べよっ?」
梓「だ、台無しですよー」
唯「じゃあ、あずにゃんは何を期待してたのかなあー」ニヤニヤ
梓「な、な、なんでもないですっ////」
はやくアイス食べましょうと言い、わたしは唯先輩の背中を押した。唯先輩は冷蔵庫から、2つのカップアイスを持ってきて、わたしに1つを手渡す。手渡す瞬間にわたしを抱き寄せた。
唯「あずにゃん大好きだよっ!」チュッ
198: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:46:32.74 ID:EG0ne51AO
わたしの唇に唯先輩の唇が重なる。
梓「~~//////」
唯「あずにゃんかわいいっ~」
梓「ず、ずるいですっ//」
唯「えへへ~」
言いながらわたしはずるいのは自分だと思う。だって、こんな人と一緒になれたんだから。
199: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:47:03.45 ID:EG0ne51AO
それからわたしたちは二人でアイスを食べる。アイスをスプーンですくいながら唯先輩が言った。
唯「実はもうひとつ大切なことを伝えなきゃなんだ!」
わたしはそれを聞いて、今この時に大切なこといったら、1つ、つまり放課後ティータイムに関することしかないと思った。
200: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/22(日) 17:48:27.28 ID:EG0ne51AO
唯「ムギちゃんが日本に帰ってくるんだって!」
梓「ほんとですかっ!?」
唯「うんっ!放課後ティータイムの復活だよ」
わたしと唯先輩は放課後ティータイムの五人が楽しく集まっているところを想像する。
204: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:49:00.92 ID:kRTRVRjAO
~ 今日! ~
205: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:50:17.93 ID:kRTRVRjAO
私は飛行機を降りると荷物を受け取り、空港の中を歩いた。確かに唯ちゃんの言うとおり、日本は暑かった。
りっちゃんは空港で待っていると言ってくれたけど、なかなかみんなは見つからない。もしかして、何かの事情で遅れてるのかしら。
そう思ったとき、向こうから四人組が歩いて来るのが見えた。すぐにみんなかと思ったけれど、どうやら違うみたいだった。 まず、みんなのなかにアフロはいない。アフロの隣にはニット帽をかぶっているのがいて、その横の子はフードをかぶっている。最後一番右の子は唯ちゃんに似た髪型をしていたが、まさか唯ちゃんじゃないだろう。全員がマスクとサングラスをしていて、なんだか出来の悪い銀行強盗みたいだ。
206: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:51:27.08 ID:kRTRVRjAO
私は彼らを奇抜だとは思ったものの、特に気にとめることもなく、またみんなを探す作業に戻る。
しかし、彼らの方はまるで私に用があるみたいに私の方に向かって歩いてきた。そして、私の前で立ち止まり、アフロがわたしの腕を掴んだ。そのまま、私は彼らに引っ張られるようにして、空港からでる。
途中、背の低いフードをかぶった子が大丈夫ですよ、と言って、その声がなんだか懐かしいものだったので、不思議と安心してしまったから、怖くはなかった。
私は空港の駐車場にとめてあった車に押し込まれた。ただ、押し込まれたと言っても彼らの私の扱いは逆に丁寧なものだったので、それがまた私を安心させる。
そのときにはもう私はある可能性について考えていた。それは突拍子もないおかしな考えだったが、逆に突拍子もないおかしな考えだからこそ、正しい気がしたのだ。
しかし、彼らの方はまるで私に用があるみたいに私の方に向かって歩いてきた。そして、私の前で立ち止まり、アフロがわたしの腕を掴んだ。そのまま、私は彼らに引っ張られるようにして、空港からでる。
途中、背の低いフードをかぶった子が大丈夫ですよ、と言って、その声がなんだか懐かしいものだったので、不思議と安心してしまったから、怖くはなかった。
私は空港の駐車場にとめてあった車に押し込まれた。ただ、押し込まれたと言っても彼らの私の扱いは逆に丁寧なものだったので、それがまた私を安心させる。
そのときにはもう私はある可能性について考えていた。それは突拍子もないおかしな考えだったが、逆に突拍子もないおかしな考えだからこそ、正しい気がしたのだ。
207: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:52:24.17 ID:kRTRVRjAO
車の中に残りの四人も乗り込んできた。アフロは運転席、ニット帽は助手席に、私を挟んで右側に唯ちゃん似た髪型の子、左にフードの子というように彼らは座った。 唯ちゃんに似た髪型の子が私に向かって言った。
「シンパイシナイデーキガイヲクワエルツモリハナイカラー」
ヘリウムガスというんだっけ、そんなものを使っているのか、声が異常に高い。
「ムギチャンハネ、コレカラ…………アッ!!!!」
彼女は口をおさえた、だけどもう手遅れだった。私の左の子がフードとサングラス、マスクをとって言った。
「やっぱり、唯先輩のせいで失敗しましたね」
208: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:53:58.29 ID:kRTRVRjAO
律「いや~驚いただろムギ?」
りっちゃんは車を運転していた。みんなはもう変装用具をはずしている。
唯「えへへェー↑失敗シチャッタケドォ」
澪「まだ、声が変だぞー」
紬「ふふっ、びっくりしたわ」
律「だろー準備するの大変だったんだからな。恥ずかしかったし」
