前回 唯「ぽけ?」律「もん!」

2: キャラ紹介 2011/02/04(金) 19:25:10.87 ID:yN9cye4AO

主な登場人物


けいおん側


☆平沢唯☆
・カントー編・ジョウト編の主人公
・ジョウトジムバッジコンプリート

*手持ちポケモン*
ブイ太/シャワーズ
ピッ太/ピクシー
メリ太/モココ

☆田井中律☆
・カントー編・ジョウト編の主人公
・ジョウトジムバッジコンプリート

*手持ちポケモン*
ランス/ニドキング
スカイ/ニョロトノ
ヒート/ギャロップ
ウィング/ワタッコ

☆秋山澪☆
・ホウエン編の主人公
・カントー・ホウエンジムバッジコンプリート
・ホウエンリーグ殿堂入り

*手持ちポケモン*
カゲぴょん/リザードン
ハブりん/ハブネーク
ベロにゃん/ベロベルト
サボみん/サボネア
ドっくん/ドクケイル
ルンたん/ポワルン
くらくら/ドククラゲ

引用元: 唯律「ぽけもんだぜー!!」澪「ぽけもん…」紬「ぽけもんね~」梓「ぽけもんです!」 



3: キャラ紹介 2011/02/04(金) 19:26:31.61 ID:yN9cye4AO

☆琴吹紬☆
・シンオウ編の主人公
・カントー・シンオウジムバッジコンプリート

*手持ちポケモン*
リン/レントラー
レン/ドンファン
ルカ/オクタン
ユリ/ユンゲラー
ネイティオ

☆中野梓☆
・シンオウ編の主人公

*手持ちポケモン*
ミミちゃん/ミミロップ
さわちゃん/サワムラー
デビちゃん/デルビル

☆真鍋和☆
・シンオウ四天王長

*手持ちポケモン*
ブーピッグ
エルレイド


その他

☆鈴木純☆
・シンオウジムバッジコンプリート

*手持ちポケモン*
ラプンーソ/エンペルト
ドルアゲス/マネネ
エヌターク/ストライク

☆平沢憂☆

*手持ちポケモン*
ぶらら/ブラッキー

☆山中さわ子☆
・ヨスガシティジムジムリーダー(ジムリーダー名はキャサリン)

*手持ちポケモン*
マリア/ムウマージ
マーシー/ゲンガー

4: キャラ紹介 2011/02/04(金) 19:27:16.98 ID:yN9cye4AO

ポケモン側


☆シルバー☆
・ロケット団首領サカキの息子

*手持ちポケモン*
リングマ
ニューラ
ヤミカラス
シードラ
ギャラドス(色違い)

☆ニャース☆
・澪のパートナー

☆リラ☆
・澪の師匠

*手持ちポケモン*
カビゴン、ニャルマー他



5: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:33:08.48 ID:yN9cye4AO

ポケットモンスター、縮めてポケモン。


この星の、不思議な不思議な生き物、草むらに海に空に森に町に、はたまた宇宙にまで。

その種類は、100、200、300、400、500、600、700……いや、それ以上かもしれない。

人間とポケモンはこの星で共に暮らし、互いに支え合い生きている…



~イッシュ編~

Prologue..




6: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:36:58.40 ID:yN9cye4AO


さっさっ…

「ポケモンの数だけのドラマがあり、ポケモンの数だけの出会いがある……」

かきかき…

「……今日も晴れやかな天気です!…っと!」

『DIARY・・・azusa』

梓「ふうっ~!」のび~!

がちゃっ

たたっ

梓「ん~…いい天気だねー! ミミちゃん!!」

ミミちゃん(ミミロップ)「ミミロー!」ニコッ

7: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:40:02.59 ID:yN9cye4AO

梓「さわちゃんにデビちゃんも出てきて!」ボム!

さわちゃん(サワムラー)「ダーイライ!」

デビちゃん(デルビル)「ワオーン!」

梓「こんな日は芝生に寝転んでお昼寝したいね~」

ぱしぱし!

梓「ううん! ダメダメ!! 今日は大事な日なんだから!!」

8: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:42:38.77 ID:yN9cye4AO

梓「それに今日は出かける所があるんだから…」

「あら、随分と早起きね。梓ちゃん!」

梓「ムギ先輩!」

紬「ふふっ♪」

梓「すみません。起こしちゃったみたいで…」

紬「いいのよ。こんないい景色見られたもの」

ひゅううっ…

梓「本当…。いい朝ですね」

紬「早起きは三文の得って言うだけあるわね♪」

梓「えへへ…そうですね」

9: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:45:04.70 ID:yN9cye4AO

紬「…梓ちゃん、日記始めたのね?」

梓「え、ええ!? な、なんでそれを!!」アタフタ

紬「さっき梓ちゃんの部屋に行ったら、ちょうど目に入ったから……。中身は読んでないけど。ごめんね?」

梓「…いえ。どのみち言うつもりでしたし」

紬「そっか。…うふふ♪ 三日坊主にならないようにね?」

梓「唯先輩や律先輩じゃないんですから! ちゃんと毎日続けますよ!!」ぷくーっ

紬「あら、それはごめんなさい。でも唯ちゃんとりっちゃんに失礼よ?」ニコッ

梓「あっ…」ハッ…

10: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:49:05.39 ID:yN9cye4AO

紬「ふふ♪ …でも、今日は特別な日だものね」

梓「はい! 研究所に来て初日目ですから!!」

紬「うん。ここから始まるのね…。
私も全力でサポートするわ!」フンッ

梓「ありがとうございます!」

紬「それで、今日はこの地方に研究所を構えてる博士に挨拶しに行くんだっけ?」

梓「そうです! あちらも私に用があるみたいで」

梓「イッシュ地方のアララギ博士!!」



11: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:51:42.70 ID:yN9cye4AO
……………
…………
………
……

《カノコタウン・・・アララギ研究所》


PiPiPiPiPi!!

ポチッ!

「あら! もうこんな時間!?」

ガバッ!!

「いけない…寝過ごしちゃった! 今日はお客さんが来るのに~!!」

「とりあえず身支度を…!」バタバタッ

12: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:55:03.50 ID:yN9cye4AO

タタッ

「よしっ。なんとか終わった…。あとは資料を出しておかないとね!」

「えーと、資料は…」ツツツ…

「あら、あったあった! これね!」グイッ

「あれ…?」

ギュウウウ!

「あら、抜けない…。色々と詰め込み過ぎたかしら?」

ギュウウウ…ギュウウウ…

「…私の力では引き出すのは無理ね」

「チラーミィ! 手を貸してくれる~!?」

タタッ!

チラーミィ「チラー!」

13: ぽけもん 2011/02/04(金) 19:58:15.39 ID:yN9cye4AO

「これを引っ張るのよ! せ~の!!」

グイッ!!

…ポンッ!!!

「やった! 取れ………た?」

ガタッ!

ドドドドドド…!!!

「あらあらあら…」

チラーミィ「チラー!?」

「キャ~!!!」

14: ぽけもん 2011/02/04(金) 20:00:59.40 ID:yN9cye4AO

ドオオオオン!!!

「いだだ…。チラーミィ、大丈夫?」

チラーミィ「チラ~…」クラクラ

「本棚に入ってるもの、全部落ちてきたわ……。ちゃんと整理しておかないと。またパパに怒られちゃうわ」

ピンポーン!

「あら! もう来ちゃったのかしら!?」

「ハ、ハーイ! どうぞ入って~!!」

ガチャッ…

梓紬「……」

「………」

梓「な、何かあったんですか…?」

「え、ええと…」



15: ぽけもん 2011/02/04(金) 20:04:06.33 ID:yN9cye4AO
……………
…………
………
……


アララギ「ハーイ! 私の名はアララギ!! ポケモン博士よ!」

アララギ「ポケットモンスター…縮めてポケモン。この世界にはポケモンという不思議な不思議な生き物が住んでいるわ」

アララギ「その不思議な生き物を研究しているのが私! このイッシュ地方でのポケモンの生態系について研究しているわ!」

アララギ「例えば、このチラーミィ! 他の地方では見られないポケモンよ」

チラーミィ「チラー!」ピョンピョン

16: ぽけもん 2011/02/04(金) 20:07:23.89 ID:yN9cye4AO

紬「本当…見たことないポケモンね」

梓「ここに来るまでに見たポケモンも、すべて知らないポケモンでした!」

アララギ「うん。不思議よね。同じ星なのに、こんなに生息するポケモンが違うなんて…」

アララギ「まあ、そこがポケモンの面白いところだけどね♪」

アララギ「ポケモンだけじゃなく、イッシュに住んでいる人や…自然! まあ自然と言える場所なんてほとんどない所だけどね」

アララギ「この地方に来たからには、楽しみなさい! イッシュ地方を!!」

梓紬「はい!!」

アララギ「ふふ、最高の返事よね!!」

17: ぽけもん 2011/02/04(金) 20:10:08.64 ID:yN9cye4AO

紬(女性のポケモン博士もいるのね~。…あ、梓ちゃんも女の子か…)

アララギ「さて…それで今日呼んだのはね」

アララギ「あなた達にある調査を頼みたいと思ってね」

紬「…調査?」

梓「どんなものですか?」

アララギ「あなた達の研究の主軸となるものよ」





18: ぽけもん 2011/02/04(金) 20:13:23.98 ID:yN9cye4AO
………………
……………
…………
………
……

アララギ「さーて! 二人も帰ったことだし!! 私も研究を……」

アララギ「…その前に休憩がてらお散歩でもしよっか!」

チラーミィ「チラ…」ガクッ…

アララギ「まあまあ、そう言わずに! 行きましょう、チラーミィ!」

チラーミィ「チラチラ…」ヤレヤレ



19: ぽけもん 2011/02/04(金) 20:16:03.24 ID:yN9cye4AO
――――時は遡り、数時間前

《イッシュ地方のどこか》


「………」カツカツ…

「なにかあったのかい?」

「いえいえ。さほどの事ではございません」

「ただ、この我々のイッシュ地方に汚らわしい野ネズミが入り込みまして…」

「ふうん…」

「それで、その野ネズミはどうするの?」

「何もしませんよ。放っておいて大丈夫です。ただの野ネズミですから」

20: ぽけもん 2011/02/04(金) 20:18:40.85 ID:yN9cye4AO

「そう…。じゃあ、僕はちょっと出掛けて来るね」スッ…

「お供します」

「…」

「もう。そんな護衛みたいに張り付かないでよ。僕は逃げも隠れもしないよ?」

「いえ…そんな滅相もございません。我等はあなたをお守りしたいだけなのです」

「はあ…護衛じゃないか」

「……」

「まあ、とにかく君は僕の指示どおりに動いてくれればいいよ」

「さ、行こう」

「はっ! ……N様」

N「ふふ…」




21: ぽけもん 2011/02/04(金) 20:21:15.43 ID:yN9cye4AO
……………
…………
………
……

「ん……」

ムクッ

「あ…れ……?」

ユサッ…

「!」

「うーん…」

「ゆ、唯…?」

唯「ん~…?」ムニャムニャ

律「……」

律「こ、ここは…どこだ……!?」



Prologue..fin



29: ぽけもん 2011/02/05(土) 13:34:49.82 ID:1IAfXRdAO

Episode.1



唯「あれ…? ここどこ…?」ムニャムニャ

律「今更かよ…」

唯「タウンマップでみればいいんだよ!」ポンッ!

ガサゴソ…

唯「あ…れ……?」

唯「タウンマップはあるけど…」

唯「ない! ない!! モンスターボールがない!!!」アセアセ

律「…はあ」

30: ぽけもん 2011/02/05(土) 13:40:28.61 ID:1IAfXRdAO

唯「ど、どうしよう? りっちゃん!! ボール、どこかで落としちゃったみたい!!」

律「私もなんだよ」

唯「え…?」

律「私もモンスターボールがなくなったんだ。手持ち全部な」

唯「ええええええええええええええええええええ!!!」

律「……」

唯「ど、どうするの!? 知らないところに来ちゃってポケモンもいなくて…」

律「落ち着け、唯。まずは状況を整理しよう」

唯「……うん」

31: ぽけもん 2011/02/05(土) 13:43:18.53 ID:1IAfXRdAO

律「私達はさっきまで…実際には“さっき”かどうかも分からないけど、とりあえずさっきまではウバメの森にいた。
そしてウバメの森で謎の光を浴びて、気を失ってしまい、目覚めたらここにいた…。
手持ちポケモンは多分、森に落としていっちまったんだろ。でも図鑑があるのが唯一の救いかな」

唯「そうだね…。図鑑を落としたら大変だし…」

律「唯…。一つ気になることがあるんだ」

唯「なあに?」

律「私達が浴びた謎の光は森全体に広がっていた。なら、森にいた…澪やシルバーはどうなったのか?」

唯「あ…」

32: ぽけもん 2011/02/05(土) 13:46:16.82 ID:1IAfXRdAO

律「私達と同じように知らない土地に放り出されてるかもしれない」

唯「大変だ!!」

律「ああ。澪とシルバーを探さないとな」

唯「じゃあ早く…」

律「待て、唯。このままやみくもに探しても見つからないと思うし、それに野生ポケモンに出会ったら終了だ。
まず優先するべきは、ポケモンの捕獲だ」

唯「ポケモンを…?」

唯「でもポケモンを持ってないのにどうやって…」

律「そこなんだよなー…」ウーン…

33: ぽけもん 2011/02/05(土) 13:49:13.86 ID:1IAfXRdAO

「ハーイ! そこの少女と少女!!」

律「ん?」 唯「ふぇ?」

「なにかピピッときて、話し掛けてみたけど…なにか困ってるのかしら?」

律「…あなたは?」

アララギ「私はアララギよ! このイッシュ地方でポケモン博士をやっているわ!」

唯律「イッシュ地方!?」ズイッ

アララギ「あらあら?」



34: ぽけもん 2011/02/05(土) 13:54:00.05 ID:1IAfXRdAO
……………
…………
………
……


アララギ「ふーむ、なるほどねぇ…。あなた達が置かれている状況、大体把握できたわ」

唯「どうもどうも長い話を…」

アララギ「ううん! いいのよ」

アララギ「んーと、まずは私の研究所に来ない? あとのことは着いて話し合いましょう!」

律「え…でも、」

アララギ「遠慮はいらないわ!」

唯律「……」

唯「じゃあ…お言葉に甘えて…」

アララギ「OK! 最高の返事よね!!」

アララギ「研究所はこっちよ!」

律「…唯、いい人がいて良かったな」

唯「へ? あ、うん!」

律「じゃあ行こうぜ」

唯「う、うん!」

タタッ

唯(うう~ん…なにか忘れてるような……なんだろう?)



35: ぽけもん 2011/02/05(土) 13:56:02.94 ID:1IAfXRdAO
…………
………
……


《アララギ研究所》


アララギ「ここが研究所よ!」

アララギ「どうぞ入って」カチャ

唯律「お邪魔しま~す…」

アララギ「それで、あなた達はポケモンが必要なのよね?」

律「はい」

アララギ「じゃあ私があなた達にポケモンをあげてもいいけど…、でもそれはダメね」

唯「な、なんでですか?」

36: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:00:22.30 ID:1IAfXRdAO

アララギ「ポケモンは自分の力で捕まえなさい! ってこと」

律「自分の力で…」

アララギ「そうよ。それにあなた達、最高なもの持っているじゃない!」

唯律「??」

アララギ「その腰につけているモンスターボール!」

律「あ…」

唯「ガンテツさんにもらったやつだね」

律「これは落とさなかったのか…」

37: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:02:05.81 ID:1IAfXRdAO

アララギ「ボール職人ガンテツ!! どの地方でも有名な職人よ! その人が作ったボールなら安心して使えるわね。性能もバッチリよ!」

律「どの地方でも…? そうだ…、このイッシュ地方ってどこなんですか? 私達、聞いたことがないんですけど…」

アララギ「あなた達はジョウトからここへ来たんだっけ? イッシュ地方はね…ジョウトやカントー、ホウエン、シンオウから見たら“外国”にあたる地方ね」

唯律「外国ぅ!?」

アララギ「そうよ。あ…でも言葉が通じないってことはないから安心して!
多種多様なポケモン・人種が集まり、それらが一種にみえる…それが“イッシュ地方”なのよ!」

唯律「……」

アララギ「まあとにかく! あなた達は早くポケモンを捕まえてきなさいっ!」



38: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:05:03.29 ID:1IAfXRdAO
…………
………
……


《1ばんどうろ》


律「ん~…でもどうやって捕まえりゃいいんだ」

唯「図鑑もアララギ博士がイッシュ版にするとかで、今はないからねえ…」

律「とりあえず、今はこのガンテツさんからもらったボールを信じるしかないな」

唯「私のは“フレンドボール”だって! りっちゃんのは?」

律「“ヘビーボール”だな」

39: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:09:16.38 ID:1IAfXRdAO

唯「りっちゃんりっちゃん!」

律「なんだ?」

唯「私ね、捕まえたいポケモンがいるんだ!」

律「へえ、どんなポケモンだ?」

唯「研究所で偶然みたんだけどね、とってもかわいいポケモンがいたの! 私、あのポケモンを捕まえたい!」

律「でもそんなに都合よく現れるわけ…」

「チラー!」タッタッ

唯「いたあ~!!」

ダッ

律「お、おい唯!」

40: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:12:04.20 ID:1IAfXRdAO

律「……」

律「…行っちまった」

律「まあ私も自分のポケモンを捕まえるか…」

律「さあてどのポケモンを…」

ボコッ!

律「…ん? なんだ?」

ドオオオオン!!

律「うおっ!?」

41: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:15:03.97 ID:1IAfXRdAO

タッ!

「グリュー!!」

律「なんだこいつ…地面から!?」

律「ヒート…!って、いないんだっけ…」

「リュー!!」バッ!

律「!」

律「げほっ! くそう…“どろかけ”か…」

律「! 消えた…!?」

ドバッ!!

「グリュー!!」ギュルッ

律「! うわあっ!」ダッ

42: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:18:13.98 ID:1IAfXRdAO

「グリュー…!」ズザザッ

律「“こうそくスピン”か! 危ねえ!」

「グリュー!」ギロッ!

律「……」

律「よし! 決めた!!」

律「お前をゲットしてやるぜ!!」

「グリュー!」

ダッ!!

律「!」

「リュー!!」ドババッ!!

律「また地面に潜った!」

律「あいつの得意技は“あなをほる”だな!」

43: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:21:42.03 ID:1IAfXRdAO

(図鑑がないなら、自分で相手を見極めるだけだ!)

律「どこから出てくる…?」

「グリュー!!」ドバッ!!

律「! 後ろか…!」

「グリュー!」

ドガッ!!

律「ぐあっ…」ドサッ!

「グリュリュー!」ケラケラ

律「くそお…穴に落とされちまったぜ…」

律「ん…結構深いんだな」

律「…そうだ!」

コト…

律「これでよし!」

44: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:24:24.42 ID:1IAfXRdAO

律「さて、まずはここから出ないとな」

ガッ!

律「よいしょっと…」

「グリュー!!」ババッ!!

律「!?」

律「ゲホッゲホッ!! このやろ…出てきた所を攻撃(どろかけ)するなんて…」

「グリュー!!」バッ!

律「く…“ひっかく”か!」

律「…!」ピラ…

律(かすっただけでこの切れ味…!)

45: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:27:37.98 ID:1IAfXRdAO

「グリュー!!」ギュオッ

律「ぐあっ!」

「グリュー!」ケラケラ

律「へへ…どうした? この程度かよ。小技じゃなく、大技で向かってこい!!」

「…!!」

「グリュー…」ムカムカ

「リュー!!」ドババッ!!

律「! また地中に潜ったか!」

46: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:30:07.22 ID:1IAfXRdAO

律「へへ……、
…かかったな!!」

「「リュー!?」」シュウウウ!!

律「お前に穴に落とされた時、“ヘビーボール”を仕掛けておいたのさ。
挑発したら見事に私の真後ろの穴から飛び出そうとしてくれたワケだ」

律「へへ…」スッ…

律「ゲットだ…!」

47: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:33:35.76 ID:1IAfXRdAO

唯「りっちゃあん!!」タタタッ

律「ん? 唯」

唯「ポケモン、捕まえたの?」

律「ああ! バッチリだ!」

唯「すご~い!」

律「唯はどうなった?」

唯「私も捕まえたよ! すぐに懐いてきてくれて……あれ? りっちゃん泥まみれだよ?」

律(私のバトルはなんだったんだ…)

唯「?」

律「まあ無事捕まえたし。アララギ博士んとこに戻ろうぜ」

唯「うん!」

48: ぽけもん 2011/02/05(土) 14:36:25.59 ID:1IAfXRdAO

律「」タッ

唯「……」

律「…?」ピタッ

律「…どうした? 唯」

唯「りっちゃん! せっかく捕まえたんだし!」カチャッ

律「…ああ!」カチャ

唯律「いっけえ!!」

ボム!!!




Episode.1 fin



54: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:30:01.52 ID:adxeiwIAO


Episode.2




《アララギ研究所》


アララギ「それで、どんなポケモンを捕まえてきたのかしら?」

律「名前は分からないけど…」ボム!

「グリュー!!」

アララギ「…モグリューね!」

律「モグリュー…。へえ! モグリューっていうのか!」

モグリュー「グリュー!」

律「……うん! ニックネームは“モール”がいいな!!」

モール「グリュー?」

アララギ「ニックネームを付けるのもポケモンの楽しみの一つよね!」

55: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:33:18.71 ID:adxeiwIAO

唯「私はこの子!」ボム!

「チー!」

アララギ「あらら。チラーミィ?」

唯「そっか。チラーミィっていうんだね、なら…」

唯「“チー太”だね! よろしくね、チー太!」

チー太「チー!」ニコッ

チラーミィ「チラー!」タタッ

唯「!」

アララギ「あらら…」

チラーミィ「チラー!」スリスリ

チー太「チー!」スリスリ

56: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:36:03.71 ID:adxeiwIAO

唯「仲良しさんだね~」

アララギ「ポケモンは仲良くなるのが早いわね」

アララギ「…どちらも良いポケモンじゃない! 最高のスタートね!!」

アララギ「あとは図鑑を渡して……、あ!」

唯律「??」

アララギ「今日、特番で最高のポケモンバトルが放送されるんだけど…もうすぐやるわ。一緒に観る?」



57: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:39:16.94 ID:adxeiwIAO
……………
…………
………
……


《ライモンシティ》


「……」

カイリュー「リュウウ!!」バサバサッ

タッ!

「戻れ、カイリュー」シュウウ…

「遅いわよ! ワタル君!」

ワタル「ん? ああ、シロナさん」

シロナ「もうみんな来ているわよ」

ワタル「申し訳ない。いくらカイリューでもイッシュまでは時間が掛かってしまいましてね」

シロナ「まあいいわ…それじゃあ行きましょう」



58: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:42:10.21 ID:adxeiwIAO
………
……


《スタジアム》


「ふふ、まさかチャンピオン全員がこうして集まるとはね…。
大誤算ですよ、」

ダイゴ「…ダイゴだけに」クスッ

「ハッハッハ。わしが死ぬ前にまたこうして会えるとは嬉しいのう! なーんてな!」

ダイゴ「また縁起でもないことを…。やめてくださいよ、アデクさん」

アデク「ハッハッハ! すまんすまん! つい興奮してしまってな」

59: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:45:07.18 ID:adxeiwIAO

ダイゴ「まあ無理もないですよ。僕達リーグチャンピオンに挑もうというチャレンジャーが現れたんですからね」

アデク「すごいのう。普通は集まらないものを…そのチャレンジャーは運が良いな! 直に全員揃う!」

ガチャッ

シロナ「お待たせしました」

アデク「おっ」

ダイゴ「ワタルは来ましたか?」

シロナ「ええ」

ワタル「久しぶりだな、ダイゴ。お久しぶりです、アデクさん」

ダイゴ「久しぶりだね」

60: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:48:09.09 ID:adxeiwIAO

アデク「元気にしていたか!」

ワタル「ええ。まあそれなりに」

シロナ「しかし…、私達に挑戦しようというトレーナーってどんな人なんでしょうか?」

ダイゴ「噂だと、たった十数歳の子供だとか」

アデク「…子供?
ハッハッハ! 生まれてからさほど経っていない子供にわし達を負かすことなどできようか!!」

ワタル「いや…子供だからといって舐めてかかるものじゃないですよ」

アデク「!」

61: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:52:53.45 ID:adxeiwIAO

ワタル「俺の知り合いで、しかも子供で、とてもバトルセンスがあるトレーナーを知っています」

シロナ「あら、奇遇ね。私も四人ほど、そんな子供達を知っているわ」

ダイゴ「クスッ、なんたる偶然だ。僕も一人、巨悪を制したトレーナーを知っているよ」

アデク「ほう…」

アデク「ハッハッハ! 時代は新しくなっていくな!
今やじじいの意見など偏見にすぎないものか!」

シロナ「そんなことは…」

62: ぽけもん 2011/02/06(日) 11:56:05.78 ID:adxeiwIAO

アデク「いや、しかし!
…わしは今回は遠慮しておこう」

ワタル「えっ?」

アデク「主催者にはなんとか話を付けておいてくれ。では、さらばだ」ガチャ

シロナ「あっ…」

ダイゴ「どうしたんだろうね?」

ワタル「分からん…」

シロナ「とにかくもうすぐ始まるわ! 二人ともスタジアムに出て!
主催者には私が言ってくるわ!」



63: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:00:49.82 ID:adxeiwIAO
…………
………
……


《???・・・梓の研究所》


ポチッ

梓「いよいよ始まりますね!」ワクワク

紬「各地方のチャンピオンのポケモンバトルだっけ?」

梓「はい! シロナさんもきっと出ますよ!」

紬「シロナさんかあ~。シロナさんのバトル観てみたいわね」

梓「前から楽しみにしていました!
…でも、研究が疎かになりますけど……」ボソボソ

紬「梓ちゃんらしくない~♪」

梓「うう…」

TV『』ウィン

梓「あっ! 始まりますよ!」アセアセ



64: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:03:11.09 ID:adxeiwIAO
…………
………
……


司会『さあ、始まりましたあ!!』

『ライモンシティからお送りします!
チャンピオンとの壮絶バトル!! スポンサーはイッシュ四天王のカトレア様!!』

司会『…ではご紹介いたしましょう!
チャンピオン側!!』

司会『我こそは竜の申し子! “はかいこうせん”で倒してきた相手は数知れず!
ジョウト地方リーグチャンピオン!! ドラゴンポケモン使い、ワタルー!!!』

ワタル「…」バッ!

