唯律澪紬梓「ぽけもん!!!」 前編

487: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:24:43.03 ID:MqTajHlAO
………
……


《プラズマ団の城―上階》


タッタッタ……

唯「ふぇぇ、つかれたぁー」バタァ

律澪「おい」

律「敵地の真ん中で、呑気なもんだな唯はー」

唯「むうー…でも、ここまで団員さんたちを一人も見てないよ?」

律「大方、全員が下の戦いに充てられてるんだろ」

引用元: 唯律澪紬梓「ぽけもん!!!」 




488: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:26:05.42 ID:MqTajHlAO

唯「それじゃあ、ここにいるプラズマ団の人は少ないってこと?」

澪「…確か作戦では七賢人もダークトリニティも、ポケモンリーグか、ここより下の階で待機しているはずだけど…」

唯律「!!」

澪「だから多分…この階やここより上の階に残っているのはゲーチス、ダークトリニティ《改》くらいだと思う」

律「あとNとシルバーか」

唯「さっすが澪ちゃん!」

澪「情報の入手元は褒められたものじゃないけどな…」

澪「……!」

律「? どうした、澪」

澪「いや…この先のホール……」

唯律「…?」

489: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:27:58.60 ID:MqTajHlAO

澪「ダークトリニティ《改》が待機している場所だ…」

唯律「…!!」

澪「……」

唯「澪ちゃん、?」

律「まさか…」

澪「…唯と律は先に最上階を目指してくれ。私は……ケリを着けに行く」

律「澪……」

澪「それにここで奴らを放って、後で追ってこられて足止めを食らうのも困るだろ?」

唯律「………」

律「…よし」

律「頼んだ、澪!」

唯「終わったら、すぐ追いかけてきてね!」

澪「ああ、必ず…」

律「…そうだ、澪!」

澪「ん?」

律「騒ぎが全部収まったら、またバトルしようぜ!」

澪「…うんっ!」




490: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:30:32.58 ID:MqTajHlAO



サキ「……澪か?」

澪「……」

ミツル「ひゃはは」

サキ「フンフフフ、ゲーチス様の術が解けたみたいだな」

澪「……ゲーチスは?」

サキ「フフ、あの小娘どもを追いかけて行かれたさ」

澪「…!」

ザッ!

ミツル「行かせねえZE☆」

ロゼリア「ロゼー!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」

澪「くっ…!」

サキ「…ダークトリニティ《改》。もう解散するハメとなったか」

ミツル「まあ、いつでも補充は利くだろ?」

サキ「フンフフフ、そうだな……まずは、この裏切り者を消すことを優先すべきだよ」

澪「……」カチャ…




491: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:34:27.29 ID:MqTajHlAO
………
……


《ダークトリニティの間》


ガチャ…

ダイゴ「へえ、中々いい部屋だ。草木が生い茂って、建物の中とは思えないね」

「お褒めの言葉どうも」

ダイゴ「! 君は…」

デント「サンヨウシティジムジムリーダー兼、プラズマ団ダークトリニティ……デントだ」

ダイゴ「すごい肩書きだね。僕には大した肩書きなんてないけど、でもこの称号には誇りを持っているよ」

ダイゴ「…ホウエン地方リーグチャンピオン、ダイゴ。大悟をもってお相手するよ! ダイゴだけにね!」カチャ

デント「ふふ、言葉の使い方を間違えているのは否めないけど。しかしそれを掻き消すようなシックなテイストだ! 君の目は!!」カチャ




492: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:36:03.93 ID:MqTajHlAO



ワタル「『あっついバトル』ね…」ガチャ

モアッ……

ワタル「! ~ッ」

ワタル「なんだこの唸るような熱気は!?」

「ようッ! 待ってたぜ、チャンピオンッ!」

ワタル「お前は…いちいち打つのが面倒臭い語尾を付ける奴!!」

ポッド「ポッドだッ!!」

ワタル「…サザナミタウンの……!」

ポッド「さあ、あっついバトル、おっ始めようぜッッ!!」

ワタル「ふっ…また同じ結果になる! カイリュー!!」ボム!

カイリュー「リュー!!」

493: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:38:06.54 ID:MqTajHlAO

ポッド「この前みたいにはいかねえぜッ!」

ボワッ!

「バーオ!!」

ワタル「! 灼熱の炎の中から現れたコイツは!?」

ポッド「ひのこポケモン、バオッキーだッ!
…バオッキーッッ!!」

バオッキー「バーオッ!!」ゴウッ…!!!!

ワタル「!」

ポッド「バオッキーってポケモンはなッ。体内の炎を燃やし、エネルギーにするんだッ!
今ッ、バオッキーの体温は最高点ッッ!! 体には莫大なエネルギーが溜まっているぜッッッ!!!」

ワタル「ボールに仕舞わず、炎の中に居させたのはこのためか」

ポッド「そうッ! そしてッッ!!
そのエネルギーから繰り出される技ッ、“オーバーヒート”ッッ!!!」

バオッキー「バーオォオオオッ!!!」

ボワアアア!!!!!!

494: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:40:44.46 ID:MqTajHlAO

ゴウウッ…!!!!!!

ワタル「なるほど…腕を上げてきたようだな。だが…、」

ワタル「カイリュー! “はかいこうせん”!!」

カイリュー「リュー!!」カッ

ドギュウウウウウ!!!!!!!

バオッキー「バオー…ッ!?」

ドオオオン!!!!!!!!!!!

ワタル「俺のカイリューには敵わん!!」

バオッキー「…、」バタッ

ポッド「チッ! 戻れッ、バオッキー…ッ!!」パシュッ

ワタル「ふ、もう諦めるか?」

ポッド「まさかッ! 切り札は最後まで取っておくもんなんだよッッ!!
行けッ、テッシードッッ!!」ボム!

テッシード「ジィー!!」

495: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:42:15.59 ID:MqTajHlAO

ワタル「…? ふ、それが切り札か? 笑えないな」

ワタル「切り札とは手持ちで最も強いポケモンのこと! そんなちっぽけなポケモンのことではない!
では強いポケモンとはなにか?」

ワタル「それはドラゴンポケモンだ!! ポケモンで最強はドラゴンポケモンなのだ!!!
カイリュー! “はかいこうせん”!!」

ドオオオオオオッ!!!!!!!

ポッド「ハッ…」

カイリュー「!?」

テッシード「ジィー!!」

ワタル「なに!?」

ポッド「確かになぁ。ドラゴンポケモンは強いよ。だがなぁッ、聞いた話によると、お前のドラゴンポケモンが使う技は“はかいこうせん”。ただそれのみッ!
“はかいこうせん”がどんなポケモンにも効くと思うのかッ!? それで最強を語るな、雑魚がァッ!!!」

テッシード「ジィー!!」ギュルッ!

ワタル「“こうそくスピン”!?
そうか…! “はかいこうせん”のダメージはこれで軽減されたのか!!」

496: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:45:06.54 ID:MqTajHlAO

ポッド「それだけじゃないぜッ? テッシードの特性“てつのトゲ”ッ!
身体のまわりのトゲは触れた相手にダメージを与えるッ!!」

カイリュー「リュー…!?」ズキッ…!

ワタル「! カイリューの身体に大量のトゲが…!?」

ポッド「“こうそくスピン”で飛ばしたのさッ! “とげキャノン”みたいなもんだッッ!!」

カイリュー「リュー…!」フラフラ

ポッド「トドメをささせて貰うぜーッ!! もう一度“こうそくスピン”だッッ!!!」

テッシード「ジィー!!!」ギュルッ

カイリュー「…!!」

グサ グサ グサ!!!!

ポッド「ククッ………あ?」

カイリュー「…?」

ワタル「……ッ」ボタボタ……

497: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:46:12.78 ID:MqTajHlAO

ポッド「な…ッ!!? お前…!!」

ポッド「正気か!? この大量のトゲを人間が受け止めるとはッ!!?」

ワタル「……。悪いが…俺は“はかいこうせん”以外に技を使う気はない。
だからこうして俺自身がガードに回った訳だが……、覚悟は出来ているだろうな?」

ポッド「覚悟、だって…ッ?」

ワタル「…ポケモンバトルとは、その名の通り、ポケモン同士が戦う! だがそれを指示するトレーナーも、いついかなる時もポケモンと共にいるのだ! 共に戦っている!!」

ワタル「つまりポケモンバトルとは、トレーナーとポケモン、両者が共に戦う……共闘するべきものだ!!!
ならばトレーナーもいつ狙われてもおかしくはない!! ……知っているか? 俺の“はかいこうせん”は人に撃つものだ!!!」

ワタル「カイリュー!!」

カイリュー「リュー!」キッ

498: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:47:41.38 ID:MqTajHlAO

ワタル「“はかいこうせん”!!!」

カッ!!!

ポッド「…ッ!!」

ドオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!





ガチャ…

ワタル「…ケホッケホッ。少々暴れすぎたか。部屋が崩壊してしまった」

カイリュー「リュー」テヘッ

ワタル「……」

ズルズル…

ポッド「」グタッ

ワタル「ふん!」ポイッ!

ドサッ!

499: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:49:00.05 ID:MqTajHlAO

ワタル「お前の負けだ! ……チッ、嫌な事を思い出した…。“はかいこうせん”だけを使う俺のスタイル……そのせいでNという子供に負けたんだったな…」


「あの女め……って、いだっ!」

「な、なんだ…ポッド?」

ワタル「…?」クルッ

「あ、あなたは! 確かチャンピオンの…!?」

ワタル「ん? お前は…」

「……」チラ

ポッド「」ガクッ

「…ポッドを倒したようですね、なるほど」

ワタル「ああ、あの三人組の一人か…」

コーン「コーンです! 以後お見知りおきを!!」ボム!

ヒヤッキー「ヒィヤッ!」

ワタル「!」

500: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:50:07.67 ID:MqTajHlAO

コーン「ヒヤッキー、“ねっと…」ドガッ!

コーン「…ぎゃん!?」

バタッ

ガブリアス「ガルル…!」

ワタル「! ガブリアス、ということは!」

シロナ「ふうっ、やっと見つけたわ」

ワタル「シロナさん!」

シロナ「あらワタルくん」

ワタル「見つけた、とは?」

シロナ「そのモンジャラ頭の子がバトルの途中で逃げ出しちゃったから。追いかけてきたのよ」

コーン「う~ん…ゲーチス様ぁ~……」

ワタル「俺はこっちの暑苦しい奴を」

ポッド「ゲーチス様…ッ……」ウーン

501: ぽけもん 2011/05/22(日) 00:50:55.33 ID:MqTajHlAO

シロナ「へえ、ワタルくんも突破したのね」

ワタル「? あれ…ダイゴがいませんけど…」

シロナ「まだのようね…確か、真ん中の部屋へ入ったのかしら?」

ワタル「はい。『グッドテイストなバトルを!』だとか」

シロナ「『グッドテイストなバトル』ね…」




507: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:14:17.83 ID:1YaFvK7AO



《デントの間》


ダイゴ「ナットレイ、“アイアンヘッド”!」

ナットレイ「ナレーイ!」

デント「ヤナッキー、受け止めろ!」

ヤナッキー「ヤナー!」バッ

ガシイイッ!!!!!

ナットレイ「!?」

ダイゴ「“ミサイルばり”で距離をとるんだ!」

ナットレイ「ナ、レーイ!!」ビッ

ババババババ!!!!!!

ヤナッキー「ヤナー!?」

ナットレイ「ナレー!」スッ

508: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:16:12.58 ID:1YaFvK7AO

タッ……

ヤナッキー「……」

ナットレイ「……」

ダイゴ「ナットレイ! からみつけ!」

ナットレイ「ナレーイ!!」シュバッ

ヤナッキー「ヤナッ!?」

シュルル……

デント「! この距離で届くのか!?」

ダイゴ「“パワーウィップ”をお見舞いしてあげるよ!」

ナットレイ「ナレーイ!」シュルル

デント「くっ…、触手をひきちぎれ! ヤナッキー!」

ヤナッキー「ヤナー!!」ガリッ…

ダイゴ「!」

509: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:18:17.53 ID:1YaFvK7AO

ビリイイッ!!!!!!!!

ナットレイ「…、」フラッ…

デント「クハハ! 三本ある触手の一本をなくしてあげたよ!!
どうだい、体のバランスがとれないんじゃないかい? あ、それ以前に痛みで目を開けることもできないか!! クハハハハハ!!!」

ナットレイ「、…」

ダイゴ「ナットレイ…」

デント「今度は残りの二本も跡形もなく、ひきちぎってあげるよ」

ヤナッキー「ヤナー!」ギロッ

ナットレイ「……」

デント「…あれ? 既に一本しかな……」

ドゴオオン!!!!!!!

ヤナッキー「ヤナー!?」

デント「…ッ!!」

ヤナッキー「」バタッ

510: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:20:04.92 ID:1YaFvK7AO

デント「触手…!? まさか…あの痛みで動けるはずが……」

ダイゴ「そうだよね。でも、初めからそれを覚悟していたら? どうだろうね」

デント「な…! 触手をちぎられることを前提として!?」

ダイゴ「まあ後からは何でも言えるけどね。
ナットレイには一つの作戦として伝えていたから、痛みは精神的に軽減されたんだ」

デント「…ッ、」

ダイゴ「だけどこれじゃあナットレイも戦えないね。ありがとう、ナットレイ。戻って休んでてくれ」パシュッ

デント「……肉を切らせて骨を断つ。いいバトルスタイルだけど、外道だね。まさかチャンピオンが作戦でポケモンに重傷を負わせるなんて」

ダイゴ「君の性格を考慮した結果だけど……本当にしてくるとは、やってくれるね」

デント「クハハ! 実は僕たち気が合いそうだね! 同じ外道で!」

ダイゴ「クス…僕、今怒ってるんだけど?」

デント「クク……、いけえ! イシズマイ!!」ボム!

イシズマイ「イーマイマイ!」

511: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:22:04.20 ID:1YaFvK7AO

ダイゴ「イシズマイか。…ボスゴドラ!」ボム!

ボスゴドラ「ガアア!!」

ダイゴ「“メタルクロー”!!」

ボスゴドラ「ガアア!!」ダッ!

デント「いきなり特攻か……ヘビーなスメ~ルを醸し出しているボスゴドラにはぴったりだけど、でもどうかな?」

イシズマイ「イマー!」キイイン

ボスゴドラ「」ブンッ!

ガキイイッ!!!!!!!

イシズマイ「…」ガチッ

ボスゴドラ「…!?」ボロッ…

ダイゴ「! 耐えられた?」

512: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:24:03.22 ID:1YaFvK7AO

ダイゴ「なら、もう一度だ! 次は“アイアンテール”!!」

ボスゴドラ「ガアアッ!!!」ブオンッ

イシズマイ「イマー!」キイイン

ガギイイン…!

イシズマイ「イマ!」ニヤリ

ダイゴ「! また…!」

デント「“まもる”だよ」

ダイゴ「“まもる”…」

デント「ただし、ただの“まもる”じゃない。“てっぺき”を合わせた、まさに鉄壁の守りさ!!」

イシズマイ「イマイマー!」キイイン

513: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:26:04.98 ID:1YaFvK7AO

ダイゴ「…でもそれだと防戦一方だよね? そちらが勝つことはないと思うけど」

デント「そう思うだろうね。しかし、“てっぺき”で守りを固めたのはガードする他に意味があるんだ。
…イシズマイ、“からをやぶる”!」

イシズマイ「イマーイ!!」シュバッ

ボスゴドラ「…!」

ダイゴ「は、速い!?」

デント「普段は岩の家を被ってるイシズマイだけど、その重りをなくしたんだ! スピードはもちろん上がる!! そしてパワーも倍以上に跳ね上がる…!!」

514: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:28:18.98 ID:1YaFvK7AO

デント「イシズマイ、“シザークロス”!」

イシズマイ「イマイマー!!」シュッ

ザシュウウ!!!!

ボスゴドラ「ガ、ア…!」

ダイゴ「ボスゴドラ! ……“からをやぶる”か。確かにパワーやスピードは上がるけど、ガードは手薄になるんじゃないかな?」

デント「!」

ダイゴ「岩もない状態で受け切れるかな? “アイアンテール”!!」

ボスゴドラ「」ブオンッ

デント「…ッ。イシズマイ、“からにこもる”んだ!」

イシズマイ「イマーイ!」ササッ

ボスゴドラ「!」ガギイン!

デント「ふう、危なかった。鉄壁の守りは持続しているからね。岩を被ってしまえば、今度は絶対の防御を誇るんだ!」

515: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:30:04.87 ID:1YaFvK7AO

ダイゴ「…」

ダイゴ(岩を被ればガードが、岩から抜ければパワーとスピードがそれぞれ上がる……。なるほど、これこそ完璧な戦術といったところかな)

デント「また“からをやぶる”だ!」

イシズマイ「イマイマー!」バッ

デント「“シザークロス”!!」

ダイゴ「…ボスゴドラ!」

ボスゴドラ「ガアアッ!」シュンッ

シュシュシュシュ……

イシズマイ「イマーイ!?」キョロキョロ

デント「“かげぶんしん”!?」

516: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:32:07.90 ID:1YaFvK7AO

ダイゴ「パワーとスピードが上がっても、これらを見破れるかな?」

デント「チィ……! 舐めないでくれよ。イシズマイのスピードは桁違いに上がってるんだ! 順々に攻撃していけば、何れは本物に当たる!!」

イシズマイ「イマイマー!」シャキンッ

ザシュッ ザシュッ ザシュッ…

ダイゴ「……」

デント「クハハ! これで分身も残り少なくなって、本物に攻撃が当たるのも時間の問題……」

ダイゴ「クスッ」

デント「!」

ダイゴ「眼前の敵にだけ、気を集中しちゃいけないよ」

デント「なに…?」

ダイゴ「ボスゴドラ!」

ボスゴドラ「ガアアッ!!」バッ

デント「背後から…! いや……」

517: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:35:08.62 ID:1YaFvK7AO

ダイゴ「そちらが最大の攻撃と防御を持つのなら、どちらかを崩せばいいこと! 崩す隙があるなら、それはイシズマイの攻守の交代の仕方にある!!」

デント「…! 岩が狙いか!!」

ダイゴ「その岩が最大の防御を誇ろうと、それを扱う者がいなければ意味はない! 元はただの岩だよ!!」

ダイゴ「“メタルクロー”!!」

ドガアアアアアン!!!!!!!!

ボスゴドラ「……」

ガキッ………

ボスゴドラ「…!?」

ダイゴ「ば…、そんな! 岩が壊れていない!?」タタッ

ダイゴ「…! なんだこれは!? 先程の岩とは形も大きさも…別物!?」

デント「フフ…すごい、すごいすごいすごいすごい!! まさにグッドテイストなバトルだよ!!!」

デント「まさかここまでやってくれるとはね…。でも残念、やはり勝つのは僕の方みたいだ」

518: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:37:04.09 ID:1YaFvK7AO

ダイゴ「なにをしたんだ!?」

デント「別に? たいていのポケモンは体験する自然の出来事だよ」

イワパレス「イワーッパ!!」

ダイゴ「! 進化したのか!」

デント「そう! イシズマイの岩だったら君のボスゴドラの攻撃で壊れただろうさ。でも、進化したイワパレスの岩なら?」

デント「イワパレスは進化したことで能力が格段にアップしている。もちろん防御のステータスも格段に、ね」

イワパレス「イワーッパ!!」

ボスゴドラ「……ッ」

デント「それと攻撃のステータスも同然にね!!
イワパレス、“がんせきほう”!!!」

イワパレス「イーワパーッ!!!」

519: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:39:03.92 ID:1YaFvK7AO

ゴッ……

ドゴオオオオン!!!!!!!!

ボスゴドラ「ガアア…ッ!!?」

ドシャアア!!!!!!

ボスゴドラ「ガ、アア……」

ガクッ

デント「戦闘不能だね。さあどうする?」

ダイゴ「ありがとう、ボスゴドラ」パシュッ

ダイゴ「……次のポケモンを出す前に聞いておきたいんだけど」

デント「?」

ダイゴ「君は何故戦っているんだい? 理由を聞かせてくれないか」

デント「ふ、何を聞くかと思えば…そんなの決まっている! プラズマ団リーダー、ゲーチス様のためだ!!」

520: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:41:10.49 ID:1YaFvK7AO

デント「ゲーチス様はジムリーダーだった僕たち“ダークトリニティ”に声をおかけなさった! そして話されたのはポケモン解放について。
僕たちは感動したよ…ゲーチス様の理想……素晴らしいと思った! そしてゲーチス様についていこうと決めた!!」

デント「ゲーチス様のために生きて死ぬ! この命はゲーチス様のためだけにある!!
僕が戦う理由はただひとつ! ゲーチス様のためさ!!!」

ダイゴ「……なるほど、ありがとう。君の意思、伝わったよ」

デント「…?」

ダイゴ「意味が分からないという顔をしているね。でも、これは聞いておかなきゃいけなかったんだ」

ダイゴ「…僕たちチャンピオンは、それぞれポケモンバトルでの自分の主義を持ち合わせていてね」

ダイゴ「例えば、ワタルは使う技は“はかいこうせん”のみ。それで相手を捩じ伏せること。
シロナさんの場合は、どんな相手にも全力で立ち向かうこと。それでも子供相手だと、無意識に手加減してしまうみたいだけどね」

521: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:43:08.07 ID:1YaFvK7AO

デント「……君は?」

ダイゴ「僕はね。戦う理由、揺るぎない意志…それらを持ち合わせている相手だけに本気を出すことにしているんだ。
例え僕が勝つことでその意志を砕くことになっても、絶対に手加減はしない。相手に失礼だからね」

ダイゴ「君の戦う理由、揺るぎない意志を聞けてよかった…これで心おきなく戦える……」カチャ

デント「…!」

ダイゴ「メタグロス!」ボム!

メタグロス「グロース!!」

デント「…ハハッ! 本気だって?
こちらはパワーもガードもスピードもパーフェクト!! 今更君になにができる!?」

ダイゴ「メタグロス…」

メタグロス「グロース!」キッ

デント「攻撃する気かい? イワパレスは岩を被った状態だけど?」

522: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:45:03.87 ID:1YaFvK7AO

ダイゴ「さっき、君は僕のバトルスタイルを『肉を切らせて骨を断つ』、と言ったね。
でもそうじゃないよ。そんな生半可なものじゃない、僕のバトルスタイルは」

ダイゴ「あえて言うならね、僕のバトルスタイルは…」

メタグロス「グロース!!」ダッ

ダイゴ「メタグロス、“コメットパンチ”!!」

ブオンッ!

イワパレス「…!?」

ドガアアアアアン!!!!!!!!