梓「でも、似合ってましたよ。いっそのことアフロにしたらどうですか?律先輩」
律「中野ぉ!!」
澪「ちょっ、前見て運転しろよ。危ないぞ」
りっちゃんは車を運転していた。みんなはもう変装用具をはずしている。
唯「えへへェー↑失敗シチャッタケドォ」
澪「まだ、声が変だぞー」
紬「ふふっ、びっくりしたわ」
律「だろー準備するの大変だったんだからな。恥ずかしかったし」
梓「でも、似合ってましたよ。いっそのことアフロにしたらどうですか?律先輩」
律「中野ぉ!!」
澪「ちょっ、前見て運転しろよ。危ないぞ」
209: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:55:11.74 ID:kRTRVRjAO
久しぶりに見たみんなは変わっているようにもみえたし、変わってないようにもみえた。だけど、みんな笑って嬉しそうにみえたから、どっちでもいいかしらと思う。
唯「アーあーあー、あっ!戻った」
そこで、わたしは気になっていたことを聞いてみた。
紬「どうなったのかしら?唯ちゃん?りっちゃん?」
澪梓「…//」
そこで、質問した二人ではなく、澪ちゃんと梓ちゃんが顔を赤くしたので、これはうまくいったのね、と嬉しく思った。
車はいつの間にか赤信号に止まっていて、話をそらすためかりっちゃんが写真でも撮ろうぜ、と携帯をとりだす。
唯「アーあーあー、あっ!戻った」
そこで、わたしは気になっていたことを聞いてみた。
紬「どうなったのかしら?唯ちゃん?りっちゃん?」
澪梓「…//」
そこで、質問した二人ではなく、澪ちゃんと梓ちゃんが顔を赤くしたので、これはうまくいったのね、と嬉しく思った。
車はいつの間にか赤信号に止まっていて、話をそらすためかりっちゃんが写真でも撮ろうぜ、と携帯をとりだす。
210: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:55:57.06 ID:kRTRVRjAO
梓「あぶないですよ」
律「大丈夫だって、ここの赤は長いんだよっ」
そう言うと、りっちゃんはみんなが写るように携帯を掲げる。
律「ほらっはやくはやく、変な顔で写ってもしらないぞー」
律「はいチーズ」
パシャッと音がして、写真が撮られる。りっちゃんは携帯の画面に写しだされた写真を見て、それから言った。
211: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:56:35.37 ID:kRTRVRjAO
律「澪ーこれなんだよー。放課後ティータイムだったら4じゃなくて5だろー」
自分を数え忘れたのかよと言い、澪ちゃんにそれを見せ、それからに私たちにも見えるようにする。
澪「ああ、これはダブルピースだ」
唯「ダブルピースっていったらこうだよー」
唯ちゃんはそれぞれの手にピースを作ってみせた。
212: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:57:16.90 ID:kRTRVRjAO
澪「知らないのか?最近はこれが流行ってるんだ」
紬「そうなの?」
律「嘘だろっ!」
澪「うん、正確には私と私の後輩が流行らせようとしてるんだ」
梓「流行んないでしょうね」
梓ちゃんが言うと、澪ちゃんは嬉しそう顔してから、言った。
澪「だよなあー私もそう思うよ」
213: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:57:49.42 ID:kRTRVRjAO
紬「そういえば、私たちはどこに向かってるの?」
律「さあ、どこに向かってるんだ?」
澪「お前が運転してるんだろっ」ポカッ
二人のコンビも相変わらずだ。
律「よしっ、今からわたしたちがどうするか2つ選択肢がある」
梓「2つ?何ですか?」
律「忘れたとは言わせないぜ。常にわたしたちを悩ませてきた命題。練習かティータイムだっ!」
214: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:58:25.87 ID:kRTRVRjAO
梓「ということはみなさんちゃんと楽器やっていたんですか?」
律「当たり前だろ、軽音部顧問をなめるなよ」
唯「わたし毎日ギター触ってたから、きっとあずにゃんよりうまくなってるよ」
紬「わたしも毎日のようにしていたわ」
澪「わたしもだっ」
梓「…先輩方も同じだったんですね。良かったです」
215: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 16:59:57.47 ID:kRTRVRjAO
律「よしっ、練習かティータイムのどっちがいいか、せーので言おうぜ」
唯「りっちゃんはせーので言うの好きだね~」
律「いくぞ、せーのっ」
唯律紬「ティータイム!」
澪梓「練習!」
216: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:00:58.33 ID:kRTRVRjAO
律「……ぷっ…あははっ変わってねー」
唯「多数決でティータイムだねっ」
澪「でも、どこでする?」
紬「ふふっ、澪ちゃん練習派なのに嬉しそうね」
澪「いやーなんというか久々のティータイムもいいなって」
梓「あっわかります」
217: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:01:49.81 ID:kRTRVRjAO
律「放課後ティータイムの復活だな!」
りっちゃんが言ってみんなが笑った。わたしは気づくとこう言っていた。
紬「やっぱり、放課後ティータイムは最高ね」
律「『だ』だろ?」
車内にさっきよりもいっそう大きな笑い声が響きわたる。
218: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:02:33.22 ID:kRTRVRjAO