ワアアアアアアアアアアアア!!

65: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:06:21.71 ID:adxeiwIAO
司会『続いてッ!
“けっきょく ぼくが いちばん つよくて すごいんだよね”!! ストーンゲッターであり、デボンコーポレーション社長令息!! まさに大誤算!!
ホウエン地方リーグチャンピオン! ツワブキ・ダイゴー!!』

ワアアアアアアアアアアアア!!

ダイゴ「大好評だね、ダイゴだけに」クスッ

司会『最後にッ!!
一に賢く、二にクール! 三四で強く、五に美しい!! 歴j…考古学にも通じるパーフェクトウーマン!!
紅一点!!
シンオウ地方リーグチャンピオン! シロナー!!!』

ワアアアアアアアアアアアア!!

シロナ「なんなの、この紹介…」

66: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:09:03.56 ID:adxeiwIAO

司会『…ってあれ? 最後!?
肝心のイッシュ地方のチャンピオンがいませんが…』

「そのお方なら参加しないわ」

司会『! カトレアさん!!』

カトレア「まったく…あのお方にも困ったものね」

司会『……。で、では…チャレンジャーの方をご紹介致します!』

67: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:12:11.50 ID:adxeiwIAO

司会『謎ッ!!
経歴もバトルの実力もすべて謎!!
謎に包まれたトレーナー! N!!』

N「……」

ダイゴ「!」

ワタル「あれが…チャレンジャー…!」

シロナ「噂どおり、子供みたいね」

司会『早速戦ってもらいましょう!!
では、チャンピオン・ワタル! チャレンジャー・N! 競技場へ!!』

シロナ「がんばってね、ワタル君」

ワタル「はい! 相手が子供であろうとも、全力で行くだけです」

タッ!

N「……」スタスタ…

68: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:15:04.85 ID:adxeiwIAO

司会『勝負は3対3のバトルです!
では、試合開始!!』

ワタル「カイリュー!」ボム!

カイリュー「リュー!!」

司会『出ましたあー! カントー最強のドラゴンポケモン!! カイリュー!!
…一方、N選手の最初のポケモンは!?』

N「…ふふ、出番だよ」サッ…

N「…チョロネコ!」ボム!




69: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:18:11.75 ID:adxeiwIAO
………………
……………
…………
………
……

N「……」

フラッ……

ガブリアス「」バタッ!

シロナ「!!」

司会『ガブリアス、ダウンー!! ここで試合終了です!!
勝者はなんと! チャンピオン相手に三連勝!!
Nー!!!』

ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!

司会『伝説を残しましたー!!』

70: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:21:07.41 ID:adxeiwIAO

司会『…お時間も少なくなりました!
これでお開きにしたいと思います!!
司会はこのギーマがお送り致しました!!』

シロナ「うっ…」

ダイゴ「大丈夫ですか? シロナさん」

シロナ「ええ…、ちょっと疲れただけよ」

ワタル「それにしてもなんて子供なんだ、……N!!」

ダイゴ「まさか三試合、同じポケモン三体を使い僕達に勝つなんて…。
大誤算だよ、本当に…」

シロナ「…でも、きっとアデクさんなら勝っていたわ。私達もまだまだ未熟ってことね」



71: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:24:06.30 ID:adxeiwIAO
………
……


ピッ…

「ふう…」

「お疲れ様です、ギーマさん」

ギーマ「やあ、カトレアさん」

カトレア「四天王のあなたに司会など務めてもらって申し訳ないです」

ギーマ「いえいえ。こういうのは好きですし
それにレンブは似合いませんし、シキミは新作に行き詰まっているようですしね」

72: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:27:10.58 ID:adxeiwIAO

カトレア「…いい司会でしたよ」

ギーマ「ふふ、ありがとうございます。
しかし…アデクさんが参加しないとはね」

カトレア「はい。これでは意味がありませんね」

ギーマ「まったく…どこでなにをしているやら…」

カトレア「いつものようにイッシュをフラフラしているでしょうね」

ギーマ「はあ…やれやれ」



73: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:30:12.83 ID:adxeiwIAO
…………
………
……


アララギ「どう? 面白かったかしら?」

唯「すごーい! 白熱したバトルだった!」

律「すげえな…。あんなバトルをしたい」

アララギ「ん~、ならイッシュの各地のジムを回ってみたらどうかしら?」

律「ジムを?」

アララギ「そう! イッシュのジムリーダーは手強い人ばかり! 全部のジムバッジを手に入れる頃にはきっと今より強くなってるはずよ!!」

律「へえ…」

律(今はランスやヒートがいないし…。モールと強くなる、いい機会かもしれない)

74: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:33:11.44 ID:adxeiwIAO

唯「でも、澪ちゃんとシルバー君を探さないと…」

律「あ…そうか」

アララギ「大丈夫よ! もしお友達がイッシュにいるなら、各街を巡っていけばいつかは会うはずよ!
ジムはそのついでよ、つ・い・で!」

唯「それなら…いいかもね」

律「よぉーし! イッシュジム制覇だー!!」

唯「おーっ!!」

アララギ「うふ。頑張りなさい」

75: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:36:07.64 ID:adxeiwIAO

アララギ「…そうだ! 図鑑を返さないとね!」タタッ

アララギ「はい」スッ…

唯律「ありがとうございます!!」

唯「わあ~! 新しい図鑑だ~!」

律「新鮮でいいな!」

アララギ「喜んでもらえて良かったわ!
ではいってらっしゃい! イッシュの旅に!!」

唯律「はい!!」



76: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:39:10.44 ID:adxeiwIAO
……………
…………
………
……

梓「す、すごかったです! あのトレーナー!!」

紬「ええ…、チャンピオンに勝つなんてね」

紬「でも、澪ちゃんも負けてないわね! ホウエンで殿堂入りしたんだから!」

梓「すごいですよね…。
…っと、私達は研究を頑張らなくっちゃ!」

紬「そうね、頑張りましょう♪」

梓「はい!」

紬「……」

紬(唯ちゃんには前に会ったけど…
澪ちゃん…、今はなにをしてるんだろう…?)




77: ぽけもん 2011/02/06(日) 12:42:12.15 ID:adxeiwIAO
……
………
…………
………
……


《イッシュ地方のどこか》


「う…ん……」

澪「あれ…? ここは…?」

ザッザッ…

澪「!」

「おや…こんなところにお客さんとは…」

澪「…誰……?」

「どうぞ、中へ。
…歓迎いたしますよ」




Episode.2 fin




85: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:01:59.03 ID:VYntGgXAO


Episode.3




「……」スタスタ

澪「……」テクテク

澪(すごい広いところだな…。童話に出てくるお城みたい…)

「さあ、腰掛けてください」ガタッ

澪「あ、ありがとうございます…」スタッ

「いきなりですみませんが、あなたの名前とどこから来たのかをお教えください」

澪「えと…私は秋山澪で……」




86: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:06:04.77 ID:VYntGgXAO
……………
…………
………
……


「なるほど…。謎の光を浴びて、気づいたらここにいた…と」

澪「はい…」

「しかし、あなたは気を失っていたのでしょう? でしたら何故、光を浴びたと分かったのですか?」

澪「それなんですけど…私、一度起きたんです」

「ほう」

87: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:09:04.70 ID:VYntGgXAO

澪「でも、起きた直後に光を浴びて、また気を失って…」

「…そうですか、分かりました。
それであなたはどうしたいですか?」

澪「どうって…」

「話によれば、一緒にいたお友達がいたのでしょう? もしかしたら、その方々も謎の光を浴びたのやもしれません。
そうなると…お探しになられた方がよいのでは?」

澪「…そうだ……。唯…、律…! シルバー君!」

「ふふ、決定ですね。
私も捜索に協力しますよ」

88: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:12:06.66 ID:VYntGgXAO
澪「ありがとうございます…!
あ、名前をまだ聞いて…」

「いえ。まだ名乗るべき時ではない…」

澪「?」

「そんなことより、まだ歓迎の言葉を言っていませんでしたね…、」

「ようこそ、我らの城へ」




89: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:15:13.12 ID:VYntGgXAO
……………
…………
………
……


《1ばんどうろ》


律「よし、まずはカラクサタウンってところに行って、ポケモンセンターに行こう!」

唯「ポケモンセンターに行くの? なんで?」

律「タウンマップをもらいに、だ。あった方が便利だろ!」

唯「そうだね。私達、イッシュ地方のタウンマップは持ってないからねえ。それにイッシュのこと何も知らないし…」

律「そういうことだ! さあ、急ぐぞ!」タッ

唯「あ! 待ってえ、りっちゃん!」



90: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:18:08.06 ID:VYntGgXAO
………
……


《カラクサタウン・・・ポケモンセンター》


受付「これがイッシュ地方のタウンマップです!」 タブンネ「タブンネー」

律「ありがとうございます!」

唯「なんだろう、このポケモン?」ピッ

ポケモン図鑑『タブンネ、ヒヤリングポケモン
みみの しょっかくで あいてに ふれると しんぞうの おとで たいちょうや きもちが わかるのだ。』

唯「へえ~」

91: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:21:08.46 ID:VYntGgXAO

律「なにしてんだ、唯。さっさと行くぞ~」グイッ

唯「あ~ん」

ウィーン

ザワザワ……

律「ん?
なんだ? 人が大勢集まって……、なんかあったのか?」

92: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:24:09.67 ID:VYntGgXAO

ザワザワ…

律「あの…なにかあったんですか?」

おじさん「ん? なにか演説が始まるみたいなんだよ」

唯律「演説?」

「……」スタスタ

「どうも皆さん、こんにちは」

ゲーチス「ワタクシの名前はゲーチス。プラズマ団のゲーチスです。
今日、みなさんにお話しするのはポケモン解放についてです」

93: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:27:08.01 ID:VYntGgXAO

おにいさん「ポケモン解放? なんだそりゃ?」

ゲーチス「われわれ人間はポケモンとともに暮らしてきました。
お互いを求め合い必要としあうパートナー…。そう思っておられる方が多いでしょう。
……ですが、本当にそうなのでしょうか?」

ザワザワ…

おにいさん「どういうことだ…?」

ゲーチス「われわれ人間がそう思い込んでいるだけ……そんなふうに考えたことはありませんか?」

94: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:30:07.76 ID:VYntGgXAO

おじさん「バ、バカな! ポケモン達だってわし達とこうして一緒にいるじゃないか!」

ヨーテリー「テリテリ!」

ゲーチス「…そうですかねえ?
トレーナーはポケモンに好き勝手命令している……、仕事のパートナーとしてもこき使っている……、そんなことはないと誰がはっきりと言い切れるのでしょうか」

おじさん「そ、それは…」

95: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:33:08.91 ID:VYntGgXAO

ゲーチス「いいですか、みなさん。
ポケモンは人間とは異なり、未知の可能性を秘めた生き物なのです。われわれが学ぶべきところを数多く持つ存在なのです」

唯律「……」

ゲーチス「そんなポケモンたちに対しワタクシたち人間がすべきことはなんでしょうか?」

おにいさん「ポケモンを…」

ゲーチス「そうです! ポケモンを解放することです!!
そうしてこそ人間とポケモンははじめて対等になれるのです!!」

96: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:36:06.72 ID:VYntGgXAO

ゲーチス「みなさん、ポケモンと正しく付き合うためにどうすべきかよく考えてください。
…というところでワタクシ、ゲーチスの話を終わらせていただきます。ご清聴感謝いたします」

スタスタ…

おじさん「……今の演説…、わし達はどうすればいいんだ?」

おにいさん「ポケモンを解放するとか、ありえないでしょ!」

唯律「……」

97: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:39:05.44 ID:VYntGgXAO

律「どう思う? 唯」

唯「ふぇ?」

唯「今の人、どこかで会った気がするよねえ」

律「…今の演説のことだよ」

唯「う~ん…難しい話はよく分からないけど…」ボム!

チー太「チー!」ピョン!

唯「よーしよし、今ご飯あげるからね~」

チー太「チー!」

律「……」

98: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:42:04.84 ID:VYntGgXAO

唯「ポケモンを解放する…とか。よく分からないけど…、」

唯「私はこうしてポケモンにご飯あげたり、遊んだりするのが好きだよ」

律「なんだそりゃ…答えになってないだろ」

唯「え~?」

律「でも……そうだな! その通りだよな!」

唯「うん! ポケモンといると楽しいよ!」

律「へへ…。んじゃあ、次の街に行くか」

唯「うん!」

99: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:45:11.65 ID:VYntGgXAO

ヒュウウッ!

「……」ザッザッ

律「!」

「君のポケモン、今話していたよね?」

唯「えっ…?」

「……。そうか、君には聞こえないのか……かわいそうに」

律「…お前、誰だ?」

N「僕の名前はN。
…僕もトレーナーだが、いつも疑問でしかたない。ポケモンはモンスターボールに閉じ込められて幸せなのかって」

100: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:48:08.63 ID:VYntGgXAO

唯「閉じ込めるなんて…」

N「君、さっき言ったよね。『ポケモンといると楽しい』って…」

唯「う、うん…」

N「でも、楽しいのは人間だけなんじゃないのかな」

唯「え…」

N「ポケモン自身は、楽しくないのかもしれない…」

唯「そんな…こと…」

101: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:51:09.42 ID:VYntGgXAO

N「…モンスターボールに閉じ込められているかぎり……ポケモンは完全な存在にはなれない。
僕はポケモンという友達のため世界を変えねばならない…」

N「…」クルッ

ザッザッ…

律「なんだったんだ…?」

唯「なんか恐かったね…」

律(N…、どこかで聞いたような名前だな…)

102: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:54:06.52 ID:VYntGgXAO

唯「りっちゃん?」

律「ん?」

唯「もう行く?」

律「あ、ああ…」

唯「じゃあ行こっか! チー太!」

チー太「チー!」

タタタッ

103: ぽけもん 2011/02/07(月) 17:57:22.19 ID:VYntGgXAO

律「……」

律(ポケモン解放……プラズマ団ゲーチス……N………、か…)

律「ん~…」ポリポリ

律「私も難しい話は分かんねえや!」

唯「りっちゃあん! 置いていくよ~!!」

律「待~てよ! 唯!!」ダッ




Episode.3 fin




111: ぽけもん 2011/02/08(火) 17:53:53.73 ID:KcXHE42AO


Episode.4




《2ばんどうろ》


トレーナー「ヨーテリー! “たいあたり”!」

ヨーテリー「テリテリ!」ダダッ

律「モール! “あなをほる”!」

モール「リュー!!」ドババッ

ヨーテリー「!?」

モール「グリュー!!」ドン!

律「“こうそくスピン”だ!!」

ドオオオン!!

ヨーテリー「テリ~…」バタッ

トレーナー「ああっ!」

112: ぽけもん 2011/02/08(火) 17:56:04.97 ID:KcXHE42AO

モール「グリュー!」スタッ

律「よしっ!」

唯「やったね、りっちゃん!」

律「おうよ! この調子で…、
次のサンヨウジム、絶対勝つ!!」

トレーナー「…ん? サンヨウジム?」

律「?」

113: ぽけもん 2011/02/08(火) 17:59:06.20 ID:KcXHE42AO

トレーナー「サンヨウジムに挑戦する気なの?」

律「ああ…そうだけど?」

トレーナー「あそこ、今はジムリーダーいないみたいなんだ」

唯「そうなの…?
じゃあどこにいるの?」

トレーナー「分からないけど…、どうせ挑戦するなら“ゆめのあとち”でポケモンを鍛えた方がいいよ」




114: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:01:25.30 ID:KcXHE42AO
……………
…………
………
……


《サンヨウシティ》


唯「“ゆめのあとち”に行こう!」

律「そうだ、唯…」

唯「なあに?」

律「もしかしたら、ジムリーダーが帰ってきてるかもしれないからさ。私は一応ジムを見てくるな?」

唯「…うん、わかった!
後から、りっちゃんも“ゆめのあとち”にきてね!」

律「おう!」




115: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:03:05.47 ID:KcXHE42AO
……………
…………
………
……


《ゆめのあとち》


「こちらAポイント、ムンナ発見…」

『わかった。すぐに向かう』

「……」ピッ

「ムンナの出す“ゆめのけむり”…。実にミステリアスなテイストだ」タッ!

116: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:06:06.04 ID:KcXHE42AO
…………
………
……


「さあて! 今日もムンナを探しましょう、ムギ先輩!」

紬「ええ、梓博士!」

梓「その呼び方やめてください…」

紬「え? どうして?」

梓「なんか慣れないというか…」

紬「そう?」

梓「もう、からかわないでください」

紬「ふふ♪
さあ、ムンナを探しましょう」

梓「はい。そして、私達の研究に協力してもらいましょう!」

117: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:08:03.60 ID:KcXHE42AO

『ムン…ナ……』

梓紬「!!」

紬「あ、梓ちゃん…なにか言った?」

梓「…私じゃないですよ」

梓紬「……」

ダッ!!

梓「確かここら辺から…」

『ムンナ、ゆめくいポケモン』

梓「…へ?」

118: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:10:03.18 ID:KcXHE42AO

ポケモン図鑑『…ムンナに ゆめを たべられてしまうと ゆめの ないようを わすれてしまう。 つねに くうちゅうに うかんでいる。』

「へえ~! ムンナか~! かあわいいな~!!」

梓紬「あ!」

「ふぇ?」クルッ

梓「唯先輩!?」 紬「唯ちゃん!?」

唯「あずにゃん! ムギちゃん!」



119: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:12:03.58 ID:KcXHE42AO
………
……


「……邪魔者が入った…」

『…構うな。ムンナ捕獲に集中しろ』

「……了解」カチャ…



……
………

紬「久しぶりね、唯ちゃん」

唯「ヤマブキ以来だね~」

梓「だからどうして平然としていられるんですか…」

唯「いついかなる時も何が起こるか分からない!」

紬「いちいち驚いてたらキリがないわ!!」

梓「意味がわかりません…」

120: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:14:07.10 ID:KcXHE42AO

梓「ていうか一応感動の再か…」

唯「ムギちゃん久しぶり!」ダキッ!

紬「会いたかったわ! 唯ちゃん!」ダキッ!

梓「もうどこをどうツッコめばいいかわかりません…」

唯「あずにゃん達もムンナをゲットしに来たの?」

梓「…まあそんな感じですね」

121: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:16:06.40 ID:KcXHE42AO

紬「唯ちゃんはなにしてるの?」

梓「どうしてイッシュに?」

唯「うん、実は…」

……………
…………
………
……


唯「…っていうわけなの」

梓「そ、そうだったんですか…」

紬「大変だったわね、唯ちゃん…」

唯「うん…。でも、りっちゃんがいるから大丈夫!」

122: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:18:05.90 ID:KcXHE42AO

梓「そういえば、律先輩は?」

唯「今はサンヨウジムに行ってるよ~」

梓「なんかデジャヴュ…」

唯「?」

紬「澪ちゃんは…大丈夫なのかしら?」

唯「……。あずにゃん、ムギちゃん。澪ちゃんを見かけなかった?」

梓「いえ、私は……」

紬「……!」

紬「あ…、唯ちゃん、あのね…?」

ヒュッ…

梓「!
危ないです!! ムギ先輩! 唯先輩!」

唯紬「!!」

123: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:21:03.56 ID:KcXHE42AO

ドオオオン!!!

パラパラ…

唯「な、なに…?」

コロッ…

梓「種…?」

「ヤナップ、もう一度“タネマシンガン”!」

ヤナップ「ナップ!」プッ!

ドドドドドド!!!!

紬「きゃあ!!」

梓「ムギ先輩!」

124: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:24:04.66 ID:KcXHE42AO

唯「チー太!」ボム!

チー太「チー!」タッ!

「邪魔だっ!! ヤナップ!」

ヤナップ「ナップゥ!!」バシッ!

チー太「チー!?」バチィン!

唯「チー太ぁ!」

「ふん」

ドンッ…

「!」

さわちゃん(サワムラー)「…」ギロッ

梓「あなた、誰ですか?」キッ!

125: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:27:06.76 ID:KcXHE42AO

梓(コートを着てて、顔が見えない…)

「ふふ…、“僕達”と戦う気なのかい?」

ボオオッ!!

梓「!? 後ろから…!」
「クククッ…」

梓「まだ仲間が…!」

「バオップ、“やきつくす”だッ!」

バオップ「バオッ」ボウッ!!

さわちゃん「」バタッ

梓「…さわちゃん…ッ!」

126: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:30:04.04 ID:KcXHE42AO

「2対1だけど…戦うのかい?」

梓「うっ…」ジリッ…

紬「梓…ちゃん…」ヨロッ…

唯「ムギちゃん、大丈夫!?」タタッ

紬「大丈夫とは言えないわね…、“タネマシンガン”をまともに喰らってしまったわ…」

唯「ムギちゃん…」

紬「私よりも…梓ちゃんを手伝って…! このままじゃ梓ちゃんまで…」

唯「……わかった!
行くよ、チー太!」

チー太「チー!」

127: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:33:21.81 ID:KcXHE42AO

「ヤナップ、“タネマシンガン”!」

「バオップ、“やきつくす”ッ!!」

ヤナップ「ヤナッ!」 バオップ「バオッ!」

梓「デビちゃん!!」ボム!

デビちゃん「ワオオン!!」

ドドドド!! ボワアアア!!

梓「かえんほうしゃ!!」

デビちゃん「バウ!」ボワアアアッ!!

「「…!!」」

128: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:37:14.97 ID:KcXHE42AO

梓「甘かったですね。デビちゃんは草と炎、どちらのタイプにも強い!」

「クッ…!」

「ハハ…はたして、そうかな?」

デビちゃん「…!」クラッ…

梓「! デビちゃん!?」

デビちゃん「キュウン…」クラクラ…

梓「どんどん体力が…
まさか…!!」

「“やどりぎのタネ”…。実に鮮やかなテイストだろう?」

デビちゃん「」バタッ

梓「ああ…!」

129: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:39:08.12 ID:KcXHE42AO

「ククッ、残念だったなッ!」

「バオップ、“やきつくす”ッ…」

唯「チー太! “おうふくビンタ”!!」

チー太「チー!!」ダッ!

バオップ「!」

バシバシバシ!

バオップ「バオオッ…」

唯「いいよ、その調子!」

唯「…助けにきたよ、あずにゃん!」

梓「唯先輩…!」

130: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:42:04.86 ID:KcXHE42AO

チー太「チー!」バシバシ!

バオップ「バオッ…!」

「猪口才な…ッ!
バオップ、“はじけるほのお”ッッ!!」

バオップ「バオッ…」コオッ…

チー太「!!」

ボワアアアッ!!!!

唯「チー太ぁ!!」

チー太「」バタッ

131: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:45:03.64 ID:KcXHE42AO

「手こずらせやがって…ッ」

「ムンナは下の娘のところにいる。降りるぞ」

梓「!?
ム、ムンナを…? あなた達の狙いはなんですか!?
あなた達は一体何者なんですか!!」

「……」

「何者、か…」

132: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:48:03.64 ID:KcXHE42AO

「いいじゃないか、隠すことじゃないだろ?」

「…そうだな」

バッ!!!

梓(コートを脱いだ…!)

梓「…!?
あ、あなた達は…!」

デント「サンヨウジムジムリーダー! デント!!」

ポッド「同じくッ! ポッドッッ!!」




133: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:51:05.82 ID:KcXHE42AO
……………
…………
………
……


《サンヨウシティ・・・サンヨウジム》


律「本当に誰もいないみたいだな…」クイッ

ガチャッ!

律「あ…開いてる…?」

律「……」ソー

律「まあ、誰もいないみたいし…いいよな?」

スタスタ…

律「ん~…真っ暗だ…」

ピカッ!

律「うおっ!?」

「おやおや、勝手に入ってくるなんていけない子だ…」

律「あんたは…!?」

「どうも…、」

コーン「サンヨウジムジムリーダーのコーンです」



134: ぽけもん 2011/02/08(火) 18:54:09.31 ID:KcXHE42AO
…………
………
……


梓「サンヨウジムリーダー…、デント…ポッド…!」

唯「知ってるの?」

梓「はい…。会うのはこれが初めてですけど、顔や名前くらいは…」

梓「…!」

梓「…待ってください。
サンヨウジムリーダーは三人……。確かもうひとりいたはず…!
その人はどこへ!?」

デント「コーンならジム番をしているよ」

梓「!!
今ジムには…」

唯「り、りっちゃん…!!」




Episode.4 fin




140: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:03:04.90 ID:JLs6R9MAO


Episode.5




《サンヨウジム》


律「おーっ! あんたがジムリーダーか!
ちょうど良かった! 私ジムに挑せ…」

コーン「ヒヤップ!」

ヒヤップ「ヒヤッ!」プシャッ!