パラパラ……

イワパレス「イ、…」ビキッ…

バタッ

デント「!」

ダイゴ「『肉を切り裂き骨も断つ』、その鋼でね。
これが僕の本来のバトルスタイルさ」

523: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:47:03.63 ID:1YaFvK7AO

デント「く……、!?」フラッ…

バタンッ

ダイゴ「おっと、攻撃に巻き込まれたみたいだね。あの衝撃で倒れるのは無理もないよ」

デント「グ、ゥ…! ゲーチス、さ、ま……」ガクッ

ダイゴ「……どんな人間にも自分にとっての正義がある。善人悪人問わずね。僕も、かつて強さを追い求めた一人のトレーナーを知っている……。
それが正しいのかどうかは分からないけど、いいと思うよ。そこに善も悪もない……人と人、互いの正義のぶつかり合いだってある」

ダイゴ「だけどね。その正義を貫くために世界を破滅に追い込んだり、人やポケモンを傷つけたりしてはいけないんだ。
この世界や、人やポケモンに迷惑はかけちゃいけない。正義以前に、最低限のマナーだからね」クスッ

ダイゴ「……さて、シロナさんとワタルは大丈夫かな?
見に行こうか、メタグロス」

メタグロス「グロース!」




524: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:49:04.80 ID:1YaFvK7AO



アデク「……ふう、ふう…」

マツブサ「ククク……」

アカギ「……」スッ…

アカギ「テラキオン、“ストーンエッジ”!」

テラキオン「ぐるるおおーっ!」

ゴゴゴ……

アデク「…!」

ドガアアアアアン!!!!!!!

ボルトロス「しゅるばばばーっ!?」

アデク「ボルトロス…!」

アカギ「ビリジオン、“リーフブレード”!
コバルオン、“メタルクロー”!」

ビリジオン「ききゅああああーっ!」ブンッ

コバルオン「こふおおおおーっ!」シャキンッ

ドオオオオン!!!!!!!!!

トルネロス「ばりゅるるるるーっ!?」

ランドロス「どろるるるるっ!?」

アデク「くう……、トルネロス! ランドロス!」

525: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:52:08.61 ID:1YaFvK7AO

シュウウ………

アカギ「…ふん」

マツブサ「アデクよお、わかんないのか?」

アデク「?」

マツブサ「俺たちはコバルオン、テラキオン、ビリジオンの伝説の三匹で戦い……それに対し、お前はボルトロス、トルネロス、ランドロスのこれまた伝説の三匹で戦っている。
両者に実力の差はほとんどないはずだ。なのに何故、お前の方が押されているのか」

アデク「……」

マツブサ「それはな。使い手だよ」

アデク「…なに?」

マツブサ「いやいや怒るなって。別に使い手としてお前が劣っているわけじゃない。
寧ろ、俺たちの実力は同等だ」

526: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:53:14.62 ID:1YaFvK7AO

マツブサ「だがなあ、よく考えてもみろ。伝説のポケモンってのは普通のポケモンとは勝手が違う。扱うのにはそれなりの、トレーナーとしての実力が必要なんだよ。ポケモンはトレーナーの実力分の力を引き出せる」

マツブサ「つまりな、単純に考えて……俺とアカギの実力分の力をコバルオンたちは引き出せる。同様にボルトロスたちもトレーナーのお前の実力分の力を引き出せる。
両者の違い、わかるか? トレーナーの数だよ」

アデク「!」

マツブサ「三匹を操るのに一人でやれると思ったか? 三匹を使う場合、実力は三つに分散しちまうんだよ!
なら話は簡単だ。トレーナーの数が多い方が、三匹のポケモンを上手く操れる!! お前がどれだけ強いポケモンを使おうと、一人で戦う限り、俺たちに勝つことなんて不可能なんだよ!!!」

アデク「ぬう…ッ!」

527: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:54:49.49 ID:1YaFvK7AO

マツブサ「墓場にも一人で行くんだなァ!! コバルオン、テラキオン、ビリジオン、“せいなるつるぎ”ィイ!!!」

コバルオン「こふおおおおーっ!」

テラキオン「ぐるるおおーっ!」

ビリジオン「ききゅああああーっ!」

キイイイイイイ……!!!!!

アデク「ぐ…、これで終わりか……」

マツブサ「やれええええええ!!!」

ギュアアアアアアッ!!!!!!!!!!

アデク「……く、」

キュイン!

シュワアン……!

アデク「…?」

マツブサ「な、んだと…。攻撃が無効化された…?」

サメハダー「サメハー!」ニヤリ

アカギ「サメハダー?」

ザッザッ……

アカギ「…!」

「トレーナーの数が多い方が三匹を上手く操れる、か……」

「では、三人になったらどうです?」

アデク「おぬしらは…!」




528: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:55:45.39 ID:1YaFvK7AO



《チャンピオンロード付近》


下っ端「ダブラン! “サイコキネシス”!!」

ダブラン「ラーン!!」ウィン!

ワルビアル「ビーッ!!」

ダブラン「…!」

ヤーコン「“かみくだく”!!」

ガギイイッ!!!!!!!

ダブラン「ブラー…!?」

下っ端「くそ…!」

下っ端2「タマゲタケ!」

529: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:56:54.64 ID:1YaFvK7AO

ボコッ…

タマゲタケ「タンマー!」

ヤーコン「!」

下っ端2「ケケッ、気づかなかったか? ご愁傷さ…」

ドオオオ!!!!!!

タマゲタケ「…?!」ボタッ

下っ端2「んなっ…」

ペンドラー「キシャアア!!!」

アーティ「虫なら僕の十八番だよぉん。気づかない訳無いよねぇ」

下っ端2「くぁっ…!」

530: ぽけもん 2011/05/26(木) 20:59:47.03 ID:1YaFvK7AO

下っ端3「じゃあ空中ならどうだァ!!」

アーティ「!?」

バササッ…

シンボラー「ボォー!!」

下っ端3「そんな虫けら、捻り潰しちまえ!!」

ビュオッ!!!!

下っ端3「? なんだ? 今、頭の上を何かが通り過ぎて…………って、通り過ぎて!?」

ウォーグル「ウォー!!」ビュオオオ!

フウロ「空中戦なら私だよね!
あれから頑張って進化したんだから! ウォーグル、“フリーフォール”!!」

ウォーグル「ウォー!」ガシイッ

シンボラー「!」

ビュオッ!!

ドダアアアアアアン!!!!!!!!!!

シンボラー「」ピクピク…

下っ端3「くぅっ!」

下っ端「つ、強い…これがイッシュのジムリーダーの実力か……!!」

ヤーコン「フン! この調子でバンバン行くぞ。
お前らのな、思い通りにはしねえよ……絶対!!」

531: ぽけもん 2011/05/26(木) 21:01:05.72 ID:1YaFvK7AO


下っ端4「っざけんなよ! 俺たちの目的、ポケモン解放実現の邪魔はさせねえ!!
ゴビット!」

ゴビット「ォオー!」

アーティ「ハハコモリ、“リーフブレード”!」

ハハコモリ「ハッハー!!」シャキンッ

ゴビット「…!」

ジャキイイン!!!!!!

ゴビット「…っ」ガクッ

アーティ「ポケモン解放か……。プラズマ団の君たちも例外じゃないよね。
君のポケモン、君のために頑張っているんだろ? どうしてそんなポケモンと別れなくちゃいけないんだい?」

532: ぽけもん 2011/05/26(木) 21:02:10.28 ID:1YaFvK7AO

下っ端5「ママンボウ!!」

ママンボウ「ママー!!」

アロエ「ムーランド、“おんがえし”だよ!」

ムーランド「ムー!!」

ドシャアアアア!!!!!!

下っ端5「…ッ!!」

アロエ「これまでもこれからも、あたしらはポケモンと一緒さ!!
そっちこそ邪魔をするんじゃないよ!」

下っ端6「クッソオオオ!!!!」

ボボボボム!!!!!!

シビシラス「ビーッ!」

コマタナ「ナーッ!」

エルフーン「フ~ッ!」

モロバレル「バレー!」

メブキジカ「キャウウン!」

マラカッチ「マラカー!」

533: ぽけもん 2011/05/26(木) 21:03:50.27 ID:1YaFvK7AO

下っ端6「やっちまええええええ!!!」

ピシャアアアア!!!!!!!

ドサッ ドサドサドサッ……

下っ端6「な…に……?」

ゼブライカ「ヒヒーン!!」バリリッ

カミツレ「……しつこいのはあまり好きじゃないの」

エモンガ「エモー!」パチッ☆

アイリス「負けないわ! 絶対絶対絶対!!」

下っ端6「く、そ……」

534: ぽけもん 2011/05/26(木) 21:04:46.30 ID:1YaFvK7AO

ハチク「…しかし、」

アロエ「まったくキリがないねえ! さすがに一万人は多過ぎだ!」

アーティ「アロエ姐さん、さっきは余裕そうじゃなかったかい」

シャガ「余裕などとそんな問題ではないだろう。敵方の数……それが問題だ」

ヤーコン「フン! 雑魚が一個に集まって、鬱陶しいもんだな」

フウロ「でも大丈夫だよ! こっちもあっちに負けないくらいの人数がいるし!」

皆「?」

フウロ「だって、私たちが見てるこの空の下、みんなが笑ってるんだよ? なら、みんなが繋がってるってこと! 世界中の人たちが私たちの味方だよ!」

皆「……」

皆(これだからぶっとびは…!!)ガーン

フウロ「?」

535: ぽけもん 2011/05/26(木) 21:06:02.85 ID:1YaFvK7AO

カミツレ「…というより、なにその極論は」

フウロ「…きょくろん? 『あなたが笑ってる空の下、みんなが笑ってる』んだよ!」

カミツレ「……」

アイリス「でもいい言葉ね!」

フウロ「でしょー? さっすがアイリスちゃん、わかってるぅ!」

アイリス「エヘヘー」

キャイキャイ…

カミツレ「……」

カミツレ「……ライモンポケモンつよいもん」ボソッ

アイリス「?」

フウロ「カミツレちゃん、何か言った?」

カミツレ「な、なんでもないっ」プイッ

フウロ「?」

536: ぽけもん 2011/05/26(木) 21:07:00.55 ID:1YaFvK7AO

アロエ「……んまあ、弱音を吐いちゃいられない状況だしねえ」

アーティ「相手方の残りも少なくなってきたし、頑張ろぉん。アロエ姐さん」

ヤーコン「フン…、あの小娘ども、今頃くたばっているんじゃないか? これじゃあ徒労になりかねねえな」

シャガ・ハチク(なんで唐突に彼女らの話題を…。もう素直になれよ)

カミツレ「大丈夫よ、あの子たちなら」

フウロ「うん!」

アイリス「うん…、大丈夫!」




539: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:28:09.48 ID:q14kUltAO
………
……


《プラズマ団の城―最上階》


律「…もうこれ以上、上に進む階段はないみたいだな」

唯「じゃあ…」

律「ああ、この先にNとシルバーがいる! …ゲーチスはわかんねえけど」

唯「この…部屋かな?」

律「……」

唯「…開けるよ?」

ギィ……

540: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:29:24.63 ID:q14kUltAO

タッ!

唯「すごく広い部屋……」

律「!」

N「ようやく来たね。ゲーチスたちが邪魔していたようだけど……君たちなら必ずたどり着くと信じていたよ」

唯「Nくん!」

シルバー「俺とNがそれぞれ“真実”、“理想”の英雄か、お前たちとの戦いで分かる」

律「シルバー!」

シルバー「ここまで舞台装置が整えば人々の心はつかめる。長かった。人とポケモンが離れ離れになる……俺たちの苦しみの日々も終わる!!」

N「僕たちが望むのはポケモンだけの世界……ポケモンは人から解き放たれ、本来の力を取り戻す」

N「……さあ、決着をつけよう。僕たちには覚悟がある! 友達のポケモンたちを傷つけても信念を貫く! ……ここまで来たからには君たちにもあるんだろう?
あるなら僕たちの元に来て見せてほしい! 君たちの覚悟を!!」

541: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:30:19.70 ID:q14kUltAO

唯律「……」

律「行くぞ、唯!」

唯「うん、りっちゃん!」

タッ…タッ……

ザンッ!

唯「……」

律「……」

N「……」

シルバー「……」

N「僕たちと雌雄を決する覚悟でここまで君たちはやってきた……。
真実、理想を求めるため僕たちに挑み玉砕するか、それともここを立ち去りポケモンが人から解き放たれた新しい世界を見守るか。君たちがとる行動はその二つ……」

唯「ううん、そのどちらも違うよ。私たちがすることはただ一つ!」

律「お前たちを倒して、世界を守る! ポケモン解放なんて絶対にさせない!!」

542: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:31:24.17 ID:q14kUltAO

シルバー「…ふっ、だろうな。だからここに来た」

N「いいよ。もう十分君たちの覚悟は見せてもらった。今度はこちらの番だ……おいで、ゼクロム!」

…ィ………!

タッ!

ゼクロム「ババリバリッシュ!」

唯「ゼクロム…!」

シルバー「来い、レシラム!」

……ァ…!

バサッ!

レシラム「ンバーニンガガッ!」

律「レシラム…!」

シルバー「さあ…」

N「最後の戦いを始めようじゃないか」




543: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:32:32.51 ID:q14kUltAO



サキ「! フンフフフ、N様とシルバー様があの小娘たちと戦いを始めたようだ」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」ブシャアッ!

コロぽん「ココロー…!」ジリッ

澪「なんだって…? 唯と律が……!」

サキ「んん? 別に驚くことでもないだろう。そのためにここへ来たのだからな」

澪「でも、相手はゼクロムとレシラム……伝説のポケモン!!」

澪(唯…! 律…!)

ミツル「おおい? 他事考えてる暇はねぇぞ!?」

ロゼリア「ロゼー!」ビュアッ

544: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:33:47.40 ID:q14kUltAO

ミツル「“マジカルリーフ”!」

シュバババ!!!!!

澪「…! コロぽん、“かぜおこし”で払い落として!!」

コロぽん「ココロー!!」ビュオオッ!

ババババ……!!!!

ミツル「チッ…!」

澪(でも、“マジカルリーフ”は必中技。全部は払えない…!)

シュババ!

コロぽん「ココロッ…」

澪「コロぽ…」

シュッ!

澪「!」

ザキイッ!

澪「うぁ…!?」

545: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:34:34.39 ID:q14kUltAO

ミツル「ひゃはは! どうだ? 格下に負ける気持ちはよォ!!」

澪「ぅ…」ヨロッ

ミツル「つーかお前の手持ちは知ってるし、手も知り尽くしてる!
俺たちが負けるはずねえだろうが!!」

澪「…ッ、ミツルくん……」

ミツル「なんだ、その怪訝そうな顔は? 俺がこんなんになってることが疑問でしょうがないってかァ?
まあそりゃそうだな。元々は俺も純真無垢だったよ」

ミツル「だが俺の師匠。あいつが俺の全てを変えた! 通称『強さを追い求める男』、トウカシティジムジムリーダー・センリ!
あいつの弟子になったことで俺もそいつの影響を受けちまった。そして強さを追い求め、チャンピオンまで上り詰めた……だが、」

ミツル「澪さん、あんたに負けてそのままチャンピオンの座からは一日も持たずに引きずりおろされた!
そして、そのあと俺はサキにプラズマ団に入るよう誘われた。まあチャンピオンになる前から、サキとは多少交流があったんだけどな」

546: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:35:53.97 ID:q14kUltAO

澪「じゃあ…」

ミツル「ああ、あんたのせいだ。俺がこんなふうになっちまったのはよ」

澪「…!」

ミツル「それはいいんだよ。だがな、あんたはプラズマ団に入ってきた。それで過去のことは水に流して仲良くしようとしたら……これだ」

澪「……」

ミツル「ひゃはは! 心底ムカついてんだよ、俺はよォ!!」

ロゼリア「ロゼー!」ダッ

澪「くっ…! コロぽん!」

コロぽん「ココロー!」バッ

ガキイイッ…!

澪「“ハートスタンプ”!」

コロぽん「ココロ!!」キュッ…

ドン!!!!

ロゼリア「ロゼ!?」

ミツル「怯むな、ロゼリア! “どくばり”を食らわせてやれ!!」

ロゼリア「ロゼー!」チクッ…

547: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:37:20.42 ID:q14kUltAO

澪「! ロゼリアから離れて、コロぽん!!」

コロぽん「ココロー…!」バササッ…

ミツル「遅え!!」

コロぽん「…!?」ドクン!

澪「!!」

ロゼリア「ロゼッ」ニヤリ

ミツル「ひゃはは! もれなく毒状態だ!!」

コロぽん「コ、ロ…」ジュワアッ…

澪「コロぽん!!」

ミツル「まだまだこれだけじゃないぜ?」

澪「!」

ミツル「その毒は“どくばり”の毒じゃねえ。ロゼリアの“どくのトゲ”で与えた毒だ!!」

澪「…?」

ミツル「ひゃはは。じゃあ何故“どくばり”を撃ったのか、って顔だな。そんなの簡単だ。違う狙いがあるからだよ!」

548: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:38:33.80 ID:q14kUltAO

ググッ……

澪「! 床のタイルの隙間に何か……?」

ギュワン!

コロぽん「…コロ!?」ギュルッ!

ギュウウウ……!!!

コロぽん「ココロー!!?」

澪「“やどりぎのタネ”!?」

ミツル「ひゃはは! そうだ! “どくばり”で種がある所に誘い込んだのさ!!」

コロぽん「ココ、ロー…!?」ギュウウウ……!

澪「コロぽん…! これじゃあ、いずれ体力が……」

澪「…ッ! 戻って、コロぽん!」パシュッ

澪(厄介なのはロゼリアの“どくのトゲ”…。なら!)

ボム!

549: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:39:48.35 ID:q14kUltAO

デスらん(デスマス)「デース!」

ミツル「…デスマスか」

澪「デスらん、“おどろかす”!」

デスらん「デース!」シュッ

ビタアン!

ロゼリア「…!?」ビクッ

ロゼリア「……ロゼ?」ポカン

ミツル「チッ…“ミイラ”か!」

澪「そう。デスマスの特性“ミイラ”、この特性を持つポケモンに触れると触れたポケモンの特性も“ミイラ”になる!
これで“どくのトゲ”は封じた!!」

ミツル「ぐぅ…!」

澪「“シャドーボール”!!」

デスらん「デース!!」ビュワンッ

550: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:45:16.11 ID:q14kUltAO

ミツル「っ…ロゼリア、“リーフストーム”!!」

ロゼリア「ロゼー!!」ビュオオッ

ドオオオオン!!!!!!!!

……………………。

ロゼリア「」バタッ

ミツル「!!」

澪「……」ホッ

デスらん「デース!」

澪「ありがとう、デスらん」

ミツル「…ハッ。なんだ、その勝ち誇った顔は?
まだ俺様は負けてねえぜ!!」ボム!

サーナイト「ナーイ」

澪「サーナイトか。……ん?」

サーナイト「…」ピカアア……

澪「…!」

551: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:48:45.94 ID:q14kUltAO

ミツル「サーナイト、頼んだぜ」

サーナイト「ナーイ」

澪「……。デスらん、お願い」

デスらん「デース」

ミツル「さあて! どう料理してやろうか!?
なあ、サーナイト?」

サーナイト「ナ、イ…」フラフラ

ミツル「…あん? ど、どうした!?」

サーナイト「ナイ…、…」ジュワアッ

ミツル「毒……?」

澪「サーナイトの特性“シンクロ”、だったよね」

ミツル「! まさかデスマスは最初から毒状態だったのか?」

澪「ううん…違う。ロゼリアと戦った時、ロゼリアに攻撃した時に毒になったんだ」

552: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:49:45.19 ID:q14kUltAO

ミツル「“どくのトゲ”で…? でもロゼリアの特性は“ミイラ”になったんじゃ……」

ミツル「! いや、“ミイラ”にしたのは“どくのトゲ”を封じるためじゃない! 寧ろ、毒になることを狙っていた…。サーナイトを“シンクロ”で毒にするために…!!」

澪「サーナイトを倒す目処もたってる。
デスらん、“たたりめ”!」

デスらん「デース!!」ブンッ

バチイッ!

サーナイト「ナーイ…!?」

ドサアッ!!!

ミツル「!! またこの“たたりめ”にやられた…!
クソッ……手持ち最強のサーナイトがやられた…………負けたッ!!」

澪「……ない」

ミツル「…?」

澪「サーナイトはまだ倒れてない!!」

553: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:50:52.29 ID:q14kUltAO

ググッ…

サーナイト「ナ、イ…!」

ミツル「なに…!」

サーナイト「…ナイ!」バンッ

ミツル「馬鹿な!!」

澪「…ミツルくん」

ミツル「!」

澪「何でサーナイトが立ち上がったか分かる?」

ミツル「あ…?」

澪「サーナイトの角が光ってる……これは君の気持ちをキャッチしてるんだ。負けたくない、っていうミツルくんの気持ち……」

澪「サーナイトはトレーナーのために命懸けで戦うポケモンだ。だから立ち上がった。
君のために、君を守るために! だから立ち上がれたんだ!!」

ミツル「ぁ…」

サーナイト「ナイ…!」ブオオオ……!

ミツル「! ブラックホール……?」

554: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:52:14.77 ID:q14kUltAO

澪「まだ、バトルは終わってない。…デスらん!」

デスらん「デース!」

ミツル「……っ! サー…ナイトォッ!!」

サーナイト「ナイ!」ニコッ

ブオオオオオン!!!!!!!

澪「ブラックホールを破壊するんだ! “シャドーボール”!!」

デスらん「デース!!」ビュワンッ

ドドドド!!!!!!

サーナイト「ナイ…!」ブオオオ…!

ミツル「いいぞ、サーナイト…。そのままブラックホールで……」

サーナイト「ナ、イ…っ!」フラッ…

ミツル「…!?」

ブ、ウウ……ウ…、ン………、……

ミツル「ブ、ブラックホールが!!」

555: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:53:23.55 ID:q14kUltAO

デスらん「デース!!」ビュワンッ

サーナイト「…!」

ドオオオオン!!!!!