~ 三年前 春! ~
219: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:06:48.06 ID:kRTRVRjAO
梓「うわ~桜がきれいですよ!」
唯「そうだねーだけど、あずにゃんの方がかわいいよっ!」ダキッ
梓「意味わかんないですっ///」
紬「梓ちゃん、こういうところで告白されたら、相手の先輩喜ぶと思うわー」
梓「へ、変なこと言わないでくださいっ//」
律「いやーお熱いですなー」
澪「相変わらずだよ」
220: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:07:32.78 ID:kRTRVRjAO
紬「そういえば、みんなに渡したいものがあるの」
唯「なに、なにー?」
紬「海外に旅行したときのお土産のストラップなんだけど」
唯「わあーワンちゃんだ!かわいいー」
梓「あっわたしは猫です」
澪「わたしはかわいいうさちゃ……うさぎだったよ」
律「………なんでわたしはサルなんだ?」
221: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:08:09.38 ID:kRTRVRjAO
紬「あっ…いやだったかしら……かわいいと思ったんだけど」
律「い、いやもちろん嬉しいよっ」
梓「ナイスチョイスですよムギ先輩。律先輩とサルって同じようなものですし」
律「おいっ中野ぉ!」ガシッ
梓「ちょっ、じ、冗談ですよ」バタバタ
紬「あらあら」
222: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:08:36.37 ID:kRTRVRjAO
唯「ねえねえあずにゃん、交換しようよ?わたし、あずにゃんがいいな!」
梓「あずにゃん?」
唯「そのストラップだよっ!これをあずにゃんだと思えば、あずにゃんがいなくても寂しくないからね!」
梓「まあ、いいですよ」ハイ
唯「ありがと!あずにゃんだと思って大切にするよっ!」
梓「はあ」
223: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:09:28.33 ID:kRTRVRjAO
澪「それより、なんでムギのは動物じゃなくて、ティーカップなんだ?」
紬「私も最初は動物にしようと思ったんだけど、これが気に入っちゃったの」
梓「たしかに、ムギ先輩って感じがしますし、いいですね」
紬「ふふふ、そうかしら、よかったわ」
律「よく見ればこのサルもなかなかいいなっ!」
唯「そうだよ!りっちゃん!」
224: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:10:04.35 ID:kRTRVRjAO
律「なんか、桜もきれいだし、いいものもらったしテンションあがるなー」
唯「あげあげだね!りっちゃん!」
律「よしっみんなで叫ぼうぜ」
澪「は?」
律「小さい頃テレビでみたんだよ。なんか主人公たちが手を繋いで叫ぶわけ、一度やってみたくてさ。幸いここには人いないし」
唯「おもしろそうだねっ!」
紬「なんだか気持ちよさそうね♪」
225: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:11:01.97 ID:kRTRVRjAO
梓「えーやめましょうよ。子ども向け番組ですよねそれ」
律「いいだろー梓は一番子どもっぽい体型してるんだし」
梓「う、うるさいです、心は一番大人ですよ」
律「精神年齢おばさん」ボソッ
梓「な、なっ、違いますよ!やってやるです!!」
律「よし、後は澪だな」ジー
澪「………わ、私もやるよっ!」
226: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:11:41.72 ID:kRTRVRjAO
唯「よーし、手繋ごう!」ギュッ
梓「手まで繋ぐんですかー」
律「当たり前だろ」
澪「で、なんて言うんだ?」
律「『放課後ティータイムは最高だ!』でどうだ」
紬「いいわね、りっちゃん」
227: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:12:51.65 ID:kRTRVRjAO
律「じゃあいくぞ……せーの!」
律「放課後ティータイムは最高だぜ!!」澪「放課後ティータイムは最高だな!!」唯「放課後ティータイムは最高だよ!!」梓「放課後ティータイムは最高です!!」紬「放課後ティータイムは最高ね!!」
律「…………おいっ!語尾ぐらいそろえろよー」
澪「言い出しっぺの律も違うけどな」
律「…細かいことはいいんだよっ!」
228: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:15:35.71 ID:kRTRVRjAO
紬「わたしたち10年後もみんなでバンドしてるかしら?」
澪「なんだかんだいって、結局は一緒にバンドやってる気がするよ」
梓「たしかに一度バラバラになってもしぶとく再生しそうですよね」
唯「わたしたちは復活するんだよっ!!」
律「なんたって放課後ティータイムは最高のバンドだからなっ!!」
229: ◆Mu88Rugpw6 2011/05/29(日) 17:20:40.93 ID:kRTRVRjAO
これで完結です。
こんなSSにここまで付き合ってくれた人ありがとうございます!
途中でレスをくれた人もありがとうございます!とても励みになりました。
また、どこかで見たらよろしくお願いします
こんなSSにここまで付き合ってくれた人ありがとうございます!
途中でレスをくれた人もありがとうございます!とても励みになりました。
また、どこかで見たらよろしくお願いします
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