律「!?」バシャッ!

律「冷て…」

141: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:06:05.37 ID:JLs6R9MAO

コーン「ヒヤップ…」スッ

律「ちょ、ちょっとちょっと! ストップストップ!!」

コーン「……」

律「無断で入ったのは謝る! でも私は怪しい者じゃない!
私、ジム戦に来たんだ!」

コーン「じゃあいいじゃないですか…。
始めましょう、ジム戦を!!」

律「……」ゴクリ…

142: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:09:05.50 ID:JLs6R9MAO
…………
………
……


梓「ジムリーダーのあなた達がなんでこんな…」

デント「僕達はただムンナに用があるだけさ」

ポッド「降りるぞ」

タッ!

梓「ま、待て!」

143: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:12:04.38 ID:JLs6R9MAO

紬「はあはあ…」ギュウッ

ムンナ「ムウウ…」ブルブル

紬「大丈夫…大丈夫よ…」

スタッ!

紬「…!!」

ポッド「ムンナ…捕獲開始ッ!!」

紬「さっきの人達!?
ムンナを狙ってる…!!」

紬「させないわ! レン!!」ボム!

レン(ドンファン)「バオー!!」

デント「ヤナップ、“ソーラービーム”!!」

ヤナップ「ヤナー!!」カッ!

ボオオオン!!

レン「バオー!?」ドサアッ!

紬「…!!」

144: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:14:03.61 ID:JLs6R9MAO

ポッド「ふん…」ガシッ

ムンナ「ムウウ…!」ジタバタ

ポッド「暴れるなッ!」バシッ!

ムンナ「!?」ビタン!

紬「なんてことを!!」

ムンナ「ムウウ…」

デント「手荒な真似はよせ。微妙なテイストだ」

ポッド「ああ、すまん…。つい…」

デント「さあ、ムンナ。“ゆめのけむり”を出してくれ」

ムンナ「ムウウ…」

145: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:16:17.17 ID:JLs6R9MAO

タタッ!

唯「!」

梓「ああっ! ムンナが…!」

紬「唯ちゃん、梓ちゃん…」ヨロッ…

梓「ムギ先輩!!」ガシッ

紬「ごめんなさい…。ムンナが…」

梓「しっかりしてください!」

146: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:18:03.28 ID:JLs6R9MAO

デント「さあ、“ゆめのけむり”を! さあ!!」

ムンナ「ムウウ!!」ガブッ!!

デント「…ッ!!
こんの…!!」

デント「オラァ!!」ドガッ!!!

ムンナ「ムウウ!?」ゲホッ

唯「や、やめたげてよおっ!!」

ポッド「お、おい…デント…」

デント「チッ…!」

147: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:20:03.86 ID:JLs6R9MAO

ムンナ「ムウウ…」

唯「ムンナ…」

唯「……あなた達、悪い人なんだね…!!」キッ!

デント「だったらどうした!? ヤナッ…」

紬「ムンナを連れて逃げて!! 唯ちゃん! 梓ちゃん!」

デント「!?」

唯「え…?」

梓「ム、ムギ先輩…!?」

148: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:22:04.27 ID:JLs6R9MAO

紬「私が…この人達を足止めするから、そのうちに早く…」フラフラ…

唯「ムギちゃん! でも…!」

紬「街に行けば…助けが呼べるはずよ!」

梓「でもムギ先輩は怪我を!!」

紬「だからよ!!」

唯梓「!!」

紬「…私は一緒に逃げれない。足手まといになっちゃうから…
早く逃げて? 二人とも…」

唯「ムギちゃん…」

梓「…わかりました。
行きましょう、唯先輩! ムンナ!」

唯「あ…、でも…」

唯「……」

タタッ!!

149: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:24:08.78 ID:JLs6R9MAO

紬「はあはあ…。逃げれたみたいね…」

デント「余計なことを…!」

紬「ふふ♪ 付き合ってくれる?」

ボム!!

リン(レントラー)「リン!」

ルカ(オクタン)「オークタン!」

ユリ(ユンゲラー)「ユン!」

デント「返り討ちだ…」スッ

ヤナップ「ナップ!」

150: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:26:22.83 ID:JLs6R9MAO

ポッド「……」

バオップ「バオッ!」

デント「ヤナップ、“タネマシンガン”!!」

ヤナップ「ナッ…」ピタッ

ヤナップ「ナップ!?」

デント「どうしたヤナップ…?」

「なにをしているのです!?」

デント「な…! ゲゲゲ、ゲーチス様!?」

151: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:28:35.50 ID:JLs6R9MAO

ゲーチス「このような勝手な行動をとって!」

ポッド「勝手な行動!?
ゲーチス様が『“ゆめのけむり”はポケモンの力を高めます。より完全な存在へと導くのです』と言って、我々に採ってくるように指示して…」

ゲーチス「黙らっしゃい!!」ピシャリッ!

デント・ポッド「ひいっ!!」

ゲーチス「とにかくあなた達は帰りなさい!!」

デント・ポッド「わ、分かりました! ゲーチス様ぁ~!!」ダダダッ!!

ゲーチス「……」スウッ…

紬「あれ…? 帰っちゃった……。なんだったのかしら?」

「ムウウ…!」フワフワ

紬「あら?」



152: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:30:33.19 ID:JLs6R9MAO
…………
………
……


《サンヨウシティ》


梓「はあ…はあ…」タッタ…

梓「ここまで来れば安心でしょう…」ゼエゼエ

唯「ムギちゃん…」

梓「まず律先輩と合流しましょう。そしてムンナを避難させてムギ先輩を助けに…」

ガチャッ

唯「ジムから人影が…!」

梓「奴らかもしれません!」

153: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:32:23.64 ID:JLs6R9MAO

「……」

唯梓「!!」

律「おー、唯ー! “トライバッジ”ゲットしたぜー!!
あれ…? なんで梓がいるんだ?」

唯「りっちゃん!!」 梓「律先輩!!」

律「な、なんだよ…恐い顔して…」

梓「感動の再会で泣いてる場合じゃないです!」

律「いや、泣いてねえよ」

唯「りっちゃん! バッジをゲットした…って!」

律「うん? ジムリーダーに勝ったんだよ」

唯「なんと!」

154: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:34:26.28 ID:JLs6R9MAO

律「一体なんなんだよ…」

梓「もう! こっちは大変だったんですよ!!」

律「大変?」

唯「そうだよ! ムギちゃんが!」

律「?」

梓「ムギ先輩を助けに行かなくちゃ…!」

律「ムギがどうしたって?」

唯「ムギちゃんが怪我してるのに、悪い人達と戦ってるの!」

律「……あれ、ムギじゃね?」

唯梓「へ…?」

155: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:36:33.52 ID:JLs6R9MAO

「トゥートゥー!」バサバサッ

紬「…しょっと」スタッ

紬「ありがとう、“ネル”」

ネル(ネイティオ)「トゥートゥー!」

シュウウ…

紬「あ、りっちゃん久しぶり~♪」ニコニコ

梓「満面の笑顔で!?」

156: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:40:58.81 ID:JLs6R9MAO

唯「ムギちゃん! あの人達は!?」

紬「野生のポケモンが助けてくれたの♪」

梓「野生のポケモンが?」

紬「ええ。名前は分からなかったけど…」

唯「よかったあ~…」ヘタッ

梓「はい…一安心です…」ホッ…

律「すまん、詳しく説明をしてくれ。なにがなにやら…」



157: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:42:03.26 ID:JLs6R9MAO
…………
………
……


律「私のいない間にそんなことがな…」

唯「りっちゃんも危なかったんだよ?」

律「へっ、私は大丈夫だったぜ!」

紬「そういえば…、野生のポケモンはあの人達に幻覚を見せていたんだけど…。その幻覚を、あの人達は“ゲーチス様”って呼んでいたの…。
なにか知ってる?」

梓「さあ、私はなにも…」

律「ん…?」

唯「…あ……、」

唯律「ゲーチス!?」

紬「!」

梓「先輩方、知っているんですか!?」

158: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:44:04.11 ID:JLs6R9MAO

律「ああ…、“カラクサタウン”で演説をしていた奴がいるんだけど…」

唯「その人がゲーチスなの!」

梓「演説って…どんなですか?」

律「ポケモン解放についてだ」

梓「ポケモン解放?」

唯「要するに、ポケモンを解き放つんだよ!」

梓「いやそれは分かりますけど…」

159: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:46:19.12 ID:JLs6R9MAO

律「『ポケモンは人間にこき使われてる…』、『人間に扱われているかぎり、ポケモンは完全な存在になれない…』、とか言ってたな」

紬「さっきの人達も『“ゆめのけむり”はポケモンを完全な存在へと導く』って言っていたわ」

梓「そんな…。確かにポケモンは人間の良いように扱われているかもしれません……。でも、それをしているのは悪い人達です!
みんながみんな、ポケモンをこき使っているわけじゃありませんよ…!!」

律「……」

紬「梓ちゃん…」

唯「あずにゃん…」

160: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:47:14.33 ID:JLs6R9MAO

律「…あいつらな、“プラズマ団”って言うんだ」

梓「プラズマ団…」

律「話を聞いて、私もあいつらを許せないと思ったよ。
今度会ったら、ズタズタにしてやる!」

梓「……」

律「なっ!」ニコッ

梓「…はい!」

唯「りっちゃん…」

紬「みんな、とりあえず研究所に向かいましょう。ムンナを回復させないと…」

唯律「研究所?」

紬「梓ちゃんの研究所よ♪」




161: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:48:12.25 ID:JLs6R9MAO
…………
………
……


《梓の研究所》


律「へ~! ここが梓の研究所か!」

唯「あずにゃん、ポケモン博士になれたんだね!」

梓「いえそんな…。私なんかまだまだ新米ですよ…」テレテレ

律「どの機械もチンプンカンプンだ!」

梓「むやみやたらと触らないでくださいよ?」

律「おっ! これなんだ!?」

唯「パソコン~!?」

キャッキャッ

梓「聞いてないし…」

紬「ふふ♪」

162: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:49:04.61 ID:JLs6R9MAO

「ちょっとお! 何してるんですかあ!」

律「!」ビクッ

「私のパソコンに触らないでください! システムになにか誤作動が生じたらどうするんですか!!」プンプン

唯「ごめんなさいごめんなさい…」

律「…こ、この人は?」

梓「同じ研究所のショウロさんです」

163: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:50:04.45 ID:JLs6R9MAO

ショウロ「あーっ! この人達を連れて来たの梓さんですねー!
いつもいつも部外者を連れて来てはいけないと言ってるじゃないですかー!!」がみがみ

梓「すみませんすみません…」ペコペコ

唯「部外者…」

律「博士の威厳、まるでなしだな…」

紬「ショウロさんはね、イッシュ地方のポケモン転送システムの管理者なの」

唯「ポケモン転送システム?」

律「…マサキみたいなもんか」

ショウロ「え! マサキ!?」

唯律「?」

164: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:51:08.13 ID:JLs6R9MAO

ショウロ「マサキ…って、カントーのポケモン転送システム管理者の!?」

律「へ…? あ、はい」

ショウロ「はあ~…! マサキさん! 私、とても尊敬しているんです!!
管理人として有名で、有能で!!
なによりカッコイイですし!!」ハアハア

律(カッコイイか…? と言いたいけど黙ってよう)

唯「カッコよくな…あだっ!!」ベシッ!

律(思っても口に出すな!)ボソッ

唯「うう…」ヒリヒリ

165: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:52:01.86 ID:JLs6R9MAO

ショウロ「マサキさんの手持ちのポケモンも素敵です~!
ロコンにナッシー、カモネギにピジョット!」ウハウハ

律(自分の世界に入った)

ショウロ「マサキさんのお友達なら大歓迎です!
どうぞごゆるりとなさってください! では私は仕事に戻ります!」タタッ

唯律梓紬「……」

律「マサキってそんなに有名だったのか…」

紬「とにかく、ムンナを回復させましょう!」




166: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:53:03.62 ID:JLs6R9MAO
……………
…………
………
……


テンテンテコテン!

ムンナ「ムウウ!」ピョンピョン!

唯「わあ~♪ 元気になった~!」

紬「良かった~♪」

梓「…このムンナ、どうします?」

唯紬「え?」

167: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:54:02.67 ID:JLs6R9MAO

梓「またあの人達に狙われるかもしれないですし…、放っておけませんよ」

律「…。そうだよなぁ…」

唯「あずにゃんとムギちゃんで守ってあげてよ!」

梓「え…?」

唯「研究所の中なら安全だし!」

梓「でも唯先輩…」

ムンナ「ムウウ…」ピトッ

唯「!」

律「すっかり唯に懐いちまったようだな!」

ムンナ「ムウウ♪」

唯「あ…」

168: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:55:01.68 ID:JLs6R9MAO

紬「唯ちゃん、連れて行ってあげたら?」

梓「そうですよ! 唯先輩と一緒にいたいみたいですし!」

唯「でも…あずにゃんとムギちゃんもムンナを探してたんでしょ?」

梓「それは…」

紬「大丈夫よ♪」

唯梓「!」

169: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:55:51.35 ID:JLs6R9MAO

梓「ムギ先輩?」

紬「私を助けてくれたポケモンから“ゆめのけむり”は貰えたから♪」

梓「そうなんですか?」

律「“ゆめのけむり”って何だ?」

梓「…だそうです! 唯先輩っ!」

律「無視か」

170: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:57:08.17 ID:JLs6R9MAO

唯「……」

ムンナ「……」

唯「私と一緒に来る…?」

ムンナ「ムウウ♪」コクッ

唯「ふふ♪
…えいっ」ポン!

唯「ムンナ、ゲットだよ!」

律「やったな、唯!」

唯「うん! 出てきて、ムンナ!!」ボム!

ムンナ「ムウウ!」

唯「ニックネームをつけなきゃね…ええと…」



171: ぽけもん 2011/02/09(水) 20:58:04.03 ID:JLs6R9MAO
…………
………
……


律「それじゃあ私達はもう行くよ」

紬「せっかく久しぶりに会えたのに~」

梓「また会えますよ」

唯「うん! また会おう!」

紬「ええ」 梓「はい!」

律「それじゃあな」

唯「ばいば~い♪」

ガチャッ

律「次は“3ばんどうろ”を抜けて、“シッポウシティ”ってところに行くぞ!」

唯「どんなところかなー?
楽しみだねっ! “ムー太”!!」

ムー太「ムウウ!」



172: ぽけもん 2011/02/09(水) 21:00:11.86 ID:JLs6R9MAO
…………
………
……


《梓の研究所》


ショウロ「あれぇー? あの人達、もう帰っちゃったんですかぁ?」

紬「ええ、はい」

ショウロ「そうなんですかぁ…。残念…」

梓「ショウロさん、“プラズマ団”ってご存知ですか?」

ショウロ「プラズマ団? なんですかそれ?」

梓「イッシュ地方出身のショウロさんでも知らないのか…」

紬「詳しく調べる必要があるわね」

梓「はい」

ショウロ「私もお手伝いしますよ?」

紬「ありがとうございます♪」

173: ぽけもん 2011/02/09(水) 21:01:02.47 ID:JLs6R9MAO

梓「あ…そうだ、ムギ先輩」

紬「なあに? 梓ちゃん」

梓「“ゆめのあとち”で唯先輩に言いかけたことって何だったんですか?」

紬「へ?」

梓「澪先輩の話になった時のですよ」

紬「あ! そうだったわ!
いけない!!」

梓「え? え?」

紬「唯ちゃんやりっちゃんに伝えなきゃいけなかったのにぃ!」

梓「落ち着いてください!
何を伝えようと!?」

紬「私ね…、この前澪ちゃんを見たの…」

梓「本当ですか!?」

紬「うん…。私が“ゆめのあとち”で一人でムンナを探している時にね。
よくは見えなかったけど…、あれは確かに澪ちゃんだったわ」

梓「澪先輩が…“ゆめのあとち”に…!」




174: ぽけもん 2011/02/09(水) 21:02:23.62 ID:JLs6R9MAO
……………
…………
………
……


ヒュウウウッ…

「ご覧になりましたか?
彼女のあの楽しそうな顔…」

「……」

「あなたが行方知れずというのに…彼女は他のお友達と、あのようにのうのうと旅をしている…。
まああなたを探しているのでしょうが……、しかし、あの様子から探す気があるのか信じかねますねぇ…」

「……」

「正直のところ、あなたより他のお友達の方が大事なんですよ…、
親友と思っていたのは、あなただけだったんですよ……」

「……」

スッ……

「ねぇ…、澪さん?」

澪「……」

175: ぽけもん 2011/02/09(水) 21:03:34.58 ID:JLs6R9MAO

「…おやおや、お可哀相に……。信じていた親友に裏切られてしまい、さぞショックでしょうねぇ…」

澪「り…つ……」

「ワタクシと共に来なさい。ワタクシはあなたを裏切りはしません…」

「「あなたがその手であなたの友を傷つけるのなら
我々は“理想”と“真実”をもって、あなたの友を傷つけましょう」」

澪「……」

澪「…はい、ゲーチス様……」

ゲーチス「ふふふ…」




Episode.5 fin




182: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:17:29.02 ID:BC3zBo3AO


Episode.6




《3ばんどうろ》


園児「わぁ~い!」タタッ

先生「あんまり遠くに行っちゃダメよ~!」

園児「うん!
行こう、ヤブクロン!」

ヤブクロン「ヤブー!」

タタタッ

183: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:21:05.38 ID:BC3zBo3AO

園児「……へえ~、ここが“ちかすいみゃくのあな”かぁ!」

ヤブクロン「ヤブヤブー!」アセアセ

園児「大丈夫だよ。ちょっと覗くだけだよ」

ヤブクロン「ヤブ~…」

園児「どれどれ…」ヌソッ

園児「…!?」

園児「わあああぁぁ…!!」




184: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:24:04.41 ID:BC3zBo3AO
……………
…………
………
……


律「この道、長いなあ…」

唯「もう疲れたよう…、休みたい~!!」

律「ああ~、まったく…」

律「でもここら辺で休めるところなんて…」キョロキョロ

律「お…、あの建物…」



185: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:27:03.65 ID:BC3zBo3AO
…………
………
……


《ようちえん》


先生「はぁーい、お茶どうぞ~♪」

唯「わぁ~い♪」

律「すみません…。いきなりお邪魔して、お茶まで…」

先生「いいのよいいのよ、“ようちえん”はみんなのものだから!」

律「みんなのもの、ですか」

先生「それに職業が幼稚園の先生だからか…この子を見ていると、つい面倒みてあげたくなっちゃうのよね」

唯「えへへ…」テレテレ

律「褒められてないぞ~」

186: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:30:02.08 ID:BC3zBo3AO

ユリ先生「ふふ、私の名前はユリよ。よろしくね♪」

律「私は田井中律で、こっちの齧歯類が平沢唯です」

唯「ええ~!?」

ユリ先生「ふふっ」クスッ

律「はははっ!」

唯「…えへへ♪」

ドンッ!!

唯律ユリ「!!?」

187: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:33:04.27 ID:BC3zBo3AO

「ヤブ~!!」アタフタ

唯「こ、このポケモンは…?」ピッ

ポケモン図鑑『ヤブクロン、ゴミぶくろポケモン
ゴミぶくろが さんぎょうはいきぶつと かがくへんかを おこした ことで ポケモンとして うまれかわった。』

唯「すごぉい、不思議なポケモンだね」

律「いやそんなことより、唯…。
コイツ、なんか慌ててないか?」

ユリ先生「ああっ! このヤブクロンはうちの園児のポケモンです!」

唯律「!」

188: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:36:02.99 ID:BC3zBo3AO

ヤブクロン「ヤブヤブ~!」アセアセ

律「…どうしたんだ? ヤブクロン。
なにかあったのか? お前の持ち主はどうしたんだ?」

ヤブクロン「ヤブヤブ!!」アセアセ

ユリ先生「そうだわ…!
あの子、“ちかすいみゃくのあな”に行ったのかもしれない!!」

唯「“ちかすいみゃくのあな”?」

ユリ先生「ええ、ここからずっと西の方に行ったところにあるんだけど…。まずいわ…」

189: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:39:03.55 ID:BC3zBo3AO

律「なにがまずいんですか? そこに何があるんですか?」

ユリ先生「うん、最近ね…あそこに怪しい人達が出入りするようになって……。園児達には近づかないように行っておいたんだけど…。
多分あの子は興味本位で探検しに行ってしまったんだわ……」

唯「りっちゃん、怪しい人達って…もしかしてプラズマ団じゃ…」

律「確信はないけど、可能性はあるな。それにこのヤブクロンの様子…」

ヤブクロン「ヤブヤブ~…」オロオロ

190: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:42:02.94 ID:BC3zBo3AO

唯「りっちゃん!」

律「おう、唯!
ユリ先生! 私達が…」

ユリ先生「シキジカ!」ボム!

シキジカ「シカシカ!」

ダダッ!!

律「って、ええ!? はやっ!!」

唯「追いかけよう、りっちゃん!」

律「ああ!」




191: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:45:07.11 ID:BC3zBo3AO
……………
…………
………
……


《ちかすいみゃくのあな前》


ユリ先生「……」

唯「はあはあ…やっと追いついたぁ……」

ヤブクロン「ヤブヤブ…」ゼエゼエ

律「ユリ先生、ここが…?」

ユリ先生「ええ、ここが“ちかすいみゃくのあな”よ」

192: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:48:02.42 ID:BC3zBo3AO

ユリ先生「シキジカ、行くわよ!」

律「待ってください!」

ユリ先生「…!!」

律「怪しい人達がいるんなら、これ以上いったら危険です!」

ユリ先生「じゃあ…どうすれば…!」

律「私が行きます!!」

ユリ先生「!」

193: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:51:03.10 ID:BC3zBo3AO

律「大丈夫です、絶対に無事に連れて帰る!!」

律「唯、お前はユリ先生を頼んだ」

唯「分かったよ、りっちゃん!」

律「じゃあ…行ってくる!
ヤブクロン、お前も来てくれ!」

ヤブクロン「ヤブ~!」

タタッ!

ユリ先生「……」




194: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:54:05.34 ID:BC3zBo3AO
…………
………
……


《ちかすいみゃくのあな》


「せっかく、人があのヤブクロンを解放してやろうと思ったのによォ。
面倒なことしやがって」

園児「うぅ…」

「まあいいや。気晴らしにお前で遊ぶか」ツカツカ

園児「ひぃ…」

ボコッ!

「…!」

195: ぽけもん 2011/02/11(金) 14:57:03.97 ID:BC3zBo3AO

「グリュー!!」ドンッ

「…っと!」スッ

「グリュー!?」

律「後退しろ、モール!」

モール「グリュー…」シュッ

「…誰だ?」

律「その子を離せ!」

「生憎、俺達が解放するのはポケモンだけでねぇ」

律「…やっぱり、プラズマ団か!」

196: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:00:10.26 ID:BC3zBo3AO

「へえ! 俺達を知っているのか!
そうとも!!」

「俺サマはァ!
元ホウエン地方リーグチャンピオン!!」

ミツル「ミツル様だァ!!!」プラーズマー!

律「ミツル…!」

ミツル「……ん?」

ミツル「あっ、“黄色のカチューシャ”! お前は、『あの人』が言っていた要注意トレーナーだな!!」

律「…?」

197: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:03:04.33 ID:BC3zBo3AO

ミツル「そういうことなら話は別だなァ…!
ロゼリア!!」ボム!

ロゼリア「ローゼ!」

律「このポケモンは…」ピッ

ポケモン図鑑『ロゼリア、いばらポケモン
ホウエン地方のポケモン。げんきな ロゼリアほど はなから いい かおりを かもしだし かいだ ひとを とても リラックスさせる。』

ミツル「ロゼリア、“ギガドレイン”!!」

ロゼリア「ローゼ!」ビュッ

律「モール、“ひっかく”!」

モール「グリュッ」シュッ

ロゼリア「ローゼ!!」ビュワアア

モール「」ドサッ!

律「モール!」

198: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:07:17.37 ID:BC3zBo3AO

ミツル「ヒャハハ☆
今までの噛ませの俺サマとは一味も二味も十味も百味も違うぜ!!」

ミツル「ポケモン側の雑魚はァ!!
もう、キョウだけだぜェ~!!!」

ミツル「ロゼリア! “ヘドロばくだん”!」

ロゼリア「ローゼ!」ビュワッ

律「!!」

ヤブクロン「ヤブ~!」バッ

ビチャッ!

ヤブクロン「ヤブ~!」ブルブルッ

律「ヤ、ヤブクロン!」

199: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:09:03.63 ID:BC3zBo3AO

ヤブクロン「ヤブ~!」キッ

律「…そうだよな、自分のトレーナーは自分で守らなきゃな!」

ヤブクロン「ヤブ!」

園児「ヤブクロン…!」

ミツル「へっ☆
かなうかよォ!!」

ロゼリア「ローゼ!!」ダッ!

律「ヤブクロン! “アシッドボム”!!」

ヤブクロン「ヤブ~!!」ビュッ!

