唯律澪紬梓「ぽけもん!!!」 中編

742: ぽけもん 2011/07/18(月) 21:13:34.65 ID:46F02odAO

………


マサキ『ほんじゃあ、第二試合始めるでえ!』

唯「次は誰だっけ?」

紬「Aブロックの次だから…」

マサキ『Cブロック! この試合はCブロックの一位を決めるバトルや!
ほんなら、律はんとミナキはんは試合場へ!』

律「おーっし、頑張るぜー!」

ミナキ「ふふ」

律「? なんだよ、ミナキ。気持ち悪いぞ」

ミナキ「失敬だな!」

ミナキ「…ごほん。まっ、でも仕方ないのだよ。
口元が緩くなってしまう理由があってね」

律「…は? おいおい、『君と戦うのが楽しみでつい…、ね』みたいなアホ台詞は勘弁だぜ?」

ミナキ「いやいや、確かにそれもあるけど…違うよ」

律「じゃあ何だよ?」

ミナキ「これを見るがいいさ!」

…ボム!

律「……?」

スタッ!

律「! こいつは…!?」

ミナキ「マイフェアリー・スウィートエンジェル……スイクンだ!!」

スイクン「クルー!!」

引用元: 唯律澪紬梓「ぽけもん!!!」 




747: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:04:24.40 ID:5XlA6yxAO

唯「スイクンって、あの時の…!?」

律「なんでミナキが…」

ミナキ「ふふ。当然、言うまでもないさ」

澪「相手は伝説のポケモン……相当手強いぞ、律!」

律「大丈夫だ、相手はミナキだし!」

ミナキ「な、なんだその言い草は!? 君が困っていたところを助けたのも私だったんだぞ!」

ミナキ「それに、澪と梓の恩人でもある!」

澪「あ、あの時はありがとうございます」

梓「……、えと?」

ミナキ「覚えられてなーい!」

梓「?」

ミナキ「ごほん! まあいい。
なんにしろ、そう簡単に私に勝てるなんて思わないことだ」

律「…へへ、分かってるさ」

マサキ『両者準備はええな?』

律「おう」 ミナキ「ああ」

マサキ『バトル開始や!!』

律「いけ、ボルト!」ボム!

ミナキ「マルマイン、頼んだぞ!」ボム!

ボルト「ゼブウウッ!」

マルマイン「シュゴーッ!」

748: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:05:50.13 ID:5XlA6yxAO

律「! スイクンじゃあないのか…?」

ミナキ「もちろん。切り札は最後までとっておくものだろう?
…まあ、こいつも中々の強さだがな!」

マルマイン「シュゴーッ!」バリバリッ…

律「!」

ミナキ「“じゅうでん”はバッチリだ!
“スパーク”をおみまいしてやれ!!」

マルマイン「シュゴーッ!!」ビュンッ

ボルト「…っ!」

バチイイッ…!

律「ボルトォ!!」

ボルト「ゼブウウッ!!!」バリリッ!

ミナキ「!」

律「ボルトの特性は“でんきエンジン”。電気技は無意味だぜ」

ミナキ「…そうかな? よく見てみろ!」

ボルト「ゼブッ!?」ヨロッ…

律「! ボルト!?」

ボルト「…ゼブウ、」ビリビリ……

律「電気技が効いてる…? ウソだろ…!」

749: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:08:03.01 ID:5XlA6yxAO

ミナキ「“でんきエンジン”か…。確かに電気技を無効化するどころか、自分の力に変えてしまう特性だ。
だが、電気技が効かないだけで、喰らわない訳ではない」

ミナキ「言ってしまえば、“でんきエンジン”のおかげで電気技から守られている。ならば、それを使えなくすればいい。
例えば…傷つけるとかね」

律「!! よく見たらボルトの全身が傷だらけだ…!」

ミナキ「“ソニックブーム”。この技ならどんなに硬くても傷をつけられる」

律「…!!」

唯「ミナキさん、意外と強い…!」

澪「いや、実際に強いはずだ」

紬「あのスイクンを捕まえたんだものね…」

澪「……」

律「くそ…、これじゃあ電気技を喰らっちまう…」

ボルト「ゼブウ…」

ミナキ「ふふ…、“でんきエンジン”を無くした今、私のマルマインのスピードについてこられるかな?」

マルマイン「シュゴーッ!」ビュンッ

シュシュシュシュ……!

律「く…! こっちだってまだ……」

律「ボルト、“ニトロチャージ”だ!」

ボルト「ゼブウウッ!!」ボオオオッ!

ミナキ「…」

律「これでマルマインのスピードに追いつける! いけえええっ!!」

ボルト「ゼブウウッ!!」ボオオオッ

マルマイン「!」

750: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:10:19.75 ID:5XlA6yxAO

ガキッ…!

ボルト「ッ!?」ユラッ…

バタンッ!

律「…ボルト!?」

ボルト「ゼブウ…」ジリジリ……

律「ボルトの全身が焼け焦げてる…!」

ミナキ「故障しているエンジンのまま炎技を繰り出したら、そりゃあ暴走もするだろうね」

律「…くそ! ボルト、“こうそくいどう”だ!」

ボルト「ゼブウウッ!」ダッ

ミナキ「なに…!」

シュシュシュシュシュシュ…!

マルマイン「シュゴー!?」

ミナキ「マルマインのスピードに追いついただと!?」

律「へっ、もともとはあんたのマルマインに憧れて、スピード重視に鍛えていたんだ!
“ボルトチェンジ”!!」

ボルト「ゼブウウッ!!」

バチイイッ!!!!!!

マルマイン「…っ!」

ミナキ「くう! だが、電気技は効果が今ひとつ! 返り討ちにしてやれ、マルマイン!!」

751: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:12:08.89 ID:5XlA6yxAO

フッ……

ミナキ「!? ゼブライカが消えた…?」

マルマイン「…?」

律「後ろだ!!!」

バッ!

モール「ドリュウウ!」

ミナキ「…! ドリュウズ!?」

律「“ドリルライナー”!!」

ギュアアアアアンッ!!!!!!!!!!!

マルマイン「…ッ!!」

ドザアッ!

マルマイン「」ガクッ

マサキ『マルマイン戦闘不能や!』

律「よっしゃあ!」

唯「やったね、りっちゃん!」

梓「“ボルトチェンジ”は攻撃して他の手持ちポケモンと入れ替わる技! 上手いですっ!」

澪「でも…次に控えているのは、」

ミナキ「そうさ。地面タイプのドリュウズを出したのは、むしろ失敗だったな。
いくぞ、マイヴィンテージ・スイクン!」

スイクン「クルー!!」

律「今度こそスイクンか…!」

ミナキ「私のスイクンに勝てるかな?」

752: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:14:08.37 ID:5XlA6yxAO

律「…戻れ、モール」シュウウッ

ミナキ「……まっ、賢明な判断だな」

律「ボルト、頼む!」ボム!

ボルト「ゼブウウッ!」

律「やってやる! タイプ相性ならこっちが勝ってるんだ!」

律「ボルト、“ワイルドボルト”ォ!!」

ボルト「ゼブウウッ!!」ダッ!

バチバチッ…!

ミナキ「ふふ…果たして、そう簡単にいくかな?」

スイクン「…」ヴン!

ボルト「…!」

マスキッパ「キパー!!」

律「な…!?」

ミナキ「“パワーウィップ”!」

マスキッパ「キパー!!」シュルルッ

ボルト「!」ガシッ

ビタアアンッ!

ボルト「ゼブ…っ!?」ガハッ…!

律「な、んで…マスキッパが!?」

ミナキ「ふふ…“パワーウィップ”だ!」

マスキッパ「キパーッ!!」シュッ

バチイイッ!

ボルト「!?」ゴッ…!

ドシャアッ!

ボルト「」バタッ

マサキ『ゼ、ゼブライカ戦闘不能や!』

753: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:15:22.25 ID:5XlA6yxAO

律「ボルト…!」

紬「どうしてマスキッパが…?」

唯「きっとりっちゃんみたいにポケモンを入れ替える技を使ったんだよ!」

梓「スイクンにそんな技使えましたっけ…」

和「ううん、それは有り得ないわ。だって入れ替えるポケモンがもういないじゃない」

澪「これは2対2のバトル…ミナキさんの手持ちはすでにマルマインが倒されて、あとはスイクンだけ。これ以上はポケモンを使えない」

純「じゃあ反則じゃないですかー!」ブーブー!

ミナキ「ノンノン、反則じゃないさ。今から証明してみせよう。
…マスキッパ!」

マスキッパ「…」ヴン!

スイクン「クルー!」

梓「マスキッパがスイクンに!」

ミナキ「よーく見ていてくれ」

スイクン「…」ヴン…

紬「! スイクンの周りに虹みたいなものが…」

ミナキ「オーロラさ」

梓「オーロラ…!」

ミナキ「オーロラを利用して姿を変えるのさ。言わば幻覚みたいなものだな」

754: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:16:40.52 ID:5XlA6yxAO

ヴン!

ピカチュウ「ピカ!」

唯「かわいい~!」ダキッ!

ピカチュウ「チャ~!?」

澪梓和(いつのまにっ!!)

唯「ピカチュウと言えばポケモン界のアイドルだよね!
一度はスリスリしてみたかったんだあ~。すりすりすりすり♪」

ピカチュウ「チャ~…」

唯「…?」

唯(あれ…? このピカチュウ、何か変…)

マサキ『コラー!!!』

唯「!」

マサキ『唯はん、試合の邪魔やー!!』

唯「ご、ごめんなさ~い!」タタッ

マサキ『まったく…。さあ、試合再開やで』

ミナキ「ピカチュウ、元に戻るんだ」

ピカチュウ「ピカ!」ヴン!

スイクン「クルー!」

律「…へへ」

ミナキ「なんだ?」

律「思い付いたぜ。そのオーロラの対処法を!」

ミナキ「なに…?」

律「モール、“すなあらし”!」ボム!

モール「ドリュウウ!」

ビュオオオッ!

スイクン「クルー!?」

ミナキ「む…っ!」

755: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:18:04.39 ID:5XlA6yxAO

律「この砂嵐の中じゃオーロラも作れないだろ!
これで姿を変えることはできないぜ!」

律「しかも! スイクンは水タイプだ。この天気だと、地面タイプのモールと比べたら…スピードは天と地の差だぜ!!」

モール「ドリュ!」ダッ!

スイクン「!」

律「“ドリルライナー”!!」

モール「ドリュウウ!!」ギュアアン!

バシャアアアアンッ!!!!!!!!!!!!

律「やったか…?」

バサバサッ!

ピジョン「ピジョー!」

律「! まさか…スイクンか!?」

ミナキ「そうだ!」

律「オーロラを封じたはずなのに…なんで姿を変えられるんだよ!?」

ミナキ「オーロラは関係ないのさ」

律「…!」

ミナキ「オーロラはただの飾り。うまく君の目を引き付けてくれたよ。なんせ、少しでも気を抜いたらばれてしまうからね。実は“へんしん”で姿を変えていることが…」

律「…。お前、今なんつった?」

ミナキ「え? ……あっ」

756: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:19:48.61 ID:5XlA6yxAO

律「………」

ミナキ「…は、はは。
ピ、ピジョン! 元の姿に…」

律「させるかぁ! モール、“こうそくスピン”で砂を巻き上げろ!!」

モール「ドリュウッ!!」ギュルンッ!

ブアアアアアッ!!!!!!!!!

ピジョン「ピ、ピジョー!?」

ミナキ「あ、ああっ…!」

律「“きりさく”だぁあ!!!」

モール「ドリュウウッ!!」シャキッ

ジャギイイッ!!!!!


…ボテッ!

メタモン「…~、」ピクピク

梓「あ…」

紬「メタモンだったのね…」

澪「…はは」

唯(ピカチュウちゃんの目が変だったのは、こういうことだったんだね)

マサキ『スイクン改め、メタモン戦闘不能ー!
よって勝者は田井中律ー!!』

唯「おめでとう、りっちゃん!」

梓「律先ぱ…」

律「………どういうことか、説明してくれるよなぁ?」

ミナキ「は、はは…。えっと……」

ミナキ「ごめんなさいでしたーっ!!」ダダッ!

律「待てーい!!」ダッ!

757: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:21:11.79 ID:5XlA6yxAO

ミナキ「落ち着け、話せば分かる!」

律「うるせえ! やっぱり反則じゃねえか!」

ミナキ「なんだと、これも戦術の一つだ! バトルは戦う前から始まっているのだよ!」

律「つーかスイクンは諦めたのか! メタモンを代わりにしてんじゃねえ!」

ミナキ「う、うるさいぞ! 私がスイクンを手に入れるには、もうメタモンに“へんしん”させるしかなかったんだ!
スイクンの姿を拝められれば、それでいいのだー!!」ダダダッ

律「この駄目男がぁーっ!!!」

ミナキ「ギャアーッ!!?」


梓「大丈夫ですかね…ミナキさん」

唯「でもこれで、りっちゃんも決勝リーグ出場決定だね!」

和「次は……私ね」ザッ…

唯紬「頑張って、和ちゃん!」

梓純「頑張ってください!」

澪「応援してるよ、和」

和「ええ」



758: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:22:29.23 ID:5XlA6yxAO

…………

マサキ『第三試合始めるでー!』

マサキ『第三試合ではDブロック一位を決める。
対戦者の二人、和はんとゴヨウはんは試合場についてくれ』

ザッ…

和「…」

ゴヨウ「…」

マサキ『試合始めやー!』

ボム!

紬「二人の出したポケモンは…!?」

エルレイド「レイー!」

ドータクン「オオオン!」

和「…!」

梓「エルレイド対ドータクン! 中々のカードです!」

ゴヨウ「ドータクン、“トリックルーム”!」

ドータクン「オオオン…!」ギュウウン!

シュンッ!

ドータクン「オン!!」バッ

エルレイド「!?」

ゴヨウ「“じんつうりき”です!」

ウィィィン!

エルレイド「レイ…!?」ズサアッ!

和「…っ!」

759: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:24:46.62 ID:5XlA6yxAO

ゴヨウ「“トリックルーム”は素早さの高低を逆転させる技! 素早さが低いほど、スピードは速くなります!」

澪「素早さが低いドータクンには最適な技ってことか!」

紬「ゴヨウさんは和ちゃんの師匠…、和ちゃんの手持ちポケモンを知っているはずよ。
和ちゃんの手持ちにはドータクンよりも素早さが低いポケモンがいないと知っているからこそ、できる戦術…!」

唯「そんな! じゃあ、和ちゃんの戦法も全部バレバレってこと!?」

梓「そうなりますね…。和先輩が戦い方を教わった人がゴヨウさんなんですから…!」

ゴヨウ「貴女のポケモンも戦術もバトルの癖も…すべてお見通しですよ」

和「……エルレイド!」

エルレイド「レイッ!」ダッ!

ゴヨウ「!」

和「“シザークロス”!」

ザギイイッ!

ドータクン「…オオオン!?」

エルレイド「…」スタッ

ゴヨウ「…何故こうも速く反応を?」

和「ゴヨウさんだけじゃありません。私だって見てきました。ゴヨウさんの手持ちポケモン、戦術、バトルの癖…。
だって、ゴヨウさんにバトルを教わったのは私だから!」

ゴヨウ「! ふ…、お見通しなのはお互い同じでしたね」

760: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:26:23.96 ID:5XlA6yxAO

和「エルレイド!」

ゴヨウ「ドータクン!」

エルレイド「レイ!」

ドータクン「オオン!」

和「“サイコカッター”よ!」

エルレイド「レイ!」シャキンッ

ゴヨウ「遅い!」

シュンッ!

ドータクン「オン!!」バッ

エルレイド「エル…!」

ゴヨウ「“シャドーボール”!!」

ドータクン「オン…!」ギュアッ…

和「エルレイド、後退して!」

エルレイド「レイ!」タッ

ドータクン「オン!?」スカッ…

和「そのまま後ろに走り続けるのよ!」

エルレイド「レイー!!」タッタッタ…

ゴヨウ「! バック走? まさか…」

エルレイド「レイー!!」タタタタタ…!

和「“トリックルーム”内では素早さが逆転する…なら、それを利用するわ!
慣れないバック走でなら、普段のスピードより遅く動ける。それでスピードが速くなる!」

エルレイド「レイー!」タッ!

シュンッ!

和「“れんぞくぎり”!」

761: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:27:52.33 ID:5XlA6yxAO

エルレイド「エル!」シャキッ

ドータクン「!!」

ザキッ…!

エルレイド「レイ!!」

ザキイッ!!!

…シャキンッ!

エルレイド「ドォオーッ!!!」

ザキイイイイイッ!!!!!

ドータクン「オオオン…!!?」グラッ…

ゴヨウ「ドータクン…っ!」

和「これでトドメ! もう一度“れんぞくぎり”!!」

エルレイド「レイー!!」シャキンッ!

ゴヨウ「…!!」

ザキイイイイイッ…!


唯「決まった…?」

澪「いや…!」

ドスッ!

エルレイド「…っ!?」

和「!!」

ドータクン「…」ニヤ

ゴヨウ「危なかったですね…」

和「どうして…」

ゴヨウ「“トリックルーム”が解けました」

和「…!」

762: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:33:00.32 ID:5XlA6yxAO

紬「“トリックルーム”が…!」

梓「素早さの高低が元に戻った……」

ゴヨウ「本来ならエルレイドの素早さにドータクンが追いつけるはずはありませんが、エルレイドはバック走をしながら攻撃をしていました…当然隙だらけです」

和「“トリックルーム”に合わせてスピードを遅くしたことが仇になりましたか…」

ゴヨウ「惜しかったですね。この勝負はもらいましたよ!
ドータクン、“ヘビーボンバー”!!」

ドータクン「オオオン!」バッ

和「!」

ドオオオン!!!!!

ゴヨウ「“ヘビーボンバー”は自分の体重が相手より重いほど威力が高くなる技。そのエルレイドにドータクンの体重を支えられますか!?」

ドータクン「オオオン!」

エルレイド「…ッ!」ズシッ…

和「いや…まだ! 体重差はそこまで大きくないわ!」

ゴヨウ「そうですかね?」

ズンッ…!

エルレイド「…ッ!?」ズシイッ…!

和「な…!」

763: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:34:43.11 ID:5XlA6yxAO

ゴヨウ「私のドータクンの特性は体重を二倍にする“ヘヴィメタル”です!
これで体重差は歴然! エルレイドは屈します!!」

ドータクン「ォォオオオオ!!」ググッ!

エルレイド「…ッッ!!!」ズズ…

…ゴシャアアッ!!!!!!!

ゴヨウ「…戦闘不能、ですかね」

シュタッ!

エルレイド「レイー!!」バンッ

ゴヨウ「!? な、に…! 何故エルレイドは立って……、」

ドータクン「オオ…?」フラフラ

ゴヨウ「…体重差で圧倒的に優勢なはずのドータクンがフラついているんですか!?」

和「教えてくれてありがとうございます」

ゴヨウ「! なにを…?」

和「ドータクンの特性が“ヘヴィメタル”だということですよ。おかげで潰されずに済みました」

ゴヨウ「特性…?」チラ

エルレイド「…」ズシ…

ゴヨウ「! …“スキルスワップ”ですか」

和「はい。エルレイドとドータクンの特性を入れ替えました。
ドータクンの特性は“ふくつのこころ”に、エルレイドの特性は“ヘヴィメタル”に」

764: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:36:36.59 ID:5XlA6yxAO

ゴヨウ「エルレイドは体重が二倍となり、ドータクンと体重差が縮まった……だからドータクンの“ヘビーボンバー”は効かなくなりましたか…」

ゴヨウ「良い戦術です。…ですが、それは一時的に優位に立っただけ!
結局はこちらに分があります!」

和「どうしてそう思うんですか?」

ゴヨウ「“スキルスワップ”ですよ」

和「…」

ゴヨウ「互いの特性を入れ替えたことで、先程の状況ではそちらが有利になりましたが、今はこちらが有利です。
エルレイドは二倍になった体重のまま戦わなければなりません。慣れない体重でドータクンと張り合えますかね?」

ドータクン「オオオン!」ギロ

エルレイド「…ッ」ズシ

ゴヨウ「“ジャイロボール”!」

ドータクン「オオ!」ギュル…

ギュウウン!!!!

エルレイド「……」

シュンッ!

ドータクン「…!」

ゴヨウ「消えた!?」

和「真上よっ!」

ダッ!

エルレイド「レイー!」

ゴヨウ「有り得ない…! あの体重で、どこにあんなスピードが…!?」

和「言いましたよね。エルレイドの特性は“ふくつのこころ”…。それでスピードが上がったんです」

ゴヨウ「! 最初のドータクンの“じんつうりき”で怯んで…!!」

765: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:39:15.42 ID:5XlA6yxAO

和「…エルレイド!」

エルレイド「エル!!」シャキンッ

ゴヨウ「くっ……かわしなさい!!」

ドータクン「オオ…」オロオロ

和「“リーフブレード”!!」

エルレイド「レイドォオオオ!!!」

ザキイイイイイッ!!!!!!!!!!

ドータクン「」ドシャアッ!

マサキ『ドータクン、戦闘不能や!』

ゴヨウ「…!」

唯「やったよ和ちゃん!」

澪「いいぞ、和!」

純「この調子でガンガン行っちゃいましょー!」

ゴヨウ「戻りなさい、ドータクン」シュウッ

和「…」

エルレイド「…」シャキンッ

ゴヨウ「…ふふ、実に面白いものですよ」

和「……」

ゴヨウ「テンガン山で戦った時と同じですね。
私のドータクンがやられ、そして…」カチッ

ゴヨウ「このポケモンが貴女を倒す!」

ボム!

ランクルス「クルース!!」

和「あの時の…!」

唯「ぞうふくポケモン、ランクルス! ゴヨウさんの切り札!!」

ゴヨウ「ただ一度を除いて、負けなしの私のランクルスに敵いますかね?」

和「…あの時とは違う! エルレイドだって進化しているし、私も成長しています!
同じ結果にはなりませんよ!」

和「エルレイド! “リーフブレード”!!」

エルレイド「レイーッ!!」シャキッ…

ザギイイッ!!!!!!!


和(決まった…!)

エルレイド「……?」

ランクルス「…」ブク…

ブクブクブクブク!!!!!!

和「え…!?」

ベチャベチャ!

エルレイド「!」ベチャ…

766: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:40:58.17 ID:5XlA6yxAO

和「ランクルスの体の液体が飛び散って…これは……」

ゴヨウ「“サイコキネシス”…!」

ウィィィン!!!!!!

エルレイド「…っ!!?」

ドオオオン!!!!!!!

バタアッ!

エルレイド「」ガクッ

和「エルレイド…っ!」

マサキ『エ、エルレイド戦闘不能や!』

ベチャ…

フラァー……

梓「あれは…なんですか…?」

紬「唯ちゃん、ゴヨウさんと戦ったことがある唯ちゃんには分かるかしら?」

唯「う、ううん…私の時はあんなことしてこなかったよぉ……」

ゴヨウ「…ふふ。そんなに気味の悪いものではないですよ。この浮かんでいるゼリー状の物体は、ランクルスの体の一部です」

和「ランクルスの…?」

ゴヨウ「ほら、ランクルスの体を包んでいた緑色の液体…それが先程のエルレイドの攻撃で分裂したんです」

767: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:43:13.02 ID:5XlA6yxAO

和「分裂…? でもなんでこんな飛び回って…」

ゴヨウ「この液体はランクルスの細胞なんです。
ランクルスはサイコパワーで自身の細胞を自由に操り、行動をします」

ゴヨウ「ならば、細胞である周りの液体も自由自在に動かすことができる。こうやって体から離して空中で泳がしたり、再び体にくっつけたり…ね」

フラァー…

ピトッ!

ランクルス「クルース!」

和「! 元の姿に戻った!」

ゴヨウ「この意味が…分かりますか?」

和「……」

和「…! 攻撃が、届かない…?」

ゴヨウ「ご名答。体の周りに液体がある限り…液体は退かせても、本体のランクルスには攻撃そのものが届きません!
そして、私のランクルスは液体を接着するのが素早く、液体を退かして追撃しようと思っても間に合わない。
これこそ完璧な守り! 貴女にはこの守りは打ち破れない!!」

和「……いいえ。私だって、馬鹿じゃありません。
またゴヨウさんと戦う日が来るのを願い、そしてその時は絶対に勝ってみせると誓いました」

ゴヨウ「……」

和「…そのために捕まえたポケモンがいます。この子で貴方のランクルスを破ってみせるわ!
行って、ゴチルゼル!!」ボム!

ゴチルゼル「ゴチルゼー!」

ゴヨウ「ゴチルゼル…!」

768: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:45:05.38 ID:5XlA6yxAO

和「イッシュ地方まで行くのは大変だったけど、おかげでゴヨウさんに勝てる!」

ゴヨウ「いくら同じイッシュのポケモンだからといっても、強さが同等とは限りませんよ!」

和「そんなの…今から試すわ!」

ゴチルゼル「ゴチ!」キッ

和「“サイコキネシス”!」

ゴチルゼル「チルゼーッ!!」シュパアアッ!

ランクルス「…!」

パアアアアアンッ!!!!!!

ランクルス「クルース!!?」パシャッ…!

ベチャベチャベチャアッ!!!!!!

澪「なんて威力の“サイコキネシス”だ…! ランクルスを包んでいた液体がほとんど飛び散ったぞ!」

ゴヨウ「…そう簡単ではない!」

ランクルス「クルース!!」ウィン!

フラァー……

ピトピトッ!

ランクルス「クルース!」キッ

和「…!」

梓「ランクルスが元に戻って……本当に一瞬でした…!」

ゴヨウ「言ったでしょう。私のランクルスには敵わない、と!」

769: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:46:47.66 ID:5XlA6yxAO

和「いいえ、その液体のトリックが分かりました」

ゴヨウ「!」

澪「トリック…?」

和「通常のランクルスではこんなことはできない。そうですよね?」

ゴヨウ「……気づかれましたか」

和「貴方のランクルスの持ち物は“あやしいおこう”。それでランクルスのサイコパワーを高めて、細胞を自由自在に動かすことを可能にした…」

ゴヨウ「その通りですよ。…どうして分かったのですか?」

和「“おみとおし”…ゴチルゼルの特性です」

ゴヨウ「…なるほど」

ゴヨウ「……しかし、トリックが分かっても“あやしいおこう”を除去はできない!」

和「…ゴチルゼル」

ゴチルゼル「チルゼーッ!!」パアアアッ!