サーナイト「ナイイイ!?」ドザアアッ

ミツル「サーナイトっ!!」タタッ

澪「…」

サーナイト「…ナイ……」

ミツル「クソ…、ブラックホールでサイコエネルギーを使い果たしちまったのか…!」

ミツル「なんで、俺なんかのために…!!」

澪「信頼してるから」

ミツル「…!」

サーナイト「…、」ピカッ…

ミツル「! 角が…」

澪「…ミツルくん、君が変わってサーナイトは迷ってたんだと思う。ボールから出た時に放ったサーナイトの角の光……少し色褪せていたから」

556: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:54:32.66 ID:q14kUltAO

澪「でも、それでも君を守りたいって。君のために戦うって決心したんだよ」

ミツル「…」

澪「ミツルくん。本当の強さっていうのは、バトルが強いとか…そんなことじゃない。誰かを思い、誰かのために戦えて……誰かを信じられる心なんだ。
君のサーナイトは強い…。だって、こんなにも君を思い、君のために戦えたんだから」

澪「…こんな風になっちゃったけどさ、まだ大丈夫だよ。元に戻ろう。今からでも、やり直せる」

ミツル「……でも、俺……僕は…………」

澪「さっきのだって、サーナイトはほとんど瀕死状態だったのに立ち上がって…それでも君も、サーナイトを信じて戦ったんだよね? なら、ミツルくんも本当の強さを持ってる……大丈夫」

ミツル「……」

サーナイト「ナイ…」ニコッ…

ミツル「…サーナイト……」

ミツル「ごめん、僕……。ロゼリアたちもごめん……。
僕、結局何も分かってなかったんだ……こんなにも強いポケモンたちがいるのに、こんな僕を信じてくれているポケモンたちがいるのに……、僕は…!」

557: ぽけもん 2011/06/05(日) 20:55:37.69 ID:q14kUltAO

サーナイト「ナイ…、」スッ…

ミツル「!」

サーナイト「ナイ…」ナデナデ

ミツル「サーナイト…」

ボム!!!

ロゼリア「ロゼー」

ノクタス「ノック!」

カクレオン「レオーン」

ミツル「みんな…」

ロゼリア「ロゼロゼ」ポンポン

ミツル「みんな、ありが…」

ガシイッ!!!!

ミツル「!?」

558: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:00:25.71 ID:q14kUltAO

ギギ……

ミツル「ぅぐあ…」ギシッ……

澪「! ミツルくんっ!!」

サキ「フンフフフ…とんだ茶番だったな」

澪「サキ…! ミツルくんを離せ!!」

サキ「フンフフフ、そうはいかないな」

澪「くっ…、デスらん…」

ロゼリア「ロゼー!!」

澪「!」

ノクタス「ノックー!!」

カクレオン「レオーッ!!」

ダッ!

サキ「フンフフフ…」

…バッ!

ロゼリア「…!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!!」ブシャアッ!!!

ロゼリア「ロゼー!?」

ノクタス「ノックー!?」

カクレオン「レオーン!?」

559: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:00:58.79 ID:q14kUltAO

ギギ……

ミツル「ぅぐあ…」ギシッ……

澪「! ミツルくんっ!!」

サキ「フンフフフ…とんだ茶番だったな」

澪「サキ…! ミツルくんを離せ!!」

サキ「フンフフフ、そうはいかないな」

澪「くっ…、デスらん…」

ロゼリア「ロゼー!!」

澪「!」

ノクタス「ノックー!!」

カクレオン「レオーッ!!」

ダッ!

サキ「フンフフフ…」

…バッ!

ロゼリア「…!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!!」ブシャアッ!!!

ロゼリア「ロゼー!?」

ノクタス「ノックー!?」

カクレオン「レオーン!?」

560: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:01:24.55 ID:q14kUltAO

ギギ……

ミツル「ぅぐあ…」ギシッ……

澪「! ミツルくんっ!!」

サキ「フンフフフ…とんだ茶番だったな」

澪「サキ…! ミツルくんを離せ!!」

サキ「フンフフフ、そうはいかないな」

澪「くっ…、デスらん…」

ロゼリア「ロゼー!!」

澪「!」

ノクタス「ノックー!!」

カクレオン「レオーッ!!」

ダッ!

サキ「フンフフフ…」

…バッ!

ロゼリア「…!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!!」ブシャアッ!!!

ロゼリア「ロゼー!?」

ノクタス「ノックー!?」

カクレオン「レオーン!?」

561: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:01:58.93 ID:q14kUltAO

ミツル「み、んな…!」

澪「……っ」ジリッ…

サキ「おっと動くなよ? …まあ人質としての価値はないに等しいが、いないよりマシだろう」

ミツル「ぐ、がぁ…」ギギ…

澪「ミツルくん…!」

サキ「まったく…今日一日でこんなに術が解けてしまうとは」

澪「な、に…?」

サキ「フンフフフ、なんだ。ミツルが自分の意思で動いていたとでも? まあ少しはそうだったとしても、疑問に感じなかったのか?」

サキ「ゲーチス様に術をかけられているのはお前だけではない。ミツルとお前を除いても、プラズマ団員の半数以上は術にかけられているのさ」

澪「…!!」

562: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:03:20.20 ID:q14kUltAO

サキ「…さて、術が解けた以上、コイツはもう用無しな訳だが……」

ミツル「うぐがぁ…」ギギ…

サキ「どうする?」

澪「ぅ……」

サキ「フンフフフ…愚かだな。強さとは、圧倒的な支配力だというのに……。
フフ、さあポケモンを出せ」

澪「……くっ」

ボム!

コロぽん「ココロー!」

タタッ

デスらん「デス…」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」ウィーン!

コロぽん「ココロー!?」

デスらん「デス…!?」

バタッ、バタッ…

澪「コロぽん…デスらん……」

サキ「フンフフフ…、勝った!!」




563: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:04:25.21 ID:q14kUltAO
………
……


N「……」

ゼクロム「……」

律「こ、こいつが…ゼクロム!」

シルバー「……」

レシラム「……」

唯「あれが…レシラム!」

N「行け、僕の友達!」ボム!

……………………。

唯「何を出したんだろう? よく見えない…」

律「…? な、なんだ……この黒い雲……?」

ビリ………ビリ……………

律「! まさか、この雲…!」

…ピシャアアン!!!!!

律「…ッ! ボルト!」ボム!

ボルト「ゼブウウ!!」

564: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:05:21.28 ID:q14kUltAO

バリイイッ!!!!!!

ボルト「ゼブッ…!」ビリリ……

律「危ねぇ…気付くのが遅かったら今頃黒炭だったぜ……」

唯「雷雲…!」

N「へえ、そのゼブライカの特性は“でんきエンジン”だったか」

唯「Nくん! …じゃあさっきの黒い雲は!」

N「察しの通り、ゼクロムの体から生み出された雷雲だよ」

ゼクロム「……」モクモク……

律「体を雲に…! 流石は伝説のポケモンっていったところか!」

律「…だけど、こっちも負けてない! ボルト!!」

565: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:07:20.16 ID:q14kUltAO

ボルト「ゼブウウッ!!」ダダッ

唯「速い!」

律「“でんきエンジン”で素早さが上がったんだ!
いけえ、“ワイルドボルト”!!」

ボルト「ゼブウウ!!!」バリバリッ……

ゼクロム「……」

パチッ…

ゼクロム「バリバリダー!!」

ザアアア…!!!!!

ボルト「ゼブッ…?」

律「雨…!?」

唯「りっちゃん、あれ!」

律「?」

唯「雨雲!!」

律「! 雨雲だって…!?」

N「雷雲だけじゃないよ。雨雲、雷雲…。あらゆる雲を自在に操る、こくいんポケモン・ゼクロム!
そして……」

ザアアア……

ビュウウ………!!!!!

566: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:13:08.40 ID:q14kUltAO

唯「り、りっちゃん! 何かが凄いスピードで向かってきてるよお!」

律「あれは…?」ピッ

ポケモン図鑑『スワンナ、しらとりポケモン
くちばしの こうげきは きょうれつ。 ながい くびを しならせて れんぞくして つきを くりだす。』

スワンナ「スワーッ!!」

N「僕の友達、スワンナ!
この雨の中、君のゼブライカはスワンナの攻撃を避けられるかな?」

ボルト「ゼブッ…」

ビュウウン!!!

スワンナ「スワーッ!」バッ…

N「“ぼうふう”!!」

ビュワアアアア!!!!!!!!!!

ボルト「ゼブウウ!?」ドシャアッ

律「ボルトォ!! くっ……戻れ!」パシュッ

スワンナ「スワーッ!」キッ

567: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:14:17.06 ID:q14kUltAO

律「まずいな……この雨の中、自由に動けるポケモンは手持ちにいないぞ…」

唯「大丈夫、りっちゃん!」

律「! …唯?」

唯「私たちに任せてっ! ムー太!」ボム!

ムー太「ムウウ!」

律「ムー太…? ムー太じゃあ、この雨の中……」

唯「ムー太、上に向かって“サイコウェーブ”! 自分に“テレキネシス”!」

ムー太「ムウウ!」ヴウウン! ウィィン!

バシャアッ……!

律「! 雨が弾かれてる…!?」

唯「うん! “サイコウェーブ”の音波でね!
あと、“テレキネシス”で自分の体を浮かせて雨で滑らないようにしてるの! これはボルトとのコンビネーションから思い付いたんだっ」

律「すごいぞ、唯!」

568: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:15:15.54 ID:q14kUltAO

唯「ムー太、スワンナに“サイコキネシス”!!」

ムー太「ムウウ!!」ウィーン!!!!

スワンナ「スワー!?」

バタアンッ!

N「!」

律「よし、スワンナを倒した!」

唯「ふふん。普段のバトルならあんな可愛いスワンナちゃんを攻撃しない私だけど、今回は世界の命運がかかってるから、そうも言ってられないよね!」

律「普段のバトルでも、結構おかまいなしだと思うけどな」

N「…なるほど。最初はスワンナでもう少し突破できると思っていたけど、やはりそうはいかないみたいだね。
でも、伝説のポケモンはゼクロムだけじゃないよ?」

ムアアアッ…!

律「!? この熱気は……」

569: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:16:13.15 ID:q14kUltAO

レシラム「モエルーワ!!」ボオオオオオ!

唯「レシラムの体からすごい熱が…!」

シルバー「はくようポケモン・レシラム。司るは炎だ!」

ムアアアッ…!!!!

律「…ッ!
…!? さっきまで降っていた雨が止んで、床も干上がった…!!」

唯「なんて高熱!」

ムー太「ムウッ…」フラッ…

唯「ムー太!?」

ムー太「ムウウ…」

律「“サイコウェーブ”の音波でも、この熱は弾けなかったんだ!」

唯「ムー太…、よく頑張ったね♪」

ムー太「ムウウ…」

唯「ありがとう」パシュッ

570: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:17:19.46 ID:q14kUltAO

律「…どうする? この日照りじゃあ、出せるポケモンも限られてくるぞ…」

唯「う~ん…ラー太なら元気そうだけど、」

バサバサッ!

唯律「?」

ヤミカラス「ヤミー!」

バルジーナ「ジーナァ!」

律「シルバーのヤミカラス! もう一匹はNのポケモンか?」

唯「空中戦…!」

シルバー「ヤミカラス、“つじぎり”!」

N「バルジーナ、“あくのはどう”!」

ヤミカラス「ヤミー!!」ブオンッ

バルジーナ「ジーナァ!!」ビュワンッ

ドオオオオオオン!!!!!!!!!!


律「ケホッ…、くそ! 上からの攻撃なんて防げない!
空中戦っていっても、フォウルしかできないし……」

唯「…あ!」

律「ん? ……あっ」

唯律「コンビネーション!!」

571: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:19:24.94 ID:q14kUltAO

律「そうだった、このために練習したんだよ! いけ、フォウル!!」ボム!

フォウル「アーケエ!」

唯「いって、ラー太!」ボム!

ラー太「ラー!」

ガシイッ!

フォウル「アーケエ!!」ビュンッ

ラー太「ラー!!」

シルバー「! アーケオスがヒトモシを掴んで…?」

N「…そうか。日照りでパワーアップしているヒトモシと空中戦ができるアーケオス……この二匹がタッグを組むことで、今の状況では無敵になるわけだね」

律「練習したコンビネーション技を見せてやるぜ! フォウル、“アクロバット”だ!!」

フォウル「アーケエ!!」ギュオッ

唯「ラー太、“はじけるほのお”!」

ラー太「ラー!!」ボウッ!

フォウル「…、」ボオオッ……!

ゴオオオオ!!!!!!!!!

唯律「バーニング・アクロバット!!!」

ボオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!!

572: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:20:38.88 ID:q14kUltAO

ヤミカラス「ヤミー!?」

バルジーナ「バルゥー!?」

ドシャアアッ!

律「よし! いいぞ、すごいパワーだ!」

フォウル「アーケエっ!」

ラー太「ラー♪」

唯「これならゼクロムとレシラムに対抗できるかも!」

Nシルバー「甘い!!」

唯律「…!」

ゼクロム「バリバリダー!!」バリバリッ

レシラム「モエルーワ!!」ゴオオオッ

573: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:22:17.76 ID:q14kUltAO

N「ゼクロム、司るは雷!」

シルバー「レシラム、司るは炎!」

N「全てを震動させるいかずちを!」

シルバー「この世の全てを焼き尽くせ!」

ゼクロム「バリバリダー!!」

レシラム「モエルーワ!!」

バリ…バリ……! ゴオオ…オオオ………!

律「ゼクロムの雷と、レシラムの炎が取り巻いて…」

唯「りっちゃん、これってまさか…!?」

律「ああ…! 交差していた二つのエネルギーが今、ひとつに……!!」

唯律「コンビネーション技…!!!」

ゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!!!!!

N「“クロスサンダー”!!」

シルバー「“クロスフレイム”!!」

ゼクロム「バリバリダー!!」ビリビリッ

レシラム「モエルーワ!!」ゴオオオオッ

…カッ!

574: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:23:27.34 ID:q14kUltAO

ドゴオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!

フッ……

フォウル「アーケ、エ……」

ラー太「ラー…、」

バタアンッ!

唯律「…!!」

律「フォウル!!」

唯「ラー太っ!!」

フォウル「ケェ…、」

律「フォウル…!」

ラー太「ラー…」

唯「ラー太…っ!」

シュウウッ……

ゼクロム「…」

レシラム「…」

N「…見事だ。これが、かつて英雄とともにこのイッシュを築き上げた伝説のポケモンの力!!」

シルバー「この力を世界中に見せ付ければ…人々は俺達の言う通りに従い、ポケモンを解放するはず……」

律「!!」

575: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:24:24.87 ID:q14kUltAO

唯「…そ、そんなことさせない!」

N「…」

唯「人とポケモンを切り離しちゃダメ…! そんなの嫌だよ!!」

律「唯…」

唯「ポケモンは、私に色々教えてくれたから……。ポケモンのおかげで、りっちゃんたちとも…。
私、ポケモンが好きだから…。
りっちゃんや澪ちゃん、ムギちゃんやあずにゃん。和ちゃん、純ちゃん、さわちゃん、…それに憂。みんなとポケモンするのが好きだから……、」

唯「私たちから、ポケモンをとらないでっ!!」

律「……」

N「……、」

シルバー「……分かってるんだ、そんなことは」

唯「!」

シルバー「俺だって、人とポケモンを切り離すなんて……ポケモンと離れるなんて………」

シルバー「でも、それ以上に! やらなくちゃならないことがあるんだ。守りたいものがあるんだ!!」

N「……」

唯「…」

ポン…

唯「! りっちゃん…」

576: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:25:43.57 ID:q14kUltAO

律「大丈夫だ、唯。私たちの世界は壊させはしない。Nとシルバーにも幸せになってもらう……、そのために来たんだろ? 踏ん張ろうぜ」

唯「…うんっ」

律「…いけえ、モール!!」ボム!

モール「ドリュウウ!!」

唯「おねがい、チー太っ!」ボム!

チー太「チラチー!!」

N「……ゼクロム」

ゼクロム「バリバリダー!!」

シルバー「レシラム!!」

レシラム「モエルーワ!!」

律「“ドリルライナー”!」

唯「“アイアンテール”!」

モール「ドリュウウ!」ギュイインッ

チー太「チラチー!」シャキンッ

シルバー「受け止めろ!!」

レシラム「モエルーワ!!」バッ

モール「…!」ギュイ……

N「…ゼクロム!」

ゼクロム「バリバリダー!」バッ

チー太「チラチー!?」ガキッ…

577: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:27:12.30 ID:q14kUltAO

シルバー「“あおいほのお”!!」

N「…“らいげき”!!」

レシラム「ンバーニンガガッ!!」

ゼクロム「ババリバリッシュ!!」

ボオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!

ピシャアアアア!!!!!!!!!!!!!!

モール「ドリュウウ……ーッ!!?」

チー太「チ、ラチー……!!」

ダアアアンッ!!!!

モール「…」ジュワアッ

律「! ひどい火傷だ…!」

チー太「チラチー…」パリッ…

唯「こっちは麻痺…!」

シルバー「終わりだ…これで……、」

578: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:29:14.46 ID:q14kUltAO

シルバー「…悪いな。でも、俺も……負けられない! …レシラム!!」

N「……ゼクロム」

レシラム「ンバーニンガガッ!」

ゼクロム「ババリバリッシュ!」

律「く、そ…!!」

唯「…っ!」

シルバー「いけえええっ!!!!」

ゴオオオオーッ!!!!!!

ピシャアアーッ!!!!!!!


…シュンッ!

シルバー「…、?」

「「“サイコブースト”!!」」

「…」タッ!

ギュオオオ……

ゼクロム・レシラム「…!」

バアアアン!!!!!!!!

ゼクロム「バリイイッ!?」グラッ…

レシラム「モエルー!?」ドッ…

ドシャアンッ!!!!!

N「…!」

シルバー「な、に……?」

579: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:31:34.71 ID:q14kUltAO

「……」シュウウ…

律「! あのポケモン…、嘘だろ…?」

唯「デオ、キシス!?」

デオキシス「……」

シルバー「デオキシス…?」

律「なんで、あいつがこんなところにいるんだ!?」

「わしが連れて来たんじゃよ」

唯律「!!」

フジ「久しぶりじゃの。唯くん、律くん」

唯律「フ、フジさん!?」




580: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:35:32.88 ID:q14kUltAO




ミツル「ぐ、ぁがっ……」ギギ…

サキ「フンフフフ…」

澪「…、」

澪(どう、すれば…。もうコロぽんもデスらんも……。どうしたらミツルくんをサキの手から……!)

サキ「フンフフフ、いい加減諦めるんだな。お前にもう勝つ術はない! いやそれ以前に、戦うことすらできないのだ!」

澪「…、」

ミツル「…ぐぅあぁ……」

澪「…ぅ、」

澪「うわああああっ!!!」ダッ!

サキ「フンフフフ、自棄になったか! いいだろう、これで終わらせてやる! …スターミー!!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」

サキ「“サイコキネシス”!!」

スターミー「トゥトゥル!!」ウィーン!

澪「…!!」

澪(もう…だめ……)

ウィーン!!!!!

581: ぽけもん 2011/06/05(日) 21:38:34.08 ID:q14kUltAO

「「サメハダー、“サイコキネシス”を無に帰しなさい!!」」

サメハダー「サメハー!!」ザッ!

キュイイン!

スターミー「…!?」

澪「……え、?」

サメハダー「サメハー!」

サキ「…サメハダー?」

スタスタ……

「ふふ、アデクも来ていたとはね。やはり同じ穴の狢……考えることも同じのようです。まあ、貴女は昔と何ら変わりはないようですがね。…サキさん?」

サキ「貴様は…!」

「おや、それが上司に対する言葉遣いですか?」

サキ「……元、上司だ」

澪「……お、お前は…」

「久方ぶりですね、澪さん。“めざめのほこら”以来ですか」

澪「アオギリ…!? なんで、お前がここに!!」

アオギリ「ふふ、何と言いましょうか」

アオギリ「…借りを、返しに来ました」




Episode.42 fin





587: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:06:38.20 ID:czr45I/AO


Last Episode..





―――少し時間は遡り、

《ハナダ洞窟》


シュンッ!

ケーシィ「ケー」

「……」スタッ

「ご苦労様です、ケーシィ」パシュッ

「……」キョロキョロ

「其処此処、瓦礫ばかりですね。今は無きハナダ洞窟の」

「さて…。ヨルノズク!」ボム!

ヨルノズク「ホー」キイイン……

ヨルノズク「!」ピクッ

シュビッ!

ヨルノズク「ホー!」

「そこですか。…サメハダー!」ボム!

サメハダー「サメハー!」

「指定場所半径一メートル以内にある瓦礫を無に帰しなさい!」

サメハダー「サメハー!!」

588: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:08:07.72 ID:czr45I/AO

シュワアン!