ロゼリア「ローゼ!?」バタッ

ミツル「なっ!?」

園児「いいぞ、ヤブクロン!」

200: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:12:03.65 ID:BC3zBo3AO

ミツル「ナメてんじゃあねえぞオオオオオオオオ!!!!」

律ヤブクロン「!!」

ミツル「サーナイトオオオオオオ!!」ボム!

サーナイト「ナーイ!!」

ミツル「“サイコキネシス”ウウウウウウウウ!!!」

サーナイト「ナーイ!!」ヴオオオン!!

ヤブクロン「!!」

律「や、やべえ!」

園児「ヤブクロォーン!!!」

201: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:14:47.28 ID:BC3zBo3AO

パアアアン!!

律ミツル園児ヤブクロン「!!?」

シキジカ「シカッ…」クラッ

ユリ先生「うっ……」ヨロッ…

律・園児「ユリ先生!!?」

律「ユリ先生! どうして…!」

ユリ先生「私はあの子の先生だもの…。守りたいじゃない…」

律「ユリ先生…」

202: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:16:04.29 ID:BC3zBo3AO

ミツル「相手が何人になろうと、ぶっ倒すだけだァアア!!
サーナイト! “サイコキネシス”ウウウウ!!」

サーナイト「ナーイ!!」ヴオオオン!!

ユリ先生「!!」

律「…!!
唯いいいい!!!」

ダダッ!!

唯「ムー太ぁ!!」ボム!

ムー太「ムウウ!」バッ

ユリ先生「!」

サーナイト「」ヴオオオン!

ムー太「ムウウ…!」ジリッ

203: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:18:02.42 ID:BC3zBo3AO

律「遅いぞ、唯!」

唯「ごめんごめん、でもりっちゃんに言われた通り、ユリ先生を守ったよ!」

律「おう!」

ミツル「チッ…、次から次へとッ…!」

ユリ先生「ごめんなさい…、私……足手まといになっちゃって…」

律「……いいえ、足手まといなんかじゃないですよ」

律「ユリ先生のおかげで、あいつに勝てます!」

ユリ先生「え…?」

204: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:20:03.50 ID:BC3zBo3AO

ミツル「戯言をッ!!
どうやって俺サマに…」

ドスッ!!!

ミツル「…!?」

ヤブクロン「ヤブ~!」

ミツル「ぐはっ…、いつの間に背後に……!?」

律「言っただろ、ユリ先生のおかげって」

ミツル「…ぐう……」

205: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:22:03.74 ID:BC3zBo3AO

律「最も…そのサーナイトの体の光……“未来を予知する”レーダーだろ。
お前のサーナイトは気づいていたみたいだな」

ミツル「…!!」

サーナイト「ナ、ナイ…」ピカアアッ

ミツル「サーナイトオオ…! 何故すぐに俺サマに知らせなかったァ…!!」

律「ポケモンを責めるな!! ポケモンの合図に気づけなかった自分を責めろ!!
そんな奴にポケモン解放がどうとか、言われたくない!!」

ミツル「ぐ…」バタッ

206: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:24:04.80 ID:BC3zBo3AO

律「……」

唯「やったね、りっちゃん!」

園児「ヤブクロォ~ン!!
せんせぇ~!!」ブワアアッ!

ヤブクロン「ヤブヤブ…」ナデナデ

ユリ先生「よかった、無事で…」

園児「これからはちゃんと先生の言うこと守るよぉ、恐かったよぉ…」

ユリ先生「うん…、いい子ね…」ナデナデ

207: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:26:07.21 ID:BC3zBo3AO

律「さあて、後はコイツを警察につきだして…」

ビュウウウッ!!!

律「!?」

ユリ先生「きゃあっ!」

園児「うう…!」

唯「す、すごい風!!」

律「ま、前が見えな…」

ヒュウウ……

律「…あれ…? 収まった…」

唯「ああっ! あの人がいないよおっ!!」

律「なに!?」




208: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:28:04.53 ID:BC3zBo3AO
……………
…………
………
……


《ようちえん》


ユリ先生「今回は本当にありがとう。おかげでこの子もヤブクロンも無事だったわ♪」

律「いえ」

園児「また遊びに来てね!」

ヤブクロン「ヤブ~!」

唯「うん! その時はよろしくね?」

園児「おねえちゃんとバトルしてあげる!」

ヤブクロン「ヤブヤブ!」シュッシュッ!

唯「えへへ♪」

律「…それじゃあ!」

ユリ先生・園児「さようなら~!!」




209: ぽけもん 2011/02/11(金) 15:30:07.84 ID:BC3zBo3AO
…………
………
……


律「……」

唯「りっちゃん、結局あの人は消えたままだけど…」

律「う~ん…」

律「まあ、また悪さするようなら私がとっちめてやる!」

唯「そうだね♪」

律「さあ、目指せ“シッポウシティ”だぁー!!」

唯「おーっ!!」




Episode.6 fin




216: ぽけもん 2011/02/12(土) 11:43:45.97 ID:1wgQdYUAO


Episode.7




《シッポウシティ》


律「着いたな!
…“シッポウシティ”だ!!」

唯「すっごぉい!! 倉庫だらけー!!」

律「本当にすげえな…。街中が倉庫……いや、倉庫の街だ!!」

唯「ジムもあるんだっけ?」

律「ああ! それが目的だしな!」

唯「じゃあ早速、ジムにレッツゴー!」

律「おーっ!!」




217: ぽけもん 2011/02/12(土) 11:45:01.50 ID:1wgQdYUAO
…………
………
……


律「んで…」

律「どこにあるんだ!! ここのジムはぁ!!?」

唯「もう街は全部回ったよねえ…」

律「目立つ建物としては、この博物館とあのカフェだけ!!」

唯「…うう~ん、どうしようね」

律「もう次の町に行くか?
ここにいてもなにもないしな」

唯「そうだね。でも、あのカフェに一回行ってみたい!」

律「あのな、唯…」

唯「せっかくこの街に来たのにどこにも行かないなんて、もったいないじゃん!!」

律「ただお前が行きたいだけだろ…」

唯「うん!!」

律「……はあ。まあいいぜ、行くか」

唯「やったあ!!」




218: ぽけもん 2011/02/12(土) 11:48:02.67 ID:1wgQdYUAO
………
……


《カフェ・ソーコ》


カランカラン♪

「……」ズズ…

唯「あれ…?」

律「どした、唯」

唯「あの人…」

律「ん?」

「……」スタッ

219: ぽけもん 2011/02/12(土) 11:51:08.44 ID:1wgQdYUAO

律「“カラクサタウン”で会った…」

唯「N君…だっけ?」

N「……」スタスタ

N「やあ、久しぶりだね」

唯律「……」

N「カフェ…。
紅茶はいいよね。香りやその味でポケモンを心地好くさせてくれる…。僕の友達も喜んでいる…」

唯「紅茶おいしいよね~♪」

N「……」

N「外へ出よう」

唯「ええっ?」

唯「来たばっかりなのに…」オロオロ

律「んじゃー、私はここでお茶してるから唯はあいつに付いていけ」

唯「ずるいよ、りっちゃん!」




220: ぽけもん 2011/02/12(土) 11:54:03.41 ID:1wgQdYUAO

カランカラン♪

律「…ったく、なんで私まで…」

唯「外に来て、なにをするんだろうねぇ」

律「さあ…、バトルでもするんじゃねーの?」

N「そう。ポケモンバトルをしようじゃないか」

律「当たった」

221: ぽけもん 2011/02/12(土) 11:57:04.03 ID:1wgQdYUAO

N「……」

唯「……へ? 私?」

N「そうだよ。さあ、こっちに来て」

唯「あ…うん」タタッ

N「始めようか。
…オタマロ!」ボム!

オタマロ「マロロ~」クネクネ

唯「か、かわいい~!!」

律「いやいやいやいやいや」

222: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:00:02.78 ID:1wgQdYUAO

唯「えっと…」ピッ

ポケモン図鑑『オタマロ、おたまポケモン
かんだかい けいかいおんを ほほの しんどうで はっせいさせて なかまに きけんを しらせる。』

N「さあ、君もポケモンを出すんだ」

唯「待っててね、ええと…じゃあムー太!」ボム!

ムー太「ムウウ!」

律「んじゃあ、バトル始めー」

律(なんで私が開始の合図してんだ)

223: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:03:09.66 ID:1wgQdYUAO

唯「ムー太、“サイケこうせん”!」

ムー太「ムウウ!」ウィン!

N「オタマロ、“りんしょう”」

オタマロ「マロロ~♪」ヴィンヴィン!

ムー太「…!?」ガクッ

唯「ど、どうしたの!? ムー太!!」

N「……」

オタマロ「~♪」ヴィンヴィン!

ムー太「ムウウ…」

224: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:06:34.78 ID:1wgQdYUAO

唯「もしかして、あの歌からダメージを…?
私は大丈夫だけど…」

律「……」カチャ ピッ

律「! …唯!
あのオタマロの“りんしょう”、私達には普通の歌にしか聞こえないけど、“人には聞こえない音波”を出していてポケモンだけにダメージを与えるんだ!!」

唯「“人には聞こえない音波”!?」

N「オタマロ、もう一度“りんしょう”だ」

オタマロ「~♪」ヴィンヴィン!

ムー太「ムウウ…!?」

唯「ムー太…うっ!」キィーン

225: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:09:12.82 ID:1wgQdYUAO

律「な、なんだ…? 私達にもこの歌が辛く…」キィーン

唯「それだけの威力ってこと…?」

N「“りんしょう”という技は繰り出す度に威力が上がっていく…、
まさに死の歌、デスソング!!」

N「そう簡単に抜け出せやしないよ」

唯「うぅっ…」キィーン




226: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:12:37.19 ID:1wgQdYUAO
……………
…………
………
……


《ちかすいみゃくのあな》


ミツル「んあ~…、助かったぜ~thx」

「こんなことはこれっきりにしてほしいな、フフ」

ミツル「ちょっとしくじっただけだろ?」

「フンフフフ…」

サキ「まあ今回はよしとしよう。我々に新たな仲間が加わったわけだからな」

227: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:15:19.31 ID:1wgQdYUAO

サキ「礼は彼女に言え。お前を助けたのは彼女よ」

ミツル「……」

「“コロぽん”、戻って」

コロぽん(コロモリ)「コロー!」パタパタ

シュウウッ

ミツル「ひゃはは、ありがとうございまひゅ! ………あ//」

「……」

ミツル「なぁーんてね、ありがとうございます。そしてお久しぶりですね、澪さん」

澪「……」

228: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:18:49.41 ID:1wgQdYUAO

サキ「フンフフフ、なんだお前達。知り合いだったのか?」

澪「さあ、知らないな。こんな弱い奴」

ミツル「覚えてるじゃないですか!」

澪「……」

ミツル「それに誰が弱い奴だってぇ?」

澪「さあな。この中で考えたら断じてお前が弱いけど」

ミツル「ンなにをォ~!?」ピキピキッ

ミツル「助けてくれたことは感謝するがなァ…! 言って良いことと悪いことがあるだろうがァ!!」

229: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:22:29.34 ID:1wgQdYUAO

澪「だって事実だろ。
…なら、やってみるか?」カチャ

ミツル「望むところだァアアアア!!!」カチャ

サキ「フンフフフ、待たないか。
血の気が多いのはよろしいが、時と場合を考えろ」

澪ミツル「……」

ミツル「チッ…」スッ

澪「……」スッ

サキ「ゲーチス様がお呼びなのよ。急ぐぞ」

タッ!!



230: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:26:52.51 ID:1wgQdYUAO
…………
………
……


オタマロ「~♪」ヴィンヴィン!

律「ぐぁ…」

唯「うぅっ…」

ムー太「ムウウっ……」

N「そろそろ終わりだね」

唯(なにか…方法は……ないの…?)

唯「……図鑑だ…!」サッ

ピッ!

唯「……!」

231: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:29:25.38 ID:1wgQdYUAO

唯「…やってみる価値はあるかも!」

律「!」

律(唯のやつ、なにか分かったのか?)

N「でも、なにもできないよ。立つこともできないはずだ」

律(確かに、あいつの言う通りだ…。私も唯もムー太もみんなしゃがみ込んでいる…。
打開策はあるのかよ? なにが分かったんだ、唯…!)

232: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:34:08.77 ID:1wgQdYUAO

唯「……」

オタマロ「~♪」ヴィンヴィン!

唯「何回も聞いて…覚えちゃったよ。オタマロの歌ってる歌…」

N「……?」

オタマロ「~♪」ヴィンヴィン!

唯「もうすぐ、歌い終わる頃なんだ」

N「なにを?」

オタマロ「♪、……」

233: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:36:06.66 ID:1wgQdYUAO

唯「歌い終わった! 今だよ、ムー太!!
“りんしょう”!!」

ムー太「ムウウ!!」ヴィンヴィン!!

N「うっ!?」キィーン

オタマロ「マロロ~!?」キィーン

ムー太「~♪」ヴィンヴィン!

N「なぜ…“りんしょう”を…」

N「ムンナに“りんしょう”は使えないはず…」

唯「“シンクロ”だよっ」

N「な!?」

234: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:39:19.55 ID:1wgQdYUAO

唯「本来は状態異常を相手に移す特性だけど、相手と技がシンクロできたみたいなの。
ただオタマロの歌を覚えちゃっただけなんだけどね~」

N「…!!」

オタマロ「」バタッ

N「ああっ!」

唯「私の勝ちだね!」

律「すごいぞ、唯!」

唯「えへへ~」

N「戻れ、オタマロ。…ありがとう」シュウウ

唯「!」

N「そのムンナ…。普通では有り得ない力を発揮した。それは君のせいなのか?
君といることで完全な力を発揮したのか…?
いや、“ゆめのけむり”の力か…?」

唯「ふぇ?」

235: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:42:04.88 ID:1wgQdYUAO

N「僕は……誰にもみえないものがみたいんだ。
ボールの中のポケモンたちの“理想”…」

律「……」

N「トレーナーという在り方の“真実”…」

唯「……」

N「そしてポケモンが完全となった“未来”……」

N「まだ未来はみえない……世界は未確定……。
今の僕の友達とではすべてのポケモンを救い出せない……世界を変えるための数式は解けない……僕には力が必要だ……誰もが納得する力……」

N「……必要な力はわかっている……英雄とともに、このイッシュ地方を建国した伝説のポケモン、“ゼクロム”!
僕は英雄になり君と友達になる!」

N「…また会おう」スタスタ

236: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:45:03.97 ID:1wgQdYUAO

唯律「……」

律「ゼクロム?」

唯「なんの話だろうねぇ」

律「まっ、いいや。次の町いくぞー!」

唯「ええー!! カフェは!?」

律「知らん!」

唯「ふえぇぇ…」



237: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:48:06.34 ID:1wgQdYUAO

スタスタ…

「アロエさん、もうすぐ博物館に着きますね」

アロエ「そんなこといちいち報告しなくていいんだよ、キイチ」

キイチ「はは。しかし、博物館の中にジムを建てるとはね…。さすがはママ、ユーモラスな発想ですよ」

アロエ「ははっ、そうだろう?」

238: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:51:02.93 ID:1wgQdYUAO

キイチ「でもこれじゃあ挑戦者は中々気づきませんよねぇ」

アロエ「それなら大丈夫だよ。挑戦者が気づかずに次の町へ行ってもね」

キイチ「…なぜですか?」

アロエ「アーティの奴に言ってあるのさ」

キイチ「アーティさんってあのアーティさんですか?」

アロエ「ああ! ヒウンシティジムジムリーダー、アーティだよ!」




239: ぽけもん 2011/02/12(土) 12:54:03.19 ID:1wgQdYUAO
…………
………
……


《ヤグルマのもり》


ヒュウウウッ…

「……」

「さぁて、ハハコモリ。“ヒウンシティ”に戻ろうかぃ」

ハハコモリ「ハッハー」

「今度はどんな挑戦者が来るんだろうねん」




Episode.7 fin




246: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:07:27.26 ID:3GnveDaAO


Episode.8




《ヤグルマのもり》


律「分かれ道だ…」

唯「う~ん、どっちに行く?」

律「左側に行ってみるか?」

唯「そうだね、ここで止まっててもしょうがないし…」

「そっちの道はやめといた方がいいよ」

唯律「!」

「“ヒウンシティ”へ結ぶ“スカイアローブリッジ”に行くには、まっすぐの道を行ったほうが近いからね」

247: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:09:05.18 ID:3GnveDaAO

律「あんたは?」

アーティ「僕はアーティ。
君達は?」

唯「平沢唯です!」

律「田井中律です」

アーティ「ふぅん、唯くんに律くんね…」

アーティ「君達も“ヒウンシティ”へ行くんだよね?」

唯律「…も?」

アーティ「うん。僕も“ヒウンシティ”へ戻るところだったんだ」

律「“ヒウンシティ”の人なんですか?」

アーティ「そうだよ。
さあ、着いてきな。“スカイアローブリッジ”まで案内するよん」




248: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:12:05.26 ID:3GnveDaAO
………
……


《ヤグルマのもり出口》


アーティ「ここが出口だよ」

唯「へーっ、ホントだぁ! すぐ出れたあ~」

アーティ「だろう?」

アーティ「さあ、ここを抜けたら…」

アーティ「“スカイアローブリッジ”だ…!!」

唯律「!!」

唯「うわぁーっ! すっごぉ~い!!」

律「デッケェー!!」

249: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:15:04.26 ID:3GnveDaAO

アーティ「この“スカイアローブリッジ”はイッシュ地方がほこる、最大の橋だからねえ」

唯「ここを越えたら、“ヒウンシティ”だね!」

アーティ「“ヒウンシティ”もこれまたイッシュ地方最大の都市なんだ」

律「大都市…!」

唯「楽しみだねえ♪」




250: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:18:08.83 ID:3GnveDaAO
…………
………
……


《ヒウンシティ》


唯律「……」ポケー

アーティ「……」

アーティ「え、ええと…どうしたんだい?」

律「いやあ…田舎育ちの私達には迫力がありすぎて…。
なんだこのビルの数は……」

唯「感無量だよ…」

アーティ「ははは…、まあそうだよねえ。世界的にも、この“ヒウンシティ”は有名な大都市だからねん」

唯「あーっ! アイス屋発見!!」

律「“ヒウンアイス”だってよ! 行ってみようぜー!!」

キャピキャピ

アーティ「……」

アーティ「ふふっ、なんてマイペースな子達だ。まあ僕が言える立場じゃないけどね」




251: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:21:05.25 ID:3GnveDaAO
………
……


唯「えーっ!! 売り切れ!?」

店員「はい、申し訳ございません…。“ヒウンアイス”は人気ですので」

律「諦めるか」

唯「ぶー…」

律「それだけで機嫌悪くするなよ…。
あ、そうだ。アーティさん」

252: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:24:07.52 ID:3GnveDaAO

アーティ「なんだい?」

律「“ヒウンシティ”の有名所ってどこですか?」

アーティ「ううん、そうだねえ…。
“バトルカンパニー”や“ゲームフリーク”、“すれちがい ちょうさたい ほんぶ”に“カフェ いこいのしらべ”、“アトリエ ヒウン”…色々な名所があるねぇ」

アーティ「あ、この街には“ポケモンジム”も…」

シーン…

アーティ「…あれ? もういないや。
まあいいか。ぼかぁジムへ戻ろう」




253: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:27:14.85 ID:3GnveDaAO
………
……


《ヒウンシティのどこかのビル》


シュッ!

「今参りました、ゲーチス様」

ゲーチス「おや…、こんなところまですみませんねえ」

「いえいえ、ゲーチス様がお呼びになられたら、地方を越えても参上致します。私どもはゲーチス様直属の親衛隊ですから」

ゲーチス「それはそれは心強い…」

ツカツカ

「ゲーチス様あ!!」

ゲーチス「!
おや、デントさんにポッドさん、コーンさんも」

254: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:30:03.87 ID:3GnveDaAO

コーン「我ら三人をお呼びで!」

ゲーチス「は?」

デント「え…? ゲーチス様が我ら“ダークトリニティ”をお呼びと聞いたんですが…」

ゲーチス「ふむ…あながち間違ってはいませんが…」

ポッド「?」

「フンフフフ、お前達など呼んではいないさ」

ポッド「なにッ?」

「ゲーチス様がお呼びになったのはこの三人だ」

サキ「サキ!」

澪「……澪」

ミツル「ミツル様だぜ、ひゃっはあ!!」

255: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:33:04.92 ID:3GnveDaAO

サキ「そう…我らは新しく形成された部隊、
“ダークトリニティ《改》”!!」

デントポッドコーン「ダ、“ダークトリニティ《改》”だと!?」

サキ「そうだ。お前達三人は“ゆめのあとち”で任務を失敗した挙げ句に、一般トレーナーにジム戦でも負ける始末…。
ゲーチス様は呆られてしまい、私達を新たに直属の部隊としてお作りになったのさ」

デント「そ、そんな…」

ミツル「まっ、クビになるわけじゃあないから安心しな! ひゃはは☆」

ポッド「ふざけんなッ!! ゲーチス様の親衛隊は俺達だッッ!!」

コーン「そう簡単に譲るわけにはいきません!!」

256: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:36:14.37 ID:3GnveDaAO

デント「ヤナップ!」

ポッド「バオップ!」

コーン「ヒヤップ!」

ボム!!!

ヤナップ「ナップ!」 バオップ「バオッ!」 ヒヤップ「ヒヤッ!」

サキ「…澪、」

澪「ああ…」カチャ

澪「コロぽん!」ボム!

コロぽん「コロー!!」パタパタ

デントポッドコーン「!!!」

澪「“エアカッター”!!」

コロぽん「コロー!!」ビュオッ!!

ドオオオオン!!!

257: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:39:06.00 ID:3GnveDaAO

ミツル「ひゃはは☆ さすがッ」

サキ「“スピードボール”で捕まえただけあるな。スピードもパワーも桁違い…フフ」

澪「…」シュウウッ

サキ「さて、邪魔者もいなくなりました。
ゲーチス様、御用件の方を…」

ゲーチス「ええ…。“ライモンシティ”へ行き、『彼ら』を呼んできてほしいのです」

ミツル「『彼ら』…?」

ゲーチス「サキさんが知っていますよ。サキさんに従ってください」

ミツル「…。りょ~かい」

澪「…わかりました」

ゲーチス「いや、澪さん。あなたは残ってほしいのです」

澪「?」

サキ「フンフフフ、では行って参ります」

タッ!!




258: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:42:03.13 ID:3GnveDaAO
…………
………
……


《バトルカンパニー前》


唯「ええっ、ここ!?」

律「ああ。“バトルカンパニー”だ!」

唯「カフェに行きたかったあ…」

律「お前はそれしか頭にないのか…」

律「あのな…、ここに来たのにはちゃんとした理由があるんだ」

唯「どんな?」

律「私、“ちかすいみゃくのあな”でプラズマ団の奴と戦って思ったんだ。奴らは強い…!!」

唯「……うん。私も“ゆめのあとち”で戦ったから分かるよ」

259: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:45:03.91 ID:3GnveDaAO

律「今の私達じゃあ太刀打ちできない相手だ!
ランスやヒートがいれば、まだなんとかなるかもしれない…。でも、今手元にいるのはモールただ一匹!
なら、バトルをしてレベルをあげようじゃねえか!!」

唯「うん! だからここに来たんだね!」

律「そうだ! ここはお誂え向きにバトルをする施設だ!!
“バトルカンパニー”でポケモンを鍛えよう!」

唯「おーっ!!」




260: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:48:04.62 ID:3GnveDaAO
………
……


《バトルカンパニー》


律「すいまっせーん!」

受付「はい、いかがなさいましたか?」

律「私達、バトルをしたいんですけどー」

受付「それでしたら、どうぞエレベーターをご使用ください。階はすでに指定してありますので」

唯律「ありがとうございま~す」

ウィーン

グオオオン…

261: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:51:05.52 ID:3GnveDaAO

チーン!

ウィーン

唯「着いたね!」

律「降りるぞ~」

タッ!

唯「…ん?」

ザッ!!

トレーナー「来たな、挑戦者!
いざ勝負!!」

唯「わあぁっ」

トレーナー「ポカブ!」ボム!

ポカブ「カブゥ!」

唯「え、えっと…」

律「落ち着け、唯!
深呼吸だ!!」

唯「すぅぅ…は~……」

262: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:55:49.24 ID:3GnveDaAO

唯「よし! まずは…」ピッ

ポケモン図鑑『ポカブ、ひぶたポケモン
てきの こうげきを みがるに よけて はなから ひのたまを うちだす。 ほのおで きのみを やいて たべる。』

唯「チー太、お願い!」ボム!

チー太「チー!」

トレーナー「ポカブ、“ニトロチャージ”!」

ポカブ「カブカブゥ…」ボウッ!

ドンッ!!

チー太「チー!?」

唯「ううっ…、チー太! “おうふくビンタ”!」

チー太「チー!!」ダッ!

263: ぽけもん 2011/02/13(日) 10:57:03.85 ID:3GnveDaAO

ポカブ「」シュッ!

チー太「チー!?」キキィッ!

ポカブ「カブカブゥ!!」タタタッ

律「速い!!」

トレーナー「“ニトロチャージ”は繰り出すごとにすばやさがあがる技!
そのすばやさで、“ヒートスタンプ”!!」

ポカブ「カブゥ!!」ブオッ!