ランクルス「…!」ピクッ

ゴヨウ「これは…“マジックルーム”!?」

和「はい。この空間にいる限り、道具の効果はなくなる!
ゴチルゼル、“サイコキネシス”!!」

ゴチルゼル「チルゼーッ!!」ウィン!

ランクルス「!!」

パシャアアッ!!!!!

ゴヨウ「! しまっ…」

770: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:47:41.27 ID:5XlA6yxAO

梓「ランクルスを守っていた液体がなくなりました! もう液体がランクルスの周りに戻ることもない! 今がチャンスです!!」

和「“サイコショック”よ!」

ゴチルゼル「チルゼーッ!!」シュパアア!

ゴヨウ「…くっ! ランクルス、“サイコキネシス”!!」

ランクルス「ク…ルース!!」ウィン!

ドガアアアアアアン!!!!!!!!!!!!


771: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:49:52.37 ID:5XlA6yxAO

シュウウッ…!

和「……」

ゴチルゼル「……」

ゴヨウ「……、!」

ランクルス「」バタッ

ゴヨウ「お見事…」

マサキ『ランクルス戦闘不能!!
よって勝者は、真鍋和ー!!!』


ゴチルゼル「チル…」フラ…

和「よくやってくれたわ、ゴチルゼル。ありがとう」シュウウッ

ゴヨウ「ランクルス、戻りなさい」パシュッ

和「!」

ゴヨウ「まさか…私のランクルスが敗北するとは……流石は四天王というところでしょうか。
良いバトルでしたよ、和さん」

和「ゴヨウさ…」唯「和ちゃ~ん!!」

和「! …唯! みんなも…」

唯「おめでとう和ちゃん!」

澪「やっぱりすごいな、和」

梓「おめでとうございます! 和先輩!」

紬「すごかったわ~♪」

純「新・旧四天王対決となると、レベルが違いますよね~!」

律「今度は私とバトルしてくれよ、和!」

和「ありがとう、みんな。ていうか律はいつの間に…?」

律「片付けてきた」

ミナキだったもの「」




772: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:51:13.85 ID:5XlA6yxAO

……………

ゴヨウ「…さて、私は一足先に帰りますか。これ以上はこの世界にはいられませんし」ザッ…

「素晴らしいバトルでしたよ、ゴヨウさん」

ゴヨウ「! カトレアさん」

カトレア「あの人が真鍋和さんですか」

ゴヨウ「ええ」

カトレア「…貴方の言った通り、完全なお方ですね」

ゴヨウ「…いえ、彼女は不完全ですよ」

カトレア「え…?」

ゴヨウ「不完全であるから完全…。彼女達から学びました」

カトレア「ゴヨウさん…」

ゴヨウ「…そうだ。コクランさんのこと、おめでとうございます」

カトレア「…はいっ!」ニコッ




773: ぽけもん 2011/07/25(月) 21:52:35.76 ID:5XlA6yxAO

…………

マサキ『さあて、第四試合を開始するで!
紬はんとイツキはんは競技場についてくれ!』

紬「…」

イツキ「…」

梓「頑張ってください、ムギ先輩!」

唯「ムギちゃん、頑張れ~!」

律(ムギもバトルでは私たちの先輩だ。どんなバトルをするか楽しみだな!)

マサキ『この第四試合ではEブロックの一位を決めるで!
バトル始めやー!!』

紬「まずはあなたよ!」ボム!

イツキ「行ってください!」ボム!

ネル「トゥートゥー!」

ネイティオ「トゥトゥー!」

紬イツキ「…!!」


780: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:01:26.83 ID:95/I5OTAO

梓「これは…!」

律「ネイティオ対決!?」

ネル「トゥートゥー!」

ネイティオ「トゥトゥー!」

イツキ「んっふ、これはこれは」

紬「…」

紬(ネルは元はイツキさんのポケモン…勝つ見込みはほとんどないけど、やってみせる!)

紬「ネル、“つばめがえし”!」

ネル「トゥートゥー!」バサッ!

ネイティオ「!」

イツキ「ネイティオ、こちらも“つばめがえし”です!」

ネイティオ「トゥトゥー!」バササッ!

ガキイイイッ!!!!!!

ネル・ネイティオ「……ッ!!」

律「! パワーは互角か…!?」

澪「いや…、ムギのネイティオの方が僅かに勝ってる!」

ネイティオ「…ッ」ズキッ…

イツキ「ネイティオ!」

紬「いいわよ、ネル!」

ネル「トゥートゥー!」

781: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:03:46.33 ID:95/I5OTAO

紬(パワーではこっちが勝ってる! これなら…)

イツキ「…んっふ」

紬「!」

イツキ「いやはや…同じポケモンでも育て方が違うと、こうまで能力に違いができるものですか。紬さんのネイティオは攻撃の方面を重視して育てたようですね」

イツキ「…なら、こんな芸当は出来ないはずだ」

ネイティオ「……」シーン…

紬「……?」

紬(なに…?)

イツキ「さあて…、どこからでもかかってきてください」

紬「で、でも…ネイティオは目を瞑って…」

イツキ「んっふ。どこからでもかかってきてください?」

紬「……それなら、そうさせて貰います! ネル!!」

ネル「トゥートゥー!」バサッ!

紬「“エアスラッシュ”!」

ネル「トゥートゥー!!」ビュンッ!

ギュウウウンッ!!!!

ネイティオ「……」

ネイティオ「…トゥトゥー!!」ギンッ!

紬「…!!」

バササッ!

ネイティオ「トゥトゥー!!」ギュンッ

ネル「…!?」

紬「そんなギリギリでかわすなんて…っ!」

782: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:07:22.53 ID:95/I5OTAO

イツキ「んっふ……“ねっぷう”!」

ネイティオ「トゥトゥー!!」ビュオッ!

ビュウウウウウッ!!!!!!!!

ネル「トゥートゥー!?」ドサアッ!

紬「ネル…っ!!」

ネル「トゥ…」ヨロッ…

イツキ「…んっふ……、『未来予知』……」

イツキ「超能力の一種で、その名の通り、未来を予め知るという能力です。完全な未来を予知するのは、あのナツメさんでも不可能らしいのですが……」

イツキ「僕のネイティオは完全に予知できるのです…未来を!」

紬「…!!」

梓「未来を予知できる!? それじゃあ…!」

和「…ネイティオは知っているんでしょう。この先の未来を…これからムギのネイティオがどんな攻撃をしてくるのかを…!」

イツキ「んっふ。そして…このバトルの勝敗も、ね」

ネイティオ「……」

イツキ「ネイティオの右目は未来を、左目は過去を、それぞれ見据えている!
その右目を通して未来を見よ!!」

ネイティオ「トゥトゥー!!」ギンッ!

紬「…!」

イツキ「…見えたようですね。それでは行きましょうか!」

783: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:09:12.54 ID:95/I5OTAO

ネイティオ「トゥトゥー!」ビュンッ!

律「今度は自分から…!」

紬「ネル、迎え撃って! “サイ……」

イツキ「“さきどり”です!」

ネイティオ「ッ!」カッ!

イツキ「“サイコキネシス”!!!」

ウィン!

ネル「!?」

ボオオオオンッ!!!!!!!

……ビュオッ!

ネル「トゥートゥー!!!」バサッ!

ネイティオ「!」

紬「“あやしいひかり”よ!」

ネル「トゥートゥー!!」キュインッ!

ネイティオ「…!?」クラッ…

ドサッ!

紬「やった…!」

澪「いいぞ! 混乱すれば、未来予知なんてこと出来ない!」

唯「そのまま追撃だよ、ムギちゃん!」

紬「ええ!」

784: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:10:58.24 ID:95/I5OTAO

バサアッ…!

紬「……ッ!?」クルッ

ネイティオ「トゥトゥー!!」バンッ

紬「! 混乱していない!? 確かに“あやしいひかり”を当てたのに…!」

ネル「トゥ~トゥ~?」クラクラ…

唯「逆にネルちゃんが混乱してるよ~!?」

イツキ「僕のネイティオの特性は“マジックミラー”。常時“マジックコート”状態……“あやしいひかり”は跳ね返しますよ!」

紬「“マジックミラー”…!」

イツキ「そろそろフィニッシュです! “ドリルくちばし”!!」

ネイティオ「トゥトゥー!!」ギュインッ

ドギュウウウウッ!!!!!!!!!!

ネル「」ドサッ

マサキ『紬はんのネイティオ戦闘不能やー!!』

唯「ああっ…!」

梓「先手を取られました…ここから一匹で巻き返すのは辛いですね…」

澪「でも、ムギなら大丈夫だ」

785: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:13:11.31 ID:95/I5OTAO

紬「……」

紬「ネル、ありがとう。休んでて」シュウウッ

紬「…次はあなたよ! ルカ!!」ボム!

ルカ「オークタン!!」

イツキ「オクタンですか。…んっふ、ネイティオ!」

ネイティオ「……」

イツキ「その右目で捉えよ! これから起こる出来事をッ!!」

ネイティオ「…ッ!」ギンッ

紬「ルカ、“オクタンほう”!」

ルカ「オークタン!」プシャアッ!

ネイティオ「!?」バシャッ!

イツキ「!」

紬「これで未来が見えなくなったはずです!」

ネイティオ「…っ」タラァ…

イツキ「! 右目が墨で…!」

紬「……このビジョンは見えなかったみたいですね」

イツキ「…!」

紬「ネイティオの右目に未来が映るなら、この未来もすでに見えていたはずです。それなのにルカの攻撃をかわせなかった…」

紬「なぜなら未来を見るにはある儀式を行わなければならなかったから。ある儀式とは、そう…“めいそう”です」

イツキ「…、」

純「あのネイティオ、なんかボーッとしてると思ったらそういうことか」

ナツメ「“めいそう”はサイコパワーを高めるのに使うエスパー技だからね」

梓「…ナツメさん、いつの間にいたんですか?」

ナツメ「“テレポート”」

ケーシィ「ケシシっ!」

唯「久しぶりだね、ケーシィちゃあん! 何度見てもかわいいよ~!」ダキツキッ!

梓「……はぁ」

786: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:15:40.56 ID:95/I5OTAO

紬「右目が見えない今のネイティオには、もう過去しか見えない。こうなるとおかしなことが起きるわ。右目で未来を、左目で過去を見るなら…現在はどうやって見ているのか……」

イツキ「…んっふ、まさかそこに気づかれるとは」

紬「右目と左目以外の目…つまり、両目! ネイティオは両目で現在を見ている! なら、右目が見えなくなった今…未来どころか現在も見えなくなっているわ!」

紬「過去に囚われた者の末路は…敗北よ! ルカ、“だいもんじ”!!」

ルカ「オークタァン!!!」ボオオッ

ゴアアアアアアッ!!!!!!!!!!

ネイティオ「トゥトゥー!!?」ボウウッ…!

ドオオオン!

ネイティオ「」ガクッ

マサキ『ネイティオ戦闘不能やー!』

イツキ「…んっふ。ここまで来ると小手先の戦法は通用しませんか。フーディン!」ボム!

フーディン「フーッ!」

イツキ「ここからは超能力バトルです! …フーディン!!」

フーディン「フーッ!」ダッ!

紬「ふふ♪ …ルカ!」

ルカ「オークタン!」ダッ!

紬イツキ「ふんもっふ!!」

ボオオオオンッ!!!!!!

787: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:17:36.86 ID:95/I5OTAO

唯「面白い名前の技だね!」

ナツメ「あれはイツキ独特の叫び声だから」

律「ないないあれはない」

澪(いいな……)

シュウウッ…!

フーディン「フン!」スタッ

ルカ「オク!」シュタッ

イツキ「最初の頃とは比べものにならないほどの威力……僕のフーディンと同等までになるとは、嬉しい限りです」

紬「えへへ…」テレテレ

イツキ「ですがこれは本気の勝負! 全力で行かせて貰います!!」

紬「望むところです!」

イツキ「んっふ…、フーディン!」

フーディン「フーッ!」ダッ!

紬「!」

イツキ「“サイケこうせん”!!」

フーディン「フーッ!!」ウイイン!

ルカ「…っ!」ジリッ…

紬「踏ん張って、ルカ!」

ルカ「オーク…タン!!」ググッ…

フーディン「…!」

紬「“しおふき”よ!」

バシャアアッ!

フーディン「フーッ!?」ドサアッ!

イツキ「! “きゅうばん”を使って、耐え抜きましたか…!」

788: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:19:31.77 ID:95/I5OTAO

紬「“すてみタックル”!!」

ルカ「オークタン!!」ダダッ!

フーディン「!」

イツキ「オクタンとは思えない速さ……いいでしょう。受け止めるのです!」

ドガアンッ!!!!

ルカ「オークタン…!!」

フーディン「フーッ…!!」ギチギチ…!

イツキ(フーディンは接近戦を得意としない……組み合えばパワーで押し負ける…ッ!)

イツキ「フーディン、“かみなりパンチ”でオクタンを振りほどいて…」

スカッ…!

フーディン「…!?」ドタッ!

イツキ「! オクタンは…!?」

ナツメ「…後ろよ、イツキ!」

ルカ「オークタン!!」バッ

イツキ「“かげぶんしん”…! フーディンと組み合っていたのは、分身でしたか!」

紬「この一撃にすべてを懸けます!!」

ルカ「オクー…ッ!!」

イツキ「く…!!」

紬「ふーんもっふッ!!!」

ルカ「オクーッッ!!!」ビュンッ!

オオオオオ…!!!!

イツキ「“きあいだま”で撃ち落とせ!!」

フーディン「フーッ!!!」ギュオッ!

パアアアン…!

梓「相殺した…!!」

789: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:21:49.23 ID:95/I5OTAO

イツキ「んっふ、危ないところでした…」

イツキ「とりあえずこれで仕切り直し…」

イツキ「て…!?」

ビュンッ! ビュンッ!

紬「…ごめんなさい、イツキさん。『この一撃にすべてを懸ける』って言ったけど、間違いです」

紬「一撃じゃありませんでした」

ビュオオオ…!!!!!

イツキ「こ、の技は……“ロックブラスト”!!?」

フーディン「…ッ!!!」

イツキ「く…っ! この数は受けきれない…!!」

ドドドドドドドド……………ドオオオン!!!!!!!!!!!!!

パラ……

バタアン!

フーディン「」ガクッ

マサキ『フーディン戦闘不能や! よって勝者は琴吹紬ー!!』

紬「……っ!」

タタッ!

唯「おめでとう、ムギちゃあん!」

律「いや~、熱いバトルだったな!」

和「いいバトルだったわ」

澪「おめでとう、ムギ!」

純「おめでとうございます!」

梓「あそこから巻き返すとは…見事でした、ムギ先輩!」

紬「ふふ…ありがとう♪」




790: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:22:40.12 ID:95/I5OTAO

………


フーディン「…、」

イツキ「ご苦労様です、フーディン」パシュッ

ナツメ「強くなっていたわね、彼女」

イツキ「ナツメさん…」

イツキ「はは、負けてしまいましたよ」

イツキ「これは、キョウさんとシバさんも油断なりませんね」

ナツメ「あのね…彼女がギンガ団の事件の後、貴方と別れる時に言っていたこと……」

イツキ「? それがどうかしましたか?」

ナツメ「私が見たところ、彼女ね……」




791: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:24:03.93 ID:95/I5OTAO

…………


マサキ『んじゃあ、そろそろ第五試合始めるでー!』

律「なんでそんなに急ぐ必要があるんだよ?」

マサキ『時間がないんや! この試合はあくまで各ブロックの一位決定戦やさかい、決勝リーグ始めるには早う終わらせんとな!』

律「そんなもんなのか…」

律「……」

律(決勝リーグに出場が決定したのは…唯、和、ムギ、それと私。これから澪や梓、純ちゃんが仮に出場決定するとして…)

律(決勝リーグではこの中の誰かと戦うことになるのか…)

マサキ『ちゅうわけで第五試合始めるさかい、澪はんとリラはんは準備してくれ!』

律「!」

律(…考えても仕方ない。今はこの試合を見届ける!)

マサキ『第五試合ではFブロックの一位を決める! バトル開始や!!』

澪「…!」

リラ「行くぞ、澪!」ボム!

カビゴン「カンビ!」ドシンッ

792: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:25:36.74 ID:95/I5OTAO

唯「? あのカビゴンって…」

ミナキ「フフフ、そうだ! 唯と律、二人と初めて会った時に捕まえたカビゴンだよ。私がリラに譲ったのさ」

唯「へえ~!」

梓(復活してる)

律「いいのかよ。そんなに簡単にあげちゃって。カビゴンって珍しいポケモンじゃないのか?」

ミナキ「フフ、スイクンの魅力の前では…」

律「もういい、大体分かったから」

紬「澪ちゃんの出すポケモンは…!?」

澪「…よし。ルンたん!」ボム!

ルンたん「るんたん♪」

和「ポワルンね…」

ミナキ「また珍しいポケモンだな」

梓(自然に混じってるなあ)

リラ「ポワルン、か。澪にお似合いな可愛いポケモンだよ」

澪「そ、そんなことは…」

リラ「それに反して、潜在能力は高いものだと思える…」

リラ「…ねッ!」

カビゴン「カンビ!!」ダッ!

ルンたん「!」

リラ「“のしかかり”だ!」

ドシャアアアアンッ!

澪「……ッ!」

793: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:27:34.59 ID:95/I5OTAO

リラ「ふふ、ポケモンバトルの世界では体の大きさの差も勝負の決め手の一つとなるが…決して体の大きな方が有利というわけではない。小さな方は小回りが利くからな」

リラ「しかし、逆に言えばその体を捕らえてしまえば、簡単に勝利をもぎ取ることができる!」

和「あの巨体にのしかかられたら、ひとたまりもないわ…!」

カビゴン「カンビ!」

ノソッ…

カビゴン「カンビ?」

澪「…“ウェザーボール”!」

ドゴオオオッ…!!!!!

カビゴン「……ッ!!?」

カビゴン「カビ…ッ!」ドシャアアッ

リラ「! な…!?」

ルンたん「るんたーん!」バッ

澪「…確かに、ルンたんは体が小さいです。でも、だからって自分より大きな相手には素早さで対抗するとは限らない」

澪「ポケモンの数だけの戦い方があるんです。例えばポワルンは、『小さい体を守るために大自然の大きなパワーを使えるようになった』…!」

ピカアッ!

カビゴン「…カビ?」

リラ「なんだ…? いきなり暑く……いや、これは!」

794: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:29:44.06 ID:95/I5OTAO

ルンたん「るんた~ん!」ピカアッ!

リラ「“にほんばれ”か!」

澪「“ウェザーボール”!」

ドギュウンッ!

カビゴン「カビー!?」ボワアアッ

リラ「く…! てんきポケモン、ポワルン。特性は天気によって姿を変える“てんきや”! “ウェザーボール”も天気によって、タイプや威力が変わってくる技!」

澪「今度は“あまごい”だ!」

ルンたん「るんー!」ザアアアッ

カビゴン「カビ!?」

澪「“ウェザーボール”!!」

バシャアアアアッ!

カビゴン「カビ…!?」

リラ「水技に…!」

カキカキイッ…!

カビゴン「! カ、カビッ!?」ビクッ

リラ「怯むな、カビゴン! ただの“あられ”だ………“あられ”!?」

ルンたん「るんた~ん!」ドギュウンッ

カキイイッ!!!!!

カビゴン「カ、…ビィ……!?」

リラ「…! 氷の“ウェザーボール”!!」

シュウウッ…!

ルンたん「るんたん!」

カビゴン「…カビっ」

795: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:35:48.89 ID:95/I5OTAO

リラ「…おかしい。いくら天気を操る能力を持っているといっても、ここまで自在に操れるとは……」

澪「はい。よくは分からないけど、この子が天気研究所のポワルンだからかもしれません」

リラ「天気研究所…! なるほど、それなら合点がいくな。むしろ、まだ隠された能力を持っていても不思議ではない」

澪「…その通り、まだありますよ。ルンたん!」

ルンたん「る~ん!」カッ!

ピカアッ! ザアアアッ! カキカキン!

リラ「晴れ、雨、霰……まさか!」

澪「はい! 私のルンたんは三つの天気を同時に操ることが出来るんです!!」

リラ「…!!」

澪「今一斉に放つ! 晴れ・雨・霰……炎・水・氷!!」

澪「三位一体の“ウェザーボール”!!!」

ルンたん「るんたーん!!!」ドギュンッ!

ボワアシュウウゴアアアッ!!!!!!!!!

カビゴン「カビ…!」

ゴアアアアーッ!!!!!!!!!!!

ドオオオン!!!!

…ドシャッ!

カビゴン「」ボテ…

マサキ『カビゴン戦闘不能ー!!』

796: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:37:12.16 ID:95/I5OTAO

律「なんて威力だ…!」

梓「さすが澪先輩です!」

リラ「なるほど…。天気を操る力……元々備わっている能力、つまり『才能』というわけか」

ルンたん「るんたん♪」

リラ「本当に強くなったものだな、澪。師として嬉しいよ」

澪「はい、私も師匠と戦うことができて嬉しいです!」

リラ「ふふ、でもどうかな? 澪のポワルンの才能も素晴らしいものだが…」

ボム!

ライコウ「ギャオオッ!」ドンッ

澪「!?」

リラ「いかずちポケモン・ライコウ…こいつの『才能』も伊達じゃない」

ミナキ「ライコウ…! まさか、リラも伝説のポケモンを持っていたとは!!」

律「も、ってなんだ。お前はちげーから」

唯「エンテイちゃん元気かなぁ~」

リラ「安心しろ、澪。ミナキとは違って、このライコウは本物さ」

ライコウ「ギャオオッ!」

797: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:39:40.28 ID:95/I5OTAO

澪「…ライコウ……!」

リラ「ふふ。ポワルンが天気を操る才能を持つなら、ライコウはそうだな……天気を掌握する才能を持つ!!」

モクモク……

ルンたん「るん…?」ピクッ

澪「! 雲…? ルンたんに“あまごい”を指示していないのに……」

リラ「これはライコウによって作り出された雨雲だよ」

澪「ライコウによって…!?」

リラ「雷とともに落ちてきたというライコウ。その背中の毛は雨雲! つまりライコウは雨雲を背負っているんだ」

澪「もしかして…?」

リラ「そう! ライコウは自身の雨雲を使い、どんな時でも雷を出すことができる。…ライコウ、“かみなり”!!」

ライコウ「ギャオオッ!!!」

ピシャアアアアンッ!!!!

ルンたん「るんたーん!?」

リラ「タワータイクーン、このリラが司るは『才能(アビリティー)』! そのバトルスタイルは、ポケモンの才能を余すことなく発揮させるというものだ!!」

798: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:42:00.46 ID:95/I5OTAO

ゴロゴロ……

澪「くっ…、ルンたん、“にほんばれ”で……」

ルンたん「るんた…」

リラ「無駄だ。ライコウの雨雲がある限り、天気は変えられない」

リラ「しかしそれ以前に、ポワルンに技を出す体力が残っているかな?」

ルンたん「」ガクリッ

マサキ『ポワルン戦闘不能や!!』

澪「ルンたん…!」

リラ「ふふ」

ライコウ「ギャオオッ!」

律「…なんてパワーなんだ、ライコウ!」

梓「はい…。“かみなり”もそうですけど、てんきポケモン・ポワルンを圧倒する…天気を掌握する力も桁違いです!」

リラ「…なんてことはないさ」

リラ「強者はそもそも強いから強者なのだ。人はそれを、『才能』と呼ぶ」

紬「才能…!」

799: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:44:02.54 ID:95/I5OTAO

リラ「フッ、本当の強さに理由などない……前にも教えたね? 澪」

澪「……」

カチャ…

澪「戻って、ルンたん」シュウウッ

澪(あと出せるのは一匹…。エントリーしたポケモンの中だから、カゲぴょん、くらくら…の二匹か)

澪(相性的にはどちらも不利だけど……ライコウは前に一緒に戦ったことがあるから、強さは知ってる。多分…カゲぴょんでも勝てない………)

リラ「ふふ、どうした、澪。どんなポケモンでもライコウには勝てないよ」

澪(……いや、待てよ。くらくらは元々はミナキさんのポケモンだ。律はああいうけど…ミナキさんは相当の実力者だ。ううん、律も実はそれを分かってる)

澪(私はくらくらの才能をまだ知らない。でも、私はくらくらを信じる! くらくらの才能を…!)

澪「行ってくれ、くらくら!」ボム!

くらくら「ドク~ッ!」

律梓紬和「…!!」

梓「ドククラゲ!?」

さわ子「ライコウに水タイプのドククラゲなんて…」

律「澪らしくないな……ってか、さわちゃんいつの間に?」

さわ子「自分の試合終わってからずっといたわよ!」

マサキ『ピカチュウとか相手ならまだ分かるけど…ライコウ相手やで……?』

和「司会のマサキさんまで…」

唯「大丈夫だよ、澪ちゃんなら! 何か策があるんだよ、きっと!」

純「そうですよ!」

律「こ、この二人は…っ!」

800: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:45:14.57 ID:95/I5OTAO

ミナキ「これは………フフ。ハハハハハハハハッ!!!」

律「ど、どうしたんだミナキ。ついに頭おかしくなったか?」

ミナキ「いやあ……つい、ね」

律「は?」

ミナキ「フフ、勝つかもよ…彼女」

くらくら「ドクーッ!」

澪「……」

リラ「…どうしたんだい、澪? 冗談だとしても笑えないな。間違えたのなら、今からでもポケモンを替えるのを許そう」

マサキ『んな勝手に…!』

リラ「……」

澪「…替えません! 私はくらくらでライコウに勝ちます!!」

リラ「…分かった。澪の気持ちも決意もドククラゲへの信頼も……だがッ!」

リラ「それでも越えられない壁があるということを教えてあげるよ! ライコウ、“かみなり”!!」

ライコウ「ギャオオッ!!」

ピシャアアアアンッ!!!!!!