ゴト……

「ふ、発見しました」

「……ぅ……ここは………」

「お目覚めですか、フジ博士」

フジ「アオギリ、か? 何故わしは生きている……?」

アオギリ「さてね、単に悪運が強いだけですか」

フジ「普通は死ぬはずじゃが……。それよりアオギリ、お前は何の用じゃ?」

アオギリ「ふふ、少し頼みがありましてね。私たちにしか出来ないこと……」

フジ「……?」




589: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:09:51.53 ID:czr45I/AO



《ハナダ岬―マサキの家》


ピッピッ……

マサキ「もしもし、マユミはんにアズサはん? ああ久しぶりやな。ちょいと聞きたいことがあるんや。あのな……」

マサキ「……………………………」

マサキ「……そうか。いや、おおきにな。ああ…」

ピッ

マサキ「……くっ、あかん!」

カツラ「また、か?」

マサキ「はい…。なんも情報なしや……」

リラ「これでホウエン地方にも……」

マサキ「…ミズキはんやニシキにも聞いてみたんやけど、やっぱりなんも聞き出せへんかった……」

ミナキ「ホウエン、シンオウ、ナナシマ……それらのどこにもいないというのか」

ニャース「澪…」

カツラ「唯くん、律くん……」

590: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:11:00.02 ID:czr45I/AO

ミナキ「いや! それならカントーやジョウトを!」

リラ「いやミナキ、その線は薄い。そんな近場に澪たちがいるとしたら、すぐに私たちの元へ来られるはずだ」

カツラ「…それに、カントーとジョウトは我々全員で隈なく探した」

ミナキ「……、」

ニャース「…ニャー」

マサキ「……っ」

カツラ「…すまないな、マサキくん。君にこんな事を頼んで。カントー・ジョウトを合わせて情報通で唯くんたちの知り合いは君くらいしかいないものだから」

マサキ「かまへんですよ、カツラはん。友達のためや。わいも同じ気持ちやから」

リラ「しかし、大体の地方には連絡をとった。もう他に地方は…」

マサキ「…! いや、可能性は十分ある!」ピッピッ…

591: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:12:36.26 ID:czr45I/AO

リラ「…?」

カツラ「マサキくん、一体どこへ?」

ピッ

『はいはい、もしもし~?』

マサキ「! 出た…!」

『へ? あ…他地方から……。ええと…、こちらイッシュ地方サンヨウシティ研究所のショウロでーす』

皆「…!!」

カツラ「イッシュ地方だと…!」

ショウロ『あ、あのう…?』

マサキ「ああ、ショウロはん。わざわざ詳しい地名まで言ってもうておおきに」

ショウロ『ん? あれ。その凛々しい声に、コガネ弁……ま、まさか! マサキさん!?』

マサキ「おお、当たりや。流石やな。まあ面識はないけど」

ショウロ『マ、マサキさんが何故私なんかに電話を…!?』アタフタ

マサキ「すまんがあまり時間がないんや。単刀直入に…」

ショウロ『なななな、本物だー! ほ、本物のマサキさんだー!!』アタフタ

マサキ「いやな、ショウロはん。単刀直入に…」

ショウロ『いやあー奇跡は起こるんですね。この前も、マサキさんのご友人方が研究所にいらっしゃいましたし』

マサキ「だからな、ショウロはん。単刀直入に…………ん?」

592: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:13:53.63 ID:czr45I/AO

ショウロ『へ?』

マサキ「い、今なんてゆうた!?」

ショウロ『え、え? 奇跡は起こるんですね、って…』

マサキ「その後や!」

ショウロ『えと…マサキさんのご友人方がいらっしゃいました、って…』

マサキ「!!」(わいはイッシュ地方に知り合いなんておらん。なら、その友人っちゅうのは…)

カツラ「もしや…!」

マサキ「で、そのわいの友人はどんな人やった?」

ショウロ『女の子の二人組で』

マサキ「ああ」

ショウロ『一人は黄色のカチューシャを付けて、もう一人は前髪を片方だけヘアピンで留めていました』

カツラ「…!」

マサキ「ほ、ほんで二人の名前は!?」

ショウロ『平沢唯さんと田井中律さん、って言ってましたけど…』

593: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:15:07.44 ID:czr45I/AO

マサキ・カツラ・ミナキ「……!!」

マサキ「やっぱりや…!」

カツラ「唯くんと律くんは…」

ミナキ「イッシュ地方にいる!!」

リラ「そ、それで! 他にもう一人女の子を見かけなかったか?」

ショウロ『へ? だ、誰?』

リラ「誰でもいい! その二人の少女の他に…」

ニャース「黒髪ロングヘアーのにゃつがいなかったかニャ!?」

ショウロ『さ、さあ? 私が会ったのは二人だけですけど』

リラ「…そう、か」

ニャース「澪はどこへ行ってしまったのニャ…」

ショウロ『…澪。どこかで聞いたような……?』

リラ「!」

ニャース「知っているのかニャ!?」

594: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:16:02.28 ID:czr45I/AO

ショウロ『う~ん……あ! 思い出しました!
私の同僚がその澪さんと友達で、確か街の外れで見たって…。あ、もちろん、イッシュ地方でですよ?』

ニャース「…!」

リラ「澪も、イッシュ地方に……!」

ミナキ「探している三人ともが遥か遠くのイッシュ地方にいるとは……」

マサキ「……」

マサキ「ショウロはん、貴重な話聞かせてもうておおきにや」

ショウロ『い、いえ! それほどでもっ。マサキさんのお役に立てたら良かったです!』

マサキ「ほんま助かったわ。今度お礼はきっちりさせてもらうさかい」

ショウロ『そ、そんなっ! いいですよ!』

マサキ「いや、それじゃあわいの気が済まへん。…っと、あまり時間がないんやった。また連絡とれたらとるから、今はこれで…」

バアンッ!

「待ちなさい!!」

マサキ「!!」

ショウロ『?』

595: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:18:09.66 ID:czr45I/AO

ニャース「ニャ! おみゃーは!?」

「む、あなたがこんなところにいるとは」

ニャース「それはこっちのセリフニャ! アオギリ!!」

アオギリ「ふ…」

リラ「アオギリ、だと?」

ミナキ「! 青いバンダナ……まさか、こいつが…ホウエン地方で暗躍していた悪の組織の一つ、アクア団の総帥か!?」

アオギリ「その通りです」

リラ「…! 何故アクア団がここに!?」

アオギリ「同じ質問を何回もしないでください」

ニャース「さっさと答えるニャ!!」

アオギリ「まあまあ、まだゲストは全員じゃありませんから」

ニャース「ニャ…?」

ザッ……

フジ「…久しぶりじゃな、カツラくん。ニャース」

ニャース「にゃにゃ!?」

カツラ「フ、フジ…博士!?」

596: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:19:37.08 ID:czr45I/AO

マサキ「あ、あのフジ老人や!」

カツラ「ど、どうして…」

フジ「ほっほ、わしが生きていたことが不満かな?」

カツラ「い、いやそんなはずは…!」

フジ「…カツラくん。今まですまなかったな。わしが間違っていたよ」

カツラ「いえ…。最後にはフジ博士は正気に戻ってくれました。またこうして会えて感激です…」

マサキ「よかったなあ、カツラはん…」グスッ

ニャース「事情は知らにゃいが、にゃーも泣けてきたのニャー」

カツラ「そうだ…、フジ博士。預かっていたものを」スッ

フジ「?」

ボム!

ロコン「コーン」

フジ「! ロコン…」

ロコン「コーン!」タタッ

フジ「……ロコンっ」

ロコン「コーン…」



597: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:20:54.72 ID:czr45I/AO


パンパン!

アオギリ「さて、感動の再会もここまでにして」

ニャース「空気読めニャ!」

アオギリ「そうも言っていられないのですよ、我々も切羽詰まっていますから」

ニャース「ニャ…?」

アオギリ「今の話が本当なら、我々の予想はほとんど正解のようです」

マサキ「今の話、って…唯はんや律はんのことかいな?」

アオギリ「ええ、そうです」

カツラ「君たちの予想とは?」

アオギリ「これです」

ボム!

デオキシス「…」

マサキ「なっ!」

カツラ「馬鹿な! デオキシス!?
私が野生へ逃がしたはずなのに、何故…!」

アオギリ「もちろん、私が捕まえたのですよ」

カツラ「!!」

アオギリ「探すのに苦労しましたが、言葉が通じて助かりました。説得したら捕まってくれましたからね」

598: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:21:44.73 ID:czr45I/AO

カツラ「説得…?」

アオギリ「ええ、内容は『ある悪の組織の野望を阻止したい。それにはお前の力が必要だ』です」

マサキ「ある悪の組織やと?」

アオギリ「プラズマ団、と呼ばれる組織を聞いたことはありませんか?」

皆「……」

アオギリ「ない、みたいですね。それはそうだ。何せ彼らの本拠地はイッシュ地方にあるのですから」

ニャース「イッシュ地方!?」

リラ「!」(先程の話…澪たちはイッシュ地方にいると……。この男の話はそれに繋がる…?)

リラ「く……何が狙いだ!?」

アオギリ「気が短いですね。まだ続きがあります」

アオギリ「そしてプラズマ団を探ることをデオキシスに手伝ってもらいました。デオキシスが持つ高い念視能力で、ね」

アオギリ「そしたら何と言うことでしょう。プラズマ団の本拠地の中に三人の少女の姿が確認されたではありませんか」

リラ「! まさか…!」

599: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:22:55.97 ID:czr45I/AO

アオギリ「後からフジに確認した限りでは、その少女の内二人の名前が分かりました。そしてもう一人の少女は私は存じていました。
三人の少女は…平沢唯、田井中律、秋山澪」

皆「!!」

カツラ「なんと…! 唯くんたちが悪の組織の本拠地に!?」

リラ「…くっ!」ダッ!

ミナキ「ど、どこへ行く! リラ!」

リラ「言うまでもない、イッシュ地方だ! こうしてはいられない…すぐにイッシュ地方へ行かなければ!!」

アオギリ「やめなさい!」

リラ「なに…?」

アオギリ「貴女、どこへ行く気ですか?」

リラ「どこへだと? さっきから何度も…イッシュ地方に決まっているだろう!」

アオギリ「だから、イッシュ地方のどこへ行くのですか?」

リラ「…!」

アオギリ「ふっ、本拠地の場所もまだ分かっていないのに、どこへ行こうとしていたのですかね」

リラ「…っ! じゃあ、直ぐに本拠地の場所を教えろ!!」

アオギリ「ふ……それを教えたところで、貴女に何が出来るというのです? ここからイッシュ地方へたどり着くまでの時間は膨大。間に合いません。どういう因果か知りませんが、三人の少女はプラズマ団と今まさに交戦真っ只中なのですから」

600: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:24:17.51 ID:czr45I/AO

リラ「じゃあ…どうすれば……」

アオギリ「貴方たちに不可能でも、我々には可能です」

ニャース「ニャ…?」

アオギリ「ふ、ニャース。貴方が一番理解しているはずですがね。
私のケーシィ、世界中のどこにでも瞬時に行ける“テレポート”を持っています」

カツラ「“テレポート”…確かにそれを使えばイッシュ地方でもすぐに行ける」

マサキ「いや、そこやない! 問題は行く人間や!!
なんであんたらが行くんや!?」

アオギリ「何か企みがあるとでも言いたげですね。いえ、別に何も」

アオギリ「ですが、いずれにせよ、直ぐにイッシュ地方へ行くことが可能なのは我々しかいません。
それと、我々がイッシュ地方へ行くのはプラズマ団を阻止するため」

マサキ「…じゃあ、何のためにここへ来たんや……?」

アオギリ「ふ、ただやみくもに彼女らを探し回っている貴方たちが哀れだと思いましてね」

マサキ「……くっ、図星や」

601: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:25:40.29 ID:czr45I/AO

アオギリ「では報告は終わりです。それでは…」

カツラ「待ってくれ!」

カツラ「一つ、頼みがあるんだ」

アオギリ「…」

マサキ「カツラはん?」

カツラ「君は悪の組織の総帥だという。そんな君に頼むのは気が引けるが、やむを得ない…」

カツラ「これを、唯くんたちに渡してやってくれ」スッ…

アオギリ「…これは?」

カツラ「彼女たちのモンスターボールだ」

ミナキ「んなっ…」

マサキ「アホな! そないなこと…」

カツラ「…仕方がないんだ。彼らしか瞬時にイッシュ地方へ行くことはできない。それに、唯くんたちが戦っているのなら、少しでも…彼女たちのためになるのなら…」

リラ「…そう、だな。色々と不満はあるが、今は彼らに托そう。…これは澪のモンスターボールだ」スッ…

マサキ「リラはん…」

カツラ「大丈夫だ、マサキくん。フジ博士だっているのだから」

マサキ「…そうやな、大丈夫やな……。じゃあ…頼んだで、あんたら!」

アオギリ「ふふ、もちろん」





602: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:33:47.69 ID:czr45I/AO

……
………

…………
……


アオギリ「……」

澪「借りを返しに来た、だって…?」

アオギリ「まあそれはついでですがね。根本たる目的は…」

サキ「…プラズマ団を潰しに来た、か? フフ」

アオギリ「その通り。流石はサキさん、話が分かりますね」

澪「…? なんで、プラズマ団を潰しに……」

アオギリ「自分のことは自分でケリをつけなければ、ね」

澪「…?」

アオギリ「私はプラズマ団の一員だったのですよ。それも七賢人という高い地位に就いていました」

澪「…!!」

アオギリ「そしてあるとき、アクア団を結成してホウエンを征服するように命を下されました。しかし、やがてすぐに貴女にアクア団滅亡まで追い込まれましたが」

澪「…? でも、アクア団が滅んだからって、それが何でプラズマ団を潰すことに繋がるんだ……?」

アオギリ「それは、貴女が………」

アオギリ「……、」

603: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:35:06.85 ID:czr45I/AO

アオギリ「そ、そんなことはよいのです。それよりも、今は眼前の敵を倒すことに集中しましょう!」

澪「? ……そうだな、今は…」

アオギリ「…貴女、ポケモンは?」

澪「二匹いたんだけど、二匹とも倒されて……今は手持ちは…」

アオギリ「はぁ、案の定ですか」

澪「だから私は戦えないの。協力してくれるのはありがたいんだけど…」

澪「……。協力、してくれるんだよね?」

アオギリ「ええ。理由はどうあれ、プラズマ団は私にとっても敵。敵の敵は味方という奴ですよ」

澪「…なんだかまだよく分からないけど……ありがとう」

アオギリ「……。礼は全てが終わった後ですよ。それに、本来は私達は敵同士なのですから」

澪「…」

アオギリ「それに、貴女にも戦ってもらいますから」

澪「……え…?」




604: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:35:59.08 ID:czr45I/AO




フジ「デオキシス、よくやったぞ」

デオキシス「…」

律「フ、フジさん…?」

唯「そんな…あの時、確かに……」

フジ「ほほ。そんな顔せんでも。幽霊でも何でもないよ。わしはフジ、本人じゃ」

唯「……」

唯「本当に……?」

フジ「ああ」

唯律「…!」

唯「あ、あの時…初めて会った時と同じ……笑顔だ…っ!」

律「唯…っ」

唯「うん、りっちゃん…っ」

唯律「よ、よかった~っ!!」ヘナヘナ…

フジ「…ほほ。二人とも元気そうで何よりじゃよ」

605: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:37:37.06 ID:czr45I/AO

唯「そうだ、カツラさんには!? ミュウツーちゃんにも会ったんですか!?」

律「ていうか、何でプラズマ団の城に!?」

フジ「ほほ。そんなに質問するものじゃないぞ。それに、答えるのは後じゃよ。彼らを待たせておる…」

N「…」

シルバー「…」

唯律「!!」

律「そうだ…、シルバーたちを止めないと!」

フジ「…」

フジ(わし達の過ちを、彼女達に償わせるのも気が引けるが…じゃが、わしには何もできん……)

唯「で、でも…みんな、やられちゃった……」

律「…ッ、私たちはもう……」

フジ「…いや、心配ない。預かってきたものを渡そう」

カチャ……

唯「…!」

律「これは…」

唯「私たちのモンスターボール!?」

606: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:38:54.36 ID:czr45I/AO

フジ「マサキくん達から預かってきたものじゃよ」

律「! マサキ…! そうか…、あれからカツラさんたちが私たちを探して…」

フジ「そうじゃよ…皆、一生懸命に探してくれておった…」

唯律「……」

フジ「開けてみるといい」


…ボム!

ブイ太「シャワー!」

ピッ太「ピーッ!」

メリ太「モコー!」

ランス「ニドーッ!」

スカイ「トニョーロ!」

ヒート「ヒヒーン!」

ウィング「ワター!」


唯「ああ……、久しぶり、みんな…!」

律「本当に…久しぶりだ……!」

フジ「…このポケモンたちがいれば、まだやれるんじゃないか?」

唯律「……」

唯「りっちゃん…」

律「ああ、唯!」

607: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:40:55.44 ID:czr45I/AO

ザンッ…!

Nシルバー「!!」

唯「これが、本当の最後のバトルだよ…!」

律「N! シルバー!」

Nシルバー「……」

N「…いいだろう」

シルバー「これで本当に全てが終わる!!」

N「ゼクロム!」

シルバー「レシラム!」

フジ「……デオキシス!」

デオキシス「…」シュバッ!

Nシルバー「…!」

フジ「ゼクロムとレシラムはわし達に……」

ゼクロム「…」

レシラム「…」

デオキシス「!」ピタッ

フジ「…、?」

シルバー「二匹とも動かない…?」

N「…! ゼクロムとレシラムは、僕たちが全力でぶつかり合うところを見て、そしてどちらが英雄かを見極めるつもりなんだ!」

シルバー「…! じゃあ…」

N「うん…。ゼクロムとレシラムは、戦いに参加しない」

シルバー「…」

唯律「…!」

唯「それって…」

律「…私とシルバー、唯とNのトレーナー同士のポケモンバトル…!!」




608: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:42:13.87 ID:czr45I/AO




澪「こ、これ…」

アオギリ「リラ、と呼ばれる人物から預かってきた貴女のモンスターボールです」

澪「リラ師匠が…」

澪「…カゲぴょん、みんな…!」

アオギリ「…さて、今は余計な事に時間は省けませんよ。あの少年もそう長くはなさそうですしね」

ミツル「ぐぅ…あ……」ギチギチ…

澪「! ミツルくん…!」

サキ「フンフフフ、こちらとしては時間稼ぎをしたいところだがな。我らの目的…、シルバー様とN様を英雄にするための、ね」

アオギリ「はて。私を相手取るに、時間稼ぎとは……随分と余裕ですね?」

サキ「フンフフフ。人質がこちらにある今、お前たちに何ができるというんだ?」

アオギリ「…おや。しばらく会わないうちに、私の手持ちポケモンをお忘れになりました?」

…シュンッ!

サキ「…!」

609: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:43:33.69 ID:czr45I/AO

ケーシィ「ケー!」

サキ「ケーシィ!? まさか…!」

アオギリ「ケーシィ、“テレポート”!」

ケーシィ「ケー!」ピトッ

ミツル「…!」

シュンッ…!

サキ「しまった…ッ!」

アオギリ「ケーシィの能力で、あの少年には退場してもらいましたよ」

ケーシィ「ケー!」

澪「…ど、どこに飛ばしたんだ…?」

アオギリ「さあ? ケーシィ自身も共に行かない限りは場所は指定されませんよ。
今回ばかりは、前に貴女を飛ばしたように、地方内とはいかないかもしれません」

澪「な…っ!」

アオギリ「しかし海の上など、明らかに危険な所には移動しないはずですので。ご心配なさらず」

澪「そういう問題じゃないんだけど……。…でも」

カチャ…

澪「これで遠慮なしで戦える!」

ボム!

ハブりん「プッププ~!」

610: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:45:10.98 ID:czr45I/AO

澪「ハブりん、“ポイズンテール”!」

ハブりん「ハーブ、ネーク!!」ビュンッ

サキ「チッ…! スターミー!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」

ガキイイッ!

ハブりん「ハブッ…!」ギチッ…

サキ「“サイコキネシス”!!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!!」ウィーン!

ハブりん「ハブ~ッ!?」

澪「ハブりん!」

ハブりん「」ドシャアッ

サキ「フンフフフ…、人質がいなくなったところで何だ? あんなもの、人質の価値もほとんどないと言っただろう。私は少しでも時間稼ぎが出来れば良かっただけ…。
本来、貴様程度軽く屠れるのよ!!」

澪「……ッ」

アオギリ「いえ、そんなはずはありませんよ」

澪「!」

611: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:46:35.38 ID:czr45I/AO

サキ「…フンフフフ。何を、世迷い言を…」

アオギリ「そうですね。戯れ事…私の愚かな思い込み……いえ、願望ですか。そうでないと困るのですよ。この程度の小悪党、倒してもらわなければ」

アオギリ「この私を倒したのは、貴女なのですから」

澪「……」

アオギリ「まあ貴女だけ戦ったら、私も何をしに来たか分かりませんからね。私も加わりますよ!」ボム!

サメハダー「サメハー!」

サキ「! サメハダーか!」

アオギリ「ふふ…私のサメハダーの能力、忘れたわけではありませんよね?」

サキ「…チッ。スターミー、“10まんボルト”だ!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」バリリッ…

ピシャアアアアン!!!!

サメハダー「……」

アオギリ「サメハダー、無に帰しなさい!」

サメハダー「サメ、ハー!!」バッ

シュワアン!!!

スターミー「…!!」

612: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:47:59.95 ID:czr45I/AO

サキ「怯むな! “シャドーボール”!!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」シュパンッ!

アオギリ「無意味です!!」

サメハダー「サメハー!」

シュワアン!

スターミー「…!」

アオギリ「ふふ、貴女のスターミーでは私のサメハダーには勝てない」

サキ「……スターミーの得意とする技が特殊技だからか?」

アオギリ「!」

サキ「気づかないとでも…いや、忘れていたとでも? そんな愚かではないぞ。このサキは!」

…ザキイイイッ!!!!!!

サメハダー「…!?」

アオギリ「なに…ッ!」

サメハダー「」バタッ

ペルシアン「ニャー!」

アオギリ「ペルシアン…!!」

613: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:49:47.41 ID:czr45I/AO

サキ「フンフフフ、一対一のバトルではないぞ。目前の敵だけでなく、背後にも注意をおくるべきだったな」

アオギリ「…ッ」

サキ「フンフフフ、覚えているぞ。サメハダー以外のお前の手持ちポケモンは、ほとんどが戦闘向きではないということを!」

アオギリ「…」

サキ「ケーシィに“つじぎり”だ、ペルシアン!」

ペルシアン「ニャー!!」シャキンッ

澪「…ベロにゃん、“まきつく”!」

ベロにゃん「ベロベルーン!!」シュルルッ

ガシイッ!

ペルシアン「ニャー!?」

澪「“パワーウィップ”だ!」

ベロにゃん「ベローン!!」ブンッ

バチイイイッ!!!!!

ペルシアン「ニャ…アアッ!?」

サキ「くっ…、ペルシアン!」

614: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:50:44.68 ID:czr45I/AO

澪「…大丈夫か?」

アオギリ「澪さん…」

澪「私も戦ったことがあるからわかる。あなたのポケモンは…」

アオギリ「…」

澪「…それに油断しちゃダメだ。サキと知り合いみたいだけど、昔よりはサキも力をつけてきてるだろうから…」

澪「あなたは下がってて…」

アオギリ「…ふっ。下がる? この私が、何故です?」

澪「え…、だって…?」

アオギリ「ご忠告感謝致しますがね。別にサキさんを舐めてはいませんよ。油断など以っての外です」

澪「え、と…?」

アオギリ「それに、私のポケモンが戦闘向きでない? …馬鹿な。仮にも元アクア団総帥ですよ?」

バサバサッ…

ヨルノズク「ホー」

サキ「! ヨルノズク!?」

アオギリ「ふふ、ご存知ですよね? このヨルノズクの能力を!」

615: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:51:47.99 ID:czr45I/AO

サキ「…心を、読む……!」

アオギリ「そう。貴女の考えは全て見通していたんですよ。故に対策も出来ている…」

アオギリ「いや…。出来ていた、と言うべきですかね」

サキ「出来ていた、…?」

ドオオオオオオン!!!!!!

スターミー「…!?」

ドシャアッ!

サキ「!」

サメハダー「サメハー!!」

サキ「サメハダーだと!? 何故だ、先程戦闘不能にしていたはず!」

アオギリ「ふふ…本当に戦闘不能にしていたのですか?」

サキ「なに…?」

アオギリ「…ヨルノズクです」

サキ「ヨルノズク……?」

616: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:53:00.33 ID:czr45I/AO

アオギリ「ヨルノズクの能力は、先程貴女が言ったとおり。心を読む、というものです。…その応用ですよ」

アオギリ「心を読むのではなく、逆にヨルノズクの心を読ませることも可能なのです。最もヨルノズクの心の声など、人間には理解出来ませんがね」

サキ「! まさか…」

アオギリ「そう…、サメハダーに読ませたのです。そして伝えた内容は……“こらえる”。
つまり、貴女に気づかれずにサメハダーへ指示をしたのですよ」

サキ「く…、サメハダーは“こらえる”をしていた……。だからヒットポイントは尽きていなかった…!」

澪「す、すごい…」

澪(なんて戦法…。アオギリのポケモン達特有の能力…それらがあるからこそ出来る戦法…!)

アオギリ「…まあ、“こらえる”をしていても放てる攻撃の数はせいぜい一、二発……。それでもう戦えなくなるでしょう」

サメハダー「…、」ヨロッ…

バタンッ!