チー太「!?」

ドオオオオン!!

チー太「チー…」

264: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:00:14.75 ID:3GnveDaAO

律「なんとか直撃は防いだけど…」

トレーナー「だがこれでトドメだ!
“ニトロチャージ”!!」

ポカブ「……」シーン

トレーナー「どうした、ポカブ? はやくトドメを…」

唯「あなたのポカブ、もう“ヒートスタンプ”しか出せないよ!」

トレーナー「なに…!?」

律「! “アンコール”か…!」

唯「そう! そして…」

265: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:03:03.02 ID:3GnveDaAO

トレーナー「だったら“ヒートスタンプ”をするまでだ!」

ポカブ「カブゥ!!」ブオッ

唯「攻撃のパターンは読めてる!!」

チー太「チー!」バッ!

ポカブ「ポカァ!?」

唯「“スイープビンタ”!!」

チー太「チー!!」バシバシバシッ!!!

ポカブ「カブ…」ドサッ

トレーナー「ああっ!」

266: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:06:03.48 ID:3GnveDaAO

律「よくやったな、唯!」

唯「うん!」

律「この調子で頑張……」

トレーナー達「……」ズラー

律「うっ…」

唯「感無量だね…」

律「お前それ言いたいだけだろ」




267: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:09:05.22 ID:3GnveDaAO
…………
………
……


唯「はあ~…やっと全員倒したのかな?」

律「そうだな。もうトレーナーもいないみたいだし…」

「いや、ここにいるよ」

唯律「!!」

「よくここまで来たね。私はここの社長だ。最後に私と戦ってもらうよ」

唯「…?」

律「…なんかどこかで会ったような……」

「む…! 君達は!!」

268: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:12:12.40 ID:3GnveDaAO

唯「あ~っ! “サントアンヌごう”のジェントルマンさん!!」

律「ヒートをくれた…!!」

ジェントルマン「おやおや、君達か。
なかなか顔つきも凛々しくなったな、最初は分からなかったよ」

唯「イッシュ地方の方だったんですね!」

ジェントルマン「ああ。あの時は長旅の途中だったのさ」

律「それにしてもこんなところで会うなんて…」

ジェントルマン「これも運命…。
さあ、お相手するよ」カチャ

律「よぉーし、私がやる!」

唯「頑張って、りっちゃん!」

269: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:15:05.75 ID:3GnveDaAO

ジェントルマン「マメパト!」ボム!

マメパト「クルックー!」

ピッ

ポケモン図鑑『マメパト、こばとポケモン
まちなかで くらしている ポケモン。 ひとなつっこいので こうえんや ひろばに たくさん あつまってくる。』

律「ひこうタイプか…。相性は悪いけど、モール! 頼んだ!!」ボム!

モール「グリュー!」

ジェントルマン「…ポニータはどうしたのかね?」

律「今はワケあって手元にいないんです。でも、ギャロップに進化しましたよ」

ジェントルマン「ほう…あのポニータがね…」

270: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:18:05.11 ID:3GnveDaAO

ジェントルマン「まあそれはさておき、バトル開始だ!」

律「モール、“あなをほる”!」

モール「リュー!!」ドババッ

唯「“あなをほる”?」

ジェントルマン「こちらはひこうタイプだが…なにか策があるのかい?」

律「当然!!」

モール「リュー!!」ババババッ

マメパト「クルックー!?」ビチャビチャ!

ジェントルマン「なに…穴から“どろかけ”!?」

271: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:21:05.97 ID:3GnveDaAO

マメパト「クルッ…ク…」ドサッ!

律「まずは飛行手段を封じる!」

ジェントルマン「ぐ…」

律「モール、“こうそくスピン”だ!」

モール「グリュー!!」シュルッ

ジェントルマン「マメパト、“つばさでうつ”だ!」

マメパト「クルックー!」

律「そんな翼でなにができるっていうんだ!
いけえ! モール!!」

ザキイイイッ!!!

272: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:24:16.57 ID:3GnveDaAO

マメパト「…」ギロッ

モール「グリュー…」グラッ…

律「…!?」

ジェントルマン「マメパトの特性“きょううん”…。技が急所にあたりやすくなる特性だ。
マメパトがギリギリで競り勝ったな…!!」

律「……」

ジェントルマン「もう一度“つばさでうつ”!!」

マメパト「クルックー!!」ブオッ

モール「グリュー…!!」

273: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:27:14.16 ID:3GnveDaAO

ジェントルマン「私のマメパトには攻め勝てん!!」

律「…いーや、そうとも限らないぜ?」

ジェントルマン「!」

モール「グリュー!!」

ザキイイイ!!!

マメパト「」バタッ

ジェントルマン「なんだと…!」

律「モールも急所にあたりやすい技、“きりさく”を使えるのさ!」

ジェントルマン「…!!
ふふ…負けたよ」

唯「やったね、りっちゃん!」

274: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:30:04.38 ID:3GnveDaAO

ジェントルマン「いいバトルだったよ」

律「はい!」

ジェントルマン「しかし、手持ちはそのモグリューだけかね?」

律「……」

ジェントルマン「いや…、野暮なことは聞きますまい。
…そうだ、私にできることがあるなら……」

ボム!

「シマー!」

律「このポケモンは…?」

275: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:33:05.43 ID:3GnveDaAO

ジェントルマン「手持ち一匹ではこの先、心許ないだろう。
たいでんポケモン、シママ。“3ばんどうろ”で傷ついていたところを見つけて捕まえたんだが、すっかり元気になってね。野生に戻そうとも思ったが中々手放せなくてな。
しかし君に任せれば大丈夫だろう。受け取ってくれ」

律「…いいんですか?」

ジェントルマン「もちろん。シママも育ち盛りで、バトルもたくさんさせてあげたいのさ」

律「じゃあ…」

律「ありがとうございます!」

ジェントルマン「いやいや」

律「よろしくな、シママ」

シママ「シマー!」ニコッ

276: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:36:05.07 ID:3GnveDaAO

唯「いいなあー、りっちゃんばっかり」

ジェントルマン「ははっ、ポケモンは星の数ほどいる。焦らずに自分の気に入ったポケモンを仲間にしたまえ」

唯「はい!」

律「じゃあ、私達はこれで」

ジェントルマン「ああ。またバトルできたら」




277: ぽけもん 2011/02/13(日) 11:39:11.72 ID:3GnveDaAO
………
……


唯「りっちゃん、次はどこへ行く~?」

律「ジムに決まってんだろ!!」

唯「ここってジムあるの?」

律「“タウンマップ”みれば載ってるだろ。
さあ、行くぞ!」

唯「おーっ!!」




Episode.8 fin




284: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:02:02.81 ID:sHn2IddAO


Episode.9




《ライモンシティ》


シュッ!!

サキ「ここだ」

ミツル「イッシュ一の娯楽都市、“ライモンシティ”か」

サキ「さあ、七賢人様方を迎えに行くぞ」

ミツル「へーいへい」




285: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:04:03.90 ID:sHn2IddAO
…………
………
……


《ヒウンシティ・・・ヒウンジム》


ウィーン

律「たのもー!!」

唯「このセリフも久しぶりだね~」

律「ジムに挑戦しに来ましたー!!」

「ミル~!」イソイソ

律「ん? なんだこいつ」

唯「かわいい~!!」

ピッ

ポケモン図鑑『クルミル、さいほうポケモン
タマゴから かえると ハハコモリに ふくを つくってもらい きせられる。 フードで あたまを かくして ねる。』

286: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:06:05.79 ID:sHn2IddAO

唯「クルミルかあ! かあいいな~♪」

クルミル「クル! クル!」クネクネ

唯「ああ、待ってえ!」

律「待てよ、唯!
…なんかこういうの多いな」


………
……


唯「つかまえた~!!」ダキッ

クルミル「クルー」

律「ていうか、ジムの中でなにやってるんだ…」

唯「かわいいんだもん! しょうがないよ!」

287: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:08:09.01 ID:sHn2IddAO

クルミル「クルー!」ピョンッ

唯「あ…」

クルミル「クル!」ピトッ

「クルミル、挑戦者のご案内ありがとうね」ナデナデ

唯律「あ~っ!!」

アーティ「ヒウンジムジムリーダー、アーティ。
全力でお相手するよ」




288: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:10:07.26 ID:sHn2IddAO
…………
………
……


《ライモンシティ》


「この前のN様VSチャンピオンの戦いは凄かったですね!」

「我らの王、N様だ。あんなチャンピオンどもに勝つことなど当たり前さ。賭けるまでもないぜ」

「あらあら…あなたは最初、チャンピオン側が勝つといってませんでした?」

「………」

コンコン

「はい、どーぞぉ!」

サキ「お迎えに参りました、七賢人様」

「…どなたで?」

サキ「我らは“ダークトリニティ《改》”。ゲーチス様の命により、あなた方をお迎えに上がりましたかぎりです」

ミツル(こいつはすんげー面々だなあ、おい)

「ふふ…いよいよ始まるんだな」

「………」

サキ「行き先は“ヒウンシティ”。
至急、お急ぎを願います」





289: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:12:03.14 ID:sHn2IddAO
………
……


《ヒウンジム》


唯「アーティさん!?」

律「あんたがジムリーダーなのか!?」

アーティ「これは予想どおりの反応だね。
ぼかぁ、君達が実力者であることも挑戦者であることも気づいていたけどねぇ」

アーティ「まあそんなことはどうでもいいじゃないか。
今はバトルを思いっ切りやろう」カチャ

律「……そうですね。
相手が誰だろうと、勝つまでだ!!」カチャ

アーティ「バトル開始!」

ボム!

290: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:14:08.12 ID:sHn2IddAO

「ホイー!!」

律「このポケモンは…?」ピッ

ポケモン図鑑『ホイーガ、まゆムカデポケモン
ふだんは うごかないが おそわれると こうそく かいてんして はしりまわり たいあたりで はんげきするのだ。』

律「モール、出番だ!」ボム!

モール「グリュー!」

ホイーガ「……」

アーティ「ホイーガは蛹、あまり動かない。
さあ、攻撃してごらんよ」

唯(誘ってる…?
なにか考えがあるのかな?)

律「でも、攻撃を仕掛けないとなにも始まらないな!
モール、“どろかけ”だ!」

モール「グリュー!」バシャッ!

291: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:16:07.10 ID:sHn2IddAO

ホイーガ「…」キッ!

ギュルッ!

ホイーガ「ホイッ!!」

ドンッ!!

モール「グリュー!?」ドサアッ!

律「!!」

アーティ「攻撃してくれてありがとう。これでホイーガが本気を出してくれるよ」

アーティ「僕のホイーガは常に受け身の体勢。その図鑑が言ったように“襲われると”攻撃に入るってのもあるけど…、
“獲物が油断して近づいてきた時に”逆に襲うためでもあるんだよ」

292: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:18:10.09 ID:sHn2IddAO

ホイーガ「ホイッ!」ギュルッ

アーティ「こうなったら中々止まらないよ」

ホイーガ「」ビュオッ!!

律「く…、モール! “あなをほる”だ!!」

モール「リュー!」ドババッ!!

ホイーガ「!」キキッ!

アーティ「下に逃げたか…」

唯(アーティさん…なにか隠してる?
ホイーガにはまだ秘密が…)

《ホイーガは蛹…、》

唯「!!
まさか…」

293: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:20:05.07 ID:sHn2IddAO

律「いけえ! モール!!」

モール「」ボコッ!

ホイーガ「!」

アーティ「真下か…」

唯「りっちゃん、ダメ!!
ホイーガは…!」

アーティ「もう遅いよ」

ホイーガ「」ピキピキッ

モール「!?」ピタッ

律「な、なんだ…?」

294: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:22:08.47 ID:sHn2IddAO

アーティ「ホイーガが姿を化えし…。やっと孵えったね、ペンドラー」

ペンドラー「キシャアアア!!」

律「進化した!?」

唯「そうだよ、りっちゃん! アーティさんはホイーガを蛹って言っていた…、成虫になったんだよ!!」

律「成虫…!」

アーティ「そう、ぼかぁ“むしタイプ”のエキスパート。
新たな姿を得た僕のポケモンを見せてあげるよ」

295: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:24:03.30 ID:sHn2IddAO

アーティ「ペンドラー、“ポイズンテール”!!」

ペンドラー「キシャアアア!!」ブンッ

モール「グリュー!?」ドガッ!

バアアアアン!!!

律「モール!!」

モール「グリュー…」

アーティ「ここで選手交代だ。ペンドラー、戻って」シュウウッ

アーティ「ハハコモリ、君に決めたよ」ボム!

ハハコモリ「ハッハー」

律「こっちも交替だ!
戻れ、モール!」シュウウッ

296: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:26:03.97 ID:sHn2IddAO

律「いけえ! シママ!!」ボム!

シママ「シマー!」

唯「おおっ! りっちゃんの新たな仲間!」

律「頑張ってくれ、シママ」

シママ「シマー!」

アーティ「ハハコモリ、“リーフブレード”!」

ハハコモリ「ハッハー!」シャキン!

ドンッ! ドンッ! ドンッ!

シママ「シマー…」ジリッ…

297: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:28:12.51 ID:sHn2IddAO

アーティ「へえ…耐えるねえ。でもそれもいつまでもつか…」

アーティ「“はっぱカッター”から“シザークロス”だ!」

ハハコモリ「ハッハー!」シュッシュッ

ザキイッ!!

シママ「?!」ジュウッ!

律「…!!」

アーティ「この“シザークロス”は普通の“シザークロス”じゃないよ!
“はっぱカッター”を“はっこうさせてねつをだし”て、その熱を帯びている!! ダメージは相当なものだ!!」

298: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:30:05.33 ID:sHn2IddAO

律「熱か…。へへ、」ニヤ

ハハコモリ「ハッハー!?」ボウッ!

アーティ「!? ハハコモリに炎が!?」

律「熱ならこっちも負けないぜ!
たいでんポケモンと言われるシママは、その体に電気とともに“電気の熱量”も帯びている!!」

アーティ「今の攻撃でその熱量を逆に高めてしまったのか!」

律「そうだ! そして、その熱量から繰り出される技は…」

律「“ニトロチャージ”だ!!」

シママ「シマ~!!」ダッ!

ボオオオン!!!

299: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:32:04.64 ID:sHn2IddAO

ハハコモリ「」バタッ

アーティ「……!
“こうかはばつぐん”…戦闘不能だ…!」

律「まずは一匹!」

アーティ「すごくいい戦い方だね!
エレガントな技!! いいね!!」

ボム!

ペンドラー「キシャアアア!!」

アーティ「もっともっと魅力のあるバトルを見せてくれ!!」

律「……。
残念だけど…、それはもうできないな」

300: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:34:06.99 ID:sHn2IddAO

アーティ「…!? シママがいない…!!」

律「“でんげきは”!!」

ビリッ!

ペンドラー「!!」

アーティ「真下…!
そうか、モグリューが掘った穴……!!」

ピシャアアアン!!!

ペンドラー「」ドサッ

律「よっしゃあ!!」

301: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:36:30.13 ID:sHn2IddAO

アーティ「僕のハハコモリの能力だけでなく、先の戦いの“あなをほる”も利用するなんて…恐れいったよ」

アーティ「ずいぶん魅せられたよ…。
受け取ってくれ、“ビートルバッジ”!!」

律「ありがとうございます!」

唯「やったね、りっちゃん!」

律「この調子で次のジムも勝つぜ!!」

302: ぽけもん 2011/02/14(月) 20:38:03.08 ID:sHn2IddAO

アーティ「あ、そうだ。ジムのことなんだけどね、“シッポウシティ”の…」

「ワア~ン!!」

アーティ唯律「!?」

「私のポケモンがぁ~!!」

律「な、なんだ…?」

唯「外から?」

アーティ「行ってみよう!」




Episode.9 fin




310: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:13:51.16 ID:TZOlVHIAO


Episode.10




《ヒウンシティのどこかのビル》


澪「それでゲーチス様、私が残った意味はなんでしょう?」

ゲーチス「ええ、“シッポウシティ”へ行ってほしいのです」

澪「“シッポウシティ”へ?」

ゲーチス「シッポウの博物館…、そこから盗んできてほしいものがありましてねえ」

澪「分かりました」

ゲーチス「プラズマ団の下っ端も数人お貸します。ではお願いしますね」

澪「はっ!」タッ!




311: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:15:06.25 ID:TZOlVHIAO
…………
………
……


「ウエ~ン!!」

唯「あっ、あの子だ!」

アーティ「なにかあったのかい? お嬢さん」

「ん…? あ…アーティさん」

アーティ「おや…、君は…」

律「知っているんですか?」

アーティ「うん。
…どうしたんだい? アイリスちゃん」

312: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:17:04.29 ID:TZOlVHIAO

アイリス「“ちゃん”…?」ムカッ

アーティ「うん…?」

アイリス「子供扱いしないでよっ!!」キィー!

アイリス「私も立派なトレーナーなんだから!!」

アーティ「ご…ごめんごめん…」

律「さっきまで泣いてたくせに…」ボソッ…

アイリス「はああ!?」ギロッ

律「ひぃっ!! な、何でもございまへんっ」

313: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:19:17.79 ID:TZOlVHIAO

アイリス「村のみんなもみ~んな、子供扱いするんだからあっ!!」ムキーッ

アーティ「お、落ち着いて、アイリスちゃん!
僕が悪かった! 僕が悪かったよっ!」

アイリス「んー……」ムスー

唯「とりあえず何があったのか言って? ね?」

アイリス「……まれたのよ」

唯「ふぇ?」

アイリス「盗まれたのッ!! 私のポケモンがッ!!」

唯「え…」

アイリス「私の大事なキバゴがぁ~!!」ワンワン…

アーティ「わ…わぁ、泣かないでくれ…」

314: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:21:41.71 ID:TZOlVHIAO

律「盗まれた…!?」

アイリス「そうなの…。変な奴らがいきなり……、こんなビルだらけなところじゃなかったら取り返せたのに!!」

律「変な奴ら、か…」

唯「やっぱりりっちゃん、それって…」

唯律「プラズマ団…!!」

アーティ「プラズマ団って…あの?」

唯「! プラズマ団を知っているんですか!?」

アーティ「まあ“ポケモン解放”の演説の話でね…。
ていうか、こんな事態に話に出てくるなんて…、なに? プラズマ団って悪い人達?」

律「はい。ポケモン解放といっては、人を襲ったりポケモンを奪ったりする…」

唯「悪い人達です!!」

315: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:23:02.78 ID:TZOlVHIAO

アーティ「………そうか。
…まずはアイリスちゃんのキバゴを盗んだ犯人を探そう。まだ“ヒウンシティ”にいるかもしれないからね」

アーティ「ぼかぁ、“ヒウンストリート”を。
唯くんは“スリムストリート”、律くんは“モードストリート”を頼んだよん」

アーティ「それからアイリスちゃんは危ないからジムに…」

アイリス「イヤよ!!」

アーティ「!!」

アイリス「私も探す!!」

アーティ「でもアイリスちゃん、君は都会になれてないのに動き回るのは…」

316: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:25:03.95 ID:TZOlVHIAO

アイリス「キバゴも私が来るのを待っているはずよ!!」

アイリス「私はキバゴのトレーナーなの…!!」

アーティ「アイリスちゃん…」

律「よし、分かった!」

唯「りっちゃん?」

律「アーティさんと唯はそれぞれで探してくれ!
私はアイリスと犯人を探す!!」

アイリス「…!」

律「それならいいですよね? アーティさん」

アーティ「…しょうがないなあ」ポリポリ

アーティ「わかったよ。三手に別れて探そう。
みんな、頑張ってくれ」

唯律「はい!!」

アイリス「……」




317: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:27:21.59 ID:TZOlVHIAO
…………
………
……


《ヒウンストリート》


アーティ「ん~…探すといっても、ここはイッシュ最大の大都市……。
ここで人探しなんて、雲を掴むような話なんだけどなあ…」

アーティ「どうしようか…」

アーティ「……」

アーティ「とりあえず、色々とあたってみようか」




318: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:29:04.81 ID:TZOlVHIAO
…………
………
……


《スリムストリート》


ブツブツ…

ヒヒヒヒ……!

唯「なんだろう…。ここ、恐いなあ……」オロオロ

唯「ん…?」

カランカラン♪

唯「あーっ! カフェだぁ!!」

唯「わぁーい♪」タタッ




319: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:31:19.18 ID:TZOlVHIAO
…………
………
……


《モードストリート》


律「さあ、探すか…」

アイリス「…」タッ!

律「!? ちょ、どこ行くんだよ!!」タッ

アイリス「犯人、もうヒウンにはいないと思うわ」タッタッ

律「はあ? なんでそんなことが言えるんだ!?」タッタッ

アイリス「シックスセンス…第六感……。“勘”よ、“勘”!!」タッタッ

律「はあ!? 勘って…、そんなんで…」

アイリス「私の勘は当たるの!! いいから、ついてきなさい!!」ダッ!!

律「あっ!!」

アイリス「」タッタッ

律「なんつう運動神経だ…。
ったく、……待てよお!!」ダッ!!




320: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:33:05.74 ID:TZOlVHIAO
…………
………
……


《4ばんどうろ》


律「はあはあ…」

アイリス「まったく、このくらいで息切れなんて…、子供ね!」

律「うる、せえ…。あんな長い道を一気に走り抜けたら、誰だってこうなるよ…」

アイリス「なっさけないわねぇ~」

律「……。つうか、ここはどこだ?」

アイリス「“ヒウンシティ”の北、“ライモンシティ”へと結ぶ砂漠道……“4ばんどうろ”よ!」

321: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:35:04.28 ID:TZOlVHIAO

律「砂漠は初めてだけど…。
すげえな、砂けむりで視界が霞む…」

アイリス「…そうなのよ」

律「へ?」

アイリス「この砂…。隠れるには絶好の場所じゃない?」

律「あ、確かに…」

アイリス「実は犯人達はね、『“4ばんどうろ”へ逃げるぞ!』って言ってたのよ」

律「…勘じゃないじゃん」

アイリス「細かいことはいいのよ!」

322: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:37:06.19 ID:TZOlVHIAO

律「でも知ってたなら、アーティさんに言えば良かったのに…」

アイリス「ダメよ! そんなことしたら、アーティさんまで来ちゃって、犯人に警戒されちゃうわ」

律「…なるほどな。
でも、こっちから犯人が見えないと意味がないぞ?」

アイリス「わかってるわよ!
だから今から探すの!!」

律「はーいはい、わかったよ」

ズザッ!

律「うわ、結構深いな。この砂…」

アイリス「歩きにくい…」

323: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:39:08.92 ID:TZOlVHIAO

ズズズ……

アイリス「…?」

律「…なんか……」

律「砂が動いてないか!?」

ズズズ……!!

アイリス「…!!
あ、あれ!!」

律「渦…!?」

アイリス「違うわ! 注目すべきは真ん中のあのポケモン!!」

「ビィー!!」ズザザァッ!!!

324: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:41:09.50 ID:TZOlVHIAO

律「あのポケモンは…!?」ピッ

ポケモン図鑑『ワルビル、さばくワニポケモン
めを おおう とくしゅな まくが ぶったいの ねつを かんちするため くらやみでも まわりが みえるのだ。』

律「く…、“眼をカバーする膜”があるからアイツはこの砂の中でも平気なのか…!」

アイリス「言ってる場合!?
ワルビルはね! “数匹で群れをなして行動する”の!! でもあのワルビルは一匹!!
ということはよ…!!」

「野生のポケモンじゃあないってことだなあ!」

律アイリス「!?」

325: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:43:04.42 ID:TZOlVHIAO

プラズマ団下っ端「プラーズマー! 俺はプラズマ団下っ端!」スタッ

下っ端女「同じく!」スタッ

アイリス「あんた達…! 私のキバゴを盗んだ奴ら!!」

律「やっぱりお前らの仕業か! プラズマ団!」

下っ端男「へへ、こいつのことか?」スッ

キバゴ「キバキバー!」ジタバタ

アイリス「キバゴ!!」

アイリス「あんた達! キバゴを離しなさい!!
じゃないと、ひどいわよ!!」

326: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:46:35.73 ID:TZOlVHIAO

下っ端男「へっ、別にキバゴに危害は加えねえよ」

下っ端女「私達はポケモン解放をするために、人からポケモンを奪うのよ。ポケモンを傷つけるなんて以っての外ね」

律「ふざけんな! そのキバゴ、嫌がってるじゃねえか!! やめろ!!」

アイリス「! あんた…」

下っ端男「へっ…。ポケモンには危害は加えないと言ったが……、トレーナーは別だぜ?
…ワルビル!!」

ワルビル「ビィー!!」ビュワアアッ

律「くっあ…!!」ドオオッ!

アイリス「キャアア!!」ドワアッ!

下っ端男「ワルビルの技、“すなじごく”!!
生き埋めにしてやるぜえ!!」

ブワアアアアアッ!!!!

327: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:48:03.02 ID:TZOlVHIAO

シーン……

下っ端男「へへ…、呆気ないもんだぜ」

下っ端男「さーて、七賢人様方と合流するぞ…」

ドガアアッ!!!

下っ端女「キャアア!!」

下っ端男「な、なんだ!?」

「グリュー!!」バッ!

下っ端男「モグリュー!?」

328: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:50:03.86 ID:TZOlVHIAO

律「へっ、残念だったな!」

下っ端男「お前…!!」

律「そう簡単に埋められてたまるかよ!!
モール! “きりさく”!!」

モール「グリュー!!」シャキンッ!