澪「…ッ!」

801: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:47:58.67 ID:95/I5OTAO

律「どういうことだよ、ミナキ」

ミナキ「ん?」

律「澪が勝つ、って」

ミナキ「フフ、実はね、あのドククラゲは私のポケモンなんだ」

梓「ミナキさんの?」

ミナキ「ああ。それで、澪に譲る前は、スイクン捕獲のために育てていたんだよ」

梓「ドククラゲを対スイクン用に…?」

ミナキ「細かいことを言うとそうではない。スイクンはエンテイとライコウとよく一緒にいるみたいだからね、エンテイとライコウと戦うことになるかもしれないから、エンテイ・ライコウ相手に必要なポケモンがドククラゲなのさ」

律「エンテイはまだ分かるけどさ、ドククラゲがライコウを相手どれるのか?」

梓「というより、地面タイプを用意すればいいんじゃ…」

ミナキ「いやいや。スイクン達の逃げ足から考えたら、なるべく少数でいった方がいい。数が多いとスイクン達が逃げる隙も多くなってしまうからね。それにドククラゲは素早さも高い」

律「それで、ライコウにはどうする気だったんだ?」

ミナキ「ドククラゲの体にコーティングをしたんだ。“やわらかいすな”を主成分にした特製のスプレーでね」

律梓「…!」

ピシャアアアアンッ!!!!!!

くらくら「ドクーッ!!」ドンッ

ライコウ「…!?」

リラ「馬鹿な……効いていない!?」

澪「くらくら…っ!」

802: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:50:17.18 ID:95/I5OTAO

ミナキ「…つまり、だ。あのドククラゲに電気技は通用しない」

リラ「…“でんじほう”だ! ライコウ!!」

ライコウ「ギャオオッ!!」ビリリッ…

バチイイイイイッ!!!!!!!

くらくら「……」

キイイン…!

くらくら「ドクーッ!!」

リラ「! そんな…!」

澪「…いきますよ、師匠」

リラ「!」

澪「“どくづき”だーっ!!」

くらくら「ドクーッ!!!」ブンッ!

ライコウ「……ッ!!?」ゴシャッ…

ドガアンッ!!!!

ライコウ「ギャオゥ……、」ガクッ

マサキ『ラ、ライコウ戦闘不能! よって勝者、秋山澪!!』

唯「やった~、澪ちゃん!」

澪「…やった!」

803: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:52:03.16 ID:95/I5OTAO

リラ「…ライコウ、よくやってくれた」パシュッ

リラ「そうか…。そのドククラゲはミナキのポケモンだったのか」

ミナキ「フフ、師弟の両方が私のポケモンを持っているとはね」

リラ「ミナキ…」

澪「ミナキさんのドククラゲ、強かったです。これが、くらくらの才能なんだね…」

くらくら「ドクー」

ミナキ「いいや、才能ではない。ドククラゲはね、このコーティングのため、“やわらかいすな”を入手しようと山に篭って地面タイプを相手にしていた……言わば『努力』の結晶だよ、この能力は」

リラ「ふっ、『努力』か……。弟子というものは師を越えるものであるが…まさか主義においても、このリラを越すとはな」

リラ「この二年間で、立派になったね」

澪「リラ師匠……」

リラ「ここまできたら優勝するんだぞ、澪」

澪「はいっっ!!」

律「…へへ、そうはいくかよ!」

澪「! 律…」

紬「優勝を目指しているのは澪ちゃんだけじゃないわ!」

和「ええ」

唯「和ちゃん、優勝するのは私だよ!」

梓「唯先輩には難しいんじゃ?」

唯「あずにゃんひどいっ!」ガーン

804: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:53:11.48 ID:95/I5OTAO

紬「ふふ♪」

律「なんにしても、まずはおめでとうな、澪!」

澪「うん!」

和「おめでとう、澪」

梓「おめでとうございます!」

紬「おめでとう♪」

澪「ありがとうな、みんな」

唯「? あずにゃん、あずにゃん。純ちゃんは?」

梓「…あれ? そういえば……」

紬「どこ行ったのかしら?」

澪「そこになにかあるけど…」

唯「はっ…! あれは、“ピッピにんぎょう”!! どうしてここに!?」

和「さあ?」

唯「これ欲しかったの~! おー、よしよしよし…」

さわ子「本当にどこへ行ったのかしらね、純ちゃん」

律「だから、さわちゃんいつの間にっ」

さわ子「最初からいたわよっ!!」




805: ぽけもん 2011/08/01(月) 22:55:37.94 ID:95/I5OTAO

……………


キョウ「ファファファ、『変わり身の術』という所か…」

純「へっへーん、ちょっとは忍者っぽくなったでしょ? アンズさんに最近教わったんですよ!」

キョウ「アンズか…」

純「これで忍者のタ・マ・ゴ、なんて言わせませんよ!」

キョウ「ファファファ、どうだろうな?」

純「え~! まだ~!?」

キョウ「お誂え向きに今度は私達の試合だ。そこで忍の極意を見せよう」

キョウ「もし私に勝てたら、お前を忍者と認めよう」

純「やったー! 本当ですか!?」

キョウ「忍に二言はないさ」

純「わーい! それじゃあ、競技場で待ってます!」ドロロン!

キョウ「……」

…シュタッ!

アンズ「父上、いいのでござるか? あんな約束をして」

キョウ「構わんよ。私は勝つ」

アンズ「しかし…純殿は腕を上げているでござる。たとえ父上でも…」

キョウ「ファファファ、お前が純のことをそんなふうに言うなど珍しいな」

アンズ「……」

キョウ「まあ、見ていろ。純に、忍者とはどういうものか…今一度教えてやろう」

811: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:05:25.89 ID:d+WB/PBAO

………


マサキ『では第六試合や! 第六試合ではGブロックの一位を決定する。純はんとキョウはんは準備してーな』

ドロロン!

純「ほっ!」スタッ

梓「純、どこ行ってたの?」

純「ふふん、ちょっとねー」

紬「頑張ってね、純ちゃん」

純「はい!」タタッ

キョウ「…ファファファ」スタッ

マサキ『準備はええな? バトル開始や!』

純「エヌターク!」ボム!

エヌターク「ストライー!」

キョウ「ベトベトン!」ボム!

ベトベトン「ベートベトーン!」

アンズ「…」シュタッ

アンズ(ベトベトン……。父上、あれをやるつもりでござるか)

812: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:07:00.55 ID:d+WB/PBAO

純「先手必勝! エヌターク、“きりさく”!」

エヌターク「ストライーッ!」シャキッ

ベトベトン「!」

ザキイイイイッ!!!!!

純「これは効くでしょ!」

キョウ「ファファファ、どうかな?」

ベトベトン「ベートベトーン!」ドロオ…

エヌターク「ッ!?」グニッ……

純「な…!」

キョウ「ベトベトンのボディの弾力は物理攻撃を受け付けないぞ!」

キョウ「ベトベトン、のしかかってやれ!」

ベトベトン「ベートベトーン!!」バッ!

純「エ、エヌターク、“こうそくいどう”!」

エヌターク「ストライ…!」シュバッ!

ベトベトン「…!」スカッ

エヌターク「ストライ…」

純「か、間一髪……」

813: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:11:01.45 ID:d+WB/PBAO

キョウ「ファファファ、かわしたか。しかし、それも一時的な安堵感に過ぎない」

エヌターク「…ッ!?」ジュワアッ…

純「! エヌターク!?」

キョウ「ベトベトンの体に触ると毒に侵される。熱を出し、寝込んでしまうほどの『猛毒』だ!」

エヌターク「ストラ、イ…!」ゲホゲホ

純「エヌターク…っ!」

和「すごいわ…。あんなに容易く相手を猛毒の餌食にするなんて…」

さわ子「流石は毒タイプのスペシャリスト、ってところね…」

律「キョウってあんなに強かったのか……」

シュタッ!

アンズ「それは父上が『忍の極意』を使っているからでござろう」

律「! あんたは…?」

アンズ「キョウの娘、現・セキチクシティジムジムリーダーのアンズでござる」

紬「キョウさんの娘さん…!」

814: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:12:43.05 ID:d+WB/PBAO

梓「…忍の極意。純がキョウさんから教わっていたという…」

アンズ「うむ、父上が今使ったものが忍の極意の一つ…『どくどく』でござる!」

アンズ「猛毒の餌食となった者は、徐々に毒に体力を奪われ、やがて倒れる。まさに必殺!」

梓「毒…ですか。それなら、純も負けてないと思いますよ」

アンズ「なに?」

純「エヌターク、いったん戻って!」シュウウッ

キョウ「むっ!」

純「ラプンーソ、出番だよ!」ボム!

ラプンーソ「エンー!!」

キョウ「エンペルト…!」

純「へっへーん、師匠とあろうものがタイプ相性を忘れるわけないですよねぇ?」

815: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:14:10.95 ID:d+WB/PBAO

梓「弟子は師に似る…、いやこれは逆か」

アンズ「毒タイプのベトベトンの技は鋼タイプのエンペルトには効かない、という寸法でござるな」

梓「? わざわざ説明することでもないかと思いますけど…」

アンズ「いや、そうでもないでござる」

キョウ「…ベトベトン!」

ベトベトン「ベートベトーン!」ジュワジュワ…

純「…?」

キョウ「先程の『猛毒』とベトベトンのヘドロを合成しているんだ」

純「…、ラプンーソには毒は効きませんよ? もちろん、猛毒もね!」

キョウ「ああ、分かっているさ。だが…猛毒と猛毒を一つにしてできた、『劇毒』ならどうだ!?」

ベトベトン「ベトーン!!」ビュバッ

ラプンーソ「…!」ビチャッ!

純「!」

ラプンーソ「エ、ン…!?」ジュワアッ…

純「そ、そんなっ!?」

澪「エンペルトに毒が効いてる…!?」

816: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:16:21.35 ID:d+WB/PBAO

梓「ありえませんよ、こんなこと! どうして…」

アンズ「無理な話ではない。前例としては、スピアーの“ダブルニードル”の毒が鋼タイプを毒状態にしたことがあるという話もあるでござる」

さわ子「でも、噂や伝説の類でしょう?」

アンズ「そうでござるな。否定は出来ん。しかし、不可能を可能とする…それが忍術でござる!」

キョウ「ファファファ、その通り。実際に忍の極意には、鋼を毒で侵す術もある」

キョウ「常識にとらわれていては、忍者にはなれんぞ。忍者自体が非常識な生き物なのだからな」

純「……っ」

ラプンーソ「エン……」ゼエゼエ

アンズ「これで純殿のポケモンは全て毒状態、しかもストライクは先の戦いで消耗しているでござる」

さわ子「…それにキョウさんの二匹のうち一匹は明かされていない。まずいわね……」

梓(純……!)

純「…まだよッ! ラプンーソ、“ハイドロポンプ”!!」

ラプンーソ「エ、ンー!!!」バシャアッ!

ベトベトン「…!?」バシャアアアア!

キョウ「む…!」

純「とりあえず、ベトベトンは倒さないとね! まだ攻撃をする余力もある!」

817: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:18:33.21 ID:d+WB/PBAO

キョウ「…ファファファ」

純「!」

キョウ「純よ、肝心なことを忘れているよ。忍者の意義は隠れることぞ。ヘドロで形成されているベトベトンに、水をかけたらどうなるか……」

ベトベトン「ベート…」ヌチャァ…

純「! 水に溶けて…!?」

キョウ「忍法『ベトベとんの術』!」

ベトベトン「ベートベトーン!!」

…バチャアッ!

紬「競技場がベトベトン水(仮)でいっぱいに…!」

キョウ「ファファファ! 純、お前がベトベトンの毒に対抗してエンペルトを出し、いずれ水技をしてくるということは実は読めていた! そうしてこの術を成功させるまで簡単だったな! 我が術中にハマったな。この術からはそう易々と抜けられんぞ!」

ラプンーソ「エンー…!」バチャバチャ

純「ラプンーソ、気をつけて! このヘドロのどこにベトベトンがいるか分からな……」

バシャアッ!!!!

ベトベトン「ベートベトーン!!」

純「…!」

キョウ「残念! このヘドロ自体がベトベトンだ!!」

818: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:20:12.91 ID:d+WB/PBAO

キョウ「劇毒で衰弱しきっている中、もう普通の毒でも効くはずだ。“ヘドロこうげき”、“ヘドロばくだん”、“どくづき”……好きなものを喰らえいッ!!」

ベトベトン「ベートベトーン!!」ブオッ…

ラプンーソ「…っ!」

カキイイイイイッ!!!!!!

純「…ふふ」ニヤ

キョウ「なん…だとォ!!?」

ベトベトン「…!?」カキイイッ

キョウ「ベトベトンが凍っている!?」

純「ふっふっふ…」

キョウ「なにをした!?」

純「師匠が教えてくれたんでしょ? 水と氷のコンビネーション…」

キョウ「! 合成技…!」

純「“ハイドロポンプ”と“ふぶき”の合成技! 見事でしょ?」

キョウ「いやしかし…。競技場全体に広がる面積の水を凍らせるなどという芸当を、劇毒に侵されているエンペルトにできるはずが……」

純「まあできないでしょうね。毒状態だったなら」

キョウ「なに!」

819: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:22:12.58 ID:d+WB/PBAO

純「“ラムのみ”です。これで回復したんですよ!」

キョウ「“ラムのみ”…!」

アンズ「やはり、持たせていたでござるか…!」

梓「え…?」

アンズ「純殿はここに来るまでバトルフロンティアに挑戦していたのでござる。バトルフロンティアで戦い慣れているから、ポケモンに道具を持たせて当然でござる」

和(私も挑戦したことがあるから分かるわ)

純「ちなみにエヌタークには“モモンのみ”を持たせてます!」

キョウ「ぐぅ…!」

純「よーし、行くよ! ラプンーソ、“かわらわり”ーっ!!」

ラプンーソ「エンー!!」ブンッ

ガギイイッ!!!!!!

ベトベトン「ベートベトーン!?」ガシャン!

マサキ『ベトベトン戦闘不能や!』

純「よっしゃー!」

ラプンーソ「エンー!」

キョウ「ぬう…! まだまだァ!!」

キョウ「きええい! ゴルバット!!」ボム!

ゴルバット「キシャー!」

純「ラプンーソ戻って!」シュウウッ

純「エヌターク!」ボム!

エヌターク「ストライー!」

820: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:28:28.34 ID:d+WB/PBAO

キョウ「“つばさでうつ”!」

純「“シザークロス”!」

ゴルバット「キシャー!!」

エヌターク「ストライー!!」

ザキイイイイッ!!!!!!!

…ボトッ!

ゴルバット「~、」バタンッ

キョウ「っ!」

エヌターク「ストライ…」スタッ

マサキ『ゴルバット戦闘不能! よって勝者は鈴木純!!』

唯「おおっ!」

紬「純ちゃんの勝ちね!」

律「まったく、ヒヤヒヤしたぜ~」

澪「おめでとう、純ちゃん」

純「ありがとうございます、澪先輩!」

梓「純がバトルフロンティアに挑戦してたなんてね」クス

純「む」

和「ブレーンの人達は倒せたのかしら?」

純「あはは…タワーとキャッスルはブレーン不在でしたけど、ステージのケイトさんは倒せましたよ。ネジキさんには敵わなかったです~」

和「そう…」

紬「和ちゃんはネジキさんに勝ったって聞いたけど…」

純「へー! すごいですね!」

和「…うん。あと、ゴヨウさんもね」




821: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:34:12.41 ID:d+WB/PBAO

………


シュタッ

アンズ「…父上」

キョウ「ファファファ、まさか負けるとはな」

キョウ「お前は最初から純の作戦を知っていたのか?」

アンズ「作戦…というか、持ち物に関しては」

キョウ「ファファファ、そうか」

アンズ「それで、純殿を忍者として認めるというのはどうするでござる?」

キョウ「まあ、約束は守らんとな。…まずは下忍からだが」

アンズ「ふふ…。大丈夫でござる。純殿なら立派な忍者になるでござろう」

キョウ「ファファファ、……そうだな」

アンズ「……いよいよ、次の試合が最後になるでござるな」

キョウ「ああ、しかも奴だ」

キョウ「私も手を抜いたつもりはないが、奴は相手が愛弟子だろうと一切手加減せずに本気で向かうだろう。そんな男だ」

アンズ「……」

キョウ「奴こそが真のトレーナーと呼ばれるべき存在。カントー・ジョウト四天王、格闘家…シバ!!」




822: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:36:02.69 ID:d+WB/PBAO

………


シバ「……」

…スクッ

シバ「やっと俺の出番か」

梓「…!」

シバ「さあ梓、競技場に着け」

梓「シバ先生……」

梓「……、」ギリッ…

ギュッ!

梓「はいっ!」

タタッ

マサキ『はは…、それゆうんはわいなんやけどなぁ~。まっ、ええか』

マサキ『第七試合! Hブロックの一位を決める試合や!』

マサキ『準備はバッチリやな、梓はん、シバはん。……では始めッ!』

シバ「ウー! ハー! エビワラー!!」ボム!

エビワラー「シェイ!」

梓「ミミちゃん!」ボム!

ミミちゃん「ミミロー!」

シバ「! ミミロップか…」

823: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:37:58.25 ID:d+WB/PBAO

梓「距離を詰めて! “とびはねる”!」

ミミちゃん「ミミロー!」ピョン!

エビワラー「!」

梓「“ピヨピヨパンチ”!!」

ミミちゃん「ミミロー!!」ブンッ

シバ「受け止めろォ!」

エビワラー「シェイ!」

ガチイイッ!!!

梓「…!」

シバ「エビワラー相手に接近戦で、しかもパンチで挑もうなど無謀も無謀!」

エビワラー「シェイ…」ギュルッ

シバ「“マッハパンチ”!」

パアアアアンッ!!!!

ミミちゃん「…ッ!?」

ドシャアッ!

梓「ミミちゃんっ!」

シバ「このエビワラーは左利き。今の右ストレートはみねうちだ」

ミミちゃん「…、」ヨロヨロ…

シバ「だがまあ、それでも立っていられるのがやっとか。エビワラーのパンチのスピードは新幹線よりも速いと言われるからな」

824: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:38:59.02 ID:d+WB/PBAO

シバ「そして…」

ミミちゃん「…ッ!」ジクッ…

シバ「そのスピードはかすっただけで相手をやけどにする」

エビワラー「シェイ!」ボウッ

ミミちゃん「ミミ…、」

梓「! “マッハパンチ”と同時に“ほのおのパンチ”も打ち込んでいたんですか…!」

シバ「そうだ」

律「つ、強い…!」

紬「あの梓ちゃんが押されっぱなしなんて…」

「それもそうだろう。シバは俺達、修業メンバーの中で一番の実力者だった」

紬「! あなたは…レンブさん!?」

レンブ「……」

825: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:40:25.75 ID:d+WB/PBAO

トウキ「俺もいるぜ~」

澪「トウキさん!」

スモモ「わっ、私もですっ!」

紬「スモモちゃん!」

トウキ「親友とその弟子の戦いと聞いて来たんだけど、やってるねー」

レンブ「シバの奴も本気だな」

スモモ「っていうか、レンブさんは捕まっていたんじゃ…?」

レンブ「釈放された」

スモモ「はやっ!!」

レンブ「保釈だがな。…誰があんな額の金を出してくれたのかは知らんが」

スモモ「ほしゃく…?」グー!

紬「? お腹すいてるの?」

スモモ「え、あっ、ち…違いますよ! お腹なんてすいていません! かれこれ三日間、きのみ一個しか食べていないわけじゃないですから!」

紬「そ、そう?」

スモモ「はいっ! 今は試合を見ましょう!」グー!

826: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:43:41.64 ID:d+WB/PBAO

梓「ミミちゃん…“かみなりパンチ”!」

ミミちゃん「ミミロー!!」ブオッ

バチイイッ!!!!

エビワラー「…」ギロッ

ミミちゃん「!」

シバ「いいパンチだ。だが、ミミロップにそのパンチを教えたのは俺のエビワラー。通用しないぞ!」

梓「…っ!」

シバ「“れいとうパンチ”! “ほのおのパンチ”! “かみなりパンチ”!」

エビワラー「シェイ、シェイ、シェーイ!!!」

ドガアアアッ!!!!!

ミミちゃん「ミ、ミイッ…!!?」

梓「ミミちゃ…!」

シバ「“れんぞくパンチ”!!」

エビワラー「シェイ!!」シュッ!

シバ「左ジャブ、右ストレート! 右ジャブ、左ストレート!!」

エビワラー「シェーイ!!」

バギイイッ…!

ミミちゃん「…~ッ!」ビリビリ…

梓「ぐっ…」

シバ「…どうだ? エビワラーにはプロボクサーの魂が乗り移っていると言われるが、今の左ストレートはそのボクサーの必殺技だ。通称、『カミソリ・パンチ』!」

梓「カミソリ・パンチ…」

827: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:50:08.25 ID:d+WB/PBAO

トウキ「おいおい、こりゃヤバいんじゃねえか?」

スモモ「そうですね…」

レンブ「しかし、あのラッシュを受けてもまだ倒れないとは…あなどれんな、あのミミロップは…」

ミミちゃん「…、」ハアハア

梓「……」

シバ「……」

エビワラー「……」

梓「…どうしたんですか? 仕掛けて来ないんですね」

シバ「ふっ、エビワラーを見てみろ」

エビワラー「…」フウフウ…

梓「?」

シバ「エビワラーは3分戦うと一休みするのさ。試合合間の休憩みたいなものだ。まあこちらに合わせる必要はないが」

梓「いえ…。これは戦闘(ケンカ)ではなく、試合(スポーツ)ですから」

シバ「…ふっ」

梓(…と言ってみたものの、余裕がないのは事実。このままだとミミちゃんは……次のポケモンを出してもエビワラーの勢いに圧倒されて…………負ける…っ!)

梓(どうすれば…)

ミミちゃん「ミ、ミロー…」ヨロッ…

梓「!」

ミミちゃん「ミミロー♪」

梓「…!」

828: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:52:09.77 ID:d+WB/PBAO

梓「……ありがとう、ミミちゃん」ナデナデ

ミミちゃん「ミミ~」

梓(そうだよ、ミミちゃんとエビワラーは本来力の差はないはず! なのにミミちゃんが押されているのは、トレーナーの実力の差のせい…!)

梓(シバ先生は己の体を鍛えて自分自身でバトルのシミュレーションをしてる……シバ先生と私じゃあ、力のぶつかり合いになるバトルにおいて力の差が出てくるのは当然! ならどうすればいいか……シバ先生は格闘家、私はポケモン博士………)

梓(私にあってシバ先生にないものは……『知識』! 『分析力』!!)

シバ「……何か掴めたようだな」

梓「はい」

シバ「ならば休憩は終わりだ! エビワラー!!」

エビワラー「シェイ!」

梓「ミミちゃん!」

ミミちゃん「ミミロー!」

梓「“かみなりパンチ”!」

ミミちゃん「ミミ!」ブンッ

シバ「またパンチか? 何度やっても変わらないぞ! エビワラー、“カウンター”!!」

829: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:53:33.88 ID:d+WB/PBAO

エビワラー「シェイ!」ブンッ!

ミミちゃん「…」スッ…

エビワラー「…シェイ!?」スカッ

シバ「!」

梓「ミミロップの足の動きはしなやか! パンチの速さはエビワラーに劣りますが、足の速さならこちらが上です!」

ミミちゃん「ミミロー!!」ダッ

シバ「…カミソリ・パンチ!!」

エビワラー「シェイ!!」シュッ!

ミミちゃん「…!」

ドガアンッ!!!!

ミミちゃん「…ミミロー!?」

梓「…!」

シバ「ふっ、足の速さで負けようが関係ない。ミミロップはこちらに向かって来るのだから、パンチの速さで勝っているエビワラーが有利だ」

シバ「エビワラーに近付くことすら叶うまい」

梓「……っ」

シバ「だからと言って近付かないのなら、こちらが近付くまで! エビワラー、カミソリ・パンチ!!」

エビワラー「シェーイ!!」ダッ!

ブンッ!

ミミちゃん「ミミ…っ!」

830: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:54:55.31 ID:d+WB/PBAO

梓「…この瞬間を、」

梓「待っていましたっ!」

ミミちゃん「ミミ!」キッ

梓「“すりかえ”!」

ミミちゃん「ミミロー!」ウバイッ

エビワラー「シェイ!?」トラレッ

シバ「なんだと!?」

ミミちゃん「ミミロー!」スチャッ

和「ミミロップが自分の持ち物とエビワラーのグローブをすり替えた!?」

梓「ちなみにミミちゃんの持ち物は、私のヘアゴムです!」

シバ「髪下ろしていたのか!!」

律「いや、気づけよ!」ビシッ

唯「グローブつけてるミミロップちゃんかわいい~! 髪下ろしあずにゃんもねっ」

純「ていうか、エビワラーの素手がモロに…」

紬「見ちゃダメよ、純ちゃんっ!」ギュウ♪

純「きゃあーっ!?」

澪「ミエナイキコエナイ…」

さわ子「カオスね」

梓「ヘアゴムは休憩中に渡したんですけどね。とにかく、これでパンチは封じました!」

831: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:56:28.80 ID:d+WB/PBAO

シバ「ボクサーの魂であるグローブを取られてはパンチが出来ない……しまった…!」

エビワラー「シェイ…」

梓「今がチャンスです! ミミちゃん、“おんがえし”!!」

ミミちゃん「ミミロー!!」

ドオオオオンッ!!!!!!

エビワラー「…ッ!」

シバ「ぐう…! これほどの威力の“おんがえし”……流石に相当懐いているな! ………だがッ!!」

エビワラー「シェイ!」スチャッ

梓「! 何故グローブが!?」

律「違う…、あれはグローブじゃないぞ!」

和「となると、あれは…」

シバ「ヘアゴムを薄く引き伸ばした、即席グローブだ」ドーン!

梓「なぁ~~!?」

スモモ「はは…無理矢理ですね」

シバ「残念だったな、梓。エビワラーのパンチは復活したぞ!」

梓「そんなことよりゴム伸びちゃいますっ! ちぎれます!!」

シバ「…梓よ、これは真剣勝負だ。それに自分でヘアゴムを渡したのだ。覚悟は出来ているはずだろう?」

梓「……、」

832: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:58:07.52 ID:d+WB/PBAO

梓(元々、あのヘアゴムは戦闘用に作ったものだから丈夫なんだけど……それが仇になったかも)

エビワラー「シェイ!」ガチッ

梓(ちぎれたら、ちぎれたでいいかもしれないけど…そう上手くはいかないか)

梓「ミミちゃん!」

ミミちゃん「ミミ!」ブンッ

シバ「む! エビワラー、受け止めろ!」

エビワラー「シェイ!」

ガシッ…!