アオギリ「…ご苦労様です、サメハダー」パシュッ

澪「……アオギリ、」

アオギリ「さて、澪さん。誠に残念な事なのですが、私の残りの手持ちポケモンではサキさんには到底敵いません。そこで貴女の出番です」

澪「……」

617: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:55:40.73 ID:czr45I/AO

アオギリ「下がるつもりはない、と言ったばかりですが、ここは貴女に免じて…いえ。貴女を信用して、下がるとしましょう」

アオギリ「…私はサポートに回ります! 貴女はサキを討ちなさい!!
背中は……」

澪「…背中は、任せたよ」

アオギリ「!」

澪「…」ニコッ

アオギリ「ふ……。さあ行きなさい!」

澪「ああ!」カチャ

ダッ!

サキ「…フンフフフ! スターミー、“じこさいせい”!!」

スターミー「トゥ…」キュアッ……

アオギリ「させませんよ! バスラオ!!」ボム!

バスラオ「ラーオ!!」

スターミー「!」

アオギリ「“アクアジェット”!!」

ババババ……バシャアンッ!!!!!!!!

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!!?」

サキ「…スターミー!!」

澪「カゲぴょん!」ボム!

カゲぴょん「ガアアアッ!!」

サキ「…!!」

澪「“きりさく”だ!!」

カゲぴょん「ガ…、アアアッ!!!」シャキンッ

ジャギイイイイイイイイッ!!!!!!!!!!!!!!

サキ「がはっ…!!」

ドダアアアアンッ!

618: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:58:28.55 ID:czr45I/AO

サキ「が…ぁ……」ガクッ

澪「……。カゲぴょん、ありがとう」シュウウッ

アオギリ「……甘いですね、澪さん。貴女はどこまでも」

澪「……」

アオギリ「私の時も、トドメを刺しませんでしたね」

澪「…大丈夫。サキもやり直せる……だって、あなたも変われたんだもの」

アオギリ「…ふ。そうですか」

澪「…」

アオギリ「行くのでしょう? ご友人達の所へ。サキさんは私に任せて、貴女はどうぞ、先へ進んで下さい」

澪「……いいのか?」

アオギリ「ええ。本来なら、上の方をいち早く阻止するべきですし」

澪「…ありがとう」

…タタッ!



アオギリ「……」

…ザッ!

ペルシアン「ニャー!」ギロッ

サキ「はぁはぁ………澪は…行ったようだな」

619: ぽけもん 2011/06/16(木) 20:59:06.95 ID:czr45I/AO

アオギリ「……貴女は、変われませんか」

サキ「…フ。フンフフフ……何を…。
変われる……いや、変わるはずがない。私は術にかけられているわけではない。心底、ゲーチス様を信仰しているのだからな」

アオギリ「あんな下衆の、どこが良いのですか?」

サキ「…フフ。貴様もかつてはゲーチス様を信仰していたはずだがな。心の底から、な」

アオギリ「…そうですね。やはり私は、なにも変わっていないのかもしれません」

サキ「…人はそんなに簡単には変われないさ。その闇にどっぷりとはまったら、余計にな」

アオギリ「……。ですがね。私は澪さんに負けてから、やはり何かが変わった気がします。勘違いかもしれません。しかし、彼女という存在が…やはり私を変えたのですよ」

サキ「…フンフフフ。あんな小娘、何処にでも転がっているようなただのトレーナーだよ。少し実力があるだけで、一介のトレーナーに過ぎない」

アオギリ「……だからかもしれませんね」

サキ「……」

620: ぽけもん 2011/06/16(木) 21:00:22.08 ID:czr45I/AO

アオギリ「…サキさん。貴女は彼女の言葉を認めることは出来ませんか」

サキ「フンフフフ、変わるなど有り得ないさ」

アオギリ「そうですか…」

サキ「…フンフフフ!! さて、あの小娘は逃がしたが。せめて貴様だけでも“みちづれ”にしてやる!! …ジュペッタ!!!」

ボム!

ジュペッタ「ジペー!!」

アオギリ「……」

サキ「これで貴様も終わりだァッ!!」

アオギリ「…シズクさん!」

…バッ!

シズク「はっ、総帥・アオギリ!」

ボム!

ペリッパー「ペリー!」

サキ「…!」

621: ぽけもん 2011/06/16(木) 21:01:33.58 ID:czr45I/AO

シズク「“ハイドロポンプ”!」

バシャアアアアッ!!!!!!

ジュペッタ「ジペー!?」

サキ「仲間が…ッ、」

アオギリ「シズクさん、ご苦労様です」

アオギリ「だから変わったと言ったでしょう。私はもうアクア団でも、ましてやプラズマ団でもありません。
トレーナーですよ。仲間と共に戦い、支え合い生きている…一人のトレーナーです」

アオギリ「…さて。貴女はどうします?
ここで変わるか、それとも最後に醜く散るか」

サキ「…どちらもお断りだな」

ペルシアン「フシャー!!」

アオギリ「……残念です」


………ザシュッ!





626: 以下、最終章 2011/07/06(水) 19:18:12.49 ID:2LzUp+1AO




シルバー「…トレーナー同士のバトル!」

N「僕たちが戦うところを見て、英雄に相応しいのは誰か見極める気なんだね」

ゼクロム「…」

レシラム「…」

唯「…私とNくん、」

律「私とシルバーが戦う…まさに最後の戦い……!!」

フジ(なるほど…。ゼクロムとレシラム、互いに“理想”と“真実”を見極めるべく、自ら戦いから身を引いたか……)

フジ(これでは本当にわしに出来ることはなくなるの。後は彼女ら次第じゃ)スッ……


N「…よし。ここは“理想”と“真実”、“真実”と“理想”…別々で戦おうじゃないか」

律「!」

唯「それって…」

627: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:19:48.98 ID:2LzUp+1AO

N「戦いはそれぞれ別室で行う。
付いてくるんだ。僕は“理想”の英雄になるために、“真実”を打ち砕く…」

唯「…」

タッ…

律「唯!」

唯「! りっちゃん」

律「これで最後の戦いなんだ。頑張ろうぜ。
勝って……本当の、“理想”的で“真実”である世界を教えてやろう!」

唯「……うんっ!」

ザッ!

唯「!」

ゼクロム「…」

唯「…?」

N「…バトルは直で見るみたいだね」

ゼクロム「…」

N「さあ、行こう」




628: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:20:32.56 ID:2LzUp+1AO
………
……


《Nの部屋》


唯「ここがNくんの部屋?」

N「そうだよ」

唯「へえ~! ここにあるもの全部Nくんのもの?」

N「そうだけど」

唯「このレールも、バスケのゴールも、あの滑り台もっ!?」

N「あ、うん…」

唯「すご~い! こんなに遊び道具が………ここは天国っ!?」

N「……今から戦いを始めるんだけど」

唯「はっ、そうだった!」

629: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:21:46.24 ID:2LzUp+1AO

N「……」

N「…ふ。その無邪気さが君の“真実”を引き出しているのかな。
でも、この部屋を気に入るとは…“理想”の英雄を目指す僕とは正反対の存在であるはずなんだけど……君は実に興味深い」

唯「…」

N「さて。無駄話はやめて、始めようか……理想と真実の戦いを!」カチャ

唯「!」

ボム!

オタマロ「マロー!」

唯「! その子は…」

N「君と初めてバトルした時に、僕と共に戦ってくれたトモダチ、オタマロ。今回も君に頑張ってもらおう」

オタマロ「マロー!」

唯「相変わらずかわいいね……でも!」カチャ

ボム!

ピッ太「ピッ!」

630: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:22:55.15 ID:2LzUp+1AO

N「! ピクシー、か。初めてみるよ」

唯「うん。今までとはまったく違う手持ちだよ!
あの時は苦戦したけど、今回はそうはいかないよ!」

ピッ太「ピッ!」

N「…そうか。なぜかは知らないけど、一時はそのポケモンとは離れ離れだったんだね」

唯「そうだよ。でもさっきフジさんに渡してもらって、戻ってきたの。ピッ太たちが帰ってきた今、負ける気はしないよ!」

N「…ふふ、そうかな? あの時と違うのは、君だけじゃないよ」

唯「え……」

N「オタマロ、“りんしょう”!」

オタマロ「マロロ~♪」

唯「また…、“りんしょう”?」

唯「なら! こっちも“りんしょう”だよ、ピッ太!」

ピッ太「ピ~♪」

631: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:29:01.59 ID:2LzUp+1AO

唯「よし、これでオタマロに大きなダメージを与えられる!」

オタマロ「~♪」

ピッ太「~~♪」

N「いや、それは出来ないよ」

ピッ太「♪、…!?」ガクッ…

唯「! ど、どうしたのピッ太!?」

ピッ太「ピッ…」フラフラ……

唯「こんらん、してる…!?」

N「“ちょうおんぱ”」

唯「!」

N「オタマロは“りんしょう”に紛らせて、“ちょうおんぱ”を発していたのさ。
それを聴いたピクシーは混乱し、威力の上がった“りんしょう”はピクシー自身を苦しめたというわけだよ」

唯「…っ! …ピッ太、戻って」シュウウッ

N「言ったはずだよ。あの時と違うのは君だけじゃない……負ける気がしないのは僕の方も同じさ」

唯「……っ」




632: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:31:30.29 ID:2LzUp+1AO




シルバー「…じゃあ、俺たちも始めるとするか」

レシラム「…」

シルバー「見ていてくれ、レシラム。俺が“真実”の英雄になるに相応しいか、お前が決めろ!」ボム!

キングドラ「グドラァーッ!」

律「唯にああ言った手前、私が負けてちゃ格好がつかないよな」

カチャ…

律「…久しぶり。また私と一緒に戦ってくれ!」ボム!

ウィング「ワタワター!」

シルバー「ワタッコか……キングドラ、“ハイドロポンプ”だ!」

キングドラ「グドラァーッ!!」ブシャアアアアッ!

律「…!」

シルバー「いきなり大技で悪いな。初戦は勝たせてもらう!」

633: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:34:52.56 ID:2LzUp+1AO

律「…へへ」ニヤ

シルバー「?」

律「腕は鈍ってないよな、ウィング?
行くぜ、“ぎんいろのかぜ”!」

ウィング「ワター!」ビュウッ

キングドラ「…!?」

バシャアッ…!

シルバー「外した!?」

律「いや、かわしたんだ! ウィングは風に乗って飛ぶポケモンだ。自分で風を吹かせて自由に動くことができるのさ!」

シルバー「くっ…なら、“あくび”だ!」

キングドラ「ドラッ」ファーア

ウィング「っ!」ファーア…

律「!」

ウィング「…zZZ」

シルバー「ふっ、これで“ぎんいろのかぜ”を封じた! もう攻撃を避けることはできない! キングドラ、“ハイドロポンプ”!!」

キングドラ「グドラァーッ!!」ブシャアアアアッ!!!!!

634: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:42:45.78 ID:2LzUp+1AO

シルバー「残念だったな。強さなんて理想は、そんなものだ」

律「…そうか? じゃあ、この真実……どう受け止める?」

ウィング「…zz」

ブシャアア!!!!

スカッ……

キングドラ「っ!」

シルバー「な…に…ッ!?」

ウィング「…zz」フワッ…

シルバー「確かに寝ているのに…何故避けられた!?」

律「そりゃあ…、さっき言っただろ。ウィングは風に乗る、って」

シルバー「! まさか攻撃の風圧で!?」

律「そうだ。寝ていても関係ないぜ!」

ウィング「…zz」

シルバー「ぐっ…」

635: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:45:42.21 ID:2LzUp+1AO

律「…いくぜ。そろそろだな」

ウィング「…っ!」パチッ!

シルバー「!」

律「“ギガドレイン”だぁ!!」

ウィング「ワターっ!!」ダッ

ピトッ!

キングドラ「…!」

ギュオオオ…!!!!!!

キングドラ「グ、ドラァー!?」

…バタンッ!

シルバー「キングドラ!」

律「戦闘不能だな」

シルバー「…っ、戻れキングドラ!」シュウウッ

律「よくやったぜ、ウィング!」

ウィング「ワター♪」

シルバー「…スピード、か」

律「?」

636: ぽけもん 2011/07/06(水) 19:48:33.45 ID:2LzUp+1AO

シルバー「そのワタッコが長けているのはスピードだな。
風に乗って飛ぶからといって、どんな攻撃も必ず避けられるはずはない……避けるにはスピードも必要なんだ。
だからこそ、スピードに長けているそのワタッコは攻撃を避けられる」

律「…」

シルバー「ならばっ、ワタッコよりも素早いポケモンの攻撃なら避けられない! ニューラ!!」ボム!

ニューラ「ニュー!」

律「! ニューラ…!」

シルバー「ついでに言うと、タイプ相性的にも分が悪いな」

ウィング「ワタ…」

シルバー「“こおりのつぶて”だ!」

ニューラ「ニュー!!」ババババッ!

ウィング「!!」

律「ウィン…」

ドダダダッ!!!!!

ウィング「ワター!?」

律「ウィング…!」

シルバー「予想的中だな。ニューラの攻撃なら当てられる!」

シルバー「ニューラ、“こごえるかぜ”!」

ニューラ「ニュラァアッ!!」

637: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:05:58.97 ID:2LzUp+1AO

ビュオオオッ!!!!!

律(! まずい…っ!)

律「ウィングっ! “ぎんいろのかぜ”だ!」

ウィング「ワタッ……、ワター!!」ビュウッ!

シルバー「無駄だ! “こごえるかぜ”で追え!」

ビュオオオッ!!!!!!

ウィング「…!!」

ギュワアンッ!

ウィング「…ワター!?」ドシャアン!

律「ウィング!」

ウィング「ワタ~…」ガクッ

律「…!」

シルバー「これも予想通りだったな。
風に乗って飛ぶのなら、相手の繰り出す風にも乗ってしまうんだ」

律「…ありがとうウィング、休んでてくれ」シュウウッ

638: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:07:45.98 ID:2LzUp+1AO

シルバー「どうする?」

律「…どうする、って何がだ?」

シルバー「恐らくあんたの残りの手持ちには、ニューラのスピードに敵うポケモンなんていないだろう。
スピードについてこれなきゃ、バトルにならないからな。だから、どうするって聞いているんだ。このまま続けるか、降参するか…」

律「…へっ。何言ってんだ。今さら降参なんてするかよ」

シルバー「だろうな」

律「それにバトルにならない、って…本気で言ってんのか?」

シルバー「……?」

律「ニューラを見てみろよ」

ニューラ「ニュ…」ビリッ…

シルバー「! どうした…!?」

律「ウィングの“わたほうし”だよ」

シルバー「“わたほうし”…? だが…」

律「ああ、ただの“わたほうし”じゃない。ワタッコってポケモンは季節風に流されて世界を一周する……その風と一緒に“ほうし”も流されてくるんだ。麻痺、毒、眠り…状態異常を司る“ほうし”が。
ワタッコの“わたほうし”の正体はそれだ」

639: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:09:17.16 ID:2LzUp+1AO

シルバー「じゃあさっきの“わたほうし”は状態異常にする特殊なものだったのか!」

ニューラ「ニュゥ…」ビリリッ…

シルバー「麻痺、か…。くそ……」

律「これでニューラのスピードは封じたぜ! いけ、スカイ!」ボム!

スカイ「トニョーロ!」

律「“ハイパーボイス”!」

スカイ「トニョーロー!!」グオオオン!

シルバー「! …ニューラ、“こうそくいどう”でかわせ!」

ニューラ「ニュ…」ビリッ!

ニューラ「…ッ!」

グオオオン!!!!

ニューラ「ニュー!?」

シルバー「ニューラ!」

律「いいぜ、スカイ! その調子でガンガン“ハイパーボイス”だ!」

スカイ「トニョーロー!!」グオオオン!

640: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:10:21.61 ID:2LzUp+1AO

ニューラ「ニュー…」ピリピリッ……

シルバー「…っ」

シルバー(このままじゃあ……だが、もう……)

律「…どうしたんだ、シルバー」

シルバー「!」

律「せっかく久しぶりにこうしてバトルしてるんだ。楽しませてくれよ。
今はプラズマ団とか英雄とかは関係ない……トレーナーとトレーナーの真剣勝負だ!」

律「…お前、前に言ってたよな? 『ニューラは手持ちで一番信頼しているポケモン』だって。ならニューラもそうなんじゃないのか? お前を信頼しているんじゃないのか、だからまだ倒れてないんだろ! ニューラが踏ん張ってるのに、トレーナーのお前がそこで諦めるのかよ!?」

シルバー「……!」

ニューラ「…ニュ、ウ……!」

シルバー(ニューラ…)

641: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:17:25.31 ID:2LzUp+1AO

シルバー「……くっ! ニューラ、“ふぶき”だ!!」

ニューラ「!」

シルバー「頑張れ、負けるな!」

ニューラ「…ニュー!」ニコッ

ニューラ「ニュウウウ!!!」ゴオッ…

ビュオオオオオオッ!!!!!

スカイ「…!」

律「“ハイパーボイス”で対抗しろ!」

スカイ「トニョーロ!!」グオオオン!

ドオオオオオオオン!!!!!!!!


……シュウウッ

スタッ

ニューラ「……」

スカイ「……」

642: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:18:25.00 ID:2LzUp+1AO

律「技の威力は互角、か…」

シルバー「なら、トレーナーの判断が勝負を決めるな」

律「!」

シルバー「俺とニューラの絆を見せてやる!」

律「へへ、面白いじゃねえか。私とスカイだって負けないぜ!」

律「スカイ、“ハイドロポンプ”!」

スカイ「トニョーロ!」ブシャアアッ!

シルバー「“つめとぎ”だ!」

ニューラ「ニュー!」シャキンッ

バシャアッ…!

スカイ「ニョロッ!?」

律「弾かれた…!」

シルバー「“つめとぎ”でピカピカになった爪は水をも弾く。そしてそれだけじゃない!」

律「パワーが上がって、技が当たりやすくなるんだったか…」

シルバー「そうだ。そしてその“するどいツメ”が引き起こすのは…!」

643: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:22:07.09 ID:2LzUp+1AO

ニューラ「ニュー!」ダッ!

シルバー「進化だッ!!」

ピカッ!

「マニュー!」

律「あのポケモンは…!」ピッ

ポケモン図鑑『マニューラ、かぎづめポケモン
しんかして さらに ずるがしこくなり ツメで いしに サインをつけて コミュニケーションを はかっている。』

律「マニューラ…!」

644: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:23:12.91 ID:2LzUp+1AO

シルバー「“つじぎり”だぁッ!!」

マニューラ「マニュー!」シャキンッ

律「! スカイっ!」

スカイ「ニョロ…!」

ザキイイッ!!!!!

スカイ「…、」

バタンッ!

律「スカイ…っ。ありがとう、戻ってくれ」シュウウッ

マニューラ「…ッ」ビリッ…

シルバー「! 流石に限界か……いや、よくやってくれた」シュウウッ

律「…」

シルバー「いいな…」

律「え…?」

シルバー「あんたとのバトルは楽しいよ。あんたが言ったみたいに、英雄を決める勝負とか、忘れるくらいにな」

律「シルバー…」

645: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:24:11.07 ID:2LzUp+1AO

律「……一つ、聞かせてくれ」

シルバー「なんだ?」

律「もし、この勝負でお前が負けて英雄になれなかったら…どうするんだ?」

シルバー「……俺は、構わない。人とポケモンが共に暮らす世界を否定する気はない。
…だがNは違う。あいつは幼い俺が勘違いした理想…『人とポケモンが一緒にいることが悪いことだという世界』によって作られた。ここであいつと俺が英雄になれなかったら、あいつは生きる意味を失うんだ…」

シルバー「だから、負けられない」

律「…それが、世界を巻き込むことでもかよ」

シルバー「ああ。あいつのためなら、今の世界だって……ポケモンだって! 全部を捨てる!!」

律「…分かった。サンキューな、答えてくれて」

シルバー「ふっ。…だが今は」

律「へへ…、ああ! このバトルを楽しもうぜ!」

ボム!

ランス「ニドー!」

リングマ「グマー!」

646: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:25:36.07 ID:2LzUp+1AO

律「まずは小技で攻めろ! “みだれづき”だ!」

ランス「ニドー!」

ドドドドドド!!!!!

リングマ「グ、マー…!」ジリッ…

律「今だ! “メガホーン”!!」

ランス「ニドー!!」ギュオッ!

リングマ「…!」

シルバー「角に触れるな! 肩を掴んで押さえろ!!」

リングマ「グマァーッ!!」ガシッ!

ランス「!」

ギチッ…!

ランス「ニドッ…!?」

律「止まった…!」

シルバー「“カウンター”!」

リングマ「グマーッ!!」ブンッ!

ドオオオオオン!!!!!

ランス「ニド…ッ!」

律「ランスっ!」

647: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:27:10.08 ID:2LzUp+1AO

シルバー「一気に畳み掛けろ! “きりさく”!!」

リングマ「グマ!」ジャギンッ

律「ッ! “だいちのちから”だ!」

ランス「ニド…!」ギンッ!

ゴゴゴゴゴゴ………!!!!

リングマ「!」

シルバー「ちっ……後退しろ!」

ゴオオオオオオオン!!!!!!!!!!


シュウウッ……

リングマ「…」ギロッ

ランス「…っ」ゼエゼエ…

律(……、強い…!)

シルバー「…流石だな」

律「…?」

ガクッ!

リングマ「グ、マ…っ」ハアハア…

律「…!」

648: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:32:46.97 ID:2LzUp+1AO

シルバー「“だいちのちから”…完全に避けるのは無理だったか」

律「…へっ」

律「そういえば、最初にお前とバトルした時もこの二匹で戦ったっけ…」

シルバー「……。あれがすべての始まりだったな。出来ればあの頃に戻りたいよ」

シルバー「ふっ、なんてな。
…リングマ! “ばかぢから”!!」

リングマ「グマーッ!!」ゴウッ…

ギュアアアアアアアッ!!!!!

律「“シャドーボール”で跳ね返せ!」

ランス「ニドー!!」ギュンッ!

パアアアン!!!

リングマ「…!?」

シルバー「なに…!」

律「“とっしん”だ!」

ランス「ニドー!」ダッ!

シルバー「“すてみタックル”で迎え撃て!」

リングマ「グマー!」ダッ!

ランス「ニドォーッ!!!」

リングマ「グマァーッ!!」

ズダアアアアアアアンッ!!!!!!!!!!!!

ランス「…」

リングマ「…」

グラッ……

バタアンッ!

律シルバー「…!!」


「「相打ち…!!」」



649: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:33:52.15 ID:2LzUp+1AO

律「…ランス、ありがとう」シュウウッ

シルバー「よくやった、リングマ」シュウウッ

律「…さて、残るはあと一匹か」

シルバー「…」カチャ

…ボム!