下っ端男「くっ…!
ワルビル! 受け止めろォ!!」

ワルビル「ビィー!!」ザンッ!

ガキイイッ!!!

モール「!!」

ワルビル「ビィー!!」ブンッ

モール「グリュー!?」ドサアッ!

329: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:52:03.92 ID:TZOlVHIAO

下っ端男「はッ!! モグリュー程度、相手になんねえな!!」

律「…へへっ」ニヤッ

ボオオオオオ!!!!

下っ端男「うおお!!?
…ほ、炎!?」

シママ「シマー!!」ボウッ!!

下っ端男「シママ!?
モグリューは囮?! 砂の中に隠れていたのか!!」

ボオオオオオ!!!!

下っ端男「くううっ…!」

330: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:54:05.56 ID:TZOlVHIAO

律「すごい炎だろ? “ニトロチャージ”だ。でもな、シママの最大の武器は炎じゃない! この膨大な熱量を生み出す“電気”だ!!」

律「“10まんボルト”!!」

シママ「シマー!!」バリバリ!!

下っ端男「ぐああっ…!!」

律「いいぞ、シママ! …いやなんかよそよそしいな…、そうだな……。“ボルト”だ!! お前のニックネームは“ボルト”!!」

ボルト「シマー!!」

律「あいつを逃がすな、ボルト!
確実に狙って、“でんげきは”!!」

ボルト「シマー!!」ビリッ…

331: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:56:07.72 ID:TZOlVHIAO

下っ端男「調子に……」

律「…!」

下っ端男「乗るなあッ!!!」

ワルビル「ビィー!!」ブンッ!

ボルト「!?」ドガッ!!!

律「ボルト…!!」

下っ端男「威勢良く出てきたはいいが…、これなら埋まってた方が良かったな?」

律「くそ…」

332: ぽけもん 2011/02/15(火) 20:58:15.54 ID:TZOlVHIAO

律(アイリスは…まだ埋まってるのか…? 早く助けないと…!!)

下っ端男「終わりだァ!! ワルビル!!」

ワルビル「ビィー!!」ダッ!

律「く…!!」

ドッ………!!

ワルビル「…!?」ピタッ

ドドド……!!!

下っ端男「なん…だ? この地鳴りは…」

ドドドド…!!!!

ドオオオオオオン!!!!!!!

333: ぽけもん 2011/02/15(火) 21:00:07.85 ID:TZOlVHIAO

ワルビル「ビィー!!?」ズサアッ!!

アイリス「あんたこそ調子に乗らないでね…。私があの程度で埋められると思った?
私はキバゴのトレーナー! キバゴを助けるんだから!!」

律「アイリス!!」

「リュウウウ!!!」

律「…と、このポケモンは?」ピッ

ポケモン図鑑『ドリュウズ、ちていポケモン
モグリューの進化系。ちちゅう 100メートルに めいろの ような すあなを つくる。ちかてつの トンネルに あなを あけてしまう。』

律「へえ…こいつが…」

334: ぽけもん 2011/02/15(火) 21:02:10.11 ID:TZOlVHIAO

下っ端男「なにが来ようと同じだ!! いけえ! ワルビル!!」

ワルビル「ビィー!!」ダッ

アイリス「ドリュウズ、“ドリルライナー”!!」

ドリュウズ「リュウウウ!!!」ギュオオッ!

ワルビル「!!?」

ドガアアアアン!!!!

ワルビル「ビィー!?」

下っ端男・女「ギャー!!!」

ドン! ドン! ドン!

アイリス「やったあ!」

律「す、すげえ…」

335: ぽけもん 2011/02/15(火) 21:04:07.35 ID:TZOlVHIAO

アイリス「ドリュウズ、戻って!」シュウウッ

キバゴ「キバキバー!」タタッ

アイリス「キバゴ!!」

ダキッ!

キバゴ「キバー!!」

アイリス「よかったあ。一時はどうな…る……こと、か……」バタッ

キバゴ「キバー!?」

律「ア、アイリス!?
そうか…この砂漠の暑さでやられ……、うっ……」クラッ…

律「ダ、メだ…。私も……」バタッ






336: ぽけもん 2011/02/15(火) 21:06:03.52 ID:TZOlVHIAO
………
……


ザッザッ…

「ん…、ここに倒れているのは…我らの同志…」

「…と……、トレーナーですかね?」

「どうします? カトレアさん」

カトレア「…報告は受けています。このトレーナー達はどうやら我らの邪魔をしたみたいですね」

「…連れていきます?」

カトレア「そうしましょう、シキミさん。
ギーマさんとレンブさんも手伝って」

ギーマ「分かりました」

レンブ「…承知した」

シキミ「では、行きましょうか」

カトレア「はい。ゲーチス様の元へ…」

ササッ…

キバゴ「キバァ…」




Episode.10 fin





343: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:08:20.73 ID:bB0UBbTAO


Episode.11




《ヒウンストリート》


ウィーン

アーティ「う~ん…」ポリポリ

アーティ「手がかりはなし、か…」

「キバキバー!!」タタタッ

アーティ「!? 君はアイリスちゃんのキバゴ!!」

キバゴ「キバー!!」キキッ

344: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:10:04.70 ID:bB0UBbTAO

アーティ「どうしたんだい!? 君が一匹でいるということは…」

アーティ「いや、待て…。アイリスちゃんが助けたのか…? キバゴが分かるのはアイリスちゃんだけ……」

キバゴ「キバキバ!!」グイグイッ!

アーティ「…! まさか、アイリスちゃんに何かあったのかい!?」

キバゴ「キバキバ!」コクッ

アーティ「大変だ…! アイリスちゃんはどこに…、いや……。
まずは唯くんと合流しよう!」タッ!





345: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:12:03.54 ID:bB0UBbTAO
………
……


《カフェ いこいのしらべ》


唯「あ~…幸せ~♪」

カランカラン♪

唯「ん?」

アーティ「…やっぱりここだったね、唯くん」

唯「……」

アーティ「……」

唯「ぁぁぁぁあああああ!!!!」

アーティ「まあ話は後だよ。とりあえず来てくれ」





346: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:14:09.69 ID:bB0UBbTAO
…………
………
……



キバゴ「キバー!」

アーティ「ここかい?」

唯(まだ状況把握できてない…)

アーティ「すみませーん!」

シーン……

アーティ「…しょうがないなあ。悪いけど、入るよ!」

ウィーン

唯アーティ「!?」

キバゴ「キバー!?」

347: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:16:10.32 ID:bB0UBbTAO

律アイリス「」ガクッ

唯「りっちゃん!!」 アーティ「アイリスちゃん!!」

律「うっ…、唯……か?」

唯「りっちゃあん!」

アイリス「うう…、アーティさん……」

アーティ「アイリスちゃん!」

律「う…」ヨロッ…

アイリス「ここはどこ…?」

唯「りっちゃん達はここで倒れていたの!」

アーティ「…まずいな。嫌な予感がするよ」

348: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:18:18.30 ID:bB0UBbTAO

ウィーン…

律「! エレベータが…」

アーティ「誰かが降りてくる…!」

ウィーン

「もうお目覚めになりましたか…。それに皆さんお揃いで」

唯「あなたは…!」

律「ゲーチス!!」

ゲーチス「どうも」

アーティ「あなたがゲーチスか…!」

ゲーチス「いかにも。ワタクシがゲーチス。プラズマ団のゲーチスです」

349: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:20:02.84 ID:bB0UBbTAO

アイリス「許さない! よくも私のキバゴを!!」

ゲーチス「勘違いしないでくださいよ。あなたのキバゴを盗むように言ったのはワタクシじゃありませんし、彼らはあなたのキバゴを“解放”しようとしただけなんです」

律「解放、解放って……お前達はポケモンのことをちゃんと思ってるのか!?
ポケモンの気持ちを尊重する気はないのかよ!! 少なくともキバゴは…アイリスと離れて悲しそうだった!!」

ゲーチス「…それを差し引いても、ポケモンを解放するのは必要なことなんですよ」

律「なに?!」

350: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:22:17.71 ID:bB0UBbTAO

ゲーチス「ワタクシは、ただ完全で“理想”的な世界のポケモン、“真実”の世界のポケモンをみてみたいのですよ」

ゲーチス「あなた方トレーナーにも分かりますよね?
強さという“理想”…」

律「……」

ゲーチス「トレーナーとしてポケモンと向き合う“真実”…」

唯「……」

ゲーチス「まあワタクシは前者も後者も理解しかねますがね」

351: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:24:14.15 ID:bB0UBbTAO

アーティ「……」

ゲーチス「おや? これはこれはジムリーダーのアーティさん。やはりジムの近くにアジトを置くのは面白いですが、危険でしたねえ」

アーティ「…プラズマ団って人が持っているものが欲しくなると盗っちゃったり、人を襲っちゃう人達?」

ゲーチス「……さて、あなたがた…イッシュ建国の伝説はご存知ですか?
多くの民が争っていた世界をどうしたらまとめられるか……?」

ゲーチス「その“理想”を追究した英雄のもとに現れ知識を授け、刃向かう存在には牙を剥いた……黒いドラゴンポケモン。英雄とポケモンのその姿、その力がみんなの心を一つにして、イッシュを造りあげたのです。
今一度! 英雄とポケモンをこのイッシュに蘇らせ、人心を掌握すれば! いともたやすくワタクシの……いや、プラズマ団の望む世界にできるのです!」

352: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:26:07.13 ID:bB0UBbTAO

唯律「英雄…?」

アイリス「ドラゴンポケモン…」

アーティ「…このヒウンにはたっくさんの人がいるよ。
それぞれの考え方、ライフスタイル、ほんっとバラバラ。正直なにを言ってるか分からないこともあるんだよねえ」

ゲーチス「……はて?」

アーティ「だけどみんなに共通点があってね。
……ポケモンを大事にしているよ。
初めて出会う人ともポケモンを通じて会話する。勝負をしたり交換したりね」

353: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:28:13.29 ID:bB0UBbTAO

アーティ「カラクサの演説だっけ?
ポケモンとの付き合い方を見つめ直すきっかけをくれて感謝しているんだよ。そして誓ったね……!
もっともっとポケモンと真剣に向き合おうってね!!」

律「アーティさん…」

アーティ「あなたたちのやっていることはこのようにポケモンと人の結び付きを強めるんじゃないの?」

ゲーチス「フハハハ!
つかみどころがないようで、存外キレ者でしたか。
ワタクシは頭のよく、強い人間が大好きでしてね…」

ゲーチス「王のため世界各国から知識人を集め、七賢人を名乗っているほどです」

354: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:30:38.04 ID:bB0UBbTAO

アーティ「……七賢人って?」

ゲーチス「…そのとおり、ワタクシを含めた七人の知識人の集まりです」

ゲーチス「あなた方にも関係がある人ですねえ…」チラッ

唯「!」

律「私達に…?」

ゲーチス「…これを見れば思い出しますかね。シビビール!」ボム!

シビビール「ビビー!」

ピカアアッ!!!

唯律「!?」

355: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:32:07.56 ID:bB0UBbTAO

唯「まぶしい…」

律「こ、この光は…!!」

唯「あの謎の光!?」

ゲーチス「そのとおり!
光のショックでワタクシのことをお忘れになっていたようですが、これで思い出してくれました?」

唯律「…!!」

アーティ「ど、どうしたんだい? 二人とも…」

律「てめえ!!」

ゲーチス「ふふふ…」

356: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:34:05.30 ID:bB0UBbTAO

律「澪とシルバーはどこだ!!? 何か知ってるんだろ!!!」

ゲーチス「さあて…、ワタクシは何も存じませんねえ」ニヤ

律「くそ…!!」

唯「待って、りっちゃん」

律「…! 唯、」

唯「“私達に関係がある人”って…どういうことですか…?」

ゲーチス「……。ふ、どうもこうも…」

ゲーチス「あなた方はワタクシの掌で踊っていたということですよ」

唯律「…?」

357: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:36:08.40 ID:bB0UBbTAO

ゲーチス「一年前と半年前のロケット団の事件…。すべてワタクシの指示で動いたものです」

唯律「!!」

律「な、なんだって…!?」

ゲーチス「ふふ、まあ半年前についてはワタクシの思惑ではないのですがねえ…」

ゲーチス「…ズバリ言いましょう!
ロケット団の首領“サカキ”。そして、ミュウツーとデオキシスを作った研究者“フジ”は、ワタクシの部下……、七賢人です」

唯律「…!!!」

358: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:38:02.76 ID:bB0UBbTAO

唯「フ、フジさんと…通りすがりのトレーナーさんが……?」

律「そんな…!」

ゲーチス「ちなみにあなた方は知らないことですが…、ホウエン地方で暗躍していたアクア団総帥“アオギリ”もマグマ団頭領“マツブサ”も…、シンオウ地方を騒がせたギンガ団BOSS“アカギ”も………すべて七賢人……」

ゲーチス「各地方の事件にはすべてワタクシが関わっているのです!」

律「なんて野郎だ…!!」

唯「フジさんはあなたのせいで…!!」

ゲーチス「さあ? あの程度の人心を掌握することなど、ワタクシにはたやすいことです」

359: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:40:03.38 ID:bB0UBbTAO

律「お前、フジさんを操っていたのか!?」

ゲーチス「そうですとも。まあ最後にはフジも正気に戻ってしまいましたがね…、
自分の命と引き換えに…」ニヤリ

律「てめえッ…!!!」

ゲーチス「ふふ、フジ以外にも、サカキやアオギリ…四人ほど七賢人のメンバーを失ってしまいましてねえ。他三人は裏切りによりですが…」

ゲーチス「しかし、ワタクシは几帳面でね。“七賢人”と名乗るのですから、きっちり七人はいないといけないと思いましてねえ」

360: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:42:16.88 ID:bB0UBbTAO

アーティ「新しい四人は、誰なんだ…?」

ゲーチス「…いいでしょう。ちょうど今、このビルにいるのですよ。
さあ出てきてください!!
ご紹介しましょう…」

タッ タッ タッ タッ タッ タッ

「いやあ、あの時はどうなることかと思ったな。ゲーチスさまさまだな、あんたもだろう? 任務失敗したんだっけか」

「……ふん」

「おや…先輩方々、いらしたんですか? てっきり四人だけの紹介だと思ってたぜ」

「失礼ですよ。まったく」

「まあまあ皆さん。ワタクシ達の晴れ舞台なんですから、そう頭に血を上らせずに」

「………」

361: ぽけもん 2011/02/16(水) 20:44:02.73 ID:bB0UBbTAO

アイリス「ああっ…!」

アーティ「あなた達は!!」

マツブサ「マツブサ!」

アカギ「……アカギ」

ギーマ「ギーマさ」

シキミ「シキミです」

カトレア「…カトレア」

レンブ「………レンブだ」

ゲーチス「彼らが“新・七賢人”です!!」




Episode.11 fin





370: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:19:21.15 ID:RjxOmkHAO


Episode.12




アイリス「そんな…嘘でしょ…?」

ゲーチス「ふふふ…」

律「どうしたんだ?」

アイリス「あの人達は…」

唯「知ってるの?」

アイリス「ええ…」

アーティ「あの四人…、カトレアとシキミ、ギーマにレンブは……」

アーティ「…イッシュ四天王だ……」

唯律「…!!」

371: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:22:33.99 ID:RjxOmkHAO

律「な、なんで四天王が…」

ゲーチス「…今日は顔見せだけにしておきましょうか」

ギーマ「? なぜです? 我らの顔を見られて…」

シキミ「別にどうすることもできないでしょう」

カトレア「ですね。下等なトレーナーが何人集まろうと、アタクシ達の前では無意味です」

レンブ「………」

372: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:26:02.65 ID:RjxOmkHAO

ゲーチス「では、我等はこれで。…ごきげんよう」スッ…

律「待てッッ!!」

モクモク……

律「!?」

唯「けほっけほっ!」

アイリス「煙幕…!?」

アーティ「吸い込んだら危険だ!
外へ出よう!」




373: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:28:02.35 ID:RjxOmkHAO
………
……


ハアハア……

アイリス「“けむりだま”で逃げたのね…」

唯「ビルの中を探します?」

アーティ「いや…、もう中はもぬけの殻だろうね」

律「くそう!」タッ!

アーティ「!」

唯「りっちゃん!?」

アーティ「待つんだ!!」

唯「大変…! 追わないと!」

アイリス「あのバカ…!」




374: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:30:04.60 ID:RjxOmkHAO
…………
………
……


律「どこだ…、ゲーチスウウ!!」タッタッ

アイリス「待、ち、な…」ダッ!

アイリス「さい!!」ガバッ!!

律「!?」

アイリス「まったく…、何いきなり走り出してんのよ」

律「…アイリス」

唯「りっちゃあん!」タタッ

律「唯…、アーティさんも…」

アイリス「後先考えずに走り出すなんて、子供ね。人の迷惑を考えなさいよ」

375: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:32:17.69 ID:RjxOmkHAO

律「……ねえよ」

アイリス「…え?」

律「わかんねえよ…。気がついたら、走ってた……」

律「澪とシルバーのこと、サカキやフジさんのこと…。色々、あいつが言って……」

律「許せねえよ、あいつ! 今までの…サカキ、サキ、ロケット団……他の誰よりも許せねえ!!」

アイリス「……」

唯「りっちゃん…」

376: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:34:04.45 ID:RjxOmkHAO

律「私はあいつを追う! 一発ぶん殴ってやんねえと気が済まねえ!!
澪とシルバーのことも聞き出さねえと…!!」

ガシッ!!

律「…!
……アーティさん」

アーティ「…待つんだ」

律「どうして止めるんですか…。
あいつは何か知ってるかもしれないんです! なにより私はあいつを…!!」

アーティ「君が行ってなんになる!!」

律「!!」

アーティ「相手は…僕らジムリーダーを凌ぐ実力者、四天王。それに、それを従える奴だ。
言い方が悪いが、一介のトレーナーの君が行ってなんになるんだ!! なにができる!?
なにしろ危険だ!!」

律「そ、れは…」

377: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:36:03.82 ID:RjxOmkHAO

アーティ「…………ごめんね。キツイことを言っちゃって…」

律「……」

アーティ「でも、君自身が本当にプラズマ団を倒したいのなら、方法がないわけでもない」

律「! な、なんですか!?」

アーティ「簡単だ。強くなること!」

律「!」

378: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:38:08.01 ID:RjxOmkHAO

アーティ「君はジムに挑戦しているんだろう? 僕とも戦った。そして勝ったね。
どうだい? ジムに挑む前よりは、ずいぶんと強くなったことだろう。
……ジムをすべて勝ち抜けたら、もっと強くなっているはずだ」

律「……」

律「へへ…、最初からジム制覇は目標だったんだ…」

アーティ「…!」

律「全ジム制覇!! やってやる!!!」

379: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:40:06.77 ID:RjxOmkHAO

唯「はいはい! 私も強くなりたい!!」

律「じゃあ次は唯が挑戦するか?」

唯「やるー! 制覇協力するよお!!」

律「へっへー、二人で制覇だー!!」

唯「おーっ!」

律「おーっ!!」

唯「お…、ケホケホ!!」

律「おいおい…、大丈夫か?」

唯「大丈…ゲホゲホ!!」

ワイワイ

アーティ「…はは、やっぱり面白い子達だねえ。あの子達はあれでいいよ」

アイリス「なにか不思議な力を感じるわ…、あの子達」

アーティ「……また“勘”かい? アイリスちゃん」

アイリス「うん。“勘”ね」

アーティ「ふふ、そう…」




380: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:42:07.44 ID:RjxOmkHAO
…………
………
……



律「…“シッポウシティ”?」

アーティ「うん。まだジムに行ってないだろう?」

唯「ジムが見つからなかったんだよねえ」

アーティ「あそこのジムは中々見つけられないからねえ」

唯「どこにあるんですか?」

アーティ「博物館の中だよん」

唯律「博物館の中ぁ??」

381: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:45:16.82 ID:RjxOmkHAO

アーティ「シッポウのジムリーダーは粋な人でねえ。わざわざ博物館の中にジムを建てたんだよ」

律「博物館か…、気づかなかったぜ…」

唯「すごいねえ」

アーティ「ぼかぁ、シッポウジムをスルーしてきちゃった挑戦者にそれを伝えるように言われててね。ま、案の定…ね」

律「図星だ…」

アーティ「とりあえずそういうこと。ジム挑戦ならまず“シッポウシティ”へ行きなよ」

唯律「はい!!」

382: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:48:05.22 ID:RjxOmkHAO

律「そういやあ、アイリスは?」

アーティ「アイリスちゃんなら自分の街に帰ったよ。またプラズマ団にポケモンを盗まれちゃかなわないからね」

唯「アーティさんはこれからなにを?」

アーティ「ぼかぁジムリーダーだし、挑戦者を相手しないと…。まあジムリーダー達にプラズマ団のことを伝えることは伝えるけどねん」

唯「ほぇ~、大変ですねえ…」

アーティ「まあねえ。
…それじゃあ、もう行くかい?」

律「はい。色々ありがとうございました」

アーティ「いいよいいよ。
…じゃあ、頑張ってね」

律「はいっ!」




383: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:50:08.24 ID:RjxOmkHAO
…………
………
……


《シッポウシティ》


澪「……」

澪「あそこが博物館か…」

下っ端男「澪様、どうします? もう突入しますか?」

澪「ああ、時機を見計らってな…。でもお前達の判断で頼むよ。
私は“ヤグルマのもり”で待機している。目的のものを盗ったら来い」

下っ端男「はっ!」

澪「……」ツカツカ




384: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:52:11.09 ID:RjxOmkHAO

ザッザッ…

「ふう…、ここが“シッポウシティ”ね~」

紬「…梓ちゃん!」

梓「はい。唯先輩達を追って、ここまで来ちゃいましたが…」

紬「どこにいるのかしらねえ、唯ちゃんとりっちゃん…」

梓「もうここを通り過ぎちゃいましたかね…」

紬「澪ちゃんのこと、伝えようと思ったんだけどね~」

梓「まあこのシッポウには違う用事もあります」

紬「ショウロさんからもらった……化石だっけ?」

梓「はい、“ふたのかせき”です!」

紬「じゃあ復元しに行こっか♪」

梓「はい!」




385: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:54:05.46 ID:RjxOmkHAO
…………
………
……


《ヤグルマのもり》


澪「……」

ガサッ!

澪「…誰だ?」

カトレア「あら、すみません。驚かせましたね。
アタクシは七賢人のカトレアです」

澪「……なにをしに?」

カトレア「ゲーチス様に言われたのですよ。あなたの手助けをするように、と」

澪「…必要ないな」

386: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:57:22.15 ID:RjxOmkHAO

カトレア「まあまあ、念のためですよ」

澪「……」

カトレア「それにアタクシも…」

澪「なんだ?」

カトレア「いえ…、なんでもないです」

カトレア「…あ、ちょっと失礼しますね」

ガサガサッ

澪「…?」




387: ぽけもん 2011/02/25(金) 12:59:40.40 ID:RjxOmkHAO
………
……



ピッ

カトレア「もしもし?」

『ドサイドン、いい調子だ!!
いけえ、そこだあ!!』ドガーン!!

カトレア「……」

『よおーし、いい“がんせきほう”だ……。ふう…、ん?』

『なんだ、“ポケギア”が通話中だ。……なんだかなー。
まったく、誰だ。こんな時に…』

388: ぽけもん 2011/02/25(金) 13:01:13.47 ID:RjxOmkHAO

『はい、もしもし?』

カトレア「……カトレアですけど」

『……げっ、カトレア…!?』

カトレア「…ちゃんと前もってお電話をすると伝えておきましたよね?」

『す、すまんカトレア…。バトルの特訓とかで……』

カトレア「しっかりしてくださいよ!!
その歳になって、約束もお忘れになられるのですか!?
それでも“タワータイクーン”なのですか!?
クロツグさん!!!」

クロツグ『すまんすまん…!!
許してくれぇぇ…』




Episode.12 fin





393: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:26:08.42 ID:vJrlJBUAO


Episode.13




カトレア「いいですね? アタクシが前に言っておいたこと分かっていますよね!」

クロツグ『分かっているとも!
そちらに行けばいいのだろう?』

カトレア「ええ、プラズマ団の件です」

クロツグ『分かっている』

カトレア「…頼みますよ? 大・至・急!! ですよ!?」

394: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:28:35.97 ID:vJrlJBUAO

クロツグ『はいはい…』

カトレア「なんですか、そのやる気のない返事はぁ!?」

クロツグ『ひええ、うんうん! すまんすまん!!』

カトレア「はあ…、じゃあ切りますね?」

クロツグ『ああ』

ピッ

カトレア「……はあ。
まったく、あれで“バトルフロンティア”で最強のブレーンなのが不思議ですね」




395: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:30:38.75 ID:vJrlJBUAO
………
……


《ジョウト地方・・・バトルフロンティア》


クロツグ「…ふう」ピッ

クロツグ「なんだかなー。
すぐに行きたいのは山々だけど…」

クロツグ「今日は大事なお客さんが来るんだよなー」

ドサイドン「ドサイー!!」

クロツグ「おっ! もういっちょうやるか!!」




396: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:32:17.25 ID:vJrlJBUAO
…………
………
……


《アサギシティ・・・アサギジム》


「ストライー!!」シュッ!

ザキィ!!!

「ハガネ…」バタン!!