ミミちゃん「っ!」

シバ「…どうした? こうして何度も止められただろう」

梓「…ええ、そうですね。でも見てください……二匹の状況を!」

シバ「? …! なに!?」

エビワラー「シェイ…!」ガチッ…

ミミちゃん「ミミィ…!」ガチッ…

シバ「…互いの左腕がぶつかり合い……背中のガードが手薄に!?」

梓「ミミちゃん、そこだよ! 右ストレート!!」

シバ「…ッ!!」

833: ぽけもん 2011/08/08(月) 20:59:55.51 ID:d+WB/PBAO

ミミちゃん「ミミロー!!」

ドゴオッッ!!!!!!

エビワラー「シェイー!?」ドサアッ!

シバ「エビワラーッ!」

スモモ「決まりました…!」

レンブ「…まだだな」

エビワラー「…、」ムクッ……

梓「っ!」

シバ「今のは見事だったな。だが、ボクサーの魂を宿すエビワラーはこんなことでは屈しない!!」

梓「……ッ!」

シバ「万策尽きたか? なら勝たせてもらう!」

梓「…、」

梓(確かに私のミミちゃんはエビワラーのパンチを完全に再現することはできない……例えば、唯先輩のムシャーナのようには……)

梓(でも……!)

エビワラー「…ッ!?」バタリッ

シバ「! エビワラー!?」

エビワラー「シェ、イ…」ジュワアッ…

シバ「…毒!?」

梓「純、使わせてもらったよ!」

純「へっ?」

キョウ「ファファファ、なるほどな。右ストレートと共に“どくどく”も打ち込んでいたようぞ」

シバ「“どくどく”…!」

834: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:01:32.21 ID:d+WB/PBAO

梓「“てつのこぶし”を持つエビワラーには出来ないパンチです!」

アンズ「鉄……鋼は毒や猛毒を受け付けない。先の戦いをヒントにしたでござるか」

シバ「…っ!」

エビワラー「シェイ…」

シバ「エビワラーに出来ないパンチ…! く、そんなものがあるとはな……不覚ッ」

エビワラー「…ワラワラッ!」キッ

シバ「ああ、エビワラー! こうなってはこちらもいっそう引き下がるわけにはいくまい!」

シバ「根性を見せろ、エビワラー! “からげんき”!!」

エビワラー「シェーイ…!!」ギンッ!

シバ「“バレットパンチ”!!」

エビワラー「シェーイ!!」

ドダダダダ!!!!!

ミミちゃん「ミミ…っ!」

梓「ミミちゃんっ! 後退して、“とびはねる”!」

ミミちゃん「ミミロー!」スッ…

エビワラー「…!?」フラッ……

ミミちゃん「ミミ!」ピョン!

梓「“とびげり”!!」

ドダアアン!!!!

エビワラー「ワッラァア!?」

シバ「…!?」

ミミちゃん「…」スタッ

シバ「…その、動きは……ッ!」

835: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:02:32.50 ID:d+WB/PBAO

トウキ「おいおい…エビワラーの力を利用して……ありゃあ、まるで『柔の奥義』じゃねえか。シバに教わっていたのか?」

スモモ「そんなはずは…。シバさんは『剛の奥義』の使い手ですし」

レンブ「…俺だ」

トウキ・スモモ「!?」

トウキ「な…! レンブ、お前が彼女に教えたのか!?」

レンブ「否。彼女は見ただけだ」

スモモ「み、見た…?」

レンブ「俺との戦いで見て覚えたのだろう…」

レンブ(いや、それだけではない。先程の“どくどく”も見て……覚えた!)

シバ「『柔の奥義』だと…!!」

梓「モドキですけどね」

シバ「…ッ」

梓(…先輩達は自分達の師匠を越えられた。私にも…今なら越えられる!)

836: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:04:36.28 ID:d+WB/PBAO

梓(ミミちゃんの『才能』を活かし、『機転』を利かせて、それでも教えてもらった『技』で!!)

梓「はぁああああ…!! “スカイアッパー”!!!」

ミミちゃん「ミミロー!!」ダッ

シバ「…面白い! こちらも“スカイアッパー”!!」

エビワラー「シェイ!」ダッ

ゴオオオッ…!!!!

ミミちゃん「ミミローォッ!!!」

エビワラー「シェーッイ!!!」

ドギャアアアアアッ!!!!!!!!!!!

ビリビリッ……

ミミちゃん・エビワラー「……っ!」

…ドシャアンッ!

梓シバ「……」

パラパラ……

梓シバ「…!!」

ミミちゃん・エビワラー「」ガクッ

マサキ『り、両者戦闘不能ーッ!!』

梓「…戻って、ミミちゃん!」シュウウッ

梓「よく頑張ってくれたね、ありがとう」

シバ「エビワラー、よくやった」パシュッ

837: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:05:31.21 ID:d+WB/PBAO

梓シバ「……」

シバ「ふっ」

梓「ふふ…」

ボム!

カイリキー「リーキィッ!」バンッ

トウキ「! カイリキー…、シバの手持ちで最強のポケモンじゃねえか!」

スモモ「それほど本気ってことですよ…」グー

シバ「ここまできたら、出し惜しみする必要もないッ!」

梓(嬉しいです! シバ先生が本気で戦ってくれている…! 私も!)

ボム!

トンちゃん「プロプロー!」

838: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:07:11.24 ID:d+WB/PBAO

シバ「コイツは…?」

梓「私の新しい友達、プロトーガのトンちゃんです!」

和「イッシュ地方でポケモンを捕まえたのは私だけじゃないってことね」

トンちゃん「プロプロー!」

シバ「…見たところ、バトルは初めてのようだな」

梓「はい」

シバ「カイリキー!」

カイリキー「リキィッ」

シバ「“バレットパンチ”!」

ドダダダ!!!!!

トンちゃん「プロ…!?」メキッ…

ドオオオオンッ!

シバ「カイリキーは二秒間に千発のパンチを繰り出す。そのスーパーパワフルなパンチを喰らった者は地平線まで吹っ飛んでしまうという……」

シバ「そのプロトーガは耐えられたかな?」

トンちゃん「…プロ、」

シバ「…!」

トンちゃん「プロプロー!」バンッ

梓「トンちゃんの守りを甘く見ないでほしいですね」

カイリキー「グァ…!」ビリッ…

シバ「! “てっぺき”をしていたか!」

839: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:08:43.30 ID:d+WB/PBAO

梓「そして守りだけじゃありません! 次は攻めに転じます!」

梓「“アクアジェット”!!」

トンちゃん「プローッ!!」バシャアッ!

ドオオオッ!!!!

カイリキー「…ッ!!」

シバ「くう…! だがその小さな体ではそのうち押し返されるぞ!」

カイリキー「リーキィッ!!」ググ…!

トンちゃん「プロ…っ!」

紬「ああ…!」

シバ「気張れカイリキー! 押し切れーッ!!」

カイリキー「リーキィッ!!!」ググッ!

トンちゃん「…!?」

ドダアアン!!!!!

トンちゃん「プロー!?」

シバ「いいぞ!」

トンちゃん「…、」ググッ…

シバ「なに…! まだ立ち上がることが出来るのか!?」

梓「よく“がまん”したね、トンちゃん…」

トンちゃん「プロー!」

シバ「“がまん”…!?」

梓「そうです。トンちゃんはぶつかり合いの時にカイリキーから受けている攻撃を“がまん”でエネルギーに変えていました。それはすなわち…」

梓「進化のエネルギー!!」

トンちゃん「プロー!!」メキッ!

840: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:10:41.47 ID:d+WB/PBAO

ピカアアッ!!!!

トンちゃん(アバゴーラ)「バゴーラァ!!」

シバ「進化しただって!?」

梓「“アクアジェット”!」

トンちゃん「ゴーラァ!!」バシャアッ!

ドゴオッッ!!!!!!

カイリキー「リ、っキィ…!?」

シバ「プロトーガの時とは比べものにならないパワー…!」

梓「アバゴーラは、はりてでタンカーの船底に穴を開けるパワーの持ち主です! 今度はそう簡単にパワー負けしませんよ!」

シバ「ぐ…!」

スモモ「すごいすごい! あのカイリキー相手に引けをとらないパワー!」

トウキ「ひゅうっ♪ どちらも『剛』の使い手だ。凄まじいパワーのぶつかり合いだよ!」

レンブ「……いや、それだけじゃない」

スモモ・トウキ「へ?」

シバ「…カイリキー、“クロスチョップ”を当ててやれー!」

カイリキー「リーキィッ!!」ギュオッ!

トンちゃん「…!」

ゴシャッ!!!

シバ「クリーンヒットだ!」

841: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:13:40.79 ID:d+WB/PBAO

レンブ「違う、シバァ!!」

シバ「…!?」

カイリキー「ガァ、アアッ!?」ガクッ…

シバ「カイリキー!?」

シバ(アバゴーラの甲羅にやられたか…!)

レンブ「…っ!!」

レンブ(最攻にして最硬。攻撃は最大の防御で、防御は最大の攻撃! あれこそが…俺の求めていた格闘……!!)

レンブ「言うなれば、剛と柔の混合……いや、剛と柔の中間、『中の奥義』!」

梓「今の攻撃に“がまん”で反撃です!」

トンちゃん「ゴーラァ!!」

カッ!


トンちゃんのがまんが解かれた!


ドオオオオオッ!!!!!!!

カイリキー「リーキィッ!!?」

ドシャアンッ!

カイリキー「」バタッ

マサキ『カイリキー戦闘不能! よって勝者、中野梓ー!』

シバ「…」パシュッ

シバ(剛のように真っ向から攻めるのでなく、柔のように相手の力を利用して相手を負かすのではなく、)

(相手の攻撃を自ら受け止めることでダメージを与え、その隙に攻撃を加え勝つ!)

シバ「『中の奥義』か…」

梓「?」ナカノ?

842: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:15:38.60 ID:d+WB/PBAO

シバ「ここまで格闘を極めて…本当にもったいないものだな。そして、俺が教えることもなくなった……寂しいものだ」

梓「…いいえ」

シバ「!」

梓「そんなことないですよ。私はシバ先生の弟子なんですから!」

シバ「…ふっ、そうだな。……研究、頑張るんだぞ」

梓「はいっ!」

シバ「……」ザッザッ…

梓(シバ先生……)

唯「あ~ずにゃん♪」

梓「! 唯先輩っ!」

律「お疲れさん!」

澪「おめでとう、梓」

紬「これでみんな決勝リーグ進出決定ね~♪」

純「…緊張してきた」

和「ふふ」

マサキ『いや~、皆はん、いいバトルやったで~』

律「マサキ!」

マサキ『師弟バトルっちゅうんは燃えるもんやな~。わいも手に汗握ったで~』

マサキ『まっ、とにもかくにもこれで決勝リーグ進出者が全員決まったワケや!』

唯「全員…? そういえば、Bブロックの一位って…」バチンッ!

唯「ぁいだいっ!」

唯「りっちゃん、なにするの! 久しぶりに叩かれたよっ」

律「いやあ、色々とな」

唯「??」

843: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:18:07.21 ID:d+WB/PBAO

梓「そうです、マサキさん。決勝リーグの対戦カードは決まっているんですか?」

マサキ『決まってるでー。っちゅうより、なんでA、B、C……なんてブロック名にしたと思っとるんや?』

梓「! まさか…」

マサキ『対戦は、A対B、C対D、E対F、G対H……っちゅう風にやっていくさかい』

皆「…!!」

唯「じゃあ…」

律「…」 和「…」

紬「…」 澪「…」

純「…」 梓「…」

マサキ『決勝リーグは明日の朝、第一試合場でやるから、時間になったら集まってくれ。ほなな』




844: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:19:12.02 ID:d+WB/PBAO

…………


唯「ふうっ。もう夜になっちゃったね~」

律「バトルしてる時は時間の感覚がなくなるなー」

唯律「……」

律「…唯はどう思う?」

唯「? なにが?」

律「澪やムギ、梓、和、純ちゃん……みんなと戦うことだよ」

唯「う~ん…」

律「…」

唯「確かに仲良しのみんなと戦うのはちょっと思うことがあると思う。でもね…、みんな、優勝を目指してここに来てる。仲良しだからこそ、お互いに全力で戦うのが友達なんじゃないかな?」

律「…そっか。そうだよな!」

唯「うんっ!」

律「ありがとう、唯。おかげでモヤモヤも吹っ飛んだぜ!」

唯「頑張ろう、明日の試合!」

律「おっしゃ! 目指すは優勝!」

唯律「おーっ!」




845: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:22:46.27 ID:d+WB/PBAO

……………

翌朝、
《第一試合場》


マサキ『さぁーて、ポケモンリーグ決勝リーグ・準々決勝! ただ今から始まりますでー!』

ワアアアアアアッ!!!!!!

紬「すごい人ね~」

梓「みんな、私達のバトルを見に来ているんですよね…」

澪「あわわわ……ひ、ひとがいっぱい…」

唯「澪ちゃんが強制ひらがなモードに!?」

律「まずいぞ!」

和「澪、まずは素数を数えるのよ」

律「だめだー! そんなこと言ったら、この世の素数すべてを言うまで戻って来ないぞ!」

紬「だ、大丈夫よ澪ちゃん。トレーナーズスクール最後のライブに比べたら、こんな人数へっちゃらよ!」

澪「そ、そうかな…」

梓「そうです!」

澪「そうだよな…、へっちゃらだ!」

唯「澪ちゃんが緊張を乗り越えた!」

澪「もうなにも恐くないっ!」

純「……」

純(…むしろ私の方がそういうの慣れてないーっ!)ドキドキ

ポン!

純「!」

和「…私もよ」ドキドキ

純「うそーん!?」

846: ぽけもん 2011/08/08(月) 21:25:29.23 ID:d+WB/PBAO

マサキ『それでは、早速試合の方を始めていきたいと思います! 第一試合、Aブロック一位・Bブロック一位のお二人は競技場についてください!』

唯「よーっし、頑張るよー!」フンスッ

律「行ってこい、唯!」

唯「うんっ!」

スタスタ

唯(…結局、相手は誰なんだろう?)

スタスタ…

唯「!」

梓「あれは…!」

律「……」

「決勝リーグ・準々決勝、相手は私だよ」

憂「…お姉ちゃん」

唯「う、憂っ!? 」

849: ぽけもん 2011/08/17(水) 21:04:47.25 ID:W3MMNYTAO

憂「…」

唯「どうして憂が…」

律「私が呼んだのさ」

唯「! りっちゃん?」

律「ジョウト地方を旅してる時に連絡したんだ」

憂「律さんが『ポケモンを持って旅をしないか?』って」

唯「ど、どうして? それに家のことは…」

唯父「それなら大丈夫さ!」

唯「お、お父さん! お母さん!」

唯母「シルフ社は一旦解散することになったの」

唯「む、無職!?」

唯父「心配するな。今度はトキワで働くことになったんだよ」

唯母「お母さんはポケモンセンター、お父さんはフレンドリーショップでね」

唯父「ママと同じ会社で働けなくなって残念だけどねっ」

唯母「うふふ、あなたったら…」

キャピキャピ

唯「ふぇ~…」

憂「ということだから、毎日家に帰れるようになったんだって」

850: ぽけもん 2011/08/17(水) 21:07:13.61 ID:W3MMNYTAO

唯父「だから何も気にせずにバトルしなさい!」

唯「え、えーと…」

律「…唯」

唯「!」

律「お前の旅の目的はなんだった?」

唯「立派なお姉ちゃんになること…」

律「だったらまずは憂ちゃんを越えてみせろ! お前がこの旅で得たものを憂ちゃんにぶつけてやるんだ!」

唯「…うんっ、りっちゃん!」

憂「いくよ、お姉ちゃん!」カチャ

唯「いくよ、憂!」カチャ

マサキ『って、待て待てえ! 何勝手に始めようとしとるんや。これは正式な試合で、コトブキテレビも来とるねんで!?』ガサッ!

マサキ『うおっ!?』

ガチャアンッ!

さわ子『それでは試合開始ぃー!』

マサキ『あんた何しとるんや!』

さわ子『いいじゃない! 今までの少ない出番をこれで補おうとしても無駄よ!』

マサキ『実際あんたの方が出番少ないやろ!』

さわ子『なんですって~!?』

マサキ『ギャーッ!!』

リョウ『はは…、三対三の交替戦、試合開始です』

851: ぽけもん 2011/08/17(水) 21:08:52.30 ID:W3MMNYTAO

ボム!

ブイ太「シャワー!」

ぶらら「ブラー!」

唯憂「!!」

梓「あれは…」

紬「イーブイ対決ね!」

ミナキ「シャワーズとブラッキーか…」

まいこはん「あんれまぁ、あの子達が持っていたんどすなあ」

ミナキ「げっ、師匠!?」ヒサビサ!

まいこはん「げっ、とはなんどす? ミナキはん」

ミナキ「あはは…」

まいこはん「…まっ、ええどすー」

ミナキ「……それで、あのシャワーズとブラッキーが?」

まいこはん「そうどすー。オーキド博士に譲った二匹のイーブイどす」

ミナキ「ほう…」

まいこはん「二匹ともかわいくたくましく育ってくれたみたいで良かったどすなぁー」

ミナキ(姉妹である二人の手に行くとは、何と言う運命…!)

852: ぽけもん 2011/08/17(水) 21:12:26.74 ID:W3MMNYTAO

唯「ブイ太、“ハイドロポンプ”!」

ブイ太「シャワーっ!」バシャアッ

憂「ぶらら、“あくのはどう”!」

ぶらら「ブラーっ!」ギュアンッ

ドオオオオオオッ!!!!!!!

梓「…っ、二匹ともすごい威力です…!」

紬「すごいわ、憂ちゃん…!」

澪「ああ……いくらトレーナーズスクールに通っていたからって、一年であれだけの実力がつくなんて…」

「まっ、私が認めた実力のあるトレーナーだからね」

梓「貴方はクロツグさん!」

クロツグ「久しぶりだな、梓ちゃん。紬ちゃんも」

紬「お久しぶりです~♪」ペコリ

853: ぽけもん 2011/08/17(水) 21:20:28.55 ID:W3MMNYTAO

純「って、お父さん!?」

クロツグ「おっ、純か!」

純「今までどこに行って…っていうか、どうしてここに!?」

クロツグ「なんだかなー。お父さんも子供じゃないんだから、少しくらいいなくなったってそんなに心配することもないだろう?」

純「そうだけどさ…」

クロツグ「あの時はちょっと用があったのさ。たった今帰ってきたところだよ」

純「…どうでもいいけど、たまには家にも顔出しなよ? お母さんだって寂しくないわけないんだからさ」

クロツグ「はは、純に言われるとは参ったなあ。…大丈夫だ。このリーグが終わったら一回帰るつもりだからな。その時は家族水入らずで過ごそう」ナデナデ

純「…えへへっ」

アンズ「その点では純殿は早く帰れるでござろうな」

純「な、どういう意味よ!?」

アンズ「そういう意味でござる」

純「なにそれ~!? てか空気読めー!!」

純アンズ「む~!」バチバチッ…

紬「まあまあ♪」

クロツグ「ははっ」

梓「というか、バトルの最中なんですけど…」

854: ぽけもん 2011/08/17(水) 21:31:08.48 ID:W3MMNYTAO

ブイ太・ぶらら「…」スタッ

憂(ぶららは真っ直ぐなぶつかり合いは得意じゃない)

憂「ぶらら、“すなかけ”!」

ぶらら「ブラー!」ブアッ

バシャッ!

ブイ太「!」ジャリッ…

唯「ブイ太っ! …命中率を下げようとしてるんだね。でも無駄だよ!」

ブイ太「…、」ブルブル

憂「…?」

唯「ブイ太の全身のヒレが小刻みに震えてる…。それは雨が降る、しるし! “あまごい”!!」

ブイ太「シャワー!」

ザアアアアアッ!!!!!

憂「! 雨で砂を洗い流すつもりだね…!」

唯「うん! そして、水を自在に操る力を持つブイ太にとって、雨は味方!」

憂「…ぶらら、“つきのひかり”!」

ぶらら「ブラッ!」ピカッ!

唯「…!?」

855: ぽけもん 2011/08/17(水) 21:51:11.14 ID:W3MMNYTAO

サーッ……

梓「辺りが暗くなって………って、月!?」

律「室内に月って……。星もたくさん…」

憂「“つきのひかり”の応用だよ。雨もやんで、ぶららに有利なフィールドになった…!」

憂「“しっぺがえし”!」

ぶらら「ブラー!!」ダッ

ブイ太「!」

ドンッ!!!!

ブイ太「…っ!」ガチッ…

ぶらら「…」ググッ…

唯「“ハイドロポンプ”!」

バシャアアアッ!!!!!

ぶらら「ブラ…ッ」ドシャアンッ!

唯「…よしっ!」

唯「ブイ太、今撒き散らした水に“とける”!」

ブイ太「…」シュウウ……

紬「本当に水に溶けて見えなくなったわ…」

和「競技場一面に“ハイドロポンプ”の水が残っているから、どこに潜んでいるかも分からないでしょうね」

和(でも……このフィールドがブラッキーを味方する…!)

856: ぽけもん 2011/08/17(水) 21:56:06.51 ID:W3MMNYTAO

ぶらら「…、」キョロキョロ

憂「どこから出てくるかな…?」

唯「…」

ブクッ……

唯「“ハイドロポンプ”!!」

バシャアアアッ!!!!!!

ぶらら「…!」

憂「真下…!?」

ドオオオオン!!!!!

ぶらら「…っ」ヨロッ…

唯「ふふ、もうぶららの体力はほとんど…」

ぶらら「……」キラアッ!

唯「! な、に…?」

憂「“つきのひかり”の本来の効果、体力回復だよ!」

和「やっぱりね…」

澪「? 何がやっぱりなんだ?」

和「“つきのひかり”は回復技だけど、今はそれがフィールドを包んでいる……どういうことか分かるわよね?」

澪「…! まさか……あの月がある限り、ブラッキーは常に体力を回復することができるのか!?」

憂「そうです。これが私のぶららの戦法! “つきのひかり”がその力を発揮すれば、私達に負けはない!」ドンッ

唯「……!!」

857: ぽけもん 2011/08/17(水) 22:24:06.51 ID:W3MMNYTAO

律「そんな…こんなの、本当に勝ち目がないじゃねえか!」

純「憂はフロンティアでは、あの戦法でルーレットゴッデスのダリアさんに勝ったんです。あれを攻略するのは不可能ですよ」

唯「……っ!」

ピチャ…

憂「そして、水たまりに逃げても…この月がある限り、無駄だよ!」

ピカアアアッ!!!!!

ブイ太「!」

憂「夜空いっぱいに広がる星…それらがすべて攻撃に変わる! “スピードスター”!!」

カッ!

ドドドドドドド……!!!!

ドガアアアアアアンッ!!!!!!!!!!

シュウウッ……

ぶらら「……」

憂「これで逃げ場はもうないはず…」

憂「!」

唯「ケホケホ…、なんとか間に合ってよかったよ…」

ピッ太「ピーッ!」

憂「ピクシー!?」

ミナキ「交替したか。うまい! これで形勢を立て直したな!」

まいこはん「シャワーズとブラッキーの対決はもう少し見ていたかったもんやけどなあ」

858: ぽけもん 2011/08/17(水) 22:29:51.71 ID:W3MMNYTAO

憂「でも優勢なのはこっち! ぶらら、“だましうち”!」

ぶらら「ブラーッ!」シュバッ

ピッ太「!?」

ドガアッ…!

ピッ太「…ピッ!」ケロッ

憂「うそ! “だましうち”で死角を狙って攻撃したのに、全然効いてない!?」

ピッ太「ピッ!」つバトン

憂「あれは……、“バトンタッチ”!?」

唯「うん、ブイ太の“とける”をピッ太が受け継いだの。ピッ太はブイ太みたいに水に溶けられないから、代わりに防御がぐーんと上がったみたい」

ピッ太「ピッ!」エヘンッ

律「すごいぞ、唯! たまたまだったにしても!」

唯「ひどいよ、りっちゃん!」ガーン!

唯「まあ、“バトンタッチ”がそんな効果だってことは知らなかったけどさ…」ゴニョゴニョ

憂「……」

憂(違う……。運も実力の内というけど、あの言葉の真意は、運がいい人は『運を引き寄せるだけの実力がある』ってこと。つまり、これはお姉ちゃんの実力!)

859: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:13:47.72 ID:12V9fiHAO

唯「おーし、もっと行くよ! ピッ太!」

ピッ太「ピーッ!」ピョーン

梓「すごいジャンプ力です!」

唯「こう見えても、背中の翼を使って飛ぶようにスキップできるんだ!」

紬「このまま月に届きそうな勢いよ!」

憂「! まさか…!」

唯「月の光を浴びて進化するというピッ太は、多分ぶららより月に関連性があって、月をよく知ってる!」

唯「ピッ太なら分かるよね? 月の『急所』が!」

ピッ太「ピッ!」コクッ

唯「“コメットパンチ”!!」

ピッ太「ピーッ!!!」ギュオッ…

ドゴオオオオオオッ!!!!!!!

憂「惑星を破壊する…“コメットパンチ”……!」

ぶらら「…!」

ヒュウウ………!

憂「崩れた月の破片が…!?」

唯「“ちきゅうなげ”ならぬ、“つきなだれ”ってね!」

ドダアアアアンッ!!!!!

ぶらら「…、」シュウウッ……

バタッ!

さわ子『ブラッキー戦闘不能よー! これで唯ちゃんが少し有利になったわね!』

マサキ『余計なこと言わんでええ!』

860: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:35:52.69 ID:12V9fiHAO

憂「ぶらら、ありがとう」シュウウッ

憂「…やっぱりお姉ちゃんは強いね」

唯「えへへ…」

憂「でも負けないよ! ぷりり!」ボム!

ぷりり「プクリーン!」

澪「憂ちゃんの二匹目はプクリンか」

律「こりゃまた厳しいかもな…」

憂「ぷりり、“のしかかり”だよ!」

ぷりり「プクリーッ!」バッ

ドシーンッ!

ピッ太「…ッ!」ズシッ…

唯「ピッ太、なんとか返して…」

ピッ太「ピ~…」スリスリ

唯「ピ、ピッ太?」

憂「ぷりりの毛皮は気持ちいいから、中々離れられないよ。ピッ太はぷりりの毛皮の虜になっちゃったね」

ピッ太「ピ~…」スリスリ

憂「息を吸い込んで突き飛ばして!」

ぷりり「プクリー!」スウッ…

ピッ太「ピ!?」

ボウウウン!!!!