ギャラドス「ギャラァ!」

キラアン!

律「…待ってたぞ、赤いギャラドス! やっぱり最後の一匹はそいつか!」

律「頼んだぜ、ヒート!」ボム!

ヒート「ヒヒーン!」

シルバー「…ギャロップ……」

律「シルバー、お前ならこの意味…分かるだろ?」

シルバー「ギャラドスとギャロップ……。共にロケット団に無理やり進化させられたポケモンか」

律「ああ、そうだ。サキに注射をさされてヒートは進化させられた……それで私が落ち込んでいるところを、お前のギャラドスの戦いぶりを見て…立ち直れたんだ」

650: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:35:47.30 ID:2LzUp+1AO

律「今度はこのバトルでお前を救う! ヒートで勝って、救い出してやる! この世界も、お前とNも!!」

シルバー(……っ!)

…ギリッ……!

シルバー「やれる、ものならやってみろ…。水タイプのギャラドスと炎タイプのギャロップじゃあ勝負にもならないぞ」

律「へっ。そんなもの、やってみなくちゃ分からない!」

シルバー「言っていろ! ギャラドス、“ハイドロポンプ”!!」

ギャラドス「ギャラァ!!」ブシャアアアアッ!

ヒート「!!」

バシャアッ!!!!!!

律(しまった…! 水技を正面から受けたら…)

ゴオオオッ!!!!!!!!!

ヒート「ヒヒーン!!!」

律「! ヒート…」

ヒート「ヒヒン!」

律「…そうだよな。今さっきヒートで勝つって言ったのに、なんてことを考えてたんだ、私は……」

律「…よし。いくぜ、ヒート! もう大丈夫だ。お前を信じて……」

ヒート「ヒヒーン!!!」ゴオオオオオオッ!

律「……ヒート?」

651: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:38:21.22 ID:2LzUp+1AO

ヒート「ヒヒン!」

律「…! まさか、新しい技を覚えたのか…?」

ヒート「ヒン!」コクッ

律「…! 私もいない間、技の練習をしてたのか…」

律「……その技を使えば、勝てるのか? ギャラドスに」

ヒート「ヒヒン!」コクッ

律「…分かった。今度こそ言わせてもらうぜ!
信じてるぞ、ヒート!!」

ヒート「ヒヒーン!」ダッ!

律「“れんごく”だぁあああッ!!!」

ヒート「ヒヒーーーンッッ!!!!」

ゴオオオオオオッ!!!!!!!!!!!

シルバー「…面白い」

シルバー「ギャラドス、“はかいこうせん”だぁあああッ!!!」

ギャラドス「ギャラァアアーッ!!!!」カッ!

ドギュウウウウウウッ!!!!!!!!!!!!


ドガアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!




652: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:40:11.21 ID:2LzUp+1AO
………
……


《Nの部屋》


唯「ブイ太、おねがい!」ボム!

ブイ太「シャワー!」

N「オタマロ、続いて頼むよ」

オタマロ「マロロ~」

唯「ブイ太、真上に“ハイドロポンプ”!」

ブイ太「シャワー!」バシャアアッ!

N「なにを…?」

唯「“とける”!」

ブイ太「…」シュンッ…

オタマロ「っ!」

N「消えた…!?」

唯「あわはきポケモン、シャワーズは身体が水分子に似た成分で構成されているの。だから水に溶けて、姿を消すことができるらしいよ! 理屈はよく分からないけどねっ」

653: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:42:03.11 ID:2LzUp+1AO

シュウウ……

N「…」

N「…すごいね。水に溶けて姿を消すなんて……」

N「でも、完全に姿を消してはいない…よね?」

オタマロ「マロロ~!」

N「オタマロがそう言っているんだ。水タイプのオタマロだからこそ、感じられる何か…。そう、シャワーズは『水に溶けている』!」

N「姿を消しているのではなく、水に姿を変えているだけ。ならば、水を攻撃すればいい!
オタマロ、“ちょうおんぱ”!!」

唯「……!」

オタマロ「マロロ~!」ウィイン!

…バシャアアンッ!

N「……」

パシャッ……、

N「…!?」

ブイ太(液状)「シャワー!」

「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」

N「分裂した…!?」

654: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:43:26.21 ID:2LzUp+1AO

唯「液体に音で攻撃してもダメージはないからね。むしろ、好都合!」

「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」

オタマロ「マロロ~!?」オロオロ

N「落ち着くんだ、オタマロ! 所詮は水さ、“バブルこうせん”で蹴散らせ!」

オタマロ「マロー!」ブシャアアッ!

ブクブクブク…

「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」

N「な……、膨張した!?」

唯「ブイ太の特性“ちょすい”で水を取り込んだんだよ!」

N「…! 音波も水も効かないとなると、オタマロは……。いや…」

N「やはり所詮はただの水だ! その状態ではろくな技も出せないはず!」

唯「…うん。確かに液状じゃ技を出せないよ。でもね……特性は?」

N「!」

655: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:44:37.11 ID:2LzUp+1AO

唯「特性はさっきの通り、そのまま効果は続く! ブイ太!」

「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」

オタマロ「マロロ~!?」

N「オタマロを取り囲んで…」

「シャワー!」「シャワー!」「シャワー!」

バッ!

パシャアアアンッ!!!!!

オタマロ「」ドサッ

N「なにが……っ!」

唯「“ちょすい”でオタマロちゃんの体の水分を吸い取ったの」

N「水分を…?」

N「…ふふ。君の特異な戦術には驚かされるよ」

パシュッ!

N「ありがとう、僕のトモダチ」

656: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:45:47.17 ID:2LzUp+1AO

N「そして、次は君だ! ツンベアー!」ボム!

ツンベアー「ベアー!」

N「水が相手なら凍らせてしまえばいい! “れいとうビーム”だ!!」

ツンベアー「ベアー!!」ビュオオオッ

唯「“10まんボルト”!!」

バリイイッ!!!!!!

ツンベアー「…!?」

N「馬鹿な…、電気技だって!?」

メリ太「モコー!!」

唯「いくよ、メリ太!」

N「交替したのか…!」

メリ太「モコー…!」バリバリッ……

N「…! そのパワー…!!」

唯「メリ太は体に流れる“せいでんき”を利用して電気技を放つの。その威力は膨大だよ!」

657: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:53:03.65 ID:2LzUp+1AO

メリ太「モコー…!!!」バチバチバチイッ!

唯「“ほうでん”!!」

バチイイイッ!!!!!!!

N「…ッ! ツンベアー、氷柱を作ってガードするんだ!」

ツンベアー「ベ、ベアー!」バッ

カキイン!

N「これでツンベアーに攻撃は届かない!!」

唯「そうだね……でも、それはメリ太だけの力ならの話!」

ピチャ…

N「! 水……、そうか! シャワーズの……」

唯「ブイ太の力を借りて、あなたのツンベアーちゃんに届かせる!」

バチバチバチイ…!!!!!

N「水の道にそって…!?」

バチバチバチイイイッ!!!!!!!!

ツンベアー「ベアー!?」

ピシャアアアアアンッ!!!!!!!!!!


ツンベアー「」バタンッ

N「ツンベアー!」

658: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:54:28.57 ID:2LzUp+1AO

唯「メリ太、よくやったよ~!」スリスリ

メリ太「モコ~♪」

バチッ!

唯「やっぱし、いだいっ!」

N「く……、戻ってくれツンベアー…」パシュッ

N(どう、すれば……勝てない? 僕は勝てないのか? この子に…)

N(僕が負けたらどうなる? 僕の存在価値が……いや、そんなことのためじゃない。シルバーは僕のために戦ってくれている。なら、簡単だ……)

N「僕は……」

唯「!」

N「シルバーのため、僕は負けるわけにはいかないんだあああッ!!!」ボム!

チョロネコ「ニャー!」ダッ

唯「…メリ太!」

メリ太「モコー!」

N「“つじぎり”!!」

ザキイイッ!!!!!

メリ太「モコ!?」ユラッ…

バタアンッ!

唯「…!」

659: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:55:35.48 ID:2LzUp+1AO

N「……これで、君も残り一匹。まだ勝負は分からない!」

唯「……」

N「……」

唯「…ううん」

N「…?」

唯「…もう、終わりだよ」

バシャアアアアッ!!!!!

N「! なにっ!?」

ブイ太「シャワー!」バッ

N「シャワーズ…!?」

唯「ブイ太、“ハイドロポンプ”!!」

ブイ太「シャワー!!」ブシャアアアアッ

チョロネコ「っ!」

バシャアアアアンッ!!!!!!

660: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:56:41.62 ID:2LzUp+1AO

…ドシャアアッ!

チョロネコ「ニャァ…」ガクッ

N「チョ、ロネコ……」

ブイ太「…」スタッ

唯「言ったでしょ? メリ太の力だけじゃない、って」

N「! あの水はシャワーズ本体だったのか…」

ブイ太「シャワー…」ゼエゼエ

N「電気技を受けて満身創痍といった所だね……その状態で戦えたのか」

N「……僕の負けだ」

661: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:57:27.29 ID:2LzUp+1AO

N「君の真実が僕の理想に勝った……。いや、強さという理想……君は真実と理想、その両方を持っていた…。だから、僕なんかが勝てるはずもなかった、か……」

唯「…そんな立派なものじゃないよ」

N「…」

唯「夢、だよ」

N「……夢?」

唯「うん。誰でも持つことができる…それでいて、その人の真実と理想でもあるもの……それが夢」

N「そんな…夢なんて僕にも……」

N「…いや僕の持っているものは理想であって、夢じゃない……ただの…願望だ……」

唯「……」

N「…夢、か。それなら彼女も持っているんだろうね」

唯「へ…?」

N「田井中律さ。今、勝負が着いたみたいだ。僕はシルバーの気持ちなら離れていても何となく感じ取れる……シルバーが負けたみたいだ」

唯「じゃありっちゃんが…!」

N「ああ。……これで本当に終わりかな」

唯「Nくん…」

662: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:58:19.60 ID:2LzUp+1AO

N「僕とシルバーは英雄になれなかった…。これで僕の存在価値……シルバーの理想……すべてが………崩れ落ちた!!
もう…おしまいだ……」

唯「そんなことない……」

N「え……?」

唯「そんなことないよっ!」

N「…!」

唯「まだ終わってない。
今、Nくんの心には誰が映ってるの? その人の心には誰が映ってるの…?
その人のためにできることは何だったの? 英雄になること、理想を叶えること? …違うよ」

唯「もっと簡単なことだよ! 理想だし願いだし、たった一つの真実!」

N「…ぼ、くは……」

唯「もう一度、言うよ…。夢は誰にでも持てるの」




663: ぽけもん 2011/07/06(水) 20:59:19.03 ID:2LzUp+1AO
………
……


シュウウッ……

ギャラドス「」ガクッ

シルバー「…! 負けた……?」

律「…」

シルバー「くそ…そんな……これじゃあ、Nは……Nの理想は……」

律「シルバー…」

ザッザッ…

シルバー「!」

N「…シルバー」

シルバー「N…!?」


唯「おっす、りっちゃん!」

律「唯っ! Nもいるってことは…勝ったのか?」

唯「うん」

律「…てか、なんでそんなお気楽なんだ」

唯「りっちゃん、今はね…」

律「ん?」

チラッ

律「…ああ、そうだな。りっちゃんは空気の読める子だぜ!」

唯「えへへ~」

664: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:00:17.86 ID:2LzUp+1AO


N「……」

シルバー「……」

N「…シルバー、」

N「話があるんだ」

シルバー「…す、すまない。俺は負けた……もう俺達は……」

N「…いいんだ」

シルバー「え…?」

N「僕、気づいたんだ。やっと……」

N「シルバーの理想で作られた僕。生まれた直後は心はそれでいっぱいだった。なにも考えず、感じず…ただその理想だけを心で描いていた……。
そんな僕が、何故ここまでの自我を持ったかは分からない」

N「でも一つだけ、確かなものがあるんだ。彼女に言われて気づいたよ。
僕にとって理想や真実なんてどうでもいい…たった一つの願い、たった一つの…夢。シルバー、君がいればそれでよかったんだよ」

シルバー「…!」

N「生まれた直後に君は傍にいなかった…だから心がどこかポッカリと空いているような感覚がしていた……。君に再会して、何かが変わったんだろう。
そして思ったんだ。僕には君が必要だって。だから君のために戦って、英雄になろうとしていた……」

N「本当に今更だけど、言わせてほしい…。
シルバー、僕は君といつまでも一緒にいたい」

665: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:01:45.09 ID:2LzUp+1AO

シルバー「……」

シルバー「…ふ。突然なにを言い出すかと思ったら……」

シルバー「当たり前だろ」

N「!」

シルバー「俺もお前のために戦っていた…。理由なんていらない。俺達は一心同体なんだからな」

N「…シルバー」

シルバー「…本当に、今更で笑っちまうな。なんでもっと早く気づかなかったんだろうな……」

…ザッ!

シルバー「…?」

レシラム「…」

シルバー「…レシラム?」

ザッ!

ゼクロム「…」

N「ゼクロム…?」

レシラム「モエルーワ!!」

ゼクロム「バリバリダー!!」

シルバー「な、なんだ…?」

N「なにが…」

律「二人の理想と真実を称えてんじゃないのか?」

シルバー「!」

唯「二人のこと、喜んでるのかもねえ」

N「……なんで、僕達は負けたのに…」

律「勝ち負けだけが英雄の基準ってわけじゃないみたいだな」

唯「二人の夢が英雄として十分だったんだよ!」

N「…」

シルバー「…」

ゼクロム「バリバリダー!」

レシラム「モエルーワ!」

律「新しい二人の英雄の誕生だな!」

唯「おめでとう、Nくん! シルバーくん!」

666: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:02:46.12 ID:2LzUp+1AO

N「……」

シルバー「…N」

N「ああ、シルバー…」

バアアアンッ!

「そうはいきませんよ!!!」

唯律「!!」 Nシルバー「!!」

「ふふふ……なんとか間に合いましたね。いや、少し手遅れでしたか」

律「ゲーチス…!!」

ゲーチス「そんなに都合よくハッピーエンドが迎えられると思っていたんですか?」

ゲーチス「Nとシルバー……二人が英雄になることに不満はありません。ですが、そんな英雄になれと誰が言ったんですか?
ワタクシが望んだのは、そんなものではない! 世界のすべてを平伏させ、掌握する絶対的なる真の英雄!!
それがワタクシが望んだものです!!
平和をうたうクソみたいな英雄になれとは言っていません!!!」

ゲーチス「Nとシルバーには何が何でも、真の英雄になってもらわなくてはいけません! ここまでくると……少々強行に話を進めなくてはいけませんね……。全てをやり直すため、Nとシルバーの記憶を消します!!」

ゲーチス「まずはそのために、邪魔なあなたたちを排除する!!!」

唯律「!!」

ゲーチス「ワタクシの“理想”の実現のため、あなたたちには消えてもらいます!!!」

667: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:03:37.60 ID:2LzUp+1AO

唯「……」キッ

ゲーチス「フフフ…なんですか、その目はァ!?」

律「…やってみろよ」

唯「私たちは負けないよ!」

ゲーチス「ククッ…、ハハハハ!!! 本気で言っているのですか!?
こちらの総戦力は、ざっと一万以上!! 対して、あなたたちは二人!! 勝ち目があるわけないでしょう!!!」

ゲーチス「ククク……、今七賢人が下で戦っていますがね。彼らはプラズマ団でもトップクラスの実力を持つ!
直にここへ来ますよ。下の雑魚どもを倒してねェ!!!」

「誰が雑魚だって?」

ゲーチス「…!?」

「ふむ…。それがもしわしのことならば、わしに負けた七賢人の二人はどうなるのかのう」

ゲーチス「き、貴様…ッ」

唯律「アデクさん!!」

アデク「マツブサとアカギなら、わしが倒したぞ」

668: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:04:40.92 ID:2LzUp+1AO

ゲーチス「グ…ッ!!
……い、いや! それが何だと言うのですかッ? あんな老害どもを負かしたところでッ!!」

ゲーチス「七賢人はその二人だけではないのです!! 四天王という実力者が…!!
ギーマ!! シキミ!! レンブ!! カトレア!!
あの四人相手なら、チャンピオンのあなたでも…!!!」

アデク「……」

カツカツ…

ゲーチス「! ほら、来ましたよ? 最初にあなたの相手をするのはどなたでしょうねぇ?」

カツ…

カトレア「イッシュ四天王カトレア、ただいま参上つかまつりました」

律「! カトレア…!」

ゲーチス「フハハハ!! いいタイミングですよ、カトレアさん。
こいつらをエスパーポケモンで殲滅してやりなさい!!」

カトレア「…ふふ」クスッ

ゲーチス「…!!」

カトレア「あなたとあろう者が…アタクシがスパイだと、気づいていないはずがありませんよね?」

669: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:06:00.78 ID:2LzUp+1AO

タタッ!

クロツグ「なんだかなー。カトレアー! 速く走りすぎだぞー!」

アデク「! おぬしは確か、フロンティアブレーンの…。それと……」

アデク「…!?」

律「あ、ああっ!!」

唯「?」

アデク「コクラン!!」 律「コクランさん!?」

コクラン「アデク様、そして律様。久方ぶりでございます」

アデク「な、なぜコクランが…。
というより、律とコクランは知り合いなのか?」

律「あ、いやあ…はは」

コクラン「…ふふ、私めはある女性に助けられましてね」パチッ

律「! …へへっ」

アデク「むう?」

ゲーチス「く…う、まさか……貴様たちだけで七賢人を倒したというのか…!」

「カトレアさんたちだけではありません!」

「私たちも頑張りました~♪」

唯「あずにゃん!?」 律「ムギ!!」

梓「久しぶりですね。唯先輩、律先輩!」

紬「もうちょっと感動的な再会の仕方がよかったけど…」

梓「まあこんな状況ですしね」

唯「ううん! すごく感動的だよ!! すっっごく!!」パアアッ

律「落ち着けっ」

紬「嬉しいわね~♪」

梓「元気そうで何よりです」

670: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:07:23.49 ID:2LzUp+1AO

ゲーチス「……馬鹿なッ。我がプラズマ団七賢人が負けただと……!?」

ゲーチス「…ふっ、だが!!
まだまだプラズマ団はこんなものではない!!!
ワタクシには直属の親衛隊があるのです! それはワタクシが呼べばすぐに駆け付ける!!
ダークトリニティ《改》よ!! さあ、ワタクシのところへ来なさい!!!」

―――シーン…

ゲーチス「そ、そんな!!
いつもなら一秒もかからず、まさに一瞬で……」

「無駄だ、サキとミツルくんはもう来ない」

ゲーチス「! み、澪ォオオオ!!!!」

唯「澪ちゃん!」 律「澪!!」

澪「唯! 律!」タタッ

唯「よかったあ~。一人で残っちゃったから、心配だったんだよ?」

澪「ご、ごめん」

律「まったく…、バカ澪」

澪「な、なにい!」

澪「こんの、バカ律!」

律「ひやあん! おやめになって~!」

ギャーギャー

律「」

澪「まったく…」

唯「えへへ」

紬「よかったわ、澪ちゃん。もとに戻ったのね♪」

梓「一時はどうなることかと思いました…」

671: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:08:28.96 ID:2LzUp+1AO

澪「はれ? なんでムギと梓が…」

ゲーチス「グ、クク…」

澪「…!」

ゲーチス「有り得ないぞ…、七賢人もダークトリニティ《改》も……!」

澪「…ゲーチス、」

ゲーチス「…フハハハ、なんですか? それで勝ったつもりなんですかァ?
まだ甘いんですよ……プラズマ団は昔から存在していたのです。あなたがプラズマ団に来たのはついこの間……。
あなたが来る前にワタクシの親衛隊を務めていた、ダークトリニティ!!」

ゲーチス「ダークトリニティよ!! どんな方法をとっても構いません! こいつらを排除したら……いえ。
ここへ今すぐにでも駆け付けたら、またワタクシの親衛隊をやらせてあげましょう!!!」

ゲーチス「さあ、早く!! 早く来なさアアい!!!!」

「“はかいこうせん”!」

ドギュウウウウウウッ!!!!!

ゲーチス「ぬおおおっ!?」ドサアッ!

「…ふん。あの三つ子なら、こんなふうにいなしてやったが?」

澪「ワ、ワタルさん!?」

ワタル「ん? 澪?」

672: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:09:48.49 ID:2LzUp+1AO

「あれ、澪ちゃんじゃないか。こんなところで会うなんて、大誤算だね」

ダイゴ「…ダイゴだけにっ」クスッ

澪「ダイゴさんまで!?」

「はあ…。ていうか、ワタルくんは人間に“はかいこうせん”をしちゃ駄目だってあれ程言っておいたはずなんだけど……」

梓「なっ!」

紬「シロナさん!?」

シロナ「あら…なんで梓ちゃんと紬ちゃんが…?」

律「三人とも、知り合いか?」

澪「あ、ああ」

梓「は、はい」

紬「ええ。チャンピオンさんよ♪」

唯律「チャンピオン!?」

律(そういやぁ、いつかのテレビで見たことあるような……)

唯(…ふぇ?)

ゲーチス「チャンピオンズか…!!」

アデク「…ふむ。ゲーチスよ、そろそろ諦めたらどうだ?
四地方のチャンピオン、四天王、フロンティアブレーン、五人の実力あるトレーナー…………降参するには十二分なものだが」

ゲーチス「……ククッ」

673: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:15:55.70 ID:2LzUp+1AO

ゲーチス「ハハハハハハハハッ!!!
これだから貴方達は愚かだというのですよ!! チャンピオン、四天王、ブレーン? それがどうかしましたかねぇッ!?
こちらには総勢一万人ものプラズマ団員がいるのです!! 二十にも満たない人数でそれらに敵うとでも?
結局貴方達に勝ち目はないのですよォッ!!!」

「勝ち目がないのはアンタの方じゃないのかい?」

ゲーチス「!!」

唯律「アロエさん!」

アロエ「…ふう、流石に時間を食っちまったね」

ヤーコン「ふん。だが、一万人と言っても大したことはなかったな」

シャガ「ソウリュウのトレーナー百人と毎日稽古をしている、このシャガにとっては屁でもない」

ゲーチス「ぐ…!」

アーティ「やあ、ゲーチスさん」

ゲーチス「! アーティ…!」

アーティ「プラズマ団の考え…全てを否定する気はなかったけど、実は貴方の野望を叶えるためのポケモン解放だったみたいだね」

カミツレ「全く…醜いことね。自分の野望のためにたくさんの人を騙すなんて…」

フウロ「…プラズマ団員の人達はもう、みんな改心しましたよ」

ゲーチス「! な、に……?」

アイリス「ポケモンと離れたくないみたいね。結局は、プラズマ団員もポケモンを愛していたのよ!」

ゲーチス「あの、下っ端どもめぇええ!!!」

674: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:16:57.60 ID:2LzUp+1AO

ハチク「……、ゲーチス」

ゲーチス「!」

ハチク「七賢人も親衛隊とやらも、一万人の軍勢ももういない。
このままお前が何も変わらないというのなら……」

ハチク「お前は独りだ。…どうする?」

ゲーチス「……、」

ハチク「……」

ゲーチス「……フ、ハハ」

ハチク「!」

ゲーチス「フハハハハハハハハハハハッ!!!!」

ゲーチス「独り…? 独りで十分ですよ!
どうする、って…ワタクシを誰だと思っているのですか? プラズマ団を作り上げた七賢人、ゲーチス・ハルモニアですよォ!?」

ゲーチス「そのワタクシがこんなところで終わるはずがないのです!!
ギアル、ギギアル、ギギギアル!!
あいつらを蹴散らせぇええ!!!」ボム!