ミカン「ああっ! ハガネちゃん!!」

審判「ハガネール、戦闘不能!
よって勝者、鈴木純!!」

純「やったあ!!」

エヌターク「ストライー!」

ミカン「負けました…。どうぞ、スチールバッジです」スッ…

純「ありがとうございます!」




397: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:34:05.41 ID:vJrlJBUAO
………
……


ウィーン

純「~♪」

憂「どうだった、純ちゃん!?」

純「もちろん、勝ったよ!」ブイッ

憂「おめでとおっ!!」ギュウッ!

純「うわっぷ」

アンズ「まさか…本当に勝つとは…」

純「これでジョウトのジムバッジ、コンプリートですよ!」

アンズ「…なにかの前兆ではござらんか……」

純「なにそれ!」

憂「まあまあ♪」

398: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:37:30.52 ID:vJrlJBUAO

アンズ「で、純殿。
憂殿はとっくにコンプリートしたわけでござるが…」

純「いちいち私を罵らないと会話ができないんですか」

アンズ「純殿が『バッジをコンプリートしたら行くところがある』と言ったんでござろう」

純「あ、そうだった…」

憂「どこに行くの?」

純「この“アサギシティ“のはずれにある施設…“バトルフロンティア”!!」

憂「“バトルフロンティア”?」

399: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:40:31.34 ID:vJrlJBUAO

アンズ「…まさか挑戦する気でござるか? バッジをコンプリートしたからって調子に乗りすぎではござらんか」

純「だーかーら、最後まで聞いてくださいよっ!!」

憂「まあまあ」

純「“バトルフロンティア”には私のお父さんがいるんです!」

憂アンズ「お父さん?」




400: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:42:34.56 ID:vJrlJBUAO
…………
………
……


《バトルフロンティア》


憂「へえ~! すごいところだね!!」

純「まあ私はもう来慣れてるけどね~」

純「私にとっちゃ、ここは庭よ! 庭!」

憂「純ちゃんすごぉい!」

純「えへへ、もっと褒めて!」

アンズ「……」

アンズ(“フロンティアブレーン”の娘でござるか…。確かに父上がそのようなことを言っていたような……。
しかし、なら何故純殿はああもバトルセンスがないのでござろうか…。父上は『純にはバトルセンスがある』とおっしゃっていたが…)

401: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:45:38.18 ID:vJrlJBUAO

憂「わぁ! 色んな施設があるね!
“バトルファクトリー”や“バトルステージ”、“バトルルーレット”に“バトルキャッスル”!!」キラキラ

純「憂、はしゃぎすぎ…」

憂「どれに挑戦するか迷っちゃうね!」キラキラ

純「今日は挑戦しにきたんじゃないんだけどね」

アンズ「そうでござる。純殿が挑戦を目的にここへ来ると思うでござるか?」

純「むっ…。どういう意味ですか!」

アンズ「まったくそのとおりの意味でござる。純殿ではどの施設でも勝ち抜けないでござろう」

純「なに~!?」

憂「まあまあ…」

402: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:47:53.63 ID:vJrlJBUAO

憂「…ん?」

純「どしたの? 憂」

憂「“バトルキャッスル”…閉鎖中、なんだ?」

純「ん? ああ…私がここに初めて来た時から、“バトルキャッスル”だけはずっと閉鎖中なんだよね…。私もよくわかんないけど」

憂「? へえ…」

純「まあそんなことより、見なさい!!」

憂「ん…?
わあっ!!」

憂「す、すごい…」ホワー

純「ここが“バトルタワー”!!
“バトルフロンティア”の頂点の施設!!
そして……!!」

純「“タワータイクーン”クロツグ!!
私のお父さんがいる所!!!」

アンズ「タワー…タイクーン……!!」




403: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:50:31.83 ID:vJrlJBUAO
…………
………
……


《バトルタワー》


純「まあまあ、遠慮せずに上がって~」

憂「お邪魔しま~す」

アンズ「でござる」

憂「うわあ~! 中も綺麗で広~い!」

純「へっへー、そうでしょー?」

404: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:53:03.20 ID:vJrlJBUAO

アンズ「お父上殿はどこにいらっしゃるのでござるか?」

純「ああ、もう迎えに来る頃ですね。
でも厄介なことがあって…」

アンズ「?」

ドオン!!

憂「きゃあ!!」

アンズ「…!? 憂殿!!
あれは…!」

ゴクリン「ゴクー!!」

アンズ「野生ポケモンでござるか!? 何故この中に…!!」

405: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:56:07.47 ID:vJrlJBUAO

憂「ぶらら、お願い!」ボム!

ぶらら(ブラッキー)「ブラー!」ダッ

ゴクリン「ゴクー!」

ポカスカ

アンズ「助太刀申す…!」カチャ

純「違うんですよ」

アンズ「…なに?」

憂「“しっぺがえし”!!」

ぶらら「ブラー!」ドガッ!

ゴクリン「」ドサッ

406: ぽけもん 2011/02/26(土) 12:59:44.63 ID:vJrlJBUAO

《ピピーッ!! 勝者、チャレンジャー!!》

憂「え!?」

アンズ「……どういうことでござる?」

純「“バトルタワー”は挑戦者が来ると、自動的にタワーの挑戦が始まるんですけど…、誤作動で“挑戦者じゃない人”が来た時にも、挑戦が始まっちゃうんですよ……」

アンズ「…なんと」

ガラー

アンズ「む…、エレベータが…」

407: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:02:40.69 ID:vJrlJBUAO

「いやぁ~、すまんすまん」

純「ちょっとお父さん! これで何回目!? 私が来る度に作動するけど!!」

「すまんすまん…」

憂「お父さん…!?」

アンズ「ということはこのお方が…、
“タワータイクーン”、クロツグ殿でござるか!!」

408: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:05:43.88 ID:vJrlJBUAO

クロツグ「なんだかなー」

純「なんだってのよー! は私のセリフだよ!!
前もって、行くって言っておいたでしょ!?」

クロツグ「バトルの特訓をしていて…」

純「理由にならない!!」

クロツグ「まあそう怒るなよ…。
ん? ああ、君が憂ちゃんか」

憂「へ?」

純(話そらした!)

クロツグ「純から話は聞いているよ。純がいつもお世話になっているね」

憂「いえいえ、こちらこそ♪」ニコニコ

409: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:08:02.49 ID:vJrlJBUAO

クロツグ「それに、アンズさん」

アンズ「! 私のことを?」

クロツグ「知っているさ。四天王キョウの娘さんだろう?
キョウにも純がお世話になっているからな」

アンズ「左様でござるか」

クロツグ「…ところで純、お前は何しに来たんだ?」

純「父親に会いにくる理由はいるの…?
まあいいや。私ね、ついにやったよ!」

クロツグ「?」

410: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:10:57.74 ID:vJrlJBUAO

純「ほら! シンオウとジョウトのバッジ!!」

キラッ

クロツグ「うおお!! すべて集めたか! すごいぞお!!」

純「えへへ…」

憂(仲いいな~)ニコニコ

クロツグ「よしッ!! これなら大丈夫だな!!」

アンズ憂「??」

純「な、なにが…?」

411: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:13:17.52 ID:vJrlJBUAO

クロツグ「“バトルタワー”への挑戦だあ!!!」

純「ええええ!!?」

アンズ「クロツグ殿…言いにくいことでござるが、純殿の実力では……」

純「あんた、よく人の父親の前で言えますね!」

クロツグ「ハッハッハ! 心配しなくてもいいさ。
前々から純には挑戦させようと思っていたんだ!」

憂「純ちゃん頑張ってね!」フンッ

純「やらなくちゃいけないのか…」

412: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:15:14.82 ID:vJrlJBUAO

クロツグ「お? …そうだ!
憂ちゃんも一緒にどうだ? マルチバトルで!!」

憂「へっ?」

純「ちょっと、なに勝手に…!」

アンズ「憂殿が一緒なら大丈夫でござるな」

純「うおおおおい!!」

クロツグ「ハッハッハ!」

純「ていうか、憂も迷惑…」

憂「“バトルタワー”…」キラキラ

純「…でもないか!」

純「……はあ、しょうがない。
やるしかないか」




413: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:17:28.01 ID:vJrlJBUAO
………
……


クロツグ「使用ポケモンは一人二体。マルチバトルだ。
20戦勝ち抜けたら、私と勝負する権利が得られるぞ」

憂「クロツグさんとバトルかあ…」

純「実際、お父さんは目茶苦茶強いよ」

クロツグ「では、21階で待っているぞ!」クルッ

純憂「……」

414: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:19:39.38 ID:vJrlJBUAO

アンズ「私は二人のバトルを見学しているでござる」

純「私の実力を見せてあげますよ!」

アンズ「頑張るでござるよ、憂殿」

憂「はい!」

純「私は!?」

アンズ「…まあ純殿もせいぜい頑張れよ」

純「口調変わってるけど!」

憂「頑張ろ! 純ちゃん!」フンッ

純「…ん。まあ、お父さんのところまでは行かないとね」




415: ぽけもん 2011/02/26(土) 13:21:21.99 ID:vJrlJBUAO
………
……


《バトルタワー1階》


純「最初のバトルだね」

憂「どんなポケモンが相手だろ~」

パッ!

トレーナー「クチート!」ボム!

クチート「クチー!!」ダッ

純憂「!!」

アンズ「あざむきポケモン、クチート!!
“かみくだく”でござる!!!」




Episode.13 fin





421: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:40:04.26 ID:2eoxe1bAO


Episode.14




純「うっ…!」ボム!

クチート「クチー!!」ガブッ!!

アンズ「クチートの武器は“鋼の角が変形してできたアゴ”でござる!!
“かみつかれ”てしまったら最後! “かみくだかれ”てしまうでござる!!」

憂「純ちゃ…」

純「へっへーん! そっちが“はがね”ならこっちも“はがね”だよ!!
ラプンーソ!!!」

ラプンーソ(エンペルト)「エンー!!」ググッ!

クチート「!?」

422: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:42:45.95 ID:2eoxe1bAO

純「“メタルクロー”!!」

ラプンーソ「エンー!!」キンッ!

ドシャアン!!

クチート「」バタッ

純「ぃよしっ!」

憂「すごい、純ちゃん!」

アンズ「……ほう」

トレーナー2「スバメ!」ボム!

トレーナー「ドンメル!」ボム!

423: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:44:19.33 ID:2eoxe1bAO

スバメ「スバー!」

ドンメル「ホクホク!」

純憂「!!」

憂「そっか…、マルチバトルだったね」

純「行くよ、憂!」

憂「うん! 純ちゃん!」

憂「ぶらら!!」ボム!

ぶらら「ブラー!!」





424: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:46:36.00 ID:2eoxe1bAO
…………
………
……


《バトルタワー20階》


純「ドルアゲス! “サイコキネシス”!!」

ドルアゲス(マネネ)「マーネネ!」ヴオオン!!

ジュプトル「」バタッ

《ピピーッ! 勝者、チャレンジャー!!》

憂「やった!」

純「今、何戦目~?」ゼエゼエ

アンズ「今ので最後だと思うでござる」

憂「じゃあ、次は…」

425: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:48:18.27 ID:2eoxe1bAO

ガチャッ!!

クロツグ「待っていたよ、二人とも!」

純「次はお父さんと、か…!」

憂「緊張するね~」

クロツグ「使用ポケモンは今までどおり!
しかし、ハンディで私は二体だ!」

純「いいよ、なんでも」

クロツグ「では始めるぞ!
行け、ドサイドン!!」ボム!

ドサイドン「ドサイー!!」

426: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:50:05.63 ID:2eoxe1bAO

憂「うわあ、すごく強そうだね!」

純「ドサイドンか…。ラプンーソ!!」ボム!

ラプンーソ「エンー!!」

アンズ「…まあ、ドサイドンに水タイプは鉄則でござるな」

純「ラプンーソ、“アクアジェット”!」

ラプンーソ「エンー!!」ドババッ

クロツグ「…!」

ラプンーソ「エンー!!」ドババッ

427: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:52:09.23 ID:2eoxe1bAO

ドガアアアン!!!

ラプンーソ「エンー!?」ドシャアッ!

純「!?」

「ロググッ!」

憂「あれは…ドクロッグ!!」

ドクロッグ「ロググッ!!」

クロツグ「これはダブルバトルだ。一体で来ても勝ち目はないぞ」

純「…ラプンーソ、戻って」シュウウッ

純「エヌターク!」ボム!

エヌターク(ストライク)「ストライー!」

憂「ぷりり、お願い!」ボム!

ぷりり(プクリン)「プック!」

428: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:54:35.19 ID:2eoxe1bAO

クロツグ「ドサイドン、“ロックブラスト”!」

ドサイドン「ドサイー!!」ブンッ

純「エヌターク、“きりさく”で岩を切り払って!!」

エヌターク「ストライ…」シュッ

シャキイイイイン!!!!

ドサドサッ

クロツグ「ほう…。しかし、切れるのはせいぜい二発!!
残りの岩はプクリンを襲うぞ!!」

ヒュウウッ!!!

ぷりり「!!?」ドガッ!!

429: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:56:21.39 ID:2eoxe1bAO

クロツグ「そしてその岩は…当たりだ!」

ドクロッグ「」ニヤッ

ぷりり「プック…!?」ジュワアッ

憂「…!? ぷりり!!」

ぷりり「プック…」クラッ

憂「“どく”…!!」

クロツグ「いや、“もうどく”さ」

アンズ「…岩に“どくどく”を付けていたでござるか」

クロツグ「そう! さすがは“どくタイプ”のエキスパートだな!!」

430: ぽけもん 2011/02/27(日) 09:58:10.10 ID:2eoxe1bAO

アンズ「……。これでは直にプクリンは…」

ぷりり「プック…」

憂「……」

憂「なら、最後に!
ぷりり、“うたう”!!」

ぷりり「プック!!」ラララー♪

ドクロッグ「…!!」

ドクロッグ「ZZz…」

クロツグ「む…!」

憂「やった…!」

ぷりり「」バタッ

憂「! ごめんね、ぷりり。ありがとう…」シュウウッ

431: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:00:21.43 ID:2eoxe1bAO

憂「ぶらら!!」ボム!

ぶらら「ブラー!」

純「よし! ドクロッグが眠っている隙に攻撃だ!!
エヌターク、“シザークロス”!!」

エヌターク「ストライー!」シャキンッ

憂「ぶらら、“あくのはどう”!」

ぶらら「ブラー!」ブオン!

ドクロッグ「…ログッ!!」パチッ!!

純憂「!?」

432: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:02:27.39 ID:2eoxe1bAO

クロツグ「惜しかったな!
“かわらわり”だ!!」

ドクロッグ「ロググッ!!」シュッ!

ぶらら「!」

ドガンッ!!!

ぶらら「」バタッ

クロツグ「ドサイドン、“がんせきほう”!!」

ドサイドン「ドサイー!!」ヒュッ!

ドオオオオオン!!!!

エヌターク「」ドサッ

純憂「ああっ!」

アンズ「…勝負あり、でござるな」

433: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:04:34.80 ID:2eoxe1bAO

憂「大丈夫? ぶらら」

ぶらら「ブラー…」

純「エヌターク…」ナデナデ

エヌターク「ストライー」

憂「でも、どうして目が覚めて…?」

クロツグ「ドクロッグの持ち物は“ラムのみ”だったのさ」

憂「それで…」

434: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:06:16.72 ID:2eoxe1bAO

純「はあ、ラプンーソがやられなければな~」

クロツグ「いや、そうでもないぞ!
ドサイドンの持ち物は“きあいのハチマキ”!! たとえ水技を喰らっても耐えたかもしれない」

純「むー…」

アンズ「さすがはクロツグ殿、戦略も完璧でござる」

クロツグ「いやいや、“きあいのハチマキ”は運もある! 必ずは発動するとは限らん!
そして、“うたう”がなければこちらも不意打ちをつけなかった!」

435: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:08:15.28 ID:2eoxe1bAO

憂「“うたう”がなければ、か~…」ショボ

純「でも私達、惜しかったってことだよね!」

アンズ「勝たなければ意味はないでござる」

純「また突っ掛かってくるし…。
私だってですねえ!」

アンズ「でも…」クルッ

純「ん?」

アンズ「タワー20連勝、おめでとうでござる。
少しは…見直したでござるよ」

純「…」

ボンッ!

純「…えっと//」

436: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:10:13.37 ID:2eoxe1bAO

純「は、恥ずかしいこと言わないでください! もっと突っ掛かってきてください!!
らしくないです!!」

アンズ「な、なにを! 私だって言いたくなかったでござるよ!!
ていうか、突っ掛かってきてほしいでござるのか!?」

ギャーギャー

憂「ふふ♪」ニコニコ

クロツグ「……憂ちゃん」

憂「え? あ…はい」

クロツグ「いい筋いっていたぞ。特に、“もうどく”状態で敵に攻撃を仕掛けてくる、“勇気”!! 目を見張るものがあった!!」

憂「いやあ…、えへへ…」

437: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:12:41.85 ID:2eoxe1bAO

クロツグ「その“勇気”!! ふむ……」

憂「…?」

クロツグ「今、ホウエン地方の“フロンティアブレーン”が一人欠けていてな。その空きが、ちょうど“勇気のブレーン”なのだ」

憂「“勇気のブレーン”…」

クロツグ「憂ちゃんも負けない“勇気”がある。
もしよかったらでいいが、ブレーンになってくれないかな?」

憂「……」

クロツグ「別にすぐじゃなくてもいいさ。今決めなくてもいい」

憂「そうですね……、」

438: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:14:21.21 ID:2eoxe1bAO

アンズ「大体、ここまで勝ち抜けたのも憂殿のおかげでござろう!!」

純「なにい!?
私だって頑張ったもん!!」

アンズ「自分で頑張ったと思っているうちは頑張ったに入らないでござる!」

純「じゃあ、私の実力見せてあげますよ!!」カチャ

アンズ「望むところでござる!!」カチャ

純アンズ「勝負!!」

ギャーギャー

憂「……」

憂(律さんとの約束もあるけど…
でも今は…まだ、この二人と旅をしていたい……)

憂「……」

憂「…考えておきます!」ニコッ

クロツグ「ふふ、そうか!」




439: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:16:06.52 ID:2eoxe1bAO
…………
………
……


クロツグ「それで、これからどうするんだ?」

純「私は“バトルフロンティア”に挑戦する気!
…あ、憂とアンズさんはどうする?」

憂「純ちゃんと一緒にいる!」

アンズ「しょうがないでござるな…、付き添うでござるよ」

純「…えへへっ、じゃあこれからもよろしく!」

アンズ「…ああ」

憂「うん!」

440: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:18:04.36 ID:2eoxe1bAO

クロツグ「まあ三人仲良くやりなさい。
…カイリュー!」ボム!

純「あれ? どこか行くの?」

クロツグ「ああ…、ちと遅くなる」タッ

カイリュー「リュー!!」ビュオオッ!!!

純「…相変わらずマイペースな人だな」

アンズ(血筋でござるか)

憂「純ちゃん、ちょっと寂しそうだね」

純「そ、そんなことないっ!」

憂「えへへ~」ニコニコ

アンズ「ふっ…」

純「…えへへっ」




441: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:20:07.65 ID:2eoxe1bAO
…………
………
……


ビュオオッ!

プルルル…

ピッ

クロツグ「もしもし?」

カトレア『クロツグさん! 今どこですか!?』

クロツグ「まあ、そうカッカするな。今向かっている」

カトレア『まだ、ですか!』

クロツグ「直に着く。切るぞ?」

カトレア『ちょっと…!!』

ピッ

クロツグ「…そう焦るな、カトレアよ」

ビュオオッ!!





442: ぽけもん 2011/02/27(日) 10:22:17.84 ID:2eoxe1bAO
…………
………
……


《ヤグルマのもり》


ツーツー…

カトレア「……」

カトレア「はあ…、クロツグさんはお忘れなのでしょうか…。
プラズマ団は…特に七賢人は仇であるのに……」

カトレア「……」ギュッ

カトレア「コクラン……」




Episode.14 fin





447: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:15:39.20 ID:oe0WijVAO


Episode.15




《シッポウシティ》

唯「戻ってきたねーっ! “シッポウシティ”!!」

律「アーティさんに感謝しないとな」

唯「うん! じゃあ博物館に行こう!」タッ!

律「……」

律(“ヤグルマのもり”…、なんか懐かしい感じがしたけど……)

律「なあ、唯…」クルッ

律「……」

律「あれ? …いねえ」




448: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:17:13.19 ID:oe0WijVAO
………
……


《シッポウはくぶつかん》


唯「ついたあ!」

唯「ここが博物館かあ…。色んなものがあるねえ、りっちゃん」

唯「……あれ?」

唯「り、りっちゃんがいない!
はぐれちゃった!?」

唯「置いてきちゃったんだ…!
ど、どど…どうしよう…」

449: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:19:26.16 ID:oe0WijVAO

「こんにちは。“シッポウはくぶつかん”へようこそ」

唯「ふぇ!?
あ、あなたは?」

キイチ「僕はキイチです。
あなたは唯さんですよね?」

唯「へ? なんで私の名前を…」

キイチ「アーティさんから話を聞いたんですよ。さあ、ジムへ案内しますよ」

唯「あ、えと…でも……」

唯(まありっちゃんも後で来るよね…)

キイチ「さあさあ、こちらです」

唯「あ、はい!」タタッ!



450: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:21:33.82 ID:oe0WijVAO


ウィーン


受付「いらっしゃいませー。ようこそ、“シッポウはくぶつかん”へ!」

梓「あ、どうも…」

紬「すごい所ね~。骨や化石がたくさんあるわ~♪」キラキラ

受付「よろしかったら、展示品をご案内しましょうか?」

紬「いいんですか!?」キッ

受付「え! あ…はい…」

紬「やった!」

受付「こちらです」

紬「行こう行こう♪ 梓ちゃん!」

梓「え…? ちょっと…」

梓(復元を先にやりたいんだけど…。まあムギ先輩だし、悪気はないだろうし……。
イッシュのポケモンや歴史を知るいい機会かもしれない…)

受付「まずはこの世界中を飛び回っていたドラゴンポケモンの骨格標本ですが……」




451: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:23:06.16 ID:oe0WijVAO
…………
………
……



《はくぶつかん・・・シッポウジム》


キイチ「着きましたよ」

唯「へえ~、ジムは図書館の中にあるんですか?」

キイチ「そうですね。でもジムリーダーに会うには…」

唯「あーっ! 絵本がある~♪」タタッ

キイチ「あれれ…」

唯「『はじめましてポケモンちゃん』、これ面白そう~♪」ガシッ

452: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:25:05.40 ID:oe0WijVAO

唯「♪」ピラッ

『へえ…、入ってきた手前、すぐにこの本を手にとるとはね……』

唯「!?」

『ずいぶんと運のいい子だね。いや、直感力があるのかい?』

唯「ほ、本が喋ってる…!?」

『馬鹿だね、本が喋るわけないじゃないか』

ガタッ!

唯「今度は本棚が動いて……!!」

ガタアン!!

ツカツカ…

唯「!!」

「ようこそ、シッポウジムへ」




453: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:27:24.69 ID:oe0WijVAO
………
……



律「唯ー! いるか~!?」

律「いたら返事……。ん? あれは…」



受付「そして最後に、こちらが“こだいのしろ”に埋もれていた古代の丸い石です」

梓「これはなにかすごい石なんですか?
見たところ、ただの石ですけど…」

受付「はい。そのとおり、ただの石でございます」

梓紬「え?」

454: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:29:06.26 ID:oe0WijVAO

受付「何の変哲もない、ただ古いだけの石で、ですがとても綺麗なので展示しているんです」

梓「そうなんですか…」

紬「面白いわね~」

受付「これで展示品はすべてご案内いたしました。また何かあったら気軽に言ってください。
ではごゆっくりと」

紬「ありがとうございました~♪」

梓「じゃあ化石の復元をしましょうk…」

律「ムギ~! 梓~!」

梓「…へ?」

455: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:31:10.68 ID:oe0WijVAO

紬「りっちゃん!!」

律「ようっ! 久しぶりだな!」

梓「律先輩!」

律「なにしてるんだ?」

梓「私達は化石の復元をしに…」

律「なんだそりゃ?」

梓「科学技術で、太古のポケモンの化石を生き返らせることができるんですよ」

律「すげえな」

紬「りっちゃん、博物館にいたのね~」

律「まあ今さっき来たんだけどな」

梓「律先輩が博物館って、全然似合いませんねっ」クスッ

律「なんだってぇ?」ズイッ

梓「にゃああああ!!!」




456: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:33:11.88 ID:oe0WijVAO
………
……


《シッポウジム》


唯「すごい! 本棚が動いて、階段が!!」

「驚いたかい? この仕掛けは私が考えたのさ。
博物館の中にジムを置いたのも私…」

唯「っていうことは…!!」

アロエ「そう、私はアロエ!
シッポウジムジムリーダー、アロエさ!!」

唯「あなたが…!」

457: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:35:28.65 ID:oe0WijVAO

キイチ「アロエさんはこの博物館の館長でもあるんですよ」

唯「すごーい!」

キイチ「それと…僕の自慢の、強くて優しい妻でもあります」

唯「ええ! 夫婦なんですか!?」

アロエ「挑戦者が来る度に、いちいちそんなプライベートなこと報告しなくていいんだよ、キイチ」

キイチ「はは、すみません」

アロエ「さあ下りてきな、挑戦者。
私が相手をするよ」

唯「…はい!」




458: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:37:01.94 ID:oe0WijVAO
………
……



唯「ここでバトルを?」

アロエ「ああ。私の書斎でもあるけど、まあ競技場もあるからね」

唯「よおーっし! やっるぞー!!」

アロエ「ふふ、アーティを敗った実力…見せてもらおうか!!」

唯「…?」

アロエ「…どうかしたかい?」

唯「えと…私、アーティさんと戦ってないです」

アロエ「!」

459: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:39:07.99 ID:oe0WijVAO

唯「アーティさんに勝ったのは私と一緒に旅をしている子で…」

アロエ「……」ジロッ

アロエ「まあ確かに。あんた、バトルに向いてる感じじゃないね」

唯「ええっ!」ガーン!