861: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:37:14.76 ID:12V9fiHAO

ピッ太「ピ~ッ!?」ヒュウウー…

唯「ピッ太あ!」

憂「“ハイパーボイス”!」

ぷりり「プっクリー!!!」

ドオオオオオオンッ!!!!!!

バタアン!

ピッ太「ピ…、」

マサキ『ピクシー戦闘不能や!』

唯「戻ってピッ太!」シュウウッ

唯「……。ブイ太、もう一度おねがい!」ボム!

ブイ太「シャワー!」

憂「…!」

憂(そっか…。お姉ちゃんも同じ考えなんだね)

唯(これは三対三のバトル。お互いに残りは二匹。そのうち、今出ているブイ太とぷりりは先の戦いで体力が減ってる…)

唯憂(なら、三匹目に全てを託す!)

862: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:38:55.76 ID:12V9fiHAO

唯「ブイ太、“みずのはどう”!」

ブイ太「シャワー!」

バシャアッ!

ぷりり「プクゥ…」

唯(メリ太の電撃が通るように、フィールドに水を撒いておくよ!)

唯(気になるのは憂の三匹目…)

憂「ぷりり、“でんげきは”!」

ぷりり「プクリー!!」

バチイイッ!!!!

ブイ太「シャワー!?」

唯「ブイ太っ!」

律「効果は抜群だ、これは痛いぞ!」

憂「“ハイパーボイス”!」

ぷりり「プクリーン!!」

ドガアアッ!!!!!

ブイ太「…ッ!」ビリビリ…

唯「ブイ太、頑張って! “アクアテール”!」

ブイ太「シャ…ワーッ!」ダッ!

ぷりり「!」

ゴシャッ…!

ブイ太「…」ぷりり「…」

ブイ太・ぷりり「」バタアンッ

さわ子『両者同時に戦闘不能! 互いに残り一匹となりましたー!』

863: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:41:08.53 ID:12V9fiHAO

澪「最後は一騎打ちか!」

紬「相性が重要になってくるわね…」

唯「メリ太!」ボム!

メリ太「モコー!」

憂「最後はあなただよ!」ボム!

バチャッ!

唯「!」

唯(ブイ太の作った水溜まりに“ダイビング”をした…?)

唯「水タイプなら…“ほうでん”だよ!」

メリ太「モコー!!」バチバチィッ…!

ピシャアアッ!!!!!

シーン……

メリ太「……」

プカー

唯「!」

憂「ウヌヌ、“れいとうパンチ”!」

バッ!

ドゴオオッ!!!!

メリ太「~っ!?」

唯「そんな!?」

864: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:43:16.39 ID:12V9fiHAO

バチャッ!

ウヌヌ「……」ヌソッ…

唯「! ヌオー!」

梓「水・地面タイプのポケモン! 電気技は効きません!」

紬「モココには圧倒的に不利な相手よ!」

唯「う…」

メリ太「モコ、」ジリッ…

憂(わたげポケモン・モココはゴムのような皮膚を持つ。皮膚を狙っても攻撃を弾かれちゃうかもしれない…だから狙うのは)

憂「綿毛の部分! ウヌヌ、“マッドショット”!!」

ウヌヌ「ヌオー!!」

ブシャッ!

メリ太「モコ!?」

唯「! いけないっ!」

唯「“シグナルビーム”で反撃だよ!」

メリ太「モコー!!」ビュオオッ

憂「ウヌヌ、“ダイビング”!」

ウヌヌ「ヌオ!」バシャッ

メリ太「!」

憂「背後に回って“マッドショット”!」

865: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:48:19.16 ID:12V9fiHAO

ウヌヌ「ヌオー!」

ドシャアッ!!!!

メリ太「モコーッ!?」

唯「メリ太…!」

メリ太「モコ…!?」ズシッ……

唯「メリ太!?」

ミナキ「“マッドショット”で素早さが下がったか。これで攻撃を上手く避けられなくなる…いい作戦だ」

唯「次の攻撃を喰らったら…!」

メリ太「モコ……」

憂「お終いだよ、お姉ちゃん! “どろばくだん”!!」

ウヌヌ「ヌオーッ!!!」ブシュッ

バシャアアアアアッ!!!!!

メリ太「……!」

唯「っ! 一か八か……、“わたほーうし”っ!」

メリ太「モコ!」キッ

モコモコモコモコモコモコ…!

ウヌヌ「…!?」

憂「綿で前が見えない…!」

憂「“みずでっぽう”で綿を撃ち落として!」

ウヌヌ「ヌオー!!」バシャアッ

866: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:49:49.01 ID:12V9fiHAO

シュウウッ……

メリ太「……」

憂「! モココの綿毛がなくなってる…?」

メリ太「モココー!」ピカアッ!

憂「進化!?」

メリ太(デンリュウ)「リュウウ!」

澪「綿毛がなくなって、完全な姿が出来上がったんだ!」

唯「行くよ、メリ太。“シグナルビーム”!」

メリ太「リュウウ!!」ビュオオッ

憂「! “れいとうビーム”!」

ウヌヌ「ヌオー!!」ビュオオッ

ドオオオオオオン!

メリ太「…」

ウヌヌ「…」

唯「やっぱりメリ太は電気技だね」

憂「…電気技はウヌヌに効かないんだよ?」

唯「知ってるよ。でもメリ太は電気技を通して、絶対に勝ってくれる!」

唯「メリ太、“ひみつのちから”!」

メリ太「リュウウー!!」ダダッ

867: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:50:43.64 ID:12V9fiHAO

憂「! で、電気技っていうのはフェイク!?」

唯「ううん、電気技で決めるのは本当だよ!」

憂「…どちらにしても、“ダイビング”で……」

ウヌヌ「ヌオ…」オロオロ

憂「ウヌヌ?」

モコモコ…

憂「! 綿毛が水分を吸って、水溜まりが干からびてる!?」

メリ太「リュウウー!」ドガッ!

ウヌヌ「…っ!」

憂「これくらいじゃ倒れないよ…!」

868: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:52:21.01 ID:12V9fiHAO

唯「ううん、倒すことが目的じゃない。“ひみつのちから”の追加効果、麻痺!」

ウヌヌ「ヌオ…っ!」ビリッ!

唯「これは地面タイプに電気を流せる数少ない方法。この電流を通して、メリ太の電気技を喰らわせる!」

憂「まさか…っ!」

唯「“10まんボルト”!!」

メリ太「リュウウウウウッ!!!!」バチバチイッ!

ピッシャアアアアアアンッ!!!!!!!!!!!!!!!

ウヌヌ「ヌ…オオオオ!!?」

ドガアアアンッ!!!!!

ウヌヌ「」ドサッ

マサキ『ヌオー戦闘不能や! よって勝者は…』

さわ子『平沢唯ちゃんよーっ!』 マサキ『おい!』

憂「ああ…」スタッ

ウヌヌ「ヌオ~…」

憂「ウヌヌ、よく頑張ったね」シュウウッ

869: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:55:02.88 ID:12V9fiHAO

唯「か、勝ったんだ…」

メリ太「リュウウ!」

唯「やったね、メリ太!」

唯「…って。今さら『メリ太』なんて子供っぽいかな? ……そうだね、これからは『リュウ太』でよろしくねっ!」

リュウ太「リュウウ♪」

ザッ…

憂「お姉ちゃん」

唯「! 憂」

憂「負けちゃった…」

憂「お姉ちゃん、旅に出てからたくましくなったね」

唯「えへへ、そうかな…」

憂「律さんから聞いたよ。お姉ちゃん、立派なお姉ちゃんになるために旅に出たんだって」

唯「う、うん。私なれたかな…?」

憂「おバカさんだね、お姉ちゃんは」

唯「ふぇ?」

憂「昔からお姉ちゃんは立派なお姉ちゃんだよ。私が野生ポケモンに襲われた時も一生懸命守ってくれたし、私がトキワの森で迷子になった時も軽音部のみなさんに呼び掛けて探しに来てくれた…」

唯「そんなこともあったかな…」エヘヘ…

憂「ふふ。ありがとう、お姉ちゃん!」

唯「…うんっ」

870: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:56:07.61 ID:12V9fiHAO

唯父「唯おめでとう!」

唯母「憂は残念だったわね♪」

唯「お父さん、お母さん」

唯母「二人ともかっこよかったよ♪」

唯父「うん!」

唯憂「えへへ……」

唯父「軽音部のライブで演奏してた唯はかっこよかったが、ポケモンをやっている唯もかっこいいな!」

唯「えへへぇ~」

唯父「……」

唯「? どうしたの、お父さん」

唯父「…唯」

唯父「後悔、しているか?」

唯「え…?」

871: ぽけもん 2011/08/18(木) 02:58:28.03 ID:12V9fiHAO

唯父「お前は立派なお姉ちゃんになるためにポケモンを連れて旅に出かけた。だが今ここでその目的を達成した。それどころか、元より立派なお姉ちゃんだったんだ」

唯父「…話を聞けば、この旅の中何度も危険な目に遭ったそうじゃないか。なんとか今こうして無事でいるが……そもそも旅に出なければ危険な目には遭わなかった」

唯父「旅の目的が達成するまでもなかったと知った今、旅に出たことを後悔しているか?」

唯「……」

唯「…ううん、後悔なんて……。確かに危険な目には遭ったよ? でもそれがきっかけで分かったこともあるんだ。ポケモンたちの思い、人と人との繋がり、そして人とポケモンの絆…」

唯「この旅で色んな人やポケモンに出会って、私も成長できたと思う。それに何より、この二年間楽しかった!」

唯「こうしてみんなとポケモンバトルをできるのも旅のおかげ…」

唯「後悔なんてしてるわけないよっ!」

憂「お姉ちゃん…」

唯母「ふふっ♪」

唯父「それでこそ、パパの娘だ!」

唯母「あら。ママの、とは言ってくれないの?」

唯父「ふふ、もちろん。ママのおかげでこんな立派で可愛く育ったんだよ」

唯母「うふふ、パパのおかげよ~」

キャッキャウフフ

唯憂(仲良しだなあ)


憂「お姉ちゃん、優勝目指して頑張ってね!」

唯「もちろんだよ!」フンスッ

憂「ふふ」

唯「えへへ…」

876: ぽけもん 2011/08/30(火) 23:46:05.74 ID:Bl+PtaQAO

………………


さわ子『それでは決勝リーグ第二試合、CブロックとDブロックの一位の二人は位置についてねー!』

マサキ(もう慣れた……)

ザンッ!

律「……」 和「……」

律「相手は和か…。一度は戦ってみたい、って言ったけどこんなに早く戦うことになるとはな」

和「私は曲がりなりにも四天王……そう簡単には負けないわよ?」

律「へっ、四天王か。相手にとって不足なしだ!」

さわ子『両者準備はいいわね? それでは試合開始!!』

律「いけえ、ヒート!」ボム!

ヒート「ヒヒーン!」

唯「出た! りっちゃんの一番手はヒート!」

律「やっぱり最初はお前じゃないとな」

ヒート「ヒヒン!」
877: ぽけもん 2011/08/30(火) 23:47:28.25 ID:Bl+PtaQAO

和「ブーピッグ、出番よ!」ボム!

ブーピッグ「ブピブピ!」

律「ヒート、“かえんほうしゃ”!」

ヒート「ヒヒーン!!」

ボオオオオオオオッ!!!!!!

ブーピッグ「ブピ…!」

和「“サイコウェーブ”!」

ブーピッグ「ブピー!」

シュロロロロ!!!!

ヒート「っ!?」

律「!」

和「ブーピッグの特性“あついしぼう”は熱を通さないわ」

ブーピッグ「ブピー!」フンッ

梓「それに和先輩はエスパータイプのエキスパート。ただ力で押しても勝てません!」
878: ぽけもん 2011/08/30(火) 23:48:53.35 ID:Bl+PtaQAO

律「……」

ヒート「ヒヒン…」

和「今度はこちらから行くわよ。ブーピッグ…、」

ブーピッグ「ブピ……?」フラッ……

和「!」

ブーピッグ「ブ、ブピ……」フラフラ…

和「どうしたの、ブーピッグ?」

ボオオオオ…!

和(! この熱気は…ギャロップの炎……?)

律「なあ和、『マッチ売りの少女』の話は知ってるか?」

律「マッチを売る貧しい少女の話だ。その少女はあまりのひもじさに売り物のマッチをすった。そしたら炎の中に幻を見たんだってさ」

律「この炎も同じだ。幻を見せるなんて大層なものじゃないけどな。…エスパー技を使えるのはエスパーポケモンだけじゃないってことさ!」

ブーピッグ「ブピ…」バタッ
879: ぽけもん 2011/08/30(火) 23:50:45.30 ID:Bl+PtaQAO

ブーピッグ「ZZz…」

和「“さいみんじゅつ”…!」

律「さらに、ヒートの攻撃手段は炎技だけじゃない! 進化して立派になった角も武器の一つだぜ!」

律「“メガホーン”!!」

ヒート「ヒヒーンッ!!」ギュンッ

ズドオオオオオッ!!!!!

ブーピッグ「」ドサッ

マサキ『ブーピッグ戦闘不能や!』

和「戻って、ブーピッグ」シュウウッ

和「…やるわね、律」

律「四天王に褒められるとは光栄だな」

和「ふふ。…次はあなたよ!」ボム!

エルレイド「レイー!」

律「エルレイドか…。またヒートの炎で、とはいかないな」

和「そうね。何せ、エルレイドの得意とするのは接近戦」

律「力比べってか。いいぜ! ヒート、“メガホーン”!」

ヒート「ヒヒーン!」ダッ

エルレイド「!」

ガキイイイ…!
880: ぽけもん 2011/08/30(火) 23:52:30.96 ID:Bl+PtaQAO

ヒート「…!」

エルレイド「…」ニヤ

律「止められた!?」

和「“サイコカッター”よ!」

エルレイド「レイーッ!!」シュッ

ザキイイイイッ!!!!!!

ヒート「…ッ!!?」

ドサアアッ!

梓「エルレイドはエスパーと格闘の複合タイプです」

紬「エスパータイプでありながら、接近戦が得意なんて!」

ヒート「ヒヒ…、」

律「一旦交替だ。戻れヒート!」シュウウッ

律(エルレイドの物理攻撃に有利に戦えるのはこいつしかいない!)

律「ウィング、君に決めた!」ボム!

ウィング「ワタワター!」

和「エルレイドはタイプ相性も覆すわ! “サイコカッター”!」

エルレイド「レイーッ!」ビュンッ

ウィング「!」

ヒュオッ…
881: ぽけもん 2011/08/30(火) 23:54:34.40 ID:Bl+PtaQAO

エルレイド「…!?」

和「外した!? いや、かわされた!」

律「ウィングを相手する人はみんなそんな顔をするよ」

律「ウィング、“ぎんいろのかぜ”!」

ウィング「ワタワター!」ビュオオッ

律「ワタッコは風に乗って空を飛ぶ! 攻撃の風圧で無意識のうちに避けられるのさ!」

和「…!」

律「“ギガドレイン”!」

ウィング「ワター!」ピトッ

エルレイド「!」

ジュウウウ…!

エルレイド「レイッ…!?」

和「っ! エルレイド、“サイコカッター”…」

律「“ぎんいろのかぜ”!」

ビュオオッ!!!!

和「逃げられた! …いや、“しんくうは”!」

エルレイド「レイーッ!!」ブンッ

和「連続で“しんくうは”よ!」

ヒュン ヒュン ヒュン

ウィング「ワタ!?」
882: ぽけもん 2011/08/30(火) 23:56:21.86 ID:Bl+PtaQAO

ヒュン!

ザシュ…!

ウィング「…っ!」

梓「掠った!」

和「連続攻撃には弱いみたいね」

律「……っ!」

律(前にもカポエラーの“トリプルキック”で攻撃を当てられたことがあるけど……、ウィングの弱点をこの短時間で見抜くなんてな…)

律「…っ、連続攻撃には連続攻撃だ! “タネマシンガン”!!」

ウィング「ワターっ!」シュプププッ

和「エルレイド!」

エルレイド「エルレイ!」シュバッ

キキキキイイン!!!!

ウィング「ワタ!?」

律「全部弾かれた!?」

エルレイド「レイッ」シャキンッ

和「エルレイドの肘の刀は伸縮自在よ。種の攻撃なんてすべて受け切れるわ」

律「く…!」

和「今度はこの刀を攻撃に使用する! エルレイド、“リーフブレード”!」
883: ぽけもん 2011/08/30(火) 23:58:32.77 ID:Bl+PtaQAO

エルレイド「エルレーイ!」シュバッ

ウィング「…!」

ビシバシビシバシ!

ウィング「ワター!?」

律「伸縮自在の刀を上手く使った攻撃の雨…! なんて激しいラッシュだ!」

和「守るものが明らかになったとき、エルレイドは肘を伸ばし本物の刀のように変化させて激しく戦うと言われているのよ。エルレイドが守るのは、私の勝利!」

エルレイド「エルレーイッ!」

ビシバシビシバシ!

ウィング「ワタァ…!」

和「トドメよ! “インファイト”!!」

エルレイド「エル…レイ……ドオオオオッ!!!」

ドダダダダダダダ!!!!!

ウィング「ワ、ワタ…っ」

ダアアアンッ!!!!

ウィング「ワタァーッ!?」

ドシャアンッ!

ウィング「」ガクッ

律「ウィングっ!」

マサキ『ワタッコ戦闘不能……』

さわ子『待って!』

マサキ『なんや?』

和「…!」
884: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:00:08.42 ID:hx0kDaVAO

律「……へへ」

エルレイド「…ッ!」バタッ

和「エルレイド!?」

エルレイド「レイ……!」ジュウウウ……

和「…“やどりぎのタネ”?」

律「そうだよ」

和「いつの間にこんな…」

律「利害は表裏一体ってな。そりゃあ伸縮自在の刀も例外じゃない。激しい戦いの中じゃ、案外隙が生まれるもんだぜ?」

エルレイド「」ガクリ

マサキ『ワタッコ・エルレイド、両者戦闘不能や!』

律「よくやったな、ウィング!」シュウウッ

和「エルレイド、ありがとう」シュウウッ

律「ヒート、もう一度頑張ってくれ!」ボム!

ヒート「ヒヒーン!」

律「来い、和! 最後のポケモンは何だ!?」

和「…私の最後の一匹は一筋縄ではいかないわよ」
885: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:01:44.63 ID:hx0kDaVAO

和「オーベム!」ボム!

オーベム「オォォム」

律「オーベム…?」ピッ

ポケモン図鑑『オーベム、ブレインポケモン。サイコパワーで あいての のうみそを あやつり きおくする えいぞうを ちがう ものに かきかえてしまう』

律「……」

律「ど、どういうことだ…?」

ヒート「ヒヒン?」

律「まあいっか。ヒート、気をつけろよ! “フレアドライブ”だ!」

ヒート「ヒヒーン…!」ボオオオオッ

ダッ!

和「オーベム、“サイコキネシス”…!」

オーベム「オォォム…!」ウイイイン!

律「かまわず突っ込め!」

ヒート「ヒヒーン!!」

オーベム「……」

ヒート「ヒヒーン!!」ダダダダ

オーベム「……」ユラァ……

ヒート「…!?」


スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」バンッ


ヒート「ヒヒーン!?」
886: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:03:16.65 ID:hx0kDaVAO

ドシャアッ!!!!

律「っ!?」

ヒート「ヒ…ヒン……」バタッ

律「何だ…? どうしてヒートは倒れてるんだ……」

オーベム「……」

和「まんまと掛かったみたいね、オーベムが作る映像に」

律「映像…?」

和「さっき図鑑が言った通りよ。オーベムはサイコパワーで相手の脳を弄られる。それでギャロップの脳にこの状況とは違う映像を送ったのよ」

律「! それじゃあ、今ヒートにはオーベムは見えていない!?」

ヒート「ヒヒン…」

スターミー「…」ギロッ

和「“サイコキネシス”!」

スターミー「トゥトゥトゥトゥル!」ウイイイン!

ヒート「…ッ!」

ドサアアッ!

律「ヒート…!」

ヒート「」バタッ

マサキ『ギャロップ戦闘不能や!』

律「戻れヒート!」シュウウッ

律「…よく頑張ったな」
887: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:04:51.78 ID:hx0kDaVAO

オーベム「オォォム」

律「……」

律(脳に映像を送り出すことができるオーベムか。あいつに対抗するにはどのポケモンでいけばいいんだ?)カチャ……

和「無理よ。どんなポケモンでもオーベムのサイコパワーから逃れることは出来ないわ」

澪「脳に映像を送られて何もできずに終わりってことか…」

律「! クソっ! それじゃあどうすれば…!」

律(! 待てよ…)

カチャ…

律「こいつなら大丈夫かもしれない…」

律「………いや、大丈夫だ!」ボム!

フォウル「アーケエ!」

律「フォウル、お前を信じる!」

梓「あのポケモンはトンちゃん……アバゴーラと同じ古代ポケモン、さいこどりポケモン・アーケオス!」

唯「確かヤーコンさんに“はねのカセキ”を貰ったんだよね!」

和「すべての鳥の祖先と言われるアーケンの進化形のアーケオスでも、オーベムのサイコパワーは回避できないわよ」
888: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:06:45.68 ID:hx0kDaVAO

和「“サイコキネシス”!」

オーベム「オォォム!」ウイイイン!

フォウル「…!」


ハッサム「ハッサム!!」


フォウル「アーケ……」

律「フォウル!」

フォウル「アーケエエ!!」ギンッ

和「! そんな…まさか効いていない!?」

律「フォウルには敵を必ず狩ってみせる、という本能が備わっているんだ」

和「本能?」

律「ああ、それは並大抵のものじゃない。化石ポケモンだからこそ持っている、太古から染み付いている本能だ!」

律「今更、サイコパワーなんかじゃあ止められないぜ!」

フォウル「アーケエエ!!」ダッ

和「! 飛ぶのでなく、走って……!?」

律「アーケオスは飛ぶより走る方が速い! 獲物を素早く狩るために必要な速さを走ることで身につけたんだ。そして、その速さに比例するのがこのパワーだ!」

律「“もろはのずつき”!!」

フォウル「アーケエエ!!!」ギュンッ

オーベム「…!!」

ドギャアアアアアアッ!!!!!!!!!!!

オーベム「…っ………!」
889: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:08:15.74 ID:hx0kDaVAO

ドシャアアアアッ!!!!!

オーベム「……、」ガクリ

マサキ『オーベム戦闘不能や! よって勝者は……………あっ』

マサキ『ち、ちょっとさわ子はん。あとは頼んださかい!』ダッ

さわ子『え、ええ!? ………………し、勝者りっちゃん!』

和「…戻ってオーベム」シュウウッ

律「いいバトルだったぜ、和!」

和「ええ。律、このまま優勝目指してね?」

律「おうよ! 言われずもがな、だぜ!」

マサキ「お~い、和は~ん!」タタタ

律「! マサキ?」

和「何か用ですか?」

マサキ「いや、ちょっとお願いがあってな」

和「?」



890: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:13:18.55 ID:hx0kDaVAO

………………


さわ子『次は第三試合ね! EブロックとFブロック一位の二人は準備をしておくように!』

紬「よぉーし!」

澪「…」

紬「澪ちゃんと戦うのね…」

澪「バトル経験は互角、いい勝負にしようムギ」

紬「もちろんよ」

さわ子『ではバトル開始よ!』

ボム!

リン(レントラー)「レーン!」

くらくら「ドククラー!」

紬「!」

律「一見、レントラーが有利に見えるけど…」

ミナキ「あのドククラゲは私が譲ったドククラゲだ」

澪「電気技は効かない!」

リン「グルル…!」

紬「…リン、“こおりのキバ”よ!」

リン「レーンッ!!」コオッ!

ガキイイッ!!!!!

くらくら「!?」

澪「!」
891: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:15:53.71 ID:hx0kDaVAO

紬「レントラーの武器は電気技以外にも色々あるわ。まずはこの牙!」

リン「レンーッ!」ガジガジ…

くらくら「クラ…」

紬「澪ちゃんのドククラゲが地面タイプを持つのなら、氷技は等倍になるはずよね」

くらくら「クラ…!」

ミナキ「地面タイプを持つことで電気タイプに対抗出来るようになったが、逆に水タイプの耐性をなくしてしまった……そこを突いてきたのか」

律「そこは考えなかったのか?」

ミナキ「まあ、対ライコウを前提としていたからな」

紬「まだまだレントラーの力はこんなものじゃない。次は鋭い爪! “れんぞくぎり”よ!」

リン「レン!」ザキッ

リン「レンッ!」ザキイッ

ザギイイイッ ザギイイイイイッ……

リン「レーンッ!!!」

ザギイイイイイイッ!!!!!!!!!!!

くらくら「クラぁああああ!?」

梓「五回すべてが決まりました…!」

紬「最後は長い尻尾よ! “アイアンテール”!!」

リン「レンーッ!!」ブオッ

メキイイイイイッ……!

くらくら「クラ、ぁ…!!?」

澪「くらくら…っ!」
892: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:17:54.99 ID:hx0kDaVAO

くらくら「」ドシャアン!

紬「戦闘不能ね」

澪「…いや、くらくらの瀕死は無駄じゃない」

リン「…、」ヨロ…

バタン!

紬「え……?」

さわ子『両者戦闘不能よ!』

紬「どうして……」

ジャリ……

紬「! この砂は…」

澪「くらくらの肌についている“やわらかいすな”だよ」

紬「肌に……? もしかして、リンが攻撃する度にこの砂がリンを傷つけてダメージを負わせていたの?」

澪「そう、言わば“さめはだ”みたいなもの。レントラーがくらくらにダメージを負わせるほどレントラーもその分ダメージを負っていたんだ」

紬「でも、それでもリンが倒れるほどのダメージは負わせられないはず……」

澪「それは……ドククラゲのタイプ、水・地面ともうひとつ」

紬「! 毒……! 砂に毒が混じっていたのね!」

紬「……やるわね、澪ちゃん」

澪「ムギも。面白いバトルだよ」

紬「ふふ♪」
893: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:19:48.95 ID:hx0kDaVAO

澪「…二戦目だ! デスらん!」ボム!