ギアル「ギー!」

ギギアル「ギギー!!」

ギギギアル「ギギギー!!!」

675: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:17:48.47 ID:2LzUp+1AO

アデク「…行くぞ!」

シロナ・ダイゴ・ワタル「はい!!!」

アデク「ウルガモス、“ねっぷう”!」

ウルガモス「モスー!!」

シロナ「ガブリアス、“りゅうせいぐん”!」

ガブリアス「ガブー!!」

ダイゴ「メタグロス、“コメットパンチ”!」

メタグロス「グロース!!」

ワタル「カイリュー、“はかいこうせん”!」

カイリュー「リュー!!」

ドオオオオオオオン!!!!!!!!!!!


バタアンッ!!!

ギアル「」 ギギアル「」 ギギギアル「」

676: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:18:54.62 ID:2LzUp+1AO

ゲーチス「ワタクシは最強でえッ!!!」ボム!

バイバニラ「バニー!」

アーティ「行くよぉん!」

アロエ「“ひっさつまえば”!」

アーティ「“リーフブレード”!」

カミツレ「“ワイルドボルト”!」

ヤーコン「“いわなだれ”!」

フウロ「“ブレイブバード”!」

ハチク「“ふぶき”!」

アイリス「“りゅうのいかり”!」

シャガ「“げきりん”!!」

ドッガアアアアアンッ!!!!!!!!!!!

バイバニラ「」ドシャアアッ

677: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:20:12.31 ID:2LzUp+1AO

ゲーチス「…ワタクシは無敵でええッ!!!」ボム!

デスカーン「グオオーッ!」

カトレア「行きますよっ!」

クロツグ「“はなびらのまい”!!」

コクラン「“かえんほうしゃ”!!」

カトレア「“サイコキネシス”!!」

ゴアアアアアアッ!!!!!!!!!!!

デスカーン「」ガシャアンッ


ゲーチス「…ッ! ワ、タクシは…ぁああああッ!!!」ボム!

サザンドラ「ギャアアーッ!!」

678: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:21:26.53 ID:2LzUp+1AO

…ザッ!

ゲーチス「…!」

律「…終わりだ、ゲーチス!」

紬「リン、“ほうでん”!」

リン「レーンッ!!」

梓「ミミちゃん、“おんがえし”!」

ミミちゃん「ミミロー!!」

澪「カゲぴょん、“だいもんじ”!」

カゲぴょん「グオオー!!」

唯「ブイ太、“ハイドロポンプ”!」

ブイ太「シャワー!!」

律「ヒート、“オーバーヒート”!」

ヒート「ヒヒーン!!」

カッ!

ドゴオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!!

679: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:23:59.51 ID:2LzUp+1AO

ゲーチス「馬、鹿なぁあああああああ!!!!」

ドオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!!

サザンドラ「」バタッ!

ドシャアアッ!

ゲーチス「がっは…っ……」ガクッ…


シュウウッ……

律「…終わった、のか?」

唯「うん…りっちゃん!」

律「こ、これで世界は…」

アデク「うむ。おぬしたちによって世界は守られた。見事だったぞ。
イッシュのチャンピオンとして、わしから礼を言おう。…ありがとう!」

唯律「…」

律「…へへっ」

唯「えへへ~」

唯律「……、はい!」




Last Episode..fin





681: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:27:25.51 ID:2LzUp+1AO


Epilogue...



アデク「よし、そろそろここを出るとするか。
あと、念のため、国際警察を呼んでおいた。もうすぐ来るだろう」

唯律「国際警察…?」

紬梓「…それって……」

澪「?」

…シュバッ

澪「…?」

シュシュッ タタタッ シュバッ シュババッ

ザッ!

「ほほう、ここがプラズマ団の城だな!」

澪「ひいっ!?」

律「あんたは!」

紬梓「ハンサムさん!!」

ハンサム「む…君達か。何故ここに?
まあいい。今は仕事中だから後にしよう」

682: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:28:44.92 ID:2LzUp+1AO

梓「仕事ってなんですか?」

ハンサム「決まっている。プラズマ団をしょっぴくのさ。…そこに転がっているのがゲーチスというプラズマ団のボスだな」

テクテク……

ハンサム「む!」ピタッ

ハンサム「むむ!?」ジロッ

シルバー「…?」

ハンサム「君は…まさか……」ジロジロ

シルバー「……?」

ハンサム「やっぱり! 赤い髪に、リングマの入っているモンスターボール!
君はウツギ研究所のヒメグマ強奪事件の犯人だな!!」

シルバー「…!!」

ハンサム「こんなところで見つかるとは! ご同行願おう!」ガシッ

N「シ、シルバー!」

683: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:29:25.92 ID:2LzUp+1AO

律(しまった…そういえば、ウツギ研究所にいた警察官はハンサムさんだった!)

唯(り、りっちゃん! どうしよう!)

律(……)

ハンサム「さあ、行くぞ!」

唯「ま、待ってください!」

ハンサム「…む?」

唯「ちょっと待ってください!」

シルバー「…あんた…」

ハンサム「なんだ、邪魔をする気かね。そうなると公務執行妨害で…」

律「…待ってくれ」

ハンサム「む!」

唯「! りっちゃん…」

律「ハンサムさん、そいつを連れていく前に聞きたい」

ハンサム「…なにかね」

律「あんたが連れてるそいつは、本当に犯人なのか?」

684: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:30:17.04 ID:2LzUp+1AO

ハンサム「むむ、なにを? 確かにそのはずだが。
赤い髪でリングマを連れて、名前はシルベルという少年…」

律「…そこだ」

ハンサム「?」

律「そいつの名前はシルベルじゃない……シルバーだ!」

ハンサム「な、なにいいい!!」

ハンサム「ほ、本当か!?」

律「このハンカチが証拠だ」スッ

ハンサム「むむむ…確かに! シルバーと書いてある……シルベルとは到底読めん………」

ハンサム「むむむむむむ…。
すまなかった、シルバー君! どうやら、はやとちりをしてしまったようだ! このとおりだ、許してくれ!!」

シルバー「ぁ、いや…」

ハンサム「この事件は迷宮入りか…。
む~、まあ今は本来の仕事に戻ろう! それでは私は!」タタッ

685: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:31:37.99 ID:2LzUp+1AO


シルバー「……あんた、」

律「…お節介だったか? でも、やっぱり納得いかなくてな。
シルバー、お前はもう大丈夫だ。警察なんていかなくても…それに、ウツギ博士だって分かってくれる。リングマも、お前に懐いているしな」

シルバー「……そう、だな」

律「……。私たちはもうここから離れるけど、シルバーたちはどうするんだ?」

Nシルバー「…」

N「…そうだね」

シルバー「とりあえず、まずは親父を探す」

唯「通りすがりのトレーナーさん?」

シルバー「ああ。そのあとにトキワのジムを継ぐ。
そして、親父の今までしてきた悪行の罪を、親父と俺とNの三人で償っていくつもりだ」

律「…そっか。頑張れよ、シルバー」

シルバー「ああ」

唯「Nくんも良かったね。二人で…ううん。三人で幸せにね♪」

N「…」コクッ

シルバー「……じゃあ、俺達は…」

律「もう行くのか?」

シルバー「ああ…」スッ…

シルバー「……そうだ」ピタッ

唯律「?」

シルバー「…ありがとう」

唯律「!!」

律「…へへ。ようやく言ってくれたな」

シルバー「?」

唯「待ってたんだよ! ウバメの森の時からっ!」

シルバー「…! ……ふっ、そうか」

N「僕からも、ありがとう」

唯「うんっ」 律「ああ!」

Nシルバー「それじゃあ…!」

律「おう! じゃあなー!」

唯「元気でねーっ!」



686: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:32:16.67 ID:2LzUp+1AO


唯「……行っちゃったね」

律「ああ」

唯「……」 律「……」

律「私たちも帰るか」

唯「うん! 澪ちゃんとムギちゃんとあずにゃんと久しぶりに会えたし、一緒に帰ろう!」

律「そうして、帰ったらみんなでポケモンリーグで……」

律「……」

唯「……」

唯律「ぁあああああっ!!!」

律「そうだ…、ポケモンリーグ!!」

唯「すっかり忘れてた!」

律「い、今から間に合うのか!?」

唯「わ、わからないけど…」

澪「…? どうかしたのか? 唯、律」

687: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:33:17.11 ID:2LzUp+1AO

律「! 澪、ポケモンリーグって……」

アデク「唯に律よ!!」

律「…アデクさん?」

アデク「これから打ち上げをするんだが、一緒にどうだ? ここにいるメンバーで…」

タタッ!

律「す、すみません。アデクさん!」

アデク「むうっ?」

唯「今は時間がないんです~! また今度ぉ~!」
タタタッ!


アデク「むう…、なんだ? あんなに急かして……」

澪「さ、さあ…」

梓「……。唯先輩たち、どうしたんですかね」

紬「分からないけど…?」

澪「そそっかしいなぁ…」

紬「ふふ、でもあれでこそ唯ちゃんとりっちゃんよね♪」

梓「そうですねっ」



688: ぽけもん 2011/07/06(水) 21:34:53.30 ID:2LzUp+1AO


タタタッ!

唯「りっちゃん、澪ちゃんたちは!?」

律「リーグ会場で会えるさ!」

唯「そ、そうだね!」

律「今は…急ぐぞ、唯いいっ!」

唯「うん、りっちゃああんっ!」




おわり



697: リーグ編 2011/07/14(木) 18:32:01.48 ID:wXQeQHUAO


《ハナダ岬》


マサキ「ポケモンリーグやて?」

律「ああ! いつやるか分かるか!?」

マサキ「まあそれくらいはすぐに分かるけど…」

マサキ「……。明日みたいやな」

唯律「明日!?」

律「あ、あぶね~。ギリギリ間に合うぜ~」

唯「やったね、りっちゃん!」

マサキ「…そういや。あんたら、ジムバッジは全部集めたんかいな?」

律「ん、ああ…ジョウトとイッシュのジムバッジをコンプリートしたけど」

マサキ「駄目やん!」

律「……へっ?」

マサキ「今年のポケモンリーグは、カントー・ジョウト・ホウエン・シンオウの四地方合同や! せやから、イッシュ地方のバッジでエントリーはできんで!!」

唯律「ええええ!?」

698: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:33:52.54 ID:wXQeQHUAO

唯「ど、どうしよう!」

マサキ「そうやなぁ…今からなら、ヤマブキのジムも間に合うか…?」

唯「…?」

律「マサキ、カントーのバッジで私たちが持ってないのは、トキワのジムバッジだぞ?」

マサキ「…はれ? でも、モンスターボールと一緒にウバメの森に落ちていたバッジの中に、グリーンバッジもあったで?」スッ

キラアン!

唯「ほ、ホントだ!」

律「な、なんで…?」

唯「でもこれで二人でエントリーできるね!」

律「ああ!」

マサキ「しかし、トキワジムは最近、新任のジムリーダーが入ったそうでな。二人でジムリーダーをやっているそうや。
使うポケモンは二匹のドラゴンポケモンで、そら強いのなんのって噂や……。唯はん達、早めにバッジ貰えて良かったなあ…って、なにニヤついているんや?」

唯「う、ううん」

律「なんでもないよ」

唯(Nくんとシルベルくん……良かったあ)

律(シルバーな)

マサキ「??」

律「んじゃあ、私たちは行ってくるからさ」

唯「応援よろしくね~」

マサキ「…ああ! お任せあれや!」

唯律「……」

マサキ「な、なんや?」

唯「マサキさん…」

律「なんでお前もさっきからニヤついてるんだ…?」

マサキ「え! …いや、ああ、なんでもあれへんよ?」

唯「…そう?」

マサキ「うんうんっ! 心配せんでもええで!」

唯「そっか」

律「それじゃあ会えたら、会場で会おうぜ」

マサキ「ああ、またな!」

ガチャンッ

マサキ「……」

マサキ「さて、こっちも準備をするとしますか!」




699: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:35:30.83 ID:wXQeQHUAO
………
……


翌日

《ポケモンリーグ会場》


梓「着きましたよ、ムギ先輩!」

紬「ポケモンリーグ! みんな来てるかしら♪」

梓「きっとみなさん来てますよ! 唯先輩と律先輩は不安ですけど…」

紬「ふふっ」

梓「それじゃあ、受付を済ませましょうか」

紬「ええ。…あ、そうだ……梓ちゃん」

梓「はい?」

紬「梓ちゃんは参加用にシンオウのジムバッジを使う?」

梓「でも、あれはムギ先輩のバッジで…」

紬「ううん…梓ちゃんと一緒だったから、全部集められたのよ。逆に言えば、梓ちゃんと一緒じゃなかったら集められなかった……」

梓「ムギ先輩…」

紬「ね、使って?」ニコッ

梓「……はいっ!」

紬「うふふっ♪」

紬「受付へ急ぎましょうっ」タタッ

梓「……」

梓(実はカントーにいる時にシバ先生と修業ついでにジム制覇してたんだけど……)

紬「シャランラシャランラ~♪ 受付お願いします~♪」

梓(まあ…)

スッ…

梓「受付お願いしますっ!」バンッ

受付「シンオウ地方のバッジですね。
はい、いいですよー」




700: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:36:56.77 ID:wXQeQHUAO
………
……


受付「受付終了まで残りわずかです。まだ受付が済んでいない方は…」

タタタッ!

受付「!」

唯「ま、間に合ったあ~!」

律「はあはあ…。まったく、だから急げって言ったのに……」

唯「だって、あんなかわいいコラッタ初めて見たんだもん!」

律「ポケモンに会う度に足止め食らわされる、こっちの身にもなれ!」

唯「なにを~!」

律「なんだと~!」

唯「りっちゃんめっ。りっちゃん、りっちゃん、りっちゃん!」ポカポカ!

律「唯めっ! ゆい、ゆい、ゆい!」ポカポカ!

受付「」ポカーン

受付「あ、あのう…受付終了しますよ?」

唯律「ハッ…!」

律「これでお願いします!」スッ

受付「はい、カントー地方とジョウト地方のバッジですね。
それではもうすぐ試合が始まりますので、指定されたブロックにお向かいください」

唯律「はい!」




701: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:39:25.39 ID:wXQeQHUAO




テクテク…

唯「ふえ~、ここがポケモンリーグの中か~! すごいねえ!」

律「トレーナーたちの夢、リーグチャンピオン……ここでなれるかもしれないんだ」

唯「最強のトレーナー、りっちゃんの夢への第一歩だねっ!」

律「ああ! 絶対に優勝してやるぜ!」

ワアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!

唯「ふぇ!?」

律「な、なんだあ? この歓声…」

唯「あっちの方……Fブロック?」


澪「カゲぴょん、“ほのおのパンチ”!」

カゲぴょん「グオオーッ!!」ボオッ!

ラフレシア「ラフー!?」

ボオオオオオンッ!

ラフレシア「」バタアンッ

トレーナー「ラフレシアっ!」

審判「ラフレシア戦闘不能! よって勝者、秋山澪!」

澪「や、やった…!」

ワアアアアアアアアッ!!!!



702: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:40:47.09 ID:wXQeQHUAO

律「澪…!」

唯「すごーい、澪ちゃん!」

澪「!」チラッ

澪「…ふふ」

律「! …へへっ」

クルッ!

律「よし。私たちも頑張るぞ、唯!」

唯「うん、りっちゃん!」

律「私はCブロックだそうだ!」

唯「私、Aブロック!」

律「そっか…ブロックは別になるけど、お互い優勝目指して頑張ろうぜ!」

唯「うんっ!」




703: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:42:26.28 ID:wXQeQHUAO



《Hブロック》


梓「ミミちゃん、“とびげり”!」

ミミちゃん「ミミロー!!」シュッ!

ドオオオオン!!!!!

ラッキー「ラキ…」ガクッ

審判「勝者、中野梓!」

梓「やったね、ミミちゃん!」

ミミちゃん「ミミロー!」ピョンッ

梓「このブロックで一位になれば、決勝リーグに進める…。今のところ順調順調♪ ムギ先輩は大丈夫かな…」

梓「確か、ムギ先輩はEブロックのはず…」

電光掲示板《ただ今のEブロックのバトルの勝者は琴吹紬選手》ツラー

梓「ムギ先輩頑張ってるみたいだ! 私たちも負けてられないね!」

ミミちゃん「ミミロー!」フンスッ

704: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:43:47.87 ID:wXQeQHUAO

梓「まずはこのブロックを勝ち抜いて、決勝リーグに……。あと何勝で一位だろう?」

タタッ

梓「あのーすみません」

審判「はい、どうしました?」

梓「Hブロックの中野梓と言います。あと何回勝てば一位になれるか分かりますか?」

審判「中野梓選手ですね。少々お待ちください…」ピッピッ

審判「…はい、出ました。中野選手は現在四勝ですので、次の試合で勝利すればHブロック一位になります」

梓「ありがとうございます!」ペコリ


梓「…よーし! あと一勝だって。次の試合、絶対に勝とう!」

ミミちゃん「ミミロー!」オー!

梓「ブロック最後の相手はどんな人だろう…」

キイイイン……

『あー、あーマイテスマイテス』

梓「? 放送かな…」

705: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:44:32.35 ID:wXQeQHUAO

『Aブロック、Cブロック、Dブロック、Eブロック、Fブロック、Gブロック、Hブロック…。
以上のブロックの選手で、四勝しとる選手は第二試合場に集まってくださいなー』

梓「…? そういえば、私四勝してるって言ってたよね……。行ってみよう」




706: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:45:38.64 ID:wXQeQHUAO



《第二試合場》


梓「ここかな…」

唯「あれ? あずにゃん!」

梓「唯先輩!」

タタタッ

唯「あずにゃんも勝ち残ったんだね!」

梓「はい! …って、まさか唯先輩も…?」

唯「むうっ。私だってやれば出来るんだから!
ちゃんと四勝したよ~!」プクー

梓「ていうか、受付間に合ったんですね」

唯「そこから!?」(…危なかったけどね)

唯「そうだ、あずにゃん! もうみんな来てるんだよ!」

梓「みんな?」

707: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:47:31.52 ID:wXQeQHUAO

ゾロゾロ

律「よー、梓!」

澪「やっぱり勝ち残ってたか」

紬「流石ね~、梓ちゃん♪」

梓「律先輩、澪先輩、ムギ先輩!」

梓「みなさんも四勝を?」

律「おう」

澪「それに、私たちだけじゃないよ」

紬「ふふ♪」

梓「?」

ダーッ!

「うあーっ! ちょっとどいてー!!」

梓「は…」

ゴチイイン!!!!!

梓「にゃわ~!?」ズサアッ!

紬「だ、大丈夫っ! 梓ちゃん!?」

梓「うう~…いったい……」


「なんだってのよーっ!!!」


梓「……この雑音は!」

708: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:48:48.16 ID:wXQeQHUAO

梓「純!」

唯紬「純ちゃん!」

澪「鈴木さん!」

律「佐々木さん!」

純「雑音ってなによ! ってかなんで唯先輩と梓以外の皆さんまで!? 最後の別人だし!!」

純「はあはあ……」

皆「オオー」パチパチ

梓(三回目にしてやっとツッコんだ。二回目はクロツグさんだったけど)

テクテク

和「あら、相変わらず賑やかね」

梓「! 和先輩!」

唯「和ちゃ~ん!」ダッ

ギュウッ!