アロエ「……。あんた、手持ちを見せてみな」

唯「ええと…」

唯「えいっ」ボム!

チー太「チー!」

アロエ「……」

アロエ(レベルはあまり高くないか…)

460: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:42:41.29 ID:oe0WijVAO

アロエ「んー…まあいいか。せっかく来てくれたんだ、ジム戦を受けよう。あんたのバトルも見てみたいしね」

唯「はい!」

キイチ「では、ジムリーダーのアロエと、挑戦者の唯さんのバトルを行います!
使用ポケモンは二体です!
では……、始め!!」

アロエ「ハーデリア! いきな!!」ボム!

ハーデリア「ワン!」

唯「…ああっ!!」

アロエ「…!?」

唯「かっわいい~!!」スリスリ

ハーデリア「ワン!?」

アロエキイチ「」ガクッ

461: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:46:41.71 ID:oe0WijVAO

唯「ふくふく~♪」スリスリ

アロエ「おいおい、バトルの最中だろ?」

唯「はっ! そうでした!」

アロエ「まったく…」

唯「まずは…」ピッ

ポケモン図鑑『ハーデリア、ちゅうけんポケモン
ヨーテリーの進化系。マントのように からだを おおう くろい たいもうは とても かたい。 うけた ダメージを へらしてくれる。』

唯「いけえ! ムー太!」ボム!

ムー太「ムウウ!」

アロエ「ムンナかい。
…どこからでもかかってきな」

462: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:48:41.24 ID:oe0WijVAO

唯「じゃあ遠慮なく! ムー太、“サイコウェーブ”!!」

ムー太「ムウウ!!」ヴオオン!

ハーデリア「」ピクッ

アロエ「フフ、ハーデリア! “シャドーボール”!!」

ハーデリア「ウオオン!!」ビュワッ!!

パアアアン!!!

ムー太「…!!」

唯「“サイコウェーブ”の軌道を的確に…!」

アロエ「ハーデリアの顔の毛はレーダーなのさ!
どんな攻撃も、軌道を読めさえすれば弾き返せる!!」

唯「レーダー…!」

463: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:56:51.06 ID:oe0WijVAO

アロエ「フフ、怖じけづいたかい?」

唯「ううん! 全っ然!!」

アロエ「!? ハーデリアがいない!?」

ハーデリア「ワオオン!?」フワフワ

アロエ「…! 空中に?!」

唯「ムー太の“テレキネシス”だよ!」

アロエ「ムンナの念力で浮いているのか!」

唯「そう! でもハーデリアはあの状態で、自由に動けないよね?」

アロエ「…まさか!」

464: ぽけもん 2011/02/28(月) 20:59:53.06 ID:oe0WijVAO

唯「レーダーも意味ないよ!
今度こそ、“サイコウェーブ”!!」

ムー太「ムウウ!!」ヴオオン!!

ハーデリア「」ドサッ

アロエ「…!!」

キイチ「ハ、ハーデリア戦闘不能です!」

唯「やった!」

アロエ「へえ…、なかなかやるじゃないかい」

465: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:02:32.91 ID:oe0WijVAO

アロエ「戻りな、ハーデリア!」シュウウッ

唯「!」

アロエ「ミルホッグ! 頼んだよ!!」ボム!

ミルホッグ「ミール!!」

唯「む!」ピッ

ポケモン図鑑「ミルホッグ、けいかいポケモン
ほっぺの ふくろに ためた きのみの タネを とばして こうげき。 てきを はっけんすると しっぽを たてる。』

唯「強そうだね…」

ミルホッグ「ミルゥー!!」

唯「よし、また“テレキネシス”で…」

466: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:04:40.19 ID:oe0WijVAO

アロエ「そう何度も同じ手に引っ掛かるかい!
ミルホッグ、“みきり”!」

ミルホッグ「ミル!」キッ

ムー太「ムウウ!?」

ミルホッグ「…ミル!!」スタッ!

ムー太「ムウウ…!」グラッ…

唯「え…!?」

アロエ「“いかりのまえば”…、体力を根こそぎ奪ってやったさ!」

ミルホッグ「」ニヤ

467: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:06:05.68 ID:oe0WijVAO

アロエ「今度は戦闘不能にしてやる! “ひっさつまえば”だ!!」

ミルホッグ「ミル!」ダッ!

唯「ムー太!!」

ミルホッグ「」ガキイイッ!!!

ムー太「ムウウ…」バタッ

キイチ「ムンナ戦闘不能です!!」

唯「ああ…」

アロエ「フフフ、こいつは一筋縄ではいかないよ」

唯「ごめんね、ムー太。休んでて…」シュウウッ

468: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:08:03.94 ID:oe0WijVAO

唯「チー太、お願いっ!」ボム!

チー太「チー!」

アロエ「そのチラーミィに、私のミルホッグに対抗できるほどの力があるかな?」

ミルホッグ「ミル!!」ダッ!

唯「“スイープビンタ”!」

チー太「チー!」シュッ!

ミルホッグ「…!」

アロエ「受け止めなァ!!」

ガキイイッ!!!!!

469: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:10:42.69 ID:oe0WijVAO

ミルホッグ「ミル…!」ガシッ…

チー太「チー…!」ガチッ…

アロエ「ふうん…、やるねえ」

唯「“くすぐる”!!」

チー太「チー!!」スッ!

アロエ「おっとお! “みきり”だ!!」

ミルホッグ「ミル!」キッ

チー太「!!」

アロエ「パワーで押し切って駄目なら、戦い方を変えてみようか!」

唯「なにを…?」

470: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:12:31.94 ID:oe0WijVAO

アロエ「“シャドーボール”!!」

ミルホッグ「ミール!!」ビュワッ!!

キイチ「いっ!? その方向は…!!」

パリイイン!!!

唯「なんの音!?」

フッ…

唯「!? 真っ暗に…!」

キイチ「ちょっとお! アロエさん!!
ここを照らしていた蝋燭の火を消してしまって!!」

アロエ「ハッハッハ! まあ気にするな、キイチ!」

キイチ「気にしますよ!」

471: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:16:04.06 ID:oe0WijVAO

唯「なにも見えない…」

アロエ「フフ、そうさね。私もなにも見えないさ」

唯「じゃあどうしてこんな…」

アロエ「フフ…」

バシイイン!!!

チー太「チー!?」

唯「! チー太!?」

アロエ「…確かに私達はこの闇の中では視界が奪われるだろう。
…私達は、ね」

472: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:18:06.86 ID:oe0WijVAO

ミルホッグ「ミール!!」カッ!

唯「!」

アロエ「ミルホッグ、“ひっさつまえば”!」

ミルホッグ「ミル!!」ダッ!

ガキイイッ!!

チー太「!?」

アロエ「ミルホッグはね、“暗闇でも周りを見通す目”を持っているんだ!
もうあんたに勝機はないよ!!」

アロエ「ミルホッグだけがこの暗闇の中を自由に動けるのさ!」

唯「……!」ジリッ

473: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:20:03.68 ID:oe0WijVAO

アロエ「降参するかい? 挑戦者」

唯「…降参なんてしないよ!
ここで降参なんてしたら、ムー太とチー太の頑張りが無駄になっちゃうもん!!
私はトレーナー! ポケモンを裏切りたくない!!」

アロエ「そいつは立派だねえ。でも…どうするんだい?」

唯「……」

唯(うう…なにも見えない…。ううん、そんなことチー太も一緒だよ! チー太が不安になってる…、私がしっかりしなくちゃ!)

474: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:22:43.19 ID:oe0WijVAO

唯(だけど、どうすれば…)

キラッ

唯「!」カチャ

唯(チー太の“フレンドボール”…。微かだけど光ってる……。こんなに磨いてたっけ?)

フサッ…

唯(! この毛は…)

唯「…」カチャ…

唯(それと…りっちゃんのジムバッジ……)

アロエ「どうした? 黙りこくって。
諦めな、この状況を打破する方法なんてないよ!」

475: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:24:05.39 ID:oe0WijVAO

唯「…思い付いたかも」

アロエ「! なに…!?」

唯「チー太、“くすぐる”!!」

チー太「…!」ダッ!

アロエ「ミルホッグ、一応気をつけな!」

チー太「」シュッシュッ

フキフキ…

アロエ「!? なにをしてる…?」

476: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:28:07.83 ID:oe0WijVAO

唯「私もさっき気付いたんだけど、チラーミィってみんな“きれい好き”みたいなんだよね」

アロエ「……?」

唯「あと、ジムバッジって汚れたりするとちゃんと拭かなきゃダメみたい」

唯「そして、綺麗に拭いたら…」

キラッ!

唯「いつも以上にピカピカになる!!」

ピカアアッ!!!

ミルホッグ「ミル!?」

アロエ「バッジの光で“フラッシュ”だって…!?」

477: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:29:23.69 ID:oe0WijVAO

ミルホッグ「ミル…」

アロエ「ミルホッグの自慢の目も、今は効かないじゃないか…。ミルホッグ、大丈……」

チー太「…」タッ!

アロエ「…!!」

唯「今だよ! “スピードスター”!!」

チー太「チー!!」

カカッ!!

ミルホッグ「ミルゥ!?」

ドガアン!!!

アロエ「ミルホッグ!!」

ミルホッグ「」バタッ

478: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:32:16.90 ID:oe0WijVAO

キイチ「ミルホッグ戦闘不能、よって勝者は…平沢唯さん!!」

唯「勝ったあ!!」

アロエ「……!!」

アロエ「…負けたよ。まさかバッジをバトルに使うなんて…」

アロエ「…ん?」

唯「チー太ぁ、ムー太ぁ、よくやったよぉ~! よーしよし~!」

チー太「チー!」 ムー太「ムー!」

アロエ「……」

アロエ(ポケモンが頑張った後は褒める…。
バトルの勝敗なんて関係ない。これがトレーナー…いや、人間とポケモンの関わり方の“真実”なのかもしれないね…)

アロエ「……フフ」

キイチ「…?」

479: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:34:05.10 ID:oe0WijVAO

アロエ「いいバトルだった! あんたの実力を認め、ジムバッジを授けるよ。“ベーシックバッジ”だ!!」

唯「わあい♪」

アロエ「……フフ」

キイチ「どうしたんですか? アロエさん。
さっきからニヤついて…」

アロエ「…いや、なんでもないさ」

キイチ「?」

唯「あ、そうだ…りっちゃんを探さないと…」

ダダダッ!!

受付「アロエさん! キイチさん! 大変です~!!」

アロエキイチ唯「…!!」




480: ぽけもん 2011/02/28(月) 21:36:17.94 ID:oe0WijVAO
………
……



梓「すみませんすみません…」ギュウウッ

律「んで、唯を見なかったか?」

紬「唯ちゃん?」

律「ああ、ここに来てるはずなんだけど…」

梓「そ、そうです! 律先輩!」バッ!

律「?」

梓「律先輩達に伝えることが…」

紬「あ! そうだったわ! あのね、りっちゃん…」

ドオオオオオン!!!!

律梓紬「!!?」

下っ端男女「プラーズマー!!」

下っ端女「ここが博物館ね!」

下っ端男「ドラゴンポケモンの骨! 貰いにきたぜー!!」

律「プラズマ団!!」




Episode.15 fin





485: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:23:42.31 ID:cGCH48aAO


Episode.16




アロエ「何事だい!?」

唯「ああっ! あの人たちは…」

律「唯!」

梓「唯先輩!」 紬「唯ちゃん!」

唯「りっちゃん! あずにゃんにムギちゃんまで!?」

アロエ「知り合いかい?」

唯「は、はい! 同じトレーナーズスクールの友達で…」

486: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:25:13.17 ID:cGCH48aAO

律「…唯、この人は?」

唯「ジムリーダーのアロエさんだよ!」

律「! この人が…。
ジム戦はしたのか?」

唯「うん、見事に勝ちました!」キラッ

紬「すごい、唯ちゃん!」

唯「えへへ…」

アロエ「…お喋りはそこら辺にしておきな。
奴らがもしかして…?」

律「あいつらがプラズマ団です」

487: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:27:03.20 ID:cGCH48aAO

アロエ「やっぱりか…。アーティの話通りなら、ここに来たのも、なにか悪さをするためか?」

梓「『ドラゴンポケモンの骨を貰いにきた』って言ってました!」

アロエ「……。まあ直接奴らに聞いた方が早いな」

アロエ「おい! プラズマ団とやら!!」

下っ端男女「!」

アロエ「お前ら、ここに何しに来たんだい!?
なにか悪さをするつもりなら、この私が許さないよ!!」

下っ端男女「……」

488: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:29:08.01 ID:cGCH48aAO

下っ端男「ふふ…悪さ、ねえ……」

下っ端女「私達はポケモンのために行動をしているだけよ」

アロエ「……」

下っ端男「いいだろう。我らが本気だということを示すため、あえてジムリーダーであるお前の前で…この、ドラゴンポケモンの骨を奪ってみせよう!!」

アロエ「なに…?」

モクモク……

律「! また煙幕か!?」

唯「な、なにも見えないよ…」

紬「まずいわ…」

梓「奴らは…プラズマ団はなにをして……」

489: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:31:10.78 ID:cGCH48aAO

シュウウ……

アロエ・キイチ「!!?」

キイチ「そ、そんな…!
ドラゴンの頭の骨が……ない!!」

アロエ「! 奴らだ!!」

下っ端男「ふふふ、骨は貰ったぜ」

下っ端女「ここに用はないわ! じゃあね!」

アロエ「待て!!」

下っ端男「早く澪様のところへ持って行くぞ!」ダッ!

唯律梓紬「!!」

律「み、澪…!?」

唯「今、澪って…!」

紬「追いましょう!!」

梓「そうです! いずれにせよ、プラズマ団を捕まえないと!!」




490: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:33:03.25 ID:cGCH48aAO
………
……


《はくぶつかん外》


アロエ「……」

キイチ「……」

唯「アロエさん! キイチさん!」

アロエ「!」

律「奴らは…?」

アロエ「…逃げられちまったよ」

梓「…プラズマ団はどこへ?」

アロエ「逃げた方向は“ヤグルマのもり”の方さ」

紬「“ヤグルマのもり”…」

491: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:35:03.71 ID:cGCH48aAO

アロエ「く…、追いかけたいが、またプラズマ団が来るかもしれない…。今博物館から離れるわけには…」

唯「私たちが行きます!」

アロエ「…!」

唯「絶対に盗まれた骨を取り返してきます!!
…ね?」

律「ああ!」

梓「はい!」

紬「ええ!」

アロエ「……。そうかい、頼んだよ。お前たち!」




492: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:37:03.97 ID:cGCH48aAO
…………
………
……


《ヤグルマのもり》


梓「…分かれ道ですけど……」

紬「プラズマ団がどっちへ逃げたか分からないわね…」

唯「二手に分かれよう!」

律「そうだな。その方が早く見つかる!
じゃあ、私と唯は左の道! ムギと梓はまっすぐの道を探してくれ!!」

梓「わかりました!」

紬「じゃあ、見つけたらここで合流しよう?」

唯「うん!」

律「…場合によっては戦闘になると思う。みんな、頑張ってくれ!」

唯「うん!」 梓「はい!」 紬「ええ!」




493: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:39:03.13 ID:cGCH48aAO
………
……


《まっすぐの道》


「だぁー、クソッ!!」

「なんで俺達があいつの言いなりにならなくちゃいけないんだ!!」

「まったくだよなあ、デント…」

デント「ああともさ、ポッド!
ゲーチス様はなんであんな小娘を……。どういうつもりなんだ!!」

ポッド「さあなあ…。どう思う? コーン」

コーン「ふむ…。でも確かに我ら“ダークトリニティ”がゲーチス様の親衛隊から外されたのは解せませんね」

494: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:41:02.84 ID:cGCH48aAO

デント「だろう!?
なんであんな新米どもに俺たちの地位を…!!」

ポッド「まあでも、こうやって任務をやっていけているわけだし。まだいい方かなー…」

コーン「下っ端扱いですがねえ…」

ポッド「…」

デント「クッソォ…!!」

タッ…タッ…

コーン「…?」

ポッド「誰か来るッ?」

デント「…!!」

梓「あっ!」

紬「あなたたちは…!」

デント「……ククッ、これはこれは…楽しい料理(バトル)になりそうだね」




495: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:43:05.75 ID:cGCH48aAO
………
……


《左の道》


唯「うう~…迷ったあ……」

律「前にアーティさんが言ってた通り、こっちは凄く迷いやすい道だな…」

唯「プラズマ団の人達もこんな道は通らないかな…?」

「あーん、もうっ! なんなのよ、この森は!!」

唯律「!」

唯「あーっ!」

律「プラズマ団!!」

下っ端女「あら! まずい…! もう追いついたの!?」

496: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:45:04.53 ID:cGCH48aAO

律「ドラゴンの骨を返せ!!」

下っ端女「返せと言われて返すなんて馬鹿のやることね!
ズルッグ!」ボム!

ズルッグ「ズルー!」

律「ボルト!!」ボム!

ボルト「シマー!!」

律「“じゅうでん”して“でんげきは”!!」

ボルト「シマァァ…!!」ビリリ…

ズルッグ「!?」

ピシャアアアアン!!!

ズルッグ「」ガクッ

下っ端女「!!」

497: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:47:06.09 ID:cGCH48aAO

律「どうする? 骨を返すか、ボルトの電撃を喰らうか!!」

下っ端女「く…、私は持ってないわよ…」

律「なに…」

唯「りっちゃん! 男の人がいないよ!」

律「!」

下っ端女「そうよ。下っ端男が今、澪様へ渡しに行ったのよ」

律「また澪って…、お前ら…澪を知ってるのか!?」

下っ端女「…。さあね、自分たちの目で確かめてみたら?」

唯「行こう、りっちゃん!」

律「…ああ!」




498: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:49:04.74 ID:cGCH48aAO
………
……


《ヤグルマのもり最深部》


下っ端男「はっはっ…」タッタッタ…

下っ端男「下っ端女が追っ手の足止めをしてるはずだが…大丈夫かな?」

下っ端男「はっはっ…もうすぐ着くはずだ…」タッタッタ…

下っ端男「!!」ピタッ

下っ端男「澪様ァ!!」

澪「…!」

499: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:51:03.47 ID:cGCH48aAO

澪「どうだった?」

下っ端男「はい! 任務完了です!
しかし…、我々を追ってくる者が…」

ザッ!!

唯律「見つけた!!」

下っ端男「ゲッ…」

唯律「…!!?」

律「み、澪!!」 唯「澪ちゃん!!」

澪「……」

律「良かった…。無事だったんだな!」

唯「私達、ずっと探してたんだよ?
また会えてよかったぁ~。
あとはシルベル君だけだねえ」

律「シルバーな?」

唯「えへへ…そうでした」

500: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:53:03.91 ID:cGCH48aAO

律「でも本当良かったよ!
まったく、心配させんなよな。澪!」

澪「……」

唯「…?」

律「ど、どうしたんだ…? 澪…。
『わ~ん! りつぅ~!!』とか言って泣いてもいいんだぜ?」

澪「……」スッ

澪「…早速、ドラゴンの骨を見せてみろ」

下っ端男「はっ!」サッ

澪「ふうん…。これがか……」

501: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:55:38.17 ID:cGCH48aAO

唯「え……?」

律「み、澪?」

澪「……気安く呼ぶな。お前たち下等なトレーナーになど、名を呼ばれたくはない」

律「どうしたんだ…? 澪……?」

澪「私は秋山澪。
プラズマ団…、ゲーチス様直属の親衛隊“ダークトリニティ《改》”の秋山澪だ」

唯律「…!?」




502: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:57:14.79 ID:cGCH48aAO
………
……


《まっすぐの道》


デント「ヤナップ!」ボム!

ヤナップ「ナップ!」

紬「ネル!」ボム!

ネル(ネイティオ)「トゥートゥー!」

紬「“エアカッター”!!」

ネル「」シュッ!

ザキイイッ!!!

ヤナップ「ナップ…!!」

503: ぽけもん 2011/03/01(火) 16:59:02.71 ID:cGCH48aAO

デント「力強いテイストじゃないか!
でも…」

ポッド「焼き加減がなってないぜッ!!
バオップ、“はじけるほのお”!!」

バオップ「バオッ!」ボワアアアアアッ!!!

ネル「!?」

ボオオオオオオオ!!!!

ポッド「ハッハーッ!! ウェルダン通り越しちまって、まる焦げかァッ!!?」

504: ぽけもん 2011/03/01(火) 17:01:07.83 ID:cGCH48aAO

シュウウッ…

梓「またこの手にやられましたね」

デント・ポッド「!!」

デビちゃん(デルビル)「ウオオン!!」

紬「梓ちゃん!」

ポッド「グッッ…!!」

デント「“もらいび”か!!」

梓「焼くならこっちが最適ですよ!
“オーバーヒート”!!」

デビちゃん「ウオ…」

コーン「させませんよ!!」

505: ぽけもん 2011/03/01(火) 17:03:15.90 ID:cGCH48aAO

ヒヤップ「ヒヤッ!」プシャアッ!!

デビちゃん「…!?」

コーン「火の扱いには気をつけませんと…、あまり強火にしても焦げるばかりです」

梓「この前とは違って、もう一人…!」

紬「この三人のコンビネーション!!」

梓「なんにしても、2対3じゃあ不利です!!」

紬「三人といえば…、シンオウの事件の最後には純ちゃんがいてくれたわね…」

梓「純でもいないよりはマシですね…」

ガサガサッ!!

梓紬「…?」

506: ぽけもん 2011/03/01(火) 17:05:21.14 ID:cGCH48aAO

「なんだってんだよーっ!!!」

梓紬「!!?」

梓「こ、この雑音は…!! まさか…!」

紬「純ちゃ…」

ガサッ!

「なんだかなー、この森迷いやすいなぁ…。あ、やっと大きい道に出られた…」

梓紬「あれ…?」

「…ん?」




Episode.16 fin





511: ぽけもん 2011/03/02(水) 20:06:53.74 ID:vYiXe9uAO


Episode.17




《ヤグルマのもり最深部》


澪「コロぽん、“かぜおこし”」

コロぽん(コロモリ)「コロー!」ビュオオッ!!

唯「うああっ!」

律「この風…!!
“ちかすいみゃくのあな”での…!?」

澪「ああ、我らの同志を助けるために私がやったのさ」

律「嘘だろ…澪……!」

唯「なんで…? 澪ちゃん……」

512: ぽけもん 2011/03/02(水) 20:08:09.41 ID:vYiXe9uAO

澪「私はゲーチス様のご命令どおりに動いているだけだ。
任務遂行のため、邪魔者を排除する!」

ビュオオッ!!!

唯「ううっ……」

律「任務…って……、ドラゴンの骨を盗むことかよ…?」

澪「ああ、そうだ。ゲーチス様は、この骨が伝説のドラゴンポケモンに関わりがあるかどうか調べてこいとご命令されたんだ」

律「…そんなことのために……」

澪「?」

律「澪…、お前…自分がしていること……分かってるのか!?」

澪「……」

513: ぽけもん 2011/03/02(水) 20:10:04.90 ID:vYiXe9uAO

律「人の物を盗んだら泥棒…、トレーナーズスクールで習っただろ…!
さわちゃんから教わっただろ!!」

澪「……」

律「分かってるのか聞いてるんだよ!!!」

澪「…私の師はゲーチス様ただ一人。愚かな人間どもの言うことなど、聞く耳持たないさ」

律「このやろォ!! ボルト!!」

ボルト「シマー!!」ダッ!!

澪「コロぽん、“ハートスタンプ”」

コロぽん「モリー!」ヒュッ!

ボルト「シマ!?」

ドン!!!

ボルト「」ドサッ

律「…!!」

514: ぽけもん 2011/03/02(水) 20:12:04.06 ID:vYiXe9uAO

唯「チー太あ!」ボム!

チー太「チー!!」

澪「“かぜおこし”」

ビュオオッ!!!

唯「きゃああっ!!」

チー太「チー!?」

唯チー太「」ドサッ

律「唯!!」

澪「……」

律「澪…てめえ…!! 唯に攻撃するなんて…私たち、友達だろ!? 忘れちまったのかよ!!」

515: ぽけもん 2011/03/02(水) 20:14:04.14 ID:vYiXe9uAO

澪「……」ブンッ!

カラカラン!!

律「…!」

澪「ドラゴンの骨だ。返してやる。どうやら、特に珍しいものでもなかったみたいだ」

律「……」

澪「もうここに用はない。
…行くぞ!」

下っ端男「はっ! 澪様!」

律「……。澪…!!」ギリッ



次回 唯律「ぽけもんだぜー!!」澪「ぽけもん…」紬「ぽけもんね~」梓「ぽけもんです!」 後編