デスらん「デスー!」

リラ「! イッシュで捕まえた新しいポケモンか!」

純「みんな新しいポケモン持ってるんだねー」

紬「デスマスか…。ここからはさっきみたいにはいかないわ! レン!」ボム!

レン(ドンファン)「バオオオ!」

イツキ「んっふ。紬さん、やるつもりですね」

ナツメ「そのようね」

梓「! イツキさん、ナツメさん」

澪「“シャドーボール”だ!」

デスらん「デスー!!」

紬「ふふ…」

レン「バオオオー!!」ギュルンッ!

デスらん「!」
894: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:22:44.73 ID:hx0kDaVAO

レン「バオオオ!!」ゴロゴロ!

澪「“ころがる”!? かわされたか!」

イツキ「あれはただの“ころがる”ではありません。僕が教えた超能力のひとつです」

レン「」ギュルンッ!

澪「! 方向転換した!?」

紬「まっが~れ!!」

ギュオンッ!

デスらん「…!?」

レン「バオオオオオ!!」

ドガアアアン!!!!!

デスらん「デスー!?」

純「あれがムギ先輩の超能力か! かっこいいー!」

イツキ「しかしおかしなことがあるんです」

梓純「おかしなこと?」

イツキ「あの超能力はドンファンを動かす念力を出すエスパーポケモンが不可欠なんです。紬さんの場合はユンゲラー。今回は公式な試合ですのでユンゲラーはこの場に出せません。なのに超能力を使えている……これはどういうことでしょうか」

梓「どうって……」

ナツメ「ユンゲラーはモンスターボールの中にいるわ。ユンゲラーは紬を通してドンファンに念力を伝えているのよ」

純「そんなことできるんですか?」

イツキ「出来ますよ。以前の紬さんなら不可能でしょうが、今の紬さんなら出来ます」

梓「それってどういう…?」
895: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:24:45.10 ID:hx0kDaVAO

イツキ「紬さんは超能力者になりましたから」

梓純「…!!」

イツキ「『もっともっと特訓して、私自身が超能力者になります!』と彼女は言っていました。……んっふ、本当になれたんですね」

ナツメ「彼女は珍しいタイプの超能力者ね。努力で超能力を身につけたのは、世界中を探しても恐らく彼女ただ一人よ」

梓(ムギ先輩……私の研究を手伝っている間もずっと超能力の練習をしていたんですね。今思えば、前に“ゆめのあとち”で澪先輩を見かけたと言っていたのはムンナを探していたからだけじゃなくて、そこで特訓をしていたからだったんだ…)

紬「んふふ、澪ちゃん。超能力を見せてあげるわ!」

澪「…っ!」

梓(笑い方が変なのはイツキさんの影響ですよね…)

紬「まっが~れ!!」

レン「バオオオオオーッ!!」ギュオンッ

デスらん「デス…っ!」

ドガンッ!

デスらん「デスー!?」

紬「次は下から! あっが~れ!!」

レン「バオオオ!!」ブオッ

デスらん「!」

ドガアアアン!!!!!

デスらん「……、ッ!」

ドシャアンッ!

澪「! デスらん!」

律「なんて猛攻だ…!」
896: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:26:23.95 ID:hx0kDaVAO

紬「まだまだ! 今度は倒れているところを上から……さっが~れ!!」

レン「バオオオオオーッ!!!」ビュオオッ

澪「…!」

デスらん「デス…、」

唯「あんな攻撃うけたらひとたまりもないよおっ!」

レン「バオオオオオッ!!」ギュオオッ

澪「……デスらん!」

デスらん「デスー!!」カパッ

紬「! 棺桶!?」

梓「デスマスの進化形・デスカーンの棺桶です!」

律「じゃあ進化したのか?」

梓「いえ…違いますね。あれはデスマスのマスクが棺桶に変異したように見えます」

律「そんなことあるのか?」

梓「わかりませんけど…」

澪「私はポケモンの進化はポケモン自身がするかどうか自分で判断させてる。デスらんは十分進化するレベルに達してるけど、デスらん自身が進化を望んでないんだと思う」

リラ「デスマスのその気持ちと進化するレベルに到達したことが混ざり合った結果、進化形であるデスカーンの棺桶だけがデスマスにくっついたというわけか」
897: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:28:56.33 ID:hx0kDaVAO

紬「ポケモンって本当に奥が深いのね…!」

澪「デスらん、ドンファンを棺桶に収納だ!」

デスらん「デスー!!」シュウウッ……

レン「バオオオ!?」

カポンッ!

紬「レンっ!」

澪「この棺桶はドロボウをこらしめるためにも使う。棺桶に入ったら最後、瀕死は確実だ!」

デスらん「デス」カポンッ

ドサッ!

レン「バオオオ~……」

さわ子『ドンファン戦闘不能よ!』

紬「レンありがとう、ゆっくり休んで!」シュウウッ

紬「ルカ、お願い!」ボム!

ルカ「オークタン!」

澪「! 先の戦いでも活躍していたオクタンか!」

紬「今回はこんなこともできるわ! ふんもっふ!!」

ルカ「オークタン!」ビュオオッ

澪「甘い! デスらんの棺桶が収納できるのはポケモンだけじゃない、ポケモンの技だって閉じ込めることができる!」

デスらん「デスー!」カパッ

シュウウッ!

紬「!」

唯「本当に入っちゃった!」

律「何でもアリかよ!」
898: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:30:31.96 ID:hx0kDaVAO

澪「その技を倍にして返すんだ!」

デスらん「デスー!!」カポンッ

紬「ふふふ」

ドガアアアン!!!!!!!

澪「!?」

デスらん「デス、……」ドタアンッ

澪「な…っ、爆発した……?」

紬「言ったでしょう、前回とは違うって。技に起爆するように念を込めたの」

澪「…!」

ナツメ「……あんなことも可能なんてやるわね」

さわ子『デスマス戦闘不能!』

澪「デスらん、よくやってくれた」シュウウッ

澪「……」

澪(エスパー、か…。念力によって、下手をすると人間やポケモンの心まで掌握してしまう力……)

ギリッ……

澪「コロぽん、頑張ってくれ」ボム!

コロぽん「ココロー!」

律「!」

唯「り、りっちゃん…」

律「ああ…。デスマスとココロモリってことは澪のやつ……」
899: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:31:21.55 ID:hx0kDaVAO

澪(…そう。私はゲーチスに心を掌握され、過ちを犯してしまった。唯と律はああ言ってくれるけど、私はまだ自分を許しきれていない。いや何より許せないのは知らぬ間にコロぽんとデスらんを捕まえていたことだ)

澪(このバトルでそのケジメをつける。ゲーチスに操られている間にゲットしたコロぽんとデスらんで勝って、その絆を確かめる!)

コロぽん「ココロー!」

澪「デスらんはやられちゃったけど頑張ってね。コロぽん……ごめんね」

コロぽん「コロ……」

コロぽん「……コロッ!」ギンッ

紬「……」

紬「…行くわよ、澪ちゃん」

澪「ああ」

紬「ルカ!」

ルカ「オークタン!」

澪「コロぽん!」

コロぽん「ココロー!」

紬「ふんもっふ!!」

ルカ「オークターン!!」ビュオオッ
900: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:33:51.88 ID:hx0kDaVAO

コロぽん「…」シュッ…!

ルカ「…!?」

紬「姿が見えなく…!」

シュバッ!

コロぽん「ココロー!」バンッ

ルカ「!!」

紬「いつの間に!」

澪「“スピードボール”で捕まえたんだ、素早さは天下一品だ!」

コロぽん「ココローッ!」シャキンッ!

澪(コロぽん、デスらん……ゲーチスの企みで私たちが出会ったんだとしても、そんなこと関係ない。私はお前たちに会えてよかった。こうして友達になれたんだ!)

澪「“エアスラッシュ”!!」

コロぽん「ココローッ!!!」

ザギイイイイイイイイッ!!!!!!!!!!!!!
901: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:43:34.13 ID:hx0kDaVAO

コロぽん「……」

ルカ「……」

ルカ「」ドサッ

さわ子『オクタン戦闘不能! よって勝者は澪ちゃんよー!!』

澪「コロぽん、デスらん……ありがとう」

紬「優勝したかったけど、負けちゃった。…おめでとう澪ちゃん」スッ

澪「ムギ、ありがとう」ガシッ

紬「ふふ♪」



902: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:44:45.39 ID:hx0kDaVAO

……………………


さわ子『これで準々決勝は最後になるわね。第四試合、GブロックとHブロックの一位は……』

マサキ『ちょ、ちょい待ちいー!』タタッ

さわ子『あら、帰ってきたの?』

マサキ『ああ。これまでおおきにな、さわ子はん』

さわ子『構わないわ』

和「ただいまー」

唯「おかえりー和ちゃん」

マサキ『では改めまして、第四試合の方を始めようかと思います。純はんと梓はんは競技場へ!』

純梓「はい!」

マサキ『ちなみに準決勝ではマルチバトルになるから、そこんとこよろしくな』

澪「えっ」

律「き、聞いてないぞマサキ!」

唯「じゃあ私とりっちゃんと澪ちゃんの内誰かが組んで、残りの一人は純ちゃんかあずにゃんと組むってこと?」

マサキ『そや。決勝戦ではタッグを組んだ相手とのバトルっちゅう形になるけどな』

唯「ややこしいね…」
903: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:46:26.70 ID:hx0kDaVAO

マサキ『とにかく、まずはこの試合や! ではバトル始め!!』

純「いけー、ドルアゲス!」ボム!

梓「デビちゃん、お願い!」ボム!

ドルアゲス「マーネネ!」

デビちゃん「ワオーン!」

純「げっ…、そのデルビルは……」

梓「デビちゃん、“あくのはどう”!」

デビちゃん「ワォオオン!!」ギュオオッ

ドガアアアンッ!

ドルアゲス「マネ~!?」

ドシャアアッ!

ドルアゲス「マネ……、」ガクッ

マサキ『マネネ戦闘不能や!』

律「はええ!」

紬「あはは…」

純「戻ってドルアゲス!」シュウウッ

梓「…純、何も変わってないね」

純「く…っ。ど、どうかな? 私もこれまで何もしてないことはないから!」

梓「何をしてたの?」

純「へっへーん、新しいポケモンをゲットしたのはやっぱり梓たちだけじゃないってことさ!」

純「いっけ~! ギガンテフ!」ボム!

ギガンテフ(ゴルーグ)「ォオオオオ!!」

梓「! ゴルーグ!?」
904: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:48:04.88 ID:hx0kDaVAO

キョウ「あんなポケモンを持っているとは初耳だが」

アンズ「実は純殿もイッシュ地方へ足を運んでいたんでござるよ」

梓「…でもタイプ相性ではこっちが有利だよ! デビちゃん、“あくのはどう”!」

デビちゃん「ウオオーン!!」ドギュウウッ

ドオオオン!

ギガンテフ「……」

ギガンテフ「ォオオオオー!!」

純「へっちゃらへっちゃら!」

梓「そんな……っ」

梓「な、なら!」キッ

梓「さわ子先生!!」

さわ子『へ?』ワタシ?

梓「歌ってください!」

さわ子『え…でも……』

マサキ『ほい』つマイク

さわ子『GYAAAAAAOOOOOOOOO!!!!』

マサキ『!?』

さわ子:甘い言葉にご用心wow あんまそんなの慣れてない

かなり警戒注意報wow だけどどうやら裏がない

デビちゃん「…!」ピクッ

梓「よし!」

純「な、なに…?」
905: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:49:39.50 ID:hx0kDaVAO

計算してgetの予定 振り回されfail!

でも恋に落ちちゃ負けって嘘さ ホントは負けじゃない

シンプルすぎるほど 自分に正直な欲望

愛の未来をCHOーDIEEEEEEEE!!!!!

デビちゃん「ワオーン!!!!」

ゾロゾロ……

ギガンテフ「!」

デルビル達「グルル……」

純「え…何この大群!」

梓「今のデビちゃんの雄叫びで仲間が集まってきたんだ!」

純「そんなのアリ!?」

梓「さわ子先生、お疲れさまでした! いっくよー、“ふくろだたき”!!」

デビちゃん「ワオーン!」ダッ

デルビル達「ワオオオン!!!」ダダダッ

ドガガガガガガ!!!!!!!

ダアアアン!!!!!!

ギガンテフ「…ッ!!」

シュウウッ……

梓「まあ代償に戦闘不能になっちゃうけどね」

デビちゃん「」バタン

マサキ『デルビル戦闘不能や!』

梓「ありがとうデビちゃん」シュウウッ

梓「さあ純も次のポケモンを出しなよ」
906: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:50:51.19 ID:hx0kDaVAO

純「…危なかった~」

梓「え……?」

ギガンテフ「……」ギロッ

梓「! あの攻撃を受けても倒れてない!?」

純「新戦力・ギガンテフを舐めないでよ!」

梓「……っ!」

律「何だかんだで強いなー、純ちゃん」

和「勝敗の行方がわからなくなったわね」

純「今度は私から言わせてもらうよ。次のポケモンを出しなよ、梓!」ドンッ

梓「く、悔しい…。さわちゃん、あの鼻明かしてあげて!」

さわ子『ど、どうやって?』

梓「だから、さわ子先生じゃないですよ!」

ボム!

さわちゃん「ダーイライ!」
907: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:52:56.81 ID:hx0kDaVAO

梓「“まわしげり”!」

さわちゃん「テーイ!!」ブンッ

純「“そらをとぶ”!」

ギガンテフ「ォオオオオ!!」ドギュウウン!

さわちゃん「テイ!?」スカッ

梓「あの巨体が空を飛ぶなんて…!」

純「大空のぶっとびゴルーグってね! それとサワムラーの格闘技はギガンテフに効かないからヤバいんじゃない?」

純「そのまま“とっしん”だー!!」

ギガンテフ「ォオオオオーッ!!」ドギュウン!

梓「効かないなら…効くようにするまで!」

さわちゃん「ダーイライ!」キッ

梓「『剛の奥義』、その目で相手の急所を見極めろ! “みやぶる”!!」

さわちゃん「テイ!」ブンッ

ギガンテフ「!」

ドガアアア…ッ!

ギガンテフ「ォオオ……」

バタアンッ!

マサキ『ゴルーグ戦闘不能や!』

純「戻って!」シュウウッ
908: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:55:00.85 ID:hx0kDaVAO

梓「これでまた私が有利だね」

純「数のことで言ってる? じゃあ、おあいにくさま!」ボム!

ラプンーソ「エンー!」

純「私のラプンーソなら数なんて関係ない!」

梓「さわちゃん、いったん交代!」シュウウッ

梓「ミミちゃん!」ボム!

ミミちゃん「ミミロー!」

梓「“おんがえし”!」

ミミちゃん「ミミロー!!」ダッ

ラプンーソ「…」フワッ……

ミミちゃん「ミミロ…!?」スカッ

梓「…っ!」

純「どう? ラプンーソの持ち物は“ふうせん”。木を隠すなら森の中…、ギガンテフが空を飛んで、ラプンーソまで空を飛ぶとは思わなかったでしょ?」

梓「…さっきとは違う! ミミちゃんには立派な脚力がある! “とびはねる”!!」

ミミちゃん「ミミロー!!」ピョンッ

梓「“ふうせん”に“とびげり”!」

ミミちゃん「ミミロー!!」ブンッ

ドゴッ………!
909: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:56:34.54 ID:hx0kDaVAO

梓「“ふうせん”を割ればラプンーソは地に落ちる!」

ミミちゃん「……?」

ラプンーソ「…」ニヤリ

純「チッチッチ……『隠すこと』が忍なんだよ」

カキイッ!

梓「! “ふうせん”の幾つかが凍ってる!?」

純「凍らせたものを混ぜておいたんだ! これを使って、“アイスボール”!!」

ラプンーソ「エンーッ!!」ブンッ

ドガアアアン!

ミミちゃん「」バタン!

純「覚えない技も使うことを可能にするのが忍!」

マサキ『ミミロップ戦闘不能ー!』

梓「ミミちゃんありがとう、休んでて!」シュウウッ

梓「もう一度お願い、さわちゃん!」ボム!

さわちゃん「ダーイライ!」

梓「……」

さわちゃん「……」

ラプンーソ「……」

純「……?」

純「どしたの、かかってこないの?」

梓「…ふふ、忍者ね」

純「ん?」
910: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:57:42.59 ID:hx0kDaVAO

梓「すごいよね。ほんの少し前まではこんなことになるなんて思いもしなかったよ」

梓「ムギ先輩は超能力者、和先輩は四天王、純は忍者。私は格闘家……ポケモン博士」

和「梓ちゃん…」

梓「修業……したもんね。シンオウ地方の危機、ギンガ団に立ち向かうために…勝つために!」

紬「梓ちゃん…」

純「梓…」

梓「ねえ、純」

純「なあに?」

梓「このバトル、お互い一撃だけの勝負にしない?」

純「一度きりの勝負ってわけか。面白いじゃん、いいよ」

キョウ「ファファファ、格闘家と忍者の一騎打ち……これも運命だな」

シバ「ふ……」

梓「よーし、じゃあいくよ!」

純「おう!」

さわちゃん「ダーイライ!」ダッ!

梓「“ブレイズキック”!!」

さわちゃん「テイテイ……テーッイ!!!」ブンッ!

ジュワアッ!!!!!

ラプンーソ「!?」

純「凍った“ふうせん”ごと……!」
911: ぽけもん 2011/08/31(水) 00:59:31.52 ID:hx0kDaVAO

さわちゃん「テイテイテイテイテーイ!!」ジュワアッ!

純「負け、るかぁあああ!! “ドリルくちばし”ーっ!!!」

ラプンーソ「エンーッ!!!」ギュアアン!

さわちゃん「…っ!」ズキッ…

純「う、ぉおおおおおおおおおお!!!!」

梓「はぁああああああああああああ!!!!」

ドオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!

ドタアンッ!

純梓「…!」

ラプンーソ「」 さわちゃん「」

マサキ『エンペルト・サワムラー、両者戦闘不能や! よってこの勝負は引き分けー!! …って引き分け!?』

純「あ~、また勝負つかなかったー!」

梓「うーん。また純と引き分けるとは…」

純「む、何か不満?」

梓「ううん…。楽しかったよ、純!」ニコッ

純「え………えと、…ううっ//」

純「あ、当たり前じゃ~ん!…」

梓「そういえば、引き分けの時はどうするんですか?」クルッ

マサキ『そうやなぁ……』

純「うおーいっ!?」
912: ぽけもん 2011/08/31(水) 01:00:38.48 ID:hx0kDaVAO

マサキ『三人で準決勝は厳しいし……今更シードっちゅうのも~』

ナツメ「なら…これはどう?」

マサキ『ん?』

梓「ナツメさん?」

ナツメ「はい、これを」スッ

澪「?」

律「なんだあ?」

唯「スプーンだねえ」

紬「! 『運命のスプーンまげ』…!」

ナツメ「ええ、これは運命のタッグパートナーを決めるのに相応しい方法。準決勝でやるつもりだったマルチバトルの組み合わせをこれで決めたらどうかしら?」

マサキ『確かに……これなら準決勝を………っておい! もし一人の方が勝ったら、実質決勝戦になるやんけ!?』

ナツメ「細かいことは気にしないことよ」

マサキ『~~っ……!』
913: ぽけもん 2011/08/31(水) 01:01:26.53 ID:hx0kDaVAO

さわ子『別にそれでいいんじゃない? この場合を想定しなかったのが悪いんだし』

リョウ『僕もいいと思います』

マサキ『しょうがないなあ…』

ナツメ「では決まりね」

ナツメ「スプーンが曲がり、向き合ったらパートナーに決定よ」

唯「……」

律「……」

澪「……」


…パキンッ!

919: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:08:33.84 ID:XgKq/T/AO

……………………


マサキ『それでは準決勝あるいは決勝戦になるかもしれない、この競技場では第五試合目となる試合を始めていきたいと思います!』

マサキ『唯はんと律はんと澪はんは前へ!』

唯「……」 律「……」 澪「……」

ザンッ!

マサキ『組み合わせは唯はんと律はん対澪はん、という形になりました! なお二対一ということなので、六対六のシングルバトルで試合を行っていきます』

唯「まずは私からいくよ、りっちゃん」

律「頑張れよ唯!」

唯「うん、りっちゃん!」

920: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:10:52.62 ID:XgKq/T/AO

マサキ『試合始めやー!!』

唯「カモン、チー太!」ボム!

チー太「チラチー!」

澪「ドっくん、頼んだ!」ボム!

ドっくん「ドクケー!」

マサキ『唯選手の一番手はチラチーノ、澪選手はドクケイルや!』

さわ子『二匹の共通点と言えば……スピードかしら?』

リョウ『いわゆるスピード対決ですね』

唯「チー太、“スイープビンタ”!」

チー太「チラチー!」タタッ

マサキ『先に攻撃に出たのはチラチーノや!』

チー太「チラチーっ!」バチイッ

ドっくん「…ッ!」

バチバチイッ!!!!!

マサキ『激しい攻撃! ドクケイル逃げられへん!』

バチイインッ!!!!!

ドっくん「ドクケー!?」

ドシャアッ!

澪「ドっくんっ!」

ドっくん「ドクケ…、」

唯「その調子だよ、チー太!」

チー太「チラチー!」

ドっくん「…、」

マサキ『澪選手、反撃の余地なしか!?』

パラパラ……

唯「?」

マサキ『なんや? 競技場に何かが降って……』

律「…! 気をつけろ、唯! それは……っ!!」


《ドクケイル、どくがポケモン。はばたくと こまかい こなが まいあがる。すいこむと プロレスラーも ねこむ もうどくだ。》


唯「…!!」

マサキ『な、なんと! ドクケイルが羽から出す“どくのこな”!! あの攻撃の中もずっと降り注いでいたんや!!』

澪「利害は表裏一体だったよな、律」

律「…!」

921: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:13:33.50 ID:XgKq/T/AO

和「連続攻撃の中では必ず隙が生まれる…!」

梓「というより、実況のせいで私たちの出番がないです!」

紬「まあまあまあ」

パラパラ…

チー太「チラチー…」オドオド

マサキ『猛毒の粉がチラチーノに襲い掛かるー!!』

ピト……

チー太「!」

チラチーノの頭部に粉が付着した。

だが……、

チー太「チラチー!」ヘッチャラ!

澪「なに…!」

律「毒になっていない!?」

唯「そっちがポケモンの特徴でくるなら、こっちもだよ!」


《チラチーノ、スカーフポケモン。しろい たいもうは はだざわりが ばつぐん。ほこりや せいでんきを まったく よせつけないのだ。》


澪「その体毛がチラチーノを粉から守ったのか!」

唯「そうだよ! それと、この粉を利用させてもらう!」

チー太「チラチー!」シュバッ

チラチーノは自分の体に巻いているスカーフで毒の粉をかき集め、それをドクケイルに、

唯「“なげつける”!」

チー太「チラチー!!」

ドっくん「!?」

ボフンッ!

ドクケイルの回りに毒の粉が飛び散る。

澪「うっ……前が見えなく………」

唯「ドクケイルに毒は効かないけど、めくらましにはなるでしょ?」

澪(でもドっくんにはレーダーがある!)

ドっくん「ドクケー…!」

唯「そんなドクケイルちゃんにこれ!」

チー太「チラチー!」

ピカアアッ!

チラチーノの手元には八つのバッジが。

唯「今日は光源大サービスでジムバッジ全部で、“フラーッシュ”!!」

律「なんでチャンスをやるんだよ!?」

唯「違うよ、りっちゃん!」

律「え…?」

ドっくん「ドクケー!!」バサバサッ!

マサキ『おっと、ドクケイルがチラチーノの方へ物凄い勢いで向かっていきます!』

律「だから言っただろー!?」

922: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:15:12.63 ID:XgKq/T/AO

ドっくん「ドクケー!」バサバサッ!

ピトッ

律「な……」

マサキ『ドクケイル、チラチーノの頭に留まったー!?』

律「な、なんで?」

唯「ドクケイルって立派なレーダーを持つけど、それと同じように明かりに引き寄せられる習性も持つの」

律「習性…!」

ドっくん「ドク~♪」

唯「ただひとつ、レーダーを封じる方法がこれだったんだ。…ごめんね、“スイープビンタ”!」

チー太「チラチー!!」

バチイインッ!!!!

ドっくん「」バタン

ドっくんはたおれた!

マサキ『ドクケイル戦闘不能ー!!』

澪「っ…、ドっくん戻って」シュウウッ

律「いいぞ、唯!」

唯「うふふ~♪」

律「でもあんまり調子には乗るなよ?」

唯「えへへへ…♪」

律「おい」

唯「そうじゃないんだ~。やっと澪ちゃんと戦えて嬉しいの~」

唯「りっちゃんだけ戦うなんて不公平だもんねっ」

923: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:16:34.14 ID:XgKq/T/AO

律「ヒワダタウンでのことか?」

唯「うん!」

律「まあこの後、私も戦うんだけどな」

唯「ああっ!」ガーン!

律「今更かいっ!」

澪「…ふふ、唯らしいな。私も嬉しいよ。決勝戦で二人と戦えて……」

澪「全力で行く!」

ボム!

ベロにゃん「ベロ~ン!」

マサキ『澪選手の二番手はベロベルトや!』

唯「!」

澪「ベロにゃん、いくぞ!」

ベロにゃん「ベロ~ン!」

律「…へっ。決勝戦だあ? 勝利宣言かよ澪。唯、負けるなよおっ!」

唯「うん!」

唯「チー太、走って!」

チー太「チラチー!」ダダッ

澪「っ!」

マサキ『こ、これはあっ!』

チー太「チラチラチラチラ……!!」ダダダダ

ベロにゃん「ベ、ベロ?」

924: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:18:15.05 ID:XgKq/T/AO

チラチーノがベロベルトの周囲を走る。そうして引き起こすものは、

ブワアッ!!!!

ベロにゃん「ベロ~!?」

澪「!」

マサキ『砂埃やあっ!! チラチーノ、得意のスピードを活かした作戦!』

唯「チー太はきれい好きっていうことも考えた作戦だよ!」

ブワアッ…!

ベロにゃん「ベロ……っ」

澪「…っ、まためくらましか! でもベロにゃんを“フラッシュ”でおびき寄せることはできないぞ!」

唯「ううん、今回はこっちから向かっていくよ! この砂埃の中でも、肌触り抜群の体毛を持つチー太なら自由に動けるからね!」

チー太「チラチ!」タッ!