和「ちょ、唯…」

唯「会えて嬉しいよ、和ちゃん!」

和「唯…」

紬「リーグで会うって約束したものね♪」

唯「うんっ!」

709: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:51:02.02 ID:wXQeQHUAO

律「これで全員揃ったな!」

純「はい!」

梓「? あれ…でもむぐっ!?」

律「」ガバッ

梓「りつへんはい、なにひゅるんでふかっ!?」

律「まあまあ」

純「まあまあ」ガシッ

梓「じゅんまへっ!?」

唯「? どうしたんだろ、りっちゃんたち」

和「色々事情があるのよ、色々」

唯「??」

『はいはぁーい、皆はんお揃いのようでー!』

皆「!!」

710: ぽけもん 2011/07/14(木) 18:57:59.42 ID:wXQeQHUAO

澪「なんだ?」

紬「さっき放送を流してた人?」

唯律「…この声って」

梓「ひってるんへすは?」

律「純ちゃん、いい加減放してやれ」

純「いえっさー!」

梓「ぷはっ」

梓「唯先輩と律先輩…この声聞いたことあるんですか?」

律「んー…聞いたことあるっつーより……な?」

唯「うん、りっちゃん」

梓「??」

『なんやなんや。もう気づいている人もいるようやし、ここらで自己紹介といきましょか』

マサキ『わいはマサキ。この第二試合場で司会を務めさせてもろうとる』

唯「…マサキさん」

律「やっぱりか……。ニヤついてたのはこれかよ」

711: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:03:24.75 ID:wXQeQHUAO

マサキ『まあまあ、そんな気を落とさんといてーな』

紬「マサキさん、っていうと…カントーのポケモン転送プログラム管理者の?」

梓「そういえば、ショウロさんが言ってましたね」

マサキ『そうや、そのマサキや! いや~ショウロはんには色々と世話になったからな~。ホンマに今度会って御礼をしなあかんなあ…』

唯律紬梓(顔見ただけで失神しそう…)

律「…つうか、マサキ」

マサキ『なんや? 律はん』

律「私たちはなんでここに集められたんだ?」

マサキ『そんなん決まっとるやろ。
ここで各ブロックの一位を決めるバトルをしてもらうんや』

712: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:04:20.15 ID:wXQeQHUAO

皆「…!!」

律「ここで各ブロックの一位が決まる…」

唯「…はっ! ということは、ここにいるみんなと戦うってこと!?」

澪「いや、みんなブロック違うだろ…」

唯「あ、そっか!」

紬「もしみんなが勝ち残ったら、全員が決勝リーグに進めるのね♪」

梓「いえ! 絶対に全員が決勝リーグに駒を進めましょう!」

和「なんだか熱くなってきたわね」

純「よーし、頑張るぞー!」

梓「純には無理だと思うけどね」

純「な、なにをー!」

梓「ていうか、ジムバッジコンプリートしたこと自体奇跡だよ」

純「ひどい! でも言い返せない!」

和「認めるのね…」

紬「まあまあ♪」

713: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:08:00.12 ID:wXQeQHUAO

マサキ『まあ皆はん頑張ってや』

唯「ちょっと待って、マサキさん!」

マサキ『…』

唯「私たちの対戦相手の人はどこにいるの?」

マサキ『…もう来とる。そもそもこのバトルは彼らが提案したものなんや』

律「彼ら…?」

ザッザッ……

皆「!」

714: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:09:04.34 ID:wXQeQHUAO

「んっふ、しかし七人全員がシードというのもどうなんでしょうね」

「というよりも、四天王である俺達がリーグに出場することがそもそもいけないんじゃないか?」

「ファファファ、そのわりに乗り気だったではないか」

「…うるさい」

「まあまあ。四天王だとかはどうでもいいじゃないですか。
とりあえずこのスイクンブロマイドでも見て落ち着きましょう」

「「お前四天王でもないだろ」」

「な…それを言うなら彼女だって…」

「私はフロンティアブレーンだ。無職のお前と一緒にしないでくれ」

「スイクンハンターだ!」


紬「! イツキさん!?」

イツキ「んっふ、お久しぶりです。紬さん」

梓「シバ先生…!」

シバ「シンオウ以来か。久しぶりだ、梓」

澪「リラ師匠!」

リラ「やあ、澪。先の事件ではどうなることかと思ったけど、無事でよかったよ」

純「キョウ師匠!」

キョウ「ファファファ。一連の流れは見てたが相変わらずそそっかしいな、純」

律「あ…ミナキ」

ミナキ「あ、とはなんだ!?」

715: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:10:02.50 ID:wXQeQHUAO

紬「どうしてイツキさんたちが…」

イツキ「んっふ…僕達だけではありませんよ」

「うぃーす! みんなお揃いねー!」

唯律「さわちゃん!!」

澪紬梓純和「さわ子先生!!!」

さわ子「私も来ちゃったわー。四天王も忙しいのに~」

梓「先生ってジムリーダーじゃありませんでした?」

さわ子「昇格したのよ♪ 空席が出来た分ね。
ヨスガジムの方は、新任のメリッサさんがやってくれてるのよ」

梓「へー」

純「そういや、私がジムに再挑戦しに行った時には、そのメリッサさんって人がいたなー」

716: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:11:54.28 ID:wXQeQHUAO

紬「すごいわあ。知り合いにまた四天王の人が増えちゃったわね♪ イツキさんたちや、さわ子先生に和ちゃん」

和「…」(…さわ子先生はキクノさんがいなくなったことで空いた席についたのね)

さわ子「そうそう、和ちゃん」

和「…?」

イツキ「あのお方もいらっしゃっていますよ」

和「え…」

カツカツ……

「本当に…」

カツ…!

ゴヨウ「……お久しぶりです、和さん」

和「ゴヨウ、さん…!」

717: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:12:32.97 ID:wXQeQHUAO

唯「あーっ、ゴヨウさんだ!」

ゴヨウ「! 唯さん、律さんも」

律「あれ、ゴヨウじゃん。なんでゴヨウがこんな所にいるんだ?」

唯「ゴヨウさんは和ちゃんのお師匠さんなんだよ!」

律「マジか!」

和「?? どうして唯と律がゴヨウさんを知ってるの…?」

律「色々あってなー。話すと長いぞ」

唯「ゴヨウさんとはイッシュ地方で知り合ったんだ~」

和「イッシュ地方で?」

梓「私たちも、ゴヨウさんとイッシュ地方で再会しました」

紬「ええ」

和「梓ちゃん、ムギ…?」

梓「“ブラックシティ”、どうですか?」

ゴヨウ「…はい。おかげさまで、時々野生ポケモンが遊びにくるまでになりましたよ」

梓「そうですか…よかったですねっ!」

ゴヨウ「はい!」

718: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:13:59.74 ID:wXQeQHUAO

紬「…ゴヨウさん、和ちゃんに言ってあげてください」

梓「今の貴方なら…大丈夫です!」

ゴヨウ「………、ええ」

和「なんのこと…」

ゴヨウ「和さん」

和「!」

ゴヨウ「あれから一年が経ちました。たった一年ですが、頭を冷やしてきました。少々早かったですね……貴女がポケモンリーグに出場すると聞いていてもたってもいられなくて、ね」

和「ゴヨウさん…」

ゴヨウ「……」

和「……なさい」

ゴヨウ「…?」

和「おかえりなさい、ゴヨウさん」ニコッ

ゴヨウ「…っ!」

ゴヨウ「…た、だいま……。
ただいま、和さん」…ニコッ

梓「……」(よかったですね、和先輩…)



719: ぽけもん 2011/07/14(木) 19:14:58.76 ID:wXQeQHUAO


澪「リラ師匠、どうしてリーグ会場にいるんですか?」

リラ「ああ…」

純「そうですよ! どうしてなんですか、師匠!」

キョウ「ファファファ。もちろん、お前達の応援……と言いたいところだが…」

純「?」

イツキ「リーグ会場に来る理由なんて、本来はたった一つですよ」

紬「! さっきシードって…」

シバ「察しの通り、俺達はこのポケモンリーグにエントリーしている」

ミナキ「そして各ブロックで四勝した…」

律梓「それって…」

さわ子「ええ。各ブロック、最後の戦いの相手は……私たちよ!」

皆「…!!!」


723: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:39:41.80 ID:46F02odAO




マサキ『これより、各ブロックの一位決定戦を開始するでえ!』

マサキ『なお、このバトルは対戦する二人の関係が全て師匠と弟子という…師弟対決や!
各ブロックの対戦カードはこちらや!』

ピピッ

《Aブロック―平沢唯VS山中さわ子》

《Cブロック―田井中律VSミナキ》

《Dブロック―真鍋和VSゴヨウ》

《Eブロック―琴吹紬VSイツキ》

《Fブロック―秋山澪VSリラ》

《Gブロック―鈴木純VSキョウ》

《Hブロック―中野梓VSシバ》


律「なんで私の相手がミナキなんだ……師匠っちゃ師匠だけど」

唯「むしろ、私とさわちゃんって方がおかしいと思う」

さわ子「何言ってるの。唯ちゃんは私の教え子で、私は唯ちゃんの先生でしょー」

梓「それって全員に当て嵌まるんじゃ…」

さわ子「細かいことを気にしてたら大人になれないわよ、梓ちゃん」

梓「なんですかそれ」

純「そうだよ、梓。だからいつまで経ってもお子ちゃまなんだよ、梓は」

梓「純に言われたくないんだけど」

純「なにをーっ!?」

紬「まあまあ♪」

724: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:41:54.28 ID:46F02odAO

マサキ『とりあえず、この対戦カードで行くで。
第一試合はAブロックや。第二はCブロック、第三はDブロック…と順番にやっていくさかい』

マサキ『ほんなら、唯はんとさわ子はん。試合場についてーな』

唯「はい!」 さわ子「ええ」

タタッ…

唯「…」

さわ子「…」

律「頑張れ、唯!」

梓「頑張ってくださ~い!」

澪「唯、頑張れよー!」

和「応援してるわよ、唯ー!」

純「唯先輩、ファイトー!」

唯「えへへ……うんっ!」

さわ子「なに、みんな唯ちゃんの味方!?」

律「そりゃそうだろ」

梓「相手が先生ですし」

さわ子「ひどいっ!」

紬「唯ちゃーん、さわ子先生ー。頑張ってね~♪」

さわ子「はうっ…ムギちゃんだけよ、私の味方は……!」ジーン…

725: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:43:34.17 ID:46F02odAO

律「おふざけはいいから早くやろうぜー、さわちゃん」

さわ子「…そうね。唯ちゃん、準備はいいかしら?」

唯「いつでもかかって来い、だよっ!」

マサキ『一応、準備の確認はわいがするんやけど……まあええか』

マサキ『バトルの形式は2対2の交替戦。ほんじゃ、バトル開始やー!』

さわ子「さあ行くわよ! 私の一番手はこの子よ!…ジェーン!!」ボム!

ジェーン(フワライド)「フワ~」

唯「むっ…」ピッ

ポケモン図鑑『フワライド、ききゅうポケモン
からだの なかで ガスを つくったり はきだしたり することで そらを とぶ たかさを ちょうせつする。』

唯「かわいい~!」

紬「先生の一番手はフワライドね」

梓「相変わらずのネーミングセンスです」

726: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:45:00.50 ID:46F02odAO

さわ子「梓ちゃんと純ちゃんとは戦ったけど、唯ちゃんはどんなバトルをしてくれるのかしら?」

唯「…ムー太!」ボム!

ムー太「ムウウ!」

律「! ムー太!? ゴーストタイプ相手じゃ苦しいぞ!」

澪「いや、律。ブロックでのバトルでは初めに決めた三体のポケモンの中から二体を選んで戦うから、途中で使用ポケモンを変えられないんだ」

律「っつうことは、相手のタイプに合わせて臨機応変にってことも出来ないのか…!」

さわ子「…ムンナね。イッシュ地方のポケモンだったかしら」

唯「そうだよ、イッシュ地方でゲットしたの!」

ムー太「ムウウ♪」

さわ子「ふふっ、唯ちゃんらしい可愛いポケモンね。でも……手加減はしないわっ!」キッ

唯「!」

さわ子「ジェーン、“シャドーボール”!」

ジェーン「フワーッ!」ビュンッ

ゴアアッ…!

ムー太「ムウウっ!?」

唯「ムー太!」

727: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:47:51.10 ID:46F02odAO

ムー太「ムウ…」ググッ…

さわ子「中々タフのようね……。でも、今度は耐え切れるかしら?
……“シャドーボール”!!」

ジェーン「フワーッ!!」ゴウッ……

澪「まずい…またあの攻撃を喰らったら…!」

律「唯…!!」

さわ子「放ちなさい!」

ジェーン「フワーッ!!!」ビュンッ!

唯「……っ」

唯「弱点をうてるのは、そっちだけじゃない!
ムー太、“チャージビーム”!!」

ムー太「ムウウー!!!」ジジッ…!

さわ子「…!」

ジュアアアアアッ!!!!!!!!!

ジェーン「ッ!?」

ボオオオン!!!!!!

ジェーン「…ッ」バチバチ……

唯「今がチャンスだよ、ムー太! ジェーンちゃんに飛び乗って!」

ムー太「ムウ!」ピョン

ピト!

ジェーン「!」

728: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:49:44.13 ID:46F02odAO

唯「そのままかじっちゃえ!」

ムー太「ムウっ!」ガジッ

ジェーン「…!!」

ビリ…

プシュウウウウウッ!!!!!!!!!!

ムー太「ムウ!?」ドタッ!

唯「ムー太!?」

さわ子「かかったわね…!」

唯「え……?」

ジェーン「」プシューッ!

梓「これは…!」

紬「フワライドの体に穴が開いて、中の空気が漏れてる…」

律「明らかにフワライドの方が不利だろ?」

澪「いや…違う。さわ子先生の狙いはそこにある」

さわ子「唯ちゃん、風船がどうして浮かぶのか知ってる?」

唯「へ? え、えと…空気が入ってるから?」

さわ子「残念、不正解よ。答えは中に空気より軽いガスが入っているから。
私のフワライドも同じ様に……体の中で作ったガスで空を飛ぶわ」

729: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:50:49.29 ID:46F02odAO

唯「ガス……」

さわ子「そう…ヘリウムガスよ!」

唯「ヘリウムガス…? あ、聞いたことあるよ。バラエティとかでよくやってる…吸うと声が変になるやつだ!」

さわ子「うん、でもね、そういうのに使うヘリウムガスには酸素も入れられているのよ。何故だか分かる?」

澪「!!」

梓「ま、まさか…!」

紬「そんな…っ」

和「…まずいわよ、唯!」

律純「えっ、え?」

ジェーン「」プシューッ!

ムー太「ムウッ…!?」ゲホゲホッ

唯「! ど、どうしたのムー太!?」

さわ子「ヘリウムガスだけを吸いつづけると危険なのよ! 酸素が足りなくなって、いずれは窒息するわ!」

唯「…!!」

律純「な、なんだってえ!」

730: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:52:17.40 ID:46F02odAO

梓「このままじゃムンナは…!」

純「でもフワライドだって、ガスを出し続ければしぼんじゃうんじゃない?」

さわ子「それなら心配は要らないわ。ジェーンはガスを体外へ出している今も、体内でガスを生成しているからね」

唯「っ! じゃあ…ガスを作らせなければ…!
ムー太、“さいみんじゅつ”!!」

ムー太「ム…ウウッ!!」ウィーン!

さわ子「……無駄よ」

キイイイン…!

ムー太「…!?」

唯「なに…、この音!?」

さわ子「さっき唯ちゃんが言ったとおり、ヘリウムガスを吸うと声がおかしくなる……“さいみんじゅつ”も同じ。
ヘリウムガスを吸ったムンナが発する音は全て変になり、“さいみんじゅつ”も狂う。普段とは違う音で技を繰り出すのは難しいのよ。エスパー技は特に繊細だからね」

唯「…じゃあ、」

さわ子「音波系統の技はほとんど封じたわ!」

唯「…っ!」

紬「エスパータイプのムンナには致命的だわ…!」

731: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:53:55.25 ID:46F02odAO

和(ヘリウムガスはムンナの周りを取り囲んでいる…何とか唯の周りには届いていないみたいだけど………)

和(このままでは絶対に負けてしまう…! どうするの、唯!)

唯「…」

ムー太「…っ」ハアハア…

さわ子「……」

さわ子「…唯ちゃん、もう諦めなさい」

唯「!」

さわ子「私がやっといてあれだけど、もうあなたに勝ち目はない。それに、負けてしまう所かムンナが……」

唯「…!」

ムー太「ム、ウウ…!」ゲホッ

唯「ムー太…!」

唯(そう、だ…。勝ってりっちゃんたちと戦いたい……でも、ムー太の身になにかあったら……)

唯「ムー太! ごめん…私……」

ムー太「ムウウ!」キッ

唯「……ムー太?」

ムー太「ムウ! ムウムウ、ムウウ!!」

唯「…もしかして……降参するなって?」

ムー太「ムウ!」

唯「でも…ムー太……」

ムー太「ムウムウ!」ポン!

唯「ムー太…」

732: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:55:25.41 ID:46F02odAO

ムー太「ムウ!」ニコッ

唯「……うんっ」

唯「…」キッ!

さわ子「! まさか、唯ちゃん……まだ戦うっていうの?」

唯「私はムー太を信じてるから!」

さわ子「…!」

ムー太「ムウ!」

さわ子「……いいわ。それでこそ、私の教え子よ!
…ジェーン! “だいばくはつ”でガスを撒き散らしなさい!!」

ジェーン「フワ~…!」ゴゴゴ……

梓「“だいばくはつ”!?」

律「そんなことしたら、フワライドまで倒れちまうぞ!?」

さわ子「いいえ、あくまでガスを撒き散らすためのもの。普通の“だいばくはつ”とは違って、自身は傷つかないわ」

唯「!!」

さわ子「まさに必殺! これでKOよ!!」

唯「そんな…」

ムー太「…」

唯「…ムー太?」

ピカアアアッ!

唯「! ムー太の体が光って…!?」

733: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:57:12.61 ID:46F02odAO

ムー太「ムウウ…!」ピキピキ

ピカアアアッ!!!!!!!

さわ子「これは……進化!?」

マサキ『わいの“つきのいし”がまばゆい光を…』

ピカアアアッ!

ムー太(ムシャーナ)「ムシャー!」

唯「! ムシャーナ…!!」

律「ムシャーナだ!」

澪「この土壇場で進化するなんて…」

さわ子「いいえ…! この土壇場だからこそ、進化しても意味はない!」

ムー太「ムシャー!」

唯「今なら勝てるの…?」

ムー太「ムシャ!」コクッ

唯「うん、分かった! ムー太を信じてる!
ムー太、“チャージビーム”!!」

さわ子「その攻撃が届く前に“だいばくはつ”が決まるわ!」

ムー太「ムシャー!!」バチバチッ…

ジェーン「フワーッ!!」ゴゴゴ……


ドオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!



734: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:58:29.80 ID:46F02odAO

ヒュウッ!

梓「けほけほ!」

律「くそ、試合場全体にヘリウムガスが…」

紬「勝負はどうなったの…?」

…バタンッ!

ジェーン「」ガクッ

さわ子「!!」

唯「間に合った…みたいだね」

ムー太「ムシャ」

さわ子「どうして…?」

さわ子「“だいばくはつ”でヘリウムガスを大量に撒き散らしたはず…なのに、どうしてムシャーナは苦しんですらいないの?」

唯「…簡単だよ」

さわ子「! “だいばくはつ”が失敗した…?」

唯「ううん。ちゃんと“だいばくはつ”は成功して、ムー太の周りはヘリウムガスでいっぱいになった」

さわ子「ならムシャーナは気絶でもしていないとおかしいじゃない…」

735: ぽけもん 2011/07/18(月) 20:59:08.29 ID:46F02odAO

唯「そうかな? もし、ムー太がヘリウムガスを吸いつづけても平気だったら?」

さわ子「そんなこと…」

唯「有り得るんだよ、さわちゃん」

さわ子「…!」

唯「ムー太の特性“シンクロ”を使ったの」

さわ子「“シンクロ”…?」

唯「うん。ムー太の“シンクロ”は普通とは違う。相手の能力をシンクロできる」

さわ子「能力をシンクロ!?」

梓「そ、そんなこと出来るんですか!?」

736: ぽけもん 2011/07/18(月) 21:00:18.57 ID:46F02odAO

紬「有り得ない話じゃないかもしれないわ……メタモンだって“へんしん”するし」

梓「そんなの細胞を変化させて…」

紬「じゃあ、どうしてメタモンはそんなことが出来るのかしら?」

梓「それはメタモンの能力で…」

紬「それなら、ムシャーナにもあんな能力があっても不思議ではないじゃない?」

梓「それは……」

梓「でも! 他のムシャーナに同じことは出来ません!」

紬「環境の違い…とか? 色違いっていう個体もいるから」

梓「……」

紬「なんにしろ、私たちはポケモンについてまだまだ知らないことがあるみたい」

梓「また研究することが増えますね…」

紬「ふふ♪」

律(研究者だけあって見るところが違うよなあ)

737: ぽけもん 2011/07/18(月) 21:01:40.94 ID:46F02odAO

唯「“シンクロ”でジェーンちゃんの能力をムー太がコピーしたんだよ」

唯「ヘリウムガスを作る能力をね!」

さわ子「!!」

さわ子「ヘリウムガスを…? そんな能力、あの状況で何の役に立つって言うの?」

唯「うん…その能力は使わなかった。でもその能力がムー太を守ってくれた」

さわ子「どういうこと…?」

唯「ヘリウムガスを作ることができるなら、自分がガスを吸っても平気ってことだよ」

さわ子「…!」

唯「ヘリウムガスを使って浮かんでるジェーンちゃんが、ヘリウムガスを吸って窒息してたら元も子もないもんね」

さわ子「…なるほどね、どうりで。
ムシャーナになったから倒せるっていうのは、おでこからヘリウムガスを出せるようになったからか。そこでヘリウムガスを生成することも出来るようね」

738: ぽけもん 2011/07/18(月) 21:02:41.21 ID:46F02odAO

さわ子「……負けたわ」

マサキ『フワライド戦闘不能ーっ!』

律「やったな、唯!」

唯「うんっ!」

澪「唯は決勝リーグ出場決定か」

梓「やりましたね、唯先輩!」

紬「おめでとう♪」

和「どうなることかと思ったけど、無事に勝ててよかったわ」

純「流石ですよ!」

唯「えへへ~」

マサキ『って待て待て! まだ終わっとらん終わっとらん!』

唯「……へ?」

マサキ『まだお互いに一体ずつしか出しとらんやろ!』

皆「あ……」

唯「ほ、ホントだ!」

マサキ『今更気づくんかい! というかバトルしとった張本人やろ!』

さわ子「…いいえ、終わったわ」

マサキ『はっ?』

739: ぽけもん 2011/07/18(月) 21:04:58.18 ID:46F02odAO

さわ子「私の負けよ。今のバトルで分かるわ。このまま続けても、私は勝てない…」

唯「さわちゃん…」

さわ子「このバトル、棄権するわ!」

マサキ『な、なんやて!?』

唯「さ、さわちゃん!」

さわ子「……」

マサキ『…ええんやな?』

さわ子「ええ」

マサキ『なら…、第一試合! 勝者…平沢唯!!』


740: ぽけもん 2011/07/18(月) 21:06:32.78 ID:46F02odAO

唯「…さわちゃん、」

さわ子「いいのよ。私はあくまでみんなが元気でいるか、顔を見に来ただけだから」

さわ子「…唯ちゃん。こんなこと言うのはあれだけど…先生ね、少しあなたが心配だったの。
澪ちゃんとムギちゃんが旅立っても唯ちゃんはまだマサラを発とうとしなかったから…。りっちゃんもだったけどね」

さわ子「でも先生の杞憂だったみたい。
…強くなったわね、唯ちゃん」

唯「…さわちゃん……」

唯「…うんっ!」

さわ子「ふふ♪ おめでとう、唯ちゃん。決勝リーグ頑張って」

唯「当たり前田けんのクラッカーだよ!」エヘン

さわ子「ちょっと違くない?」クス

タタタッ

梓「唯先輩ー! 今度こそおめでとうございます!」

律「やったな、唯!」

澪「唯は決勝リーグ出場決定か」

紬「おめでとう♪」

和「どうなることかと思ったけど、無事に勝ててよかったわ」

純「流石ですよ!」

唯「…無限ループってこわい!」



741: ぽけもん 2011/07/18(月) 21:08:10.61 ID:46F02odAO

………

ワーワー…


さわ子「…ふふ」

ザッ…

「いやあ、いいバトルでしたね」

さわ子「! リョウ」

さわ子「来てたの?」

リョウ「来ちゃいました。四天王の方も大変なのに」

さわ子「……今、どんな状況?」

リョウ「四人のうち三人も抜けてちゃあね…。オーバさん頭真っ赤にしてましたよ」

さわ子「はあ…」

リョウ「僕はまだいいとして、さわ子さんと和さんは新米だからなあ」

さわ子「あなたも同じようなものでしょ。始末書は覚悟しておいた方がいいわよ」

リョウ「…はぁ」

さわ子「でもまぁ、その代償としてはそれなりだったわねっ」


次回 唯律澪紬梓「ぽけもん!!!」 後編