唯「“アイアンテール”!!」

チラチーノが硬化した尻尾を振り下ろす。

チー太「チラチー!!」ブンッ


ピシイイッ!!!!!!


瞬間、何かが巻き付く音が鳴り響いた。それは“アイアンテール”のものではない。

チラチーノ「チラチ……!?」ギチギチ…

チラチーノの体に何かが巻き付いている。

律「あれは…!」

925: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:19:29.93 ID:XgKq/T/AO

唯「ピンク色の…舌!?」

澪「そう、ベロベルトの舌だ」

さわ子『ベロベルトの長い舌を砂埃に潜ませていたのね。唯ちゃんの作戦を逆手にとったんだわ』

マサキ『策士、策に溺れるとはこのことやな…』

唯「チ、チー太、振りほどいて!」

チー太「チィ…っ!」ギチギチ……

チー太は身動きがとれない!

唯「チー太…!」

澪「自慢のその体毛でもベロにゃんの舌は抜けられないよ。すでに唾液でべとべとだ」

チー太「チラチィ…!」ベタァ……

澪「そしてベロにゃんの唾液は相手を痺れさせる。これで絶対に逃げられない!」

唯「…っ!」

澪「“パワーウィップ”だ!」

ベロにゃん「ベロ~ン!!」ブンッ

チー太「ッ!?」

ドシャアン!!!!

チー太「」ガクリ

チー太はたおれた!

マサキ『チラチーノ戦闘不能ー!!』

唯「チー太…、ありがとう!」シュウウッ

926: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:21:13.89 ID:XgKq/T/AO

律「次は何でいくんだ?」

唯「そうだね……うん、決めた! それじゃあムー太!」ボム!

ムー太「ムシャー!」

さわ子『私とのバトルで大活躍したムシャーナね』

マサキ『わいの“つきのいし”……』

澪「“シンクロ”か、厄介な特性だけど……」

ベロにゃん「ベロ~ン!」シュルシュル……

唯「?」

ベロベルトがその長い舌をシュルシュルと巻いていく。
舌の長さはざっと三メートル、それは幾重にも巻かれ螺旋状になる。

律「なんだあれ?」

唯「ネジ…?」

澪「ベロにゃん、少したたくだけでいい。“たたきつける”!」

ベロにゃん「ベロ~ン!」シュバッ

パチン!

ムー太「ムシャ?」キョトン

ベロベルトの攻撃を受けたムシャーナは微動だにしない。

唯「??」

澪「なにをしているのか分からないみたいだな」

唯「えっと…?」

澪「でもこれから分かるよ」

フッ、と空気を切る音がする。

ムー太「…!」

927: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:22:45.97 ID:XgKq/T/AO

ドオオオン!!!!!

ムー太「ッ!!?」

瞬間、何かがムー太を攻撃した。

唯「…え!?」

攻撃はそれで終わらない。

フッ!

ムー太「!」

二撃。

三撃、四撃、五撃、……次々とムシャーナに襲い掛かる謎の攻撃。

唯「なにが起きてるの!?」

マサキ『何や!? ベロベルトがムシャーナを叩いたあと、謎の攻撃がムシャーナを襲っとる!』

攻撃はまだ続いている。

律「どういうことだ!?」

梓「あの舌に秘密があるんじゃあ…!」

律「! 確かに怪しいのはあれだ!」

澪「そう、ベロにゃんの螺旋状になった舌がこの攻撃をしたんだ」

澪「螺旋状にしたのは意味がある。螺旋状になることで連続攻撃を可能とした」

唯「意味が分からないよ…?」

澪「螺旋状に巻いたことで舌が幾層にも重なって、簡単に言えば出来た層の分だけ攻撃が加えられるってわけだ」

層と層の間、各層の厚さは約十センチメートル。

律「それだと攻撃の数は……」

梓「十回は下りません!」

928: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:24:38.31 ID:XgKq/T/AO

マサキ『いや、それだけやない。ムシャーナは舌がないからあれを真似することも出来へん。ムシャーナの“シンクロ”は使われへん!』

リョウ『…それ以前にあの攻撃を耐えられるかどうかですね』

最後の攻撃がムシャーナに迫る。

ムー太「…!」

ドンッ…!

ムー太「ムシャ…っ!?」

ムシャーナはその場に倒れ込んだ。

ムー太「ム~……」

ムー太はたおれた!

マサキ『ムシャーナ戦闘不能ーッ! 澪選手のベロベルト、すでに二匹を倒しています! 唯選手はこの勢いを止められるか!?』

唯「ムー太、休んでて!」シュウウッ

律「唯!」

唯「大丈夫だよ、りっちゃん」

カチャ……

唯(触られたら負ける……それならブイ太もピッ太もダメ……。リュウ太の“せいでんき”はベロベルトちゃんも唾液の麻痺を持ってるから効かない……)

唯「ここは任せたよ、ラー太!」ボム!

ラー太「ラー!」

マサキ『唯選手の三匹目はヒトモシです!』

澪「ヒトモシね…。ベロにゃん、今度もその舌を使って連続攻撃だ!」

ベロにゃん「ベロ~ン!」シュバッ

唯(かかった…!)

929: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:26:35.51 ID:XgKq/T/AO

澪「ふふ、甘いな唯」

唯「…!」

澪「ヒトモシの特性“ほのおのからだ”でやけどを負わせようとしてるな。でもベロにゃんの狙うところはそこだ!」

舌が軌道を変える。舌の向かう先はヒトモシの蝋の部分だ。

澪「火が付いていないそこが、“ほのおのからだ”の効果が発揮しない唯一のウィークポイントだ!!」

ベロにゃん「ベロ~ン!!」

長い舌がヒトモシに突き刺さる。

ラー太「…!?」

ドオオオン!!!!!!

澪「……チェックメイトだ」

唯「そうかな?」

澪「…!?」

ベロベルトの舌はヒトモシを確かに攻撃したが、それだけだった。ヒトモシを後から襲う連続攻撃がまったく起こらない。

それどころか、ベロベルトの螺旋状を為した舌がその形を崩していた。

ベロにゃん「ベロ~!?」

澪「そんな…!」

唯「“ほのおのからだ”は本来の目的を隠すためのカモフラージュだったんだ」

澪「本来の目的?」

唯「うん。澪ちゃんは舌を螺旋状に巻いたら連続攻撃ができるって言ったけど、あれにはちょっぴりウソがあるよね」

澪「…! まさか……」

930: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:31:56.20 ID:XgKq/T/AO

螺旋状に巻いた舌。舌が幾層にも重なったその形は各層を順々に攻撃が伝わることによって、一回の攻撃で層の数だけの攻撃が出来る。

しかし、順々に伝わる攻撃に柔らかい舌が耐えられるだろうか。連続攻撃を可能とするには舌の硬度を強化する必要がある。

唯「舌を硬くしていたのは唾液だね」

唯「麻痺の成分を持つ唾液で舌に“かなしばり”をかけてた…」

澪「…その唾液が“ほのおのからだ”で乾いたのか」

唯「うん!」

澪「でも、あの長い舌に付いた大量の唾液を乾かすパワーがヒトモシにあるようには……」

唯「ふふ、ラー太を見て?」

ラー太「ラー!」ゴオオオッ

澪「! さっきより頭の炎が大きくなってる…?」

唯「ラー太は相手の生命エネルギーを吸い取るの。そして吸い取ったらそのエネルギーを変換して……」

ピカアアッ!

ヒトモシの体が光に包まれた。

ヒトモシがその姿を化えていく。

ラー太(ランプラー)「ラー!!」

澪「! 進化…!」

律「おお!」

唯「やったね、ラー太!」

ラー太「ラー……」ムズムズ

唯「どうしたの?」

マサキ『…なんや、嫌な予感が……』

やみのいし(ピカアアッ

マサキ『またかいなぁあああ!?』

ラー太(シャンデラ)「デラー!」

唯「二段階進化!?」

律「あれは……」ピッ

ポケモン図鑑『シャンデラ、いざないポケモン。ヒトモシの最終進化形。シャンデラの ほのおに つつまれると たましいが すいとられ もやされる。 ぬけがらの からだ だけが のこる。』

931: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:37:44.93 ID:XgKq/T/AO

唯「よーし! これは予想外だったけど、いくよラー太!」

ラー太「デラー!」ボウッ

唯「“はじけるほのお”!!」

ラー太「デラーッ!!」ボオオオッ

シャンデラが放った炎の塊は螺旋状の舌が崩れたことによりできた『穴』を通り抜け、ベロベルトの口へ届き、

ベロにゃん「っ!」

真っ赤に弾けた。

バアアアアアアンッ!!!!!!

澪「ベロにゃんっ!」

ベロにゃん「」ドサッ

ベロにゃんはたおれた!

さわ子『ベロベルト戦闘不能ー!!』

マサキ『わいの“やみのいし”が……』グス

澪「ベロにゃん……よくやってくれた」シュウウッ

唯「これでお互い三匹目だね!」

ラー太「デラー♪」

澪(シャンデラに対抗できるポケモンは……)カチャ……


「その必要はないのニャ!」


澪「…!」

932: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:38:55.37 ID:XgKq/T/AO

律「その声は!?」

「『その声は!?』と聞かれたら答えてあげるが世の情け!」

スタッ

「世界の破壊を防ぐため、世界の平和を守るため、愛と真実の正義を貫く! ラブリーチャーミーな子猫ちゃん!」

「ニャ……」唯「ニャースちゃん!」

澪「ニャース!?」 律「ニャース!」

ニャース「にゃにゃー!?」

ニャース「先に名前を言うニャー!!」

律「ていうかニャース、何か見ないと思ったら…」

澪「何をしてたんだ?」

ニャース「よくぞ聞いてくれたニャ!」 唯「よーしよし、ニャースちゃん」ナデナデ

ニャース「離れるニャー!!」

ギャーギャー

ニャース「……まったく」

律「で、なんだよ」

ニャース「ニャーはおみゃー達がいなくなった後、リラ達と一緒におみゃー達を捜していたのにゃ。イッシュにいて見つかったと聞いた時にはすぐに行こうとしたのにゃが……」

ニャース「……」タタッ

澪「!」

ニャースは競技場に立った。目の前にはシャンデラが向かい合い立っている。

澪「! ニャース、お前……」

ニャース「ニャーは今まで修業をしていたのニャ。また澪と一緒に戦うために!」

澪「ニャース……」

ニャース「ここはニャーに任せるニャ!」

澪「うん…、頼んだニャース!」

933: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:44:45.46 ID:XgKq/T/AO

唯「澪ちゃんの三匹目はニャースちゃんだね」

ニャース「ニャ。手加減は不要なのニャ」

唯「もちろんだよ」

ラー太「デラー!」キッ

さわ子『バトル再開よ!』

唯「“かえんほうしゃ”!」

ラー太「デラー!!」ボオオオッ

ニャース「!」

澪「大丈夫か、ニャース!」

ニャース「ニャー! これくらいの炎なら……」サッ

澪「え!?」

ニャースは懐からホースを出した。

ニャース「喰らえニャ、“みずでっぽう”ー!!」

ブシャアアアアアッ!!!!!!!

ラー太「デラ~!?」

唯「ええ~!!」

マサキ『ホースを使って“みずでっぽう”! これはセコい!! しかしシャンデラは怯んでおります!! ……っちゅうか、そのホース、リーグのヤツやろ!?』

ニャース「にゃはは! セコい、卑怯、元ロケット団のニャーにとっては褒め言葉なのニャー!」

ブシャアアッ!

ラー太「デラ……っ!」

ニャース「…にゃが、今はもうロケット団じゃにゃい。最後は正々堂々と真正面からいくニャ!」シャキンッ

ダッ!

ラー太「!」

ジャキイイイイイイ!!!!!!!!!!!

ニャース「必殺“つじぎり”ニャ!」チャキン

ドタアン!

ラー太「ラ~……」

ラー太はたおれた!

マサキ『シャンデラ戦闘不能やー!』

唯「ラー太、よく頑張ったね」シュウウッ

934: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:46:37.83 ID:XgKq/T/AO

マサキ『これで唯選手の三匹が戦闘不能になり、この後のバトルは律選手に引き継がれます!』

唯「ごめんね、りっちゃん」

律「気にすることないさ。唯は精一杯やってくれた。あとは私に任せろ!」

唯「頑張ってりっちゃん!」

ザンッ!

律「…」

澪「…」

律「何も言うことはないぜ。まずはそのバカ猫をたたきのめす!」

ニャース「にゃんて言い草なのニャ!」

律「出番だ、ヒート!」ボム!

ヒート「ヒヒーン!」

マサキ『律選手、ギャロップを繰り出しました!』

澪「ニャース、続けて頼む!」

ニャース「任せるニャ。相手が炎タイプにゃら、ホースで……」

律「させるか! “フレアドライブ”!!」

ヒート「ヒヒーン!」ダッ

ニャース「にゃにゃ!?」

澪「危ないぞニャース!」

ニャース「待つニャ、慌てるニャ……」

ニャースはホースを掴むが、

…プスッ

ニャース「ぁ……」

ブシャアアアアアッ!!!!!!

ニャース「にゃにゃー!? 爪を立ててしまったのニャ~!!」

澪「このおバカー!!」

ブシュウッ!

ニャース「にゃにゃあ! 目が!?」

澪「ニ、ニャース! 前!!」

ニャース「な、なんニャ?」

ゴオオオッ!!!!!

ヒート「ヒヒーン!!」ダダダダ!

ニャース「にゃんですとー!?」

935: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:49:07.67 ID:XgKq/T/AO

ドオオオン!!!!

ニャース「ニャハー!?」ビタアン!

バタリッ!

ニャース「やにゃカンジ…~……」

ニャースはたおれた!

マサキ『さあて、澪選手の次のポケモンは!?』

澪「いけ、サボみん!」ボム!

サボみん「サボネー!」

ニャース「ニャーの扱い!」

律「! サボネア…」

澪「“ミサイルばり”だ!」

サボみん「サーボネー!!」シュババン!

数十もの針がギャロップに目掛けて飛んで来る。

律「ヒート!」

ヒート「ヒヒーン!!」ボオオオッ

パチパチ……

サボみん「サボ!?」

炎に弾かれ、針の攻撃が防がれた。

澪「!」

律「前にもサボネアとこのヒートが戦ったよな。でもあの頃とは違う、ヒートはポニータから進化した! そしてレベルも格段に上がったんだ!」

律「あの頃のように簡単にやれるとは思うなよ、澪!」

澪「ふふっ、思ってないよ最初からな」

澪「唯にも手加減はしなかった。もちろん律にも手加減なしだ!」

936: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:51:30.71 ID:XgKq/T/AO

サボみん「サボネ!」

ヒート「ヒヒーン!」

澪「“ニードルアーム”!」

律「“メガホーン”!」

サボみん「サボネー!!」ダッ

ヒート「ヒヒーン!!」ダッ

ドオオオン!!!!!!!!

マサキ『両者激突ー!!』

マサキ『互いに一歩も譲りません! ……、いや!?』

サボみん「サボ!」ブンッ

ヒート「!」

サボネアが左腕を大きく振り上げる。

先に撃った“ニードルアーム”は右腕で放ったものだ。

澪「角が一本しかないギャロップでは太刀打ちできない!」

マサキ『サボネア、両腕で“ニードルアーム”だー!』

サボみん「サーボネーッ!!」ブオオッ……!

サボネアとギャロップの距離はほとんどゼロに近い。ギャロップにサボネアの攻撃を避けるだけの時間はない。しかしむしろこの場合、ゼロ距離において有利なのはギャロップであった。

ボウウッ!

サボみん「サボ!?」

澪「なに!」

937: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:53:33.43 ID:XgKq/T/AO

マサキ『おっとぉ!? サボネア、発火したー!!』

律「ヒートに近づくと火傷するぜ?」

マサキ『ゼロ距離からの“おにび”! これは効いているー!!』

サボみん「サボネ~!?」ダダダダ!

マサキ『というよりサボネア、火を消すのに必死です!』

澪「サ、サボみん!」

サボみん「サボネ~!!」ダダダダ!

ニャース「にゃにゃー! こっちに来るニャ~!!」

ダキツキ!

サボみん「サボネ~!」ウワンウワン!

ニャース「痛いし、熱いのニャ~!!」

マサキ『サボネア戦意喪失! ギャロップの勝利です!』

澪「戻って、サボみん!」シュウウッ

澪「ハブりん!」ボム!

ハブりん「プッププ~!」

律「!」

澪「“くろいきり”だ!」

ハブりん「プッププ~!」ブワアッ!

モクモク……

律「くそ……“かえんほうしゃ”で煙を吹き飛ばすんだ!」

ヒート「ヒヒーン!!」ビュオオオ!

938: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:56:01.37 ID:XgKq/T/AO

ギャロップが炎で黒煙を吹き飛ばすが、すでにハブネークはギャロップの目の前まで来ていた。

ハブりん「ハーブネーッ!!」ギロッ

ヒート「!」

澪「“くろいきり”は近づくための囮だ! “ポイズンテール”!!」

ハブりん「プッププ~!」ビュンッ

グサッ…!

ヒート「」バタンッ

マサキ『ギャロップ戦闘不能や!』

律「ヒート、ここまでよくやってくれたぜ。ゆっくり休んでてくれ!」シュウウッ

律「ここは……スカイだ!」ボム!

スカイ「トニョーロ!」

澪「! ニョロトノに進化したのか」

律「ああ! 成長したのはヒートだけじゃないからな!」

澪「でもそれが勝利に結び付くとは限らないぞ!」

ハブりん「ハーブネー!!」ダッ!

ハブネークがニョロトノに向かって体を伸ばす。

律「! 気をつけろ、スカイ! あの長い尻尾に巻き付かれたら、ちょっとやそっとじゃ抜け出せないぞ!!」

スカイ「トニョーロ!」キッ

939: ぽけもん 2011/09/07(水) 20:58:13.31 ID:XgKq/T/AO

律「向かってくる尻尾をはたけ!」

ハブりん「ハブネー!!」ブオンッ

ニョロトノは横から向かってきたハブネークの尾を軽く受け流す。しかしそれはハブネークの尾ではない。

剣のように鋭いハブネークの尾はニョロトノの背後にあった。

スカイ「トニョーロ…!?」

澪「今受け流したのはハブりんの胴だ!」

律「! 尻尾の先を向かわせたってことは巻き付くためじゃない!?」

澪「さっき見せたばっかりだろ。ハブりんの得意技は巻き付くことよりむしろ、その鋭い尻尾の先で攻撃することだ! “ポイズンテール”!!」

ハブりん「プッププ~!!」ビュンッ

ドゴオオン!!!!!!

スカイ「トニョ…っ!!」

スカイは攻撃に耐えられず、背中から後ろへ倒れる。そこを狙い、ハブネークは今度こそ自分の胴をニョロトノへ向かわせる。

律「! 結局、全部この状況へ誘うためだったのかよ…!」

940: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:00:09.99 ID:XgKq/T/AO

澪「“まきつく”だ!!」

ハブりん「プッププ~!!」ガシイッ!

スカイ「トニョーロ!?」

ギチギチ…!

スカイ「トニョー……ロ…………!!」

澪「もっと締め付けるんだ!」

ハブりん「ハブッ!」ガチイッ!

スカイ「っ!?」

律「まずい…! 腹から声を振り絞れ、“ハイパーボイス”!!」

スカイ「トニョーロぉおお!!!」

ボエエエエ!!!!!!

ハブりん「プッププ~!?」

あまりの大音量にハブネークは身体に入れていた力を緩めてしまう。

澪「しまった!」

スカイ「トニョーロ!」スタッ

律「間一髪脱出したぜ!」

澪「でもその場しのぎにしか過ぎないぞ」

律「どうだろうな?」

グオオオオオオン!!!!

澪「!?」

ハブりん「プッププ~!?」

941: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:02:57.99 ID:XgKq/T/AO

轟音。先程のニョロトノが発したハイパーボイスが競技場に響き渡る。

澪「反響してるのか……!」

ビリビリッ……!

マサキ『この轟音…! こっちにも激しく伝わっとる……!!』

ハブりん「プップ…プ……」グラッ……

澪「っ、…平衡感覚が……」

ハブりん「…、」バタンッ

マサキ『ハブネーク、ここで力尽きたかー!?』

律「? なんかおかしいぞ…」

チョロチョロとハブネークの口のあたりで何かが動いている。

律「あれは!?」

ハブりん「ハブ~…!」チョロチョロ

ハブネークが動かしているのは舌だ。それは蛇にとって、五感よりも頼りになるセンサー。

澪「バランスを崩したのも好都合。こうして地面を這うことで、より正確に相手の居場所を特定できる」

澪「この轟音の中でもしっかり攻撃を命中させられる! “ポイズンテール”だ!!」

ハブりん「ハブネーッ!!!」シュバッ

スカイ「…ッ!!」

ハブネークは尾の先の刃を容赦なくニョロトノの喉元に突き付ける。

しかし、そこで止まった。

澪「? どうしたんだ、ハブり……」

ハブりん「」バタアンッ

ハブりんはたおれた!

澪「…っ!?」

942: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:05:02.58 ID:XgKq/T/AO

律「…へへっ、ギリギリだったぜ……」

律「“ハイパーボイス”に紛らせて正解、正解。……まあこっちもやられちまうけどな」

スカイ「」ドサッ

スカイはたおれた!

澪「! “ほろびのうた”か!」

律「そうだ。決まれば即瀕死になるまさに必殺技。でもポケモンを交替されたら効果なしになっちまう。どうやって決めようと考えてたけど、澪の真似をしたら上手くいったみたいだな」

澪「“ハイパーボイス”で私の注意を逸らしたのか」

マサキ『両者戦闘不能ー! これにより、両選手とも残りポケモンは一匹となりました! バトルは大詰め、最後はどんなバトルを繰り広げてくれるのでしょうか!?』

律「スカイ、頑張ったな。ありがとう」シュウウッ

澪「ありがとう、ハブりん。休んでて」シュウウッ

律「スカイが自分を犠牲にしてまで引き分けに持っていってくれたんだ。絶対に勝つ!」

澪「私も負けない。ここまで戦ってくれたポケモンたちのためにも! 優勝するんだ!」

律「澪、最後は…」

澪「手持ち最強のポケモンで勝負する、だろ?」

律「…へへっ」

澪「ふふっ」

943: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:06:02.20 ID:XgKq/T/AO

律「いくぜ、澪!」 澪「来い、律!」

唯「負けるな、りっちゃ~ん!」

紬「澪ちゃんファイト~♪」

梓「二人とも頑張ってくださ~い!」

律「いっけええ! ランス!!」

澪「いけええっ! カゲぴょん!!」


ボム!

二つのモンスターボールが光を放つ。そして二匹のポケモンが現れる。

二匹がぶつかり合い、最後の戦いが始まった――――――――




944: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:11:41.55 ID:XgKq/T/AO

……………………


澪「遅いな、唯と律…」

紬「どうしたのかしら?」

梓「さあ…バトルでもしていたりして」

澪「まったく表彰式なのに…」

梓「あの二人は変わりませんねっ」

紬「ふふ、そうね♪」

律「うおーい!」タッタッ

澪「やっときたか…。遅いぞー!」

唯律「はあはあ…」

唯「ごめんごめん…」

律「ちょっとな…」

和「どうしたの、その服…」

唯「うわっ、泥だらけだ!」

律「しまった~!」

和「そんなんじゃ表彰台上がれないわよ…」

唯「ど、どうしよう!」

律「替えの服なんて用意してないぞー!?」

トントン

律「なんだよ、忙しいから後に…」

さわ子「……」

律「……」

さわ子「これ着る?」ピラッ

律「絶対に嫌です!!」

945: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:12:44.64 ID:XgKq/T/AO

さわ子「でも服ないんでしょ?」

律「うっ…」

唯「りっちゃん、仕方ないよ。覚悟を決めるんだ」ポン…

律「お前も着るんだぞ!?」

唯「えへへ~、それなら大丈夫だよ。みんなで着れば!」

律「! そうだな…、確かにみんなで着れば恐くない。ジム挑戦、みんなで挑めば恐くない……」

唯律「」ジロッ

澪「ひっ!?」

澪「な、なんで私を見るんだ!」

唯「なんでって…ねえ?」

律「うんうん」

澪「の、和ぁ~!」

澪「あいつらは絶対におかしい!」

和「……そうね」

946: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:13:52.32 ID:XgKq/T/AO

和「この際ムギと梓ちゃんも着て、五人で演奏してみたらどうかしら?」

梓「ええっ!」

律「ミニライブか! いいな!」

紬「やろおやろおー♪」

唯「和ちゃん、いい提案だよ!」

梓「ち、ちょっと待ってください!」

唯「?」

律「なんだよ、梓」

梓「え、えーと……こ、これ先輩たちが一年の時のライブの衣装ですよね? 私の分はないから、無理です、やめましょう! はい、この話おわり!」

トントン

梓「何ですか、今忙しいから後に…」

さわ子「……」

梓「……」

さわ子「梓ちゃんの分、用意しておいたからー!」ピラッ

梓「なああああっ!」

947: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:15:10.63 ID:XgKq/T/AO

唯「かわいい~!」

律「これなら私たちの衣装にも合うな!」

紬「やったわね、梓ちゃん♪」

梓「えと、あのその……あっ、」

梓「み、澪先輩! やっぱり反対ですよね!?」

澪「………いいな」

梓「えっ」

澪「ポケモンリーグでライブ……これは武道館ライブよりすごいことかもしれない!」キラキラ

梓「ぬああああああっ!」

律「諦めろ、こうなった澪は誰にも止められない。ハピナスでもパルシェンでも止められない」

梓「はあぁ…」

和「じゃあみんな、舞台に上がって」

唯「うん。…でもなんで和ちゃんが?」

和「マサキさんに頼まれたのよ。表彰する役をね」

唯「なんか生徒会みたいだね」

和「ふふ、そうね」

948: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:16:20.82 ID:XgKq/T/AO

唯「じゃあ頑張るよ!」

和「いってらっしゃい」

唯「うんっ、いってきます!」タッ

和「……ふふ。変わらないわね、あの子は」

「今日は随分と色々な顔が見られますね」

和「ゴヨウさん…、確か帰ったんじゃ……」

ゴヨウ「いえ…留まる理由が出来ましたよ。せっかくだから、聴いていこうと思ってね」

和「そうですか…。私は音楽のことはよく分からないけど……いい演奏をしますよ、彼女たち」

ゴヨウ「それは楽しみです」


949: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:19:44.72 ID:XgKq/T/AO

……………


ジャラアンッ

紬「梓ちゃん、今回はちゃんと五人で演奏できるわね。放課後ティータイムとして♪」

梓「ふふ、そうですねっ」

澪「?」

律「んじゃ準備いいかー?」

澪「ああ」紬「ええ♪」梓「はい!」

唯「ではみなさん、聴いてください!」


『ふわふわ時間っ!』


君を見てるといつもハートDOKI☆DOKI♪


ユレルオモイハマシュマロミタイニフワフワー……

………………

……………

…………

………
……

「ん…、ああ……ここは……」

「…起きたか」

「! 貴方は…センリ師匠!?」

センリ「久しぶりだな、ミツルよ」

ミツル「お久しぶりです…」

センリ「早速だが、ここは空の柱という所だ」

ミツル「空の柱…?」

センリ「私はここにいた伝説のポケモンを使い、力を手に入れようとした。だが失敗に終わった…」

ミツル「……」

センリ「お前がどうしてここにいるのかは分からんが、ある程度の事情は知っている。…弟子は師に似るとは言ったものだな」

ミツル「……僕は、」

センリ「ああ、分かっている。悪に手を染めた者同士…。私が言えた義理ではないが…師は弟子を正しい道へ導くものだ」

センリ「この汚れた手でどこまで出来るかは分からない。しかし、手に入れてみようじゃないか。本当の力ってやつを…!」

スッ…

ミツル「師匠……」

センリ「…」

ミツル「…」

…ガシッ!

ミツル「はい、師匠!」




950: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:21:00.54 ID:XgKq/T/AO

イツモガンバール……


《ルネシティ》



ダイゴ「ううーん…」

ミクリ「どうした、ダイゴ」

ダイゴ「時差ボケかな。まあいいや」

ミクリ「それで、私に用とは?」

ダイゴ「この間イッシュ地方に行ったんだけど、そこであるものを見つけてね」

ミクリ「…あるもの?」

ダイゴ「これだよ」

ゴト…

ミクリ「これは…紅色の珠!?」

ダイゴ「そう。二年前のアクア団マグマ団が起こした事件の軸となったものだよ。ホウエン中を捜しても見つからないから諦めていたけど……まさかイッシュにあるとはね」

ミクリ「…なるほど。持てば伝説のポケモンを自由に操ることができるという紅色の珠か……」

ダイゴ「今日来たのは、この珠の封印をお願いしに来たんだ」

ミクリ「封印、ね……目覚めの祠にかい?」

ダイゴ「ああ」

ミクリ「よし、分かった。あそこなら誰も立ち入れないから、盗まれる心配もない」

ダイゴ「頼んだよ」

ミクリ「もちろんだ。私を誰だと思っているんだ?」

ダイゴ「くすっ、そうだね。……そういえば」

ミクリ「ん?」

ダイゴ「ミクリ、何気に今回が初登場だよね。いかにも前から出てました的な風にいるけど」

ミクリ「うっ…」

ミクリ「仕方なかったんだ……アダン師匠に出番とられるし、君がチャンピオンを辞任した時に新しくチャンピオンになったのは私じゃなかったし、救いのみくるネタもモミにとられるわで………まさに大誤算!!」

ダイゴ「ダイゴだけにね」




951: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:22:14.74 ID:XgKq/T/AO

ズットミテテモキヅカナイヨネー……


《マサラタウン》

聡「オーキド博士ー!」

オーキド「おお、聡くん。よく来たな」

聡「博士が呼んだんじゃないですかー。何ですか、用って」

オーキド「ふむ。ヒトカゲ、フシギダネ、ゼニガメ、ピジョン、バタフリー、君の手持ちの調整が終わったんじゃ」

聡「じ、じゃあ…!」

オーキド「ああ、存分と次の旅を楽しんできなさい!」

聡「やったー!」

オーキド「ほっほ。オレンジ諸島へ行く、と前から言っていたな?」

聡「はい、今から行ってきます!」

オーキド「いってらっしゃい。気をつけて行くんじゃぞ」

聡「はい!」

聡「じゃあ、行こうぜピカチュウ!」

ピカチュウ「ピカピッカー!」

聡「マサラタウンにサヨナラバイバイ♪」




952: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:23:38.62 ID:XgKq/T/AO

ユメノナカナラ……


《いかりのみずうみ》


ハリー「さあ!」

リョウ「あのドラゴン使いもいなくなった!」

ケン「逃げるなら今だぜ!」

「“はかいこうせん”!!」

ドガアアアアアアンッ!!!!!!

三人「ぎゃあああっ!!?」ドシャアッ!

「野暮用で席を外していたが…」

ケン「お、おお…お前はっ!」

ハリー「れれ例のドラゴン使い、ジョウト地方リーグチャンピオン・ワタル!!」

ワタル「ロケット団共、迎えに来てやったぞ」

リョウ「はわわ…」ガクブル

ケン「む、迎えにきた…とは、なな何の事なのだ?」

ワタル「ふん……お前達!」

ザッ!

「「はっ、ワタル様!!」」

三人「!!?」

「ゲヘッゲヘ、久しぶりなんだなー。ハリー、ケン、リョウ」

「三中隊長とも、変わりはないみたいじゃん?」

ハリー「! あ、貴方達は…!?」

リョウ「オウカ大隊長!!」

ケン「チャクラ大隊長!!」

オウカ「ゲヘッゲヘ」

チャクラ「きひひ」

953: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:24:45.33 ID:XgKq/T/AO

ハリー「ご無事だったんですね、お二方!」

リョウ「よ、よかったぁー!」

ケン「お二人がいれば、もう何も恐くありませんよ!」

オウカ・チャクラ「……」

三人「……?」

ケン「…えっと?」

リョウ「そ、そういやあ…さっき、『ワタル様』って……」

ハリー「オ、オウカ大隊長!?」

オウカ「…んー。まあ、そういうことなんだな」

ハリー「そういうことって…」

チャクラ「僕とオウカはワタル様の下につくことに決めましたからー!」

三人「えええええ!!?」

ケン「そ、そんな馬鹿なっ! 何故!?」

オウカ「オデ達は改心したんだなー」キラキラ

チャクラ「金儲けとか、世界征服とか、そんな悪い事はしちゃ駄目じゃん!」キラキラ

ケン(い…一体なにが、お二人をこんなにしたんだ…?)

ジャリッ…

「あなた達がロケット団中隊長ね」

ハリー「! 誰だ!?」

954: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:26:06.62 ID:XgKq/T/AO

カリン「私はカリン。ジョウト四天王の一人よ」

ケン「四天王が何の用だ?」

チャクラ「やい、テメエら! カリン様になんて事を! 言葉遣いに気をつけるじゃん!?」

三人(えぇー!?)

オウカ「…実はオデ達は、このカリン様のお言葉により改心したんだな」

ケン「なんと!」

チャクラ「そうだ、カリン様! この馬鹿トリオにもあのお言葉を!」

カリン「え、ええ?」

オウカ「ゲヘゲヘ、カリン様のお言葉を聞けばこいつらも改心するかも。ぜひ、お願いしますなんだなー」

カリン「ま、また…あの時の…? で、でも……」

ワタル「…ふ。いいじゃないか、カリン。減るものじゃないしな」

カリン「ワタルまで……。わ、分かったわ。しょうがないね…」

カリン「あなた達、よく聞きなさい!!」

三人「……!」

カリン「つよいポケモン、よわいポケモン、そんなのひとのかって。ほんとうにつよいトレーナーなら、すきなポケモンでかてるようにがんばるべき」

ハリー「……!!」ジーン

ケン「ああっ…!」ジーン!

リョウ「なんて…素晴らしい言葉なんだ……っ!」ジジーン!!

955: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:27:20.38 ID:XgKq/T/AO

「「「一生付いていきます、カリン様ァアア!!!」」」

カリン「オウカとチャクラの時もこんなだったけど……って!?」

ハリー「カリン様ーっ!」ダダッ

リョウ「胴上げだ、胴上げー!!」

カリン「ええ!?」ガシッ

ケン「ばんざーい!!」

チャクラ「カリン様ばんざいじゃ~ん!!!」

オウカ「なんだなー!」

カリン「ちょ、ちょっと…あなた達、下ろしなさいっ!?」ワタワタ…

「「「「「カリン様、万歳ッッ!!!!」」」」」

キャー!!?

ワタル「……ふっ」




956: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:28:57.67 ID:XgKq/T/AO

フタリノキョリチヂメラレルノニナ……


《ポケモン警察署》


ゲーチス「く……! こんなことになったのも、すべてあの小娘どものせいだ………!!」

コンコン!

ゲーチス「!」

ハンサム「ゲーチス、少し話をしようか」

ゲーチス「はっ、また貴方ですか。別に話すことなどありませんよ。ワタクシはプラズマ団を組織して、英雄を再び世界に出現させるために伝説ポケモン・ゼクロムとレシラムを蘇らせただけです」

ハンサム「本当か?」

ゲーチス「ええ」

ハンサム「嘘つきゲーチスめ」

ゲーチス「! なに……?」

ハンサム「もう調べはついている。七賢人であるシキミ・ギーマ、両容疑者が洗いざらい吐いてくれたからな」

ゲーチス「あの馬鹿どもがァッ……!!」

ハンサム「逮捕状も出ている。ゲーチス・ハルモニア、二年前のカントー地方ロケット団事件・ホウエン地方アクア団マグマ団事件・シンオウ地方ギンガ団事件、一年前のジョウト地方ロケット団事件、そしてイッシュ地方プラズマ団事件首謀の容疑で逮捕する!」

ガチャアン!

ゲーチス「…ッ!」

ハンサム「これだけの大罪だ。もう一生太陽を拝めるとは思うな」

ゲーチス「……」

ハンサム「…だがな。お前のその図太い信念は目を見張るほどだ。今度は間違えずに正しい方向へ……」

ゲーチス「フハハ、国際警察コードネーム・ハンサム……ワタクシを捕まえたことは称賛してさしあげますが、ワタクシは変わるつもりはありません。次こそは何としてもプラズマ団の………いえ、ワタクシの目的を果たしてみせます!」

ハンサム「ほう……やれるものならやってみろ」

957: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:29:54.10 ID:XgKq/T/AO

ザッザッ

警察官「おい、さっさと歩け!」

ゲーチス「ん?」

デント「あっ」 ポッド「ゲーチス様じゃッ」 コーン「ないですか!」

ゲーチス「貴方達も捕まっていたんですか…」

デント「いやあ、僕達だけでどうしようかと思っていましたけど…」

コーン「ゲーチス様がいらっしゃるなら話は別!」

ポッド「プラズマ団復興も夢じゃないぜッ!!」

ゲーチス「………。まあ、復興しても貴方達を親衛隊にする気は毛頭ありませんが」

三人「ええぇえええ!?」

デント「どうしてですかゲーチス様~!」

ポッド「俺達頑張っているのに~ッ!」

コーン「ゲーチス様を最も信仰しているのも我々だというのに~!」

ゲーチス「うるさいですよ、ダークトリニティ!!」

三人「はひいっ!」




958: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:31:32.85 ID:XgKq/T/AO

アアカミサマオネガイ…フタリダケノ……


《トキワジム》


シルバー「……」 N「……」

ワイワイ!

シルバー「どうしてこんなことになっているんだ…」

N「賑やかだね」

アデク「はっはっは! いいではないか。せっかくだから、ここで打ち上げだ!」

ハチク「おい、小僧!」

シルバー「…えっ?」

ハチク「お前も一緒に飲まんか!」

シルバー「俺まだ未成ね…」

ハチク「しゃらくせえ! 俺の酒が飲めねえって言うのか!?」

シルバー「ち、近寄るな、酒臭い~!!」ジタバタ

N「はは…」

アデク「皆、酒が回っておるのう!」

N(シルバーには悪いけど、ここは退散しようか)ソロリ…

ガシッ!

N「!?」

フウロ「え~ぬクンっ。どこに行くのかな~?」

N「君はフキヨセジムリーダーのフウr…」

フウロ「御託はいひのよー。フウロお姉さんと楽しいことしましょ~!?」

N「ちょっ、ま…!」

アイリス「子供ねえ…」

カミツレ「ライモンでポケモンつよいもーん!」

959: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:32:44.80 ID:XgKq/T/AO

ヤーコン「…ふん! 騒がしい限りだな」

アロエ「まっ、浮かれるのも無理ないじゃない?」

アーティ「そうだよねぇん。本当はみんなピュア~で子供っぽい心の持ち主だったんだねぇん?」

アロエ「黙ってろ酔っ払い」

アーティ「これは酔って言ってるんじゃないけど!?」

「…あらあら、なんか私だけ場違いみたいね」

アロエ「あんたは…シロナさん?」

シロナ「ええ、アロエさんですよね」

アロエ「そうさ。いやあ、知っていてもらえて光栄だよ」

シロナ「トレーナーであり、研究者でもある人は少ないから」

アロエ「ははっ、私は研究者としては未熟だけどね」

シロナ「そうでもないですよ。ジムが博物館の中にあるだなんてイレギュラーは貴女だけでしょうし」

アロエ「そう言って貰えると有り難いねえ」

シロナ「……!」

アロエ「…どうかしたのかい?」

シロナ「い…いえ、何も」

アロエ「?」

シロナ(何か視線を感じる…?)



960: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:37:25.26 ID:XgKq/T/AO

……


アデク「…さて、」

アデク「出てきてもらおうか! アカギ、マツブサ!」

アデク「……」

ザンッ!

アカギ「ふん…」

マツブサ「ばれていたか」

アデク「まだ捕まっていなかったのか」

マツブサ「…はんッ。ヒヒダルマ!」ボム!

アカギ「ジバコイル!」ボム!

ヒヒダルマ「ダルヒッヒ!」

ジバコイル「ジーッ!」

アデク「…ッ!」

マツブサ「“ほのおのパンチ”だ!」

ヒヒダルマ「ダルヒッヒ!」ゴウッ!

「スピアー!!」

スピアー「スピーッ!」バッ!

マツブサ「…なに!?」

961: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:38:44.89 ID:XgKq/T/AO

「“ダブルニードル”!」

ザシュザシュッ!!!!

ヒヒダルマ「ダルヒッヒ!?」ドサアッ

マツブサ「ヒヒダルマ!」

アカギ「……サカキ、か」

サカキ「…」ザッ!

マツブサ「くくっ、七賢人勢揃いかよ?」

サカキ「このメンバーで喧嘩をするのも久しぶりだな」

アカギ「…ふん」

アデク「………」

マツブサ「あァ? なんだよ、アデク。テメエ…俺達を倒して、警察に突き出すつもりなんだろ?」

アデク「ああ」

マツブサ「なら、なんでポケモンを出さねえ?」

アデク「……おぬし達には警察に行ってもらう。だが今は祝いの席だ」

アデク「おっと、野暮なことは言うな。敵味方関係なく、今だけは一緒に楽しもうではないか」

962: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:40:24.52 ID:XgKq/T/AO

アカギ「…」

マツブサ「その考え…相変わらず甘ちゃんだぜ」

アカギ「…だが、まあ」

マツブサ「今は…俺達も乗ってやるかな」

アデク「そうこなくてはなっ!」

マツブサ「……まなかったな」

アデク「む?」

マツブサ「なんでもねえよ」

アデク「そうか? では酒を持ってくるから少し待っていてくれ」

サカキ「いや、私はいい」

アデク「!」

サカキ「私も付き合いたいところだが…」

ギャーギャーワーワー!

サカキ「…まだ顔向けはできない」

アデク「サカキ……」

サカキ「いつかシルバーの…いやシルバーとNの父親と、胸を張って言えるようになるまでは会うわけにはいかない」

サカキ「心配するな。警察には行くさ。このパーティが終わったら、アカギとマツブサと一緒にな」ザッ…

963: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:42:08.39 ID:XgKq/T/AO

アデク「…サカキ……」

サカキ「じゃあな」

「親父ッ!!」

サカキ「…っ!」

サカキ「シ、シルバー…」

シルバー「……」

シルバー「…ごめん。俺は親父の事を疑ってた。俺の事なんて、ちっとも考えていないって思ってた…」

サカキ「…いいさ。私も足掻いたが、結局はお前のためにしてやろうとしても何も出来なかったんだ」

シルバー「…俺は、」

シルバー「俺は信じてるから」

サカキ「!」

シルバー「親父の事、俺は信じてる! いつか必ず…三人で暮らそう!」

サカキ「シル、バー…! ……っ、立派になったなシルバー………。ああっ、三人で暮らそう…いつか必ず……!」

シルバー「じゃあな、親父!」

サカキ「またな、我が息子よ!」


シロナ(…視線はあの三人のものだったのね……ハンカチハンカチ………)グス

シロナ(でもおかしいわね。まだ視線を感じるような…)

コソッ

アララギパパ(私も結構頑張ってたのに、何故呼んでくれなかったんだアデクぅ~!)グスグス




964: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:43:42.08 ID:XgKq/T/AO

モウイッカイ!


純「いや~何回聴いてもいい曲だねー!」

クロツグ「そうだな~」

純「って、お父さんは聴いたことないでしょ」

クロツグ「何を言う。毎年学祭のライブでしっかりと聴いていたぞ」

アンズ「負けた純殿には到底奏でられない素晴らしさでござるよ」

純「なんだってー!?」テカマケテナイシ!

アンズ「なんだとはなんでござる!」

純「なんでござるとは何よー!」

純アンズ「む~!!」バチバチ…!

キョウ「まあまあ二人とも」シュバッ!

純アンズ「ふんっ!」プイッ

純アンズ「……」

純「…えへへ」

アンズ「……ふっ」

キョウ「ファファファ、まったく…」



965: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:45:09.45 ID:XgKq/T/AO

憂「わあ~、あれお姉ちゃんだよー!」

唯父「はは、トレーナーズスクールに通ってた時は毎年見てただろー」

唯母「でも久しぶりね。唯の演奏を聴くのは」

唯父「ああ…。やっぱり上手いなあ唯」

唯父「ママに似たんだなあ?」

唯母「唯はいい子に育ったし、パパ似よお~♪」

キャッキャウフフ

憂(仲良しだなあ)

ザッ…

「お楽しみのところ悪いのですが、少しよろしいですかな?」

父母「?」

憂「! クロツグさん」

クロツグ「お父さんとお母さんに話があるのですが…、憂ちゃんも一緒がいいかな」

憂「? 何の話ですか?」

クロツグ「この前話した、憂ちゃんがフロンティアブレーンになってみないかという話さ」




966: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:46:07.18 ID:XgKq/T/AO

アアカミサマオネガイ…イチドダケノ……


《ハナダ洞窟》


ザッ…

フジ「…」

アオギリ「見事に崩壊していますね」

カツラ「あれだけのことがあったんだ。仕方がないだろうな」

フジ「我ながら、馬鹿なことをしたものだ」

カツラ「…」

アオギリ「…まあ、あれも元凶はゲーチスなんですがね」

フジ「わしの心の弱さのせいでもあるさ」

カツラ「……というより、アオギリ…だったか。何故君がここに?」

アオギリ「ふ…。さて、ね」

アオギリ「私も同じものとして、弔いをしにきたというところですかね」

967: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:47:36.41 ID:XgKq/T/AO

…ボム!

デオキシス「…」スタッ

カツラ「! デオキシス…」

ピッ…

カツラ「む、ポケギアが…」

ピピッ

『ヨカッタ』

カツラ「…デオキシス、か?」

デオキシス「…」コクッ

『アア、ワタシダ。ネンシノウリョクニヨッテ、コノタンマツヲトオシテ、コトバヲツタエテイル』

カツラ「ふふ、不思議なものだな。昔はポケモンと会話するにはどうすればいいか、という研究もしたものだが……ポケモン自らの力によってそれが出来るとはな」

『……ケンキュウ、カ』

『ワタシハ、ケンキュウニヨッテウミダサレタノダッタナ』

カツラ「…」

『イヤ、ダガウマレテヨカッタ。オマエタチニデアエタ』

『ヤセイニカエッテカラ、フタタビニンゲンノテニモドッテキタノモ、ソレガリユウダ』

カツラ「…デオキシス」



968: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:49:15.53 ID:XgKq/T/AO

………

ザッザッ…

フジ「ふう…少し歩きすぎたかの。カツラくん達も置いてきてしまったし」

フジ「……」

フジ「ここだけ崩れとらんかったようじゃの、ミュウツー」

ミュウツー「……フジ博士、か」

フジ「久しぶりじゃの」

ミュウツー「ああ、本当に久しぶりだ」

フジ「お前にも、色々と迷惑をかけたようじゃな」

ミュウツー「いや」

フジ「……」

ミュウツー「……」

フジ「…ミュウツーよ」

ミュウツー「なんだ?」

フジ「本当に今更で、わしが言える立場ではないのかもしれんが……」

フジ「…わしは」

ミュウツー「世界平和、か」

フジ「!」

ミュウツー「あの事件以来、私もそのために色々としてきたつもりだが…やはりお前がいないと始まらないようだ」

フジ「……」

ミュウツー「一緒に夢を叶えようじゃないか。フジ博士の夢を」

フジ「ミュウツー…」

フジ「……」

ミュウツー「……」

フジ「わしからも…言っておこう」


フジ「争いを、研究で…お前の力で終わらせることがわしの夢じゃ!」


フジ「…手伝ってくれるか?」

ミュウツー「ふっ…」

ミュウツー「もちろんだ」

フジ「…ありがとう、ミュウツー」

969: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:50:10.16 ID:XgKq/T/AO

ジャリ…

アオギリ「では此処をその夢の拠点にしましょうか」

フジ・ミュウツー「!」

カツラ「フジ博士の夢の達成、私達も協力させて貰いますよ」

デオキシス「…」コクッ

フジ「アオギリ…カツラくん…デオキシス……」

ミュウツー「さあ、フジ博士。此処から始まる…いや、始めようじゃないか」

フジ「ミュウツー……」

フジ「……」

フジ「ああ…っ!」




970: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:51:14.82 ID:XgKq/T/AO

……………

………



ポケットモンスター、縮めてポケモン。

この星の不思議な不思議な生き物。
その数は、100、200、300、400、500、600、700……いや、それ以上かもしれない。

ポケモンの数だけの出会いがあり、ポケモンの数だけのドラマがあり、

そして、ポケモンの数だけの冒険がある。



「人とポケモンは互いに支え合い、共に生きている…」カキカキ

「……今日も晴れやかな天気です! …っと!」

『DIARY・・・yui』


971: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:52:27.87 ID:XgKq/T/AO

唯「ふうっ! 今日の分は終わり~!」ウーン!

唯「日記も書けたし、久しぶりに大好きなテレビ番組『ぽけもん』でも見ーよおっ!」

「おーい、唯ー!」

唯「! りっちゃん!」

律「もうすぐ表彰式始まるぞ! なにやってんだ?」

唯「ごめんごめん、そうでした!」エヘヘ

唯「今行くよ~!」タタッ

唯「おまたせぇ~♪」

律「まったく…。ほら、行くぞ!」

唯「うん! あ…そうだ、りっちゃん!」

律「ん?」

唯「ふんすっ!」

律「…?」

カチャ…

律「あ、そうか…!」カチャ!

唯「えへへ…」カチャ!

唯「ブイ太!」 律「ランス!」

「「いっけえっ!!」」

…ボム!



972: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:54:09.89 ID:XgKq/T/AO

……………………………………………………………………

フワフワターイム フワフワターイム…

ダダッ ジャラッ ジャアアアン!

…ワアアアアッ!!!!!


律「よっし、もう一曲いくか!」

澪「え、でも……」

梓「いいじゃないですか!」

紬「やろおやろおーっ!」

澪「おいおい…」

唯「じゃあ、次の曲は……」

和「ちょっと、唯! もう表彰式に移らないとっ!」

唯「ええ!?」

澪「ど…どうする?」

律「もういっちゃえー!」ダダン!

澪「ええー…」

梓「はいですっ!」

唯紬「おーっし!」フンスッ

和「まったくもう…」ハア…

唯「えへへ…」

973: ぽけもん 2011/09/07(水) 21:55:00.16 ID:XgKq/T/AO

律「んじゃ、行くぞ!」ワンツー!

唯「…せーの!」


唯律澪紬梓「ぽけもんだいすきー!!!」




おわり




974: ぽけもん 2011/09/07(水) 22:03:52.97 ID:XgKq/T/AO
手持ちポケモン

☆平沢唯☆
ブイ太/シャワーズ
ピッ太/ピクシー
リュウ太/デンリュウ (旧:メリ太)
チー太/チラチーノ (フレンドボールでゲット)
ムー太/ムシャーナ
ラー太/シャンデラ

☆田井中律☆
ランス/ニドキング
スカイ/ニョロトノ
ヒート/ギャロップ
ウィング/ワタッコ
モール/ドリュウズ (ヘビーボールでゲット)
ボルト/ゼブライカ
フォウル/アーケオス

☆秋山澪☆
カゲぴょん/リザードン
ハブりん/ハブネーク
ベロにゃん/ベロベルト
サボみん/サボネア
ドっくん/ドクケイル
ルンたん/ポワルン
くらくら/ドククラゲ
コロぽん/ココロモリ (スピードボールでゲット)
デスらん/デスマス

☆琴吹紬☆
リン/レントラー
レン/ドンファン
ルカ/オクタン
ユリ/ユンゲラー
ネル/ネイティオ

☆中野梓☆
ミミちゃん/ミミロップ
さわちゃん/サワムラー
デビちゃん/デルビル
トンちゃん/アバゴーラ

975: ぽけもん 2011/09/07(水) 22:06:04.09 ID:XgKq/T/AO

☆鈴木純☆
ラプンーソ/エンペルト
ドルアゲス/マネネ
エヌターク/ストライク
ギガンテフ/ゴルーグ

☆真鍋和☆
ブーピッグ
エルレイド
ゴチルゼル
オーベム

☆平沢憂☆
ぶらら/ブラッキー
ぷりり/プクリン
うぬぬ/ヌオー

☆山中さわ子☆
マリア/ムウマージ
マーシー/ゲンガー
ジェーン/フワライド

976: ぽけもん 2011/09/07(水) 22:09:09.26 ID:XgKq/T/AO
これで終わりです
ジョウトらへんからグダグダになりましたが、無事に終わってよかった!
一年かかりましたが、最後までお付き合いいただいた方、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございまひゅた!